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19回国会参議院1954/05/25

文部委員会 第36号

発言数
134
登壇者
9
会派数
5
開催日
1954/05/25

会議録

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。  最初に、盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  去る五月十八日、本法律案の提案理由の説明を聴取いたしております。質疑は本日が初めてでございます。総括逐条一括して質疑をして頂きたいと存じます。これは御承知のように、院修正議決になつております。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 ここに衆議院の修正の書類を頂いておりますが、修正された点、修正の趣旨等につきまして、どなたかから御説明願いたいと思います。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) それでは、御説明申上げます。  政府が提案いたしました原案は、盲学校、ろう学校への就学奨励に関する法律といたしまして、この法律の対象になります学校を、盲学校、ろう学校と限つておつたのでありますが、衆議院におきまして、養護学校をそれに加えられまして、第一法律の題目からいたしまして、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律というふうに改めました。  従いまして関係各条文に、盲学校、ろう学校に加えまして養護学校というものが追加されました。第一条、第二条でございます。それから附則の第二項でございます。一番最後の、地方財政法の改正の中に、やはり養護学校というものが追加されております。この修正の趣旨は御説明申上げるまでもございませんが、養護学校は、現在いわゆる義務制が発足しておりませんけれども、将来義務制の発足を予定いたしまして、養護学校についても、就学奨励の措置を講ずることを趣旨とされておるように私どもは承つておる。大体以上のような修正が衆議院におきましてありました。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 養護学校を加えたことによりまして、この第四条に規定してあります国は、都道府が支弁する経費の二分の一を負担する。予算の関係は伴いますか、伴いませんか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) この法律の趣旨は、第一条で御覧頂きますように、これらの学校へ就学する学齢児童生徒について、必要な援助を行うことを目的といたしております。この学齢児童生徒と申しますのは、学校教育法の第一条の括弧の中にございますように、二十三条に規定する学齢児童或いは三十九条第二項に規定する学齢児童を言うので、つまり修学義務を父兄が負つておりまする学齢児童であります。従いまして、養護学校につきましては、まだ就学義務が課せられておりませんので、この法律の対象といたしました養護学校の範囲を入れましても、直ちに本年度から、これが実施されるということには相成らんのであります。さようなわけでございますので、予算関係はこの修正につきまして変化はないわけであります。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 この盲学校、ろう学校、養護学校に就学していない人の比率は、はつきりしておりますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これは盲学校、ろう学校につきましては大体五〇%以下の就学率であります。ちよつと資料について申上げますと、詳細に区分して申上げますが、小学部につきましては、いわゆる義務制が布かれておりますから、盲学校におきましては体三七%程度の就学率になつております。それからろう学校につきましては四七%ということになつております。それから中学部のほうでございますが、これは昨年の調査でありますから、まだ中学部については義務制の発足前でございますから全部引義務制、中学部につきましては、盲学校が二二%、ろう学校は二七%という調べになつております。これは昨年の八月に調査いたしましたが、若干の府県がまだ報告が出ておりませんけれども、四十一都道府県につきまして調べました点でございます。全体から見まして五〇%以下、基準県につきましてなお低いのでございます。それから養護学校でございますが、御承知のように、養護学校で教育します児童生徒と申しまするのは、精神薄弱、身体虚弱、或いは肢体不自由といつたような子供でございまして、この数は相当多数に上つていると考えられます。正確な数につきましてまだ調査が十分できてないような状況でございますけれども、目下相当多数に上ると想像されます。養護学校の状況はすでに御承知の通りでございますが、現在存在いたします学校は四校しかございません。そこで教育をいたしておりますのは、合計幼稚部から高等部まで入れまして二百二十二名でございまして、これはもう極めて微々たるものにしかならんというふうに考えておる次第でございます。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 この法律は父兄を援助して就学率を殖やそうということなのですが、今養護学校で言われたように、全国でたつた四校ということで、二百二十二名よりないということになつて来ると、私どもとしては第一にやはり機会を均等ならしめるための学校の設備或いは先生というものの獲得が不十分なのじやないか。そういう根本がまだできていない。ただ父兄を援助すると、この程度の援助だけで果して必要な就学奨励になるかどうか、根本的な解決には遠いと思いますが、どういうふうに考えますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) いわゆる盲ろう以外の特殊教育の問題全般に亘る御質問でございますが、これにつきましてはお話の通り国において今後なすべきことは多く、この法律で直ちに目的が達せられるとは考えません。私どもが今考えておりますことの大要を申上げますと、養護学校で教育いたさなければならない子供にはいろいろな態様がございます。或いは精神薄弱或いは肢体不自由、身体虚弱、その外にもいろいろな種類があると思います。これに対しましてどういう施策を講じるのが一番適当であるかという問題でございますが、私ども今まで考えておりましたことは、いわゆる特殊学級を普及いたしまして、ここで教育をすることが第一の策ではないかと考えております。普通の学校におきましても、これは程度もございますけれども精神薄弱児が相当あると思います。これを一般の生徒と同じ学級で教育をいたしますことは、一般の生徒の教育上も困りますし、又精神薄弱その他の特殊な児童のほうから申しましても、非常に教育をする上に工合が悪いのでありまして、その特殊児童だけ同じ教室に集めまして特別な教育を施して行くことが必要じやないか、これによつて先ず特殊教育を進めて行きたいと、かように考えております。現在特殊学級といたしましては全国で八百学級くらいしかございません。私どもの考え方といたしましては、一定の生徒児童数に或る基準を定めまして、これだけの生徒児童数があるところには、必ず一学級置かなければならないというような施策を今後進めて行きたいと思います。そのために法令の整備も必要でございますけれども、第一に予算の問題が出て来ると考えます。それからその外の肢体不自由児とか或いは身体の虚弱の子供に対しましても、特別な養護施設、養療施設、そういうものを必要だと考えますので、特別な養護学校がどうしても必要になつて来ると考えます。いずれにいたしましても、現在相当多数と思われますこれらの心身に欠陥のあります子供に対します教育に対しましては、単に養護学校だけではいかんのじやないか、やはり特殊学級その外特別な、おのおの不自由の態様に応じまして、いろいろな施案を講じなければならない、かように考えております。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 この養護学校の全国で四校というのは全部私立ですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 一校だけが公立でありましててあと三校は私立であります。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 それから特殊学級の八百学級は大体公立学校でございますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 八百学級は全部公立でございます。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 そうしますと政府が予算的措置をとつて、特殊学級の整備に非常な努力をされるということに承つてよろしうごいますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) まあ特殊学級或いは養護学校につきましても、今後私ども十分力を入れなければならんと考えます。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 盲学校、ろう学校の問題については着々みんなでこの子供たちのために努力をされておるようですが、今加賀山先生の御質問の中にあつた養護学級の問題ですが、盲ろう学校の全体の児童生徒数に比べて身体虚弱、精神薄弱というような子供たちは、これと比べたときに数の上で以てどういうような比率になつておりますか。それを一応伺つておきたい。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 盲ろう以外の心身の欠陥のある生徒児童の数でございますが、これは相当多数あるものと考えられますが、正確な数は実は調査ができておりませんが、その推定数を申上げます。精神薄弱者でありますが、これは大体強弱とかいろいろな度合はありますけれども推定四十一万ぐらいと考えております。身体虚弱者はなおその上、上廻りますが四十九万ほどの幅があるのじやないかと推定いたしております。肢体不自由児が四万九千、それからそのほか言語障害と申しますか、これは十六万ぐらいあるのじやないか、これはいずれも推定数でありますから、かように考えております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 そういたしますと、非常にこれは明るみに出ておらないようで、数が非常に多いようですが、盲ろう学校の対象になる児童の数と比べて、これは何倍ぐらいの比率になつておりましようか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これも推定数でありますけれども学令児童生徒中におきます。パーセンティジを申上げますと、盲ろうのパーセンテージは全学童中の〇・〇一%ぐらいになつております。これに対しまして精神薄弱は二・五%ぐらい、それから肢体不自由児は〇・三%、身体虚弱者は三%ぐらい。ちよつと今の係数をもう少し整理して申上げますが、盲ろうの中に入る強度の弱視、難聴、こういうのも加えますと、盲ろうの教育の対象になりますのは〇・六%ほどになります。先ほど盲ろうは〇・〇一%と申しましたが更にその上強いものと、程度の低いものを入れますと、〇・六%でございます。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 盲、ろうの児童に比べますと、こういうふうに心身に欠陥を持つている児童が非常に多いようでありますが、ざつと見ましても五・六倍ぐらいになつておるようですが、これらのものが、いろいろの関係で今日までかなり冷遇されておつたということは、盲、ろう学校の振興に比べて、秋は甚だ遺憾な点があると思つております。この心身虚弱児童が、今日まで盲、ろうに比して比較的放置された原因は、これは比較の問題ですが、どういうところにあるかということについて、文部省は把握されておりましようか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これは今申しますように、相当数あると考えますが、ただこの程度につきましては、精神薄弱児等につきましてもいろいろ非常にひどい者もおりますし、割合そうでない人もおりまして、現在精神薄弱児などでも普通の小学校、中学校に就学している者も相当あるわけであります。ただ先ほどもお答え申上げましたけれども、普通の小学校、中学校で、ほかの通常の児童生徒と同じような教室で、同じような教育を施しますことは、通常の児童生徒の教育の面におきましても、又この精神瀞弱児の教育の面におきましても、教育効果の上から申しましても非常に工合の悪い点がありますので、私どもとしましては今後特殊学級について十分研究をし、これの普及、発達に力を入れて行きたいと考えております。特殊学級については、先ほど申上げましたが、現在全国で八百学級ぐらいしかないのでありまして、今後私どもの計画といたしましては年度計画等を立て、漸次これを普及さして行きまして、そういう精神薄弱児等は極力特殊学級で集めて、教育をさして行くことにいたしたい考えを持つておるわけです。そのほかの肢体不自由児或いは身体虚弱児等につきましては、又それぞれ特殊な方策が必要かと思います。養護学校等につきましても、先ほど申上げました通り、現在学校数も非常に少いのでございますが、これの普及についてなお努力をして行きたいと考えております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 総体的な御答弁であつたようですが、なぜ身体不自由児、精神薄弱児童が今日まで問題にされなかつたという原因について、その究明というものが今なかつたようでございます。この原因をやはり我々としては突きつめて、それを除去するための手当が施されなければならないと思います。私はつらつら考えてみますのに、この不幸な心身共に欠陥のある児童は、おおむね今日まで普通の小学校にそのままの形で入つて行つて、そのままの形で受持の教員も気の毒だと思いながら、他の学童の学習にその子供だけ構つていると非常に支障があるので、そのためにしようがないから落第させても可哀想だ、何でも構わないから連れて行つて卒業さしてやろうという、誠に何というか、生かさず殺さずという形で放置しておつたのが原因であつたろうと思うのです。こういうことを除去するいろいろな方法を講ずるためには、やはり各自の児童の親というものは、世間体に恥じておると思うのです。自分の子供は、健康な子供にも増して不具の子供のほうが可愛いいと思うけれども、世間体に恥じて声を出すことができなかつた、輿論が起らなかつた、そういうようなことが、この不幸な子供を今日まで放置したところの大きな原因であつたと私は思うのです。幸い、衆議院のほうではここに養護という字を入れまして、特殊児童のためにこの法律が一条の明かるみを見るようになつたことは一つの進歩だと思いますけれども、何としても当り前のところに鳴かず飛ばずで放置していたというものの考え方を除去して行く以外には方法がないのではないかと思うわけです。そこでお尋ねをいたしますが、今日、特殊な児童を収容するための学校は、先ほど加賀山委員の質問に答えて全国で四つの学校がある、こう答えられた。それから特殊学級の場合には八百学級あるとお答えになつております。そういたしますと、八百の学級と四つの学校で心身に欠陥のある児童全部に対する収容率というものはこれだけの施設で以て何%救われて、残余の部分は何%ぐらい放置されておりますか、数字を示して頂きたいと思います。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 関連質問、非常に大事なところで高田委員の前提が文部省の見解と仮に食い違つているとするならば問題だと思うのでお尋ねしておきたいのです。今の高田委員の発言を聞いておりますと、特殊学級を含む小学校乃至、中学校はこの保護法案の適用対象の範囲内のようなお話ですが、さように了解してよろしいのですか。学校教育法を見てみますと、養護学校というのは学校教育法第七十一条の規定によつて学校全部が盲者ろう者又は精神薄弱者、身体不自由者、その他心身に故障のあるものという規定が決定している。ところが、同じく第七十五条を見ると、そういう気の毒な子供のために特殊な学級を置くことができるというふうに書いてあります。特殊な学級を置いた学校は養護学校であるかないかといえば、養護学校でない。この衆議院の修正した養護学校という概念は養護学校プラス養護学級を含む普通の学校なのか、文字通り、法律で規定した養護学校なのか、非常に問題なのです。高田委員のような解釈がされるなら非常に有難いのですが、文部省自身はどういうふうに考えていますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 相馬委員の御質問のほうから先へお答え申上げます。私はこの衆議院の修正案に、養護学校は学校教育法の第七十一条にある養護学校でありまして、それに関連する規定、七十三条、七十三条、七十四条に規定してありますこの養護学校でありまして、これには七十五条の特殊学級を含まないものと規定をいたしてございます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 只今の緒方局長の答弁で分りました。法律的に解釈すると緒方局長が言つているようにする外ないと私は思うのです。ただ私は内枠的にはこれは非常に問題があると思うし且つ反対です。実は養護学校というものがむしろ特殊な施設で、大部分は当然養護学校に収容されるべき子供が、日本の国内事情、交通事情等から養護学級というものに収容されて、普通の学校にこれが包含されている。その場合、八百に余る養護学級がこの法案の対象にもならないとするならば、実はこの決定を批判するような言葉は改むべきだが、養護学級という字を入れて修正したというがごときことはナンセンスだ、僅か四校しか適用範囲が拡大されないこいうのはナンセンスだ。むしろそれならばこういうはんぱな修正をしないで、文部省の原案を通して、然るのちにおいて養護学校並びに養護学級を含む普通の学校を含めて、抜本的にこれらを救済すべきだと私は思うのであつて、あなたの見解というものは法律的に言えばそうだと私も同感するし、やむを得ないと思うのですが、ただ問題は適用する場合に拡大解釈をして、養護学級を含む学校まで入れますかということは、高田委員がひとりできめて質問をしているけれども、誰だつて常識的にこう考えると思います。養護学級を含む学校は本法の対象だと思うのです。これは拡大解釈できますか、できませんか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 私が先ほどから御説明申上げておりますのは、今後の特殊教育を文部省として如何に進めて行くかということについて、お話を申上げておるわけであります。それで必ずしもこの法案の修正の点につきまして御説明申上げているわけではないのです。私どもは先ず盲ろう学校の就学奨励が行われ、それから盲ろうの義務制が来年、再来年には中学まで完成いたします。これと並行いたしまして特殊学級の振興に力を尽したい。差当り養護学校は勿論でありますが、特殊学級の振興に力を尽して、普通の児童と同じような方法で教育を受けております特殊児童につきまして、養護学級におきましては特別な教育をすることが必要じやないか、かように考えておることを先ほどから申上げておるわけであります。そこでこの就学奨励法の中に特殊学級で教育をします児童生徒に対して、全部就学奨励の方法を講じなければならないかどうかという点は、これは相当検討の余地があるのではないかと考えます。この就学奨励の場合は、特に盲ろう学校につきまして私どもが考えました点は、家庭の貧困の者が相当度合が多いのでございまして、それに加えて盲ろうという身体の欠陥のために、いろいろと物心両面に就学のためのハンディ・キヤツプがつき、かたがた家庭の貧困の度合いも多い、従つて父兄の経済的な負担を少しでも軽減して行つて、盲ろうの就学の率を高めて行きたい、かように考えて原案を提出いたしました。それに対しましては、精神薄弱児にきましても肢体不自由児と同じじやないかという御議論がありまして、そして養護学校というものが入つておるものと私は考えております。ただこの青ろうはこれは、はつきり対象にいたしておりますけれども、先ほどから申しますように精神薄弱にいたしましても肢体薄弱にいたしましても、程度の差も非常に広いのですし、又その家庭につきましても一概に盲ろうと同じような貧困の場合があるかどうかということもこれは相当検討の余地があると思います。従つてこの全部に対しまして必ずしも就学奨励の方法を講じるかどうかということにつきましては、相当検討の余地があると考えております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 ちよつと速記をやめて下さい。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記をやめて。    〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 先ほどの質問に答えて頂くことが一つですね。つまり今四つの学校しかない養護学校の場合はね。それから特殊学級というものは今八百学級作つてあると、そうだとすると、全国の児童はちつとも恩典に浴さない者が多いと思うのです。ですからその割合を一応ここで知りたいと思うのですが。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) この特殊養護学校は先ほど申上げましたように四校しかございませんので、この四校で教育しております児童生徒の総数は二百二十二名であります。それから特殊学級は全体で二万名ほど特殊学級で教育をしております。この該当者も児童生徒の数は先ほどから申しますように正確な資料を申上げ兼ねまするけれども、推定数で申上げますと、相当たくさん見込まれます。これは程度の差が、開きがありますので一概には申せませんが大体一%ぐらいだろうかと思います。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 大体概数にして十二万ぐらいですね。その中で大体国で或いは地方公共団体で手を延ばしているものが約二万名ということになると問題は随分あとに残つているように思うわけですが、今御説明の養護学級の問題ですが、これはどの学級にも大体我我が経験してみると、程度のさこそあれ二名ぐらい平均しておりますね。都市とそれから農村によつて又違つて参りますが、平均して二、三名おる。その子供を実際教員として扱うというのはなかなか骨も折れるし、外の子供にも非常にやはり教育上の影響があるし、その子供自体には当然気の毒な立場に追い込まれておるわけですが、そういたしますと今八百学級というものはどういうような基準で以て学校に学級を作つておるのか、その学級の費用というものは一体誰がどういう方法で充てているのか、どんなような援助の手が延びているのか、そういう現状について承わつておきたいと思います。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 現状は各地方地方の任意の仕事になつておりまして、特別な基準がありませんし、特別な助成もいたしておりません。各小学校、中学校でありますから市町村の教育委員会の所轄といたしまして、独自の費用負担によりましてやつておるような次第であります。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 この特殊学級の取扱については、各地方公共団体の任意によつて行われているということでありますが、我々も又、親という立場に立つたときに、こういう任意に扱うというやり力はもう早く清算されなければならないことだと思います。特に特殊学級を扱つている教員というものの苦労は、今日見るに忍びないというところにあるのが実情じやないかと思う。そういうような学級を担当している教育者に対しては、各地方公共団体あたりでは何か特別な一手当を出しているようなところでもありますか。それとも全然構わないでおくというようなことになつておりますか。その点についてもお調べになつた範囲で知らしてもらいたいと思います。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これは地方公共団体の取扱によりまして若干の違いはあります。現に私どもの知つております範囲では特別な手当は出していないのが通常でございます。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 私は余りのぼせていて数字を間違つたのですが、百十万ですね。百万に上る児童のうちで二万名だけその対象になつて、あとは全然放置されておるということは大変問題だと思います。何遍言葉を重ねて育つても言い足りないぐらいに思うわけですが、幸いにこの問題が出ましたからお尋ねをいたしますが、百十万の児童はいろいろの程度がある患いますが、細かい部分は分らないにしても、百十万の児童をある程度まで国が手を延ばして、喜んで勉学させ得るという環境を作るために要する費用といいますものは大体どれぐらいなものでありましようか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これ全体を完全に収容いたしまする特別な施設を作るということになりますと、相当な費用が要ると思います。ただ私どもの机上の計画に過ぎませんが、特殊学級につきまして、施設設備に対します補助等を考えましても、地方公共団体で行いまする特殊学級の整備を国が補助して行くといたしまするならば、大体五ヶ年計画ぐらいで考えておるわけであります。ただ、この経費の算出は非常にむずかしい問題でありまして、今、ここで幾らということは申上げかねますが。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 今、大体五ヶ年計画ということを言つておられましたのですから、その計画の内容や何かについても、ほぼ文部省としてはもくろまれているだろうと思うのです。盲ろう学校については学校用図書の購入とか、給食とか、通学又は帰省に要する交通費及び付添人の付添に要する交通費とか、学校附近の寄宿舎に居住する経費とかいうようなものが挙げてあるのですが、これは当然、心身薄弱児童の対象としても考えられて来なければならないと思うのです。いろいろ程度はあるでしようけれども、こういうようなものについての具体的な計画というものは、今お持ちになつていらつしやるのじやないかと思うのですが、若しあつたらば……。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 特殊学級、養護学校につきましては今お話のような就学奨励の助成ということよりも更にその前の問題がある、施設、設備を作つて行かなければならない。養護学校につきまして若し義務制にやるということにいたしますと、先ず都道府県に設置義務を、そして設備ができたところで父兄に修学費を持たすということになる。そして都道府県に必ず養護学校を作ることになりますと、相当の経費が要ると思います。特殊学級につきましても同じでございます。先ほどから御説明しますように、今では各市町村の任意の設置になつて、市町村の経費負担でやつている。従つて私どもは将来これは予算獲得に努力をいたしまして、国の補助、助成が行われるように、設備、施設におきまして国の補助ができますように、そういう方向に努力をいたしたいと考えております。その上で就学奨励の施策が講ぜられると考えております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 どうもお話が予算のほうに勿論入つて行つてしまうのですが、そうするとこれは文部一省としては、予算の関係でこういう設置義務というものを実施できないものか、それともまだ精神薄弱の不幸な児童に対しての認識が不足で、手が延びておらなかつたのか、大変答えにくい質問でしようけれども、今後大いに私の参考になるところですから、どちらが先か、後かということになるとむずかしいと思いますけれども、どちらが主なのですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) この特殊教育に対しまする認識と申しますか、関心と申しますか、これは先ほど高田さんのお話がございましたように、最近非常に高まつて参りまして、父兄におきましても、従来は非常にむしろ消極的で遠慮をしておられた、或いは世間に対しましても、むしろ消極的な態度でおられましたのが、自分の子供の不幸な実情からいたしまして、これは父兄が手を繋ぎ合つて、こういう方向に特殊教育の振興を図ることが必要だという自覚がだんだん高まつて参りまして、そういう声も非常に世間に高くなつて参りました。そういういろいろな結果からいたしまして、最近は世間の関心も非常に高まり、文部省といたしましてもこれに対しまする施策につきましては、従来もやつて参りましたが、今後十分力を尽したい。ただ併し先ほどから申しますように、実態がなかなか掴みにくい憾みがございます。従つてこれは前から計画してやつておりますけれども、本年度も予算を取りまして実態調査をやつておる次第です。昨年度、今年度と続いてやる計画にいたしております。そこで只今お話のありましたように、認識が十分でなかつたのが、特殊教育の振興しない原因であるか、予算の点かというお話でございました。これは両面だと思いますが、私どもはこの実態の把握を今後十分にやつて行きたい、これに対する専門的な研究を十分やつて行きたい、同時に予算につきましても今後大いに努力をいたしまして、実現に努めたいと考えております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 高田委員の質問に対して緒方局長の文部省として考えている点、それを根本的な点で述べられたのですが、それは御努力願うとして、私は今議題になつておるこの法律を読んでみると、どうしても高田委員が例に引かれたようなことに関連して考えさせられることは、非常に大きな盲点があるということなのです。このことを質問し、同時に委員長初め同僚委員の関心を引かせて、頂きたいと思うのですが、折角こういう法律ができたとしても、この東京で有名な光明学校というのがありますが、これが適用範囲に入つて来ない、適用対象になつていない。それは学校教育法の二十二条と、それから三十九条を読んで見ると分るのですが、保護者に対しては就学義務を命じてあるのです。盲学校乃至聾学校、養護学校に就学させる義務を負う、と書いてある。ところが「前項の義務履行の督促その他義務に関し必要な事項は、政令でこれを定める。」と書いてある。そういう政令が出ていないから、光明学校は養護学校としての義務制でもつて実施されたのではないということになつておる。従つて、法律的には、光明小学校、中学校というのは、養護学校でないということになつておる。従つてこの学校は折角この法律ができても、適用対象にならないということになつておる。この点を、私は各委員にも訴えて、本法というものは、非常に、その適用の面において問題が生じているということを申上げておきたいのです。  それから第二点の盲点は、特殊学級の中には目の見えないものと耳の聞えないものがいるということです。特殊学級というと、我々の概念的には精神薄弱者だとか言語不自由者、或いは不具者というものを収容しているように思うけれども、現実の問題としては、盲者及びろう者というものが、特殊学級に含まれている。そうすると、その特殊学級に学んでおる盲者、ろう者というものは、これは本法の適用対象になつていない。そこで国の財政というものには限りがあるのですから、財政的な考慮から見て来れば、こういうこともやむを得ないとしても、第一点の光明小、中学校というようなものに対する差当りこの適用については、何か特例を以つてこれを救済する道があるべきだと思うのですが、文部省はどういうふうに考えるかというのが一点、第三点は特殊学級に学ぶ盲者、ろう者というのは、本法施行の精神から言えば、当然これは適用対象にしなければならない。国がこういうものに対してはどういうふうに考えるかということ。それで、第二点の質問について、私が一つ裏付けになる話をさせて頂きたいと思うことは、カナダで、私は慶応大学の小林澄兄博士と一緒に、特殊学級というものを見たのですが、そこには盲の子供が就学しております。これに対して、授業の教科内容については、その子供だけを対象にしてどうこうできないが、通学については公共団体自身が責任をもつて特別な考慮を払つているということを聞かされている。これは何か二つの盲点を救う方法を考慮されておるか、又将来考慮する用意があるかということをお尋ねしておきたいと思います。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 第一点の養護学校の義務制の問題であります。この度衆議院で、修正されました趣旨も、今お話のように養護学校における修学につきまして、今後義務制を実施して、就学奨励ができるようにという趣旨であろうと考えます。ただ私ども先ほどから申上げましたように、義務制を実施しますためには、先ず設置義務を各都道府県に命じなければならない。これはなかなか、特に予算の面からしまして、相当な大事業になつている。御承知のように、盲ろう学校につきましては、これは施設は従来からあつた。これを整備いたしまして、それにいたしましても、毎年一億五千万円ほどの金を注ぎ込んで参りまして、毎年、逐年義務制を振興さして参つておるわけであります。養護学校につきましては従来全然そういう施設も設備もないわけでありますから、これを新らしく作るということになりますと、財政面から申しましてこれは相当なむずかしい問題がそこにあると考えます。まあそれが一点と、それからもう一つ精神薄弱児は必ず、必ずと申しますか、養護学校義務制にいたしまして、そこで教育をしなければならんということを義務制としてとりますことが呈して適当かどうかという問題も一面あるのであります。或いはその特殊学校で、例えば先ほど辻村課長から申しましたように、程度の差によりましては普通の学校で教育をするということが、その子供のためから言えば却つていい場合もあります。それらの点を相当検討いたしますと、直ちに義務制を実施するということはなかなか困難な問題もあると思います。併しながら今のお話のように、この法律の目的を達しますためにはやはり義務制を実施する必要がありますので、そういう問題があることを御承知願いたいと思いますけれども、私どもとしましては極力その方向に検討いたしたいと考えます。それから第二点でありますが、特殊学級にも、これは法律の上では盲ろう者も教育をすることになつております。併しながらこれは実情としましてもないことはございません。極めて少数だろうと思いますが、併し盲ろうの教育はどうしてもやはり特別な施設があり、或いは特別な教育方法が必要でございまして、やはり一般の小、中学校における特殊学級ではどうしても不十分だと考えます。これは今まで、それまで特殊学級で教育を受けて来ておつた生徒が漸次盲ろう学校に就学する傾向にある。そこで特殊学級で教育を受けておるというのは極めて例外的なものだと考えます。それにしても、それに対して就学奨励の手を延ばすべきじやないかという御議論もあろうかと考えますが、特殊学級に通つているものは障害の程度も低いでございましようし、又自宅から通えるというようなことになろうかと思います。それに加えまして一般の盲ろう学校はこれは御承知のように各県に一校か二校しかない、大体一校でありますが、県に一カ所しかない。必ず寄宿舎に入らなければ、家から通えというのが実情であります。そんなものに対しまして特に父兄の経済的な負担を軽減して行こうというのが、この法律の趣旨でありますが、大体私は盲ろう学校に対しまする就学奨励のことを重点的に進めて行くべきである。特殊学級につきましては例外的のものでありますから、それほどまではこの法律としては考えていないと、こういう趣旨でありますことを御了承を願いたいと思います。

剱木亨弘自由党

○剱木亨弘君 この法律につきましては、今いろいろ皆さんからも縷々ありましたが、私といたしましてはちようどこれは僻地教育と同じように一つの顔を出して来たという意味合いにおいて、私どもこれを一応賛成しておるわけでございますが、併しこの問題にはもつと根本的な問題があつて、これは同僚議員にものちほどお伺いしたいと思いますけれども、私どもはこういう問題はこの教育の基本的な問題でございますので、なお将来に向つても基本的に研究して参りたいということを考えておるものでございます。特に先般僻地教育につきまして、高田委員から僻地教育の振興法ということ自体の言葉に対して非常に疑問を持たれた、私も全く同感でございまして、憲法の二十五条で国民の最低生活を保障しており、二十六条で義務教育を規定しておる、それも義務教育の面につきましては、私は最低の義務教育の基準を保持し、補助をするということが憲法の精神であると思うのでありまして、この意味におきまして、国が保障の責任を持つておる教育について、一般の教育は地方の教育委員会等に任してもいいが、最低限の基準を保障するという意味合いにおきまして、義務教育については国が行うべき筋であつて、先ほどからこれが将来努力するとかいろいろ聞かれましたけれども、根本的な観念は国が保障しなければならない保障責任を持つておると考えておるのでございます。その第一は僻地教育については環境から来る地理的条件から来る面についての児童の義務教育の最低を保障する。それから親の義務につきまして、親の財力についての教育の保障というものは、現在生活保護の対象として教育費がその中に計上されておる。併しこの点につきましても、私どもとしては生活保護法の対象として教育費を見るべきかどうか、これは教育的な観点から非常に大きな問題があると思うのです。その第三点は精神及び身体の障害から来る者の就学についての最低限を国が保障する。この三つの問題が大きな義務教育の最低を保障するという憲法の精神から来る問題であつて、この点については主として財政的面から、まだ国が最低を保障するという程度に至つていないことは極めて遺憾なことでございますし、このこと自体は私自身も非常に責任を感じている問題でございます。従つて将来私どもとしては、真剣にこういう問題と取組んで行きたいという気持を持つておるのでございまして、この法律に即しての問題ではないのでございます。もつと大きな問題をここに持つておる。特に先ほど高田委員からお話のございました精神薄弱児とか、肢体不自由児、こういつたような者の就学を保障するということは、如何に国家的に大きな事業でありましても、やはり我々は一つの憲法の精神に副う意味合いにおいて、今後の努力目標だと考えておる次第でございます。つきまして、そういう問題についてはここで実は私ども論議するという意思はないのでございますが、ただここでお聞きしたいと思いますのは、憲法二十五条で申します最低生活の保障とか或いは又社会保障とかいう問題と、義務教育の問題との重なり合つた点について、一応お尋ねしてみたいと思います。先ほど生活保護の中に教育費が含まれておる、この点はどうかということは、この法案には直接関係ございませんが、ただそれにつきましても、この規定におきまする就学奨励と、生活保護法の教育費との関係はどうなつておるか一つ……。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 生活保護法によります教育扶助と就学奨励の関係でありますが、第一に扶助の範囲から比較して申上げますが、重なつた部分又は若干食い違つた部分もございます。生活保護法にございます教育扶助のほうから申しますと、三項目になつておりまして、第一は義務教育に伴つて必要な教科書その他の学用品、第二は義務教育に伴つて必要な通学用品、三番目は学校給食、実験、実習、見学費、通学のための交通費、この三つの事項が生活保護法によります教育扶助の内容になつております。それから御審議願つておりますこの就学奨励法の対象範囲は、ここで御覧頂きますように四項目になつておりますが、教科書の購入費、学校給食費、通学のための交通費、これは両方重複いたすようなものでございます。  次に扶助を受けまする、又援助を受けまする対象の人の範囲は、生活保護法のほうは最低限度の生活保障ということがございますから、生活困窮者に限られております。ところがこれら法の対象になりますものは、これは趣旨が青ろう学校へ就学するためにかかりまする保護者の経済的負担の軽減をしようということでありますので、生活保護法による教育扶助を受けます者の範囲はずつと広くなつて参ると思います。そこで重複した場合にどつちのほうが優先するかという問題でございますが、生活保護法の第四条に規定がありまして、この法律に定める扶助は「この法律による保護に優先して行われる」と、そういうことになつております。従いまして法律による援助といたしましては、盲ろう学校に就学するものについては先ず本法によります援助が先きに行われるということになると考えます。そしてこの法律によつて就学奨励が行われましても、なお生活困窮のために就学困難な事情があります場合には、その者につきましては更に生活保護法による教育扶助等が行われる、こういうことになつております。併しその場合におきましても重なつた費目につきましては、教育扶助の費目のうちで、この就学奨励法によつて支弁された部分につきましては除外される、かように考える次第であります。

剱木亨弘自由党

○剱木亨弘君 それからもう一つの点は児童福祉法との関係でございますが、現在法律によりますと、寄宿舎に居住する経費、食費とか、そういうものにつきましては援助はないので予算的措置もないようでございますが、勿論この衆議院の附帯決議には寄宿舎に住む者の食費その他の援助費目を設けて予算的措置についても附帯決議がございますが、その附帯決議はあるだけで、内容には含んでいないと一応考えられます。そこでこの児童福祉法のほうから来るものについては食費の援助等もあつて、極端な場合そういう例が実はあると承知しておりますが、盲ろう学校の寄宿舎で、同じ学校の寄宿舎でありながら、その一部分は児童福祉法によつて、いわゆる寄宿舎として、寮にして同じ学校の中で厚生省のほうの関係の補助を受ける意味合いにおいてその監督を受けている、こういうような事情があるように聞いておりますが、この点に対して如何お考えになつておりますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 只今御指摘のようにこれは昭和二十四年でございましたか、慮ろう学校の寄宿舎のうちで、今お話のような事情もあつて、物的人的施設が学校と完全に分離ができまして、慮ろう児施設の目的に合致するものを収容する、こういう条件に適合いたしますようなものの一部には盲ろうの施設に転換されたものがございます。これは、今お話のような事情からいたしますので、盲ろう施設のほうでは相当食費等につきましても公費負担もありますけれども、寄宿舎につきましては、それがなかつたというようなことになりまして、政府が切換えを行つた次第でございます。文数から申しまして非常に少いのであつて、私どもといたしましては就学奨励の施策を進めますことによりまして、そういうふうな実情に出て参りませんように就学奨励の施策の推進を十分に図つて行きたいと考えるわけでございます。これは建前から申しますというと、盲ろうの施設と学校の寄宿舎とは全部別箇のものでありまして、目的も違いまするし、片一方のほうは保護のない児童、或いは保護者があつても保護者に看護させることが非常に不適当な児童を収容いたしまして、家庭に代る看護を与えることを目的といたしております。で、入所しますものも看護を要するというものでありまするし、年令の面につきましても十八才未満ということを原則といたしております。学校の寄宿舎はそういう制限はないのでありまして、一般的に盲ろう学校に入学いたしまするもののうちの希望者を寄宿舎に入れる、これは教育の場として寄宿舎に収容されるわけです。全く目的が違うのでございますが、御指摘のようにおのおのその行われます、例えば食費等につきましても、盲ろう施設のほうが手厚いということになつておりますので、御指摘のような事実があつたわけであります。併し、今後はそういう切換えのようなことは起らないというふうにも考える次第であります。

剱木亨弘自由党

○剱木亨弘君 現にどのくらいありますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 大体現在の切換えたものですか。四十七……。

剱木亨弘自由党

○剱木亨弘君 四十七校というと各府県に一つずつですが、殆んどのところにあるという意味ですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) もつと詳しく申上げますと、盲学校のほうが二十三カ所、ろう学校のほうが二十四カ所ありまして、合計四十七カ所あります。寄宿舎につきましては、盲学校は七十三、ろう学校が七十九ありますから、寄宿舎のほうは合計百五十二であります。そのうちにおきまして四十七、こういう数字であります。

剱木亨弘自由党

○剱木亨弘君 ちよつとよくすぐにはわかりませんが、それでは切換えることはないというのは盲ろうのほうの学校の寄宿舎でも、食費の補助があるというのはあるのですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これは就学奨励のための施策は、この法律に掲げられます通りでありまして、学校給食費でありますから三食の食事をみんな支給されるということには相成りません。ただ目的が違いまするし先ほどお話しました盲ろう施設のほうはそこに収容いたしまして家庭に代る看護を与えるという施設でありまするし、寄宿舎のほうはおのずから目的が違いますから、これを全体に食費を支給するという方策はとつていないわけであります。学校給食費として父兄が負担しまする経費につきまして援助をする、こういう建前をとつておりますから、その点につきましてはやはり差等があります。けれども厚生省との協議によりましても、これは全然目的が違うものでありますから、おのおのの目的に従つて運営をして行く、かようなことにしたいと考えております。

剱木亨弘自由党

○剱木亨弘君 くどいようですけれども、それは目的が違うと申しますけれども、盲ろう学校の寄宿舎であることは事実であつて、ただ非常に貧困であつて父兄が寄宿舎費を全額負担し得る者は、これは一般の寄宿舎に入れておるが、そういうことができない者は厚生省のほうの施設に切換えてやつておるというのが現状ではないかと思うのですが、そこでこれは根本的な問題で生活保護法なり児童福祉法と、一方教育から来る面と現在非常に混淆しておると私は思うのですが、こういう問題について文部省として現在お考えの点はどうでございましようか。それらについてはそのままでいいのだと、私どもは就学奨励についても生活保護の対象としてこの中に入れて行くのは、事実においては就学の奨励の実績は上つて来ない、やはり教育的見地からこういつたような施設、その予算的措置をやるべきではないかと考えておりますが、その点についてどうお考えでございましようか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 今御指摘の点は私どもその通りに考える次第でありまして、目的が違うと申上げましたのはその趣旨でありまして、寄宿舎のうちの盲ろう施設に収容しておりまする児童生徒につきましても、それが盲ろう学校に入学いたします者につきましては、今後御指摘のように私ども盲ろう学校の寄宿舎におきましても十分に食費等につきましても、今後十分に努力をいたしまして、予算の獲得等にも努力をいたしまして、そうして寄宿舎におきまして十分な教育的見地から子供の世話ができますように努力をして行きたいと考えております。前に転換の切換えのことがございましたけれども、今後は寄宿舎に収容いたしておりまする者に対しまする援助を一つ十分に伸ばして行つて、さようなことが起らんように、かような趣旨でやつて行きたいと思います。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記をつけて。

安部キミ子日本社会党(第四控室・左)

○安部キミ子君 ちよつと二、三点お尋ねしたいのですけれども、先ほど局長さんは養護学校の実態、養護学校について、又これらの対象になる児童についての実態が十分把握されてないので今から本格的に調査をすると、こういう御意見のように承わりましたが、それに間違いございませんですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 文部省といたしましては毎年計画をきめまして調査をいたしております。昨年は精神薄弱児につきまして全国的に調査をいたしました。今年は肢体不自由児と身体虚弱児につきまして調査を進めたいと考えております。特別にそういうふうな題目をきめまして、毎年調査をいたしたいということを申上げておる次第であります。

安部キミ子日本社会党(第四控室・左)

○安部キミ子君 先ほどの報告によりますと、養護学校が全国に四学校とおつしやいましたが、それはどことどこでございましよう。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 公立の学校は兵庫県の兵庫県立上野原養護学校というのがございます。それから私立のほうは千葉県の一ノ宮学園、それから北海道に一校ありまして、これはちよつと名前がはつきりいたしませんが、北海道に二ヶ所あります。札幌に一つと新墾、そういう場所に二つございます。

安部キミ子日本社会党(第四控室・左)

○安部キミ子君 この報告によりますと、憲法が約束いたしておりますところの教育の機会均等ということは全く無視されたような行き方で、而も公立の学校は一校ということになるようでございます。あとはみな私立で賄つているようでございます。私立で賄われているということにも大きな問題が建つておるのでございますが、こういうふうに機会均等ということが無視されております関係上、今私山口県の例を引きますと、こういう独立した養護学校に入れない子は勿論のこと、特殊学級に学んでおります子供にいたしましても、県下の全部のそうした子供がそれで救われているというような実情ではないのでございまして、大きい学校になりますと一つの学校で学級が五十人にも余るというような学校がございまして、そういう学校にたまたま特殊学級が併設されておりましても、それを入れるだけの設備なり、それから受入態勢ができていない、又先生の定員も含まれていないという実態で、当局者は、或いはその地方の自治団体では非常に困つておる。せめて県の教育委員会もいろいろ援護いたしておりますけれども、それでも十分それらの要求を満しているとは言えない実情であります。私は過日教育委員でありましたときに、下関の本村小学校の研究会に参りましてその実態を見ても、何しろ複式授業をいたしておりまして、一年生のような低学年と、六年のような子供と一緒に、而も一つの教室にごちやごちやと入れて教育をしております。そういたしまして、先生は非常に教材に困るのでございます。それがせめて三十人までが私は限度じやないかと思いますのに、ときにはそれをオーバーすることがございますし、それから何しろ経費の関係でそういう学級に編入できないというのが実態でございまして、たまたま三十学級も或いはそれ以上もあるという地域でございますと、それが賄われているのでございますけれども、田舎の十学級にも満たないというふうな小さい学校で、而もそういう子供が殆んどが放置されておるという実情でございますので、この点を実態調査に当られますときには、これらの機会均等、大きな意味の独立した養護学校の設立、それから学級の扱いにいたしましても、その地域的に公平な建前で学級の経営ができるように、と申しますのは、これの解決は簡単に言えば予算がすべてを解決する、これですべてが事足れりと思いますけれども、やはりその調査の仕方が限界をどこに置くか、これは先ほどの課長さんのお話にいたしますと、養護学級の建前の対象の子供と或いは学級の建前の対象の子供というふうに言われますけれども、そういうはつきりした割切り方では今では解決できないと思う。それから地域的に先ほど申しましたように、大きな学校はたまたまそういう学紙が編成されておりますけれども、それに満たない学校はすべてが放置されておる。それともう一つ私は強くここで要求しておきたいことは、養護学級を併設しました、或いはそういうものができました当初は、家庭の母親なる人たちも初めは何だか恥しい、そういうクラスに入れられることが恥のように感じておつたのが、やはりそういうものが打出されて、そうしてそこで教育効果が出て来るときに、やはりこれらのものができてよかつたというのが私の知つておる範囲ではみんなの声でございます。そういう意味で、私は養護学級に対する一般の認識も、そういう事実が証明することによつて、私はこれらの子供が均等に救われるのじやないか、こういうふうに考えますので、予算の関係もございますし、特に今日地方財政が苦しうございます。山口県でも下関と申しますと、最も一級地で、恵まれた地域でありますけれども、それでもいろいろな困難を私ども常に聞いております。そこでやはりこういうふうな学校の扱いは当然国庫が全額負担、あらゆる面で全額負担という意味で、早急にこれの調査を間違いなく而も公平にやつて頂きたい、こういう希望を重ねまして最後にお願いするわけであります。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 私が申上げるまでもなく、憲法の二十六条で義務教育の問題が規定されておる。そこで今度は掌校教育法の二十二条で、就学義務の内容が規定してある。二十三条で就学義務猶予又は免除の規定がある。私はこの就学奨励の規定と就学義務猶予、免除がどう扱われるかということは、奨励と裏腹になる問題じやないかと思うのです。表裏をなす。そこで就学義務の猶予、免除は地方のいわゆる監督官庁と申しますか、官庁の定める基準によつて取扱われておる。ところが就学義務の猶予、免除について地方がどういう条件によつてその事務的な処理をしているかということについては何かお調べがございますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これは最終的にきめますのは県の教育委員会であります。市町村の教育委員会から医者の証明書等を府県の教育委員会に出しましてそこできめる、かように考えております。今度の就学奨励につきましては、やはり県の教育委員会がこれを扱つて参りますので、その辺は今お話のように裏腹になつておる。事務の取扱につきましてはまあ関連があると思います。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 この事務が形式的にめんどうくさいからということで軽々しく扱われることは、盲ろう唖教育とか或いは精神薄弱児の就学それから教育の問題に非常に大きな関係を持つて来ると思うのです。そこで就学義務の猶予或いは免除がどのように行われておるか、又これが形式的に事務的に行われずにどこまでも教育の機会均等とかいう精神を十分考えて慎重に考慮されなければならんということを考えるので、この点について文部省は地方の実情を把握されておるか。又その実情に対して何らかの文部省としてのお考えを通告されておることがありますかどうか、その点を……。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 御指摘のように軽々に猶予、免除をやりますことは支障がございますので、文部省といたしましても、十分注意をして慎重に扱うように通知を出して指導しております。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 私は今すぐでなくてもよろしいのですが、文部省として地方の就学義務の猶予、免除がどういう基準でどういう状態において行われておるかの実態把握を何とか御考慮願いたい、その希望を申上げておきます。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) ほかに御質疑ございませんか。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 少し細かくなるのですが、第二条の「その負掛能力の程度に応じ、」というのはやはり県の教育委員会が負担能力の程度で判定してきめるということに相成りますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これは一般の養護児童につきましては県のほうですが、国立学校につきましては文部大臣がきめます。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 「全部又は一部を支弁」といつておるのですが、これは負担能力の程度に応じてきめるということになるのか、或いは学校で全体としてきめるようになるのか。個々に取扱うという意味ですか、これは。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これは教科用図書の購入費につきましては全部につきまして支給をするという建前をとるわけでございます。その他の経費につきましては、例えば生活保護法の適用を受ける者或いはこれに準ずるような貧困の度合いの高い者につきましては全部を支給するという建前であります。そのほか負担能力の程度に応じまして段階を設けてやつて行きたい。併しこれは全国画一の段階を設けるということを避けまして、成るべく地方の実情に副うような方針でやつて行きたいと考えております。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 この必要な事項を政令で定めるというのが第二条、第五条両方にあるのですが、これは政令で、もう準備ができているわけですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) まだ内容は、政令は作つておりませんが、一応予定しておることは考えておる次第であります。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 これに想定している予算というものは一体どれぐらいになるのですか。そんなようなことを一つ。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) この法律に直接該当いたします、つまり今義務制を実施いたしておりまする学齢児童生徒でありまするが、これに対しまして四千四百万円の予算を三十九年度に計上いたしております。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 今の四千四百万円というのは、国の都道府県に支弁する経費の二分の一と都道府県が支弁する経費の二分の一もそれに入つているわけですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 都道府県に対しまして二分の一を負担いたしまする額であります。

加賀山之雄緑風会

○加賀山之雄君 教育大学の附属の盲ろう学校は、これは只今どういうふうになつておりますか。これは全部国費の支弁になつているのではないかと思われますが、どういうふうに……。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 現在これは二校でございます。盲学校が東京、ろう学校が千葉であります。これに対しまして就学支弁は全部国費でもつて支弁しております。(「もつと大きい声で言つてくれませんか」と呼ぶ者あり)

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 お尋ねいたしますが、この法律の中に養護学校というのが今度の修正で入つて来ましたね。そうするとこの法律の対象になる学校は、先ほど安部さんの御質疑の中で、兵庫県の上野原、一ノ宮学園、北海道に二カ所、こう四つ挙げられました。この直した法律の対象になる学校はどことどことになりますか、この四校のうち。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これは先ほども申上げましたが、まだ養護学校につきましては就学義務制を実施しておりません。従いまして今この法律が成立いたしましてすぐ先ほど申上げました四つの学校に対しまして就学奨励の措置が行われるということにはならんわけでありまして、これは将来義務制が実施されました暁におきまして奨励が行われるということになるのです。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 そうするとこの四つの学校はこの法律の補助の対象にはならない、将来なるのだと、こういうわけですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) そういうわけであります。学校が対象になると、学校に就学いたしまする生徒児童に対しましての就学奨励費、これは今すぐにはこの措置はとられません。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 そうすると、学校教育法の二十二条の中には「小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校に就学させる義務を負う。前項の義務履行の督促その他義務に関し必要な事項は、政令でこれを定める。」こうあるのですが、これは兵庫県の上野原も養護学校です。一ノ宮も養護学校、みんな養護学校ですね。あなたは今、就学のこの義務は負つておらないんだと言うが、学校教育法では「義務を負う。」となつているのです。そうだとすると、これが養護学校という名前であつてみれば、当然二十二条に該当した義務を負つているので、この法律の対象になつて来るんじやないですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) これは一審最初に私御説明申上げましたが、この法律の第一条にございますように、「これらの学校に就学する学齢児童生徒について行う必要な援助」学齢児童生徒と申しますのは、の二十三条に規定しております、学校教育法二十三条に規定しております学齢児童と同法三十九条第二項に規定する学齢生徒ということになつております。この学齢児童といい学齢生徒といい、これはこの該当条文を御覧頂きますとわかりますが、父兄が、保護者が就学義務を負つておる児童生徒のことをいうわけでありまして、この法律の規定ではそういうことになつております。従いまして養護学校につきましては、まだ設置義務を或いは就学義務も実施されておらんわけでございます。一応法律では設置しなければならんということを書いてありまするが、その実施につきましては政令にその施行の目を譲つております。これはまだ政令を実施しておりませんので、義務制は実施されておらんということになるわけであります。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。  漸時休憩いたします。    午後零時五十七分休憩    —————・—————    午後二時四十八分開会

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) それでは再開いたします。ほかに御質疑ございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) それでは本案に対する御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 御異議ないものと認めます。速記をとめて下さい。    午後二時四十九分速記中止    —————・—————    午後三時二十二分速記開始

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。  次に、教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)と、教育職員免許法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)の両案を一括して議題といたします。両案とも衆議院において修正されております。去る五月十八日に両案の提案理由の説明を聴取いたしております。質疑は本日が初めてでございます。両案の総括逐条を一括して質疑して頂きたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 御異議ないと認めます。  政府側から稲田局長が見えておりますから、御質疑のおありの方は御発言願います。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 只今議題になつている法律案については、提案趣旨が文部大臣から本院に対して表明されておるのですが、重ねて局長からこの提案された法律案がこういう必要によつて、是非ともかようなる点が改められなければならないというような点を簡単で結構でございますからお示し願いたいと思います。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 免許法が昭和二十五年制定になりまして以来、制定の当時、まだ我が国の大学教育の制度が充実いたしておりません状態と、一面、高等学校以下の学校の教員の需給状況が、その当時の事情がございましたので、この免許法は一応いろいろな理想を掲げながら、その事情に応じた各種の措置を講じたのであります。  その第一点といたしまして、一級二級、仮、臨時というように免許状の階級が非常に多いのであります。これも本来、普通免許状だけで足りるのでありまするけれども、当時の需給状況と教員養成の教授力というものを考えまして、仮、臨時を設けたのであります。ところがその後状況を精細に査察いたしました結果、もうすでに養成といたしましても、教員の充実工合といたしましても、仮の段階を撤廃してもよろしいのじやないか、そういうような点で仮免許状を今回廃止することにいたしたのであります。今一つは教育長、校長、指導主事という職であります。これを教育職といたしまして免許状を附与することにいたしたのでありまするけれども、これも考えてみまするに、教育職であることはあるわけでありますけれども、必ずしも広く免許状を所有せしめるという方法をとらないでも、都道府県教育委員会、町村教育委員会、乃至知事、市町村長というような人たちがよく本人を見極めて任用することでありますので、任用資格を規定することで足りるのではないかというような観点から、これを任用資格に改めたのが第二点であります。  今一つは、教職陶冶と専門陶冶の関係の問題であります。従来の考え方といたしましては、教育課程に非常に重きを置いておつたのでありまするけれども、高等学校教育等を見まするときに、専門的学力の充実という点を更に必要とするような考えもございまするので、専門教育の単位を増して教職課程を少くする、教職課程を軽んずるのではありませんけれども、比較的の問題といたしまして、専門教育を重視するというような教育内容、免許状の資格単位の内容を変えたのが一つの点であります。いま一つは免許法実施以来、現職にある人が検定によりまして、上級免許状を取得する場合に、認定講習或いは現職教育というような方法によりまして、相当多くの単位を取らなければならない。このために各大学におきましても或いは各都道府県教育委員会におきましても、非常に骨を折つて認定講習、現職教育講座を開き、教員も骨を折つて受講したのでありますけれども、これも今回その結果に鑑みまして相当な教授歴がありますれば、単位に換算いたしまして、修得単位を軽減するのが現場の事情に適応するのじやないかというような点で、その措置を講じました。これが一つであります。以上申上げましたのが主要な改正点でありまして、関連して幾つか民主的な整理をいたしております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 先の国会で給与三本建に関する法律案が出て可決されたのですが、給与を三本建にして、小中学校と高等学校と区別をするということが、当時の免許法からして無理であるということが議論されたと思うわけです。このことは今般の提案にどのような関連を持つておるか。即ち今度の提案は、給与が三本建になつたという建前によつて、これを理論的に裏付けるような意味合いで何カ所か改正をした、かように見る人もあるのですが、これらのことについて一つ政府当局の見解を明らかにして頂きたいと思います。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) しばしば御説明申上げましたように、給与法は別段免許法の規定条章を引用してないのであります。又免許法におきましても、同様給与法に基礎をおいてない。即ち直接両法の関係がないのであります。ただ免許法はその立て方を教授歴と学歴というものを基礎にして組立てておる。給与も又同様に学歴と経験年数というものを基礎として組立てております。その意味において二つの淵源に相通ずる実際問題があることは、これはいなみ難い事実でございます。併し御指摘のように、それは一つの学歴、経歴というもので二つの法制が組立つておるというだけに過ぎないのであつて、一つの法制が変わりましたからといつて、反射的に他の法制が変わるべき性質のものではないと思います。このたびの免許法の改正も学歴乃至教授歴というものを基礎といたしまして、同時に又職種といいますか、業務の内容、高等学校の教育なら高等学校の教育の内容というものを考え、中学校は中学校の内容を考え、これは又同時に職歴、学歴のほか、先般の三本建の考えでは、職歴という要素を入れましたから、それは一つの要素になつて来ておると思いますけれども、これ又同じ事実を基として二つの法制を考えたに過ぎないのであつて、その間、直接の関係はないと申してよろしいのじやないですか。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 只今御説明によれば、本法の改正は給与三本建の裏付を一層強くさせるというような言い分をするものは、誤解に基くものであるというような意味合いの御答弁と、こういうふうに了承しますが、そうですか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 職歴学歴及び高等学校の教育内容、こういうものを考えて、最近給与を改正した。又ここに免許法の改正を提案して来た。その点においては事実関連がありますけれども、三本建を前提として、この免許法の改正が出て来たのではない。こう申上げる次第であります。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 そうすると、今般の修正を通じて、今後職員の給与を考える場合に、給与三本建のほうがむしろ正しいというような見解をお持ちでございますか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 免許法から給与法が前提にならんことは先ほど申上げました。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 それは分りますけれども、現実の問題として、今まで議論されたのは、三本建はいけない。どうしていけないかというと、免許法を見なさい。こういう議論があつたわけです。逆に今度の免許法の修正によつて、根本的な議論は別として、この免許法の立脚するならば三本建もやむを得ないというような立論が将来行われると思うのですが、そのことに対する局長の見解はどうなのかということを私はお尋ねしておきたい。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 前の三本建の場合にも、或る方は免許法を引用して、三本建の裏付論をなさつたのを承わりました。或る方は免許法を引用して反対の言説をなさつたことを承わりました。これは論者によつて御自由でございます。私といたしましては両法が直接に他の法を原因としてないという以外に申しようはないと思います。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 それじや、具体的に伺いたいと思うのですが、今般高等学校の一級免許状資格の基礎資格、中に修士を入れて別表一を作るというふうにございますが、これは現在からすれば、平地に乱を起すようなものでないかというような議論をなすものがあるのでございます。これに対して、局長はどのようにお考えになりますか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 免許法を制定いたしました場合に、別表一につきまして、高等学校の欄だけが一級普通免許状の欄を欠いておつたわけであります。これはその当時において、御承知のように大学制度が出発したばかりであつて、まだ大学院基準もできておりませんでした。修士或いは博士という新制の学位制度もきまつておりませんでした。或いは又大学四年の上に専攻課の課程をおくという制度もきまつておりませんでした。すべて大学四年の次に参ります一課程が未定でありましたために、当時といたしましては、一級を欠いておる点が意図されたにもかかわらず規定することができなかつたと聞いております。ところが大学が完成年度を経過いたしまして、大学院基準もできまして、専攻課も現実にできております。国立私立を通じて、相当修士を了えるものもあり、又専攻課を了えるものである今日、もうすでにこの欄を欠いたままでおくということはよろしくないのではないか、そういうような次第でここに欄を設けた次第でございます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 そのことについて、一歩進んでお尋ねしたいのですが、それは高等学校の教諭たるべくは一級普通免許状を取得するためには、修士であることが望ましいとする。積極的な意思を含んでいるのですか。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 本街道という意味が計画要請という意味でありますれば、高等学校教員につきましては現在までも、又差当り将来の問題といたしましても、計画要請的のことは考える必要はないじやないかと思います。従いまして別表一から参ります途でもよろしいし、又旧別表四、新別表三によりまして検定を受けて参る途でもいい、どちらを本街道ということも高等学校の場合には計画要請でない以上、言う必要はないじやないかと思います。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 それではそのことについては暫らく措くとして、次に別表第四の資格規定の中に、高等学校と中学校とを相互の勤務年数の通算ができんようにできていると思うんです。今度の改正案では。これについては何か特殊な意図を持つているわけですか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) この考え方は免許法制定以来の考え方でございまして、中学校と高等学校は、中学校は学校教育法第三十五条に目的が規定してありまするし、高等学校は別に四十一条に目的が規定してありまして、学校教育の目的内容がこれは一応違うわけであります。教科の分け方といたしましては、社会科、理科等中学校、高等学校は大体同じものなのであります。違うものも随分ございますけれども、分け方が仮に同じであつても、教育の内容が違う建前でこの免許法の各制度が今日まででき上つて来ております。従いまして経歴年数も高等学校における教育経験は教育経験とし、中学校における教育経験は教育経験とする、つまり同じ名前の教科でありましても、高等学校のほうは普通教育として広く総合の立場に立ち、高等学校のほうは専門分科の立場に立つておるわけでありますから、両者の教育経験はこれは別なものであるという建前の下に、免許状も別にし通算も別にして参つた。今日のこの改正におきましても、やはりその根本精神を変えることのないのが適当だと考えまして、こういう提案をいたして参つた次第であります。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 具体的にお尋ねしますけれども、旧制の中学校が廃止されて六・三・三制による学制が出発した場合に、元の中学校、現在の高等学校にあたる元の中学校に勤務していた者が、任命権者の意思等によつて或る者はそのまま高等学校に残り、或る者は中学校に勤務するというような二つの遂に分れて行つたわけです。当時文部当局その他の県の教育委員会等あたりにおいて説明したことは、中学の教育を充実させるために、旧中学校の免許状即ち高等学校の免許状を持つている者も中学校に行つても頭張つてもらわなくちやならない。そうしてこの新制の中学校と、新制の高等学校の教員というものは自由に交流できることが望ましいのである。かような意味を含められて中学校に行つた諸君がたくさんあるわけであります。今度この改正にあたつて考えてやらなくちやならないことは、今言つたような事情によつて旧中学校の免許状を保有していた者が、新制の中学校に移つて今日まで教育を熱心にやつて来た者と、そのまま旧中学校から高等学校に移行して勤めていた者との間に非常な差ができてしまつた。これは三本建にでもなつていないならば問題は余ほど少いのですが、一方は高等学校に職を奉ずるというだけで俸給が高くなつておる、こういうことになると、私が今具体的に例を引いたように、旧制中学校の免許状で旧制中学校に勤めた者で新制中学校に移つて今日に及んだ諸君に対しては、非常に気の毒な結果がここに生れて来ていると思うのです。何かこれに対して救済的な途等がありますか、具体的に。この改正案にかかわらずそういうことが考慮される余地がございますか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 免許制度において経歴を重んずるという今度のこの改正案につきましては、単位修得換算というような点において更に経歴を重んずるということは、これはやはりその学校における教育の経歴だと思います。将来ともこれは重んじて行かなければならないので、先ほど申上げましたように、中学校と高等学校と質の違つた教育経験というものは、やはりこの免許法の精神から申しますれば混同しがたいものだというのが私どもの根本の考え方でございます。そこで先ほどのお尋ねは、旧制中等学校に勤務しておつた方が、或る者は中学校に振り替わり、或る者は高等学校に振り替つて、その間に非常に気の毒な事情もある、これは実にお気の毒な状況だと思いますけれども、元の制度のあの狭い教科を今度は広い教科に置き換えること自体が、非常に困難な問題でありますが、それは便宜的な措置をいたしたといたしましても、新教育における教育経験を非常に重視するという考え方からいたしますれば、その点はその当時のいきさつなり、御本人の心理というものよりも全体の制度というもの、或いは全体の教育の質の向上というものを考えるということが、この立法或いは制度の運用という点から見ますと、これはかけ替えのない問題だと思いますので、お話のように個々的には非常にお気の毒な問題があろうかと思いますけれども、折角中学校においでになつた方は中学校を御自分の天職として励んで頂きたい、又高等学校は高等学校の途で精進して頂きたい、まあこうお願いする外ないのじやないかと思います。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 私は今のお答えについて一つ議論があるのですが、その前に今のお答えをそのまま肯定するとします。肯定した立場で考えて来ると、高等学校の教員と中学校の教員において、経験年数なり学歴なりを基準として俸給の差が生れるならば納得するが、職場が違うというだけで俸給額が違う、即ち三本建の根拠というものは今の学術局長のおつしやつている言葉によつてすでに覆つていると思うのです。私はなぜこういうことを痛切に感ずるかといいますと、私も長い間教職にあり、非常なる野心を燃やして、当時は困難であつた文検に応じて合格して、旧制中学校の免許状を文部省より頂戴した者です。それで私と同じような立場にある者のうちで、非常に優秀な者の何人かが新制中学校に期待に燃えて職を俸じて今日に至つているわけです。その日暮らしの者がそのまま高等学校に残つたという者もあるわけです。逆の場合も勿論ありますが、栃木県の実例などからいたしますと、それが多いのです。私自身も高等学校が出発した当時、中学校に職を奉じていて、文部当局並びに県当局の意思を聞いて、自ら進んで私は高等学校に残り得るのに中学校に志望した経験を持つ者です。間もなく私はやめたのですが、どう考えてもこの段階では、お気の毒だ、では現実は片付かないような感じがするのです。そこで甚だしつこいようですが、これに対しては、お気の毒だ、じやなくて、お気の毒であるとするならば、経過的な措置として、或る年度を限つても結構だから、通算すべきものであるというふうな措置をすることが望ましい、かように思うのですが、これに対する立案者である局長の御見解は如何ですか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 今、相馬委員のお述べになりましたことが結果いたしますのは、これは三本建そのものから出ていることであつて、免許法の生む結果ではないと考えるのであります。三本建には議論もございましようけれども、とにかく、高等学校と中学校と職域を異にするという理由で、ああして三本建になつておるわけでございます。それはそれといたしまして、教員の質なり、教育内容という点から見ますると、中学校の経験は飽くまでも中学校の経験であり、高等学校の経験は飽くまでも高等学校の経験である。仮にこれをつずめて、高等学校と中学校の免許状を一にするという程度の根本的改正をいたせば、これはまあ論外でありまするけれども、二つの異質のものだと分けました以上、一番免許制度において大事あるところの教授経験というものを同一に見ることは制度といたしましては不可能なのじやないか。給与の問題は給与でできるだけ何か考えて解決する以外に方法はないのじやないかと考えます。

安部キミ子日本社会党(第四控室・左)

○安部キミ子君 関連質問。今、相馬さんから先生としての立場をおつしやいましたけれども、私は当時府県の教育委員をしておりまして、特に新制の中学校の校長には相当に腕のある人でないと新らしく校風なり、或いは学校というものを築くには適当でないという立場から、本人がそれを望まないことを知りながら、いろいろ説得して無理やりに中学校の校長にやつた、或いは教頭にやつたというふうなこともございますので、私、今、あなたのお話を聞いておりますと、何だか責任を感じている次第でございます。それで給与は給与だ、免許制度は制度だと割り切つてお答えになりますと、それもそうかいなあという考え方も一面起りますけれども、併し、この免許法が今まで高等学校の免許法で高等学校の先生であつた人達が中学校に行つたために、永久にもう高等学校の先生として生き返ることができないという免許法にだんだん形ずけられて行きますと、ますます責任を経済的にも又資格の面においても、二重に私は痛苦を感ずるわけなのでございますが、それを切り分けてというふうにおつしやいますけれども、やはり、私にはそれが一連の繋がりがあるように思われます。それで、あなたのお話は、立場がそれを基盤として、今この法案をお出しになつたのでございましようけれども、これがそういうふうに実施されるとなると、やはり現場の先生達には、ますます失望を与えるのじやないかと思いますが、あなたのお考えは如何でしよう。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 只今の点は、先ほど相馬委員にお答えいたしましたことを繰返すことになると恐縮なんでございますが、多少考え方を変えて見ますと、新制中学校発足のときに、非常に優秀な人を中学校に振り向けられたいというのは、中学校の教育を非常に重んぜられた次第であろうと思うのでございます。その間、高等学校を高しとし、小中学を低しとし、一を重しとし、一を軽しとするという意味じやなく、両方とも大切な教育だという気持で、任命権者として取計らわれて、又教員御自身もそれぞれの教育の重責をしよつて御出発になつたことだと思う。仮に、この中学校、高等学校の職歴を通算いたしまして、この自由に交流できるのだ。而も仮に、私はそう思いませんけれども、高等学校のほうが得なんだという考えでありますれば、中学校に優秀な人を今後確保することが困難になるのじやないか。優秀な人が高等学校へどんどん流れて行つてしまうのじやないか。而も又高等学校の職歴、経歴という実力を持たない方が高等学校のほうに流れてしまうということは、教育全般の、殊に中等教育尊重という考えからいたしますれば、これは私どもとしては相当回避しなければならない問題ではないか。  給与のことは、何か具体的な現実の問題に即応したことは将来考えるといたしまして、といつて検定制度の本質を紛淆することは、私どもとして何とか避けて行きたいと考えるのであります。

安部キミ子日本社会党(第四控室・左)

○安部キミ子君 今あなたの考え方は、中学校も教育の程度においては大事だ。併し、より高等学校のほうが専門的になつて大事だというふうに私にはとれるのです。と申しますのは、このようにはつきり高等学校の免許と中学校の免許と小学校の免許というふうに分けられますと、やはり、そういうことに、結論的にはなるのじやないか。私が考えますに、現実の教育を見ますと、高等学校よりか実力において小学校より中学校が陥没なのです。今日の中学校こそ高等学校より以上に重大であり、そして実際にはその重大であるべき中学校が、名実ともにやつていないというのが現実なのです。これは私はできれば高等学校も大切ではありますけれども、中学校こそ高等学校以上な実力のある先生が欲しい。私は当時、県の教育委員におりますときも、そういう点、非常に心がけて人事には当つたつもりでございます。そこで今こういうような免許制度がはつきり中学校は中学校だ、高等学校は高等学校だ、而もこれは交流することができない建前になりますと、今日の陥没がますます深さを増して来るのじやないかという心配がありますが、あなたの御意見は如何ですか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 私全くあなたのお考えと一緒でございまして、今御推察になりましたように、高等学校のほうが中学校よりも、何と申しますか、よりいいのだとか、中学校と高等学校とを価値的に比較するというようなことは毛頭考えておりません。なればこそ私、先ほどお答え申上げたように中学校の教育の重要さを考えれば中学校教授歴というものを大切に考えるべきだ、仮にと申しました。先ほどの御質問が高等学校のほうが何だか得だから可哀想だというようなお話に伺つたものですから、それを受けまして、仮に高等学校のほうが得だといたしましても、いい人は中学校に留めたいというのは、私、中学校も高等学校と同様大切だと、こう思うわけであります。ただ質が違うということは申上げました。小学校と中学校、高等学校、それぞれ質が違う。中学校のは非常に広くインテグレートした教育であり、高等学校のほうは非常に専門的に細かくなつて来る教育である。どちらがむずかしいとか、どちらが高等だとかというような差別は私毛頭考えておりません。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) ちよつと速記をとめて下さい。    午後三時五十六分速記中止    —————・—————    午後四時十三分速記開始

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) では速記をつけて下さい。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 相馬さんの御質問はまだおありのようですが、私は大臣の提案理由の説明を伺つたのです、免許法のね。ところが、衆議院でいろいろのところが修正されて参つたと思うのですが、それについて詳しい話をまだ聞いておらないのです。でありますから、どういう点がどういう理由でどういうふうに修正されたのか、そういうところをここで一応説明して頂きたいと思うのです。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 衆議院において修正せられました要点を私から御紹介申上げます。  一つは臨時免許状所有者に対しまする経過的の救済でございます。このたびの法改正によりまして仮免許状が廃止せられることになりますと、これに伴つて臨時免許状所有者は一挙に今後は仮という段階がなくて、二級普通免許状を取得しなければ教諭という職に就くわけに行かないのであります。従つて、その二級普通免許状を取得するにつきましては、講習を受けましたりいろいろしなければなりませんので、多少の余裕を見なければならない。その間身分の安定を図りますために現行法におきましては臨時免許状の有効期間は原則が一年であつて、特例として二年乃至三年とすることができるとありますのを改めまして、原則を三年とし、特例を六年にされた点であります。これが修正の第一点であります。  それからその次は、高等学校において家庭実習ばかりを担任する職員が実際ある必要がありますので、併しながら、これに対する免許状が今までなかつたのであります。そこで、新たに高等学校の免許教科に家庭実習というのを加えました。これが第二点でございます。  それからその次は、この新らしい改正法案におきましては、高等学校の臨時免許状取得の程度を二年かた上げたわけであります。従来は、高等学校を出るとすぐ高等学校の臨時免許状が得られた。それを今度の改正案におきましては、大学の二年を了えれば高等学校の臨時免許状を得られる、こういたしたのでありまするけれども、高等学校における助教諭の実態等を考慮して、まあ経過的に当分の間の特例として、高等可学校卒業者でも高等学校の臨時免許状の授与が受けられるというふうに暫定措置を講じられた。暫定的には現在通り低い資格でいいとされたわけであります。それが第三点。  それから次に第四点は、中学校及び高等学校の実習教員というのがございます。ところがすべてこれは中学校の臨時教員は高等学校卒業以上、高等学校の臨時教員は    〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕 大学二年以上でございますが、実習教員というのはこういう学歴のないかたを用いる必要がありますので、当分の間高等学校を出てない者でもこの実習教員になることができるという途を開かれたのであります。これが第四。  次に第五でございます。この法律施行の際に臨時免許状を持つている者につきましては、その者が改正法施行後仮免許状に相当する資格を得たときから教諭の職にあることができる。が改正されないといたしますれば、現在臨時免許状を持つている人もこれは将来仮免許状を取得して教諭になる希望があつたわけです。ところが仮免許状がなくなる、そうすると臨時免許状を三年乃至六年にいたしましても、今度はそれを又仮免許状の段階を飛んで二級に行きますということは、随分大変なことでありますから、仮免許状相当の資格に達すれば、今臨時免許状を持つている人はそのときに教諭になれるのだという便法を開いたわけであります。これが第五。  それから第六でございます。第六は政府提出改正案による幼稚園、小学校、中学校、高等学校の教諭の普通免許状を持つている者は盲学校、ろう学校或いは養護学校の教諭の免許状を持たない者でも昭和三十五年三月三十一日まではこれら特殊学校の教諭の職にあることができるといたしたのであります。三十年に施行されて五年間ですかは特殊学校の仮免許状にあるとされたのでありますが、これを当分の間というふうにゆとりをとるように改正されました。それが第六。あとは関連条文の技術的整理であります。

剱木亨弘自由党

○理事(剱木亨弘君) 速記をとめて。    午後四時十九分速記中止る2    午後四時三十三分速記開始    〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。  それではこれより盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案について討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 只今議題になりました盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案、これにつきまして私は附帯決議を付けまして賛成をしたいと思うわけであります。ろう学校及び盲学校の児童の就学の特殊的な事情については、かねてから我々深く考えるところがございましたが、本法律はこの就学困難であり、且つ極めて恵まれない子供のために就学を勧めますための特別の措置が講ぜられましたことについて誠に結構であろうと思うわけでございます。併しながらこの法律がこのまま実施されたといたしましても、これによつても必ずしも満足ではないのであつて、更に十分な予算措置が講ぜられ、又すべての恵まれない子供たちが等しくこの国の補助に均霑するような措置が講じられなければならないのでございます。なかんづくここにとり上げなければなりません問題は、養護学校及び特殊学級にあります児童の問題でございます。先般来文部省の概括的な統計によりますると、心身の上にいろいろな欠陥を持つた子供たちが全国に約百二十万もおると伺つております。この百二十万に亘る精神薄弱児或いは身体虚弱児、四肢不自由児について国は今日まで殆んどその手を延ばすことなく、今日までこれら百二十一万に亘る恵まれない児童に対して四つの養護学校と、全国に亘つて八百学級の特殊的な学級が任意に地方公共団体の手によつてこれが運営せられておるという状態は、我が国のこうした極めて不遇な立場にある児童に対する教育の施設として極めて遺憾なものがございます。これらの児童に等しく教育の機会を与えるためには、かなりの予算と又精密な基礎の上に立つたところの計画が必要であることは論を持たないのでございます。併しながら学校教育法の二十二条においては、こうした特殊児童に対する特殊教育をも義務付けられているにかかわりませず、この二十二条の精神を活かすための政令を実施するかしないかということの良心は、一にかかつて文部当局にあつたはずであります。百二十万の不遇なこれらの子供が今日まで放置せられていることは、一にかかつて政令の実現を急がなかつた文部当局の怠慢にあると申しても私は過言でないと思うものでございます。今般衆議院は本法案に対して養護学校の一校を入れて、この法の対象を養護学校にしたのでありますが、実際には法の運営を鑑みますときに本法案はこの養護学校の児童に対して全く何らの援護の手を延ばしておらないという実態であることは極めて遺憾限りないところでございます。併しながら盲学校及びろう学校の就学奨励に関しての立法と同時に、近い将来において養護学校並びに特殊学級に収容されなければならない心身の上に欠陥を持つている全国の児童たちに対して適当な措置が講ぜられることが、この本委員会の質疑の過程において等しく認めらられた点を心から喜ぶものでございます。本法案については幾多の希望と幾多の期待とを以ちまして、その希望や期待が一日も早く実現せられるということを心から期待いたしまして本法案に対して賛成いたすものでございます。  ここに本法案に対する附帯決議を朗読いたしまして、各位の御賛同を煩わしたいと思うものでございます。    附帯決議  一、盲学校、ろう学校及び養護学校の幼稚部及び高等部についても将来義務学年に準じて就学奨励の措置を講ずること。  二、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学の特殊事情にかんがみ、これらの学校への就学による保護者の経済的負担を軽減し義務教育の充実をはかるため、国又は都道府県が支弁し及び負担する経費の範囲を将来速かに学用品の購入費並びに実験実習学費にまで及ぼし、更に寄宿舎居住に伴う食費その他援助費目全体について予算的措置の拡充をはかること。  三、盲者ろう者以外の心身に故障のある者に対する義務教育の現状にかんがみ、これが充実を図るため、関係法令及び養護学校、特殊学級等の教育施設の整備其の他必要な措置を速かに講ずること。  以上の附帯決議について各位の御賛同を頂きますよう心からお願いを申上げる次第でございます。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) ほかに御発言ございませんか。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 只今議題になつております盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案について社会党第二控室は高田君提案の附帯決議を付して、これに賛成をするものでございます。理由は只今の高田君の討論に尽きておりますので省略いたします。以上。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) ほかに御発言ございませんか。別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 御異議がないと認めます。それではこれより採決に入ります。盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の御起立を願います。    〔賛成者起立〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 全会一致でございます。よつて盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案は全会一致でございます。  次に討論中にありました高田君提出の附帯決議を採決いたします。高田君提出の通り附帯決議を付することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 全会一致でございます。よつて高田君提出の通り附帯決議を付することに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等については、例によりまして委員長に御一任願います。  それから議員提出の報告書に多数意見者の署名を付することになつておりますので、本案に賛成されたかたがたの順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     相馬 助治  高田なほ子     須藤 五郎  長谷部ひろ     松原 一彦  野本 品吉     中川 幸平  吉田 萬次     剱木 亨弘  加賀山之雄     安部キミ子

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後四時五十二分散会    —————・————— 五月二十三日本委員会に左の事件を付託された。   一、盲学校及びろう学校への就学奨   励に関する法律案(予備審査のた   めの付託は四月二日)   一、文部省関係法令の整理に関する   法律案(予備審査のための付託は   四月十六日)   一、教育職員免許法の一部を改正す   る法律案(予備審査のための付託   は四月三日)   一、教育職員免許法の一部を改正す   る法律の施行に伴う関係法律の整   理に関する法律案(予備審査のた   めの付託は四月三日)

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