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19回国会参議院1954/03/11

文部委員会 第7号

発言数
86
登壇者
10
会派数
4
開催日
1954/03/11

会議録

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) じや文部委員会を開会いたします。  義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する法律案につきまして説明を求めます。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 只今議題となりました義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概略を御説明いたします。  そもそも教育上良識ある公民たるに必要な政治的教養が尊重されなければならないこと及びそのためには、学校においては、特定の政党を支持し又はこれに反対するための政治的教育が行われてはならないことは今更申上げるまでもないことであり、それは教育基本法第八条において明らかに示しているところであります。  殊に義務教育は、国民教育の基本をなすものでありますので、特にその政治的中立の確保が期せられなければならないのであります。この法律案の所期するところは、義務教育学校において教育基本法の期待するような正しい政治教育が行われることを保障するにあります。即ち、第一条に規定しておりますように、この法律は、教育基本法の精神に基き、義務教育諸学校における教育を党派的勢力の不当な影響又は支配から守り、以て義務教育の政治的中立を確保するとともに、これに従事する教育職員の自主性を擁護することを目的とするものでございます。  然らば、どのような方法によつてその目的を達成するかと申しますと、この法律案の第三条に規定するように何人に対しても、義務教育諸学校の教育職員に対し、児童生徒に対して、特定の政党を支持させ又はこれに反対させる教育を行うことを教唆し、又は扇動することを禁止しようとするのであります。併し、それには条件が附されているのであります。第一に、教唆又は扇動するにあたつては、特定の政党その他の政治的団体の政治的勢力の伸長又は減退に資する目的を有することが一つの条件となつておりまして、この目的を欠く行為は禁止されないのであります。第二に、教唆又は扇動するに当つては、学校教育法に規定する学校の職員を主たる構成員とする団体又はその団体を主たる構成員とする団体の組織又は活動を利用するということが条件となつております。尤も、学校教育において特定の政党等を支持し又はこれに反対さぜる教育を行うことは、如何なる目的に出るものであつても、又如何なる手段に訴えるものであつても、教育上の見地からすれば好ましくないことではありますが、現実にこの法律をもつて禁止するのは以上のような特別の条件を備える場合にのみに限定した次第であります。  次に本法の違反行為に対しては罰則を設けておるのでありまして、第四条に示すように前条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処するとなつております。そして第五条において本法の違反行為に対する罪を論ずるに当つては、それぞれの学校の所轄する機関の請求をまつて論ずることとしました。  以上本法案の提案理由並びにその概要を申上げました。慎重御審議の上速かに可決あらんことをお願いいたします。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 次に教育公務員特例法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を求めます。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 教育公務員特例法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概略を御説明いたします。  公務員の政治的行為につきましては、現行制度の下においても、特別職を除き、一般職の公務員に関しては、国家公務員たると地方公務員たるとを問わず一定の制限を加えておるのでありまして、これは、職員に対して政治的中立性を保障することにより、国及び地方公共団体の行政の公正な運営を確保すると同時に、職員の利益を保護する趣旨に出たものと考えられるのであります。  このような政治的行為の制限は、国公立学校の教育公務員についても同じく適用されているのでありますが、国立学校の教育公務員と公立学校の教育公務員との間には、現在法制上顕著な差が設けられております。即ち国立学校の教育公務員は、国家公務員として国家公務員法の定めるところにより制限されているのに対し、地方公務員たる公立学校の教育公務員は、地方公務員法によつて制限を受ける結果、制限事項及び罰則の有無につき差異があるのみならず、制限を受ける地域の範囲につきまして、国立学校の教育公務員が全国的に制限を受けているのに反し、公立学校の教育公務員に対する制限は原則として、その勤務する学校の設置者たる地方公共団体の区域内に限られることとなつているのであります。  併しながら教育は、国民全体に直接費任を負つて行われるべきものであつて、一地方限りの利害に関することではないのでありますから、職員の政治的中立性を保障して、その職員の職務たる学校における教育の公正なる運営を確保するに必要な職員の政治的行為の制限に関しましては、公立学校の教育公務員を国立学校の教育公務員と区別して規制することは適当でないと考えるのであります。  よつて、教育公務員の職務の特殊性を考慮し、公立学校の教育公務員の政治的行為の制限につきまして、これを国立学校の教育公務員と同様の取扱いをしようとするものであります。  以上本法律案について概略の御説明を申上げました。  何とぞ慎重御審議の上、速かに可決下さるようにお願いを申上げます。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 今文部大臣からこの法案提出に関する説明を伺つたのでありますが、この法案を政府が提出するには何かの理由がなくてはならないと思うのですが、政府はただ漠然としてこういう法案を頭の上で考えて出したのか、それとも確固たる理由、即ち何か夢例なり何かをちやんと政府が持つていて、実際にこういうことが行われているから、これを出さざるを得ないのだ、そういう確信を持つて出されたのか、その点を伺つておきたいと思います。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 委員長、議事進行。ちよつと速記をとめて下さい。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。  補足説明を求めます。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 只今の大臣の提案理由の説明に補足をいたしまして、私からこの二法案の内容につきまして若干御説明をいたします。  先ず義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する法律案について、条を逐つて御説明いたします。  第一条には、この法律の目的を規定いたしました。  第二条では、この法律でいう「義務教育諸学校」及び「教育職員」の定義を定めております。「義務教育諸学校」とは、学校教育法に規定する小学校、中学校又は盲学校、ろう学校若しくは養護学校の小学部若しくは中学部でありまして、その設置者の区別、即も、国立、公立、私立の別は問わないところであります。「教職員」とは校長、教諭、助教諭、講師を言います。なお校長のうちには盲学校等の小学部、中学部が属する学校の校長を含めております。  第三条は、この法律の中心をなすものでありまして、義務教育諸学校の教育職員に対し、特定の政党を支持させる等の教育を行うことを教唆し、扇動することを一般に禁止しております。  本条について注意すべきことの第一は、本条は教育職員の教育活動について直接にこれを規制しているのではなく、教育職員が特定政党を支持する等の教育を行うことを教育職員に対して教唆扇動することを禁止していることであります。教育職員自身の、教育基本法第八条第二項に抵触する行為については、任命権者等の処分にゆだねることとし、本法においては特別の規制を行わないことといたしました。  第二に本条の禁止にふれる行為となる場合は、次に述べる要件を備えた場合に限られるのであります。その要件は概ね左の通りであります。  第一には、教育を利用して特定の政党等の政治的勢力の伸長、又は減退に資ずるという目的を以て行うことであります。従いまして例えば本来学術的な意見の発表や研究成果の公表等を目的とするものが本条の禁止に該当することはないのであります。  第二には、教唆、扇動は、学校職員を主たる構成員とする団体の組織又は活動を利用して行なつた場合にのみ禁止されることとしました。学校職員を主たる構成員とする団体が、義務教育諸学校の教育職員の教育活動に対して及ぼす強い影響力を考えまして、このような組織、活動を利用して行う場合を特に対象として、これを禁止したのであります。  第三には、教唆、扇動の相手方が、義務教育諸学校に勤務する教育職員であることであります。「義務教育語学校」及び「教育職員」につきましては、前条で厳密に定義してある通りでありまして、禁止される教唆、扇動行為の利手方は、義務教育を施すことを職務としている職員に一限られるのであります。  第四に、教唆、扇動の内容であります。禁止されるのは、第一項に規定しておりますところの「義務教育諸学校の児童又は生徒に対して、特定の政党等を支持させ、又はこれに反対させる教育を行うこと」の教唆、扇動と、第二項に規定しておりますところの同じく児童、又は生徒に対して「良識ある公民たるに必要な政治的教養を与えるに必要な限度をこえて、特定政党等を支持し、又はこれに反対するに至らしめるに足りる教育」を行うことの教唆、扇動であります。  第一項の場合は、児童等をして直ちに特定の政党等を支持し、又は反対する行動に出させ、或いは支持又は反対の態度にはつきりと固まらせる程度の強い効果を持つ教育を教唆又は扇動する場合であります。  第二項の場合は、実質的には第一項の場合と同様でありますが、児童等をして直ちに支持又は反対の態度に出させないとしても時間の経過により、自ら特定の政党等の支持又は反対に固まらせるような教育の教唆又は扇動をも禁止することを明らかにしようとするものであります。すなわち、児童等は通常の場合、直ちに政治活動に出で、又は特定の政党等の支持又は反対の態度を決定する場合よりも、時間の経過により、その意識の成熟、又は知識の吸収に伴つて特定の政党等の支持又は反対に至るという場合が多く、必然的にかかる結果を招く教育は、前者と同様の弊害があると思われますので、これの教唆又は扇動の禁止を明らかにするものであります。従つて第二項の場合も、さらに特定の政党等を一支持し、又は反対するための教育が附加されて、はじめて児童等に支持、又は反対の態度を決せしめるような場合をも含むものではありません。なお、この場合は、教育の即時の効果を判断の直接の基準にしているのではないので念のために「良識ある公民たるに必要な政治的教養を与えるに必要な限度をこえて」という限定を付したのであります。教育基本法第八条第一項に規定しております通り、良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならないのでありまして、本法により確保せんとしている教育の政治的中立とは、まさに教育が、良識ある公民たるに必要な政治的教養を与えるのに必要な限度をこえて政治的に偏向しないことに外なりません。第一項の場合は明白にこの限度をこえたものとして、そのような教育の教唆、扇動を禁止しているものであります。  本条の規定に該当しない場合でも、教育基本法の趣旨に照らして適当でない政治的に偏つた教育が行われることが考えられるのでありますが、それらにつきましては、教職員自身の白市、自戒と、学校の管理者等の処置にまつこととし、この法律においては、典型的なもののみに限定しその教唆、扇動を禁止することとしたのであります。  第四条は、第三条の規定に違反した者に対する罰則を規定しております。さきに申述べましたように、前条の規定は、教育職員の教育活動を直接規制しているのでありませんので、この附則は教職員に対して、政治的中立を侵したことのために科せられることはありません。  第五条は、処罰の請求に関する規定であります。第三条の規定に違反して党派的な教育を教唆、扇動した者は、前条の規定により一年以下の懲役又は三万円以下罰金に処せられるのでありますが、その罪は、一定の者の請求を待つて論ずることにいたしました。  すなわち、党派的教育の教唆、扇動は一の犯罪とされるのでありますが、その事柄は、学校内における教育職員の教育活動と密接に連関じております。従いまして、学校内における教育の実情に通じており、学校の運営、管理に責任を負つている公の機関の請求を待つて、その罪を論ずることとしたのであります。  以上が義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する法律案につきまして、その要点を御説明申上げた次第であります。  次に教育公務員特例法の一部を改正する法律案につきまして申上げます。  この法律案の内容の主要な点は、教育公務員特例法に新たに一条を加え、公立学校の教育公務員の政治的行為の制限及びその違反に対する罰則に関して規定を設けたことであります。  これによりまして、現在学校の教育公務員の政治的行為は、公立学校の教育公務員の場合は、地方公務員法第三十六条の規定によつて、又国立学校の教育公務員の場合は、国家公務員法第百二条及びこれに基く人事院規則によつて、それぞれ別個の制限を受けているのでありますが、教育公務員の政治的行為につきましては、国立学校の教育公務員と同様な制限を受けることとなるのであります。  なお、この規定が加おつたことにより、第十一条第二項の規定を若干整理する必要がありますので、同項の規定に必要な改正を行いました。又附則にTおいては、地方公務員法第二十九条及び第三十六条について、この教育公務員特例法の改正に伴い必要な改正を規定しました。  以上、教育公務員特例法の一部を改正する法律案の内容につきまして簡単に御説川申上げた次第であります。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記をとめて。     〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記をつけて。次に昭和二十九年度文部省関係予算についての質疑をいたしたいと思います。御質問のあるかたは御発言願います。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 稲田学術局長は見えておりますかしら。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 会計課長が見えておるのですが。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 ちよつとこの間の原子核研究所のことで、若干私質問が残つております。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) じやあ、すぐ呼びましよう。内藤課長でお差支えないところだけ御質問願いましよう。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 本日説明のありました  教育二法案に関しまして、衆議院の文部委員会に対しましては文部省から資料が提出されているように開いております。是非参議院のほうにもその資料を提出するように委員長のほうでお取計らい願いたいと思います。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 承知しました。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) それでは速記をつけて下さい。  稲田大学局長が見えておりますから、御質疑のあるかたは御発言を願います。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 前の文部委員会の質問に引続いて、原子核研究所の問題が若干私もお伺いしたい点が残つておりましたので、一、二点伺つておきたいと思います。  この予算は、あとからこれはお渡し頂きたいのですが、原子核研究所の予算は幾らになつておりますかね。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 国立文教施設費の中に原子核研究所の建物に充てまする費用といたしまして八千五百万円を見積つております。又国立学校運営費の中に原子核研究所の設備のうち、初年度で設置いたしまする一部分の設備に充てまする費用といたしまして三千万円を計上いたしております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 国立原子核研究所の問題は新聞の輿論にも非常に重く騒がれた問題だと思います。これについて設備の一部分に三千万円の予算が組まれておるように御答弁がありましたが、どうも諸外国いろいろの例を見ましても、相当の予算がこの国立原子核研究所を建てるという場合に使われているようにいろいろの文献で見るわけでありますが、文部省としては国立原子核研究所というからには、世界各国の水準に匹敵するような構想を持つて計画を立てておられるのではないかと思うのですが、大体の構想ですね、それについて御説明を願いたいと思います。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 御承知のごとく、従来我が国におきましても大阪大学或いは元の理科学研究所、今日の科研あたりにおきましてサイクロトロンの小型があつたわけであります。只今又お話のように、諸外国におきましては非常に大型なシンクロ・サイクロトロンがあるわけであります。今回我が国において狙いましたのはこの中型のシンクロ・サイクロトロンでございます。中型のシンクロ・サイクロトロンを持ちまする研究所という問題が世界各国の情勢から見まして、やはりこれは一つの要請でございますので、その程度のものを我が国でやろうということを専門の学者から伺いまして考えたわけであります。これはサイクロトロンでございますから、御承知のようにここにおきましていろいろ原子核に関しまする反応現象を研究いたすわけであります。陽子を加速いたしまして他の原子核にぶつつけまして破壊活動を起すというようなことから原子核反応を見まして原子核構造を探究する。同時に副産物として出て参りまするアイソトープ、これがまたいろいろな他の実験に利用せられるであろう。そういう期待の下に実験を行いたい。従来我が国におきまして理論物理として非常に進歩をいたしておりますものを、今回実験物理の領域でその裏付けをやりたい、こういう意図でございます。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 中型の原子核研究所の施設をお考えになつていらつしやるようですが、戦争中に仁科博士がサイクロトロンの研究をおやりになりましたが、あれはアメリカの占領軍の手によつて無慙に破壊されたと思うのです。その仁科博士の命よりも大事にしておられたと言われるサイクロトロンの再建というような構想を持つておられるのではないかと思われるのですが、どうも中型というだけでは、私は、はつきりしませんが、仁科博士のやられましたサイクロトロンの再建、こういつたような構想でおやりになつていらつしやるのではないでしようか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 仁科博士が作つておられました理研におきまする小型のサイクロトロン、これはもうすでに再建されております。それからすでに国立大学関係におきましては大阪大学のサイクロトロン、これも先年度から再建いたしております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 そういたしますと、私ども寡聞にして存じませんでしたが、大阪大学或いはその他の大学でもすでにサイクロトロンは再建されておる、今度の原子核研究所の施設はそれらのサイクロトロンの再建の施設とけ別個の構想を持つたように思われるのでありますが、そういうふうに解釈してよろしうございますか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 従来国内にあり、又それらの実験設備を再建しつつありますのは、さつき申しましたように非常に小型でございます。今度浩りまするのはそれらから比べれば遥かに大型であり、非常な強力な電子ボルトを用いる実験装置でございます。併しさつきお話がありましたように、世界にありまする最大のシンクロ・サイクロトロンというようなものと比較すれば先ず中型に属するものであろう乏いうふうに言われております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 中型のシンクロ・サイクロトロンと言いますと、千万電子ボルト級のものですか、それとも文部省の考えておられるのはそれ以上の五千万電子ボルト級くらいのものですか、これは。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 七千万電子ボルトの計一画でございます。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 なかなかそれはすぱらしい私は構想だと思うのですが、そうだとすると、シカゴのサイクロトロン研究所の費用というものは実に膨大だということを文献で伺つておる。ところがその施設の一部に僅か三千万円の予算を組んで、それから七千万電子ボルトのサイクロトロンを建設するということになると、私は今度の計画というものにいささかどうも眉に唾をつけて考えなければならないほどに驚きを持つわけですが、何年計画くらいで考えてこれはおやりになるのですか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 総工費約七億を予定いたしまし三二年計画でございます。今日一番先に手に入れたいと考えておりまするのは陽子の加速装置であります。その次に手に入れたいと考えておりますのは強力な磁石でございます。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 これは文部大臣に実はお聞きしたほうが適当だと思うのでずが、湯川博士が大津文部大臣に対して原子核研究所設置についてはいろいろの御意見があつたように伺つおります。当然これの計画に参画していられるあなたもそれらの問題についてはお聞き及びになつていると思うのでありますが、いわゆる従来いわれいるところの軍事的に使用されるところの原子力というものとは別個な、いわゆる平和的な方向に使われる原子力というものについて湯川博士は相当の発言をしているように私は聞き及んでいる。そこで今言うところの七千万電子ボルトのサイクロトロンを造られると、こういうわけでありますが、これは日本の原子核研究の一つの転機になるようにさえも思われるし、又新聞の輿論もそんなふうに書き立てているわけでありますが、どうですか、この辺の消息は。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 湯川博士からはこの原子核研究所創設につきましていろいろお教えを受けたわけであります。私ども直接といたしましては、この問題については基礎的研究である原子核研究所を作つて、原子構造、原子反応、こういうものを研究する。同時にその研究所を中心といたしまして原子関係の研究者を養成、育成して行く、先ずこの出発点の問題について御鞭撻を受け、御教示を受けたわけでございます。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 その際に湯川博士は非常に重要な御発言をなさつたように新聞に報道されていますが、それは昨年の十月十日の朝日新聞ですが、平和産業に限つて原子核の研究はされなければならないというような、重要な発言を湯川博士がされたように私は伺つておるのですが、文部省はこの湯川博士の意のあるところをどういうふうに付度されておられますか。大変大事な点ですから、次官がお見えになつているようですから、この点は次官にお伺いしたい。

福井勇自由党文部政務次官

○政府委員(福井勇君) お答えいたします。先ほどちよつと前の御質問を私伺つておりませんので、関連しておりましたことがちぐはぐになつたような場合がありましたらお許し願いたいと思います。  今承わりました点について、私は湯川博士がこちらにおいでになつたときに大臣との話の場合に私はその場におりました。で、以前から原子関係の問題については湯川博士と私は個人的にいろいろ連絡もしておりましたので、その際も極めてな、こやかにいろいろの話合いをいたしました。お会いしたそのときの目的となつたところの話合いは、こういうわけでお会いしたのです。昨年の十月二十九日と三十日に、アメリカで原子力を産業利用に使うことについて各国育いろいろ皆さんの希望者を集めて講習会というようなことをやるから出て来たらどうかという招請状が、新木特命全権大使を通じて日本の外務大臣に届いたのでございます。それでこれに参加すべきかどうかということを専門家の湯川博士に尋ねたいために、丁度上京されるという機会を利用してお尋ねしたわけであります。そのときに湯川博士は産業利用の面については無論異議がない、世界各国ともやつておるので異議がないのだが、この講習会の一項目に、今資料をここに持つておりませんので、これは大よそでありますが、講習会の講習項目に十くらいありましたでしようか、その中に原子力潜水艦の現場も参観させるということがありました。そこで湯川博士は、これは戦力と間違えられるというようなことがあるので、これに原子力潜水艦という名目がつてあるから、他の全部は平和産業のものだけれども、誤解を受けるかも知れないから、よほど慎重にいろいろ学術会議などと御相談なさつたらいいでございましようという話で、こうせよ、ああせよということはございませんでした。で、私のほうは結局期日も間に合わなかつたし、日本政府としては参加しておりません。併し折角産業利用の問題についてこういう機会を与えられたの、だからというので、アメリカに当時駐在しておられた旭硝子の山本博士に電報でお願いして、これは外務省からお願いしたようです。で、その会議に列席されたようであります。その報告は私直接受けておりませんが、まあ列席されたということを聞いております。そういう程度の話でございます。従つてお尋ねの内容は今後日本の原子力をどうするか、或いは原子核研究をどするかというような問題でお話をしたのでなぐて、アメリカのこの会議はどうでしようかということをこちらから尋ねた、その一点だけだつたのでございます。それだけ御報告申上げておきます。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 大体その間の詳しいお話はわかりましたが、ただ新聞の輿論で非常にこれが大きく問題になつた焦点は、日本も独立して世界の原子科学というものについて遅れないだけの研究をして行かなければならない、この理窟はよくわかるわけですが、たまたま講和、安保条約を結んだ我々日本の立場としては、ややともすればこの原子研究というものが、戦争に利用するための科学研究にすり替えられるような虞れが多分にあるために新聞の輿論も又この点は強く私は抉り出したのではないかと思う。それで結局原子核研究所を設けるという、これはただ単なる研究所を設けるというのではなくて、日本の、又或いは世界のと言つてもいいでしようが、原子力問題に関する一つの転機であるというような見方をしておるわけです。その原子力を平和産業にプラスにするために、日本はこういうものを設けるのか。或いは一つの戦争の科学の推進のためにこの原子核研究所を設けるのかということについて輿論は注視をしているわけです。それで私は先ほどから稲田学術局長、それから引続いて次官にこの点に対して文部省はどちらを、この注視に対してどういう答弁を文部省はなさるのかということを先ほどからぐどく伺つておるわけです。

福井勇自由党文部政務次官

○政府委員(福井勇君) 文部省といたしましては従来原子核研究所の設立ということについて、学術会議に諮問いたしまして、学術会議の意見を全部取入れて原子核研究所を東大に附置するというようなコースで進んで参りました。その点についてこれは平和産業だけに、或いはこれが戦力に撃がるというような誤解が世間にあるというようなことについてどう考えるか、というようなお話のようでありますが、私たちはこの原子核研究所というものについては少しも戦力に繋がるというような、日本の状態で繋がつて行くというようなことは心配しておらないのでありますが、丁度そのいい例といたしまして今回ヨーロッパの合同原子核研究所が中立国であるスイスに、御存じでございましようが作られて、その作られる内容も、先般国際理論物理学会に出席して来られました、この研究所の先ず設立並びに構想を殆んど中心となつてやつておられるところのイタリーのアマルデイ博士、それからこれにやつぱり同じような重要な位置で参画しておられるフランスのペラン博士、これらの人々と直接私会いまして、その内容もよく承わり、そうして向うからの資料も現在私は向うから送つてもらつたのを得ておりますし、現在も連絡中でございます。そのお話の中にもありましたが、ヨーロッパでは原子核研究というものは中立国でも何でも今後相当飛躍的にやらなくてはならんので、一弱小国存ではなかなか賄い切れない。そこで相当まあ一億電子ボルト或いは二億電子ボルトというような目標を立てるとなると、相当の費用も要しますから合同でやることになつた、それにはイギリスなども参加し、そうして大体今のところ十一カ国、イギリス、フランス、ドイツ、イタリー、スイス、西独、ユーゴー等々十一カ国であつたと記憶しておりますが、第一年度大体八十四億円で今スタートしたようでございます。そうい事実いろいろ見まして、日本もできる程度のことはやつて行かなくちやなるまい。特に又ヨーロッパの合同原子核研究所を検討して見ますと、合同して極めて高い設備をすると同時に、自国においてもなおこの設立をして行かなくちや遅れるというので、例えばイタリーの例をとつて見まするというと、イタリーは同じ原子核研究スイスの合同原子核研究所に参加して曲るアマルデイ、ローマ大学或いはミラノそれからチユーリンゲンだつたと思いますそれらのところに原子核研究所を設ける。或いは又フランスの例にとりますというと、ペラン原子核委員長の下に、同じペランは合同原子核研究所にも高い地位でおるし、自国においてはパリ—の郊外のサツクレーとそうしてシャテイーオン、このニカ所に合同原子核研究所を自国において建てるというようなふうに、それぞれの国でも二、三カ所自国の経費で賄い切れるキヤパシイテイなものを建てて行くというような状況にあり、世界の各国、大体十五、六カ国もそれぞれそういう線に沿つて行くように思いますので、これに日本がもうすでに非常に遅れておりますから、このユーロピアン・カウンシル・オヴ・ニユークレア・リサーチというようなものに乗り遅れないようにやつて行きたいというのが文部省の学術会議に諮問した意向であり、学術会議が又同じように一致した意見を出して下さつていると思つております。そうして戦力については、又これはペランやバーミンガム大学のパイアールス博士がこの聞参りましたときに説明しておりましたが、その席ではやはり世界中、戦力ということと非常に混同し易い、又間違えられ易いので、自分らの国のほうでも学者の中では非常に困つている場合がある。併し原子力つまり。パワーとして戦力に使われるのは大体御存じでございましようが、二百万電子ボルトくらいなものだとまあパイアールスは説明しておりました。そういう程度のものが戦力に使われるが、原子核のほうから言えば、原子核研究の総合的な分野で言えば、まああの人が挙げた数字で申しますというと、原子力というのは原子核から見れば五%くらいにしか当らんだろうということを同席のウイラー博士に尋ねたところが、そんなものですね、ということをそのときに申したようであります。それは日本においての会談の席でありました。そういう関係まいろいろ見ますというと、私たちは文部省におきましてはこれが戦力に利用されるというようなことは現段階においては少しも心配はない。又文部省はそういう目標には絶対に近付いてはならないというふうにまあ確信を持つておるわけであります。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 大変詳しく御説明がありましたが、まあイギリスのパイアールスとかフランスのサツクレー研究所を今例にお出しになつたようですが、又この三年計画で七億円の予算も今考えておるのだと、こういうふうに言われた。そうだとすると、今後の維持費というものや何かについてもやはり私は一応伺いたいと思うのですが、これについて、まあ事務的なことでありましようから、局長のほうから維持費とか、それから運営の定員ですね、そんなものの構想をこの際これは、はつきり出してみて下さい。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) まだ四年先の年度のことでございますので、定員及び運営費、経営費につきましてはまだ計算いたしておりません。建設までに至る費用につきましては詳細委員会において検討済みでございます。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 詳細委員会において検討済みのものが七億円という数字になつているのですか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) その通りでございます。  〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 それでは続いてお尋ねをいたしますが、これは次官にお尋ねをいたしますが、学術会議のほうでも東大の朝永教授とか伏見教授の御意見もありましようし、これと反対の御意見もあるようですが、文部省として今後原子核研究所をそういう計画の下にやつて行かれるという場合に、学術会議にも二通りの意見があるやに私は承わつておりますが、どつちの意見を主におとりになるのですか。

福井勇自由党文部政務次官

○政府委員(福井勇君) 御尤もなお尋ねでございますが、学術会議には御存じの通り藤岡由夫博士を委員長としております三十九委員会が原子核のほうを担当しておることは御存じだと思います。そこを中心として学術会議ではいつも大体結論を出しておられるようでありますので、その結論に従つて私たちは動いて行きたいと、こう思つております。ただ先般来初めて公聴会を催された席にも私もこれは傍聴でございましたが、出ましたが、御存じの通り反対の空気のかたも学術会議の中にあることも私聞いております。併しまあ文部省としては役所のことでございますので、今申しましたようにその決定と申しますか、向うの決議に従つて動く、多数意見に従つて動くようにというように行きたいと、こう思つております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 この原子核研究所設置に関連して原子力委員会の設置ということが新聞にちらつと見えておるのでありますが、これと何か関連がありますか。

福井勇自由党文部政務次官

○政府委員(福井勇君) これは御尤もなお尋ねでございます。実は私は昨年の十二月からずつと引続き原子力に関する世界の情勢についてというような題目で、自由党の総務会で連続話をしておつたのであります。それで昨日その第三回目の何と言いますか、講演、説明会をやりました。丁度御存じの改進党から提案された原子炉等の問題でこの記事が多く扱われるようなときでありましたので、昨日の総務会で私が何を話したのか、何を話したのかというようなお尋ねが記者会見でございました。実は昨年の十二月から三回目で、こういうようにやつておつたお話ですという話の中から、或る記者の人たちが、それではその総務会の意向はその肚の中に何か原子力法でも作るという意向でもあつて君にその話をさせたのじやないかというような話がありまして、とんでもないことです。私が話しただげで質問などは一つもありませんし、総務会の意向がこういうふうに肚の中ではあるけれども、福井の意向を聞こうという下拵えの話でもなかつたので、私まだ連続三、四時間をその話に当てて私の話を終る予定になつておりますが、たまたま今日の新聞に私も拝見しましたが、原子力法というようなものは断じてその話の中にも示唆したり、或いは作らなければならないと言つたり、そんなことは全然ございませんでした。これは昨日出ておつた本人がそう申上げるのですから、これを信じて頂きたいと思います。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 それでは重ねてお尋ねしますが、私も世界に遅れておる日本の科学技術というものについては心を痛めておる一人であります。原子核研究所を作ることがいい悪いということをここで申上げておるのではない。ただシカゴのサイクロトロン研究所あたりの文献を見ても、これを維持して、運営して、而もその実績を挙げて行くためには、実に莫大な費用が使われておるようであります。邦貨に直すと一年間に約三十億も最低で使われておるそうでありますが、これ以上使われておると思いますが、原子核研究所を日本に作る場合には、当然我が国でもそれくらいの今おつしやる七千万電子ボルト級のサイクロトロンをやるということになると、私は少くとも年間予算というものが、二十億くらい必要になつて来るのじやないかというふうに臆測するわけであります。これは専門家ではないからわからない。そこでこういうものをおやりになると、あとの文教費に私はぐんくとやはり私影響して来るのではないかと心配します。このことはこれで認めるが、これを実際にやるためには文教予算というものを食つて行かなければならない。そういうことのほうが、私は心配が先にたつのですがどうですか。そういう心配は私の杞憂でしようか。

福井勇自由党文部政務次官

○政府委員(福井勇君) お説の文教予算に御指定の、仮に二十億と、二十億という御指定になつた数字でありますが、私が申上げる数字ではありませんが、それを新たに維持して行くから、現在総予算の、文部省内に入つてそれが減つて行くというようなことは、又文部省としても取るべきではございませんし、これは新らしい科学の発達の、平和産業に貢献すべきものだという建前から行けば、これは通産省にも関連がございますし、そして全然まあ素人の方に申上げるような言葉で恐縮でございますが、新らしき人類の世界に蒸気機関が発明されたとか、電気というものがエジソンによつて非常な発達を遂げたというような、一つの時代を作りつつある原子力のこの問題でありますから、一文部省の枠でそれを食つて行く、そして全般の教育費に大きな影響を及ぼすということはないと思いますし、組んではならないとこう思つております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 時間がありませんので、いろいろこれについて詳しいことをお聞きしたいことも若干残つておるわけでありますが、この問題はまあこれくらいにして片づげて、又あとこれに関連して一億三千万円の予算を取り、大々的に原子核研究のために組んだわけでありますが、どういう法律に基いてこの予算は細まれているのですか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 別に……。法律とおつしやる意味が失礼ながらよくわからないのですが、費目としてはこれは国立学校の附置研究所たるべき施設でありますから、国立文教施設費の中で研究をいたします。それからその設備も国立大学の附置研究所に属すべき設備でございますから、国立学校運営費の中に計上いたしております。明年度におきましては設備も一部分でございまして、これを一つの附置研究所といたしますには、従来の観念から申しますると、人が入る必要があります。人が入ります時期に立至りますれば、国立学校設置法を改正いたしまして、東京大学の機構の中に附置研究所として設置する法文改正を行なうであろうという考えであります。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 そこのところを聞きたかつたんです。人が入らない間はそれは附置研究所とみなさないから、国立学校設置法を改正しないでも一億三千万円の予算を組むことができるわけなんですね。大変便利だと思うのですが、いつからそういう便利な法律ができたんです。いつからそういう便利な解釈ができたのですか。

稲田清助文部省大学学術局長

○政府委員(稲田清助君) 学校を増設したり、附置研究所を増設する場合には、国立学校設置法を改正して、増設ということを決定しなければならんと思います。準備時期におきましてはまだ法律改正ということには立至らないと思います。予算を国立文教施設費に組み得るかどうかという点につきましては、これは別に特殊な法律は必要でないと私どもは解釈いたします。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 私もその点については若干の疑義があるので、これはもう少しあとで時間をかけて改めてこの点は御質問申し上げますが、ただ大変時間が迫つてお気の毒でありますが、折角次官がお見えになつておりますので、実はこういう要望書がきつとお宅のほうにも来ておるのではないかと思いますが、二十八年度義務教育費国庫負担金について、地方の各都道府県、富裕府県を除く弱小府県の教員の給与において十億の不足を生じておる、三月分の給与支払が非常に今支障を来たしておる、これについて善処してもらいたいという要望書が来ておる。これは私非常に二十九年度の予算に絡んでも大問題だと思いますが、この点については文部省として大蔵省に何らかの交渉をされておられますか、如何でございますか。

福井勇自由党文部政務次官

○政府委員(福井勇君) 会計課長から報告させます。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) 十億円の不足額につ要しては、いろいろまだ問題がございまして、一月の見込でございますので、私のほうも正確にはまだきまつておりませんので、そこでその中にいろいろな経費入つおりますので、これをよく精査しなければなりませんので、実はそれに時間がかかつておるのであります。そこで支払うことは、これは義務教育費国庫負担法によりまして、実績支出額の二分の一を負担するということになつておりますから、実は精算払の決算によつて払らことに最終的になると思います。そこで本年度十億の三月に赤が出るかどうかということは、私ども見通しを持つておりません。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 これは大変私は問題だと思う。富裕府県に二十七億組んだ場合に、それはそれとしていいのですが、弱小府県に対するベースアップになつた場合の昇給或いは退職資金、こういうものは当然やはりんで来るので、こういうような実際の支払に困るようなことを来さしめたということは、明らかに私は国の責任だと思う、地方の責任じやないと思う。これはやはり算定基準にミスがあつて、こういうような地方に非常に三月分の給与の支払もできないという迷惑をかけておるということについては、やはり文部省としては本腰を上げてこの問題を早急に解決できるように私は交渉をされるべきだと思うのですが、如何でしようか。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) 私のほうは大蔵省にも交渉しておりますが、ただ問題点は一月の見込額でとりましたので、見込がどれだけ確実性があるかということなんです。そこをはつきりしませんと、予算要求の正式な形には持つていけないと思う。ですから、この不足額がどこからどういうふうにして出たかということの説明は十分してあります。併しそれは幾ら最終的に不足が残るかという問題になりますと、三月の支払が済んだのちでないとはつきりしないと思うのです。特に問題になつておりますのは、教員の退職手当の問題が恐らく三月三十一日過ぎでしよう。これは完全な見込でございますから、それにも問題があるし、そのほかいろいろ問題がございまして、正確に不足額というものが捕捉できない。一方政令該当府県につきましては、これは政令ではつきりきまつておりますし、人員もきまつておりますから、いわば定員定額で打切り補助でございますから、これははつきりしております。併しその他の府県につきましては、実績の二分の一の補助でありますから、実績が明確になつたときにお支払いいたします。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 実績が明白にならなければ支払えないというように今大蔵省は突ばねていると聞いている。文部省の要求に対して大蔵省は盛んにこれを突ぽねていると聞いている。そこでこういう質問をあなたにしているのですが、どうなんですか。突ぽねられているのですか。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) 私のほうは正式要求をいたしておりません。ただこういうことが問題になつているということは大蔵省に伝えております。私のほうとしても今三月になつて本当はもう一遍精査しなければならんと思つて調査を依頼しているのです。私のほうがとりましたのは、一月現在でとりましたので、非常に二、三月と一月の見込と二月三月を含めておりますので、その報告がそのまま実は信憑できない点もあるのです。そういう点で問題が残つておりますから、はつきりいたしますれば二十九年度において適当な措置を講ずる計画で以て大蔵省と約束しております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 どうも解せないのです。こういう十億も不足になつているのに、文部省が手をつかねて全然要求をされておらないという御答弁を頂くことは甚だ私としては合点の行かない点であります。そうすると、足りない十億というものは、一体誰が責任を負つて、どういう一体繰作をしようというのでしようか。私は非常におかしいと思うのですよ、これはどうして要求なさらないのですか。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) これは従来、義務教育国庫負担は実績主義をとりましたので、精算見込がはつきりしますればこの場合には勿論私ども要求いたします。併し今回の場合にいろいろ問題点もありますので、その点について、もう少し謝盃をしなければならない、こういう段階でございますので、多少そこに過不足がどうしても出て来ると思う。これは実績主義の負担法の建前をとる以上は、過不足のあるのは私はやむを得ないと思います。ですから、その過不足は決算によつて精算する、これが今までの建前でございました。私どものほうはその額が非常に多ぐなればこれはお話のように問題があると思うのですが、私のほうは一応十億ぐらいと言いますけれども、いろいろ検査して見ると三、四億ぐらいではないかという意見もあるわけです。ですから、その辺のところをもう少し調査いたした上でこの点をはつきりいたしたいと思つております。

高田なほ子日本社会党(第四控室・左)

○高田なほ子君 それでは実際問題としては、この三月分の給与を受取るところの教員には何も支障がない、操作上支障がない、こういうふうにおつしやるのですね。退職金も支障なく三月三十一日付のものを教員はもらえるのだ、操作によつてそれはできるのだ、こういうふうにおつしやつておりますが、それは本当ですか。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) 退職手当は、四月の来年度予算から支出することになると思います。不足額につきましては。ですから、今問題の一府県で非常に不足額があるかないかという点なのですが、それはもう三月の終りに再調査した上で、支払いをまだ七億ほどとめておりますから、その分で支払いを済まぜると思います。なおどうしても不足がどれだけ出るかという点を洗いまして、二十九年度に何らかの措置を講ずるつもりでございます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 二十九年度で何らかの措置を講ずるというのは大問題だと思うのです。当初半額国庫負担法が議員提案で出たときに私は指摘したのです。こういう法律によつてこれを監督するような立場に立つ文部省は非常に困つたことにこれはなるであろう。そういう事態が憂慮される。いわゆる実績主義というけれども、地方の財政規模というものは文部省が常に的確に把握することが困難な性格を持つている、これは非常に問題があるであろう、こういうことを当時指摘したのです。今会計課長のおつしやることは、話としてよくわかります。今の段階ではそうおつしやるよりほかないと思いますけれども、その中でわからんことは、二十九年度の予算でどうにかするということは、退職金の問題はわかるけれども、二十八年度にできた赤を、これは補正しない限りはどうにもならんと思うのです。私は補正という点も、今自治庁並びに大蔵省、文部省の三者間で政治的な了解点でも達していない限りにおいては、現実的にはどういうふうにこの赤を補正するのかということになると非常に問題だと思うのです。私は会計課長のここで言葉尻をつかんで、それを問題にしようと思いませんけれども、現実に政令府県を除いた、例のいわゆる弱小府県では赤が出るということがはつきりしているんです。実績の見込みが違うからどうか一つ地方自治庁とも連繋をとつて、大蔵省と早急に政治的交渉に入つて頂、きたいと思います。その入る場合に、課長が言つているように赤の総額が的確につかめないから相談しようにもできないん、だということはわかるのですよ、私は、だが赤が出ることははつきりしているんですよ今の段階では。一つこれは早急に手を打つて頂かなければならんと思う。そして二十九年度で適当な措置をするというが、これはできませんよ。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) 二十九年度に補正を見るか、或いは予備金支出になりますか、どういう形をとるか二十九年度の決算を見た上で措置するということは大蔵省と了解しております。    〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕

木村守江自由党首都建設政務次官

○木村守江君 ちよつと会計課長、大体二十八年度の不足額というものは、文部省は実績をつかんでいるから金額がわかつているんじやないかと思う。わからないというのはどういうところからわからないのか。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 これはちよつと原子炉の問題に帰るわけですが、先ほどの次官のお話によりますと、昨年アメリカから講習会を開くから来いという招請状が新木大使を通じてあつた、そうして湯川博士に意見を聞いたら原子力潜水艦を参観させるというような情報があつて、いろいろ誤解をされるといかんからというので、湯川さんは余り積極的な御意見を述べられなかつたというようなことだつたと思うのですが、それで米国に滞在中の旭ガラスの社長を頼んで出席させたということなんですが、それは日本の代表として外務省なり文部省が委嘱して出席させたんですか。どういう関係になつておるんですか。

福井勇自由党文部政務次官

○政府委員(福井勇君) 今のお尋ね、二つ御返事しなければならんと思うのですが、湯川先生はそのときに自分は学術会議の議員ではないからということを非健たびぐ口に出されまして、学術会議の代表というような立場で自分が発言したというようなことになると、まあ第三者的に誤解されるといけないし、だから学術会議へ一つ御相談なすつて、自分のものはまあ正式にも内輪的にも参考とされないようにして頂きたいということが述べられました。それでまあ学術会議を尋ねたというのが真相でございます。  それから旭ガラスの山本博士は日本のつまり出先……恐らく新木特命全権大使が間に合わない、こちらの返事が非常に遅れてしまつておつたのです。実はもつと内輪を申上げますと、こちらから誰か行つてもらつたらいいん、だなと私どもは思つておつたのです。ところが十月二十九日、三十日で、十五日くらいまできまらなかつたのです。二十五日くらいまできまらなかつたもので、それで、もうこちらからは行けないということを通知しましたので、向うで然るべくということに、まあ欠席するとも、行けないということだけ言つてやつたようです。そこで向うでは出先で山本博士に、それが専門家でもないと私は思いますけれども、丁度当時私はバークレイ大学におられる嵯峨根博士を丁度在米中だからやつてもらえば非常に都合がいいんじやないかということが話題には出ましたけれども、丁度ニューヨークにそれが会議が持たれたものですから、丁度こつちに山本博士は滞在しておられて、特にその招請状の中に技術のこと、だからこれは専門家で、相当咀噛できる専門家でないといけないと思うという附言がありました。そんなわけできつと出先でそれを選定された、便宜上選定されたものと、選定されたそのいきさつは、私今日までも無論掘り下げようともしませんでしたし、今お尋ねがあつたので私の予想を申し上げたのです。きつと在米中、ニューヨーク滞在中だつたので便宜上ちよつと出て下さいというふうにされたことだと予想しております。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 そうしますと大体山本博士は国の要請で出席したと思つて出席していらつしやると思うのですが、それに対しまして文部省なり外務省に対しまして、その講習会の結果というものは報告が参つておりますか。

福井勇自由党文部政務次官

○政府委員(福井勇君) 外務省に送り届けられたということを聞いたままで、まだ私拝見しておりません。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 それほど熱意を持たれた次官として、その結果を報告を受けられて内容を知つていらつしやるほうが適当でないかと思います。と同時に今日本の原子炉の問題が非常に国民に関心を持たれているということは、これが戦力に使われるのではないか、平和に使われるのならいいけれども戦力に使われるのではないかという不安があるために学術会議でもやはり二つに分れて意見が闘わされている。特にアメリカが各国に講習会を開くから来いと言つて各国から集めたとなれば、やはりアメリカが中心になつてそうしてその中でいろいろな講習会をやつて、そこに集つた各国をアメリカの原子力に対して、与えると同時に又協力させるというような意図があるということは大体想像がつくと思うのですね。ですから、こういうことを私はここで報告を受けると、初めて報告を受けたんですが、やはりその点私たちは日本の原子力の研究そのものに対して、次官は戦力に使われるということは毛頭ないし、そういうふうにされることは自分は反対だと、これは国の生産方面に使われるように文部省としては希望するという意見を述べていらつしやいますけれども、私たちは非常に危惧の念を持つのです。ですからこの講習会の結果の私は報告を頂きたいと思うのです。この山本博士の持ち帰られた報告をこの委員会に発表して頂きたいと思うのです。それと、これからの日本の原子力研究が、原子炉を作るにしましても、そのことに関しましてアメリカからの協力を得てやるのか、日本独自の形でやるのか、恐らくアメリカの技術的な援助やいろいろなものを受けるのじやないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えでいらつしやるか。

福井勇自由党文部政務次官

○政府委員(福井勇君) これは学術会議にいろいろ相談してやろうと思つておりますが、先ほど須藤委員からおつしやつた怠慢ではないかというそのお言葉が非常に私気がかりなのは、実は私は、もう戦前からこういう仁科研究所などにいろいろとまあ何と申しましようか関係して、その方面に興味を持つておりました。それで私がその問題をもう数年前から平和産業に利用さるべき原子力の問題を取扱うべきだ、又原子核の研究も、もつと飛躍させなければいけないのだという、私の心にはもう欝勃としておつたのですが、今日世界中、今十六カ国ばかりやつておりますが、私が自由党に籍がありますために、私が言えばすぐ戦力ということを言われることを心配して最大限今日まで私は沈黙しておつたというような私の心情であります。御了承願いたいと思います。  それから報告書は至急取寄せたいと思つております。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 私の友人にも原子核を研究しておる博士が数人おるわけなんですね。阪大の伏見さん、その伏見さんは研究ぜいという意見なんです。あの人も進歩的な考えを持つておる平和論者です。平和主義者です。あの人は原子力をやれという意見なんです。又片一方に原子核の同じような友人がありますけれども、やはりこれはやめたほうがいいという意見を持つておられる。伏見さんの研究したらいいと言うのは、研究すべきだと言うのは、科学者としての純粋な気持から言つておるので、併し戦力に使われたらこれは困るという、今反対していらつしやる立場の人も原子力を研究するということは反対ではないわけであります。今日日本の置かれている立場において原子力をやるということは危険が存在する。即ちアメリカに利用されるという点ですね、戦力に利用されるという点を危険視して、今は、やるべきじやないという意見だと思います。いつまでも永遠に原子力の研究を日本はやるべきじやないというのではないのであります。これは私は両方の友人から開いておりますから、私の個人の意見を申上げますれば、私は今日の段階では危険が存在するというふうに考えているわけですね。それで今日までいろいろ山本博士が参加されたというようなことを報告されますので、果してその危険がないかどうかということを、私はやはり突き詰めて行かなければならないと思いますので、その報告をして頂きたいというのですから、どうぞお願いいたします。

木村守江自由党首都建設政務次官

○木村守江君 ちよつと簡単に会計課長に。これは資料をもらつたこの積算基礎の十番に特殊勤務手当は国の基準額の三割増と書かれていますが、国の基準を含めてあつて、それから予算を三割増したというのは大体どういうことですか。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) 特殊勤務手当の中には御承知のように僻地手当と単級複式がございまして、今の現行法には国の基準は僻地手当のほうが最高九百円です。これを千二百円に引上げる。それから単級が三百円、これを四百円に引上げる。複式が二百四十円、これを三百円に引上げる。これは義務教育国庫負担金の中で見込んでいる。

木村守江自由党首都建設政務次官

○木村守江君 それは国の基準として正式に認めた分ですか。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) これは地方公務員でございますから国のほうは一切措置しなかつたのです。ですから国の基準はございませんが、文部省からの指導で特に僻地教育振興の趣旨から特殊な扱いをいたしましたので、指導上でやりたいと思います。

木村守江自由党首都建設政務次官

○木村守江君 そうするとその三割増しの半額ですね。半額は国庫負担になるというのですね。その支出の方法ですね。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。

木村守江自由党首都建設政務次官

○木村守江君 そうすると特殊勤務手当というものの国の規定というものに根本的な変革を来たしたということになりますね。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) これは国のほうの国家公務員については僻地手当は殆んど学校関係にはないのです。ですから地方公務員、地方の教育方面だげですから、影響は私はないと思うのです。

木村守江自由党首都建設政務次官

○木村守江君 これは地方公務員だけある手当なんですかね。これはこういうところから国としては基準をきめておいたほうが将来予算を組むのに都合がいいのではないですか。三割増に国家の基準をきめておいたほうが。

内藤誉三郎文部大臣官房会計課長

○政府委員(内藤誉三郎君) 御承知の通りこれは地方の教育公務員については、国立学校の教員の給与を基準とするということになつておりまして、こちらからは別に法的根拠としてはないのでございまして、文部省の指導によつて府県の条例によつて府県で定める。ですから予算の積算の基礎を明らかにして指導いたしたいと思います。

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) ほかに御質疑ございませんか。御質疑がなければ本日はこれを以て散会いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕

川村松助自由党

○委員長(川村松助君) 御異議ないようでありますから散会いたします。御苦労さまでした。    午後零時三十六分散会

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