農林委員会 第53号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/06/14
会議録
○委員長(片柳眞吉君) それでは委員会を開会いたします。 本日は前回に引続きまして、昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本法律案は、去る十一日衆議院を通過して本院に送付、直ちに当委員会に本付託となりました。なお本法案に対しまして、新たに北海道及び東北地方等における六月の凍霜害に対しても適用されるよう、お配りいたしましたような正誤が行われましたので御了承願いたいと思います。そこで本法案の取扱い方につきましては、先ほど御懇談の次第もありまして、正誤の結果適用対象が広範に拡大されて参りましたので、そうなりますると、融資総額四億五千万円では当然足らないという状況になつて参りますので、且つ又提案理由の趣旨からもその点は更に提案者の説明を求める必要があろうと存じますので、後日衆議院の提案者の出席を願つて篤と説明を聞き、その上で本法律案の処置を決定したいと思います。御了承願いたいと思います。 —————————————
○委員長(片柳眞吉君) そこで次は、前回関根委員から御質問がありまして、政府当局の御答弁の保留されておりまする生糸価格の件を議題といたします。蚕糸局長が旅行中でありますから、糸政課長が見えておりますから、説明員として御答弁をしてもらうことにいたします。
○関根久藏君 最近糸の価格が大暴落をいたしまして、繭糸価格安定法によります最低額十九万円をやや上廻つておる。かような程度にまで下つて来たのであります。さよういたしますというと、政府は当然あの法律によりまして三十億の金を使つて、生糸を十九万円で買上げることになるのでありますが、さような準備を遺憾なくやつておりますかどうか、その点が一つ。それからやはり安定法によりまして、糸価が下り、従つて又糸価に適応しないように繭価が暴落した場合には、政府は適当の措置を講ずる。かようになつておりますので、その適当の措置とはどういうものか、具体的にどういうふうに考えているか、或いは財務当局とどういうふうに折衝されておりますか、それらの点。それからもう一つは、年間二十七、八万俵産しますこの糸を内外の消費に当てても、予想では相当ストツクが残る計算が予想されているのでありますが、さような場合に一万六千俵くらい買上げて、果して安定法の目的としておりますその価格の安定が期し得られるだろうかということは非常に疑問があるので、従つて三十億では到底これは支え切れないような場合が必然的に起るかも知れないと思う。さような場合に三十億を追加して或いは六十億にするなり、或いは百億にするなり、さような措置を講ずる必要があると思うのですが、それらについての農林当局の決意のほどをお聞きしたい。この三点です。
○説明員(岡本貞良君) 蚕糸局長が留守でございますので、事務的に折衝をいたしております限度に御説明を申上げたいと存じます。御質問にもございましたように、繭糸価格安定法によりますると、政府は、繭糸価格安定のために、その目的を達成いたしまするために、申込みに応じて、最高価格でその保有する生糸を売渡し、又は予算の範囲内において最低価格で生糸を買入れるというのが現行制度でございます。本制度は創設以来、今までに買入をいたしたことが幸いにございませんでした。最近の状況といたしまして、御質問の中にもございましたように、糸価が五月中旬以降軟調を示しまして、極く最近には、最低価格でございます十九万円台に来ておる、昨今の糸価は十九万八千円前後でございまして、買入をいたさなければならない事態になるのではなかろうかという心配もございますので、初めての発動でございます関係上、いろいろの買入事務要領その他について十分用意をいたしておるような状況でございます。その数量の問題につきまして、果して三十億で十分であるかどうか、こういう点が御質問にもございましたが、一応我々蚕糸当局といたしまして、年間の需給推算乃至は極く最近の一、二カ月程度の生産、売渡、内需、輸出等の状況を勘案いたしてみますると、少くとも生糸の需給関係からいたしますると、それほど糸価に影響を及ぼして十九万円を割るというような状況は必ずしも考えられないのでございます。殊にここ一、二カ月の間に仮に買入をするような事態に立至りましても、三十億で、およそ十九万円といたしますと、一万五、六千俵で買上げられるわけでありますが、不足するというような需給関係は少くとも考えられません。併しながら、相場のことは人気等によつて動くということもございますし、最近の糸価の低落という問題が、金融引締めという事情から来ているという関係もございますので、若しも二十九生糸年度中に三十億が不足いたしました際にはどうするかという問題も十分考えておかなければならないというふうに考えておりますが、御案内のように、現行の糸価安定特別会計法には、買入金の制度や、証券発行制度に関しまする規定が欠けておりまするので、これらの制度を創設いたしますために、不足対策として目下研究中であるということを御報告申上げたいと思います。が併し、これらの制度創設のためには、無論会計法の改正を必要といたしまするので、国会閉会中におきまするそれまでの暫定措置につきましても十分研究する必要があります。その具体的な方法は、無論そのときどきの財政金融事情を考慮いたしまして決定しなければなりませんので、先ほど申しましたように、研究中ということではございますが、今日只今如何なる方法によるかということにつきましては、未だはつきりと申上げる段階に至つておりませんが、折角設けられておりまする糸価安定制度の効果を万全ならしめまするために必要な措置を講じたい、かように考えておるわけであります。くどいようで恐縮でございますが、先ほども申上げましたように、一面人気等で動くというようなこともございまするので、それらの点に対処いたします方法といたしましても、目下何らかの、例えば政府声明を発表するとかいうようなことを検討中であるということを御報告申上げておきます。
○関根久藏君 それからその繭の場合の……。
○説明員(酒折武弘君) 繭の問題につきまして御説明申上げます。繭につきましては、安定法の第十一条に、生糸を買つても、なお且つ繭の価格の異常な低落を防止し得ない場合には必要な措置を講ずるというふうな規定が明記されております。こういう事態が起きた場合の措置につきまして、現在糸と同様に検討を進めておる次第でございます。この問題点は、一つは異常な低落ということをどういう水準で考えるか、どの程度の価格以下に下つた場合に異常と考えるか、それからそれを維持するためにどういう措置を講ずるか、この二点にかかつておると思いますが、前者につきましては、大体系についての買入措置が行われ、それと並行的に考えられることは、糸の最低価格に見合つた線というものを何らかの方法で出したいというふうに農林省としては考えております。それから後者の具体的な維持の措置につきましては、特に養蚕家例の意向もこの際汲みましてやつて行きたい。要するに現在の糸なり繭なりの情勢に応じて最も適切なる方法を講じたいということで、特に養蚕家側の意見を聞きたいということで、現在養蚕家側におきましても、この問題につきましていろいろ検討を進めておるようでありますので、これらの意見を徴しまして早急に具体的の方法を考えたい、さように考えております。
○関根久藏君 今の御説明によりますというと、政府は糸価安定、繭価安定のために重大なる決意をされておるようであります。誠に結構なことだと思うのでありますが、先ほど糸政課長のお話の中に、安定特別会計制度の改廃は勿論国会の承認を得る必要があるのでありますが、国会閉会中にさような問題が起つた場合には、何とか政府声明を発するとか、機宜の措置をとる用意があるというふうにお話があつたのでありますが、その機宜の措置或いは重大声明というのはどういうふうな構想で、これは今からさようなことをお尋ねするのは何でありますが、お考えになつておりますか、その点を一つお尋ねいたしたいと思います。
○説明員(岡本貞良君) 先ほども申上げました通り、その具体的の方法につきましては、そのときどきの金融財政事情によりまして、或いは金融によるか、財政によるかというような関係もございまするし、政府の能力につきましてもそれぞれの制約がございますので、具体的にこう措置する、ああ措置するということは只今申上げられませんのでありますが、例えば御案内のように、需給操作のために、市場を圧迫いたしまする生糸量の相当を政府が買上げることによつて価格操作をいたすのが安定法の建前でございまするから、買上げられないで、なお且つ市場を圧迫する生糸がございます際に、それを保管いたしまして、金利、倉敷を見るとか、それに金融措置を付けるとかいうことは、一つの方法として考えられるんじやなかろうかというふうに思います。
○関根久藏君 とにかく最近にない蚕糸業界に重大な問題が起つておるのでありますから、農林省の蚕糸当局は、この際一つ蚕糸局の全生命をかけてこの問題に御対処願いたい、かような要望を申上げまして、大体了解するものであります。
○委員長(片柳眞吉君) 他に御質問ございませんか。 それでは糸価の件はこの程度にいたします。 —————————————
○委員長(片柳眞吉君) 次に、食糧庁長官が見えておりますので、昭和二十九年産麦類の価格及び同じく本年産の「なたね」の価格の件を議題にいたします。両者とも価格決定の時期が迫つておりますので、農林当局から政府内における考え方乃至は方針につきまして、できるだけ一つ詳細に御説明をお願いいたします。
○政府委員(前谷重夫君) 麦価の問題及び農産物の安定に基きまする「なたね」の価格でありますが、先ず麦価の問題につきましては、御承知のように昨年度におきましては、パリテイ価格に需給条件を考慮いたしまして、基準年次としてございまする昭和二十五年、二十六年におきまする三麦間のバランスが、その当時における需給状況が異なつておりますので、それを小麦を中心といたしましてバランスをとりまして、昨年度の特殊な作柄等に基きまして、米と同様の考え方を以ちまして特別加算をいたしたわけでございます。その当時におきまするパリテイの指数は一一三・一一ということになつておつたわけでございますが、現在のパリテイは一二一というふうに上昇いたして参つたわけでございます、従いまして、このパリテイ指数に基きまして、二十八年度におきまする麦価の情勢を見ますると、生産者価格及び消費者価格共に安定を見ております。ということは、これは二十八年度の推移に徴しまして明らかでございますので、この水準というものは維持して参りたいというふうに考えておるわけございます。ただ麦価につきましては米と違いまして、いわゆる間接統制でございますので、そこに幅があるわけでございますが、価格の決定につきましては、食糧管理法に規定がございますので、その考え方によつて我々としては資料をまとめておる次第でございますが、まだ食糧庁としては一応の原案は作つておるわけでございますが、農林省といたしまして最終的にまだ決定いたした段階ではございません。又大蔵省におきましても低物価政策の面からいたしまして、いろいろ意見があるように聞いておりますが、まだ正式の折衝段階に入つていない状態でございます。そういう麦価の状態で、食糧庁といたしましてはいろいろ原案を練つておる、それを更に農林省としての態度をきめ、大蔵省と協議をして政府としての態度をきめたい、こういう段階にあるわけでございます。 一方農産物の価格、特に「なたね」につきましては、やはり農産物価格安定法に基きまして、これをきめたいと考えておりまするが、もうそのうち出るかと思いまするが、大体本年度におきまする「なたね」の作付面積、つまり供給量の面が確定いたして参ると思います。同時に対外的な油脂全体の供給力と関連いたしますので、そういう面につきましての数字を集めておる段階でございます。 以上経過といたしましては簡単に申上げた次第でございます。
○委員長(片柳眞吉君) 何か御質問があれば……。
○上林忠次君 ちよつとお尋ねいたしますが、去年に比べると「なたね」油の値段が今年は相当いいのじやないかと思いますが、そうすると、生産費はどうであろうと相当高く買われてもいいのじやないか、この農産物価格安定法、これによりますと、生産費を基にして再生産ができるようにするということが基になつておるのでありますが、油の値段が高いなら少し加算してやつてもいいじやないかという気がいたしますが、その点はどういう工合に考えておりますか、今年の値段をきめる際に……。
○政府委員(前谷重夫君) 価格設定といたしましては、一つの生産の基礎条件を整える、こういう考え方でございまして、特に麦等と違いまして、農産物価格安定法の場合におきましては、支持価格的な色彩が強いわけでございまして、而も最高価格と申しますか、政府が手持ちをして一定の価格の限度にその価格を抑えるというふうな最高もないのでございまして、いわば最低価格の線は政府がきめますが、それ以上の価格、いわゆる青天井式の形になつておりますので、特に麦の場合ではその点は異つて参るだろうというふうに考えております。ただ本年度の米価に徴しましても、政府の買入価格は一定の線に定めましたわけでございますが、その後系統団体におきまする自主調整或いは又市価の問題、外国からの大豆の輸入の減少、こういう状態からして、お話のように現在油の価格及びそれに伴います原料価格等が上つております。従いまして、政府に対する売渡しは昨年度におきましてはなくて、系統団体におきます自主販売操作によりまして、政府に売渡す価格以上の価格で販売されている実情でございます。そういう点から考えますと、系統団体の自主調整によつて安定法の目的が十分に達せられているというふうに考えているわけでございます。
○上林忠次君 もう一点附加えて、パリテイ計算あたりで行きますと、去年の価格に比べて今年は高くなるべきか、或いは去年の通りでいいのか、どの程度になつておりますか。
○政府委員(前谷重夫君) 「なたね」の場合におきましては、一応パリテイ価格を一つの基準として考えますが、需給条件等も考慮に入れてきめることになつておりますから、麦の場合におきましては、法律によつてパリテイ価格というものが一つの最低限度になつておりますから、農産物価格安定法の場合におきましては、それが一つの基準として、物価その他の事情も勘案しなければならないという形になつております。これは麦と違いまして、つまり政府が物を持つて、その市価を或ろ一定の幅に抑えて行く、こういう作用は全然ないわけでございます。過剰の場合におきまする支持的な価格を定めて参りまして、その線を下回る場合においてはこれを政府が買上げる、こういう形になつております。勿論パリテイの水準というものは、これに影響するわけでございますので、都市の需給条件の変化とか、その他の事情も、経済操作は十分考慮に入れて行かなければならない、こういう事情にあると思います。
○宮本邦彦君 つまらんことを承わるようでありますけれども、さつき長官が御説明になりました小麦価格を基準にして、大麦、裸麦の価格をきめる、こういう方向を順に強くとつて行かれるように見えるのですが、私はそこのところをちよつと、どういう理由でそういうふうに持つて行かれるのか、まだ解せない点があるのです。ということは、世界的に見て日本の小麦というものは気候条件その他で非常に不安定な作物じやないか。だからそういう面から考えるというと、小麦というものは一時奨励して、日本の国は非常にたくさん作るようにはなつたけれども、農政という面から考えたときには、むしろこれは危いことじやないかという気がするのですが、そういう考え方を推し進めて行けば、結局外麦というものに一切が支配されるような価格のきめ方になつて来るのじやないか。やはり大麦、裸麦というようなものは、むしろ日本の農政として考えるときには、米にむしろよほど引張られていいのじやないか。それを順に不安定な作物である小麦価格に引張られるというような方向に持つて行くことはいいのかどうかということなんですがね。その点が私どもわからないのですが、長官の見解を御説明願いたいと思います。
○政府委員(前谷重夫君) 只今の御指摘の点でございますが、先ず第一に、この食糧管理法に基きます麦の買入価格の場合には、基準年度が二十五年、二十六年になつております。この場合におきましては、つまり配給統制を継続いたしておつた時代でございまして、その場合にはお話のように、対米比価で以て想定いたしまして麦の値段をきめておつたわけであります。これは或る程度、実勢と申しますよりも、政府の考え方によつてその割合がきめられておつたのでありまして、麦が統制撤廃になりましてから、ここに麦としての需給況状及び消費者の価値判断に基きます三麦間のバランスというものが出て参つたわけでございます。需給条件が、当時と需給状況が違つて参りましたし、又統制中でなく、自由になりました場合の消費者の三麦間のそれらに対する価値評価というものが二十七年度以降出て参つたわけでございます。これがむしろ実態的にはそれぞれの三麦の価格のバランスでなかろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。ただ御指摘の小麦をなぜ標準にするか、こういうことでございますが、小麦は御承知のように、我々の見方からいたしますると、需給条件としては安定しておりまするし、価格も安定しておりますということが一つと、それからもう一つは、大体小麦はそういう事情からいたしまして、パリテイ価格というものが中心になつております。これが食糧管理法としては最低の線になつておるわけでございます。その最低の線のものを基準といたしまして、それで実勢を合わして行くということが支持率を、つまり小麦がパリテイでございまするので、パリテイ価格といたしますと、それが最低の支持率になるわけであります。その支持率を等しくする、大麦、裸についても支持率を等しくしましてその支持率の下におきまして、一定の幅で需給条件によつて変更して参るということが必要であろうと考えたわけであります。ただ不安定じやないかという御指摘でございますが、これは三麦間におきましては、過去の経験から言いますと、或る程度安定しておる。ただ作付その他については多少減少傾向がございますけれども、一応支持率の変更という面からいたしますると、その支持率の最低でございまするパリテイ価格で以てきめられております小麦を中心にいたしまして、そしてそれを基礎にして三麦間のバランスをとつて行くということが妥当でなかろうかと考えたわけでございます。これは具体的に申上げますと、小麦を一〇〇にいたしますと、過去の状態、昨年度におきましては、大麦は大体九二・一、それから裸は一〇八・六、こういうように小麦を一〇〇にいたした場合になつておるわけであります。それに対しまして、基準年次におきましては大麦が八七・幾つ、それから裸麦は一〇四・幾つと、こういうことになつておりますので、その後の需給条件から申しますると、只今宮本さんが御指摘のように、米に引ずられて小麦と大、裸の比率というものは上つております。大、裸の小麦に対する比率は基準年次よりも上つておるわけであります。従いまして、それは御指摘のように粒食の米との関係におきまして、大麦、裸麦が引ずられておるという傾向はあると思います。併しながら、これはやはり小麦、大、裸の実勢ではなかろうかというふうに我々は考えまして、この小麦を基礎にいたしまして、そしてその基準年次よりも大、裸が小麦に対する比価が上つている分は考えて行つていいんじやなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
○宮本邦彦君 私は今お話になつているその傾向はいい傾向だと思うのです。むしろこの傾向をもう少し考え方の根本から、やはり日本の国は米食が何といつたつて恐らくまだ五十年や六十年は中心になつておると思う。そうすると、小麦を基準にするという考え方は私外して、米価を基準にするという方向にやはり持つて行かなきやいけないんじやないか、恐らく今それをやるとちよつと大麦、裸麦は損をするんじやないかという気がするのですけれども、値が幾らか安くなるんじやないかという気もするのですけれども、やはり根本的にそういう考え方で行くのが本当じやないかというような気がするのですが、如何なものでしようか。
○政府委員(前谷重夫君) この点は売渡価格の場合と買入価格の場合と考え方が二つあると思います。御指摘のような点はやはり売渡価格の面におきましても、大麦、裸麦のいわゆる精麦が米価の消費者価格と申しますか、消費者が手に入れる価格に引ずられるという傾向はあろうかと思います。ただ買入価格の場合においてはやはり麦作としまして、三麦間のバランスというものは米価と関連なく考えて行つたほうがいいんじやなかろうか。米価との関連は売渡価格の面において考えて行つて、生産者価格の面といたしましては、生産の面からしますと、小麦を作るか、大、裸を作るかという関連性の問題、他の作物との競合の問題という形になるんじやなかろうか、こういう考え方を以ちまして、やはり買入価格といたしましては、三麦間のバランスというほうがより重要ではなかろうか、勿論その買入価格も当然に一つの幅の中でございまするので、消費者の価格が引ずられるということは当然起つて来ると思います。その関係は小麦価比価で考えて行けば調整がとれるんじやなかろうか、こういう考え方をいたしております。ただ我々といたしましては、本年度の麦価の問題といたしまして、いわゆる政府といたしまして低物価政策を進めなければならん、こういう大方針があるわけでございます。この政府の大方針と農業面におきまする食糧関係の面におきまする麦価の決定というものを、どういうふうな形において調整して行くかということが非常に重要な問題であり、又検討しなければいかん問題であるというふうに考えております。
○上林忠次君 まあ小麦が中心になつて、それで大麦、裸麦のパリテイを、大体割合をきめておるというわけで、而もその基準年次に比べると大体裸麦は相当小麦に比べて高くなつておるという現状であるということを聞きましたが、それではこれは今のところは政府の買上価格の問題であると思いますが、実際の市場価格ですね、全部政府に売らないでしようから、その価格はどういう工合にそれが動いておるか、小麦を一〇〇としまして、裸、大麦、どういう工合に動いていますか。私そういうことを聞きますのは、大麦が相当、大麦というより裸が相当小麦に比べて一般の需要が多いんじやないか、従つて値段が高くなつておるんじやないか、そういうような需要の実勢を考えて、そういう政府の買上の値段も考えなきやいかんのじやないかということを考えますので、その点はどういう工合になつていますか。
○政府委員(前谷重夫君) 只今小麦との比価をとるというのは、その実勢からしてどういうふうに変化しておるかということを、実勢に基きましてとるわけでございますから、その実勢を反映するわけでございます。ただその実勢が基準年次に、政府が統制中に一方的にきめました比価と違いがあるというところにその変化率を考えて行こうというのですから、これは完全に実勢を反映しておる、こういう形であります。
○宮本邦彦君 食糧庁でお扱いになつている内国産の麦ですが、これは一カ年間の気候の状態、そういうもので以て左右されることは恐らく世界中で日本の小麦くらい気候によつて左右されることの激しい地帯はないんじやないか。で、この量的に質的にその幅というか、開きというものはどういう状態ですか。えらいむずかしいことをお尋ねするわけですが、これはもう数字的にこうこうというような御説明でなくても結構なんです。世界的に見て日本の小麦作というものは私もう立地条件としてよくないのじやないか。そういうよくない作物、而も世界的にみればもつと小麦の適作地帯、カナダだとか、アメリカだとか、或いは濠洲だとかというような所が豊産の状態なんですね。そういうときに日本の国が無理して小麦を基準にしてものを考えなきやならんということは私どうも腑に落ちない。むしろ農政面から考えれば米を基準にして順に考えて来る。今、食糧庁長官の言われるように、価格の面もまあ二重価格式な考え方、消費者には安く、生産者には高くというような考え方が小麦よりも大麦、裸麦には実勢として考えているのだという考え方、丁度これが今小麦の価格と米の価格との中間の考え方に行くんじやないかと思うのですが、それを順に米価を決定する場合に、米価をそういう考え方に引張つて来るという考え方が主か、或いは米価を考える考え方に大麦、裸麦の考え方を持つて行くのが食糧庁の考えている考え方か、その一つと、それから私の今申上げた日本の小麦作というものが非常に悪い条件にいるんだが、その悪い条件は一体食糧庁とすれば、質の面或いは量の面というようなことからどういうふうに考えておいでになるか、まだこれは将来とも奨励すべき作物だというふうに考えておいでになるかどうか、その二点を一つ……。
○政府委員(前谷重夫君) 非常なむずかしい問題でありますが、この点は我我こういうふうに考えております。食糧管理の面といたしましては増産政策とは別に、その増産政策が軌道に乗る、そのグラウンドの地ならしと申しますか、バツク・グラウンドを整備するということが食糧管理におきまする生産者価格の一つの考え方ではなかろうか。この食糧管理によりまする価格によつて増産をやる、或いは減産をやるということは価格政策の建前ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。従いまして、食糧管理の面から考えて見まする場合に、お話のように一つの考え方といたしまして、現在の小麦の条件をとりまする場合に、国内の小麦の条件と、それから海外の小麦の条件とがどういうふうな地位にあるかということを考えて見ますと、端的に現われておりまする価格条件からいたしますると、海外の価格が国内の価格よりも下廻つておるということは、これは事実であります。それだけ海外の小麦作は有利であるということを言い得ると思います。大麦、裸麦につきましては、これは今のところは未だそういう状態を呈しておりません。従いまして、その条件から申しますると、対外的には小麦よりも大裸のほうが有利であるということは言い得られるかと思いまするが、我々といたしましては、食糧管理の面からいたしますると、やはり国内の生産量を元にいたしまして、そしてその不足量を輸入して行くということが食糧管理の建前ではなかろうか。でございますから、いわゆる加工貿易と言いますか、安いものは全部外国から入れて、非常に適当したものを作つて行くという適地適作と申しますか、そういう考え方は現在食糧全体がまだ自給の域に達しない、相当量を外国から入れなければならないという状態においては、そこに制約があるのじやなかろうか、やはり国内で不足するものを輸入するということを食糧管理の建前として持つて行くべきじやなかろうか、こういう考え方からいたしまして、価格制度なり或いは管理制度というものを立てておるわけであります。だから従いまして、その場合におきましてはやはり価格政策で以て増産する、減産するということは考えませんが、価格政策といたしましても、そういう条件を整えて行くということは必要じやなかろうか、こういう観点に立ちまして、やはり小麦作につきましても、或る程度の国内の生産が他の食糧増産計画の面から進行して行くということを期待しておるわけでございます。特に小麦の場合におきましては、大麦、裸と違いまして、大体換金作物の面か相当強く現われておりまして、まあそういう農家経済の面等も考えなければならないというふうな考え方からいたしまして、小麦を海外のものに全部これを切替えて行くという考え方は検討を要する、慎重に考えなければならん問題じやなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
○森八三一君 麦価の問題はまだ農林省の案もきまつておらんのでありますので、具体的にお伺いするわけに参りませんが、ただ考え方として物価指数の問題については、一応現在の実態と昨年度の対比を数字でお話がございましたので、この点は価格決定の重要な要素として一応方向はわかりますが、これに関連して、豊凶係数がやはり相当大きなフアクターになつて来ると思いますが、今までの御調査の結果では、その推移はどういう方向を向いておるのか、その点を一つお聞きしておきたい。
○政府委員(前谷重夫君) 先般統計調査部におきまして、作柄調査をいたしまして、目下盛んにそれにつきましての調査を続けておるわけでございますが、先般の発表によりますと、全体といたしまして三%の増収というふうになつておるわけでございます。従いまして、本年度の場合におきましては、豊凶係数を適用するという段階にはならないだろうというふうに考えております。
○森八三一君 それから今もう一つお話に、政府の物価に対する基本的な考え方が低物価政策にあるんだから、それは何かはつきり決定の中に考えなければならんではないかというようなお話があつたように思いますが、食糧管理法に定められておる生産者麦価の決定に、そういう政府の時による物価政策というものが織込まれて来るというフアクターは一番最後に示されておる経済状況、あれを考えていらつしやると思うのですが、若しあれを考えるということになると、あの当時一般経済事情云々ということは、そういうことには煩わされないのだという御説明があつたように記憶しておるのですが、その辺の低物価政策という政府の堅持しておる今の方針が生産者麦価の上に反映して来るということはちよつと理解に苦しむのですが、その考え方を一つお聞かせ願いたい。
○政府委員(前谷重夫君) 勿論我々といたしましては、食糧管理法の下における麦価の形成ということを考えているわけでございますが併し食糧管理法におきましても、米の場合のように直接統制で買入価格も政府の買入価格が一本であるという場合と違いまして、政府の買入価格が実体的には政府の売渡価格になるということになると思いますが、売渡価格の幅におきまして生産者価格も変動するという体系になるのです。そこにやはり米の場合とは異りまする一つの幅があるのであります。その幅の場合におきましては、只今お話がございましたように、生産事情といたしまして豊凶の関係を考える場合もありますし、又経済事情といたしまして、勿論一般物価の推移その他の面を考える必要もあるということは、これは食管法の範囲内で考えられることでございます。これをどの程度に考えるかということは、これはまあ具体的な問題として問題はあろうと思いますが、やはりそういう面におきまする経済事情というものも、これは価格の建前上考慮して参らなければならないということを申上げたわけでございます。我々まだ大蔵省と正式にいろいろ交渉いたしておる段階ではございません。いろいろ新聞紙上等におきましては、そういう面の考え方も現われておるようでございます。そういう面も最終的に考える政府として決定いたします場合におきましては、当然考慮に入つて参るだろうという趣旨を申上げておるのであります。
○森八三一君 今のお話のように、麦価には生産者からの買入麦価と消費者に販売する場合の売渡価格と二つあろうと思いますが、その売渡価格のほうにそういうような政府の低物価政策というものが織込まれておると我々は別に危惧の感も持たんし、意見はないが、生産者麦価に時の政府の経済方針というものが何か比例的に左右して来るということは、定められた食管法の規定をそのまますらつと読むということになるというと、そういうことになると思いますが、あの規定を作る当時における考え方ですれ、豊凶係数にしても、今お話のように、豊という場合には、これは左右はさせないのだというような御説明もあつたと同じような、そういう趣旨において生産者麦価というものは扱われるのだ、こう理解をしておるのだが、今の御説明では、生産者麦価にも経済事情を左右させるのだ、こうなると、あの規定を作つた当時の気持と多少変つて来るのではないかという感じを持つのですが、お話はその消費者麦価については考えるけれども、生産者麦価にそれを考えるということはない、こういう方向で処理されていいのじやないか、こう思うのですが、まだきまつておらんのだから何とも言えんということだろうと思いますけれども、気持はそういう気持であつて然るべきだと思うのですが、どうですか。
○政府委員(前谷重夫君) まあそこの一つの線でございますると、お話のような点があろうかと思いますが、麦価の場合におきましては、政府の買入価格を基礎といたしまして、そうして需給……消費者の購買力によつて一つの幅があるわけでございます。その幅の場合におきまして、政府の買入価格をどの程度にきめるかという場合におきましては、やはりそういう条件も成る程度考慮いたさなければならんことだろうと思います。ただ最低線を、御承知のように食糧管理法におきましてパリテイ価格を下ることを得ず、こういう一つの最低線があるわけでございます。その最低線以上におきましてどう考えるかというと、やはりそこに全体の経済事情その他も考えられて然るべきではないかという意味で申上げたわけであります。これにつきましては、法律的にいろいろな考え方なり解釈の仕方というものがあるわけでございますが、我々といたしましては、そういう考え方を持つておるわけでございます。
○宮本邦彦君 今のお話ですね、この前麦価をきめるときに、生産費を考慮するというような文句を特に入れたのですね、今のお話だと、円の経済政策というもので、今度はむしろ逆に生産費を償うところのその考慮が薄れて行くのですか、今の長官の御説明によりますと……。そつちのほうのウエイトが低くなつて、国の経済事情とか、或いは経済政策とかいうようなものに強く左右されるというふうに考えられるのですか、どつちなんですか。
○政府委員(前谷重夫君) つまり食糧管理法の考え方といたしまして、パリテイ価格が基準になりまして、これ以下であつてはいけない、かような形になるわけでございます。その上におきまして、勿論生産費の事情或いは需給条件の事情、或いは経済事情というものが考えられるわけでございます。大麦、裸につきましては、いわゆる小麦価比を考えて行くということも、生産事情及び経済事情というものが反映して小麦価比をとつておるのだ、裸麦の価格は昨年度におきましてもパリテイ価格よりも高くきめたという事情があるわけでございます。これに更に特別加算、昨年度におきまする事情によりまして特別の加算を見たわけでございます。こういう面におきましては、その当時におきまする生産事情も勿論考えなければなりませんが、同時に国全体の経済事情というものもそこに反映して然るべきじやなかろうか、こういう趣旨で申上げたわけであります。
○宮本邦彦君 この今の御説明の範囲内だと、従来の麦価の決定とは別に変つてはおりませんがね、その抽象的な御意見では……、ただ私どもの考え方からすれば、もうそろそろ食糧という問題に対しての考え方、これは食糧管理だけの考え方ではいけないのじやないか、やはり食糧増産とか、或いはそういつた総合的な考え方が食糧管理の中に強く入つて来て、そうしてそろそろ農政と強い結び付きを持たなければいけない時代が来たのじやないかというふうに僕らは実は考えておるわけなんです。勿論パリテイというものは、これは食糧管理法のほうの判定基準としてとられておることは私らも知つておるし、又それが生産費に成る程度というよりも大部分かも知らんけれども、並行しておるものだから、それもよくわかるのですが、その上に私はむしろ今申上げたような大きな食糧政策というものが、管理制度からもう一歩強く食糧増産政策とか、或いは農業政策という面に結び付きがそろそろできて来ると思うのです。そういう考え方が今度あたりの農林省案として考える考え方のうちには入つておいでになるかどうかということを、気持の上でですよ、計数的にどうこうというのじやなくて、そういう考え方が食管として考えられておるかどうかということ、私どもの考え方はそういう考え方なんだから、同時に長官としてもそういう考え方は必要かどうかというようなことを私思うのですが、何か御意見があつたら承わりたいと思います。
○政府委員(前谷重夫君) 食糧管理制度全体といたしましては、麦につきまして輸入食糧、外国麦の管理、これはやはり行政面との関連性を考慮いたしまして私はとつておるというふうに考えております。従いまして、現在の価格の状態におきましても、外国の小麦は安いと、それが国内の小麦を生産面におきまして圧迫しないように、国内の小麦の価格決定と外国の麦の価格とは一応遮断をいたしておる。こういう意味におきましては、只今のお話のように行政面の考慮が払われておるということが言い得るのじやなかろうかと思います。従いまして、だんだんに外国の麦が下つて参りますると、現在の食糧管理制度の運用をいうものが国内の生産の阻害条件を遮断すると、こういう意味に働いて参る要素が強くなつておるということが言い得られます。ただ食糧管理の面におきましては、一面におきまして消費者価格の面がございます。同時に食糧管理は生産消費の面というか、価格の安定、需給の安定という立場からいたしますると、そこに積極的な意味におきまする増産政策を食糧管理の中に取込むということは、これは面が違う。積極的な増産政策はそれぞれの増産対策として考慮さるべきであつて、その基礎条件を整備するという範囲にとどまりまして、又外国との影響を遮断するという意味においての意味がございまするが、積極的な増産というものはこれは別の面で考慮せらるべきじやなかろうか、ただ現実の事態といたしましては、やはり外国の価格の動向如何によりましては、そういう面の働きをするということはあり得るし、又小麦についてはそういう方向に向つておるということが言い得られると思います。
○上林忠次君 前にも食管長官にお尋ねしたことがありますが、まあ食糧の不足に対して人工米を造るということについては、まあ農林省も相当熱を持つておられる。その当時、私は幾ら米に執着を持つていても、あれじやいかんじやないか。やはりあんなものを、人工米を造るよりは裸麦で我慢させたらどうか。それには裸麦も増産しなければいかんじやないか。小麦は幸い国際市場からずつと安いやつも来るし、無理に日本で小麦々々と言わなくても、裸をもう少し値段を上げて増産したらいいじやないか、そういうことに対してどう考えているか。いや、裸の増産については何も考えておらん。おかしいじやないかというような問答をしたことがありますが、先ほども問いましたように、裸麦の値段は、実際の需要が相当多くて、もつと上げてやつてもいいんじやないかというような状態にあるのじやないか、又裸の生産量が実需に対して相当まだ欠乏しているのじやないか、何とか小麦を引つくり返して裸にしたらどうか、それには先ず価段を上げたらどうか、実際に需要があるなら値段を上げても売るれのじやないか、そういうような情勢に日本があるのじやないかということを考えまして、前にも御質問申上げたのですが、あなたのほうではそういうことは考えておらん、生産計画については何も考えておらん、そういうような施策はしておらんというようなわけであつたのですが、去年あたりから相当麦の、これは裸麦の需要が又殖えているのじやないか。先ほども話を聞いてみますと、基本年次に比べて、まあ小麦に対して一〇四だ、それが最近は一〇八の係数になつておるというのでありますが、去年あたりはもつと殖えているのじやないか、実際の需要の趨勢は強く裸に現われているのじやないか、こういうような裸の少い時代でもありますし、米に代る裸として相当増産計画をせにやならん。それには値段の点にこれが引つかかつて来るのでありまして、もつと値段を上げられんかという気持がするのですが、去年の実情を考えてどういう工合になつておりますか。
○政府委員(前谷重夫君) 私たちの考え方といたしまして、只今上林さんからお話のように、食糧管理の面におきまする価格政策によつて増産政策を遂行するというのではなくて、増産計画は別個に土地改良なり、耕種改良なり、そのほうにおいて増産計画というものは遂行されるべきじやなかろうか、こういう意味において増産計画を持つていないということを申上げたのでありまして、農林省といたしましては、別の面では食糧増産五カ年計画というものは米麦を合せて立てておりまして、それぞれの技術指導なり、或いは土地改良なり、そういう面からの増産計画はやつているのであります。又計画も持つておる。その点は食糧管理の面からのみするというと、そういう考え方を持たないというふうに申上げているわけであります。昨年度の実勢から申しまするというと、確かに大麦、裸の精麦消費は殖えておりますが、ただ状態を見ますると、小麦粉の消費よりも精麦の消費のほうが殖え方が少いということは言い得られます。この面からいたしまして、現在我々は消費者の消費は殖えている。而も生産者の価格というものは一昨年におきましては政府の売渡価格に附いておつた。ところが昨年の二十八年度におきましては、大体政府の買入価格に近付いて来ているということで、需給状態も又価格関係も昨年度は大、裸につきましても相当安定しているというふうに考えております。併しながら、需要は伸びております。需要が伸びながら価格が安定しているということは、ここに需給条件或いは価格条件というものが或る程度均衡した形をとつているのじやないか、こういうふうに見ております。その条件を対小麦の関係において実勢を考えて行けばいいのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。お話のように、昨年度に比べますると大、裸の本年度の作付は殖えております。そういう面におきましては、実態が価格関係によつて或る程度影響を受けているということは言い得られるかと思います。これは他の増産政策なり、何なりの面に任せて、考え方としては基礎的なバツク・グラウンドを平らにするということが価格政策としての使命でなかろうかというような考え方をいたしております。特に小麦をやめて大、裸を殖やして行く、或いは大、裸を抑えて行くという、こういう考え方は価格政策として持たないほうがいいのじやないか。と申しまするのは、立地条件の問題もございまするし、特に現在におきましては、小麦は大体六割以上というものが出廻つております。裸、大麦に至りますと、逆に農家消費が多い、こういう農家経済の条件もございます。そういう条件も政府で持つて行くというよりも、自然的な流れにおいて実現して行つたほうがいい。こういう考え方からいたしまして、実勢をだんだんに追つて行くということで、実勢を作るという考え方は価格政策においては非常に困難な点があるのじやないか、こういう考え方をいたしております。
○宮本邦彦君 今のお話で、今度食糧管理制度を考え直すというような空気も農林省内におありのようでありますけれども、食糧庁長官の言われるように、食糧管理は増産と別個だという考え方は本当に、どうも私合点が行かない、はつきり言えば……。ということは、一カ年間の需給計画、これはいつも食糧庁ではとつているが、そうすると、その需給計画にも、直ちに本年のように早場米地帯の稲作を奨励しなければ食い繋ぎに支障ができそうだというようなことも起つて来るというようなことで、やはり増産計画というものか常に食糧管理制度の基準になつて行かなければならないのじやないか。で、そういうはつきりした線がここへ出て来ない限り、食糧増産政策というものはいつまで経つても地についた増産計画というものが実行できないのじやないかという気が実はしているわけなんであります。ということは、まあ当面の問題を一つ例にとつて申上げれば、食糧増産計画というような意味で以て、大分ゆがめられてはおりますけれども、そういう意味で以て一つの計画的な予算として考えられた予算も簡単にいじられてしまう、ということは、食糧増産という計画が食糧管理の面と直接の繋がりがないというところに、そういう軽い扱いが国の予算面で以て平気で行われるのじやないかというような実は気がするわけなんです。食糧管理とは言いながら、食糧管理というものもやはり食糧の増産計画が五カ年とか、十カ年というような計画があると同じように、やはり管理にも単にそのときだけの管理をやるというのでなくして、食糧増産計画と、それに見合うような管理制度の考え方も一方には必要になつて来るのじやないか、そういうような考え方が米価とか、麦価とかいうようなものの決定に、私は或る程度計画的にとられてもいいのじやないか、そういう価格が計画的に或る程度とられる、そういう意味の二重価格制度的な意味ならば、僕らも十分納得が行けるのですが、そういう考え方は食糧管理制度、これは非常にむずかしい事業なんだから、そういうところへ含ませることは一体できないものかどうかということなんです。
○政府委員(前谷重夫君) 我々の考え方といたしましても、根本的には食糧管理の前に食糧増産計画があるということは考えておるわけであります。ただ食糧管理で以て食糧増産計画を進めて行くということではなくして、食糧増産計画が前提になりまして、その実施に従つて食糧管理というものが進んで参る、増産が進みますれば輸入食糧を減して行く、ということは、結局におきまして食糧増産計画というものを前提にしておるというふうな考え方であるというふうに我々は考えておるわけであります。ただ宮本委員のお話のように、食糧管理の遂行の手段として、これを食糧管理の価格政策の面から進めて行くほうがいいのか、或いは又食糧増産計画という別の食糧増産本来の方法によつて進めて行くのがいいか、こういう問題があると思うのです。これは実は財政当局ともいつも議論になつておる点でありまして、価格政策というものを食糧増産計画として織込むということになれば、食糧増産計画の他の費用というものは必要ないのじやないか、むしろ価格政策を以て食糧増産計画を遂行して行くべきであつて、他の食糧増産の費用というものは要らないのじやないか、若しそれを行うとすれば、それは二重投資になるのじやないかという議論もあるわけであります。我々といたしましては、価格政策を以て食糧増産計画を遂行して行くということは、これは食糧増産計画の本筋じやない、価格政策は飽くまでも食糧増産計画が遂行し得るようなそのバツク・グラウンドを整えるということにあるのであつて、食糧増産計画自体は別個の国家の資金なり、或いは技術の指導なり、そういう面から食糧増産計画をやるべきじやないか、そうすることによつて、食糧増産計画による費用というものは国家負担とするということの理窟が立つことになるのじやないか、これを全部価格政策で以て補つて行くということになつて参りますると、そういう点も非常に問題があるのじやないかというふうな考え方を従来いたしておるわけでございまして、現在もそういう考え方で以て食糧増産計画を前提といたしまするが、その遂行の手段というものは、これは本来の方法でやつていいのじやなかろうか、こういう考え方をいたしておるわけであります。
○宮本邦彦君 一言だけ、私の今そういうことを申上げた根拠はどういうことにあるかというと、完全にそういうふうに切離して行つた場合に、食糧管理のほうの面は今後ますます輸入食糧と言いますか、外国産の輸入食糧が安くなる、そうすると、イージーにともかく食糧問題を考える考え方が政治的にどうしてもとられ勝ちになる、そういう面が一つ。もう一つの面は、食糧増産計画とは言うけれども、例えば土地改良にしてみても、それからほかの保護政策にしてみても、補助とか、そういうものの対象というものは相当まとまつていなければやれないということなんですね。普遍的じやないということなんです。ところがそういう政策と価格と両方並行して行けば、日本の食糧増産をやつておるところへ片方は集中的に行き、片方の価格政策のほうは万遍なく行くと、そういう何と言いますか、増産効果が非常に大きいのですね、だからやはり私はそういう現われた盲点と言うか、そういうものをなくすような意味において、やはり今後の食糧管理制度というものが考えられて行くということが、日本の大きな意味の食糧増産計画を早く達成する途じやないか。割切つてしまえば事務的には非常に楽なんです。けれども、そう持つて行くことが増産そのものを早く達成するには早いのじやないか。これは窮極の日本の経済から見るというと、こういつた外貨事情の窮屈なときには、何よりもそういう大きな日本の経済の目標を達成するにはそれが一等大事なのだ、早道だというふうに考えるというと、まだ本当を言うと、私自身としては食糧庁長官の今の御答弁じや満足できないような気がするのです。これは御答弁は要りません。
○上林忠次君 どうも食糧庁のほうでは、出て来た米、出て来た麦、食糧について管理しておられるだけで、出て来る元までつかんでみるという気持がないのじやないかということを感じておるわけです。その点私は不満に考えるのですが、生産のほうにもつと足を踏んでもらわなければいかんのじやないか。前にも申上げましたけれども、まあ余り米に頼り過ぎるのじやないか。米の足らんところは外米によると、そんなことよりも硬い小麦を入れて粉食を奨励する、奨励するならば米を入れて、それに対する補助を出す代りに麦にどんどん補助したらどうか、入れた麦は安いけれども、これを又安くする、日本の麦は適正な値段でやつて行つて、これを安くして行く、そして米は成るほど少しこれは値段が高くなるかも知らん、今のコントロールをやめるなら高くなるかも知らんけれども、その代りに一方には麦が入る、裸が入るとなると、今の値段の半分ぐらいには安い麦を放出をするという工合にして行くならば、案外日本の食糧事情も需給のバランスがとれるのじやないか、そういうことをしない限り、いつまでも外地の米に頼つていては、これはいつまでたつても日本の食糧政策なんというものは安定しないのじやないかというような気がするのです。私が前に申上げましたのは、今の食糧のコントロールを先ず離してしまう、離して足らんところへ安い麦でここへ頼つて来い、その代り麦なら今の価格の半分で売るぞと言つて行くなら、案外高い米を外貨を使つて輸入しなくてもいいのじやないか。そこまで食糧庁のほうでも踏み込んで考えてもらわないと、ただ出て来た勝負で需給をうまくやつて行く、需給のバランスをただ保つて行くというようなのでは、食糧庁怠慢じやないかということを前にも申上げましたが、今でもそう考えております。もう少し麦のほうのこの増殖、米を麦に変えて行くというところまで、政策的に価格の面から日本産の裸の増産についても考えてもらわなくてはいかんのじやないか。これはまあ前にも喋りましたので別に御返答も要りませんけれども、何かお考えになることがありましたら、一つお答え願いたいと思います。
○政府委員(前谷重夫君) その点は我我も考え方といたしまして、只今宮本さんにもお答え申上げましたように、先ず海外の安いものを買つて、そうして海外より安い、いわゆる競争力のあるものだけを生産して行けばいいということになりますと、これは上林さんのお話のように、食糧管理を外すということもあり得ると思います。併し現実の問題としましても、小麦につきましても、もう海外の小麦よりも安い。裸も、現在ではそうでございませんが、近い将来そういう傾向が出て来るというふうな形になりますると、これを外すことによりまして海外の麦が入つて来れば、それだけ国内の麦というものは自然に下つて来る。我々といたしましては、海外との影響を遮断する意味におきましては、農業政策的な立場に立たざるを得ないわけでございます。同時にそれは国内におきまするまあ無制限の買入という形で現われて参りまして、海外の麦と、それから国内の麦とを遮断するというところが農業政策的な面が相当強く現われて来ると思います。一面におきまして、やはり食糧管理は需要と申しますか、消費者の面というふうな面を考えて行くわけでございます。この消費者の面を考えまする場合に、それでは政府の財政負担がどういうふうな形になるか、二重価格にするならば相当な財政負担を伴うことは言うまでもないことであります。この財政負担を食糧増産計画として価格面で高く買上をして、それによつてやつて行くか、或いはその財政負担の金を他の面に使う、即ち食糧増産の他の面に使う。これは財政の配分の問題になるのじやなかろうか、そういう面におきまして、我々といたしましては、現在の管理というものは生産の面、国内と外国との調整の面、それから生産と消費との調整の面の橋渡しをやつておる。そういう面において或いは一方に徹し切れないところがある。それが又妥当なところではないか。そうして財政面との関係におきましては二重価格によつて負担する。財政を他の面に廻して、そうして国内の生産を上げて行くということが本筋ではなかろうか、こういう考え方からいたしておるわけでございます。
○松浦定義君 今年の麦の作況は大体去年に比べてどのような結果になつておりますか。
○政府委員(前谷重夫君) 今年の麦の作況は、先ほど申上げましたように、大体五月末でございますると、作況指数は平年に比べて三%アツプということでございます。面積から比較いたしますと、昨年度よりもまだ集計調査中でございますが、相当三麦合計といたしましては殖えるのではないかというふうに考えております。
○松浦定義君 二十八年度は大体米が凶作だというので、恐らくまあ麦も相当まだ作付なくちやいかんというので、大いに麦の作付を強調されたと思いますが、従つて私は相当まあ農家に対しては無理をした作付をやつておると思うのです。従つて今年の麦価に対しては或る程度政府としては何かそこに報奨的な価格も或る程度出て参らんというと、去年の凶作という事態から麦を奨励したというような一つの政治的な立場から言つても、納得しないものが出て来るのじやないかというふうに考えておるのですが、そういうようなことは、今年の価格の面には出ていないようなんですが、先ほどのお話ですと、別にそういうことを考える、いろいろの面で農業政策として別に考えるというのですが、麦作そのものに対して農家全体ということは別として、麦作そのものに対して何か別にそういうものはお考えになつたような点があつたか、或いは又今後考えようとされるのですか、その点はどうですか。
○政府委員(前谷重夫君) 麦作に対しまする奨励的な面は、先ほども申上げましたように、価格面でこれを奨励するというふうな考え方は今いたしておりません。と申しますのは、逆に申しますると、奨励する面が、そういう面がございますと同時に、それでは国内に安い麦があり、それから又海外の価格は下つておるのだから、そういうふうな面からしては下げるというふうな意見もあり得ると思います。従いまして、我々としましては、価格の面において一つの一定した方式の下において安定した生産ができて来るということが必要でありまして、その安定した線において需給条件によつて或いはそれ以上に上廻るということはあり得ると思いまするが、これを価格政策の面で以てそういう要素を加えるということは、又逆の要素も成立ちますし、又価格政策としては一つの地盤をならすという意味におきまして、そういう要素を加えることはどうかという考え方をいたしまして、現在におきましてもそういう考え方は、報奨的な考え方はしておりません。
○松浦定義君 今のお話でありますと、全く国内には例えば増収された、而も海外から安いものが来るのだから、結果的には余り価格は上げなくてもいいような価格で農家は手放さなければならんということになりますと、先ほども森委員が御指摘になつたように、やはりその政府の一方的な政策のような形で低物価というような形のもので、一貫性の食糧政策が行われるということになりますと、ああいうような、去年のああいう事態というものは、農家自体も何とかして自分の経済を補うために麦を作るという考え方になつたのですけれども、今のようなお考え方であつたならば、何も作らなくても、奨励しなくても安い麦をどんどん入れて来れば、それでいいのだというふうな考え方に立つてしまうと、食糧政策としては私は余りいい行き方にならんのじやないか。それからもう一つは、麦が安いとは言いながらも、やはり外米等に対しては、この間私ども陳情を受けておるのですが、人造米奨励のために外米を極力少くしてもらいたいというような業者からの陳情があるわけです。私どもはやはり外米を入れないことによつて、本当にまあ現在の麦をやはり相当量消費者が好感を持つてそれを期待される、そうしますと、私はただ輸入の麦価が安いというばかりでなく、外米と麦というものも農家にしてみれば相当関連性があり、そういう面も一つ全体を考えて、この麦価に対してはやはり私は報奨制度的なものがないにしても、自然的にやはりその外米或いは又輸入の小麦といつたようなものを全部を通じて、米価に比して何とか奨励的なものが出て来ないというと、今年の麦に対しては、政府の本当に考えておつたような点が農民としては喜ばないのじやないか。多少それは去年より少しは上つても、全体のあれから言つて上つたというだけで、去年の作付を強要し、奨励したという気持というものが全然現われてないということになるのじやないかと思うのですが、外米対麦価というものは直接の関係はないにしても、今申上げましたように、何ぼかこの点、輸入を或る程度控えることによつて麦価政策、麦の生産農家が相当経済的にも恩恵を受けるような価格が設定されるのじやないかと、こう思うのですが、そういう点は全然別に考えなければならんものですか、どういうものですか。
○政府委員(前谷重夫君) 私先ほど申上げましたのは、必ずしも国内の生産を放つたらかして安いものを入れたらいい、こういう趣旨で申上げたわけじやないわけであります。只今の松浦さんのお話のように、価格政策に報奨的な意味を附加えるというふうな考え方は、一方において又逆に現在のいろいろな諸情勢からして引下げるという意見もあり得る、従いまして、価格政策にそういうふうな積極的な意味を持たすということはどうであろうか、こういう趣旨を申上げたのでございまして、国内の生産をそのまま放つておいて安いものを入れればいいんだ、こういう形で申上げたわけじやないのです。先ほどからも申上げましたように、やはり国内の生産が前提であつて、その生産の不足するところを入れるのだ、こういう方針にはこれは変りはないわけであります。ただ御指摘の麦価の問題につきましては、外米との関係は、これは間接的には勿論米の価格といたしまして麦価に影響するところがあろうと思いますが、一面におきまして、やはり一つの消費の水準なり消費の価格、これは政府としても現在の状態において、消費者のために一定の水準というものを保たなければならんわけでありまして、この水準を離れて安価を高くするということはどうであろうか、併しながら、一方外国の麦が安いから国内の麦をそれによつて叩け、こういうことにもならない、その間の調整ということを図るのが私ども食糧管理の使命じやないだろうか、こういう趣旨で申上げたのであります。
○宮本邦彦君 私が先ほど申上げたことを、もう一度素朴に乱暴な意見で申上げますれば、ともかく二百五十ドルからしておつた米価なんです。あの時の米価を何ら法律なんかで縛らずに離して御覧なさい。これは日本の農家というものは相当大きな私は黒字ができたんじやないかと思う。その当時における日本の麦の値段だつて、今のような外麦との開きはなかつたはずなんです。今は外麦はますます安くなつて来て、そうして開きが大きくなつて来ておる。だから今までの価格政策から言えば、食管は農家の経済をともかく邪魔しておつたというふうに私は計数的には出て来るのじやないかと思う。国全体の経済には非常に役立つて安定させておつたかも知れませんけれども、農家の経済だけから考えれば、食管というものは農家を極度に圧迫しておつたという結論になるのではないかと私は考えておる。これは長官がどう考えようとこれは別なんですよ。そういつたときに外麦が安くなり、そうして国際的に主食が安くなつたということは、言換えれば日本の農業というものが非常に立地条件が、土地が少いとか、何とかいうことで悪いのです。而も外国の、恐らく主食は国際価格からすればまだ下るでしよう。そういうときに日本の農政ということを考えますときに、今完全に食糧庁長官の言われるように、食糧に対しては国際的には遮断されておる。その遮断されておるときに、そして国際的に米なんかもそれほどまだ下つていない。こういうときに日本の農業の保護政策というものを、管理制度だとか、増産政策というようなものを一体にした食糧政策として、日本の農政の根本的な考え方として、今ここで新らしい考え方を立てなければいけないときじやないか、それを従来と同じように、管理は管理、増産は増産というような行き方をしておるのは、やはり農村にとつては、或いは農家経済にとつては決していいあり方じやないと私は思うのです。むしろ今後はますます放つておけば安易な食糧政策が、ちよつとした経済界の変動によつては、そんなら安いところから持つて来いというような力が強くなつて来るのではないか、そういう危険が多分にあるときに、今ここで食糧管理制度というものは、もつと食糧政策として増産やそういう面と一本になつて考えられる考え方がここに湧いて来なければ、日本の農村にとつては非常に不幸じやないかということを私は考えるので、先ほどいろいろなことを申上げたわけです。これに対し何か御意見があれば承わりたいですが、なければ結構です。
○委員長(片柳眞吉君) それではこれで散会いたします。 午後三時五十六分散会