農林委員会 第47号
- 発言数
- 274 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1954/05/30
会議録
○委員長(片柳眞吉君) それでは委員会を開会いたします。 本日は先ず昭和二十九年四月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案を議題といたします。本法律案は、昨二十九日衆議院において全会一致を以て修正議決去れまして、即日当委員会に付託となつたものであります。昨日提案理由の説明を聞きましたので、本日は直ちに質疑に入ります。
○江田三郎君 ちよつとその質疑に入る前に、追つて審議をする農業協同組合法の一部修正と、農業委員会法の一部修正等について資料を要求したいと思うのですが、その日になつてやつたのでは間に合わないと思いますから、あらかじめ今日お願いしておきたいと思います。 それで第一は、農業協同組合法の一部修正については、第一に、農業協同組合に与えられておるところの法律、政令、都道府県令による特別措置の内容如何、それから第二に、農業協同組合に対し、国若しくは都道府県から補助なり融資が行われておればその状態、第三に、農業協同組合に国なり都道府県の事業費が委託されておるとすれば、その内容、それから第四に、都道府県別の農業協同組合の設立及び解散状況並びに解散の理由別、それから第五に、農業協同組合及び農業協同組合関係者による不正事件で起訴された事件の件数、種類別、第六に、全国及び都道府県の経済事業を扱う農業協同組合連合会の収支バランス及び事業実績、これは事業別の実績、それから第七に、全国及び府県指導農業連合会の職員数と事業別の実績、それから収入の源泉、第八に、一般単協の事業別組合数と事業の分量、第九に、任意共済事業を農業協同組合が取扱つている現況と将来計画、第十に、都道府県指導連に対する単協の加入のパーセント、これは大体五カ年間くらいに亙つて出して頂きたいと思います。 それから農業委員会関係につきましては、農業委員会の経費と職員の数、それから第二に、農業委員会に都道府県が直接出す経費のほかに、農業委員会の経費として出さないで、他の費目から農業委員会の、例えば旅費その他を出しておるということがあればその状態、それからその次に、府県及び町村で農業計画を立てられておれば、その数、それをその農業計画を立てた主体が市町村であるか、農協であるか、農業委員会であるか、この区別、それからもう一つ、農民組合の現況及びその綱領と言いますか、そういうもの、これだけ一つ資料として要求して頂きたいと思います。
○委員長(片柳眞吉君) それでは何か御質問はありませんか……。それでは私から質問をいたしますが、この営農資金の特別措置法案は、去年の措置と違つたところがありますか、どうか。
○政府委員(渡部伍良君) 先ず第一点は、第二条に規定しております減収が平年の収穫量の百分の三十、これは去年と同じでありますが、その次の「減収による損失額がその者の平年における農業による総収入額の百分の十」と、その規定を附加えたのが一点であります。これは昨年の事例を見ますと、一応百分の三十以上の減収というので査定を出しましたが、実際に末端で貸付ける場合に、頭割りとか、いろいろなことをやつておる事例が出て来まして、必ずしもうまく行つていないというようなものがありましたので、こういうふうに直したのであります。それから昨年は作物の種類を限定しておつたのでありますが、今年は作物の種類は限定いたしませんで、只今申上げましたような作物の種類を限定する代りに、農家の農業による総収入額というのでやつたのであります。それから第二点は損失補償の点でありますが、昨年は地方に半分持たすということは今年と同じでありますが、今年は地方に持たすときに市町村に地方の負担の分の半分、即ち損失補償全部で四割でありますが、そのうち国が二割、地方団体が二割持つ。そのうちの一部を市町村で持つことを原則に掲げたのであります。これは昨年も市町村で付けるようにと言つておりましたが、昨年の経験に鑑みまして、やはり市町村に原則的に持たして例外的にこれを免除するほうがいいと、即ち昨年度の様子を見ますと、市町村が相当熱心に面倒を見てくれたところは比較的うまく処理ができておるけれども、市町村当局が逃げると余りうまく行きませんので、そういう点を入れたのであります。 大体そういう点が違つております。
○委員長(片柳眞吉君) 第四条の資金額が四億五千万円に殖えておるのですが、これは資金の裏打の確信はおありなんですか。
○政府委員(渡部伍良君) 勿論資金の裏打につきましても大蔵省とも相談をいたしまして、遺憾のないように措置することにいたします。
○委員長(片柳眞吉君) 具体的にはどういうふうな資金なんですかね。
○政府委員(渡部伍良君) これは結局日銀から今余計出すという交渉をやつておりますが、その枠をそれだけ拡げることが原則になつております。
○委員長(片柳眞吉君) 日銀といつても農林中金を通じて出るわけですね。
○政府委員(渡部伍良君) そうです。
○雨森常夫君 三億円は四億五千万円に衆議院で修正になつたわけですか、一億五千万円……。
○政府委員(渡部伍良君) この法律の原案を作りました際には凍霜害だけであつたのでありますが、その後石川等の雹害、それから北海道、東北の風害、雪害、それから更に一昨昨日あたりの群馬、長野の凍霜害というものが出ましたので、群馬、長野の最近の被害状況は明確にはつかまれておりませんが、急遽調べまして、今まで手に入りました状況を見ますと、今までのところで見ますと、北海道の関係が六、七千万円程度になるのじやないか。それから内地の風雪害、雹害が二千万円程度、それから群馬、長野の最近の凍霜害が三、四千万円になるのじやないか。こういうように見られておりますが、ただ群馬、長野の凍霜害の状況は、先ほど申上げましたように、もう少し念を入れて調べなければなりませんが、多少余裕を見て一億五千万円であります。
○清澤俊英君 こういう資金が下に廻りますときに、いつでも貧農のようなものの手許には廻らない事例がありますが、ということは、結局あの町村条例を作つて、実際貸出の権限は農協へ委託せられ、その使途を定めるときは……。そういうような関係上、実際入り用の人のところには行かないで、比較的余裕のある人のところにだけ金が廻つて行くというので、そこで問題が起きておりますが、その点に対して何かいい方法はないのですか。
○政府委員(渡部伍良君) その点は昨年も問題になりまして、実際にやつて見ますと、やはり頭割りとか、或いは比較的零細な農家には渡りにくいという事例が出て来たのであります。そういう点を考えまして、どうしてもこれについては協同組合が面倒を見るのが当然でありますが、市町村当局においてもお話のような零細農家に渡るようなことを相当熱心に指導して頂かないと工合が悪いので、市町村がこの金に当然気を配るという意味で保証を付けて、布町村が損失補償を分担する。これは一方から言うと、市町村の財政状況から市町村が損失補償を負担することはおかしいという議論も出ますが、やはり自分の市町村の中のことは市町村当局が面倒を見なければいかん、そういう意味におきまして、貸し方についてその貸した金が返つて来ることまでもやはり市町村民を市町村当局が面倒を見て行く、そういう制度がいいのじやないかということで今度のようなやり方にしたのであります。結局村の中のことでありますので、あの野郎怪しからん、金を貸さんということのないように、やはり協同組合、町村当局も告が助け合つてやつて行くこと以外に方法はないのじやないかと考えております。
○清澤俊英君 その点を何かそういうふうにして町村長のところまでやらなかつたら、この金を下ろさんというようなはつきりしたものでもあればやるかも知れませんが、実際問題としては或る部分は補償せられているが、或る部分以上の若し損害があつた場合には、それは当然出した農協の責任だからというので、大体農協に任してあるのですがね。実際上の問題としては、未収料の総額を問題にしてあるというので、個人の一人々々の問題じやないですから、果して全額借りたうちの四割の人たちが払わんというようなことは考えられない、何ら実際としてはそういう場合が起きて来ないということを考えていることを、ただそういう一つの言い逃れのできるものを持つて、そうしてそれが実際に営農資金として一番入れようなところに行かないというようなことに対して、何か実際の手を打つて頂かなければこれはいかないと思う。秋田県の場合などもありますし、私どもの県などにも一、二カ所あるようですが、折角借りて来ました営農資金を、それを前借に棒引いてしまつたというような例もある、こういうようなことではこれは大体問題にならんと思いますので、その点を実際町村で損害がないようでありますから、肩替りすることはないと思いますから、何か法文化して責任を負わせないような措置がとれないものか、幾ら言うてみても善意にやらない、何遍言つてもやらない、それが実情なんですから……。
○政府委員(渡部伍良君) 昨年は相当な金額を流しましたので、農林省としましても相当広範囲に末端の状況を調査いたしました。そうしていろいろなケースが出ております。従つて只今のように前借を棒引きにして必要な金を流さなかつたという例もないではなかつたようでありますが、これらはやはり法文の問題よりも町村当局なり、協同組合の指導の問題だと思いますので、調査した場合には、そういう具体的事例を挙げて県に今後の注意を喚起いたしておりますが、なおこの法律が通りました暁において、施行の際にそれらの点を相当詳細に注意を与えたい、こういうふうに考えております。
○清澤俊英君 注意を与えてきかんで、うまく行かなかつた場合はどういうふうに…。
○政府委員(渡部伍良君) 只今のような点は法律事項としては相当問題がありますので、やはり繰返し繰返し指導して行く以外にないのじやないかと考えまする
○清澤俊英君 それは全くおかしいですね、何か一つ強力な行政措置としてできるのじやないか、そういう方法でやらない限りは町村に責任を負わして、それでやらないところは出さないというような方針にすれば問題ない。
○政府委員(渡部伍良君) 勿論法律上はこの法律の趣旨に従わないものに対しては金を貸さないとか、利子補給をしないとかいう、こういう制裁があります。併しそれをやつたのでは元も子もないのでありますから、やはり中にはこの法律の趣旨に悖るやつは、そんならお前らにもう貸さないと言つてほうり放しにはできないから、それは指導を重ねて行くほかにないのではないかと思います。
○清澤俊英君 若しそういうような事例が出て来ました場合に、本省へ言つて来ました場合には何とか斡旋してくれますか。
○政府委員(渡部伍良君) 当然いたします。そういうことを県としばしば打合せを具体的にやつておりますから、私たちのほうでできるだけのことはいたします。
○清澤俊英君 これは昨年の冷害の営農資金ですか、これは非常に特例だと思うのです。中蒲原郡の川内村という村があるのですが、ここには農業協同組合がないのです。従つて系統資金が廻つて来ることがありませんので、村で条例を作つて、そうして村が全額補償をきめて村松町の第四銀行から借入れる、如何に交渉しましても三年以上の契約はしてくれない、それで非常に困つているということを聞いたのですが、若しそういう事実が明らかになりましたら、何か県信連等に肩替りさして頂くあれがあるものかどうか、第一、組合を持たないのですから、県信連も何も組合外の貸付になるから問題になるだろうと思うのですが、そういう点はこの特別法でできたものはどうなるのですか。
○政府委員(渡部伍良君) 只今の例は私聞いておりませんのですが、県には県金庫がありますので、例えば埼玉県等は県銀行である埼玉銀行を相当利用しておりますが、これは相当金利なんかも安く、従いまして、今のような例は農協がないのですから、信連からやるわけには行かないと思いますが、県の金庫になつておる銀行を県が指導することによつて相当の解決ができるんじやないかと思いますが、これは五月末だから、冷害の分は切れたと思いますが。
○清澤俊英君 長期であるからというので、三カ年以上はどうしても契約してくれない、三カ年までは契約してくれる。
○政府委員(渡部伍良君) 期間をですね。これは併し県が中に立つて……。
○清澤俊英君 県が中に立つても何でも銀行は出さない、そういう長期のものはありません。
○政府委員(渡部伍良君) これは銀行でありますから、短期の金が欲しいにきまつているのですが、この法律で五カ年ということになつておるのでありますから、もう少し話しようがあるんじやないかと思います。要するに、村の銀行にその固定するあとの金の心配をしてやるということが条件になると思います。そのあとの金の心配をやつてやればできるのじやないか、若し村の銀行がいかんのであれば、ほかの県の銀行を利用すればできるのじやないかと思います。
○清澤俊英君 それができないのです。こういうふうな場合は何か別なことを考えてもらわなければ又同じことができる。
○雨森常夫君 この該当しておる府県等をお知らせ下さい。
○政府委員(渡部伍良君) 先ほど申上げましたように、今度は作物の種類を限定しておりません。府県も限定しておりませんので、この法律の第二条に該当するところは全部行くのであります。従いまして、これは青森、岩手、岩手は風害のやつがあるから行くかと思います。秋田、山形、それから大阪、四国の各県、それから北九州を除いてはほかの県には殆んど全部行くことになると思います。
○雨森常夫君 九州は全部……。
○政府委員(渡部伍良君) 九州は福岡、佐賀、長崎あたりは多少あるのでありますが、殆んど行かないのじやないかと思います。
○鈴木強平君 何府県ですか、二十六府県か……、その資料は配つたんですか。
○政府委員(渡部伍良君) 今度は凍霜害だけでなくして風害、雹害が入りましたから……。
○雨森常夫君 五月ですか、五月ならもうきまつておるんじやないのですか。
○政府委員(渡部伍良君) 風害のやつは全部必ずしもきまつておりませんので、少額の被害で殆んどやらないという県もあるんじやないかと思いますが、県としては今申上げたものが入つていないのです。
○雨森常夫君 今言つたものは入つていない…。
○政府委員(渡部伍良君) 入つていないのです。青森、秋田、山形、千葉、東京、それから大阪、四国が多少ありますが、福岡、佐賀、長崎、この辺が少い、あとの府県が問題になるのではないかと思います。
○江田三郎君 それは大体、どの府県がどういうふうにという資料は頂けないのですか。
○政府委員(渡部伍良君) 二十九年の四月二十八日のこの表を差上げているんですが。
○江田三郎君 来ていないよ。
○政府委員(渡部伍良君) 統計課から前に……。
○河野謙三君 簡単に一点だけ伺いたいんですが、損害の認定ですが、これは町村長の認定ということを頻りに強く言つておりますが、実際にはどういうふうな損害査定をやるんですか。被害の認定というのは、去年の凍霜害の補償等を見ますと、非常に杜撰であつたということは農林省でもおわかりになつておるし、我々もよく現地で見ております。こういう被害に対する特別措置ということは絶対に我々は強調するものでありますけれども、さればと言つて、去年のようなことを繰返すことは厳に警戒しなければなりませんので、損害査定について去年の失敗に徴して、農林省は損害査定に対する特別の措置を考えておられるかどうか、これを伺いたい。
○政府委員(渡部伍良君) 損害の評価は、市町村長が普及員とか、或いは町村の技術員等を動員してやることになると思います。これをやる基準はおのずから過去の平均と今年の出来工合との比較ということが出て来ると思うのであります。それから平年の収量に対する損失額が百分の十であるかどうかというのも同様な評価によつて出て来ると思います。併しこれは何と申しますか、びしつとした数字は勿論出て来ないので、概数で出て来るのではないかと思います。昨年は百分の三十一、三十ということだけがありましたので仮に損害があると出ましても、これが余りはつきりした標準にならなかつたのでありますが、今度は去年の例に鑑みまして、農家の損害のこうむり方、農家の経営としての損害のこうむり方のことを頭に入れまして、去年のような頭割りとかいうような金の出し方はしないものと思つております。従つて先ほど申上げますように、ぴしつと損失の査定はとてもできないと思いますが、この法律に書いております趣旨が去年に比べて相当よく実現できる、こういうふうに考えております。
○河野謙三君 いずれにしてもこの町村長と申しますか、現地の損害査定を更に農林省がこれを査定するわけですね、農林省は如何なる基準を以てこれを査定されるかということなんです。統計調査等の損害査定の数字というものと現地の損害査定の数字というものを、これはどういうふうにこの間を調整されるか、大体の基準を伺いたいと思います。
○政府委員(渡部伍良君) 私のほうで法律に何ぼ融通するというときの損害査定には統計の評価を非常な参考にしております。只今私の申上げましたのは、末端の貸付の場合にはどういうふうに評価をするかということを申上げたのでありまして、府県にどれだけの金が要るという評価は、府県の報告、それから統計の報告を両方見てきめております。
○河野謙三君 今年の府県の数字とあなたのほうの統計調査の数字と両方を睨んだというのでは、それじや去年と同じということだと思う。去年も大体考え方はそういうことだつた。結果はああいうふうに杜撰なものになつたのでありますから、私は何も農林省で一方的の査定によつてやるということを結論を持つているわけではございませんけれども、何らかそこに去年の失敗に徴して新らしい査定基準を何か出さなければ、私は去年と同じになるのじやないか。特に凍霜害のように平面的に被害が起るのじやなくて、非常に一つのうイソとなる、例えば群馬県ならば群馬県というもの、群馬県全部、一つの郡一円ということじやなくて、郡なり県の中の丁度利根川の川のように、一つの狭い範囲の帯状に出て来るものだと思う。そういう点におきましては、一般の風水害の被害等はもつと私は損害査定についてはむずかしい、こう思うのです。ずむかしいと同時に、むずかしいからと言つていい加減なことをしなくて、その間において何か農林省の損害査定について、去年の失敗に徴して一つはつきりしたものを私はお示し願いたいと、こう思うのです。
○政府委員(渡部伍良君) 全体の被害はやはり今申上げましたような府県の調べ及び統計調査部の調べによる以外にないと思います。これは風水害の場合でも、冷害の今お話がありましたような特殊の現象として出て来る場合でも、やはりその現地について調べが集められて来ておるのでありますから、被害額の調査については、今までの方法よりいい方法というものもなかなか考えられないと思います。それよりも問題はその調査に基いて被害額、それに対する所要融資額がきまつた場合に、それが本当にその被害を発生したところのその村或いはその村の中の被害農家にどういうふうにしてやるかということが問題じやないかと思いますので、先ほど申上げましたように、令度の法律ではこの二条に書いておるように、各農家の被害、田圃一枚々々の被害じやなしに、その一枚々々の被害額、各農家のどういうふうな農家単位としての被害をこうむつておるかということを押えることにして、こういうことによつて昨年に比べて多少の進歩的と申しますか、改善が期待できる、こういうふうに考えております。
○河野謙三君 最後に私希望を申上げておきますが、この農業共済等の損害査定についても、結局今までよりも農業共済の運営をよくするためには、農林省の統計調査の被害調査、これにもつとウエイトをかけて行かなければいかんということは、これはもう一致した意見になつて来たわけですね。でありますから、今回のこういう特別措置にしましても、問題の被害調査につきましては、私はもつともつとあなたの手許にあるところの、農林省自体の手許にあるところの被害調査というものを、従来よりも、去年よりももつと農林省の被害調査の数字にウエイトをかけて行くほうがいいが、現状においては遺憾ながら、これは本当から言えば、各町村の末端の被害調査で、それで事足りるわけですが、現状はそう行つておりませんから、今の状態におきましては遺憾ながらそう行つていない。農林省のあなたの手許の被害調査の数字というものに、去年よりももつとウエイトをかけて行くことが公平を期することができるのじやないか、こういうふうな私は希望を持つておるわけです。
○上林忠次君 これは「昭和二十九年四月における」と書いてありますが、先般私埼玉県の茶の被害状況を視察しましたところでは、四月の霜害じやなしに、一月、三月のあの相当低温が持続したために茶が枯れておる。ひどいところは半分枯れておる。而も南面の早く雪がとけたところが枯れておりますが、この被害が又特に多いということになりますと、これを共済してもらわないと、この霜害だけでは間に合わないじやないか。これはあなたのほうの便宜措置としてやつておられるならば結構ですが、それも入つて考えておられますか、どうか、その点はどうですか。
○政府委員(渡部伍良君) この冬の、私のほうでは凍害と申しておりますが、凍害の分は直接にはこれに入つておりませんが、その地方が今度も凍霜害をこうむつておりますから、そういう意味で重なつて入つたということで、その分が法律適用になつている、こういうのであります。
○上林忠次君 それから今回の特別措置法案には、前年融資を受けてそれが引続きのこういうふうな災害で、とても返済がむずかしいというやつに対しては一年返済を猶予してやる、利子を又引続いて補給してやるということがこれには入つておりませんが、これは政令か何かでいかんですか。
○政府委員(渡部伍良君) 償還期限を延ばしておりますので、その償還期限が延びたから当然利子補給もそのまま延びて行く、こういうふうになります。
○上林忠次君 それから、これはちよつと問題が小さくなるけれども、去年の霜害においても問題があつたのですが、煙草のほうはこれは大蔵省でやつておる、所管が大蔵省だということで農林省の数字にも出て来ないし、救済方法をどうするか、どちらでもいい、大蔵省のほうと話合つてもらつてもいいし、農林省の所管で救済の措置をとつてもらつてもいいのですが、この点はよろしく御連絡願いたいと思います。
○政府委員(渡部伍良君) 煙草は専売局でやつて頂きます。
○清澤俊英君 先ほど農協の取扱いで無理だと思われるような取扱いをしたという話がありましたが、その調査状況の資料を出してもらいたい、どこでどういうような取扱いをしているか。
○政府委員(渡部伍良君) あとで整理して資料を差上げたいと思います。私のほうで金融課の係りを各県に出しまして……。
○清澤俊英君 あなたは今調べたものがあるということを言つたが、各県のすみずみまで調べたものが…。
○政府委員(渡部伍良君) 去年の貸付状況の調査のことですか。
○清澤俊英君 ええ。
○政府委員(渡部伍良君) 簡単にまとめましてあとで差上げます。
○鈴木強平君 ちよつとお伺いしますが、何か去年の災害についていろいろあとで非難されたことを、具体的ではないがいろいろ聞かされておりますが、どんな点が非難されておるのですか。
○政府委員(渡部伍良君) 非難の最も大きい例は、例えば融資の金を頭割りに割当てたとか、或いは先ほどお話が出ましたように、救済の切替えで今度の災害対策として使うべきやつを、旧情の支払いのやつに当てたとか、或いは又協同組合が借入れまして、これは非常に安い金でありますから、これをほかに融通して利ざやを稼ぐ、そういうふうな例がところどころ出ておるのであります。
○鈴木強平君 それは何か会計検査の結果出て来ておるのですか。
○政府委員(渡部伍良君) これは私どものほうでそういう声がほうぼうにありまして、県に照会し、数県について具体的に組合を廻りまして調べたのであります。
○鈴木強平君 大したことはないでしよう。
○政府委員(渡部伍良君) 全体のうち半分とか、三割という問題ではないけれども、そういう組合がほうぼうにありますと、如何にも全部のものがそうだというような印象が出て来るわけであります。
○上林忠次君 前年の凍霜害に対しては追肥で善後策を講ずるとか、又農薬等を撒布して被害を少くとめるというような措置をとつて、これに対する補助があつたわけでありますが、本年の霜害に対してはどう考えておられますか。
○政府委員(渡部伍良君) 本年の霜害につきましても、そういう問題は大蔵省と交渉したのでありますが、これも又昨年いろいろ問題がありまして、末端のやり方がどうとか、こうとかいうようなこともありまして、それからもう一つは、一兆円予算の関係で今年は出せないということで政府部内できまつたのであります。
○上林忠次君 もうすでに話も出ましたが、霜害というものは昨年受けた地域が又同じように今年も霜害を受ける、又同じ被害農家が引続き被害を受けるというようなことで極度に窮迫しておる状態であります。それで少くとも昨年実施されたああいう救済対策、肥料とか、農薬というものを本年も何とかやつてもらいたい。こういうような熱望があるのですが、もう大蔵省と交渉の余地はないのですか。
○政府委員(渡部伍良君) 今のところは先ほど申上げましたように、出せないということになつております。
○松浦定義君 毎年再三こういう被害があるということは非常に困るのですが、併し日本の現状からすれば当然これは免れないことなので、恐らく政府としてもこういう処置については相当の基準を以て臨んでおられると考えております。従つて私は基準がないから、或いは又先ほど鈴木委員が御質問になつたように、昨年の凍霜害の結果からして、今年はそうした面についてもいろいろ調査の上、好ましからんような現状もあつたというような弁解もしなければならんというような事態にもなると思うのでありますが、私はそういう意味合から、本年においても今後この種の事態が又起きるかも知らん。従つて調査の基準というものが私は相当厳重に基本がなければならんと思うのですが、その点は非常にむずかしいことだと思いますので余り申上げませんが、私のお聞きしたいことは、今日まで各府県におきまするあらゆるこの種の問題の数字の作り方ですが、恐らく政府としては統計調査部等の数字を一番基本にされておる。更に又町村或いは府県のそうした機関のものを重点的に取上げておられて、更に又その他の団体、例えば農村でありますと協同組合、養蚕組合或いは木炭組合、漁業組合というようなものの数字も、これはお考えになつて、併し調整した結果一本になつて決定されておると思うのであります。そこで私がお伺いしたいことは、これは後刻審議されます団体再編成等の問題にも関係があると思いますのでお尋ねいたしますが、現在府県或いは町村におきまする農業委員会というものは相当この種の問題については全力を挙げて平素から調査もされ、こういう結果が出れば間違いなく数字を作るべき筋合の機関だと思うのです。従つてないならばないでよろしいが、今回の凍霜害或いは北海道を中心とした風雪害等について、どこの町村か、或いは又郡段階において、或いは県段階において、そういうような数字が出て来ておるかどうか、そういうような数字は何か政府の考えておる数字と開きがあるのかないのかというようなことについて、何かお示しにたるような点があつたらお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(渡部伍良君) 被害調査というものはなかなかむずかしいのでありまして、例えば凍霜害のような場合、その直前でその被害の状況を見て、それがどれだけ回復できるか、これは稲の場合等でも同じでありますが、その回復度がどのくらいになるかというところが被害の結果の食違いになると思うのであります。従いまして、どうしても直接利害関係のほうは安全をとろと言いますか、大きくならざるを得んのであります。ところが昨年の冷害の例なんかで見ますと、例えば稲ならば普通の土地はもう三十五日たつてみのらなければ、固まらなければ、もう殆んど駄目なのだが、去年は三十五日以降になつてから晴天が続いたものだから、もう実にならないと思つたやつが実になつた、そういうように非常にむずかしいのでありまして、これは一概には、意識的にやれば別でありますが、無意識にやつても地元と農林統帥の調査が食違うということはもう止むを得んのじやないかと思つております。従つてそれを統計調査のほうでありますと、最後に、何というか、植物の生育の状況或いは天気の将来の長期的な見方、或いは試験場その他などの技術者との相談等によりまして、相当念を入れて結論を出しますので、まあ私のほうでは相当これを信用しておるのでありますが、併しできるだけ広く情報を集めた上で結論を照すほうがいいというので、府県、農林統計、その両方の統計を参酌して結論を出しておる、こういうのが実情であります。只今お述べになりましたような各団体、各農業委員会等の調査があるというお話でありますが、これはやはり市町村、府県が主になつて農業委員会の職員等を動員してやつておるのであつて、独自の農業委員会の被害の調査というものは出て来ないのではないか、こういうふうに考えております。
○松浦定義君 ただ私は結果的なお話はその通りだ思うので、ばらばらのものを取上げてどうということになわませんから、そのことについては異議がないのですが、ただ、今後段の、農業委員会というものがやはり私はそういう数字を作る母体にならなければいかんと思うのです。実際問題としては、やはり統計調査員がやると言いましても、府県段階までの数字はまとまるけれども、末端の数字なんかというものは不可能という結論が出ている、それだけの陣容を持つていないのですから、これはできないことはわかつていますが、例えばほかの団体が出しました数字よりも、もつとやはり農業委員会の数字というものは公平でなければならないと思うし、或いはそうだと思うのですが、こういう場合にはやはり或る程度町村を通じてでも督励をして、農業委員会というものが重大な使命を持つておるものであるから、他のほかの団体よりも優先して、こういうものについては十分考慮を今日まで払われておられたか、やられなくても、みずからのやるべき筋合のものであると思うから、そこまでは私はどうかと思うのですけれども、いろいろあとに出て参ります法案と絡んで私はお聞きしたい点がありますから、そのほうとも関連して、そういう点について若し農業委員会のそうした数字が出て来た場合には、ほかのものよりも適正だと認められて、今後は別としても、今日までの考え方は、おられたかどうかというようなことを一つ参考のためにお伺いしておるわけなんです。
○政府委員(渡部伍良君) 農業委員会は農業振興計画を立てておるのでありますから、農業振興計画の実施の部面に現われて来る災害を取上げるのは当然であります。相当やつておると思いますが、これは併し農業委員会として外へ出るのではなくして、市町村長の最後の意思決定の機関としてあるのでありますから、やはり農業委員会の作つたものが市町村の報告として出て来ると私のほうでは了解しておるのであります。市町村がそのときに農業委員会、勿論共済組合の意見も聞くし、それぞれ町村の中の農業関係の意見を聞くことになると思います。当然農業委員会の働きというものは、災害等の場合には大きく働いている、私どもそういうふうに思つております。
○松浦定義君 そういたしますと、農業委員会の数字がその町村の数字だと大体考えられるようなものだと、こういうふうに了解してもよろしうございますね。
○政府委員(渡部伍良君) はあ。
○上林忠次君 一般金融界が逼迫しておりますので、この生産繭の値段が問題になると思いますが、前年と購繭資金の政府斡旋というのがあつたが、今年はどういう工合になつているか、相当少くなるのじやないか。実はさつき伺つておりますと、去年は相当金融市場に余裕があつたということで、政府斡旋の分を一部は残したということになつているけれども、今年は一般の市中金融がますます窮屈になつたので、政府の金融に得たなければいかんじやないかということであります。十分に購繭資金の措置をとつて頂きたいと考えておるのでありますが、この点はどういう工合になつておりますか。
○政府委員(渡部伍良君) 昨年に比べまして、日銀引受の率が少し下つております。八割が六割になつているそうであります。これはやはり金融引締の一環としてそういう方針が出て来ておるのでありますので、昨年の実績等も十分参考にして行われておると思います。但しこの問題はそれで十分であるという確信でやつておるのでありまして、銀行のいろいろな立場はあると思いますが、銀行ができるだけ自賄いで行くというのが金融引締の方針でありますから、そう甘くは考えないと思いますが、購繭資金に不自由はないように私どもでも努力いたします。
○上林忠次君 とにかく去年よりも一般の市中金融が逼迫しておりますので、この点を十分考えて頂きまして、去年より融資が減るというようなことが、この繭の値段の引下というような結果を来たす原因にならないように十分御考慮願いたいと考えております。これは希望いたしておきます。
○鈴木強平君 お尋ねしますが、去年はあのひどい凍霜害があり、次いで水害などがございましたのが、特に避けられない春の凍霜害、これに対して今年度の予算面において、或いは農村の指導面においてどのような手を打つお考えになつておりますか、その大要を御説明願います。
○政府委員(渡部伍良君) 冷害対策といたしましては、先ず一番大きいのは稲の問題でありまして、これは長期的には耐冷品種の育成ということについて試験場の設備は相当拡充いたすことにいたしております。当面の問題としては冷害は必ず続いて来る、これは過去の実績から見まして殆んど間違いないのでありますので、耐冷品種の種子を確保しまして、例えば藤坂五号というのは約五万石確保いたしまして、これには補助金を付けて配給するというふうにしております。桑の関係等におきましては、昨年の凍霜害のときに、如何にして霜が降りるのを早く予知、予報し、そしてこれを防止するかといういろいろな試験をやりまして、今年重油の空鑵でやるというふうなことも相当広く行われておると思います。更に基礎的な調査等の、試験等の金も出ております。それから何と申しましても長期予報をできるだけ早く把握すれば少しでも準備ができるということで、昨年来気象台と常時連絡をとりまして、たしか四月の末でありましたか、三月の末でありましたか、一応その当時までの長期予報の結論を得まして、府県にその状況を通知し、それぞれの準備をするように通知を出しております。なお海流等の調査のため、つまり寒流の状況によつて気候にどういう変化を与えるか、これは戦争前に相当長くやつておつたのでありますが、戦争が終りになつてそれが中止されておつた、そういう金も復活してやつております。これらをできるだけ各農家に徹底させるのが肝要でありますので、農業改良局、蚕糸局が中心になりまして、随時府県の係官を集めまして、できるだけ末端に徹底するような処置を講じております。
○鈴木強平君 今年度ですか、前年度と二十九年度との間のそうした予算的にこれこれを新たにやつたというようなのがございますか、或いは予算が殖えておるとかいうようなことがありましたら、数字の上から一つ話して頂きたい。
○政府委員(渡部伍良君) 数字は今手許にありませんので、正確に申上げられませんが、昨年の補正予算で相当入つたんです。これはあとで整理して差上げたいと思います。それから二十九年の予算にも補正予算の続きと、それと新たな項目で大小いろいろな項目の冷害対策の費用が盛られております。あとで資料として差上げます。
○鈴木強平君 我々が見たところじや、はつきりこれだけの大きな凍霜害が毎年起るのをどうして防ぐかという点において農林省の施策に私は欠けるところがあると思う。起きたあとの跡始末も十分でないと思うのです。にもかかわらず、議員のほうからも何か去年打つた手にも大いに非難さるべき点がある、会計検査院においても二、三見付けられた点もある。併しながら、農村においても非常な被害をこうむつても我慢して、国家にも縋らないで自分の力で回復しておるのもございます。いろいろなむずかしい問題をみずから解決しておるのがたくさんあるんだが、そういう点は少しも世間に出ないで悪い点ばかり出るのは私は不思議だと思うのですが、農林省はこういう点において、どうしてもつと農村に対する自給対策意慾を上げるようなお考えをお持ちにならないかと思うのです。従つてお尋ねしたいことは、一体日本は毎年百三十万も人口が殖えるが、農村人口と都市人口とどのような比率で毎年殖えているか、そして又かねて随分面倒を見た例えば開拓農家のようなものですね、それは従前通り殖えておるか、減つておるか、この機会にお尋ねしておきたいと思うのです。というのは、予算を見ても農村の予算が少ない。この被害に対して全国が被害をこうむつておるにもかかわらず、三億やそこらの金でやろうということは、ただ単にこうした災害がある、だから取上げるんだというだけであろうと思うのです。そういう関係でございますから、若しこのようにしておきますと、農村にとどまる人が少くなるのではないか、そういう点について、先ず人口がどのように移行して来ておりますか、毎年々々の水害のある所或いは凍霜害がある所に、農村人口は都市と同じ比率で増加しておりますか、どうなつておりますか、それを一つ。
○政府委員(渡部伍良君) これも今正確な資料を持つておりませんのは申上げるまでもありませんが、現在のところは農村人口が低滞であります。むしろ減りかかつております。伸びがとまつております。というのは、これは終戦直後に外地からの引揚げ或いは都市からの帰農者がだんだんまあ減つて来ておるというのでありまして、少しも不思議でないのであります。二十八年までの統計で申上げますと、総人口は二十六年で八千四百六十万人、二十七年が八千五百九十万人、二十八年が八千六百三十万人でありますが、それに対応する農家人口としては二十六年が三千七百五十六万、二十七年が三千七百九十五万、二十八年が三千七百九十万、こういうふうになつておりまして、農家人口のほうはまあ低滞気味になつておるのであります。
○鈴木強平君 そこでまあ私お尋ねするのですが、一般農村は人口の増加率は都市が今までに二十五年から見れば五百万殖えております、都市におきましては……。而も農村においては九万しか殖えない。まる四年間にそれは単にあなたの言うような、農村に行つたものが引揚げたという関係じやないと思う。いわゆる農地改革をして以来、人口をはつきりとそこで謳つて、そして我々は開拓者等にも大いに予算を出してやつたはずです。而も開拓農民も二十二万のものが現在十六万に減つております、二十二万戸が。その原因は何だというと、随分農林委員会においても骨を折つておりますし、政府も骨を折つておりますが、農民に対して農地にとどまるような施策に欠けておると思うのです。今度の風水害に対しましても、我々といたしますならば、もつと早く政府は考えねばならんし、僅か三億ぐらいの金を出して、そうして緊縮予算だからということであつては農村は立つていけないと思うのです。なぜなら、農民のとつているところの一日の勤労所得と申しましようか、これは平均二百六十五円だと思います。男女合せまして。ところが都市におきましては七百六十五円とつております。農村の三倍を都市がとつております。そうして風水害があればいつも面倒みてくれない、僅かな金をもらえば非難がある、どうしてこれで農民が農村にとどまつておられましようか。特に農民の二世である若い者がとどまつておられましようか。ですから、こういつた問題については非常にお考えにならなければならないと私は思うのです。いつも農林官僚は非常な努力をなさつておりますが、このような努力では足らない。去年あのような大きな風水害があつたにもかかわらず、今年の施策は十分でない、だから今年もさ迷つてしまつて、同じような場所で同じような災害をこうむつている。そうして二十九年度で望むところのものは、再び起らないような予報的な措置が先ずして欲しい、その次にこれらについての損害、被害に対する融資をして欲しい、こういう農村の希望は決して無理でないと思う。全額が僅か三億ぐらいでできると思つておるのですか。これについてあなたのほうは各府県の各地先と御相談の上でございましようが、大体納得しているのですか、大体三億ぐらいで……。
○政府委員(渡部伍良君) これは先ほど被害の状況の説明が不十分でありましたが、お手許に資料をお配りしてありますが、今度の凍霜害の被害の状況は昨年に比べまして拡がりはいつも広いのであります。程度別に見ますと、もう数県に限られておるのであります。殊に長野、群馬、埼玉、岐阜程度でありまして、昨年の二十何県に比べますと殆んど格段の相違があるのであります。従いまして、昨年の被害状況に比べまして、今年の被害状況を見ますれば、三億の融資というのは必ずしも釣合がとれていないというふうにはなつておりません。私のほうはそれと睨み合せまして、この表では殆んど全県に及んでの被害が出ておりますが、統計で御覧のように、非常に少いやつも、この表に掲げておりますので、さようなことになつております。
○鈴木強平君 いや、各府県の被害というのがあつて、その程度で満足するような話合ができたのですか。それでこの法案ができたのですか。
○政府委員(渡部伍良君) いろいろ各県と相談しております。
○鈴木強平君 その話合の上でできた予算ですね。
○政府委員(渡部伍良君) 話合の上では今度もう少し、三億を配分のときにやるのでありまして、初めはそうがつちりした相談はまだできません。
○鈴木強平君 私の恐れるのは、緊縮予算だから、水害に遭つても、水害も緊縮だ、天災で防がれないものも、水害も緊縮で以て百あるものなら五十で我慢しろ、そんなお考えで出すと、もう農村のほうは口をききませんよ。ばからしいからというので、よそへ移つてしまうと思うのだ。日本の農村のように、たつた一三%しかない土地に、四三%の人口がおる、これが町に移つたらどうしようもない。だから締めさせるようにしたら大変だ。農村は百倍損しても驚かない、百倍儲けても驚かないのが百姓の気持です。諦めを与えたら大変だ。僅かな金で、総花的にやつて何とかなるのだと、而も今社会は緊縮予算の輿論で諦めろということになつたら、若い者はとどまらないと思うのですな。ですから私は、或る災害のあつた所でかような決議文を突き付けられました。簡単でありますが、同じ壇上から同じ苦しみと悲しみを毎年叫ばしめるものは誰だ、それは政治の貧困だ、決して天災と言つておりません。そして最後に結んでおるのですね、災害をして政治の前に慴伏せしめよ、その施策をとつて欲しいということを言つております。だから、農村において水害とか、或いは災害が起つたのが慴伏できなければ、農村には若い者がとどまらない。都市には災害も水害も農村ほど多くない。最近には災害補償制度ができて幾らかよくなつて来たと思いますが、これは十分でない。そこに諦めさせないで、農村にとどまらしめるような施策をして欲しい、どうしても予算が三億しかできないならば、二十九年度においてはどのような予防策をやり、予防策にはこれこれの金が置いてあるというようなことでなければ、納得できないと思うのですがね。その点についての農林省のお考えを伺いたいと思います。
○政府委員(渡部伍良君) お話のように、災害に対して十分な施策を講じなければならないのは当然でありますが、凍霜害の関係では、昨年の例に鑑みまして立案し、昨年の弊を是正して、適正に行われるようにといつて作つたのがこれであります。三億が十分であるかないかという問題でありますが、三億の問題は被害の状況を大体昨年と同じように算定いたしますと、大体三億で賄える、こういうのであります。なお、今後将来の災害の予防、それから災害に対して如何に処置するかというものについては、先ほどから申上げますように、何と言いますか、余り派手な仕事でありませんので、表面には出ておりませんが、農林省としては非常に深刻に真剣に取上げておるのであります。いずれ機会を得まして、資料を以て御参考にいたしたいと思います。
○上林忠次君 昨年に倣つて処置を講じてあるという話ですが、先ほどから話を聞いていると、金融だけしかやらん、薬剤の措置、速効肥料の措置ということをやつていないのですが、相当な霜害の災害の予告を前に聞いて、燃料を焚くとか、こもをかぶせるとかいうような処置をやつておる、相当な生産費がそれで向上している、而も被害を受ける地域が、何遍も申しますように、去年と同じ地域たということで、その地域の農民というものは、本当に困つておる、この現状を見ると、去年やつてもらつた程度はどうしてもやつてもらわなければならん、大体養蚕に対する熱意が農林省にどの程度あるのか、どうも行き当りばつたりの施策が講ぜられているような感じがするのです。昔のああいうような養蚕の状態には立返らないとしても、とにかく相当な国際市場が開拓できるのではないか、もつと熱意を持つて養蚕産地の育成をやつて行かなければいかんと思うのです。先ほどから出ております義務教育を終えた人間が農村にとどまらない、これは農村でも漁村でもそういう傾向でありますが、これは文部省の施設も悪い、昔のような実業教育が軽視されまして、どんどん離村して行く、その教育方針の施策が事欠いておるということもありますが、とにかく農漁村の収入が少い、こういうような災害を二回も受けると、もう立てないのだ、こういうことで土着してしつかり生業に励め、そういうようなことを言つても、実際収入が少いということが離村の元になつておりますので、特に養蚕のような海外市場を将来開拓し得るような産業につきましては、今の食糧増産の緊急性と同様に、農林省はもつと熱意を持たなければいかんのではないかということを感じるのです。これは私の意見だけでございますが、もう少し畑作物で、一番日本の現在の奨励すべき作物として、養蚕をもつと守立てるということに熱意を持つてもらいたいということをお願い申上げておきます。
○清澤俊英君 只今のこの予防処置に対して反対なのは、農業気象の増設、これが大分問題になつて、しばしば言われて非常に強い要求が出ておるのですが、そういうことにまだ少しも手が付けておられないようなお話になつておりますが、いろいろの処置を講ずるといつても、災害のあるということが前以て知られれば予防の仕方も非常に違うと思うのです。それが明らかになれば、これこれの方法で相当予防もでき、予防の効果も上げられるということは、昨年の災害の際に塩見局長も発表しておる、そういう事情なのに、更に問題が具体的に進まんということは甚だ私遺憾なことだと思いますが、何か農業気象の増設ということに対して、具体的に研究になつているのかどうか、これは曽つての山本さんなども水害等の観点から強く主張せられていると思うが、少しも具体的なものが進んでおらんようですが、どんな様子になつているのですか、一つお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(渡部伍良君) 気象の関係は随時というより、定期的に気象台と連絡をしてやつておるのであります。気象観測所の増置の問題はいろいろやつておりますが、そうはかばかしく行つてないのです。その気象のほかに、説明のほうでは、これは相当徹底しております、ラジオがあり、町村に行けば今晩霜が降る、降らんとかいうことを必ず言つております。それを村の中に周知する方法は、ベルをやるとか、その他の方法で徹底する、そういうことは相当とつて来ております。そのほか今の霜道を防除する方法、これはまあ非常にむずかしい問題で、私どももわからんのでありますが、霜道がわかつておるのにそこに桑を植えなければいいじやないかと、そういう議論をやつておるのでありますが、或いはそこに霜道を遮る防風林みたいなものを作つたらいいじやないかと、こういうような議論をしておるのでありますが、なかなかむずかしく、決定的な議論が出ておらないようであります。先ほど申落しておりますが、どうしても霜道のところに桑園を相当置かなければならんということになれば、その道の中で比較的過去の統計によつてそういう例の少い地帯に桑園を作つて、稚蚕の共同飼育等をやる、そういうような費用も、昨年、それから今度の補正予算にもそれを拡大して入れておりますが、まあ各方面の技術と知識を動員して、できるだけのことはやつておるつもりでありますが、効果がまだ出ていないと、こういう状態であります。
○清澤俊英君 それでは気象観測所はどのくらい殖えたのですか。
○政府委員(渡部伍良君) 今の質問は、稚蚕共同飼育の関係のやつは、二十九年度の本予算で四千万円ぐらいでしたか、そうして二十九年度の予算の補正の十五億増したときに約二千万円増してあると思います。四千万円に二千万円増したわけであります。それから気象の観測、長期予報等の関係の費用は、各試験場、そのほか改良局、水産庁、いろいろなところに少しずつ計上されておりますが、今すぐ宙で数字を覚えておりませんが、これもあとで差上げようと思います。
○松浦定義君 ちよつと予防対策の問題につきまして私感付いたことがありますので、お伺いしたり、お願いしておいたほうがいいと思うのでありますが、やはりこれはどうしても未然の予防ということが国家的に見ても利益になると思うのであります。それはいろいろ方法があるのです。燻煙方法とか、いろいろありますが、私はどうしてもこれは国家的に協力していろいろやつて頂きたいと思うことは、実はこれは全体というわけには行きませんけれども、地帯別によつては可能なことは、現在の保安隊が発煙筒の演習か何かやるようであります。これを効果的に利用することによつて非常に好影響がある。特にこれは一部の人の言うことは、保安隊の隊員募集或いは今度自衛隊になるのでありましようが、農村の次三男対策であるというようなことを言つておる人がある。若しそういうことが、実質的にそうでなくても、多くは農村の次三男が、先ほど鈴木委員の言われたように、人口の増大に伴つて行かなければならん。或いは今後の農業経営の合理化に伴つて、あれは余剰の労力として出て行かなければならん。そういうことの意味も含んでそういうことをやられるのであるならば、非常に私は一石二鳥ではなかろうかと、こう思つておるのですが、今日までそういうことを要請されたようなことがあつたか、なかつたか、或いは今後そういうことについて本当にやられるようなお考えが農林省としてあるかどうか、この点を一つお伺いいたしたい。
○政府委員(渡部伍良君) 発煙筒のお話でありますが、これは実験をしたことがありますが、やはり重油とか、松葉とか、「わら」を焚くのは、煙のみならず、温度が相当関係があるのでありまして、今の発煙筒の結果は余りかんばしくないと、こういうふうな結果が出ておるのであります。従いまして、なお研究を要すると思いますが、今までのところはそういう結果が出ております。
○清澤俊英君 発煙筒が工合が悪いというのはどういうわけなんですか。というのは、昨年もこれをやるときに、塩見君が、予防の方法はいろいろあると、煙を焚いて煙が流れただけでもこれこれの効果が上る。それは「わら」か何か焚くのですが、早目に予知することができて、そういう方法を講じただけでも一割や二割の損害を防止することができるのだ、こういうことを言うておられたのです。まあその発煙筒というものはどういうものか私はわかりませんが、いずれそれと同じような煙を出すのだが、効果がないとすれば、煙に何かあれがあるのか、煙くらい流しても実際効果がないという結論になつて、塩見さんが昨年言われた言葉を根本から覆えすのか、こういう問題なんです。
○政府委員(渡部伍良君) 今のは、煙が滞留しておらなければいかんのです。だから重油を焚き、或いは「わら」、松葉を焚けば滞留するわけです。ところが発煙筒のやつは、ぽんと上つてすぐ消えるので、そういう意味で効果が薄いというわけです。
○清澤俊英君 それならば、今いろいろなガスを出すことは訳ないのですから、地べたをずつと這わして、而も霜害地帯というものがあるとすれば、風の方向も通る場所もわかるのですから、そういうガスか何か流して地面を這わす、それくらいのことは原子時代において考えられないことはないと思うのです。私はただ発煙筒がいかんじや御答弁にならないと思う。どうもおかしいと思う。
○政府委員(渡部伍良君) 今の松浦委員のお話は、発煙筒を特に取上げてのお話でありまして、煙を作るについては僕のほうで苦心惨憺をいたしておるわけであります。今一番いいのは、重油を焚くのがよいというのが、去年の冷害から今年の春にかけて出た一番よい試験の結果であります。それは相当普及させたつもりであります。いろいろなことは今後も研究いたしたいと思います。
○清澤俊英君 国を守るといつたら原子爆弾でも何でも作つて国民が痩せてもよいというような考えをしておるけれども、やはり農村における災害をなくするということが一番重大な国を守ることなんで、兵器を作る気になつてそれくらいのことをやりますならば、そんなものは一遍に解決できると思うのです。さつき申しましたような気象観測所のようなものでも、そういうようなものがもつと細かしく要るということであれば、そういうことをやりますならば、災害なんかは殆んどなくすることができるのではないかと思うので、もうちつと本気になつてやつてもらわなければ百姓はたまりません。どうぞ一つお願いいたします。
○委員長(片柳眞吉君) 質問は他にございませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片柳眞吉君) それでは質疑は終つたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。ちよつと速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて。 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
○上林忠次君 私は只今提出されております昭和二十九年四月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案、これに対しまして附帯決議を附しまして賛成したいと思います。その附帯決議を朗読いたします。 昭和二十九年四月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案附帯決議案 四月及び五月の凍霜害及び暴風雪害が農家及び農作物に与えた損失は蓋し尠からざるものがあり、打続く災害にて甚だ遺憾とするところである。 政府は、実情を精査し、今回成立を見んとしている災害関係法律の実施に万全を期すると共に、被災農家の救済援助及び被災作物の生育恢復等に対して、過去の実績を再検討し、真に実態に応じた適切なる措置を講ずべきである。 以上であります。
○委員長(片柳眞吉君) 他に御発言はございませんか……。別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。昭和二十九年四月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は送付案通り可決すべきものと決定いたしました。 次に討論中にございました上林君提出の附帯決議案について採決をいたします。上林君提出の通り附帯決議を附することに賛成のかたの挙手を願います 〔賛成者挙手〕
○委員長(片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて上林君の提出の通り附帯決議を附することに決定いたしました。 なお、本会議における委員長の口頭報告の内容等事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。 次に、本案を可とされました方は例により順次御署名をお願いいたします。 多数意見者署名 清澤 俊英 江田 三郎 河合 義一 北 勝太郎 河野 謙三 上林 忠次 松浦 定義 戸叶 武 鈴木 強平 川口爲之助 雨森 常夫 関根 久藏 宮本 邦彦 —————————————
○委員長(片柳眞吉君) 次に、農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案を議題にいたします。本法律案は、去る五月二十五日衆議院において全会一致を以て可決され、即日当院に送付、当委員会に本付託となつたものであります。本法律案は、五月十九日に提案理由の説明を聞きましたので、本日は直ちに質疑に入ります。
○江田三郎君 この法案の審議のために参考人を呼んで頂きたいと思うのですが、かねて我々この整備促進に関連しまして、農林中金がこの連合会の人事等にくちばしを入れておるということを聞いているので、これは衆議院から小枝さんもお見えになつていますが、衆議院でもこれは問題にされた点だと思います。そこでこの法案の審議のために是非ともその真相を明らかにしたいと思いますので、農林中金の責任者を参考人として呼んで頂きたいと思います。
○委員長(片柳眞吉君) 本日は衆議院議員の小枝一雄さんが見えていますから、あらかじめ御承知を願います。
○江田三郎君 それからついでですから、もう一つ申上げますが、この法案で問題になります固定資産の内容、これを資料として出して頂きたいと思います。それからその資料のときに固定資産の中で確定評価基準による評価が行われていない部分がどの程度あるのか、その分析を付けて出して頂きたいと思います。特にこの固定資産の内容は、これは当然出て来ないというとなかなか審議ができないと思うのです。
○委員長(片柳眞吉君) それではお諮りをいたします。只今江田委員の要求通り、農林中央金庫の責任者を参考人として出席を求め、意見を聞くことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。この人選、日時等は委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議、ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。それでは御質問のかたは御発言を願います。
○江田三郎君 これはどの程度固定資産があつて、この確定評価基準による評価が行われていないものがあるのかということがわからんと、ちよつと審議のしようがないのですがね。これが非常に莫大なものだということになると、この法案の可決ということについては我々は考えなければならん。何かそれが出て来ないとちよつと取りかかれないのですよ。衆議院のほうではいろいろな事情がありまして、まあ甚だ簡単にお済ましになつたと思いますけれども、私どもとしてこれを慎重審議するとなると、先ず第一に、その資料が出て来ない限りちよつと手の付けようがないと思うのです。その点委員長におきましても一つお考えになつて、事務当局のほうですぐにでも資料が出るんなら暫らく待つてよろしいし、明日に出るんなら明日にでもして頂きたいと思います。
○委員長(片柳眞吉君) これは政府委員にお聞きしますが、只今の江田委員の要求の資料がすぐ出せまするか、どうか、正確な資料が出せない場合において、大体の見当でもここでお話ができまするか、どうか、私からお尋ねをいたします。
○江田三郎君 おかしいと思うのですよ。この法案を審議するのにそれだけの資料というものは当然これはなければ、一体何を元にしてこんなものをやられたのか私どもはわからんのでして、これは政府提出でなしに、足立さんほか十名の提出ですから、政府のほうには責任がないのかも知れませんが、それなら一つ衆議院のほうで提出された方々のほうから資料をお出し下さつてもいいと思うのです。
○政府委員(小倉武一君) 只今委員長からお尋ねになりました点、それから江田委員からの御要求の資料は、私どものところですぐに御提出するようには準備が整つておりません。又急速に資料を整えるということはちよつとむずかしいのじやないかと思いまするけれども、極く大まかな推算でも至急やつてみたいと、かように存じます。
○江田三郎君 政府のほうにそういう、まあそれは議員提出だから政府のほうでは責任がないということかも知れませんが、それにしてもとにかく再建整備が進んでおる以上は、農業協同組合の運営を適正に指導するためには政府のほうとしても当然それだけの資料がなきやならんと思うのですけれども、まあ一応今用意がなかつたというならそれでよろしいが、衆議院のこの原案を提出された方々のほうでは一体どうなんです。
○衆議院議員(小枝一雄君) 今日は実は代表提案者の足立議員が見えまして御説明するはずでありましたが、足立議員差支えまして私が代つて参りました。どうぞよろしく……。江田委員からお尋ねの点は御尤もな問題でございまして、衆議院におきまして、各党においてもいろいろな角度から検討をいたしましたり、委員会におきましては、主として政府委員からいろいろな点を答弁を求めまして審議したということになつております。資料は只今政府委員のほうからは用意しておらんということでありますが、或る程度まではこれは当局のほうでもわかつておりまするので、できるだけは御説明ができることと考えております。然るべくお願いいたしたいと思います。
○江田三郎君 そうしますと、衆議院の提出者のほうではこれに対する資料はない、資料については政府のほうから聞いてくれと、こういうことでございますか。そういうことですと、この法案の審議というものは、これはこの資料が出て来ない限り私始めることはできないのじやないかと思います。尤もほかのかたが審議されるならそれは御自由でございますけれども、私は少くともこの整備促進をやるのに問題になるところの固定資産が何ぼあるのか、その中で評価基準による評価のできていないものが何ぼあるかということがわからんと、これに伴つてどういう金額が出て来るのか、どういうことになるのか、全然これは雲をつかむような話でありまして、実体のわからんものを審議するということは、これはやつぱり参議院の農林委員会としてはどうもおかしいと思うのでして、私はこれに対する質問は保留いたします。改めて資料が出てから質問いたします。
○委員長(片柳眞吉君) 他に御質問は今のところありませんか。
○松浦定義君 私は議事進行のような形になると思うのですが、今、江田さんの要求された資料は当然だと思うので、今までこの農林委員会は資料を中心として審議をして来た。肥料法案でもそういう例があつたのですが、少くとも提案者においては恐らく審議された場合において持つておられた資料等もあろうと思うので、そういう意味合から一つ会期の問題とも絡みまして、急速に一つお出し願つて、できるだけ早くまあ我々も審議を完了するようにしたい、こういうことで、若し江田さんの御意見がそういうことであるということであるならば、今日他の委員の御意見を聞かれることはいいと思うのですが、今申上げましたように、会期の問題とも絡んで、ほかの法案等もたくさんあるから、これを明日にするとかして、時間をできるだけ効果的に使うようにして頂いたらと、こういうことを考えておるわけであります。
○委員長(片柳眞吉君) ちよつと速記を中止して下さい。 午後三時二十八分速記中止 —————・————— 午後三時四十分速記開始
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。農林漁業組合連合会の整備促進法の一部を改正する法律案の質疑は後刻に延しまして、先ほどの御懇談の次第によりまして、次に、日本中央競馬会法案を議題といたします。本法律案は昨二十九日衆議院において全会一致で修正議決され、即日当院送付、当委員会に本付託となつたものであります。本法律案につきましては、去る四月九日提案理由の説明を聞いたのでありますが、本日は直ちに質疑に入ります。なお衆議院で修正がございましたので、修正点についての御質問がおありになりますれば、衆議院議員の中澤さんが見えておられますから、あらかじめ御了承を願いたいと思います。
○江田三郎君 先に衆議院のかたに修正の一つ要領を御説明願いたいと思います。
○委員長(片柳眞吉君) それでは江田委員からの御要求もございましたので、相当の修正がございましたので、衆議院の修正につきまして、中澤議員から御説明を願いたいと存じます。
○衆議院議員(中澤茂一君) 衆議院の各派共同による修正点の趣旨の弁明をいたします。 日本中央競馬会法案の修正案につきまして、修正案の提案者を代表いたしましてその趣旨を弁明いたします。 この修正案においては、主要修正点は数点ございますが、その第一は原案第十三条の役員の欠格条項に関する規定の修正であります。即ち、国務大臣、国会議員、政府職員又は地方公共団体の議会の議員の一に該当する者は日本中央競馬会の役員となることができないという規定でありますが、これらの公の権力に関係する地位にある者の影響力をできるだけ排除するという考え方に立つて、同条第五号との関係をも考慮いたしまして、その地位を去つて後一年間は競馬会の役員となることができないように修正したのであります。併しながら、競馬会の設立当初は、現在国営競馬の事務に従事している政府職員の相当数が、競馬会の事務に従事するということにしませんと、競馬の施行に困難も予想されますので、附則第九項において第十三条の特例を定め、そのような事態の起らんように配慮してございます。又第十三条の欠格事由の一つとして、競馬会が行う競馬に関係する馬主を追加いたしました。これは旧競馬法下の日本競馬会の時代における慣例にも徴しまして、競馬の公正確保の見地から特に同条第六号としてこの規定を置いたのであります。 修正の第二点は、競馬会の運営審議会の委員は、第十八条第二項に掲げる者のうちから、農林大臣が任命することになつておりますが、同項中第三号として競馬会が行う競馬に関係する調教師及び騎手を代表する者を追加して、これらの代表者も運営審議会の委員に任命されるように修正したのであります。これは調教師及び騎手は競馬会の運営とは極めて密接な関係があるところより、より公正にして明朗な競馬を行うため、これらの代表者を運営審議会の委員に任命することは意義が深いと考えたからであります。 修正の第三点は、競馬会の行うことができる任意的業務として第二十条第二項第三号に「その他競馬の健全な発展を図るため必要な業務」と規定されておりますが、この競馬には「馬術競技」を包含するものであることを明記したのであります。元来競馬と馬術競技とは沿革的に申しましても、又その技術面におきます関係からいたしましても深い関係があり、競馬の健全な発展を図ることは、当然一般馬術の発展と並行して行われるべきものであるという考よりいたしまして、このように修正したのであります。 修正の第四点といたしましては、第二十七条第一項に規定する国庫納付金の割合につきまして、原案の「百分の十」を「百分の十一」に修正いたしました。これは従来の競馬の成績に徴しましても、又競馬会が行う経営は、国営よりも合理化され、事業の発展も期待できるという考えからいたしましても、国庫納付金の割合を「百分の十一」に引上げるほうがよいのではないかと考えたものであります。併しながら、発足当初におきましては、種々経費のかかる面もあり、又老朽化した施設のうち応急的に改善補修を必要とするものがある等の点を認めまして、この法律施行後一年以内に開催される競馬に対しましては、国庫納付金の割合を「百分の十・五」とする特例を修正案附則第十項に規定いたしました。 改正の第五点といたしましては、競馬会からの国庫納付金につきまして、その使途を限定する規定を新たに設けたのであります。この点に関しましては、原案の第一条に法律の趣旨として競馬の健全な発展を図つて畜産業の振興に寄与することを謳つておるにもかかわらず、その内容として畜産業の振興に関しましては何ら規定されておらないのみならず、原案の附則第十項におきましては、却つて競馬法第十一条の二の競馬の収入を畜産業振興経費に充当すべき規定を削除しておるのでありますが、これに対しましては、本委員会の審議におきまして多くの委員各位から種々批判があつたのであります。即ち原案は、競馬施行の目的をあいまいにするのみでなく、むしろ制度の改悪であり、現段階における競馬の存在意義は、主としてその収益を特定の公益目的に充てる点に存するという論議もなされたのであります。本修正案は、これら審議の経過に鑑みまして第二十七条の規定による国庫納付金は、これを全額畜産業の振興及び民間社会福祉事業のために必要な経費に当てるものとしたのであります。ただ従来畜産業の振興経費と申しましても、その費目につきまして甚だ漠とした解釈が行われておるようでありますので、この点本修正案におきましては、有畜農家創設特別措置法及び酪農振興法に基く国の助成経費並びに馬の伝染性貧血症の試験研究経費を特に規定いたしまして、使途を明らかにすると共に、民間の社会福祉事業の振興のための経費に充てる金額は、民間の社会福祉事業実施の重要性に鑑みて、国庫納付金の額のおおむね四分の一に相当する金額とすると明確に規定いたしております。又、民間社会福祉事業の振興のため必要な経費とは、社会福祉事業法による共同募金会等、社会福祉法人に対する助成、社会福祉事業振興会法による社会福祉事業振興会に対する政府の出資或いは生活保護法、児童福祉法の規定による民間施設に対する国の補助等を指すものでありまして、これらに対する助成の財源としたいのであります。 最後に、原案の附則第十八項は、先に述べました第十三条の役員の欠格事由の特例に関する規定及び第二十七条の国庫納付金の特例に関する規定が附則に追加されたため、第二十項になつておりますが、この第二十項の地方税法の一部改正につきましては、原案においては、競馬会には固定資産税は非課税になつていなかつたのでありますが、競馬会の性格が公社に準ずる特別法人であることから考えて、他の類似する性格の法人と同様に、その本来の事業の用に供する固定資産については固定資産税が免除されるべきであると考えまして、地方税法中第三百四十八条第二項の一部改正を行いましたるほか、他の法令の改正の関係から引用条文の整理を行なつたものであります。 以上の通りでありまして、何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
○河合義一君 私の質問いたしたいことは、むしろ過日の酪農振興法のときにしたほうがよくはなかつたかと思うのでありまして、馬も牛も同じような動物でありまして、その飼料は全く同じなのであります。過日畜産局の御案内でダービーの競馬を見ました際にいろいろ説明を聞いたのでありますが、牛のほうは冬時草のない時分には「わら」を飼料とすることができるのでありますけれども、馬のほうはそれはいけない。そうして冬の間は北海道から乾いた草を移入しておるというようなことも聞きました。どちらにいたしましても、酪農振興にいたしましても、競馬のことにいたしましても、飼料ということは同じ地位に置かれておるのでありますから、過日の酪農振興法の際に草地の点についていろいろの要望がありました。そこで私は我が国にあります川の堤防を草地と同一に認めまして、堤防におきまして飼料を作るということは、私はこれはなさねばならんことではないかと思うのであります。そこで若し堤防がその保全上そういうことに使うことがいけないということならば、それは絶対できませんけれども、その点は一つ建設省のほうから説明をして頂きたい。又農林省のほうにおきましては、堤防を草地を見なしてこれを利用することができるか、できんかという点について私は意見を聞きたいのであります。先ず第一にその点を聞きたいと思います。
○政府委員(大坪藤市君) 只今堤防の敷地等を草地として使用できるかどうか、こういう御意見でありまするが、勿論普通の牧野等と同じように、堤防等の草地も我が国の畜産振興のための草地源といたしまして私どもも非常にこれを重視いたしておるのであります。で、これが取扱い方につきましては、建設省とも再々懇談いたしまして、地方庁等にその取扱いの要綱をきめまして通達いたしておるのであります。政府といたしましても、河川敷等につきましては、これは機械力等を以ちまして高度集約と申しますか、牧草化し得るような、特に高度集約牧野としての特別の助成金も出しておるのであります。ただ堤防そのものにつきましては、これは特殊の目的を持つておりますので、これを危殆に瀕せしめるということにつきましては、これはそういうことはできないと思うのでありまするが、堤防そのものの使命を害しない限度におきまして、ここに優良なる草を生やし、それを家畜の飼料にするということにつきましては、今後ともなお一層の努力を払いたいと考えておるのであります。なおダービーのときの私どもの説明員の話に関連しましてお話があつたのでありますが、勿論馬につきましても、「わら」等の飼料は使用できるのでありますが、ダービー等に出走いたします馬につきましては、特にその馬の能力と申しまするか、非常に強い能力を要求いたしますので、粗飼料を成るべくやらないで、燕麦等の非常に栄養価値の高いものを原則としてやつている。こういうようなわけでありまして、いわゆる競争馬の飼育方法につきましては、これは普通の農耕馬と相当いろいろな違いがあるということを御了承願いたいのであります。
○河合義一君 建設省の意見は如何でございますか。
○説明員(美馬郁夫君) お答えいたしますが、只今農林省のほうから御説明があつたことにつきまして、私どもも大体同感でございます。堤防につきましては特殊の目的を持つておりますが、樹木等を植えることにつきましては、洪水上いろいろ弊害もございますので、只今では認めておりませんが、ただ草等につきましては、恐らくどういう種類の草かはよく存じませんが、それが堤防の目的を阻害しない限りにおいてはむしろ大いに結構じやないかというふうに考えております。
○河合義一君 堤防に家畜に必要な適当した草はどういう種類のものでありましようか。若し調査ができておりますならばそれを伺いたい。過日資料を頂きました中にいろいろの草の種類がございましたあの中で、一つ堤防にも適しているという牧草がございましたならば、その御指摘を頂きたいのであります。
○政府委員(大坪藤市君) 堤防もいわゆる河川敷といたしまして、水を防止するという堤防敷そのものでなしの河川敷等につきましては、これは一般牧草で大体において結構かと思うのであります。堤防そのものに関しましては堤防を破壊しないように、できるだけ根を深く生やす牧草のほうが結構じやないかと思うのでありまして、いわゆるケンタツキー・グラスその他の禾本科を主にいたしまして、クローバーをそれに配置するという形のものがよくはなかろうかと大体考えているのでありまするが、その点につきましては、私もはつきり専門の技術屋ではありませんので、大体普通の禾本科、特にケンタツキー・グラスを主にいたしまして、それにクローバー等を配置する、この程度がよかろうと考えております。
○河合義一君 私はずつと以前でありましたが、肥料の欠乏したときであります、その当時私は衆議院に参つておりましたのでありますが、「川々の堤に生やせうまごやしこやし乏しき年の備えに」というような腰折れみたいなものを作つたことがあるのでありますが、元来クローバーは日本語で言えば「うまごやし」と言うのじやないかと私は考えているのでありますが、そのクローバーの中でも赤とホワイトとありまするが、レツドのほうは二、三年より続けてできない。ホワイトクローバーのほうはずつと年々繁茂するというようにも聞いておりますが、どなたか今日は専門のかたはおいでになつておりませんでしようか、若しおられないのでありましたから、適切なる種類を御指摘を願いたい。そうしてあの牧草にいたしましても、肥料を施さなければ繁茂しないのであります。殊にクローバーはそうでありまして、その場合に肥料をやつても差支えないのでありましようか、私の考えるところによりますと、又聞いておりますところによりますと、堤防のクローバーの生えている所は非常に丈夫であつて、雑草の生えておる所は弱いということも聞いております。雑草を駆逐するという力もクローバーは持つておるのでありまして、これは最も都合のいいことでありますから、これからも日本国中の堤防にクローバーを繁茂いたしましたならば、相当資源といたしましてたくさんあると思うのであります。これはむしろ農林省なり、又堤防の保護という点から申しましても、むしろ雑草を引抜きまして、そうしてクローバーを生やすという点から一つ建設省で奨励して頂きたいと思います。ところがあの堤防に堤防の両岸がありますが、一方の堤防の附近の村でその堤防に手入をいたしまして立派な牧草を作りましても、向う岸の村からやつて来ましてそれを刈つて持つて帰るということがあるのであります。又牛や馬を連れて行つて放牧する、これでは折角の計画もうまく行きませんので、あの堤防を独占的に使用することができますか、多少の使用料を出しましても、利用する権利を専有することができるのでありましようか、この点は建設省からお伺いしたいと思うのであります。
○委員長(片柳眞吉君) 最初に畜政課長から……。
○説明員(鵜川益男君) 大体局長が申上げました点に尽きるかと思いまするが、お話の通り河川につきましては上流の地質によりまして、どういう草がいいかという点までいろいろ考えなければいかんように聞いております。石灰質等のものであれば、比較的先ほど申上げましたような牧草が非常に繁茂いたします。それに対処いたしまして地質の関係上、やはり私の伺つておりまするところでは、燐酸系統のもの或いは炭加里系統の肥料等をPH等の試験の結果によりまして撒くと非常に牧草の生育の結果がいいというふうに聞いておるわけでありまして、この点につきましては先ほども申しました通り、河川ごとの研究も必要であります。いろいろ試験研究がまだ進展過程でございまして、荒川敷の関係等につきましては猶原先生というようなかたが非常に詳しく研究しておられ、これを国といたしましても応用研究費等を支出いたしまして、全国的にもこういつた試験研究が行われるように只今取運んでおりまして、クローバーにつきましてもお話の通り赤とか、白とか、更に最近ではラジノ・クローバーという非常に雑草を職域駆除して参る力の強い牧草もできておるようでありまして、河川敷利用の点につきましても県によつて相違はございまするが、或いは荒川敷或いは京都市の新高瀬川、岐阜の附近の木曽川の中流地帯の河川敷の利用というふうに最近とみに進んでおりまするので、その土地々々に向きました牧草を各県によりまして惨透して参りたい、これを更に国といたしましても発展させるように心懸けたいと存じておるわけでございます。
○説明員(美馬郁夫君) 河川敷につきましては、河川法の建前から勿論許可を受けた者だけがそれを使用をすることができるという建前になつておりまして、その他の許可を受けない者は絶対にできないという建前になつております。
○河合義一君 今の使用でありますが、それは個人でも許されるのでありましようか、例えば農業協同組合とかというような農業者の団体でありましようか、個人でもそれは許可されるのでありましようか。
○説明員(美馬郁夫君) どちらでも結構でございます。
○河合義一君 なおその牧草堤防の利用についてのことでありますが、只今お話になりました二、三カ所承わりましたが、それ以外にどこかこういうことをやつておるところがあるでありましようか、その他に……。
○説明員(鵜川益男君) 最近非常に進んで参つておりますのでは、山梨県の笛吹川、これは甲府の少しく西南のほうでございます。非常に進んでおるところがあるようでございます。先ほど水政課長も述べられましたように、地元の市町村或いは農協、こういつた形でやはり管理規定を設定いたしまして、利用者の間に調整をとつて進んで参るというような形が我々も望ましい形であり、そういう形でサイロと結び付くと、我々もかように見ておるわけであります。
○川口爲之助君 この法案の狙いは畜産の振興といわゆる行政整理であります。これにあると思います。そこで整理は誠に結構であります。併しこの馬匹の改良増産或いは競馬の健全なる発達ということにつきましては、全国に数十カ所を算える地方競馬があるのであります。でありまするからして、この地方競馬に任せることによつて十分に目的は達成されるのではないか、従いまして、一部国営競馬をやめる、そうしてこれを広く社会公共のために開放する、例えば家屋は工業用或いは住宅用、土地は住宅敷地、農地、林地等に利用することができましたならば大きな効果を上げることになると思います。そこで今全国に国営競馬が十二カ所あるようであります。その十二カ所のうち三分の一なり、或いは二分の一なりを廃止するという気持は政府にはございませんか。その点を一つ承わりたい。
○政府委員(大坪藤市君) 現在現行競馬法におきまして、競馬はいわゆる国自身が行いまする国営競馬と地方公共団体として府県及び市町村が行う地方競馬と、この二つに相成つておるのであります。国営競馬につきましては、只今お話の通り、全国で十二カ所が法律によりまして指定されておるのであります。そのうち根岸の競馬につきましては、現在進駐軍関係の土地として利用されておりまするので、根岸競馬は現在中止中であるのであります。そのほか新潟と宮崎の競馬場につきましては、これはそれぞれ当該県に貸与中であるのであります。従いまして、現在国営競馬を実施いたしておりまするところは十二カ所のうち九カ所であるのであります。で、この十二カ所並びに九カ所につきましては、大体ずつと沿革的な理由を辿りまして全国的に一応の分布を終つておるのでありまして、政府といたしましては現在のところ、これを拡張したい、或いは縮小したい、こういう考えは現在のところないのであります。今回提案いたしました法律におきましても、現行の競馬法のうち国営でやつておりまするものを、中央競馬会をしてやらしめるという構想の下に、やり方等につきましては、国営の形そのままを現在やつておる場所におきまして引継いで施行せしめる、かようなことになつておるのであります。国営競馬並びに地方競馬を含めました全体の競馬制度につきましては、これはいろいろと御議論も多かろうし、いろいろと研究を要する部面が非常に多かろうと思うのでありまして、これらの制度の問題につきましては、今後大いに検討を要する問題じやないかと思いますが、今回は当面問題となつておりまする国営競馬につきまして、国自身が国営競馬をやつて参りますことは必ずしも適切でありませんので、中央競馬会をしてこれを行わしめるという方針の下に、今回本法案を提案した次第であります。
○川口爲之助君 そうすると、これは結局法律改正をしなければ縮減はできないということですね、私の言うのは、実は終戦以来の世の中の状態を眺めておりますと、競馬、競輪、麻雀にパチンコ、挙げて享楽の一途を辿つておるのであります。これがために家庭を破壊し、或いは又経済的な悲劇を数々生んでおる、こういう環境からは決して健全な社会は生れて来ない、勤労意欲も起つて来ない、そうして又正しい建設精神というようなものも甦つて来ないのじやないか思う。もともと競馬、競輪というものは終戦直後におきまして、あの混乱動揺の状態を一方に振向けて安定を図ろうとする一つの臨時的の措置であつたと、かように考えておるのであります。従いまして、この種のものは漸次縮小をして行くべき性質のものだろう、かように考えております。併し私はこう申しましても、本案に反対するものじやございません。ただ自分の気持を申上げて他日の参考意見として申上げて置きたいと思います。
○清澤俊英君 先ずお伺いしたいのは、今一時国が没収したと言いますか、仮契約したと言いますか、その点は明らかでありませんが、競馬場の問題について、旧競馬会の代表者から訴訟を起しているという事実はありませんか、返還の訴訟です。
○政府委員(大坪藤市君) 現在国の行なつております国営競馬に関連いたしまして訴訟が起つておりますことはお話の通りであります。御承知のように、昭和二十三年に、国は日本競馬会から現行競馬法第三十七条の規定によりまして、競馬会から権利義務の一切を包括承継いたしたのであります。その承継したことにつきまして、日本競馬会の当時の理事者の一部のかたから訴訟が提起されたのです。訴訟は昭和二十七年の十二月十八日に、日本競馬会の代表者の長森貞夫という人から国を被告として提起されたのでありますが、当初は競馬法第三十七条の規定によりまして、国が競馬会と締結したところの契約が無効であるという訴訟であつたのでございますが、その後訴えを変更いたしまして、東京競馬場の敷地建物並びに現在競馬部のおりまする庁舎の返還請求、こういうような恰好に相成つております。
○清澤俊英君 今伺つたその契約というもの、契約並びにそれが無効であり、どうしても国のものであるということは、三十七条によつて確かに国のものである、こう畜産代表としての畜産局長が申していいと思うのですが、その契約はどういうことになつておりますか。
○政府委員(大坪藤市君) 契約は日本競馬会が持つておりまする資産並びに負債の一切を日本競馬会が農林大臣と契約いたしまして、資産負債の一切を国に譲り渡す、こういう契約内容をなしております。
○清澤俊英君 譲り渡すということになりますと、譲り渡しは無償なんですか、その契約では……。
○政府委員(大坪藤市君) その当時中央競馬会といたしましては競馬を続行することが困難でありましたので、資産負債の一切を国に無償で譲り渡す。こういう契約を締結いたしております。競馬会の競馬に関しまする財産でありまするが、これはいろいろ沿革があるのであります。大正十二年でありましたか、旧競馬法が制定されましたときに、全国で十一の競馬クラブがあつたのであります。十一の競馬クラブでそれぞれ競馬を実施いたしておつたのでありますが、その後競馬というものをより公正に実施するという建前から、昭和十一年になりまして日本競馬会というものを設立いたしたのであります。これは法律を改正いたしまして、新らしく特殊法人としての日本競馬会を作つた。できました日本競馬会は従前ありました十一の競馬会から無償で財産を引継いでおるのであります。そういうような沿革がありまして、競馬につきましては、大体の考え方といたしまして、競馬を施行しまするものが、その施行に必要なる資産を持つて行くというようのが大体の今までの建前になつておるのであります。と申しまするのは、昭和二十三年のときにおきましても、中央競馬会といたしましては、当時の占領行政でありまする独占禁止等の関係もありまして、これは当時の社会情勢といたしましては、日本競馬会が競馬を行うことは適当でないということに相成つたのでありまするが、然らばその場合にどうすればいいか、たくさんの馬主がおり、騎手がおり、調教師がおる、こういう関連いたしました多くの競馬関係者を抱えてどうすればいいか、行き方がいろいろ論議になつたのでありまするが、国で競馬を施行するならば止むを得ないという関係方面の御意見があつたのであります。従つて国として競馬を行なつて行く、こういうことに相成つたのであります。そういうような関係からいたしまして、従前からのいきさつもあり、国で競馬を施行いたしまする以上は、国で財産を持つことが当然であるという意味であります。従つて競馬法におきましても、国は日本競馬会から資産負債を承継するようなことができるというふうに競馬法で規定をいたしておるのであります。つまり競馬会から資産負債の一切を承継をする権能を法規によつて与えておる。その規定によりまして、当時の農林大臣は日本競馬会の役員、これは全部と思いますが、役員のかたと承継契約を締結いたした。
○清澤俊英君 そうしますと、一番先にできました十何カ所なんかの競馬クラブでは、これは国が作つたのですか。
○政府委員(大坪藤市君) これは勿論その十一の地方、地方によつてはいろいろに差異があると思いまするが、当時競馬に非常な熱心なる関係のかたが主になつておられまして、一応競馬場を作つておるのでありますが、国がその後これは明治四十一年頃かと思いまするが、長年に亙りまして施設の改善その他に相当の金額を助成いたしておるのであります。従つて国の補助金と競馬による収益と、それから地方の競馬に非常な熱心なる方々の寄付その他によつてでき上つておる財産と、かように考えたほうがいいのではないか、かように考えております。
○清澤俊英君 そこまでわかりましたので、それでですね、若し訴訟に万一負けるような、経過から見ますれば私は負けることはないと思いますが、負けた場合には、この法案は殆んど用をなさないと、そう考えてよろしうございますか。
○政府委員(大坪藤市君) そういうような事態でありまして、法律の規定に基きまして、国が法律に与えられました権能によりまして、正式に合意の下に従前の理事者と契約を遺憾なく締結いたしたいと思うのであります。私どもといたしましては、毛頭この訴訟に敗訴などというような場合は考えていないのであります。従つて今後の問題として敗訴になりまする場合にどうかということにつきましては、現在のところどうすればいいか、どうするかということにつきましては、考えていないと申上げて差支えないと思いますが、仮に万一負けるというようなことになつたといたしましても、国といたしましては、これは現に持つておる財産でありまするので、一応出資をしておくということは、これは法律上も差支えないのであります。
○江田三郎君 今の訴訟の問題ですがね。この間まあ我々のほうで怪文書か何か知らんけれども、この内容を書いたものが来ましたが、それで行くと、井上部長がGHQの名を以て来られたが、GHQのほうはそういうことはなかつたのだというようなことが書いてあり、又今、局長も関係方面の意見ということを言われましたが、関係方面は恐らくGHQだろうと思うのですが、その辺の事情をもつと詳しく聞かして頂くわけに行かないですか。それからまあ絶対に訴訟に負けるということはないはずと言われますけれども、これもどうも相手だつてまさか気違いというわけじやありますまいから、相当な根拠を持つておると思うので、一体この訴訟代理人はそれぞれ誰が担当して、今までの裁判の経過というものはどういう工合になつておるのか、もう少し今の点聞かして置いて頂きたいのです。若しこれが引つくり返つたら、出資していたつていいのだということは、それはその通りですけれども、この中央競馬会の基礎が根本的に崩れてしまうわけですから、これはもつとはつきりして頂きたいと思う。
○政府委員(大坪藤市君) 関係方面という言葉はちよつと語弊があると思いまするが、当時の社会情勢といたしまして、特定の法人が競馬を実行して参るのは必ずしも穏当でないというような結論になりまして法律の規定に基きまして……。
○江田三郎君 誰の結論ですか、結論というのは誰がそういう結論を……。
○政府委員(大坪藤市君) 従来これは立法措置を必要といたしたのでありまして、法律において従前は日本競馬会が競馬を行うということになつておりましたのを、国及び都道府県ということにつきまして、従来日本競馬会が実行いたしておりました競馬は国でやる、こういうふうになつたのであります。その結果、法律の第三条に明記いたしまして、国は日本競馬会の財産を承継することができるということになりまして、当時の農林大臣であります永江農林大臣は、その規定に基きまして、今の原告側と契約を締結いたされたのであります。で、訴訟は昭和二十八年の五月三十日を第一回の口頭弁論といたしまして、現在八回に亙つて弁論が行われております。これは法務省が訴訟の政府代表となつておりまして、畜産局からはその関係人として畜産局は全部それに関係をいたしておる。こういうような恰好に相成つておるわけであります。
○江田三郎君 その相手方の訴訟弁護人は誰がなつておるのか。それからこの関係方面というのは語弊があると言われるけれども、局長がその関係方面ということをさつき言われておるから私は言うのです。それから私が言いましたこの怪文書か何か知らんけれども、とにかく井上部長が当時課長としてGHQの命令だというようなことを言われた、こう言われるので、それでこの継承できると言いましても、この継承できるということは、継承しなければならんとか、何とかということとは違うのです。その継承するときに、仮にもこの国の法律その他によらない何かの力を以てそういうことをしておるということになると、これはやはり私問題になるのじやないかと思うのです。それで若しこれが全然問題にならんことなら、今日まで八回も公判が続いておるというようなことにならないで、裁判所だつてもつと早く結論を出してしまつたろうと思うのです。どうも昨年五月以来八回も継続されているということになると相当根拠があるのではないかという気がするのでして、そうした今までの公判の経過からいうと、どういうことになつておるのですか。
○政府委員(大坪藤市君) 被告は国といたしまして犬養法務大臣が被告人になつておる、代表になつておるわけでございます。原告のほうは長森貞夫と申しまして日本競馬会の清算人ということになつております。弁護士は赤木堯というかたと小山知一という二万になつております。弁論といたしましては八回継続いたしておりますが、これは訴訟でありまするので、今後もこの問題につきましてはまだ数回口頭弁論をするのではないかと、かように考えておるのであります。一応民事訴訟でありますので、裁判当局といたしましては、すべてこれは訴訟関係の事件を詳細に審理するということは如何なる事件におきましても、これは当然じやないかと思うのでありまして、口頭弁論も今後もなお続行されると、こういうふうに考えております。
○江田三郎君 当時の実情は井上さんが一番詳しいのだろうと思うのです。文書の中にもあなたの名前が出ているのだから……。そこでその井上さんとして、継承できるという規定になつておるのに、このGHQのほうでもう方針がきまつておるのだから、お前らかれこれ言つたつて仕方がないのだというようなことでおやりになつておるのか、どうもそこが私合点が行かないのです。継承できるということと、国が継承しなければならんということとは大分違うのですから、どうもそこらが合点が行かないのですがね。
○政府委員(大坪藤市君) 継承する、継承することができる、それから継承せねばならん、この三つの段階じやないかと思うのであります。継承するということになりますと、法律上の当然の結果として継承するということになると思うのであります。継承せねばならんということになりますと、これは国が法律によりまして継承せねばならんという義務を負うということになるのではないかと考えます。本件の場合におきましては、国は継承することができる、こういうことに相成つておりまして、国に義務を課せられたのじやなしに、国に、つまり当時の国を代表いたしまする農林大臣に権能を与えた、こういうような恰好になつて参ると思うのであります。その当時の事情につきましては私よりも井上部長に説明いたさせます。
○江田三郎君 それで継承する、継承できる、継承しなければならん、その内容は今あなたがおつしやつた通りです。ところがこれが継承するであつたり、継承しなければならないとあれば、これはもう今後相手方が何と言おうと問題の余地はないと思う。ところが継承できるという内容になつておるだけに、その間の交渉の仕方、相手方との折衝の仕方、問題の進め方の内容如何によつてはやはり問題になることだと思うのです。だからそう簡単に私は局長のように、これは法律でこうなつておるのだからと言つてもそんなことを簡単に言えんと思う。法律が継承するなり、継承しなければならないなら、それはもう結論はあなたのおつしやる通りです。併し継承できるということだけで、やはり義務に残るから、その点の経過をもう少しはつきりおつしやつて頂きたい。
○政府委員(大坪藤市君) この訴訟の中心をなしておりまするのは、三十七条の規定が憲法違反の規定であるということが骨子をなしておるのです。つまりこれは憲法の第二十何条かにあります財産は侵してはならないという、つまり国民の財産の保護の規定があるわけであります。この規定に違反すると憲法違反になるというようなことが原告の請求の眼目をなしておるわけでありまするから、三十七条の規定は、国に一応そういう能力の規定をやつておりますので、当然承継せなければならんということか何かになりますというと憲法違反になるのではないかと思うのでありますが、能力規定でありますので、私どもとしてはこれは憲法に違反しない、かように考えております。
○江田三郎君 訴訟というものは途中で変更されることがあるでしよう。そこで今まで三十七条は憲法違反だという形でやつて来ておつたけれども、これは憲法違反にならない、継承できるのだ、継承できるから憲法違反にならないというふうに仮になつても、その継承する過程において国が詐術を用いたとか、或いは使つてはならん権力を用いたということが仮にもあれは、これはやはり必然問題になると思う。そういう点はどうももう少しやつて頂かんと、これは何しろこの不動産が引つくり返ると何かわけがわからなくなつてしまいますから、井上部長のほうから詳細説明してもらいたい。
○説明員(井上綱雄君) お答え申上げます。この件は六、七年前のことでありまして、突然六、七年経つてこの裁判が提起されたのであります。実はその当時のいろいろな証拠書類或いは又人間の記憶というものは誠に悲しいもので、向うにも大きな考え違いもございますし、又私どもといたしましても、六、七年たつて初めて訴訟が突如行われたので記憶が薄らいでおるのでございます。いろいろ材料を取揃えております。又原告側も初めは局長が説明されたように、憲法違反の訴訟であつたのが途中で財産の継承の問題に変更され、だんだん回を重ねて来ておると私は考えております。私といたしましては、当時競馬課長をしておりまして、その後競馬部長に図らずも任命されまして事務処理に当り、又当時の事務の整理は戦前と異なりまして、とにかく散逸になりがちでありまして、この事後処理の収拾に非常に困つたのであります。大体現在におきましては、裁判所側で要求されます証拠書類は出揃いまして、且つ又私どももだんだん記憶を回復し、関係者をそれぞれ集めて相談した結果、次第に正確なることもお答えできる段階に達しております。私はまだ裁判所に呼ばれておりませんが、いずれ証人として出ることになると思います。実は今日そういつた正確な資料をたくさん持つて来ておりませんから、概略のことを申上げますというと、原告側の誤解は、これは昭和二十二年の夏頃からアメリカ側からの話が出ておるわけでありますが、二十二年の夏頃に、当時のアンチ・トラスト・セクシヨンのヘンリー・ウオール氏から突然として、日本競馬会は戦時中において非常に軍隊の増強、軍馬の増殖に協力した、聞くところによるとしばしば陸軍省に献金したということであるから、そうしたようなことは適当でないということを言つて来たので、それはどこの国でも戦争中に協力しないという個人もないし、又よほどのことでもなければ協力しないという団体もないであろうというようなことで、私は単なる向うの感情問題だと考えておつたのでありますが、だんだん深刻になつて参りまして、二十二年の暮頃になりますというと、この団体は結局独占禁止法の趣旨に触れる団体である、我々の聞くところによると、独占禁止法というものは経済団体に限り適用されるものと聞いておるのであるが、この日本競馬会は社交団体であり、経済団体であると我々は認められないということで、いろいろ論争をいたしたのでありますが、結局独占禁止法の第何条かに触れるということでなくて、独占禁止法の建前から見るというと、先ず日本で競馬らしい競馬をやるところの十一の競馬場というものを独占しておる、それから更にこの十一の競馬場に馬を出し得るのは、競馬振興会というものがあつてそのメンバーに限り馬が出せる、この二点は競馬の独占事項である、地方競馬についても同様のことが言えるのであつて、地方競馬会は当時地方の競馬を独占しておる。いずれにしても独占機関としてこれは閉鎖すべきものであると、こういう意見にはつきりなつて来たわけであります。当時競馬課長でございましたので、それらの重大なる相手方の発言によりまして、私ども当事者と十分懇談を重ねたのでありますが、何といたしましても、当時御承知のように占領軍の発言というものは重大なる影響があつたのでありまして、これが内地の日本の法律に違反するか、違反せんとかいう問題よりも、憲法以上の力があるように我々も考えておりましたし、又そういう政策が随分行われておつたと思うのであります。このたびの原告のお話は、書かれたものによりますというと、アメリカ側の言い分は我々は全然知らなかつた。政府の一方的な見解で以て押付けられたのであると、こういうことのようであります。然るに私ども証拠書類を裁判所に提出しておりますが、メモランダムこそ出なかつたのでありますが、はつきり閉鎖すべき団体の名前が農林省に通告になつておる。日本競馬会及び中央馬事会及び全国の地方の馬連の名前が上つておるのでございまして、それが切迫した事情におきまして、このようなものが出て参りましたが、事競馬に関しましては、何分にも生産者、調教師、騎士、馬丁或いは馬主といつたような広汎な関係もございますし、且つ又相当、三十年間もいわゆる公認競馬につきましても国民的にも相当支持のある競馬でございますので、これを潰すことは堪えられないことである、そういつたものであるが、アメリカでも政府がやつておるのではないか、併しそれはどこでもああいう形体でやつておるのではないか。あなたは競馬に関係したことがないからそう言われるが、どこの国でも競馬というものはああいういわゆる独占形体でやつておるのだと、こういうようなお話をして随分長く強く交渉をいたしました。この間の事情につきましては、日本競馬会の中におきましても、十分に向うと接触をとつて知つておる人もあるわけであります。ただここで私ども遺憾に思うのは、交渉の経過におけるいろいろな事項というものは、当時の占領政策のほうから、明らかにこれを公表することはまかりならんという一つの線がございまして、役人といたしまして、アメリカ側と交渉いたします際は、この点は漏らすことができない事情にあつたのでありますが、併しこの日本競馬会といたしましては死活の問題でございますので、はつきり名前を申上げますと、当時の経理部長である山口立氏は、直接自分の知り合いの通訳をお連れになつて向うのアンチ・トラスト・セクシヨンに行つてヘンリー・ウォール氏と会見して、二、三度会つてお話したように承わつております。従いまして、原告側が御承知のように一方的に我々が押付けた、或いはこれに陰謀をたくらんでおつたということにつきましては、私どもれつきとした証拠を挙げてこれを説明することができるわけでございます。ともかくそういうような経緯がございまして、ヘンリー・ウォール氏からどうしても閉鎖するようにという言渡しがございましたが、今申上げますように、この広汎な関係がございますので、何とかこれは勘弁してくれ、そうして漸く競馬に関する団体だけは閉鎖機関指定から免かれしめるように、約二月に亙り毎晩のよううにも押しかけし、いろいろな話をいたしまして勘弁をしてもらつた経緯もあるわけでございまして、そのときのことは今もはつきり覚えておりますが、この競馬会の当事者でも、単に理事者のかたのみならず、一般のかたにも感謝されたのであります。然るにその後、その競馬を国営にするならばやつてもよろしいというアメリカ側の線が出されております。と申しますのは、独占企業というものは、国のような形体でやるよりいた仕方ないのだということであつたのでございますが、こういうふうに申上げますと、ちよつと誤解を受ける虞れがありますが、独占的なこういう事業をやるのは今申上げますように、民間の団体では困るというアメリカの出方であり、そこで日本競馬会と相談いたしまして、日本競馬会の財産は理事会の決議によりまして国が引継ぎまして、それにつきましては、当時の理事会の決議書もあつたわけでございまして、それはもうはつきりしたものでございます。そういう経緯がございまして、今日に至つておるわけでございまして、いろいろ議会に文書を出されまして私の名前が上つておりますことは誠に不徳のいたすところでありますが、私としては残念に思うわけでございます。なお書類等につきましては、その点の弁明が許されますならば、今日は用意いたしておりませんが、弁明いたしたいと、かように考えます。
○江田三郎君 今経過を聞きましても私ども完全に了解したというのでなくして、占領下の行政というものは非常に複雑でありましたので、それを一々問題にして行くと、あとにやはりいろいろ複雑な問題も出て来るので、今のお話を聞いただけではまだ納得できない点がありますが、関連質問ですから清澤さんにやつてもらつて、又あとでもう一遍やります。
○清澤俊英君 只今大体お伺いしようと思つたことはわかりましたが、これをやめるということの趣旨の基本は、今、部長さんの言われておる通り、軍馬を増産したというだけの問題なのですか、その他にまだありませんでしようか。
○説明員(井上綱雄君) アメリカ側のその当時の言い分は、日本の競馬会は軍馬をよくするための目的でやつておる。日本競馬会は軍馬の改良増殖ということがその目的になつておつたと言つていいだろうと思います。馬の改良増殖ということは日本では軍馬のことであると、向うは一方的に断定した、こういうものの考え方であつたのであります。併しそれはとにかく、当面のこれを解散しなければならん団体だという理由ではなかつたのでありまして、日本競馬会は独占禁止法に触れる事業である。それは先ほど申上げましたような理由からであります。然らば独占禁止法の第何条に触れるかという問題につきましては、独占禁止法の趣旨に鑑みていかん、こういうことであつたのであります。
○清澤俊英君 それはその団体の中におる者が、一口に言えばボスが集まつてやつておるということを非常に重く見ておつたようにも聞いておりますが、それはなかつたのですか。
○説明員(井上綱雄君) さようなことは承わつたことはございません。ただ議会でこういうことを申上げるのはどうかと思いますが、実は当時は世上甚だ騒然としておりまして、やはり日本競馬会に統合されますその以前の関係者で、やはり不満のあつた人があつたと私は思います。それらの人が日本競馬会のやり方は、当時戦争前の様子で、無理に押え付けて自分たちの財産をとり、又自分たちのそういう権能を投下して、日本競馬会ができ上つたのだというような投書なり、或いはそれらの人が直接アンチ・トラスト・セクシヨンに行かれましてお話が出たのが一つの動機になつておつたのじやないかと私は想像いたしております。又後日そういう人から直接私は聞いたこともございますが、これは噂話でございますので、お聞き流しを願いたいと思います。
○清澤俊英君 その当時競馬部長としての井上さんは、その趣旨に対しては、今の向うの見解に対しては或る程度肯定しておられましたかどうか。ということは、この競馬法が通ります際の衆議院の空気は、理窟は抜きにして、あんなボスがやつているのだから、これはふいにしてしまえというので、無理やりに大多数で押切つたと思うのですが、一人も同情するものがいなかつたと思うが、そういうことを今でも肯定しておられますか。
○説明員(井上綱雄君) 甚だどうも困つたお尋ねでございますが、私はその当時の日本競馬会に関する限り、地方競馬のことは私は申上げない、日本競馬会に関する限りは農林大臣から任命され、且つ又経歴から申しましても、当時の理事長の安田さんは貴族院議員になられたかたでございます。且つ又理事一般としても大体農林省出身の立派な人でございます。又その他の方々も地方におられての名望家でございますので、私はボスとは考えておりません。ただアメリカ側がそういう見解をとつておりましたし、且つ又この日本競馬会が解散いたしまして、向うの言うごとくエニー・パーソンなりが競馬をやるというようなことになりますと、これは必ずや当時の世情からいたしまして、ボスが活躍するであろうということは信じておりました。併し前からやつておつた人がボスであつたということは、私は今でも考えておりません。
○清澤俊英君 その問題はやめますが、この競馬というものですが、これは一体馬券というものが伴つて我々は競技を中心とした博打だと考えておりますが、これはどういうふうにあなたはお考えになつておるのですか。同時にこれを衆議院で審議せられました中澤さんなどは、競馬と博打競技が違つておるというような御見解がはつきり出ておりますので、何かその点に触れていることもありますので、一つその点をお伺いしたい。
○衆議院議員(中澤茂一君) これは実は基本的な問題として、一体この目的に畜産振興と調つておるが、果してこれが今畜産の振興に役に立つているのかという議論は基本論として大分鋭どく出ました。そこで畜産振興をするならば、今の競馬なり、何なりがどういう貢献をしているか。何百万という金を出して買つて来て、一流の人たち、それにフアンの国民も附いているでしようが、そういう一部の富裕な人の遊びみたいなこういうものはいかんじやないか、これは廃止すべきだという議論もありました。そこで結局最後は、じや畜産振興を目的に謳つていながら、事案畜産の振興に貢献していない。そうすれば、これは一体賭博じやないかという議論が大分交されたのです。最後に畜産振興に然らば必要悪として今の段階において我々は認めよう。畜産振興に真に役立たせるために、先ほど修正で申上げましたように、この益金は四分の三は酪農振興と有畜農家の創設に使うのだ、四分一は社会事業に使うのだ、こういうことで各派が妥協したという経緯になつておるのでございます。
○政府委員(大坪藤市君) 競馬につきましては、御説明の通りに富くじ行為が伴うということはお説の通りであります。博打と言うことはどうかと思いますが、とにかく賭けと申しますか、富くじ的な行為をこれは伴つております。従つて競馬に関しましては、これは日本におきます競馬が施行されましてからの経過につきましては、お手許に資料を配付いたしておるのでございますが、従前からこの富くじ的な行為と考えられましていろいろ論議せられ、そのために特に競馬というものを法律を以て刑法の除外例としているというふうになつているわけであります。然らばなぜ競馬をやるか、こういうことにつきましては、或いは委員の方々によりまして御見解の相違もあろうかと思うのでありますが、日本におきましても、世界各国におきましても、長いこと競馬をやりました経過と言いまするのは、要するに競馬を行うことによりまして優秀な馬というものを中心にいたしまして、それによつて馬の改良を図つて行くということがその中心の目的であるのであります。勿論その時におきまして、競馬で上つて来ました益金は、或いは畜産振興に使うとか、社会事業に使うとか、或いは競馬によりまして健全なスポーツというような考え方を持つておられるかたもあるのでありますが、少くとも農林省で長いこと競馬を主催して来ました考え方というものは、馬の改良、それを中心といたしまして畜産の振興を図つて行く、こういうことが競馬の本来の趣旨、かように考えられるわけであります。
○江田三郎君 今我々のほうは間もなく本会議だから帰つてくれということで使いが来たのですが、これは聞いてもらえばいいと思うが、併しそれにしても我々三分の二ございますけれども、各会派とも一名おられるところがあるし、おられんところもあるのですね。おられんからといつて文句を言うわけじやないが、本会議が始まるというのですから休憩して頂きたい。
○委員長(片柳眞吉君) 本会議は確めておきますが、清澤委員まだ……、ちよつと待つて頂きます。
○江田三郎君 本会議をやるというベルが鳴つたからというだけじやなしに、今日は本会議としては党としても重大で、いろいろ議員総会をやつているわけですから、他党の人がおられるなら言いませんけれども、他党の人がそれぞれ会合をやつているのじやないかと思いますから、休憩して頂きたい。
○委員長(片柳眞吉君) 暫時休憩いたします。 午後四時五十九分休憩 —————・————— 午後六時四十八分開会
○委員長(片柳眞吉君) それでは農林委員会を再開いたします。 休憩前に引続きまして日本中央競馬会法案につきまして質疑を続行いたします。
○江田三郎君 競馬が博打だとか何とかという議論がさつきあつたのですが、その点と私は関連するのですが、第一条で「競馬の健全な発展を図つて馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与する」、そういう点ですが、先ず競馬から若干の金が畜産振興費に振向けられるということはわかつておりますけれども、ここに言う畜産の振興というのは、ただそれだけのことを意味しておるのか、それから一体馬の改良増殖ということと競馬とどういう関係があるのか、競馬馬というものは、競馬をやれば競馬馬はできますけれども、競馬馬というものを作ることは日本の馬にどういう関係があるのか、そういう点大坪局長の基本的な考え方を一つ述べて頂きたい。
○政府委員(大坪藤市君) 競馬の目的は、今回御提案いたしました中央競馬会法の第一条におきまして、日本中央競馬会の目的を定めまする場合に、その前提といたしまして競馬そのものの目的を書いているのであります。競馬につきましては、いわゆる馬の能力というものを客観的に決定いたしまするために、馬を競争させまして馬の資質を抽出するということに相成るのであります。従つて競走によつて出て参りました優良な馬というものを土台といたしまして、馬の改良増殖を図つて行く、こういうことに相成つているのであります。勿論只今御意見がありましたように、競馬によつて上ります収益というものを畜産の振興、社会事業その他の目的に寄与することも或いは競馬の一つの目的とも思うのでありまするが、本質的な目的は馬の改良増殖その他畜産の振興を競馬の本質的な目的といたしているのであります。
○江田三郎君 この競馬から上る収益を畜産に振向けて畜産が振興になるというなら、これは何も競馬でなくてもいいんです。自転車競走でも、ボートレースでも何でもいいんです。そういうようなことは私は根本問題じやないと思うので、競馬の健全なる発達ということと馬の改良増殖というものがどういうような関係があるのか、一体日本のこれからの畜産界において、あなた方はどういう馬を作ろうとしておられるのか、馬というのが今後牛或いはあなた方が日頃言われる酪農、乳牛その他の関係で、馬というのは将来どこへ持つて行かれようとしているのか、そういう馬についての根本的な方針というものを述べて頂きたいと思います。
○政府委員(大坪藤市君) 馬に関しましては、御承知の通りに、戦前におきましては、いわゆる軍馬というものの育成というものが馬産の一つの目的であつたわけであります。併しながら、終戦後におきましては、軍馬という一つの目的は完全に姿を消しまして、現在におきましては産業馬、特に農耕馬を主として馬の改良増殖の中心といたしているのであります。政府におきましては、昭和二十六年の六月と思いますが、馬の改良並びに生産方針という基本方針を定めまして、その方針によつてこの馬の改良増殖を図つているのでありますけれども、これは飽くまで中核体の農耕馬を中心として改良増殖を図つて参る、かような恰好になつて参つているのであります。勿論北海道の或いは輓馬、これは別でありますが、内地の一般の馬につきましては、中核体の農耕馬を中心として改良増殖を図つて行く、かような恰好に相成つているのであります。
○江田三郎君 だからそういう農耕馬に重点をおくということと、競馬馬を作るということはどういう関係があるのですか。
○政府委員(大坪藤市君) この馬の改良増殖でありますが、競走馬に出走いたします馬はアラブ、サラブレツド、トロツター、大体三つに分れるのであります。私技術者でありませんので、その方面につきましての詳しい事情については知識が足らないかと思いますが、馬の改馬を図りまする場合に、いわゆる血液の問題といたしましても、いわゆる軽種というものの優秀性というものが、いわゆる中核体の農耕馬においても必要である。同時にアラブについては関西方面におきましては、アラブの馬そのものが農耕用に使役されているというような点もあるのでありまして、アラブ系統の馬というものの優秀性というものは、現在におきましても農耕馬の改良の場合に相当な重要性があるのであります。つまりサラブレツドとアラブにいたしましても、その優秀なる馬を競走によつて見出しまして、それを中心として馬の改良増殖を図つて参る、これ従来からの、馬の改良増殖の方針でありますし、今後におきましてもその必要性は決してなくなつて来るわけじやないのでありまして、この点が競馬の本質的な目的に我々考えているわけであります。
○江田三郎君 局長も専門家でないと言われますし、競馬馬と農耕馬との改良の因果関係というものは、今日は馬のほうの専門家の町溝さんが見えたから私妙な質問をすると笑われるかも知れないから、その程度にしておきますが、第四条の動産及び不動産の問題です。先ほど申しましたように、訴訟の問題については私どもとしてなお十分に合点が行かない。独禁法の適用はしないことにした、こういつて皆が喜んだ。そのところと、それからこの継承、この継承できるということが、直ぐに継承という事実になつて現われたという繋りについてはどうも少しばかり合点の行かん点がありますが、それは何も井上部長を何とか彼とかいうのじやありません。そうでなしに、先ほどの御説明だけでは合点の行かん点がありますが、それよりも私この資産の評価の問題について、この土地及び建物は勧銀の指数によつて倍率法を適用して行くのだ、こういうことですが、一体この競馬に使うところの土地というのは、土地といつたところで、農耕地もあれば、宅地もあるし、いろいろなものがあります。併し勧銀でこの競馬場の土地というものを独立に評価したことがあるのですか、それとも農耕地なり、或いは宅地なり、或いは原野なり、そういうものの調査を適用して行くということなんですか、どちらになるんですか。
○政府委員(大坪藤市君) 出資いたします競馬の財産の評価の問題でありますが、これは只今御意見の通り、評価につきましては専門家を委嘱いたしまして、そうしてそれを基礎といたしまして大蔵大臣と農林大臣で決定して参られるような恰好になつているわけであります。
○江田三郎君 専門家の意見を聞くというのはよろしいけれども、最後の責任は政府にあるわけでしよう。得てしてこういうようなときに財産の評価額というようなものが一番後まで問題を起し勝ちなんでして、そこで私はお尋ねするので、この倍率を適用する場合の勧銀指数ということについて、今あなたがお考えになつているのは、その際の建物はよろしいけれども、土地という場合には、どういう土地の基礎を用いられようとするのかということを聞いているんです。
○政府委員(大坪藤市君) 土地の問題につきましては、この評価の問題でありますが、学識経験のある公平なる第三者を評価人に委嘱いたしまして、その意見を聞いて決定いたしたい、かように考えておるわけであります。その場合に、結局いたしまして、土地につきましても林地価格等を参酌いたしまして学識経験のあるかたが評価されると思うのであります。それを土台といたしまして、よく実情に合いまするように決定いたして参りたい、かように考えております。
○江田三郎君 学識経験者の意見を徴するということはそれでよろしい。よろしいけれども、それは意見を徴するのであつて決定は政府がするのですよ、責任は政府が負うのですよ。そこで私は政府の当面この問題について責任者のあなたにお尋ねしておるので、この競馬場の土地というものは勧銀の指数というけれども、勧銀の如何なる指数なのか、農耕地の指数なのか、宅地、原野の指数なのか、どうお考えになつておるかということを聞いておるのです。そういうことは一切政府のほうは意見はないのだ、万事専門家のほうに任してしまうのだ、こういうことならこうだと言われてもいい。
○政府委員(大坪藤市君) その場合の評価の基準でありまするが、競馬につきましては、勿論宅地の状態をなしておるところもありましようし、或いは農耕地に使われるという土地もあると思いますが、大部分の土地は競馬の目的に使用されておるわけであります。従つてその土地の状態は宅地でもなく、いわゆる農地でもなく、原野でもなく、競馬という特殊の目的に使用されておりまするので、この評価につきましては、いわゆる宅地並の価格、或いは農耕地並の価格というようなわけで評価するわけには参らんと思うのでありまして、競馬の目的に照しまして、評価人の評価というものを土台といたしまして慎重にそこいらの価格を公正に決定して参るべきものだと、かように考えるのでありまして、直ちに宅地並の価格或いは農地並の価格というわけには参らんと考えるわけであります。
○江田三郎君 これは時価にかける倍率については勧銀の指数を使うということなんです。ところが今宅地の指数でもない、それから農耕地の指数でもない。これは競馬場は競馬場だ、こう言うのですけれども、一体勧銀に競馬場の倍率指数というものがございますか、私寡聞にしてそういうものがあるとは聞いたことがない。
○政府委員(大坪藤市君) 競馬場を競馬場といたしましていわゆる倍率というものは、これは勧銀におきましても現在のところ手持ちはないと思うのであります。その点につきましては、勧銀の一般的な指数というものがあると思うのでありまして、それと競馬場との、競馬の特殊な目的でありまするので、その目的を勘案いたしましたところの特殊の倍率、こういうふうに持つて行くより方法がないと、かように考えております。
○江田三郎君 だからそれならここに書いてあるように勧銀の指数を使うのだというようにはつきり……、これははつきりそう書いてあるのですよ。私はあなた方が出された資料に基いて質問しておるのでして、それを参酌するとか何とかいうことじやない。勧銀の指数とはつきりと書いてある。そういうようなことでなしに、そういうことじやないのだということならそれでもよろしい。とにかく一つ資料というものは正確なものを出して頂きたいと思う。それから一体その取得価格云々とずつとありますが、別のあなたのほうから出された総合評価によりますというと、土地なり、立木竹、建物、いろいろなものがありますが、その一番下の「本表の総合評価は、国有財産法施行令第二十三条の規定に基く「国有財産総合評価要領」によつて行つたものであつて、売払又は出資のための評価としては必ずしも適当なものとは言えない。」、この意味は一体何ですか。国有財産の総合評価要領とは全然別なものだということになる。そういうような価格は考えちやいかんというふうに見えますけれども、これは一体どういうことを意味しているのですか。
○政府委員(大坪藤市君) お手許に配付いたしておりまする二十四億かの価格は、只今御意見の通りの価格でありまして、この価格そのままを資本金額といたしまするのには適当ではないと思うのでありまして、この点につきましては、お手許に資料を配付いたしております通りに、評価は時価主義によることにいたしまして、時価の決定につきましては農林大臣が大蔵大臣と協議をして決定をするのでありまするが、その場合には評価の客観性を維持しますために、学識経験のある者の評価を参酌するわけでございます。その場合に学識経験者は大体倍率法と複成価格還元法の二つの方法を取捨選択いたしまして、それを土台といたしまして価格を一応農林大臣並びに大蔵大臣に参考資料として御提出する、それを土台といたしまして両大臣が協議の上決定する、かような考えでおります。
○江田三郎君 そのことは基本方針に書いてあるわけです。その基本方針について細かく質問すると、先のように勧銀の指数なんというものは、実際には競馬場の指数なんというものはないものをただ書いてあるから、僕はこれじや困るじやないかというのですけれども、それとは別問題、国有財産総合評価要領に出て来る数字というものは、なぜ売却又は出資のときに適当なものでないのか、その理由を聞いている。
○政府委員(大坪藤市君) 出資財産につきましては時価によるという建前をとつておりますので、お手許の総合評価のやつは必ずしもこれが時価になつておるというわけには参らんのでありまするから、従つてその総合評価の価格そのものを資本金額として決定するわけには参らん、かように存ずるのであります。
○江田三郎君 これは昭和二十六年の数字ですが、二十九年なら二十九年の数字が出て来ると思うので、現在のやつがやつぱり出て来ると思うのですが、国有財産総合評価要領による数字というものは、これは国の財産の時価を現わすものとしては適当じやないのですか。
○政府委員(大坪藤市君) この点につきましては、一応時価を出しますために国有財産といたしまして総合的な評価をいたすのでありまするが、お手許に提出いたしておりまする資料は相当古いときの、つまり昭和二十六年の末におきまする価格でありまするので、従つて現在の時価を出す、かような恰好になりまするから、その資料そのものをその金額によつて決定して参るわけには参らん、かように存ずるのであります。
○江田三郎君 そうしますと、国有財産総合評価要領によることが悪いというのでなしに、ここに出ているのは二十六年度だからいかん、こう言われるのですね。
○政府委員(大坪藤市君) 只今のお手許の資料は、国有財産の全般について一律に一定の方式による評価の方法でありまして、競馬場等につきましては、これは競馬の目的と関連いたしまして、この国有財産の評価の一律の機械的な方法によりまする評価というものを直ちに採用することが明らかである、かように考えるのでありまして、その評価そのものを出資いたすということについては考えていないわけであります。
○江田三郎君 局長、一つ前後を一貫した御答弁を願いたいと思うのです。先ほどの御答弁で行くと、これは二十六年度だからいかん。そういう意見であつて、国有財産総合評価要領によるということが悪い、ところが今のお答えによると、今度は逆に国有財産総合評価要領によるのが妥当でないということになつて、これは私意地悪を言うのじやありませんけれども、あとで議事録ができたときに正確に一つ読んで御覧なさい、違うのですよ。どちらの答えが本当なんですか。
○政府委員(大坪藤市君) この点につきましては、競馬の本来の性質と関連いたしまして、一律に機械的に適用されるやり方でなしに、競馬場の個々の財産につきまして時価を出して参りたい、かように考えておるわけであります。
○江田三郎君 私がどうも頭が悪いのかも知れませんけれども、どうもよくわかりませんから、別な角度から聞きますが、それではここに書いてある国有財産総合評価要領によつて、これは二十六年度ですけれども、仮に二十九年のものを総合評価要領によつて出して来る。そこに出て来る数字と、あなたが別途財産の評価の基本方針としてやるやり方とどちらが高くなつて、どちらが安くなるのですか。
○政府委員(大坪藤市君) これは現在の競馬の財産と申しまするか、国営競馬特別会計に属している資産は相当厖大でありまして、その内容も極めて複雑なものになつておりまするので、本法によりまして提案いたしましたような方法による評価と、いわゆる総合評価による評価とどちらが大きい金額になるかという点につきましては、これは一概にどちらが多いというようなふうに前以て申上げるというようなふうには参らんじやないか、かように考えております。
○江田三郎君 これは局長さん、畜産局の競馬部の財産でも何でもなく、国民の財産ですよ。そして得てして国有財産というものは、払下というものは疑惑の目で見られるのです。いつでもそういう問題が起きて来るのです。そこで国有財産総合評価要領によつては、競馬場のようなところは一律にこういうやり方で行かれては困るという以上は、その評価要領でやつたら高くなり過ぎるのだとか、或いは安くなり過ぎるのだという一つの根拠があつておつしやつていると思うのです。ところが今のように、いや、これも基本方針に基いてやつて見なければわからん、併しもう法律を出される以上は、一応もつとはつきりとした答ができるまでの用意ができているのじやないかと思います。やつぱり国有財産ですから、国有財産の出資ですから、もう少し評価方法については誰でも納得できるようにはつきりとお示し願いたいと思います。
○政府委員(大坪藤市君) 国の重要な財産でありまするので、全額国で出資をいたす、かような恰好に相成つておるわけでございます。いろいろ本法案を提出する過程におきましては、今までの競馬財産の成立の経過等も考慮いたしまして、内部におきましては、譲与等の意見もあつたのでありまするが、譲与ということになりまするというと、渡し切りということになりまするので、全額政府において出資をする、こういうような恰好に相成つておるわけであります。
○江田三郎君 聞いていることと答と違いますけれども、余り言うと意地が悪いようですから余り言いませんが、そこで学識経験を有する専門家というのは、具体的にどういう人を考えておられますか。
○政府委員(大坪藤市君) 銀行その他土地の売買或いは建物の売買、そういうようなものに特殊の経験と知識を持つておられるかたのことを考えております。
○江田三郎君 土地の売買について特殊な知識というのはブローカーのことですか。
○政府委員(大坪藤市君) 従前よく政府の土地等を売買いたしました場合に、勧銀等の銀行におられまする専門家が、これは大概の銀行等におられるわけでありますが、そういう銀行なんかの評価の専門家という意味でありまして、決していわゆる町にいるブローカーという意味じやありません。
○江田三郎君 これは大体法案というものは、私は一つ基本的には飽くまで質問し、答えてもらつて納得ができるということでないと困ると思うのですよ。日頃懇意だとか、何とかいうこととは別問題です。法案の内容を別にして、何でもかんでも政策的に政治的にきめるということがあつてもならんと思うのです。どうも国有財産の評価の仕方としては、今まで言われた限りでは、私としましては非常に納得しにくい。この国有財産の総合評価要領というものが一方にある、併しながら、それでやることはどうも適当でない、そんならそれより……、それで行くと高過ぎるのか安過ぎるのかいうと、それはやつて見なければわからん、それは誰がやるのだというと、ただ銀行や土地の売買についての専門的知識を持つている者、どうも私は不幸にして銀行や土地の売買の専門的知識を持つているという人を余り知りもしませず、又信用もしていないのですよ。もつとやつぱり学識経験者というものなら違つた人があるのじやないかと思うのです。而もあなたに聞いて見ると、この最後の決定権なり、責任は政府にあるだろう、こう言つても先ほどの勧銀の場合のような、極めてあいまいな何か専門家のほうに任せつ切りの、そこの意見を聞かなければ何もわからんような答えが出て来ている。どうもそういう答えが出て来ている、どうもそういう答えでは私は不十分だと思います。その問題は不十分ということで残しておきます。その次にお尋ねしたいのは、民間の社会福祉事業の振興のための必要な経費に当てなければならん。こういうことですが、民間の社会福祉事業というのは具体的にはどういうことなんですか。世の中には社会福祉という名を以つていろいろ問題を起している怪しげなものもありますから、念のために聞いておきます。
○政府委員(大坪藤市君) 民間の社会福祉事業の振興のために必要なる経費と言いまするのは、社会福祉事業法によります共同募金会などの社会福祉法人に対しまする関係、それから社会福祉事業振興法によりまする社会福祉事業振興会に対しまする関係、これらに対しまする政府の補助金或いは出資金、生活保護法或いは児童福祉法などの規定によりまする民間施設に対しまする補助金、こういうこの三つに出資いたしているわけであります。
○江田三郎君 それは一体どういう経路、どういう手続をとつてお出しになりますか。
○政府委員(大坪藤市君) これは国営競馬といたしましては、本修正によりまして日本中央競馬会から売上ごとに百分の十一を納付いたすわけであります。従いまして、納付いたしました金は政府の一般収入になるわけであります。従いまして、政府といたしましては予算査定と申しますか、支出費目は普通の歳出予算として計上するわけでありまして、結局金額といたしまして、政府が、例えて申しますれば十三億見当の国庫納付金、それに基く収入、これを財源といたしまして、歳出予算に只今申上げました金額を社会福祉関係の経費に振向ける、こういうような恰好になつて参るのであります。
○江田三郎君 そうすると、政府が直接これらの社会福祉事業関係の団体へ出されるわけですか、個々の団体へ出されるわけですか。
○政府委員(大坪藤市君) この出し方の点につきましては、これは厚生省、文部省所管と思いますので、その係官によりまして御説明申上げたほうがいいと思うのでありまするが、政府の予算査定の場合に、共同募金会等でありますれば共同募金会に対しまして政府が何ぼ歳出予算として助成金を出す、或いは児童福祉関係でありますれば、児童福祉関係の民間施設のどの施設に対して幾らの金額の助成金を出すということを、これは予算決定の場合に相手方を特定をする、こういうことに相成ると思うのであります。
○江田三郎君 私よくわかりませんが、民間の社会福祉事業団体というものへ国が直接金を出すということはできるんですか。
○政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、法律によつて規定されておるものについては、例の特殊の憲法上の制限は除外されておるのでありまして、除外されている団体について出すというような恰好に相成るわけであります。この点につきましては詳細は専門のかたがおいでになると思いますので、詳細に説明させます。
○江田三郎君 今日その答えのできる人がおりますか。
○政府委員(大坪藤市君) もう待機いたしておりまするので、只今参ります。
○江田三郎君 それじやその人が来られるまでその次に移ります。附則第三による競馬会の設立委員というのは誰がなるんですか。
○政府委員(大坪藤市君) 設立委員といたしましては、行政官庁の職員、これは大体大蔵省関係、農林省関係が主となると思いまするが、政府関係の職員と、それから学識経験者と、この二つを以て成ると思います。
○江田三郎君 この団体の役員には欠格条項があるわけでして、政府職員はこの団体の役員になれないということですが、そういう役員として欠格条項を持つている者が設立委員になるということは矛盾はございませんか。
○政府委員(大坪藤市君) 設立委員は設立のために必要なる仕事を現実に実行するのでありまして、競馬会の役員になり得る資格を持つているかどうかとはおのずから別問題じやないかと、かように考えているわけであります。
○江田三郎君 それはちよつと私おかしいと思うのですが、設立委員というものは非常に重要な役割をしなければならないのです。それが片方において役員としての欠格条項に該当している者が、設立委員のほうは構わんというのはちよつと合点が行きません。これは一つ委員長にお願い申上げますが、追つて法制局のほうの意見を聞かして頂きたい。どうもその点がちよつと合点が行かない。まあそれはその程度にしておきます。それからその次にもう一つお尋ねしますが、今後こういうような競馬において、場外馬券というものをあなた方どうお考えになつておりますか。これが一体競馬の健全なる発展ということとの関係で基本的な考え方を聞かして頂きたい。
○説明員(井上綱雄君) お答え申上げます。この場外馬券につきましては、いささか沿革がございまして、現在の競馬法ができました当初は入つていなかつたのでございます。その後になりまして、一年くらい経つてからと思いますが、元は場内において馬券の発売ができるとあつた、場内においてという字が議会において削られまして、我々当事者といたしましては、削られた限りにおきましてこれを実行する義務があると考えましたので、当時の大臣の御承認を得て場外馬券を発売することにいたしたのであります。当初はその当時の情勢から申しますと、二十四年、二十五年頃でございますが、甚しく交通が困難でございまして、例えば東京の府中の競馬場へ参りますには、他人に非常に迷惑をかける、又中山も同様でございます。大変電車も混雑する折柄でもございましたので、或る程度の行きたい人の欲望を満足させ、交通機関も混雑いたしますので、そういうことから場内においてということが削られましたことと併せまして、私どもとしては実行いたしたのでありますが、当初は今のように相当な、今一日の売上三千万円くらいも東京市内で売つておりますが、常識的に申上げまして、こういうことにするつもりもなかつたのであります。現在に至りますと、相当な会社、銀行その他に勤めておる人々で、朝楽しみのために買つておいて、夕方それを受取つて帰るというような人の楽しみも非常にあるように考えられておるのであります。併し私ども当事者といたしましては、只今この点に注意しろというふうな御意見のように承わりましたので申上げますが、余りこれは盛んにすべき性質のものではない。特に競馬の本来の性質から申しまして、馬を鑑定しながら馬券を買うということでなければ、先ほど来いろいろ御質問もございましたが、競馬本来の目的を達するのは、やはり馬の改良増殖、延いて又畜産の改良を果すということにあると考えますので、かくのごとき場外馬券を今後ますます盛んにするという考えはございませんのであります。ただ現状は相当な御希望がございますので、その御希望に応える程度にいたしておきたいと考えるのであります。
○委員長(片柳眞吉君) 江田委員に申上げますが、厚生省の社会局の庶務課長が見えております。
○江田三郎君 希望があるからと言つたところで、希望というのはいろいろな人の希望があると思う。それぞれの希望が皆正しい希望じやないと思う。少くとも競馬の健全な発展ということを念願とせられているあなた方としては、どういう希望にも副えばいいというのではなしに、おのずからそこに一定の建前というものがあると思うのでありまして、希望があるから置いとくという程度であなた方の基本的計画は達せられるとお考えになつておりますか、どうですか。
○説明員(井上綱雄君) 言葉が少し足りませんでお叱りをこうむつたことと考えますが、今申上げましたことは希望に副うてという、どこまでも希望に副うてやるという意味ではございませんので、大変な御希望がありましたので、或る限度にとどめてやつて行きたいと思うわけでございます。従いまして、現状三千万円程度の売上をいたしておりますが、これを五千万にしろ、六千万にしろということは積極的に計画すべきことでないと考えておるわけであります。
○江田三郎君 社会局のほうからお見えになりましたから……、先ほどちよつと畜産局長に聞いたのですが、この民間の福祉事業団体の振興のために必要な経費に当てるというのは、具体的にはどういう手続をとつて実施されることになるのか、それをお教え願いたいと存じます。
○説明員(熊崎正夫君) 厚生省の社会局の庶務課長でございます。社会事業振興のために、社会福祉事業の上に必要な、民間社会事業の振興のために必要な経費を計上するというようなことに相成りますると、毎年度々々々の一般会計予算の予算折衝の過程におきまして、大蔵省と個々的な話をいたしまして、民間社会事業振興のためにこれこれの経費ということで予算編成の際に考慮されるというふうに私どもは了解いたしておるわけでございます。
○江田三郎君 それでそういう予算を組んでおのおのの民間の社会福祉事業の団体へ出されると、こういうことなんですか。
○説明員(熊崎正夫君) 民間社会事業につきましての現在の厚生省の各法律でやつております仕事としましては、御承知と存じますが、法律が現在社会福祉事業法、それから生活保護法、それから児童福祉法、それから昨年成立いたしました社会福祉事業振興会法という、この四つの法律に基きまして民間社会事業のために公の金を支出する途が開かれておるわけでございます。従いまして、その法律によりまして一応予算の枠内で民間社会事業のためにこれだけの経費が支出できるということになりますると、予算執行の過程におきまして、各民間施設にこれこれの金額を振興のために出す、こういうことに相成ろうと思います。
○江田三郎君 私一つあなた方の根本的な基本理念というものをお尋ねしたいのですが、この間何ですか、ハイアライとかいうのがありましたが、この今競馬というのでもいろいろありまして、場外馬券等も行われており、ここでは馬も見ないで、新聞の予想や何かを見て馬券を買つて勝つたり負けたりするのですが、そういうようなところからも出て来る金を民間の社会福祉事業に使われるということは、もう少し突進んで行けば、ハイアライ法あたりと非常に似て来るのですが、そういう点はどういう工合にお考えになつていますか。
○説明員(熊崎正夫君) 御意見につきましては、私どもの従来の考え方といたしましては、いろいろと問題があろうということは考えておつたのでございまするが、特に競馬のことにつきましては、只今先生から御説明のありましたこれまでの世上で問題になりました性質のものと多少違つたような、これまでのいきさつをお汲取り頂きたいと存ずるのでありますが、社会福祉関係の我が国におきまする一番先鞭を付けました法律といたしまして、救護法というものが昭和四年に成立をいたしましたことがあるのであります。これは只今総合的に救済立法ということで行われております生活保護法の前身というふうに申しても差支えない法律でございますが、昭和四年に救護法が成立をいたしましたときに、やはり財源支出につきまして非常に困難を当時の政府としては感じまして、財源がないということで、昭和四年に法律が施行になつたにもかかわらず、これが成立を見たにもかかわらず、これが施行を延期されておつたいきさつがあつたのであります。それをどうしてもこの救護法を速かに施行しなければならないということで、その財源を結局当時の競馬の売上金で以て救護法の財源を賄おうというふうなことによりまして、大体当時の金といたしまして五十万円程度の金額を計上いたしたいきさつがあるのであります。その後ずつとやはり競馬のほうの売上金で以て救護法の施行費も或る程度賄われて来たといういきさつがございまして、そういうような歴史的な経過にも鑑みまして、この競馬の売上金を社会福祉関係の仕事に使うということは、我々としましては、その他のいわゆる射倖心をそそるような性質のものとは多少違うのではなかろうかというふうに考えておりましたし、戦後におきましても、民間社会事業振興のために非常に民間の業態としましては困却をいたしまして、共同募金あたりを通じまして、辛うじてつらい台所を賄つて来たのでありまして、その間各民間の社会業態におきましても、せめて競馬の売上金くらいは廻して頂いてもよろしいのではないかという御意見をあらゆる席上におきまして論ぜられたのでありまして、これにつきましては、厚生省としましてもいろいろと御批判はございましようけれども、現在の民間社会事業の不況を察しますと、その程度のことは一つお願いして頂いてもいいのじやないかというふうに考えておる次第でございます。
○江田三郎君 あなたが厚生大臣でないのですから、余り議論してもいけませんけれども、この競馬というのでも、私のみるところでは競馬の性格というものはだんだん変つて来ていると思うのです。軍馬というものがあつたときの競馬と現存の競馬とは違つておるし、まして競馬で場外馬券というような、あの姿を見るときに、私は競馬々々というてもその内容というものは相当変つて来ておる、それでも構わん、どこからでも金をもらえればいいというのならば、先ほど申しましたハイアライ、そういうあたりと余り選ぶところのない、五十歩百歩であろうと思います。これはまああなたが政府の責任者でありませんから、この程度にしておきます。清澤君から質問があるようですから、私厚生省から見えてから……。
○清澤俊英君 先ほどお伺いしておきましたのは、今の江田君の質問にも関連していると思いますが、大体競馬という仕事は根本においてスポーツなのか、賭博なのかというのです。賭博じやないというようなさつきお話がありましたが、私は賭博を前提としている競技だと、こう考えているのですが。
○政府委員(大坪藤市君) 競馬につきましては、競馬の目的は競馬をやることが目的なのであります。競馬をやりますのは要するに優秀な馬をそれによつて見出すということでありますので、競馬をやることが目的であるのでありまして、いわゆる馬券を発売すると申しまするのは、競馬に伴うて副次的に、(「どつちかわからんね」と呼ぶ者あり)理論的に申上げますれば副次的に発行する富くじ的な行為、併しこれは飽くまで競馬を施行しまする場合に馬券を発売するということで、競馬そのものの本質的な目的は馬を競走させることによりまして優秀な馬を産出して行く、こういうことが目的であるわけであります。
○清澤俊英君 それでは何ですか、馬券がなくても競馬は発達して行きますか。
○政府委員(大坪藤市君) 馬券を伴いませんと競馬というものを、いわゆる普遍的に施行いたしまして、優秀な馬を見出すということそのものが不可能になる虞れがありますので、馬券というものを発売いたしまして競馬を施行する、こういう恰好になつて参ると思うのであります。
○清澤俊英君 結局ですね、競馬々々というけれども、競馬という、馬を見るというよりはむしろ最近では馬券というものが中心になつているのじやないですか。今も江田君が指摘するように、馬なども見ない、跳ぶことも見ないのだ、新潟で馬券を買つているようですが、馬券を買うことが主であつて馬の競争は従じやないのですか。
○政府委員(大坪藤市君) その点は数多くある競馬に関しまするかたの中には、或いはそういう場合もあるかと存ずるのであります。競馬の目的その他につきましてはいろいろ御議論があろうかと思うのでありまするが、これらにつきましては、現在政府で直接やつておりますのも、只今の御議論のように、いろいろと競馬につきましては人によりまして考え方その他非常に異なつておりまするし、国自身で現存のような形で競馬を施行しておりまするのは如何かと、かように存じまして、今回は中央競馬会をしてこれをやらしめる。国自身はいろいろ御議論の点もありまするので、この際は民間の特殊法人にやらせたほうがよかろう、こういうふうな恰好で御提案をいたしておるのでありまして、そのものにつきましては、いろいろと御意見の通り御議論があろうと思うのであります。
○松浦定義君 今場外馬券の問題で御意見があつたのですが、これは先ほど御説明のあつた現在三千万くらいというのですが、それを五千万、六千万にしたくはないというのですが、やつぱりこれは制限しているのですか、何かで……。今三千万とか、それ以上に売らんとか、何とか制限しているのですか。
○説明員(井上綱雄君) お答え申上げます。この場外馬券を売つておりまする場所は、御案内の通り銀座とか、新橋とか、池袋とか、繁華なところでございます。そういうところで、勿論御希望があるからそういうことにいたしたのでございますが、施設の関係その他は大体交通会社でございますとか、或いはデパートでございますとか、そういつたような我々といたしましては極く低廉な家賃で貸りられるところ、又はなぜ低廉であるかと申しますると、交通会社とか、デパートとかいうところは、そういうものをやりますにつきまして利益を得ておるわけでございますので、貸します賃金は安くて相互依存の関係になることを前提といたしまして、これが個人の権利に帰属するようなことは極力避けまして、短期の契約をいたしております。又制限と仰せになりまする点は、例えば施設を二倍にする、三倍、五倍にするとしますれば、我々といたしましては、これは直ちに相当手広く売れて行くことになろうと考えますが、そういう点を考えまして、まあいろいろな要求もございますけれども、施設の改善等につきましては極めて消極的な態度をとつておるわけであります。又借りる施設等も、先ず現在のところそうむやみに大きくするつもりもございませんので、そこらの辺で制約があると申上げたいのであります。
○松浦定義君 それはやはり場所によつて経費がかかるから、現在のような形で行けば多くならない。併し何ぼそういう場所が制限されておりましても、額においては幾らでも買い得るわけですから、そうしますと、非常に競馬狂というふうなものが出て参りまして、そういうものが多くなりましたときには、やはり三千万のものを四千万、五千万も現在の額が殖えることによつて、これを今のようなお話では抑制できないと思うが、そういう点はそれでいいのですか。
○説明員(井上綱雄君) お答え申上げます。只今のところ入場者一人当りの平均をとつてみますと、大体四千円前後、これは場外馬券につきましては著しく少くなつておりまして、尤もこのほうは入場者の数がはつきりいたしません、その半額以下であろうと考えます。今御意見の通り、これが一人一万円或いは二万円と買うものがなきにしもあらずでございますけれども、大体は競馬場に行かれる人が、その日の都合により或いは土曜日等は特にそうでありますが、傾向を見ますと、土曜日のほうが多いのでありますが、行きたいけれども事務の都合で行けないか、極くそういうことの好きな人が若干そこに集まるといつたような状態が現われているわけであります。これは御心配になりますようなことがありますれば、これは直ちに二倍、三倍になるでございましようが、すでに始めましてから四年間になるわけでございますが、傾向を見ておりますと、場外の一人当りの平均は殖えておりません。且つ又私どもとしまして或る程度の心得を以て、市内におきまして競馬場風景が出ることは適当でないと思いますので、近い将来におきまして、例えば外から見えないような工合に制限をした建物の中でやつたほうがよかろうというような意見もございまするし、できますならば、私どももそういたしたいと考えております。そういうふうな努力もいたしているわけでございます。従いまして、私どもといたしましては極めて消極的でありますので、次の団体ができましても、農林省といたしましてはさような指導方針をとつて参りたいと考えております。
○松浦定義君 これは私は全然考え方が違うと思うのです。それは今お話を聞きますると、場内馬券は四千円、場外馬券は非常に少いのであるから、その意味から言つても云々というお話でありますが、場内馬券はこれは遠距離でも何でも高級自動車で乗りつけて来るような人が多い。そういう人だから、昨日は一万円すつた、今日は二万円すつたということもあるのです。場外馬券の人は本当に百円か、或いは二百円くらいしか買わない。そのことによつて大部分が自分の何と言いますか、趣味的なものを満たそうという、こういう考えを持つた大衆のために私はあるべきだと思うのです。そういう意味から考えますと、これを私は制限するというような半面も一面ありますけれども、むしろそういう意味から行きますと、私はあまり制限をするということは、本法がそういう利潤を、先ほど話がありましたように、社名保障に転化しようというような意図があるならば、やはり大衆の中から、高級車に乗つて行けないもののためには、そうした場外馬券というのは、むしろ先ほどのお話であつたならば殖やすべきであるといつたような感じを持つわけです。そういうことについて私はもう少しお考え願いたいのと、それから何ですか、今この場外馬券というようなものは、先ほどお話になりましたように、どこをどう走つたかわからないものを見ておつて、それを買うということは、先ほど江田さんが言われたように、他の競技法と何ら変りがないものであるというような御指摘があつたのですが、今私はそういうことでなしにもできる方法がある。例えばそういう場合にはテレビなんか備え付けてあるのですか、どうですか。
○説明員(井上綱雄君) 只今テレビは備え付けておりません。ただ新橋で、向うの借りております新橋興業がやつておられるということを承わつております。私まだ見ておりません。ただこれは現状ではテレビを附けたそのことが非常に交通事故を起すくらい人だかりがいたします。それから場所柄ちよつと狭いものでございますから、テレビを附けるというようなことは今考えておりませんが、先ほど江田委員からお話のございました点、私のほうは必ずしもそうでないということは抗弁するつもりじやございませんが、そういう見解を持つておりますのは大体場内に行く人で、その日の都合で行かれない人が大半ではないか、御指摘のように風体の悪い、本当に競馬場なんかには行つたこともない人も或る程度混つておるようには思いますけれども、場外馬券に来る人の過半数以上は少くとも会社銀行に勤める人でございます。当日の番号を見れば、この馬はどのくらいのところに来るだろう、或いはそれらの事情に明るい人が当日の事情で行かれないというのが主な原因じやないかと思います。その成績を見ますと、自然土曜日が日曜日よりも売上が多いのでございます。これらの点を見ますと、土曜日は勤めがあつて行かれない、日曜日はその人は行くのだけれども……、というようなことで、まあ土曜日に買われるのではないか、まあ詳しいことはわかりませんが、そういうふうに想定いたしておる次第でございます。
○松浦定義君 これは土曜日や日曜日に多いことははつきりしておるので、これは高級車で乗り付けるような、月曜日や火曜日にでも乗り付けるような人だつたら大変だと思います。でありますから、これは土曜から日曜にかけて多いということは必ずしも場内馬券を買う人ばかりではない。これはやはり場外馬券を買うという、そこでよりしか買えないという人が多いということであつて、今の御指摘のようなことが、それは全然ないというふうには考えませんが、多数であると考える。私は馬のことは何ぼかわかつておつても、そういう券を買うことは全然わからないのだから内容はわかりませんが……。それから先ほどお話があつたように、テレビを備え付けることによつて非常に交通妨害を起す、私はそんなことはどんな方法でもあると思うのです。そういう意味合から私は今後これがやはり中央に移管された場合に、そういうことを契機として、何かそのくらいの施設くらいはこの大きな資本の中から見て、そうして十分大衆のためにも、そういう行けない人のためにも間違いない競走の過程が十分わかり得るようにしてやるというような温い程度のことは私はおやりになつてもいいと思うのですが、全然そういうことは、今度の法案通過に対しましてそういう考え方は従来通り何らできないと、施設の点とか、或いは経費の点等でできないというお考えか、そういうことが、まあ希望がなければ別ですが、希望があつた場合にはやつてもいいというお考えか、この点伺いたい思います。
○説明員(井上綱雄君) 先ほど申上げましたように、外から見まして人だかりがしているという風景が好ましくないと申上げたわけでございます。これはベルリンで私も見た経験がございます。又パリでもそういうことがございます。大きなデパートの下あたりのまあ地下、第一階のようなところに馬券ホールができておりまして、コーヒーを飲ましたり、酒を飲ましたりするところを附設してそこで馬券を売つておる。外から見たところでは一向わからないというのが本当は望ましい姿ではないか。例えば銀座通りで街頭に人が溢れておつて馬券を買つておるということは私どもといたしまして決していい風景ではない。これらにつきましては相当反省すべきものがある。こういうように考えておるので率直に気持だけ申上げます。併しながら、今後におきまして成るべく外から見えないように完全な設備をいたしまして、且つ又お話のように相当これを楽しむ人もあり得ると思うので、やる以上は相当の売上の増大ということでなくて、来た人にはいい感情を与えるように持つて行くことはよかろうと考えております。
○清澤俊英君 それでですね、私は何も下らんことで、賭博が先か、スポーツ的な競技が先かということを先ず明らかに知りたいということは、私自身が考えますところは、勿論競技は中心としてやりますが、今の競馬なる観念を、私はやつておりませんよ、競馬というものは自分では一つもして見ない。見ないで第三者的な立場で競馬というものを見ますとき、これは馬券を中心とした、それが中心で動いておる。従つて賭博的なものがより多く取上げられておる一つの競技体だと、こう私は見ておる。だからその点を一つ明らかにするために、どこまでもこれは健全な競技体をなしたスポーツ的なものである。こういうお考えになつておるのか、それとも私の申上げます通り賭博が先決した一つの競技体である。こういうふうに考えておられるか。この中心の取り方によつて非常にものの解釈が違つて来ると思いますので、だが併し、それだからといつてこれをあながち、私ははつきり言つておきますが、否定しようということで、そういうことを言つておるのではないから、それを心配なしに御返事を願いたいと思う。
○政府委員(大坪藤市君) 現在の状態におきましては、表面に大きく、馬券の発売というものが出ておりまするので、只今の御意見のようなことに関連させることも往々にしてありますが、少くとも競馬の歴史的な発展過程と申しましようか、経緯から申しまして、競馬は飽くまで馬を走らせて、競走してみるということがその出発点をなしておるのであります。ただそういうふうに能力を競いまする場合に、往々これはほかの競技におきましても見られることでありますが、それに賭けごとをする、こういうことが伴うて参りまして、これが廻り廻りまして賭けごとをすることによりまして競走そのものも発展をして参る。こういう循環論法と申しますか、そういうような形で発展をいたしておりますが、発展の経緯からいたしまして、これは日本ばかりでなしに、各国において行われております競馬におきましても、当初のスタートはこれは飽くまで競馬、馬を競走せしめ、そしてその能力を競うということが、これが根本であるわけであります。
○清澤俊英君 それだとしますとね、こういうことが考えられるようになると思うのです。而してそういう目的を以て或いは発達したかも知れない。或いは昔、大昔には馬に乗つて戦争したりすることが第一の武器であつた時代には、その競技を争つた時代もありましようが、或いはそういうようなことからだんだんと技術を争うというような、寛永三馬術というような愛宕山において開いたようなことをやつたこともありましようし、いろいろ過程を経て来たか知りませんが、現在における実情としては大体大衆の射倖心と言いますか、あなたの言われるを中心とした、賭博を中心にでき上つておるのが競馬の本体ではないかと思われる。そうしますと、初めの過程はよかつたかも知れませんが、現段階におきましては、そういう一つの、先ほど中澤君も言つておつた一つの社会悪と思います。賭博的な社会悪と思います。だがその社会悪とは見るが、併しそれはそれとして、まあこういうようなそこに非常にごまかしたものがあります。社会悪だからして皆必ずこれはなくせというようなわけにも行かないものもありましよう、併しこれは社会悪であつて、これから先将来は弊害のあるものだということがはつきりして来るならば、これを運行して行く過程おいて、だんだん社会善に帰す方法も考えられなければならない。それをどこまでもこれは馬の資質の改良をするのだと、こういうような議論で行きますと、これは大変な問題になる。場合によりましては、又これに補助金を出してやらなければならないという時代も来るかも知れない。敗戦前におきましても、成るほど日本の国の馬質改良、さつきあなたが言われておる通りにGHQに阻止せられた。日本の競馬なんというものは軍の促進であつたというような、阻止せられるほどのこれは有効性を持つていたわけでありますが、そういう改良も要らない。果してこの競馬をやつて、農馬を改良せられるか、せられないかというようなことは、私はあなた方と違いますから、わかりませんが、競馬をやつたからと言つて、馬の改良をすることが、どれほど多くやれるかということは、ちよつと私はやはり素人でありますが、疑いがあると思う。だんだん馬を農民がみずから飼わなくなつて来たところを見ると、どうもおかしい。そうなると奢侈的な面で残される馬の改良というものは、ほんの競馬をする、馬券を射倖的に取扱うその事業のために大きな一つの改良が企てられる。それだけのものが残るのじやないかと思うのです。そういうようなものでありますならば、将来において又考えるところが非常にあると思いますので、ただお伺いしたいことは、率直にこれは競馬というものの賭博行為が今現出しているのだと、私は思うのであります。どこまでもそういうものは自由であつて、馬の質の改良のために競馬は必要だと、こういう御議論だというと、もう少し続けて行かなければならないと、こう思うのですが。
○政府委員(大坪藤市君) 競馬に関しましては、本法第一条にも規定いたしてありまする通り、馬の改良増殖その他一般の畜産振興のために競馬を実行するのでありまして、競馬の真の目的は、馬の資質改良をその眼目といたしておりまするが、付随的に競馬を施行いたしまする場合に、いわゆる馬券というものを発売すると、こういう恰好になつておりまして、それは飽くまで先ほど申しましたような因果の関係になつておりまして、逆の因果の関係にはなつていない、こういうように私は考えるのであります。
○清澤俊英君 まあ幾ら言うても、もうきりがないと思うから、その点はやめますが、本当にあの馬の改良をするには、競馬をやらなければできないのですか、この競馬をやることによつてどういう改良が大体できるのですか、具体的に……。
○政府委員(大坪藤市君) これは先ほども申上げました通り、優秀な馬を選定いたしまして、それによつて馬の改良増殖を図つて参るわけであります。ただ出走いたしまする馬の種類といたしましては、先ほど申上げました競走馬の種類によりまして多少異なつて参るわけでありますが、ともかくといたしまして、馬の競走によりまして、優秀な馬を選出いたしまして、それを基礎馬として改良増殖を図つて参るわけであります。なお詳細につきましては競馬部長によつて御説明申上げます。
○説明員(井上綱雄君) この点につきましては、競馬の沿革的な問題と現状とを混同しないようにお話し申上げたいと考えます。只今仰せになりましたことは、我々といたしましても甚だ苦しい答弁をいたしているようで、心中甚だ忸怩たるものがあるわけでございますが、併しながら、全然競馬の存在は馬の改良に縁がない。或いはむしろ積極的に害があると、こういうお話をなさるかたもあるのでありますが、これもやはり行き過ぎではないかと思うのであります。私実はこのお席で申上げて甚だあれでありますが、役所に入りまして以来、三十年近く馬のことばかりやつて参つたのであります。それで確信を以て申上げますが、戦前までは軍馬の改良、軍馬の改良いうことでございました。そうしてその競馬は軍馬の改良に役立つているもののごとく取沙汰されておりましたが、実はやつて見ましても、軍馬の改良ということと競馬とはどれほどの関係があつたかと申しますと、これも甚だしく稀薄であつたわけであります。我々といたしましては、今日この議場において汗をかいていると同じようなことを、その当時においても申上げておつたわけであります。正直に申しまして、競争馬が軍の必要とする馬の改良に一体どのくらい役立つたかと申しますと、一年に二頭か、三頭であります。当時種馬の買上などでも四千頭くらいおつたのでありますが、そのうちで僅かに数頭だけがこの競争馬に関係のある馬であつたわけでありまして、大体日本の軍馬は、次第に山砲駄馬といつたような重い型のものが必要になつて参りまして、戦争の始まる前には、乗馬といつたようなものは次第に影を消しまして、主に駄馬になつて参りましたので、だんだん競走馬の関係とは離れて参つたのであります。併しながら、然らばこの駄馬の関係はどうかと申しますと、やはりこの馬と申しますものは、牛と違う点は、機動性のあるということ、又それに持久力があるということ、そういうことでなければならんのでありますが、この競争によりまして、激しい能力鍛練をやり、且つ又その鍛練の結果、検定をいたしますと、優秀なる馬の能力というものを若干これに付与するということは、どうしても軍馬といつたようなことを考えますれば必要であつたのでありまして、決して世上、統計的な数字だけを以て無用であるという説をなす人もあつたわけでございますが、必ずしもそうではなかつたのでありまして、この点はその後この戦争に突入いたしましてから、北海道等の重種或いはそれに類するようなものが特に満洲方面にどんどん送られました。又それが役に立つというようなことから当時の軍の非常な強要によりまして、一遍にこの内地の馬の方針が変りまして、重種の血液だけが尊重される時代があつたわけであります。そういたしまして戦争が終りましたけれども、その要望と申しますか、日本の軍馬の改良に基く種馬の要望は今日もなお尾を引いておるわけでございまして、従来産業並びに国防上必要であるということで三十年来やつて来た馬の方針は、軍馬改良方針は、主に国防上の必要のみから論ぜられましたために、ややもすれば農馬のほうがおろそかになり……。
○委員長(片柳眞吉君) 成るべく簡潔に願います、本会議がございますから……。
○説明員(井上綱雄君) 農馬としては重くて体が大きくて、そういうような軽くて丁度手頃なものは姿を消して、影を消して行つたような状態でございます。私どもといたしましては、この軽種のアラブ系統の馬或いはサラブレツドの若干のものはこの農馬の改良方針を或る程度是正し得るもの、全然必要がないものとは私は考えておりませんし、又これを活用して従来の技術的な誤まりを修正する必要もあろうかと考えておる次第であります。大変、長くなりまして……。
○委員長(片柳眞吉君) それでは、なお競馬部長から更に詳しく説明をいたすことにいたしまして、暫時休憩いたします。 午後八時九分休憩 〔休憩後開会に至らなかつた。〕