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19回国会参議院1954/11/11

農林委員会 閉会後第18号

発言数
149
登壇者
15
会派数
6
開催日
1954/11/11

会議録

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。  最初に、飲用乳の処理基準改正の件を議題にいたします。本件はかねて問題になつておるのでありまして、去る十月十九日の委員会において厚生省楠本環境衛生部長から、当委員会からの申入れを尊重して、十月中に関係省令の改正を行うことにいたしたい旨の発言がありました。同日更に文書を以て楠本部長宛て、本件につきましては当委員会の審議の経過に鑑みて、改正草案内定の上は事前に当方に内示説明せられたい旨申入れ、続いて草葉厚生大臣及び楠本部長に面接して声処方を申入れておきました。ところがその後になつても実現を見るに至らず、而も厚生省において検討中の考え方は、当委員会の所期するところとは相違しているようでありましたので、去る十一月二日、緊急打合会を開いて、重ねて厚生省当局の善処を求め、その結果に基いて次のように再度の申入をいたした次第であります。  即ち、   飲用牛乳処理基準改訂に関する申   入   この件について、去る九月二十二  日附当委員会の申入に対し未だ正式  に回答を得ていない。而してなお当  委員会における貴省環境衛生部長の  説明によれば、目下貴省事務当局に  おいて検討せられているところは我  我の意図とは大分相違しているよう  であるが、当委員会における審議の  経過に鑑み再考の上、速かに厚生省  令第五十二号の改正によつて、左記  事項を実現せられたい。  右申入する。  一、市乳等の殺菌処理は低温殺菌を   偏重するがごとき取扱いを廃止   し、高温殺菌の一般的適用を認   め、低温、高温いずれにても差支   なきこととすること。    なお、高温殺菌後短時間に飲用   する場合のごとく短時間保存につ   いては冷却保存を要しないことと   すること。    又、高温殺菌の場合は自記温度   計の使用を要しないこととするこ   と。  二、集団消費(学校給食に限らず一   般的に)する場合における牛乳及   び脱脂乳等の製造に当つては小分   及び密栓等の措置を要しないこと   とすること。    なお処理施設も、消費者が煮沸   消毒を行い得る簡易なもので差支   えないこととする。  三、集団消費その他特定の場合にお   いては販売容器の制限を緩和し、   輸送罐等のままでも差支ないこと   とすること。  四、右のほか厚生省令第五十二号に   は成分規格その他の事項について   も国情の現況からみて適当を欠く   と認められるものがあるから、こ   れらの点もこれを緩和すること。  五、省令改正草案作成の上は事前に   当委員会に内示説明せられたい。  というのであります。  本日はこの問題について右の申入に対し厚生省の方針を伺い、協議をお願いすることにいたしたいと存じます。つきましては、先ず厚生省のその後の情勢について御報告を求めることにいたします。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) お答えを申上げますが、かねて当委員会からいろいろ御意見が出ております。私どもといたしましては、只今委員長から御説明になりました成分規格の緩和というようなことにつきましても、率直に御意見を尊重いたしまして、先日来御説明を申上げた次第であります。又一方集団消費、特に最近の乳の生産状況等から見まして、学校給食に牛乳を使いますことは極めて適切な措置と考えまして、これが小分け、密栓等の措置を要しないこと並びに表示の義務を要しないこと等の措置をとることの御説明を申上げてあります。更に低温殺菌、高温殺菌の問題につきましても、農村部におきましては、高温殺菌並びに低温殺菌を並列的に取扱う方針を先日来申上げておるわけでございます。ただ先日も申上げましたように、全国一律に低温、高温の二本建にいたしますことは、それによりまして、都市の牛乳の消費価格が下るとか、或いはそれによりまして、更に農村の余剰乳が利用せられるというような見通しが立ちません。のみならず、都市におきましては大量生産でありますので、これは低温殺菌が当然実施せられるものと考えておりますので、かようなことをいろいろ考えまして、いろいろの御覧はありまするが、一応かような考え方を持つておるわけでございます。併したびたび御意見或いはお申入等を頂きまして、甚だ恐縮をいたしておりますが、併し他にもいろいろ意見の多いものでもありますし、私どもといたしましては、現実に即してこの問題を処理いたしたい考え方で進んでおります。  以上お答えいたしたわけでございます。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 只今の報告に関連しまして、質疑がありますれば御発言をお願いいたします。

岸良一緑風会

○岸良一君 今御報告を聞くと、少くも進展していないし、考え方もこつちで考えていたようなものになつておらない。楠本さんとここで如何に論議してもこれ以上進展しないだろうと思う。むしろ両大臣に来てもらい、意見を聞いて、そうして政府の方針をきめてもらうというようなことのほうが早いんじやないか。勿論厚生省でお考えになつていることを、農林省でも自分のところの増産、酪農振興或いは市乳の増産をするという点から見て差支えないということであれば、これは又別な考えでありますけれども、農林省のほうがそれじや困るのだということであれば、これはやはり厚生省も考えなければいかん。迷惑するのは生産者だけであるというようなことではいけないと思う。楠本さんのお話を聞いていると、楠本さんの立場では或いはそういうことに行かないかも知れません。どうですか、これ以上続けて結論が出るのでしようか。この点非常に疑うのです。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 只今岸委員の御発言のような関連もありましたので、今日の委員会には当面の主務大臣であります草薬厚生大臣の出席を求めておつたのでありますが、たまたま母子福祉大会ですか、というような別途の会合がございまして、大臣として出席しなければならんというような必要のために出席を得ることができませんで、この点は非常に遺憾に存じております。今後の取扱いにつきまして、そういうような観点から、審議を生産、消費両関係大臣の出席を求めた上で進めるということにいたしますることも、これ又結論を得まするために、目下の情勢から考えますれば必要なことであると思いますが、まあ楠本部長に対しまして、更に御質疑がございますれば継続願いまして、今、岸委員の御発言のようなことで、もう最終段階に来ておりまするので、最高責任者に出席を得てということでありますれば、その機会を作るようにいたしたいと思いますが。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 ほかに若し御質問するかたがなければ、ちよつと簡単に質問したいのですが、よろしうございましようか。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) どうぞ。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 今のことに関連して来るのですけれども、何と言いますか、農家と、例えば森永とかいつた両当事者間の牛乳の売買ということに関する契約書というものを文書で取交されるものですか。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) 従前におきましては、そういうような文書を以て契約をはつきり締結するというような事例は少かつたのではないかと思うのであります。併しこれはいろいろ不明朗な取引の原因にもなりますので、先般御審議を願いました酪農振興法によりまして、協同組合等を中心といたしまして、はつきりした文書契約を以て取引をする、こういうふうに指導と申しますか、法律の、これは強行規定では、罰則のついた規定ではありませんが、そういうようなことを進めて行く趣旨に切替ええておるわけでございます。で、今後は文書契約を以て締結される、こういうふうに考えております。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 その文書による契約の期間というものがあるのですか。なお或る期間内の乳価がきめられれば、その期間が経過したその後における乳価と、それから期間経過後における取引関係というものはどういうことになるのですか。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) これはいわゆる文書契約によりまする場合に、その期間を何カ月にするかという問題になつて来ると思うわけであります。普通の場合でありますというと、例えば六カ月なら六カ月という期間をとりまして締結をしまして、その後は勿論経済上の事情が非常に著しい変更を来たしました場合におきましては、その契約を更改をするという問題になると思いますが、普通の場合にはそれを更新をするというような恰好になつているのじやないか、かように考えております。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 そうしますと、乳価が変動をした場合に、高ければ売るほうがよろしい。安ければ買うほうがよろしいというような工合で、一定期間の経過後において乳価の変動を見たときに、両当事者間にその契約というものは続いているのですか、一遍消滅して、そうして新たに更新するという約束がなければ契約が続かないのでありますか、それはどつちなんですか。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) 契約でありますから、例えば六カ月間なら六カ月間という契約を締結いたしますれば、その契約は当然六カ月というものはその状態において取引をされるということになると思いますが、経済上の著しい変更が起きて来ました場合におきましては、契約そのものを両当事者間の話合によりまして変更するという問題が起きて来ると思います。且つそういう場合に紛争を起すような事態が起きて来ました場合には、これはいわゆる調停委員というものを両方から、或いは一方から知事に対しまして申入をいたしまして、調停委員の調停にするというような問題が起きると思いますが、それはいずれいわゆる契約の内容と経済事情の変更と申しますか、状態の変化によりまして、いろいろその場合場合によりまして違つて来るんじやないか、かように考えております。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 非常に細かくなつていて、その都度の御返事を得るのが相当だと思いますか、今のお答えでは非常に政治的であつて、法律的でないので、少し納得しがたいのですが、繰返しこれはここで述べられておりますように、牛乳は腐敗しやすいもので、値段が折合わなければ買うほうは買わない、そういう買主の権限は強く存在しているのかということなんです。もう少しむずかしく言えば、調停が入るという場合は乳価だけだ。併し売買契約は依然として継続しているのだということになつているのか、一定の期間が過ぎればもう売買契約もなくなつてしまうし、乳価も無論取りきめもできないという状態になつてしまうのかどうかということです。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) 只今の御意見のように、牛乳は御承知の通り毎日毎日これを受渡しするわけでありますから、いやしくも製造業者のほうがそれを拒否するというような事態は絶対に避けなくちやならん、かように考えるわけであります。ただ往々いわゆる取引の実情といたしまして、牛乳の足らないときには高く買う相手方のほうに持つて参りまして、そうして余つたときに初めて持つて来る、こういうような事態がありました場合に拒否するというような事例か起きて来るんじやないかと思いますが、そうじやなしに、少くとも常時取引をいたしておりまする場合におざましては、いわゆる受乳の拒否というようなことは絶対にしちやならんということを私どもといたしましては強く指導をいたしておるわけであります。価格の問題につきましては、これは一番紛争の主なる原因になると思うのでありまするが、これにつきましては、いわゆる一応牛乳をとつた上で値段の問題についてはあとで相談する、こういうことに持つて行かなくちやならん、かように考えるのであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 今の答弁は非常に政治的であつて、法律的でないので、牛乳に限つて牛乳の腐敗性から来る特殊性から両当事者間の契約というものが単なる自由契約では駄目なので、そこに何らかの介入、まあ強制力を持たなければ農民のほうは救われないというふうに考えるべきではないのかというのですが、それに対してお考えはどうですか。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) 実際上の問題といたしましては、只今の御意見の通り強制力と申しまするか、必ず牛乳は受取る、こういういわゆる態勢の下にやるべきものじやないか、かように考えております。ただ法律の規定或いけ強行的に権力を以てそういうことをやるかどうかという問題につきましては、これはいろいろ研究を要すべき問題かと思いまするが、実際の取引のふれといたしましては、そういう精神を以て当るのが当然ではないかと考えております。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 今の答弁ではやはり依然として政治的であつて法律的でないので、無論性質上弱い立場にある農民は救われないと思うのですが、現在拒否しておるという事例はないのですか、あるのですか。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) 拒否しまして、どうにも牛乳の始末のしようがなかつたというような事例は、現在のところ私どもといたしましてそういう話は聞いておりません。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 私の耳にしたところによると、栃木県の那須村でそういう乳価じや受託できないのだと言つて争いが生じて、約二十石ほど宙に迷つておるというような事実があるというのですが、そういうことは御承知ないですか。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) そういうようなお話でありましたので、県を通じましていろいろ調べてみたのでありますが、現実に拒否をいたしたという事例は聞いておりません。ただ今まで取引のなかつた所に新らしく取引を開始しようとして、併しながら、新らしく取引を今開始しようといたしましても、自分のはうは牛乳は必ずしも必要でないから新らしい取引はお断わり申上げますというような話は一、二あつたように聞いておりますが、従来から取引があつて、而もその上値段が折合わないから取引を拒否して、現実にその牛乳の処分に困つたという話は私ども現在まで調査いたしましたところではないようであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 只今私の申上げたような例は、ただ単に栃木県ばかりでなく群馬県にもある、それからなお埼玉県にも存在する、そういうことの事実は大きな協同組合ですか、そういつた方面はよく承知しておるはずなんで、あなたのほうだつて当然これは知つておらなければならんはずなんです。そのように受乳を拒絶しておる、例えば森永だとか、その他の会社、そういつた方面で拒絶しておる。その理由を私が聞いて来たことなんですが、これをここで申上げますと、県経済連の共販に応ずるようなことになると、おれのほうでは受乳を拒絶するという回答、通告を発しておる、よその共販に応ずるようなことになればおれのほうじやもう受取れない、ということは、これは或いは厳密に言えば自由契約によつて買う人の自由かも知れない、だけれども、そのように売主のほうが制約されてくれば、くどいようですけれども、腐敗性の強い牛乳の取引をするものにとつては、どうしたつて立場が弱くなる、それが故にしばしば委員会が開かれてその救済方法を考えられておるのです。そういうような事実は無論あなたも御承知なんでしよう。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) 只今の御意見のようなお話がありましたので、私どものほうといたしましても極めてこれを重視いたしまして、府県当局並びにお話のありました業者の責任者を呼びましていろいろ調べたのでありますが、こういうような方法をとらなければ牛乳を受付けないというようなことは申上げた覚えはないと、かように申しております。又県のほうもそれを裏書きいたしておりまするので、或いは言葉の端々でそういうような問題が起きて来たかとも思いまするが、現実の問題といたしまして、そういうようなことをはつきり文書等でやつたというような事例はまだございません。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 もう一点お尋ねしたいのですが、その文書で取極めをする、それで若し乳価に争いがあつた場合にこれは調停に付するというような文言がそういう契約書に書いてあるのですか。それともあなたのほうに行政的な方針というか、農林省なり県庁なりを通じて調停の役を買つて出て、そうして値段をきめるというふうに、何ら法律の根拠なしにそういうことを行うと、こういうお考えですか。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) これは文書を以て取引をするといたしましても、契約のことでありまするから、御承知のように、これは契約自由の原則ということになるのじやないかと思うのであります。ただそういうふうになつても事実上行政指導としては面白くありませんので、いわゆる酪農振興法によりまする文再契約の指導と申しまするか、いわゆる農業協同組合等が乳業者と生産者を代表いたしまして取引をいたしまする場合の模範契約例というものを府県を通じて配つておるのであります。その八条に、契約当事者は、この契約又はこれに附随する契約について両当事者問に紛争を生じたときには酪農振興法筋三十条の規定に基いて都道府県知事に対して紛争の処理の斡旋の依頼ができるというふうに指導をいたしておるのであります。従つて勿論これは私どものほうが農業協同組合等を通じましての指導でありまするので、必ずしもこの模範契約例によつて取引されているというふうには思つておりませんから、全部が全部そうなつているとは断言はできませんが、恐らく大部分の場合そういうような契約例になつているのじやないかと、かように考えたわけであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 すでに群馬県の川場村にある農協と森永の間に紛争が起きて、森永のほうから内容証明の郵便を出しているといつたような、かなり冷い戦闘的というか、取引状態が生じておるというふうな状態です。そうすればますます弱いものは損をしなければならない。すでにそういつた似たような例が繭なんかにもあるのじやないかというふうに考えられるのでありまして、こうして一部の、たとえ契約書において文言を定めて、そうして調停の方法を考えても、大きいほうはどうしても立場が強くなつて、それだけ優位な地位を占める。どうしても農民のほうはばかをみる結果になる虞れがある。だからどうしても何とか農民の立場が利益になるような地位を作つて行つてやらなければならない。それが恐らく厚生省の省令がどうだとか、いろいろな問題が出て来る一つの大きな理由だつたと思うのですが、こういう立場の特別に弱い農民に対して、特別の方法を考えて行かなければ救われないという事情というものを、はつきり認識の上に立つて、そうして考えていられるかということです。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) 只今の御意見の通りであります。従来は勿論、現在もそうでありまするが、大きな資本と個々の酪農業者の取引というような恰好になつておりまして、非常に生産者のほうが弱い立場に立つているわけであります。こういう状態では日本の酪農は振興することは困難でありますので、酪農振興法にも取引についてはできるだけ農業協同組合と、或いは理想的に言えば連合会を中心といたしまして、農民の力を全部結集いたしまして、いわゆる業者と取引をして行く、こういうことが酪農振興法の一つの大きな精神であるのであります。今回問題になつておりまするいわゆる高温殺菌、低温殺菌の問題でありましても、いわゆる農業者が自分の牛乳を処理をして、これを何らそういうような処理施設なしに業者と対決いたしました場合には、若し悪意で只今のお話のように牛乳を拒否するというような事態ができました場合におきましては、農業者或いは農業者の団体であります農業協同組合は、実際問題としてこれと対決することができないということに相成ると思うのであります。従いまして、私どもといたしましては、いわゆる農業協同組合或いは連合会を中心として、牛乳の処理、加工をする、どうしてもこの段階までは少くとも持つて行かなければならん、かように考えているのでありまして、厚生省というものに対して私どもがいわゆる高温殺菌、低温殺菌の並立で行つてほしいと思つておりますることは、いわゆる一般の業者の問題でなしに、協同組合の場合は是非少くともその限度においては並立にして頂きたい、かようなことを強く要望いたした次第であります。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 厚生省に対しては、先ほど大臣に来てもらつて話をしなければ仕方がないじやないかというお話がありましたが、折角楠本さんもさつきから手持ち無沙汰であくびもしておられるようでありますから、ちよつと聞いておきたいのですが、今の畜産局長の話を聞いておりますと、まあ松永さんとの応対を聞いておりますと、日本の酪農を振興して行くのには、どうしても今の弱い酪農家の現状からして、高温殺菌でなければ駄目だ、こういうことをはつきり言われておりましたが、そうすると、つまり厚生省の態度というものは、そういう弱い酪農家を保護して、日本の酪農業というものを将来発展させるという立場とは逆に、まあざつくばらんに言えば、大きな資本が立派な施設を持つているから、それを保護しなければならんと、こういうことになるわけですか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) お答え申上げます。先ほどもお答え申上げましたように、私どもといたしましては、無論只今御指摘のような地域、つまり農村におきまして、あえて低温殺菌を固執するという意思は毛頭ございません。従来はさような方針になつておりますが、最近酪農振興の状況等から鑑みまして、農村におきましては、これは只今大坪局長も言われましたように、農村においては並立主義をとりたい、ただ都市においては、何も大資本を擁護するという意思は毛頭ございませんが、ただこの生産の過程或いは価格の見通し等から考えまして、都市においては極めて小さな高温殺菌を仮に実施いたしましたところで成立ちもしないし、又現状に即さないものである。従つて私どもといたしましては、折角都市においては低温殺菌が普及しておりますのに、あえて混乱を起して何ら得るところないようなことをする必要もないと思います。従つて都市においては従前通りということをお答いいたしておるわけでございます。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 農村の場合には従来の方針を変えようというお考えはいつ実現されるのですか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) これは現在でも都道府県知事が許可さえ与えれば高温殺菌もできることに相成つております。併しこの建前は飽くまで低温殺菌が原則であつて、例外許可として高温殺菌を認めるという仕組になつております。そこで恐らく当委員会等でも御意見があつたものと考えまして、この点は関係法文を明確に書き改めたいと、かように考えておる次第でございます。従いまして、それでよろしいということになれば、いつ何どきでも私どもは法文の改正をいたしたいと、かように考えております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 都市において低温が普及しておるので、高温なんかやつたつて成立ちやしないじやないかということを親切におつしやいますが、成立つか、成立たんかは放つて置いたらいいじやないですか。実際に成立たんものなら誰もやりやしない。私は素人ですからようわからんので聞くのですが、一体あなた方考えて、牛乳を生産して消費するまで衛生的に見てどういうルートが一番理想的なんですか。まあ殺菌は低温ということなんでしようが、低温殺菌をしたものを配つて今度はどういう工合に飲むのが一番いいのですか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 低温殺菌いたしましたものは、理想から申しますれば飲む直前まで低温に保つことが一番理想だと存じます。或いは御質問がそうじやなくて、むしろ配給機構のことかとも、消費機構のことかとも存じますが、流通機踏といたしましては……。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 その機構のことを聞いておるのじやなくて、私素人でようわからんから聞くのでして、低温殺菌したものを低温のままで飲むのが理想的である。私もそういうことをおつしやるのだろうと思いますが、併しよく見ておりますと、なるほど低温殺菌したものでしよう、そうして持つて来ておりますけれども、そこから先は洗面所につけてみたり、あれは余り低温じやないですね、洗面所の水は、黴菌がおるのかおらんのか知らんけれども、店屋へ行つてみてもブリキ罐の中に水を入れてその中にぽつんと置いてあるよなところがたくさんありますが、そうしてみるとあなたの言つておられることは、結局は便所は水洗便所が一番いいと言つて水洗便所を奨励されるけれども、水洗便所から出て行く水は、これはどこへ流れてもかまわないということと同じようなことになつてしまうのじやないか。どうも日本の生活様式やら何かからみて、えらい高度のことばかり考えておられるのじやないかという気がするのですが、そういうことと、更に都市というのはどのくらいのを都市と言うのですか。市というのがついたらそれは都市になるのですか。いろいろ「いのしし」の出る市もありますが、それはどういうふうになるのですか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 第一の点につきましては、私どもは勿論地方の実情、国情というものを睨み合せつつ計画して参つております。従いまして、これが必ずしも現状においては都市においては著るしく国情に反するものとは考えませんし、のみならず、都市は集乳の経過等から見まして、数日前搾乳処理したようなものが勢い大農を扱います関係で処理されることに相成ります。その結果、高温殺菌というようなものは都市においては、そこにおいても不合理を見出されるわけです。併し御指摘のように何も成立つか成立たんかは勝手なことなんだから、自由にやらしたらいいじやないかということも御尤もでございます。併しながら、現在すでにできておるところにさようなことをいたしましても要らざる混乱が起きるだけで大した利益はないから、まあこの点は一つ御勘弁を願いたいという気持でございます。それから第二の点は、勿論最近は町村合併等で大変な市もできておりますが、かようなものは勿論その現状に即して判断さるべきものでありまして、市といえども農村の形態をとつておるところは、飽くまでこれは農村だと、かように考えております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 そこで現状に即して行くことがですね、具体的に都市というのは一体どのくらいな都市からですか、ちよつとそれかわからんから聞いているのだけれども……。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) これはやはり従来の市というようなことが大体の標準になるのじやなかろうかと存じております。これらをどういうふうに区分けするかということについては、勿論今後更にさような大ざつぱなことでなく、基準的なものを考えなきやならんと考えております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 どうもあなたのほうであまり理想を、見方によれば理想的なという見方もできるし、それから今のお話を聞いておりますと、折角低温の施設かでき、機構が整備しているのを、それを混乱さすことは面白くないという説明を聞いておると、多くの資本を持つて低温処理の施設をした人を保護してやらなきやならんという立場のように聞えるので、どうも私は聞いておると、従来の計画から見るとあとのほうが濃いように思うのです。本当にこの低温がいいのだということであれば、あなたのほうで高温と低温と並立したところで、その混乱というものは起きんじやないですか。それで原則的に高温と低温というものを並立しておいて、そこから先低温の施設がちやんと完備し、今更高温の割込む余地がないというところには高温は出て行きますまいし、高温が成立ち、又高温で実情から見ても適当だと思うところは高温が普及しましようし、更に例えば都市というもので区別するのだと言つたところで、旧来の都市と育つたところで、旧来の都市そのものが誠にわけわからんことになつちまつて、「いのしし」じやない、この間神戸の近くのほうの市には熊が出ているでしよう。これは古い市ですね。そういうようなことで線を引くつたつてなかなか引きようがないのだから、簡明直截に並立ということで、あとは経済的な条件或いは社会的な条件そのものが私は解決付けて行くのだと思うのですが、そうはお考えになりませんですかね。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 高温殺菌と低温殺菌と比べますれば、勿論低温殺菌がよりいいことは明らかであります。と言つて高温殺菌のものが毒があるとか、何とかいうことじやございませんので、さような点から考えますと、只今の御指摘の点は誠に私も理論的には御尤もだと存じます。併しながら、この低温殺菌、高温殺菌問題を経過的に考えますと、これは占領中に或る一つの強権を以て、半ば強制的にこれを実行に移さしたというようなこともございます。又一方明治、森永等の大資本は、これはいずれにいたしましても何ら問題はございませんが、要は全国に一千軒に余ります小さな業者が、さような強制手段によりまして多大の借財をし、漸くこれによつて低温殺菌施設を作つた。まだ現在借金も返してないというような状況もございます。併しこれらの点はまあ別な問題といたしましても、かような点を強行したのはやはり地方の行政当局がこれを実行したわけでございます。従つて地方の行政当局としてみれば、さような命令に従つて一生懸命やつた。ところがかようなことは又何だということになりますと、誠に行政の混乱或いはいろいろな波及かございますので、私どもとしては、現状というものをよくその経過から割出して一つものを解決して参りたい。勿論その場合国民に非常に迷惑がかかる。安くなるべきものが高くなるというようなことでありますれば、これは断固実施しなければなりませんので、もともと東京に、例えば都市におきまして高温殺菌を認めたところで、そのために乳量が殖えるということもございませんし、又価格の下る見通し等もございませんので、そんならば何も実際的に見て混乱を起さないやり方のほうがいいじやないか。何も現在の酪農振興に伴いまする今後の酪農の発展というようなことは、先ほど畜産局長も申しましたように、農村地帯でお互いに牛乳を処理し得られる方途を講じたほうがむしろいいんじやなかろうか、かように考えてお答えをいたしておるわけでございます。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 どうもあなたのお話を聞いておりますと、こつちが素人だからかもわかりませんけれども、ちよいと混乱して来るのですね。低温というものは衛生上一番いいという考え方なのか、今まで無理に低温の施設を押付けたのだからそいつを地方の役所の建前もあるるから、面子もあつたり、今後のいろいろのことがあるから、折角押付けたものは何とかこれを保護してやらなければならんという立場に立つておられるのか、何かこう方針が一貫してないように私は聞きとれるのでして……。それから更に低温にしたつて高温にしたつて値段が違うものじやないと言われますけれども、それはどういうわけでそうおつしやるのか知りませんが、私どもは今この高温殺菌でということを言つておるのは、処理の経費が非常に安くなるから、非常にということはまあ言い過ぎかも知れませんけれども、或る程度違うから、こういう問題が酪農家からも出ているのだろうと思うのでして、これが同じような値段じやないように思うのですがね。一体畜産局長どうなんですか、低温と高温とは経費が違いますか、違いませんか、あなたのほうも同じだと見ているのですか、畜産局長どうなんですか。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) 低温と高温の場合におきましては、大量に処理するということならば……。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 ごまかしてはいけませんよ。

大坪藤市農林省畜産局長

○説明員(大坪藤市君) 或いは問題があるかと思いますが、農業協同組合等が小量の組合員等の牛乳を処理いたします場合には、勿論施設の経費も非常に少くて済みまするし、一斗当り或いは一升当りの単価も勿論低温の場合は相当低くて処理ができる。かように考えておるのであります。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 まあ桶本さん、あなたそう国民経済全体に大きな社会的な影響があるものならともかくと言われますけれども、今、松永さんが質問しておられましたが、松永さんの質問だけじやなしに、最近の酪農業が行詰つてしまつたというのは、本当にあなたもよく御承知と思うのですよ。その行詰りを打開するためにいろいろなことをやつておられますけれども、なかなか畜産局のほうでもいろいろ考えてはおられるのだろうと思うのですけれども、大体において当を得た政策というものは生れて来ないのです。餌の問題でも何にしても、あとからあとから追いかけられてやつておりますけれども、なかなかうまい方法というものはないわけでしよう。それでどうしても血路を開くためにこういうような問題も出ているわけで、それであなたのほうは規則を作つて無理矢理に押付けたのだから、又そいつを変えるといろんな点に障害があると言われますけれども、こんなことをしていて、酪農業全体を衰微さしてしまつたら一体どうなるかということですな。現に最近私の田舎へ行つて来て見ても、乳牛をこれから新らしく購入しようという人はおりませんし、ジャージーの集団地区なんか、ああいう政策をやれば別ですが、普通の博労が乳牛の世話をしようと言つても、乳牛を売ろうという人はあつても、買おうという人はない。このまま持つて行つたら一体どうなるか。折角酪農熱が振興して来て、日本の農業が新らしい方向へ行こうとしているのを、ここで又芽を摘んでしまうという危険性が非常に多いわけで、こういうときにはあなた方のほうも百年の先を考えてやつて頂かんと、ただ千軒の人に無理な施設をさしたんだからということでやられたのではたまつたものじやないと思うのですがね。あなたはそう社会的に大きな、高温であろうと、低温であろうと大きな問題じやないと言われますけれども、下手をすると酪農業を潰してしまうということになるんじやないか、その点どうお考えになつていますか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 厚生省の国民の栄養改善、食生活改善を使命といたしております以上、酪農の振興というものは極めて関心もあるし、又大いに協力しなければならんことだと存じております。ただ都市の殺菌方法を低温、高温の二本建にしたらと言つて、それが決して酪農の振興衰徴に私どもは関係ないものと考えております。ただ農村地帯におきましては、先ほど来申上げておりますように、極めて安い経費で牛乳が生産、消費されます関係で、この農村においてはこれは大いに奨励すべきものだと、むしろさように考えております。それによつて酪農面問題は解決するんじやなかろうかと、かように考えます。申し落しましたが、只今高温殺菌が安くなるということは、高温殺菌というのは、ちよつと技術的で甚だ申しわけございませんが、瓶に牛乳を入れまして瓶を釜に入れて、蒸して、まあ百度近く熱して出すものが極めて簡単な方法でございます。瓶の消毒も要りませんし、一緒に消毒してしまう。ところがこれはおのずから限度がありまして、せいぜい一日一石程度の処理しか技術的に可能でありません。そこで一日一石くらいのものを処理して行くところだつたら、それが非常に経費が安くなります。ところが東京では、都内だけを例にとりますと、ここでは一日に千数百石が処理されます。かようなところにおいて若し高温をやつたつて、それは却つて高いものについてしまう、かようなことを申上げているわけです。おのずから生産量とか、生産の形を見ないと、そのことが言えないわけです。従つて都市におきましては高温殺菌をやつても安くないということを申上げているわけでございます。なお、現在都市においてなぜ牛乳が高いかと申しますと、これは勿論中間マージンの問題になると思いますが……。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 あとまあ一つだけ…。それほど都市において高温というものが成り立たんものだということを認識しておるなら、そう神経をやまんでもいいじやないですか。いらんお世話だ、ほつといて頂戴ねという歌があるけれども、それでいいじやないか。ちやんと並立でやつて成り立たんものは成り立たんのだから、成り立てと言うたつて成り立ちやしません。何であなた方神経をやんでおるのか、私は一向わからん。まあここから先は先ほどの話じやありませんが、大臣が見えてから又やります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私も低温殺菌は素人で、ひよつこり来てわからんのですがね、その低温殺菌というのを押しつけたのは独立してからですか、占領中ですか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) これは占領中に占領政策として指導された行政であります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 今の内閣は占領政策の是正ということを盛んに言うているんですが、これはもう是正することはまかりならんという根拠はちつともさつきからの話を聞いてもわからんのです。あなたたちは本当にその当時自発的に日本の乳は低温でなくちやならんということで、自発的な発意に基いてこれをやらせたのですか、占領軍の命によつて実情に合わんとは考えながらもこれはやつたのですか。あの当時の業者はみんな泣き泣きこれに強制的に切替えをさせられて、確かにあなたの言う通り借金も残り、償却もできないというようなのが多いんですよ。そして逆にそういう施設をした業者は高温、に又戻されては、おれたちだけが金をかけてばかをみる。だから戻されては困るという運動もしているはずなんです。だからそういうのの運動のほうがあなたのほうに効いて、押しつけた手前、面子上戻すわけにもいかんというジレンマのために、つべこべとああだのこうだのと言つているんじやないですか。もう少し一皮むいたところを話してみたらどうです。あんた自身として衛生管理と申しますか、そのほうから言つたらどつちがどうだつてかまわんじやないですか。安いとか、高いとか、それはあんたの所管ではない、どうなんです。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 高温殺菌が低温殺菌より劣つておる。できれば低温殺菌で消費したいというのがこれが常識であります。又これはもう決定的な議論だと存じます。従つて現在の制度になります以前は、勿論低温、高温の二本建でありましたが、その当時は成るべく指導をいたしまして、国民も低温殺菌の牛乳を飲む。なお業者に対しましても成るたけ指導をいたしましてこの低温殺菌施設を実施させて参りました。なおそれが従いましてどちらが優秀かということを比較いたしますれば、勿論低温殺菌が健秀であります。併しながら、それならば高温殺菌が毒かとか、こういうことになりますと、これも飲まんよりは遥かにいいわけでありまして、そこにまあ問題があるわけであります。従つて理想的といえば理想であるかも知れません。その程度の差であります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それで今更戻せないというのは、ただ行政上影響を恐れてあんたおつしやつているのと違いますか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 結果が国民のために確実になることがあるならば我我は何ものも恐れません。併しながら、結果的に見て大した、どつちへ行つても変りないようなことであるならば、さような結果は期待いたしたくありません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 非常に今政治的な立派な御答弁があつたのですが、何のことです。もう一回、何のことか文字的な表現でさしつぱりわからん。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 都会地にも高温殺菌を認めますことが、結果として非常に国民のためになるということが確実であれば、そういうことを実施した結果相当な困難が来ても、さようなものは恐れないということを申上げたわけであります。併しながら、逆にさようなことをしても大した効果がないということがわかつているならば我々は無駄な混乱は起したくない、かような意味をお答え申上げているわけです。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 今はそれであなたはどちらなんです。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) そこで私どもは先ほど来お答え申しておりますように、都会地においては高温殺菌を認めても、その結果は国民のためにならない、こういうふうに考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 認めても国民のためにならないというのはどういうことですか、どういう内容を以て国民のためにならんというのですか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 牛乳の消費が容易になりまして、食生活の改善が十分に行われるという意味を私は国民のためと考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうすると、あなたが今言うたのは、くどいようですが、消費者の側に立つて、ためにならないという場合には高温殺菌は認められない。ためになるのだということになれば、さようないろいろな切替えの困難があろうともそれは切替えてやるのだ、あなたはこう言つている。じやどちらにも可能性はあることですか、あなたが言う通り、高温殺菌でもいつかは国民のためになるという場合があるのですか。ないことを、そういうときには断固恐れないで切替えもやれるのだというふうなことは、ただ文学的な表現だけで何ら内容のないことなんです。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 今は都市を例にとりましたから意を尽しませんでしたが、農村において高温殺菌を認めることは、酪農の振興その他のいろいろの面から、食生活改善等大いに国民のためになるものと信じております。従つて農村においては今後は法文を改正して並立主義をとりたいということを申しているわけであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうすると、あなたのおつしやる意味は、大体低温殺菌だけで行きたいというのは、同じ都市都市といつても、衆目の見るところ大郵市程度のところで、農村から直接朝な夕な供給されているような中都市以下のそれは、結局生産者が農村にあるというような場合は、それは高温殺菌でもよろしいというふうに考えが移つて行きますか。農村といういわゆる村自体で自家生産するような形で食生活の改善に寄与するという極く小範囲だけは高温殺菌で行くという程度のことを育つているのですか、どちらなんですか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 先ほど来御説明申上げておりますように、高温殺菌におきましては大量の牛乳は処理し得られませんから、従つて勢い或る一つの施設ができましても、その供給し得られる範囲は勢い限定されて参ると考えておるのであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 じや限定されて参るのでどうなるのですか。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 限定されていないから全部並立にやつて行けば自然に解決つくということなんだ。そうでしような、楠本さん。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 例えば私の県でいうと、私は盛岡市ですが、これは皆郊外から入つて来ます。小岩井とか、或いは農村の岩手山麓の酪農地帯とか、各村々から入つて来ます。こういうのはどうなんですか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) この厚生省の行なつておりますのは、流通機構をこれをチエツクしたりすることは趣旨でございませんので、従つて比較的近い地域に酪農地帯を持つております市がありますれば、ここには量は少くとも高温殺菌乳が入り得ると考えております。

宮本邦彦自由党

○宮本邦彦君 私はちよつと簡単な細かいことですが、二、三この間酪農の実際の処理場その他を見て来た結果から、ちよつと厚生省に承わつておきたい。この間実は北多摩の酪農の処理工場へ行きまして、ここの技師長に特に承わつたのです。技師長の意見を聞いたのです。技師長は、低温殺菌の最も大切な役目は殺菌だと、こういうことを言つているのです。殺菌ということは低温殺菌が一等殺菌効力が大きいのだと、こういうことを言つているのです。僕ら科学常職から行きまして、低温殺菌が殺菌の最高の効果を挙げる措置だなんということは、これはとんでもないことなんです。高温殺菌のほうがより正確なんだということを僕が説明したのです。ところが僕らが国会議員だと思つて、いや、そうじやないのだ、低温殺菌が殺菌効果が一等完全なんだ、これは施設の問題は別ですよ。そうしてそこにはその処理工場に関係のない酪農協同組合の幹部の人たちもおりました。この人たちもそう思つている。これは毎日のように都の衛生官が来て指導しており、そして監督しておる。これはいろいろ話を聞いてみると、これはかなりその技師長というのはいろいろな知識をよく持つておりました。けれども頑として低温殺菌というのは殺菌効力が一等大きい方法だ、こういうとんでもない科学の常識を逸脱した答えをやつておる。そうしてそれを堂々と皆の前で言つているのです。こういう指導を一体衛生官がやつておいでになるのか、厚生省としてそういう指導をやつておいでになるのか、私はこれは日本の国の科学常識の問題だと思うのだが、そういう指導を、低温殺菌牛乳処理の低温殺菌を保護するためかどうか知らんけれども、そういうことを教えて歩いているということは、これはとんでもないことだと私は思つたのです。ただこの機械で以てこういうふうにした場合には、或いは日本の国における高温殺菌の従来の施設と今日の施設と比べてこうだというならば十分わかるけれども、そうじやないのだ。はつきり科学的な問題に対してもそういう信念を持つてやつておられる、これは都の衛生官の指導だと、こう言つているのです。厚生省はそういう指導をされているのですか、私は聞きたいのだけれども……。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 細菌数が少くなることは御指摘のように勿論高温殺菌のほうが細菌数は少くなります。低温殺菌はその点ではいささか劣つております。

宮本邦彦自由党

○宮本邦彦君 そうすれば、はつきりそういう指導をなぜやられないのか、私はそれを不思議に思つている。ところが技師長というものはあの工場を一切指導しておるものです。その技師長が頑としてそれを言つておる。だからあとで僕は、国会議員であつて皆常識屋ではありません。私はともかく大学で以てニカ年間細菌学をやつて来たものだ、私は細菌の講義をやつて聞かした。そうしたところが、これはわかりましたと頭を下げた。それで高温殺菌がやれるのだという方法をはつきり僕はそこで説明したところが、酪農協同組合幹部の人は、高温殺菌でやらせてもらえるのなら有難い、自分たちができると、こう育つていた。施設が、経費が安くてできるからということになれば、私はさつき江田さんの言われたように、都というのはどこだ、都会というのはどこだということになりますと、もう東京都の近郊をずつと僕らは歩いている。従つて近郊の酪農協同組合は皆都なんです。はつきりこの人たちがやりたいということを言つておるのです。これはお認めになるのかどうか、ちよつとそれを具体的に一つ承わつておきたいのです。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 先ほども少しくこの問題に触れましたが、一応まだ具体的にどういう基準で線を引くかどうかということは考えておりません。ただ考え方としては都心と農村とを大きく分けて考える、その方針で進む。更にそれをどの線で線を引くかということは、今後基準のようなものでも作つて一つ明らかにしたい、こう考えております。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 今の御答弁は、前の小笠原委員の質問に対して、具体的に小笠原委員は例を挙げられて、自分は盛岡市に居住をしておる。その盛岡市に供給せられておる乳というものは小岩井だとか、附近の農村部落で生産せられた乳が処理せられて入つているのだ、そういうものは認めるかという質問に対して、それは今おつしやつておる都市、農村という区分においては認めるのだという御答弁であつた。今、宮本委員の御質問に対しては、それはまだきまつておらんということになると、前の御答弁と今の御説明とでは非常にこれは食い違うので、(「おかしいよ」と呼ぶ者あり)そこをどつちが本当なのか、はつきりしてもらわんというと審議が進んで行かないと思います。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 私は少しも矛盾はないと思つております。小笠原先生のお話は、たまたま盛岡市の周囲にある農村、その農村は酪農農村であつた場合に、そこから高温殺菌乳が人り込むことが当然で、そういうことが当然であると申上げたのですが、併しながら、それならば今度はそういう問題と離れて、宮本先生の御質問は、恐らくその都市農村と極めて漠然たる言葉を使つておるが、どこで線を引くか、こういうお話だと存じます。例えば盛岡市はここの川で境にするとか、どういうふうになるとか、具体的なことはどうしてきめるのかと、こういう御質疑かと存じます。さように実は理解をいたしまして、さような細かい線の引き方につきましては、将来更に研究をいたしまして基準等を設けてきめて行くということをお答えしたつもりでございます。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) そうしますと、宮本委員の御質問で、東京都というものは都政を施いておるので、都の範囲の中には農村も全部人つておる。その都の範囲に入つておる農村地帯において生産せられた乳が、そこで処理せられて、それがいわゆる常識でいう市街地、旧東京市へ搬入されるという場合も、盛岡市の例と同一に考えていいのかという問に対して、それはいかん、東京都という地域内で生産せられたものは都市の生産だ、それはいかんということになるのか、その辺の解釈はどうですか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 官本先生にお答えいたしましたのは、どういうふうに線を引くかという点については具体的にはまだわかつておりません。併しながら、或る一つの基準ができまして、その結果、或る三多摩郡なら三多摩郡が仮に農村という範疇に入れば、そうした場合には先ほどの小笠原先生の御意見のように、三多摩の牛乳の一部は、僅かではありますが、そうでないところに入るであろう、こういうふうに考えておるわけであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私さつきのに関連して……。何かだまされたような感じがします。今のお話、例えば地域の話はわかつていますが、低温と高温のこと、私には科学的にべらぼうに低温がいいのだという、衛生管理的に低温のほうがいいのだと、高温というのは毒にならないという程度のことなのだという意味合に答弁された。ところが宮本さんのほうには、高温のほうが科学的にいいのだ、こう言う。殺菌力が強い。そうすると、あなたは大量生産であるか、小量生産であるかという生産のほうにまで立入つて御判断になつて、低温のほうがいいということを言つている。それだけが根拠になるというふうに私素人流に解釈するのですね。あなたは私をだましたのか、まあ私素人でわからないから、だまされてもいいけれども、そんなことは、畜産局なり何なり、営業面なり生産者のことを考えたりするなら別なとこでやることで、あなたのところでやることではない。衛生管理の上からいつて、高温のほうがいいというなら、高温が、小量であろうが、何であろうが、それは生産者の勝手だ、御自由にやらせるという江田君の意見のほうが私は数等立派だと思う。どうです。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) 高温殺菌の比較論でありますが、栄養的に見ますと低温殺菌がはるかに優れております。(「今度は栄養が入つて来た」と呼ぶ者あり)次に衛生上の安全性という点になりますと、いろいろな条件によつて支配されますが、結論的に申上げますと、一長一短がある、こう言えると思います。例えますれば、原料乳が極めていい牛乳で、原料乳の質がよくて、而も低温で保持することが確保できるような場合は、低温殺菌のほうがむしろ安全になつて参ります。併しながら原料乳が悪い、或いは余りよくない、或いは製造の過程において、十度以下に冷すことがなかなか困難な場合いうようなときには、或いはすぐ飲めないというような場合には、むしろ高温殺菌のほうがいい場合もある。従つて一長一短であります。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 楠本さん、議論はえらいほうに発展されましたが、併し楠木さん、よく聞きなさいよ。大体結論は出ていると思うのですね。小笠原君の質問のときに、とにかく盛岡という町で、附近の小岩井とか、それから岩市山麓のほうの酪農の組合から高温で持つて来るものは、これは入つてもよいということをあなたは言われた。そうであれば、例えば三多摩地区の酪農組合が、ここもやはり岩手山麓と同じことです、酪農組合のほうが、自分の処理能力から見て高温でなければなかだかできないという諸君が、高温で殺菌したものを都内に、都内のどこへ持つて来るか知りませんが、持つて来たところで、盛岡でいいという以上、東京ではいかんということは言えんはずだ。結局そうなると答えははつきり出ておる。だからまあ私は率直に考えれば、あなた方が低温方式ではいかんというのは、もう面子だけになつて、実質的には問題は解決ついておると思うのですが、そうじやないのですか。だからそういうことをやつておいて、あなたが考えられるように、都内で大量にやるやつは、森永や明治のような低温方式でなければいかんということを言われれば、そう都内にどんどん入るわけじやないし、とにかく小さな酪農家の集まりが高温で持つて行くというやつは、盛岡であろうと、東京であろうと同じことですから、それ以上あなたのほうでも意地を張る理由はなくなつておると思うのですが、どうですか、それでいいでしよう。或いは今あなたのほうでちよつと答弁がしにくいなら、草葉さんに来てもらつて、結論のところだけ、あなたがこう答弁せいと言われても、ちやんとやつてもらえばいいのです。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) これら個々の東京都の問題、東京都内、区内の問題、或いは盛岡市の問題等の個々の具体的な例になりますと、これは先ほど来、考え方の概要を総括的にお答え申上げておるわけでありまして、かような具体的な個々の例になりますと、基準等を設けまして、どこで線を引くかという引き方に支配されて来るわけであります。併し一旦きまつた以上は、その線を越えてこちらに来ることは、ものの流通機構の姿から当然なことであるということを申上げておるのであります。

田中啓一自由党

○田中啓一君 私は論点が四つ五つございますから、少し長くなるかも知れないと思いますが、これは厚生省と畜産局両方で一つお聞き取り願いたいと思います。一体牛乳というものを衛生管理の上から取締りになつておるのでありますが、そもそもこれは食べもので、野菜と何ら異なりません。従つて平たく考えれば、百姓が牛の乳を搾つて、そのままそこで皆に分けてやつて金を受けたところで、一向差支えないものだろうと思うのです。だから麻薬というものは、これはいけないのだ、人体に害があるからいけないのだ、併し特別の場合には、医者のような高度の技術を持つたものが患者に施用して効果のある場合もあるから、その場合に限つて、人と場合とによつて特に許可をする、これはまあ一般にいけないものを特に許可をする、これは許可の精神だろうと思うのです。ところが本来、どうせんでもいいものを、これは親切で、腐つたものを配給してはいかんとか何とかいうようなことから、だんだんにむずかしい取締規則ができた。できて、それを運用するかたたちの頭が、いつの間にか麻薬取締りと同じような考え方になつてしまつたのじやないか。本来牛を飼つて乳を搾つて売るということは許可営業ではない。先ずこの根本についてどうお考えになりますか、厚生省にお伺いしたい。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(楠本正康君) これは行政の考え方にもよることであります。私どもは食べ物の取締りというようなことをあたかも劇物、毒物の取締りと同様な意味では考えておりません。ただ併しできるだけ安全な優秀な食品を国民に供給するという責任から考えますと、いろいろな行政手段を講じてこの目的を達しなきやなりませんが、その場合に一つの方法として、許可営業という範疇を設けまして、最低基準の確保を図つておるわけであります。勿論この最低基準が必要でないようなものにつきましてはかような措置をする必要がございませんが、牛乳の品質或いはその安全性等につきましては、やはり私どもとしては最低基準が今日なお必要であるというふうに考えておる次第であります。

田中啓一自由党

○田中啓一君 御尤もだと思います。つまり最低基準というものを作つて、それによつて最低基準に合えば誰でもやつてよろしい、合わんものはいかんと、こうおやりになるべきものだということが実は伺いたかつたんであります。誠に私はその御答弁には満足であります。そう考えて来れば、牛乳販売の最低基準とは何ぞや、それはもう言うまでもなく、いずれでもよろしいということなんです。もう朝来皆さんが御熱心に御討議になつたのでありますけれども、誰が考えてもそういうことになるんで、それを今いかんと言つておられるのは、徒らに混乱が起きるとか、経済的には何も効果がないとか、こういうことを言うていらつしやるんでありますけれども、それは私は厚生省の御所管ではないであろう、所管外に亘られるということは如何なものであろうか、まあ余りそういうことはこれ以上申上げんでもいいと思うのでありますが、それは意見としても伺わんでもよろしうございますから、実はそう思うのであります。だから飽くまでも最低基準を維持するという要請の原理に従つて将未はお考えを願いたいと、こういうことでございます。なお、私はここで農業経営並びに国民の栄養改善という見地から、この行詰つた二つのものをどう打開すべきかということについて、進んで私は厚生省に御協力を願いたいと、こう実は思うのであります。と申しますのは、私は懺悔話をしなきやならんのでありますけれども、牛乳の統制というものをやつて、いや病人しか飲んじやいかんとか、或いは乳幼児しか飲んじやいかんとかいうようなことをやつたのは、牛乳が少かつたから止むを得ずやつたことなんでありますけれども、まあそうやつた。そうして戦後は特に、一遍はひどく、牛乳が減りまして、これはもうそうでもして、特に牛乳を必要とする国民に、一部に栄養を確保するほかには仕方がなつた。併し農業経営の面から見ても、国民の栄養の面から見ても、酪農へ行くということに非常によろしいことなんでありますから、実に戦後急速に発展をしたのは酪農なんであります。すでに一番減つたときに比べれば、今日は恐らく三倍くらいになつておるという状態なんです。そうして今までは品不足ということでずつと来て、従つてあのようなむずかしい、而も途中の処理の金のかかる方法をおやりになつても、もともとものは不足しておるんですから、不足に対する価格で余り国民も気にしなかつた。農民も消費者に売れている価格から見れば農民の分け前は少ないのであるけれども、とにかくそれでも儲かる、こういうことで気負つて牛を飼つて来たわけなんです。ところがもう今年五百万石以上になるというふうに伺つているのでありますが、そうなると国民大体一人当り八升くらい牛乳が呑めるというところまで来ているのでありますから、もう消費者のほうも現在のような高い価格では牛乳は呑めん。この酪農発展のゆくえを持続するには牛乳を安くして消費者をたんとにする、或いは一合呑んでいたものを二合呑んでもらうようにするということ以外にはもう発展の途がない。而も今のような統制だ、或いは非常な品不足だということで、いつの間にやら設備の改善問題と相待つて独占価格みたいなものが実は成立しちやつたわけなんです。戦前牛乳の価格というものは、農民の売る原乳価格と乳屋さんが配給してくれる価格とは倍までくらいの価格のものなんです。それが三倍なんです。そうして今や国民は、何とか牛乳は今十五円前後しているものを十円にならんのか、十円になつたらおれも二合呑む、三合呑む、こういう声はどこへ行つても聞く声なんです。而も生産者のほうから言えば簡易な設備でやる途を開いてくれれば、自分のところからは、とにかく近いところからでもそういう安い値段で何とかやりたい。やつてやれんことはなさそうだ。現在私が言うまでもないでありましようが、農林省の牛乳の生産費を調べて見るとまず五円、それに対してやはり配給業者といえども需要の減退にはかないませんから、配給価格のほうは一円とか三円下げている。それをそのまま原乳価格を下げて来た。従つて原乳価格は生産費を一割なり二割を切るというようなところへ追込まれて、今あちこちから話が出ておりますように、もうだんだんこの乳牛を飼うなんということはなくなつて来る、売る一方だという状態に現在落ち込んで来た。でありますから、どうしても農業経営の立場と、それから国民栄養の改善という立場から見れば、今年は五百二十万石、今までのような殖え方をしますならば、恐らく更に来年は七百万石くらいの牛乳を消化しなければいけない。又それは非常に国民栄養から育つて望ましいことだと考える。それの唯一の途は消費価格を思い切つて下げることにある。それ以外にないんです。そうしてどうやら生産者のほうも生産費一杯かつかつで売るほかないんです。その線で行くより私は仕方がないと思う。だから物は不足で取合いをやつている。これは自分のところで配給すれば大きに儲かる。だから人にやらせんというような、そういう独占的な考えじやなくて、皆が一生懸命販売に血みどろになつて当るという時代なんです。そうして大量のものた扱つて、そうして買つて行くと、こういう私は段階だと思うのです。でありますから、もう余り過去のことにはこだわられんで、進駐軍の強制があつたとは言え、とにかく強制的に高温殺菌を禁止してしまわれた。そのときも別段賠償したわけじやない。今度は高温殺菌もいいというだけであつて、ちつとも低温を禁止するわけではないのでありますから、私は厚生省のお立場の食糧の販売の取締りのぎりぎりの最低基準というものでおやりにならなければ、百姓のはうも国民のほうも立つて行かない。どうか立たしてもらいたい。そして配給業者もこれに御協力を願いたい。そうやつて私は行けば、要するにものが大量に動くということは配給業者としては非常にいいことなんです。で、外国の生乳にしろ、乳製品にしろ、非常に安いというのは大量であるからなんです。でありますから、これもまあ御答弁は要らんようなものでありますが、従つてそれができるまでは、もうできる途はないと思う。ですから今日おいで下さつた部長と課長では何ともならんとおつしやるのであれば、これはどうしても先ほどから皆さんのはうから出ておる通り、一つ幹部総出でおいで願つてやらなきやならん、こう私は思うわけであります。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 只今議題になつております飲用乳の処理基準改正に関しましては、只今までの質疑を通じまして大体方向は明らかになつて参りましたのですが、最初に岸委員から御発言がございましたように、農林、厚生両大臣の出席を求めて結論付けることが当面の処置としては妥当であろう、私もさように取運びをいたしますることが、この問題の処理には今日の段階で当然であろうと思いますので、両大臣の出席を、できますれば明日の午後に期待をいたしまして折衝いたします。その折衝の結果を後刻又御報告申上げまして、或いは明後日でなければいかんということでありますれば、協議の結果又そういうような取運びもするということにいたしまして、一応両大臣の出席を要求いたしまして、その上で本件の取扱いを更に協議頂くということにいたしまして、本日の審議はこの程度にいたしたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 御異議ないと思いますので、本件の審議はこの程度で中止をいたしたいと思います。  なお午前中の予定は他に二件ございましたが、すにで十一時半でもございますので、午前中の審議はこの程度にいたしまして、午後は一時半から再開いたしたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩    —————・—————    午後二時九分開会

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 休憩前に引続きまして委員会を再開いたします。  最初に、昭和二十九年災害(冷害を含む)に関する件を議題にいたします。  本年も各地において数次に亘り台風の来襲を受け、少なからん被害をこうむり、又北海道等におきましては深刻な冷害に見舞われ誠に遺憾に存じております。これが救済及び復旧に対して遺憾なき措置を期待いたしておる次第であります。当委員会におきましては、すでに前回及び前々回の委員会においてこの問題を取上げ、前回の委員会におきましては、これが対策の委員立、実行に関して政府に申入を行なつてその善処を促し、その結果を今回の委員会までに報告するよう要求せられていたのであります。そこで本日は加藤国務大臣、保利農林大臣及び小笠原大蔵大臣その他関係当局の御出席を求め、政府から右の申入に対する報告を伺い、続いて本件の取扱い方について重ねて協議を煩わすことにしたのであります。ただ、加藤国務大臣は昨日災害地から帰られまして、健康の関係で本日は御出席が困難な旨申出がありましたし、保利農林大臣は肥料審議会の関係において出席が困難であるというように申入がございました。その関係上、羽田政務次官が御出席の通告を得ております。そういう次第でございますので、この際あらかじめ御報告申上げておきます。  なお右の申入をこの際御参考に申上げますれば昭和二十九年災害(冷害を含む)に関する申入  初春そうそうの霜害・風雪害及びひよう害、初夏の候における凍霜害及びひよう害、北海道の深刻な冷害、更に各地における数次に亘る激甚な台風の被害等、本年も亦引続く災害に打ちのめされ、農林業及び農林業者の蒙つた打撃は蓋し甚大なものがあり、累年に及ぶ災害の厄に遇い、再建途上に在る国家のため痛恨の極みであつて、被害者に対しては真に同情に堪えない。  政府は時期を失することなく、速かに、実情を精査し、現地の要望に応え、逝去における災害対策を勘案し、去る十月十六日農林省が策定した災害対策要綱に照らし、左記事項を敢行し、以て被災者の救済と災害の復旧及び防止に遺憾なきを期せられたい。  しかして緊急臨時国会を開会して右実施のため必要な法律の制定及び経費予算の決定を図られたい。  なお、臨時国会開会までのつなぎ的措置について遺漏なからしめられたい。  右に対する政府の方針及び具体的措置を出来るだけ速かに、遅くも十一月十日から開会予定の次回委員会までに当委員会に報告せられたい。  右当委員会の総意以て申入する。   昭和二十九年十月二十二日         参議院農林委員会  国務大臣 緒 方 竹 虎殿  農林大臣 保 利   茂殿  大蔵大臣 小笠原 三九郎殿  国務大臣 加 藤 鐐五郎殿     記  一、農林関係諸施設の災害の急速な復旧を図ること。しかしてこれがため、特別な措置を講じて国庫の補助及び資金の融通等に遺漏なからしめること。  一、暴風及び地盤沈下等に伴う災害に対処して、干拓堤防の復旧及び維持に遺漏なからしめ、これがため改良復旧の補助及び補助率の引上げ等特別の措置を講ずること。  一、被害農林業者の経営資金(農業手形その他借入金の返済資金を含む)の融通に遺漏なからしめること。   しかしてこれがため、前例に做つて、国において利子補給及び損失補償を行い、被害の甚大なものに対しては之を一段と強化すること。   なお、融資が、真にこれを必要とするものに、あまねく且つ適確に均てんするよう適切な措置を講ずること。   又、過年度の災害によつて融資を受けた被害者で、本年重ねて災害を受けた者については、本年度償還分について、その償還期限を延期すること。  一、被害農家にして主食の不足を来たすものに対しては、政府手持の米麦を安価に払い下げ、且つその代金は無利息延納とすること。   過年度災害により、同様特別払い下げを受けたものの米麦代金の支払についても、なお暫く無利息を以て延期すること。  一、被害農家が、その必要とする種子及び飼料等を確保し営農に支障を来たすことのなきよう国の斡旋及び助成等遺憾なき措置を講ずること。  一、災害に伴う農作物の病害虫の異常発生の防除に対しては、その犠牲を軽減或いは排除するため国の補助等遺憾なき措置を講ずること。  一、果樹園等の復旧及び果樹等の恢復のため国の補助等特別の措置を講ずること。  一、被害農林業者に対して現金収入の途を拓くため、救農土木事業、開墾作業、製炭事業、国有林の風倒木の処理等その整備作業その他諸般の救農事業を旺んにし、之が実施に対して国の助成等遺憾なき措置を講ずること。更に林業者に対する伐採調整資金を増額する措置を講ずること。  一、農業災害補償法に基く共済金を速急支払うこと。しかして之がため必要によつては概算払い又は仮払いを行うこと。  一、開拓者については、恵まれない環境の下において、農業災害補償法の適用を受けることもできず、あらゆる悪条件と闘いながら国土の開発と食糧の増産に精励している特殊な事情にかんがみ、これが救済及び復旧並びに経営の改善及び安定のため更に特段の措置を講ずること。しかしてこれがため、上記諸施設の実施に当つて優先且つ特に手厚い取扱いをなすと共に速かに開拓者に対する”農業災害補償制度”を設定すること。  一、寒冷地全般について、冷害防止のため、水稲健苗育成、耕土培養、病虫防除、水温上昇及び防風林その他万善の対策を確立すること。しかして之等施設の実施を円滑にしその効果を十全ならしめるため、来年の水稲健苗育成のための保温折衷苗代等の補助金は、本年のものの例に做い且つその成果の顕著であるにかんがみ、本年度中にその方針を明かにし且つこれが経費を本年度予算に計上することとすること。なお、常習的被災地たる特殊事情にかんがみ積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の期限延長措置を講ずること。  一、麦類の緊急増産を図ること。  一、災害防止のため農業気象観測及び試験研究を拡充強化すること。  一、農業被害調査機構を整備し、調査の迅速且つ完全を期すること。  以上であります。この際申入に関連いたしまして政府の報告を求めたいと思います。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。  山本政務次官は只今出席を督促中でありますが、只今、江田委員から食糧庁関係についての発言の要求がありますので、政務次官出席まで江田委員の発言をお願いすることにいたします。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 ニ、三お尋ねします。  先ず第一に減収加算の問題ですが、減収加算は災害で五%以上の減収になつたときに加算されるということになつておりましたが、これについては今日まで発表された統計調査の数字では、なおそういう数字に至つておらなくて減収加算を適用するような条件でございませんが、今後十二月二十五日の発表によつて、この数字が下廻つて五%以上の被害ということになつた場合は減収加算は当然適用されると思いますが、それについて食糧庁のほうではどういう御見解を持つておられますか。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 御質問の点でございますが、昨年も減収加算をやりますときに、最終的には推定実収高を見まして分散度調整計数を使つてやりましたので、今九五を割つたからすぐ何パーセントでやるかということはまだ計算はいたしておりませんが、去年と大体同じ考えで、これは今までの段階ではやるベきだというふうに考えております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 それじやそれで結構です。それから今年の生産される米については、実は昨日統計調査のほうといろいろ問答をしたわけですが、これは私ども全国的なことはわかりませんが、地域的にはこの台風の被害、その後特に西日本における十月に入つてからの気温の低下のために非常に品質が悪いわけです。この点は統計調査のほうでも、現地の諸君に聞いてみますというと、被害を受けた籾の生育についての見方が少し甘過ぎたということは率直に認められておるようでありまして、ともかくも細い籾ばかりになつて、これはまあそういう地帯においては恐らく生産される米というものが、今度新たに設定される等外の上というものが半数近いものになるのじやないかということが予想されるわけです。収量全体も落ちておりますし、更に品質がそういうものが出て参りますというと、到底割当の完遂ということはできないのでありますが、まあこれについては減額補正は当然約束されているから行われると思いますが、その減額補正はいつ行われるのかということと、それからただ減額補正するだけが能じやないので、農家としても少しでもたくさんのものを出して収入も得なければならず、田の食糧事情から育つても、少しでもたくさんのものをルートに乗せなければならんのですから、その際そういう地帯については等外の上というものを義務供出の対象とせられる意思があるかどうかというこの二点はどうでしようか。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 等外の上の問題でございますが、これは実は昨年から初めて等外上を超過供用の中に入れるということできめたのであります。二十七年産米までは実は等外甲乙と設けたのでありますが、奨励金も何もつけませんし、供出の対象にもしないということをやつておつたのでありますが、昨年の大不作という事情に鑑みまして、昨年から等外上と等外下とを分けまして、等外上につきましては、昨年も大分下作の際に非常にこれを義務供出の中に入れてくれという御要求もあつたのでございますが、昨年も実は等外土は義務供出の中には入れないで超過供出として供出量の中に頂きましよう。それで超過供出の奨励金もつけますということで昨年はやつたのでございますが、昨年非常にやかましかつたのでありますか、奨励金を払いまして買いました等外の上は約三万八千石ぐらい、全国でございますが、三万八千石ぐらいございます。これは主に配給その他に廻したわけでございますが、今年度につきましては、やはり私どもの考え方としましては、江田委員、からお話もございましたが、やはり昨年よりは大分いいということを前提に考えておりまして、今年も等外上は義務供出の中には入れない、やはり超過供出として超過供出奨励金は払つて、供出の対象にしたいというふうに考えております。それからもう一点の減額補正の時期の問題でございますが、これは我々のほうといたしましては、やはり推定実収高を見ました上で、いじるものはいじりたい、殖やすところは殖やすし、減らすところは減らすということをやりたいと思つております。昨年も実は五万石ぐらい減らしたのでございますか、義務供出で今年の三月に入つてからやつております。ですから減額補正を若しやるというような時期は、やはり推定実収高を見てからというふうに考えております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 問題は二つになつたわけでして、一応減額補正の問題は後廻しにして、等外上のことについてもう少しお尋ねしますが、昨年は等外上というものは義務供出の対象にはしなかつたということはその通りですが、私昨年の実情と今年の実情と違つているのじやないかと思うのでして、昨年は凶作を予想されておつた。ところがそれは被害を受けた籾の生育について生育が非常に悪いという予想で統計事務所等は数字を出しておられたわけです。ところが現実には昨年の被害を受けた籾の生育は、案外に秋の好天その他の条件によりましてよかつたわけです。そのために等外の上というものがそうたくさんは出なかつたので、一部からはそれがために政治凶作というような批判も出たわけですが、これは私は政治凶作とか何とかいうことでなしに、日本の農業の学問がまだそんなものを的確につかむだけに発達していないのだとしか思えない。ところが今年は昨年の事情とは違つて、昨年ああいうことだつたから今年の被害籾が生育がいいじやないかという予想で統計調査のほうは見込みをつけられた。ところが今年はそれが去年とは条件がまるで逆になつてしまいまして、予想よりもぐつと品質が落ちて、この籾の張りが非常に悪いわけなんでして、その点去年の条件と今年の条件とはよほど違つた考え方で行かれなければならんのじやないかと思うのですが、そういう被害級の生育という問題について食糧庁のほうで特に今年のものについて御研究はされておりますか。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 食糧庁としましては、特に今年の被害籾がどういう程度のものであるかという調査は特にいたしておりません。私のほうとしましては、やはり統計調査の数字は、一応これは数量の問題になりますが、そういうものを参考にいたしております。ただ食糧事務所等で検査の最近の等級と言いますか、そういうもので、地帯によつては去年よりも下位等級のものが多いというような傾向としてそういうものは見ておることはございますが、私のほうとしまして特に被害の質的な問題の研究はいたしておりません。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 それでまだ西日本、北海道のこともありますけれども、西日本について言うと晩稲のところはこれからこの調整が始まつて行くわけですから、今的確にどういう等級がどういう工合に出るかということは、これは私ども現地で見聞はいたしておりますけれども、あなた方のほうで、政府としてはつきり的確なものはまだないのだろうと思います。そこで若し今後等外上というものが非常に大きくなつて、全体として生産されるものの中で大部分が五等なり或いは等外上で、而も等外上の占める。パーセントが非常に多いという場合には去年と違つた考え方をなさいますか。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 今の御質問でございますが、例えば或る県で供出が六十万なら六十万だ、やつてみたらおつしやるように殆んど大部分が五等なり、等外上しかない、そういう極端な例でございますが、そういう場合にはどうするかという御質問だと思うのでありますが、我々のほうとしましては、現実にそういう極端な例がありました場合に或いはさつき申しましたような、減額補正という手段で考えるのか、或いは等外上もその場合にはやはり今申しました六十万が全部義務だと仮定しますれば、その大部分が等外上しかないというようなことが現実の問題として出て来た場合には、その場合に何らかどつちかの方法でこれは考慮すべきものだと思つております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 私は去年の等外の上の扱いについて昨年のように三万何千石しかなかつた。というのは、たまたまこの稔実が予想以上に好転したからああいうことになつておるのですが、最初はもつとたくさんのものを予想されておつたと思うのです。そこでそういう等外の上については完遂奨励金も出して義務供出の対象ではない。とにかく完遂奨励金まで出すということは食糧庁としてこれを好ましからざるものとして排撃されたということにはならんと思う。少くとも完遂奨励金を出すのですから、超過供出の対象にするだけでなしに、完遂奨励金まで出して行くのですから、だから奨励金まで出すという扱いであつた以上、あれが、いやでたまらんという扱いじやなかつたと思うのでして、恐らくもつとたくさんのものが出ておれば、一般の家庭配給へそれをお使いになつたのじやないかと思うのですがそういう考え方からすると、何も今年、今私が申しましたような事情が将来出るとすれば、等外上を義務供出の対象にしないということは余りこだわる必要がないじやないかと思うのですが、現実にどうされますか、等外上が出た場合には……。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 今、江田さんのおつしやいました完遂奨励金をつけたというお話は何か誤解でございまして、完遂奨励金はつけておりません。昨年は完遂奨励金をつけましたのは、義務供出だけでございます。それで超過供出には昨年も御承知のように完遂奨励金はつけておりません。それで今申しました等外上は、ですから昨年は完遂奨励金はつけないで、超過供出奨励金として払つたというわけでございます。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 その言葉の間違いですか。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 私のほうは実は超過供出奨励金をつけるならば、何も排撃すべき問題じやないじやないかという御質問でございますが、昨年の大凶作ということで、御承知のように五千五百万石台、推定実収高になつておりますので、成るべく余計なものを配給に廻したいという前提からこれができなかつた。等外の上も奨励金をつけて買つて配給に廻そうという手段を講じたわけであります。併し消費者の立場から考えますれば、やはり食糧庁としてはできれば等外の上というものでなくて、五等までのもので配給することが望ましいのでありまして、排撃はいたしませんが、私どものほうの望ましいのはやはり五等以内のものを配給するという考え方でございます。昨年は実は今おつしやいましたように、もう少しあるかなと思いましたところが、全国的に非常にやかましかつたのでありますが、案外ありませんで、三万八千というような数字になつたわけでございます。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 完遂奨励金と超過供出奨励金の言葉は私は間違いましたが、要するに奨励金までつけようというくらいにおやりになつた。それは今の部長さんのお話では、大変な凶作だからということなんですが、それはその通りでしよう。ところが私は凶作に対する対策というものがどうもときどき的を外れた対策になる場合があるということを考えるのでして、それは例えば減収加算、さつき問題にしました減収加算にしても、これは考えようによると凶作地の犠牲において、凶作地でないところが利益をするということになるわけです。それから被害、被害と言いますけれども、あなた方はどうも国全体の食糧政策という立場から、ああいう減収加算にしても、その他今の扱いでもなさるのですけれども、国全体の米をどうするかという立場と、もう一つは被害を受けた農家をどうしてやるかということと、やはり問題は二つだと思うのであります。どうもその点について被害を受けた農家ということについては食糧庁は特別会計の関係やら何やらあつて、どうも冷淡のように思えるのでして、国全体の受けた災害が去年より少かつたところで、併し災害を受けた個々の農家について言えば同じことなんです。国全体がどうあろうと個々の農家で、例えば収穫が皆無の地と或いは五〇%の地と、そこにおける打撃というものは同じことなんで、皆無の地は別にしまして、五〇%なり、七〇%なりの諸君をやはりそのところを得しめなければならん。それにはやはり国全体がその人たちに協力して助けて行かなきやならんという、消費者の諸君もやはりその気持になつてもらわなければならんので、等外上が果して何ぼ出るかわかりませんが、そのくらいのことも国として一つ義務供出の対象にとつてやるし、消費者としてもそれは辛抱してもらうということは当り前じやないかと思うのです。とにかく去年そういう措置をとられたということからすれば、私はどうも等外の上を義務供出の対象にしないというのは少し筋が立たんと思うのです。立ちますかな、どうですかな。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 今の江田委員のお話でございますが、食糧庁は災害を受けた農家に対しては余り同情的でないというお話でございますが、私のほうとしては、やはり昨年程度のことは災害農家に対してやりたい。例の安売りの問題はこれは立法措置がありますので、まだできておりませんけれども、それ以外の点では少くとも昨年程度のことを被害農家に対して考えて行きたいということでおりますので、江田委員がおつしやいましたが、私のほうは私なりに義務供出に入れんでも筋は通るのじやないかというつもりで実はやつております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 それはあなたのほうの見込みが、収穫について私ども現地を見て来たものと非常にずれておるということが原因じやないですか。あなたのほうでは特に今年は食糧庁は豊作なのに割当を下げてしまつたと言つて盛んに叩かれるから、何か萎縮してしまつて、新聞が書くと誠にその通りだという気になつておられるのじやないかと思うのですが、実際に今日陳情を受けた岡山とか、広島とか、あの瀬戸内の晩稲の米というものは生育は本当に悪いのですよ。恐らくやつて御覧なさい。五等或いは等外の上というものが大部分ということになつてしまいますよ。特殊な地帯は別にして……、そんなら義務供出の対象にしないというのなら、結局供出割当というものはナンセンスになつてしまうと思うのです。それはそう等外の上を買上げたりするからと言つたつて、お百姓だつてこれは格差があるのですから、何も意識的に等外の上ばかり作るということはしないと思うのでありまして、その点は前以てそういうことを公表するのは集荷対策上差支えがあるというなら、それは前以て発表の技術等については十分あなた方の集荷の面から考えて頂けばよろしいが、何かそれについて手を打たれんと、とても供出割当なんというものはナンセンスに終るのじやないかと思います。もつと弾力性を持つた考え方はできませんか。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 私のほうの調査では、今のところまだ江田委員のおつしやいますように、弾力性を持つてそれを今入れて行くという御答弁をするような段階には考えておりません。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 それはあなた方のほうは少し時間がかかり過ぎるのですよ。我々のほうが割合早いのです。官僚ルートで行くと時間がかかつて、特に統計調査の諸君にしても、一応十月十五日現在で幾らというものを出しておる。そこから変つたものを出すと多少統計調査の威信にかかわるということから、なかなかデーターの作成に苦労されるのだと私は思う。そういう点はやはり現地を十分に御覧になつて、そして今私が言つたような実情にあるとすれば、何らか適切な措置をとるべきだと私は思うのですが、もつとこのまま放つておいて、そんなことは後になつてからやつてもいいのだという行き方も一つですが、併しそれがために割当に現地でトラブルを引き起してむしろ旗を立てて、忙しい仕事がないからむしろ旗もいいですが、そればかりが能でないと思う。少し現地を御覧になつて、もつと現地の事情が若し私が言うようなことなら、弾力性を持つた措置をとるということはできませんか。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 私がさつき答弁いたしました中で、江田委員が非常に極端な場合ですね。殆んど供出の大部分をやつて見たり、実際の問題として五等とか、等外の上しかないとかいう例を挙げておつしやつたのですが、私もそういう事態が現実にあれば、私がさつき申しましたように等外の上を義務に入れるか、或いは又減額補正というようなことをやるか、どちらかの途を考える必要があるのではなかろうかと思つております。ですからやはり私は相当時日を見てからその点は判断していいのではないかという気がいたしております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 時日を見て、まあ遅れてやれば叱られるのも、新聞で叩かれるのも少いのですが、併し現地の百姓の立場からいうと、やはりそういうことは同じことなら早くやつてもらわないと、後からやられるのでは有難味が少いわけで、私どもが現地で作報所長の意見を聞いたり、作報の職員の若干の人に会つて聞いて見たり、食糧事務所に当つて聞いて見るというと、明らかに瀬戸内の晩稲について見込違いであつたということを言うておる。それで実際にその村に入つて脱穀調製をやつておるのを見るというと、とてもこれでは三等だとか、何等だというのは遠い遠い遠方の話というようなことになつておるのでして、その点もう一遍繰返して言いますけれども、昨年の被害籾の生育というのはよかつたのですが、今年は逆になつております。なぜこうなつたかという学問的の説明は私にはできません。恐らく農林省もなかなかできないだろうと思います。これは私誇張して言うのではなく、実際にそうなつておるから、その点は一つ後からというのではなしに、たまには先手を打つて農民に喜ばれることをして頂きたいと思う。一遍現地を更に再調査されませんか。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 地帯によりましては再調査に食糧事務所、それから私のほうからも直接行つてやつたこともございますし、必要であればちつともやることにやぶさかでございません。

松浦定義無所属クラブ

○松浦定義君 この等外米の問題、去年も問題になつて、今、江田委員も御指摘になつた通りですが、恐らく今、江田委員のお説ですと、先ほど岡山及び広島から陳情があつたのですが、昨日も統計調査で私は申上げたのです。北海道が六〇、その他八〇以下が十府県くらいある、岡山、広島は九二、九五、これは一方的な数字だというような御指摘はあつたのですが、こういう九〇台ですらこういう意見が出て来るので、恐らく全体から行けば、こういう等外米をやはり供出の対象にして、もらいたいという府県は恐らく半分以上あるのじやないかと、こう思うのです。そういう場合に、若し供出が完遂することができないということになりますと、当然まあ早くその補正の問題をやらなければいかん。併しそのときになつてからこれはやるというのでは、それは農家としてはいろいろな問題があつて、それまで待つていられないから、自分の食うものを出しても義務供出を果して行かなければならん。さつきも陳情があつたように裸供出までやつている、そういうことで、あとになつてから等外は配給にも困るから買わないのだというようなことになつてしまつたのでは、出した農家としては非常にばかをみてしまうということなんですから、今もお話がありましたように、等外というものは絶対買わないなら買わない、買わなければどうするか、やはり政府が指示して、これは作つたものを買わないということだつたら、適当に農家のほうで再高度にそれが販路なり、その他利用価値のあるような形で、農家自身がやるなら別ですが、今の場合そういうことはできないので、等外を自由販売してもよろしいということになりますと、政府の考え方では等外は一割、あといいものを九割入れて、それを等外と称して闇売りするだろうということで、又取締ると、こういうことになるので、農家としてはとつたものの処置に困つてしまうという結果が当然出て来る。だから買わないなら買わない、買うなら買う、買う場合は義務供出としてどうするか、或いはその他どうするかということは、やはりこの割当と同時にそういうことが知らされなければならない。やはり府県としても先ほどお話があつたように、末端に下ろす場合に困つてしまうのではないかと、こう思うので、こういう点は一つ現地をこれから見てからというのでは遅いと思うので、実情がはつきりしている九二から九五のところからこういう問題が出ておる。こういう現状はやはり二十府県くらいは相当こういうものを政府として買つてもらわなければならんという意向が強いということが証明されておるのですから、その点もう少しはつきりした立場に立つてやれないものですか、若し食糧庁としてどうしてもこれができないというのであるならば、これはその割当に対するやはり私は統計調査の数字というものが、やはりこの数字をこのまま使われた割当というものが非常に私は矛盾をしておつたというふうにもなつて参ると思うのですが、こういう点もう少し突込んだ意見としてできるだけ明らかに事前にやつてもらいたいと思うのですが、こういう点は如何ですか。

伊東正義食糧庁業務第一部長

○説明員(伊東正義君) 今、江田委員にお答えしたのでありますが、実は買うのは買うのであります。買うという前提で義務供出に入れるか入れないかということが議論の焦点になつておりましたので、買うことははつきりいたしております。私のほうは等外の上は超過供出奨励金を付けて買うということになつておりますが、江田委員のお話はそうじやなくて、義務供出として買え、こういうお話でございまして、その点が実は食違うのでございます。実は割当をいたします際は実は県当局にははつきり育つてあるのでありますが、等外上は義務としては買わない超過供出奨励金を払つて買うということは、私のほうとしましては、そのときはつきり申上げてあります。ただその後になりまして、作が又悪くなつて、或い等外上を義務にしなければ義務供出が完納できんとかいうような問題として起つて来ておるのでありまして、我々といたしましては、義務供出としては買わないということを実ははつきり県には言つてあるはずでございます。ただその後の問題として、今、江田委員のおつしやいましたような問題が出ているわけであります。   —————————————

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) それでは山本大蔵政務次官か御出席されましたので、先回の委員会におきまして決定をいたしまして申入れてあります申入に対する大蔵省としての見解を御報告願うことにいたします。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 先般当委員会のお申入がありまして、我々これに対して好意的に検討して参つたのでございますが、御承知のような国家財政の事情で、全面的に御要望に副うことができないことを誠に遺憾に存じておる次第であります。  項目を逐つて大体のお話を申上げますと、第一に、農林関係諸施設の災害復旧問題でございますが、これにつきましては、無論国庫の補助資金等の融通について遺漏なきを期して参りますが、三十八年度、昨年度の災害に際しましてとられたような国庫の高率負担、国庫の負担率を引上げるというような内容を持つた特別立法、こういうことはどうもできかねるように結論が達しております。  第二の干拓堤防の復旧維持のため改良復旧の補助及び補助率を引上げてもらいたい、こういう御要望に対しましては、無論改良措置が必要とは認めますが、やはり具体的な問題としての通常予算の範囲内で、通常予算の問題として十分検討する、こういう考えでございまして、やはり補助率の引上に対しましては、先ほども申しました第一の問題と共にどうもできかねるのでございます。  第三に、営農資金の問題でございますが、この営農資金融通につきましては、これは特別立法を考慮しておりまして、すでに前例もございますが、その今年の冷霜害対策としてとられた前例によりまして特別立法を考慮しておりますが、問題はすぐにこれは動き出さなければならん問題でございますが、金を貸すか貸さないか、それについて損失補償があるかないか、利子補給をどうするかということがなければ金は動きませんので、又一面特別立法するには次の臨時国会がまだはつきりしておりませんが、それまで時間を待つこともできないので、これはもうすでに政府の責任において関係金融機関に連絡をとりまして、特別立法があるものとして措置をとつて頂いておるような次第でございます。なおその金額でございますが、金額はまだ目下検討中でございまして、どれだけというはつきりした金額の結論は出ておりませんが、農中当局等とも連絡して十分できる限りのことをして参りたい、こういうふうに考えております。又過年度災害によつて融資を受けた被害、こういうものに対して、もうすでに償還期限が来ているものに対する猶予でございますが、これは猶予をしたいと思つております。  第四番目に、被害農家に対して米麦を特別安く払下げてもらいたい、又代金を無利息延納してもらいたい、こういうことでございまして、代金の延納についてはもうすでに処置済でございます。御要望に応じておるわけでございますが、特別値段を安く払下げてもらいたい、こういうことについては今応じかねる、こういう結論でございます。  第五番目の種子及び肥料の斡旋、助成、こういうことにつきましては、行政上万全の措置を講じて行きたいと思つておりますが、これが補助金ということになりますと、これは極めて零細な補助と存じますので、これはいたしたくないと考えておる次第でございます。  次の病害虫防除費の問題でございますが、これは過般すでに閣議決定がございますことは御承知の通りでございまして、あの閣議決定の線に沿いまして処置したいと考えております。金額についてはまだはつきりしておりませんが、農林省からの御要望はたしか九億とか承知しておりますが、必ずしもその金額には参らないんじやないか、大分それよりも下廻る金額になるんぢやないかと考えているような次第でございます。  それから次の第七番目の果樹園の災害についての問題でございますが、これは通常の災害の例にならつて行きたい、逆に申しますならば、これについて特別の措置はなかなかやりにくい、こういう結論でございます。普通の農家と違いまして、果樹園の被害の場合には、一年限りの問題ではなくて、果樹の樹木が成長するには相当の時間がかかるという特殊の事情はございますが、やはりこの果樹園をやつておられるようなかたは、概して零細農家ではなくて多少資本的な経営でございますので、特に特別な措置というものはやりにくいというふうなまあ結論でございます。  次に、この問題は相当大きな問題でございますが、例の救農事業の問題でございます。これにつきましては、すでにここで一度抽象的にはお答えしたことがございますが、北海道について大体前年度と同じ規模でやりたい、こういうふうに考えております。内地のほうは北海道などに比べますると、被害と言いますか、作柄の程度も大分よろしうございます。北海道はかねて七割作とか、ここで申上げたことがございますが、その後更に悪くて、たしか六割と作柄が低下しておるような事情もございまして、北海道について特別に救農事業を考えたい。その前年度と同じ規模と申しますのは、予算の金額で申しまして合計十六億八千七百万円くらいを考えているのでございますが、その内訳は、節約解除分はこれもすでにここでも申上げましたし、又衆議院の農林委員会でも申上げましたが、北海道につきましては冬が早いという問題もございますので、三%の解除をやることにいたしまして、その金額が三億四千二百万円、それから又道路の節約解除、これは七%解除いたしますから、合計は道路の節約額が、これは全部解除することになりますが、それが三億四千五百万円、それで国有林、これは節約解除と予備費の使用と両方ございますが、合せて八億、尤もこのうちすでに二億五千万円は措置済でございますが、その措置済の二億五千万円を加えまして八億、それに予備費支出が三億、これを合せまして十六億八千七百万円となるのでございますが、この範囲内において救農事業をやりたい、そうして農家の現金所得を得てもらうようにということを考えておるのでございます。昨年度は補正を加えまして十六億八千二百万円となつておりますので、只今申上げた十六億八千七百万円というのは殆んど同じだが、僅かばかり殖えておる、こういうわけでございます。  それから伐採調整資金の問題でございますが、これは御承知の通りに、農林漁業金融公庫の貸付計画の問題となるわけでございますが、その農林漁業資金公庫の資金繰りにつきまして目下検討しております。大体二十二億の枠がございますが、一つそこでできるだけのことをして頂きたい、こういうふうに考えております。  次に、第九番目に共済金の支払の問題でございますが、これはもう速急に支払をするということは申すまでもないことでございまして、従来とかく支払遅延についていろいろ御批判がありましたから、極力早く払うということは、これは当然やるべきでございますが、なお一層この際促進して参りたい。概算払につきましては、御承知のごとく、九割以上の被害の場合に概算払ができるのでございますが、北海道その他被害の激甚な地方につきまして、これを加えて行きたい、こういうふうに考えております。  次の開拓者に対する特別措置、開拓者のかたは、既耕地の農民のかたに比べて非常に困難な事情にございますので、手厚い救済を必要とすることは勿論でございますが、さりとて格別のこともなかなかできがたいのでございまして、いろいろな施策を考えるに当つて万事優先的に考えるというふうにして、少しでも御要望に副いたい、こういうふうに思つております。それからこの間の風害等によりまして全壊住宅の復旧補助を従来通り行うことは、これは勿論でございまして、大体二億乃至二億五千万円ぐらいと思つておりますが、そうかといつて開拓地についてだけ特別の措置を行う、現行以上に特別のことを行うということは、かなりむずかしいというふうに考えております。  次に、冷害の防止対策、水稲健苗育成、それから耕土培養、水温上昇施設とか、防風林、こういうものの対策が非常に必要であることは申すまでもないのでありますが、いずれもすでに数年間政府は奨励、助成の措置を講じて参りましたので、もうこれらの措置が非常に効果があるということは、だんだん農民にも知られて認識されるようになつて参つておりますので、この上改めて予算措置をとるということは困難だ、こういうふうに考えております。  次に、麦類の緊急増産、それから次の災害防止のための気象観測試験研究の充実とか、更にその次の農業被害調査、機構の整備とか、これらの問題につきましては明年度の予算編成に当つて十分考慮したい。まだ農林省からの予算の御要望は査定が済んでおりません。農林それから建設、これらのいわゆる大物、それから厚生関係等が済んでおりませんけれども、今後十二月の初めにかけてこの査定をやる予定でございますが、来年の予算についてこの点を考慮したい、こういうふうに考えておる次第でございます。  大体先般のお申入に対しまして、一通り簡単ながら大蔵省の従来の検討の結果を御報告申上げる次第であります。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) この際更に又先刻申上げましたように、閣議決定のものではございませんので、各省の独自の見解に基くものと思いますが、農林関係の考え方につきましても御報告を求めておきたいと思いますので、農林関係の報告を求めます。

羽田武嗣郎自由党農林政務次官

○説明員(羽田武嗣郎君) 只今大蔵政務次官から、こちらの委員会においての御要望に対して大体の大蔵省の今までの考え方についてのお話が山本さんからあつたのでありますが、実は農林省といたしましては、まだ政府部内としては委員会で以て二つの意見を御披露することは甚だ如何かと思いますけれども、まだ本部長も帰つたばかりでございまして、これから調整をいたし、又農林省としては実は山本政務次官のお話になりました大蔵省の態度に対しましては、絶対にその復活を強く要求をいたす意思でございまして、そういう状態でございますから最後的なところにまだ参つていないのでございますが、大体山本さんから今お話の点につきまして、農林省の考え方だけを一つ、方向だけを申述べまして、又皆様の御支援を頂きたいと存ずるのであります。  そこで、只今山本さんからお話の皆様の御要望の農林関係施設災害復旧、それから干拓、提防の問題でございますが、こういう問題については、農林省といたしましても余り過大なことを、現在の国家財政の局面におきましては余り過大のことを要求いたしましても、肝心のところで又大蔵省からすつぽかしを食らつてもかなわんという考え方で、こういう点については趣旨としては止むを得ないことではないか、こういうふうに消極的に第一と第二の点については実は考えておるのでございます。それも我々の要求する重要な点を貫くための作戦と申しては変でございますが、そういう考え方でまあ一、二については大蔵省の顔も立てなければならん、こういうような考え方で現在はおる次第でございます。併しながら、あとの三以下の点につきましては、全く所見を異にする次第でございまして、この点を少しく申上げておきたいと存ずるのでございます。  三の被害農林漁業者の経営資金の融通の問題でございますが、この金額につきましては、只今の山本政務次官の御説明にもございましたように折衝中でございますから、大体まあそういう方向には、だんだん農林省の方向には近付きつつありますが、条件につきましては、かなり大蔵省と農林省の間に差異があるのでございます。先ず、大体根本的な考え方につきましても、この春の凍霜害と同じような今回の災害、冷害というものを大蔵省が考えておるのではないか、それは非常な認識の不足であるというふうに根本的には考えておるのでございます。そうして条件といたしまして、貸出の金利の問題でございますが、被害の激甚のものにつきましては、昨年の風水害、冷害の例にならいまして、やはり三分五厘という低利のものでなければならんということで強く大蔵省とも話合を進めておるような次第でございます。それから償還期間の問題も昨年と同様に五年とするというようなふうに考えて交渉を進めておるのでございます。それから損失補償については、漁業及び開拓者につきましては、特に損失補償を六割とするように要望をいたしておる次第でございます。なお据置の期間の問題でございますが、昨年と重複して被害を受けた開拓者につきましては、三年以内の据置期間を認めるというようにいたして行かなければならん、こういうふうに考えて交渉を進めておる次第であります。それから開拓者についての借替の措置でありまするが、昨年と重複して又再び被害を受けた開拓者につきましては、最終償還期間五年が到来して、なお償還が困難であると認める場合においては二年以内の期間において借替を認めて、利子補給、損失補償を継続することが、これらの弱い開拓者の諸君に対する国家のなすべきことではないか、こう考えておる次第であります。  以上が大体この営農資金についての条件の問題でございますが、金額につきましては、只今大蔵省もだんだんと農林省の言い分を尊重いたしておる状態でまだ結論は得ておりませんが、大体そういう方向に進んでおるということを御報告申上げておく次第であります。  それから一番肝心なのはその次の、重点的に申しますれば、救農土木事業につきましての農林省と大蔵省の考えは、月とすつぽんのような相違があるということをこの際御披露しなければならんことは誠に遺憾と存ずるところでございます。そこで御報告申上げなければならんことは、同時に山本政務次官にもよく聞いて置いて頂かなければならんと思うのでありますが、大蔵省の只今の御説明によりますと、先ず第一の点は、北海道だけには今年は救農土木をやる、内地は一切やらないという根本的な考え方に、先ず重大なる農林省の考え方と大蔵省の考え方の絶対的な相違があるのでございます。内地と申しても、昨年の冷害が再びあつたところの青森や岩手県或いは又今度の台風の被害のありました西の方面というようなものにつきましての、この作物がとれない、これらの頼みとした作物がとれないものに対しては、やはり救農土木事業をいたしまして金銭収入の途を図つて行くということはこれは絶対に必要なことでございまして、こういう点については、大蔵省の御認識がやはり我々の前線を実際に知つているものと知らないものとの相違と申しますか、それにしても余りにこの実情と離れた考え方があるように実は考えておるのでございまして、この点についてはまあ大蔵省の各位にも、主計局或いは政務次官にもよく一つ御認識を頂き、殊に幸いに加藤国務大臣が老齢をおしまして九州のほうに今度行つて参りましたから、よく実態を把握されて来られていますから、本部長によく調整をしてもらつて、大蔵省の蒙を啓いて行くように我々は努力を続けたい、こう考えておるのでございます。  それから次の問題といたしましては、北海道の問題でございまするが、北海道には如何にも昨年同様に十六億の、昨年は十六億八千二百万円、今年度は十六億八千七百万円というような形の、形式的には如何にも昨年と同様な考慮を払つたというようにこの数字の上では見えますが、これは私は数字の遊戯である、こう実は考えておるのであります。と申しまするのは、先ずこの節約解除分三%、三億四千二百万円、それから道路節約解除分七%、二億四千五百万円、こういうようなもので五億八千万円が如何にも救農土木のこの見返りと言いますか、財源として与えられるかのごとき形がございまするが、この公共事業の農林省、建設省に関する公共土木事業というものは、これは全国的に解除する大体考え方でおるようでありますから、北海道だけがまあ冬が早く来るから早く解除してやつた、それで三億四千二百万円だということであつては、救農土木と銘を打つて、それでこれだけの費用を与えるのだという美名で、羊頭を掲げて狗肉を売ると、こう私どもは考えておるのでありまして、これは全くこの数字の恰好だけの遊戯であると、こう私どもは考えておるのでございます。それから道路節約解除のものでございまするが、これについても全国的にやろう、これはまあ建設省関係でありますが、全国的にやるというならば、何も北海道が僅か早くやつたからといつて、それで救農土木の仕事を与えたということにはならないと思うのであります。大体こういうような建設、道路や或いは公共事業の節約なんというものは、大体機械或いは専門の土木業者がやるべき仕事が多いのでありまして、百姓が救農事業としてやるというような種類の仕事は余りそうないのでありまして、こういう点から言つても、質的に、内容的に言つても私は同意しがたいのであります。私どもは農林省としては強く考えておるのであります。  それから国有林の問題でありまするが、国有林の問題につきましても、ここに八億というふうに大蔵省が計上をいたしておりまするが、この問題についても、内容を仔細に検討すれば、これが果して救農土木事業としてのものであるということは甘えないことは誠に遺憾ながら、政府部内で甚だ意見を異にして恐縮ではありまするが、これはそう言えないと、私ども農林省としては考えておるのでございます。というのは、先ず第一に二十八年度の、昨年の国有林の特別会計におきまして、四億五千万円を去年は出した。今度はそれを八億円出すのだ。そして救農土木事業をやるのだ、こういうふうにまあ出ておりまするが、二十八年の四億五千万円は特に救農事業として有効適切な事業種目、例えば林道用の砂利を採取するとか、林道の修繕をするとか、造林の保続事業、治山用の砂利、石の採取というようなことを、特に去年はああいう冷害救農国会まで開いたような次第でありますので、特にこの国有林の特別会計の用途というものについては、特に救農土木ということに強く着眼いたしまして、四億五千万円を計上をいたしたのでございまして、併し本年の八億円については、必ずしも私どもはかようには今年については考えておらないのであります。即ち八億円のうち、二偽五千万円は五月の暴風災害の対策として、すでに使用済の金であります。事業はそのおおむねをすでに完了しておりまして、又事業の質的な内容といたしましても、施設復旧を含んでおりまして、災害農民の労力の吸収ということに役立つということは殆んどないというふうに我々としては考えておるのでござりまして、これを救農土木事業として取上げるということはまさに見当違いと我々は考えておるのでございます。それから次に八億円の残りの、今申しました二億五千万円を差引きましたあとの五億五千万円につきましても、救農を目途として事業が選定されておるのではなくて、災害を受けた施設復旧が相当の部分を占めておるのでございまして、主として風倒木の処理事業に三億七千万円を使つておる。こういうような風倒木、御承知のような大雪山の奥地の風倒木に農民の労力を吸収するということは、それは専門の杣ではございませんので、なかなかそういうことの期待は余りできないと考えておるのでございます。それから我々が強いてというか、まあこれは実質的にもそんなにけちをつける必要もありませんが、まあ実際上この八億のうちで、救農土木事業として確実に効果を期待するものは約二億円に過ぎない、こう考えておるのでございまして、あとの六億というものは一つのフィクシヨンである、こう考えておるのでございます。以上の理由によりまして、北海道の救農土木事業につきましても、ここに挙げた十六億八千七百万円というものについては、必ずしも十六億八千万円を私どもはむしろ必要でなくて、我々が要求したような十五億程度でも結構でありまして、但し内容においては我々の主張するように真に救農に値するというような金額は大蔵省の認めた、認めたと言いますか、今の御説明の金額でなくてもよいと、こう思つているので、もつと少くても結構であるが、実質的には真に救農に値するものを頂きたいと、こういうふうに考えておるのでございます。  それからあとの点については、共済金の文払は山本さんのおつしやる通りで、我々のほうも第一線をそういうふうに督促をいたしておるような次第でございます。  それから開拓者に対する特別措置につきましては、どうも先ほどの大蔵省の御説明につきましては納得が行かないのでございまして、我々のほうはやはり原案通りに開拓者については特に力を入れて頂きたいと、こういうふうに考えておるのでございます。  それから続いてこの第十一の皆様の御決議の冷害防止対策でありまするが、水稲健苗の育成或いは耕土の培養或いは水温上昇施設或いは又防風林等については、もうすでに数年間も面倒を見ておるのであるから、この際特にこれを見なくてもいいんだ、もうすでに農民もこれらのものが如何に必要であるかということは認識しておるんだというような大蔵省のお考え方でありまするが、これについても農林省といたしましては、未だ御承知のように農民がなかなかこういう新らしい仕事というものは簡単明瞭に呑込むというような日本の農民の状態でございませんで、やはりなお数年の間は或る程度面倒を見て、そしてこういう施設をやつて行く必要がある、殊に今回の冷害の防止、年々続く冷害でござりまするから、やはりこういう点については面倒をまだ数年見る必要があると、こういう主張で目下大蔵省と話合を進めておるような次第でございまして、なかんずくこの水稲の健苗育成施設につきましては、北海道或いは青森、岩手というような今回の冷害地帯においては、もう何としてもこれは認めてもらわなければ、来年の食糧増産に支障を来たすという考え方でおるのでございます。特に山本さんもおいででございますので、くどいようではありまするが、大体農林省のこの問題についての考え方を申上げてみますれば、水稲健苗育成施設については、寒冷地帯における要普及面積が九十四万町歩に対しまして、実際に普及した面積はまだ今日で二十四万町歩に過ぎないのでございます。特に冷害対策上必要な高冷地帯については要普及面積五十四万町歩に対しまして、実際に今日までに普及した面積は十六万町歩で、約三二%に過ぎないような状態でございまして、更に数年間に亘つて助成措置を講ずる必要があると、こう考えておるのでござりまして、やはり北海道、青森等の冷害地について本施設の十全なる効果を上げるためには、昨年同様に所要資材の手当を早急になし得るように、この予算において是非とも御承認を頂きたいと、こう実は考えて事務当局と熱心に交渉を進めているような状態でございます。それから耕土の培養の問題につきましても、冷害地帯における酸性土壌改良、秋落水田改良事業は目下一定の年次計画によつて実施中でありまするが、特に低位生産地の多いこの地帯については、他地域より事業を繰上げて早急に実施をいたしまして、この禍いを重ねないようにいたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。それから防風林でありまするが、冷害の禍因である偏東風防止のための耕地防風林の施設は急速に実施する必要がありますので、三十年度要求予算において初めて要求中のものでございまして、十把一からげにここで数えられたくないと存じておる次第でございます。まあそういうような次第でございまして、大蔵省も今日の財政の状態でございまするから、なかなか御困難とは存じまするけれども、実情をもう少し、私どもの説明もまだ足らないのでございまして、大蔵省に対する説明も足りないのでございまするが、更に熱意を込めまして、十分皆様の委員会における御決議の趣旨を貫徹するようにいたしまして、この臨時国会に相まみえたいと、こういうふうな考え方、熱意を持つているような次第でございます。  なお種子並びに飼料の斡旋助成についてもちよつと御説明を申上げておきます。大蔵省の考え方では、そういうことについては行政的には種はいい種を冷害地に対して集めてやるという行政的な処置ぐらいで、ここで何もそれに対して助成金を与える必要がない。殊に昨年の種の場合においても、実際は変なところに途中で消えてなくなつたというようなことが若干あつたことも、こういう大蔵省の態度に強硬なところがあるゆえんでありまするが、これに対しましては、末端農家に対する零細補助というような形は今度は避けて、何とかして行政的なこの中間経費を国家が地方公共団体に対して助成をするというような方法によりまして、末端の零細な助成というようなことで以て消えてなくなつた、国費がたとえ少なくても無駄になつて訳がわからなく使われたというような御非難については重々我々としても遺憾に存じておりまするので、それを今度は地方公共団体が一括購入した現物を農家に売渡すところの中間経費を国が地方公共団体に対して助成をするというようにいたして行きたい。さもないと、例えば小豆とか、或いはいろいろな菜豆類なんかの種なんというものは非常に最近値上つております。そういうような値上つているときに当つて、この種を集めると言つてもなかなか困難であります。そういう場合においては、中間経費を国家が地方公共団体に助成をするというようになりますと、それらのものたちは、今度はにくまれながらもできるだけ安い種を集めまして、そうして闇のものをまあ我慢してもらつて、そして適正な価格で集めて、そして冷害地に配布ができる、こういうことにもなりますので、やはり国家が中間経費ぐらい面倒を見なければ、この種子の集荷というものはなかなか困難じやないか、こう存じておるのでございまして、どうも政府部内のことを、少し途中でまだまとまらない前に、この委員会が開かれて説明を求められましたために、誠に少し言い過ぎかも知れませんが、以上大体農林省といたしましては、大蔵省の御説明に対しては、又大蔵省の考え方に対しては満足しないばかりでなく、非常に不満であるということだけは明瞭にいたしておいて、なお最善の努力をいたして行きたい、こう存じておる次第であります。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 只今まだ政府としてのまとまつたものはございませんが、只今までの段階においてそれぞれ農林省なり、財政当局の立場でお考えになつておる構想のお話がございました。これに関連して御質疑を願いたいと思いますが、その前に私からも一、二お伺いしたいと思いますが、特に救農土木事業の内容はまああとにいたしまして、救農土木事業というものに関する限りにおいては、ひとりそれが北海道だけに限定されるという考え方は、これは政府の考え方としては非常に矛盾があるんじやないか、こう思うのでありますが、特に北海道だけに限られたという趣旨はどこにあるのか、その点を二つお伺いしたい。それから第ニに、病虫害対策は過般の閣議決定の線によつて行うんだ、閣議決定の線というのは、一回だけは農民がやり、その後二回以上行なつた場合に一回だけを政府が助成たするというのであります。今回は台風その他の災害を受けましたので、そういう災害に基いて異常発生をいたしました病害虫を防止するために、災害なかりせばやらなくて済んだ病害虫防止のために特別な薬剤撒布をしたんだ、それも閣議決定の線によつているとすれば、これはもう事実は助成がないということなんです。閣議決定の線によつてやるということは実質的にはやらないということを意味しておるというように考えられるのでありますが、そういう考え方が災害対策として説明され得る内容のものであるかどうかということ。それから第三点は水稲の健苗育成の問題でございますが、成るほど数年に亘つて健苗育成の保温折衷苗代の問題は助成されて参りましたが、併し只今も数字を挙げて農林政務次官の御説明の通りでありまして、未だ以てこのことが普及はしておらないという実情に置かれておる。而もそのことは非常に食糧確保のためには効果を上げておるということでありますれば、このことは当然現下の食糧事情に鑑みまして継続実施されなければならん必然性を持つたものであるというように考えられる。それをそういうような、数年やつて来たから打切るというような表面的な考え方だけで措置するということは非常に如何かと思われますが、それで今後における食糧確保が十分に可能であるというふうにお考えになつておるかどうか、考え方の基礎についてお伺いをいたしたいと思います。取りあえず三点だけ一つ山本政務次官に大蔵省としての考え方をお伺いいたします。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 救農事業を北海道に限つたことはどういう理由であるかというお話でございますが、私ここに二十八年度と二十九年度の作況指数という詳しい数字を持つて参りましたが、全国は今年十月十五日現在で作柄九五%でございますが、そのうち各道府県別を見ますと、北海道は先ほどもちよつと触れましたが、ついこの間までは七〇%と思つておりました。ところが最近十月十五日現在では六〇%、飛び離れて、かけ離れて悪いのでございます。いい所は無論一〇〇%以上の所もありますが、平均が九五に対し北海道は六〇でございます。以て北海道が如何に作柄が悪いかということがわかるわけでございます。そこで北海道に対してまあ何か特別に現金収入を得る途をつけるという意味で救農事業を考えているわけでございます。然らば内地のうちでも相当ひどいところがあるのじやないかということになりますと、内地で一番悪いのが宮崎県の七七%でございますが、まあ内地全般としては北海道の特別悪いのに比べますと、かなり作柄がよかつたと言えるわけでございまして、これをそれではどこまで拡大するかと言いますと、限界もなかなかつけにくい問題でございますので、北海道だけに限るという結論を出したわけでございます。  第二は病虫害の対策の問題でございまして、過般の閣議決定の線では、今度の災害に対しては何らの措置をとつていないことと同じになるのじやないかということでございますが、閣議決定の線は、只今お話がありましたように、一回以上やつたところに対し一回のみ助成するということでございますが、これが若し風水害なかりせば、恐らくその範囲というものは大分狭いのじやないか、風水害によつて範囲が拡まるのじやないか、そうすれば、やはりこの風水害に対して特別の措置と言えるのじやないかと、こういうふうに思うのでございます。なお根本的な考え方といたしましては、かねて当委員会でもお話したことがございますが、こういうのは元来農家の経営支出といわば見るべきものである、農家を事業体と見ますならば、やはりこれは当然経営的に農家が支出として考うべきものであつて、そう一から十まで、というのは言い過ぎかも知れませんが、政府におんぶするという考え方は面白くないのじやないかというので、二十八年度の予算額に比べまして二十九年度は激減して、十分の一以下になつたことは御承知の通りでございます。それは先ほど申しましたような考え方が根本にあるからでございます。  第三の水稲健苗に対する助成でございますが、これなど、私は愛知県でございますが、愛知県の山奥のほう、北設楽郡とか、そういうところから非常に要望がございまして、陳情を受けておるので、私もこの実態を知つておるのでございますが、無論助成すればこれに越したことはない、助成できればやりたいのでございますけれども、やはりもう数年続けて来ておる、これを恒久化するということは如何なものであろうか。かなりその効果というものが認識されて来れば、やはりそれによつて収穫上効果があるのでありますから、自己の負担を以てやるのが原則じやないか、もうぼつぼつその原則に帰つてもいいのじやないかという考え方でおるわけでございます。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 只今の御説明では、いずれも了解はいたしかねるのでありますが、皆様から御質疑があると思いますので、皆様の御質疑をお願いいたします。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 山本さんのほうからは、まあいわば最小限の説明があつて、羽田さんのほうからは最大限のあれで、どうもちよつと誰を相手にどうやつていいか見当がつかんのですが、山本さんでなしに、羽田さんの農林省のほうの最高限の意見か、対策か知りませんけれども、発表された中に、ちよつとはつきりしない点があるので、農林省にお聞きするのですが、開拓地の問題ですね、開拓地の問題については、こういう大蔵省のような考え方では納得できんということは言われたのですが、ほかのことは比較的具体的に言われましたが、開拓地の問題について、然らば農林省としてはどう考えておるかということについては御説明がなかつたので、その点もお聞きしたいと思うのです。それでまあなかなかこの開拓地の問題を別個にここだけ特別な扱いをするのは困難ということはよく知つておりますが、今の話では納得できんというだけで具体的なことがなかつたのですが、どういうことを具体的にお考えになつておるのですか。

羽田武嗣郎自由党農林政務次官

○説明員(羽田武嗣郎君) 別に略した意味でございませんが、大体皆さんも御了解頂いておると思つて申しませんでしたが、開拓地のは、大蔵省のは全壊住宅の復旧費補助は従来通り行うということであつて、あれは六分壊、七分壊、八分壊或いは半壊というようなものについては全然顧みないことになります。併し実際に隣りの家は全部壊れて隣の家は見る、私の家は六割、七割或いは五割というような場合に全然政府が見ないということは、公平の感じ方をどうしても受けないと、こう私どもは思うのでありまして、そういう意味において、せめて半壊以上のものについては、やはり助成金を出してもらいたいというふうに拡張を大蔵省に要望いたしつつあるのでございます。それから入植後七年以内のものについても、やはり全壊或いは半壊というものについては面倒を見てもらいたいと、こう考えておるのでございます。それから又種子の対策でございまするが、馬鈴薯も含めての種子でございまするが、これについては私どもの農林省の当初の要求通りに特段の措置を講じてもらいたいと、こういうような内容を持つておるのでございます。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 今言われた点については、これは大蔵省のほうはどういう工合にお考えになつておるのですか、実際に家屋の全壊ということだけで行くと、農林政務次官のおつしやつたように、半壊あたりに比べて非常に公平を欠いておるということと、それから開拓者の家の半壊というのは、これはもう全壊と同じことですね。もともとお粗末なもので、半壊したものをこれを直すと言つたつて、むしろ全壊したものよりも金がかかるというような場合もしばしばあるのでして、そういうものについては何とかお考え願いたいと思うのです。あなたのほうでも、開拓地については優先的に考えるということは言つておられましたが、多少今のような点、或いは種子や何かについて優先的にお考えになつておられるのはいいのでございますが、委員長から言われました救農事業について成るほど十月十五日の作況指数についてあなたがおつしやいましたが、あの数字については我々疑問を持つておるわけです。併しそのことは別問題といたしまして、例えば一つの県が九〇%だから、救農土木はやらないで、その県で賄えといつたところで、これはなかなか今の地方財政の現状から、県でそんなことをすると言つたつてできつこないと思うのです。今赤字を一体どうするかといつて悩んでおるときに、そんなものを県で救済措置をやれと言つたつてできない。併し被害を受けた農家としては、何か救済してもらわなければかなわんということになつて来るわけで、特にその中で一番基盤の弱い開拓地等については、北海道とか、内地とか言わんで、当然この救農事業というものを行うべきだと思うのですが、その山本さんの言われる優先的というのは、そういうことまで含むのではないですか、どうですか。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 前回の場合に、あれは三分の二でしたか補助があるということ、これが制度になつておるわけでありますが、現制度そのものにいわば不公平があるわけです。それでは七割壊れたとか、八割壊れたとかいうと、例えば五割以上のものに対して補助をやるとしましても、四九%のものは全然もらえない、五〇%のものはもらえるというように、どつち道不公平ができる。確かに只今御指摘のような点は、人情としても忍びない点でございますが、とにかく現行制度以上に特別な立法なり何なりして措置をするということは考えておらないわけでございまして、現制度が万全なものとは考えておりません。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 あなたの言われるのは、ちよつと納得できんのでして、今の制度がよくないということは認めておるのだけれども、それ以上のことをやるというのは困るというので、よくないということを認めておるのならば、あつさりこの機会に直してもらつたらどうですか。それも開拓者の家を半壊まで含めたからといつて、そう莫大な金額になるのじやないし、私ども今年も北海道に行つて見てつくづく感じたのですが、本当は北海道農業なんというものは開拓農民の犠牲でやつているのだ、国が当然試験研究をやるべきことを十分にしないで、開拓農民に試験研究をやらしているのだ、そうしてたびたび被害に会わしているのだ。それについては何とかしなければならん。あなたもよく御承知のように、あの熊の出る山の奥で何年頑張つておるか知りませんが、十年たつてみても、家は入つたときより悪くはなつても一向よくなつていないという姿を見て、それが今年又風でいたんでおるのを見れば、これは何とかしなければならんということになるので、あなた自身もお考えのように、今の制度が必ずしも適当でないと考えておられるのなら、この際ほかの問題もありますが、今の家の問題くらい農林省と同じ歩調でやつて頂くわけには行かんということと、もう一つは、救農事業というものを、内地はいやだというようなことをおつしやらんで、内地についてもさように……開拓地なんかはとにかく何とかしなければならんのですから、そういうところについては特に考えるということはできませんか。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 予算と申しますか、金があれば何でもやりたいことばかりでありまして、幾らでもやりたい。只今の開拓者住宅の問題につきましても、それ自体はおつしやる通りに必ずしも大きな金額じやないかも知れませんが、万般の問題に亘りますと、あえて農林省所管ばかりでなく、建設の問題、厚生の問題、その他全部を併せますと、やはりあらゆるところで金を出さないようにしませんと全体がもちませんので、つい誠に渋い態度になりまして申訳ございません。現段階ではどうも今特別措置をする考えはないのであります。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 そうあつさりやられると始末が悪いので、これは議員立法でも行くかということで行かなければ、羽田政務次官を応援団長にして大いにやるより仕方がないので、加藤さんでもおいでになつてからでなければ、これはちよつと歯が立たんのです。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) その前に、羽田政務次官から開拓の問題で説明の補足の要求がありますのでお聞き願いたいと思います。

羽田武嗣郎自由党農林政務次官

○説明員(羽田武嗣郎君) 開拓の問題は農林省としても、非常に高冷地ですから、去年も又今年もやつたので非常に心配を実はいたしております。そういう点で、先ほども営農資金の条件の問題については触れましたけれども、なおそのほかに只今江田さんも御指摘のように、救農土木についてはやはり金銭収入を……、全然収穫は皆無でございますから、そういうところには皆無か或いは非常に少い。もう蓄えのない開拓地の農民諸君に対しましてはやはり金銭収入の途を作り、同時に、どうせいろいろの素がありますのですから、それを繰上げたり、或いは又新らしく作るというような方法にいたしまして、金銭収入を与えまして、そうして開拓者の窮乏を救つて行きたい、こういうふうに考えておりまして、その点は特に我々の救農土木の中に開拓というものが非常な重要な問題であるということを江田さんの今の御意見もございましたので、農林省としてもそう考えますのでちよつと補足しておきます。

松浦定義無所属クラブ

○松浦定義君 今大蔵省の御意見と農林省の意見とは全く対立しておるので、これは当然だと思うのですが、私どもはやはり農林行政の政府の機関からすれば対立するのがおかしい、併し今大蔵政務次官のお話のように、ないものは仕方がないのだ、金さえあれば何でもやるのだと言われるけれども、そう言われるのなら、やはりもう少し大きく、予算の中で農林行政にもう少し取らなければならんものがたくさんあるわけです。今建設省とか、何とかかんとか言われますけれども、予算上か言つても、いろいろ国家の制度の上からいつても、これは農林行政が一番下積みになつておる、というのは、いつもこれは農林委員会で問題になるように、今日も午前中に言つておつた牛乳の問題でも、非常に食糧の需給に影響しておるのにかかわらず、何かその機構がちよつとしたことで下積みになつておる。若しそういうふうにどうしても農林行政の中で農林省の言うことが聞けないというのなら、やはり国会としてはもう少し本予算のときに頑張らなければならん。従つて本予算のときには全体に影響するので頑張れんから、その年の実情によつてやはり補正予算というものができる、補正予算というものはやはり国会を開会しなければ、やりたくたつて出せやしない、大蔵省が出したいと思つても国会が開かれなければどうにもならんので、そのことは早くから言つておるのでおわかりだと思うのですが、こういう必要なときにやはりほかのものと同じようなことで金さえあればやりたいのだと言われるのは、私どもは非常に不満なんです。そのことはいずれ又近い国会で問題になるとしても、先ほどの委員長の質問の中にもありましたように、北海道が六〇で、そのほかが、どうも内地府県とは均衡がとれないというお話ですが、今年は例えばこういう数字がときたま出たとしても、昨年は相当広範囲な救農土木が実施されたのです。昨年の一番低い農林省の数字というものはどの程度までのところで救農土木工事というものが実施されたか、これを一つお聞きしたいのですが、これは農林省関係でなければわからんかと思うのですが若しわからなければ、大体これはもう私どもの考え方で一応やつて行つてもいいと思うのです。

渡部伍良農林大臣官房長

○説明員(渡部伍良君) 今手許に去年の作況指数の県別のものを持つておりませんが、去年は二十数県について冷害対策を行なつたのでありますが、そのときは私どもは町村を選定して救農土木事業を実施いたしましたが、七制以上減収の町村を第一順位、五割以上減収のものを第二順位ということで、与えられた予算を配付して行きました。

松浦定義無所属クラブ

○松浦定義君 去年は北海道は七〇何ぼだと思つたのですが、全国的には八 ○幾らに行つたでしよう。で、北海道は七〇幾らですから、それからいたしますと、やはり数字から行けば七〇何ぼというようなところもあり、先ほど午前中に言いましたように九〇以下が十何県もあるというようなことから行けば、当然北海道だけに限定するということは意味をなさない、私は北海道だけに限定されましても、そのことが実現されれば、私個人としてはいいように思いますが、内容においては、先ほど羽田政務次官がおつしやいましたように当然これは納得ができない、こういうように、この問題についてはまだ前途非常な複雑な問題を残しておるのですから、私どもの要求としては、少くとも例えば北海道だけに限定しましても、昨年と同様と言いますけれども、昨年とは問題にならない内容を持つておるわけなんです。従つて昨年と同様に処理するにしても、少くともこの金額は五割以上くらいは殖やしてもらわなければ、昨年と同様の処置をとつたという実質に伴うだけの政府の措置というものには私どもは考えられない。従つて内地の府県も同様に、更に私どもが今見ておる範囲内においても、数府県ぐらいは金額の高は別としても当然行わるべきものだ、それで以つて初めて私は政府の災害対策といものの万全を期せられると、こう思うのですが、どうしてもこの原案というものは、無論加藤大臣その他関係大臣等の話合で大蔵省としても譲つてもらわなければならんと私は思うのですが、今の立場としてはそれ以上のことは、山本政務次官としては、甚だ言質の上からいつても御納得行くようには私どもは考えられないと思うのです。いずれにしてもこの問題はもう少し大蔵省によく考えてもらわないと、私どもとしては納得ができないと、こう思うのですが、この点で政務次官としては考慮の余地はないかどうか。ないならないで、先ほど江田君の言われたように、すぐ委員会としてもいろいろ方向についてはやはり決定をせなければ時間的に間に合わん、こういうようなことに考えておるわけですが、この点どういうものですか。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 私どもは来たるべき臨時国会が或る程度の期間を持つた臨時国会であるならば、どうしても補正予算は出さなくちやいかんと、こう思つておるのでございまして、今補正予算についてもいろいろ考究しておりますが、一兆の枠を維持するということは非常な困難な状況でございます。或る人に言わせれば一兆の枠が何だいと言われるかも知れませんけれども、我々はまあ一兆という数字にあえて科学的根拠が、絶対的なものがあろとは考えておりませんけれども、一兆予算、一兆予算ということでやつて来ましたし、心理的には非常に重要なものと考えてその堅持を考えておるのでありますが、只今のところどうもそわをはみ出しそうなので、非常に苦慮しておるところでございます。そういうことでございますので、先ほどこの当委員会のお申入に対するこれまでの結論を申上げたのでございますが、これはまだ従来の農林省等との折衝の過程におけるいわば中間的なものでございまして、これが政府の意思として最後にきまるならば、この農林、大蔵の両政務次官の甘い分がこんなに違うということはあり得ないわけでございます。まだ今後更に折衝を続けて、初めて政府としての一つの意思になるわけでございますので、考慮の余地が全然ないものである、これが最終結論だということは申上げません。なお十分に御要望に鑑みまして考えて行きたいとは考えております。

松浦定義無所属クラブ

○松浦定義君 まあ再々大蔵大臣以下大蔵省関係の人か一兆々々ということを言われますけれども、そうしますと、その一兆円ということを、枠を堅持することは、これは一つの政策としては私はいいと思うのですが、その陰で生産は減退する、而もいろいろの形で相当の悲劇が起つておるということを、こういうことを全然考えないで、この予算の枠だけで科学的な根拠もないものにこだわつてやつておられるということは、私はこういう時代にはやるべきものではない、併しまあいろいろ今度吉田さんが帰つて来られて、果してどういうことにされるかわかりませんけれども、若しここで政変でもあつた場合には、これは逆な形でその一兆円というものはもう全然問題にならないというような結果になるのじやないか、こういう前提の上に立つて、国民を迷惑させることは非常に困ると思うのですから、こういう点は余りこだわらないで、今お話のように各省と話合を付けて今後努力する機会があるのだというお話ですから、まあこだわらないというお話を聞いて、私はその点で今日の段階では止むを得んと思います。  それからその次に、病害虫防除とか、冷害防止対策について、温床等につきましては、すでにまあ昨年の例にならつても、特別的にあの法を実施したのだ、そうしますと、今年はそれと同じような方向をとるというのなら、例えば北海道だけでもこの温床のほうは復活せねばならんということになるわけです。併しそういうことは私はあり得ない。例えば東北大県その他の県におきましても、これは必要とするところがありますから、こういう点についてはやはり一部を昨年と同様な処置をとるというのなら、こういう問題についても措置をとらるべきだと思う。若しこういうことについても、今のお話のようにどうにも駄目だというのなら病害虫の防害の問題も、或いは温床関係の問題も当然農家が負担すべきだという原則を曲げられないのなら、政府はすでに米の自由販売というものを頭の中に描いてこういうことをされておるのじやないか。飽くまで供出を、統制を続けようとするなら、こういうことは私は言えないと思うのです。今の制度の中で農民だけに強いておるという現状の中では言えないと思うのですが、そういうことを全然考えていないのか。そういう自由販売なんかは考えなしにこういうふうなことを方針の一つとして本年はとるのだという大蔵省の見解ですか、この点如何ですか。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 米の統制を撤廃するかどうかということは、まだ大蔵省として決定してはおりません。この間の供出に関する知事会議等の模様の直後に、各新聞社説は一斉に揃つて、もはや現在の統制は維持できないものになつて来たという見解でございまして、私も個人といたしましては、もはや従来の統制そのままの姿ではもう行けないのじやないかというふうに考えておりますが、さて統制撤廃と言いましても、そのやり方にも随分いろいろあります。段階にもいろいろありますので、今後これは考究すべき重大問題とは考えておりますが、現在の段階において、大蔵省は米の統制撤廃問題を来年はどういうふうに処置するかはまだきまつておりません。それと今のこととは必ずしも直接の関係はございません。

松浦定義無所属クラブ

○松浦定義君 そうしますと、今の統制撤廃を考えていない、飽くまで来年も供出をさせるのだと……。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) そうも考えておりません。

松浦定義無所属クラブ

○松浦定義君 考えておらないとしても、現実はそう私どもは解釈するより仕方がない。もしそうでないとするならば、やはりこれは当然本年に対しては昨年と同様な処置をとつて、来年からは新らしくやるのだが、併し本年の場合はこういうふうにしてやるのだということで、一応そういうふうに、例えば北海道なら北海道だけでもこれを実施するということをやらなければならないと思う。それもやれないというなら、私は先ほど申上げましたような形で来年もやはり強制されるものだということになりますと、来年も強制を農家が甘んじて受けるような処置を、全国的に見たら一部であつても、こういう処置は私は講ずべきだと思うのです。そういうことができないとすれば、一部の農家の犠牲ぐらいは全体から見てみれば止むを得んというふうな、俗に言う池田さんのような放言のような形がやはり農村のほうにも流れて来るように思うのですが、そういう点については、来年の見通しというものは、今お話のようにはつきりしたことはないのだということであつても、今この処置を先ほど委員長から指摘されたときの回答のようなことでは、私ども納得はできんと思うのですが、何故今年はこういう事態があるにかかわらす、昨年とつた措置を、昨年は六億幾らと思うのですが、これをまあ冷害対策と併せてとつたにかかわらず、今年それは一切補正予算と別にこれをやらなければならないにかかわらず、やらないという固い決意を私はされるということはちよつとどうかと思うのですが、この点についてもう一点だけよく御説明願いたいと思うのです。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 先ほども申上げました通り、まだ政府としての統一された意志がきまつておるわけではございません。こういうように政府の各機関が委員会に対してばらばらのお答えをするということは誠に面白くないことでございますか、当委員会から申入がございまして、ともかくその回答をしろというお話でございますので、政府としては、まだ最終的な決定に至つていないことを中間報告として御報告申上げたような次第でございまして、大蔵省としては、今のところこの冷害対策、今のお話の問題に対しましては、特別なことをしにくいというふうに考えておる次第でございます。

石川清一改進党

○石川清一君 私は細かいことを抜きにして両政務次官にお尋ねをしたいのでありますが、先ほどの冷害に対する基本的な考えとして両省の御意見を承わりましたが、特に私は北海道のことについてお尋ねしますが、先ほど大蔵政務次官が出されましたこの資料の、北海道の生産予想、水稲及び陸稲の生産の予想の六〇%というものに対しては私は非常に疑問を持つております。それはすでに北海道庁が発表しておりました数字は十月の一日で四四%と聞いておりますし、その十月一日以後におきましては、四〇%を割つておる、こういうように聞いてそれぞれ関係の自治体が政府に対策の要求をしておるようであります。併しそれはそれとして一応六〇%のこの収穫予想を科学的なものだと認める、大蔵省の科学的だというこういう立場に立つたとしましたら、昨年の七四%という数字が秋の日和によつて非常に収穫が多かつたのと、今年の秋落ちを予想しておるこのハンディは、これは大蔵省の見解を以てしても二〇%ぐらい違つている。従つて昨年の冷害から見まして、本年農林の冷害は常識的に見て二〇%違つておる、そうしますと、大蔵省の考え方は、やはりその二〇%の収穫減について明らかに昨年と違つておるものはこれだけなんだから、この程度ははつきり昨年と違つておるのだというのがこの表によつて出て来なければならんと存じております。これはこれとして、大蔵省も農林省も、本年の冷害は農民に対して人道上の問題として私は扱わなければならんと思う。一方この表を六〇%と肯定をしましよう。そうしますというと、大蔵省の農業収入の所得税の調書を作る場合に、大体必要経費が六〇%、そうしますというと。この六〇%というものは、屑米や或いは等外米が非常に多うございまして、商品価値のないもの、そういう建前から言うと、生活資金というものは全然ない、こういう本年は数字がはつきり現われておる、特に開拓者が、全壊したものは勿論のこと、半壊の家屋も修繕する収入がない、こういうふうな中で、今までのような態度でいいかどうか、こういうような点が大きな問題になつて来ると私は考えております。金がないからできないというのと、金がなくてもせにやならんということが、本年の政府の金料玉条として示すこの数字がはつきり現わしておるのであります。こういうことがやはり基本的な考えとして、特に人道上の問題としてはつきり表明されておる。併し金は一億の予算でも廻したい、金はないけれども、これだけの努力をしたのだということがはつきり現われて来なかつたら私は政治ではないと思う。特に臨時国会を要求しようという見通しの上に立つた場合に、それがはつきり現われて来なければならん、特に今までの国民生活の各層の実態から見ても、生活の保護費という個人に対する、生活の無能力者に対するものはだんだん上つて来ておる、官公労の職員の給与も下るというようなことは予想されていない。そういうような中で農民の収入が全然ない。そういうのは昨年よりももつと落ちるような、実質的にはもつと低下しておるような政府の対策で、これが政治だ、基本的な考えだ、こういうふうには言えない。私はこの表に対しては非常に問題があるけれども、この表を基礎にして、この表はこの表として、昨年の生産の状況はそういうものと考えまして、人道上から見て、これは金がなくても、これだけはどうしても昨年並の政治を行おうとするならば、せんければならんという点も明らかにしていない、農民の最低の生活を守るためにどうすればいいという一つの考え方として、最低の生産を農民に挙げさせるためにはどういう方法を先ず臨時国会でとるべきかということが問題であります。通常国会は、私は最高の生産を挙げるようなことが、政府の、政党政治の中では理想として挙げられますけれども、臨時国会は最低の生産を維持するために、この年度内においてとる処置が、種物の面において、特に北見、十勝等の水稲のとれない、いわゆる北限線を越しておるような地帯に少い種物を合理的にするためには、どうしても温床によらなければならない、温床によるよりほかない上川、空知等の早稲の品種を十勝に持つて行つて、収量を最大の効果を挙げるためには、どうしても温床でなければならん。而もその温床を必要とする地域では全然飯米もとれていない、こういう特に木つ端で鼻をかんだような答弁、それでは私は政治ではないと思う。而もさつきの大蔵省の答弁を見ると、何か子供がままごと遊びでもしておるような答弁の印象を受けるのです。潰れかかつておる自由党かも知れんけれども、もう少し元気を出して、北海道の農民のためには最低生活を、これだけはしてやらなければならん。最低生活を、明年あげるときにはこれだけのことはしなければならんのです。最低のぎりぎりの線の表明をなさるように、そういう効果が加藤国務相の上ではつきり現われるように統一をされて、今晩から全力を尽して頂きたい、私のことについて御意見があれば、今のような立場に立つて御意思の表明を特に願つておきます。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 全般に対する意見は別として、先ほど申しました六〇%というのは水稲でございまして、陸稲のほうは猛烈に悪く約一五%であります。でありますから、これを両方加重平均しますと、どういうことになるかはつきりしませんが、六〇%と一五%でございますから、それを加重平均して水陸両稲ということになると、恐らくもつとずつと減るのではないか、こういうふうに考えておりまして、六〇%というのは水稲だけだということをはつきり申上げます。なおこの数字が疑わしいというお話も先ほどございましたが、私はこういうことは個人の考えでございますが、こういう種類の数字というものは、米を中心として、統制以来かなり真実から離れたものになつているのではないか、作付反別にいたしましても、或いは収穫高といたしましても、真実と必ずしもぴつたりしてないじやないか、こういう疑問を持つております。さりとて本当のものはどれだけかということはなかなかつかめないので、これによるよりほか現在として仕方がない状況であります。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 只今議題になつております災害並びに冷害対策につきましては、政府の統一した見解をまだ承わる段階ではありませんし、本日は最初に申上げましたように、担当大臣である加藤国務大臣の出席も要請しておつたのでありますが、旅先からお帰りになりまして、健康を害しておられるということで、本日は出席が困難であるということで、この出席を次の機会に留保いたしたいと思います。つきましては、担当大臣としての加藤国務大臣の御出席を頂きまして、更に本日の両省の意見をどう調整されて行くかという問題を中心にして御質疑を願い、この取扱いについての態度を進めて行くということが妥当と思いますので、本日はこの問題の質疑はこの程度にいたしたらと思います。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 それでいいんですが、一つだけ済みませんが、山本さん非常に戦闘的な態度でものを言われるのでこわいのですか、まあちよつと聞いて下さい。あなたの今やると言われますことについて聞くのですが、営農資金の問題については、政府の責任で特別に立法化しておるものとして措置をしておると、こういうことでしたが、それはよく金融機関に徹底しておるのですか。何か私ども聞きますと、最近北海道では農手の強制執行なんかも出て来たということでして、農手の支払期限が近寄つて来ますが、そういうことのないように、当然今のような、あなたのような措置ができておればそんなことはないはずです。その点はよく中金なり、信連なり、単協なりに徹底しているのですか。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) これは先般衆議院の農林委員会に参りましたときにその話が出まして、直ちに通告しろ、農地局に通告しろという話がありまして、私は必ずいたしますと確言いたしました。委員会から帰りまして、即時農林中央金庫に私自身が参りました。そのほかにも銀行局等を通じてその話をしておりますから徹底しておるものと私は了解しております。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) この際いずれ政府の方針をおまとめになると思いますが、両政務次官に特に希望として申上げたいことは、先刻来一兆円予算という問題が非常に強く浮かんでおるように印象付けられたのでありますが、必ずしも今年度の予算では一兆円予算ということではないのであります。これは予算審議を通じて極めて明確になつたところでありまして、形式の上においては成るほど一兆円という形を保つてはおりますが、実質的にはすでに一兆円を破つておるということは、これは極めて明確なことでありますので、私ども必ずしもインフレに多少でも懸念を持たれまするようなことに与して行こうとするものではございませんが、こういうような不測の災害に対処いたしまするためには、すでに実質的に失われておる一兆円であるといたしまするならば、それにあえて拘泥されるということは如何かと思いますので、そういう点は一つこの際は念頭からはずして、災害対策に万全を期して頂きたいと思うのです。それからこれは山本政務次官の御発言中に、米の統制問題、更に米価の問題をめぐつて新聞論調を取上げられましたが、又どうかすると、都合のいいときには新聞論調を取上げられ、都合の悪いときには新聞を信用すべきものではないというようなふうに、新聞論調を二様に硬い分けをせられておる。これは非常に遺憾なことでありまして、世論を聞くのであるならばいつでも新聞論調をお取りになるといい。これははつきりそういう態度を一つとつて頂きたいものです。更に、具体的には救農土木事業につきましては、必ずしも農林統計調査のあの数字だけにこだわつて行つたのではその実を挙げませんので、先刻官房長から御説明のありましたように、昨年の例に徹しますれば町村別に考えられた模様でありますので、やはりそういう線まで一つ降りてお考えにならんというと、その実を挙げない。政治に対する不信というものが、不公平というものが爆発をする危険があるというふうに思われますので、府県別の統計ではなくつて、実態に即する線に降りてお考えを願うということに一つ御研究を進めて頂きたいと思うのです。それから営農資金につきまして、すでに立法措置があつたものとして取進められておるということは結構でありますが、その条件内容が必ずしも我々の期待するものではないというように思われますので、真にこの災害に取組んで行く姿のものとして、そういう措置が講ぜられまするように特に一つ御研究を頂きたいこと。更に健苗育成の問題だとか、病虫害対策等、諸般の問題がございますが、特に開拓者の問題等につきましては非常に切実な問題でありまして、これを放置いたしますることは、その食糧増産に非常に大きな影響を来たすということはもう間違いございませんので、再考を求めておきたいと思いまするのであります。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 只今一兆円予算がすでに実質的には壊れておるというお話がございましたが、それはどういうことかちよつと承わりたいと思います。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) これは私の申上げましたのは、昭和二十九年度の予算を審議する上において明確になりましたように、例えて申しますれば、農林関係でも昭和二十八年度予算には国有林野特別会計の剰余金の一般会計繰入を、それを本年度は三百億を繰入れずに向うで処置している、前年度と同じように処置すれば一兆円はすでに超えておるということを申上げたのであります。例えて言えばそういう例は至るところにある、そういうものを拾つて参りますれば、昭和二十八年度の当初予算編成と同じような構想を以てやられたとするならば、すでに一兆円は超えておる、併しこれは方針の問題でございますので、新らしい方針をとつたということにおいて一兆円を超えておらんとおつしやれば、そうも言えるでありましようが、昭和二十八年度と同じような形において組まれたとすれば、二十九年度は一兆円を超えておるということを、これは数字的に御疑問がありますれば、私今手許に予算書を持つておりませんが、私からしてお答え申上げます。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) それならば投資特別会計を一般会計から外したこともそうなる、我々が一兆円予算と称しておりますのは二十八年度と一部予算の編成形式が違つておりますが、その内部においての一兆円予算ということを言つておるわけであります。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 私の申上げたのは……。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 そういうことはもうおやめになつたらどうですか、山本さんも人に食い下ることばかり考えずに、ちつとは食い下られたことを反省したらいいのじやないか、どうしてもやるというならもう一遍やりますが……。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 食い下るという意味で申上げたのじやなくて御質問したわけです。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 例えばあなたのさつきの統計調査の数字についても、えらい確信のあるようなことを言われますが、そういうことについても相当いろいろ問題がありますよ。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) 今の山本政務次官の質疑に対する私の答弁は、昭和二十八年度と同じ構想を以て編成せられたとすれば、それは一兆円を破つておるという意味で申上げたので、その点を御了承願いたいと思います。

山本米治自由党大蔵政務次官

○説明員(山本米治君) 了承いたしました。

森八三一緑風会

○委員長(森八三一君) お話申上げましたように加藤国務大臣の出席を要求いたしておりますので、加藤国務大臣の出席を得ました上で担当国務大臣としてのお考えも承わり、更に御質疑を願いまして本件の取扱いについての進行を諮りたいと思いますので、さよう御了承を頂きます。  なお本日午前中の飲用乳処理基準改訂等の問題をめぐりまして、厚生、農林両大臣出席の要請もございましたので、併せまして明日厚生、農林、加藤国務大臣の出席を求めておりますが、只今までのところまだ具体的の回答は得ておりません。そういう手続をいたしておりますということを御報告申上げておきます。そうして要請大臣御出席のときに関連する問題を便宜御審議を願うというような取運びにいたしたいと考えておりますので、お含みおきを願いたいと思います。  明日は午前十時から開会をいたしまして、要請大臣御出席がございますればそれを付議し、若し大臣の御都合で時間が遅れるようでありますれば、予算の問題、更に食糧庁関係の問題を御審議を願うことにいたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十七分散会

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