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19回国会参議院1954/03/05

内閣委員会 第6号

発言数
51
登壇者
9
会派数
5
開催日
1954/03/05

会議録

小酒井義男日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小酒井義男君) これより内閣委員会を開会いたします。  国務大臣等の私企業等への関与の制限に関する法律案を議題といたします。発議者より提案の説明を受けます。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 只今議題となりました国務大臣等の私企業等への関与の制限に関する法律案につきまして、提案者を代表いたしましてその提案の理由を御説明いたします。  内閣総理大臣その他の国務大臣、内閣官房長官及び政務次官は、我が国の行政府におきまして、最も重要な職でありまして、その政治的活動が、我が国の商業、工業、金融業等の私企業には申すに及ばず、私企業以外の事業にも有形、無形の影響を及ぼすことは言を待たないことであります。若し、これらの人々がこれらの事業に関与いたしておりました場合には、その公正なる職務を遂行する上に支障を来すことも予想されるのみならず、その職務遂行の上に、世上の疑惑を招く虞が多分に予想されるのであります。いわんや、官紀がややもすれば紊れんとしている今日におきましては、右に挙げましたような要職にある人は、いやしくも世上の疑惑を招くがごとき私企業等の関係を一切断ち切つて、その行動の公正を期することが必要であろうと思うのであります。  以上申述べましたような理由によりましてここにこの法律案を提案いたすことにいたした次第であります。  何とぞ慎重御審議の上速かに御賛同あらんことをお願い申上げます。

小酒井義男日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小酒井義男君) 本案に対する質疑はこれを次回に譲ることといたしまして、続いて衆議院議員中村高一君ほか十九名提案になりますところの、特定の公務員の営利企業等への関与の制限に関する法律案を議題といたします。先ず発議者の提案説明を受けます。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 只今議題となりました特定の公務員の営利企業等への関与の制限に関する法律案につきまして、その提案理由を説明いたします。  内閣総理大臣その他の国務大臣等国の重要な職にある者については、その職責の重大性に鑑みまして、一般に商業、工業、金融業その他営利を目的とする私企業における役員等の地位を兼ね、或いはみずから営利企業を営むことが、その職務の遂行の公正を確保するため、好ましくないことは、今更言うまでもないことであります。それにもかかわらずこれらの職が特別職の国家公務員となつておりますため、国家公務員法の適用がないのでありまして、現在においては官吏服務現律の規定に基き所属長官の許可を受けてこれらの地位を兼ね又はみずから営利企業を営むことができることになつているのであります。かようなことは「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」とする憲法第十五条の精神に照し職務の純粋性を確保する意味におきましてもこれを放任すべきことではないと思うのであります。かように考えまして内閣総理大臣その他の国務大臣等一定の範囲の公務員に対し、営利企業への関与を絶対に禁止するよう法律的措置をとる必要があると思うのであります。  又営利企業以外の事業に関しましてもこれらの地位にある者が報酬を受けてそれらの団体の役員、顧問、評議員その他の地位につきますことは望ましくない場合がありますので、内閣の許可がある場合、又は法令等の規定に基いてその地位に伴い当然兼任するというような場合のほかはこれを制限する必要があるのであります。  以上のような理由に基きましてここにこの法律案を提案いたすことになつたのであります。何とぞ慎重御審議の上成るべく速かに可決されますようお願いいたします。

小酒井義男日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小酒井義男君) 只今の提案に対して質疑のある方は質疑をお願いいたします。……それでは只今説明をせられました二案に対して、政府側の所見を田中副官房長官からお聞きすることにします。

田中不破三内閣官房副長官

○政府委員(田中不破三君) 只今の二の法律案につきまして政府そのものとしましてのまとまつた意見というものはまだでき上つておらないのでございまして、只今この二法案に対しまして各省に意見を徴しているところであります。従いまして政府側の意見ということになりまするとまだはつきりとここで申上げる段階に至つておりません。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) ちよつと参議院と衆議院と両方から同じ趣旨の法律案の提案がされておりますが、ちよつと違うところだけ御審議のために御参考に附け加えておきたいと思うのでありますが、参議院に御提出になつておられますものよりは、衆議院に提出をいたしました案は公務員の範囲を広くしてあります。参議院のほうに出ておりまするものは内閣総理大臣から政務次官までであります。衆議院のほうに提案をいたしましたものには、そのほかには法制局長官及び内閣官房副長官、人事官及び検査官、大使及び公使とこれだけが範囲が広いのであります。  それからもう一つは若しやめないでいつまででもおかれたのでは困りまするので、三十日以内に退職の手続をとつてもらいたいという規定をおいておるのであります。これはやめるやめると言つていつまでもやめられなくては困るのでありますが、まあ大体三十日ありますれば、例えば株式会社などにいたしましても、その間に手続がとれるんではないかということから三十日以内にやつてもらいたい、こういう猶予の期間を付けておきましたのでありまして、これだけが両案の違いのようでございます。  それからもう一つ経過規定といたしまして、この法律が適用される場合に現に兼職を持つておりまする場合は、自然に三十日たちまするともうその職をやめなければならないようなふうになつておりますけれども、自然に失職をするというようなふうに経過規定を付け加えておきました。これだけが違いないのであります。

竹下豐次緑風会

○竹下豐次君 中村先生にちよつとお尋ねいたします。これは逐条の審議に入つてからのほうがいいのかも知れませんけれども、根本の問題ですからお伺いいたしますが、この「営利企業」というこの範囲というものは何かはつきりした定義でもあるのですか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) これは条文のこれと同じものが国家公務員法によりまして、これと同じ文句で国家公務員は兼職をできないという規定がありますので、そのままの法律を抜き出しただけであります。国家公務員法の第百三条に「職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員」何々「を営んではならない」、営利企業を営んではならない、条文はこのまま延用しただけであります。

竹下豐次緑風会

○竹下豐次君 「その他」という私、条文の解釈はよく分らないのですが、弁護士だとか医者だとか、そういうようなものが入りますか入りませんか。いろいろそういう具体的にお尋ねがあるだろうと思います。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 商業工業又は金融業に準ずるものはこれに該当するというつもりでありますが、今お尋ねになつておりまするのは弁護士と何ですかね。

竹下豐次緑風会

○竹下豐次君 弁護士とか医者とかそれは思いついたんですけれども。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 弁護士や医者も営利を目的とする私企業だと思います。問題になるのは農業などがどうなるかという問題はあると存じますが、その他の所得税を納めておりまするものは営利を目的とする私企業に大体なると思うのですが、農業だけはどうも営利を目的とする私企業ではないというつもりでありまするから、これだけは該当しないとかように思つております。

竹下豐次緑風会

○竹下豐次君 先ほどの御説明を承わりましても、又この提案された今の時期から考えましても、何かそういう特別な職にある人がそういう種類の兼業を持つておられるということは、そこに弊害が伴うという心配があるからというところを主な狙いとしておられるものですが、そういうふうに考えるのでありますが、そのほかに考えられますことは不正なことだとかいうようなことだけでなくして、いろいろ兼ねておられると、仕事の本職のほうが時間の関係その他についておろそかになる。能率があまり上らない。必ずしも不正をするとかいうようなことでなくしてそういうようなこともあるので、それもお考えになつておるのかという疑問を起すのみならず、そうするとただあとの法文にみんなそつくり入つているとお考えだとするならば、営利を目的とすることがらでなくても忙しいほかの仕事をしちやならんのだということを考えなけりやならんのじやないかと思います。この点はどういうつもりでこの案ができておりますか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) お説の通りに営利を目的としないものでも当然これらの重要な職にある方は、そういうような他の職をやめて専念してもらうことは、国家としても当然そういうような期待を持つものだと思つておりますけれども、併し営利を目的としないものでありまして非常に精力家でありまするならば、場合によれば兼ねることもできるという議論もありましようし、又極く労力を要しないような事業でありまするならば必ずしも禁止しなくともいいという考えでありまして、どうも営利を目的とするものはとかく弊害が伴いまするので法律としてはその程度でそれよりどうも営利を目的としない事業までも制限をすることの必要があるかどうか。そういう点でまあこの程度に法案としては収めたのでありまするけれども、お説のように相当の報酬を得てやつておる国家の公務員でありまするからして、他の職を兼ねるというようなことはやつてもらいたくないという点については我々も同感であります。ただ法律として禁止するということは多少問題があると存じましたので、まあ問題のない皆さんの賛成の得られる点を法案を盛り込むというわけで、御趣旨の通り私も必要だと思つております。

竹下豐次緑風会

○竹下豐次君 不正の起ることを防止しなければならないということに重きをおくか、或いは能率をしつかり上げてもらいたいのだ、ほかの仕事に妨げられないようにという考え方に重きをおくか、これは非常に私は大事な点だと思うのです。仮にこれを平等に考えるということに仮定いたしまするならば、財団法人あたりの幹部をするとかいうようなことなぞも相当に忙しい仕事がある場合とか、これは相当に仕事の邪魔になるだろうと思う、本気になつて本職をする場合に労働組合の幹部とかそういうこともやはりこれは相当に忙しい仕事のようです。これも禁止しなければやはり能率を十分に発揮することはできなくなるのじやないか、こういう疑問が起るのですね。その点をこれで見ますと、どうも営業なんか不正なことが起る。例えば近頃耳にするようなことが非常に大部分起案者の考えを占めておられるのじやないかというような感がするのです。それでいいかどうかという疑問、私も持ちますので……。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 確かにお説のように国家から一定のとにかく報酬を受けて、而も重要な国家の事務を担当するのでありまするから、ほかのものは営利でなくとも禁止するということも結構だと思いまするけれども、法律で制限をするというのですからそういうようなことはもう徳義の問題であつて、自分がそういうようなことに手を出すために本職がゆるがせにされるというような場合にはもう当然やめるのが当り前であつて、法律で強制をするのがいいかどうかその辺が御議論のある点だと思うのでありまするが、十分にその点は御審議になるよりほかには仕方がないと存じます。

竹下豐次緑風会

○竹下豐次君 私の質問は一応これで……。

長島銀藏自由党

○長島銀藏君 今農業は除外するという中村さんの御説明でございます。農業の中にも米を作る農業もあるだろうし、或いは果実を栽培する農業もあるだろうし、ことに果実を栽培する農業なんかは相当な企業的なものに属するものであるようにまあ一応考えられるわけであります。然らば農業だけを除外するということに私は疑義を持つのでありますがこの点中村さんから一つ御説明願いたい。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) これはいろいろ研究してみたのでありまするが、今長島さんのおつしやるようなことになりますともうそれは商業の部分に食い込んで来るのではないか。果実を栽培するというのでありまするけれどもどうもそういうところまで行くとこれは農業から一つの企業化して行くので、それは商業としても見られるからその点は商業としても該当できる。又牧場などでたくさん牛を飼つて牛乳を売るというようなことになれば、もうこれは農業ではなくて一つの商業的な企業になる、こういう意味でそういう点はもう純然たる農業とは我々は見ないのでそれは該当する。たださつき私が申上げたのは、自分でくわをとつて畠に出て農業をやるというようなものは企業ではないじやないか。アメリカのようなああいう賃金労働者を雇つて経営をしておるという程度になれば、これはもう営利を目的とする企業である。けれどもただくわをとつて畠で自分で食う物を栽培するというような農業、それまでどうも禁止しなければならないかどうかということは行過ぎだというので、我々の解釈しまするのは素朴な農業はいいんじやないか、あつても弊害はないし、そういうような意味です。あなたのおつしやるのはもう該当するのです。

長島銀藏自由党

○長島銀藏君 そうすると企業化されない農業という意味に解釈してよろしうございますか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) まあそういうことですね。

竹下豐次緑風会

○竹下豐次君 先に中村さんからお話のありましたように、一気に仕事をしようと思つたならば皆企業の面に関係して兼務でやつて行くということはおやめになるのが当然じやないか。その当然のことが今行われておらんわけです。それでこういう法案が出るということになつて来ておるんだろうと思いますが、ここに並べてありまする高官たちですが、これは法律がなくても世論がそういうふうに傾けば法律に縛られるまでもなくもう自分でおやめになる。もう内閣の方針として総理大臣もやめる。総理大臣も仮に兼務があるかないか知らないけれどもあつたらやめる。大使、公使あたりもあつたらやめてもらうということを内閣のほうでおきめになる。それで法律の拘束力がないから、或いは厳格な意味から言うと命令ができないかどうかわかりませんけれども、或いは実行ができることじやないかとも思われるのです。若しそういう方法で政府がおやりになるということが、これは仮定ですけれどもあるとすれば、それでもやはり法律を作らなければいけないというお考えでしようか、そこまで行けばもう法律は取下げるというお考えですか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 今度も造船疑獄が起りましてから、小笠原大蔵大臣などは船会社の取締役を辞任されたというような、大野国務大臣なども最近おやめになつたようなわけでありまして、お説の通りにむしろ進んで兼職などは一切きれいにやめるのが当然だと思つているのですが、なかなかそうでない人もありまするので、こういう法律がなしにでもやめてくれるならば結構であります。実はこの法案を提出する前にもつと我々は強く考えまして、若しやめなかつたならば罰則をつけて処罰をしようじやないかという原案も作つたのです。けれどもこういうものはむしろ道徳的な規定でありまするからして、罰則規定までも設けて追込むことはどうも行き過ぎだというので、実は罰則は最初の原案にあつたのですが、削つたのも只今お説のように、我々としてはもうこういうような重要な公務員になられたならば、同時にやめるのが当然だと思つておりまするが、一人も兼職をする人がないということになればこの法律は必要ないのでありまするから、そういう場合になつたならば廃止してもいいと私は思います。誰ももうこういう法律によつて責められずとももう皆どんどん常識としてやめて行くという時代が来れば、この法律は必要ないのでありまするが、今度のように問題が起つて騒がれてから初めて大臣があわててやめるという事態は、まだどうも法の必要を感ずる時代だと思つておりまして、速かにこういう法律の必要のないときを我々も希望いたしておる次第であります。

竹下豐次緑風会

○竹下豐次君 今私が申しましたにおいては、私はこういう法律がなくてはそれが実行できないというようなことは、実に遺憾千万なことであると思うのです。ほかの言葉で言うならば国家としては余り体裁のいい法律じやないのじやないかと、止むを得ないが作るのだ、こういうようなお考えでしようけれども、出なくて済むならそこまで行きたいという気持がありますので、今のようなお尋ねをしたわけなんです。

上原正吉自由党

○上原正吉君 代議政治とか民主政治とかいうものは、結局国民の中から国民の一人が選ばれて来て国会に籍を持ち、そうして国会に籍のある者が内閣を組織する、こういうのが建前でありそれが特徴だと思うのですが、こういうことになつて来ますと国民の一人として生活しておるときには、必ず何か生業を持つておるに違いない。そういう人たちが選ばれて国会議員になり国会の中から指名されて総理大臣になる、或いは閣僚になるというようなことは、選ばれたとたんに全部生業をなげうたなければならないということになると思うのです。且つ又生業をなげうつ覚悟と、なげうち得る事情にある人以外は国会議員に立候補してもいいのじやないか、こういうことにもなつて来ると思うのであります。どうも民全政治というものとは何か背馳するところがあるようなんですが、この点はどうお考えでしようか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) そういう御議論もあると存じまするけれども、憲法の規定などから行きましたらすべての公務員は全体の奉仕者であつて一部の奉仕者ではないという、こういう憲法の精神などから考えますると、私企業などに携わるということは、職務の純粋性というような意味からいつても、憲法の要求している公務員に対する要求というものはここにあるのであつて、兼職をやめるといろいろの支障はあるかも知れませんけれどもこれはやめて、そうして全体のために奉仕するということがどうも憲法の精神ではないかと、民主主義憲法の条章にあるのでありまするからして、むしろそのほうが私は民主主義ではないかとかように考えているのであります。

井上知治自由党

○井上知治君 競馬協会とか競馬クラブ、言葉は或いは違つているかもわかりませんが、この競馬協会或いは競馬クラブはもちろん利益を主とする団体じやないということはわかつていますけれども、競馬協会にしましても或いは又競馬クラブにしましても莫大なる利益を挙げているのだろうと思つております。そこでその競馬協会或いはクラブの会長とかいういうような人もどういう人がなつておるかもわかりませんが、全国的に組織せられております競馬協会の会長とか或いは顧問なんかに、その地方の役人或いは農林省の役人がなるようなことがあつちやこれは私は非常な災のもとだと思つています。そこで私が今申上げましたその地方の役人又は農林省の役人が、そういうような団体の顧問とか又は会長なんかになるようなことができないように、一つこれに加えて頂きたいと思つています。私の質問は或いは的を外れておるかも知れませんが、一言申上げたいと思います。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) それは私のほうの法案の第四条「営利企業以外の事業を行う団体の役員、顧問、評議員その他これらに準ずる職を兼ねてはならない。」これに該当するものであります。第四条が今井上さんのおつしやつた問題であります。今の競馬協会それから交通公社などもやはりちよつとあれは私は株式会社だと思つておりましたら、やはり営利を目的としない企業だそうです、財団法人。それから相撲協会などは株式会社でなくて財団法人で、ああいう例を挙げますと随分あるようですからやはりこれで禁止になるわけであります。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 提案者の気持は私も十分わかつておりますし、又その趣旨には反対するものではないのですが、まあいろいろな角度から考える必要があろうと思うので二三お伺いしたいのですが、まあ今造船疑獄とか保全経済会であるとかいろいろなことで国民がいろいろと疑惑を持ち、又憤りをさえ感じているときなんでありますが、それだけにこういう法律が必要だという考え方もそれはできるわけであります。逆に今この際こういう提案をすることは、ここに禁止されているような公職にある者がそういうことをやつておるのだということを、逆に感じさせるような点についての社会的な影響というようなことについて何かお考えになつたことがございませんか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) そういう感じも或いは多少与えるかも知れませんけれども、進んでおやめになつているところなどを見ますると、やはり大臣の兼職をしておられる人でもこういうことはよくないというお考えを持つておやめになつているのだろうと存じまするが、やはり公務員の純粋性と言いますか、公務員というものの一般に奉仕するというようなそういう特別な性格からいたしまして、多少そういうような違つた意味の解釈を与えるかも知れませんけれども、私は公務員というものはこれほど公正なんだということを社会に与える利益のほうがもつと大きいと、こう解釈しておるのでありまして、むしろこういうものを置いたほうが公務員の純粋性というものを社会に示すことになつて却つていい結果を与えるのだ、こういうふうに思うのであります。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 もう一つは、まあこういう法律が仮にできた場合に、形式的に隔離することができるかも知れませんが、この法律ができてもいわゆる何と言いますか、純粋性を持たない公務員が実質的にいろいろな営利企業に関係して来るというようなことも一応考えられると思う。そこでこの法律の実質的な効果に対して御提案なさつている皆さんはどれだけの確信をお持ちになつておられるか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) お説のように例えば自分のやつている商業を妻の名前にするとか子供の名前にして、事実上は自分が支配をするという場合もあるかも知れません。併しそれはどうも防げないと思いまするが、そうなつて来ればもうその人の公務員たる人の人格に関する問題でありまして、法の裏をくぐつて法で禁ぜられたことをやるというような、そういう公務員を戴くことが不幸なことでありまして、法の裏をくぐるような公務員は恐らくこれからは出ないだろうと我々は期待をいたしておるのであります。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 結局はこれは先ほども中村さんがおつしやつたように、公務員の良心とか道義の問題になつて来ると思われる節が多いのですが、従つてこの法律を提案される熱意以上にいい慣行を樹立することに対してお考えになつておられると思うのですが、その点について。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) もうお話の通りでありまして、これを手本にしてもうこの必要のないほどに実行して下さる、それだけ公務員が純粋性を守つて日本のために尽してくれるような時代が来れば、特にこんな法律は必要ないことだと思いますから、お説の通りにこんな法律の必要のないようなふうに守られれば誠に結構だと存じます。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 さつきどなたからかちよつと出ましたが、仮に或る実業人がすでに人格的にも政治的にも非常に尊重されてそして国会に議席を占めた、その人の政治力その他が高いために、これでこの禁止規定の適用を受けるような身分地位についた、ところがそれが今までその仕事の実際的な主宰者であつたために、それから離れてしまうということは、その人の今までやつておつた仕事が仮に国家的、社会的にみて非常に有意義な仕事であつたような場合に、その事業の崩壊といいますか衰退といつたようなことがあり得るのですが、それに対してそういう場合やはりそれでもというふうに、そういうことを一切眼中に置くな、こういうお考えで御立案になつたのか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 私はそういう場合にはそれほど重要な私企業に関係しておられるかたが、むしろこういう特別な職におつきにならないで、そういう方面に専念をしてもらうほうが国家のためだと思いますから、そういう場合はその人みずからが離れられないほど重要な地位におありになるならば、この指摘いたしましたような公務員におなりにならんほうがいいのでありますからして、むしろ進んでそれは御辞退なすつてそういう職に專念してもらいたいと思うのであります。この特定公務員の範囲も極くそのために我々は成るべく他方面に影響のないような本当に重要な公務員だけに制限をいたしたのであります。党では国会議員もそれは兼職を禁じさせてもいいじやないか、これじやもの足らないから議員も中へ入れろというような意見も出たくらいでありますけれども、極く少数の人に範囲をせばめたのも、成るべくそういう私企業に影響を少くしたいという気持でありまして、そのために国会議員などは除けたいというのが野本さんのおつしやる趣旨を尊重いたした次第であります。

上原正吉自由党

○上原正吉君 この営利を目的とする会社その他の団体の役員、顧問、評議員その他これらに準ずる職を兼ねることができないと、こうなつておりますけれども、団体の役員や顧問や評議員をやらなくても、会社の大株主であるというふうなことはどうなりますか。これは禁じてないから差支えないのだろうと思いますけれども、そうなるとやはりその会社の運営から生じて来る果実を取得する地位にある、こういうことになりまして、或る場合には役員や顧問や評議員よりももつと影響が大きいかも知れないのですが、これを禁じないとどうも仏作つて魂入れずというふうに考えますが、この点をどういうふうにお考えですか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) そこまで行くことはどうも行きすぎだと思うのでありまして、私有財産制というような問題にまで触れてしまつて財産の所有を制限をするというようなことは、これは憲法の違反にもなると思いますので、現行憲法の範囲内においては株券を取得するというようなことを制限することはできないと思つておりますが、おつしやるのは会社に大きな圧力を加えられる場合があつて、場合によつたならばもう取締役以上の蔭の実権を握るという場合はあるかも知れませんけれども、これはどうも株券の所有の問題でありますからして、そこまで行つたのでは憲法に牴触するような我我も疑いを持ちますので、そこまでは考えておらないのであります。

上原正吉自由党

○上原正吉君 同様に「又は自ら営利企業を営んではならない。」とありますけれども、営利企業を営まなくとも営利企業そのものを所有しているという地位からは追うことができないと思うんです。みずから営まなくても人をしてやらしても。そうすると全然これも実効は上げ得ないと思うんですが、この点はどうお考えですか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 人を使つたりなど事実上やる場合はあり得ると思いますけれども、公務員が表面に立つて事業を営むというようなこと以上にどうも一切から手を引かせることができるかどうか、これはなかなかむずかしいことでありますので、いろいろ実際の面においては目的を達せられない場合があるかも知れませんけれども、この法律というものが多分に道徳的な意味を含んだ法律でありますからして、どうもその裏をくぐるような或いは実際において効果の上らないような場合があるかも知れませんけれども、これはもう公務員におつきになる人の徳義の問題でありますからして、それ以上はどうもどうしようもないことだと思います。

上原正吉自由党

○上原正吉君 まあこの法律を提案なさる根本的なお考えは、プライベートで事業を営んだり、或いは財産の運用如何によつては収入が多かつたり少かつたりする、そういう人は大臣になつてはいけない、或いは国会議員もいかん、こういう考え方から出ていると考えて間違いないのですか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 国会議員は……。

上原正吉自由党

○上原正吉君 国会議員でなければ大臣になれない……。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 国会議員は別に禁止していないのです。

上原正吉自由党

○上原正吉君 そういう人が大臣になることは禁止している……。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) そうです。

上原正吉自由党

○上原正吉君 そうすると本当の職業的な政治家以外の人は実際政治を行なつてはいかん、こういう考え方から出発するわけですか。

中村高一日本社会党(右)

○衆議院議員(中村高一君) 議員になるのはもうこれは自由でありますから、併し議員の中から全部こういう職につくわけでありませんから、議員のうちの極く少数の人がつくだけですから、別に弊害と言われるようなものは一つもないと私は思つております。

小酒井義男日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小酒井義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

小酒井義男日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小酒井義男君) 速記をつけて。それでは只今質疑の終りましたと同様の趣旨の法律案が、参議院からも先ほど提案説明がありましたように提出されておりますので、次回に参議院議員八木幸吉君ほか八十二名より提案されております法律案についての質疑をいたしまして、この法律案の取廻し等についても次回に御相談を申上げることにいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十四分散会

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