通商産業委員会 第41号
- 発言数
- 93 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/05/18
会議録
○理事(松平勇雄君) これより通商産業委員会を開会いたします。 小型自動車競走法の一部を改正する法律案、自転車競技法等の臨時特例に関する法律案、並びに中小企業安定法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。 先ず小型自動車競走法の一部を改正する法律案の提案理由の説明並びに内容の説明を発議者衆議院議員川島正次郎君より聴取することにいたします。
○衆議院議員(川島正次郎君) 私は川島正次郎であります。御審議をお願い申上げまする小型自動車競走法改正案につきまして、御説明を申上げます。 本改正案の主要なる点は、現行におきますると、小型自動車の競走は、都道府県と五大都市に限られておりまして、競走場所在地の地元市町村は施行者となり得ないのであります。同様の競技でありまする競輪、ボート・レース、競馬のごときは、いずれも当該都道府県のほかに地元の市町村が開催権を持つておりまして、財政に寄与をいたしておるのであります。今回御協賛を得まして、小型自動車競技も地元市町村においても開催し得るようにして頂きたいということであります。尤もこの点につきましては現行法が成立いたしまする当時におきまして、当参議院において希望条件として地元市町村に対して売上げの百分の二以上を交付するようにということになつて法案が成立いたしたのでありまするけれども、施行者でありまする都道府県からもらうということになりますると、都道府県会の関係もありまするし、地方財政にも左右されまして、ときには思うように地元市町村に交付金が行かんという場合も生ずる例もありますので、この際法律にはつきり地元市町村にも開催権を考えまして、地方財政に寄与したい、こういう意味でありまして、尤もかように申上げましても必ずしも開催日数を殖やそうという意味ではございません。現在は通産省の御指導によりまして、大体年間通じて十二回開催をいたしております。そこで本改正案が通りましてもこの日数を殖やそうという意味ではなしに、都道府県の施行回数と地元市町村の施行回数とを同じ総数の上で適当に按配いたしまして、大体私どもといたしましては通産省御当局とも相談しておるのですが、十二回のうち八回くらいを府県にやつて、四回くらいを地元にやつたらどうかという一応の試案もあるのであります。そういう意味の改正案なのでございます。これが法三条の改正の要点でありまして、この改正を出しますにつきまして丁度いい機会でありますので、現行法の不備の点を二点直したいと存じます。 その一点は、第十三条でございまして、一つの車に多数の投票が集まりますると、場合によりましては百円に対して、百円だけたとえ車が当りましても払戻しがないことがあり得るのであります。それは二五%だけを差引いた残額を勝車に払戻しますのでありますからして、そういうことがあり得るのでありまするが、今回改正いたしまして当つた車券に対しては計算上百円にならなくてもそれは元金の百円だけは返すと、こういう改正でありまして、これは競輪におきましても競馬においてもさような法律になつております。これが一点と、もう一つは競技場内における呑行為、正式な窓口を通さないで、中でお客からして金を預つて、負けたらそれを取つちやう、勝つたらば金を払戻してやるといういわゆる呑行為というものが競馬などに盛んに行われまして、競馬法、競輪法におきましては厳重な制裁の規定がありまするが、小型自動車競走法におきましてこれがありませんので、競輪、競馬並みにこの規定をつけたい、かように考えまして三点の改正案を提出したわけでございまして、本案につきましては衆議院におきましても各派全員一致で御賛同を願いまして当院に御回付申上げたわけでございます。何とぞ御審議の上御協賛を願いたいのであります。 なおこの機会に極めて簡単に小型自動車の現況を御参考に申上げておきたいと思うのでありまするが、小型自動車は現在五カ所において施行しております。千葉県の船橋、それから大阪、山口県の柳井、埼玉県の川口、兵庫県の甲子園、この五カ所でありまして、このうち大阪だけは只今一町的に休止いたしておりますが、あとの四カ所はいずれも大体月一回ずつ施行をいたしておるのであります。これがスタートしました初めはオトーバイ、二輪車だけでやつておりましたが、途中からして四輪車競技もやるようにいたしまして、今日では二輪車のオートバイと四輪車の自動車と両方の競技をやつております。通産省方面からのお話もあるのですが、何としてもこの法律ができまして各地で競技をするようになりましてから日本の小型自動車の技術は非常に発達したのだと言われておりまするし、現に四輪車の例を申上げますると、初めて船橋でやつたのですが、外国車に国産四輪車を混ぜまして競争をさせる。そこで日本の大きな四輪車のメーカーは日産とトヨタとオオタと三カ所ありまして、各三カ所とも競走用の自動車を作つたんですが、初めのレースのときにどうもトヨタが出すトヨペツトがかなわんというので、自動車を作つて競技場まで持つて来ましたけれども、とうとう出さなかつた。日産とオオタだけが出て外国車と競技をいたしておりますが、その後自動車技術が変りまして、今日ではトヨペツトがすばらしい成績になりまして、それがために日産は競技にこの一、二回出しておりません。言い換えれば競技場でいい成績をとつた自動車が売行きがいいと、まあこういうことがはつきりわかるのでありまして、この点はオートバイにも如実に現われています。で千葉県の船橋の例を申上げると、船橋の競技場におきましては年に数回競技中にオートバイ並びに四輪車の展示会をやりまして、広く一般の人の入場を求めまして競技と同時にオートバイ並びに自動車を並べて宣伝をいたしておりまして、現場で以て相当な取引が上るのでありまして、この法律の目的でありまするところの自動車工業に寄与している点は多大であるということを私ども各方面から聞かされておるのであります。なおまあこうした競技の性質上成るべく社会性を持たしたいと、かような意味で、千葉県並びに埼玉県等におきましてはただこの競技を車券の対象にするだけではなしに、見て面白いレース、壮快なスポーツ、まあこういう点に重点を置きまして、そうした面白味と加えて車券的の興味、これをモツトーとして運営をいたしておるのであります。現に千葉県の船橋におきましては祭日、休日を除きましては競技は一切午後からでなければしない、午前中から競技はしない、こういう方針をとつております。この午後から競技をするということは、これは競輪、モーター・ボート、競馬には先ずないのでありまするけれども、船橋の競技場に来るフアンなどの声を聞いて見ますと、少くとも午前中は仕事をして午後から来られるので非常にいいのだから是非これは続けてもらいたいというふうな声がありまして、こうした点においてもいろいろ工夫をこらしておるわけであります。ただ競輪、競馬に比しまして今日ではまだ売上げが十分ではありません。ありませんその根本の理由は、初めてこの競技をやりました際に進駐軍の意向によりまして一切ガソリンは使つちやいかん、合成油を使えということと、新らしい最近できた車体は使つちやいかんという、こうした命令の下にやりましたので、言い換えれば不完全な油で以て十年、二十年前の車を動かして競技をしましたために競技が非常に面白くなかつた。途中でエンストする車が多くなりまして、このスタートが悪かつたために相当長い間不振を続けましたが、最近ではこうした制限がすつかりとられまして、ガソリンを使う車も殆んど五三年の車を揃えておりまして非常に面白い競技ができる。従つて最近では売上げが上昇しまして、いずれも黒字であります。地方財政に対しても相当に貢献をしているのでございまして、大体そういう現況でありまして、今後も相当伸びると、こういう見込でございます。どうか御協賛のほどをお願い申上げまして説明といたします。 —————————————
○理事(松平勇雄君) 次に衆議院議員大西禎夫君ほか十六名提出の自転車競技法等の臨時特例に関する法律案の提案理由の説明並びに内容の説明を聴取することにいたしす。発議者福田一君。
○衆議院議員(福田一君) 私が福田一でございます。これより委員長の御指名によりまして提案理由その他について御説明を申上げたいと思います。 只今議題となりました自転車競技法の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。 自転車競技法、小型自動車競走法及びモーターボート競走法は、それぞれ自転車、自動車、モーターボート各工業等の振興と地方財政の増収を目的としていることは、御承知の通りでございますが、今年度の予算の性格に鑑みまして、国庫納付金が、今年度に限り停止され、これに伴いまして各産業振興費が予算面から落ちることになりました。併しながら、自転市競技法等の目的に鑑み、何らかの方法により産業振興費を支出することは、絶対に必要な事柄でございますので、関係各方面と慎重に検討を行いまして、この法律案を提出した次第であります。 次に本法案の概要を御説明申上げます。第一にこの法律は、従来の国庫納付金に代るべき納入金の制度を臨時に設けまして、これを財源として中小機械工業の設備の近代化、生産技術の向上、機械輸出の伸長その他機械工業の振興を図るため必要な経費に充てようとするものでございます。第二に、自転車、小型自動車については、それぞれの法律の目的に則り、従前とほぼ同様の方向で産業の振興を図つて参るつもりでございます。なおモーターボートについても同様の方法をとる所存でございます。第三に振興の対象を自転車、自動車のほかに一般機械工業の範囲まで拡大したことでございます。我が国機械工業のうち輸出機械工業部門、重要部品製造部門、機械工業の基礎工業部門には、中小企業が多数存在しておりますが、これらの企業の設備の近代化、技術の向上は、我が国の機械輸出の増進、輸入の防遏に大きな影響を有しているのであります。然るにこれらの企業の設備資金の調達には、諸種の隘路があることに鑑みまして、これらの企業の設備の近代化を促進しようとするものであります。 第四に納入金の受入機関といたしまして自転車振興会連合会、小型自動車競走会連合会、全国モーターボート競走会連合会を選んだわけでございますが、この納入金の公的性格に鑑みまして、その使途につきましては、一切、主務大臣の定める計画及び指示に従つて行わせますと共に、納入金の一切の取扱は、商工組合中央金庫に委託させることとしたのでございます。第五に、この法律の有効期限を昭和三十年三月三十一日までとし、その期間終了時における自転車振興会連合会等の資産及び負債はこれを国に帰属することとしたのでございます。現に国会で御審議中の補助金等の臨時特例に関する法律案によりまして、国庫納付金の停止期間が昭和三十年三月三十一日までとなつていることに対応したものでございます。 次に納入金の率については、地方財政の現状を考えまして、大幅に引下げますと共に、売上金の少いものにつきましては納入金を免除することといたした次第でございます。 何とぞ、御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申上げるものでございます。 以上が提案理由でございますが、もう少し法案の目的とするところその他について、又この法律を作りますについて特に考慮いたしました点を申上げて見ますというと、そもそもこの法律の基をなしておりますのは自転車競技法及び小型自動車競走法等でございますが、自転車競技法というのは今から四、五年前に社会党の議員提案といたしまして両院を通過いたしまして今日までに及んでおるのでございまして、昭和二十八年度におきまするところの財政的な見地から申上げますというと、約四十億円が地方財政に入つておるわけでございます。なお二十億円が国庫に納入されておつたのでございますが、そのうちで約六億円が自転車の振興のための費用といたしまして、或いは輸出促進ために、或いは又融資として自転車関係に融資されておつたものでございます。ところが御承知のごとく、今回一兆円の予算を組むというのが一つの理由、もう一つは国といたしましては、大体今回は競馬とか或いは又こういうような競輪とかいうようなものの収入は国に取らないような方針をとりまして予算を編成されまして、従つて今まで自転車振興のために出されておつた経費等も全然このままの形で参りますというとなくなつてしまうのでありまして、自転車競技法を作りましたこの本来の目的から見ますというと若干歪められて、自転車競技というものが地方財政のためにのみ存在するようなことに相成るわけでございます。私たちといたしましては競輪というものからあがるまあ平たい言葉で申上げますというと、寺銭のようなものは地方財政にも寄与して決して悪いというわけではございませんが、併しながらこれはどうしても何か一つ有効に使うようにしなければならないというような観点も含めまして、今回一応この競技会、自転車振興会といいますか、或いは又モーターボートの振興会等に一定金額を納入させるようにしてはどうか。その一応の見積りを申上げますというと、大体競輪関係で六億二千万円前後でございます。モーターボートは一億七百万円、その他を合せまして大体七億五千万円くらいの収入が挙るわけでございます。ところが今まではこの率が相当多かつたのでありますが、今回は六千万円以上の売上げがありまして初めてまあ一分くらいの収入をとる、こういうことにいたしまして徴収いたして見ますというと、競輪関係では六億二千二百万円、オート・レース関係では千八百万円、モーターボート関係では一億七百万円、その他に雑収入が五百万円ほど見込めますので、七億五千二百万円くらいの金があがつて来るわけであります。でオート・レースの関係の費用はこれはこういうオートバイその他の費用に充当するというか、貸付けるというか、そういうまあ方針をとつて行きたい。又モーターボートの関係はこれも又モーターボート関係に融資するというような考えを持つております。そこで問題になりますのは競輪関係の六億二千万円でございますが、二十八年度におきましては六億円が競輪関係のために使われておつたのでございますけれども、今回はこの法律を御協賛を頂きますれば、大体の試案といたしましては競輪関係には二十八年度の六億円を半分にいたしまして三億円前後、なお二億五千万円ほどは大体中小機械工業の古い機械を新らしい機械に取替えて輸出の振興を図ろうという目的で融資をする、なお五千万円ほどは技術の研究費に充てるように使いたい、その他雑費が二千万ほどかかりますが、等々を合せましてそういうふうな内訳にして行つてはどうか、従来は競輪だけでございましたが、これを輸出振興と技術の向上という方面に持つて行つて、まあ寺銭のようなものではあるけれども、何かそれに社会的の有意義な目的を追加して行つたらどうか、こういうふうに考えておるわけでございます。そこでそういうような自転車振興会というようなものに金を入れさせることがいいか悪いかという問題もあるのでございますが、これは一年間の臨時立法でありまして、一応金が入つてもその金は一年後には当然国庫に帰属いたすのでございます。なおこれを使います場合には、通商産業大臣が関係者の諮問委員会を持ちまして、その諮問委員会に諮問をいたしまして、そうしてどういうふうに輸出振興に使つたらいいか、或いは貸付をどういうふうにして行つたらいいかというようなことを一応諮問をいたしまして、その諮問によりましてこの使途を明瞭に、明らかにし、その方法を指示するわけでございます。 そこで、その自転車振興会その他に入りました金は、一応通り抜けまして、商工中金がこれを事務を代理いたすわけでございます。で、商工中金は本来の目的から言いまして、この種のものを扱うかどうかというような問題もあるわけでございますが、まあ一年限りのことでございますので、何とか一つ商工中金にこの仕事を持つてもらうということを交渉をいたしまして、商工中金にまあ引受けてもらつたようなわけでございます。 以上のような経緯によりまして金を集め、又これを使うということをやつて参るわけでございますが、この金を取りました場合において、地方財政とどういう関係ができるかを申上げますというと、実は地方財政は二十八年度におきましては四十億円入つておる。今回のこの二十九年度では国庫に納付されておりました二十億円が全部これが地方財政に入りますから、六十億円入るわけであります。併し我々の見たところによりますというと、大体この歳入総計というものは国に、このまま法律が続いておつたといたしまして計算いたして見ますというと、二十億円が今年は三十六億円くらい入る予定に相或るのであります。そこで、そのうちから六億円くらいの金を取つたといたしましても、なお地方財政は十億円、予定よりは十億円オーバーしてその収入が挙るわけでありまして、地方財政の見地から見ますというと、成るべくこういうものを取らないようにという御意見もあるかも知れませんが、それでは競輪というものは全く地方財政のためにのみ存在するというような形になりまして、こういうことは競輪というものの何といいますか、賭博性といいますか、余り世間から喜ばれておらない性格から見て面白くないのではないかと我々は考えたわけでございまして、そこで今言いましたように、そのうちの若干をこちらのほうへ出してもらいます。そうしてその金を有効適切な施策に充当して参りたい。かように考えたわけでございます。 なお、商工中金はその商工中金の中に特別会計を設けまして、受入れました金は全部そこへ入れましてそこで運用をいたして参ります。勿論これについては雑費等も要るでありましようが、併しその使い方は先ほど申上げたように通産大臣が諮問委員会に諮問をいたしまして、その方針に則つて、商工中金と言いますか、直接振興会を通じてという形にはなりますけれども、事務は商工中金でやつてもらうというわけに相成るのでございます。このような金でございますので、いろいろこういう問題に関連して何か裏に暗い蔭でもあつては……というようなことにつきましては我々は特に注意をいたしたのでございまして、その取扱につきましてはそれぞれ厳重な、まあ何といいますか、監督ができるような措置をこの法律できめているわけでございまして、よく最近政界浄化の問題が出ておりますけれども、そういうことにならないように特に念を入れてこの法律を作つているつもりでございます。 以上のようにいたしまして一年間を経過いたしました後においては、この金は国庫に帰属をいたして参ることに相或るのでございまして、将来といたしまして然らばどうしたらいいかということになりまするというと、或いは特別会計を政府に設けるなり、或いは又公社のようなものを作つてこれに運営をさせるなりというような考え方もあるわけでありますが、いずれにいたしましても、この際はこのまま放つて置きますというと全部地方財政に入つてしまうということは、競輪法を作りました当初の精神と余りにもかけ離れて行くことと、先ほど申上げたような賭博性の金を何か有意義なものにでも少しでも役立てるように使つてはどうかという見地からこういうような法案を提案することにいたした次第でございます。 或いはまだ私の説明では十分でないかと存じますが、何とぞ一つ十分御研究御検討を願いまして御賛同あらんことをお願い申上げるものでございます。
○理事(松平勇雄君) 次に衆議院議員小笠公韶君ほか二十四名提出の中小企業安定法の一部を改正する法律案の提案理由の説明並びに内容の説明を発議者小笠公韶君から聴取いたします。
○衆議院議員(小笠公韶君) 今回通商産業委員会に付託となりました中小企業安定法の一部を改正する法律案につきまして提案者を代表いたしましてその提案の理由とその大要を申上げます。 我が国経済に占める中小企業の重要性及び我が国の中小企業が現在当面している種々の困難な問題につきましては皆様御案内の通りでありますが、現在中小企業が直面している不況の原因の一つは相対的な設備過剰に基く、過度の競争にあることは論を待たないところであります。中小企業安定施策は各方面に亘つて要請されるところでありますが、中小企業団体がみずから団結し、その組織の力を以てその不況に対処することが最も肝要なことも又論を待たないところであります。 中小企業安定法がかかる観点に立つて中小企業安定策の一環として制定されたものでありますことも皆様御承知の通りであります。中小企業安法定の施行以来すでに二年近くなりますが、その間調整組合も百を超えるに至り、その成果については多くの見るべきものがあるのでありますが、何と申しましても、中小企業はその規模が小さく、その数が多く、全国に広く分布しておりまして、その組織化について未だに多くの問題を残しておるのであります。特に調整組合の結成、その調整事業の遂行に当りましては常にアウト・サイダーの問題が存在し、アウト・サイダーの規制につきましては本法制定当時から多くの論議を生じたところでありまして、昨年の第十六国会におきまず本法の改正につきましてもこの点に重点が置かれましたのであります。アウト・サイダー規制に関する第二十九条の通商産業大臣の命令につきましては、爾来関係方面で種々検討を加えていたのでありますが、戦後の経済政策のあり方と関連して、前回の改正に際しましても単に第二十九条の規定の範囲内で改正を加えるにとどまつていたのであります。 然るにその後、政府においてマツチ製造業及びタオル製造業等について第二十九条命令を現実に発動することになるに至りまして、アウト・サイダー規制の方法として新たに現行の第二十九条命令の規定に実質的に改正を加える必要が生じて来たのであります。 更に昨年暮から屡次に亘つて強化された金融引締政策及び今国会で成立した均衡予算に基く財政政策が、我が国経済の再建のために止むを得ないものであり、その狙いが大企業を中心とする放漫経営の是正にあるとしてもその結果が中小企業に大きな影響を与えることが明らかでありまして、今回の新らしい経済政策はこの中小企業に対する影響を如何に緩和するかにその成否がかかつているとも言えるのであります。 このような事態に対処するための中小企業安定施策の一環としての中小企業安定法の運用について検討を加え、中小企業自体の自衛策としてその団結を容易にし、アウト・サイダー規制に関する関係規定を整備し、調整組合の機能を強化しようとするのが今回の改正の主眼点をなしているのであります。 今回提出いたしました改正法案の主なる点の概要を申上げますと、第一に、アウト・サイダー規制に関する通商産業大臣の調整命令の発動形式として、新たに現行のもののほかに、一定の条件の下に、当該業種に属する事業を営む者のすべてに対して、調整組合の調整規程の全部又は一部に従うべきことを命ずることができる制度を設けたことであります。 調整命令の内容として、製品の生産数量、出荷数量、販売価格、販売方法、生産設備の制限等があるのでありますが、現行法の政府の直接統制方式によりましては、現在の行政機構及び行政機能を以てしては外くの問題が存するのでありまして、今後の中小企業行政を考えるとき、調整組合の機構及び機能を活用することが適切であり、又望ましいあり方であると考えるのであります。ただアウト・サイダー規制は現在の考え方を以てすれば、国家的要請に基く一種の統制でありまして、戦後の民主化政策の考え方からすれば、このような制度は国家の直接統制に対するいわば例外的な措置でありますのでその発動は一定の期間を限つて行い、必要があれば更に延長するという考え方をとつているのでありますし、又、調整組合自体がこのような制度に適した構成を持つている場合及びアウト・サイダーが少数の場合に限定しているのであります。 更にこの新らしい制度につきましては、この制度の本質に鑑みまして、種種の関係規定を設けております。その一は、この命令を——この命令につきましては説明の便宜上二項命令と呼び、現行の命令を一項命令と呼ぶことにいたします——この二項命令をするに当りまして、アウト・サイダーの意見を聞く機会を与えている点であります。その二は、調整組合及び連合会に一種の調整権とも言うべき権限を与えているために、調整の公正な運用を期するため、調整組合及び連合会に対する通商産業大臣の監督措置を整備したことであります。その三は、調整組合又は連合会のした処分に対して不服のある者に対し通商産業大臣に対する不服の中立を認めたこと等であります。 主なる改正点の第二は、現行の第二十九条第一項の通商産業大臣の命令に関する規定の改正であります。二項命令の制度が新たに設けられまして、調整規程に従うべきことを命じ得るようにしたので、一項命令はいわば多少高度の観点に立つ直接統制となりますので、その命令は本法の性格上、調整規程又は統合調整計画を参酌して決定はしますが、国家的観点に立つて決定し得るようにいたしたのであります。 その他、一項命令、二項命令のあつた場合にいずれもその実施の確保を図るために組合の検査員をして必要な補助をさせることができるものとして、行政機能の補完を図り、第二十九条の二の規定による生産設備の新設制限に関する命令について第二十九条命令と同時に発動できるように改め、更にその他の関係条項を整備しているのであります。 以上を以て本改正法案の提案の理由につきまして概要を述べたのでありますが、何とぞ速かに御審議頂きまして、御賛同を得ますようお願い申上げる次第であります。
○理事(松平勇雄君) 只今説明のありました三法案に対する本審査は次回に譲りたいと存じますが、時間も多少あるようでございますから、御質疑のおありのかたは御発言願います。なお川島正次郎君は衆議院における委員会の関係で御退席になりましたから、小型自動車法関係については、政府側から御説明申上げます。
○海野三朗君 この自転車競技法の制定は、私が衆議院におりましたときに、私どもも議員の一人として提案したのでありますが、今日この競技法の現状を見ますると非常に穴だらけであつて、こういうふうなあり方を私どもは期待しておつたのではなかつたのでありますが、非常に横這いといいますか、妙な方向に進みつつあるように思うのであります。この点についてその欠点、この自転車競技法の欠点をどういうふにお考えになつていらつしやるか、又それに対する対策もどういうふうにお考えになつていらつしやるか、そういう点をお伺いいたしたいのが先ず第一点。 それから今日までのこの競技法によつて得たところのお金がどういう方向に使われておるか、その大体の結果を総括して伺いたいと思うのであります。
○衆議院議員(福田一君) お答えを申上げます。自転車競技法制定の当初におきましてはこれほど競輪が盛んになるというような、又これほどたくさん財政収入が挙るものであるというようなふうには考えられておられなかつたように提案理由その他でも承知をいたしておるのであります。ところがその後戦後の何といいまするか、一種の社会的な風潮によりまして非常に競輪がはやるようになりました。むしろ地方競馬等を食つて、最近は地方競馬などよりは競輪のほうがうんと売上げが多くなり、当初は二十億乃至三十億円くらいの売上げがあるような意味でたしか法案を制定されておつたと存じます。勿論これはその当時の何と言いまするか、貨幣価値と今と比べまして、大分今は貨幣価値が下落をいたしておりますのでそのくらいに見込んだわけでございますが、ところがその約三十倍ぐらい、今は六百億円以上の売上げがあるようになつて参りました。そういう意味では一つの大きな、地方財政にとつても国の財政にとつても一つの収入を挙げるようになりました。一面におきましてこれはいろいろの社会的な問題を孕んでおるようでございます。従いまして私はこういうようなものによつて地方財政の歳入を上げるのがいいかどうか、今回は地方財政に全部、大体歳入の大部分を譲ることに相成つておりまするが、こういうものを続けていいのかどうかというような問題は当然考えられて然るべきものであろうと存じてはおりますが、併し私たちといたしましては、それだからこそ何かこういう収入によつて挙げられたこの資金というものを国家的な目的に適切有効に使う手段を考える、まあ何といいますか、罪ほろぼしというような意味でも、何か一ついいことに使つて行かなければいけないのじやないかというような考え方を以ちましてこの法案を提案いたした次第でございます。 なお従来どのように使われておつたかにつきましては、政府委員より答弁してもらうことといたします。
○政府委員(徳永久次君) 競輪の従来の売上げの中から御承知のように七五%はいわゆる車券といいますか車券を買つた人に帰るわけであります。二五%のうちから実際の施行に要します経費を除きました残りのものの一部が国へ、一部が地方へ行くということでございまして、その概数で申上げますと、先ほど提案理由の説明の中にございましたように、従来は国庫に一年に約二十億、それから地方に約四十億というものが地方財政に寄与しておつたということでございます。その地方財政の年々の約四十億につきましては、主として住宅建設及び学校建設というものに各施行者の都市なり府県なりの経費に使われておつたということでございます。これはいわばこの事業そのものが戦災復興というものが一つのスタートの当初に考えられておつたのでありまするが、戦災によります住宅、或いは学校等の復旧というものに重点が置かれておつたということでございます。それから国庫に納まりました年年約二十億というもののうち、その三分の一は産業振興、自転車を中心にした産業振興に使わなければならないということになつておりまして、前年度で申しますと六億円程度でございますが、その六億円の使途につきましては二億を輸出振興関係、それから四億を自転車産業の合理化のための融資ということに使われておつたわけでありまして、その結果自転車産業がそれだけの恩典を受けました結果、どのように進展して参つたかということでございますが、これは輸出及び内需、いずれの点におきましても非常な振興をいたしておると私どもは考えておるわけであります。それを具体的に申上げますと、生産におきまして二十八年度におきましては昭和十二年が戦前の生産の最高でございますが、その二五%増の二百八十万台というものを生産するようになつたのであります。その量が殖えましたばかりでなしに、品質及び価格の点におきましても進歩したわけでございまして、と申しますのは自転車産業に対しまする融資等によりまして自転車産業の設備合理化、近代化というものがこれは他の産業に比べまして一番恩恵を受けましただけに一番進んでおりまして、その反映かと思うのでございますが、自転車の品質が向上いたしまして、耐用年数その他もずつと延びましたばかりでなしに、価格においても他の一般物価の生産財、消費財の値上り状況に比べまして自転車は相当格安な地位にありながら、需要供給されており、これは品質のよくなつた点と値段が安くなつた点ということ、両方考えまして、この競輪によりまする設備の近代化の進んだこと、これが大いに影響しておるというふうに私どもは考えておるわけであります。輸出におきましても二十八年度におきましては一両年前の最高から若干低下いたしましたけれども、その輸出の総金額というものは戦前におきます自転車全体の総額に回復いたしておるわけでありまして、日本の輸出産業全体を平均的に見ますると、三、四割程度しか回復の程度を示していない環境におきまして、而も又自転車の戦前におきまする大きな市場でございました大陸方面の需要も全然喪失したような事情にありながら、又インド市場というような大きな市場も喪失したような悪条件にありながらその金額は戦前の最高レベルまで回復しておるということは取りも直さず自転車が他のものに比べて著しく輸出の伸長力が大きいということに理解できると思うわけであります。両三年に中華民国の輸入がありました際には前年度より遥かに多い数字を示したのでありますが、私どもはこれだけ競輪から得まする恩恵というものが及んだというだけの効果というものは生産及び輸出の面にあつたということも考えておるわけであります。又輸出につきましても、例えば競輪から上りまする収益の中から自転車産業に使いまする輸出振興費といたしまして市場調査なり或いは日本の自転車の紹介宣伝のためのカタログの領布等もやつておりまするが、これらの地道な手のかかる仕事にほかの産業、ほかの機械工業に比べまして金が多く使えたということが、市場を丹念に調査することができましたことも大きな原因となつておると考えるわけでございます。又カタログ等もほかの機械工業、機械製品に比べまして手の届いたものができ上つておりまする関係上、日本の自転車の輸出におきましてはそのカタログが取引台帳といいますか、そのカタログに掲げられておるナンバーいうものが日本の輸出取引の基礎ナンバーに使われておるというような工合に相当の裨益するところはこれまでにおいてあつたというふうに私ども考えておるわけであります。
○海野三朗君 今の技術の向上といたしましては技術の研究の方面にもやはり金を支出しておられたのでありますが、品質の向上、それに対してどれくらいお金を出しなさつたのであるか、又出しなさる方法はどういうふうにしてお出しになつたのか承わりたいと思うのです。
○政府委員(徳永久次君) 輸出振興と一口に申上げましたが、自転車の輸出振興のうち前年度で申しますと、年間で二億円輸出振興全体がございますが、そのうち技術振興関係が二十八年度で申しますると約一億二千万円が技術振興関係に使つておるわけであります。これは地方庁或いは国の研究所、試験研究所を使いましたり、或いは民間の試験研究所を使いましたりいたしまして材質から機構に至りますまでのいろいろな技術関係の進歩と、外国から見本を取寄せてそれの分析検討をやつて見たり、いろいろなことをやつて参つたわけであります。そういうことが基礎的に日本の自転車産業の技術振興に役立ち、それが融資金によりましてその基礎的な研究が融資が楽であるということによりまして自転車産業自身のほうの設備の近代化が他の産業に比べてより多くできたというようなことが大いに裨益したゆえんだと考えておるわけであります。
○海野三朗君 例えばそういう際に、技術の振興に関してお金を出すというときにはどういう方法で今までおやりになつていたんでしようか、通産省のほうから……。
○政府委員(徳永久次君) 従来はすべて先ほど申上げました六億円というものにつきましても三億円は融資でございまして、融資のほうは前年度で申上げますと前年度は中小企業金融公庫が大本でございまして、そこから市中の銀行を通じまして自転車のメーカー及び取引関係の業界に融資されておつたわけであります。二億円の直接的な輸出振興関係の金につきましては予算と同じ費目の扱いでございまして、どういう団体に市場調査を担当してもらい、それにその費用をどう出すとか、或いは先ほど申しました技術振興でございますれば国の研究所、或いは地方の研究所、或いは民間の研究所等に対しまする研究テーマをどう選択し、それに対して幾ら出すかということは丁度予算と同じように国が直接どこにどういう項目のために幾ら出すというようなことをきめて出して、予算から支出して出しておつたわけであります。
○海野三朗君 もう一つお伺いいたしたいのは、そういうふうにして、つまりその業務の振興を図る、そのお金は国民金融公庫とかそういう方面に入れてそうして業者のほうに融通されるということでございますか。儲けたその純益、それはつまり事業の発展に対して貸付をする、こういう方面に今まで働いておられたわけですか。
○政府委員(徳永久次君) 先ほど申上げましたように、前年度で申上げますると六億円が自転車産業中心に使われたわけでございますけれども、そのうちの四億円が融資でございます。これは先ほど言いましたように、四億円が大本が中小企業金融公庫から出まして市銀を通りましてその自転車のメーカー及び販売業者の設備合理化資金、或いは運転資金という形で市中銀行から融資されておつたわけであります。二億円の直接輸出振興関係のものが海外市場調査なり、或いは紹介宣伝のパンフレツトの製作なり、或いは技術研究のための補助金なり、或いは海外見本市に対する補助金になりましたり、さような形におきましてこれは予算と同様な手続によりまして丁度通商局の輸出振興予算のようなふうに、用途をきめまして予算の項目を計上され、予算支出の形で輸出振興及技術振興の費目に使つておるということでございます。
○海野三朗君 提案者にお伺いいたしますが、大体この法案が通りましたときにどれぐらいの利益が挙るというお見通しでございますか。
○衆議院議員(福田一君) 大体競輪の関係で六億二千二百万円、それからオート・レースの関係の納入金が千八百万円、それからモーター・ボートの関係の納入金が一億七百万円、雑収入が五百万円、合せまして七億五千二百万円くらい上る予定に考えておる次第でございます。
○海野三朗君 有難うございました。
○理事(松平勇雄君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(松平勇雄君) 速記を始めて。 これにて休憩いたします。午後一時から再開いたします。 午前十一時四十二分休憩 —————・————— 午後一時四十七分開会
○委員長(中川以良君) 休憩前に引続き再開いたします。 最初にお諮りいたしますが、労働委員長から石炭の重大危機打開について当委員会に連合委員会の申入れがございました。殊に日にちを五月二十日にお願いしたいということを申入れて来ております。若しも当日不可能なときには通産大臣を労働委員会に出席をせられるようにしてもらいたい、こういう意味でございます。そこで当委員会はもう会期末でございますので、日程がもう全部組んでございますので、二十日に連合委員会を充てるわけには参りませんので、これはお断りを申しまして、通産大臣が一つ向うに出席をして頂くようにいたしたいと存じますが、如何でございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川以良君) それではさように決定をいたします。 それからもう一つは、地方行政委員会から自転車競技法等の臨時特例に関する法律案につきまして同じく連合委員会を申入れられて来ております。これは今お話したよう日程が組んでございますので、一応お断りを申したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川以良君) それではさようにいたします。 —————————————
○委員長(中川以良君) それから硫安に関する法律案につきまして、農林委員会にかかつておりまする臨時硫安需給安定法案につきましては、先般の委員会において農林委員会との連合委員会をいたすことに定めたのでございまするが、大体当委員会において先般来この問題は審議をしておりまするので、もう連合委員会を申入れる必要がないと存じまするので、皆様方の御同意を得まするならば、一つ文書を以て農林委員長に申入れをいたしまして、連合委員会はいたさないことにいたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川以良君) それではさように決定をいたします。 つきましては申入れをいたしまする件につきまして、ここに案文がございまするので、これを朗読いたします。 昭和二十九年五月十八日 通商産業委 員会委員長 中川 以良 農林委員 会委員長 片柳 眞吉殿 臨時硫安需給安定法案に関する 申入れの件 臨時硫安需給安定法案に関する衆 議院の修正中、保管団体の資格を農 業者団体に限定する点(送付案第六 条第二項)及び肥料審議会委員中、 肥料販売業者の代表者を減員する点 (送付案第十七条第二項第二号)は 商業者に対し不当な差別と好ましか らざる影響を与える結果となり立法 政策上の見地からするも穏当でない から政府原案に戻すよう再修正せら るるよう委員会の決議を以て要望す る。 以上でございまするが、御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川以良君) それでは当委員会の決議といたしまして農林委員長に今のような次第を申入れることにいたします。 —————————————
○委員長(中川以良君) それでは先ず本日は硫安の二法案を議題といたします。前回に引続き御質疑をお願いいたします。
○豊田雅孝君 今回の法案によりますると、硫安、今回は改正の結果肥料の輸出振興を図るために輸出調整会社を設立するというのでありますが、一方輸出入取引法によつて輸出組合制度があるわけでありまして、この輸出組合制度によるならば一手買取輸出もできるということになつておるのでありますから、かような輸出組合制度を活用することによつて特に輸出調整会社まで作る必要はないのではないかという感じが出て来ると思うのであります。ひとりこれは肥料関係のみならず、今回かような特別の会社を設立しなければ輸出の振興が図り得ないということになりますと、これが前例となつて今後輸出振興を図ろうとするためには一一輸出会社を作らなければならんということになると思います。そういう面において折角輸出入取引法で輸出組合制度が設けられ、而も相当先般同法案審議の際に政府側の答弁によりますと、内容も充実せられたるように説明を聞いておるのでありまして、この輸出組合制度で何故に足らないのかという点を明らかにしておきたいのでありますが、その点……。
○政府委員(中村辰五郎君) 御質問にお答えいたします。硫安の輸出につきまして、輸出取引法に基かずして特別の立法をいたしまして、輸出会社を必要といたしました理由につきまして、従来の経緯並びに組合法との関係を申上げたいと思います。硫安の輸出が問題になりましたのは、一昨年の秋でございましたか、相当国内の販売価格を下廻わります輸出価格で対印輸出をいたしたのでございます。この問題を契機といたしまして、硫安メーカーは海外に安売をして、国内の価格にこれをしわ寄せして、農民に対して割高の肥料を買わせているのではないか、こういうような問題でありまして、勿論肥料は農民にとりまして非常に現金支出等からしましても重要な資材でありますので、そういつた問題の起りますことは止むを得ない当然のことであると考えます。そういう問題の解決の途といたしまして、勿論海外に輸出します数量を減産するということでありますならば、それだけ国内に売ります価格も割高になつて来る、こういうような前提がございまするので、私たちとしては操業度を維持しつつ、国内にも適正な価格で販売いたしたい方針の下に、政府は一昨年の十二月に肥料対策委員会というものを作りまして、関係業界、或いは学識経験者を集めてこれが根本対策を審議いたしました。その際一つのめどとしてきめられましたことは、操短はいかん、この輸出におきます赤字を国内に転嫁しない、こういう制度を必要とするということでございます。この方式としまして、メーカーはその赤字を自主的に処理するという一項がございまして、これらの点を彼此勘案いたしまして、輸出によります赤字をメーカー自身が処理するという建前でございますので、これが処理の方式としましては、相当期間、これが棚上げをしまして、合理化その他による黒字を出すことによつて赤字を解消して行くという方式をとる必要が起つたのであります。この見地から申しますと、輸出組合が法律にもございますようにこれは輸出業者ということを法律的な要素といたしまして設立するものでございます。輸出組合で参りますと、輸出業者というものの団体でございますので、勿論メーカーの直輸出というものがございますれば、これは勿論参加いたし得るのでありますが、只今申しましたような生産業者の自主的な赤字処理ということの建前からいたしますと、輸出業者の参加いたします団体で処理いたしますことは不適当でございます。その見地からメーカーだけの組織を作りまして、これに対処する機関といたす必要がありますので、輸出組合方式をとらずにメーカーの組織いたします特別の一会社というものを作りまして、今申しましたような方針、趣旨で実際に運用いたす組織にいたしたのでございます。輸出組合におきましては、御承知のように、任意、自由加盟でございまして、そういつた点から申しますと、只今申しましたような趣旨に副いかねる組織であると、こういう工合に考えたのでございます。
○豊田雅孝君 メーカーでやつても直輸出をやる場合には、輸出組合の構成委員になれるという当時政府委員からは答弁があつたのであります。従つて今回の主要メーカーでも輸出をする意図のあるもの、又その能力のあるものならばこれが寄つて輸出組合を結成することによつて目的は達成できると思うのであります。なお赤字が出て来たような場合には、今回の会社で行つた場合でも、結局出資者たる輸出メーカーの負担になつて来るのでありますから、その点においては輸出組合を結成した場合に、組合員たる輸出メーカーにその損失は負担せしめるということで行けば事は足りると思うのであつて、何故に輸出組合制度ではいかんか、足りないかという点はそれだけでは明らかにならんと思う。その点で何故に輸出組合制度ではいけないのかどうかということをはつきり、或いはこれは通商局のほうから聞くのが適当なのかも知れませんが、その辺はどちらでもいいのですがはつきり……。
○政府委員(中村辰五郎君) 通商局の担当政府委員は出ておりませんので、私から便宜補足的になりますが、只今申上げた点に更に我々の技術的に問題にしております点を二、三申上げたいと思います。輸出組合の場合には三十人以上ということに相成つております。硫安は十四社でございまして、当然輸出業者を入れなければ法定から見ました組合員数を得られません。只今申しましたようにメーカーの自主的に赤字を解消せしむるという組織でございまするので、純粋の輸出業者というものを加えて処理いたしますよりも、メーカーの団体といたしまして、輸出業者に対してはその外で純粋な輸出業務ということに携わらしむることが適当である、こういう工合に考えたのでございます。輸出組合は勿論自由加入でございまするので、希望するものを拒否するわけに参りません。ただ硫安のこの輸出機構は繰返し申すようでありまするが、硫安の赤字に輸出のそれを積み上げて、適当な機会にこれが合理化等による利益によつて減らして参るというような特殊な仕事をいたします建前から見まして、輸出組合によりますことが不適当だ、こういう工合に考えたのであります。
○豊田雅孝君 輸出組合は言うまでもなくカルテルでありまして、この輸出組合を本格的に活用しようということになれば、殆んど会社と違わないような運用も私はできると思うのであります。又輸出組合は任意加入であると言いますが、今回できる硫安輸出会社にしましても、参加したくないものを強制するということもこれはできないのだということでありまして、その点もやはり組合制度と同じだろうと思います。ただ先ほど御答弁のありました同業者が三十人以上の場合でなければ輸出組合は作れんということになつているからという点は尤もかと思うのでありますが、それならば輸出入取引法を改正せられて、そうして必ずしも三十人以上のメンバーでなければ輸出組合が作れんというような制限をしないようにするならば、私は輸出組合制度で十分目的を達し得るようになるのじやないか。ということは、若しも輸出組合制度が十分に活用せられない、又輸出組合制度で輸出振興が図れないということになると、一体何のために輸出組合制度があるのか。常時徹底した輸出振興方策として考えようという場合には一々輸出会社を作らなければならんということは、私はこれは大変だと思う。そのたびに特別法を作らなければならんということにもなるのでありまして、恐らく肥料について今回かような措置をとり、又それを国会で認めるということになると、或いは次には綱鉄についてやる、又あと他の化学製品についてもやるというようなことがあり得るわけなのでありまするので、その点から見て私は輸出振興方策というものを一つのカルテルの形で行くということのために組合制度がある以上、それの足らざるところはこれを改正して、そうしてその法律によつて十分輸出振興の実を挙げたらいいというふうに考えるのでありますが、その点についての御意見はどうですか。
○政府委員(中村辰五郎君) 硫安にこの制度を認めますその特殊な理由と申しましては、先ほども申上げましたように、硫安というものの性格が農業の必需重要物資でございまして、これが特別に海外の輸出による損失を転嫁されるという意味合いにおいての二重価格制と申しますか、これを非常に避けなければならない問題でございまして、これを避ける行き方としまして、輸出と国内の販売との経理的な遮断をいたす方式を考慮いたさなければならないというような経済的或いは政治的理由を含めましてここに成案をいたしたのでございます。三十人の員数を減らしてはどうかという御意見もございまするが、勿論これは私がそれについてちよつと御意見を申上げる資格と申しますか、立場にないためもございまして、通商局の政府委員が参られるそうでありますのでそのほうの御答弁に譲りたいと思います。 なおこういつた性格の会社を設けることが輸出振興上必要であると同時に、そういつたような必要を認めます場合は輸出組合法の存在理由というものが非常に薄らぐのではないかという御指摘でございまするが、勿論この硫安の輸出について特殊な性格を持つておると私は考えるのでありまするが、その他の重要な輸出品につきましてこのような制度をとることがいいか悪いかという通産省の一般基本方針につきましては、衆議院の通産委員会等におきまして通産大臣より御答弁申上げている点もございまするので、本日大臣が御出席の際にこれも又大臣より通産省の基本方針としてお答え願うということに願いたいと思います。先ず私としましては問題の起りから申しまして、農民に輸出上の不利を転嫁して農民の犠牲において二重価格制度を維持するということが非常に困難でもあり、不適当でもございまするので、これを避ける意味合いで硫安メーカーの自主的な損失処理という建前を強く貫く方法としまして、内需、外需の政治的処理の遮断ということをいたしたわけでございます。その意味におきましてこのような構想が他の物資にそのまま適用をするべきものかどうかという点については、私は疑問であるというふうに事務的には考えております。
○豊田雅孝君 かような行き方を輸出振興を徹底して行く場合にはやらなければならんということになりますと、私はひとり肥料関係に限る問題ではなく、他の業種、業態につきましても輸出振興第一主義というような大きな政策が掲げられる関係から見ましても、漸次その方向に向いて行くだろうと思うのです。而も輸出会社を作ると、一方国内市場との関係で国内市場に対しては又別個に統制法規を必要とするというようなことになる傾向も出て来ると思うのでございまして、そういう面からはこれは非常に将来大きな問題を残して行くと思うのであります。従つて今後輸出振興第一主義の線に沿つて一体全体的な方針というものはどういうふうに考え、一方輸出入取引法により輸出組合制度というものについてどういうふうに総合的に見て行くか、或いは輸出組合制度を改正する考えがあるのかどうか、これらの問題につきまして通産大臣なり、或いは通産省当局から改めて意見を聞くことを留保いたします。
○加藤正人君 ここに「硫安工業の合理化」という言葉が謳われてありますが「硫安工業の合理化を促進するため必要があると認めるときは、硫安審議会の意見を聞いて、硫安の生産業者に対し、生産設備及び技術の近代化、企業形態の改善その他の措置を講ずべき旨を勧告することができる。」そしてその場合に「政府は、必要があると認めるときは、硫安の生産業者に対し、硫安工業の合理化を促進するため必要な資金について、融通のあつ旋その他適切な措置を講ずる」というのがありまして、これは今豊田委員が言われたように輸出振興の必要な事業はほかにも幾らもある、特にこういう措置をおとりになつたということについて質問されたのですが、こういう合理化を促進すべき必要がある事業はたくさんある。然るにこの点は硫安事業に特にこういう法律が出されておるのですが、これは結局国民の食糧に通じている問題であるために重大な扱いをいたしたためにこういう措置がとられるのでありましようが、この必要な資金について融通斡旋その他いろいろ便宜を与えるのでありますが、硫安製造会社が単に専門的に硫安だけを作つているという会社ばかりではないようでございますが、こういう措置をとる場合にこれは硫安のデパートだけに確実にこれが資金が使われるのは本来である、そうなくてはならんのでありますが、そういうことについてはつきりした見境いが何によつてつくかという点をお聞きしたいのであります。
○政府委員(中村辰五郎君) お答えいたします。今の御質問の硫安工業合理化並びに輸出調整臨時措置法の第三条及び第四条の趣旨でございますが、本立法に特別にこういつた趣旨のものを規定いたしました私たちの理由として申上げたいことは、先ほど豊田委員の御質問にもお答え申しましたように、硫安の国内価格と輸出価格との二重価格制を早急にこれを解消するということが農民経済、或いは操業度維持或いは輸出の振興、いろいろな意味から申して二重価格制度の早急な解決ということが必要でございまするので、その解決の方策としましては海外の、特に西独等の非常にコストの安い硫安工業にできるだけ近付こうという建前から合理化ということをいたす必要がありまして、それが確保のためには資金の融通等を積極的にいたしたい、こういう趣旨を明らかにいたしたものでございます。 次に硫安工業のための合理化資金が総合的にやつております化学工業会社の他の部門に流用されるかどうかというような問題でございますが、それにつきましては勿論硫安会社の合理化の工事等に対する内容を検討いたしまして開発銀行等それぞれ必要といたします金融機関に推薦いたすのでありますが、その資金が合理的にその部門に費やされて期待された効果が挙つておるかどうか、こういう問題につきましては農林委員会に付託になつております臨時硫安需給安定法案というのがございますが、これの第十一条にございまするが、これは生産業者販売価格に関しまする規定でございます。通産、農林両大臣が硫安の価格を硫安審議会の意見を聞きまして販売最高価格をきめるのでございます。勿論この販売価格をきめます場合に、第一に重要となりますものはコストでございます。コストはその安定法の十三条等に規定がございまして、報告徴収は勿論、臨検検査等についても職権を以て調査をいたすことができるという建前になつておるのでございます。一方合理化のために特別の資金斡旋等をいたします関係等もありまして、それの資金効率を現実に農民の利益、或いは輸出の振興というところが狙いでございまして、これを確保する途として公定価格制度をとります。その公定価格制度は今申しましたような法規的な根拠に基きまして決定いたしまする関係がございまして、御指摘のような他の部門に流用されて本来の趣旨を没却したということのないように、こういつた点で監督いたす建前でございますので、御趣旨に副いたいと考えております。
○加藤正人君 そういう心配はないということなら結構でございます。なおかような融資や何かで便宜を与えたためにだんだん合理化が進められて所期のコスト引下げが成功された暁には輸出の価格も国際価格に近寄るようなことになるかもわからんのでありますが、それが国際価格は四十ドル台になるのは何年頃、こういうようなどこかに資料があつたようですが……。
○政府委員(中村辰五郎君) 先般当委員会に御配付いたしました硫安工業合理化の総合的効果という資料がございますが、それの見通しで参りますると、昭和二十八年度を含みまする五カ年計画、三十二年を最終目標にいたしておりまするが、この五カ年計画は当初の三年間に資本投下としては大体集中いたしております。四年目には相当効果が現われて参りまするし、最終年度の三十二年度にはこれは完全に現われる。こういう目標にいたしております。硫安工業の合理化で大体ここに二千五百八十五円、操業度の向上その他ありまして計として五千五百九十八円、それに石炭鉱業の合理化等の利益を織込んでございまするが、大体十二、三ドルを目標にいたしております。石炭鉱業とかその他関連事業別にいたしまして硫安工業自体だけの合理化で考えますると二千五百八十五円、これは八ドル前後に相成りまするが、これを、大体只今申しました昭和三十一年度までに大体投下いたしまして、三十二年度には完全に効果の挙るようにというふうに考えております。関連企業の合理化につきましては、勿論それぞれの面から別に考えなければなりませんので、私としましては、自分の担当しております硫安工業の合理化という点についての利益を主として考えておる次第であります。 この国際価格の推移ということにつきましては、勿論今後の国際情勢等から判断いたしまして、いろいろ論議もできることと思いまするが、今日の西欧等の国内の販売価格、勿論西独等の硫安コストはどれくらいになつているか、これがいろいろ書類その他で調べたいと存じて苦心をいたしましたが、又海外に旅行されます者に工場の視察等からこれが資料を得たいと要求いたしましたが、なかなかコストについては確たる資料を得るようなことができませんで、止むを得ませんので、私といたしましては西独等に行きまして、国内で販売されておる価格を元にしまして、それ以下の生産費はどのくらいかということを想定してこういう施策の参考にいたしておるという状況であります。まあその国によつても相当違いがございまするけれども、大体五十五、六ドル、或いは安い場合には国柄によつて四十何ドルという特殊なものもございまするが、五十四、五ドルあたりが現在の販売価格でございます。勿論コストはそれを相当下廻る、五十ドルを割るのじやなかろうかという工合に考えるのでございます。そういう見地からいたしまして、私のほうの硫安工業の合理化の最終目標としては、五十ドル前後を、或いはそれを下廻るところを狙うのが筋かと考えておるわけでありますが、電源開発に伴う電解法等の操業度の向上でございますとか、石炭鉱業の合理化による利益というものを勘案いたしますと、大体五十ドル見当に進み得ると、こういう考えを持つておるのであります。と同時に、なおこれは船運賃の推移に関連いたすことでありますが、船運賃が非常に時代の違いで安くなる場合も勿論ございますが、大体西欧の硫安が、我々が問題にしております韓国、台湾、フイリピン、或いはもう少し南に下りました地域に対する輸出仕向地等の日本と西欧との運賃上の差というものを考えますと大体四、五ドルくらいの差のあるのが通常だと言われますので、その点を併せ考えますると、特に日本の近隣地域に輸出いたします場合には十分日本の硫安に輸出する力があると、こういう工合に考えておる次第でございます。
○加藤正人君 幸いにして計画されておるように、五年後には五十ドルそこそこに安く製造できるということになれば結構でありまするが、今承わつておりますと、石炭鉱業であるとか、電源開発とかという、そのほかの工業の合理化の成果を待つてこれに依存しておる部分も多いようでございまして、そう行けば結構でありまするが、なかなか計画通りも進まんと思いまするし、又仮に進むにしても、これは国際価格との見合いで商売が、貿易ができるのであります。併しながら、日本が合理化に努めておる場合にすでに日本より国際価格の安いものを要求しておる競争相手国はすでに安いのだ。これらが無為に手を拱いて日本の合理化を待つているはずがないのであります。更にこれが又合理化を今日やつておるということになると、そのギヤツプはこのまま……どこか向うの努力次第で、もつと開くかもわからん。かようなことはないとは私は限らんと思う。そこで政府の計画通り行けばいいですけれども、行かない場合に、その輸出会社ができた以上これは輸出するのです。そこへ行くと二重価格の弊を矯めようしすれば何か輸出をして行かなければならんというと、その場合にこの会社がこうむつた損失、こういうものを永遠に背負つて行くことになると思う。この結果は一体どういうことになりますか。
○政府委員(中村辰五郎君) 硫安工業の日本側におきます合理化の進捗状況、勿論それ以上に盛んに西欧その他の硫安工業の進歩ということが相当考えられると思いまするが、まあアンモニア工業というものを取上げて考えますると、硫安工業それ自体に画期的なな技術の進歩ということは先ず考えられない。勿論原材料の面におきますコスト上の差異というものが今日日本と他の国との差異の重点でございまして、アンモニア工業それ自体の技術的な優劣ということは、私は御指摘のような違いはないと思うのであります。勿論技術的なことでございまするので、進歩をしないというわけではございませんが、私はただ日本の化学工業の技術が常に西欧に劣つておるんだというようなことは実は考うべき問題ではなくして、今後には勿論十分考うべき我が国の技術としてむしろ西欧或いはアメリカよりも優れておる、コスト上有利である、こういうものも決してないのではございません。硫安工業の、アンモニアの硫安工業としての問題についてはかようなものはございませんが、特に硫安五カ年合理化計画の中に尿素の生産ということを強く謳つておるのでございます。勿論これは肥料の形態を変えるということでございまするので、硫安工業の合理化ではないではないかという御意見があり得ると思うのでありまするが、勿論尿素の生産におきましては、アンモニア工業の一つの新らしい行き方としまして、特に最近化学工業の重要な新興製品となつておるのであります。この尿素の生産につきましては、我が国の技術、特に東洋高圧で発明されました新循環方式によります尿素の生産方式は、国際的にコストの上から他の追随を許さないというほどに我が国の尿素のコストを引下げておるいい生産方式でございます。この技術につきましては、特に欧州の或る国におきましては、これを導入したいという話を進めておるような状況でございまして、私は只今の御指摘につきまして、そういつた一つの問題を取上げて答弁することは、勿論答弁としてなつておりませんですが、私は日本の尿素工業、特に硫安のアンモニア工業としての多角的な総合化という観点からいたしまして、一方においては只今申しましたような新技術によつて尿素の生産をやる、一方硫安の生産もやる、こういう総合的な発展の方式におきまして間接経費、或いは従来捨てておりました例えば尿素の生産に要ります炭酸ガスというものは硫安工業だけの立場からは、これは非効率に使用いたしておつた次第でございます。尿素を総合的にやります新らしいアンモニア総合経営という観点からいたしますると、硫安のコストをも引下げる一石二鳥の手として非常に今日農村からの需要もあり、同時に輸出においても引合いが相当に多い尿素というものを取入れるということによりまして、只今の合理化計画の一つの大きな部門として推進しておるわけであります。一例として申上げたのでございますが、そういう角度からいたしまして、私は西欧等のアンモニア工業の技術的進歩ということに対して日本は決して遅れをとるものではない、こういうふうに考えておる次第でございます。
○加藤正人君 まあそういうふうになれば誠に結構でございますが、余り楽観して事に当るということもどうかと思うのであります。そこでまあ仮にそういうことになれは甚だ万歳でありますが、それまでに輸出に伴うそういう損失が必ずあると思うのでありますが、その損失の処理をどういうふうにこれからして行こうというのですか。
○政府委員(中村辰五郎君) 本委員会に御提出申しましたこの法律案は五カ年間の臨時限定法の形をとりまして、御提案いたしております。私のほうの、只今申しました硫安工業の合理化は、大体五カ年を目標にして立てたものでありまして、この五カ年間の合理化計画が幸いにして完遂できますると只今申しましたような硫安工業だけで八ドル、他の関連企業の御協力を得れば更に四ドル以上の効果を挙げ得る。併せて海外の船運賃等の有利さということを考えますると、今後に相当の量を輸出できますと同時に、差当りの損失というものを合理化の効果の挙ります三年目、四年目、五年目あたりでこれを解消して参ろう、こういう見通しでございます。勿論これは見通しでございまするので、どういう結果が出ますか、これはなかなか確定的な見通しはできないのでございますが、私たちの考え方としては、只今申したような計画的に処理するという建前にいたすのでありますが、それならば、万が一これらの赤字というものが国際競争上或いは海外のダンピング等に会いまして輸出上の損失がなかなか処理できないというような問題が観念的にも想定し得られるのでございます。この問題につきましては飽くまでも技術的な合理化というものを推進する建前で、この損失を政府が負担するというようなこと、或いは他の従来暫定的にやりましたバーターの問題等を処理することはむしろ合理化を阻害するものである、こういう基本方針に基きまして、肥料対策委員会で結論を出しましたような、メーカーそれ自体が自己の責任において最終的に赤字を処理する、損失をみずから最終的に処理するという建前を完遂する趣旨を以ちましてこの輸出臨時措置法には政府が損失を負うということは規定もいたしておりません。同時にこの輸出会社は商法上の普通の会社組織をとりまして、勿論普通の会社組織でございますので、普通の会社の損失というものは政府或いは他の第三者に転嫁し得ない、勿論株主自身の最終的損失に帰するという建前にいたしておるのでございます。そういう建前にいたしております関係で、只今申しましたように、合理化と国際価格の推移、これとが不幸にしてこれらの五カ年計画遂行の過程或いは最後において実現いたしません場合には、メーカーの最終的な損失ということでこの問題を処理したいと考えるのであります。
○加藤正人君 そういう場合には、普通一般の株式会社と同様に出資者であるメーカーの損失に帰するということであつて、国家に損害を及ぼすようなことはないというのですね。わかりました。これで私は終ります
○海野三朗君 輸出組合がありますから、それを輸出会社にするというその根本の狙いを率直に一つ伺いたいと思うことが一つ。 それから、この硫安を作つておる工場は、ここに示された大きな工場ばかりでございますか、合理化しようというのは……。硫安を造つておる工場は全国で幾つありますか。その工場全体に及ぼして行こうというお考えなのですか。最も代表的なものだけを拾つて合理化を進めて行こうというお考えでありますか。それをお伺いいたしたいのです。
○政府委員(中村辰五郎君) 前の、輸出会社を特別に作らなければならないという理由でございますが、これは豊田委員の御質問にお答えいたしたのでございますが、根本的に申しますと、肥料は農業の生産の重要資材でございますが、同時に農家の現金支出の重要な部分でございます。この価格と申しますものが適正でなければならんということは申すまでもございません。一昨年硫安の対印輸出を相当低めて輸出したために、これらの輸出による赤字を国内の販売価格で埋め合せたのではないか、こういう非難がございまして、勿論農家経済の推進から行きましても、当然この御非難は何とか別途に片付けなければならん問題でございまするので、政府は肥料対策委員会を一昨年の十二月に設置いたしまして、同時にその委員会におきまして慎重審議いたしました結果、これらの輸出による赤字を内需に転嫁しない制度を作るということが一つ、その赤字はメーカー自身によつて処理せしめる、こういう二つの原則を確定いたしたのであります。で、内需と輸出とを経理的に遮断するというためには、輸出によりました赤字を何もかもここにプールして棚上げしなければなりません。そういうような必要がありますので、輸出会社というものを一方に設けまして、国内の価格はまる公を設定して行かなければなならい、こういう建前に相成つたのでございます。輸出会社を特に認めました理由は、輸出による赤字を国内に転嫁しないで、その損失を棚上げしてこの会社で五カ年間に処理せしむるという建前にいたしたのでございます。 次に硫安工業の合理化に対しまする基本方針でございますが、硫安会社は全国で十四社、十七工場でございます。これには勿論資本、規模、その他につきまして大小はございまするが、硫安工業としましては十四社、十七工場でございます。この工場に対しましてどういうふうな合理化方針で以て臨むかという問題でございますが、硫安工業の五カ年計画の合理化の個々の具体的な内容を御覧になりましてもいろいろニユーアンスはございます。私のほうとしましてはできるだけ従来できております硫安工場のことでございまするので、現在差当り非常にコストが高いように考えられるものがございまするが、これらのものに対しましても、地域的な有利性、例えば消費地に非常に近い、こういう立地条件のものがございます。農村に対する配給物資でございまするので、必ずしも他の工場のように港に近いとかそういつた点においての立地条件でなしに農村の消費地に非常に近いというような、そのために工場の生産原価としては他の工場に比べますと高いけれども、配給する場合の立地条件等を考えますると、必ずしも工場の裸生産コストということにだけ考えをいたすわけに行かないのでございます。それと工場を合理化する方式としてその地に有利な原料関係を持つておる、或いはその傍に非常に総合的にガスの利用をし合うとか、そういうことからいつて非常に利益を得るような工場があるのであります。そういう工合に個々工場の特異性を考慮いたしまして、できるだけ十四社の合理化を進めて行きたいというのが私たちの気持であります。勿論工場に対しまするウエイトと申しますか、会社におきましてもその工場よりもこの工場に重点を置くというような考え方もあると思います。そういうような意味合いにおいて厚薄はございますが、既設の工場を最大限度合理化して、できるだけ全体の水準を引下げて行くというような工合に考えておるのであります。勿論これは一般の原則でございまして、個々の工場に対する具体的の合理化計画というものを考えませんと、個々の工場はこういう方式で行くというところまで分析しなければ私のお答えにはならんと思いますが、一応原則的に考えておりますことは、消費地における立地条件等も合せ考えて合理化を各工場について考えて参る、こういう気持でございます。
○海野三朗君 只今輸出についての赤字は農村に転嫁しない、内地のほうには転嫁しないようにというお話でありましたが、転嫁しないと言つたつて、いつかはその赤字をどこかで埋めなければならない、それはどういうふうにしてやつて行かれますか。
○政府委員(中村辰五郎君) 私は個々の会社の赤字処理という問題につきましてはいろいろあると思いますが、勿論生産コストというものの相違から各社のニユーアンスは出て参ると思いますが、最終的にはこれは例えば硫安工業で申しますと今日までの再評価は大体四割程度くらいでないかと思います。残された評価の余地というものは六割或いは、これは平均的な見通しを申上げておるのでございますが、まあ最悪の場合にはこれらの再評価の留保というようなものをなし崩すというようなことにもなろうかと思います。そういう見地で勿論この会社に出資したものが先ず最初に損失補填の基金とは相成りまするが、これを更に個々の会社で最終的に処理するという場合には、他の事業の利益をこれに充てるということもありましよう。又そういうような手がない場合には、再評価による留保というものを崩すということもあると思います。
○海野三朗君 それははつきりしたお見通しがあるのでありますか、赤字を出しても、それは会社自体の負担において補つて行けるという見通しがおありになるのでありますか。その辺お伺いいたしたいと思います。結局赤字は、いつとはなしに国内に向けられる虞れが多分にあると私どもは考えるのでありますが。
○政府委員(中村辰五郎君) この赤字処理の問題でありますが、これは輸出価格の推移とか、或いは合理化の進む度合いとかいうことによつて、それぞれの年度におきまする額というものが相当変つて来ると思うのでありまするが、硫安の合理化計画の最終目的というものと運賃の差等というものを考えますと、大体日本の合理化が五十ドル前後になりますと、運賃上のプラスというものはそのまま残る形になります。そういたしますと、大体西欧等が東亜、南亜に輸出するという場合でも最悪日本が五十ドルベースで西欧と運賃上の差があることを併せ考えて輸出価格を想定いたしますと、日本側としては今五十ドル或いはそれ以下に下げ得るという点を加味し、それから運賃上の差等があるということを考えますと、日本側としては相当黒字輸出になることを考え得るのじやないかと思います。西欧等のダンピング価格等を見ましても、極めてスポツト的な非常に安い価格は出ますが、韓国でありますとか、台湾等に対して日本が現在輸出しております二十五万トン乃至十六万トンというような大量の問題について西欧は日本側に非常に不利な輸出価格というものは出て参りません。一時的に二万、三万の非常に安いものが東亜、南至に出たということが過去に見られる事例でございまして、我が国としましてはこのような程度の合理化計画を推進いたしますならば、まあ西欧と十分東南亜で争いまして、東南亜と申しましても日本に非常に近い国などに輸出するということで、この赤字問題ということを長期に亘つて考えますならば解消し得るものという工合に考えておるわけでございます。
○海野三朗君 つまり赤字が出てもそれは五年なり或いは三年なりの長い間には黒字になつて行くと、それで結局その赤字は内地には転嫁されないで会社品体の経済で賄つて行こうと、こういうお見通しなんでありますか。
○政府委員(中村辰五郎君) その通りであります。
○海野三朗君 大体何年ほどのお見通しでありますか。
○政府委員(中村辰五郎君) 合理化の計画として見ましては、昭和二十八年度を含みまして五カ年間でございまして、三十二年が最終でございます。資本投下としては最初の三年間にできるだけ集中投資いたしたいという考えで、年度別計画を立てておるわけでございます。四年目乃至五年目には、工事としては四年目まで工事をする予定になつておりますが、五年目にはこれらの工事ができ上りまして、全体の五カ年計画の利益が五年目には実現する。従いまして合理化としては三年目頃から効果が現われまして、四年、五年と順次増して参る、赤字の解消もそういつた状況で進んで行くものと、こういう工合に想定いたしておる次第でございます。
○海野三朗君 その合理化につきましては政府はどれくらいのお金を各社に対して融資なさるお考えなんですか。
○政府委員(中村辰五郎君) 先般当委員会に配付いたしました合理化の各社別の工場名と所要金額の表をお配りしてございますが、五カ年間に大体二百二十七億程度の投資をいたす、勿論このうちに財政投資というものはその資料の註にちよつと書いてございまするが、二百二十七億は工事所要資金でありまして、その供給源としては財政投資もございますが、過半は自己資金、社債、市中銀行借入金等によることにいたしております。私のほうの財政投資として対象になりますものを更にこのうちから選別するのであります。その選別は勿論国の財政投資一般の計画と具体的に併せ考えて進めるわけでございますから、私の事務的な考え方からいたしますと、できるだけ財政投資を多く期待したいと考えますが、最近の状況等からいたしますると、そうも行かないという点もございます。それで自己調達或いは他の金融機関の協力を得なければなりませんが、開銀等に対しては六十億から八十億程度と一応期待しております。
○海野三朗君 農民に対しては数量を確保して迷惑をかけないというお話でありますが、数量が少くなつて来たりしますというと、勢い価格が飛び上る、その飛び上つた価格はえらく高くなつても農民は泣く泣くそれを買わなければ仕事にならないという結果になると思うのです。それにつきましてその硫安の価格というものについてはどういうふうに正確にお定めになるお考えか。又農民に対してはつまりそういうような価格が上らないように幾らお定めになつても品物が足りないというと闇値というものがありまして、結局苦しむのは農民である、それに対してどういうふうな準備がおありになるのでありますか、その点をお伺いしたい。
○政府委員(中村辰五郎君) 只今の御質問の点は、臨時硫安需給安定法にそれぞれ法的の根拠を持ちました制度で運用して参りたいと、こう思います。第一点は、安定法の第三条に、農林大臣及び通産大臣が肥料の需給計画を立てるとあります。これは勿論行き方としては硫安審議会の意見を聞くとかいろいろございますが、計画の内容は生産見込数量、それから国内の消費見込数量、それから輸出見込数量ということを考えるのでありますが、特に只今御質問の問題点、例えば需要見込が間違つたとか、或いは生産見込が何かの都合で非常に工合が悪いというようなことがございます。ございますが、これらの危険を防止する意味合いで需給調整用としての保留数量というものを一つ認めておるのでございます。これは大体の考えとしましては、需給調整用の保留数量というのは、国内消費数量の一割を基準として特別の保管団体に農林大臣が指定して保管せしむるのであります。国内の消費見込数量と申しますのは、大体過去三カ年の平均数量をとりまして、その一割、数量的に申しますと大体過去三年と言いますと百七十万トン前後が平均のようでございます。これには一割を基準としてございますから最高十七万トン程度の国内数量の調整保留をさせるということにいたしておりますので、先ず数量的にはこの制度の運用からいたしますと、御指摘のような危険は起らないと考えるのでございます。それで買うべきものがないから値段が上りはせぬかという問題でございますが、その点につきましても心配のないようにこの需給調整用としての保留数量を運用して参るということに相成るのでございます。その需給調整用の保留は第五条に農林大臣は特定の保管団体を指示してこれを保留せしめておくということでございますので、御期待に副うような価格上或いは数量上の調整作用をなし得ると私は考えておるのでございます。なお価格の点につきましては安定法の第十一条に農林、通産両大臣は硫安審議会の意見を聞いて硫安の最高販売価格をきめることになつております。勿論最高販売価格でございますので国内の数量の多少の動きによつて最高額まで行かないというような問題も起るかと思いますが、ここらの運用につきましては只今申上げた需給計画が先ず国内の需要見込、輸出見込というものを立てまして、その範囲で輸出せしめ、一方国内の数量或いは価格上の不安があります場合には一割の基準で保留しております硫安の適宜放出ということをいたして操作いたしますので、御質問のような問題点はないものと私は考えるのでございます。
○海野三朗君 私はもう少し勉強してから御質問いたしますから今日はこれでやめます。
○委員長(中川以良君) 他に御質問ございませんか。 それでは肥料に関する二法案に対しましては本日はこの程度にしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川以良君) それではさようにいたします。 —————————————
○委員長(中川以良君) 次に航空機製造法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続きまして御質疑をお願いいたします。
○豊田雅孝君 今回航空機製造法の一部を改正する法律によつて許可制度を布かれるようになつたわけでございますが、この許可の性質というのはいわゆるこの禁止の解除である許可と見ていいでしようか、特権を特別に付与するという免許でなく、只今言うような禁止解除をするという許可というふうに解釈していいでしようか、この点を先ずお聞きします。
○政府委員(徳永久次君) 許可の性質の点につきましては前段のほうの意味に考えて適当かと思います。
○豊田雅孝君 そういう性質の許可だとしますと、今度の場合改正案による手数料を徴収しておられるようですが、これは特許の場合或いは免許の場合に手数料を取ることもいいのかと思いますが、そのような許可において何万円というような許可手数料を取るということが一体どういうものか、この点について伺いたい。
○政府委員(徳永久次君) 手数料は現行法にございますのですが、なおこれにつきましては実は許可のあれにはございませんで、現行法は御承知のごとくいわゆる検査と申しますか、製造の確認の仕事がございますので、その仕事に関連して、程度に応じまして、いろいろな手数料は違いますが、その面で取ることにいたしておるわけであります。許可のほうにはそういうふうになつておりません。
○豊田雅孝君 そうすると今回許可制度をとるけれども、それに伴つて手数料を取るというような行き方はやらんというわけですか。
○政府委員(徳永久次君) さようでございます。
○豊田雅孝君 了承しました。 それから次の問題は、許可制度をとられるようになつたについて、許可の際に当該会社の経理を調査するというような規定はあるようでありますけれども、事後において、許可の後においてその経理を監督するという規定がないように見受けるのであります。ところが、航空機の製造事業なり或いは兵器産業というものは、今日の現状ではその基礎が非常に不安定でありまして、その結果日平産業のような不祥事が起きるのであります。従つて、許可の際に経理を見るのみならず、許可制度を布く以上は、許可後においてその当該会社の経理を絶えず見る、而うして思わしからざる場合には経理監督命令を出すというような規定が許可制度を布かれる以上は必要なんだろうと思うのでありますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(徳永久次君) 本法におきまする許可の際に経理監督の規定を入れていないではないかというお尋ねでございますが、私どもこの前御説明申上げましたように、この法案をお出ししまして許可制にいたしまする趣旨というものは、いわば過当競争或いは過剰投資の抑制といいますか……というようなことを避けるという意味からの許可制でございまして、許可制にして初めてやつとまあ企業的に成立つということになるということでございまして、他の公益事業とか、或いは特別の特権を与えるとかいうものといささか違いまして、当然に独占的になるということを考えておるわけでもありませんし、対象が公益事業であるということでもございませんし、経理のところまで踏み込んで見て行くということは、この許可制にすることを必要としました事由等から見まして少し行過ぎになるというふうに考えるわけであります。勿論許可制でございますので、何もない場合よりは許可を受けた事業者が有利だということは、或る程度言い得るかと思いますけれども、これは公益事業の場合の許可制の場合と、或いは戦前にございました特殊会社のような国家から財政的その他の援助を法自体で特別に受けるということになつておるものとも意味が違いまするし、又許可制にしなければならないという事由から考えまして、経理監督まで踏み込むことは少し度を過ぎておるのではなかろうかというふうに私ども考えるわけでございます。
○豊田雅孝君 先般の日平産業の実例を見ましても、その会社が経営状況思わしからず不渡手形を出すというようなことになると、それの下請はもう忽ち非常な打撃を受け、それがために健全に運営しておつた下請まで例産するというような事態が現在起きておることは、御承知の通りであります。日平産業の場合は、正式の許可を受けておらなかつたから、まだあの程度で、政府に対する非難というか、これも大したことがなくて済んでおることだと思うのでありますが、あれが本当に許可会社になつておつた場合においては、その下請にあれだけの打撃を与えたということになると、政府の監督不行届きだというような問題が当然起ると思うのであります。従つて只今のような質問をするわけなのでありますが、若しも将来航空機製造事業の許可を受けた後において、これが不渡手形を出すと、何百工場という下請工場に対して不測の損害を与えるというような場合が起きたら、これに対してどういう措置をとられるか、それから又さようなことにならないように事前においては具体的にどういう絶えず措置をとられるか、そういう点を具体的に伺つておきたいと思います。
○政府委員(徳永久次君) 私ども許可制にします趣旨を考えて見ますと、企業的に過当に濫立しますことが却つてどの企業も成立たなくなると、せめて許可制にして或る程度のものは成立つようにという、そういう趣旨からの許可制でございますので、経営者が通常の経営上の善良な管理をいたしております場合に、まあ大過なくやつて行けるということに相成ろうかと思うわけでございますけれども、先ほど御例示ございました日平産業の場合につきましては、日平の関係の下請業者が甚だ御同情に値するような立場にお立ちになつておることは、私どもも率直に同じ気持を持つわけでございますけれども、同じことが実はほかの産業部門にも起つておるわけでありまして、むしろ経営者の経営の一般的な不的確と言いますと差障りがあるかも知れませんが、そういうことに原因いたしておるように、私ども正確な点はまだ把握いたしておりませんが、金融機関の判断がさようなところにもあるようでございますし、これはまあ許可制等といわば直接の関係のない部面から、正確な表現にならないかも知れませんが、そういう面でございまして、従いまして、同じようなことが許可制になりました工場の場合に起つた場合に政府としてどう考えるかということでございますが、その事業としまして、必要、需要その他の関係から見まして、その企業の存立と申しますが、企業が或るスケールでやつて行くことを適当と考えるという立場におきまして政府は許可するわけでございます。ただそれを経営者のかたがうまくやつて行くかやつて行かないかということで問題がいろいろと起ることもあろうと思いますが、そこらの点につきましては政府が直接経営そのものに関与して行くということは、行政の一つの妥当な権限を超える問題でございまして、むしろ企業は株式会社制度でありますので株主の問題なり、相当の事業資金を融資しまする債権者の問題なりという形におきまして批判され是正されて行くという領域の問題ではないか。即ち政府側といたしましては、その企業そのものの、その企業の備えておりまする技術的能力等から見ましてその企業が潰れることは期待しない、むしろ適正な経営者と置換えることによつて、円滑に順調に継続されることを希望する、そういう立場になる場合が一般的な場合ではないかと予測するわけであります。
○豊田雅孝君 一般的関係から事業が不振になり或いは経営が思わしからざる状態になつて、これが下請のほうに影響するということが勿論あるのでありまするし、又許可事業であつた場合においても一応その範疇に属することは言うまでもないのでありましようが、併しながら許可制度を布き、そして一たび許可をしておる会社であり、事業であるということになると、これは関連産業の面から見て見方は非常に変つて来ると思います。表面は如何にあろうともこれに対して政府の監督は相当行届いておる。大体航空機業なり或いは兵器産業というものはその基礎が不安定なものであればあるだけに許可制度を布く、そうしてそれを監督して行くのだから比較的許可制度を布かれる以上は安定感が当該事業についてはあるだろう、又安定もして来るだろう、こういう関係で下請なり関連産業がこれに接して行くのは当然のことだと思うのです。従つて問題が起きたときには私は政府は非常に場合によると、こういう批判もあり得るという覚悟は当然もう許可制度を布いた以上は持つておらなければならない。従つて技術面等については、今度の法案を見ると検査員等の工場派遣等もあるようでありますが、その検査員というのは大体技術関係を主として見ておる。併しながら一般第三者として見た場合は、検査員までいる以上は、経理の内容でもこれは監督しておるというふうに見られるのが普通なんであります。そういう面から技術のほうの監督はやつたが、事業の内容は何ら監督しておらない、政府は何も知らないのだということでは済まされなくなると思うのです。従つて少くとも経理改善の勧告をする、その勧告に応じなかつたときは命令する。命令に若し異存があれば不服の申立をしてもいいが、とにかく経理改善の勧告なり命令ができるような法制というのはこれは許可制度を布く以上、殊に只今言うように航空機工業のような不安定な事業の許可制度を布く上にどうしても必要なんだ。若しもその経理改善の勧告なり、或いは監督命令が制度としてできないならば、それに代るような何か実体的な措置なり運用というものを少くともやつて責任を持つのだということでないと、私は収まらんと思う。この点はこれ以上論議しておつても始まらんかも知れないのですが、他の又委員からいろいろ御意見があると思うのですが、これらについては規定を変えてやるか、或いは変えなければ運用については、かようなる措置をとつて行つて、将来不幸にして日平産業のような事例が起きた場合には、かような措置をとる、又こういうような事態の起らんように監督するのだという態度方針を内部で研究せられて、次の機会に発表してもらいたいと思うのです。 次に伺いたいのは、この航空機業は只今も申す通りにこの基礎が不安定なのでありますから、これを何とか今後育成するという上においては、曾つてはかような場合には税の減免等が行われたのでありますが、税の減免措置等を織込まなかつた理由、或いは今後どういうふうに考えておられるか。更にMSA援助とこの航空機事業法との関係がどうなつておるか、その二点。 それからもう一つ併せて……。他の委員御質問もあるでありましようから、先を急ぎますけれども、もう一点併せて聞いておきたいと思いますのは、第二条の五の規定によつて、防衛庁の長官の意見を聞くというふうな建前になつておるのでありますが、常時、平常において航空機製造事業を監督する重工業局と防衛庁との間においての連絡機構というものの特列の構想を持つておられるのか。更にいよいよ意見を聞いてそれを受入れられなかつたときにはどういうことになるか、それらの点について伺いたいと思います。
○政府委員(徳永久次君) 航空機の製造事業につきまして特別の助成措置を考えることはないかということでございますが、原文上におきましても、他の産業よりは若干の優遇措置と申しますか、輸出産業並みの優遇措置が他の税法上の償却等の措置ではとられておるわけであります。私ども航空機のように技術の進歩の早い産業におきまして、現在の税法上認められておりまする償却等の措置法において十分かどうかということにつきましては、目下大蔵省と相談中でございまして、現実の必要な程度に応じて改正してもいいというふうに相成つております。ただ法体系の問題といたしましては、こういう製造事業法の中に織込むという方式は、戦前の特殊会社法ではいろいろとられておりましたけれども、戦後におきましては税法上のいろいろな特別に関しまする別個の法律がいろいろ出ておりますので、 〔委員長退席、理事海野三朗君着席〕 その中における一部という形におきまして考えて行きたい、例えば輸入税の、生産設備の輸入のための関税の免税をする、或いは償却の特別の優遇とか、償却の年限の短縮ということで、税法上の体系であるとか、それぞれの体系の中におきまして航空機の事業の持つておりまする一つの客観的な価値といいますか、というものに相応するように現状の不満な点があれば改正して頂くというようなことで考えて行きたいということに政府部内の相談は相成つておるわけであります。 なおMSAの資金の問題につきましては、これは航空機工業が終戦と共に壊滅しました状況から再び再建しなければならない事情にありまするのと、その間におきまする空白時代におきまする技術の進歩ということもございまするので、新らしく設備を整えて行きますということのために巨額の資金を要します事情もございまするので、まあ幸いにいたしましてMSAの小麦の見返資金勘定というものができまするので、その中から相当部分というものを航空機工業の再建のために必要としまする設備資金に出して頂くということで、目下政府内で相談中でございます。 それから第三のお尋ねがございました防衛庁との関係でございますが、この第二項にはいわゆるまあ武器を搭載しまする航空機の生産、修理の許可に当りましてはあらかじめ意見を聞くということにいたしておるわけであります。いわば防衛庁の専用機といいますかというようなものでございます。生産関係は通産省が担当するといたしまして、大きな需要者の立場には防衛庁が立つわけでありまして、これは今お尋ねのように日本の現状から見まして、生産の面からも防衛庁の注文もございまするし、例えばまあ余りいろんな種類の機種を考えられてそれが単位当りの機数が少くて企業ベースにのらないというような防衛庁の機種の選び方ということは、生産面といいますかからも歓迎いたしませんし、その面からの注文も出て来ると思いますが、同時に防衛庁から見まして、防衛庁のほうは全然採用する意思のないような機種のものにつきまして他の業者から申請があつた場合にそれをその企業の技術その他が優れておるからといつて通産省がそれを許可して参り、そのために設備をして行くというようなことは如何にも無駄なことにも相成りまするし、両者の間にこれまでにおきましても緊密な連絡をとつておりますが、今後におきましても緊密に連絡をとつてその間の齟齬のないようにいたしたい。その気分がここに表現されておるわけでありまして、まあ防衛庁の専用機になりますようなものにつきましてはその製造、修理についてはあらかじめ意見を聞くということに表現いたしておるわけであります。法制的にこの条文を厳密に解釈いたしますると、設置法等の関係から見まして生産責任は通産省にあることでもありまするし、防衛庁の意見が機種については合つておるが、メーカーの選択等につきまして意見が合わないというようなこともあり得るかと思いますが、さような場合に意見が合わなくとも通産省が責任を以て許可して行くというような場合が観念的には設置法等の趣旨から見て純法理論からしてはあり得るという解釈が解釈上は正しいと思うわけでありますが、但し実際問題としては私どもさようなことの起らないように事前に相協力しながら緊密にやつて行きたいということを考えておるわけでありまして、じやその両者の連絡を緊密にするという面について何か機構的なものを考えておるかというお尋ねでございまするが、目下のところは制度的にそれを実現して行くということはまだ実は実現しておりません。ただ寄り寄りと或る程度の通産省の行政と縁の深い部面につきましての人的な連繋を図つて行くなりということ、或いは定期的に両者の担当におきまして連絡して行くこと、これは定期的な連絡は実は事実上の問題といたしましてはやつておるわけでございまするが、いわゆる何と申しますか設置法とかそういう形のもので両者の協議会とかそういう形はなしていないわけでございますけれども、実際上は定期的な連絡会というものを持つて両者の関係を緊密にやつており、又ときたま定期的な連絡で済まない火急な場合には常時緊密に連絡するということは現在でもやつておりまするし、これは今後も又やるべき必要のあることでありまするので、さようなことにいたしたい、継続してやりたいということは考えておるわけであります。
○豊田雅孝君 MSAの三十六億円の大部分が航空機事業育成のために向けられるのであろうということは想像せられて一般的にもいるようでありますが、具体的にいつて三十六億円のうちのどの程度が航空機事業に投ぜられて行くかということ及び今後MSAの援助を何年間くらいどうしても継続させなければ日本の航空機事業というものは育成できないのかというふうに見るかどうか、もつと具体的に言いますというと、航空機事業の一応育成が完了する資金計画というものは一体どういうふうになつておるか、その総額は大体どの程度で、そのうちMSA援助に依存しなければならんものが、どの程度で、自己資金はどの程度というような点を……。
○政府委員(徳永久次君) 只今本年度の分といたしまして御承知の通り三十六億円が総資金ということに相成つておるわけであります。これの使い方につきましては政府部内で目下検討中でございまして、まだ結論に到達していないわけであります。私どもが今生産の主管という立端で一応考えておりまする案は今のところで三十六億のうちまあ三分の二くらいを飛行機関係に、三分の一くらいを武器関係にというような見当で急ぐものにつきまして緊要度に応じて使つて行こうというような気持で今関係者と折衝いたしておるわけであります。 それから第二段にお尋ねがございました日本の航空機工業というものをうまく育てて行くために全体でどの程度のものが要り、それに対してMSAの金が今後どの程度期待をしておるかというお尋ねでございますが、この点は実は甚だ申訳ないのでございますけれども、現状では見込んだ長期の需要というものが十分立て得ない段階におるわけでございまして、御承知のように日本のまあ防衛計画そのものが保安庁等でもいろいろとああもか、こうもかと、いろいろな数字が立てられつつあるようでございますけれども、結論に到達していないような状況でございます。まあ航空機工業は民間機もございまするし、そればかりではないのでございますが、一番大きくは防衛庁の需要というものが大きな需要者に相成りますような関係から、その全貌を秩序立てて考えて行くというところまでは、今のところ十分に前提になりまする条件が整つていないというような環境であるわけであります。ただ現実といたしますると、すでに航空機関係の修理、オーバーホールの米軍の極東に配置いたしておりまする空軍のまあ修理も出ておりまするし、それが更に現在はいわゆるプロペラ・エンジンの機械、或いはその搭載の部分品というようなことになつておりまするが、ジエツト・エンジンにつきましても、機械なり或いはエンジンなりというような注文が出るべく用意をされておる面もございまするし、或いは先日申上げました保安庁、防衛庁が本年度すでに練習機としまして本年度から保安庁予算を以ちまして発注することになつております練習機というものもございますし、そういう目先の間近に迫つておりまするようなものの需要といいますか、それに対する生産態勢ということを考えて見ました場合にも、この三十六億の中から急いで投下して行くということが必要な面が相当あろうかと思うわけであります。又ジエツトのエンジンにつきましては、これは防衛庁の将来のまあジエツト機の生産と需要ということを抜きにいたしましても、将来の民間航空全般がジエツト機に移るであろうという趨勢等も考えまして、又日本が終戦当時にその技術を或る程度のものをつかんでおつたというような経緯も考え、又そのジエツト・エンジンの技術を克服することが日本の機械工業全般の技術向上に非常に大きな意味を持つというようなことも考えまして、ジエツト・エンジンそのものの生産に入ります前の試作の段階の技術的な研究というものを相当力を入れてやりたいというようなことも目先考えておるわけであります。そのためにも相当巨額の資金も要る事情もございまして、それらの面はこの三十六億円の資金からの投融資を期待する恰好の項目だろうというようなことをまあ考えておるわけでございまして、三十六億の使い方には実はそう不自由はしていないわけでございますが、併し、それのお尋ねの長期的な問題になりますると、前提条件のまだ不分明なものがまだ多々ございまして、立て方に私ども実は目下のところ悩んでおるというような状況でございます。
○豊田雅孝君 一つ確かめて置きたいのですが、今のMSA援助についても長期資金計画が何か見通しがつかんというお話でありますからこれ以上追及もしませんが、併し事務当局としてはMSA援助を仮に三年間ぐらいは少くとも継続がなければ到底航空機事業の再建ということはおぼつかないとか、というような一つの目安というものがあろうかと思うのでありますが、そういう点について伺つておきたいと思います。 もう一つは、MSA援助が全部融資の形でやるべきであつて、投資というものにはやらないのだというふうにこうはつきりしているかどうか。その二点を伺つておきたいと思います。
○政府委員(徳永久次君) MSAの援助の将来の問題につきましては、ちよつと通産省の私どもの立場から言いますと、なお、あればあることも期待するといいますか、という気持がございまするが、それがそうなり得るかなり得ないものかちよつと私どもでは判断がつかない問題でございますので御諒察願いたいと思うのであります。 それから第二のこの三十六億円のものにつきまして、融資だけか投資かということでございますが、これは融資のみならず投資もできる。条文上は使用又は運用ということで表現いたしてございますので、この融資以外に必要に応じまして投資ということもできるというふうになつているわけでございます。
○豊田雅孝君 投資もできるということになると、今投資対象としているものはどうか。融資関係につきましては、これは融資の関係として見て行くものでありますからここで承わらんでもいいのですが、投資まで行くということになるとどういう対象を今構想に描かれているか、その点だけ伺つておきたいと思います。
○政府委員(徳永久次君) これはちよつと政府内でまだ研究問題でございますが、先ほど私三十六億円の使い方の例として挙げましたジエツト・エンジンの試作会社に対しまする援助の問題でございますが、今非常に小型のもので研究いたしておりますが、これを大型の試作といいますか、実際のスケールの大きさのエンジンの試作というものを考えて見ますと、相当大きな資金が要るわけでありまして、十数億円のものが要るということに大ざつぱになつているわけであります。その内容を見ますと、そのうちこの将来の、試作だけではなしに、生産に使い得るような設備といいますか、設備の資金に非常に金が要ると思うのであります。仮にそれを国家的に国家資金で何らかの形で援助するといたしますと、十数億円のうち十億ぐらいは政府が援助しなければうまく試作、研究も行われないだろうということが懸念されております。そうなりますと、実はまああの会社は御承知のように過去にジエツト・エンジンにつきましての技術経験を持つておりました民間の三菱、石川島、富士重工、富士精密の四社からその関係の技術者を全部供出し、四社の出資でできておる会社でございますが、そこに現在資本金が一億二千万円ぐらいでございますが、これを若干膨らませたとしましても、政府がやりまする国家資金の援助のほうが資本金に数倍するということに相成りますると、いささか均衡上もおかしく相成りますので、場合によりましてその会社そのものを特殊会社的に改組いたしまして、仮に十億円のものを政府がMSA資金の中から出すならば、これを出資の形で以てそうして会社そのものを特殊会社的な性格に切替えるということが穏当じやなかろうかというようなことを問題にいたしておるわけであります。さようなことが一通り取運びますとまあ出資ということで……、まあ出資にしましても試作研究費を主といたしますが、消えてしまう金でなしに、設備に該当するものは大きく残りますので、その設備に該当する部分くらいは出資になつても企業のあり方としては不穏当でないと認められますので、出資がいろいろな点から見て穏当じやなかろうかというようなことを考えております。
○加藤正人君 許可制になるためにここに(a)、(b)、(c)、と書いてありますが、それでこれはこの法案に直接関係のないことでしようけれども、今の日本の航空機製造技術の水準といいますか、これは一体どの程度のものと見たらいいでしようか。
○政府委員(徳永久次君) 日本の航空工業のレベルにつきましては終戦と共にブランク約十年の経過が出ておるわけでありますが、航空機と申しましても、大きくまあプロペラの航空機とジエツト・エンジンの航空機とに分けて考えるべきだと思うのであります。プロペラのつきました機体及びエンジンにつきましては日本の終戦当時到達しておりました技術レベルというものは、世界の一流のものと殆んど遜色ないというふうに了解されておるわけであります。而うして国際的にもプロペラのものにつきましてはその後そう大きな進歩がないということでございまして、今十年間のブランクはございますけれども、今後再建いたしまして、若干の遅れはあるにいたしましても、急速に西欧のレベルに追付くということは可能であろうというふうに考えておるわけであります。ジエツト・エンジンにつきましては先ほどもちよつと申上げましたが、今回の戦争の末期におきまして、外国で実用機の段階までは進まなかつたようであります。日本でも試作、研究がなされ、試験飛行を一回やつて非常に少い記録でございますが、終戦の数日前に試験飛行の一回目を政府が完了したという状況でございました。ただジエツト・エンジンにつきましてはその後におきまする各国の進歩というものは相当めざましいものがあるわけであります。これは十年間こつちは何もしないでブランクでおつたその間の進歩はございます。これをまあ向うの現状に追付きますまでに、ただ特許権を買つただけでは追付けるものでもありませんし、そういう追付き方ではこれからの前進ということもむずかしいのであります。まあプロペラ・エンジンのようには行かないと思いまするけれども、併し三、四年もしますれば十分日本で生産の技術をこなして行くということもできるし、又日本の技術者では、まあこれは技術者はそういう心掛けでなければ困るでしようが、併しもつと世界のレベルの日本独自のいいものを作るというような意気込みでなされておるという状況であります。併し相当にジエツト・エンジンは遅れはございます。一番飛行機関係で遅れておりますのは飛行機の機体及びエンジンと申しますよりも、それに今では飛行機の部分を構成いたしておりまする電子機器工業の通信と言いますか、この電子機器で人間の勘でなしに、機械によつて操縦するようになつておりますが、その面が一番遅れておるわけであります。この面はジエツト・エンジンは例えて申しますれば、簡単にと言いますか、背伸びすれば背が届くという感じでございますが、電子機器のものにつきましては今すぐどの程度で向うのレベルまでに到達し得るかというところの自信もつかないというような段階というのが率直に申しました日本の航空機工業の技術のレベルの現状ではないかというふうに思います。
○加藤正人君 この許可は外国人とか外国法人というものに許可をすることになるのですか。これは内外人を問わず、内外の法人を問わずということになるのですか。
○政府委員(徳永久次君) 法制的には格別の制限を実は置いておりません。ただ現状といたしまして、この外国法人の申請がすぐあるとか或いはそういう動きがあるとかというようなことは現状においては何らないわけでございます。
○加藤正人君 そこでこの許可の項に、(c)として、「事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的の能力」という、能力の点は今伺つたのでありますが、経理的基礎ということですが、航空機と言つてもこのプロペラーのいろいろな部分品を作るのもその中に入るでしようし、いろいろなジエツト機を初めプロペラーの飛行機、オートジヤイロ、いろいろなものを総合的に何でもできるというようなのも、航空機会社でやるとすると、その一体遂行するに足りる経理的基礎と言われておるのですが、一体これはどのくらいの程度までのスケールのものを標準にしておるのですか。その製造の部分の程度によつてはこれはもう小さいものでも認めるというのですか。その点がこれではわかりかねるのですが、どうですか。
○政府委員(徳永久次君) その許可は機体、エンジンのみならずこの特定機器、この条文に掲げてございますものは許可制になります。例えば引込脚というような部分品といいますか、いろいろなものがあるわけでございまして、そういうものにつきましては仮にそれだけの専業の部分品メーカーがあるといたしますると、それに相応する経理的基礎というのはいわば何も何億円の資本を要しない、数百万円で結構だというような場合は当然出て来ると考えておるわけであります。ただ機体、エンジンになりますと相当の資本力或いは信用力というものがございませんと、結局中途半端に終るということに相成りますから、そういう場合の要素として判断の際にこの事項がものを言うということがあり得るというふうに考えております。
○加藤正人君 さつきの三十六億円の使途などもジエツト機などに重点的に使われるようですが、我々素人にはよくわからんが、いろいろ聞いて見ますと機体とか、そういう機構ができるとしても日本の工業の遅れていることは、例えば素材の質ですね、合金とかメタルの質とかいうふうに、形はそういう形をしておるが、その実質において非常に遅れておるという点があるように思うのですが、そういう根本的の基礎的の研究が私は必要ではないか。それでなければそういうものを輸入に待たなければならんと思うのです。そういう点にも大いに認識されておるか、又その計器であるとか、さつきのお話のあつたようなレーダーとか、いろいろ今日航空機が飛べばいいのじやなくて、飛び方にもよるし、いろいろな、飛びながら計画をするようなことも必要だと思いますが、そういうことを考えて見ますと三十六億なんという金はまるで焼石に水みたいなものである、こういう根本的な研究に重点を置いて推進しなければ、私はいつまでも西欧の後塵を拝して行かなければならんと思います。そういう点についても将来計画を進めて行かれるのかどうか、それを承りたい。
○政府委員(徳永久次君) 三十六億円のほうでは実は研究関係には私ども考えておりますのは、先ほどちよつと申上げましたジエツト・エンジンの試作の点をいわば半分研究、半分生産といいますか、というような段階も考えておりますが、今御指摘になりましたように素材関係につきまして日本の技術が優れている面もあり、劣つている面も確かにあるわけでございます。殊にエンジン機器関係につきましては、先ほど申上げましたように格段に遅れておるというような事情があるわけであります。素材関係につきましては先般来から申上げます通り日本の航空機の需要そのものが非常にまだ現状がつかめない段階にございまするので、従いまして生産の段階としての問題は現実のテーマに上るほどの段階に来ておりません。ただ併し研究といいますか、研究の段階におきましては、今から遅れないように我々としましても気を配る必要があると考えておるわけであります。その面につきましては、民間のいろいろな素材関係を研究しておる所につきましてもそれらの研究については政府としてもお手伝いしますからということで、研究を進めてもらつております。これにつきましては、御承知の通産省が別途持つております工業化試験、応用研究試験に対します援助四億円と二億円と持つておりますので、その中からできるだけ優遇して促進したいというふうに考えておるわけであります。なお技術の点につきましては、日本の戦前の技術も相当進んでおつたのでありますが、戦後の遅れもありますし、これは民間企業のほうでいわゆる外資による技術提携という形におきまして急速に外国の技術に到達し得るということで、その技術提携によつて遅れを取戻す、現在の技術を吸収して行こうという動きが現に有力な計器メーカーの間で進められております。これによつて回復し得るのではなかろうかというふうに考えております。
○加藤正人君 素材の点などは日本が進んでいる点もあれば遅れている点もあると言われたのですが、私は優れている点もあるでしようけれども、遅れている点が大いにあると思う。例えば工作機械にしても残念ながら日本の品物はまるで体裁ばかりで形はよくなつておりますけれども、実際使用する上においては幾多の欠点だらけであります。特に精密機械の用途になる素材なんというものは、精密機械にするだけの実質を備えるような素材ができない。スイツツルのようにジグボーリングのようなものは素材がよくなければとてもできない。こういう点を見ると日本の工業化というようなものは情ないです。今日航空機を造るというのは僕は口はばつたいように思うのであります。そういう点でこういうことも必要と思うのですが、私は造るというよりも、そういう基礎的な研究に日本はこれから大いに力を入れ、金を入れて行かなければならぬと思うのです。この点はあなたのような立場におられるかたは無論認識されておるでしようけれども、特に御認識を願いたいと思う。これは最も日本の遅れている点で、如何にも体裁はいい、何でもそうです。機械の体裁は実にきれいですけれども、使つて見たらまるでなつておらん、剃刀の話でもそうです。情ないです。口ばかり大きいことを言うが、実質は日本の物はなつておらんと私は思います。それは私の要望でございますが、最後に手数料の点なんですが、この手数料というのはこの表によると、一万九千円とか一万四千五百円とか千三百円とか、これはどういうことなんです。こういうものをもらつてこれはどうにかなるのですか。
○政府委員(徳永久次君) 手数料は実は先ほどもちよつと豊田先生の御質問にお答えしましたが、現行法の中に航空機の主として、俗に言いまして検査でございますが、実際の生産の際に検査を政府でやるようになつております。その場合にその設備及び実際の生産の際の検査の程度に応じて額が違つておるわけでありますが、これは実は算出の根拠から申しますと或る程度の実費主義といいますか、というつもりで算出して現行のこれができておつたわけでありますが、実はこの法律を施行いたしましてその後の実際の経緯といいますか、経験上考えて見ますと、実費主義から出ておりましたものが非常に割高であるということを実は発見いたしまして、これは民間にそれほど迷惑をかけるのもおかしいということで大幅に価下げいたしましてほぼ半額程度のものに改正いたしまして、この改正は先月の十四日から施行いたしておりますが、例えば最初にございますが四万一千円というのは二万九千円、二万一千円のが一万四千円、一万四千円のが九千七百円、七千円のものが四千八百円、或いは四千百円のものが千三百円、二千百円のものが七百円というような工合に値下げをいたしております。
○加藤正人君 私はこういう収入を国家が別に当てにしているのでなければ実費を取ることは、むしろこんなものは取らんほうがいいのじやないかと思うのですね。それにどういうあれがあるかわからんが、こういう程度の金を取つて見たところが何にもならんと思うのですが、何か取らなくちやならんわけが別にあるのでしようか。
○政府委員(徳永久次君) これは、例えば特許の登録その他の出願手数料とか、受益者に或る程度の負担をおかけするというような、そういうものの程度の均衡上からでございまして、財政のスケールから考えますと問題にならんものだと思うわけであります。
○理事(海野三朗君) 本日はこれくらいにしておきたいと思います。 明日の審査日程の変更について御了解を得ておきたいと存じます。昨日決定しました日程によりますと、明十九日は午前、午後に亘つて請願、陳情を審査することになつており、そのうち電力関係は調査案件と共に午後の部に行うつもりでいましたが、政府委員の都合によりましてこれを午前の部において行うよう変更いたしたいと存じます。御承知おきを願いたいと存じます。 本日はこれを以て散会いたします。 午後四時四分散会