通商産業委員会 閉会後第13号
- 発言数
- 130 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/11/10
会議録
○委員長(石原幹市郎君) 只今より委員会を開会いたします。 先ず最初に御報告申上げたいと思いまするが、先刻委員長、理事の打合会を開いたのでありまするが、それは只今電源開発会社で取掛つておりまする御母衣のダムの問題についてであります。すでに相当の国費を投じておるのでありまするが、その後聞くところによりますると、開発地点についていろいろ問題があるようでありまして、電源開発がやかましく言われておりまするときに、これはやはり相当問題があると思いまするので、当委員会においても取上げて研究して見たい、こういうことになりまして、一応明後十二日に委員会を一日更に延長するということにいたしまして、当日電源開発会社のほうより、主として技術問題にも関係いたしまするので、その方面の担当者を参考人として呼びまして、御母衣の問題と、同時に電源開発会社のその後の開発状況、それから又電力の需給問題等につきましてもいろいろ経済情勢と関連いたしまして問題があるようであります。それらのことも聴取したい。こういうことに打合せを決定いたしましたので、参考人その他はいずれ選定いたしまして又御相談いたしたいと存じまするが、その選任等委員長のほうにお任せ願いたいと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) それではそういうことに決定いたします。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) それから本日は公報を以てかねて御連絡いたしましたように、これより鉄鋼合理化促進に関する件を議題といたしまして、政府当局の見解を質したいと思います。 御承知のように鉄鋼業は石炭企業と相並んで、国民経済の基盤を形成する根幹産業でありまするが、昨日の当委員会で検討いたしました石炭問題同様に、現存の我が鉄鋼業は多くの問題を内蔵しておると思います。デフレ政策の推進と相待つてはつきりと表面化して来ているように思われるのであります。で、往年のごとき軍需産業若しくは国防産業的性格を離れて、平和産業として我が国の鉄鋼業が如何にあるべきかという問題は当委員会にとりましても重要な研究課題であると存じまするが、極めて限られた短時間に鉄鋼業の全般について説明を求めることは困難であり、又その程度の表面的な御説明は無意味でもあると思いますので、問題を今日は集約いたしまして、第一に一千一百億円を投下して進められたいわゆる鉄鋼第一次合理化計画の進捗状況、その経済効果、それから第二に、続いて資金四百億円を以て進められようとしております第二次合理化計画の概要とその見通しについて、それから第三に、第一次合理化計画をより経済的効あらしめると共に、第二次合理化計画を円滑に進捗せしめるため是非とも解決しなければならない問題点、こういう大ざつぱに三点を中心として先ず政府当局の説明を聴取いたしまして、更に問題を掘下げて審議を進めて参りたいと思います。先ず政府側のほうより以上の点について説明を求めたいと思います。
○説明員(鈴木義雄君) 委員長から鉄鋼業の基礎産業の重要性としてのお話がございましたが、通産省といたしましても鉄鋼業が基礎産業の一つとして占めております重要性に鑑みまして、現在これの合理化を如何にして促進するかという問題について目下研究を進めている次第でございます。只今委員長からお話がございましたラインに従いまして現在の鉄鋼業の現況と合理化設備の状況、それからこれらに対して如何なる対策を考えなければならないかという点について私から概括申上げました上、更に御質問によりまして担当の部長から詳細な点についてお答え申上げさして頂きたいと存じます。 先ずお断わり申上げますが、合理化促進対策といろいろ新聞等に書かれておりますけれども、通産省としての最終案の決定はまだいたしておりませんで、目下それに到達いたします段階といたしましていろいろ案を練つておる段階でございます。 さて、鉄鋼業界の概括の現況でございますが、丁度我が国の鉄鋼業は昨年の昭和二十八年度が、戦前戦後を通じての最大の生産記録を挙げまして、約普通鋼材で五百四十万トンの生産を拳げました次第でございますが、本年に入りましてからは、いわゆるデフレの影響を受けまして、これが業界にも浸透して、鉄鋼製品に対する需要の減退、在庫の増加、市価の低落、そういうような状況が現われて参りまして、現在の上期の生産状況あたりから推定いたしますと、恐らく二十九年度は五百万トンを多少上廻わる程度の数字になるのではないか。従いまして、昨年度に比べますと、相当の減産を予想される次第でございます。そういつた観点からいたしまして、非常に鉄鋼業界も楽ではない状況でございます。例えば昨年の十月と、本年の六月とを比較いたしますと、生産量において一二%の減産になつておりますにかかわりませず、メーカー在庫等は三〇%の増加を見ておるというふうな状態でもございますし、又鉄鋼価格等も、一年前に比較いたしまして、一割乃至二割前後の下落を示しておる、こういう状況でございます。従いまして或る程度企業の整備、或いは人員の整理というふうな問題も起つて来ておる状態でございます。 次に合理化設備の設備関係の状況でございますが、日本の鉄鋼業界を世界の一流水準までに設備を近代化するという目的を以ちまして、昭和二十六年から今日まで、約総額千百億円の資本を投じまして、これが大部分、今日までのところ約九割と申しますか、投下されまして、近くこれらの設備が設置された暁におきましては、設備がそれぞれの状況に応じまして稼働するという状況にあるわけであります。この主なる設備の内容は、圧延部門では主として……、いろいろございますが、薄板ストリップ設備等がその花形でございます。又製鋼部門では、炭素製鋼設備、或いは平炉の大型化、そういつたものがございます。又製銑部門では原料の自然処理設備、或いは川崎製鉄所千葉製鉄の新型高炉建設というふうなものを第一次合理化計画には含んでおる次第でございます。 更に第二次合理化計画につきましては、目下世界銀行の借款と関連いたしまして、これが推進を考慮しておる次第でございます。そこで問題の点でございますが、鉄鋼業は如何にしても日本の鉄鋼業につきまして考えられなければならない問題は、如何にコストを切下げ、この鉄鋼業に対して国際競争力を付与するかという点に問題があるように考えられるわけでございます。従来二、三年前までは世界の鉄鋼が不足しておりましたことは、日本からの海外への鉄鋼の輸出が相当ございまして、一昨年あたりですと百六十万トンの輸出を示しておるのでありますが、昨年あたりになりますと、その輸出が減つて八十万トン、こういうふうな数字を示しております。このことは日本の鉄鋼価格が高く、国際競争力が十分ではないという点にあるわけでございまして、本年に至りましては、先ほど申上げましたようなデフレの影響等から、相当金融的な苦しさから輸出価格も相当日本は下げました関係上、或る程度昨年に比べますれば輸出も殖えておりますが、こういつた観点からどうしても日本の鉄鋼業のコストを安くして、国際競争力をつけるというところに問題があるように存ぜられます。これに関連しまして、従いまして将来日本の鉄鋼のコストをどの程度を目標に持つて行かなければならないか、従いまして更にこれに関連して、日本の将来の鉄鋼の需要関係をどう考えるか、或いはこれに関連して、これに応ずる適正の生産規模をどうするかというふうな問題を同時に考えなければならないと存ぜられる次第でございます。 そこでコストの切下げの問題でありますが、いろいろ対策が考えられますが、先ず第一点は、原料対策としまして、一番大きな石炭の価格の切下げでございます。これは石炭関係において、昨日もいろいろ御審議願いましたと存じますが、石炭の価格を引下げ、これによつて鉄鋼のコストを下げるということが、問題の一つの大きな要点であろうと考えられます。更に石炭以外の、例えば鉄鉱石、そういつたほかの原料につきましても、或いは日本の資本による海外の資源の開発とか、或いは共同買付け、こういうふうなことによりまして、できるだけコストを安くする、こういうコストを安くするというふうなことも考えなければいけないのじやないか、こう考えられる次第でございます。 更にコストの要素を占めます金利でございますが、これについても、金利の負担が相当……、これは鉄鋼業界のみとは限りませんが、金利の負担というものは相当大きな要素を占めておりますので、これにつきましても金利の引下げというふうなことが問題となるのではないか、こう考えられる次第でございます。更にコストの引下げといたしましては、能率の増進というふうなこともございますが、一番最も設備と関連して考えなければならない問題は、いわゆる先ほども申上げました近代化設備をいたしまして、これができるだけ近代化設備を早くフルに稼働させて、コストを安くするというところが要点になるのではないか、こう考えるわけでございます。ところが先ほど申上げました通り、現在のこのデフレ下におきまして、金融の逼迫、或いは値下り、ストックの増嵩というふうな状況におきまして、新鋭設備が逐次稼働して来るわけでございます。そこに非常な競争がございますし、又そういつたふうな新らしい設備が動いて来ますと、旧設備等との間に、いろいろの摩擦が起つて来るわけであります。これらの関連におきまして、これを自由に放置いたしました場合、果して自由戦争の原則によつて優秀なものが残り、合理的な設備が残り、自然淘汰が行われるというふうな見方もあるかとも存じますけれども、又逆にこういつた苦しい際には、新旧設備が非常な無益な競争をして、悪平等、共倒れになるというふうなことも考えられる次第でございます。 更にいろいろ競争が激化して行きます場合には、当然整理せられなければならない状態も、或いは企業も、或いは金融界との紐付きにより、或いは大きな会社との系列との関係において、十分整備されないというふうな、いろいろな問題もあつて、鉄鋼業界の問題はいろいろ複雑な状況にあるかと思います。 これらの状況を前提として、新鋭設備が今後如何にできるだけ新鋭設備を有効に稼働させるかという問題が一つの問題となつて来るわけでございますが、そういつたふうな状況から、私ども今ここにいろいろ案を練つております考え方だけを申上げますと、少し長い目で見て、鉄鋼の将来について、鉄の需要をどう見るか、或いはこれに対応し、適正規模というふうなものをどういうふうに考えて行くか、更に鉄鋼業のコスト引下げの目標を如何に定めるべきかというふうな問題に関連しまして、ここに一つの委員会を作つて見たい。これは名前は何と申しますか、或いは合理化促進委員会と申しますか、再編成委員会と申しますか、或いは鉄鋼委員会と申しますか、名前はどうでもよろしいわけでありますが、ここに官吏、或いは学職経験者、そういうふうなかたがたから成りまする一つの委員会を作り、鉄の将来の形を一つ予想し、それによつてプランを作つて見たい。それによつて今後の業界の企業のあり方というふうなものについても考えて見たい、こういうのが一つの考え方でございます。更にもう一つはこれは当面の対策としましていろいろ複雑な過程にあります鉄鋼業界に対しまして一つの合理化カルテル的なものを作り、これによつてできるだけ合理化を促進する途があると考え、こういう着想の下に現在の独禁法で認められております合理化カルテルというふうな範囲をもう少し、合理化カルテルでできます範囲を更に拡げまして、これによつて鉄鋼業に合理化カルテル的なものによる協定を作らせまして問題を処理できないかと、こういう考え方でございます。現在の独禁法によりますと、例えば生産分野の協定というふうなものはできるのでありますが、生産数量というふうな協定はできないので、ありまして、できるだけ業界の専門化を行い、或いは品種等の整備、或いはできるだけ先ほど申上げました近代化設備をフルに動かすというふうな構想の下にこの合理化カルテルを運用して行きましたならば相当の効果を挙げ得るのではないか、こういうふうな着想の下に独禁法の例外として合理化カルテルの範囲を少し拡げた意味の合理化カルテルについて考慮したい、こういうふうに考えておる次第でございます。更に、この二つが大体大きな考え方でありますが、このほか、例えば今後の設備を統制する、十分計画に合せて見て行くという意味におきまして新規新設、或いは増設を許可制にするとか、これに関連して旧設備の改革問題か、或いはカルテルの結成に伴います価格の問題について成る程度の監視的な規定を考える。こういうふうな規定を盛込みましてこの合理化促進対策というのを目下研究しておる次第でございます。まあ大体そういつたところが現在の鉄鋼の状況と、私どもがこれに対して考えております現在の段階の状況であります。或いは委員長のおつしやつた点の少し詳しい点にまだ触れていないという憾みもございますが、一応概括としてこのような説明をさして頂きまして、更に関係官より補足さして頂きたいと存じます。
○説明員(三井太佶君) 今局長が簡単に説明されました第一次合理化計画につきましていささか詳しくお話を聞いて頂きたいと思います。第一次合理化計画は昭和二十六年に鉄鋼合理化審議会の結論として発足したものでございますが、御了解願うために二つのことだけを初めに頭に入れておいて頂きたいと思います。一つのことは第二次大戦直前におきまして、政府は第一次から第四次に亘る大拡充計画を鉄鋼業にいたしまして、当時日本製鉄会社を中心としました拡充計画が行われたのでありましたが、この場合最も目的とされましたところは米国屑の入荷難ということを対応して鉄鋼一貫産業の確立ということを至上目的といたしまして、特に力点が鎔鉱炉、平炉に置かれました。御承知のごとく広畑製鉄所の新設、又輪西における製鉄所の全くの近代化、それと同じような八幡、釜石或いは朝鮮の兼二浦、更に満州関係というふうな一連の近代化が行われたわけでありますが、これは圧延方向に移る直前に戦争に突入しまして、圧延関係のほうでは広畑のように一応完成したものもありますが、多数のものは計画のまま未完成に送られました戦前の鉄鋼作大合理化計画は、まだ不完全なものの姿で戦後に移りました。而もその不完全な姿を持つ製鉄所の多くが、戦後日本製鉄の分離によりまして富士製鉄の傘下に帰したというような事態がございます。又戦前の合理化は日本製鉄会社に主として集中されまして、その他の企業については非常に合理化の程度が薄かつた、二、三の軍需工場としての合理化が行われたというような状況でございました。戦争前日本の鉄同業におきましては高炉、平炉分野においては相当高い近代化を示しておりましたが、圧延の部門におきましては非常に近代化が遅れておつたわけであります。 第二の事情は海外の事情でございます。終戦後御承知のごとくマーシヤルプランによります産業復興が称えられまして、又一方米国及び英国におきましては、戦時に蓄えられた資本というものを近代化に流人するというような現象もございまして、米国、英国が真先に大近代化計画に着手いたしました。それから更にマーシヤル計画の遂行並びにフランス、ベルギー、イタリーというところが鉄鋼の大合理化計画に着手して、日本より一歩先んじて合理化を開始したのでございます。その後ドイツは非常に遅れましたのですが、三年前より御承知のごとくドイツの好況を反映いたしまして、これ又大規模な鉄鋼業合理化計画に突き進んでおります。従いましてそういつた環境からどうしても鉄鋼業も海外と対抗して行きます場合においては、大きな合理化計画をやらざるを得ないという段階に来たわけでございます。 更に具体的な問題といたしまして二つの問題が合理化計画の遂行に関係があるのでありますが、第一は、戦争前には殆んどなかつた鉄鋼の輸出ということが戦後非常に大きくクローズ・アツプされて来まして、輸出入のバランスのために鉄鋼の輸出が貿易上重要なものとなつて、鉄鋼業が海外に対して大きな競争力を持たなければならんようになつて来た、これが一つであります。 第二は、戦争後朝鮮事変まで続きました鉄鋼業の補給金が逐次削減されまして、これが早晩全然なくなるという段階に到達いたしまして、これを補足すべく近代化を行わなければならんという要請が高かつたわけでございます。その結果できました鉄鋼業の近代化第一次合理化化計画でございまして、当初合理化審議会の答申したのは六百何億でございましたが、工事が進むに従いまして逐次規模が拡大されまして、御承知のごとく約千百億円の規模になつたわけでございまして、昭和二十六年に発足いたしまして、二十六、二十七、二十八と、昨年で完結する予定になつておりましたが、事実熔鉱炉、平炉方面の投資は計画通り参つたわけでありますが、圧延関係におきましては非常に外くの外国からの、ドイツ、アメリカからの機械の輸入に待つておりまして、それが丁度戦時経済とぶつかりまして、向うのほうの相手の海外の会社の製作が延びましたために、ここで一年間ズレが参りまして、本年、二十九年度、来年の三月までに合理化計画の中の大きなものは工事としては完全に完成する予定になつております。本年度の初めから本年度一ぱいにかけまして、従業いろいろと新聞等にも出ましたストリツプ・ミルその他の新鋭設備というものが稼働状態に入るわけでございます。但しこれは工事として来年三月までに完成するということでございまして、高炉、平炉のようなものにおきましては、工事が完成すると殆んど同時に操業が開始されまして、一月足らずでそれが相当の能率を発揮するのでありますが、圧延関係は非常に技術水準の高い設備でございますので、なかなかこれを完全に操業するには技術水準向上に暇がかかる。例えば職工もまだ慣れておりません。それを一交替の職工で外国から技師を連れて来て熱練させる、更に熟練した職工を新らしい不熟練の職工とまぜまして、これを二つに分化しまして二交替にする。更に熟練したところでこれを三交替にするというような順序を踏んで進みますので、物にもよりますけれども、工事が完成して火入れ式を行なつた後一年乃至一年半の修練期間というものが存するのであります。従いまして現在圧延方面におきましては、大部分の設備がそういつた今段階にあるわけでございまして、従いまして本当の経済的効果は来年の中頃からはつきりわかり始めまして、来年一ぱいかかるのでありまして、その経済効果が突きつめ得るだろう、こういう工合に考えておる次第であります。一方高炉、平炉のほうの工事は極めて順調に進捗いたしまして、約一千一百億の総予算でございますが、このうち約半分、つまり五百六十億が圧延方面、つまり本当の意味の近代化に用いられたわけでございます。この一千一百億の予算は、すべてが近代化というものに使われておるわけではないのでありまして、一部は旧設備をただ直す、又港湾の開鑿、ブリツシングをやるとか、その他のいわゆるメインテナンスといいますか、設備維持の工事もこれは会社の投資計画として含まれております。それがすべて含まれまして一千一百億でありまして、このうちの約一割五分ぐらいが特別近代化という名に値しないと申しますか、特別近代化ということを満たさない投資であります。正延方面が五百六十億でありまして、あと熔鉱炉関係が約百五十四億、製鉄関係が約百五億、そのほか動力、つまり発電、運輸、港湾、そういう面が約百九十億程度を使つておるわけであります。製鉄関係、製鋼関係は、昨年末ぐらいに殆んどすべてが完成いたしました。その成績を申上げますと、これは設備の近代化と相待ちまして、いろいろと合理化が行われました結果、お手許に差上げました資料の一番最後の貞をお開き願いますと、七表の附としてございますが、その方面のデータをここへ載せてございます。一番先の表は熔鉱炉の出銑率、この出銑率と申しますのは、熔鉱炉が千トンの熔鉱炉でございますと千トンという工合に、一応キヤパシテイが見積られておるわけでありますが、その公称能力に対しまして、実際に銑鉄の生産をする率を書いてございます。つまり一〇〇%の場合には千トンの熔鉱炉なら千トン毎日銑鉄が生産される、こういう意味でございます。戦争前におきましていろいろと統計を調べて見ますと、公称能力に出銑が達したという事例は殆んどなかつたのでございます。戦争直前相当原料条件がまだいい頃でも総平均では八割ぐらいの程度しか達しておらなかつた、戦後におきましても、この二十六年、二十七年あたりは低いのでありますが、二十九年度になりまして一〇〇%を突破いたしたわけであります。それが更に下つておりますのは、これは合理化が悪いから下つたのでございませんで、御承知のごとく不況を迎えまして、そのために生産制限をせざるを得ないために出銑能率が下つておるわけでありまして、これは需要があれば忽ち又一〇〇%を超える成績になる、こういうことでございます。これは高炉のいわゆるプロダクテイビテイでございますが、その下にございますコークス比の低下と申しますのは、これは非常に重要な指数でございます。上の高炉の出鉱能率は、原価計算の上から見ますと、いわゆる間接費、労務費、つまりオーヴアー・ヘツドの減少という現象になつて現われるわけでございますが、下のコークス比の低下は原料費の低下となつて現われて来るのであります。御承知のごとく熔鉱炉の銑鉄の原価の中では、コークスが最も大きな原価要素を占めておるのでありまして、大体四〇%近いのがコークスの原価でございますが、これは非常に重要で、このコークスがこの表で見ますごとく二十六年頃におきましては一トンの銑鉄を造ります場合に、〇・九トン以上の使用をいたしておりましたのが、ずつと低下いたしまして、最近におきましては〇・七を若干上廻つておる。更にこれはこの資料にはございませんが、九月におきましては平均として一〇・七の点まで下つて来ておる。成績のよいところでは〇・六まで下つて来ておるのであります。これは米国を初め諸外国の例を参照いたしましても、私どもの知識ではスウエーデンの成る一つの会社がこれ以上のいい成績を示しておるところが一社ございますが、他に比べますと殆んど類例を見ないいい成績でありまして、勿論これが銑鉄の原価の低下に非常に寄与していることは間違いないと思います。昨年の中頃から比べますと銑鉄だけで三千円乃至四千円の原価低下が行われております。これは勿論合理化のみならず、原料費そのものの単価が下つた点もございますが、いずれにせよ非常な大きな合理化が行われておると考えております。これは先ほど局長も申しましたごとく、高炉の原料に対する事前処理が、非常に事前処理設備への投下が効果をもたらしたものと考えます。又逆に、この経営のために非常に石炭そのものの消費量が減りました。二十六年度頃におきましては一トンの銑鉄を造るのに約一・六トンの石炭が必要だつたのでありますが、現在では約一・二トンの石炭を以て事が足りる。従つてこの合理化は、石炭に対する需要減となつて現われて参りまして、これだけはどうも石炭業者のほうから言うと困る現象でありますが、我々重工業者のほうから行きますと、これは極めて止むを得ざる結果だと思います。 その次の第三のところに平炉燃料原単位の低下がございます。平炉の場合におきまして、やはり燃料というものは非常に大きなウエイトを示しておりまして、平炉の能率がいいか悪いかは殆んどその使用の燃料の原単位を以て判断されるのでございますが、ここに見ます通り昭和二十六年から比べますと、一トンの鋼の塊り、鋼塊を造ります場合に、二十六年頃におきましてはよいところで百五十万キロカロリー、高いところで百八十万キロカロリーを超えておつたのでありますが、現在におきましてはいずれも百万キロカロリーの近所に来ております。よいところと悪いところとありますが、一番いい富士、八幡あたりにおきましては、百万キロカロリーを遥かに割つて八十万キロカロリーまで下つておる。これはドイツにおきましては百三十万キロカロリーを以てスタンダードとしております。米国におきましては百十万キロカロリーを以てスタンダードとしております。そういつた諸外国のスタンダードから見まして、日本の平炉作業におきましては、決して彼に勝るとも劣らない成績になつて来ておると思います。これはいろいろと原因がございますが、先ほど局長も申されました通り平炉について近代的なデザイニングを採用し、又炉容を大きくして行く。今まで百トン出しておつた平炉で百二十トン出す、百二十トンの平炉で百五十トン出すというような炉容を大きくするということと、もう一つは酸素製鋼の、酸素の使用によりますところの燃料の節約というものが非常に効果があるわけです。まあ燃料がこれだけ下つたので、それだけ原価も下るわけであります。一方では酸素のコストだけがプラスになるわけでありますが、プラスよりもマイナスが遥かに大きいわけであります。殊に酸素の場合においては、殆んど何ら輸入原料というものを必要としないのでありまして、この方面で行われる合理化は日本の経済のために明らかにプラスになつおると確信しております。 その下のは分塊工業の均熱、分塊をする前に、平炉から出ました鋼がまだ赤く熱があるうちに熱炉というのへ入れまして、これでこんがり焼きまして、これから分塊工場に移りまして、分塊に参りましたときにはこんがり平均に焼けておりますので、あたかも飴を延ばすがごとくこれが自由に延びるようにするその機能を持つた炉でございますが、これは非常に戦前のものは遅れておりまして、戦後米国等の技術が判明いたしましたときに、米国の技師から約二十年の開きがあると言われた部門でございますが、これも非常に積極的に海外の技術を取入れて合理化したわけであります。従つて古いものと新らしいものと比較いたしますと原単位でもこの四表のごとき性能が現われておるわけでございます。こういう工合に先ず工事完了し、技術も完全にマスターいたしました高炉、平炉関係におきましては私どもは当初の計画が決して誤りでなかつた、大体当初狙つた効果がこの点では十分発揮できたと考えております。原価的に申しますると、これは石炭の場合と異なりまして鉄鋼の場合にはいろいろと輸入原料その他がございますので、価格の変動が大きいものでございますから、今から申上げる数字がすべて合理化そのものから来たべニフイツトであるとは考えないのでありますが、現在におきまして大体の原価の予想を申上げますと、銑鉄につきましては更に荷炉の合理化がまだ顕著になつていない当時におきまして大体私どもの考えでは平均の原価が約二万一千円程度であつたと思います。勿論この原価につきましては会社の秘密でありますので、大体のアバレジのことしか申上げられませんが、大体の工場原価が二万一千円程度だつたと思います。それが現存は約一万八千円という線まで下つておるのであります。これをドルに換算いたしますと約五十ドルでございます。大体銑鉄の場合におきましては英国及び米国が三十数ドル、ヨーロツパが約四十ドルという線でありまして、彼我依然として十ドルの相違がございますが、戦争前又は戦後の状況から比べますと彼我の原価の差は著しく縮小して参つたということが言えると思います。鋼塊について見ますると大体昭和二十六年頃が大体、三万一千円と言われておりました。昨年の中期、真中頃におきましてはこれが二万八千円ということが一般に言われておりました。これは現在は約二万四千円前後にまで下つております。ドルに直しますと約六十六ドルということになります。これは外国の例か比べますと、ヨーロツパ——フランス、ドイツ、ベルギーというのは約六十ドルと一般に言われておりますが、勿論外国のことでありますからいろいろややこしい事情がありますが、大体そのあたり、私から見ますとかなりその差をつめて参つておるわけでございます。従つて若し第一次合理化計画で五百数十億を投じた圧延設備が本年から来年に亘つて逐次経済的鋼かを十分に期待した通りに挙げて参りますれば御承知のごとく日本人の労賃がよそよりも安いという点もございまして、日本の鉄鍋原価というものは完全に、国際水準まで完全にとまでは言い切れないと存じますが、非常に彼我の間隔を短縮いたしましていわゆるコンペテイテヴの状況になると我々は確信するわけでございます。ただ問題は銑鉄、鋼塊の生産の場合におきましては、これは一般の市場には直結でないものでございます。銑鉄の一部は鋳物銑という形で市場に出て参りますが、これも全体の一割乃至一割五分でありまして、これは大部分が鋼材という恰好になつて市場に出て参るわけでございます。銑鉄、鋼塊の場合も従つて稼働率とかプロダクテイヴの向上というものは会社一社だけの努力で成る程度進む仕事でございます。鋼材の場合になりますと、これは実際に市場に直結しておるわけでありますから市場の動向というものが決定的に強い力を持つておりまして、会社だけの努力で効果が挙げられない場合が多々あるのであります。例えばストリツプ・ミル、今まで手でロールを通しましたいわゆる二重式で、プルオーバーと一般に言われておりますが、やつておりましたのがストリツプ・ミルになりまして満足な稼働を示しますと一割又は二割五分の原価引下げになるということがかなり明瞭になりまして、海外の情勢その他を調べましても、はつきりわかるのでありますが、問題は果してこれが満足な経済操業度まで達し得るかどうか。この場合は会社だけが努力しましても、物が売れなければ多少問題があるわけでありますから、そこに市場問題を、直接市場との関連性においてこれは見て参らなければならないわけでありまして、高炉、平炉と比べますと、その経済的な合理化の発揚ということが遥かに複雑であり、又遥かに多面的な問題になつていると存じます。従いましてこの場合におきましては、若し市場がそういつた設備の経済操業度というものを通して、ナチユラルのマーケツトもふさわしくない場合には、何とかしてふさわしいようなマーケツトに変えて行くということが望ましいわけであります。一般に近代的な、圧延機は非常に大量生産機械でありまして、大量生産になつて初めて経済的効果が発揚されるのでございまして、大量生産でありますと、出すまでもなく日本のような金利の非常に高い国でありまするから、金利のコスト・オーバー・ハイ、コストの過剰が非常に強くなつて参りまして、逆に合理化でない場合が多くなります。御承知のごとく、日本はアメリカ、英国等とし比べますと、マーケツトが非常に狭いものでありますから、狭い市場で大量生産を完全にして行きたいというのが我々の理想であります。 もう一つの問題は、この現在までの合理化におきましては、まだ依然として合理化の程度で不足している点がございますので、それにつきまして作成されたのが、この第一次鉄鋼合理化投資の実績でございます。
○委員長(石原幹市郎君) それじやこれから質疑に入りたいと思います。
○天田勝正君 簡単に質問したいと思います。先ほど局長の御説明で、何よりも我が国の鉄鋼業としてはコストの引下げが重点であるというお話があつたわけで、ところが先般私ども千葉の製鉄所を見に参りまして、いろいろの説明を受けたわけでありますが、特に合理化の重点でありますが、薄板等について、すでにドイツ等の製品から見れば、こちらのほうが安く輸出ができるという話を聞いて、非常に心強く皆感じたわけであります。ところが未だこれらに及ばんというようなお話があつて、更に今製鉄課長のお話で、非常に事が明らかになつて、彼我比較ができたわけです。我々が考えまするには、他の条件が同じならば、労賃の安い日本としては当然に、むしろ向うよりもコストが引下げられる、こういうことが考えられるわけであります。鉄鋼業の面でありますと戦後の新興印度でありますとか、或いは中共等が、すべてこちらより低賃金を持しているのですから、この面ではなかなか太刀打ちは容易でない。こういうことを考えられますけれども、鉄鋼業においては明瞭に、どこの国よりも日本が低賃金、こういうことから、言いますれば、多少こちらの原料高という点がありましても、なお労賃が安いということによつて、それが補つて少くとも太刀打ちのできるコストまで行き得るものだと、こう考えますけれども、これらを考え併せた場合に、なおどこに隘路がございますでしようか。
○説明員(鈴木義雄君) 只今労賃は日本が安いので、諸外国の鉄鋼業に対して日本の競争力がこの点についてあるのじやないかというお話でございましたが、労賃の占める度合というものも考慮におかなければなりませんし、同時に日本といたしまして、先ず原料関係におきまして、石炭その他が諸外国に比して条件が悪いと思います。それが第一点であります。そのほか更に金利の問題、これも日本の鉄鋼の原価に及ぼす影響が大きいと思います。更に先ほど申しました通り、設備につきまして、やはり諸外国の近代化設備というものに比較いたしますと劣つている次第でございまして、これが第一次合理化計画並びに今後考えなければならない第二次合理化計画というふうな問題でございます。そういつた点から、相当日本の鉄鋼業としては諸外国に比して苦しい事情にある、こういうふうに申して見たい、こう考えます。
○天田勝正君 そういたしますと、製鉄課長に伺いますが、さつき最後に銑鉄の価格の比、鋼塊の価格の比等をずつと申されましたけれども、これで言うと、やや太刀打ちできる状態になりつつあるのですけれども、なお銑鉄において、英国等から見れば非常な開きがある、これを縮めるには、端的にどこを合理化したならばよろしいでしようか。例えばその合理化には技術的な面ばかりでなく、金利が下ればいいとか、これは例えばの話で申上げたのですが、そういうことでお示し願えれば幸いだと思います。
○説明員(三井太佶君) こ質問の要旨よくわかりました。英国の鉄鋼原価につきまして私ども研究しております。明らかに今言えます第一点は、ただ銑鉄の上にとりますと、石炭についても非常に相互の懸隔がございます。日本におきまして国内炭、輸入炭等は約六千円ちよつと上でございます。六千一百円だかの工場着の石炭原価になつておりますが、英国におきましては、これは二千四百円でございます。ここに著しい石炭の原価の相違があるという点が第一点でございます。金利の面におきましては、英国のバランス・シートその他を研究いたしますと、設備資金については若干の借入れがありますが、逆転資金については殆んど借入れがないわけであります。従つて一トンの銑鉄が背負うべき金利の負担というものは極く僅かで、一%未満でありますが、日本の鉄鋼業におきましては、一トンの銑鉄の背負うべき金利というものが原価の約八%を占めております。そういつた点で彼我に二つの点で大きな相違がございます。能率そのものを比較しますと、私は日本のほうが現在のところはよいと存じておりますが、銑鉄につきましては八割五分までが原料費でございますので、能率化の及ぶ範囲というものは比較的少いのであります。その結果、こちらが、五十ドル程度、英国の例で言いますと約三十二ドルでございます。これは非常な違いでございます。ただ英国は世界の鉄鋼諸国に比べて最も低い原価を持つ国でありまして、銑鉄のほうだけで申上げますと、英国が三十二ドル、大体アメリカが三十八ドル、ドイツ、フランスが四十ドル、ベルギーが四十五ドルというぐらいなことになつております。
○天田勝正君 もう一点だけお伺いしますが、お話を聞いただけでは、英国が最も低い水準を示している。ところがこういう鉄鋼関係においてはそれより高い水準を示している。ドイツあたりが、例えば他の完成された製品は、自動車で言えば、すでにフオルクス・ワーゲンがヨーロツパの七割を占めている、こういう状態で、だから若干高くても、そうしたいい安い製品ができて来るのに、今度日本をそれと比較すると、かれこれフオルクス・ワーゲンなんかと同型のものとすれば、三倍ぐらいで市販されている。これは余りに差があり過ぎる。御説明の隘路を基礎といたしましても、これはどつから来るんでしようか。これは少し重工業局にお聞きするのは無理か知れませんけれども……。
○説明員(鈴木義雄君) 鉄鋼業の外の問題になりましたので、実は私の勉強が十分かどうかわかりませんが、大体現在では、コストについてはさような相違はありますけれども、大体日本の鉄の値段も相当最近無理をして安くなつておりますので、大体私どもの聞いておりますのは、輸出あたりでは同じレベルになつていると聞いております。機械工業で、然らばそのような差がどうできるかと申しますと、やはり日本とドイツとの機械水準の相違、それから自動車等でございましたら、やはり生産規模の違い、或いは乗用車を作ります場合に、ドイツは輸出国内の需要を考えまして、相当の大品生産ができる。ところが日本としてはまだそういう域に達していないということから来る生産単位の問題と同時に、技術の問題じやないかと、こう私どもここだけのことでございますが、申上げておきます。
○三輪貞治君 今伺つておりますと、大体鉄鋼業というものは、原料費が八割五分も占めている。相当その他の面を合理化されて、先ほどの説明による資料によりますと、出銑率にしても、或いはコークス費にしても、原単位の問題でも、殆んど国際水準にまで漕ぎ付けておられるように思うのです。ところがどうも八割五分までが原料費であるために、実際の価格というものは国際価格に比してまだ相当高位にある、こういうことになるわけです。結局原料を如何にして安く供給するかということが非常に大きな問題になるわけですが、この際国際的な外交問題、そういうものを離れて、ココムとか或いはバトル法などという制約を離れて、例えば中国あたりから鉄鉱石を仰ぐというようなことを考える場合に、これはどういうふうの影響を日本の鉄鋼業に与えるかどうか、いい影響ですね、そういうことについて一つ差支えない範囲で御意見をお聞かせ下さいませんか。
○説明員(鈴木義雄君) 政治的の問題はどうも私何とも申上げますわけに行きませんので、それについては条件を付けてお答えいたしますが、海南島の鉄鉱石については、開発がまだ相当進捗しておらないというふうに現在聞いております。それから開らん炭につきましては、昨年中国から或る程度入つたのでございますが、これは偶然の事由か、或いは少しこれは調査を要しますが、昨年入りました石炭は、余り価格、それから品質等からても、我が国の鉄鋼業といたしまして、期待した通りのものでなかつたというふうに聞いております。
○三輪貞治君 そうしますと、あのバトル一体によれば、一つの禁止品目はありますけれども、その国の情勢によつては、申請をしてこれを解除してもらうことができるわけですね、そういう場合に鉄鋼関係は、もう中国との貿易では、そう大して望むところはない、そうした除外をしてもらつても大したことはない、こういうふうにお考えになつているんですか。
○説明員(鈴木義雄君) 只今のお話は、輸入関係につきましては、特に取ることについてバトル法との関係はございません。輸出関係につきましては、日本から向うに物を持つて行きます場合においては、それについていろいろ制限がございますが、向うから物を取る場合にどうこうということはないと私承知いたしております。
○三輪貞治君 ところが、向うはやはり出すほうはこれをA品目に入れているわけです。ところが日本がA品目を出さなければ向うはA品目を出さないから、やはりこれは影響があるわけですね。併しこれは絶対にどうにもならないというものでなしに、申請によつては解除されている例は、英国その他ヨーロツパ各国あるわけですね。だから日本がどうしても鉄鋼関係の資材が欲しいということになれば、それを強力に解除方をば運動すれば不可能ではないわけです。併し技術的に見てどうも大したことがないということになれば、そう無理してまでも入れなくてもいいということになりますが、そういう制限のことを離れて、技術的な立場から中国との貿易ができれば非常にコストの低下という、鉄鋼業界の至上目標に向つて非常にいい影響があるかどうかとしうこと、この点なんです、私が聞いておるのは……。
○説明員(鈴木義雄君) お話ありました現在の鉄鉱石の状況、それから石炭の状況については、先ほど私から申上げました通りでございます。従いまして現状どう評価するかということでございますが、どうもまだ詳細についてはもう少しよくソース、先方の供給力、或いは品質、そういつたものをよく研究してからでないと、何とも現在のところで、この判断を申上けることは非常にむずかしいのではないかと存じます。只私の隣に課長がおりますが、課長の個人的な考え方を申さして頂きたいと申しておりますが……。
○説明員(小島慶三君) 確かにこちらの入り込みますものについては向うはAランクに考えし、こちらが解除して欲しいものについてはかなりのウエイトを持つておるわけでありますが、一応向うから鉄鋼関係の原料を入れなければ解除が非常にむずかしくなるというふうな、輸入と輸出が相対応したような関係になつておりませんので、鉄鋼関係を仮に日本の輸出を大いに解除してもらつたからという理由で、向うの鉄鋼原料を余計出すというふうな関係にはならないのではないかというふうに私ども考えております。 それから中共関係の鉄鋼原料の経済的なウエイトにつきましては、局長からもお話がありました通り、品質でありますとか、メリツトでありますとか灰分でございますとか、そういうものは石炭につきましてはかなり大きな問題になりますし、そういうとこう今輸入しておりまするいろいろ石炭との経済的な比較を厳密にやつて見ませんとこれが果してプラスであるかどうであるかというような点も問題になりましようし、それから今まで交渉しております段階は、一応日本着の外国炭の値段を目安にしまして、中共のほうで輸出をする、こういう状況になつております。そうしますと、価格の面から見ましても、それぼと戦前のように著しく安いという状態ではないということを申上げていいのではないかと思います。石炭につきましては、そういう事情でございますので、ちよつと局長申されましたように、今のところでは先行きの判断がなかな困難であるということではないかと思われます。鉄鉱石につきましては、先ほど局長から御説明いたしましたように、海南島、今’まだ開発途上でありますので、日本側として完全に利用するという段階になつておらないという状態であります。ちよつと補足さして頂きます。
○三輪貞治君 そうなりますと、結局これは八割五分というものが原料費で占められているという鉄鋼業の特殊な事情から考えると、あとの一割五分について、幾ら合理化してみたつてどうしても変えられないだけの線というものは考えられる。御説明では、国際的な戦争に完全に打勝つとまで言えないが、という微妙な発言でしたが、一体どれくらいのところまで行ける見通しですか。英国が三十二ドル、アメリカが三十八ドル、欧州四十ドル、日本が五十ドル、どれくらいまで漕ぎ付けられるのですか、第二次合理化計画を実行した場合に……。
○説明員(三井太佶君) 今八割五分が鉄鋼の原料費と申しました、銑鉄の場合でございまして、これが鋼塊になり更に鋼材になるに従つて人件費的な要素、つまり附加価格が加わつて参りまして、合理化の範囲が広くなるわけでありますので、銑鉄の面におきますると、私どもの考えがかなりぎりぎりのところまで合理化が行われたと思つておりますが、圧延方面ではまた余裕が残つております。それから外国と完全に同水準までは完全に行けるとは、言葉はにごしたわけでございますが、これは合理化をやつておりますのは日本だけが合理化をやつておりまして、向う側がそのままでいてくれるならば、これは完全に太刀打ちできるわけであります。国際水準が下るわけでございますが、これは外国におきましても、日本より更に大規模な合理化が行われておつて、その成績がまだ完全にできていないという点にまだ不安が残るので、言葉をにごしたわけであります。ただ我々の考えたところでは、第二次合理化計画も含めまして、これが更に三年四年大体完全に経済第二次合理化計画が、完全に経済効果が発揚できるとこるまで参りますと、その間において石灰の国内炭の値下りもございますし、又輸入鉱石の値下りということも十分又期存できる点がございますので、銑鉄の場合には四十二、三ドルまではまだ下げられると考えております。こういうことになりますと、少くとも現在水準における諸外国のコスト水準までは、我々は下げる自信を持つております。ただ向うも合理化しておりまして、その限度がはつきりしない。そういうわけです。
○海野三朗君 私がお伺いしたいのは、ドイツなりベルギーなりの鉄鉱石、その鉄鉱石を向うではどれくらいの値段で買人れてやつておるか。又アメリカのこの銑鉄なんぞは、少し話が古くなりましたが、以前に私の調査した時代には、オーストラリア、ハンガリアあたりから鉄鉱石を運んで行つたのであります。そしてミシシツピーを下つて、ペンシルバニア方面に鉄鉱石を運んで行つておる量が相当ありました。そういうふうなところと、この海南島、ジヨホールから持つて来る運賃と比較しますると、こつちのほうが却つて安くなる。で東洋における鉄鉱石はどうしても日本がこれを利用するに限るんだという結果であつたのでありますが、先ほどのこの御説明によつて見るというと、この製鉄技術方面においては、決して遜色がないという話。私もそういうふうに思います。そういたしますと、なぜそういうふうな大きな開きがそこにあるのであるかということと、先に伺いました金利の関係、金利がべらぼうに高い。そういうふうな金利なんぞは、私は造船技術の、造船のほうに対する三分五厘というような利子と、或いはこの電源開発に関する金利というものは、一分を下げた六分五厘、ところが鉄鋼方面は聞くところによると約一割、そういうふうな金利をかけてあるものですから、やはりそこから原価が高くなつて来ておる原因も一つあるし、そうして技術のほうは進んでおるのに、甚だしくそこに開きがあるというのは、設備も確かに私はそうだと思いますが、原料の運搬なんぞは諸外国はどういう状況になつておりますか。それはお調べになつたことはございませんか。アメリカの、まあ会社によつていろいろ逢いましようけれども、平均いたしましてアメリカ国内の鉄鉱石ばかり使つておるのじやないのでありましよう。又ドイツにしましても、ドイツだけの鉄鉱石を使つておるのではないのでありましよう。そういうふうな鉄鉱石の値段を、なんぼで平均買人れておるのか、そういう方面と、この日本の鉄鉱石の値段、運賃、そういうふうな方面はお調べになつていたことはございませんでしようか。
○説明員(三井太佶君) 非常に詳しい御質問を頂きまして、私知つている限りお答えしたいと思います。先ずドイツの鉄鉱石でございますが、ドイツは約六割を輸入しております。四割は国内のジーガーランド及びルール附近の非常に低品位な鉱石でございますが、聞くところによりますとドイツは国内鉱石をできるだけ使いたくない。輸入鉱石のほうが安いんだという話でございます。ところがその輸入鉱石の大部分がスウエーデンの鉱石でございまして、これがナルビツクから出されてロツテルダムに荷揚げされて、そうしてルールの工業地帯に着くのでありますが、工業地帯に着きましたときの値段が鉄鉱石の品位六〇%の場合に約十六ドルぐらいだそうであります。去年値下りがありまして六〇%、約十六ドルでございます。米国におきましては大体全所要量の八割が国産原料でございまして、あとの、二割を海外から取つておりますが、米国のは国内産と海外産とを混ぜるわけではありませんので、ピツツバーグ地区、シカゴ地区等の重要鉄鋼市場は運賃の工合で目先きの大工場から持つて来て、五二—五三%の品位のものを使つておりますが、バルチモアとかフイラデルフイア附近の海岸にある鉄鋼業におきましては、最近は南米の鉱床を開発して使つております。又はカナダのブラドルの鉱床を開発して使つております。又アフリカのリビアの鉱石を使つておるということで、これが全部の約二割に当るわけであります。現在鉄鉱石の価格につきましては、市場価格ではこれはエリー湖、つまりロアレー・プライスとして現在鉄分五一・五%、ノンベツセマー、九ドル四十七セントというプライスになつております。実際にはU・S・スティールとかベスレヘム・スチールというような大製鉄会社は皆山を持つておりまして、自分で掘つて使つておるわけでありますが、一体幾らで使つておるかと言いますと、多分この九ドル四十七セントより安いのではないかと思います。輸入しておる鉱石につきましてはベスレヘム社はスウエーデンの鉱石を使つておりますが、これはドイツと応じようなプライスでありますが、運賃は少し低いので六〇%の品位の鉱石とか十五ドルを若干下廻るという程度であります。現在はミシシツピ一河を通つてシカゴ及びピツツバーグ地区に輸送する、これは二、三年前に準戦時体制で大増産を行なつたときに一時やりましたが、現在はストツプしております。参つている鉱石はスウエーデンか又はカナダのラブラドル、父は南米のチリー、及び最近鉱床が発見されましたヴエネゼエラの大鉱床並びにベスト・クオリテイーのある量がこれはブラジルから参つております。そういうような状況になつております。日本の鉄鉱について申上げますと、日本はご承知のごとくフイリピン、マレー、インドのゴア、一部は香港というようないろいろのソースからとつておりますので、一々の値段が出しにくいのでありますが、大体算術平均をとつて見ますと、昨年の四月が平均価格日本港湾着で約十五ドル八十セント、このうちで約七ドルが運賃でございまして、昨年の十二月になりましてこれが平均十ドル二十セントに下りまして、このうち運賃が六ドル五十セントでございます。本年の四月に十三ドル四十セントまで急に下りました、このうちの運賃が約六ドル三十セントでございます。現在はほぼこの価格水準で買つております。約五四%でございます。この程度で鉄鉱石に関する限り日本の鉄鋼業は英国を除く諸外国に比べまして高いものは使つておりません。問題は石炭であります。
○海野三朗君 そういたしますと、つまり鉄鋼の値段を下げることについては先ず先に申しました金利の引下げということも一つの要素になつておると思うのですが、そういう点についてはまあ政府の方針でこれは下げないと言えばそれまででありますが、重工業局としてはやはり金利のことについても相当骨を折つておられるのですか。
○説明員(鈴木義雄君) 只今の金利の問題につきましては、先ほど申上げました鉄鋼合理化促進の対策と関連して研究いたしております。併しまだ現在の段階では何とも申し上げられません。
○海野三朗君 それで設備のことをお伺いしたいのですが、まだ設備のほうはこの間金の関係からしてストツプしておるような話を私は聞いたのですが、この設備の改善ということを早くやらなければ、この値段の引下げということができないので、鉄鋼業を生かすためにはどうしても設備を最新式に替える必要があると思うのですが、そういう方面については重工業局はどういうふうに骨を折つておられるのですか。
○説明員(鈴木義雄君) 先ほど来御説明いたしております第一次合理化計画がほぼ本年はにる予定でございますが、今年度といたしましてはそれの継続工事につきまして、工事を進めるように資金等の斡旋を行なつておる次第であります。更に今後の問題といたしましては第二次合理化計画と申しますが、これがございます。これは相当厖大な資金を要しますので、これは世銀の借款問題と関連して今研究いたしておる次第であります。
○海野三朗君 もう一点、今後鉄鋼業につきましては私はどうしてもこの南米諸国、そういう方面に製鉄技術というものの技術輸出ということが非常に大切なことであると考えておるのですが、そういうことに対しては重工業局では何か一つの腹案をお持ちになつていないのでありましようか。
○説明員(三井太佶君) 誠にお説の通りでありまして、これにつきましては御承知のごとくアジア経済会議——エカフエという国連のボデイーがありまして、これに鉄鋼小委員会が設けられております。現在まで六回会合いたしております。これを通しまして日本側から代表を送りましていろいろと技術データを送り、アドヴアイスを与えて、日本にも使節団が参りまして日本の全部の製鉄所を見てもらいました。日本から技術の援助ということを非常に期待しておる向きが多いようでありまして、一部又製鉄機械等が台湾、ヒリピン等へ輸出されております。又ビルマにも一件現在懸案中の問題がございます。逐次日本の製鉄技術も海外に輸出できることと確信いたしております。
○西川彌平治君 二十六年度の第一次合理化計画の際のこれが完成いたしました場合におけるところの銑鉄、鋼塊、或いはその他の製品がどのくらいできるというその目標がどんなであつたか、その合理化した場合において値段が大体どの程度に行くというような、そのときの御計画をちよつと伺いたいと思います。
○説明員(三井太佶君) 当初製鋼合理化委員会の発足しました当時、その結論としましては全体の鋼材の価格を薄板、パイプ鋼管——であります——といつたようなものにつきましては約二割五分当時のコストから切下げ得る、それからその他の棒鋼、線材等の合理化計画から言いますと比較的投資が少かつた部門につきましては約一五%又は一〇%の限度の引下げが可能だという目標でスタートしたわけでありますが、御承知ように鉄鋼の場合には輸入原料のコスト、特に船賃とか非常に変動要素の多いものが入つておりますので、果してその結果が出るかどうかということは計数上なかなか整理しにくいのでありますが、先ほど申しました通り少くとも現在の段階におきましては、高炉及び平炉の段階におきましては当初の目標が達成できた、こう考えております。
○西川彌平治君 生産量は……。
○説明員(三井太佶君) 発足しました当時には合理化完了時期において普通鋼材約四百万トンというところが基準におかれておつたのでありますが、その後これが合理化計画が発展するに従いまして事実我々の生産もぐんぐん殖えたわけでありますので、五百万トンという工合に目標が与えられたのでありますが、現在その後に起つた情勢等を考慮しまして、現在のところは今後五年後、つまり昭和三十四年におきまして国内の需要、及び国外の需要、つまり輸出を合計いたしまして普通鋼材六百万トンという線を合理化を審査する場合の基準に考えております。
○西川彌平治君 銑鉄は。
○説明員(三井太佶君) 銑鉄はそのときの屑鉄の状況がございますので、それと見合で決定しなければならないのですが、大体普通鋼材が六百万トン、銑鉄生産は約四百五十万トンぐらいが妥当な線である。銑鉄のほうは屑鉄の輸入可能量、又はそのときの銑鉄と屑鉄の価格の上下によつて左右されると思います。
○西川彌平治君 いま一つ伺いたいと思いますのは、国内の需要関係でありますが、コストの引下げには国内の需要関係が非常に大きく問題になるのでありますが、国内の需要関係に対する一応今後の見通し等が、お見込がありましたら伺つておきたいと思つております。非常にむずかしいところかも知れませんが……。
○説明員(三井太佶君) 本年の市場状況は先ほど局長も御説明になりました通り、相当いわゆるデフレの影響を受けておりまして、滞貨も漸増するという状況でございますが、輸出は非常に伸びまして現在でもすでに百二十万トンの輸出は確実視されて、更に伸びるかも知れません。これに対応して今年は普通鋼材で生産されるのはもうちよつと殖えるかも知れませんが、需要として、実際に売れるのが約五百万トンという工合に考えられております。昨年が約五百四十万トンでございますから、本年の五百万トンは約一割ぐらいの減少と思いますが、御承知の通り現在の状況は、非常な金融引締のために実際の需要も圧縮されておるというような点もございますが、これを長期的に見ますると、先ほど申しました一九五九年、つまり昭和三十四年におきましては輸出が約百十万トン、国内四百九十万トンという線は大体確実だと我々は考えております。それに基いて需要調査をいたしておるのであります。若し御質問がありましたら細部については御質問にお答えしたいと思います。
○三輪貞治君 先ほど局長からの御説明の中に、コスト低下の一項目としての合理化カルテルについて、ただ簡単に触れられただけですが、これをもう少し詳細に御説明願いたいと思います。 それから補給金制度に対する御所見、この二つをお伺いしたいと思います。
○説明員(鈴木義雄君) 先ほど御説明いたしましたが、現在独禁法におきましては合理化カルテルというものを認められておりますが、これは非常に極めて制限せられた範囲でございます。そこで私ども考えておりまする、今回の鉄鋼業に対して適用しようという合理化カルテルは、この活動をもう少し幅を拡げた意味の合理化カルテルをやりたい、例えて申しますと、内容は、先ず第一に、さつき申上げました、原料の買付けの上においても有利な立場に立ち、海外の開発も促進するというような考え方から原材料の共同購入、或いは専門家を送るなり、そういつた観点から生産品種の制限、分野の協定というふうなこともできる仕組にした。それで更に品種別の生産割当をやつて、それによつてできるだけ優秀な設備がフルに動き、そうしてそうでない設備の生産が従つて制限せられるというふうな向きのことが行われれば非常に合理的に行くのじやないか。それに関連しまして、生産設備の使用とか、或いは新設拡張の制限、そういうふうなこともでき得るような仕組のカルテルが考えられないかというふうな内容を考えておる次第でございます。但し、価格の協定をこのカルテルに認めさせるかどうか非常に問題でありまして、結局価格の協定を認めさせる場合には非常に不況カルテル的な色彩を受けるというふうな感じがいたしますものですから、これについては今のところこの価格を協定する機能はこのカルテルに認めないほうがいいのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。大体そのような内容であります。 補給金の問題については、只今のところ我々は考えておりません。
○海野三朗君 鉄鉱石の原料を我が日本の製鉄業が手に入れられるその見通しを伺いたい。見通しを、どれくらい、つまり生産に対しての鉄鉱石に困りわせんか、こういうような問題、その大体目安がおわかりになつているだろうと思いますが、鉄鉱石、つまり東南アジアにある鉱石、そういうもののお見通しを。
○説明員(三井太佶君) 石炭につきまして、これは米国から輸入すれば、これは資源としては殆んど無限大でございますから、これは問題ございませんですが、原料、鉄鉱石につきましては、伝統的に我々の役所としましては東南亜から原料を取りたいという政策をとつたわけでありまして、朝鮮事変後非常に生産が伸びましたときには足りませんので、海を渡つて米国の太平洋岸の鉄鉱石を年に二百万トン近く買付けた時期もありましたのですが、現在は非常に減少いたしまして、本年は約三十数万トンの買付けがございますが、これは長期計画の結果止むを得なかつた事情で、来年度からは全面的に東南亜になる予定でございますが、その内訳を申上げますと、大体フイリピンが現在のところは一番大きいソースになつておりまして、ララツプという鉱山がございます。昔はカランバヤンなんと言つたと思いますが、その海岸のところでございますが、これから現在約百二、三十万トン取つております。現在日本側がその採掘の投資及び選鉱設備に投資上協力して、更に取れる量を殖やそうという計画が進んでおります。フイリピンから全部参りまするのが、従つて、本年で約百四十三万トンでございますが、需要が伸びさえすれば、明年度はこれ以上取れる可能性がございます。但し、これもせいぜい百七十万トンか八十万トンという限度だろうという工合に考えております。それから次に大口はマレーのズングン鉱山でございまして、これは現在外国資本がやつておりますが、これがやはり百万トン近い数字が入荷いたしまして、必要がございますれば、これは百四、五十万トンまでは上昇できる可能性があるようでございます。それから次はインドでございます。インドにつきましては、御承知のごとく、カルカツタから、数時間汽車で行つたところにオリツサの大鉱床がございまして、殆んど鉱山というよりも土瀝採取という工合にして取つておるわけでございますが、これは資源としては殆んど無限に近いわけでございますが、欠点は輸送と港湾のネツクがございまして、これで非常に制約されておる。併しインドのほうも逐次、売るものがなくなつた関係上、売込みが盛んになりまして、今年あたりは五十万トンぐらい売るだろうと思いますが、これは一にかかつて、輸送の問題でございまして、若しインド政府が輸送量の増強に我々に協力してくれるとすれば、八十万トン、百万トンは埋合せがつくだろうと思います。それから次はインドのポルトガル領ゴアでありますが、これは日本が資本を投下いたしまして現在いわゆる海外投資の一例でありますが、約五十万トン本年は入るという予定になつておりますが、更にこれは増加する見込があるようであります。そのほか香港から約三十万トンくらいの鉱石を取つております。現在取つておるソースはこういうソースでございますが、このうちでフイリピンにつきましてはまだ増産の余地がありますが、非常な増産は今のところは見込がない。ズングンについてもほぼ同様な関係にある。多く今から見積りますのはインド及びゴア、この辺はまだ或いはやり方によつては高い額にもなる可能性がある、こういう情勢でありますので、鉄鋼、普通鋼材生産の六百万トンを計画いたします限りにおいては東南アジアからの鉱石で十分賄い得るという工合に確信がついております。
○河野謙三君 私は、もう大きな議論になりますけれども、一つ伺いたいのですが、日本の鉄鋼業というものは今後或る期間だけ保護援助を与えれば、あとはいつかのときには私企業として完全に国の援助なり補助を受けなくてもやつて行けるという見通しで援助しておるのか、それとも日本の産業構造の中でどうしても終始鉄鋼業というものは相変らず国が援助をして育てて行かなきやならんものか、このどちらの見解を持つておられるか。私は実はこういうことを疑問に思う。この戦争中と終戦後と日本のいわゆる体質が変つたのだから、戦争中までは国防国家建設の一環としての鉄であり、石炭であり、米であつた。現在は国防国家建設という題目はなくなつたのですから、私は実は多少専門的でありますけれども、米の場合等は私は現在莫大な金をかけて米の増産とか何とかいうのは愚の骨頂だと、私はこういう議論を持つているのです。開発をして米を作れば作るほど米は一万五千円なり、二万円にだんだん生産コストは上つて来るのです。こういうものをいつまでも国防国家建設の一環としての食糧問題、自給自足としての食糧問題、こういう考えを、口の先では平和建設だ、世界平和だとか言いながら、相変らずやつていることは、万一の場合に備えて国防国家建設の一環としての食糧問題というようなことが私は必ずどこかに政治家の頭の底にこびりついていると思うのです。私は米についてはそういう見解を持つているのですが、鉄や石炭の場合にも、海野さんのような専門家をおいて甚だ失礼ですが、私は鉄を、一体日本の産業を世界平和建設の、世界の平和に寄与しようという日本の産業をこれから育てる場合に、鉄の産業界におけるウエイトというものは戦争中の鉄鋼業に対するウエイトとは私は全然違うと思うのです。甚だ素人で……。根本的に言えば鉄鋼業というものを今までのように一体こういうウエイトをかけてやつて行くことがいいのか悪いのかという大きな政治問題の中の一つの題目として考えても非常に私は疑問を持つているのです。石炭なども私は同様にそう思つているのです。それには一体そういうことから出発して、或る時期保護援助を加えれば私企業として成立つ時期が到達するという見通しで今補助をしておるのか、それとも鉄鋼業というものは戦争中と同じように国家の産業機関としてどうしても育てなければならん、国がどんな犠牲を払つてもやらなければならんと、こういう考え方でやつているのか、その扱い方についての基本的な観念をこれは大臣から伺えばいいのかも知れませんけれども、私は局長なり課長から伺いたいと思うのです。独立した大資本だからというのであれば、石炭のような二、三年前のブームのときにはたんまりふところに入れて、困つて来たら国家の生命のように言うのは私は極めてけしからんと思うのです。そういう意味合いにおいて、鉄においても若しそういうことであれば私は非常に遺憾であると思うのです。それも戦争中のような場合なら別ですよ。甚だ先輩諸公を前に置いて当り障りがあるかも知れませんけれども、私はその点伺いたいと思う。
○説明員(鈴木義雄君) 只今河野先生からお話ございましたが、私からお答えするのは適当かどうか知りませんが、只今お話がありましたように戦争前、或いは戦争中は、これは鉄は国防産業として大いに国としてこれを指導育成したわけでございます。戦後の考え方は何といいましても日本の経済が当面しております輸出の振興という観点からこの問題を見て行かなければならんのでありまして、鉄自体は戦前では鉄自身として輸出はしておりませんでしたが、現在は相当の、先ほども申上げましたけれども鉄資材だけでも八十何万トンを計画として期待し、実績は先に御説明いたしました百万トンを突破するのではないかというような状況で、非常にこれは輸出産業としての重要性、更に鉄自体の輸出産業としての重要性ばかりでございませんで、これを機械に使つて機械関係、船舶、或いはプラント物、その他自転車、いろいろ軽機械がございまして、こういう各種の機械に鉄が如何に貢献するかという重要性を併せ考えなければならんのであります。更に国内の何と申しましても一般の投資関係、そういうふうなところにおいて占めます鉄の重要性、こういつた輸出産業並びに基本産業としての重要性から、我々はやはりこれは鉄を大資本というような意味でなしに、そういつた観点から重要性を認識し、これを盛り育てて行かなければならんのではないか、こういうふうに考える次第でございます。
○河野謙三君 今私が言つたもう一つは、鉄鋼業というものに対する将来の見通しは、私企業として国の補助、援助を受けずに自立自営できる見通しを持つて今育成をしておられるのか、そのお見通しはどうなんです。相変らず日本の立地条件においては鉄鋼業というものは、常に国の補助援助というものは付いて廻らなければ成立たん企業であるかどうか、私は輸出のためのということはわかりますよ、わかりますけれども、さればといつてそれの輸出振興のために補助すべきものはほかにたくさんあります。その場合にどちらを先にするかということになつて、大体その企業において将来とも政府の援助、保護を受けなければ成立たん企業と、或る時期見てもらえばあとは自分でやつて行ける、こういうのとあると思うのです。そういう意味において鉄鋼業というものにおけるところの将来の見通しを私は伺いたい。
○説明員(鈴木義雄君) 只今河野先生からお話ございましたが、只今鉄の企業は大体私企業でやつておりまして、それを中心として国家がこれをできるだけ育成しようという立場をとつております。これはできるだけそういう形で行くことが現在の建前であろうかと存じます。そこでほかのものとの関連でございますが、何と申しましても、鉄が先ほど来申上げました通り、鉄が輸出産業として鉄自体として占めるばかりでなく、輸出のほかの大宗であります機械重工業品、或いは機械製品というようなものの原材料でありまして、それから更に国内の諸設備等の供給源である、基礎であるという点から見て、これは相当重要な基礎産業としてこれを育成して行かなければならないものと私考えておる次第でございます。
○河野謙三君 いや、私の伺つているのは現在形は私企業でありますけれども、それは非常に国の賃金関係でも非常に保護を受けていますね。更に今後又その合理化カルテルなり何なり、それさえも一つ何か認めてやろう。形はいろいろ変るでしようけれども、とにかく今のところは鉄鋼業というものは私企業であるけれども、国の保護援助を相当与えなければやつて行けないという段階でしよう。これが一時的のものであるか、将来ともこういう形で行かなければならんものか、こういうことを伺つているのです。
○説明員(鈴木義雄君) 我々といたしましてはできるだけこれは早い間に鉄鋼業が独立して自前で生きて行くように希望しております。
○河野謙三君 いや、それはお互いの負担でありますから、それは局長といえども一国民として税金を負担している。これは我々も同じことです。希望はそうですけれども、役所で鉄鋼を大所高所から睨んでいるあなたの立場、計算上は、今後こうしてこうやれば三年先にはどうなるとか、五年先にはどうなるとかいう見通しを持つてやつておられるか、その見通しが何年たつても今の程度のことはやらなければならんのか、それとも五年先に行けば鉄鋼業の合理化によつて国の保護援助の手から離れる見通しはついているか。見通しでありますからそこへ行つて違うのは仕方がありませんよ。併し見通しはどうですか。
○説明員(鈴木義雄君) 先ほど実は初めに御説明いたしましたが、鉄鋼業の合理化促進の対策として、私ども考えております点を先ほど実はおいでになる前に申上げましたが、そのポイントとして二つの点を分けたわけでございます。一つは、多少長い目で見て、日本の鉄鋼業をどういうふうに持つて行くべきか。それについては将来の需要、将来の適正生産規模、そういうようなものを考えて、どういうような観点からコストを安くし、これを持つて行くか。これに関連して、企業の形態等について如何なることを考えるべきか。こういうふうなことを審議する鉄鋼業の合理化促進の委員会を作り、これによつていろいろこういつた重要問題を更に掘下げて今後の形を多少はつきりさせておきたいということを我々が考えております鉄鋼合理化促進の一つとして先ほど申上げた次第であります。それと関連いたしまして、当面としては合理化カルテル等の措置によつて処理して行きたいということを申上げました。その初めのほうの点の、何と申しますか、鉄鋼事業委員会と申しますか、そういうふうな委員会において将来の鉄の事業の形というものをこの際もう一遍よく検討して考えて行きたい。そういうふうなところに先生の問題をよく研究して行つたらどうか、こう考えております。
○河野謙三君 私はこれでやめますが、私は鉄に限らず、米の問題でも、石炭の問題でも、私は私なりに先ほど申上げたようなことに疑問を持つている。いずれ近い機会に国会も開かれるでしようから、予算委員会等においてもう少し大きな議論をして見たいと思いますから、そのときはもう少し親切に答弁してもらいたいと思います。
○説明員(鈴木義雄君) どうも大変勉強が足りなくて……。
○森田義衞君 鉄を造るために、石炭ですとか、鉄鉱石ですとか、或いはいろいろな原料を輸入しておりますが、そういつたために支払う外貨の総額と、それから或いは鉄材なり、或いはその他の製品で輸出して毎年獲得した外貨の総額を聞かしてもらいたいのですが。昨年度なら昨年度だけでいい、或いは本年度の見通しでも……。
○説明員(小島慶三君) お答えいたします。外貨バランスという点から見ますると、鉄鋼業は繊維その他従来輸出産業と言われました産業に比べまして、非常に優秀な成績を収めておりまして、例えば昭和二十七年度をとつて見ますると、鉄鋼関係の輸入が一億四千三百万ドル、輸出が三億四千八百万ドルというふうなところでございまして、その差額が一億五百万ドルということになつております。二十八年度をとつて見ますると、輸入が一億一千四百万ドル、輸出が一億六千八百万ドル、その差額一億五千四百万ドルということでございまして、外貨バランスの面ではかなり優位な地位に立つておるわけであります。今後とも百万トン、或いは百二、三十万トンの鉄鋼素材輸出を継続いたすということになりますと、大体外貨バランスは黒字に推移するというふうに申上げて差支えないかと思うのであります。これは先ほどの河野先生の御意見にも関連するのでございますが、それに機械関係の外貨手取り、このプラスを考えますと、鉄、機械を通じますと、資本財輸出の位置というものは日本全体の輸出の構成の上でかなり高く評価して差支えないのではないかというふうに考えておる次第であります。そういう意味で、将来の産業構造を考えて見ましても、鉄の位置というものはやはりこれは相当重要視していいのではないかというふうに私ども考えております。ちよつと余計なことを申すようでございますが、先ほどの河野先生のお話にも関連いたしましてちよつとお答えいたします。
○森田義衞君 本年度の見通しはどうですか。先ほど大分銑鉄の輸出がいいとおつしやつていたのたが。
○説明員(小島慶三君) お答えいたします。本年度の輸出の見通しにつきましては、まだはつきりした点かわからないのでありますが、現在のところですと、契約ベースが百二十二万トン、船積ベースですと九十九万トン、これだけは確実に行くと思われるのでありますが、まだそう単価その他の見通しにつきまして多少安定的でない点もございますので、支払の外貨の面と比較いたしまして、どういうことになるかという正確な数字が申上げられないのでありますが、大体一億ドル程度の黒字になるのではないかというふうな試算が出ております。これも併し輸出単価の見込如何によりましては或いはもう少し下るかも知れませんが、時間の推移をもうちよつと行つて頂けば正確なる数字は申上げられると思います。
○委員長(石原幹市郎君) 私からも一、二点最後にお伺いしたいと思いますが、第一次合理化計画によつてやられた増産、増設計画ですが、これは朝鮮ブームやなんかの影響、これらを背景としてやられた点もあつて、必ずしも総合的企画の上に乗つていないじやないかということを考えられるのですが、現在設備が過剰というような問題はないでしようか。需要の見通し或いは輸出関係等いろいろ言われまするけれども、設備過剰というような問題はないのですか。
○説明員(三井太佶君) 現在既存の設備だけで見ますと、設備過剰が起つております。但し初めからこれは旧設備、古い設備というのは当然生産戦線から退くという見地に立つておりますので、古い設備が順調に償却されれば過剰設備その他は起きません。丁度この問題が本年頃から果して予想の通り順調に旧設備の廃却か行われるかどうかという問題に入つておりますが、これさえうまく行われれば過剰設備は起りません。
○委員長(石原幹市郎君) そこで重工業局におかれても、この合理化を強力推進するためにいろいろ法的措置なんかも考えられておるやに新聞紙上等でも聞くのでありますが、先ほどちよつぴり触れられたようですが、大した説明はなかつた。大体どういう構想であるか。一部には昔の日鉄のような強力な企業合同体を作るというような話もあるのですが、時間がありませんから詳しいことは他日に譲つてもいいと思うのですが、大体どういう方向へ進めようとしておるのか。片鱗を知らして頂きたい。
○説明員(鈴木義雄君) 先ほど私一番初めに御説明申上げましたが、先ず多少長い目で見た再編成委員会というふうなもので将来の形を一つ研究したい、これが一点であります。差当りすぐスタートできる問題としましては、独禁法の例外による合理化カルテルを作る、これによつて、勿論合理化カルテルをやります範囲というものは、一〇〇%目的を達し得るとは考えられませんが、これによつて相当程度のことが行われるという見通しの下に独禁法の例外による合理化カルテルというふうなものによつてこれを行うという考えでございますけれども、企業の合同その他ということはまだそこまでは現在のところ考えておりません。
○委員長(石原幹市郎君) ほかにございませんか。 それでは午前中はこれで終ります。 午後零時三十分休憩 —————・————— 午後一時五十二分開会
○委員長(石原幹市郎君) これより通産委員会を再開いたします。 先ずお諮りいたしたいと思いますが、昨日参考人決定の際、全国食糧事業協同組合連合会より後藤常務理事においでを願うよう決定をしたのでありますが、都合により連合会の亀井常務理事が御出席されましたので、亀井常務理事を参考人にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 これからの議題は公報でお知らせしました通り、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、それから中小企業等協同組合法の一部を改正する法律の施行に関する法律案でありまして、いずれも小林政夫君提出のものでありますが、この二法案につきましてはすでに十月の委員会で一回審議し、本日はこれは二回目に当るのであります。そこで本日は昨日の委員会で、並びに只今御決定を得ました四名の参考人よりそれぞれ実情に基いて本問題に関する意見をお聞きすることにしたいと思います。順序といたしましては第一に協同組合で保険事業を行なつておる向きの代表として神奈川県商工共済協同組合の浅川事務局長、次に火災保険の被保険者となるべき中小企業の代表として日本中小企業団体連盟の岡崎常務理事、それから次に組合の保険経営に批判的な立場の向きでありますが、日本損害保険協会の葛西専務理事、最後に今回の法律案では例外的な立場に置かれると提案者の小林君よりも言明をしておりますが、なお協同組合であつて、特殊な保険を行なつておる全国食糧事業協同組合連合会の亀井常務理事の順でお話願うことにいたします。 なお参考人の方に対しまして一言御挨拶を申上げますが、本日は御多忙のところ御出席頂きまして誠に有難うございました。 なお時間が遅れまして長時間お待たせいたしましたことをお詑び申上げておきます。 なお念のために参考人の方に一言御注意申上げたいのでありまするが、本委員会に付託されておりまするのは、先ほど申述べました二つの法律案でありまするが、実はこのほかに協同組合による保険事業に関する法律があるのでありまして、この法案はやはり小林政夫君の提出にかかるものでありまするが、所管の関係から大蔵委員会に付託されておるのであります。従つて本日は通産委員会の参考人ではありますが、結局三つの法案について忌憚のない御意見を拝聴したいわけであります。御意見を述べられる際には組合の経営による火災保険は必要かどうか、その利害得失はどうか、又これら三法案の必要性はあるかどうか、これで経営と監督が十分できるかどうか、こういう点について忌憚のない御意見を伺いたいと思うのであります。 それでは先ほど申上げました順序に従いまして神奈川県商工共済協同組合の浅川事務局長から御意見を伺いたいと思います。時間は大体お一人十五分から二十分くらいの間でお願いいたします。
○参考人(浅川一郎君) 浅川でございます。御指名によりまして私どもの考えておることを申上げます。法案の内容はつぶさに私ども検討しておる暇がございませんでしたが、先ず根本的に国会及び政府の考え方が違つておるということを申上げたいのであります。私どもは共済事業を行なつておるのですが、国会並びに政府では何か保険事業であるということになつております。然らば保険と共済とどこが違うか、これは恐らく何人も判定できないだろうと思うのですが、私は先ずこれを金額を以て百五十万円程度のものは共済と称していいのじやないか、こう考えております。従つて如何に共済だからといつてこのまま放置しておくことは非常に危険があるので、そこでこの共済制度を如何にするかということを私の考えておることを申上げるのでありますが、先ず聞くところによりますと、政府も国会も出資金を三百万円と称しております。この三百万円というのはどこに基礎を求めたか、私ども実は了解に苦しむわけであります。私ども共済という考えから行けば、先ず出資金よりその組合を構成する組合員の数によつてこの共済組合はいい、悪い、許可すべきものであるかしないかをきめて頂きたいと思うのであります。その数は少くも千五百或いは二千という数がまとまらなければ共済制度は危険であります。なぜならば恐らく火災というものが全国世帯数の半焼を入れますと大体千軒に一軒でありますから、どうしても千人以上の組合員を持たない共済制度は成立たないと、こう私どもは思つております。従つて組合の基礎は出資金に拘泥せず、その構成する組合員によつて強固になるものであるから、少くも千五百人乃至二千人を基準として頂きたい。さて地区はどうする、地区は危険分散の意味において一県一つである。なお業種別に若し共済組合設立する場合ならばこれは一業種全国区にする、こういうふうに考えております。そこで私ども共済と申しておりますので、この言葉を使いますが、一体最高限度はどのくらいか、最初に申上げましたように、先ず百五十万円を最高とする、そこでその以下は五十万円程度のものであるならば通産省の認可をとる、五十万円を超え、百五十万円に達する共済制度を布くならばこれは通産省と大蔵省の両省の共管にして行つたほうがいいのじやないか。なお私どもは強固にするために各都道府県の予算外の義務負担を要求しております。これによつて各府県の義務負担によつてますます共済制度を強固にしたいと同時に、当然中小企業振興対策の一環として国家でもこうした零細なる企業者の共済制度に対しては何らかの国家保障が当然これは必要である、こういうふうに考えております。なお業種別の場合でありますが、業種別の、勿論都道府県を単位とするものでも、ここで申上げたいのは経済事業はこれは絶対してはならない、併し業種別の場合には経済事業を許してもいいじやないか、米屋の組合が呉服屋をするのでなければ、米屋の組合の共済組合が米のために金を使い、酒の組合が酒のために金を使うならばこれはいいじやないか。併し都道府県を単位としたものには絶対に経済事業を許してはならない、こう考えております。なお現在中小企業等協同組合法に許されておる福利厚生事業でやつておるこうした共済制度は、先ず二十万円程度がいいんじやないか、二十万円という私算定する別に基礎は持合せておりませんが、十万円では余りに少いので二十万円程度は許してもいいのじやないか、こんなふうに考えております。なお業種別が、全国組合がこれを自分の組合に、経済事業に流用するといつても当然監督官庁の許可を必要とするということは私は考えております。 そこでもう一つここで強く申上げたいのは、監督規定であります。如何に私どもその当事者としてやりましても、私自身は大丈夫でありますが、法案をこしらえる上において厳重なる監督規定をこしらえて頂きたいということは、いわゆる会計上の問題であります。少くも月一回くらいは監督官庁の現金と帳簿の付合せくらいを励行して行く、こうした厳重な監督規定を設けなけりやならないということを私現在自分の事業をやる上において痛感しておるのであります。大体私の申上げたいことはこの程度にいたしまして、今まで申上げたことに若し御質問がございましたならばそれをお受けするほうがいいと思うわけでございます。この程度で、意見を申上げておきます。
○委員長(石原幹市郎君) 有難うございました。 それでは次に日本中小企業団体連盟常務理事岡崎参考人。
○参考人(岡崎正男君) 日本中小企業団体連盟常務の岡崎であります。私は大体三つくらいに分けて申上げたいと思います。 この共済組合という制度はなぜこのように盛んになつて来るかという問題。それから次に損保、損害保険会社と共済との比較した問題。最後に法制化についての要望、という点の三つに分けてお話を申上げたいと思います。 先ずこの共済制度として利用されておりますもののうち三つに分けることができると思います。 第一には、先ずこの正常なと申しますか、正常な姿で発展したものと、それから正常でないと申しますか、街の共済組合的なもの、こう二つに分けることができると思う。先ず第一に、この正常な姿で発達しておるものにつきましては、何と申しましてもこの発達した大きな理由は、中小企業者はあらゆる面で大企業初めあらゆる面から、他の職域会社から比べまして非常な不公平な取扱を受けているという点につきましては皆さん御承知の通りでありますが、先ずそういう点で常に自衛策として、相互扶助によつて不慮の災害をお互いに助け合おうというような気持から、この共済制度というものが盛んになつて来たということが考え得ると思います。もう一つは、この協同組合の本来の共同事業を行いますに当りまして、やはりこの組合員の福利厚生ということを考えて、共済制度のような事業を併せ行うことが共済組合本来の共同事業を行うに当りまして、円滑に行うことができるということが考え得ると思います。第三には、この共済制度は小規模の組織と少額の負担金によりまして十分に共済の目的を達することができる。而も危険率も比較的少く、又採算上も大体とり得るという点が考え得ると思うのであります。例えば今も浅川参考人から出ましたように、事業別の米の場合とか、或いは酒屋の場合、これが全国的に分散されました場合に、おのずから危険分散ができるという点で成立つのではないかというふうに考えるのでございます。それから第四番目には、この昭和二十四年に現在の中小企業等協同組合法が制定されようとしました際に、その当初の法案の中には保険組合制度が織込まれておつたのであります。それは御承知の通り閣議決定まで行つたのでありますが、衆議院の大蔵委員会におきまして一夜にして葬り去られるという苦い経験があるのであります。こういう点がかなり反撥的なものになつているのではないかというような見方もできるのではないかと思うのであります。それから第五番目には、この都道府県の中小企業対策の一環として都道府県がこの制度を重視いたしまして、積極的に支援指導しておるという点が考えられるのであります。その現われといたしまして、都道府県が損失補償、或いは支払保証という形でかなり行なつているのであります。例えば岐阜県の例を申上げますならば、岐阜県では岐阜市の共済組合に対しまして支払保証をいたします。又岐阜県では岐阜の陶磁器協同組合連合会に対しまして三千万円支払を保証するというような形で、北海道、福島、山形、岩手というふうに、かなり都道府県が支払保証、或いは損失補償という形で積極的な指導援助をいたしておるのであります。 こういう点が、大まかに申しますと、以上のような点がかなり共済事業の発達に並行して盛んになる理由の大きなものになつているのではないかと思うのであります。 最後に、何と申しましても損害保険会社の保険料が頗る高率である、高額である、かなり値下げといいますか安くなつたようでありますが、併しまだ相当高額でありまして、零細な中小企業者にとつてはその負担に堪えかねるという点がかなりこの共済を利用せしめるということに追込んでいるのではないかというふうに考えるのであります。 以上申しましたのが大体正常なと申しますか、そういう正常な姿で発展しておる共済組合の盛んになる理由でございまして、このほかに正常でないと申しますか、いわゆる中小企業者の金融の金詰りと申しますか、そういう点の隙を狙いまして、いわゆる街の火災共済金融組合と申しますか、そういうものが京都とか大阪とか大都市に必ずあるようでございまして、これらかなり共済組合の発展に害毒を流しておるのではないかと窺えるのであります。 次に損害保険と共済との関係を比較いたして見ますと、これも共済側にはまだ日が浅うございまして、業種的にやつておるのは別といたしまして、火災共済だけを主としてやつておりますものは非常に日が浅くて資料がございませんので、この点は杜撰な数字であるかわかりませんが、前以てお断わり申上げておきます。 第一に保険料と寄託金(乃至は掛金)という問題でございます。損害保険では高額ないわゆる基本料金のほかに更に職業別の多額の割増料金が加算されたのであります。一例を申しますとペンキ屋、看板屋さんでございますが、千円につき八円の割増が取られる。又印刷屋さんが千円につき七円の割増が加算される。玩具屋さんが千円につき五円から二十五円の割増が基本料金のほかに加算されたのであります。これに対しまして、火災共済の場合では損害保険会社の基本料金の大体半額程度の負担で賄えるという状態でございます。割増金を取らない場合が多いのであります。ここに大きな開きがあると思うのであります。そして地域的に説明申しますと、北海道の例をとりますと、北海道では損害保険では、普通物品については平均千円につき十三円三十九銭でございます。最低が五円五十銭、最高二十四円まで、平均いたしまして十三円三十九銭になつております。それから普通物件につきましては平均十一円三十三銭、最低四円三十銭から最高十八円、これに対しまして共済では、北海道共済の場合は普通物件、住宅物件区別しないで六円十六銭という実質的な負担になつております。千円について六円十六銭、内訳をいたしますと、このうち一円三十三銭は共済組合の経費に充てております。六円十六銭のうち一円三十三銭を共済組合の経費に充てております。それから福島県の福島市の場合を申しますと、損害保険は普通物件で平均九円二十五銭であります。最低八円五十銭から最高十円でございます。それから住宅物件では平均七円五十七銭、最低が七円から最高八円でございます。それに対しまして福島県共済商工協同組合の場合は四円六十六銭と一般の負担を行なつております。この四円六十六銭の半分は組合の経費に充てております。それから岐阜県岐阜市の例を申しますと、損害保険では平均六円二十六銭、最低四円五十銭、最高十円でございます。普通物件では平均五円二十六銭、最低三円五十七銭から最高八円でございます。これに対して岐阜市共済組合は普通物件が千円につき四円、住宅物件が千円につき三円でございます。以上のようなかなり開きがあるので、勢い零細な中小企業者にとりましては共済を利用するものも日に増し殖えて来る現状であります。 それからもう一つは共済と損害保険との損害率の問題でございます。再保険制度のない火災共済にとりましては、又特に中小企業者の場合には、建物工場から申しましても損害保険で申しますと四級物件という木造建物が多いのであります。それに加えまして再保険制度がないというのですから損害率が非常に多いように考えるのでありますが、併し事実はそれほどでないということが言えるのであります。先ず損害保険の場合を申しますと、共栄火災の昭和二十六年度の新規契約高に対する損害率は火災だけで〇・一二%であります。それから第一火災の場合は二十六年の新規契約に対する損害率は〇・〇八%であります。これに対して共済事業の場合は北海道共済では二十九年三月末の契約高に対するいわゆる見舞金、損害の率は〇・三七%であります。それから福島県の共済では二十九年三月末現在の契約高に対する見舞金は〇・二五%でございます。このようにそれほどの開きはないように考えるのでございます。 それからもう一つは支払準備のほうの問題でございます。御承知のように損害保険では保険金の支払については、再保険によりますほかに法定の支払準備金、更に任意の支払備金、こういうものが充てられるのであります。これによつて充てられた例でありますが、第一火災によるところの契約者に対する準備金の割合は〇・三二%、これは二十六年であります。太陽火災は〇・二七%、これは二十八年度、共栄火災が〇・五九%であります。これに対しまして共済の場合は現行の税法上余裕金を支払準備金のような形で利益留保をすることが許されておりませんので、従つて現実にこの余裕金乃至都道府県の支払保証というものが、これが充てられるわけであります。仮にこれらを合算いたしまして、支払準備金として契約高に対する割合を見ますと、北海道共済では二・一%であります。同じく福島県共済が二・六%です。北海道の岩内大火では四千四百万を支払つたのでありますが、全員が見舞金を醵出するという形の現われとなりまして、一応これを支払いまして、なお且つ道の五千万円の損失補償が残されておるのであります。どうにかやり切つておるということになるのであります。 それからもう一つはその採算制の問題でありますが、先ず損害保険の側の例を見ますと、第一火災では資本、二千万円で昭和二十四年八月に設立されております。この初年度の収入保険料が三千八百九十二万九千円でございまして、これに対する事業費が七二%、再保険が三八%で、期末決算が千九百八十八万三千円という赤字になつております。次年度では一億二千六十一万七千円の収入保険がありまして、これに対して事業費が四六%、再保険が二六%で、結局期末欠損、赤字が三千五百九十二万二千円となつております。三年目におきましては、保険料が二億二千三百四十二万五十円でありまして、事業費が、三七・九%であります。保険が二十一%でありまして、期末欠損が二千九百七十二万七千円となつております。この三年間の欠損だけで約八千五百五一万余の赤字になつております。四年目には三億一千四百六十九万四千円の保険料がありまして、漸く五百三十万円六千円の黒字となつておるのでありまして、損害保険の側におきましてもなかなかこの経営は容易でないのでありまして、少くとも三年乃至四年目の段階におきまして漸く採算制がとられるような状態になつておるのであります。この第一火災の場合にも四年やつて漸く五百三十万の利益を出した程度でありますから、まだ採算上十分であるとは言えないのであります。これに対して火災共済の場合は、北海道共済の例を考えて見ますと、出資金が三百六万七千五百円、設立が昭和二十七年九月でございまして、これは一年半の計算になつておりますが、収入、いわゆる寄託金の収入と経費の収入合せまして六千四百四十万九千円であります。これに対する事業費が九%、それから見舞金が三二%で差引五万九千円の剰余金であります。余裕金は四千万円の余裕金を保留しているのでございます。 このように火災共済を主としている事業では設立後まだ日は浅いのでございまして、大体業種別で火災共済を行なつておりますものを除きまして、火災共済だけを専業に行なつておりますものはまだ三年に満たないのであります。一年乃至は二年半程度のものが多いのでありまして、それでも今申しましたような北海道共済の例のようにどうやらやり切つているのでありまして、採算上成立たないということにはならないと思うのでございます。 最後にこの法制化に対しての要望でございますが、火災共済組合制度の健全な発達と育成助長のためには一日も早くこの法制化をして頂きたい。又この健全な発達のために火災共済組合が一日も早く認可制をとられるということが望ましいと思います。法制化についてはこの只今参議院に出ております法案の内容は大体賛成できるのじやないかと考えております。ただ最低金額でありますとか、或いは最高の保険金額、こういうものにつきましてはかなり厳格に過ぎるのじやないかという感もあるのでありますが、大体これ以上厳格にしないということで全面的に賛成いたしたいと考えているのであります。ただ若し火災保険協同組合の安全性ということから、これ以上厳格にするというようなことがあるといたしまするならば、むしろこの責を中小企業者に負わすというようなことではなく、再保険制度乃至は国家或いは都道府県損失補償というような形のことをとるような措置をとつて頂きたい、かように考えるのであります。 なおこの法律の七十五条の二でありますか、保険組合の保険の対象でありますが、この中に組合員及び組合員の親族となつておりますが、組合員の従業員までこの恩典が浴するように保険対象にして頂きたいということを希望いたしておるのであります。 大変雑駁な考えでありますが以上申述べて終ります。
○委員長(石原幹市郎君) 有難うございました。 それでは次に日本損害保険協会専務理事葛西浩君。
○参考人(葛西浩君) 日本損害保険協会の葛西でございます。御諮問によりまして保険業者といたしまして若干意見を述べさせて頂きます。 私も損害保険事業に相当長らく携わつておる者の一人でございます。 戦争前数十年に亘りまして私どもは通念といたしまして保険事業は保険業法によつて免許される株式会社乃至相互会社の形態以外では行い得ないと、こういうふうに長らく実は考えて承知をいたしておりましたわけでございます。今日といえどもやはり保険業法に依然とした形で残つておりますので、本質的にはやはりかくあるべきことが一番好ましい姿ではないか、こういうふうには考えております。併しながら戦争後のいろいろ、社会情勢の変化ということもございます。又その間にいろいろな形態におきまして或いは法律の認められる範囲、或いは又特に法律によらないで諸種の形で保険類似の事業が行われているというこの既成の事実によりまして、私ども業法に基く以外には保険事務は行えないという主張も必ずしも通らんのではないか、かように考えておりました。まあ言葉は悪いかも知れませんが、保険業者といたしましては一歩譲りまして共済的な性質による保険事業というものも規模の如何によつてはやはり従来の保険事業と並存して行き得るのではないか、かように考えているのであります。従いまして保険会社の保険事務と協同組合その他の共済等によります保険事業との間にはできるだけ競合摩擦を避けるということが好ましいことである。かように考えているのであります。基本的にはそういう御趣旨の下に一つ法律案を願いたいと思つております。 今回組織法と、それから経過法を本委員会から御諮問を頂き、更に委員長から先ほどお話のありましたように、関連いたしまして監督法規につきましても内容を若干伺つておりますので併せて意見を述べさせて頂きたいと思います。 この組織法につきましては、頂きました法案の四頁の終りにございます第七十条の4に記載してございます「十万円をこえてはならない。」ということは、逆に申上げて十万円以下は本法案の規制対象にならんという御趣旨のように了承いたしますわけでございますが、この点は十万円と申しますと今日の物価から申しまして非常に低いような感じを抱きますけれども、やはり相当中小企業協同組合でありますと、地区的に契約件数が密集して存在する可能性もある。相当多数の契約が密集いたしましたときには、一単位十万円というものは必ずしも低い金額とは申上げがたい、考えがたい、こう存じます。従いまして掛金の高によつて損失補償の金額が計算されるということであれば、性格からすればやはり保険と同様な観念に基くものであると考えますので、建前といたしましては、金額の多少にかかわらずやはり今回法律案の規制対象として頂くということが一番望ましいと私どもは考えますけれども、ただ非常に零細のものを一々監督されるということは現実の問題として非常に困難であるということも十分了承いたされますので、その趣旨によりまして、でき得べくんばこの十万円を例えば五万円であるとか、或いは更に少い金額で限度を抑えるということにして頂くほうが非常に結構である。かように考えます。 次に六頁にございます七十五条の三の出資金の問題でございますが、先ほど来他の参考人のかたがたからいろいろ御意見がございましたけれども、御承知のように只今保険業法によります株式会社の資本金乃至相互会社の基金は三千万円以上ということに規定をいたされております。これも相当以前におきめになりました金額でございまして、今日の実情からは三千万円必ずしも十分でないというふうに私どもは平素考えているわけであります。今回の協同組合の出資金につきましてもできるだけこの出資金の金額は企業の安定性を保持する意味合におきまして多くの出資金をおきめ願うことが望ましい、かように考えます。ただこの出資金を非常に多額におきめになるということは、事実そういうものの実現を又阻害するという面もあろうかと考えますので、三百万円という金額を仮におきめになるといたしますれば、これに見合う一契約と申しますか、一つの物件と申しますか、引受の単位々々の限度をできるだけ低くおきめになることが企業の運営を安全ならしめるゆえんに副うものではないかとかように考えます。組織の法律につきましては以上二点が気付きました点でございます。 それから施行に関する経過規定につきましては、これは法律上の取扱上の問題と心得まして私どもとして特に申上げることはございません。それから先刻申しました監督法規の中で、第六条の出資金と引受限度との関連の問題でございます。この点につきましてはいろいろ考えようもあろうかと思いますが、私どもは従来その趣旨といたしましては出資金はできるだけ多いほうがいい、引受限度はできるだけ低いところに置くことのほうが企業の安全を保つ上からいつてこれはもう申上げるまでもないことだと思います。仮に三百万円の出資金ということをおきめになりました場合に、サープラスの十分の二に相当する金額といいますと六十万円、最高百五十万円、これは私ども従来火災保険に従事いたしまして経験いたしました過去のいろいろの事柄を考えますときに非常に危険であるというふうに考えざるを得ないのであります。当初に申上げましたように飽くまでも共済という趣旨で御実行になるということであれば、金額の点はむしろ私どもは三十万ぐらいが適当であるということを年来考え、又折にふれて主張もして参りました。仮に三十万が少いとすれば、多くも五十万ということにつきましては今日私どもの考えは変つておりません。百五十万ということは少しく大きに過ぎるのではないかとかように考えております。先ほど岩内の大火の話がたまたまございましたが、丁度私どもの会員、会社十九社で支払いました保険金が約三億一千万円でございます。それで本日法案の対象になります中小企業者の契約というものは、大体私どもが普通保険と申しておりますのは大工場とか倉庫とか特殊な物件を除きまして、住宅、商店それから規模の小さい工場でございます。基準を申しますと使用動力二十馬力未満のものは、仕事は工場の仕事でありますが、料率の建前から普通保険ということで取扱つておるのであります。いわゆる普通物件を対象にいたしますと、平均金額が岩内の大火で三十二万ぐらいになつております、一件当り……、そういたしますと、現在十九社の相当長い歴史を持つております保険会社のやつております契約があれだけの大火で平均三十二万円という普通に考えますと非常に低い金額に現在なつております。それらを考えます場合に、余り多くの金額をおきめになるということは、安全性の保持の上からも、又現在の実情からもやや大きに過ぎるのじやないかとかように考えます。大体法案につきまして二、三気付きました点は以上でございます。なお又御質問によりましてわかるだけのことはお答え申上げたいと思います。
○委員長(石原幹市郎君) 有難うございました。 それでは最後に全国食糧事業協同組合連合会常務理事の亀井善彰さんにお願いいたします。
○参考人(亀井善彰君) 全国食糧事業協同組合連合会の亀井でございます。全国食糧事業協同組合連合会、略称これから全糧連と申させて頂きます。全糧連はすでに御承知かとも思いますが、昭和二十六年三月食糧配給公団の廃止に伴いまして中小企業者が寄り集まつて作り上げましたいわゆる米屋の団体でございます。現在の資本金は三千五百四十万円になつております。なお所属の会員は全国に跨がつておりまして、会員数は百十八、それに所属する卸の数が二百九十、なおそれに加入いたしておりまする小売の数が四万余になつております。全周の米の小売店舗の約七〇%、一年間の取扱は六千三百万俵で、総全国取扱の八一%を占めておる業者の団体でございます。昭和二十六年三月発足いたしましたときに、極めて少い卸、小売のマージンで普通の営業保険に加入をするということは、契約するということはできないというような状態から、組織者の総意によりまして組合員の福利厚生の事業の一端としてこの共済事業を始めたのであります。定款に定められた範囲で共済規約を作りまして以来、二十六年以来その成績を逐年向上さして参つたのであります。 現在までの経過を概要申上げますというと、昭和二十六年度におきましては全国に分布いたしておりまする関係者の契約額は、掛金の総収入におきまして二千五十三万余円でありまして、火災、生命であります。 なお当時風水害に対する共済事業も営んでおつたのでありますが、その後これは政府のほうとも話合いをいたしまして、現在では組合自体は風水害の共済はやつておりません。 二十七年度におきましてはその契約額三千百五十三万、掛金の総額におきましても二千九百三十九万。それから生命におきまして百六十七万八千、合計いたしまして二千七百万のいわゆる共済料を徴収いたして参つたのであります。なお更に二十八年度には全面的に拡充されまして、掛金の総収入におきまして火災、生命につきまして四千二百四十六万というような順次その額を増しまして、支払の額と見合いましても二十六年度は掛金に対しまして支払つた金額を差引きまして八百五十八万の残を見ております。三十七年度にも同じく収入から支払をいたしまして千二百七十三万の純益を見ております。二十八年度に至りましては更に増大いたしまして千八百余万円の残を見ている。ここ三年度の実績を見ましても、逐年収入と見舞金の支払、更にその残高を見ますというと、相当向上いたして参りまして、十月末現在の数字を申上げますというと、すでに収入いたしましたものが三千五百万円、支払をいたしましたものが二千五百万円でございます。その中には先般の北海道の岩内の火災千三百万円を含んでおるような状態であります。本年度十月末におきまする契約高は実に百二十億になつております。現在最高の契約額は一件二億三千万円というのがございます。一概に二億三千万円と申しますというと非常に高額でありますけれども、私どものほうの共済事業の行き方といたしまして、一連合会即ち北海道連或いは神奈川県連というような連合会単位に契約をいたしまして、その県内に存在をいたしておりまする倉庫、店舗というようなものを通じて一契約にいたしておりますので、契約額は非常に大きいのでありますけれども、その商品の所在、家屋の分布は、北海道のごときとは全道に亘つて一億三千万円である。従つて集中的に一カ所に集中しておるというような危険は毫もないのであります。従いましてこの春以来衆議院のはうでこれらの問題を取上げられまして、相当論議を経たのでありますけれども、最後にはよくこれらの問題、御了解を得たような経緯もございまして、三年半の経過から考えまして、私どものような組織、全国に分布をいたしておるこの協同組合の業種別の事業といたしましては、現在まで私ども差したる危険はないというのが実績から見てはつきりと出ておるような状態であります。 なお更に料率の問題でありますけれども、家屋、商品共に千円当り四円でやつております。それから生命の共済、これは見舞金と申しておりますが、この見舞金は今現在一件五万円でありますが、五万円で四百円の料金を徴収いたしております。二日までの組合員の喫約を認めております。全国に小売関係四万の従業員約十万に近いものがこれに参加し利用をいたしているような現状状でございます。 従いまして今回提案されておりまするこの法案につきましては、除外の例を認めて頂くようかねがねお願いを申しておつたのでありまして、この法案の中にもこの種の組合の除外例か認めてあるように考えますので、法案自体といたしましては、私どもといたしましては、通過されることを希望いたしております。同時に若し許されるならば、こうした機会に私どもこの共済事業に対する監督という点については、従来のようなただ単なる協同組合の監督監査というものでなくして、でき得るならば先ほど来他の参考人からも申されたように、この種の法案ができますると同時に、我々の附帯事業といたしておりまする福利厚生の共済事業に対しましても、厳重な監督の何らか規定を設けて頂きたい。同時に又へ保護される面におきましては、或いは課税の問題、準備金の積立等の問題についても、同様なお扱いを頂きたい。かような希望を申上げたわけであります。なお必要がございますれば御質問によつてお答えしたいと思います。
○委員長(石原幹市郎君) 有難うございました。 以上で参考人よりの意見陳述は終つたのでありますけれども、只今提案者の小林参議院議員、それから通産省から秋山中小企業庁の振興部長、大蔵省から狩谷保険課長が見えております。 これより参考人の意見を基といたしまして、質疑に入りたいと思います。 ちよつと簡単なことなんですが、葛西さんに一言伺いたいんですが、岩内での大火で支払われた平均が三十二万円……。
○参考人(葛西浩君) はい、先ほど申上げました工場、倉庫というような特殊なものを除きまして、一般民家、店舗その他のものの、平均額が三十二万円。倉庫などには非常に大きな金額も入つております。
○委員長(石原幹市郎君) そういうものは全体を平均した金額はございませんか。
○参考人(葛西浩君) ございます。全体で支払いました金額が記憶で六百九十件、支払い保険金三億一千万円、そうしますと平均……。
○委員長(石原幹市郎君) それから岡崎さんの話に出たのか何かちよつと何しましたが、北海道の共済事業でやはり支払が行われたわけですか、これはどのくらいの額。
○参考人(岡崎正男君) 四千百万円と記憶しております。
○委員長(石原幹市郎君) それで一件当り……。
○参考人(岡崎正男君) その資料、それは持つておりませんので。
○委員長(石原幹市郎君) この四千四百万円というのは、今言われた工場とか倉庫とか、こういうものは皆入つておるんですか。
○参考人(岡崎正男君) ええ、入つておりまして、一部、損害保険とダブつておるものがあると新聞には書いております。一千何百万円ですか、重複の契約の分があるそうですが、共済の側としては四千四百万円を支払つております。
○説明員(秋山武夫君) 今の岩内の御質問でございますが、ちよつと私どものほうで調べましたのでは、今岡崎さんのほうから四千四百万ですか、言われましたが、私のほうで調べましたのは四千二百九十万円、二百六十八口でございます。外敵では三十六件。ですから件当り幾らになりますか……。
○森田義衞君 らよつと亀井さんにお聞きしたいのですが、今岩内でお払いになりましたものが千八百万円というお話でございますが。
○参考人(亀井善彰君) 千三百万円でございます。
○森田義衞君 北海道全体で二億数十万円の御契約があるといつたお話で、地域的には分散しておるから大した危険性でないといつたお話でしたか、岩内のような特殊な大火の場合、一千三百万円というような多額な支払をいたしましたら、規模から申しますと私どもあなたのほうのそういつた保険の積立その他から見まして、非常に多額のものになりはしないか、そういつたことが非常に、相当そういつた地域にしますと経営上支障がございませんでしようか、どうでしようか。
○参考人(亀井善彰君) 北海道の岩内のような火災は私どものほう共済事業を始めてから、鳥取の火災がありました以降における最大な災害で、今度のような災害はそう数のあるものではない、というように考えております。全町殆んど焼け尽くしたというので、あそこにありました私の契約店舗は十四件でございます。それに在庫いたしておりました商品、米でございますが、これが、ございましたのでそういう大きな額になつたのでございます。現在まで、三年半の経営実績から見ますと稀の災害でありまして、今後におきますことを考えましても再びああいうことが何回も繰返されるということを考えておりませんし、現在の掛金収入、共済収入で十分賄い得るという自身を持つております。
○委員外議員(小林政夫君) 亀井さんに伺いますが、ちよつとあなたのほうはこの法案から除外されているから私の質問もちよつとこの法案から離れますけれども、先ほどの話で共済事業に対する監督規定の整備ということですね、これはどういうことを狙つておられるのですか。具体的に構想がありましたら一つ。
○参考人(亀井善彰君) 従来は単なる協同組合の事業としての監督だけでありまして、一方にこうした新らしい法案が出まして協同組合としての共済事業が認められます以上、やはり私どものほうのこうした共済事業も同じような監督規定の中に入れて頂きたい。これは政府におかれましても安心ができましようし、又関係者におきましても安心をして契約ができる。現在では私どもの方は中間的の存在と申しましようか、通産省の所管でもありませんし、それから農林省の関係ではありますようなものの、扱いの物資だけは農林省の所管で中小企業等協同組合というのは通産省の関係でございますので、大蔵省には直接関係がございませんようなわけで、こういう機会に若しできますれば一緒にむしろ厳重な監督規定を作つて頂きたい。その監督下に入つて御指導を願いたい、こういう考え方であります。
○河野謙三君 私これはよく調べてないのですけれども、国なり県の補助というものを前提にしての問題ですか。
○委員外議員(小林政夫君) その点はこの法案自体では予定しておりません。一応今まである類似保険的な要素のものをこういう法的根拠を与えることによつて先ず現状を正確に把握をする、そしてはつきり堅実なる火災保険事業として乗せて行く。先ずそれが先である、そして然る後に必要とあればその中央会的なもの、連合会等を考えて、国で或いは再保険というようなことも考えて見る必要が出て来るかも知れない。併し何しろまだ現状はどうも正確に把握できないのですね。
○河野謙三君 これは参考人のかたにも伺いたいのですが、参考人のほうからは監督規定につき特に厳重な監督規定を要求されているようですが、厳重な監督規定を要求されるという裏には、当然現在の農業共済における国の補助のように中小企業のほうの団体にも国が補助して然るべきだと、その代りには一方には厳重な監督を我々は進んで求めると、こういうふうなお考えじやないですか。それとも今提案者のおつしやるように将来のことは知らないけれども、現段階においては国の補助なんというものは毛頭考えていない、こういうことが参考人のほうの御意見でもありますか。
○委員外議員(小林政夫君) 御質問は参考人に対する御質問のようですが、現状ではそれでは監督法規をこういうふうに整備して一体事業者には恩典がないか、こういうと、先ほど全糧連の人からお話があつたように全糧連かきびしく監督法規を作つてもらいたいという裏には、やはり準備金等の損金算入、税法上の減税措置は保険事業並みの措置がとられておる、或いは水産業共済組合のようなものもとられますし、大体こういうような軌道に乗れば法人税等の取扱において有利といいますか、課税の点において多少軽減する面も出て参ると思います。
○参考人(岡崎正男君) 今小林先生のおつしやいました面もございます。厳重なという規定の前にやはり先ほど先生のおつしやつた積極的な助成と申しますか、国なり県なりが損失補償を、支払保証をする、そういう意味があつて、なおその上に厳重な監督を望むというような形でありまして、できますれば国家補償なり或いは都道府県補償というものを積極的にやつて欲しいということを考えております。その上で健全なる発達のためにはお話のような厳重なる規定も或る程度は設けようという考え方であります。
○参考人(亀井善彰君) 先ほど河野先生からおつしやり、なお更に小林先生からもお話がありましたが、私どものほうの現在の共済事業の経理的な決算と申しますかを申上げますと、単なる協同組合の事業であるがためにその収入に対しまして支出をし、残がございました場合には組合が利益として課税をされるという非常に苦しい現状なんであります。と申しますのは、こうした零細な中小企業者の共済事業から生じて来る剰余金というものは、剰余金でなくして翌年産の備えにすべき準備金等に当然ならなければならないと思うのであります。そういう考え方からいたしましても、ただ毎年々々決算を繰返して行くだけで、そこに安定した資産というものは何もできない、それでは中小企業者の仕度という点では欠けておるのではないか、特に全糧連と申します団体は組合員の賦課金によつて、経営いたしておるものでありまして、事業によつての収入という団体ではないのであります。従つてこの共済掛金等による剰余は当然翌年度の支払に備うべき性質のものだろうと思うのであります。現在単なる協同組合法の監督でありますので、そういう途が保障されておらないのであります。この点についてはいつも我々非常な悩みを持つておるのでありまして、こういう法案ができます際にそうした途を一つ開いて頂きたいというのがお願いの筋であります。
○河野謙三君 これは重ねて提案者なり、参考人から伺いたいのですが、これは今、国なり県の補助というものを受けることを初めから前提にしてやるか、それともそれを受けないか、それを初めからはつきりすべきであつて、事の性質上私は補助金を受けて差支えないものだと思う。それをただそのところをまあ問題を将来に残して取りあえずは今の程度でやつて見ようというようなことでは……、これは結局今伺いますと、従来の損害保険の会社の掛金とこの共済のほうの掛金とは掛金に開きがある。片方は安い、ただ安いというだけでは問題は解決しないと思います。同時にこういう事業は、その事業が非常に健全な経営でなければならない。ところが安いけれども事業の経営というものは必ずしも健全じやないということがついて廻るというようなことではいけない。そういう点から行くと、私はどうしても掛金は、中小企業の一つの社会事業としてやるのだから、掛金は安くしなければならん、而も健全な経営ということになれば、そこに何か県なり国が財政的な裏付けを初めからちやんと謳つてやるべきであつて、当然これはその壁にぶつかる時期が来ると思う。又ぶつかつたらぶつかつたでやろうという考え方も政治的な一つの解決かも知れんけれども、その点は提案者なり、参考人のほうは率直にどうですか。率直に意見を伺いたいのですが。
○委員外議員(小林政夫君) 私はこの法案自体としてはそういう補助、国及び県等の助成を予定しておりません。このくらい監督をきびしくするんなら、反対給付で或る程度国及び県か助成すべきじやないかと、こういうお考えもあるんではないかと思うのですけれども、併し不特定多数の中小企業者といいますか、これが不堅実なる経営に基く協同組合的な、類似保険によつて又保全経済会の二の舞を演ずるようなことがあつてはならない。これを早期に軌道に乗せて安全なものにして行くということが主眼でありまして、こういうふうな監督法規を整備することによつて当然一方に県及び国の助成を考えなければ片手落だという気持は毫もないのであります。ただこういうことで一応現状を把握し進めて行つた上においてやはり国家的に考えてこの程度の助成は認めるべきだと、こういうとこが情勢としては出て来ればそれをやり得ないということではないというだけであつて、この法案を提案するに当つて当然そういうことは考えたいという気持ちはないことを申上げておきます。
○河野謙三君 これはまあ一つの考え方の基本の問題ですが、提案者のようた非常に進歩的な人が国の補助も援助も何も受けてない、自前で一切経営している者に対して指導をし、監督をするんだというようなことは、これは少し昔の思想であつて、これはいわゆる悪女の深情というやつですよ。こういうやつは、私は考え方は非常に間違つていると思う。少くともやつぱり厳重な監督を要求する以上は、私は参考人の偽わらざるところ、とは違うと思う、厳重な監督を要求する以上は、そこに何らか国なり県に依存する気持があつて初めてそういう言葉が出るんだと思う。第一、損害査定をやる、損害査定を、一体誰かやつてあんです。私はこれを伺いたいのです。今損害査定事件が起つた場合、損害査定は碓がどういう方法でやつてるんてす。そういうことも、やつばり厳重な監督ということになれば、損害査定等も厳重な監督の大きな眼日になると思う。こういう点を一つ伺いたいと思う。
○委員長(石原幹市郎君) 浅川参考人、私からも併せて監督の実情、どういうふうにやつておられるか……。
○参考人(浅川一郎君) 私どものやつておりますのは、日本中小企業団体連盟の傘下であります神奈川県中小企業団体連盟がこれを取扱つておるわけであります。そして集まります金が、全く零細企業者の金を現在二百六十万円ほど集めております。こういつた金を集めたということは保全経済会の例を見ましても、何か金を集めるということが、私どものみしつかりやりましても、出した者の身になるというと不安があるのじやないかと思うのであります。私自身は監督は要りません。併し一般中小企業者はそう考えないので、具体的に申上げますならば、少くも監督官庁が毎月一回以上帳簿と現金を付合してくれるというようなことを私ども念願しておるわけであります。 次に国の補助という問題ですが、現在私の承知いたしております県の予算外義務負担の県議を通過したところが北海道、青森、秋田、岩手、その他岐阜、愛知、三重というような、多いところは北海道ですか、その他二千万円、三千万円の予算外義務負担を県議会が通過いたしております。もう一つ、私どもが募集にかかつて見ますというと、従来火災保険を掛けられなかつた零細企業者、せいぜい保険料として私どものほうで、これは私どもは会費と称しておりますが、会費を千円程度払うもの、五百円程度払うものは従来保険に入つていないものが五〇%以上になつております。従つてこういう零細企業者のために、中小企業者の振興、いわゆる育成、こうした政策の一環として是非とも国家の補助を、県の義務負担と並行してお願いしたい。こう考えております。
○委員長(石原幹市郎君) もう一点、あなたの組合の事業ですね、中小企業庁なり何なりから、何らかの形で監督があるかどうか、全然何も監督を受けるというか、受けるようなことはないのかどうか、その実情をちよつと説明して下さい。
○参考人(浅川一郎君) 現在中小企業等協同組合法に基く協同組合でありますから、この組合法に基いた監督意外には逸脱しておらないわけであります。
○河野謙三君 私が先ほどもう一つ伺つたお答えがないのだが、現在損害査定はどういうふうにやつておられるのか。
○参考人(浅川一郎君) 損害査定につきましては、県下の二十名の査定委員を選考いたしまして、事故の場合にはそのかたを煩わして、従来火災保険会社がとつている方法を以て査定いたしております。
○河野謙三君 その損害査定委員の、一十名というのは、いずれも組合員ですね、組合員の中から選んだ査定委員ですか。
○参考人(浅川一郎君) 勿論これは組合員の中から選んでおります。
○河野謙三君 それでこれは神奈川県のみならず、この損害査定について、何か弊害が起つた事例はございませんか、全国的に。
○参考人(浅川一郎君) 現在までのところは、四月に出発いたしまして今日まで、川崎に小さいボヤがございました。これに二万円の見舞金を差上げたのですが、そのときも何ら苦情はございません。むしろ感謝されております。今後もこの査定につきましては、苦情というようなことは今のところ想像いたしておりません。むしろ感謝されるような査定をして行きたいと、こう考えております。
○河野謙三君 これはまあ非常に出発して月日が浅いから、そういう事例にたくさんはぶつかつておられんからと思いますが、私はこれが相当発展して、そういう事例がたくさん起つて来ますと、損害査定について今のような、組合員の中から二十名程度の損害査定委員を置いて、そうして損害査定させるということについては、非常にそこに幸不幸が起る。又甚だ不吉なことを言うようだけれども。今度共済の事業の中にいわゆる共済ボスができて、そうしてあれに頼めば余計もらえたとか、あれに頼んだらもらえなかつたというような問題が、これは現に同種類の農業共済で、全く損害査定で行詰つている。そういう問題で、むしろこの種の事業をやる以上は、国家の厳重な監督規定というものは必要だと思う。その点において私は、特に監督規定の厳重なことは必要だと思う。だから監督しなければならん、監督をするなら、国でもせめて事業の事務費の一端ぐらいは国で出してやる。提案者ももう少し飛躍してそこまで行かれたらいいじやないか。何も内輪でちよこちよこ引つかかないで、ちやんと初めから理想案を出されてやられたらどうかと、私はこう思うのですが、どうですか。
○委員外議員(小林政夫君) 私は河野さんと多少見解が違いますが、まあ最初の掛金等の保証契約等がいけないという意味じやない。そういうことをやる県があればなお結構ですが、或いは又国が再保険をするという事態が出ればそれも結構ですが、今あなたの御心配になつている保険査定についてのルーズさが出て来るという問題は、むしろ助成等があれば一層そういう弊害、或いは安易な経営に堕する嫌いがある。農業共済等が、お話のような問題が各地方にあるということは私も知つておりますが、その間かなり国家資金が出ていることがそういう原因、又赤字がいけば必ず補填するのだというような安易さがそういうことになるのであつて、やはり自前でどこまでもやるのだという建前であれば、損害査定等もルーズにはなりにくいのではないか、そういう点も一つあります。それから全然こういう監督法規を整備することによつて恩典がないというのじやないのであつて、先ほども参考人の亀井さんが御希望になつておるようなことは、この法案が通ればこの法案による火災保険協同組合にはあるわけでありますから、準備金等の非課税対象、非課税所得としての取扱が今までよりも有利になることは確かであります。そういう多少の監督がきびしくなる半面に恩典も出て来る、恩典ということは同時に事業基礎が強固になることでもあるわけで、一応これでスタートして、河野委員の御心配になるような事態が起つたらそのときに又考えるというようなことにさしてもらつたら如何かと思います。
○河野謙三君 議論になりますから私はこれでやめますけれども、じや小林さん仮に、さつきも岩内の話されましたけれども、岩内のようなことはめつたに起らんというけれども、起らんということは保証できない。ああいう問題が不幸にしてたくさん起つたという事例があつたら完全にこれは行詰りで、そのときにはこれはどうするのです。そういうことも私はやつぱり考えとかないといかんと思う。今の損害保険の場合と違うのだからそういう場合のことも考えて私は何かそこに……、私は非常にこれはいい狙いだと思うのです。これには満幅の敬意を表しておる。ただ折角そこまでやるのなら、もう少し積極性を持つて、万般のケースを考えて私はおやりになるほうがいいのじやないかと、こう思うのですよ。
○委員外議員(小林政夫君) それはまあそういう事態が起つて、異常災害が発生した場合、異常積立金等も、準備金等も組合には置くことになるわけですが、それでも賄い切れないというような場合には、国がこの程度の監督をする以上は特別融資というようなことも場合によつては、その事案によつては考えなければならんということが起るかも知れません。それはまあ具体的なケース・バイ・ケースで、考えなければならん。又そういうことの場合に、この今までの保険会社の保険料を払つたのとは違つた意味において、この火災保険協組合においては保険料の追加等も請求することできることになつておるわけで、まあそういう事態が発生した場合、その追加になるかどうかという問題もありますけれども、これはそのときの状況によつて大体この程度の規模でやつておれば安全だ、或いはこういうような業務の進め方なら安全だといつて国が無視して許しておつたものが、異常なる災害の発生等によつて事業が危機に見舞われるというようなことであれば、そのとるというようなことであれば、そのときは又特別な措置が考えられて然るべきじやないか、それを法的に前以てこういう場合にはこうだということは、少しこの段階においては無理じやないかと私は思うわけです。
○参考人(岡崎正男君) 河野先生から非常に有難い思いやりのある御意見がありまして、できますれば私どもといたしましても、この現状においてはこの法案については国家損失補償なり或いは積極的な都道府県の支払保証ということが欲しいのでありますが、なかなかこういうことは困難であります。一応現段階におきましては、この参議院に提案されておりますこの程度の法案でございますれば一応通して頂きたい。若し仮に現在ここに示されておりますこの内容以上に厳格に過ぎる規定が更に盛込まれるというようなことでありますれば、先ほど申上げましたように、その場合には再保険なり、或いはこの他の途も開いて欲しいということを希望いたしたいのであります。なお岩内大火の例がございましたが、北海道共済の場合、或いは全糧連の場合珍らしい大火であります。そうたびたびあるものではありませんが、仮に北海道共済の例を申上げましても、先ほど四千五百万と申しましたが、あれは概数でありますが、四千三百万幾らでありますが、そういう金額を払いのけたろうと思うのでありますが、若し仮に来年度でございましても、一応これは支払をすることができると申しております。更にその次第三回目、若し三年連続して岩内のような大火が北海道共済に起つた場合には、三年目に初めて道の損失補償五千万円を算入するということで切抜けることができる、こういうふうに思つております。
○天田勝正君 ちよつと河野委員の質問と関連して聞きたいのですが、私は実は関連しても観点が河野委員と全く違う。今、厳重な監督をする以上は反対給付で助成しなければ片手落だ、こういうお話が出ておつたわけなんですが、私の観点からすれば、それは必ずしも、助成とは事務費の一部を持つとか、或いは損害の一定額を補償するとか、そうした金銭的な面もあるだろうけれども、そうでなしに、今度は例えば営業範囲を一都道府県以上に跨がらなければこれは許可しないとか、こういうことになれば、狭い範囲で勝手に競争しているよりも更に受人が安全化する、こういうようなことで一つの利益を与えられる、つまり金銭以外の監督と、同時に裏へぴつたりついているところの利益というものがそこに存在する、こういう意味ではなかろうかと私聞いたのですか、失礼ですが、誘導的に質問申上げたわけです。恐らく、そういうお考えでないかとも思いますし、更に浅川参考人がさつき申されました、厳重に監督を受けておれば、それだけいわゆる契約者といいますか、組合員といいますか、そういう人たちの安心を得られる、こういうことになつて、その監督を受けてないものは、これは不健全であるというところから、それらの団体には入らないという状態が起きて、当然にそれは保全経済会のごとく匿名組合、これは法律的には匿名組合ですけれども、極めて不健全であり、そういうものは何らの法的な監督も受けておらないから、これは不健全、こういうことになつて、要はそこに無形の反対給付がある、こういう観点で御立案にたつたのだと私は承知しておるのですが、さようでございましようか。 又くどいようでございますけれども、岡崎さんに一つお伺いいたしたいのですが、すでに今の河野委員に対するお答えによつて、この程度の監督ならば仕事にも差支えないしということを申されております。そこでむしろこの程度のことならば監督も厳重になるけれども、利益もそれに作つてあるのだ、今私の言つた無形の利益もある、こういうふうなお考えであろうと思います。で、この際私お伺いしたいのは、亀井さんのところに全国を跨がつて現在行われている小組合新制度にこのまますべり込んだ場合それでよろしいのでありましようか。今度制度では一都道府県以上、こういうような枠がありますが、現在細かくやつているところとの調整を、あなたがたのような大きい団体でいろいろなケースをつかんでおられるところといたしましては、小さい範囲で現在行なつているものの今度は新らしい制度への切替等についてはどうやつたらよろしいかということをお気付きでありましたら、お伺いしたいと思います。
○委員外議員(小林政夫君) 訪導質問で、その通りでございますが、まあ、地区が都道府県の地区でなければならん、従つてそれに該当しないものは認可の対象としてはならない、又競業というようなことも整理されるというようなことで、少くとも公認認可を受けた火災保険協同組合というものは相当一般的に信用のある火災保険協同組合として発生することになります。従つて無形の恩恵はそういう意味においてもあるわけでありますが、まあ、金融関係といつて信用金庫というものが信用協同組合から発足して大蔵省の厳重な監督を受けておりますが、更に業績が非常に挙つておるわけでありますが、一部には多少問題発生しかけておるものもあるやに聞いておるわけでありますけれども、そういうような若し不健全でいかないということになれば監督官庁のほうの斡旋によつて合併その他の方法で救済をして行くということも考えられるし、少くとも行政官庁が責任を以てこの程度ならやれるのだという安心のできる火災保険協同組合として安心して認可した以上は当然責任もつくわけでありますから、それで以て崩れるというようなことで中小企業者に迷惑をかけるというような事態が起れば何とか尻拭いはせざるを得なくなる、こういうことは法文に現わさなくても、運用の面において当然考えてもらえることになるだろう、そういうことで河野委員に御了承願えればと思います。又天田さんはそれでよろしいと思います。
○参考人(岡崎正男君) たびたび厳重な規定ということでございますけれども、何も好んで厳重な規定を希望するのではございません。できますれば、或るべく寛大な規定であるほうが望ましいのであります。従いまして大体この法案に言われておる程度のものであればやつて行かれるのではないかと考える半面に、厳重な……と申しますのは、野放しになつておるものが相当あると思います。先ほど申上げましたように、いわゆる街の火災共済組合的なものが野放しになつておるのでございます。この法案の制定によりまして火災共済がこの法案によつて認可制になることを望むのはそこでありまして、街の野放しになつておる火災共済を取締つてもらうことがむしろこの火災共済の健全な発達を促すものであろうと思います。 それから先生のお話の小さな組合をこの法案によつて切替をどうするか、という問題でありますが、仮に業種別の場合でございましたらこんな小さなものでも、この法案に織込まれておる十万ということでいいのでありますが、若し小さいものが街のいわゆる火災共済的なものでありますれば、大きい地区の都道府県単位に合併いたしますか、乃至は自然整理される段階になるのじやないかと思います。先ほど例に申しました岐阜市一県だけの火災共済組合がございますが、これは結構相当な成績を下げまして、むしろ本年三月でしたか、四月には岐阜市役所に対しまして二百万からの余裕金を逆に貸付けておるという状態であります。こういう小さなものをどうするかということについてまだ具体的に考えておりませんが、割方いいものには健全に切替えられるんじやないかという考え方をいたしております。
○河野謙三君 参考人はいずれも協同組合というのですが、協同組合というのは、他の干渉を一切許さない。組合のことは組合で自主的にやれということが協同組合の出発点です。それは十分御承知の通りです。協同組合人である参考人からあえて国の、特に神奈川県の浅川さんから経理内容まで月に一回くらいは監督してもらいたい、こういう積極的な御発言があつたことは、やはり組合の経営について好まないけれども、監督をあえて受けてもいい、この組合の内容を健全にするためには……、同時にこの仕事の性質上から言つて非常に社会性の強いものであるから、国なり県が補助すべきである援助すべきである、援助の方法はいろいろあります、その代りに自分たちは監督もあえて受けましよう、進んで監督してもらいたい、こういうことなんでしよう。私はそれが参考人の気持であつて、提案者の気持はそこが違います。これは違つてもいい。違つてもいいのだけれども、少くとも参考人から進んで積極的な監督を要求されるということは何と申しましても、監督を受けべからざる共済組合日人があえて監督に対する御意見を伺おう、こういうことを言つておるので、小林さんは小林さんでいい、提案者は提案者でいいが、共済組合人がそういうことを言うのは私おかしいと思います。
○参考人(岡崎正男君) 河野先生おつしやる通りでございます。ただこの法律、つまり中小企業者にとつての火災共済的な保険法案が御承知の通り今日まで紆余曲折がございまして、余り明るみに出なかつたのであります。漸く今日明るみに出かかつた際に又余りに不当なことを要求いたしまして又闇に一夜にして葬られちや困るという意味でございまして、できますれば第一段階ではこの程度にしてこの次に又河野先生の思いやりの点にお縋りしまして是非出して頂きたい、かように考えております。
○高橋衛君 葛西さんにお尋ねいたしたいと思いますが、人体損害保険については民営と組合によるものとがある、現在片方は法律の監督を受けておるが、片方は野放しでとにかく並存してみますと大体三分の一又は四分の一であります。一つの数字を申上げますと昭和二十七年度におきましては保険料収入は六百八十六億円、支払保険金は百七十億円でありまして丁度四分の一以下であります。かような点からとにかく将来の以上災害に対するところの責任準備金というものを考えなければ、相互保険によつて例えば協同組合がこれをいたします場合においても非常に安い料率でなし得るということが当然浮んで来る。そこから当然こういう恩典を受けてるにもかかわらず協同組合によるもの、又は群小の危ないところの相互共済の組織が生れて来ておると私は思うのでありますが、併しながら、どうしてもここ二、三年間の状態が打続くということが或いは考えられないかも知れない。そんな関係から異常災害に対するところの相当の責任準備金を持つということが損害保険事業としては当然必要である。かような観点から勢い或る程度の保険料率は保たなければならんという結論が生れて来るのじや、なかろうかと思うのであります。従つてお伺いしたい点は、この非常に高いと我々が一見考えるところの保険料を相当引下げることができないかという点、それにつきましては例えば外国におけるところの異常災害に対するところの責任準備金をどの程度持つておるか、それと日本におけるところの比較がどうなつておるかという点。それから例えば自由党の新政策においては保険料率を相当大幅に引下げるという決定をいたしておるのでありますが、又それは当然なし得ると私どもは信じておるのでありますが、その程度は葛西さん等の観点からお考えになつた場合にどの程度なし得るかという点、又若しも国が再保険をするというようなことを考えるならば、つまり異常災害に対するところの責任準備金はなぜそれほど多額に必要かということを考えて見ますと、これは要するに他に再保険するところの途がないというところから来ておる。従つて仮に国が再保険するということになれば、異常災害に対する責任準備金は必要でない、従つて現在の保険料というものは場合によつては半額以下にもなし得るのじやないかということすら考えられるのでありますが、その点についての御見解を伺つておきたいと思います。
○参考人(葛西浩君) お答えいたします。只今高橋先生から料率の問題につきましていろいろ御意見を承わりました。御指摘の通りここ三、四年来の火災保険の業績は火災保険業者みずからも非常に意外と思うほどの好成績を続けております。従いまして監督官庁の大蔵省からも料率の是正、合理化ということについては絶えず我々業者に強くいろいろ御指示を受ております。御参考までに今日までの終戦後の保険料率の引下げ過程を簡単に申上げますと、これは本日の法案の主たる対象に入つておりますもの、火災の普通物件を基礎にしての資料でございますが、終戦直後この社会情勢の混乱なり、消防施設の破壊というようなことで、非常に大火が続出いたしまして、保険会社も昭和二十二年から二年にかけましては非常な危機に頻したわけであります。それで当時監督官は庁、又更に占領軍当局の許可を得まして、相当な料率の引上げをいたしまして、辛うじて経営を続け得たような状態が、二十二年、三年に亘つて行われたのであります。二十四年の七月に至りまして、漸く大体諸般の情勢も安定したという状態、又これが火災保険の業績にも現われておりました。二十四年の七月を契機といたしまして、最も近くは本年の十月一日まで、普通物件につきましては十回に亘りまして引下げを行なつております。全国的な引下げを行なつた分だけを数えまして約十回になつております。幅といたしましては、住宅のみにつきましては約六割、二十四年七月に比べまして引下げられました。現在は四割、これを数字で申上げますと、全国平均は千円に対しまして五円弱という、戦争前の状態に比較しまして決して高くはないところまで料率水準は現在下つております。それから住宅を除きました店舗その他の一般物件につきましては五割以上の引下げをいたしまして、現存約七円の平均料率が全国的に行われております。なお過去両三年と同様なこの損害の状態が将来とも続きますならば、更に監督官庁からも厳重な御指示もございましようし、業者みずからもなお懸命に料率の引下げに努力をいたしまして、契約者各位の御要請に応じたいという決意は十分に持つておりますことを申上げたいと思います。 それから異常危険準備金の点について御意見がございましたごとく、法定の責任準備金と異常危険準備金を含めしまして、戦前昭和九年から十一年の間の、三年間の当時の責任準備金の場合を年間の正味保険料に対比いたしまして求めますと、当時正味保険料が全会社で、会社の構成は現在とは随分違つておりますが、数も多数ごさいました。全体の会社で一億二千四百万円というものが三年間の平均正味保険料、それに対応いたします責任準備金が一億八千三百万円、比率で申上げますと、正味保険料に対して一四七%という数字が記録されております。終戦後今申しましたような過程を経まして、二十六年、二十七年、二十八年、五年以降八年まで非常に火災保険にとりまして、ラツキーな年が続きましたことは事実です。漸くにして、二十八年に全会社の持つております責任準備金を申上げますと、正味保険料が、これは火災保険、海上保険全部引つくるめての話でありまして、火災保険だけはちよつとその数字が手許にございませんが、各業種を含めて四百六十二億、一千五百万円の正味保険料、これに対しまして責任準備金は四百三十三億五千四百万円、比率にいたしまして九三%八ということになつておりまして、比率におきましては戦前の九年から十一年と、三年平均に比較いたしまして非常にまだ割合は低いのでございます。 それから政府再保険その他のお話がございましたが、これは特にそういう又制度が生れた場合は別といたしまして、損害保険の各国を通じての歴史から申上げまして、これはできるだけやはり危険の交流が広く国内のみならず国際市場にも関連を持つて、再保険の取引はでき得べくんば国際的に行うというのが一番損害保険の理想の姿であると、こう考えますので、外国と再保険の取引を交渉いたしますときに、先ず君のほうの会社の積立金の割合はどのくらいかということが、再保険を引受けるほうの側から、元請をいたしております再保険を出すほうの会社に求める先ず信用のバロメーターの第一は、社内保留と申しますか、責任準備金がどのくらいあるかということが一番主眼点になつております。さような観点から申しますと、まだ戦前に比較いたしまして、遺憾ながら外国の一流会社に比較いたしましては非常に割合が少いのであります。申上げるまでもなく英国が一番損害保険については世界的リーダーとなつております。英国の一流会社は只今申上げました九三%八の日本の会社の比率に比較いたしまして二五〇%、若しくはそれ以上の準備金を保留しておりますのが実情でございます。そういう点につきましては今後とも幸いにこの業績が順調に進みまして営業上のバランスが出ました場合には、できるだけ社内保留に努めてその会社の信用、又日本の損害保険事業全体の信用度を国際的にも高めるべく努めることが業者の大事な務めである、かように考えております。なにかそのほかに……。
○高橋衛君 先ほど私がお伺いいたしましたのは、勿論損害保険会社として料率を年々引下げて来られたことは我我も承知いたしておるのであります。併しながら数字の上から見ますというと、つまり保険料収入と支払保険金との比率を仮にとつて見ますと、成るほど六割の料率の引下げをなすつたかも知れませんけれども、この比率においては却つてその比率が大きくなつていると申しますのは、例えば昭和二十四年におきましては、三百七十七億に対して支払保険金は百七億、昭和二十五年度におきましては四百六億に対して百三十七億、ところが二十七年度においては六百六十八億に対して百七十億というふうにだんだん受取保険料にする支払保険金の比率がだんだん低くなつて来ている。これは損害保険会社として料率の引下げについてそれほど熱心にお考えになつている証左とは見受けられないというふうな感じがするのであります。それで私のお伺いいたしたいのは、今後一体如何なるこの点について所見を持つておられるか。先ほど特にお伺いしたいと思つた点はその点であります。過去においてどうなさつたかということよりも今後一体どの程度の肚を持つておられるか、その点をお伺いいたしたいと考えたのであります。
○参考人(葛西浩君) お答えをいたします。将来におきまして私どもが到達したいと思う一つの理想と申しますか、これは異常危険を含めましていわゆる損害に見合う純保険料分というものは五割程度を目標に進むべきであろう、こういうことを考えております。ただこの異常危険の見方でございますが、現在の日本の都市の構成から申しますと、過去数年は偶然にも非常にラツキーな年が続きましたが、併しやはり非常な悪条件のときは、不幸にして出火しました場合に相当多額な被害が予想されるという潜在的な危険はやはり除去されておらんと思いますので、この異常危険を五%に見るのが適当で、あるか、七%に見るが適当であるか、或いは十分なところ一割と見るのが適当であるかということについては、いろいろ考え方の相違はございますけれども、普通の危険に対応すべき保険料の構成部分、いわゆる危険をも含めて考える場合に、保険料の五割というものは、少くも危険に見合うべき数字として考えなければならん。そういうことを目標として将来の料率の構成を考えなければならんというふうに私は考えております。従いまして残り五割というものは事業に対する経費又は経営上のマージンというふうなことになりますけれども、経費を五割以上使いますれば、営業のマージンがないという結果になります。この点につきましても、業者は懸命に経費の合理化に努めなくちやならんということで、監督官庁の御指示もあり、目下できるだけ力を尽くしておるという実情でございますので、将来料率の理想点は今申上げたところにおいて考えるべきであると私はかように考えます。
○高橋衛君 一向はつきりしたお返事がないのでありますが、私どもは日本の経済はなお誰しも言うことでありますけれども、非常に底の浅い、又皆がよちよちしながら相助け合つて行くという状況にある経済社会であると考えるのであります。保険会社のみ外国並みの異常危険に対する準備金を積み立てて、積立てるまでは料金の引下げはできんのだという考え方では、これは我々といえどもやはり協同組合のほうに何か組織をもつと助成して、そうして本当にコストが下がるという方向に踏み切らざるを得ないのじやないかという感じもいたすのでありますが、その点について、やはり英国が、例えば二五〇%の比率を持つている、日本は九三%だ、だからして一日も早くそれに近付けるのだ、そのためには料金もそう引下げられんのだということであつては、我々はどうもその点について判断をする場合に、相当考えなければならん点がありはしないかと思うのでありますが、その点くどいようでありますが、もう一応お聞きしておきたい。
○委員長(石原幹市郎君) 要点を一つ簡単に……。
○参考人(葛西浩君) 只今私申上げました異常危険をこめまして、五〇%という純保険料を考えるといたしますと、現在の保険料率水準よりも遥かに将来引下げなければならんということかおのづから出て来ると思いますので、決してこの外国の一流会社と同様な危険率を、今日本の経済の全体の立場から見まして近く予期しなければならんというふうなことは、到底これは考えましてもできないことだと思います。ただその面は純保険料部分を異常危険を含めまして五〇%といたしまして、残りの部分に対してできるだけ経営の合理化によつて生じました余剰を社内保険に充てて行くということで、料率は現在御指摘になりましたように、過去数年間は火災保険につきましては、二〇%そこそこがいわゆる純危険に対する保険料の部分になつております。これを四〇%以上五〇%までを理想といたしまして進めますということは、まだ料率の引下げを十分将来やつて行かなければならん、こういうふうに考えております。
○高橋衛君 岡崎さんにお伺いしたいのでありますが、これは先ほど河野先生からお聞きになつた点であつて、或いは同じお答えが出るかとも考えるのであります。私自身の考えを以てすれば、この保険について、例えば一府県又は一都市等を中心にしたところの協同組合等が保険事業を営む場合に、その組合について異常災害が起つた場合に、その都度国がその尻拭いをするということになるのでは、又そういうふうな計算の基礎に立つて共済掛金でありますか、保険料でありますか、そういう計算をなさるのでは、これは国が非常に迷惑だ、やはりこれは民営であろうと、又は協同組合経営であろうと、双方大体平等の立場に立つて、そうして異常危険に対しては、異常災害に対してはそれだけの準備をなし得る、又準備をなすという建前に立つて保険料を取つておられるということが、これはこの法律ができました上で、大蔵省が具体的に監督する点であろうかとも思いますけれども、監督する面にそれだけの肚がまえがなければ経営は非常に不健全となり、いつかは政府に尻を持つて行けばいいんだというふうな考え方で以てこの法律を考えるということになると非常に危険なことになります。それで、その点について先ほど岡崎さんは河野先生の質問に答えて、取りあえずこれでやつて行くんだ、できれば一つ補助金をもらいたいんだというお答えがあつたのでありますが、その点もう一応念のためにお聞きしておきたいと思います。
○参考人(岡崎正男君) 只今高橋先生のお話でございますが、あえて今補助金的な金をもらおうという意図は全然ございません。ただ繰返して申しますが、この法律がこれ以上にきつい厳重な条件が若し出るようでありますれば、再保険の途を開くなり、或いは万一の場合の国と都道府県が支払保証をするという途を開かれれば結構だというのでありまして、先ほども申しましたが、損害保険と比べて非常に安い掛金で賄つておりまして、なお且つ余裕を出しております。ただその余裕を蓄積することは税法上損金算入を許されませんので、やはりこれは一応預り金とするか、乃至は一応全部返してしまう、寄託者に返すという方法をとつておりますので、その途がこの法律が通りますことによつて開かれますれば、あえて国なり都道府県から現実に助成金をもらうというような意図はなくても、結構やつて行けると思います。
○高橋衛君 只今のお答えの中に、再保険をするか、支払保証を受けるかというお言葉がありました。再保険については再保険料をお払いになるからちつとも差支えありませんが、支払保証を国から、又は地方団体から受けるということになると、これは民法におきまして、民法は当然に再保険をし、危険の分散をし、同時に又一方において異常危険の準備金も積む建前にはなつておるのでありますが、その点に相当危険な分子、又は国に負ぶさるという分子が出て来るのでありますが、その支払保証を認めるかという点についてもう一応お聞きしたいと思います。
○参考人(岡崎正男君) 大体のところ、先ほども北海道の例を申しましたけれども、四千三百万足らずの災害を、一時に払出しましても、なお且つまだ寄託金を集めましても二年度において又払出す。三年度にも……、若し三年連続そういうような異常災害があつたとしましても、大体北海道の共済の例を見ましても払出しておる。三年目以降におきましては現在許されております北海道の五千万円の損失補償を発動してもらうというようなことがあり得るかも知れません。今のところはお互いに異常災害の都度加入者から寄託金を取りまして賄つておる状態で、そのように北海道では賄つております。ですから例えて申しますと、つまり税法土の蓄積を許されておりませんので、一応余つたものは北海道では返してしまう。それで災害があつた場合に更に集めて払う、お互いの金を出し合うというような形をとつております。必ずしも支払保証という点、国なり都道府県の支払保証がなければこの法律の上に立つて経営できないということはないと思います。なくても結構今の状態ではやつて行けるという自信はあります。ただ願わくはこれ以上のきつい条件が出たりなんかいたしまするでありますれば、くどいようでありますが、若しできますれば再保険の途を開くとか何か危険負担ですね、その場合は考えて頂きたい、こういうことであります。
○高橋衛君 最後に提案者といたしましての小林先生にお伺いいたしたいと考えますが、この法律二案の御提案になつた趣旨については、私実は欠席しておりまして聞かなかつたのでありますが、私の大体想像いたしますところでは、現在民間に相互保険的なものが相当多数に実在している、而もそれが何ら法の監督を受けていない。そのために保全経済会等の先例に見るがごとき非常な災難を一部の人が受ける危険かある。それを防止するということが第一点。それから第二点は、この法の監督を受けることによつて、一般の民法と同じように税法上の特典を受けさしめるということが第二点。第三点は、恐らくは中小企業協同組合というものが更に発達するということが我々望ましいと考えるのでありますが、特に中小企業問題についてこれを打開する途の一つは、中小企業協同組合の、協同組合のみならず中小企業自体の組織化ということを通じて、初めて中小企業の今日の難関を突抜き得る一つの途が開かれるかと私は考えるのでありますが、その組織化に対して相当大きな力を持ち得はしないかという期待を持つておられるんじやないかと考えておりますが、その三つの点がこの立案の恐らく理由ではないかと私は想像いたしておるのでありますが、その三点について何を以て一番重点としておられるか、この辺の御見解を承わりたいと考えております。
○委員外議員(小林政夫君) 提案の趣旨を高橋先生よく御理解になつておつて、非常に何といいますか、提案者として本望でありますが、一番何を以て重点としておられるかと言われますと、まあこの提案に至つた勅機というものが、私大蔵委員会に籍をおいて、保全上経済会の問題についても大分政府に対して、警告をしておつたのだけれども、銀行局或いは法務当局との話合いが遅延をして、ついああいうような事態を起してから、初めて取締法規ができた、こういう事態、類似の件をば今のうちに何とか監督法規を整備しないと又保全経済会の二の舞をするのではないか、こういうことで鞭撻をしたのでありますが、どうも遅々として関係各省の話が進まない、こういうことであるので、それじやまあ一つ自分で一石投じよう、こういうことが提案の最初の動機であります。従つて一応火災保険、又は類似の行為をやつておるいろんなものが今ありますが、それをこういう法規に乗せて、これに乗らない、以外のものは、まあ保険業法及びこの法律の違反業務として取締つてもらう、それ以外のものは火災保険事業を営ませない、こういうことをまあ一番強く考えておつたわけであります。
○委員長(石原幹市郎君) それでは質疑がないようでありますから、参考人の各位に一言お礼を申上げます。 本日は長い間に亘りましていろいろ有益な御意見を誠に有難うございました。 この火災共済の問題も大分長い問題でありますので、当委員会におきましても何らかの成案を得たいと思いましていろいろ研究しておる次第であります。今後とも御意見御希望がありましたならば委員会にまで御連絡を願いたいと思います。有難うございました。 それから、皆様にお諮りしたいと思うのでありまするが、午前中に十二日に更に電源開発の問題について委員会を続行するということを決定いたしたのであります。この委員会におきましては電源開発、特に御母衣発電所の問題について審議したいと思つております。電源開発会社のほうから参考人を招致いたしたいと思つております。それで委員長といたしましては副総裁の藤井崇治君と理事の斎藤三郎君、用地部長の清水元寿君、この三君を参考人として呼びまして、併せて土木部設計課の野瀬正佶君と企画部第一課長代理の酒井正利君を随伴いたして来てもらいたいと、かように考えておるのでありますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないようでありますから、さように決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十四分散会