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19回国会参議院1954/06/01

地方行政委員会 第48号

発言数
496
登壇者
28
会派数
7
開催日
1954/06/01

会議録

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それでは只今から地方行政委員会を開会いたします。  警察法案、警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案を議題に供します。質疑を続行いたします。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 私は小坂大臣に質問したいと思います。小坂大臣は今度の現行法の制定につきまして、どういうふうにお考えになつておられたか、伺いたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 現行警察法の提案理由を申上げますときの私の言葉にもあるのでございまするが、非常にこの警察というような権力組織を民主化したという意味においては偉大な貢献をしたものだと思います。併しながらこれは占領下におきまする所産でございまして、当時の事情をも反映しておりまするために非常に非能率、不経済という点が国民に財政的な迷惑を及ぼしておるという点がございまして、かたがた地域的に国警、自治警というふうにわかれておりまして、その間に連絡調整という、別個のものが連絡をするというだけでありますることが、どうもそうした制度からする盲点の存在を否定し得ない結果を来たしている、こういうふうに考えまして、この点は一つ何とか改善をいたしたいと存じましたのが、この新しく御審議を頂いておりまする警察法の改正案を生んだ動機になつておる、かように御了解を願います。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 現行法は民主的にできておる点は大変いいと思う、そういうふうなお話がありましたが、現行法ができた当時の事情からいたしまして、もう少しその点詳しく御説明願いたいと思う。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 私から申上げるまでもなく、当時といたしましては、日本の占領政策といたしまして軍隊の破壊と申しますか、壊滅、それから官僚組織、殊に警察制度の何と申しますか、完全な地方分権、それによつて日本の民主化を促進しよう、勿論これには大臣もいつか御説明になりましたように、確かに世界の平和が、米ソ手を握つて世界の平和を保ち、且つ世界の民主化を図つて行くという前提に基いた政策だと存じまするが、そういつた政策から出発をいたしましたのでありまして、世界恒久の平和というものを前提にし、日本が再び世界平和の脅威にならないようにという占領政策の根本方針に基く一つの大きな政策の一環としてとられた。その内容は今大臣がおつしやいました通りでありまして、法案自身につきましては、日本の警察法を如何に改めるかということが大きな問題と相成りまして、日本政府側におきましても、警察制度調査会というようなものを設けて検討をいたしましたが、十分な結論を得ないまま、早急に改正を実施すべくGHQから強い指示がありました。当時の日本政府といたしましては、改正に関する意見書をGHQに出したのでございます。その意見書に対する回答といたしまして、警察法改正に関するいわゆるマツカーサー元帥の書簡というものが参りました。その書簡の趣旨に従つて一日も速かに警察法を改正するようにという指令が参つたのであります。マツカーサーの手紙は資料として提出をいたしておりまするが、その中に引用されておりまする政府の意見、政府はどういう組織がよろしいと考えて出しましたか、これは門外不出になつておりまして、今日その政府の出した案がどこにあるか、殆んど全然わからないという状況になつております。そこでGHQのほうでは警察法の原案を作られまして、これによつてやるようにということに相成りました。これについては政府としては意見を差挾む余地なく、殆んどそのままに政府案として国会に提案し、そうしてそのままに議決をされたという状況でございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そういたしますと、現行法の最も重要な点は、私は現行法に示された前文にあると思うのです。今回のこの改正案にはこの前文を抹殺してある。この前文に書かれてあるところの現行法の精神というものは私は全く憲法を警察といつた方面に具体化したもののように思うのです。この点については小坂大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 前文という形式をとります法文の書き方は、我が国の法律には非常にまあ少いのでありまして、極めて異例に属すると考えるのであります。前文にありまするような事柄を私どもといたしましては、これはやはり日本人の感覚によつて法律化する以上、法文の中へ書くというほうがより適当であろうと考えまして、第一条にその目的を謳つておりますのでございます。即ち「民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し」云々とございまするが、飽くまでも警察というものは個人の権利と自由を保護するものである、公共の秩序と安寧を維持するのである、而もそれは飽くまで民主的理念に立脚せねばならんということで、前文にございますと何一の趣旨に基きまして、法第一条にその目的を掲げておる次第でございます。前文のある法律というものは現在は教育基本法、日本学術会議法、国立国会図書館法、憲法は勿論ございますけれども、日本の法律ではこの程度に相成つておると存じます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そうするというと、現行法に示されてあるところのこの前文の精神というものは改正法のすべてに亘つてこれは漲つておると、こういうふうな考えですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) さようでございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そうすると、そこに問題があるのでございますが、一体前文にはこう書いてある。「国民のために人間の自由の理想を保障する日本国憲法の精神に従い、又、地方自治の真義を推進する観点から、国会は、秩序を維持し、法令の執行を強化し、個人と社会の責任の自覚を通じて人間の尊厳を最高度に確保し、個人の権利と自由を保護するために、国民に属する民主的権威の組織を確立する目的を以てここにこの警察法を制定する。」、こうある。私はこの現行法の精神が今回改正されたところの改正案に、今小坂大臣は全部これは漲つておるというようなお話でありましたが、私の解釈する限りにおいては、全然そういうふうな方面は大臣の言うように考えられないのでございます。先ずこの前文に示されてあるところの地方自治の真義の精神を推進するという、それがどこに一体条文なり或いはどこの個所にこれが帳つておるというふうに見られるか。その点の御説明を願います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 憲法も新らしく制定され、又その憲法の下に諸種の法令が続々と作られました占領下のこの時代におきましては、特に日本国憲法の精神に従いということを調うことは非常に奇異の感を当時としては持たなかつたのであります。併し現在私どもといたしてみますれば、日本国憲法の精神に従うことは当然のことでございまして、あらゆる法案において日本国憲法に従いということをわざわざ謳うこともなかろうと、これは当然のことであろうと考えておるのであります。従つてこの法案にはそうした扱い方はいたしませんが、第一条にございます「民主的理念を基調とする」、この「民主的理念」ということにおきまして、只今仰せのごとき問題は包含されておるという考えでおるのでございます。民主的理念とは、民主主義の立場に立ち民主主義を根本とする考え方であつて、憲法に定めておりまする国民の権利に淵源し、国民の信託により、或いは国民のために行うべき基本的人権が保障されること、又地方自治の尊重という観念はそこに含まれておる、包括されておるものである。即ち警察とは国民に代つて国民のためにその職務を行うものである。こういうことでございまするので、当然に地方自治の観念というものは民主的理念というところの中に包括されておると考えておるのであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 今の解釈で私は満足できません。それでだんだんその点について具体的にいろいろ御質問申上げたいと思うのであります。私としてはこの大事なところの前文をこういうふうに抹消してしまうということは、これはただ単に法文の技術的なものの上から考えるべきものではない。やはり今や日本の法律においてはそういうものの必要を認めない、これは慣習だ、こんなことで片付けることができないもののように思う。若しこういうふうな前文というふうなものを外すという考えであつたならば、先ず私は憲法というものの改正から考えなければいけない、こういうふうに思うのであります。その改正なくして勝手にこういう前文を外して、そうして法律の体裁を整える、こんなことでは私は簡単に片付かない問題だと思うのであります。そこで先ず憲法の改正について、先般も私はここで首相にこの質問をしたのであります。併し改正するところの考えは持つておらない。私は改正するところの考えは持つておらないとしても、あなたの所管であるところの労働関係から考えても、やはりスト規制法であるとか、そういうふうなもの、或いはその他の破防法であるとか、或いは教育二法案であるとか、いわゆる労働基本権、或いは基本人権、こういうものを憲法を越えて制約するところの事実がここに現われておる。憲法の改正は実質的に行なつておるんじやないか、こういうことを質問したのでありまするけれども、首相は私はそのようには考えないと極く簡単な答弁で終つておるのであります。あなたは国務大臣として、首相はああいうふうに答弁しておるけれども、相当そういう点については研究せられておると思う。あなたのほうにも憲法改正の何か研究会か調査会というようなものさえ行われておる。そういう点から憲法改正についてあなたはどういうふうに考えておられるか、この点伺いたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 憲法は御承知のように国家の基本法でございまして。みだりにこれについて改正などを試みるべきものでない、という私どもは考えを持つております。この点につきましては総理も先般答えられた通りでございます。従つて政府としては今改正の意思を持たずと、そういうことを答弁されたが、その通りであります。只今お話の中に、この警察法は憲法の精神を変えるものではないかというお話がございましたが、これは全くそういう意図を持つておりませんし、事実法文を御研究下さればそのようなことはないということが明瞭であろうと思うのであります。只今私の所管に属しまする労働関係につきましても、スト規制法の話が出ましたが、あれは何か非常に二十八条の労働基本権を侵害するというようなお説も行われておりまするけれども、元来石炭の争議の場合、保安要員の引揚はいかんという、これは炭鉱というものが保安を必要とすることはこれは明瞭なんです。一体争議というものは、これは雇用関係の継続を前提として行われるものでありまして、争議が行われて、その後において帰るべき職場を失うというようなことは争議行為としてでも妥当でない。これはもう明瞭だと思うのであります。そういうことをいけませんという解釈法規なのでございまして、憲法にも十二条、十三条それぞれ権利というものは公共の福祉を擁護し、或いはこれを守るために、又これを損わないために用いらるべきものであつてその濫用はいかんということが規定されておるのであります。我々は日本国憲法の趣旨に忠実である、飽くまで忠実であると考えておる次第でございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 新憲法ができて、その憲法の精神を汲んでできた当時の労働組合法というようなものから考えますれば、これは一大、私はあなたが何と答弁されても制約が加えられておる。明らかにこれは憲法の精神を越えておるもののように私は考えます。併し今既成法がどうこうというようなことをあなたと討論するわけではない。引例したに過ぎない。そのほか先ず地方財政委員会という独立機関になつた……地方財政というふうなものについてはこれは非常にあなたも御承知の通り重要なものである。これに対しては独立機関としての地方財政委員会というふうなものが国会にも或いは政府にも勧告権を持つておつたこの機関を廃止してしまつたというふうなこと、これらを総合的に考えてみますというと、全く新憲法の精神というものは死んでしまつておる。こういうことが言える。その他まあ例を挙げれば幾らも出て参りまするが、そういう方面は今のところ深く入り込むことを私は時間の関係上考えますので、そこでもう一点その点について伺いたいのは、あなたは党の憲法の研究会、そういうふうな方面のメンバーになつておられるか、この点を伺いたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私はその会には何ら関係を持つておりませんが、伝え聞くところによりますと、これは又総理も答弁をしておられましたが、日本国憲法は如何に運用さるべきかということの研究は当然必要であると、こういう趣旨で設けられたものであるということを聞いております。ただ、私はその会に何ら関係を持ちません。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 関係をお持ちにならなくても、あなたも閣僚に列しておるようなかたであるし、相当党としても重要な地位にあるかただと思うのであります。そういう点から考えまして、研究会が今どういうふうな経過を辿つておる、どういう研究をやつておられるか、そういう点を御存じでありましたら一つお願いしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 研究会の会長が任命せられまして週に一回ですか、何か私も余りよく存じませんが、月に何回か定例に会合を持ちまして、憲法の各条章について研究をいたしておる。始終学者を呼んだり、その方面の権威のおかたがたの意見を聞くということをいたしておると聞いております。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 それ以上内容について御存じなければ聞いてみたところで問題になりませんので、これはその程度にしておきます。  そこで先ほどの問題になつて参るのでありまするが、いわゆる現行法の前文にあるところの精神が、この条章にすべて現われておる。又第一条からしてよく現われておるというところの御答弁でありましたが、それらにつきまして先ず第一に伺いたいのは、この前文の民主的保障を確立するというふうなことがどこに一体保障されておるか。この点に私は改正案について疑問を持つておるのであります。それを伺いたいと思うのであります。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 民主的保障の一番眼目といたしましては、中央、地方に公安委員会を設けるということが特典でございます。勿論中央の国会、地方においては都道府県会、この事実上の干渉を法律によつて受けるということも当然でございまするが、特に警察法におきましては中央、地方に公安委員会を設けたという点でございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そうすると、民主的保障をしてあるということは公安委員会を設けておるということに尽きるというふうなことになるわけですか。そういたしますと、その点について伺いたい。現行法におきましては、国家公安委員会も又都道府県の公安委員会も共にそれぞれの人事権を持つておつた。そうなりますというと、我々が考えましても、成るほど公安委員会というふうなものは、これは設けておるところに民主的な保障を確保しておるというふうに考えられますけれども、今回改正されたこの原案には人事権については殆んど現行法の精神が抜かれておる。そういう点につきましてどうお考えになりますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 現行法におきましては、都道府県の公安委員会は人事権、人事管理の権限は一切ございませんが、その他の公安委員は人事権の主体に相成つております。今度の改正法案におきましては、都道府県の公安委員会は人事権につきましては主体は持ちませんが、併しながら懲戒罷免の勧告権、或いは警察本部長が部下を任免する際に意見を聞かれるというように、都道府県から見ますると、人事権は拡大されております。併し国家公安委員会及び市町村公安委員会に比較をいたしますると、今度の案では人事権につきましては受動的な立場をとつておるということになるわけでございまするが、これは一面警察治安に関する政府、内閣の責任というものと調和をいたさせまするためにとつた方策でございまして、併しこの故に公安委員会の警察の管理の機能というものは全く無に帰するかというと、決してそうではないのであります。国家公安委員会にいたしましても、都道府県公安委員会にいたしましても、警察の管理は全面的の責任を持つて行うのでありまして、その場合に人事について必要と思えば懲戒、罷免の勧告もできるのでございまして、他の行政機関に比べまして、やはりこの公安委員会というものは異例な民主的運営を保障する機関だと、かように確信をいたしておるのでございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そうしますと、あなたの今の御答弁で行きますというと、まあ公安委員会は一つの人事権を持たないけれども、罷免勧告の権利を持つているから、現行の場合と何ら変りなく民主的な保障がなされていると、こういうふうな御答弁であつたように思います。あなたも長年警察関係の面でこの行政に当られているかただと思うので、旧来の、いわゆる戦前の警察制度において、まあ先般も公述人が全く涙を流さんばかりに当時の事情を公述しておつたごとく、如何に人事権というものがこの警察の民主的な保障ということに重大な使命を持つているものであるか、我々は一人の公述人のああいうふうな公述を聞いてさえそういうふうに思うのであります。ところが長官の御答弁は、罷免の勧告権があればそれでその保障が付いている、これは全く我々は了解できない。勧告は勧告に過ぎない。実体を握つているものは総理なら総理にある。こうなつたときに、どこに一体国民を代表して出たところの公安委員その人にこの民主的な保障がされているのですか、この点をもう少し伺いたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 私は過去六年間の体験に徴しまして申上げるのでございますが、現在の例えば国家地方警察の分野におきましは、都道府県の警察官はすべて国の官吏でございまして、そうして長官が隊長の人事につきましては誰にも諮らずにやれるという立場になつております。この面から申しますると、国家地方警察は人事の面におきましては、誰の容喙も受けることなしに勝手にやれるという、強い中央集権だと、かように批判されても止むを得ない組織になつておるのであります。そうして都道府県の公安委員会は、人事については罷免勧告その他の法律上の権限は一切ございません。にもかかわらず、それでも都道府県に公安委員会が存在しておるということは、警察運営に非常な民主的な保障を与えておるのでありまして、如何に人事権が一本になつておりましても、併し警察の仕事の面におきまして、公安委員会という民主的機関が都道府県に存在しておる。又中央において国家公安委員会が長官を監督をしておる。この二つによりまして只今おつしやいまするような官僚的な、或いは独断的なそういつた運営というものは絶対にできない保障に相成つておると思うのであります。わかりやすく申上げまするならば、少くとも都道府県の公安委員会、全国で百八十人ほどおられるわけであります。これは各政党的な立場をそれぞれ持つておられるかたがたもあります。でこれらの存在というものを無視して、そうして独善的な或いは秘密的な運営が行われるか、これは絶対に行われるものではないのでありまして、この機関が存在しているということが無言の非常に大きなそういつた民主的な保障になつている。これは私の体験からも申上げられると思うのであります。今度の制度はそれに加えて、更に人事については勧告、罷免の権限、行政運営一切の権限を都道府県公安委員会が持つと、こういうことに相成りますれば、この保障はむしろ国家地方警察の面におきましては非常に強化をされた、かように考えるのでございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 今の御答弁は私は甚だ奇怪だと思うのであります。確かに現行法を作つた当時においては、あなたもそれに対していろいろな先ず献策されたかただと思うのであります。その当時においては公安委員会が現行法のような一つの権限を持つておつた。そういうふうにならなければ警察の民主的な保障というものは保たれないということをあなたは力説されたに違いない。それがです、今全国の公安委員のかたにいろいろ聞いて見ましても、今度は全く我々は案山子のようなものだ、こう言つているくらいであります。こういうふうなこの状態に置かれては、いわゆる都道府県の公安委員会においては全く人事権というものは、本部長の人事権は持つておらない。こんなふうな警察の運営ということは、全く我々としては骨を抜かれてしまつたようなものだ、これは私はその通りだと思う。それを今のあなたの御答弁を聞いておりますというと、あの当時よりもむしろ権限が強化されて来た、こんなふうに答えられている。甚だ私は奇怪だと思う。なぜそれだけ必要なものであつたならば、この現行法を作るときに、改正案のごとき考え方で以てやらなかつたか、この点を伺いたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 現在都道府県の公安委員会は、人事行政の面につきましては一切権限がないということは御承知の通りだと思います。今度の法案によりますと、都道府県公安委員会は受動的であるとは言え、持つということになりましたことは強化をされた点であると、かように申上げたのでありまして、現行法を作りました際におきましては、政府の意見というものは一切取上げられなかつた、我々干渉する機会も全然なかつたのでございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 この点ですね。私は公安委員長がおいでになつているはずでありますからして、公安委員長に伺いたいと思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 今連絡中ですから、ちよつと保留して下さい。すぐ来ますから……。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 それでは公安委員長がおいでになるまでに、他の事項について更に伺いたいと思うのであります。  今度の場合においては、国家公安委員会の委員長が国務大臣を以て充てられている。これは又極めて重要な問題でございまして、公述人のいろいろな公述を承わつても、又新聞或いはその他で学識経験者の発表を見ましても、誰一人としてこれに賛成する者はない。そう言つてもいいくらいであります。なぜ一体公安委員会の委員長に国務大臣を充てたのか。その先ず深い根拠を伺いたいと思います。この点について……。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 極く常識的に考えましても、政府が治安の責任を負わんということは言えないと思います。やはり政府としては治安に対する全般的な考え方を持つているのでありますし、又それに対しての責任も国会に対して負わなければならない、これは当然であると思うのであります。併しそれを徹底させて参りますと、今度は政府の政治的な意図というものが治安関係に介入し過ぎるという問題が出て来るのであります。これは又非常によろしくない問題だと思うのであります。そこで政府としての責任を明確にしつつ公安委員会という独立したところの身分保障のある見識ある委員によつて構成される機関によつてこれが運営される、政府の意見も聞きつつ運営される、又政府の意見をチエツクしつつ運営される、こういう点で責任と民主的保障とを按配するということを私どもは考えたのでございまして、この点につきましては、細かくは先ほど来しばしば申上げておりますように、公安委員会の委員というものが奇数委員会でありますし、それぞれ独立した権限を持つている。委員長は会議において採決するだけであるというようなことで以て、よい意味で政府の意見を交流させる、又逆に公安委員会の意見を政府に反映せしめる、こういう調和点を見出したものでございますが、この調和点については私どもは苦心の作である、こう考えている次第であります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 なかなかお考えになつた苦心の作であるように私も考える。そこで政府の警察に対するところの、国家的な治安に対するところの責任の明確化だというようなことが言われているのでありますが、政府のそれに対する責任の明確化ということについて私はよく了解が行かないのであります。その点を一つどういうふうにお考えになつておりますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 現在の国家行政組織上の関係を申上げますると、公安委員会というものがありまして、総理の下にあるわけであります。総理は非常に多忙でありまするし、関係するところが多いので、担当大臣というものがおる次第であります。そこで担当大臣の職能というものはどういうものかと申しますと、予算の編成、執行、或いは法案の説明、こういうことでありまして、法案でもございませんければ、殆んど国警自体にも御意見を伺いに行く、或いは来てもらつて話を聞くということは、或いは不可能ではないでありましようが、そういうことは別に権限の中にはないのであります。予算を作る際に意見はどうかと聞く、或いは法案があればそれについてどういうふうに国会に対して御説明をするかという必要上意見を聞く、こういう以外に何もない。そうすると非常に政府が全般の治安に対して責任を持つていると申しながら、これはなかなか政府の意見を反映させる方法がないのであります。併し今申上げたように、政府の意見をすべて治安機構に指導的な意味で流して行くということを強くやり過ぎますと、これは政党的なものが強く治安行政に入り過ぎるというので、その間の調整というものはやはりこの法案にございまするような、国務大臣が委員長となるがいいではないかという程度のものが適当ではなかろうか、こういう点に落着いた次第でございまして、現在では余りに無関係であり過ぎる、こういう感じを持つているのであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 その苦心の作の政府の責任を明確化するということから、委員長を国務大臣にした、こういうふうな御説明でありましたが、それを更に突込んで考えて行つた場合に、あなたは先ほど表決権は持つていない、こういうふうに言われましたけれども、これは可否同数の場合には当然採決するだけの権限を持つているのですから、極めて私は大きな表決権というものを持つているように考える。この点はあなたと見解を異にするのであります。そういうことで国務大臣が公安委員長になるということは、責任の明確化ということにはなるかも知らんけれども、併し一方これによつて生じて来るところの弊害というものは私は大きなものがあるように思う。何といつたつて採決権を持つている。そうすると国務大臣でありまするからして。政府の内閣の一員である。政府の意向によつて民主的であるべきところの公安委員会の運営が制約されてしまうということは、誰が考えてもそういうふうになるのであります。従つて先般も国会で大問題になつたいわゆる法務大臣の検察庁に対する指揮権の発動、同じようなことがこれは常時繰返されて来るのじやないか。そうなりますというと、あなたが非常に苦心の作だということを言われましたけれども、その裏面におけるところの弊害と言いましようか、或いは政府の警察に対するところの考え方というようなものは千里も先を走つているように私は考える。この点どういうふうにお考えになりますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私はあなたの御見解とは少し違うので、御説明申上げたようなことになりますが、国家公安委員会がそれじやすべて警察業務万般を指揮するかというと、そうではございませんので、府県の公安委員会というものが独自の権能を持つて活動する。国家公安委員会というものは五条二項に掲げられておりまする警察に関する諸制度の企画とか調査、或いは警察の予算、或いは三号、四号にございますような国の公安に係るものについて、例えば大規模災害或いは騒乱というようなことについての任務を遂行する。或いは六号から十号までにございますような維持とか教養規定であるとか、通信規則であるとかいうような規則を制定する、或いは十一号、十二号にございますような任用の基準とか、或いは他の警察消防とか郵政監察とかというような特別な警察関係との連絡調整をやるとか、そういうふうな非常に限られた範囲内で活動するのでございます。併しそうした点から見まして、私はその範囲においての国の責任というものを、現在の形でありましたらどうも全うし得ないだろうと思いまして、こういう制度が最もよろしかろうと思つているのであります。通常法務大臣の指揮下にあるのでございますが、これをお認めになつている現行法の建前からいたしますれば、この公安委員長が国務大臣であるということは、それよりも更に関係は薄いものであるということが言えると存じております。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 ちよつと関連して……只今の御答弁で、現在の制度では政府の治安に対する考え方は全然反映する途がない、こうおつしやるのですけれども、併しそういうことはないので、例えば今国警担当大臣という制度がありまして、そうして警察関係の予算、法律、制度というようなことを受持つてやつておられる。この予算を握つているということは、これは実に考えようによつては強大なる統制力になるわけなんで、現に地方自治体なんかにおきましても、町村議会なり或いは府県議会なんかが、町村長なり府県知事に対して非常に発言権を持つているというのはつまり予算を握つておるから、国会が政府に対して強い統制力を持つているということも、やはり予算なり法律案なりの審議権を持つているということがもう最大の武器なんであります。そういう点から言えば、政府が国警担当大臣を置いて、担当大臣が警察関係の予算を握つているということは、これはもう何物にも勝るところの強いやはり統制力の源だと思う。その予算の編成なり或いは法律制度の面から、これは十分治安に対する政府の考え方というものを警察行政に反映して行くということはできるのではないかというように考えるのですが、その点如何ですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) その点になりますと、残念ながら見解の相違ということにならざるを得ないと思うのでありますが、私どもは治安というのは常時動いて行く、而も非常に複雑な問題を処理する関係におきまして、内閣が責任をとるということからいたしますと、予算だけを握つておるからすべてやれる、或いは法案を新しく作る場合に、それも国会の説明役は担当大臣だからそれでいいのではないかというふうには言い切れないものがある、こう思つておりますのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 見解の相違とおつしやるけれども、見解の相違ではなくて、やはり私は国警がいろいろな治安維持のための活動をするにしても、やはり元は予算なんで、予算あつての活動なんですから、その元を握つておるということは、それを通じていろいろな面についての政府の発言権なり、或いは政府の希望なり意見なりというものは十分反映し得るのだ、若し警察が政府の意図と全然反するようなことをやるということならば、政府のほうでこれは積極的にどうしろこうしろという指揮権はないにしても、予算の面において十分コントロールできるのではないか、むしろそういう形でコントロールをやつて行かれたほうが、やはり現行警察法の建前から申しましても、又憲法の建前から申しましても、本当に警察の政治的中立性を保障するゆえんではないか。あえて制度の上でも公安委員会というものをすつかり性格の違つたものにして、そうして国務大臣をわざわざ公安委員長というような形にされなくても十分やつて行ける。それで特に大臣なり長官の繰返しお話されるところは、公安委員長にしたところで、公安委員長に何の権限もあるのじやない、一口に言えば床の置物みたいなもので、ただ政府の考え方を公安委員会に反映するというか、連絡調整ぐらいの役目に過ぎないのだと言うてその説明のときには至極公安委員長たる国務大臣の権限なり役割なりというものを、そうそんなに取立てて言うほどのものじやないのだというようなことを、極めて何でもないという説明をなさるのですけれども、それだつたらあなたの言つておられる予算なり或いは法律制度にしても、法律案を国会で説明するだけだといいましても、やはり法律案を作るときには当然あなたが干与されるわけですから、その機会にやはりあなたとしての積極的な意見は十分盛り込める機会があるわけです。むしろ今のやり方のほうがいいのじやないか、そういうふうに私は思うのですが、どうですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) のちほど又あなたの御質疑の時間にこの問題はゆつくり御論議を願いたいと思いますが、私どもは予算の作成とか、法律の説明とかいう際の主体でございますね、例えば内閣が予算を編成するのでありまするが、その予算編成が積上げられております過程においては、担当大臣というものは全然無関係、事実上無関係であろうと思います。結局公安委員会が主体でございまして、公安委員会でやつて参りますれば、担当大臣はそのまま閣議において取次いで行く、予算が編成されたのちにおきまして大臣ができましても、これは予算が国会を通過したのちにおきましては、何らこれに関係するところは実はないので、そこで私がさつき治安のような動く問題は、やはり常時に何らかの自分の意思を映させる、或いは取入れてもらえる、それに対する保障はないにしても、何か自分の意見を常時述べ得るだけの場所は必要である、こういうことを申上げておるわけでございます。なお法案の作成等の状況その他につきまして、実際問題から見て、国警長官が過去の経験を話して頂くと、この問題に非常に役立つと思いますから、国警長官から補足して御説明申上げます。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これも私の過去の経験でございますが、成るほど若木委員のおつしやいますように、担当大臣としても或る程度意図の連絡が十分できるではないかとおつしやいますのは、その通りでございますが、併しながら実際問題といたしましては、やはり常時国家公安委員会の運営の中に入つて、そうして警察の実情、実際の運営というものを見てもらつているのと、ただ外部において連絡者という形におられるのとは非常に相違を来すのでございます。政府においていろいろ施策をなされます場合においても、絶えず日本の治安の現状というものと考え合せなければならない施策が非常に多いと私は思うのでありますが、併し閣議において、ただ連絡者として担当大臣として、こういうような状況のようだから、こう政策はなければならないという発言、或いは政府としてはこういうような治安の維持をやつてもらいたい、警察のあり方は民主的にこういうようにあつてもらいたい、国会においてはこういうように政府が答弁をしておる、その答弁の通りやつてもらいたいというのも、これはやはり責任者としてその立場において、発言を述べるというのとは、実際問題としては非常に相違を来すと思うのであります。私どもその関係から申しましても、何か国家公安委員会、或いは警察というようなものが政府と全く独立のような立場にある、政府との関係というものは、ここに本当に制度の上では正しい意味において、離れた関係にあるという立場にありますことは、実際問題といたしまして相当不便等が警察の側からもあるのでありまして、このために民主的な運営、民主的な管理というものが損われないということであるならば、この制度が一番望ましい。そうして果して然らば中立性をこれによつて失うか、こう考えますと、大臣からたびたびお答えになつておられますように、この五人の委員、任期の保障された、国会で承認を与えられた五人の委員がおられるということによつて、政治的にこれが左右される、中立性を失うというような運営にならないと、かような確信をしているのでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 その点は実際問題は便宜なり都合の問題ですが、先般来の小坂大臣なり斎藤長官の御答弁では、国務大臣を国家公安委員長にしたけれども、これはそうその点に重点はないので、大した問題じやないので、要するに連絡機関に過ぎないのだ、連絡に過ぎないのだというような御説明だつたのですが、今の斎藤長官のお話によると、単なる連絡では困るので、やはり常時警察の内部に入つて指図をしてもらわなければどうもうまく行かないのだというようなお話で、その点も非常におかしいと思うそれからもう一つは、今日までの御説明では、国家公安委員長は国務大臣にするけれども、併しそのために国家公安委員会の自主性が損われるとか、或いは国家公安委員会が政府の下に立つというようなことは絶対にないので、飽くまで国家公安委員会は実質的に独立した政治的中立の立場を堅持する機関であるというようなお話だつたが、今の斎藤長官のお話によると、政府と独立した機関では困るので、飽くまで政府の下に立つものでなければ実際の運営上都合が悪いのだというようなことですが、そのときそのときでそういう別々なことを言わずに、もう少し一貫したことを言つて頂きたいと思う。その点は如何ですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 私の申上げましたのは全く独立をして、そして政府とは運営において全然無関係だというようなあり方は政府の治安責任という面から困ります。又実際の運営という面からも困ります。そこで形の上では公安委員長を国務大臣にいたしまして、そこで政府のほうで政府と国家公安委員会というものが制度の上で密接な繋りを持つ、このことが望ましい、かように申上げておるのであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 先ほどの長官の御答弁は、私は長官は語るに落ちているのではないかと思う。いわゆる今度の改正法案では民主的な保障は確実にやつておるのだ、こういうことであつたのでありますが、先ほどの御答弁を伺つておりますと、国家公安委員会に国務大臣が入つている場合と、それからただ現在のように外から連絡するという場合とにおいて非常に違つて来るのだ、こういうふうな御答弁があつたのでありますが、これは今度の改正法と現行法の根本的な違いであるということをみずから語つておられるのじやないかと、私はそう思う。警察に対するところの考え方が全く変つた、こういうことを私は実証しておられるのじやないかと思うのであります。現行法においてはとにかくまあ国家公安委員会のうちに国務大臣が入つておらん、今度は入つておる、なぜ入らなければならんかということが、政府の警察に対する考え方はいわゆる中央集権化して行くというふうな形をとる、政府は絶対に警察権を握つて行かなければならんという考え方からそういうふうに変つたのだ、こう私はあなたの御答弁から解釈するのであります。そうするというと、民主的に保障しておるのだ、保障しておるのだと言いながら、事実においてそれを否定しておる、こういうことになりはせんか、こういう点についてはどうですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 私は警察の運営というものは政府の治安の責任というものと密接な関係を持つてやはり運営される必要がある。併し民主的な運営というものは損われるものじやない。民主的な運営は政府の意図如何にかかわらず、又政府というものと無関係に運営をしなければならないという意味ではないと思うのであります。正しい政治のあり方というものと警察の運営というものは私はこれは常に連絡の途が確保されているということが望ましい、かように申上げたのであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そこでただ連絡機関として外にあるのでは駄目だ、公安委員会の中に入つているのでなければ駄目だというような考え方は、これは今の公安委員長を国務大臣にするというふうなことばかりでなしに、その考え方は他に波及しておるように私は思う。即ち先ず公安委員会の委員長は国務大臣を以てこれを充てる、それから警視総監の任命は首相がこれをやる、それから都道府県の本部長、これは首相によつて任命されるところの警察庁長官が任命する、そしてその任命に対しては都道府県の公安委員会が関与をしない、ただ罷免の勧告権だけを持つている、こういうふうに考えてみますと、これはただ単に国務大臣を充てたということばかりでなしに、あなたの警察に対するところの考え方が順次そういうふうにこれらに波及して変つて来ている。民主主義だ民主主義だ、これが民主的な保障をしているのだということは全く偽装であつて、実際は中央集権化しているというふうに私は考える。この点は如何ですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 任免権の点もこれはやはり政府の警察に対する政治責任を明らかにするという見地から改正を加えたのでありまして、併しながら警察に対する政府の政治責任を完全に明確にいたすという面からだけから考えますると、公安委員会という制度はないほうが明確になることは申上げるまでもないと思います。併しそれでは警察の中立性というものが損われますから、そこで公安委員会というものを設け、警察の管理については公安委員会が全面的に責任を持つ、中央地方において責任を持つ。その中立性確保の保障と政府の政治責任を明らかにするという点の調和を図つたのがこの制度でございまして、ただ政府と離れた完全に独立した、そうして政治的中立ということだけを目的といたすならばお説の通りでございますが、それに政府の政治的な責任というものも政治的中立性と調和する限度において明らかにいたしたいというのがこの法案であります。人事権もさような意味におきまして公安委員会の意見を聞いて任命し、公安委員会には懲戒罷免の勧告の権限を与えるということによりまして、政治的の中立性と政治責任というものの調和を図つたのでございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 政府の政治的責任と民主的な方面の調和を図つた、こうおつしやつておりますけれども、私は調和を破つているように考えられるのであります。一体あなたは恐らくこういうことを強調されていると思うのであります。行政のこの機関の任免権はどこに存在するかということは、これは行政上極めて重大なことなんであります。その行政を左右して行くところのものは任免権の所在にある、その任免権の所在を政府が握つているということは、これは殆んど民主的な保障という、民主的な方面ということをこれを消している。あなたは調和をしていると言うけれども、私は消して、そうして政府の権限というものを警察に対してこれを強化している。どこに一体調和をお認めになりますか。私は逆に公安委員会に任免権を従来のごとく持たしておいて、それに対して政府が連絡をして来るというのならば、私は幾分その場合において調和を認める。それが逆になつている場合においては、任免権の所在によつてこれは殆んど民主的な立場を消してしまつている、こういうふうに考えます。私はあなたのは調和ではなくて調和をこわしているものだというふうに考えますが、その点如何ですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) この点は専らかかつて公安委員会制度の価値というものをどの程度御認識頂くかということに私はかかると思うのであります。成るほど人事権も大切でございましよう。併しながら事実上の指揮監督をする、指揮監督というものも極めて大切でありまして、今日の特に第一線の警察の責任者である都道府県の公安委員会というものは、この法律に規定された限度におきまして、指揮監督を受けるにいたしましても、この公安委員会が中央の指揮監督に従わなかつた場合にこれを強制的に従わしめる担保をすべきものは何もないのであります。この点はそういつた公安委員会制度を持たない場合に人事権を掌握しているというのとはこれは非常な相違でありまして、中央から指揮監督をせられる、それが法律の限度を逸脱している、或いは都道府県の公安委員会が考えて都道府県の実情に合わないという判断をいたしました場合に、都道府県会安委員会は独立の判断で警察を指揮監督をすることはこれは当然であります。この場合に公安委員会に対する懲戒罷免の権限もなければ処分を取消す権限もないのであります。さようなわけでありまして、公安委員会制度というものはこれは私は非常に大きな働きをなすものだと、かように考えまするので、さようにお考え頂けますならば、ここらが丁度調和を図つたいい点ではないかと思つておるわけでございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そういう点につきまして、丁度青木公安委員長がお出になりましたから伺いますが、先ほど来あなたがお出にならない場合に長官からいろいろな御答弁があつたのでありまするが、先ず私はあなたに伺いたい点は、現行法におけるところのいわゆる公安委員会の任務というものと、それから改正案に示されて来たところのいわゆる人事権も持つてはおらないところの公安委員会、こういうようなことになりますると、この警察の行政管理、或いは運営管理というような方面に私は変化が来るものと思う。そういう点につきまして御経験のあるところのあなたはどういうふうにお考えになつておりますか、この点。

青木均一国家公安委員長

○政府委員(青木均一君) 只今お話の現行法におきます公安委員会の意義につきましては、これは私ども極く常識的に考えてかように存じておるのであります。警察の仕事は、現代の政党政治においてはどうしても選挙その他の政党の利害に関係するものが非常に多い。そのために警察の仕事というものは中立性を持たしたがよろしい。中立性を持たせるとなりますと、適当な民主的保障のある方法で運営管理する機関を要する。これには公安委員会制度が最も適しておるのではないか、さような考えから公安委員会制度が生れたものと存じております。ただここで、これも私は余り法律に詳しくないので誤つておる場合は又御指摘願いたいと思うのですが、内閣には行政上の責任がある。警察行政に関して一切公安委員会に委ねてしまうということは内閣の責任が疎かになりやしないかという御意見もあるように承わつております。これに対して私どもはこういうふうに考えております。非常な場合には勿論非常事態宣言によりまして内閣が責任を持つ。又現行法におきましては、公安委員を内閣が任命する、而もそれを議会が承認をするという形、又六十一条の二項におきまして、総理大臣は重要な問題について指示することができる、かようなことがありまして、内閣が常に公安委員会と行政上密接な連絡をとることができる。そして間接に責任を負うことができるから、公安委員会に治安の行政上の責任を委任して、そうして平時においてはそれをやらせると、かような仕組になつておると存じております。  そこで改正案におきましてどうなるかというのでございまするが、改正案の政府原案におきまして一番問題になりますのは、国警言長官の任免でございます。これは国警長官を任免することを政府がすることになりますと、実際は国家公安委員会の一番主要な任務というものはなくなりますし、そこで、中立性を考えて与えられました任務というのはなくなるのではないかと実は心配しておりましたのですが、衆議院の改正案によりますと、これは国家公安委員会に委任する、やはり今まで通り国家公安委員会にやらせるということになりましたようでありまするから、この点については従来我々が考えておりました公安委員会の行い得る、公安委員会の存在の意義そのものは変らないと存じております。そうしてこれをもう少し末節に行つて恐縮ですが、公安委員会制度が只今の現行法では各自治体に公安委員会がありまして、自治体の治安につきましてはその公安委員会が責任を持つ。府県にも公安委員会がありまして、これは一種の、現行法におきましては国家公安委員会の仕事の一部を担当する、運営管理については担当する。国家公安委員会の仕事ではない治安の仕事の一部を運営について担当することになつている。これらの非常に複雑な形のものが今度の改正法によりますと、一応原則として府県単位の自治体警察というような形になりますものですから、この点非常に簡素化されますし、筋も割合に通つて来るのではないか、かように考えるのでありまして、公安委員会制度の意義そのものについては、改正案が若し通りましたならば、甚だしい違いはなく、内容においては簡素化されまして、むしろ能率的になるのではないか、その上に経費その他において多大の削減ができるとすれば、その法の目的は相当よい結果が出るのではないかと存じております。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 こういう点について私はもう少しお伺いしたいのですけれども、持時間も余りありませんので、あなたの御意見を伺つた程度にしておきまして、先のほうに進みたいと思います。  小坂大臣に伺いたいのでありますが、この治安の維持については私はただ単に警察の権力を中央に集めて、そして命令一下これを全国津々浦々に取締の態勢が一挙に整うと、こういうことを考えるよりも、先ず国の独立とか、或いは政治経済の安定、又民生の豊かないわゆる保障、こういうことが整えられて来て初めて私は治安というふうなものの確保、或いは維持というふうなものの根本が養われて来る。又実際もそれに伴つて有効に現われて来るものである。こういうふうに考えておりますが、大臣はどういうふうに考えておりますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 治安の維持の根本というものは、やはり広義の民生安定にあるということは私もその通りだと思つております。やはり経済状況をできる限りよくして、又その富の分布が公平に行われる、そして国民の教養も豊かになるということが治安の根本であろうと私は思うのでありまして、併しそうしたことはこれは不断に努力して積み上げなければならないものでありますけれども、この間にやはり治安というものは常にゆるがせにできんものである。そこで治安の維持の機構というものについても、そうした見地に立ちましても、やはりでき得る限り国民の負担の少い、能率のよい、而も、この中立的で且つ民主的である機構を保持して行くことが必要であると、こう思うのでありまして、私はもう政治的にはこの安い政府といいますか、チープ・ガヴアンアメントという思想を貫くということを政治的理想の一つにしておるのでありますが、その一つといたしまして、治安機構というものもでき得るだけ国民の負担の少いものによつて行うべきである。チープ・ポリス・システムといいますか、そういうように考えます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そうしますと、根本をどちらに置くかということになるわけであります。取締というような方面に置くか、或いは民生の安定保障というような方面に置くか、これはあなたはどちらのほうに考えますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 民生の安定の保障ということと随伴して、やはり治安の確保ということに行かなければならないと思います。両々相待つてということが一番妥当じやないかと思います。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そういう立場から考えますと、私は警察の本体は自治体警察にある、こういうようなことになるんじやないかと思うのであります。これはどのようにお考えになりますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 警察権というものの本質をどういうものに理解するかということでございますが、その問題はそういうことでなかろうかと思うのでありますが、警察の職能という、権能というものは、本来国の統治権に基く作用であることは先般申上げましたが、この性質が国と地方の両者の利害に関係を持つものでございまして、この権能を地方公共団体と国との間に如何に配分するかということは、国の行政の責任と、地方自治体の本質というものを統合的に勘案して法律で定めるべきものであると、こう思つております。これは国によりまして、警察のあり方というものはいろいろ違うので、御承知のようにアメリカのような国は、このフロンテイア、移民が東から西にかけて移動する、その過程において村を作る。その村の自治をどうするかということで、カウンテイー・ボロの警察というものができておる。それが大体州という一つの統一体になりますと、そこに州警察というものができる。国という合衆国のものとして国の警察というものができて来る。そうした自然発生的な経過をとつておる。併しアメリカにおきまする治安制度というものは、国の警察も、州の警察も、カウンテイー・ボロの警察もやはりお互いにその中に入つて自由に行動ができる。ヨーロツパ大陸系のほうはそうでなくて、やはり頭で考えた治安機構というものになつておる。併し、アメリカのように自然発生的なものにおきましても、やはり今申上げましたように、地方の自治体の中に国の警察が自由に入つて行つてやつている。併し日本の場合はその両者のいずれにも属さないのでありまして、現行制度におきましては、国警、自警というものは地方によつて分れておる。そうしてこれは自警の領分、国警の領分というようなことで、非常に本来のセクシヨナリズムが禍いしておると思いますが、その間の有機的な連絡を欠いておつて 一つの盲点を作つておる。有機的な関連を欠いておつてそれが盲点を作つておる。これが国民のために不測の、測らざる経費の不経済というように一般に認識せられておると思うのであります。そこで私どもは、国の警察という職能の本来持つ、国に関係ある分、地方に関係ある分の両者を按配して、縦割りにして府県自治体警察、これは完全な自治体警察とは言えんと思いますが、そうした府県自治体警察というものによつて一本化しよう、こういう趣旨でありますことを御了解願いたいと思います。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 ちよつと関連して……。警察の権能が国の統治権に基く作用であるということを再々おつしやつておりますが、そういたしますと、この地方の固有の事務としての警察権というものはお認めにならないわけですか、その点。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 地方自治体は、この地方公共団体の事務として例示しております例えば地方自治法第二条第三項第一号にございまする地方公共の秩序を維持し、住民の安全を保持するということの中には、地方公共団体の公共事務としての権能、即ち地方公共団体が公安に関係する条例を定めたり、或いは自警団を組織したり、防犯活動を行なつたり当然この地方公共団体が全く自主的に営んで然るべき権能があるのでありますが、このほか警察法にいう警察の組織を維持するという場合には、更に委任事務としての権能が含まれている、こういうふうに理解いたしております。新警察法案は、即ちこの警察組織としての市町村警察を廃止して、その地方公共団体の公共事務としての警察の権能を奪うものではない、こういうことでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 その点はいいんですがね。この国の統治権ということになりますと、やはりこれは国の主権者だとか、或いは支配権だとかいう意味であろうと思う。で、それをこの一方で言いながら、他方においてこの地方の固有の事務としての警察権を認めるということになりますと、そこに矛盾があるのじやないかというように考えるのですが、この警察権がすべて国の統治権だということになりますと、結局すべての権力はこの国のものであつて、それを地方に分けてやるのだ、こういう考え方になりやせんか、その点如何ですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 地方にはこの公安に関する公安条例を定めたり、或いは自警団を組織したり、防犯活動をしたりするという、そうしたこの自主的に営んでよろしい機能があるわけであります。併しこの警察権というものは国の統治権に基く作用でございまするから、そうした警察組織としてのこの権能を地方に団体委任するという形になります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 ちよつと今の点よくわからないのですが、そうするとこの自警団を組織したり、防犯活動を行なつたりするというようなことも、それが警察権である以上は本来国の統治権に基くものである、それを団体委任によつて地方の事務にしているのだと、こういう考え方ですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 大臣のお挙げになりましたように、地方公共団体が公安の維持を図つたり、秩序の維持を図るために、条例を設けたり、或いは自警団的な組織を作つたり、防犯活動をやつたり、そういうような事柄はこれは自治団体の固有の事務、いわゆる公共事務だ、かような考えをいたしているのでありますが、警察法にいういわゆるこの警察、そうして警察官が権限を以て国民の自由や権利を法律によつて場合によれば拘束しながら秩序を維持する、こういう警察はこれは国の行政事務でありますから、これを法律によつて公共団体の行政事務として公共団体に委任してやる、そういう解釈をとつて、又本質はそうあるべきである、かように申しておられるのでありまして、地方公共団体の行う事務の中には本来の公共事務と行政事務がございまするが、自治法の第二条第三項第一号に書かれておりまする「地方の公共の秩序を維持し、」云々という中には、本来の固有事務と、それから法律によつて与えられた行政事務、両方がその一項の中に入つている。さように御説明を申上げておる次第でございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 関連質問……。小坂国務大臣は警察作用と申しますか、或いは警察権というものは国の統治権である、或いは基く、こういうふうにまあ一括して言われるわけです。併しながら我々はやはり地方自治法にある公安を維持するとか、或いは秩序を維持するとか、或いは防犯の活動を条例で定めるとかいうことは、やはり市町村なり府県、と言つてもいいでしようが、固有の事務である、こう考える。ところが改正法の場合に、府県に対して団体委任をする、警察権の一部を団体委任をする。その警察権は統治権に基く、或いは統治権であるという理窟は成立つと思うのです。併し現行法におきまして、市町村が持つている固有の秩序維持の権限というものは、自治法の建前と完全に一致するものでありまして、これをしも統治権の作用であるということが言えるかどうか、それが一つであります。小坂国務大臣が、すべての警察権というものが統治権であるということになりますと、現行法で言つているところの市町村の秩序維持の責任というものは、これをどういうふうに解釈するか。これを団体委任ということが言えるかどうか、この点を一つはつきりとその区別をし、現行法の建前とそれから改正法の建前とは、明らかに警察権或いは警察作用の考え方において、政府自身の考え方が変化している。で現在のまあ小坂国務大臣なり政府の考え方を以ては現行警察権の作用というものを明確に説明することはできない。警察権に対する考え方の相違というものが、現行警察法と改正警察法の間においてはつきりと区別されているのだ、変化されているのだというのであれば、又そこには了解の方法もあるわけであります。その点を一つ……。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 現行の警察制度、現行の地方自治法、今度の改正の新らしい警察法、これに伴つて改正が行われるでありましよう自治法との間に只今お尋ねの警察権と申しまするか、警察法にいう警察の組織を維持し、警察法にいう治安の責任に任ずるという言葉をめぐつて、考え方が変つて来やしないかというお尋ねだと存じまするが、これは変つておりませんと答えておるのでございます。現行の地方自治法におきまして、地方公共団体は秩序の維持、或いは住民の安寧を保持するという事務は、市町村の公共団体の事務の中には、公共団体の固有事務として行われるものと、それから行政事務として国から委任されて行われる事務と両方ございます。これは先ほども申上げておる。そこで固有事務として行うものは、先ほど大臣もおつしやいましたように、公安条例を作つたり、或いは防犯的な活動をやつたり、いわゆるその秩序を維持するために強権を以て、国から与えられたいわゆる警察官の職務執行法とか、或いは刑事訴訟法とか、ああいうようなやり方で秩序を維持するという、いわゆる警察法にいう警察作用というものは、これは国から与えられた国の公共事務としてやるところの作用でありますからこそ、今の府県という公共団体にも自治法の二条の一号があるわけでありますが、これは本来の公共事務を法律によつて奪われておるものじやございません。現行法において又五千以下の町村は警察法にいう警察を持ちませんが、これも法律によつて、現在の警察法によつて公共団体から警察権を奪つたものではございません。今度の法律によりまして、現行法においては五千以上の町村に対して警察法にいう警察の機能というものを委任をいたしておりますが、これは全面的に府県に委任をするのであります。さような意味から考えまして、法律上の基本的な考え方といたしましては、現行法も改正法も何ら変つてはいないのでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 只今国警長官の説明によりますと、国から団体委任をしたというものは、これは行政権でありまして、恐らくこれは統治権に基く権力的なものじやないと思います。ただ小坂国務大臣が統治権だと言つているその警察権を従来は警察法に基いて団体委任をしたのだ、そういうふうにおつしやつているのだろうと思うのであります。そうしますと、例えば五千以上の小さな地方公共団体で警察を維持する責任を放棄する、こういう場合にはむしろ下からその責任を国のほうに、国家地方警察に委任するか、放棄して引取つてもらいたいという意思が下から出ておるのじやないか。そういう観点から見れば、本来貧弱なまあ町村で持つていた警察権なり、或いは又は警察組織なりというものは、本来市町村の固有の仕事である、財政上その他の都合によつてこれを維持することができなくなつたから、どうか国家地方警察のほうで取つてくれという、むしろ下から自発的な意思によつて国家地方警察に自分が持つている固有の権限を返した、引き取つてくれというふうな形において自分のその固有の権限を放棄したと見ることが当然なんではないか。そうすると、警察権というものが上からだんだんと下へ行くという形のものでなく、現在の地方自治法なり、或いは現在の警察法から言えば、それは市町村の固有の事務である、これを統治権の作用であるというようなことは、いささかこれは余り大き過ぎる考え方で、むしろ当らない考え方じやないかという疑問を持つのであります。小坂国務大臣どうですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 現行法におきまして、五千以上の町村は警察を廃止をするというのは、住民の意思によつて廃止をするという考え方でありますが、これは先ほども申しまするように、五千以上の町村には警察を維持、警察の責に任ずる責任を現行の警察法において与えておるのでございまするが、併しいろいろな状況から、この責任を放棄をしたいという場合には、住民の意思によつて放棄をするということを認めるのも適当であろうというので、その途が開いてある、こういうように政府としては解釈、或いは観念をいたしておるのでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 国務大臣どうですか。小坂さん。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 今言つた通りであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 先ほどの小坂大臣の答弁から推して行きますと、どうしても警察の本体は、やはりそれが都道府県自治体警察であろうと或いは一般の自治体警察であろうと、自治体警察に基本があることは認めておられる。ところが今いろいろ質疑応答がありました通り、そういう基本的に自治体警察というものを認めながら、この警察に対する考え方はどこまでも国家的でありまして、国家的を先にいたしまして、そうして地方の固有の一つの事務を制約して行く、こういう点は私は政府の考え方としてはそうでないとは言えないところであろうと思うのであります。そこでこの問題はだんだん推して行くと、憲法第九十二条の地方自治の本旨というふうな問題にも触れて来る。いわゆる地方権に対して違反して来るところの疑いがある、こう思うのであります。そういう点も考えられるのでありますが、更に又現行法では自治体警察というものについては住民の意思によつて存廃を決定し得ることになつております。それらも今度は省略してしまつて、そうして改正案では国の方針を、国のいわゆる警察に対するところの強化をぐんぐん進めている。そんなところで根本的な考え方と実際に現われて来ているところの改正においては非常な食い違いがある。それを避けるところの理由といたしまして、府県警察は自治体警察である、こういうことを言われている。私は何遍繰返してこれを読み考えて見ましても、この府県警察というものは自治体警察であるごとく考えられない。先ず第一名称においても都道府県自治体警察とは言つていない、都道府県警察である。明らかにこれは今度の政府の警察一般に関するいわゆる国警の地方組織の現われの一つである。こういうふうに考えられるのでありますが、先ずこの都道府県警察というものは自治体警察であるかないか。若しあるとすればどういう点であるか、この点を小坂大臣から説明願いたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 自治体警察であると考えておるのでございまするが、それは都道府県公安委員会というものが府県知事によつて任命された委員を以て構成され、府県の同意を得て委任される、こういう性格を持つているのでありますが、この府県会安委員会が警察事務万般に亘つて、府県という自治体において権限を持つて警察活動を管理する、こういう点であります。なおその費用の点につきましても、府県議会の同意を得なければならないのでありまして、そうした意味において府県住民の意思というものは常に警察活動に反映する。府県の警察というものは府県の住民の意思を体して府県住民のための警察活動をする、こういうことになつておりますので、私どもは府県自治体警察である、かように考えております。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 至極簡単に片附けておられるようでありますが、それでは先ず先ほど来私が言つているように、都道府県の警察が自治体警察であるならば、なぜ一体本部長の任免というふうなものを都道府県公安委員会から取上げたのでありますか。人事の任免権の所在というものは、行政を左右する根本だということは私が先ほど申上げた通りであります。この重大な事項をなぜ一体取上げているか、この点。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この点は衆議院におきまして御修正にあずかりまして、私どもも非常に尊敬すべき御修正であると考えております。原案におきましても府県会安委員会というものは、都道府県本部長の懲戒罷免の勧告権を持つているのであります。これは人事権であると言えないかも知れませんが、広義の人事権である。人事権に類するものであると考えております。と申しますことは、都道府県の本部長は全然当該都道府県と無関係に、その住民の意思を反映している民主的機関である公安委員会において不適格である、懲戒罷免をなすべきものである、こういう決議がありました場合におきましては、これはとてもその職にいたたまるものではありませんし、又その下部機構も活動し得ないのであります。そういうことでありますから、実質上の罷免ということになるのであります。従いまして人事権というものは、これはそのまま都道府県にあるということは言えないにいたしましても、それは程度において変らんものが都道府県に握られておる、こういうふうに考えているのであります。なお警察というような治安全般の責任を持つて活動する中心人物というものは、相当に達識な良識豊かなものでなければならんと思うのであります。こうしたような適格者を得ますることは、地方地方で選びますというと非常に範囲が限られて参ります。又人事の交流というものを常に考えておりませんと、人事が澱んでよろしくないという点、これは中央において非常に全国的見地に立つて選定をするほうが、より一層適材を得られるであろうということを考えたに過ぎません。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 今の御答弁によると、衆議院で以て修正されたことに対して敬意を表する、これは誠におかしな話だと思うのであります。根本的に考えて本部長の任免権は警察庁の長官にあるということを警察法全体から考えて行つたあなたのほうが、衆議院でその点を修正された、而もそれは現行法に近付いて来た、こういうことに対して敬意を払うということになつたら、根本が全く崩されてしまう矛盾を生じて来ませんか。その点如何ようにお考えになるか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 政府といたしましては、国会の御意思は常に敬意を払つておるのでありまするが、その国会の御修正に対して敬意を払つている、こういうことであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 とんでもないところに敬意を払つているのであります。併し本質を刈取られてしまつて、それを単に国会で修正したのだから、国会の修正に対しては敬意を表するということでは、誠に詭弁であるように考えるのであります。そこでその次に伺いたいのは、本当に一体自治体警察であるならば、警視以下の地方公務員を国家公務員の本部長がこれを任免するというようなことは、これはどういうことになりますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この警察職能といいますか、警察の持つ任務は国家的性格の強いものもありまするが、地方的な性格を持つているものもあるということで、その両者を併せ含む警察職能から来る結果だと考えておりますが、そういう意味となお上級幹部と申しまするものについては、先ほども本部長のところで申上げたように、広く全国的見地に立つて適材を得る必要があろう、こういうことであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そういうところに首尾一貫しないものがある。自治体警察だと言いながら、その組織において全くこれと違つたことをやつている。一体これは公務員制度というようなものを破る点からも考えられるのでありますが、この点につきまして如何ように考えるか。人事院のかたも見えておるようでありますからお伺いしたい。

佐藤朝生人事院事務総長

○政府委員(佐藤朝生君) お答えいたします。国家公務員が国家公務員を任命し、又地方公務員が地方公務員を任命するのが原則だと思いますが、今度の警察法案のように、警察の特殊の理由に基きまして、こういう制度になりましたことから考えましても、これは止むを得ないことだと、公務員制度においても……。(「答弁にならん」と呼ぶ者なり)

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 なぜ止むを得ないのであるか、こういうことを認められるところの根拠がはつきりしなければ、ただ止むを得ないんだから仕方がないということでは私は答弁にならないと思う。この点もう一度。

佐藤朝生人事院事務総長

○政府委員(佐藤朝生君) お答えいたします。国家公務員法の五十五条では、一応只今申上げましたような原則になつておりますが、この警察法案の制定理由から申しまして、国家公務員が地方公務員を任命するということも、それは原則の例外としては認められるであろうと思います。いい例ではございませんが、ほかにも厚生大臣が地方公務員たる民生委員を任命するような、(「それとは違う」と呼ぶ者あり)国家公務員が地方公務員を任命する例も現在ではございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 時間がありませんので、私はまあそのくらいにしておきまして、次にそれでは自治体警察であれば、自治体警察のその費用というものの全部が先ず自治体において賄われ、それを国が補助するというならこれは筋が通るのでありますけれども、全然それと関係なしにこの三十七条を見ますと、国庫支弁によつてやるという面がある。これはどういうことになりますか。やはり自治体警察という立場を守つていることになるのですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 御承知のように、自治体に警察事務を委任いたしました以上は、費用は自治体で支弁するというのが当然だと思うのでありますが、従いまして、本法案も原則として当該自治体の負担ということに相成つておるのでございます。併しながら当該府県との利害関係が、薄くても、国として特に利該関係を強く持つというものにつきましては、国が支弁をするということが妥当ではないか。かように考えて、一部特別の経費については国庫支弁の途を考えたのでございます。これも警察事務における要するに特殊性から参つたものだと御理解を願いたいと思います。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 今のは妥当でなくて、いわゆるこの警察法を打ち建てて行くための便宜的な手段から出ているものと考える。私は自治体警察という本質を今聞いている。これについて今塚田大臣がおいでになつておりますから、塚田大臣はこれをどういうように考えますか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) 私は関係の大臣やそれから人事院からお答え申上げている通りと思うのでありまして、本来のあり方から申しますならば、人事でありましようが財政上の措置でありましようが、自治体というものは自治体で処置をするということにあるべきであると思うのでありますけれども、警察という事務がもうすでにしばしば本委員会で御論議になつておりますように、国家的要請の強い面とそうでない面が複雑に入りまじつております。この事務を複雑な近代国家において適正に処理して行くということのために、私はやはり調整按配して行くということは止むを得ない措置だと、こういうふうに考えるわけでありまして、これは確かに例外であると私も考えておるわけであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 又長官も止むを得ない、例外ということを、人事院の事務総長さんと同じようなことを言つている。それでは根本の理由にならない。私はどこまでもあなたは自治体なら自治体ということに対して根本的に守つて行く立場なんです。そういう一面、国家がこういうことによつて警察法によつて崩されて行くということは、これは例外だから止むを得ないということは、あなたも政府の閣僚の一人であるからそういうふうに言われるであろうけれども、本当から言つたならば、そういうことはあり得ないと私は考えるが、どうですか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) 私はこの法案は、自分で自治庁長官はいたしておりますけれども、国と自治というものをそんなに非常にはつきりと対立した物の考え方には考えておらないのであります。(「あなたは知事官選論者だから」と呼ぶ者あり)大きく国及び自治体のやります仕事は、これを全部国の仕事と考えて、そうしてそのうちどの部分は自治体に主としてやらせるか、どの部分は国でやるか、まあ仕事の性質によつては、今のような警察の形でやらせる。要は国のそういういろいろな行政事務を最も運営のやりいいようにやつて行くということは、私は差支えないのじやないか。勿論原則は先ほど申上げましたようにありますけれども、この原則に捉われて非常に運営の困難を起し、不便を起しても、この原則で行かなければならないというようにまで私は国と自治体というものを截然と対立した形とは了解してないわけです。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 何も経費のことは困難でない。ちやんと自治体のほうへ組ましてやつたら問題はない。それをわざわざ国からその分だけ一部だけ支弁することは止むを得ないとか、例外だとか考えます点において了承できない。次にもう一つ、それでは自治体警察であるというふうな場合から考えまして、これは一体どうなるのですか。附則の第十五項にこういうことがある。これはまあ府県警察ができ上つたときに起る問題になつて来るのでありますが、全部読むのは面倒ですから一部分読みますが、「その俸給月額がこの法律の施行前の日で政令で定める日現在におけるその者の俸給月額に達しないこととなる場合においては、その調整のため、都道府県は、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、手当を支給するものとする。」こうなつております。政令の基準に従つてということになれば、国家公務員の場合の基準に従うということだと思うのでありますが、それを一体条例で定めるところによる、そうすると府県議会でこの条例を作らなかつた場合にはこれはどうなる、こういう問題が起つて来る。先ず小坂大臣から……。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) この法律には府県条例で定める事柄がたくさんあるわけでございます。それは府県の自主性を認める、いわゆる我々が自治体警察だと申上げているゆえんでありますが、この点に限つて条例を設けなかつたならばどうなるか、例えば府県警察の内部組織、或いは警察署の位置、いろいろ条例で定めますが、それを定めなければ府県警察は維持ができない。その場合にどうなるかというのは、これは一般原則でありまして我々といたしましては、法律でこれこれは条例で定めるということであるならば、府県は当然条例で定むべきものは定められるものである。かように解釈をいたしておるのでございます。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 こういうふうに法律で定めれば、府県では必ずそういう条例を作るだろう、これも又府県というふうなものを、自治というものに対する考え方が国家的である。国でこういうふうにきめたら必ずこういうことをやるとか、私はかくのごとき条例は府県の事情によつてこれは作られない、そういうふうな立場が出て来ると思う。あなたの考え方はどこまでも一貫している、府県の自治を越えてこういう国家警察というふうなもの、一本の筋というものは必ず通るものだ、こういう考え方にある。これは所管の塚田大臣がおいでになつておりますから、この点はどうですか。

鈴木俊一自治庁次長

○政府委員(鈴木俊一君) これは大よそのいろいろの法律で、府県につきまして、或いは市町村に対しまして一定のことを期待をして、条例で定めるというようなことを書いております場合におきましては、御指摘のような事態があり得るわけであります。併しこれは法律上の制度といたしましては、府県に対して、或いは市町村に対して条例で一定の事項をきめるというふうに原則として書いてあります場合に、それを強制をするということは自治体行政の性質上ないわけでございまして、法律にいやしくも国家が意思を決定して、府県の条例できめて貰うというふうに書くならば、府県はやはりその意思に従つた措置をせられるであろうという一般的な信頼の上に立つてそういう制度を作るほかないと考えております。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そうするというと、どうしても県においてこれは条例を作らんということになつたらどうなるのですか。何かこれを罰するような規則があるのですか。

鈴木俊一自治庁次長

○政府委員(鈴木俊一君) それは何も措置はございません。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そうすると、これは実現できない場合が明瞭にあるということは予想されると思いますが……。

鈴木俊一自治庁次長

○政府委員(鈴木俊一君) 従来の例によりましても、若干時期が遅れたり何かするようなことはありますけれども、併し法律で条例を以て作らなければならないと書いてあります場合におきましては、これは先ず殆んどすべての場合において作つておると考えるのであります。殊に警察制度のような問題につきましては、その性格から申しまして、そのようなことは先ず起り得ないのではないかというふうに考えておる次第であります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 起り得ないのであるということは、余りに私は甘い考えだと思う。これが国民も歓迎し、すべてが歓迎しておるところの法律であれば、あなたの言うようなことは言えるかも知れない。併し殆んど反対しておる。こういうふうな場合において必ず私はこういうことがあり得る。そうしたときに受けるところの警察官の待遇上の問題はこれは大きな問題になつて来るだろうと思う。それで私としてはあなたがそういうふうに起り得ないであろうという考え方は極めて甘い考えだ、こういうふうに言わざるを得ない。それで私は時間なくなりましたから総括的に申上げますが、今の項目についてずつと質疑した結果、私の頭に考えられるのは、全くこれは都道府県の警察というふうなものは自治体警察というものの性格が欠けておる。こう断定せざるを得ない。殊に最後に一つ申上げたいのは、大都市の警察が廃止されるということは、これは今までも大都市というふうなものは府県と同様に扱われて来たものなんです。ところが府県の警察が自治体警察であるならば、当然これと肩を並べて大都市警察というものが存置されなければならない。併しこれを原案においては廃止しておる。修正案では特例を設けて一カ年は現在のまま進めて行く、こういうふうになつていますけれども、根本は何も変りがない。結局廃止する点においては変つておらない。何故に一体都道府県の自治体警察というふうなものを、いわゆる自治体警察というふうなものを認める立場に立ちながら、大都市の場合これを廃止するに至つたか、この点をお伺いいたします。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 大都市と府県と同様に見て、府県で行うべき事務を大都市に行わせる。その事務の内容はどういうものであるべきかということは、事務の性質によつて変つて参ると考えるのでございます。警察はその事務の性質上、我々といたしましては大都市とその周辺というものは一体的に運営されるべきものでありまして、かかる意味から府県警察が最も望ましい、これが本法案の根幹をなしておるのであります。その原則に従いまして、他の事務におきましては、成るほど大都市は府県と同じように扱う事務もありますけれども、少くとも警察の事務につきましては、府県と同じように大都市で扱うというのでは、警察の機能という面から考え、警察の事務の性格から考えまして適当ではない。かような結論から府県一本という一本を貫き、大都市において特例を設けない、かように考えた次第であります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 私時間ありませんので、ちよつと申上げますが、その考え方が、自治体警察だと言いながら、この警察の機能方面から見て、これは存置するのは不適当という考え方に進んで行くことは、明らかに府県警察というものを自治体警察とは認めておらないのだ。実際は国警の中の一つの機構に過ぎないのだ、こういう考え方に立つているということは明瞭になる。まあ時間がありませんから、その点その問題について私の質問を終りたいと思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それでは委員長からお取次ぎを申上げます。過般五月の二十七日でございましたか、当委員会と法務、人事、内閣の連合審査委員会を開会いたしました際に、楠見委員から提案がなされまして、法務委員会におきまして、警察法の問題につきましての審議をやりましたが、審議の結果が法務委員長から当委員会に対しまして、審議の状況を報告されております。そこで報告書は皆様がたのお手許にあると存じますが、この報告書の内容につきまして御検討願いまして、今後の審議上の参考にして頂きたいことを特にお願いいたします。  それでは暫時休憩をいたしまして、午後の再開は一時半からといたします。    午後零時四十七分散会    ―――――・―――――    午後二時二分開会

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 休憩前に引続いて地方行政委員会を開会いたします。  質疑を続行いたします。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 第一に小坂国務大臣にお伺いいたしたいのであります。先ほど来質疑のありました警察事務は統治権に基くものであるか、或いは単なる行政作用であるかと、或いはそれが国の本来の統治権であるか、或いは市町村住民の固有の権利であるかという点につきまして、もう一度お伺いしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 警察権の権能というものは本来統治権に基く作用であるということは申上げておると思います。先ほどあなたの御質疑もそういうものを現行法では市及び人口五千以上の市町村に警察事務を行わせる、これを認める、これは一体公共事務というようなものに解すべきではないか、こういうような御趣旨で関連質疑をやつていらつしやるように解釈いたしておりますが、こういうことでございます。現行法においてはこの市及び人口五千以上の市町村に警察事務を団体委任する、今回のこの改正案におきましては、府県という自治団体に警察事務を団体委任する、こういうことなんであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 五千以上の市町村に警察権を団体委任するということはどういう法律的な根拠に基くものでございますか。小坂君やつて下さい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 事務的にお答えします。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは警察法の規定によりまして、第三十六条に「都道府県警察は、当該都道府県の区域につき、第二条の責務に任ずる。」というのが基本規定でございます。これによりまして都道府県に警察事務を委任をいたします。これに応じまして都道府県警察内部の組織を設けたり、或いは人事管理をいたしたり、若し国の事務でありまするなら、国がみずから行う事務として規定いたしまするならば、国の政令、或いは総理府令等できめるような事柄も都道府県の条令できめるというように規定をいたしてあるのであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 それは現行法において警察権は国の統治権である、或いはその権能は国の統治権に基くということはどういう法律的な根拠によるのですか。小坂君やらないのか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは法律的な根拠と申しまするよりも、如何に現行法を解釈するかという問題でございます。お尋ねの点は市町村或いは公共団体の固有事務、即ち公共事務であるか、或いは委任事務即ち行政事務であるかという点だと考えるのでございまして、若しこれを市町村の公共事務だ、固有事務だ、かように解釈をいたしまするならば、どの市町村においても、或いは府県においても警察というものを設けようと思えば設けてもよろしい。ただその設け方についていろいろ法律で制限をされることがあり得るわけでありますが、現行法の建前から言いましても、五千以上の市町村はこれを設けて、そうして区域内における治安の責任を負うということを書いてありまして、五千未満の市町村は警察法にいう警察を持つことができない。府県も持つことができないという建前に相成つておるのでありまして、従つてこれを国の行政事務と解釈しない以上はです、解釈がつかないわけであります。固有事務であるものを法律で全然その固有事務を奪つてしまうということはできないのでありまするから、若し固有事務であると解釈をいたしまするならば、五千未満の市町村においても府県においても警察は持てるんだけれども、その持ち方において法律で或る制限をする、権限行使の仕方について或る制限をするという規定になつておりませんければ、固有事務であるという解釈がまあできないと、法律の規定の仕方から考えてもさように解釈せざるを得ないと思うのであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 逆にそれではですね、古い現行警察法によりましてです、小坂国務大臣が言うように警察の権能というものは統治権に属するものであるということをはつきりおつしやるならば、警察法の中において国は市町村に警察を維持させると、こういう規定がなければあなたのおつしやるようにはならないのです。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) その点は現行法も同じでございまして、現行法に例えば自治体警察法第四十条に「市及び人口五千以上の市街的町村は、その区域内において警察を維持し、法律及び秩序の執行の責に任ずる。」、これによつて市及び人口五千以上の町村に警察事務を委任をいたしておるのであります。この書き方と今度の法律の三十六条の「都道府県に、都道府県警察を置く。」という書き方は、用語は違つておりますが、趣旨は同様でありまして、衆議院の委員会においても御答弁を申上げたのでありますが、第三十六条は都道府県は警察を維持し法律及び秩序の執行の責に任ずる、こういうように書いてあるのと同じ趣旨でございまして、その間に何の相違もないわけであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 何の相違もないと申しましたけれども、現行警察法では市町村は警察を維持しとはつきり書いてある。ところが改正法の三十六条には、二項に「第二条の責務に任ずる」とこう書いてある。片方では維持することは市町村の当然の義務であると書いてあります。義務と申しますか権利と申しますか、本来の姿である。明らかにこれは現行法においては、それは市町村のものであるということを明確にしている。ところが改正法の三十六条には「置く」ということと、「責務に任ずる」と、こう書いてあるだけです。私は明らかに規定の上から言つてもそこに相違があると思います。この点如何ですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) その点は、例えば第三十六条に、新法の三十六条に「都道府県警察を置く」とありまするのは、都道府県の機関として「都道府県警察を置く」と、こういう趣旨でありまして、これは決してその国の機関として置くという趣旨ではないのであります。例えば都道府県知事を置くと、こう自治法にはありますが、それと同じように「法律で都道府県警察を置く」とありまするのは、これは都道府県の自治団体、その自治団体の機関として「都道府県警察を置く」という趣旨でありまして、現在の警察法では国家地方警察と自治体警察、この二つがありまするために、「自治体警察」という文字も使い、こういう書き方もいたしておるのでありますが、今度の警察法案におきましては、自治体警察、市町村警察と国家地方警察というものを一つにいたしてしまいましたために、特に「自治体警察」という用語を使わなかつた。三十六条ではかような書き方になつたのでございまするが、我々といたしましては、先ほど申しておりますように、都道府県は警察を維持し、法令の定めるところに従つて、その管轄区域内において、第二条の責に任ずると、こう書いたのと何ら意味において相違はない、かように存じておるのでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 解釈において相違はないとおつしやるならばわかります。併し、それはあなたの考えにおいて少しもその間に変つたことがない、こういうだけであります。それならば同じ言葉を使つたらいい。なぜ書き方において、現行警察法と改正警察法を変えておられるのですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) その点も衆議院においてお答えをいたしたのでございまするが、若しこの点がさほどに疑義を持たれるということが当初から予想されておるならば、私が只今申上げましたように書いたほうがよかつたと、同じ事柄を表現するのに、表現の仕方がそういつた誤解を招くような表現の仕方になつておることは、誠に法文を作成するものとしてはまずかつたと、かように実はざつくばらんに告白を申上げておつたのでありまして、従いまして私が申上げるようにこの点を修正して、書き直して頂いても意味においては何ら相違はいたしておりません、変りはありませんから、支障はございませんということまで申上げておるのでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 その点明らかになりました。併しそれにいたしましても、私が現行警察法におきまして、警察の権能が実際に団体委任されているのだということは、四十条の規定から団体委任されておるということが法律的に明確に説明できますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 私が先ほど申上げますように、現行法の四十条において団体委任されておるというように解釈をいたさないならば、現在の市町村或いは府県という公共団体の固有の事務であると、こう解釈いたすならば、これはどの市町村にも、それから府県にも、警察は持とうと思えばどこでも持てるということだけは、奪つては相成らんのでありまして、固有事務であるならば。それを持てなよいうになつているということは、これは行政事務であると解釈せざるを得ないのであります。若し固有事務であるというならば、ただその持ち方において法律で制限をするとか、権限の行使の仕方において制限をする、これは法律でするのは差支えございませんが、固有事務であるという解釈をいたしながら、府県は警察が持てない、五千以下は持てないということをいたしまするのは、これは本来固有の権限を奪うものでありまして、法律を以てするも、これは強い言葉で言えば、或いは憲法違反という立法の仕方であると言わざるを得ないとこう思います。従つて現行法は憲法違反ではない。又固有事務というものに対する考え方を誤つていないという解釈であるならば、第四十条の規定によつて団体委任されたものである、市町村の警察は市町村の公共事務でなくて行政事務だ、かように解釈せざるを得ないと考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 五千以上の町村で警察を維持し、その責に任ずるということは書いてあるのであります、府県及び市町村。五千以下の町村が持つことはできないということは明らかに書いてある。それは固有事務を制限している、こういうふうにおつしやるのでありますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) それを固有の事務を制限しているんだと、こういうふうに読むことはできないと申上げたのです。固有事務ならそういう制限はできない。制限をしているのは、府県や五千以下の町村が持てないという法の建前になつていることは、この警察事務はこれは固有の事務ではなくて行政事務だと、こう解釈せざる得ない、かように申上げたのです。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 逆に言いまして、固有の事務であつても法律で制限し或いはこれを持たざるように規定するということは、法律的には可能な問題ではないんですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは法律を作れば、憲法違反でさえなければよろしいということであれば、或いは作れないことはないかも知れません。固有事務だという解釈をとる以上、その固有の事務を全然行わせないというこの制限は、これは法理論といたしましては何といいますか、暴論である、かように考えるのであります。固有事務ならば、固有事務というのは、これは自治法におきまして包括的に与えられた本来の固有の仕事でありますから、従つてその固有事務を行うについて、或いは法律で以て事務の行い方その他について制限はできましよう。制限はできましようが、その事務そのものを取上げてしまうということは、これは市町村の権能というものを全く無視するという解釈をとらない以上は、さような立法はできないと思うのであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 併しくどいようでありますけれども、四十条の規定で、国の本来の統治権に属する警察権能というものを市町村に与えたという法律的な解釈は、四十条から出て参りますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは先ほど申しまするように国の、まあ国といいますか、市町村の公共団体の行政事務だと、こう解釈することによつてですよ、はじめて五千以上は持つ、五千以下は持つことができない、府県には与えないということができるのでありまして、これが固有事務だと、こう解釈をいたしまするならば、市町村も府県もすべてが警察を持てるという建前から立法をせなければ法理的に矛盾を来たすということを申上げておるのでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 それではもう一つお尋ねいたしますが、警察権能は統治権に基くものである、本来は国が持つているはずのものである、それを市町村に持たせるということは、国は警察の責務を持つている、市町村には委任によつてこれを市町村に維持させるというふうに、厳格に規定しなければならないと思いますが、その必要はないのですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) それはさように書きませんでも、法理上当然に出て来る解釈ではないかと考えます。若しお説のように都道府県或いは市町村という公共団体は固有の事務として警察権能があるのだ、こういう若し解釈に立つといたしますならば、警察法の立て方といたしましては、都道府県或いは市町村が警察を持つ場合にはどういう制限に従わなければならんか、そういうような書き方にならざるを得ないのでありまして、アメリカの立法の考え方は只今申上げるような考え方になつておるのであります。その代り国は国として警察を持つ場合には別の警察を持つという建前をとつておるのであります。現行法におきましては五千以下の町村或いは府県は警察を持たないという建前をとつておる以上は、いわゆる警察権という特に法律で与えられた権能を以て住民の権利義務を法令に従つて拘束し、制限をするということによつて治安を維持する、この作用は現行法上は市町村、府県が当然もとから持つている固有事務だと、かように解釈いたしましては、現在の自治法にいたしましても、警察法にいたしましても解釈がつかない、かように申上げておるのでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 現行警察法の前文に書いてあるものがいわゆる現在の警察制度の根本的な精神であろうと思います。これからみれば、私は警察法というものは細分化して、そしてここには国民という言葉は使つてありますけれども、むしろ住民の警察という建前を一貫してとつていると思います。この立場と、それから現在の改正警察法における警察に対する考え方とは非常に大きな開きがあるように考えますが、小坂国務大臣はこの点全然同一であるとお考えでございますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) さように考えておるのでございまして、この改正警察法におきましては、現行警察法の前文の趣旨を第一条にまとめてありますることでございます。即ち民主的理念という言葉の中に地方自治の尊重ということは当然含まれる、かような前提で申しておることでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 併し現行警察法の前文の一部或いは前文の精神の一部が改正法の第一条の中に取入れてあることは私も認めます。けれどもその精神のいわゆる「国民に属する民主的権威の組織を確立する」というこの大きな基本的な考え方というものは、改正警察法の一条の中におきましてはこれを明確に見ることができない。警察は誰のものであるかということについては第一条においては何らこれを示していない。ただ運営の方向においては民主的な理念を基調としなければならないということは書いてあるが、警察が誰のものであるかということは明確ではない。そこで私は現行警察法の前文とこの改正警察法の間に大きな考え方の相違があるのではないかということに疑念を持つのであります。将来の警察は一体誰のものであるか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 将来の警察は現在と同様国民のものであると考えております。前文にございまする「国民に属する民主的権威の組織を確立する」、民主的権威とは何かということでございまするが、現在の国会或いは現在の政府なり、これはすべて国民の直接投票を基礎としてできておりまするものでありまして、すべて民主的権威の上に立つておる、こういうことであります。現行警察法におきましても、国家地方警察或いは市町村自治警察ということにおいて組織が確立せられておりまするのでございまするが、こうした地域的な分断ということが運営上の妙の限界を示しておる。その地域的分断という組織の持つ盲点から種種な弊害が見られますので、弊害と申しますと言葉が過ぎる点があるかと思いますが、いわゆる非能率と非経済、そうした点が見られますので、そうした国家的なもの或いは地方的なもの、それを合せて不完全な点はありまするが、府県という自治体警察一本にする、こういうのが新警察法の繰返して申上げておりまする趣旨でございまして、この点におきましては、民主的な権威というものを通じて警察組織は運用せられるということについて何ら相違するものはない、かように考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 小坂国務大臣が答弁されれば当然そういうことを言われることは容易に想像されます。併し我々はここに前文の中にある「国民に属する民主的権威の組織」ということが改正警察法の第一条の中にはその精神として、或いは解釈として入つていると言われれば、或いはそうかと考えます。併しそれはこの法律全体を通じて見ればそうであるか、或いはそうでないかということが判断されると思います。成るほど現行警察というものも民主的権威が国民に属するということを謳つているし、それから今後の国会において警察の法律が審議されるのだし、予算も国会において審議されるのだということであるならば、そういう意味において警察は国民のものということは言えないことはないと思います。併し何と申しましても、前文の精神というものが第一条の中に取入れられておらない、解釈においては国務大臣のおつしやる通りであるかも知れません。併し取入れられていないということは、字句の上からそれが現われていないということは確かに言えることではないかと思います。そうでなくして、却つてこの第一条におきましては逆に前文その他において現われていなかつたところの能率的にその任務を遂行するという点が現われている、これは確かに現行警察法の前文と改正警察法の第一条との間における大きな相違であろうと、こう考えます。従つてくどいようでありますけれども、私はこの第一条の中において前文の精神が盛られているという法律の字句の上における説明をして頂きたいと思う。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 能率的に運営せねばならんということは、過去の経験に鑑みまして非能率、不経済な点があるということが一般の認識となつておりまするが、当然考えなければならん点であろうと思います。併し能率なり治安に関する政府の責任ということを強調して参りますと、その半面やはりこの政党内閣組織になつておりまするから、そうした弊害、党派的弊害というものも考えられまするので、そこでその担保として公安委員会という制度を強く前面に押し出して、その活用を考えているというのがこの警察法の全体を流れる思想でございますが、先ほども申上げましたように、現在のような国警或いは自治警というものがおのおの地域的に分れて、そのおのおのが完全に独立した同一の機能を行う、こういう組織が世界いずれの国にも見られる……そこでこうしたものを統合いたしまして、府県という一本の自治体に警察管理の運営を任せる、こういうのがこの警察法の職能でございまして、先ほども御指摘がございましたような現行警察法の四十条におきまして、人口五千以上の町村又は市というものに団体委任をして行く、警察の権能を府県という団体に委任する、改正警察法におきまして三十六条に現われておりますようなそうした考え方がある。今まで二つの組織があつたものを一本の府県というものに統合したという点が、この警察法の相違の中心であろうと考えます。そこでその府県というものは都道府県の公安委員会というものが責任をもつて独自の判断において警察を管理する。又大部分の警察職員というものは地方公務員である。更に経費におきましては県の負担でありまして、県の議会の承認を得て運営されて行く。人事管理につきましてはそれぞれ条例を以て制定する。ただ例外的に第五条二項の規定する事柄について国家の介入がある、こういうことでございまして、その趣旨とするところは、精神とするところは、現行警察法の前文にございますところも、改正案におきまする第一条の目的に謳つてございますところも全く同様でございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 第一条の「能率的にこの任務を遂行する」という点は、或いは現在の警察制度の中において欠陥があり、非能率的なところが或いはあるかも知れない。併し現在の警察制度というものは、いわゆる過度の警察権力の集中、それを防止するために権力の分断ということを目標にしてやつたわけでありまして、そこで能率ということと過度の権力の集中ということと、いずれをとるかという問題になつて来ると思います。勿論国務大臣の立場としては両方とも二者択一であるというふうな答弁は恐らくできないと思います。我々として一番危惧するところは、成るほど能率的に警察事務が運営されたといたしましても、併しその弊害或いは反動として起つて来る過度の警察権力の中央集中ということが現われて来たとすれば、能率をとるか或いは民主的なものをとるかという点で非常に大きな問題が起つて来ると思う。すでに論議されたところによりまして、我々はこういう警察法の改正によつて権力が中央に集中するであろうという心配を持つている。或いは又参考人の供述などによりましても、何か国家警察というものを思わせるようないろいろのきざしがすでに見えている。この点は能率を図りさえすれば、分断によるところの民主的な警察運営というものが犠牲になつても構わないといつたような感じをこの第一条の中から受けるのでありますが、この点は全然心配ございませんか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 御指摘のように能率と過度の権力集中とをどう調和させるかという点が、この警察法の苦心の存する点でございまして、成るほど過去におきましては非常に能率化されておつたが一面において権力が過度に集中されておつた。そこでこれを分断するということで現在の組織ができておりまするが、現在の場合におきましては、国警と自治警がそれぞれ地区的に分断されておつて、その間にそれぞれ独立した権限を持つており、それが官僚のセクシヨナリズムで以てお互いに統合しないというような実態である。又自治警におきましてもこれが過度に分断されて、四百有余に亘つて自治警というものが存在する。こうした中央と地方との意思の疏通というものを考え、又余りに過度に分断された実態というものを如何に按配して適当に中央からの意思というものも流れるようにいたし、そうかと言つてその流れる意思の方向というものは民主的な良識によつて管理して、権力の一方的に偏するようなことがいやしくも行われないようにするということにも按配いたしましたものがこの警察法でございまして、アメリカなどの場合でもこれは発生的にそうなつておるのでございまするが、まあ市町村警察、カウンテイー・ボロの警察、州の警察、国の警察とございますが、国の警察がいつでもカウンテイー・ボロの警察の中に入つて行つて警察官を行使する、こういうのでありまして、これはアメリカが考えた制度ではございまするが、又そこに独得の国警、自治警という制度ができておるのでございまして、こうした制度が能率が悪いということはこれは当然その制度的なもので、運用の妙というものを超えて制度的に欠陥があるのでございまして、こうした制度を組織法として警察法においてもつと適当に能率、権力の集中、或いは責任の所在というものの関係を按配いたしたものがとの警察法であると、御了解願いたいと思います。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 お言葉でございまするけれども、併し私どもの心配は、戦争中或いはそれ以前のいわゆる国家警察的なものを排除するためには、いわゆる権力の分断、警察の地方的運営ということが是非とも必要であつたと私どもは考えます。そこでこれまでの現行警察法におけるところの警察運営というものが或いは経済の点において不十分なところがあつたかも知れない。私は市町村警察の末端において十分能率的でなかつたところもあるかと思います。大都市などにおきましては、私は非常によく運営されていて、且つ又能率的であるということを考えるのであります。そうであるとするならば、今折角民主的な警察というものが芽生えて六年になつた今日、これを又能率とか経済ということに名を借りて一歩でも二歩でも現在の制度から後退させる、それが雪だるまのようになつて国家警察的な方向に向つて進みやしないか、そういう心配を非常に持つわけであります。これが過去のような国家警察の形にならないような保障は一体どこで求めることができますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この点の制度的な保障というものは、やはり公安委員会の良識がチエツクするということであろうと思います。公安委員会というものがあつて、公安委員会が警察長を管理する、又府県においても公安委員会があつて、府県警察本部長以下を管理する、こういうことでございます。而も地方分権の趣旨におきまして、この府県という自治体の区域内におきましての警察活動というものは府県会安委員会の独自の判断で、中央からは五条二項というような限られた事柄についてのみ指示するということでございまして、その間に地方自治の本質も或いは国全体の自主的な保障もいたしておる。民主的な保障ということも制度的になし得ると考えておりますし、なおこの過去の警察におきまして種々非難があり、国民といたしましてもその行うところのものを甚だ快しとしなかつた点もあるのでございますが、これは主として執行部面の法律にあつたと思うのであります。例えば治安維持法であるとか、或いは行政検察を行い得るような諸種の制度というようなものがあつたことが非常に警察力というものを野放図にはびこらしたということでございます。現在は御承知のように刑事訴訟法或いは警察官等職務執行法、そうした民主的な執行法の保障がありまするから、この執行部面におきまして警察権力の独裁的運営というものをチエツクする限り私はさような心配はなかろうかと考えておる次第でございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 公安委員会があるというのでありますが、国家公安委員会もずつと問題となつておりますところの国務大臣が委員長になつている。それから従来のいわゆる府県公安委員会にいたしましても、或いは市町村公安委員会にいたしましても、改正法においては現行法におけるよりも或る制約を受けているという事実はこれは否定できないと思います。これこそいわゆる警察の能率化ということの一つの狙いのために、いわゆるこれまで自由であつた、自主的であつた公安委員会というものを国の場合も或いは地方の場合にも制約しているというところにあるのでありますから、従つてこれまでのような公安委員会の自由闊達なる運営の仕方ということは期待することはできない。これは法律の建前から言つて当然のことであつて、公安委員会があるからと言つてその警察の運営は従前の通りであるということはこれは決して言えないと思います。如何ですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 公安委員会におきまする運営管理の権限というものは前よりも強化されておるのでありまするが、御指摘の点は主として国家公安委員会に国務大臣が委員長としてあるという点であろうかと思います。併しこれは問題は委員長たるものの良識によることと思いまするが、いやしくも警察というような本来中正であるべき職能に携わる場合に、これは余りそういうような特殊の偏見を以てこれに臨むということは許されんことと考えております。のみならず委員は五人の構成でございまするし、もうすでに表決権を行使いたしますれば、奇数の委員会でございまするから、公安委員の意思というものは明らかになる。それをたまたま病気とかそういつた事故のありまする場合に偶数の委員会があるではないか、その場合に国家公安委員長は採決権を行使することによつて自分の意思を如何ようにも反映させることができるではないか、むしろ自分の意思通りに委員会を指導することができるではないかという御懸念もあるようでございまするが、これは若しそうしたようなことが特定の意図を以て行われるというようなことになりますれば、公安委員というものは自分の職責上当然にこれに反撥する、或いは委員長について厳重なる抗議を申込む、或いは職務を賭してもその運営に対して反抗するということは当然にあり得るのでありまして、又すべきものでありまして、そういう際にこの治安の責任に任ずる政府が故意な運営方法をとつたということになりますれば、当然これは国会の問題になるでありましよう。そうした場合にこれが簡単に済むかと言えば、重大なる政府が責任を負うということになるのでありまして、そういう点のチエツク・アンド・バランスと言いますか、保障は十分なし得ると私は考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 私はほかの委員のかたが国家公安委員長に国務大臣を充てるということに対する質疑は大体なされておりますから、私はその点に触れるつもりはないのであります。ただ懲戒及び罷免について勧告する権限を持つている。併しそれは絶対に拒否するという権限を持つているわけではない。従つて私は何も国の公安委員会の委員長の問題に限定しているわけではないのです。都道府県公安委員会の場合も同様であります。中央で任命する、この政府の考え方が多少修正になつているということはよく存じております。今までであれば全く自主的に自分の考え方によつて公安委員会が警察の運営をして行くことができる。それが制限されているという事実は、これは何としても否定することはできないのです。でありますから、この点について例えば緒方国務大臣に対して質問いたしたときでも、これは完全なるいわゆる自治体警察ではない、こういうことを明確に言われておる。私たちも確かに現在の府県警察というものが完全な自治体警察であるということは全然考えておりません。この従来の民主的な府県公安委員会が今回の法律によつて制約を受けている、この枠の中において従来のような民主的警察の運営というものがどういう保障を以て行われるか、どういう保障があるかという問題については如何ですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 従来府県の公安委員会というものはいわゆる運営管理をいたしておつたのであります。今回は行政管理も入りまして、両方面の管理をいたす、即ち独自の判断によりまして警察事務全般を管理する、こういうことになつておるのでございます。而もこの委員というものは府県知事によつて任命され、府県の同意を得て任命されるのでありまして、身分も保障されております。この点におきまして、地方住民の意思というものを十分反映させる警察運営ができる、かように考えておる次第でございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 私はそういうことを聞いておるのではなくて、現在の警察法とそれから改正警察法と比較すると、都道府県の公安委員会というものがその権限が縮小された、制約を受けておる、そういう制約を受けておるその枠の中で従来のような民主的な警察をどういうふうにして運営して行くことができるか、その保障があるかということを質問しておる。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 大臣もおつしやつていますように、都道府県の公安委員会を改正法と現行法とを比較いたしてみますと、現行法よりも改正法のほうが権限が拡大されておるわけです。都道府県につきましては……。松澤委員のおつしやいますのは、市町村の公安委員会との比較であろうと存じます。市町村におきましては、安全に独立した行政運営に伴う権限を市町村公安委員会が持つているが、現在の府県公安委員会は行政管理は一切ないわけであります。今度の法案では都道府県の公安委員会は現在の都道府県公安委員会よりも権限が拡大された、現在の市町村公安委員会に比べれば権限は若干狭まつておる、こういうことになるわけでありますが、現在ならば都道府県公安委員会は人事については勿論、予算その他についても何らの発言権も、予算編成権も人事に関しても一切都道府県の公安委員会は持つておりませんが、今度の法案によりますと、予算は原則として府県の予算でありますから、事実上の編成権は公安委員会が持つております。又人事については現在は法律上は何ら発言権はございませんが、政府原案におきましては、法律上は府県警察本部長について罷免或いは懲戒の勧告権を持ち、又警察本部長が部下の警察署長、課長その他を任免をいたします際に都道府県公安委員会の意見を聞くということが新たに付加されておるのでありますから、従いまして、現在のものから考えますると、都道府県の公安委員会の権限は非常に強化をされたということに相成つております。それでも松澤委員のおつしやいますように、市町村の公安委員会よりも権限が縮小されておるのじやないかとおつしやいます。それはその通りであります。縮小されておりまする限度において完全な自治警ではない、緒方副総理もおつしやつた通りでございます。併しこれで民主的な運営は保障されないかと申しますると、都道府県の警察全面に亘つての管理の責任者は都道府県の公安委員でございまするから、従つてこれで都道府県の公安委員が自己の責任において都道府県の警察を民主的に管理するということについて何ら欠ける点はないとかように考えます。警察本部長が非常に非民主的な運営の仕方をする、指揮監督をしても改めないという場合には懲戒或いは罷免の勧告権の発動ができるわけであります、この場合に中央においてその勧告権が開かれない場合に、聞かれなければそれまでじやないかとおつしやいますが、都道府県公安委員会という都道府県の民主的機関が、而も警察について直接責任を負う機関が、その事務執行者は不適格であるということで懲戒罷免の勧告をいたしまするならば、事実上その警察本部長は職務を執行し部下を統率して行くことは事実上できなくなる。従つて勧告権を無視をするということはこれは事実上不可能ではなかろうかとかように考えておるのでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 成るほど現在の都道府県公安委員会よりは改正法によつて権限が拡大されているという御趣旨は事実でありましよう、併しその公安委員会が警察庁長官の所掌事務について少くともその範囲内においては都道府県警察は指揮監督を受けるわけである、ここにも一つの枠がある。ですから市町村公安委員会が持つていた権限よりはやはり改正法による都道府県公安委員会の民主的運営というものがやはり中央から一つの枠がはめられている、この点はやはり否定できないと思います。この指揮権の問題についてもすでに論議をされましたから私は申しませんけれども、市町村公安委員会においては、こういう中央からの指揮監督というものは全然なかつた。ですからして成るほど都道府県公安委員会は現在のものよりは拡大されたけれども、やはり中央からの一つの枠、指揮監督を受けるというこの事実は否定できない、それでも民主的な運営が保障されますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 中央からこの法律で示す範囲内の指揮監督或いは調整は受けまするが、併しそれだからと申しまして、都道府県の警察が非民主的になるとは考えられないのであります。で、民主的運営が確保されるかというその民主的という意味は何をお含みになつておられるか存じませんが、例えば中央から政治的に左右されはしないかという点が一点あると思います。もう一点は、地方の実情に合わないような事柄を指揮をされはしないかという点であろうと考えまするが、政治的に左右されないという点は、これは都道府県の公安委員会それ自身がさように左右されない保障がありますし、中央の国家公安委員会も政治的に偏向のできない仕組になつておるわけでありますから、その御心配もないと思います。又地方の事情に合うか合わないか、これは中央で指揮をいたしまする事柄は多くは一般的な基準でございまするから、その基準に従つて都道府県の公安委員会が実情に即する運営が十分なし得るのであります。更に、申上げましたように、都道府県の公安委員会が中央の命令をきかないという場合におきましても、それを担保する保障もないというわけでございますから、以前の警察のように中央の命令を聞かなければすぐ徴戒罷免をされるというようなそういう担保が全然都道府県公安委員会にはないわけでありますから、この意味において非常に強い自主性を持つている、かように考えるのであります。市町村或いは府県に対する一般の監督と同じような仕方でしかできない、この点が民主的な運営を保障するゆえんであろうと思われるわけであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 警察運営に当つてもう一つ必要なことはやはり自主性ということであろうと思います。成るほど言われましたような点は、或いは府県公安委員会が自主性を持つておるというふうに説明されるかもわかりませんが、併し中央から来た警察本部長、中央から来る場合もあるでしよう。中央から来た警察本部長に対して都道府県会安委員会が懲戒又は罷免の勧告権を発動したとして、これが中央から来た人である限りにおいて国家公安委員会なり或いは又警察庁長官が罷免したくないというお考えであれば、これはどうにも仕方がないことじやないか、これを地方の公安委員会が罷免してもらいたい、罷免すべきであるという勧告をした場合に、中央がそれを取上げなかつた場合には一体どうなるか、その職にいられないであろうということは単なる想像に過ぎない。法律的な保障というものはない。そういう場合にはどうなるのですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 罷免、懲戒の勧告があれば当然にそれに従う、妥当な罷免或いは懲戒の勧告であれば当然に従うというのが法的な解釈であろうと思いますが、併しこれは妥当な勧告ではないといつて罷免、懲戒の勧告に中央が従わなかつた場合の保障は何も法律には書いてございません。我々意識的にそれを書かなかつたのではありませんので、いやしくも当面の運営の責任者が懲戒罷免の勧告をいたしました場合に、これを故なく拒絶をするということで中央、地方の円満な警察行政はできないのが当然でありますから、さようなことを書きますことは如何にも良識に反した運営が行われることを前提とするかのような感を与えると考えましたので、さような規定を入れなかつたのであります。事実問題といたしまして、さような場合に中央、地方の警察運営がうまく行かないというその責任はやはり中央は負わなければならんわけでありますから、さような故なくその勧告を無視するということは実際上起らんであろうという考えからその規定を書かなかつたのに過ぎないのでありまして、その陰に隠れてそれを濫用するというようなことは毛頭考えてはいないのでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 国警長官がはつきり罷免勧告権の発動があつた場合に、中央としてそれは考えなければならん、そういうふうに考えられておるにいたしましても、併しそこに一つのいわゆる都道府県本部長の中央任免という一つの貫かれた精神があるように私たちには考えられる。中央の任命する者に対しては、これに対しては地方は拒否権を持つておられる。ただたまたま事故があつた場合に、これに対して懲戒を勧告する、或いは罷免を勧告する、これを中央で聞かれない場合には、地方としてはいたし方がない。完全なる人事権というものはやつぱり任命権と罷免権がなければならない。勿論その間には懲戒権というものもあるでありましよう。ところがそうでなくて、任命権もないし、罷免権もないし、懲戒と罷免の勧告だけがあつて、これを中央に勧告いたしましても、中央がこれを聞かないということであれば、結局都道府県公安委員会の権限というものは、なきに等しいという事態になることがあると思うのであります。この点は如何ですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) その点は逆の場合をお考え頂きたいと存じます。中央には先ほど申しまするように第五条の指揮監督権がございまするが、公安委員会に対してはこれは全然指揮監督調整に従わなかつた場合の担保の途は全然講じておりません。これを申上げますると、それならば中央の指揮監督は無意味じやないか、なきに等しい、こうおつしやられるのと丁度同じでありまして、今の罷免勧告権の場合は、下から見まするならばさように解釈できるかもわかりませんが、我々民主的な、法律の運営というものは民主的な常識で行われることの前提に立つておりまするが故に、都道府県に委任をいたしまして、その場合に指揮監督の担保がなくても自主的に運営される。こういう前提をとり、又そうでなければ実際の運営はできませんから、さような運営ができると確信をいたしておるのでありますが、それを下から中央を見た場合におきましても、下の注文が中央につけられて、それに対して担保がない。こういう場合もその担保を法律上確保しなくても、そういう注文がつけられるということによつて、そこに良識的な運営が行われる。かような考え方に立つてこの法案すべてが作られておるのでございまして、さようでありませんければ都道府県なり或いは現行法による市町村等に委任をいたしまするということは、中央から見れば危険極まりないということに相成りまするし、又中央で何らかの権限を持てば、それは危険極まりないというお感じに相成りましようが、中央と都道府県との間の関係というものは、これは国と都道府県との関係と同じように、自治団体と国との信頼関係に立つということを前提にして、初めて国の全体の行政も行われておるのと同様に御理解を頂きたいと思うのであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 併しそれでもなお我々に納得行かないことは、成るほどこういう方式をとりますと、幹部警察官の人事交流という点では非常にうまく行くところがあると思いますが、併し逆に中央がいろいろの内部的な情実と言つちや悪いですが、あの人はもう何年くらい学校を出てたつた。まだあそこにいる。頼まれればその人をどこかほかのところに栄転するようなふうに持つて行く。勿論それは都道府県公安委員会の同意を得なければいけませんけれども、併しその意思はどこまでも中央から出るものであります。従つて曾つて府県知事が、いわゆる最後の府県会におきまして、どんな議決をしようと、結局において原案執行権を持つていて強大な権力を振い、ときには府県会の意思を無視してまでも知事の思う存分の権力を発動したということがたしかあつたわけであります。そこで例えば誰が警察庁長官になるかわかりませんけれども、そのお気に入りの人が地方の府県警察本部長になつて行く、その地方において問題を起してこれはやめさせてもらいたい、或いはやめさせてくれという勧告をした場合に、その警察本部長は中央の警察庁長官なり、或いはその他警察庁の高級警察官と気脈を通じているという類いにおきましては、なかなかこれを罷免することができない。いつまでも居坐つて、むしろ都道府県公安委員会と対立してでもやつて行こうというような幹部警察官が将来出て来ないとも限らん、非常にこれは人事の交流という面から見れば、非常にいい制度ではありますけれども、併しその人事権を中央が掌握しているということによりまして、これまでの国家警察的な色彩が濃厚に出て来るという心配がどうしても拭い切れない、そういう点如何でございますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 御意見の点はよくわかります。ただ都道府県の公安委員の任免権を中央で持つているということになりますというと、これは事が重大だと考えます。そうではなくて、都道府県の警察の責任者、これは知事が都道府県議会に諮つて自由に任免をされる、その直接指揮監督を受ける機関でありますから、指揮監督の責任者がこれはいかん、こうはつきり言われた場合に、それを果して無視ができましようかというのが私の申上げているところでございます。ただ先ほどおつしやいますように、中央人事であれば、そこに若干の情実が入る虞れがありやしないか、若干は私はあり得ないとは断言できませんが、同時にやはり人事権が地方にあるということによつて、人事が非常に渋滞をする、そのために都道府県の警察全体の士気が上らない、或いはそこにいろいろな弊害が存在して来るという点とも考え併せまして、どちらがよろしいかという御判断に待つよりほかはないと、かように思うわけであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 中央の公安委員会の場合、深くは私触れませんけれども、国務大臣が公安委員長になつているということは、まあ公安委員長の良識によつて、まさかその人が二対二の表決権を行使するということはなかろう、万そういうことのないように運営するというお話であります。併し私も、これで二度目でありますか、曾つて斎藤国警長官の罷免の問題、これは別に失礼でもないと思いますが、そういう問題が将来起つたという場合には、従来の場合は、国家公安委員会というものは、何物にも恐れない自主的な判断を下したわけでありますが、将来国警長官に問題がある、つまり政府に向つて協力しなかつたというような場合には、国務大臣であるところの国家公安委員長が罷免に持つて行くように工作するということは極めて前よりは容易であると考えますが、そういう心配はございませんか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは大臣からお答え頂くのが至当かと存じまするが、私の体験に基くお答えを一応私からいたしたいと存じます。若し国務大臣が公安委員長に入つておられまして、そして他の公安委員のかたがたと一緒に警察を管理をしておられ、いわゆる長官を指揮監督をしておられるという状態に若しあつたならば、あの長官罷免問題というものは私は起らなかつたろう、かように思うのであります。あれは警察の内部と政府との間にその点で意思の疏通を非常に欠いておつたということから参つた、こう思うのであります。他の公安委員が長官に対してどの程度の信頼感を持つてやつておるかどうかということを内部におつて御覧になつておればああいう問題は起らなかつたと甚だ私はおこがましい言い方かも存じませんが、本当にさように思うのであります。その状況がわからないで外部からどうだろうこうだろうという憶測から或る意見がぽつと出て来るという場合に、そういう衝突が起るのでありまして、さような意味から私は担当大臣として、ただ部外者として担当をしておられるよりも、内部に入つて担当をしておられるというほうが、むしろ正しい意味において意思の疏通が図りやすいのじやないか、私の体験からさように申上げるのであります。公安委員長が他の委員の意向を無視してさような事柄をなさろうとされましても、良識ある公安委員のかたがたの承服されるところではないと、かように思うのでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 私もこの問題についてはこれ以上余り追及いたしませんが、国務大臣である国家公安委員長が公安委員会の中にあれば、警察庁長官の更迭なり罷免の問題が起つて来たときに、事情がよくわかつておるからああ  いう問題は起らないであろう、まあそういうことも一つの考え方であります。併し逆に言いまして、丁度検察庁法十四条を発動したという、これは国務大臣が検察庁を指揮監督する地位にあるわけであります。こういう場合について見ましても、やはり公安委員会の中に国務大臣がおるということは、何か事故があつた場合に、政府の政策に協力しないという場合には、やはりその圧力のほうがむしろ大きいのじやないかというふうに、それは表決権とか何とかいうことじやないんです。一つの圧力が委員会に加わる。で、その国家公安委員が、勿論良識のある人であるならばはねつけるということもあるでしようが、やはり日頃委員会において出席をしているそういう人たちが、やはり委員長が言われれば或る程度までこれに協力しなければならないという結果になるであろう。ですから斎藤国警長官の御自身の経験によつて国務大臣が国家公安委員長であるほうがああいう問題を避け、若しくは円滑に処理することができるであろうということにはどうも納得が行かないのです。丁度検察庁法十四条と同じように一つの、まあ権力じやありませんが、圧力を他の委員に加える。そして罷免するなり或いは又は罷免に反対するなんといつたようなことが起つて来るのではないかという心配を持つわけであります。もう一度……。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 結局は問題は国家公安委員の人格識見というものを信頼するかしないかということにかかると思うのでございます。現在の法律の構成によりましても、公安委員の人格識見というものに信頼がおけない、政府から、或いは担当大臣から言われれば言われる通りになつてしまうということであれば結論は私は同じだと、かように思います。公安委員長が内部に入つて来られましても、正しい事柄については成るほどそうだと言つて同感はされましようが、正しくない事柄について同感をされるというような、若しそういう公安委員の選任の仕方になるというのであれば、これは現行法の下においても同様のことがある。で、もう一つ是非御念頭に置いて頂きたいと思いまするのは、たとえ長官が非道な命令をする、指揮権を発動するという場合に、結局これは都道府県の公安委員会を通してでなければ実効がないわけです。都道府県警察が第一線で働くわけでありますから、そこに都道府県の公安委員、公安委員会というものの存在することによつて、さような不妥当な或いは非合理な指揮監督というものがこの仕組によつてできないのでありますから、民主的保障は私は二重、三重に、トンネルがここに設けられておると、かように思つておるわけであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 都道府県の場合は別にいたしまして、例えばこういう場合も考えられると思うのです。現在の吉田内閣はこの改正警察法が成立いたしまして、警察庁長官を任命する、それが或いは時期が来て解散があつたり又は内閣がかわつたり、全然違つた性格の内閣ができた、そういう場合にはやはり警察庁長官の問題が起つて来ると思う。その場合に公安委員会というものが、いわゆる別個な自主的なものである場合と、そうでなくしてその中には国務大臣であるところの公安委員長がいる場合、そういう場合に政府が、あの警察庁長官は前の内閣が任命したものであるからかえたいと思うときの圧力は、現在のような国家公安委員会の制度とそれから国務大臣である国家公安委員長のいる組織とで、どちらがやりやすいと思いますか。この問題について言えば、私に先ほど斎藤国警長官がおつしやつたような、国務大臣が公安委員長であるほうがお互いに理解がとれてああいう問題が生じないであろうというふうにおつしやつた、それとは違つた答えが出て来るんじやないか、こう思います。如何です。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私はこの点は逕庭はないというふうに考えております。問題は公安委員の良識であろうと思うのでありまするが、例えばその間違つた考えを持つた内閣ができてそこで新たなる公安委員長が出て来る。そこで自分のほうの政党がかわつたんだから警察庁の長官はかえたいということを言いますれば、若し公安委員の良識がございますれば、それはどういうことでありますか、警察は本来政治的な中立を保つ立場に置かれておる、性質上もそうである、あなたはそれじや警察庁長官をかえて何をされようとするのですかというようなことを聞くことになろうと思うのであります。これは外部におりましても、内部におりましても、そういうことがあればそれは反撥する。むしろ内部におりまするだけに、そういうことをすべきでないという公安委員会の公安委員の説得力も又もつと程度が深いものであるということが言えると思いますので、別にこの間の相違というものは私はない。問題は公安委員の識見であると、こういうふうに考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 公安委員の良識によつてそれは判断されるということはこれは当然であります。併し制度として、例えば内閣のかわつた場合にその政策が全然変つて来るということは、これはまあ必然的な事実として私たちは考えてもいいと思うのです。その場合現在のような国家公安委員会の制度である場合と、将来のような国務大臣が国家公安委員長になつている制度とどちらが内閣の威令が行われやすいかという問題、比較の問題であります。勿論公安委員会は、公安委員会の委員は両方とも良識あるものとして考えるわけです。制度の上から言つて、現在のように権力から中立であるという立場に置かれた場合のほうが批判的であつて、国務大臣が公安委員長であるという場合はやはり政府の要請と言いますか、或いは政府の政策によつてこの前の内閣のときに選任されたところの警察庁長官をかえたいという意思があるならばかえやすいではないかということを質問しているわけなんです。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 大臣がお答えになりました通りでございまして、大臣が、内閣がかわつて委員長がかわられる、入つて来られる、そして公安委員のかたがたと接触をされることによつて、これは長官をかえることができるかな、いやむずかしいかなということは公安委員長になつておられればそれは私はその難易はすぐに判断がつくと思う。これはとてもこういうことは持出せないという判断は、内部におられるほうが私はしやすいと思います。外部におられまして、何か政府の考え方として言えばすぐかえられるものかも知らんというような考えでおられると、この前のような問題が起り得るのじやないか、だから制度としましては私はやはり内閣がかわつて大臣がかわられた場合でもすぐ内部に入つて来られたほうがもつと円滑に参りまして、不当な意味において圧力を加えるというものはなくなると思います。又正しい意味において政府の治安に対する施策というものを公安委員会において正しく反映させるということにおいては大いに効果があると思いまするし、又警察の正しいあり方において五人の公安委員が政府に対して治安面から見た施策はこうあつてもらいたい、或いは治安に対してはこういうような考えであつてもらいたいということが、内部に公安委員長が入つておられるほうが私は本当に遺憾なく発揮できるんじやないかと、かように思います。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 私は仮に自由党内閣が続いて、何か丁度斎藤国警長官の場合と同じような、何か地方に騒擾事件が起つた、これに対して十分なる機宜の措置をとらなかつたというような問題で罷免させる問題が起つて来る場合に、割合は私はいいと思う。併し警察というものは不偏不党、公平中正でなければならない、この点はよくわかります。併しそこに国務大臣の国家公安委員長がいるということによつてやはり警察の運営が政党化するという危険を非常に感ずるのであります。この点はすでにいろいろと質疑されておりますから私は触れませんけれども、その危険があるという我々の立場から言えば、内閣がかわつた、政府がかわつたという場合には、警察庁長官の罷免の問題は当然起きて来る。これは政党内閣である以上は成るべくそうでないことを国民としては望むでしようけれども、やはり結果としてはそういうことが起る。その場合に全く独立した自主的な機関である国家公安委員会である場合と、その委員長が国務大臣である場合、これは明らかに私は後者のほうが政府の一つの考え方を推進して行く場合において都合がいい、こういう私の考えはどうも動かすことはできないように思います。良識とか何とかいうことはこれは別でありますが、制度の上においてそういうことになる心配というのが私の考えなんであります。もう一度繰返して御答弁願います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 制度とししとおつしやいまするが、私は制度として、いい意味においての内閣の治安の責任を反映せしめるということで、かような国務大臣が委員長となつておるということに意義があると考えておるものでございまするが、只今仰せのように、内閣がかわつた、そして警察庁長官というようなものは政党内閣だから当然にかわるというような思想が私ともには理解できないのでございまと、そういうことは本来すべきではない。かえるということを仮に意識するような、非常にそういうことを望むような政党が内閣をとりましても、それは公安委員というものによつてチエツクされる。そうした政治的な支配を遂げるという考え方は、身分を保障され、良識を持ち、国会によつて承認せられておるそうした公安委員会によつてチエツクされる。こういうことに制度上私はなつておると思います。非常にむちやくちやなことをやる政府がでさた、それでは警察の責務を完うし得ないというので自発的にこの長官が辞意を表明するという場合ならございましようけれども、政府がかわつたらすぐに警察庁長官をかえるということを考える政府自体がむちやでございまするし、そういう政治的なよこしまなる暴力というものは、私は公安委員会が存在するということによつて防ぎ得る、制度的に防ぎ得ると、こう考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 これから先はもう水掛論でありますから私は言いません。併し政党内閣である限りにおいてはそういう危険性が自由党内閣においてそういうことをやる、そんなむちやなことをやるということはないかも知れませんけれども、かわつた内閣においてそういう施策がとられるかも知れないという、そのことを心配するだけであります。これは小坂国務大臣の良識であつて、併しその危険は決してなくなつておらない。併しその点は私はやめます。  衆議院から西村直己代議士が見えているようでありますが、修正の点について二、三承わりたいと思います。  第一にお伺いいたしたいことは、七条のいわゆる公安委員の資格の問題でありますが、いわゆる前職者と申しますか、正確に言えば警察又は検察の職務を行う職業的公務員の前歴であります。いわゆる前歴者の資格を五年というふうに区切りまして五年たつた者は国家公安委員になれる、これは地方の場合も同様であります、なれるというふうに修正されましたその意図はどういうところにございますか。経験を尊重するという意味であると私は思いますけれども。まあ第一にその点お伺いしたいと思います。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) お答え申上げます。公安委員の資格要件を勘案いたしましたのは、政府案におきましても従前の制限を大幅に緩和いたしているのは御存じの通りでございますが、ただそれでもなお私ども衆議院三派といたしまして折衝いたしました結果、こういうふうに変りました趣旨は、成るほど公安委員の中にはいろいろなかたが入つて頂くほうがいいのではないか、又いわんや僅かな期間警察に職があつたといつてもそれがもうそれだけのことで以て排除されるという必要もないじやないか、又人によつてはいろいろその人の却つてまじめな経験も多少公安委員会に反映して来ることによつて公安委員会そのものの権威も高める場合がある、これらを考えましたが、併し同時に退職してからの或る程度の年数のたつていることが同時にいろいろな弊害を除去し得る、こういうふうな点を勘案いたしまして五年の制限で前歴者を県会或いは国会の承認の下に公安委員に任命ができる、こういう形でこの趣旨で修正案を作つた次第でございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 任命前五年間に前歴がない者ということでありますが、前に現行法におきましては旧職業陸海軍人の前歴のない者というような制限があつたわけでありますが、こういう点旧軍人でも公安委員になることは差支えないのですか、こう了解してよろしうございますか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) その通りであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 それでこういういわゆる資格の制限というものは現行法の考え方からは非常に違つた新らしい一つの考え方を打出したものであります。元来委員は専門的な経験や或いは知識を持つていないむしろ素人のほうがいいとされたのであります。で、国家及び地方の公安委員の中には、ああいう人が警察のことについて何にも知らないでどうして警察を運営して行くのだろうというようにまあ世間からは言われた人が、案外民主的な警察の運営ということをやつている、従つて私たちはこの警察の運営は素人でもかまわない、素人のほうがいいと考えるのでありますが、その点についてこういうふうな法律の改正、修正をやられるとなると、前歴の経験と知識というものがどうかすると非常に警察運営のためによくない結果を生むのではないか、特に人事の問題などにつきましては派閥的な運営がなされるのじやないかということを非常に心配いたしますが、この点は如何ですか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) お答え申上げます。成るほどお説の点も私どもは十分考えて見たのでございます。ただ政府原案でも只今お答え申上げましたように、軍人、特定の憲兵等は一応排除されておりますが、軍人等でもすべてこの公安委員に無条件でなれるというふうに大幅に制限を緩和しております。そこで単に警察或いは検察という仕事に携つた者だけを無制限に永久に排除するのは余りにもそこに区別し過ぎる、問題は人柄というものがむしろ公安委員会には非常に中心になつて、人柄、その人格、徳望、こういうものが中心になつて行くべきである、といつて今御心配のありますように直ちに従来警察に職を奉じている人はなまのままで入りますれば人的な影響等も強い、そこに一定の期間この前歴の持つた者に限り制限をいたしておる、こういうのが私の修正の趣旨でございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 政府の原案によつても相当大幅に資格の制限というものは撤廃されているというお話でありますが、これは立場の問題でございまして私どもはやはり現行警察法に或る程度の制限はしても民主的な警察の運営のためには必要であるというふうに考える、従つて政府の原案に対しましても勿論私たちは賛成ではないのでありますが、それを更に政府の原案によれば警察又は検察の職務を行なつた職業的前歴のある人は公安委員にはなれないという強い一つの制限があつたわけでございますが、これを緩和することによつて起つて来る弊害、先ほど申上げましたような弊害のほうがむしろ大きくて素人のほうが遙かに私は警察の民主的な運営のためには必要であると考えるのでありますが、やはりお答えの通りでございますか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) 成るほど悪い例をとりますれば弊害というものは私どもは十分わかるのでありまするが、併し同時に同じように一つのまあ人間と生れまして憲法上一応成るべく制約のない平等の立場で行き得るようにするのが今日の民主政治の根幹ではないか、それから考えて参りまして、そしてその起る弊害をできるだけしぼつて行こうという趣旨からこういつた考え方が出て参つたわけでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 この公安委員は私は憲法で言う職業、営業の自由ということとは違うと思うのであります。これは制限があつても決して私はそれが憲法違反であるというふうには考えません、従つてこの点はまあいろいろ見解の相違であると思いまするので、先に進みますが先ほどもいろいろ斎藤国警長官と質疑応答をしたのでありますが、三十八条の都道府県の公安委員会の問題でありますが、この指定市を持つているところの府県においては、ほかの場合には三人の公安委員であるが、特に二人殖えまして五人の委員を置くことになつておりますが、この二人の委員はその指定市の市の議会の、「指定市の市長がその市の議会の同意を得て推せんしたものについて、」これは三十九条でありますか、「当該指定府県の知事が任命する。」ということになつております。この場合に若しも市長が市の議会の同意を得て推薦したものについて府県の知事が異議がある場合に任命することはできるかどうか、或いは知事に拒否権があるのかどうかということと、「推せんしたものについて」とありますが、これは二名だけを推薦するものであるのか、或いはそのほかに三人なり四人なり推薦したものについて知事が任命するというのでありますか、その点を伺いたい。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) 私どもの修正点でございますが、二名を推薦して頂き、これに対しましては知事は拒否する権利もない、又拒否する機会も起らないと考える。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 そうしますと次長が推挙した者は必ず知事によつて任命される、こういうふうに了解してよろしいわけですか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) お説の通りでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 それから五十二条であります。指定市の区域における府県警察本部の事務を分掌させるために当該指定市の区域に市警察部を置くということになつております。この警察部の性格或いは職能というものはどういうことであるか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) これは市の警察部と申しますか、府県指定市のあります府県警察本部の内部の下部組織と申しますか、そういうふうな考え方でございます。但し市の特殊事情に合わしてそれだけを事務を分掌し、統轄をさせる、こういう考え方であります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 これは中の範囲内におきましては、府県警察と完全に同一なる警察事務を行わせるということでありますか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) これは府県警察と同格ではございませんで、下部組織と私どもは修正を考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 警察事務の内容であるこの指定市のあるところにおいては完全に府県警察の権限というものは排除される下部組織であつて、任意と申しますか、その範囲内においては市警察部が、まあ上司上官の命令を受けてやはりその範囲内においては市警察部が全権委任を受けてやつているあらゆる警察事務について行うというふうに解釈すべきでありますか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) 私どもはそういう趣旨ではありません。府県警察部の中の一つの組織として五大市の区域内におけるその事務を分掌させる。勿論御存じの通り官庁には或る程度官庁内部のそれぞれの委任というものがおのずから他の細かな法規できまつて参ると思います。その範囲においては独自の判断でやれるものもあろうと思いますが、理論的な具体的な説明としては県本部と申しますか、その本部の範囲内においてその部分を事務として分掌し、統轄して行く。こういう形になるわけであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 そこではいわゆる府県警察とそれから市の警察事務とは輻湊したり或いは錯綜したりするようなことは全然ございませんか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) それは内部の事務のきめ方が非常に拙ければ起る危険性があるかも知れませんが、私どもは内部の事務のきめ方というものは当然それら錯綜を避けて、細かな、いわゆる職務規程と申しますか、分掌規程をきめられるということによつてそういうことは避け得られる、間違いないと考えます。

小林武治緑風会

○小林武治君 ちよつと関連してお尋ねいたしておきます。その指定市の警察本部長は恐らくいわば警視正以上のものだと思いまするが、これは国家公務員として国家公安委員会が任命される、そういうふうに了解していいわけですか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) 恐らくその格というものは事実上そういうものになると思います。従つてその格に従つて中央において私どもの解釈からすれば国家公安委員会の委任ということになると思います。

小林武治緑風会

○小林武治君 従いましてその市警の本部長は当然府県の警察本部長の部下として単に事務を分掌するに過ぎないと、こういうふうに了解しておりますが……。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) その通りでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 その部長はつまり国家公務員であつて、その点はまあ明確、恐らく五大都市の警察部長でありますから、当然国家公務員の警視正以上の者を以つて充てる。そしてその事務の内容であるとか或いは事務の分掌であるとかいうものは、その市の条例によつて定めるものではなく、府県の条例によつて定めるということになりますか。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) お説の通り条例又は内部規定で定まるものと考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 府県の……。

西村直己自由党

○衆議院議員(西村直己君) 補正しておきますが、府県の条例又は内部の規定で定まるものと考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 時間が参りましたから……。

笹森順造改進党

○笹森順造君 大蔵省がお見えになつておりませんか委員長。大蔵大臣がお見えになつておりますか。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 大蔵大臣は今政府委員室を出たという通知が来ております。やがて出席されると思います。

笹森順造改進党

○笹森順造君 今お見えになつておられますそれでは省の大臣はどなたですか。私御出席を要求しておりましたかたが、どなたか、おいでになつておるかたから順次お伺いいたします。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 石井運輸大臣、植田鉄道監督局長、鳥居海上保安庁次長、久留公安本部長、砂本警備救難部長です。それだけと国警担当だけです。

笹森順造改進党

○笹森順造君 それでは極めて制限せられております時間のうちに広汎なこの改正の内容各部に亘つてお尋ねいたそうと思いましても、なかなかこの質疑応答では意を尽さないことがあろうと思います。そこで私はたくさんのかたがたにおいでを願つてお答えを願うわけでありますので、極めて簡潔に要点だけをお尋ねいたして、余り同じかかたに長い時間煩わすことをしないようにしたいと思つておりますから、どうかそういうおつもりで要点についての御解明をお願い申上げたいと思います。そこで運輸大臣がお見えになつておるわけでありますが、特に私のお尋ね申上げたいと思つておりまする点は、この警察法の中でいろいろ協力の義務が内部警察においては、制度においてはありまするが、この警察外部のほうではこの法案の中には明確な規定が見当らないわけであります。併しながらほかの法律でやはり例えば今まで申しますなら、運輸大臣は法務大臣と協力して日本国有鉄道総裁の推薦で鉄道公安職員を任命することができる。そこで犯罪の捜査を行う。捜査を行なつた以上はこれを逮捕したならばあとは警察のほうの関係になる。こういうような説明になると承知をいたすわけであります。こういうような関係で今運輸大臣のおいでを願つておるわけでありまするが、近頃特にこの鉄道運輸関係におきましていろいろな犯罪が起る。この鉄道内における、運輸管内における犯罪の状況が近頃大体においてどういう状況になつておるか、一応伺いたいのであります。

石井光次郎自由党運輸大臣

○国務大臣(石井光次郎君) 国鉄の関係で鉄道公安関係のもとにおきまして取扱つた今お尋ねの点につきましては、丁度国鉄の公安本部長が来ておりますから、それから詳しく申述べます。

久留義泰日本国有鉄道公安本部長

○説明員(久留義泰君) 只今のお話でございまするが、御承知のように終戦直後は一般的な社会的な混乱を反映いたしまして、鉄道の犯罪も相当多かつたのでございます。現在におきましても件数そのものにおいてはいささか減少いたしておるのでございまするが、私らの畠の範囲から見ますれば、やはり質的にはいささか変つておると、即ち、やや衆力的なものが減りまして、やや知能的なもの、それから又、やや何らかの撹乱的なものというようなものは減りまして、単純なる悪意というようなふうな傾向になつております。件数の変化でも申上げる必要がありますれば細かい点は申上げたいと思います。

笹森順造改進党

○笹森順造君 細かい件数のことは別にここでお尋ねしようとは思いませんが、大体の傾向においては、例えば年次に、今暴力的なものでなくて、或いは知能的なものがある。もつと明確に申しますならば暴力的なものよりも、或いは掏摸であるとか、何か窃盗であるとかいうようなものもあるかも知れませんが、大体そういうようなことと、最近禁止されております食糧の持込みというようなことが非常に一時は多かつたようでありますが、最近はそれらも減つたように思う。併し、それも、併しながら、これは鉄道公安官と一般の警察の協力において或いは防止する、或いは逮捕し処置するとかいうことの意味で、実はそういう関係もあるので、この警察法の協力関係についてお尋ねしておるのでありますが、もつと明確に言うならば、逮捕した、つまり犯罪人或いは又嫌疑者、これを逮捕して、そうしてそれを普通の警察職員のほうに手渡したものと、こういうものの件数の大体の傾向なり、件数なりはわかると思うので、私どものお尋ねの趣旨がそこにあるわけであります。

久留義泰日本国有鉄道公安本部長

○説明員(久留義泰君) 二十八年の大体の一カ月平均で申上げますると、刑法犯罪の発生は五千三百件ぐらい、検挙と申しますか警察職員若しくは検察官に引致いたしましたのは千三百七十七になつております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 只今のことで、大体四分の一か五分の一がその件数と、それから逮捕し実際取扱つたことのようでありますが、これは担当宮にお聞きしますが、大体そういう件数のものと、実際に逮捕されたものとの比例は、大体そういう四分の一くらいの比例にな  つておりますか、如何ですか。

中川董治国家地方警察本部刑事部長

○政府委員(中川董治君) 大体犯罪の件数と検挙数の比率は、大体七〇%が普通の状況です、現在は。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そうすると鉄道のほうでは低いように思いますが、そうでございますか。

久留義泰日本国有鉄道公安本部長

○説明員(久留義泰君) 大変失礼いたしました。私先ほど申上げました一カ月五千三百と申しましたのは、これは発生件数でございまして、検挙件数は千三百七十七ということでございまして、その意味では、検挙率というものは純粋の刑事犯罪に関する限りは約三割と、こういうような程度になつております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこで運輸大臣にお尋ねいたしまするが、普通の警察は大体検挙率は七〇%だ、鉄道内における犯罪の検挙が三〇%だ。従つて旅客がそこに歩いております場合に、どうもこの危険率が多いような感じがいたしますが、どこにそういう原因があるか。又これをどうしたなら救済ができるか、この警察法との関係においてお尋ね申します。

久留義泰日本国有鉄道公安本部長

○説明員(久留義泰君) 御承知のように、私、今申上げましたのは、純粋の警察法並びに刑法的な犯罪でございますが、そのほかに、いわゆるまあ広い意味で犯罪でございまするが、営業法規、例えば無札の旅客とか、或いは過大な手廻り品を持つていたといつたような運輸規程或いは鉄道法の運送約款的な運送に関しまする規程の違反というものは、このほかこれが約五倍程度でございまして、その面におきましては、殆んど営業法的な処理をいたしております。非常に犯罪に関しましての検挙率が一見低いようでございまするが、私どもが担当しておりまするこのほかに、五倍も数のございまする営業上の、つまり旅客荷物に関しまする部内の取扱い方の違反と申しますか、これは無数に各駅、列車に起つているのでございまするが、この面につきましては、殆んど効果は挙げているのでございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 只今のお話で大分話がわかつたのでありますが、私のお尋ねいたしましておりますのは、単なる旅客にいろいろ起きます被害であるとか或いは又窃盗被害とかいうことばかりでなくて、輸送関係において禁止されているものに対する取調べ、或いは又鉄道の輸送内において、輸送されました貨物が、託せられました物が失われたというような問題等を含めて実はお尋ねしたわけであります。併しそれよりも私は今ここでお尋ねを申上げたいのは、そうした違反的な行為をしたものを、例えば明確に言うならば、この頃禁止されておりまする米の、まあ何と申しまするか禁止されているものをやつていると、そういうような件数は近頃ずつと減つたように思いますけれども、併し近頃でもなお又そういうこともあるようであります。そういうことの警察との処理関係はどういう工合になつているか、つまり鉄道公安官はこれは処理する機関ではなくて、やはりそれは逮捕なり或いは又捜査して、あとの処置は、全部これは普通の警察でやるものと心得ておりますので、その取扱についての連絡、そのことが明確にならなければ、大分どうも問題があるように思つております。そこでお尋ねしているわけであります。

久留義泰日本国有鉄道公安本部長

○説明員(久留義泰君) 主として食糧管理法違反の関係等のお尋ねかと思うのでございまするが、お話のように私どもといたしましては、その持ちまする能力或いは性格からいたしまして、主といたしまして車内の秩序維持というような観点から、重点を注いでいる関係上、食糧管理法上の取締りを実施するというような場合も、私ども鉄道の公安の性格に照らしまして、車内の秩序が紊れるというような可能性のある場合に、小規模のものは自主的にいたしまするが、おおむね集団的でございまするので、所在の警察機関の協力と申しまするか、或いは偶然にも自主的においでになる場合が多いと思うのでありますが、共にやつているというような恰好であります。従いまして又その後始末につきましても、お説のようにあとのほうはすつかり警察官がやつて下さると、こういうふうになつております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこでもう一つお尋ねいたしますが、一時鉄道職員の中で、国民の託した物を途中で横領するというような事件が随分起つたことがある。最近は余りそういうお話も聞きませんけれども、今でもなお鉄道官吏の中に官紀が紊乱しておつて、そういうようなことをするということがままある。近頃そういうことは私どもは余り公に聞いておりませんけれども、内部における綱紀の粛正がどんな程度になつておるか、お尋ねしたいと思います。

久留義泰日本国有鉄道公安本部長

○説明員(久留義泰君) 部内職員の不正でありますが、従来相当顰蹙を買つた点もあるかと思うのでありますが、二十八年度等について見ますると、前年度に比べまして殆んど半減いたしておるのでございます。なお食糧管理法等に触れる、つまり闇米の運搬等に加わるという者も絶無ではありませんが、部内としてはそれぞれ所属上長からして服務上厳重な注意をいたしておりますので、最近は非常に減つておるのであります。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこで特に大臣にお願いしておきたいと思うのでありますが、綱紀粛正を常に一枚看板とせられる内閣において、我々が公の機関として信頼をすることのできるように、特にこの鉄道職員等については綱紀粛正において一応の御鞭撻を願つて、こういう警察法の適用がなくてもできるように特別にお願い申上げておきたいと思います。私はこの鉄道公安官のことではいずれ又この警察法との協力関係において論議もし、お尋ねしたいこともありますが、ほかの大臣もお見えになつておりますから、今日はこれで運輸省に関する私のお尋ねはこれだけにしておきます。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 笹森君に申上げますが、只今小笠原大蔵大臣、忠調査査察部長、北島税関部長、大蔵省関係はこれだけ出ております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 それでは大蔵大臣に極めて要点だけ簡単にお尋ね申上げます。  この法律を制定なされるに当りましては、やはり小坂担当大臣が国民の負担を軽減し、能率の挙る機構を作らなければならない、警察も十分にこの費用を少くして能率を挙げたいということを言つておる。又地方行政委員会においてもしばしば私どもが考えておるようにできるだけ地方自治体の足らない、極く乏しい財源の中から効率を挙げていかなければならんということを考えて、緊縮予算ということについては私ども考えている。地方自治体としてもできるだけ今後の負担の軽減をしていきたいということを考えておるわけであります。  そこで従来の国家地方警察をやめ、又市町村の自治体警察をやめまして一本の都道府県自治体警察を置くのだというお話でありまして、この改正法によりまして現在の警察法による一切の費用と比べまして、平年度においてどれだけの差が起るのか、これは予算全体に関係することでありますので、大掴みに一通り御説明を願います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 平年度におきましては国費のほうで五億九千万円、それから地方費のほうで八十二億九千九百万円、合計いたしまして八十八億八千九百万円の減少を見る予想でございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこで国費のほうにおいて五億幾ら、地方費において八億幾ら。そうするとこの地方自治体全体において今までの市町村警察が府県警察に移りまして、結局するところ府県警察のほうで軽減になるのは従来の各地方団体で負担しておりますものが八十二億軽減になる、こういう意味でありますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 今のままの制度で実は参りますのと、それから新らしい制度との違いを申しておるのでありまして、念のためちよつと申上げますれば、新制度によりまする平年度の分ですと、これは人員の三万の整理がありますので、整理が大体四、五年かかると思います。五年には完了いたしますが、多少分れます。分れますが、それによつてやりますると、大体国費が百二十億一千七百万円から百十四億二千七百万円、これは年々違うことは笹森さん御承知を願つておきたいと思います。それから地方費におきまして四百三億五千二百万円から二十億五千三百万円、これはそういうふうに減少して参ります。そういうことでこの整理前においては五百二十三億六千九百万円が四百三十四億八千万円、こうなるだろう。それを仮に今のままの現行制度でやつて参りますと、国費のほうが二百三十八億一千六百万円、地方費が二百八十五億五千三百万円、合せまして五百二十三億六千九百万円と、こんな工合になりますので、丁度差引かそういう計算が出て参るのであります。

笹森順造改進党

○笹森順造君 只今人員整備のことで、これは将来人員整理をするということで人件費が減つていく、而もこれは五年程度でできるということで、これは平年度と申しましても年次変つて参りましようし、或いは給与基準が変ると又変つて来ましようから、今それはどうであるということをはつきりと言われんで、大体概算でよろしいということであります。そこで今の趣旨が経済的にして能率的なものをやるのだという趣旨に合しておるという大掴みなことがはつきりされて、その方針が貫かれればこの法律の意味が通つておる。そこで私はその裏付けのことを大掴みに聞いておるだけでありまして、詳細の細かい数字やら将来の変動は今伺つておるわけではありません。  そこでその次に、ちよつとこの点は細かい点でありますが、お尋ねしておきたいと思いますのは、警察の学校がたくさんあるわけでありまして、高級幹部を養います警察大学もあるわけでありまして、そのほかに例えば皇宮警察のような者を養う皇宮警察学校、管区警察の幹部を養う管区警察学校同じく幹部を養う道警察学校、そのほかに新任者の警察職員を養う警視庁警察学校、府県警察学校、方面警察学校等があるわけでありますが、この法文によつて見ますと、警察学校の全部の費用は皆国費で負担するもの、こういう意味でありますか、お尋ねします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 大体教育、通信、鑑識施設、こういうふうのは全国的に統一いたしまして調整を要する経費、その他の国家的な警察活動に要する経費は国庫の直接支弁、こういう考え方でございますが、今いろいろとおつしやつた中にわかりかねておるものがありますので、政府委員から答弁させます。

鳩山威一郎大蔵省主計官

○説明員(鳩山威一郎君) 警察の教養に関しまする経費は国庫で支弁いたす予定にしております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 つまり国庫が負担すべきものの中に警察学校に関することと一本出ておりますので、而して条文はずつと何々学校、何々学校とあつて、その地方の警察学校もあるので、それを含んでおるかと聞いて、その通りだというお答えでありますから、その点はよろしうございます。  そこでその次に、これも余り大きい問題でありませんが、お尋ねしておかなければならんのは、先ほど来根本の御論議が出ておりまして、これは警察というようなものは元来国家のものなのか、地方自治体のものなのか、ということに対しまして、小坂労働大臣は、これは統治権の下から来たものであつて、これは国家的なものである。そのために地方に行われまする警察は大体この行政の事務を委任されたものであるというふうな観念のことがあつたわけであります。そこでどうもこの点は最後まで疑問として、根本の思想と実際と残るわけだと思うのでありますが、これがいうがごとく地方自治体の警察であるというならばそのように私どもは考えたい。ところが統治権の発動が中心であるというようなことであるならばそのように又考えて行かなければならん。それは根本の議論でなかなか結末がついておりません、おのおのの議論で。ところが私どもがここでこれから大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますのは、常識的にも警察事務というと大体国家的な事務というものと地方的な事務と、こういうことが考えられましよう。そこで根本的の理論として主権在民の思想からいうならば、国民の一人々々の持つておるところの権能がそれが地方的に総合されて国家的にまとまつて来るのであるから、その根本の思想において論議していると今のように際限もない話になりますけれども、大体においてこの地方自治法による規定は国家の行うべき仕事について地方の自治団体にその負担をかけてはならんという大体の根本思想があるわけであります。ところで先ほどからのこの規定の中に国家で行うべき仕事のうちでこれこれこれこれの仕事は国家事務である、従つてそれに対しては国が負担をするのだというようなお話が出たわけであります。ところが地方がこれを行うという仕事がある。そこでその地方が行うという仕事に対してこの予算の範囲内において政令で定めるところによつて国がその一部を補助する、こういう規定があるので、恐らくは今後この都道府県の警察が運営されるに当りましてこれは私どもが国会で予算を審議する上において常に問題になるのではないかという気がするのであります。ところがこの立て方が、何だか都道府県の支弁に係る性質のものを軽く視て余り国庫のほうで責任を負わないような匂いがすることであります。これは私どもの鼻が悪いのか知れませんけれども……。(笑声)「予算の範囲内において、」ですから予算がなければこれはやらなくてもいいのだという考え方もできる。或いは「国が一部を補助する、」とある。そこで私どもは当然「予算の範囲内において、」ということを書かなくて、又「補助する。」ということを書かなくて、負担するということに明確になれば、安心して地方自治体というものがその本来の地方自治体の警察活動であるものに対しても、もつと元気よくやれるのではないかという気がしますが、これは大蔵大臣のこの法律を作つたときのお気持……、これは今後我々が地方の警察制度を育成強化して行く上において大事な点だと思いますので、その方針を伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 大体の考え方といたしましては、実は予算の範囲内でとありますが、決して水臭い考えでそういうことを考えておるのじやございません。政令で定めまするが、大体二分の一を補助する、こういう考え方でいるのでございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そういうことを今承わつておきますと、今度私はその二分の一でいいのか悪いのかわかりませんが、とにかくその言葉はどこまでも私の耳に入れておきますから御承知おきを願います。  それから進んで、小さなことになりまして大臣には或いは恐縮かも知れませんが、今度この制度によつて警察が一本化されました場合に、市町村警察の財産を今度一本化された警察のほうへ持つて行くという場合に無償を原則とする、但し負債等がありまする場合には、これは相互で相談をしてこれに応ずる、こういうような工合になつておるように承知いたしますが、この法律の建前はそう承知してよろしうございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) そうなつておりますが、御承知のように両者協議をすることに相成つておりますので、協議をして円満な話合いを付けるということが必要であります。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこで原則としてはこれはあべこべのように私は実は思うのであります、無償を原則としてあとで協議するというのでは。これは有償を原則としてあとで協議するのでなければ、この市町村の警察の庁舎であるとか或いは又その他のものは、それは実は市町村のほうで出した、或いは市町村民が特に寄付等において出したものが非常に多いわけであります。それを原則として無償でやつて、これを一本の都道府県の警察の財産とするということについては少し考え方が高圧的でないか。有償を原則としてなお行くというのであるならば話合いがよほど違うのじやないかという点について、これは一つお気持をお伺いしておきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) まあ私の心持を申上げますと、これは無償でというけれども、大体そこに置いておくのですから、名義は違つても、まあそこにあるのだから無償でいいのじやないかという心持を実は私持つているのでございます。併し両者の協議の道が開かれておりますから、それによつて不服のある分については協議をするということでよろしいのじやないかと、こう考えている次第でございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこでお気持がわかつたのでありますが、若しもこれが、そこにはおいてありまするけれども、それはあなたの家がそこにあつても私があなたの家に入つて行く、そうしてあなたがいなくなると……、それをおいてあるからいいじやないかというのでは、これは市町村警察がなくなるのでございますから、そうしてその中に入つて仕事をするのはそれは同じ警察で、その地域社会における治安なり或いはいろいろなことをするでありましようけれども、やはりその運営主体が変るのですから、そこにおいておくのだからいいというお気持は、少し虫が好すぎるお気持だと私は思いますが、私は併しちよつとそれでは満足がつきかねるのでありますけれども、もう少し何か色をつけたお話を伺えないものでございましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) どうも大体ですね、私ども承知しているのではただで向うへとるといつているものが多いのでございますので無償でいいのじやないかと思いますが、今笹森さんのお話の分のうちに起債とかその他の債務のついているものがありますれば、これについては措置をいたすことはこれは私当然だと考えております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 もう一つこれは大臣でなくともいいと思いますけれども、関税関係のかたにちよつとお伺いしたいと思います。私ども今この警察法の審議をしているわけでありまして、特に警察権の発動において考えることは、犯罪の捜査であるとか或いは又これに対する措置であるとかいうことで、やはり警察との関連があるので、この税関のお仕事の中でやはりこれに関係した問題があると思つて協力の意味においてこれはお尋ねをしたいという観念であります。そこで近頃新聞によく報ぜられますような外国から入つておりますもののうちで、密輸入するというもので、これがために非常に、特に第三国人の手を通して非常に捜査等の困難を感じているというようなことが新聞等に見受けられますが、この税関官吏としてこういうような方面の、何かしらん、警察法などについて私どもがもつと皆さんがたの活動の上において便宜が図れるような考え方があるのじやないかと思うのでありまして、現在における密輸入の状況についてのことを一渡り伺いたいと思います。

北島武雄大蔵省主計局税関部長

○政府委員(北島武雄君) 最近におきまする密輸入の検挙の実績につきまして若干お話を申上げまして、只今の御質問にお答えいたしたいと思います。  昨昭和二十八年中におきまして密輸出入事件といたしまして検挙いたしました件数は千四百七件、検挙いたしました犯人の数は一千六百八十人でございまして、その犯則物件の額は約五億九千八百万円と見込まれております。そこで昨年検挙いたしました千四百七件につきましてどんな機関が検挙いたしておるか、若干機関別に分析いたしまして申上げますと、千四百七件のうち税関で検挙いたしましたのが九百九十件、国家地方警察で検挙いたしましたのが四十件、自治体警察で検挙いたしましたのが二百十件、海上保安庁におきまして検挙いたしましたのが四十六件、税関と国家地方警察と協力いたしまして検挙いたしましたのが十八件、それから税関と地方警察と協力いたしまして検挙いたしましたのが七十八件、それから税関と海上保安庁と協力いたしましたのが九件、その他が十八件ということになつておりまして、申すまでもなく税関といたしましては密輸入の検挙につきましては、非常に警察に依存するところが多いのでございます。勿論港におきまして税関官吏の眼をごまかして密輸出入する瞬間におきましては、これは税関官吏が検挙いたしておるのでございますが、一旦国内に入る、或いは又船に乗せられて密輸出になるということになりますと、国内に入りましたものにつきましてはどうしても警察のほうの御協力を得なければなりませんし、海上におきまするものにつきましては、これは海上保安庁の御協力を得なければならんということになつております。税関法におきましても警察官或いは海上保安官との協力関係が規定されておるわけであります。只今までのところにおきましては警察或いは海上保安庁との連絡は極めて緊密でございまして、各税関ごとに密貿易対策審議会という機関を設けまして、そこに警察官のかたがた或いは海上保安庁のかたがた、或いは又検察庁などの関係官にお集まり頂きまして、随時御連絡を願い、御協力を頂いているわけであります。只今のところでは各官庁との協力関係は極めて密接に行つているとこう申上げてよろしいかと思います。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこで少し困難ではないかと思つて実はお尋ねした点は、最近大分外国から来る航空機などがあり或いは国際的な船などがある。その場合におきましても税関の官吏は或いはそこに臨検するとか或いは疑わしいと、これの出発を差止めるとかいう権能があると私は承知しているわけでありますが、近頃航空機の中で極く容積の小さなもので、而も非常な高価なものが入つて来るというようなことが新聞等においても見受けられる。従つてそういうようなことに対してどの程度この税関官吏がこの出発をとめるとか或いは又中に入つて下ろす前に中を見るということを実際に行なつておるかどうか。これを外国では相当やつておるように見えますが、日本の国内ではどの程度まで、独立後間もない日本が果して対等な地位において国際法上持つておる権能を発揮しておるかどうかということについて、実情を承わりたいと思います。

北島武雄大蔵省主計局税関部長

○政府委員(北島武雄君) 民間航空の発達によりまして、航空機を利用するところの密貿易がこの二、三年相当増加いたして参つておりますのは事実でございます。なかなか航空機による密輸出入は取締りが実を申しますと比較的困難でございます。と申しますのは、御承知の通りに日本の国際空港の第一審は羽田でございますが、羽田へ下りるお客様につきましては、羽田に下りた瞬間におきまして税関官吏等の態度等によつて日本にいる印象を悪くしてはいけないという、こういう先ず第一の配慮がございます。従いまして旅客に対しましてはその人のパスポート等によりまして一応こういう人ならば密輸出入には関係ないという場合には、最近におきましては極めて簡単にパスすることにいたしております。その間隙を潜りまして第三国人が或いは密輸入する事件がちよこちよこございます。この取締りはなかなか困難でございますが、関税法におきましては航空機が飛行場に着きました場合に航空機に入り込んで、まあ検査することができることになつております。この検査を現在実施いたしておりまして、只今ちよつとお話もございましたように、この二、三カ月前に或る航空会社のこれは常務員かと存じますが、香港方面から時計を約千二百個ばかり密輸入せんとしたのを税関官吏が未然に掴まえた事件もございます。こういう状態でございまして、非常に航空機による密輸出入の取締りは困難でございますが、税関といたしましては羽田税関支所に相当最近定員を増加いたしまして、厳重に取締りをいたしております。但し一般旅客との関連におきましてなかなかそのけじめがむずかしい。その点につきましてはできるだけ熟練した税関官吏を配置いたしまして、誤りのないようにいたしておる次第でございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 航空機のことは一通り伺つたのですが、船のことは如何でございますか。

北島武雄大蔵省主計局税関部長

○政府委員(北島武雄君) 船の場合でございますが、勿論この密輸出入の一番大きな件数は、これは船舶によるものでございます。終戦直後の経済の混乱時代におきましては、極めて原始的な密輸出入が行われまして、例えば機帆船を一隻堂々と密貿易船に仕立てて行くようなケースが非常に多かつたのであります。それが経済状態が落着くに従いまして、こういう大胆不敵な原始的な密貿易はだんだん比較的少くなり、それに反しまして正常の外国航路によるところの船舶の乗組員等によるところの密貿易がだんだん殖えて参つたのであります。或る過程におきましては例えば海上におきまして密輸船が物件を海中に投下いたしまして、それを附近のあらかじめ打合わしてあるところの小さな船で以て取りに行くというような事件が、今から四、五年前までは相当多かつたのであります。まあ最近はそういう事件も殆どなくなりまして、最近ではもつぱら船員によるところの密輸出入が多いようでございます。殊にいわゆる第三国人の乗組んでおる船舶につきましては、税関におきましても相当厳重に注意いたしまして検査を実施いたしております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこで、その内容を私は聞こうとするのではありませんが、そういう工合にして捜査し或いは又実際に押収した物の処置について、警察との関係はどういう工合に……先ほどはうまく行つておるということを申されたのでありますが、処理して、例えば今のお話でありますると、水上においては昔なら水上警察、今なら海上保安官とでも申しましようか、そういうものとの連絡において、処置をするために、実際にこの税関官吏とこの今度できようとする警察法による警察官との連絡がどんな工合に実際行われておるか、それを実は伺つているわけで、密輸の内容については別に伺つておるわけじやないので、その関係は実際はどういう工合の運営になつておるか、それだけ伺いたいと思います。

北島武雄大蔵省主計局税関部長

○政府委員(北島武雄君) 関税法におきましては、これは最近全面改正いたしましたので、新聞税法に基きまして御説明いたしますと、関税法の百三十六条におきまして、「税関職員以外の公務員は、犯則嫌疑事件を発見し、又は捜査したときは、直ちにこれを税関に通知しなければならない。」という規定がございます。これが改正前の法律におきましては、「税関官吏以外ノ公務員本法違反事件ヲ発見シ又ハ関税法規ノ犯則嫌疑者ヲ逮捕シタル場合ハ遅滞ナク当該事件ヲ最寄税関官署ニ引継クヘシ」という規定がある。多少規定の仕方が違つておりますが、大体の精神は同じでございます。関税法におきましては関税法の違反事件、これは税関長が最終的にこれを通告処分に付するなり、或いは告発なりいたすわけでありますが、税関長又は税関職員の告発があつて初めて検察庁においてはこれを問題にするという法の建前になつておりますので、例えば警察におきまして税関法規の違反事件を発見し、或いは犯人を逮捕いたした場合におきましても、今まで必ず税関にいわゆる事件の引継ぎがございました。通報なりがございまして、後始末を税関で以ていたしておるわけでございます。この間の協力関係におきましては未だ曾つて、例えば警察のほうで引継ぎを拒んだり、或いは又故意に引継ぎを遅らせるというようなことはなかつたように私は聞いております。そういう関係につきましては協力関係は、まあ殆んど只今のところでは十分と申し得るのじやなかろうかと、こう考えております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこで一緒にして小坂大臣にお尋ねしたいのですが、やはり都道府県警察相互の関係、協力関係がありますが、この法律は私は前から考えて、この協力の義務は都道府県警察内における内部の協力ばかりでなくて、今申しましたような国家の警察的な、或いは捜査であるとか、逮捕であるとか、或いは押収であるとかいうここをする他の機関があるのでありますか、それらとの関係のことがこの法律では見えない。併しほかの法律では法務大臣であるとか、或いは将来できるであろうところの国家公安委員会でありますか何か知りませんけれども、それとの関係の条文があちこちに見えるのですが、この法律を制定されましたときに、この部内における相互の協力関係が規定されておりますが、これにはちよつと部外における協力関係の規定がどうも私見当らないような気がいたしますが、これを特に法を作るときに整理して挿入したほうがもつと便宜がよかつたのじやないかという気がするので、それはどういうことであるか小坂大臣にお尋ねいたします。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 警察は一般の治安の責に任じまするので、組織法としての警察法の中には、特に一般的に協力関係を持つ検察庁との関係を書いてあるわけでございます。御指摘のようなこの特別司法検察官の持ちまする各部門との協力におきましては、例えば今お答えの部門につきましては税関法であるとか、そうしたそれぞれの法律にその協力関係を明示してありまするので、一般的な警察法には特にそのことを謳わなかつた次第でございます。現在でもそういうふうになつております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 大蔵省関係のことは時間もありませんので、これを終ります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 笹森君に申上げますが、要求が保留になつておりましたが、佐藤法制局長官が来ておりますから……。

笹森順造改進党

○笹森順造君 法制局長官にお尋ねします。これは極めて簡単なことでありますから、そう長い理窟になることではないと思います。それは私どもはこの警察法を審議するに当りまして、先ほど来論議のありましたように、これは自治警察か或いは又国家警察か、名目は自治警察でありながらも実際は国家警察の臭いがするというようなことを非常に論議しておつたわけであります。そこで総理大臣がその下に国家公安委員を置く、これは無論国家の機関として当然であろうかと考えます。そうしてその分野においては、これによつて任命権は国家公務員に及ぶのは、これ文理の当然であろうかと考えております。ところが実際ずつと読んでみますると、このおしまいに私どもが見て参りまして一番ぶつかつて参りまする点は、警視正以上のものはこれは国家公務員である。然るに警視正以上の都道府県警察本部長は国家公務員でありながらも警視正以下の警視、或いは又警部、警部補、巡査、これらの人がたは、これは地方公務員である。そこで、この法律では国家公務員たる上司が地方公務員たる者に対する任免権を持つということなのであります。このことは実は斎藤長官にもお尋ねした場合に、これはそれだからこの法律を作るのだ。この法律を作ると、これは国権の最高機関である国会が作つた法律だから、そこから新らしく出発するのだ、こういうお答えしかない。そこで私はどうも不勉強でありまして、あらゆる法律を見たつもりでありまするけれども、どこから一体そういう権能が出て来るのか。自動車がある、ガソリンが入つている、輪がある。併しどこかでスタートしなければならない、そのスタートするものが、法律の拠るところがどうも私は見つからんのです。そこで私はこの点、つまり先ほどから議論になつておりまする自治体警察であるべきはずのものを、つまり地方公務員が、一切のものをやつて行くべきはずだと私どもが考えまするものの中に、そつとこの国家公務員というものが入つて来て、而もこれは都道府県の公安委員会が任免するのでなくて、都道府県警察本部長の国家公務員たるものが今度地方公務員の巡査等を任免するというところ、どうもちぐはぐなところがあるので、法の理論の建前として一体これでいいのか。  そこで私はずつと警視正以上のものも、どんな待遇をしてもよろしいから、これは地方公務員だとすれば、その任免権が地方公務員に及ぶ。総理大臣でさえも今のところは知事も任免できないし、市役所の吏員も任免はできないにもかかわらず、ここでこういう規定があるのはどうもこの法の矛盾を冒しているように思われますので、これは法理論になつて行きますから御解明をお願いいたします。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 御尤もなお尋ねと存じます。この府県に置かれまする警察の本質は、お言葉にもあります通り我々は自治体警察即ち府県自治体警察であると考えております。但しその本体をなすものの中に、お言葉にありますような国家公務員が潜り込んでいるということは何となしにすつきりしないというお気持は御尤もなのであります。そしてこれが地方公務員に徹し、或いは又反対に国家公務員に徹するならば、何ら今のような御心配は出て来ないわけであります。これは現在の制度を見ましても、国家地方警察というものがございますが、それは国家公務員を以て構成されておりまするけれども、その上の府県の公安委員会というものは、これは自治体の機関として上に被つているというような形もすでに現在警察制度の中に現われている次第であります。その他の関係におきましても、自治法の附則関係では、府県の役所の中に国家公務員が潜り込んでいるという例もあるわけであります。これが明治憲法の時代でありますとすれば、いわゆる官制大権或いは官吏の任命大権というものが憲法上天皇の大権事項として厳にきめられておつたわけでございまするから、これが地方の団体の役人の下部に立つとか或いはその任命権が紛淆されるということは、旧憲法時代においては大変な問題であつたことは笹森先生御承知のごとくであります。併し新憲法下におきましては、そういうような大権ということもなくなつてしまいましたから、先ほど斎藤国警長官の言葉も御引用になりましたけれども、これはやつぱり立法政策の問題として一に国会がどういうふうにするのが最も組織として適切であるかという観点から御判断願つて、法律的には一向差支えないと考えております。又先ほど触れましたような、さような実例もところどころ出ているというのが今日の状態であります。先ほどのお言葉によりますと、この地方の本部長が今度は府県の公務員の任免権を持つということにつきましても、それはたまたま国家公務員の身分を持つておりますけれども、その職責上の地位としてはやはり府県警察というものの機関たる地位を持つておるわけであります。その府県警察の機関たるその本部長が自治体におります府県の吏員を任命するということも、筋としては決して間違つておらないというふうに考えておる次第でございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 昔の天皇の統治権或いは任命権から発した一筋のものとは変つて来た。これは国権の最高機関たる国会がきめればいいのだという御解釈でありまして、それはそうかも知れない。そうすることは非常に危険じやないか。やはり筋が通らないことをここできめればできるのだということが、これはまあ法理論じやなくなるかも知れませんけれども、どうも苦しいのじやないか。そのよつて来るところは何であるかと申しますと、今申しましたような、我々が再三根本論をしております総理大臣が国務大臣を国家公安委員の会長に任命し、それが今度は警察庁長官を任命し、それがずつと中央本部長に至り、その国家公務員たる府県警察本部長がその下の人事権まで握るということをするということが先ほど来いろいろ私の心配しております政治干渉ということになりやしないか、その意図の下に、そういうものがあるから結局理論的に余りすつきりしないものまでやるという無理を冒しているのではないかというようなことが出て来るのが私どもの一番論難の点なのであります。併しここでは今法制局長官とそれを論争するわけじやないのでありまして、それが法的にそういうことでもすればできるのだという解釈をする以外にないのだ、私は実は委任事項であるとか、人事院規則とか、いろいろなものを探してみましたけれども、どうも出発点が見当らない、そこで私が出発点があるのかと言つて聞いたら、出発点はないのだということが明らかになれば、それで私がお尋ねしようという点がそこで結論がわかつたのであります。そこで私は法制局長官に対するお尋ねはこれで終ります。そこで草葉厚生大臣がお見えになりましたから、これは先だつてもいろいろお尋ねしましたので、実は重ねておいでを願うのは少し私も遠慮したいと思つておつたのですけれども、極めて短い数分間の間でお尋ねしたいと思います。それはこの間から毒物の処理に関することでいろいろお尋ねし、或いは覚醒剤等に関する処理でお尋ねしたのでありますが、多分お耳に入つておると思いますけれども、戦争中に日本の国が毒ガスの製造をした、これらのものが或る山林或いはその他の場所に埋没せられていた、終戦直前或いは直後にこれらのものの処理のために海中に投下せられた、それが戦後七年八年のうちに海底に沈没して、外装がこれが殆んどさび、或いは腐蝕してその毒ガスがどんどん海水面に現われて来て、従つて多くの魚族がここにおいて斃死し、或いは又漁夫などがこれによつて相当な被害を受けている、こういうような状況で、これは多分海上保安庁などの連絡の関係において警察なども関与する問題であると思いますが、これはお耳に入つていると思いますが、別府湾内における非常な事態が起つている、これについて厚生省関係においてこれらの毒物処理の関係で警察或いは又海上保安庁との関係において如何なる処理をせられておるか、この点を実は伺いたいと思う次第であります。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) お尋ねの別府湾に放棄されました毒ガス砲弾と申しますか、毒ガス弾、これは大体イペリツト弾を考えられておりますが、終戦後別府湾にこれを放棄してそれが最近漁網にかかつて上つて来た、従つて約十一名ぐらいの関係者が、まあ大したことはありませんでしたが被害を受けた、従つて大変不安を感じておる、こういう状態でございます。例えばこのイペリツトは毒物でありますが、国際条約上これの製造を禁止されておりますからして、現在毒物及び劇物取締法の中における毒物の範囲に入つておらない次第でございます。併し事実は国際条約で禁止しているような毒物でございます。これがこの弾の形となつて只今申上げましたような形で参つておりますが、只今までの私どものこの科学的な立場からの調査では、皆その弾のぐるりが腐蝕しまして、海水にこれが溶け込みました場合にどういう状態になるか、イペリツトは海水の比重よりもその比重が重いので、従つて海水よりも下のほうへ沈澱する、だからこれによる魚族の被害は余り考えられない、それから時間が経ちますと徐々ではありますが、海水に溶け込みまして、溶け込んだ場合には海水そのものは全然危険性がなくなつて、危険の度は漸次稀薄になり、殆んど何ら被害を受ける状態にないというのが大体イペリツトの特徴のようでございます。従いましてそういう点から考えますると、現在不安が起つているようでございますが、科学的からこれを検討しまするとそのような不安はむしろない、起り得ないのである。併し更にこれをもう少し科学的にいろいろなほうから分析して、そうして更に不安を一掃したいと存じまして、最近現物が引揚げられているのでございます。これを解体して、そうして海水に溶ける時間、或いは溶けた場合の危険度、そういうのを更に実験したいと存じて、その液休が少しばかりありますとできますから、それを待つているような次第であります。今までのところは只今申上げましたような比重の点から、或いは時間的にこれが海水に溶け込みました場合の危険率というものは、従来の学問的な立場からは危険がない、こう言われていると存じます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 今の御説明で内容はわかつたのでありますが、私のお尋ねしたいのは、そういうことは厚生省独自でだけおやりになるのであるか、或いは又海上保安庁と、或いは又昔ならば水上警察と申しましようか、警察活動との連絡なしに厚生省だけでおできなさるかどうかを実はお伺いしたのであります。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) これは実は厚生省だけではなしに、掃海作業に伴うこういう問題が起つて参りましたので、関係の県なり市なり或いは海上保安関係の方面とよく連絡をいたしまして、それらの機関と協力の下に今後も進めたいと存じます。現在もいたしている次第でございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 厚生大臣に対する質問はこれで終ります。海上保安官が見えておられますから、今掃海のことでお話があつたので…。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 速記を始めて。

笹森順造改進党

○笹森順造君 結論的にお尋ねいたしますが、今度私どもがこの新らしい警察法ができ上りますと、ここに新らしい編成ができ上るということにまあなる。そこで今までの国家地方警察が、いわゆる国警がなくなり自治警がなくなつて、そうして都道府県を一本とした地方自治体の警察、但し衆議院の修正においては五大都市は残るという現状であるわけでありますが、そこでこれも一年という今期間がおかれている。そして人員整理等が五年ののちに行われるということでありますが、ここで一番私どもが懸念しておりますのは、両方とも今後の活動が非常に活溌に進められなければならない。そうして警察の能率を発揮して行かなければならない。これは人事の問題が非常に大事であるということを考える。で、これはまだどういう人事を行うかは、これは人事のことでありますから、私どもどういう人事を今後やろうかということについての内容に触れてお尋ねをしようとは思わない。だが私ども非常に懸念いたしますることは、この国警の方面の人がたが今までの地方警察の職員のかたがたと比べて不当に比重が軽く採用せられるというようなことがありはしないかということを実は心配するわけであります。それは何も個人的な感情というのではなくて、特に警察庁或いは又警察本部或いは又その他の警察を維持して行く上においていろいろな費用等もかかるわけで、人件費等もいろいろある。この面に向つて私どもは国警の人がたの受けておりまする待遇と、今までの自治警察の職員の受けている待遇との間に相当な額の差違のあることは知つておる。従つて経済の意味という上からも、主に高給をはんでおるところの地方警察の人がたが整理されて、そうして国警の人がたが残るというような理論がそこに出て来ることによつて不当に均衡を失うというような人事が行われるのではないかというような心配がありますが、それは個人的なことを聞くのではなくて、大体の方針としてどういう工合にこの将来の人員の整理の基準をお定めになるか、基準がはつきりしておるならば、その基準を一応伺つておきたいと思うのです。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 公安委員におきましてどういうふうに皆さんのお考えがなつて参りますか、これは私から何とも申上げる次第でございませんが、極く一般的に申しまして、制度の運用の良否というものは殆んどこの人事によつて根本が決せられると言つても過言でないと考えるのでございますが、従いまして、飽くまでも適材を適所におくということにつきましては十分に配意をいたしたいと考えております。その際に今まで国警におつたからどうとか、或いは自治警に勤務しておつたからどうとか、或いは費用の点において予算額がどうであるというような問題は全く配慮の外におきまして、如何にしてこの大事な治安を守るにふさわしい態勢を作るかということを、すべての従来の経緯を白紙において考えたい、これが大幅の筋でございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 只今の方針がすべてのものに優先するような方針に実はありたいと思います。どうもその他の経費の関係で国費云々、或いは地方費云々、或いは地方自治庁の方面の費用が云々ということから、経費のほうが主になつて来るということになれば、先ほど私が懸念したようなことになるので、今の小坂大臣の言われるように、そういうことがすべてに優先的なものとなつてどこまでも貫けられると、そこで必要なものは出す、又経済せられるものは経済するということであれば、これは大変私は望ましいことと思いますので、その点だけは明確に私ども伺つておきたいと思つた次第でございます。  もう一つ、これも細かい点で、大臣よりも斎藤長官に伺つたほうがいいかも知れませんが、警察職員の今後の養成の問題であります。学校はこの警察大学或いは警視庁の学校、皇宮警察の学校、或いは又北海道の方面の学校及び都道府県の学校等たくさんあつて、つまり初任の巡査を養う学校と、それから幹部を養う学校と、それからこの最後の大学、そういう順序にできておりますので、巡査になつて幹部になり、それから高級幹部という文字が出ている……、上級幹部ですか、そこでその教育して行く年次なり或いは又階級なりについて、入学資格並びに卒業資格がどういう工合に、この初めの警察学校と、幹部養成の警察学校と、高級幹部養成の大学の間との、この階級とか入学資格とか卒業資格というものはどういうものになつておるのか、一通りお示しを願いたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 初任教養は都道府県の警察学校で行いますが、これは警察官の志願者の中で国家公務員の試験をいたしましてパスした者、学歴は高等学校卒業程度以上ということで、合格いたしました者を一年間いたすのであります。これは初任でございます。  それから管区におきまして、管区の本科生としまして中級幹部を養成いたしておりますが、これは巡査部長及び警部補に必要な教育を行なつておるわけでございます。  それから大学では警部補から警部の試験を受けて合格した者及び現在警部である者というような階級の者を一ヵ年間教育を行う、こういう方針でございます。  それから更に現任教養といたしまして、警察大学では警視及び警部、これは短期の講習をいたしておりますが、そういつた短期の現任教養はまだほかにもございますが、根幹になりまする本科生の教養は只今申上げました大体階級に従つていたしておるわけでございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 各段階の必要なる教育訓練、或いは女大学における学科の研究、これらのものはここに掲げてありますが、これは総理府令ですか、そういうものはもう用意されてあるんでございましようか、どうでございましようか。警察大学の位置及び内部組織は総理府令で定めるのでありますが、そういうものは用意されてあるんでございますか、如何でございます。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 用意いたしております。これはすでに現在あるものをそのまま書いておりますので、別に新らしく創設するものではございませんから、現在は国家地方警察の基本規定で書かれておつたり他の規程で書かれておりますものを、国の組織法に合せますように、法律で取上げるものは取上げるというように、法律の体裁は変りましたが、実体は変りませんから、用意はできております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 私は小坂大臣に対する質問も時間ですからこれで終りたいと思うんですが、先ほど要求した人が若しお見えでありましたら……、極く僅かの時間ですから……。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 必ず出席させますから暫くお待ちを願います。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それでは速記を始めて。

笹森順造改進党

○笹森順造君 勿体ないから一、二分それでは質問を続けます。これは小坂大臣にお尋ねしてどうかわかりませんけれども、これは余り大した多くの事件はないのでありますけれども、逃亡犯罪人引渡法に東京高等検察庁の検察官は、警察事務官、警察官、警察吏員に拘禁許可状による拘束をさせることができるということがありまして、この逃亡犯人に関することでやはり私どもが考えなきやならん問題がときどき起つて来るのでありますが、戦後特にこういう国情においてこういう逃亡犯人が現在どういう状況になつておるか。おわかりだつたらお示し願いたい。

中川董治国家地方警察本部刑事部長

○政府委員(中川董治君) 太平洋戦争の関係で国際条約が失効いたしておりましたのですが、平和回復によりまして逃亡犯人引渡に関する条約が、現在日米両国間には条約ができましたので、その条約に基く法律を過ぐる国会に御提出願いまして、これが施行になつた程度でございますので、アメリカ合衆国から要求がありました場合に東京高等裁判所の判決に基いて処置いたしますので、要求等がない場合にはあの規定は動きませんので、従つてあの規定に基くものは現在ないと心得ております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 それでは現在この逃亡犯罪人引渡法による適用をされたものは一件もないと、こういうことでございますか。

中川董治国家地方警察本部刑事部長

○政府委員(中川董治君) 最近できた法律でございますので、私の記憶ではないと心得ておりますが、正確には高等裁判所でやつておりますが、私の承知した範囲にはないと心得ております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 それからもう一つお尋ねします。若しお答えができれば……。この頃私は海上保安官について、これは警察官に密接な連絡があるのでお聞きしたいと思つたのは、第三国人の残留する者が、密輸入をするものがあるのでございます。これは又この法律とは違う法律の適用なんですが、これらの警察の協力が非常にむずかしいことを私は聞いている。つまり夜陰ひそかに小さな舟艇に乗じてそうして法を犯して入つて来るというようなものですね。これは一体どの法律の適用であるか。水面、海面においての場合はこれは海上保安庁の仕事であろうが、それと又協力して陸上については一般の警察の仕事だろうと思うのですが、  これらのことがやはり日本海の海面水域、或いは海岸等において頻繁に起つて来ることは、私よく聞いておるのでありまするが、この辺の状況を一つ伺  いたいと思います。

中川董治国家地方警察本部刑事部長

○政府委員(中川董治君) 御質問の要点は出入国管理令違反事件だと思いますが、出入国管理令違反事件は日本の  領土内についてすべて適用があるわけでございますが、領海にそういう関係が発生いたしました場合には海上保安庁がこれを処置する、陸地に参りました場合は我々警察がこれを検挙いたしまして処置する、こういうことに相成りますが、その間の連絡は海上保安局との関係は十分いたしておりまして、中央におきましても又現地におきましてもしばしば連絡の方途を講じまして、円滑にやつておるのが現状でございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 入国管理局の仕事として今の問題は最近これに触れる件数はどういう傾向にありますか、概略お示し願います。

中川董治国家地方警察本部刑事部長

○政府委員(中川董治君) 大体の傾向は、終戦直後は相当件数が多かつたのでございますが、現在はその件数は比較的少くなつておろうと思います。

小林武治緑風会

○小林武治君 これは差挾んで大変恐縮ですが、一つ伺つておきたいのであります。  それはこの二、三日実は自治警のかたがたがおいでになりまして、給与のことについていろいろの配慮ができておることは誠に有難いが、ただこの退職した、今後退職する者の恩給の関係につきまして、自治警の現在の基本給が非常に高額であると思う、そして今度府県警察に入つた場合には、これらの高額分は調整金として支払われる。即ち基本給は或る程度引下げにならざるを得ないであろう、この場合に将来、今後退職した場合の恩給の計算の基礎になる金額については、現在の俸給を基礎にするか、そのときの俸給を基礎にするか、その点の選択権を認めてもらいたい。こういう強い要望があるのでありますが、その点について一つ政府当局の所見を伺つておきたいのであります。

石井光次郎自由党運輸大臣

○政府委員(石井光次郎君) お答えいたします。恩給の関係は只今お話の通り極めて重要な問題であります。非常に関心の的になつておる一点であろうと思うのであります。現在の恩給法の建前、そして又今回御審議を頂いております警察法の附則の規定からいたしますと、今回の制度改正実施によりまして、身分が当然に引継がれることになります以上、恩給法の年限の通算におきましては今後、新制度の発足後最終的に退職したときを抑えまして、そのときの俸給というものが基礎になつて恩給が計算される、こういう建前になつておるのであります。只今お話のように、現在自治体警察において高い俸給を頂いておる、それを基礎に置いたほうが将来この制度実施後数年勤務しましてそのときの俸給が仮に若干昇給がありましたとしましても自治体警察で最終的にもらつておつた俸給額程度に達しないということになつた場合に高い自治体警察当時の俸給を選択してそれに基いて恩給をもらうようにできないかというお尋ねでありますが、現在の恩給法の建前では身分が継続しておりますとこれはその期間通算をいたしますので最終的に退職したときの俸給を基礎にするということになつておるのでありまして、極端に申しますならば一日でも間が空いて一度退職をしまして恩給の裁定を受け然る後に改めて再就職するということになりますならば前の裁定を受けた恩給金額、最終的に、後においてやめた場合の俸給を基礎にして算定しました恩給金額と比べて前者のほうが高い場合にはこれは現行法でもそのほうを認めるという規定がございますので今回の制度改正によりまして当然に身分が引続いたものにつきましては先ほどから申上げました通り将来最終的に退職しました場合の俸給が基礎になると、こういうことに現行法なり今回の改正法ではなつておるのであります。  ただここで一点御参考までに申上げておきたいことは、昨年の秋でございましたか、人事院のほうから国家公務員退職年金法という制度を考えられまして勧告をされておるのであります。この退職年金法には今小林委員のお述べになりましたような選択の点が思想として取上げられておるやに伺つておりますが、これは私その専門でございませんので若し御要望がございましたら人事院の関係のかたからでもお聞きとりになると結構だと思います。御参考までに申上げておきたいと思います。

小林武治緑風会

○小林武治君 只今の法律並びにこの改正法案ではお話の通りでありまするが、私は今自治警の関係者の主張も理由があると、今それが若し将来選択権を認められるならばこの際は退職しないで引続き勤めたいと、併しそれが継続せられない場合にはむしろ退職を選ぶのが相当いると、こういうような関係もありますれば老練な、練達な人たちが多く警察から去ると、かような心配もあり得るのでありまして、これらについて何らかの救済手段を考えることも私は必ずしも行き過ぎではないと、こういうふうに思うのでありまして、現在の改正案は然りとしましても将来これについて何らかの処置をする、したいというふうな意向があるかどうかと、処置の途がないと、こういうふうにお考えになるかどうかを聞いておきます。即ちこれらの問題は今しなくても今後の改正においても適当な措置がなし得るものと私は考えておるのでありまするが、その点を一応質しておきたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) この点は誠に御尤もな御意見だと存じます。で今日までの現行法の態勢を見ておりまして、この法案としましては止むを得なかつたのでございまするが、我々どもといたしましてはできるだけ恩給局と話をし、できるだけ近い機会にこの際に遡りまして恩給についてそういつた選択権を持てるような特別の途を開いてもらうように努力をいたしたいと思つております。この警察制度の改正は誠に何といいますか、そういつた面におきましては大きな変化を公務員に与えることでございまするから一部にはすでに全般的にそういつた選択権を年金法、或いは恩給法において認めたらどうかという声もある次第でございますから、できるだけ速かにそういつたような改正が恩給法においてでき、これをこの七月一日に遡らせることのできるように政府といたしまして、十分努力をいたしたい、かように考えておるのであります。現行法のままであれば一応六月三十日でやめまして、そして今度は新らしく採用されたという形をとりますると、実際は選択と同じ結果を得ることができるのでありますが、さようなことでなくてもそういうように法律上なるように交渉を十分やりたいと考えております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 まだ要求した人が見えませんので、一点だけこの際お尋ねしたいと思います。それはこの法律でまだ一つどうしても私どもがお尋ねしておかねばならん点は、この法律を実際に適用するために従来都市警察等におきましては公安条例を実は作つておりまして、この公安条例の制定によつて実際の法律の運用をしているわけであります。ところが今度これをそういう地方自治体の市等の、五千以上の町等のそういう公安条例が、作つたものが、この法律ができた場合にその関係は一体どうなるかと、恐らくこの公安条例というものが残るだろうと、つまり今まで地方自治体独自の権能としてこういう条例を作る権能があつた。ところが今度これが都道府県のほうに持つて行かれてしまうと、その形だけが残つて来る。ところがまだこの府県において公安条例を作つておらんところがたくさんある。それらの一体管理上どうしてやるつもりなのか、この法律ではちよつと私どもわかりにくいので、この公安条例の要らなくなるものの後始末、或いは現在ないものの始末をどうして行くのか、この法律のどこでやるのかお尋ねいたします。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 御指摘のように公安条例だけではございません。他の騒音防止条例でありますとか、その他の条例で当該市町村で、当該の自治体警察を持つということを前提にいたしまして、その条例の中にその市の公安委員会に届出る、その市の公安委員会の許可を受ける、市の警察にどうするとかそういう条項を条例の中に入れてある条例が現在あるわけでございます。この法律によつて市町村の公安委員会或いはその市町村の警察というものは事実はなくなりまして、府県の公安委員会或いは府県の警察ということに相成りまするので、そこでこの条例はこれは効力は失いませんが、条例の中に書いてある市の公安委員会というその市の公安委員会がなくなつて、府県の公安委員会にこの法律上なつてしまうわけでありますから、そこで市町村の条例をそういうように手続をとつて改正されれば、市の公安委員会というものを府県の公安委員会というように整理の条例でお出しになれば、それでいいのでありますが、それをお出しにならない、お出しにならないといつた場合には、そういつた字句の整理が別にできますまでの間、当分の間この法律によるこの施行のために必要な政令というもので市町村の公安条例中にこういつた市町村の公安委員会、市の警察と、こうありまするものを府県の公安委員会或いは府県の条例というように読み替えるものとみなせるというような政令を、整理政令として出したい、かように考えております。

笹森順造改進党

○笹森順造君 出したいのはわかりますが、まだ出しておらんわけでございますね。そうすると出すまではどれでそれを適用されますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) それはこの法律が通りまして公布になりましたらその政令を公布いたしたいと考えます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 私どもの今懸念しておりまする点は、この適用すべき公安条例が各府県に全部できておれば結構です。ところがこれは、この公安条例をこの警察法を適用する例えば集会に関する届出とか、或いは街頭行進に関するいろいろな制約であるとか、いろいろなことが随分ございますね、それをやつていない道府県、それが相当全国にあると思つておるのですが、実際にこういう公安条例を持つておつて、直ちに道府県の警察ができて、その公安条例によつてすぐ適用せられる県とそれが適用できない県とは、一体どういう分野になつておりますか、お示しを願いたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) その関係は現在通りでありまして、府県で公安条例を持つておるところはそのままそれが通つて参りますれば府県公安条例の中にも市の区域においては市の警察と、府県の公安条例になつておるところは今度の経過措置の政令によつて、それを府県の公安委員会というように条文を変えるという政令を出す。それから府県には公安条例はないが、その県内の或る市にだけ公安条例があるというところでは、この制度改正後もその市だけに適用される、その公安条例は市に条例として生きておるわけでありまして、その市の公安条例の中に市の公安委員会と、こう書いてあるものを、それは届出は県の公安委員会というように読み替えの経過措置の政令を出す。運用ができるのです。従つてその県では公安条例を持つておる市の区域内だけにそれが適用があつて、公安条例のない市町村の区域では公安条例の適用がない。警察の執行体が変りましても条例の適用区域というものはこの警察法の改正によつて何ら変更はしない、現状通り、かように御承知を頂きます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そういたしますると、この各市町村又は町でこの公安条例をおのおの独立の立場でやつておりますから、内議いろいろ違つておりますですね。例えば届出の七十二時間を要求するところもあり、四十八時間を要求するところもあり、同じ県内でもいろいろばらばらになつておる。そのばらばらになつたままを読替規定でそのまま適用しようというのが適当なのですか、或いは又県一本にして今までのこの公安条例によるのでありましたら、そういうところによつて差異のあるものはみんななくしてしまつて、県一本としてその道府県警察の県の公安条例として出して、前のものが皆変つてしまうというようなことがすつきりするのではないかということでお尋ねするのですが、今のお話だと今までの市のものは生きておつてそのままにしておくのだ、ただ読み替えしてそうするのだ。ところが市によつて皆違う、それの内容が。ところが県内において、市において違う現状をその通りにしておくというのか、或いは又一つの県で五つの市がある、五つの市が異つた公安条例を持つておる、それをその通りにずつと将来まで生かして行くという考えなのか、或いは又新らしい法律を作つたほうがいいのではないか、こういうことでお尋ねしておるのですが、お答えを願います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これはこの点こそ先ほど申上げました公共団体のいわゆる固有事務でありますから、府県は自分の固有事務として県内の公安条例関係を今度は県の条例として統一してやろうというように府県が考えて、そうして公安条例ができればそれが適用されるわけであります。市町村が、県内の市町村がばらばらに作つているそのままでよろしいじやないか、府県が考えればそのままばらばらが続いて行く、こういうわけであります。これを国が見て全国統一したようなやり方のほうがよろしいと考えれば、法律として出て来る、こういうわけでありますから、現在の段階といたしましては道府県、市町村の任意に現在は任せるしかほかにすべがない、こういう考え方でございます。

笹森順造改進党

○笹森順造君 そこでこの公安条例は今まで自治体、地方自治体の一つの特権というようなものであつた。それが今度新らしいこの警察法によると、そういう一つの権能というものはなくなつてしまつて、政令というものに移されるわけだと、こういうことに了解してよろしうございますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) さようではございません。市町村の特権は特権として依然尊重するわけであります。市町村の公安条例は市町村の公安条例として効果を有するわけであります。で市町村の条例の中に市町村の公安委員会に届出ると、こうある。その市町村の公安委員会というものはそれは道府県の公安委員会と、こう考えるべきものである。こういう政令を出すだけでありまして、国の政令に代つてしまうわけではございません。その点は御疑念のないようにお願いいたしたい。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 行政委員会の性格につきまして法制局長官に伺います。行政の全責任を負う機関との関係については、今行政委員会というものには相当問題があると思うのでありますが、現在の建前ではこれは憲法上許されている制度である、こういうふうに当然考えられるわけであります。そこでこのたび国家公安委員長をして招集させたり、或いは採決させたりいたしますれば、公安委委員会の問題でありますが、当然これは行政委員会として政府は認めていると思うのでありますが、そう認めてよろしうございますか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) その通りに考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 先般副総理がこの委員会に出でられまして、私の質問に対しまして、次のように答えられておるのであります。で、どういうわけで国家公安委員会の委員長に国務大臣を充てるか、こう言いますと、こういう質問に対しまして政党内閣の責任として当然これは国務大臣を治安責任の立場から国家公安委員長にするのだと、それではそれは政治介入の強要ということに認めていいかということになりましたら、その通りだ、こういうふうに副総理は御答弁なさつておられます。して見ますと、国家公安委員会は政党内閣の責任としての政治介入の強要を認めておるわけでありまするから、内閣の考えで今後の国家公安委員会は政治的に動かそうと思えば動かし得るし、又動く傾向に向かわざるを得ないと思う。でこれは犬養法相の指揮権発動にも見られます通り、そういう又同じような傾向がとられて来ると思うのでありまするが、制度の上からそういう傾向がとられる可能性がある、予想されるというふうに認めてよろしいか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 私はちよつと違つた気持を持つておるわけであります。と申しますのは、この委員長に国務大臣が入つたということによつて、先ほど来の総論的なお尋ねに出て参りました行政、委員会としての性格に偏向が生ずるかどうかということを、理窟の上から我々は考えるわけでございますが、これは結論としては少しも偏向はない。その理由は、要するにこの行政委員会たる国家公安委員会そのものは総理大臣の所轄云々という表現になつております通りに、これは今日現行法とまあ同じ形になつております。それに対して即ち国家公安委員会に対して指揮監督を誰がするかというようなことはないわけであります。単に所轄という関係で出ておるということは、結局独立性が、委員会としての独立性が今までと少しも変つておらないということを申上げ得るわけであります。そこで第二段としては、そこの委員長に国務大臣がなつた場合、委員会そのものの運営に影響があるかどうかといいますと、委員長は飽くまでも委員長でありまして、而も今度の案では普通の場合の表決には加わらないということにすらなつておるのでありまして、委員長が各委員に賛成しろ反対しろという指示のできないことは申すまでもありません。その意味においては、委員会の意思を構成する際において、不当なインフルエンスを与えることも出て参りません。従つて、その二段階を分けて考えましても、現在と筋において違いは出て来ないということに考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 法制局長官のお言葉とは私は只今の御答弁は受取れない。なぜならば、あなたのおつしやる通りであるならば、現在の国家公安委員会の構成と性格で一つも差支えはないわけです。現在の、現行法の国家公安委員会の性格に公安委員長というものを附加えて、それに国務大臣という枠をはめたということは、緒方副総理が言つておるように、これは政党内閣の責任としての政治介入をしたんだと、こういうように副総理は言つておるのでありすまから、この委員会の権能が何らこれに影響されないということがどうしてあり得るのですか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) そのお尋ねになりますというと、これは立法政策の問題で、どうすることが好ましい問題になるかということに入るかと思いますが、私はその点について了解いたしておりますところでは、この法律の一つの趣旨になつております、内閣の責任というものの関係を少しでも明らかにしたいということが入つて参つておるわけでございます。その意味から申しますと、緒方副総理は政党内閣とおつしやつたそうでありますが、法律的に言えば、議院内閣制と申したほうが更に正確だろうと思います。議院内閣制の立場から言つて、内閣の責任関係との繋がりという面から、内閣の意思を反映し、又は公安委員会の意思を内閣に反映するという事実上の一つの繋がりと申しますか、連絡を絶えず持つと申しますか、そういうものについて考えますと、国務大臣がなるということについては相当効果が上る。これは実際上の効果としては、さようなことが考えられると思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 議院内閣制ということを認めるならば、議院内閣制という制度の下で、行政委員会というものが認められておつて、行政委員会というものの性格の中で公安委員会というものが現在構成されておる。現在公安委員会で、これは現行法によりましても、内閣との繋がりもつけば或いは議会との繋がりもついておりまして一向差支えないくらいです。それに国家公安委員長、而も委員でない委員長、こういうことをわざとつけなければならなかつたということは、こういう新らしい制度というものは一つの政党内閣の政策傾向といいましようか、或いは緒方さんの言葉で言うならば、政党の責任性といいますか、一応どうしても介入するということにならざるを得ないじやございませんか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 介入という言葉は私にわかりませんので、介入という言葉が当てはまるようなことが、この改正法律からは出て来ないと思います。私は反映と申上げたほうがむしろ適切じやないか。反映する作用というものは、これは事実作用として期待し得るだろうということは申上げられます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 反映はですね、現行法においてもできるでしよう。で行政委員会の性格というものは、むしろ現行法のほうが純粋なる行政委員会の性格を持つておる。で、現行法のほうが行政委員会としての性格を持つておれば、そういう意味合いにおいて、十二分に内閣の意思も反映できるという制度になつておるのに、殊更に閣僚というものを国家公安委員長、而も委員でない委員長、その委員でないものに委員会を主宰させるような制度は、こういう制度の上から考えて変則であるというようにお考えにならないでしようか。これは合理的だというように長官はお考えですか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) この行政委員会としての性格については、先ほど申上げました通りに、今回の案は何ら変つておらないということを申上げるわけでありますが、更にその中に入れるメンバーの顔ぶれをどうするか、これはいろいろな形が考えられると思います。この案のように国務大臣を委員長とするということも一つの方法でありましようが、私どもは理窟から物事を考えますと、そのほかのヴアリエーシヨンはいろいろ考えられると思いますが、そういうヴアリエーシヨンの中で、なぜこの途を選んだかということは、私の感じでは、先ほど申上げましたように、やはり内閣の警察に対する責任というものは、行政責任というものはありますから、その責任がある以上は、実は指揮監督ぐらいまで行けば責任体制としては徹底するわけです。併し指揮監督まで行つたのでは、今のような別の要請というものは結局満足されない結果になりますからして、実際上の反映作用というものをここで期待する一つの手掛りとして、国務大臣を入れたという意味でありまして、これはこれとして一つの立派な意味があるように考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 立場によりましては、立派な意義を認めることができるでありましようけれども、私どもの立場を以てすれば、どうも甚だ立派でない感じを持たざるを得ない。そこで聞きますけれども、委員でないものが委員会を招集し、採決するという委員会の性格というか、制度というものは、行政委員会というものから見て常道な方法であるというふうにお考えにおなりになりますか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 委員と委員長と名前が違つているわけではありますけれども、委員長といえどもこの行政委員会の構成メンバーであつて、その意味では委員と同じ立場にあるわけでありますから、その構成メンバーの委員長に、一定の権限を与えるということはこれは当然のことだと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 委員長は、国家公安委員長は委員でないという説明が政府委員から何回も繰返されているわけであります。行政委員会の多くが、委員によりまして委員の中から委員長が選ばれておりますのに、委員でないところの委員長というものを、而もそれが一つの国務大臣という枠のはまつた委員長を任命しなければならないということそのものが、行政委員会としての性格から、むしろ今までの考えで、行政委員会というものの性格の欠点といいましようか、或いは見方によつては我々から言えば長所と言いたいのでありますが、政府に、半独立的な立場というものから、政府の隷属下に置くという方向に持つて行つたのじやないかというふうに思われるのであります。こういう傾向を認めることはできないのですか、今度の改正法の国家公安委員会というものの制度というものを見るときに……。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 私の言葉にちよつと足りないところがございましたか、誤解があるようでございますが委員長と委員とははつきり違うことは、この法案においても「国家公安委員会は、委員長及び五人の委員をもつて組織する。」とある通り違うことは違います。私の申上げるところは、ここは委員長と委員を以て組織するのでありますから、委員長といえども決してよその人ではない、公安、委員会の構成員であるということを申上げて、その構成員の一人が議事の総理をするということは、委員会の組織として普通の形でありますから、何らこの行政委員会そのものの性格に関係ないと、私は理窟一本で申しているわけであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 私も理窟一本で申します。そうしますと、あなたは現行法の公共委員会というものは、大きい欠陥があると認めるから、この改正法の公安委員会の構成というもののほうがいいと、勿論こうおつしやるのですね。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) これに欠陥があるとかないとかいうことは、私の職責ではないのでありまして、申すまでもなく私たちは法律的に可能であるというものを考えて、これが可能である、憲法にも違反いたしませんという説明ができれば、これはまあ職責を果したことになると思います。併し先ほど来余計なことを御説明しているわけでありますが、これも一つの行き方として合理性を持つているだろうということを附加えて申上げておくわけであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 憲法の四十一条を見ますとね、国会は国の唯一の立法機関であるということがいわれている。七十六条にはすべて司法権は裁判所に属すると書いてある。「唯一の」とか「すべて」のとかいう言葉がここで使われております。併し六十五条の「行政権は、内閣に属する。」という文言の中には、「唯一の」とか「すべて」のとかいう語句はない。それはです、先ほど長官がお認めになりました行政委員会というものを、これは内閣と別個の一つの行政機関として認めるという現在の憲法の解釈はそれを妥当と見るという立場に立つていると思うのです。そうでありますときにこういうこの公平中正と申しましようか、或る程度政党というものが、内閣というものが、第三者的な立場にならなければならない警察行政を行う公安委員会のような制度におきまして、現行法の性格を改正法に変えることが果して憲法の正しい解釈ということになり得るか、若干言葉が足りませんでしたから、説明を加えますと、国民の利益とか、或いは福祉とかいうことから考えまして、我々の身分関係、或いは権利関係、こういうものに政党的な色彩というものが強硬に警察行政に入つて来ることも予想される委員会の構成と、そうではなくて、政府と全然別個な立場で中正、公平、中正に行われる委員会制度と、どつちが委員会としていいものであるか、国民の利益を守るか、こういう点から考えて、長官はどういう御解釈を下しておられましようか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 加瀬委員のお言葉によつて半分教えられつつお答えするわけでございますが、実は国家公務員法において、人事院を作りますときに、余りに人事院の独立性が強い。ところがそれは憲法で言うと、内閣は行政権の担任者であり、その行政権については国会に対して連帯して責任を負うというふうに憲法ではなつている。その独立性のある機関を内閣の外に置く、即ち内閣の指図のできないようなものを置いて、これは憲法に違反しやしないかということが頻りに当時学者の間からも議論があつたわけであります。我々はそれを弁護いたします際に、只今丁度加瀬委員のおつしやいましたように、行政権は、専ら内閣に属するということはないんじやないかということを申しまして、大原則としてそれは行政権の下に立つのが大原則、これは確かに憲法上さようであろうけれども、これに更にもつと必要な合理性があるならば、専らという字が行政権のところにはないからというようなことに陳弁これ努めて、憲法違反でないということを申しているわけであります。その気持から言いますというと、やはりこの公安委員会の場合も、内閣の責任を徹底するならば、昔の警保局式、内務大臣式で、一貫して指揮命令を持たせるなら、これは内閣の責任が徹底するわけである、或いは憲法のその文面から言つても、むしろそのはうが合憲であるという意見も出ることであろうと思いますけれども、これは今のお言葉のように、事柄の性質上厳正、公平にやつてもらう仕事であるということの合理性がありますから、その憲法の許容するところという理窟をつけて、かような独立の行政委員会の制度をとつているわけであります。その意味においてはお気持と、私の気持とは通ずるところがあるわけであります。併しそれも内閣の責任というものは決して無視はできないのであるから、何らかの形でそこの繋ぎをつけなくちやなるまいという気持が非常に遠慮がちではありますけれども、反映するというような繋ぎとしてここに国務大臣を委員長とするという形となつて現われたものとして、非常にこれは遠慮がちなものであると存じます。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) ちよつと加瀬君に御相談申上げます。今大蔵、それから保安大臣見えていましてね、時間の関係もありますが、そのほうから先に御質疑できませんか。    〔若木勝藏君「関連して……」と述ぶ〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) ちよつとあとにして下さいませんか。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 今のところなんですか……。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) じやあ一点だけ、あと又時間が来ましたら……。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 一点だけ、今の加瀬君との質疑を聞いておりまして、一つ私疑問を持つたのであります。これはあなたは国家公安委員会と、都道府県の公安委員会というものについては、その性格上どういうふうに見られているか。この点を一つ伺いたい。やはりいずれも民主的な一つの警察の保障のためにできているものかどうか、これを伺いたい。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) その通りに考えております。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そういたしますと、この国家公安委員会の組織と、都道府県の組織というふうなものは、私は同じでなければならないように考えられる。ところが片方のほうは委員長というものを国務大臣にしてあらかじめ決定して、そのほかに五人の委員を持つている、こういう組織なんです。片方は何らそういうところの規定がない。これはどういうふうに違うのか、この点を伺いたい。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) これもどうも私の受持を越えた問題でありまして、要するにこの憲法で許されている枠内において組織を定めるについて、最も適切な方法として、どういう方法があるかという見地から検討いたしました結果がかような形になつて現われているわけであります。現在の警察法におきましても、国家公安委員会の組織と、或いは都道府県、或いは市町村の自治体警察の公安委員会の組織と多少の違いがあるわけであります。これは皆その違いというものは、おのおのよる理窟があつてできている。これがいいことか、悪いことか、これは如何にすればこの警察全体の運営というものが国会に対する内閣の責任がどの程度全うされ、迅速性も保証され、而も民主的な、或いは自治の精神を組入れたものとしてできるかというそれらの点から、皆さんの、国会の御判断によつてこれはきめられるべきことだろうと思うわけであります。私どもとしては、この案が政府としては少くともいろいろのさような観点を総合した結果としては、穏当な形であると、かように考えているわけであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 あなたの御説明を聞いて見ると、まあ憲法に違反しないで憲法の枠内で以てきめればそれでいいのだと、こういうことになるのでありますけれども、それならば憲法の精神から言つたらば明らかにこれは両者が違つて来るじやないか、これは憲法の枠内でできるのだということになれば一応憲法を研究されておるところのあなたのほうはまあ一つの理由があるかも知れない。併し少くとも同一、民主的なものであつたならば憲法の精神によつて同じ流れによつてこれが両法が同じ形でできて来なければならない。そこで片方だけに対しては委員長を決定して、片方はそういうふうな形をとらないというのは私にはどうしても了解できない。現状から考えても、而も国家公安委員会は常に都道府県の委員会と連絡をとらなければならない。こういう点から押せば憲法の枠内だかも知れませんけれども、憲法の精神から言つたならは明らかにこれは上下の一つの機関のような形になる。片方にそういう一つの委員長を定めておくということになれば、その系統下に都道府県公安委員会というものが入つて来るから片方は必要がない、それは更に別な方面から考えますと都道府県警察というものは、これは政府は自治体警察だと言つている。併しこういう面から考えて見ましても、どうも我々は納得が行かない。そこであなたにお尋ねしたいのは憲法の枠内だかも知れないけれども、憲法の精神から行つてどうか、この点を伺いたい。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 憲法の枠内であり、而も憲法のいろんな要請を総合調整して考えて参りますというと、どうもこのような結論が最も合理的な形になりはせんかというのが私の申上げておる趣旨であります。例えば憲法の条文を見ましたところで、憲法の十三条を見ますと、国民の生命、自由、或いは幸福追求の権利を守つて行くということは国政上最大の尊重を必要とするということで、これは国の責任として非常に力説をする、ところがあとの九十何条の地方自治のところを見ますと、又地方自治の精神を大いに高揚しておられる、そういう方面からの要請というものは憲法中あらゆる方面から出ておるわけでありますから、やはり一つの立法をする際にはそれらの要請を考えて最も適切な調和点というものを発見しなきやならん。それが我我、或いは立法府の責任であると、かように考えておりますので、先ほどのようなことを申上げたわけであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 木村国務大臣にお伺いいたします。今度の警察法の政府説明を伺いますと、その有力なる改正の要点として革命的勢力に対抗することを最大の目的としているように受取れるのであります。そこでこういう擾乱事件、或いは国内秩序維持に対する破壊活動、こういうものは当然あなたの所管でもあるわけであります。そこで警察予備隊令で示されておつた任務と保安庁法に示されておりまする第四条の任務と今審議中の法案によつて示されておりますところの第三条の任務というものでは甚だしい隔りがある。そこでこういうふうに一つの治安責任の明確化という名目の下に警察の国家的性格を強力に推進させるということは、これは総理大臣にも聞いたのでありますが、そつぽを向いて答えない。主管大臣もおらないのでこれは聞くすべがないので今日あなたに来てもらつた。これは自衛隊は軍隊であると、少くとも軍隊の方向を辿つているんだということを我々は客観的にそう認めざるを得ない。そこで警察予備隊令の任務の性格、それから保安庁法できめられた性格、今度の法案できめられておる性格、こういう変化というものは、警察予備隊で出発したものをどつちの方向へ持つて行くということになるのだか、それを明快にお答えを頂きたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 御承知の通り現在の保安隊は保安庁法第四条におきまして、我が国の平和を守るため、いわゆる言い換えれば国内の平和を守る、秩序を維持する、即ち人命、財産を擁護する特別の必要ある場合に出動することになつておるのであります。今度国会に提案いたしました防衛庁設置法並びに自衛隊設置法によりまして、いわゆる自衛隊は直接侵略、裏を返しますと、不当な外部からの侵略行為に対して我が国を守つて行く、いわゆる我が国の平和と独立、安全を確保するために設置される、それと同時にやはり国内の治安維持をして行く、守つて行く、この二つの任務を持つことに相成るわけであります。従いまして現在の保安隊の任務に加えるに、外部からの不当侵略に対して対処し得る任務が加わつたわけであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 警察予備隊令の第三条の二項によりますると、「警察予備隊の活動は、警察の任務の範囲に限られる」と、こう書いてあります。今度は只今御説明がありましたように、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛すると、主目的がはつきりと打出されておりまして、必要に応じ公共の秩序の維持に当るものとすると、こう書いてあります。そうするとこれは警察的性格ではなくて、軍隊的性格であると、こういうふうに了解してよろしいか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 自衛隊の性格は今申上げました通り、外部からの武力による不当攻撃に対処すると同時に、国内の治安を維持すべく、一面においていわゆる警察的性格をも帯びておるのであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 警察予備隊のときは警察業務に限られておつた、ところが今度は直接侵略、間接侵略というものが主任務で、必要に応じ公共の秩序の維持に当るというものは若干しか含まれておらないということは、くどいようでありまするが、これはもう軍隊的性格に成長か退歩か知りませんが、成長させて、あなたの立場ならば成長させて来たのです。又行くんだと、こういう傾向は認めざるを得ないだろうと思います。これは如何ですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 軍隊的性格云々ということは、これは文字に促われるわけであります。今申上げました通り、外部からの不当侵略に対処し得る任務が新たに加わつたのです。これをしも軍隊的性格と言うならば軍隊的性格が加わつたと言つてよろしかろうと思います。(笑声)

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 只今軍隊的性格が加わつたと解するならばそう解してもよろしいというのでありまするから私はそう解することにここできめます。(笑声)そこでそれならばあなたの立場から今  度の警察法の改正による新警察というものは、あなたの担当事務との関連においてどういう任務を担わせるものであるというふうにお考えになりますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 警察はいわゆる国内の治安確保、即ち秩序維持の任務に当るべき性格を持つておると考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 質問が抽象的でありましたので改めて申します。保安隊当時よりも直接侵略、間接侵略を主目的に対処しなければならないから、公共の秩序維持というものは若干自衛隊そのものの活動の主目的にはなりかねる。そこでその面を警察法の改正による国家警察の強力化によつて補うのだ、こういうふうに解釈してよろしいか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 只今国会に提出しておりまする警察法案によりましてもいわゆる大きな内乱とか、暴動とかいうものの起きた場合について、国内の治安を確保するための一つの任務を与えられておる、こう見るべきであると思います。それに対する規定が設けられておることは御承知の通りであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 あなたの担当である保安隊、新らしく名前を変えるであろう自衛隊ということになりますると、国内の治安維持の任務というものは警察予備隊の当時から見ると、主目的に濃化されたことになるかどうか、主目的からは若干外れたことになるか、どちらでございましようか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 主目的から外れたとか何とかいうことは別問題として、そういう任務は依然として持つているのであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 依然としてではなくて、依然としてはつきりといたしましたのは直接侵略、間接侵略に対処することが主目的であつて、あとは遙かに目的の一部分として、最後にかすかに体裁が悪いから並べて置くという程度にしかこの法案そのものから解釈することができないではございませんか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 自衛隊法をお読み下されば極めて明瞭であります。いわゆる治安出動の場合もありまして、又要請による出動の場合も規定されております。これをいずれもいわゆる国内の平和と秩序を維持し、国の安全を守ることに必要なりとして規定を設けたのであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 別な問題を伺いますが、長官はこの自衛隊は将来空軍中心に移行する、こういうふうな御説明をなされておるのを新聞で読んだのでありますが、その通りに考えまして、受取りましてよろしうございますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は空のほうもゆるがせにすることはできないと考えております。従つていわゆる航空自衛隊の増強も図りたいと考えておるのであります。併しながら我が国の財政と睨み合せてやらなくちやならん、財政力を無視してやることはできない。従つて急速な増強は現段階においてはなかなか容易でない、こう申しておるのであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 大蔵大臣に伺いたいのでありますが、二十九年度の保安庁費は七百八十八億、これを平年度化しますと幾らにおなりになりますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今の保安庁の経費は七百八十八億が二十九年度でありますが、これが三十年度がどうなるか、或いは平年度がどうなるか、これはまだいろいろその時々によつて変つて行きますので、はつきりとした数字の打合せはできておりません。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 この保守三派の折衝におきまして、五年間に一兆四千億という数字が出たそうでありますが、これは事実でございますか。又大蔵大臣はこれを確認しておられるんでございましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) そういう話は聞きましたが、確認はいたしてはおりません。なおこれが正式に私どものほうで、政府といたして議に上つたことはございません。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 大蔵大臣は来年度一千四百五十億くらいに抑えたいというお話を大蔵大臣の談として承わつたのでありますが、さよう承知してよろしうございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 今年の二十九年度の予算は、御承知のごとく千四百五十三億となつておるのであります。従いまして、防衛の予算は、日本の国民所得はそう差向き増加するようにも考えられないから、原則としてその辺におきたいと、こういうことを御答弁申上げた次第であります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 併しながら三派折衝の数字を見ましても、或いは本年度初度費を計算の中に入れておらない。そういう点からいたしましても、或いは木村長官の構想からいたしましても、その数字で抑えることはなかなか困難だろうと推定されるのでありますが、その点は抑えられるものでございましようか。若干膨脹する傾向に行くと認められるのでありましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 保安庁費のほうは、この前にも御説明申上げたように、本年の二十九年度の七百八十八億が百億か百五十億増加するのじやないかというふうに私ども申上げておりましたが、併しながら、そういうふうにまだこれは三十年度予算について何ら相談したものじやございませんので、一応そう見込まれるが、というほんの見込を申したことは御承知の通りであります。併しながら、全体の防衛予算というものになりますると、そのほかに御承知の八十億というものが予算外国庫負担のものがございまするし、更に分担金が含まれて千四百五十三億となつておる次第でありまするので、全体としては、成るべく日本の国民所得の現状から見、国力から見る、国力に従つて漸増するということになつておりまするので、まあその辺に原則としてはおきたいと、こういうことを申した次第であります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 重ねて大蔵大臣に伺いますが、警察予算というものを府県に肩替りさせましたのは、この防衛予算の膨脹というものと財政計画上の辻褄を合せるために府県に肩替りをさせたという巷間説をなすものもあるのであります。絶対にそういうことはありませんか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 全然さような考えを以て作つたものではございません。これは小坂国務大臣から答弁された通り、警察力の効力を発揮するための、効率を発揮するための点が主となつておるものでありまして、そういつた考え方から出たものでは全然ございません。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 自治庁の関係者にお尋ねしますが、府県警察になりまして、自治体の分担膨脹は百五億、こういうふうに聞いておりますが、この数字に間違いございませんか。

鈴木俊一自治庁次長

○政府委員(鈴木俊一君) その通りでございます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 この百五億増の中には、給与差額を見込んであるか、特に給与の差額のうち手当の差額までも見込んであるか、それから今後当然問題になるであろう恩給関係の問題、退職手当の問題、こういうものを全部見込んで、百五億出せば自治警察を全部吸収しても足りるいう計算におなりになるのであるか、その点。

鈴木俊一自治庁次長

○政府委員(鈴木俊一君) 只今御指摘の給与のいわゆる調整費の関係の負担の増の分でございまするが、退職手当の関係の増の分もございます、或いは恩給関係の増の分、これらをいずれも見込んでおります。但し、人員の整理の関係で半面給与のほうが若干減つて参りますが、そういうものと相殺いたしておりますけれども、併し総体として只今御指摘になりましたようなものをそれぞれ見込んでおるわけであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 府県のいろいろ陳情或いは説明を承わりますると、自治庁のこの計算は非常に府県にとつて酷である。実質的にもつと府県の分担は殖えて来るということを言われておるのでありますが、そういう心配はございませんか。

鈴木俊一自治庁次長

○政府委員(鈴木俊一君) 平衡交付金の算定の基礎になつております基準財政需要額、或いはいま一つその基礎になつておりまする財政計画の数字でございますが、この数字と、実際の地方団体におきます今まででございますれば市町村の警察費の支出額との間にはこれは若干開きがございます。これはひとり警察費だけではございませんで、すべて地方財政計画、或いは平衡交付金の算定の基礎になる基準財政需要額というものはいずれも理論的な基礎に立つておるものでございまするから、実際の支出額とは開きがあるのであります。その開きはどの程度あるかということは今的確なる資料はありませんけれども、若干はあろうかと考えております。その点が或いは今お話のありましたように、府県の当局では相当苦しいと、こういうような意見を言つている点ではないかと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 大蔵大臣に伺いますが、今自治庁次長が御説明されました通り、この百五億という一応の増加額を若干府県の負担分が上廻るというふうな状況に現在置かれておりますことは今説明の通りであります、そうなつて参りますというと、又今度の府県警察という、政府の言う府県警察の性格によれば、一つの国の警察行政の方向によりまして、その負担を府県がかぶつて行くということも当然考えられる。そういうことになりまするときに、大蔵省といたしましては、その府県負担というものに対して、警察費の膨脹というものを十分賄つてやろうという考えであられるかどうか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 加瀬さんのお話のように、これは先ほどもちよつと申したかと思いまするが、今度整理によりまして三千ほどの人が減ることになつております。そうしました結果は全体から言いまして、現行制度に比べますると、国のほうでは百二十三億ほど減ることになる、それから地方としては三十五億ほど殖える。今殖えるかとおつしやいましたが、三十五億ほど殖えることになつております。ところが、いろいろこれの措置につきましては、今度地方税の交付税交付金の制度ではつきりと財源を確定いたしましたので、それは税の工合はこれは一概には申せませんが、過去の実例等から申しまと、だんだんといわゆる自然増収というものが見込まれますので、全体として年間三十五億くらいの程度のものはこの交付税の交付金のほうで見込み得ると私ども考えておる次第でございます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 そこでねえ、問題なんですよ。それは、警察というものから考えれば、今大臣の御答弁なさつた通りで辻棲は合う。併し地方自治体というものは、増収分に対してはいろいろ計画がある、来年度の増収分というものに対しては新規計画というものを持つておる。或いは新規計画どころか旧来の計画がまだできないという状態にある、そのときに、その増加分というものを現在皆食われておるという状況なんです、今度地方財源が相当強化された。化強されてプラスになる分と警察をかぶる分と差引きしますと、府県によりましては、増収分より支出分のほうが余計になつて来るという府県もある。こういう一つの国家の行政方針として打出されたものを府県がそれを背負わなければならないということになつたときに、財政措置を十分御考慮頂けるかということ、くれますか、くれませんか、それだけ聞けばいい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は警察費が減りますると、それだけ地方に余裕を生ずるように実はなつておるのでありますが、数字的なことですから、よくその点についてはわかりませんから、鳩山主計官をして説明いたさせます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 それでは木村長官が大分急いでいるようでありまするから質問をいたします。  先ほどのあなたの御説明で、自衛隊というものを軍隊と考えるならお前の勝手だ、考えてもいいということでありますると、今いろいろ国会でも問題になつておりまする直接侵略及び間接侵略ということに重点を置きますと、海外出兵ということも考えられるわけ、その穴埋めに自治体警察を廃止して、大臣の国家公安委員長によつて非常に警察組織というものを国家権力に集中したということに考えられても当然だと思う、理窟の上では……。そうではなのいだと、自衛隊として国家治安の上に守るべきことはこうであつて、警察として守らすべきことはこうであつて、こういう区別があるのだけれども、お互いに国内治安のためにこれはやつているのだという点をもう一度御説明頂きたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 申すまでもなく、今度できまする自衛隊は国内の治安の維持のためと言つてやたらにこれを出動させることはよくないのであります。でき得る限り自衛隊の出動はこれは慎むべきであろうと考えております。自衛隊の出動する場合はどうであるか、これは国内における大きな叛乱とか擾乱とか、到底警察だけでは処置し得ないような場合に、そういう場合に初めて出動するのであります。それについては明白に自衛隊法に規定を設けられております。又災害救助の場合に、これも警察と共に協力いたして、そうしてさような場合において国民の生命と財産を守つて行こうというのが趣旨であるのであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 そこでそうであるならば、何も警察予備隊令でもいいし、或いは保安庁法でもいいわけなんです。それを自衛隊法案というものを出したのは、一体今の御説明ではうなずけない。語るに、失礼でありますが、落ちると申しますか、やたらに出動はよくない。できる限り出動は慎む。やたらではないけれども出動させこともある。できる限り慎むけれども出動させることもある、こういうことになつて来ると大問題なんです。この点はどうですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 大問題でも決してありません。自衛隊は明白に、いわゆる外部からの侵略に対して我が国を守るべきこと、そうして我が国の平和と独立を維持しよう、この任務を今度自衛隊法によつて改めて加えられたものであります。それと同時に国内の治安の維持の任務にも当る。いわゆる警察力を以てして到底対処し得ることができないような大きな擾乱、騒動というような場合において我が国の秩序を維持して行こう、この目的と任務を与えられておるのが自衛隊であります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 保安庁法によりましても、今長官の御説明のことは保安庁法ではつきりしている。保安庁法を自衛隊法に変えたということは一体なぜか、こういう質問に対しまして、直接侵略及び間接侵略に対して我が国を防衛するのだということをあなたもお認めになつている。直接侵略、間接侵略に対し防衛ということになれば、海外出兵というような、今国会で問題になつている海外出兵ということもあり得るかと言えば、やたらに出動はよくないし、そういうことはやらないということでありますが、やたらに出動はよくない、できる限り慎むと言つても、それを全然海外出兵などということはあり得ないという御答弁はないのです。  そこで改めて二点伺いたい。保安庁法を自衛隊法に改めた理由は如何ですか。  それから直接侵略、間接侵略に対する防衛ということであれば、当然これは出動ということも考えられるのだ、この文章の上から考えられるけれども、そういう点に対してはどうなんですか。この二点。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 先刻申上げました通り、自衛隊は外部からの不当攻撃に対して我が国を守つて行こう、そうして我が国の平和と独立を維持しようという任務を新たに加えたのであります。これをはつきり御了承を頂きたいと思うのであります。それと同時に我が国の国内の平和と秩序を維持して行こう。こういうことは旧来の保安隊と変りございません。こういう新たな任務が今度加わつたのであります。そうして今海外出兵のお話が出ましたのでこの際に申上げておきますが、海外出兵はあり得ないと考えております。これはしばしば言つているところであります。我が国に対する武力攻撃を守つて行こうということなんです。いわゆる自衛権の発動によつて、我が国の平和と独立を守つて行こう。進んで自衛隊をほかの国に出すことはあり得ないと、これははつきり私は申上げます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 それなら保安庁法のほうがそういう点の心配がないことははつきりしている。直接侵略、間接侵略に対する防衛というようなはつきりした目的を打出して、自衛隊法案に変えたということは、長官の説明だけではまだうなずけない。なぜ一体保安庁法を自衛隊法に変えたか、お話の通りなら変えなくたつて一向差支えない、その点を……。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) よほど誤解なすつているようでありますから重ねて申上げます。保安隊は保安庁法第四条に明らかに規定されているのです。外部からの侵略に対処するという規定はないのであります。その任務は主として国内の平和と秩序を維持しよう、そうして人命、財産を守つて行こう。緊急止むを得ない場合、こういう場合には出動させよう。これが特別任務であります。自衛隊はそうじやない。それにプラスして外部からの不当侵略行為に対してもこれを守つて行こう、この任務が新たに加わつた、これが大きな違いであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 外部ということは外国ということですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) もとよりそうです。国外からのです。国内じやありません。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 外国ということであれば戦争ということである。又それを、外国軍隊に対して自衛するということは明らかに軍隊である。これは重要な問題でありますから、これは十二分に検討して又質問をいたしたいので、この点は保留をいたします。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) このことは保留をいたしましてそういうふうに取扱をします。  それでは暫時休憩いたします。    午後六時十五分休憩    ―――――・―――――    午後七時五十三分開会

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 休憩前に引続き地方行政委員会を開会いたします。  質疑を続行いたします。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 先ほど、若木委員の質問に対しまして国警長官は、政府と密接な関係において警察行政は行われるべきものである、これは決して民主的運営を阻むものではないとこういう御説明があつたわけであります。併し、政府と一番密接になるとどういう形態になるかということを想定いたしますと、例えば政党内閣でありますから選挙ということ、或いは又政党の政策を推進するということ、こういう点にどうしても強い線が出て参ると思う。そうなつて参りますると、政治警察の傾向を辿らざるを得ないと思う。この点、民主的警察の理念という点から考えますと矛盾を来たすことになると思われるのでありますが、如何でありますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 例えばこの制度で選挙干渉ができるかどうかということを御検討願いたいと思うのでございますが、まあ法の建前は如何ようと申しまするか、警察庁の職権の中に選挙について干渉のできる規定があるかどうか、これはございませんが、そんなことを離れて考えて見ましても、都道府県に公安委員というものがありまして、これは各種の政党的な立場を持つた人たちがあられると思いますが、そういう機関を通じて一体選挙干渉ができるかどうかということを考えますと、これは私は絶対不可能である、こう申上げざるを得ないと思います。以前の警察のように、中央から末端に至るまでその間に何の介在するものもなく、人事一本で繋がり、そうして国費の支弁で極秘のことができるということがあれば格別です。この間に都道府県の公安委員会という警察の管理機関というものが厳として存在しておる。このようなことから言つても、さようなことは絶対御心配ない、かように存じております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 警察の中立性という点から考えまして、現行法による公安委員会の制度、それからたびたび問題になります国務大臣の国家公安委員長というものによつて運営される国家公安委員会の、新警察法にきめられておりまする制度、この二つを比べましたときに、どちらがより中立性を守り得るかという点はこれは自明の理だと思う。そこで参考人も縷々述べられた通り、或いは我々は大阪或いは奈良をこの問題で視察をいたしますと、大阪では、全選挙管理委員会が我々は完全なる選挙管理の事務を遂行するためにこの新警察法というものに対しましては非常な疑念を持つ、こういう意見を述べられたのであります。堺の市会議長は、これは自由党のかたでありますが、自分は自分の支持する内閣がこういうものを出されるのであるけれども、これは自由党の政府であろうが或いは変つて社会党の政府になろうが、如何なる政府になろうが、どうしても選挙の公正なる執行という点になりますると警察力が介入せざるを得ないという心配を持つ、そういう点で今度の新警察法に対しまして我々は賛成しかねるということを縷々述べられておるのであります。私がここで問題にしたいのは、現行法と改正法と比べましたときに、選挙に一応出発当初においては戎心を以て臨むとしても、やがて政争というものはますます激しくなつて来ることが予想されますし、又政策の推進というものを政党は使命としておるわけでありますから、選挙というものを等閑に付することができないということになつて参りますると、警察が政党政治の選挙という一つの問題に巻き込まれない、絶対にそういう心配はないということはこの制度の上からは言われないと思う。国警長官が、斎藤さん個人として善意を持つてそういう問題には介入させないということならわかる。併し制度そのものはそういう点にも介入せざるを得ないような制度になつておるのじやないか。こういう点、制度の上からどういう御見解を持つかということであります。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 私は制度の上から申上げておるのでございまして、たとえ公安委員長に国務大臣が入つて参りまして、地方に都道府県の公安委員会が厳として存在しておる。これだけでも政治的な中立性というものは侵されない、かように申上げられると思います。都道府県の公安委員会の存在というものを無視して考えればそれは御所見のようなことになり得るかも知れません。併しながら都道府県の公安委員会というものは法律上厳として存在するのであります。この公安委員会は都道府県の知事が都道府県の議会の承認を得て任命をされるのでありまして、このかたがたの眼をごまかして政治的に干渉ができるか、私は不可能だと言わざるを得ないと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 都道府県の公安委員会の行政委員会としての組立、これはおつしやるような一応そういうブレーキになるかも知れん。併しながらそれを除いて国家公安委員会の構成と、こういうものを考えたときにどうなんですか。あなたのおつしやるように議論を進めて行くならば、蒸返しになりますけれども、なぜ一体国家公安委員会の構成も都道府県公安委員会と同じような性格にしなかつたかということになるわけであります。私の言つておるのは、都道府県の公安委員会というものをこれを除いてもらいたい。国家公安委員会の性格というものから考えたときに、現状の警察行政の政治に対する中立性というものが侵犯されて来るという危険がないかということを言つておるのです。副総理は、副総理という立場において、政治介入をすると、こう言つているのです。そうなつて参りますれば、政治偏向というものが当然生れて来ざるを得ないと思う。選挙ということにとらわれないで、政治偏向というものが警察行政の中に絶対に来ないということがこの制度の上で立論し得るかどうか、この点を御説明願いたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 都道府県の公安委員会というものを一応除いて説明をして見ろというお話でございますが、この法律によつて、警察の実際の作用というものは都道府県警察のみによつて行われるのであります。従つて都道府県の公安委員会の存在というものをないことにして考えて見れば、この法律の組立というものは全然変つて来るわけでございますから、従いまして法律全体の構想というものから、果してこの法律によつて政治的偏向が起り得るかどうかということを考えなければならないと思うのであります。中央の国家公安委員会自身におきましても、これは副総理がおつしやいましたのは、政府の正しい政治的なあり万というものを公安委員会に反映をさせる、その効果を狙つたのであると、かように御答弁になつたと思つておるのでありまして、決して政府の政治的つな何と言いますか、濫用をするためにというような意味で政治介入ということを言われたのでは絶対にないと思つておるのであります。中央の公安委員長に国務大臣が入つて参りましても、先ほども申しておりまするように、五人の公安委員の人格、識見というものを信頼いたします限り、又それを前提として中央の公安委員会の存在の意味が初めてあるのでありまするから、さようでありまする限り公案委員長に国務大臣が入られましても、中央の公安委員会の点だけを取上げてもさような御心配はないと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 それでは具体的な問題で逆に聞いて行きます。現在の警察官が、特に自治体警察なんかにおきましては、民主的な公安委員会の運営の下におりますから、一応身分的な安定というものを非常に感じておる。ところが改正法になりますると、あなたがどんなに言おうとも、国家公安委員長の存在というものは、これは各地方津々浦々の警備をする警察官としてはこれを念頭から去るわけに行かない、でその国家公安委員長の系統によりまして、警察庁長官、都道府県警察に対する指揮監督をする、而も都道府県警察の本部長、幹部はこれは中央からの任命だ、その又任命によつて動く警察官とすれば、これは中央の警察庁長官なり或いは国務大臣である国家公安委員長なりというものの性格を考えないで全然動くということは不可能なんです。非常に身分的に現状よりも改正法のほうがそういう点で地方警察官は不安を考えざるを得ないと思うが、この点どうでしよう。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 先ほどからも申しておりまするように、中央地方の公安委員会というものによりまして、政治的な偏向というものが警察運営において強制されないということが保証されておりまする限り、末端の警察官も安んじて正しいことを正しく行い得る、かように思うのであります。決してこの制度があることによつて末端の警察官が政治的な指令が来るのではないかという意味で恐れるというようなことは全くあり得ないと考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 あなたもこの間の参考人の公述をお聞きになつたと思う。恐れておるじやないですか、現実に。あなたがどういうふうに御説明なさろうとも、これは自治体警察の警察官がそのまま新制度の警察に移行する場合は、これは都道府県会安委員会の影響というよりは、むしろ国、家公安委員長の性格或いは警察庁長官の性格或いはそれによつて任命される本部長の性格、こういうものにこれは非常な自分の身分と繋がりを持つて考えざるを得ない。これは当然だと思います。制度の上から現行法の自治体警察におりますところの警察、新改正法によります警察官が身分的な安定度において非常に本部長或いは警察庁長官、国家公安委員長というものについて、これは関心を持たざるを得ない。或いはそのかたがたの傾向というものにやはり注意を向けざるを得ないというのは、これは人情の当然の帰結だと思う。それをしも国警長官は、そんなことを考える警察官は一人もおらんと御否定なさるのでありましようか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) この制度によりまして警察が政治的に非常に濫用されるという心配があるなら御所見の通りだと思いますが、さような心配は先ほど御説明申上げております通りないのでございますから、若しさような心配をしておる者があるといたしまするならば、それは全く杞憂であろう、杞憂である、かように申さざるを得ないと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 それでは杞憂でない証拠を一つ御検討頂きたい。現行警察法におきましても、国家公安委員会は都道府県国家地方警察の行政管理のみを行なつて、運営管理に権限は全くない、こういうふうに了解されるはずなんです。ところがその事務当局であります国家地方警察本部長及びその下部機関である管区警察本部からは違法指令がたくさん出でおる。この点読上げて見ましても全然違法指令を出さないとおつしやられますか。違法指令と思われるものが現行法においても出ておるのに、ずつと縦に繋がりを持つて来たときに、現場の警察が心配しないような指令は一つも出ていないと言い得るでしようか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 違法な指令は出していないと考えます。又政治的な意図を以て指令を出しておるとも考えません。ただこの点はあるかもわかりません、中央において人事管理が相当厳しく行われるということであれば、地方において問題とされないような警察官の何と言いますか、あるべからざるような事態に対しましても、中央から厳しくその点について監督をされるという面はあり得るだろうと思います。国会においていろいろ取上げられまして警察官の非行或いはそれに準ずるというような事柄について御叱責を受けることにつきましては、今度のような制度になりますと、なお国会においての御批判が、直ちに末端にまで及ぶというような点から、心配をいたすならいたすであろうと思いますが、これは私は当然そうならなければならないと、かように考えるのでございます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 選挙の取締指令、犯罪の取締指令、米穀の不正販売業者取締指令、これは行政管理でございますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) それらはいずれも法令の解釈でありまするとか、或いは取締の一般の基準というようなものでございまして、行政管理の分野に入るものだと考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 犯罪捜査の指令も行政管理でありますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 個々のどこにどういう犯罪が行われておる、それについて誰を検挙すべし、或いはこういつたものを検挙するために、中火の指揮を待たなければならないということであれば、これは運営管理の中に足を踏み込むものでございますが、併しながらそうではなくて、例えば犯罪捜査について活動の基準として、捜査の規範を示しますいろいろな場合でありますとか、或いは法令上の解釈を示す場合でありますとか、こういうようなことは運営管理ではなくて行政管理に属すべきものだと、かように考えるのであります。それらと、例えば今年は非常に凶作である、そのために中央の大都市のほうにおいては食糧不足を来たすであろう。この際にできるだけ闇米の取締を徹底させてもらいたいというようなことは一種の連絡であると思うのであります。これらの点は一種の連絡或いは取締の基準というような点でありまして、個々の、どこの何の某が現に闇取引をやつておるじやないか、あれを挙げろ、具体的に何の某を今検挙してはいけないということにまでなれば、これは運営管理と言わざるを得ないわけであります。さようなことはいたしておりません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 関連して……。今の米の闇取引の取締等についての事例が行政管理だということはどこに書いてあるのですか、現行警察法では……。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 闇取引につきまして現実に行われている犯罪を検挙せいということであれば、これは運営と言いますか、個々の犯罪捜査になるわけでありますが、抽象的に一般の基準を示すというような事柄は運営そのものには入らないと、かように考えております。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 この現行法の第二条の二項に「この法律において運営管理とは、左に掲げる事項に係るものをいう。」と書いて、その三号に「犯罪の予防及び鎮圧」と書いてあるのですが、今おつしやるようなことは、その三号の犯罪の予防にかかることじやないのですか。その二条の一項に「法律において行政管理とは、警察職員の人事及び警察の組織並びに予算に関する一切の事項」こう限定してあるのですが、この予算の中にも、又組織の中にも、人事の中にも、今おつしやるような犯罪の予防に関する事項なんというものは何も含まんと思いますが、如何でしようか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは日本語では非常にわかりにくいのでございますが、(秋山長造君「日本語でわからんと言うならどこの国の法律だ、何を言つているのだ」と述ぶ)「運営管理とは、左に掲げる事項に係るものをいう」という項がありますが、非常にわかりにくいのでございます。これは警察法のオペレーシヨンのコントロールである……(秋山長造君「英語なんて言つてもわからい」と述ぶ)でありますから、そういうような解釈の下に運営すべく……(「取消せ」と呼ぶ者あり)指導をいたしまして、日本語としては非常にわかりにくい言葉であると申上げておる。今までこういう言葉はなかつたわけであります。(「秋山長造君「日本語ではつきりしているじやないですか、それを拡げて解釈して……」と述ぶ)運営管理と申しますのは、個個の警察の運営、オペレーション、警察作用それ自身をコントロールすることであるということでございまして、一般的な基準とかいうようなものは、これは或いは職員の教養とか、活動の基準というようなことに入るのでありまして、この人事という中には勿論教養、そういつたものも入つておるのでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 人事ということの中に犯罪の予防等に関する事例ということまで入るといたしますと、やはり我々が先ほどから今度の新らしい警察法の問題について中央が地方の警察本部長或いは警視正以上の重要幹部の人事権を握つておるということは非常に重大な意義を持つております。確かに長官の説明では、これはもう本当に国家公務員という身分を与えているだけで、一切合切府県の公安委員会の指揮監督の下に動くのだということですけれども、人事権という問題へ犯罪の予防の事例だとか、何だとかということまで入れるのだつたら、これは人事権さえ握つておればあとは何でもなくても一切のことができます。教育と教養ということをおつしやつたが、教養ということは、成るほど第四条の二項にはつきり国家公安委員会の事務として挙げてありますから、それははつきりしております。併し犯罪の予防ということは行政管理のほうにはおよそそれに類するもの、それを連想させるような言葉さえ法文には書いてないのです。而も運営管理という言葉の内容を列挙しておるほうにははつきり「犯罪の予防及び鎮圧」ということを書いてある。これは今長官のような解釈のように余りに拡げるのもむちやですよ。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 一応さつき(「一応じやないよ、当り前だ」と呼ぶ者あり)御意見になられますことは、私は御尤もだと存ずるのでございますが、例えば交通の取締ということがある。そして交通の取締について道路交通取締法ができ、その解釈を示す。然らばこれは違法であるか。ここで交通の取締はこの頃悪い、これをもつと取締つてもらいたいという御所見がある、それを地方に通達することは今の警察法で違法であるか……(「それは違法ですよ」と呼ぶ者あり)と申しますと、私はさようではないと思うのであります。現実に交通の取締のやり方それ自身というものは、現行法では府県の公安委員会がやる運営の管理でございまするが、それについて連絡をするということ、或いは全般的な解釈を示すということは違法ではない、かように思うのであります。従いまして私は犯罪の予防のことについて連絡をすることは人事の中には含んでおるとは申しませんが、第二条におきまして「この法律において行政管理とは、警察職員の人事及び警察の組織並びに予算に関する一切の事項」ということで、ここには人事、組織、予算に関する一切、こうありまして、次の二項には「左に掲げる事項に係るものをいう。」左に掲げる事項にかかるところのオペレーシヨンのコントロールである。(秋山長造君「英語を使つてもわからん、我々には英語はわからないのだ」と述ぶ)具体的にはさように解すべきものであり、そういうように運営すべきである、そういう指示に従つて我々は今月まで参つたのでありまして、併しながらこれは如何にもわかりにくいのであります。日本の言葉はわかりにくいわけでありますから、それを今度の法律におきましては明瞭にいたしまして、こんな行政管理、運営管理という言葉を使わないで、こういつたことについては基準、こういつた事柄については何々というように今後の法律ではその点を非常に明瞭にいたしましたのでありまして、今後はさようなわかりにくいことにはなるまいと考えておるのであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 今の問題は我々は示されている警察法によりまして判断をいたしておるのです。この警察法がどこの国から指示されて作られたか、その指示された意向がどうであるかということを我々は何も問題にする必要は一つもないのです。日本語で表現された警察法を見て正しい解釈をして解釈できないから問題にしておるので、この問題はあとで秋山委員から続けて質問があると思うので、次に移ります。  これは大臣でも長官でも……大臣のほうがいいと思いますけれども、警察庁は公安委員会の事務部局ではなくて、外局である、こういうふうに国警長官はお答えになつた。衆議院の委員会におきましては自治庁の長官は、行政組織法第三条の外局ではない、第八条一項の附属機関である、こう答えられた。本委員会におきまして法制局は、警察庁は独立官庁である、こう答えられた。大分警察庁に対する見解がまちまちでありますが、これは一体政府の見方はどれをとるべきか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 十七条にございます「警察庁は、国家公安委員会の管理の下に、第五条第二項各号に掲げる事務をつかさどる。」ということになつております。これは警察庁というのは国家公安委員会の附属機関であるというふうに私どもは解釈いたします。その附属機関という意味は、長官の権限行使は当然にできるのでありまするが、管理の仕方は国家公安委員会の作りましたるところの幅の範囲である。幅の範囲において長官が権限行使ができる、こういうのであります。この点におきまして、現行法では長官は事務部局であつて、補助機関であります。警察庁長官の範囲というのは事務部局である補助機関であるということでありますが、その点が多少違うと存じます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 国家公安委員会も外局である。で、警察庁も独立官庁である、こういうふうに法制局は、この言葉通りに言いませんけれども、法制局の御答弁を総合すると、こういうことになる。大臣の答弁と違うけれども、法制局長官どうですか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 大臣の今言つた通りに考えております。ただ今のお言葉の中に、法制局の者が独立官庁だと言つたというようなお言葉があつたように思いますけれども、今本人もおりますけれども、そういうことでなしに、一種のその名前における執行権を持つておりますから、その意味でのことを御説明申上げたのだと本人も申しております。私もそれでよろしいと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 私は念を押して聞いたのです。独立官庁と認めているのですねと言つたら、そうだと言つた……これはどうでもいい。問題は事務部局ということよりも遥かに警察庁というものを強化しておる。従いましてこの警察庁の強化というものが、国家公安委員長に繋がるところの一つの危険性というものを非常に持つておる、こういう危険はございませんか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 警察庁は国家公安委員会の管理下、即ち指揮監督下にあるわけでありますから、公安委員長と直接の繋がりということはないわけでございます。事実上警察庁長官が一体誰の指示で動くか、そういうことは現行法においても考えればいろいろ気を廻して考えられないことはないのでありますが、制度といたしましては国家公安委員会の管理下にあるわけでありますから、委員長が公安委員会というものを差置いて、直接警察庁を指揮するというわけには参らないのでございます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 事務部局ではなくて、附属機関と言つてはおるが、見方によつては独立官庁とも見られないわけではないと、一応はですよ、法制局の政府委員も答弁せざるを得ないような、現行法から言えば遥かに警察庁というものは強化されておる。なぜこのように強化しなければならなかつたのか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 強化とはおつしやいまするけれども、実際の、何と申しますか、警察事務、警察庁に与えられました事務、即ち公安委員会が持つておりまする仕事を実際に適用いたしましてやりますることにおきましては、一々公安委員会の議決を経て細大漏らさずやるというわけには事実問題として参らないのでありまして、公安委員会といたしましては大綱を示す、大きな筋を示し、その線に沿つて警察庁が職務を行うということでございまするから、警察庁というものは、やはり公安委員会において示されたその大綱の下において一つの権限を以て事務を処理して行くという実態に合はしたほうが政府としては正しいと、かように考えました次第でございます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 今度の改正法は府県自治体警察だとどんなに抗弁されたところで府県自治体警察という点を強化するのに主点が置かれないで、警察庁の強化ということはこれは一目瞭然である。こういう傾向というものを我々はどんなに説明されても国家警察への強化だというふうに判定をせざるを得ない。  そこで法制局長官に伺いますが、今までの公安委員会、現行法の公安委員会というものは、我々国民にとつては政府の政治的偏向から国民の権利を守り得る立場を持しておるものだと、こういうふうに考えておつた。今度の公安委員会の構成というものは、今までの言葉が強過ぎるというのであれば、最低限こういうことは言われないか。政府と現行の公安委員会よりは遥かに密着した性格を持つて来た。法的にこういうふうな見方をとることは許されないでありましようか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 密着関係というお言葉でありますが、制度的には先ほども申しましたように、独立した行政委員会としての性格そのものは全然変つておりませんから、その意味では政府そのものとこの公安委員会との間の距離というものは同じ距離であると申上げなければならんと思います。ただ問題はこの国務大臣が長になつて入つて来ているじやないかということだろうと思いますが、これは先ほども触れましたように、まあ連絡の便宜というような意味で、例えば公安委員会の意思を閣議に反映するということを考えますというと、国務大臣は当然閣議に出席しますから、公安委員会の意向はこういう意向だということを閣議のほうに反映するというような実際上の違いはあると思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 結局それは密着性が増進されたという解釈をとるのが当然じやありませんか。政府も政治責任の明確性のために国務大臣を国家公安委員長にしたとはつきり言つている。そうならば現行法の公安委員会よりは政治責任の明確化という点から政府の言う通り認めても、政府との密着性が増したというふうに考えてもこれは差支えないじやないか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) そういう意味では、今の政治的な内閣の責任関係という点から法律論を離れましておつしやるならば、無論そういうことは言えると思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 刑事局長いらしつておりますか。刑事局長にお伺いいたします。そういう点から言つて、政治責任の点から密着性が出たということは、よく言えばそういうことなんで、悪く言えば政府警察の傾向が強くなつたということにも言えると思う。このために検察関係から見まして新警察法は公正なる捜査権のスムースな運営というものに事欠くようになる心配はないか。なお十四条発動などという馬鹿なことをやる政府のやつたことでありますから、検事総長などは本改正案に対してどういう意向を持つておられるか、法務省としてお確かめになつたか、この二点についてお答えを頂きたい。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) お答えいたします。先ほど出がけに検事総長に、新らしい警察法が捜査の面で能率増進になるかどうかという点について聞いて来たのでありますが、検事総長の話では、新らしい警察法は法律的には捜査の上で能率増進になると思う。ただ国警、自治警の対立空気が現在では非常に濃厚であると考えられるので、新法施行の際には、これらの対立空気が解消するように十分注意しないと所期の目的が達成せられないかも知れないという心配があるということを申しておつたのであります。  第二点の、警察が時の政府の影響を強く受けるかどうかという問題でございますが、これは斎藤国警長官もたびたび申しておられる通り、国家公安委員会、或いはその他の公安委員会がフルに働けば政治的な影響を強く受けて悪く悪用されるということは相当掣肘することができるのではないかと考えているのでございます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 公安委員会がフルに働けばそういう心配はない。フルに働くような一体制度か制度でないかということを先ほどから問題にしておる。国家公安委員長を国務大臣がするということでは、国家公安委員会としての公平中正な働き方というのはセーブされるのじやないか、現行法よりもセーブされるのじやないかと思いますが、その点どうか。もう一点、検事総長は法案そのものの改正法の内容というものは能率増進になるかも知れんけれども、自警、国警の現状のような関係というものが清算されない限りは非常にその点心配だというお言葉でありますると、今日只今すぐこのままの状態で本法を施行することはやはり捜査関係から見れば危惧せざるを得ないと、こう解釈してよろしいのでしようか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 先ほど申上げましたように、この制度自体現行法よりも確かに或る程度政府に密着しておるということは言い得ると思いますけれども、この運用を法律の所期するようにやれば別にこれが政治警察に走るというようなことはないと、こう考えるのでございます。それから自警、国警の対立というのはこれはまあ現在の現状でそう申上げたのでありまして、まあこれが新らしい法律施行と同時に十分お互いの意思の了解がつけば従来の対立的な空気が消える、そういうことになれば十分能率的な捜査もできると、こう考えておるのでございます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 あなたにこれは余り問い詰めるのは大変失礼でありますが、あなたはこの間十四条の発動を受けて一番被害を受けた一人でしよう。それでああいうことをする政府がこの国家権力を一手に握れるような形の構成の警察法を改正して荏苒国警長官の言うように公平無私な警察行政というものができる、心配ない、この間の十四条発動と比べ併せて今の政府は確かに間違いないとお答えになれるか、率直にお答えを頂きたい。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) どうも私事務官僚で、事務的な問題については、例えば捜査はこの程度ではどうであるかというようなことならば率直に申上げますが……。(加瀬完君「答えられなきやいいですよ、無理せんでもいいよ。」と述ぶ)何というか、加藤国務大臣のお言葉を借りれば、大所、高所より現在とられた措置を肯定したのだと、こうおつしやれば私どもとしてはそれに服せざるを得ないということになるのでございます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 結局刑事局長が大所高所からというふうな法務大臣の意見を出して自分の意見を率直に言わないということはどういうことなんでありましようか。(笑声)小坂大臣一つその御判断を。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 刑事局長の御発言は誠に官吏として当然のことだと思います。判断を求めるほうが私は権限を越えたことだろうと思う。(秋山長造君「あなたに判断を求めるのだ。」と述ぶ)先ほどから密着々々とおつしやいますけれども、密着というのはぴつたりくつつくことである。ところがこの法案自体によりますればそうぴつたりくつつかんようにできておりまして、先ほどから繰返し申上げておりますように、これは決して政府が介入するのじやない、アビユースというような問題はそこから起きて来ない。公安委員会というものがあるのでありまして、密着せんようにできておるのでありますので、政府の正しい意味においての意見を反映する、公安委員会における意見というものを正しい意味において政府に取上げる、こうした相互の意思疏通を図る、こういうことなんでありまして、御懸念は少し思い過ごしのように私には思われます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 小坂大臣の属する自由党の党報によりますと、新警察法の問題についてこういう一項を明らかにしておる。「戦前の日本の警察行政は、個個の犯罪に備えて全く世界一でした。それが内務省の下の一警保局長による全面的な組織網で万全を期せられたのですが、戦後、この強力なる組織網は寸断されて、一つは国家警察となり一つは町、市の自治警察となつたのです。」こういう書出しで結局警察力の国家統制というものをはつきりと至る所で謳つておる。こういうものを我々見せられますから、どうしても心配せざるを得ない。この点どうですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私は実は二日ばかり前にそのパンフレットを見た、何ですか、新聞紙ですか、タブロイドですか、それを見たのでありますが、私は全くその問題は関知いたしておりません。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 大臣が関知されなくても自由党の政策は、警察行政に対する政策はこの通りだというふうに我々は了解せざるを得ない、それはどうですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) そういう考え方もあるということは認めます。けれども、公式に私どもがこうしてお答えを申上げておる政府の考え方というものは、警察法の改正というものは屡次申上げておりますように占領下間もなくできました法律というものはその後の運営に鑑みて或る意味において民主的保障は一方におつてなしながらもう少し能率のいい、国民に負担のかからない、又盲点の少い制度を確立しなければならない、こういうことに尽きておるのでありまして、特にその点につきましては私確言して憚りません。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 関連して、自由党、党報によりますと、政府の出しております警察法の改正に反対する者は占領政策を謳歌しておる者か、さもなければ共産主義者である、共産党であるということを言つておるのですが、自由党の党員たる小坂警察担当国務大臣はこの党報の意見についてどういう所見を持つていらつしやいますか。果してこれに反対する者が占領政策を謳歌する者であるか、或いは共産党であるか、その点明確にして頂きたいと思う。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私はその内容について余りよく存じませんし、責任を持ちませんが、拝見いたしましたるところその調うところのものは、占領下において旧来の警察組織というものも非常にこれは欠点は勿論あつたのでありますが、その欠点を非常に強調する余り、警察組織を分断し非常に細分化した、零細化したために、そこから非能率のものが出て来ておる。こういうことでは一方の、種々な社会的な混乱というものを一方において庶幾しておる考え方の者もあるのであるから、そういう点についても今後考えをめぐらさなければならん、こういうことを言つておるのだと私は了解しております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 それでは警察担当の国務大臣小坂君としてここに書いてある最後の、この警察法の改正に反対する者は占領政策を謳歌しておるものであるとか、或いは共産党であるとかいうようなことは大臣としてはお認めにならない、こういうわけですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) どうもそれは余り一面的な議論のように私は感じております。そうばかりとも言えないと思いますが、(松澤兼人君「ここに書いてあることを言つておるのです。」と述ぶ)いや、私の意見を求めておるのでしよう、あなたに聞くけれども、…、(松澤兼人君「警察担当の大臣としてこれをお認めになるかどうかということを聞いておるのです。」と述ぶ)あなたは私のそれについての意見を求めておるのでしよう、ですから私は私の意見を申上げておる。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 重ねて、あとで聞きましたことを答弁願いたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) ですから私はそれは少し誇張に過ぎておる面もあるかも知れんと思う、或いはそういう点をきめつけることは一面的な観測に過ぎる点もあるかも知れん、併しこれは一面でありまして、或る面においてそういうことを言う人のあるのも私は自由主義者ですから人の言論というものを尊重します、或る意味においては認めるが、これは多少誇張し過ぎておる面があるのじやないか、こういう意味です。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 これは自由党の機関紙です。あなたも自由党員じやないですか、党の機関紙が言つておることをあなた自身自由党員としてこれを信用するか信用しないか、いずれかであるはずである、その点如何ですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) これはどうも現在の政党の機関紙共通の問題でありまして、あなたの属せられておる社会党の機関紙というものをあなたは一々責任を持つかと言われても、あなた自信御承知ないことが書いてあるかも知れません。それと同じ意味で御了解願いたいのであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 先ほど加瀬君が述べました従来の警察というものは我々の言葉から言えばスイッチ一本で下部の町村の末端の駐在所まで国家の威令が徹底する、戦前の警察というものはそうであつた。ところが分断された結果、こういうような威令が行われないということは事実であります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 威令が行われていないということは、そうした幾多の威令が行われていないということは事実であります。そのいいか悪いかということの価値判断は別でありまして、そういう威令を非常に行おうとした、余りに政党的な支配が警察に及んで、これが非常に悪弊を及ぼしたということも我々は認めておる。従つて能率化を責任の明確化、面して民主的保障というものを如何に按配するかということの芳心の結晶というものがこの法案であるということを御理解願いたいと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 時間がありませんから問題を変えまして、この前警察関係の人権侵害の問題を質問いたしましたら、そんなに件数はないというお話でした。その後我々は更に調査いたしまして本日回答を得ましたのでもう一度この点についてお尋ねいたします。この問題は国警当局と人権擁護局の政府委員両方からお答えを頂きたい。二十六年に七百七十八件、こう申しましたが、これは前年の未解決分も含んでおりまして、二十六年は新らしく発生したのは六百五十五件、二十七年は新らしく発生したのは五百九十七件で、前年度の未解決を含んで八百四十三件、二十八年は新らしいものが六百八十九で、引続きのものを入れると八百八十一件、これは間違いありません。これに対しまして国警長官は十数件しかないということをおつしやつた。ところがこのうち約九割は警察官によるものである、こういうふうにはつきりと報告は明らかに問題点を説明しておるわけであります。そこで伺いたいのは、こういう傾向というものに対して国民は非常な不安を感じておる。そこで人権擁護局の政府委員は、国警長官は十数件だというけれども、十数件というものが正しいのか、あなたの事務局が出したこの数字が正しいのか、その点をはつきりさしてもらいたい。第二点は先日来秋山委員からもたびたび質問が出ました。例えば住居に侵入する方法とか、鞄をあける方法とか、封筒を開く方法とか、こういうものを警察関係で訓練をいたしておる。これは特殊捜査の対象になるものがあつて、やつておると説明されるけれども、こういう方法というものを教えていることがすでに第三者にだんだん押し及んで来るということが考えられないか。それは国民全般の人権侵害というものが、憂慮されるという予想がつかないか。この点について、国警と人権擁護局と両政府委員から御答弁を頂きたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 人権侵犯事件につきまして、人権擁護局から警察当局のほうに勧告を受けました事件の件数を私が申上げたのでありまして、昭和二十七年は国警自警を通じて四十件、昭和二十八年度は二十三件、これは間違のない数字だと考えております。それから警察の警備の必要上、特定な人間に対しまして、必要なる教育をいたしておる事柄につきましては、先般詳細に申上げた通りでありまして、これらは憲法や法律をどこまでも守り抜くという固い決意の下に行なつておるのでありまして、決してこれによつて人権を侵犯するというようなことは起り得ないと考えておるのでございます。

戸田正直法務省人権擁護局長

○政府委員(戸田正直君) お答えいたします。警察の調べました人権侵害事件と、私の調査いたしました人権侵害事件との件数の相違があるというお尋ねでございますが、この前に私のほうで取扱いました特別公務員による侵犯事件、私のほうとしましては、公務員の事件を、特に人権侵犯事件としては、最も重視いたしております。それは権力のある者が権力のない一般国民に対する人権の侵害というものは、救済する、なかなかみずから守るということは容易でないというので、人権擁護局としては、公務員の人権侵害を非常に重視しておる。そこでその公務員の中で、特別公務員を一般公務員に分けておりまして、特に警察官だけを取上げて統計をとつておらないのでありまして、特別公務員といたしておりますこの特別公務員の中で、最も大部分を占めておりますのは、先ほどお話のありましたように、警察官の事件が最も数が多いのであります。そこで私のほうでは特別公務員の事件を受理しましたのを年度別に申上げますと、初めて人権擁護局ができました昭和二十三年におきましては十二件でありました。それが二十四年には四十六件、二十五年には三百二十二件、二十六年には六百五十五件、二十七年は五百九十七件、昨年度が六百八十九件、これだけ受理いたしております。そこで数字上の間違いがあつたと御指摘なされておりますのは、多分今国警長官のお話にありましたこの特別公務員の事件を分けました中で、尤も侵害事実があるとして強く私のほうで承知しておりますのは告発、勧告になつております。そこで今の勧告の点について事件の数が、勧告処分をしました統計が違いがあるようにお指摘になつているのではなかろうかと思います。これは警察、国警等で調査いたしました資料によりますと、勧告が四十件でございます。私のほうで処理しましたのが二十七年で、私のほうでは五十五件ということになつております。十五件の開きが出て来ております。これに対して私のほうでは確認をしておりませんが、恐らくここらに間違いがあるのじやないかと思いますが、国警では四十件ということであります。私のほうの統計によりますと五十五件ということになつております。そこでこれは確認いたしませんので、はつきり申上げられませんが、恐らくここらに間違いがあるのじやなかろうかと思つておりますが、新受と旧受とありまして、前年度のものを今年度において処分処理いたしておるものもありますし、それから国警等で調べました中に勧告でなくして不問と中止と、それから指示が含まれておるということになつておりますが、この機会に不問、指示、中止についてちよつと意味を申上げないと説明がつかないと思うのですが、不問と申しますのは、私のほうで事件を調査いたしまして、侵犯事件はあつたが、すでに警察官において相当反省されておるし、又事件の性質上又その事件後の状況等から、あえてそれ以上追及する必要がないというのがいわゆる不問処理と申しまして、検察庁が言う起訴猶予処分に大体当るものであります。それから中止をいたします場合は、すでに捜査当局において捜査を開始しておるというので、そのほうに捜査をお任せするというようなことで中止する。又指示等は、告訴をしなさい、裁判所へ申出なさいというようなことを指示するというようなことで、或いは勧告等につきましても、少し時期がずれたような関係から、口頭勧告をして、そして不問処理をしたというようなことで私のほうでは口頭勧告といたしておりますが、或いはそれを不問と捉えたというようなことが、恐らく警察の調べと私のほうとで事実の相違が出て来ているのじやなかろうか、かように考えておる次第でございます。  それから警察大学等で忍び込みとか、封書を開けるというようなことを教育しているがどうかというお説でありますが、警察でこれはどういう目的でやつておりまするか、私のほうでつまびらかにいたしておりませんので具体的事実については申上げられませんが、例えば忍び込むということを一般にやらせるとか、封書を開けるということを一般にやらせるというようなことは、これはどうも人権擁護上よろしくないのじやないか。ただ教育を受けたということは、これはどういうことになるのかわかりませんが、これを若し行うということになりますと、これはどうも人権擁護上よろしくないのじやないか、かように考えておるのでありますが、そこで憲法で通信の秘密とかいうようなものを保障されておりまするので、封書を勝手に開ける方法ということは令状による場合とか、破産法の規定による等法律に許された場合以外はちよつと心当りは私ども考えられないことでありますが、ともかく教育をするということはどういう目的でやつておりますか、目的によつてこれがいい、悪いの判断がつくと思うのでありますが、ただ教えただけでは直ちに人権侵害にはならないと考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 人権擁護局の当局が人権侵害に発展する虞れがあるのじやないかということを国警当局が教育するということは、国警当局としてはどう考えるか、それが一点。  もう一つは、国庫支弁の警察費、府県警察に対する国の補助金等、これは政令で定めることになつている、政令案があるならばそれを示されたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 人権侵犯に発展する虞れがあるということが、人権擁護局長のお話であつたかもわかりませんが、私どもといたしましては、さように、人権を侵犯するように発展をさせないような措置を十分講じておると申上げておるのでありまして、殊に住居浸入であるとか、或いは信書の開封であるとか、かようなことは一切至らせないように最善の留意をあらゆる方面から払つているのでありまして、さような心配はないと考えております。  三十七条第一項の政令の案につきましては、これは後刻お手許に差上げたいと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 人権侵犯の虞れがないように最善の留意を払うというなら、問題は最善の留意を払つて人権侵犯を防ぐということよりも、人権侵犯になる慮れのあるようなことをやらないということが先決なんです。なぜこういう態度を国警はおとりにならないか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 人権擁護局長はどういう意味でおつしやつたかもわかりませんが、例えば今日任意捜査の段階におきまして聞き込みをやるということが、これは私は社会常識上許されていることと思います。その場合に、然らばそうかと言つてこれをあらゆる場合に用いているしいか、犯罪が起つてそれについていろいろな聞き込み方法、これは捜査専門員としましては十分教え込まなければなりません。併しながらこれを濫用いたしまして、いろいろな家庭の事情その他を犯罪に無関係に聞き込んで行くということであれば、これはやはり一種の私は人権侵犯になるであろう、かように思います。それと同様でありまして、私どものほうといたしましては、これをどういうように用いるかということによつて、人権侵犯になる、或いは人権侵犯にならずに許された行為だということになるわけでありますから、さように申されますると、犯罪捜査すべては人権侵犯に発展し得る。こういうようなことになるわけでありまして、そういうようなことでは捜査というものは全然できないわけであります。その点はよく御了解を頂きたいと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 今度の警察法の改正を見ますと、能率の増進或いは何と言いましようか、経済的な効果、こういうふうなことをたびたび説明されるし、謳つている。能率の増進ということを一つ捉えて能率の増進、能率の増進と言つて一番能率の増進が降りかかつて来るところは、これは捜査に対する能率の増進ということになつて来ると思う。そこで捜査の能率を上げるという一つの傾向が強く打出されて来て、而もそこで捜査をするには鍵の開け方はこうやれば開く、封筒の開け方はこういうふうにやれば見つからない。住居にはこうして入るのだということを教えたとしたならば、能率の増進というものとその技術というものは当然マッチしてこれは人権侵犯という大きな憲法違反の問題に発展する可能性ということを当然考えられるのじやないですか。そこで民主警察の運営ということをよくおつしやいますが、民主警察というならこれは憲法というものを守らなければなりません。能率よりも一番守らなければならないのは憲法を守ることなんです。そうなつて参りますと、こういうふうに人権擁護、人権の侵害の虞れのあるような方法を警察が取上げられたということ、先ず我々はこういう方法を極力避けて、迂遠な方法であつても人権を尊重という立場をとつて行かなければならないという現警察法からすれば当然そういう結論が出る、それを殊更に捜査技術のためには人権侵犯にならなければいいじやないか、なつたかならなかつたかということは発見できない場面がたくさんあるのだから、人権が侵犯されておつても国民はわからない場面がたくさんできる。そういうようなことを方法として、それが捜査技術上必要であろうとも、警察官としてとつて行くことを現行警察法の、人間の尊厳というものをどう考えるかという大きな基本的な問題になる。その点について考え方が、非常に能率のために人権を抹殺して行くというような傾向がとられているのじやないか。この点を御解明頂きたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 能率のために人権を抹殺するということは、これは我々といたしましては厳にあつてはならない事柄だと根本理念として考えているのであります。能率増進のために人権を侵犯するということは、これは本末を顛倒することであるわけであります。この警察法によりまして、能率の増進と申しますることは、例えば連絡関係が密になる、或いは一元的な府県内における都市、国警の間の運営が、これが連絡が早くできるとか、二つの中枢機関よりも一つの中枢機関のほうが迅速に行くとかいうことで能率が増進するわけでありまして、決してこれによつて人権を侵犯するという破れは毛頭ない、かように確信をいたしているのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 先ず最初にお尋ねいたしたいのは、先ず第四条に「内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く。」所轄という言葉が使つてある。又第六条には、その二項に「委員長は、会務を総理し、国家公安委員会を代表する。」「会務を総理し」と総理という言葉が使つてある。更に十六条の二項に参りますと「警察庁長官は、国家公安委員会の管理に服し、」管理という……又同じ二項の最後のほうに「都道府県警察を指揮監督する。」指揮監督という言葉があるのですが、こういうように大体似たり寄つたりな言葉があちこち使つてありますが、所轄、総理、管理、指揮監督というような言葉を具体的に説明をして頂きたい。

林修三法制局次長

○政府委員(林修三君) 今実はお尋ねのことはこれは行政組織の実はいろいろな面において一般的に使います言葉でございます。警察だけの関係でもございませんので、便宜私のほうからお答えするほうがよろしいかと存じます。  先ず第一に所轄でございますが、所轄という観念はこれはまあ文字通りそこの管轄に属しておるという意味でございまして、これは大体今まで使いました場合においていわゆる内閣法で申します各省の主任の大臣とその部内にございます外局或いは附属機関、そういうものとの関係を現わす言葉として実は使つております。主としてこれは行政委員会、大臣対行政委員会の関係に使つておる言葉でございます。最もその独立性が強い機関の場合に所轄という観念を使つております。これは実はむしろ最近の設置法等では、行政組織設置法等では比較的使つておりませんが、旧憲法時代の官制ではしばしばこの大臣対或る行政機関との関係において何々大臣の管理に属し、何々大臣の監督に属し、或いは何々大臣の所轄に属しという言葉を使つたわけであります。その場合におきまして所轄という言葉が最も関係が薄い、独立性が強いという意味で使つておる言葉でございます。  それからその次に総理ということをおつしやいましたが、これは総理というのは別にそれほど確定的な意味はございません。或る会議制の機関の事務を総括し統べるという意味で大体総理という言葉は使つてございます。従いましてこの「会務を総理し」という言葉は、公安委員会の事務と申しますか、公安委員会の会としての運営とか、或いは事務をすべて総括的に締めくくりをつけて治める、字句から見ればそういう意味でございます。大体会議制の機関について主に使われております。  その次に管理の下にという言葉ですが、管理という言葉は大体において相当上との繋がりの強い役所の場合に使つております。国家公安委員会の管理の下に警察庁長官云々ということは、警察庁長官は国家公安委員会にしつかりくつついている、所轄とは反対で非常にその監督権が強く及ぶ、そういう意味の場合に管理という意味の言葉を今まで使つておるわけでございます。  指揮監督というのはこれはまあ大体普通の観念でございます。指揮というのはいろいろ指図をするということであり、監督はその機関が或ることをやることについて、やはり或る程度事前或いは事後にそれを是正し或いは指示を与える、こういうことだと実は存じております。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 委員長が会務を総理するという、その会務というのはどういうことを指しているのかお尋ねします。

柴田達夫国家地方警察本部総務部長

○政府委員(柴田達夫君) 公安委員会の事務でございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 公安委員会の事務とおつしやるのは第五条に書いてある公安委員会の任務ですね、公安委員会の任務と同一とみなしていいのですか。

柴田達夫国家地方警察本部総務部長

○政府委員(柴田達夫君) 第五条に書いてあります公安委員会の権限というふうな意味ではございませんで、公安委員会の庶務的な事務、即ち委員会を招集いたしまする事務とか、委員会の会議の議事に関しまする事務とか、そういつたような意味でございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 それからもう一つお尋ねしておきたいのは、現行法では国警本部長官の任免権は国家公安委員会が持つておつて、そしてその場合に総理の意見を聞くということになつておる。それが政府の原案では今度は逆に総理大臣が任免権を持つて国家公安委員会の意見を聞くということになつている。それが更に衆議院の修正案では、国家公安委員会が今度は総理の承認を得て任免する。こういうことになつておりまするが、それから更に警視総監の場合には衆議院の修正で国家公安委員会が都の公安委員会の同意を得た上総理の承認を得てというふうに同意という言葉を使つている。それから又道府県の警察本部長の任免の場合も国家公安委員会が道府県公安委員会の同意を得てというような言葉が使つてあるのですが、この意見を聞くというのが一番これは軽いということはよくわかるのであります。これは聞いても聞かなくてもいいことだろうと思うのでありますけれども、あの同意と承認というのはどう違うのですか、その点ちよつと御説明願いたいと思います。

柴田達夫国家地方警察本部総務部長

○政府委員(柴田達夫君) 同意と承認の区別は法律上の意味としては同じようなものであろうと存じます。ただ言葉のニユアンスの相違といたしまして、承認という言葉を用いましたのは、先ほど林法制局次長からお話がありましたように、所轄の関係にある間柄でありますので、そういうようにやや上級の機関と申しますか、そういうようなものに対する関係上同意というところを承認という言葉を用いたのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 現行法ではやはり国家公安委員会は総理大臣の所轄の下にという言葉が使つてあるのですけれども、併し総理大臣の承認を得てとは書いてなしに意見を聞いている、こういうように書いてあるんですがね。ところが今度の場合は何故意見を聞いてとか、同意を得てとかいう言葉を使わないで、承認を得てという言葉を使うことになつたのか。同じ所轄というこの前提は変つてないのに、そういうようにこの言葉のニユアンスで、承認というと如何にも部下が上官のお許しを得てというニユアンスを持つし、意見を聞いてというと、意見とか、同意というと、対等ぐらいな感じを持つのですが、その点如何ですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 現行法では国家公安委員会は総理大臣の意見を聞いて、ということに相成つております。今度の政府原案では、総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて、ということになつているのでございまして、両方は同じでございます。同意或いは承認というのはこれは衆議院の修正によつて出て来た言葉でございます。意見を聞くのと同意、承認とはこれは意味が違うことは御所見の通りであります。同意と承認、これは内容は同じでありますけれど、その使う場合において、或いは同意と使い、或いは承認と使うのは先ほど政府委員から申上げた通りでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 衆議院の修正責任者のかたお見えになつておりますか……、灘尾さんに今の点をちよつとお伺いしたいのですが、修正案を作られた責任者として、この承認とか、同意とか、意見などという言葉のまあニュアンスは勿論違いますが、ここは法律論として御質問しているのですが、今当該国警長官からお尋ねしておつた点について、あなたの御答弁を承わりたい。

灘尾弘吉自由党

○衆議院議員(灘尾弘吉君) 承認とか或いは同意という言葉の意味につきましては、先ほど柴田総務部長から申上げました通りと考えております。ただ問題は政府原案におきましては、今回は警察庁の長官の任命方法を国警長官の場合と変えまして総理大臣が任命する、こういう形になつておりましたのを、衆議院側といたしましては逆に変えたような次第であります。その場合に承認という言葉を用いた気持は、いわゆる所轄というふうな関係がありますので、こういう言葉を使つた、かように御承知を願いたい。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 所轄ということだから、承認という言葉を使わなければならないという必然的な私は関連はないのじやないか、現に現行法でもやはり国家公安委員会は内閣総理大臣の所轄の下におくということがあるにもかかわらず、国警本部長官の任命については総理大臣の承認でなしに、総理大臣の意見を聞いてというような言葉が使つてあるのですが、やはり意見だとか同意だとかいうような言葉でなしに、どうしてもこの際承認という言葉を使わなければいけないというところに、やはり先ほど来問題になつておつた国家公安委員長に国務大臣を持つて来るというような考え方とやはり一脈通ずるものの考え方があつて、国家公安委員会は飽くまで政治的中立性を堅持した自主性を持つた民主的な組織であるという説明はされながら、やはり何か政府の従属機関と言いますか、下請機関というようなことになつて来ておるのじやないかと思うのですね、その点如何です。

灘尾弘吉自由党

○衆議院議員(灘尾弘吉君) 意見という場合と同意という場合の違うことは御承知の通りであります。我々といたしましては、この場合におきまして総理大臣の意見を聞くということよりも、同意或いは承知というやり方のほうがよろしい、こういう考えの下に修正いたしましたわけでございまして、同意という言葉がいいか、承認という言葉がいいか、これはいろいろ御議論があろうかと思うのでありますが、先ほどお話のありましたような法律的には私は変わりはないと思いますが、言葉のニユアンスと申しますか、我々といたしましては、この場合といたしましては承認という言葉を作つたほうが適当である、こういう考えの下にさような修正をいたした次第であります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 じや、やはり同意と承認と同じ意味であるけれども、そのニユアンスの相違で承認という言葉が適当だというこの感じの問題ですか。

灘尾弘吉自由党

○衆議院議員(灘尾弘吉君) 感じという言葉がいいかどうか存じませんけれども、まあさよう御了承願つても結構かと思います。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 やはり私に言わせれば、そこにこう何か国家公安委員会というものよりも総理大臣が一段上に頑張つて、そうしてこの命令服従の関係で下の者が何かやろうと思えば上の人にお許しを得てやらなければいかんという感じが、やはりこれも感じですけれども、感じが非常に強く出ているということを感ぜざるを得ない。で、灘尾さんはそのようにお感じになりませんか。

灘尾弘吉自由党

○衆議院議員(灘尾弘吉君) 言葉の問題になるようでありますけれども、私どもといたしましては国家公安委員会と総理大臣の関係というものは、全く対等なものとは考えておりません。国家公安委員会は総理大臣の所轄の下にある機関である、こういうふうに考えますので、そういう気持からいたしまして同意という言葉を使わないで承認という言葉を使つた次第であります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 所轄の下にあるということはこれはもうわかり切つた話なんですけれども、併し所轄の下にあるということは、決して総理大臣の従属機関ではない、指揮監督を受ける機関ではない。で、所轄の下にはあるけれども、やはり委員会自体としては一つの自主性を持つた独立機関である、こういうように私は考えておる。であるにもかかわらずなぜ承認というような、命令と服従のような、上官と部下という関係を連想させるような言葉をお使いになるのか、同じ意味ならばむしろ同意という言葉のほうが妥当なんじやないかというように私は考えるんですが、そうお考えになりませんか。

灘尾弘吉自由党

○衆議院議員(灘尾弘吉君) 私どもは国家公共委員会は上とか下とかいうことを申しますと、如何にもどぎついようでありますけれども、総理府の外局としてある機関だと考えております。そういう意味合いにおきましては、やはり強いて申上げますれば総理大臣のほうを一応上と考えるのが、これが普通の考え方ではなかろうか、国家公安委員会と都道府県の公安委員会の関係とは又違つた趣きがある、こういうふうに考える次第であります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 まあその点は、あなたのお考えはわかりました。  それから次にお伺いしたいのは、この国家公安委員長は表決権を持たないで、単に政府の意図を委員会に反映させるだけの、いわば連絡機関だというようなお話が、もう先般来再々あつたんですが、五人の公安委員というものの意思と政府の意思とが全然相反するというような場合もまあ想像できるわけなんです。で、そういうような場合には政府のほうはどういうような措置をお考えになるんですか、その点をお伺いしたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) その場合は公安委員というものは独立した権限を持つておるのでありますから、政府はその意思をまげる、そのことについては政府の意思を撤回するということになつて参ります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 五人の公安委員の意思、五人でなくても多数決ですから、多数決で委員会の意思がきまつた場合には、委員長たる国務大臣は、それに如何なる場合にもフランクな気持で従う、こういうことですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) その通りであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 その場合に、この九条の内閣総理大臣が委員に不適当なる者があると認める場合にはこれを罷免するという、そういう罷免権をまさかお使いになるというようなことはないんでしようか、この点を一つたしかめておきたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) その場合は七条に欠格事項が書いてございます。そういうものに該当しなければどうにもなし得ない、こういうことであります。なお第十条に積極的な政治運動をしてはならない、三項でございますが、「委員は、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。」というのがございますが、これなどもこの積極的な政治運動をしてはならない。ということは、政治運動をしたとかしないとかいうことに藉口して、委員の辞任を求めるというような場合にも積極的なものということがこの場合の保障になるというふうな気持で御了解願いたいと思います。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そういう場合は別として、少くとも、私さつき言いましたような、公安委員の意思と政府の意思とがたまたま相反したからといつて、この九条の一項はわかります、当然ですか、九条の二項あたりに書いてあるような、この「委員に職務上の義務違反」その点はまだいいんですが、「その他委員たるに適しない非行があると認める場合」というような点を拡張解釈されて、そうしてその政府の意思に従つて、この委員を強引に罷免するというようなことは絶対にない、こう了解してよろしうございますか

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは如何に拡張解釈をいたしましても、さような場合にこれが適用があるというようには絶対に読めないと思います。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 今小坂担当大臣が答弁の中におつしやつた十条の三項の「委員は、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。」これはこの間法務委員会でもこの点は問題になつたようですがそこに書いてある「政治的団体の役員となり、」「政治的団体」というのは具体的にはどういうことを意味しているのか。  それから又「積極的に政治運動」という、積極的、消極的というようなこの区別を何によつてされるのか。その点。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 「政治的団体」と申しまするのは、或る政治的な意見を推進することを目的とした団体という意味であります。  で、政治運動を積極的にやると申しますることは、通常国民は政治的運動、政治活動をする自由があるわけでありますが、通常の一般国民として行うという限度を超えて特に或る政治的な意見を推進するために自分が中心になつてやるという趣旨であります。第三者から意見を求められて政治的な事柄について意見を発表するとか、或る会合に招聘せられて政治的な意見を聞かれるという場合に自己の意見を発表するというような事柄は、これはこれには入らないのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そういたしますと、例えば選挙の応援演説に参加するというような場合はどうなんですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは選挙運動に相成りまするから、選挙運動は公職選挙法の規定によりまして公安委員はすべて選挙運動は禁じられております。これをいたしますと同時に公職選挙法違反に相成るわけでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 では選挙でなくて、例えば政党に所属する委員もあり得るわけです。そういう人が自分の党の政談演説会その他の党の主催の演説会なり、講演会なりで演説をやる、講演をやるというような場合はどうなんですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 党の演説会にみずから進んで行つて演説をするというのはこれは積極的な政治運動ということになると考えます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 講演会はどうですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 一般の講演会に招かれて演説をしてくれというので演説をいたしますことは、これは差支えないと思います。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そういたしますと講演会だとか、演説会だとかいう形式的にきまるのですか、それとも演説会で、党の主催の演説会で演説をやつてもその内容は案外非常に低調な場合もある。又一般の婦人会なら婦人会へ呼ばれて行つてやる講演の中にも内容はなかなか激烈な内容を持つた講演もあり得るわけなんですが、そういう点はどうなりますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 例えば党の大会で自分の意見を述べるということはこれは積極的な政治運動ではございません。そうではなくて党の宣伝運動にみずから進んで行くということはその自分の政治的意見、党の政治的意見を積極的に推進するということになりますから、これは積極的な政治運動に相成るのであります。党の講演会等に招かれまして、あなたのこういうことに対する政治的意見はどうかと聞かれて、これを発表する。これが講演会でありましても、自分が政治的目的を持つて積極的にそれに参加をしたのではないから、積極的な政治運動にはならないと考えるわけであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 まあその積極的というのはなかなか具体的にはこれははつきりしない問題で、結局ここに書かれておる「積極的に」というのは常識的に考えて、いわゆる積極的であるとか、消極的であるとか、こういう大ざつぱな概念だろうと思うのです。だからその点に我々としてはなかなか疑問があると思いますが、その上の「政治的団体」ということをさつき何か御説明がありましたが、これはやはりこういう法律へ書いてある言葉ですから、例えば政治資金規正法等の適用を受けるところの団体を指すのか。それともそうではなくしてさつきの積極的、消極的というような、こういう大ざつぱな概念で政治的団体、多少とも政治色を帯びた団体というような言葉であるのか、その点如何ですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 若干政治的な色彩を帯びているというものではなくして、やはりその団体の目的が或る政治的な意見を推進する、政治目的を、政治的な目的を推進するという、そういうことを目的とする。そういう団体を指すのでありまして、目的は他の目的であるが、若干その活動が政治的に亘るといいましてもこれは政治的団体とは言えないと思います。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 例えばこの憲法を守る会というような名前のついたものが、団体があります。一番大きいのは憲法擁護国民連盟というようなものが最近はできているのですが、ああいうものはこれに入るのですか、どうですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは何と申しまするか、憲法を守るということで、まあ現在ありまする憲法を守る場合、いろいろございまるが、これが特に憲法を守るために或る政治的な活動を主としてしなければならないという趣旨の活動になつて参りますると、政治的団体ということに相成ろうと思います。お互いに憲法を守ろうではないかといつて自粛自戒を促すというような、そういう団体でありますればこれは政治的団体とは言えない。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 自粛自戒という、憲法を守るために自粛自戒するとはどういうことなんですか。大体公安委員は三条の規定だとか、或いは第十条のあの援用規定等によつて憲法を守るという、特に憲法を擁護するという強い宣誓をやるということになつている。だから当然自粛自戒というような消極的な受身の守り方でなしに、強く積極的に憲法を守るという意欲があつて然るべきだと思うのです。そう思うのですが、このただ憲法を守るという団体がまあ考えようによつてはこれは政治的団体とも言えるし、又考えようによつては、この日本の国民でおよそ憲法を守ろうとする意思を持つ以上はすべての人がそれに参加して構わないのじやないか。そうするとそう特に政治的というように狭く考える必要はない、又政治的という言葉だつてこれは広くも解釈できれば狭くも解釈できる。尤も狭く解釈すれば自由党とか社会党というような政党に限つて解釈すれば非常に狭いわけですけれども、広く解釈すればおよそあらゆる団体について多少とも政治に繋がらない団体はないということも言えるわけで、まあそこらの点もう少しはつきり何かこの三項を具体的に明示するような基準というものはないですか、どうですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) その団体なり会の目的が、これがいいとか悪いとかいうので判断をするのではなくてその目的が不偏妥当であつて非常にいい目的でありましても、その目的を達成するために特に何といいますか、政治的な手段によつて積極的に活動するというような、そういう活動体を有するような団体であれば、これはやはり政治的団体と申さざるを得ないと思うのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 それで選挙に当つて候補者を立てるとか推薦するとかいうような主体になるということになれば、これはまあはつきりして来るわけなんですけれども、併し実際にはそこまで行かない文化団体やらいわゆる狭義の政治団体やらわからないというような、半分政治的、半分文化的、半分経済的というような、実際にはそういうはつきり政治団体と断定できにくいような団体が非常に多いのじやないかと、そういう場合にこういう政治団体というような抽象的なわかりにくい用語でなしに、もう少し何か具体的にはつきりした言葉が使えないものかと私は思う。で、その点は一つ、もう少し具体的な基準というものを御研究願つて、明日の逐条審議のときにでも、もう一度御答弁を願いたいと思います。  それから次にお尋ねしたいのは、この改正によりまして、まあ警察事務というものが市町村から一応県に政府の説明によれば移るわけなんですが、で、この問題はやはりただ警察事務だけ切り離して考えらるべき問題ではなくして、今日の府県と市町村との間の事務の再配分をどうするかという地方制度調査会で年来問題になつておるこの懸案を解決して初めてこの問題も又すつきりと解決されるのじやないか、にもかかわらず政府のほうでは今度の自治法改正にいたしましても、地方制度調査会から御承知のような答申が出ておるにもかかわらず、依然としてこの事務の再配分というような問題にまでは前進しておらない、極く技術的な自治法改正しか出ておらない、挙げてそういう事務の再配分或いは府県の性格をどうするかというような問題は今後の問題として見送られた形なんです。にもかかわらずなぜこの際に急いで警察事務だけを配置替えをしなければならないのか、何か特別に治安上の理由とか何とかいうものがあるためなんですか。これはちよつと本末顛倒されておるのではないかというように思うのですが、その点如何ですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 警察法をどうしようかということにつきましてはすでに占領終期頃からその声が非常に強くなつて参りまして、独立と同時に警察法の改正に着手いたしたのでありまするが、その間に十五国会においては解散等の事情がありまして、更に引続いてこの国会におきまして警察法の御審議を頂いておりますわけでございます。もとより中央地方におきまする行財政の再配分、或いは行財政の整理というようなこと全般につきましても検討はいたしておるのでございまするが、種々問題がありまして、今回のところはこうした改正案に伴うものに率先して御審議を頂くということに地方行政関係はなつているようでございます。別に特別な意図があるわけではございませんで、懸案になつているものの議のまとまつたものから解決して行く、こういうことにほかならないわけでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 この点はまとまつたものから解決して行くとおつしやるのですけれども、併し地方制度そのものが全体としてまあ一体をなすものだと思う。で、特にその中でも教育だとか警察とかいうのは、やはり地方団体の仕事としてはこれは大きなウエイトを占めている問題なんだ。そこでその事務がどこに持つて行かれるかということは、これはただそれだけの警察なら警察だけの問題ではなくして、やはり地方制度全体に非常に大きな影響力を持つこれは重大問題だと思う。  で、まあこの府県警察は自治体警察だということをしきりにおつしやる。で、仮にこの法案に現われている府県警察が、おつしやる通り自治体警察であつたとしましてもですよ、一方ではこの間も吉田総理にいたしましても、緒方副総理にいたしましても、又塚田自治庁長官にいたしましても、苦さん口を合わせて個人としては知事は官選のほうがよろしい、併しながら今の場合はこれはやはり現行の府県を完全自治体として認めている現行の自治法の建前の下にやつて行くよりしようがないというような至極頼りないといいますか、まあこの府県自治という考え方からすれば、非常に政府のおつしやることは頼りない。前途に対して不安を持たざるを得ない。でありますから、仮にここで府県がこの府県警察が自治体警察だとしてもですね、果してそれが自治体警察だというからには、少くとも相当長期間に亘つて自治体警察としての見通しがなければならん。ところがもう知事のほうは来年の改選あたり早ければ任命制にでもなるのではないかというような気の早い観測も行われておるようなことでは、結局悪く解釈すればこれはもうそういう府県知事が官選になるという、近い将来官選になるということを見越して、まあその場合には府県警察も一遍にこの国家警察一本に切替えはすぐできるのだと、まあ今一足飛びにやると当り障りがあるから、一応まあ自治体警察という形だけは残しておこうというような意図でやつておられるのではないかというように邪推せざるを得ない。で、やはり先ずこういう地方の事務として最も大きなウエイトを占めているような警察事務を動かすということになれば、それに先立つて先ずこの府県の性格を第一どうきめるのか、地方制度調査会からも答申が出ておりますが、あの答申をどれだけどう政府が取入れて、そうして具体的にどうきめるのかというような問題、又市町村と府県との事務配分をどうするかというような問題を先ずこのばらばらにではなしに、一体のものとして解決をして、そうして然るのちに警察事務を動かすということがやはり私は順序じやないかと思う。又地方制度というものをまとまつた形のものとして扱つて行くゆえんではないかと思うのですが、その点について、もう一度小坂大臣に御答弁願いたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 現在の都道府県の性格をどう見るかということでありますれば、私どもはこれは自治体であるというふうに見ておりまするのでございます。で、今御指摘のような知事官選というような問題は、私ども正式議題としては何ら聞いておりませんので、現状におきましての自治体の性格を認めて行く、これが自治体としての範囲といいますか、大きさが大体適当であろうというふうに考えまして、現在の自治警察を整理して行くという方向をここに求めたのである、こういうのでございます。特段将来についての事務の再配分等をどう持つて行くかという一連の計画性の下に、警察事務をどう動かすかということを見るべきではないかという御意見もございましたのでありまするが、私どもとしましては、今申上げたような現状で何ら府県の性格なり公式的にこの性格をどうするかというような問題が出ておりませんので、私どもは現状をそのまま認めまして、府県という単位が自治体警察を持つのに適当な単位であろう、こういう観点からこの案を考えた次第でございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 特にその点について私やはり政府に責任を感じてもらわなければならんと思いますのは、大都市の問題なんです。このいわゆる特別市制の問題は、これはもうここ数年来の地方制度上の最大のこれは懸案になつておる。昨年の地方制度調査会の答申の中ではこれに対して或る程度の解決のメドというものを与えておるわけです。で、五大都市というものを府県と並んで、並んでと言いますか、府県といわば対等な一つの別個の自治体として認めて行こうという方向をはつきり打出しておる。そうしてそういう立場からして警察制度の改正についても、府県完全自治警と、それから五大市の自治警と、こういう二本建の線を出しておる。まあ地方制度調査会は地方制度調査会なりにこの特別市制の問題に一応の結論を与えようとしておるわけなんです。ところが政府のほうは、この問題はいまだに結論が出ておらない。出ておらないけれども、然らば特別市制などは一切認めないで、地方制度としては、飽くまで大都市といえども府県の中に包合される自治体であるという扱いをされるのかというと、そうでもない。いろいろな面について政府は具体的に言わないけれども、実際の扱いとしてはやつぱり五大都市というものは五大府県と対等な一つの別個の存在として扱つて来ておる。ところがその大都市の事務として最も重要な位置を占めておる警察事務に限つて、そういう特別市制の問題なんかには何ら解決を与えずして、そういうもんだけ府県へ取上げるというようなことをされますから、これはますますむずかしい。特別市制の問題に火に油を注ぐような結果になつているのじやないか。この問題はどうしても早晩の機会に政府が責任を持つて解決なさらなければ、非常なますますこれはむずかしい問題になると思う。この点やはり地方制度調査会の答申案の線がおよそ今の段階としては妥当な線ではないかというように思うのですが、大臣はその点についてそうお考えにならないか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 地方制度調査会の答申の線というものは、我々非常な苦心の労作の結果だと思つて尊敬して拝見いたしておるのでありまするが、私自身の専門の分野でございませんけれども、現在自治庁において町村合併を非常に促進しておつて、全体として自治体であります市町村の範囲を広めて行くということを考えておるが、その合併の過程におきまして、だんだんその府県自身についても市との権衡が将来の問題としては、或いは考えられなければならないのではないかというように素人でございますが、そんなような感じを持つております。いずれにいたしましても、明治以来の慣習上の自治体というものが、やはり人口の状態であるとか、或いは産業の状態でありますとかいうようなものによりまして、だんだん新らしい時代にふさわしいようなものになつて動いて行くという時代を一方に見ながら、できるだけ実情に即した自治制度というものをやつて行くということがよろしかろうと思つておりますが、現在は早急に結論を出すべき段階ではまだないというふうに考えております。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 その前提になる特別市制の問題について早急に結論を出す段階でないということならば、なぜ警察の問題に限つて、現地の実情なり又要望を無視して強引にこれを府県警察に一本化するというような早まつたことをなさるのか、その点私どうも納得行かない。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 五大府県或いは五大市に存在いたしまする人口というものは、これは確かに特殊性を持つたものであるという点は認めておるのでありまするが、一方におきまして、その特殊性がありまするが故に、又それだけに余計この制度上の幾多の重複或いは盲点の存在というようなものが随所に見らるるのでありまして、こうしたこの制度上の欠点というものはやはりこの際一元化して重複というようなものにつきましては、できるだけ簡素化させる措置を講ずるということが適当でなかろうかというようにも思うのでございますが、この五大府県につきまして特例を認めざる原案を提出したゆえんでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そういたしますと、この警察以外の事務については、或いは五大都市の特例というものを認めて特別市なり何なりというようなことに進んで行かなければならないという気持もあるけれども、併しいやしくも警察事務に関する限りは、絶対にそういう特殊性というものは認めないという方針ですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 警察以外の諸制度につきまして特例を認めるかどうかという点は、これは特例と言えますかどうですか、要するに現状に即した方法によつて行うということであります。警察制度の場合も現状に即しまして非常に盲点の存在、或いは組織の重複があるという点も認められますので、警察制度につきましては、府県一本というのがよろしかろうと存ずるのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 盲点の存在ということを大臣はよく言われるのですけれども、成るほどちよつと聞きますと、何か都市と県との間に隙があつて、そうしてそこに泥棒なり何なりがつけ込んで逃げ込むというような感じを与えるのでありますけれども、実際にはそういう盲点というものは大臣がおつしやるほど現実にはあり得ないということがどうもいろいろな統計資料その他を見まして実情のようなんです。盲点盲点というのは一種のこれは体のいい説明の言葉であつて、我々名古屋ヘ行つても大阪へ行つても横浜へ行つても、いまだ曾つて市の周辺、市と県との接触地帯が特に盲点になつて、そこに犯罪が集中しておるというような話を聞いたことがない、その点大臣に、大臣が盲点と言われるのだから、大臣が理由を答えて下さい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私は常識的に言うのでございまするから、これにつきまして専門的見地から長官から……。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) この点は先般も申上げましたように、盲点と申しましても、どこかにやはり隠れる穴があるという、そういう意味じやございませんで、大都市とその周辺は人口構成或いは政治経済の国民の活動状況から見まして非常に一体的になつている。治安対象として見ますときには、この大都市の区域その周辺というものが治安対象として見た場合に、これを分割することのできないような一体性を持つている。この一体性を持つているものにつきまして、管轄区域を別に設ける。そうして警察の統括する主体が別になつてるということは、これは犯罪に対しまして起りました場合に連絡をいたしますにつきましても、或いはこの中心と周辺は一体的な治安施策を構じなければならないのに、これが二元的に、ばらばらに施策が講じられるということは、これは警察の能率に大きなマイナスになる犯罪を検挙するという面から申しますると、ここに、検挙につきまして非常に支障が多い。事前に犯罪の起らない予防措置という面から考えますると、別々な、二元的な対策では、そこにぴつたりした措置が講じられにくい。かような意味から、例えばロンドン警察の例も前にも申上げておりましたが、単にロンドン・シティという区域を超えて、数箇のカウンテイを一つにした、そういう警察単位を持つているくらいでありまして、警察の目的をできるだけ合目的的に達するためには、そういつた地域をひとまとめにしたほうがよろしい、こういう見地から大都市と、その周辺というものは切離さないほうがよろしいそうしてそのほうが経済的である。かような意味から、府県を一本にしたほうがよろしい、かように申上げているのでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そういう意味の盲点をなくするということだつたらば、府県にしてもやはり盲点は依然として存在するじやないですか。別にあんた大都市と府県の場合も、府県同士の場合も、何ら変わりはないので、むしろそういう意味の盲点をなくするんだつたら、東京都としての警察を持ち、神奈川県は神奈川県としての別の警察を持つというようなことでなしに、神奈川県だとか、東京だとか言つて、名前こそ違いますけれども、汽車で通つて見ても、どこが境になつているかちつともわかりやしない。むしろ横浜と箱根なんかの辺を切離しても、東京の街と横浜の街とくつつけて一つの警察にしたほうが余ほどあなたのおつしやる盲点をなくするという理想に叶うんじやないですか。又兵庫県と大阪にしてもそうです。大阪の警察を廃止して、そうして大阪府の警察を作る、神戸の警察を廃止して兵庫県警察を作るということによつて盲点がなくなる程度よりも、むしろ大阪から尼崎その他をずつと繋がつて神戸までずつともう街が続いているのですから、県境を越えてむしろ大阪と神戸とくつつけて一つの警察にしたほうが余ほどいいんじやないですか。又能率から言いましても、その点如何ですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 京浜地帯或いは阪神地帯というような点につきましては確かにおつしやるような状況でございます。併しこれらの地域を除きますると大体やはり附近は県庁所在地の市を中心にしまして大体治安対象も他府県と関係はないことは申しませんが、これは併し大都市とその周辺というような密接さはないことはこれ父御了解を願えると考えます。そこでそれならば阪神や京阪地方は、これは京阪地方は別にして他の地方においては府県単位が望ましい、それで何ら支障がないということも御了解頂けると思います。それならば阪神地帯、京阪地方は二府県或いは数府県を単位にした一つの警察単位を設けるかという問題が提起されるわけでございます。これにつきましてはそのほうがよろしいという専門的な意見も相当ございます。併しながらそうなりますると、やはりどつかの自治団体というものと直接関係を持つと、その自治団体の仕事としてやらせるほうがよろしいという一方の制約がございまするからその又制約も警察法を考える場合に民主的な運営と地方分権という点を参酌することが誠に重要な要素でございまするから、さような意味におきましての府県自治団体にこの事務を委任をする、或いは他の自治団体に委任をするかというしかないわけでありまして、阪神地方が一つの大きな自治団体を作るということになりますれば警察はこれはよかろうと思いまするが、現在はその機構はございませんから、これを自治団体に密接せしめ自治団体の事務にするという一つの要請から考えまして、阪神地方と京浜地方は警察の運営から見まするとこれでも満足とは言えませんが、府県単位で先ず現状においては満足せざるを得ないだろう。こういう結論になつておるのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 その点は府県にされたところでどうせ長官のおつしやるような盲点をなくするということは依然として解決はつかない、やはり県と県との間に隙間ができて来る。だからそこへ泥棒でも何でも逃げ込めばやはり同じことで、今度は県をなくして道州制つにでもしなければならん。道州制にすれば又こつちの州とこつちの州とが又隙間ができていつまで経つても問題はちつとも解決しない。そこでその点は私は承服しません。  それでもう一つ問題は、この八万五千の自治警ですが、八万五千と言えば恐らく今日の国警、自治警を合せた警察力の三分の二ぐらいになるだろう、この前も自治警の警察長を呼んでいろいろこの席で陳述を聞いたときに、すべての警察長が口を揃えて自治警が戦後のあの混乱の時代の中から立上つて、そうして非常に苦しい地方財政の中で今日まで治安維持のために悪戦苦闘をして闘つて来た。ようやくこの自治警が実施になつて今日丸六年、ようやく軌道に乗つてこれからいよいよ自治警としての新面目を積極的に発揮し得るという正にこれからだというところへさしかわつたときになぜいきなり、ただ不経済だとか、盲点があるとか何だとか、かんだとかというような、そういう、どういう制度にしてもあり得るところのそういう欠点を特に自治警の場合にだけ誇大に取上げて大きく宣伝をして、そうして自治警に何ら一言半句の相談も何もなしに、いきなり取上げてしまうというやり方は、余りにも八万五千の自治警の職員に対して冷酷な仕打ではないか、無情な仕打ではないか、こう涙ながらに訴えておつた。我々も全くそうだと思う。その点について大臣なり長官なり、私はなぜ犬養さんが書かれたあの……、まあ小坂さんも提案説明をやられましたけれども、小坂さんの読み上げられた提案説明の表紙には、犬養国務大臣の提案説明と未だに書いてあるのですから、やはり犬養さんが書かれたのだろうと思うが、犬養さんの言葉によると国警も自治警も仲良くやめて、そうしてその中間をとつて府県警察を作るのだ、だから別に国警に偏るとか、自警にどうとか、国警に厚く自警に薄いとか、そういう不公平なことは一切ない、仲良くやめて真中をとるのだ、非常に文学的な言葉で強調しておられる。ところが実際の立案者がやつたことは仲良くも糞もありやせん。一方的にこそつと作つて一言半句の相談もかけてやらずに、これができた、だからお前付いて来い、嫌なやつはやめろ、こういう冷酷なやりかたは、私は今後のこの多事多難な日本の治安を維持して行く警察の行き方としては、警察陣の中にすでに非常な問題をみずから作り出して行くことになるのではないか。なんと申しましてもこういう警察のような組織というのは軍隊と同じことでありまして、人の和がなかつたら幾ら機械を整えたとこで、幾ら規律をやかましく言つたところで、幾ら上の人が下の人をどなりつけたところで、とても満足にこれは動く組織じやないと思う。その人の和を立案者みずからぶち壊すようなことを平気でやつてそうしてこれで警察は能率が上るんだ、日本の治安は一層確実に維持されるのだといつたようなことは私はとんでもないことだと思う。その点についての御感想をお伺いしたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先ず同一内閣でございまするし、而も同一国会の会期中におきまして、犬養氏と私は交替したのでございまするが、この方針に変更のありようはずはないのでございます。私はこの提案理由にも申上げましたように、今又秋山委員がお述べになりましたように、国警もやめ自警もやめる。要するに警察の性格に鑑みてその国家的性格のものと、地方的性格のものをそれぞれ地域的に分けまして、おのおのがこのセクト主義を以て自分のほうがいいのだという考え方はやめてもらう、その性格に鑑みてこれを縦割して完全自治体警察ではございませんが、府県の自治体誓察というものに一本化するという趣旨でいたしておるのでありまして、国警を重しとして、自治警を軽しとする、或いは自治警を重しとし国警を軽しとする、そのいずれも考えていないのでございます。もとより自分の信念を以ちまして自分の運営していた制度の長所を主張することは、これは又その責任者として当然のことだろうと思うのでありますが、又民主主義の建前上自分の意見を述べるということは、これは当然でありますが、併しながら一度その民主的機関の国会というものによつてきまりまして立法化されましたる暁におきましては、現在のいけないところはそのおのおのにおいて捨てて参りたいと思つております。併しそのことがよくなし得るかどうかということは、あとはかかつて人事にかかるのではないかと私は思うのであります。如何なることを指導されようと、如何なる立場において行動されようと、有用の材は適所に置く、そうして人の和を保たしめるということにおいて私は専念いたしたいと考えておるのであります。軍隊或いは警察と仰せられましたけれどもそれに限りません。あらゆる点によつて私は人の和こそがその制度を運営する根本の問題であると思うのであります。私はそういう意味におきまして過去の行きがかりにとらわれず、本当に国民のために費用を少く、能率のよい警察制度を作りたいという念願に、この警察制度に携わるかたがたがこれに心を寄せられることを期待いたしておる次第でございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 私はこの国会を通過した後のことを言つているのではない、それは通過すれば通過したでうまいことをやつてもらわなければなりませんけれども、併しそれを言つているのではない。こういう革命的な、これは何といつても八万五千の自治警にとつて生死の問題なんですから、ただ一片の法律で以て塗り替えさえすればいいものではない。これは言わんでもわかり切つたことなんです。そこでこういう案を立案される過程において、なぜ国警も自治警も仲良くやめるというこの仲良くという言葉をわざわざ使われて強調されるくらいなら、ただ言葉で使うだけでなしに、なぜ本当に立案をされる過程において、国警と自治警が仲良く相談をして、そうして立案をされなかつたか、尤もあなたはその時に担当大臣でなかつたから、小坂さん責めてもしようがないけれども、併しやはり政府としての私は責任はあると思う。又斉藤国警長官が当面の担当者としてこの案を立案されたのですから、国警長官にしても仲良くやめて、どつちを重しとし、どつちを軽しとする気持はないどおつしやるけれども、それは言葉の綾であつて、実際にやられたことは国警中心で、そうして実質的には自治警を解体して、国警に集中したと同じようなことをやつておられるじやないですか。この間田中警視総監のおつしやることが真実であるならば、全国の自治体の警察長の協議会の議長だそうですが、その人にすら何ら事前に相談らしい相談は一言半句もなかつたということをここで切々として訴えておられた。これだけのことをやられるなら、そういう点についても、もう少し慮りを持たれて、そうして自治警にいたしましても、勿論今までやつて来たものは自分が一番いいと考え勝ちだということは大臣のお言葉の通りです。併しそれにしても不満足ながらもあすこまで政府が手を尽してくれたのだから、まあここらで我々も気持良く譲らなければなるまいという程度の気持だけでも持たすくらいな努力はされて然るべきなんです。それを全然やられず一方的に、而も秘密に一方的な法案を作つて、そうしていきなり国会へかけて国民の総意に基いた国会できめるのだからいいじやないかという行き方は、私は本当に民主的な行き方じやない、こう考える。国警長官のこの御感想をお尋ねしたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) この警察法は自治警が悪いからどうする、或いは国警がどうだからどうするという趣旨では毛頭ないことは大臣も申上げておられる通りでありまして、現在の自治警、国警二本建の制度、そうして管轄区域が非常に狭い市町村というものを管轄区域にした警察制度、これが警察の制度全体としては面白くないという見地から、府県一本の制度というものが考えられた結果でありまして、自治警が自治警中心、殊に自治警に従事しておる警察官の能率が悪いからどうするというような意図は毛頭ないことは御了解を頂けると考えるのであります。警察は自治警のためのものでもなし、国警のためのものでもないのでありまして、国民のためのものでありますることは、これは申上げるまでもないと存じます。さような見地から政府或いは政党においていろいろの意見を参酌されて大体の方針をきめられた、この方針に従つてこれを立案化を我々に命じられたのでありまして、この政府の方針の決定の前に自治警と国警と話合つて、そうしていいものができればそれでいいという、警察は我々警察官のためのものであるならばそれでいいと思いますが、さようなものではありませんために、只今大臣もおつしやつていましたように、勿論自治体警察の人たちはどういう意見を持つておられるか、或いは市町村のかたがたはどういう意見を持つておられるか、府県のかたがたはどういう意見を持つておられるか、これらの意見は、いろいろな方法で十分政府或いは政党のかたがたにおいて御検討になつた上でおきめになつた方針でありまして、その方針のきまります前に、我々に、どうもこういう方針がきまりそうだ、それでどうだというような話合いは実際問題としてでき得なかつたことは御了承願えるものだと考えます。今日この制度をめぐりまして、府県と市町村との間に非常に意見の対立を来たしておりますが、これにつきましても、事前に市町村と府県を集めてそこでなんで妥協的な意見を求めなかつたということもございましようが、実際問題として、さような方法によつて政府の案が作られるということは極めて困難でありますということも御了察を願えると思うのでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 只今の御答弁は、私は、これは失礼だけれども、それこそ通り一遍のきれいごとなんです。何ら誠意も何も認められんじやないですか。この間吉田総理に対して警察法のことを聞いたら、それは斉藤長官に立案を任せたのだからわしは知らんというような答弁だつた。だから、あなたがあなたの手許で立案をされたということは、これはもう大下公然の事実なんです。それならば、あなたが終戦以来この新警察制度、現行警察制度ができて以来この警察制度の運用の実地の責任者としてやつて来られた。だから、自治警に対しても非常に繋がりの深い立場におられる。国警は勿論あなたの部下ですから、これはもう繋がりが深いにきまつておる。勿論これは各県とブロック会議をやつて自治警と国警を集めて意見を聞けよと言つても、そんな暇がないことはわかつておる。そんなことをやれるというのではない。少くとも、自治警に対しても、それはもう何も警察のために警察があるのじやない、国民のためにあるというのはこれはその通りなんです。併しながら、よりよい警察を作ろうと思えば、ただあなたの国警的な経験なり立場なり、頭だけで作ることよりは、衆知を集めるという言葉もあるように、やはり自治警の立場なり経験なり知識なりというようなものを謙虚な気持で吸収をして作られて、つめて本当に国警も自治警も仲良くやめて、どちらよりももつといい、一歩進んだものができるのじやないか。私はそうして欲しかつた。そう又さるべきだつたと思う。それから自治警が悪いと言つたことはないとおつしやるけれども、これも事実に反するじやないか、先般来の大臣なり長官なりのお話を聞いておりましても、これは明らかに、自治警は金ばかりかかつて非能率であるという言葉があちこちに出ておる。又斉藤長官が常に口にされる八大事件ですか、吹田事件だとか何とか事件だとかいうような八つばかりの事件、そういう事件の説明書きを読んでみましても、それらの責任は挙げて自治警側にあるというような書き方がしてある。又地方制度調査会の席上で、警察制度の改正について斎藤長官が意見を述べられておる速記録を読んでみましても、内灘あたりの例を挙げて、そうして自治体警察が非常に非協力である、けしからん、非能率である、いざというときに役に立たないというような意味の言葉が随所に使われておるんです。そういう点につきまして、本当に今後府県警察一本にしてそうして人の和を得て、円満によりよい警察を育てて行こうという誠意を持つておられるならば、もう少し私は慎重な行届いたやり方をされるべきであつたじやないかというように思うその点、長官の御心境をもう一度お伺いしたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この警察制度の改正につきましては、独立以来懸案になつておつたのでございまして、十五国会におきましても、案を出しましたことは御承知の通りであります。この中には、五大市に対する特例も認めておつたのでございまするが、これにつきましては、衆議院におきまして、審議の過程において非常な反対があつた。又その後におきまして、選挙を通して民衆の直接の批判に触れて参りましたわけでございます。国会における論議を通しましても、非常な御意見或いは選挙を通しての貴重な体験、そうしたものを党といたしましても行政改革委員会において種々まとめていたのでございます。そうした意見を政府との間に種々交換せられまして、そうして今回御審議を頂いております案の要綱を決定いたしまして、その立案を、細部における立案を、国警当局が政府委員として国会の答弁に当りまする立場上、これに委ねたのでありまして、決して国警長官即ち立案者、即ちすべての考え方を国警長官によつてやつた、こういうことではないのであります。総理が言われました意味は、例えば国務大臣が委員長になると、君らは非常に政治的支配を受けるじやないかということについての総理一流の答弁方法でありまして、それを、立案者がそれに参画しておるということは今申上げるような意味でございますが、これがいいというのだからそれでいいじやないか、そういうような答弁の趣旨であつたと私は考えるのであります。非常に私は国警長官に対して気の毒であるという気持を持つているのであります。今申しましたようなこの立場上、自分が立案者としての立場ではないのでありますけれども、制度上この法案の改正に当りまするのは自警が直接当るわけにはいかない。自警の当事者が当るわけにはいがない。どうしても現行の制度の下におきましては法律案を改正するということになりますと、これは国警当局が当らざるを得ない立場になつているのでありまして、決して国警が自分らの意思を国会に反映して、自分らの意思のままに法律案を改正して、そうして警察制度を自分らの意見通りに壟断しようというような意思に基くものでは毛頭ないということは、はつきり私は申上げておきたいと思うのであります。成るほど警察制度というものは警察官によつて運営されているのでありますから、警察官の意見というものをそれぞれにおいてよく聞いて、そうしてその警察官のすべてが納得する制度を作ればいいじやないかという御議論も私は一面において真理であると思うのであります。併しながら警察官というものは国家の官吏でありまして、国家の官吏の意見を聞くということも大切でありましようけれども、やはり私は国民全体がどう考えるかということを大きくその当時の責任を持つ与党においてこれを取上げてそれを立法化するというのが当然だろうと思う。そういう趣旨におきまして或いは誤解を生むようなそうした十全の手続がとられなかつたという点につきましては、私は当時の責任者ではございませんが、併しやはり内閣の一員といたしましてそのことは十分に考えなければならんと思うのであります。併しこれはすでにできたことでありまして、而も動機というものは決して自治警が悪いというようなことは一つも考えてはおらないし、一言も申したことはないと思うのであります。問題は制度が重複しておりまする現行の制度においては、その運営の全きを期し得ない、運用の妙におのずから限界がある、こういうことを申上げておるのでありまして、決して国警がよくて自治警が悪い。国警に長所があつて自治警に長所はないというようなことを考えておるのではございません。でありますから、そういう点につきましては、この国警長官が非常にすべての発案者であつて、その意思によつてこの警察制度ができておるというような誤解だけは一つ払拭して頂いて、今後のこの運営につきましては私どもといたしましてもできるだけの配慮を払つて参りたい。そうして人の和を得て立派な警察制度の運営を期したいと思うのでありますので、その点は了とせられたいと思います。(「了承々々」と呼ぶ者あり)

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 只今の小坂大臣の御答弁は、まあそういう御言葉として承わつておきたいと思います。あとありますが、時間が迫つて来ましたから、その問題は又逐条質問の時にすることにいたしまして、次の問題に移ります。  この警察庁長官と都道府県警察との関係について二、三点お伺いしてみたいと思うのです。警察庁長官がこの都道府県警察を指揮監督するということになつておりますが、その場合、直接都道府県警察を指揮監督するのではなしに、都道府県公安委員会を通じて指揮監督をするという先日の御説明があつた。併しながら一方においては、都道府県の警察は都道府県の公安委員会の管理の下にあるわけですからして、都道府県公安委員会の指揮監督も又受けるわけであります。そこで警察庁長官の都道府県公安委員会を通じての指揮監督と、それから都道府県公安委員会独自の指揮監督とが食い違つた場合、そういう場合には警察本部長というものは一体どちらの指揮監督に従つたらいいのか、その点お伺いしたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 警察庁長官が都道府県警察を指揮監督いたしまするのは、都道府県の公安委員会に対してでございます。従いまして都道府県の公安委員会が、その指揮監督或いは調整の下に都道府県警察を指揮監督するわけでありますから、都道府県の警察本部長以下の警察事務執行機関に対する指揮監督は、都道府県警察、都道府県公安委員会以外にないのであります。従つて両方矛盾したものが指揮するということはないのであります。都道府県公安委員会が長官の指揮監督に服するか服さないかという問題があるだけでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 都道府県の公安委員会が警察庁長官の指揮監督に従わない、或いは黙殺してそのまま握りつぶすということもあり得るわけだろうと思う。併しながらそういうことが再々起るということになりますと、いわゆる政府の治安責任というような面からして矛盾ができてくると、そういう場合には、警察庁長官としてはどんな処置をお考えになるか、その点。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 都道府県警察を自治体警察といたしておりまする以上やむを得ない結果でございます。警察庁長官が、都道府県会安委員会が、長官の正しい意味の指揮監督に服さないという場合におきましては、警察庁長官がみずからその不徳を責める以外に方法はございません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 警察本部長は、成るほど公安委員会の指揮監督を受けてのみ行動をするのでありましようけれども、併しながら警察本部長の身分は、国家公務員であり、そして中央任命である。そこで実際問題としては警察庁長官の指揮監督と、府県公安委員会独自の指揮監督とが競合するというような場合があり得るのではないか、実際問題としては。そういう場合に府県の警察本部長が警察庁長官の指揮監督に従つて、そうして公安委員会の指揮監督に従わない、ということ、或いはその逆な場合、そういう場合には警察庁長官はどういうような処置をおとりになるのか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 警察庁長官の指揮監督に対して、都道府県公安委員会が従わない、別に反対の指揮監督をした、そういう場合に都道府県の警察本部長の身分権をたとえ持つておるといたしましても、それは懲戒罷免の理由には相成りません。若し懲戒をいたしましても、これは人事委員会に提訴されれば負けるわけであります。逆に警察庁長官の指揮監督に違つた指揮監督を都道府県公安委員会がいたしまして、その場合に都道府県の警察本部長が都道府県の公安委員会のいうことを聞かない。中央からこういう指揮監督が来ているはずだ。それに従わないということは、これは都道府県公安委員会の指揮監督に服さないわけでありまするから、その場合には都道府県公安委員会は中央に対しまして懲戒罷免の勧告ができるということになるのでございますが、併しながら法律上正しい適正な指揮監督に対しましては、都道府県公安委員会がこれに服するという法律上の規制は受けるわけであります。ただ服さなかつた場合に、その担保の方法が法律上ないということでありまして、服するのは、これは法律上当然とされておるのでありまするから、その指揮監督に服さないような命令を府県の警察本部長にいたした。但し服すべき指揮監督に服さなかつたという、その公安委員会の指揮というものは、これは違法な指揮になる。かように思いまするから中央の指揮監督が正しいならば、それに反した公安委員会の指揮監督というようなのは違法な指揮監督になりまして、都道府県の警察の本部長は、違法な指揮監督には従う義務はない。従つてさような場合に懲戒罷免の勧告をいたしましても、この場合のこれは懲戒罷免の理由にはならない。かような結果に相成ろうと思います。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 警察庁長官の都道府県公安委員会に対する指揮監督が、正当であるかどうかという判断はどなたがなさるのですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) これは都道府県公安委員会が、その指揮監督を受けた場合、これが正当であるかどうかということを先ず判断するのは都道府県の公安委員会であります。(「そんなでたらめはない」「でたらめだ」と呼ぶ者あり)それを受けたものがこれが正しいかどうかということを判断するのは当然であります。出す場合にこれは正しいかどうかということを判断して出すのは当然でありますが、受けたほうは又受けたほうとして、正しいかどうかということを判断するのが当然であります。ところがその場合に、正しいか正しくないかというようなことが問題になりまするのは、先ほど申しました懲戒罷免というような事柄について起つて来る。起つて来ました場合に、それが正しくないと、こう思つて従わなかつた。その場合にそれについて懲戒罷免をされたという場合、人事委員会等に提訴をする。そこでその命令が正しかつたか、正しくなかつたかということが判断されるでありましようが、それぞれの機関においてそれぞれ判断する。かように申上げるよりほかにないと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 その通りではない。(「でたらめだ」と呼ぶ者あり)そうなりますと、結局警察庁長官の指揮監督も、まあ出される以上は正しいと思つて出すよりほかには出しようがない。それも正しい。それから又同時に、それを間違いである、或いは不当だと判断した場合の府県公安委員会の判断も、公安委員会のほうはそれが正しいと思うのだから、やはり自分の判断が正しい、警察庁長官の判断は間違つている、こういうことになる。で、そういたしますと、先般来の御説明では府県公安委員会が警察本部長に対する懲戒罷免の勧告権というものを持つておる。府県公安委員会が、そういう勧告をするような場合は、これはよくよくの場合であつて、府県公安委員会というものはその府県の県民の総意を代表しているのだ、そういう人が懲戒罷免の勧告をするようだつたら、これはもうどうしても居坐つたところで実際問題としては仕事にならん。だから当然それはどこかに代らせるなり何なり、その勧告は中央でも取上げざるを得ないのだ。だから任免権はなくても任免権と同じ、実質的には同じような問題じやないか。だから自治体警察じやないか、こういう御説明だつたのです。ところが今の場合は、都道府県会安委員会が不当なりとしてその警察本部長の懲戒罷免の勧告を中央に対してやるのです。ところがその場合には中央において却下してしまう。そういうことになりますと、今までの御説明通り行かない場合が往々にして出て来る。つまり公安委員会は懲戒罷免をすべしという、中央のほうはすべからず、そうなりますと、真中に立つて警察本部長は宙ぶらりんで、どちらに付いていいやらわからないという事態になつて来ると思う。だからやはりその点をすつきりと解釈しようと思えば、府県の公安委員会に勧告権というようなあいまいなものでなしに、はつきり任免権を与えること以外にそういう事態をすつきりと解決する方法はないじやないか、こう考えるのですが、長官の御意見を承わりたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○政府委員(斎藤昇君) 非常にむずかしいケースをお出しになつて御質問になりましたので、これは大変むずかしいことに相成りまするが、警察庁長官の指揮監督が正しい正しくないという問題の起るということは、私は非常にこれは稀有の稀有であると考えます。さような場合に、その命令について都道府県公安委員会は聞くなという指揮をする。極めて稀有の稀有だと思います。然るに聞かれなかつた。これも稀有の稀有だと思います。その場合に懲戒罷免の勧告をすることも稀有の稀有だと思います。普通懲戒罷免の勧告をするというのは、これは都道府県の警察本部長として誠に不適格な所為のあるという場合に出す。罷免懲戒をするのでありまして、只今のような場合には、先ず国家公安委員会が警察庁長官を指揮監督をしているのでありますから、そういう問題の起りました際には、警察庁長官の出した指揮監督命令というものは、正しいか正しくないかということを判断をし、国家公安委員会がその警察庁長官を監督をするという立場から処置を正しい方向につける。かように思います。御所見のように、都道府県公安委員会が、府県の警察本部長の人事権を持つという点は、制度といたしまして、即ち府県の完全自治体警察という制度におきましては、誠にすつきりとした筋の通る制度と相成ると思うのであります。併しながらたびたび申上げておりますように、警察の作用には、国の利害に非常に重要な関係を持つ事柄、同時に地方の利害に大きく関係を持つ事柄があるわけでありますから、この両面の関係を持つた警察事務を一つの警察機関で処理をするという建前をとります以上は、自治体的な性格も持ち、又国の要請にも応え得るという、そういう或る程度の面もなければならないから、従つてやむを得ずかような自治体警察としては不完全である、又国家的な警察という面から見るならば又極めて不完全であるという制度にならざるを得ないのであります。非常に筋の通つた制度にいたしますならば、完全自治体警察、それから完全な国家警察、それを二本同一地域において持つという制度が最も筋の通つた制度に相成りまするが、併しこの制度の運用は非常に困難であり、又経費も非常にかかる、従つてさような国家警察と自治体警察というものを全面的にダブつた制度にしないで、これを一つの警察において具現をするような制度を作ろうというところに、御指摘のような一方の理論からみればすつきりしないという点が出て来るのはやむを得ない、かように御了解願いたいと思います。(「明快、明快」と呼ぶ者あり)

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 実は今の点について更にお伺いをすることが相当あるのですけれども、残念ながら時間が来ましたので、あとは明日の逐条質問のときに又お伺いしたいと思います。  それから今朝から総理大臣の出席を私要求しておつたのですが、総理大臣は未だに見えておらない、副総理も見えておらない、是非この警察法の審議が終る前に、そう時間は私はかからないと思う、重大なことを二、三点是非伺いたいと思う。この席でお願いしておきますが、明日の委員会に是非万障繰合せて総理大臣に出席をして頂くように手続をお願いしたい。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 実はその点につきましては秋山委員から総理の出席要求があつておりましたから、委員部を通じまして要求を出しておきました、そこで再三に亘りまして連絡をとつておりますが、その返事がございません。で、できますならば総理、副総理というようなことでお願いしたがつたのですが、どうですか、その点は。やはり副総理ではいけませんか。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 副総理は出て頂いてもしようがないのです。やはりこの前の笹森さんの質問に対する国家公安委員長の問題なんかについての副総理の御答弁は極めてあやふやで、小坂担当大臣のほうから伺つている答弁ともちよつと食い違つているような、重大なる点で食い違つているような向があつたのです。そこでやはりこの問題だけでは、今日私が質問しようと思うのはその点だけじやございません、ほかにもあるのですけれども、やはり最高責任者は総理大臣ですから、総理大臣に直接お伺いしなければ結論が付かないと思いますので、是非一つお願いをして頂きたいと思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) そのようにお取扱をいたしましよう。

笹森順造改進党

○笹森順造君 今のことにちよつと関連して。総理大臣に対しまして私はその任命されている副総理の言葉をそのまま自分が又認めるかということを私はここで尋ねたのであります。それに対して総理大臣は自分は聞いておらないから、それに対して自分がはつきり答えられないということを答えられております。従つて私は今度副総理が私になされましたその速記録等を持つて参りまして、是非ともそのことについて総理大臣が責任を取るかどうかということを、私はやはりこの審議の過程において最も大事な点に触れて、これは小坂大臣の御答弁とも多少食い違うところもありますので、この点を明確にしたいと思いますので、是非とも総理の出席の要求を申上げます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 笹森君の只今の御要求につきましても、明日の又質疑通告にもその点一つ明記しておいてもらいたいと思います。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それでは速記をつけて下さい。  伊能君と伊能君の質疑の通告は棄権されましたから、これは棄権されたものと認めます。    〔伊能芳雄君「一般質問を打切るためにですよ」と述ぶ〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) そこで、それでは今日はこれにて散会いたします。    午後十時四十七分散会

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