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19回国会参議院1954/05/24

地方行政委員会 第43号

発言数
184
登壇者
15
会派数
6
開催日
1954/05/24

会議録

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 只今より地方行政委員会を開会いたします。  只今、公職選挙法の一部を改正する法律案(参第十二号)及び同(参第五号)について、公職選挙法改正に関する小委員長堀末治君より、小委員会における審査の結果の御報告がございます。よつて先ず公職選挙法の一部を改正する法律案(参第十二号)及び(参第五号)を一括して議題といたします。

堀末治自由党

○堀末治君 選挙法特別小委員会におきまする小委員会の結果を御報告申上げます。  選挙法改正に関する小委員会には、現在(参第五号)公職選挙法の一部を改正する法律案、いわゆる市川さんの御提案のものであります。それから(参第十二号)公職選挙法の一部を改正する法律案、いわゆる緑風会さんの御提案のものであります。それから政治資金規正法の一部を改正する法律案、衆議院議員中村高一さんほか十九名様の提案にかかるものであります。この三つの法律案が付託されておりますので、数回に亘つて小委員会を開いてその内容を検討すると同時に、種々話合いを進めて参つたのであります。併しこのうち公職選挙法改正の二法案の取扱い方につきましては、午前中の小委員会におきまして遂に意見の一致を見るに至りません。よつて右二法案はいわゆる親委員会、本委員会に戻しまして、地方行政委員会において適当に御審議をして頂くほかないとの結論に達した次第であります。  右御報告申上げます。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 只今堀小委員長から報告がございました報告事項について、御質疑がございますか。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 只今の御報告でありますが、非常に簡単で内容に亘つての御報告が何にもない。従いまして、小委員会におきましてどういう点が論点になつたのか、或いはどういう点で意見がまとまらないのか、そういう点についてもう少し補足して御報告を願えませんか。

堀末治自由党

○堀末治君 これは緑風会さんの案のごときはすでに皆様御承知の通りであります。なお又市川さんの御案のごときものもすでに数回話題に上つておるのでありまして、さようなことで特に緑風会さんの御案に至りましては、衆議院議員の小選挙区制が入つておるのでありまして、これに対してはなかなか各党それぞれの議論が非常に多いのであります。これを小委員会において意見をとりまとめるということは到底でき得ない広汎な問題になりまするので、いろいろ議論になりましたが、これは本委員会に移すほうが妥当であろう、でき得れば成るべく小委員会で論議を尽してまとめる工夫をせられたらどうかという御意見もございましたけれども、なかなかこれは利害が非常に広汎且つ錯綜しておりますものですから、容易に小委員会がまとまるわけにはいかない、こういう結論でありました。なお又高級官吏の立候補問題につきましても、これもすでに数回論議されたところでありまして、到底各派の意見をまとめることは不可能なんだ、かように結論付けられたのであります。それから今の連座法、これも御承知の通りなかなか各党各派それぞれの御意見がございまして、到底小委員会で幾ら論議を尽してみてもこれはまとまり得ない。徒らに小委員会で論議を暇を入れて、折角の御提案者の御趣旨が何ら遂行ができないということであれば、これも又提案者に対してお気の毒をするようなことにもなりまするので、成るべくならば早く本委員会に移しまして御審議を願うほうが妥当であろう、こういうのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 今の小委員長の御報告で大体わかります。再度お伺いいたしますが、結局この小選挙区制度の問題にしても、或いは連座制の問題にいたしましても、小委員会におきましては時間の関係その他から来る制約も勿論ございますし、又細かい内容に亘つて審議をするというところまで行かないうちに、要するに小選挙区制そのものについて意見が非常に続出をして、そのために何ら内容に亘つての審議をすることができなかつたというように了承してよろしゆうございますか。

堀末治自由党

○堀末治君 もう少し簡単に一つ要点だけ聞いて下さい。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 要するに、これらの小委員会に付託された法案の細部に亘つて審議をする余裕もなし、又いろいろ意見の対立があつて細部に亘つての審議は余りやられないままで本委員会へ返して、本委員会で一つ慎重審議をしてもらいたい、こういうように了承してよろしゆうございますか。

石村幸作自由党

○石村幸作君 今の秋山君の御発言とは少し意味が違うように私は思つております。つまり審議は相当繰返して各派の意見を持寄つて御相談をしたのでありますが、これが一致を見なかつた。それははつきりしているので、例えば小選挙区制の問題は、この際社会党さんのほうでは都合が悪いから、どうだ妥協的にこれを抜いてはどうだ、そういうふうな問題が取上げられて一致を見なかつた。そこで同じことを毎小委員会で繰返しておつて、今日の午前中の小委員会でもやはり結局同じことを繰返しておつた。それで一致を見なかつたと、こういうふうに私は感じております。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 ではこの一致を見ない点は、小選挙区制をどう扱うかという扱い方についてだけ、それ以外に意見の対立した点はないわけですか。

堀末治自由党

○堀末治君 公職選挙法、公務員の立候補の問題でも、これは今日の小委員会ではございません。前回の小委員会におきましては、これは意見がことごとく違つておつて意見の一致を見ませんでした。従つて今日はその問題は余り触れません。それから又連座制の問題も、これも小委員会で扱つたのですが、そのときも十分に意見の一致を見なかつたものですから、本日はその問題には余り触れません。主として今申しました、今の小選挙区制をどう扱うか、これは根本的に意見の相違がございまするので、従つて内容の検討は余り詳しくいたしておりません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 結局いろいろな論点の扱い方について意見の一致を見なかつたので本委員会へ返した、こういうことですね。

堀末治自由党

○堀末治君 そういうことです。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 私の小委員会における場合の了承として、とにかく内容、連座制にしても或いは高級官吏の立候補制限にしても、各党からまあ表のようなものが出ておりますけれども、それが出たというだけで、そういうふうな方面の論議は小委員会では殆んど行われなかつたように思う。ただ扱い方をどうするかということが選挙区制とかそういうことに一つかかつておりまして、それで意見が一致するとかしないとかということばかりで私は終始したように思う。今の小委員長からのお話もありました連座制をどうするかということを、各党について一つの緑風会ならば緑風会の案を中心にして、いろいろこの市川さんの案はどうであるか、社会党の案はどうであるかというようなことをつき合して論蔵をしたようなことは殆んど行われなかつた、そういうふうに了承しておりますので、その辺の小委員長並びに石村さんの御報告と私の了承とは食い違いがある。

堀末治自由党

○堀末治君 その連座制の問題は、これは今日の委員会には余り出ません。併しこの前の小委員会にはたびたび繰返されて、これはもう意見の一致を見ないでおるのであります。従つて今日の委員会では先ほども申しました通り、主として小選挙区制の問題が取り上げられて、それも全然何ら内容に触れないかというと、そうでもない。今の別表云々の問題については相当に内容に触れてこれを認めるか、認めないかというような御議論もあつたのであります。それでそれらの点も話合つては見ましたものの、なかなか意見の一致は到底見るわけには行かない。さようなことで速かに本委員会に戻すほうがいい、私はかように判断いたしたのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 只今の小委員長の御報告と又若木委員の御発言と、同じ小委員会でありながらいろいろ食い違いがあつて、私ども小委員でない者から考えると、非常に心外な点が少くないのです。そこでもう一度お尋ねをいたしますが、小委員会で非常に何回にも亘つて慎眞に市川案並びに小林案を中心にして審議がなされたという初めの御発言がございましたが、一体この市川案についてはどれだけ日にちと時間をかけて審議をされたのか、或いは又緑風案については何回に亘つてどれだけの日時をかけて審議をされたのか、そういう極く形式的なことではありますけれども、併し重要な問題でありますから、その点についてもう一度お尋ねをいたします。

堀末治自由党

○堀末治君 今のお尋ね頗る微細に亘つてのお尋ねでありますけれども、私一々記録をとつておりません。御承知の通り速記もつけないでやつておりました。ただ専門員のほうで多少の記録をとつておるのでありますが、小委員会としては先般来本委員会の状況が状況でありましたので、たびたび開く予定はいたしておりましたが、皆さん御承知の通り、公報でも御案内をしながらなかなかやれないでおつた、かような状況であります。従つて皆さんの御満足行くほどの微細に亘つての審議はいたしておりません。併し私の考えでは只今申上げました通り、折角御両所のほうからこういう重要な御提案をなされて、又世論もそれを非常に支持しておる。かような状況から私は速かにこれは本委員会に移して、本委員会で適当な結末をつけて頂くということが委員会の諮問に答える趣旨であろうと実はかように考えて、今朝ほど小委員会を打切つた次第であります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 私の記憶では、確かこの前の委員会において、いわゆる連座制並びに高級官吏の立候補制限について各党の意見を話合うような形になつておつた。ところが、たまたま自由党のほうでは小選挙区制というふうなものを含まねば我々のほうとしては到底これは呑めない、意見の一致を見ないと、そういうことで取扱が主になつてその内容の打合せ、論議というふうなことが殆んど入らない、そのままにすんでしまつたように私は記憶しておる。ですから先ほど来何遍もそういうことが審議されたという小委員長のお話があつたが、私はそういう記憶がない。これは松澤さんもおいでになるからその時の、この前の委員会の様子を松澤さんからも承わればこの点ははつきりして来るだろうと思う。この各派の意見を、緑風会なら緑風会の連座制なら連座制、これを中心にして市川案に対してどのように拡充されて来たとか、或いはこれに対して社会党はどう考えるかというふうな、そういう論議が少しも行われておらない。ただ選挙区制の問題を入れるとか入れないとかいう取扱方ばかりでこれはすんでおる、そういうふうに、私は記憶しておる。

石村幸作自由党

○石村幸作君 この問題は、市川案が最初出た時これを審議すべきであると、こういうところに緑風会案が出た。その緑風会案の中に市川案に等しいものが、連座制の問題が取入れてある。そこでこれは緑風会案に包含されておるので緑風会案を審議すればいいのじやないかと、こういうところで主として緑風会案を中心に審議して参つたのであります。そこで意見が一致しなかつたということに到達したのは、これはもう大体要約すると、緑風会さんの案は連座制、公務員、小選挙区、これが主として、その他若干の項目もあつたのです。ところであなた方のほうの御意見は小選挙区制を切り離してやつたらどうかと、こういう御意見だつたのです。自由党としてはこの緑風公案を一括して検討すべきである、小選挙区を離しては困る、いわゆるこれは連座制等に関連してどうしても小選挙区制の問題も一括して取上げなければならん、不可分であるということの主張だつたのです。そこで今日最後にどうしてもこれは折合いがつかないということになつて、その間何ら法案の内容の審査をしないじやないかというお言葉、一部御尤もかもわかりませんけれども、打合せ、懇談をしておるその間に相当法案の内容にも触れておると私は記憶しております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 私も小委員の一人でありますから、できるだけこの小委員会から本委員会に移すということになれば、小委員会の問題は発言しないつもりでおりましたけれども、只今若木委員から松澤もおることだからというお話でありましたので、私の小委員会に出ておりました感じを申上げたいと思います。それはこの法案の問題につきましては、最初市川さんの案が出て来た、そうしてこれを含む緑風会の案が要綱として示され、そうしてそれは大変結構であると、それじやそれで行こうということになつて参りましたところ、今度は突如として選挙区制の問題が一体となつたものが出て来た。そこでこの問題については、私は提案者であります小林君に対しても、選挙区の問題を一緒にくつつけられると非常に党として態度を決定するのが困難である、私のほうは必ずしも大選挙区でなければならないということもないわけでありますから、都合によつては御相談に応じ得られるかもわかりません。併し党には、二人、三人区や一人、二人区という制度にどういうふうにして移行させるか、なかなか党内でも議論が起る見通しがあるから、できるならばこれを外してやつてもらいたいということで、一瞬は小林君も選挙区を外したということで連座制の強化や或いは高級官吏の立候補の制限というものが同調を得られるならば、或いはそういうことは考えてもよろしいという話でありました。ところが最近になりましてから、自由党のほうで選挙区も含む緑風会案というものを議題に供して、大体党内においては自由投票ということに決定したから、できるだけ早く上げてもらいたいというお話が出て来た。その上に今朝になりましてから、選挙運動に対する更に自由党としての追加修正が出て来たわけであります。私は前から府県知事の連続三選の禁止、選挙区の問題はどうも困るということを申上げて参りました。而も市川案につきましては審議は全く行われていないと言つていいくらい、殆んど行われておらない。それから小林案につきましても、連座制強化ということで何条の何項をどういうふうにすればどういう効果があるかというような問題については殆んど審議されない。全く審議されないと言つていいくらいで、ただ今まで申上げました小選挙区の問題、或いは県知事の三選立候補禁止の取扱について主として議論をしたのでありまして、改正案の内容や或いは修正案の内容について殆んど何ら審議をされていないと言つていいでしよう。今朝になりましてから、自由党の選挙運動に関する修正の要綱が出て参りました。それについて一、二の質疑応答があつたという程度であります。私がここで若しも緑風会の案を中心としてプラス自由党の修正案というものを小委員会で結論を出さないままで、この委員会にと移すとするならば、小委員会において当然市川さんを提案者として本小委員会は緑風会案を中心としてプラスすることになつたから、提案者の意見はどうであるか、或いは提案者はそれに同意するかどうかというようなことも一応御意見を伺つて、小委員会から本委員会に移すのが適当ではなかつたかと、こうも考えるのでありまして、審議の実質というものは大体こういうことであつて、恐らくこれは小委員長も了解せられるところと私は思う。

伊能芳雄自由党

○伊能芳雄君 議事進行。今のお話を聞いておりますと、選挙小委員会の審議の模様について多少食い違つておるようですが、とにかくそういうことではいつまでやつておつてもなんですから、内容の審議に速かに入られんことの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 只今の伊能委員の御発言がございましたが、併しながらやはり我々は小委員会を設置して、小委員会にわざわざこれらの重要な問題をお任せして審議をお願いしたわけですからして、やはり本委員会でやる前に、小委員会でどういうような審議が行われたかというその審議の経過を十分聞いた上でなければ、本委員会でやるといつたところで、やはりその前提というものがはつきりしてなければやりようがないと思うのです。そこで実は甚だ御迷惑かも知れませんけれども、もう一度小委員長にお尋ねをしたいのでありますが……。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 秋山君、ちよつと……御意見に亘りますと動議のほうが優先しますから……。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 意見じやない、質疑をしているのです。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 質疑の点は打切ると、こういうような話ですから。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そんな無茶なことはないです。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それでは無茶な点をあなたが申述べて頂きまして、そうしてあとは又委員長が判断いたします。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 私は今質疑を続けているのですから……。これは簡単なことで、そう二時間も三時間もかかるわけではないのですから、一応の最小限度のことははつきりしないと、本委員会でやろうといつたところでやりようがない。小委員会でどういう順序になつておつたのか、できるだけ本委員会で我々がやるとしますならば、小委員会の経過をよく呑み込んだ上で、できるだけ無駄な点や繰返しを省いで、小委員会の経過に沿つてずつと本委員会での質疑なり審議を続けて行くということでなければ、そうでなくても時間がないないと言つて非常に急がれておるのになお更時間が足りなくなつてしまう。そういう意味で質問をしておるのです。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 速記を始めて。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そこでもう一度お尋ねいたしますが、(「わかりやすいようにお願いします」と呼ぶ者あり)私はわかりやすく言つているつもりなんですが、相手があることだから止むを得ない。わかりやすく言つているつもりなんです。只今までの小委員長のお話、又こちらの若木委員なり或いは松澤委員なりの御発言を聞いておりますと、小委員会で一体どの程度までやられたのか、私はよくわからなくなつてしまう。そこでもう一度更にお尋ねをいたしますが、第一点は小委員会においてこの市川案並びに緑風案については、内容に亘つての審議がどの程度行われたのかということ。  それから第二点は、内容には全然触れないで、ただ扱い方についての論議に終始されたのかどうかということ。  それから第三点は、市川案はすでに三月四日に我々の委員会に付託されておるのです。爾来二カ月半たつておるのでありますが、この市川案について十分なる審議が行われたのかどうか、特に先ほども松澤委員から御発議がありましたように、提案者であるところの市川議員に一遍ぐらい委員会に来てもらつて、そうしていろいろと意見の交換なり何なりが行われたのかどうか、この三点についてお尋ねしたいと思います。

堀末治自由党

○堀末治君 内容については一項目一項目について要するに論議は重ねておりません。併し総括的にあとになり先になり、いろいろと論議は交されたのは事実であります。それから又今朝ほどは扱い方の問題ばかりではなく、これに対する扱い方についての問題も多分にございましたけれども、同じく小選挙区などというものに対しましては、内容の点についても相当にお互い意見の交換をいたしました。なお又市川さんの案につきましては、すでに皆様方もこうして御検討なさつて、そういうような表も出ておることであります。かようなことで、これは遺憾ながら市川さんにおいで願う機会がなかつたことは甚だお気の毒に存じます。遺憾に存じますけれども、ここに御存じの通り皆さんのほうがこうこうだというような各党の御検討の案が出ておることでもあります。これを見ても市川さんの案については、決してお粗末な取扱をしたとは委員長としても思つておりません。なお又全体的に申しまして、或いは委員長ルーズだとおつしやるかも知れませんけれども、私はこれらの問題はあのくらいの審議で十分だと委員長としてはそういう考えでおるのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そこでもう一度お伺いいたしますが、委員長のお言葉によりますと、内容に亘つて十分審議をやられたというようにも聞えますし、又そうではなくして、大体内容のことは十把一からげにやつて、そうして主として扱い方に時間をかけたというようにも伺われるのであります。そこで我々は本委員会へこれが持出されたこれからの審議のやり方を決定するポイントにもなりますので、先ほどもお願いしたのですが、小委員会でこの問題についてどれだけの時間をかけられたのか、そういう点委員長が記録しておられんでも、事務のほうなり何なりで大体の記録はとつておられるのだろうと思う。又我々も小委員会へお任せする場合に、そういう点についての記録をとつてもらいたいという希望も前以てしてあるわけなので、そういう点について一つお知らせを願いたいと思います。

堀末治自由党

○堀末治君 私のわかつているだけ申上げましよう。小委員会は大体十三回開いております。これは先ほども申しました通り、これだけでは遺憾なことは私自身も申上げた通りであります。併し本委員会がなかなか忙しいので、予定した時間が本委員会に食われてなかなかできなかつたことも、又皆様方には恐らく御了承願われることである、実はかように思うのであります。さようなことで、内容の検討が足らないと仰せられまするけれども、最も問題をはらんでおりますような市川さんの御案のごときは、すでにかくのごとくに要するに細かく内容が審議されて、皆さま方としてもそれぞれ各党の御意見が出ておることでございまするから、私はこれで要するにこれらの内容の審議は十分でなかろうか、かように思つておるのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 今の十三回とおつしやるのですが、この十三回のうち今審議の対象になつておる市川案なり又緑風案なりについて、何回くらい審議が行われたのか、それが第一点。  それから第二点は十分に審議を尽したという、最初はそういう御答弁でもなかつたのですが、今の御答弁では十分に審議を尽してこれ以上審議の余地はないというようなお話なんですけれども、事実それだけ審議が行われたかどうか、これはまあ委員長のお言葉を疑うようで甚だ失礼ですけれども、先ほどの若木委員や松澤委員、加瀬委員等の御発言とは全然相反しておるので、その点について小委員会に出席された松澤、若木、加瀬三委員の御答弁をお願いしたい。

堀末治自由党

○堀末治君 私は一々何日は何法案で何回やつたということはいたしておりません。記録をとつておりません。もとより小委員会でいかめしくやつたのではなく、記録もとらずにやつたのでありますから、大体の記録は専門員のほうでとつてもらうことにいたしておるのであります。併しただ時間をなんぼやつたなどということは、私恐らく専門員のほうでも記録しておらないだろうと思います。ただ併しこれだけでも要するに十分でなかつたということは最初申上げた通りであります。併し審議を尽さないという御批判は私の感覚からいたしますれば受けません。大抵これくらいの御審議ならば、各党それぞれお考えになつておることを皆御開陳になつたことでありまするから、私はなかなか小委員会だけで結論を出すなどということは容易な問題でない、実際重大な問題であるから、むしろ本委員会に移して結論を出すのが穏やかだろう、こういうふうに考えて、私といたしましてはそう審議は疎漏であつたというふうには考えておりません。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 只今の堀小委員長のほうからお話がありましたように、この委員会の運営は大体和気藹々という言葉は当らないかも知れませんけれども、全般におきましては非常に協調的に進んで参つたものであります。その根本的態度としては、小委員会に付託されました問題でも、これは本委員に移して本委員会できめたほうがいいという問題は本委員会に移そう、小委員会から本委員会に移す問題、もう一つは小委員会から本委員会に移して又小委員会に付託される問題、こういうふうな三段構えでやつたならば、十二分に審議できるのじやないかという態度が初めきめられました。それから法案として一番初めに挙げられましたのは参第五号の市川案でありますが、この市川案につきましては、緑風会のほうから市川案も含め且つ又高級公務員の立候補制限についてのものをも併せたものを出す意思があるという意思表示がありまして、それならこれは市川案と一緒にして審議したほうが好都合ではないかということになりまして、市川案につきましては緑風会案に含めて審議をしようという方法がとられたと記憶をいたしております。そこでその市川案即ち連座制との問題、緑風会案即ち連座制と高級公務員の立候補制限の二つの問題は、各党各会派の話合いにおきましては、さして異論はなかつたのであります。これは一応持ち帰りまして審議をしようということでありまして、持ち帰りましたが、その週の土曜日に結論が出ませんで、翌週に持ち込まれまして再び会合いたしましたときに、自由党におきましては、態度を保留するほかにまだ結論は出ないという回答がありましたが、他の会派におきましては、多少の意見はありまするけれども、市川案を含んだ緑風会案というものに対しまして賛意が表されたわけであります。大体そのときの空気といたしましては、これは若干私見が入りますが、連座制と高級公務員の立候補制限を大体骨子とする緑風会案ならば、自由党を除く他の会派は意見の一致を見るのではないかという見通しが持たれたと思います。只今の点は私見でございます。ところが暫くたちましてから緑風会案が変つて参つたのであります。と申しますのは、その当時緑風会側から説明されました点は、選挙区の問題もあるのだけれども一応これははずす、当面さし迫つて必要な問題から処理をして行つたほうがいいのであろうと思うので、初め話されました二つの緑風会案というものを中心に通そうというお考えのように御説明があつたのでございますが、今度は選挙区を含めてという問題に緑風会案が変つて参つたのであります。最近になりまして、主として問題になりましたのは別表と申しましようか、選挙区の改正の部分での緑風会案というものに対して一体賛成できるのかできないのかという問題になつたのであります。それに対しまして、自由党さんのほうでは選挙区の問題まで含むということについては反対だという意思表示がありました。緑風会さんのほうに伺いますと、緑風会のほうとしてはまとめて選挙区まで通したいけれども、必ずしも選挙区に対して異論があるというならば、選挙区を除いた点で各会派と妥協してもいいという意思表示もあつたわけであります。それが更に近日になりますると、特に今日の御発言では選挙区を含めての緑風会案というものを飽くまでも緑風会としては通す意思だ、こういうのに変つて参りました。自由党も選挙区の問題は大分異論があつたわけでありますが、自由の問題といたしまして緑風会案に賛成するという意思表示があつたわけであります。それと共に後ほど本委員会のときに、本委員会の選挙法の改正の説明の中に当然修正案の説明があると思いますが、自由党の修正案というものが出されて参つたわけであります。これに対しまして、緑風会並びに自由党に対しまして、各会派とも妥協できる点で選挙区という問題を除いて話合いがつかないかという質問も出されたのでありますが、これらに対しましては、原案提出者であります緑風会のほうからも、修正案を提出しようという、自由党側からも、それには協力することができんということになつたわけです。市川案並びに緑風会の市川案を除く高級公務員の問題につきましては堀小委員長の御説明のように、多少のその二つの問題につきましては内容に亘る話合いというのも出ておるのでございますが、本日緑風会のほうで飽くまでも一本にして通そうとする一番大きな選挙区の問題、即ち別表の問題につきましては、これは十二分の討議というものはまだ小委員会においてはなされておりません。それから又提出せられるであろう自由党の修正案の内容につきましても、堀小委員長のほうでも御説明がありましたが、十二分の討議というものは本日の小委員会においては時間の都合上なされていない、こういうような事情が、只今までの経過並びに本日までの結論ではないかというふうに考えております。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 先ほど秋山委員の質疑の中に小委員会の経過の報告をしてくれということもありました。それから松澤君及び若木君の答弁も一つやつてくれというような話もありましたが、委員長といたしましては、経過の点は堀小委員長からも報告になりましたし、具体的なその開催の日取りその他の内容につきましては、あとで専門員のほうから資料を、資料でなくてそういうような状況経過を印刷にして委員会に提出をさせるということにいたして、実は伊能君からも動議が出ておりますから、この問題の審議に行くというようなことを取上げたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」「今の続きだから」「答弁を求められているから、二人答弁してから」「一応はつきりして下さい」「二人済んでから」と呼ぶ者あり〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 異議があるというから、若木君からちよつと……。    〔伊能芳雄君「若木委員から秋山委員にというのは、同じ会派で聞くということはおかしいと思うのだ、そういうことを今ここでやるというのはおかしい」と述ぶ〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それで聞いて了承して下さい。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 小委員会の経過につきましては、今加瀬君から詳細お話がありましたのでありますが、私も加瀬君と同じように了承しておる。そこで今日の小委員会の問題でありますが、そういう経過を辿つて来て今日の小委員会にまあ入つたわけです。ところが堀さんのほうからこういう更に修正案が提出された。新らしい問題が出て来たわけです。こうなつて参りますというと、私は小委員の一人としては、これを十分検討し、又内容をよく納得して党に持ち帰つて、そうして又これについて検討を加えなければならん、そういうふうな考えを持つている。と同時に、それは内容の今まで十分触れなかつたところの連座法なり、それから高級官吏のいわゆる立候補の制限なり、こういうふうな方面にもこれは当然関係して来るので審議に入らなければならん、小委員会として。そういうことから結局もう一遍小委員会を持つてそうしてそういうところの内容まで入りたい、そういう意向を洩らしておつたのでありまするけれども、選挙区制の問題とかそういうことは全然これは我々と相容れないものがあるので、何遍これを繰返えしても駄目だ、こういうふうなまあ石村さんの発言もあつたわけであります。それで結局は私は何とかして今日の空気から見て、又もう一遍小林さんのほうでも考え直して選挙区制を外してやるというふうなことに同調できないかというふうなことも申述べたのでありますが、まあその点は小林さんとしてはこれはもう一旦提出したのだから、それを又覆すということはできない。そういうことで結局はこの取扱方が一致しないためにここにその結論を得ない。私から言えば非常にこれは遺憾なことだ。内容の審議にさつぱり入らないで取扱方がどうこうということによつてこれを決定されて、そうして本委員会に移すということに対しては、本日の小委員会においても私も承服できない。だから最後には私はもう一遍これが選小を持つべきではないか、こういうふうに言つたのでありまするけれども、小委員長のほうでは本委員会に移すという結論になつてしまつた次第でありまして、今日の小委員会の状況も併せて秋山君に答弁する次第であります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 小委員会における審議の状況につきましては、決して私は小委員長に楯突くわけでも何でもございません。委員長自身も十分認められておりますように、十分な審議は尽されていなかつたということは、これは実情であろうと思う。特に市川案と小林案との比較検討であるとかいうようなことは全然なされておらない。それから先ほど各党の連座制強化に対する意見というものはこの表の中に明らかになつているというお話であります。そこでその表はできました。それぞれの意見があそこに表となつて現われて、それでは社会党の右と左とどこが違うか、或いは市川案と社会党の表はどこが違うか、或いは又は緑風会の案はどういうふうに違うかということの比較検討ということは全然行われておらない。ただ表ができたというだけです。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)これは実際です。そこで私はもう多く申しませんが、非常に審議が不十分であつたということは、これは率直にどなたも認めなきやならない。その審議が不十分であつたということは、いろいろほかの法律案を私たちが抱えていたということ、或いは又は会期が小刻みに延長になつたというようなこともあり、こういうことになつたのだと思うのですが、その最も大きな問題は会期が迫つて来たということ、そうしてもう一つは自由党の党内の事情によつて非常に急がれて来たということは、土曜日の晩に選小を開いて上げてもらいたい、或いは日曜に本委員会を開いて上げてもらいたい、こういうことを強く言われた。その党内の事情に私はよるところが非常に大きいと思う。これは堀小委員長も御自分でおつしやつた。長くなれば党内に又だんだん異論が出て来るから、成るべく早く、そう言つちや悪いけれども、余り騒がれないうちにさつと通してもらわないと又困るというような党内の事情がある。その点は私たちもまあ上げるということには、先ほどから申しておりますように、二つの点を除いては上げるということに同調するということで、急がれる気持もよくわかるのであります。実際審議が十分尽されていなかつたということはそういう事情によるところが極めて多かつたのじやないかと、こう思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 速記をつけて。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 今までのお話を聞きますと、結局この重要な両法案に関する限りは、小委員会において余り本質的なといいますか、内容に亘つた審議というものは殆んど行われないで、むしろ今お話があつたような一種の事情によつて、極めて短期間の間に而も政治的に扱われたという解釈をせざるを得ない。結論的に小委員長にお尋ねいたしますが、結局いろいろないきさつはあつたけれども、結論として何ら小委員会としての結論が出なかつたので、白紙に返してこの本委員会へ戻そうと、こういうことに了解をしてよろしゆうございますか。

堀末治自由党

○堀末治君 白紙に返してということはございません。先ほど来縷々申します通り、内容も話すし、或いは又今言うような政治的な話も多少ございまして、全然白紙でやつたということはございません。それですから、先ほど来報告しておる通りでありますから、白紙ということは全然ございません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 私これはちよつと委員会の運営の問題として委員長でも小委員長でもよろしゆうございますが、お尋ねしたいのですが、大体委員長報告というものは一応委員会の皆さんに諮るなり了承を得た上で委員長報告はなさるということが本筋じやないかと思うのですが、その点は如何ですか。

堀末治自由党

○堀末治君 小委員会としては、特にその了承を受けておりません。この前に報告した時も、やはりこういういわゆる本委員会における委員長報告の内容は委員長にお任せを願いたい、御異議ないかと、そういう成規な手続はとつておりません。ずつと慣例的にとつていないと私は思つております。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そういたしますと、本委員会の委員長報告は、一応委員長にお任せするということを皆さんに了承願つた上でやるということになつているようでありますが、その同じような手続で小委員長がこういうような報告をするからということ、或いは委員長に委員長報告は任して頂きたいということを、別に小委員会でお諮りになつたことも何もなしに、小委員長が個人として思つておることを御報告になる、こういうように解釈してよろしゆうございますか。

堀末治自由党

○堀末治君 それは只今も申上げました通り、速記もつげておらない一種の懇談的の委員会ですから、いわゆる委員会の議事規則に載つたような正確な手続はとつておらないことを御了承願いたい。而もこれはこのたびばかりでなく、この前の時もやはりそういうような慣例で来たのでありますから、私は前の慣例に従つて要するに報告を申上げる。従つて委員長の報告も頗る簡単であります。従つてあなたの御質問には詳しくお答えいたしておる次第であります。

石村幸作自由党

○石村幸作君 今の堀小委員長の、つまり報告が成規の手続通り行つておるかどうかとこういう問題ですが、今日の小委員会の結末をつけたときには、話合いで結局結論が出ない、一致しないからその旨を本委員会に報告してそして本委員会に移そうと、こういうふろに私了解しているから、小委員長のとつた態度、報告等には間違いない、こう確信しております。  そこでもう一つ重要な問題ですが、先ほどから問題は、手続のような問題で小委員会を終始した、内容の検討、審議等は何にもしていないじやないかというような発言がありましたが、これは内容の審議については、本委員会のごとく成規の形式的な順序をとつていなかつたことは確かですが、併しその内容にはよく触れておつた。なぜそうかと申しますと、小選挙区をどうするとか、連座制がどうか、市川案も出ているがこれをどうするかと、こういうふうなことをいろいろ検討しておる間に、内容に常に触れておつた。そうして社会党両派は、例えば小選挙区は切り離す主張をした。又連座制、公務員の制限等にいろいろやり取りがあつた。それは内容を或る程度検討したからこそ会派に持ち帰つてお諮りにもなつたので、我々もそうです。内容がよくわかつて、もう問題は簡単な問題で、重要であるけれども、内容ははつきりしておる。それだからもう十分検討して内容は熟知して、そうしてこの取扱についていろいろ交渉した、こういうふうに了解しております。又先ほどの御発言で、自由党の修正案が突如として出て来たというようなお話がありましたが、これも懇談的に、いわゆる了解の下にこういうふうなものをまとめようとしたからこそ小委員会に出したのでありまして、ところがこれはほかの問題と一緒にまとまりがつかなかつた。そうなると、これは修正案なんですから、これは要するにまとまりがつかなかつたのだから、この委員会に今持ち出されておるのじやないので、むしろ主なるものが緑風会の提案が根幹となるから、その問題の討論の際にこれは修正案として討論に交えていい問題と、こう思います。だからむしろこの自由党の修正案というものはここで審議すべきものではない。そうして討論のときに討論者が、我が党の代表討論者が討論に交えてこれを修正案の提案の理由を説明して皆さんに賛否を問えばいい、こんなふうに私は考えておる。そこでもうすでにこの内容も相当皆さんにはわかつて、わかり切るほど……(「あんなことを言つている」と呼ぶ者あり)つまり形式的にはどうかと思うのですが、内容は十分審議されておると私は確信を持つております。(「自由党は頭が良過ぎる」と呼ぶ者あり)そこで今動議も出ておりますので、なお不十分な点があつたならば、提案者の小林委員に皆さん堂々と御質問なさつたらいい。(「それは堂々とやるんだ」「採決」「議事進行」「賛成」と呼ぶ者あり)

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 そう十分に知り尽しているほど十分に密談をしたと言われると困るんだよ。あいまい模糊のうちに、結論つかないまま本委員会に移すということであれば了承できるけれども、もう何もかも十分に審議をし尽したから小委員会から本委員会に移されるというと、困るのですよ。そこのところは余り固く言わないで……。

石村幸作自由党

○石村幸作君 これは我々としてはよくわかつている、こういう意味であります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それでは伊能君から動議が出ておりますのは、小委員長の報告に基きまして、公職選挙法の一部を改正する法律案(参第十二号)及び(参第五号)をここに本委員会として審議に入れという動議でございますが、これを採決をいたします。この伊能君の動議に賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 挙手は多数でございますから、審議に入ることにいたします。  それではこの問題につきましては、すでに提案理由もなされておりますからして、質疑を続行することにいたします。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 緑風会案について、提案者の小林委員にお尋ねいたしますが、最初小委員会に移す前の本委員会での小林委員のお話では、まあ緑風会としてはいろいろ今日世間で問題になつておる改正点を網羅的に挙げてまとめてみたのがこの案である、併しこの案全体がこの短期間の国会において直ちに可決成立というようなことは、これはまあできないということは承知しておる、特に小選挙区制の問題については、一応人口数だけの点から割出して機械的にまとめてみたけれども、個々の具体的な点になるとまだまだ再検討の要はある、であるからして一応この小選挙区制の問題だけは切離して、そして連座制の問題とそれから高級官吏の立候補制限の問題、この二つの点だけをこの国会で一つ是非取上げたい、そういう気持でおるので、社会党なりその他の内輪をまとめて頂きたい、こういうようなお話で、私どももそういうように了承しておつたのです。ところが今出て来た案によりますと、そうでは全然なくして、やはり最初の案の通り小選挙区制をも含めて、全部一体のものとしてやろうということに変つて来ておるのですが、そういうように方針が最初と今と百八十度変つて来たその事情について一つ御説明を先ずお願いしたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 私どもの主張は決して百八十度の転向をいたしておりません。実は提案者としましては、全部が一括して通ることを希望するのは当然であります。ところがこれを提案した当時の状況としては社会党の左派も反対である、小選挙区には反対である、自由党もこれは態度を保留せざるを得ない、こういうことになつて、当時の事情としては全体を含めたものが参議院を通過する見込が薄い、こういう状態にあつたのであります。従いまして、私どもはこの全体の、或いは大部分でも通ることが通らないよりかいい、こういう主張であるのは当然であるのでありまして、小選挙区だけが問題になつて全体がストップする、こういう事態であるならば、選挙区制だけはこの際保留して継続審議に持つて行つても止むを得ない、こういう考えを持つたのでありますが、その後の事情において自由党がこれに賛成してもいい、従つてこの案が一括して参議院を遜るかも知らん、こういう見通しが出て来た以上は、私どもは本旨に帰つて全体の通ることを希望するのは提案者として当然である。即ち我々の事情というよりか当時の事情に対して、その後この緑風会の提案に対して自由党その他の態度が変つて来た、それによつて当然我々が原則に戻つた、こういうことに過ぎないということを御了承願いたいのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そこで更に緑風会の案の内容について、私若干お尋ねをしてみたいと思うのですが、大体この緑風会の案の中で連座制の問題、或いは高級官吏の立候補制限の問題、こういう点については我々として不十分な点をも認めるし、又もう少しこうしたらどうかというような点もございます。併しそれらの点は一応あと廻しにして、先ず最初にお尋ねをしたいのは、都道府県知事の三選を禁止するという点でございますが、都道府県知事の三選を禁止する理由についてお尋ねをしたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は曾つて予算委員会に席を置きましても、この旨の趣旨を述べたことがありまするが、現在府県の財政が膨脹する、或いは経費の浪費が行われておるというようなことの多くの理由が、知事が在職中選挙運動をするということが一番大きな弊害である。従つて世上には知事の公選を廃止して官選にしろという議論があるのでありますが、私は公選はこれを維持いたしたい。併し知事の在職中の選挙運動は見るに見かねるものがある。如何にしたらこれを防止できるかということを前々から私は考えて来たのでありまするが、それには私は知事の左職中の選挙運動は公共の福祉に反する、その趣旨からして知事が続いて選挙に出ることを禁止しさえすれば選挙運動は一切なくなる、従つて仕事も県民だけを相手にして仕事をしなくても、国家全体の大局において仕事ができる。こういうふうな立場から私としては知事の二選を禁止いたしたい希望を持つておるのでありまするが、併しこれらにつきましては、この問題が通るか通らないか、国会において承認が得られるか得られないかということが大きな問題でありまして、私はむしろ二選を禁止すべきことであろうと思うが、大方の諸君のお話を聞けば二選というのは余りに厳し過ぎる、従つて三撰程度ならと、こういうふうなお話が漸次固まつて来ておることを私は認めたので、即ち次善の策としてでもこの程度のことはいたしたい、かような趣旨でこの案を出しておる。こういうふうに御了解願いたいと思うのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 小林委員の知事三選を禁止なさるという理由は、このまま放つておいては知事が選挙運動ばかりやつている、そうして不当に地方財政を膨脹させるというはつきりしたこれは御判断に立つておられると思うのですが、一口に知事と言いましても、北は北海道から南は鹿児島県まで、実に四十六人の知事がそれぞれのやり方を以てやつておられる。まあ我々が承知するところでは、小林委員は再三いろいろな機会に知事がこの職権を利用して選挙運動をやつて、そしてそのために地方財政を膨脹さして困るということを言つて来られたんですけれども、併し具体的に一体どこの知事がそれほど地方財政をこの選挙運動のために膨脹さしておるのか、そういう具体的な点については私ども何ら承知しておらないのです。そこで参考のためにお尋ねしたいのですが、一体どこの知事がどういうことをやつておるのかという具体的な何か説明材料がありましたら、参考のためにお聞かせ願いたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 私どもいろいろ存じておりますが、これらのことを申上げるということはいろいろ支障があるからしてこの席では申上げたくない。さように一つ御了解願いたいのであります。なお個々の問題もありまするが、いやしくも何人も次の選挙をやるということにつきましては、あらゆる機会において県民の意向を考えなければならん。又議員等の要求に対しても或る程度譲らざるを得ないというのが私は人情の自然に伴うものでありまして、そうあるのが私は本当である、こういうふうにさえ考えておるのであります。

笹森順造改進党

○笹森順造君 今の高級官吏、特に知事の三選禁止のことを今質疑応答があつたんですが、一つ小林委員に、提案者にお尋ねしたいのは、三選ということの禁止は、二選禁止は余りひどいから三選のほうがいいじやないかというお説でありますが、連続して知事が当選してはいけないという思想もあるわけであります。つまり一年おいて又次にやるということであるならば、いわゆる今御懸念になつておるような費用を濫費するとか、その他の地位を利用して影響を及ぼすというようなことが一年交替或いは一回交替ぐらいであるならばいいじやないかと、つまりそういう意味で、極く若い人で有能な人もありますので、弊害を除去して又目的を達成するためには連続立候補するのはいけないのだという、こういう考え方を持つておる者もあるのでありまして、そういうことを一体立案者において考慮なされ検討なされたことがあるのか、それに対する御意見がどうであるかをお尋ねいたします。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は連続して選挙に出るということの弊害を認めておるのでありまして、私の本旨から言えば、知事の選挙に二選も制限いたしたい、こういうふうに考えておるのであります。従つて一度間をおいて出られることは誠に結構であるとかように考えております。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 今の笹森委員の御質問に関連してちよつと私その点だけ先ずお尋ねしておきますが、そういたしますと、ここに緑風会案に謳つておられる知事の三選を禁止するということは、連続三選以上を禁止するということなんですね。で、その点は法文の上で誤解のないようにはつきりしておるのかどうか、立案者にお伺いいたします。

小林武治緑風会

○小林武治君 はつきりさせてあります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そこで知事を二回なり三回なり連続してやらせることは非常に弊害があるという十把一からげにした御判断なんですけれども、実は小林委員も先だつてお読みになつたと思うのですが、先だつての朝日新聞の社説に地方財政の緊縮の実例として、一つだけ青森県の例を挙げておる。青森県は津島文治という知事だそうですが、非常にこの点財政の引締めに涙ぐましいほどの努力を続けて来ておる。その実例として挙げておりますのは、先ず新規事業を思い切つて抑制しておるとか、或いは経常費の削減を思い切つてやつて、それによつて或る程度の効果を収めておるとか、まあその他随分いろいろな点があります。財政再建の狙いの一つとして県債の累増を抑圧するために徹底的な処置をとつておるというようなことも挙げられておるのです。で、私は今日地方財政が非常に困つておるということは、これはもう天下周知の事実で、今更繰返して論議する必要はないと思いますが、併しながら地方財政が非常に困つているというのは、何も知事が不当な選挙運動をやつて、そうして県の費用をそのために浪費するために地方財政が因つておる、こういうように一口に言うことは余りにも早計だと思う。現にこの地方行政委員会でもこの国会が始まつて以来再三再四繰返しこの地方財政の再建の問題、又地方財政の赤字の問題について論議がされて来たのです。そうしてその論議の内容はただ我々だけじやございません。自由党の方も緑風会の方もすべての人が超党派的におつしやつておる結論は、何よりも先ずこの地方自治に対する政府の考え方が極めて薄情である、極めて熱意が薄いということ、又地方に何でもかんでも押し付けてやらせながら、これに対して政府が負うべき責任を全然果たしておらない、そうして財政的な手当てその他について非常に不十分なものがある、これが先ず第一義的に挙げらるべき地方財政の窮乏の理由なんです。まあ勿論多い中にはこれは選挙運動に県の金をどんどん使つて浪費して、そのために不当な膨脹をさせておるという例もあるのかも知れませんけれども、私はまあそういうことは余り承知しておらない。そこでこの都道府県知事の三選を禁止すれば果して今の地方財政の窮乏というものが救われるのかどうか。又どの程度救われるとしても救い得るものか。そういう点についてのどのような御認識を持つておられるのか、その点お伺いしたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 これは秋山委員のおつしやる通りで、地方の財政の窮乏ということは、国が十分の財源を与えておらんからということも大きな原因であるということは私も認めて、地方税法の採決の場合も本会議で私は同様なことを申上げております。従つてこれは県が自粛することと国ができるだけの財源を付与することと両々和待つて初めて私は地方財政が立直る、こういうふうに考えております。その点は秋山さんの意見と変りません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 この都道府県知事の三選を禁止するという場合に、勿論今小林委員の御答弁の通りであるならば、或いは四十六人の知事の中には選挙逆動をやり過ぎて、そうして不当に膨脹さしておるということに対するいわば懲罰的な意味をも含めて三選を禁止するというようなことが、或いは法理論は別として、常識的に当はまる場合があるのかも知れない。併し同時にさつき挙げました青森県のような場合、これも私は新聞記事で言うのでありますから、その点が事実どの程度なのかわかりませんけれども、さつき言つたような非常に選挙運動等を慎んで、そうして治績を挙げておるような知事も少くなかつたと思う。現にこの委員会にも曾つて知事をやつておられたような委員諸氏も幾人かおられる。そういう方々は恐らくこの三選の禁止というようなことが全然当てはまらないような、極めて良心的なやり方で知事やつて来られたには違いないと私は確信いたしますが、やはりそういうような知事も全国に相当おるのじやないか。そういうものを一概に全部ぴしやつと禁止してしまうということは、余りにも今日の困難な地方財政のやりくりに粉骨細心しておるところの知事に対する仕打としては、余りにも冷酷な仕打じやないかというふうに考えるのですが、そういう点について何か一律にやらないで、もう少し別な方法を以て知事の不当な選挙運動を抑えるというような方法をお考えにならないかどうか。

小林武治緑風会

○小林武治君 私も知事の諸君をたくさん知つておりますが、立派にやつておられる方も幾人か知つております。従つてかような方にはさような感じを持つということは当然でありますが、いやしくも弊害のほうが多い、こういうことになれば、どこで線を引くかということはなかなかむずかしい問題であるのでありまして、結局立法する場合にはかような一律なことになりまして、一部の方には気の毒をするということもあり得るのであります。ただ併し我々考えまするに、とにかくこの行政権を行使するということは、三選となれば八年すでにやつておるということになるのでありまして、私どもも知事の経験を持つておるのでありまするが、人間の創意工夫というようなものはやはりそう長く続き、又そう根本としては施策し切れるものではない。こういうふうに考えてもおりまするし、又世間でも八年もたてば周りも飽きる、又本人も熱意を失うというようなことになるのはやはり人情の然らしむるところであろう。かように考えておるのでありまして、四年ではひどいじやないかということも我々或る程度了解できるのでありまするが、こういう行政権の主位におるということが、八年もあれば大方仕事もなし尽されるであろう、こういうふうにも考えられるのでありまするし、又他の方法ということが言われておるのでありますが、例えば高級公務員を立候補制限するのはこれは酷に過ぎる、官吏服務規律でやつたらいいじやないか、いろいろの説がありまするが、そういうことでできるならば、かような立法の必要がないのでありまして、人情の自然に基いてどうしてもこういう傾向が生ずるということは私はもうこれを認めなければならんというふうに存ずるのであります。お話のような事態は生じ得るが、結局立法する場合には遺憾ながら画一的にならざるを得ない、こういうふうに考えております。

高橋進太郎自由党

○高橋進太郎君 ちよつと小林委員にお聞きしたいのですが、今小林委員のお話の中にも大体知事が八年もすれば飽きられるじやないか、施策も尽きるじやないかというお話で、我々もそうは思います。思いますが、同時に又それが長くやれるというのにはその知事の治績が上るから又長くやれるというのであつて、従つてこれを法で制限すべきものではなくて、むしろやはり県民ならば県民の判断においてこれは制限されるべきものであると思われるのですが、その点についてのお考えはどうだつたのでしようか。

小林武治緑風会

○小林武治君 県民の判断でできれば誠に結構でありまするが、知事の今までの実情に徴しまして、八年やるということはもう小学校の子供まで知事の名前を覚える。従つてなかなかこれに対抗し得るたとえ立派な見識のある人があつても、選挙においてはなかなか結果論として対抗できない。従つて県民がどう思おうが、票の上に如実にこれが反映するということはなかなか困難である、こういうふうに私は考えております。

高橋進太郎自由党

○高橋進太郎君 これが私は、非常にそういう御立論であるということは、線が引きにくいと思うが、それならば大都市の市長や何かでも同じようなやはり三選を禁止するということでないと、原則が合わないと思うのですが、これを知事のみに限つたというところに何か問題があるのじやないか。

小林武治緑風会

○小林武治君 要するにこれは程度の問題でありまして、知事の職務権限、行政権と、市長の行政権というものはかなり私は懸隔があると思うのでありまして、程度の問題でどこで切るか、こういうことになるのでありますが、お話のように、例えば大阪市や東京都はどうだ、こういう問題になれば又改めてこれは考えるべきことがあろう、かように考えます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 今の高橋委員の御質問、私もその点を更にお尋ねしようと思つておつたのですが、この二回、三回やつておると大概飽きられるという判断をしておられるようでありますけれども、併し大概飽きられるのに、なお且つ二回、三回と当選をして、選挙民の支持が集まつて来るということは、やはり一概にこれは知事の地位を利用して選挙運動をやるからそうなるのだというように即断することは、私は余りにも早計じやないかと思う。この問題はやはり知事個人の問題であると同時に、又今日の選挙制度、或いは民主主義そのもののこれは本質に触れて来る問題だと思うのですが、例えばそういう論法で行きますならば、参議院はできて間がないから、せいぜい三回ぐらい当選した人が最高だろうと思うのですけれども、衆議院なんかになると、蜒々二十一回というような当選者さえも出て来る。尾崎さんのような場合もあり得るわけですね。まあ国会議員は成るほど執行機関ではございませんから、知事と同じように論ずることはいささか違うかも知らんけれども、併し国会議員にしてもこれはいわゆる公の仕事をやつておる。言い換えれば公務員に準ずるものであるのは当然なんですが、国会議員にいたしましても、やはり最近非常に世間の批判の的になつておる。例えば選挙目当ての議員立法というような問題も一つであります。それから又そうでなくても、ふだんに国会議員本来の仕事に専念するということよりも、むしろ自分の次の選挙に備えての選挙運動にいろいろ公にも私的にも狂奔しておるというような人も非常に少くない。そういうような場合にも同じような考え方が当てはまるのじやないかと思うのです。この論法で行けばそういう点はどうお考えになるか。それから第二は、これも今高橋委員からお話が出ましたが、知事だけ禁止してその他は全然放任するということも、これは論理が一貫しないのじやないかと思う。都道府県の知事の権限と市町村長の権限とは同日の断でないというお話ですけれども、併しこれは市町村は御承知のようにぴんからきりまであるわけです。例えば大阪や名古屋というような、五大都市というような市と、それから極めて貧弱な鳥取だとか、或いは島根とかいうような貧弱な県と比べてみた場合に、その人口数から言いましても、経済力から言いましても、又予算の規模から言いましても、その首長の職務権限の内容から言いましても、これは問題にならないくらい違うわけです。又日本の国民経済全体に占める比重から言いましても、これは問題にならないくらい違うのです。にもかかわらず、ただ知事なるが故に三選は禁止するけれども、市町村長の場合は全然放任して顧みないことは、いささか同じ筋から行きますと、ちよつと一貫しない点があるのではないか、その点を何か一貫するような方法をお考えにならなかつたか、その点お伺いします。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は、いわゆる議決権と執行権というものが非常に大きな差異があるし、又国民生活に与える影響は問題にならんほど懸隔がある、かように信じておるのでありまして、例えば議員がたとえ連続してやつても、議員そのものは何も執行権は持たない。従つて、悪く言えば、執行権を持つ者に陳情するか、或いはこれに威圧を加えるか、こういうふうな程度でありまして、自分が真に固有の権限を持つておつてこれを濫用するものと全く同日の断ではない。こういうふうに考えまして、議員等については、これらの必要は全然ないと、かように確信しておるのであります。今のお話の大都市の問題は、必ず同様の問題が起つて来るのでありまして、これらにつきましても、私は今後続いて何らかの措置をとる必要がある。この際は取りあえず最も質の高い行政権を持つておる都道府県知事についての規定を出した、こういうことに過ぎないと考えておるのでございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 小林委員は知事の職務権限というような点を今強調してお話なさつておるのですが、併し大体最初の提案の理由にもありましたし、又さつきの私の質問に対する御答弁にもありましたが、やはり知事の三選を禁止するという理由は財政的な理由が主なんですね。だから仮に知事の権限というものが非常に強大であつても、地方財政が知事の選挙運動によつて弊害をこうむる、いわば地方財政に対して知事の選挙運動が迷惑を及ぼすというようなことさえなければ、知事の三選を禁止するとか禁止しないとかいう必要はないというようにお考えになつて然るべきだと思うのですが、その点如何ですか。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は言い洩らしておるのでありますが、財政関係もあるが、もう一つ大きな理由は選挙の公正を害しておる。即ち不当な影響力によつて、要するに選挙が出発を極めて平均のとれないものにする。例えば他の候補者と同じ選挙をするについても非常に大きなハンデキヤツプを持つ。即ち簡単に言えば選挙の公正を害しておる。こういうことにも大きな原因があるというふうに付け加えておきます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 選挙の公正を害する、それから財政上の理由、これが大きな小林君の提案内容だと思うのです。併しこいつを引つくり返して考えてみると、いわゆる憲法に規定されておる選挙権であるとか、被選挙権であるとかいう問題になりますと、果して基本的な人権というものがただ財政上の都合というようなことで、これを引つくり返して選挙権を奪うということ、これは憲法のほうから逆に考えて行くと大変なことになると考えるのでありますが、地方財政の窮乏ということと、いろいろな基本的人権ということの比重という点から考えてどういうことになりますか。

小林武治緑風会

○小林武治君 憲法論はいろいろありますが、要するに私どもは知事が選挙運動をする、そして選挙の公正を害するということが公共の福祉に合わない、こういう見地からしてこれを制限してもよろしかろう、かように考えております。無論議論はいろいろあります。あるが、併し疑いがあるとか、これは飽くまで議論でありまして、結論は出ておらんように私は考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 憲法の問題につきましては、いずれ又更に御質問申上げたいと思うのでありますが、ただいわゆる現任知事の選挙運動というものの実態が、よい政治を行うということも、これは第三者から見れば、あれはあんなことをして選挙運動をやつているのだというようなことになると思うのですが、そうでなくして、県費を使つて出張するとか、或いは又いろいろ何か金品を買つて地方の団体に寄附するとかいうようなことも、やはり選挙運動だろうと思うのですが、その選挙運動の実態というものはどういう方法で、或いはどういう機会に、或いはどういう程度の県知事の選挙運動が行われるか、本当に良政を施すということと私どもから考えれば紙一重の相違じやないかとこう思うのですが、まあ先ほど秋山君のどこの知事がどういうことをやつているかということについてはお答えができない、したくないというお話であつた。選挙運動の実態ということになりますと、良政を施すということと、それからそうでなくして選挙運動として金品を寄附したとかいうようなことと、どういうことになりますか、はつきりそれが区別できますか。

小林武治緑風会

○小林武治君 今のお話は、はつきり区別はできません。立派な仕事をすることによつて毎日選挙運動の結果になるということは、誠に結構なことでありまするが、故意に或いは無意識にいわゆる選挙運動をしておるということも考えなければなりませんし、又実は供米等の点、或いは災害等の点におきましても、県知事というものは国家と地方とを調整する役割をしなければならんのでありまするが、これらもややもすれば県民の意を迎えるに急な余りに国の仕事に協力しないというようなこともあり得るのでありまして、これらも或いは皆様もお気付になつておることかと思うのであります。災害などについても、むやみに国から補助金を取るということもしばしばありまするし、又供米等もできるだけ少くしようというふうなこともありまして、国家の仕事に協力する点においても私は多少遺憾の点があることを認めておるのであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 そこはなかなかむずかしい問題で、国の仕事としてお挙げになりました例えば供米であるとか、或いは災害であるとかいうようなことについて、これを本当にいわゆる公正な目から見て選挙運動であるということを断定することは果して妥当かどうか。やはり災害に困つている県民のために災害費をできるだけ余分にまあもらつて来るといいますか、取つて来るといいますか、或いは災害のあつたために供米をできるだけ少くするということも、これは県民に対する知事の仕事だろうと思うのです。これは私自身は県知事をやつたことはありません。よくわかりません。併し、国の言つて来たことを何でも承服して、そのために県民に犠牲を強いるというようなことは、これはいわゆる善良な知事であるというふうに直ちに考えることができないと思う。又府県が自治体であるということであれば、多少国の方針に逆つて自分の所信を断行するということもあるし、こういうことはいわゆる上からの任命制であつたときの知事でも、ときには政府の方針に反対して随分頑張るという知事もあつた。こういうことは、はたから見て、小林君が見て、それは選挙運動だとこう考えられることでも、私が見てあれは県民のためによくやつたというふうに考えられる場合がある。ですから、必ずしも今例示された供米の問題であるとか、或いは災害予算の問題でも、私は国の方針に必ずしも迎合しない者がけしからんということは言えないと思うのですが、どうですか。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は知事の立場としては、県民にもむやみに迎合しないと同時に、国に対しても迎合しないのが一番よいと、こういうふうに思うのでありまして、それには私は公選というものは非常によい制度であると、併し公選に過ぎると、国のほうに対してもいろいろの考え方が違つて来る。又県民に対しても迎合に過ぎると、そういうふうに思うのでありまして、その中間をできるだけとりたいと、世上官選論の出ておるのは、私の言うような弊害が多く認められて、かような説が出ておるのでありまするが、私は官選論に組しない。従つて、公選をどこまでも続けて行くというのには、公選のよいところをできるだけ残しておきたい、こういうふうなところから申上げておるのでありまして、見方は人によつていろいろ違います。それでありますからして、我々はかような提案をして皆さんの御批評或いはお考えを願つておるのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 今の迎合という点が、私は一口に迎合と言えば何か知事が非常に不当な選挙運動をやるというような響きを持つのですけれども、この迎合という内容は、今松澤委員がおつしやるように、よほどこれは考えてみなければならんことではないかと思うのです。どの程度が迎合という言葉の当はまる場合であつて、又紙一重で民意を尊重するとか、或いは民意に副うというような民主主義の最も本質的な建前にも触れて来る問題なんですが、まあ小林さんは今知事官選論には組しないということをおつしやる、その点ははつきり知事の民選制というものを支持しておられるようですけれども、併し知事三選を禁止するという基本的なものの考え方、或いは思想から導き出した結論は、結局今おつしやるような弊害を完全に除去するためには、民選よりも官選がよいというように結論がなつて来るのではないかと思うのです。その点にもかかわらず、やはり飽くまで民選を守つて行こうとなさるところには、多少の矛盾ができて来るのではないかと思うのです。官選にした場合にはこの弊害は民選の場合よりも完全に除かれるというようにお考えなのかどうか、それから若し官選の場合ならばこの弊害は除かれるとおつしやるならば、にもかかわらず民選がよいとおつしやる理由は何であるか、その点をちよつと伺いたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 私の申上げるのは、官選というのは、戦争前から皆様も御承知のように、任期が少しも安定しない、又仕事は常に東京に向つて仕事をしておる、県民の思惑などは構わないと、こういう傾向があつたのであります。従つて私は、民選の知事は常に県民の利福を念として仕事をしておると、併しそれだけに捉われないで、やはり国全体のことも調和してこれを考えると、この両方の利点を兼ね合せるということにおいて私は公選がよろしいと、こういうように考えておるのでありまして、官選になりますれば、日本の政治組織が又官僚政治に戻る心配があるし、又然る場合には政府のことだけを心配して仕事に当ると、こういうことになるので、これらは飽くまでも除去したいと、かような考え方からして、今の案はこの両者を折衷し得るというふうに私は考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 小林委員の御説明によりますると、結局官選に知事の制度が走ることを防ぐ意味においても、三選というものを妨げるという方法をとれば折衷的な利益というものが認められるのではないかと、こういう御意見でありますが、お説のように県民の利福というものを考えて、それにのみ走つて国との調節というものが全然考えられないという知事が仮にあるとするならば、それは知事としての本来の自覚なり職務なりというものに理解がないということでありまして、それを批判するのはむしろ選挙民の権利ということになるのではないかと思うのです。小林委員の御指摘のように、確かに二選、三選ということが続くということであるならば、弊害ができるということも認められないわけではありません。併しそれは候補者自身の政治常識なり政治道義なりというものによつて解決を迫るべきものであつて、或いは又それに対する批判というものは選挙民自身が行うべきものであつて、こういう一つの制度というものを以て選挙民の判断というものに一面束縛を与える、或いは候補者自身の政治常識というものに対しての反省にも何らの考慮をする余地をも与えないという傾向を助長することになつて、却つてまずいのではないか。今秋山委員が言われたようにこういう考え方というものは、若しこの事実というものを押し進めて行くならば、四年でも長いのではないか、いいものなら五年でも十年でも第三者が認めてやらせればいい、悪いものなら一年でも交代したらいいではないかという官選制を再び積極的に認めるという結果になりはしないか。こういう心配を持つのですが、この点如何ですか。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は公選のいいところは要するに県民のほうに向つて主として仕事ができるということと共に、四年なら四年にきつちり安定ができるという非常に大きな利点があります。    〔委員長退席、理事石村幸作君着席〕  官選の場合には、ひどい場合には一年おらんという知事が非常に多かつた。かような場合に県の仕事はできない、こういうふうなことも私は考えておるのであります。それから実際問題として県民の批判というものも勿論成立ち得るのでありますが、ともかくその知事が又やるということになつた場合に県民がどういう考えを持つか、こういうことも考えなければなりません。  なお、実は私は今回の問題につきましていろいろの地方の人から話を承わつておりまするが、非常にこれは私に対する答弁だから賛成するのかも知れませんが、殆んど大部分の人がいわゆるこれに賛成だ、こういう態度を数多くの人から話を聞いておるのでございます。又県庁員自身にしましても非常にお困りのようでございますが、知事が再び出てどうなるかということがなかなか県庁の仕事の構成或いは能率という上においてもいろいろ弊害を与えておるということも県庁員から承わつておるのであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 そういう事実というものを私もその一部を認めることにやぶさかではないのでありますが、結局知事の三選というものには非常に弊害がある、こういう考え方、その弊害を法律によつてとめて行こう、こういうふうにしてこの弊害を直して行くことが正しい民主政治の発展というものに非常に裨益することになるか、そうではなくて、時間がかかつてもそういうふうに自己の利益或いは選挙ということはかりを考えて二選、三選ということを図る知事は選挙民自身がこれを除外して行く、排斥して行く、そういうふうに選挙民自身の政治常識と申しますか、そういうものを育てる方法をとることが本筋かということには非常に問題があるのではないかと思うのです。仮に知事がいろいろな弊害があるというならば、知事の職務規律といつたような面で、これは府県議会なりがいろいろ検討をして制圧を加えるという方法をとれないわけではない。或いはそういうふうな知事の行動というものに対しては、もつと社会教育なり政治教育なりという問題から選挙民に強い批判を知事に浴びせるような宣伝啓蒙というものもとれないわけではない。そういうものを捨てておいて、まだ長いといつても八年、八年か十年くらいの間に  一つ二つ弊害があるからといつて、全体の機構というものが引つくり返るような方法をとるということであつては、いつまでたつても一つの民主主義のルールというものが育つて来ない。こういうふうな心配を私は持つわけでありますが、その点便宜的にはお説も認められるのでありますが、一体そういうことをやつて行くと、いつも法律を与えなければ県民自身が、或いは選挙民自身が何らの政治的な常識も確立できなければ反省も持たないというような育て方をして行つて、一体民主主義の政治というものが育つて行くのかどうかという点で御説明を頂きたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 これはお話の通り、かような提案をするということは私も誠に残念であります。併し私は主として実際問題から出ておるのでありまして、現在知事に対しては何人も事実上監督権を持つておりません。県民が批判するといつても政治に対する関心というものは極めて薄い。更にどこの県会を眺められてもわかるのでございまするが、県知事がよほど悪くてもこれをリコールその他の不信任ということはできない、蔭でぶつぶつ言うのでありますが、県会がこれを何らかの進退をきめさせるというようなことは殆んど今の状態では不可能であります。従いまして、止むを得ざる処置としてかような遺憾な提案をしておる、こういうふうに思つておるのであります。而して知事にかようなことをするのは、かような制限を受けることはいけない、こうおつしやるならば、高級公務員についても同様なことが言えるのであります。高級公務員には昔から官吏服務規律があつて大臣が監督しているじやないか、これをなぜ法律でこんなことをするかという議論が又あるのでありますが、聞くところによれば、或いは皆さんはこれに賛成されるかも知れないというようなことであります。その間のこの官吏の関係から言えば、高級公務員のほうがもつと大臣その他の上司の監督を受けて、又むずかしい服務規律の制約も受けておるのでありますが、それすらもかような法規を出さなければならんというのはこれでお考えがつく、即ち知事のかような制限をするのがいけないならば、高級公務員の問題もこの際改正しろというふうにおつしやれば、私は趣旨が一貫するのじやないか、かように考えます。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 これは条件が違うと思うのです。知事というものは選挙によりまして、これを引下することもできれば又上げることもできる、そういう権限というものを選挙民自身が持つておるわけです。選挙民の引上げというものを考えないで、選挙民を現状において知事というものだけにいろいろ制限を加えて行くという方法にこれは完全な問題の解決ということがないじやないかということが一点、それからこういう考え方を推し進めて行くならば、むしろそれならば官選知事によつて政府の判定によつてよさそうな知事というものを一年でも二年でもきめて、駄目だと思つたら又変えるということを復活させる思想を一部認めるということにはならないか、こういう点を心配しておるのであります。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は知事の地位がとにかく或る期間安定するということが絶対必要である。それには官選ではさような期待はできない。こういうのでありまして、又仕事をするについても民主的の政治をするということについてはできるだけ県民のことを心配してやる、これが私は政治である、而も旧来の官選知事ではその点において非常に欠けるところがあつた、この弊はどうしても改めて行きたい、こういうふうに私は考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 それはわかるのです。官選知事にしたほうがいいのじやないかということを申上げておるのじやないのであります。そのお説はよくわかるのでありますが、併しこういうふうに知事の立候補というものに対して激しい制限を法律で加えて行くということに対して、知事というものに対して一応信頼をおかないということになりますと、民選知事というものに対して信頼をおかないということになりますと、それは官選知事への復活を芽生えさせるという一つの思想と相通ずるものをはらんで来ることにはならないか、その点が心配なんです。小林先生のお考えはわかる。併し先ず制度そのものはむしろ官選知事のほうがいいのじやないかという考え方の今後根拠になるのではないかということをどうお考えかということなんです。

小林武治緑風会

○小林武治君 私はさようにはならないものであると考えまするし、又要するに現在の選挙の程度と申しまするか、現在の段階においてはそのような非常措置も必要だと私は思うのでありまするが、これが又もつと批判が、県が公正な判断が自由にできるということになれば、この制限は解いてもいいというくらいに私は考えております。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 関連して。知事の連続三選を禁止するように法律ではなつておるようであります。そうなりますと、例えば二選の結果、その次に連続でない場合は四年間の間があれば又知事に出れる、こういうことになるわけですな。そうしますというと、高級官吏並びに知事は衆議院、参議院の選挙に出る場合には二ヵ年間やめてから期間がたてばいいと、こういうことになるわけですね。その間にどういうふうな一体差異を認められているのか。知事が三選に出る場合には四年間の間がなければならない、それから高級官吏の場合には二ヵ年間でもつてそちらのほうに出ることができる、この間の区別を付けたとこところの理由、これをもつと私にわかるように説明して頂きたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 これは別段故意にさような区別を付けたということでなくて、結果的にそういうふうになつておる。まあ例えば次に出た知事に故障があれば半年でも又立候補できると、こういうことにもなるのでございまして、高級官吏の制限とは全く違つておるのであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 いや、故意にやつたのではなくして結果的にそういうふうになるということになりますれば、一応四年間立候補できないというふうなことに対して検討が行われなければならない、理由が付かなければならない。高級官吏の場合とどうしてもこういうふうに違う、性質上違う、こういうふうな理由が私はなければならないと思う。これはまあ憲法問題にも私関係して来るかと思うのですが、その辺のどういう理由の上に立たれたかということをもう少し納得の行くように御説明願いたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 これはまあ私はその御指摘のような点を深く考えた次第ではないということを白状いたしておきますが、知事そのものの職務からいいましても、とにかく或る程度のギヤツプがあることがこれは付ければ必要がある、又一面から申せば、次の知事が死亡その他の事故があればすぐにでも立候補できると、こういうことにもなりまするからして、高級官吏の国会議員の選挙とは丸で違うと、こういうふうに一つ考えて頂きたいのであります、

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 まあその次の事故があれば半年にしても出れるというふうなことは、これは偶発的なことであつて、こういうふうなものをきめる場合においてはやつぱりそういう偶発事故を予想してやるというわけには私は行かないと思う。十分根拠ある理由の下に片方は四年間、片方は二年間にしてよろしいというふうなあれがなければならんと思うのでありますが、併しそういう点までは十分考えなかつたと、こういうお話でありますから、私はその点を深く御質問申上げませんが、そこでそれと似たような問題で、先ほど秋山君からもちよつと質問があつたように、私よそのことを考えていてはつきりしていませんが、市町村長と区別したところの理由ですな、むしろ弊害の方面から言えば、知事よりも市町村長の場合の連続三選というような方面が我々から考えるというと、何か弊害をかもしやすいように思うのであります。そこでこの面に触れなかつたこれも一つの根本的な理由が確かにおありだつたろうと思うのでありますが、その点をお伺いしたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 先ほど申しましたように、大都市等については当然続いて問題が起きて来ると、かように思いまするが、私どもとしましては、知事の職務権限の強さ或いは深さ、質量の問題からして程度の差があると、かような観点からいたしまして、この際市町村長を問題にしなかつた。従つてこれらも今お話のような大きな弊害が出て来るならば、これは我々も皆さんが修正なさるというなら、それをあえてお断りするわけではありません。特に東京、大阪等の問題については同じ問題が必ず生じ得る、かように今までも考えております。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そうすると、その弊害を予想されるということになりますれば、いずれこの問題についても三選禁止というようなことは小林さんとしては考えられておる、こう了解してようございますか。

小林武治緑風会

○小林武治君 ええ。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 その次に伺いたいことは、これは私は先ほど来知事官選の問題については御意向は承つたのでありまするけれども、小林さんとしては、  まあ官選は希望しない、やはり民選知事によつて十分住民の福祉というような方面も考えて行くような知事でなければならない、こういうふうな御意向であつたように思うのであります。そこでこれはただ知事の官選ということばかりでなしに、府県の性格に関係して来る。それで府県の性格は今のところは完全自治体である。それがだんだん一つのいわゆる国の出先機関というふうな工合になつて来た場合に、これは直ちにこの問題が関連して来ると思うのでありまするが、この府県の性格について将来どうならなければならないかということについての小林さんのお考えを伺つておきたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は府県はやはりできるだけ完全自治体として残しておきたいと、こういう考え方を持つております。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 それで行きますというと、あなたのお考えは変らないということになつて来るのでありまするが、そうなるとこれは本質論から行きまして、府県は完全の自治体でなければならない、それから知事の官選も好ましくない、そういう一つの理論に立つて物を考えて行くことになつたら、三選を禁止するということは当然これは根本的に矛盾して来るのでないか、こういうふうに私は考えられる。その点について……。

小林武治緑風会

○小林武治君 どういうことですか、もう一度。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 もう一度それじや申上げます。(笑声)簡単に申上げます。あなたのお考えは知事の官選も望ましくない、それから府県の性格はこれはどこまでも完全自治体として考えて行かなければならん、こういうふうになりますというと、幾らかの弊害があつたとしても、これを是正する方面に向つて三選禁止というふうな態度をおとりにならないのが私は根本的な考えでないかというのであります。むしろ三選を禁止するというあなたのこの考え方はそれに矛盾して来るのでないか、こう思うのであります。

小林武治緑風会

○小林武治君 これは私は先ほどから申上げておるように、誠に遺憾な異例な措置である。従つて事態が許せば元にかえりたいとさえ申上げておるのでありまして、現在のような弊害を現在の事態においては除きたい、こういうことから出ておるのであります。

若木勝藏日本社会党(第四控室・左)

○若木勝藏君 そうすると、あなたの三選禁止ということは根本的に考えて御本意でないというふうに私は受け取る。ただ単に今現れておるところの弊害というふうなもののために、この一時的な弊害のためにこういう三選禁止をやるということはこれは他に途がある、そういうふうなお考えなら。三選を進めて行きつつこれを他の方法をもつて今の弊害を除去するというふうな方法があるのじやないかとこう思うのでありますが、それに対してはあなたはどうしても他の方法を用いないで三選禁止をする以外に方法はない、この弊害を除去するには、こうお考えになるのでありますか。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は現在の段階においては考えられないから、若しあつたら教えて頂きたい。いさぎよく引つ込める、適当な方法があれば。かようにお答えしておきます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 さつき御質問しておつたことの続きなんですが今までのお話を聞いておりますと、結局知事三選を禁止するという理由は二つある。一つは財政上の理由、第二は知事が知事の権限にものを言わせて選挙の公正を不当に損う慮れがあるというまあ大体この二つのようです。財政上の理由につきましては、さつきもいろいろと質問をいたしましたように、必ずしも今日財政的に非常に困つているというのは府県だけに限られた現象ではない。或いは府県以上に市町村等で非常に財政的に困つておる所も多い。而も、にもかかわらず府県だけに限つてこういう処置をするということは、市町村との均衡上から考えてもいささか不当ではないかということをお尋ねして来たわけです。財政上のその点については、又第一段階として知事であるというお話なんです、そこで第二の問題として挙げておる選挙の公正を不当に害する、その不当に害するという内容が、具体的にどういう不当なことをやつて選挙の公正を寄しておるのか、その点を一つ具体的に御答弁願います。

小林武治緑風会

○小林武治君 これは県の金を使つて選挙運動をする、或いは特別のインフルエンスを使つて選挙を有利にするということは、他の選挙候補者との関係において不当に私は選挙について影響力を及ぼす。こういうふうな考え方でありまして、これらは随所に私は認めておるのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 さつき何か知事の場合は、小学校の子供にまで名前が四年間のうちに周知徹底されるので、そういう面において非常に知事以外の者と現職知事とが選挙区で争つた場合にハンデキヤツプが付くというようなお話があつたのですが、そういう故意でなくして、自然に知事の名前が県民の一人一人に覚えられる、だからやはりそれも結果から見れば選挙の公正を害する結果になるのじやないかということもあるわけですか。

小林武治緑風会

○小林武治君 さようなことは私はそういう理由の中に数えておりません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 そういたしますと、結局選挙の公正を不当に害するという内容も、やはり県の金を使つて選挙運動をやるということのようでありますが、結局やはり財政的な理由一本ということになるわけですね。

小林武治緑風会

○小林武治君 それが自然選挙の公正に関係して来ると……。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 だから知事の三選を禁止するという理由は、地方財政を不当に膨脹させるということに出発し、又それに尽きているわけですね。

小林武治緑風会

○小林武治君 それもそうでありますし、先ほどから申上げましたように、国と県との間の調和のある仕事をするためにも私は必要がある、こういうふうに考えております。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 この点についてはどうしても、さつき私がお尋ねしましたように、ただ常識論として、知事の三選を許しておいたならばでたらめをやつて困るという常識的な議論でなしに、具体的にこれだけ問題の多い知事三選禁止、又さつき出ておりましたように、憲法違反の疑いというようなことも出て来るような問題でございますから、やはり具体的に、こういうことをやつておるのだ、どこの知事はこういうことをやつておるのだ、これで放つておけるかという具体的な事例をやはり提供して頂きたい。そうでないと、ただ地方の知事がでたらめをやつておる、やつておるといつても具体的にでたらめをやつておるのがどこなのか、どういうでたらめをやつておるのかということをろくろく我々として議論をしないで、ただ小林さんがでたらめをやつておるという話だつたから、俺はそれに賛成したのだというわけには行かない。やはり自分で、こういうでたらめを成るほどそうまでやつているのなら、或いは止むを得ないかも知れないと思える程度の材料を、やはり我々としてはつきり掴んだ上でこの意見をきめたいと思います。その点を最後に御質問したいと思います。

小林武治緑風会

○小林武治君 これはどこからどこまでが選挙運動で、どこが正常の業務だというようなことはなかなか区別のつきにくい問題でありまして、要するにその弊が程度が過ぎたものをこれは主として言うことになります。先ほどお答えいたしましたように、我々もそれぞれのことを知つております。併しさようなことはいろいろの観点からこの際言うべきでない。こういうふうに思いますし、又秋山さんに個人的にこんなことがあるがというようなことであれば、私はお教えすることができるかも知れませんけれども、かような席では上げられませんということを申しておきます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 かような席ではとおつしやるのですけれども、併しそういううやむやな、あいまいな理由で、そうして禁止することたけをはつきり法律でぴしやつときめて、これで知事の三選ということは絶対に不可能になるわけですから、これはやはり非常にその影響等の点から考えても重大な問題だと思います。そこでこういう席ではとおつしやるならば、或いは傍聴のかたその他委員以外のかたに出て頂いても結構なんでありますから、とにかく具体的な点について我々委員としては一応あなたのこういうことをお考えになる根拠というものをはつきり掴んだ上でないと、これはやはり、結論が出ないと思うのです。如何ですか、その点具体的なものを或いは事例を提供して頂けませんでしようか。

小林武治緑風会

○小林武治君 そういうことは今いたしたくありませんし、併し秋山委員もいろいろお聞きになつているのじやないかと私は思いますが、あなたがお聞きにならんとすれば誠にあなたの県は立派な県である、こういうふうにお答えせざるを得ないのであります。又一つ、例えば現在一体知事がどれだけ在庁しておるか、全国に……、これらのこともお調べになれば或る程度又これらの参考になろうかと思います。ということも私申上げておきたいと思うのであります。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 これは在庁の問題が出たのでありますが、その点でお伺いをいたしたいのでありますが、確かに小林委員の指摘されるように、非常に在庁の期間が少い、日数が少い、それは知事の職務に支障を来たすのではないかということも又考えられるのであります。併し半面民選知事ということになりましてから、一般の県民と知事との間というのは非常に近付きまして、具体的に言うならば、学校の落成式まで知事が行く、これは知事の職務かどうかということは問題でありますけれども、そういうことによつて治める側、治められる側という関係でなく、自分たちの出した知事である、自分たちが選挙した主体である、こういうふうな自覚が、知事を身近にたびたび見たり話したりする間にそういう感じというものが強まつて来て、それは知事を選挙する一つの常識を高める資料、材料にもなれば、或いは自分たち自身の知事に対する批判を深める一つの材料になる。こういう見方も私は成立つのじやないかと思うのです。それの効果と、併し在庁しない欠点、これは比べものにならないと言えばそれまででありますけれども、知事を身近に感じ、知事を身近に批判できるだけ、やがてこの時期をかすならば、知事がこれは一体選挙運動のためにこういうふうにやられておるのか、それとも本当に自分たちの府県の仕事というものを充実するために民意をよく見聞きするために出歩いておるのか、この知事は職務に忠実であるか、或いは選挙に没頭しておる知事であるかというようなことがだんだん今のような関係が続いて行きますれば、ひとりでに選挙民にわかつて来る、そういう利益の面というものもあるのじやないか。こういう点小林さんは知事をおやりになつて、何か御経験もあるわけでありますから、在庁しないことが必ずしも全部マイナスだということにはならないと思うのですが、御経験の上で如何ですか。

小林武治緑風会

○小林武治君 それはお話の通りでありますし、併し在庁の多少というものが、選挙の前と当選後と非常に違うというような事例もきつと恐らくたくさん発見されるだろうと思いまするし、併し何としましても県の本当の仕事はやはり在庁してする仕事が多いのでありまして、いなければ県民も非常に不便を感じております。即ち或る一部の所へ行つているために全体が犠牲になる、こういうことでありまして、私はできるだけやはり在庁しておるのが本当だというふうに考えております。お話のようなことも無論ございます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 在庁々々とおつしやるのは私はどういうことだろうと思つたら今ようやつとわかつたので、要するに知事が県庁におる時間だということで、それが少いということをおつしやるのですけれども、仮に、じや官選時代の知事は県庁へおることが非常に多かつたというようなことかも知れませんけれども、併し昔の知事と今の知事とは全然官選と公選という建前からして違つて来ております。特に今日は民主主義だとか何だとかいうようなことで行くわけですから、知事がただ県庁の知事の椅子にあぐらをかいて、そうして下のほうから上つて来るものに盲判をついておればいいという性質のものではないと思う。やはり知事は民意に忠実であればあるだけ、みずから横着がらずに足を運んで、すべての問題を率先垂範で解決をして行くという建前である以上は、知事が若干在庁時間が少いなどということは、これはもう当然のことだと思うのです。又そのために副知事というような今までなかつた知事の代行をやる機関をも自治法が設けておると思うのです。こういうことは今何も我々がここで事新らしく議論しなくても、水戸黄門のあの漫遊記の時代から、名君と言われ、或いは民意に忠実な支配者というものは、すべてみずから足を運んで、わらじを履いて山の奥まで歩いて、そうして民情を探つてやつておつたのです。ですからそういう在庁時間が短いというようなことは、これは一概に今の知事にそういう議論を当てはめるということは、私は余りにも実情に反するし、又知事に対しても余りにも酷だというように考える。然らば三選を禁止するとおつしやるけれども、これは今日まで恐らく民選知事の制度になつて以来、三選という経験は殆んどの県でまだないはずなんです。尤も知事が途中でやめたり何かした県には或いは三選ということがあるかも知れんけれども、大体まだ二選くらいが一番多いところじやないかと思います。にもかかわらず、その僅かな経験をもとにして、直ちに今後三選をやらせたらどんな悪いことをするかわからないというように結論付けることは、私は非常に危険ではないかというように考える。そこで事実知事に三選、四選をやらせてみて、そうしてその結果を周到に、慎重に検討した上でこういう問題は取上げるべきが至当じやないかというように思うのですが、そういう御意思はないか。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は冒頭に申上げましたように、私の意見としては二選をやめてもらいたい、こういうことを考えておるのでありますから、経験はすでに十分あるというふうにお考え願いたいのでありまするが、初め申上げましたように、かようのことはさように言うてもなかなか通りにくい、従つて或る程度常識的に事を運んだというふうにお考え願いたいのであります。  なおもう大体私はこの問題については、私のお答えできることは殆んど尽きておるというふうに存じまするからして、さような程度で一つ是非御判断を願いたいと、我がままなお願いを申上げておきます。    〔理事石村幸作君退席、委員長着席〕

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 金丸選挙部長にちよつとお尋ねしたいのですが、この知事の三選を禁止するというような事例が諸外国にあるのかどうか、その点について一つ。

金丸三郎自治庁選挙部長

○政府委員(金丸三郎君) アメリカの州その他につきましては私ども聞いておりません。アメリカでは御承知のようにルーズヴエルト大統領が四回連続当選をいたしましたので、一九四七年の三月に三選禁止の憲法改正をいたしたそうでございます。これは七年内に三十六以上の州が批准と申しましようか、同意いたしませんと憲法改正が確定いたさないことになつておるそうでございます。只今、と申しますのは一九四九年の一月現在で二十二の州が賛成をしておるそうでございます。それ以外には承知いたしておりません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 アメリカ以外には全然ないわけですね。

金丸三郎自治庁選挙部長

○政府委員(金丸三郎君) ほかで首長を直接に選挙している国は、日本とアメリカのほかはスイスでございますが、非常に少いと思います。私ども只今のところ取調べの手が届きませんで承知いたしておりません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 アメリカの場合も大統領の三選というだけで、州の知事なり或いは市長あたりの三選禁止というようなことは全然ないわけですね。

金丸三郎自治庁選挙部長

○政府委員(金丸三郎君) 私どもの承知しております限りではございません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 知事の三選禁止という問題に関連して、今まで聞いて来られた通り、知事が不当に地方財政を選挙運動によつて膨脹させるという非常に強い判断をしておられるわけでありますが、自治庁のほうでは今日地方の府県財政が非常に苦しいという点はよく御承知の通りだろうと思うのですが、この地方財政が非常に苦しいという理由は、知事がふだんに選挙運動をやつておる、そして非常に府県によつて金を無駄使いする、そのために地方財政が苦しいのだと、こういう御判断をしておられるかどうか、次官からお伺いしたい。

青木正自由党自治政務次官

○政府委員(青木正君) 知事の三選禁止の問題につきましては、御承知のごとく地方制度調査会のあの答申の出る過程におきましても、委員の間にそうした意見が出ておることも私ども承わつております。そのときの考え方と申しますか、気持は、やはり三選するということがどうも地方財政に悪影響を与えるというような具体的にどうということはなかつたと思うのでありますが、どうしてもそういう傾向が生じがちであるということは、委員会のかたがたの御意見もそこにあつたと思うのであります。自治庁といたしまして、知事が連続して選挙に立つときは、こうこうこういう具体的な弊害があるという資料をここに私持つておるわけではありませんが、一般的にややもすればそういう傾向に陥りがちであるということは、一つの常識として世間からも言われ、又私どももそうしたこともしばしば耳にしておるわけであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 地方財政の問題については、我々も繰返し議論をして来たところなんです。で、何とかして今日の赤字財政を建直さなければならんというような問題につきましては、与党たると野党たるとを問わず、又国会たると政府たるとを問わず、これは頭を悩ましておる問題なんです。こういう方法をとることによつて、知事の選挙を三選を制限するか、二選を制限するか、とにかく知事の選挙、立候補を制限するというような方法で、今日のこの深刻な地方財政の問題が解決するのかどうか。この点の自治庁の御見解は如何ですか。

青木正自由党自治政務次官

○政府委員(青木正君) 自治庁といたしましては、三選を取りやめるがいいとかどうとか、まだそういう結論に到達するまでに至つていないのであります。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 ちよつと参考のために金丸選挙部長にお尋ねしたいのでありますが、今日全国の府県知事の中に一回当選の人が何人とか、それから二回当選の人が何人とか、三回当選の人が何人とか、或いはそれ以上の人が何人とかちよつとその数字がありませんか。

金丸三郎自治庁選挙部長

○政府委員(金丸三郎君) 今ございませんが、ちよつと時間を頂きますとお答えが申上げられると思います。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 それをちよつとお願いします。じやその数字が来るまでちよつとお尋ねいたしますが、我々はどうも知事三選の問題は、小林さんのおつしやることもわかる点もなきにあらずなんです。なきにあらずだけれども、併しいろんな面を総合的に考えた場合に、非常にこれは疑問を持つ。直ちに弊害があるから三選禁止というように簡単に私どうも結論しにくいように思う。その一つの理由として、さつき若木委員から出ておりました憲法違反になる虞れはないかという問題なんです。それで我々はどうもこの点について、法律の専門家でないだけに、どうも常識論にそれ勝ちなんです。この点についてあなた専門家としてどういうようにお考えになるか、率直な御答弁を願いたい。

金丸三郎自治庁選挙部長

○政府委員(金丸三郎君) 憲法の、社会的身分等によつて政治的な処遇に差別をつけるというような条項には該当しないのではないかと思います。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 この点については、さつき高級官吏の場合と同じじやないかという話があつたのですが、高級官吏の場合とは多少違うと思う。高級官吏の場合には、要するに国家公務員というあの公務員法によつて規律されたところの職を持つた人なんです。そういう人がややもすれば在職中に国家公務員法の精神に違反して地位を利用していろんな準備活動をやるから、だからそれを抑えるというような立場においてこれは考えられたものだと思うのです。ところが知事のほうはそうじやなくして最初からこれは選挙を生命としておるこれは仕事なんです。又選挙あつての知事なんです。だからそういう点違うと思うのです。その点についてどうもやはり三選を禁止するというやり方は、例えば日本国民であつて公民権を持つている以上は、当然選挙に立候補し又被選挙権も許されて然るべきじやないかと憲法上こういうように考えるのですが、その点についての法律的な解釈を一つ聞きたいと思います。そこで委員長にちよつとお願いしておきたいのですが、この問題はやはり重要な問題ですから、法制局長官を呼んで頂きたいと思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 委員長のほうでは直ちにそういうふうにいたします。質疑は継続して下さいませんか、そうしますとその間に法制局長官がおいでになりますから。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 小林先生、この小選挙区のほうの問題について伺いたいのでありますが、ここに提案説明の中に、小選挙区の有利な理由といたしまして、政局の安定と政界の粛正のために金のかからない選挙を目指すんだと、こういう事項があるのでありますが、政局の安定と政界の粛正といつたような目的のためには、より優秀な人物を出す、より民意の反映されておる代表者を出すと、こういつたようなものも当然基本的な問題になつて来るんだろうと思うのです。そこで小選挙区ということになりますると、人物選考上、中選挙区、大選挙区というものから見れば、より優秀な人物を出すということは幅が狭められて来るという考え方も一つ成り立つと思う。或いは又より民意の反映する代表者を出すということになりますると、投票する代表の票数というものがどれだけ生きて来るか、どれだけ死んで来るか、死票が出るかということになりますると、私の概算では、小選挙区のほうが死票の率が余計になつて来るのじやないか、結局無駄な票というのが、投票はしたけれどもその投票された個人の意思というものが生きて来ないという率が余計になつて来るのじやないか、そうなつて参りますと、それは少数の代表者が出て、多数の投票者の代表者は出て来ないという危険性もあるわけです。こういうふうな問題がこの小選挙区をきめますときに問題になつたのでございましようか。又問題になつたといたしましたら、どういう点でそういうことが支障がないというふうな結論が出たのでございましようか。この点について伺いたい。

小林武治緑風会

○小林武治君 これは初めに私正直に申上げておきますが、私は選挙法の大家でもありませんし、もつと率直に言えば、できるだけ輿論と申しますか、常識に従つて結論を出した、こういうことを言わざるを得ないのでございます。而して今加瀬さんが言われるようにいわゆる比例代表等に比べて非常に欠陥があることも承知いたしております。又ときによつては小人物が出て大人物が出ない、こういうような説もあるのでありますが、又買収等に却つて余分に費用がかかる、こういうような説もあるのでありますが、異例のことを考えるならば切りがないのでありまして、英国等におきまして長い経験をもつて行われておりまして、さような弊害も或る程度除去されておる、こういうふうな点から、私は世間の多いと認められる意見に従つて提出した、こういうふうに極めて常識的で相すみませんがお答えしたいと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 この小選挙区の提案の一つの基礎条件として英国の例が取られたわけでありますが、英国におきましては小選挙区という制度が効果を挙げておる半面には、民主主義教育の徹底或いは選挙或いは政治、そういうものに対する教養が我が国より遙かにレべルが上だというようなことを考えなければならないと思うのです。小林委員は知事の三選について非常に現状主義をとられておるわけです。いろいろ理論的には不合理のところもあるけれども、むしろこういうものを出すことは不本意であるけれども、現状におきましてはこういうものを出さざるを得ないという現状主義をとられた。そうすると小選挙区というものも、現状主義という立場をとつて参りますと、選挙民そのものがそれほどの自覚の高まりというものがないときに、イギリスで成功しておるからといつて小選挙区を取つた場合にどういう結果が生れるか。いま一つ人物という点から参りますならば、小選挙区で出ようとする場合、東京で国政に尽瘁するより、むしろ地方におつて地方の仕事或いは地方の世話をしたほうが現状においては受けがいいことはあながち否定することはできない。どうしても人物的にこれは卓越した人物よりも、人物の如何にかかわらず、直接的に選挙民に密着した人物という傾向になつて来て、これでは優秀な人物を出すという選挙の本筋から若干懸念される問題が出て来るのじやないかと思います。金の問題も今小林委員から説明がありましたように、選挙には金がかからないかも知れませんが、或いは県会議員の選挙は参議院の選挙より金がかからないということもありますが、かかる場合もあり、かからない場合もあり、ふだん地盤を培養するための金が非常に今までとは違つた意味でかかつて来る、こういつた問題も出て来るのじやないかと思うのです。そういう点選挙する階層の現状というものと、小選挙区というものを結び付けて考えましたときに、イギリスで効果を挙げておるような効果というものは期待できますか、その点如何ですか。

小林武治緑風会

○小林武治君 只今のお話はその通りでありまして、我々も或る過渡的な期間においては相当私どもも警戒すべき要素がある、かように考えておりますし、併しこれらは然らばいつまで待つたら十分な啓蒙運動ができるかということもなかなか認定の困難な問題であります。而して買収等につきましても、昔選挙をやつたかたは非常にこれを強調されるのでありますが、この点は私は選挙民も非常に進んで来ておるというふうに思いまして、昔の議論を蒸し返す必要は私はないと思う。同時に連座制を強化することによつて、これらの問題は或る程度これは避けることができるというふうに思います。又一時的には小人物が出るということもあり得ると思うのでありますが、少し時をかし、回を重ねれば、要するに国政を運営するに当つて誰が適任であるかというようなこともだんだんわかつて来まして、これが回を重ねるごとに、私は本来の目的にかなうようになるのではないかと、こういうふうに考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 この話を出しますとどうも警察法を急ぐようで工合が悪いのでありますが、そういう意味合いでなくて、今望まれておるような姿で警察法が通る、いわゆる国家警察の面が強化されるということになりまずと、小選挙区の場合と中選挙区以上の場合と、警察干渉によつて当落をきめる影響というものが非常に違つて来ると思うのです。中選挙区であるならば、仮に警察干渉というものがあつたとしても、これは最高位で当選できなくても或る程度で当選できるということになれば、一応非常なそういう意味の干渉というものは差控えなければならないということも考えられる。小選挙で一人か零かということになりますれば、干渉すれば当選する、片方は落ちてしまうということになれば、これは非常に政党によつてはそういう警察力を用いるという手を往々にして背に腹はかえられないということから考え出さざるを得ないということも又予想されるわけであります。そういう点今度の警察法による国家の警察権力の集中という意味と、この選挙区制がそれに及ばず弊害、政党的な弊害、こういうものについては何かお考えがございますか。

小林武治緑風会

○小林武治君 選挙の干渉というお話のような心配も私はあると思いますが、とにかく現在の選挙民というものは相当進んでおる。又世論も昔行われたような選挙干渉を許すかということになりますれば、私どもの認識では、ああいうようなことは再びできない、多少の影響は与え得ると思うのでありますが、前の選挙干渉を頭においてこの問題を考える必要はないまでに私は選挙民が進んで来ておる、こういうふうに確信しております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 その認識は、知事の三選の場合にはその認識は小林委員はお持ちにならない。小選挙区の場合にはその認識をお持ちになるというふうに考えられる。現状の認識が、知事の三選の場合と小選挙区の場合と階段があるように私には思われますが、如何ですか。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は、要するにいわゆる昔行われた選挙干渉という形式、これらのことは実際問題としてなかなか困難になつて来ておる。知事の選挙についても、干渉という問題も同様に考えておるのであります。ただ知事は平素いろいろの不当のインフルエンスを及ぼし得る、或いはそれは行政権或いは監督権をもとにして行われる、こういうふうな建前から多少違うと考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 御期待されるところの政局の安定と政界の粛正というものが小選挙区によつて、これは当り障りがあつて甚だ失礼でありますが、例えば保守党なら保守党が絶対的な数を得るといたしましても、それでも政局の安定ができた、或いは政界が粛正されたという結論が直ちに打ち出せることにはならないと思う。問題は知事の三選のところでも、選挙民の政治教育とか或いは社会教育とかいうことが当然問題になるという議論が出たおけでありますが、選挙民そのものの政治知識と申しましようか、そういうものの向上というものを全然考えを抜きにして、政局の安定とか政界の粛正というものを考えても無理じやないか。現状において若し小選挙区というものを行なつた場合、人物的に貧困な者がどうしても出ざるを得ない。或いは民意を代表するという、その反映のパーセントが非常に低い者が出るということも懸念される。そういうことになると人物的にも、或いは民意を代表していない者がたくさん出るということになりましたら、政局の安定、政界の粛正にならない虞れが十分にあると思うのですが、その点は如何でしようか。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は選挙の粛正ということは、要するに金がかからん選挙をするということが一番必要であり、今の中選挙区、大選挙区では、とにかく物理的に多くの金がかかるということはどなたもお考えになることと思うのでありますが、小さくすれば、又本当に正しい選挙をすれば金は要らないということは私は物理的に出て来ると存じておるのであります。尤も政局の安定とは何ぞやということは、これは人それぞれ違つた考えがあるのでありますが、要するに私どもは国民多数の信頼を得た多数党が出現することがいわゆる政局の安定である、こういうふうに思つておるのであります。又民意を本当に代表するかどうかということは、比例代表等に比べては死票が多く出るという心配があるのでありまして、民意が代表されないという心配もあるのでありまして、これらはいずれを取るかということは、要するにかれこれ軽重の問題でありまして、弊害がないというようなことは私も絶対考えておりません。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 これは蒸し返しになりまして、時間を急いでおりまするときに申訳ないのでありますが、金がかかる、かからないかということは、現状の選挙状態をこのままにいたしておきまして、小選挙区にすれば中選挙区より金がかからないという結論が直ちに打出せないと思う。いわゆる小選挙区にするほうが競争が劇甚になりますから、どうしてもふだん地盤を培養するのに余計金がかかり、通算すれば小選挙区のほうが現状の選挙民の心情というものをそのまま反映させる結果金が余計かかるということになると思うのであります。第二の点は、こういうふうにして小選挙区によつて安定勢力が得られても、それは結局政局の安定にならないということであります。その安定勢力として出された者がどれだけ本当の意味国民の背景を持つか、或いは意思を代表しているかどうかということは問題である。比例代表なら御承知のように問題はないのでありますが、私はここに問題にしたのは、現状の中選挙区と小林委員の小選挙区を比べた場合に、中選挙区で選ぶ現状と小選挙区で選ぶであろう現状と、こういう二つを比べ合せますときに、死票が遥かに中選挙区のほうが少くて小選挙区のほうが多くなりはしないか。例えば十万票あるとすれば、三万票で当選するということになりますと、三万人の意思を代表して国会に出て参りますけれども、七万人の意思というものは葬り去られるという結論になるのじやないか。これは極端な例でありますが、少くも六〇%程度というものが小選挙区の場合死票になると思う。併しながら中選挙区の場合は、六〇%程度はこれは生きて来る票になつて来ると思う。そういう点がどうも本当の意味の、民意を代表した者が出て来るということになつて来ない心配というものを私は感ずるのであります。この点如何でございますか。

小林武治緑風会

○小林武治君 今のお話は小選挙区にも伴つて私は出て来る心配がある、こういうふうに考えております。それからなお費用の問題につきましては、私はここには出しておりませんが、事前運動の或る程度の制限というふうな方法を今後必ず講ずる必要がある、かように考えております。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それからちよつと申上げます。先ほど秋山委員からの質疑のうちに、政府のほうに資料の提出を求められました。知事の当選回数、この数字でございますが、全国四十六府県を一〇〇といたしまして、二十七県が二回連続当選をやつております。それから十九県が一回当選をやつておりまして、二十七県の二回は、一〇〇といたしまして、パーセンテージから言いますと五九%、それから十九県の一回は、パーセンテージは四一%、これは四捨五入でございます。こういう数字の提出がありましたから、これは簡単でございますから、委員長から報告いたしておきます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 今の数字ですが、甚だ恐れ入りますが、実はさつきちよつと聞き漏らしたのは、県知事だけではなしに、市町村長の当選回数の比率が出たら、それもちよつとお調べ願いたい。あとでいいですから、少々時間がかかつてもいいですから。

金丸三郎自治庁選挙部長

○政府委員(金丸三郎君) 恐らくその資料はございません。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 市長はどうですか。

金丸三郎自治庁選挙部長

○政府委員(金丸三郎君) 市長だけの、或いは市長会にでも間合せますればわかるかも知れませんが、私のほうでは実は特にそういう必要がございませんので、資料は持つておらんのでございます。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それからちよつと秋山委員に申上げますが、参議院の法制局長の奧野健一君か出席されております。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 法制局長にちよつとお尋ねしたいのですが、御承知の通り今我々の委員会では、先般来緑風会から提案されております選挙法の一部改正法律案を審議しておるわけです。その中に含まれておる重要な点として、府県知事の三選を禁止するということがある。この府県知事の三選を禁止するということが、憲法論から言いましてどういうことになるか、或いは憲法違反の疑いがあるのではないかということについて、あなたの御見解をお伺いしたい。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) お答えいたします。憲法違反という問題は、恐らく憲法第十四条の法の下に平等でなければならんとか、或いは同じく憲法第四十四条但書、或いは又憲法二十二条の職業選択の自由の問題、これらの各条との関係で憲法違反の問題があるのではないかというお尋ねと考えます。結論的に申しますと、知事の何といいますか、三選と申しますか、これが制度的に当然弊害が伴うものであるということであれば、これについての制限をするということは、今言いましたような憲法各条も、やはり或る場合においては制限を受けても止むを得ない、言い換えれば、公共の福祉と、それら合理的に制限をしていいと思われる場合においては、こういう十四条或いは四十四条或いは二十二条という条文で、或る程度の制限を受けてもいいかと思いますので、そういうような合理的な根拠があれは憲法違反という問題にはなるまいと思います。ただ制度的にそれが弊害があるかどうかということは、実際問題でありまして、当然にそうであるかどうかということは、直ちに断定はむずかしいのではないかというふうに考えます。

秋山長造日本社会党(第四控室・左)

○秋山長造君 制度的な弊害ということをおつしやつたのですが、制度的な弊害というものをもう少し噛み砕いて御説明願えませんか。それから又合理的な理由ということについて、こういう三選を法律によつて禁止するというような場合に、この言うところの合理的な理由というのはどういうことを言うのか、合理的の内容です。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) 知事の問題について面接お答えするのは材料もありませんので、ちよつとむずかしいのでありますが、例えば公職選挙法の八十八条のように、選挙事務に関係をしておる者の立候補を制限しておるとか、或いは又八十九条によつて、公務員の現職の立候補を制限しておるとか、或いは又一般に公務員がその職を離れてから一定期間、それと密接な関係のある職につくことを禁止しておる。これらはやはり平等の原則或いは職業選択の自由を制限しておるのでありますが、これらは制度的に見て、こういう制限は合理的であろうと一応思われます。そういつたような合理性のあるものであれは、そういう制限は又必ずしも憲法違反ではないというふうに考えております。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 関連して。法制局長に二点伺います。制度上の合理的な弊害といいましようか、制度上の弊害の合理的なものといつたものは、法律専門家の立場で見れば、知事の職務権限内においてどういうことが問題になるのか。二点は、二選はいいが、三選では駄目だということが今出されておるのでありますが、二選は制度的弊害はないけれども、三選になれば制度的弊害があるということになりますと、それはどういう条件というものが考えられるか、その二点。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) 二選はいいが三選はいけないというようなことは、非常にむずかしいかと思います。結局、余りに長くその職に何回もおることによつて、当然に或る弊害等が避けることができないというような、制度的にそういうものがありとまあ一般に認識せられるような場合であれば、これはやはり合理的な制限として憲法上許されていいのではないかというふうに思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 合理的に制度的な弊害があると一般的に認識されればというけれども、一般的に認識ということはなかなかむずかしい問題じやないかと思う。どういう状態になればこれは一般的認識というふうに言い得るかという問題が一つあるのじやないかと思います。それからもう一つは、知事が同じような制度上の行為をして、一方は非常に選挙の弊害を顕著に認めなければならないという場合も見られるだろうし、一方は知事としては当然な行為だと見られる場合もある。併しながら、制度上の問題としては、これは区別をつけることができないといつたような問題が当然ある。こういうようなときに、一方を一般認識の上から弊害がありと、一方は一般認識の上から弊害がないという判定が事実の上において下せるでありましようか。それは理論的には、今御説明のように、確かに制度上の弊害が顕著であると、そしてそれが一般認識上そういうふうに認定されるという問題があればという、その理窟はわかる。併し、そういう問題の判定というものが一体なし得るか。又なし得ない場合には知事の三選を禁止するということは憲法違反ということになると、法制局の御見解はそういう御見解なのか。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) 非常にむずかしい問題でありますが、例えば国家公務員法の第百三条第二項とか、或いは弁護士法第十二条といつたようなもの、或いは日本専売公社法第十七条の二といつたような場合に、公務員から天降つて或る職業につくのを制限し、或いは公務員からその土地で弁護士の職務につくことについて或る制限がある。或いは又は専売公社の関係においてもそれと類似するような制限を加えております。これは併し、その人によつてはそういう弊害のない人がたくさんいるのではないかと思います。又そういう天降り等によつて弊害のある人もある。そこで結局それは、そういう事例がたくさんあつて、当然制度的にそういう弊害が内在するのではなかろうかと一般に考えられるようなものであれば、たまたまそういうことのない善良な人があつたとしても、まあ制度としては或いはそれに対して制限を加えるということも合理的なものではなかろうかということが言い得ると思うので、それは結局一般認識と申しますか、そういう事例がどういうふうにあるかということによつておのずからきまる問題ではなかろうかと思います。

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 今の問題は、事例として挙げられました問題は、当然そういう職につけば弊害があるであろうということの予想される問題なんです。ところが知事の場合は、例えば二選の場合は、よい知事だといつて喜んで選挙されると、更に治績を挙げて知事として完全な業務をしても、三選ということになれば無条件に禁止をするということでありますので、そういう場合に一体憲法違反という問題が生じないのか。あなたのおつしやる弊害としての一般認識が全然認められないようなことが当然予想される。二選され、更に三選されるほどの信頼を大多数の者から得ておる。そういうふうに一般認識が、二選、三選、四選をもあの知事にやつてもらいたいという条件がありながら、一選以後は禁止するということになると、これは一般認識と外れた決定をここにおいて行うということになる、これでも一体弊害があるという一般認識が成立するかと、こういう問題です。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) 恐らく公務員の制限というのも、初めはそういうふうな弊害がありとも考えなくて、そういう法規がなかつたと思うのであります。又弁護士法の十二条のような問題も、初めは判検事をやめてすぐ弁護士になるには、別に毫も制限はなかつたのでありますが、いろいろの事例等によつてそれに或る制限を加えることが合理的だというふうに、事例の積み重なりとか、そういうことによつてそういう制度が生れて来るのでありまして、今直ちに知事の三選は当然にそういつたような制限を加えるに値いする合理的な根拠となるかという点については、法律的に現在私としては何とも申しかねる次第であります。(伊能芳雄君「委員長、議事進行」と述ぶ)

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 あなたは法律専門家でありまするので、いろいろのお気兼ねなく率直な学問的な御意見を私ども承わりたいと思うのであります。初めはなかつたけれども、弊害事例が出て来たので、例えば公務員の場合、或いは判検事の場合、いろいろの問題が出て来たということでありまするが、初めはなかつたけれども、あとでそういう法律も作られたのであるから、知事の場合も初めはなかつたのであるが、作られてもよいであろうという、そういう推論は成り立たないと思う。それは初めはなかつたけれども、弊害事実というものが顕著になつて、これは憲法違反にならないということであるから、そういう法律が生じたのだと思う。知事の場合は、そういう弊害事例が、これは憲法違反にならないという弊害事例が確かにあるという認定が下せるか下せないかというところに問題がある。今お伺いをしますと、知事の場合は弊害事例があるという認定をこの際下すことはできないということですが、学問的に見て弊害事例をこれは憲法違反にならないで、これだけの弊害事例があるのだから知事の三選を禁じてもいいという、そういう裏付けを得られないような状態において三選を禁止するということは、一体憲法違反にならないか。もう一度そこのところを言うならば、憲法に違反しないという確実なる裏付けの論拠がない場合に、憲法違反になる虞れのある法律というものが作られて行くということが好ましいことなのか、間違つていることにならないのか、その点であります。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) 結論を申上げるのは非常に困難かと思いますが、結局はそういう合理的な理由もなくして立候補を制限したり、或いは職業選択の自由を制限するということは、まあ憲法に抵触する虞れはあるのではないか。然らは何が合理的な制限と見るかという点については、只今材料等もありませんので、ここで判定を申上げることはできませんが、ただ理論的として申上げれば、それは制限するに価する合理的な根拠があればよいであろうという、非常に抽象的であるようでございますが、抽象的に申上げるほか仕方がありません。(伊能芳雄君「議事進行」と述ぶ)

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 質問中だ、質問が終らないじやないか、質問が続いているのだ。  問題は、そういう問題を法の番人である法制局あたりではつきりとした判定を下さないで、合理的な事例があればそれは憲法違反にならないと、こういうことはわかり切つたことなんです。具体的に知事の三選を禁止するということは憲法違反にならないかどうかということを聞いているのだから、現在のあらゆる条件を勘案してみて憲法違反の疑いがあるとか、絶対に憲法違反の疑はないから三選は合理的だとかいう結論を出して頂かなければ、この問題の解決にならない。それをさつきから聞いているのです。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) その問題を直ちにここで申上げることは、非常に困難と思います。

伊能芳雄自由党

○伊能芳雄君 議事進行。  本案は小委員会においても相当審議を尽して参つたことであり、且つすでに実費的には審議が進んでおり、同じ質疑を幾度も繰返しておる状況に鑑みて、この程度で質疑を打切り、(「反対反対」「賛成」と呼ぶ者あり)討論に入られんことの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり、秋山長造君「無茶を言うな、そんな馬鹿なことがあるか」加瀬完君「質疑の続きじやないか」と述ぶ)

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 委員長といたしましては、公職選挙法のこの問題の内容から亘りまして、委員会の審査といたしましては、当然これに該当するような方々のやはり一応の公述も聞かなくちやならんとは考えておつたわけであります。(秋山長造君「当り前だ」と述ぶ)併しほかの法案の審議もありますから、でき得ればこの問題は、そういうような手続は、或いは皆様方の意見が一致するならば省略して、そうして十分審議を尽すべき問題だと、これは大きな即ち選挙法の改正です。大改正であります。画期的な改正であります。だから、そういうような手続を私はとるべきが委員長としての態度と思いますけれども、そういうようなことなくして、まだ質疑が残つておる、憲法上の疑義もある問題の、即ちこういう内容の問題に対しましての審議をやつておるときに、もう質疑の打切りというような動議に対しましては、委員長といたしましてはどうしても同意しかねる。だからして、これは混乱をいたしまするので、暫時休憩いたします。    午後正時三分休憩    —————・—————    午後正時三分休憩    午後十一時四十九分開会

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 休憩前に引続き地方行政委員会を開会いたします。

伊能芳雄自由党

○伊能芳雄君 緑風会の御意向もございますので、先ほどの私の緊急動議は撤回いたします。

館哲二緑風会

○館哲二君 現在議題になつております公職選挙法(参第十二号)、これにつきましては、私ども提案者の一人として申上げたいのでありますが、小委員会において相当議論も尽されたように聞いておりますが、なお本委員会において層一層慎重にやりたいという御希望の方も多々おありのようであります。提案者といたしましても、余り軽率に本委員会を通過せしむることにつきましては遺憾の意を持つておりますので、この際一応この程第でお取りやめを願つて、次に他の法案を審議された後において十分なる御検討を願えれば非常に結構だと思いますので、そういうふうにお取扱を願いたいと思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) 只今館君から選挙法の改正案に対しましての御意見が出たのですが、そのような取扱にしてよろしゆうございますか。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

館哲二緑風会

○館哲二君 なお、言い忘れましたが、参第五号につきましても、やはり同じお取扱を願つたらよろしいかと思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) これは市川さんの御提案の参第五号でございますが、やはりこれも併せてそのような取扱にしてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加瀬完無所属クラブ

○加瀬完君 異議あり。それは一応市川さんに話合いをしてから後の処置にしたほうがよろしいと思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それでは、只今のはやはり市川さんのお気持も、これは委員長から聞いてよろしゆうございますか。(「結構です」と呼ぶ者あり)委員長から聞くことにいたしまして、只今緑風会の提案のような形で御了承を一つお願いするというようなことで、委員長から市川さんによく話を聞いて、御意見を聞くというような取扱をいたしたいと思いますが、それでよろしうございますか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○委員長(内村清次君) それじやさように取扱います。  本日はこれにて散会いたします。    午後十一時五十二分散会

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