P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
19回国会参議院1954/05/26

大蔵委員会 第49号

発言数
55
登壇者
9
会派数
3
開催日
1954/05/26

会議録

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案を議題といたします。  本日は、本案審査のための参考人として、経済団体連合会税制委員会副委員長金子佐一郎君、経済同友会常任幹事、事務局長郷司浩平君、日本証券業協会連合会会長小池厚之助君以上三君の御出席を求めてありますが、先ず金子佐一郎君にお願いいたしたいと思います。  金子さんには、この前に一般の税制改正に対する御意見を伺つたのでありますが、本日はこの本法案につきまして、主として衆議院において修正された部分について御意見を伺い、併せてその他一般事項について伺うことがありますればお述べ頂きたいと思います。  それでは金子さんにお願いいたします。

金子佐一郎経済団体連合会税制委員会副委員長

○参考人(金子佐一郎君) それでは私から、資産再評価の問題を取上げた企業資本充実のための特別措置法につきまして、少しく私見を述べさせて頂きたいと思います。特に只今委員長から御指摘のありました、衆議院において修正が取上げられました、資産再評価を強制し、若しもこの場合に、原案では一割五分、修正案では二割以上の配当を三年のちに実施しようという企業は、減価償却を法定の九〇%以上実施し、同時に再評価積立金の原案では四割を修正案では三割以上を資本に組入れるという問題について申述べたいと思います。  この問題を考えまする前に、この資産再評価ということを強制いたします意義と、同時に減価償却の実施並びに資本組入れの根本的の考え方を割切つて考えておくことが必要ではないかと思うのであります。それは、資産再評価を強制するということほ、シヤウプ勧告にも取上げられた問題でありまして、これ自体が決して強制されるものでもなく、企業にとりまして実施ができるならばできる限りなすべきであるという考え方を私自身も持つておりますし、一般的にも考えられておる問題でございます。併し今日までこれが全面的な実施がとり上げられなかつたのは何かといえば、企業自体もやはりこれを実施することが経営上にいろいろと都合の悪い影響が出て来るからでありまして、従つて第一次、第二次の再評価の実施の実績をみましても、誠に全法人数に比べれば僅少な数字になつておりますのはその実情を示すものだと思うのであります。従つて、今回の再評価の強制も、全面的強制は、これは行うことが、やはり無理だというので、帳簿価額を再評価し、その差額を再評価積立金とするというこの点だけを、而も八十%という二割の余裕を残して強制せしめることになつたのであります。これは企業が経理的に帳簿価額を再評価するということにとどまりますので、この強制実施というものはあながち無理だとは考えられないのであります。  ただこの場合に再評価税の問題が常に附帯して考えられるのでありますが、今回もこれを十分考慮されて再評価税も第一次の限度額の範囲において六%を三%に引下げ、更に納付の方法においても企業の負担として無理のないような措置が考えられておりますので、これは先ず以て問題とはならんだろうと思うのであります。そうなれば残る減価償却の実施並びに再評価積立金の資本組入れをどうするかという問題であります。  そこで、原則的には一応これは自由になつておるのでありますが、再評価の本当の狙いは何であるか、こういえば、やはり資本食い潰しを防ぐことであります。そして名目利益を修正し、これに課せられている法人税等をこれを排除するということが企業としては目的でなければならないのであります。従つて私の考えでは、本当に再評価の実績を企業の経営に影響をあらしめるとするならば、少くとも減価償却費だけは再評価した帳簿価額に基準して増大せしめることが願わしいのであります。併しこれは現状としてはこれを全面的に強制することは無理だというので、原案の一割五分の配当制限を本件としてこれを促進しようとしたことであります。併しこの点からいえば、ややこの促進策としては生ぬるい感がないではなかつたのでありますが、これも企業といたしまして、これだけの帳簿価額に基準した法定償却額は幾らであるか、これに対して僅かこれしか減価償却費を実施していない、それなのにこれだけの配当をしているとかいうような批判は、決算報告書その他にこういう実情を掲げしめるという法の規定に従つて、おのずから企業自体の自主的な考えで行うように私はなると思うのであります。ですから、むしろ一割五分の配当等の制限条件でやらせるよりも、企業自体が世間的に批判されることによつてそこに追込まれるという、私は強い希望をかけているわけであります。そこで、この減価償却費をできる限りやらせる、又企業自体も自主的に実施するということだけは是非とも願わしいのでありますが、いま一つの、再評価の積立金を資本に組入れるという問題はどうかというと、この目的は、資本構成を是正するというだけならば、再評価積立金は資本剰余金として明らかに自己資本であります。従つて資本金にこれを組入れても組入れなくても、会社の自己資本というものは増大されたのであります。従つてこの自己資本対他人資本との割合、いわゆる資本構成は、それだけ是正されたと言い切つてもよろしいのではないかと思います。併し若しもこれを資本に細入れるという必要があるならば何であるかといえば、借方におきまして固定資産を再評価したならば、同じ条件の下においてインフレの影響を受けない資本金を再評価をする必要があるとするならば、再評価積立金を資本金に組入れてこそ、初めて固定資産と同じような意味合いにおいて資本金が再評価されると、こういうふうに考えております。従つてその結果は、その再評価されたる固定資産を稼動いたしまして収益があがれば、その収益を、再評価されたる資本金、言い換えてみれば再評価積立金を資本金に組入れた後の増大されたる資本金と相対照いたしまして、初めて利益率、配当率というものがそれだけ適正化するというわけでございます。今日のごとく、三割も四割も、場合によつて五割も資本金に再評価積立金を組入れないならば楽に配当ができるということであつては、企業はおのずからそこに経営上に弛緩を来たし、合理化も促進されないだろう。又、株式の面においても、高率配当といつても、実体は高率配当ではないということにおいて、多くの錯覚を来たし、いろいろ弊害も出て来る。こういうような点も考えられまするので、再評価積立金を資本に組入れる、これによつて適正な利益率、配当率が出ることが望ましいとされているわけであります。併しこれは必ずしも企業の実体に影響をもたらすものとは考えておりません。減価償却は、これは実施するとしないとでは、資本食い潰しを続けるか或いはこれが是正されるかということで大きな影響がある。いわゆるはつきり言えば損得に影響がある。けれども、再評価積立金を資本に組入れるということは、今のような正しい経営状態を現わすという意味においては影響があるわけでありますけれども、それを組入れるために特別に利益が発生するかどうかということはないのであります。ただ無償株交付という一つの行為において、株主がこれによつて何らかの利益を得るか得ないかというような問題は、おのずから別の問題と考えてよろしいのではないかと思います。併し今申上げた通り、これを組入れるということは理論的に言つて望ましいことであります。ですから、でき得る限りこれを組入れる。それから又企業自体もこれを資本に組入れて、それで正しい経営状態を判定し、そうしてこれによつて経営努力を更に一層強めて行くというところに狙いがあると私は思うのであります。併し遺憾ながら現在の企業の実情におきまして、法定償却額まで償却を実施することも或いは困難な場合もありましよう。又、再評価積立金を資本に組入れるということ自体も、現在の過小資本においてどうやら配当が一割、一割五分をできるというような会社にとつては、これは非常な配当率の減少を来たしますので、これ又、経営上の問題から躊躇する向きもあるのではないかと思います。そこで、強制ができないために、これを促進するということで、原案で一割五分の配当の制限条件をつけたのであります。併しこの問題を我々はもう一遍振り返つて見なきやならないのは、仮りに一割でも二割でも、条件は別といたしまして、この制限条件より以上配当しようという会社のみがこの制約を受けるのであります。ですから、今度仮に修正された二割以内において配当しようという会社は、減価償却の実施も自由である、資本組入れも又自由である、こういうように考えますならば、では二割以上現在この会社が配当ができる余力がある、否、三割くらい配当ができる余力があるという会社といえども、その二割以上の制限を超えて三割やらんとして、減価償却を法定額の九割、又、再評価積立金を修正案によるところの三割以上組入れると、資本が大きくなる、名目利益が減る、これらのことによつて、おのずから又三割の配当ができなくなるという相互的関係があるのであります。従つて、これらの条件がつきますと、一応は考え方の問題だけですが、何らか配当の制限に一般がとらわれて、一割五分という原案であると、これは企業は三年後になれば一割五分以上の配当は困難になるだろう、或いは修正案の二割なら二割以上の配当はちよつと困難になるだろうという印象が強くなるのであります。これがやはり企業としては、大切な自己資本を増資によつて獲得しようという多くの会社があるのでありますから、これらの会社の将来につきましても、利廻り採算の面におきましても何らか言うに言われない圧迫感が出まして、株の価格についても或いは増資等の実施についても重たつくるしいような気配を招来いたしまして、これは面白くない。こういうような意見が一部財界にも又株式市場にも出たのも、私はその意味においては十分考えられるのでございます。併し今申上げた通り、これらの問題は、本当に理論を通して、どうしてもこれを組入れさせようということになれば、これは一割五分でも一割でも或る程度まで本当に配当しようとするならば、この制限以上の配当をしようとするならば組入れなきやならないというふうに追い込むことも必要でありましようが、若しも一割五分である或いは二割であるということになれば、恐らくや、なかなか三年後になつて二割以上の配当をできるといろ会社も少くなりますので、実際問題としては、先ずこの問題は観念上の問題というにとどまつて、大した促進策にはならないのじやないか。つまり企業は、その条件を実施してまで二割以上の配当をする会社はなくなるであろうと、こういうふうにまで考えられます。特に私は、この資本組入れについて、しばしば指摘するところでありまするが、この三割であるか四割であるかということを何か特別に議論の問題にしているようでありますが、これは企業にとりましての影響はその企業の資本金との割合が大事なんでございます。つまり資本金が再評価積立金に比べまして一対一の関係にあれば、二割が三割であろうと、四割であろうと、五割であろうと、そう問題はなしに、一対一という無償株公募を一回やりさえすればこの問題は解決してしまう。ですから、そういうような三割、四割ということを議論する余り問題はないのであります。併し資本対再評価積立金の関係が、資本の四倍にも、場合によつては五倍ぐらいになつている会社がある。今申上げたことはちよつと修正いたしますが、その再評価積立金が十倍ぐらいになつている会社、これは現に電力会社等はその一つでありますが、これは配当が定率でありますから問題もありまするが、従つてこの十倍になつているところの再評価積立金の中に、仮に三割、四割といたしましても、対資本関係は三倍、四倍の増資をしなきや解決しない。こういう会社でありますと、仮に三割であつても四割であつても、相当この問題を実施してまで制限配当以上の配当をしようということは更に困難になつて来る、こういうわけであります。従つてこの問題は、はつきりと踏み切るということならば、是非ともこの再評価積立金を資本に組入れなければならない。こういう問題があるならば、これは配当の制限も一割五分ということにいたしまして、或いは思い切つて一割ということにして、それ以上の配当をする場合には資本に組入れると、こういう問題を是非とも取上げるべきであります。併し現状としては、それはあらゆるいろんな観点から見て無理だ、而も今申上げたように資本金の十倍にもなるような再評価積立金を持つている会社、そういたしますればこれが何割あつても相当の資本組入れの額になりますので、こういう点を考えますと、今は実を言えば余り強くこの問題を取上げる時期じやないのじやないか。又先ほど申上げたように、資本組入れという意義が、企業の実体的影響が少いのであります。そこでこの問題は、むしろ株価の問題或いは増資を促進させようという一方、租税の特別措置などが考えられている今日でありますので、これらをできる限り助成する意味におきましても、余り強いことをする必要がないんじやないか、こういうことであります。そこでまあ衆議院等でもその問題を考えられたことと私は考えております。  併し私個人の意見は、この再評価の資本組入れをできるだけやらせるという考え方は、建前として成るべく崩さないほうがいいんじやないか。従つて原案の四割はこれはそのままにしておいて、一割五分を二割程度に修正することがむしろ妥当であつたのではないかと、こういうことを考えております。というのは、先ほど申上げた通り、三割、四割という議論も、これは対資本関係を考えますと、会社にとりましては影響がまちまちでありますので、こういう点なども考え合せますと、余りこれに細かく捉われんように、少くとも減価償却をできるだけ実施し、そして資本組入れをできるだけやるんだという一つの考え方をここで強く打ち立てておいて、それを促進する条件を、これらの現在の経済情勢その他を勘案して少く緩めて行くということならば、株式の面において余り問題もないでありましようし、企業の実情においても問題ないと思います。従つてそうなれば、この問題は、それだけでも相当にこの促進策としての意義はそれだけ薄れて行くかもわかりません。けれども、それが現在の経済の実情に即応するんだということであれば、これ又止むを得ないと、こう思うのであります。  結論的に言えば、そういうものを現在強制するというだけの企業の基盤が、又収益力がこれに伴つていないという時期であるならば、こういうこと自体が初めから無理だと、こう考えて割り切つて行けば、おのずから骨抜き案にならざるを得ないということも言えるのではないかと、このように考えるのであります。従つて私どもといたしましては、これらの理論を立てて、そして実情に支障を来たさないようにするというようにお計らい願うことが望ましいと考える次第でございます。  時間も経過いたしましたので、この辺で一つ……。

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) 質問ありますか。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 今の資本組入れの点については、金子さんの御意見ははつきりしたのであります。即ちまあ一応大して望ましいことでないけれども、積立金の四〇%資本組入れということは承認する。むしろそれでよろしい。但し配当された場合において配当制限を二〇%にせよ。こういうことであります。この法律の中にあつたと思うのでありますが、最低限度の再評価をしない場合に、衆議院においてはやや原案を修正して、一五%の配当制限を二〇%の配当制限とした。この点については、修正を是とお考えになるのか、非とお考えになるのか、原案と比較してどうか、そういう点が一点と、それからもう一つの場合は、減価償却を法定の九〇%までしない場合に、原案は一五%の配当制限をする、衆議院のほうは二〇%にする、この二点について、大体まあ御公述で御意向はわかつたように思うのですけれども、明確に一つ御意見をお聞かせ願いたい。

金子佐一郎経済団体連合会税制委員会副委員長

○参考人(金子佐一郎君) 只今の御質問をもう一遍伺いたいと存じますが、最低限度額まで再評価をしない会社という条件と、それから法定限度額の九〇%まで償却を実施したい会社についてという御意見でございますか。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 そうです。

金子佐一郎経済団体連合会税制委員会副委員長

○参考人(金子佐一郎君) これは強制法によりまして、最低限度額までやらない会社は、陳腐化資産を持つておる会社をおつしやるのでありましようか。それから法定限度額まで再評価によるところの減価償却費を計上しない会社ということは、これは自由になつておりますので、よろしいのでありますが、その場合には配当制限とは関係ないと考えておりますが、如何でございましようか。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 陳腐化資産等はこれは申請してやれるわけですから、而も、減額申請中はこの減額申請額が容れられたものとしての条件が適用されるわけですから、そういう修正というか、再評価限度の、修正案は別といたしまして、この法案で期待されておる十七条関係で、要するに最低限度の再評価をしない、再評価最低限度額に達しない会社は、一割五分以上配当してはならないというのが原案です。それを衆議院は二〇%にゆるめたわけです。それが是か非かということです。  それからもう一つは、この利益配当制限の場合には、そうした再評価した結果の償却を法定九〇%以上やらなければ一割五分の配当をしてはならないというのが十八条二号でありますが、そういう配当制限の場合を、ただ衆議院で恐らく無意識的といつてもいいと思いますが、全部一割五分を二〇%にしたのでありますけれども、今の資本を組入れる場合の一割五分の制限と申し上げました二点とは多少ニュアンスが違うのじやないかと、こう思うのですが。

金子佐一郎経済団体連合会税制委員会副委員長

○参考人(金子佐一郎君) 了承しました。今御質問の問題でありまするが、私は少くとも再評価の強制による法定の再評価限度額まで企業が再評価をしないということは、少くとも罰則規定があるわけでございますから、その罰則規定に触れると同時に、かかる会社は一割五分以上の配当をしてはならないという規定も併せてあるわけでございます。これは当然だと思うわけであります。然るにこれを又二割とかに修正するということ自体がおかしいのじやないか。これは私どもが先ほどから公述いたしておりますところの、当然この再評価の最低限度額以上やつた会社が、而も任意の問題に一応任されておる再評価積立金を資本に組入れる場合の条件として一割五分を二割にするかということについては、考える余地があるかもわかりませんが、今仰せになりましたような再評価を少くも法定の限度額まで実施しないような会社が配当を一割五分以上をするということ自体は、私は、はつきりおかしいと同時に、又減価償却もこれは少くともできるだけこれはやつて頂く、これだけは企業の資本食い潰しを是正するというような大きな役割を持つたものでありますので、これ自体は少くとも実施して、減価償却費を実施しないでこの配当を論ずるということ自体は、これは今度の問題でない。以前から私どもは常に考えていることであります。当然なすべき減価償却費を実施しない、そうしてそれは少くとも名目利益を出してそれを配当するに至つては蛸配である。こら割切つてよろしいのではないか。かかる場合においてその配当を一割五分というものを更に幅広く二割にするというような修正をするという必要は、私はないと思います。これはむしろ一割五分というのが甘いのではないかということまで言い切つてよろしいのではないかと思います。併し今回はこの減価償却というものについては一応任意に任されて、そうしてこの問題が少くともこのように促進策の形で以てとられておりますので、遺憾ながらそこまで強く私どもとしても申上げることはできないのでありまするが、少くとも先ほどの御質問の要旨に従うところの減価償却費を実施しないような会社については、できる限りこの配当制限というものは原案のままで勿論結構であろうと思うし、これを修正するというのは、余り意義がないのじやないか、このように考えます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 非常によくわかりました。それで、最初の点の資本組入れの問題ですけれども、金子さんのようなお考えのかたは、こういうことはどういうふうにお考えですか。この問題は、再評価積立金を簡単に損金の引当てにすることを阻止する。他のいろいろの積立金を取りくずした最後に再評価積立金を損金償却に充て得るわけですけれども、再評価法の第百七条第一項第三号でそういうことが許されておる、そういうことを阻止する、普通の株式を一応用しておいて損金償却のため減資するということは、株主の真正面からの非難を受けて重役はとても堪えられない。そういうわけで、再評価積立金を資本に組入れて株式化しておけば、そういう制約を受けるという利点がある。それでも、株価に及ぼす影響、株式の量等から考えて、弊害があるということが、金子さんの御意見のように今聞いた。そういうような場合に、資本組入率を緩和する代りには、一方の、簡単に安易に積立金を損失償却に当てるという点、この再評価法の第百七条第一項第三号を削除するという案については如何お考えになりますか。

金子佐一郎経済団体連合会税制委員会副委員長

○参考人(金子佐一郎君) この再評価積立金を、会社の繰越損等に、又、将来の損の引当てにこれを最終的に考えられるということは、仰せの通り、現在の法律においては認められておるところであります。これを禁止するかどうかということについては、私はやはり多少理論的に疑義があると思うのであります。それは、結局資本剰余金である再評価積立金でありますので、これ自体は、プレミアムを以て積立てたもの、その他、資本から発生した資本剰余金と同一であると考えてよろしいのじやないか。発生原因は勿論違うのでありますが、企業にとつての自己資本であることについては間違いない。従つてこれを資本に組入れて非常に大きな損が出て減資するということも、これは一応組入れて減資する形にもなり得るわけであります。それを、企業の繰越損が多額になる場合には、損があるのに再評価積立金を資本に組入れるということが許されておるということであれば、これは矛盾がある。減資すべき材料が企業に現存しているのに増資をするというのならば、その増資を資本に組入れて増資するという前に、一応減資すべき繰越損と相殺してこれを処理せしめるということは、これは現在の経理上から申しましても妥当だと考えるわけでございます。ただこういうような問題について仮に御懸念があるとするならば、再評価積立金という性質がインフレの申し子である。かかるものがあるために経理上何か損が出れば、最終的にはそれと相殺すればよいのだというようなことが考えられますと、再評価積立金があるために、経営上にそのようないわゆる緊張度を欠いたり、まあ少し損が出ても最後になれば再評価積立金とこれと相殺して片付ければいいというような安易な考えが出れば、これはマイナスだと思います。併し同時に、この再評価積立金を資本に繰組入れるべきであるというこの理論的な考え方、これは実際としては只今申上げる通り無理でありましても、この考え方が、やはり組入れて後の減資を考えるよりは、再評価積立金は成るべくとつておいて、そうして会社に大きな損が出たらこれと埋め合せるというような考え方が残つておる限りは、資本組入れも躊躇するのじやないかというような一つの問題は残るかもわかりません。併しこれを禁止するということになりますれば、あたかも、自己資本という資本剰余金がありながら、一方、欠損金があるというものと対応して、これを相殺せしめる企業の実質的内容においては、私は余りこの問題を禁止しても意味がないのじやないか、このように考えますので、この禁止するということについては多分の疑義を持つものであります。

土田國太郎緑風会

○土田國太郎君 ちよつと伺いますが、只今の御説明で、この組入れの四割並びに配当制限二割をお認めになつておりますが、却つて一割五分、又は極端に言えば一割でもそれを抑えたほうが、組入れの奨励策に私はなるように感じておるのですが、あなたは二割をお認めになつているのですが、その理由は如何でございますか。

金子佐一郎経済団体連合会税制委員会副委員長

○参考人(金子佐一郎君) 今おつしやる通りでありまして、この配当制限率を下げれば下げるほど促進策になることは明らかなんでございます。ですから、これは同友会あたりでは、もう一割五分も甘い、昔の配当率は一割から八分であつたのだから、一割から八分以上配当することは、やはり資本が小さいのだから、これを是正させるために組入を促進するという本当の肚を据えた話ならば、一割五分だつて甘いという意見も聞いておるのであります。従つて仰せの通りこれを何とかして資本に組入れさせよら、こういうような考え方が仮にあるならば、配当制限の率というものはできるだけ下げるということが正しいと思います。けれども、今日問題になつておりますのは、資本に組入れさせるということの意義は、その配当を低く急に制限するということによつてこれを行わしめることが、経済並びに株式等、或いは企業に及ぼす影響というものを考えて来ると、これは秤にかける問題になつて来た。従つてこの資本組入を促進するということのために配当率をそれだけ低く抑えるということになりますと、これは企業としては非常に苦しい立場に追込まれやしないか、こういうようなことが考えられて来たわけであります。そこで、それは企業の現在の実情というものが実際は余り健全でない。収益力において、或いは資本蓄積において正常な姿でないものでありますから、結局はこの問題は、或る意味において、資本に組入れさせたいのだけれども、余り強く配当の制限をするとどうしても組入れなければならん。組入れて来ると企業といたしましては相当に配当というような問題についても、これを組入れて後の配当となりますと、これは苦しくなる。例えば電力会社が一割五分を配当をしておる場合、仮に四割の資本を組入れるということになりますと、丁度資本金が八十億と仮定いたしますれば、これは八百億くらいの再評価積立金を持つておる、そうすれば、これの四割とすれば三百二十億、四倍の増資をしなければならん。四倍の増資をして、現在一割五分の配当をしている会社であるならば、そこに余力、配当力がなければこれが一割五分の四分の一に配当率がなる虞れがある。そこで結局は、一割五分という配当が仮に一割にしぼられて来ると、一割にそれをとどめるということになるわけでありまして、結局この五分を下げなければならんということに追込まれて来るわけであります。そうすればどうしても、この配当がそれだけ下つて来ることはよろしいわけでありましようが、結局それによつて相当に経営上に、又、株価の面において、又、増資をするという場合においても、何か強い指標がないかどうか。こういう問題が考えられるわけであります。同時に、先ほど申上げた四割と言つても、これを具体的に申しますれば、私の関係しております十条製紙のごときは、再評価積立金は丁度資本金の一対一程度しか持つていない。かかる会社で一対一の資本組入れだけでこの問題が解決できるということになりますれば、非常に再評価積立金と資本金額との割合が楽になる、こういうような条件の会社もある。片方は四倍乃至は五倍というような会社があるといつたようなことで、非常に問題がまちまちになつて参りますので、まあこの際は再評価積立金を資本に組入れて行く観念はいずれここで植付けておいて、そうしてこれをできるだけ自主的に任せて、余り配当制限を強くしぼりますことによつていろいろ経営上に悪い影響を起させないようにしたほうがいいのじやないか。結局は今のお考えから言えば生ぬるいことに落着かざるを得ないのじやないかという点でありまして、これは理論的にも、又我々としての希望的な考え方を言えば、これはむしろ遺憾だということだけは事実でございます。

土田國太郎緑風会

○土田國太郎君 そこで組入れの問題ですが、四割はあなたは是認されておられるようでありますが、今の日本の経済界の法人経営の面から言つても、それは会社によつて、日清紡とか三越、これは別でございますけれども、普通の会社で四割の評価額を組入れますと、却てそのために会社運営に危険をもたらすような憂いがあるのじやないか、これは杞憂かも存じませんが、私はそう考えるのですが、例えば今あなたの会社が資本と積立金が一対一である。その三割を今度は組入れるという場合には、同じ現金でも、大体一割のものを入れる、払込みさせるということに仮定する場合には、その総資本を、現在あなたの会社が仮に三割で配当をしている場合には、三割を組入れて、現金がやはりそれと同じ比例で払込みをさして、前の資本とプラスして、そうして以前の三割をこれで割ると、二割はかけて来るわけですね。多少……。そういうようなことになると、これは一対一で、三割でさえもそうだ。先ほどあなたが株主に対する御意見もお話になつたわけですが、我々は株を持つ、全部現金で持つことはできませんから、銀行から借りて来ると一割はとられますからね。それから仮に二割の配当をもらいましても、これは上積みになりますれば五〇とか六〇とかというものを払うわけですから、そうして二割の配当をもらつたのでは、懐中に入る金はせいぜい〇・五しかならん。これは株式に対しても信用を失するというようなことにもなる。株主もそういうようなことになる。又、会社運営につきましても、この四割を組入れるというと非常に経営に困難を来たすというので、多分私は衆議院のほうでは三割にしたのじやないかと想像するのですが、今あなたが四割にした場合の会社運営についての将来性、その考えは如何でしようか。

金子佐一郎経済団体連合会税制委員会副委員長

○参考人(金子佐一郎君) 私の考えておりますのは、問題はその二割にあるのでございまして、三割とか四割……、四割程度残しておいても三割に修正しても大差ないという考え方、言い換えれば、今おつしやつた通りでありまして、これを資本に組入れて配当率というものを一割五分で制限すると、現在のやはり預金の利廻り或いは社債の利廻り等をやはり勘案しないと、配当の率というものは終戦前においては一割ぐらいが常識だつた、現在一割でもいいじやないかという考え方になりますと、これはやはり全体の利廻りの均衡を失することになりはしないか。従つてせめて二割くらいは配当はさせる余地は残しておいたほうがいいのじやないか。こういう考え方なんであります。従つてこの二割ぐらいを配当しておりますれば、まあ株を持つているかたの利廻り採算も、借入金の金利その他を考えて見ましても、何とか行くのではないか。特に所得税等の税率も高いという御指摘がございましたが、それもございいましよう。そこで、この問題は、これを四割でも三割でも組入れるということになつたのちにおいて、少くとも一割五分とか二割以上の配当というものは、なかなか困難でございます。ですから、その一割五分でこれを制限する条件をつける、或いは二割でつけるという意味は、そこに大変あるのじやないか。つまり二割だけば無条件で、再評価積立金の資本等に組入れしないで、企業の自由にできるのだという幅を残しておくから、そこに株式に対する利廻り採算もその中では一応とれるのじやないか。あと二割以下になるのは、それは企業の収益力の問題でありまして、これはまあ企業といたしまして仕方がない問題でありまするが、ともかく条件をつけてこれを抑えるということを考えるならば、二割ぐらいの程度に抑えておかないと、これはどうも利廻り採算からいつても非常に株価等にも圧迫を来たし、増資等は困難である、こういうことによつて、衆議院あたりで修正案も出て来たと考えております。従つて、将来更に緩めにして、再評価積立金の組入れを三割に、二割にしてもよろしいでありましようが、併し再評価の積立金を資本に組入れるということを、その条件を考えて、更に断行しようという企業は、それ相応の収益力のある、自信のあるところでやつてもらいたい、こう思うのであります。従つて、これは恐らくなかなかやる企業がないじやないかということならば、その二割のほうは重大な問題だ、こういう考えでおるわけでございます。

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) 金子さんに対して別に御質疑ありませんか。……金子さん、どうも御多忙のところ有難うございました。  次に日本証券業協会連合会の会長、小池厚之助君にお願いいたします。  小池さんに申上げておきますが、本日は企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案について御意見を伺いたいと思つてお越し願つたわけでありまするが、本案につきましては、先般衆議院において相当の修正があつたのは御承知の通りでありまして、本日は主としてその修正点について御意見を伺いたい。なお、全般的にも特に伺うようなところがありますれば、お述べ願いたいと存じます。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) それでは今の委員長のお言葉に従いまして、簡単でありますけれども、最初にこの法案に対する全体的の考え方を申上げておきます。  これは衆議院におきましても、参考人として申述べておきました。  第一番に、この法案の趣旨が、インフレーシヨンによりまして貨幣価値が下落した、従つて事業会社の資産の表示が変化したわけでありますからして、これを適正に評価替をしまして、そして償却を適正に直すということが根本だと思います。この点においては非常に大賛成でございます。擬制の利益を真実の利益と思い違いして会社を経営することは、非常に害がある、適正な評価に伴つて適正な償却をして行く、この点は誠に結構な御趣旨だと思います。ただその評価の限度でありますが、大体八〇%を、強制でもありませんけれども、そういうほうに指導するという法案の趣旨だと思いますが、それは若干の会社によつては無理が出るのではないか。無理と申しますか、どうせ陳腐化によつて訂正はできますけれども、余計な手続きを要するのではないかという意味を以てこの八〇%を下げて頂きたいということを衆議院では申しました。それから、その八〇%までの評価を行わない会社に対して、制裁と申しますか、配当制限の案がございますが、これに対しましては、適正償却をするということは誠に結構なことでありますからして、それを奨励することは賛意を表したのでありますけれども、配当の制限ということは、証券界のほうの立場から申しますると、非常に一般の投資家に心理的に悪い影響を与えるのではないかという意見を申述べました。併しこの点は、特に是非ともということを強調したわけではございません。適正償却ということは結構なことでありますからして、蛸配的のことはよくないのでありますから、この点は余り強調いたしませんでした。  併しこの法案で以て非常に強く反対いたしましたのは、第二の資本組入れの問題であります。再評価積立金を資本に組入れる、これを無瀕する措置これに対しましては、強く反対の意見を述べておいたのであります。と申しますのは、これはただ理論的だけで考えますと、一応インフレーシヨンによつて積立金はできたのでありますからして、特別に、非常に利益率が出たような錯覚を起すということはいけませんから、資本に組入れるということも、理論としては一応肯けるのでありますけれども、実際問題としてはこれは非常に不都合なことができるということを申述べました。と申しますのは、現在日本の事業会社は、おしなべまして、戦前と比較いたしまして、非常な借入金過大であります。自己資本と借入金の比率というものが非常に借入金に偏重しておることは御承知の通りであります。それで、これを是正するのには、どうしても新らしい資本を呼んで来なければならない。単に表面上の再評価積立金を資本に組入れるという処置だけでは借金は減らないのであります。この借金を減らさせるために、どうしても増資によるか、或いは長期の社債を発行するとかいうようなことをしなければなりません。社債のほうは別問題といたしまして、増資は、これはやはりその当時の証券市場或いは金融市場の一般の金利水準、こういうものと見合つておるのでありまして、余り株価が下落いたしておりますれば、増資は不可能であります。それでありまするからして、どうしても今後証券界全体としまして、増資の必要な会社、それは今、日本では大部分の会社がそういう有償増資を必要とする会社だと思いますが、そういう会社が増資ができるくらいの株価を保つていることが必要でありまして、その意味におきまして、再評価の積立を資産に組入れますると増資が非常に困難になるのであります。現在株式の時価というものは、これを東京証券取引所の上場株にとつてみますると、大体七千億くらいでございますか、六千何百億円であります。そうして上場株式が約七十六、七億株ございます。併しこの中にはいわゆる額面が五百円の株が相当ございますので、この時価を五十円換算にいたしますと、本日あたりの平均の株価というものは大体八十一円何がしだと思います。それで、この法案に盛られておりまする、大蔵省の提案の、衆議院で訂正せられない前の原案によりますと、四割を三年間に組入れる……。

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) 速記を始めて。  十分間休憩いたします。    午前十一時二十三分休憩    —————・—————    午前十一時四十一分開会

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) 現在の東京証券取引所におきまする上場株の五十円当りの時価が約八十一円くらいであります。これを若しこの法律に従いまして再評価積立金を資本金のほうへ振替えて行きますと、恐らく四十円以下になつてしまうと思います。平均いたしまして。ですから、一面、配当のほうから申しますると、無配当続出と申しますか、或いは二分か、三分か、五分かしか配当できないという会社がたくさんできて来ると思います。そういたしますと、先ほど申しました有償増資ということが不可能になるわけであります。ですから、この法案は理論としては一応頷けるのでありますけれども、現実としては、やはりこの数年間に日本の事業会社は、有償増資をして行かなければならん、そして借入金を返済して行かなければならん、こういう事情に置かれておりますので、この資本金への振替え問題は、事業会社の経営者の自由に委して頂きたい。これが私どもの主張であります。資本に振替えたい会社は振替えてもよろしい。その能力のある会社は振替えてもよろしい、とつておいたほうがいい、そうして有償増資が楽なほうがいいというような会社は、これは無理に振替をしないと、こういう経営者の自由意思に委して頂きますれば、実際問題といたしましては多数の会社はまだまだ増資をしなければなりませんので、増資と同時に今後の日本の株式会社の配当というものはだんだんと下つて来ると思うのです。従いまして、非常に高率配当というものはもうなくなつてしまうと思うのでありますが、実際問題は、この条項に関してはむしろ抹殺して頂きたいというのが衆議院で私が申上げました主張であります。ところがそれに対しまして或る御質問がございました。衆議院の大蔵委員会で。若しそれでは、妥協すればどういうことが考えられるか。強制的に資本振替を四割がいけなければ三割にするとか、二割にするとか、或いは配当の一割五分とか、制限歩合が殖えればそれをどうとかするという妥協案がないかという御質問があつたのであります。それは私どもとしては、この条項は抹殺して頂きたい、それで経営者の自由に委して頂きたいということを申しました。但し私は陳述をいたしました後に、今日もことに御出席ですけれども、経団連の代表で金子さんが御発言になりまして、そのときの御主張はやはり抹殺論でありまして、この条項は削除論でありましたけれども、若し妥協すれば、配当制限は二割、それから強制の振替の率を三割ぐらいに変更する、こういう御意見があつたのであります。私は、私の主張から申しますれば、その御主張はむしろ何といいますか、理窟から言うと余り賛成はできないのでありますけれども、実際はこの条項が又骨抜きになりまして、私の主張と一緒になります結果になりますから、実際問題としてはその意見に御賛成したのですが、実際私の根本的の主張は、この条項はむしろ抹殺して頂きたい、そうして再評価積立金の資本の組入れは企業者の自由に委せて頂きたい、こういうことを主張したのであります。今以てその考え方は変らないのであります。ただ衆議院でこの法案が修正になりましたので、その修正の趣旨は、結局、結果においては私と同じところに来ると思うので、その修正に対しては賛意を表する次第であります。なお御質問がございましたらばお答えいたします。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 大体御意見のところはわかつたように思うのですけれども、確認をいたします意味で御質問申上げます。利益配当制限に、この原案においては三つ場合がある。今の資本細入れの場合については、これは、はつきりしている。最低再評価限度額について再評価基準を一割ということが少しく辛いというお気持があるようですが、一応これは罰則までもつけて、要再評価会社については再評価しなければならない。最低再評価限度まではやらなければならん。これをやらない場合に、原案では一割五分の配当をする。それを衆議院が二割と修正をした。この点は、先ほどの御意見だと、先ず先ず積極的に賛成ではないけれども、原案の一割五分でも呑めるというふうなお気持に拝したのですが、それで間違いないでしようかということが一点と、それから、原案が呑める、衆議院の修正でなくても一割五分でも呑めるのだというような御意思のように拝承したのですが、間違いないかどうか。それから更に、その再評価した結果の償却資産の償却が法定償却の九割に満たない場合には、原案では一割五分以上の配当をしてはならん、こういうことになつているのですが、これを衆議院はやはり二割ということに修正をしておる。その点もちよつとはつきりしませんでしたが、原案一割五分で呑めるようなお気持があるように思うのですが、如何ですか。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) 私は、根本は、今、配当制限という言葉自身が非常に投資家に心理的に悪い影響を与える。ですから配当制限は反対であります。但し私どもは比較論でありまして、同じ配当制限の、罰則といいますか、制裁があるとしましても、最後の資本の、何といいますか資本金への強制組入れですね、この点のあれは特に反対するという意味でありまして、衆議院の修正は、最初の一、二点につきましても私は賛成であります。ただどちらに重点を置いているかと言つたならば、むしろ私は資本の強制組入は困るということに重点を置いたわけであります。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 それはわかりましたが、それでは、そこまで配当制限が気にかかるということであると、私は金子さんにはそういう質問をしなかつたのですけれども、二割という配当が、現在の金利水準から、配当利廻り水準から考えて、そう制限と受けとれるほどの制限ではないのじやないか。実質的にもう制限ではない状態になつておる。これはまあいろいろ、の資料がありますが、日銀の調でも、二十八年の上期は一七・七%、三菱経済研究所では一六・七五、東京証券取引所では、二十九年三月期の決算だと、有無配会社総平均で一四・六一、有配会社だけでは一八・八五ですが、全部無配会社も入れて述べると一四・六一ということになつております。日本経済新聞の調べたところによつても、二十八年の九月が十八・四、二十九年の三月が一六・四、こういうような数字になつて、二〇%というのは配当制限ではない。従つて、言われるごとく骨抜きだということになるわけですが、それで、この骨抜きで賛成だというわけなんでしようが、少くとも私は、資本を食い潰すということを防ぐ意味では、それは資本に組入れる。組入れるということには、お説の通り、どちらでも資本充実という意味においては大した問題はないと思いますが、最低再評価限度額までの再評価もしない、償却もしないという場合は、これは如何にも株価も大事でしようが、これは真の日本の企業育成という見地から、証券界においてもお考え願つて然るべきじやないかと思うのです。それともう一点は、資本組入れもいろいろ個々の会社によつて考えなければならん割合については、どうも再評価積立金というような形において積立ててあると、安易に損金引当等が行われるので、そういう点について或る程度株式化しておくということは、経営を安易にしない、一応株にかかつたものを厳守するということはなかなか骨であつて、そういう意味において経営者の経営者としてのまじめさということを出すのには、かなり効果があるのじやないかというふうに思いますが、そういう点についてどういう御意見でしようか。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) お説の通り、私は、ですから、これは理論としては納得できると思つておるのです。現実の問題として日本の事業会社というものは、大部分がまだまだ有償増資をしなければならん。その情勢にありますから、有償増資をできるだけ円滑にするためには、この資本の組入は企業者の自由に任かすべきだ、こういうところに論点があるのでありまして、理論としては私は決して反対するわけではございません。確かに安易に流れたかも知れません、過去二、三年の……併し現在は、もうこの段階に来ますと、決して日本の事業家が、この再評価積立金があるために安易な気持があるとは私は思いません。

土田國太郎緑風会

○土田國太郎君 先ほど平均株価が八十一円とおつしやいましたのは、払込み五十円入れてですか。五十円に直してですか。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) これは平均株価をとるのはいろいろな方法がございますが、取引所で発表するものは多分百六円ぐらいでございます。但しこれは二百二十五種というものだけを挙げてとつておるのでございます。それから八十一円というのは、これは全体の上場株の総時価を株数で割つたもの、株数も五十円に換算して割つたものです。

土田國太郎緑風会

○土田國太郎君 これを今仮に衆議院原案でやるとして、まあ当然これは株も殖えて行くでしようが、これらに対して株式の影響は如何ですか。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) 強制組入をやつたら株は大いに下ります。それを申上げます。そうして増資はできなくなると思いますね、まあ大部分の会社が……。大部分と言いますか、少からざる部分の会社が……。

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) 小池さん御多忙のところ有難うございました。

金子佐一郎経済団体連合会税制委員会副委員長

○参考人(金子佐一郎君) 先ほど小池参考人におつしやつた中に、衆議院で私が資本へ積立金を組入れたのは三割といつたようにおつしやつたのは、四割ですから、それだけちよつと訂正さして頂きます。

前田久吉緑風会

○前田久吉君 ちよつと一つ衆議院の修正になつた二割に持つて行かないと株価に影響いたしますか。一割五分というのは……。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) やはり心理的な問題ですが、心理的だけの話でありまして、実際はもう今二割以上とか一割五分以上配当しておる会社は、二割以上配当しておる会社は非常に少うございますから。併し心理的に私はよくないと思います。投資家心理のほうは。

木内四郎自由党

○木内四郎君 今の衆議院の修正案でもやはり株は同様に下つて行くという御意見ですか。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) 衆議院の感じですと、配当制限というものはあつても、実際はないようなものですから、露骨な言葉で言えば骨抜きなんですから、これならばそういう影響はない、こういう考え方です。

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) 次に経済同友会の事務局長の郷司浩平君にお願いいたします。  郷司さんに申し上げておきますが、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案について御意見を伺いたいと存じます。本案につきましては、御承知の通り、衆議院で相当修正がありましたが、主としてこの修正点に触れて御意見と、この際、法案全般について特に伺うべき点があれば合せて伺いたいと思います。

郷司浩平経済同友会常任幹事事務局長

○参考人(郷司浩平君) 私は時間が大分過ぎておるようですので、極く簡単に申上げてみたいと思いますが、実は本日私のほうの資産再評価に対する担当者に来てもらうはずであつたわけでありますが、どうしても差し繰りができないので、私が代つて参りましたわけで、準備も非常にできておりませんし、技術的な問題等におきましては私も十分に知つておりませんので、この点を御了解願いたいと思います。  私どもの考え方は、これは必ずしも経済同友会を代表しておると御覧になつては困るのであります。個人の意見でございますが、小池さんの御意見とは若干違うかも知れませんが、私は昨年ドイツに参りましたときに、ドイツの復興の原因についてできるだけ調査したわけでございますが、そのときの一つの結論は、ドイツの経済があれだけ堅実に復興したということには、いろいろ原因がありますが、その大きな問題の一つは、貨幣対策が成功した、そうしてそれに附帯して資本蓄積に全力を挙げたということ。御承知のように、貨幣下落のときには、債権、債務、金銭、これらの価値は十分の一に切下げましたけれども、資本は切下げなかつた。つまり当時の物価に比べて資本は十倍に膨脹さしたという措置をとつたわけであります。その上にそれに対する強制償却というようなものが、又別の法律で出まして、そのためにドイツの企業は営々として、自分の社内の保留、蓄積に努める、その代り、その建設期においては社外に分配することは殆んど事実上できなかつた。殆んど無配の会社が多かつたのであります。最近配当制限が撤廃されましてもなお且つ五分か六分の配当をしておる、こういう状況であります。このことは証券市場その他に対して面白からぬ影響も勿論ございましたが、併し根本の狙いは確かにはずれていなかつた。社内の蓄積に事業家が邁進した。そこで今日のドイツの事業は日本の企業と違いまして設備資金は殆んど自己資金で賄つておる。運転資金だけ金融機関から借りているというふうな事例であります。こういう非常に堅実な状態になつておるわけであります。御承知のように日本は設備資金までもいわゆる資金に依存するという不健康な状態にあるわけであります。私は、結論的に申しますと、今度の再評価に対する政府の原案、これはまあいろいろ問題はございますが、すでにもう衆議院を通過した段階にありまするので、細かいことは別としまして、大局において政府の原案のほうが修正案よりもベターだと、こういうふうに考えておるわけでございます。それで資本再評価の問題は、これはもう私から申上げるまでもなく、法案の冒頭にありますように、企業の資本の充実のための方法でございまするので、今日の企業は御承知のように実体が現われておらない。現金とか棚卸し資産、こういうものは一般の物価に応じで時価で評価されておりますけれども、資本の基本になる固定資産は低い評価でやつておる。そのために実際の利益がないにもかかわらず利益が出たような一種の仮想利益で以て配当もしておる。これは配当だけではなしに、本当に資本の実体をそのまま評価しますと、恐らく賃金、俸給というものも、これは利益を食つている、つまり蛸賃金というようなこともやつておる。こういうことを続けておれば……而も利益が出て来れば、それが殆んど六五%くらいは税金に取られてしまう。これでは、いつまでたつても、社内を充実して、そうしてこの実際の資本がそこに出て来ると、企業の実体が出て来るといろ機会はなくなるのではないかと、こういうことを心配するわけであります。のみならず、そういうふうに資産の評価がアンバランスで実体がわかつておりませんから、経営者自体も企業の実体をなかなかつかみにくい。そこで実際の利益ではない仮想利益でも実際の利益であるかのごとく錯覚する、こういうことすら行われておる。これはどうしてもやはり資本の価値というものを実体を現わすように再評価し直さなければならん。これは自明であると思うのであります。  そこで問題は、第一には、今度の原案にあります資本の固定資産の八割までの評価の強制でありますが、これは実際にはそれほど影響はないので、現に七割くらいは評価されておりますし、それから又これを八割に一割ばかり引上げましたところで、これは単に帳簿上の操作だけでありますが、これを十分に償却するということが第一の問題。  それから更にこれを資本に組入れるということが、これが企業の実体を現わす第二の問題でございます。原案では御承知のように四割まで組入れてそれ以下のものは配当を二割に制限すると、こういうことになつておりますが、これが今度は三割になり、且つ又配当の制限というものが一割五分ということになつたわけであります。この配当を法律的に制限することの是非については、これはまあいろいろ問題がございますが、ただもうすでにああいう案が現に衆議院を通過したという点から見れば、一割五分ということはこれは意味がない。今、小池さんからもおつしやつたようでありますが、これは影響がない。すでに最近、東洋経済あたりで優良な会社百五十何社かについて調べたところによりますと、昨年の四、五月の決算で平均配当率が二割一分になつておるのです。それが本年の四、五月の予想では二割を割つて一割九分何厘かになるという予想が立てられたのでありますが、取引所の上場株の平均は、配当もたしか私の記憶では一割八分くらいではなかつたかと思うのでありますが、そうなりますと、今度の修正案では、これは事実上影響がないと言つてもいいわけなんです。それで、やはり従来のしきたりで、各企業としても急に配当を減らすということはなかなかできにくいことでありますから、恐らく今度の改正案のやり方では従前通りやはり蛸配を続けて行くのではないか。そうすると、やはり企業の資産が、法律の冒頭には充実となつておりますが、充実されないという結果になるのではないか。今度の法案が一体何のために制定されるか、その意味がなくなると言つては言い過ぎでありましようが、非常に減殺される、こういう結果になると思うのであります。無論原案を実行した場合にはいろいろと各方面に問題が出て来ると思います。特にまあ増資の問題とか証券市場の問題、これらの問題はもとより、今日資本蓄積が経済界の最大の要請である。時期に対しては十分に考慮しなければならん問題でございますが、これは又別途にやるべきことで、これと資産の再評価とを、両方をうまい工合に併用して行くということは、なかなか技術的にも私は困難だと思います。仮に原案が通るとしますと、それとやはり並行的に資本の問題、これに対して税制の観点から、金融の観点から、その他これを進行させる各種の対策があるわけでありますが、それを是非やらなければならん。こういうふうに思うのでございます。私は、結論といたしまして、先ほど申上げましたように、修正案よりも原案のほうがベターであるというふうに考える次第でございます。大変簡単でございますが……。

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) 質疑を願います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 今、郷司ざんのお話で、西独の復興をもたらした一つの原因は、何としても資本の蓄積だ、我々もその点、同感でありますが、そこで西独におきましては償却を強制した、こういうお話があつたのであります。この点、日本におきましてはそこまでまだ行つていないというところに一つ欠陥があるのじやないか。今日の毎日新聞でしたか、昨日の夕刊でしたかの経済欄で、この法案を批評いたしておりまして、その点を指摘いたしておりましたが、我々もかねてから、この法案を見まして、成るほど資本の組入れだけは強制しておりますけれども、償却につきましてまだそこまで行つていないということは片手落ちじやないかと、こういうふうに思つておつたのでありますが、あなたの個人の御意見としては、少くともやはり償却についてもつと、強制するしないは別といたしましても、経営者のほうに先ず何よりも償却だ、配当より何よりも償却だという方針を堅持するのがやはり当面の日本の経済界としては必要じやないかと、私はこういうふうに思うのです。この点についての御意見を伺いたい。

郷司浩平経済同友会常任幹事事務局長

○参考人(郷司浩平君) これは勿論、再評価してそれが償却を伴わなければ大した意味がないのであります。再評価すればおのずから経営者として償却にも努力するというモラルな意味が無論出て来ます。これを強制するのがいいかどうかということは問題があると思いますが、ただいろいろな面で、税制その他の面でこれを誘導するという措置は考えたければたらない、こう思います。これはちよつと抜けておりますけれども、私どもそう考えております。ドイツの場合などは、つまり資本が十倍にふくれ上つたという結果になつております。それで、償却のほうは、これは破壊ざれた固定資産、流動資産、それと陳腐化のこれらのものを除いた金額は、これはたしか二つに分けて、一定の破壊の程度によつて、五割以上破壊されたものは五カ年間に全部償却する、それから五割以下の場合は三カ年間に償却する、こういうきつい法律が出ておるわけであります。そのまま日本に適用するということは、いろいろ慣習がありますから無理だと思います。何かそういう措置も必要だと考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 もう一点だけ、これは陳腐化資産についてでありますが、日本の生産設備というものは、特にアメリカ或いはドイツ、イギリスあたりと比べまして、イギリスやドイツとはそう開きがないといたしましても、少くともアメリカの設備と比べた場合に三十年の開きがあるのだとアメリカ人が豪語しておるそうですが、我々そうまでもないと思つておりますが、少くとも相当開きがある。そうすると、極端なことを申しますと、日本の現在の設備というものは、少くとも五〇%ぐらいは陳腐化だと言つても過言ではない。世界の水準まで、貿易の国際競争に打ち勝つには、何としても近代化しなければならんと思いますが、その近代化が遅れておるということは、そもそも陳腐化の、機械の形だけは立派に整つておりましても、能力において六〇%なり七〇%しか発揮できなければ、これは陳腐化とみなすより仕方がないと思うのでありますが、このあたりは郷司さん如何お考えですか。

郷司浩平経済同友会常任幹事事務局長

○参考人(郷司浩平君) これは例えばアメリカの機械と比較する場合は、五割が陳腐化しておる、併しヨーロツパの機械と比較すれば三割で済む、いろいろ見方はあると思いますが、ただやはり日本のように資本のない国は、古い設備も十分使つて、何もアメリカの近代的なものをそのまま標準にする必要はないと思う。そこにいろいろ労働生産性の向上とか、合理化とか、そういう面でカバーして行く以外にない、日本の国力では……。ただこれを再評価の観点から問題になることは、陳腐化を無制限に許すと、それに名をかりて償却をやらないということが起るわけです。私どもそれにやはり制限を置いて、これを仮に強制的にやるならば、二割五分乃至三割の限度において陳腐化を認めるというふうにするのが適当じやないかと思つております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 小池さんに一つお伺いしたいのでありますが、実は小池さんが、今これをやるのは、どちらかと申しますると、証券界の現状に鑑みて余り賛成できないという御意見ではなかつたかと思うのでありますが、そこで、この処置をとるとするならば、例の兜町で、労働強化のために、職員が、従事員の人の欠勤者も余計出て来る。だから兜町も一日休まなければならない、或いは午前中だけ取引して昼から休まなければならないという時期がありましたが、若しああいう時期であつたならば、政府の原案くらいはそのまま押切つても却つて好影響をもたらすのじやないか。どうも時期が悪い。こういう点から反対をされておるのですか。この点一つ伺つておきたい。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) 私の主張の中では、このセオリーはこれは納得できる問題であります。現実の問題としてお説の通り時期のことは考えております。  それから先ほど郷司さんの御発言の中にあつたようなことが若し具体的にありますれば、私の主張は若干緩和してもいいのであります。例えば証券対策として別途のものをお考え願えるならば別です。これは理論的には原案通りで頷けるのです。ですから、別途の対策とか或いは時期とか、そういうものがやはり問題になつて来ると思います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そうすると、時期がよければ原案通りでよろしい。或いは場合によりましてはもつと強化をしても受入れることができ得る。証券界或いは経済界全般として非常に時期が悪い、こういうのが主としてあなたの御主張ですね。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) その時期なるものは、昨年証券界が活況を呈した、ああ意味じやないのです。もつともつと有償増資をしてキヤピタルを呼ぶべき時期である。だから私は資本の強制的の意味のものはむしろ撤回して頂きたいと考えるのです。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そういうことになると別ですけれども、一昨年、昨年非常に証券界は繁昌した。その時には大衆がとにかく証券投資に興味を持ち、且つこれに非常に積極的であつたことは事実だと思います。もう農民にいたしましても、サラリーマンにいたしましても、僅かの貯蓄もこれに振向けようという積極的な意慾があつたために、あれだけの繁昌をしたと思う。ところが今日そういつた大衆の興味というものが遠退いたことが一つの原因になつておるのではないかと私は考えるのです。却つて逆に、こういう処置を講ずることによりまして、やがては大衆もこれに安心して証券投資に乗出すことができるので、一つの誘い水になるのじやないかというような見方もできるのじやないかと、私は素人考えで思うのですが、その点はどうですか。今は切開手術で痛いかも知れないが、手術後は却つて全快することができるのじやないか、こういうふうに思うのですが、その点一つ伺つておきたい。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) 同じことになるかも知れませんけれども、私の言うのは、事実において相当の会社は増資ができる株価に置くことが必要じやないか、こういうことでございますね。それが今の御意見と同じかも知れませんな。だから或る程度は、やはり今後数年というものは有償増資のできるくらいの株価を保つことが望ましい。こういうことでございます。それとお説と裏表になりますか。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それで増資できるような株価を保つているというのは、今のところ上場株でも、どうも我々素人でよくわかりませんが、少いのじやないか……。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) 現在そうでございます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 こういうふうに卒直に言つてもいいのじやないか。むしろ増資をしなければならんという必要に迫られている会社のほうが、額面を割つたり、或いは額面すれすれであつて、増資不可能。この極端な例は神戸製鋼の問題、こういう話が出るとすぐ神戸製鋼の話が出るわけですけれども、あれなんかはいろいろテクニツクの問題で拙劣な点があつたかも知れないけれども、増資ということは今度はさつぱりできないということになつて来ますと、今の上場株全般から見ると、保とう保とうといつたつて、なかなかそう簡単に保てるものではないのじやないかというふうにも思えるのですが、どうせ切開しなければならんものなら、こういうときこそやつておいたほうが、必ず芽を吹くときがあるのじやないかと考えますが、どうですか。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) ですから私は繰返しておるので、決して理論そのものは反対しているのじやないけれども、理論はまさにこれでいいと思うのですけれども……。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 別途の証券対策が立てばというお考えの証券界の小池さんとしては、セオリー的には反対じやないが、若しこれをやるとして、別途の証券対策があればと言われるけれども、小池ざんとしては、どういうことをやつてもらえばこれが呑めるかどうか。

小池厚之助日本証券業務会連合会会長

○参考人(小池厚之助君) 一つは税制面でございます。株式とか或いは株式配当直接でもよろしうございます。或いは法人税関係でもよろしうございます。税制面において優遇しておいて頂くこと。預貯金が御承知のように今度長期性の預金がみな五分になつたでございましよう。そうしてそれが総合されないのです。併し株式のほうにおいては何らそういう措置はないのです。源泉課税が二割から一割五分になりましたが、これはちやんと精算すれば同じことなんです。ですから税制面において優遇して頂くこと、これが第一なのであります。  それから第二は株式金融の問題であります。株式金融というものは、証券金融というものは、戦前に比較しましてお話にならないほど狭まつております。この面を考慮して頂く、殊に払込資金につきましては或る程度考慮して頂く、これが第二であります。  大きな面はこの税制面と金融面でありましよう。これにつきまして何かの対策を用意して下さるのなら、それは理論としてはまさに結構ですけれども、この原案の趣旨は、私、反対しているわけじやないのですが、時期として当を得ないという意味です。その時期というのも一カ月、二カ月というのではなくて、この四、五年の時期でございますね。これを考えております。

大矢半次郎自由党

○委員長(大矢半次郎君) まだ御質疑があるかも知れませんが、時間の関係もありますので、今日は参考人の意見を聴取するのはこれで終りたいと思います。参考人の方々には御多忙のところお繰合せ下さいまして、有益な御意見を拝聴させて頂きまして、有難うございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗