大蔵委員会 第43号
- 発言数
- 96 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/05/12
会議録
○委員長(大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。 金融機関再建整備法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
○菊川孝夫君 昨日もお尋ねしましたが、この金融機関の再建整備法によりまして設けられました調整勘定を今回処理せられるのに、あなたのほうではこれくらいが返るだろう、こういう見通しはあるだろうと思う。で、金額についてこれくらいの金額が大体調整勘定に凍結されておる、それが今回は処理される金額についてはこれだけになるというところを一つお示しを願いたいと思うのです。
○政府委員(河野通一君) これは御承知のように、金融機関再建整備法に基いて調整勘定を作り、その利益金が出て参りますのに応じて打切られた債権者に返して行くというのは、各種類の機関によつて皆違うわけであります。今お尋ねの点は、恐らくこの法律の改正法に基いて送金小切手とかそういうものがどの程度払えるかというお話じやないかと思うのですが、この点は昨日もちよつと銀行課長から御説明申上げましたように、各銀行によつて相当違います。この金融機関再建整備法の改正規定に基いて送金小切手等の問題が起つて参りまする金融機関は十一行であります。勿論御承知のように大銀行ばかりであります。恐らく今の計算で参りますると、在外負債の中で、送金小切手のうち、この法律によつて大体五万円までを支払うというような計算で、先ず第一次的に優先的に払つて行くものに関する限りにおきましては大体において各金融機関とも払えると思います。それから更に進んで在外預金、つまりこの調整勘定の利益金からその財源を組入れても払わなきやならんという措置をいたしておりまする送金小切手の五万円までのもの以外のもの、つまり在外預金でありますとか或いは五万円を越える部分の送金小切手、これらのものについて、この調整勘定からどの程度支払われるかという点につきましては、これは現在上のところでは、昨日も御説明申上げましたように、北拓は大体払える。樺太に支店を持つておつて樺太の在外預金を持つておりますが、これは大体において全額国内の調整勘定の利益金によつて支払ができる見込みであります。その他の金融機関におきましては、恐らく大部分はまだ国内の預金等で打切られたものでまだ未払のものが残つておりますから、送金小切手の五万円までのものを調整勘定の利益金のうちから実質的に払つた後に残つたものは、国内の打切られた預金者に対して支払うことが先ず先に来るわけであります。従いてましてこの改正法によつて在外の預金等についてまで支払ができるところまでは恐らく行くものはないであろうというふうに考えられます。 それから、これは御参考までに申上げておきますが、日本勧業銀行は、これは国内の預金に対しては打切りの措置を講じておりません。従いまして、これは調整勘定の利益というものがあれば在外の預金等についても支払いができることになるのでありますが、御案内のように勧銀におきましては再建整備法の適用に当つて旧勘定というものを設けなかつた。従つて調整勘定の利益というものも計上さるべきものがあるとしても極めて僅かなものしかないような状況でありますので、これ又在外関係の資産というものがどういうふうに処置されるかによつて、今お話のような在外預金に対する支払いがどの程度できるかということがきまつて来るわけでありまして、今申上げましたところをおしなべて申上げますれば、北拓を除きましては、在外の預金、それから送金小切手の五万円を越える部分につきましては、在外にあるこれらの銀行の資産というものがどういうふうにして返還され、どういうふうにしてこれが資金化できるかにかかつておる。こういうふうに御了解頂きたいと思います。
○小林政夫君 ちよつと関連して。今の勧銀はここで設けられた在外資産勘定というものを設けないのですか。
○政府委員(河野通一君) これは旧勘定というものを処理はいたしておりません。調整勘定というものはございませんが、勧銀は在外に店は持つておりますから、それに応じた資産、負債というものがあるわけで、その限りにおいては、旧勘定はないけれども在外勘定は設ける、こういうことになつております。
○菊川孝夫君 北拓は大体五万円以下の送金小切手は全額払えるにもかかわらず、戦前におきましてビツク・フアイブと言つた五大銀行ですな、これらなんかも相当三井のドル買事件以来、海外にはたくさんの支店を三井なんか持つておる。その代り抑えられたのも多いが、イギリスだとか或いはアメリカ、ここらは割合に返還がうまく行くのじやないかと思いますがね、三井三菱、住友、これなんかはどのくらいの成績をあげる見込ですか。取引も一番多かつたのじやなかろうかと思うのだが。
○説明員(谷村裕君) 只今おつしやいましたように、確かに三井或いは三菱或いは住友、そういつたものが在外に店舗を持つておりまして活動いたしておりましたので、従いましていろいろ資産、負債があつたわけでございます。それで例えば建物などのことを考えてみますと、大体借家でございます。或いはオフイスを借りておりますために、そういう不動産の関係は余りない。何があるかと申しますと、大体まあ債権債務のうちの債権のほうでございます。これは債務といろいろ相殺いたしまして、ネツトに資産がどれぐらい浮いているかというふうにして調べてみなければならないわけなんでございますが、例えばアメリカなんかではどうだつたろうかというふうにして、アメリカの例を見てみますと、旧帝国銀行が資西超過の分が六十三万ドルというふうな数字が出ておる。その他三菱が幾らとか住友が幾らとか、そういう数字が出るわけでございます。これがアメリカのいろいろな、当時対敵取引法によつて処理をされましたネツトの資産超過分として現在管理されておるわけでございます。これが将来どういうふうな扱いになりますか、なかなか私どもから申上げられないいろいろ問題を持つていると思いますが、仮に今お話がありましたようにして、若しその資産超過の分だけでも返つて来るとなれば、その金額だけが確かに御指摘のようにこの在外勘定ではプラスになつて来る、こういうことになります。例えばアメリカの例でなくてインドなんかは非常に好意を持つておるというお話でございますが、ここには旧帝国銀行のボンベイ支店というのがございまして、敵産管理局で目下清算中でございますが、その資産評価は約六十八万ルピーというような数字になつておりますので、これが大体五千万円ぐらいかというふうに推定されますが、例えばそういうようなのも返つて来るとすれば、そういうふうなものがあると考えます。以下若し御必要がありましたならば、資料として在外関係のそういう数字を差上げます。
○菊川孝夫君 いや、数量まで頂かなくても大体わかればこれはいい、大体のところをつかんでおげばいいと思いますが、これらの銀府はとにかくある当時には非常に……あの当時といつても今でもそうかも知れませんが、信用はあつた。ですから在外同胞は主としてこれらの銀行を相当利用したのじやないかと思う。今度帰つて来た場合は裸で帰つて来た。向うには預金を持つておる。これだけは何とか返してもらいたいという要望が私は非常に強いと思う。返つて来るようになつたら、インフレによつての貨幣価値の変動は、銀行局長も言われたが、いろいろ我々もこの問題だけを取上げて言えばけしからんというように言えますけれども、ほかの関連を考えますと、あながちあなたの言われることも理窟はあるので、よくわかるのですが、従つてせめて預金を持つておつたものぐらしは早く返るということを望んでいるのですが、ところが今言つた在外資産の例えば六十万ドルとかの残がある。これが解決しなければやはりその預金ということもこれはもう永久に解決しませんか。その点の見通しを聞きたい。この点は、解決しない以上はいつまでたつてもわからないのですか。
○政府委員(河野通一君) お話のように在外において預金をいたしておつた方々がこちらへ裸で帰つて来られて、その折角預金をしておつた銀行がこちらで払えないのはおかしいという議論は、これは確かにある議論だと思います。併し私どもは、戦後において金融機関の再建整備という措置をいたしました時において、あのいろいろな戦争の影響から起つた不良なるものをきれいに整理してしまう、大手術をいたす、それによつて信用を基礎といたしておる金融機関のいわゆる新勘定というものを作つたわけでありますが、この新勘定というものは、安心してみんなが信用でき、預金もできるようなものに築き上げたいというために、腐つたものを旧勘定に入れて、きれいなものを新勘定に移す、その新勘定に入れた預金に関する限りは、それを支払えるように、足りないものには政府が保証して、その新勘定を育て上げる、こういう措置をいたしたわけであります。その結果、人格は同じでありますけれども、企業再建整備等で行いましたと同じように、いわば一種の第二会社を作つたと同じような考え方であります。これによつて金融機関の信用を保持して行こう、こういう考え方の上に立つてああいう大手術を行なつたのであります。従いまして、現在のところでは、もつと極端に言えば国内における旧預金者は打切られておる。これさえも調整勘定の利益金の範囲内でしか払えない。新勘定が隆々としておるのだから打切られた預金者に対しても新勘定で払つたらいいじやないかという議論もあり得ると思いますが、それは新勘定を育てて信用を確立したいという私どもの目標を壊わすことになるという考え方で、新勘定と旧勘定というものをはつきりそこで切つてしまう。この限りにおいては在外預金なども同じ考え方で進んでおる、かように御了承頂きたいと思います。なお在外財産全体について、裸一貫でこつちへ引揚げて来られて、向うのものはどうなつたかわからない。没収されたかもわからん、これらに対して何らか国が措置しなければならんという議論につきましては、これはいろいろな考え方が成り立つと思うのでありますが、その問題とは切離して、金融機関等におきましては、その持つておる調整勘定と申しますか、そういう出て来た利益金のうちから払えるだけ払う。そこから先は、例えば中国なら中国において不動産を持つておる、これらの不動産に全部の自分の資産を投資しておつた人が、その不動産をそのまま置いて帰つて来た。これは極めて気の毒なことですが、こういう方々に対してどういう措置をするかという問題と併ぜて考えなければならん。調整勘定の利益金の範囲内においては、これはその利益金の範囲内において国家が補償するとか何とかという問題とは切離して措置ができる。その範囲においては成るべく速かにお支払いをすることが適当であろうという考え方に立つてこういう措置をいたしたのであります。それから先に進みますと、例えば今問題になつております各銀行等は中国大陸におきましてはたくさんの店舗を持つておる。そこには貸出金もありましよう。有価証券もありましよう。店舗も、建物も相当立派なものを所有しておつた、これらの資産がありまするにもかかわらず、その資産に見合つて相当多額の預金さえも持つておつたのでありますが、この盗難の面がどういうふうに処理されるかということが未だにきまらない。これはアメリカの問題にしましても、イギリスの問題にしても、同じ問題が実は残つておるのでありますが、いわんや中国大陸等につきましては、講和条的もまだできておらないような状態でありまして、これらはどういうような処置がせられるということはさつぱりわからない、こういう限りにおきましては、その在外資産というものが返つてくれば、これによつて在外預金者に対してその支払ができるということになるのでありますけれども、この点が今のように非常に不安定な状況にあつて将来の見通しもつかないような事態の下におきましては、その在外預金者は、その支払をなさるべき対象となるものの帰属がはつきりしないような状態になつておりますので、お支払いができない。こういうふうなことに遺憾ながらなつておるということを御了承頂きたいと思います。
○菊川孝夫君 これはちよつと性質は違うことは違うと思いますが、東京海上が在外資産が返還になるという外電の情報が入つただけで、すぐ海上の株はすつと動くということをば、経済欄を我々がちよつと読んでみると、そういうことが書いてある。よく研究しておりませんが、だから東京海上のそういうものが返るということになれば、やはり三井や三菱等のアメリカにおける資産というものと当然併行して処理されるということになる。東京海上のほうはすぐに株にも影響することでありますから、これは新勘定、旧勘定という関係でなしに、すぐ海上の資産に入つて来る。これは銀行とちよつと違うからいいのですが、銀行の場合は、そういう東京海上に在外資産が返されると同じようなベースで返されるということになつたら、当然これは旧勘定の利益が生じたものとして処理されるのであつて、今の三菱銀行や三井がそれだけ儲ける、こういうことは全然ないでしようね。この点は、はつきりして頂けると思うのです。
○政府委員(河野通一君) 第一の東京海上の在外資産が返されるという問題につきましては、これは新聞にもちよつと出ましたけれども、詳細はわかつておりません。従いまして、今ここで申上げる段階に至りませんが、仮に今お話のように、三井銀行なり、三菱銀行の在外資産の資産超過分がこちらへ返されることになりましたなら、これは今度の法律が通りますなら、いわゆる在外勘定の資産の部に入れられるわけであります。従つてそれを基として払われるものは、在外の預金者或い什一定限度五万円を超えるところの送金為替は在外勘定に入る、旧勘定に入らないで在外勘定のほうに入る。こう御了解願いたい。
○菊川孝夫君 もう一点、それでは甘めて五万円超えるものだけは払えるようになつたのは、どういうところからこの利益が出て来て払えるようになつたのですか。その当時払えなくて、ようよう今日払えるようになつたのですか。北海道にいたしましても在外預金が払えるようになつた。今まで払えなかつたのが今になつてようよう払えるようになつたという理由は、昨日、インフレのために、こういうことを言つておられたが、そればかりじやない。この理由を一つ聞かせて下さい。
○政府委員(河野通一君) 第一はやはりインフレも一つの理由でありましようが、調整勘定の利益金というものが非常に溜つて来たということが第一点。これは私どもがこの金融機関再建整備法を昭和二十一年国会の御賛成を得て制定いたしました当時におきましては、その後におけるああいうインフレーシヨンが進んで調整勘定の利益金が出るとは考えていなかつたのです。恐らくあれで打切られた預金者はそれでおしまい、又インフレーシヨンが起らないためにああいろ措置を講じましたので、そういう点を我々は考えましたのですが、我々の意図と反してインフレーシヨンが相当進んで来たので、その結果も一つの原因でありますが、相当長期間の利益金が溜つて来たということが一つの原因。もう一つは、法律の現在の制度といたしましては、在外にある資産負債の処理は、現在の法律ではできないことであります。何らこれを処理するための法律的な規定というものができてないということです。それがこの改正法案が通過いたしますると、この法律によつて初めて在外資産負債の処理ということが法律的にはできるようになつて参ります。併し実際には、この法律ができたからといつて、先ほど申し上げましたように、直ちにすべての問題が片附くわけではございません。在外の店舗に属しておつた資産等の帰属がはつきりしないうちにおいては処理ができないものは相当あるのでありますが、この法律ができることによつて初めて在外預金者に支払ができる、こういう二つの原因に基いて処置ができるわけであります。今までも、少くとも預金におきましても相当な調整勘定の利益金というものが出ておりましたけれども、この法律の改正がないと在外預金等の支払ができない、こういうことになつておつたわけであります。それから在外からの未払送金小切手の支払いもできなかつた。それがこの法律の改正によつて初めて法律的な根拠が与えられて処理ができるようになつた。こういうように御了承願います。
○小林政夫君 今、銀行局長自身も、こういう措置ができることは予期しておらなかつた、この法律で初めてそういうことができるようになつた。いわんやその打切られた預金者等は、もう駄目だと思つて通帳等は焼いてしまつておると思います。焼いていますよ。我々も焼いたし……これはその場合に銀行のほうで確認できれば払つてやるのか、そこの証書書類の焼亡というものはどの程度立証するのですか。
○政府委員(河野通一君) この点は昨日も御質問があつたように聞いておりますが、お話のように、まあどうなるかわからんということで通帳等も紙切れと同じように扱われたという時代が確かにあつた。全部ではございませんが、一部にそういう方々があられたように私も聞いております。これは実際問題として結局その認定の問題に帰着する。これは私は焼きましたからといつて来られたものを、ああそうですかというわけには行かないので、何らか立証する方法が必要になつて来る。その立証のつく限りにおいては、できるだけ債権者の利益のために便宜な解釈なり或いは認定を下すように今後も指導いたして参りたい。それから、さつき例えば銀行のほうにおける帳簿に載つておるといつたようなことがあり得るだろう、これもまさに一つの証拠にはなると思います。併しながら御案内のように、在外預金、在外送金小切手等につきましては、実はこちらの帳簿にないわけであります。たまたま引揚げて来た帳簿があるかも知れませんが、これはもう終戦直前後におけるあの混乱状態におきましては、帳簿につけないで送金小切手を処置したり、そんなこともやつておるようなわけでございまして、帳簿だけを頼りにして処置するということも非常に困難な事情にありはせんか。併しながら只今小林委員のおつしやるような、現実に、善意な気の毒な状態にあたる方々につきましては、できるだけそれらの方々の利益になるような方法で認定をして行くということをいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
○菊川孝夫君 今、私のお聞きしたのは調整勘定に利益が出たと今おつしやつたのだが、その調整勘定に利益が出たというのは、どういうふうにして利益が出て来たのか、こういうことを聞いておるわけです。どうして調整勘定に利益が出たか、或いは今日までこれをやらなかつた理由、この二つを聞きたいのです。これは講和条約が発効したためか。それともほかに理由があつたのか。
○政府委員(河野通一君) 調整勘定に利益が出て来たのはどうして出て来たかということは、昨日も御説明申上げましたように、まあ全部が全部でありませんが、やはりインフレーシヨンの影響等であります。昨日申上げましたように、調整勘定の利益金というものは、旧勘定に入れられておつた資産、例えば昨日申上げました株券等が、例えば満鉄の株を持つておつた、これらの株は、まあ満鉄の株というと語弊がありますが、国内の或る程度の企業会社の株を所有しておつた、これは企業がどうなるかわからんということで、零に評価してしまつた、ところがその後その会社が隆々と回復して発展をして、その株価がどんどん価値を持つて来た。そうすると、それだけのものが従来無価値として評価をいたしておつたものが、例えば百円になつた、その株を百円で買う人があれば、その差額というものは利益として出て来る。これはやはり打切られた預金者に帰属さしてやるべきだということで、調整勘定に利益が出て来たわけであります。それから貸出金につきましても、或る会社に対して貸出をしておつたものが、その会社がどうなるかわからんという戦後の状況でありますので、これは取れないものとして評価をして整備をしなければならない、ところがその後会社が生き直つたという場合におきましては、その貸出金、債権が価値を持つて来る。そうしてそれを零として評価を、貸倒れといいますか、償却をしなければならんほど悪い債権だと思つておつたものがよくなれば、それだけ銀行の旧勘定の利益金というものは出て来るわけであります。これらのものをすべて調整勘定の利益金というもので整備をして、これらは新勘定に属させるべきでない、打切られた預金者があればその打切られた預金者に支払うべきものである。こういう建前で調整勘定の利益金というものを整備し、それが含まれて来ておる。それから昨日申上げましたように、不動産等がやはりそういうものがある。営業用の不動産を持つておつた、それがその当時よりも現在建物なり土地の株が非常に上つて来て、これは不要になつたから処分する、帳簿価額はそれが百万円となつておつたものが処分をしたら一千万円に売れたという場合におきましては、その差額の九百万円というものは調整勘定の利益金として計上させる。そうしてそれは旧勘定に属しておつた打切られた預金者の分配に充てる。その資金に使う。こういうようなことで調整勘定の利益金が出て来たわけであります。それから第二の点は、この調整勘定の支払いを今までとめておつて、これから急に行われるようになつたのはどういうわけかということでありますが、二つに分けてお考えを願いたい。国内の打切られた預金者に対する支払い、これは中間分配でありますが、それは現に行なつて参つております。たしか一昨年の暮から去年の初めにかけて中間分配を行なつております。これは調整勘定の利益金の範囲内によつて行わせたわけであります。ところがこの調整勘定の利益金があるにもかかわらず、在外関係の資産負債を大きく持つておるもの、今申上げたように、大銀行が主でありますが、これらのものについては、これらの在外関係の負債に対してどういう処置をすべきかということの方針もきまつておりませんために、これらの大きな在外関係の債権債務を持つておる者に対して中間分配を暫らくとめるようにと、いずれこれらに対しては法律的措置を講ずるから、その法律的措置を講じた上においてなお調整勘定の利益金が余れば、それを国内の打切られた預金者に払いをしてもよろしい、こういう措置を当時とつたわけであります。その在外関係の債権債務の処理の法案として今御提出申上げているこの改正案が出ているわけであります。これによつて、この法案が通りますると在外関係の処置ができる。その一応の処置をいたしました後において、なお且つ調整勘定の利益金が余つております場合においては、打切られた国内の預金者に対する分配をすることができることになる。この法律が通過いたしますことが、これらの大銀行における国内の打切られた預金者に対する支払を開始するための一つの出発点にこれがなるわけであります。この法律が通つて始めてそういうことができるようになるわけであります。
○菊川孝夫君 今の御説明で大体わかりましたが、もう一つ具体的にお尋ねしておきたいのは、例えば今例に上りました三菱銀行であるとか、旧帝国銀行の今の本店の所在地のごときは、これはあの地所、建物というものは、旧勘定を設定するときと今日とではえらい違いだと思うのですよ、これは……。これはどちらの勘定にこういう本店の建物等は入つているのか。こういうものは、この資産がどういうふうに処理されているものであるか。これの値上り、それからやがて資産再評価、例のあの法律が通つたら、これは銀行もそういうことになるのだろうと思いますが、これを再評価することになつたら大した再評価ができると思うのですが、あの土地などは、何十倍、何百倍どころじやない、あの当時とは、終戦直後とはえらい違いだと思います。こういうのは具体的にどちらの勘定になつておるか。それから資産再評価の関係がどうなるか。これを一遍伺つておきたいと思います。
○政府委員(河野通一君) この問題は非常に重要な問題であります。現在の例えば三井銀行の本店、或いは第一銀行の本店といつたような建物は、元旧勘定に属した資産ということになつております。従つて、旧勘定に元属しておつたものということでありますが、これらの金融機関における営業所、営業用の不動産というものは、これは営業と共にあるわけであつて一これから収益を生むのではない。従つて、それはそれを評価をしたりいたしました場合においても、それから出て来る利益というものを、旧勘定で打切られた預金者に帰属させることは適当でない。こういう考え方に立つております。併し、その営業用の不動産がもう営業用としては必要がなくなつた場合、つまり、処分をいたします、そういつた場合においては、その当初の帳簿価額から処分をした価額その差額は、これは旧勘定の打切られた預金者に帰属させる。ところが、現行法ではその点について若干まだ不十分な点が実はあるので、これは昨日、銀行課長から御説明申上げましたが、この法律で改正をすることになつております。例えば、一つの例を挙げますと、初め帳簿価額が百万円であつた。それが再評価をいたしまして三百万円に評価をした。それを今度は処分をする。いよいよ不要になつたので五百万円に売れたという場合におきましては、現行法ではその旧勘定の打切られた債権者に支払うための財源となるのは、三百万円と五百万円の差額の二百万円しか行かない。旧勘定の調整勘定に入らない、現在の法律では。で、それはおかしいじやないか、法律の建前として……。再評価をしたかも知らんけれども、その再評価をした結果、その建物自体が不要になつた場合は、その不要になつたことによつて生じた利益というものは、すべて旧勘定に属せしめるべきではないか。今の設例によりますと、今度の法律が改正になりますると、百万円と五百万円との差額の四百万円が旧勘定の打切られた預金者に対する分配の財源になる。つまり今二百万円しか旧勘定には行かんけれども、今度は四百万円利益として旧勘定の人々に分配することにしようというのが、この法律の改正に一つ出ているわけであります。併しこれは飽くまでやはり金融機関における営業用の不動産というものの特質から申しまして、それを人に貸して利益をとるかどうかという問題じやない。これは要するに、利潤を生まないものであるという観点から申しますと、それを処分したり、不要になつて売却したりする場合においては、その利益金は根こそぎ旧勘定にやるけれども、それを処分しない限りにおいては、金融機関の新勘定にそのままその評価の益もとどめて置くというのが、この新勘定を育成して行くという建前から言つて適当であろう。こういう考え方がこの法律を作りました当初から一貫した考え方であります。さように御了承を願います。
○菊川孝夫君 その点が、これは新勘定の育成という趣旨から行くならば、誠にあなたの言われた通りと思うのでありますが、併しちよつと道義上、信義上から考えると若干疑問があるように私は思う。というのは、成るほど商売上の建物だからこれは利益を生むものじやないと言うけれども、まあ万一の場合は、そんなことはないだろうと思うが、万一の場合これを担保にすると言つたつて、これは大したものだ、はつきり申しますと。日銀から借りて来ると言つても、日銀だつて、これはいろいろ公債や何かを持つて行くだろうが、結局、三井にしろ三菱にしろ、今持つている地所と建物はこれは大したものだと思える。それから旧勘定の凍結されている預金者から見ましても、どうだと言つたら、こんな大きな建物もある、こんな立派な建物を持つて銀行をやつているのだから、これは大丈夫だからというので預金を集める。それは一つの看板で、銀行としてはあと何にも資本金も何も要らない。銀行は建物と、あれを一つ持つてさえいれば……はつきり言えば。だから保全経済会というものでも何でも丸ノ内あたりにみんな建物を建てている。これはどこの町に行つても、保全にしろ日殖にしろどこに行つても皆建物を先ず作らせる。ほかのものはとにかく、立派な建物だからこれは先ず大丈夫だろうからということで金が集まる。あれを裏長屋でやつて御覧なさい。あんなに金は集まらないから。そういうことから見ると、これは大分性質はそれと勿論違いますから、それと同じように論ずることはできないが、原理というものはよく似たものがあるということは銀行局長認めると思う。室町や丸ノ内の一番いいところに、ばんとした建物を建てて、さあ俺のところはこういうものを持つているのだから、大丈夫だから預けに来いというようなことで、金融機関は皆そういうことをしている。それが非常に大きな資産再評価をして再評価益が出るというような場合、処分をしたときは旧勘定になる、それはあなたの言われるように、それを処分するというようなことは恐らく考えられないと思うが、それらの一部はやはり旧勘定に入れて処理するということはできないものですか。処分をしたときには、やるが、それまでは全然やらん。全部新勘定に入れる。これは新勘定育成の趣旨から言つたらいいか、そういう道義上から言つたら、多少疑問の余地があると私は思うのでありますが、ただこれは新勘定育成のためにやむを得ないと、こういうふうにお考えだろうか。
○政府委員(河野通一君) これはたびたび部内でも議論が出まして、どちらか相反すると言いますか、利益が二つあるわけで、信用機関たる金融機関の新勘定の信用を強く築き上げるということの一つの利益と、それから一方では、折角預金しておつた人がまあほかの原因ではあるけれども打切られた。これは人に貸すより、新勘定を育成するよりも何よりも、そちらに先ず払うべきだという議論、その二つの議論、議論と言いますか、利益がある。この利益の調整に当りまして、私どもは、勿論、程度の差異でありますけれども、営業用の不動産というものについては、これはもう何も利益を生むものでも何でもない。ただ店というものによつて、そこで仕事をしているだけだ。それを人に貸して賃貸料をとつているとかといつたようなことも何にもない。そういうものにつきましては、まあこれを評価をして、それから出て来た利益金を打切られた預金者に払うということよりも、それはそのままそつくり新勘定に入れて、それから評価をして出て来た差額というものを預金者に配るということをするよりも、只今申上げたような新勘定育成という点に重点を置いて考えるほうがこの金融機関再建整備法の趣旨を貫くためには適当であろうというのが、この法律を立案したときからの一貫した考え方であると考えております。この点につきましては、今菊川さんのおつしやるように、部内でも、少しはその評価換えをされて、価値が上つたら、それは旧勘定を打切られた預金者に支払うべきじやないかといつたような議論も実はあつたのでありますけれども、そこは今申上げましたように、新勘定を育成して行くという点に重点を置いたことによつて、預金者の打切られた方々には御辛抱を願うという方針をとつて参つたのでありまして、今度の改正法におきましても、この点に関しては、先ほどちよつと申上げました処分をした場合における旧勘定の打切りの問題はあれをいたしましたけれども、その原則は変えないということにいたした次第であります。
○菊川孝夫君 あなたのおつしやるのは、新勘定、旧勘定と言われるけれども、成るほど法律を作るあなた方や、それからこれの監督の衝に当るあなた方から見れば非常にはつきりする。ところが預金者から見るならば、これは新勘定も旧勘定もないのですよ。昔から三菱に預けておる者はやはり今も取引をやる、三井とやつておる者は中小企業でも何でも取引をやる。あんなに店も立派になつたし、社内の蓄積も相当できたということになれば、結局、新勘定、旧勘定ということよりも、預金者と金融資本ということになると思う。あなた方から見れば、これは新勘定、旧勘定の方針からいつたらよくわかるのだが、預金者から見れば新勘定も旧勘定もないし、昔の通りの店を張つているし、大体重役も一緒のようなものだ。追放されていたけれども、加藤武男なんという者が三菱に依然として控えておるとすれば、これは何をやつておるかわからん。結局金融資本擁護ということが言い得ると思う、我々の立場から見れば。この点をどういうふうに解明するかという点が一点。 それからもう一つは、併しながら仮に資産再評価益というものが出るというようなことがあつても、これは増資の場合は無償交付というようなことは株主に向つては絶対にやらせないのか。増資の無償交付をやる場合にはそういうことはやらんのか。この間、増資をやりましたな、各銀行とも。そのときに今の再評価益は増資の対象になるか、絶対にならんものかどうか、この二点。
○政府委員(河野通一君) 現在のところでは、若し仮に再評価をした場合において、それによつて株主に対する増資にその再評価益を当てるということは、調整勘定の存続する限りはこれはやらせない、こういう方針であります。
○菊川孝夫君 絶対にやらせない。その前の預金者から見るならば一緒のように思うが、銀行局長はそれはどういうふうに考えておるか。全然切離して考えておるのか。
○政府委員(河野通一君) この点はお話のようにそういう面も確かにあると考えております。
○菊川孝夫君 そういう面もかなりこれは多いのだよ。
○政府委員(河野通一君) それで私は先ほど申上げましたように、そういう預金者からの利益、そういう立派な建物があるなら、それから払つたらどうだという議論、これも確かに尤もな議論だ。それから新勘定を育て上げたいという議論と二つある。然らばどつちにウエイトを置いて考えるべきかということになれば、後者にウエイトを置くべきだということでやつておるわけであります。預金者については、今申上げたように調整勘定に利益金がほかの原因によつて溜つて来れば確かに支払える。併しその建物が営業用の不動産として使われておつて、利を生まないものだ、それがずつと繋がつておるものに対しましては、それを現金化して、一番極端なことを言えばそれを売ればいいわけです。例えば三井銀行の本店を誰かに売る、信託会社でも何でもいいから売る、売つてそれから利益が出て来るのを一遍はき出して、それからもう一遍それを買う。銀行が時価で買うということにすれば、利益が出て来ないわけじやない。併し私はそういうことをさせることは結局今の新勘定を弱めることになる。つまり例えば私は、はつきり具体的には知りませんが、今の三井銀行の本店が何億の時価がありますか知りませんが、恐らく帳簿価額は数千万円でしよう。その数千万円のものを何億かで売つて、その売つた利益金を旧勘定の預金者のほうの分配の財源に充てて、売つた値段と同じ値段で買い戻すということはどうだと言うと、三井銀行は新勘定において蓄積されたものを吐き出してまうというのと何ら変りはないのであります。而もそれが売買をしたり商売道具の物であれば別であります、商売道具と言えば言葉が悪いですが、何と申しますか、営業の対象となつている商品なら、これは別だと思うのでありますけれども、そういう営業用の不動産、まあそれから利を生まないというようなものは、私はそうまでして新勘定から吐き出さなければならんという必要はないじやないか。これは一貫して私は考えておりますが、これは必ずしも今菊川委員が御指摘のように金融資本を不当に擁護することでは私はないと思います。むしろ私は新勘定を育てあげることによつてその信用機関としての基礎を強固にするということが、やはり結局は廻り廻つて新しい預金者に対する保護にもなるし、非常にプラスになるというふうな考え方から、今申上げたような態度を一貫してとつておる。こういうふうに御了承を願いたいと思います。
○菊川孝夫君 いや、あなたの主張はよくわかりました。 そこで、これはこれからちよつと議論の飛躍になるようでありすが、この際もう一点だけお尋ねして私の質問を打ち切りたいと思いますが、盛んに今銀行の系列配置ということを言われて、今一部に議論されておることは、あなたも認められておる。議論されておることは事実だね。その銀行の系列に入らなければさつぱり仕事もいかん、系列に入るということは、戦後言われた新しい流行語のように、何か集まりさえすれば金融独占資本ということをよく言つて来た。そういう形がだんだんと強くなる。特に金融の引締め以来これが顕著に現われて来たように私は思う。あなたの主張する新勘定を育成してこれを強いものにする、強いものにすればますくそれは系列配置にされて、そうしてその系列に入らなければならん、入つてしまつたらこの支配を受けることになる、各事業共、金融資本が支配して行く、こういうふうに盛り立てて行くことがあなた方の方針かどうか。こういうことを一つはつきりお聞きしておきたい。
○政府委員(河野通一君) 私どもは金融機関の新勘定を盛り立て、この基礎を強固にして行くということ、むしろ預金者の保護に欠けることがないようにしたいということで新勘定を強くして行きたいと考えております。今お話のような金融資本の横暴とか或いは独占金融資本といつたようなものとは必ずしも結びつかないと思つております。今、系列というお話がありましたが、私どもは系列融資ということを奨励もいたしません。又、別にそうしなければならんということも考えておりません。併しながら過去数年に亘るインフレーシヨン、殊に金融面からのインフレーシヨンということをここでこの際チェックをしなければならん。そうして何と言いますか、デフレーシヨンとは申しませんけれども、健全なる金融基礎の上にあらゆる融資活動というものを行なつて行くという方針をとりました以上は、いわゆる俗に言われる金詰りということは、従来よりもどうしてもきつくなる方向に向つておる。これは私ども先般民間に対しまして、融資に対する当面の方針として、十分その点の信用というものをできるだけ引締めて行く方面において、金融活動というものが行われるべきことの、行政上の措置を現在講じて参つておるのであります。これらの点から見ますると、言葉は悪いようでありますが、融資先に対して選別ということが行われる。それが他面から言いますと、その企業自体に対する将来の見通しとか、企業の内容とか、経理の状況とかそういつた点から見まして、それらの融資が適当であり且つ確実であるということを厳に選択をして行くように現在指導いたしておるわけであります。この点から言いますと、系列とは申しませんけれども、融資に当つて選別が行われて来るということは当然あることと思います。私どもは併しながら、さればといつて、従来戦前において言われておりましたような財閥関係の系列といつたような、この復活を私は決して望んでいるわけではございません。現に先般私の名前で金融機関に通達をいたしました中にも、貸出に関するいろいろな問題のうちで、大口に偏椅するような融資方針をとつてはいかん、つまり或る特定の企業に対してそれに片寄つて大口に融資するようなことはできるだけ避けなきやならんというような点についても、私からはつきり金融機関に申しておるような次第でありまして、これらの点を一つだけとつてお考え頂いても、そういつた系列を促進するような方向において私どもは金融政策をとつておるのではないということの一端は、おわかり願えるのでないかというふうに考えておる次第であります。
○菊川孝夫君 そこで、あなたはいつも預金者保護を強調されるので、誠に結構だと思いますし、当然預金者保護も考えなければならん。それで先ほどへ戻るのだが、預金者側から言うならば、旧勘定でこれだけ棚上げされているんだ。にもかかわらず、銀行はますます栄えておる。にもかかわらず、今度はこの預金者は、旧勘定は相当持つておるけれども、今、中小企業で金詰りその他で苦しんでいる。ところがあなたの言われる選別貸出というやつに入つてしまつて、さつぱり融資のほうは廻つて来ない。ところが棚上げはされておる。一方、銀行の持つている財産及び再評価益がどんどん殖えているだろうということは、国民感情としてと言いますか、預金者の感情としては割切れないものを残すというくらいのことはお認めになると思います。預金金保護ということは、高度の、広範囲に考えた場合には、それらの人たちにも、今の金融資本の根底を揺がさない範囲内においては、でき得るだけこれらに救済の道を開いて行くようにするということは、一つの広い意味の預金者保護になるのではないかと、こういうふうに思うんですが、その点はどう考えておられますか。
○政府委員(河野通一君) 非常に御尤もなお話でありまして、打切られた預金者についてもできるだけそれぞれに打切られた金額を支払うべきであるということが、預金者の安心と言いますか、安定感を確保するゆえんだと私は考えております。併し何分にも金融機関再建整備法という措置をいたしましたときには、ああいう経済的条件の下にあれだけの大手術をやつた。それで、普通の処置をいたしましたならば、預金者に対しては実は殆んど払えないような状態にさえあつたわけであります。それを預金というものの特殊性から見て、或る一定の金額、その当時たしか三万二千円という計算でありますが、そこまでの預金はとにかく新勘定に入れて政府は補償までしてもそれだけの預金は保護するという措置までとつて参つたのであります。預金者の保護で以てするならば、それを三万二千円に限らないで或いは全額の預金者に対しても保護して、そのあとは政府が補償するということも或いは考えられたのでありますが、これは他の資産の形態にあるものとの間の均衡ということも考えなければならない。そういうことで、ああいう措置をとられたのであります。預金者の保護ということを、ほかのことを考えないで徹底するならば、ああいう旧勘定において再建整備上預金者を打切るという措置はとらるべきでなかつたという議論は、私はあり得ると思います。併しああいう戦後における未曾有の事態において大手術を行うときにはこれは止むを得ない。日本の歴史に一回しかないというような意味における大手術をやつた。経済的には、そういう意味において、預金者の保護という観点よりも、そのほうがむしろ大事だということで、預金を打切るということにいたしたのてあります。併しその場合においても、預金というものの特殊性から考えて、或る一定金額以上のものはこれは政府補償までして確保した、こういう処置も行なつております。それで、打切られた預金者は気の毒なことは勿論でありますので、できるだけこれらの方々にも支払いをしたいと思うのでありますが、これは今の法律の建前から言つて、調整勘定に利益金が生じた範囲で、できるだけお支払いをするということで御勘弁を願うことが、大体の経済を強くするという建前から言つて適当ではないかと、かように考えておる次第でございます。
○菊川孝夫君 純資本主義的な考え方から行くと、誠にあなたの理論が正しいと思います。これは議論になりますから、次に移りまして、具体的に二頁の三十七条の三項で、「金融機関は、その調整勘定の閉鎖の際、同勘定に利益金」云々とありところから見まして、いずれこの調整勘定というのを閉鎖を認めることになると思うのですが、これは閉鎖ということは、もう全然これをやめてしまう、全部整理してしまうとこういう意味ですか。これはいつ頃閉鎖するのか。こういう条文を設ける以上は、いつかは閉鎖する予定でしようが。
○政府委員(河野通一君) これはごく俗な言葉で申上げますと、この調整勘定というものは、一種の清算勘定、整理勘定と申しますか、清算勘定である。従つてこれはできるだけ早く整理をして片を付けるほうがいい。ところがこれは片を付けられる方法は二つあるわけです。まあ三つあると言つたほうがいいかも知れませんが、 一つは、その利益金から打切られた預金者とかにいろいろなものを皆支払てしまつてなお余つておる。そうすると、余つたものはこれは新勘定に入れてしまつておしまい、こういうことになる。この場合にも閉鎖はできるわけです。 それからもう一つは、全部支払はできないかも知らんけれども、大体その評価がきまつてしまう。極端なことを申せば、例を挙げると、非常に語弊があるかも知れませんが、例えば満鉄の株というものは将来とても零だ、どうしても零だということが確定するような時代が来れば、これは満鉄の株は零として確定評価をしてしまう。そうすると、もうこれ以上は動かないというところに来たときには、これは皆確定評価がきまつてしまえば、それでも整理はできるわけです。それから出て来に利益金で払えるだけ払つて、あとは閉鎖してしまう。こういうことができるわけでありまして、成るべく早く整理をしたいと思います。 ただ、今問題になつておりまする在外関係の勘定を今度は設けますが、この在外資産負債を整理するための勘定を設けた金融機関におきましては、これはそのほうの整理なかなか事実問題としてむずかしい。少くとも時間を要する。殊に中国大陸或いは朝鮮等にありました在外資産負債の整理はなかなかむずかしい。規定がまだきまりませんから、これらの問題が処理されないと、それがはね返つて来て、国内の調整勘定の処理も最終的にはなかなかむずかしい点がございます。そういう問題のないものにつきましてはできるだけ早くこういう措置をいたしたいと、かように考えております。
○菊川孝夫君 そうすると、その在外勘定というものと調整勘定というものと今度新たに設けるけれども、これは切離すものじやないですな。勿論、在外資産も、或るところはこれが確定するまでは、やはりこの調整勘定は残つて行く、こういうことに考えてよろしゆうございますか。例えば満州或いは朝鮮その他のものは、なかなか三年や五年、自然のときを待つて、これは何とも仕方がないというふうな解決以外には、ちよつと今のところは我々見通せぬと思う。アメリカや、イギリスあたりのものは或る程度で解決するだろうと思う。併し東南アジアにしましても、賠償問題さえ今はこんな状態ですから、ここ五年や十年では、なかなか、特に中国、朝鮮問題等のごときは、それはとても残しておいたところで、これは帳簿に残つておるが、これだけあるということだけで、これはもう解決しないというふうに見なければならんと思います。今の国際情勢等から考えまして……。やはりこれは残つている閉鎖機関の資産というもの、そういうものとかかわりのないものは閉鎖を早くやりたい、こういう趣旨のものである。この第三十七条の三にいたしましても二にいたしましてもこういう趣旨のこれは改正なんですね。これによつて閉鎖ができるというものも相当おありになるのですか。
○政府委員(河野通一君) これは先ほど申上げましたように、在外勘定のないものについては在外勘定のあるものよりも整理が早くできる。併しながらこれを具体的に申上げますと、在外関係のそういう店舗を持つていなかつた金融機関におきましても、一つとつて見ても、満鉄債は一体どう評価すべきか、満鉄の株を持つておる、満鉄の株、満鉄の社債は、大体、旧勘定にあるのですが、こういつたものは一体最終的にどう評価して行くべきか。それが零と評価してよろしいという時期がはつきり来る、或いは五十円なら五十円で評価すべきだということがはつきりすれば、そこでこれは締めることができる。これは満鉄のことばかり申上げますが、そのほかに例えば満州重工業でありますとか或いは中支那開発とか、いろいろあるのでありますが、そういつたものに対する処置も、これも或る程度のところで見通しをつけて、ぱつと線を引いてしまわなければいかんと思うのですが、それがいつ頃そういう線を引く時期が来るかということにつきましては、まだ今ちよつとなかなか申上げかねるのであります。併しながら私どもは、できるだけこういう終戦によつて生じた後始末の問題は、できるだけ早く、盲腸みたいなものですから、切つて捨てたいという気持は非常に強うございますので、或る一定のところまで来たら思い切つて確定評価してしまうということにいたさなければならんかと考えております。
○菊川孝夫君 最後に聞きますが、どう考えても今の政府のこのような政策を今後強力に進められる限りにおきましては、ますますそれは、もう隣りの中国は、国民政府じやなしに、人民共和国ですか、中共になつてしまつている。今、朝鮮の李承晩がああいう状態で、金日成はああだ、それから賠償問題の東南アジア、フイリツピンもああいうふうだし、インドネシアも同様だ。従つてこれはもう、今、満鉄の株をどうの、北支那開発の株はどうのと言つたところで、とてもそれは解決するどころのものじやない。まだ向うから釣りを寄こせというのが関の山、だ。従つてあなたがおつしやるように盲腸は速かに手術しなければならん時期だというふうに私らは思うのだが、まだ併し一縷の望みをこれにかけるということは、どういう意味で望みをかけているのか。ちよつとわからん。これはアメリカやイギリスあたりの先ほど冒頭にお尋ねした東京海上の資産返還、こういうようなものが一応一方見通しがついてしまつた時期が大体切り捨てるべき時期だ、手術の時期だと、こういうふうにお認めになるのか。それとも時期が、もう長い間、二十年、三十年もたつて放つておいてしまうと、皆忘れてしまつて、その時になつて、昨日も大蔵省の法律整理のように、太政官布告の整理まで出て来たが、ああいうふうになるくらいまで放つておくと、こういうふうに考えているのかその点を一つ伺つてやめます。
○政府委員(河野通一君) これはぐずぐずいたしておるつもりはないのでありますが、調整勘定を最終的に閉鎖いたしますると、打切られた預金者はもうそれきりおしまいということになり、閉鎖されてしまうと、その閉鎖をするときに払い切れながつたものについてはもう払つてもらう道はないのです。私どもは、できるだけこれらの方々にもお払いができるならして上げたいという気持があるわけです。だが、それがどの程度で踏切りをつけるかという問題なんです。満鉄ばかり例をとつて恐縮ですが、満鉄の株というものが幾らにもなるなら、それだけのものは一つ評価をして打切られた預金者にお返ししたいという、例はこれは満鉄の例で非常に悪いのですけれども、それに紙一重の問題があるわけです。そういうものについてどこで踏切りをつけるかということです。その点は今申上げたように、打切られた預金者の利益を害しない範囲において成るべく速かに処置をつけたい、こういうつもりでおるのであります。
○菊川孝夫君 具体的に言うとどんなものがあるのですか。これは何とかなりそうだというので、預金者に余り希望を持たして、先ほど小林君も尋ねられたように、中には通帳を焼いたというような人もある。ここまだ十年もたつたら、その預金した人は大抵死んでしまう時代が来る。帳簿だけ残しておいて銀行だけはどんどんどんどん栄えて行く、希望を持ちながら墓場へ預金通帳を持つて行く人はよく出て来ますよ。だから今の調整勘定だけで生じた利益を返すことのほうが却つていいんじやないか。待つているうちに何とかなると、大抵その当時に活躍して三菱とか三井の大きな銀行に預金したというような人は、もうそろそろ時代に来ていると思う。まだ今後三年も五年も十年も放つておかれたのじや、いよいよ以て墓場へ預金通帳を持つて行くという結果になる。私が今申上げたような方法をおとりになるなら別ですが、あなた方は確乎たる方針で、新勘定育成が大切だというなら、せめて二束三文にもならない閉鎖はできるだく早く閉鎖して、そこで多少でもこれは今まで持つて来た旧勘定だけでも早く返したほうがいいんじやないか。具体的にまだ多少希望を持つ、どうせ満鉄みたいなものは私は希望は持てんと思うけれども、こういうものがある、こういりものがあると、具体的にあつたらお知らせ願いたい。
○政府委員(河野通一君) 今のお尋ねの点は、できるだけ打切られた預金者に支払いをどんどんして行くという処直、これは現在できるだけやつております。今のお話は、最終的な措置はどういうものができないかと言われるのだと思いますが、これは例えば在外の会社、今申上げましたようなものとか或いは満州におけるいろいろな特殊会社、或いは国内におきましては閉鎖機関の形になつておるもの、こられをどう処置するか。更にそれより非常にむずかしい問題がありますのは、いわゆる特経会社、企業再建整備法による特経会社、第二会社を作り、それで整理して行く、又これらの持つておる資産かどういうことになるかによつて又違つて来る。それらの点を十分に考慮いたしまして、できるだけその見極めをつけるということにいたしたいと思います。今、別途御提案申上げております企業再建整備法の改正の法律で、企業のほうで利益が出て来ますと、企業のほうから金融機関に入つて来る。金融機関に入つて来ると今度は又金融機関で預金者に支払いのできる財源ができたら企業に又返す。こういう差違いをやるわけであります。これをどこかのところで打切らなければならんわけですが、そういつた点もいろいろ問題がございますけれども、成るべく速かに支払のできるものは、預金者に一銭でも多く、一日も早く支払つて行くという配慮の下に、今後の処置をいたしたい。この点については菊川委員のおつしやる通りの趣旨によつて善処いたしたいと思います。
○菊川孝夫君 もう一点関連して伺いますが、今閉鎖機関と言われたが、閉鎖機関はあなたのほうで監督しておるのでしよう。閉鎖機関はこれもいつまで置くと……、株主もなく、看板だけで、相当の財産を長い間そこにおる閉鎖機関の清算人の連中が食つてうまいことをやつておるのじやないかという風評が相当飛んでおる。厖大な資産を抱えておるところもある。僕等は個々について暇がないので調べておるわけにも行きませんが、相当それに携わつておるものが食つておる。閉鎖機関がどうなるかは国民は諦めておる。関心を示しておる監督官庁とこれに携わつておる者の独占物になつてしまうという傾向があるのじやないか。従つて、例えばこれで持つておる金を銀行へ預金する場合、お前のほうに出したのだから今度もつと貸せという媒介業をやつておるというような噂さえも飛んでおるのです。これはあなたのほうで監督しておられるのでしよう。これに最後の望みをかけておられるのだが、これは置けば置くほどだんだんとそれらに食われておる。今までは成るほどインフレによつて、インフレの高進する段階において、放つておいたら閉鎖機関そのものの資産はどんどん殖えたかも知れませんが、今度は殖えない。減るばかりだと思う。これについてはどうですか。
○政府委員(河野通一君) 閉鎖機関は大蔵省で監督いたしておりますが、これは御承知のように、できるだけこれも早く整理したいということで、当初私ちよつとはつきり数字は覚えておりませんが、閉鎖機関というのは千幾つかあつたが、非常に数が少いのです。大体整理はできました。残つておりますものは特殊なものだけとなつております。私は別に閉鎖機関に最後の望みをかけておるわけでもないので、そういう問題の整理の見通しがつかない限りは、一体調整勘定にどのくらいの利益が溜るかということの見きわめがつきがたいというので、ペンデイングになつておると思います。これらの点についても成るべく早く閉鎖機関の整理を進めたい、これは大蔵省一致の考え方であります。
○小林政夫君 確定評価基準と第三次再評価基準との関係はどうですか。
○説明員(谷村裕君) お尋ねの点は、確定評価基準をきめることができるという第三十六条の二の今度の条文に関してだと思います。一般的に確定評価基準と申しますのは、旧勘定から新勘定に不動産その他を渡しますときにきめたものがあるわけでありまして、今回三十六条の二の規定によりまして、曾つて暫定評価であつたものにつき確定評価をきめるという関係のものは、主として株式がその対象になつております。第三次再評価との関係は株式と関係ございませんので、ちよつと御説明申上げかねます。
○小林政夫君 この三十六条の二でやる確定評価基準というのは、株式、有価証券だけ今予定されておるのですか。
○説明員(谷村裕君) 一番問題になりますのは、恐らく不動産のことを考えておいでになるかと思いますが、不動産は、曾つて旧勘定に属した資産を新勘定に渡します場合に、すでに確定評価基準というもので渡しております。ですから、非常に妙なことになりますが、補足いたしますと、例えば先ほどお話にありました三菱銀行の本店は、当時の帳簿価額を確定評価基準として新勘定のほうに引渡した、こういう形になつております。
○小林政夫君 だから今度の第三次再評価とはどういう関係になりますか。
○説明員(谷村裕君) ですから、第三次再評価が行われれば、すでに確定評価基準はあるわけでございまして、新勘定において再評価を行い、そして新勘定において又再評価したところに従つて償却を行なつて行くわけでありまして、それで再評価差額は再評価積立金として積立てられて行く。これは先ほど局長が申されましたように、仮に処分されるようなことがあり、売渡されるようなことがあつた場合にのみ、再評価差額が調整勘定利益金として廻つて行くということでありまして、確定評価基準と今度の第三次再評価というものとの関係は直接にはございません。
○小林政夫君 今の問題に関連して、今度附則で改正しようとしておる資産再評価法の第百五条の規定と、今の三十七条第二項の関係は、どういうことになるのですか。
○説明員(谷村裕君) 附則のほうで改正しており、ます再評価の関係は、要するに再評価積立金の取りくずしが百五条でできることにいたしたのであります。これが考えられますことは二つございます。 一つは先ほど局長が申しましたように、百万円という確定評価で不動産を引継いております。これを再評価いたしまして百三十万円にいたします。そうしてそれを処分いたしましたときが百五十万であつたといたします。そうしますと、再評価益が三十万、それから再評価したところから更にオーバーした処分の益が二十万、こうあるわけでございます。今はその調整勘定のほうに廻りますのは、この上澄みの二十万だけが行くことになつております。今度の改正によりますと、この再評価益である三十万を含めたところまで合せて五十万円が調整勘定に行くと、こういうことになります。そうすると、どうしても三十万という再評価積立金を取りくずさなければならない。そのために取りくずすという規定を設けております。これが一つであります。 それから第二は、今三十六条の二の関係において株式を暫定評価のままで持つておりますところに、今回確定評価をきめたといたします。そうすると、たまたま暫定評価百万円であつたものが百三十万円に再評価によつて評価替えになつた。確定評価基準をきめたことによつて評価が殖えた。それがいわゆる今度の法律によつてはつきりいたしましたところの増価益と称するものである。この増価益が調整勘定のほうに行つてしまう。こういう関係になるのでございますが、その際にやはり再評価差額も含めて行くようにするという関係で、その取りくずしができるようにする。ちよつと図面でも書かないと、むずかしくて恐縮ですが……。
○小林政夫君 あなたの説明はわかつたけれども、百五条で使つておる処分益という言葉と、今度の企業再建整備法の第三十七条で使つておる処分益は、法律用語として違うのですか。
○説明員(谷村裕君) 再建整備法三十七条で処分益と言つておりますことは、今回の法律で定義をはつきり下したことによりまして、要するに当時の確定評価基準と、それから処分したときの処分価格との差額が、処分益であるということにいたしております。それから百五条のほうで書いております。「その処分益に相当する金額の再評価積立金を上取りくざさなければならない。」という、この処分益と前の処分益ということは同じでございます。従いまして先ほどの例で言いますと、百万円の引継ぎ価格がありまして、それを百三十万に評価替えいたしまして、それで百五十万円で処分したというときの処分益というものは、五十万円でございます。従つて五十万円の再評価頂立金を取りくずさなければならないのでございますが、但書で、その処分の際に当該資産の評価価額とその直前の帳簿価額、即ち百三十万円というのが再評価価額であります。それとの差益即ち二十万円というものがあるときは、その処分益は、その差額に相当する、即ち三十万円まで取りくずしてもいいという規定になつておる。これは法律的にはむずかしい書き方をしておりますが、処分益の字義は異なつておりません。
○小林政夫君 今と同じことを繰返すことになるかも知れませんが、確定評価基準が簿価であるという場合、処分益は、確定評価基準によつて評価が行われたときの帳簿価額との差益ということになつておりますが、その確定評価基準によつて評価が行われたときの帳簿価額というものは確定評価基準価額でしよう。
○説明員(谷村裕君) お答えいたします。おつしやる通り、不動産に例をとりますと、確定評価基準で、当時の帳簿価額を確定評価基準として引継いだわけでございますから、確定評価基準により評価が行われたときの帳簿価額というのが、今の例で申しますと百万円になるわけでございます。
○小林政夫君 そうすると、ここの差益という、百五条の「帳簿価額との差益があるときは、」という差益と、今の処分益とは、同じにならなければならないの、だね。
○説明員(谷村裕君) お答えいたします。十九頁に書いてございますその百五条の但書のところに書いてありますこの差益と申しますのと、それから一頁のほうに書いてございます差益というのは違うわけでございます、金額で申しますと……。この十九頁のほうの但書に書いてあります「当該資産の処分価額とそのときにおける帳簿価額との差益」というのは再評価後の帳簿価額と処分価額の差のことを言つているわけでございます。それから一頁目のほうで言つております差益と申しますのは、この確定評価基準というのは要するに引継ぎ価額でございます。確定評価基準で引継いでいるのが原則でございますから、要するに引継ぎ価額と処分価額との差益、こう読んで頂ければよろしいわけでございます。十九頁のほうは再評価後の帳簿価額と処分価額との差額、こう読んで頂きます。
○小林政夫君 はつきり言うと、再評価価額と確定評価基準価額との差益だね、この百五条のほうは。
○説明員(谷村裕君) そうではないのでございまして……どつちのほうでございますか。
○小林政夫君 但書のほう。
○説明員(谷村裕君) 但書のほうは、再評価後の価額と処分価額との差額でございます。
○小林政夫君 処分益はそうだけれども、その次の……。
○説明員(谷村裕君) それから「処分益とその差益との差額」というのは再評価額ということであります。
○小林政夫君 三十八条の七で、これはもつぱら勧銀等に適用できるという話でしたが、第一項の後段のほうで、「他の勘定から当該不足金額の全部又は一部を在外勘定に借り入れ、その支払に充てることができる。」、他の勘定というのは具体的にどういう勘定を指すのですか。
○説明員(谷村裕君) 現在、銀行は別にたくさん勘定があるわけではございませんで、いわゆる一般の勘定でございます。特別に在外勘定というのを別建の勘定にいたしておりますので、在外勘定以外の勘定、即ち現在の普通の勘定、いわゆる新勘定と称ぜられておる、それからでございます。
○小林政夫君 そんなことは読めばわかるけれども、普通の勘定とは一体何勘定でやるのか、具体的にどういう経理をするのか。銀行の貸借対照表を作るときにどういうことをやるのかと言うのです。
○説明員(谷村裕君) 普通の貸借対照表に在外勘定貸しという項目を作つて、在外勘定に貸しを作つておるわけであります。
○小林政夫君 貸しの相手勘定は……。
○説明員(谷村裕君) それは在外勘定が借りになるわけであります。それで現金がそれだけ落ちるわけであります。そうして債権勘定が立つわけであります。
○小林政夫君 現金勘定を使うのだね。
○説明員(谷村裕君) ですから、在外勘定のほうは組入れただけ現金が落ちます。そうしてその代りに貸しのほうに立つわけであります。在外勘定貸しという……。
○小林政夫君 相手勘定の、僕の言う意味から言えば、現金勘定……。
○説明員(谷村裕君) バランス・シートで考えますと、要するに資産の部に在外勘定に貸しというのが立つわけであります。それで仮に若し別途現金勘定だけを見ますれば、現金がそれだけ、要するに小切手を払つた分だけ減になるわけであります。そういう経理であります。減になります、払い出してしまいますから……。但しそれは貸しという形で残るわけであります。
○小林政夫君 今の菊川君の質問のことですが、当初から一貫して新勘定育成という見地でやつておるということなんですけれども、こういう事態になると、金融機関再建整備法を作つたときと、現在の新勘定によつて育て上げられておる金融界の現状をにらみ合せて、又、更に今後何年間か調整勘定を閉鎖するときの事態、相当日本経済も軌道へ乗つて、かなり金融機関も強化したというふうな事態から考えて行くと、何と言つても経済道徳の根本は、今のこの資本主義経済を維持して行く限りにおいては、金融機関の中枢だと思うのです。その金融機関の信用回復、これは非常事態からあの金融機関再建整備法を作るときの事態と、その後の事態とは、非常に変つており、金融機関も強化されて来たのだから、その経済道徳の確立という意味から言つても、当初から一貫した方針なんだから踏襲するのだという考え方でなしに、そういつたところで、もう一度考え直して見るということも必要じやないか。その点は将来とも今の方針通り貫くというお考えか。
○政府委員(河野通一君) この点は先ほど菊川さんの御質問にお答えしたのでありますが、非常に重要な問題でありまして、私どももたびたびこの問題にぶつつかつて実は悩んで参つたのであります。併し結論は、先ほど菊川委員に申上げました通り、当初において考えたところと現在とは考え方を変えておりません。それは単に当初の考えを踏襲したということじやなしに、今においてもやはり変えるべきじやない。又将来においても変えるつもりはない。これは金融界は、非常に私ども行脚かない点もありまして、非常に儲けておつてあれしておるような印象を非常に受けられておるのであります。又そういつた点も全然それが間違つておるとも私は申しませんが、ただ私どもが、必らず金融機関が預金者保護という観点から、十二分に内部留保なり充実ができておるかというと、私はまだ必らずしもそうでない。これはいろいろな観点から言えるい話が戦争前における状態と現在との比較をしたして見た場合に、これは貨幣価値は勿論違つておりますから、実質的な価値でこれを比較いたした場合において、戦争前の状況におきましては、大銀行と言われるものは相当の積立金を持つていたわけであります。それらを比較いたしますと、決してまだ私は十分とは言えないと思います。貸倒れ準備金等においても更に十分に積めるように私どもはしておきたいと考えておるのであります。そういう時代でありますから、決して全然心配ないのだというところまで来ていない。そういう意味において、まだその方針を変えるところまではまだ行くべきではないと思つております。
○小林政夫君 現状は説明を聞くまでもないことなんですが、例えば言われておるオーバー・ローン等を解消して、相当銀行の経理内容が戦前に復したような状態になつておるというような事態になつても、今の方針を変えないという……、それは今ではあなたが変えるとはよう言わんでしようけれども、検討の余地はあるということを申げておきます。
○菊川孝夫君 それに関連して……、こういう見方は成り立つか、あなたは戦前と比較して、まだ預金者保護という立場から考えて、積立金その他においては落ちるところがある、これは僕らも認めます。それから五大銀行等が日銀に対する発言権、池田成彬華やかなりし頃の、加藤武男華やかなりし頃の程度から見ると落ちる。これは一万田なりに抑られておることは認める。併し一方において、今度は企業に対する銀行の力というものは戦前より強いと思うのだが、この点がどうだろうか。ここで考えてみなければならん。積立金は少いけれども企業に対する力は非常に強いというのは、戦前、銀行というのは、預金吸収にいたしましても、貸出しにいたしましても、得意先廻りをやつて、むしろサーヴイスに努めた点も、当時も僕は見受けた。今日はビルデングの中にでんと控えて、そうして貸出の場合には先ずゴルフ場に招待でも受けてというくらいなところが噂されておるのだが、社用族の一端を担いでいるのは金融関係の職員が相当これの一端を担いでいることは、はつきりしていると僕は思う。これは調査なんかはできませんから、わかりませんが、そういう点も考えてみなければいかんと思うのだが、そうすると、先ほど私らが何回も申上げたように、一方においては前のそういう棚上げ等が行われたお蔭で今日再建できたと思うのですよ。だからそのためにこれに酬いるということは、できるだけのことはやつて、今のところ潰れるというような心配はないから、そういうことも僕は考えるべきだ、こういうふうに思うのですが、この点はどうだろう。
○政府委員(河野通一君) 企業に対する金融機関の地位と申しますか、関係がどうかというお話でありますが、これはやはり一般の需要供給の原則に従うわけだと思います。従いまして現在のようなオーバー・ローンになり、企業側から言えばオーバー・ボローになつておる。強いて言えば、そういう状態がないときに比べれば、企業に対して金融機関がいろいろな場合にやかましく言うということはあり得ると思います。併しながら、これは、だからといつて企業というものが非常に金融機関によつて完全に抑えられてしまつておるということでは私はないと思います。今お話の、金融機関がいろいろと招待を受けたりいろいろなことをするということは、これはそんなことはあるべきではないので、当然そういうことは自粛をさせて行かなければならんと考えておりますが、例えば今一番問題になつております日銀と市中銀行との関係、これの強さの問題がやはり企業と市中銀行との関係と同じような状態になつて来るわけであります。日銀から市中銀行が借金をしていない時分においては、そう日銀自身からかれこれという問題はないわけであります。日銀と市中銀行の関係というものがやはり取りも直さず企業と市中銀行との関係に現われている、こう御了解を頂ければいいのじやないかと思つております。併しながら、さればといつて、私は、今御指摘のありましたような点について、過去において預金者というものに打切りをいたした、それは新勘定育成ということを或る程度犠牲にしてもこの際私どもはその打切られた預金者に支払をすべしというところまで踏切る問題として、少くとも現在のところ取り上げることは、私は適当ではない。これはたびたび菊川委員にお答え申上げておる通りでありまして、そこまで考えるべきでない。かように考える次第であります。
○菊川孝夫君 私の申上げるのは、あの当時は百万円なり或いは五十万円という預金があつたということは、その当時の社会の情勢から考えて非常なる一つの物持ちだつたのですよ。だから、こういう人は少々犠牲を背負わしてもいいということで、こういうものが私はできたと思うのです。ところが今日そういう連中はどうなつておるか。同じ日本人だ。そのときはよかつたけれども、今日は非常に落ちぶれて、五十万円の価値というものはその当時の価値とはえらい違つている。だから、もうあれだけ犠牲を背負わしたのだから、ここらで緩める。新興のほうで、又、力の強いのが出て来ているのだから、犠牲を背負つてもらつて、そちらは少し緩和をしてやるということが政治だと私は思うのですが、あの当時に五十万円、百万円を持つておつた連中は、少々犠牲を背負わしてもいいのですよ。ところが今日はその五十万円というものは大したことじやなくなつている。その連中は土地も持つている。長い間、働いて貯めたやつだ。今落ちぶれているというやつに対しては、或る程度の救済策というものは、これは必要だ。こういう観点からお尋ねするのですが、これは御検討願います。これは幾ら議論してもしようがない
○小林政夫君 資産再評価の関係で、今度は強制再評価をやるわけですから、その中で家屋は除いておる、要再評価資産から家屋は除いておる、そういうことと、金融機関の資産の再評価について、あなたのほうはオフイス等の評価はどういうふうに指導しておるのですか。
○説明員(谷村裕君) 私の只今聞いておりますところでは、今回の第三次再評価、いわゆる強制と言つておりますが、あの関係では、たしか不動産は土地だけを除外してありましたが、家屋は除いているかどうか、除かれてなかつたのじやないかと私は記憶いたしておりますが、正確には所管のほうからお答えして頂いたほうがよろしいかと思います。 それから資産再評価の指導の方針でございますが、私どもといたしましては、金融機関に対しましてできるだけ再評価はやつて頂いて、それも余り大きなところまでいたしますと、これは経理上相当の負担になりますが、評価は仮に任意であつたといたしまして、も、やらして、内部蓄積に努めてもらりようにやつてもらいたい、こういう指導の方法をとつております。但し先はどからお話が出ておりましたように、旧勘定に属しておる資産で処分が予定されておりますものについては、再評価をしてもらつて、その再評価した部分だけ新勘定に留保するというようなことをされると困りますから、処分がが予定されてある資産については再評価をするな、こういうように指導して参りました。
○説明員(高橋俊英君) 附加えておきますが、家屋も強制の対象になつておリます
○小林政夫君 そうすると、強制だから、銀行はもうすべて五千円以上の会社ですから、第三次再評価基準まではすべての営業用オフイスであろうとも再評価する、その再評価益は、今、菊川委員の質問で明らかになつたように、資本へは調整勘定の残つておる限りにおいては組入れない、こうですね。
○説明員(谷村裕君) 先ほど局長から申しました通り、従来は、再評価差額、再評価積立金の資本組入れはしない。調整勘定がある間はできないということになつておりまして、今回の再評価法の改正の附則におきましては、資本組入れもできるということに法律を改めております。
○小林政夫君 そうすると、局長のさつき菊川さんに答弁したのと違つている。まだ我々は附則の点まで審議してないからわかりませんが、そうすると、今度衆議院の改正で三割強制組入れをすることになる。原案でいえば四割強制資本組入れになる。そういうような場合に、当然今の再評価益、銀行の場合をとれば大部分がオフイスの再評価益ということになるだろうと思う。四割なり或いは三割というものを入れるとこいうことになれば必ずその事務所の再評価益を組入れるということになるだろうと思う。
○説明員(谷村裕君) 先ほど局長が御説明になりましたことは、従来そういうものもあつたという意味で御了承頂きまして、今後どういうことになるかと申しますと、実は今回の再評価益を資本に組入れるか組入れないかということが配当制限と関係して参ります。御承知のように、銀行その他の金融機関、主として銀行について申上げますと、こういつた再評価法のいろいろ考えておりますことを、実は行政指導でやつて参つておりまして、地方銀行につきましては一割二分五厘、それから普通の都市銀行につきましては一割二分という率で大体配当を抑えて、そして社内留保と申しますか、内部蓄積も努めてもらうという指導方針をとつております。でございますから、実はそういうことで、わざわざ今度の再評価法との関係において、資本を何ぼか組入れて再評価をしなければ、配当を余計にしているのを抑えるとか、抑えないとかいう、そういう問題は、指導の方法としてはないわけでございます。ただ何と申しますか、法律の形式といたしまして、片方では再評価を強制し、資本組入れをやらせて、そして配当の問題と結び付けるという法律体制をとつておきながら、片方では他の法律でやはり資本組入れを禁止するというのでは、法律の形式として矛盾があるというところから改めましたので、実行上は、やはり調整勘定との関係等におきまして、銀行が資本増加をいたします際には、必ず現行銀行法等の規定によりまして、主務大臣の認可を必要といたしますから、どの程度に資本組入れをするか、どういうふうに調整勘定等との関係においてその再評価積立金の帰属を見ておつたらいいかということは、例の再評価法の規定を待たずに、我々の銀行法の規定の運用によりまして認可事項として処理して参りたい、こういうことで、まあ法律のほうは今回は直す、併しやり方としては必ずしも資本組入れをフラフラに、どんどん認めてしまうということではなしに、依然として銀行たるの、特に調整勘定を設けております特殊事情を十分考慮した上で見る、こういう扱いにする方針でございます。
○小林政夫君 それは行政指導でやるということですけれども、今の附則で、そういう組入れを認めるということにするときに、法律の書き方は如何ようにもできる、調整勘定を残しておる、或いは在外資産勘定であれば、調整勘定が残つておるわけだが、そういう調整勘定のある間は、銀行は旧勘定に属する資産再評価益というものを、資本組入れにはできない、こういう書き方はできると思う。それを行政指導でやるのだから、法律はやれるようにしておいてお任し下さいということはおかしいので……。
○政府委員(河野通一君) 今の問題につきましては、これは私、菊川さんにお答えしましたところは、私の間違いでございます。私は、今度のこの法律によつて再評価益を増資に充てることは、調整勘定のある限りはやりませんと申上げたのです。これは間違いでございますからお許しを願います。
○委員長(大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。金融機関再建整備法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 なお諸般の手続きは前例により委員長に御一任願いたいと思います。 それから多数意見者の御署名を願います。 多数意見者署名 木内 四郎 成瀬 幡治 藤野 繁雄 土田國太郎 白井 勇 小林 政夫 岡田 信次 前田 久吉 東 隆 青柳 秀夫 菊川 孝夫 山本 米治
○委員長(大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(大矢半次郎君) 速記を起して。 暫時休憩いたします。午後は二時半から開会いたします。 午後一時七分休憩 —————・————— 午後三時九分開会
○委員長(大矢半次郎君) これより大蔵委員会を再開いたします。 只今より秘密会にいたします。 午後三時十分秘密会に移る
○委員長(大矢半次郎君) 速記をとめて。 午後三時十一分速記中止 —————・————— 午後四時五十四分速記開始
○委員長(大矢半次郎君) 速記を始めて。これにて秘密会を終ります。 午後四時五十五分秘密会を終る
○委員長(大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十六分散会