大蔵委員会 第22号
- 発言数
- 133 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/03/22
会議録
○委員長(大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。 冬期積雪地域における予算繰越の特例に関する法律案を議題といたしまして、提案者より提案理由の説明を聴取いたします。
○東隆君 只今議題となりました冬季積雪地域における予算繰越の特例に関する法律案の提案理由を申上げます。 御承知のように北海道及び冬季雪の深く積る地域におきましては、おおよそ十一月頃から翌年三月末頃までの間は、寒気、積雪又は荒天のため、土木工事その他の屋外工事は殆んどできないか、又はできても非常に工事費がかさむのが常の状態であります。従つて、でき得れば、このような時期には屋外の土木工事等を行うことをやめ、四月頃から十月頃までの工事適期にできるだけ工事を進行せしめるようにすることが合理的であり、又、経済効果も多いのであります。 ところが予算の執行状態を見ますと、予算の配賦が遅れるのが常であるばかりでなく、前年度の繰越明許費の繰越も、その手続の面倒さから年度当初の間に合わず、ために工事を最も効果的に実施し得る四月乃至六月の候を空しく過ごしてしまうのが例であります。かくて、北海道その他冬季雪の多い地域においては、工事を実施し得るのは、僅かに三、四月に過ぎないこととなるのであります。殊に災害等による補正予算の成立は、通常、九月以降となり、配賦はそれより更に遅れることとなるので、実際上当該年度においては災害復旧工事を行うことができず、更に、翌年度への繰越が遅れる結果、災害復旧工事等については支障が非常に多いのであります。そのため単作地帯であるこれらの地域では、農作物の作付は、その時期を失することとなるような実情にあるのであります。 もつとも、最近において繰越明許費の繰越手続をだんだん簡単にし、又、予算の配賦も早く行うように努めつつあるようでありますが、予算の繰越の承認を、必ずしも四月初めから工事が行えるようにされるとは限らず、又、予算の配賦も、——殊にこの頃のように政情不安の状態では、三月末までに一般予算が成立することさえ不確定でありますから、——必ずしも、四、五月頃の工事適期までに行われるとは限らないのであります。若し、そういうことになりますと、先にも述べましたように、その年度の工事実施期間は極めて短く、殊に農業関係の工事については、その経済効果をその年度に受けることができないこととなるのであります。 このような不合理な状態をなくするために、北海道その他冬季積雪のため土木工事その他の工事を行うことが著しく困難な地域において実施せられる事業に充てるための繰越明許費で大蔵大臣の指定するものについては、その繰越をするについて、財政法第四十三条に規定する大蔵大臣の承認を経ることを要しないこととし、単に事項ごとにその金額を明らかにして大蔵大臣及び会計検査院に通知することを以て足ることとしようとするのが、この法律案を提出した理由であります。 何とぞ慎重御審議の上速かに可決されますよう御願いいたします。
○委員長(大矢半次郎君) 特にこれについて、政府側から何か意見があれば、この際、聴取いたします。
○政府委員(佐藤一郎君) 只今御提案に接しました点は、財政制度の観点から見ますると、非常なる大改革でございまして、政府としては勿論重大な関心を持つておるところでございます。勿論只今お話がございましたように、積雪寒冷地帯における公共事業等の事業の執行がいわゆる気候的の制限に災いされまして、とかく円滑を欠いているという実情は、私ども誠に御同感申上げておるところであります。従来これについては、いろいろな考え方が種種なされて参つたわけであります。それで、そういうような弊害を、できるだけ一面において除きたいという気持を又我々も持つておるのでございます。ただその調整の仕方が余り制度の根本的な改正に亘りますと、種々他の方面にも影響を来たして参る虞れがございますので、私どもといたしましては、只今の御提案は、一面において積雪寒冷地の事業を円滑に執行する上において、極めて適切であるとは思うのでございますが、他の面についての多少問題が生ずる虞れもございますので、できるものでございますならば、もう少し他の方法によつて御考慮をお願いできたらと、こう思うのでございます。その理由を申しますと、御承知のように我が会計制度におきましては、いわゆる会計年度を一年間といたしておるわけでございます。それで、会計年度を一年間とするという大原則は、何と申しましても長い間の確立した原則でございます。これに対しては、会計法上、財政法上、それでは相済ない場合も考慮いたしまして、或る程度の例外は認めてございます。継続費、国庫債務負担制度その他の制度を初めといたしまして、繰越の制度も又その例外の一つになつておるわけでございます。特に繰越明許の制度は或る意味におきまして会計年度が二カ年度になつておるという性質を多分に持つておるのでございます。それの既存の制度によつて、できるだけ円滑に運営いたして参りたいと思つておるのであります。御承知のように、繰越をいたします際に大蔵大臣の承認を得ることに従来なつておりますが、これについては、一体なぜ大蔵大臣の承認が必要であるかという問題があるわけでございます。御承知のように、毎年度繰越をいたします際には、その財源と共に次の年度に合せて繰越すことになるのであります。一体、繰越ということは制度の上から認められてはおりますけれども、本来或る一年度に経費を使えと、こういうことをやはり前提にして予算が全体として認められておる。であるからして、できる限り努力をして、一年間に使うようにやはり努力をしなければならない、こういうことが前提になつておるわけであります。勿論必ずしも行政上の怠慢であるとかそういうことによらないものも、止むを得ない事情のものもあるのでありますが、中にはやはり行政上の措置が必ずしも適切に進められなかつたということのために、一年間に使い切れないで、どうしても繰越しなければならないという場合もあります。それで、そういうふうに余り濫に流れては大蔵大臣としては甚だ困る、やはり飽くまで会計年度の原則というものは原則として守つて欲しい、真に止むを得ないものだけを繰越を認めたい、そのためにはやはり或る程度個々の事態について承認をすべきか否かということを決定せざるを得ないと、こういうことになるわけであります。殊に、全然この繰越が必要ない、即ちそのままで年度に使い切れなければ不用に立ててしまうというものか、それとも繰越して更に翌年度に亘つて使わせるかということの判断は、なかなか微妙でございます。御承知のように、政府には毎年剰余金というものが出るのでございますが、これらはいずれも、いわゆる予算に一応積算いたしましたけれども、実行の結果不用となつたものであります。ところが全然、承認、不承認をいたしませんと、当然不用となる、即ち剰余金となつて出て来るべきはずの経費が、とかく繰越となつてそのまま使われるという虞れが出て参ります。即ち、こうした広い制度を認めます場合には、結局極めて便乗されるという虞れが一面に出て参るのであります。政府といたしましては、必ずしも繰越すところまで行かなくともよろしい、不用に立ててよろしいというものもないわけではございません。 それから又非常に特殊な場合でございますが、これは景気不景気によつて非常に違うのでありますが、経済界が非常に不況になつて参りましたような場合には、しばしばいわゆる歳入欠陥の問題が起つて参るのであります。そういう歳入欠陥を生ずるというような場合には、先ず繰越すべき財源を削つてもその歳入欠陥に充てなければならない。租税収入その他の何らかの国の収入というものが予定通りに入つて参らないという場合には、その欠陥を先ず補つて、而も財源に余裕がある場合においてのみ、翌年度に財源を繰越して事業を繰越すことを認めると、こういうことであります。これは勿論そう常にあることではございません。できるだけ財政の運営を適切にいたして、そういう事態を避けなければならないのでありますが、併しながら絶対にないということも保証できないのであります。できるだけ費用を繰越すのに、いわゆる便乗を排するとか、或いは只今申上げたような事態にも対処すると、そうして本来の目的であるところの年度内にできるだけ予算を有効に使うという趣旨を貫徹するためには、どうしても大蔵大臣の承認を得ると、こういう建前だけは私どもとしましては崩したくない。殊に積雪寒冷地の範囲というものは、これは、ものにもよるのでありますが、甚だ相対的なものでございまして、実は予算の実行につきましては、必ずしもいわゆる積雪寒冷地帯の事業だけでなく、その他にも種々問題がございますし、これを積雪寒冷地帯に限りましても、現に寒冷地手当等においても相当そういう例がございますが、だんだん拡がる傾向がございます。そのほかの事業で、やはり執行を円滑にするという面だけを強調されて、そうしてできるだけこうした例外を拡大して行くという傾向になつて参る虞れがないとは保しがたいと思うのであります。万一そういうことになりますと、いわゆる会計年度の原則というものは根本から崩れがちになる、こういう虞れもございます。で、私どもといたしましては、そういう重大な内容を持つておりまする御提案でありまするから、できましたら大蔵大臣の承認を省略するというこの点だけは一つ御勘弁を願いたいと、こう思うのであります。尤も先ほども申上げましたように、然らば現状を放つておいてよいかということについては、勿論私どももできるだけその対策を考えたいと、こう思つております。それで今回まだ提案になつておりません、極く最近に御提案いたす予定になつておりますが、財政法、会計法の一部を改正いたしたいと、こう思つております。その内容の中心はこの繰越制度でございます。従来、繰越制度について非常に非難のあつた一つの理由は、大体において承認が、年度が終つてから、即ち三月三十一日が過ぎてからその承認がなされるということであります。併しながら、なぜその承認がそういう事態になるかと申しますると、結局要求する側におかれても年度を過ぎてから出されるのであります。これは即ち金額の実績が確定いたしませんと、幾らの金額を確定的に繰越すかということがわからないわけであります。その結果として、結局三月三十一日の実績の数字というものを確実に把握いたしまして、然る後に大蔵大臣に繰越の承認を得るために、大蔵大臣がそれを承認するために暫らくの日数を要する関係で、更にそれが遅れる。そこで例えば三月三十一日から四月或いは五月の半ばまで、一カ月、一カ月半の空白がそこに出て来て、御迷惑を相かけておると、こういうことになるのであります。その弊害を除くには、いわゆる繰越の承認を事前にやると、年度のうち、即ち二月とか、早い場合には一月の末とか、そういうときに繰越の承認をしておきますれば、三月三十一日から四月一日に年度が変る際にも何ら支障なく事業を続行することができるのであります。今回の改正におきましては、結局できるだけ年度のうちに、即ち十分事前のうちに承認ができるようにいたしたいと、こう思うのであります。それで、そのためには、結局繰越した額は、繰越した以上は無条件で以て翌年度の予算といたしたい。併しながらその承認は事前に行うと、こういうふうに二つに分けたいと思うのであります。ちよつとおわかりにくいかと思いますが、三月三十一日に確定した金額を繰越すと、こういう従来の制定がございます。この繰越した金額は、翌年度の、例えば二十九年度の予算の配賦があつたものとみなすと、こういう財政法の規定がございます。その関係で、翌年度の予算の配賦があつたと同様にみなすためには、はつきりと金額が確定していなけれならないという従来の解釈でありました。それを変えまして、例えば一千万円を二月の中旬に繰越の承認をいたします。一千万円の承認をいたしましたところが、実際問題といたしまてはそのうちで八百五十万円だけ三月から四月に繰越せば足りると、そうすると前の一千万円の範囲内において八百五十万円の承認を与えました場合におきましては、八百五十万円が二十九年度の予算とみなされると、こういうふうに規定を書きたい。従来といたしますと、承認した一千万円そのままが即ち翌年度の予算になる、こういう仕組になつておつたのであります。従つて一千万円というものは三月三十一日までにはなかなか確定できない。いはば制度そのものに甚だ無理がございまして、この繰越制度の無理を改めたい、こう思うのであります。なお従来の繰越制度におきましては只今の例で申しまして、一千万円の繰越をいたそうとします場合に、その年度内に行われる、更に元の一千万円があつたといたしますと、別々の契約をいたさなけければならなかつたのであります。それを今回は年度内において、即ち二十八年度のうちにおいて二十九度に繰越すべき金額を併せて契約することができる、即ち契約を一本で以てできるようにしたい、こういうふうに考えております。これはいわゆる国庫債務負担行為にやや類する制度でありまして、非常に大きな例外的な制度を認めることになるのでありますが、併し繰越制度を円滑にするためにはこの程度の大きな例外を認めざるを得まいという肚をきめまして、今回実は御提案を申上げたい、こう思つておるのであります。従来は折角繰越の承認を得ましたものの、二十九年度に亘る分については二十九年度に別に契約をし、二十八年度の分と別々の契約で行なつておる。これは甚だ不便でありましたから、これらを併せて一括して一本の契約にすることにしたい、こういう提案を考えておるのであります。 それから又従来の財政法、会計法の建前から申しますと、いわゆる大蔵大臣が直接に承認するという建前になつておりました。従いましてそれらの承認の受理というものは必ず中央まで参つたのでありますが、これについても勿論ものによるのでありますが、原則として一番現場の事情を承知している各財務局その他の支局にこの権限を委任したい、法律にそういう規定を設けたい。そう思つております。従来から繰越承認がとかく書面審査になり勝ちの弊害がございましたので財務局の意見を徴して、中央では実際上の審査をいたして参りましたが、更に一歩進めまして、地方において直接に相手方の地方の部局と相談をいたしまして、そうして繰越承認をその現場においてできるようにいたしたい、こういうように考えております。以上の先ず繰越承認を、三月三十一日になる前に以前に承認をするような基礎を作る。それから今度はその承認を得たのちにおいて契約をする。翌年度の分も併せて一本で契約し得るようにする。そうして繰越承認は、承認の行為を各地方の部局において、中央まで持つて来ないで直接に許可し得る。こういうような大きな意味の三点について改正をいたしたい。こういうふうに考えております。 なお承認について、積雪寒冷地の経費につきましては、原則として繰越明許をするという予算措置をいたしまして、それからなおものによりましては、いわゆる包括承認という制度がございます一つ一つの承認を一々するということでなく、或る程度まとめまして権限を認めてしまうという、いわゆる承認制度のやり方によりましては、細かいものを一々個々的に承認するという方法を避ける途もないわけではございません。これらの財政法、会計法の改正並びにその運用の工夫によりまして、只今の提案の目的とする趣旨に副うようにいたしたい、こう政府としては十分考えておる次第であります。従いまして、只今申上げましたように、いわゆる大蔵大臣の承認をやめるという問題は、他にも甚だ波及する虞れがあり、若しそれが一般化する場合においては、非常に困難な状況に相成りますので、できるだけその趣旨を御了解お願いしたい、こう思つておるわけでございます。
○委員長(大矢半次郎君) 今御説明のありました、用意する法案というものは、いつ頃迄提案する見込みですか。
○政府委員(佐藤一郎君) 明日くらいになろうかと思いますが、明日、明後日には提案いたす予定をしております。
○委員長(大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。都合によりまして、本案に対する質疑は次回に譲ります。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 次に経済援助資金特別会計法案(予備審査)を議題といたしまして、提案理由の説明を聴取いたします。
○政府委員(植木庚子郎君) 只今議題となりました経済援助資金特別会計法案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。 政府におきましては、このたびアメリカ合衆国政府との間に締結いたしました経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を本国会に提出いたしまして御承認を求めているのでありますが、本協定に基いて、米国余剰農産物購入の見返の円資金のうち、本邦の工業の助成その他経済力の増強に資する目的のためにアメリカ合衆国政府から贈与される金額を以て、新たに、経済援助資金を設置し、その資金に関する経理を明確にするため、特別会計を設けることが適当であると考えられますので、本特別会計法案を提出いたしました次第であります。 次に、本特別会計法案の内容について簡単に説明いたしますと、経済援助資金は、前述の贈与円資金及び資金の運用収益金等を以て充て、工業の助成その他本邦の経済力の増強に資するため必要な費途にこれを運用又は使用することとし、又、本特別会計は、贈与円の受入金、運用資金の回収金、運用収益金等を歳入とし、資金の運用又は使用のための支出金を歳出としてその経理を行うことといたしているのであります。 以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
○委員長(大矢半次郎君) 本案の質疑は次回に譲ります。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 次に関税法案及び関税定率法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。
○野溝勝君 前回の大蔵委員会における私の質問に対する答弁が残つておるのでありますけれども、政府当局にこの際その答弁を願いたいと思います。特に税関の保税地域に関連しての質問をいたしたのでありますが、それが保税地域でないかあるかという点、先般の委員会では保税地域ではない、指定地域ではないという御答弁でありましたが、然らば、国有財産になつておるならば、この国有財産の処分、処置等について、答弁が留保されておりますから、この際明らかにして頂きたいと思います。
○政府委員(窪谷直光君) この前の当委員会におきまして、野溝先生からちよつと御質問がございまして、私、承知をいたしておりませんものでしたから、調査をいたしたのでございますが、この財産、只今におきましては、運輸省が管理をいたしておりまする財産でございまして、従いまして私どもといたしましては詳細の経緯を承知はいたしておりませんが、運輸当局から聴取をいたしましたところの概略を申上げ、更に精細につきましては運輸当局から御聴取を願いたい思います。 これは第八突堤の工事と関連いたしまして、昔、貯木場でありましたところを埋立の工事をいたしておる地域でございまして、工事は昭和七年に起工をされまして、途中、戦争等の関係で一時中止に相成つておりました。現在におきましては、臨港鉄道でありますとか道路等を除きましてはほぼ完成の域に達しておるというふうに聞いております。これらの施設及び道路は、完成をいたしますと、港湾法の規定によりまして国からこの港湾管理者であります神戸市に、それぞれ譲渡なり或いは管理の委託又は貸付が行われることに相成るのでございますが、なお工事が完成いたしますまでには、予算等の制約からなお数年を要するのではなかろうかというふうに考えられますのと、更に、従来この土地に使用をいたしました工事費の区分別の精算ということに相当の日数を必要とする状況のようでございます。この当該土地は埋立をいたしまして、その部分につきましてはすでに使用ができる状態に相成りましたので、使用の可能な土地を放置するということは経済的にみて極めて損失のあるところでありますので、昭和二十八年の二月に神戸市に一時使用を許可をいたしたのあります。この一時使用を許可いたしました経緯は、神戸市のほうから、神戸港の利用増進のために、当該地域の利用計画につきまして案を立て、神戸港の港湾審議会、これは神戸市条例に基く審議会でございますが、この審議会に諮りまして利用計画を決定をいたしまして、その決定された計画に基きまして、神戸市から運輸省に対して当該地域の一時使用の許可の申請をして参つたのであります。運輸省におきましては、この神戸市の計画を適当と認められまして一時使用の許可をされたのであります。これは工事が全部完成いたしますと、港湾法の規定によりまして、当該市が負担をいたしました費用の限度におきましては無償で当該市に譲与ができるという港湾法の規定はございますけれども、これが無償譲与の土地に該当するや否ということは、今日まだ決定が困難でございますので、一時使用をいたしました分につきましては、運輸省の告示の定めるところによりまして使用料金を徴収されておるのであります。 神戸市にこの土地を使用許可をいたしました概略につきましては大体そういうことのようであります。なお詳細につきましては運輸当局から御聴取をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(黒田靜夫君) 只今御説明のありましたように、神戸港の第七突堤基部の埋立地は昭和七年から事業をやつておるのでございまして、おおむね埋立地は整地の一部を除きましてでき上つておるのでございますが、まだ道路とか鉄道の引込みの問題が残つております。今年度においても道路、鉄道の引込の事業をやつておるのでございますが、まだいろいろ国の財政の都合で、後二、三年くらいは完成までにかかるのではないかと存じます。全体の埋立地の坪数は約四万七千六百坪でございます。このほかにこの埋立地の南側に突堤の工事をいたしております。縁船岸の桟橋の工事でございますが、これが大体第七突堤と第八突堤がございまして、第七突堤は二本出ておるのでございますが、今年度中に基礎、基礎と申しますか、上屋倉庫を除いた部分はおおむね完成する段階でございます。第八突堤は外航船が四隻分付くような計画になつておりますが、来年度におきましてはこれを一隻分だけ着手するようになつておる実情でございまして、まだ突堤を完成さすには相当の年月が要るのではないかと存ずるのでございます。一方、埋立地のほうは四万七千坪で、一部、道路とか或いは鉄道の部分或いは整地を要する部分はまだ残つておるのでございますが、これを利用できる段階に至つたものは、貿易の振興なり或いはその他の地元の神戸港の発展のために利用さすのが国の損失も少いことでありますので、神戸市から一時使用のことが持ち出されまして、それで完成して精算ができるまでは一時使用の認可をいたしたのでございます。で、面積は四万七千坪のうちおおむね三万六千坪程度となつておりまして、利用できる所は大体神戸市に利用さして、これを一時使用せしめて、市からは一時使用の料金を徴収いたしまして国庫に納付さしておるのでございます。この一時使用しました区域につきまして、市がいかに利用するかということは、港湾管理者がその責任においていたすことになつておりますので、道路敷或いは鉄道敷或いは上屋倉庫敷或いは工場その他船員労務者の福利厚生施設もございますし、又海事関係のいろいろな事務所の施設もそこにやる必要があるのでございまして、それらの利用計画は神戸市が管理者の責任においていたしておるのでございまして、市といたしましても、その利用計画の樹立に当りましては、神戸港の港湾審議会というものができておりますが、それには市議会代表或いは関係官庁の代表或いは船会社その他、倉庫海運関係業者の相当数が構成メンバーになつておりまして審議いたしまして、その利用計画に基いていろいろな施設を管理者としての責任において港湾法によつてやつておるような現状でございます。
○野溝勝君 関税法に関連して、保税地域と認定される場所という意味において私は質問したのでございますが、それがまあ保税指定地域でないということで、先般来質問が留保されて、今御答弁があつたのですが、どうも質問の要旨が少しくそれているように思うのであります。と申すのは、この地域は一応まあ神戸市に一時使用の許可を与えておるから、神戸市において更にそれが、市の開発、港湾の開発等にどういうように扱はれておるか、それはよくわからんというような御答弁であります。私の言うのは、この指定保税地域にまぎらわしき場所に半永久的な建物が、十二億近くもかかる半永久的な名古屋精糖の建物がそこに建てられたということはどうしても不可解でならない。特に神戸市の或いは神戸港の開発に名古屋精糖がどういう役割を果すのですか。こういう点については今日関税法の関連の質問といたしましては、勿論関連質問といたしましては適当と思いませんから、後刻の機会におきまして私は質問をするつもりでありますが、そういう点において私が質問しておるのでありまして、四方七千坪の使用許可を神戸市に与えた、その名古屋精糖がどういうふうになつておるか、その点は何ら答弁をされておらんようであります。そういう点が港湾審議会の幹旋によつて処置したと言つておるが、非常にここに割切れないものがある。それで先般来から質問をしておるのでございますが、これは私の見解では、この税関部と管財局とそれから運輸省等々の間にどこか一つはつきりしない、割切れない点があるわけなんです。で、今日は関税法の法案審議と少しそれて来たようでありますから、いずれ国有財産等々の問題が提起された場合に詳細に私はこの賃問を続けたいと思います。でありますから、今から関係当局におきましては、十分その資料を体系ある肯ずける資料並びに答弁を願うことをここで希望しておきまして、この問題は打切つておきたいと思います。
○政府委員(北島武雄君) 先般推測に基きましてお答えいたしました中で、間違つた点がございましたので、私の分につきまして訂正申上げます。この土地は、調査いたしますと、昭和二十七年の十二月に指定保税地域に指定いたしておりますところの広大な面積のうちの一部分でございます。
○野溝勝君 そうすると、税関部長は、今、私の指摘した場所は指定保税地域であることに間違いないとう証言ですね。
○政府委員(北島武雄君) はい。
○野溝勝君 ではこれは明らかになつたのでございますが、して見ると、私はこの際改めて聞いておきたいのでございますが、この指定保税地域を国有財産法第八条に基いてこの処置をしたのですか。その点を一つ聞いておきたいと思います。
○政府委員(北島武雄君) 指定保税地域につきましては、関税法の第二十九条の四、これは新法におきましては三十八条におきまして、指定保税地域の指定を受けた土地、建設物等の施設につきまして、或る処置をしようとする場合には、その土地について税関長に協議をしなければならないという規定がございます。これに対しまして神戸市から、この貸付につきましては昨年の三月に協議があつたのでございます。ただこの協議に対しまして、税関長といたしましては、現行の第二十九条の四の二項にございますように、協議につきまして、その行為が指定保税地域の目的を阻害せず、且つ取締上支障なしと認めるときは、これに同意すべしという制限がございまして、税関長は、専ら関税法上の見地におきまして、それが管理取締の上に支障なしという場合には同意しなければならない制約があるのであります。殊にこの土地につきましては、神戸市におきまして市或いは関係業者或いは他の関係官庁等が集まりまして審議しております港湾審議会におきまして、神戸市の発展のために必要だということできまりましたのでありますので、税関長といたしましては、これに対し同意をするむしろ義務があつたわけでございます。国有財産であるからどうこうという点とは別個でございまして、関税法的な見地において、税関長は、ただ協議に対して同意か或いは不同意かの処置をするわけでございます。
○野溝勝君 そうすると、はつきりこれは税関部の責任監督ということになつておるのですが、先般の質問に対すに答弁を今日は取消したので、私は余り深くこれを追及いたしませんが、先般、税関部長の御答弁が、今日御答弁をし直したというのも、そういう認識の上に立つての見解でありますから、私はあなたを別に疑うわけではありませんが、この問題の内容にも不可解の点があるのであります。そこで先ほど運輸当局のほうは、この神戸市の要請によつて四万七千坪を許容したかのごとく答弁されておるのでありますが、それには間違いありませんか。
○政府委員(黒田靜夫君) 埋立地全体が四万七千坪ございまして、そのうち三万六千坪を市に一時使用をさしておるのでございまして、三万六千坪のうち、只今お話のありました名古屋精糖の使用しておる面積は、報告によりますとおおよそ四千五百坪程度であるということになつております。その他、上屋敷、倉庫敷、道路敷、鉄道敷等を含めますと、全体が四万七千坪になるのでございます。
○野溝勝君 そうすると、これは港湾審議会と神戸市との間において話ができて許可したというか、許容したものでありますけれども、この地域は指定保税地域と私は思うのですが、それについて、かような地域が、いわば関税上の保税地域としてかようなものが一体必要なんですか。税関当局はどういうふうに一体考えておられるのですか。
○政府委員(北島武雄君) 先ほど申上げましたように、税関長に対して協議がされました場合におきまして、税関長はこれを拒否する事由はないのでありまして、その行為が指定保税地域の使用を妨げず、且つ関税の取締について支障ないと認めるときには同意しなければならんという制限がございます。そこで、この土地につきましては、四万七千坪という広大な土地でありまして、その埋立が完成しますならば、将来そこに或いは上屋とか工場或いは倉庫等の建設が予定されておるわけであります。そういう場所にその約一割の土地がこういう工場に使用され、それから又その工場に使用されましても、私の仄聞するところによれば、名古屋精糖におきましてはいわば上屋を建設いたしまして、それを神戸市に提供するように聞いております。保税地域の利用を妨げるとは税関としては考えられないのであります。
○野溝勝君 私は非常におとなしくものを言うておるのですが、さようなことを私はあなたから聞くことは非常に不愈快です、横着なことです。私はあなたに対しては、むしろ私はあなたを、政府当局、事務当局ですから敬意を表するのです。大臣がそんなことを言つたら聞かない。いやしくもこんなことがよそにありますかと言うのです。あんた、こんなことをたやすく税関長の権限だ、税関長さえ許せばいいということなら、至るところみんなこういうことをやつています。だから問題が起つているのです。工場の一割だから差支えない、四万七千坪の一割だからよろしいというようなことを言うて、特定の工場に、営利工場に許して差支えないという、そんな軽い見解を持つていたら、私は承服できない。私はそういう点については十分注意するとか、とにかくさようなことが勝手に扱われては非常に誤解を起すから、大いに今後注意しましようということならば、私はこれ以上に質問しないのですよ。税関部長といたしましては就任早々でございますから、私は遠慮しながら質問しておる。どんな人といえども、直ぐにその地位に就いたからと言つて全部を知つているわけじやないのですから……。責任の地位上いろいろと御答弁されることもよくわかつています。ですから、私は静かに質問をしておるのでございますが……、それはそうじやありませんか。指定保税地域じやないと、この間、答弁しておる。然るに調査の結果は指定保税地域であつた。昭和二十七年のときにそうしたと言う。そういうような、あんた自身が就任早々で調査も足りないし、自信もない答弁をされておるのでありますから、さようなことを私は決定的に申されることは承認できがたいのです。特に今申されました通りに、問題になつておる名古屋精糖でございます。それがいやしくも指定保税地域の中に影響を及ぼさぬなんという馬鹿なことが答弁にできるものじやない。それにえらい十何億を投じた半永久的の建物じやありませんか。少くとも四万七千坪を使用許可を与えるときには、その四万七千坪の利用というものに対しては、あらかじめ税関長並びにそれぞれの関係当局は調査してあるわけなんです。ですから私はそういう観点に立つて質問しておるのでございます。特にかようなことに対して現在税関長初め関税部関係の方々がいろいろと誤解を起したのでは、将来ともすべての税関業務をやる上にやりにくいし、一つには国民が非常に誤解を持つておる際でございますから、本委員会におきましてこの点を明らかにしておいたほうが行政上やりいいと思いまして、本員が質問をしておるのでありまして、そういう点につきましては、あなたのお話のようなふうに差支えないということでありましたならば、私は本会議においても堂々とその討論をして、その決を争いたいと思つております。併しあなた方がこの点について、さような点については十分私は誤解を起しては相成らんから、この点を明らかにいたしまして、本委員会に十分納得の行くように、いずれ詳細なる調査の結果お答えするということならば、これ以上質問を私は打切るつもりでありますが、その点に対する見解を一つお伺いしておきましよう。
○政府委員(北島武雄君) どうも私の申上げ方が悪うございまして、先生の御了解を得られなかつたのは大変残念でございますが、実は指定保税地域という制度を設けましたのは昭和二十七年度でございますが、このときにもいろいろ各省との間に問題がありましたわけです。税関といたしましては、指定保税地域の中に、将来、監視、取締に支障を生ずるようなことをされることは困るというので、そういうような建物の処分とか、或いは工事をする場合に、一応税関長に一つ打合せてくれないかというつもりで、この条文を起案いたしたのであります。その当時、併し各省殊に運輸省或いは港湾管理者におきましては、これに対しては相当な議論もあるようでありまして、自分の土地をこういうふうに貸すのに、一体、税関長に協議する必要があるのかどうかということが問題になつたのであります。私としては、関税法上の最小限度の取締の要求からこちらとしては意見を申述べなければならんこともあるから、そこで一つ税関長に協議して頂きたいということで話がまとまつたのでございます。但しそういう意味で出来上りましたので、税関長といたしましては、その権限を振り廻してどうこうするということは、初めから考えておらないのでありまして、関税法上の最小限度の監視取締りを要求する見地から、それが支障ないと見たならば、同意を与えなければならぬというような制約も関税法上に謳つてあるのでありまして、税関長としては、全然白紙でもつて、或いは経済上の広い見地からそういうことはいかんというような権限は、実は関税法の上では行き過ぎという感じもいたすのでございまして、このような規定になつておるわけでございます。なお税関長の協議につきまして将来問題あるようなことにつきましては、十分紛議を生じないように、改正いたしたいと存じます。
○小林政夫君 先ず関税定率法の第五条の便益関係について、従来この条文によつて行われた具体的な事例をお聞かせ頂きたい。
○政府委員(北島武雄君) 第五条の便益関税の規定でございますが、これは明治三十九年に関税定率法第三条として新設されたものでございますが、その後、実際に、この第五条、旧第三条を適用いたしまして便益関税を実施いたしました事例といたしましては、昔、関東州、関東州は我が国の領土ではございませんでしたが、関東州の生産物に対しまして条約によるところの協定の便益を与えるために、三十九年にこの条文を適用して実施いたしたのであります。その後、昭和十五年にアメリカ合衆国が日米通商航海条約を破棄いたしましたのちにおきましても、日本の生産物に対しまして最恵待遇を与えてくれましたので、日本といたしましても従来通り、条約によらないけれども、この便益関税の規定に則りまして、勅令によりまして実施いたしたことがございます。なおそのほか大正十三年にトルコ、或いは昭和十一年シリア、レバノンの生産物につきましても実施いたした例がございます。
○小林政夫君 大体、昔の条約国というか、この特別な規定による便益を受けない国という意味は、条約上不利な扱いを受けておるということではないわけですね。
○政府委員(北島武雄君) そういう意味ではございませんで、お互いに協定税率などは設けておらないけれども、互恵的見地等から、こちらで協定による税率を適用しようというような場合でございます。
○小林政夫君 十五条の第一項の八号「航空機の発着又は航行を安全にするため使用する機械及び器具並びにこれらの部分品で政令で指定するもの」これを免税する。これは、航空機に関するこういつたものを特に免税にしなければならん、こういう理由はどういうところにありますか。
○政府委員(北島武雄君) これは実は国際的な慣行がございまして、現在こういう方面の条約もございます。まあ日本も目下、これは私の記憶でございますが、加入の手続を進めていると存じますが、国際的にこういう慣行といたしまして、航空機の発着又は航行の安全のための資材は免税するというようなのが大体の慣行でございます。
○小林政夫君 その慣行ができるに至つたのは、例えばパン・アメリカンだとか、そういう外国の航空機会社がそういうものを持つて来るような事例が多いからですか。
○政府委員(北島武雄君) この規定は昭和二十六年に追加いたした規定でございますが、国際間の慣行といたしまして、こういうお互いに条約を作りまして、国際民間航空機構、俗にICAOと申しておりますが、このICAOの規定の中にこういつたものをお互いに免税にしようという規定がございます。それで、その当時、民間航空の再開に至ります時期におきましてこの規定を入れたわけでございます。これは結局外国の航空会社だけでなく、日本航空におきましても適用されるわけでありまして、国際的に相互にこういうような免税をしております。
○小林政夫君 国際的に相互に適用せられるというのですけれども、そういつた国際条約或いは協定なり、そういうことの発生するに至つた原因ですよ、聞いているのは……。
○政府委員(北島武雄君) この原因は、或いは私の推測になるかも知れませんが、戦後、平和が回復いたしまして国際的な民間航空が飛躍的に伸びようというときに、民間航空につきましては、やはり安全第一ということがモツトーになるかと存じます。いろいろ陸上の交通機関或いは海上の交通機関よりも安全だという説もございますが、何と申しましても航空については人命の安全ということが第一のモツトーでございますので、こういうものにつきましてはお互に免税して行こうじやないかということではなかろうかと思うのであります。
○小林政夫君 そんなことは理由になりませんよ。そういう安全にするために使用する機械及び器具がどうして輸入しなければならんかということが問題なんで、日本でこしらえたつて空港でちやんとそういつた施設をすればいいので、特に双務協定でやつているのだから、別にそういう意味においては問題ないようなものだけれども、何もそういつた部品をどうしてこういうふうな協定まで……、若し国際協定通りやつているなら、どうしてやらなければならんか。自国で、それぞれの国で、こういつた安全標識等はできるはずです。
○政府委員(北島武雄君) これらの機械部分品につきましては、政令で一応指定してあるものでございますが、この政令につきましては、地上設備用或いは機上設備用の基本的な機械のほかには「前二号に掲げるもの」又は「新規の発明品又は本邦において製作の困難な物品で大蔵大臣の認許したものという概念も入つております。ただ私は、これは国内で、できないから免税しているのだというばかりではないと思うのでありますが、全体の構想としては、お互いに、例えばパン・アメリカンにいたしましても、アメリカから日本へ持つて来まして、そうして日本で以てこつちから飛ぶものの中に据え付けて出す、そういう場合にも勿論お互いに免税しているわけでございまして、国内生産保護という見地からできないものだけを免税するという趣旨ではないように私は考えております。
○小林政夫君 大した問題じやないのですけれども、それぞれの航空会社独得のこういつた使用する器具、パン・アメリカン或いはノース・ウエストという特定の航空会社のそれぞれの航空機に附随して是非持つて来なければならん、それが毀れた場合に修繕しなくちやならん、こういうような種類のものなら或る程度わかる。空港へ備え付ける。安全のために使用する機械というようなものであれば、強いて考える必要はない。というのは独得のものであるとすれば、ノース・ウエストには、はつきりわかるがパン・アメリカンにはわからない、或いはフイリピンの航空会社にはわからないということになる。空港地帯に備付ける機械器具ならば、こういう特典をする必要はないのじやないか。その中で、国内でどうしてもできないというものがあるなら別だけれども……。
○政府委員(北島武雄君) ちよつと技術的でございますから、鑑査課長から……、
○説明員(木谷忠義君) 航空機を最も安全に発着させよう、航空機が一番危ないのは、着陸のとき或いは離陸するときが一番危ないと普通言われております。それで、これを安全にするというためには非常に計器が発達しておりまして、航空機の中にも計器がある、地上にもそれを以て誘導して行く計器がある、そういうような一連の設備、これは従来日本でもできていなかつたので、昭和二十六年の関税法の一般改正のときに、こういう安全のための計器は免税したほうがよかろうということで、免税規定を設けられたわけでありまして、そういうふうな一連の機械を免税するために、今回の改正案でも出しておるわけであります。
○小林政夫君 それから、今のすぐ隣りの九号と、それから十七条の十号、今、日本では最も問題になるのは自動車です。これは国際的な慣行として守られるのですね。別にトラブルが起らなくて……。
○政府委員(北島武雄君) その国に入国いたします場合には、一時的に携帯いたしましたものとか、或いは引越用荷物として入りましたものにつきましては、その処分等について相当程度制限しているのが各国の状況でございます。殊に自動車につきましては、大体において今回私どもが考えておりますような指定を殆んど世界各国と申上げてもいいほどやつております。私どもといたしましても、単に日本独自の規定ではございませんので、トラブルなしにこれは実行し得るものではないか、こう考えております。
○委員長(大矢半次郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大矢半次郎君) 速記を付けて下さい。
○小林政夫君 関税法の第三条但書に「条約中に関税について特別の規定があるときは、当該規定による。」その「条約中に関税について特別の規定があるときは、」云々とあつて、例えば今の日米行政協定に基く関税等の臨時特例に関する法律、こういうような特別な法律を設けておる。それから今度の国連軍との協定においても、あの協定事項の中に関税等についての特例というか、規定がありますね。特にその但書、「条約中」に云々という規定を、条約においては細目的なことが記載できない、細目規定というような意味で何か規定を作るとすれば、この第三条に基いて施行規則か何かでやつてもいいのではないか。特に法律によつてこういつた臨時特例のようなものを設ける必要があるのか。若し法律によつて出すとすれば、これは立法技術の問題ですけれども、特に第三条の但書等が必要であるかどうか。
○政府委員(北島武雄君) 条約の法律的効果はどうかというの点につきましては、憲法上にもいろいろ議論があるわけでありますが、関税法におきましては昔から外国との間に協定を結ばれる事項が相当多いので、特に法律におきまして、従来の関税法第一条におきましても、「条約ニ於テ特別ノ協定アル貨物ハ其ノ協定ニ依ル」という趣旨をはつきり規定いたしたわけであります。そこで日米行政協定の場合などにおきましては、これは或いは条約であるかどうかということについてもいろいろな解釈もございましたので、あの行政協定によつて免除せられるものをそのまま一応特例法として載せておるわけであります。若しそれがはつきり条約だということになりますれば、更に特例法といたしまして或いは免税を約束いたしたものをそのままもう一遍書き上げることは必要ないので、その後におきましてその免税を受けたものを処分した場合にこれを輸入と見なすとか何とかいつた問題は、特例法の問題でありますが、条約そのものを引き写して法律にする必要はないのであります。ただ関税法におきましては先ほど申しましたように、非常に国際的な協定が多いので、条約の性質、法律的効力等についてはいろいろ説もございますので、関税法におきましては、はつきりと、そういう協定があるときにはその協定によるという趣旨を明らかにしております。
○小林政夫君 そうすると、今度の国連軍との協定による関税の特免の措置、これはどうしようというのですか。これは国会の批准を要請するわけだから、協定という名は付いておつても条約と見なされる、これについては、別に日米安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税等の臨時特例に関する法律というようなものはお作りにならないのか。
○政府委員(北島武雄君) 国連軍との協定につきましては、これは条約として御承認を求めるわけでありますが、ただ各省に亘りまして若干法律事項として規定しなければならん事項がありますので、この点は、恐らく一本にまとめまして特例法が出ると存じます。 それからMSAの協定に伴う特例法でありますが、これは私どもとして只今準備いたしておりますが、これは免税規定のほうは書きませんで、免税されたものを他に譲り渡した場合に関税を徴収するとかいうような跡仕末の規定を特例法として提案するつもりでございます。
○小林政夫君 七条の三項、「国税徴収の例により徴収する場合における」云云、これはこの法文の書き方でいいかどうかという問題なんですが、第一項では、関税は国税或いは地方税にも優先して徴収する。それで「国税徴収の例により徴収する場合における関税及びその滞納処分費の徴収の順位について」云々と書いてある。意味せんとするところは勿論わかるのだけれども、法文の書き方としてこれでいいのですか。
○政府委員(北島武雄君) ちよつとわかりにくい条文でございますので、なかなか御理解頂けないかと存じますが、七条の一項のほうは、よく御覧頂きますと、「当該関税を徴収すべき外国貨物について、他の公課及び債権に先だつて徴収する。」という規定でございまして、内貨となつた後、即ち輸入の許可を受けましてあとで追徴するというような場合は、一項では参りませんで、国税徴収の例によつて徴収することになるのであります。その場合の規定が第三項でございます。その場合においては国税徴収法の第二条第一項にいろいろ徴収の順位が書いてあります。一遍通関したあとで税金を徴収するのは国税徴収法の例によつてやられる。その場合は国税徴収法の第二条の順序によりますぞというのが第三項であります。
○小林政夫君 そうすると、これは一遍通関して外国貨物でなくなつたもので、特別の通関手続その他によつて外国貨物でなくなつたものの未納の関税を徴収する、こういう場合ですか。
○政府委員(北島武雄君) さようでございます。第三項の規定は御趣旨のようなことでございます。
○小林政夫君 その場合に、物品税等と競合したらどうなりますか。
○政府委員(北島武雄君) それは国税徴収法の原則によつてきめるべき問題であります。国税徴収法によりましては、国税同士お互いに競合いたします場合には、早いもの勝ちということになつておるのであります。
○小林政夫君 そうすると、今の外国貨物で特別な通関手続をして出たものが外国貨物でなくなりますね。それはどの規定の適用ですか。関税を払うまでは外国貨物として扱うのじやなかつたのですか。
○政府委員(北島武雄君) 第二条の定義のところを御覧頂きますと、定義の第二号でございますが、「外国貨物」とは、「輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物で輸入が許可される前のものをいう。」ですから外国から日本に到着しまして輸入が許可される前、通関前は外国貨物でございますが、通関されますと四号のほうの内国貨物の定義の中にはまつて来るわけであります。輸入の許可がございますと内国貨物ということになります。四号で、内国貨物は、「本邦にあたる貨物で外国貨物でないもの」云々と書いてございます。
○小林政夫君 そういう場合に、多くの場合は担保をとつて通関させる、担保をとつて通関するということが多いから、先ず先ず取りはぐれはない、こういうわけですね。 次は十三条ですが、これは私まだちよつと研究が足らんかも知れんが、ほかの所得税或いは法人税等においては、還付加算金の支払の場合に、「還付のため支払う日までの期間、」こうあるのですが、今度、所得税法、法人税法におきまして、これに該当する規定は改正をして、支払決定の日までと、こういうふうに直しているのです。それと権衡上はどうなんですか。
○政府委員(北島武雄君) 第十三条の還付加算金の規定は国税徴収法の第三十一条の六によつておるのでありまして、国税徴収法におきましては、還付のために支払う日までの期間を計算の期間といたしておるのであります。今、先生のおつしやいました法人税法は……。
○小林政夫君 その国税徴収法の規定が直されておる。支払決定の日となつている。最近改正になつています。だから若し今後改正するならば平仄を揃えなければおかしいじやないかというのです。国税収納金整理資金に関する法律の、それの附則の第四項だと、今の三十一条の六第一項中「支出シ」を「支払決定ヲ為シ」に改める云々というふうになつております。
○政府委員(北島武雄君) 法制局で審議いたしておりましたときには、実はこの条文でこのまま参つたのでありますが、先生の御指摘によりますと、或いはあとで参りました国税収納金整理に関する法律のほうで、私のほうが準拠いたしました国税徴収法を改正いたしたのではないかと考えるのであります。
○小林政夫君 従つてこの際直す必要がないか。今出ている所得税法でも或いは法人税法でも、同様の規定が全部「支出」を「支払決定」に直している。折角、関税法の全面改正をやるに当つて、同じ言葉を使つたほうがいいのじやないか。
○政府委員(北島武雄君) まさしく先生のおつしやる通りでありまして、実はあとからきめたもので、先に通つたものを直すのは、非常に私どもは残念でありますが、若し国税徴収法がこのように直りますならば、私どもも国税徴収法に合わすべきであると考えます。
○小林政夫君 これは簡単な前からある言葉ですが、第二十一条の「取卸」というのはどういうことですか。
○政府委員(北島武雄君) 陸揚と申しておりますのは船から陸に揚げることでありまして、取卸は飛行機から下ろすことを「取卸」と、こういうふうに申しておるのでありまして、飛行機から下ろした場合には、陸揚という概念は多少おかしい感じがいたしますので、取卸ということにしておるのであります。
○小林政夫君 二十三条で本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機、いわゆるこの法律で言う外国貿易船又は外国貿易機でなくても承認を受けなければならない、こういう意味ですね。そうすると、例えば興安丸のように引揚に行くとか、或いは将来、まだ軍艦でないけれども保安庁のあの艦船なんかはどうなるのですか。
○政府委員(北島武雄君) 関税法の見地におきましては、外国貿易船であると否とを問わず、船用品を積んで外国に行く船の場合におきましては、ややもすれば密輸出のもとになる虞れもございますので、一応関税法では規制する必要があるのでございます。現在の取扱いにおいては、いわゆる特殊船、外国貿易船以外の船舶で外国に航海するものにつきましても、必要と認める場合にはこの取扱いをいたしております。
○小林政夫君 実際問題としてこの通り実行しているのですか。建前はそうだけれども実際はどうですか。
○政府委員(北島武雄君) 現在、現行法の二十一条では申告だけになつております。申告はいたして頂いております。
○藤野繁雄君 罰則についてお尋ねいたします。罰則の百九条、百十条、百十一条、百十二条というふうなものを見て見ますというと、五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金、或いは三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金、五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金というようなことで、大体において一年が十万円になつておるわけであります。然るに百十三条だけが三年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金、こういうふうになつて、百十三条だけが特に十万円と金額を減じておるところの理由を承わりたいと思います。
○政府委員(北島武雄君) 提案いたしました百十三条は、現行法では七十七条に相当するものでございますが、現行法の七十七条におきましても、許可を得ないで不開港に出入する罪につきましては三年以下の懲役又は十万円以下の罰金となつております。今回罰則につきましては改めて全面的に再検討いたしまして、他の法令との釣合等も検討いたしたのでございますが、この許可を得ないで不開港に出入する罪につきましては、どうして他の罪と異なつて一年イコール十万円という比重になつていないかという点につきましては、昔からのいわれをよく調べて見たのでありますが、許可を得ないで不開港に出入する罪は、それが大体において密輸につながる虞れがあるのでございまして、従いまして許可を得ないで外国貿易船が不開港に入るというような場合におきましては、元来は密輸に準ずべき程度の刑罰をかけるというのが当初の趣旨だつたように思います。そういたしますと、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金と、こういうことになりますが、但し船長とか機長につきましては、許可を得ないでこういう不開港に出入することによつて、金銭的な利益を得て、それが直ちに密輸に結び付くということは比較的少いので、むしろ懲役のほうに重点を置いて罰金刑のほうは低くしてあるというのが、昔からの沿革でございます。
○藤野繁雄君 それから同じ罰則ですが、百十一条。これは三年以下の懲役、三十万円以下の罰金、これを改正前ので見てみますると、五年と五十万円になつておる。百十二条は二年と二十万円、これが旧法によると三年と三十万円になつておる。現在ではだんだんと罰金或いは体刑というものは増加しなくちやいけないというように考えられるのにもかかわらず、旧法よりも体刑も罰金も減じたという理由がおかしいと思うのですが、どういうふうに……。
○政府委員(北島武雄君) 第百十一条は無免許輸出入の罪でございますが、現行法におきましてはこれは関税逋脱の罪と同じ罰則でございまして、即ち五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金ということになつておりましたが、今回全面的に罰則につきましても再検討いたします際に、まあいろいろ議論があつたところでありまして、関税逋脱の罪が五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金であるならば、単なる場合によつては行政上の秩序を乱したというだけの、許可を得ないで入れた、或いは許可を得ないで輸出したという罪についても逋脱と同じ罪で行くのはひどくはないか、こういう法制局或いは法務省あたりの意見でございまして、かたがた密輸につきましては、最近検挙件数は上つておりますが、全体といたしましては終戦後のような無秩序状態を脱して次第に常道に戻りつつあると考えられますので、恒久的に今回直す際におきましては、やはり無免許輸出入の罪は関税逋脱の罪よりは軽くしていいのじやなかろうか、こう考えまして、法務省等の意見に同意いたした次第でございます。
○藤野繁雄君 それから六十七条と六十九条です。これに輸出入の検査のことを書いてありますが、いろいろと輸出をする場合において輸出する物の検査を受けなくちやならない。検査を受けなくちやできないが、検査をする人が輸出する場所におらないために支障を来たすようなことがあると考えております。そういうふうなことで、折角外国貿易を奨励しておりながら、輸出するのに検査人がおらないために輸出ができないというようなことは面白くないと思つておりますが、現在の税関の職員で輸出の検査に支障がないと考えておられるか。或いは今後輸出の検査について何とか対策を考えたいというお考えであるか。その点お尋ねしたいと思います。
○政府委員(北島武雄君) 現在の陣容で輸出の検査を十分にできるかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、最近のようにだんだん輸出件数なども小口になつて参りまして、件数としては相当増して参りますような場合におきまして、現在の陣容でなかなか輸出検査を十二分にやるということはできないように考えております。実は今から二年くらい前までは、輸出につきましては、本当のところを申しますと、検査が殆んど十分にできておらなかつた。そのために税関の目を潜つて外国に出た貨物につきまして、あとで思わぬ悪評を招いた例がございます。そこで、それではいけないというので、今から二年くらい前に何とか無理して輸出のほうの検査も抜き検査ながらやつて行こうじやないかということで、現在は輸出貨物につきましては、平均いたしまして、まあ税関によつて違いますが、おそらく全国平均いたしますと輸出件数の二割方は検査を実行いたしておると思います。併しこの程度の検査では、実はいろいろなあとで問題が起きることもございますので、私どもといたしましては、できるだけ人員を増加して然も能率的に輸出の検査をいたしたいものと苦慮いたしておるわけでございます。なかなか定員の関係で思うように参らないのは遺憾であります。
○藤野繁雄君 一般的の品物の輸出或いは輸入と同時に、動植物だとか種子であるとかいうものの輸入については、この輸入の検査が十分でなかつたならば、病虫害が入つて来て、日本の食糧増産その他に非常に支障を来たして来ると考えておりますが、そういうふうな動植物及び種子の輸入検査について、現在どういうふうになつているか。或いは将来どういうふうなことを考えなくちやいけないのか。病虫害防除というような方面から一つお考えがあつたら承りたいと思います。
○政府委員(北島武雄君) 動植物の検査につきましては別個に法律がございまして、植物につきましては植物防疫法、動物につきましては家畜伝染病予防法と狂犬病予防法がございます。それぞれこの検査は農林省の植物防疫所或いは動物検疫所において実行いたしております。その検査を経ましてから税関で更に通関の手続をすることになつておるわけでございます。昔はそういう動植物の検査につきましては、税関におきまして一手でいたしておつたので、比較的人数もやりくりつきまして、十分にできたのでありますが、現在分れておりまして、動植物の検疫はもつぱらまず農林省のほうによつて行い、それで支障ないとなりましてから税関のほうの検査を受ける、こういうことになつております。
○小林政夫君 これは税関部長に言うことじやないのだけれども、先ほどの質問で、海上保安隊の船というもの、今度できる保安隊ですね、この船も今の二十三条の適用を受けることになるとすれば、例外規定が設けてありますか。保安庁法を読んだけれども例外規定がない。
○政府委員(北島武雄君) 昔、日本の海軍がありました時代に、確か軍艦につきましては別途免除規定があつたように私は存じておりますが、現在の保安隊の船につきましては、これは免除規定はございません。従つて若しそれが外国に往来する場合には、やはり関税法の規定の適用を受けるわけでございます。
○小林政夫君 だから、それはあなたから一つ教えてやつて下さいよ。これは恐らく例外を設けておかなければならんものと思う、保安隊の艦艇には。
○政府委員(北島武雄君) よく研究いたします。
○委員長(大矢半次郎君) 大蔵大臣が見えましたから、関税法案及び関税定率法の一部を改正する法律案の質疑は暫らく留保いたします。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 次に外国為替銀行法案を議題といたしまして質疑を行います。
○前田久吉君 第十条の「大蔵大臣の認可を受けて、当分の間」という、この問題で、この前、銀行局長さんから答弁を聞いたのですが、この外国為替銀行は、主として狙つておられる点は東京銀行ということになるのでしようか、この点。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 別に東京銀行と申して、そういうふうに限つたわけではございません。まあ比較的東京銀行が、こういうふうに東京銀行から申請があるのじやないかと思われる点はあるのでございまするけれども、これは申請に基いてやりまするので、実は東京銀行と決して限つておるわけではございません。
○前田久吉君 外国為替銀行は、現在の大蔵省では、特別に法案を出さなくても、私は海外に支店を置く場合も別に不便もなし、それから外国に支店を置くと申しましても、そう今多くの支店が急に必要としないんじやないかということを考えて、この点に多くの疑問を持つておるのでありまするが、この「当分の間」ということは一年ぐらいだというような銀行局長の御答弁があつたが、現在こういう大きな問題も起つております。大阪においてでありままするが、従来一億くらいの枠の約手を割つておつた。ところが適格約手でもこれを理由としてだんだん断つて行つておる。そういたしますると、最近のようにまあ経済恐慌に近い情勢では、ほかの銀行が受付けるわけもないわけでありまして、たまたま私どもの新聞の紙を作つておる工場で訴えて来ておるのですが、こういうことから相当大きな波紋が派生的に現われて来るんじやないか。殊に経済恐慌に近い今日の金融の梗塞と申しますか金融の引締め、これで一層こういう外国為替銀行のために又相当な被害者が現われるんじやないか。大蔵大臣は尤も経済恐慌を望んでおられるわけではないと思うのですが、相当今日の状況は経済界は非常に悪いんでありますが、当分の間の一年という意味は、一年くらいは従来の営業を認めて行くというように私ども承つたのですが、すでにそういうふうに、自分のほうは為替銀行になるんだ、従来の手形の割引も抑えて行つてしないんだ。そうすれば、代りの銀行があるかといえば、この頃の金融梗塞で、ありません。そういうところはどんどん倒れて行く。こういうふうに思うのですが、これに対する大臣の御意見を伺いたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 外国為替銀行法に基いて、実は国際的に太刀打ちのできるように外国為替銀行を育成いたしたいというのが念願でありまして、現在、外国為替をやつておる銀行を圧迫したり、その営業を不利にするといつた考え方は毛頭持つていないのであります。従いまして引続き業務をおやり下さることについては何ら差支えないことでありまするが、ただ私どもとしては、往年の、今の東京銀行と全然違いますが、横浜正金銀行なり或いは台湾銀行、朝鮮銀行等が世界各地に支店も持つて、相当為替で活躍しておつた時分にくらべまして、やはり一つの専門の技術を要する為替については、為替専門の銀行を育成して参ることが、一つとは限りません、二でも三つでもいいのでありますが、望ましいのであります。ただ今までおやりになつておる銀行の為替業務を妨げようとか制限しようとする考えは少しも持つておりませんので、この点、只今前田さんの御懸念のような点は私は何も起らんと思うのであります。ただ前田さんの最初のほうのお話のうちに、各普通銀行でも支店をそれぞれ持つておるのだから、それでもいいではないかというようなお話も伺いまして、これも一応そうもとれるのでございますが、御承知のように、支店を世界各地に持つということが非常に必要なんでありますが、現在のところなかなかそう参つておりません。やはり採算のとれる銀行は、自分の縁故で採算のとれる地には支店を作りまするけれども、それ以外の所へはなかなか持つて参らないのであります。従いまして、やはり一つの為替銀行になりますと、例えば甲乙丙丁戊己庚辛壬癸という店があつたと仮定して、そのうちの戊とか己とかいうものは、採算はとれないけれども、併しそれがあるために甲乙丙丁等の店の活用を通じて利益が出て来る、従つて或る店のそういう部分の店があることが、例えば為替操作にしましても楽になつて来る、又、情報網を持つておるという点で非常に利益するので、やはりそういつた意味からやつておるのでございまして、繰返し申しまするが、現在、為替銀行業務をやつておる銀行にマイナスとなる不便をお与えする考えは毛頭持つておりません。このことは繰返し申上げておきます。
○前田久吉君 私、緑風会のほうでは大体議論が決まつておりますので、この問題は今質問いたしたいと思わないのでありますが、東京銀行と仮定して、東京銀行そのものが、当分の間という局長のお答えにもかかわらず、すでに適格手形でも、もう為替銀行になるんだからと言うて預金者をいじめておる。これを私は申しておるのであります。若し東京銀行以外のところにおやりになるならば、それは私の質問が当らないのですが、現在もうすでにそういうところが、而も重要な新聞の紙を生産しておる面が相当な枠を持つておつてやつておるのにかかわらず、為替銀行になるという前提で、適格手形まで割れないようになつたとしたら、中小企業の諸会社は潰れて行かざるを得ません。これは非常な悪影響をもたらすことは言うまでもなく、大量の失業者も出て来るでしよう。健全な、もうこれなら大丈夫だという見通しを立てた会社でもそういうようにやつて来ておる。為替銀行になるのだということにおいて、すでにもうできるだけ平素の業務を縮めて、できるだけそういう手形の割引でも逃げて行こう。これは大きな今日の金融梗塞のときには、これは非常に社会に影響する。そういうところに、この瀕死の状態に来たこの経済界にも一つ問題を起すようなことまでして、この為替銀行を無理に作ることはないのじやないか。これはいろいろ議論はありますが、これはまあ識者の間でも、賛成論、反対論、いろいろありますが、一応私のほうで結論はつけておりますからこの問題はとやかく言いたくない。すでに自分のほうは為替銀行になるのだから、そういう弱い面を押えて行こうということにおいての私は相当……まあ当分、一年ということを銀行局長は言つておりましたが、この間において相当私は問題が出て来る。というのは、東京銀行が拒否すれば、他の銀行で、それじやあ引受けて割つてやろうというような、肩替りするような余裕のある銀行はありません。従来の習慣において、それぞれ長年の取引で割つておる。こういうところを私は今お伺いしておるわけです。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これは前田さんのおつしやることはよくわかるのでありまして、それは仮に今までの、東京銀行のみを予定しておるわけでもございませんけれども、或いはこの頃の一般の金融引締めのときでありまして、のみならず、オーバー・ローンが、例えば去年の暮よりも一月が殖え、更に二月が殖えるというような状態になりましたものですから、従つてどこも引締めるのに多少そういつた口実を作つておる点もあるのじやないかと思われますが、併し、お話のごとくに、その銀行がやらなければ、それじやどこかがすぐやつてくれるかというと、この節はいろいろな情勢から、なかなかそうは行きませんわけでありますが、従いまして、どうも銀行に大蔵省としてお前のほうで貸し出せということをちよつと申すわけにも行きませんけれども、併し、向うのほうがもう少し、為替銀行になるのだからということでいろいろなことをやらんとしますれば、為替銀行といえども各種のことをやらなければ、これはおのずから為替業務に重点を置く結果、自然の制限は受けまするけれども、又、国内業務の、例えば預金吸収等についての各種の制限は受ける、店舗の配置についての制限は受けることになりましようが、併し、そういうことでは、やはり或る程度輸出為替を取扱うのにも、或いはそれが輸入を扱う会社であるとすれば、輸入為替業務を扱う関係から言つても、不利なことが起つて参りましよから、まあ一つ一つこの点をよくお話し下さいまして、ただ一般に金融引締めの強化の際だものですから、この点の影響は免かれぬかと思いますが、そういつた内容のよいところが、資金の融通を受けるについて、新らしくほかの支店なりほかの銀行なりに頼みにくい事情等をお話し下されば、相当の処置を取るのじないかと私は考えるのですが、その個々の事情についてはちよつとわかりかねる点もございまして、御返事にならん点があれば、誠に申訳ないことと存じております。
○前田久吉君 それでは簡単にもう一つ……。これはなぜ私がこういうことを質問しておるかと申しますと、今、新聞協会のほうで新聞紙の輸入問題が起つております。直ちに困難なドルを出して輸入しなければならん。そういう為替銀行を作るためにそこで割引できる手形も割引いてくれないので潰れた場合でも、この輸入量というのは又殖えて参ります。ドルを節約しようという政府の方針でおられるのですけれども、ドルを余計出すような方針にあるのか。私はこの点、政府のおやりになるところがわからないのです。この点は、去年も私はたびたび申上げたのでありますが、根本において新聞の紙を輸入せねばならん現下の客観情勢下で、而もドルを節約せねばならんというとき、洋紙メーカにはできるだけ長期資金を賄なつて健全なる増産をさせることを希望しておりましたが、現実は、中小メーカーの面倒については適格手形をも拒否するというのでは、貴重なドルを使つて新聞洋紙の輸入をせねばならなくなる。問題は、洋紙メーカーの倒産と、それから起る種々のフリクシヨンのほうが、より大問題であるということを御勘案願いたいのであります。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 前田さんのおつしやることはよくわかりました。一遍よく銀行局長から話を聞いてみまして、そういうことの実はないように……。
○前田久吉君 実際のところです。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 実際そういうことがあつては……、今お話のように、実は外貨も相当窮屈なんで、できるだけ外国の物を入れたくない。特にこの間は国産品愛用に関する通牒まで、閣議決定で出しているところでありますから、そういうわけで、国内で生産可能なもので採算のとれるものがあるのに、只今のこんな不足のドルをなおそれがために使うということは、これは忍び得ざるところでありますから、よく一つ相談いたしてみたいと思います。
○堀木鎌三君 私は先ず議事進行で委員長にお伺いしたいのでありますが、私は大蔵大臣のお忙しいこともわかついるから、成るべく大蔵大臣の能率が上がるようにと思つて、今日一時半からお待ちしている。大体大蔵委員会はこれは大蔵省の所管事項が多いのですが、一体我々はそういうふうに如何なる場合でも政府の都合によつて審議をしなくちやならんという御意思でいられるのかどうか。委員長の御意見を先ず聞きたい。
○委員長(大矢半次郎君) お答えいたします。本法律案の審議に当つて、是非大蔵大臣の出席を求めたいと堀委員からの再三の御要望がありまして、その都度十分大蔵大臣にはお伝えしてあります。是非繰合せて出席してくれと言つておりましたが、衆議院或いは参議院のほうの予算その他重要法案の審議があり、更に最近は衆議院に本年度の第三次補正予算の審議等もありまして、なかなかこちらに出席する段取りには参りかねるのです。それで今日辛うじて短時間でもいいからして是非一つ出て頂きたいということで、繰合せて出席してもらつたわれでございます。
○堀木鎌三君 もう一度伺いますが、大体この大蔵委員会は大臣が余り出席しないでも事柄が運ぶようになつていると私は思う。ほかの委員会とちよつと違う。併し私は、大蔵大臣はお忙しいのだから、その点で或る程度の寛容さは持つておりますが、欠席することが常例になつているようでありますが、この委員会の進行振りを委員長として御満足ですか、御不満足でしようか。
○委員長(大矢半次郎君) お答えいたします。私も甚だ不満足であります。その趣旨は十分大蔵大臣に伝えてあるはずでありますが、この際大蔵大臣から、今の堀木君の質問に対して御答弁を願います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) よくわかりました。堀木委員の御質問はよくわかりますが、私はそれに対して何も怠けているわけではないので、実は今も丁度質問者に指定されておりましたが、特に了解を得て、次の質問者との間だけ出させてもらいたいということで来た次第であります。勿論、大蔵委員会には平素大蔵省としての各種の法案が相当何かと御厄介になつておりますので、私たちは伺えるだけ伺うのが当然でありますが、大蔵として当然であますが、予算がかかつていて時間のないということも一つ御了承を願いたいと思うのであります。
○堀木鎌三君 私は大蔵大臣にその点でお聞きいたしたいのでありますが、今、大蔵大臣は、予算委員会が開かれているうちは大蔵委員会には出席しないつもりですか。無論忙しいことはよくわかりますが、ほかの大臣が答弁している間ぐらいはこちらに出て答弁するのは当然だと思いますが、それは肉体的に過重な点は重々お察しいたしますが、本国会が開かれてからは、私の記憶では一遍しかここに出ていない。あとは殆んど政府委員の答弁です。それで審議の行われるのは私もできるだけ我慢いたしますが、これは両方とも我慢しなければならないと思うが、我我だけが我慢する理由は私はないと思う。そういう点について委員長の口だけで言つたときに、大蔵大臣が委員長の意見を御尊重なさらないのじやないかという気もいたしますので、改めて念のためにお尋ねいたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 委員長の御意見は勿論尊重します。なお私は自分の肉体上の労苦はいといません。ただ物理的に時間が差障つたときには、これは御勘弁願うほかはない。
○委員長(大矢半次郎君) 大蔵大臣に申上げておきますが、本委員会に、税法関係の諸法案、その他予算の裏打ちをなす多くの法律案が出ております。然るに大臣の出席が少いために、非常にこの審議に支障を来たしております。それは、或いは予算が通過しても、その裏打ちの法案は適当の期日内に通りにくいという事態が起らないとも限りませんから、こういう点も十分考慮下さいまして、できるだけ当委員会にも御出席願いたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これは是非ともどうしても通さなければならんので、それは私の肉体的のことだけなら、これはお伺いたします。ただ、これは一番堀木委員よく御存じだと思う。あそこで質問順位があつて、なぜ来んか、延ばしてしまうと言われて、やむを得ずしているわけですから、その辺の実情を御了察願いたいと思います。
○堀木鎌三君 実は外国為替銀行については、銀行局長から一応のいろいろお考え方を伺いました。併しこの法律自体が、非常に大蔵大臣の金融に対する行政方針によつて、ものがきまるというように、非常に広汎に任されておる。と申しますのは、先ほどの前田さんとの質疑の間でも窺えるのですが、要するに、何と申しますか、こういう自由に外国為替銀行ができるような法律案でありながら、差当りは一行に大体きめて行こう、そうして、その差当りということがどういうふうな客観的なものを持つているのか、実にわからない。要するに、この法律を読んだだけでは為替銀行とはこういうものであるというふうな法律案で、而も一つの為替銀行をお作りになろうとしておることが窺える。それならば、従来大蔵省でなすつたような輸出入銀行を作るのだ、輸出入銀行はこういう構成だというふうなことを、端的にこの法律で窺えるようになつていないわけです。私はそういう点で、実にこの法律は、ずるい法律だと思うのです。露骨に言えば、非常にずるい法律だというふうに感じますが、併しまあ臨時金融制度懇談会でいろいろ御論議をなすつた問題である。ところが臨時金融制度懇談会で、反対者の意見も、それから賛成者といえども、いろいろなことを考慮して答申しているわけでございます。そういう点について、大蔵大臣として積極的に、先ず賛成者の意見についてはこれだけの処置をしたのだというふうな御説明が、大蔵大臣からあつて然るべきではなかろうか。私どもそれを大蔵省のほうから参考に頂戴して、金融制度調査会の答申の内容を拝見しているわけでありますが、先ず第一に、賛成者といえども、なおこの原案を妥当とする意見には、特に次のような要望があつたということで、一、二、三というものが書いてあるわけであります。これについて大蔵大臣はどういうふうな御処置をなさろうとしておりますかということを、先ずお聞きしたいのであります。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 大体これは法律案そのものに今の御意見があつたのでなくして、今後の実行上の問題にかかつておるのでありまして、従つて先般もこの懇談会の席上で私が言つたのですが、法律はこういうふうにして国会で御審議を願い、国会のほうでこれが通りますれば、いずれ為替銀行の申請がありましよう。その為替銀行の申請が具体的にあつたときに、然らばこれをどういうふうな店舗の配置その他のことを考えるかというようなことについてのことは、これはそれらの創立者とも相談をするが、そのときにあなた方の御意向とされておる点もできるだけ織込みましよう。但しこういう問題については、掘木さんもよく御承知のごとくに、自分ですでに為替をおやりになつているかたもありますので、全部が全部一致しての御意見というものは容易に得られないのでありますけれども、多数の人の御意見をそのうちに織込んで、そうして多数のかたにでき得るだけ不満足のないような外国為替銀行を作りたい、かように考えておるのでありますが、法案自体についての問題は、この法文のことを直せばいいじやないかといつたような問題についての御議論であつて、この法律に基いてでき上る為替銀行についての御意見がむしろ多かつたかと思つておるのでありまして、今後それらは実情に即していろいろ御相談をして参りたい、かように考えておる次第であります。
○堀木鎌三君 実は大臣としては、法案ができてから運用面で考えられると言われるのでございますが、これが私は、何と申しますか、内容が、この為替銀行が、どういう為替銀行ができるのであるかという、具体的内容が書いてあればともかくなんですが、非常に何と言いますか、原則的なことが書いてあるだけなんです。どういう為替銀行ができ上るというのが、具体的なものができていないのです。一例を挙げれば、専門銀行を育成するに当つては、一般外国為替銀行が、これと、その能力に応じて充分に競争と補完の関係に立つというふうなことが希望されておるのでありますが、そういう点は外国為替銀行をお作りになる構成の上にも現われるだろというふうに考えられます。そういうふうな点についてやはり明らかにして頂かなければならないのじやなかろうか。こういうふうに考えられる。で、すでにこうした金融界の積極的協力が得られるような考慮を払うということも、単に大蔵大臣が、この銀行がどういうふうにそういう金融界の積極的協力を得られるかということを、一つの構成にも現わせば現わし得るわけであります。それから消費者金融と生産金融との円滑なる連繋が失われるようなことのないようにということも、私は為替銀行の作り方によつてはできるのじやないか。これをすべて大蔵大臣は、法案成立後の行政運用に任すのだ、法案は先ず通してくれ、それから大蔵大臣が適当にこの趣旨に副うように運用する、こういうふうにおつしやつても、これは本来言えば、こういうふうな内容が構成の上に考えられ、運用の上に考えられなければおかしいのであつて、そういう点について具体的な大蔵大臣の、こういうふうになるから趣旨が通るのだというふうなお考え方を伺いたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) この外国為替銀行法は、御承知のごとくに特殊銀行を作ろうという考え方でないことは、これは堀木さん御承知の通りでありまして、一般の銀行、銀行と言つては語弊がありますが、普通の、特殊銀行でない市中銀行としてこれをつくるのでありまするから、従つて、細かいことを、一々昔の横浜正金銀行条例とか、或いは台湾銀行法とか朝鮮銀行法とかいうような工合にきめるわけに参りませんので、これは仮に東京為替銀行等をつくりたい人がある、大阪為替銀行を作りたい、或いは神戸為替銀行を作りたいという人があれば、これはそれに基いていろいろ申請し得る建前になつておるのであります。それで今お聞きのことについていろいろお話がございましたが、これは私どもが現在大体為替を扱つておる銀行が、直接ニユーヨークその他に店がある分でも数行ございまするし、現在十二の銀行がそれぞれ若干の為替業務等をやつておられます。これらの為替銀行にはそれぞれの能力の差がありますが、そういつたことに対して、別段にこれらに制約を加えるとかどうとかいうことがなくして、十分にそれらのかたも協力ができるようにし、(「そんなだらしのないことは反対だ」と呼ぶ者あり)そうして日本のほうと一緒にやつて行こう、こういうことでありまして、これは十分に競争と補完の関係に立ち得るようやつて行こう、こういう考え方であります。 それから、その次は、金融界の積極的な協力を得られるよう、この銀行をつくるに当つて、例えば長期信用銀行法がありまして長期信用銀行ができたときに、各銀行等が資本を出したり等のことをいたしましたが、これは資本金を出したり、或いは重役を出すとか、主な人事についての相談を受ける、こういつたこともやりたいというような考え方で、専門銀行の設立に当つてそういう措置をとりたい。これは主に資本及び人事についてであります。 その次は、御承知のごとくに、昔は商社金融と生産金融とは、画然というほどでもございませんが、よほど区別をされておりましたが、最近におきましては、やはり生産金融から始まつて商社金融と結び付いたような金融が多いので、これをもとの為替式な考え方でゆくよりも、生産金融と商社金融との連携が失われないようにする、こういうことなのでございまして、その点について円滑な連携が失われることのないように配慮してくれ。これは商社金融だから、生産金融だから、為替銀行では一切知らんということのないように、又生産金融をする部面を、でき得るだけその為替関係の部面をこの専門銀行に持込むように、こういうような意味で、これらの点をやつておるのであります。従いまして、私どもとしては、これが有力な国際的に競争のできるような一つの為替銀行、つまり世界的に支店網を充実し、そうして為替のエキスパートがそれぞれ役員なり支店長その他に配置されることになつて活動することになれば、当然この三つはそれぞれの協力なり或いは連携なりが得られることと私は信じておるわけです。
○堀木鎌三君 今、大蔵大臣のお話だと、如何にも法文の表面的な規定だけを逐われるようでありますが、併し卒直に申上げますと、大体資本の額が十億円以上の株式会社、それから六条における一から三号までの業務内容を持つたものには全部お許しになるという規定じやなくて、四条でもつて大蔵大臣の免許を受けなければならない。而も大蔵大臣は「人的構成、事業収支の見込及び国際信用に関する見通し、経済金融の状況その他を勘案し、その者が外国為替銀行の業務を行うにつき充分な適格性を有すると認めた場合に限り、前項の免許をすることができる。」と、殆んど大蔵大臣に包括的な権限を委ねているわけでございます。而も大蔵省の意図するところは、やはり現在においては一行を特に外国為替銀行として育成してゆこうという意図があるからこそ、この法案をお出しになつたのだと私は思うのですが、その点、我我はこういうことにつきましては、よほど裏付けのある行政基準なるものが出て来なくちやならないと思うのです。そこで先ずお聞きしたいことは、そういうふうなことをおつしやるならば、先ず一行を差当りこの法律による為替銀行としてお許しになるお気持ですか。数行をお許しになるお気持でございますか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これは第四条のような適格なものが参りますれば、二行以上でもこれを許す考えでおりますけれども、日本の現在の状況から見まして、私はまだ二行以上はこういう申請は実は起つて来ないのじやないか。併しこれが三年たち、五年たち、日本の外国為替銀行が扱う分量が殖えて参りますれば、これはそういつた銀行が更に申請して来ることがあると思いますが、現在この数字の上では、日本の銀行が相当たくさん外国為替を扱つておるように見えますが、併し事実は、例えばニユーヨークその他へ行つてみると、ほんの数人おるだけで、外国銀行に頼んでおるのです。仕事を扱うというのは表面のことになつて、日本銀行は扱つたことになつておりますが、東京銀行は約五十人ほどの人がおりまして、相当活発に仕事をいたしておりますが、そのほかは実際においては余り御活動になつていないというような状況でありますので、これは独立後、間もなくで、占領中、外国の銀行が相当、特にアメリカ系の銀行が活躍した、そういう影響もございましよう。今日においても仕事は引続きそういうところが実際においてやつておるという状況等もありますので、差向きそう数行申請をして来るものとは考えておりません。
○堀木鎌三君 そうすると、数行申請するものとは予期しないが、一行は早く是非つくりたいというお考えでございますか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これは繰返し申すようでありますが、一行に限りません。二行でも三行でも適格者があればこれを許す考えでございますが、今見通しを言えとおつしやるのだが、見通しは少し、二行、三行はすぐにはむずかしいのじやないか。やはりもう少し年数が要るのじやないか。一行のみを政府の骨折でつくろうという考えはございません。外国為替銀行ができて来れば、そういうものができて来たら、申請を許そう、こういう考えでございます。
○堀木鎌三君 次にお聞きしたいことは、一行だつたならば政府の何ら特別の助成なしに十分やつて行けるというお考えでございますか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 政府としては特別の何らの助成をいたさない考えでおります。併しながら、こういうことはあろうかと思いますから御承知を願います。例えば政府が為替銀行に、今、外貨を持つて、例えばアメリカのドルなど預託いたしております、その取扱数量に応じて、多少預託金額に差はございます。これはあるのが当然と私は思います。従いまして、資金の性質上の差は全然ございません。例えば特別低利のものをやるとか、或いは長期のものをやるというようなことはございませんが、資金の量にはその為替の量に応じて多少の差がある、こういうことはございましよう。それから又、外国において国庫代理店をつくるという場合が起るだろうと思います。国庫代理店もそう幾つも要りませんので、国庫代理店をつくる場合に、日本が持つておる外債の利払、利札等の払い、こういうことは、やはり一行でやることになろうと存じます。そのほか性質上の差があるものは何もやらない考えでおります。
○堀木鎌三君 その点、大体政府の金の預託及び支店の問題なんでございまするが、支店問題は、九条の場合に、「外国為替銀行は、外国為替取引及び貿易金融上重要な地に限り、支店その他の営業所を設置することができる。」これの行政方針になつて参るわけですが、これがやはり問題になつて来ると思うのでございますが、一体この法律をお出しになる以上は、そういう支店その他の営業所を設置する必要があるにかかわらず、どうも外国為替を取扱つておる銀行が、思うように支店を設置しない、だからその点ではやはりこういう法律が要るんだ、そういうところに設置させるのだというふうな、何らかのお考え、目標がなければならないだろう。こういうふうに私は考えます。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これは、ちよつと一つ忘れましたが、今、堀木さん御指摘の外国為替銀行のほうには、国内での支店の営業所を少くさすかわりに、外国の為替取引とか貿易金融上重要な地には支店の設置を認めてやろう、こういう考え方をいたしておるのであります。併しながら従来でも、これは今ちよつと状況が違いまするが、ニユーヨークとかロンドンとか或いは上海等には、幾つかの為替銀行が店を出しておりましたので、今後ともその情勢と取引の内容において、ほかに許さないという考えは毛頭ございません。このことは、はつきり申上げておきます。ただ外国為替銀行には、そういう所に支店を作らせる、作つてもらう、そういう考えをいたしております。 又、多少お話の中に、ほかのほうでは少い、まあ不利な所とでも申しまするか、併し為替取引の上では重要な所、貿易金融上には重要な所、例えば南米というような所にはどうするか——こういう所には、私どもは外国為替銀行としては店を作つてもらいたいというふうに考えておるのでありますが、又これは、例えばこの間のような生糸の関係、砂糖の関係、ああいつたような事柄で、いろいろ貿易関係等において複雑する場合には、そういう一つの所でやつておれば、或る程度採算も可能になつて来るのじやないか、こういうふうに思われます。或いはカナダのごときものも、今どこも支店を持つておりますんが、日加貿易の増進の上から見れば、ああいう所にも一つ支店が作りたいと言つて来れば支店を許可しよう、こんな工合に考えております。
○堀木鎌三君 それで南米だとかカナダとか、いろいろ今後の通商関係を見て設置をする必要があるにかかわらず、今のままではできて行かないというお考えのようですが、これに対して政府の金を預託するということは、確かに大きな私は為替銀行の営業上の利益である。現在は少くともその点がなければなかなか立つて行けないということもよくわかるんですが、そういう点ならばそういう点で、どうして……、私はよくわからないのですが、大蔵大臣がこの法律をお出しになる以上は、そういうふうに国策遂行上必要だとお思いになるならば、はつきりと、どこへ許すなら許すんだ、それはこういうふうな資本構成でやつて行くんだ、そうしてこういう支店は是非必要なんだ、こういう特典は是非与えなくちや国策遂行上支障があるんだといつたような点を、もう少しはつきりなすつたらいいので、何だかこの法律の構成みずからが水みたいな法律で、内容がはつきり具体化して来ない。形は具体的なものを頭の上に画きながら、それを如何にも一般的な外国為替銀行のような法律でお出しになる、その間のどうも私は矛盾撞着と申すか、あいまいさと申しますか、そういうものがはつきりしない。これは局長に言わせるのはお気毒だと思つて実はやめたのでございます。大蔵大臣なら大いに金融政策確立の上から、はつきりもう少し積極的なものを、構想として具体的な行政方針として持つておられる具体的な銀行というものを打ち出して頂けないだろうか。こういうことなんでございます。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 今お話の点でございますが、これは堀木さんも御承知のように、そういう特殊のいわゆる特権を持つた外国為替銀行を作ることは今日の国際情勢から見て穏当でない、又実際においてそれでは仕事もできないであろうと私は考えます。従いまして、一般の法律に基いて、そうして特別な特権を与えない。けれども、これは外国にある日本の為替銀行の一つにそれは国庫事務を代理さすことは当り前のことである。又、日本の預金、今の外貨、特にドル預金のようでありますが、預けるときも、外国銀行へも預けておるのでありますが、又、日本の為替銀行にも一様に預けております。金額に差等のあることは御承知おきの通りであります。これは、この為替その他の取扱いの数量その他のことをいろいろ勘案しましてこれは預託をする、こういうことで、大体から言いまして、私は為替のいわゆる専門家が専門的な技術を以て世界的に支店網を以て活躍をすれば、今日の為替情勢においては相当収益を挙げ得るもの、特別な特権がなくとも収益を挙げ得るものと、かように私は考えております。
○堀木鎌三君 その点は非常に独断的になつて来たんですが、今おつしやつたうちで、専門銀行を作ることは、国際情勢なり現在の国内的な観点から適当でないとおつしやる理由が一つ何であるか。と同時に、一方においては非常に積極的に各支店網を整備充実して参らなければならないということが、非常に現在の貿易振興の上から積極的に非常に差迫つた必要性をお認めになるとすれば、そういうふうな具体的なものとどういうふうにお考えになつておるかということを、もう少し御説明願いたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) どうも言葉が足りなくて或いは御理解が行かなかつたかと思うのでありますが、言い換えますると、昔のようにいわゆるチヤータードされた銀行、言い換えれば台湾銀行であるとか正金銀行であるとか或いは朝鮮銀行であるとかいつたような工合に、特殊のいわゆる特権銀行があるということは、今日、国際関係上どうか。又これは恐らくどこの国もそういうものを喜ばないであろうと思います。併しながら一般の市民銀行として外国為替銀行があつて、その銀行が特別な法律その他の、これは法律に基いてはおりまするけれども、これは自分ひとりの独自な法律に基いておるのじやないので、そういつた準拠法に基いてだけやつておる銀行だけにやるということであるなら、これは対外関係その他でも大変よいんじやないか。又仕事をいたします上からみて、できるだけ支店が広くなりますことが為替活動を助けるゆえんである、為替機能を発揮せしめるゆえんになりますから、銀行自体がやはり店を進んで置くようになるだろう、こういうふうにも考えられまするので、私はどうもその点については、私の言葉が非常に足らんかも知れませんが、一般市民銀行であつて外国為替の専門銀行ができますることは、非常に日本の現状からみても、又国際環境からみても、どこの感情も損わずに、而も仕事が十分できて行くのじやないか、かように考えます。まあ中には、今幾つも為替銀行があるじやないかと言われますが、今の為替銀行としてあります分は、これは私の言葉が少し過ぎるかも知れませんが、大体片手間にやつておる銀行でありまして、片手間では、もう今日の国際的な、とても為替銀行としての機能は果せません。そういう点から、こういう片手間でなく、専門に為替をやる銀行ができて来るということが望ましい。但し繰返し申すようでありますが、これが東京為替銀行となつたときに、大阪には大阪為替銀行ができることは、これは何ら差支えないことでありまして、或いはこれは横浜にも往年正金銀行があつたので、横浜銀行を作ろうという気運があつて、この本件の条件を具備したものが出て参りますれば、勿論許可するにやぶさかではございません。
○堀木鎌三君 大蔵大臣のお話を聞いていると非常にうまいのですが、一方は特別な育成はしない、併し支店は全国に、世界各地に設けるようなお話です。然るに、為替銀行法という法律ができれば自然になるように言われる。而も一方においては、どうも国内と外国の為替銀行との関係なんだから、余り特別措置は必要じやないとおつしやる。そうすると、私はこの二つが何だかやはりそこに問題がある。つまりそういうふうな前段のような御考慮だと、後段のような目的が達せられないということが私は常識だと思う。又後段のようになさろうとすれば、前段の政府の助成が特段のものでなければできない。で、それが現実であるにかかわらず、その現実を無視した議論をなされるようなんでして、それが尤もらしく聞えればいいようにお考えかもしれないが、どうも私には尤もらしく聞えないんです。それで、そこにこの為替銀行の悩みがある。併し差当りはこの程度の支店を置けばいいんだ、この程度の取引があればいいんだ、だから、ここと、ここくらいを置くのについても、やはりこの程度の法律と、この程度の政府助成で、先ず充足する、こういう具体的な御説明がなければ、片一方は非常に理想的な言論をなさつて、片一方ではそれをそう行かないような説明をなさつておられる、こういうふうに考えます。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これはどうもそういうふうにとれるかも知れませんが、これは堀木さん御承知のように、また日本が通商航海条約を、一体どこの国とどこの国と日本は作つておるのだ、こういうことを見ますと、アジア地方においても、まだこれはインドでしたか、一つぐらいで、まだどこの国ともできておりません。例えば米の関係から言えばタイのお米が必要になりましよう。ゴムの関係から言えばシンガポールにも必要になりましよう。砂糖その他各種の関係から言えばインドネシアにも必要となりましよう。或いはそのほか各種の関係でフイリツピンのマニラその他にも必要となりましよう。そういうこともいろいろありますけれども、まだ通商航海条約のできんうちにこういうことをやるのだといつて見ても、これは御理解が行くはずもないものだから……さればといつて、そういうことを目標にして、これは半年か一年で必らずできるものと考えるから、そこで私がお話しておることは、私は別に堀木さんを尤もらしいことで納得させようというので口をきわめておるのではない。つまり事実を申上げると、まあ先に行くと、そういう国と通商航海条約ができるから、そういうことで支店ができて行く。これは以前そこに支店があつたのですから、そういうところがだんだんとできて行く。今だけでありますと、僅かに支店を置き得るところは、まあニユーヨークとボンベイぐらいのところでありますが、あとはまだそこに条約ができておりませんから置き得ない。そういうような点で、一応法律と、先に行つての結論的なものと、少し違つて来るのは、どうも止むを得んじやないか。私が申上げておるのは、しまいのほうの、あなたの言う後段に属する分は、この法律が狙つてる二、三年先のものを含めて言つておるのでありまして、でき上つて直ぐそういう支店網が充実するとは何ら申上げておる意味ではございません。ただ法律は長いものですから、この法の精神から言えばそういうふうにいたしたい、こう申上げておるのであります。
○堀木鎌三君 その点もややわかるのですが、そこにこの法案のなぜ緊急性があるかという問題と、どうしても現在為替銀行法が要るというものの議論が出て来ると私は思うのです。それには、やはり大蔵省自身の行政方針をはつきりさして頂くことが、その問題を解決して行くゆえんだ、こう思つて実はお聞きしておるのでございます。 ちよつと委員長にお聞きしますが、予算委員会から呼びに来ておるそうですが、大蔵大臣は向うにおいでになることにいたしますか。或いはここで大蔵大臣を予算委員会に渡さないで、大蔵委員会が予算委員会と同じように頑張りますか。どつちにいたしますか。
○委員長(大矢半次郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。 都合によりまして外国為替銀行法案の質疑は本日はこれにて中止いたしまして、次に関税法案を議題といたします。質疑を願います。
○政府委員(北島武雄君) 先ほど小林先生から御質問の、還付加算金の第十三条の規定によりまして「当該関税又は滞納処分費が納付された日の翌日から還付のため支払う日までの期間」とありますのは、あとで国会で御審議願うことになりました国税収納金整理資金に関する法律におきまして、国税徴収法の同様な規定を、「支払い決定をなす」と改めておりますので、この還付加算金の点につきましては、あとで国会で御審議願うことになつております国税収納金整理資金に関する法律の附則におきまして、関税法のこの十三条を修正して頂くよう衆議院のほうにお願いする予定でございます。何とぞ御了承願いたいと思います。
○委員長(大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。
○野溝勝君 この際、意見を述べて本法案に賛成をいたします。と申しますのは、先ほども質疑の中にありました通り、特に本法第三十八条、税関長の権限、これは広汎に亘る権限を与えておるように思うわけでございます。特に先ほど指摘いたしたような名古屋精糖工場設置問題等々の問題が起つて今日物議を起しております。更にかようなことが各地において行われるという場合は、本法案の趣旨目的を達成することが容易でないと思います。こういう点において、先ほど関税部長から特に考慮をするという答弁がありましたので、私はそれ以上の質疑をいたしませんでした。よつて先ほどの反省の点を十分今後留意されまして、この三十八条、税関長の権限行為等に対しまして万遺憾なきを期して頂きたいということを申し加えまして、本案に賛成するものであります。
○小林政夫君 私賛成いたします。ただ質疑の過程において関税部長に注意をしたように、第二十三条の規定を、今度提案されておるいわゆる海上自衛隊ですか、自衛艦については除外例を設ける必要がある、こういう点を指摘して原案に賛成をいたします。
○委員長(大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。関税法案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。 それから多数意見者の御署名を願います。 多数意見者署名 藤野 繁雄 白井 勇 小林 政夫 山本 米治 青柳 秀夫 土田國太郎 岡崎 真一 野溝 勝 木内 四郎 堀木 鎌三
○委員長(大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十五分散会