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19回国会参議院1954/11/12

大蔵委員会 閉会後第8号

発言数
69
登壇者
11
会派数
3
開催日
1954/11/12

会議録

西郷吉之助自由党

○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。  本日は最初に輸出入銀行の最近における業務状況等につきまして説明を聴取いたします。日本輸出入銀行副総裁山際正道君。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○参考人(山際正道君) 私は日本輸出入銀行の副総裁を勤めております山際でございます。本日は御指示によりまして日本輸出入銀行の最近の状況につきまして御説明を申上げたいと思います。  御承知のごとく輸出入銀行は昭和二十五年の十二月に設立せられまして、翌二十六年の二月から開業をいたしました。開業後三年半以上を経過いたしたのでございまするが、昨年の秋頃、即ち開業後二カ年半余りというものの間は、日本の貿易上プラント輸出が余り振いませんでした。銀行の業務を開始いたしましたにもかかわらず、その業績は余り伸びませんために、皆様がたに非常にいろいろとお考えを頂きましたのでございます。その間、或いはプラント輸出の増進にも寄与するかという関係におきまして、法律を改正をお願いいたしましたことも、すでに成立後三回に及んでおります。然るに一般の状況から申しまして、昨年の秋以来、様子は一変いたしまして、俄かに日本のプラント輸出が急激に増大する趨勢を見せて参つたのでございます。自然それを反映いたしまして、私どもの銀行の業務におきましても、昨年の秋以来今日に至るまで、その業績は漸次累増をいたして参つておるのでありまして、昨年の秋までの間は、とかく資金の余裕がございます点について、いろいろと論議も行われておつたのでありまするが、今日においてはむしろ輸出入銀行の資金の不足が各方面から憂慮せられるという状況に立ち至つておるのでございます。  概略を示しました計表をお手許に差出してございますので、先ずその計表につきまして概略を御説明申上げたいと思います。印刷物の計表の第一ページに、融資状況の推移と申します表がございます。その第一番目は、開行以来年度別とございますが、これは先ほど申上げました通り、昭和二十六年の二月から、即ち、二十五年度から営業を開始いたしまして、年度別の成績が示されておるのでございます。昭和二十五年度は短期間でございましたので、その左から三つ目の欄に融資承諾の欄がございますが、二十五年度においては取扱いました件数が九件、融資を承諾いたしました金額が十五億六千五百万円にとまつたのでございます。二十六年度が約七十四件、融資承諾の金額が百六億九千三百万円。二十七年度になりまして三十二件、六十六億八千四百万円という情勢であつたのでありまするが、二十八年度はここにございます通り、九十一件百八十二億二千五百万円となつております。この数字の大部分は二十八年度下期において急激に増大して参つた関係上、かかる数字が出て参つておるのでありまするが、二十九年度に入りましては上半期だけですでに融資承諾をいたしました件数が五十五件、百五十億一千二百万円ということになつておりまするし、更に上半期末即ち九月末でございますが、十月を加えまして、その一番下に二十九年四—十月の欄がございます。これを御覧頂きますと、六十五件百七十九億七千五百万円という数字になつておりまして、漸次この数字は累増しつつあるのでございます。開行以来の通計を申しますと、二十九年上半期末までの累計は、その下にございます通り二百六十一件、五百二十一億七千九百万円、更に十月末を加えますと二百七十一件五百五十一億四千二百万円となつております。十月までの累計で申上げまして、その次の欄に融資実行額とございますが、これはすでに貸出を終了いたしました金額でございますが、四百八十三億六千五百万円、すでにそのうち回収をいたしました金額は次の欄の二百六十九億五千八百万円、差引きいたしまして融資残高、最後の欄でございますが、その十月末の現在は二百十四億六百万円と相成つておるのでございます。  なお、極く最近において尻上りに業績が伸びつつあるということを示すために第二の計表を出しておきましたが、即ち二十八年度以降上半用下半期別の計表でございます。二十八年度上半期におきましては融資承諾の件数は二十五件で四十四億八千七百万円でございましたものが、下半期に入りますや六十六件百三十七億三千八百万円と激増し、更に本年の上半期におきましては五十五件、百五十億一千万円という著るしい向上を示して参つておるのでございます。  次の計表はこの開行以来の各年度間におきまして如何なる品目が如何なる地方に向つて輸出をされたか、それをこの銀行が融資をしたかということを示します計表でございます。第一のページにございますのはこれは東南アジア地域でございます。電気機械、通信機械、繊維機械、船舶、車輌、東南ア開発、その他とございますが、一番大きい金額はここにも示されております通り繊維機械、これは件数におきまして七十六件、金額が八十億六千八百万円、その次に特に目立ちますのは車輌でございまして、二十件で六十三億九千百万円、その他雑件が四十五件で四十三億四千四百万円となつておりまするが、なお、電気機械が二十五件の二十四億、通信機械が若干というふうにこれら各種の機材につきましての輸出が行われたわけでございます。而して取扱いました全融資のうちにおきまして、この東南アジア地区に対しますものは最後の欄にございます通り四八・三%すなわち殆んど半ばは東南アジア向けに融資されておるという情勢でございます。  次の頁は上欄が南北アメリカに対する融資の状況でございます。そのうちやはり中心になつておりますのは船舶でございまして十一件で七十八億八千八百万円、これが中心になつておりますが、これはパナマ国籍のアメリカ資本による船舶が非常に多く輸出されましたので、その関係上こういう状況になつております。この南北アメリカにおける融資のウエイトは最後の欄にございます通り全体の二三・八%でございます。その他最後の欄はヨーロツパ各地、アフリカの一部、オーストラリア等に向けましたものが含まれておるのでありますが、やはりその一番大きいものは船舶でございます。十六件の百十億九千三百万円、これはリベリア向けが一番多いのでありますが、リベリアは御承知の通りアフリカにございます国際連合によつて認められました新興国でございまして、これもやはり英米資本の船主が船籍をリベリアに置きまして船舶を保有しております関係上、こういう数字に相成つております。これらの地域に対しますものは全体に占める割合が二七・九%という数字になつております。要するに扱つております融資のうちの半ばは東南アジアであり、更に残りの半分は中南米アメリカであり、残りの半分がその他である。概略申しますと大体そういつた趨勢に相成つております。  次の小さい表は、これは品目別に取りまとめましたものでございます。この計表にもございます通り、金額から申しますと、まんなか頃にございます船舶というのが一番大きいのでございます。五十五件で二百十九億八千万円、全体に占める割合が四三%に上つております。その次は繊維機械でございまして、これは全体で八十八件、百二十億二百万円、二三%に相当いたしております。それからその次は車輌が大きいのでございまして、車輪は二十四件、七十二億匹千八百万円、それからその他雑件が五十一件で七十億五千六百万円、電気機械は三十件、二十七億三千八百万円で、全体の五%、こういう比率になつておるのでございます。すなわち達観して申しますると、船舶を中心として繊維機械、車輌、電気機械などが主な種目になつております。  それから次の頁は極く最近のところでどう伸びつつあるかを示した数字でございまして、これも同じような傾向が現われておると考えます。  それからその次の大きな数字は、これはやはり年度別にどの地方へ出て行く融資が伸びつつあるかということを示した計表でございます。非常にごたごたいたしておりますが、やはりパキスタンとかインドとかその他東南アジア地域の各地へ向けまする輸出は引続きだんだんと伸びつつある趨勢が認められるのでございます。  その次の上の欄が中南米地区でございますが、これも大体ブラジル、アルゼンチンにつきましては継続的に輸出が続いておりますので、将来のやはりマーケットといたしましては重要視すべきものであるという結果が窺われるのでございます。  最後のその他地域の分につきましては、船舶の関係で先ほど申上げましたリベリアが格別の地域にございますが、その他はぼつぼつ各地に取引が行われておるという状況になつております。  かような状況でございまして、最近における本行の業績は非常に上り坂に向つておるのでございまするが、自然この際に問題となりますことは、御承知のようにその資金の問題でございます。  で、最後の計表といたしまして、小さく二十九年度及び三十年度資金計画という計表を加えておりまして、この計表についてまず簡単に御説明申上げますると、二十九年度におきましては最初の前年度繰越でございまするが、これが百五十二億の金額に上つておつたのであります。そのうち回収が百十六億見込めますので、なお五億の運用益を加え、更に最近までに認められました借入金の三十億、これを加えまして、資金の源といたしましては三百三億あるわけでございます。これに対しまして二十九年度中の年度末までの貸出の額は三百五十三億に上りまする関係上、現在の状況を以ていたしますならばマイナスの五十億、五十億が二十九年度においても予定の計画を進めるためには不足をしておるという状況に相成つておるのでございます。  その下の欄に趨勢がございますが、年度初めの融資残高は九十四億でございます。二十九年度の初めは九十四億であつたのでありまするが、年間に二百三十七億の貸出残高を増加する見込みでありまして、従つて年度末の融資残高は三百三十一億に上る見込でございます。それに対しまして融資を承諾いたします金額は三百八十四億に上る見込でございまするから、前々から融資の承諾をいたしておりましてまだ貸しておりませんものなどを加えまして、年度末における承諾の残高といたしましては四百二十八億に上る、こういうのが二十九年度の計画でございまして、これを算出いたしまする基礎といたしましてはプラント輸出の政府による承認額が一億四千七百万ドル、これを基礎にいたしましていろいろな融資条件から勘案いたしまして弾きました予想がこうなつておるのでありまして、いろいろと計表はごたごたいたしておりまするが、要するにこの一億四千七百万ドルのプラント輸出を年度内に達成しようとするならば、現在の状況を以てするならば、なお資金が五十億不足しておる、まず概略申上げますと、結果を示す表でございます。  更にこれが三十年度の予算になりますると、ここにありまする計表は来年度の資金計画上所要資金の調達方について政府に予算として提出をいたしまた計画でございます。その三十年度の計画は一番下の欄にプラント輸出承認額一億五千百万ドルという数字がございまするが、これが基礎となつております。即ち通産省当局における来年度の貿易計画上一億五千百万ドル程度のント輸出は是非実行したい、こういうところから計算をいたしまして、これがために輸出入銀行が必要とするであろうところの資金を逆算いたしますと、以下のような数字が出て参るのであります。即ち最初の前年度繰越は、これはもう精一ぱい使いますからゼロであります。年度内の回収を百七十一億見込みますると、運用益として十億を加えまして百八十一億の資金がそこにあるわけでございます。それに対しましてこの一億五千百万ドルの貿易計画を達成いたしますためには四百六十三億の資金を貸さねばならん、こういうことが見込まれますので、差引所要資金の不足はその次にございます通り二百八十二億がどうしても資金上不足ということになりますので、この資金の充実方について政府にお願いをいたしておる次第なのであります。  更にそれを各項目別に二十九年度と対比いたしまして申上げますると、その下にございます通り年度初めの融資残高は三百三十一億、年間に残高として二百九十二億を増しまして、年度末の融資残高は六百二十三億に上る見込みであります。而してこの年度内の融資承諾額は四百八十億で、結局年度末に前年度からも引続いておる融資承諾の貸出し未済の分も加えまして、七百三十七億に上るであろう、こういう計表でございます。  で、昨年度来、先ほど申上げました通り、資金のむしろ余裕が多くありますものについていろいろとお考えを頂いておつたこともあつたのでありまするが、かくのごとく情勢が一変いたしまして、非常に資金の不足を告げるという状況になりましたことは、私どもとして非常に本懐に思うのでございますが、何故に一体そうにわかにプラント輸出の増進が認められて来たのであるか、又何故にかように巨額の資金の下足を生ずるに至つたのであるかという理由につきまして少しく御説明を附け加えたいと存じます。  プラント輸出は前々申上げておりまする通り、日本といたしましては戦後に始まりました輸出品目と申してよろしいかと考えるのであります。併し今後の貿易の発展を考えますると、世界の貿易情勢からいたしまして、日本の国におきましても、重工業、化学工業製品が相当輸出品の品目のうちにおいてその比重を増さねばならんという趨勢は、これは否定し得ないところなのでございまして、是非ともこの中でもプラント輸出の増進を図りたいというところから、大体この銀行を設立せられたわけなのでございまするが、プラント輸出の発展に関しましては、ものがものでありまするだけに、にわかにその発展を期することは実は非常にむずかしいのであります。即ち消耗的な商品でございますれば、又手に取つてすぐ分るような商品でございますれば、割合に新市場に対しても進出がし易いのでありまするが、一度購入すれば何年となくそのものに依存しなければならないという資本財の輸出に関しましては、市場を開き、そこで信用を得るということは、これは長年月を要する仕事なのであります。終戦後業界におきましても又政府におかれましても、各方面に一致してこのプラント輸出増進についての種々の方策がとられたわけでございます。先ほども申上げました通り、この銀行の法律に関しましても、すでに三回も改正が行われており、その外租税上の問題にいたしましても、又重機械技術相談室を海外に置くといつたような予算上の措置についても、各種の助成施策がだんだんと出揃つて参りましだ。各方面の努力がようやく昨年来実を結んで参つたというのが、私は一番妥当な解釈ではないかと思うのであります。勿論それに加えまして、この銀行が始まりました当時は、なお、いわゆる朝鮮戦乱が続いておりまして、国内の市況が割合に活溌でありました関係上、輸出に対する余力も比較的少かつたのでありますが、すでにその戦乱も終了いたし、国内の市況も活溌でない状況に入りますと、自然この輸出のほうに重点が移つて参りました。各貿易商社にいたしましても、又各重機械類の生産者にいたしましても、非常な熱意を以て海外輸出についての努力を傾けておるのでございます。かかる各種の事情が相俟ちまして、今日のプラント輸出が非常な増大の傾向を示して参つたものと私は考えておるのでございます。  更にそれが何故に巨額の資金を注ぎ込んで行かねばならんかということにつきましては、自然世界のそういうプラント輸出につきましては、各国の競争が非常に激しいのでございます。特に日本と同じような事情にありますところのヨーロッパの各国、なかんずくイギリス、ドイツ、フランス、ベルギー等におきましては、このプラント輸出について、世界の各地、殊に日本が先ほど申上げておりますような東南アジア、中南米等に市場を開かねばならんというその地域において、殆んど常に競合をいたしておる、激しい競争をいたしておるのであります。その結果は、各国が売込みに対して示します条件がだんだんと買手に有利な状況になつて参りつつございます。先ず値段の点か申しましても、だんだんこれは値が叩かれる。それに加えて延べ払いという支払い方式が、或いは年賦にするとか、三年々賦にするとか、五年々賦にするとかというような延べ払い方式が世界共通の支払い条件になつて参りつつあるのであります。どうしても日本がその間に割り込んで競争を続けるためには、やはり同じような条件で闘わねばならんということになつて参りつつあるのであります。そうしますと、同じ品物を売りますにいたしましても、自然多額の資金が必要になるという状況に相成るのでございまして、そのために来年度の輸出計画を達成いたしますにつきましても、只今申上げました通りの巨額の資金を用意しなければならんという状況になるわけなのでございます。  例えば本行が開設以来取扱いました個々の融資承諾の融資の期間について申上げますならば、開設当初の昭和二十五年度で扱いましたものは平均の期間が一年一カ月の貸出で済んでおりました。それが二十六年度におきましては、これは朝鮮戦乱による影響かとも思いますが、一一・七カ月、約一年の期間であります。二十七年度になりますと、それが一年ニカ月となり、二十八年度の平均においては二年七カ月に延び、二十八年度の上半期の平均で申しますと、一件あたり三年七カ月というふうに漸次延びて参つておるのであります。この趨勢は今後だんだん延びそうな形勢にございますので、従つてそれがために本行の所要資金もだんだんと巨額に注ぎ込まねばならんという状況に相成りつつあるわけでありまして、これは売手から申しますると、誠に残念な条件ではございますけれども、世界の趨勢がそうであります以上、競争上誠に止むを得ないところかと考えるのでございます。  幸いにいたしまして、世界の競争が激しくなりましたにつきましても、本行の融資の条件につきましては、先ほども申上げたのでありますが、累次の改正をいたしました関係上、そう現在のところ不自由もございません。又管理の点につきましても、大体において国際水準において融通をいたしておりまするから、これも又大して障害にはなつていないと考えるのでございまするが、一番本行として心配いたしまするのは、先ほど来申上げております資金の点でございます。すでに本年度において五十億円の資金が不足し、来年度は二百八十億円ばかりの資金が必要であるという情勢になつておりまする半面において、本行は御承知のごとく財政資金にのみ依存する銀行でございますから、財政状況の非常に困難な際におきまして、新資金を獲得することは実に容易ならざることと思うのでございます。本年度の所要資金五十億につきましては、政府当局におかれましても、このプラント輸出の重要性に鑑みまして、極力各方面から資金の捻出について目下非常に苦心を重ねられておるのでございます。大体現在与えられておりまする資金は、御承知のように資本金が二百十億円、そのほかに借入金で今まで借りました分が三十億、即ち二百四十億でございました上に、極く最近の資金部の運用計画上三十億円の貸出しの予定をすでに御決定に相成り、そのほかに更に政府の斡旋によりまして日本興業銀行及び長期信用銀行に与えられる金融債のうち二十億円を輸出入銀行の協調融資のために振向けるというお取りきめを願いましたので、そこに現在与えられておりまする二百四十億に加えまして、資金部の三十億と、長期信用銀行関係の二十億、即ち五十億の資金の枠はとれておるのでございますが、それでもなお先ほど申しましたように五十億不足する、こういう結果になつておるのでございます。更に又来年度の二百八十億に上る新資金につきましては、これ又非常な苦心を要することと思うのでございまするが、どうかプラント輸出が非常に永年の官民の努力の結果、非常な上向の趨勢にありまする際、是非ともこれを伸ばして行きたいというのが関係しておりまする民間各業者の非常な願いであります。是非ともこれは国会におかれましてもお取り上げを頂きまして、この資金上最も心配される点を三十年度においても無事に乗切つて参ることができますように、切にこの点はよろしくお考えのほどをお願い申上げたいと存ずるところでございます。  非常におわかりにくく何かと申上げまして恐縮なんでございまするが、一応概略の御説明を終りまして、更に詳細な点についてお尋ねによりまして一一お答えを申上げたいと存じます。

平林太一無所属クラブ

○平林太一君 参考人にお尋ねしたい。今御説明になりました東南アジア、南北アメリカ、ヨーロツパ、オーストラリアというものに五百億内外の資金量がそれぞれ措置せられており、プラント輸出は非常に成果を挙げておる、こういうお話でありますが、我々のほうからいたしますというと、今御説明のような状況でありますれば、現在の我が国の輸出輸入の問題というものは、今日世論として憂慮されておるようなことが相当緩和していなければ相成らないのである。にもかかわらず、今日非常にこの問題が我が国の経済の現状及び見通しに対して非常な暗影を生じておるということを一つ反省して、この輸出入銀行の運営というものに当られたいということをこの際申上げれば、思い当られることがおありだろうと思いますが、その点について一つ今御説明をされたいい方面のことに対してとは違つたその半面を参考人から伺いたい。  それから我々をして非常に不思議に考えられることは、隣邦の中国に対する輸出輸入の問題、これはすでに一九五二年に我が国が民間業者において両国の中日貿易協定において協定をいたした総額は二億ドルと称しております。にもかかわらず、今日までの状況は僅かに二千万ドルしかこれが行われていない。十分の一である。すでに本年末を以て協定が終了をするので、かようなことでは困るので、一九五五年の協定をこれからしようということに相成つておるのであります。この間英国の中国に対する輸出量の総額というものは十七億ドル内外に達しておる。我が国は、二億ドルを向うも買おう、こちらも売ろう、バーター協定によつて。それが我が国のほうの措置よろしきを得ないがために僅かに二千万ドルである。こういうような事態。そうすると、輸出入銀行は、こういうものに対して今日までどういうような御態度でおられたのか。今の御説明にはそういうことは全然触れておりません。でありますから、そういう点について一つお話を承りたい。  それから専らプラント輸出に対することのみのお話がありましたが、輸出輸入というものは、プラント輸出だけに限定されるということでは、決して我が国の輸出輸入というものは進展拡充しないのである。であるから輸出入銀行の資金措置に対する今後の方向というものは、依然としてプラント輸出のみにこれは限定して行かれるのかという点を一つ参考人からこの際明らかにその点を明示してもらいたい。今のお話では専らそれのみでありますが、そういうことになりますと、輸出入銀行のそれが目的だということであるのであれば、これは我々の国会といたしましては、この際輸出入銀行の資金の放出に対する措置を改めて検討しなければならん、こういうことに相成るわけでございます。従つて資金量の増大を図るということも、そういうことを重要な要素として考えておる、それから、そういうことによつて今参考人が要請されておる資金量の増大ということも当方においてそれは考えることに相成る、こういうことであります。でありますから、以上のことについて一つ御意見を開陳せられたいと思います。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○参考人(山際正道君) お尋ねの第一点は、日本の輸出貿易について、私がプラント輸出に関する限り非常に上昇の過程にあつてよい傾向を示しておるということを申上げたのに対しまして、なおその内部に包蔵される憂慮を要するような問題についての点について話はないかというお尋ねであつたと存じましたのでありますが、実は、無論日本のプラント輸出が今日の姿のままで何ら懸念なしということは絶対に申し得ないと考えるのであります。幾多の弱点を持つておりまするが、なかんずく一番重大な点は、何と申しましても日本の物価が高い、同じ物を作るのにも日本が割高であるという点であると思うのであります。これに対しまして、割高な日本の物がなぜ売れるかという問題がすぐ起きるのでございますが、これは幸いに今までは日本の市況が不振でありまする関係上、製作期間が短いということが日本の持つ一つの有利な点でありまして、いささか値段は高くても早く引渡しを受けるから、それで引合うということで注文が参つておつたのに相違ないのであります。更にそういう顕著な特色がないものにつきましては、実は収益の幅が非常に狭いという点が非常に心配されるのでございます。これは各方面御承知の重工業界における合理化措置におきましてコスト引下げの問題が非常に努力されておりますから、漸次下つて来るとは思いまするけれども、現状において日本の作つておりまする重工業製品の輸出値段がその収益を十分に見込み得る程度の値段にはなつておらんということは、これは恐らく特殊のものを除いては一般的に言い得ると考えるのであります。日本が一番強い製品は繊維機械でございまして、繊維機械に関する限りは十分な利益を見込んで世界各国と競争を現にいたしております。その他の品物につきましては、一般的になおコストを引下げて十分な利潤を見込み得るような状況に持つて行かなければならんという大きな問題が横たわつておると思うのであります。これは無論国内と共通の問題でございまして、日本の物価が世界の国際物価水準に比べますると、なお相当な割高にある。これを是正するがためにということで各種の今財政金融その他に亘る措置が行われておるわけでございまするが、この点につきましてはプラント輸出においても更に今後一層努力を要する最も留意すべき点と考えております。  なお技術の問題に関しましても、日本の製作いたしまするものの製品の技術は、或るものについては只今申上げましたように、繊維機械のごときものについては非常に進歩いたしておりまするけれども、その他の重工業品につきましては戦争中相当遅れたという事情がございます。これは極力技術の導入、その他技術の発展、改善について、各方面努力が払われておりますので、これも漸次克服されて行こうとは思いまするが、現在の状況から申しますると、これ又非常に努力を要する注意すべき点と考えております。  それから中共貿易との関係につきましてのお尋ねがございましたが、先ほども御説明申上げました通り、中共に対するプラント輸出はございません。これは本行の対象となりますような種類の重工業製品はいわゆる資本財に属するものでございまして、バトル法その他において輸出制限の品目に該当するものがその大部分でございます。自然政府の輸出許可等を得ることがむずかしい品目でございまするために、今日まで本行が取扱うものには入つて参つておりませんのであります。併しながらこれも私は将来はでぎるだけその原則の緩和と共に、そのほうへも日本の製品が進出できるように、その際は無論銀行といたしましても極力これを助成すべきものと考えている次第でございます。  なお最後にプラント輸出について、多額の将来資金が必要とするということに関連をいたしまして、一般輸出貿易に必要とする資金との関連上、それらの面ともよく均衡をとつて考える必要があるとのお尋ねでありましたが、誠にこの点は御同感に存じているのであります。ただ現在のところ、本行の法律上取扱を認められておりまする融資対象は、厳格にプラント輸出、資本財の輸出にのみ限られております関係上、本行を通してその他の品目に対する資金を放出することはむずかしいのでありますが、只今申しました資金の不足額は、現行法そのままにおいての建前において御説明申上げましたのであります。今後なお本行の取扱いの対象を殖やすのがいいか、或いは現在のまま暫らく置くのがいいか、これは貿易振興一般政策の問題として重要な問題かと考えますので、現在のところは現行法の建前のままに、私どもは三十年度においても融資を継続するつもりで準備を整えている次第でございます。或いはなお伺い漏れの点があるかと存じますが、誠に恐れ入りますが、お尋ねがありますればお答え申上げます。

平林太一無所属クラブ

○平林太一君 今御説明を伺いましたが、中共に対してはプラント輸出の対象には相成らない、こういうまあ暫定的なお話がありましたが、これはバトル法によりまして、いわゆる戦力物資、又戦力関係の範囲内にこれは限定されている、こういうことでありまするが、これは中国の今の軽工業というものはことごとく挙げて他に依存している実情である。だから英国の十七億ドルというものがこれに措置せられたわけです。それで今参考人のおつしやるような極めて狭量な見解を前提としているから、中国に対してのプラント輸出というものがこれはできないわけなんだ。いわゆる重工業を除外した軽工業或いは家内工業、こういうものに対しては、今日当然、今御説明のような御感覚でなく、平静にお考えになりますればこれはできるわけなんです。今日までも殆んどこういうものは何といいますか、私のほうから申しますれば、輸出入銀行としてはそういう銀行の法則によつてそういうことだと言われているが、いやしくも輸出入銀行、こういうことになりますれば、世間はそういうふうにはとらないわけです。それなら日本プラント輸出入銀行、そういうことにしてしまわなければならない。輸出入銀行というものは非常に幅を持たしてあるわけです。そうして只今申上げたようなことに対しては、参考人が輸出入銀行の当事者として勘案よろしきを得て、幅の広い感覚を以て処置さえして行きますれば、私は中国に対する措置というものは、今全然しない、バトル法で制限されているからと、こういうことはないのです。バトル法というのは、御承知のこの限定の範囲というものは、おのずから解釈によつてこれは違うものである。必ずしもどれがそれじやバトル法の中に該当するのだという全体の意味というものは、これはアメリカがこれは中国に対する戦力化というものを防止するために、日本にそういうものを強制して来ているわけなんですから、それですから、その戦力に関係のあるところの対象というものは、例えば食糧のようなものも考えようによつては、米であるとか、大豆でありますとか、麦であるとか、これも或いは戦争を遂行する上においては、どうしても兵隊がこれは食べなくちやならん、国民も食べなきやならんのですから、これもそういうことになるわけです、食糧品に至るまで。ですからそういう直接のことを申上げればよくおわかりでありますが、そういうことでありますから、これは今の日本が機械工場建設の過程を通じてのそれぞれの軽い機械であるとか、家内工業程度のものは、これは向うへやれるはずですが、今後はどういうお考えをお持ちなのか。今日もすでに御承知の通り、これはあなたのおやりになつているこの銀行の運営というものは、これは市中銀行とは違うわけですから、政治的に高い一つ御見識を以て輸出入銀行の運営というものに当らなければ、これは意義をなさないわけです。現在吉田という人物がアメリカへ行ぎまして、そうして何か共同声明をしましだが、大失敗に終りました。今度はいやでもこれは中国に頼らざるを得ないわけです。ですから、そういうときにいわゆる中ソ貿易というものは今後非常に感覚を広くして考えなくちやならんのですが、それでも今後の御方針はどういうふうにおやりになるおつもりか、それを一つ承わりたいと思います。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○参考人(山際正道君) 先ず最初にこの銀行と、その他市中にございます貿易金融に携わつておりますもろもろの銀行との関係について、一言申上げておくのが適当かと考えます。  貿易金融は一般的に申しまするならば、各種の市中の民間銀行によつてその金融が賄われて行くというのが現行制度の骨子になつておると考えます。その中で特にこのプラント輸出に関しましては、長期の資金を必要とする建前において、政府が一般貿易金融機関の機能を補足する建前から本行を設立されたものと考えておるのでございます。そこで本行の取扱いますものは、自然長期に亘つて貸出しを要するものに限られて参つておりまする関係上、その他の消費財等の一般的な金融につきましては、私どものほうを働かせるまでもなく、市中その他貿易手形等による日本銀行の操作によつて賄つて行くということが建前になつておるかと考えるのでございます。無論この輸出入銀行の機能を拡大いたしまして、輸出貿易に関する限り、如何なるものも対象とし得るということも一つの考え方かと存じまするが、現在の場合におきましては、長期の資金の供給機関のみをこれに期待するという法律上の建前と考えておりまするので、その範囲内において私どもは業務を運営しておるような次第でございます。  中共貿易におけるプラント輸出との関係につきましては、何分プラント輸出はすべて政府の輸出許可にかかる品目のみでございます。で、政府が貿易政策上立てられるその方針に従いまして、或る物は許可せられ、或る物は制限せられるという今日の場合、若しそれが許可の範囲内に属する物でありまするならば、無論私どもといたしましては、その仕向先が中共であろうとその他の地域であろうと、十分にこれはその貿易を援助すべきものと考えておるわけでございます。現にこの計表にも、先ほどちよつと申上げたかと存じまするが、その他地域の分におきましては、ソ連に対しましても或る種の物につきましてはすでにその融資の援助をいたしたことがございます。要するに、これは政府のとつておりまする貿易政策の範囲内においてできる限りの貿易の促進に当るという建前にいたしておるようなわけでございます。それらの点につきましては、私どもとしては無論常時研究を怠らず、できるだけ広い範囲に亘つて、その機能を活用することを考えて参りたいとは心がけてはおりますが、何分それらの政府の許可その他の制限に服しておるということは、この銀行の働きという点から申しまして、一つお考え置きを願いたいものと考えます。

平林太一無所属クラブ

○平林太一君 今政府によつて限定せられておるのだと、こういうようなことで、その点苦衷は私どもよくお察しできるのでありまするが、一つ政府政府とおつしやられることは実はやめてもらいたい。国会の意思というものを優先して、そうしてこれは運営して頂きたい。政府というものは、やはり何と言いますか、非常に時には悪い政府もあるし、狷介狭量な政府がある。無能の政府もある。国会だけはそういうものではない。でありまするから、若しこういうように、輸出であるとか、輸入ということは現実の問題ですから、それだから政府の言うことにこういう問題が限られてやるということは、やはり身動きのできないことになつてしまう。従つて、輸出入銀行の使命というものが、全くこれは貿易というものは政府がやるわけではないですから、実際は民間人がやるわけですから、民間貿易というものが、これは主客顛倒してしまう。行われない、こういうことになるわけです。それですから、これはもうあなたの一つ高い見識によつて、若し政府がこういうものに対して許可をしないというようなときには、みずからお奨めになつて、こういうものは許可すべきです。第二には、その許可がなくても、融資の問題ですから、これはどしどしといわゆる日本の輸出のために又輸入のために貢献するものに対しては、これをおやりになるという方途を図つて、この銀行が将来更にいわゆる資金量の増大というものも、そういうことによつて期せられるわけです。今のようなお話で行きますと、これは資金量の増大ということはなかなか図られない。殊にこれは長期に貸付けておるというわけでありますから、その点一つ十分反省して頂きたいと思います。  それから東南アジアに対するプラント輸出でありまするが、こういうのは先刻お話のありまし通り、なかなか競争相手もありまして、こちらが考えているようには行かない、現在の実情は。今度は逆に向うから資材を日本に提供して、そうして日本のいわゆる製造過程におけるそれぞれの機械生産上の設備、そういうものを通じて向うから資材を持つて来て、こちらから作つて向うへ輸出する、こういうことは東南アジアは非常に望んでおります。そういう場合に国内におけるそういう措置を今後おとりになるおつもりかどうか、今お話を伺つたところでは、そういうことはいたしておりません。どうしてもプラント輸出ということを固執なさるならば、それはそれもよかろう。併しそれは機械その他の器具を向うへ持つて行つて、そうしてその設備に対する何をするのだ。日本のほうへ向うの資材を持つて来てこちらで作つて向うへ売る。そのために必要な資金、そういうものも、いわゆるメーカー或いは商社、そういうようなものに対するその資金の措置ということに対しては、どういう御見解をお持ちになつておりますか。この二つの問題。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○参考人(山際正道君) 第一点の輸出入銀行運営の根本の心掛けに関する御指摘の点につきましては、無論私ども国会の御趣旨の存するところを十分尊重そん度いたしまして、これを実行して参りたいと思います。これは従前も同様でございますから、今後なお一層これは留意いたしまして、極力御趣旨に副うようなことにやつて行きたいと考えます。  第二の東南アジア関係の問題に関しましては、先ほどから申上げておりまする通り、日本の貿易市場といたしまして、東町アジアは実に重要な市場でございます。プラント輸出に関します限りにおきましては、御承知のように過般ビルマとの間に賠償問題に関する協定、なおそれに伴う経済協力に関する協定が両政府間に整つたように承わつておるのでありまするが、これらが幸いに国会の承認その他を経て実現の域に達しますならば、自然この経済協力の関係を中心といたしまして、私どもの銀行がこの方面においてその一翼を担うという場合も殖えて参ろうかと思うのでございまして、将来はなお一層この東南アジア方面における輸出の増進について重点を置いて参りたいと考えております。  それにつきまして、この東南アジア各地域における原料を、これを取得して、日本において加工して再びこれを返しでやるという貿易の立て方、これは非常に必要なことだと考えます。現にその要求も多いと思うのでありまするが、その場合におきまして、国内で加工するがために必要な設備の点につきましては、これは国内の輸出入銀行にあらざる他の機関によつて賄われるというのが実は今の金融制度の立て方になつております。若し特にその資金が必要である場合は開発銀行なり長期信用銀行なり等からその長期資金を放出する。なおその他の運転資金については市中銀行で貿易上の金融として取扱う、そういう制度の立て方になつております。無論その種の貿易の拡大は大いに望ましいところでございまするが、出先に、つまり俗に言うプラント輸出でございますか、或いは各地における合弁事業でございますとか、そういつた方面に関する資金の供給についてはこの銀行が当ることになるのでございまして、おのずからその間分担が一応定められておりまするので、彼此よく連携をいたしましてお示しのような貿易の拡大については遺憾なく取運びたいと考えております。

平林太一無所属クラブ

○平林太一君 今の最後の御答弁、いわゆる日本開発銀行その他の市中銀行がやつておる、こういうお話でありますが、これは市中銀行というものは限定された範囲のみしか融資をしておらないという事情です。今国が輸出入銀行を設立して、そうして輸出輸入の振興を図ろうと、こういうことは市中銀行がこれをやつておればこういうものを立てる必要はないわけですから、それですから、これは今のような話では我々のほうでは承服はできない。  それから資金量の増大を図るということはそういうことでなければこれはこれが積極的にこの資金量の増大というものを図り得ることはできない。だからそれはあなたのほうでこういうことはどしどしおやりになる。おやりになればおのずから業績の上におきまして資金量というものがそれに相付帯して必要であるということで、我々のほうでもそういう処置をとつて行くということ、併し今までのようなそういうような余り固着した、限定された、或いは官僚的なそういうお考えでは、折角この銀行が輸出入銀行として大きな今後将来を持つておるにもかかわらず、依然としてこの一定の範囲を脱出しないということを、非常に私どもはこれを大いに促進させたいということからそれを考えておるわけですが、そういうことに対して何かあなたのほうからこういう措置をしてほしいと、そうして輸出入銀行という銘を打つておる上の趣旨を達成したいと、こういう御意見がこれはあるべきだと思いますが、そういうことはどうでございますか。

山際正道日本輸出入銀行副総裁

○参考人(山際正道君) 輸出入銀行の将来における業務の分野について、更にこれに再検討を加え、必要ならば更にこれを拡大して、国の需要に充てるということにつきましては、今後も私ども一層研究を加えまして、結論を得ますならば、それについては各方面に更にお願いをいたしまして、極力御趣旨の存するところに従つて考えて行きたいと考えております。   —————————————

西郷吉之助自由党

○委員長(西郷吉之助君) それでは他に御質疑がなければ次に移りたいと思います。  それでは次に移りますが、菊川委員よりお申出がございました外資導入等につきまして、アルミ産業の問題について参考人より意見を聴取したいと思います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 参考人の意見を聞く前に一つ御了解を得たいんですが、実はアルミ産業危機打開同盟の宮崎君から、大蔵委員会の理事として面会の申込を受けまして、会いましたところ、日本軽金属かカナダアルミと提携いたしまして、あのカナダ・アルミと提携する際に、非常に当委員会でも質問いたして、当時の大蔵大臣の池田勇人氏から、株式を譲渡するに当つても五〇対五〇ではいかん、少くとも五五対四五、即ち日本で五五だけは持つとして、外国に譲渡するのは四五でなければならん、こういうふうに池田氏が当時当委員会で強調しておつた。ところが結果は五十対五十の状態になつておる。それでもまあ日本の産業に非常によくなつておればいいんですが、どうもカナダにうまくいいところを吸われているんじやないかということが業界で非常な問題になつておるんで、その実情を一つ、今後の外資導入或いは今まで導入されたものをうまく行くようにしなければならんので、実情を一つ業者側から見て、その日軽の実情を是非とも大蔵委員会で、外資を今後導入する際にどうあるべきかというような角度から意見を述べたいし聞いてもらいたい、こういう陳情をいたしたい、こういう申出がありましたので委員長にお願いしましたところ、たまたま理事各位がおいでにならなかつたので、私と委員長だけが相談いたしまして、委員長の御了解を得まして、本日参考人として来てもらうことになつたんですが、又一面におきまして、これは一方アルミ業者だけの意見を聞いたんでは一方的になつて言い放しになるからというので、委員長にこれもお願いしましてあとでこれは批判の対象になつておる軽金属のほうの営業部長からも、これが真相であるかどうかについて更に聞く、こういうふうにしてその真相を検討する必要があるというので、これを委員長にお話しましたところ了解を得ました。あとで日本軽金属のほうから、今日宮崎君から聞いた意見が本当であるかどうか、或いはこれが間違つておるかどうかということを、更に軽金属のほうにも確かめる、こういうふうに御運営願うようにお願いしまして、そういうふうにお願いすることになりましたので、あらかじめ本日アルミ産業の問題を取上げるに至つた経緯を、特に私がお願いしましたので、御説明申上げて御了解を得たいと思います。

西郷吉之助自由党

○委員長(西郷吉之助君) それではアルミ産業危機打開全国労組同盟会長宮崎米一君。

宮崎米一アルミ産業危機打開全国労組同盟会長

○参考人(宮崎米一君) 私宮崎でございます。本日参りました要旨につきましては、只今菊川先生からお話がございまして、私の今日参りました資格は全国軽金属労組同盟これは全国で代表的な加工産業の労働組合四十二組合を以て発足いたしまして、その後業者の干渉を受けてとてもついて行けないということで小さいのが十組合ほど脱落いたしまして、只今三十二組合を以て組織いたしております。なぜこういうふうな運動を起したかということにつきましては、説明をする中でいろいろと申上げたいと思いますが、この内容がともすると通産委員会の問題に属するものが多うございますので、できるだけそういうものは避けて、当委員会にお願いいたしたい点を述べたいと思いますが、或いは少し触れる面もあろうかと思いますのでお許しを願いたいと思います。  御審議願いたいことの結論を先に申上げますというと、国の最高機関である国会に申請され、認可されたあとにおいて、その申請条件というものが履行されないでもいいものかどうか。而もそれが二年を経た今日において履行されていないということが業界に大きな影響を及ぼしておるというような場合においてもいたし方のないものであるかどうかということについて、非常に私ども疑念を持つておるわけでございます。その点を御審議頂きたいと思う次第でございます。で先ほど通産の問題にも触れると申しましたが、かいつまんで申上げますというと、アルミ産業は只今この加工面におきましては、一時世界第四位の加工能力を誇つておりましたこの日本の加工産業が、只今では生産力を持て余して、狭い国内市場におきまして徒らに競争を繰返して、倒産或いは企業縮小ということが相続いておる状況でございます。これの原因と申しますのは、やはり原料高による輸出不振、それから用途が非常に広いこのアルミ産業にありまして、日本の場合におきましては極く限られた範囲内しかこれが用いられておらない。これもやはり原料価格の面からそういうふうになつておるという状況からいたしまして、用途が非常に狭い、こういうことで戦前の地金生産量は戦争中の三分の一程度でございますが、而もその量さえ十分捌け切れないというような状況でございます。この輸出が減退いたしましたのは、特に顕著になりましたのが、昨年初め頃から特にひどうなりまして、最近では一時の約半分程度のところを前後いたしております。その半分の輸出量から見まして、更にそれを分析いたしますというと、当時アルミの輸出価格というものが、板であるとか、まあ板関係のものに例をとりますというと、昨年度におきましては二十五、六万円でございましたが、今日では二十一万円から二十一万五千円程度になつておるのじやないかと思いますが、急激な値下りはやはり西欧製品の東南市場に対しての急激な進展が見られるようでございます。この輸出が伸び悩みになつておるということと、それから国外におきまして非常に特需の減退が影響いたしまして、全く仕事がない。お目にかかりますのは店頭高く積まれております、全く実用上余り必要でないというものが山ほど積まれておるような状況でございまして、とうていこういうふうなことを繰返しておりますというと、国の産業は、加工産業はつぶれるよりいたし方がない。何としても、国際価格の水準にまでこの地金価格を持つて参りますというと、用途は広いのでありまして、又輸出実績を持つておりまして、必ずこれが出る。先般ビルマの特使が日本にもお見えになりまして、これらのかたがたとも関西におきまして懇談会がございましたが、やはり価格の面さえ合えば日本製品を、国民感情の上から言つても日本製品を選ぶのであるということを申しておりましたように、多分に東南アジア地方におきましては伸びる余地がございます。併しやはり値段が余りにも違い過ぎる。その値段が何故日本の場合が高いかということになりますと、やはりこれから申上げたい非常に矛盾したものがたくさんございます。この点をお話いたしたいと思います。  先ず一九五三年八月現在の各国の値段を見てみますというと、これは差上げました五ページに表になつてございますが、日本が最高でございます。国際価格は当時でポンド二十一セントでございますから十六万六千円程庭でございますが、日本の場合は二十三万四千円、市価は二十三万五千円で取引されておりまして、この当時輸出につきましては特価といたしまして二十一万円で供給されておりましたが、とてもそれでは企業の切売りにひとしいということで、輸出もだんだん減つて参りまして、その後いろいろな事情がございまして、これは通産関係になると思いますが、特に製錬業が発表いたしました出荷資料とは別に輸出がされておりました。日本の国内価格に比較いたしまして当時の価格といたしますと非常に安い、十八万円前後の価格を以てアメリカあたりに輸出しておつた事実がございます。これは業会で発表されておりませんのでございますが、それはあとで出て参つたのでございますが、そういうふうなことからいろいろ業界に問題がおきまして、輸出におきましては十七万七千円まで下げておりました。更に本年四月からは、たしか五月であつたと思いますが、十七万円までに下つておる、これは輸出に関する限りでございます。これにはいろいろ条件が付いております。併しこれを以ていたしましてもとても話にならんわけでございます。  こういう状況下にあります場合に日本の原料価格は何故高いかということは、当委員会とはちよつと関係が違うのでありますが、一番大きなものといたしまして電力事情について、これは曾つて我々も国会に請願をいたしたことがございます。電力につきましては、アルミニウムの製錬というのは電力が非常にたくさん要るわけでございまして、自家発電設備を持つということは製錬会社のこれは常識でございます。これは戦時中日発に吸収されました自家発電設備を現在製錬をやつております日本軽金属、住友化学、それから昭和電工、この三社が同様に返還してもらいたいということを運動いたしておりましたが、他の二社の自家発電設備にはいろいろなものがぶらさがつておる関係で、日軽の場合には一社だけのものであるという条件に恵まれまして、日軽だけが返還をされて、他のニ社の運動についてはそのままの形になつております。従いまして一トン当り自家発電設備と買電との差額というものは業界では四万円と称されておりますから、それだけの差がこの会社に電力事情によつて生じておる。この差を持つて、差があつて、而もそれが採算の取れる価格で以て協定価格とされております関係で、一方ではそれ以上の利益を挙げておられるでありましようしいたしますからして、価格が高いのだということが業界の一つの常識みたいな形になつております。  それと更に、本題に入りますが、日本軽金属の外資導入につきまして、これは当時非常なセンセーシヨンを捲き起したわけでございます。併しながらこの導入条件というものについて、或いは契約書というものにつきましては全文は発表されておりません。ただ部分的にいろいろな金属情報であるとか或いは又業界雑誌であるとか、又は最近いろいろな学者が本を出しております中から拾い上げて見ますというと、大体においてその条件というものは三つか四つくらい拾うことができるのじやないかと思います。先ずこの条件として知られておりますことは、倍増資株千二百四十万株を一株十円のプレミアでそつくりカナダに渡す、これが当委員会でも今菊川先生からお話がありましたように、非常に問題になつたと思われる点でございますが、これで、五十、五十の提携が相成つたわけでございます。それともう一つは、貸付金といたしまして百八十万ドル、これは年利五分五厘、八カ年の償還、但し最初の三年六カ月というものは据置にして、自後六カ月間の均等償還、こういうふうな形になつておるのでございます。こういうことを、低利資金を借入れて、そうして企業の合理化をやり、地金価格を下げる、こういうことがいわれております。次はマレー南岸の既開発のボーキサイドの鉱床を借入れて、それを日軽が操業することによつてボーキサイドの値段を下げて行く、地金価格も当然下げて行く、こういうふうなこと、それから技術導入ということも申しております。なお殊に経営の自主性ということについては噂されることがないということがこれは強く打出されておるようでございます。その他各項目について説明資料を加えて当委員会に提出されたものと考えられますが、これが非常に問題を呼びまして、六カ月間の審議を経て漸く認可されたわけでございますが、認可されましたのが二十七年の十月だつたと思います。その後正式調印は二十八年の三月、こういうふうにいわれておりますが、今日この提携条件のうち履行されておりますのは重役数の問題だけであろうかと思います。今なお貸付金が入つたとは聞いておりません。なお技術導入その他によつて一般の期待しておりましたこの値下げ問題につきましても、先ほど申上げた電力事情という大きなものが前にありますために、結局全生産量の五割以上を生産する日軽が独走するというような形になつております。而も株式配当におきましては年三割きちんきちんとやはり払つておる。この条件を履行されず、リミデツトの所有するボーキサイドの鉱山もまだ開発されないで、これは既開発ということであつたようでありますが、未開のジャングルであるというふうなことも伝えられております。こういうふうに条件というものが食い違つておりますので、この点を十分一つ御審議をお願いいたしたいと考える次第でございます。  なむこの履行しないということがどういうふうに影響して来るかということを申上げますと、我々の期待いたしておりましたものは、この提携がやがては日本のアルミ産業をして国際市場に十分乗出す、そのことによつてあり余る生産能力を海外に持込み、これで外貨を獲得し、同時に国内産業も今日のような状況ではなくて、一層のアルミ産業の共存共栄と申しますか、原料メーカーと加工メーカーとが一つになつたものになるであろうことを期待いたしておつたのですが、今日でございますと全く案に反したような形になつております。  なおここで付加えて申上げたいことはこの予算関係、大蔵委員会等においても関係のございます予算面から見ました加工産業の一つの実例を付加えておきますと、最近保安隊関係の仕事がたくさん出て参りました。これらによりますというと、曾つて旧軍部か失敗いたしましたことを再び繰返して、国家の予算を無駄に使つておるようなこともございますので、これは例えば最近出されております食器類等の例を見ましても、必要でない面、つまり一遍熱湯消毒をやりますというとそれで影も形もなくなつてしまうような光沢の面についてもいろいろな条件を付けてやつております。こういう無駄なことをやることによつて価格も高くなり、必要以上の厳重な検査によつて、現在大阪の日本軽金属化工機という会社がこれの不良のためにつぶれかかつておる、こういうふうなことなども起りつつありますので、アルミ産業に対する、殊に保安隊関係の実際の面の予算の組み方等につきましても専門家に十分御意見をお聞きになるといいのではないかというような話になりましたが、そういうような点も付加えておきたいと思います。  時間等の関係もございましようから極く簡単にかいつまんで申上げましたが、質問等がありましたらそれによつて私の知る限りにおいてお答えいたしたいと、かように考えてあります。

西郷吉之助自由党

○委員長(西郷吉之助君) 今の宮崎米一君の説明に御質問ございますか。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 ちよつとまだ十分わからん点は、この条件が履行されないためにまあ損をしている。それは条件が履行されないのだから金を貸してもらえるところを貸してもらえない。それからボーキサイドの鉱山を開発さしてもらうと言つたが、やはり開発さしてもらえない。それでそのためにそういう金を借りたり既開発の鉱山を操業さしてもらうことで原料が安くなると思つておつたやつが安くならないで、そのためにあなたがたのほうの加工産業をやるべき連中は高い原料を買わなければならなくなつている、こういうことですか、要するに主張は。

宮崎米一アルミ産業危機打開全国労組同盟会長

○参考人(宮崎米一君) そういうふうに簡単にそうは参りませんでございますが、我々が損をしているということよりも、こういつた約束が履行されないことが、折角行なつた外資導入の意味を果していない。而も条件を果さずしてカナダ資本にそれだけのものを持つて行かれておる。こういうことが行われずして、持つて行くだけの代償と日本のこの日軽に対してつぐべきものはつぎ、約束を果してくれるならば、もつと値段は下ると同時にアルミ産業ももつと発展して行く。これは日軽個人に対する恨みとか何とかいう問題ではございませんで、大きな立場における私どものこういう主張でございます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 もう一つ日軽が株をカナダ・アルミに譲渡した価格は、当時日本の株式の市価が幾らであつて、日軽がこれをカナダ・アルミに譲渡したのは幾らというのはあなたのほうでわかつているのですか、ここにちよつと書いてあるけれども。

宮崎米一アルミ産業危機打開全国労組同盟会長

○参考人(宮崎米一君) この当時旧株はおよそ二百円近くいたしておつたと考えております。なお今日におきましては新株はやや下りまして、百六十円前後いたしておるように承知いたしておりますが、旧株はやはり百七十円前後だろうと考えております。

西郷吉之助自由党

○委員長(西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか。

成瀬幡治日本社会党(第四控室・左)

○成瀬幡治君 もう一人山田さんという方お見えになりますね。そのかたの御意見を聞いて、又併せて質問があつたら一緒に、そういうふうに運んで頂きたいと思います。    〔「進行」と呼ぶものあり〕

西郷吉之助自由党

○委員長(西郷吉之助君) それでは宮崎君に対する質疑を一応それで終りまして、次に日本軽金属株式会社取締役役営業部長山田雄吉君から説明を受けます。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) 山田でございます。

西郷吉之助自由党

○委員長(西郷吉之助君) それでは菊川君が御質問になるそうでありますから、それにお答え願いたいと思います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 どうぞ腰掛けて一つ御答弁願います。  あなたのほうで政府に申請されまして、カナダ・アルミと提携をされる条件というものは、その当時日軽さんとカナダ・アルミの提携につきましては長い間いろいろ論争されておつたということは御承知の通りでありますし、丁度たまたまこれが問題になつておりました時に、時の大蔵大臣の池田勇人氏が、これは当委員会においてもやかましく言われたのでありますが、外国の資本を導入する場合には少くとも五対五では駄目だ、五五は最小限度日本側において株式を保有し、外国には四五以上を渡してはいけない。これは池田氏の反対理由の一番大きな主張でありました。これは中国において中華民国と言つたような時代においても、中国の人達はやかましくこれを主張したのだ、如何に日本が戦争に負けたとは言え、外資導入に当つて五対五というような屈辱的な条件はないのだ、こういうことを主張しておつたのですが、あなたのほうは最後はどういう経緯でか知らんが、五対五で提携されることになつた。こういうことを聞いておるのですが、それは事実であるかどうか。五対五で保有株はどういうふうなバランスになつておるか、又それで折合つたことは事実であるか、どうしてあの当時池田さんがあのくらいやかましく言つておつたのが五対五に折合うことになつたのか、これらの経緯について重役さんとしてお知りになる範囲内において一つお話し願いたい。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) それではお答え申上げます。  御質問の第一点でございますが、五対五の条件で向うの株式保有を認めまして、現在も五対五という比率で資本を構成されている、そしてどういう経緯でこういうふうになつたかという点につきまして申上げますと、今御指摘のありましたように、当時大蔵大臣からも御意見がございましたんですが、私どもの知つております範囲内では、当時内資が五十五で外資が四十五でなければならんというような比重と申しますか、そういう数字についての御指示はなかつたんであります。この問題になりましたのは、五十になることによつて、或いは五十以上になることによつて経営の自主性を失いはしないか。特に我々のアルミニウム産業は基幹産業の一つであるから、それが外資が五十入ることによつて自主性を失いはしないかという点について非常に心配を下すつたわけですが、同時に我々のほうといたしましても、この点は一番重要な点でございまするから、先方との交渉の経過におきましても、自主性を失わないような点についてあらゆる面から検討を加え、それにつきましては先方の意向もお互いに確かめましたわけでございますが、自主性は全然失わないということがはつきりいたしまして、その点を御当局にもいろいろと御説明申上げて、納得を頂いて御承認を頂いたわけであります。  さすがに当時私どもの外資導入は、規模の点とそれから内容が、資本の大きさ、技術の供与、それから貸付金をするというような三つの条件がありまして、当時といたしましては大きなスケールでありましたので、いろいろな点で論議がございましたので時日を要したわけでございまするが、最終においてけ今申上げましたような点について御納得を頂いて御許可を頂いておる。こういうふうに考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そこでその合併の条件として、一つには重役数はおのおの七名、こういうことになつておつたように聞いておりますが。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) その通りでごいます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 その七名のうち外人は全体で、この日本側の重役七名、それから七名の重役は外人を以て充当している、それから常勤関係は今どういうふうになつておりますか、その点一つ自主性ということについて、それから担当部門、これらについて御説明願いたい。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) はあ、わかりました。構成は今御指摘のありましたように旧来の日本軽金属の役員が七名、それからカナダ・アルミ・リミデット会社の指名いたしました者が七名、合計十四名でございます。  それでこのカナダのほうからの指名されました七名のうち、外人は二名だけでございますが、であとの五名は日本人でございまして、御承知のかたもございますように、この外人のほうの二名のうちでございますね、常勤になつておりますのは副社長が一名だけでございます。他の一名は、俗称でございますが、平取締役になつておりまして、殆んど米国側におりまして、これは常勤ではございません。年に一度乃至二度、その都度一カ月乃至ニカ月くらい滞在しておるということでございます。  それから担当関係を申上げますと、社長は前社長であります草野でございまして、その下に三人の副社長を置きまして、二名が旧来の常務取締役でありました安田と申しますのと藤井と申しますのとこの二名が新副社長、そこへ先ほど申上げました向うからの指名者であります二名のうちの外人の一人が副社長になつております。この三名が副社長、あとは普通の平取締役ということです。担当のほうは別にどういう担当ということをきめておりません。  それからそのほか定款によりまして委員会制度というものを設けておりまして、先ほど申上げました社長と副社長、向うの副社長一名と平取締役二名、六名で委員を構成しておりまして、日常業務の大綱を見て協議をするというような制度になつておりますが、意思の決定機関にはなつておりません。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 その点よくわかりましたが、次にお尋ねいたしたいのは、これはまあ別にあなたのほうの欠点を衝くとかいう意味じやなしに、一つ今後もこういう問題があり得ることだから一つのモデル・ケースと申しますか、そういう意味においてお聞きしておきたいと思うのですが、売却当時は千二百四十万株ですか、千二百四十万株を向う側へ譲渡する。そのときには十円のプレミアムが付いた。だから五十円の払込株式を更に今度は十円付けた六十円で譲渡する。当時のあなたのところの株の値段が、東京の証券市場における相場は大体百七十円から二百円前後を往来しておつた。それが六十円で渡されるということは非常に安い値段で向うへ渡るということは事実ですな、常識で考えて。ちよつと素人考えでしますと。甚だアルミとしては、非常に安く日軽の株を、而も総株数の半数だけを手に入れるということは非常な有利な条件だと我々考えるのですがね。これはそういうふうに一応その点においては向う側は非常に有利であつたということに了解していいのですか。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) 向う側の採算はちよつと私どもには想像しかねます世のでございますが、御質問の点は当時世間でも議論されました点でございまして、当時は百七十円、二百円までは行つておりませんが、とにかく百二、三十円見当でございました。それだけしておるものをなぜ五十円の払込と、たつた十円のプレミアムでやるのだという点についての議論もございまして、この点につきましても実は大蔵御当局でいろいろと御審査を頂いたわけでありますが、ここで一つそのときにも御説明を申上げ、御納得を頂いたわけでありますが、いわゆる証券市場で一時的に買上げるこか、或いは投機的な意味を以て株式を取得するというのと違いまして、五〇%の株式を以て事業の経営に参加して、永久的にこの事業を協力して盛り立てて行こうというような長いぺースで見ておる考え方から投資をしたものでありまして、その点に根本的な差が一つあるということを考えなければいけないと思います。従つてそういうような場合は、当時にも石油会社等々にございましたですが、すべて五十円で払込でやつて行くというのが理論的でありまして、又実際行われましたのもほかの例で見ましても五十円を以て新株を渡すということになつております。ただ十円のプレミアムを付けましたというのは全く向う側の好意的な申入れによるわけでありまして、これを我々が承認したという形でございます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 まあそれを一応我々でこそ五十円、百円というと高い金のように思いますが、向う側の当時の貨幣価値から考えまして、カナダのドルはアメリカ・ドルよりもちよつと強いですな。従つてまあ五十円というと向うの何セントですか、まるで捨て値みたいなもので、それこそボーイに渡すチップにもならん、エレベーター・ボーイに渡すチップにもならん金で以てこの株式が手に入る。而もその半数ということになると、とにかく半数を一人で株式を持つということはどこの会社でも、法人においてもそうだ、どこの会社でも言えるのですが、滅多にそんな人はない。それを握れるということは、これは実に捨て値で買えるというふうにまあ考えられるのですが、ましてや為替相場がこういうときにおいておやと思うのです。そこでそれらの有利な、わしらが考えて有利だと思うのですが、その反対給付という意味において貸付金として百八十万ドルですかね、年利五分五厘これは非常に有利な条件だと思うのですが、それだけ外資が入つて来るのですから。こういう条件が付いているのだということが巷間に伝えられているんですが、ところがそれが未だに入つて来ない。入つて来ない理由としてあなたのほうで言つておられるのは、そのうちに為替レートの切下げがあるかも知れん、又為替レートの切下げがあつた場合にはこれはどうも日本側としてレートが仮に引下げられると損になつてしまうから、今のところちよつと見合しているんだということが巷間に、あなたのほうの一つの弁解だということを言われておるんだが、大蔵大臣は何回質問しても、このレート切下げは絶対にやらないと言うんだが、これは事実百八十万ドルというものは借入れをするに済まされたものか、これはまだそういう条件になつているが有利なときに、必要なときを見るためにあなたのほうでは保留しておられるのか、この点について一つお聞きしたい。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) お答え申上げます。今お話のございましたように今日現在はまだ借入れをしておりません。でその主なる理由は、今お話のありましたように、まあ一般には為替相場の変動はないというような確言もございますが、一事業会社にとりましてもこれは非常に重大なる問題でございますので、金利が安うございますが、若し切下げでもあつた場合には安い金利が決して安くつくわけのものでもございませんし、それから元本の返済のほうも現在の金額と比べますと厖大なものになるというような点もあり、かたがたこれにつきましては非常に慎重に進めて行きたいというふうに思いまして保留をしております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それからもう一点、この条件としてリミテツド会社が所有するマレーの南岸のボーキサイトは、すでに開発している鉱山をあなたのほうで操業をされるというようなことが、まあ借してもろうというような条件が付いておつたというようなことが一般に発表されておつたようでありますか、それがすでに操業をされておるか、或いは又一部伝えられるところによりますと、いい既開発の鉱山だと言つておつたけれども、現地に行つてみるとジャングルで、既開発どころか、さつぱり手につかんようなところが日軽に与えられる予定地であるとさえ言われておるが、この真相を調査されたものか。これは巷間伝えられるはデマで、非常に立派な鉱山であつて、いつでもそれが操業できるような状態にあるのか、それが操業しておるのか、これらについて御説明願いたい。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) 端的に申上げますと、ジャングルで何もないんだというような説は全くルーマーに過ぎません。非常に立派なものであります。これは実は日本軍の占領時代からもう探鉱が行われておるようなところでありまして、鉱石の立派なものが大量にあるということははつきりしている。それからその後も実は提携をいたしました会社自体が終戦後に何回も調査をしておりますし、そんなわけで鉱山自体に何の不安もない。ただ開発をしているかということにつきましては、これはお説の中でありました既開発ということは一度も申上げたことはございません。無論開発は今しているわけでございません。で、今後我々のほうがこれに手をつけて開発をしようというふうに計画しております。  で、なぜ着手しないかと申しますと、現在我々の使つておりますボーキサイトは、旧来からとつておりました蘭領のビンタン島というところ、それから今我々がこれから手をつけようといたしております新鉱区の隣に非常に小さな規模でございますが、英国の会社が持つている、それが小規模で掘つておる。それを合わせて買つているのです。ニッの供給源から買つておりまして、値段の点もだんだんにまけて参つておりますので、今のところ急きよ開発しなければならんという実情でもございませんが、併しこれは主原料でございますので、更に有利にしたいというのが私どもの狙いでありますので、よりよりこの開発について研究を進めておりまして、だんだんに着手することと思います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 次に外資と同時に今度は技術も導入して更にコストを下げるこういうことがその申請された大きな理由の一つになつているのは結構なんですが、なにせ日本の品物が出て行かない、今も輸出入銀行の総裁が来て証言をされたのですが、日本の品物が高いので、早く値段を下げなければいかん。技術を導入し安い地金を作るようにしたい、これは誠に趣旨は結構で、我我も賛成するところでありますが、事実その技術導入というものは現実にもうすでに行われて、もう大分日もたつておりますので、そろそろ地金のほうは下る傾向にある、下つて来ているのかどうか。この提携後の技術導入によつてどういうふうに下つて来ているか、こういう点を一つ具体的に御説明をお願いしたい。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) これは重要な点でございまして、技術の改善につきましては昨年株式の参加のありました直後から、契約に基きまして着々と進めております。その例といたしまして、昨年の五月の八日に向うの払込が終つたのであります。そういたしますと直ちに、六月末でございましたか、契約による技術ミツシヨンというのが三人の構成メンバーで、一人は電力、一人はアルミナ、一人は電解、この三人の技師が参りまして、各担当部門の私どもの工場内の改善すべきところをつぶさに研究いたしまして、これが帰国いたしまして、昨年末報告書にいたしまして、改善すべき点等を具体的に示しております。ただその項目につきましては、誠に勝手でございますが、ここでどれどれということを申上げかねるのでございますが、そういつた指摘に基きまして着々と工事を進めております。事実原価のほうもだんだんに下つて来ている。従つて売値のほうも追々下げております。それからなお技術面では、向うからミツシヨンが参ります。と同時に、今度はこちらから日本人の我々の技術首脳陣を第一回といたしまして、今年の五月に三名出しまして、これが二ヶ月半ぐらいに亘りまして見学実習をしておりまして、帰つて来ております。その他、なおカナダの会社の工業技術研究所というのがスイスにございまして、ここに毎年私どもの会社の若い中堅どころの青年社員を派遣いたしまして、そこで高度のアルミニウム関係の工業技術、その他一般の経営関係の知識を習得するというような制度を作つておりまして、昨年第一回が参りまして、今年の九月又第二回目も参つております。そういうようなわけで、常時着々と技術改善のほうは進めております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 次に地金の価格についてお伺いする点ですが、国際価格はトン当りどれだけ、国内価格が高いといわれているが、国内価格はどれだけ、従つてあなたのほうの今後、先ほどお尋ねしました借入金であるとか、或いはマレーのほうの操業等によつて、これを国際価格にまで鞘寄せをするように御努力願わなければならんと思うのですが、それは一体目標としてあなたがたのお考えではどのくらいまでかかれば鞘寄せできるか、この点を一つ。価格の点と努力目標、なかなか実際通りには行かんとしても、あなたのほうは目標をそこに、これは基幹産業として重要なことだと思いますので伺つておきたいと思うのですが……。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) 最初に国際価格を一つ申上げておきますが、一口に国際価格と申しましても、これはいろいろに違いますが、一番世界で現在安いのはカナダでございます。カナダの値段を円に直しまして、キロトンで今日現在は十六万二、三千円でございます。それからその次がノルウエーであります。ノルウエーもやはりカナダと同じくらい、十六万二、三千円、それからその次に安いのがアメリカでございますが、アメリカはだんだんにこの両三年、労務費の高騰、原材料の騰貴等々もありまして、逐次上げて参りまノて、最近現在では十七万二、三千円というところでございます。それでノルウエーを除きまして、米国の米本土、つまりカナダ、米国は十六、七万というところです。それから、今度はヨーロツパ方面を見ますと、これは又非常にまちまちでございまして、イギリスは主としてカナダのアルミニウムを長期に亘つて買つておりまして、従つてカナダの値段ぐらいになつております。ところがドイツは十九万二、三千円、それからフランスはこれはおもしろい制度をとつておりまして、冬季渇水期は電気代が非常に高いので二十万円、それから豊水期になりますと、一割をまけて十八万円というような、季節による価格の変動を公然とやつております。それからその次にイタリーが大分高くなつておりまして、最近見ましたところではたしか二十一万三千円ぐらいでございましたか、それからスイスが十九万から二十万の間だつたと思います。そんな程度になつております。  そこで私どもの値段でございますが、これは実は、一口に申上げかねますのは、需要家がいろいろ変つておりまして、大量に引続いてとつて下さるところ、或いは大量にとつて下さるのですが、我が社一本でとつておられるのでなくて、他の競争会社からとつておられるもの、或いはとつておる数量は少いが私どもからのみとつておられる引取数量の少いところと、それから今度は支払条件が又非常にまちまちでありまして、三カ月、四カ月の手形にしてくれというようなところもあれば、支払いの割合にいいところもある。それから今、手形取引が非常に多いのでございますが、一般的にその社その社の、各社の信用状態の我々の判定等々を入れまして、非常に各個の取引になつておりまして、申上げにくいのでございますが、併し昨年提携をいたしました当時から比べますと、どの需要家さんに対しましても、恐らく一割乃至一割五分見当の値下げになつておると思います。それだけ勉強させて頂いておるわけであります。そこで合理化の当面の目標でございますが、一番私どもが悩みといたしておりますのは、我か日本では、私どものアルミニユーム工業から申しますと主原料でありますボーキサイトの輸入であるとか、これは今のようにだんだん下げて行かなければならんし、又下げられる見込でおります。その次にどうしても大きなギヤツプになりますのが石炭でございます。これは御承知のように欧米各国と比べて二倍乃至三倍ぐらい高い。その次に苛性ソーダを使うのでございますが、苛性ソーダの原料であります塩の輸入価格というのは、これ又三倍乃至五倍、見方によつては、つい最近のお話でございますが、アメリカの一部のあれと比べると十倍にも当るというような塩の価格なんでございます。そのほかに高金利、金利が非常に高いというような、この三つの要素が当面の大きな壁でありまして、この三つのために、相当技術では諸外国に負けない程度に近くなつておりますが、原材料を超えがたい一つの壁のために、直ちには国際レベルまで下げ得ない実情でございます。従つて当面の目標を、まあヨーロツパなみぐらいのところまでには早く持つて行きたいというようなふうに考えておりますが、それでもまだ非常に足りないのでありまして、何とかしてアメリカ、カナダ等々のレベルまで早く近づけたいというのが私どもの理想なんでございます。そんな目標でやつております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 今のところ大体において何万円から何万円ぐらい、こういうところですか。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) これは今申上げましたように、各お得意さんによりましていろいろ違いますので申上げにくいのでございますが、大まかに申上げまして、二十一万円程度というふうにお考え願つたらいいのじやないかと思います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 わかりました。  じやその次にもう一点お伺いしておきたいのは、あなたのほうの、今度第三次資産再評価について再評価されるだろうと思うのですが、これを実行されたかどうか知りませんけれども、あなたのほうの会社は、最初にできるときには国策会社として政府のほうにも持株があつたのじやないですか。戦時中に……。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) ございません。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 なかつたかな。それで資産再評価、第三次再評価を恐らくやられるだろうと思うのですが、やられる前には大体資産がもう数百億ということになるのじやないかと思うのですが、それが結局カナダ資本から考えますと、僅か七億ばかりの金で数百億の半分の利権を取得した。結局結論としてはそうなるわけです。それでそこの精錬会社を手に入れて、あとの契約条件については、いろいろ今伺つて理由もあるようですけれども、借入金のほうも実行されていない。開発もボーキサイトの鉱山の、あなたのほうの操業もまだ実行されていないにもかかわらず株式の配当だけは受ける。それから最近アルミを現にカナダのほうに地金のままで持つて帰る、こういうことが行われておる。こういうことを言われておるのですが、これはどうですか。まあ七十ドルぐらいで向うへ、カナダのほうへ品物を持つて帰つておる……。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) それはちよつと間違いがあるようでございますが、アルミの地金ではありませんでして、アルミナと申します中間体なんであります。これは今カナダの会社で太平洋沿岸に大きな電解工場を拵えております。それに要するアルミナの一部を、できれば私どものほうから供給する。これは一つ輸出といたしまして大いに稼げる。それは国内の需要を圧迫するとかなんとかいうことでなくして、我我のほうの操業度を上げ、従つてそれだけ全般のコスト値下げの上に非常に役立つというような狙いがございまして、できればこれは一つ大量に将来も出したいというような狙いで、つい最近出しましたのを手始めといたしまして、品質の試験とかいろいろな向うの取扱い上の試験をやつていきたいというような意味で五百トンばかり出したのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それじや最後に、この申請されて外資審議委員会で通つた契約の条項というものは、飽くまでもこれは早く実行されなければならんのじやないか。まあ、実行の期限等は付いてないにいたしましても、速かにやはり実行して、そうして今もお話になりましたように、とにかくイタリア程度であつて、まあ、高い。そうすると、ほかの、あなたのほうの地金がそれだけ高い以上は、製品がどうしても高くつくということになるだろうと思いますので、早く実行に移されなければならないということは、これはもう道義的責任があるであろうと思う。あなたのほうでそういう点については、今もお話になりました通り、着々考えておられるようでありますが、それで外国よりも安ければ、それの実行をそう急ぐ必要はないと思いますけれども、高い以上は速かに、やはり一つでも外国の相場に近づけるようにしていかなければならん。この努力はあなたのほうでされなければならんと思うのですが、こういう点については速かに一つお運び願わなければこれはいかんのじやないか、こういうふうに私は思うのですが、あれだけ喧しく問題になつた日発の外資導入は、非常にいろいろの角度から論じられていることは事実でございます。特にもう一点、一つ最後に申上げておきたいのですが、五対五の外資導入ということについては中華民国と言われた当時の中国においてさえも、これは喧しく国辱だと言つたのですが、今日の日本では、そんなことはお構いなしに、自分のところでよければいいというような点もなきにしもあらずだろうと思いますが、あなたのほうは、まさかそんなことではなかつたと思いますけれども、あれだけ大蔵大臣の池田勇人氏がこれはもう声を大にして言つておつたやつが、俄かにころつと五対五で承認されるということの裏には、私は何としても納得できんところがある。併しそれで自主性が侵されていないということは、今のところは侵されていないかも知れないが、将来これはだんだんと、なかなかアメリカ人というものもそう紳士ばかりではないので、マッカーサーのステートメントばかり読んで、その通り額面通り解釈していると、とんでもない。なかなかそろばんを向うも十分はじいてかかつているのだろうから、アメリカを余りに崇拝していると今度はやられてしまう危険性がなきにしもあらず、私はかように考えるが、今のところはその危険が出ていないといたしましても、将来必ず後悔しなければならん場合もあると思いますので、重役陣におきましても、これは殊に基幹産業の一番大きなあなたのほうでは、今アルミニウムについては一番大きな地位を占めておられるのでありますから、これらについて一つあなたのほうの決意を伺つて私の質問を終りたいと思います。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) 御心配の点、御注意の点、誠に御尤もでございます。私どもも先ほどお話になりましたように、道義的な責任ということは、しよつちゆう頭に置いておりまして、お説の点も十分に全うして行きたいというふうな覚悟でやつております。なお許可条件になつたいろいろの内容について早く実行しろという御注意の点でございますが、勿論技術的な点だとか、或いは着手できるものはどんどんやつております。ただ誤解をして頂きたくないと思いますのは、借金の点でございますね。これはいろいろな面から見まして、私どもの会社のみならず、日本のためにも急いで只今借金をしなければならん。それがそうすることによつて非常に不利な、危険があるというような場合には、慎重を期したいということでございまして、その他のためになること改善になることにつきましては、極力早めて実行いたします。それからボーキサイトの点なども、これはサボタージュしているわけでは決してありませんので、有利な時期を見まして計画して行こう、こういうふうに考えております。その点一つ御了承を願いたいと思います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 最後に、外資の導入の問題で、政府は鉦や太鼓で外資導入だ、外資導入だと一方で言つている。そうすると、あなたのほうのような代表的な企業が、これは為替レートの切下げがあるかも知れないから、まあそういう外資は成るべくお断りするのだ、そういうものは会社がえらいものをかぶるかも知れないというような態度で臨んでいるとすれば、今の政府の考えと全く業界とはそこに大きなズレがあるということが言えるのですね。外資導入ということは、株式を譲渡することも一つであろうし、借入金を……而もあなたのほうでは非常に年に五分五厘というようなことになると、非常に安い。八年間のうち最初の三年六カ月は据置だということを発表されているが、非常に有利な条件だ。それで今あなたのほうは今のところ借入金の金利が非常に高く付くという御説明もあつたが、それは一般の銀行から借りるよりも安いし、開銀の利息よりも安い。開銀では一番安くて六分五厘ですから、それより更に安い。そういうようなことから考えて、業界のほうではレートの切下げ、これの気がまえで眺めている。政府のほうでは、鉦や太鼓で外資導入だと言つて絶対切下げをやらないと言つているとすると、小さい業界ならいざ知らず、あなたのところのような大企業がそういう態度で臨んでいるということになると、これはちよつと大きな……、大蔵大臣にこの点についても我々聞かなければならないと思うのですが、大蔵大臣に何べん聞きましてもそれは絶対やらないと言つているとすると、そこにどうも財界の早耳としては、どうもやりそうだというように、あなたのほうではキヤツチされると思いますが、そこが大きな問題だと思うのですね。今の日本の経済政策全般にとつて大きな問題、財界はこれは、いつかは切下げられるという気がまえですべての経営に当つておられる。政府のほうでは国会においても何べん聞きましてもこれは絶対に切下げはやらないと言う。これは大きなギヤツプができると、こう思うのですが、財界は大体そういう空気ですか。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) これは大きな問題でございまして、私ども確信を持つてお答えするほどの何は、ございませんので、どうぞ一つ……

野溝勝日本社会党(第四控室・左)

○野溝勝君 一つ私はこの際、簡単に希望だけ申上げておきます。  この場合はどうなんですか。そういうことであなたのほうでも大資本で以ていよいよ合弁的にやるということになると、一貫作業的に大体なるのですが、その場合、中小メーカーなどとの関係はどうなるのですか。そういう面は考慮されたことはありますか。例えば精錬におきましても、何におきましても、何の分野においてもですよ。あなたのほうは今までさえも代表的なものなんですが、今度は更にそういう資本を入れて一貫作業的なものになると思うのですが、そういう場合、中小メーカーとの関連はどうなるというのですか。

山田雄吉日本軽金属株式会社取締役営業部長

○参考人(山田雄吉君) 一貫作業ということを御想像のようですが、私どもの現在の事業の内容は、アルミニウムの地金、かたまりでございますね、これを造るところまででございます。それを延ばして板にし、板から更にいろいろな製品にこしらえようというのは次の段階の各加工業者でございます。従つて現在のところは、我々のところは自分の手で加工業の中間或いは末端までを一貫してやろうというような計画は全然ないのでございます。要するに、こういつた末端と申しますか、地金だけでは何にもなりませんので、加工業界が儲けて頂いて殷盛になるということが、それを通して我々のほうが繁栄するということでございまするから、加工業界の殷盛になることを我々のほうは望むわけでございます。決して一貫作業をして独占的な地歩を占めるというようなことは全然考えておりません。   —————————————

西郷吉之助自由党

○委員長(西郷吉之助君) それでは次の問題に移りまして、野溝委員より御希望のドロマイト工業に対する開銀融資等に関する件に移ります。

野溝勝日本社会党(第四控室・左)

○野溝勝君 簡単に関係機関に対しまして二、三お伺いしておきます。最初重工業局長の鈴木さんにお伺いするのでございますが、私は九月の七日の本委員会を通しましてお伺いしておいたのでございますけれども、その際に鈴木さんからは、ドロマイド工業は鉄鋼産業上重大でございまするから業界その他に支障のないように且つ又既定方針に従つて善処するという御所見を発言されたのであります、その後の様子を見ておりますと、磐城セメントが中心になりまして去る十月八日株主総会を開いて合併を決議さてておるようであります。そうするとますます業界の性格及び方向というものが磐城に握られる傾向になるのですが、かくては折角融資した趣旨とも反することになりますし、又その及ぼす影響も大きい。そういう点についてその後局長さんといたしましてはどういうふうに考えておられるか。この際承わつておきたいと思います。

鈴木義雄通商産業省重工業局長

○説明員(鈴木義雄君) 只今の問題でございますが、先般この席上で私から申上げました通り、私どもといたしましては、ドロマイドが鉄鋼原料として、今後供給及び価格において支障なく鉄鋼業として利用できるという建前から、この問題を善処したいというふうに考えて処置いたして来ておる次第でございます。その後只今のお話のありました通り、不二ドロマイトのほうでは一時総会を開く段取りになつておりましたが、それが延びたように聞いております。それから磐城セメントにおきましては合併の決議をしたというふうに私は聞いております。そこで通産省には、磐城より、今後鉄鋼の原料としてのドロマイトの供給に支障なく、価格についても支障を来たさないというような書面が出ております。これにつきまして私ども鉄鋼業界に意見を徴しました。鉄鋼業界はいろいろ相談しまして、これに対する意見を私どものところに持つて来ることになつております。今まで聞いておりました段階では、大体渡辺鉄鋼連会長にこの問題を一任されたというふうに聞いておりますか、まだ正式に渡辺会長から私のほうに意見を申して来ておりません。私ども鉄鋼業界の意見をよく徴し、先ほど申上げました通り、鉄鋼の原料としてのドロマイトの今後の供給及び価格において支障がないという立場からこの問題を考えて行きたいと考えております。

野溝勝日本社会党(第四控室・左)

○野溝勝君 鈴木さんが非常に慎重を期せられておるということも聞いておるのでありますが、すでに磐城からの合併の趣旨というものは経営の合理化が強調されておるのでございまして、生産の合理化という面からは合理化されておらんと思います。経営の合理化の面から主張されておつて、それのみが正しいというふうにとられると、今後生産関係にある部面軽視されることになり、経営の合理化のウエイト、比重が強くなることは、工業の性格が利潤追求に比重が強くて、折角の主目的でございます鉄鋼の生産の合理化即ち質に対する方針とたまたま対立する事態が起ることは、今までの事業の中においても発見し得ることがたびたびあつたと思うのでございます。こういう点につきましては、特に通産省における重工業関係の当局において一貫した方針だと思います。又それで当然だと私は思つております。そういう点について、今回磐城が合併の趣旨といたしまして、経営の合理化を主張し、更には鉄鋼業界が非常に消極的であつたからというようなことを謳つて恩を売つておるようでございます。併し今日までなつたのは、いわば通産省における重工業局長初めとして、通産省が資金融資に対する認定書というものを与えて、それが動機となり、今日の不二ドロマイトなるものが非常に成長し且つ発展をされた。だからそういう点から見るならば、今日、磐城のために融資したのじやないのですから、磐城のために通産省が認定書を出したわけじやないのですから、又開発銀行においても磐城のために融資したのじやないのですから、その産業の主目的のためにやつたのですから、何も磐城はその際更にそれを自分のものに拡大しようというような考えを持つこと自体がどうかと思うのです。そういう点について重工業局長の鈴木さんはどういうふうにお考えになつているか。

鈴木義雄通商産業省重工業局長

○説明員(鈴木義雄君) 私どもの考え方は、先ほど申上げました通り、鉄の原料としてその供給源であるドロマイト・クリンカーが確保されるということが問題だと思います。従いまして鉄鋼合理化の一環として、その事業につきまして通産省は推薦しましたときも、会社とかいうことよりも、むしろその事業ということが中心であつたかと存じます。従いましてこれが先ほど申上げました通り、鉄に役立つ、鉄に貢献する、鉄の原料が確保されるということになつて支障がなければ、この問題は、企業の形が或いは独立した会社でありましようとも、或いはどういう形をとりましようとも、これは第二次的な問題ではないかと私どもは思つております。

野溝勝日本社会党(第四控室・左)

○野溝勝君 まあ言訳的でなくて、よくその本質を私は聞いているのですから、鈴木さんのほうもそういう意味てお答えを願いたいと思うのてす。一体今もお話になつた事業に対する融資なんてす。その事業そのものが今日不円滑に行つておつたら問題てすが、円滑に行つているのてす。円滑に行つているものを、それ以上磐城セメント会社個人の利益と大きな独占性を持たせることに賛成する必要はないと思います。事業は今日うまく行つているのですよ、あなたたちの協力によつて。それをなぜ一体合併まてさして、そういうことをしなければならんか、こういうのですよ。そういう点をどう考えるか。

鈴木義雄通商産業省重工業局長

○説明員(鈴木義雄君) 再三又繰返して申訳ないのでございますが、私どもとしましては、会社の形ということよりも、事業としてドロマイトが量として或いは価格として十分供給に不安がないかという観点から、重工業局としてこの点を見なければなりません。ほかの関係からいろいろ見て或いは法律にならつた行為てあるかということは、そういうような我々鉄を担当しているほうといたしましては、これは原料として必ず鉄鋼に役立つというところに重点を置いて、この問題を考えるのが適当ではないかと、私、考えるのであります。

野溝勝日本社会党(第四控室・左)

○野溝勝君 そこで鉄鋼界から見て将来支障を来たさないという点に対する判断ですがね。私は業界がこのままで発言力が浸透して行くということが一番うまく行くと思うのです。これも業界以外のものが資本の力によつて発言力が強くなり、左右するということは、非常に不安があると思うのです。これは今日の白木屋の乗取り事件、横井産業事件にしても、帝国石油の事件を見ても、絶えず問題を起している。これは資本力というものが必要以上にその機関を左右しようとする傾向の現われなんですよ。この点は一つ鈴木さん、どこの機関でも見て下さい。そういう点を憂慮するのです。ですから今度愛知君が帰国したら私は質すつもりですが、どうです、あの帝石のぶざまは。そういうようなことを繰返しちやいかんから、私は心配している。それを特に政府が認定書まで出して二億五千万円開銀から出さして、そうしてそれが磐城に左右され、あとで文句言つたところで問題は解決しない。結局磐城が借りたということになつちやう、最後は。磐城などには政府は出資するわけはないといつて見た処であとの祭です。そういう点に対して、業界が非常に不安があり、心配をするので、特に鈴木さんは、ドロマイト・クリンカーそういうものが完全に出て、価格の点も余り無理をしないということならよいということは、一応あなたのほうとしては考えられる。併し、今のような内容ですね、一時はそういうわけで行つても、やがて資本力というものは、やつぱり営利を追求する会社なんですから、何と言いましても今のセメントというものは、まあ日本産業界じやナンバー・ワンのほうです。その中でも磐城の斉藤君は定評の人です。個人を攻撃するわけではないけれども、御承知の人なんです。そういうような人が又この指導権をとるということになれば、そこに一抹の不安というものがあるのですから、そういう点について、まあ必要以上に株式会社法に対して、あなたのほうとして容喙をするとかどうとかいうことは、今あなたの言う通りにできまい。それはよくわかります。わかりますが、そういう点について、この業界においても慎重に考えてくれるということだけは私は言えると思うのです。そういう点について、今通産省のほうから鉄鋼連盟のほうに諮問を発しておるということを先ほど聞いて、その結果、まだ会長からの具体的な回答がないということなんですが、これについては耳に入つておると思いますが、富士製鉄のほうでは積極的に永野君を……併し不二ドロマイトを作るときは富士製鉄は関係ないから、そういう深入りしているところがあるかと思いますけれども、その他、中メーカーといいますか、それらの諸君としては非常に心配しておる。八幡製鉄の渡辺さんのほうとしては、これに対する出資が三百万円くらいであるから、そこで余り強くも発言ができないという状態になつておるらしい。併しそれにしても鉄鋼界の問題をセメント業界に左右されるということになると、将来問題が残るので、一抹の不安もあるけれども、併し、協力でやつて行くより仕方がないという見解、法律上はそうであつても、今のような分析から見て、不安があるので、この際慎重を期して行かなければならないということが一つ。それから今一つ、何を好んで、今、利益があつて順調に行つているものを、業界の不安を押してまでも合併を、乗つ取るという言葉は行き過ぎるかも知れませんけれども、乗つ取りだ、というようなことをしなければならないのか。こういう点について、私は委員長に対して次期に、機会を得て斉藤君の召喚を本委員会にあれするつもりでございますが、一体そういう点について、鈴木君はざつくばらんに、いわばどういうように考えておられるか。考えておられるということは、業界の性格堅持に対して、強くてもいいんじやないか。この立場から見て、従来の鉄鋼界の一貫した方針から言うならば、ただ任せておくという程度でなく、積極的指導をして欲しい。

鈴木義雄通商産業省重工業局長

○説明員(鈴木義雄君) 私ども非常に問題は極めて慎重にやりたい。而もこれにつきましては、法律的にとめる、どうとかいう手段はないわけであります。結局、行政指導で行かなければならないと思います。従いまして、この需要者、鉄鋼関係、これについての意見を求めまして、これを足並みを揃えて措置しなければならん、こういう段階で、意見を目下聞いておるわけでございます。

野溝勝日本社会党(第四控室・左)

○野溝勝君 これにつきまして開発銀行のほうに関しましても調査をいたしましたところ、開発銀行のほうでは、業界の反対のあるものを無理に措置する意思はない、開発銀行なども慎重にいたして行きたいと思うという見解を持つておりました。この点もいずれ事件の進展につれまして本委員会に委員長の了解を得まして一つよく尋ねたいと思つておるのでございますが、そういうようにどちらも慎重を期して来る、この慎重という言葉は、実践に移されますならば、おのずと帰するところが私は明らかに開けて来るのじやないかと思いますから、そういう点も十分一つ御留意願いたいと存じます。  なおこれに関連しまして公正取引委員会の事務局長にお伺いしたいと思いますが、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、この第一章、目的第一条には「この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な競争方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」なお第二章には「私的独占及び不当な取引制限」第三条、「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」こういうふうに書いてあるのでございますが、勿論公正取引委員の方々は十分御承知のことと思うのでございますが、この法律がある以上は、このドロマイト工業に対する合併等々の問題につきましても、以上の過程からいろいろと関連を持つておられると思うのでございますが、今日までこの問題に対して関与しておつた内容につきまして、又見解についてお話を願いたいと思います。

小川清四郎公正取引委員会事務局長

○説明員(小川清四郎君) 只今野溝委員からお尋ねの件につきまして私からお答えを申上げたいと存じます。独禁法の目的につきましては只今お述べになりましたように、第一条に詳しく述べられておりまして、この目的精神に基きまして独禁法の適用をやつて参るわけでございますが、本件、磐城セメントと不二ドロマイト工業の合併に関しましては、この第一条から発する根本精神に基きまして、第十五条に、この合併によりまして一定の取引分野における競争を実質的に阻害する場合と、それから当該合併が不公正な取引方法によつて行われている場合は合併を認可してはならないというふうな規定がございまして、一応この第十五条の規定に基きまして、委員会で本件を審議をいたしました。審議の過程如何は御質問があればお答えをいたしますが、結局実質的な問題といたしましては、不公正な取引方法によるかどうかという点もいろいろ調べてみたのでございますが、合併の場合に不公正な取引方法というものはどういう場合であるかと申しますと、具体的な場合につきまして未だそういう事例がございませんために、抽象的なお答えになるかと存じますが、例えば一つの例を挙げますと、競争会社がございました場合に不当な圧迫を加えるとか、その他不公正な態度によりまして取引を行うというような、結果といたしまして他の弱小の会社が強大な会社に合併せざるを得ないというふうな事態にまで持つて行くと申しますか、そういつた圧力を加えることによりまして合併を止むを得ざらしむるに至つたというような場合には、確かにこの不公正な取引方法によつて合併が行われたという場合に当るだろうと存じます。併しこの場合におきましては、その点はこの両会社間の合併におきましては、委員会におきましてないというふうに認定をいたします。  それから第一の、一定の取引分野における競争を実質的に制限することになるかどうかという点につきましては、一応我々の運用の面におきまして、双方の合併会社の生産能力とか、或いは販売の実際の比率とかいうふうなものを一応勘案いたしまして、両社の合併によりましてどういう結果が出て来るかということを一応調べるわけでございますが、本件の場合には、不二ドロマイト工業と磐城セメントとの合併がどういう点で一番問題になるかということを考えてみまして、結局一番心配になりますのは、不二ドロマイトのほうで例えばドロマイトを作つておりますロータリー・キルン、これは容易にセメントに切替えることができるそうでございますが、その場合に各セメント会社の生産比率というものを一応調べて見ますというと、昨年の八月から本年の七月までの一年間の総生産量の月平均を一応とつて見ますと、磐城が一五%九でございます。それから日本セメントが二〇%七でございます。それから小野田が二〇%六でございます。そこで不二ドロマイトを合併いたしまして、仮にセメントに切替えた場合を想定いたしましたとしましても月産約一万トンの生産増でございまして、これを加えますと磐城のパーセンテージは一七%程度になります。そういたしますと、他の二大メーカーとの比率におきましても、又全体の生産量との比率について見ましても、一七%程度のものならばこれは競争の実質的な制限にはならないというふうに判定をいたしまして、本件の合併につきましては委員会でこれを承認するということにいたしました次第でございます。

野溝勝日本社会党(第四控室・左)

○野溝勝君 そういう点から見て支障がないと見たというお話でございますが、併しこの結合協定その他販売、技術、生産、こういう点に何ら触れておらんのでございますが、こういう点に対する見解はどういうふうに分析且つ考えられておるのでございますか。勿論あなた方としては、専門家ではございませんが、特にこの合併につきましてはそういう不安から大同、川鉄、日本冶金、日本精鋼、愛知並びに住友金属ですか、これらの中メーカーは挙つて反対の意思を持つておる。併し何と言つても磐城が七割以上の大資本を出しておるので、まあ株式法から言えばそれらが支配権を持つことはこれはいたし方ないと思う。併しこれは企業の性質から見て、公正取引委の機関から見れば、資本に重点を置くのでなくして、その企業の性格というものは、あなたたちの機関、いわゆる公正取引委員会の重要な幾関なんです。その点から見るならば、これは商法の問題で簡単に処理するのはおかしい。いわゆる機関そのものの性格からあなたたちは比重をそこに置いてもらわなきやならんと思うのです。そういう観点から、むしろあなたたちのあれが必要なんで、この法律から見て、そういう点から見て、私そういう意見もあるのにかかわらず、これを無理に推進するという点に、この法律の性格と相容れないものがあると思うのです。そういう点はどう考えておりますか。

小川清四郎公正取引委員会事務局長

○説明員(小川清四郎君) 只今のお尋ねに対しましてお答えいたします。  実は本件の合併の審査に当りまして、我々といたしましても、通産省の御方針というようなものを全然考えないで審査したわけではございませんので、更に又関連事業と申しますか、そういつたふうな意味合いにおきまして、これは法の建前から、合併の第十五条の建前から申しまして、必ず必要な要件にはなつてはおりませんけれども、只今御指摘のございましたように、第一条の根本精神というような意味からいたしまして、この不二ドロマイト工業の各株主に、只今御指摘のあつたような会社でございますが、一応意見を照会いたしまして、それで御返事なかつたところもございますが、大体、川崎、八幡、大同、住友、日本精鋼、日本冶金、日鉄鉱業等からは一応御意見が参りまして、それによりまして明らかに明瞭に反対意見を申出られましたところは一会社でございまして、そのほかの御意見は大体供給において保障があるならばこの合併にも止むを得ないだろうというふうな大体の御意見であつたものでございますから、その点は一応考慮いたしましたということを申上げるために只今お答え申上げました。

野溝勝日本社会党(第四控室・左)

○野溝勝君 その点は賛成というのでも、供給に支障がなければという何かそういう理由が書いてありますよ。ですからそのことはそこに不安があるわけですよ。その点の認識ですな、それが心から賛成だというふうに見ていたほうがどうかと思うのです。みんな前段がありますよ。供給とか、ドロマイト・クリンカーのあれが何だとか、原料が確保できる、或いは価格の点が保証されるというような、何かそこにやはり前提があるのですよ。そういう意味の点を公正取引委員会の諸公は判断を冷静にしてもらわんというと、その法律の性格が生きて来ないのだ。その点について慎重に一つこの際、僕は御検討願いたい。丁度、黙つておるから賛成かというと賛成じやない。我々が農民運動をやつておると、みんな黙つておれば私のほう賛成だと思つているのだ。そうすると、やはりそうじやないのだ。やはり無言で反対しておる。それじや私は民主的にこの公正取引委員会の趣旨にもあります通りに「民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」という法律の内容から見ると、どうもどうかと思うのです。ですから、そこにまあ何と言いますか、株式法からいうならば、出資をしていない関係、たくさん出資していない関係で余り強がりもいえないしというところにあるのであつて、気持におきましては非常に不安のあるということはよくわかると思います。その点は今まで公正取引委員会におきましては一つ親切に、そうしてそういうことに対しては慎重を期して頂きたいと思いますということだけを付加えておきます。  次に会計検査院のほうにお聞きをするのでございますが、憲法の第九十条に基いて会計検査院の組織ができた。それから会計検査院法の第二章の第二十条には「会計検査院は、日本国憲法第九十条の規定により国の収入支出の決算の検査を行う外、法律に定める会計の検査を行う。会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」、二十一条には「会計検査院は、検査の結果により、国の収入支出の決算を確認する。」こういうことになつておるのですが、今日は会計検査院長さんはお見えになりませんけれども、一体この間、会計検査院といたしましては、こういう開銀の融資に対しまして、こういう経理に対しまして御調査なり何なりしたことはありますか。

大沢実会計検査院事務総局検査第四局長

○説明員(大沢実君) この不二ドロマイトに対しまする融資は開発銀行の融資全般を検査しておりますので、従来から一応見ております。二億五千万円が融資されまして、逐次回収されまして、現在たしか二億五百万円程度が残つております。その回収状況は、最近のニカ月ほどは少し一月分が遅滞しておるというように見られますが、今までの回収状況は順調に行つております。その点は検査でなお将来も回収状況をよく見究めようと思つておる次第であります。

野溝勝日本社会党(第四控室・左)

○野溝勝君 そこで私は最後に政府当局と、公正取引委員会に希望を申上げておくのでございますが、何と申しましても仕事が順調に行つて、関係業者が不安がなくて行つているというときには生産も合理化されているし、私は経営も合理化されていると見て妥当だと思つております。この点につきましては、今の会計検査院の報告を見ても、回収も順調だと言つております。して見るならば、仕事はうまく行つているわけだと、こう見るよりいたし方ないと思う。事業もうまく行つている、和もとれているというように見るより仕方がないと思う。然るに、この和がとれて、事業が円滑に行つているときに、ここへなぜこういういろいろの問題を起すようなことをしなければならんか。ここが私は割切れないのです。この点は鈴木さんはわかつてくれると思うんです。この点も一つ十分関係の皆さんには特に御留意を願いまして、そうして何と言いましようか、権限外だというようなこともあるかも知れんけれども、その性格から一つ円満に、平和裡に産業の発展を図るように御協力願いたい。こういうことを私は最後まで附加えて申上げておきます。特にこの問題につきましては、世間往往問題を、何と言いますか、大きく感じておりますので、近い機会に衆議院の決算委員会、大蔵委員会、通産委員会一斉にこの問題がいよいよ火蓋を切つて、質疑が行われることでございますので、今日私はむしろ参議院におきましては、あらかじめ親切丁寧に皆さんに申上げておくのでございますから、今日のようなわけに行かんと思いますから、どうぞ御留意をおいて、十分一つ円満に善処されんことを希望いたしまして、私はこれを以て終ります。

西郷吉之助自由党

○委員長(西郷吉之助君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十五分散会

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