大蔵委員会 第8号
- 発言数
- 110 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/02/23
会議録
○委員長(大矢半次郎君) これより第八回の大蔵委員会を開会いたします。 日本銀行券預入令等を廃止する法律案、及び当せん金附証票法の一部を改正する法律案、いずれも本審査、右二案に関して提案理由の説明を聴取いたします。
○政府委員(植木庚子郎君) 只今議題となりました日本銀行券預入令等を廃止する法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。この法律案は、さきに終戦直後の経済の緊急事態に対処するため制定されました日本銀行券預入令を関係法令と共に廃止し、併せて所要の経過措置を規定いたそうとするものであります。 同令は、御承知のように昭和二十一年三月二日以前に流通していた旧日本銀行券の強制通用力を失わせると共に、これをすべて金融機関等に対する預貯金等とし、一定の制限のもとに新日本銀行券によつて引き出させることを目的といたしておつたのでありますが、企業及び金融機関の再建整備も一段落し、財産税の課税もほぼ完了した現在では、その目的をすでに達成いたしておるわけであります。ただ、終戦後の引揚者の大部分は、その帰国の際に携帯した旧日本銀行券を税関に寄託せしめられたまま現在までこれを新日本銀行券と引き換える機会が与えられていなかつたのであります。昨年九月以降旧日本銀行券の税関による保管を取り止めることとなつたのに伴いましてこれらの者に引換の機会を与えることが適当であると考えられますので、この際、日本銀行券預入令を廃止すると同時に、経過措置としてこれら引揚者及び今後の引揚者の携帯した旧日本銀行券の引換について所要の規定を設けることとした次第であります。この引換にあたりましては、国内におりました者との負担の権衡をも考慮いたしまして、その持帰り旧日本銀行券が五万円以下である場合には全額の引換を認めることとし、五万円を超える場合にはその超える金額の七割を交換することといたしました。これによりまして、現在までの引揚者について見まするに、その九九・九%以上が全額の引換を認められることと相成るわけであります。又この措置が周知されますと、今後の引揚に当つて国外において不当に旧日本銀行券を入手して帰国する場合が発生することも考慮いたしまして、引換の最高限を二十万円と定めることといたしました。 なお、引揚者の持ち帰つた旧日本銀行券以外にも、刑事事件について押収又は領置されていた旧日本銀行券等やむを得ず新日本銀行券との引換がなされていないものもありますので、これらも引揚者の場合に準じて引換の機会を与えることといたしたわけであります。 以上がこの法律案を提案いたしました理由でありますが、この法律案が一日も早く成立して新旧日本銀行券の交換が開始されることが、旧日本銀行券を携帯して帰国した引揚者全部のひとしく期待しているところと存ずる次第でございます。 次に当せん金附証票法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。 いわゆる宝くじは、当せん金附証票法に基きまして、政府、都道府県、五大市及び戦災都市にのみ、その発売が認められて来たのでありますが、この制度は、戦後における経済の実情に即応し、浮動購買力の吸収と政府及び地方公共団体の財政資金調達のための暫定措置として実施されたものであり、経済の正常化に伴い成るべく早い機会に廃止さるべきものであります。 政府といたしましては、右の趣旨により、最近の経済状勢に鑑みまして、昭和二十九年度から政府による宝くじの発売の制度を取りやめるため、当せん金附証票法の一部を改正しようとするものであります。この法律案におきましては、先ず第一に、当せん金附証票法から政府宝くじに関する規定を削除いたすこととしております。 第二に、地方公共団体が発売する宝くじに関しては、従来自治庁長官はこれを許可するに先き立ち大蔵大臣に協議しなければならないことになつていたのでありますが、今後、この協議を不要とするよう協議の規定を削除いたすこととしております。 なお、政府宝くじ廃止後においては、都道府県、五大市及び戦災都市のみが宝くじを発売することとなるのでありますが、これらにつきましても、地方財政その他の事情が許す限り、できるだけ早い機会に全廃することを目途として漸減の方針の下に運営すべきものと考えております。 以上この二法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたしました。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。
○小林政夫君 日本銀行券預入金等を廃止する法律案について、特に政務次官に提案理由で触れてもらいたかつたと思うのですが、お伺いしておきますが、先の在外公館借入金或いは今後出ようとしている在外財産処理方針等との関連を考えて、公平な配慮をされての提案であるかどうかという点についてお伺いしておきます。
○委員長(大矢半次郎君) ちよつと小林委員に申上げますが、ほかに新規に提案された予備審査の法律案もありますから、一応その提案理由を聞いてから、その内容の説明とか質疑に入りたいと思いますから、あとにして下さい。
○委員長(大矢半次郎君) 次に、昭和二十八年の風水害及び冷害による被害農家等に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、(予備審査)国民金融公庫法の一部を改正する法律案、(予備審査財政法第四十二条の特例に関する法律案、(予備審査)物品税法の一部を改正する法律案(予備審査)及び入場税法案、(予備審査)右五案を一括議題として提案理由の説明を聴取いたします。
○政府委員(植木庚子郎君) 只今議題となりました昭和二十八年度の風水害及び冷害による被害農家等に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案ほか四法律案につきまして提案の理由を申上げます。 先ず昭和二十八年の風水害及び冷害による被害農家等に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案につきましてその提案の理由を御説明申上げます。 食糧管理特別会計におきましては、昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律に基き、米麦を生産する農家で、その生産にかかる所有米麦につき、水害等による流失、埋没、腐敗等のため、著しい被害を被つた旨の都道府県知事の認定を受けた者等、又は昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律に基き、米麦等を生産する農家で、冷害等による著しい減収のため、その生産にかかる米麦等がその農家の飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けた者に対し、それぞれ、米麦を特別価格で売り渡したことによりまして、約九億二千二百五十一万円の損失が生ずることが見込まれるのであります。この損失を補填するため、一般会計から、昭和二十八年度におきまして三億二千五百九十万円余、昭和二十九年度におきまして五億九千六百六十万円余を限度として、この会計に繰入金をすることができることとしようとするものであります。 次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、御説明いたします。 国民金融公庫は、昭和二十四年六月に資本金十三億円をもつて発足して以来、数回に亙る増資と、資金運用部資金の導入によりまして、昭和二十八年十二月末までに累計約六百四十億円に達する貸付を行い、国民大衆の資金需要に応えて来たのでありますが、この資金需要は、昭和二十九年度においても相当の額に達することが予想されますので、昭和二十九年度において一般会計から公庫に対する出資を二十億円増額することによりその資本金を百九十五億円とするよう、公庫法の資本金の規定を改正することといたしたのであります。これにより、昭和二十九年度におきましては、右出資金の増加二十億円のほか、資金運用部からの借入金七十億円、既往貸付金の回収金等約二百五十億円を予定いたしますので、合計約三百四十億円の資金が確保されることと相成り、資金運用部への返済金二十一億円を差引いてなお約三百二十億円の貸出が可能となる次第であります。 次に、最近における中小企業金融の重要性に鑑がみまして、公庫の業務の適正な運営を図るために、国民金融審議会の委員に新たに中小企業庁を代表する者を加えることといたしたのであります。 次に財政法第四十二条の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。 この法律案は、昭和二十七年度一般会計予算に繰越明許費として計上されました安全保障諸費及び連合国財産補償費の経費については、昭和二十九年度まで繰り越して使用することができることにしようとするものであります。 安全保障諸費は、昭和二十七年度におきましては、駐留軍の都心より郊外への移動等が予想外に遅れた関係上、相当額が繰越明許費として本二十八年度に繰り越されたのでありますが、本来この経費は、その使用に当つては、対外交渉によつて処理する必要のあるものが大部分であり、政府の一存をもつて予算額を支出することが困難であるという関係もありますので、その一部につきましては、更に二十九年度において支出する必要が認められるのであります。 又、連合国財産補償費は、連合国財産補償法に基いて連合国又は連合国人が開戦時において本邦内に有していた財産について戦争の結果生じた損害を補償するための経費でありますが、その補償の請求が平和条約の発効の国ごとに発効後一年六カ月までに提出されることに法定されている関係もあり、又、その審査には技術的にも相当困難を伴うものである関係上、相当額が繰越明許費として本二十八年度に繰り越されたのでありますが、大半の請求書の提出が前記期限間際でありましたこと、及び右に述べました審査上の困難等を考慮に入れますと、その一部につきましては、更に二十九年度において支出する必要が認められる次第であります。 財政法によりますと、繰越明許により翌年度に繰り越された経費については、事故繰越として更にその翌年度へ繰越ができることになつておりますが、その事故繰越をするには、当該経費について当該年度中に支出負担行為が完了していなければならないという条件が必要でありますが、右の安全保障諸費及び連合国財産補償費につきましては、対外交渉又は審査上の困難等の事情のため、本年中に支出負担行為の完了という段階にまで立ち至らないものがあると認められますが、再経費は対外的特殊事情と関係する方面が広汎なために計画の確立に時日を要するものが多い等の事情に顧み、今回特に財政法上条件に該当しない場合においても二十九年度まで繰り越して使用することができることといたしたいと存じまして、この法律案を提出いたしました次第であります。 次に物品税法の一部を改正する法律案及び入場税法案について、提案の理由を説明いたします。 政府は、さきに所得税法の一部を改正する法律案外七法律案を提出いたしまして御審議を願つているのでありますが、今次の税制改正の一環をなすものといたしまして、ここに物品税法の一部を改正する法律案及び入場税法案を提出した次第であります。 以下順次この二法律案について、その大要を申上げます。第一に、物品税法の一部を改正する法律案について申上げます。物品税につきましては、先ず、奢侈的消費の抑制等の見地から、奢侈品、高級品乃至嗜好品に対して増徴を図ることを目途とし、輪距が百二十インチをこえるか又は気筒容績が四千立方センチをこえる高級大型乗用車、高級時計、高級電気冷蔵庫等に対する税率を引上げ、テレビジヨン受像機に対して新たに百分の三十の税率により物品税を課することとする等、税率の引上げ乃至新規課税を行うこととしているのであります。併し、一方、小型乗用自動車の普及を図ることによつて国際収支の改善に資する等のため、輪距が百吋以下で気筒容積が千五百立方糎以下のような小型乗用自動車については、その税率を若干引下げて負担の調整を行うと共に、テレビジヨン受像機につきましては、その育成の見地から、昭和三十年三月三十一日までの間は、十四吋以下のブラウン管を使用するものの税率は、特に百分の十五の軽減税率とすることとしているのであります。 次に、従来製造課税を行つていた高級毛皮製品につきましては、取引の時期に制約されることによる納税の不便等を除くために、これを小売課税に改めることとしているのであります。 次に入場税法案について申上げます。 入場税につきましては、現在地方税として都道府県においてこれを徴収しているのでありますが、その収入が少数府県に偏在していることに顧み、地方財源の偏在を是正する等のため、今回これを国において徴収することといたしました。而して、おおむね現行地方税法の建前を踏襲しつつ、課税範囲の合理化、税率の引下等を行うこととしているのであります。 先ず、入場税の課税範囲につきましては、現行の地方税法においては、映画館等への入場のほかに舞踏場、たまつき場等の施設の利用についても入場税を課することとしているのでありますが、これらの施設の利用につきましては、国税として課税することが必ずしも適当でないこと等を考慮し、これらに対する課税を地方団体の選択に委せておくことがむしろ実情に即するものと認められますので、入場税の課税範囲から除外することとしたのであります。 次に、入場税の税率は、映画館等については、現行地方税法におきましては、一律に入場料金の百分の五十となつているのでありますが、大衆的娯楽の負担の軽減を図るため、この際、入場料金を四十円から百五十円まで四段階に区分し、この区分に応じて、それぞれ最低百分の二十から最高百分の五十までの段階税率とし、展覧会場等についても、現行百分の二十を百分の十に引下げることとしているのであります。 なお、純音楽、純オペラ等の催物又はスポーツを催す場所につきましては、現行地方税法通り百分の二十の軽減税率を適用することとしているのでありますが、入場料金が著しく高いものについても一律に軽減税率を適用することは、権衡上必ずしも適当でないと認められますので、入場料金が七百円を越えるものについては、百分の四十の税率によることとしているのであります。 次に、免税点につきましては、現行地方税法にはその定めがないのでありますが、入場料金が二十円以下である場合には一般的に課税しないこととし、更に、小学校等の生徒、児童等が教育的目的を以て団体入場する場合には、入場料金が三十円以下であるときは課税しないこととして、低額料金を利用する大衆の負担の軽減等を図ることとしているのであります。又、教育関係団体、社会福祉関係団体等が社会事業等の目的を以て主催する催物等には、現行地方税法の通り、免税の取扱をすることとしております。 なお、入場税は、百九十二億円の収入を予定しているのでありますが、別途関係法案を提出して新ら新らしく設けることとなつておりまする交付税及び譲与税配付金特別会計においてこれを収納し、その百分の九十に相当する額をおおむね都道府県の人口を基準として配分することとして、地方財源の確保を図ることとしているのであります。 以上法律案につきまして提案の理由と内容の概略を申上げたのでありますが、何とぞ御審議の上、速かに賛成せられるよう切望する次第であります。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 只今小林委員から政務次官の提案理由の説明に関連して御発言の要求がございますから、これを許可いたします。
○小林政夫君 細かいことはあとで尋ねますが、大体提案理由に当然触れらるべきだと思つたのでお尋ねしておるわけですが、先に措置をした在外公館借入金の、返済に対する措置及び近く調査会等の答申を待つて処理されようとしておる在外財産処理等との権衡を考えて、日本銀行券預入令等を廃止する法律案の経過措置が考えられておるのかどうかということです。
○政府委員(植木庚子郎君) 今回のこの日本銀行券預入令等を廃止する法律案に関連いたしまして、在外公館借入金の支払などとの関係も十分考慮しておるかという御質問でございますが、両案はそれぞれその考え方の出発点においては異なつておるところがございますが、併し何と申しましても両者の間における釣合というものは常に頭に置いて立案しなければならない、こういう態度に出ておるのであります。従いまして、今度のこの法律案と、それからお話のような在外公館借入金に関しての措置の問題との間には、直接関係はなくつても、十分考慮には入れておる、かように御承知願つていいと思うのであります。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 次に国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題といたしまして、その内容の説明を聴取いたします。
○説明員(木村三男君) 国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件の内容につきまして御説明申上げます。御承知のように、国有財産法第十三条第二項と申しますのは、皇室用財産として或る種の財産を取得する場合、又は皇室用財産以外の国有財産を皇室用財産とする場合に、その価額が一定限度以上である場合には国会の議決を要するという意味の規定であります。今回提案いたしましたのは、奈良にありますところの正倉院に附属施設といたしまして保存修理室を新築したいという案件でございます。正倉院におきまするところの貴重な宝物は、現在、宝庫、仮宝庫等に収納されておるのでありますが、何しろ年代が非常にたつておりますので、これをあらゆる方法を以て元のままの姿で永久に保存したい、こういう考えを以ちまして、関係当局におきまして、會つては新宝庫の新築につきまして議決を求めておりますが、今回は保存修理室というものがないと工合が悪いということになりまして、この新築を今年度予算で実行したいという計画を立てたのであります。大体正倉院の宝物は繊維品、きれ地が多いのでありまして、それを昔から唐櫃に納めておつたのでありますが、それがだんだん古くなつて参りましたので、これを取出しまして、写真もとり、又学術的な見地から修理する。そうして宝庫のほうに納めるということが必要となつて参りましたので、それにふさわしい建物にいたしまして、建物並びに工作物を含めまして価額六百五十七万八千円で以て新築いたしたい、こういう案件でございます。 以上申上げましたことがこの案の概略であります。
○委員長(大矢半次郎君) 質問願います。 別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 別に御異議もないようでありますから、それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。 別に御発言もないようでありますから討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。 国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を原案通り異議ないものと議決することに賛成するかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り異議ないものと議決いたしました。 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、当委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することにして、あらかじめ御承認を願うことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。 それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名を願います。 多数意見者署名 小林 政夫 木内 四郎 三木與吉郎 菊川 孝夫 藤野 繁雄 野溝 勝 岡崎 真一 土田國太郎 平林太一 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 次に日本銀行券預入令等を廃止する法律案について内容の説明を聴取いたします。
○説明員(大月高君) 日本銀行券預入令等を廃止する法律案につきまして、本案の順序に従いまして御説明申上げたいと思います。 この法律の本文は二勅令及び一法律を廃止する法律でございます。 一つは日本銀行券預入令でございまして、御承知のように、金融緊急措置令を実施いたしました当時、昭和二十一年三月二日前に流通しておりました旧日本銀行券の強制通用力を失わせるという措置をいたしますと同時に、これをすべて金融機関に対する預貯金というものにすることにいたしました。そして、その引出しにつきましては、一定の制限の下に、新日本銀行券によつて引出させる、こういうことを目的といたしておつた勅令であります。 日本銀行券預入令の特例の件と申しますのは、この旧日本銀行券と新日本銀行券を交換いたしますにつきまして、旧日本銀行券に証紙を添付いたしまして、暫定的に新日本銀行券と同様の流通力を認めておつた勅令であります。 第三の旧日本銀行券の未回収発行残高に相当する金額の一部を国庫に納付するに伴う日本銀行への交付金に関する法律と申しますのは、お手許にお配りしてございますように、旧円を次第に回収して参りますと、事実上、日本銀行としては引換を要しない旧日本銀行券ができるわけでございましてその分は日本銀行の形式上の利益になるわけであります。その利益は本来日本銀行の利益となるべき性質のものでございませんので、真実に利益となりました分は、これを国庫に納付せしむる、そして暫定的には七億円の金額を現在国庫に納付いたさしておるわけでありますが、最終的に旧日本銀行券の整理が完了いたしましたときに、仮にその利益が七億円を割つておつたということになりますと、国庫への納付金が多過ぎた、こういうことになりますので、その多過ぎた分はこれを又日本銀行に交付する、こういう調整のための法律でございまして、日本銀行券預入令の実施に伴うあと始末に関する法律になつておるわけであります。 今回はこの三つの法律を廃止するという法律案を提出いたしたわけでありますが、これに関連いたしまして、現在旧日本銀行券がまだ二十八億ばかり未処理になつておるわけでございまして、この銀行券をどうするかという問題に関連いたしまして、特に引揚者の持つて帰りました旧日本銀行券の問題がございますので、この処理を経過的に規定した、その他、刑事事件によりまして領置いたしております旧日本銀行券の処理も合せて考えたい、こういう大綱のものでございます。現在旧日本銀行券がどういうような状況になつておるかと申しますことは、本日お配り申上げました旧銀行券処理状況という表を御覧願いたいと思います。この表によりますと、昭和二十一年三月末当時切替を実行いたしましたときの銀行券の発行高は二百三十三億余りあつたわけでございます。その後四月一日で旧券として引落した額が、つまり逆に申しますとまだ返つて来なかつた残りの旧日本銀行券は四十五億あつたわけでございます。その四十五億がどういうようにその後推移いたして参つたかと申しますと、3でございますが、以後の引換額が十六億、これは引揚者の持帰り金の交換、刑事事件押収分の交換、それから特別な事情による交換、それらを合せまして現在四十五億のうちで十六億は交換済でございます。そういたしますと、残りが二十八億余りになるわけでございまして、これが4の現在の未引換額でございます。この中にはまだどういう原因で引換になつておらないかということの判然といたしておらない分もございますが、推定も加えまして、ここに分類いたしたわけであります。大分類といたしましては、一つは国内関係、一つは国外関係、一つはその他の差引行方不明分と、こういうように三つに分類をしておるのであります。 国内関係といたしましては、検察庁に現在保管されておるものが五十七万でございます。税関が引揚保管したものが二千四百四十九万幾ら、これが今回主として御審議の対象になります引換の対象たる旧日本銀行券であります。それからその他例えば連合軍が内南洋等において接収いたしましたそれを日本銀行に預けておる。それから例えば預入令の結果に基いて新旧銀行券の交換がございましたあと、いろいろな事情で、こういう旧日本銀行券は交換してもらえまいかというようなことで、日本銀行へ相談に見える。法令上これは交換ができませんからというようなことで、ただお持ちになつておつても、又流通しても困りますから、こちらでお預りいたしますというようなことで、日本銀行でお預りしたもの。こういうものが四百四十九万、或いは百二十一万、その程度あるわけでございます。そういうものを、はつきりいたしておりますものを合せまして三千万余あるわけでございます。 国外関係におきましてはすでに現物を処分済のものが十五億見当でございます。それから終戦時に政府勘定として在外代理店に寄託されていたものが八千四百万ほどございまして、その合計が十六億幾らになつております。 それから第三か行方不明の分でございまして、十二億ばかりあるわけでございますが、いろいろ聞込んだ不確実情報による分類を大体やつてみますと、沖繩で回収の上焼かれたと伝えられておるものが二億、南樺太でソ連に接収されたと伝えられるものが八千万、二十七年の七月三十一日連合軍が焼いたものが二百万、こういうような内訳になつておるわけであります。(注)にあります数字は、この二十八億のうち七億は確実に利益になるであろうというので、内入れといたしまして国庫に納付済の金額でございます。 こういうような日本銀行券の状況になつておるわけでございますが、この附則の第一項でございます、「この法律は、公布の日から起算して六月以内で政令で定める日から施行する」、これは現在税関から旧円は返しておるのでありますが、相当に引揚者のうちで遠隔の地におりまして、なかなか趣旨が徹底しないであろうから、これに趣旨を徹底せしめるという意味、それから交換をいたします金融機関に取扱の要領を周知徹底せしめる時間、そういうような準備期間を見ておるわけでございますが、できるだけ早い機会に準備の整い次第これを実行いたしたい、こういうのであります。 第二項はどういう旧券を引換えるか、それからいつまでに引換えるかということを書いたわけであります。この旧日本銀行券は外国その他政令で定める地域からの引揚者の持つて帰つた旧日本銀行券、これを引換の対象にいたしたい。例えば琉球諸島とか、大東諸島、それから歯舞群島、そういうようなものがこの政令の規定事項として規定されておるわけでありますが、そういうところから内地に帰つて来た人の、引揚に際して持つて参りました旧日本銀行券についてこれを適用する趣旨であります。その一号は旧外国為替管理法、旧金、銀又は白金等の地金又は合金の輸入の制限又は禁止等に関する件、その他法令が並んでおりますが、これは精神を同じくいたしまして、逐次法令の形式が変つて参りましたのを列挙いたしたものでありまして、結局これらの法令に基きまして携帯輸入が認められない、そのために税関で預つておつた旧日本銀行券であります。これは返還を受けてから三月以内にこの交換の措置をやる。ただ法律の施行前にすでに逐次返しておりますので、そういうような人についてはこの法律の施行の日から三月以内に交換をしよう、こういうことであります。それから二十八年の九月一日以後帰つて来る人については、税関の保管ということをやつておりませんので、それらの人人につきましては法律の施行の日から三月以内にこの交換を実行する。それから三号はその後更に遅れて帰つて来る人につきましては到着の日から一カ月以内に引換える こういうことであります。この三号の点につきましては一月は非常に短かいじやないかという御疑問もあるかと思いますが、現実にこの法律の施行後におきましては、税関を通過いたしますときに、現実にそこで交換をして渡すということにいたしたいと存じますので、具体的な支障は起きないものと考えております。 第三項はそれでは新日本銀行券を引替えるにいたしまして、引揚者一人につきどのくらい渡すかという問題でありますが、これは最も実体的な規定だと存じます。ここに書いてございますのは金額が五万円以下の場合には、その全額を交換する。五万円を超えております場合には、超えた金額の七〇%を交換する、しかしその最高の金額は二十万円とする、こういうことであります。 現在この二千四百万の旧日本銀行券がどういうような状況であるかということは表がございますので御覧願いたいと存じます。税関が引揚保管等をした旧日本銀行券調という表でございます。これによりますと、全体の金額が、右から二段目でございますが、二千四百四十三万円幾ら、これが先ほど申上げました二千四百万という数字でございます。その件数が一万九千四百八十八件あるわけでございます。そのうちで五万円以下の分は二千三百六十七万八千二百幾らということでございますので、金額において殆んど九九%に近い、それから件数から申しましても、五万円を超えておりまするようなものは僅か九件でございますので、これも大部分が五万円以下になる、こういう数字でございます。そうして最高金額は十七万五千七百十円、これが今まで判明いたしております。 最高の金額でありますが、将来引揚者が持つて参ります旧券につきましては、こういう措置が明らかになりますれば、買集め等の手段によつて不正に持ち込む者も想像されますので、最高金額はこの際二十万に抑えておきたいと、ただ今回の措置については、できるだけ払つて上げたい、こういう数字でございます。その他その数字をきめますにつきましては、金融緊急措置令で第一封鎖にいたしました金額、これが一人につき一万五千円、一家族当り三万二千円という数字がございましたので、これを参考にいたしております。それからこの七〇%という数字をきめましたにつきましては、その当時の郵便貯金の第二封鎖の切捨率は一律に三〇%、つまり交換率は七〇%こういうことでありましたので、これも勘案いたしたわけであります。なお、市中銀行の当時の第二封鎖の切捨率は、切捨てたほうが六九%、生きたほうが一三%というのと比べまして相当有利になつておりますが、これはその後の再建整備の進行によりまして、まだ返つて来ているものもございますので、それらの点も勘案したわけでございます。 それから当時でございますと財産税がかかつたわけでございまして、その財産税が大体五〇%程度かかるというふうなことも併せて勘案しました。そういうような要素を彼此考えまして、この金額にいたしたわけでございます。 先ほど小林委員のお尋ねのありました在外公館借入金の関係も勿論頭に入れて考えたわけでございます。この措置はむしろ今まで交換の機会の与えられておらなかつた旧日本銀行券を新券に換えるというのが本筋の考え方でございまして、在外公館借入金は本来国家の債務でないと言われているものを新らたに国が国家の債務として認めまして払うという、こういう財政負担が伴う、こういうような問題がございますので、性質としては別の観点から考えているわけでございます。その関連ずけといたしましては在外財産調査会の答申が昨日あつたわけでございますが、この日本銀行券の関係は、そこに諮問いたしまして、全部の在外財産のこの処理の関係から見まして、適当であるという御支持を得ている数字でございます。 それから第四項は手続でございまして、こういう引揚者であるということを立証してもらはなくちやいけない。 それから第五項は日本銀行が請求があれば新券を交付する、こういうことであります。 第六項は今の引揚の関係と別にいたしまして、刑事事件について差し押えられ、又は領置されていた旧日本銀行券の件でありまして、引揚者に準じて措置いたしたい。それからあとは手続でございます。 それから今の国庫納付金の調整の関係、これは今まで日本銀行券預入令にございましたのを法律に移したわけでございます。 あと特に御説明申上げる点はございません。これらの実施いたしますについての必要な事項を政令で定めるようにいたしているわけでございます。 それからなお、もう一枚お配りいたしてございます表に関しまして、こういう原則を適用いたした結果、どのくらい持つて帰つた人が、どのくらいもらえるかという交換の割合があるわけでございますが、これで見ますと、結局二十万円持つて帰えりますと十五万五千円、それから二十六万四千二百八十五円、これで二十万をもらえる場合が最高になる、こういう慣例を示しているのでございます。
○委員長(大矢半次郎君) 質疑に入ります。
○菊川孝夫君 そういたしますと、これでこの六カ月以内から施行するのでありますが、これを施行しますと、どのくらいな期間内にこれを処置してしまう見込みですか。
○説明員(大月高君) この実施の方法といたしましては、人名もわかつており、住所もわかつておりますので通知をいたしまして、こういうことになつておるから、取りに行つて欲しいと、こういうことをやれば、少くとも該当者の相当の部分はすぐに解決するのじやなかろうか、こういうふうに考えております。
○菊川孝夫君 そのほかに、例えば今の不確定の何がございますな。ここに不確実情報によるものというような、それが、この不確実な情報ですから、その辺からも南樺太に接収されたものというようなものが今後又帰つて来るというような場合も想像されますね。そうしますと、やはりこの法律は当分生かして行くつもりですか、どうですか。
○説明員(大月高君) ここにございます法律自体では解決できない問題もございますが、これは対外関係等もございまして、どうなるかということ、それからどういう方法でいつ確認されるかというようなことも、実ははつきりいたしておりません。そういう事情が判明いたし次第、それぞれについて処理をして行く、こういうことになるかと思います。
○菊川孝夫君 いや、日本銀行券預入令等を廃止する法律案ですね、法律になりますね。この法律になつたのが、当分この法律が生きて行つて、どのくらいな期間中には、これは処理してしまう見込みか。
○政府委員(河野通一君) 今総務課長からお答え申上げた通りでありますが、この問題は今後ここに書いてありますような地域から引揚げて来る人はまだ将来ある、これらの方々がいつ頃まで引揚げて参られるか、これらの方方に対しても、やはりその方々が正当に旧日本銀行券を持つておられて、そうしてそれを引換えるチヤンスがなかつたという方々でありますならば、やはりこの法律でそういう方々に対しても、まあ救済と申しますか、引換えの措置を講じてあげるべきであろう。従いまして今後引揚者が、これらの方々が全部一人も残らず引揚げられるまで待つということは、これは永久に待たなければならんということになるかも知れませんが、少くとも相当部分の方方がまだ向うに残つておられる。而もこれらの方々の今後引揚げて来られる数というものが相当あると私どもは考えております。これらの方々に対してもやはりこのチヤンスを与えるという意味におきまして、この法律を今何カ月経つたらばやめる、何年経つたらばやめるということは、この際としてはまだ予測がつかないということを御了承頂きたいと思います。
○菊川孝夫君 もう一つお尋ねしておきたいのは、この日本銀行券預入令や一、二、三と掲げてある法律、勅令によつて引換えをした当時と今とを比べますと、相当貨幣価値、紙幣の、日本銀行券の値打が違つておるわけですね。それをその当時の率を考えて七〇%で、まあ五万円以下は別ですけれども、七〇%に切るということになると、ちよつとその辺不公平になるのじやないですか、一兆なんていうような予算を組んだのは、まあここ一、二年ですが、そういうときに引換えてもらう日本銀行券と、二百億か三百億ぐらいの国の財政規模であつたときに引換えておつたのでは、えらい違いがあると思うのですが、その点考慮されているのですか。
○政府委員(河野通一君) これは御尤もな実は御質問である点もあると思います。私どもは通貨或いは通貨に準ずるようなものについて、それが他の原因によつて支払がとめられ、或いは支払うことが事実上不可能であつたという事態をもとにいたしまして考えた場合に、その間において通貨が何年か後に支払われることになつた、或いは通貨に準ずるものが受取られるようになつた場合について、その間貨幣価値の変動ということをいちいち計算をして支払をいたして行くということは、今までやつて参りました原則にも反しますし、そういうことは、この通貨なり、通貨に準ずるものの金銭債務なり或いは金銭証書というものの性質から言つて、私どもは適当でないのではないか、かように考えておるのであります。たとえて申上げますならば、国内におきましても、先ほど総務課長から御説明申上げましたように、昭和二十一年に金融緊急措置令を実施した。その後に金融機関の再建整備ということを行なつております。そのためにいわゆる第二封鎖預金というものが打切られております。これが数年経つたのちにおいて、現地一部は中間的に分配を受けておる。或いは今後も調整勘定というもので利益金がどんどん殖えて参りますと支払いということが行われると思いますが、この場合においても、これはその間に貨幣価値というものは相当動いておりますけれども、一々金銭証書というものに対して、貨幣価値の変動を考慮して支払いをするということは、金銭証書の性質から言つて非常に困難である。例えばこれが金約款でもついておるような債権債務でありますれば、これは又別でありましようけれども、一般の観念から言うと、やはりそれはその貨幣自体を示しておる名目で以て支払われることが、金銭証書というものの本質であろう、かように私どもは考えておるのであります。その原則は今提案申上げておる法につきましても、やはり同じように適用して行くべきものじやないか、かように考えておる次第であります。
○菊川孝夫君 もう一つお尋ねしたいのは、五万円以下は一〇〇%、それからずつと上ると、これは切られて行くわけですな。五万円で打切つている理由はどこですか。五万円を超えるものは切つて行くのだという……。
○説明員(大月高君) 先ほど御説明申上げましたように、これは大体国内の旧円新円の交換の措置、あのときにいろいろな数字を以て処置いたしたわけでございまして、丁度その数字というわけではございませんが、そこらの数字をいろいろ勘案いたしまして、この辺が適当であろうか、こう考えたわけであります。具体的には金融緊急措置令の第一封鎖にしてすぐ活かした金額が一人につきましては一万五千円、一家族については三万二千円、その三万二千円という数字が一つあるわけであります。それから郵便貯金の第二封鎖は法律を以て一律に三〇%切つたという、これも過去の事実がございます。要するに七〇%生かす、そういうことになるわけであります。それから財産税をとりましたときに、平均大体五〇%程度の財産税をとられておるわけであります。五〇%と三〇%という数字は勿論合いませんけれども、これも一つの参考の数字になつております。それから第二封鎖を市中銀行関係について統計をとつてみますと、最初に打切りました数字が六九%という数字になつております。切つたほうが六十九であります。それはその後再建整備を実施して、逐次払い戻しておる金融機関もあります。それ以上は払えておらないのもあります。いろいろありますが、そういたしますと、少くともこの最低三〇%程度ということが最低限として考えられる、そういうような要素を考えまして、こういう数字を出した次第であります。
○菊川孝夫君 なぜこういうことを申上げたかと言うと、今まで帰つて来て、税関で保管してあるというようなのは一応別といたしましても、これから帰つて来るようなときに、引揚が開始された当時の十万円と今の十万円とでは大分値打が違うと思う。あの当時は十万円も持つておると、ちと多過ぎるというようなことも考えられたが、今は大分情勢が違つて来ておるのです。千円札が出て来たり、あの頃は千円札はなかつたからね。そういうときになつてこれは百万円も二百万円もというのなら別ですが。僅か五万円をちよつと超えただけで切られるというのは、今の時代にちよつと適合しないのじやないかと思うのですが、あなたはいろいろの資料から、五万円が一〇〇%、それ以上は少しずつ切つて行くのだという、こういうほうがよいとおつしやるが、ちよつと私らが考えたときに、今銀行局長が言われるように、これからいつまで続くかわからん、この法律を改正すれば別ですが、法律を改正しなければ、このままずつと行くことになるわけです。二年先でも三年先でも、僅か五万円や十万円のものは切らなくてもよいというような場合、あなたのほうで五万円にきめたのは別にえらい根拠があるわけではない。俺らの又五万円を十万円ぐらいまでにしてもよいというのも一つの勘だと思う。物の見方の違いだと思いますけれども、この点もう少し考慮する余地があると思うのですが、その点についてはどう考えますか。
○説明員(大月高君) この五万円という数字は少くとも全額を返すという建前はおかしいだろうというのが一つの考え方でございます。これはいろいろな措置におきまして、何らかの制限措置をとつておりまして、全額返すということはやつておりません。公平の観点から行きますと、何らかの制限措置は要るという前提を考えたわけでございます。併し現実にこいう数字がございますところから見ますと、できるだけ引揚者に対しては好意を以て考えたらよいのじやないかというような在外財産調査会の御意向もありますので、建前は建前といたしまして、大部分返ればよいという意味もございます。その表から申しましても、現実には全体の一万九千四百八十八件のうちで、僅か九件が五万円を超えておるだけで、九九%以上の件数が五万円以下のものであります。金額については二千四百四十三万円のうち、二千三百六十七万円が五万円以下ですから、これは九九%以下という数字になります。併し将来のことを考えますと、無制限に返るということにいたしますれば、何かの関係で又返つて来るというような人もありますので、最高も切る、両方の釣合を考えまして、この程度でよかろう。それから五万円、先ほど申上げたような数字もございまするので、そこらを睨み合せて両面から搾つて行つた数字でございます。
○菊川孝夫君 もう一つ不確実情報によるものというのですかね。沖繩において回収の上焼棄されたと伝えられるもの、南樺太においてソ連に接収されたものというのは、これだけ大体見込んでおられますが、これは相当活き返つて来るというような見通しはないのですか。沖繩、南樺太……。
○説明員(大月高君) これは沖繩で焼かれたと言われておりますから、これは返つて来る可能性は非常に少い。樺太の分は接収されたものであります、或いは将来何らかの機会に請求を受ける可能性もあるかと思いますが、これらの点はいろいろな噂だけでございまして、どういう恰好になつておるか本当のところわかりません。今は単なる推測で、返つて来るかと思うかどうかと言われましても、責任を以てお答え申すことは実は不可能でございます。
○菊川孝夫君 南樺太のもの、この分については銀行が持つておつたようなものも全部ソ連に一応接収されてしまつた、こういう情報があなたのほうに入つておりますか。
○説明員(大月高君) これは樺太にございました日本銀行と、それから北拓の金庫の中にあつたものでございまして、それを取られたということは当時帰つて参りました日本銀行の人が言つておる、こういうものでございますので、紛失はしていない、どつかにあるという可能性は相当あるのでございます。
○小林政夫君 先ほど在外公館借入金の関係とは別に性質が違うから、そう数字を公平に考える必要はないという意味にとれる総務課長の発言がございましたが、併しそれは日本銀行券とそれから在外公館借入金はこれは勿論性質は違うと思いますが、併し向うであの在外公館借入金を返済しなければならんということを認めたのは、当然日本へ帰る場合においては、それだけのものに替えて帰れるものがあるというふうないきさつもあるので、ああいう措置をとつたわけで、やはり或る程度の均衡ということを考えなければならんのじやないかと思うのですが、その借入金返還の場合においては五万円を限度とする。而も端的にこれに見合うのは、朝鮮地区において日本銀行券は日本円一円に対して朝鮮における日本銀行券は一円五十銭、そうして更に替える場合には一三〇%で替えておる。そういうことから考えると、今度はこれでいいのだという理由はどういうふうに理由付けられるのか。
○説明員(大月高君) この日本銀行券の問題は、本来日本銀行券といたしまして強制通用力は法令的に失われたわけでありますが、なお特別の条件がある場合には強制通用力の回復……強制通用力を回復するという意味ではなしに、新円と交換し得る潜在的な力でございますか、そういう効力を認めて来たわけでございます。それで今度の措置につきましても、これは旧日本銀行券と日本銀行券との交換だという考えが根本になるはずだと思います。それで在外公館借入金の場合には、現地におきまして大使館、公使館その他にみんな金を貸したという恰好になつているわけでございますが、これは法律的に政府の債務であるかどうかという点については、直接政府の債務ではない。併しああいうような事情において政府として何らかの措置をすることが妥当であろう、そういう意味において政府が責任をとりまして、国庫の支出によりまして、五万円という数字をきめたわけでございます。そういう意味におきまして、建前といたしまして、勿論引揚者に関連しておるという意味においては関連がございますけれども、この交換の事情といたしましては、やはり別の角度から考えなくてはいけない。例えば均衡の問題から申上げますれば、外地にあります預金の支払、それからこちらへ送つて参りました送金為替をどうするかというような問題、それから具体的には向うにございます物的な動産、不動産というふうな問題の処理、それぞれ本当に公平という点から一律に考えますれば、率を同じくするとかというふうなことで保証すべきかと思いますが、それぞれ財産形態も異なり性格も異なつておるということになれば、一応均衡という点は考えるといたしましても、それぞれの請求権なり財産の性格なり、それに応じて措置するより仕方がないであろう、こういうことで在外財産調査会においても、こういう考え方でいいのじやなかろうか、それも在外公館借入金に充てたという問題も十分頭において是認して頂いた、こういうふうな次第でございます。
○小林政夫君 私は引揚者に対してできるだけ寛大なというか、優遇措置を講じてもらいたい気持には変りはないのですが、と同時に只今提案されているほうは明らかに財源がある、財源があるから少し寛大になる、前のほうは新らしく国の支出を伴うから辛かつた、こういうことでは困るので、財源のあるなしにかかわらず、引揚者に対して成るほど公平な措置だということが呑み込めなければ、非常に将来問題を残すのじやないかということを心配するのであります。だからまあ強いてこれ以上どうこう言うわけじやありませんが、直接この衝に当られる政府当局においては、十分説明のできるように考えてもらわないと、これはかなり国民感情の問題にもなるので慎重にお願いしたいと思います。
○岡崎真一君 この問題に多少関連があるかないか……或いはこれは愚問かも知れないのですが、少し今議論されたことと話は違いますが、実はブラジルに大分旧円があるのですね。こういうようなものを仮に持つて帰つて来た場合には、強制引揚者と事情が違うのですが、こういつたような問題は……そういうものは恐らく殆ど焼き捨ててしまつていると思いますが、自分たちが瞞されたのですから……。こういう問題が起つたときに、これはどういうふうな措置をとられるのでしようか。恐らくそんなものはないと思いますが、若しかしたら、そういう問題があるかも知れませんから、それについて御見解をお伺いしたい。
○説明員(大月高君) ブラジルから旧日本銀行券を持つて帰つた人がある場合どうするかという問題は、この法案を考えますときに頭において考えたわけでございますが、この建前といたしましては引揚者ということに限定をいたしたいと、それは例えば中国に抑留されておりまして、本人が帰りたくても帰れなかつた、それから今度は帰るにいたしましても強制送還ということになりまして、時間、場所をきめられて、こちらに送り届けられるという関係になつているわけであります。ブラジルの関係は終戦後交通も自由になつておりましたし、持つて帰ろうと思えば持つて帰れるという関係もあります。それから現に伝えられるところによりますると、これは不確実でありますけれども、香港あたりでこういう旧円を買集めて持つて来られたとか、或いは来ようとしているとか、そういう噂もございますので、そういうかたについて特にこの措置を適用する必要はないという考えで立案いたしたわけであります。
○委員長(大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。 暫時休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 —————・————— 午後二時十三分開会
○委員長(大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開きます。日本銀行券預入令等を廃止する法律案を議題といたしまして質疑を行います。別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。 別に御発言もないようでありますが討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。日本銀行券預入令等を廃止する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 なお諸般の手続きは前例により委員長に御一任願いたいと存じます。それからなお多数意見者の御署名を願います。 多数意見者署名 小林 政夫 木内 四郎 土田國太郎 菊川 孝夫 藤野 繁雄 三木與吉郎 岡崎 真一 安井 謙 松永 義雄 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) この際先ほど開きました理事会の打合せの結果を御報告いたします。類似金融機関の問題の取扱いにつきましてはできるだけ早い機会に来たる木曜日又は金曜日に犬養、小笠原両大臣及び緒方副総理の出席を求めて質疑をする。但し三人一緒に出席を求めることが困難な場合は先ず、犬養大臣の出席を求める。質疑は自由ではあるが主として類似金融に対する行政的責任について行うこと、以上であります。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 次に類似保険を議題といたしまして銀行局長より最近の情勢報告を聴取いたします。
○政府委員(河野通一君) いわゆる類似保険と言われておりますのは、実際いろいろな形態があるのでありますが、大きく分けて二つにこれは分けられるかと思います。 一つは、いわゆる組合保険と申しますか、組合共済と申しますか、そういつた範疇に属するもの。それからもう一つは、狭義の類似保険、類似保険の中で組合共済、或いは組合保険と言われるものを除いたものが第二のカテゴリイに入るわけでございます。 組合保険という中には、又これはいろいろあるのでありますが、この中に三つの形態があるのであります。その一つは、農業協同組合法による農業共済の関係の、これは保険といいますか、共済といいますか、いろいろ言い方はあると思いますが、組合保険のカテゴリイ。それからもう一つは第二は、生活協同組合、都市にあります生活協同組合、この生活協同組合法に基く組合が一種の保険団体を構成して保険的な行為を行なつておる、これが第二の組合保険であります。それから第三は、中小企業等協同組合法に基く事業協同組合、これがやはり今申上げましたような保険類似の行を行為を行なつておる。このいわゆる組合保険なり、組合共済と言われておりますものには、この三つの形態があるのであります。 更にこれを別の観点から分けてみますると、一種の生命保険的な共済事業をやつておりますものと、火災を中心としたいわゆる損害保険的な行為をいたしておりますものと二つに分けられると思います。 現在はこの生命保険的な保険行為を行なつておりますものは農業協同組合系統の組合によつて行なわれておるのでありまして、その他のカテゴリイ、例えば生活協同組合とか、或いは中小企業等協同組合等におきましては、これは生命保険的な行為を行なつておりません。火災保険を中心とする損害保険だけを行なつておるのであります。 これが先ほど申上げました第一のカテゴリイ、つまり組合保険、組合共済と言われておるものの現状であります。 この数を、若干まだ正確な、実は資料を持つておりませんが、どの程度のものがあるかという点について申上げてみたいと思います。 第一は、先ほど申上げました農業協同組合系統の組合保険でありますが、これは単位農協、つまり単協と言われております農協が行なつておりますものが約千余りの組合でございます。これははつきりした数字は、実は私どももまだ調査不十分でありまして、できておりませんが、大体千余りの組合があるのであります。それから府県単位の農協系統の保険団体は生命共済、つまり先ほど申上げました生命保険に類似する保険行為でありますが、このほうを営んでおりますのが二十六府県の組合であります。 それから火災共済、つまり損害保険的な保険行為を行なつておりますものが三十六府県の組合であります。これは形は連合会という形になつておるのであります。それからこのほうの保険契約高、つまり保険金に相当する、まあ共済額と申しますか、保険金額、保険契約高でありますが、これも詳しい数字は私ども持つておりませんが、大体火災が百四十六億、契約高、共済額であります。それから生命が四十七億程度の契約高ではないかというふうに見ております。 それから第二は消費生活協同組合でありますが、これは全国的な職域同業団体によつてできておりますもの、例えば郵便局でありますとか、或いはたばこ販売者等が全国的にこの組合を作つておりますものでありますが、これが六つあります。それから地域的にできておりますものが十一あるのであります。これらの保険契約高、共済と申しますか、共済契約高につきましては、はつきりした数字が実はよくわかりませんが、全国的なもの、今六つありますが、それが契約高が大体六十億から十数億ぐらいの間にあるようであります。これは酒のほうも御承知のようにできておりますが、酒の組合が一番保険契約高等は少いようであります。 それからその次は……。
○小林政夫君 今の十数億というのは、六十億プラス十数億ですか。六十億から十数億を引くのですか。
○政府委員(河野通一君) 一番大きいのが六十億、それから小さいのが十数億。
○小林政夫君 一つですか。
○政府委員(河野通一君) ええ、一つです。 それから中小企業等事業協同組合法によつてできておりますものが、全国で約六十七ございます。これらにつきましては、その契約高はどの程度に上つておりますか、まだできましてから非常に新しいものが多い関係もございまして、十分な報告が集つておりません。はつきりしたことは申しかねますが、只今申上げました農協とか、消費生活協同組合等に比べれば、もつと小さい規模のものであろうということが想像できる次第であります。 それからその次に申上げたいのは狭義の意味の類似保険であります。この類似保険の中には、又これを三つのカテゴリーに分けられると思うのでありますが、この類似保険と言われておりますものは、いずれも特別の法律上の根拠のない任意団体として行われておるものであります。先ほど申上げました組合保険は、その法律の適否は別といたしまして、とにかく法律的な根拠が一応あるというものでありますが、この第二のカテゴリーの類似保険は、そういう法律の根拠が実はないものであります。これを分けてみますと、同業者の団体が親睦的な事業として行なつておるものでありまして、極く限られた範囲に極限されておるような仕組のものであります。これが第一のものであります。これはいろいろな同業者の団体があるようであります。そういつたふうなものがあります。 それから第二は、北海道方面に多く見られるところでありますが、問屋が自己の取引先を勧誘いたしまして共済会というものを組織して、そうして月掛け又は年掛けによりまして積立を行なつて行く。その積立金の運用は主としてその間屋が自己の営業の運転資金として使つておる。事故が起ればその積立金から、その共済金を支払う、こういつたような仕組みのものが第二のカテゴリーに入ると思うのであります。それから第三のカテゴリーに入りましたのは、戦後民営保険会社の禁止物件でありましたいわゆるマーケツト物件と申しますか、これらの危険性の非常に多いもので、民営保険会社が取扱の対象といたしませんようなものでありましたが、これらを主なる対象とする団体でありまして、その行う事業は極めて保険会社の事業に酷似をいたしております。非常に似通つておるものであります。多分に企業としての色彩を強く持つているように認められるものであります。狭義の類似保険のカテゴリーに入りますものとしては、大別しては今の三つのような形態があるようであります。 これらのものにつきましては、大体契約高はどの程度あるのか、保険料に、収入に当るべき、そういう積立金等の収入がどの程度になつているか。これは全然私ども、実はいろいろの観点から調査をさしてみましたけれども、的確に未だ把握できないような状態であります。 以上、大まかに分けて、いわゆる類似保険と言われておりますものは以上のような形態のものであります。然らば法律上、こういつた保険類似の行為、これは現在行政的に、或いは法律的にどういう考え方に立つて問題を考えて行つていいのかという点であります。これも今申上げましたような、第一と第二の二つのカテゴリーに分けてお話申上げたほうがいいと思いますが、第一のカテゴリーのいわゆる組合保険、これは先ほど申上げましたように、その法律の条文の適否は別として、一応法律根拠があるのであります。併しながら、現在のこの保険なり共済事業の実状から考えますならば、今後において保険契約者に迷惑をかけることのないようにいたして行きますためには、更にこれらの事業に対する監督規定を整理する、それによつて責任準備金の積立、或いは保険料の計算、或いは収入された保険料等の収入金の運用、そういう方面における監督なり規制なりを相当厳重に行なつて参らなければならん、かように考えるのであります。この観点からいたしますならば、現在の法制は必ずしも十分とは私どもは考えておりません。これらのうち中小企業等協同組合の形で行われておりまする共済事業につきましては、前国会或いは前々会でありますか、衆議院のほうから議員提出の形で、これらの組合保険を法制化するための法案が提出されておつたのであります。これは衆議院において審議未了のまま現在継続審査にたしかなつているかと思う次第であります。この法案に対しましては、私どもといたしましては、こういつた共済事業は実質上保険事業である、従つてこれらに対して保険事業に対する監督権を整理するというような必要性は十分認めなければならん。かように考えておるのであります。併しながら今提案されておりまするこの保険事業に関する法案は、私どもの立場からいたしますならば、必ずしも全面的に賛成いたしがたい点が大きな点で三つ四つあるわけであります。これらの点につきまして修正がせられるならば、非常に立派な法律に私はなると考えておるのであります。現在のところ政府といたしましては、この法案がそういつた形で議員の方々の提案者のほうで修正されるか、或いは政府として独自の立場から同様の内容を持つ法案を御提出するか、いずれかの方途をこの国会中に講じたいということで、現在よりよりこれらの問題について御相談を申上げておるという段階であります。先ずその第一歩から進めて参りたい。これが何らかそういう形で法制化できますならば続いて農業協同組合の系統の保険類似の事業についても、又生活協同組合に関する類似保険の事業についても同じようにその法制を整理して、保険契約者の利益の保護のために十分監督して、既成の条文を整えるということが第二に続いて行われるべきだと私どもは考えておる次第でございます。 それから第二の類似保険に当りますものは、これはすべてが保険事業として保険業法違反と断じ得るかどうかの問題は、個々について判断いたさなければならん。私どもは保険というものは、やはり保険事業としてこれを十分に監督をして参らなければならんという前提には、相手方が、つまり保険契約者なり或いは被保険者なりというものが、多数に上るということが条件であると思うのであります。極く内輪の、少数の特定された方々を相手とする共済事業であるならば、これは私は特に保険事業として厳格なる監督規定の対象といたす必要はないと考えておるのであります。従いまして類似保険のカテゴリーの中に申上げた三つの形態は、個々の実態について判断して行く必要がある。それらがやはり不特定多数のものを相手にして行われており、且つ保険契約者、或いは被保険者の利益の擁護のために十分なる監督規定を整備する必要があるような対象があるかないか。そういつた観点からこれを保険事業として、保険業法違反という観点から処置をして行つたらどうかということを判断しなければならんと思うのであります。現在これらの事情につきまして、先ほど申上げましたように、私どもは実情をつまびらかにいたしておりません。遺憾ながらこれらの問題につきましては、個々にできるだけ調査をいたしまして、将来に向つて契約者等に不当の損害を及ぼすことのないように、できるだけ十分なる対策を講じて行きたい。かように考えておる次第でございます。 類似保険、組合保険等について現在までの私どもの考え及び現状について概略御説明いたした次第であります。
○委員長(大矢半次郎君) 質疑はございませんか。
○小林政夫君 今の銀行局長がお分けになられた第一の範疇、組合保険のほうは、将来監督規定等を作つてやられる場合、おおむね軌道に乗るのじやないかとおつしやいましたが、第二の任意団体としてやつている法的根拠を持たないものについて、個々に当つて見ないと、保険業法違反かどうかわからない、こういうことですが、前の保全経済会のごとく、金融業法違反じやないかと言つても、あなたがたは調べる権利がない、こういうことになるのですが、今の実態を調べて見るというのは、どういう法的根拠に基いて、又調べ得るのかどうか、その点はどうですか。
○政府委員(河野通一君) これはお話の通り、金融関係の問題として、保全経済会に対して、私どもが検査の権限を持つておりませんのと同じでありまして、免許をされた保険会社以外のものに対して、勝手に保に保険事業をやつておりましても、私どもは検査をする権限を持つておりません。従つてこれは任意調査であるか、或いは仮に捜査当局と申しますか、司法当局として犯罪捜査、つまり法律違反の疑いがあつて捜査をするという権限でない限りは、強制的な検査は私どもとしてはできない次第でございます。
○小林政夫君 類似金融機関が、自転車操業的なことやつて、金に詰つて今度は趣向を変えて、今の狭義の類似保険をやろうとしている事例もあるのですよ。あるはずなんですよ。そういうことを御承知かどうか。そうして又、これはちよつと言いにくいかも知れませんが、あなたの考えで、現在の法務当局が一体こういうものを調べる能力を持つているのか持つていないのか。末端等において持つているとお考えですか。甚だ危なつかしいとお考えか。我々は危なつかしいと思う。
○政府委員(河野通一君) どうもその点につきましては、私として能力があるかないか内容を申上げることはちよつと申しかねます。併し、例えば貸金業者等、或いは株主相互金融等につきまして、いろいろ最近捜査当局といたしましても、言葉が悪いが、手がけたと申しますか、そういう問題を対象としていろいろ調べられて研究されて来たと思います。だんだんこれらの金融関係のいわば相当複雑な問題についても、逐次これらに対する経験なり知識なりというものはだんだん向上いたし参つているのではないかというふうに考えております。十分であるかないか、この点につきましては、私はお答え申上げる資格を持つておりません。
○小林政夫君 今の段階で、個々に当つて見なければ違反になるかならないかわからない——ところが実態を調べるといつても、あなたのほうには権限がない、これも又放つといて、類似金融機関というか、特に保全経済会——匿名組合方式による投資事業を営んでいるというもののごとく、非常に不特定多数の大衆に迷惑を及ぼす事態が起るのではないかと思うのですが、このまま放つとけば、何かについて、俺のほうの権限じやないのだから、検察当局が然るべくやればよい、こういう態度なのか。その点について検察当局と十分あなたのほうとは連絡をとつて、保険業法違反の事例が起らないような努力をしておられるのかどうか。若ししておられるとすれば、具体的に話して頂きたい。若し速記をつけておつて話にくいというのであれば取りますが……。
○政府委員(河野通一君) 何分にも、私いろいろ噂の程度だけで、余りこれらの問題についての実態を……、勿論検査する権限がないとしても、私どもとしてはいろいろ調査ができる方法を持つておりますから、調査をもう少し進めて見ないと、何とも今はつきりしたことを申上げられませんが、相当そういつたことで、今小林委員から御指摘になりましたような、非常に社会に害毒を流す虞れが非常に多いといつたようなことになりました場合におきましては、私どもとしては、時を移さず、法務当局と申しますか、司法当局と申しますか、そういうものとは十分に連絡をして、私どもの見解は逐一申述べて、これらの問題についての監視を十分にしてもらうようにいたしたいと考えております。私としては考えが甘いと言われるかも知れませんが、まだそこまでの段階まで来ていないように私は思つておりますが、なお御注意の点を十分に今後考えて仮りにそういう危険が大きいということであれば善処をいたしたいと考えております。
○土田國太郎君 ちよつと伺いますがね。こういう類似保険というようなものは、あれは何か主務官庁か何かあつて、そこで認可を受けてやつているのじやないですか、どうですか、その点は……。
○政府委員(河野通一君) 只今申上げましたように、いわゆる類似保険というのは二つのカテゴリーがあつて、いろいろな農業協同組合法とか、消費生活協同組合法とか、そういう法律に基いてやつておりますもの、これは組合保険と私はさつき定義をいたしております。そのほうは法律に基いてやつておるわけであります。これも併し認可とか何とかないのでありまして、組合法は届出によつてできるようになつておると私は記憶いたしております。それからあとのほうのいわゆる類似保険と申上げたのは、これはもう全然法的根拠なしで任意団体としてやつておる、こう御了解願いたいと思います。
○土田國太郎君 さつきあなたが酒屋組合と言いましたが、あれは広川さんが経営しておりまする全国の小売組合ですな、あの連中がやつているのですがね、小売業者が……。それでやはり全国中の小売業者を相手にやつておつて、仄聞するところによると、大分儲かるという話なんだが、最高六十万円とかいうことで許可をとつたとかいうような話を聞いておるし、保険額ですね……。六十万円とかまではいいというので許可をとつておるとかいうような話も聞いておるのだが、ああいう生活協同組合、生活協同組合というのですか、あれは……。それもやはり法的根拠はあるのですか。
○政府委員(河野通一君) これは先ほど申上げましたように消費生活協同組合法というのがありまして、その何条でしたか、その第十条第一項、第四号に「組合員の生活の共済を図る事業」というのがその消費生活協同組合の事業の一つに上つておるわけであります。その生活の共済を図るというのを受けているのでありまして、その火災保険等の事業は、この組合員の生活の共済という形で行われておるのでありまして、で、消費生活協同組合法に基く組合は、私はつきり覚えておりませんが、恐らく届出制であつて、認可制をとつていないのではないかと考えておりますが、ちよつと私どもの所管でないものですからはつきり存じませんが、恐らく届出制であろうと、かように考えております。
○土田國太郎君 それはどこの所管になつておるか。又その保険に対する見返りの積立金というものはやつておらんのですか、どうですか。又やるべき義務はあるのですかどうですか。
○政府委員(河野通一君) これは消費生活協同組合法の運用は厚生大臣の所管でありますで、ちよつとこれをその消費生活協同組合法第二十六条、第三項に厚生大臣は「掛金及び共済金の最高限度を定めることができる」こういう規定があるようであります。これは現在では厚生省の告示によりまして共済金額、つまり掛金、保険金額ですね、保険金額が二十万円を超えるものについては厚生大臣の認可を受けることが必要である。こういう告示が今の法律の第二十六条第三項の規定によつてできておるのでありますが、これは実は私どものほうの関係ではございませんで、厚生省の関係として、そういうことをやつておるわけであります。かように御了承願います。
○土田國太郎君 今の積立金の話はどうですか。
○政府委員(河野通一君) 今のお話の積立金といいますか、六十万円というようなことは共済金額のことじやないかと思います。共済金額は三十万円を超えるものについては厚生大臣の認可ですか、承認ですか、それを受ける、こういうことになつております。
○土田國太郎君 私のお聞きしたいところは六十万円なら六十万円で認可をとつていますね。全国中に、日本中相手に保険料をとつていますね。それに対してその組合が組合員にそういう火事でも起きた場合に支払うべき準備金というものは、これは厚生省は命じてないのですか、準備積立金ですな。
○政府委員(河野通一君) これは先ほど申上げましたように、保険業法等が要求いたしておりますような精密な責任準備金の計算方法というのはございません。又責任準備金として積まれておりますような資産、その資産をどういうように運用したらいいか、これは確実なものに運用すべきものであります、保険事業というものは……。併しそれらの点についての非常に精細な規定はございません。そういう点が一体この保険事業として考えた場合に、その条文が十分であるかどうか、監督の立場から見て、被保険者個々の見地から見て、十分であるかどうかということが問題であり、従つて私どもはこれらの問題についての法制を整備すべきである、こういう考え方であります。
○小林政夫君 今の点は大部分、農業協同組合或いは漁業協同組合或いは生活協同組合、中小企業協同組合、それぞれの徴税の場合においても、そういう責任準備金というようなものの扱い方が、課税所得計算上課税所得と見られないものもあるのです。或いは任意にやつておつても、それを所得の中に入れられずに当然経費として、触れられないというようなものもあるようですが、いつ頃そういつたものを全部ひつくるめての保険業法上満足すべき監督規定というのは打出される見込ですか。
○政府委員(河野通一君) 先ほど申上げましたように、中小企業等協同組合法に基いてやつております共済事業に関する限りは、この国会において、これは議員提出になつておりますこの法案を修正して、これを通して頂くか、或いは政府からの同じような内容のものを御提出申上げるか、いずれにしてもこの国会中に成案を得て立法化されることを私どもは期待いたしております。それから農業協同組合法に基くものにつきましては、これは農林省と御来から長い間、実はこれの法制化ということについて相談いたして参りました。なかなか農業団体の関係についてはいろいろむずかしい問題も実はあるようであります。非常に私ここで申上げることは差控えたいと思いますが、なかなかむずかしい問題があるのであります。併しながら最近に至りまして、これらの事業を保険事業類似或いは保険事業そのものというか、どちらでもいいのだが、とにかくそれに対する監督の規定、つまり保険事業として十分に確実なものであるということを確認するような監督の規定を整えるべきであるということについては、意見の一致を見ました。これは公文で実は取交しております。それは実はどういうことからそういう問題が起りましたかと申しますと、小林委員が今ちよつと申された実は税の問題から来ているようであります。税の問題と申しますのは、これは藤野委員もよく御承知であるかと思うのでありますが、今生命保険におきましては、例の保険料について現行は八千円まで所得の中から控除いたすことに、今度これは法案として一万二千円まで引上方を御提案申上げることになつておりますが、すでに或いはもう御提案申上げているかと思いますが、これについては実は農業協同組合がやつております生命共済というものが、やはり保険事業でないという観点から今まで恩典に浴していなかつた。これは契約者の立場からすれば実は同じようなものじやないかという観点で、できるだけ保険事業に準じて、所得税上の控除を認られたいというのが、かねがね農村方面の方々から強く要望されております。これに対しまして、私どもは率直に、今のような状態におけるこの共済の取扱い方では、なかなかそれを保険と同じように考えることはむずかしい。併しながら、これを保険事業に準ずるような監督なり、いろいろな規定を整備して行くということであれば、これは私どもは当然考えていい問題であるということで、いろいろ農林省とも打合せをいたしました結果、成るべく速かに今申上げましたような法制の整備を行う、それまでの間には、被保険者に迷惑をかけることのないように監督をできるだけ厳にして行くから、この際として、所得税上の控除、その他についても保険会社の保険料に準じて取扱われることにせられたいという要望に対して、私どもは今のような条件の下において、これに同意をいたしたのであります。近くそういつた措置がとられると思いますが、これらの問題はそういうわけで、農業協同組合のことにつきましても、できるだけ早い機会に法制化したい、これはこの国会中にということはなかなかむずかしいかと思いますが、できるだけ早く実施したい。そういたしますれば、残りました消費生活協同組合法に基くものにつきましても、同様にこれらの点についての不備な点は直す、保険事業としての監督の対象として十分であるような仕組に直して行くということを続けて行なつて参らなければならないと、かように考えておる次第であります。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 類似保険について、別に他に御質疑がなければ、次に当せん金附証票法の一部を改正する法律案について、内容の説明を聴取いたします。
○政府委員(河野通一君) この法律は特に簡単なものでありまして、内容の御説明を申上げるほどのことは実はないかと思いますが、現行の法律の中で、この二つのことは実は規定いたしております。一つは中央政府が発行いたします宝くじと、地方の府県或いは大きな都市が発行いたしまする宝くじの二つのことを規定いたしておりますが、そのうちの前者、つまり政府宝くじと申しておりますが、政府の発行いたしております当選金附証票の発行の規定を削除すると、それに伴いまして、地方の発行いたしまする当選金附証票につきまして、中央政府との関係ができておりまする規定等について、若干の改正を行う。例えば地方の宝くじを発行いたします場合におきましては、現行法ではその許可を自治庁がいたします場合において、大蔵大臣にあらかじめ協議をいたすということになつておりますが、大蔵大臣への協議というような手続は、これは政府宝くじの発行があります場合において、政府くじと地方くじとの間の発行が競合いたすことによつて、消化に支障を来たすことのないようにということの協議をしておつたのでありますが、今回政府宝くじの発行をやめるに伴いまして、そういつた競合とか消化をいたしますための支障ということもございませんので、大蔵大臣に協議するという規定を削除するというような、極く技術的な点について、若干の改正を行なつただけであります。特別に内容については御説明を附加えることは実は何もないわけであります。
○委員長(大矢半次郎君) 質疑を行います。
○菊川孝夫君 この当選金附の証票の、まあ宝くじですが、これを今年からなぜやめる、こういうその理由は、これは最近の経済の実情に鑑みてとこう提案理由には書いてあるのですがね。一体どういう経済の実情をつかんでか、ここを一つ御説明願いたいのですがね。すぐ情勢に鑑みとか何とかいう提案理由になつておりますがね。なぜ今年やめることになつたかちよつと具体的に御説明願いたい。
○政府委員(河野通一君) この経済の情勢と申しますのは、要するに戦後だんだん経済状態が正常な状態に復して来るに応じまして、こういつた射倖的な方法で以て財政資金を集める、或いは購買力を吸収するといつたようなことは、経済の正常化に伴つてやめて行くべきものであろう、こういうのが根本の考え方であります。曾つてこの宝くじ等は廃止すべきであるという御意見は衆参両院から、もうすでに一昨年、たしか一昨年ではなかつたかと思いますが、強い御要望として出て参つております。それで私どもその当時から、方向としては誠に賛成である、経済が正常化するに応じて、こういうような射倖的なものはやめて行くのが、方向としては筋であろうと思う。併しながら俄かにやめるわけにもいかんから、昭和二十七年でありましたか、二十八年でありましたか、この間だけは一つ続けて行くことにしたい、こういうことで漸減方針をとりながら、二十八年度一年は続けて参る、こういうことにいたしたのであります。従つてあのときも発行高等につきましては、相当法律上制限を加えるようにいたしまして、逐次発行高等も抑えているのであります。こういうことがありましたが、すでに何年も、二年間ばかりそういうことで、だんだん減らしながら続けて参りましたので、もうすでに第三年を迎えましたので、まあ来年度からは一つやめるのが適当ではないか、こういう考え方に至つたのであります。
○菊川孝夫君 今年の超均衡予算といいますか、一兆円の予算の編成方針と、これをやめるということと、これは関係あるのですか、どうですか、この点について。
○政府委員(河野通一君) 特別な関係は、私はないと思います。併しながら財政、金融を通じて相当正常化、健全化の方向に強い施策を行なつて参らなければならんという、この気持の上の方向と、こういつた射倖的な方法によつて、資金を集めるということは、どうもやはりしつくり来ない点があるので、そういう意味から言いますれば、思想的にはやはり同じような方向をとつているということは申上げられると思いますが、特にその間において、非常に密接な関係があるといつたようなことはございません。ただこれだけの財政が緊縮された予算を組みます場合におきまして、少くとも財政上の立場からいいますならば、僅々十億足らずの財源にしかならない、こういつたものを発行いたすことによつて、財政の財源をどうしても賄つて行かなければならんといつたような財政状態ではないのでありまして、財政上の見地からいいますならば、これらのものに財源を期待することは必要でないということははつきり申上げられると思うのであります。
○菊川孝夫君 それじやこういうような当選金附証票は縮減を図るというのですが、地方の団体にはこれをやらせるということになれば、その点はなぜ地方だけは残さなければならないのか、その点を一つ。
○政府委員(河野通一君) 私はやめるというのも、やはりだんだんやめて行つたらいいと思うのであります。従つて先ず政府の宝くじをやめて、次に成るべく適当な時期に地方の宝くじといつたような制度もやめていく方法について考えていきたい、併しこれを一挙に同時に地方も中央もやめてしまうということは、現在の地方財政の状態から申しますと、必ずしもその点が適当でないといつたような点もありますので、地方財政におきましては、やはり事実として相当この地方宝くじからの収入に財源を期待されているものもあるわけであります。まあこれもだんだんにやめていくというような方法をとるべきではないか、かように考えておるのであります。方向としては、当然時期が若干ズレるかも知れませんが、地方宝くじの制度もやめて行くべきであろう、かように考える次第であります。
○菊川孝夫君 そうすると、今まで国がこの宝くじで、まあ国家の収入とか儲けになるのは一体年額どのくらいでしたか、それから最近の売行き工合というものは、これはもうだんだんと宝くじはあるのかないのか忘れているくらいになつているのですが、これは概略で結構ですが……。
○政府委員(河野通一君) 資料としてお配りしておるそうでありますが、政府の宝くじの発行及び国の収入の状況を申上げますと、これは一番たくさん出たのは二十四年であります。二十四年度が四十億発行になつておる。そうしてそのうちで売捌きが行われましたものが三十億近いのであります。そうしてそのうちで国庫に納付されたものが十四億という数字であります。ところが最近の数字で言いますと、二十七年度が発行額が三十億余り、そのうちで売捌かれたものが二十五億、大体パーセンテージにいたしまして八一%程度が発行に対して消化されておるわけであります。それに対して国庫の収入となりましたものが十一億、それから二十八年度は推定が入りますが、これが大体発行額が二十七億程度になろうかと思います。そのうち売捌き高が、これは消化率は割合いいのでありまして、九一%くらいに推定いたされますが、二十四億、そうして政府への収入が十億九千万、約十一億というような数字になつておるのであります。で、大体今申上げましたように国庫の収入が大体十億前後と御覧頂ければよろしいのであります。 それから地方のほうは、これもお配りしてあるかと思いますが、二十八年度のこれは予測、推定も入りますが、これは発行額が八億八百万円、恐らくこの売捌額として考えられますものが七億一千万円、消化率が大体八八%といつたような数字でありまして、二十七年も大体同じような見当でありまして、若干多い。だんだん減らして来ているということになつているわけであります。それで二十八年度の八億ばかりの発行額、そのうち売捌は七億余りでありますが、これに対して地方の純収入となりますものは大体三億前後というふうにお考え願えれば大過ないかと思つております。
○菊川孝夫君 そうしますと、これは最初にインフレを収束さす一つの、こういう方法ででも射倖心によつて資金を掻集めるのだと言つたけれども、全般から見ますと、そういうことも余り理由になつておらんように思うのだけれどもね。二十億や三十億の、国民所得全般から考えると微々たるもので、その本当の理由になつておらないように考えるのですが、初めのうちは、それでもちつとはそういう要素になつておつたのですか。多少でもないよりましだということなら別ですけれどもね。
○政府委員(河野通一君) お答え申上げますが、お話のように宝くじの発行によつて国に入ります収入というものは大体一番多い年が昭和二十四年でありますが、これは十四億余りであります。少いところでは十億を切るといつたような程度のものでありまして、予算全体の規模が一兆億といつたようなことになりますと全くお話の通りであります。併しその予算も、これは戦後からすぐ始めた制度でありますから、昭和二十年、二十一年頃におきましては、ちよつと今はつきり予算の規模は覚えておりませんが、相当これは今に比べますと小さい規模であつたのであります。それらの点を比較いたしますと、必ずしも私はパーセンテージとして現在の状況を以てその当時を推すことは必ずしも適当でないというふうに考えます。併しいずれにいたしましても、現在の状況では一兆億予算に対して僅か十億ということでは、これは本当に財政上の財源を潤おすということは全く意味をなさないということはお説の通りであります。その点から見ましても、これらの制度をやめて行くということは差支えないのじやないか。かように考えている次第であります。
○菊川孝夫君 これは東京都内でもありますが、街頭で露店商人みたいな恰好で最近は宝くじを売つておりますが、これらの人が売る場合にはどこかから頼まれて来てあれを売つているものか、あれは大蔵省で認めてああいう商売をやらしているものであるか、このいきさつ、どのくらい今までそういう宝くじ類が……。大体新宿や銀座あたりの盛り場にいるこの人たちは、皆露店商か苦学生のアルバイトというような恰好で商売をやつているように思うのでありますが、流れて来るのはどういう請負であれをやつているのか。これをやめるということになつたら、あの人たちの商売はあがつたりということになるのですが、その数はどのくらいあるのか、それをお聞かせ願いたい。
○政府委員(河野通一君) 現在では政府の宝くじの発行販売等を請負いますのは勧業銀行、金融機関ということになつておりますが、そのうちでも、実際には今勧業銀行だけがやつているわけであります。勧業銀行がこれを売り捌きますに当りまして、勧業銀行が今の小売人でありますか、売子といつたようなものを使つて売つている。それは勧業銀行の宝くじ発行及び売捌きに関する経費の一部になるわけであります。これらの売子等に対する支払金が……。現在どの程度そういうものがありますかと申しますと、売捌き人のうち売り子と言われておりますものが約三万九千人ぐらいあるようであります。そのうちでこの宝くじの売捌きによつて生計を立てていると言いますか、主たる生計をこれによつて維持していると思われるものが全国で四、五千人程度ある。そのほかまあ大体、例えば、たばこ屋さんがその店先で売つているといつたような、まあ片手間にやつているといつたようなものが大部分のようであります。それによつて主たる生計を維持していると思われるものが四、五千人はあるように推定されております。これは実は正確な数字では実はございません。
○菊川孝夫君 それでは組織としては、勧業銀行があういう街頭で売つている売子というような人たちに、直接この勧業銀行から皆渡してやつて、そうして売らしておつたものでありますか。それらの点は大蔵省は何も認めずに、あういう売子に売らせるということは、法律を見てもない、金融機関がやるということになつているが、実際売つているのは町でやつている。あの点はあなたのほうで認めてやらしていたのですか。
○政府委員(河野通一君) これは別段私どもは街頭でこれを売るということを禁止した法律もございませんし、又そうすることが、一々例えば勧業銀行の本支店に必ず来なければ買えないということにしたのでは、ああいつた極く少額の、而も簡単に飛びつき得るようなことにしておかないと、わざわざ買いに行くという性質のものでないものでありますから、できるだけ安直に手に入り得るように、売られるところはできるだけ広く、どこでも手に入るようにして行くことが適当であろうと思つて、私どもは特にそういつた売子の制度というものを禁止する必要はないし、又そういう制度を作つたために著しい弊害があるといつたような事態は今までに実は耳にいたしておりません。従いましてこの制度は決して悪くなかつたと、かように考えております。
○菊川孝夫君 いい、悪いを聞いているのでなくて、あういうことは大蔵省が考えてやらしたものか、それとも勧銀が勝手に売捌きのためにやつたのか、或いはその中には、いわゆる手数料を取る、誰か元売捌き人をこしらえて売捌いでおつたのかどうか、そういうことはどういうことになつていたか。
○政府委員(河野通一君) これは私どもは特に勧銀に命じてそういつた売子を何人くらい使つて、どこに出せというようなことは言つたことはございませんが、とにかくこれは早く消化できるようにいたして参りますためには、売子の制度というものを使わなければやつていけない。従つて現在ではそういつた売子との間の契約と申しますか、そのような金なり或いは証券のやり取りは、大体勧銀の本支店、つまり地方におきましては支店におきまして、東京においては本店及び都内の支店においてこれをやる、或いは証券業者等も元売捌き人になつておりますから、勧銀から証券業者がまとめて受け取つて、それを更に売捌き人のほうに分けるというような制度も使われておるようであります。大体原則としては、勧業銀行の本支店において、それらの証券をもらつて行くという、こういう形になつているようであります。
○委員長(大矢半次郎君) 銀行局長に伺いますが、提案理由の説明で、「政府宝くじ廃止後においては、都道府県、五大市及び戦災都市のみが宝くじを発売することとなるのでありますが、これらにつきましても、地方財政その他の事情が許す限り、できるだけ早い機会に全廃することを目途として漸減の方針のもとに運営すべきものと考えております」と、いわゆる政府の考えはわかりますが、これはどうして実行なさつて行くつもりですか。
○政府委員(河野通一君) これは先ほどもちよつと申上げましたように、地方自治庁のほうに、地方宝くじを発行いたします場合には、許可を受けることが必要になつております。従いまして政府といたしましては、今申上げましたような漸減方針という方針を、これは閣議で決定いたしておりますので、それに従いまして地方自治庁がこれらの地方宝くじの発行を許可いたします場合に、その方針に従つて許可をして行く、こういうことによつて実効を挙げることができると、私どもは考えております。
○委員長(大矢半次郎君) 政府のほうで宝くじをみずから発行するのをやめますというと、従来の例からいえば、政府以外で発行するものよりも政府で発行するほうが多かつた、最近数年間の実績を見ても二倍乃至三倍政府のほうで発行していたのでありますから、これを明年度から政府の発行をなくするというと、従つて全体としては、或いは地方のほうでやるのが多くなるような傾向になりやしないか。特に東京とか大阪とかの大都市においては消化力が十分ありますから、自然多く発行するようになるのではなかろうかと懸念している向きもありますが、実際はどうなんですか。
○政府委員(河野通一君) ここで申上げております宝くじの漸減方針と申しますのは、地方宝くじ自体が今年よりも来年度はその発行額なり或いは地方財政の収入額なり、絶対額が減つて行くということは、実は必らずしも考えておらない。政府の宝くじがなくなるということによりまして、或る程度は地方の財源に当てるべき宝くじの発行ということが、二十九年度におきましては二十八年度よりも若干程度殖えても、宝くじ全体としては非常に著るしい減少になるわけでありますから、私どもとしは必らずしも地方宝くじだけを見た場合に、今年よりも来年度が絶対額において減らなければならんという意味において漸減方針とはいたしておらないのであります。併しながら来年度以降二十九年度、三十年度にかけてだんだんと減らして行く、而も成るべく地方財政の許す限りにおいて速やかに全廃いたしたい、こういう方針にいたしたいと考えているのであります。従つて例えば今年二十八年度におきまして、地方宝くじは、大体先ほど申上げましたように、八億ばかりの発行でありますが、この二十九年度においてこの六億を更に発行額が下らなければならんという意味において漸減方針ということを申上げているのではない、かように御了承を頂きたいと思います。
○委員長(大矢半次郎君) 民間団体に、例えば社会福祉事業法に定める共同募金連合会というのがありますが、このほうからむしろこの際自分のほうにやらしてもらいたい、そうして社会福祉事業のほうにこの資金を受けたい。東京とか大阪とか、非常に財政力のあるところに更にこういう発行権の拡大を認めるようにするのは当を得ないからして、この点を政府で一切発行するのをやめるならば、自分のほうにやらして呉れ、こういう要望があるようでありますが、政府のほうにはそういう陳情等はありませんか。
○政府委員(河野通一君) そういう希望があることは、最近は聞きませんけれども、去年、一昨年頃はそういうお話を相当私ども強く聞いておりました。私どもといたしましては、やはりこういつた射倖性を持つたような証券の発行ということを、民間の団体にこれを行なわせるということは、むしろプラスよりも弊害のほうが非常に多いという観点に立ちますが故に、私どもとしては、国がこういつたものの発行を止めるからといつて、それに民間の団体にその発行をおき換えるということは全く不適当であるという考え方に立つております。
○堀木鎌三君 僕は余りよく知らないのだけれども、どういう弊害があるのですか。あなたは道徳教育者じやないのだからね。何かこれを実施して行く上において非常な弊害というふうなものを感じられるのか、どうなんですか。その点聞きたいと思う。
○政府委員(河野通一君) この点は先ほど申上げましたように、私どもとしては、やはり射倖性に富んだ、こういつた証券の発行といつたようなことは、それによつて資金を集め、或いは殊に財政資金を集めるといつたこと、そういつたことは経済がだんだん正常化して来るに応じて止めて行くのが筋であろう、それだけの考え方でありまして、現在どういう弊害があるかという点につきましては、私どもはそれよりもまずそういつた射倖心に富んだようなことは、弊害が現実にあるかなしかは別として、経済が正常化するに応じて止めて行くべきだという考え方に立つて御提案を申上げておるのであります。
○堀木鎌三君 つまり二十年に始めた時分には、比較的ほかのいろいろな射倖性というか、こういう式のものが、射倖的なやつが少なかつたときに、政府が発行したのだが、いろいろ問題があつた。ところが率直に言えば、今までは射倖的なうちでも宝くじを買うのが一番いい射倖的な部類に属するのじやないか。而もそれらのものが何らかの弊害があれば、これは考慮しなくちやならないという考えも実際的にはあり得ると思うのですが、実際的には何らかの弊害があるかないかよくわからんが、単純に射倖的とおつしやると、今いろいろな射倖的なものが、法律によつてできているというふうな例は挙げませんけれどもよく御存知だと思う。そういうものから見れば、一番これは、たとえ十億にしたつて挙つて来る。僅か十億だとおつしやるけれども、僅か十億だつてそう私は軽いものだとは思わない。十億の問題というものは、そう軽く考えられない。率直に言つて、どうも射倖的なものは国家がやることは何か道徳的に済まないということだけで、理由を挙げられることが少し貧弱なような気がするのですが、殊に少くとも十億の金が挙つて、而も四千人から五千人は、これで生計を立てて、而もそれたちはほかに生計を立てる道の、大体生業を持つていない人だというふうなことを考えると、私はどうもあなたの考え方だけでは納得できませんので、むしろこれは地方財源でも殖やしてやるつもりで、政府のほうから先におやめになるのかと思うと、地方の宝くじというのは八億程度で、手取りが三億程度だとおつしやるのでしよう。どうもこれは率直に言えば、地方のほうをやめるのが先じやないか。而もこれは先ほど委員長も言われたように、地方のほうだつて自治庁長官が許可するのだからいいようなものの、地方財源逼迫の事情を併せ見ると、地方のほうは政府がやめれば幸いにやりたがるのは確かなんです。もう地方の自治団体と言つたら、何でもかんでもあなたのように、別に射倖的なことだとは言わないが、いろいろな射倖的なことをたくさんやつているのが、地方団体の現状だと私は思う。そういう点から言うと、どうもどつちへ転んでも大した話はないという気がすると同時に、何だか腑に落ちないものがある。何か具体的な弊害を挙げて頂ければ、成るほど大体射倖的なものであつて、而もこういう弊害を伴うのならやめたほうがよかろう、こういう気がするのですが、どうも相当、当時とよほど違つているのじやないか。一時社会的な非難を受けた時分と社会的事情がよほど違つているという気がするのですがね。
○政府委員(河野通一君) これは考え方の問題かと思いますが、幾ら申上げても併行線になると思いますが、私どもはやはり正常な状態においては、国の財政の財源というものが射倖的な事柄によつて調達されるということは、少くとも普通の場合においては適当なことではないと思う、こう私は考えておりますし、恐らく大方のかたの御意見じやないかと思う。現に当委員会におきましても、一昨年以来、たびたびこの問題は議論になりまして、なぜ宝くじをやめないのかという御議論がむしろ大部分のかたの御意見のように私は承知しております。むしろこれはやめるべきじやない。大いに続けて行くべきだという御意見は、私は一度も実は聞いたことがないのでありまして、速かにこれを廃止すべし、一体政府は何をぐずぐずしているかという、むしろ御意見であつたわけであります。これも先ほどちよつと御説明申上げたのでありますが、この議論が出ましたのは、昭和二十七年度の予算の審議の際にすでに出ておる。それを二十七年度は一年続けて頂くことにし、二十八年度も発行額は減らして行くが、とにかくもう一年続けて頂こうということで、ここまで来ておるのであります。これは単に参議院の大蔵委員会だけでなくして、衆議院のほうからも、たびたび本会議等でも実は問題になりまして、できるだけ早くこういうものはやめるべきであるという御議論が出ておつたのであります。勿論その場合には、単に宝くじだけではなくて、やはり競輪でありますとか、そういつたものも併せて一切政府の財源として、そういつた射倖的なものから金を集めるということは反道義的だという御議論から出発したのでありますが、そういう点もございまして、私どもできるだけ早くやめたい、こういうことであります。
○堀木鎌三君 私はそういう、全般的に射倖的なものをおやめになる場合には、これはやはり私もその点なら賛成なんです。やめる順から言うと、宝くじの起因ということから見ると、少し疑問に思う。それから経済が安定すればとおつしやるけれども、経済が安定したときにだつて競馬はやつていたんですよ。そして馬畜改良のために非常に大変なものだつた。だから経済安定とこれを観念的に言われると、どうも僕らは経済安定したつて、政府はほかに射倖的なものをやつている。それに対して、モーターボートをやめるとか、競輪競馬をやめるとか、全部ああいうものを払拭してしまう。道義頽廃、地に落ちているから、そういう面からやろうとおつしやるなら、私は双手を挙げて賛成するのだが、一つの問題をつかまえて見ると、一番止める最後のものじやなかろうかという気がするんです。つまりものには順序があつてね。それはやらないほうがいい、射倖的なものだからやらないほうがいいという御議論は立派に立つと思うが、併し今あるいろいろなものを考えて見ると、一番止める最後のものから最初に出して来たのじやないか。政府の方針というけれども、方針じやない。方針があるなら、きちつと順序を立てておやりになるのが本当だ。これは局長さん限りで、これからというのじや、これはどうも非常に、今更異論を立てるわけじやないけれども、どうも政府の御方針というのはでたらめで、その都度一々軽重を、緩急度を見てやつていやしないという気がするものだから、私は言うんです。
○政府委員(河野通一君) お話の点はよく実はわかるのでありますが、競輪の問題は、御承知のように、これも不徹底なことではありますが、少くとも来年度から競輪からの収入を中央政府と申しますか、政府は当にしないということにいたしたのであります。従来御承知のように、競輪からの収入の相当部分が国庫に納付されています。これは少し事情は違いますが、この宝くじについて、政府くじの発行を止めて、更に地方くじを残すという一つ段階をおいたのと、考え方としては共通いたしております。政府としては少くともその頭をはねることはやらない、競輪から頭をはねることはやらない。それで地方の問題は又次にゆつくり考える。競馬の問題はいろいろ問題があると思いますが、これは個人的にいろいろ私は考えを持つているのでありますが、これは今堀木さんも言われた通り、これは非常に経済が正常な状態にあつた昔からあるのであり、且つこれはほかの目的を持つているといわれている。これは各国も皆これを行なつているような状態でもありますし、その辺についての考え方というものは私個人としてはいろいろな考えがありますが、全体としては競馬というものの沿革的な各国の例から見ても若干違つた目的を持つているのじやないか。その目的とマイナス分とを差引して見ても、プラスの分がまだ残つているという判定の下に立つて、これを残しているのだろうというふうに私は考えたのであります。甚だ御答弁にならんかと思いますが、そういうふうに私は考えます。
○堀木鎌三君 言いあいつこすると切りがないから止めましよう。
○松永義雄君 私はまあ止めることには賛成ですよ。こういう射倖的なものが起きて来た状態、経済状態というものは必然性があるのじやないかと思つて、その前提の下に聞くのですが、この正常な状態ということを只今おつしやつたが、もうちよつと具体的に、それは意見の相違だ、感覚の相違だと言えばそれまでですが、もうちよつと具体的に。
○政府委員(河野通一君) 例えば経済が非常にインフレの時代にあるといつたような場合におきましては、通貨価値が信用がない。従つてそういうときにはなかなか正規の形における預貯金、つまり資本の蓄積の方法でありますが、預貯金ということに対して、これを預貯金しようとか、或いは生命保険に入ろうといつたような、こういうことに対する誘因がやはり非常に不安定状況の下にある。そういつた時期におきましては、やはりここに大きな当せん金が附く。つまりくじが当るといつたような魅力を加えることによつて購買力を吸収し、或いは財政資金の調達を図るということが許されると申しますか、適当な時期があると思います。それが日本の場合におきましては、やはり終戦直後におけるああいう混乱時代、而も資金はとにかく集めなければならんという時代におきましては、やはり今申上げたような富くじ的な景品を附けることによつて大いにその購買力を吸収するということが、適当とは申しませんけれども、そういうことが許される時期があるのではないか。それがだんだん経済が正常化して、そういう貨幣価値に対する不信、不安ということがだんだんなくなつて参りますならば、これは私はやはり正常なる資金の吸収のルートに乗つて資本の蓄積なり資金の吸収ということが行わるべきである。そういつた射倖的なくじまで附けて購買力を吸収するといつたような措置は、そういう時代においては適当ではないのじやないか、こういう観点に立つて申上げているのであります。
○松永義雄君 現在が正常な状態であるということについては、相当意見の相違があると思うのです。ここで余り詳しく述べることもないが、手初めにこれだけ最初にやつて見よう、漸次やつて行こうという考えは結構だと思う。只今弊害という言葉を使われると、僕の狭い経験では競輪のほうが弊害は多い。具体的に銀行でやつていますね。割増金附定期預金、或る人に頼まれてちよつと預金に行つたときに、このほうがお得ですよとか何とか言つて富くじのほうへすつと入れられてしまつたことがある。ところが私はそんな意味ではなくて、普通の定期預金にしよう、そうして税金の如何にかかもらず、そのほうが確実だと思つていると言つて預けようとすると、横合いから銀行員が、このほうがお得ですよと、こういうのが富くじ附きなんだ。結果において得だか損だか僕は計算したことないからどちらが得かということはわからないのだけれども、そのように、資本金を集めるために射倖的な方法によるというようなことは、これ又同様に射倖的理由でよくないと思う。まじめに働いて金を貯めようという気持が失われて来るということが考えられる。そこで政府が一方範を示して、そうしてほかのものをして右へならえさせようという心組みなら一応わかるのですけれど、銀行なんかでやつている射倖的、或る意味においては誇大広告、あれも誇大広告ですよ。電車に乗れば必ず立派な広告が出ておる。ああいうこともよくない。ただ正常な経済状態に見合うものかどうかということは、これ又別の議論になるかと思うのです。ああいうものはよくないと思う。少しまじめ過ぎる議論かも知れないけれども。そんなこと言つたつて金は集るもんかと、こう言われればそれまでなんだけれども、一方にそういう富くじはいけないということになれば、なおまじめな銀行預金をどういうふうに扱つて行くか。
○政府委員(河野通一君) 先ほどお話になりました経済の正常化というのはどういうことかというお話であります。これは私も現在の状態が完全な意味で正常化しているとは思いませんので、方向としてそういう方向に進んでいるということを申上げたのです。それから只今お話の銀行等でやつております割増定期の問題でありますが、これも結論を先に申上げますと、私はだんだん経済の正常化の段階が進むに従つて、こういう形でくじを付けて行くといつたような預金の集め方は方向としてはやめたほうがいいと思う。ただこの宝くじと割増金附定期預金との関係から、どちらを先にやめるべきかと言えば、私はこれははつきりと申上げたいと思うのでありますが、宝くじを先にやめるべきである。その意味は、宝くじというのは御承知のように当らなかつた場合には元本もとれないのであります。従つて当れば大きい代りに、当らなかつた場合には元本も手に入らない、こういうことになるわけなんです。ところが割増金附定期預金といいますのは、預金の元本は必ず返る。而もそれには最低幾ら幾らの利子は必ず附けなきやならない。で、正規に許されておる利子と、それから当らなかつた人に付く最低の利子との差額に相当する、いわゆる利子の差額分が何人かの人に対して賞金として付くのであります。従いまして、この宝くじのような場合のように元本がすつ飛んでしまうという心配はないのであります。元本は必ず返る。そういつた点におきまして、宝くじの場合と割増定期預金の場合とは性質が全く違う。従いまして私は先ず宝くじをやめ、その後において経済の正常化が更に進んで来た段階において、こういつたくじの附いた、賞金の附いた定期預金という制度を逐次やめて行く方向に考えて行くのが順序ではないかと、かように考えておる次第であります。
○委員長(大矢半次郎君) 他に御質疑がなければ、本日はこれを以て散会いたします。 午後三時三十八分散会