大蔵委員会 閉会後第7号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/11/11
会議録
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。 先ず、最初にお諮りいたしますが、今般理事杉山昌作君が都合により理事を辞任いたしたい旨の申出がございますので、この際、その辞任を許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西郷吉之助君) それでは理事の補欠を互選いたしたいと思いますが、後任理事の指名は委員長にお任せ願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。 それでは杉山理事の代りに土田國太郎君を指名いたします。 —————————————
○委員長(西郷吉之助君) 次にお諮りいたしますが、今明日委員会を開きますが、本日外国為替銀行として発足以来の東京銀行の業務状況につきまして、東京銀行の常務取締役堀江薫雄君、明日は日本輸出入銀行の最近における業務状況につきまして、同行の副総裁山際正道君、又菊川委員から申出がございましたアルミニウム工業の外資導入の問題につきまして、アルミ産業危機打開全国労組同盟会長の宮崎米一君、日本軽金属株式会社取締役営業部長の山田雄吉君、それぞれ以上の四君を今明日の参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(西郷吉之助君) それでは本日は最初に外国為替銀行として発足以来の東京銀行の業務状況につきまして意見を聴取いたし、更に二番目には前議会の末期に小林政夫君が提出されました協同組合による保険事業に関する法律案というのがございますが、御承知のように、その他五件が本委員会の継続審査の法案になつておりまするが、この小林君提案の協同組合による保険事業に関する法律案だけは参議院の先議でございまして、あとの五件は衆議院の先議でございまするが、この本院先議のこの法案につきましては、小林君の提案理由の説明だけを聴取して前国会が終つておりまするので、皆様方の御参考に供するために、この際、政府当局側の意見を聴取しておきたいと存じます。更にそれが終りましたら、本日は年末金融その他、証券取引所の争議問題等がございましたので、大蔵大臣の出席を求めて意見を聴取し、その上御質疑を願いたいと存じます。 それでは本日の最初の議題といたしまして、外国為替銀行として発足以来の東京銀行の業務状況につきまして、同行常務取締役の堀江薫雄君から御意見を聴取いたします。
○参考人(堀江薫雄君) 堀江でございます。最初に外国為替銀行の関係者の一人といたしまして、又外国為替専門銀行法案をかねて私主唱しておりました一人といたしまして、この春、外国為替銀行法の御審議に当りまして、特に参議院先議で御審議頂きまして、この参議院の大蔵委員会の委員各位が示されました深い御理解と御尽力に対しまして、厚くこの機会に御礼を申上げたいと思います。 外国為替と申しますと、国内の要素とそれから海外の要素と、両方必要になつて参りますが、特に日本のような経済力において劣勢国であります国におきましては、特に国内要因よりか国際要因、外国側の要因がより重要になつて来るわけでございまするが、この一年間における世界経済或いは国際金融の動きという点から申しますると、明らかに大きな変革が動いておるわけでございまして、そういう意味から申しまして、外国為替銀行法が前の議会に通過いたしまして、東京銀行もその法律に基いて、外国為替専門銀行になり得たということは、世界経済の動きや國際為替の大きな流れから申しまして、大変時期がよかつた。もう一年遅れますると、世界の経済の動向から言つても、どうしても日本は遅れをとらざるを得なかつたのじやないかと痛感しておるものでございます。と申しまするのは、米ソの対立もありまするが、今のような平和状態が暫く続くといたしますと、世界経済や国際為替の点から言いまして、明らかに貿易の自由化ということと、又これと表裏関係をなしておりまする通貨並びに為替の交換性といつた問題か大きな世界経済の態勢になつて流れておるようでございまして、先般九月にワシントンで開催されました国際通貨基金会議では、その通貨交換性のほうは少し論議から外れて、貿易自由化のほうが非常に論議になりましたが、その意味から多少通貨の交換性のほうは先へ延びた感じはいたすのでありまするけれども、併し世界の態勢として英国のポンド、ドイツのマルク、オランダのギルダー、或いはベルギーのフラン、こういつた通貨が自由交換性をそのうち実現するといつたことは、すでに大勢でありまして、英国やドイツもその目的のために本年に入つてから為替管理を大幅に緩和いたして、その方向に進んでおりますし、又同じヨーロツパでも、多少経済機構その他に遅れをとつておりまするフランスやイタリアのごときは、早く体制を準備して追いついて行かなければならんといつたような焦りもあるようでありまして、現在の世界経済の客観情勢が今のような事情で続きます限り、当初よりか多少時期は遅れますけれども、大体来年一ぱいぐらいには交換性の問題は、完全な自由交換でなくても、実現に入つて行く。そういたしますると、貿易や為替の面で国際競争戦というのははつきりと激化して参るわけであります。為替相場のごときも、昔の自由為替ではございませんが、多少幅を持つて動くといつた事情になつて来るのは、はぼ明らかなようでございまするので、そういつた国際貿易並びに国際為替戦において、どうしても経済上劣勢国の側に立つておりまする日本において、一切の、こういつた専門銀行がない限り、非常な不利をこうむらざるを得ない。まあそういう意味にきまして、前の議会でこの法律が通り、よりやくそういつた準備が具体的にできたということは誠に有難いことでございまして、若しも一年遅れますといたしますると、世界のそういつた大きな流れ、本流について行くには非常な困難を来たしたんじやないか。その意味におきまして先の外国為替銀行法の前議会における通過というのは非常に間かよかつた、間に合つてよかつた、意義の深いものだと思う次第でございます。 ちよつと初め長くなりましたが、そういつた私は喜びを胸に含めながら、委員長のお話になりました外国為替銀行法に基いて改組をいたしました外国為替銀行東京銀行のその後の改組の状況と業務の実情、そういつたことを御報告いたしたいと思います。 先ず第一に改組の状況を簡単に申上げますると、御承知の通り、外国為替銀行法が国会を通過いたしましたのは本年の四月三日であります。これが公布施行せられましたのが四月十日、同じく施行細則が公布せられましたのが五月六日であります。東京銀行といたしましては、この法律の公布以後、具体的に改組の準備に着手したわけでありまするが、先ずこの法律の第九条に基く国内店舗の整備の問題であります。大蔵当局並びに日銀としましても、いろいろこの点についてお考えがありましたので、これらと協議の結果、五月の中旬に国内か四十五店舗、その当時海外が六支店でございましたのを、国内の四十五店舗中二十四店舗残置、二十一店舗廃止の方針をきめました。爾後二十一店舗の譲渡先の選定に移つたわけであります。この譲渡につきましては、大蔵省か店舗行政を非常に厳しくやつております関係上、市中銀行、地方銀行、又信託銀行等から是非とも譲受けたいという希望が殺倒いたしまして、我々は取捨選択に困難を来たしたわけでありますが、第一に営業の譲渡をできるだけ円滑に運びたいという点と、お客様に迷惑を掛けないという点と、又店舗の譲渡と共にその銀行へ譲渡する行員、人間をできるだけ待遇やその他将来について東銀におつたときと同じような状態にしてもらうといつたこと、又最後に大蔵省の店舗行政からの要請といつた点から判断すると、結局二十一店舗のうち六店舗を第一銀行、同じく六店舗を三井銀行、それから七店舗を大和銀行、それから京都銀行大分銀行とにそれぞれ一支店ずつの配分譲渡を決定いたしまして、六月上旬中にそれぞれ営業の譲渡、この中には預金貸出、内地為替といつた常業譲渡基本契約、それから動産、不動産といつたものの譲渡、それから人間の譲渡といつた問題を取極めまして、七月の終りにこれを実行いたしましたわけであります。それから他方これと併行いたしまして、外国為替の専門銀行に転換するための法制的な手続即ち大蔵当局に対する内免許申請、続いて七月の二十七日に東京銀行臨時株主総会を開きまして、定款その他を新しく為替銀行法に基くように改訂をいたしました。これらを漸次予定通りのコースで進捗いたしまして、八月一日付を以て外国為替銀行法に基く免許を正式に頂いて、同日外国為替専門に銀行として発足いたした次第であります。 次に、この切換え、改組によ業務規模並びに人員数の変化その他でございます。ところで東京銀行が今度改組されて、具体的にどういう業務上その他の変化を見ましたかといつたことを概略申上げますと、第一に預金でありますが、閉鎖し譲渡いたしました二十一支店の改相当時における預金の残高が約七十五億でありまするか、改組のときだけから申しますと、この七十五億だけの預金でありますが、それだけを東京銀行は失つたわけでありまするが、実はこの七十五億という数字は二十一支店の実力から見ますと、遥かに低下しておつたのでありまして、今年の春以来、東銀が為替専門銀行なつて店舗を出するもという噂が出始めましてから、ほかの銀行の攻勢が激しくなつたのと、デフレその他の影響もありまして、遂に七十五億という数字に低下したのでありましたが、本年の初めには百三十億、三月末にはこの二十一店合計が百二十四億に預金が上つておつたわけでありまして、東京銀行といたしましては、大体常時百二、三十億程度の預金を二十一店舗で持つておつた。それが改組その他のいろいろな事情から預金が減つておつたわけで、実力百二、三十億と言うことができたわけであります。ただ営業譲渡の際に、債権債務、即ち預金と貸出しとの差額は第一、三井、大和その他の譲受け銀行から東京銀行に引続き預託金として残高を残すという契約になりましたので、その差額か二十六億円ばかりは、これら五行から引続き東京銀行への預金として返つて来ております。これも本年の三月あたりですと、その預金と貸出しの差額が四十数億あつたわけでありますが、先ほど申上げました事情で、大体二十六億円程度、それを日歩一銭六厘、一年間据置き、その後十二カ月間に割賦弁済といつたことで、一年十一ヶ月目に全部返済というようなことで、引続き二十六億円は当行に残つております。 それから預金の次に貸出しでありまするが、二十一店舗の改組時における貸出し合計は四十一億六千万円でありまして、これも預金と同様の理由で、最盛時六十二、三億ありましたのが、改組を前に控え大分整理いたしました関係上、四十一、二億といつた程度で、まあ貸出し実力も同じく六十二、三億であつたかと思うのでありますが、この貸出しか他行へ譲渡されたわけであります。 次に収益でありますが、昨年の上半期及び下半期における二十一店舖の諸経費、人件費、物件費を差引いた二十一店の純益合計は大体八千九百万円又は八十六百万円といつた、九千万円前後の収益力であつたのでありまするが、二十一店の預金量実力百二、三十億としまして、その運用益が年ニ分の利鞘、平均貸出し率を年九分にいたしまして、資金及び経費をすべて加えたのが七分乃至六分五厘といたしますと、大ざつぱに申しまして、大体二十一店舗で九千万円乃至一億円の収益力を失なつたと見ていいかと思うのであります。 その次に第四としまして、人員の件であります。改組の際し先ほど申しました五銀行に対して譲渡いたしました人員数は総計で七百八十七名であります。三井銀行三百七十八名、第一銀行二百十八名、大和銀行二百三十九名その他で、計七百八十七名、それから改組を機会に年輩者の自発的退職がございましてこれが百九名、その他に長期信用銀行に譲渡転出いたしましたのが十三名で、全部で改相当時に行員数約四千人のうちから九百九名を他のほうへ転退職したわけでございます。その結果、改組直後における、八月一日における東京銀行の現有勢力といたしましては、次の通りであります。内地店舗が東京初め二十四店舗、主として貿易の為替のある土地であります。それから外国店舗がその当時ロンドン、ニユーヨーク、カラチ、ボンベイ、カルカツタ、香港、この六支店とそれからアメリカのカリフオルニアに加州東京銀行という子銀行を拵えております。そこにサンフランシスコ、ロスアンゼルスと二店舗、合計外国店舗が八店舗であります。それから八月一日現在の預金総額が四百八十九億八千万、それから日本における外貨の預金が七億五千万、海外における預金が五十六億五千万円、合計六百二十二億という数字であります。それに対しまして貸出のほうは、内地の円貸出が六百八十九億円、内地二十四店舖であります。海外店の貸出が二十一億八千万円、計七百十一億五千万円、こういつた貸出の残高になつております。人員数が九百九名譲りましたあとが、全部で小使から運転手その他全部入れまして日本人が三千二十五名となつております。外国はそれぞれその土地のクラークを使つております。これが合計で百五十名くらいおります。なお、そのほかに為替の取扱い関係は、二十一店舖を他出行に譲渡いたしましたが、それによつての影響は殆んどございません。と申しまするのは、外国為替のありまする地域の店舗につきましては譲渡しなかつた点、それがないところは内地店舗としてはどんなに有力な支店でも譲渡した。例えば東京都内でも馬喰町、上野支店といつたようなものは為替がなくて預金が二十億、十五億といつた店でありましたが、外国為替銀行法に基いて譲渡をいたしましたわけでございまして、大体本年の一月当時におきまして、日本の全体の為替取扱高におきまして東京銀行は輸出において全体の二八%くらい、輸入においてこの月は特に減つておりますが一五%くらいといつたのが、九月は同じく輸出が二七%、輸入が一六%といつた数字になつておりまして、大体まあ取扱い高におきましては、輸入も輸出も圧倒的に第一位を占めておるわけであります。 次に、それでは今後東京銀行が為替専門銀行として引続きやつて行く場合に、どういつた問題があるかという問題でございまするが、外貨資金の問題とそれに対応する円貨の資金の問題、又外国店舗をどうするかといつた問題を今後の問題として簡単に申上げて御参考に供したいと思います。 その中、外貨資金の問題であります。これは八月一日に為替専門銀行に切り換えまして一カ月目の九月一日に正式に大蔵大臣勘定、いわゆるモフ勘定といつた政府所有外貨の預託を正式に受けました。その当時までは政府外貨は主として英米その他の外国銀行に大部分を預託してあつて、それ以外極く少額を日本の為替銀行に日本からの輸入信用状発行と同時に、そういつた外貨で所要資金が具体的にはつきりしたときに、その都度ケースケース預託をされておつたわけであります。それを一般的に九月一日から東京銀行に外貨預託が実行になつたわけであります。従業ほその都度主義で一類、二類、三類と申しまして、例えば輸出物資の海外における引取資金一類、それから証券投資二類、それから本邦側輸入の現地貸付金、それが三類、こういつた使途別で、その都度そのケースケースで預託を受けておつたのでありまするが、東京銀行に限り外国銀行並みに九月一日から預入れを受けたわけであります。で、最初に受けました米貨が千六百九十四万ドル、それから英貨が九十九万ポンドでございます。これが九月末には東銀の外貨による利用、運用もだんだん大きくなりましたので、そういつたこともありまして、九月末にはドルでもつて二千五百二十五万ドル、それから英貨でもつて四百七万ポンドといつた数字に相成つております。十月末には大体米貨で二千四百万ドル、英貨のほうが少し殖えまして約四百三十万ポンドくらいになつております。 なお、私どもといたしましては、将来の方向として、又最初に申しました貿易なり為替の自由化に備えまして、政府並びに日本銀行の所有する外貨はすべて為替専門銀行にだんだんと預託替えして頂きたい。預託を受けておりますと、英国でも米国でもそれぞれ運用益が入るわけであります。それを従来は主として外国銀行が運用益を収めておつたのを、今後は本邦の外貨資金運用の機動化、効率化を図ると共に、運用益を日本の側に確保し、且つ発足いたしました外国為替銀行の対外信用力を英国市場、米国市場その他の海外市場において増強せしめるということも配慮して頂いて、だんだんそういつたことにして頂きたいと考えておる次第であります。又国庫代理店といつた海外の制度でございまするが、戦争以前はロンドン、ニューヨークが国庫の支払元になつておりましたので、そういつた日本銀行国庫代理店の関係が大きかつたのでありまするが、最近では国庫代理店と申しましても、外地における領事の査証料の収入とか出生証明書の手数料とかいつた程度のものしかございませんのでありますが、これも将来は昔のようにいわば外貨における国庫支払いといつたものが制度上できることを希望したいのであります。で、この問題につきましては、この国会でもたびたび論議があつたように記憶いたしておるのでありまするが、外国為替銀行が法制定されるに至りました直接の理由は、本邦の為替銀行が、岡内では別といたしまして、海外ではいずれも信用力も大してない、いわばどんぐりの背比べであつて、国内ではむやみに国内の為替競争といたしておりまするが、海外に対しては単に有利と思われる所だけに支店を出して、それから手数の余りかからないような仕事だけに狂奔するといつた、まあ悪い意味の自由競争の弊がありまして、而もその数は甲種為替銀行十二行、乙種が二十行といつたような甚だしく多い銀行が、ただ国内でのどんぐり競争をしておつて、海外では甚だ貧弱だといつたのを、これを国際的水準にまで達するような為替銀行を作つて行く、そうして経済上劣勢国である日本が、国際競争市場においてひけをとらないようにやつて行かなければならないといつたようなことで、為替専門銀行の問題も国会の御理解、政府の御尽力ということで実現したわけであります。従いまして私ども、東京銀行といたしましても、国内における為替吸収競争などには大して血道を挙げて競争するといつたことよりか、日本の普通の為替銀行がやり得ない、又でき得ないような地域に、主として海外サイドでありますが、人的にも資本力としても強力に発展いたしまして、海外サイドから日本の貿易の拡大とか日本経済の発展のために協力したい。そのためには例えば現在でも儲かつておりますロンドン、ニューヨーク或いはカルカツタ、ボンベイといつたような所だけでなしに、日本の貿易上必要ならば、例えばアフリカのモンバサとか或いは南米或いはメキシコといつたような地域にも支店を出しまして、外側から日本の貿易や為替のために寄与したいといつたような方針に努力いたしておりますので、こういつた点から申しましても、そういつた構造上の問題以外に、外貨の預託といつた問題を重点的に為替専門銀行に預託し、以て英米その他の市場における信用力をつけ、将来何かの場合に日本の外貨が枯渇したときには、逆にその信用力にものをいわせ、又日本の為替手形をできるだけ質ぐさとして、ロンドン市場、ニユーヨーク市場で外貨の金融を図る、いわばこちら側が借入れて行くといつたようなことに努力をし、そういつたことができるようなふうに、一つできるだけ持つて行き、又行かして頂きたいというふうに考えておるわけであります。多少手前味噌の感もありますけれども、為替専門銀行というのは海外に支店網を持ち、又練達の人材を擁して、これが運用能力を、外貨の運用能力を持つておりますと共に、外国為替銀行法の条文からしましても政府は為専の、為替銀行の人的構成、特にその経営陣については強発言権を持つ建前になつておりまして、必要とあらば、銀行の監理官を置くことも考えられるのでありまして、政府並びに中央銀行当局は外国為替専門銀行の経営自体に強い発言権と監督権とを確立しておるのでありますから、こうした監督の強化があるかろいつたことも実行されたわけでありますが、政府としても一層に一方では慎重に厳重に指導監督を行うと共に、外貨預託の重点的な預け替えといつた問題を実現して頂きまして、従年の正金銀行が海外市場で活躍し、国の、外貨の運用上非常な益を日本のために挙げておつたといつたようなことにして頂きたいものと熱望する次第でもります。 次に円資金の問題であります。預金獲得のために最も重要な要素でありますところの国内の支店網を二十一店舗を減じましたことと、それから外国為替専門銀行法に基きまして、純粋に国内的性格の貸出しにつきましては、将来だんだん少くして行く制限を加えて行くといつたようなことになつておりますので、預金の吸収につきましては、大きなブレーキがかかつたことは申すまでもありません。先ほど申しましたように、譲渡改相当時に預金が減つたほかに、いわば預金を殖やし得る点について制約を受けた点もあるわけでございまして、現在の二十四店舗による八月一日の預金残高は四百八十億円でありまするが、このうちいろいろな必要な預け金、現金といつたものを、まあ普通、銀行の常識からいつて、別途いたしますと、ネツト稼働資金量は大体三百五、六十億円ぐらいでありまするが、その預金資金に対しまして、前期四月から九月までの実績によりますると、どういつたほうに資金が使われておつて、貸出がどういう平均残高になつておるかと申しますと、輸出関係資金で以て百二十億ばかし、それから輸入関係資金で以て二百二十億ばかし、それから国内関係の貸出が二百九十億、それからその他に為替運用資金といつたものがございまして、大体前期中平均の貸出資金が約七百二十億といつたくらいの必要を示しております。それから前期の通り現金その他必要資金を差引いた稼働資金三百五十億円といつたものの差額三百六十億円というものは他の銀行からの預り金乃至日本銀行からの借入金といつた勘定となつております。ただ、前期は政府の輸入引締め方針、それから当行自身の切替その他による自制或いは業務の制限というものがございましたので、為替取扱量は大して変つておりませんが貸出その他につきましてはいろいろな意味で消極的にならざるを得なかつたわけでございまして、将来につきましては、実績以上に為替関係、貿易関係資金が必要になつて来るという次第でありまして、当行といたしましては、折角に使命を帯びて外国為替銀行となりました以上、終極的には日本の為替取扱量の全国の四〇%ぐらいを確保しなければ、当行自身の採算というよりも、むしろ将来各国の為替が漸く自由化に向わんとする折から、日本の為替政策その他に応じて日本の円を中心にして円為替市場をリードするに足る実力を持ち得ないということに相成りまするので、少くとも全体の四割程度を目標にして実現を図つて行きたいと考えておる次第でありまして、こういう目標の下に我々としましては差当りの実行目標として現在の二七、八%の輸出を三五%ぐらい、それから一六、七%でありまする輸入のほうを大体三〇%ぐらいの計画を立てて、あらゆる努力を傾けて行きたいと思つております。又すでにそういつた方向で努力しておるのでありますが、輸出のほうの三五%は、これは御承知の通り比較的円資金が要らないで為替が吸収できますので、これも実は併し東京銀行へ来るのは中小以下——大商社、中商社、小商社、特に中商社は殆んど全部当銀行へ来るわけであります。これには手数がかかつてうまみが少いという点もあるわけでありまして、他の銀行にはまとまつた大きいのが行くといつた事情もあるのでありますが、輸出について差当りの目標三五%を実現するのは大した困難なくてできると思つておるのでありまするが、輸人のほうは輸入資金について、はね返りの円資金又それに続く国内の清算資金、円資金が必要になつて来まするので、輸入のほうは他銀行との関係もあつて、円資金を他銀行に押付けて為替だけとるといつたのもなかなかむずかしいわけでありまするが、私どもといたしましては外貨表示期間後せいぜいニカ月乃至ニカ月半くらいの円貨を面倒を見る、あとは純国内資金として自己資金又は他の資金でやつて頂くといつたようなことで、引続きやつて行きたいと思つておるのでありまするが、併しそのニカ月乃至ニカ月半の引取資金その他はね返り資金を調達するにつきましても、資金の必要は甚だ重要なんでありまするが、併し最初申しましたように、預金の一番重要な要素でありまする国内支店を半減いたしまして、それも主として貿易や為替のサービスのために貿易地にのみ支店が残りました関係上、ネツト預金を吸収する支店網を失つたという点から、なかなか自己資金を作るのはむずかしいわけでありまするので、円資金の調達については甚だ頭を悩ましておるわけでございます。その後、大蔵当局並びに日本銀行とも折衝をいたしまして、極力円滑に貿易資金の中の円資金について御配慮を願いたいということで、目下まだ折衝中であります。この問題につきましては、外国為替銀行法の成立過程におきましても、いろいろと国会でも論議になりましたような次第でありまして、為専法成立当初から予想せられました難点でありまして、衆議院のほうは、附帯決議といたしまして為替専門銀行については、外貨資金の重点的預託並びに低利の円資金を供給しろという附帯決議が付きましたわけで、外貨資金につきましては、先ほど御説明いたしましたように、すでに制度ができまして徐々に必要に応じて重点的に預託が実行中であります。円資金につきましては窓口が単に大蔵省でなくて日本銀行といつた関係でございまして、日銀当局の態度は頗る協調的理解をしておられるのでありまするが、未だはつきりとした制度化をしていないという実情でありまするが、貿易発展のために、この問題を順調に実行して行きたいというふうに考えております。 それからその次に海外支店の問題であります。現在海外の支店は先ほど申上げましたようにニユーヨーク、ロンドン、カラチ、カルカツタ、ボンベイ、香港の六支店でございます。そのほかに加州東銀のサンフランシスコ、ロスアンジエルスの八店舗でありますが、九月末決算におきまして、このうちニユーヨーク、ロンドン、カルカツタそれから香港それとロスアンジエルスが漸く黒字を出しました。その他カラチ、ボンベイ、カルホルニアのサンフランシスコといつたものは、かなり大きな赤字でございまするが、合せまして総合的には約円にしまして二百万円ばかしの黒字になつておる。ただ御承知の通り海外各地も英国のごときは約六割の法人税、事業税、アメリカでやはり利益の中から四割八分ばかし税金がとられるわけでございまして、できるだけ海外の利益は日本のために先ほど申上げましたように犠牲的に日本の貿易拡大のために必要な要地に支店を開いて行きたいというふうに考えております。この八店舗のほかに来たる十二月一日からハンブルグ支店を開設いたす予定になつて、日本の大蔵省は勿論でありまするが、西独当局から開設許可を頂いております。その次にアフリカ及び中近東との貿易促進をもかねまして、エジプトのアレキサンドリアに来年早々支店を開設すべく只今のところ駐在員を派遣して事務を始めておりまするが、早ければ来年の春開店の運びになるかと予定いたしております。なおこのほか現在日本と貿易関係の深い各地区に駐在員を設置しておりまするのは、駐在員、事務所がありまする地域は、フイリピンのマニラ、それからタイのバンコツク、ビルマのラングーン、南米でブラジルのリオデジヤネイロ、アルゼンチンのブエノスアイレス、それからシンガポールの六カ所でありまして、今ちよつと欠員になつておりますのはスイスのチユーリツヒ、そういつた七カ所に駐在員の設置をいたしておりまするが、近くカナダのトロントに先方の了解を得まして事務所ができまして、駐在員事務所が開設することになつて、駐在員が近く出発することに相成つております。更に将来の計画といたしましては、これ又日本の貿易拡大に資するという見地と、できればロンドン資金、ニユーヨーク資金をそのうちで以て日本のために有利に運用できるといつたような点と、それからできれば日本の商社が将来続いてこの地で貿易ができるように発展できるようなという配慮から、将来インドネシアのジヤカルタ、濠洲のシドニー、メキシコ等にも駐在員事務所乃至支店を開設すべく検討中でありまするが、これらの中にはその国の制度や戦後の民族主義的な傾向や、或いは賠償問題未解決等のために支店開設にまで至る見通しが極めて困難なものがございます。マニラはもうすでに長く駐在員がおるのでありますが、賠償問題の紆余曲折のために支店の開設までなかなか実現しおりません。又ジヤカルタ、スラバヤといつたインドネシアでは、政局が頗る不安定なのと非常なインフレーシヨンでなかなか手がつかない。又濠洲では正金時代にありましたが、海外支店の設置について頗る禁止的態度をとつておるので、これにも時間がかかるということに相成りまするので、そういつた計画や努力をいたしておりまするが、そういう事情から一挙に理想的な海外支店網を完成することはむずかしいのでありますが、何と申しましても海外支店網の確立は為替銀行の基礎工事でありまするほかに、最初申しましたように世界の経済や国際金融が自由化、流動化の方向に向いますると、この支店網があつて、業務のほか情報の迅速といつたことが実現することによりまして、貿易や為替が有利になつて来るといつた問題もございまするので、引続いて先ほども申上げましたような方針に基きまして、東京銀行の海外支店網の実現を期して行きたいと考えております。 海外支店の問題につきましては、外国為替銀行法が通過する過程におきまして、国会の論議におきましても、日本との貿易において重要な地域に而も外国為替専門銀行に優先的に支店を出させる。場合によれば必ずしも採算ベースによらなくても、日本の貿易拡大のために犠牲的に出させるといつたような御方針でもありまするので、一方で、先ほど申しましたように利益を挙げております海外支店の利益、そういつたものを見合いに立てまして、極力国策の線に沿つて海外支店を出して行きたい。そのためには一つの市場で日本の銀行が一つしか成立し得ない、そろばんが取れないといつたところには、引続き東京銀行を優先的に出して頂くということをお願いいたしまして、それらが大体現在御承知の通り満洲、中国が閉鎖されておりまするので、それ以外の地域で大体支店が十七、八駐在員事務所が六、七ということに相成りますると、この自由世界における世界資易に国際金融といつたことでほぼ他の英米の一流為替銀行と伍して、情報網でも或いは為替の操作の面でも遅れを取らない支店網が結成できて、海外の信用力或いは活動力といつたものが殆んど充実するのじやなかろうか、そういつた目標で現在折角努力中でございます。 以上為替専門銀行への改組の現況から海外支店問題に至りますまで、極く概略でございますが、大蔵委員会の委員各位の御参考になると思われます点、乃至従来問題でもあり、将来も又問題として残るといつた諸問題を一応取上げまして、現状を報告いたしましたのでございますが、これを要するに、為替専門銀行は去る八月に漸く呱々の声を上げて未だ三カ月でございまして、まだ乳呑児の段階にあるかと思うのであります。いろいろの問題や、又弱点をも持つて生れて参つたために、例えば赤ん坊で申しますると、生れた時が標準八百五十匁としますと、円資金の解決その他そういつた弱点を考え合わせますと、東京銀行為替専門銀行としての同銀は、誕生当時は先ず六百五十匁七百匁ぐらいで生れたのじやないかと思うのでありますが、この小さく生んだ子を大きく育てて行くといつたことが、銀行自身の問題としても、又日本の貿易立国を国是としている国是乃至国策に副うゆえんでもあるということから、今後の育成といつたもの、これを要するに筋はそれぞれ通つているわけでございまするし、と申しますのは、最初に申しました外貨資金の問題、又国庫代理店その他の問題、海外における優先的な支店設置そういつたものや、又円資金についても極力配慮するといつたような点から申しまして、筋は一応それぞれ通つているのでございますので、この諸事情から多少小さく生れた赤ん坊を極力日本の貿易のために大きく育てて行く。そのためにはミルクやその他相当な栄養を頂く必要があるわけだと思うのであります。為替専門銀行法がこの春国会に最初に上程されましたのはほかならない参議院の大蔵委員会が先議で、真先でありましたわけでございまして、いわば当委員会はこの外国為替銀行、東京銀行の生みの親と申してよろしいかと考える次第でございます。 なお最初にちよつと触れましたように世界経済或いは国際金融の態勢というものがヨーロツパで一部予想されたよりも多少先に延びるかと思いますが、いわば世界経済の本流として貿易の自由化、通貨為替の流動化といつたような大きな流れが流れておりますので、その間貿易為替における国際競争の上で日本が遅れを取らないための日本の国策を実行のために、この委員会が大きな留意を頂くことを私どもとしては希望いたしている次第でございます。すでに、去る八月一日切替発足以来、役職員以下三千人の行員が末端に至るまで新らしい決意と新らしい知恵とを持つてたゆまなと努力を重ね、今後もその努力を続けて行きたい。又特に世界経済の潮流に対して日本に遅れを取らせないためにそういつた努力をして行きたいというような考えでおりまするので、今後とも御理解と御同情と御支援をお願いしたいと思うのであります。 大臣もお見えになりましたから、簡単にこれで切上げて終らして頂きます。
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今東銀常務の堀江薫雄君から意見の開陳がありましたが、これに対しまして御質疑がありますればこの際お願いいたします。……別段なければ次に進みます。 —————————————
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今東銀常務の堀江薫雄君から意見の開陳がありましたが、これに対しまして御質疑がありますればこの際お願いいたします。……別段なければ次に進みます。
○委員長(西郷吉之助君) それでは大蔵大臣が御出席になりましたから、この際大蔵大臣より年末金融或いは証券取引所の争議の問題、又銀行スト等の問題がございましたので、これらの問題等につきまして大臣より御説明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 年末金 融対策につきましては目下いろいろ検討いたしておりまするが、大体次のような考えを持つておる次第でございます。 それは最初に指定預金の問題でありまするが、本年十月末日現在におきまする指定預金の残高及び十一月と十二月とに引揚期限の到来するものが大体合計いたしまして十月末の残高が六十二億一千三百万円、それから十一月の末に引揚予定額の分が十六億六千六百万、十二月も同様十六億六千六百万、まあ大体こういうふうになつておるのでありまするが、今年は非常に財政資金が撒布超過の見通し等もございまするので、従つていろいろな点からこの引揚げを延期することはどうかと思われるのでありますが、併し財政資金の撒布超過を受ける部分とそれから中小企業の金融とは必ずしも問題の面が一致していないことは御承知の通りでありまするので、大体におきまして私どもとしてはまあ引揚げは延期したいという考えを持つております。特に十二月期限の分につきましては、これも三カ月勿論延期するという考えでおりますが、十一月分につきましても大体そういうような方針で行きたいと思つておるのであります。なお、ときどき新規預託をしたらどうかという実はお話がこれは出るのでありまするが、只今申上げた通りに、現在の分は大体において期限を三カ月延長したいと、こう考えておりますが、次に新規預託のことは只今のところ実はその指定預金制度自体にもいろいろ問題筆もありまするので、かねがねそういつた点から漸減方針をとつても来ておりまするし、又最近の金融情勢から見まして、この際新たに追加預託を行うことはどうかと考えておりまするので、只今のところは新規預託のことは実は消極的に考えておるのであります。 それから国民金融公庫及び中小企業金融公庫等への資金手当でございますが、国民金融公庫が水害復旧資金として三億円の枠を設定しましたような関係もありまして、多少資金事情が圧迫されておりまするから、年末金融のために資金の増大することを考えますると、第四四半期分の枠を若干繰上げて使用することにしたらどうか、こういうことも考えておるのであります。中小企業金融公庫も実は国民金融公庫と同様にやはり水害復旧資金に三億円の枠を設定しましたので、これも同様なことが考えられまするので、こういつたこともやはり第四四半期にも繰上げて使用することにしたらどうか、かように考えておるのであります。 なお、商工組合中央金庫でありますが、商工組合中央金庫は年末にどうしても中小企業の運転資金が相当増加するものと考えられまするので、併しそれらの問題等もあつて、一応只今考えておりまするのは、融資の枠がこれは大体四十三億円現在でございますが、そのうちまだこれは中小別枠融資というものがあるのでありますが、そういつた中小別枠融資を総枠の範囲内で、この銀行の枠の一部を商中に振り替えるというようなことを考えてみたらどうか、一つそういつた措置を日本銀行に講じさしたらどうかということを、商工組合中央金庫については考えております。 それから下請中小企業への支払促進の問題、これは従来ともやつておりまするが、特に昨年と同様にこれは通牒を出しまして、又日本銀行が窓口指導をやることとして支払促進をやらしたい、一応かようなふうに考えておるのであります。 なお東京証券取引所のほうのストの問題は、これは皆様がたが御承知のごとくに最近妥結いたしまして、双方円満に話がつきましたから、これらのことは皆様御承知の通りでございます。いろいろああいつた事柄が、公共性を持つたもののストというようなことは誠に望ましくないことでありまして、こういつた事柄については今後とも十分かようなことのないよう政府側のほうでもまあいろいろ当局者に善処方を要望いたしておるのでありますが、こういうときに政府が立入つて実はどうこうするという法的権限も持つていなかつたので、あの当時は労使双方の話合いによる妥結を待つ次第でございました。譲歩して妥結してもらいたいというようなことで妥結を見た次第でありますが、幸いにこれらの良識ある解釈の下に話が進みましたので、大変結構に存じます。今後ともかような問題については、再発しては相成りませんので、いろいろ考えておる次第でございます。念のため申上げますと、ストライキそのものについてはこれは労働大臣が実はやつておりますので、私どものほうは証券取引の点からだけ証券取引所に対する要望をいたしておる次第でございます。 大体、私のほうからのお話は委員長、この程度にとどめさして頂きたいと思います。
○委員長(西郷吉之助君) それでは只今の大臣のお話に対して質疑がありましたら。
○豊田雅孝君 今、大臣のお話の指定預金に対して、十二月の分は特に延期する、十一月分も大体延期するというお話ですが、十月分の点がちよつとはつきりしなかつたのでありますが、その点を伺いたいと思いますのと、それからもう一点、商中の別枠を枠の範囲内において振り替えるというようなお話があつたようですが、これをもつと詳しく伺いたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。 十月分は大体四分の一ほど実は期限の来た分のうち引揚げまして、あと四分の三ほどはまだ延長してございます。 それから今の商工中金別枠の関係のことでありますが、これはまあ大体において余りどの銀行というふうにはちよつと申上げるのはどうかと思いますが、或る銀行ではその別枠をそれだけ使つていない、予定しておる分だけ使つていない分があります。従つてその分を金額としますと、ちよつと五、六億あろうと思いますが、その分を商工中金に振り向けるようにしたい、このように考えております。
○豊田雅孝君 これに関連いたしまして更に伺いたいと思いますのは、御承知のように外貨の収支が最近予想外に好転しておるわけでありますが、同時に十二月末の十一大銀行の預金増は三百五十八億、ところが貸出の純増は僅かに八十億にとどまつておるというようなわけでありまして、デフレ政策はデフレ政策としましても、市中銀行の金融引締めが余りにも行き過ぎになつておるというふうに考えられるのでありまして、又日銀政策委員の間におきましても、これは余りにも金融引締めじやないかという意見も起きておるように聞くのでありますが、特に私どもの心配しますのは、この年末もさることでありまするが、このままで参りますると来年の一—三月、要するに第四四半期には千五百億からの引揚超過が出て来るという点もありまして、かような実勢以上の金融引締めが行われるということで参ると、年末も勿論でありましようが、特に来年の二、三月などは非常に由々しいことが考えられるのであります。現に日銀政策委員の一部も非常にその点懸念しておるようでありまして、この点につきまして年末並びに来年の一—三月に対しまする金融についての大蔵大臣としてのお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 大体お話の通りの点もございまするので、実は十二月までのいわゆる第三四半期は非常な撒布超過でありますが、この点からの金融問題と併せて一—三月の分と関連して実は考えなければならんという点がございまするので、今実は検討いたしておりまするが、ちよつとここで的確に申上げるのはまたどうかと思つております。従いましてこの次の機会には、或いはもう少し早くでも申上げたいと思いますが、この頃例えば財政資金の撒布超過というものも当初政府が予期しておつたよりも非常に増加しおるのは、いろいろ貿易関係もさることながら、特に農産物などの関係か相当影響しておる。それでどの程度までこれが、例えば超過供出なら超過供出にどういうふうに影響するかという問題等も絡んでおりまするので、もう少し私どものほうが数字を検討した上で御返事申上げたいと思いますが、お話の点は私ども決してこの十二月までの第三四半期だけのことで対策を立てておるのじやなくて、一—三月も含めても十分考慮いたしておりまするから、この点数字的にもこの次の機会には申上げたいと存じております。
○豊田雅孝君 只今の大臣のお話了承いたしました。ただ何事か起きてから後に、まあそれはそのときに考えるというようなふうで行くことは、この年末から来年の一—三月にかけては非常に危険なように思われるのでありまして、その点一つ前以て十分に数字の実勢を御検討願いまして、速かに一つ実情に即した方針をはつきりお示し願うようにしたいと思つております。その点要望いたしておきます。 それからもう一つこれに関連いたしましてでありますが、中小企業関係は御承知のように何といつても合理化の基本線というものが組合組織に重点をおいて行かなければならない。この点は政府のほうにしましても域いは自由党の政策綱領にもはつきりしておるように思うのでありますが、ところがこれに対しまする専門的な金融機関になつておりまする商工中金に対しまする政府の出資というものが非常に少くなつておりまして、御承知のように民間の出資は十二億九千七百九十万円になつておりますが、政府の出資というものは僅か二百十万円というようなわけでありまして、又一面見返資金の優先出資がありますけれども、これも三億七千二百万円くらいに減つて来ております。これは年々次々返して行かんならんということになつておるのであります。従つてこの全体から見ますというと、民間出資は十二、三億、政府出資は二百十万円という誠にアンバランスになつておるのでありまして、商工中金のできました沿革なり、商工組合中央金庫法のそれ自体の建前が政府出資半分、民間出資半分、要するに半官半民というような出資構成になつておるわけなのでありますが、現状から見るというと、その法律の制定の沿革の趣旨なりから非常に変つて来ておると思うのであります。そういう点で、現在中小企業金融公庫のほうから商工中金に二十億が出ておるようでありますが、少くともそのうちの半分くらいのものはこの際政府出資とせられて、そうして民間のこの乏しい中から出しておりまする出資金とパーになるくらいには政府としてもお考えになることが、中小企業に熱を入れられ、特に中小企業の合理化が組合組織というものにあるということをお認めになる以上は、当然そうあつて然るべきじやないかというふうに考えるのでありますが、如何でございましようか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 御意見の点誠に御尤もな点もありますが、実は中小企業金融公庫ができまして、あれを作るときから多少商工中金に対する性格が変つておるように考えておることは、丁度農林中央金庫が農林漁業金融公庫ができてから農林中央金庫の性格が多少変つて来ておると同じように実は考えておつて、その点から、今お話の点と大蔵当局が考えておることとにまだ少し検討を要する点があるように思います。併しお話の趣意もよくわかりますから、なお十分一つ考えましよう。
○豊田雅孝君 この際特に重ねてお願いしておきたいと思いますのは、要するに法律というものは厳然として存在しておるのですね。にもかかわらずこれが中小企業金融公庫ができたときに民間金融機関になつたとかいつてみても、法律を変えたのなら別なんですけれども、法律というものは一面あるので、にもかかわらず一方に金融機関が、特別のものが出たから、法律が厳然としてあるにもかかわらずこれがどうだこうだという議論は、これは非常にまあ官庁独善といいますか、そういう弊が私は非常にはつきりしておると思います。その法律のある以上は、少くとも法律のあるらしい行き方をするということは私は当然だと思うのですがね。
○国務大臣(小笠原三九郎君) いや、よくわかりました。まあ何か今ここで銀行局長の意見を少し述べたらどうかと私は言つたのですが、併しよく御趣意はわかりますから……。ただし私は今あなたに対してだから率直にさつき答弁したのだが、そういうことで農林中金と農林漁業金融公庫のような工合に商工中金とつまりこの中小企業金融公庫ができたときに少し性格を区別したものですから、そんな関係で……、まあ私はあなたの言われる法律も残つているのだしという点も御尤もだと思いますから、もう一遍よく私も考えます。
○豊田雅孝君 どうぞその点をよく……。
○平林太一君 これは、この金融の問題ですが、根本的の問題であるので、一応銀行局長に数字を伺つておきたいと思いますが、この十一大銀行乃至十二大銀行といつておりますが、それから地方銀行、この二つになつておりますが、こう区別してですね。最近の銀行局長のお手許でできておりまする預金の総額ですね。これを一つ伺つておきたいと思います。大体でよろしいです。
○説明員(河野通一君) 速記をとめて頂きたいのですが……。
○委員長(西郷吉之助君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(西郷吉之助君) 速記を始めて下さい。
○平林太一君 預金が概算で二兆七千億と、私は今そういうふうに承知しました。そこで政府直接の機関として、具体的に申せば商工中金でありますとか、国民金融公庫であるとか、大きいのになりますと開発銀行でありますとか、そういうものがありますが、この総額は大体どのくらいになつておりましようか。全体の政府出資の金融関係の資金量ですね。
○説明員(河野通一君) これもはつきりした数字は今ちよつと計算いたしませんと申上げられませんが、大体開発銀行が五千億と思います。商工中金は豊田委員のお話もございましたが、純粋の政府機関と申すことができませんので、私どもが政府機関と申しておりますのは、あとは輸出入銀行、輸出入銀行は大体今の資金量が今度三十億を入れますから二百七十億くらいになる。それから国民金融公庫の資金量は大体四百億足らず、それから中小企業金融公庫の資金は二百五十億くらいではないかと思います。大体政府機関として私どもが考えておりますのは、そのほかに農林漁業金融公庫、その資金量がちよつとこれもはつきりとはあれしておりませんが、五百億くらい、非常に大ざつぱなあれでありますけれども、五百億くらいと思います。その合計で七千億くらいではないかと思います。
○平林太一君 そういたしますと、それで大体明らかになりましたが、そうすると、この通り鋭意国の経営をやつておりましても、今日我が国の財政の実態からいたしますれば七千億、できるだけこれは大蔵大臣も配慮せられてそういうことに相成つたので、その点よくわかるのでありますが、そこで庶民銀行に預金をいたしておりまする預金量というものが二兆七千億、ですからこれは非常に厖大なものです。それだからこの金融の問題については、政府機関による七千億円にのみ依存しておつては我が国金融の円滑化を図るという根本的な問題が解決ができないわけです。二兆七千億に対しては当然いわゆるオーバー・ローンをしておる、貸付超過である、こういうのですが、この貸付の内容というものを一つこの際検討して、そして二兆七千億がこのような我が国の金融の梗塞された状態に対して役に立つて行くように、具体的にそれぞれの処置を講ぜられて行かれるという方法がやはりそこに考えられるべきではないかと思う。それでなければとても金融問題というものは好転の見込みが立たないわけです。立たなければ一日々々ごとに国の経済が弱体化して行く、こういうことですから、何かそれに対して技術的に二兆七千億の預金というものの内容を御検討になれば、恐らくそのうちの一兆三、四千億、或いはもつと多いかも知れんのですが、そういうものが何か銀行の貸付形態の上に、預金を吸収して、その預金を貸付をするということが銀行の使命ですから、ところがそういうものと非常に隔絶した我が国の今日の金融資本の動態の中にそういうことが潜在している。だからそこへ何かメスを入れるという刺戟的なことは私は申上げませんが、何かしら大蔵省といたしましては整理して、そして今国が折角政府機関を作つて、金融制度の普遍化、金融の円滑化ということを図ろうとすることに対する具体的な方策が講ぜらるべきではないかと思う。差当り今年の年末資金というものは必ずしも十二月出なくてもいいわけです。一月に出る或いは二月に出る。本年の場合でありますれば昭和三十年の二月頃までに出るという見込が立てば、そうすればそれらの業者なり金融を必要とする人たちは年末資金が現金でなくても、これは取引上などにおいてはそれらの見通しがつけばそれによつて打開ができる、こういうことなのです。そこで大蔵大臣及び銀行局長両者の御意見を、甚だこれは何と言いますか、漠然としたことと言えば漠然としたことでありますが、その点につきましては微細な点についてよく熟知しておられるわけですから、一つそういう点の御意見を承わりたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 今平林さんが言われたことについてちよつと直接の御返事になるかどうかと思いますが、併し丁度お話の点の御理解を得るのにそれが一番いいじやないかと思う点を申上げたいと思います。 それは朝鮮事変の起つた昭和二十五年六月当時を顧みますと、日本の預金も一兆円以内であつて、貸出高もほんのまだ九千億ぐらいの程度でありまして、従つてオーバー・ローンというようなものもこれはほんの千億足らずのものでありました。これが、二十七年、二十八年、二十九年とだんだん増加しまして、例えばこれを貸出高で言えばいつのまにか一兆円を超え、二兆円を超え、今は二兆六、七千億円ぐらいの貸出高がある。それで今度オーバー・ローンで言うと、平林さんが言われるようにいつのまにか千億を超え、二千億、三千億を超え、更に四千億を超えてしまつた。それでこれでは困るからということが一つの金融引締めの大きなもとになつております。従つてオーバー・ローンというものはこの頃は三千五、六百億はありましよう。一時の四千二百億に比べればよほどよくなつておりますが、三カ年ばかりにおける金融のいわゆる貸出高の増加というものは少し実情に副わん点があつた。それがやはりオーバー・ローンという不健全な形にもなつて現われておる。従つて或る程度の金融の引締めが必要であるということは皆さんがすでにおつしやつた通りであります。私どもその線に沿つてやつておるわけであります。ただでき得れば資本の蓄積、預貯金の増加が最も望ましいのでありまして、この点は仮に戦前の比で申しますならば、恐らく仮に貨幣の価値を戦前の預金高と比較して申せば六兆円くらいなければいかんのです。六兆円くらいの預金がなければいかんのが、今まだ二兆六、七千億という程度でありますので、従つて何とか資本の蓄積、預貯金の増加を図りたいと考えており、従来から国会のほうでもいろいろ御協賛を下さいまして、先に預貯金の源泉課税というようなものを二割から一割に減じており、更に又長期のものを五分にしておるというようなこともありますが、或いはもう少しこれを何らかの方法で資本の蓄積ができて、まあ健全な姿に持つて参りたい、こういうふうに考えておりまするので、貸出に対する私どもの言葉で言うと、質についてもつと十分な考慮を払つてもらうように絶えず銀行側へも要望いたしておりますが、同時にこの不健全な姿であるオーバー・ローン解消に対する案もいろいろ相談をしなければならないし、又銀行自体も預貯金の増加によつてできるだけオーバー・ローンを避けるべきだと思つております。同時に又預貯金増加の一つの刺戟になるように何かいろいろな、例えば税制対策でも必要ならば、どういうことが最も効果的に行けるかということについて今実は相談をいたしておりまして、これらも具体案を得れば実は本国会にも出したいと思つております。 一例を挙げれば、例えばドイツで非常に資本蓄積の一つの方法としてやつたのは、源泉で、三カ年以上貯蓄すると所得から控除したのですね、それで相当のものがまとまつて、三カ年というと長い期間ですから、比較的これが事業資金その他のものに使われて、ドイツの銀行経営は比較的健全に行つておりますが、そういう点が非常に大きな働きをしておると思う。日本でもやはりよその国がやつて、そのよその国がやつていいことは取上げていいわけですから、こういうことも一つ考えたらどうかというので、三年にしたらいいか二年にしたらいいか、どの程度まで控除することにしたらいいかということ等を検討しておりますが、全般について金融政策をもう少し考えなければならん点が非常に多いことはお話の通りと思いまするから、まあお話の趣意もありまするし、私ども今後十分この点については案を得て皆様に御相談申上げたい、かように考えておる次第でございます。 直接のお答えにならなかつたかも知れませんが、一応今までのことをちよつと頭に描いて頂くのには幾らか御参考になるかと考えて申上げました。
○平林太一君 銀行局長からそれに対して技術的な見解がおありのことと思いますので、簡単にちよつと伺つておきたいと思います。
○説明員(河野通一君) 大臣からお話がありましたことで尽きておるのでありますが、金融機関における、殊に銀行におけるその使命の公共性ということが非常に従来から言われておりますが、最近において特にその点が強調されなければならん事態になつておることは今お話のありました通りであります。金融機関、殊に銀行の公共性という面は御案内のように両面にある。一方においては多数の預金者というものを抱えて、この預金者の保護ということを全うすることが銀行としての公けの使命を果す一つの大きな柱であることは申すまでもないことであります。それと共に集つて来た零細な預金を最も国民経済の上に有効に効率的にこれを運用して行くということが、銀行における公共性の第二の点であろうと思うのであります。この積極、消極と申しますか、或いは与信、受信と申しますか、そういつた両面の銀行の公共性ということを今後一層更に強めて行かなければならんと、かように私ども考えておるのであります。 只今平林委員から御指摘のありましたのは、主として今私が申上げました後者の問題についての公共性ということを更に強化すべきではないかというお話と承わつております。国民の非常に貴重な資金が銀行という一つの公けの機関に集まつて来るのでありますから、この資金が最も国民経済上有効に使われるということを確保いたしますために、いろいろな措置を従来から講じて参つておるのであります。ただ問題はそういつた資金の運用をできるだけ公けのものに活用いたして行きます方法として、或いは一部にはこれを効率的に何か金融統制と申しますか、ということを行なつたらどうかという意見も出ておるわけであります。戦争中におきまして御案内であると思いますが、臨時資金調整法という法律があつたのであります。これによりまして銀行の融資というものの相当部分がこの法律によつて効率的に規制をされて参つた例があるのであります。そういつたふうなことをこの際行うことが一体日本の経済全体の現状から見て適当であるかどうかという点については、これはよほど慎重に考えなければならん問題だと私は思うのでありますが、そういう法的な規制なり法的な強制を行うことの可否の問題は一応おくといたしましても、銀行の融資という、或いは資金の運用という面におきまして質的な考慮と申しますか、質的な重点化ということを特に今後強化いたして参らなければならんことは、これは仰せの通りであろうと思います。これらの点につきましては、現在そういう方向に考えておりますが、具体的には果してどの程度まで、又どういう形でそういう問題をこの際行なつて行くのがいいかという点につきまして、私からはつきりした結論を申上げる段階にまだ行つておりませんが、これらの問題を含めて現在鋭意研究を加えている段階である、かように御了承を得たいと思います。
○平林太一君 そこで私のほうで心配いたしていることは是非金融を引締めて預金を保護しなければならん。そうしてその預金を効率的に銀行が運営する、それが銀行の使命なわけでありますが、どうも現在の金融資本家としての銀行経営者の態度というものが、依然として頭の切換えができていない。実は今大蔵大臣のお話の通り六兆円くらいにこれはできるわけなんです。ところが六兆円の預金を吸収することができないということは、銀行のいわゆる金融資本家の銀行経営の実態が取上げられていないから六兆円ができない、こう私がこれは申上げても差支ない。そこでこの際二兆七千億円の預金に対する貸付の実態、内容というものが、先刻も申上げたのですが、長期に亘つて……、実は昭和四、五年頃だと思うが、これは昔のことを回顧することも一つの今後の参考となるのですから申上げまするが、殊に地方銀行がパニックで崩壊した実態を見ますと、第一に大口の貸付というものがみな銀行の頭取であるとか重役であるとか親戚であるとか、或いは頭取、重役を動かしてそうして資金を銀行から取得した。だから銀行が破算したときに全部わかりましたが、そのときわかつたものは、第一に大口の貸付金というものに対しては期限が無期限である、驚くべきことです。こういう世の中にはあり得ないことがあるから、それで破綻を来たすわけです。それからその貸付額が必ずしも担保を対象としない。いわゆる無担保で貸付けておる。それから担保で貸付けても、それは単なる形式である。つまり十の担保資格しかないものへ千、二千の資金を貸付けてある。それからその金利が全然取つてないというのですから驚くべきことなんです。そしてそれは皆何かいわゆる形式上は元金にそれが振り替えられて、そしてこの帳簿上のことは入れたことになつて実際は入れてない。そして元金には振替えられている。こういうことです。これが銀行パニックの行詰つた最後の最大原因であつたということは、当時のことを私はお調べになれば、あのときは地方銀行がたくさんありまして、小さい銀行ではありましたが、大銀行でもそうです。東京におきましても十五銀行であるとか神田銀行であるとか、そういうものが倒壊したときを調べれば皆わかる。その当時銀行の経営者が皆いわゆるこれを利用して、そしてそれを外に向つて融資していなかつた。預金というものは、少額の預金というものは、殊に庶民金融に対する銀行の何と申しますか、取立不可能になるということは殆んどパーセンテージはないと私は断定して差支えないと思う。いわんや長期に亘つて三年、五年、十年というのであるから、一つこの際私は十一大銀行を初め、全国の地方銀行の長期の少くも大口貸付けをしておるものを私はお調べになる必要があると思う。そうした結果出て来た表によつて私は銀行に対する今後の国の、銀行を運営して行くという面において一つの発見ができるのではないかと思う。 我々は無論共産主義的な金融行政というものは、私自身としては少くともそういうものは賛成いたしません。しませんが、共産主義であるとか非共産主義であるとかを問わず、要するに国民の福祉利益に貢献するということが国の政治としては最大眼目ですから、その場合におきましては、今日のような金融資本家の銀行を経営して行く態度からして、それが国の将来に対してこれが幸慶をもたらさないということでありますれば、一応銀行はいわゆる全部個人の、自身の企業を許さない。そして現在政府の機関でやつておりますようにこれは皆法律でやるということも考えられるわけです。速急にそれをいたすべきだということは、私は申上げるわけではないのですが、ものは相談ですから、それですからそういう事態に今日の我が国の金融資本家の態度というものはだんだん彼らみずからそういう線に追い込んで行くというような実態を今日呈しておる。そしてこの銀行というものが庶民怨嗟の中心になつておるということを、一つお考え願いたい。銀行があるということは、庶民は喜んでその銀行から受ける便宜というものを喜ばなくちやならん。又そのために預金というものをする。そして銀行を通じてそれが有利に利用されて、例えば僅かの薄利の利率でも安心してそれを受けられる。ですから預金する人も借入れる人も銀行の存在というものを礼讃し、それから大いに顕彰しなくちやならない。それが今日は我が国の銀行ぐらい庶民から非常に恨まれているものはない。なぜかというと、庶民というものには銀行は全然無縁の態度をとる。そして一部の少数なる階級にのみ銀行というものが利用されているというよりも、まあ寵愛されておる。これは私は政治論を申上げるわけですが、併しこういうことは長くそう続くべきものではない。必ず私は行き詰まると思います。このままにしておきますと……。それで現在の法人の銀行会社の頭取とか重役とかいうものは一応実際問題から言いますれば全部退陣せしめて、そして新しい考えを持つた人物を入替えるというようなことは一つの架空の理想としては考えられる。まあそういうことは私は申上げませんが、その点を私は大蔵大臣として、私は銀行局長として、この際転ばぬ先の杖、これは実に重大な問題だと思つておるのです。それを一つお考えになつて頂きたい。だからそういうことはうすうす一つお考えになつているじやないか、お考え中ということよりもそういうことを心配なさつておられると思う。ですからそういうことに対してどういうふうに、これでは困つたものだと、そういうことだけは御同感が得られると思う、困つたものだと。これでいいんだと、これで野放しにしておけばいいんだというふうにはお考えにならんと思う。それは別に私は異議を申しません。それに対してどういう処置をするとか、庶民に愛される、庶民に寵愛される、国家の背景となつて、預金者としては、他の金融機関がつぶれたのと違つて銀行がつぶれるときは国家がこれを保証するということだから、皆預金者というものはそういう極めて最後的な安心感を持つて一応銀行は許しておるわけです。併し庶民金融というものにこのくらい冷淡な今日の我が国の金融資本の態度というものはあり得ない。今日私は明治以来、明治以来のこと、大正、そういうことはちよつと古い我々のほうだけの話になりますが、併し当時の銀行というものは皆人を対象として金を貸付けたものです。それですから始終取引をしておつて、いわゆるまじめなこれは商人だ、まじめな中小企業者だと思えば担保を取らずしてどしどし貸付けて、そして金が返つて来る。そしてそのようにして日本の産業を飛躍せしめたことの最大原因です。ところが今日の銀行家はそういう熱意がない。人を見るというところの熱意と、それからそれだけの力がないといいますか、それですからこれは銀行家の技術の問題ですが、そして貸付けるときはいわゆる大口の貸付を、この銀行外の取引によつて、それをそういうものによつて貸付ける。或いは重役の関係によつて貸付ける大口に。ですからこれは事によると実際は形式上そうなつておつても無利息であり無期限であり、無担保である。これが二兆七千億のうちには、私の予感といたしましてはどうしても二兆七千億のうちのその五〇%、六〇%といたしますると、少くとも一兆五、六千億円がそれになつておるわけです。だからこの一兆六千億をこれが運転されるようになつて、そしてこれが庶民金融に役立つということになれば、これは国家がこのように国家直接のことによつてやらなくても、どのくらいこれは我が国の経済を一朝にして明るくして行くと、こういうことにこれは極めて簡単です、なれるわけです。それを放置しておくということは、私は大蔵省といたしましては、殊に大蔵大臣は行政的な見地に立つて、やはり何といいますか、時にはただ従来の惰性でない。これによつて自分の在職中にこの問題を根本的に解決しようということで、まあ一つ徳を万世に残してもらいたいと思う。そういうことを私は非常に切々として考えるわけです。 まあそういうことについて一つ具体的に全部一度にやるというわけには行かないが、そういう方向による金融打開の途、差当り百のうちの一でいいですから、今年の冬にはそのうちの一つを取れば、それが大きな役に立つわけですから、そういうことで、全体的な、今申上げた問題に対して、一つ御経綸を是非承わりたい。かように思うのです。私の意見は極めて温厚篤実なわけです。(笑声)
○国務大臣(小笠原三九郎君) 銀行経営というものが、その公共性を持つておるだけに、一般国民のため、又同時に国民経済発展のためでなければならんことは、これはお話の通りと思います。銀行業者が今日私どもが、これはちよつと御意見が違うかも知れませんが、率直に言つて、金融業に携わつておる人々は、いずれも知識の程度においても人格の程度においても、割合に立派な人が上のほうに余計携わつておることは、これは社会的に見て事実だと考えるけれども、多少今お話のような大口に対する貸付もあることはあると思いますが、ただ、お話のごとくに、利息も入らん金が半分を占めておるということは、これは事実はございません。これは銀行の信用のためにさようなことはないと申上げるほかないと思います。なお厳重に私どものほうでも行政指導をやつておるのでありまして、この点については、検査その他のほかの行政指導を絶えずいたしておりまするから、今御期待通りのことには行かんと思いますが、金融業者としての使命を十分に果さしめるようにいたしておりますが、併し、なお足らざる点は今後とも努力いたします。 実は今日は私ちよつと渉外関係でやむを得ぬ用事があつたんでありますが、年末金融のことで今日でないと困るということで参つたので、三十分ほど、私、時間をよそに借りておるのです。そこで、甚だ勝手ですが、お急ぎのことでなければ次の委員会で種々申上げることにしておいて、一言だけ申上げておきたいのは、実は中小の金につきましてのお話でございますが、現在どれくらい貸しておるのかということを申上げると、今のようなお話に対する御参考になると思う。それは、普通銀行で貸しておりまするのが六千六百十八億、本年六月末で残高があります。更に商工中金、相互銀行、信用組合中央金庫、中小金融公庫、国民公庫、これを合計いたしまして五千七百六十八億貸しておりまするので、六月末現在で中小企業に貸しておる金が、丁度、一兆二千四百六億、こういうことになつております。これを前年の同期に比べますと、大体千九百九十一億貸出が増加しております。こういう次第でございまして、足らん点はあろうかと思いまするが、これは御必要に応じて表を差上げても結構でございますが、そんなような工合になつて、平林さんの御指摘のような点もあるが、漸次よくなりつつあることもこれは事実です。従つて、金融業者にこの上ともお話のような公共的使命を十分に果してもらえるように努力はいたしまするが、又これは金融業者もそれに従つてやつてくれると信じておりますけれども、行政指導等、これは十分怠りなく私どものほうでやつて参りたいと考えております。
○平林太一君 そうすると、今の大蔵大臣の話の七千億円が中小企業者に何しておる。それから他の五千億円内外で一兆一千億円、こういうのですが、二兆七千億円の預金に対して一兆一千億円、こういうわけですが、この問題に対してはおのずから議論がありまするが、その点、私といたしましては少な過ぎる、こういうことを申上げておきます。それ以上は申上げません。それから今お話の七千億円内外を中小企業に利用されたいと、こうおつしやるが、それは実際には中小企業というものに対しての貸付というものは遥かに少いものである、七千億円のうちの……。それは今の日本のいわゆる金融資本家が中小企業として貸付けてあるという大蔵省に報告をいたしておるところの対象というものは、実は中小企業ではない。実質は大体大企業であり大資本であります。それだから中小企業問題というものが起つて来るわけです。実際の問題からいたしますれば、それが七千億円乃至一兆億円が中小企業者に事実貸付けられておる。中小企業者というものに該当するものに貸付られておりますれば、国民金融公庫や中小企業金融公庫というものの必要はないわけです。事実が裏書きするわけですから……。それならば、一兆一千億円の貸付対象というものの、つまり最低貸付額というものをお調べになればよくわかるわけです。中小企業者というものは、二十万とか三十万とかというものを貸すことによつて、少くとも最高五十万です、そういう最高五十万以下という金が中小企業者の運転資金に入つて行くというならばこれは起死回生です。そういうことは見解の相違になるかもわかりませんが、実際の問題です。我々のほうが、その点については、大蔵大臣よりも血のしたたるような一歩実質に即したものを私どもは持つているわけです。これはあなたも代議士として選挙にお臨みになるから、よくそのことは御理解になられると思う。ところが今銀行が、今日のいわゆる日本の金融資本家が貸付けておるというその中小企業というものは、決してそうではないのであります、お調べになれば……。現に中小企業金融公庫ですら一件当り二百万円、これが中小企業金融公庫のことは毎回申上げているからこの際申上げません。これは中小企業金融公庫自身でやつていてすら一件に対して二百万円、それがいわんや今の銀行がやつておりまする七千億円というものの貸付内容というものは、調べたらこういうことはあり得ないのだ、世の中に……。こういうことは中小企業資金として考えるときはあり得ないのだということに思い当ることと思う、だから、それは一つ年末金融に当りましても、直接今日そういうことでおいでになられたんだから、それを今一つ御尽力になられて、そして年末金融に対する措置というものを、中小企業を初め、これは中小企業のみではありません、庶民金融、国民大衆の年末の打開を我が国金融行政の上において如何にすべきか、こういう幅の広いもので年末金融というものをお考えになつてもならわくちや困る。こういうことですね。それに対して、年末金融に対して、只今大蔵大臣もそのためにおいでになつたというのですから、御腹案のあることと思いますから、私以外の委員に御答弁になつたことは別といたしまして、私の質問に対しまして今一応一つこの年末の金融に対して詳しく話して頂きたい。こういうことに対して一つ御答弁を煩わしたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。政府がやることといたしましては、先ほどお答え申上げた通り、現在中小業者のために預託してあるこの指定預金、これをまあ大体において三カ月延期しようということと、それから商工中金が一番対象になつているが、これは中小企業者に対する貸付の別枠のうち五、六億は商工中金に振向ける分があるから、これを振向けるというようなこと、及び国民金融公庫、中小企業金融公庫等がそれぞれ風水害の復旧資金に三億ぐらいずつ使われておるので、こういつたものをそれぞれ第四四半期分を繰上使用するというようなことにいたしたいと考えております。 なお申すまでもなく第三四半期は非常に政府資金が散布超過になりますので、これが対策として、むしろ日本銀行に、例えば農林中金などに対しては売りオペレーシヨンで向つておるというような工合に、金融の調整等もいたしております。それから若し又普通銀行のことでありますれば、これは普通銀行が貸出すことに対しては、これはできるだけ中小企業者に貸出すように従来も言つておるし、あなたの数字でのお話もありますが、私どもは自分が得ておる数字に基いてかように考えており、又、事実、地方銀行等では中小企業以外には貸出先のない地方もあることは御承知の通りでありますので、そういつたことの一連の対策として、只今申上げたような措置を年末には講ずると、かように考えておる次第です。
○平林太一君 そうしますと、話はわかりましたが、これは私どもは常に何と言いますか、金融の根本的な、いわゆる大蔵大臣としては、事、金融に対しての問題については、少くとも国の百年の大計をお立てになつてもらわなくては困るのですから、そういうことを先刻来申上げておるわけでありますが、この際全国の市中銀行というものに対して、それぞれ機会がおありのことと思いますから、この庶民金融というものに対してどうしても頭の切換えというものをしなければならんということを、具体的に案を立ててお臨みになられることをこの際切に要望いたすわけですが、そういうことは、すればできるわけです。ところがやはり銀行は銀行として、大蔵省が指示しても、受けつ放しにしまして、そういうことをしないという憂いが多分にあることをもお考えにならなければならん。だから、よほどこの際は、年末に当つて、一つ庶民から今日まで不信に思われているのをこの際挽回しようと、挽回する方法というものはお前たち銀行当局者がよく考えればわかるじやないか、そうして今までとは違つて、銀行の庶民金融に対する態度が変つて来たのだよということを、全国民が……、そういうことは事実の問題で、特にこれは金の問題ですから一番わかる問題です。そういうことを是非一つやつて頂いて、当然みんなが金融の恩恵に浴して、そしてすくすくとおのおのの業務に安心して行かれるというような方法がおのずから講ぜられる。ひとりこれは中小企業だけではありません。農家にいたしましても、又俸給生活者にいたしましても、年末において生活資金として十万円か十五万円、少きは五万円、これを銀行から信用で借受けられる、或いは又俸給を担保に見越して借りられることができるとするならば、どんなにか年末というものが平和に年が越されるかと、こういうことです。これは諸外国の例は大蔵大臣のほうがよく御熟知と思いますが、一体、年表でありますとか、お盆であるとか、こういうときに、よく日本の金融業者は非常に平生と異らない態度をとつておりますが、そういうときこそ何か私は銀行自体として、安らかな正月を迎えることができる、安らかにお盆を迎えることができるという一つの金融的な処置を全体の庶民に与えるという、一つの銀行の非常な高い識見というものを持たなければならん。そういうものが日本の銀行家には全然ない。ですから、その点を何か御工夫があるのじやないかと思いますので、重ねて一つ大蔵大臣に……。これはまあ本当に突きつめた話ですから、そういうこともできることを放置しておくからできないのです。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 御意見の点もよく承わりました。政府はできるだけのことをいたしたいと存じております。
○委員長(西郷吉之助君) それでは、大蔵大臣は非常に急いでおられるようでありますから、この程度にいたしたいと思います。 —————————————
○委員長(西郷吉之助君) それでは次の問題に移ります。冒頭申上げました通り、協同組合による保険事業に関する法律案が前議会の末期に小林君から提出されて、その際提案理由の説明だけは聞いておりますが、政府の意向等は聞いておりませんので、この案は参議院の先議事項でもございますので、この際参考のために政府当局の意見を聞いておきたいと思います。
○説明員(河野通一君) 協同組合による保険事業に関しましては、数年前から実は政府部内においていろいろ研究をいたして参りましたのであります。昨年の初めでありましたか、一昨年の暮でありましたか、この問題に関連いたしまして、衆議院の各党の議員の方方から、一つのこれに対する法制化、立法化の法案が議員提出として提案されたのであります。この法案につきましては、私どもはいろいろな点で、率直に申上げまして賛成をいたしがたいということであつたのであります。爾来この法案を中心にいたしまして、従来から私どもいろいろ検討を加えておりました点を、衆議院のそういつた関係の議員の方々とも極く非公式にお打合せをいたして参つておつたのであります。そのうちにだんだん政府部内における考え方と衆議院の各議員方のお考えとが近寄つて参りまして、若干の問題、これも非常に重要な点ではありませんが、若干の問題を残して大体意見の、非公式ではありますけれども、近付きを見て参つたのであります。そういうふうな段階に参つておりましたところ、参議院におかれまして、たしか小林議員からであつたかと思いますが、これらの問題に対する法律案の御提案があつたのであります。この法律案の内容を拝見いたしますると、今申上げましたように、大体衆議院の関係と私どものほうと、通産省の中小企業庁も一緒に相談いたしたのでありますが、政府のほうと大体考え方が一致して参つておりますものと、内容においてほぼ同じようなものであるようである、ただ一二の点において、私どものほうとしてどうも、了承と申しますか、同意申上げることがむずかしい点があつたのであります。 率直に申上げますと、今提案になつて継続審査をされておりまする、あの法案につきましては、協同組合が引受をなし得る保険金額の最高限度につきまして、やや過大に過ぎると、あの法案につきましてはやや過大に過ぎると私どもは考えておるのであります。具体的に然らばどの程度の金額が適当であるかという点につきましては、いろいろ議論があると思いますが、私どもが行政当局としてこれらの問題に本格的にタッチをいたしまして、保険契約者の利益に対して万一にも損害を与えるといつたようなことのないように、十分にその保険業の堅実なる運営を確保いたして参りますためには、保険金額の点につきましては、少くとも当初の出発におきましては相当低い程度に押えて行くことが必要であろうと考えておるのであります。特に先般の北海道岩内における大火の結果を見ましても、これらの点について、保険事業というものが、特にこれは金融事業と同じように、或いは場合によつてはそれ以上に堅実なるベースにおいて運営されることが絶対必要であります。万が一にも保険契約者に対して契約通りの保険金が支払えないというような事態に立至つた場合における保険事業の信用を落すということの非常な大きな障害は、これはまさに私どもの想像を超えるものがあろうと思う。その意味から言いましても、この組合による保険事業というものが堅実に発展をいたして行きますためには、今申上げましたような点で十分に勿論そういう心配のないように、私どもも法案が成立いたしましたのちにおきましては、当然私どもの職責上の責任といたしまして、これらの事業が万が一にも破綻することのないようこ監督の責任を十分尽すのでありますが、その監督の責任を十分尽した上で、そうした問題の起らないように、やはり法律の制度というものもはつきりそこに堅実なベースに立つことが絶対に必要であろうというふうに考えておるのであります。 なお然らば、政府として、一体今出されておりまする法案について、政府提案という形ででも、政府は積極的にこれらの問題について提案をするだけの腹構えができておるかどうかという点についてでありますが、若し仮に政府が積極的にこれらの問題について法案を御提案申上げるということを仮に前提として考えました場合には、現在考えられておりますような内容の案で、果して政府としてこれが積極的に出すというところまで踏み切れるかという点につきましては、やや私は率直に申しまして、自信がないと申上げなければならんと思います。政府の提案によつてこの問題を御提案申上げるということに相成りまするならば、更に政府の中の関係当局とも十分に打合せを必要とするのではないかと、かように私は考えておりますことを率直に申上げたいと思います。
○委員長(西郷吉之助君) この際、中小企業庁のほうの何か御意見がありますか。
○説明員(秋山武夫君) 中小企業庁の振興部長であります。只今銀行局長からお話がございました通り、協同組合という形式で行われます関係から、私どものほうとしましても、前回の衆議院に出されましたもの並びに参議院に小林議員から出されましたものをそれぞれ検討をいたしまして、又保険事業の監督というような問題になりますれば、これは大蔵省の主管に属しますことでありますので、十分内部の連絡協議をいたしましたが、私どもは、実は協同組合という立場から、できるだけ中小企業者の利益になることを当然希望するわけでございます。果してその保険金の最高額が例えばもう少し高いほうが中小企業者の利益であるのか、或いは万一の危険という場合を考えればむしろ低くすべきじやないかという、二つの矛盾した意見の調整に悩みまして、結局大蔵省の意見に同調するということで、一応政府部内の態度は一致したわけでございます。只今最後に銀行局長からお話のございましたように、若しこれを政府提案の形で出すということになりますと、今までのような考え方、いずれかと言えば必ずしも判然としない考え方では進み得ないということになりますので、大分問題は我々としてもむずかしくなつて参るということになろうかと考えております。小林議員の御提案になりました法案は、その点が実は大蔵省としても疑問としてお考えになつておられるようでありまして、我々もまだはつきりこの点いずれの案がいいかということを、断定的なことを申上げられるまで、最後の腹をきめかねておるという状態でございます。その他の点につきましては、私どもは全面的に賛成の意を表します。
○豊田雅孝君 今お話のありました最高保険金額は、原案は幾らになつておつて、それから高いというふうに言われておるようでありますが、どの程度ならいいというふうにお考えになつておりますか。
○説明員(河野通一君) 私の承知いたしておりますところでは、たしか小林議員の御提案になつておりまする法案におきましては、資本金の最低限度が三百万円、それに対して保険金額の最高は、その十分の二と申しますと、つまり六十万円、それから自己資本金がだんだん殖えるに従つて最低の保険金額はだんだん上げて行つていいことになつておりますが、その最高は百五十万まで上げられる、こういうことに相成つております。それが衆議院の議員の各関係の方々が中心になつて御研究になりまして私どもに御相談のあつた案、これは最終決定までは実は至つておらなかつたのでございますが、大体お話合いができておりました当時は、最低の資本金はやはり三百万円、一件の保険金額の最高限度はその自己資本の十分の一、従つて自己資本が三百万円の場合、一番最低の場合におきましては、保険金額の最高は三十万円とい、うことに相成るわけであります。それからだんだん自己資本が殖えて来るに応じて最後にシユープリームとしてとつております数字としては、百五十万円という数字、この点は小林議員の御提案になつておりますものと変つておらないように私は承知いたしております。
○豊田雅孝君 それでは政府のほうで高いという判断をせられておるようでありますが、どれくらいならいいというふうに考えておられるのでありますか。高い、低いという判断をする以上、何か一応の基準を持つておられるのじやないかと思うのですが、それも併せて伺いたい。
○説明員(河野通一君) 保険事業における自己資本と申しますか、要するに保険の支払準備になりますものと保険の一件当りの金額との割合というものは、民間の保険会社等における事業におきましては、これは経験的に出て参ります。併しこれは圧倒的にその割合が違つておるのでありまして、その例を以て組合保険の場合に当てはめることは非常に困難であろうと思いますが、大体私は、今申上げました衆議院のほうでいろいろ議論をされておりまして、私ども一応その問題について意見を聞かれました当時、今申上げましたような大体最低の資本金の場合における最高の保険金額三十万円程度、つまり大体自己資本に対して一割程度の保険金額であれば先ずよいかというような感じでございます。併しこれはそれでもまだ、一件の金額が自己資本の十分の一ということでは、保険というものの危険は分散されますけれども、集中する度合ということも考えなければなりませんので、その点、自信があるかと言われますと、やはり個々の事業のやり方、或いはその運営の堅実なやり方といつたようなものを十分個々について判断いたしませんと、如何なる経営者、如何なる陣容によつてこの問題が扱われても、この程度であれば大丈夫ということは申しかねると私は思うのであります。ちよつと委員長、速記をおとめ願つて……。
○委員長(西郷吉之助君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(西郷吉之助君) 速記を始めて下さい。
○豊田雅孝君 小林案の保険金額六十万円にいたしましても、戦前の金にでもすれば千五百円になるかならんかというような金で、従つてそういう点じや六十万円くらいの保険金額でも、一体中小企業者が保険をやるという場合に、果してその程度のものでいいかどうか、非常に問題だろうと思うのですが、併し今お話のように保険金支払い能力というものがあるということになると、これは全国地区の組合をむしろ推奨せられるという気持になつておられるのかどうか。 それからもう一つの問題は、これは先ほど同僚議員からもいろいろお話がありましたように、一般金融関係を見ても、中小企業その他から、要するに中小産階級全体から金融機関は資金というものを吸上げるわけですが、それの大部分というものが大企業の方面に流れておる。そこに非常に非難が出て来るわけですね。又保険関係を見ても、保険会社に、この中小産階級以下の保険料というものは、これは非常なものだと思うのですが、その吸上げた保険料収入というものは、これは又大企業本位にのみ使われる。そういう点から来る非難、それが集積せられて、一つの抵抗となつて現われておるのが、中小企業の専門金融機関を作れとか、或いはもつと政府資金を導入せいとか、或いは又保険関係については保険協同組合を認めろとかいうような問題になつて来ておると思うのです。これは中小産階級の金を吸上げるが、それはもう皆大企業方面に流れて行くということに対する私は一つの抵抗の一般的な現われだと思います。従つて組合で保険をやる場合に、最高保険金額が低くなければならんということで行くならば、全国地区の組合で相当の出資をさせて、その代り最高保険金額というものは相当高いところにというか、或いは中小企業としてもそれだけの保険金額をもらえば一応後顧の憂いがないという程度の金額にするか、或いはさもなくば保険会社というものを中小企業資本によつてやることをお認めになるかどうか。又お認めになることが然るべきじやないか。これは実際この現在の資本主義下においていろいろ問題が出ておるわけですが、これをうまく収拾してゆく一つの途としても、大体中小関係から出ていつた資金というものは、大体において中小に戻つて来るというような仕組を考えなければ、もう中小関係はやつてゆけんというところへ来ておる、これはもうそのいい悪いは別として、厳然たる事実なんです。そういう点から考えれば、今言つたように、いろいろこの保険組合の問題があるならば、むしろ中小企業資本による新保険会社というものを認めるかどうか。そういう点について如何でございますか。
○説明員(河野通一君) 只今のところ、そういつたら新しい保険会社の設立を認めるという考えは持つておりません。ただ今御指摘のように、危険分散という観点から申しますと、できるだけ危険の分散される地域の広いほうがいいことは、損害保険におきましては当然であります。従いまして今度の北海道の岩内の例を見ましても、やはり業種別の全国組合、全国を地域とする組合の保険事業におきましては、割合その打撃は少かつたというような例もあるのであります。併しながらこの問題を考えます場合におきまして、私はやはり組合による保険事業という特質があるのでありますから、やはり組合保険という一つの基本的な筋に入り得るものであることが必要であろうと思うのであります。具体的に申上げますならば、これはいろいろ問題はありましようけれども、少くとも全国的な地域を区域といたしまする組合保険におきましては、やはり業種別と申しますか、同業者ということでお互いに組合的に結合いたしてゆくもの、そういつたものを大体対象といたしまする保険事業が大体全国を規模とするものとして考えられるものではないかという、ふうに思つております。従いまして、中小企業者というものを対象とする全国的な保険事業という種類のものにつきましては、組合保険という性格から見まして、果してそういうことが適当であろうかどうかにつきましては、私どもは、これは、よほどやはり慎重に検討を要するものではないかというふうに考えております。尤もこの問題につきましては、まだ中小企業庁とも相談をいたしておりませんので、まだはつきりとした結論として申上げるわけに参りませんか、私としては今そういうふうに考えております。
○豊田雅孝君 今の御答弁で、保険会社の中小企業資本によるものを認めないということになれば、これはいい悪いは別として、そういう考え方でゆくということになれば、この保険組合制度によつて中小企業者が保険をやろうという場合に、地区をどうするか、どうするかというような問題もありましようが、何とか折角認める以上は、中小企業独自の保険制度らしい保険金額にするということでないと、子供瞞しみたいなものを作らして、そうして又ちよつとまとまつた火事でもあつたら大変だ、まあそうだからやめたほうがいいということに追込んでゆくのでは、作つておいて叩くというか、私は政治としてまずいと思うのです。この際保険会社を認めないならば認めないで、それに代るものとして、こうもすれば相当な作り甲斐のあるものになるのだという誘導的な行き方をするのが、私は当然じやないかというふうに考えるわけなのでして、そういう点についてお考えはどうでしようか。
○説明員(河野通一君) お話の点も十分考えて参りたいと思いますが、この点につきましては、私どもは、中小企業者のための金融機関が必要であるという問題と、中小企業者のための保険会社が必要であるという問題とは、おのずから分けて考えて参らなければならんと思うのであります。中小企業者のために、先ほど来平林委員からも縷々お叱りを受けたのでありますが……、に対して、例えば都市の大銀行等が金を貸すということをなかなかしないということは、仮に事実であるとするならば、これはやはりそういつたものを専門に扱うべき金融機関というものが必要になつて来る。勿論私は大銀行に対してもかねがね中小企業に対する融資ということに大いに努力しなければならんということをたびたび申して参つております。又今後もできるだけそういうふうに努力をさせるようにいたしたいと思うのでありますけれども、それにいたしましても、やはり十分に手が廻らんということになれば、中小企業専門の金融機関というものが必要になつて来る、例えば相互銀行であるとか信用金庫或いは政府の金融機関であるとか、そういうものが必要になつて来ると思うのであります。併しながら、まあ保険におきましても、生命保険と損害保険と違いますが、損害保険におきましては、中小企業であるから保険会社がその保険の扱いをいたさないということは、私はないと思います。若し仮にそういうことに対して損害保険会社が中小企業の物件については保険をとらないというようなことが仮にあるとすれば、これは今お話のようなことも考えなければならんかと思うのでありますが、私はまずそういうことはないと考えております。現に現在の民間の保険会社の火災保険の普通物件における平均の保険金額は五十万円であります。五十万円ということは、五十万円以下のものも相当あるということであります。そういつたことから考えまして、私は三十万円という金額は決して高い金額とは思いませんけれども、そういう点から考えて、必ずしもそう問題にならんほど低い金額とは私は考えておりません。併しここに問題があるとすれば、やはり民間の保険会社の保険料が高いじやないかという問題があると思うのであります。民間の保険会社の損害保険料が高いということは私も認めます。現に数年前からすでに数回に亘つて引下げを行なつて参りました。これからも来年の初めにかけて更に引下げを行わせるつもりで、現在具体的に作業をいたさせておりますが、そういうことで、保険の料率の引下げについては今後も努力いたします。併しそれにいたしましても、現在やはり保険料が高過ぎるという議論が出て参つております。中小企業者に対してはもつと安い保険料で保険の便益を得られるような施設がなくてはいけないという議論として、この問題が出て参つておることは、これは私もよく承知いたしておるのであります。その限りにおきまして、できるだけ保険会社の保険料も下げるようにいたしますけれども、他面において、この組合保険における保険料というものが余りにこれを低くして行きますことは、先ほども申上げましたように、又損害保険としての保険の填補について不安を起す虞れが又一方にも起つて来る。それは両方極端に物を考えては勿論いけないのでありますが、それらの問題も併せて考え、保険の事業としての堅実性を維持しながら、その範囲内においてできるだけ保険料を下げるというふうな努力がなされることが必要だろうと思うのであります。中小企業等を対象とする組合保険の存在ということか私は否定さるべきものでないということは先ほど来申上げました通りでありますが、その問題につきましても、今申上げましたような観点からこの問題をお考え願いたいと思うのであります。結論から申上げますと、私どもといたしましてもできるだけ民間保険会社の保険料も下げますが、同時に組合保険におきまして保険料を低くすることのみに余りに急でありますると、却つて保険者としての責任を果すという点において、ややもすれば不安と申しますか、十分でないという問題を起しやすいという点もあるということも、両者相併せてこの問題を考えて参らなければならん、かように私は考えております。
○豊田雅孝君 今保険と金融機関というものはおのずから別だというようなお話でありましたが、そうして又保険会社で中小企業の保険を取らんということはないじやないかというお話、私は取らんどころではない、大いに取ろうと競争し抜いておるのであります。これはよく金融機関には貸出こそしないけれども中小企業の預金を狙つて狙つてしようがないのと同じことなんです。要するに中小企業界から金を吸いあげて行こう、これは大いに数も多いから吸いあげて行こうというのですが、蓄積せられた資金が中小企業にも健全な運用でなければならんであろうが、健全な範囲内においてバランスのとれた行き方をするような、良心的と申しますか、そういう行き方になつておるかどうか、そこに根本問題があるのです。先ほど来、私が保険協同組合制度というようなものを中小企業界から要望するその行き方というものは、これは要するに中小企業が自分らから出した資金というものは健全な範囲内においては自分らでやはり活用し得るようにしたいという一つの傾向の一連の現われなんです。そういう見地から考えてもらわんとこの問題は解決しないであろうということは、そこにあるのです。それで保険料の高いこともこれは甚だ怪しからんが、安くせんならんけれども、保険料を安くすることのほかに、中小企業、中小の階級から吸いあげた資金というものは、やはり健全な範囲内においてはこれを中小企業等のためにも活用して行こうという気持が具体的に現われるかどうか、それが非常に問題だと思います。これはやろうと思えば、例えば商工中金債の引受とかいうようなことで或る程度行けるでしよう。併しなかなか問題は解決しない。そういう面をやはり補うためには、保険組合制度なり或いはできれば中小企業信用保険会社を作つて、そうして自分らの保険料として蓄積したようなものはやはり健全にこれを活用して行く途をせめて作らなかつたならば、今のようにやり切れんという問題があるけれども、そこを一つ今後お考えになつて保険会社もお認めになるかどうか、或いは認めないとすとならば、保険組合制度というものが相当保険金額としても常識にある程度のものになる。それでなければ、第一、保険料も寄らんのですから、そうして又蓄積せられたものが健全に運用せられるような仕組を一つお考え願いたい。そうでないと却つてだんだん思想的というか、要するに経済的思想が悪化して、それでますます始末の悪い方向へ行く。だからむしろ余りここでいろいろ抑えるということは一文惜しみの百失いになる。私は正にそうだと思つて非常に心配しておるのです。ですからそういう意味で一つ今後これを本当に大事に至らんうちに善導、誘導して、目的を達成せられるようにしようというお考えで、できるだけのことを一つ考えようという方向で進んで頂きたい。
○杉山昌作君 現在組合でやつておるのは全国に一体どれくらいあるのか。その金額がどのくらいになつておるのか。大体のことはわかりますか。大体の数字でようございますが。
○説明員(秋山武夫君) 現在の協同組合法によります組合の形式で火災保険のみを目的として作られておる組合というものと、それから一般の協同組合の、いわゆる経済事業を営みながら、かたわら保険事業を営んでおるもの、この二色ございます。それから、そのかたわら保険事業を行なつておるものの中に、更に火災保険のみを、火災共済と称しておりますが、火災共済のみをやつておるものと、それから併せて生命共済的なものをやつておるものと、この二つがございます。
○杉山昌作君 内訳でなくて、その総体で何組合と言いますか、何事業と言いますか……。
○説明員(秋山武夫君) 只今申上げますのはいわゆる兼業ではございませんで、共済事業を専業として考えておるものを主として申上げます。組合の総数では現在十七、尤も現在と申しましてもこれはちよつと古いのでございますが、本年の一月三十一日の調べでございますから、やや古いのでございますが、この前、法案が問題になりましたときに調べましたもので、当時で組合数は十七ございまして、そのうち出資額で申しますといずれも大体が低いのでございますが、五十万円未満の出資額というのが十一組合ございます。それから組合員数で申しますと、やはり十一組合は三百人以上ということで、これは範囲は食い違つておりますが、たまたま同じ十一組合が三百人以上、即ち人数はまあ今回の法案の三百人というところと一致しているものが十一ある。併し同時に出資金で見ると、非常に低いという現状でございます。
○杉山昌作君 兼業でやつておるのはどれくらい、組合の数は。
○説明員(秋山武夫君) 兼業というのはちよつと調べがつきませんで、私ども数字を持つておりませんが、これは非常に広い範囲に亘つておると思います。つまり見舞金というようなものを出すという……。只今申上げましたのは、いわゆる共済掛金を徴する、性質から言えば、先ず保険に近いと思われるようなものを挙げたわけでございます。これが十七ございます。
○杉山昌作君 そこで私はちよつと、さつき銀行局長の話、初めの話だと、まだ研究中で積極的に政府のほうでは法案を出すまでの気持にならないというお話だつた。今のように単純な組合、十七ぐらいしかないと言つても、これは最近どんどんできて来ておる。それから兼業でやつているのが何組合あるかわからないという、これはいい加減な数があるのじやないかと思います。結局今の豊田さんのおつしやつたような金融という面もあるかも知れませんし或いは銀行局長のおつしやつた保険料が、営業保険料が高過ぎるという点もあるかも知れません。とにかく何らかの必要で自然発生的にできて来ておるのですね。この傾向はだんだん殖えるのじやないかと思います。そうしますと、それをいい案ができないということで延ばすということは、私は非常にいやな気がする。というのは、こういうふうな金融関係のものなんというものは、法律ができて事業ができるのじやない。事業のほうが必要に応じて先にできてしまう。一番いい例は、保全経済会を中心にしたあの金融機関、あれもどんどんできて来た。それを取締るいい方法がない。どの程度にやつたらいいかというふうに考えているうちにどんどんできてしまつて、ああいうふうな問題を起してしまうということになつて、この保険なんかも慎重に一番いい案をお考えになることは是非必要でもあるし、そうすべきものでありましようけれども、政府はなかなか積極的にまだやる段階ではないということを言つておる間に、保全経済的な金融機関に見るような現象が起きたらむしろ困るので、やはり先手を打つくらいの気持で、もつと積極的におやりになるというふうなことは如何ですか。
○委員長(西郷吉之助君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(西郷吉之助君) それでは速記を始めて下さい。 本日はこの程度にいたしまして散会いたします。明日は午前十時に開会いたします。 午後一時三十一分散会