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19回国会参議院1954/09/27

水産委員会 閉会後第14号

発言数
102
登壇者
8
会派数
4
開催日
1954/09/27

会議録

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 只今より水産委員会を開会いたします。  先ず初めに私から御報告申上げることがございます。それはビキニの水爆実験によつて被害をこうむりました第五福龍丸の無線長久保山愛吉君が、人類最初の水爆犠牲者として、去る二十三日逝去されましたことは、すでに皆様の御承知の通りでありますが、このことは我々日本国民として、又水産関係者として誠に痛恨に堪えないところでありまして、皆様と共に深く哀悼の意を表する次第でございます。  委員長といたしましては、委員会を代表いたしまして、二十四日取りあえず東京第一病院に弔問を申上げましたので、ここに御報告申上げておきます。  次に、本日委員会を開会いたしましたのは、今回の久保山君の死去によりまして、水爆実験に対する日本国民の考え方、並びに対米補償の問題に一転機を画することに相なつたと考えるのであります。即ちビキニ水域でいわゆる死の灰を浴びた二十三人の中の一人が遂に空しくなつたということは、我我日本国民に死の灰の恐怖を改めて深刻に認識させた次第でありまして、残り二十二人の運命を暗示しているばかりでなく、全国民に同様な恐怖を与えていることは言うまでもありません、又我々日本国民が不可欠の栄養源としている太平洋の水資源に対する重大な影響につきましても、事件発生以来七カ月を経過した今日、依然として水産物から強い放射能を発見することは、これ又国民の甚えられない寒心事と言わなければなりません。そこで我々といたしましては、久保山君の死という人類史上最初の悲しむべき出来事に直面して、政府としては如何なる心構えでこの問題に対処されるのであるか。もとより重大なる御決意かなければならないと思いますが、本日は政府側からその御決意のほどを伺いたいと思う次第であります。即ち政府としては水爆実験に対して今後どういう態度で臨まれるつもりであるか、その心構えを伺いたい。  次に、補償の問題についてはここで改めて、つまり新しい段階に立つて日本からの対米要求を再検討し、重大決意のもとに交渉を再開される必要があると考えるが、それらの点についての政府の御決意を伺いたいと思います。  次に第三には久保山君を初め、福龍丸の全犠牲者に対しての慰藉料と言いますか、見舞金と言いますか、それらについての日米間の交渉の経過並びに国内措置等、大体以上のような点について先ず政府側の御説明を求め、それに基いて質疑を行いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) それでは先ず安藤国務大臣から御説明を求めます。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 只今の委員会を代表しての委員長のお尋ねに対しまして、大体お答えいたします。又個個のことにつきましては、それぞれに担当しておりまする農林大臣、岡崎外務大臣も出席しますから、そのほうからお答え願います。  久保山愛吉君が遂に亡くなられましたことは、何とも言えない悲惨の極みであります。これは水爆の第一の犠牲者でありまして、政府といたしましても深甚の同情と関心を持つ次第であります。これに対しまして、只今御質問の慰藉料の交渉経過、或いは政府の態度ということについてお答えいたしますが、政府からアメリカに要求してありまする賠償の中に患者二十三人に対しまする慰藉料と申しますか、まあ生活保障費と言いますか、そういう性質のものは計上してあるのであります。今までの交渉の段階におきまして、それはアメリカとして大体了解をしておる次第であります。それでありますから、過日、まだアメリカとの折衝が終局まで参りませんから、そう待つているわけに行かないから、国内措置としまして患者一人に対して五十万円ずつ内払いを政府がすることを過日閣議で決定いたしまして、それを今実行中であります。ところが遂に何とか起死回生を期しておりました久保山君が死にましたので、これはそれだけの今まで見積つてアメリカに交渉をしていただけの慰藉料では到底済むまいと存じまして、久保山君の死と同時に更に閣議におきまして協議の結果閣議決定をいたしました。そしてそれぞれの手続きを経まして、久保山君に対しましては総額五百五十万円を至急給与することに決定をいたしました。これは又速かにしなければならんことでありますので、一昨日、久保山君の遺骸が焼津へ帰える前に非常の手続きをいたしまして、これを向うに手渡しを政府からいたしました。その慰藉料の問題はそういうわけであります。  それから第二の御質問の今後の対米要求という問題でありますが、これは政府としましてもまだ終局には行つておりませんが、今までの段階だけではいけないだろう、この際更に進んで幅の広い折衝をする必要があろうと存じます。政府としてはそういう考えでおりますが、どういう程度でどういうふうの過程を経てやるかといつたようなことにつきましては、現在関係閣僚の間で検討をいたしておる最中であります。但しこれに対しましてアメリカのほうの情報を電報等によつて見ますると、いろいろなことが伝わつて来ております。何か久保山君の死に対して日本人があまりヒステリツクになつているといつたような向うの様子もあるというようなことも向うの新聞等にも出ておる。で甚しきに至つては、今八十万ドルとか百万ドルとか九十万ドルとか言われているが、むしろこの際日本人は、アメリカとしては久保山の死んだことは実に気の毒である、併しむしろこの際今までの八十万ドルとか九十万ドルとか百万ドルとか言われているその額を減額する必要があるのではないかということすら言つているものもある、こういうようなことであります。併しながら更にその一面においては、この際アメリカ人がもつと認識を深くする必要があるだろうというようなことも又一面にはあるのであります。併しこれらは断片的な新聞電報でありますから、それらを一々とらえてすぐどうこうというわけには参りませんので、今外務省のほうからそれらに対する詳しい情報をとつております。で、まだこつちに達しておりません。いずれ達しますると早速それらを根拠とし、又参考としまして政府で検討をいたしたいと存じております。要するに私どもはアメリカの水爆に対する認識、水爆実験に対する認識、並びにこれから受けている日本人の被害、そのことが人類的の問題である、世界的の問題であるという立場に立つて認識をもつと深くしてもらいたいと私どもは考えております。政府もそう考えておる次第でありますけれども、只今申上げましたように、よく向うの情報を明らかにし、更にこちらでいろいろのことを考え併せまして、関係閣僚で慎重な検討を経て行きたい、こういう段階にありますからこれを御了承願います。  それからもう一つお尋ねのありました、水爆実験に対して今後どうするのかという、政府の態度はどうかということでありますが、これは今まででも質問が出ておりまして、私からもお答えいたしてありますが、まあこれはなかなかむずかしい問題であり、複雑な問題であり、又国際関係上微妙な関係のある問題であります。でありますからそう簡単には申上げられませんが、政府としましては、外交交渉の上において、今年はやらないというのでありますが、若し来年になつて更に水爆の実験をアメリカがやるというのであれば、第一に日本のほうに近くない所でやつてもらいたい、アメリカの領土でやつてもらいたいということを外務大臣を通じて外交交渉をしたい、こう考えております。それでありますが、それとてもいけないといつた場合におきまして、じやどうするかということになると、今ソ連のほうでも水爆実験をやつて、その灰が日本の北のほうに盛んに降つて来るというような状態であり、どうもそういう世界情勢の上から見てなかなか複雑なことであります。併し一面には、水爆実験ということが日本人ばかりじやない、如何なるところの人類に対しても被害が及んではならないのであります。けれども殊に日本がそういう被害を今まで受けているのだから、その日本の立場といたしましては、まあそういうことをよく向うにも認識してもらつて、成るべく向うの領土でやつてもらいたい。併しどうしてもいかんということになつた場合においては、先ず十分なる安全保障をしてもらいたいという考えであります。即ちどうしてもこつちのほうでやらなければ、太平洋の今までのような所でやらなければならんというならば、危険区域を厳重にして、更にその外側に安全区域とか何とかいうようなものもこしらえて、大丈夫だというふうにしてもらいたい。これは科学者が、しろうとじやわかりませんが、科学者が寄つてやれば、更にそういうよう慎重なこともできるのではないか思いますから、そういうふうにやつてもらいたい。併しそうやつた上にも、満々一被害が出るといつた場合におきましては、これらに対してはすべての損害補償はしてもらわなければならんということについて、まあこの三段階について、大きく言えば厳重なる対米交渉をして行きたいという政府の方針であります。併しこれも又閣内におきまして、よく慎重な検討をして、直ちにそれにかかりたいと思うのであります。委員会を代表せられての委員長のお尋ねに対しまして、大体お答えをいたします。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 保利農林大臣から何か補足して御説明を頂けますか……。じや御質疑がございましたら……。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今委員長から三点、まあ重要な点をしぼつて三点に集約して質問されたのに対して、安藤国務相からもそういうふうにお答えがあつたようでありますが、その中で国内措置として五十万円ぐらい一応内払いをするということを閣議で決定して、現在実行中であるというのでありますが、これは実際もうすでに手渡し済みであるかどうかというこの点を一点お伺いします。  更に久保山氏があのような不幸な結果に陥つたので、久保山氏に対しての、遺族に対する慰藉料ですか、総額五百五十万円というものをすでに一昨日遺族にお渡しになつた。この五百五十万円というのは、一体このことによつて死亡した場合においては、このような額をアメリカ側から補償として、こちらの日本政府としては取れるかどうか、取れないとしても、仮に五百五十万円というものはアメリカ側が幾ら払うかわからんけれども、仮にアメリカ側から取つた慰藉料が不足な場合においては、その差額というものは日本政府が、政府としてのこれは慰藉料として遺族にお払いになるつもりであるのかどうか。この点と、久保山氏と同様なことが我々は将来において起らないということを断定はできないと思います。不幸なことが起きないことを我我は念願するのは日本国民として当然なことでありますが、不幸にして同じようなことが仮に将来起きたとするならば、やはり久保山氏と同様な額をこうした遺族に対して慰藉料として支払わなければならないかどうか。そういうことを支払うつもりでおられるのかどうか。先ず第一点の慰藉料の問題について以上の点をお伺いします。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 農林大臣が出ておられますから、農林大臣からも答弁があるかも知れませんが、私時間の関係上大体お答えいたしておきます。五十万円の前渡し、内払い、内渡し金、これはすでに実行中であります。今やりつつある、それから久保山君に渡した五百五十万円、これはアメリカのは、アメリカの考えでは恐らく今まで日本から要求しておりまする慰藉料と言わずに、賠償額です、その項目の中で賄うのだろうと、こう考えているだろうと思います。アメリカは、併しそれはアメリカの考えなんで、日本としてはこれについては改めてここで要求をする考えなのでありますから、先ほど申上げましたように、それらの点については外交上の話ですから、そこでまあ関係閣僚がよく相談してやろうと、併し態度としてはそれは改めて要求したい、こういう考え。それからその見込みはどうだということなんですが、見込みといたしましては、今後にかかるのですから、何ともはつきりしたことは申上げられませんし、又アメリカ側の態度もよくわかりませんが、これは私はまあこう考えている。アメリカがアリソン大使を通じて、アメリカの本国でも井口大使に対して慰藉の言葉を述べ、又こつちでアメリカのアリソン大使が外務大臣の所へ来て、百万円を香典として出した。そんなことでまあ済ます気があるかないか知れませんが、そんなことでそれで済んでしまつたということには日本は応じられない。こう考えております。ですから改めて要求するつもりで、これはこちらも誠意を傾倒してやれば恐らくアメリカも承知するだろう、又承知させまるでにやりたいと思います。併し万々一行かん場合にはどうかというお尋ねがあつたが、それはそのときに国内でよく検討をいたしまして、遺憾なき処置を講ずるつもりであります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 この間から我々はこの損害の補償請求に際して、その内訳を発表をお願いしたのですが、安藤国務大臣からはその内容については十分なる御説明を承わらなかつた。我々もあえてそれをとことんまで追及しようとは思わなかつたのでありますが、そのときのお答えによるというと、向うからはとにかく八十万ドルなり、或いは百万ドルの掴み金で渡すだろう、その中においていわゆる直接損害と認められる、或いは慰藉料と認められるもの、或いは間接損害と認められるうちの当然払うべきもの、というようなものをまあ日本政府の十分なる慎重なる考えの下にそれを当然分割して払つて行くというふうにお答えを私は聞いているのでありますが、まあ、只今のお話によるというと、五百五十万円はこれはまあ当然今のところは内払いである、或いはアメリカ政府に対して新たなる段階の下に請求して、更にこれに対して答えを待つ、これは御尤もなことでありまして、そうすると、この大体アメリカ側に対して慰藉料その他の要求をしているという額というものは、日本のやはり公務員その他が止むを得ざる事情において不具になつた場合、或いは死亡した場合というのを一つの算定基礎にされているのか、それともアメリカ国内におけるところのいわゆるそうした公傷害におけるところの年金、或いは慰藉料というものを算定基礎として要求されているのですか。私はその基礎そのものに対してどれだけということを私は聞いているのじやありません。併し要求するに際していずれを一体根本として要求されておつたのですか。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) その五百五十万円の出所ですか、根拠ですか。

千田正無所属クラブ

○千田正君 ええ。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) それはアメリカのことのほうを根拠にしておるのでありませんので、国内の、日本のいろいろなそういう際いわゆる災害補償とかそういつたようなことのすべてのものを検討いたしまして、これに又患者がどれだけの収入があるか、その最高額というような点も考慮をし、それから今あの人たちは若いのですから、今後何年生きるか、何十年生きるかというようなことも算定いたしまして、これもまあ殆んど最高の段階で考えて、そうすればそれに対してどうと、そういつたようなことも算定に入れて、あらゆる算定を事務的に精細に検討考慮いたしまして、而もその上にそれはすべて最高のところであるのですが、最高と言いましても普通にないほどのこともそこに織込んであります。それのみならず、その上に精神的と言いますか、まあ精神的慰藉と言いますか、そういうようなことも含みまして、そうして日本でそれを算定して、死んだ久保山君に対して、五百五十万円と、こういうことにいたしたのであります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 ですからそれは大体了承しますが、久保山君と同じような状態に将来陥らないとはこれは限らない、これは不幸にしてそういう事態が生じた場合には、やはり同様の処置をとられる意向でありますか、どうですか。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 久保山君と同様のすべてのことがすべての条件が同様であれば勿論久保山さんに対してとつた手当を、処置をとるべきだと政府は思つております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 私の考えておるのは、久保山君は幸か不幸か、幸いと言うのは或いは言葉が過ぎるかも知れませんが、国立病院においてすべてのいわゆる科学の粋を集めた、日本医学の最高の技術をもつて治療したにもかかわらず亡くなられた。これは誠に遺憾なことでありましたが、更に残つた二十二名の人たちが一応病院から退院して多少でも歩けるようになつたとか、或いは仕事に従事するようになつた、そうしているうちに一年か二年の間に同じようなことのもとに、原因はいわゆる被爆における放射能の原因によつて不幸な事態が生じた場合はこれはどうなるか、この点はどういうふうに考えられますか。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) そういう細かい点、時間的に将来何年か経つてといつたような将来の点までは実はまだ細かく検討しておりません。併しながら政府とし、我々関係閣僚としての考えは、そういう場合にも余病が出てどうとかこうとか、或いは又別の原因によつてどうこうというような新らしい条件ができればこれは又別ですが、そうでなく、これが放射能の関係であるということがはつきりする場合には、臨機にそういう途を講じて行かなければならないと思つております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それじやもう一点は、先の五十万円というのは大体慰藉料を一応の基準を考えてその何割かぐらいを取りあえず国内において内払いした、こういうのですが、大体何割くらいに相当するのですか。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 慰藉料としてこちらが算定してアメリカのほうに要求してある額の内払いというか、これは何割ということを申上げてもいいのだが、それは一つ大体お察し願いたい。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それではいま一応考えることにしまして、この点については農林大臣、大体内払いその他の問題は所轄のいわゆる行政官庁として農林省が取扱うように聞いておりますが、これはすでに改められておるのですか、どうなんですか。これらの内払いの五十万円を出すことに閣議で了承された、それでこれの取扱いは厚生省とか或いは農林省とかいろいろあるようだけれども、一括して農林省が取りあえずそういう問題に対して事務的な処理をやられるというふうに私は伺つておりますが、この問題についてはすでに当人たちにお払い済みでありましようか、どうでしようか。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 先ほどから安藤大臣から御答弁のあつたように、それはもうお渡ししてあります。それと今お話にございますが、無論あの二十三人の中に妻子を抱えておられる家族持ちの方もおられるし、独身の方も非常に多い。併しその独身の方も家庭における責任の度合というものはそれぞれ十人十色違うわけです。一応先ほどから御答弁がありましたように、国内的に公務員その他現在の民間、或いは国を通じて行われておるところの労働者災害補償法、何と申しますか。最も悪い条件におかれた場合、即ち一生働けないというような場合を前提として算出をいたしておる。それにプラス慰藉料的なアルフアーをつけて計算をいたしておる。併しそういうふうな慰藉料的なもの、そういうものは自然この家庭環境、患者の環境等によつて、或いは家庭において帯びておる責任等のそういう条件によつて按配をすべきものであろうと私は考えております。私はそういうことは甚だ農林省としては不適当なものと思います。そういう事務を取扱うものとしては……。従つてかような事務は農林省が取扱うべきものじやないと考えておつたわけですけれども、どうもさればといつてどこも取扱ものはない。やはり漁業関係者のこうむつておる被害であるから、水産庁で面倒をみたほうが便利であろうというような内閣の意向であつたものですから……。併しそういうことは厚生省その他と十分協議をして配分をするようにしたいと思つています。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それで安藤国務相に、次の第二点の問題は、久保山氏の死によつて更に今後の対米要求の問題について一段階を区切つて考えなければならない、現在閣僚の皆さんと御相談中であるそうでありますが、これに対してアメリカ側は最近の新聞によつてみると、いろいろな放送をしておる。あなたが今おつしやつたように、日本の国民は非常にヒステリーになつているんじやないか。原爆を受けない国民からみればそういうふうに考えるかも知らんけれども、我々日本人からみればヒステリーどころじやない。日本国民の全体の恐怖である。そこでアメリカのみならずソ連、そういうような国国が、持てる国々が勝手な実験をすることによつて力のない日本の国民のようなものがいわゆるこうした非常に悲惨な目に会つている。これに対して何らの理解もしておらない。こういうことに対しては当然将来十分に日本の国民の意思発表をやるべきではないかと私は思うのですが、殊にこの医療に対する問題に対してはアメリカの医者を断わつたからこういうふうになつたのたとか、まるで日本の医療陣というものはドイツ流のいわゆる医学を学んで、特にアメリカ側に対しては挑戦的であつて、アメリカの医療陣を受付けない。こういうふうな日本を誹謗したような書き方をしておる新聞もあるようであります。アメリカの新聞には……。こういうような向うの勝手な言い方に対しては相当の認識を深めさせなければならない。こういうことに対しての手段はどういうふうにやるつもりか、この点も聞いておきたいと思います。  今度吉田首相は昨日無事に外遊の遂につきましたが、その前にこの前の委員会に安藤国務相に対して私がお願いしたのは吉田さんが向うへ行つて、親善使節でありますから、いろいろな点において御相談もあると思うのですが、その際日本の国民の今最も重要な問題として、日米親善の本当の実を刈り取るような、日本国民は原子爆弾のこうした実験をやめてほしい、日本の近海においては少くとも日本の国民に災害を及ぼすようなことはやめてほしいということが日本国民のアメリカに要求する最大の親善の要求でありますが、こういう問題に対して、吉田首相に対してあなたから外遊に際しましては十分にこの点お述べ下さつたかどうか。  第三に、いわゆる若し原爆実験をアメリカ側の主張するように来年の或いは二月頃やるかもしれない、こういうような場合においては、まあ中止してもらうには特に我々としては要望しなければならんが、それでもやるというような場合には、危険区域を厳重にして、そうして十分に日本の国民に災害を及ぼさないような方法をとりたい。これは当然のことでありますが、併し太平洋のあの区域において、あの限られた所において実験された今日の水爆実験にしましても、実験後すでは十カ月になんなんとする今日においてもなお被害が陸続として現われて来ておる。この被害を予防するという意味におけるあの危険区域の設定というものは到底今までのようなことでは考えられない。場合によつては太平洋全体、南太平洋のみならず全体に対して或いは危険区域の設定をしなければならない。こういうようなことになると、日本の漁業に対してはこれはもう漁業を中止するよりほかない。そういうようなことも起り得るということを十分に考えて、来年の原子爆弾の実験に対しては強硬に申入れをしなければならないと思うのでありますが、その辺に対する政府の所信のほどを伺つておきたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 今のお話、あなたの第一のアメリカの認識の点ですが、それは先ほども大体申上げました。今まで電報等で伝わつて来ておる向うがああいう認識では甚だ困る。でありますから、これは大いに認識を改めてもらう、或いは深めてもらうという態度にこちらも出たいと思います。併しただ断片的の電報ぐらいを根拠にしてはいけませんから、もつと詳しいことを外務省関係のほうで取り寄せておるのですから、それらが参りましたら更に相談しまして、そういう点をきめて行きたい。従つて今後の外務大臣との向うに対する折衝の間にそれは自然入つて来ることと存じます。  それからもう一つは、これは余計なことだが、それは政府がそう考えておるというばかりでなく、国民全般がそういうふうに考えているということを代表的にやつて下さることは結構だと応います。つまり日本の国民からアメリカの政府或いは国民に訴えるという、そういう態度も、つまり認識を改めさせるという態度も、これは国民的に必要かと存じます。これは私が言うのは余計なことかも知れないけれども……。  それからその次に実験場所のことですが、これも先ほど申上げましたように、今後若し実験をやるならば、どうしてもやるというならば、日本に関係の遠いところで、アメリカのことだからアメリカの領土或いは領海でやつてもらえば一番いいのですから、そういう点はおのずから外務省の外務関係の交渉に入ると思います。それを第一にして、それからまあそういうこちらのやはり太平洋のあの附近でやるというなら、それに対する安全保障の程度ということを今後の談判にして行かなければならんと思うのであります。併しそれにつきましては、向うでもいろいろなことを言つているのですから、或いはこういう根本問題につきましては日米間の共同調査が必要かと私は考えているのです。そこで共同調、ということをこの十一月日本のほうからの招待に応じてアメリカの科学者が数人来てやることになつておりますが、それだけでいいか悪いか、もつと大幅の日米共同調査というようなことをやつて、そこに動かざる根拠の上から判断をするということが最も公平なやり方じやないかと、まあ私は考えている次第であります。  それから最後に申上げますが、吉田総理によく話したかと、これはこの前に申上げたかもしれませんが、曾つて閣議でそういう話じやありませんが、外遊の話が出ましたときに、私からこのビキニの問題及び水爆実験等に関することをアメリカ或いはイギリスといつたような方面とも一つ総理からよく意見の交換をして、日本の考えを伝えてもらいたいということを要求したのです。総理はこれに対して、機会を見てそういう話をしようと思つておる。どういう形でするかはわからんが、そういう機会を得たいと思つているというお答えでありました。併し、これも余計なことかもしれませんが、昨日出立されたその前日です。私は総理に或る場所で特にその問題について、この間も閣議で申上げたが、あちらへおいでになつたらば、アメリカは勿論、その他においても水爆に関するまあ簡単に言いますとね、国際管理でこれをやるということが根本的解決なんですから、なかなかこれは国際的問題でそう簡単には言えない。私個人の意見は言つているのだが、国としてはそう簡単に言えませんから、国際管理が一番なんです。国際管理を早くできるように、日本は今国際連合に入つちやいないけれども、この問題については日本としては発言権が最もあるのだから、これを一つそういう方面でよくお話合いを願いたい。それから又第二には実際の問題についての事柄ですね、それから更に延いてはそれのアメリカの実験の場所というようなことについて、もう一つ進んでは賠償のことについても総理からお話を願いたいということを特に出立の前日申しておきました。で、総理も進んだお話はなかつたが、うなずいておられました。それだけ申上げます。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 ちよつと安藤さんお急ぎのようですから、一点だけお尋ねしたいのですが、さつきお答えになりました中で、久保山さんが亡くなつたのを契機と言うてはおかしいのですけれども、この際進んで幅の広い折衝をされると、こういうことを検討中であるということでしたが、その幅の広い折衝というのは、久保山さんが亡くなつたということで、逝去されたということだけを新らしい材料として付加えると、こういう意味ですか。それともそうでなしに、その他の問題についても全般的に新らしい角度から折衝をされるという意味ですか。その点どちらかという点。大体百万ドルとか八十万ドルとかいうことが出ておりますけれども、これは恐らくアメリカのほうでは、今までの私ども新聞で見たり、あなたがたからお答えをい頂た点から考えてみますというと、私たちが考えているほど先方では損害の深さというもの、或いは広さというものを考えていないのじやないか。そこで久保山さんの問題についても、そういう死ぬというようなことはなかろうというように考えておつたんじやなかろうか。従つて予期しなかつた久保山さんの逝去ということは、その他の面においても向うで考えておつたより損害の幅なり、広さ、深さなりがもつと大きいのだということを改めて認識される機会が来ているのじやないか。そういう点から考えますと、幅の広い折衝ということは、ただ単に久保山さんが逝去されたことによつて慰藉料がなんぼ殖えるということだけでなしに、全体として考え直してもらわなければならんのじやなかろうか、安藤さんのおつしやるのもそういう意味だろうと考えますが、その点はどうかということが一つ。  それからもう一つは、何といたしましても安藤さんも今おつしやつておられますように、アメリカに認識を深くしてもらわなければならん。そのためには民間のほうから進んでそういうようなことをやるのもよいのじやないかというようにおつしやいましたが、その点につきまして、私どももただこの問題を反米としてやつておるのでも何でもなくて、やはりアメリカとの関係は隣国との関係であつて、仲好くして行かなければならん。それがこういうことがだんだんとお互いが認識を相違いたしまして、溝を深くしておるように思うのでして、これはどうしてもこの問題を円満に片付けるためにも、将来の関係のためにも、もつとあなたがおつしやるように、アメリカ側に深い認識を持つてもらわなければいかんと思うのですが、それについて仮に民間のほうで気象学者なり、或いは水産関係の人なり、或いは宗教関係の人がたなり、そういう方々でアメリカに対して使節でも出そう、こういうことがありますときには、政府のほうではこれのあつせんをなさる御用意がございますか。その二点だけお尋ねしたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 前の御質問は、特に久保山君が死んだからそれで急に驚いてどうというような狭い意味ではありません。あなたが最後におつしやつたように、全体について認識を深めてやつてもらいたい、こういうわけであります。ただまあ契機と言うのはおかしいが、丁度久保山君が亡くなつたについては、更にそういう水爆第一号の犠牲ができた、或いは今後も起らんとも限らん。こういう重大なことにぶつかつたのでありますから、アメリカもこれに対して一つ認識を改めているように思うのですね、この間うちから……。アリソン大使が外務大臣のところへ来て弔慰金の問題だとか、或いは又向うの井口大使のところへ国務次官補が来てどうといつたように、多少向うも認識を改めて来ている。でありますから、これはまあそういうときにもなつたから、それに対して全体に認識を深めてもらつて行きたい。併しまあそういう点について更に外交折衝が必要なのです。でありますから、それらの点については今後よく検討をしましてやつて行きたいと思つております。  それからその次に、あなたのおつしやる通りですね、これはよく考えますと、我々は日米親善を増進したいんですね。ますます日米親善を増進して、両国のために資して行きたいのでありますから、それがこういうことのために国民感情が激発して、日米親善の阻害となることは大いに憂慮すべきことであります。ですからそういう点についてもアメリカの認識をこの点について深くするということは、要するに日本の国民感情を融和して、日米親善の扶けになると思いますから、そういう点もよく強調をしてもらいたいと思うのであります。そうしてそういう際に、何かいろいろな或いは政治方面とか、或いは今おつしやつたように宗教方面とか、そういうほうから使節でも出すときには、政府はそれを支持するかということのお尋ねでしたね。それに対しては、今の段階においては無論精神的の意味から言えば支持したいですね。じやどういうふうに形式の上で支持するかということは、そういうことができたときに好意を持つて政府で考えて、そのときの問題として考慮して行きたいと思います。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 もう一点だけ。ちよつとくどいようですが、幅の広い折衝……、先方に認識を深くしてもらつて、幅の広い折衝をするということなんですが、これは甚だ妙なことになりますが、これを数字の上で具体的に言いますというと、先方が今までの認識に基いて百万ドルとか、八十万ドルという数字が出ておるようですが、これはもつと違つた数字に考えてもらう、数字に翻訳するとそういうことになりますか。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) そのこちらの考えを数字に表現すれば、おのずから数字の上で殖やしてもらうという形になりましようかね。ただそれがどの程度までどう行くかということは、今後の折衝に待つより仕方がないと思います。こちらはそれに対しまして無論全力を傾倒しまして、外交折衝をやつてもらうわけであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) ちよつと安藤大臣お帰りになりますから、一点お尋ねいたしますが、先ほどの五十万円の件でありますが、今本日の御答弁では、五十万円は幾ばくの金額の内渡金であるかということは言うことはできないというお話でありますが、この前の前回の委員会では、この五十万円は二百万円という慰藉料のうちの内渡金であるということを、厚生省の楠本部長は答弁されたのでありますけれども、これは誤まりでありますか。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 誤まりではないのです。誤まりじやありません。併しその二百万円というのはですね、大体二百万円というまあ大体そのようなことに見積つてあるのですが、ただこれを慰藉料として二十三人の人に渡す場合に、おのずから病症の軽重もありますし、それからその患者の扶養家族の多少、多いとか少いといつたような問題もあり、いろいろそれの環境があろうと思いますので、それに応じてそこに甲乙の差違は出て来ようかと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それに関連いたしまして、農林大臣及び厚生大臣がおられますから、三人の大臣のおられるところで一つはつきりして頂きたいことがあるのであります。それは先般委員長が静岡県の焼津へ行かれた際に、焼津のいわゆる市民の諸君は、大体において政府がアメリカ側に通報しているところの日本の損害額二十数億というものに対して、これは全部もらえるのだ、こういうように考えている。ところが先般来我々が委員会でしばしば政府の意図を質した場合に、それはアメリカ側に日本の損害額の全額を一応通報してあるのだ、その後といえども、いわゆる放射能を受けたまぐろの廃棄等に対しては次々と損害額を通報しているのであつて、そのうちからアメリカはどれだけ払うかということについては、八十万だとか、百万だとかということを言われておるけれども、確定しておらない。ところが現地の人たちはそういうことは考えを持つておらない。恐らく静岡でも、神奈川でも、日本政府が又アメリカ側に通報した損害に対しては何とかしてくれるだろう、こういう考えを持つておるのですが、仮にアメリカから一応の掴み金が取られたとしても、その全額数億になるか、或いは十数億になるか知らんが、その他の損害に対しては、どういう方法によつてもこの損害を受けた漁民なり、或いはその他に対しての補償というか、補償に代るべき何らかの方法によつて生活をして行ける方法を考えてもらえるか、これは三大臣が幸いにここにおられますから、現地民の人たちに誤解のないようなはつきりした態度でこの際話をして頂きたい。お答えをして頂きたいと思います。恐らく静岡でも、神奈川でも、現地の人たちは二十数億とアメリカに通報しておるとするならば、それは当然アメリカからもらえるのだ、もらえないとした場合において、一体日本の政府にどういうふうにこの損害を考えてもらえるか。或いは一部先般安藤国務相は神奈川と静岡の、三崎と焼津の現地の人たちに一億数千万ですか、特別の融資の計らいをしておる、これだけでは恐らく承知をしないようなふうに、我々は現地の人たちの大会その他におけるところの決議をもつて承知しておるのですが、そういうような問題が起きて来る。それに対してはアメリカ側からよこされた場合に対してはそれは払うが、それではその二十数億には充たない、勿論充たないでしよう。そのあとのものをどういうふうにして一体カバーして行くか。これは来年再び行われるであろうところのアメリカの水爆実験に対して、日本の態度を決定すべきところの一つの基本原則になると思いますから、この際政府の御所信を承わつておきたいと思うのであります。これは安藤国務大臣、農林大臣に特にお伺いしておきたいのです。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) この問題が、つまり今日まで解決がまだできないでおる根本なんでございます。成るほどこの実験以後或いは漁獲物の廃棄、第五福龍丸の災害はもとよりのこと、その後陸続して廃棄しなければならない等の損害を、一応事務当局で直接とか間接とかというようなことでまあはじき出しておりますのが、一応あるわけです。けれども、これがこの国際事件となつて、国際上どこまでが私はこれは直接とか間接とかというのは、これはもう大した意義はないと思つております。要するにそのことなかりせば、ない損害ですから、同じことだろうと思うのです。ただこういう場合に、国際間にかような問題を起した場合、今後起す場合に、どういうところまでが一体その当該国が賠償しなければならん責任が、国際的に一体あるのかないのかというその点と、私どもが受けたのであろうと推算をいたしておりまする額とはどうしても違つて来ることは、先ず止むを得ないと思います。その点は止むを得ないのじやなかろうか、併しとにかくできるだけ私どもとしては安藤大臣が言われるように、アメリカさんではまあ初めはそう日本人が騒いで……、騒ぎが少し大き過ぎるじやないかというような感じであつたろうと思うのですけれども、まあ久保山さんのかような事態等があつて、誠にこれは相当騒ぐのは尤もだというような気分も出ておるのじやないかと思います。できるだけ一つそういう意味で、会一遍今までのアメリカの考えを変えることはできないだろうかどうだろうか、今日までとにかく折衝して外務大臣、外交当局は非常な努力を払つて来て頂いておりますところで、それは変えられんものであろうかという感じが私どもとしては強くしておるわけであります。ただ併しいずれにいたしましても、その私ども事務当局がはじき出した直接、間接等の損害の全部を、どつちみち補償を受けるというようなことはこれは私はもう全然できないことだと思つております。思うことがいかんかいくかは別として、実際問題としてはあり得ないのじやないか。そこでそのものを全部それじや残りを国が補償でもするのかということになろうかと思いますが、これは私そうもいかんのじやないか。で結局まあ災難はどこにもあるわけですけれども、この災難によつて、業界が非常な打撃を受けた、前途も心配しておる、漁業者も然り、関係の市場、その他の業者も相当の打撃を受けておる。でこの経済混乱の時期にこういう不慮の事態によつて損害を受けているわけですし、従つてどうしても日本の産業上からいきましても、又国民生活の上からいきましても、国としてもできるだけの措置は講じなければならん。でまあ日々業を営んでおられる人たちに、最も現状から言つて、操業資金等に国として面倒の見られるだけ見て行かなければならんというようなところで、斯業復興のために融資措置等によつて立上りを促進して行くという方法を、併しそれも業者の負担にならんような形においてやつていくことが必要じやないかというようにまあ私は考えております。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 私は最近の新聞紙上で、御承知の通りその後ビキニの水域の損害、放射能が相変らず全国各地で被害がある、而も新聞紙上ではソ連の水爆実験の結果でないかというようなことが報道せられ、而も大学の教授がこれを裏付して、そう思うというような新聞記事があつたのですが、こういう問題に対しては政府のほうでは十分な御調査ができておりますか。或いは又事実そういうようなことが考えられるかどうか。この問題に対して一つ御意見を伺いたい。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) これは非常な面倒な問題で、そういう方面の専門学者がそうだろうと、併しそれが最後的の断定的の今結論にはなつておらないのです。でありますから、あれだけのことを根拠にしてどうこう言うことも無論できないけれども、併しこれは非常に考えていかなければならんことですから、まあ更にそういう方面に対しまして打合会がありますから、そういうような方面で今後もつと研究していきたいと思います。今すぐあれだけのことでどつちとかこつちとかきめるわけには勿論いかないのですから……。けれどもこれは関心を最も大きくして研究して、その研究によつては、どういうふうにしていくかという対策をおのずから立てなければならんかと思つております。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 ソ連の水爆実験があつた事実というのは肯定できるのですか、或いはできないのですか。つまり政府としてはそういう事実があつたことを認められるのかどうかということですね。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) それもどうもはつきり言えないですね。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 先ほどの千田委員の質問に関連いたしまして非常に誤解を……、只今農林大臣から非常に懇切な御答弁がありましたけれども、余り御懇切でありますから、却つて誤解をいたすのでありますから、一つ確認をいたしたいと思うのです。只今までの農林大臣の説明では、アメリカから八十万ドル乃至百万ドルの補償をもらう、このほか国内対策としては神奈川、静岡に対する一億五千万円の融資、その他の府県に対する融資並びに五大市に対する融資二億五千万円、これ以外の、融資以外の国内措置は、今までのところ政府としては考えない、こういう御答弁でございましたが、本日もこれに変りございませんかどうか、お尋ねいたします。千田委員の御質問もそういうことであつたと思います。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) それは前回にも申上げておる通りでありまして、その通りでございます。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) そうして今回のこの久保山君の死によりまして、新たなる事態となつたのでありまするけれども、そうなりましても、その点は変りがありませんかどうか。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) それは別にございません。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 それは今の委員長の発言の通りだとちよつと違つて来やしませんか。先ほど安藤国務大臣にお尋ねしたときに、久保山さんの逝去ということがきつかけになつて、これによつて先方でも損害の深さと広さというものをもう少し認識を新たにするのじやないだろうか、我々も認識を新たにしてもらわなければならん。従つてそういう点から幅の広い交渉をしたいと思うのだ、こういうお話がありまして、まあ幅の広い交渉ということは、これを数字に翻訳するというと、百万、或いは八十万というような数字より上廻つた数字ということになるというようにお答えがあり、今の農林大臣のお答えでも、そういう点は数字のことには触れませんけれども、やはり同じような趣旨のことを先ほど千田君の質問に対してはお答えになつていたわけです。今委員長の言われるような。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 江田委員にちよつと申上げます。私並びに千田委員からの質問は、アメリカからの補償は別といたしまして、そのほかの国内対策、これについてお尋ねいたしたのでありまして、ちよつと江田委員の御質問と違うように思います。よろしゆうございますか。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 そういう意味ならよろしいけれども、八十万乃至百万ということを委員長が言われたから、それならばその通りだと言われれば、それは違いやしないかということを言つたのです。  そこで安藤さんがお帰りになつたあとでお二人にお尋ねをするわけですが、先ほど今後の実験については政府としては、若しアメリカが来年やるというならば、先ず第一にアメリカの領土でやつてもらいたい、第二にそれが不可能ならば十分な安全保障をしてもらいたい、第三に十分な安全保障をしてもなお損害があつたときにはすべての損害の補償をしてもらいたい、こういう意味の交渉をするように閣内で検討中である。こう言われましたが、これは農林大臣或いは外務大臣のほうでも同じ御意見であるかどうかということと、それから一体若し同じ御意見だとしますというと、今も例えば損害の問題について向う側に提示しているのは二十数億円になつておる。併し向う側から現在までの段階で出て来ている数字は百万ドル乃至八十万ドルということになりますと、そこに非常に大きな隔りがあつて、それが今後どう接近するか知りませんけれども、恐らくそんなに接近は期待できないのじやないか。そうしますというと、三つの基本線で行くと言われた場合に十分な安全保障ということはこれはあり得ないと思うのです。どんなことをしたところで十分な安全保障ということはあり得ないことであつて、実験が行われればどうしたところで、危険区域を厳重にするというようなことを安藤さんは言われましたけれども、損害というものは起らざるを得ない。その起つた損害について双方の見方が非常に違うとすれば、又しても実験が行われることによつてトラブルをもう一遍繰返すということになると思うのですが、我々はそういうことでなしにもつと基本的に、実験をしてもらわないという以外に解決の途はないと思うのですけれども、そういう点はお考えになりませんですか。やはり実験ということはお認めになつて、その上で安藤さんの言われるような三つの基本方針という立場以上には出られないわけですか。どうなんでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはもうソ連及びアメリカ両方で妥協点に達して原子力の国際管理、これに行くことが第一義であることは申すまでもありません。従つてそうなれば実験ということはなくなるかも知れません。国際管理ということを我々は第一義に考えております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 それは結構なことなんです。それができないとする場合に我我が損害をこうむらなければならんというのはかなわんじやないですか。だからあなたがたのおつしやることが、政府のほうで検討されておるのが、来年もやるというのなら先ず第一はアメリカの領土でやつてもらいたい、それが不可能ならば十分な安全保障とか或いは損害補償とかということでなしに、実験をやめてもらいたい、実験をどうしてもやるというなら我々に関係のない向うの領土でやつてもらいたい、そこだけにとどめておいてもらえばいいのですが、そういうことはあなたのほうでおきめできないのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私は江田君とちよつと考えが違います。前にも申上げた通り原子力の国際管理ということは、これが一番望ましいことは当然でありますが、そうでない、それに至らない時期においては、今の世界は平和とは言いながら力の均衡による平和であつて、甚だ残念ながら各国が心から融和しての平和でないことはこれは現実の事態として認めざるを得ません。従つてどつちか一方の力が弱くなれば平和が乱されて、却つて原子力の雨が世界に降らないとも限らないと私は思つております。従つてソ連側が実験を継続する限りは自由主義諸国も実験を継続する以外に方法はないとこう思つております。そこで実験するのはいいが、おれのところでやつちや困るよその国でやつてくれということはどうか。これについてはアメリカ自体の利益のために原子力を持つておるというならばそれは又理窟になりましよう。併しながらこれが世界力の均衡る図るためのものでありとすれば、アメリカだけの利益ではないと私は考えております。そこで第一には、これはまあアメリカの領土は広いのですからアメリカの領土でやつてもらえば一番問題はないわけですけれども、併しそれができない。そこにそれじやよその国のほうに、違うほうでやつてくれということは日本は、よその国は被害を受けてもいいが、日本だけは困るという理窟には私はならんと思います。そこで世界中でどこが一番いいかということは、これは研究しなければわかりませんが、一番世界で人口の少い所を選ばざるを得ない。要するに甚だ残念であるけれども、実験を一方がやつている限りは他方もやらざるを得ないということが認められるとすれば、そこで今度どこでやるかということになるのでありますが、これは世界の自由主義諸国側で一番被害の少いような場所を選ぶより方法はない、こう考えております。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 まあ外務大臣の認識と我々の認識と、その点非常な食い違いがあるので水掛論になつてしまうのですが、私は水素爆弾というものを必ずしも自由主義陣営全体の共通した武器とは考えないわけです。現に自由主義陣営と言われる国の中でもこの水素爆弾の実験については反対の声を挙げている国があるわけです。とこの国でも喜んであれをやつてくれというようなことを言つているわけじやない。そこで我々としてはソ連と言わずアメリカと言わずどちらもやめてもらいたいというのが本旨であつて、只今島村さんからソ連で最近水素爆弾の実験があつたのかどうかという質問がありましたが、私どもも若しソ連がそういうような実験をやつているなら、これもソ連の国内でやるのは自由だというけれども、日本に大きな八万カウントというような放射能の雨を降らすような所での実験はこれはやめてもらわなければならん。当然政府としてはそういう意思表示を、若しこれが事実ならばですよ、意思表示をしてもらわなければならんと思うのですが、私はそういう意味でこれは外務大臣と根本的に認識が違うからそれ以上言つたつて無駄かもわかりませんが、併し何もほかの国でというわけじやないのです。アメリカの国内でというのです。現に今度の最近の発表を見ますと、アメリカの、水素爆弾でなしに原子兵器の実験は向うのどこか砂漠の中でやるようでありますが、原子兵器の実験を向うでやるなら水爆についても向うでおやりになつたらどうかと当然言つていいのじやないかと思う。而も今日までアメリカが水素爆弾について世界に何を公表して来たのか、例えば九月の十何日にアメリカの原子力委員会のほうから日本の気球学会のほうに宛てた水素実験の気象に及ぼす影響の有無につきまして回答文が来ておりますが、この回答を見ても、これは権威のある原子力委員会の回答です、その回答を見てもビキニ環礁外の魚類を食することは恐れる理由は何らなし、原爆実験による特殊の気象変化はない。福龍丸の船員は気の毒だけれども、これも大体快方に向つていると聞いているというような、私どもが考えているのとはまるで異つた態度を表明しているわけです。若し原子力委員会で水素爆弾の実験というものがこれほどの被害しかないというようにお考えになつているなら、当然ネヴアダであるか何か知りませんが、あの砂漠の中で原子兵器の実験と同じようにやつたところで一向差支えないわけです。それができないというならば、もつと水素爆弾というものは危険なものだと考えているならば、それならば今度の問題について八十万ドルとか。百万ドルということでなしに、もつと根本的な、我々日本の政府が先方に対して提示しているような数字に近い数字での補償が当然行わるべきだと思うのです。その点首尾一貫せざるものがあると思う。そこで岡崎外務大臣は水素爆弾というものはアメリカの本土では実験に適しないのだということであるならば、この二十数億円というところの損害を認めるからそうおつしやるのじやないかと思うのです。それならばその数字に近付けるように外交交渉をやつてもらいたいし、その交渉が無理だというならば向うの本土でやつてもらいたい。向うが今の原子力委員会の回答のように極めて水素爆弾の実験の被害を僅かな、些細なものに見ているならば向うの原子力兵器と一緒にやつてもらうことは一向差支えないと思います。そういう態度はおとりになれませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私は原子力委員会が水素爆弾の威力というものを過小評価しているとは思いません。ただ問題はその威力のどれだけの部分が日本の漁業に影響し、又は福龍丸の船員に被害をこうむらせたか、これは危険区域を設定したのは御承知のように非常に広い範囲であつて過小評価しているとは思いません。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 過小評価していると思わないといつたところでビキニ或いはエニウエトク環礁外の魚類を食することは恐れる理由何らなしということは、これは納得できますか。若しそうであるならばここでこのまぐろの汚染被害だとか何とかいうことは何も起りやしないのですよ。私は一つ外務大臣に率直にお考え頂きたいと思うのです。そういう回答と現実とは食い違つて来ているじやありませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) そういう点は専門家の意見を待つより仕方がありません。外務大臣は専門家でありませんからどこの魚を食つていいとか悪いとかいうことは、これは俊鶻丸のごとき科学的調査の結果を待つより仕方がありません。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 併しあなたのほうでは二十五億円の損害を向うへ提示されているんじやないですか。ただ専門家が二十五億円と言うたから二十五億を出したということですか、恐らくそうじやありますまい。外務省としても先方にそういうものを提示される以上、外務省としても専門家の言うことを、日本の政府の機関、或いは日本の専門家の言うことを妥当として提示をされておると思うんでして、そういうことについてこれは専門家でないから何もわからんというのならば、今後一体この問題について先方との外交交渉は外務省では一向できないということになつてしまうじやありませんか。外務省はただ受売機関であつて何ら自信もなければ根拠もないんだ、言われるからやつているだけですか。まさかそういうことではありますまい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 江田君、それならどこの魚を食つたらいいかということをあなたはおつしやれますか。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 それは乱暴だと思う。そういう馬鹿な……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) そうじやありませんか……。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 たくさんの魚をガイガー計数管を当てて音をさして廃棄しておるのは何ですか、廃棄しておる魚というのは……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) あなたどこの魚だとはつきり言えますか。委員長、私はこの質問に対してはお答えすることはできません。一体魚というものは動いておるものであつて、どこの魚を食つたら危いか、それは結局その魚にガイガーを当てて見てカウントがあるかないかを調べた結果によるのであつて、それは結局科学的調査で潮流とか、或いはプランクトンの繁殖状況とか、こういうものを調べた結果でなければはつきり言えないことは当然であつて、外務大臣かそれを知らなければ交渉ができないというようなことは、私は承服できません。専門家でなければわからんことはわからないと言うより仕方がない。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 それならば水産庁長官に聞きますよ。今私が申上げましたビキニ、エニウエトク環礁外の魚類を食することは恐れる理由何らなし、これを肯定されますか。肯定されるならあんなまぐろを廃棄する必要なんかないじやありませんか。水産庁長官どうですか。

清井正水産庁長官

○説明員(清井正君) 私どもは国内でいろいろ検討いたして、現在までは厚生省において放射能の検査をいたして、一定の限度以上あつたものを廃棄いたすという措置をとつて来ておるような恰好であります。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 率直に答えて頂きたい。もう一遍言いましようか、わからなければ。ビニキ、エニウエトク環礁外の魚類を食することは恐れる理由何らなしということは、この通り認められるかどうかということです。

清井正水産庁長官

○説明員(清井正君) 只今もお答え申上げました通り、先般の事件が起りましてから、私ども部内で厚生省とよく相談をいたした結果、一定のカウント以上あるものにつきましては廃棄の措置を講ずるという措置をきめまして、今まで調査をずつと続けて来ておる状態であります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) ちよつと清井長官にお尋ねいたしますが、先般の俊鶻丸の帰国いたしました中間報告、水産庁も認められた中間報告では、赤道海流にあるめばちは今後六カ月間漁獲することは危険であるという発表をされたのであります。それと只今江田委員が言われましたアメリカ原子力委員会の発表と矛盾するかどうかということを今江田委員の質問の一部としてお尋ねいたします。

清井正水産庁長官

○説明員(清井正君) 先般俊鶻丸が帰りましてから、俊鶻丸の調査結果につきましてはそのときにわかりました限度において発表いたしたのであります。そのときにおきましては北赤道海流におきまして取りました魚に一番放射能が多い。次いで赤道反流、次いで南赤道海流、こういう順序です。こういう趣旨を発表いたしたのでありまして、但しそれは帰りましてすぐの一応の推定でありますが、なお詳細のことはそれぞれの科学機関が帰りまして分析いたしまして、それぞれの集計をいたしまして、これを正式に決定いたしたいというので、過日八月末日までに決定いたしたいということでございましたが、その後精密な調査を要する関係上現在まで延びております。速かに完了して決定いたしたい、こういうふうに思つて現在調査研究をいたしておる最中であります。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 これは外務大臣何を考えて途中からぷんぷん怒り出すのか私わかりませんが、吉田さんの飛行機は無事に着いたんだし、怒る理由はないと思うんですが、読んで字のごとくですよ。現にビキニやエニウエトク環礁外の魚にガイガーを当てて危険だということで廃棄しているじやありませんか。そのこととこの原子力委員会の回答とは全く矛盾しているじやないですか。矛盾といつて悪いですけれども、向うの認識とこつちの実態とは一〇〇%違うじやないですか。それをあなたは、お前どこの魚がいいか悪いかという、そんな喧嘩腰というのは何ですか、何が原因ですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 江田君は私に対してお前は何も外交交渉はできんじやないか、ただよその省の言うことを取次ぐだけじやないかということを言うから憤慨したんです。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 そんな妙な喧嘩はやめて下さいよ。速記録を読んで下さいよ。あなたがわからんと言う、そういうことがわからなければ外交交渉はできんじやありませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 外務大臣は何から何まで知つてやしない。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 えらく喧嘩腰ですな。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) そうじやありませんか、外務大臣は政府百般のことを専門家でないから知らないんです。政府の所管の省が研究をしてきめたものを外務大臣は信ずる以外にない。それに対してお前は知らないから外交交渉ができないというなら、そんなことでは誰だつて外務大臣になれやしません。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 外務大臣あとで速記録をよく読んで下さい、どちらが喧嘩を吹つかけて言つたのか、よく読んで下さい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) それはよく読みますよ。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 あなたはまるで喧嘩腰じやないですか。速記録を読んだら今のような答えは出ませんよ。そこで私は、外務省としては何もかもわからんというなら、水産庁はどうかというんです。水産庁だつて、長官は持つて廻つたような返事をされますけれども、端的に私の言つたことに答えて御覧なさい。向うの原子力委員会の回答は違うということははつきりわかるじやありませんか。現実が証明しておるじやないですか。そういうような一方的な認識を以てやられる相手に、若し向うがそれを正しいと考えているなら、この原子力兵器の実験と同じように、向うの砂漠の中でやつて差支えないということになると思うんです。若し向うのほうで言つておることが間違いだ、こちらの言うことが正しいんだというなら、それなら百万ドルとか八十万ドルということでなしに、こちらが提示した二十五億の数字に近い数字に外交交渉を持つて行かなければならんということになる。外務大臣はそれは専門家でないからそういうことがわからんということでは外交交渉はできないというのは当り前じやないですか。どちらが違うのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 同じことを繰返して喧嘩してもしようがありませんから……。

千田正無所属クラブ

○千田正君 時間も余りないじやありませんか……。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 外務大臣は十二時までです。農林大臣は先ほどから退席を要求されておるので…。

千田正無所属クラブ

○千田正君 農林大臣に伺つておきたいと思うのですが、今一番困つておるのはかつお、まぐろ等の漁業を営むところの漁民及び業者、これがアメリカでも、輸出して行つた魚は余り買わない。罐詰類もとにかくまぐろ、かつおとなるというと、恐らく放射能のあれがあるんじやないかというので、アメリカ側等においては相当躊躇、逡巡しておるということは、我々はアメリカの友人あたりの手紙でも承知しておる。それから街に罐詰を買いに行つても、ほかの魚のあれは買うけれども、日本のマークのある、そういうまぐろ罐詰は一応次において買わない。それが現在アメリカのマーケツトの状況ですよ。同時に実際苦しい立場にあるのはかつおとか、まぐろとか輸出方面の魚を取扱つておる業者を中心にして、これは内地においてさえもなかなか躊躇して買わない。外国に行つていわゆる日本の外貨獲得のための一翼として懸命なる努力を捧げているのだがそれも今はなくなつて来た。余り声を高くして我々の損害を言うと、アメリカ側あたりでは或いはロツクアウトを食うんじやないかというような非常な杞憂を持つて、叫びたいことも叫べないような状況にある。我々としては業者の人たちの立場も実際そうだろうと思うが、実際から言うと、こういうことを繰返されて行つたならば、日本の漁業というものは死滅に瀕するほかはないと思うのです。何かしてこの打開を考えなければならないと思うのです。農林大臣としてはこうした問題を重点に考えて、何か方法を考えておられますか。今年はこれで済むと思いますけれども、来年二月又アメリカがやるということを或る程度明言しておりますので、その際又同じようなことが繰返される、これでは日本の太平洋においての漁業というものはもうこれは死に瀕するよりほかない。事前に予防する方法と、現在苦境に立つておるところの漁業界をどうして救うかという一つの大臣としての考えがあるとするならば、この際御発表願いたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) それが非常に微妙なところも影響しておると思います。アメリカとしては日本のかつお、まぐろなり冷凍なり、或いは罐詰なりというものは安全だということでアメリカの需要が低下しないようにという心配もかなり配慮をしてくれておるということをしばしば聞いておるわけなんです。ところが日本では大変だとこう言つて、大変なことなんだ、こうなるとだんだんと今お話のような傾向に陥つて行くような虞れはないか。つまりアメリカ側が消費を手控えするというような、そこらが非常にまあデリケートなところで、江田さんがさつき述べられましたのも……。これは何せ広い海のことでございますから、あれだけの広い海の中の魚であるから心配要らんと誰も言い切れんと思うのですよ。無論餌その他のプランクトンとか言いますか、それらの状況にもよるわけですし、一部にはそれは食べて悪いのもあろうし、併し大部分はそういう心配はないということを、私はああいうふうにこつちに対する影響は非常に悪いのですけれども、向うに対しては今日まで、とにかくアメリカ政府としては外務大臣の話を聞きましても、相当深い理解を持つて、政府の処置としてできるだけのことは日本にしたいという意思は、私ども政府側も十分信じておるわけです。そういう点が非常にデリケートな問題を含んでおりますが、根本的にはこれはどうしても、世界の原子力の現状がこういうふうなことでぽかりぽかり実験をやられて、今度北から雨が降つて来る、東から風が吹いて来るということで、それが我々の、ひとり魚のみならず食料物資全般に問題をかもし出すというようなことになつては、これはもう手を打つといつて見たところで打ちようがないと思います。かかつてこれは原子力の世界的な解決が速かに行われるようにならなければ、私は根本的な解決というものはできないだろう、こう思います。無論行政当局として、できるだけこの影響が少いようにしなければならんということは、もうお説の通りでございますから、十分各方面の御意見も伺つて対処して参りたいと、こう考えております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 農林大臣お帰りになりますから一点お尋ねいたしますが、先般来アメリカからの補償、八十万ドル乃至百万ドルは、いろいろの精密なる算定基準があるけれども、日本に渡すときは一括して渡す、これは極めて厚意あるアメリカのやり方であるという外務大臣のお話であつたのです。ところが私は、この一括して日本に渡されるというこのやり方は、日本にとつては有難迷惑であつて、重大なる国内的な紛争の原因になると思うのです、先ほども農林大臣はこの五十万の慰藉料の配分一つでも、農林省としては、こういうことは極めて不得意なんだなんといつて馬鹿に遠慮されておる。こういう不得意のことをやらなければならない、それはこの八十万ドル乃至百万ドルという極めて少額を渡されて、これを配分せえと言われましたとき、あなたはこの関係者に、全部の関係者に満足を与えるようにこの配分ができるとお考えになるかどうか。私は、農林大臣としてはこれは断るべきじやないか。こういうことは困るからやめてもらいたい、もつとアメリカは算出の基礎を示して日本にこの金を渡してもらいたいと要求されるのが当然だと思いますけれども、農林大臣は今までそういうことをおやりになりましたか、或いは今後おやりになるおつもりがあるかないか、この点お尋ねいたします。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 私は総額に対しては無論これは賛否いろいろ出て来ると思います。不満が生ずる場合があろうと思いますが、これは何々、これは何々、これは何々というようなことで出て来られたよりも、一括して、およそまあ生活慣習が違うように、又社会の風習が違いまするように、アメリカ流で、いやこれこれだとやられても日本の実情に合致しない場合もあろうと思います。従つてできるだけ、そのために安藤大臣が議長となられて、このビキニ問題に関する打合会も内閣にできておりますし、国内的に見まして総額がどれだけになりますか、なつたその総額をどういうふうに配分をして関係者の御納得を得るとかいうことは、私は一項目一項目についてアメリカから条件というか、そのことをやられるよりもそのほうが実際的である。で、そういう考えでおりますから、従つてそういう考え方をやめてくれということは、外務大臣に一言も申上げたことはございません。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 時間がありませんから簡単にお尋ねいたしますが、安藤国務大臣も大体今農林大臣がおつしやつたような御説明を従来されておつたのです。ところが、私は本日時間がないから、具体的に如何にこれが困難な事態を呈するかということを御説明する時間の余裕がありませんけれども、非常にこれは面倒な問題なんです。あなたも先ほどおつしやつたように私は間接、直接などということはおかしいとか、或いはこの五十万円の配分が困難であるというようなことを言われるごとく、この受けるほうも、例えば間接損害としてアメリカから補償の対象になつておらない仲買人その他の流通部門に関係しておる人々は、私たちは同様に補償をもらう権利があるのだということを強く今言つておるのです。こういう事情をこの間安藤国務大臣に話申上げましたところ、安藤国務大臣は、それはやはり考える必要がある、もう一度閣内で相談して見ようと、こういうお話があつたのです。私はこの具体的に困難になる事情を申上げる時間の余裕がないけれども、農林大臣はそんな簡単なことをおつしやつておるけれども、今後この配分で手を上げられるのじやないか、私は農林大臣のためを思つて御注意申上げておるのです。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 御尤もでございまして、ただ併しこの福龍丸二十三人のかたに対する扱いについて農林省は甚だ困難を感じますというよりは、そういうような慰藉料でありますとか、生活保護というようなことは慣れた官庁が又一つあるわけですから、そういうところで扱われたほうが私は世間的にも納得を得られるのじやないかというような、ところがそつちへ行きますとそつちはもうそういう問題は全然知らん、知らんというわけでもないけれども、扱つたことがないというようなことで結局まあ主体は漁民のかたの問題でございますから、水産庁でお扱いをいたしましよう、併しそれは困難ではありますけれども、私は御納得の行き得る処置はもうこれは当然とらなければならないと思つております。それから大変まあ農林省に対しては有難いお話でございますけれども、私はそれは成るほど手を上げるかも知れません、困難の度を非常に感ずるかも知れませんけれども、それでもやはり実際の実情は日本人のほうがよく知つておりますから、日本政府ができるだけ関係のかたがたの意見を聞いて公正な配分をしたほうが実際上適正でなかろうか、なお十分考えて見ますけれども、折角御注意を頂きましたから……、私としてはそういうふうに思つております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 農林大臣いいでしよう。

千田正無所属クラブ

○千田正君 外務大臣にお伺いしますが、この前の前の委員会でしたか、只今のそのビキニ被害事件についての折衝は交渉しつつあるが、できるだけ早く解決したい、或いは又安藤国務大臣からの御報告のほうは九月中にでもこの問題は解決したいという焦慮の意味もありましたが、考えておつたようであります。ところが、ここに生きると思つておつた久保山君の死が現実化して又新たなる段階が出て来た。こういうふうになるというと、又長引くのじやないかという空気も出て来るのでありますが、実際被害をこうむつている人たちから言えば荏苒こうやつていられても大変なことになつてしまう。そこで一日も早くこの問題の解決をしてもらいたいというのは、これは誰しもが願つておるところでありますが、外務大臣としましては今までの交渉を更に推進めてこの久保山君の死によつて更に新たなる段階が来たが、この新たなる段階の点も加えて速急に解決を急いで頂きたいと思うのですが、一体いつ頃この問題が解決するという見通しはつきませんですか、どうですか。この点をお伺いいたしておきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 残念ながらまだ見通しまではつきませんが、早く解決したいということは私も同様であります。で、従つて必要がないかも知れませんが、若し私が今度南米に短期間行つて来ます、それまでに解決できなければワシントンに立寄つてこの問題、これ一つで立寄るというわけでもありませんが、極く短期間でもワシントンに立寄つて私自身もアメリカの当局者と話をして見るのもどうかと今考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 更に先ほども安藤国務大臣からは、アメリカ側の認識が大分日本側と違つて、勿論日本は現実にこうした損害を受けているのですが、アメリカ側から見ますれば実験の一つの過程としてしか考えられておらないようでありますので、これを幅広い見地から向うの認識を高めるというような方法をとりたいという希望のようであるし、我々もそうして欲しいのですが、何かそういつた対策についてはお考えありませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはもう日本の事情をできるだけよく理解できるようにやる以外に方法はないと思いますが、これにつきましては外国の通信員も連絡しておるし、アメリカの大使館もやつておるようです。外務省も一般情報というのをずつと短波を通じて大分出しておるので、その中にもしよつちゆうこの問題は出て来ております。ついでですから先ほどお話があつた点について申しますと、いろいろ新聞でここに伝えて来ておりますのは、どつちかと言えばニユースになりそうな問題を引張つて伝えて来ておりますから、何か非常に日本人にとつては癇に触るようなことが多く伝わつて来ております。併し井口大使から電報によつても今、後信はあとから来ますが、まあそれはいろいろな……井口大使は率直にこれは放射能の結果であるという日本側の診断もあるが米国側の医師は輸血から来た、黄疸かも知れないというようなことを言つておるとか、或いはアメリカの医者が診療させられなかつたというようなことも言つておるし、そのほか別には日本のラジオ、テレビジヨン等も本件を大きく報道して米国を非難しておるというようなことも率直にアメリカ新聞は伝えておるというようなことをずつと書いておりますが、念のためにこの社説を申しますと、一番向うで大きなニユーヨーク・タイムス、これは本件は極めて遺憾であると哀悼の意を表し、実験が必要ならば一層注意し、予防措置をとらなければならないと論じておる。それからニユーヨーク・へラルド・トリビユーンは本件が日米関係に影響することを憂慮し、世界の政治家が水爆の恐ろしさを語ることを望んでおる。こういつてじ論ておる。又フイラデルフイアのインクワイラーは、大統領は久保山の家族に進んで彼の真意を伝えらるべきであると論じておる、というようなことで、新聞の論調というものは相当にこの問題についての理解を示しておるように思つております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 これは認識を深める点としては、外務省としても大いにやつて頂きたいし、我々民間人としてもそういうあらゆるチヤンスをつかまえて認識を深めてもらいたいのですが、認識を深める方法を考えますが、特に来年も一応アメリカとしましては従来の主張を曲げずに実験をやる、実験を中止して欲しいのは我々の要望でありますけれども、この前外務大臣のお答えもあつたようになかなかそうも行かないだろう、それならば未然に損害を防ぐ方法はどうか、或いは禁止区域の広大というようなこともあるだろう、いろいろあるでしようが、拡大されても結局今日に至つてもなお且つまぐろその他の放射能を受けたものが相当出て来て放棄しなければならない状況でありますので、よほど広範囲の拡大をやらなければならんと思うのですが、これは何かほかに取極めというようなものを新らしく考える必要があるのじやないかと思いますが、その点は考えておられますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 取極めというのはどういう意味か……。

千田正無所属クラブ

○千田正君 例えばまあ仮に条約に準ずるような、仮に向うがどうしても強行するというような場合においては損害の賠償は、この前外務大臣のおつしやつたのは、特に取極めする必要はないのじやないか、損害を受けたときはその都度々々によつて損害を要求して行こう、そのほうがいいというような意味のお答えだつたと思いますが、それでは今度のような向う側からの賠優程度では納得できないような問題が起きやしないか、そういうような場合の何かのはつきりした取極めを必要とするのじやないかと我々は考えられるのですが、そういう点は考えておられませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私も、損害の起つたときどきというつもりで前に申したとすればそれは何か言い間違いで、そうじやないのであつて、原則的な予防措置であるとか、それに対する損害の補償の範囲であるとかという原則的な問題は取極めておいて、これはまあ取極めは書き物でしてもいいし、又口で了解しても代表者同士の間であればどうせレコードが残りますから同じだと思いますが、要するに原則的な了解に達しておいて、ただこういう問題では予測しないようなものが起りますから、起る場合がありますから、それについてはあらかじめ言えない場合もありましよう、その起つたときに、こういう被害も起つたということはあり得ると思いますが、併し原則的な了解にはできるだけ達しておいて、損害が起つたときに、いやこれは補償の範囲だとか、外だとかいう議論の少くなるようにいたすべきだと思つております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 この今度の損害補償の、まあ朝日はいつかわからんけれども、外務大臣としては急いで解決したいというお気持のようでありますし、我々も早く解決してもらいたいのですが、その如何にかかわらず日米間の共同調査というものは最近やをというような状況に置かれておりますかどうですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは話しております。これもその共同調査といつても、我々のほうからいうと、俊鶻丸の最終的な報告というものが出ると、これに基いて共同調査をやりたいと考えておる。こちらに材料がなくて共同調査ということかくどうも向うは発表はしておらんけれどもいろいろ研究したものがあるに違いないのですから、こちらも相当の資料を持つて共同調査をやりたいと思います。向うも共同調査をよる趣旨には異存がないようであります。どういう範囲、どういう方法でやるかということはそれはまあ今後話合わなければならない、どうしても必要だと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 最後に一点だけ……、この間も外務大臣からのお話がありましたが、先ほど江田君のお尋ねに対してもそういうお答えがあつたが、やはりそのバランス・オブ・パワー、力の平均の問題がこの原子力を中心とした国際間の大きな問題でありますので、最近我々は非常に杞憂を持つのは、現在まではアメリカを対象としてこういうような問題が起きている。最近は新聞紙上での発表によると、ソ連側でもどつか北極に近い所でやつて、その影響らしい結果が日本の、西日本にも現われて来ておる、或いは又日本海を回遊する魚にも問題が起きて来るかも知れんようで、そうすると我々は日ソ間のこうした実験によつ起るところの損害は相当将来あるものと覚悟しなければならないと思うのですが、あなたも御存じの通り日ソ間の国交というものは回復してない、非常に今後我々としてはソ連に対して要求しにくいわけです。そこで少くとも国交回復の前提としての戦争放棄という宣言をさせるというぐらいの外交方針を立てられるお考えはないのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 先ほど島村君のお話もありまして、我方もソ連の実験については非常に注意しておるわけであります。これは実験したということも、確証と言われると困りますが、先ず間違いない。その影響の人工的な放射能が日本でも感じられたということもこれは私は間違いないと思います。ただ確証がないからはつきりしたことは言えません。従つて非常なこれは重大関心を持つていろいろの点を考慮しなければならんことは当然であります。そこで今お話の戦争放棄ということであれば、これは日本に、非常に露骨に言いますと、日本にとつては何ら義務のないことであつて、先方だけがやることである。従つてこれについては何ら異議がないわけです。向うがやればそれだけ結構な話だと思つております。又そういうことであるならばいろいろその手段も考える必要があり、今まででも考えないわけじやありませんが、悪いことじやないと思いますが、ただ今までのソ連側の言い方はちよつとそういうことをひよつと出しますが、そのあとを見るといろいろな条件が付いておる、それがなかなか我我としては呑みにくいような条件が付いております。従つてそういうことができるかどうかはわかりませんけれども戦争問題ということを向こうがやることについて我々は何ら異議を挟むべき問題は一つもない、歓迎すべきことであります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 とにかくそういう一つ一つの段階を踏んで行かないことには我我はアメリカとソ連の両方から挾み打ちのように、原子爆弾の実験ばかりでなく、なるようでありますが、アメリカとの国交は回復しておるのですから仮にこうした損害賠償の要求ということは正々堂々或る程度やれる、併し片つ方は戦争宣言のしつ放しで今まで戦争終結の段階に入つていない、いつ何どきどういう言いがかりをつけられるかも知れませんので、これは外交手段としましても、仮にあつちが一方的にやるのだからということでなく、何かの方法で第三国を通じてか、或いは国際間の折衝によつて向うの積極的な意思を表示させる方法を考えて頂く以外はないのじやないかと思うのですが、そういう外交的の広汎な問題は今のところ考えていないのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは当然考えております。ただ私ら言わせればもう少し科学的な裏付が欲しいのであつて、灰が降つて来た、放射能が何カウント雨の中にあつた、これはどういう気流で、どういうふうにどこから来たに違いない、断定できないまでもそういうふうな科学的な裏付けが欲しい、従つて誰が見てもそうだということになればこれに基いていろいろの手段は尽すべきだと思います。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 外務大臣に最後に一つだけ。さつき安藤さんにお尋ねしましたが、向うにいろいろ認識を深めてもらうために民間使節のようなものを出したらどうか、そういうようなことについて政府として積極的な幹施でもされる御意思はございませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) それは先ほど安藤さんの言われた通りだと思います。同じであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 速記を始めて。  このビキニ水爆事件に関しては、非常に本委員会としても熱心に審議をして参りましたのでありますが、今回更に久保山愛吉君の死亡によりまして本件が新らしい事態に立至りましたので強力なる措置を政府にとつてもらうように要望しなければならないと存じます。それでこの際本委員会といたしまして、水爆による水産被害に対する補償に関する決議をいたしたいと存じます。只今案文を朗読いたします。    水爆による水産被害に関する決議(案)   本年三月ビキニ環礁において、米国が行なつた水爆実験が、我が国水産業に与えた影響は甚大なものがある。本委員会は事件発生以来連続してしばしば委員会を開催し、その真相の調査を行い、審議の過程において、政府に対し、ビニキ水爆実験が我が水産業に与えた損害に対する補償、並びに今後の漁船の安全操業に対する保障等につき、米国と折衝して速かに解決すべきことを要望して来たが、未だ適切な解決を見ないことは誠に遺憾である。然るに今般第五福龍丸無線長久保山愛吉君が我が国医療陣の最善の努力にもかかわらず、遂に放射能症のため死亡するに至つたことは痛恨に甚えないと共に、水爆の恐るべき惨禍が、我が国民に与えた衝撃は、極めて深刻なものがある。原子力兵器こそは単に水産業のみならず、我が日本国民の生存を根底から破滅に導く虞れがあることが、十分に察知せられるに至つた。   よつて政府は久保山無線長の死の真の意義に深く思いをいたし、これる転機として、一層の努力を以て、速かに左記事項の解決に万全の措置を講じ、我が全日本国民の要望に応えるべきである。    記  一、原水爆保有国の原水爆実験並びに使用禁止  二、わが水産業に与えた損害に対する完全補償   右決議する    昭和二十九年九月二十七日  只今朗読しました決議案に対して何か御意見ございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) それならば本決議案は決定いたしたことにいたします。早速所要の手続をとりまして政府にこれを要望いたしたいと思います。   —————————————

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 次にお諮りいたします。  秋山理事より都合により理事を辞任したい旨の申出がございますが、これを許可することに御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) お異議ないものと認めまして許可することに決定いたしました。つきましてはこの際理事補欠互選を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 御異議ないと認めまして、それではこの互選の方法は、成規の手続を省略して委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございしなせんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 御異議ないと認め、私より青山正一君を理事に指名いたします。   —————————————

千田正無所属クラブ

○千田正君 只今決議がなされましたが、先ほど懇談中に青山委員からも、国内対策に対しての政府の処置に対して、当委員会として十分に研究して、政府当局に要望するよう御要望がありましたが、私も同様に希望するのであります。幸い本日水産庁長官がここに見えておられますので、先ほど懇談中に我々がお話しましたいわゆる国内処置、先ほど農林大臣が私どもの答えに対しては、最後の重点をぼかしておられる。そこでどうしても一番問題になるのは、一応アメリカ側の補償がきまつたあと、損害の額に対しての残余の問題はどうするか。これに対しては金融措置もやると言いますが、なかなか今の業者並びに漁民の状況から察して、到底利息も払えないような現状でありますので、こういう問題に対していろいろ勘案しなければならない、且つ又来年又ビキニの近くでやられるとするならば、その予防措置というようなものも考えなければならん。そういう面につきまして十分当委員会としましても要望しておきたいと思いますので、水産庁側におきましてもその対策を考えておいて頂きたいと思います。この点を一つ要望しておきます。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会

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