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19回国会参議院1954/09/04

水産委員会 閉会後第9号

発言数
67
登壇者
8
会派数
5
開催日
1954/09/04

会議録

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 只今より水産委員会を開会いたします。  先ずビキニ被爆事件に関する件を議題に供します。只今御出席の政府のかたは安藤国務大臣、秋山外務政務次官、清井水産庁長官でございます。最初に安藤国務大臣からその後の経過等について御説明を伺いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) それならば、安藤国務大臣にお尋ねいたしますが、本件、即ち水爆被害の補償につきましては、これまで本委員会において日米間の交渉を速かに妥結するようしばしば督促しておつたのでありますが、事件発生以来六カ月を経過してまだその決定をみないことは、政府の怠慢というよりほかに仕方がないと思うのであります。その後の話合いはどうなつているか、一応御説明を願いたいと思います。  なお、第五福龍丸の無線長久保山愛吉君の病状悪化によりまして、日本国民に大きなシヨツクを与えているのでありますが、この善後措置について政府は今日までに如何なる措置をとつて来られましたか、お尋ねをいたしたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 第一のお尋ねでありますが、ビキニの被害以来すでに六カ月を経過して大変長くなつております。政府もこれに対して焦慮をして、熱心にアメリカに折衝を継続しているのでありまして、お尋ねのような決して怠慢に過ぎているわけではありません。併しながらどうもアメリカの考え方と日本の考え方とは多少違う点もありますので、日本の考え方を向うへよく了解させ、徹底せしめるためには相当の時間を要するので、それがために延びた次第であります。もう少し突込んで言いますと、早く決定してしまうと、日本の考えていることが通りにくいのであります。成るべく日本の考えを徹底せしめていいところへ持つて行こうとするために、図らずも今日まで延びて来た次第でありますが、併しながらすでにこれは結論に到達せんとしておりますから、今関係閣僚中で相談もいたしておりまするし、且つすでに昨日の閣議におきましてこの問題を諮りました。従つてここ数日中には最後の解決をしたいと思つておる次第であります。  それから第二の問題は、久保山愛吉君が重大なる病態に陥つた、それに対しての対策はどうしているかというお尋ねでありますが、これに対しましては、政府といたしましても重大な考えを以て処理いたすべく只今折角方針をまとめつつあるところであります。即ちどうもアメリカの考え方には遺憾があるように思う。つまり認識が不足だと私どもは考えております。ところが久保山君がああいう重大なことになつて、或いは犠牲になるかも知れない。犠牲と言いましても最後の犠牲になるかも知れん。そういうことになればアメリカも認識を新たにすることだと思い、又認識を新たにするように努めております。でありますから、人の死ぬのを待つているということはおかしいことであつて、且つ又うまく回復してくれることを熱望しているのですから、いまここ二、三日の経過を見まして、いよいよ最後の犠牲になるというような場合になれば、そのつもりでこちらも向うへ、アメリカへ交渉しなければならないと思つている。そのためにその場合の対策を、今政府としては向うへ折衝する対案の基礎をこしらえている最中であります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 この前の閉会中の委員会におきまして、安藤国務大臣から折衝の過程の御説明があり、更に進んで速かに解決する方法を政府部内においては安藤国務大臣を主体として十分考究し、慎重にとり計らいつつある、こういうお答えを得て、不満足ながらも我我は安藤国務大臣の誠意に対して敬意を表すると同時に、速かなる解決が見出されるものと期待しておつたわけであります。ところが不幸にしてこのたび入院中の第五福龍丸の乗組員が危篤に陥つて来た。只今安藤国務大臣のお話によるというと、これは最後の犠牲者であるというようなお話がありましたが、むしろ最初の犠牲者ではなかろうか。そこで私は特にこの点について聞きたいのは、この只今の重態に陥つた久保山君の問題を中心にして、いろいろ出先の官憲並びに新聞社等の人たちがアメリカ側の意向を打診した際に、アメリカ側のほうの考え方は補償の法的な責任がないのだ、而も仮に日本側の要求に応じて幾ばくかの金を出すとするならば、それはアメリカの好意なんだと、こういうようなことを放言してはばからないということに、日本国の現在とつている態度に対する認識不足ばかりでなく、日本そのものに対する軽侮の念があるのじやないか、こういう点を我々は非常に遺憾とするのでありまして、この点について先ず第一点聞きたいのであります。  あなたが六カ月に亘つて一生懸命研究し、且つ又真剣になつてアメリカに対して要求しておることが、向う側としては法的な責任がないのだ、好意的に日本側に幾らかでも出してやろうじやないか、而もそれに対しては直接であるとか或いは間接であるとかいう問題じやなく、出してやつた額は日本政府で適当に勝手に分けたらいいじやないか、こういうことを放言するに至つては、我々はアメリカのこの原爆の被害に対する日本人に対するところの態度は甚だけしからんと思うのでありまして、これをどういうふうに解決して行くのか、この頃は非常に久保山君の重態が憂慮されるという新聞報道或いはラジオ報道に対して、全国民はひとしくアメリカに対するところの考え方とも好意などということでこの問題は解決される問題ではないのじやないか、占領されておる当時の日本であればともかくとして、独立国として相手国も認めておる今日として、この無辜の国民をかように犠牲に供して恬として陳謝する意思がないというのはどういうことであるか。現在の日本全国民の感情が盛り上つてくるというこの実情をよく考えて頂きたい。而もそれは日本の今のあなたがたの政府が友好なるアメリカとの条約を結んで、そうしてどうかしてアメリカとの間に手を結んで行こうというさなかに、アメリカに対する感情はこういうことにおいてむしろ反米という空気が盛り上つて来るということは、これは政府として重大なる責任だと私は思うのであります。この点についてはどういうふうに考えるか。  もう一点は、この間この補償問題をめぐつて大体損害額は二十五億円と称せられておるけれども、補償の面についてはずつと額が少い。初め安藤国務相の記者会見による発表によるというと、大体初めは八十万ドルくらいと言つておつたのだが、最近におけるところの久保山君その他いわゆる患者の状態を考えた場合に、若しも不幸にして最初の犠牲者になつた場合にはこれけ或る程度上げなければならない。百万ドルくらい或いは要求しなければならないだろう、こういうようなことを今更言うようであつては、この問題に対しては過去六カ月の間慎重にあなたが中心になつて研究されておる事態ではないのではないが、一体慎重にあなたがたが考えておるならば、当然この犠牲が生ずることを前提として損害の要求はさるべきであると我々は考えておるのですが、過去六カ月にあなたを中心として考えられておつたところの日本政府の損害賠償に対する要求額と、今日いわゆる病人ができて、而もそれが死に瀕しておるというのに対して、対米交渉がその額においても違つて来たということは、一体初めからそういうことは予想されておらなかつたのうどうか、こういう点について安藤国務相の率直な釈明を私は求めてやまないのでありまして、この際当委員会においては特に漁民のためにのみならず、日本国民の要望しておる点を私は率直に述べたつもりでありますから、大臣も率直にこの点についてお答えを願いたいと思うのであります。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 率直にお答えいたしますが、初めに最後の犠牲と私が言つたのは、あなたが今おつしやつたと同じ意味なんです。言葉の表現が悪かつたかも知れない、私の最後というのは今二十三人ああいう患者がいて、ああいう病気に放射能のためになつておるということの犠牲なんです。だけれども死ぬということが最後の犠牲だということを言つたのですから、それは間違えないで下さい。

千田正無所属クラブ

○千田正君 その点は安藤国務大臣のそういう御表現を我々は了解しますが、我々から見れば最も最大の犠牲の死というものを表現されようとすれば、最初の犠牲である、これは私がさつきから申上げております。つまり主現は食い違つても、あなたの考えはそれでも結構です。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 結局まだ出るかも知れません。それであるからその意味から言えば最初の犠牲者なんです。今現状で死ななくてもああいうことをやつているのも犠牲だという私の考えなんですから、それであの人が死ねば、それが久保山君の最後の犠牲だという意味で言つたんだからそのつもりで願います。(「了解」と呼ぶ者あり)  それからアメリカの考え方ですが、それでありますから私は率直に言うのですが、初めからアメリカの考え方はどうも我々にとつては遺憾だ、そして認識がどうも不足だ、ないのじやないが不足だ、こういうことをさつきもお話をしておいたのです。ですが、今あなたがアメリカはこれに対して責任をとらないようなお話でした。即ち好意的の態度で好意として賠償をする、こういう態度だと向うが……。

千田正無所属クラブ

○千田正君 発表している。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 言つている。併しそれはそういうことを言つてはいるかも知らんが、言つているのは公式の場合で言つておるのではありませんで、公式の場合で好意ということを言つたこともなし、そういう態度も示してはおらない。でありますから、非公式の或る場合にそのことを言つているかも知れませんが、公式にはそういうわけではありません。ただ私は認識は不足だと考えております。日本そのものが軽侮されているのじやないかというお話だが、或いはそうかも知れません。併しそれはひとりこの問題ばかりでなく、若し軽侮されているとするならば全体のことで軽侮されているでしよう。それに対して非常に日本としてはアメリカの考え方は間違つておるという考えを持つております。ですおいて努力をいたしておりますし、又なお努力したいと思います。アメリカの考え方が不足であつて、それがために日本国民に対して反米思想を多くさせるという憂いがあるというお話だが、全くそう考えます。日米親善をやつて行かなければならんときにこういうことのために、アメリカの誠意の不足のために反米思想が国民の間にだんだんと殖えて来て親善を害するということは大変困ると考えております。それから賠償をするその金額に対しては日本に任せる、こういうことは今あなたのほうはそれを悪くとつているようであるが、それば必ずしもそうではないのじやないか、つまり賠償額に対して条件を付けない、それをどういうふうにしようともそれには干渉をしない、日本の自由裁量に任すということは、そこがむしろ日本に対するそういう点に向うが好意を持つているのではないかと考えられます。でありますが、とにかく非常な最悪の状態が出て非常に心配をいたしております。若し久保山君がいわゆる最初の犠牲になるとすれば、無論そのつもりで日本も改めてアメリカに向つて交渉をしなければならないと存じておりまして、そういう点を政府も閣議等でも話をいたし、又そういうことについての準備にとりかかつておる次第であります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今のお答えの中で、アメリカ側は条件を付けないで日本側に一応そういう補償の意味の金額を渡して、これは或いはあなたのおつしやる通り好意的なことかも知れません。ただ、今国民感情として盛り上つて来ておる問題は、補償の金額のことについろう、勿論国民は期待しております。併しこういう事態の生じたことに対するいわゆるアメリカ側の何ら日本国民に対する陳謝の意思もなければ、気の毒だ、申訳なかつたということの一片も言わないで、これは今あなたの言う通りアメリカの政治認識の貧困というかも知れませんけれども、又逆に言えば日本の政治の貧困であつて、いわゆる独立後の日本がはつきりした態度でこういうことに対しては臨んでいないというふうに我々は考えるのであります。この点についても安藤国務相あたりは改めてこれから考え直す、こういうお考えのようでありますが、政府側が真剣にそういう問題も根本の問題として取扱わないというと、それはますますいわゆる日米親善を害する慮れがある、或いはあなたがたは政府当局としてやらないとすれば、国会においてむしろ国会の決議の下にアメリカに対して陳謝を要求するかも知れません。そういう事態の生じないうちに何か手を講ずる方法はないか。これは安藤さんは国会が再会してないからというふうにお考えかも知れませんが、或いは全員協議会というような問題で国会としての大部分が決議をしてアメリカに迫るかも知れない、そういう事態の生じないうちに政府としてのいわゆるアメリカ側への交渉を早急に開くお考えを持つておられるかどうか、この点はどうでありますか。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 久保山君がああいう最悪の状態になつて来たのに対しまして、日本の国民感情は高潮に達して静岡を挙げて心配しておる、これに対してアメリカが何らの意思を直ちに表現しなかつたというのは不思議だと私は思つておつた。そういう点が日本人とアメリカ人との考え方の相違なのかというようなことまで私は考えていたのです。不思議だと思つた。日本なら早速やらなければならん、そういう点が非常に私はアメリカに対して認識不足であると不満を感じておるのです。然るにそうしましたら一日、二日あとに、これも漸くという言葉を使つていいかどうかわからんが、漸くにしてアリソン大使から外務大臣宛に手紙を寄越しまして、非常に遺憾の意を表明して参りました。付加えて申しますが、対米折衝も向こうの歩み方が遅いのか、考え方の出が遅いのか、日本人と少し調子が違いますから、そういう調子で対米交渉もこんなに遅れて来たというようなこともお察しを願いたい。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) ちよつと皆さんに申上げます。安藤国務大臣は約一時間出席されて、他にどうしても所用があつて退席されるということでお出になつておりますから、その点……。

千田正無所属クラブ

○千田正君 安藤国務大臣の今のお答えは、それで安藤さん率直におつしやつているから我々も率直に聞いておりますが、それでは国内における現実のいわゆる水産関係及びこれに対する国内政策はどうしてやる、今あなたのおつしやる通りアメリカはテンポが遅い、認識は不足である、であるから我我の要求に対しても十分満足の行くような補償もして来ない、答えもない、ただこれだけでは国内におけるところのビキニの水爆によつてこうむつた損害の政府の政策としてはなつてないと私は思う。で先般一億何がしをまあ静岡県に融資しておる。或いはその後も融資する、最近の新聞によるというと、閣議においては立替払いでもしようじやないかというような誠にのんびりしたような考え方を持つておるのですが、立替払いはとにかくとして、一体被害をこうむつたこうした漁民や住民に対しての政府はどういつた施策をやるのか。アメリカとの交渉は、まああなた方は懸命にやるというから、それは了承しましよう。併しながら今度国内においてアメリカから来るのを待つておつたのでは干上つてしまう。これに対する現実の一体どういう手を政府は考えておるのか、この点はつきりしてもらいたいのであります。病院におるところの家族や何かに対してもまだ十分にやつていない。親方が辛うじてなけなしの借金をしながらそうした方を養つておるというような現状をつぶさに御承知のことと思うのですが、こういう問題等に対しても何らの手を打つておらない。そういう点に対して国内対策をどういうふうにやつておるか、やろうとするのか、この点をはつきり御証言願いたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) その立替払いということは、今あなたのおつしやる通りに、どうかしなきやならんと考えておるんです。そこでまあ病院に入つておる患者の治療費というものは、これはもう全然政府のほうでやつております。それから家族の生活保護というものの費用は、今組合のほうでそくばくの金を出してまあやつているんですね。併しそれじや非常に政府としてはいけないと思いまして、早く対米折衝が終つて賠償が来れば、それによつて賄うような内容になつておりますから、それをやりたいと思う。けれども、今又ここに重大な久保山さんのようなことが起つて、対米折衝も如何に急速にやつてもそう一日二日ではできません。談判は終つてもこの実現をするのは数日乃至十数日要するかと思います。それは待つておられませんから、直ちに政府から相当額の立替内払いをしたいと存じまして、すでにそのことは考えばかりではありません、昨日私から閣議に提案をしまして大体了解を得ております。併しながら御承知の通りの窮乏逼迫して何らの余裕のない財政からこれを生み出すということにつきましては、財政当局の了解を得て早く実行をさせなけりやなりませんから、今関係閣僚で更に相談をして、そういうことを一日も早く実現をしたいと考えておる次第であります。それはつまり今組合から出しているくらいの金だけでなくて、少しまとまつてやや安心ができる、そういうことを家族たちが心配なく看護に努め得るというくらいな程度にはしたいと思つておるのであります。立替払いのほうはまあそんなわけです。  それから国内融資、漁業者なり生産者なり流通業者なりが非常に困つている状態はよくわかつておりますので、これに対しましてすでに一億五千万円の融資をいたしたことは御承知の通りなんです。併しこれは主として焼津と三崎です。でありますが、更に範囲がまだ広くありますし、それから港とか市場とかいうような方面もありますから、これに向いまして又早速相当な融案いたすべくどんどんと話が進んでおりまして、これも極く近い間に実現をさせたいと思つております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 昨日の決算委員会で大蔵当局の説明によるというと、予備金が七十数億ほど残つておる。で今あなたのおつしやる立替払いであれば、当然アメリカから来ることを予想されるのでありますから、こういう際に今申しました本当に切羽詰つておる人たちに対して一日も速かに出して頂きたい。これは大蔵当局に対して安藤国務相が中心になつて考えておるところのビキニ補償問題の政府当局として当然やるべきことだと思いますから、速かにやつて頂きたい。これは要望します。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) よくわかりまして、そういうふうに努めております。ただちよつとそれに付加えて言つておきたいのですが、前の一億五千万円の融資です。非常に逼迫して困ることを察し、又向うも火の付くような要求でありました。その事情はよくわかつておりますから一億五千万円の融資をしたのであります。向うの考え方としてはその融資の額は不足かも知れません。けれどもこちらでも政府でも相当に細かい検討を水産庁を中心としていたしまして、そして数字を割出して融資をしたのです。ところがその融資をきめてもうすでに政府のほうとしてはああいうふうに出したのがもう一月どころじやない、二月も前になるのでしよう。ところがなかなか荏苒として受けるほうの当業者のほうで話がきまらない。漸くにして少し前に焼津のほうはさまつたんですが、三崎のほうがまだすつたもんだしてきまらない。きまりかかつているが、まだもう少しきまらん。勿論これはきまりましようがね。そういう状態なんだから、そういうことを考えると、彼らが口で言つているほど逼迫しているのじやないのじやないかとも考えられるのですね。火のつくような有様ならどんなことでもとびついてやりそうなものだというようなふうにも考えるのですよ。併しそれだからこつちがゆつくりしておるとか熱意を欠いたとかいうのじやないのですよ。(笑声)そういうこともあるから、そういう点はよく一つお察しを願いたいということなんです。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それはよくわかりますが、恐らく要求通り出さなかつたかもしれないし、帯に短かし襷に長し、もらつたつてしようがないようなことであつてはこれは意味をなさないのであつて、あなたのおつしやる通りかもしりんが、実情は水産庁長官来ておるかり、のちほど聞きますが、或いは政府か要求通り出さないから頂いても役に立たないとすれば意味をなさないのですから、そういう点もあるのじやないかと思う。それはよく伺いましよう。ほかの委員の方々も御質問あるでしようから……。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 大臣にちよつとお聞きいたしますが、相当の間隔をおいてもう三回、代替補償の件ですね、今もお話は或る程度聞きましたけれども、もつと具体的に突込んで聞きたい。と申しますのは、代替補償はいつから始めていつまでに完了するか、それから対米要求賠償額のそれが何パーセント取あえず出すか、その計画全体について一応伺いたい。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) アメリカの払うの賠償の問題ですか。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 そうです。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) その額ですか。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 この問題は前に私お尋ねしたのです。要望したわけです。アメリカとの交渉は相当長引く、又長引かないで早くきめるのは不利だということは大臣お認めになつておる。そこでアメリカとの交渉は二年がかりでも三年がかりでもゆつくりやつて全面的な一つ解決をしてもらいたい。併し実際損害を受けた漁業者のほうはそれは待つておれないので、日本国政府による代替補償が必要になる、これは早急にやつてくれということを我々から何回も言つてあるわけです。それはもう早急にやりますというお答えも前にあつた。今日も一部そういうようなお話もあつセのですが、もう今頃はその性格もはつきりしまして、いつから実施してどうする、いつまでにはそれは取りあえず完了するということもきまつているはずじやないかと思う。又政府が責任をもつて損害者に対して代替補償を実施するということは逆に言えば又アメリカに対しても大臣は前に不利だと言つたが、外務大臣はちつとも不利じやない、よろしいというお話があつた。だからもうそれをやつてもらわなければならんので、代替補償の額がアメリカに要求しておる損害補償の額の何割程度を大体きめておるか。今日そういうことをお聞きする段階だと思うわけです。そうしてそれをいつから始めで、まあ一部は始まつておりましようが、いつまでに取りあえず完了する、そういう期限のことも一応お聞きしたい。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 今立替払いをしようというのは、患者の家族の生活補償ですね、それを少しまとめて立替払いをしよう、こういうことなんです。それからその他のことは、対米折衝はもう殆んど結論になつておりますから、そう日がかからないでできると思う。そうすればそれで賄つて行くことができると思つています。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 そこにいろいろ問題があるわけですね。そういう生活補償の問題だけに限るのは政府の一方的な考えです。私はやはり対米折衝にはそういうことでは或る意味でまずいのじやないかというふうに考える。これはもう全面的にやはり対米要求額の八〇%取りあえず出すとかいうような断を下して、それを実施することが日本政府の肚をはつきりアメリカに通じせしめる、彼らの決意を促すゆえんじやないかと思うのです。この前に外務大臣のほうでも、要求額を秘密にするようなことをしないではつきり打出して国民と共にこの問題の解決のための対外折衝をやつて下さい、こういう要求をした場合に、岡崎外務大臣は、そういう御意見もありますれば善処をいたします、考慮をいたしましようという答弁があつたのです。その点の考慮はどういう程度になされているか、これは外務省にもお聞きするわけなんですが、もつと積極的にこの補償をやつてもらわなきやならん。単に一部の生活補償だけを一時みてやる、さつきも対米折衝はもう今すぐ早急にきめると非常に日本のほうでまずいので、まだ相当かかるというお話があつた。今のお答えではもう大体目鼻も付いておるというような今度逆の御答弁もあるし、どちらがどちらかわからない。やはりこのまま行きますと相当私は時間がかかると思います。又時間をかけなけりや有利に展開しない。ですからもう六カ月にもなりますですから、補償を早く立替えてやるということは政府の一番にやらなければいけない義務だと思うわけです。そういう点についていま一度考えを整理いたしまして早急に一つお願いいたしたい。これについての具体的な御決意を承わりたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 外務大臣が委員の質問に対して、日本がその全体に対して立替払いをしても少しも交渉には差支えないと言われたというのでありますが、その外務大臣の答弁は全体に対する立替払いという意味ではないでしよう。それは国内の当業者の打撃に対する一時的の切抜けのための国内融資ということに対してやつても、そういうようなことに金を出してもちつとも差支えはなかろう、それから又或る程度の場合はいいだろうがというような意味だつたろうと思います。全体に対しての立替払いを日本がするということはそう簡単にはできないと思います。相当額も大きくなりまして、そう簡単にはできないと存じます。でありますから、外務大臣の答弁もそういう点にあつたろうと思うのであります。  それから対米折衝を時間をもつとずつとかけてやつたほうが日本として有利だと、そういう考え方と、アメリカと折衝した今日までの経過、思惑、向うの方針等をよく比較考量しまして、これはむしろ早くきまりをつけたほうがいいと、こう考え方と、両方あると思います。両方ありますが、そういうふうにあなたがお思いになることも十分理由はありましよう。だからそこのところは少し政府と考え方が或いはやり方が、目的は同じなんですが、やり方が少し違うように思つております。けれども、とにかく相手があつて交渉をすることでありますから、この間には幅を持ちまして、こつちのほうはちやんときまつておりますよ、併しながら幅を持たせて緩急をはかつてやるということが必要なんじやないかと思います。ただしこれは外交折衝は外務大臣がやつているんですから、そういうような考えをもつてやつておりますのであるということもお察しを願いたい。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 今のお話はちよつと逆なんでしてね。対米折衝の経過を聞いたときに、相当期間がかかりますというのは外務大臣であり安藤国務大臣であつたわけです。これは早急にきめるとまずいから相当時間をかけてゆつくり有利に展開したいというのであなたのほうでおつしやつた。ですから私のほうはそれを了承して、ゆつくりやつて下さい、結構です、併し対内の被害を受けた者に対する補償は急を要するものでございまするから、これは政府で代替補償を早急にやつて、外交折衝はゆつくりやつてくれということはあなた方の御方針に賛成をした結果出て来た我々の要望なんです。ですから、僕らのほうで対外折衝の問題で意見を申上げたいのは、国民外交的な要素を入れて秘密外交をやらない、アメリカにはこれだけのものを要求しておる、現在の段階ではアメリカではその何用しか出さないと言つておる理由が我々に出たから、これを強力に推進する国民の全面的な協力を願いたいといつたような、おおらかな、オープンな一つ外交折衝をやつてもらいたいということをこの前強く要望した。これは我々のほうの要望なのです。これは政府のほうの意見ではなくして、我々のほうの要望で、外務大臣はそういう御意見があれば考慮いたしましようというお話だつた。その考慮の結果を今日含めて聞いておるわけです。いよいよそういう方針に切替えて頂けたかどうか。又切替えると切替えないとにかかわりませず、安藤国務相としては、このあたりでアメリカに対してどの程度の補償を現実に要求しておるか。然らばアメリカはそれに対して幾らしか出さないと言つておるか。先に千田委員からもお話がありましたように、法律的な義務があるとかないとか言つておるが、一体政府はどういう強腰でやつているのかということを具体的に聞きたい。それと関連して、補償はアメリカに対する要求額がアメリカから出ると出ないとにかかわりませず、やはり政府がアメリカに要求した限りは、その額は政府が責任を以て被害者に補償しなければならない額なんです、少くとも……。被害者は不満でございましようが、政府は要求した額は、そのまま被害者に最小限度国家が補償しなければならんものだと私は考えておる。取りあえずその何%を代替補償として出すかどうかということをはつきり今日はもう聞く段階だと思うから御質問申上げておりますが、一向にその点に関しまする御答弁ではなくて、原則的な問題ばかりを御答弁になつているようですが、その点をはつきり御答弁を頂きにいと思います。外務大臣の考慮の問題につきましては、中川局長も来ておりますから、そのほうからも伺いたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 今までの間にはいろいろな段階を経おりまして、委員会での話を無論参酌してやつて来た段階もずつとあります。今日の段階になりますと、大体の見込みがつきましたから、むしろ早くきまりをつけたほうがいいのではないかというふうに考えております、政府といたしましては。それから立替払いはまあ今まで過ぎ去つたことは別として、今日としてはそれもさつきから言つておる通りに、今すぐきまりをつけますと言つたつて、そうそうすぐ右から左というわけには行きませんから、これに対して相当の立替払いをしよう。併しその立替払いは先ほど言いました通り、患者の生活、患者の家族の生活費こいう点を立替払いをしよう、こういうように考えておる次第であります。その他は一日、二日急がないでも賄つていけると思います。但しアメリカとの交渉が、又ここであの久保山の重態の事態が出たのですから、それも含めて向うへ話をしたいと思つて……まだ取りかかつてはおりませんが、したいと思つております。そのためにこちらでその基礎案をこしらえておるわけです。その基礎案をこしらえたと言つてもすぐ右から左に一時間二時間でできるというものでもないわけでありまして、各省が寄りまして、そしてその各省の対策連絡会議がありますし、それは私が主宰しておるのですが、それも今日まで二十回近く開いておる。この間も直ちに久保山のことが起つたから、すぐ招集して開きまして、そういう事務当局のほうでもいろいろ心配してもらつていますし、又関係大臣側でもそういう事態に向つてやつておる次第でありますから、そこでその立替払いは今言う通り生活保護費というところで、それは生涯保護費をとにかくどれだけの間やるということは大体向うでも、アメリカヘの要求は一年になつておるわけです、一年にね……。一年ということが基礎になつてやつておりますから、その間の患者の生活保護費のそれの総額の何割かを今立替えてやつて行こう。そうすればまあ当分安心ができるのであります。それが一番急だと思う。あとは今言う通りに、ここで結末をつけて、アメリカとの交渉を終れば、自然そのほうからうまく行く可能性がありますけれども、それも今重態の問題が出ていますから、それを特別に交渉するとか、或いはそれを含めて交渉するということになりますと、これ又少し時間がかかるかも知れない。早く行くことは希望するのですよ。併し時間がかかるとなればそれでは又いけないから、今度は今やろうとする生活保護費だけではなく、今あなたのおつしやるような全体に向かつて政府としては国内の方針もきめて行かなければならんと考えております。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 代替補償と私が申しておりますのは、生活保護の問題とかそういう問題だけじやないのです。これは我々が言わなくたつて、政府が早急にやつていなければならないはずなんです、今までだつて……。私は行政府のことはわかりませんけれども、やらないことがおかしい。それは早急にやることが必要なんです。補償は勿論それも結局包含いたしますけれども、もつとスケールの広いような、全体の補償ということをはつきりやはり打ち出さなければいけない。今頃になつて、六カ月経つた今になつて生活が困つておるだろうから、患者家族の生活補償を或る程度見て、それだけの補償をするなどということは余りにも遅過ぎるし、今頃それで代替補償ということにそれで肩替りされましては、これは非常に困るのです。その点を私たちは聞いておるのです。  それでは一遍話を整理しまして、アメリカに一体どれだけ要求しておるのですか。これははつきり言つて下さい。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) アメリカに対しましては、これももう初めて起つた話じやなく、今までしばしば出ておる話で、ほかの大臣からも皆出ておると思います。私も話をしたことがあると思います。日本からはすべての細かい点に至るまで書き上げまして、向うに全部出してあるのです。アメリカはそれを向うで又細かく検討しまして、そうしてこれだけの賠償をしようと出て来ておるのです。それからこれについて向うが出て来たことで今日まで満足ならばもう早く済んでいる。それじや満足しませんから、つまり延びているというわけなんです。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 ですから細かい計算をしてアメリカに要求しておる額、大体その計算の基礎ですね。それを全部一つ……アメリカはよく知つておるのだが、日本では政府だけしか知らない。国会ですら、幾ら要求して、どういう計算の上に立つてそれが要求されておるかわからんということはちよつとおかしい。民主政治の根本から考えましておかしい。もうこのあたりでその資料を全部月曜日でいいですから、出して下さい。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 日本から向うに提出してあります全部のことは、非常に細かい検討を経て、それから各同業者に聞いてやりまして、ちやんとできておりますから、それは水産庁長官が主として中心にやつておる。当然やるべきはずですから、これは一つ水産庁長官に聞いて頂きたい。アメリカは全部補償しようとは言わないのです。アメリカはアメリカの見解とそれから向うの検討によつて又こつちに言つて来ておるわけです。それがすぐ折合わないから今日まで延びているわけです。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 今の問題で長官一つ月曜日にその資料を頂けますか。あなたに聞いて下さいというのですから、全部この問題はあなたに一任されているのですから、大臣の了解を得たものと考えます。余りそう細かいことを言わなくてもいいから大体の項目に分けて全体の額を一つ……。と申しますのは、私はこの前も言つたわけなんです。とにかく政府がアメリカに対してこれまでいろいろやつおるやり方というものは、どうも私は余り納得が行かない。そういうような納得行かない点から考えますと、こうして我々にも額を知らさずアメリカと折衝して、まあアメリカから割引されまして話が出て来る、そうして最後にそれを受けざるを得ないことになつた場合に、もつと極端に言うと、これを聞かなければやらんぞというおどしにかまされて仕方なしに、できなければ泣寝入りするのじやないかと思う。した場合にあとで日本側が要求した額がこれだけだつた、アメリカから内示された額を出して、アメリカがそれを殆んど全面的に呉れた、両方の意見が完全に一致したなんというはつたりをはまされては被害者としては迷惑千万、僕らとしても承知できない。あらかじめ日本政府がアメリカ側に要求しておる額をはつきり知らして頂きたい。そうすることがアメリカに対する強い圧力にもなると思う。これは最初から言つている。これをどう言つても皆さんの要望しておる額と同じでございます、それより多少上廻つておりますというようなことを言われて、のらりくらりと数字の発表をなさらんことは、これは非常に非民主的だと思う。幸いにその数字は水産庁長官のほうでやつておるからそちらから聞いてくれということですから……。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) ちよつと申上げます。今森崎委員から要求されました資料の提出につきましては、水産庁関係ばかりではありませんですから、厚生省関係もあります。従つて政府に対しまして、アメリカに提出いたしました損害要求の額の詳細の内訳の資料を次回の委員会に提出して頂くように要求いたします。  更に安藤国務大臣に関連してお尋ねいたしますが、先ほどこれは先般来の委員会からもお話があるのですけれども、アメリカは直接、間接を問わず、一括して掴み金式な形で八十万ドル或いは百万ドルという金を日本政府に出す、こういうような話を承わりましたが、そういたしますと、日本政府はどういう基準でこちらから出している二十数億という損害に対しまして、その一割足らずの金を配分されるのか、その配分の基準はあるのかないのか、それで国民は、被害者は納得すると思われるのかどうかということをお尋ねいにします。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 被害者というのはもう……、被害ということも、これはその考え方によれば非常な有形、無形甚大な被害がある。併し先ずここできめて行くことは有形的の被害を対象にしなければならん。それについては先ず第一は患者に対しましてはそう不満足ではないことを要求しております。それは恐らく承知をアメリカもしております。それからつまり患者に対しまするというと、治療費とかそれから生活保護費とか、或いは慰謝料とかいう問題でありまして、これは十分なことができようと思います。それからあとは福龍丸の始末、これはもう済みました。それから廃棄したまぐろ、これは相当多量です。これは全部賠償をすることになつております。それからただ一番残るのは同業者、生産業者、並びに流通業者の打撃であります。で一番裁定に困るのは流通業者の問題なんです。一番それが裁定に困る。でありますが、それに対しましてはこの急場を見てはおられませんから、国内の融資という方法をとつたのでありまして、その国内の融資もあれでは不足でありますから、更に増額をすべく今やつております。これはもう殆んどすぐ実現をすると存じます。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 森崎委員の質問に関連いたしますけれども、新聞の伝うるところによれば、ビキニの補償については大体八十万ドル乃至百万ドル前後に落着くように見受けるわけであります。殊に政府当局の最後の外交折衝の解決点もその辺にあるかのごとき我々は印象を受けておるわけであります。併しながらこの金額は先ほど委員長指摘の通り、現在政府当局からアメリカ側に通報されておるという損害の二十五億に比較いたしますと、余りにも少額に過ぎるわけであります。そういたしますならば、仮に百万ドルといたしましても、第五福龍丸の関係者、或いは直接まぐろを廃棄したというような直接損害を対象にして考えておるのかどうかというようにも見受けられるわけであります。併しながらビキニの水爆による損害というものは今の安藤国務相のお話のように、流通段階におきまして、或いは生産の段階において、或いは市場関係におきまして計り知るべからざる損害をこうむつておると見るわけであります。そういうことを間接補償、こういう考え方で計算に入れますならば、百万ドル前後ということは余りにも微々たる額に過ぎると我々は見ざるを得ないわけでございます。  そこでお尋ねしたいことは、先ほど森崎委員から御指摘がありましたが、外交交渉が最後の段階に来ておるといたしますならば、当然政府は幾ばくの補償をアメリカに要求しておるのか、これを公表して国民と共にアメリカに対し要求の貫徹を図る外交方針に切替えるべき時期じやないかと、こう感ずるわけであります。殊にビキニの被害に対する世論というものは囂々たるアメリカの態度に対する非難となつて現われて来ておるわけでありますし、殊に数日前からの久保山君の重態というようなことは一層そういう危惧を駆り立てておるわけであります。そこで私はお尋ねいたしますが、水産庁長官に答弁させろとおつしやいますけれども、安藤国務相は政府の対策機関の議長でもありますし、当面の責任者でもあるわけであります。細かな資料を我我はこの際お聞きしようというわけではないのでありまして、一体政府は総額幾らをアメリカに対して要求されておるのか、これをお尋ねしたいと思います。その総額というものは、更に直接損害の補償であるのか、或いは今安藤国務相の言われておる流通業者等も含めた間接損害に対する補償等も含めた額であるのかどうか、一つ安藤国務大臣、政府のとつておられる交渉の総額についてこの際明確に御答弁願いたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) そのお話はもうすでにどビキニ問題で随分水産委員会でやりましたので、出ておると思いますがな。併し今簡単に申上げますが、あなたの質問に対して政府が向うに出しておるのは全部出してあります。直接、間接もう殆んど全部を尽して細かく……。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 その数字を出して……。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 今これからだんだんとよく話をするのです。しまいまで聞いて頂きたい。その額は二十五億ちよつと以上であります。併しこれは提出をいたしましたが、アメリカとしてはそれを又向うでは細く検討をしている。それで向うの大体の考えは、直接損害は補償をしよう、間接損害はどうも補償はむずかしい、むずかしいということは、アメリカの国内法にもないし、それから従来もう幾多のそういう事例があつたが、それは間接損害というようなことにまでは及んでおらない。或る場合には、国と国との間の紛争になりまして、国際司法裁判所に提訴をして、その提訴の判決は間接損害には及んでおらない、直接損害、直接損害のうちでも最も直接的のものを支払えと、こういう判決にもなつておるのであります。で、そういうことを根拠として、アメリカがそういうことを根拠としてですね、直接損害は支払おう、間接損害は不可能であるというのがアメリカの方針なんです。併し日本としてはですね、その解釈にして満足はしておりません。満足はしておりませんが、アメリカはそういう方針、態度をとつて来ておるので、それがまあ今日まで延びたゆえんでもあります。それを成るべく近寄せようというのが日本の努力なんで、そのために今日まで延びたのであります。けれども、向うが賠償する賠償額はですね、よくこれを又調べてみますると必ずしも日本から全部提出しておる中の直接損害とみなすべきものだけに限定をしてもおりません。いわゆる間接損害と、まあ常識的に間接損害とみなすべきものも或る部分は入つております、向うの賠償額には。そういうのが今日までの折衝の経過であり、只今の段階でございます。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 安藤国務相の御答弁によりますならば、政府がアメリカに対して要求しておるその額は二十五億という額に上るのである。併しこの日本側の要求は間接損害を含めておるからこういう額になるのではあるが、アメリカは直接損害に対する補償しか考えていない、国内法から言つても或いは従来の国際法の関係から言つても、そういうような態度をとつて臨んでおる、こういうようなお話でありまするが、仮にその答弁をそのまま受取つたにいたしましても、日本側の計算によつて二十五億に上る損害が出ておる。ところがアメリカ側のこれに対する損害の補償というものは八十万ドル前後しか考えていない。非常な数字の隔たりがあるわけであります。八月三十一日閣議において安藤国務相は、久保山君の危篤の新しい状態に鑑みて交渉はやり直さなくちやなるまい、百万ドル前後というような談話が載つていたように記憶いたしておりまするが、安藤国務相のお話を聞いても僅かに三億六千万円、これは二十五億とは非常な違いがあるわけであります。成るほど、従来の国際法の慣例から申しまして、或いはアメリカの国内法の立場から申しましたら、間接補償についてはとやかくの議論があるかも知れません。併し常識的にみまして、水素爆弾の実験という従来の国際法の概念ではとらえることができないような事態においてこういう災害が発生しておるわけであります。殊に第五福龍丸についても危険水域の十九マイルも外におつたんだ、こういうような事態も明かになつておるわけであります。当然無過失賠償責任論等によつてアメリカが今回のビキニの損害に対する十分なる補償、損害賠償をやるということは、これは私たちは両国の将来の国交のためにも、或いは又新しい水素爆弾という従来の国際法の概念ではとらえることのできなかつた事態において当然とられ、然るべき措置かと、こう考えるのであります。ところが安藤国務相の御答弁によりますると、二十五億の要求に灯しまして、今アメリカ側は八十万ドル前後に、これすらも歩み寄つたのかこうか知れませんが、外務当局としては、この前後で何か妥結をしよう、こういうふうな肚であるかのごとく我々は聞いておるわけでありまするが、一体政府といたしましては、今後の差額をどう縮めて行こうとする御方針であるか、誠意を以て或いは飽くまでもアメリカの蒙を開いてこの額の引上げに国民輿論の動向に鑑みて努力をなされようとする肚であるのかどうか。更にこの見通しについてこの際明確に承わつておきたいと思います。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 無論努力をして行きたいのであります。ただ併し見通しとしては、アメリカがどういう方針でありますから、わたしの見通しとしては、どうも大努力をしてもこちらが提出をしておりまする全部を出すというようなことにはならないかと思います。これは見通しですね。わたしばかりじやない。政府の見通しであります。併し久保山君がいよいよ悪化をすると、こうなつて来れば、更にこれはその見地から考えて行かなければならんことは無論でありまして、それによつてアメリカにどういう基礎で、まあ主にこれは額の点になるのでしようが、どういう基礎で要求するかということを政府としては調べております。でありますから、今久保山君の経過を見まして、そこで新らしい交渉を始めたいと思います。但し新らしい交渉ということは、今までずつとやつて来まして、もう最終段階に来たことをすつかり改めるというやり方もありますし、それはそれとして、別に最悪の犠牲が出たということを改めて交渉するか、そういう点につきましては、今関係当局で練つている最中なんです。それからもう一つは、久保山君の容態を見ておる次第であります。そういうのが今日の現状なんです。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 もう一つそれではお尋ねいたしますが、先ほど来八十万ドル、百万ドルということを申上げておりまするが、最終段階に来ているといたしますならば、アメリカの県側に対する補償の額というものは八十万ドル前後であると我々は解釈してよろしいかどうか。このことが新聞等の伝えるところによりますると、岡崎外務大臣等もこのあたりが外交折衝の結論であるかのごとく語つているように聞いておりますが、アメリカの現在日本に示している額はこの程度の額であるのかどうか、承わつておきます。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) アメリカが今日まで内示して来ております額は、お話の通り八十万でございます。併しもつとせり上げなければいかんというので、率直な話ですが、九十万ドルになり更に百万ドルくらいに今なつて、その間を折衝しておるところであります。但し久保山の事件が出ましたから、それでいいか悪いかということを今言つたように考えております。併しそれはそれとして、久保山のほうのことに対して別に要求するか、それはどつちがいいかということを相談をしている最中なんであります。  それから外務大臣の、この辺が結論だろうということは、先ほど言いましたように、こちらは全部提出しているのですが、アメリカのほうではそれを細かい細別の検討をして直接損害は賠償する、間接損害は先ほどから言う通りそういう慣例もない、そういう規定もない、どうしてもそれはできないからというので間接損害というものには及んでおりません。併しそれではその賠償額という、いわゆる向うが言つて  いる八十万ドル、こちらはもう少し上げて行こうというのですが、それの中には厳密なる直接損害ばかりではない、常識的に間接損害と見なすべき或る部分も入つてはおります。そういうわけです。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 アメリカの提示している額は八十万ドルということで、この点は交渉の過程が明らかにされましたので了承いたします。ところがどうも国務相の答弁を承わつておりますると、久保山君の新しい重態という条件が出て来たので、日本政府としては九十万ドル或いは百万ドル前後の交渉に引上げを考慮されているかのごとき印象を受けるわけであります。ところが先ほどの安藤国務相の御答弁によりますると、日本政府のアメリカに対する要求は二十五億という額を打出しておる。こういう日本政府の態度から申しますならば、新しい事態が発生して百万ドル前後を交渉の掛引の金額に載せているということは、一体日本政府の掲げている二十五億の損害というものは、これは権威のある資料に基いて算出されたものであるのかどうか、或いはいい加減な交渉の掛引にしようと思つてこういう数字をアメリカ側に通報しているのか。日本の政府の或いは各関係省の末端機関の権威ある統計資料に基いて、ビキニに基く損害は直接間接二十五億は確保しなくちやならん、こういう日本政府の統計の資料に基く金額であるのかどうか、この点一つ承わつておきます。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 二十五億幾らというのは全部を計上してあつて、而もそれは水産庁が中心になりまして各関係方面と折衝し、又各同業者を呼び集めたり、いろいろな資料を集めて提出してある。これは提出であります。二十五億そつくり要求をしているのではありません。提出をしてあります。むろん日本としてはその全部を賠償をしてもらうことは希望していること、又それに対して努力もしていることは言うまでもないことなんであります。併しアメリカのほうの考え方は、幾度も言う通りに直接損害というのでありますから、額は減つてくるわけなんであります。けれどもさつきから言う通り、その中に我々が見ても関接損害的のものも入つておりますから、直接損害に多少プラスしているのだと考えております。  それから八十万ドルとアメリカが内定して来ている。それを久保山の事件があつたから九十万ドルにし、百万ドルにしようと努力したのはありません。それは久保山のああいう容態悪化の前から、八十万ドルでは満足ができませんから、もつと上げるように交渉しているのです、外務省を通じまして。ところが私がさつきから言つているのは、それが仮に百万ドルを向うは八十万ドルというが、どうしてもいかん、百万ドルという考えが最後の線になつたとしても、それはその前からの努力なんで、久保山の事件はそれ以上にそれにプラスしなければいけないと政府は考えている次第であります。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 この点は森崎委員と同じくして、少くとも最後の段階に来ているとするならば、政府はこれだけの額は当然アメリカに要求すべきである。国民に訴え、国民に明らかにして、国民と共にアメリカに正当なる賠償額を求める外交交渉に切換えるべき段階だと考えているわけであります。安藤国務相は少くとも純然たる党人出身の政治家であつて、こういうような点においては、官僚出のその他の政治家とはいささか趣きを異にしてもいいのではなかろうかと、こう私は考えているわけであります、このような政府としては国民と共に正当なる要求を、アメリカに要求するだけの肚構えがあるかどうか。この点を最後に承わつておきますと共に、もう一つこれは千田委員の先ほどの質問に関連いたしますが、日本政府はアメリカに対しまして、今回の水爆実験による被害に対し、正式の陳謝を求められたのかどうか。先ほどの安藤国務相の御答弁によりますると、アリソン大使から遺憾の意を表した書簡が参つた、こういう御答弁でありますが、それは正式の陳謝の意を表明したものと政府は解しておられるのかどうか。と申しますのは、我々がアメリカからの電報を読んで見ますると、アメリカの世論等においては、そういうことが何ら反省されていないように見受けるわけであります。今回の久保山重態の情報によつて、世論も相当関心を寄せているというように見受けるわけでありまするが、むしろ水素爆弾を持つことが民主陣営のためであるし、又平和のためでもあるかのごとき、こういうアメリカの考え方というものは、我々日本国民から申上げますると、納得の行かない、許すことのできない国民感情というものを刺激するわけであります。殊に外務大臣等のごときは、国民世論を無視いたしまして、水素実験には協力するというようなことを言つておりますが、そういうようなことがアメリカの今言つたような考え方に通ずるものと思つております。政府はアメリカに対しまして正式に陳謝を求められたのかどうか。先ほどのアリソン大使の書簡というものはそういう陳謝の意を表わしたものと政府は解釈しておられるかどうか。この点承わつておきます。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 私は率直なことを言いますから、政府者だというのでその間に言葉を構えるというようなことが私にはできないのです。だから率直なことを言うから、私の言つたことが表現が悪くて誤解されるようなことがあるかも知れませんが、そこの、ところはよく御了解を願います。日本から二十五億提出してあること、それに直接損害はアメリカが出すと、あとのほうのそつくりアメリカが聞かなければならないかどうかということは、これは何とかアメリカのひいきをするようになつて聞かれると非常に困るのだが、極めて冷静な、彼我の見地を捨てて極めて冷静に考えると、アメリカとしても検討するということが当然だと思い、又政府のほうでもそれはアメリカとしてはそこのところへ検討考慮をしてきめて来るのも或る点は止むを得ないという感情を持つております。アメリカのひいきをすることでも何でもないのですよ。そう思われたら大変ですが、極めて冷たい頭で考えて……。併しながら日本政府の要求としてはもう最大限度を要求することに今日までずつと継続をして努力をし、なお又久保山君のことが起つたからその上にプラスして要求したいと考えておる次第であります。それからアメリカが久保山一のような最悪の状態が起つたときに、私の考えじや日本人ならもつと早く素直に無念な実に残念なことをしたが、日本人ばかりじやない、人類のために非常に遺憾なことだつたと、こうすつきり出て来ていいわけなのだと、日本人ならそう出られるだろうと、そこはアメリカ人と日本人との考えの違いじやないか。もう少し大きく言えば東洋人と西洋人の違いはそういう点にあるのじやないかというくらいに私は遺憾に思つていたのですよ。ところがまあ漸くにしてアリソン大使から外務大臣に向つて書簡をよこして、それにまあ遺憾の意を表現をしております。それが本格的の陳謝であるかないか、これは又よく別に解釈をして見なければ下手なことは言えません。失言をする困りますから言ませんが、まあとにかく遺憾の意は表現をして来ております  それから水爆の実験云々の御質問が最後にありましたが、それで岡崎外務大臣はこれに協力すると言つたのだが、これは今までしばしば出ておるが、岡崎君が協力するというのは、無条件で大変いいことだからどんどんおやりなさい、日本は双手を挙げて賛成しますといつたような協力じやないと思います。国際関係上、誠に今日の国際情勢の上から見て日本の国として協力はできない、こういうことを言い切ることは日本の外務大臣としてはどうであろうかというようなことを考慮しての上の外務大臣の協力答弁ではなかつたかと思います。これは人の、外務大臣のことをこつちが何にも弁護したりどうしたりする必要はないが、極めて公平冷静に考えて私はそう思つておる。但し今後この水爆実験に対してはどうするか、これは私は率直に言うが、私個人としては水爆の実験などはやめてもらいたいのです。水爆実験禁止論です。併し日本の政府としてはこういう話はまとまつておりません。ですからその問題につきましては、政府としては公式の相談もしておりません。そういう段階にあります。恐らくこれは今の国際情勢の上から見て、又アメリカのほうだけ実験をやめるくと言つても、片つ方のソヴィエトのほうで実験をやめない、どんどんやつ薫るということでもいいのか悪いのかというような問題が一方に出て来ます。これはなかなか軽く見るわけ行かない。だからそういう国際情勢から見ても、又日本の今日の国際関係、各国との国際関係、日本と関連する国際関係としての日本の立場から見てもすつかり禁止ということを一遍に言つてしまうという英断はなかなかむずかしいのじやないかと思います。できないというのじやありませんよ。日本政府としても今日の段階ではそれを私個人の議論のごとくに反対論を唱えるわけにはいかないと思う。私はまあ個人としては水爆実験禁止論ですけれども、政府者としては自分の言うことばかり言つちやおられません。成るべく私の意見が貫徹するようにしたいとは思つておる。併し今日までそういう公式の相談はないということを御承知を願います。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 ちよつと一つだけ伺つておきたいのですが、安藤国務大臣が非常にこの問題については進んでおやりになつておられることには敬意を表します。同時に最近の情勢から、前回の委員会の経過から見まして、我々は一日千秋の思いでこの解決を待つておつたのであります。然るにまあ今日までまだその段階に至らん、その事情も大体わかりました。一つ伺いたいと思いますのは、国民が最近特に不安に思つておる点は勿論福龍丸事件の問題もさることながら、最近の新聞紙上等にはその後入つて来る魚にも相当の被害があるということが出ております。そこでこれらに関しては勿論科学的にはなかなか困難点がありましようが、こういう問題に対して新被害に対する国民の不安を取り去るような問題に対してどういうふうな措置をとるか、或いはどういうふうにお考えになつておるか、その点を一つ伺つておきたい。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 私も今あなたのお尋ねと同じような感じを持つたのですよ。だんだん少くなつ粟たのです。放射能が魚にくつついておるのがずつと少くなつて来たのです。それが最近になつて又放射能のが入つて来る。どういうのか、又新らしいどこかでこつちの知らないように実験でもしたのじやないかというような、こつちはしろうとですからそういう疑惑すら持つて、この間対策打合会でもこれは専門家も入つておりますから、聞いて見たのだが、それはどうもそういうことじやないだろう、だけれども今頃になつて又そう殖えて来るのは変じやないかと言つたところが、魚というのは一ところにおらないであつちこつち回漉するから、たくさん放射能を持つた魚が浮いておるところへ不幸にして出くわして、その魚を獲つたからというようなことの推測なんです。けれどもこれは科学的にしつかり細かい調査をしてそうだと断論できておるわけでもありません。いずれにしましても政府のほうでは調査会を設けて、今まで調査会があつちこつちに分けてありましたのをそれを連絡統一する機関ができたのです。そこで統一して連絡のある調査をしなければいけない。そういうのでどんどん進めておる次第なんです。更に又この九月からはアメリカのほうから権威のあるそういう科学者も入つて寄りまして、日米協同調査をやるというようなことになつておりますから、そういうことを経て来ないと、本当の科学的根拠のある結論は出ないわけなんです。併し何とかして国民の不安を一掃して行かなければならない。そうでありますが、これは新聞などで断片的にちよいちよい出ますし、又科学者やその他の方面からも断片的にその日その日の話をしますと、読むほうには予備知識がありませんから、新聞が一番頼りになつている、ラジオが一番頼りになつておりますから、一片のラジオ、一片の新聞によつて、最終的なもののように一般読者が思うような傾向がありまして、そういう点はどうしていいのか、それは広報機関というか、宣伝機関というか、そういう点も考えて行かなけばならんというようなことを、これは別にこういりような機会にも考えておるような次第であります。ですから、あなたが今御心配になつておるような不安を何とか除去するように専門家にも相談してたんくやつて行きたいと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 時間がありませんが、もり一つ伺いたい。今度吉田首相が二十か日に外遊なさるそうですが、その発表によれば親善ということが第一の暇日である、こういう意向のようであります。我々が副総理その他に折衝した結果、その際親善であればなおさらのこと、こういう問題は将来日米外交の上に重大なる支障を来たす問題であります。こういう吉田首相外遊を前にしてこの問題が解決できない、解決の曙光を見出すことができないという場合においては、安藤国務相としては外遊に先だつて吉田首相に日本政府なり或いは国民の意向を十分に伝え、使節としての十分な役目を果すような方法をとられるということに対する肚がまえで御忠告なり、御忠言なり、希望なりを吉田首相に申入れる肚がありませんでしようか。その点一つ伺いたい。

安藤正純自由党国務大臣

○国務大臣(安藤正純君) 政府としてそういうような相談も話合いもいたしたことはございません。私としては吉田総理が出発前に、この問題は是非一ついろいろな方法もりましようし、いろいろな機会もありましようから、総理から日米親善の基礎の上に立つて、水爆実験の今後の問題等について向うに話をする或いは忠告をするといつたことを是非してもらいたいということを勧告するつもりでおります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 速記をつけて下さい。

千田正無所属クラブ

○千田正君 さつき安藤国務相の答弁の中に、先般静岡県の焼津、神奈川県の三崎に融資を決定してあつたが、それに対する受入態勢がちつともできていない。これはやいやい言つて来ても、今になつて何ら受入れ態勢が整つていない。一体これはどういう理由に基いておるのか、例えば当時の被害の人たちの要求に満つるような金が来ナないとか、それとも手続が煩項で到底間に合わないのか、一体どういうことでそういう事態を来たしておるのか。

清井正水産庁長官

○説明員(清井正君) 只今の御質問の点でありますが、静岡には五千万円、神奈川には三千三百万円の金額の枠が定められたのでありますが、両県とも非常に問題がございましたが、結局静岡は決定いたしまして、すでに関係者に実際の金額が行き渡つておることと思います。神奈川は残念ながらまだ決定しておりません。併しながらこの問題は何と言いましても、希望の金額に対して貸付金額八千三百万円という非常に少いものであります。余りにも希望に対して貸付金が少いということが恐らく遅れておる原因の第一かと思います。併しこれは希望が多くて、御承知のような事情でなかなか遍にそこまで行きせんので、まずまずその辺で我慢願つたわけであります。  第一はこういう原因かと思います。  第二の原因といたしましては、要するに地元の出荷業者と申しますか、市場業者と生産者との間の配分の問題があるのであります。実はふだんから非常に複雑な事情がございまして、あそこには市場が二つございます。生産者の経営しておる市場と業者の経営しておる市場と二つあります。業者と申しますのは、いわゆる仲買人の経営する市場、これはふだんからいろいろ問題のあつたところであります。非常にむずかしいところであつたのであります。今回その金額の配分の問題で、主として私の聞いておるところでは生産業者と出荷業者との配分の問題、これが一番問題だというふうに聞いております。ほかにも問題がありましようけれども……。これは専らその枠内でやるように県庁のほうで斡旋に奔走いたしおります。たびたびもうすぐにきまるというようなことで一時はお礼に来たくらいのほどでありますが、まだ最終的にはきまつていないという状況であります。併しこれは今申上げましたような事情でございます。併し、これが遅れますことはいろいろほかにも影響もありますので、早く一つ折角のことであるからきめたいというので私どもも県庁を督励いたしておるのであります。県庁もその気になつております。又たびたび参ります業者にも種々私のほうでいろいろ斡旋をいたしております。これは速かに目的を達するように努力したい、こういうふうに考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 その点は政府の今意図している立替えとしての融資であるか、或いは立替えということじやなく、むしろ日本の政府の、政府としてのそうした問題に対する特別の融資であるかという、その建前がはつきり納得行かないから、そういう問題が出て来るのじやないですか。そういう点は徹底して、そうした人たちが了解行くようになつておるのですか。

清井正水産庁長官

○説明員(清井正君) その趣旨については十分実は話をしておるわけであります。ですから趣旨についての誤解はないと思います。併し無論やり方といたしましても、この間お答え申上げましたように、政府の資金から出す、それは手間がとれることは問題でありますが、趣旨とか手間ということより、そもそもの枠がきまらないのであります。今言つたような原因じやないかと思いますが、それは至急解決するように努力したいと思います。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) ちよつと申上げます。楠本環境衛生部長は只今決算委員会のほうに出席しております。ちよつとこちらに参ることができません一ので、五十嵐予防研究課長から御説明を願うことにいたしたいと思います。御説明願う内容は、先ほど島村委員からお尋ねがありました、最近とれます魚の中に相当放射能をたくさん含んでおりまして、廃棄せざるを得ない状態が出ておりますから、この実情を詳しく説明願いたいと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 私は今現実に、私ども厚生省に要求しているのは、現在新聞紙上、ラジオ等で非常に憂慮に堪えない状況におるところの患者並びに、例えば久保山君、更に現在療養しておる人たちが、それによつて受けているシヨツク等に対して病状の変化等がありはしないかという、そういう点がありますので、それを簡単でよろしゆうございますから参考に伺いたいということをお願いしたいのです。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) 失礼いたしました。では御説明願います。

五十嵐義明厚生省公衆衛生局予防研究課長

○説明員(五十嵐義明君) 予防研究課長の五十嵐でございます。この患者の問題は、医務局が所管いたしておりまして、病院課長が参りますれば正確な資料で御説明できたと思いますが、私から私の記憶している範囲で御説明いたします。現在久保山さんの症状につきましては、新聞等に発表のございます通り、憂慮すべき状態にございます。ただ三十日以来非常な重態を続けておりましたが、最近になりまして、精神科の専門医等の診察もいたしまして、刺戟等に対する反応等も調べておりますが、それに対して若干反応をするようになつたということが今までと変つた状態でございます。まあ栄養などにつきましても、鼻を通じて、鼻の孔から栄養をとらせるというようなことを最近始めました。それが成功いたしまして、その結果何らか好転して来るのではないかということを期待いたしまして、懸命に療養に努力をしておる、治療に努力をしておるというような現状であります。刺戟により反応したことが直ちに結果がよくなるかどうかということについては、主治医のほうも断言はてきなということを申しております。それからその他の患者についてでございますが、これも発表にございますように、幾人かの患者が、やはり久保山さんほど重くはございませんが、肝臓に障害のある患者がございます。これらについても十分検査もいたし、注意もして、治療を続けております。それから精神的な打撃というような点についても、いろいろ東京大学付属病院、国立第一病院、両方とも係の医者が心配をいたしまして、そういつた点についても十分注意をいたしまして、気を払つて患者がそのために症状が悪化しないように万全の療養を、治療をいたしておるというような現状でございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 若し不幸にして、久保山さんに不幸な事態が生じた場合に、恐らく同じような状況に置かれて、被爆された人たちですが、現在療養しておる他の患者も、同じような不幸な事態を生ずるという虞れあるような気もするのですが、それは絶対ないということは保障できないと思うのですが、その点どうですか。

五十嵐義明厚生省公衆衛生局予防研究課長

○説明員(五十嵐義明君) その点は先生のおつしやる通りでございまして、私特に、専門外の立場でございますので、そういう心配が皆無であるということは申上げられないと思います。ただ久保山さんを含めて全体の患者さんについて、そういうことは絶対ないように、今の医学でできる万全の努力をしておるということを申上げます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 御専門でないようですから、或いはどうかと思いますが、しろうとから考えまして、要するに久保山さんのは、黄疸という症状が主体になつておる。その原因が或いはいわゆるビキニの被害による肝硬変とかいうものから来たと、こういうふうにしろうと考えで考えていいですかどうか。

五十嵐義明厚生省公衆衛生局予防研究課長

○説明員(五十嵐義明君) この点は、私今御指摘のように専門外でございまして、何ともはつきりしたことは申上げかねるわけでございます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 今の問題を一つお帰りになつて御相談の上で、若し発表できれば明後日の委員会でどなたかからでも結構ですが、国民の不安はそういうところにあるのではないかと思うのです。お願いいたしたいと思います。

五十嵐義明厚生省公衆衛生局予防研究課長

○説明員(五十嵐義明君) 承わりました。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○委員長(小林孝平君) それなら月曜日の委員会には只今の問題を医務局の係官から御出席を願いまして、お答えを願うということにいたしたいと思います。更に先ほどの島村委員のお話の、最近の漁獲物の汚染状態につきましても、同様厚生省並びに水産庁から月曜日御説明を聞くことにいたしたいと思います。本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十七分散会

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