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19回国会参議院1954/01/23

図書館運営委員会 第1号

発言数
28
登壇者
5
会派数
3
開催日
1954/01/23

会議録

高橋道男緑風会

○委員長(高橋道男君) それでは只今から図書館運営委員会を開催いたします。  先ず昭和二十九年度国立国会図書館予定経費要求書を問題にいたします。図書館長より御説明を求めます。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 只今お手許に出ております昭和二十九年度国立国会図書館の予定経費の要求書につき御説明を申上げます。  先ず昭和二十九年度の予定経費要求の総額は三億五千十八万六千円ということになつております。これは二つに分れて御説明できるのでありまして、国立国会図書館の管理運営に必要な経費三億十八万六千円、それから国立国会図書館の営繕工事に必要な経費五千万円という二つに分れるのであります。  先ず図書館の管理運営に必要な経費のことを申上げまするが、これは前年度に比較いたしますると、昭和二十八年度の予算額は三億五千三百九十四万円でありまして、昭和二十九年度は三億十八万六千円であります。つまり五千三百七十五万四千円だけ減少する姿になつております。この実質は、科学技術振興に必要な経費の一環といたしまして、前年度限りにP・Bレポートなどの購入に八千万円計上してありますのを、それを差引計算をいたしますると、結局は二千六百二十四万六千円を増加したことになつておるのであります。  次に、この国立国会図書館の営繕工事に必要な経費につきましては、前年度と比較いたしますると、昭和二十八年度の予算額は八千百五十八万一千円で、ありまして、結局昭和二十九年度は三千百五十八万一千円だけ減少しておることになります。以上差引合計いたしまして、昭和二十九年度の予定経費要求総額は、前年度に比しまして八千五百三十三万五千円だけ減少したことになつております。これらの予定経費の各科目は、お手許に差上げてありまする資料のようになつておりまするが、昭和二十九年度の経費の中には新規の経費といたしまして、立法資料購入費二百九万六千円、上野の図書館の夜間開館に要しまする経費百二十五万一千円が積極的に計上せられております。又旅費は前年度の二割減というふうにして計上せられておりますけれども、各科目ごとに多少の増減はございまするけれども、大体前年度の通りであります。  なお、これに伴いまして、行政改革の関係として、人員の整理につきましては総定員五百六十六名のうち十二名、パーセントにいたしますると二%になりまするが、それを減少することにいたしまして、差当り昭和二十九年度におきましては九名を減少することといたしまして、これらに必要な待命職員の給与とか退職手当とかというものを計上しておる次第であります。  何とぞよろしく御審査をお願いしたいと思います。

高橋道男緑風会

○委員長(高橋道男君) 只今の図書館長の説明につきまして質疑のおありの方は逐次御発言を願います。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 只今の御説明の国会図書館の管理運営に必要なる経費の減があつたけれども、昨年度の購入の特別の図書、それがなくなつたために、多くの金額が減少になつても、事実においては二千万円とおつしやいましたか、増になつておるというお話でありますが、それは増になつたものの分の使途は、先ほどお話の立法資料購入と、それから上野図書館の夜間開館というようなことに使われるのでありますか、その以外の額はどういうことになるのでありますか。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 図書館の運営に関する経費は、昨年より比べまして、形の、数字の上では減つておるのでありまして、殖えておるわけではありませんです。ただ昨年特別の資料を買うというために大きな費用が出ておりまして、それが今年落ちまして、そこを差引計算いいたしますると、結局若干え募るということを申上げたのでありまするが、その殖えました一番根本は人件費のベース・アップの問題でありまして、それ中心になつて、いわばこう一般の原理に従つて殖える部分だけが殖えておるのであります。それ以外に細かい出入りというものがございまするけれども、結局大したことはないのでありまして、ただ今申上げましたように立法考査資料というものは、これは外国の新しい文献を、書物でなくつて、書物まで行かないような文献を集めなければなりません。これが図書館の一般の資料として買いまするときは、なかなか謄写のものとか、極く小さいパンフレットとか、こんなものにはとても及びませんので、そういうようなものについて少し立法調査資料として必要な支出をする、これが先ほど申上げました若干の金額であります。  それから上野図書館といろものは戦前は夜間開館をしておりました。結局あれだけたくさんの財産を、図書館資料であるところの財産を持つており、相当の人員も持つておりまするけれども、経費不足のために夜間は全然開館をしていなかつたのであります。これはもう或る意味においての、宝の持ち腐れという意味もございまするし、それから民間の要望も激しいのであります。図書館本来の考えから申しましても、夜間或る程度の開館は必要である。これを非常に努力いたしまして、それについて先ずどろにか動く、決して理想的に動くとは言えませんけれども、どろにか動く、それだけを積極的に頂いたわけでありますが、そのほかは殖える意味におきまして殆んど目に立つものは全くございませんので、そうして一方において旅費等の点におきまして相当敵軍な節約を加えておるわけであります。  先ず図書館自身の立場から申しますると、相当つらい意味を持つております。と申しまするのは、まあこういう時代であり、我々ができるだげ緊縮しなければならんことは当然でございまするけれども、図書館といろものは、図書館文化財と申しますと、やはり主眼点は書物等を蓄積して、そうしてあとの人が不便しないようにする、これが任務でありますけれども、今のところ国の書物はいろいろの納本義務等がございまして集めることができますけれども、外国の書物を買うということは非常に限定せられておりまして、或いは又書物というもののくせとして、出て来たときに買わないというとあとから買えないような事情もございまして、非常に心苦しいのでありまするが、事情止むを得ざるものとして、殆んど従前と同じ形を以て続けておる次第でございます。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 営繕工事に必要な経費五千万円ということになつておりますが、これは私の想像するところでは、恐らく図書館長さんを初め図書館の当局の方々のかねぐ希望しておりました数字とかなりの距離があるように思う。で、この五千万円にした或いはしなければならなかつた経緯につきまして我々がよく承知しておきますことが、今後継続的に考えられるであろうところのこの問題を判断し、又問題に対処して行く上において相当大事なことだと私は思う、それについて館長さんから一つ御説明願いたい。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 図書館の建築ということにつきましては、世上の一般の御批評等から見ましてもいろいろの、つまりこれを支待する考え方と支持しない考え方との両方があるように見受けておりまして、これは当局者といたしましては、一方に偏ることなく、全体を統一するところを始終気を付けて案を立てなければならんと、かように考えておりますが、私が六年以前に図書館長ということの任命を受けました当時の予想では、急にはできないにしても、新しい法律ができましたらその法律を活かすだけの準備をしなければならんということを考えておりましたところが、新しき法律を国会でお作りになりました。その中身をだんだん伺つて行きますと、相当大きな抱負を持つておるのであり、これを実現することは容易なことではないというふうに思つておりました。併しだんだん研究を進めて、できるだけ経費をかけないで日本の実情に合わせるという線に沿つて一歩々々と建築の相当の準備をして行きたいと、こう考えまして、あちらこちらの御意見等も伺つておつたのでありますが、なかなか思うようには参りませんで、そこでこれは急ぐわけには行きませんので、だんだん実質的な基礎をこしらえまして、例えば図書館の人の働き工合というものを日本においてはいわば創業のように、今まで類例のないところに図書館活動の人間の頭を持つて行かなければならん、これを一つに考えまして、第二には、世間がこの図書館に対してどういう期待を持つか、図書館を利用する一つの気運を醸成しなければならんということを考えて、先ずこの辺からしてものを進めて行きたいと思つておりましたが、やつてみますると、図書館というものは非常な能率本位の意味を持つておりまして、たくさんの本を集めましても、その能率を発揮する道順が整わない限りは殆んど本は効用を生じません。で能率を発揮させるということになりますると、どうしても建物が本体である。書物を買いましても、それが容易に出ないようになつては困るというその点が一番大きな心配でございまして、日本で僅かの歳月、五、六年の歳月でありまするけれども、だんだん書物も集つて来ますると、これを利用いたしまする道順が先ず建物という面から解決しなければならないような気がいたしまして、現在赤坂旧離宮でやつておりますけれども、これは建物の目的が違つておりまするために、実際能率発揮ということには殆んど縁がないと言つていいわけであります。又図書館を利用するためにおいでになる人々が、あの建物の宏荘な姿を見まするとき、一部の人はその輪奐の美しきことについて感心をいたしますけれども、他の多くの人は、如何にもそれが図書館にふさわしくないという感情によつて一種の抵抗意識のごときものまでも起るらしいのでありまして、これは決していいことではない。実際書物が年に相当の数が殖えて来まして、これをいろいろな方法によつて整理分類し、利用に供しまするときに何としてもやり切れない。結局は止むを得ませんからして図書を虐待して、容易に出ないようにする面も起つて来るということになりまするので、これは何とかして建築をしなければならんという気運からいろいろ努力をいたしましたが、私微力にしてそういう力を引き起すことができなかつたのであります。  ところが幸いにして前の年度、つまり昭和二十八年度におきまして国会の両院の方の非常な御支持を得まして、表面的には一億の予算を組む、これは事業の線の立ち上るための経費であり、一億をもとにしつつだんだん本当の建築ができて来るという機会が恵まれたわけであります。いろいろの委員会その他の考究を経まして、又大蔵省当局が議会において言明をいたしました線によつて、図書館が一万五千坪の建築をいたすということについては異存はないということを大蔵当局から今としては昨年の春初めに言明されまして、但し図書館建築に要する経費は財源の関係があるから如何なる順序によつて行うかということは保留するというような意味において大蔵当局の事務的言明を得ておつたわけであります。爾来その線に沿いましてだんだんと基礎を固める努力をいたしましたけれども、いろいろの悪条件もございましたし、私どもの注意の及ぱなかつた点もございまして、要するに昨年の予算がきまりますることが非常に遅れまして、又その予算の金額の使用の細目を当局者とまとめ上げて行くことが非常に遅れまして、昨年折角相当の金額を頂きましても、これに対する使用が思うように行かなかつたのであります。  一番根本は図書館の設計をどうするかという点でございまして、設計がなければ建築の実質はきまることはできません。その設計をするということ自身が又建築費の予定が立たなければできません。何か追つかけつこしておるようでございますので、それがまあ前はぼんやりそれを考えておりましたから非常に行詰るところがございましたが、結局或る程度に設計を固め、又その設計をもととして或る程度に予算等の考慮をいたしまして、予算等の考慮ができますれば今度本格的な設計の実施に移る、こういうふうにジグザグに進行するよりほかにしようがないと考えまして、やつとそれが今年、今年と申しますか、この二十八年度の予算の中において相当糸口がはつきりいたしまして、もとよりまだ確定するとは言えませんけれども、各方面の御意見としては、計画だけは図書館で建築の基本設計のプラン立てる、できました後はこれを建設省の手によつて一般の方法に従つて最高技術をこれに適用して行く、まあこういうふうな線までやつと二十八年度中に確定をいたしまして、まあその道順に沿つて行きますると、八千坪だけは最初の三年に作りたい、二十九年度を初めとする三年間に先ず八千坪を作りたい、こういうような気運になつて来たわけであります。そこで八千坪の建築をいたしまする順序として、昭和二十九年度に約七億の予算を計上して財政当局に要求をいたしましたところ、今年は一般の情勢によつて新らしく建築の費用というものは極度にこれを圧縮すべきである。こういうふうの情勢でございまして、私ども世の中の趨勢に反対するという考えは毛頭ございませんで、ただその線に沿つて行動しようと思つておりましたが、何しろこれは今までに準備工作といたしまして、先ず土地の選定をする、いろいろの技術の進行の仕方について考えて行く、それから図書館の一番基本的な問題を一つく考虚して行く、こんなような順序で来ておりましたところ、ここで建築費が全部とまつてしまうということになりますると、理窟から言えば、一年とまりましても翌年から又復活する、こういう可能性はあり得るのでありまするが、実際の事惰を見ておりますると、一度とまつたものは再び起ち上るには相当骨が折れるのでありまして、何とかしてこの建築費を細く長くと申しまするか、というふうに考えて頂いて、年限は延びるにしても、建築の可能性というものはじりくと保存をして行きたい、こんなようなふうの気持を持つて当局に希望をしたわけであります。もとより私ども事務的に当局に希望いたしましただけでは必ずしも多くの結果が得らるるとは思いませんので、更に両院のこの方面に関係のある方々の御援助も願いまして、それで落付くところは、それではいろいろな条件の制限あるからして、五千万円だけこの年度の建築費に話に乗ろうというのが大蔵省の方針でありまして、そのことをもとにして今回のこの予算の計画を立てたのでありまするが、かようなふうになりますると、実はこの前年度の予算は、今申しましたような建築の準備等のいろいろの手遅れのために七千万円くらいはまだ繰越使用の可能性を持つております。繰越し得る七千万円と、若し得られまするならばこの新らしい予算の五千万円と、一億二千万円見当の経費を以て当りまするならば、一方において建築設計ができ上るに応じて土地に対する措置だけは或る程度までできると思います。土地に対する措置と申しまするのは、結局根切りをいたしましたり、これに杭打工事をする、或いは地形の如何によりましてはその地形を固めるような措置をする、まあこういうようなことができると思つております。要するに理想から言えば、いろいろ苦しい点もございまするけれども、何しろ大きな土地でござするから、だんだん細々ながらも続けて行つて、適当なる機会に又各方面の支持を得ることができるならば完成をしたい、かような気持でおるのであります。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 そうするとこの五千万円というのは、図書館の新築という継続的な仕事には、芽を摘まずに細々ながら繋がつたという程度のことですか。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) この予算の問題は、余り自分の感情を直截簡明にということは非常に避けなければならんと思いまするが、先ず大体今おつしやいましたような線に沿つてどうにか合理的に、非常なやり繰りをして、経費を無駄にするとかいうことなく、この線を通つて行けばどうにか先のほうに円滑に進行を続げて行くことができる、こういうような趣旨のものでございます。

野本品吉純無所属クラブ

○野本品吉君 只今お話のありました前年度の残りの八千万円と、仮にこの予算が成立したとすれば合わぜて一億二、三千万の金で具体的に見通しのつく工程といいますか、どの辺までお考えになつておりますか、もう少しはつきり知りたいと思いまするが……。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 大体今までの考え方で進めて行きますると、建築の土地ほほぼはつきり確保されましたけれども、建築のプラン自身がこの土地に工事を施すに適するほどまだ確立はしておりませんので、私は素人であつてその点につきましての注出も実は行届かたかつたのであります。みずから恥入るのでありまするけれども、やはり順序といたしましては、基本的な設計があつて、土地のどの具体的の部分に建築をするかという方針が立たなければ、実際土地に対して工事をすることはできないものと思つております。ところが建築の設計のほうは今一応は懸賞募集に出ておるのでありまして、それが出て来ましても直ちに使えるということは私信じませんので、そこで信じたいのではあるけれども信ずることができませんので、でありまするからそれをもとにして更に建設を進め、いろいろな工作を進めて行く、その一応の計画が二十九年の比較的あとのほうにきまるということにもなろうと思います。これは私のほうの手ばかりではできませんので、建設省等にお願いをしなければならんということになりまするとだんだんものが具体的になつて参ります。それと噛み合せて、大よそこの土地にはこれだけの工事をしても大丈夫であるといろこの見込がつきまするに従つてこの経費をかけて行くのでありまするが、只今のところでは擁壁工事といいまするか、土地に壁をこしらえるという工事費が大よそ二千万円見当要るものと思つております。それから根切工事というものが大よそ二千五百万円ぐらい要るものと思つております。それから敷地内にいろいろな障害物がございますので、それが又二千六百万円ぐらい、これは金額のことはまだ先の予想に過ぎませんが、そういうふうにいたしますると、前年度分のまだ使用残りになつておりまする経費がここに充てられることになります。それが済みますると、今度は杭打工事ということになつて行くのでありまするが、何分にも五千万円の経費でありまするから、果して完全に必要な杭の全部がこの金額で打てるかどうかということはまだ多少の疑問を持つております。只今の考えでは、杭が全部打てないだろう、杭打ちに必要な経費がこれでは幾分不足するであろうとは考えておりますが、併しまあこれは何もその年度内にやらなければならんというものでもございませんので、五千万円内外の予算がありますれば、それに該当する程度の杭打ちをするということができます。できるならばそれだけで一つ杭打ちを完成したいと思つておりますが、まあそこまで行くとそれで所定の予算はなくなつてしまうということでありまして、今度はその上に鉄骨を立てるという段階が来るのでありまするが、その辺のところでこの経費が境になるのじやないか。鉄骨を立てるという経費はこの外になつて、今後新らしく予算としてこれを計上しなければならんものと考えております。

大谷瑩潤自由党

○大谷瑩潤君 この頂いた表の一番しまいの項目に国立国会図書館庁舎新営費というのが、こぎいますが、四千九百万円、これはどういうものですか、やはりその建築費の中に入りますか。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これは五千万円というものは一括して今まで説明を申しましたが、そのうち現実に工事に使うのが四千九百万円ということです。あとの百万円はいろいろの準備、金額の二%になりまするが、準備と申しまするか、結局事務費類似のものに使われて行くことに計算しております。

大谷瑩潤自由党

○大谷瑩潤君 結局この五千万円のことなんでございますね、同じものなんですね。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 五千万円のその具体的な数字がここに載つておるのであります。

高橋道男緑風会

○委員長(高橋道男君) ほかに御質問はございませんか。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 今館長の御説明で、二十九年度に着手する土地の整備をし、杭打ちをするという段取りまで行く程度にとどまる。併しその前に設計というものが先ず第一に立てられなければならん。それもまだ行つておらんのだからというお話がありましたが、設計について建築家のほうに懸賞募集をされたことについて、建築家の方面からのいろいろな葦作権的の議論があるようでありますが、それらに対しまして当局が如何に処理するかということについての御意向の大体が承わることができれば承わりたいと思う。但しこれは強いてお願いするのじやございませんが、若し承わることができれば承わつておきた。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 建築の設計ということは、私どもそういうことの素人であつたために、初め比較的簡単に考えておりましたけれども、実際は関係者の眼から見ると非常に重大なことでありまして、いわば職業の権威とでもいうべきものとからみ付いているもののように思うのであります。併し建築を求むるほう、つまり私どものほうの立場から言えば、我々は図書館としてふさわしきよき建築が欲しい、それがために設計を求むる。問題は実利主義と申しまするか、何もこれによつて直ちに美術的のものを求めるというわけじやない。効果的な、時代にふさわしきもの、芸術的ではなくて、実用的な面においてふさわしき設計を求むるということに主眼点を置いておるのです。  言葉が過ぎると悪いですから、もう一遍それをほかの方面から申しまするが、私ども日本に必要な図書館といろものに念願を置いて、その図書館を現実に実現させるために建築というものが欲しいのである。先ず建築を求めて、そこで図書館をやろうという考えは持つておりませんので、そこで図書館を作るのは、やはり依頼者の希望に従つてふさわしき設計ができることを期待しておるのであります。でこれを事務的な、先ず官庁の方面における手でやる、これも一つの考え方でございます。併し我々は理想的に近い図書館が欲しい。金は余計かけなくても、先ずいろいろな面から見て、能率の点においても、時代精神にふさわしい点においても、国民の期待に副い得るようなものが欲しい、こう考えて参りますると、結局官庁だけの考えでは偏狭になりまして、できるだけ広い専門家の意見を取入れたい、まあかように考えておつたのであります。まあ世間でいろいろな建築物につきまして公けの懸賞募集といろものをやつておりますけれども、私どものやつておることは、形はそれに似ておりますけれども、肚の中は、日本国民のための図書館であるが故に、日本国民への衆智をここに盛り込んだようなものができるならば欲しい。もとよりほかの条件も考えるのでありますが、そういうふうに考えてみますると、結局我々があらかた基本設計の土台を固めましたけれども、これをもう一遍広く世間の衆智に訴えて、今の国会の建物にもふさわしいし、この土地にも合うということも或る程度考えつつ、成る程度考えつつというのは、私どもは主たる点を図書館というところに重点を置いておりまするから、ほかのことは従たるものと、かように考えておりまするが、そういうふうな意味において国民の衆智を集めたい、これで懸賞に出したわけであります。従つて又これは懸質の金というものも一等は百万円ということであり、専門家に見せますると、殆んど算するに足らない少い額であるというふうによく聞かされておりますが、まあ併しそれは止むを律んのであつて、とにかく衆智を集めてよき設計を求むと言つて出したのが、今問題になつておりまする懸賞募集の規定であります。  これは私ども個人的な或いは局部的な考えで作つたものではございませんので、日本にある建築専門家の相当定評のある先輩の人たちの多数の御協力を得まして、こういう方法であるならば懸賞に出す条件としてよろしい、まあこんなふうでおきめになつたのでありまするし、又これを作りまするには、日本の従来の設計の懸賞についてのまあお手本と少しくらいは遠いますけれども、大体そんなに違うものではございませんので、古いお手本を参考にしつつ、それに幾分できるだけの文化的なといいますか、又広い気持を加えて官報に発表したのであります。私どもは全くよき知恵を国民の中から盛り上げてもらいたいという単純な、単純といいますか、極くまあ平凡な気持でこれを出したのでありますが、さて出てみますると、今度建築家の一部におきましては建築家の権威というような面から言うと、どうしてもそこに値打の置き所が違うと見えます。私どもは図誤館というものをもとにしておる。建築家のほうから言えば、建築家の仕事、建築家の建前としてのあり方、つまり建築家の本分というものに重点を置かれると見えまして、そこに考え方が多少食い違つて来るということは止むを得ないと思うのであります。現在起つておりまするあの批評は言葉或いは文書によつて現われておりまするけれども、なかなかこれは複雑なものが婉曲に言い表わされておりますので、私どもその実体を正確につかむことはできません。私どもはただ朴念仁であり、自分たちの平凡な考えでこれを理解するほかにございませんが、要するに私どもに響いて来るのは、建築というものは設計コンクールに当選をしたら、その設計者というものは建築ができ上つて行く最後の段階まで相当重く使うべきである。こういうことが閃めいておるように思います。なお個々の点はどうもはつきり網羅的にはつかめませんけれども、一番の主眼点は、つまり建築家が折角設計したものを軽く扱うのは何事であるか。従つてその設計を相当厳重に守るべきものである。又設計に関係した人はこの建築の多くの場合に発言せしむべきものである。この二点に狙い所があると思います。そうしてそれに加うるに、そのコンクールの条件というものは、ユネスコの会議のときも、これに附随して存在しておりまする専門家の会議におきましても議決せられたその精神を守るべきものである。こういうところにも重点が置かれておるように思うのであります。これは只今のところでほその建築家の相当多数が会合をせられまして、そうしてこの応募条項はけしからんものである。従つてこれを変更しない限りは我々はその懸賞の募集に応じないという声明がそれの骨子でありまして、それに対して人にも働きかけて、同時にここに名を連ねた人たちはその声明を守るべきであるということで、相当多数の人が声明を書いておられるのであります。それが直接に代表者が文書を持つて来られまして、且つ又新聞紙において公開状を以て意見を訴えられておるのであります。  私どものほうではまだこれに対して何らの正式な発言はいたしておりませんが、大体これは建築の協議会の方々の議を経て、その議決した通りにそのまま、その会議の中におきましても格別の反対があつたとは見受けていないような情報によつて始めたものでありますから、それを私個人の立場からかれこれ意見を立てることはできないのであります。職務上から言えば公開状その他については黙殺する以外に私の立場はございません。併し個人の立場から言えば、我々は公務員であるが、併し同時に人間でございますからして、その人間そのものに向つて向けられた批評というものは、やはり自分の責任、自分固有の範囲の責任でこれに対応しなければならんということは考えております。私自身の今の考えはまだ完全には熟成しておりませんけれども、私は身を以て守るべき一つの線を胸の中に描いております。  それは何かと言えば、日本は将来非常に進歩するかも知れません。併し一足飛びに進歩するわけではございません。我々がかような建築に対してどう処遇するかということは、次第に進んで来る日本の現状を考えのもとにしなければならない。そうするとやはり建物等は依頼者の考え方が本体であるということに帰着いたします。そこで懸賞募集ということはお互いに秘密であるわけであります。こちらが条項を示す、それだけでコンクールをするのでありますから、途中で相談をするということは恐らく性質上できないことであります。でありますから図書館のことを建築家がうまく理解してくれるということは希望すべきでありますけれども、実際止むずかしいのであります。応募者が出て、コンクールは終つたというときには、恐らく公開の懸賞広告をしたのでありますから、民法上の効果によつて私どもは約束通その集まつて来たものの中から一番いいと審判員がきめられたものを、これを第一等にしなければならないのでありますが、図書館を建築するということはそういうことで限定されるものでない。私の立場から言えば、法律的に言つても、図書館建築委員会に御相談をいたしまして、いろいろ具体化させて、それからすでに図書館運営委員会にも御相談をし、財政の見地から大蔵省とも相談し、そのほか国家機関に公式又は非公式に御相談をしてきめなければならんのでありますから、一等当選のものは飽くまでも無条件に採用するというようなことは到底ない。私どもの責任としてはなし切れることでは、ございません。又相談をし直すということにいたしましても、相談ということは相手が同意することを前提としておる。若し相談ができないときにどうするか、立ちすくむよりほかにしようがございません。折角図館の建築に、或る人々の、おれは応じないぞという設計者の意見によつてばつさりとこわれてしまうというようなことは、私は責任上到底なすことはできません。だから如何になるかは、先のことはわかりませんけれども、私はやはり建築設計は一つの重要なる参考材料としてこれを取入れる。而も建築家の態度或いは体面というものは、実際上できるだけのあらゆる手段をとつてこれを尊重することにするけれども、法律の上ではこれを取入れることはできないという態度をとりまして、漸次こういう反対意見に釈明をして行く。併しそれでもどうしても応募しないということになれば、これはもう人間の自由でございます。止むを得ないということをとりまして、まあ今一方ではこの広告を直せ、直せばコンクールに応ずるであろうというようなこともあるのでございますけれども、一たび放たれた矢はこの民法の規定によつて取消すことはできないものと思つております。責任は責任として、私どもの進むのはこの一つの道あるのみと考えて、この線に沿つて釈明をして行きたいというように希望しております。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 非常に詳細な館長のお考えを伺つて、質問者としましては満足しております。ただ予算が決定して、建築の本当の土台、基礎というものに着手をしようとするときに一番大事なのは、設計そのものを立てることが一番大事なのであります。その設計を立てるには衆智を集めて、そうして最も現代の日本に適当な図書館を実現する、こういうことに進めなければならない。その一番大事な基礎をどうとるかという設計の確定ということが大事だという先ほどのお考えも、その問題について今のようなトラブルが起つているということは、これは非常に私は大きな問題だと思うのであります。館長のお立場として、これらに対して腹の中ではこう思つておる、技術の問題に関係しては設計の審議会でございますかがあると、そこらの決定を待たなければ何とも言えん。それから優秀な新進の建築家が一団となつてこの挙に対して反対の意見を表示しておる。而もその意見の表示の仕方が、館長のおつしやるところによると、婉曲なる言い廻しであつて、どこに趣旨があるのか、捕捉に苦しむ点もある。こういうようなことで、一つは、腹の中ではこう思つておる。一つは腕曲な言い廻し方をしているが、反対をしているということのままで時日を経たならば、急がなくてはならん第一階段が進まないのじやないかということを私は非常に恐れる。この際にその審議会というものが技術上の関係から何か積極的の挙に出られまして、終局の点において意見が違うから応募しないということはこれは自由な話なんですから、併しできるだけ了解をさせて、そうして国費を以てこれだけのことをやるのに、注文者の最も満足な建築をいたすということを考えて行くことに協力するというような方面に進んで参加せしめるような積極的手段を試みてみてもなお応じないと言うならばこれは仕方がない。そういうことを試みずしてそうして進まれるということも、私は遺憾が残るのじやないかというふうに思うのです。審議会というのはそういうことはやらないのですか。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) この協議会は事務的な人と専門家的な人と両方で集まつておりますが、やはり問題はその専門家的なほうの委員の方に関係が深いと思つております。そこで今まで個別的にそういう方の意見等には多少触れておりますけれども、まだまとまつてそうい方の意見を聞く機会も持つておりません。今月の二十九日に建築界の先輩であつて、この協議会に連絡を持つておられる方々のお集まりを願つて、忌輝なき御意見を伺つて、そうしてそれから如何に善処するかということを実は考えてみたいと思つております。併し思想の暗示というものがやはりそういうところにも関係あるのでありますからして、なかなか私どもの力でこれをらまく乗り切るということはできないのじやないかという実は懸念を持つておりますが、併しそれはそれとして、私自身としては、もう少し別の方法で打開させたい熱情は持つております。が、先のことでありまして、今ちよつとここで何かと余り予想を申上げることはできませんです。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 非常に御苦心の点はよくわかるのです。無論思想の相違というものがあらゆる方面で調和すべからざるものも場合によつては出て来ようと思ろ。併しその場合にはその場合で、それぞれの持つている根本の観念というものをはつきりして、いずれに賛成するかということを世論に問うだけの自信を持つて行かれることが必要だろうと私は思う。その前に尽すべき手段は十分に尽して頂いて、そうして速かに予界を有効に使われて、国立国会図書館と言つておりますけれども、私は実はこれは必ずしも国会という文字は必要なものじやないと思つている。併し国立国会図書館ということをアメリカ流にやらせられたということは、これは図書館というものの実現の上においては、非常に早く相当な実現を見る方法としてはよかつたのだと私は思つている。でありますからそれの取れた予算内において基礎を固めることを速かに着手のできるように一つ十分の御善処を御努力願いたい、ころ思うのであります。

高橋道男緑風会

○委員長(高橋道男君) ほかに御質問はございませんか……。御質問がなければ採決をいたしたいと思いますが、御承知の通りこの案を決定いたしますれば、議長にこれを送付するわけでありまするが、それについて国立国会図書館法第二十八条の規定におきましては、この予定経費に勧告を付けるか付けないかということが定められておるのでありますが、その点如何いたしますか、御意見をお述べ願いたいと思います。  先ほど図書館長の御説明によりますると、二十八年度と比べて減額はしておるけれども、その内容からいたしますれば必ずしも減額ではない、新規の項目も殖やされておるというような、而も延べれば幾らでも規模は大きくなるけれども、この程度で予算の執行ができる、又事業の進めもできるというような御意見でございましたので、それをそのまま受ければ、特に勧告を付ける必要もないかのように委員長としては思うのでありまするが、その点如何いたしましようか、御意見を承わりたいと思います。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 委員長のお考えの通りで結構だと私は存じます。

高橋道男緑風会

○委員長(高橋道男君) それでは勧告を付けずにこれを議長に送付することに御賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕

高橋道男緑風会

○委員長(高橋道男君) それではそういうふうに決定いたします。

高橋道男緑風会

○委員長(高橋道男君) 次に、オーストラリアとの間の図書交換協定ができましたので、それにつきまして簡単に図書館長の御説明を願つておきたいと思います。

金森徳次郎国立国会図書館長

○国立国会図書館長(金森徳次郎君) この図書館の仕事といたしまして、書物その他の資料を集めるという場合に、外国と文書を交換するということは事実上古くからやつておることでありまして、或る場合には古い何か条約等もあり得たのでございますけれども、近頃はそういうものも……、でそれだけではございませんで、先ず図書館というものは書物を交換によつて受入れ、又交換によつて出すものであるということで、外国の政府からも事実上図書館を経由して日本の文献を集めに来まするし、又日本の図書館といたしましても、よく外国に交渉いたしまして、向うの文献を或る場合には只でもらい、或る場合には金を払つてもらうという慣例になつております。現在アメリカ合衆国との関係におきましては中央政府のものは殆んど全面的に交換をしております。かなり多量のものが、年に一万足らずのものがアメリカ中央政府からは入つておるというような状況でございます。ところがヨーロッパのほうの関係、いろいろな事情によりまして、断片的な交流はしておりまするけれども、はつきり幅をきめて、この幅の中で滑らかに交換をしようと、こういう協定は完全にはできておりません。ただまあ事実上イギリス、フランス等の各国の間が比較的多少交換をしておるという状況であります。アメリカだけが一番包括的な交換をしておるのであります。こういう行道は、本当を言えば正式な方法で図書の交流をするようにすることが望ましいのでありまするけれども、何しろ事柄の性質によりまして、例えば汽車の切符を買うとか郵便切手を買うとかと同じような軽い気持が根底にありまするので、事実上の連絡で書物その他の交流をしておるのであります。  ところでここに問題になりましたのは濠州の政府でありまして、濠州の政府としては、日本と或る範囲の文書の交換がしたいという御希望であつたのでありまするが、ただこれを断片的にそのときそのときにこういう本が必要であるからこれを送れというようなものよりも、或る幅をきめておいて、そして自然のままに、一々の意見を加えないで流れ合うというようにしたいというような希望があつて、その話合いがまとまりまして、濠州との間において両方でリストを作りまして、このリストに載つておるものはなだらかにお互いに交流をしようという約束に似たものができたわけであります。これは別に国と国との間の文書の交換という形ではございませんので、関係の図書館、つまり日本においては国会図書館、それから濠州のほうでは又これに対応する図書館との間に交流をする約束をしたのでありますが、こういうことは全く実際上の便宜から来ておるわけでありまして、いわば事実上の連繋を図つて、あらかじめ申合せをしたという程度のものであります。これが今のところは約八十種ばかりの種類のものについて、漸次更に又事情によつて変り得るものではございまするけれども、今交換を進めております。図書館というものはそう立入つた文献を交換するところではございませんので、先ず普通世間に出しておる文書を交換するのでありまして、これとてもその線に沿つておるものであります。ところが非常に事務的なものでありまするけれども、外国側ではきつとそこに持ち味を持つておつたでありましようが、かなり目立つた方法で世の中に発表をしておりまするが、趣旨は全く事務的の取扱のものを文書によつて明らかにしたという程度のものでございます。  以上御説明申上げました。

高橋道男緑風会

○委員長(高橋道男君) 何か御質問、ざいませんか。それでは報告を了承いたします。  本日の委員会はこれを以て終ります。    午後零時十九分散会

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