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第19回国会参議院1954/05/31

厚生委員会 第49号

発言数
32 件
登壇者
8 名
会派数
5
開催日
1954/05/31

会議録

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) では只今から厚生委員会を開会いたします。  委員の異動を報告いたします。五月二十九日付を以て厚生委員榊原亨君が辞任され、後任として中山壽彦君が選出されました。  次に、国民生活改善に関する小委員の補欠及び小委員長を指名いたします。小委員の補欠並びに小委員長として中山壽彦君を前任者中山壽彦君の後任として指名いたします。   —————————————

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 次に、精神衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。発議者から提案理由の説明をお願いいたします。

山口シヅエ日本社会党(右)

○衆議院議員(山口シヅエ君) 只今議題となりました精神衛生法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。  御承知の通り、戦後覚せい剤、麻薬又はあへんの濫用による慢性中毒者が多数発生し、その中毒のために心身を害し、延いては精神障害者になりつつありますことは、国民の保健衛生上誠に重大な問題であると存ずるのであります。なかんづく覚せい剤の恐るべきことは今更申すまでもないと存ずるのでありますが、その濫用により精神的変調、即ち甚だしい刺戟性の昂進、易怒の傾向、学習、勤労意欲の減退、浪費癖、良心や道徳感のまひ等を惹き起すと共に、進んでは精神分裂病に見る如き被害的妄想、幻覚、錯覚等の精神障害が起るようになるのであります。同時に身体的にも食欲不振による衰弱、肝臓障害等極度の疲弊を生じさせ、遂には治療不可能の障害を残すに至るのであります。而してこのような精神的身体的症状によつて起る嗜癖者の非行、反社会的行動の増加が、今日放置することができない問題となつているのであります。  このような覚せい剤等の慢性中毒者の弥漫の状況に鑑み、その者に適正な医療を施す等の保護を加え、これらの者が精神障害者に陥ることなく正常な生活に戻らしめようとするのが本案提出の理由であります。  本法案の内容を申上げますれば先ず第一に、慢性中毒者を収容し治療するには、中毒者の症状とその特殊な事情により、精神病院に入院し治療せしむることが不可欠であり、一方国及び都道府県立精神病院が現状において非常に少く、これらの病院のみに対する設置措置だけでは需要を賄えない事情に鑑み、非営利法人立の精神病院に対しても設置費及び運営費の一部を補助することができることとしたことであります。  第二は、覚せい剤、麻薬及びあへんの慢性中毒者又はその疑いのある者について、精神障害者に関する保護義務者、保護の申請及び通報、精神衛生鑑定医の診察、知事による入院措置、保護義務者の同意入院、入院者の行動制限、退院手続、訪問指導及び保護拘束等に関する規定を準用することによつて、慢性中毒者を入院せしめて医療及び保護を行わなければならない場合、知事が入院措置をとることができることとし、又保護義務者による同意入院の途を開き、更に退院後は訪問指導を行う等中毒者の医療及び保護等に関する措置を講じたことであります。  何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことを切望する次第であります。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) それでは御質疑を願います。

中山壽彦自由党

○中山壽彦君 この第六条の二の精神病院、この補助の予算措置はこれは融通でき得る見通しでございますか。補助は確定したのでしようね、若干……。県立の精神病院のほかに、非営利法人立の病院にも補助を出す、こういうのじやないですかこれは……。その予算措置ははできるのですか。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) お答えいたします。予算の点につきましては、精神衛生法の実施に伴う特に病床等の増設に必要な予算といたしまして現在本年度当初予算に約八千万円余の予算が計上されてありますので、差当りの問題といたしましてはこれらの予算を重点的にこの法律案に基く覚せい剤慢性中毒者の収容施設に振り当てるように措置いたして頂きたい、こういうふうに考えたのであります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 この第六条の二についてでございますが、この条文で見ますと、病院が対象になつておるようでございますが、病院以外に法人で以て特に覚せい剤中毒者を収容するような施設、そういうものを作つた場合に、それはまあ病院とは言えないと思うのですけれども、補助の対象になるかならないか、これは如何でございましようか。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) 営利を目的として覚せい剤の慢性中毒者を収容する施設については、私ども補助は考える必要はないのではないかと存じます。ただ問題は、覚せい剤の慢性中毒者は事実上の問題といたしまして精神障害者或いはその虞れがあるのでありまして、その収容した施設を管理するところの管理の技術というものは、結局精神病の相当な専門医が担当し、又その施設につきましても精神病院の建築に必要ないろいろの条例が適用された堅牢な建築でなければならないというような事情がありますので、やはりそれらの精神病院を取りあえず対象とするということでやつて行つたほうがいいのではないかとこう思つておるのであります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 実は具体的な例を挙げてお尋ねいたしたいと思うのですが、愛媛県におきまして自分の子供が非常にひどい中毒にかかりまして、その親が自分の私財をなげうつてそれをやりたい、自分の金だけではだめなので、結局県のほうの厚生委員長とか或いはその他各界の代表の方を網羅して発起人のような形になりまして、大体今一千二百万円程度の計画で以て、病院ではないのですけれども、今おつしやつたような大体規格に適うようなものを作つて、そうしてそのお医者さん等はどういうふうにするのかよく存じませんけれども、すでにその設計書もでき上つている状態でございます。で、そういうものができた場合には、これはまあ私どもといたしましては、当然この覚せい剤中毒というものはやはりなおるという見込みのあるものでありまして、いわゆる精神病とは若干そこに差があるんじやないかというようなことも考えまして、これは本法の対象、つまり補助対象になつていいんじやないかというような感じを持つのでございますけれども、こういうものについては特別に何か御考慮の余地がおありになるかどうか、如何でございましようか。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) 御存じのように覚せい剤の中毒者と称するものは日本の特異な実は現象なのであります。そこで覚せい剤中毒患者の症状乃至又人格的な欠点というような点につきましては、今のところまだ日本の学界でも正規な結論に達しておりません。来年度の精神病学界に初めて松沢病院の林院長が宿題担当者として報告するということになつております。今日まで覚せい剤中毒者を収容しておられる経験のある病院の方の御意見を聞きますと、例えば本年度の松沢病院における患者の脱走等につきましては、覚せい剤中毒者が非常に多く、八割以上を占めているというふうなことで、患者がヒロポンをもう一度打ちたいという意欲に駆られますと、自己の意思を失つた姿で逃亡を企てたり、或いは出て窃盗を働いたり、そういう反社会的な行為を犯しているわけであります。それでこういう不幸な人たちをヒロポンの中毒から解放するためには、仰せのように、できるならばやはり国民が起ち上つてそれぞれの地域において、国民のまあいわば資金によつてこの収容をするというところまで行くべきが至当ではあろうと思いまするけれども、収容所の今日までの経験からは、まだそれをどういう程度に、どういうふうな施設でやつて行かなければならないか、人格の矯正等も伴う施設でありますので、成案がまだ私どものほうとしてもないわけであります。これにつきましては今関東地方におきましてヒロポンに重点を置いた収容所もあります。又百名収容していささか手を焼いている松沢病院の経験もありますので、これらは事実上ヒロポン慢性中毒者の医療乃至保護に当つているところの施設の運営の実績を見た上で、これはやはり適当な措置を講じて行つたほうがいいんじやないか、こう思つておるのであります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 まあ只今のお話はよくわかるのでございますが、今申しましたような計画で進められているものはそれほど重症でなくても、やはり中症程度の者で、或る程度そういう施設に収容して厳重に監視をしておれば、まあなおるんじやないかというようなので、実際親が困つておるから何とかしてくれないか、そういう段階においての施設が全くないし、その段階で食いとめれば、非常にまあ効果的じやないかというような意味合いをも含めておるわけなんでございまして、全くもう慢性中毒になつてしまつた者を病院として治療するというような意味だけではないわけなんでございます。で、まあ私どもといたしましては、こういうのは今おつしやいましたように、全く下から盛り上つたものでありますから、できれば育成、助成の措置が講じられることが望ましいと思うのでございますけれども、何か別途そういうものに対する御考慮等御検討頂きましたでしようか。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) 実は臨床上の日本精神病専門医師たちの結論といたしましては、先ず第一にヒロポン慢性中毒者をヒロポンの中毒から解放するには、立ちどころにヒロポンを打たないことであるということであります。これはモルヒネ中毒等におきましては、立ちどころにモルヒネの注射等を禁止いたしますると、禁断症状が現われまして、非常に生命に危険を及ぼす事態がしばしばあるわけであります。ところがヒロポンの関係では、これまでの臨床医家の経験からは、ヒロポンを立ちどころに禁止いたしましても、そのために生命に危険を及ぼすような事態は起らないのであります。ただヒロポンの中毒患者に対してヒロポンを注射せしめない、或いはヒロポンの中毒患者の欲するヒロポンを与えないというためには、非常にヒロポンの中毒患者を拘束しなければならない。ここにやはり個人の自由とでも申しましようか、憲法上の諸規定との関係で大きな問題が起つて来るわけでございます。そこで特に法律を設けてヒロポンを対象とするよりも、精神障害者、或いはその虞れのある者、特に慢性中毒者を含む精神衛生法が、この場合入院等の措置を講じまして、本人或いは保護者等の同意を得なくても、これが他人を傷つけ、又社会に害を及ぼす虞れがあるときにおいては、精神衛生医の診断に基き、都道府県知事が強制的に入院せしめることができる、この規定で以て一応ヒロポンを自由に入手し、又自由に注射をし得るという自由だけは、これは隔離するということだけは、この法律で行なつたほうがいいんじやないか、こう考えております。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 速記を始めて下さい。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) それでございますので、結局精神衛生法によつて初めて立法的に合法的に、例えばヒロポン中毒患者を一カ所にいわば自由なる社会から隔離いたしまして、強制的にその自由を拘束し得る。これは医療並びに保護の目的を持つてではありますが、できるという規定は、精神衛生法に基いて精神病院に収容するということになつておるのでございます。従いまして今度の改正に伴う予算の補助というものは、結局精神病院が適用されるということになつております。従つてそういう施設が精神衛生法の適用を受けられるということは十分にできることでありますので、そういう方面で又お考え頂けばいいんじやないかと思つております。

大谷瑩潤自由党

○大谷瑩潤君 ここに消してありますが、市町村を除外されたのは、公共団体の中へこれが入るという意味でございましようか。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) ちよつと速記をとめて頂きたいと思います。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 速記をやめて。    〔速記中止〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 速記を始めて下さい。

有馬英二改進党

○有馬英二君 岡衆議院議員にお伺いするわけですが、この慢性中毒者の覚せい剤の患者と申しましようか、大体全国でどれくらいな人数に達しているという想定でありましようか。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) これはまだ政府のほうでもはつきりした数字は実はつかんでおらないのであります。それでただ新聞紙等が社会面に伝える数字も、御存じの通り七十万といい、百五十万といい、極めて大まかな推定にとどまつておるわけでございます。ただ厚生省のほうの意向、乃至又法務省の事実上の統計等を聞きますると、ヒロポンによつて犯した犯罪につき検挙された者は、昭和二十六年には一万一千余であります。昭和二十七年には二万三千余になつております。又昭和二十八年には四万三千余、これは法務省の刑事課長の発表であります。又是非ともこれが収容をいたしまして、適当なる医療乃至保護を加えねばなるまいとおぼしき者は大体二十万前後と推定されるのではなかろうか、これも推定として厚生省のほうが発表された数字であります。

有馬英二改進党

○有馬英二君 そういたしますると、この六条の二で以て、国が精神病院若しくは精神病院以外にそういうような患者を収容するために病室を設置するということに協力するというような方針でこの要綱を変更されたようでありますが、二十万の人を収容することになると、これは容易なことではないので、どうしても予算措置をその何分の一になりますか、速急にこれは計画しなければならないことではないかと私は思いますが、先般当委員会におきましても、覚せい剤小委員会で以てその方面のことについて、特に堂森委員その他の委員からも、隔離或いはそういう患者の収容ということについて大分いろいろ検討があつたのであります。私どもも是非これは他の精神病とは違つた何らかの一つの施設を早く作つて頂いて、そうしてそういう患者だけを特別に収容するという方針にしなければなるまいというように私どもも考えておるのであります。そういうことについてどういうお考えを持つておいでになりましようか。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) 政府部内におきましても、御承知のように中央青少年問題協議会が設置されまして、特に覚せい剤問題の専門委員会がこの問題についての対策を種々検討いたしまして、昭和二十九年の二月二十三日付を以て青少年覚せい剤問題対策要綱なるものを発表いたしております。やはりこの対策要綱は極めて抽象的な、原則的なもので、今有馬先生の御指摘のような点をただ原則としては謳つておりまするが、やはり御趣旨のごとくこの要綱におきましては、覚せい剤嗜癖者の保護及び治療のため収容施設を設置し、強制的収容についてもその方途を考慮するということにし、関係各施設の充実を取りあえず図る。そこでそれといたしましては、御指摘のように覚せい剤嗜癖者の保護及び治療のために収容施設を設置すること、これは恐らく専門的な覚せい剤中毒者のみを対象とする施設の意味でございます。次には又覚せい剤嗜癖者中、他に危険を及ぼす虞れある者等に対する精神病床を増設する、次には先ほど申しました犯罪を犯して検挙されている覚せい剤中毒者が、昨年度実に四万二千余もあります。これらにつきましては、当然刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所、教護院等の施設を整備いたしまして適当な措置を講ずる、こういうふうに運ばねばならないのではないかと思います。従いましてこの際私どもの差当りの要求といたしましては、法務省のほうにおける少年院が今少年医療院と申しまして、御存じのように病的な原因に基く医療保護を加えなければならない者についての強制保護施設を持つておりまするので、これを拡充するということ、この点については法務省に対しまして今後も私どもとしては強く要請いたしたいと思つております。それから覚せい剤嗜癖者のみを対象とするこの施設ということにつきましては、先ほどもお答え申しましたように、この者が直ちにその自由を拘束するということをいたさねばなりませんので、そこで覚せい剤嗜癖者乃至その中毒者という者に対して、臨床的な、或いは民法上の諸権利というふうなものがもつと明確に打出されるということがなくては、これを不当に拘束するという措置も講じがたいんじやないかと考えまして、取りあえずの問題としては精神病院のベツドを拡充し、そうして又国も優先的に覚せい剤慢性中毒者を収容し得るということを条件としてのベツド増設の補助を加えるというふうなことで、先ずその方向へ行きたいと思いますけれども、将来の問題といたしましては、当然御指摘のようにもつと広汎に各関係省庁が大きく力を合せて、この問題について特に予算を伴う施設の拡充に邁進をすべきものではなかろうかと、こう考えてはおるわけでございます。

有馬英二改進党

○有馬英二君 なお、岡委員は専門家でいらつしやるから特別におわかりになつておられるでありましようが、普通の精神病の患者とは違つて、松沢病院の林君も書いておられるように、普通の精神病院に覚せい剤の中毒者を入れるということは誠にどうも迷惑である、そういう所へは成るべく収容したくないように書いておられるのでありまするから、これはどうも普通の精神病院にどんどんべツドが空いているから入れるというようなことも、実際においてできにくいこともありましようけれども、精神病院が現在日本全体において非常に不足しておるような現状においては、それを借りて、或いは借りてという言葉は悪いかも知れませんが、それに覚せい剤中毒者を入れるというようなことは、到底これは望みがたいことであると私は思うのでありますから、ここに「精神病院」という言葉が謳つてありまするけれども、実際においてはこれはどうも殆んどその目的を達せられないと私は思うのです。それですからやはりこれは我が国のこの覚せい剤中毒者がかようにたくさんできて、而もその社会悪の虞れが殆んど中心になつておるくらいに、我が国の現状は誠に恐るべき一つの現象を来たしておるような矢先でありまするから、是非ともこれは政府当局がこの点において目覚めて、これに対するもつと積極的な対策を講じなければ、到底この目的を果すことができないと私は考えております。これについて私は別に反対するわけでも何でもありませんけれども、実際において施設を拡充するとか、それに対するところの予算措置も早急に一つ整備しなければならん、そういうことを考えております。勿論只今岡議員もそういうような御意思があつたかと思いますが、一言私はその点を申し添えておきます。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 岡議員にお尋ねしますが、この前ヒロポン覚せい剤取締の法案の審議の過程でいろいろ問題になつた一つの大きな点は、さつき岡議員が触れられたように、精神障害がある人が人に危害を加える危険がある場合と同じような規定をヒロポン中毒者に加える根拠はむずかしいのじやないか。どういうようにして診断をどうして誰がどういうふうにして下すかどうかといういろいろ議論があつたのですが、それはそうむずかしいことでないのかどうか。専門家の岡さんにお聞きします。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) 精神衛生法を準用することに結論を一つ持つて参りましたのは、実はそういう御懸念の点を解決いたすには、この法律によるより差当りいた仕方がないという結論に達したからでございます。と申しますのは、この精神衛生法におきましては、例えば精神衛生鑑定医というものが各府県に三名乃至五名都道府県知事の委嘱を受けて、これは三年以上の精神障害の診断又は治療の経験のある医師のうちからその同意を得て精神衛生鑑定医を厚生大臣が指定することになつております。そこでこの法律を、只今御審議を願つておりまするところの改正案を適用いたしますると、例えばその二十三条におきまして、「精神障害者又はその疑のある者」この改正によつて「覚せい剤慢性中毒者又はその疑のある者を知つた者は、誰でも、その者について」この厚生大臣が指定した精神病専門である「精神衛生鑑定医の診察及び必要な保護を都道府県知事に申請することができる。」ことに相成つておるわけでございます。その結果といたしまして、都道府県知事が精神衛生の鑑定医の診察を受けなければならないと思つたときには、診察の通知を出しまして診察を受けしめることになつております。その結果、診察の結果について精神衛生法第二十九条により、「都道府県知事は、……診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、」、又読替えますから、「覚せい剤慢性中毒者であり、且つ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、本人及び関係者の同意がなくても、その者を国若しくは都道府県の設置した精神病院(精神病院以外の病院に設けられている精神病室を含む。以下同じ。)又は指定病院に入院させることができる。」、こういうことになつておるのでございます。入院をいたしました患者につきましては、このように本人及び関係者の同意がなく強制的に入院せしめました場合におきましては、都道府県知事が入院させた精神障害者乃至覚せい剤慢性中毒者の入院に要する費用は、政令の定めるところにより都道府県が負担し、国がその二分の一を負担しなければならない。こう相成つておりまするから、一応発見をしたときには誰でも精神衛生鑑定医の診察を受けしめる。その結果、これが反社会的な危害を及ぼす虞れがあると認めたときには強制入院をさせる。その場合には都道府県の費用負担により、国の費用負担によつてこれを強制入院させる。且つ又その施設を拡充するためには、差当つては国或いは都道府県或いは営利を目的としない法人立精神病院のベツドを増床したい、こういう考えでおるのであります。併しながら勿論有馬先生の御指摘のように、これは主として性格異常者がともすればこの病気になりまするし、なおつたあとでもやはりなお性格異常が残つておりまするので、人格の矯正といういわば結核のアフター・ケアと同様な施設がないと、本当に十分なことはできないと思います。これらの問題を今度この改正を突破口として今後私どもは是非とも当つて行きたいとこう考えておるわけであります。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 この間の我々の開いておつた審議の過程で、法制局の一つの意見として、ヒロポン中毒患者をこれは人に危害を加える危険があるものという診断を下して強制収容した。これがその医師に報復手段を講ずるような変なそういう性格異常者で、危険があつてお医者さんが逃げるのじやないかというような意見もありまして、そういうような厄介な人たちであるから、なかなか実際の適用がむずかしくなつて来るのじやないか。さりとてさつきの憲法の何から言うと何も彼もこれを引張るということはなかなかむずかしいという意見があつたのですが、如何でしようか、そこらがむずかしいのじやないですか。

岡良一日本社会党(右)

○衆議院議員(岡良一君) これは医師法によつて医師が正当な理由がなくして治療を拒むことができないという、この医師の良心的な規定遵法の精神に頼るよりいたし方がないと思います。ただ問題は医師に復讐するということは臨床上の経験から見て私どもは余り聞いておりませんけれども、このヒロポンの中毒患者については、現在のところ二つの性格があるのであります。一つは引取人があり、而も十六才乃至十九才で未成年者でなるのが三割七分あります。だから未成年者であつて親が非常に心配して何とかなおしてやつてもらいたいと言うて連れて来る。連れて来ると多少制裁になる、それに入つて出れませんから……。それで親が又連れて行くぞとおどかすと、たあいのない少年時代の子供はそのおどしに乗る。而も引取人のある者は割合に予後がいい。併し引取人がいない者がおるのです。特に東京周辺、大阪周辺などでヒロポンの巣と言われておるのはいわゆる街のやくざで、やくざからやくざを伝つて蔓延しておる。これを強制入院させたような場合には、そういうような危険も担当する医師にはあるかも知れませんが、そういう問題については又残された解決の途があるわけなので、こういう点もこういう法律の施行の過程で十分に我々も検討し、又予想し得る危険、予想し得る問題については、今後の問題として我々も解決をしなければならんかと思つております。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) それでは速記を始めて。  本案の本日の審議はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。  速記をやめて。    〔速記中止〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 速記を始めて、それでは本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十五分散会

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