厚生委員会 第44号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/05/24
会議録
○委員長(上條愛一君) 只今から厚生委員会を開会いたします。 委員の異動を報告いたします。五月二十四日付を以て委員安部キミ子君が辞任されて、湯山勇君が選出せられました。 —————————————
○委員長(上條愛一君) 次に、水道法案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
○国務大臣(草葉隆圓君) 只今議題となりました水道法案につきまして提案の理由を御説明いたします。本法案は、厚生、通商産業及び建設三省の共管でございますが、私から御説明申上げます。 申すまでもなく、水道は飲用、鉱工業用等の需要に応じて水を供給する施設でありまして、国民の保健衛生、並びに都市施設の整備と鉱工業の生産上にも重要な施設であります。従いまして水道の布設及びその管理について適切な規制を行い、又水道事業を保護育成することにより、その普及を図ることは、国家的に見てこの際、最も重要なことと存ずるのであります。併しながら現行の法規としては、明治二十三年に制定されました水道条例があるのみで、その規定は、甚しく簡単であり、現下の実情に副わない点が多々あるのであります。政府といたしましては、この点に鑑み、慎重に検討を続けて参つたのでありますが、このたび漸く成案を得てここに本法案を提出いたしました次第であります。次に本法案の概要について御説明申上げます。 本法案の構成としまして、水道の中でも国民生活に最も密接し且つ重要である上水道につきまして詳細に規定し、簡易上水道、専用上水道、事業用水道につきましてはそれぞれの特異性に応じ、特例の規定を設けることといたしたのであります。先ず上水道の規制につきましての主要な点は、第一に、上水道の水質基準及び施設基準を設けたことであります。申すまでもなく、国民の飲用に供する上水道につきましては、良好な水質、水量及び適切な施設を確保することが、必要不可欠の要件であると考えられるのでありますが、遺憾ながら現行の水道条例ではこの点が甚だ不明確でありますので、この点に関する規定を整備することにいたした次第であります。 第二に、上水道事業の経営主体を原則として地方公共団体としたことであります。即ち現行法では、市町村公営主義によつているのでありますが、水道の布設される地域が、漸次広域を対象とする傾向から見ましても水道の事業主体は市町村に限ることなく、むしろ府県をも含めた地方公共団体公営主義をとることが至当と考え、そのように規定いたしました。 第三に、地方公共団体が水道事業を経営いたします場合の現行の認可制を改めて届出制としたことであります。地方住民の福祉につきまして最も強い関心を有し、熱意を持つている地方公共団体自主性を尊重しつつ水道の普及を計らんとつする趣旨に出づるものであります。 第四に、水道の布設及び管理に当つては一定の資格を持つ責任技術者に担当させることに規定したことであります。 第五に、水源保護のための特定の行為を禁止する水源保護地域の規定を設け、水源の水質並びに水量の保全を適正に図ることにいたしました。即ち、第四及び第五の二点は、水道を常に安全且つ良好な状態に保持し、上水道の目的たる国民の飲用に供する水を確保するために不可欠なものであると考えて、新たに規定したものであります。 上水道に関する主要な規制としては、以上申述べました諸点でありますが、次に各種水道について申し上げますと、先ず簡易上水道につきましては、水道の構造及び規模等よりして布設業務及び技術管理を担当する責任技術者の資格等につき規制を緩和することとし、水源保護地域の指定及び解除の手続についても簡素化いたすことにしたのであります。 次に、事業用水道につきましては現下我が国の鉱工業の立地上隘路となつております用水を確保することが緊急でありますので、水道部門における工業用水その他原水供給の水道を事業用水道として特別に規定することにいたしました。即ち、上水道一般の規制によらしむる外、施設基準及び水源保護地域の指定基準につき特例設けることとし、更に鉱工業等の生産原価への影響を考慮した水道料金の規制等についても特別規定を設けることとしたのであります。更に専用上水道につきましては、おおむね、上水道に準じた規制を行なつたのでありますが、事業経営の特許、給水義務等は、除外いたしたのであります。 次に、現行水道条例に欠けている行政監督の規定を整備して行政の実効を確保することを図つた次第でありますが、一面かかる行政処分に対する水道事業者の立場からの救済手段として、訴願の申立て及び裁定の申請の規定を新たに設け、万遺憾なきを期したつもりであります。 次に、地方公共団体が行う水道事業に対する保護育成の手段としましては、国がその費用の一部を補助する規定を新たに設け、現行水道条例の不備を補い、併せて水道事業に対する国の助成につき制度上明確化することにした次第であります。又この法律の実施の責に当る主務大臣につきましては、行政事務の能率化の見地から、各水道の種別により、或は水道行政の内容によりそれぞれ最も適当と考えられる主務大臣を以てこれに充てることにいたし、以て各関係大臣の権限を明確にいたしました。又一方これと相並んで可及的に都道府県知事にその事務の一部移譲し得るようにいたしたのであります。 以上が本法律案の概要であります。何とぞ慎重に御審議頂きまして、速かに御可決あらんことを切望する次第であります。
○委員長(上條愛一君) 本案の質疑は次の機会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。ちよつと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(上條愛一君) 速記を始めて下さい。 次に、厚生省関係法令の整理に関する法律案を議題といたします。ちよつと概略の説明を願いたいと思います。
○説明員(小山進次郎君) 厚生省関係法令の整理に関する法律案につきまして概略を御説明申上げます。 この法律案、提案理由の御説明でも申上げましたように、現在厚生省がその施行に当つておりまする法律のうち、事務簡素化の見地から見まして整理することが適当であるもの、及び事実上すでに死文と化しておるようなものを整理しようとするものでございますが、もとよりこの問題は関係するところ極めて大きな問題でありまするので、長い期間に亘つて検討を続けておつたのでありますが、今回行おうといたしまするものは、これらのうちで如何なる角度から見ても問題のないものだけを取りあえず整理する、従つて更に今後検討を続けまして結論を得次第逐次そういつたことを進めて行く、こういうような考え方で案をとりまとめてございます。従つて今回挙げられておりまするものは極めて軽微なものが多くなつておりますのでありますが、そういつた事情からでございます。 内容を御説明申上げますと、第一条で廃止すべき法律といたしまして四つを挙げております。第一の国民体力法は、御承知のように曾つて健兵健民という目的を以て青壮年の体力を管理する目的で作られました法律でございましてこの法律そのものの中にはかなり残しておきたいものもあるわけでありますが、法律制定の趣旨なり、或いは目的なりが今日において適当でございませんので、すでに現在では事実上死文化している法律でございます。さような意味合いにおきまして一応ピリオドを打つという意味でこの国民体力法を廃止するようにいたしたいというわけでございます。 第二の、有毒飲食物等取締令は曾て占領時代にポツダム政令として制定され、その後占領が終りました際に法律と同一の効力を有するものとされて参つたのでありますが、この政令できめられておりまする内容は、四エチル鉛の取締とそれからメチルアルコールの取締をきめたものでございまするが、メチルアルコールにつきましては、すでに御承知のように現在ではこれで事故が起るというような事実も起きて参りませんので、そろそろその面から廃止してよかろうというような事情になつておりまするのと、四エチル鉛につきましては、毒物及び劇物取締法においてその取締が完全にできるというような事情にありまして今日においてはいずれもこの政令がなければ取締りができないという事態でもございませんので、この際これを廃止したいということでございます。これを現在残しておりました唯一の理由が、実は四エチル鉛とメチルアルコールにつきまして、他のすべての行為は現在も法律で規制できますが、このようなものを所持しているというだけの理由でこれを取締ることができなかつたという点がこの法令が残されておつた理由なんでありますが、今日は先ほど申上げましたような事情でございますので、そこまで抑える必要はないだろうという事情でありますので、廃止しようというわけなのでございます。 次の伝染病届出規則も、占領時代にポツダム省令として制定され、その後占領が終了いたしますと同時に、これを法律として効力を有するものにされて参つたのでありまするが、この伝染病届出規則にきめてありまする伝染病のうち、或るものはやはり恒久化して伝染病取締法等に規定されるほうが適当であるというような事情にありまするので、この際かかる変態的な立法形式を改めまして、大部分のものを伝染病取締法に移し、一部のものを性病予防法その他に移すというようなことで、この際この法令を廃止することによつて臨時的な立法という形を恒久的なものにして行きたいという考えでございます。伝染病届出規則の廃止につきましては前の二つとは違いまして、実質上必要でございますけれども、立法形式としてかかる変態的な立法形式を避けて恒久的な立法形式にして行きたいという趣旨で廃止するわけでございます。 最後のあん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法に関する特例は、昭和二十三年に制定された法律でございまして、このあん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法が制定されましたときに、あん摩、はり、きゆう、柔道整復の業務を行なつておりまする者の受験資格についての特例をきめた法律でございます。今日におきましては目的を完全に果しまして、単に形式上存在するに過ぎない、いわば実質的に死んだ法律でありまするので、これを廃止したいということでございます。第一条に規定されておりますものはさような趣旨でございます。 それから第二条の精神衛生法の一部改正は、精神衛生法に、国、都道府県及び指定市以外のものが精神衛生相談所を設置する場合には許可を受けるということになつておるのでありまするが、これは今日のところその必要がございませんので、廃止したいということでございます。 第三条の伝染病予防法の一部改正は、先ほど申上げました伝染病届出規則の廃止に代りまして、この中にきめてありまする伝染病のうち、届出を必要としますものを伝染病予防法に吸収するという趣旨の改正をしようとするものでございます。 第四条のトラホーム予防法も右の趣旨に基く改正でございます。 第五条の寄生虫病予防法の一部改正も、全く右と同様に、伝染病届出規則を廃止することに対応いたしましてこれを吸収するという改正でございます。 第六条の予防接種法の一部改正は予防接種をいたしました場合の記録の作成等につきましてありまする手続をこの際廃止するという趣旨の改正でございます。 第七条の理容師美容師法の一部改正は、現在この法律にきめてありまする理容師会、美容師会及び理容師会連合会、美容師会連合会の設立について、これらのものが設立された場合には、それぞれ都道府県知事又は厚生大臣に届出るというふうになつております制度をやめまして、届出を必要としないということにしようというものであります。これは全く事務簡素化の見地に出るものでございます。 第八条の死体解剖保存法も、事務簡素化の見地からいたしまして、この法律にきめてありますところの、死体を解剖した場合に届出るという制度を廃止するものでございます。これは死体を解剖することのできる者が一定の資格のある者に限られており、又そうでない場合には特に許可を受けて行うということになつておりまするので、すでに事前に十分そういう点が抑えられるようになつているからという趣旨で、死体を解剖した場合の届出を廃止しようというものでございます。 第九条の保健婦助産婦看護婦法の一部改正は、この法律では業務従事証というものを保健婦、助産婦、看護婦について出すことになつておりまするが、これは現在のところその必要は必ずしも絶対だという趣旨のものでもありませんので、これを廃止しようというものでございます。 それから第十条の薬事法の一部改正は、現在薬剤師の免許が毎年行われるようになつておるのをこれを改めまして、薬剤師の免許が行われるのは一回でございますが、これが毎年登録更新をすることになつておりまするのを改めまして、免許は一回、登録も一回というように改めようと、但し定時の届出制度はその補強として設けて行こうと、こういうことでございます。 第二の改正点は、現在の薬剤師法におきましては用具及び化粧品等について国家検定の制度を行い得るようになつておりまするけれども、かかるものについてまで国家検定をするということは、いささか行過ぎの嫌いがあるという見地からいたしまして、国家検定の制度は薬品に限るということにいたしまして用具及び化粧品についてかかる制度を行うということをしないというようにしようとするものでございます。 第十一条の覚せい剤取締法は、現在覚せい剤が製造業者の製造量の報告が毎月あるのでありますが、これはいささか煩瑣に過ぎるという嫌いがありますので、麻薬の場合と全く同様に四半期ごとの報告とするということにしようとするものでございます。現在覚せい剤の取締がいろいろな意味において問題とされておりまする際に、一見それと違つた方向の改正であるかのごとく受取られやすいのでありまするが、この点に関する限り、かようにいたしましても、覚せい剤の取締態勢にいささかも支障を生じないという考えで行おうとするものでございます。従いましてこれは覚せい剤取締対策の強化という一般的な方向とは一応別個の問題として考えたいという態度でございます。 第十二条の児童福祉法の改正は、現在国及び都道府県以外のものが児童福祉事業施設を設置する場合においては、届出ることになつておりますが、それもかようなものが設置いたします場合には都道府県知事の認可を受けることになつておりまするので、その方面で十分抑えられまするので、作つた場合の届出ということは廃止しようというのでございます。 以上でございます。
○委員長(上條愛一君) それでは今の説明に対して御質疑を願います。
○藤原道子君 私は今提案だけ聞くのかと思つてうつかりしていたんでございますが、看護婦や保健婦の従事証をなぜおよしになるんでございますか。
○政府委員(曾田長宗君) 簡素化と申しましても、余り大きな点ではないのでありますが、これは御承知のように、看護婦が実際に仕事に従事いたしております場合には、定期的に届出をいたしまして、そしてこの従事証と申しますか、これを更新するということになつておるのであります。このことによりましてこの看護婦の状況を、この就業の状況を的確につかむということで、便宜と申しますれば便宜なのでありますが、これは時をきめて届出をさせておるわけではございませんので、年間を通じて随時この申請があり証書を交付しておるというようなことでこの制度はございますけれども、実態をつかむという場合には非常に事務的には手数のかかることでございまして、余り役に立つておらない。そういうようなところから、この医師、歯科医師或いは薬剤師というような人たちにつきましては、ほかに年に一遍時期をきめて届出をして頂いておるのでありますが、そのほうが現状をつかむのにより便宜であるというような事情がございますので、むしろそういうふうに切換えたほうがいいのじやないか、皆他の資格を持つております人たちと同じように取扱つたほうがいいのじやないかというのでありまして、必ずしも簡素化ということでございますかどうか、条文としては幾分その部分を落したというような事情でございます。
○藤原道子君 私はまだよくわからないのですが、それならば、ほかの制度と同じように一年に一回の届出制度に切換えるのでございましようか。その従事証の交付をやめるというような御説明のように聞いたのですが、だからその点をもう少し明確にして欲しいと思います。だつたら看護婦の実態を把握するのに何らかの方法がなければ私はいけないと思う。事務の簡素化ということは大事でございましよう。だからと言つて必要なことまでなくしてしまうような傾向が見えるのです。だからそれはどういうふうになさるのか、従事証をやめた代りにこういう方法をとりますということを一つ明確にして欲しいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) この従事証を交付する制度というものは廃止いたしましたが、別個にこの実情を把握するためには届出と申しますか、調査を別個にいたすという方針に切換えたわけであります。
○藤原道子君 別個にいたすというのは、これから考えるのでございますか。どういう方法で別個になさるのか、それを明確にして欲しいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) 届出によりまして、これは現在改正されました規則によりましても実施できるのでありまして、さような方法で現状を把握いたしたいというふうに考えておるのでございます。
○藤原道子君 なお納得ができませんが、きようあがるんじやないのでしようね。
○委員長(上條愛一君) ええ。
○藤原道子君 じや質問は明日に譲ります。それからあん摩、はり、きゆうはどういうふうになるのですか、もう一遍説明して下さい。
○説明員(小山進次郎君) あん摩、はり、きゆうは、先ほど申しましたように廃止いたしますのは、昭和二十三年の法律というのが全くその場限りの臨時措置をきめた法律でございまして、そのときに業務に従事しておつた人に対して特例を或る期間だけきめた法律であるわけでありますから、その期間を過ぎましたあとは、この法律はもう目的を達しましたから、実は実質的には死んでおる法律ですが、形式上残つておる恰好になつておりますので、形式上この際廃止するという手続をとるだけの趣旨のものでございまして、現在やつております法律に何らの変更を加えるものではございません。
○榊原亨君 化粧品の国家検定を廃止するというようなお話ですが、薬品が入つたと申しますか、ビタミンなんかを入れた化粧品はどうなりますか。
○政府委員(高田正己君) 用具、化粧品につきましては国家検定ができるという建前に従来はなつておりましたが、これはその必要もあるまいということで廃止することにいたしたのであります。併し最低基準を定めましたり、それから特別ないろいろ不良と認められるようなものをスポツト・アツセイいたすことはできるわけでございます。薬品の入つたものは、これは医薬品の取扱を受けておりますので、これを検定品目に掲げますれば医薬品として検定ができる、こういうことに相成るわけであります。
○榊原亨君 例えばビタミンのようなものは薬品の中に入るのですか。
○政府委員(高田正己君) ビタミンは医薬品として扱つております。
○榊原亨君 さつきちよつと何か検定を受ければ受けられると、ちよつとそこのところがわからなかつたのですが、その点をもう一遍はつきりと……。
○政府委員(高田正己君) ちよつと御質問を聞きのがしましたが……。
○榊原亨君 化粧品の中に薬品のようなものが入つたときには、薬品として扱うというような今のお話ですね、それから化粧品の組成の基準というものについて検定を求めた場合には求めることができるとおつしやるのですが、化粧品でもしやぼんでも全然もう何もしないで野放しでやるというようなことになるのですか、そこのところを……。
○政府委員(高田正己君) 只今廃止をいたそうといたしておりまするのは、検定の制度でございまして、検定と申しまするのは、御承知のように、発売前に一定の規格を維持しておるかどうかということを検定いたしまして、そして国家の証紙を貼りまして発売いたす制度を国家検定と称しております。それで用具、化粧品につきましては、その検定の制度をやめようということでございまして、用具、化粧品についてこの程度の最低の基準を維持しなければならんとかいう、この最低基準を定める制度は残しておくわけです。それから更に不良な用具なり或いは化粧品なりというふうなものが、これはどうも不良であるというふうな疑いを持ちまするような場合には、国家検査という制度が別にございまして、特にその業者のその製品について検査をいたします。これが不良なものでありますれば、市場にあるものの回収を命じ得るというふうな制度も残してございます。従いまして検定制度だけを用具、化粧品につきましてはその必要もあるまいということで、はずそう、今日もやつておりません、やつておりませんけれども、法律にございまするので、その必要はあるまいというのではずそう、こういうことでございます。
○堂森芳夫君 化粧品ではないのですが、あらゆる薬品というものはすべて検定をやつておるものでありますか。いろいろな薬品ですね、薬、医薬品、売薬にしても何にしてもやつておるのでございますか。
○政府委員(高田正己君) 薬につきましても全部国家検定をいたしておるわけではございません。検定品目と申しまするものは限定をいたしておりまして、その必要のあるものだけを検定をいたしております。かようなことに相成つております。
○堂森芳夫君 その必要なもの不必要なものというめどはどういうふうにしてつけるのでございますか、検定が必要であるとかないとかいうことは……。
○政府委員(高田正己君) これは技術的にはいろいろな観点から区別をいたすわけでございますが、具体的に厚生省の告示でございましたか、省令でございましたかに、例えば何々、例えばペニシリンならペニシリンの注射薬とか、或いは錠剤というふうにはつきりと品目を指定しておるわけでございまして、さような取扱いに相成つております。
○堂森芳夫君 それでは具体的に伺いますが、実に私の知つた人が参りまして、二月ほど前ですが、或る製薬会社から薬を買つて、胃の薬だと言つて何か買つたんだそうですが、それを飲んだら失明したそうです。そして現在或る病院へ入院加療中だとこういうのです。そして而もその被害者は早稲田大学の政経学部に在学いたしておるそうですが、こういう場合はどういうことになるのですか。後ほど薬の名前も言いますがね。
○政府委員(高田正己君) 只今御指摘の具体的な事案は私まだ耳に入つておりませんのでございますが、さような事故を起しました場合には、その事故というものがその薬に起因するかどうかということの探究を一方でいたします。この場合には主として医師の判断によるわけでございます。それから薬そのものにつきましては、これを衛生試験所に持つて参りまして、或いは抗菌性物質それから生物学的製剤の場合には、予防衛生研究所に持つて参りましてその薬を検査いたします。扱いといたしましてはさようなことに相成るわけでございます。
○堂森芳夫君 製薬会社の名前はですね、興和化学研究所というところだそうです。それから患者は古見康博君、二十三歳の青年です。そして薬局からアドポン・コーワという錠剤だそうです。これを飲んで失明した、まあこういうようなことなんですが、目下日本大学の眼科へ入院加療中だそうです。そしてこの被害者と同じケースの人が数名おる。そして薬品会社に折衝したところが、何かそういう相談係がおりましていろいろ相談に乗つてくれるそうですが、最初は幾らか何か面倒を見たそうです。その後面倒を見てくれない。こういうので、同じ被害を受けた人たちのためにも、私の息子のためにも一つ厚生委員会においてこういうような不良な而も或る意味では非常な重大な影響を及ぼすような薬品を売つておる悪質な製薬会社に制裁を加えてもらいたい、まあこういう陳情書が来ておるわけであります。一つ薬務局長大いにすぐ調査してもらいたいと思います。何にもそういうことは入つておりませんか。
○政府委員(高田正己君) アドポン・コーワにつきましては只今調査中だそうでございます。先ほど私は存じませんでしたが、課長のほうから聞きましたところが目下探究中である、こういうことでございます。いずれ近いうちに結論を得るものと存じます。一般的な問題といたしまして製薬の許可をいたしまする際には、御承知のように薬局方いわゆる公定書にありまする薬を造りたいというふうな場合には、これは登録をいたしますだけでございます。公定書にございません薬につきましては、これは一々厚生大臣の許可をいたしております。この許可をいたしまする際手続といたしましては重要な、まあ従来幾らか似たようなものがあつて問題のない薬は厚生省薬務局で許可をいたしておりますが、少し新らしい薬或いはいろいろ問題のある薬につきましては、薬事審議会という審議会がございまして、ここに新薬品部会とか、或いは生物学的製剤部会等ございまして、薬学関係者のみならず、むしろ数としましては医学関係者等多いのでございます。さような専門家の方々の審議を経まして許可をいたしておる、かようなことになつておるわけであります。 なお、その際に今の毒性というような点につきましては特別精密に御審議を願い、又その臨床データーを要求し、勿論基礎実験のデーターは勿論でございますけれども、臨床データー等も要求をしてこれを許可する場合には差支えなしと、毒性について一番の関心を以て審議を願つておるわけであります。かような経路を経まして許可をされました薬につきまして、先ほど申上げましたように検定品目に当つておりまするものにつきましては、更に個個の製品についての国家検定をいたす、さような必要のないものについては、そのまま許可をするというふうな大体からくりにいたしておるわけであります。従いまして今のような例は一応ない理窟に相成るわけでありまして、さような例が出ますることは甚だ遺憾なわけでございます。ただ、その原因がどこにあるかということは、これは個々の問題といたしまして学問的な探究をいたして参らなければならないと思つております。御注意の案件につきましては、今衛生試験所でこれを分析検査中でございますから、できるだけ早い機会に結論したいと思つております。
○堂森芳夫君 今の薬務局長の一般的な検定或いは研究のプロセスはよくわかりましたが、このアドポン・コーワのことについて具体的に調査中だということを、今課長が言つているという話ですから、課長から一つ具体的に説明願えませんですか。
○藤原道子君 関連して……、それを検査した結果でなければわからないわけでございますが、具体的にこういう例が出ておる場合には、即ち危険ありと一応の疑いを受けるその薬に対しては、直ちに発売禁止とか何とかというような手続をとつてお出でになるのでしようか、そういうことがなければ、若し薬といえばね……、そういう点も合せて一つ。
○説明員(大熊治一君) 只今のアドポン・コーワの件につきましては、御指摘のようなことがございましたので、我々といたしましては早速この病院に参りまして、そうして担当の医師からいろいろお話を承わりまして、それと同時に一方同じロツトの製品につきましては興和化学を呼びまして、直ちに回収を命じてございます。 それからこの製品につきましては只今衛生試験所で検査をいたしておるわけでございます。一般にこういう不良品と疑われるものが出ました場合には試験をいたしまして、一方それと同時にその同じロツトの製品につきましては、会社に至急回収なり、又その同じロツトのものがどういうふうに流れているかといつたことについても具体的に調査を命じておるわけでございます。
○藤原道子君 若し仮にそれがその製品の結果失明したとか、或いはその結果病状が悪化したというような結論が出た場合には、その責任はどこにあるのですか。
○政府委員(高田正己君) 一次的には、その薬でそういうことになつたということになりますれば、第一次的にはその会社当局の責任が生じて参ります。それからその薬が厚生省で許可をいたしました基準に適合しておらない場合ですね、そうしてその別なものを作つて、或いは不良なものを作つてさような問題を起したという場合には、これはその会社当局の責任だけに留まると考えておるのでございます。ただ、その仮に厚生省が許可をいたしまして、それと同じ規格のものを作つてそういう事態が起つたということ、まあ余りない例でございますが、仮にそういうふうなものを想定いたしました場合には、これは相当面倒なことになろうと思います。その際に法律的な問題といたしましては、行政官庁が許可をいたしたものについてさような事態が起つた場合に、国の賠償責任というようなものが、あるかどうかというふうな非常に面倒な法律的な問題が起つて来ると私は一応かように考えておるわけでございます。
○堂森芳夫君 ほかの、他の審議がございますので、長くは申しませんが、そうしますると今の薬務局長の説明のどちらの範疇に入るのですか、アドポン・コーワは、あなた方の考え方としては……。
○政府委員(高田正己君) その点はこれを試験分析いたしました結果でないと判明いたしません。
○堂森芳夫君 ではいつから検査しているのですか。課長その点を述べて下さい。
○説明員(大熊治一君) この製品につきましてはまあ今はつきり記憶いたしておりませんが、三月の終り頃か四月に入つてから試験を、衛生試験所のほうに命じておるはずでございます。ただ、その時日につきましてはちよつとはつきりした記憶はございません。
○堂森芳夫君 それは驚き入つた答弁だと思うのですね。(「不都合だ」と呼ぶ者あり)あなた方自分の眼だつたら大変でございましよう。あなた方はそういうことをやる役所ですよ。大切な日本の医療行政の車の車輪の一つである薬務行政に携わつておる人たちが、三月頃におきまして薬を飲んで眼がつぶれている人が数人出ているというのに、それじや責任は果されんと思う。おかしいですよ、そういうことはよく覚えてないとか、そういう重大な問題を覚えてないということは、あなた方、極言すれば、薬務行政を担当する私は人間として資格がないと思うのです。人の眼なんというのは命よりも大事です、或る意味では……。もう少しはつきりしたあなた方のお心持だとか、そういうものを私は本当に糾弾したいと思う。そういう意味では人道的な気持をお持ちではないと思うのです。今日はこれくらいで終つておきますが、次の委員会までにもう少しよく調べて、そうしてはつきりした御答弁を願いたい。親は毎日待つておるわけです。そうして大切な息子を大学に出して、薬を飲んだために眼がつぶれたということは、とんでもないことなんだ。そういうことに対してもう少しあなた方の、もう少しじやない、大いにやつぱり薬務行政を担当しておる局長、課長あたりも、そんなことじや大変だと思うのです。国民は信用いたしませんよ、あなたがた役人を……。大いに一つもつと詳しく、起きたことですから詳しく調べて御答弁願う、こういうことにいたしたいと思います。
○榊原亨君 先を急ぎますから、簡単にもう少し聞いておきますが、そのアドポンというのはどういう組成からできておりますか、おわかりになりませんか、アドポン・コーワというのは……。
○政府委員(高田正己君) 私只今アドポン・コーワの中身をよく存じておりませんので、この次の機会にでも詳しく御説明いたしたいと思います。
○榊原亨君 局長がわからなかつたら課長さんおわかりになりませんか、アドポン・コーワというのはどんなものか……。それから回収を命ぜられましたとき、何かラジオか、新聞かに、アドポン・コーワというものには問題があるから、とにかく飲むのを待てというような一般の公示がされましたか。ただ回収だけを薬局なら薬局とか、そういう製造会社に言われましたか。その措置は講じてありますか。例えばガソリンを、石油コンロの石油を間違つてガソリンを売つたという場合には、すぐにラジオで放送して、そういうものを持つてたらとにかく問題があるから待てと、この措置がなければ眼がつぶれる者が何人もできると私は思うのですが、そういう措置は薬務局で講ぜられましたでしようか。
○説明員(大熊治一君) 只今御指摘の品物につきましては、その事件がありましてすぐに会社に連絡いたしまして、そうして同じロツトの製品につきましては直ちに回収する指示をいたしたわけであります。
○榊原亨君 買つた人はどうなるのですか。買つてまだ手許にある人は、それは回収だけで済みますか。どこの誰ともわからん、売薬じやないかと思うのですが、その措置は何か民衆にこれは大変なことだということを言わなければならんが、そういうことをお考えにならんでしようか。質問が長くなりますから、それだけちよつと聞いて、詳しいことは又この次に……。
○説明員(大熊治一君) そのものにつきましては、只今も申上げましたように、回収を命じたわけでありまして、その回収された品物につきまして衛生試験所で試験をいたしまして、試験の結果それが不良品であるかどうかという判定が出た上でどうするかという措置はいたすことになつております。
○榊原亨君 重要法案がありますからもうこれでとどめますが、この次までにその点ははつきり一つお調べを願つて御報告を願いたい。それから又この薬の製品について抜取りとか何とかで、薬事審議会とか、監視委員会というものがあつて、絶えず抜取つてやつておられると思いますから、それらの監督の実績で、一年間にどれくらいのことをお調べになり、どれくらいの実績でどういう措置を講じておるかということについてのここ数年間の実績をこの次までに御報告を願いたいと思います。
○藤原道子君 関連いたしまして……。衛生試験所の試験の結果が二月も三月もかかるというのがおかしいのでありまして、三月に命じたというならば、もう結論が出ていなければならないわけでございますから、明日の委員会までにその結果を伺いたいと思います。
○委員長(上條愛一君) それでは本日の質疑はこの程度にいたして次に移りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(上條愛一君) それでは次に医薬関係審議会設置法案を議題といたします。御質疑を願います。
○谷口弥三郎君 前回の厚生委員会に大臣のおいでがなかつたので、私は医務局長に対しまして新らしい医療費体系ができた場合に、国民の医療負担は増加はせんかというような質問をいたしたのでありますが、その際医務局長は現行の医療費体系では余り増加せんというお答えであつたのでありますが、昭和二十六年度に医薬分業問題が討議されました際に、政府側からは約一乃至三%ぐらいは増加しはせんかというようなお話がありました。又医師会のほうにおきましては、一二%ぐらいは増加するだろうというようなことを申しておつたのでございますが、ここで特にお伺いしたいことは、前回の医薬分業法案の出ました場合、政府に対しまして新医療費体系というのをはつきりした線で作つて頂きたいとい要望しております。又私どもの考えでは、新医療費体系ができましたならば、法律で強制医薬分業をせんでも自然に分業の形になつて行くというようなことも申したことがございます。又アメリカにおきましては法律で分業を定めているところは、四十八州中僅かに一州のみであるのでありますから、是非新医療費体系というのを早くはつきりして頂きたいということを申しておるのでございます。その際医師法、歯科医師法並びに薬事法なる三つの法案が通過をいたしました場合に、私どもといたしましてもこれが実施をするのには先ず医療費体系をはつきりしてからがいいから、突然にそういうことはよくないと思いまして、三十年一月一日ということに定めるのに賛成をいたしたのでございます。従つて本日大臣に新医療費体系というのはどういうふうにあるべきものだという御所見をお伺いして先ず先の質問をしたいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) 私どもが考えております医療費の新らしい体系というものとしましては、特に例を薬治料にとつて申しまするならば、その薬治料というもののうちには、医師に支払わるべき診察料或いは指導料というものと、それから薬品の原価及び調剤に要する諸経費というようなものが全部各種とも含まれておるのであります。これを若しも調剤ということを薬剤師が責任を以てやるということになりますれば、医師といたしましてはいわゆる診察及び指導というこの技術料に該当するものが報酬として支払われる、他の薬品原価及び調剤に要する諸経費というものは薬剤師に支払わるべきものである、こういうふうに考えるのであります。こういうようにいたしました。全体を一括いたしまして薬治料というふうになつておりましたものを、これをこの薬品の原価、或いは調剤に要する経費、及び医師に支払わるべきいわゆる技術料、こういうようなものに分析して又支払いの方法も分けて行くというのがいわゆる新医療費体系の根本的な考え方でございます。
○谷口弥三郎君 只今の御説明はもうこの前も聞いております。実はそういうことでなしに、新医療費体系ということについてお聞きをしたいと、こう思つておつたのであります。 次に、それでは第一番に申上げてみたいと思いますのは、強制医薬分業をなさるような場合には、医療費体系といたしまして、先ず国民の医療に対するところの理解を十分啓蒙いたしまして、或いは無形の技術などに対しての報酬を支払うような観念を持たせることが、医療費体系として極めて必要であると思つておるのでございますが、昭和二十六年にこの法案ができましてから三年以上になるのでございますが、この間に国民に対してそういうようなふうの医療に対する啓蒙をおやりになつておるのでございましようか、如何ですか。その点をちよつとお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) 啓蒙のためのいろいろな活動ということにつきましては、具体的には申上げかねるかも知れませんですが、今申上げましたような考え方を持つておるということは、随時折に触れまして外部に向いましてもお話申上げておつた、これは私どものほうだけではございませんで、薬務局のほうもそうであろうと思います。積極的な特別な宣伝運動というようなものは今まではやつておりませんでしたが、今申上げたような程度のことはいろいろとお話申上げておつたのであります。
○谷口弥三郎君 どうもピンと来ませんが次に進みまして、実は医薬分業になりますというと、処方箋を発行しなければならん。その処方箋を発行いたした場合には、完全にその記載事項を厳守して頂かなければならん。この厳守してもらうかもらわんかが、我々の最も心配するところでございまして、例えば例を挙げて申しますと、アスピリンを投薬いたします場合に、アスピリンに対して非常に反応の強い方、敏感の方、或いはそれに対する特異質などもあります。殊に多いのは、アスピリンの種類が悪い種類になりますというと、容易に胃腸障害などを起すのでございます。従つてそういう患者に対しては、我々は例えばバイエルのアスピリンをとか、或いは特別の、良質のアスピリンを処方してもらうように書くのでありますからして、実際にそのアスピリンが使用されたかどうかということを薬局監視員と申しますか、薬局監視員をできるだけ今度は医薬分業になる場合には増加いたしまして、そうしてその監視員は薬局に参りまして、薬局にあるところの処方箋をよく点検して、その処方箋によつて実際にそういうような薬が利用されておるかどうかというようなことを見て頂かなければならんというようなことをこの前にも申しておつたのですが、いよいよ医薬分業を来年の一月一日から実施するといたしますというと、三十年一月一日から三十年三月末日までの三ヵ月間におきまして監視員増加の予算が新年度の、二十九年度の予算に出ておるのでございましようか。若し出ておるとすれば、その金額監視員の員数、並びに監視の方法などについて御説明をして頂きたいと思います。
○政府委員(高田正己君) 御指摘の点は、これは非常に重要な点でございまして、処方箋を正確に守つてこれを調剤しなければならないのはこれは当然でございます。その場合に薬事監視員を増加したかどうか、こういう御質問でございまするが、二十九年度におきまして薬事監視員を増加いたしたことはございません。本年度の予算は昨年度と同じでございます。ただ併し現在におきまする薬事監視員を、相当数おりまするので、分業が行われました暁におきましてはさような点を、監視について十分に重点的に監視をいたさせたいと、かように考えております次第でございます。
○谷口弥三郎君 只今の御答弁によりまずというと、監視員は一名も増さんでも、これから何万、何十万と出る処方を、それに対して監視ができる、監督ができるというのは、どうも納得が参りませんのであります。これはどうしてもやはり人を増して十分に監視をして頂かん限りは、処方箋を安心して出すいうことがなかなかできがたいのであります。だからその点は十分御反省を願いたいと思います。 次に、この医薬分業をやる新医療費体系を整えるという上におきましては、無診投薬の根絶を期することが医薬分業を行う上において極めて必要であることは申上げるまでもないのであります。従いましてこの無診投薬をせんように、この準備期間の三年間において特別にいろいろと準備をされたか、或いは実行をされたかということをお伺いしておきたいと思います。なぜそういうことを申上げたいかと言いますというと、御承知のように最近各地に集団赤痢が非常に多く発生しておるのでございます。その原因を調べてみますというと、保菌者がある結果であるということがよくわかつておるのであります。その保菌者のできた理由は、それらの方々が以前に高度の下痢症状とか、或いは赤痢様症状を起しました場合に、薬局からダイアジンなどの薬を買つておるのであります。実は薬事法にも出ておりますようにペニシリンとかダイアジンとかいうのは、処方のない限りは売ることのできん薬でありますけれども、それが売られて、又患者はそれを飲んでみるというと、一時的に症状がよくなつて、本当に病気がなおつたような気持をして、そうしてその方が家で炊事などをしている結果、家族、或いは附近の者に赤痢が集団的に発生しているという事実があるのであります。この事実は私どももよくどこそれにあつたとかという例も存じておりますが、それは申上げませんが、とにかく薬局に、処方箋がないにもかかわらず、そういうようなふうの薬事法で禁止されているような薬を、売薬を販売しているような状況でありますので、この点に対しては、前からこの準備期間中に大いに検討して頂きたいと言つておつたにかかわらず、それが行われておらんように思われるのでございますが、これらの点について、まあ大臣にお願いするのはお気の毒ですから、それじや薬務局長から説明して頂きましよう。
○政府委員(高田正己君) 薬局で医師類似の行為をいたすことはこれはもう当然いけないことでございます。又処方箋によらずに、いろいろな薬の調剤をいたしますることも、これは当然御指摘の通り適当でないことでございます。従いまして二十六年のこの薬事法の一部改正におきましては、特に二十二条に、販売又は授与の目的で処方箋によらずに調剤してはならないということが、はつきりと明文に掲げられましたことは、谷口先生の御承知の通りと思うのであります。それで、然らばさようなものについての取締りを十分やつているか、或いはさような点について十分に薬局側を指導いたしているかという御質問でございますが、その点につきましては、いろいろな機会を通じまして、指導と啓発に努めておりますことは勿論でございますが、現実の取締りといたしましては、薬事法四十四条の第七号違反ということに実はなるわけであります。その四十四条の七号違反につきましては、これは都道府県知事の権限になつておりますので、全国的な統計を私今持合せておりませんのでございますが、報告のありましたものを大体集計して申上げて見ますると、昭和二十五年、六年、七年、八年、通じまして三百五十二件の取締りを実施し、違反を挙げております。そのうち営業停止を命じましたものが百三十四件というふうなことに相成つております。これは報告のありましたものだけでございまするが、さようなわけあいでございまして、私どもといたしましては、四十四条七号違反というものは、十分にこれを戒心いたし、又実際の取締りもいたしているような状況でございます。
○堂森芳夫君 関連して……。無診投薬は現薬事法で取締られているわけですね、現行の薬事法で……。
○政府委員(高田正己君) 処方箋によらないで、医師又は獣医師の発行した処方箋によらないで、販売又は授与の目的で調剤してはならないという規定は現行の薬事法にはございません。二十六年の一部改正のときに、特にその四十四条七号の条文をお入れを頂いたわけでございます。併しながらお医者さんに診てもらわないで、薬局の店頭においていろいろ診察に類似いたすような行為をいたしますることは、これは現在の薬事法には規定はないにいたしましても、医師法違反になる虞れがある。従いましてその面から今日でも法律上禁止されていることと私はかように心得ているわけであります。併しながら今度薬事法の側から申しますると、分業の暁におきましてはその点が明確に条分に上つて参りますので、私は新たに薬事法違反という問題も法律上出て参る、かように承知をいたしております。
○高野一夫君 関連質問……。薬務局長に伺いますが、今無診投薬ということが出ましたけれども、正式に政府で定めた公定書というものがあつて、いわゆる国民医薬品集、これの一部にあるわけですが、これによつて調剤、投薬……、調剤になるか、投薬になるかわかりませんが、その国民医薬品集の処方に従つて、薬を製剤して調合して渡すということは、これは正規の方法として許されているはずだと私は考えますが、そこで今までの、例えば谷口委員の御質問による政府委員の御答弁というものでは、どうもその辺が何となく明確を欠くような感じがいたします。この国民医薬品集による調合、投薬といいますか、これはどういうふうになりますか。
○政府委員(高田正己君) 国民医薬品集第二部というものがございまして、これはいろいろな歴史的な経緯を持つているものでございまするが、百二十処方ほどこの基準的な処方をこれに集載してございます。でこれはいわゆる公定書の中にあるものでございまするので、この処方のうち、これこれを私の薬局では製造をいたしますという、この登録を厚生省のほうにとつているわけであります。従いましてその医薬品集に集載され、且つ登録をいたしておりまするこの薬につきましては、これを薬局で販売いたすことは製造販売いたすことでございまして、これは法律上勿論適法でございます。従いまして、いわゆるこの無処法投薬というふうにいろいろ言われまする場合に、その一つ一つを具体的に検討をいたしまするならば、本当の無処方投薬であるか、或いは医薬品集第二部に載つておる薬であつて、これをちやんと厚生省の許可を得て、製造販売いたしておる場合であるか、これは検討をいたしてみませんとわからないのでございます。ただ私が先ほど谷口委員にお答えをいたしましたのは、さようなものでなく、正真正銘のさような場合があつたと仮定いたしまする場合のお答えでございます。御了承頂きたいと思います。
○高野一夫君 先ほど谷口委員の御質問に、処方箋記載事項を厳守しなきやならんというお話がございましたが、これはもう当然のことであつて、処方箋記載事項を厳守しないようなものはどしどし処罰して差支えないと思うが、そこで私は医務局長に伺いたいのですが、学問的に考えて、極めて不適正であると考えられる処方箋が発行されて、そしてそれが病院内において、病院は医局、薬局分れていますが、その不適正なる処方を発行した。発行された。このことに対して何人も気付かなかつたような場合はどうなるのでありますか。例えば甲の薬品と、乙の薬品と、これは処方してならない薬……。私がこういうことを申上げるのは、おかしいと思うのは、実際はね、現在ここの議題に上つているのは、審議会設置法案なんで、審議会設置法案に対する直接質問でなくて、まるで第十国会に戻つたような、医薬分業みたいな質問が出ているから、私もつい釣り込まれて、ここで一、二質問を申上げるわけですが、不適正なる処方が発行されることに対して処罰取締りの方法がありましようか。
○政府委員(曾田長宗君) 私どもが了解いたしております慣例では、さような不適正らしき処方箋が薬剤師の人たちのところに廻つて行つた場合には、調剤の際に、若しも薬剤師の方がお気付きになれば、これは医師に間合わせられるということが慣例だと思つておるのであります。併しながら若しも気付かれなかつたという場合、或いは聞き合わされた場合にそれでよろしいという返答がありました場合は、飽くまでも医師の責任であります。
○谷口弥三郎君 私が先刻質問をしました点について、一、二いろいろと議論が出ておりますが、私の質問をしたいのは、先刻も申しましたように、処方箋がなければ調剤することはできん。これはもうはつきりしておるにもかかわらず、それを調剤した結果保菌者を起し、集団赤痢などが起つておる実情がありますので、それに対してどういうような処置をとつておられるかということを聞いておるのであります。 第二の問題は、無診投薬というのは、只今高野委員が言われた国民医薬品集にあるような薬のことを言つておるのではないのであります。即ち患者が薬剤師のもとに行つて、そうしていろいろと話して、その結果薬剤師は、或いはまあこういうことはこういう席上で申上げるのは如何かと思いますけれども、かなり診察くらいのところまで行なつて、そうして薬をこしらえて国民医薬品集に出て来る薬と違つた薬を投与されたようなものに対して、無診投薬という名前をつけたような次第でございます。又最後に処方箋が不適正なことを書いておれば、それがちよつと間違つた場合には、無論薬剤師のほうがそれを聞いてくれれば、医者はそやつに対して特に考慮をすると思いますし、又実線におきまして、最近には麻薬に対して特別の注意がありますから、そういうこともございませんが、麻薬などを使用する場合には、普通の分量以上に処方箋に書くような場合もあります。無論そのときには処方箋に一定の印をつけてあります。その印をつけてやつたような場合に、薬局方に言われるいわゆる極量以上にも使うていいというのは、これは処方箋の規定でございますからして、それは多数の中には不適正な薬を知らずに配合を間違えた人もありましようけれども、又医者は特に必要な場合には、それをよく書いて決して間違いないということを示す方法もあるのでございますから、その点なさようにお含みを願いたいと思います。 続いて私はなお私の質問をいたしたいのですが、これは特にこの点を大臣にお聞きをしたいと思うのであります。この医療体系を云々します場合に、先ず医療機関は御承知のように、公的医療機関、私的の医療機関がございますが、公的の医療機関におきまして、例えば病院などを計画いたしますのに、現在におきまして、厚生省以外におきましても、或いは労働省が労災病院を作るとか、鉄道とか、郵政省が又病院を作るとか、専売局などの事業官庁が病院を、何ら特別に厚生省などとも連絡をなしに作つておられる。又厚生省内におきましても、或いは社会局、社会保険関係の病院は、医務局と殆んど関係なしに計画をされておるというようなことを聞きますために、全国的な統制がうまく行つておらずに、或る地方にのみたくさんの病院ができて、或る地方は病院がないというような状況にあると思いますので、今後の医療体系といたしましては、是非一つ、これは長い間の問題でございますが、まあ今のところで言えば医務局でございましようが、そういうところにとりまとめて、そうして全部の病院の新設をするとか、計画を立てるとかいうようなときには、先ず一省においてこれを統制するように整備するように、今後新医療体系をおやりになる上には是非必要と思つておるのでございますが、厚生大臣としてそれに対する御所見を承わりたいのであります。
○国務大臣(草葉隆圓君) 誠に御尤もな御意見であると存じます。実はこの現在の各般の点から考えまして、いわゆる医療体系の整備充実ということが、いろいろな点から考えて最も大事じやないか、而もお話のように、或いは省によりまして、或いは種別によりまして、いろいろと成規の手続によつてなされるような現状であります。一本の法律かなんか、その医療機関を作る場合には、例えば厚生大臣の許可を得なければならんというようなことがありますると、これが割合に整備し得ると思いますが、現在のお話のような情勢になつておりまするので、御指摘のような実情に相成つておるわけであります。併し日本全体の将来を考えます場合には、実はこれでは適当ではないのではないか。何とかこれは配分なり、或いは適正なる施設の充実なんていうことが、全体の医療体系の確立の上にはどうしても必要である。従いましてこの点は今後医療体系の充実という上から、是非各省連絡いたしまして、一層強力に検討して参りたいと考えております。併しいずれにいたしましても、最近一層そういう点が顕著になつて来ておると存じまするので、関係省ともよくこれは連絡をいたしまして、できるだけ新らしい場合には従来の施設も利用し得る場合においては、むしろ従来の施設の整備をする、不十分な施設のないところにむしろ主力を注ぐというような考え方の下に、連絡し、協力して参ることが必要だと存じております。そこで国がやりまする場合におきましては、一応この現在におきましても厚生大臣と協議をし、厚生大臣の承認を得ることになつておりまするから、これらの点につきましては今後一層考えて参りたいと考えております。
○谷口弥三郎君 続きまして、一つ大臣にお聞きをしたいと思いますのは、医療体系から申しますと、只今のような公的医療機関と同時に、これと相対抗いたしまして、又根幹とも言われておる私的の医療機関がたくさんにあるのでございますが、御承知のように、人口に対する病床は、ベツドの数は、大体におきまして日本はまだ普通のほかの文明国に比べて半数ぐらいの程度と言われておりますので、私的の医療機関にも十分なる育成をして、そうして私的の医療機関を大いに発展させる、例えば医療金融公庫みたいなものを作つて融資をしてやるとかいうような途も是非講じてもらわなければならん。又戦災地などにおきましては、即ち神戸の例でございますが、神戸におきましては、五床以上、五つのベツド以上の診療所の新設を許可せんというような、間違つた方針をとつておられるように思いますので、是非一つ私的の医療機関も育成するというお心持ちがあるかどうか、この点をもう一つ大臣からお聞きをしておきたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) 実はこの公的医療機関と私的医療機関の関係でございますが、現在のような日本の状態から考えますると、公的医療機関はむしろ都会地に偏重しておると申上げても過言でないような実情にあると思います。一般的な医療機関は実際国民に浸透しておる点が多いのでありまするから、従つて私的医療機関を無視しては日本の医療体形というものは考えられないのであります。従つて今後私的医療機関の育成充実という点に、政府は従来以上の力を注いで、これが育成発達に努力いたすべきものと考えます。今後御指摘のような事例その他いろいろの点がなお考えられると存じます。これらの点も検討いたしておりまするが、私的医療機関の育成発達のためには努力をいたして参りたいと思います。
○谷口弥三郎君 次に保険局長にお尋ねしたいと思うのでありますが、いよいよ医薬の強制分業が実施されるようになりました場合には、只今の社会保険の経済が如何になるか。私どもはかなり社会保険経済は困難な状態に陥りやせんかということを心配しておるのでありますが、その局に当られておる保険局長はこれに対してどういう見通しを立てておりますでしようか。又すでにいろいろとデーターも出ておると思いますので、それらのところを一つお話を願いたいと思います。
○政府委員(久下勝次君) 保険局の立場はこの医薬分業につきまして御指摘のように、非常に重大な関心を持たざるを得ないのでございます。併しながら医薬分業をすることはひとりこれは保険だけでなしに、国民医療全般に大きな影響を来たす虞れのある問題でございます。そういう意味合いにおきまして大臣の御方針もございまして、厚生省としてはその方面の全般的な立場から見ております医務局というものが中心になり、私どもこれに協力をいたしまして医薬分業をやることに伴つて国民医療全般にどういう影響があるか、又どういう方針でこれを処理すべきであるかというようなことにつきまして話合いを進めることにいたしておるわけでございます。そういう問題が実はまだ検討の途上でございまして、具体的な方針がきまつておりませんために、私のほうの立場から医薬分業は社会保険経済にどういう影響があるかということにつきましては、申上げる段階に至つておらない状況でございます。ただ、私どもといたしまして率直に申上げまして、今日の現状から健康保険をはじめ各社会保険医療につきましては、財政的にはそうゆとりのあるものではございません。さような意味合いにおきまして余りその医薬分業実施の結果、その医療費に大きく響くようなことであるとすれば、保険局としてよほど考えなければならないと思つておりますが、これは大臣からも国会で申上げておりますように、医薬分業をやることによつて国民医療費に大きな影響を与えるということは、厚生省の立場としても十分慎しむべきであるというこういう御方針でありますし、そういうことでありますれば私どもといたしましても全般の国の方針でありますから、この方針に御協力をいたす所存でございます。
○谷口弥三郎君 只今のお話によりますというと、まだしつかりした見当がついておらんというようなふうに伺つたと思いますが、大体いつ頃になつたらそういうようなふうのしつかりした見当がつくお見込みでございましようか、それを一つ……。
○政府委員(久下勝次君) 先ほど申上げたような関係から、私がその問題についての時期的な見通しを申上げるのは如何かと存じますが、衆議院厚生委員会におきまして大臣並びに医務局長から明言をいたしておりまするように、八月一ぱいには医薬分業実施に伴う医療費の問題につきまして或る程度の資料はできるというようなことを言明いたしております。私どももそういう厚生省自体の方針に沿いまして、必死になつて検討を続けておるのでございます。
○谷口弥三郎君 もう私だけで時間を占領してもいけませんからもう一、二点でしまいますが、これも保険局長にお伺いしたいのでありますが、医薬分業になりますというと、社会保険患者に発行いたした処方箋でございますが、この処方箋には先刻も申上げましたように明らかに投薬の期日が何日間投薬というようなことが記載されておるのでございます。従つてこの処方箋を見れば何剤処方したということも、投薬したということもわかりますのでありますからして、薬局においてはこの処方箋を保険者に報酬請求の場合に同時に出されるというと、正確な剤数がわかる。併しこれを出されてしまつたら先刻も申したように薬局監視員がいて、そうして処方箋とそこの薬とを対照しようと思つてもそこにないものですからして、これをよく調べることができんというのでありますが、この処方箋というのは、やはり今後医薬分業になりましても、現在通り薬局に保管するようなお考えでございましようか。それとも又只今申しましたような報酬請求書と一緒にしてそうして請求するときに送るということになるのでございましようか。その点をちよつとお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(久下勝次君) 医薬分業を仮に実施をいたしましたときのそうした事務の取扱いにつきましては、只今まだ十分な検討をいたしておりませんけれども、併し現在におきましても処方箋を発行して薬剤師が調剤するというような場合がありまして、又それに伴う措置もいたしておるわけでございます。この場合は薬事法の定めるところに従いまして、処方箋の正本は薬局に保存する義務が与えられておりますから、医薬分業実施になりましても、やり方としてはそういうことでよろしいんじやないかと思います。そういう関係もありますので、ただ場合によつてはその写しを提示するというような多少面倒を厭わなければ、そういうことも考える余地もあろうかと思いますが、まだ併しそういう結論をつけておるわけではございません。
○谷口弥三郎君 ついでにもう一つこの際お伺いしておきたいと思います。これは医務局長で結構でありますが、医務局長のお話によつても、医療費の総額というのは、大体そう多くならんというように、薬剤費などから考えても多くならんというようにお考えになつておるようでございますが、実際におきまして私どもの考えますには、医薬分業になれば、処方箋だけはずんずん出さなければいかん、処方箋を出すというと、一体どのくらい処方箋が出るかと申しますというと、先ず一人の医者が一日二十通ずつ出すと仮定いたしますというと、四万の医者にすれば一日に八十万通の処方箋が出る、又これを一年に計算すると、二億九千二百万ぐらいの処方箋が出る。この処方箋なるものは、普通今までであれば診療所などにおきましては病名に薬を書いて、それを薬局ですぐ調剤する程度でありましたけれども、処方箋として出す以上は、立派な紙に処方を書き、状袋に入れて出すというのですから、かなり手間もかかるし費用も要るのでございますが、この二億九千二百万枚もの処方箋を、これを若しまあ社会保険の点数五点といたしますというと、十四億六千万点ほどになります。一点の単価を平均十二円といたしますというと、百七十五億二千万円が処方箋のために要るということになるのであります。にもかかわらず医療費が少しも増加せんということであるというと、これは処方箋に要る金は、医療担当者にしわ寄せされるつもりじやないか、全体の額を殖やさんために、担当者には処方箋料或いはその労費などもしわ寄せしてしまうんじやないかというふうに簡単に思われるんですが、医者が余りにも、医者のみじやありませんで、これは薬剤師も入りますが、実にそういう担当者は無駄な或いは労力のみを使わせるような苦境に陥ることがないようにお考えを願わなければならんと思つているんですが、これに対して医務局長は如何に考えておられますか、その点を伺いたい。
○政府委員(曾田長宗君) 私どもの考え方は先ほども申上げましたように、現在は医師の所に診察を受けに参りまして、そして薬をもらつて帰るという場合に、いわゆる薬治料というものだけを、薬代だけを払つて来ているのでありまして、特別に処方箋代とか或いは診察料というものは大体払わない。初診のときは払いますが、再診の場合にはもう大体払わないということになつているのが慣例であります。これを医薬分業にいたしました場合には、現在ただ薬代として払つておりましたもののうち、この前に御説明申上げました通り約三分の一程度のものをこれを医師の診療技術料、薬治料の中に含まれている診察技術料という意味におきましてこれを医師に支払う。で、他の薬の原価及びその調剤に要するいろいろな経費というものは、これは一応薬局で支払われるというふうに考えて参りたいということを申しておきましたが、この際には処方箋料というものは特別に考えられていないのでありまして、これが若しもどれに該当するかと申しますれば、医師に対する診察技術料というその部分がいわゆる今日においては処方箋料、或いは初診でございますれば、初診料というのが別に又ございますけれども、この初診料は必ずしも薬治料だけという意味でなしに、もろもろのその後に続く患者の診療というものにも行渡つているものと考えるべきと思うのであります。一応再診で考えてみますならば、さように私どもは予定いたしているのであります。ただこれを診察料というか、或いは直截に処方箋料と言うか、この名称の問題等についてはその性格をよく吟味した上で、然るべき名称にし、又その形といたしましても然るべき点数或いは額というものにまとめて行くべきものではないかと考えております。
○谷口弥三郎君 もうこれで申上げないつもりでしたが、只今の医務局長のお話によると、年間約三億枚に及ぶところの処方箋、その紙代或いは状袋代だけにしてでもこれは大したものであつて、これはこれまでなかつた薬治料以外のものでありますからして、これを薬治料のどつかに、技術料という中に押込もうというのは、これは非常なひどいやり方であつて、そういうような考えならば、処方箋の用紙、並びに状袋は国が全部上げるというようなふうにでも考えられることが正当じやなかろうかと思います。
○政府委員(曾田長宗君) 処方箋、或いは状袋に要します紙の代は適正なる報酬の中に当然算入いたすようにいたしたいと思います。
○竹中勝男君 薬治料に関する計算の仕方によつて出て来るところの結果というものを、私どもは非常に重大視しておるわけなんですが、重大視しておるという意味は、医師のほう、或いは薬剤師のほうという二つの立場があるとすれば、むしろ第三者の立場、即ち、患者、国民の立場から重大視しておるわけなんですが、今保険局長は八月の末までには大体そういう計算が提示されるだろう、これは大臣も医務局長も言われておるわけなんですが、なぜ今までそれが見通しがつかなかつたかということについての説明もこの前あつたんですが、そうしてまあ今から二カ月か三カ月のうちには大体それかできる、二十六年から今まで大体できなかつたけれども、この数ヵ月のうちにはできると言われるところに我々非常に不安といいますか、疑問を感ずるわけなんです。即ち数カ月後においてできる計算というものが、果して十分根拠のある結果が出るのかどうかということ、ただ計算の結果として出たものをここに持つて来られて、それを十分我々が果して分析して研究できる能力が我々にあるかどうかということも、我々は自信が実際にはないんです。非常に常識的に考えますと、我々の立場は国民の医療費の負担が増大するんじやなかろうか、或いは医療の給付内容が悪くなるのではなかろうかということが非常に危惧の念です。それから医薬分業について希望を持つておる点は、これによつて非常に医療費が合理化されて行く、そうして医療内容がよくなつて行くということの希望のために私どもはこれに賛成しておるわけなんです。ところが非常に常識的に考えてみまして、お医者さんが薬を出しておられたというのを、お医者さんは診療技術料が中心になり、そして薬剤師のほうには薬の原価と調剤に要する諸経費というものが薬剤師に支払われる患者の負担になるわけです。即ち、今まで開業医の場合は一つであつたものが、支払口が二つになるわけであります。そうすると医者に一つとして入つて来ておつたものが、今仮にこれを考える上に半分としてそうするとお医者さんの収入が半分になると常識では考えられる。それでその半分は薬剤師に入るというようになれば、国民の医療費の負担が増大しない限りは、医者の収入が減るという結論に常識的にはならざるを得ない、そこに我々は疑問を持つんです。医者が収入が減ることを承認の上でこの分業に賛成されるということを考えるが、医者の収入が減らないためには、それだけ国民の医療費の負担を増大する、国民が医療費を医者の減る分を負担するということにならなければ、現在のままでは成り立たないのじやないか、こういうように考えられるのですが、そういう点をこの八月末には国民の医療費の計算というものではつきり出て来るものでしようかどうかということを先に質問したいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) これも前回に一応御説明は申上げたと思うのでありますが、もう一遍申上げますれば、成るほど今日までいわゆる薬代というものの中に含まれておりました医師の診察技術料というものと、それから薬剤師に支払わるべきものと、この二つの部分に分けますれば、医師に支払われる金額というものは、これは減つて参ります。名目的には減つて参るのであります。併しながら今日におきましてもよく世間では薬九層倍というようなことを申してはおりますけれども、決して医師がそれほど、実際に何と申しますか、実収益というものを挙げておるわけではないのであります。この部分が先ほどから申上げておりますように、平均的に考えますれば、おおむね三分の一、勿論個々の施設によりましてはこれが半分くらいになり、或いは十数%というところもございましよう。又専門によつても違うのでありますが、平均いたしますれば大体三分の一程度であるというふうに申上げました。その程度のものを医師のところに支払われるといたしますれば、ノミナルには医師に支払われる金額は少いのでありますけれども、医師の実収益というものは変りないということができると思うのであります。そういたしますとそれでは今度薬剤師に支払われるもののうち薬剤師のいわば調剤技術料というものがどこから出て来るかということが御疑問だと思うのであります。これは薬品原価を除きまして、まだおおむね今日の薬代の三分の一程度のものが残るのであります。このうち薬包紙、薬袋というものや、そのほかの経費を除きまして、そのうちの一つの重要な構成分子としましていわゆる人件費が入つておるわけであります。この人件費がその経費のほぼ半分くらいを、半分弱でございますけれども占めておるわけであります。これは病院におきましては今日でも薬剤師の俸給、給与というものが一剤の薬剤の中に一部分として含まれておるわけであります。又薬剤師のおりません診療所等におきましては、これは看護婦或いはそのほかの医務助手というような人たちについて、僅かには医師自身が調剤もしておると思いますが、こういう人たちの労力或いはそれに対する給与というものが人件費として含まれておるわけであります。これが薬局でもつて調剤されるということになりますれば、この部分が薬剤師及び薬剤助手の収入、調剤技術料ということになるかと思うわけでありまして、でありますからかように考えますれば私どもこの今までの薬代というものを二つに分けて、病院、診療所と、それから薬局に支払いましてもその総額においては狂いを来さずに、そして而も医師の実収入というものはやはり大きな変化のないように取計うことがおおむねできるのではないかというふうに考えておる次第であります。
○竹中勝男君 その点なんですが、果して開業医が調剤に対して支払つておつた人件費というものがどれくらいあるものでしようか、開業医が……。私どもの知つている限りでは誰もおらんのですがね。自分がやつているか、奥さんがやつているか……。
○政府委員(曾田長宗君) 私どもの一応調査をしましたのでは、開業医の場合におきましては勿論誰もおらないとおつしやいましたのは、少し過言じやないかと思うのでございますが、今までの私どもの調査によりますと、この診療所例えば無床診療所のようなところは医師一人に対しまして介補者は大体一人ということになつております。
○竹中勝男君 私の言うのは開業医です。
○政府委員(曾田長宗君) 開業医におきましては、医師一人に対して介補者が一人という数字になつております。
○竹中勝男君 雇つている人が一人……。
○政府委員(曾田長宗君) さようでございます。医師一人に対して介補者が一人ということになつております。それ以外にこの家の家族の人たちがいろいろ手伝いをしておられるこの調査もございます。これは今ちよつと数字を申上げかねますけれども若干そこに加わつております。この家族労働につきましても、大体このベースがどうかとは思いますけれども、おおむね公務員ベースとしましてほぼそれに該当するもの、給与というものを考えてそれを換算いたしているわけであります。そうやつて計算したのが一通り数字で出ております。
○竹中勝男君 そうすれば、分業になれば一人の雇用というものは解雇ができるという前提を持つておられるわけですか。
○政府委員(曾田長宗君) これは先般も申上げましたように、その点につきまして、この医師の純粋な診療技術料、それから薬品の原価というものは、これは帰属がはつきりしている。その中間に残りますいわゆる調剤経費というもののうちには、これは薬局で調剤いたすとすれば、薬局においてはそれだけのものを必要とする経費であろうというふうに考えられるのでありますが、この診療所におきまして分業になつて調剤をしなくなつたからと言つて、その今の経費の削減、節減ということを現実に図れるかどうかということがこれが次の問題として出て参りますということは申上げたのであります。これから新たに開業をされる診療所の所長さん、院長さんでありますならば、薬室も小さくされるでありましようし、或いはその手伝いの人たちも人数を減らす、もう成るべくならば特別な人を雇わないというような措置をとられると思うのでありますが、現実に今まで自分のところで調剤を続けて来られた診療所においては、分業になつて調剤がなくなつたと言つても、これが経費がゼロになるとはちよつと考えかねるかも知れません。併しながら調剤数が減つて参りますれば、それは光熱料なり、或いは水道とか、或いは人手にいたしましても、これは減ることは事実なのでございます。これをどの程度に減らし得るかということが、これが問題である。若しも仮にこの部分が完全に重複するとしても、実際に明年の一月一日からこの分業を実施いたしますれば、その影響はその部分がいささかも落ちないとしても、一・三三三%という程度のものであろうというふうに踏んでおるわけでございます。
○竹中勝男君 そうすると、分業によつて薬剤師のほうの人件費というものは増大するということになりますね。どれくらいやはり増大するのですか。今まで薬剤師のほうの側です、今度は殖やさなくちやならない、医師のほうで減れば、薬剤師のほうで殖やすということになるわけでしよう。
○政府委員(高田正己君) 竹中先生の御質問は薬剤師の調剤技術料をどういうふうにするかということの御質問だと思いまするが……
○竹中勝男君 調剤技術料、並びにですね、やはり人手を殖やさなくちやならない……。
○政府委員(高田正己君) さようでございます。まあそういうふうになるわけでございます。私ども薬剤師の調剤技術料をどういうふうにするかということにつきましては、結局、今基本的には先生御承知のようなあの診療報酬調査会の答申の線に沿つて定めたい、そういう態度をとつておるわけでございます。具体的な運びとしましては今日医務局長が縷々説明をいたされました、今日薬治料というものの中に実際的に調剤技術料に当るものがどのくらい含まれておるかということを先ず実体把握をいたさなければなりません。これが先ず第一段の作業でございまして、その作業が先刻来いろいろお話がございまするように、まだ全体の集計というものができておりません。なお集計には近付いておりまするけれども、これをいろいろ検討する余裕も必要でございます。これがもう二、三カ月いたしますればはつきりしたものが出て来るわけであります。それを睨みまして、理論的に申せば、薬剤師の生計費というふうなものも考えて行かなければなりませんし、それから又総医療費を殖やしてはならんという要請も考えて参らねばなりません。さような要請を加味いたしまして、実態の数字を選んで適当なところに落ちつけたい、かように考えておるわけでございます。その際に、先般の当委員会の先生の御質問に対して医務局長がお答えいたしましたように、非常に非能率的に調剤をいたしておる場合と、それから能率的に調剤をいたす場合の差でございますとか、或いは薬品のいろいろ管理その他についてですね、専門家のほうがロスが少くなるであろう、いろいろ細かい問題はございまするけれども、大きな筋といたしましては今申上げたような筋で物を考えておる次第でございます。
○竹中勝男君 もう大体……。ただこういう点がもつと徹底して了解できるように一つ調査の結果を発表願いたいと思うのですが、どうも私ども頭が窮屈にできておるせいか、医者のほうで調剤の技術に必要なものを減らす、薬剤師のほうは殖やさなくても能率が上るというふうに説明されたのではこれは非常にわかりにくくなると思うのです、国民は……。もつと合理的にその数字の根拠を開業医とはどういうふうになつておつて、どのくらいの人件費が要つておつたのを今度は要らなくなる。今度は画期的な医薬分業で薬局というものが非常に忙しくなる。国民はそう考えておる。それは人員を殖やさなくとも済むのだというのでは理窟に合わない。そういう数字が、そうして而も国民の医療費負担能力というものはもう限界に来ておると思う。国民の負担も殖やさなくて医療が合理化できるかどうかということを我々が知りたい。それができれば医薬分業というものは将来希望が持てる。医薬分業したときに、これ以上国民の医療費負担が増大するというのであれば、非常にこれは国民に迷惑することになる。我々はそういう立場で公平にこの問題も取扱つておるわけです。二カ月先の八月末に出て来る数字というものを我々は非常に重大視しておるわけです。どうぞそういう意味で一つそういう国民の納得できるような結果が出て来ると考えておられますか。その点一言返事しておいてもらいたいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) 十分に御納得できるかどうかわかりませんけれども、私どもとしては一応御納得頂けるつもりで資料を出すつもりでございます。
○榊原亨君 今薬務局長がおつしやいましたこと、ちよつと私は御質問申上げたいのでな、いろいろ今の医務局長や薬務局長の御説明によつて、計算をして出すんだ、けれどもそのとき総医療費を増してはならないというので、そこらを睨み合せて考えるんだというお話でありましたのですが、それは考えて頂かなくとも私のほうはいいのであります。一応分けるとしたならばどういう経費になるか、増すなら増す、減るなら減る、生まのことをお出し願えばいいのであつて、そこで何とかして圧縮するということになると、薬剤師のほうにしわ寄せされる、或いは医療関係者の方々にしわ寄せされるわけです。分業論をするのではないから申上げませんが、九月までに資料をお出しになるというのでありますから、そういうお考えでなしに、どうかフエアな態度で御計算なすつて、こういうことになるのだという資料を我々は求めているのですから、そこで何とかして総医療費を増してはならんから、そこで何とかしなければならん……、そうじやないので、私は賢明なる薬務局長でありますから、そういうことはまさかおつしやらんと思うのでありますが、一応私がちよつとそんなふうに聞きとれるような御発言がありましたので、その点だけを御質問申上げておきます。
○政府委員(高田正己君) 私の申上げ方が若干不適当であつたかと思います。結局縷々医務局長から御説明がございましたように、基本的な態度としては、現在の薬治料をいろいろ分析いたしましてそれを両方に分けるのだ、こういうことを申上げておるわけであります。従いまして榊原先生御要望のような資料が出て参るだろうと私は思います。
○堂森芳夫君 丁度厚生大臣も御出席のところでありますので、尤もこの医薬関係審議会の設置法は三十六年に通りました医薬分業に関する三法の但書をきめる審議会でございますから、法律論から行きますると、私はさつき本質的な医薬分業の質疑はどうかというような御意見もございまして、私もそう思うのでありますが、併し先刻来各委員から質疑がございましたように、やはり何と言いましても医療というものは国民と不可分な重大な関係のある問題でございますから、こうした関係法案の審議に際して、我々議員がいろいろ質疑応答を政府当局となして参るということは、これは私当然の義務だと思つておるのでございます。従つてそういう意味で二、三先ず大臣に御質問をいたしたいと思うのであります。衆議院のこの審議会設置法の審議の過程の速記録を私今丹念に二、三日かかつて読んでみたのであります。そうしますると何か医薬分業をやること自体が医療制度の合理化になる、こういうふうにお答えになつておるのを私読んだのでありますが、そうしますると医薬分業をやるとどういう点が合理化になるか。言葉を換えて言うと、裏返して言うと、今の行き方に何か不合理な点がたくさんあるのか、或いは少しあるのか。この点先ず最初に承わつておきたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) これは多分昭和二十六年のときにずい分論議されたことだと思います。従つて衆議院のときは極く軽い意味での話ではなかつたかと今思い出します。ただ、当時の状態を私ども推察いたし、又国会がこの三法を御承認になりましたいきさつを考えまして、従つて医薬の合理化、医薬分業というよりもむしろ当時は合理化という言葉を使つておられる場合が多かつたと思います。そういう意味においてそういう考え方でこの三法が国会を通過したものだということを存じまして、従つてこの三法の具体的な実施が明年に迫つておりますから、今回この設置法の御審議を頂く、こういう段取りをいたして参つております。
○堂森芳夫君 どうも大臣は言葉のあやが非常にお上手ですから、何もポイントがないわけなんです。例えば合理化をやるということは、現在の制度に不合理な点がある。こういうことだと思うのです言葉を換えて言えば……。だからどういう点が現在の現行の医師法、薬剤師法にどういう点に不合理があるのか。その点簡単でようございますからお答え願います。
○国務大臣(草葉隆圓君) 結局この三法が実施される段階になりましたのは、現在の医療体系、医療診療上から更にこれを一歩進めるために、いわゆる医薬分業という体制に持つて来ることが進歩であるという観念から来ておると私ども考えております。
○堂森芳夫君 私も人間の社会が進歩発展すればそれが分化して行く。分業になつて行く。これは私人類の歴史から言つてもこれは当り前だと思うのです。ところが分化、分業というものが進んで参りまするためには、そのバツク・ボーンといいますか、基盤といいますか、そういうものがなかつたら、これは一つの大きな混乱が私は来ると思うのです。そこで医薬分業というものが自然の姿で行われて参ると、私はこれが一番望ましい。我々人類が医薬分業一つをとりましても望む姿ではないかと思うのです。そこで私一遍大臣にお聞きしたいのですが、法律を以て医薬の分業を強制している国はございますのですか。それを一つ御教示承わりたいと思うのです。
○国務大臣(草葉隆圓君) ここには資料は持ちませんが、あると存じます。併しそれが全体にどういうパーセントかというのは別ですが、全然ないということはないと思います。
○堂森芳夫君 私が知つておる国ではアメリカの或る州にはそういうところもありまするし、又全然そういうことを法律で規制していないという国のほうが多いと思うのです。これはやはり社会の、その国の発展の仕方からそういう方向に行つたということだと思うのです。そこで私はこの日本の医薬分業のこの争いというもの、私は医者ですから医者の立場でものを言つておるとこうおとりになるかも知れませんが、日本の医薬分業の争いというものは、これは或る意味では私は日本の文化史上一つの悲劇だつたと思うのです。約数十年の間医師と薬剤師が自分たちの利益というものを守るために、その点を回転して争つて来た問題であると思うのです。たまたま敗戦によつて占領軍が来てサムスという男がおつて、アメリカから調査団を連れて来た。そして日本の医者は薬を売つておる、薬剤師は何か熊の胃でも売つて化粧品屋の親父になつておる、歯科医師は何か器具を売つておる。これはでたらめだと、まあこういうことを言つて医薬分業の法律を国会べ押しつかけて来た。これはその通りだと思うのです。日本にはそういう条件が実際には私はあるとは申せないと思うのです。従つてこのような姿で日本の分業というものが行われて行くということは、私はこれは非常に或る意味では自然な姿で行くのではないかというところに問題がまああると思うのですが、例えば今の内閣は自由党内閣で占領中にいろいろ決定された政策を占領中の行き過ぎだと、こういうわけでいろいろ是正するのだということでやつておる。いろんな法律がたくさんあるわけでございますが、併し厚生大臣は必ずしもそうではないという答弁も衆議院の委員会でもしておられますから、まあこういうことは私は今とやかく聞こうとは思いません。私先年スイスの国でチユーリツヒという街に住んでいる世界医師会の最高幹部をしておるオツトロイヒという医師に数日お世話になつたことがございます。そして当時まだ医薬分業の法律が問題になる前でございまして、いろいろ医薬分業の話が出たときに、スイスの国では医薬分業はどういうふうになつておるのかということを聞いたことがあるのです。そうするとこのオツトロイヒという医師はですね、おれの国では医師は医薬分業にして欲しいのだ、実際して欲しいのだ。ところがおれの国、おれの州ではですね、おれの州では医薬分業にして欲しいというのがおれたちの州の医師のすべての総意なのだ。ところがおれの州ではそういう国民の生活に特に密着したような問題については、別に州の議会でこれを直ちに法律にしてしまうということができない。州民の一般投票によつて決定しなければならん。これで戦後三回とか四回とか言つておりましたが、州民投票をやつたら、医師が要求しておる医薬分業というものが敗退して、どうしても通らない。まあこういうことなんだという話をしておりました。まあスイスというような国は御承知のように製薬工業の非常に盛んな国でございます。まあ生活程度も高く、或る意味ではいろんな意味で西欧の国の中でも最も進んだ国の一つと思うのですが、そういう国でもそういうふうに医薬分業というものが法律ではなしに患者という立場から決定されておる。まあこういうことでありますが、こういうような例がある。日本では今度は法律で強制して行くことにきまつて、その実際に実施するための規定の一部を作るための審議会を作る。こういうことを比較して、大臣はどういうふうに個人としてお考えになりますか、一つ御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) 誠にいろいろ縷々世界の情勢からのお話で、謹聴して承つたのであります。私は只今お話になりましたように、長らくの、日本の何十年かの医薬分業という、一方で論争と申しますか、一方はむしろ検討されて来た問題が、占領下、或いは一つの指示によつたことも勿論ありましようが、これは私衆議院でも答えておきましたけれども、まあ丁度結論の時期に結論を得て、そうしてこの日本の国会がここでピリオドを打つた。従つてこれはやはり一つの日本全体の行く方向を、昭和二十六年に一つの方向をつけたものじやないか。一方強制的な何かこう圧力を加えてやつた。国会が国民に無理に抑えるのじやないかという考え方じやなしに、日本の一つの今後の医療体系の進歩の上に、国会自体が一つのピリオドを打つて、そうしてこれを実際の、具体的にやるのにはどうして行つたらいいのかというのが、今度の審議会設置法の目的でございますから、そういう意味に私は解釈いたしまして、決して無理にこれを、右に行つているものを左に引つ張つて来て、そうしてこれを強制的にするという考え方じやなしに考えているのであります。従つて、そこには医師並びに薬剤師、或いは歯科医師の強い協力と、この協力の精神によりまして、日本の医療体系というものが進歩し、向上して行くべきものだと、かような考え方でいる次第であります。
○堂森芳夫君 まあくどいようですが、この、もう一遍伺つて見たいのです。今日私新聞を読んでおりまして、産業経済新聞というものを読んでおりましたら、「患者から見た医薬分業」こういうことで、「私のページ」という欄に書いてあるわけであります。投書したのです。会社員で、大阪の人で、何とかいう人が書いたのです。医薬分業に関する法律が、今参議院で審議中である。面白いのです、なかなか……。「この法案に関して、反対の医師会側では「薬剤師は果して医師の処方箋通り患者に薬を与えるか疑問で患者に対し責任が持てない」といい、又賛成側の薬剤師会では「今まで医師は三流品を一流品のごとく見せかけ暴利を取ていた」と主張し、互いに猛運動しているようであるが、いずれも自己の利益面ばかり主張し、患者側の立場になつて考えていないのではないだろうか。この問題を患者側の立場から考えてみると、医薬分業法案反対の結論が出る。」今からでも遅くはない。「その主な理由を列挙すると、一、医師より処方箋をもらつて薬局に行つたが、薬剤師が不在の場合は誰が調剤するのか。若し薬局が一軒しかない場合どうするのか。二、医者通いするものに丈夫な者はいない、その病体で遠方の薬局へわざわざ回らなければならぬ若痛を考えてみてほしい。他人の手を煩す場合も……」くどいようですがいろいろ書いているのです。まあこういうふうに割合大衆というものは考えているのじやないかと思うのです。 そこで私はもう一点大臣にお聞きしたい点があるのです。それは医療制度というものは、これは広い意味の医療制度というものは、狭い意味の医療と、それからもう一つは製薬といいますか、薬事行政というもの、この二つはあたかも車の両輪のごときものだと私は考えるのです。当然のことと思います。現在日本の国の八千数百万の人口のうち、およそ六千万は社会保険或いは国民健康保険或いはその他の生活保護であるとか、未復員者給与法であるとか、いろんなもので政府からの一つの窓口からいろいろ金を出しておる。こういうことでないかと思うのです。そこで医療担当者のほうには、或る意味では一つのコントロールを政行が加えておるということは私言えると思うのです。ところが製薬事業というものを見ますると、これは全く野放しなんです。さつきも、これは一例でございます、人の眼さえつぶすような薬をどんどん造つておる。これは悪い例でございますが、私丁度四年前でございます。医薬分業の法律が問題になつた当時、一体製薬事業というものはどれくらい広告料を使つておるかということを細かく調査したことがございます。数日前も薬務局長にも聞いて見たのですが、四年前の調査でも一年に約三十億から四十億ぐらいの広告料が使われております。そうして同じような薬が非常な無意味な而も売らんかな主義の猛烈な競争が行われておる。まあ海外の人たちが日本へ来て、どうして日本の国はこんなに薬の広告が多いのだろうかということを批評するそうですが、ものすごい、これが全く手放しの、野放しの自由企業というものに置かれている、これが私は現在だと思うのです。私は極言して言うならば、今日患者は薬を飲むより広告料を飲んでおると思うのです。そういうような数十億にも満つるような厖大な広告というものが全国の新聞、雑誌、いろんな宣伝機関にこれが振向けられて、その広告料を患者が払つて薬を飲んでおると言つても私は過言ではないと思うのです。私は勿論社会主義政党に属しておるものでございまして、こういうことには断固反対すべきであるという意見は持つておりますけれども、残念ながら我々政権を取れませんから、現在のところ止むを得んわけですが、とにかく非常な片手落ちだと思うのです。医薬方面にかなりな制約、コントロールということがこれは何と言つてもあると思うのです。ところが製薬事業には何らない。而も非常な無計画な、無政府的な競争、悪質なと言つてもいいくらいの宣伝費が使われておる、ばらまかれておる、数十億にも及ぶ、このようなことで一体日本の将来の広い意味の医療制度というものが健全な、本当に国民のものという立場で進展するだろうか、私は大きな疑問を持つわけです。そこで厚生大臣、殊に堪能なる賢明なる厚生大臣でございますから、今後一つ薬務行政といいますか、製薬行政といいますか、そういうものにどういうふうにやつて行くかという抱負があると思うのです。その点一つ承わつておきたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) 広い意味の医療体系の一環といたしましてのいわゆる薬務行政と申しまするか、或いは製薬事業と申しまするか、こういう点につきましては、医療の進歩と同時に当然長足な進歩を来しておりますし、今後も又来して行かなくてはならない。従つてこれだけを別枠にするはずもないし、又してはいけないと存じております。ただ実際の状態はお話のような印象を強くする場合があるのでございます。これは現在いろいろな方法で薬務行政としていたしております。いたしておりまする点は後刻薬務局長から申上げまするが、併し今後におきましても医療体系の進歩の一環としての製薬、或いは薬務というものは一層今後重要なポイントとして取り上げて参りたいと思います。
○堂森芳夫君 どうも今の厚生大臣の答弁は例によつて瓢箪なまず、何も実はないと思うのです。それはそれ以上追及しますまい。とにかく私に言わしめるならば、今日日本の広い意味の医療制度というものは、私の考えは、やはりパブリツクなもの、公的なものとして作り変えて行くことは是非しなきやならない。そうしない限り、これは本当の意味において国民のための医療ではないと思うのです。ところが薬務行政、製薬事業というものは、まあこういう状態である。私の考えですが、例えば一つの薬がむちやくちやな競争が行われているのですね。これを適所に、この製薬会社はこうというふうな或る種の統制というものが加えられて行つて、そうしてそういう無駄な競争というものが避けられて、日本の国は製薬事業というか、製薬のまあ仕事といいますか、そういうものは長足の進歩をしているのですから、これを海外へ輸出して行くというような方向にも持つて行けるでしようし、これはまあアジアにおける先進国である我々の大きな任務でもありましよう。そういうふうな気持ちで持つて行くべきであると私は思うのです。まあそれは自由党内閣に言つたつてこれは無理なことですから……。そういうことで、大臣に私は現在こんな医療行政というものの片手落ちな、而も片ちんばであるということを強く私は糾弾して行きたいと思うのです。これは意見になりますから……。 そこで本論に入りたいと思うのですが、私は来年一月一日から医薬分業を実施する、そのための審議会の設置をするための法律を出した。当然このときに、さつきから問題になつている新らしい医療の体系ですか、これはやはり当然これは出さるべきものであつたと思うのです。まあ一昨日の質疑応答においても、厚生省はいろいろやつたのだが、協力が得られなかつた面もあつてやれなかつた……。私は憤慨いたしております。協力を得られないのならば、得られないような方法でやつたらいいじやないか。そうして国会へ行つて答弁して、俺たちは一生懸命やつたけれども、協力してもらえない方面があつてやれなかつた。そうして設置法だけはとにかく通してくれ、決して国民には、医療費は高くならんし、或いはこの社会保険の財政も決して混乱しない、医者にも、減収にもならん……、こんな方法ございますか、世の中に……。誰もそんなことは信じないと思うのです。とにかくそういう方法で行く、こういう言葉で言つておられたわけですが、厚生大臣は医薬分業を実施して行く場合に、具体的でなくていいのです、あなたのお考えですね。絶対に国民に医療費の負担を増さないということが確信が持てるかどうか。その一点と、それからもう一つは、この社会保険というものは、日本の国で医療の大きな部分を占めているのですから、社会保険の財政が絶対にこれが困ることはないか、この点。それから大臣は先だつて中山委員がおつしやいました、質問いたしましたときに、現在の医師に対する社会保険の所得税を一昨年通りに、昨年なされるような方針である。たしかそういう答弁があつたと思うのです。これは即ちどういうことかと言いますと、数年前に単価の問題がいろいろ混乱しまして、あれが一つの妥協でその代り税金をというような話であつたと私は記憶しております。そうすると、まあそれが妥当であるか、妥当でないかは別にしまして、全国の医師は現在の単価、それからそれに点数をかけて、そうして医療費をもらうという方法には満足いたしておりません。これは妥当であるとか、妥当でないという問題を言つておるのじやないのです。全国の医師は全部不満を持つております。こういう点から申しまして、果して医師の所得を今日より減らすということは、医薬分業になつても絶対ならんということを、固いそういう自信がおありであるかどうかという点について、一つ御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) 実はこの医療費の、医薬分業による増額があるかどうかという問題は、ただ医療費自身について考えますると、この国民所得の大体三%と考える。そこで国民所得自体が年々現在では増加をいたしております。従つて年々医療費自体を考えますると、増加をいたしております。こういう意味の、いわゆるこういう趨勢における、或いは医療の向上、技術の向上等から来まする意味の医療費の増額と申しまするか、これは医薬分業の如何を問わず、暫らくは続いて参ると思います。従つてそれによる医療の向上というのが行われて行くと存じております。大体三%といたしましても、おおよそが医療費に払われます国民負担の医療費の金額が三%といたしましても、この一年間の国民所得が増して参つておりますので、今後事態が変りまして、国民所得が減つて参りまするときは別でございまするが、現在の趨勢はそのようになつております。そこで医療の向上が来たされ、或いは医薬品の向上なりという方法が講じられておると存じます。それと今度の問題とはおのずから別だと考えます。ただ具体的に、このいわゆる医薬品集によつて言うところの医療費が相当増額するか、或いはどうかという問題が、全体の医療費の体系から考えましては今申上げた通りでございますけれども、この論議の一つの中心である、これが医薬分業をしたために、先の竹中さんのお話の、医療を受ける国民の費用が嵩むのではないかという意味における増額というのが、一つの大きな問題だろうと思います。これは先ほど来医務局長から縷々申上げましたように、具体的には数字を挙げていたしたいと、今作業を続けております。その作業を続けておりまする根本の行き方と、又そうあるべきものであると私どもが考えておりまするのは、医師の実収入の減らないということが、そうあるべき姿であると考えております。従つてそういう、結論においてもそうなつて来るという行き方で、現在作業を続けておる次第でございます。そして同時に現在一〇〇なら一〇〇という医療費というのが支払われて、その一〇〇という医療費の中で、或いは薬の原価、或いはこれに対する包装紙なり、印刷代なりというものが当然入つておる。その費用というものが薬剤師のほうへ移つて行く。先ほど具体的に三分の一、三分の一という話がありました。その点から考えまして、総体としては、殖やさずに殖えずに、この二つのものを、協力して頂く意味においては分けまして、そして一方医師の実収入の減らないというのが、現状の一つの根本の行き方でなくちやならない、かような方針をとつておりまするし、又作業の結果は必ずやそういうふうに現われて来ると考えております。ただ算盤ではこれはきちんと一銭一厘一毛までどうかという問題になりますと、いろいろな点でこれは違つて来ると存じますが、根本の精神はさような点に置いてある次第であります。
○堂森芳夫君 そうしますと、厚生大臣の御答弁は、国民の医療費の負担は増さないということ、それから社会保険も財政が困らない、それから医師も、或いは薬剤師も、収入は減らないのだ、こういう大体三点は認めた、こういうことでございますか。
○国務大臣(草葉隆圓君) 根本はそうでございます。ただその医療費を……、それならあとになつてから、医療費全体が、日本の医療費が増して来たじやないかということが問題になつて来ますと、年々少しずつ殖えております、現状におきましても、年々増しておりますから、そういう意味の増し方は当然今後も来るだろうと考えております。
○堂森芳夫君 これは少しあれでございますが、まあここは言葉のあやだけでございますから申しませんが、そういう根本精神は、確たる信念をお持ちになることと理解していいわけでございますね。それでは一つもう一点だけ大臣に承わつておきます。私は日本の医薬分業が、数十年こうして医師と薬剤師との間に争われて来たということの根本の原因はどこにあるか。これはさつきも谷口先生もおつしやいましたように、日本の習慣というものが、無形の努力といいますか、そういうものに対する報酬がなされていなかつた、これが当然とされておつたと思うのです。即ち医師に対する報酬というものが、全然或る意味ではなされていなかつた。そこで薬を売つて医者はめしを食つて行く、こういうことが今日まで長い間行われて参つたということでございます。そこで今後医師が生活をし得る、而も再生産費も出る、或いは又自分の子弟の教育費も賄えるという最低の医師の健全な中流家庭と申しますか、そういう生活の営めることが今後保障されるというように、あなたは医者の技術、或いは薬剤師の諸君もそうですが、に対して支払つて行けるという確信がございますか、如何でございますか。
○国務大臣(草葉隆圓君) これは医師の生活の保障をなすかということになると、問題はおのずから別になつて来ると思いますが、そういう表現じやなしに、今申上げましたように実収入の減らない方法による医薬分業というものが当然進歩の段階にはなさるべきもの、かような考え方をいたしている次第であります。お話にありました患者のほうから考えますると、さつき御引例になりました投書等を御引例になつてのお話等にもございましたが、患者自体の側から申しますると、これは一種の任意分業であつて、患者が希望いたしまするとそのお医者さんが幾らでも投薬ができるというのが今度の法律でございます。この点から申しますと一種の任意分業、こういう形になつて現われていると思います。
○堂森芳夫君 私はそういう法律は、大臣から説明を承わつて知つております。ですからそういう任意分業であるなら、なぜああいう法律を作つたか、そんなことは今蒸し返してもあれですから申しませんが、とにかく今後医師或いは薬剤師というような、長い間学校で勉強し修練して来た人たちに対し、従来のような、技術に対する適正な報酬を支払つて行かなかつた、そのために医師は薬を売つて生きて来た、歯科医師は金を売つて生きて来た、薬剤師は化粧品を売つて食つて来た、こういうことなんです。そういうふうな三つの人たちに対して適正な報酬というものを払うような待遇ができるような自信がございますか。こういうことをお聞きしているわけであります。
○国務大臣(草葉隆圓君) その意味におきましては、むしろ今度の分業によりましてどういう名目にいたしますか、いわゆる調剤における技術上に要する費用というような、診断料その他の名目のような意味を含んだものは、当然これは医師のほうに残してはつきりと参るべきものであり、又参る予定で現在作業を続けております。そういう結果になる、こう確信いたしております。
○堂森芳夫君 大臣にいろいろ承わつたのですが、実は私も時間がございませんので、丁度昨日医務局長それから薬務局長、保険局長、社会局長皆出席しもらうように委員長を通じて我々委員が要求いたしておきましたので、一ついろいろと関連して各局長に質問をいたしたいと思います。先ず保険局長に一つお尋ねいたします。さつき谷口委員の質問に対して、保険局長は実に有能なる官僚でありますためか、答弁を外らしていると思うのです。例えばこれは医務局のことだ、私一人できめられない、こういうことを言つておられるわけですが、先ず私は現行の社会保険における一点単価のきめ方について少し具体的に聞いて見たいと思うのですが、私も余りよく知らないのですが、一点単価の計算の仕方を一つわかりやすく説明願いたいと思います。
○政府委員(久下勝次君) 現行の一点単価を決定いたしました経緯を申上げますと、調査いたしました診療所の数は正確に記憶いたしておりませんが、数百カ所の診療所のベツトを持つておりますところと、持つておりませんところとを一般の統計の方式に従いまして選択して調査をいたしたのであります。その数字はたびたび計算をしておりますが、少くとも現行単価の決定の基礎になつておりますのは、昭和二十四年九月の実績調査でございます。これに基きまして有床診療所及びベツトを持つていない無床診療所、双方につきまして医業経営に要する経費を全部集計をいたし平均をいたしたのでございます。その結果医業の経営に必要な人件費、それから家賃、地代、火災保険料等々の維持費、衛生材料、光熱、水道費、賄材料費、雑費、こういうようなものを全部それぞれ分類をいたしまして、医業支出合計二十四年九月の調査の結果が、二万六千八百九十一円という数字が出たのでありますが、それに対しまして昭和二十七年一月までの物価並びに賃金の変動をスライドさせまして、そうして医業支出合計三万二千二百三十三円という数字を出したのであります。それから一方医師の生計費につきましては、当時のCPSの平均の二割増しということにいたしまして、一万八千九百十九円というものを出したのでございます。それから税金を当然支払いますので、税金を六千八百三十九円と見込みまして、その三つの合計五万七千九百九十一円という数字を出したわけでございます。これを一般診療所の場合には保険診療もございまするし、又生活保護関係の診療もございますし、或いは又自由診療もありまするが、そのすべてを社会保険で扱つたものといたしまして、実際の取扱いの患者数から出て参ります取扱点数を出したわけでございます。それが平均いたしまして四千九百二十五点、こういう数字が出ましたので、これで除しまして十一円七十七銭というのが平均単価になつたわけでございます。その結果甲地を十二円五十銭、乙地を十一円五十銭にいたしたのであります。その後計算をし直して実績に基きまして加重平均単価を出しますと、この当時の単価よりも若干上廻つておりまして、十一円八十三銭ぐらいに相成つております。これは甲地が患者が殖えた関係であると考えます。大体そういう経緯で現在の単価はきまつたのであります。
○堂森芳夫君 私はこの医薬分業をやつて参るならば、社会保険に財政的な影響が今より強く来る、こういう考え方を持つているわけなんであります。ところが全国の医師たちは現在の単価ですね、非常に我々としては我慢ができない、こういう要求をいたしておるわけなんです。私も先般来各地のブロツクの医師会大会にも出席いたしまして、そういう要求が強いことを、この目で見ているわけなんですが、それが妥当かどうか、こういうことを言つているわけじやないのです。とにかくそういう単価の値上げを強く要求しているにもかかわらず、これがなし得ない理由ですか険路ですか、そういうものはどこにあるのでございましようか。その点一つ……。
○政府委員(久下勝次君) 私ども実は単価を改訂すべしという結論に、今日のところまだ到達いたしておりません。従いましてすべしという結論が出ましたときに、これが実際にできるかどうかということになろうと思います。ただ併しながら、率直に申上げますると、いろいろ確かにお話のように、単価問題につきましては、御意見もあり、御不満があることも承知をいたしております。どうしても必要な費用であつて支払わなければならないとすれば、私どもの立場といたしましては、仮にそういう結論が出た場合のことを予想して申上げますならば、何とかこれは財源を見つけてでも実現をしなければならないものと思つております。おのずからそうなりますれば、現在のままの状態で単価を上げるという仮定を置いて考えました場合には、恐らく先生の御意思もそういう趣旨だと思いますが、これは申すまでもなく、保険の財政の問題にひつかかつて参ります。保険料にも限度がございまするし、まだ現在の保険の財政は、大体一ぱい一ぱいの状態でございまするので、さような関係がありますので、これを将来問題として考えました場合には、そうした財源をどこかに求めなければならないということが考えられるのでございます。ただ私どもは繰返して念を押して申上げておきますけれども、財源がないからということで単価問題を否定する意思はございません。
○堂森芳夫君 そうしますると、久下保険局長は単価は今のところ不適当ではない、妥当だと、こういうふうなお考えと解釈してようございますか。
○政府委員(久下勝次君) 妥当だということを申上げたつもりはないのでございまして、まだ改訂をしなければならないという結論に到達しておりませんということを申上げたのでございます。
○堂森芳夫君 それはそうしますると、不適当であるというふうに考えてもおるともとれると思うのですが、その点どうですか、ちよつと怪しいですが、あなたの言うことは非常にうまいから……。(笑声)
○政府委員(久下勝次君) どうも誠に申訳ないのでありますが、これだけの大きな問題をはつきり申上げないことは、或いは無責任というそしりがあるかも知れませんけれども、現実に私どもとしては、影響も大きい問題でもございますので、検討をしておる最中でございます。いずれとも結論を出しておりません。
○堂森芳夫君 それ以上追及せずにおきます。とにかくこれは事実ですから……。私たち昭和三、四年に大学を出て、医者になつた当時は、たしかあの当時の健康保険は請負制度だつたと思いますが、一点の単価は十五銭ぐらいであつたかと思うのです。ところが現在は十一円八十三銭ですか、そういうものと比較しますると、約七十倍くらいじやございませんか。ところが医薬材料だとか、或いは薬局方面のものを見ましても、数百倍ということになつておると思うのです。その他いろんなものを見ても、そういうことがある。こうしますると、当時と今を比較しますると、昔の医師は暴利をむさぼつておつたというそしりがあるかも知らないわけですが、とにかくそうだつたんです。今は非常に倍率が低い、こういうことを局長はどういうふうにお考えになつておられますか、どう解釈されますか。
○政府委員(久下勝次君) 実は先ほどお尋ねになりまして、私は現在の健康保険の単価を計算しましたときの基礎だけを申上げたのでありますが、その申上げた、最後の申上げた点に、私は問題があると思います。社会保険診療報酬の問題は、ただ一点単価の値段だけで論議していいかかどうかということに疑問を持つております。相当検討を要すると思います。具体的に申しますと、稼動点数の問題でございます。先ほど申上げましたように、自由診療をやつているものも保険診療をしたものといたしまして、四千二百九十五点というものを数字を出しまして、それで総経費を割つて、出したのが、現行単価でございます。この稼動点数というものが、御案内の通りに、最近数年非常に上昇しております。これは被保険者の増以上のものがございます。そういうような点から考えまして、稼動点数の問題も併せて考えなければならない。そのほか点数とかけ合せて、診療報酬が出て参りますわけでございますから、点数のほうにも触れて検討する必要はあると思います。従いまして今御引例になりました倍率の点は、この点では低くても、なお説明のつく面があるのではないかというように考えるわけでございます。私は必ずしも先生の御意見を否定するわけではございませんが、そういうようないろいろな観点から、私は検討をいたしておるということを申上げたいのでございます。
○堂森芳夫君 それから医薬分業というものによつて又社会保険の財政が危なくなるというこれは私の前提なんですから、一つお聞き願いたいのですが、とにかく例えば現在問題になつている単価の問題、一円上げるといたしますと、いろいろな社会保険或いはこれに準ずるもの、合計どれくらいの費用が要るようになりますか。ちよつと一つ一つ区別して合計幾らと、こうおつしやつて頂きたいのです。
○政府委員(久下勝次君) 只今手許にございますのは、単価が仮に一円上るものとしての影響の計算でありますが、すべての医療費に響く影響でないことはあらかじめお断り申上げておきます。個々についてはその都度申上げますので、大きな点を先ず申上げます。政府管掌健康保険におきましては、単価を一円上げることによりまして十九億八千百八十万円の影響がございます。組合管掌健康保険につきましては、十七億八百二十三万円、船員保険が僅かでございますが、八千万円の影響でございます。以上申上げましたものはすべて保険財政全部に響く数字でございます。それから国民健康保険につきましては、これは保険者負担分だけ計算してございます。半額を本人が負担になつておりますが、その分は除いております。十三億五千百四十万円、共済組合が、これは共済組合の財政全部への影響でございますが、十四億三千四百万円、生活保護費に影響いたしますもの、これは国の負担分を八割相当額だけに影響するものとして計算してございます。八億四千四百万円、以下精神衛生法、未帰還者職員の給与、公務災害関係法等々いろいろ実は社会保険の点数単価の制度を準用しております制度が、約全部で二十くらいになります。細かいことは省略さして頂きますが、これらを合計いたしまして社会保険としての健康保険或いは船員保険、政府管掌保険、共済組合保険と先ほど申上げました以外はすべて国の負担に響く数字だけでございますが、それだけをとりましても、単価一円の値上げによつて七十七億三千四百万円の影響があるものと見込んでおります。
○堂森芳夫君 そこで方向を変えまして二十八年度の社会保険の財政、それから社会局長おられますが、生活保護法の医療費のほうですね、どういうふうな財政状態になつているかということ、この二つを両局長から御答弁願いたい。
○政府委員(久下勝次君) 二十八年度政府管掌健康保険の集計をいたしておりますが、まだ決算ができておりませんので、正確には申上げられませんが、なお二十八年度につきましては、会計事務上の関係から四月から今年の二十九年の二月までの十一カ月分で決算をする建前をとつております。総額の数字をちよつと手許に持つておりませんので記憶いたしませんが、収支決算の見込みは、大体二十八年度だけで考えますと一億程度赤字の見込みでございます。併しながら二十七年度以前に剰余金がございまして、現在全部で十八億ほど剰余金を持つておるわけでございますが、これを二十八年度予算に十億円ほど喰込んでございますので収支の決算はそういう意味では黒字になつております。さようなわけであります。
○堂森芳夫君 国保はどうでございますか。わかりませんか。
○政府委員(久下勝次君) 国保はまた数字がまとまつておりませんので明確には申上げかねまするけれども、財政の見通しが非常によくなつているように承知いたしております。二割の国庫負担が出ました関係で支払いも早くなりましたし、財政的には非常に好転をして、少くとも二十七年度以前のような大きな赤字はないものと見ておりますが、それ以上の詳細はまだ集計しておりませんので……。
○政府委員(曾田長宗君) 生活保護法の医療扶助につきましては、御承知のように二十八年度におきましては、赤字が出ましてその支払いを新らしい年度において支払つたような実情でございますので、はつきりしたことは現在まだわかつておりませんけれども、少くとも予算に計上されました二十五億というものは、これは赤字でございまして、或いはもう少しそれより殖えるのじやないかという程度のところでございます。
○堂森芳夫君 よく承知いたしました。私はなぜこういうことをお聞きしたかと申しますと、新らしい医療費体系をお作りになる、こういうことのしばしばの答弁でございますので、現在の社会保険或いは国民健康保険或いは生活保護法の医療扶助というような、そういうものをよく考えながら、我々が今後この問題に対処して行かなければならんという意味で、参考のためにお聞きしたわけであります。そこで医務局長は谷口委員から一年間の医療費の集計というものの御質問があつて約一千五百億ほどの医療費になるという御答弁だつたと思います。資料ももらつております。そして薬治料は総医療費の一五%ぐらいとお聞きしたのですが、その通りでございますか。
○政府委員(曾田長宗君) さようでございます。
○堂森芳夫君 千五百億と申しますと、大体国民の総所得の三%ぐらいとなるわけでありますが、国民の医療費というものは医務局長の考えでは、これはもう麻痺してしまうのである。或いは別の例を見ましてまだ上でもいい、或いはもつと低くなるべきだといろいろ勉強しておられると思うのですが、その辺の御説明を一つ願いたいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) 私どもこの衛生行政を担当いたしておりますものから考えますれば、国民の健康の問題は極めて重要で、他のもろもろの行政の中でも、基礎的なものであるというような考えから、今日費しております医療費或いはもつと広く申しまして、衛生費と申しますか、こういうような類いのものは、現今においてはもう少し増額してもいいのではないかというような考え方を持つてもいるのでありますが、併し戦後の日本の状況というようなものを考えますれば、いろいろな面において不足がちな生活をしているというような事情もございまして、ここ暫く遠い将来のことについては、私申上げかねるのでありますが、ここ暫くの間は、やはりこの三%程度のところでものことを考えて行かなければならんのではないかというふうに思つております。なおこの三%というのは、この前にもお話申上げたのでありますが、支払う医療費の経費と申しますか、医師が請求いたしますと、当然支払うべきものと予想されます金額というのと、現実に支払われている額というものとの間に若干の相違がございますが、それを御了承おきを願いたいと思います。
○堂森芳夫君 医務局長にお尋ねいたしますが、日本の大体医師の所得というものは、数字はあると思いますが、どういうふうにしてお出しになつた結果でどのくらいになるかということを先ずお尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) これもいろいろな方法があると思うのであります。一つには先般から御説明申上げておりますように、現実に支払われた医療費というものを、千三百億なら千三百億というふうに一応考えまして、そしてそれを基礎といたしまして、いろいろな物的な掛り、或いは病院、診療所を経営して行くに必要といたします医師以外の人件費、こういうようなもの等を差引いて医師の収入というものを計算して参りますと、大体開業の方としまして、おおむね一年に百万程度の収入というような、これは大ざつぱに申上げましてそのくらいと考えられます。そうしますと、これを月に直しますれば、まあ七、八万くらい、で、その十万から十二万くらいになつているんじやないかと思うのであります。これは一応試算の数字もあるのであります。それを約三分の一、或いは二分の一というようなところが医師の実収入になつて来る。
○堂森芳夫君 済みません、もう一遍……。
○政府委員(曾田長宗君) 医師に支払う医療費を……、それではちよつと数字を申しましようか。大ざつぱに考えますれば千三百億でございます。で、これを現在臨床に従事しております医師が約七万なのでございます。で、そういたしますと、一年間に約二百万、一人当りにいたしますと二百万というようなことになるのであります。で、そういたしますれば、これが今のような計算で行きますれば、年二百万ということになります。これに対しまして、もう一つの考え方は、病院に支払われる医療費が、この前にもお話申上げたと思うのでありますが、総医療費の約半分であります。半分以上になつております。診療所のほうがこの約半分でありますから、大体千三百億の半ばで約七百五十億、七、八百億ということになつております。この診療所に従事しております医師が大体五万であります。それから病院に勤務しておりますものが約二万であります。診療所のほうの五万の医師で先ほどの大体七百五十億というようなところを割りますると百五十万ぐらいでございますか、それぐらいになつて来る、これを月に割りますれば十二万程度ということになります。これは総収入でございます、そのうち大体三分の一、これは人によりまして非常に違うだろうと思いますが、三分の一が純収入になると考えますれば四万、若しも半分と考えますれば六万という大体まあその辺のところに平均は落ちついて来るのじやないかという計算が一つの方法としてありまして、それからそのほかにいろいろ実情調査として出て来ました数字もございますが、今申上げましたのが二十七年でございますが、この医師の収入の点でございます。これを一応申上げてみますれば、これはまだ更に検討を要するものなのでございますが、病院を経営しておられますお医者さん方の収入というものとして調査の結果出て参りましたのは、大体四万、税をこめて四万余りというようなところじやないかと思つております。今のは病院でございますが、診療所を経営しておられます方の収入はおおむね三万程度、それから勤務しております医師は病院、診療所を通じまして平均しますと二万余りというふうな数字が出ておりました。これをそのままとりますか、こういうものの調査の性質からもう少し上目に見るべきかどうかというような見当は又別の問題といたしまして、一応調査しましたときにさような数字を得た資料はございます。
○堂森芳夫君 そうしますると医務局長の今の御説明によりますれば、現在の姿における医師の収入とこういうことになります。そうするとこの医師の収入は多いと思われますか、少いと思われますか、どうでありますか。で、今後どういうふうに医師の収入を持つて行こうと思われますか。それは今後、あなた医務局長ですから大いに抱負があるべきだと思います。一つお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) 私どもといたしましては、勿論医師としてもつと何と申しますかできるだけの能率を上げて世間に御奉公申上げたい、又できるだけ立派なと申しますか、十分内容の充実した医療を国民に捧げたいというように考えております点から申上げますれば、この生活の面におきましてもより何と申しますか煩うことを少くそうして専心医療に従事するというような意味におきましてできるだけと申してもどうか知りませんが、少くとも今出て来ましたような数字、現状よりはいいものにいたしたいというふうに考えているのであります。これは結局今日におきまして医師以外の人たちの生活状況というふうなものも考えて行かねばならんと思うので、私ども医師が考えますことだけでやつて行くわけには行かないというふうに思つております。
○堂森芳夫君 どうもよくわからんのですが、薬務局長にお尋ねしますが、大体医師の現在の収入はこれこれくらいだ、こういう御説明が医務局長からあつたのです。薬務局長はどうですか。現在の薬剤師の収入、これはむずかしいと思うのですが、尤も病院に勤めておられる薬剤師の月収はわかると思うのです。それから開業しておられる薬剤師の収入は非常にむずかしいと思いますが、そういうものはやはり持つているべきだと思います。医療費体系として……。ございますか。どういうふうに作つたか、それもちよつと御説明願いたい。
○政府委員(高田正己君) 勤務しております薬剤師の大体の平均単価と申しますものは、医務局で病院診療所を調査されましたその調査の内容から出て参ることになつております。私まだ最後的な数字を伺つておりませんですが、一万二、三千円見当になるとかいうふうなことをちよつと聞いております。一般の開局の薬剤師の収入がどの程度であるかということにつきましては、御承知のように現在の薬局が調剤による収入というものは非常に少いのでございます。大体の収入の内訳を調査いたしましたところ、医薬品の販売によりまして上げている収入がおおむね七〇%、それからその他の物品の販売によつて上げております収入が二八、九%、調剤によつて上げております収入は一、二%ということに大体私どものほうの調査では相成つているわけであります。ただ、大体そういうふうな点をつかんでいるわけでございまするが、それ以上には御承知のように調剤による収入というものが、今日開局の薬局のほうでは殆んどございませんので、おのずからそれ以上の調査をいたしておらないような現状であります。
○堂森芳夫君 非常にこれはむずかしいことだと思うのですが、やはり我々が医薬分業を行なつて行く上において非常に必要な資料だと思つているのです。その点非常に不明確だと思う。そこで薬務局長にお尋ねいたしますが、大体一年に薬品の生産高はどのくらい総額でございますか。それからどういうものがどれくらい、例えば同法品がどれくらいかあると思うのですが、二十七年しか恐らくないでしようが、一つ御説明願いたいと思います。
○政府委員(高田正己君) 二十七年の数字を申上げてみますると、総額におきまして医薬品の生産高が六百二十八億ということになつております。そのうち薬局法のものが百七十三億、それから国民医薬品集によるものが十三億、それから公定書外の薬品が三百二十億、家庭薬と言われますものが百十九億、大体そういうふうな内訳に相成つております。
○堂森芳夫君 それからさつきの医療費の千五百億の中にいわゆる売薬、これは定義はむずかしいでしようが、売薬と称せられるもので支払われる額はどのくらいございましようか。どちらの局長でも結構ですが……。
○政府委員(高田正己君) 大体そのうち百七、八十億見当という数字が出ております。
○堂森芳夫君 私一人どうも一時間半も喋つてしまいまして、皆さんお疲れだと思いますし、いろいろお尋ねしたいと思いますけれども、もう五時ですから、今日はこれで私棄権いたします。
○高野一夫君 もう五時前ですから私も簡単に大臣にちよつと二、三点伺つておきたいと思いますが、これは厚生大臣に対する質問か、国務大臣としての草葉大臣に対する質問かわかりませんが、一応総括的な問題で三点伺つておきたい。 先ず一つはこの医療制度の合理化ということでございますが、この医薬の専門の学問、技能を活かして、そうして適正なる治療をするような態勢に持つて行くことが医療の合理化であつて、そのことがすでに国民、患者に対して福祉の増進というようなことに寄与するものであると私は考えるのでありますが、そのことがそういう分業なんという言葉を使うから少しおかしいのだけれども、医薬の学問的な技術的な協力態勢を作るということは、とりも直さず制度上の合理化であり、且つ国民、患者にとつての福祉増進に寄与する目的のものだと考えているのでありますが、大臣はどういうふうにお考えになるか、これが第一点。 次によく強制という言葉が使われるわけです。私は私の考えを申上げますれば、法律では正しくあるべき姿を定めるのが私は法律だと思つております。従つて法律で正しくあるべき姿を定めるのに一々強制という言葉を使わなければならんということになると、これは極めて事面倒になりはしないかと思います。例えば一応医療法において医師が診療に従事するということもこれは然らば強制診療と言うか、運転手が免状を持つてそうして運転しなければならんというのが強制運転と言うか、規則で左側通行をきめればこれも強制左側通行と言うか、検事が検察の機能を発揮すればそれも強制検挙と言うか、弁護士が弁護するというのも強制弁護と言うか、こういうことにすべてなるのでありまして、正しくあるべき姿を法律で定めるに強制という言葉を使うことは、そのこと自体が私は極めて不適当である。この言葉の使い方が、何も知らない一般国民に非常な誤解を与える言葉の使い方でありやしないか、こういうふうに思いますので、法律に定めたことについてそういう言葉を使うについてはどういうふうにお考えになるかどうか、これが二点。 それからもう一点は、これは医薬分業のときなんかには特に私は注意すべき問題だと考えているのでありますが、これは医薬分業に限らずすべての制度の改革、改善ということであつて、改善したいというものと、それを阻止するものと両方あつた場合に、いろいろなことを言い合う。これは一方が、例えばこの場合において薬局の薬剤師というものは悪いことをするものだときめてかかつて、そうして又病院、診療所の医師も悪いことをするものだときめてかかつたような考え方で議論を進めて行くということは適当でない。やはりそういう悪いものもあるだろうけれども、それは啓蒙指導すべきであつて、更に啓蒙指導をしなければならん、それは適当の違反事項があれば、それとして処罰すべきであつて、飽くまでも殆んどすべての医師なり薬剤師、この場合は医師と薬剤師は適正なる医師であり、医師としての仕事をやり、又薬局においては適正なる薬局業に従事している、こういうふうに考えて制度の是非を論じなければ、私は本当の論議はできないのじやないか。これは今後審議会に非常に関係して参りますので、審議会が始まつた場合にやはりいろいろの論議が起る場合には、そういうふうなフエアな気持で一つお互いにすべて正しいことをするんだということの気持で議論を進めて行かなければ、私は本当のこういう制度改革に対する議論にはならないんじやないか、そうでなければいけないんじやないか、こういうふうに私は考えているのでありますが、これについて大臣はどうお考えになりますか。以上三点について私は大臣の所見を一応伺つておきたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) これはもう私は余り固苦しくなくお答えするほうがいいと存じまするが、合理化という、私さつき合理化という言葉を使つた、これは全くお話のような意味でおのおのの能力なり、或いは技術なりを発揮するという意味においてと存じてさように使つて来た次第であります。 で第二の点も、強制というようなことは現在は余り皆さんお使いになつておらないし、たまたま非常に軽い意味で先ほどお使いになつたので、従つてこれもとり立ててさように言うほどのことではないと存じております。 第三の問題は、私どもが殊にこの国民の保健、健康増進の上に最も中心になつて、日本の将来或いは民族の将来、むしろ人類の将来を引上げて安心させてやつて頂いておるのは、医師、歯科医師、薬剤師、いわゆる三師の人たちだと考えております。従つて国民の層の上から考えましても、これらの階層の人たちは最も良識ある或いは国家試験を受けた知識ある人たちである。従つてこれらの全部の方々は良識と知識を持つておる方々であると存じております。先ほど来局長のほうからたまたま違反事件等の事例を出しましたが、これは極くいろいろの事情における間違つた場合で、全体としては良識あり、知識ある、いわゆる特に国民の中でのゼントルマンとして考えておるのでありますから、これらの三者の強い協力と援助によつてのみ民族、国民の健康並びに保健は増進して行くものだと考えております。
○高野一夫君 私は医務局長、薬務局長に二、三お尋ねしたいことがありますが、今日はもう五時になりましたから、明日の委員会まで留保いたします。
○委員長(上條愛一君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(上條愛一君) 速記を始めて。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十九分散会