厚生委員会 第36号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/05/07
会議録
○委員長(上條愛一君) それでは只今から厚生委員会を開会いたします。 厚生年金保険法案、船員保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険及び船員保険交渉法案、右三案を一括議題といたします。 御質疑を願います。
○藤原道子君 どことどこが出席してるんですか。
○委員長(上條愛一君) まだ見えてないんです。今呼んでおります。
○藤原道子君 大蔵省へちよつとお伺いしたいのでございますが、昨日も要望しておいたわけでございますが、この資金運用部から貸出しております融資に対する利子はどの程度になつているかということを、先ずお伺いしたいと思います。
○説明員(牧野誠一君) 資金運用部資金の運用の利率につきましてお答え申上げます。これは幾つかに分れておりまして、かなり低い利率のものもございますし、それから若干高目の利率のものもございますので、順に申上げます。 長期国債、これの利率は年利三分五厘から五分五厘ということになつております。短期の国債は日歩一銭五厘、年利に換算いたしますと五分四厘七毛。次に一般会計及び特別会計の貸付金、これは年利六分になつております。政府機関関係の貸付金、これは年利六分五厘でございます。それから地方債、地方公共団体の貸付金、これは年利六分五厘ということに現在相成つております。それから特別法人債券及び貸付金、これは年利八分五厘。それから金融債、これの利率は八分五厘。電源開発株式会社、これへの貸付金がございますが、これは年利六分五厘。それから旧特殊銀行、これの債券、これは年利三分四厘から四分四厘、この間いろいろございます。それから旧特殊銀行の貸付金、これは年三分五厘から四分の間でございます。次に旧特殊会社債券、これは年利三分三厘から四分二厘ということになつております。それから最後に、旧特殊会社の貸付金、これは年利三分二厘から三分五厘ということに相成つております。
○藤原道子君 これで、ここで計算しているあれがないのですが、利子の収入は年間どのくらいになつておりますか。
○説明員(牧野誠一君) 二十八年度を概算しまして三百五十八億くらい。これはまだ決算が済んでおりませんので、大体推定の数字でございます。
○竹中勝男君 それは厚生年金だけですか。
○説明員(牧野誠一君) これは資金運用部全体のものでございます。
○竹中勝男君 厚生年金だけのものはどうなりますか。
○説明員(牧野誠一君) 実は資金運用部資金は厚生年金もございます。そのほか郵便貯金その他いろいろなものを一括して運用しておりますので、厚生年金だけの利子収入というのはちよつとつかみにくいのでございます。
○藤原道子君 併しこれが、厚生年金のほうが八百三十一億九千八百万円ですか、ということになると、それで割れば出るわけですね。
○説明員(牧野誠一君) 推定の方法はございます。それでこの全体の中から厚生年金の占める割合というようなものを一応推定したものは我々のほうで、これは推定の仕方はいろいろあると存じますが、一応推計しました数字はございますが、これは全く推定でございますが、四十四億七千四百万くらいというふうに推定しております。
○藤原道子君 この利子はどういうふうに処理されておるのですか。
○説明員(牧野誠一君) これは厚生年金へ利子を支払うというものが大部分でございます。それから事務費を支払いましてなお残りますものは、一般会計へ繰入れるということに相成るかと思います。
○藤原道子君 一般会計へ繰入れる利子はどれくらいになつておるでしようか、およそ推定で……。
○説明員(牧野誠一君) これも全体としては、資金運用部資金へ全体といたしまして十六億五千万円、これは最終的な見通しということでございまして、まだはつきり、決算の終了まで行つておりませんですが、十六億五千万円というふうに見ております。資金運用部資金全体としてのものでございます。
○藤原道子君 そうすると、これは厚生年金だけとすると、どのくらいのおよそ推定になりますか。
○説明員(牧野誠一君) 先ほども申上げましたこの運用利殖金、これは厚生年金の分と推定いたします分が四十四億七千四百万円と申上げましたが、そのうち厚生年金の勘定へ払つておりますものが三十九億二千九百万、あと若干ございますということになつております。三十九億二千九百万、それでその差額は五億とちよつとございます。これも五億のうち、これもいろいろ割振りもむずかしいことだと存じますが、これが一部が事務費に充てられまして、それでその残りが資金運用部資金全体として一般会計へ繰入れるという十六億五千万円の中の一部に入つているのじやないかというふうに存じております。
○藤原道子君 この電源開発会社への利子は六分五厘ですか。七分五厘じやなくて、六分五厘ですか。
○説明員(牧野誠一君) 只今年利は六分五厘と申上げましたのは、これは現在現行の利率でございます。それで二十八年度運用分までは七分五厘でやつております。その点ちよつと申し落しましたが、現行は六分五厘でございます。
○藤原道子君 私予算委員会で出して頂いた資料に七分五厘と出ていたものでございますから……。そこでお伺いいたしますが、こうして保険のまあ勘定からいつて云々ということで今まで質疑応答して来ているのでございますが、利率が少し上つて来たり年限の延長等々によつて、今度の改正案において相当改悪の面もあるのでございますが、我々はこういう場合に、資金運用部に吸収されて、そこでほかの郵便貯金その他と共に運用部審議会できめた方針で運営されて来ている。そうしてたとえ一部にしろ、その利子は国家財政の中に繰入れられておる、社会保障の中核として発足しているこの厚生年金保険において、国庫負担を一割五分で強行しようというところに、私たちはいろいろな無理が出て来る。こうしたいろいろな点から勘案いたしまして、我々は三割を主張しておりますが、二割ぐらいの国庫負担ができないというはずはないというまあ結論が出て来るわけなんです。結局生活保護法は、何回もここで繰返した問題でございますが、国家の保障において生活を守られておる人、これは労働者は低額な賃金の中から月々貯金して積立てて来ているわけなんでございます。こういう点から行くと、全然性質は違つて来ているのです。にもかかわらず生活保護法よりも下廻るという点については、我々はどうしても納得が行かない。あなたにこういうことを申上げたつても、これは無理でございますから、だから大蔵大臣に来てもらわなければ最後の締括りが我々としてはつかない気持なんです。大蔵大臣は今日どんなことをしても、ちよつとお出まし願うということは無理なんでしようか。それともあなたからこれに対する責任ある答弁がお伺いできるのでございますか。
○説明員(牧野誠一君) 只今の生活保護法との比較というような問題に相成りますと、これは国の政策全般に関係いたしますし、大蔵省といたしましても、恐らくその財政金融政策全般に影響がある問題だと存じておりますので、それでこれについて我国からどういたしますというような回答はちよつといたしかねる次第でございますが、現在のところは、この程度のことで漸進的な進歩ということで止むを得んのじやないかというふうには感じております。 それから大蔵大臣は只今ほかの委員会が大分いろいろ取込んでおるのでございまして、それでちよつとこちらへ出席するという見通しがどうもつかないような状態のように承知しております。悪しからず御了承をお願いしたいと思います。
○藤原道子君 私は課長からは、この利率その他のことをお伺いすればそれでもうこれ以上伺うことは無理だと思いますから、これで結構でございますが、大蔵大臣はほかの委員会へ出ているというけれども、他の委員会も重要法案だろうと思うのでございますが、この厚生年金保険法案は非常に重大だと思うので、少しぐらい時間を外して出られないというはずはないと思うのですが、これはどういう理由なんでしようか。
○委員長(上條愛一君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(上條愛一君) 速記を始めて下さい。
○藤原道子君 今度、保険局長にちよつとお伺いしたいのですが、昨日大臣の答弁の中に恩給が五十五歳で、この年金から行くと六十歳になる、給付開始がですね、ということを労働委員長から追及されたらば、将来は恩給をこれに合わせるというようなことを言われたのですがね。とんでもない話だと思うのでございますが、そういうふうな意図で計画が進められているものなのでしようか。その点一つここでちよつとはつきりしておいて頂きたい。
○政府委員(久下勝次君) 年金の支給開始年齢、恩給の支給開始年齢というのを両々比較いたしますると、御指摘のように、五年間の開きがありますことは私も承知いたしております。私も実は率直に申しまして、恩給とこの年金というのとは、よほど性格が違うものであるというふうに考えておるものでございます。申すまでもなく公務員として一定の期間勤続いたしましたものに対して支給されるものでありますから、一方からだけいたしますと年金と余り変りがないように考えられますけれども、これは人事院で退職年金制度につきまして最近勧告をいたしましたその責任者の公開の席上での話によりましても、公務員に対する恩給、或いは退職年金というものは、民間会社におきましてのこの厚生年金と退職金というようなものと合さつたものである、比較をいたしました場合にも、合せたものとして両々比較するような考えでおるというようなことを説明いたしておるのでございまして、私どもも又さように考えておるものでございます。従いまして、それを厚生年金だけを引抜きましたものを比較いたしますこと自身が若干私は無理があるのではないかと思うのでありまして、こうした性質の相違から、又開始年齢というものについての差も出て来る点があるのではないかというふうに考えておるものであります。ただ併しながら退職金と言い、或いは生活保障、社会保障と申しましても、私自身も実は現在明確にここまでが生活保障の性格を持つところの社会保障であり、それから先が退職金であるというような明確な区分を定めることはむずかしい問題でもあるし、又今日の段階におきましては、そこに明確な区別をつけますことは、見ようによりますと、又社会保障としての年金制度の将来の内容的な発展の芽を摘むようにも考えられるわけでありまして、そうした考え方から、又区別が困難であるということから、どこまでが退職金で、どこまでが生活保障であるという区別はつけがたいのでありますれども、私どもとしては、少くとも両極端を考えてみました場合には、そうした両方の性格を持つたものが恩給であり、そのうちの生活保障としての最低限度のものを保障するのが年金制度であるというふうに考え併せておりますので、そういうところからいろいろ議論を発展さして参りますれば、その辺の差は或る程度止むを得ないのではないかと思うのであります。併しながら大臣が申上げましたのは、恐らく私は推測を加えて申述べるのでございますが、恩給の中にも生活保障としての或いは社会保障的な性格を持つた部分が含まれておるという意味合いにおきまして、将来の社会保障の統合という形に実現をいたしました場合には、大臣の考えは六十歳開始というよな線に揃えるという気持だろうと思います。ただ現在の恩給が単に年金と完全に性格の同じものでないという考え方があり得ると思いますので、そういう意味合いにおきましては、若干の差がありましても、現段階におきましては、止むを得ないのではないかというふうに考えておるのでございます。
○藤原道子君 しばしば退職金の問題が過日から出ておるのでございますが、大企業の退職金、大企業には退職金が確かに或る程度出ておりますけれども、これは退職金に対する考え方があなたがたと我々とは違うのでありますから、これは議論になりますからよしますが、そこで大企業に働いておる労働者の数、それからいわゆる中小企業に働いておる労働者の数、これをどういうふうにお考えになるか。それから中小企業などは退職金どころでなくて、最近では賃金不払までも起つておる実情なんです。ここに問題がある、これについては局長はどうお考えですか。
○政府委員(久下勝次君) 私はこの厚生年金制度を考えます際に、退職金が出る事業所があるということ、又これのない所があるということ、この問題を実は非常に重視してこの制度を考えたつもりでございます。実は一部の論者は退職金制度があるのだから、又厚生年金制度が終戦直後から今日に至るまで殆んど眠つている状態にあつたので、一方において我々は退職金制度というものを大幅に確立しなければならないような羽目になつて来ておるのだ、そういうことを前提にして厚生年金制度を考えるべきであるというような相当強い意見があつたのでありますが、私どもはそれにはそういうふうに全然左祖をいたしておりません。問題はむしろ退職金制度の内容が、今御指摘の中小企業というものに目を着けなければならない、それらを通じて全体を包含して、そのいずれにも通ずる制度を厚生年金として打立てて、退職金制度というものは、厚生年金制度が打立てられたあとに附加的にできるところでやつて行くという制度であるべきであるという考え方を持ちまして、この制度を考えたつもりでございます。従いましてそういう意味合いにおきましては、私どもとしては、今いろいろ御意見がございましたけれども、内容的にも極めて不十分であるという御指摘は知つておりますけれども、今日の日本の経済全体を考えまして、中小企業に働く労働者並びに中小企業の事業主の負担力なども考え併せまして、一足飛びに急激な改善も望めませんので、若干不十分なことは承知いたしながらも、そうした全般的な中小企業をも含めた各事業に適用されるということを考え併せまして、この制度を考えたつもりでございます。お答えになつたかどうか存じませんが、さような考え方でやつておりますので、退職金を前提にしてこの制度を考えたのではございません。むしろ退職金というものは頭におかずにこの制度が、年金制度というものが一般労働者に対して先行すべきであるというように考えておるのでございます。
○藤原道子君 そこでお伺いしたいのでございますが、労働寿命の点において、いわゆる公務員と一般労働者と比較した場合に局長はどういうふうにお考えになつておりますか、どちらが長いとお考えになつておりますか。
○政府委員(久下勝次君) それは私は一口には申せないと思います。いわゆる厚生年金保険の被保険者になつております一般勤労者の中にも坑内夫が適例でございますが、これは重労働に従事しております労働者もあれば、いわゆるホワイト・カラーと称せられて、公務員と同じような勤務状態をしている者もあるわけでございます。従いまして、一般的な比較は困難であろうと思います。なおそうした各職域の労働年齢というものにつきましては、甚だ遺憾ながら今日まで我が国には統計的な資料がございません、従つて確信を持つたお答えもいたしかねますが、単純に私は比較できないのではないかと、こう思つておる次第でございます。
○藤原道子君 いつまでも私は年齢にこだわるようでございますけれども、どうしても私は納得できないので、なお重ねて御質問するのでございますが、五十五歳の停年制で支給開始が六十歳、公務員の場合は五十歳から支給開始になるという場合に、公務員の人はそれで済むのです。軍人恩給だつて五十五歳になつておる。それをどうして厚生年金が五十五歳の停年制であるのに支給開始を六十歳にしなければやつて行けないのか、これも重ねて私は質問いたします。
○政府委員(久下勝次君) 六十歳にしなければやつて行けないという意味ではないのでございます。五十五歳を六十歳に引上げましたのは、先日来たびたびいろいろな理由を挙げて御説明申上げておるのでございますが、一つには、大臣がたびたび申上げておりますように、私ども自身も年金制度としては将来厚生年金保険というものが各種年金制度の中核になるものと考えておるのでございます。現在でも二十三万事業所、七百五十万を超える被用者を抱えております。その数は現在の適用範囲だけにおきましても年々増加をして参るのでありまするが、更に本委員会におきまして各委員のかたがたから問題にされましたように、被用者保険と名を打つておりながら、今日の年金制度の適用の範囲は大きな面におきまして、即ち五人未満の事業所が未適用になつておるという点におきまして、被用者保険としては私どもは完全な形でないと思つておるのであります。そうした問題はお約束を申上げております通り、自信のある、確信のある資料を至急に作りまして、適用範囲を拡張し、そしてそのことによりましていわゆる被用者保険としての本来の姿を近い将来におきまして実現しなければならないというふうに考えておるのでございます。そういうふうになるということを前提として議論をして参ります場合には、私はいわゆる被用者保険としてこれが統制され、又公務員その他各種の独立した年金制度につきましても、通算調整の措置がとられるという近い将来の姿を考えてみまするときには、いわゆる勤労者が五十五歳で隠居してしまうのだというような形は、日本の現状でもすでにそうなりつつございますが、十五年、十年という、そう遠くない将来の姿を考えましても相当無理があるのではないかという考え方に立つておるのでございます。この間先日も数字で申上げましたように、少し先のことになりますが、五十年後の年金受給者の総数は五百三万、約五百万を超える数字になるわけでございます。これに被用者が被保険者期間中には一・七倍でありますが、恐らく年金受給者が老齢になれば被用者は減ると思いますが、仮にこれを一・五とみましても、千二、三百万人の人々が年金によつて行くということになるわけであります。ところがこれは六十歳開始という前提に立つて、そういう計算をしておるのでありますが、これを五十五歳開始ということにすれば恐らく、正確な数字は出ておりませんが、人口に対して更に二、三割は多く見なければならないと思つております。私どもの計算は先日も申上げましたように、一応こうした長期保険でありますが、人口の動態の移動等を考慮に入れまして、現在の人口は将来も続くという前提で計算いたしておりません。そうしますと八千三百万人の人口のうち、只今私どもが計画しておりますところでは千二、三百万人の人がこれに頼つて行く、更にそれが五十五歳になりますとそれの二、三割増しの人口が年金に頼るという制度のはつきりした実は恰好になるわけでございます。この点が日本のような状態の国におきまして果して適当であるかどうか。それをそのときになりますれば、結局生産年齢人口にあります人々が、自分たちの給料のうちから保険料を納めることによつて老齢者を館つて行くと申しますか、そういうような形になるのでございまするので、私どもとしては今日の統計の示す数字から申しましても、今直ちには無理といたしましても、将来の姿としては六十歳ぐらいから初めて隠居すると申しますか、仕事を離れて年金で生活をして行くというような形になることのほうが全体の姿としても望ましいことではないかというふうに考えておるのでございます
○藤原道子君 もうしばしば繰返されたことと同じことを繰返すだけでございますから、私はもう質問は大蔵大臣に若干やるだけでよろしうございますが、極めて近い将来にこういうような労協者の労協状態を資料として出されるということですが、それはいつ頃出される予定ですか。いつ頃までにできる予定ですか。
○政府委員(久下勝次君) 期間を限つて申上げるわけには参りませんけれども………。
○藤原道子君 期間を大体聞かなければ………。
○政府委員(久下勝次君) これは具体的に調査してみませんと、私が申上げた近い将来にというのは五人未満の事業所の調査は、早速私どもは本年度から着手いたします。併しこれは着手した資料をお示しするということは今年のうちでもできると思いますが、五人未満の事業所に本当に拡張できるかどうかという結論を出しますのは、私は現在の見通しとしてはお約束いたしかねます。これには私どもの想像ではたびたび申上げますように、相当標準報酬が低くなる見込でございますので、そうすると年金の複利計算の上に大きな影響があり、これは結局は保険料率なり、国庫負担というような問題に響いて参りますから、そういう問題の見極めを付けませんと、私どもが原案を作つて御審議を頂く段階まで今年のうちにお約束できるかどうかわからないのですが、調査した資料だけをお示しするのであれは今年のうちでもお示しできると思います。そういうつもりでおります。
○委員長(上條愛一君) ちよつと私資金課長にお伺いしたいのでございますが、厚生年金の積立金というものは運用部資金に繰入れられて、その運用部資金というものは今御説明になつたように、それぞれの方面に異なつた利子で運用されているわけですが、そうすると厚生年金の積立金というものは、結局利子というものは積立金の元金には少しも繰入れられておられないという結論なんですね。
○説明員(牧野誠一君) 先ほど申上げました数字のうちの厚生年金特別会計の支払利子額の三十九億二千九百万円というのが、厚生年金特別会計の積立金に繰入れられているというふうに承知しております。
○委員長(上條愛一君) それだけはつまり元金に繰入れられていると、こういうことですか。
○説明員(牧野誠一君) そうです。
○政府委員(久下勝次君) ちよつと私から具体的に……、今委員長からお話のございました点は、私どもの厚生年金特別会計の中では、次のような取扱をしております。毎年入つて参ります保険料収入と、それから今説明のありました運用収入と私どもは言つておりますが、利子収入一般会計からの負担金がございます。そういうものを全部歳入に立てまして、そうしてその年度ごとに必要な保険給付を中心として歳出予算を組みまして、そうして差額を年度の終りに又資金運用部に預けるというようなやり方をしているわけでございます。例を挙げて昭和二十九年度の予算で申上げますと、保険料収入は三百三十三億、運用収入が五十三億、それから一般会計からの受入金、これは給付費の国庫負担でありまして、これが八億八千万円、その地合計いたしまして三百九十五億七千万円というのが厚生保険特別会計年金勘定の歳入でございまして、これに対しまして保険給付費を中心とする歳出は六十九億七千万円でございまして、三百九十五億七千万円から六十九億七千万円を差引きましたものが昭和二十九年度末の決算によりまして運用部のほうに再び預託されるというようなやり方をしております。なお細かいことでございますが、こういうふうな相当な額が只今の当分の段階におきましては、余裕がございますので、私どもは保険料の収入を毎月々々やつておりますが、或る程度金が溜りますとその都度預託をしております。予算の見通しを立てながら成るへく長期の有利に廻るように預託しているわけでございます。最後に決算をいたしましたときにまとめてやるというような計画をしております。
○委員長(上條愛一君) それでもう一つお伺いしたいのですが、この厚生年金に対する政府の支出というものは一割五分ですか、ですが、まあ恩給その他に対しては相当な国家が支出をしておる、こういう実情なんですが、で、将来はいずれまあ国民年金制度として統合すべき運命にあると思うのですが、そういう建前から考えて、この厚生年金の給付を労使双方が三分の一ずつ、それから政府が給付の三分の一負担するというようなことは、厚生年金の保険経済の上から考えると非常な無理なことになりますか、見通しはどうなんですか。
○政府委員(久下勝次君) 私どもは実は率直に申しまして、私的な見解になりまするが、将来の姿としては、そういつた姿が望ましいと考えておるものであります。ただ現段階におきましては、いわゆる被用者保険と先ほど申上げましたように、極めて一部の雇用者、労働者のみに適用されておる段階であります。漸次これが適用が拡がつて行くわけであります。厚生年金保険につきまして、大幅な国庫負担の増額は、現段階では相当理論的にも無理があるじやないか、国家財政の問題は抜きにいたしまして、一部の被用者にだけ適用されておるような現段階におきましては、大幅な国庫負担を要望することは無理じやないかというふうに考えているわけであります。
○委員長(上條愛一君) それでは理論的に言えば、現在の厚生年金が労働者の一部分だから、そういう理論的に言うても三分の一負担するということは理論に合わんというような御意見ですが、それならば恩給というものもこれは国民の一部であるわけです。従つてその一部分だからそういうことは理論的に合わんということではないのじやないか。無論将来この全労働階級、五人以下にも及ぼすということになれば、相当国家の負担も三分の一負担するということには重くなることは当然ですけれども、これはやはり今恩給のためには国家は相当な支出をしておる、而もやはり国家の産業を担うて立つている厚生年金の年金に対しては、パーセンテージは極く僅かだ、こういうことはやはり国民として納得の行かぬ点になるのではないかと思うので、我々としては将来やはり国民年金制度という全国民に及ぼすという建前から、国家は財政資金の許す範囲においてやはり労使は三分の一ずつ、それならば政府も三分の一程度は支出して行くという建前を考えることが妥当ではないかどうかとまあ考えるのです。
○政府委員(久下勝次君) 実は今恩給を例にとられて比較されたのでございますが、同じ公務員でございますが、雇用人に適用されております共済組合の年金給付に対しましては、現行の厚生年金保険と同じように一割の国庫負担でございます。それから昨年国会を通過して現に実施されております私学教職員に対する国庫負担もやはり一割でございます。そういうような例はほかにあるわけでございまして、それともう一つは、恩給につきましては、何度も申上げるようでございますが、事業主としての国家が自分の使つておる公務員に対して退職時に支給するいわゆる一般の退職金に相当する部門が観念的には含まれておるものと、こういうふうに考えられますので、その意味におきまして、国庫負担を直ちに厚生年金の場合と比較することも私ども如何かと思うのであります。ただ、今申上げました私学教職員或いは一般の国家公務員共済組合、これは府県の職員にも適用されておりますが、これについては、やはり一割のまま据置かれたにもかかわりませず、今回厚生年金保険につきましては、一般的に一割五分という五分だけの負担の増額が認められまして、ということで、この厚生年金保険制度に対する政府の考え方が十分ではないにいたしましても、御了承を頂けるのではないかと思つておるような次第であります。
○竹中勝男君 今の年齢の問題について、労働人口の年齢に関する調査ということになると思うのですけれども、これは割に簡単ではないのですか、と思うのですが。例えば産業別、できるだけ産業別或いは職種別ですね、重労働に相当する労働年齢の構成がどういうふうに、構造がどういうふうになつておるか、特に五十五歳以上の労働者でいわゆる重労働にどれくらいの年齢の人が雇用されておるかというような点さえはつきりすれば、藤原委員が要求しておる資料は出て来るのではないかと思うのですが。その点を先ず局長さんにそういう調査ができるでしようかという点を……。
○政府委員(久下勝次君) 余り理想を追いませずに、或る時の断面を見るというようなことでございますれば、おつしやる通り比較的簡単にできると思います。ただ、こういう制度を立てまする上には、やはり労働環境の移動と申しますか、そういう問題も、つまり現在働いておるのは過去においてどういうふうなことをしておつて、何年そういう事業体に従事しておるかといつたような面まで調べませんと、実際は年金制度の資料としましては不十分な点がございますので、慾を言えば限りがないのでございますが、私どもといたしましても、一応おつしやる通りに、できるだけ短時間に集められる資料は先ず取つて検討しながら、更にそれを突つ込んで行くというようなやり方をとりたいと思つております。お話のように労働の実態について、まだ厚生年金の立場からも欲しいような資料が必ずしも十分に揃つておりませんのですが、御指摘のような筋で漸次資料を整えて結論がつけばそれから手をつけて行くというようなことで行きたいと思つております。
○竹中勝男君 労働省には多少そういう資料があるのだろうと思いますが、これはやはり厚生省としてしつかりした調査をこういう今後の年金とかいろいろな人口に対する調査はやはり整えて置いて頂きたいと思うのですが、五十五歳ということにこだわつておるわけなんですけれども、官吏の、公務員の五十五歳というのは、実険はやはりあとがつかえるからというやはり人口問題、労働雇用の問題に私は関係して来るのだろうと思うのですが、又これは経済、地方財政なり国家財政の上からもそうでしようけれども、やはり年を取ればそれだけ賃金報酬が高くなるから、即ち経営の点からも一つの政策だと思うのですが、そうすると私は前から申しておるように、労働厚生年金の受給開始年齢を五十五歳にしておくということも、日本の経済の現在からすれば合うのではないかと思うのですが、即ち安い賃金、低賃金制にはこれはやはりマツチしているわけです。それから成るべく若い者を雇用したいという事業主の希望にもこれは合つているわけだと思うのですが、こういう点でやはり五十五歳という現実に、五十五歳或いは二十年先に六十歳ということが私は理想じやないかと、どうもそういうように考えられるのですが、少くとも現在のように雇用量が少くて、労働人口が非常に過剰だという段階では、やはり何とかもう五十五になつたからほかの仕事を探してもらう。或いは年金で生活して行く、他に賃金補給で済むような仕事に従事してもらう、そうして若い者にどんどん職を与えるということが、私は労働政策の上からも、或いは経営の上からも、まあ日本資本主義の現在の段階ではこれが一番適正な年齢じやないかと私も考えているわけでございますが、そういう点どういうふうにお考えですでしよう。
○政府委員(久下勝次君) 只今のお話の点に似たような意見がこの法律案を審議いたします際に、経営者側から盛んに一時言われた。それは若しもこれを急激に六十歳に上げるということになれば、現在は停年制によつてどんどん首切る、そうなると、新規の雇用を受入れる余地がなくなり、五年間延びるということで、従つてそういう雇用の、新規雇用を受入れられなくなるような体制になることは困ると、責任がとれんというようなことを極めて当初の間におきましては、そういう意見が相当強く述べられたのであります。その当時におきましては、私どもの案自身も二十年というような長期間でなしに、せいぜい十年間くらいで六十歳にしてしまおうというような、多少急進的な考え方を持つておつたことから、そういう批判がございまして、その後案を直しまして、二十年後に、具体的に申しますれば、この法律施行のときに三十九歳の人が六十歳になつたときに初めて全部が六十歳になるというような、漸進的な方法をとるというような方針になりましたところ、それであれば賛成である、こういうようなことになりまして、経営者といたしましてはこの案に賛成をされたわけでございます。それで確かに私は現実の今の段階におきまして、これをいきなり六十にするということは無理であろうと思います。それ故にこそ実は相当長い経過的な措置をとつたつもりでありまして、私どもとしては、今お話のように個々の企業を考えまして、特に公務員の制度を今御引例になりましたけれども、公務員としては確かにお話のように私ども人事管理的な問題で、この五十五歳の年金開始或いは四十五歳から若年停止というような考慮もございますが、そういうようなことによつて四十五でやめても半分はもらえるというような制度をとつておりますのは、主に人事管理的な面があるのであろうと思います。そのことはその者が四十五歳なり五十歳でやめて遊んで食つて行くというつもりではなくて、やはりどこかで働いて行くであろうというような考え方をとつておるものと思うのでございまして、厚生年金のようにだんだん幅が広く適用されて行きますものにつきましては、その考え方は私は簡単に取入れられないのじやないか。やはりどこかで勤労者として生きて行く以上、農地でも持つて郷里に帰る所のある人は格別でございますが、いやしくも勤労者として働く人はやはり一生勤労者として働くであろうと思いまするから、そういう意味合いおきまして、適用範囲の拡張と相待ちまして、私どもは一企業だけを見ますとそういうことがございまするけれども、主体の被用者としての立場を考えました場合には、やはり六十歳までは何とかして働いて食つて行くというような態勢をとらざるを得ない。これが日本の将来の必然的な姿ではないか、こういうふうに考えておるのでございまして、結局結果におきまして、竹中先生のおつしやるのと結論的には同じでありまして、現段階においては急激にやることは無理でありまするので、極めて緩やかな、漸進的な措置をとつたという考えでございます。
○委員長(上條愛一君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(上條愛一君) 速記を始めて下さい。 これで一時休憩いたします。 午後零時五十二分休憩 〔休憩後開会に至らなかつた。〕