厚生委員会 第26号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/04/12
会議録
○委員長(上條愛一君) 只今から厚生委員会を開会いたします。 委員の異動を御報告申上げます。四月十二日付を以て竹中勝男君が辞任され、同日付で藤原道子君が厚生委員に選任されました。右御報告申上げます。 —————————————
○委員長(上條愛一君) 次に、あへん法案を議題といたします。 なお本日は、本案審査上の参考に資するため、あへん条約草案の要点について説明を求めるために、外務省当局の出席を願つております。先ずこれを聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。それでは外務省条約局佐藤第二課長の御説明を願います。
○説明員(佐藤正二君) それではけしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書という非常に長い名前でありますが、この議定書の成立の経緯及びその内容を簡単に御説明申上げます。 この議定書は、麻薬関係の条約というのは、御承知の通り、古くは一九一二年頃からございまして、一九一二年、一九二五年、三年、四八年と、諸種の条約に我が国も締約国になつております次第でありますが、今回の議定書は、国連の経済社会理事会の、一九五一年、即ち昭和二十六年の決議によつて、経済社会理事会の麻薬委員会に対して、あへんの取締りを今までの条約よりも更に一層実効的にするために、あへんの国際的専売制度の規定を盛り込んだ協定案の起草及び研究を要請したわけでございます。麻薬委員会はその研究の結果、あへんの国際的専売制度を確立する協定案の起草は、まだ少し時期尚早であるという結論に達しましてこの趣旨の協定作成の前の段階として議定書案の起草をやりまして、その結果、一九五一年と申しますと昭和二十六年でございますが、昭和二十六年八月の経済社会理事会の決議に基いて、この議定書案に盛り込むべき原則に関して関係諸国の意見を聴取したわけでございます。それで関係諸国の賛成を得てこの議定書を作るための会議を一九五三年、昨年の五月十一日から国連の本部で開催いたしました。この会議に四十一カ国出ておりますが、三十四カ国がたしか正式のメンバーで、あと七カ国はオブザーバーで出ております。この会議で麻薬委員会が作つた草案に修正を加えまして、昨年の六月にこの議定書が採決されました。それで昨年の十二月三十一日までの間に署名をするために開放をいたしまして、その結果三十六カ国が署名を行なつております。我が国は今申しました議定書作成の会議にも代表を出しまして、それから昨年の十二月三十一日までの署名の開放期間のうちに署名をいたしております。 この条約の内容は、大体この前の一連の麻薬の条約のラインに沿つて国際的な麻薬の取締りというその目的に対して一歩を進めているというのが大体のあれでございますが、主要な点は、第一の点はけしの栽培、それからあへんの生産、使用、取引等の取締り機関を、何と申しますか政府機関を設立することをきめております。それが一つの大きな点、それからあへんの在庫量の制限を条約の義務として規定しております。三番目といたしまして、特定の締約国、条約を御覧になりますと六条に出ておりますが、特定の締約国で生産されるあへん以外のあへんの輸出入を禁止しております。それから四番目にあへんの使用及び輸出入の目的を医薬上及び科学上の需要に限定しております。これは使用関係では条約の第二条であります。それから六条にもその点触れてあります。この内容は大体こういうふうな点でございますが、若し細かい御質問がございましたら、後ほどお答えいたします。 我が国といたしましては戦後からずつと麻薬の国際的取締りに協力しておりますし、今度の議定書案の作成に対しましても、大体その趣旨に賛成でございまして、一、二我が国の主張しなくちやならない点がございましたので、代表のほうに訓令いたしましてその主張をやりまして、大体我がほうの主張も通つておりますので、主として在庫量の計算の点なんか主張したのでございますけれども、そういう点も通りましたので、この条約に入ることを決意いたしまして、現在国会の御審議を願つておるわけであります。細かい御質問がございましたら、後ほど御説明いたします。
○委員長(上條愛一君) 御質疑を願います。
○高野一夫君 一つだけ伺いたいのですが、これは署名国を見ますと中共が入つてないし、中共を承認しない国が大部分だから当然かも知れませんが、中共を除外した場合に、密輸出関係の取締りということが非常に支障を来すようなことはないでしようか。入れるほうでこの条約に基いた方針で以てやればいいということだけれども、出すほうは勝手に出せるということになつた場合には、その辺が相当支障を来すのではないかと思いますが、どんなものでございましよう。
○説明員(佐藤正二君) 中共は御承知の通り、国連にも代表を出しておりませんし、この条約が国連の何と申しますか、傘下で作られた条約であります。当然台湾政府の代表が中国を代表して出て来たわけでございます。それでその後半の点でございますが、この条約の十二条、十三条、主として執行措置の問題でございますが、この中にも例えば十二条の2を御覧になりますと、輸出入禁止の勧告の規定がございますが、2の(a)というところに、後段でございますが、「いずれかの国がこの議定書の効果的な運用を著しく妨げていると認める場合」という、この「いずれかの国」というのは必ずしも締約国のみを意味しておるのではございませんで、非締約国の中でも、状態が国際的な麻薬の取締りを何と申しますか妨げておるというふうに考えました場合には、締約国側のほうからできるだけの措置をとつてそれを矯正するということをきめております。例えばそこに輸出をしないとか、こつち側から輸入の禁止をするとか、そういうふうなことで、非締約国側がこの国際的な麻薬取締りに工合の悪いようなことをやつたものに対してもその措置をきめているわけでございます。それから十三条にちよつと出ておりますが、これはこの議定書を作りましたときの全体を通ずる考え方であつたのでありますが、成るべく締約国ばかりでなく、ほかの締約国以外の地域にも成るべくこういう趣旨を徹底してやりたいという意見がたくさんありましたものですから、この規定を入れて、議定書が適用されない国についても、執行可能な限りにおいてこういう措置をとると、これは非締約国に関しましてはこの議定書の束縛は受けないわけでございますから、或いは道徳的な規定になる危険もございますが、締約国側からは成るべくこういう措置をとりたいということをそこに謳つておるわけでございます。
○高野一夫君 そうすると従来相手国の政府を承認しておつて、その政府を承認した国が締約国に入らない場合と、全然承認しない国が締約国に入らない場合と二つあると思うのですが、それで外交官もお互いに交換していない、相手の政府を認めていないというような場合、例えば中共のごときに対してどういう勧告が合法的になし得ることになりますか。
○説明員(佐藤正二君) 前に御説明いたしました十二条のほうの関係は、中共そのものに対して勧告するというのではなくて、締約国からできるだけの措置をするということでありまして、十三条のほうは勧告のことも御説の通り入つておるかとも思いますが、この点は事実問題としてできるかできないかは、ちよつと私は御返答できかねると思います。
○廣瀬久忠君 外務省にお伺いしますが、そうすると具体的の問題として日本が例えばあへんをトルコから買うというような場合に、これだけの分量を買うというようなことは中央委員会なり事務総長なりに報告するという義務もこれに規定されておるのですか。
○説明員(佐藤正二君) この条約自体には九条の一項の(6)に、輸出入のあへんの量も四半期統計を提出するようになつております。それから見積りの関係は、何と申しますか予定でございますね、その計画のほうの関係は一九三一年の条約に規定されておるのであります。
○廣瀬久忠君 それから日本で生産をりする場合に、やはり計画とその生産量というものもやはり報告する義務を負うわけですね。
○説明員(佐藤正二君) その通りでございます。これも八条の三項に栽培の土地の面積とあへんの収穫予想量、見積り価格等を……。
○廣瀬久忠君 そうして日本が輸入をどれだけした、そして生産をどれだけした、そしてそれを消費をどういう工合にしたということを毎年明らかにする、こういう義務をも負うことになると思うのですが、これは無論そういうような規定もどこかにあるのですか。
○説明員(佐藤正二君) 八条と九条がその規定でございますが、八条のほうが見積りと申しますか、年間需要量とあへんの収穫予想量の見積りの提出になつております。九条のほうが収穫量の統計でございます。その結果であります。消費量、それからアルカロイド、あへん製剤の製造に使用したあへんの量、不当取引において没収したあへんの量、それから在庫量、輸出入量、こういうふうなものを統計として提出することになつております。
○廣瀬久忠君 それからなお国際連合の機関としては、常設されておるものは中央委員会とそのほかに何かありますのですか。
○説明員(佐藤正二君) 国際連合そのものの機関といたしましては、国際連合の経済社会理事会の下部機関であります麻薬委員会がございます。それから麻薬関係のほうのあれとしましては、一九二五年の条約に基いて作られました常設中央委員会、それから三一年の条約に基いて作られました監督機関、それだけでございます。
○廣瀬久忠君 それらの機関に対して日本は外務省及び厚生省というものは常に連絡をとつておると思いますが、それらの機関から日本に対する何と申しますか勧告というようなこととが、そういうような要するに日本の条約上の義務履行如何ということを常に国際連合関係において監視するというようなことはどういう程度になつておるのですか。
○説明員(佐藤正二君) これは戦後は御承知の通り、マッカーサー司令部のあれであへんの生産を禁止されておりましたので、戦後は全然問題はございませんが、戦前は、これは中央委員会及び監督機関は戦前からありましたものであります。戦前は連盟のほうに関係したものでございますから、これからはたびたび説明を求められたことはございます。ジユネーヴにこちらから人を出しまして説明いたしましたことはたびたびございます。ただその何らかの措置、矯正措置、こういうふうなことをとられたことは一度もございません。
○廣瀬久忠君 将来はどういうことになりますか、今度は日本において輸入もし、それから製造もするわけですが、そうするとやはりいろいろ関係が起きる。その関係はやはり報告とか、或いは勧告というようなことがあり得るのですか。
○説明員(佐藤正二君) その点は私よりもむしろ厚生省のほうからお答え願つたほうがいいのじやないかと思いますが、私のほうといたしましてはそういう問題が起らないと確信しておりますのですが。
○有馬英二君 今の条約でちよつと私よくわからんのでお伺いするのですが、第七条の押収したあへんの処分というところですね、押収したあへんはすべて廃棄しなければならないというのですが、廃棄というのは捨てるという意味なんですか。どういうことを意味するのですか、どういうことを廃棄というのですか。 それから第二に第七条の第二項のところを見ると、「このあへん若しくはそれから製造されるアルカロイド」と書いてあるのは、「このあへん」というのは押収したあへんのことを言うのですか、この一部を「医薬上若しくは科学上の用途に転用することができる。」ということが書いてある、廃棄しなければならないということが書いてあつて、又向うではそれを転用することができるというようなことが書いてあるので、どうもはつきりしないが、そこを一つ御説明を願いたい。
○説明員(佐藤正二君) この七条の規定は、今御指摘の転用及び転換の規定は二項でございますが、これはそういうことはできるというその通りの規定でございます。それでそういうことができるのは当該輸出国の、それ以外にいろいろの規定があるわけでございますが、一番初めの規定は第一項が原則でありまして、その次のが転換麻薬、非麻薬系物質に転換し、医薬上又は科学上の用途に転用することができる。それからその三項目が消費、輸出することができると書いてございますが、その輸出量が当該輸出国の輸出量、一年間にこのようにして輸出するあへんの量が当該輸出国の年間需要量のあへん相当量を超えてはならない、この超えた分だけが廃棄しなくちやならないというのが五項の規定でございます。ですからその初めにその年間需要量というものは前の八条の規定の見積りで年間需要量というものはきまるわけでございますから、その需要量を超過した分だけは廃棄しなければならないという規定でございます。別にその全部が全部廃棄してしまわなければならないという規定ではございません。
○有馬英二君 ちよつと今の御説明がはつきりしないんですが、押収したすべてのあへんということが書いてあるものだから、今の御説明たというと、そのうち幾分は撤回してもいい、転用することができる、その残つたものは廃棄するというようにはこれはどうしてもとれないですが、すべてのあへんというのは押収した全部を廃棄するというように解釈できませんか。
○説明員(佐藤正二君) この第一項の規定は「本条に定める場合を除く外、」本条に定めるものはよろしいのでございます。それ以外のものは全部廃棄しなければならないということが書いてあるわけでございます。あとの規定はそこで一応除外されておるわけであります。
○有馬英二君 そうするとこれは甚だぼんやりしたことなんですが、終戦当時満洲国から多量なあへんを持つて来てそれをその当時の、これはアメリカ軍だつたかも知れませんが、押収したということを私どもは聞いて知つているんですが、それは一体どういうことになりましたか御存じありませんか。これは薬務局長にお伺いいたします。
○政府委員(高田正巳君) 満洲国から参りましたのか、その来ましたところはよく知りませんが、終戦当時国内にありましたすべてのあへんがこの前申上げましたように連合軍司令部に押えられた。そうしてそれが後に日本の麻薬のストツクがなくなりまして、あへんから又麻薬を製造しなければ、医療に差支えるというふうな情勢になつて参りましたので、その押収したものを又日本側に返して来た。それで返して来たものの中に後になりまして掠奪物資としての指定を受けたものもございます。これは日本が外国において不当な手段と申しますか、とにかく掠奪をして来たものだということで指定を受けたものもございます。その指定を受けたものに対しましては、その権利を有する国と話合いまして、現物をそちらから買取るという形で現物は国に残しまして、金を日本側が払つたようないきさつもございます。さようなことでございまして、それらを原料にいたしまして今日まで医療用の麻薬を製造をして参つたわけでございます。その残りが先般申上げましたように只今大体十トンばかりまだ残つておる。これを来年度の消費量に当てて行こう、それでも不十分であるから、更に海外から輸入をいたしたい、こういうふうなことに相成るわけでございます。
○委員長(上條愛一君) それではあへん条約案の内容に対する質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。 それではあへん法案に対する質疑に入りたいと思います。御質疑を願います。
○廣瀬久忠君 厚生省にお伺いしますが、三点お伺いしたいと思うのですが、一つは、あへん行政の組織はどういう工合になつておるのか。輸入の関係の面及び生産の関係の面から見て、あへん行政の組織はこれからどういう組織になるのか、これを一つ伺いたい。これが一点。 それからもう一つは、あへんは専売をやるわけなんですが、今主として輸入であろうと思うが、だんだん生産にも入つて来る。そうするとこれはまあ専売をやるとすれば、まあ金額は少いがやはり買上げて売却するという関係がら、専売的にこれを行うとすれば特別会計を設けるのが妥当性があるのではないか。この点については今年は何にもないようだが、これはどういう工合に政府は考えておるか。別に専売特別会計問題を如何に考えるか、こういう問題。 それから第三は、あへんの問題は、麻薬の一つとして非常に取締上重大な問題がある。これについては今日戦前の警察のような工合に警察との関係がなつておらないのであるが、あへんの取締りについて今日のような取締体制で果してうまく行くものであるかどうか。殊に問題は共産関係の資金の問題、などとかくあへんの問題その他の麻薬の問題がからまるのでありますが、そういうことが政策的に見て果してうまく取締りができるか、又中毒問題もある。そのほか又密輸の関係の税関の問題、いろいろあへん法を今回制定するとすれば、やはりいろいろ大きな問題に触れるように思うが、あへんと取締関係の警察税関その他について十分取締りを今日の体制で遺憾なきを期し得るか、この三点ですが、これらの点に触れて厚生省のお考えを伺つておきたい。
○政府委員(高田正巳君) 行政の組織はどういうふうになるのかという仰せでございますが、行政と申しましても、一つの筋は栽培者が栽培をいたしたものを収納し或いは海外から輸入し、それからそれを麻薬製造業者に売渡ししそういうようないわゆる純粋の行政の面と、それから廣瀬先生最後にお触れになりました取締の面、いわゆる司法取締の面、こういうふうに分れるわけでございます。それでこの収納をいたしましたり、それから輸出をすることはございませんけれども、輸入をいたしましたり、それから売渡しをいたしましたりすることはこの法案にございますように、国の独占権に帰するということでございまして、その点につきましては法案にいろいろと条文が出て参るわけでございます。具体的に然らばどういう組織でやるのかという仰せでございまするが、それは私どもの只今の方針では、この機関に厚生省自体が当り、厚生省の中では薬務局がその仕事をいたすということに相成つて参ります。それでなお収納をいたしまするあへんのモルヒネ含有量の鑑定というふうなことにつきましては、これは国立衛生試験所がこれに技術的に当らしたいと思つております。それからあへんの保管でございますが、これはこの法律に要請されておりまするような堅固な、完全な施設を只今国が準備をいたしておりませんので、当面のところかような設備を現有いたしておりまする適当な者に保管を委託いたしたい、かように考えております。それからこれも行政の一つにはなりまするが、この法律案に出ておりますように、この栽培者の監督等につきましては、都道府県知事を出先機関にいたしましてこの権限をいろいろ行使して頂くことになつております。大体さようなことでございます。なお、輸入に関しましては、第六条に規定がございまして、国の委託を受けた者もできることに明文になつております。只今私どもの考えでは、この輸入の仕事自体を適当な者に委託をいたしませんで、取引自体は外務省を通じまして政府間の取引をいたしまして、輸送だけを適当なものに委託をしたい、かような方針でおるわけでございます。 それから第二番目の特別会計を作つてやつたほうが適当なんじやないかという御質問でございますが、確かに御意見のようにも考えられると存ずる次第であります。戦前におきましても同じようなことを政府がやつておつたのでございますが、当時から一般会計でやつておりましたので、本年度は取りあえずの問題といたしまして一般会計でやるという建前になつておりますけれども、この点は将来特別会計でやるほうが適当ではないかということで、大蔵省と相談をいたしまして研究中でございます。恐らくそちらの方向に参ることと存じます。 それから取締組織はどういうふうになつておるか、取締りの万全を期し得るかという御質問でございますが、これは現在の情勢を申上げてみますると、麻薬並びにあへんの取締りは、その中核にありますものは麻薬取締官並びに麻薬取締員でございます。これは麻薬並びにあへんにつきまして専門的にそのことだけをやつておる機関でございます。それから一般の警察は、いわゆる一般の司法警察権を持つておりますので、これは当然この麻薬並びにあへんの違反につきましても司法取締の権限を持つております。なお又、密輸出というような国の外に出入りの関係におきましては、税関がその立場において権限を持つております。なお出入国管理庁等も関連があるわけでございます。かようなわけでそれぞれ関係者が多数あるわけでございまして、現在のところその相互の連絡調整というものは十分にとれております。お互いに相当の成果を挙げておると私どもは考えております。なおこの問題につきましては、昨年中におきましても警察制度の改正に関連をいたしまして、若干政府部内におきましても或いは又国会の行政監察委員会等におきましてもいろいろと現状を御調査になつたりして、一応検討を内部的にいたされた問題でございます。さような際にいろいろと研究いたされまして大体現状のままでと申しまするか、その中核に麻薬取締官並びに取締員というふうなその専門にこれをやるものを置くことが妥当である。むしろそれを強化して行く方向に行かなくてはならないのではあるまいかというふうな大体のお考えのように私どもも実は承知をいたしておるのであります。と申しますのは、麻薬並びにあへんの犯罪の態様といたしまして非常に隠密性を持つておりますので、これの取締につきましては常時絶えまない隠密裡の視察、内定というものが必要になつて来るのでございます。かような意味合におきまして専門にそのことに打ち込んでずつと視察、内定をいたしまして、いろいろ積み上げて行つて検挙をするというふうな組織が特に必要であつて、そのためには何も大きな組織というよりは、むしろ専門に打ち込んで身軽に全国的に飛び廻れる組織、命令系統が非常にはつきりしている組織、そういうふうなことが非常に必要なんである、麻薬犯罪の特殊性からさようなことが言われるものと存ずる次第でございます。併しながら勿論警察その他におきましても、十分にこれに協力の体制をとつて頂き、又そうすることがより効果的であるということはこれは勿論のことでございます。大体私どもさように考えておるのでございまして、この法律案が御決定を頂きまして、けしの裁培が再開いたされました場合に、御懸念のあへんの横流れその他を防ぐというふうな必要から、或いはこれらの機構をもう少し拡充をすべきではないかというふうな議論もあるのでございまするけれども、私どもといたしましては前申上げましたように、当面は耕作反別を急激に拡張をいたすつもりはございませんので、将来耕作反別の如何によりましては、さような必要な時期も参るかと存ずるのではございまするが、当面のところは現在の人員と現在の組織でもつてやつて参りたいとかようなつもりでおる次第でございます。お答えが或いは御質問の直接のポイントに触れておりませんかも知れませんけれども、以上申上げまして御了承を得たいと思います。
○廣瀬久忠君 大体は了承いたしましたが、そこで今現にどの程度の麻薬取締官、それから取締員というものがあるのか。それから麻薬関係のあへん法施行について、どのくらいの事務的予算をお持ちなのかどうか、それをちよつと伺いたい。
○政府委員(高田正巳君) 麻薬取締官は昨年の三月以前におきましては全国で二百五十名おつたのでございます。若干の補助者も付いておりまするけれども、二百五十名でございます。それを昨年の四月以降制度を改正いたしまして、そのうちの百五十名を国に残しまして、あとの百名を都道府県に移しまして、それで只今は麻薬取締官が百五十名、それから都道府県に取締員が百名、それに若干の補助者が付いておる、こういう恰好になつております。国のほうにつきましてはそれを八ブロックに分けておりまして、大体八ブロックに麻薬取締官事務所というものを設けまして、勿論重要なブロックと重要でないブロックがございまするので、重要でないところでは非常に少数でございまするが、関東地区でございまするとか、或いは近畿地区でございまするとか相当な数の者がおります。なお、進駐軍の基地の関係、例えば立川とか、北海道の千歳とかそういうふうなところには、向うのMPのほうと協力して、いろいろ進駐軍に関係のある事犯の取締に当つておりまするので、私どものほうの者がその中に駐在をいたしておるというふうな恰好をとつております。 それから予算でございますが、取締官に要する経費といたしまして、約九千万円、それから取締員の、これも都道府県に対しまして俸給等は全額国費で流しております、千八百万円、合計一億八百万円というところが只今の経費でございます。
○高野一夫君 第四十四条の五項ですね。「第一項又は第二項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」この点について詳しくなくて結構ですから、簡単に第一項と第二項との関係を説明願います。
○政府委員(高田正巳君) これはその第一項、第二項等に、厚生大臣又は都道府県知事が特別に指定するいわゆるあへん監視員という者をして施設に立入りましたり、物件を検査させたり、或いに質問させたり、収去させたり、報告を徴したりすることができるということになつております。五項の意味しますところは、犯罪の捜査のためにこういうことができるのだというふうに解してはならないと申しますることは、犯罪捜査のためには刑事訴訟法でいろいろと手続がございますので、そのほうで従つてこれはやらなければならないという意味であります。
○高野一夫君 そうすると四十四条の第一項と第二項において、何かどうも違反事項があるとか何とかいうような怪しい場合があつたときはどうなりますか、一項と二項を適用することになりますか。
○政府委員(高田正巳君) 四十四条一項、二項は飽くまでも行政上の監督の面でございまして、行政上の取締りの面でございます。かようなことをやりまして、そこに犯罪ありというふうな推察ができました場合には、或いはその証拠等がありました場合には、刑事訴訟法の手続に従いまして検事の指揮を受け、それぞれの手続を履みまして犯罪捜査の手続に入るわけであります。
○高野一夫君 そうするとこの場合に麻薬研究所とか麻薬製造業者というようなものがありますが、先般伺つたときに、あへん監視員は麻薬取締官並びに麻薬取締員の中からもあへん監視員を指定するという場合があり得るというお話だつたのですが、そうするとこの第一項、第二項をやつた場合に、麻薬取締上の違反があつた場合は、あへん監視員というのは一方において麻薬薬取締官の権限を持つて司法警察権の発動をやつて差支えないわけですね。その点はどうなりますか、一項、二項のつもりで行つたけれども、たまたま行つたそのあへん監視員が一方において麻薬取締官であつた、そうして一項、二項の場合、たまたま麻薬取締法の違反があつたというような場合には、今おつしやつたようなことではなくして、端的にその場でやれることになりますか。
○政府委員(高田正巳君) さようでございます。ただ犯罪捜査のために人の施設に立入つたり何かいたしますことは、これは刑事訴訟法上の手続が必要でございますので、たまたまそこに行政上の取締のために行つて、さようなことを見付けた、そこから今度は司法上の問題が起つて来るわけであります。その際に普通の犯罪捜査の手続上その現場において何らかの措置をとることが許されておりまするならば、その現場において何らかの措置はとり得る。併しながらそれぞれ手続が必要であるとしますればこれは刑事訴訟法の手続をとつてやらなければならない、こういうことに相成るわけであります。
○高野一夫君 麻薬取締官というのは、この麻薬取締上のいろいろな麻薬法関係の取締りをやる場合に一々刊事訴訟法の手続をとらなくともいいのじやないのですか。麻薬取締官としてはやはり一々手続をとらないと、麻薬取締官も本当の犯罪捜査ができませんか、そんなことはないでしよう。
○政府委員(高田正巳君) 視察内偵をいたしております段階におきましては、これは刑事訴訟法より外の問題でございまして、一々どうこうということはございませんが、その結果それを検挙するとか何とかいうことになりますると、現行犯ならばその場でできますけれども、さようでない場合、或いは家宅捜査する場合、或いは本人を勾引する場合、それは一々刑事訴訟法の手続を必要といたします。従いましてそれぞれの手続を履んで只今もやつておるわけであります。これは一般の警察官も麻薬取締官も同様でございます。
○委員長(上條愛一君) 本日の本案に対する質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(上條愛一君) 速記を始めて。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十六分散会