厚生委員会 第18号
- 発言数
- 69 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/03/25
会議録
○委員長(上條愛一君) それでは只今から委員会を開会いたします。 先ず未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。 私からちよつと御質問いたしますが、未帰還者留守家族等援護法の第十八条に規定いたしておりまする、自己の責に帰することのできない事由により負傷し、又は疾病にかかり、帰還後療養の給付を受けている者の現在の人数、それから病名、入院関係等の実態について御説明をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(田辺繁雄君) 現在未帰還者留守家族等援護法によつて療養を受けておりまする患者の状況を御説明申上げます。昭和二十八年十月一日現在の調べで、患者総数は四千七百九十三名でございます。そのうちで、昭和二十九年十二月二十八日で期限の満了いたしまする現在の患者は四千二百三十名、総体の数字の八八・二五%に相成つております。この四千二百三十名の患者数のうちで病類別に分類いたしますと、肺結核その他結核性疾患が約九〇%でございます。精神病が六・三六%でございます。その他が外部疾患その他の疾病でございます。これの大部分が入院患者でございまして、約七〇%以上が現在入院後治療をいたしておるわけであります。 それを更に発病地別に分類いたしますと、内地発病が約二八%でございまして、残りは支那、満洲、ソ連、南方等でございます。この中には戦争中に罹病した者、及び終戦後外地において抑留中に発病した者を含んでおります。 この患者は昭和二十三年の十二月二十九日から復員患者に対する療養が開始せられたのでありまして、最初は療養期間が二年でありましたものが、その後三年に延長せられ、二十六年の十二月二十八日に期限満了、直ちに更に三年間延長せられまして今日に至つておるわけであります。従つて今年の十二月二十八日で六年間の期間満了する者が四千二百二十名であるが、従つて大部分の者は今年の十二月二十八日で期間が満了するということになつております。
○委員長(上條愛一君) 次にお伺いしたいのは、十二月の二十八日で期間が満了するわけで、その満了する予定の者が四千二百三十名あるということでありますが、そうした期間満了した後のこれらの患者に対する処置というものは、どのような処置をとられるお考えか。それからもう一つは、このような多数のなお患者があるのに、今回どうして法律で期間の延長の措置をとらなかつたかという点について御説明を願います。
○政府委員(田辺繁雄君) 現在の留守家族等援護法の復員患者に対する療養の制度は、実は一般公務員における災害補償の一種として療養するという制度と歩調を合わせまして設けられた制度であると存じております。一般公務員の場合におきましては、公務上疾病に罹つた者については三年間国が療養してやるという制度がございます。後負患者の場合におきましても、未復員期間中に公務その他自己の責に帰すべからざる事由によつて病気に罹つた場合には、一般公務員の公務上の病気と同じように扱うべきであるということでこういう制度が設けられたのでございますが、二年間の期限が満了する際に実情に即するようにということで、国会の立法によつて修正に相成りまして、三年間更に延長せられたわけでございます。私どもといたしましては、今年の十二月の二十八日に期限満了するあとどうするかという問題につきまして、いろいろ検討して考えてはおつたのでございますが、他の制度、国家公務員の一般公務災害補償というようないろいろの他の制度との関連もございまするので、これを全部の患者について六年間以上期限延長をすることが適当であるか、或いは軍人の場合に限定することが適当か、或いは軍人の場合であつても入院治療を必要とする者だけに限定することが適当か、或いは通院することができるまで入れることか適当かという問題について研究いたしておつたのでございます。そういたしますると、こういう形で、留守家族援護法のような形でやるのが適当か、或いは他の別の制度を考えることが適当なのか、ここにも問題がございまするので、いろいろ検討は重ねておつたのでございまするが、結論が出ませんままに実は国会に他の改正案だけを出しまして、これは取りやめたような次第でございますが、今まで検討は重ねてはおつたのでございまするが、何とかこれをしなければならんという考えを以ちまして検討は続けており、又今後も十分検討をいたしまして、今後少くとも入院治療を要する復員患者につきましては、適当な措置をとりたい、かように考えておる次第でございます。
○委員長(上條愛一君) 若し満期終了して、今年の十二月二十八日に療養給付を打切つてしまつた場合、これらの人々はどうせ生活窮乏をしておる人々でありますから、これは生活保護法か或いはその他の方法で救済するより途がないと思いますが、当局としてはそのような方法で満期終了した諸君の療養というものが完全に行われるというお見込かどうか、その点についてお伺いしたい。
○政府委員(田辺繁雄君) お話の通り、この制度が打切られるということに仮になりますれば、恐らくは殆んど全部の患者について生活保護法による医療の保護を加えなければならんことになるだろうと思います。ただ考えなければなりません点は、これらの方々は国家の要請によつて動員せられ、そのために疾病にかかつた方々でございまするので、国家の責任として国が治療をしてやるということが望ましいのでございます。実は外部疾患の患者につきましては長期間保養をするという制度が戦傷病者援護法で設けられております。内疾患の患者につきましても外疾患の場合と同様、未復員期間中に受けた疾病につきまして、相当長期間に亘つて国が収容保護を加える必要のある者につきましては、名前は療養と申しましても、それと同じような実質のものでございまするので、国の責任において保養収容し、保護療養をしてやるということが必要である、こういうふうに考えておりますが、ただ立法の形式が留守家族援護法という形でやることが適当かどうかという点について議論がございますので、もう少し検討を加えた上でいい考えがあればやつてみたい、こういう考えでおつたわけであります。私どももこれを全部生活保護法に任せてしまうことが適当であるとは少しも実は考えておらないのでありまして、何かこれの期間の延長か何か、もつとできれば、いい制度があれば考えてみたい、こういうふうに考えております。
○委員長(上條愛一君) もう一点だけお伺いしたいのですが、若し更に期間を一年間延長するとすれば、どのくらいな一体経費が必要か。その点おわかりになつておりましたら御説明願いたいと思います。
○政府委員(田辺繁雄君) 従来の実績によりますと、入院患者につきましては一月に約九千円必要でございます。
○委員長(上條愛一君) 総額でどのくらいになるかわかりませんか。
○政府委員(田辺繁雄君) 一年間で約四億乃至五億の経費が必要と考えております。
○委員長(上條愛一君) もう一点だけお伺いしたいですが、今次長の御説明によるというと、満期になつて後の療養については、全部生活保護法その他でやるということでなしに、別個に政府の責任においてこれらの特殊の事情にある、国家の犠牲となつた人々であるから、別個のいい方法があれば考えたいというお話でありますが、当局において何かそういうプログラムなり方法をお考えになつておられるかどうか。お考えになつておられるならば、そういうことについて簡単に御説明願いたいと思います。
○政府委員(田辺繁雄君) これはまだ研究中でございまして、結論を得ておるわけではございませんが、形式が留守家族援護法の中でやるか、或いは他のいい形式があるかということでございまして、実質といたしましては、期間を延長した場合と同じことになるわけでございますが、ただ形式的な方法を戦傷病者援護法に現在あります保養という形式が適当であるのか、或いはこういう留守家族援護法という形式でやるのが適当であるのかという点でございまして、実質において国が一般公務員の場合より一層手厚く処遇しなければならんという点については、同じように考えております。
○委員長(上條愛一君) それじやもう一つお伺いしておきますが、そうすると今年の十二月二十八日までは予算があるわけだと思いますが、打切られた場合の後における名目とか方法とかいうようなことは別問題として、打切られた後においてもこれらの人々の療養についての予算は取れるのかどうか、その点について……。
○政府委員(田辺繁雄君) 予算は二十九年度については一年分の経費を計上してございます。
○藤原道子君 たしかこの問題については、前回改正のときには、三年で全部の患者がなおるかという質問に対して、一応三年としている、若しなおらなくても、そのときは又そのときの方法として、一応三年間と限つて、なおらない場合には国家の大きな犠牲者なんであるから、なおるまでは何らかの方法で見なければならんと思うというように暗に再びこれを延長するようなことを当委員会ではお答えになつたと思うのです。この際期限が切れるのをこのままにして、この改正で見逃しておいて、何やらうやむやに過ごしておるということは私困ると思うのです。生活保護法と言つても、今生活保護法の適用は非常にきびしくなつている。これは本当に温い思いやりのある保護法改正をしなければならないと思いますので、この際改正をするには一気にやはり療養期間の延長を、この法改正の中に明確に打出すべきである、私はそれを主張するのです。それに対して困難な理由ですね。今あなたのおつしやつたように、全部やるのはどうかというような意見、或いは又入院患者だけと言われるけれども、この人たちは特別な立場にあると思いますので、そういう僅かなところで私はむごい扱いはしたくないと思うのです。今まで親心を持つて六年やつて来たのです。だから今後も引続いて絶対に法の改正を以てこれを打立てるべきだと思いますが、なお一応改めて伺いたい、委員長からも御質問があつたけれども強くそれを……。
○政府委員(田辺繁雄君) 御尤もでございます。ただ制度といたしましてやります場合に、いろいろの他の制度との関連もありますので、全部について見るのが適当であるか、或いは若干制限を設けるのが適当であるかという点については議論があるところだと思います。他の制度との均衡から言つて当然必要であると思われますのは、入院治療を必要とす方につきましては、これは内疾患の患者でありますので当然入院治療という形式をとらざるを得ない。ところが外疾患の患者につきましては保養所の制度がありまして、保養所で国が面倒を見るということがあるのであります。従つてそれとの均衡から見ますなら内疾患の患者についてはそれと同じような制度にいたして、もつとも長く治療をしてやるという制度があつていいのじやないかと考えております。ただ、現在適用しております中に軍人以外の方も若干あります。少数でございますがあります。それから極めて軽症の方もございます。こういう方々につきましては先ほど申上げましたように、いわゆる保養という制度との均衡という点から言えば、若干はみ出しておるわけでございますが、こういつた方々にまで長い治療を必要とするかという点については考えてみる必要があるのではないか、そういうことを申上げたのでありますが、まだ結論が出ておるわけではありません。
○藤原道子君 そうすると内疾患の患者の療養期間の延長ということは、法改正か何かでやろうというお考えを持つておいでになるのですか。
○政府委員(田辺繁雄君) これは何とかしてこういつた療養の法制度を続ける必要があるということは私考えております。ただ、形式を留守家族援護法という形式でやるのがいいのか、或いは他に何かいい方法がありますればその制度でやるのがいいのかということは、これは理窟を申しますといろいろあるわけであります。と申しますのは、これは実は公務員災害補償法という一般公務員が公務上病気にかかつた場合においては、三年間国が治療してやるという制度があるわけであります。それと歩調を合せまして実は未復員者給与法の中にそういう制度が設けられたわけです。未復員者給与法が改正になりまして、留守家族援護法に切換りました際にその中に入れたわけであります。ただ現在のように長期療養になりますと、果して一般国家公務員と歩調を合したような制度がやるのがいいのか、もつと手厚くやる制度がいいのかということは、これは研究を要すると思います。これは実質的には余り関係がないということでありますが、要は国の責任において治療を継続してやるという制度でございますので、そういうことを我々いろいろ議論しておつて結論が出なかつたので、今度の改正に間に合わなかつたのでありまして、少くとも軍人であつて入院治療を必要とする方については、期間を延長し、治療を加えてやる必要というものは十分考えております。
○藤原道子君 他の方法というと、例えばお伺いしたのですが、いろいろ今日まで御研究なさつた他の方法、この法案で守るのが正しいか、それとも他の方法でという、その他の方法にはどういうものがございますか。
○政府委員(田辺繁雄君) 例えば戦傷病者援護法の中の保養所という制度をもう少し拡張して内疾患も見るというようなことも考えられます。併しこれもなかなか面倒なことでございまして、簡単には参りませんので、もう少し考えて見ようということでございますので、なかなか他の制度と申しましてもいい案がございませんので、結論が出ないまま今日に至つておるような状態でございます。
○藤原道子君 この前の委員会では、少くとも国の責任においてなおるまで見るということを言われていたのです。特にこの際軍人と軍人でない者と分けなければならない理由はどういうことですか。両方とも国の責任でこうなつたと思うのです。
○政府委員(田辺繁雄君) 一般の人についてはどういう人かと言いますというと、いわゆる特別末帰還者という形でございます。外地で抑留されておる間に病気にかかつた方々でございますので、こういう方々の問題につきましては戦傷病者戦没者遺族援護法の場合におきましては、御承知のように軍人とそうでない人と一応分けておりまして、軍人でない方については年金等の支給がなされておらないのでございます。戦傷病者援護法の系統の考え方を強く持つて参ります際には、軍人の方以外の人は一応除外される形になるわけでございます。その辺のところがいろいろ議論があるところでございまして、実質が国が一生面倒を見るという根拠が、国家が動員し国家の命令によつて公務に服したという方々と一般である方々との間において多少の違いがあつて然るべきではないか、かような考え方を持つておるわけでございます。ただ、それも形式が関係して参りますと、なかなかむずかしい議論になつて参りますが、数は僅かでございますが、他の制度との関係においてバランスをとる必要がある、他の制度とのバランスから言えば、軍人で入院治療を必要とする方に限定するということの考え方が強く出て来るわけでございます。大部分が入院治療を要する方でございます。家で療養しておる方は或いは御遠慮か願つていいのではないかというような考え方も出て来るわけであります。この点はもう少し研究を要する、こう考えております。
○藤原道子君 軍人と民間人との比率を伺いたい。 それからいま一つは、特殊の問題であるから、他の制度に入れないで別個のこういう制度があると思うのです。ですからこの際それを問題にするのはおかしいので、そういう人を見てやるためにこういう制度ができておると私は思つているのです。間違つたら又御説明を願いたいのですが、そういう考えで私は今日までこれに対して来ておりますので、他のほうとのバランスがとれないからこの際云々ということでなくて、だからこそこの制度が必要がある、私はそう思います。
○政府委員(田辺繁雄君) 患者数は総体で九十二名でございます。そのうちに本年十二月二十八日に期限満了の方が十四名であります。 それから他の制度がないからこういう制度を設けられたというのでございますが、実は先ほども申上げましたように、この制度の出発が未復員者という公務員に準ずる身分を持つた方々が公務期間中に疾病にかかつた場合に、国が面倒を見てやるという制度でございます。これは公務員の災害補償法と歩調を合せた制度であるということを先ほど申上げたわけでございます。これが三年が更に六年になり、六年が更に延長されるということになりますというと、一般公務員と歩調を合せたようなそういう制度でやるということが適当なのか、或いは他に別個のもつと長く面倒を見てやる制度にしてやることが適当かということを申上げたのでございまして、形式の問題ではございますが、もつといい方法があれば、そういつた長く面倒を見てやるという制度にしたほうがいいのではないかということを一応考えまして研究しているということを申上げたのでございます。他に制度がなかつたからこういう制度を設けたと申しますか、これは一般の公務員の場合においては、公務のために病気になつた場合には国が三年治療をしてやるという制度があるのでございます。未復員者の場合もやはり未復員期間中は一種の公務でございます。その場合に病気になつた場合に、一般公務員並みに面倒を見てやろうというのがこの制度の出発点であつたわけであります。ただ、軍人の場合には一般公務員以上に面倒を見てやる必要があるのではないかというので、実質においては全く御意見の通りに考えておりますが、形式につきましてはお話の通りこういう方法でやることも一つの方法であろうと思いますが、或いは他に方法があるかも知れませんので、そこを研究しておつた、こういうことでございます。
○藤原道子君 それでは一般人の中で九十二名中十四名期間満了、軍人は期間満了の人はどのくらいあるのですか。
○政府委員(田辺繁雄君) 軍人と一般邦人と合せまして、今年の十二月二十八日期限満了するものが四千二百三十名でございます。そのうち十四名が一般人であるということになります。
○藤原道子君 わかりました。最近特に軍人と民間人の区別とかなんとかいうことがやかましく言われ出した。こういうことは面白くない。問題はこの際、この前にはそういうことなしに、とにかく期間が来ましても、国の責任において最後まで面倒を見るのだという意思に変りがないということをはつきり言つておることと私は思うのです。これから調べてみなければわかりませんけれども、私の記憶ではそうです。今年の四千二百三十名の中で僅かに期間満了の者は十四名ということでは、これを特別にどうこうする必要はないと思います。分けなければならない理由は薄弱だと私は思います。それから更にほかにいい方法があればとおつしやるけれども、あなたのように頭脳明哲な方が長い間研究されてもいい方法が出なかつたのでしよう。じやないのでしようか。一時ごまかされるのは私たち困るのです。本当のところを言つて下さい。
○政府委員(田辺繁雄君) 実はごまかすという気持はないのでございまして、我々もこの方々を何とかしてあげなければならんという気持においては一番痛切に考えております。ただいろいろの事情がございまして……。
○藤原道子君 そのいろいろの事情を聞かして下さい。
○政府委員(田辺繁雄君) 法律というものを改正する場合には、制度その他について議論がいろいろ政府部内ではやかましいのでございまして、これは実は先般当委員会の専門員の方々、その他法制局の方にも御検討を願つたわけでありまして、やはり法律の制度になりますと、いろいろ議論がございまして、他の制度との関係でこういう形がいいかどうかということになると、なかなか議論の多いところでございます。結論が出なかつたために、今回の改正案に間に合わなかつた、まあこういうことになるわけでございます。併し今後の問題もございまして、お話の通り、国としてこういう方々の要望を容れてあげなければならんということについては、お話の通りでございますので、今後何とかして善処いたしまして、こういう方々の治療を続けるように努力をしたいと思います。
○藤原道子君 私が特にここをやかましく申上げますのは、今適用されておる人の問題もさることながら、現在のようにビキニ島あたりでも、危険区域外で働いておる場合でも怪我をする場合がある。或いは国内にいても灰が降つて来て怪我するかもわからないので、そういうようなことになつたときのこと等もありますので、特に今の時代には軍人であるか軍人でないかということで、そう危険の度において差別がないのです。そういう意味からそれも多数のものなら困る。今の内閣の立場から行けば別に何とかしたいかもわからないけれども、四千何人の中でたつた十四人の問題ですよ。そんなけちな問題じやなくて、もつと大きな問題の前に立つて頂きたいと思うのであります。
○湯山勇君 今の御説明でなお納得のできない点がありますので、お聞きしたいと思います。法的に一般公務員とのバランスの関係とおつしやいますのは、第十八条第一項ですね。この問題だと思うのです。ところが第二項を設置したことがすでにそのバランスを破つておるわけなんであつて、で、すでに現行法自体が現在の他の公務員とのバランスというものを破つた法律である、こういうことになつております。そこで第三項を設置したときに三年間という期間を限つたという理由はどこにあるのですか。三年間というものの理論的根拠、これはどこにあつたかお伺いしたいと思います。
○政府委員(田辺繁雄君) 御承知の通り復員患者に関する療養の制度は当参議院の厚生委員会において決定されまして、作られた制度でございます。この期間延長の三年というのは、たしかやはり国会において修正になりまして二年間延長せられたことと承知いたしております。
○湯山勇君 それの理論的な根拠というのはないわけでございますか、次長お考えになられて……。
○政府委員(田辺繁雄君) その当時の事情を詳しく存じませんが、まあ一応三年間ぐらい延長しておこうじやないかということでおやりになつたのじやないかと想像しております。
○湯山勇君 私もそうだろうと思つておりましたが、そうすると、第三項に格別の理由がなければ、三年間が当分の間となつたとしても、必要な期間ということになつたにしても、或いは十年間となつたにしても、別にそうなつた期間について理論的にそれは不都合だということは言えないと思いますが、どうでございますか。
○政府委員(田辺繁雄君) まあ三年間延長したことによつて一般公務員以上に優遇したことに一応なると思います。ただ災害補償の場合におきましては、当時三年間の延長をなす際にも、私ども考えたのでございますが、三年間治療してなおらない場合においては、何か打切補償するという制度が一般公務員にはあるようでございます。未復員者の場合にそういうようなことをやりましても、結局上げたお金はすぐ使つてしまうし、又治療を現実に必要とするということになれば又生活にかかつて行くということになりますので、結局同じことになりますので、まあ三年間延長して治療して上げるというほうがむしろ親切なやり方じやないか、こういうように一応考えたわけです。三年間の期間を過ぎてしまいますと、そのときには……。取りあえず三年間というえとでやるのですが、永久にやるとか或いは期間をきめずにやるということになりますと別の形式のほうが、何かいい制度があれば、単行法があれば別の方法でやることも一つの考え方ではないかという議論も出て来ておるわけであります。若しなければ何かこういうものを延長してやるということが結果においては同じことになるのじやないか。結局同じでございますので、ただ形式的にどうかという議論をしておるわけでありますけれども、いろいろの議論がありまして、今回の改正には間に合わなかつたという実情であります。
○湯山勇君 それで今お話しのように、別の制度があればという御検討をなさつたことも、立場上よくわかりますけれども、併し別の制度も現行のこの制度もやはり制度としては独立した同じ価値のものです。だから他のところのいずれかの制度によつてこのことが拘束されることよりも、その法律を審議する場合には、すでにこのある制度自体を検討することが先ず第一段階じやないかと思うのです。そういたしますと、さつきのお話のように第十八条の第三項というものは取りあえず親切なつもりで優遇するというので三年にした。その三年が一年になつたにしても、やはり親切に優遇したという名目は立ちます。趣旨は通るわけです。二年であつても同じです。三年でも、仮に五年になつても、十年になつても、これは今次長がおつしやつたような趣旨は少しも変らないということになれば、私は他の制度もそれほどむずかしく御検討なさらなくても、もつと簡単に、もうすでにここに一つの独立したこの法律が全部御破算になつて他へ吸収されるのなら、そういうことは申上げることはできないわけでありますけれども、この法律が現存しておる以上、この三年という数だけ変更すれば何ら摩擦は起らない。これが一番迷わないですつきりできる。そういう検討をされるのが私はいいんじやないかと思うのですが如何でしようか。
○政府委員(田辺繁雄君) それも実に有力な御意見であると思います。
○湯山勇君 御肯定頂きましたので、次に私はお尋ねいたしますが、そうなつた場合に予算措置はすでに二十九年度においては変更しなくてもできるように取れておるというように先ほど御答弁があつたやに聞きましたが、間違いないのでございますか。
○政府委員(田辺繁雄君) 先ほどお答えした通りでございます。
○湯山勇君 間違いございませんか。
○政府委員(田辺繁雄君) はあ。
○湯山勇君 それはどうしてそういうことになつたのでございますか。
○政府委員(田辺繁雄君) これは予算に計上して要求してそのまま認められたわけでございます。
○湯山勇君 と申しますのはですね。お気持はよくわかりましたが、やはりそういう、これはこのままで打切られるということは不当であるということを恐らく大蔵当局は認めて何にも言わないで出されたのだろうと、こういうふうにまあ判断しておるのです。そうすると、もう法律だけ変えれば、何らほかに変更しないでもこのことは実施できる。而も法律を変えるということは、ただ年数のところをちよつと変えさえすればいいことである、こういうことになるわけでございましようか。
○政府委員(田辺繁雄君) 国会の御審議でそういう結論になれば、それでできないことはないと思います。
○湯山勇君 有難うございました。
○有馬英二君 只今配付を受けましたこの別紙第一という患者数の調査表ですね。これを拝見しますと、二十九年十二月二十八日期間満了患者病類表というのを見ますと、その中で、病類別ですが、一番多いのはどうも肺結核である。このパーセントを見ましても、大体九〇%が結核で、そのうち八一・六八%が肺結核になつておるのですが、これはよほど重症患者が多いのですか。或いはどういうのでしようか。その程度はわかりませんか。
○政府委員(田辺繁雄君) どの程度の病状であるかについての詳細な資料はございませんが、併しこの方々はいずれも昭和二十三年十二月以降ずつと今日まで治療しておられた方々でございますので、まあ簡単に治癒できない方たちであると考えられます。
○有馬英二君 ここで今年の十二月二十八日期間満了と書いてありますが、そうすると療養期間がここでなくなつてしまつて、これから後更に延長されるのですか、或いは一時帰されるか、或いは外に出されてしまうということになりますか。
○政府委員(田辺繁雄君) 先ほどからその点につきまして御説明申上げたのでございますが、若しこのままに期限が満了すれば、生活保護法の治療を受けるということに大部分の方はなるだろうと思いますが、併し先ほど申上げました通り、これらの方々は特殊な状態の下に疾病に罹られたかたたちでありますので、国としても一般の生活保護法以上に手厚く面倒を見てあげる必要があるのじやないか、こう考えまして、期間満了後の措置につきましては、我々としても従来検討いたして参りましたし、今後も検討を加えまして、何とか国家として特別の処置ができるようにいたしたいとこう考えます。
○有馬英二君 この三つある表のうち、二十九年十二月二十九日現在とあつて、括孤して予定とありますが、そうするとその前の表が二十八年十二月二十八日、この二十八日と二十九日、一日の差になる。そこでその表の肺結核の入院数というのが、どうも印刷が甚だ不鮮明でよくわからないのですが、二百九十五名でありますが……、二千とは読めないのですが計のところが四百十八になつておりますから、二百九十五名じやないかと思うのでありますが、若しそうだとすると前の入院二千二百十一、これとの差が非常に大きい。つまり千九百名ばかりの数が退院してしまつたということになつておりますが、それは今お話のように、この法律の範囲内においては、これで収容はできないが、これからあとは今の保護法によるというようなことからここはいなくなつてしまつたということでこういう計数になつているのでございますか。御説明を願います。
○政府委員(田辺繁雄君) この二十九年十三月二十八日期限満了数というのは、その日において六年間の期限が満了する人という意味でございます。それからその次が二十九年十二月二十九日現在患者数というのは、期限満了に至らない人という意味でございます。これは重複いたしておりません。
○有馬英二君 わかりました。
○委員長(上條愛一君) ちよつと速記をやめて下さい。 午前十一時三十七分速記中止 —————・————— 午前十一時五十七分速記開始
○委員長(上條愛一君) 速記を始めて下さい。 一時休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩 —————・————— 午後二時五十八分開会
○委員長(上條愛一君) それでは委員会を再開いたします。 ほかに御発言がないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。それではこれから討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
○藤原道子君 私はこの際修正の動議を提出いたします。その修正の案文を朗読いたします。 未帰還者留守家族援護法の一部を改正する法律案に対する修正案。 未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 第十八条の改正規定を次のように改める。 第十八条第一項中「第十六条第一項」を「前条第一項」に、同条第三項中「三年間」を「四年間」に改める。 附則に次の一項を加える改正規定を次のように改める。 附則に次の三項を加える。 (沖繩地域に関する特例) 40 硫黄島若しくは伊平屋島又は北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)に住所又は居住を有する者その他政令で定める者については、留守家族手当の支給の始期及び支給方法並びに療養の給付を受けることができる期間に関し、政令で、必要な特例を定めることができる。(療養給付期間の延長) 41 厚生大臣は、附則第二十二項の規定により療養の給付を受けている者が、同項但書に規定する期間を経過する日において、なお、引き続き療養を要する場合においては、その期間の経過後においても、さらに一年間、その者の申請により、必要な療養の給付を行うことができる。 42 第十八条第二項の規定は、前項の場合に準用する。 以上でございます。
○湯山勇君 私は只今の藤原委員の修正の動議に賛成をいたします。
○委員長(上條愛一君) それでは只今の藤原委員提出の動議は成立いたしました。よつて藤原委員提出の修正案を含めて修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。
○大谷瑩潤君 私はこの際希望意見を申上げたいと存じます。この療養給付の問題に対しまして一年間延長されましたその間に、今日より以上のよき法案を作成して頂きまして、患者が安心して療養のできるように改正の機会を持つことを希望を述べて今の修正案に賛成を申上げます。
○委員長(上條愛一君) 他に御発言はございませんか。……別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決いたします。末帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案について、先ず討論中にありました藤原委員提出の修正案を議題といたします。本修正案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上條愛一君) 全会一致でございます。よつて藤原委員提出の修正案は可決せられました。 次に、只今採決されました藤原委員提出の修正にかかる部分を除いて、内閣提出の本法案全部を問題に供します。修正の部分を除いた内閣提出案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上條愛一君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て修正議決すべきものと決定いたしました。 それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。 〔多数意見者署名〕 大谷 瑩潤 常岡 一郎 藤原 道子 高野 一夫 中山 壽彦 西岡 ハル 横山 フク 廣瀬 久忠 湯山 勇 有馬 英二
○委員長(上條愛一君) 署名漏れはございませんか。……署名漏れはないと認めます。 なお、本会議における委員長の口頭報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なと」し呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。 以上を以て散会いたします。 午後三時七分散会