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19回国会参議院1954/03/18

厚生委員会 第15号

発言数
127
登壇者
12
会派数
3
開催日
1954/03/18

会議録

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 只今から厚生委員会を開会いたします。  審議の順序を変更いたしまして医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。

谷口弥三郎自由党

○谷口弥三郎君 先ず一、二お尋ねをいたしますが、現在一般病院の病床数並びに診療所における病床数はどのくらいありますか。

曾田長宗厚生省医務局長

○政府委員(曾田長宗君) 只今手許に持つております資料によりますと、昭和二十八年九月三十日現在といたしまして病院の病床総数は三十九万七千四十二ということになつております。若しお尋ねがございますれば、更にその内訳も申上げてもよろしいのでありますが、それに対しまして診療所の病床総数は昭和二十八年七月三十一日の調べでございますが九万四千ということになつております。

谷口弥三郎自由党

○谷口弥三郎君 九万四千と申しますと約三〇%ですか。

曾田長宗厚生省医務局長

○政府委員(曾田長宗君) 一対四の割合になつております。四十万に対して十万足らずです。

谷口弥三郎自由党

○谷口弥三郎君 この診療所における」九万ほどの病床があるのを、これを完全に利用させる上から言うて、どうも四十八時間という制限は面白くないというようなふうに感ずるのですが、それに対してどういうふうにお考えですか。

曾田長宗厚生省医務局長

○政府委員(曾田長宗君) 現在におきましては、御承知のようにこの九万四千の病床の使用について何ら制限は加えられてない状況であります。これがどの程度に利用されておるかということの問題なのでありますが、この正確な数字もちよつとつかみにくいのでありますが、推定いたしますというと、大体四五%の利用率というように私どもは推定をいたしております。これは病院の病床で見ますと、これは昭和二十七年の年間を通じての平均でございますが、それによれば、全体を通じて七五%ということになつております。これは二十七年の平均でございますので、この診療所について推計いたしました、即ち二十八年の七月でございますか、この頃に直すと申しますか、引ば延してみますと、この七五%よりも一般病院はもう少しよくなつているのじやないか。でありますから病院の病床に比べまして、特別に制限は今のところ加えておらんのでありますけれども、この診療所の病床の利用率というものは、病院の病床よりははるかに利用の度合いが少くなつているというような状況でございます。

谷口弥三郎自由党

○谷口弥三郎君 只今のお話のように、診療所における病床の利用率が少いということは、取りも直さず四十八時間を超えてはならない。これはいわゆる修身規定くらいのようであります、罰則もなければ……でありますから良識のある而もまじめなおとなしい医者になりますというと、入院させる場合に四、五日この病気はかかるというような場合は、これは四十八時間という規定があるから、初めから五日も六日も入院させなければならんことがわかつているようなのは入れんほうが、どうも都合がよかろうというようなことを心配して、入れんものがかなりいるんじやないかと思われますので、四十八時間という時間の制限だけは、これは除けてしまつたほうが、これは実は三年ほど前も、その前のときも、どうしてもこの時間の制限だけは取除いてもらいたいということをしきりと医師会のほうでは言つておりましたが、進駐軍のほうではやはり診療所は一時的に処置するもののみを入れて入院じやないのだからということで、強硬に反対して時間の制限ということは今まで残つているのですが、これはいつそのこと四十八時間というものを取つてしまつたほうが、折角ある診療所の病床も十分利用できると思いますが、如何でございましようか。

曾田長宗厚生省医務局長

○政府委員(曾田長宗君) 私どもこの診療所に設けられました病床というものにつきましては、将来の病院及び診療所のあり方というようなものを考えて参りますると、積極的に診療所の病床というものの増加を奨励したいという考え方は実は持つておりません。ただ病院のない所というような止むを得ないものというふうに考えておるのであります。でありますから、この病床を、先ほども申し上げましたように、昨年九万四千ございました病床というものを、如何にもつとたくさん利用させるように考えて行くかということにつきましては、ただ単にこの率を上げるというようなことだけでは私ども必ずしも正しい進み方じやないのではないかというような根本的な考え方を持つておりまして、ただ、今のように、今日におきましては病院の病床といつても、必ずしも十分でなし、数も足りず、又分布も適正とは言えませんので、それを補うような意味で、この診療所に設けられた病床というものも当分の間はこれを使つて行かなければならん。併しだんだんと当直医もいないような診療所、或いはその設備も不十分であります診療所というような所に患者を長く置くのでなしに、相当な長期間を要しますものは、これは成るたけ病院のほうに収容して、十分な手当をいたしたいというふうに考えておるのでございます。そういうような意味で、この建前といたしましては、やはり緊急治療を行なつて、そうして他のよりいい設備というものの整つている病院に収容するまでの期間というものを止むを得ない期間として、それを過ぎますれば、成るべく立派な病院に収容して処置することが望ましいのだという、やはり望ましいのだということをここに謳います以上は、やはり四十八時間ぐらいなところを載せさせて頂きたい。これがだから私前回も申上げましたように、もつと矩かくして二十四時間でいいじやないか、或いは三日まで延ばしていいじやないかという議論は成り立つかと思いますけれども、私どもとしましては大体の見当として四十八時間というものをここに謳わして頂くことは私どもとしては望ましいことと考えておる次第であります。

谷口弥三郎自由党

○谷口弥三郎君 まあそれで四十八時間問題はそれとしまして、ここに書いてございます診療上やむを得ない事情がある場合」というのは、どういう場合をお指しになつておるのでしようか。或いはこの前の三年前にきめたときの案を、やはりそのまま応用することができるような気持でございましようか。そこを一つはつきりして頂きたい。

曾田長宗厚生省医務局長

○政府委員(曾田長宗君) この前の解釈と大体同じような考えと思うのであります。もう一遍言わして頂きますれば、結局緊急措置を必要とする場合、或いはその近隣により完備した病院がない場合といつたような場合が、止むを得ない場合であると思います。

谷口弥三郎自由党

○谷口弥三郎君 この前三年ほど前参議院におきまして言いましたのは、三つの条項を挙げておるのであります。その第一は、地方的に附近に病院のない場合、第二には病状が重くして輸送の困難な場合、第三には患者又はその家族が是非その診療所において手術又は治療を受けたいと希望する場合という三つを挙げてそのときにおきめを願つたのであります。今おつしやられたのは、第三の場合がないようでございましたが、これは無論それも一緒に認めておられるのでしようか、その点をはつきりして下さい。

曾田長宗厚生省医務局長

○政府委員(曾田長宗君) その診療に当ります医師に対して、患者或いは家族が特別な信頼感を持つて強く要望されたというような場合かと思いますが、広く解釈いたしますと多少疑義があるかと思いますけれども、さような場合にはやはり止むを得ないと考えてよろしいのではないかと思います。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) それでは本案の質疑は本日はこの程度にいたしまして、あとは次回に廻したいと思いまするが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。   —————————————

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 次に、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑を願います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 私は前回欠席しておりましたので、或いは御質疑があつたかと思いますが、あの予算が余りに過少であるのに、こういう法律を改正して、果して目的が達せられるのですか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 予算は前回申上げましたように千九百十万円ばかりでございます。でこれは各府県に平均をいたしますというと、大体四、五十万円ということでございますので、御指摘のように極めて少い額でございますが、併し何と申しましても、更生医療というものは非常に新らしい援護方法でございまして、傷痍軍人に対しまして、まだ二年目をやつておる程度でございますから、一般の身体障害者にこういう途が開かれたというだけでも、私どもは相当の喜びは持つているわけでございますし、それからなお一般身体障害者も非常に期待をいたしておりますので、御心配の点はありますけれども、先ず一つ道を開いてやつてみたら相当効果があるのではなかろうかと考えております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 各県四、五十万円でどの程度のことができるのでしようか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 大体まあいろいろこの更生医療の対象になります障害がいろいろございますけれども、まあやつぱり四、五十人くらいはできるつもりでおります。一人一万円から一万五千円ぐらいを平均見ております、治療費といたしまして……。大体やはり四、五十人はできるのじやないかというふうに考えております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 これは努力されたけれども予算が取れなかつたのですか。最初はどのくらい要求されて、そうして査定が今のようになつたのですか、どのくらい要求されたのです。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 大体一億ぐらい要求いたしました。(笑声)なお、これは初めてでございますので、このお医者さんのほうも、専門のお医者さんの方も少うございまして、だんだんこういうものの認識が深まつて行きますれば、お医者さんのほうも熱心になつて頂けますし、身体障害者もそういう事実を知つて参ります。そういたしますとだんだん予算も入つて来るだろうというような考え方でおりますので、是非一つ本年度はその程度からでも始めて行かして頂きたいと思つております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 これはこの法律で結構でございますが、傷痍軍人のほうでございますけれども、ああいう法律が出ても今なお結局生活ができないほどの補助しかできないために、まだ汽車の中で或いは街頭で募金をしているのですね。朝など汽車に乗つて実につらいのです。ああいう状態がまだ放置されておるのでございますが、それに対しましては局長はあの対策に対してどういうふうに考えておいでですか。聞くところによると、駅その他に今度大々的に禁止されるやの貼札がされておるということでございますが、私はああいう態度はよくないと思つておるのです。けれどもああしなければならないというのでしようか、ああした人たちをこの方面へ行けば、結局食つて行けるぞという極め手がないのですね。で私はこの点非常に遺憾なんです。私たちも厚生委員として汽車の中であの姿にあうたびに身の縮まるような思いがしているのです。安田さんはそういうことに対してどういうふうに考えておられますか。今後どういう方針で行かれるのか、ただ取締るだけでは問題は解決できないと思うのです。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) その話は前回竹中委員からも御指摘がございまして詳しく実はお答え申上げたのでありますが、差し上げてございます資料の三十六、七頁を御覧になりますと、昨年の十一月に全国で一せい調査をいたしたのでございます。それによつて募金者の実態を捕えたいと思つたわけでございますが、御承知のように、この法律とは関係ございませんけれども、軍人恩給の復活によりまして、戦傷病者に対する恩給が下りるようになりまして、兵長ぐらいで特項症でございますと、たしか十九万円近く年に出ますし、それから一項症、二項症というところで、二項症で月額六千円ぐらいになります。まあ大体その辺が仕事をいたしますのに、非常に不便だというところでございますので、暮し方にもよりますけれども、一応それだけの金がありますれば、何とかやつて行けるのじやないかというふうにも考えられるわけです。現在募金をいたしておりますのは、いろいろ会の名前等を書いてございますけれども、結局あれは自分の独立の計算になつておるわけでございまして、自分の収入になるわけなんであります。そこに掲げてあります表を御覧になりますというと、五百四十二名に大体当りまして、拒否したものが百五十五名ということになつております。この百五十五名の拒否したもののうちにはいろいろございましようけれども、或いは国立療養所等におりまして、住所氏名を聞かれるのがいやだという者もございますし、或いはにせ者が中にはあるかも知れません。残りの三百八十七名のうちで軍人であるという者は三百四十一名、軍属という者が二十名、それからその他というのは二十六名、このその他というのは、軍属でも軍人でもないということになりますと、いわゆる白衣の勇士というわけには行がないという人じやないかと思いますが、そういうことで実態を調べますというと収入等につきましても、大体平均して月額一万円以上ありますし、それから貯金等も百万円近い人もございますし、いろいろございます。それで私どもこれは申されるまでもなく、何とかこういう古傷にさわられろようないやな思いをいたします現象をなくしたいということで努力をいたしておりますけれども、従来恩給がないということが一番の大きな原因たろうと思います。それから相模原の療養所に相当まとまつて入つておるのでありますが、あすこを根城にしていろいろ出て来たような事実もございますけれども、これも約半数は、労働省と私どものほうとそれから地元の職業安定所、それから病院と毎月協議会を開きまして、一人ずつの者について当つたわけであります。これは一年近く続けまして、大体半分は片付きました。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 現在どのくらいおります。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 今九十何人残つております。九十何人のうちで、二十何人は医療を必要とするものでありまして、外に出ることができないのでありまして、これは何ともなりませんが、あと七十何名につきましてはまだ更生の余地があるのじやないかと思います。併し、なかなか効果がございません。いろいろの職業斡旋等をいたしますけれども、中には相当金を溜めた人もありますし、生活等につきましても、私どもが斡旋するような職業では気に入らないという人がありますし、その辺がうまく合わないわけであります。それで、最近何とかしなければならんという言葉がほうぼうから強うございますし、傷痍軍人会あたりでもああいうのは傷痍軍人の恥だからやめさせたいというので、しばしば自分たちでも声明を出しておるのであります。私どもも警察関係でありますとか、或いは運輸省あたり、国鉄公社あたりとよりより相談をいたしますのでありますけれども、今のところではあれをつかまえてやめさせるという方法は我々のほうにはないわけなので、唯一の取締りの根拠といたしましたならば、各府県にあります寄附金条例と申しますか、許可なくして寄附を求めちやいかんというそういう条項に当りますが、或いは又国鉄の中の規則で、列車の中でこんな物乞いをしちやいかんという規則でありますとか、或いは道路交通規則で変なところに立つてはいかんというような規定しかないわけであります。それで、まあやはり一般の人はああいう方々対してもいろいろ又お考えはあることでありますし、何と申しましても、とにかく戦争で手足をなくされたりした方は気の毒なことは事実でありますから、それに対して同情することが悪いことだと言つてやめさせるわけに行かない。ただ、ああいう方たちの生活の実態なり、或いは又将来ああいう人たちが立派に更生して行くために妨げになるようなことであれば、そういうふうなことはやめてもらいたいというので、私どもが一般の人にお願いする以外に方法がない。併し、いずれにいたしましても今後こういう身体障害者福祉司が福祉事務所におることでありますし、又労働省でも身体障害者の雇用事務につきましても促進するような措置をとつております。職業安定所とも連絡いたしまして成るべくそういうことのないように努めたいと思います。やはり時期の問題だと思つております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 この前御答弁があつたことを押して質問して非常に御迷惑でございましたが、私がドイツに参りまして、各国、十二カ国ばかり廻つたけれども、ドイツくらい片輪、身体障害者が目立つ国はないのですね。日本の約二十倍くらいだと聞いております。とにかくどこの町に行つても、手のない足のない人が非常に目立つのであります。それで非常に明るい顔をしている、少しも暗い陰がないのです。それはドイツの御承知の強制雇用法というようなもので、それぞれ働く場所を得ているというところにあるのじやないかと思います。だから日本にはその方法がないということで、ここまで来ておりますのは、何かどこか欠けているのじやないか。十九万あれば食つて行けますが、そういう人は汽車に乗つて物乞いもできない人たちじやないでしようか、これはそういう点もあるので、あなたのこれに対する根本的な対策を若しお持ちだつたらば、或いはこうしたらいいのじやないかというようなお考えがあつたら、ちよつとお漏しを願いたいと思います。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 特項症の人は例えば視力がなくなつておりましたならば、もうこれは特項症でございますから、よく新宿で立つておりましたり或いは渋谷で立つている人たちで、目を全部眼帯をやつて見えなくなつておる人がおります。それは特項症であります。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 それは調べてみたのですか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) そういう人は立つているわけです。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 視力が、本当にそういう人の視力がどうかということを調べたことがありますか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 視力を一々突き合したことはございませんが、手がないとか足がないということはわかるか

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 そういうものはわかります。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) それからまあ目なんかをよく見ますと、白い目をしたのがおりますが、そういうのはやはり視力がないのじやないかというふうな、その程度でございます。まああすこに立つている人たちで、この人はどのくらいもらつているかということは、私ども見ればすぐわかるのであります。そこでやはり易きにつくといいますか、やはり新らしい職場に出て、代案始めるということは、なかなかやはり本人がやる気にならないとできないことで、そういう点でいろいろ誘うけれども、なかなか乗つて来ない。それは片方じやそういうふうな生きる道がある、こういうふうなことじやないかど思うのです。あれよりまだひどい人たちが、国立の身体障害者の更生指導所に行つておりまして、努力して職を習つているわけであります。又若しあの人たちが、そういう意思がありますならば、私たちは喜んでそういう所に収容いたします。ただ、そういう話合いが付かないということだけであります。  今の強制雇用なんかの問題も、実は二、三年前からいろいろ考えたことがあつたのですが、結局所管としては労働省の問題だということになりまして、雇用問題でありますから、それで労働省でいろいろお考えになりました結果、まだその時期じやない。それで極力一つそういう人たちを使つて頂くように勧奨する方法を講じて頂く。そこで身体障害者の雇用促進協議会というものを各府県ごとに置き、中央におきましても審議会を置いて、そうして各安定所でそういつた専門の係を作りまして、促進をして行こうというのが現状でございます。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 今度の身体障害者福祉法の一部改正の法律案の最も大きな点は、何と言つても更生医療が加えられたことであります。従来健康保険に親が、どちらの親でもいいのですが、加入しておつた場合、その子供が不具者である、而もそれは手術すればなおり得る。併しそれは従来の健康保険の制度では対象にならないという場合は、この法とは関係ないのですか、どういうことになるのですか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) それは生活保護法でありますとか、或いは各種の医療保険との関係でございますけれども、生活保護法の医療扶助にいたしましても、医療保険にいたしましても、これは対象が疾病ということになつております。従つて症状が固定をいたしまして、こういうようないろいろの機能障害、機能喪失ということが出ておりましても、それが保険の治療の対象にならない、医療扶助の対象にならないという現状でございます。従つてそれはこれとは一応ダブらないというように考えております。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 そこでこの法律を見ますると、まあ国が更生医療の費用或いは補装具ですかの費用を負担して行くということが条文に載つておりますが、そうしてそのあとで又能力に応じて身体障害者及び或いは又その扶養者はその能力に応じて一部の負担をしなければならない。そして県知事或いは町村の長がそれを取立てることができる。こういうことになつているのですが、どういう基準で全額を国が負担して行く人と、それから一部を負担しなければならん人とどうしてきめて行くのですか。その点よくわからないのですが、御答弁願います。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) お答え申上げます。自分で負担できる者は自分で負一担をしてもらいたい。で負担できない者はいい、こういうことなのであります。それでその程度なんですが……。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 それがわからないのです。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) これはいろいろ細かいことを考えているのでありまして、従来でも補装具の交付の場合に同じ問題があつたわけであります。三井や三菱の息子までたたでやるということじやないのでありまして、やはりそういつた補装具を買いましたり、或いは更生医療に金がないという人のために考えたのでありまして、そこで一番基礎は生活保護法の適用を受ける人だけをそれじやこれにかけて、そうじやない人は金を払わすかということなんですが、それじややはりひど過ぎますから、そこで総理府の統計局で行なつております消費者家計調査というのがあります。FIESと言つておりますが、そのうちで国民の平均的な消費水準というものを出すわけであります。その平均的な消費水準と比べてみて、そして医療費がどのくらいかかるかという、その数字とその消費水準というものを比べて或る指数を使つて細かく計算をするというやり方をやつておるのでありますか、若し更に詳しいことが御必要でございましたら更生課長から……。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 それじや今これは常識的に例えば一労働者があると、そしてまあ標準べースをもらつて生活には事欠かない。そして子供か不具者であつて一年間そうした特殊な医療機関に収容させると、そうすると食えない。例えば東京のそういう病院へ入院させることができない。そういうふうな場合か非常に多いと思いますが、大体そうした身体障害者には国が面倒を見る、こういうふうに解釈していいのですか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 具体的に計算してみるとすぐわかるのでございますけれども、まあ生活保護の基準よりが若干高くしておるのでございます。それでそういつた補装具を買つたり更生医療をするために却つて生活ができなくなつたりすることじや困りますし、又そういうふうに金が要ることによつて更生意欲をなくするということでも困りますので、生活保護の基準よりは二、三割くらいは高くなつている。具体的な事例によりまして計算等も違つて参りますので、紬かいことは又後日御説明申上げたいと思います。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 もう一遍安田さんに聞きますが、大体それでは身体障害者には面倒を見て行く、こういうふうに考えていいわけですか。大体において生活保護法よりはちよつと上だというのでなしに……。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 大体生活保護法より少し上なのでございます。それで全部身体障害者なら誰でも無料だというのではなくて、やはり負担できる人には少しでも負担させるほうがいいんじやないかと思つております。その代り相談とか何とかということについては、全部無料でいたしますけれども、実際に医者にかかつた場合にどのくらい負担できますかということで、無理のない程度で一つ負担を願うことにいたしたいと思います。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 余りわからんのですが……(笑声)もう一偏開いておきます。そうしますと、身体障害者で更生医療を受けることによつて生活が非常に困窮するということがない程度に見て行くと、こういうふうに解釈していいのですね。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) その通りでございますけれども、併しその人は生活が高い人と低い人がございますが、少し自分の生活を切りつめてそのくらいのことは出してもいいんじやないかと思う方もあるのでありまして、その辺のところは具体的な数字で細かい数字を使つておりますから……。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 くどいようですけれども、結局片輪の人はそれはなおるものなら、どんなに生活をつめてもなおしたいのが人情なんです。それがなおせないでいる人は、おおむね生活に困る人と見て差支えないわけです。そういうふうな解釈で私は臨んでもらわなければならない、こういうふうに考えるのですがどうですか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 確かにそういうこともあると思いますが、やはり更生医療というのが余り皆さんにわかつていないのです。そこで例えば子供の場合も大人の場合もそうですが、東大の名誉教授をしておられます高木先生なんかに巡回診療をよくお願いしておるのでありますが、私も今年三重県へついて参つたのでありますが、ああいう方が診られますと、ここはこうすればなおる、これはこういうふうに手術すればいいという、丁度設計というか処方箋を書くようなものでありまして、ここはこうやればいいということがわかるので、そういう意味で非常に遅れておりますから、巡回相談をしたり、或いは身体障害者の相談所でいろいろ相談を受けるそれ自体でそういつた方々に対しては役に立つてはいないかと思います。そういうことを教えて頂く、これは幾らぐらいの額がかかつてこうやればなおりますよということがわかるだけでも喜ぶ人が、ございまして、必ずしも金があるから皆やつておるということではないと思います。これはいろいろありますね。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 まさにその点もございましよう。今度は身体障害者の何とかの予算は随分減つておるのではないのですか。それからいま一つは、現実に精薄児童なんか今直ちに四万人ぐらいは入所せしめなければならんのに、ところが施設は全国で六十カ所ぐらいで、お前の子供さんは入れればなおると言われても入れる施設がない。而も費用は、そういう予算面で減額されておるというように聞いておるので、私はこんな立派過ぎる法律ができても、果してどれだけの効果を挙げ得るかということに疑問を持たざるを得ないのであります。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 一般身体障害者の援護の費用というものは減つておりません。ただ戦傷病者の補装具や更生医療の費用は減つておる。これは実績によるのでありまして、二十七年度、二十八年度は相当やはり余つたのであります。やはり一番最初の年が一番たくさん要りまして、だんだん減つて来ておるような状況でございます。一般の身体障害者はそういうわけには参りませんが、戦傷病者の場合は多少減りまして、その費用が予算を御覧になりますと減つております。一般のほうは減つておりません。予算が少いのでお気に召さないかも知れませんが、だんだん殖やして参りたいと思つております。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 くどいようですが、安田局長に一つ大いにやつてもらいたいのは、健康保険では病気でない身体障害者が対象にならんことはわかつておるのですが、今後最も科学的な診断でこれは必ずなおるというような身体障害者には、何かの便法で健康保険の対象にさせて行くように法律を変えて行くというか、適用させるようにすべきだと思うのですが、あなた方はそういうふうにやつて行くように努力されますか、どうですか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 御質問の趣旨はそういつた障害者の機能の回復というようなことを健康保険で取上げたらどうかということですね。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 そうです。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 健康保険の給付の対象というものは、これは法律のきめ方でどうでも動くわけでございます。例えば一番問題になりますのは、こういうこともございましようけれども、アフタケアなどをどうするかということも大きな問題だろうと思います。これはやはりその当時のそういつた社会的な事情なり、或いはそういつた給付の範囲と掛金の多寡というような問題もございます。或いは国庫負担の多寡というような問題もございますので、やはり政策的にきめらるべきものだと思うのでございます。広ければ広いほどいいにきまつておりますけれども、現在のところではそういう話をまだ聞いておりません。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 いや、そういうふうに努力して行かれる気持はないですかと聞いておるのです。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) どうも保険局長でないのでちよつと私が申上げるのもどうかと思いますが……。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 いやそんなことを聞いておるのじやないですよ、局長が知らんということはないでしよう。あなたは厚生省の一局長でしよう、みんながそういう努力をして行く気持があるかないかということを聞いておるのです。おれは保険局長でないから知らんというような、そんな無責任なことはないでしよう。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) そういうつつぱねたわけではないのですが、保険局で給付の範囲をどうするかということにつきましては、まだ私どもとしては何とも申上げかねます。ただこれは給付の期間が二年が三年になりますれば結構なことでございますし、この給付の範囲が拡がるということは結構なことでございます。そういうような感じを持つております。

堂森芳夫日本社会党(第二控室・右)

○堂森芳夫君 もうそれ以上聞いてもなんだから……。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 本案の質疑は本日はこの程度にいたしまして、あとは次回に廻したいと存じますがよろしうございますね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。   —————————————

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 次に児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私はこの前事業税の問題についてお聞きしたのですが、実は頂いた資料の中に法改正の要点として事業税の問題が出ておりましたので、感違いいたしておりましたが、これは地方税のほうになつておるということを承わりましてよく了解いたしました。で、なおお尋ねいたしたいのは、給付に要した費用の中で本人及び扶養義務者の負担能力と、それから本人及び扶養義務者に支払の義務がある、この点なお納得行きかねますのでお尋ね申上げたいと思います。一つは、これは成るほど育成医療だということではありますけれども、相当大きな手術を要する面もあるかと思うのですが、身体障害児童がこういう医療を受けるか受けないかを決定する場合には、当然本人の意思は勿論ですけれども、親権者若しくは後見人の承諾を得なければならないと思うのですが、そういう点の規定は何かございますか。

太宰博邦厚生省児童局長

○政府委員(太宰博邦君) お話の点については規定はございませんけれども、事柄の性質上私ども当然本人といいますか、それの扶養義務者との十分なる納得の上でやりたい、こういうふうに考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私はそこに問題があると思うのですが、で、この前に支払の問題から本人及び扶養義務者ということについてお尋ねしたのですけれども、そういう規定がなければ、これは法通りに、法に触れない程度にやつて行くということにすれば、必ずしも後見人なり親権者の承諾を得なくてもいい。そこでいい加減なことをして、結局本人から多額の権利金を取つたようなことにして請求するというようなことは、成るほどできないような恰好にはなつておりますけれども、或いはそういうことの心配はないとは言えないわけです。ましてそういう医療を受けるときに、後見者なり親権者の承諾を得ないでやつて行くということから関連して、支払義務も本人及び扶養義務者に来るということになれば、私はこれは非常に大きい問題だと思いますけれども、こればやはり何か法でその点をこういう手術を受けるときには、少くとも手術を受ける者が児童でございますから、はつきりした規定が要ると思うのですが、如何でしようか。

太宰博邦厚生省児童局長

○政府委員(太宰博邦君) これの実施のやり方でございますが、只今考えておりますのは、例えば該当の児童がおりました場合に、勝手に医療機関と本人との間に手当を受けさして、あとつけだけを父兄に持つて来る。そういうふうなことにはさせないつもりでございましてやはり申請をさせましてそれを府県知事が専門家などの意見を徴しまして、これは必要であるという場合に、その子供に医療券みたいなものを恐らく発行することになると思いますが、そうしてそれを指定した機関へもつて行つて治療を受ける。そういうふうなことにいたしたいと思いまして、そういう御心配の点を極力避けるようにしたい。その手続に関しましては、この法律が採択せられました場合には、当然施行細則的なものをつけねばなりませんので、さような面で明かにして行きたい、かように考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今おつしやつたようにされるとすれば、給付に要した費用の中で本人が負担するという項目は、むしろなくしていいのじやないかと思うのですが、本人じやなくて、これは親権者なり或いは扶養の義務者、後見人、やはりはつきり公民権を持つたものがそういう法的な義務を負うということにすべきであつて、今のような手術を受ける場合に本人で決定できないしするような場合であれば、支払だけに本人というのをここで法律に入れておくということはやはり何と申しますか、矛盾というわけではありませんけれども、何かこう不安のような感じがいたしますが、これは如何でしようか。

太宰博邦厚生省児童局長

○政府委員(太宰博邦君) この本人及び扶養義務者が負担できます限りは支払つてもらうという意味は、やはり負担能力でございますから、仮に本人に財産か何かがあるという場合には、その利益を受ける主体であるところの本人から負担できる限度のものを支払わせる、こういう意味でこの規定を入れたわけであります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 そのことはわかるのです。そういう意味はわかるのですけれども、児童福祉法を見ましても、はつきりこういう児童には親権を行う者がない場合には、もうちやんとこういうふうにする、作らなければならないということがはつきり出ておるわけですね。だからどんな児童にしても親権者か後見人のない児童というものはないわけです。そうするとこの法律によれば、そういうことなくして本人が支払うことができる、窓口で勝手に支払うのだ、こういうことになつておれば、これは非常に危険でもあるし、又児童福祉の本旨にも反する。こういうことを考えますと、私はどうも少し悪く解釈すれば、そういう点の検討をしないで、例えば今お話のありましたような、身体障害者のほうの法律をそのままここへ持つて来たような感じを受けるので、これは児童というものの特殊性から考えて、非常に重要な問題だと思うものですから、この前からその点をお聞きしているわけです。(「入れる必要はない」と呼ぶ者あり)

太宰博邦厚生省児童局長

○政府委員(太宰博邦君) ちよつと御質問のあれに私のお答えが合うか合わないかわかりませんが、児童福祉法の五十六条によりますと、例えば児童福祉施設に入所その他の措置をとりました場合の費用に関しまして措置権者である都道府県知事とか市町村長は、その費用をそれぞれ本人又はその扶養義務者から徴収しなければならない、こういうふうな規定が一般的な規定としてあるわけであります。それとやはりこれは相応ずるわけでございまして、こちらのほうは裏から書いたのでして、その本人、その扶養義務者どちらも負担することができない場合にはその額をこちらで持つて行く、こういうふうな規定にしたつもりなんであります。なおその点で御了解得られませんでしようか。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 その点だけをおつしやれば、それはわからないことはないのですけれども、少くともこれは手術を受けるということと、それの支払いをするということとは決して別々のものではないわけです。そうするとこの受ける場合のほうにはこういう規定がなくて、手術を受ける場合にはこういう明確な規定がなくて、その支払うほうにだけこういう規定をするということは、これは手術を受ける場合が杜撰になるか、或いは支払いの場合に本人に対して不当な責任が生じるかいずれかということが理窟の上では感じられます。そこで若しここへこういうふうに入れるのであれば、もつと手術を受けるときの規定を明確化するなり、或いはこちらのほうをもつとはつきりどちらからもそういうことができないように規定付けをする必要があるのではないか、それは育成医療と言いながら、この手術ということは相当大きい問題であるから、こういうふうに要約すればなると思うのです、私のお尋ねしておるのは……。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 速記をとめて。   [速記中止〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 速記始めて。

太宰博邦厚生省児童局長

○政府委員(太宰博邦君) この点ちよつと検討いたしまして、次回に御答弁いたします。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 本案の質疑は本日はこの程度にいたしまして、残りは次回に廻したいと存じますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。   —————————————

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) それでは次にビキニ環礁附近における漁船被爆事件に関して藤原委員より緊急に厚生大臣に質疑をいたしたいとのお申出がございました。この際社会保障制度に関する調査の一環としてこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 御異議ないと認めます。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 大臣もいろいろお忙しくて疲れておられるよりでございますが、事は重大な問題でございますので、一つ御質問申上げたいと存じます。今回起りましたビキニ環礁附近における不祥事は、誠に遺憾に堪えない問題でございます。予算委員会におきまして、この問題について外務大臣その他には御質問いたしたのでございますが、私はこの際厚生大臣にお伺いいたしたいことは、あの船が帰港いたしまして、すでに放射能による被害を受けておるということによつて東大等へ、地元においても診療を受けておりました際に、果してこの漁獲に対する対策が適正であつたかどうかということについてお伺いしたいことが一点と、その後手配されました経過について一つ御報告を願いたいと思います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 御質問のビキニ原爆実験に遭遇いたしました第五福龍丸の遭難に当りまして、漁獲に対する政府の対策の問題でございますが、実はこの第五福龍丸が焼津に水揚げいたしました漁獲は二千二百九十貫でありまして、その中で二百四、五十貫を残して、あと十三府県に出荷いたしておるのであります。そこでその途中にこれらの状況が判明いたしまして、東京に参りました分は、全部市販に出さずにこれを埋却いたしたと申しますか、市販に出さずに済んだのでありますが、二、三の地区におきましては、大体百五十貫程度と思われまするが、市販に出した後に手配をしたという状態に相成つております。三重県の一部、大阪の一部、岐阜、長野の一部、極く少量ではありまするが、そのような状態に相成つておるのでありますが、それを含めました十三府県のほかの県は全部手配をいたしまして、市販に出さずに済んだのであります。そこでこれらの市販に出しました地区におきましても、それぞれ手配をいたしておるのでありまするが、なおこの放射能を、水揚げいたしましたいろいろな魚、いろいろの種類があるのでありまするが、これらにつきまして調べますると、大体放射能を持つておると思われるものが大多数でありまするから、今申上げましたような処置をいたしたのであります。  そこでこれらの水揚げいたしました魚がどういうふうな影響を来たすかということは、実はまだ十分な研究がなされ得ない状態に相成つておりまするけれども、併し放射能を持つておるということだけで、一応厚生省といたしましてはこれを市販に出すことを禁ずるという態度をとつておるのであります。一応その程度でございます。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 放射能を受けて、それで帰つて来た漁夫にいろいろ……、その船で漁獲された魚をそれだけ満載して来たならば、身体にさえ影響があつたわけでございますから、これが市販に出る前に適正な措置をされるべきではなかつたかと、こう思うのでございますが、それに対してはどういうふうにお考えになりますか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) これはだんだん調べてみますると、実はこの第五福龍丸が現地において漁獲をしておつて、まだ予定は大分……、半分ぐらいの予定であつたように聞いております。併しどうも乗組員の身体の調子が悪いからというので、途中から引上げて来たようであります。併し漁獲はそれぞれの処置をしながら、どうも身体の調子が悪いからというので病院に行つて治療を受ける。病院でもわからない、だんだんしておるというと、原爆症状じやないかということで、それぞれ専門家の手配を受けるというようなことで、そういう点から来ておりまして、それが私どもの耳に入りますると同時に、あらゆる手を打つて処置をいたしたという状態でありましたような関係であります。従つて、途中でこれがわかつておりますと、船が着くなり、或いは水揚げをするなり、処置ができたのでありますが、途中では、本人たちもそういう状態で引上げて参つたようなわけで、それで多数の漁獲をそれぞれ処置をするというような状態になつたと存じます。その後昨日も今朝もあちらのほうからと思われまする船が入つて参りました。これはもうすでに経験済みでございますから直ちにこれらの船に対する放射能の検出その他の処置をとつております。第一回のときは、そういう状態でありましたので、魚をすでに陸揚げしてしまつた。それぞれの処置をして、汽車の中で行く間に手配をするなり、或いは現地に手配をしたら、すでに市販に行つておつたのが百五十貫全国であつたというような状態に相成りまして、誠にこれは遺憾なことだと存じております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 今朝の新聞を見ますと、又三崎方面で二隻ばかりの放射能の船を発見したと、今朝あたりどんどん帰つて来る船があるというが、それについてはどんな状態でございますか。それはおよそ何カイリくらい離れたところを通つて帰つた船かということも併せて伺いたいと思います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 今朝の一時頃に日光丸が清水港に着き、又俊洋丸が今朝三崎港に着くというような状態で、只今私のほうに報告が出ておりまするのによると、まだ詳細はわかりませんが、放射能を持つておると思われます。これがそうでありまするし、又今後、今調べておりまするが、南方において漁撈をしておる船等が入つて来る状態が予想されます。そこで政府といたしましては、厚生省、農林省、運輸省、その他関係各省が今朝来協議をいたしまして、これらの南方地域、或いは原爆実験地域を通過した、或いはこれらの影響を受けておると思われまする漁船が入つて来まする港を焼津、それから三崎、塩釜、銚子及び東京とこの五港を指定いたしまして、この五港だけに船を着かせたいと存じております。この五つの港に着きます今後の船につきましては、全部厚生省及びその関係省から参りました調査班を五班編成いたしまして、ほかに一班予備を持つて六班にいたしておりますが、それぞれ現地に派遣いたしまして放射能の測定検査をいたしまして、放射能が出まする漁獲につきましてはこれを市販に出すことを禁止し、放射能の出ません、或いは安全と思われますのは、検印を押しまして、不安のないように国民の食膳に供することができるようにしたい、こういう処置を早速とりまして只今手配を済まして参つたところでございます。従つて今後かような危険と思われまする地域から参りまする船は、全部着港を指定して検査をいたしまして、その漁獲につきましてはこれ又検査をして、全部安全なものだけを市販に供するという方針をとつて参りたい、それで今後国民に不安を与えることはないようにいたしたいと存じております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 およそどのくらいの距離から帰つて来たかということはわかりませんか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) その点につきましては、実は水産庁並びに運輸省で航海図その他でずつと調査をいたしております。まだその調査が全部完了しておらないようですから、完了しますと、私のほうにも回答があると思つております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私は緊急な対策についてお尋ねいたしたいと思います。今朝の新聞を見ますと、軽部課長がアメリカに対しまして、一体この灰はどういうものか、治療の上から必要な資料を提供してもらいたいというようなことを申入れるという記事がありましたが、これは公海においてこういう被害をこうむつたということに対しては、むしろこの地域が仮に指定された区域内であつたとしても、当然そういうものを人道上アメリカに対して要求しなければならないと思うのですが、その結果外務省はどういう措置をとることになつたか、大臣御承知でございましたら、一つお述べ頂きたいと思います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 実は今朝只今申上げました関係閣僚が集まりまして、いろいろそういう点につきましても相談をいたしたのであります。新聞に出ておりまするように、アメリカのほうからもそれぞれ申出があり或いは話があるという状態であつたという報告を聞いたのであります。そこでこれは外務省関係の問題でございまするから、私が詳しく申上げることは適当ではないと存じまするが、公海上におきまして一つの実験をしたりなんかする場合におきましては、それぞれそれが周知徹底する方法をとつてやつて行くということにおいては、国際法上認められておる点でないのじやないかと私も記憶を喚び起して考えるのでありますが、そこで禁止区域を侵して入つて行く場合においては、これはおのずから別でありまするが、今回の漁撈は今までの調査によりますると、禁止区域外のように報告されておるようなわけで、今も更にそれを検討いたしておるようでございます。そこで禁止区域外においてこのような実験による被害を受けた状態と現在は考えられるのでありまして、これらの点につきまして今後国際的に公海上における実験等の場合においての処置というものも、相当やはり検討の要がありまして、これによつて被害を受けましたのが第五福龍丸の乗組員二十三名、誠に不幸な福龍丸乗組員でありましたので、これらの治療に当つて今後治療の適正を期して行く、或いは方法を講ずる。ところがこの原子放射能の治療というのが、広島の原子爆弾の結果から考えまして、実際は医学的にもこうしたならばという確立した方法が、広島の原子爆弾につきましても、厚生省でもまだでき上つておらない状態であります。従つて今回の場合におきましても、恐らく今後これは学者の間で治療の問題について検討されて参ると存じますが、甲の病気に対するこういう治療というようなことに直ちに行かないのではないか。そうすると、アメリカでいろいろ今まで検討された立場において、治療上の技術的な参考等があるならば、これは一つ聞かしてもらいたいという考えを私ども持つておるのであります。又そうしてその被害を受けました人たちに、何か広島等の場合と考えてよりよき治療が速かになされるについての意見が、若しや治療上の技術的な立場から資料があるならば聞かしてもらいたいという考えを持つておりますので、新聞に発表になつておりまする点は、何か原子爆弾そのもの或いは何か爆弾の性能そのものをというようにとれる点がありまするが、そういう考えじやなしに、治療上の点を中心にして実は考えておりますることは私ども申してみたいと考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 お話はよくわかりましたが、今問題になつておりますのは、この灰が何であるかということが大きい問題だと思います。これは私の聞いた範囲では、ものによつてはだんだん放射能がなくなつて行くのもあるし、ものによればこれが骨の中のカルシユームに入りまして、何年も出ないものがある。今のままで僅かに残つている砂を材料として、一体何であるかということを決定して行くためには、どうしても一週間以上もかかる。で現在患者の体から出ておる放射能を測定して行くだけで、どうなつているかを考えることは非常にむずかしいので、どういうものから来た放射能かということを知ることは、今のようにどうすればいいということは確定していないにしても、今後治療、手当をして行く上から非常に有効な手がかりになりますので、学者諸氏はこのことを熱望しておると思います。それで今お話のように勿論アメリカから現在わかつている治療法を聞くということも必要ですけれども、差当つて日本のこれに当つている人が要求している事柄を、外務省のほうとしてはいろいろ聞きにくい点もあるかも知れないと思いますけれども、人道上の問題として厚生大臣が強力に外務省のほうへ交渉をされまして、外務省を動かしてそういうものを、とにかく今手がかかりになるものはそれしかないわけでございますから、その手がかりになる唯一のものを知らせるように御努力なされるかどうか、或いはすでになさいましたかどうかお伺いいたしたいと思います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) これはアメリカのほうからも申出があり、専門家を派遣しても結構ですからという申出があつたことは、新聞で御覧になつて御承知の通りだと思います。従つて私どももこれは一つ向うの専門家も来てもらつて、そして日本が中心になつて治療には当るが、そういういろいろ材料、資料というものも含めて、今後治療その他の方法に当つて行きたい、外務省を通じましてこの件も申出ておくことにしたのでございます。そのほかに更に今申上げました技術的な治療等も、人道上の問題から一つアメリカのほうへ申出て見るということにいたしたいと存じております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、こういう事態が起るようになりますと、或いは又それに続いて俊洋丸、日光丸が帰つて来る。こういうことになりますと、これは日本の食品衛生上一つの画期的な問題だと思いますが、食品品衛生法と申しますか、その法律を早急に改正する、そういう御意図はお持ちでしようか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 現行法におきましても今申上げたような処置がなされ、危険と思われまするものはこれを市販に供することを検査の結果とめることができると思います。従いまして今回はその処置をとつて参つたのであります。併し今後今回の経験に鑑みまして或いは検疫或いは食品衛生という方面から新らしい事態として検討の余地は相当ありはしないかと考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 これは私は早急を要する問題ではないかと思うのです。と申しますのは、たまたまああいう被害があつたから俊洋丸、日光丸が取り上げられたのであつて、若しそういうあの場所にあの船がいなかつたとすれば、俊洋丸、日光丸の魚はこれも平気で市販されていたと思います。なお又俊洋丸等の状態を聞きますと、一千マイルか一千カイリ離れた、結局灰に、白い砂といいますか、灰によつて二次的に受けた放射能であるということになりますと、そういうものは魚の体の中にも入る可能性が多分にありますし、今まではただ気が付かなかつたから無視されていたのだと思いますけれども、併しもうこういうふうにはつきりして参りますと、南方から来た魚全体に対して国民は不安を感じておると思いますし、更に又近海漁業が不振である今日において南方漁業によらなければならない状態等を考えますと、非常に大きな問題だと思いますので、国民が安心してそれらの魚が食べられるようにする措置は只今即刻講じなければならないのではないかというように感じられます。と申しますのは、なお今朝発表されたのを聞きますと、今回の爆発は第一次の爆発であつて、更により強力な水爆の実験は今後二週間以内に行われるであろうというようなことをタイムズでございましたか、報じております。といたしますと、非常に問題は簡単ではないと思いますので、この際そういうものについてはこういう法律を出すから、そうして万全を期すからみんな安心してもらいたいという措置は早急にとらなければならないのではないかと私は考えるのでございますが、大臣はどのようにお考えでございましようか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 御尤もな御見解だと存じます。そこで只今申上げましたように、南方から来ました船は五つの港を指定しまして、これに対しては全部検査をして放射能のないものだけを市販に供する。そこで放射能がいつまで続くかという問題があり、又今後更に新らしい実験の場合には公表されると思いまするから、今回の実際の状態の経験に鑑みていろいろ措置も講じなければならんと思いますが、現場にいなくても、広島の場合のように或いは翌日に、或いは翌々日になお放射能にかかつたというような場合もあり、恐らくその実験区域におらないでも、そこを通つたために放射能を俗に申しますと伝染したというようなことになる場合もあるかと思うのであります。そういうふうなすべての点が科学的にまだ十分立証も勿論されませんが、取りあえずは今申上げましたように、あちらから来ます船は全部五つの港を指定して、そうしてこれらの漁獲は全部検査をいたしまして不安のないようにいたして参りたい。それと併せて今後の学者の研究、治療の研究に併せて措置を講じて参りたいと存じております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 関連して、私たちは大臣の言われたように、どれだけ続くかわからないからこそ不安を感じるのです。結局今度の放射能などでも、どう  いう性質のものであつて、いつまでこれが続くか、だんだん強くなつ来るかもわからない。今朝の新聞を見ると、結局直接灰を沿びて起つた被害ではなくて、それが水に落ちてそれが結局影響したのではなかろうかというような  ことも出ていたと思うのであります。そういうことになると非常に危険だと思うのです。ですからこれは大英断を持つて頂かなければ困ると同時に、今日のは千マイルくらい離れたというようなところではないのですか、そういうことになると風の向によつては絶対に今後安心ができないというところまで厚生大臣として私は思いをいたさなければならないと思うのです。そういうことになるとこの際国民が絶対に安心の行くような大方針を立てなければならないのじやないか、これを湯山さんは聞いておるのだと思います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) それで今申上げまするように……。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 それで五つのところを指定しましたけれども、今の検査員で足りますか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) その港を指定して、大体船が行つておるのはわかつております。或いは農林省、或いは運輸省等におきましては南方に出漁いたしております船は大体わかつております。それらの船は無電で連絡をしまして、そうして持つて参りまする漁獲高は全部一定の今申上げましたようなところで椅査をして放射能が少しでもありまするものは全部これを処置いたしまして、放射能のないものだけを市販に供する、厳格にやつて行きたいと存じております。取りあえず現在とり得まする最大の方法は、これより以外にはないかと存じております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今のお話はお話としてわかりますが、実はこういうことがあるのです。広島に原爆を落しますときに、あとから発表になつたのを見ますと、若し雨が降つておつたら落してはならないという命令を受けて来ておつたそうです。これは放射能は原爆が爆発す刷るときに出た第一次の放射能と、そうして第二次の放射能というものが考えられます。と申しますのは。雨が降つておればその雨の粒によつて第一次放射能は遠くべ行きますから、放射能が人間の身体に付けばそれが第二次放射線を出しまして組織がこわれて行く、今日の場合は第一次のではなくて第二次でございます。広島の場合は幸い第二次放射能は簡単になくなりましたが、あの当時こういうことが言われておつたのを御存じだと思います。広島には七年間草も木も生えないのだ。こういうことが言われたくらいで、放射能は物質によつて非常に違つておる。そこで現在実験されておるものがどういうものであつたにしても、コバルトを塗つたコバルト爆弾もあるし、いわゆる原子爆弾もあるし、その他の物質を使つたものもあり、水素爆弾もあり、いつ如何なるものが実験されるかということは、恐らく実験をするといつても、内容は事前には公表されないと思うのです。そういたしますと、簡単に放射能のなくなるものかなくならないものか、これも問題だと思いますし、又これは素人考えの又素人考えのよりですけれども、魚というものは殊にああいうまぐろのようなものは大きく回遊して参ります。そうすると成るほど放射能を出しにくい、つまり長期間魚の身体の中にある放射能は、これはなかなか簡単に触つただけでは来ないにしても、そういうものを胃の中に入れるとか、そういう場合には或いは害を起す可能性がないとも限らないし、又国民感情としてはそういう不安もあると思います。これらのことは一切明らかにならないわけでございますから、明らかになるまで待つておつたのでは、場合によつては又別の問題が起つて来るかも知れない。そこで今からそういうことに対するきちつとした対策をお立てになつて、むしろわかつて来るまでというよりも、わかつても大丈夫だ、こうやつておけば大丈夫だという措置をおとりになつておくことが私はこの際必要ではないか、こういうことを考えますので、重ねて大臣にこの点をお尋ね申上げたいと思います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) そこでこの身体に影響を与える放射能はガイガー計算器に対して何とか六という数字以上と言われているようですが、併し六以下におきましても放射能があるという場合においては食用に供する場合は、或いは内臓等の、皮膚と違つた点等から考えまして、今後の研究にこれは待たなければなりませんが、一応は市販に供することは不適当認めまして、放射能としてガイガー計算器に現われましたものは全部市販に供することを禁ずるという方針で行きたいと存じております。従いまして、今後科学の進歩に伴いまして、この程度としては大丈夫だということが或いは来るかも知れません。来るかも知れませんが、そこまではまだ確定いたしておりません。放射能があるものは全部市販に供しない、それを暫らくずつと続けて行くという方針でいたしておりますから、検査の結果現われましたものは全部それぞれの措置をいたし、現われないものだけを市販に供して国民の不安を一掃したい、こういう措置で参りたいと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 重ねて非常にくどいようですが、只今の措置としてはそれしかないと思うのですけれども、併し放射能を持つた魚なり何なりが入つて来る経路は必ずしも五つの港だけではないと思うのです。そうして又南方だけだとも言えないと思うのです。あの太平洋の真ん中の潮流というものは分かれまして日本海にも入つております。従つてその灰を持つた潮流が必ずしも南方だけではないのですから、そうすると私はこれは厚生省では今おつしやいましても手が足らないと思うのです。第一ガイガー計算器を備えているところはどのくらいあるのですか、市場なんかにおきましてもこれらについては、或いは法的な措置、只今から五つの港を御指定になると同時に、市場がこういう計算器を備えて置く、こういう措置も必要ではないか。こういうことを直ちに取付ければ、国民も又安心ができると思いますけれども、そういう点の対策が講じられないと、折角東京の角市場におきましても、大丈夫だと言つたものでさえ値段が下りますし、売れ行きが半減しているという状況でございますから、是非これらの点について緊急な対策をおとり頂きたい。それは単に当面は今の五つの港でございますけれども、併し次の実験の有無にかかわらず、これはやはり日本全国に対して日本の地理的な条件から考えて、又日本の水産業の状態から考えまして、厚生自としてはおとり頂かねばならない措置ではないか、このように考えますので、なお又重ねてお尋ねしておるわけです。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 実はこの点もいろいろ検討いたして、これらの漁場から持つて来ました魚を処置いたしておりまする市場が全国に十一あるのでございます。併しすでにもう船から揚げて、港から積んで市場に参りますると、その間放射能も散りましようし、危険もありましようから、是非揚げる場でこれを押えるということが何よりも必要であります。従つて船の着く所を指定して、そこで全部検査する、ガイガー計算器で全部あらためる、こういう方法をとつて、従つてそこから検印を押したものを全部出す。検印を押したものは、少くとも現在のところでは放射能はないと認めるよりほかに方法はないのであります。そこはお説の通り現在現われんでも、将来現われるということは、これはちよつと学問の力で行きませんので、それは従つてその方法をとつて私どもは水揚げで一つ押える、そこを抜けて出たものがある場合は、何か農林省、或いは運輸省等において相当の指示をし、処置をしてもらうようにして行く考えで、五つの港を指定したのです。それぞれ本日から、各関係の省から無電で以て通報をいたしてくれておるのであります。そういう万全の方法を講じて参りたいと存じておりまするが、これをやつているが、なお不十分な点がありまするので、御意見の点等をよく検討いたしまして、なお一層の措置をしたいと思つております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 そういうふうにされるために現在の食品検査の職員だけで大丈夫でございましようか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) これは食品検査だけではなく、関係学者その他を動員いたしまして、六班を編成し、更にそのほかに別に調査研究班というものを一班置きまして、そうしてこれらの学問的な調査、これは相当人数を揃えましてやつております。両々相待つて今後の措置々考えて、緊急に今申上げたようなことを両方でやつて参りたいと存じております。これもガイガー計算器があつたならば誰でもというわけには行かず、専門家でないとなかなか扱いにくいし、又実際のことも工合悪いようでございますから、そういう点も考慮をいたしまして、今申上げたように取計らいたいと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 一つお願い申上げておきたいと思いますが、先般黄変米五百数十トンが和歌山県下におきまして一般食糧として流されたという実例がございます。これは決算委員会等で非常に問題になつておりまして、五百十二トンでございますが、そのためかどうかわかりませんけれども、和歌山県では、これは井本刑事局長の説明ですが、肝臓黄変症の患者が十一名当時あつたということが報告されております。原因がそれであつたかどうか別ですけれども、ともかくもそういう実情であつた。で、この問題にいたしましても、もう少し申しますとこれについて農林大臣は非常に無責任なことを言つておるのです。と申しますのは、黄変米を返米しろと厚生省のほうはやかましく言うけれども、ヨーロツパのほうではこれを黄金米といつて喜んでおる、これは私ここにあります速記のまま申上げますが、こういうことを本当に言つておるのです。で、実際にこれを食べて死んだという人は一人もいないじやないかというようなことを放言しております。こういうようなことを考えますと、大臣が今のように南方から来たもの、そういうものについていろいろ御心配になりましても、やはり農林大臣の管轄しておるほうでは、いやそれくらいのものは問題ないじやないか。今までもあつたかも知れないけれども、ビキニ環礁ではたびたび実験があつたけれども死んだ者はないじやないかということでやられるかも知れない。又逆に言うと、私はこういう黄変米の問題にいたしましても、苦しこれらの検査員の方が人数も十分あつて検査を的確にしておれば、決してこの五百十二トンという多量のものが、而も三〇%の黄変米を含んでおりますこういう悪質のものが流れることもなかつたと思うのです。検査を、検査員がたくさんいて検査を十分にやつておれば、必ずこれが途中で見つかつて、そして五百トンですから二千名の一年分の食糧に当りますが、それだけの人がこのものを食べないで済んだわけです。こういうことを考えますと、大臣はああいうふうにおつしやいましたけれども、なお私はこの放射能に関する食品衛生の問題についても、厚生大臣は信頼いたしますけれども、そういう黄金米だから喜んで食べるのがいいんじやないかというような人のいる内閣、政府全体身信頼することはできない。率直に申しますが、できないので、これは一つたびたび申上げますように人道的な立場、そして本当にこういうものを守る責任をお持ちになつておる厚生大臣が結局主張なさる以外に、政府の中でこのことを主張なさる方はないと思いますから、十分に一つ前述の資料も何でしたら印しがございますからお渡しいたしますが、衆議院の決算委員会でございます。この資料等も一つ公開なさいまして、そういう人たちの口を封じて、大臣の思うような施策を早急にとりますように、予算、予備費の流用等にいたしましても十分御配慮を頂きたいと思います。  それからなお重ねてついででございますからお尋ねいたしたいと思いますが、今回の遭難した人たちに対する援護につきましてはすでに御質問があつたかとも思いますけれども、どのようにお考えになつていらつしやいますか、その点もお伺いいたしたいと思います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 関連して……被爆者のその後の状況病状、これについて詳しくお知らせを願いたい。

竹中勝男日本社会党(第四控室・左)

○竹中勝男君 もう一つ関連……その後魚を食へて若しどういうような状況が起るかというようなことがわかつたら早く知らして欲しい。私も実は食べましたのです。(笑声)

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 御心配の点を先に……東京では全部放射能を持つておりますのは埋却いたしましたから、東京で市販に供しておりますのは、たとえ生までも御心配はないと存記します。それから被傷いたしました人たちの病気の手当の問題でございます。この第五福龍丸に今回乗込んでおりました二十三名が全部船員保険法の加入者でございます。従いまして船員保険法によりましてその被害を受けた者の地域の如何を問わず全部処置をいたし得るのであります。殊にそれが業務上の処置を講ずる予定でございます。そうしますると、治療に要しまする費用は三年間は一切その保険から支出をいたします。一応どのくらいの程度になりまするか、三年を超しまする場合には、又他の方法を検討しなければならんと思います。三年間は治療に要しまする費用は保険給付の医療費を以ていたしたい、適正な医療でありますると全額負担をいたします。  なお、その御家族につきましては傷病手当金を支給いたします。四ヵ月間は俸給の全額を支給いたします。四ヵ月間を過ぎまするとその後ずつと続いておりますると二年八ヵ月間は俸給の六〇%、六割を支給することに相成つております。一応それによりまして医療並びに家族の手当は支給いたして参りたいと存じております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 症状を……。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) それからその後の症状は別に急に異常はまだ聞いておりません。若しも又特別なことがありますると、その機会がありましたり御報告申上げたいと思います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 続いて……この間二人入院して残つた人たちも皆症状が出て米たというようなことで、全員東京へ入院さしたいということを聞きましたかそれはどうなつたんですか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) これは同じいわゆる原爆のそれによる被害でありますから、原因が同じでありまするから、成るべく一カ所に集めて治療するほうが適当かと存じます。今日もう暫くしますると、現地に参りました派遣員が一応報告に帰つて参ります。それらの模様を聞きまして今後処置をいたしたいと存じております。

高野一夫自由党

○高野一夫君 一つだけ……、湯山委員の質問に関連すると思いますが、伺いたいのですが、その魚を廃棄処分にする場合は、食品衛生法に引つかかるだろと思いますが、廃棄処分された魚の損害というものは莫大なものだろうと思います。場合によつては……。それはどういうふうになりますか、損害賠償か何か方法がございますか。本人の全部損害になるわけですか。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 詳しくは部長からお答え申上げまするが、現在の食品衛生法で危険であり或いは市敗に供するのが不適当であるという検査をいたしました場合には、これに対して国家の補償は別にはないと思います。

高野一夫自由党

○高野一夫君 そうすると今度のような場合は、殆んど何百貫とかいうようなまぐろとか、さめというものが、折角はるばる向うで漁撈して来て、それが全部廃棄処分されるということになると、その損害というものは数十万、数百万になる。それはその漁撈に当つた人たちの全部負担と申しますか、マイナス、損害になる。それはそういう人たちは、これは思いももうけない損害になるわけです。それで現在国家としてはこれに対する補償の途もない、これは私は大きい問題だろうと思うのですが、或いはこれば水産庁の問題になるのか、厚生省の問題になるのかそれもちよつと見当付きませんが、関係部長これについて何かお考えになつたことがありますまいか。

楠本正康厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○政府委員(楠本正康君) 率直に申上げまして、現在の食品衛生法は大体食料は安全である、食料というものは元来安全である、これを検査した結果たまたま悪いものがあつたらこれを廃棄を命ずる、こういう建前になつております。従つて悪いものがあることがむしろおかしいという建前からこれに補償の制度を設けてございません。これは一般如何なるかような類似法律でも同じことだと思いますが、ただ、今回の場合は勿論食べてならんものと判断して廃棄をいたすのであります。従いましてまあ理窟を申しますれば、まあ何の補償もないわけでございますが、但しこれはまあ好んでやつたわけではない、本人の不注意その他でやつたものでもなく、さようなことからこれはやはり只今高野先生の御指摘のように、水産庁その他でむしろ研究すべき問題と存じますが、私どもといたしましても今後又あることでもありますし、特に一方では余りどんどん廃棄ばかりさせられるというようなことになりますと、何の補償もないと却つて隠れて五つの港を逃れて荷上げするというような危険も考えられますので、これらの点につきましては今後も農林当局とも十分に連絡をいたしまして研究をいたしたいと、かように考えております。

高野一夫自由党

○高野一夫君 もう一つついでに伺いたいのですが、今度のは取りあえず臨時の措置として外務省関係なんかでアメリカのほうからまあいろいろな医療関係、そういうものはいろいろ援助したいということを言つておるようでございますが、そういうような廃棄されなければならない物質に対する損害についてアメリカに損害を要求するとか、或いは向うのほうからこつちが要求せんまででも、向うのほうからその損害を補償してやろうとかいう申出があつたかないか、まだそういうことが参つておりますまいか。何か御存じありましたら、お知らせを願いたいと思うのですが……。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 実はまだいわゆる事件が継続しておると申しまするか、続いておつて、治療の問題にいたしましても今後の船の問題にいたしましても、第五福龍丸だけではなしに、先ほど申上げましたような状態であります。従つて廃棄いたしまする漁獲高がどのくらいになるのか、或いは今後どういうふうになるのかという進行中と思います。昨日アメリカ側は早速日本に対しましてお聞き及びの通りな申出があつておるようでありますが、今後これらの問題につきましては、よく政府におきまして相談しあつてアメリカと相談をいたしたいと存じます。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 私は実は時間がちよつと、今日ソ連の引揚を迎えにこれから発つわけでありますが、最後に一つだけ私申上げまして、大臣の是非御協力を願いたいと思う点があります。結局過日の爆破はアメリカでも予期せざる強大な効果を挙げたということで、それに参加した二十八名が被害を受けた。現地人も二百三十六名が被害を受けておるということが発表されておるのです。それから指定されました危険区域外で日本の船が遭難しておりましてそれから又遥かに遠くを航行して来ただけでも、相当の放射能が出ておるということが明らかにされたわけです。この次になおもつと強力なものが近く試験されるというようなことまで発表されておるわけです。幾ら信託統治であつても、世界人類の生命に危険を及ぼすようなことが平気でぼかんぽかんやられちやかなわんと思うのです。こういう点から人道上の立場から行きましても、私はこの際卑屈に出るのではなくて、今朝の新聞を見ると、外務大臣のお話だと記憶いたしますが、損害をアメリカに請求するのかどうかというようなことに対しましては、メーデーのときの焼打の自動車の例を引出してあのときでもアメリカからは何も損害の請求はなかつたんだ。だからこつちから請求すべきものではない、向うから申出れば別だというようなことがすでに発表されておるのです。これは私実に遺憾なことでございます。これは自動車の焼打なんというものじやございません。若し風の方向によりましたならば、どこへこれが飛んで行つて或いは日本で今騒いでおるけれども、ほかでもこういう事件がなかつたとは保証できないのです。それが今後も引続いて試験されるというようなことは断じて許すことはできないと思うのです。従いましてもつと強い立場から当然世界人類の幸福のためにも、最初に原爆を二回受けたのは、日本であつてそうして二度目も又日本の国内にこういう不幸な事態が起つておるのでございますから、もつと日本国政府は強い立場を、以て世界に魁けしで、こういうことを強く強く申出る権利と責任があると私は思うのです。従いまして厚生大臣の立場からどうぞ内閣へ我々のこの気持を十分にお伝え願つて、そういう措置が至急講ぜられんことを私は強く要望いたします。

竹中勝男日本社会党(第四控室・左)

○竹中勝男君 関連のことですが、これはもう私どもとしては本当にやはり原子時代というものの一つの問題にはつきり具体的に逢着しておると思うのですが、これはもう厚生省関係だけの問題じやないのです。これは水産から、外務から、あらゆる日本国政府の問題なんですけれども、ただ直接今問題が直面しておるのは厚生省関係なんですからして、これはもうやはり非常に根本的な問題に触れて来ると私は思うのですが、シベリアでもこういう実験がやられる、太平洋でもやられるというようになると、これはアジアの人類といいますか、世界の人類にやはり関係する問題で、えらい抽象的になりますけれども、革国人は空飛ぶ円板はこれを警告に火星から来ているんだとこう言うのですけれども、それくらいまあ根本的に人類の破滅ということをすでにほかの世界では地球に警告して来ておるくらいのところにまで相当深刻な問題だと思うのです。太質的にはそういう問題をほらんでおると私は思うのですが、小さく言えば握り寿司食べたという問題から、大きく言えば人類の破滅というところまで来ておるわけですから、これは今藤原委の関連の私は質問ですが、一つ差当りは厚生大臣が一番これは何といいますかこの問題に取組む日本では最初の方だと思いますので、これはやはり現実に調査をしなけりやならない。調査もこれはもう実に複雑な調査で根本的な調査で、日本の科学陣営をすべて動員するに値する調査であると思うのですから、まあ細かく食品衛生に関する調査或いは原子病に関する調査というだけに限つても、現在の厚生省の予算では到底これは及ばないと思いますので、この際問題を本質的に採上げて行く第一段階としては、厚生大臣のところで特別な予算をやはりこのために取られるということが、日本の政治に対して私は非常に大事な点だろうと思います。現在の公衆衛生といいますか、或いは食品に関するもの、そういう調査の人員や予算では、これは到底この問題は取組めないと思いますので、具体的にやはり予算の措置をされて、もつとこの問題に取組んで頂きたい。私はその点大臣の御意見を伺いたいと思います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○国務大臣(草葉隆圓君) 御尤もな御意見たと存じます。従いまして只今申上げましたような緊急措置をいたしますにも、従来の厚生省の予算はそれらの問題に対する経費を持ちませんので、予備費等から支出するように関係省と協議をいたしまして進めておる次第であります。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) それじや速記を願います。  本件に関して他に御発言ございませんか。……御発言ないようでございますから、本件に関してはこの程度にいたしたいと存じます。御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 異議ないと認めます。   —————————————

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) それでは最後に、一つ御相談いたしたいのですが、他の委員会に付託になつている法案又は今後付託になる法案で、厚生委員会に関係のある法案については連合委員会を開くよう申入れることとして、その時期、手続等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 只今では学校給食法案、文部委員会にかかつているのと、内閣委員会にかかつている定員法の問題、それから労働委員会にかかつているけい肺法の問題などが関連があると思いますが、なおこの点についてはよく調べまして申入れをいたしたいと思いますので、御一任願いたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) では御異議ないと認めます。  本日はこれで散会いたします。    午後四時四十八分散会

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