厚生委員会 第9号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/02/19
会議録
○理事(常岡一郎君) 只今から厚生委員会を開会いたします。 初めに委員の異動を御報告いたします。去る十七日付を以て委員田中啓一君が厚生委員を辞任せられましたので、松本昇君が選出せられましたことを御報告いたします。 —————————————
○理事(常岡一郎君) これより議事に入ります。社会保障制度に関する調査の一環として、昭和二十九年度厚生省関係予算の質疑を行います。前回に残されておりました児童局関係事項につきまして太宰局長から説明をお願いいたします。
○政府委員(太宰博邦君) 二十九年度の予算原案につきましては、前に会計課長から総括的に申上げたと存じますので、或いは重複するかも知れませんが、要点だけもう一度申上げることにいたします。 お手許に会計課のほうで配付いたしました二十九年度予算要求額調というものがございますので、それの頁数で申しますと十一頁、項目は37児童保護費というところからでございます。ただここには主なものだけが書いてあるのでございまして、そのほか児童局所管の本省経費、或いは附属機関としての国立教護院の経費などを合せました総額で申上げますと、前年度が六十一億八千二百四十四万七千円、これに対しまして今回の要求額が六十三債二千二百二十四万一千円、大ざつぱに申しまして約一億だけ増になつておる、こういう形でございます。 この37の児童保護費の中の主なものについて要点だけ御説明いたしますと、(1)の児童措置費でございますが、これは経費の内容は保育所とか教護院或いは養護施設、盲聾施設などの児童福祉施設に子供を入所させ或いは里親に委託をいたしました、その子供たちの生活費、施設の運営費などにつきまして本人の扶養義務者から徴収し得るだけ徴収いたしますが、徴収し得ない分については公費でみる、その経費がこれでございまして、国はその経費の十分の八の補助をいたす建前になつております。この補助率の点につきましてはすでに申上げたと思いますが、補助率を引下げるという話が当初出たのでございまして、いろいろ御心配もかけ、御鞭撻、御支援を頂きましたお蔭で本日元通りの姿で御説明ができますことを、この機会に感謝いたします。四十八億という額になりまして、前年に比べて五億二千七百万円ほどの増でございますが、その主なるものは米価の改訂によりまするところの賄費の増、それから健康保険の入院料などの点数の改訂に伴います医療費の増加、それが第二、第二には給与改訂によりまするところの施設の人件費の増による事務費の増加、そのほかに積雪寒冷地帯において冬期における媛房費が従来ございませんでしたのが新規に入つた。大体以上の四点が改善せられることになりましたが、そのほか内容を更に充実するという件につきましては遺憾ながら緊縮予算の建前で、又先行き物価も下るという見通しでございますので、前年に比べましてそのままに相成つたような次第であります。なおこの内容について違つた点は、この母子寮の援護率と申しまして、先ほど申上げましたように本人、或いは本人の扶養義務者から取れるだけ取つて、取れない分を公費でみる、その公けの費用でみる率を援護率と申しますが、その援護率が母子寮については七割でありましたものが六割に一割下つております。これは母子対策がお蔭さまで逐次拡大、充実されて行きまするので、一応これくらいの点について母子家庭の内容が向上と申しますか緩和されて、待つて自分で負担する率も若干は殖えるであろう、従つて逆に公けの費用でみる援護率のほうは若干下つてもいいのじやないかと、まあこういう見通しの下に一割だけ下げることに相成つた次第であります。その他の点につきましては大体昨年と同様でございます。それから(2)の児童相談所、これは格別申上げることもございませんが、ただこの前いつか児童行政の今後の行き万ということで申上げたことがあつたかと思いますが、その機会にも申上げたと存じますが、児童相談所をだんだん充実して行きたいというので、今後は成るべくD級という児童相談所をなくして行きたい。これは判定機関を持たない相談所でありまして、相談所としての機能が十分発揮されませんので、 〔理事常岡一郎君退席、委員長着席〕 今後なくして行きたいという方針をとつていることだけをここに申上げておきます。 それから、(3)、(4)は格別申上げることはございません。 それから(5)の児童補導補助金というのは、これはミス・プリントでございますので、恐縮でございますが、御訂正願いたいと思います。浮浪児給与品補助金でございます。浮浪児給与品費の補助、これは浮浪児が着のみ着のままで来まして、私どもの関係で児童相談所に一時、保護所などに入れてその後の身の振り方を考えてやつて、施設に入れたり、或いは里親に預けたりいたします。その場合に着のみ着のままで来るというので、それに衣類などを支給するということで、この制度が始まつたのであります。で、前年度の予算百万円が今年度落ちたの、これはまあ少額補助金整理とまあいうことでございます。事実漸次浮浪児の数が減つて来ておる際でもございまするので、これはほかへ転じて有効に使うというような趣旨で、これを落すことを認めたわけでございます。 それからその次の季節保育所は前年より三百万円も殖えておりますが、これは前年があとで節約で組んだものでございますから、当初は同額の三千万円であつたわけでございます。それから保母養成所補助金これも若干増になつて格別申上げることもございません。 次の(8)の妊産婦乳幼児保健指導補助金が約八百万円ほど減つておりまするが、これはまあ単価などは従来通りでございまして、ただ員数などが、出生数が減るとか或いは受胎調節などが行われるというようなことで、若干減る傾向にありまするので、その点から全体として金額が減つて来たということであります。 それから(9)の身体障害児療育指導補助金、これが前年に比べまして約倍以上に殖えておりまするが、それは右側の摘要欄で二番目に療育措置補助というのが新規に入つております。その加減でございましてこれはこの前申上げたかと存じますが、肢体不自由児ができました場合には、これを早期に発見し早期に治療いたしますると、費用が僅かでなおつて一生まあ有効に働けると、そういう人々の中で経済的な理由で、いいことがわかつていてもその措置が受けることができないというような子供のために国庫補助をするという制度でございます。 それから(10)の母子手帳作成補助、これが零になつておりまするが、平衡交付金のほうでこれを見ることになつておるわけでございます。それでこれが減つております。 あと省略いたしましての児童福祉施設に参ります。これは個々の内容はまだ多少あと動くと思いますので最終的にぴつたりしているわけでございませんので、総額の欄で申上げますと、前年七億のものが五億に減つております。但し前年七億と申しましてもその中には三千三百万円ほどは災害の復旧のための施設整備費でございますので、当初予算の比較でいたしますると六億七千万円であつたのであります。従つて一億七千万円ほど今年度減つたということでございます。これはまあ緊縮予算の都合上こういうような結果になつたと申上げるほかはないのでございます。 それから次の、めくりまして下のほうの頁の39母子福祉対策でございます。この中で(1)の母子相談員設置補助四千七百九十九万五千円が明年度は零になつておりますが、これはやはり平衡交付金のほうに入つたのであります。大体児童福祉司とか社会福祉主事というようなこの人件費関係の補助が皆この交付金のほうに従来繰入れられておりますために、今般補助金整理の際にこれが同じように平衡交付金のほうに繰入れられたわけでございます。 それから(2)の母子福祉貸付金が前年度の七億九千四百万円に対しまして六億二千万円と減つておりますが、七億九千四百万円のうちで、五千万円はやはり災害関係の特別措置のためにあとで追加になつたのでございまして、当初といたしましては七億四千六百万円ほどでございます。それに比べまするとやはり一億二千万円ほどの減になる勘定でございまするが、この六億二千万円のほかに、前年度、つまり二十八年度で貸付けましたうちから償還部分が約一億ほど期待されまするので、それを見込みますると約七億円の台になるわけでございまするので、まあまあ前年に近いだけの運営ができようかと考えている次第であります。そこで二千万円というのは、端数みたいなものがついておりまするが、これは孤児の就学及び就業のための貸付金でございまして、従来は母子家庭の子供に対しましては、就学、就業の際の貸付の途が開かれておつたのでございまするが、母子家庭よりも、考えようによつてはより気の毒な立場にあるとも考えられまする両親のない子供に対しては、こういう貸付の途が開かれていない。勿論英才教育としての育英会の資金の貸付はございまするが、一般のこの母子福祉貸付金と同じような程度の貸付金というものは、両親のない子供については開かれていなかつたのでありますので、施設の子供たちの間からその要望が非常に強いのであります。で、そういう子供たちの就学、就業のための貸付の途をこれによつて新たに開いて行こうと、こういう考えでございます。 以上簡単でございまするが、児童局関係の主なものを申上げた次第でございます。
○委員長(上條愛一君) それでは質疑をお願いいたします。
○常岡一郎君 ちよつとお尋ねしますが、今の二千万円は孤児のほうに廻すというのは、それはどこにありましようか。
○政府委員(太宰博邦君) 母子福祉の貸付金六億二千万円とございます、その二千万円がそれに当るのでございまして六億が母子家庭の貸付金、そういうことでございます。
○高野一夫君 この訂正した浮浪児給与品補助金、これがなくなつたというのでありますが、今後こういうようなものが必要に迫られた場合にはどういうような措置をおとりになりますか。
○政府委員(太宰博邦君) まあ国から補助するという途が抜けただけでございまして、地方のあれでやつてもらうこともできる、その程度に大したものではないというふうに私どもは考えております。
○高野一夫君 その場合に県庁とか或いは町村で十分そういう浮浪児の面倒を見てくれるようなふうにやつてもらえるでしようか。それと厚生省の児童局関係との何か仕事上の連絡と申しますか、十分そういうものについて面倒を見てくれということについて、本当に緊密なる連絡がとれましようか。
○政府委員(太宰博邦君) この点については、実は先般府県の民生部長、それから主管の課長との会議も開いたのでございますが、まあ大体別に困るという話も出ませんし、まあ当然協力してくれるものと私どもは考えております。なお、一時保護所の経費が一枚めくりました(3)にございますが、そこでも若干の費用は見込まれておりまするので、それで運営することも可能ではあるわけでございます。今のところでは大体そちらのほうにかけないで、この程度のものは地方に協力してもらえる、こういう考えでおります。
○高野一夫君 中共あたりから引揚げて来た孤児に対する面倒は児童局でその仕事に当られるわけですか。それとも引揚援護庁か何かでおやりになるわけですか。
○政府委員(太宰博邦君) これは孤児という面では私のほうで面倒を見る筋合いでございますが、同時に引揚者という立場では引揚援護庁でも当面の面倒は見るわけでございます。只今のところでは両局で話合つて、その間に遺憾のないようにしておる次第であります。
○高野一夫君 最近朝日新聞に創作が出ているのですが、創作の内容を引合いに出してお尋ねするのは誠にどうかと思うんですが、こういうことが書いてある。それは中共から引揚げて来た孤児が学校に入つて非常にいじめられるというようなことがその中に書いてあるのですが、いじめられるとかいじめるかということは、これはまあ子供たちの感情的なことで止むを得ないかも知れませんけれども、そのときに私が感じたのは、中共から引揚げて来た孤児が一人前の学業を了えるまで誰が一体本当に責任を持つてその面倒を見てくれるか、これは財団とか何かそういうものがあるのかどうか。或いは厚生省がこういうような補助金か何かで面倒を見られるのか、引揚援護庁でやられるのかどうか、最後まで面倒を見てやるという責任ある仕事はどこでされるか。又経済的な問題についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
○政府委員(太宰博邦君) 中共から先般引揚げて参りました中に孤児がおりました。その際の取扱を申上げれば一番御理解が早いかと思います。舞鶴に参りました中に孤児がいるということを援護庁のほうから私ども聞きまして、舞鶴のほうに職員を一人派遣したわけでございます。私どもの考え方としては、成るべくその孤児なら孤児についても、内地に身寄りがありますればその身寄りの所へ送つて、そこで養つて頂くのが一番子供のために仕合せじやないか。これは勿論一般論でございますから、場合によつてはそうでないこともありますが、一般論としてはそれが一番仕合せじやないかというので、そういう方針をとつております。それからそのためには、仮におじさんがわからなくても、何々県の出身であるという出身の県がわかつておりますれば、やはりその出身県のほうに送つておいたほうが、そこで探したほうが或いはおじさんという身寄りがないにしても、親友がおつたとか、或いは又その近所の人がおつたというので、とにかくその子供と縁の深い人を探すのによりいいんじやないか、これも一般論で走りますが、大体そういうような県に送つておる次第であります。ただそういう一般論で律し切れない場合もございますし、そういう場合に、又孤児の希望で東京に来るというようなことで東京に現実にやつて来たのもあるわけであります。こういうような者につきましては援護庁から私どものほうに引継ぎまして、その孤児の各府県、東京なら東京という所で児童相談所に一応入れまして、そうしてその子供のいろいろな点から見まして、病気があれば病気を直してやる、それからその子供の知能の能力、或いは言語を話す能力、或いは感情がどの程度までおさまつているかというようないろいろな点専門的に一応見まして、観察いたしまして、それから適当なそういう孤児その他家庭に置けない子供を養う養護施設というのが私どものほうにございます。そこの施設にこれを入れてそこで今後面倒を見て行く。それには従来からいわゆる内地のそういう同じ境遇の子供たちがたくさん入つておるわけでございます。その中に入れまして同じようにこれを養い育てて行く、そつちから当然学校にも通わせます。それから大きくなりますれば就職の面倒、そういうものも面倒を見る、その点は全然変りもなく面倒を見て行く、こういうふうにして今日まで参つた次第であります。
○堂森芳夫君 太宰局長にお尋ねしますが、この母子手帳作成補助というものが、前年度あつたのがございませんですね。十一頁の裏です、十番目ですね。これは平衡交付金に入つておるというお話ですが、大体平衡交付金に繰入れたれたこの厚生省関係のいろいろな予算は、大体地方で圧迫されるのです。そうしてなおざりにされる場合が非常に多いのですがね。これは太宰局長、御自信がございますか、各地方でうまく行くような……。
○政府委員(太宰博邦君) この母子手帳は先ほど申上げましたように補助金整理、小額と……、どこからか小額というのか存じませんが、そういうようなことで一応交付金のほうに編入させられたわけであります。そういたしますと、交付金の制度というものについてお尋ねのような心配が従来からあることはよう存じております。ただ児童福祉法によりますると、各都道府県知事は妊娠の届出をしたものに対して母子手帳を交付しなければならないというふうに、都道府県知事に義務付けておるのでございます。これは児童福祉法の第二十一条に規定がございます。従いまして母子手帳を都道府県知事がやらないということは法律上許されない、この法律の条文は残つておるわけでございます。ただそういう母子手帳を支給いたすについての経費の面について国から補助金という形で流さないで、交付金の形で流す。従つて富裕府県などについては交付金が行かないという場合も起きますから、それは自前で以て出すということになり、その差違はございますけれども、母子手帳を支給しなければならないという点は変りがない、こういうふうに考えております。こういう線で地方にも指示してございます。
○堂森芳夫君 それから十三頁の十四番目に児童厚生施設として五百万円計上してありますね、新らしく、これは何をやるのでございますか。具体的に一つ……。
○政府委員(太宰博邦君) これはちよつと言い落しましたが、これはいわゆる基地で、基地の児童の厚生施設に充てたいという気持でございます。基地の対策につきましては、前年度から保育所を約二十ヵ所ほど一番緊急とされるところに設けまして、その保育所を中心にして基地の周辺の児童の福祉を図つて行くようにというふうなそのよすがにしたわけでございますが、地方の要望はその保育所と並んで児童のための児童館とか或いは遊園地とかいうものについても面倒を見てもらいたい、その面倒を見てもらうのはただ呼び水程度でもいいから国で面倒を見てもらいたい、あとは地元で何とかする、こういう要望があるわけでございます。そこでいろいろ考えて見ましたが、児童館とかいう建物になりますと用も嵩みます。その点につきましてはむしろ保育所は、これは普通の場合にはいろいろ異論が出ると思いますが、いわゆる基地対策といたしましては、その保育所という建物を更に活用してもらつて、例えば夜ならばその辺の子供を集めて純潔教育をやるとかいうふうに使つてもらう。従いましてここでは一応具体的には遊園地などについて若干の呼び水的な補助をしてやつたらどうかというふうな考えで組んでいるわけでございます。ただこれが最終的なまだ内訳の数字などが固まらんものでございますから……それだけでございます。
○堂森芳夫君 それは何か遊び場所をお作りになるわけでございますね。夜の女の遊び場所にならんようにお願いいたします。(笑声) それから次が十一頁の九番目ですね、身体障害児療育指導補助金というのがございますですね。これの内訳を見ますると、前年度はなしに今度は、三千百一万円ですね。これは恐らく厚生医療の予算だと思うのですが、そうなんでございましようね。
○政府委員(太宰博邦君) そうでございます。
○堂森芳夫君 これは局長の考えではどれくらいの治療を施せば、正常の児童に返れるような子供が全国でどれくらいおるか。何かそういう資料を、おわかりになつたら御説明願えませんですか。
○政府委員(太宰博邦君) 御質問の的にぴたり当つているかどうか存じませんが、これはもう御承知の通り小児麻痺とか骨関節結核、先天性股関節脱臼、内反足、そういうようなもの、或いは盲聾唖の関係で、なお直せば回復するというものに支給するわけであります。一応人員として予定しておりまするのは、肢体不自由児関係に約九百九十五という数字でございますが、約千人ほどです。それから聴力障害のほうに二百五十五人。それから視力障害のほうに四百三十九人、一応数字ではそういうものを予定しております。なお肢体不自由児の九百九十五というのも先ほど申上げましたようにいろいろ種類がございますが、まあ最初の年には股関節脱臼とかいうように、非常にケースが多くて、而もその効果が早く現れるというようなところから手をつけて行きたい、こういうふうに考えております。
○堂森芳夫君 これは非常に児童局としては私立派な一つの大きな進歩だと思うのです。次いでこの十三頁の十二ですね、肢体不自由児施設というのがございますですね。十三頁の一番上です。これはやはりあれですか、不自由な子供を治療する施設でございますか。病院のようなものですか。
○政府委員(太宰博邦君) これは正確に申しますると、ただ治療するばかりではなしに、生活訓練をするというような点を含めた福祉施設でございます。
○堂森芳夫君 そうしますると、治療しながら生活訓練をやつて行く、こういうことになりますね。実は従来田舎のほうにはそういう施設がございませんですが、従つて、私らのような北陸方面では殆んど東京へ来るわけですが、これはもう大変なんです。親が付いて来て、半年も一年もおる。そういうようなことがありましてとにかく田舎のほうは恵まれないわけです。ですからそういう施設をお作りになるときに、私は北陸というわけではないのですが、成るべく東京なんかはどうしても大都会は立派なものがほかにもあるのですから、成るべく辺鄙な地方に一つ拡げて行く、こういう方針を一つとつてもらいたいと思うのですが、何かそれの具体的な計画がありましたら御説明願いたいと思います。
○政府委員(太宰博邦君) これは現在十カ所しか日本にないのです。なお今年中に三カ所ほど建設しておりますが、そういうわけで府県によつて、或いはブロックによつて全然ないというところがある。非常にこれから作つて行かなければならない段階でございます。従いまして将来は少くともどこの県にも一カ所は必要だと私どもは考えておるわけでありますが、特にそれの建設に際しましては、そういう身体障害児の多く出る地域には特に力を入れる。ただこれの中味はもう御承知だと存じますが、比較的建設の費用がかかるわけであります。そういう子供が多く出る地域は、東北とか、北陸とかという地域は、県の財政が貧弱なので、なかなかその辺の調整がうまく行かないのですが、十分に今後力を入れて行きたいと思います。
○横山フク君 今の身体障害者の施設、非常に結構だと思いますけれども、身体障害者は特殊な人なんですよ。そういう人に、更生面の職業補導にはその人の素質に合うような職業補導をして頂きたいと思うのです。そういう面において訓練が足らんのじやないかしら。右手のない人に、如何にその人が洋裁が好きだと言つても、洋裁を教えることは無駄だつたと思います。それはあれとしまして、母子衛生の面では、非常に分野が広くて多角的に亘るだろうと思いますけれども、それを万遍なく、と言つても、少い予算ではできないと思いますけれども、児童局としてどういう方面に重点を置いてなさろうとなさるんですか。
○政府委員(太宰博邦君) 只今の御質問は、特に肢体不自由児関係を除いた残りの母子衛生と申しますか、しぼつた今の母子衛生という意味に伺つてよろしうございますか。
○横山フク君 入れても結構なんです。
○政府委員(太宰博邦君) 入れたほうは、肢体不自由児のほうで只今申上げたところなんです。母子衛生の関係につきまして、おかげ様で、最近乳児の死亡率が非常に減つて参りました。二十七度では千人の赤ちやんが生まれますると、乳児の死亡率四九・五、五十人の台を割つたわけであります。大正七年の当時の百八十九人というものに比べますと、非常に進歩して来たわけであります。併しそれでもなお文明諸国のそれと比較いたしますると、もう文明諸国では千人の赤ちやんに対して、二十台に落ちて来ておりますから、まだまだ我々はもつともつと力を注がなければならんことはもう当然でございます。それで今後どういう方面に力を注いで行くかと申しますると、同じ乳児の死亡率を見ましても、そのうち生まれて一月未満の、いわゆる新生児というほうの死亡率は、さしてはかばかしく落ちて行つてないのであります。今後は新生児或いはその中に当然未熟児というやつが含まれるわけであります。そういうような方面の対策に、力を注いで行かなければならないというふうに私どもは感じているわけであります。そういたしますると、この新生児の死亡の原因も、これもいろいろございまするけれども、何と申しても、この妊娠中の母親の保健状態というものが、やはり生れる赤ちやんに、乳児に非常に大きな作用をなしているように聞いているわけでございます。従いまして、今後はこの妊娠中の妊婦の保健指導、それから乳児というのでも特に新生児の面について、一層力を注いで行かなければいけないと、かように考えている次第であります。 それと相並びまして、これはこの前も申上げたかと思うのでありますが、この一般の母子衛生の面について考えてみましても、まだまだ安心できるわけじやございませんが、併しもうかような点については、国民の各位の認識或いは衛生思想、児童福祉思想、こういうものでこの母子衛生の極くポピュラーな面は推進して行つてもいいのじやないか。それで私どもは、これは予算にはこれは実は関係ないと思いますが、出て来ないのでありますが、母子衛生を中心にして、民間の地域的な雰囲気を高めるような施策を今後講じて行きたいと、かように考えている次第であります。
○横山フク君 今のお話わかるのでございますけれども、そういう意味から言つても、私はこの母子手帳の補助金、まあ法律で都道府県知事が交付しなければならないと、これは児童福祉法にあつたとしても、これがなくなつたということは非常に残念だと思うのでございます。 それから又同時に十一頁の(8)でございますが、妊産婦乳幼児保健指導補助金でございます。これは減つておりますし、又この保健指導をする場合に、やはり都道府県知事は、妊婦を保健所や医師や助産婦の診察を行わしめなければいけないとありますが、実際行わしめるだけの、そうしてそれの費用がないときには、その措置は国において講じなければならないと児童福祉法に書いてあるのですけれども、実際に講じられてないのですね。予算はあるけれども余り少な過ぎるせいもあるのですが、手続もやかまし過ぎるのですね。三十円かそこらの措置費をもらうのに、保健所へ行つて来い、福祉事務所へ行つて来い、村役場へ行つて来い、もうそれだつたらその三十円要らんという形が出て来ると思うのです。又妊産婦もそういうふうに歩くということは非常に、ただでさえ身重なのに、なお一層負担の加重ということになるのです。でございますので、国がそういう予算を組めば、或いはそういう途を開けば、もうそれで保健指導のほうはいいという形でなくて、もう少しこれが実際に活きるような形にやつて頂きたいと思うのでございますね。で、それはたとえ少額のお金でも国費ですから、手続のやかましいのはわかるのですが、併し保健所で実際に働く場合には、その一々の報告書を持つて来ればそれによつて済むわけでございます。地域活動をする場合に、助産婦或いは開業医が地域活動をする場合に、もう少しその点を保健所の外郭のものとして働くような形ででも、報告書や何かのような形ででも簡便な活きた動き方ができるようなやり方をして頂きたいと思うのです。 それからもう一つは、まあ予算の面では出ないで、地域活動をすれば予算の面に出ないと思うのですけれども肢体不自由児のほうは、予算の上で、身体不自由児が出て来て、非常に殖えることは結構だと思いますけれども、虚弱児童の施設なんか、去年は随分あつたけれども今年はなくなつているし、乳児院は非常に減つている。割合から言うと三分の一ぐらいに減つているのでありますけれども、こういうのをやはり妊娠時代も勿論死亡率は非常に多いわけですね。新生一年未満というのが死亡率が多いんですけれども、その後も乳児期は非常に多いわけでありますし、こういつた虚弱児童施設や乳児院のほうにも、もう肢体不自由児は大体いいんじやないかということはないんでしようけれども、足らないんでしようけれども、なお一層この方面に力を入れて頂かなかつたなら、人数からいつても虚弱児童や乳児院のほうが遥かに多いじやないか。それなのに予算のほうからいつたらはるかに少いんじやないか、バランスが少し合わんじやないかということを、これを見たときに思うわけなんです。こういう方面について承わらせて頂きたいと思うのでございます。もう一つ、さつき言つたお金をもらうのに三十円ばかりの措置費をもらうのに非常にややこしい点と関連するんですけれども、母子の貸付ですけれども、実際に予算が足りない、額が少いのをこれだけ多くの人に均霑して貸付けなければならないということから来ると思いますが、非常に少額で果してこれで更生できるかどうかということになつて来ると、非常に額にも問題があるのではないか。実際にこれをお貸付けになつて、ぼつぼつ一年にもなるんですが、そういう方面にどういうお感じをお持ちになるのか、そういうことも承わらせて頂けば非常に結構だと思います。
○政府委員(太宰博邦君) 最初の点でございますが、保健指導の際にやはり三十円や四十円という、金額はどのくらいになるか知りませんが、そういう金額に比してそれをもらう手続が非常に複雑だ、かような点は或いは場合によつてはあろうかと存ぜられますが、やはりそういう点をどうして簡単にするかということでございますが、やはり国から補助が行くということになりますれば、これは申すまでもなく過ちのないようにしなければならないということは当然なんでございまして、その辺でやはりそういうものにまで国が将来ずつと補則して行かにやならんかということをやはりその辺で考えてみなければならん点が或いは出て来るんじやないか。それで私どもの今の考えは、昔のように非常にその方面の認識が浅い時代には奨励補助その他の形でどんどんやつて行く必要がありますが、最近は割に進んで参りまして、もう御案内の通り、例えばお産の際には昔は、なんですか、取上げばばあとかいう全然専門知識のない者が相当干与をしてお産をしておつた。それがもう最近では殆んど大半が専門の医師なり助産婦の介添えによつてお産をするくらいにまで一応進んで来た。こういうふうにだんだん国民の間のこういう衛生思想が拡まつて参りますにつれて、おのずからなにからなにまで国で面倒を見るという、奨励補助をするというようなことも逐次しぼつて行つて、国民の間で自分たちでできることはやつてもらうようなそういう雰囲気を高めて行くことにして、それで国なり府県なりは、より高度な方面に更に重点的にやつて行く。どうしてもこういうふうにして参らなければ経費ばかりかかつて、そうしてちつとも効率的に使用されないということにもなろうかと存ずるのでありまして、先ほどちよつと申上げました民間の組織、地域組織ということも実はそんなことから考えて出しているのでありまして、これ又この点につきましては御指導頂きまして完全なものにしたいと考えているわけであります。 二番目の施設費の点でございますが、これは六億七千万円のものが五億に減りましたから、それは当然その中の内容についても検討いたしまして、一番緊急度の高いもの、或いは一番需要度の高いものというようなもの、いろいろな角度から検討して重点的にやつて行かなければならないのは当然でありますが、同時にこれは私どもが中央で机上でそのように考えてみただけではいかんのでございまして、地方の財政が、地方の当局がやはり自分の県では明年はこれをやろう、今年はこれをやろうということを考えて、そうして中央に申請して来るという段取りになつて両者の意見が合致して、これが実を結ぶわけでありまして、地方の県民なり或いは県民の輿論の反映として県議会或いは県の理事当局というものがそこまでどの程度認識を持つかということも一つの決定の因子でございます。乳児院につきましては現在のところ実はまだ定員一ぱいに入つていないという段階でございます。私どもといたしましては乳児院は恐らく私どもが更に地方を指導いたしましてこれを啓発いたしまするならば、乳児院に対する要望はもつともつと高まつて来るだろうとは存じますけれども、差当つてのところでは他の施設に比べて乳児院の要望というものも実際問題としてそれほど高くはないようなわけでございますので、前年の実績なども考えて、まあこういうふうにしたわけであります。それから虚弱児の施設もそうでありまして、まあこれも結構な施設だとは存じますけれども、やはり五億というものの割振りの場合に、遺憾ながら今年一年くらいはこれを一応休んでみるのはいたし方なかろうと、こういうふうな結論に到達したものでございますから、一応そういうふうに落した次第でございます。一応御了承願いたいと思います。 三番目の母子貸付の実際の額が少いという点でございますが、これはいろいろそういう御意見もあろうかと存じますが、他の国民金融公庫のそういうような貸付などの例を見ましても、大体今の母子福祉資金の貸付等に関する法律の定めております金額、あれが大体の基準でございます。将来やはりそういうふうにこの額の引上げという問題が起きて来るかと思いますが、只今までのところでは一応これでやつて行く。又事実五万円という額は少いかも知れませんが、やはりこれを借りようとする未亡人母子世帯の人の熱といいますか、意気といいますか、結構それを少いながらも本当にうまく活用して成功している例も聞いているわけでございます。これはやはりもう少し運営の実情を見て又考えてみたいと存じます。
○横山フク君 大体は了承したのでございますけれども、先ほどの措置費の問題でございますけれども、多少局長のおつしやること、ちよつと私誤解があるのじやないかと思つております。措置費を全部の人に上げるのじや勿論ないのでございまして、あれは生活困窮者、生活保護に該当する人でなければ、ボーダーラインもあると思いますが、そういう人たちに対する措置費として出るのでございまして、それは如何に皆の衛生思想が普及したつて結局困窮者なんでございますので、その人たちに対しては見なければならんのは当然じやないでしようか。三十円か四十円ぐらいのものまでも国で出さなければならんと考えなければならないということはないという今のお話でございますけれども、三十円、四十円ということが大体少いので、もつと出さなければならんという意味は言えるのじやないか、困窮者の人に対して若しお金が払えなかつたら国で見てやるという形であれば、当然見るべき額は考えなければならんし、それが実際に渡るのは府県へ行け、福祉事務所へ行け、役場へ行けというので面倒になつて、結局その人たちが診察を受けるべき機会を逸してしまうようなことにならないようにしたいというので私は申上げているので、衛生思想が普及したからもうそういうことは国でやらなくてもいいというのは、それ以上の生活程度の人たちのことをおつしやるのじやないか知らんと私は思うのでございます。 もう一つ、貸付金の問題は確かにお話の通りでございますけれども、生活保護者の生業資金の三万円とからむ問題でございますけれども、あれは額は非常に少い。少いというと折角借りたのだけれども、帯に短かしたすきに長しで、すべてに短くて、結局何かふわつとすることもあるのじやないか。もう少し折角出すならば対象も少し減らしても、それだけは本当にそれで更生できるようなもの、それで順々に皆が更生して行く。ばつと撒くよりもそのほうがいいのじやないかということを申上げたのでありまして、又同時にこの間も伺つたんでございますけれども、貸付けるとすぐ返すというような形でなくて、生業資金のほうはたしか三年くらい据置になつておると思いますけれども、このほうも何年か据置きがあつたのでしようかしら。
○政府委員(太宰博邦君) どの分でございますか。
○横山フク君 母子生業資金の貸付やなんか皆据置きでございますか。
○政府委員(太宰博邦君) この据置期関は法律によりまして生業資金と仕度資金は貸付の日から一年間、技能習得それから生活資金、修業資金は六ケ月、それから修学資金、これは高等学校乃至大学を卒業してから六カ月、それから事業継続資金だけが据置期間なしと、こういうふうになつております。
○横山フク君 実際において据置期間があるのも短いし、ないのはなおあれなんでございますけれども、借りてすぐそれが返せるものじやないだろうと思うのでございますね。やれやれ借りたと思つて、すぐそれが運転した一月後からもうすぐ返せるという形に行かないのじやないかと私は思うのでございますね。併しお金がないんだからそれも無理かも知れませんが、実際にそれを貸付けた結果はもうぼつぼつ何か少しくらいずつでも報告が出ておるでございましようか。
○政府委員(太宰博邦君) この点は、もう始まると思いますが、近く母子貸付のこの関係だけ地方の実情をまあ調査してみることになつております。それで一年間の運営でどういう実情であるか、今後それを改善するとすれば、どういう方向に持つて行くのが一番いいかというようなことをまあ検討するつもりでございます。只今までのところでは、一応貸付を受けます母子世帯の人たち或いはそれの団体でございますね、未亡人団体というのがございますが、そういう団体の会合などで私どもが聞くのでございますが、まあ額も決して十分ではなし、据置期間も或いは考えようによつてはこれくらいじや不満足である。その他の条件などについてももう少し何とかしてくれというような点はございますけれども、やはり相当みんな喜ばれて、ただ単に、ないよりはましだという程度じやなしに、非常に有難がられておりますし、事実それによつて相当更生しているように聞いておるわけでございます。詳しいことは調査いたしましたら、あと又機会を見て御報告することにしたいと思います。
○横山フク君 私も陳情がありましたり、いろいろ実情を伺いましたので、それにお力になるなり、或いはそれはこうだというお話をするなりするにしても、確かな根拠を持つてお話をしたいと思うのでございますので、できたら成るべく早くそういうほうの調査をお進め願つて、そうしてできるだけ早くこの厚生委員会のほうへもお話し願いたいと思うのでございます。でないと、何か私たちが、陳情者の人が来ても、御尤も御尤もと聞くだけでは意味がないので、聞いたとき何らかの形でお答えしなければならんと思いますので、是非お願いしたいと思つております。
○常岡一郎君 全体としての予算で二億円余りの増加というお話がありましたが、37の児童措置費の場合だけで五億円ほど増しておるわけですね。ところがそれが殆んど米価の値上りとそれから医療費の高くなること、事務費、人件費の上つたことによつて殆んどこれが使われるといたしますならば、事実においては、予算はほかのものは児童関係においては大分減つておるというふうに見られるじやないかと思いますが、そうでしようか。
○政府委員(太宰博邦君) これはいろいろ見方があろうかと存じますが、政府としましては、インフレを抑制するために均衡予算を組む、その他の施策を以て物価なども幾らでございましたか、下げるように持つて行く。こういう事態でございますので、先ほど申上げましたように、内容の改善については私どももつともつとしたがつたのでございまするけれども、この程度に納まつた。これは前年並みということでございますので、その程度で一つ御了承願いたいと思います。
○常岡一郎君 そこでちよつとお尋ねいたしますが、御無理もないことだと思いますけれども、保育所問題ですね、38の保育所問題ですが、これは大阪でもこの間無届のものが縁が悪いために二人の子供が下敷きになつて死んだというのが出たんですがね。朝日新聞なんかに出ておりましたが、そういうふうに至るところに無届の保育所がたくさんできまして、そのために非常に正規の届けをいたしております保育所が、児童福祉法なんかの規定でできないというので断られ、片一方のほうはもぐりですから幾らもできるというようなことで、至るところで混乱しておるようですが、そういう点がございますので、特に保育所問題はこれは重大だと思いますが、それに五千六百万円前年に較べますと減額されておるようでございますが、これは減額されていて、現状の非常な緊急な問題、無届のものが非常に跋扈しております現状、名古屋だけでもこの間調べてみましたら四十カ所ぐらいあるようです、無届けのものが……。そういうような点をお考えになつてこれは減額されても止むを得ないとお考えになるでしようか。実情に余り副わないという結果になるじやないでしようか。
○政府委員(太宰博邦君) まあ緊縮予算を組むということでありますので、そういう影響がこの方面にも波及して参りまして、前年よりも枠が縮まつたということは、これは勿論申すまでもなく私どもは残念に思つておりますが、そういうふうにもう決定いたしましたので、止むを得ないと思います。その枠の中でも極力保育所については今お話のように要望が非常に強いのでございますので、それに振向けて行くという建前をとつて考えてみたのでございます。他の関係の施設については先ほども横山委員からもいささかお叱りめいた御質問も受けたように、乳児院とか、虚弱施設というようなものについても、これを涙を呑んで切捨てるというようなことをし、その他の施設につきましても、今まで調査しましたぎりぎり最低の分だけにとどめまして、他は挙げて保育所のほうへ廻したわけでございます。それでもなお且つこの程度の減額は免れなかつたわけなんであります。これはやはり他日又これを何らか補正するとかいうふうな機会でもございました際には、又一つ頑張一つてみようかということでございまして、只今のところはいたし方ないと思つております。
○常岡一郎君 その場合に一番現下の問題としておりますのは、無届けのものが非常に乱暴なやり方をしておりましても、それは何ら制限も受けない。それで正式に届けたものは何ら恩典は受けていなくて、非常な制限を受ける、人員の面で……。そういうような場合に対する調節或いはそれに対する何らの処置もなかつたならばこれは非常な問題だと思いますが……。
○政府委員(太宰博邦君) 児童福祉法の第三十五条によりまして、市町村その他の者は、都道府県知事の認可を得て児童福祉施設を設置することができるということでございます。一応児童福祉施設を設けて正規の運営をしようとすれば、必ず都道府県知事の認可を得なければならん仕組になつておりまして、ただ、或いは中には無届でまぎらわしいようなことをやつておるものが或いはいあるかも知れません。これは私のほうでわかり次第そういうものに注意をしたりするわけでございますけれども、まだ十分な点までに至らない点があるのかも知れません。かようなものが若しありました場合に果してそれが保育所であるかどうかという点についても、調べなければならないと思われます点は、そういう無届のものが保育所にまぎらわしい経営をしましても、当然措置費は行きませんのでございます。そうすると子供の家庭から取つて賄なら以外にないわけでございまして、従つて当然そういうところには、いわゆる私どものほうのまあ施設の主なる対象であります勤労下層階級というようなところの子供は行けないのじやないかというような気がします。その辺が幼稚園まがいのようなものに今度はなつて来る。その辺のところがちよつとあいまいな面が或いはあるのかも知れないけれどもこれは今後注意して調べて参りたいと思います。
○常岡一郎君 今のよく実情を調査して頂きまして、もう少しそれに対する対策をはつきりとつて頂きたいということをお願いいたしまして、まあ次の母子寮の問題でちよつとお尋ねいたしますが、これの枠が七千五百万円縮められておりますが、これも只今の御説明で、緊縮予算の影響だといたしましても、現状において一番問題になつておりますのは、母子寮におります子供が一人前の十八才以上になりまして出なければならない。併し実際に今日の苛烈な住宅難の時代であることは、御承知の通りでありますが、そのために出ることができないというような問題で、非常に到るところで問題が出ておるようでありますが、それに対しまして応急の処置として、やはり新設、増加しなければならない。或いは勿論それは法律の通りにしなければならないということになるかも知れませんが、現状におきまして、大体母子寮の経営者にとりましては、非常な悩みの種になつておるようでありますが、この辺に対しても、枠が縮められても差支えないとお考えになるのでありましようか、これはなんとかしなければならん問題ではないだろうかとお考えにならないでしようか。この点について御所見を承わりたい。
○政府委員(太宰博邦君) 只今の点は、私ども非常に悩んでおる点でございまして、現在母子対策の、母子家庭の者の悩みの一番大きい一つにこの住宅問題があるわけであります。それで母子寮があるからいいじやないかと申しますと、もうお話のように児童の年令が規定の年令を超えた者が出ますならば、それは出て行かなければならない、或いは母子寮というものは更生いたしますればよそに出て行つてもらうような建前になつておりますから、まあ比較的職業に就いて生活が安定したとたんに追出されはしないか、こういう点について心配が常につきまとつているようでございまして、この点から母子住宅というものを考えてくれ、こういう要望が実は非常に強いのであります。それで私どもとしましても、この母子住宅という面について今後一層考えて行かなければならないと思うのでありますが、只今のところでは住宅行政が建設省の所管になつております。その建設省の所管の中で、ただ御承知の第二種公営住宅というものについては、厚生省の社会局が関与いたしましてそこでこれは主として一番下層の人たちに、低収入の人たちにこれを貸すというふうにしておるわけです。大体二十八年度が一万戸、明年度も恐らくそのくらいであると思いますがすでに一万戸できております。その中に母子家庭の者などが借りるわけでございます。これについてもどうもそれでも母子家庭が最優先というわけにも行かないので、母子住宅は是非とも作つてもらわなければ困る、こういうような声もあるわけでございますが、只今のところではなかなかこれが思うように行かない。これの代りといたしまして、母子寮をもつと増設したらどうかということでございますが、実は地方などの要望を聞いてみますと、母子寮というものについては余りさほど思つたほどに要望が強くないのでございます。仮に最初に母子寮を作るという話がきまりましても、あとになつてこれをほかのほうに振り替えてくれという話が出て来る実情で、やはりこの辺で母子家庭の住宅問題、更に大きく国民の住宅問題というものについて考えねばならないような部面もあるような次第でありまして、只今のところではこの母子寮がこれだけ減つたことはそれ自身はやはり先ほど申上げましたような事情でございますれども、この結果母子の住宅対策が非常に困るという面についてはむしろ余り影響が少いように感じておるわけでございます。
○常岡一郎君 今の御説は一応御尤だと思いますが、母子寮をほかに振り替えるという問題でも、その奥には母子寮経営者、早く言えばそれはやろうとする人たちが割合いにどちらかと言えば、それほどの力を向ける魅力を持たないといいますか、反面実際に悩んでいるほうの、煩わしい問題を持つている人たちには、母子の対策というものは決してなくなつていない。母子寮を必要とする人たちはなくなつたのではない。母子寮をやろうとする人の意欲がなくなつているというところに、お考えにならなければならん点があるのではないか、こういうふうに私は今のお話を承わりながら感じました。 次に虚弱児童の施設が零になつておりますが、これは特殊なものでありますが、現在何カ所くらい日本全国的に、この虚弱児童施設をお持ちなんですか。
○政府委員(太宰博邦君) ちよつと手持の統計が古いかも知れませんが、二十七年の十二月末現在で、虚弱児童施設が、その後殖えておりませず十八ヵ所でございます。
○常岡一郎君 その虚弱児童施設に入ります子供は、どういうふうな子供が今まで収容されたのでありますか。例えば養護施設のほうでありましようか。それとも私契約の子供ですか。
○政府委員(太宰博邦君) これも大体しかお答えできないのでございますが、勿論個々の家庭からそういう虚弱児を直接施設に収容したということもございますが、同時にその他の児童福祉施設、例えば今お話のように養護施設とかいうようなところにおいて、この中に収容している子供の中で虚弱な子供が出ました場合に、そういう子供をそちらのほうに移し替えて、虚弱施設で以て面倒を見てやる、こういうような措置もとつている次第であります。
○常岡一郎君 その虚弱児童と診断されます範囲は肢体不自由児ではなくて、例えば小児結核というようなものが主なのでございましようか。
○政府委員(太宰博邦君) どうも常識的なお答えになつて恐縮ですけれども、格別まあ結核というものが明瞭になりますれば、これはやはり医療措置をしなければなりませんので、果してこういう所に入れるのがいいかどうか問題だと思いますが、主として腺病質な子とかいうような、体質の弱い子供という標準でやつておるわけでございます。
○常岡一郎君 これはまあなくなつて行くためにこれの施設が余り要らなくなつたというなら非常に有難いのですけれども、そういうわけでもないのですね。ゼロになつておりますのは、必要があるんだけれども止むを得ないという意味なんですか。
○政府委員(太宰博邦君) 先ほど申上げましたように、全体の枠が縮まつて参りましたので、いろいろな点から勘案いたしまして、ものによつては今年一年間は辛棒しよう、たまたまその選にこれが入つたということであります。
○湯山勇君 中座いたしておりましたので、若し御答弁になつた部分がございましたら答弁したとおつしやつて頂けばあとでお伺いいたします。母子福祉貸付金の中で、今度新設されました孤児の貸付二千万円というのは、これはやはり他のものと同じように利息がつくわけですか。
○政府委員(太宰博邦君) さようでございます。
○湯山勇君 その場合そういうふうになりますと、この債務の責任者でございますね、孤児の場合これはどうなるのでございますか。
○政府委員(太宰博邦君) それは孤児自身でございますが、これに保証人が大体つく予定でございます。それが従つて保証人としての責任を負う、こういうことになろうかと思います。
○湯山勇君 こういう所へ入る孤児ですから、適当な保証人が見付かるか見付からないかどうかもわかりにくいと思いますが、そういう保証人がなければこの貸付金は借りることができない、こういうことになるわけでございますか。
○政府委員(太宰博邦君) 私どものほうは、当然孤児でございますから、放つておきますればなかなか保証人になる人が得られにくいと思います。施設に入つておりますような場合においては、或いはその施設の長とか或いは府県の主管の係官とかいう者がまあなるように、これは放つておけぱ当然そうなつて来る。併しかような問題について、なお、私どもが対策としてもつと進めて行かなければならん点がそこに出て来たと思います。同じようなことは母子家庭に対する貸付につきましても保証人がやはり必要になつております。この点についてなかなか所によつてはすぐ保証人が得られないという面もままあるように聞いております。それで例えば或る県のごときは、そういう母子家庭の人の貸付の際の保証人の一番心配しておりまする若し焦げついた場合の責任、かような面に対する一つの援護的な組織を作つてそうしてまあ万一焦げついた場合には、その組織の財源から出す、そうして保証人の人には迷惑をかけない、こういうふうな軽い形にしてやつて、どなたでも気軽に保証人になつてあげるようにと、こういうような施策を講じている所もございます。こういうふうにして、やはりこういう点のなお欠けておる点を今後解決して行きたい、かように考えておるわけでございます。
○湯山勇君 今の点は非常に考慮されておる御様子でございますから、これは是非今の、特に孤児への貸付ということになりますと、母子家庭への貸付以上に困難な問題があると思いますので、早急に御善処頂きたいと思います。 もう一つお尋ねしたいのは、母子相談員の手当、旅費が地方交付税交付金のほうへ廻るというようなことでございましたが、従来からこれは非常に額が少いというので問題になつておつたと思うのです。地方財政計画ではどのような程度にこれを見込む御予定でございますか。従来通りか、増額されて見込まれるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(太宰博邦君) 自治庁との間にまだ終局的な話合いをするまでに至つておりませんが、まあ大体昨年度程度、それ以上なかなか実際問題として折衝いたしましても困難ではないかということを憂えております。
○湯山勇君 昨年度は旅費等については、実行予算といいますか、節減というので、組まれておつた予算よりも少い額しか使われていないわけでございますが、結局昨年の実績程度でございますか。名目的に昨年組まれた程度は組まれるだろう、こういうお見込みでございますか。
○政府委員(太宰博邦君) 一応大蔵当局が交付金関係に見込みました額は、昨年度の四千七百九十九万円というものに対して四千四百万円組んでおるわけであります。その点から言うと若干減つておりますが、減つておりますのは昨年度は制度の始まりでございますので、初度調弁費が入つた。その点を落しますると、大体あとは昨年並みと、こういうふうになつているわけでございます。但し、自治庁との折衝においては、必ずしもこれがそのままというわけではございませんので、なお、自治庁と話合いを進めて幾らかでもこれを殖やすような努力はいたしたいと考えております。
○堂森芳夫君 さつき僕は質問を落したのですけれども、前から問題になつておりました保育所の児童措置費ですね、赤字が九億くらいあつたはずだと思うのです。それで会計課長の説明では、予備費から何か支出する、こういう説明だつたと思うのですが、そのようになつておりますか。 それからもう一つは、前から陳情がありました援護率ですね、三〇%をもつと殖やしてくれ、こういうふうな陳情があつたんですが、局長も非常に努力しておられたようですが、やはりそのままですか。これでうまく保育所は運営できるでしようか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(太宰博邦君) 保育所の措置費は今年度分について予備金から五億円先般支出いたしております。今年度私どもやはり地方から出て参りますのが九億円余りを予想しているわけでございます。併しそれは地方から出て来ている額でございまして、これをやはり適正な物差を当てまして、これを査定と申しますか、やはりこれを統一的に調べて見る必要がございますので、只今各県別にそれをやつている最中であります。今までの実情から見通して見ますると、大体この予備金の五億円と、それから既定経費がなおございますから、そのほうから若干出せると思いますので、それでほぼそう無理なことなしに今年度は納まるんじやないかという感じを持つております。それから明年度の分につきましては、御指摘の通り援護率については前年同様になつております。この点については或いは明年度が本年と同じような又不足を来すんじやないかということを私どもも若干心配いたしております。ただこの点につきましては、私どもの考えとしましては、保育所の経常費、これはほかの場合もそうでございますが、特に問題になります保育所の経常費については、従来平衡交付金制度にあつたものが二十八年度から国庫負担の制度に戻つた。その平衡交付金時代に地方の運営が担当まちまちな点がございまするで、やはり国庫負担制度に戻りますれば、これは一定の基準の下に統一のある運営をしなければならないと思うのであります。それで極力これを軌道に乗せるべく今まで努力して参つたのでありますが、不幸にして今年度のうちにこれを完了することができませんで、明年度までやはりこれを持越すようになりました。実際問題といたしまして限度額の点或いはその収入認定の点その他で、或いは定員超過の点などというような点で、なお検討を要する余地がございます。これを今後 検討して参りまして、いわばこれを軌迫に乗せて行きたい、それで果して予算で足りるかどうかということがその次に起つて来るわけでございます。軌迫に乗せました上で、その点を検討してみたいと只今のところはそういうふうに考えておるわけであります。
○堂森芳夫君 そうしますと、五億来年度殖えますね。それを赤字に充填して行くということはないのですか、何かそういうふうにも聞こえたのですが……。
○政府委員(太宰博邦君) これはその意味の五億ではございません。やはり先ほど申上げましたいろいろな米価とか、それから人件費の増、そういうものでございますので、援護率の関係、つまり赤字に出るような援護率の関係については前年通り一応組んでおる、で問題を持越した、こういう形でございます。
○堂森芳夫君 局長にお尋ねしますが、米価は上るし、医療費は上るし、いろいろなことで、そうしますると、ますます来年は苦しくなりませんか、そういうことになりますね。
○政府委員(太宰博邦君) 保育所に限定して申しますると、これはまあ保育所の経常費の一番主なものは職員の人件費でございます。これが大体今度の予算では一応見ておりますものですから、まあまあ前年よりも更に苦しい立場に追い込まれるということは一応はけ避られるかと思つております。
○委員長(上條愛一君) それは児童局関係の質疑を以上を以て終ることにいたしたいと思います。 次に予算全般についてなお残つておりまする御質疑を願いたいと思います。いずれ大臣も参ると思いまするので、大臣以外の各局長に対する御質疑が残つておりましたら願いたいと思います。
○有馬英二君 医務局長に一つお尋ねをします。これは先般御説明があつたんですが、その際私は余り満足した説明と思つていなかつたんですが、国家試練のインターンの取扱いの問題なんですね。指導員に対して若干の手当が出た、それからインターンに対しては先だつての説明では三人に対して二人たけ補助費が出るというような御説明であつたようであつたんですが、大体御承知のように昨年大分インターン問題でインターンがインターン廃止というような運動が各地方で起り、又当院にも随分陳情に見えて、その際医務局長は来年はこういう工合にするというような案をお示しになつた。その際の案は私今ここに持つて来ておりませんけれども、インターンからの希望に大体即したように大蔵省にかけ合つて、インターンには幾らかの、つまり支給を出すことができるようにするからというようなお話であつた。ところが今度の措置を見ると、ちつともそれがそのまま行われておらないように私な思うんですがね。この点について一つどういうわけでこうなつたかということを御説明願いたい。そうでないというと、これはインターンの、いわゆるインターン廃止の連中と言つちやおかしいかも知れませんが、人たちが決してこれで満足しないと私は思うんですが、御承知のようにこの点については私どもも随分いろいろなことを聞き、又私自信もいろいろ申上げたこともあるのですが、まだ実際においてこの国家試験問題、それからインターン問題ということは、解決に来ておらないと私は思うんですが、一つ御説明を願いたい。
○政府委員(曾田長宗君) この前にこのインターンの問題につきまして如何ような予算要求をするつもりかというお尋ねがございましてそれについて一通りの御説明を申上げました。その一つは、施設に対する指導者謝礼及びいろいろな建物、器具等の借損料というものを増額したい、そのことによりまして、各施設においてインターンの修練が内容的に向上するような措置を講じたいということを一つ申上げました。この点につきましては、殆んど私どもそのときに御説明申上げましたとほぼ同額の金額が認められておるのでありまして、この指導者の謝礼が従来三千円として組んでございましたものが、年六千円、決して六千円でも満足だとは思いませんけれども、一応倍額に増額して頂いたというようなことで、これはこの点と、それから更に施設に対する借損料というもの、従来年間一施設一千円でございましたけれども、今回は一万円というふうに見てもらいました。で、この点はこの前年に比べまして、又皆様方に一応御説明申上げましたものが殆んどそれに近い額入つております。 それからその次は宿舎設備の問題でございます。この宿舎設備について初めにこちらから要求いたしましたのは、国の施設に対してはこの全額を当然国が負担いたすのでありますが、そのほかに公立病院及び民間の病院でインターンを預つて頂きますところに対しては、宿舎整備のために要する経費の半額を国庫から補助いたしたいという予算を要求いたしましたのです。これにつきましては額が相当額に上る、一億余りになつたわけであります。まあ予算をできるだけ例の一兆円にとどめるというようなことから抑えられたこともございましようが、一つにはこの経費が病院の施設に対する一つの補助というようなことになりますことと、それからかようにして設けられた施設が学校の入学生というようなものと違いまして、結局インターンの希望によつて配置されるというような関係があるものですから、果してこの設けました施設に全部インターン生が入ることに、収容されることになるかどうか。かなり空席ができるのではないか。足りないところもあろうけれども、又どつかに空席ができるというようなことになるのじやないかというような点、又インターンの中でも自宅から通うというようなことをより便利にし、又インターンの修練に差支えがないというような事情もあるのじやないかというようなことから、私ども要求いたしました額をそのままというわけには行かないという大蔵省の意見でありました。併しながらインターンの実習を十分行うためには、このインターンの目的がこの病院に泊つて、そして常時患者に変化でもあつたときにはすぐにかけつけて手当をするということを見習うことでございますので、どうしても病院に入つてもらうことが望ましいということは了解して頂けたわけであります。そういうようなことでこの問題について全然手を触れんということは確かにインターンの制度として不向きかも知れんというようなことで、取りあえず明年度においては国立病院で厚生省が直接責任を持つております施設に来たインターンというものに対してだけ一つ宿舎の整備というのを図つて、そうしてその成績を見まして、その後地の施設に対しても何かの方法を講ずるということを考えてみたらどうかということで取りあえず国の施設であります、そのうちの一部分になりますか、厚生省で直接責任を持つております国立病院、大体予定いたしておりますのは五、六百人でございますが、そのものに対する宿舎の整備を図る、そうしてその宿舎の整備はこの病院の事情によつていろいろ異りますので、この病院の整備費と国立病院の整備費のうちにぶち込んであります。この経費でその宿舎の整備を図る。これがまあ幾らくらいの金額になるかということは、まだ個々の施設に当つてみませんと、明確なことは申上げかねるのでありますが、恐らく数千万というものがこれに廻されるというふうに予想いたしておるんであります。まあこういうような意味でこの宿舎の点も不満足ではございますけれども、一応或る程度そのうちの一部分のものについては或る程度この措置が講ぜられる、それからこれもこの前からも申しましたようにインターンというものは勿論インターンがこの医術を学ぶのでありますけれども、その間に病院におきましてもこのインターンが実習中に行います仕事が病院の何らかの手助けにもなるというようなことで、病院で事情が許すならばそのインターンの宿泊施設或いは食費その他のことについて何らかの措置が講ぜられる。できますれば給与までも考えてもらいたいんでありますが、そういうことができるならば措置を講じてもらいたいというようなことが決して筋違いでもないというふうに考えることを申上げたんであります。事実今日でもすでに宿泊施設を提供しておる施設もございますが、まあこういうようなところをできるだけ都合して便宜を図つてもらうということを一方では進めて参りました。そのほかに今申上げましたように、明年度は国立病院だけでも一つ新たに設備を整えて行くという措置を講ずることになつたんであります。 それからこの給与の問題につきまして、御承知のように大体月に二千五百円程度の給与を全部給したいというふうに考えたのでありますが、これは根本的に大蔵省のほうとも意見が合到しない点もございました。給与は不適当である。やはり貸費ということのほうがいいのではないかということで、育英資金の枠を拡げる。先ほどちよつと有馬委員が申されたんでありすすが、正確に申しますれば三人に一人という比率でございましたのが、明年は二人に一人ということになりましたので、その間の差が約六百人程度と思うのでありますが、その程度の枠を拡げて、そうして生活に困る人たちには給費の途を開くということになつたんでありまして、勿論この施設の整備と或いは施設に対するこの借損料、或いは講師に対する謝礼ということと、それから宿舎の問題、給与の問題と、この二つが大きい問題であつたんでありますが、その三つとも決して必ずしも十分というわけには行きませんが、第一の問題については殆んど要求額に近く認められましたし、それから第二、第三のものについてもとにかくその改善の趣旨というものは或る程度出ておりますが、勿論不十分でございますけれども、この今後逐次この制度を、内容を充実させて行くというふうにいたして行く見込は私どもとしても多少持つておるわけでありまして、本年度は或る程度僅かではありながらも一歩前進はしたものというふうに考えております。これを将来も更にこの拙らしい手を打つて行く。それから一番大切なことはその修練の内容なのでございまして、いろいろ修練を担当いたします病院とよく連絡して、できるだけこの適当な、又インターン生にも満足をより十分与え得るような内容にして行くということに努力をして参りたいというふうに考えておるのでありまして、私どもとしましては、この一歩前進は期待できるものというふうに考えております。一応御説明申上げました。
○有馬英二君 御説明わかりましたが、成るほど一歩前進には違いないのですが、その一歩が極めて小さい一歩であるというふうに私ども思う。誠にどうも不満足な、いわば申訳的な措置を講じたとしか考えられないのです。その施設のほうの、つまり教育に必要なる施設に対して或いは指導者の、年額ですか六千円というような金が出たというようなこと、これは勿論教育上必要な措置でありますからして、これも勿論インターンの教育全体からいいまして必要な金であるが、差当り最も重大視せられておるのはインターンの宿舎と、それから身分の確立と、それから今の食費、その他のまあ生活費ですね。生活費の保障ということを仮らが求めておるのであつて、戦後我が国の経済状態が一般に非常に不安である。従つて医学生が他の科の学生よりも遥かに長い年限を修得に費して、卒業後更に又一年そこにインターンというようなことで、全く無休で働かなければならんというのは、これは本人自身に対しても非常な負担であり、又家庭に対しても非常な負担である。これのことを私どもも又心配し、又インターン当人も、又父兄も非常に心配しているのであつて、若しこの制度を今後続けて行くならば、やはり今いつたようなことについて国家が保障してやるというようなことが必要ではないかということからこういう問題が起つているのですから、ただまあ二人に一人は貸費をするからというようなことであつたら、その二人のうちの一人はどうされるかということが問題になる。みんながみんな非常に貧乏人ではないかも知れません。ないかも知れませんが、大多数のインターン生がみんなアルバイトをやつてやつとやつておるというような状態であることは、厚生省当局も御承知であると私は思うのです。ですからしてこういうようなやり方で私は決してインターン生、或いは医学生全般から申しましてもこれは満足されるものではないと思うのです。勿論これは一歩であるから、来年は二歩或いはもつと一段飛んで十歩も先によい設備をするのだというような金を出すのだということならば、それはまあそれでいいかも知れませんが、併し本年のこの予算の組み方において私は余り満足ではないことを申上げる。 それからこの国家試験の問題ですが、これは大臣がお見えになつたから、大臣に一つ大臣のお考えを聞きたい。なぜこの国家試験をしなければならないのか。勿論これは国家試験の審議会があるはずでありますから、その大学の教授或いは学識経験者が寄つて、そうしてこれを審議されていることと私は思うのですが、そういう点について、この国家試験の是否、今の通りで国家試験をやらなければならんという理由と、それから国家試験の施行の時期ですね。今のようにインターン制を設けて、卒業後一カ年経つてから国家試験を行うほうがいいか或いは卒業後すぐ国家試験というものもやり得るわけなんで、そういう場合にはつまり医学修業の方法を変えればいいわけですから、そういうことについて厚生大臣はどういう工合にお考えになつておられるかそれを伺いたい。
○国務大臣(草葉隆圓君) これはお話のように、誠に有馬さんそのほうでは殊に御研究を最も積んでおられるのでございまして、従つて考え方の上では両方あると存じます。ずつと前のようにもう学校を卒業したならば、それですべて資格を与えてしまつて、そうして更に研究するのは本人の自由だというふうな方法と、それから現在のようにイーンターン制度を設けまして更に研究してそこで試験をする。而もその試験も学校後に国家試験をして、そうしてそのあとで実習をやるというような行き方、いろいろあると存じます。これは戦争中からもインターンという問題が論じられ、又多くの国々がこの制度をとつておりまするような関係から、更に一層実力を充実するという意味で、にわかにインターンを廃止するということは、これは検討の余地が相当ありはしないか。むしろやはりこの制度を有効に、有利に推進して行くほうがいいのではないかということを、只今も検討をいたしておる次第でございます。従いましてこういう点からいろいろ検討いたしますると、お話のように試験そのものの時期というのも、或いは前後するようなことも考え得る余地が十分ある。又インターンそのものについての内容の検討、只今御質問になつておりましたような点からの最後の仕上げを、余りに負担を多くして困難なものにいたしておるという現状から、こういう点についても今後検討すべき余地が相当残されておる。併しいずれにいたしましても、この医学の進歩につれまして、一層その内容の充実するような方向に進んで行く方向をとつて行くことが、これはどうしてもそういう方向を進んで来なければならない。従いましてそれらに対する具体的なやり方について、今後十分な検討をしながら、その方向が相当とり得るように政府としても、国家としても努力をいたすべきものと考えております。
○有馬英二君 私は直ちにインターン制度を今やめろというわけではないのでありまして、厚生大臣がお考えになつておられるように検討の余地はある。勿論これは十分検討しなければならんと思うのでありますが、国家試験というものの必要であるということは、教育がまちまちである。従つて同じに医者であるといつても、或る医者は立派な大学を本業しているが、或る医者はそうじやない、極めて不規律な修業をしたというような事態があつて、そうしてそこへ、つまり社会へ出て来たところの医者が誠にどうも不安心極まるものである。そういうような非常に等差がある。そこで国家が定の試験を課して、そうしてその基準に合つた者だけを医者としての免状を与えるというのが国家試験のこれは目的であるので、そういう時代が日本におきましても御承知のように明治の何年かくらいから明治の三十数年までの間に起つて、曾つて日本でも国家試験があつたことを私どももよく覚えております。ところがだんだん日本の医学機関が完備せられまして、初め医学校と。いうようなもの、或いは医学教習所というようなもの、或いは私立医学校というようなものがだんだんだんだん整備をされまして、或るときはいわゆる医学専門学校というものとそれからいわゆる帝国大学というような恰好のものとがあつた。ところがそれがだんだんだんだんと発達いたしまして、今日では医学専門学校というものは全廃されて皆大学になつた。ですから只今の医学を修めたつまり卒業生というものは、前から見ると非常に立派なものができたと私どもは考えておる。つまり大学を卒業すれば、もう国家が一定の規格を設けて試験をしなければならんというような必要はだんだんに薄らいで来た。こういうように私は今でもそういう観念を抱くのですが、我々の大先輩であるところの昔の東京の大学の教授連が日本の医学のその当時の状態を深く観察しまして、そうして明治三十七、八年、四十年はなかつたと私は思うのですが、その時分はあつた国家試験というものを大英断を以て廃止してしまつた。これは局長は多分御存じかと私は思う。そういうような過程が日本にはあつたのです。今廃するということは新たにじやないと思うので、そういうことは歴史にあつて、我々の先輩がそういう大英断を用いて日本の医学というものを統一されて、そうして立派な医学者を或いは医者を作つた。そうしてその結果どうであつたかというと、ちつとも西洋の或いはアメリカの医者などに負けていないところの立派な教育が行われておつたと私は思うのです。現在の医学機関も又そのときと比較してどうかというと、そのときより以上に機関が整備されてそうして教育が施されておると私は思う。ただ徒らに戦後アメリカさんがやつて来て、日本には国家試験が行われておらない、誠に不整備であるというような非常に皮相な考えから、日本に国家試験を課したと私は考える。それを非常な混乱の、特に経済状態において敗戦後混乱を来しておるさなかに、こういうアメリカ式のことをいつまでもやらなければならんということは、私は考えるのがもうすでに間違つておると思うのです。今日日本で医学教育というものはそんなに混乱しておらない。随分たくさん教育機関ができました。それは或るものはまた整備されておらないかも知れません。私は二、三カ所地方を廻りまして、その設備が、これは昔の東京の帝国大学であるとか、或いは大阪であるとか京都であるとかの医学機関から見てそれは施設において劣つておるところもあります。ありますが、そこにおるところの教授連にしましても皆立派な成績を挙げて研究をして、そうして教育に当つておる。そういう点は少しも古い大学と遜色はないと私は考えておる。そういうことですからして国家試験というものを今どうしても行わなければ……、医者が甚だどうも不完全な教育を受けて来たものであるというようなことは私は考えられない。それは御承知のように国家試験ができてから、大学の教育が試験を国家試験のほうへ譲つて、自分たちのほうの試験に余り重きを置いていないというように私は考える。それから又実際学生もそう言うのですね。国家試験があるから自分たちのほうの試験をしなくても、つまり大学の試験で及第とか或いは落第とかきめなくても、国家試験がきめてくれるから、自分たちはそれで責任を済ますというような考えを大学の教授が持つに至つておるということは明らかであります。ですからこれはもう教育の内容を変えれば、国家試験を若しやらなければならんとすれば、卒業後直ちに国家試験を受けても差支えがない。それから一定の研修をするということは、これは随時練習ができるのですから、一向差支えないと私は思うのです。そういう点におきまして私はもつと厚生当局は一段の御考慮を願つて、この国家試験制度というものを、ただこの経済面からばかりでなしに、根本的に一つ御考慮を願いたい。これは勿論医育教育と関係があることですから、厚生省ばかりでなしに文部省ともよく協定をして、大学の教育の中にもつと修練を織込んで行くというようにしなければならんと私は思うのですが、この点について特に厚生大臣が厚生方面に最も深い造詣を持つておられ、又関心を持つておられる厚生大臣でありますからして、私は特に要望する次第であります。
○国務大臣(草葉隆圓君) 只今の御意見誠に私ども謹んで拝聴いたした次第であります。従いまして、これは結局、お話にもありましたように、現在の教育法、或いは学校教育のあり方と、これが実際の実務的な方面に学校教育を切替えて、内容をこれに取入れて、そうしてやつて参りますると、卒業と同時にその資格と、それから実力とを得るようにして行くほうが、日本の現在及び将来にはいいのじやないかという問題になつて来ると思います。御意見の点は誠に御尤もな点であると思います。十分文部省その他とも、今後こういう問題を検討いたして参りたいと存じております。又現在のままにおきましても、御意見にもありましたインターンの前に国家試験をするかしないかというのも、これは一つの大きな課題であり、十分研究をいたしたいと思います。
○堂森芳夫君 草葉新厚生大臣に質問申上げたいと思います。我々の敬愛する草葉氏が、新らしく厚生大臣になられましたことを、心からお祝いするわけでございますが、厚生大臣は、就任されまして一体どのような抱負を持つて今後厚生大臣として処して行かれるか、一つ、漠とした質問でございますが、抱負のほどを承わりたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) 誠に、この本厚生委員会とは、従来から深い関係を持たして頂いており、且つ又厚生省自身といたしましても、強い御推進を皆さんから頂いておりますので、私自身厚生大臣となりましても、大変な親しさと、力強さとを感じておる次第であります。そこで、結局今後の厚生行政の面におきましては、新らしい日本と申しまするか、新日本の発足に当りまして、様々な問題がありまする中に、憲法にも示しておりまするような心持ちを十分徹底いたしまして、いわゆる住みやすい、楽しい日本の建設というのに厚生行政が最も中心になるものではないか。そういう意味において厚生行政の十分なる発展と徹底とを期するように努力して行かなければならない。これが如何にもこう漠然たる言い方で誠に恐縮でございますが、全体といたしましては、そういう心持ちを中心にいたしたいと存じております。又具体的なことにつきましては、いろいろ問題があることと存じまするから、これらの点につきましては、今後それぞれ御指導等も頂きたいと存じます。
○堂森芳夫君 決して言葉尻を捉える意味ではございませんが、草葉新厚生大臣が就任せられましたときに、新聞談話で、私こういうふうに読んだのです。私は新らしく厚生大臣になつたので、日本的な社会保障を実現して行きたい。こういうような談話を発表せられたように読んだのですが、これは間違いかも知れませんが、一体日本的な社会保障、そういうものはございましようか。一つ言葉尻じやなしに抱負を承わりたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) その通りに申しましたことは事実でございます。私はいわゆる新らしい近代感覚を持つた社会保障というものの中に、やはり日本民族は日本民族としての社会保障という姿が出て来べきものである。終戦後只今有馬さんのお話もありましたが、どうもまだ終戦後の状態がちぐはぐになつているような状態が相当ありはしないか。これをもう少し或いは住宅なり或いは生活様式なりの上から出ました、日本の持つ、又形の上の充実さを持つ社会保障というものが、これは決して排外的という意味じやなしに考えられるべきものじやないか。従来或いは慈善事業なり社会事業と申しておりました時代におきましては、相当やはりあつたのじやないか。近代的な感覚を持つても、やはりそれが日本民族にぴつたりあつたようなものが出て来べきものじやなかろうか、今その一つの過程にあるからして、それがだんだん洗煉され、抽出されて行くべきものじやないか、こういう感じと考え方とを今も持つているわけであります。併しその実際の具体的な方法となりまするといろいろな問題が出て来る、かように考えております。
○堂森芳夫君 厚生大臣に伺いますが、私は日本的な社会保障、決して言葉尻じやないのですが、日本の社会保障というものは世界的なレベルからいつたら問題にならないと思います。そういうものをよくして行くということなら日本的はわかりますが、何かよく私はわからないのですが、まあこの問題はそれといたしまして、厚生大臣におなりになればですね、たくさんの仕事が勿論ございます。併しあなたがこれは一つ是非ともやつて行きたい、こういうことはおありでなければならんと思うのです。例えば健康保険が非常に制度が雑多であつて複雑である。これを何か一つにして行く、或いは国民健康保険の対象は未だに予算でも少ない、これをもつと広めて行く、或いは健康保険制度を全国民に及ぼして行くような何かお考えがあるか。或いは今のような生活保護法というような法律をもつと変えて行つて、救貧或いは防貧ということにもつと積極的にこの方面に行くとか、或いは何かあると思うのです。従つて厚生大臣がどこに重点を置いておやりになつて行くかということを一つ具体的に承わりたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) これは実は私自身も十分考えさせられる問題であり、只今の御質問のようなことをみずからも常に検討しておつたのでございますが、併しいわゆる厚生行政の全般の面から見ますると、私はむしろ、この点を中心に行くということは一つの本筋じやないのじやないか。現在なされておりまする諸々の或いは救貧の問題或いは防貧の問題或いは衛生行政、これらはどれを採つても、一つに主力を注いで行つたらいいという問題ではない。幾分かそこには今の日本でこの点ができ上つたら今度の予算ではこれを中心にして行こうということが、幾分かこれは色の濃さ薄さくらいはあると思いますが、全体として見ますると、決してこれに中心を置いてほかのほうを第二次、第三次にするというような行政の行き方は、これは少し余り正しくないのじやないかとこの頃は実は考えて参つたのであります。厚生省全体を考えますると、各局或いは各課に属しておりまするいろいろな仕事がある。それぞれに大変な使命を持つており、ほんの一つの問題でもゆるがせにできない。そうしてそれを十分伸展させ、全能力を出すことによつての日本全体の影響というようなことを考えますると、今度はどれを中心にやろうというような行き方は必ずしも妥当ではない。従つて全般の面において、最善の努力をしながらその伸展を期して行くというのが、どうかすると陥りやすい弊害の中において、今の日本の厚生行政ではそれが必要である。或る程度までやつてしまつてそれから先だと、或いは今度はそんなら特色をここに置こうというようなことができて参るかも知れませんが、ここ当分の間はそういうふうな感じを、実は最近強くいたしている次第でございます。これも具体的な問題になりますると、いろいろ御意見等も拝聴すべき問題があると存じます。併しよく考えまして、最近はそういう心境になつて参りました。
○堂森芳夫君 くどくは申しませんが、私それは少し意見が違います。私は今日は厚生省の各局長皆お並びですから、どうも甲乙がつけにくいのじやないかと思うのですが、それは別としましてやはり厚生省の行政がどれもこれも重要だ、そんなことは誰だつて承知の上だと思うのです。併し何と言いましても、厚生省というのは、国民の生活を守る役所なんです。特に直接守る役所なんですが、やはり国民を守るということは、貧乏を防ぐ。貧乏の原因というものはいろいろございまするが、やはり一番大きな問題は病気である、或いは老人である、或いは未亡人、いろいろありますが、病気というものは我々人間の、やはり非常に大きな貧乏の原因になると思います。これを根本的にして参るということは、何もほかの仕事をおろそかにすることじやないと思うのです。従つて健康保険制度が今のような雑多な、非常に縄張り的であつて複雑な形態、システムになつている。こういうようなことを根本にしてやつて行くということは、私は決して他のものをおろそかにするということではないと思います。ですから、僅か一月ほど前に大臣におなりになつて、今日からそうというわけには行かんかも知れませんが、とにかく長い間の懸案である健康保険制度というものを、一つ単純なシステムに変えて行こうというようなことも、お考えになつて頂きたいと私は思うのです。従つて今のようなそういう御座なりなことじやなしに、おい、お前でつき合える仲でございますから、一つこうしたいということを、単刀直入な答弁を私は願いたいのです。これはまあ意見です。 それから二、三具体的に、ちよつと御意見を伺つておきたいことがあるのです。それは前の国会に、私が委員長をしておりました当時に、今日は大分陳情にも来ていらつしやいますが、社会福祉事業振興会法ですか、あれは通りましたけれども、最初我々は三千万というようなことは予想もしていなかつたと思うのですが、こういうようなことになつたことを私は追及するのじやないのです。今後厚生大臣はどういうふうにしてこの法を活かして行くように御苦心なさいますか、一つ御抱負のほどをちよつと伺いたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) この社会事業振興の資金は誠に僅少でありまして、三千万円では現在の私設社会事業全体から考えますと、実はどういう計画をすべきかというので、最初の計画よりも大分違つて参りましたので、私ども自身も国会でこの立法を頂きました関係におきましても、もう少し資金がありますると、相当な方法を講じ得たと実は存じておりますが、これは本年度の全体の予算といたしましては、実は御承知のように新規事業を一切認めないという方針をとつて参り、一兆円予算で抑えて新規事業を当分の間一つ忍んで行こう。併しその中にもこの私設社会事業の資金の面は是非とも新立法でもあり、差迫つた問題でもあるからというので、金額は誠に僅少ではありまするが、新規事業として認められた意味において大きい意義を持つておると思います。この点だけは一つ御了承を頂きたいと思います。従いましてこの三千万円の実は使途につきま しては、運用につきましては、今後それぞれ法律にも定めてありまするように、これが通過をいたしますると組織を作りまして、そうしてその三千万円の範囲内においてまあ急を要する短期の事業というものに支出をするような方向をとつて来ることが手つ取り早くて一番いいのじやないか、こう実は一応考えております。併し具体的には今申上げましたように組織を作りましていろいろ検討をして進めて参りたいと思つております。
○堂森芳夫君 まあいろいろ伺いたいのですが、私一人では時間もどうも余り取り過ぎるといけませんから打切りたいと思いますが、一つお願いしておきたいことが一二あるのです。それは私が委員長をしておりました当時から中国からの引揚げ、或いは戦犯でソ連から中国へ送られた人たちを日本に早く帰れるような機縁ともなればという意味で、李徳全女史の招聘についていろいろと外務大臣とも数回折衝して来ておるのですが、緒方副総理にも会いました。いろいろな人に会つてのですが、最も頑固なのが外務大臣なんです。我々がどうしても理解できないような理由で拒否的な態度で出ておる。この間上條厚生委員長と私の二人が参りまして話を一時間ほどやつたのですが、なかなか返事をされないのです。一つこれはもう厚生委員会の各党派一致した申合せなんですから、一つこの点を側面から、閣僚として一つ御発言、御斡旋願いたいということでございます。 それからもう一つは今度の予算で国立の癌研究所ができることになるわけですが、私はまあ九州のほうの大学の教授たちからは熊本がいい、こういう陳情が来ております。それから北海道から東京、東北、東海、関西、こういうような方面の方々からは、是非とも東京が学問の中心であるからと、こういう陳情が来ておりますが、これは私一人の意見ですが、日本の国の学問の中心というものはこれは東京だと思うのです。いろいろな各方面に関連した研究の網があるのはやつぱり東京だと思います。従つて一つこれは私の意見ですが、東京がやつぱりいいと思いますので、一つこの点も御協力願いたいと思います。 これで質問終ります。
○有馬英二君 大分時間が過ぎましたから、あんまり私一人質問いたしませんが、やはり新厚生大臣にこの点だけはお伺いをしておかないというと……。この予算全体を見まして、先ほど一兆億の枠の中で予算を組むのだから、どうもあつちもこつちも削られ削られして、甚だ不満足な点があるようなお話が厚生大臣からもありましたが、私ども全体としてこの予算を御尤もでありますとは言えない。そのうちで私どもいわゆる研究所を今度作られたというようなことは、昨年来の問題が解決されたので、まあいささか安心をしておる点であります。全体といたしまして見るときに、やはりどうももう少しここは同じ緊縮予算であつても力を入れて欲しかつたというような点があるのでありますが、それは人口問題の研究所の費用が非常に少いことであります。これはもう私が申すまでもなく、厚生省で御存じのわけでありますが、由来人口問題研究所なるものが非常に虐待をされておつて、御承知のように建物が満足なものがなくて、今は外務省と同じ建物の中に誠にあわれな状態で存在をしている。それから人数も非常に少い。研究所の所長に聞くというと、とても、これは前からの問題でありますが、これぐらいの予算では何にも仕事はできないのだということを聞いておるんでありますが、誠にその通りだと私は同情をしておるのです。御承知のように人口問題研究所が最も大げさで、そして機能を発揮しておるのはフランスであります。又イタリアにもある。日本は人口問題で一番悩んでいる国であるのに、その研究所がこのぐらいの予算で賄われておるというのは、甚だ私はどうも納得できないのです。どうしてもこれは今度の予算を組む際に、こういう点はもう十分顧慮せられたこととは思うのでありますが、ここに出て来ている予算面を見るというと、誠にどうも厚生省は、人口問題ということについて少しも関心を払つておらないというように断じられても仕方がないのじやないかと思われるような予算の組み方であると私は思うのでありますが、一体厚生大臣は人口問題ということについてどういうことをお考えになつておるか、一つ承わつておきたい。
○国務大臣(草葉隆圓君) お話のように人口問題は大変大きい問題、基本の問題だと存じております。殊に新らしい日本では、いわゆる独立後の日本では国土の四割三分を失つて、そしてそこの中に人口が、或いは失つたほうからもいわゆる引揚げて来ている。その他からも全部引揚げて参りましたので、約半分そこそこになつてしまつて、そして増加率は百万、百十万というような状態であります。あらゆる点から人口問題を周密に検討して、将来の国是の中心にして行かなければならん、こういう点から、お話のように誠に微弱であります。これでは十分な機能を発揮し得ないじやないかという御意見も御尤もだと存じます。本年度は、いわゆる二十九年度は今申上げましたような各種の関係からこういうふうになりましたが、それでも一つ内容におきまして十分活發な活動を何とかいたしてみたいと考えております。将来は一層努力をいたしたいと思つております。
○有馬英二君 特に受胎調節の予算が九百七十八万八千ですか、約一千万減つておる。ただでさえ少い予算を一千万もここで減らされるということは人口問題について少しも考えておらんように解釈されても仕方がないように思うのでありますが、受胎調節がだんだん各層に行われておつて、もはやこういうことで金を使わんでも十分できるというようなお考えでこういうことになつたのでありますか。或いはそういう方面にもつと金のかからん方法で受胎調節をうまいことをやることができるようになつたというお考えでありましようか、この点を一つ。
○政府委員(堀岡吉次君) 事務的な問題でありますので代つて御説明申上げます。この事項は在来ございましたのは優生保護相談所の指導設備の補助金が大部分でございまして、二十八年度四百二十三カ所、二十七年度は三百カ所だと思いましたが、それらをすでに整備いたしましたので、残りました前年度の新設分の二十カ所の整備費の補助金を計上いたしましたが、その他の経費は変りはありませんが、そういう関係上大幅に急激に九百万円減というようなことになつたのであります。御案内のようにこれは優生保護相談所の整備運営等に対しての補助金でありまして、一応一定の規模のものの整備が終りましたので、二十九年度においてはそれに見合う金額は減額ということになつた次第でございます。御了承願います。
○高野一夫君 只今堂森委員から御意見が出ましたが、私はこの問題に触れないと思つたのですが、多少堂森委員と違つた立場でお尋ね申上げたいと思います。あともう一つお伺いしたいと思います。それはこの東京を学問文化の中心地と特に重点を置いて考えるのは私はいかんのじやないか、やはりドイツ式に現在日本もなりつつあると思うのでありますが、学問文化の中心がやはり地方の都市に分散しているというような、こういう現在趨勢になりつつある。日本の大学の配置或いは大学の内容の充実、研究機関のあり方ということから考えまして、必ずしも東京のみが研究或いは文化の中心地というふうに考えないで、京都にしても、熊本にしても、或いは札幌にしても、福岡にいたしましてもこれに劣らず、或いは場合によつては都内における大学その他の研究機関以上の特色のある研究をされておるところもあると思うから、この点も十分勘案されて研究所設置について御勘考を願いたいと、特にどこを希望するとかどうとかいうことは言いませんが、それだけ希望を一つ申上げておきたいと思います。 それからもう一つお尋ねしたいのですが、先般の国会のときに軍人会館の貸与の問題ですか、そのときに附帯決議が出ているわけです。この日本遺族会の役員会を改選してもらう。そして日本遺族会が曾つて行なつていたような政治活動とか、或いは選挙運動に参画するとかいうようなあり方であつてはいけないので、絶対にそういうあり方でないようなふうに一つ役員会の改選をやつてもらいたい。そして別に国会議員を含む構成員で運営委員会というものを作つてこれを諮問機関であり、且つ監督機関であるというような意味で運営機関を一つ作ろうじやないか、こういうことで附帯決議になつておつたはずでございますが、これはその後日本遺族会のほうでどういうふうに取計つているか知りませんが、監督官庁である厚生省のほうで適当な促進策でも講じて頂いておりますか、大臣御承知ならばお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) 軍人会館の貸下げの問題につきまして附帯決議が付きましたために、その国会の意思を尊重します意味で、日本遺族会は定款を変更いたしまして、たしか二十名であつたかと記憶いたしますが、諮問機関を設けて、そして今後の運営に資して行きたいというので現在取運ばれておると承知をいたしております。従いまして本委員会等におきまする御意見も十分反映しながら日本遺族会は運営の全きを期するような努力をいたして参つておりますことを聞いておりますので、まだ役員等の任命はいたしておらないようでございますが、方向はそのように進んでいると御承知を願いたいと思います。
○横山フク君 私有馬委員に少し先を取られた形なんでございますが、人口問題研究所でございますけれども、成るほど予算は少ないと思うのでございますが、私は今の人口問題研究所の研究のあり方、或いは人口問題審議会のあり方に少し物足らなさを持つております。人口問題研究所のほうで、まあ年々百十万殖えて行く、そして岩手県くらいが殖えるとか、或いは百六十万働く人たちが殖えて行くとか、そういつた問題、或いは老齢化しつつある、死亡率が少くなつたとか、勿論そういうことを研究することも必要でございますけれども、この日本の国で以てどんなことをしても、年々殖えて行くことは確かで、昭和四十五年頃には一億になる。その一億の国民をどういうふうにして養つて行くかというところまで人口問題研究が発表して行つたときに初めて人口問題研究所の価値ができて来るのだと思う。そういう意味でこれは勿論厚生省だけで解決できる問題ではないと思いますが、とかく厚生省は消極的であり過ぎるのじやないか。例えば食生活改善の問題にしても、農林省のほうで生活改善課ができてからこちらのほうの食生活問題をやるというような形でなくて、むしろ他省に先んじてイニシアチブを取つてそして人口問題のほうから国土の総合開発、或いは国策のほうに働きかけて行くというところまで行くべきじやないか。それをただ人口問題というのは人口制限をする問題であるのだ、そしてそれは今のところ一般的な中絶だ、それを中絶を受胎調節に如何に切替えるか、そういう形であることに私は非常に物足らなさを持つているのでございます。同時に経済面の問題にまで積極的に行くのと同時に、消極的に優生学的にはどういう方法がいいか。又そのために国民的なリクリエーションのほうにまで発展して行つて、そして国民運動を興して行くというところまで行くべきだ。又胎児のときの健康が非常に大きくなつてからの健康を大きく左右するし、智能の発育も胎内における智能の発育状況が一生支配するというところまで研究ができているから、そういう面からも人口問題にからんで母子の保健対策にまで私は行つて欲しいと思います。そういうことに対して草葉厚生大臣はどういうお考えでいらつしやるか、お伺いできましたら非常に有難いと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) お話の通りに人口問題全般から考えますると、決して厚生省で仕事をしておりまする意味だけの厚生行政の面に限つたものじやなしに、日本全体としましての、政府全体としましての人口問題というのが、当然考えて来なければならないし、又その方向で参つて来なければならないと思います。一方におきましては、ユーゼニクスの立場から、従つて胎児の問題から十分まあ優良なる民族の出生増加というのが日本民族の発展の中心になつて来て、そういうものとこの国土内における又或いは国土外に発展する現実の問題等も考え合せながら、各般の立場からの人口問題を検討して参らなければならないと存じます。こういう意味から、一方には現在の人口の動態の調査或いは生活の状態、或いは食糧関係なり、或いは住宅なりという総合的な一つのものを基本にしまして、将来のポイントを定めて来なければならないと存じておりまするから、お話の通りに当然出生前の結婚から問題は遡つて行くべきものだと考えております。こういう点につきましては、人口問題研究所等でも十分いたしておりまするが、先ほど有馬さんのお話もあり、只今又お話等もありまして、この人口問題が誠に広汎でありまするだけ、そして又困難でありまするだけ、一般国民の認識と協力とを得て参らねばならないと考えておりますので、そういう方向で進んで参りたいと存じております。
○横山フク君 お話よくわかつたんです。それを如何に具体化するか、実現化するかということはむずかしい問題だと思います。三十年度の予算を組むのにはまだ間が、先の長いことですが、予算を組むのに間があることでしようし、必ずしもお金ばかりを伴わないでも済むところもあるだろうと思いますしいたしますので、それが徐々に確実に現われて来るように希望いたす次第でございます。
○常岡一郎君 予算の説明をいろいろ承わりまして、一番感じますことは、この厚生予算のうち殆んど上つておるというものは物価の騰貴などを、医療費の騰貴などを以て上つておるだけであつて、全体から見ますと非常に枠が小さくなつております。それも一兆円予算ということで耐乏生活なり、一兆円予算なりの問題ですぐ頭からやられて、我々でさえも何とも言えない重苦しい思いをいたしますが、これをじつと考えてみますと、この予算の収縮にいたしましても、一兆円予算の問題にいたしましても、先ほどのいろいろ説明を聞きましても、物価のインフレを抑えるためだという名目ではありますけれども、実際のことを言いますと、インフレを抑えるなら、あの上るということを目標にした予算を組むべきでない。むしろこれはインフレを抑えるという意味じやなくてむしろ国防費の非常な膨脹によつて当然起つて来る一つのこれは耐乏生活なり、或いは予算の内容が非常に緊縮になつておるというのが本当だと考えます場合に、それと丁度裏表になるものが厚生行政でなければならん。一方において非常に立派な鎧は着たが、とうとう中味は空腹で歩けなくなつたということになるという虞れが非常にありますときでありますだけに、少くとも前年度と同じぐらいまでの内容のある厚生予算でなければならんと我々は考えるわけでございますが、それが非常に遺憾に思いますが、現在の自由主義経済の欠陥か特徴か知りませんが、貧富の差が非常に激しい。耐乏生活を唱えても、耐乏に耐え得る耐乏階級というものは問題じやなくて、むしろ厚生行政の対象となる者は耐乏以下の、耐乏もできない世界の者を預かることが多いわけでありますだけに、それを抱えております社会事業家というものは非常な苦難をしております。現在二千億円と言いますか、闇金融がはやつておると言われるほど、経済界は非常な混乱に喘いでおります。一般庶民の金融にしても、驚くべき闇金融がはやつておりますときに、その対象にも洩れております社会事業家を救うためには僅かに三千万円の振興会の資金を出すといつたようなことについても、非常にこれはその実情に副わないことおびただしいという感じを持つわけであります。この点で、まあこれは事実において大きい国の歩みの上からの問題でありますから、どうにもならんとおつしやるでしようが、それならば、もうこれに代るものは民間の熱烈な社会正義に燃える一つの運動といいますか、そうしたものを勇躍と起さしめるところの方策が必要じやないかと考える。そういう方面について今後必死になつて起つて来る。いろいろな運動が起るだろうと思いますが、それに予算を伴わない、而も厚生行政の味を見せるという点が必要になるのじやないか、こう思いますので、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) お話のように、実は明年度、二十九年度の予算は一兆円というので全体を抑えまして、物価をなるべく下落させよう、そして大変、まあ一種の日本経済が不安定な状態にあるから、この際経済の確立、安定を期して行こうという思い切つた編成が昭和二十九年度の予算編成に相成りましたので、厚生行政の面におきましては、実は私は必ずしも十分に我々の希望が通る予算が取れたとは勿論思つておりません。併しほかの、全体から考えますると、国防と申しますか、防衛的なものは、これは御承知のように終戦後もう全部ゼロに切られてしまつた、全然なくなつてしまつた中からここ二、三年少しずつ頭を上げて来て、今年百六、七十億の増額を来たしたと比べますると、厚生行政では二十億程度の増額ではありまするが、そこには基盤を持つておるから、その同じ増加率の中でも同様に比較することはちよつと無理じやないか。そういう意味でいつか相当ほかの事業から比べるとジャンプをした形になつておると申上げた点は、私ども真意はそこにあるわけです。そういう意味でございまして、私設社会事業面におきましても、私設社会事業は公営と比較して、又そこには私設の持ついいところ、又私設でなくてはならないという尊さがあると思います。勿論この私設が全面的に国家の力を注ぐということになりますると、もう公営と何ら変らんことになる。私設は私設として、たとえ資金に不十分であつても、そこに大変な生命と大変な躍動した力が、公営に見られん点があります。併し現実の問題ではいろいろ増設その他で要る場合もあるし、それが資金を作つて行くという問題になつて参るということでございますが、この資金が不十分でありましても、或いは又他の民間の、只今お話になりました結集した力により、或いは共同募金その他の方法によりましてこの不十分さを補い、私設の私設らしいよさを発揮し得る方法もとつて行かねばならないと考えております。で私設のいいところは、勿論この金額が少い意味を決して弁解する意味じやございませんけれども、そこでやつておられる。そのやつておられる人の言うに言われない尊さというものが、私設にはほかのものと代えがたい尊さを持つておる。その力が強ければ強いほど、その仕事が光つて来るということを私どもは考えておる次第でございます。ただ、それをそのままいたして参ることはなお一層発展すべき仕事が停頓する状態にも、かような経済状態であるから……。従つて政府は本当にできるだけの方法でもう少し経済的に安定したような方法にお力添えをしようというのが資金の面になつて現われて来たのでございます。今後につきましてもお話のようにいろいろそういう純情な民間等の力等も頂いて、私設がこれ以上発展いたしまするように努力をいたしたいと存じております。そういう意味におきまして一つ十分な御協力等も頂きたいと思います。
○横山フク君 今のお話でございますけれども、社会事業福祉振興か……いつだか会合がありましたときに、大砲は与えた、撃つのはあなたたちのほうで撃てという話が出たときに、撃つのはわかつたけれども、弾がまだ来てないのだということを言われた。で、私も実にそうだと思つた。併し三千万円で果して大砲の弾になるかどうか、社会福祉事業の人たちの渇を潤おすこともできないのじやないか。私が産院を建てようかと思つたら、最小限度で一千万円でも無理だというときに全国の社会事業に対する三千万円というのは余りに額が少なさ過ぎると思います。こういうので、勿論この一兆円の予算でもつて阻まれておるのはわかるのでございますが、郵貯のほうとか、或いは特殊銀行のほうとか、そういつた方面からの何か途を開くということはできないのでございましようか。
○国務大臣(草葉隆圓君) これは今後十分検討せねばならない問題だと存じておりまするが、ただ社会福祉事業はほかのいわゆる企業体系と違つて、企業形態の事業でありますると、投資をして、それによる利潤によつて支払いができると思います。返すことができると思います。ところが社会福祉事業はそういう企業的な色彩はありませんから、無論そういう点を十分考えながら今後いたして参らないと、却ていわゆる銀行投資というものが将来その事業に対する致命傷になつて来る場合があると思います。そういう点を十分検討して行かねばならないかと思います。従つていわゆる民間の純情な、或いは同情とか、寄附金とか、又政府の資金とかいうものが私設社会事業には最も切望されるゆえんだと実は考えておる次第でございます。
○横山フク君 お話はよくわかるのです。併し政府の社会事業振興会に来るお金も無利息ではないし、償還を約束されておるのだと思うのでございます。でございますので、而も社会事業家によつてそういつた方々の十分なる活動によつて、政府のほうの予算も削減される、減らすこともできるということをお考えになつて十二分の御検討をお願いしたいと思うのです。勿論民間の事業家の熱意或いは一般の国民の同情は待たなければならん問題でありますけれども、それだけでできるものではないですし、又そういうもの自体もお互いの啓蒙等によらなければ、国民運動によらなければそういう気分が起らないと思うのです。でそういう気分を起すということは、やはり一に大臣初め官庁の方々の音頭によるところも大きいだろうと思いますので、今後の十二分なる御尽力をお願いいたしたいと思います。
○湯山勇君 もう時間も大分経つておりますから、基本的な問題について大臣にお尋ねいたしたいと思います。御指摘のありましたように今回このような緊縮予算が組まれた。でこの原因とするところは、現在の国内における経済の不安定がその原因であるというような御指摘があつたわけですが、これはむしろ逆に私どもが考えておるところから申上げますならば、経済の不安定は当然国民生活の不安定を招いて来る。こういう国民生活が不安定であるという状態、つまり国内の経済が不安定な場合には一層社会保障は強化されなくてはならない。これが私は本来の筋道ではないかと思うわけでございます。そういたしますと、今回示された予算は先ほどから御指摘のありますような、むしろ昨年以上に国民生活を安定させるという面からは遠ざかつておる、でそこで今後において社会情勢なり国内の経済の情勢なりを見て、更にこの予算を大臣のお考えとしてはこれはまあ政府全体としては別ですけれども、大臣のお考えとしては更に修正して行こうという御意図をお持ちになつていらつしやるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) 先ほど来申上げましたように、二十九年度は日本経済の確立安定というものが日本民族の生活の安定というものの中心になつてくるので、従つてそういう面からの予算の編成を中心に政府としてはいたしましたことを申上げたのであります。そこでいろいろな意味から検討して、いわゆる一兆円予算というので抑えて参つたのでありますが、この一兆円予算を将来崩してそうしていたしまするならば、更にこれを修正しこれを変更して参りまするならば、最初の考え方が、努力した考え方がすつかり台なしになつて来る。全体から見ましてお話のようにも、御指摘になりましたが、厚生省の厚生行政の予算が飛躍的に増額してそうして社会保障費が他の如何なるものよりも牧歩ジャンプしたとは決して申しませんけれども、この耐乏の生活を打立てて行つて予算体系を一兆円で抑えて経済安定に資して行こうという狙いから考えますると、厚生行政の予算はほかの如何なる予算、多くの予算よりも相当重点を強く持つて取上げられて参つたのであります。この点は御了承を頂きたいと思います。そういう意味におきまして今後この予算を修正をし、或いは増額をして行くという段階には現在、そういたしますると全体を再び壊して参りまするので、この考え方に現在では持つておりませんような次第です。
○湯山勇君 只今大臣から御答弁頂きましたように成るほど当初大蔵省から出された原案に対しまして、本予算案の編成過程において大臣が只今お話になりましたような御趣旨で御尽力になつて、ここまで漕ぎつけたということについては、私どももよくわかるわけでございます。ただ、私どもが心配いたしますことは、この予算の御説明の過程において局長各位からも御説明を承わつて一々の項目については成るほどと納得する面も相当あつたのですけれども、併しこの緊縮予算の全体が今後の特に二十九年度の厚生行政を、つまり社会保障の萎縮を来たすという懸念が多分にあるわけでございます。すでにこの緊縮予算が発表されただけで各地でそういう事実が現われておりまして、例えば北海道の沢田というケース・ワーカーでございますが、この人が述べておりますのに、福祉事務所長は乳幼児を抱えた母子世帯にも収入があると考えよ、或いは完全失業者でも本人が健康なら保護の要なし、或いは被保護世帯についてもその収入が最低生活水準に達しなくてもこれを廃止せよ、病人は入院させないようにせよ、こういうことを指示いたしております。結局政府のこういう方針、こういう予算は末端のこの事業に携つている人たちに対しては、社会保障の対象者に有利なように計らうということを第二義として、この緊縮予算に並行して行くということを第一義的に考える。こういう傾向がすでに出ておると思うのですが、そうしてこういう傾向は更に進んで参れば、例えばその母子福祉資金にいたしましても、今日の財政状態では府県はこれに対する裏付けをしないために、果してこの予算が消化されるかどうかさえも不安定な状態にあるのではないか。或いは日雇健保が六ヵ月になりましても、これ又生活保護のほうとの関連、そういうことからこれも意図するものと違つたことになるのではないか、折角二千万の孤児に対する貸付をお組みになつても、これ又こういう状態では実際この二千万さえも残つて来る虞れがあるのじやないか、更に先ほど申上げましたような保育所にいたしましても、現在すでに保育所を閉鎖して保育所が村の物置に変りつつあるということもお聞き及びの通りだと思うのですが、そういたしますと、一応予算の説明は説明として私ども納得する面が多々あつたといたしましても、現実にはこういう態度で組まれた予算というものが、厚生省でお考えになつておる、政府でお考えになつておる以上に現実に厚生行政を萎縮さす、或いは停止させる、こういう心配が多分にあると思います。これに対して大臣はどのようにお考えになるか、或いはそのようなことにならないためにどのような対策をお考えになつておられますか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(草葉隆圓君) これは恐らく実は予算の決定に至りまするまでの間の問題、最初大蔵省等が、まあ具体的に申上げて、事務的な今の具体的に御引例になりましたような問題につきましても、或いは十分の八を十分の五にして、あとは平衡交付金の制度でやるというようなことが強く流れましたために地方におきましては不安を感じ、それが最終決定かのごとく考えられて或いは誤解をされておる点が多々ありはしないか、これは一つの予算の決定しますのでの道行きにたまたまそういうことがあつたのであります。予算全体といたしましては各局長からお聞きの通りに、生活保護法にいたしましても決して前年度よりも劣つてはおらないのでありまして、内容を貧弱化しておるわけではございません。従いましてこの点をよく先般も民生部長会議を開き、或いは衛生部長会議を開きまして徹底するようにいたしたのでございますが、今後もこれが徹底かたに対しましては十分にいたしたいと思つております。そういう意味で多分或いは新聞の投書等にもそういうものが現われて参つて来ておるのではないか。若しやそうでありまするとこれは全く誤解でありまして、決して現に病気に倒れて他に医療の途のない人、或いは天寿を全うすることのできない人には十分なる保護をいたすことといたさなければならないし、又いたす覚悟でおりまするので、どうぞ誤つて伝えられました点はよろしく一つお願いを申上げたいと思つております。
○湯山勇君 只今大臣が御指摘になつたような面も確かにあると思うのです。併しながら私はそういう面があるのと同時に、こういう心配は当然であるというように判断しなければならない事実も確かにあると思います。と申しますのは、今大臣が御指摘になりましたように、生活保護法による例えば医療給付にいたしましても、大臣御承知の通りに本年十二億の予備金を支出されても、なお二十億以上の赤字が残つている。そうするとこれは国立の病院、公立病院は支払を停止されておりますし、更に一般の指定医にいたしましても、二月以降は払えないという事態が現にあるわけでございます。それから保育所の問題にいたしましても、同じように各方面でこれを運営いたしまして、年度末に赤字がたくさん積りまして、これも大臣のほうで御措置願つておる。これらのことが自然に自動的に措置されたのではなくて、例えば保育所に対する五億の何といいますか措置にいたしましても、各県、それから各保育所の人たちが何回となく陳情にも参つております。文書も出しております。又医療給付にいたしましても同じような状態であつた。こういう事実が大臣がさつき御指摘になつたような、すでに影におびえるというようなことも起しておるのだとも思いますし、又本年度の予算がそういうことをも考慮して組まれていないということについては、もう一遍今年度末のような事態を繰返しては大変だから、初めから一つ締めて行こうというのも、これも又当然の考え方だと思うわけです。こういうことから今のようなことをお尋ねしたわけでございまして、これは大臣が今おつしやいましたような態度で必ず措置するというようなお考えでございますから、やはり初めから、年度末になつてそういう心配がなくて済むように、十分末端まで趣旨の徹底を図つて頂くのと同時に、そういう事態が起りそうなときには、前もつてそれを阻止するような手段をお講じ頂きたい、このように思うわけです。
○国務大臣(草葉隆圓君) 只今の御意見よく拝承いたしまして、今後そういうふうに考えて参りたいと存じます。ただ、保育所等の問題につきましてな、実は御承知のように従来は平衡交付金でやつておりまするので、従つてそう経営者は市町村からそれぞれ補助金をもらつてやるという程度で来ておつたものが、二十八年度から強い御要望もあつて、厚生省は生活保護法並みにこれを切替えてもらつた。こういう観点から、ところによると本年初めてやつた保育所に入つた者は、全部これは国費で負担するのじやないかというような考え方が相当あつたのではないか、又その事務的な、十分なこなれのしたことが少い点もあるのではないか。そこで費用の出せない方に対しましては国家が処置をいたす。費用の出せる方は子供を預けて何がしかの収入があつた場合には、その何パーセントかを子供を預けるために保育所の措置費として負担をするという行き方がとられておる次第でございます。こういう点も十分徹底いたしまするように今後いたして参りたいと存じております。なお徹底方が途中でいろいろ伝えられましたので、心配をして、誤つてもう今度打切られるのじやないかというような意味から、医療等におきましてもお話のような点があつたかも知れませんが、さようなことはいたさないつもりでいたしております。よろしくお願い申上げます。
○委員長(上條愛一君) それでは最後に私一点だけ大臣にお願い申上げたいと思いますが、この予算のうちで社会福祉事業振興会費の問題でありますが、これは大臣も御承知の通り社会福祉事業振興法が実施されましたときに、政府は三カ年の間に九億円限度の出資金をする、こういうことになつておりましたので、無論初年度の二十九年度の予算には三億円内外の出資金の予算が出るものと一般は考えておつたと思われるのであります。然るに三千万円という少額にとどまつたということであります。今度の緊縮予算から見ますれば当然中小企業にしわ寄が参りまして、失業問題その他生活苦の問題が加重されて来ると思いまするので、こういう立場から見れば社会福祉事業というものは一面非常に重要なことになつて来るということは当然な帰結ではないかと考えます。私的の社会事業のことにつきましても、諸外国におきましては富裕階級は自分の貯えた富というものはこれは国家社会からの富を自分が集めたのであるから、これを又社会のために戻すというような考えがありまして社会事業に金を投ずるということが多いのでありまするが、日本は全体的に見て貧弱で、国民所得が貧弱だという上に、国民性の上から見て現在でも社用族の使う金というものは莫大なようでありまするが、これを社会事業に投ずるというような考え方というものが極く少いと思われますので、従つて社会福祉事業はやはり国家並びに公共団体が中心でこれを促進して行く、支持して行くということが根幹になるのではないかと考えられまするので、是非社会福祉事業振興会の費用というものは、本年度は三千万円という少額でありましたが、今後はこれを増額するように御配慮を願いたいと思いまするし、又今年度においても予算はこれだけでありまするが、何らかの予算の範囲内において政府がやりくりをすることができまするならば、この振興会の方面に流用の処置というようなこともお考えを願いたいということを一点だけお願いを申上げておきます。 時間もありませんので、それでは昭和二十九年度の厚生省予算に対する質疑は以上を以て終ることにいたしたいと思いますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上條愛一君) それでは本日はこれを以て散会といたします。 午後四時五十五分散会