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19回国会参議院1954/02/12

厚生委員会 第7号

発言数
79
登壇者
5
会派数
2
開催日
1954/02/12

会議録

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) それでは只今から厚生委員会を開会いたします。  本日は社会保障制度に関する調査の一環として、昭和二十九年度厚生省関係予算を議題といたしまして、昨日に引続き質疑を行いたいと思います。  先ず引揚援護庁関係について田辺次長から御説明を願いたいと思います。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 引揚援護庁関係の明年度の予算につきまして、その概要を御説明申上げます。  先ず引揚げに要する経費でございまするが、明年度における引揚見込人員を五千人と見込みまして、これに要する引揚げの経費を計上したのでございます。五千人と申しまするのは、中共及びソ連地域及び南方からの帰還者、戦犯の釈放者等を見込んでございます。十五頁の一番最後の四十三でございます。  次は留守家族等援護法の施行に要する経費でございますが、昨年より若干減少になつております。これは本年度におきまして、中共等から二万数千人の帰還者がございましたので、それだけ未帰還者の数が減少いたしますので、従つて留守家族の数も減少するので手当等が減少するためでございます。  なお明年度におきましては留守家族援護法を一部改正いたしまして、今後死亡の判明いたしまする一般邦人に対しましても埋葬料を支給するようにいたしたいと考えて目下検討中でございまして、成案を得ますれば国会に提出いたしまして御審議を願うようにいたしたいと思います。この点は実は先般の国会におきまして、未帰還者留守家族援護法の本委員会において御審議決定を見ます際に、一般邦人の未帰還者が死亡した場合におきましても、その死亡が今後判明した場合におきましても、何らかの埋葬料の経費を支給するようにという国会の希望条件が付けられておりますので、その趣旨に副いましてさような措置をいたしたいと、目下努力中でございます。金額等は、留守家族手当一月二千三百円、家族が一人増す毎に四百円ずつ加算するように、現在の制度ではなつておりますが、この点は明年度におきましても金額には変りはないことに相成つております。  それから戦傷病者戦没者等遺族援護に要する経費でございますが、これは恩給との関係がございまして、恩給の公務扶助料が裁定になるまでは従来通りの金をこれに遺族年金として支給して行く。つまり二十七年度で一万円、五千円という、妻一万円、その他の者五千円という金を差上げるようになつていますが、本年度よりそれが恩給の公務扶助料に切替えることになつておりますが、手数がとれますので、その公務扶助料の裁定があるまでは従来の一万円、五十を公務扶助料の内払として払つて行く、こういうことに相成つております。而も公務扶助料の数は非常に多うございまして本年度においては全部裁定を完了することはできませんので、その分は明年度においても遺族扶助料から払つて行くという計算になつております。差繰りはお互いに予算を移用、流用することが許されておりますので、適当な金額を見込みまして、遺族援護にそれだけプラスしてあるわけでございます。  なお、戦傷病者援護法の中で、その弔慰金を支給する範囲につきまして改正をいたしたいと考えております。今日公務によつて死亡した場合におきましては、弔慰金五万円年金又は公務扶助料が支給されるごとになつておりますが、公務以外の原因で傷病にかかり、そのために死亡した軍人のかたには今日何らの処遇がなされておらないわけであります。この点は実情誠にお気の毒でもございまするし、率から申しましても、昔の制度との関連から申しましても一つの穴になつておりますので、均衡上もありまするし、せめて弔慰金を支給いたしまして、国としての待遇、処遇をしたいと考えまして、近く成案を見次第この改正をいたすように手続をとりたいと思つております。目下金額等につきまして政府部内で折衝中でございます。  次は軍人恩給の事務処理費でございますが、これは御承知のように、恩給局に書類が申達せられます経路は、昔の身分の所管官庁でありまする引揚援護庁の復員局で処理いたしております。都道府県の世話課におきまして受付けておりまして、それから復員局に申達せられまして、復員局からいろいろな調査をし、意見を付けまして恩給局に申達せられまして、恩給局で裁定いたすわけであります。これは一般文官の恩給がそれぞれの文官の所管官庁を通じてやるやり方と同じでございます。これが今年度におきまして二億六千五百万円の事務費がついておりますが、明年度におきましては二億円に減少いたしております。約四七%を本年度内において申達する、明年度においてはその残りを申達するということになつておりますが、何分厖大であり、若干スタ—トが遅れておりまするので、現在は四七%の裁定のところまで行つておりませんが、これは四月から実施する建前であつたのが八月一日に延びまして、而も恩給のいろいろの規則等がきまるのが遅れた関係もありまして、スタ—トが遺族援護法の場合よりも遅れております。遺族援護法が四月からスタ—トしたのに比べまして、恩給のほうはスタ—トが遅れておりますが、大変軌道に乗つて参りまして、今日相当な成果を挙げております。能率の向上、事務の簡素化等に努めまして、極力速かにそれを終るように努力いたしたいと、目下いろいろの方面から検討を加え、道府県の世話課を督励いたしておる次第であります。この金額は四七%で二億六千万円、残りが五三%で一億というのは、最初の年におきまして相当いろいろの用紙類その他の初度の経費が要るものですから多くなつております。この金額は必ずしも十全とは申されないとは思いまするが、相当多額の経費でございまするので、一応これでやつてみまして、能率の向上と事務の簡素化等に努力いたしまして節約をして参りたいとは思つておりまするが、併しやらなければならん仕事でございまするので若し経費等の不足を生ずる場合におきましては、又十分考えなければいけないのじやないか、こういう気持でおります。  引揚援護庁関係の経費の中で大きな、主なものと申しますると、戦没者遺族の援護の経費、留守家族援護、それから軍人恩給の申達の事務でございますが、そのほかに明年度の大きな仕事と考えられまするのは、未帰還者の調査に関する仕事でございます。これには細かい経費でございますので計上されておりませんが、これは従来とも軍人につきましては復員局において、一般邦人につきましては外務省で調査をいたしておつたのでございまするが、明年度からこれを一本化いたしまして、厚生省で軍人も邦人もすべて未帰還者の消息の究明調査を行うことにいたしたのでございます。この点につきましては国会のほうの衆参両院の御決議もございますのでその趣旨に副つて万全を期して行きたいと考えております。これに要する経費は本年度と同様来年度の経費においても予算にも計上されてございまするが、新たなる事項といたしましては日本赤十字に未帰還者の安否調査の経費として依託費を依託いたすように百万円計上してございます。この趣旨は、未帰還者の消息の究明調査と申しますのは、従来は主として国内における調査でございます。戦地から、外地から引揚げて来られた方々について未帰還となつておる方々の状況をよくお聞きいたしまして、手紙で、通信によつて調査をするなり、或いは一定の場所に集つて頂きましていろいろ調査をいたすなり、そういう方法によつて調査をいたして参つたのでありますが、それと並行いたしまして、直接赤十字がソ連の赤十字社等に個々の人の安否について問合せをするということを来年度から始めるようにいたしたいと考えまして取りあえず百万円の予算を計上いたしまして、その仕事を日赤にお願いするようにいたしたいと考えております。これは先般島津社長がソ連の赤十字に参りましたときにも安否調査には応ずるという了解を得ておりまするので、それに基きましてその仕事を実施するようにいたしたいと考えまして、具体的方法について目下厚生省、外務省において検討をいたしておる次第であります。  大体以上でございまするが、その他の問題につきましてはなお御質問等に応じましてお答え申上げたいと思います。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) それでは御質疑を願います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 お尋ねいたします。公務死以外のものに対する弔慰金の問題ですが、もう少し具体的に内容を御説明頂きたいと思います。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 今私のほうで考えておりますところでは、軍人が戦地であろうと、内地であろうと、自己の責に帰し得ない事由によつて死亡いたした場合におきましては、自己の責に帰せないと申しますと、故意又は重大なる過失がなくて、公務に関連して死亡せられた場合におきましては、戦地、内地を問わず一本で弔慰金を支給するようにいたしたいと考えております。勿論この公務と全然関連のない場合は理論上困るのでございますが、いやしくも関連している場合におきましては、それが起因しているかどうかということは必ずしも要件でなしに考えているということで、故意又は重大なる過失のない場合におきましては、軍人につきましては、内外地を問わず弔慰金を支給しようと、こう考えております。ただ金額につきましては、目下政府部内におきまして検討中でございまして、まとまればすぐ予算として提出いたしたいと考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今軍人とおつしやいましたけれども、勿論軍属も含まれるのかどうかということが第一点でございます。  それから第二点は、なるほど交渉中だとおつしやいますが、大体どの程度のものをどういうふうにしようとしているのか。まあ弔慰金についてですね、そのことが御説明願えるならば、して頂きたいと思います。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 軍属は雇傭人、普通文官と一般高等文官とございますが、これは他の雇傭人、文官との関係がございますし、今度の改正案から除外されております。軍人につきましては、たとえこの一般に公務外の場合におきましても、こういう弔慰金というものは一般の国家公務員には支給せられないのでございますが、軍人につきましては、軍隊勤務の特殊性ということが考えられますので、又過去の制度におきましても、軍人につきましては、さような取扱いがなされておつたということも考え合せまして、今回は軍人に限つて支給するようにいたしたいと考えております。  それから金額の問題でございますが、これは率直に申しますると、三万円か或いは五万円という線だろうと思います。いずれにするかということだけがまだ未定でございます。今折衝中であります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 この現行法による公務以外の、公務以外と申しますか、公務に関連した戦病死ということについて適当な措置がとられていないということは、今御説明にありましたように、過去における制度上できないのだと、こういうことですけれども、これはむしろ今までいろいろ審議された経過から見まして、制度そのものに不備がある。そういう不備な制度によつて事実が、何と申しますか、正しく取扱われていないというように考えられると思うのです。で今ただ単に一時的な弔慰金というようなお話でございましたけれども、これはやはり将来において法改正をして、公務による戦病死と同じような扱いをするというような御意図があるのかないのか。その点を一つ御説明願いたい。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 率直に申上げまするというと、公務以外の傷病を公務と同じように扱うという考えはございません。実は遺族援護法が制定せられますときに、いろいろ議論があつたわけでございまするが、軍人の恩給の復活という問題に関連いたしましてそれを制度上直ちに実施することが困難であつた関係から、取りあえずその暫定的な措置といたしまして、遺族援護法が作られたといういきさつがございますので、従つて遺族援護法の理念なり、建前はすべて恩給に合わしてございます。軍人恩給が復活いたしまするというと、従つて全部恩給に切り替えるように相成つておるのであります。従つて公務の範囲はどうこうという問題でございますが、これは私のほうでも恩給局と内面的に十分できる限りの打合せをいたしまして今日裁定をいたしておるのでございますが、これは併し新らしい今次の戦争の事態でございますので、恩給局におきましてどう取扱われますかそれはわかりませんが、大体私のほうで可として裁定いたしたものは恩給としての可として裁定いたす、これは法律上はそうなつておりませんが、事実上の取扱いとしてそうしてもろうように我々のほうから希望し、又連絡をとつております。私のほうで公務外として恩給法上の公務でないとして取扱つたものにつきましては、これはむずかしいヶ—スは保留にしてございます。逐一恩給局と連絡をいたしまして、この辺ならばよかろうじやないかと問題を出して相談いたしてやつておりますが、相当数ございます。非常にむずかしいケ—スでございますので、取りまとめております。取りまとめましていずれかは結論を出さなければならんのでございますが、私のほうでも慎重を期しましてできる限り連絡をとりまして一体となつて処理ができるように考えておる次第でございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今の問題につきましては一応御説明は御説明として、なお検討を要する問題が多々あると思いますので、別の機会にお尋ねいたすことにいたします。  次に十六国会でこの遺族である父母又は祖父母が再婚した場合に姓が変つても扶助料が受けられるというような決議がなされたわけですが、そのことについては今回どのような措置がとられようとしているのか、これをちよつと御説明頂きたいと思います。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 父母、祖父母が再婚した場合は失権するという規定はこの前の、改正以前の最初の遺族援護法にそういうふうな規定ができております。それは昨年恩給法が改正になりまして、軍人恩給が復活する際に国会において御審議の際に改められまして、父母、祖父母か再婚といえども失権しない。勿論一定の条件はございますが、改められました機会に遺族援護法はそれに合せて改正になつております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 質問の趣旨と御答弁がちよつと違つておるようです。今の点は勿論そうなんです。ただその場合にすべての父母が受けられるのではなくて、苗字を変えなかつた人しか受けられない、そうなつておりますね。それは不都合である。新らしい憲法なり民法の趣旨から言つて姓が変ろうが変るまいが平等でなければならないということから、本委員会において附帯決議のようなのがなされまして本会議でも承認されたわけでございますが、それがどうなつておるのか、お聞きしたい。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) その点は恩給法との関連もございまするので、恩給局とも相談をいたしておりますが、まだはつきりどうするというふうに申上げるまでに至つていない現状でございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それは大変重大な問題でして、早急に御解決願いたいと思います。もう一つ未帰還者の調査を厚生省で引き受けてやられるということですが、このことは外務省もすでに了承しておるのでございますか。とすれば、外務省も了承しておるとすれば、このことのためには外務省から相当程度にいろんな権限なり、そういうものの委譲がなければならないと思うのです。でないと中国からの引揚げの問題にしても、例の李徳全女史を招待する問題等々、厚生省が或る程度のそういう権限の委譲を受けない限りはこういうことはできないと思うのですが、それらの点についてはどのようになつておるか。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 調査には別に権限ということのものは伴つておらないわけでございます。これはみな帰つた方々の同意によりましていろいろのことをお聞きするわけでございますので、権限というもののほどは現在の官制及び組織法に書いてございません。勿論こういつた外務省でやつておられます一般邦人の調査は、外務省から厚生省に移管するにつきまして、いろいろ組織令なり組織法なりの改正を要するわけでございまして、この点は近く処置をしなければならんと思いますが、併し別に権限というほどの法律が、根拠があるわけでございませんので、この点は従来通りのやり方でやつて行きたいと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 そういうことになりますと、例えば厚生省のほうでこういう方法でこうすれば最もよく正しい調査ができるというような場合におきましても、外務省のほうからそいつは困るというように言われまして、本当に調査ができないという場合も予想されると思うのです、今までの慣例から見ましてですね。そこでこのことを厚生省でやられるにつきましては、それらの点についてはつきりした一つ話合いをつけて、なおここでもう一度御説明頂きたいと思います。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 現在でも厚生省は外務省と一本になつて地方の調査をやつているわけであります。府県では調査が一本になつておるわけでございます。何ら外務省がそれを邪魔するとか、外務省があつて都合が悪いということは毛頭ございません、調査に関する限りは……。ただその調査をやりますのに、お帰りになつた方が快く我々の調査に応じて頂けますならば問題ないわけであります。それを権限によつてどうこうするということができる筋合いのものではございませんので、まあ現在やつておりますものを一本にいたしまして連絡を一層密接にやるということでございまして、現在よりやり方その他において大した変化はないと考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それは非常にお座なりな調査ならばそれでできると思うのです。併し今まで明らかになつておりますように、ソ連地区から中共地区へ相当多量の人が移動しておるというようなことも情報として入つている。果してそういうのがどういうふうになつておるかということは、それぞれ、それぞれの当該国へ照会しなければならないし、又向うへ行くなら行つて、それらの人が果してあるのかないのかというようなことを調査しなければわからないと思うのです。調査を本当にやる気ならばどうしてもそういうことをしなければならない。そういう場合に厚生省と外務省との間でいろいろと問題が引つかかつて、思うような調査ができないというような話も予想されるものですから、それで特に今のようなことを要望しておるわけであります。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) お話の通り、国内だけでは調査の万全を期せられないということはよくわかるのであります。そこで私のほうでは、特に厚生省の予算の安否調査の経費を計上いたしまして日赤に委託することにいたしたのであります。従つて問合せは日赤から当該国のほうに問合せをいたすわけであります。その際には勿論外務省その他の機関とも十分な連絡はとりますが、御心配のないようにいたす考えでございますし、又さような懸念は今のところ考えられないわけでございます。この点はほかの問題と違う問題でございますので、必要に応じまして十分できるだけの措置を講ずることにしたいと考えておる次第でございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 最後に、今のように御心配になる点はないとおつしやいましたけれども、現実に心配する事態があるから申上げておるのですから、十分御善処頂きたいと思います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 今の湯山委員の御質問に関連いたしまして、一つお伺いしたいのですが、率直に一つお答えを願いたいと思うのです。成るほど今度は日赤に委託してやるということでございますが、その日赤が李徳全女史を招ぶ。いろいろ感謝の意味と併せ今後の引揚に便ならしめるにはこうしたほうがいいという観点から、向うで李徳全女史を日本にお迎えするということの約束をして来たのです。これは日赤ではそうすることが引揚にプラスであるという観点に立つてやつたと思うのです。ところが今度は外務省のほうでこれを許可しないということになると、日赤の意図するところと外務省の考え方と非常に相違が出て来る。こういうことが引揚に影響はないとお考えでございますか。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 私はこの点を申上げたのでございません。それは外務省で従来やつている調査を厚生省に一元化するという場合に、何かそこにはつきりした約束をしておかないと困るじやないかというお話でございましたが、従来やつておりまする調査の面から申しますと、国内調査に関する限りは少くともそういう御心配はございません。ただ諸外国いろいろ問合せをする場合に、これは私のほうで日赤に委託をするわけでございますが、国内における調査は一本にいたしますが、対外関係になりますと外務省が一役買うということは、これは当然のことでございます。この点は外国に対するいろいろな調査をする場合に勿論外務省も相談に、日赤に委託する場合にも外務省には一応御相談をしなければならないと思います。併しこれは先ほど申上げる通りでございまして、李徳全女史の招待の問題とは必ずしも関係はございませんけれども、勿論大きな意味におきましては関係がございますが、直接には関係ない問題でございます。まあ国内の調査につきましては一元化してやつて行きたい。その点は従来の経緯から別段そうむずかしい問題はない。調査自体におきましてはいろいろ困難なむずかしい問題がございますが、従来外務省でやつておりますものを一元化したのですべてがスム—スに行き、連絡も十分とれ、却つてうまく行くのではないかと思つております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 これは田辺さんの言われることはわかるのです。だがですよ、今の段階に来れば留守家族の人たちが国内の調査というよりも、今の段階で心から念願しているのは外地にいる人の安否です。外地にいる人を一日も早くどうしたら迎え入れられるかということにあると思う。従つてこのいろいろな問題は除外しても、人道的見地に立つても私はどうしてもこれをしたほうがいいということになつたらそれをやるべきだと思う。殊に当委員会としてはこの李徳全女史を迎えるということを日赤社長が約束して来ている。又そうすることがいいという観点に立つて当委員会では満場一致で決議いたしまして、これを一日も早くお迎えすることのできるようにという実は申入を外務省並びに外務大臣にしているわけです。であなたの立場から言つてそういうことは、お迎えするということを日赤の社長が約束しているが、それが実現できないという場合に、これは大きな障害になるというふうにはお考えになりませんか。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) この引揚問題、未帰還問題でございますが、未帰還の問題は生存残留している方は速かに内地へ引揚げられるようにすると、消息が明らかでない人につきましては速かに生死の状況を明らかにする、これが未帰還問題の状況でございます。そのためにはどうしても現在生存残留している人々は誰々であつて何名であるか、すでに死亡した者は誰々であつて何名であるかということを明らかにすることがつまり未帰還問題の解決点で、そうむずかしいことではないのであります。ただ問題が戦争という、今度の大きな戦争の結果として、非常に現地の状況が混乱しておるということから、なかなか国内的にはわかりにくい面が相当ございます。従来外務省も厚生省も随分一生懸命に調査をいたしまして、一人々々の有無、状況を細かく追究して調べております。詳しく申上げますると時間がかかりますが、ただ一人一人について詳しい資料を取つておりますが、ただいろいろの関係からそれが行悩んでおる状態でございます。例えば終戦時に満洲に陸軍関係の病院がございましたが、その病院ではたくさんの死亡者の名簿を持つております。ところがその名簿を持つて帰ることを許されない関係上、生死の状況がわからなくなつて困つた、こういう場合が相当ございます。これは先般の中共引揚の際にハルピンからお帰りになりました方が許されて名簿を持つてお帰りになつたので、そのために大変役立つた。たくさんの金を使う、人を使つてやるよりも、その名簿一つ入ることによつて非種いろいろの点がはつきりしたわけでございます。で、そういつた名簿が向うにあることがわかつておる場合、かようなものは早く我々のほうでは入手したいと、こういう問題があるわけでございます。  その他個別引揚の問題にいたしましても、具体的にどうやつて個別引揚をするか、御承知の通り引揚援護庁では二十七年度でございましたか、初めから中共からお帰りになる方で、つまり帰還を許可された方々で船賃がないために帰られないというかたのために旅費を負担して上げる、そういうことを始めた。これはやり方は面倒でございます。御本人に直接金を送つてやるわけに行かない。而も向うに行く船も制限されておりますので、外国の会社に一々頼みまして経費を払い、直接会社に払い込みまして、そうしてこういう人が乗つた場合には只で乗せてもらうように頼みまして、それを向うに電報を打ちまして、これはいつ船が入るかわからない、便船をつかまえるのに非常に苦労している状態でございます。そういうことで、なかなかその関係で簡単にうまく行かないわけであります。従つてよほど向うの政府部内で便宜を図つてもらえるような人でないと、なかなか円滑には参らないわけであります。而も船が客船が行つておりませんので、極めて僅かでございますから、そういつた関係から個別引揚の問題にしても、我々の希望しておりますのは許可を受けた方々が相当たくさん、まあまとまり次第こちらから特別の船を出す。形式は個別引揚と申しましても、実質は集団引揚という形にしてもらいたいものだということを我々は日赤のほうに要望したわけでございます。日赤のほうでも、そういう趣旨で交渉しようという段階にまで行つたのでありますが、御承知の通り李徳全問題がからみまして、その交渉が行き悩んでおります。これはまあ外交上のいろいろの問題があろうと思いますが、国会でこの点は前に御希望になつて、外務省に申入れをしておられるのでございまして、速かにこういう問題が解決されまして、個別引揚の交渉が円滑に行われ、速かに実現に至るように我々は衷心より希望しているわけであります。  なおそのほかに例えばこういう問題があるわけでございます。現在中共でいわゆる戦犯その他の犯罪者として抑留されている方は今日通信が許されておりません。併しソ連では御承知の通りPW通信として、通信が家族と許されております。かような通信を家族とするというのは、人道上当然のことでございまして、かようなことも強く紅十字会及び中共当局に要望すべきことではないか、かように考えているわけでございます。こういつたいろいろの問題が、未帰還問題が解決するためにはなされなければならない問題でございます。こういつた問題も勿論国交が開れておらないので、遺憾ながら政府としては交渉ができないわけでございます。幸い日赤が中共の紅十字会、ソ連の赤十字と交渉ができる状況でございますので、この線をどこまでも活用いたしまして、この線を活用するというと語弊がありますが、日赤に大いにお働きを頂きまして、いろいろの問題につきまして一歩でも力強く推進するように我々としては財政的な金の面、或いはその他の面、有形、無形の面から、外務省と一緒になりまして応援をしたいという気持でおります。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 この問題は田辺さんを追及したつていたしかたございませんので、この問題は外務当局に我々から機会を見て質すことにいたしますが、結局非常な矛盾があるのですね。政府としてできないから日赤へ委任した。それで日赤がやらんとする方針には政府が反対するというようなことになると、一番お気の毒なのは現地にあられる人と、同時に安否を気ずかつている留守家族の人たち、その気持を思うと我々は全くお気の毒で何とも申上げる言葉がないわけなんです。従つて精神的、肉体的な苦痛を一日も早く解消するためにあなたのほうからもあらゆる連絡を密にして一つこれが実現できるように御協力を願いたい。これはまあいずれあとの問題といたしまして、ソ連の引揚の問題がその後延び延びになつているのですが、それらの見通しはどんなふうですか。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 先般日赤から向うの赤十字に電報を打ちまして、回答が参りまして、新聞に出ておつた通りでございます。更に最近又ナホトカに集結しているだけでも早く引揚るようにしたいから御配慮を乞うという電報を打つております。まだ返事が参りません。併しまあ集結に手間どつているという向うの返事でございまして、私どもとしては決して悲観はいたしておりません。いずれ遠からず、約束した人数は帰えれるものと信じております。遠からずお帰えりができるようになると考えております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 これは一日も早く実現されるように我々も心から念願してやまないわけでございます。先ほど湯山委員の御質問の点でございますが、公務死外と扱われておるケ—ス、この人数はどのくらいであるかということ、それからいま一つ公務死外と規定されておる人たちとはどういう場合を意味するかもう一遍私は確認さして頂きたい。これが二点。いま一点は氏の問題でございますが、これは誠に、結婚して氏を変えるということになると、どうしても女の場合が多いのでございます。日本の長い慣習からいたしましても、再婚した場合には男の姓を名乗るということがもう慣習になつておるのです。そうするとたつた一人の子をなくしてしまい、夫もない、老い先等々を考えて結婚した場合に、そのお気の毒なお母さん、女なるが故にこの人が結局この恩典からはずされる結果になる。この新民法の精神から参りましても氏の問題は問題でないはずなんです。それについてはこの前の国会でも我々附帯条件をつけておるようなわけでございますが、これについてのあなたのいま一応のお考えを伺いたい。  それからいま一つは未亡人が結婚した場合に、これはその権利を喪失いたしますことは私はこれはいたし方ないと思うのでございますが、子供を連れて結婚しますね。今の民法の精神から言えば親は結婚しても、子供は別に何でもないわけなんです。ただ置いて行くわけに行かないから子供を連れて行くということになると思うのです。ところがその子供が遺児であることに変りはない。夫婦は別れれば他人でございますが、併し親子の縁というものは一生切れるわけでないのでございます。この子供の権利が与えられていないということは私ども間違つているように思うのでございますが、これに対してのお考えを伺いたい。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 恩給法上公務にあらずとして裁定になつたもの及び今後却下される見込のものの総件数が約七万件でございます。  それから戦没者の子供が母の再婚に伴いまして連れ子として先方の家に行つた場合でございまするが、必ずしも全部が失権するというわけじやございません。援護法及び恩給法にきめましたのは、子供が他人の養子となつた場合におきましては失権するということになつております。それじや他人の養子とならない場合、全然養子とならない場合、若しくは養子となつた先が他人でなかつた場合、遺族であつた場合、例えば戦没者の兄弟姉妹、つまり叔父さんのところの養子になつたような場合におきましてはこれは失権しないことになつております。只今連れ子というお話がございましたが、単なる連れ子では権利は失権いたしません。それは氏を変えない場合のことでございまするが、まあこの前の国会におきましてこの点が修正になりまして、こういうふうになつたのでございますが、まあ最初の法律ではこの父母が結婚をするということは新らしい生活環境に入る、新らしい世帯を持つということである。かような人には扶助料なり年金なりは継続支給する必要はないというこういう考えに立つておつたのでございます。恐らくこれは私の想像でございまするが、新民法にあつても、女のかたの場合においては氏を変える場合が多いだろうというお話でございましたが、まあ戦没者のお母さんが一人になつて新らしく結婚をされて氏を変えた場合においては、まあ生活に御心配はない場合が多いだろう、まあ新らしい、そこのところの区別が如何なる場合に区別をするかということがむずかしいので、まあ氏という昔の家という観念に相当するものであるが、併しその氏という観念は昔とは違つた新らしい単なる表示でございますが、それで一応の区分をしよう、こういう考えだろうと思います。旧民法の家という観念をそのまま持つて来ることは、これは許されないことでございます。氏という観念がその生活の実態にも大部分即応しているであろう、こういう推定の下になされたものだと考えております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 時間がございませんのでただ一点だけ、その点でこれはどうしても男の人には理解ができないのですね。夫婦というものは一対になつて初めて社会生活ができているのですよ。男だつて独身になつた場合に一人では生活が成立たないのです。だからそこに結婚するのでしよう。ということは女だつて同じじやありませんか。だからここに未亡人の援護なんていうことの問題も起きて来るのであつて、女だから結婚したらば、生活に困らないだろうから援護は要らないなんていう考え方は、非常に男の古い頭でございますから、もう一遍一つ考え直して頂きまして、どうしても女のケ—スが多いのだから……、結婚ということは同じなんです。

田辺繁雄厚生省引揚援護庁次長

○政府委員(田辺繁雄君) 私が申し上げたのは、藤原さんのような勿論御議論がありますので、女だからいけないというのではない。ただ、すべての場合に可とすることもちよつとどうか、何か条件を付けるべきではないか。その条件としてどういうふうにするか、何が一番この実態にふさわしい表現のし方であるか、例えば氏ということで表現することが大部分の生活の実態に即応したやり方であろう。こういう推定の下にこういう改正がなされたということで申上げたのであつて、女だからかまわないという表現は法律では使つていない。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 それは法律に女だからということを書いたら大変です。実質的には女が不利になる法律であるということをあなたも認めるでしよう。それといま一つは、そういうことになると、結婚しても籍を入れないでおけばいいのだということで正当な社会生活を暗く行くという方法がとられるのです。それは人情です。実質は結婚しているのだが、籍を入れないというようなことを、世間態を恥じるような思いをさせるような法律は正しい法律ではないと、私はこういう意見なんです。ですからこの際氏を変えようが、変えまいが、それは平等に扱うべきであるということを私は言うのでございまして、その点どうぞお考えを願いたい。今日は時間がございませんので……。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) よろしうございましようか。ほかに……。  それでは引揚援護庁関係の質疑は終ることにいたします。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 速記をお願いします。  次に社会局関係について安田局長から御説明を願います。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 社会局関係の所要経費の予算要求につきまして簡単に御説明申上げます。  第一に、社会福祉事業振興会の政府出資金でございますが、これは昨年御審議願いました社会福祉事業振興会法によりまして本年三千万円の政府出資金がきまつたのでありまして、ちよつとばかり少いのでございますが、一応この三千万円を設備と運転資金の短期資金にして行つたらどうかというような計画を現在立てておるわけでございます。  それから生活保護費でございますが、これは昨年の補正予算を加えました二百六十四億七千六百二十四万二千円に比べまして、本年は二百七十九倍八千六百六十一万円でございますので、十五億一千万円ばかりの増になつております。でこの計算の根拠は、冬扶助につきまして二十八年三月から八月の平均人員を基礎といたしまして、そうして人員の増加率は生活扶助を除きましたものの大体日本の総人口の増加比率一・四%というものを見込んだのであります。生活扶助につきましては、こういう均衡予算でございますので、増加比率の一・四%を含めまして五%だけを見込んだわけでございます。それから基準額といたしましては教育扶助は現行の一〇%増になつております。これは教科書の無料配給がやめることになりましたのを含んでおります。それから米価改訂でありますとか入院料の改訂等も見込んでございます。それから施設事務費補助金というのが七億二千二百万円ばかりございますが、これは生活保護の施設に対しましてそれを運営いたします費用で、これをここに掲げてございます。昨年度と比べまして九百九十万円ばかり殖えておるのでございます。それから法施行事務費補助金が三億八千八百七十七万七千円でございまして、これは府県が生活保護法を施行するにつきまして二分の一国が補助をいたす建前になつております。その額でございます。  それから恩給等実施に伴う減少額というのは、これは二十八億七千万円でございますが、内訳は二十二億七千万円が恩給等の実施に伴う減少額、六億か日雇い労務者の健康保険による減が見込んであるわけでございます。  婦人保護管補助金というのが従来の特別な項目にたつておりましたのを生活保護の項目の中に入れましたわけであります。昨年と変りはありません。ただ、十分の八の国庫補助というものが大変やかましい問題になりましたので、大蔵省もいろいろ心配いたしましてこちらのほうの項目の中に入替えただけでございます。  次に、身体障害者の補助金でございます。これも大体昨年と同じようなものでございますが、補装具の給付の補助金、これは一般身体障害者でありますが、補装具の給付の補助金が少し減つておりますのは、これは実績によつたものでございます。  それから新らしくその次に更生医療の給付補助金というのがございますが、これが千九百十七万円今年新規に入つたわけでございます。これはこれまで二十七年、二十八年に御承知のように戦没者、戦傷病者、遺家族等の援護法に基きまして、軍人、軍属の戦傷病者に対しましては国が全額で支給するという更生費用があつたわけでありますが、やつてみますと非常に効果がありますし、一般の身体障害者からも非常に要望がございますので、これを一般の身体障害者のほうにも及ぼしたいということでいろいろ大蔵省と折衝いたしました結果、僅かではございますが、ここに一千九百十七万円というものが頭を出したわけでございます。これはいろいろ御承知と思いますけれども、症状が固定をいたしました身体障害者で、機能傷害がございますのを医療を加えることによりまして、その機能傷害の程度を少くする、回復するというための医療費でございます。それから身体障害者更生援護費となつておりますのは、これは厚生医療も補装具もやはり相当額減つておるのであります。これは全額国で持ちまして傷痍軍人に対して出す費用でございますが、二年間やりました結果、過去の実績を見ますというと、だんだんとこういつた費用が要らなくなつて参りましたので、実績に基きましてこういうふうな減額を見込んだわけでございます。それからこれは結核対策のほうにございますけれども、結核回復者後保護施設の設置補助金というものがございます。これは少し前のほうに遡つて頂きまして、結核対策のところにあると思いますが、これは四頁の一番上のところに(4)というのがございます。アフタ—ケアのことでございます。これはニカ所だけ明年度計上いたしまして、大体一カ所が設置費が千百七十三万円で、設備費が七十万円、百人で六百坪ぐらいのものを考えているわけであります。二十八年度におきましては二ヵ所の予算でございましたけれども、いろいろ実際運用いたします上に県のほうの都合もございまして、北海道と、それから富山と岡山県の三カ所に予算の補助金を配賦いたしまして新らしくアフタ—ケア施設を設けるように準備いたしております。それから身体障害者更生援護施設整備補助金とございます。これは県が行います施設でございまして、国が二分の一補助をいたします。大体収容人員が一室五十人で三百坪ぐらいの施設を考えております。現在のところ二十七府県ばかりがこの身体障害者の更生指導所の施設を持つているわけであります。まだ未設置の所もございますので、引続いて五カ所だけ予算に計上いたしたのであります。  次に消費生活協同組合の貸付金でございますが、これも本年、つまり二十八年度に新らしく計上されました費用でございます。二十八年度におきましては二千五百万円を国が出しまして、そうしてあとの二千五百万円を府県が出す。そうしてこれを消費生活協同組合に貸すという資金でございます。本年は予算の都合で一割減になりまして二千二百五十万円でございます。大体国から三分で府県に貸しまして、そうして七年間にその金を国のほうに償還してもらうわけでございますが、府県が貸しますときには二年据置き五年償還にいたしまして、大体四分ぐらいの利子を取つております。  次に公益質屋の設置補助金でございますが、これも本年は千五百万円でございますが、本年通りの千五百万円が大体大蔵省のほうで認められたわけであります。これは大体A型とB型とございまして、A型は都市でございますがA型の倉庫が三十坪、これは十五カ所ばかり、B型のほうが十五坪で十カ所ばかり、これを二分の一の補助として千五百万円計上いたした次第であります。  それから地方改善施設設置補助金これも昨年初めて認められた費用であります。本年は大体前年より二十四万七千円ばかり殖えておりますが、これは地方改善事業の中に隣保館を設置いたしましてそれを二分の一国で補助いたします、こういう予算でございます。大体五カ所分を考えております。一カ所が五百四十九万円で国の補助がその半分の二百七十四万五千円と、こういう計算をいたしております。  社会福祉施設整備補助金二億六千万円が本年は二億になつております。これは昨年は浮浪者の収容施設というものを特に要求いたしまして五千万円ばかり入りましたものですから、それが殖えたわけでございましたが、本年は又再び元の二億に還つたわけでございます。これは養老施設でありますとか、救護施設でありますとか、更生施設、医療保護施設、授産施設そういつたものの設置に当り補助されるものであります。  それから日本赤十字社の設備補助金というのがございます。これは日本赤十字社が災害救助等において活動して頂くため国でいろいろな護持する補助をしようということでございますが、予算の内容は救急車が一台とそれから、医級いろいろな医療の道具や薬を詰めて箱になつておりますが、そういうものをみているわけであります。  それから災害救助補助金が本年三億五千万円、昨年は七千万円でございますから二億八千万円の増でございます。これは毎年名目だけ五千万円か七千万円出しておきまして、それで実際災害が起りますとそれでは足りないので補正予算を組む仕掛になつておりますけれども、本生二億五千万円殖えておりますのは、二十八年度いろいろ災害がございました分を二億八千万円だけ清算する費用が入つております。二十九年度分としては七千万円が入つているわけであります。  以上が社会局関係の予算の概要でございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 これはこの予算には全部お聞きしたいことがあるのですけれども一点だけ私、お聞きいたします。それはこの生活扶助の中のいわゆる医療扶助の問題でございますが、局長もすでに御承知と思いますけれども、各府県の医療扶助費は現在非常な赤字であつて、国立病院に対してはひどい所は十月から支払い停止になつておりますし、そうでない県にいたしましてもそれぞれ支払停止をしている。それから県立、公立の病院に対しても同様なことがなされておりますし、又最近では県によりますと一般の指定医に対しても来年の四月まで支払いを停止する、そのことについての協力を求めておるというような事実があるのですが、これは局長は一体どういう原因でこういう事態が起つたとお考えになられますか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 医療費の支払いの御質問でございますけれども、先ほどちよつと触れるのを申し忘れたのでございますが、来年度の予算の中に二十億ほど赤字、二十八年度の赤字の繰越し分が見てある。そこで二十億と申しますと大体医療費にいたしますと一月半分くらいになるわけでございまして、それだけまあ支払いが遅れることはこれは事実でございます。四月に入りましたならば早々に一つその遅れた分を支払いたいと考えております。そこで今までは十一月分を十二月に払うのでありますけれども、十一月分を十二月に払う分につきましての必要な資金の措置というものは私どもいたしております。それから十一月分は一月末日に払うのでありますが、これは実は非常にもう金が少くなりまして、支払いが困難になりましたために先般予備費で十二億ほど出しまして、それを充てまして、昨日あたりまあ各府県にその金を送つたような状態であります。そうしますと二月の中頃までには大体十二月分が何とかなるのではないかというふうに考えております。ただ最近今湯山委員の御質問の中にもあつたかと思うのありますけれども、医療費が非常に急激に増加したんでございます。これはまあ一般的に考えまして、まあ医療内容が向上したとか或いは結核ベッドが殖えたとかいうようなことも一つの確かに原因だろうと思う。その証拠には現在のこの医療費が生活保護費の大体半分くらいの金額に当つておるわけでございますが、その医療費の内訳を調べて見ますというと、結核が四八%くらいになるわけであります。その結核の四八%の更に五八%くらいが入院患者だということになつて来るわけでございまして、結局はその結核の入院患者が殖えれば殖えるほど医療費が上るんだということを端的に現わしているわけだろうと思います。このことはひとり生活保護法の問題だけでなく、生活保護法のうちで医療費というものが半分を占めるのだ、その医療費の中で更に結核に要する費用というものが相当な部分を占めるということは、これは実は結核対策の大きな問題でございまして、生活保護の枠の中だけで考えてもなかなか解決しない問題かと思うのであります。そういうようなことも一つございますが、それからもう一つはこれは又非常にはつきり現われておるのでございますけれども、昨年この国会で御審議願いまして、従来府県や市が医療費を直接医療機関に支払つておつたのでございますが、それをお医者さんの便宜等も考えまして、各府県にありますところの社会保険診療報酬支払基金というのがございますが、そちらで実は払うように法律を改正いたしまして、そうして各府県に基金と契約しろというふうに私どもは相当強力に指導いたしたのであります。これはそういうふうに基金払いにすれば若干足りなくなるのじやないかということは実は当時から予想できたのでありますが、と申しますのは従来市や県で払いますのは非常に遅れておつた。そこで小さい市なんかでは五、六カ月遅れておつたところもございますし、県におきましても二カ月あと払いは普通のほうで、三カ月、四カ月というのはちよいちよいあつたわけであります。それが六月から基金払いになりましたために、そういつた遅れた部分がぱつと出て来たわけであります。それをちよつと実例で申しますと五月に払つた分は大体十三億くらいでございますから、国保にいたしますと十六億五、六千万円、ところが六月に払つたものは十六億幾らということで国保にいたしまして二億五千万円から三億くらい殖えておる。そこで私どもはそういうふうに遅れてあとから支払う分が基金払いのために出て来て、県も知らん顔できませんからだんだん払つて行く。これがいつまで続くか、せいぜい四、五カ月くらい、そういうふうな遅れ分がだんだんしわ寄せて払われて来るやつが四、五カ月経てばやむのじやないかという気持でおりましたところが、なかなかそれがやまないというようなことが大きな原因であります。これはいずれは清算しなければならんものでありまして、従来は医療費が毎月どの程度本当に払われておるか、或いは月にどういうふうな医療費の支払いのカ—ブに増減があるかということもはつきりわからなかつたものがだんだん出て来たわけであります。甚だ支払いが遅れて申訳ないのでありますけれども、こういうふうに、医療費の支払いなり、医療費の要求の実態を早く数字にして載せて、そしてこれを今度は合理的に処置して行きたいというのが私どもの念願でありまして、その過渡的な現象として多少遅れておるのでありますけれども、どうかもう暫く御猶予願いたい。そこで、これは私どものほうからそういうことを申上げるのは甚だおこがましいのでありますし、言うべきごとではないかと思いますけれども、遅れた遅れたと申しますけれども、従来の府県や市が払つておるときと比べると、私はまだ確かによくなつていはしないかということを考えております。併しそれは決して現在の支払いの契約であります一月払いということの遅れたことをちつとも正当化する理由にはならんのでありまして、遅れたことは申訳ないと思いますが、そういう事情でございまして、一つ御了承願いたいと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 只今の御説明で事情はよくわかりましたが、ただただ心配なのは、来年度の予算で実はいろいろ今の御説明の中からも考えられることなんですが、果して来年度やり抜くことができるかどうか、それから今の二十倍という補填費はどこへ含まれておるのでございますか、この予算では……。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 二百七十九億の予算の中に入つておるわけでございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 どの項目でございますか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 生活保護費の二百七十九億という項目でございます。その中に入つております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 総額に入つておるわけでありますね。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 事項の中では、前年度不足見込額、この分でございますね。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) そうでございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それで来年度ですね、今の百二十何億ですか、これで果して賄えるかどうか、これはどうでございますか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 二十九年度はまあ医療費の入院料或いは往診料等の上りましたものを見込んで単価等も見ておりますから、まあ何とかやつて行けるのじやないかということで、実はこの予算を計上したのでありますが、今年度の先ほど申しました今までのしわがございますですね。しわがどのくらい出るかということが実は一つの山になるわけでございまして、率直に申しますとそういう数字というものが実はわからなかつたのです。基金払いにして支払いを早くしたためにそういうことが出て来た結果になりましたけれども、そういう辺がどのくらいかということがわかると大体見当がつきます。若し赤字が二十億ぐらいで済むなら、それなら何とかやつて行けるのじやないかというふうに考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それでは二十九年度はこれで一応やつてみて、若し赤字が出るようであれば本年度と同じように来年度において補填の措置を講ずるこういう御説明でございますね。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) まあこれはどうしても払えないというような状態が出るかどうかということは、これは見積りの問題でございますから、予算は……。ですからはつきりここで申上げるわけには行かないと思います。そうなりますればこれは一種の義務費でございますので、どんな手段でもいたしまして年度内に払うようにしなければならないと思いますし、それが又むずかしいような状態になりますれば来年に繰越すということになると思います。成るべくそういう事態が来ないように運用に気をつけて行きたいと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 まあ来ないように気を付けられるというお気持はよくわかりますけれども、実は気を付けるために非常に重大な事態が起つておるわけです。と申しますのは、今お話の通りに結核患者が大部分を占めておる。療養所に入つていて、而も長期に亙る者は治つていないのにどんどん出しておるのです、現実に……。そうしなければ国立病院の経営が持たない。そこでこのことは非常に大きな問題を起しまして、私どものところへも随分たくさん葉書などが参つておるのですが、局長のおつしやるようにこの範囲で赤字を出さないように気を付けてもらうという内容が非常に重大だと思います。私が今この予算を見まして、実は二十八年度においても二十億以上も赤字が出そうなのに、それがもうよくすでにわかつておつて二十九年度においては十七億しか殖えていない。而もこれは内容的に申しますれば、米価の値上りとか、そのほかいろいろこれ以上に増額しなければならない要素がたくさんあるわけです。そうすると恐らく二十九年度においても二十八年度以上に赤字が出るのではないかということが予想されますので、そういう予算だとまあ忠実な国立病院の経営者の人たちは、結局患者のほうへしわ寄せして行くというようなことになる。これは当然そういうふうに考えられることなので、この点につきましては局長もおつしやいましたように、ただ社会局だけの問題ではなくて、総合的な施策の問題でございますから、大臣等にもいろいろお願いもするし、なお要請もいたしたいと思うのですが、この点一つ本年度起つておる事態につきましても、昨日善処頂いたそうですけれども、なお一層今のような事態が起らんように、このことのために本来の扶助の目的が損われないように、是非一つ御善処頂きたいと思います。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) この国立病院の問題は、実は私どものほうでどうこうという問題じやないのでございまして、私どもで何とか言つたら国立病院でそういうふうにするというものでもない。これは恐らく国立病院が医療のほうの立場からも出てもいい者があつたら出すということを考えておるんじやないかと私は思いますけれども、それで今湯山先生のおつしやつたようなことがどしどし行われておれば、実はもう少し医療費が減つておつたんじやないかと思うくらいのことで、この間も国庫負担が八割が五割になるということで一騒ぎあつたんですが、まあ私どもとしちやこれは根本的に困る問題でございますからそういうことをしてもらつちや困ると言つて、まあいろいろな人に話したことがありますけれども、併しそういうときにいつも問題になりますのは、どうも濫給がある、濫給があると言われるのです。でこれはいろいろケ—ス・ワ—カ—も専門家じやありますけれども人間でありますから、そういつた点で足りない点もありますし、数も少うございますから手が届かん場合もあると思いますが、まあそういう意向が強かつた。特に医療扶助の面におきましてはそういうふうになおつておる者を出すとか出さんとかいう問題の前に、一体医療扶助を出すべきかどうかという資力の認定、ミーンズ・テストの問題がある。現在医療の併給と単給と二つありまして、生活扶助を現に受けておる人は医療は受けられん人でございますから、そういう人のは医療扶助が併給と言つておる。単給と申しますのは、生活はやつておるけれども病気になつたら医者にかかれんからというので、医療扶助の申請をして来たという人なんですが、ところがその医療扶助の単給のを調べて見ますと、一部負担でなく全部医療扶助になつておるものが七〇何%ある。これは少し高ずぎはしないだろうかということを私どもは机の上で考えておるのでありまして、やはり応分の負担をすべきものじやないか。その辺の認定の問題というものは非常に微妙でございますからして、余り厳重にやりますというと、今湯山先生のおつしやるような御懸念が実現するかも知れませんし、又余り甘くしますというと医療扶助というのは誰でもかかれるんだということになりましても、これは国費のこういうような多端なときにどうかと思いますので、まあそういうことをいろいろ考えまして、なお又病院に入つておりますもので治つた者がありますれば、アフタ—・ケヤで出しますとか、医療扶助が必要でないものがあればそれ相当の処置をとつたらどうかということで、いろいろ反省すべき点がありはしないかと思つております。それらの点を一つ総合的に考えて運用にも十分気を付けて行きたいということでございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今おつしやつたお話でわかりました。併し、そういうことも確かにあるだろうと思うのです。ただ、この療養所のベッドの数が非常に少い関係もありますし、御指摘されましたように患者はどんどん殖えて行く。そうして結局まあお前退院してよかろうと言われるときに、まあこれは僻みかも知れないけれども、生活扶助で入つておる者は生活扶助のものだけ、同じような者でも出ろと言われると僻むかも知れないと思うのですけれども、そういう印象を最近とみに受けるらしいのです。これは国立病院なんかはまだいいとしても、これは愛媛県の例ですけれども、愛媛県では二月の七日に県の民生部長が医師会長と歯科医師会長を呼びまして、どうしてもこういう愛媛県だけですでに五千六百万円の赤字になつておる。そういうところから、一つ支払を明年度まで延期してもらいたいという申入れをしておるのです。まあこういう事実、これは事実でございますから、一つ是非お考え置きを願いたいと思います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 これは実に大きな問題だと思うのでございまして、局長も非常に苦しんでおいでになると思うのです。これが入院患者だけからの陳情でございますならば又どうかと思うのでございますけれども、病院当局それから社会福祉主事、こういう人たちがこれではやつて行けませんので、人権侵害をせざるを得ないというような訴えがたくさん来ているんです。この間、私地方へ出張いたしまして、福祉主事等に会つてみると実に私たちは辛いんだということをもう本当に訴えているのです。これはもう実に大きな問題だと思いますので、一つお考えになつて、たとえ予算がこうあろうとも、保護すべき問題があつたならば敢然として保護して欲しい。足らざるものは、生活保護法の精神から行けば追加すれば追加することもできることで、予算の範囲の枠にはめて決定すべきものではない。予算を取つても余ればいい。併し予算が足りない場合に、足らないからと言つて保護すべきものを停止するというようなことがあつたら、私非常な問題だとまあ考えているんでございますが、濫給がある、あると言われるからというので、地方で査定を厳しくしろというような本省からの通達はあるやに聞いておるのですが、そういうことはあるのですか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) とにかく無駄のないようにいたしたいというのが私たちの希望でございまして、本当に援議しなければならんところに援護が行つて、又援護の仕方につきましても、無駄のないように、なおつた人は出て頂く。それから負担できる人は負担して頂くということで、この制度を維持して行きたいということを考えているわけであります。それがどういう表現になりますか、とにかく無駄をなくして予算を活用するようにという趣旨でございます。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 どうも局長あたりからこの委員会で聞くのと、地方へ行くのとでは非常にずれているのですね。私たち聞くのはそういう御答弁なんです。地方へはかなり厳しい私達が行つておるのですよ。そういうこともないようにして頂きたいと思うのです。今一つは、単給が非常に多い。一部負担がもつとできるはずだ。単給が殖えるからと言われるのですが、ボ—ダ—ラインまで行つて、当然保護されるべくして保護されない階級が非常にたくさんいる。すれすれの人、こういう人たちは、病気になつたらば二進も三進も行かないのでありますから、それは単給が殖えて来るのは当り前だと思う。今労働者あたりの場合でしたら、健康保険がございますからこれでやつております。けれどもそうでない人たちは、生活がぎりぎり一ぱいなんですね。だからどの程度を以て一部負担に耐え得る収入状態とお考えになりますか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) よく近頃社会局から出しました数字で、日本の貧困階級の数が千七十万とかいうような数字があるものですから、千七十万というのは当然生活の保護にかからなければならんのに、予算がないから二百万しかやつていないということを新聞なんかでちよいちよい見るのでありますが、これは誤りでありまして、日本のような国民所得の少いところでは何かの動機によりまして、被保護者に転落するような層というものがそのくらいあるということを言つただけでありまして、それから現に保護しなければならんのにしないのだという数字と一緒にされているような傾向がありまして、誠に私ども恐縮しておるのですけれども、そういうわけで、一応は現在の生活保護の生活水準というものが、生活保護を受けるかどうかということの基準になるわけでございます。ところが実際の運用といたしましては、疾病の場合には多少手心して来たというような点があつたと思います。甚だしい例になりますというと、とにかく世帯を分けることによりまして本人は或る一定の収入がございますから、世帯を分けることによつてそいつを適用するというようなことをやつて来たわけです。それなんかもだんだん調べてみますと、逆にそいつが濫用されているというような傾きがある。これをやはり家族なり、或いは兄弟なり、そういつた扶養義務のあるような人は、これはやはり応分の扶助をすべきじやないかというような建前をもう少し検討して見る必要があるというような考えでおります。従いまして今のお話の何をそれじや一体標準とするのかと申されましたら、一応は生活保護法の生活基準というものを一応の水準にせざるを得ない。併しそこにはいろいろ具体的な実情によりまして、多少のゆとりはあると思います。そのゆとりを余り濫用いたしますと弊害が起りはせんかという程度のことを考えておるのでございます。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 誠に苦しい御答弁だと思うのですが、確かに私は今ボ—ダ—・ラインにある人が全部保護されなければならんとは思つていない。生活保護法よりももつと低収入でも何とか頑張つて、一つ保護を受けたくないと言つて頑張つている階級はたくさんあります。それは大変ほめるべきことであつて、その人たちを全部金がないから、放置しているなどということは毛頭考えておりません。けれどもそういう家庭が若し病気になつた場合には、これはどうにも二進も三進も行かないと思う。そういう階級がたくさんあるのだから、せめて医療扶助ぐらいは、単給が殖えて来るということは止むを得ない、こういうふうに考える。そういう無理をしているから結核にかかりやすいのです。結核の多いという点は、そういう点にも私は戦争中の無理、終戦後の無理がずつとたたつておりますから、結核が殖えて来る、こう思うのです。だから私はこういう点は本当に愛情を持つて、医療扶助を適用すべきものである。ところがその兄弟が月に一万五千円の収入がある。だからお前はもつと負担していいんじやないか、扶養義務者じやないかといわれても、一万五千円くらいの収入では自分たちの家族、子供を養うにせい一ぱいです。そこにもつて来て医療扶助だけでやれないんです。今入院している場合、小遣として、一部負担をしていなくても、小遣でも月に五百円から千円なんというものは必ず出ていると思う。出るようなつながりがあれば、だから一部負担によつてこれを責めるのだということは当り前だという考え方は、自重して欲しい。仮にあなたならあなたの御兄弟の妹の嫁入り先で病人が起きたという場合に、局長は局長としての生活に応じたサラリ—なわけですね。だから局長ではやはり医療扶助にもかけられないから負担をなさるでしようけれども、それが三年も五年も続いてごらんなさい。なかなか容易なことではない。ましてや一万五千円や二万円のすれすれの生活をしている場合には、私はそういう点は非常に考慮して、これを即濫給なりと断ずることは以ての外だと思う。それはどうでしよう。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) これは抽象的な議論をしておりますときりがないことでございまして、藤原委員のお気持はよくわかります。第一線でも恐らくそういう気持はあると思うのでありますが、併しそこはやはり程度問題でございまして、具体的なケ—スにつきまして、若干払えるならやはり少し払つてもらうというのが私はいいことじやないかと思うのでございまして、仮に私がそういつた場合に……、

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 それは例ですからね。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) これは薄給でございますから、なかなか援護できませんけれども、併しまあ洋服の裏返しでもして着て、たとえ月二千円でも出すというようなことはしなければいかんのじやないか。そういうような運用によりまして、折角いいこういう制度ができているのですから、この制度の根本をあれこれするようなことはしたくないというのが私の考えでございます。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 ところがね。その気持でやつてくれればいいのだけれども、地方ではあながちそうでございません。福祉主事がこの頃慣れないのが非常に多いんです。これらに対する訓練の方法はどういう方法をとつておいでになりますか。ずつとやつていてなれた人は比較的うまく行つている。ところが慣れないのが多い。慣れた人は非常に過労に陥つて夜中までやつている人たちをよく私は知つているのです。この福祉主事の教育訓練というようなことはどうしておりますか。慣れない場合に親子心中だのの原因を起しているんですね。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 福祉主事は、これは優秀な人であつて、それからよく各家庭を廻るということでございますね。これはやはり適正な保護をする上に一番大事な要件で、おつしやる通りなんです。そこで現在の福祉主事というものには一定の資格がございまして、資格のない者はなれないという規定になつておりまして、若い福祉主事にいたしましても学校を出ておりますとか、或いはきめられた講習会をやりまして、一応資格のある人が多いわけでございます。なおその上にときどき中央で講習をいたしたりいたしております。併しこれはどんなにいたしましても十分ということはございませんので、今後そういう点については一層努力いたしたいと思います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 私はここでこの際はつきりした数字を伺いたいのでございますが、今生活保護を受けている人は何人ですか。正確な数字を言つて頂きたい。医療の単給と併給を一つ。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) この一番最近ではつきりいたしておりますのは二十八年の九月に保護を受けた世帯でございますが、これが六十八万七千世帯でございます。これはちよつと端数がくくつてございますが、人員のほうにいたしますと百九十三万四千人、国民一千人当りにいたしますと二十三人、つまり二・三%の保護率になつております。それから単給と併給の別はちよつとここに持ち合せございませんから、これはのちほど……。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 お願いいたします。昨日の衆議院の予算委員会で堤ツルヨ代議士の質問に対して厚生大臣は、二十九年度予算では人員にして百二万人殖やすと言われたのですね。それから又年度後半では、月間十七万人を増加することにして予算化しているということを答弁しておいでになるのです。これは間違いかと思つていろいろな新聞を見たのでございますが、どの新聞にもこういうふうに出ておるのでございますが、果してさように理解してよろしうございましようか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) これは二十八年の実績に比しまして、年間が延べが約百二万人という計算になつております。そこで月にいたしますと五%でございますから、仮に百九十万といたします。そうすると八万五千人くらいになります。それを十二かけるということになります。そこで仮に今度の均衡予算の影響が下半期から出るといたしますと、下半期だけについて言えば、毎月十七万人ずつ殖えても大丈夫だという予算になつております。こういう説明だろうと思います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 それから婦人保護施設これは一体どういうふうになつているのですか。どのくらいの施設があつて、どのくらい収容されて効果はどんなふうになつておりますか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 現在全国で十七施設ございまして、定員が九百七名で現員が八百十二人おります。これは運営の仕事だんだん変つて参りましてこれができた当初は、いわゆる。パンパンの狩り込みをやりまして、それで無理に病院に連れて来て、その中から更生しそうなやつをもつて来た。こういうわけですが、今はそういう強制的なことができませんので、いろいろ手を尽して連れて来るとか、家出しまして転落一歩手前というようなものを入れて故郷に送り返したり、或いは正当な職業につくまでそこに入れておくとかというような使い方をしております。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 時間がないからいずれ何かの機会にお伺いをしますが、私は今年度の緊縮予算から言えば、いろいろな面で失業者も殖えて来るし、農村から都会に出て来る人もあるだろうし、浮浪者は殖えて来ると私は考えるのですが、浮浪者施設を今度はなくしたというのは、これが予算化されなかつたということは、浮浪者が出ない、生活が平常化して来るというような見込でこういう結果になつたのでしようか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) これははつきり申しますと、私ども少し欲しいと思つたのでありますけれども、併し昨年十何カ所に作りましたし、それからもう一つは、浮浪者が集りますところが大都市でございますので、割にこういう施設を作るにいたしましても負担力があるのだろうというようなことも勘案いたしまして、二億円ということになつたのでございます。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 私は、何でもかんでも地方へ地方へという考え方は非常に責任回避だと思うのですね。保険料の関係だけでも大変ですね。今度あらゆるものが地方に押付けられて国が責任を回避している。浮浪者の施設なんか、これこそ一番最下低にある人ですから、今年は殖えるという見込みの下に当然なさるべきものであつたと思うのです。非常に遺憾であります。  最後に一つお伺いいたしますのは、結核の出て来る原因なり、或いは退所することのできない原因にも住宅問題があると思うのですね。家族感染等々の殖えているというような、公衆衛生局の昨日のお話でございましたけれども、こういう点は住宅がないということ、間借り生活をしていること、こういうことが非常に原因をしていると思うのです。それで庶民住宅の今年度の見通し等についてちよつと……。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) 厚生省で、現在住宅について所管をいたしておりますのは、公営住宅の中で、第二種公営住宅というのがございます。それについて、各府県への割当、入居者の選考、そういつたところで厚生省も参画をしているという程度の関与の仕方で、あとは全部建設省でやつている。昔は厚生省にこの行政があつたことがあるのでありまするけれども、戦後は全部建設省に行つておりますので、まあその程度のタッチしかしていないということです。それで第二種公営住宅の実績でございますが、昭和二十六年度が四千九百五十五戸、それから二十七年度が五千六十五、二十八年が一万百八十戸というところでございます。そういうところに人を入れます場合の家賃をどうきめるとか、或いはどの程度の収入の人を入れるとかいう程度の相談を受けるくらいでございますので、二十九年度が公営住宅五万三千戸で第一種が四万戸、第二種が一万三千戸になつております。そういうわけでございますので、なかなかこの問題につきまして御期待に副うような御答弁ができないわけであります。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 公営住宅の問題は、初め厚生省がなかなか骨を折つてできたのですね。予算を取つたら建設省に取られたのですよ。そのときのいきさつは。そのときには相当厚生省の発言力が確保されておつたはずなんです。ところがだんだん押されて来て、今のような何ら殆んど権限がないというようなことならば、我々厚生委員会として建設委員会のほうに厳重に一つ働きかけなければならない問題だと思うのです。この一万何千戸というのは、これはどういう割り振りになつておりますか。引揚げに幾らとか……。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) これは引揚げに幾らとか、母子家庭に幾らとかいうことでなくて、やはり入居基準というのを作りまして、そして収入が一万円以下とかいうふうな基準を作つて行つて、その中から具体的に住宅事情に困つているという人から入れる。こういう形にしているわけであります。で、今の引揚者に先に取つて行つたらどうかとか、或いは母子家庭に先に優先さしたらどうかというふうな話もたびたび出るのでありますが、併し具体的な場合になりますというと、そういう具体的なとりきめというものはなかなかできなかつたわけです。今聞きますというと、一万二千戸の中で約五百戸乃至千戸くらいを引揚者に優先的に配分したいということで折衝いたしておるわけであります。五百戸でございますからまあ二割でございます。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 そこで問題になるのでございますが、母子寮の問題ですね。母子寮はあれは一年間で出て行けという約束のところもあるし、又あれから見ますと十八になると子供を抱えた者は母子寮にいることができないのですね。子供だけ別になれとか、そんな経済的な能力はないわけです。ところが母子寮にはいられない、出て行こうにも家がない。こういう対策は一体当局ではどう考えるのですか。これは東京のみならず全国的に実に大きな問題なんです。これは一体どうしたらいいのですか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) どうも私も困りますけれども、一般の住宅政策の問題でございますし、それから今の母子寮の問題のそういつた制限を付けるかどうかという問題は児童局のほうで考えていると思います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 いやそれは児童局の問題ですが、併し貧困家庭の住宅問題は社会局の問題ですよ。母子寮は十八になれば出て行かなければならない、そういう場合にどうしたらいいとお考えになるか。

安田巌厚生省社会局長

○政府委員(安田巌君) それは今の第二種の公営住宅の中にそういう場合には入れて頂くという以外には現在のところは方法がない。それから私どもは第一種、第二種の分け方につきましては、できるだけ第二種のほうを多くしてくれという要求をいたしております。これは建設省の考え方からいたしますと余り木造のバラックの小さいものを建てましても、それができて五年か、十年経つてすぐだめになるような不良住宅では困りますから、やるのなら或る程度しつかりしたものを建てたいという希望があり、その辺が現実と、それから或る程度そういつた消費計画的なものを考えてやる場合に若干の相違があると思います。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 その問題は建設省の関係だから仕方がないと言われれば仕方がないのですが、社会不安とか人間が暗い気持になつて自殺するというような場合には、米がないことよりも住宅問題が非常に大きく影響するんですね。そういう点を十分御考慮頂きまして、建設省に厚生省は、厚生省の権限を向うへ取られた形になつているんですよ。本当にあのときに厚生省がどんなに努力したか、予算化されてから建設省がいや建設はおれのほうだということで建設へ取られちやつた。その代りにいろいろな問題の割振りは大臣同士の相談によつて決定するということの約束だつたと思うんです。そういう意味から見まして社会不安を助長するこの問題については厚生省がもつともつと積極的に一つ働いて頂きたいということを私は強く要望いたしまして私一人で喋つているわけには行きませんから……。   —————————————

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 大体よろしうございましようか。社会局関係は以上で一応打切りたいと思います。

上條愛一日本社会党(第二控室・右)

○委員長(上條愛一君) 御報告いたしますが、本日付で委員の楠見義男君が辞任されまして、宇垣一成君が選出されましたので御報告申上げます。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時二十五分散会

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