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第19回国会参議院1954/11/08

建設委員会 閉会後第9号

発言数
91 件
登壇者
8 名
会派数
4
開催日
1954/11/08

会議録

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) 只今より建設委員会を開会いたします。  本日は御案内申上げました通り、災害に関する件と補償問題に関する件でございます。大体建設省のほうは事務当局から経過について説明を聞きましたので、今日は補償関係を先にやらして頂くほうが、関係官が揃つていると思いますから。それじや通産省のほうの御意見から先ず伺います。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 開発工事の補償に関しまする法律案といたしまして通産省のほうから、開発工事促進臨時措置法案(第三次案)というものがお手許にお配りしてあると思います。これは通産省案とはいうものの、この表題にもございまする通りに公益事業局内での試案の程度でございまして局としての最終的な意見もまだ固まつておらんというふうな段階でございますので、そういう意味の中間案であるということをあらかじめ御了承願いたいと思うのであります。  この法案を作ります動機は、御承知のように一、二年来電源開発工事その他一般の開発工事が非常に進捗、発展いたしまして各方面に盛んに進められておるわけでありまするが、それに関連します土地その他の物件に対しまする補償問題が漸次やかましくなつて参りまして、開発工事をいたします側からすれば非常に補償費は高騰しつつあるような傾向にもございますし、一般の声といたしまして、何らかこれに対しまする法的な措置が必要ではないかというふうな意見もございまして、昨年の初めに補償要綱というものを各省で打合せの上作つたのであります。ところがこの要綱が必ずしもそのまま十分に実行もされておりませんし、その後この補償問題に関します一般の動きもだんだんとむずかしくなつて参つておりますので、やはりこれに対しましては何らかの立法措置が必要だということで、これに関係いたしますそれぞれの各省が一応一つ別々に案を考えてみようじやないかということになりまして、今年の初め頃から研究をいたしておつたのであります。これに対しまして建設案、農林案それから通産案といろいろ出ておりますが、これはいずれも各省でまとめました案を最終的に経済審議庁に持ち込みましてここで全体的な研究をして、総合調整をして最終案を作るというような手順になつております。この点につきましてはすでに御説明があつたかと思いますが、そういう趣旨の一つのその際の原案という程度のものでありますので、これに対しまして、私どもも最終的な意見というものはまだ申上げられる段階でございませんが、中途半端な説明かも知れませんけれども、そういうふうなことで御了承願いたいと思います。  目的は、そういう趣旨からいたしまして、先ず第一条に謳つてございますが、こういう開発工事を実施します場合におきます土地等の損失の補償を公正にするということが第一の目的であります。それからそういう補償の問題に関連いたしまして、ややともすれば、土地の収用、使用という手続が非常に延びるという関係もございますので、その使用、収用の手続を簡素化するということが第二の狙いであります。結局において、この法案で狙つておりますのは、合理的な開発工事の実施、促進ということであります。この点につきましては、この法案を一応担当いたしております公益事業局という立場からいたしまして、我々の所管の電源の開発工事というものの促進というのが狙いでありますので、いささか最終目的は狭いようになつておりますけれども、公益事業局で立案する関係上、一応こういうふうな目的にしたということであります。  それから定義といたしまして、公益事業者が大体この法律の適用を受けることになるのでありますが、これには国、地方公共団体、電源開発会社それから電気事業者というものが挙げられております。電気事業者を一応我々としては狙つておるわけでありますが、すでに国或いは府県等が電源の開発に関連して工事をなさることもあります。又それと別個に同じような工事が行われるわけでありますので、必ずしも電源開発工事に限らず、こういつたようなものも事業の主体としてこの法律の適用を受けるように考えたわけであります。  その次に開発工事としての定義がございますが、ここでもはつきりいたしておりますように、必ずしも電源開発工事関係のみに限らず、河川法による治水、利水の工事或いは道路法による特殊の道路の工事といつたようなものも一応対象として挙げております。併しこの対象がこれでいいかどうかということにつきましては、我々は少くとも電源開発工事を入れたいということでそれに似たようなものを挙げておりますが、その他例えば鉄道の建設工事等につきましても同じようなことを考える必要があるかどうかという点につきましては、今後又研究すべきであろうと思うのであります。  それから補償の対象になりますものを土地等としてこの第三項で謳つてございますが、土地等といたしまして、土地に限らず家屋、地上権或いは小作権その他鉱業権とか漁業権等につきましても、いわゆる補償の対象としての財産権として扱うという趣旨を明らかにいたしております。  次に実体に入りますが、第二章に地方補償審査会といたしまして、まず補償の審査をする機関を作ることにいたしております。この地方補償審査会の任務は、損失の補償に関する紛争の調停ということが第一の狙いでございます。で、第五条にその任務、事務の内容が三つ挙げてございますが、第一が、紛争の調停ということ、それからそれに関連いたしまして、関係行政庁に勧告をするということ、その他土地の損失補償を公正にするために必要なこと、こういうふうなことになるわけであります。この地方補償審査会は、これは新しい機関といたしまして、現在通商産業局のあります八地域に、一地区一委員会というふうに置くような案になつております。この委員会はできるだけ簡素に而も迅速に処置ができますように、委員会といたしましては、委員長以下三人というふうに極く小さな構成を考えております。  それから八頁の第十二条に、この委員会の権限的なものをずつと謳つてございますが、大したことではございませんけれごも、例えば鑑定人等の出頭を命ずる、或いは所要の物件の提出を命ずる、或いは立入検査権限、こういうふうなものを審査会の権限として考えておるわけであります。  それからいま一つ重要なことは、第十三条に行政庁に対する勧告として挙げてございますが、これは河川法その他の法律の規定によりまして、行政庁がこの工事担当者に対しましていろいろな工事の命令をすることがございます。例えばダムを作ります場合に、そのダムによつて水没する道路の補償といたしまして、別にこういうふうな道路を作れというようなことを命ずることかあるわけでありますが、そういうふうな工事上の負担を課せられた場合におきまして、その負担が、審査会において考慮した場合に、著しく不当であると考えられます場合には、審査会からその処分をいたしました行政庁に対しまして処分の負担を適正に変えろというふうな勧告をすることができる。で、これが勧告があつた場合には、行政庁はこれに従わなければならない、こういうふうな規定を置いております。つまりこの開発工事の促進に関連します補償に関する限りは、一般の他の行政法に基く処分といえども、この審査会の判断によつて変更することができるというふうに審査会の権限をこれによつて非常に強くしたわけでございます。  それから事務局の関係は省略いたしますが、次に第三章に補償の原則というものがございます。これは如何なる程度に、如何なる趣旨で補償するかということが一番中心的な問題でございますが、第十六条、これは基本原則でありまして、「開発工事に伴い土地等に損失を生ずる者は、その損失に応ずる適正な補償を受ける権利を有する。」、いわゆるこの場合の被害者は適正に補償を受ける権利を保障されておるわけであります。これが基本の原則であります。従つて被害者の補償請求権というものは、これはもう正常な権利でありますが、又それは適正な補償の請求でなければならんという点が本旨でございます。それで適正な補償というものはどういうことになるかと申しますと、次に補償の範囲といたしまして通常生ずる損失に限ると、こういうことであります。つまり或る種の工事がなされた場合には、一般的に考えてその程度の損失は当然起きると考えられるものに限る。それ以上に特別な理由によつて起るというものにつきましては、これは例外的に考えるという考え方であります。  それからいま一つの重要な制約といたしましては、すでにこういつたような工事がここに実施されるということがほぼ確定されたということがわかつておりながら、将来補償金を獲得するために、新らしくその場所にいろいろな財産権を持つということがあり得るわけであります。そういうものはむしろ悪意の財産権の取得というふうに考えまして、そういうものにつきましては補償しないという趣旨が第十八条に、専ら補償の増加を目的とするものを除くというふうに書いてございます。従来このようなケースがしばしばあつたわけであります。  それから補償の方法といたしましては、第十九条にございますが、被補償者、つまり被害者の意思を尊重いたしまして金銭補償或いは物的補償、この二つの補償の方法を講ずるのであります。物的補償は、ここでは替地等の補償というふうに表現されておりますが、つまり土地等が水没いたします場合には、別の場所におきましてそれに代るべき土地を提供する。例えば家屋を壊す場合には、その家屋を別な所に建てるというような物的補償をやるということになつております。但し、第二項には、その一種の限定がございますが、物的補償をやります場合には、これは非常に被補償者といたしましては、不当に大きな負担をこうむらなければならんこともあります。それから負担の如何にかかわらず、不可能なことがあるわけであります。例えば別の代替農地を補償しようといたしましても、新しく農地造成をするためには、現在の土地の買収価格よりも非常に高いということもあり得ます。又まあ高い値段を出しましても近傍にはそういうような土地を得られないということもございますので、二項には、その補償評価基準に照らしてその替地等の提供が相当であり、且つその実施が可能であるときにやる、こういうふうに書いたわけでございます。  それからこの場合におきます補償の価格の基準はどこにおくかということが第二十条にございますが、それは被害を受けます土地等に対する近傍類似のものの取引価格というものをこれを基準といたしております。近傍類似のものの取引価格又は賃借料を考慮して算定された価格ということになりまして、近傍類似の価格そのものではございませんけれども、それを十分考慮して決定する、こういうことに一応の原則を書いたわけでございます。  それから関連する措置といたしましては、この直接補償の対象となります土地等だけではなくて、その土地の一部を使用するために残りの土地の使用価値等が減少します場合に、その残地の損害に対しましても補償するという、これも当然残りを補償いたしております。  それからその場合におきまして、第二十二条で言つておりますことは、開発工事をやることによつて、別に却つて利益を受ける場合がありますが、その利益を生じましても、前の損失の補償とそのものを相殺することはしない、こういうことで被害者の損失に対しまする補償をここではつきりさせているわけでございます。  それから第四章以下はそれに対しますいろいろな措置でございますが、第四章におきまして補償契約ということを一応語つてございます。これはどういうことを意味するかと申しますと、できるだけ補償を公正にいたしますためには、一通り損失補償基準を設けまして、それによつて全国各地とも公正にやられるべきであるという考え方を基本にしているわけでございますが、それをチェックいたしますためには、それぞれの起業者が工事をやります前に、地元と折衝いたしまして補償の契約をするわけでございますが、その契約がばらばらで而も全国各地不統一である場合におきましては、被害者或いは補償者それぞれに場合によつて不当な利益を受け、或いは不当な損失を生じさせることがあるのでございますので、できるだけそれを公正にいたしますために、起業者と被補償者との間の補償契約を全部この地方補償審査会のほうへ届けさせるようにいたしております。で、補償審査会のほうではそれを審査いたしまして、一定期間内に審査をいたしまして、若しその内容が非常に不当である、余りに高すぎるとか、余りに安すぎるという場合におきましては、それを公正に変更すべきことを命じまして、契約の内容を変更させるというような権限を持たせるわけでございます。そういう趣旨におきまして、先ず補償契約の内容を契約締結後十日以内に審査会に出しまして、審査会から土地調整委員会のほうへ届け出るわけでございます。但しこれは余りに細いものまで立入る必要はございませんから、一定限度以下のものは除外いたしますけれども、大体主なものはこれで補償契約の内容はわかる、そこでそれが全国的に見て不当な場合には、委員会のほうから変更命令ができる、先ほど審査会と申しましたのは誤りでございます。土地調整委員会のほうから変更をする、こういうわけでございます。これは併し、すでに契約というものは一度締結をすると有効なものでございますから、いつまでも不安定な状態におくことは適当でございませんので、届出を契約締結から十日間限り、それから委員会から命令を出し得る期間を届出の日から四十日以内と限つておりますから、要するに契約締結後五十日を以て、もうその契約も、何らの措置が行われない限りは、最終的に確定する、こういうことになるわけでございます。  それから第五章は、こういうふうな補償契約が当事者間にできなかつた場合、而も開発工事等を大いに促進しなければならんという場合におきます調停方法であります。これは、この補償に関します調停の申請は公益事業者、この開発工事を行います公益事業者或いは被害を受けます被補償者の相互から申立てによりまして審査会が行うわけであります。但し必要な場合には審査会がみずからその職権を以て積極的にこの調停に乗出すこともできるわけであります。その関係は第二十四条に書いてございます。  二十五条以下はそういうふうな補償の調停が開始された以後の手続規定でございまして、特別に御説明する必要もないと存じますので省略さして頂きます。  それから三十条に、最終的にこの審査会が、これは調停開始から二カ月以内に調停案を作ることになつておりますが、調停案を作りまして両当事者にこれを提示いたしまして、当事者が受諾いたしましたときには、これは調停が成立するわけであります。その場合におきましては、この法律の適用に関しましては、すでに土地収用又は使用の裁決があつたと同じような効力をそこで持たせておるわけであります。  それから若し当事者がこの調停勧告を拒否した場合には、これは一定期間内において受諾しない場合、或いは初めから拒否した場合には、全然協定が成立しなかつたことになります。その場合には次に裁決という手続が可能になるわけであります。  第六章で土地等の収用又は使用といたしまして裁決に関連する手続が書いてございますが、この裁決がどういうふうな場合にどこで行われるかということは、先ず行う機関は土地調整委員会でありまして、その場合には、先ず審査会の調停案が成立しなかつた場合におきまして、公益事業者から委員会に申請があつた場合、これが第一のケースであります。それから第二は、審査会で調停を開始いたしましたけれども、当事者の主張が余りにも離れ過ぎておつて、例えばこれは調停の見込みがないというその見込みをつけまして、審査会自体が委員会に裁決を申請した場合、この二つの場合があります。この二つの場合に応じまして委員会としては裁決の手続をするわけであります。この裁決の申請があつた場合におきましては、告示をするなり何なり、いろいろの手続を経ました上で最終的に却下をしない限りは、土地の収用又は使用に対しまする裁決をするわけであります。この委員会の収用又は使用に関します裁決は、大体今土地収用法にありますような手続とそれから効果を期待して採用いたしておりますが、特にその裁決の効果といたしまして第三十九条にございますが、その裁決がありましたときには、他の国立公園、文化財保護、森林法、水産資源保護といつたような他の法律の内容に基く行政許可の申請も要らないというふうにここで単純化いたしておるわけであります。  それから四十条以後の規定は、これは裁決があつた以後におきまして土地所有者に補償金を支払う義務でありますとか、或いは移転しなければならない義務でありますとか、それから又仮に代替補償とか、つまり替地の補償をきめた場合に、若しも替地の候補地が国とか、或いは地方公共団体の所有に属する場合は、公益事業者がこの替地を使用するにつきまして、地方公共団体又は国がそれに協力しなければならん、こういう趣旨の規定を設けております。  それからいま一つ第四十六条に違つた規定がございますが、これはこの開発工事の促進、或いは補償の促進といつた趣旨の規定でございまして、只今申上げましたような調停、或いは裁決というような手続が進行中におきまして、特に裁決にかかりましてからは、いろいろな手続が要りますので、最終的にはかなり時間もかかりますから、その前におきまして、特に開発工事の促進のために、至急これに或る程度の工事なら工事の準備をすることが公益上必要だというような場合があるわけです。その場合におきまして、経過的にそういうふうな緊急措置をとらせる趣旨の規定を四十六条に置いたわけであります。これは委員会は裁決の申請又は請求にかかる開発工事を緊急にする必要がある場合におきまして、裁決が遅延することによつて又開発工事の施行が遅延し、その結果公共の利益に支障を及ぼす虞れがあるときは、公益事業者の申立によりまして、土地の区域、使用方法等を定めて、公益事業者に担保を提供させた上で、直ちに、当該土地を使用することを許可することができる、こういう規定がございます。つまりこういうふうな条件が備わりました場合には、委員会が裁決前におきまして、一定の担保を取りまして、暫定的にその土地を使用させるという許可をするわけであります。そうしますと公益事業者としましては、時期を失せず或る程度の準備を行うことができますし、又、若しもその後において裁決があつた場合におきましては、その処分は効力を失い、或いは却下になつた場合は、これを元に戻さなければならんということになりますけれども、単に手続の終了を待つために時期を失するということのないように、こういうような緊急的な措置の規定を設けてあります。こういうようなことが、従来土地収用法等によりまして、収用、使用の手続をするために非常に遅れるということをここで救済する趣旨でありまして、開発工事の促進にこれが役立つものではないかと考えておるわけであります。  大体この法律で狙つております事項は以上のようなことでありまして、我々公益事業局、通産省とまで申しませんが、立案当局であります公益事業局といたしましては、電源開発の工事促進ということを先ず考えておりましたために、これに関係する例えば農地の造成の方法でありますとか、被害者のあとの生活保障、そういう点につきましては、必ずしも十分に考えは及んでいないかも知れませんが、併し一応電源開発工事を中心とします工事の推進のために必要な措置、それによつて生じます損害に対します賠償というものの措置は、これで一応十分にやれるのではないかと考えまして一応こういつたまとめ方をしたわけであります。これを審議庁のほうで十分検討した上で、どういうふうな形でまとめますか、まだ今後我々としてもいろいろ考えなければならん点もあると思いますが、一応この原案を作りました趣旨だけを申上げます。

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) あと農林省が来ておりますが、一括聞いてしまいますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) では、農林省の農地局長から……。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) この問題につきましては、我々のほうはいずれかと申しますと受身の立場におる部分が多いわけでございまして水没その他補償を受けなければならんような農家その他に対しまする補償を最も合理的にするということが一つの中心の点でございます。併し同時に各種の公益事業、特に或いは電源開発等の事業がスムーズに行われるようにしなければならんということについても、これは全く同感であるわけでありますから、それらの関係を最もスムーズに、併し同時にこれらの犠牲者が不当なる犠牲を強いられることのないようにという意味において、通産省或いは建設省からも御意見がありますので、それに対する意見のような意味のものを、まだ十分練れておりませんのでありますが、省全体としてもこれで最後的にまとまつたといつた段階にまで至つておりませんけれども、一応の素案といたしましてお手許にお配りいたしたようなものを作つておるわけであります。只今申しましたように、それらの事業が補償のために非常に難航をして思うように開発が進まないということはこれは避けなければならない、併し同時に公益事業とはいえ、その事業のために或る特定の個人が不当の損害を受けることのないようにという考え方でありますので、その水没者等に対する補償の方法なり、或いはその内容なりにつきまして、慎重に且つ合理的な手続を要求しておるのがこの考え方でございます。  私どもの考え方といたしましては、この水没者等になりまする者にとりましては、何ら自分の罪によるわけでも何でもないわけでありまするから、その後の補償というものは、従来の生活の程度を維持できる、長くその程度の生活を維持できるだけの生活の基盤というものを与えてやらなければいかんのじやないか。一つ一つの財産をばらばらに評価してそれをただ補償をするというだけでは、これはそれらの人々が生活の根拠を失うことにもなるわけでありまするが、その生活、従来やつて参りましたところと同程度の生活を安定して今後営み得るというような意味における補償をなすべきであろうというのが根本的の考え方でいございます。そういう意味におきまして、例えば農家でありますれば、やはり長く農業を営み得るように、ただ単に金をやるということでなしに、でき得ることならば替るべき農地を与えてやる。又その営農に必要なる各種の施設を整えてやるということが必要なんであろう、従つて従来の補償に対する考え方の原則と例外をひつくり返しまして、金銭でいろいろ損害を評価して賠償するということは、むしろ止むを得ざる場合の例外措置であつて、原則としては、農家等の場合には、従来と同程度の農業を営み得るような現物を用意してやるということをむしろ原則として考えてやるというのが考え方でございます。現在の電源開発促進法に基く補償の要領におきましても、大体そういう考え方をとつておるわけでございます。そういう考え方からいたしまして、手続等にいたしましても、やはりでき得る限り、それらの犠牲になるべき人々の意見を十分聞き得るチャンスを手続的にも与えるべきであるというふうに考えるのであります。このお配りいたしました要綱案というものの方針のところ、第二の方針とありまする二のところに、計画の公表とか縦覧とか公聴会とかいうことがございますが、これは事柄自体を、公益事業、これは是非実行するのだということをきめます前に、或る程度地元のそれらの人々の意見を聞くべきであるということであります。そうしてそれに基いて協議とか交渉とかいう段階を経まして、その間には当然いろいろ当事者間に意見の食い違いがありましようから、これに対して一定の機関が斡旋をする、或いは調停をするというような段階を経まして、最後的には一定の機関が補償のやり方、内容なり額なり等につきまして裁決をするということは、どうしても必要ではなかろうかというふうに考えております。  これらの機関につきましては、いろいろ考え方もあろうかと思いますが、一応我々の考えでは、県段階或いは中央の段階といつたものを考えております。それについては、なおいろいろ最も具体的にやりよい機構というものを検討する必要があろうかと考えております。中央につきましては、幸い土地調整委員会というような特殊の、工業関係等の問題について、農業関係或いは工業関係の立場からの利害を調整するような機構が中央にございます。ああいうものを作るということが一つの便利な考え方であろう。尤もこういう仕事をやつて参ります場合には、或る程度改組のようなことが必要ではなかろうかと思いますけれども、ともかくもこの裁定機関といたしましては、やはり利害関係者の対等な立場でもつて公平な裁定機関であるという、そういうものである必要が非常にあると思うのでございまして、そういう意味からいたしますと、現在の土地収用法の、これは建設省が、建設大臣の傘下の、地方に収用委員会というようなものがあるわけであります。これを更に中央に一つ置いたらということも建設省のお考えのようでありますが、多少そこのところは、建設省というものが、一方において収用するほうの立場におられる関係からいたしますと、裁定機関としてはもう少し何か色彩の総合的な立場のほうがよろしくはなかろうかということをちよつと考えております。そういう意味におきまして土地調整委員会のようなものを作つてもらつたらどうか、あれを改組するようなことで作つたらどうかというようなことを考えております。  それから補償の内容につきましては、先ほど申上げましたような考え方で、要するに国全体の利益のための仕事のために犠牲になるわけでありますから、そのために従来の生活程度を維持できないようなことにならないように、現物をもつて従来と同じような仕事ができるようなことをやつてやることを原則として、止むを得ない場合はございますけれども、それを原則と考え、そうしてそれに対しましては、例えば農林省のごときは、全国に開拓とか或いは干拓とかいろいろそういう仕事をやつておるのでありますから、多くの場合において、水没の対象になりまするような農業者のようなものに対しましては、これは農林省も責任をもつてその事後の生活の安定については協力するというふうに考えておるのであります。現在電源開発等による水没者に対しましても、或る程度土地をお世話いたしましたりいろいろな斡旋をいたしておるのでございます。これと緊密な連絡をとりまして、一方において事業者が補償をします。これを受けるほうの具体的の土地その他についてもよく農林省と事業者、或いは事業官庁のほうとが同時に連絡をいたしまして、これこれのものについてはここへこういう形で新たに農業をやらせるようなことを考えようということでやつて参りますれば、水没される人々におきましても、よほど安心といいますか、進んで協力し得ることになる。従来の実例におきましても、我々のほうが溜池を作る、そのために水没するというような場合におきましても、替地を与えましてやはり農耕を続けさせるという具体的な替地を示して、それに対していろいろな援助を交渉の中においてお話できるような場合におきましては、非常にスムーズに参つておるわけであります。そういうことにいたすことが延いては事業そのものをスムーズに実行せしめる大前提でもあろうかというふうに考えておるのであります。  それから事後補償というのは、事業ができたあとの予知すべからざる場合の、鉱業法等にありまするような損害の補償の問題であります。  それから被補償者の再建整備につきましては、今申されましたように、従来の農林省でいろいろやつておりますような開拓の政策であるとか、そういうようなものをできるだけここへつぎ込んで参つたらいいじやないか。必要がありますれば、更に特別の予算等の措置も講ずることもいいのではなかろうかというふうに考えるわけであります。  あとは第三要領のほうは、只今申上げましたような事柄の実施につきましての細目でございますので、特にここで御説明を避けまして、御質問等がありますればお答え申上げることにいたしたいと思います。  大体の考え方といたしましては、繰返し申しまするように、損害を受ける者が不当に損害を受けないように、従来よりも生活が悪くならないようにということを大前提として考えましてそれが確保されるためには公正な機関によつて最後的には裁定をされることが必要であろう、併し同時に事業そのものを進行することも必要でありますから、これは結局公正な第三者が最後的には裁決をせざるを得ないだろう、こういうことが大筋でございまして、それに適当なるためにはどういう機構がよろしいかということをいろいろと書いておるわけであります。  概略御説明を終りまして御質問がありますればお答え申上げたいと思います。

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) 経済審議庁。

伊藤嘉彦経済審議庁計画部調査官

○説明員(伊藤嘉彦君) 経済審議庁といたしまして、現段階の部分につきまして御説明申上げます。  補償の問題につきましては、公正な補償及び工事の円滑というようなことからいたしましていろいろ問題がありますので、経済審議庁といたしましては、電源開発促進法の立場、総合開発法の立場等からいたしまして、これに十分対処をして行かなければならない、こういうことでございますので、実は二カ月、或いは二カ月ちよつと前くらいから、電源開発の幹事会におきまして計画部長から、各省におきましてこの補償の問題につきまして現在考えておりますることがありましたならば、或いは今後におきましても意見がありましたならば、これを承わりまして相談をして行きたいというようなことを申出でまして、その話合いによりまして、各省の案が出ましたならば相談をして行こう、こういうようなことになつておつたのでございます。今までに御説明がありましたように、まだ正式の各省の案というようなことにはなつてございませんが、各通産、建設、農林の当該関係の部面におきまする御意見が出て参つておりまするので、或いは考えようによりますと、余り固まらないうちにおきまして私どものほうで寄り合いまして御相談を申上げるという行き方のほうが、或いは審議の上では便宜ではなかろうかというようなことも考えられまするので、ぼちぼちと相談を始めておる状況でございます。ぼちぼちと申しましても、問題が問題でありまするので、できるだけ慎重に、併しできるだけ早く協議をして行きたいという気持で相談し合つておる状況でありまして、丁度先週もその相談をし合つたのでございますが、現在におきましては、主なる問題点が先ほどから御説明がありましたように、補償の範囲及びこの対象、補償をどの程度やるかという基準の問題、それから補償の方法、被補償者の生活を援助する事柄、用地等の取得の迅速を期するためにはどういうような組織機構でやつたならばよろしいかという工合に、非常に広範囲にその問題がまたがつておりまして、又現段階におきましては、各省の、各方面の御意見が食い違つておる部分が多い状況でございまするので、この内容につきまして、実質的によく相談をし合いまして固めて行きたいと、こういう考え方でできるだけそういう協議を熱心に進めて行きたいというような現状況でございます。  大体現在の状況といたしましては、そういうことでございます。

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) 大体この前の委員会で建設省から承わり、それから今農林、通産省から承わつたのですが、各省の考え方が必ずしも固まつているとは言えない段階ですが、何か御質問がございましたら、一通り御説明は済んだわけでございますから、御質問がございましたら……。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 資料をほしいのですがね。只今のお話で、結局補償の問題がうまく行かないで公益事業の遂行が困難を来たしていると、こういうことでまあこういう法律を出そうというわけでしようが、具体的に今どういう所でどういうことが問題になつているのか、具体的にですね。そういう事例を、こういう所でこういう補償の問題でこういうことがうまく行かないからと、そういう具体的事例を資料にして出してもらいたいのです。それからもう一つは、さつき農地なんかの替地を与えた所はうまく行つている。原則としては、金銭の補償よりも、例えば水没地なんかはそれに替地を与えると、農地なんかを与えると、そういう場合は非常にスムーズに行つているというようなことがありましたが、そういう事例です。具体的にどこはこういう替地をやつたのでこううまく行つたのだと、それは今後やはり我々調査してみる必要があると思うのですよ。この法律を検討する場合ですね。この二つを資料として出して頂きたい。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 通産省と農林省に伺いたいのですが、建設省のやつはわかつておりますが、大体通産省並びに農林省としては、現行の土地収用法というものを一応棚上げするという考え方で立案されておるのか。現行の土地収用法というものをそのまま認めて、そのほかにそういう立法措置をとろうというのか。それを両省から先ず第一に伺いたいと思うのです。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 通産省から申上げます。我々は今の土地収用法を棚上げするつもりはございません。ただ現在の収用法の規定が非常に繁雑でございまして、なかなか運用が困難であるということは事実認めざるを得ないのでありますので、できればその改正を望むわけでございますけれども、これは又相当期間も要しますと考えられますから、一応あれはあれといたしまして、電源開発に関係する事項は別の法律でもう少し厳重な規定を設けたい。従つて、或る時期においてはダブることになるだろうと思います。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) 農林省といたしましても、現在の土地収用法そのものを別段棚上げするというようなことは必要ないと思つております。ただ特殊の非常に急ぐ事業について特別の立法措置を必要とするというような、むしろこれは通産方面等からのお考えがありまするので、それならばそれに即応して、その部分については何か特別の立法措置が必要じやなかろうか。で、その場合に仮に特にこの補償の問題について、裁決といつたような、一種の結論をはつきり出して強制するというところに至る段階のものについては、よほど公正な機構ということを考えないといけないのじやないか、そういう程度でございまして、何といいますか、原則的にこういう収用事業を扱う土地収用法そのものをどうするということは考えておりません。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 通産省に伺いますが、今日の電源開発の計画を遂行するに当つて、土地収用法のあらゆる約束をされるところの経過、例えば調停、収用そうしたものの手続をやつて工事を進めた例がございますか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 申請をしたケースはあるそうでありますが、実際に強制収用をした例はございません。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 もう一つ伺います。現在の土地収用法が繁雑で因る、仕事が進まないというお言葉はどこから、どういう根拠から出ておるのですか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) これは非常に期間がかかるということが形式的な理由でございますが、いま一つ非常に困りますのは、今の土地収用法では事業者が、例えば電気事業なら電気事業としての事業認定を受けなければ使用手続ができない。事業認定を受けるということは、先ず水利権をもらうということが先行手段であります。ところが水利権をもらいますためには、これは水利権は県知事からもらうわけでありますけれども、やはり地元との補償の問題が片付かなければ、県としては水利権の許可をしにくいというようなことで、堂々めぐりというような関係になつております。それをどこかで断ち切りませんというと、非常にその関係だけでも長引きますので、この考え方は水利権の有無ということと無関係に手続を進めることができるというふうな構想で考えております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 そうしますと、土地収用法の一部を改正しても、あなたの目的は達せられる途がある、こういうように解釈してよろしゆうございますか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) そういう趣旨の改正を行えばそれでも結構でございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 おつしやる通り、国民の権利を護るためには、相当な手続を踏むように今の憲法は、憲法そのものはできております。従つてああしたような形をとるのでしようが、ただ手続の問題は、了解事項でものが進んで行くこともあるのですね。私は一度でもいいから、大きな問題につきまして、土地収用法そのものを発動して裁決をするというようなことをして頂きたかつたのです。そうした上でこのように時間がかかつてこのように不便なのだ、或いはこのように遂行するために犠牲になるものが儲け過ぎるのだというような結論が出るか、或いはこのように非常に損をするのだという結論が出るか、そうした問題までも一遍やつてみて、その上でこうした結論が出るということは望ましいと思つているのです。ただ手続を発動も一遍もしないでそうしてやるということに対しては、余り便宜的な、土地収用法という基本法の、国民と密着するところのいいところをとつてしまうわけですよ。それで事業者の事業遂行、これは無論公益事業に違いありません、土地を収用するには。それを一方的なものにするというきらいが多分にあるのではないかと思うのです。私は先ほど木村君からも要求があつたように、これは別の事例ですが、補償の事例ですが、私の場合には土地収用をしなきやならんという事例を挙げて頂きたいのです。どういう工合にかかつたか、どういう時間がかかつたか、どういう不便があるか、私は土地収用法というものは、事業主に対する強権と思つてないのです。事業を行う人がそのためにとんでもない利益になつて、それで犠牲者が損をするというものでないと見ているのです。私はこの土地収用法というものをどんどん適用してみたほうが事業も楽になるし、それから犠牲者のほうも利益がある、私は常にこう考えているのです。ところが前回の土地収用法の一部改正にしましても、何か土地収用というものが強権をもつて何でもかんでも邪魔をして仕事を進められないように持つて行く。そうしてこれを発動すれば犠牲者が損をするというような印象を与えるような発言を常にあなた方役人はしているのです。ですからこれは建設省にもお願いしますが、農林省にもお願いします。一遍そういう土地収用法を発動した事例というものを細かく資料としてお出し願いたい。ないならば、ここでもつてこれの便法を考えるということの根拠が薄くなると思うのです。この点について通産省の御意見を伺いたいと思います。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 今の御意見、甚だ尤もでございますが、先ほど御意見のありました具体的な事例に関しましては、適当なものを又私どものほうで調べて提出いたしますけれども、一度も土地収用法の最終的な手続をとつた例がないということは、結局事業者の立場から言いますというと、それだけの日時を損することが非常にあとの影響が大きいということで、或る程度のところでは日時を短縮するために下りるというようなことで、いわゆる公けの手続の、土地収用法の手続を避けたというような事例が多いのではないかと思います。併しこういうことをここで申上げてもなんでございますから、いずれ資料として改めて申上げます。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) 私ども農林省といたしましては、現在の土地収用法で大体は賄い得るのじやないかとむしろ考えておりましたわけであります。ただこれはむしろ事業をされる通産省その他の方面から、これでは非常に遅いということで、特別の立法を考えられるというお話がございますものですから、それならば又それに対応する手続その他において、内容が公正になるようなことを考えてもらわなければならんということでありまして、収用法そのものが公正に運用される、勿論この内容について若干意見はございますけれども、大きな方向としては、これで運用さえ間違いなければよろしいのじやないかというふうに考えております。

渋江操一建設省計画局長

○説明員(渋江操一君) 土地収用法の運用につきましては、この委員会で収用法の全面改正の際にもいろいろ御意見がございました。それからその後の一部改正の際にも御意見がございました通り、できるだけこれを活用する方向へ向うべきであるということでありまして、その点は私どももできるだけそういう運用を建設省所管の公共事業自体についても考えております。それで、これは併し法律をもつて強制するということは自体困難でありますから、むしろこれは起業者の自発的な意思によつてそういう方法をとつてもらう。ただ従来の土地収用法が非常に何といいますか、いわゆる伝家の宝刀という一応の考え方の下にスタートしておりました。それから又事実非常に官憲的な色彩が強かつたこともこれは否めないと思います。そういう点がいわゆる犠牲者のほうから見た場合にも非常に強権発動ということをむしろ忌避する、これを何とかそういう形にならないように、それから又そういうことが非常に犠牲者に対する悪感情をもたらすという観点から、これを起業者のほうでもこういう手段をとることは、畢竟、補償問題をますますもつて非常に何と申しますか、困難な事態に陥れるという先入感等がありまして、これが今日においてもなおその先入感の一部がやはり残つておると思います。そういう残つておる先入感をできるだけ、新収用法というものはもそういう形でなく、先ほど御質問にございましたように、憲法上の規定から受けて立つている法律であつて、従つて公益事業とこの私権の保護との調整を最終的に立法精神にして謳つておる法律であるから、それを克明に活用することが望ましいということに努力を払つて行くべきではないかというふうに考えております。ただ先ほど来お話もございました、他の省からもお話がございましたように、無用な手続と申しますか、時間がかかる点について私権の保護上或る程度許されるならば、できるだけそういう時間のむだを省くという趣意は、これは或る程度貫いて参る余地もあるし、又そういう方面についての軍用上の努力を払う余地があるというふうに私は考えて、この前の改正の際にもそういうことを一部お願い申上げてあるわけでございまして、今度の補償に対する対策の内容としましても、その点を一応私どもの意見として立てておるような次第でございます。収用法を発動した事例は、これは建設省の所管の公益事業については、これはございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 ございません……。

渋江操一建設省計画局長

○説明員(渋江操一君) あります。ほかの省の所管、或いは一般の公益事業につきましても、収用法の発動というのは二段に分れておるわけでございまして、一つの事業認定、公益事業の認定、これは補償の解決をできるだけ円滑にしたいという趣意からしまして、公益事業の認定は、これははつきりさしておきたいという趣意からこの収用法の事業認定の措置を活用される例はございますし、又新収用法になつてからもこの事例は非常に殖えて来ております。ただお話のように、この補償の裁決まで持つて行くという事例は、まだそう十分ではないと思うのでありますが、併し収用法全体の傾向としましては、従来の事業認定の数というのが非常に少かつたのです。先ほど申しましたように、強権発動としての収用法の発動はやりたくないという意味で、事業認定そのものを受けるということすら非常に回避されていた傾向が非常に強かつたのでありますが、最近と言いますか、ここ数年来の例としましては、公益事業の認定、収用の前提になる公益事業の認定というそのものは、これはもうはつきり最初に取つておくべきだ、こういう考え方の下に事業認定が行われているのが非常に多くなりました。従つて私どもの見ている傾向としましては、この事業認定に始まつて最後の収用補償の裁決に至るまで、全体の一貫的な収用法の利用という場面にはまだ来たつておりませんけれども、併しそういう一段階の利用が全体として進んでおる今日としましては、いわゆる補償の一つの基準と言いますか、適正な補償がこの裁決の上で反映されるのであるという一つのめどがはつきり立つて来ることが、収用法自体の大きな活用の上に、これはいわゆるその契約の適正化を公権的にオーソライズするという形をできるだけとるという意味合いにおきまして、そういう補償の適正な基準というものがはつきり法律の上で明確化されるような形にできるだけ持つて来ることが、畢竟は収用法の発動全体の上にも役に立ち、又それが当事者の最も希望されるところであるというふうな考え方の下に、まあ関係各省のお考えもさようでございますし、私どももそういうふうな考え方で考えているわけでございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 もう一つ通産省に伺いたいのですが、あなたのこれはまあ腹案でしようからほんの生な案でしようから、余りやかましく言いませんけれども、第二章の地方補償審査会、この審査会というものと、それからこの第六章の土地の収用又は使用と、ここに来るところの委員会と、これはやはり同じ審査会ですね。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 地方補償審査会というものは、これは各地区に八つあるわけでございます。それからここで委員会と言つておりますのは、中央に現在ございます土地調整委員会のことを言つているわけです。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 土地収用法に基く委員会でしようか。それでいいんですか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 土地調整委員会です。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 この第七条にここにはつきりと「且つ、法律、経済又は行政に関して豊富な知識及び経験を有する者のうちから内閣総理大臣が任命する。」と、こうなつておるのです。これは少くとも土地収用法の精神から逸脱しているのです。これは如何なるものであつても私権に関する審議機関というものは、或いは斡旋機関というものはこうした内閣総理大臣が持つて、今の吉田内閣の行き方全部そうですが、何もかも皆自分が持つてやろうということなんでしようが、ここに通産省の考え方に対して非常に疑義がある。初めからここに内閣総理大臣がこれを任命するなんということを、ちよつと私にはあなたがたの考え方というものに対して非常に疑惑を持つのです。それからほかの農林省のほうを見ますと、これはたしか国会で決議を出したかどうでしたか。あとのほうのやつは。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) 私のほうもやはりこれは土地調整委員会を使おうという考え方でおるわけです。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 やはり内閣総理大臣ですか。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) そうです。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 これに対してちよつと渋江君の御意見を伺いたいのですが、ここに第七条のように、ここまではつきりと内閣総理大臣が審査委員を任命するということであつていいのでしようか。建設省の御意見を伺います。

渋江操一建設省計画局長

○説明員(渋江操一君) これは私どもで考えるよりも、むしろ国会自体の御審議になることで、国会の各諸先生がお考えになつて頂く問題じやないかと思うのでございます。私どもの考えとしましては、これは現在の土地収用法なり、建前がどうかという点だろうと思いますが、その点は私どものほうの一応土地収用法の現在まで考えております立場においては、これは委員会の構成というものはいろいろな形で考えられる。この中央労働委員会のように、利害関係の当事者のほかに中立委員を含めた三種三様のこの委員の利害をそれぞれ別個に代表されておるかたが審議されるという形も考えられる。それから或いはそうでありませんで、これは純然たる司法、純司法機関的な立場において、まあ裁判所の構成と同じような形においての方法も考えられるというふうに考えられるのじやないかというふうに思つております。収用法自体の上ではその中のむしろ後者の方法をとつておるのであります。純司法的な機関ということをできるだけまあ立てる意味合いにおきまして、これは現在の地方収用審査会の委員の任命方式は何と言いますか、県議会のそれぞれ同意の上に立つて知事が任命する。その際におけるこの方法としては、これは法律の上では一応経済、行政にそれぞれ堪能なる知識経験を有する人ということで条件をいたしておりますが、或いは地方のそれぞれの指導者でありますとか、或いは弁護士でありますとか、まあそういつたような比較的利害を持たない公正な立場の人、いわゆる議会の同意の上に立つた任命、こういう方法をとつて、これが比較的司法的な処置を取扱うと言いますか、審査をする上に適正な構成ではないかというふうに考えて来ておるのであります。なおこの点については私どもとしましては、新らしい中央委員会の形におきましても、やはり同様な考え方が必要ではないかというふうな考え方であります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 さつきの補償の資料に関連してですが、最近補償の問題について社会問題までなつておるわけですね。小山いとという人が書いたダムサイト、十月号の中央公論の小説で、ああいう又批評家が驚いていたのです。こんなにむちやくちやに補償というものが行われるものか、むしろしろうとが驚いたのですね。何かでたらめに補償が行われて、そのためにいろいろな社会問題まで起るような状態になつて、相当社会的に大きな関心を持たれていたのですね。そこで、一つできたら或る個所での補償が実際にどのくらい行われておるものか、そういう調べたものはないものなんですかね。小山いとさえ一応調べておるのですが、併しそれも北原武夫という人から批判が出まして、そんなに出るものかという批評に対して、実際に調べたのです。現地に行つて調べた結果、こうなつているのです。私もあの小説を読んでみました。実際にそうだとなると、これはまるで庭木から石までいろいろ評価され、又そこがダム建設の用地になると、新らしい家まで建てて、そしてその補償を求めるというようなことまで、それで儲けるというようなことまで行われる。あれは小説ですから本当かどうかわかりませんけれども、併し相当調べたのだという回答をしているわけです。そこで我々建設委員として非常に不勉強であつたわけですが、実際に何か事例、どこのダムの建設においてどれくらい実際に補償されておつたか、そういう点我々知つておきたいわけです。何か資料を出して頂きたいと思います。出して頂けますか。

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) 委員会として要求します。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 時間がありませんから、簡単に伺いますが、適当なお答えを得られるような政府側のかたがおられないのでちよつと困るのですが、この三省でそれぞれ特別な立法措置を考えられておりますが、これは究局においては、国会に出て来るときには、一切合さいの補償関係を扱う一本の立法措置として各省協力してまとめて出すのですか。各省ともそれぞれの目的によつて別途の法律を各委員会にばらばらに出して来るのですか。今のお考えはどうなつておるのか、各省から一つお聞きしたい。

伊藤嘉彦経済審議庁計画部調査官

○説明員(伊藤嘉彦君) お尋ねの点につきましては、先ほど申上げましたような段階でありますので、現在の問題と言いますか、実質の点につきまして十分によく検討してみたい、そういうことでありますので、現在におきましては、どういう恰好の法律になるかということは実は結論を現在においては出しておらない状況でございます。もう少し内容につきまして検討いたしまして、その結果、土地収用法の改正で行くべきであるということになればそういうことで、この場合におきましては恐らく現在の主管官庁から一本で出す、こういうことになると思いまするし、又内容の検討の結果、そういう恰好では不適当であると、こういう結論が出ましたときには、それに対応するような法律形式を考えたい、こういう話合いで、今はまだその段階で実は話を進めておる状況でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 土地収用法の内容的な改正で運用上一致点が見出せるとならば、建設省の所管として法律案を出してよい。そうでなければばらばらに出す途しかないわけですね。そうでなく、土地収用法のそれは考えない、或いは一部考えるということで、根本的にこういう公共事業或いは電源開発事業を推し進める現在に適応する臨時措置をとるという場合においても、一本でやれないわけのものではないでしう。その点はどうです。

伊藤嘉彦経済審議庁計画部調査官

○説明員(伊藤嘉彦君) この問題の性質からいたしまして、今お話がありましたように、或る部分は或る体系を、或る部分は別の体系というような恰好にして恐らくやり得べきものではないと思われますので、究局的には何らかの形で政府といたしましては一本化する、こういうことにならざるを得ないのだと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 実際はこういう問題が起つて来ておるのは、電源開発事業における補償額と、国が行う公共事業との間に余りに差違があり過ぎる、そういうふうなところから現実的には問題が起つておるのです。それを通産省は通産省で電源だけの補償の問題を考えた立法措置をする、国は国でするということではやはり現状を打開して行くことにならんと思います。いずれにせよ、一本で出すように努力するというふうに我々のほうで了解しておつていいのですか。

伊藤嘉彦経済審議庁計画部調査官

○説明員(伊藤嘉彦君) それで結構だと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 次に、そうなれば、目的等は無論検討し合えば一本の線が出ると思います。それから事業の範囲もこれは困難なことでないと思う。今度は補償の範囲、或いはその対象というものも事柄の性質上そう差違のあるものではない。この点の話は私は付くだろうと思う。結局問題になるのは三省の間でもつて補償の基準ということをいろいろの機関でそれぞれ設定するように言つておりまするが、これについては審議庁としては、国会の審議に待つて、その基準は法律上詳細に明文化しておくべきであるという意見についてはどういうお考えを持つておりますか。

伊藤嘉彦経済審議庁計画部調査官

○説明員(伊藤嘉彦君) その補償の基準につきまして、どういう形式で成文化するかという点につきましては、現在のところまだ考えをきめておりません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ここのところは私として非常に聞きたいところなのですが、或る機関を作つてそこに一切を委せようとするのか、立法的に明確化しておこうとするのか、これはやはり被対象者に与える影響は大きいと思う。今日一番問題になつておるのはそういうことが誠に不明確でばらばらである、こういう点にあると思う。公正を期するという建前から言えば、私は原則的には立法措置で或る程度のものは明確にしておくべきであるという意見を持つておりますが、それらについて現段階では何の態度も三省間ではさまつていない、こういうわけですか。この問題については何ら結論を得ていない、そして通産省は補償評価基準を作るのは土地調整委員会、農林省は補償委員会という新らしい機関を作つてきめる。この程度のことで、まとまりを得ておらないというのですか。

伊藤嘉彦経済審議庁計画部調査官

○説明員(伊藤嘉彦君) こういうことだと思うのでございますが、現在出ておりまする案によりますと、或る案におきましては規則で作る、又或る案におきましては、その点につきましては慣例法的にやつて行くというようなまあ二つの考え方があるように見受けられるのでありますが、問題は実はこの前の補償基準を閣議了解のものを作りました際におきましても、なかなか時間がかかりまして、たしかあれはやはり六カ月くらいかかつたと思うのでありますが、そういうふうになりまする意味は、同じようなケースに見えましても、具体的な場合には非常に違う場合が多い。と申しますのは、これは適当な例でありますかどうかわかりませんのでありますが、申上げてみますと、例えば或るダムを作りましてそのダムの影響が下流にだけ利益を与えるというような場合におきましては、そのダムの周りのものにとりましては、これはそのダムによつて若しその周りのものも同時に利益を受けるというような場合とは大分受取り方が違うのじやないかというようなことから行きまして或いは最高、最低を定めるとか、或いは評価の方法を定めるとか、そういういろいろ共通的に公式的に作り得る部分は相当考えられるとは思うのでありますけれども、或る基準を作りまして、すべての場合にぴたつとそれで行けるというようなものはなかなか作りにくいのじやないかというような点があるのでまないかと思われますので、そういう意味からいたしましてもう少し実体につきましてよく検討をしてみませんと、どの範囲までどういう定め方をし得るかというようなことについて明確な線が出て来ない、こういうことじやないかと思つております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうすると、或る種のまあ今の場合この臨時措置を法律においてきめるとしましても、そうするとその法律ができてから暫く実際これが活動するのには時間がかかるということになつて来ると思いますが、今あなたがおつしやつたような基準というようなものは、政令というような形であなたたちの考えできめたものを出す方向に行くのか、或る種の機関を作つて、それに任して、そこで客観的な基準を生み出して行くというような考え方を持つているのか、どちらなんですか。

伊藤嘉彦経済審議庁計画部調査官

○説明員(伊藤嘉彦君) その点につきましては、申上げておりまするように、非常にケース・バイ・ケースで複雑な問題もありまするかたわら、基準的に共通する部面も随分あるかと思うのであります。そういうことからいたしまして、実は皆様方の御意見もお教えも頂きまして考えて行きたい、非常に重要なこれは部分だと思うのであります。そういう意味からいだしまして、実は今どちらの線で行くつもりであるかというふうにお尋ねがありましても、現状では実はまだどつちとも割切つてはおりません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 これは私見を申して甚だ恐縮ですが、国が起業者になる場合がある、その起業者になるものと、この政令を作るものとが同一人であるという場合が多い、私はそういうことが望ましいとは思わない。そういう意味で立法的に基準を作るか、或いは或る種の機関に移してこれを作らせるか、そういう途しかないのじやないかというふうに私は考えておりますが、まあ念のためにあなたに申上げておきます。  次に、先ほど田中君がお話になつたこの手続上のいろいろな審査会とか委員会とかいうものができている案がございますが、恐らくこれらは先ほど計画局長が言うたように、私は収用法にかけて強権的にという色彩を緩和し、円満な解決をみたいというための何と申しますか、調停と申しますか、そういうような意味合いを強く持つておる委員会のように私はまあ思つたのですが、ところがだんだんみますと、そうでもなくて、やはり強権的な裁決を通産省側もこれにおいてはして、決定を見るようにもなつておる。そこで問題を複雑にしないために通産省側に伺いますが、この土地収用委員会の前にこういう補償審査会なり委員会というのがあるのですか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) そうでございます。つまり地方に地区別に補償審議会がございまして、そこを経由したような問題が土地調整委員会に来る、こういう段取りになつております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうしてそこで最終的に裁決があれば、その決定に従わなければならぬ、こういうことになるわけですか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) そうでございますが、無論それに対しましては、通常裁判所に出訴の道はあります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 土地収用委員会のほうには持ち出すことはあり得ないわけですか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) これは若し土地収用法の手続でやるとすれば、その手続が別にできるわけであります。ただこちらでやつた場合には、土地収用委員会のほうにはかからないで、今の系統で参る、こういうことになります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それから農林省のほうの補償委員会或いは中央補償委員会というのは、今言うような強権的なものがありますか。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) それは調停、斡旋をする機関があります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 裁決はない、決定はない……。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) ええ。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうすると、補償委員会或いは中央補償委員会の斡旋へ調停、これが決裂した場合には、あなたのほうではいよいよ土地収用委員会のほうにかける、こういうことになつて行くのか……。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) 今の土地調整委員会のほうが裁定機関になると思います。土地調整委員会を使う、それが裁定機関になる、そこで裁定をする、一応そういう考え方になつております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうすると、これはやはり土地収用法の歩く道でなく、よその街道を進んで結論を得て行くという考え方のようにどうしてもここで印象を受けるのですが、重複している部分というのはどこにあるのですか、通産省側に伺います。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 若しこの法律によらないで、土地収用法の手続でやればやる余地がある、こういうことであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 あくまでもこの法律ができれば、土地収用法とは全然別個に扱つて行く、こういうことになるわけですね。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 結果はそうでございます。ただ両方とも有効に使えるということは言えます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 どつちを使うかはあなたの都合、そういうことになりますね。農林省のほうはどうですか。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) この考え方も、そういう考え方に一応なつております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 次に伺いますが、斡旋や調停する対象になるものは、どつちの案だかでいいますと、取りまとめて団体交渉権を設定してやるようにも書いてありましたが、個人々々との間に事を進めないで、関係者一体のものとしてこういう各機関は問題を扱つて行くというのが原則ですか。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) これは私どものほうの考えはいずれの道もとれる、当事者の撰択でどちらの道もとれるという考え方にいたしておるわけでございます。実際問題としますと、補償の交渉というものはやはりいきなり一人一人に行きませんで、やはり代表といいますか、そういうところに話が行くのが実際問題のようであります。話を客観的に公正に進めるという意味からいいますと、或る程度の代表者が話をするということのほうが非常にばらばらにならないという点はあろうかと思います。併しこの点については強制的にどちらにするかということを考えておりません。いずれの方法でもとり得るということに考えております。従つて両方が並行的ということがあり得るわけです。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 通産省のほうはどうですか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 大体そういうことになろうかと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私たちが実際問題としてこういう問題を扱つておる経験からいうと、土地収用法にはかけないけれども、結局は強権的なと申しますか、一方的な押切りという形が見えるように私はこの案では思うんですね。私は新らしい臨時措置を作るというならば、そういうことでなくて、土地収用法にかかる前に問題が解決されるように、あくまでも対等な立場で問題が処理される、そのための基準設定によつて運用の幅というものを或る程度規制しておいて、それをしも不服であるという場合には、もう堂々と機関にかけて決定して行く、こういうことが筋のように思うんですが、これがなんか土地収用委員会にかかると時間がかかつてしようがないというところにだけウエイトを置いて、形式だけ民主的な機関を作つてとんとんと絞り上げて行く、そういうような感じを受ける向きが強いんです。通産省のほうで第三次案というものの第四十六条というのを見ますと、「緊急に施行する必要がある開発工事のための土地の使用」というところがあつて、ここでは委員会というものが何と申しますか、調停なり或いは決定なりをして補償問題を解決するということではなくて、一方的に事業を進めて行く、相手の同意があろうがなかろうが、決定をみて事を進めて行くために役に立つ委員会になつておるんですね、法は。こういうことは誠に私からいうと、法律知識はありませんけれども、けしからんことだと思う。「開発工事を緊急に施行する必要がある場合であつて、同条裁決が遅延することによつて開発工事の施行が遅延し、その結果公共の利益に支障を及ぼす虞があるときは」というようなことで、公共の利益ということに名にかりて一方的に仕事はやつて行くんだ、こんなことまで委員会にやらせて事を進めようということは、私は犠牲者とは申しませんが、土地を収用せらるるほうの関係者にとつては誠にもう困つた、交渉して問題を解決するのにその前提になるものを取られてしまつて交渉するというのは、こういうようなことまで委員会に一任してしまう、こういうところに私は何か露骨に形式を整えて民主的だということに名をかりて問題を何と申しますか、即決して行く、こういうふうに考えられてならんのですが、法律上委員会にこんなことをやらせてもいいという根拠はどこにあるんですか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) まだこれは試案でございますから、百パーセント自信のある答弁は勿論できませんが、ただ我々ふだんの仕事をやつて行きます上におきまして、こういうふうな制度でもないというと、開発工事が円滑に行かないのじやないかということから考えたわけでありますが、根拠といいましても、結局この法律に根拠を置くわけでありまして、ただこういうふうな特別の緊急性がある場合に、政府でなくて最終的に公正な裁決をなすべき機関である委員会がそれを認めた場合には、暫定的に一応工事等をやらせていいのじやないか。それで若しも裁決がきまつた場合に、逆に或いは却下された場合におきましては、それは又元に戻さなければならんことになりますが、単に裁決の期間を待つために時日を損するということのないように、こういう措置も場合によつては有効ではないかというふうに考えたわけであります。併しこれがいずれ今後の研究の結果どういうふうにするか、又このままの形で出ました場合には、国会におきましても十分御考慮願いたいと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 さつきの田中君がおつしやつたように、この委員会の委員は三人で、内閣総理大臣が任命する。事務局スタッフは当然あなたのほうの関係者が出られるのでしようが、そうして電源開発関係の事業をここでは指しておるのですが、それを進めて行こうというのに、これは公共の利益に支障を及ぼす虞れがない、緊急性がない、そういう開発工事というものはないと思うので、そんな決定を恐らく委員会はするものじやないと思うのです。国が訴訟を起して仮処分申請を裁判所にしてさえも、判事は一方的にただこの当事者の言うことも聞かないで、政府側の言う仮処分を決定しておるというような事例もあるのです。司法機関でさえそうですから、まして内閣総理大臣任命の委員会が却下する場合もあるだろう、理屈はあるでしようけれども、開発工事の緊急性のためにこういう臨時措置の特例を考えてできた委員会なんですから、それが却下するなどとは私は考えられない。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○一説明員(中島征帆君) ちよつと誤解があるようでございますが、これは土地調整委員会がやるものであります。先ほどの三人委員会の審査会は、これは地区別に置くのでありまして、審査会にこういう権限はございません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうですか。それじや私は誤解しておりました。

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) ちよつとお諮りいたしますが、今日建設省の稲浦事務次官が来ておりますから、次官会議が始まるので退席したいそうですが、お差支えございませんか。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 午後に災害のほうをやるようになつておるのでしよう、明日ですか。

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) 速記をやめて。    〔速記中止〕

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) 速記を始めて。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 まだ質問がありますが、農林省側、それから通産省側にそれでは改めて伺いますが、土地調整委員会というものをこの種の問題に活用しようと考えられた動機なり根拠はどこにありますか。

平川守農林省農地局長

○説明員(平川守君) 先ほどもちよつと申上げましたが、この補償の内容等をきめますることについては、事業の側の者、損失を受けるほうの、補償をもらうほうの側の者、これらがやはり対等の立場において発言のできるような機構でなければならない、そうして公正な第三者というものが入つて、全く中正な立場におかれた機構というものにこれの判定をさせることが一番いい。併しそういう意味から申しますと、内閣のようなところに一つの新らしい機構を設けるということも考えられるわけでありますが、たまたま現在土地調整委員会というものがありましてこれが例えば鉱業関係の事業について農地等の関係のいろいろな裁定をするというような仕事をやつておりますけれども、これがそういう意味において、関係各方面から中正な委員を選んで公正な立場において裁定をするというふうなことをやつておられますので、或いは比較的そういう補償の裁定等をやるのにふさわしい機構ではなかろうか、従つてこれに若干の機構の整備等をいたして、これを使うことがやはり実際的な措置ではなかろうか、まあこういうふうに考えたわけです。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 通産省も同じですか。

中島征帆通商産業省公益事業局長

○説明員(中島征帆君) 大体同じでございますが、地方にはあの土地調整委員会がないということが一つ、そのために現在ある委員会の土地調整委員会を使うということが一つあります。それから地方にございますが、これは各府県別にありまして、府県別の委員会では調停等に対しては範囲が少し狭過ぎて非常に案を出すのにむずかしいではないか、或る程度ブロックにまとめるほうがいいのではないかという考え方から一つは土地調整委員会に、一つは地域別の審査会にしたというわけであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 建設省側としてもそういう立場はその通りであると認められますか。

渋江操一建設省計画局長

○説明員(渋江操一君) 私どものこの立案しております根本的な考え方は、やはり補償問題に対する国の意思、或いはこれを公共的な機関として判断するものは一つでなければいけない、只今御質問がございましたような、殊に強権的な最終的な決定をする機関というものは、国の意思を二つにも三つにもわけて表示して、それが強権力を持つて行くという形はこれはいわゆる一つの混乱を来たすばかりでありまして、好ましくないというふうに根本的に考えております。従つて先ほどお話がございましたように、収用委員会は土地収用法による手続を一方に進め、片方に別の手続を進めてそれが強権的な力を持つ一つの最終的決定が国のいわゆる意思決定として出て来るという形をとることは、これは是非やめて頂きたいというふうに私は考えております。  それからもう一つは、この土地調整委員会との関係でございますが、これは収用法、新法を作りますときから問題になつておりまして、現在の収用法の中にも土地調整委員会の権限と収用審査会の権限、収用法上の手続等の関係をそれぞれ規定いたしております。即ちこの収用法上の処分行為、処分行為に対する訴願、異議申立、そういつた形のものが出て来る場合に、それを最終的にもう一遍覆審的にきめて行かなければならないという形において、これは土地調整委員会の意見を聞いた上で最終的に訴願、異議申立に対する決定をする、こういうような形をとつて、たまたま収用法のできるときに、土地調整委員会が今両省からお話がございましたように、農地或いは鉱業用地との、鉱区と農耕地とのいわゆる利害調整、こういつたようなものを国として一つにまとめて立てるという、いわゆる土地利用上の調整機関という形で出ておつたのでありますが、そういう関係の意見を反映せずして訴願裁決をするということはいかんという立場から、そういう関係の規定が織込まれたのであります。そういう関係にあつて、これも又一本の形に最終的に持つて行きたいということで収用法は取扱つて来たわけなのであります。私どもといたしましては、まあ国の意思決定というものはあくまでこれは臨時的な意思決定であろうと永久的な意思決定であろうと、それについては区別はないのでありまして、いわゆるこういう補償問題のような重要問題は、これは一つの形で出て来るということを是非考えて行かなければならない。我々もその立場に立つて考えて行かなければならないというふうに考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 審議庁としては、このとりまとめとしてどちらか一方を以てこの土地調整委員会一本で全部縛つて行くという考えにもなれないでしようし、或いは土地収用法のそれでも、内容的に規定が改正になればいいと言つておりますが、それでもなかなか所管が建設省であるならばいやだという向きもあるでしようし、これは率直に考えて面倒でしようが、あなたのほうのお考えとしてはこの土地調整委員会にこれだけ権限を拡大してこの大きな補償問題を解決させる一つの決定機関とするということについては、どういう考えを持つておりますか。

伊藤嘉彦経済審議庁計画部調査官

○説明員(伊藤嘉彦君) お尋ねがございまして、明確に答弁ができまするといいのでありますが、現状では、検討しているところでございまして、先ほども実は次長は、別のほうに行つておりまして、特にその点については私に指示があつたのでありますが、目下のところそこのところを実質的によく検討した結果善処をしたいという状況でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 建設とか農林とか通産とか、特定の省に所管される法律によつて、他省の問題が律せられるということは各省ともいやなんでしよう、早い語が。だからそれを調整するものは審議庁あたりでなければならんと思うのですが、検討中ということはよくわかりましたが、検討倒れになつては困るのですな。これはたしかにあなたが先言つたように、一本なものにするという限りは、建設も農林も通産も異議がないような一本なものに、こういう点もお考えをきめておやりになることを私は希望するのですが、今度の通常国会にこれは間に合いますか。

伊藤嘉彦経済審議庁計画部調査官

○説明員(伊藤嘉彦君) 現在の私どもの気持といたしましては、できるだけ早くやりたい、こういうことでやつております。又、今お話がありましたように、検討倒れにはならないように、一生懸命やつて行きたい、こういうふうに考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 まあいろいろ意見はありますけれども、まだ固まつてない、検討中のものにかれこれ言つても仕方がありませんが、まあ少くとも国会側のほうにその各省間の意見が合わないとか、官庁の繩張り根性で事がきまらんのだというような評判が立つて来ないように、私は建設委員でも建設省の味方をするばかりでない。けれども、えてして、私は速記をつけて申上げておきますが、こういう問題になると、建設省は建設委員だ、通産省は通産委員だ、農林省は農林委員だ、運動はしなくとも、議員のほうが敏感になるかどうかわからんが、同じ党内でも三者三様に意見が対立するという結果炉よく起つて来る。党の統一上、私は誠にこれは迷惑千万なことですから、あなたのほうできちんとまとめられて持つて来られるよう、まして参議院議員などにちよつかいかけて、誰か先棒にしてからに取りまとめさせるなどというような、そんな非民主的なことをしたら、断固として私は反対しますから、この点だけは今からはつきり申上げておきます。以上を以て質問終ります。

堀木鎌三改進党

○委員長(堀木鎌三君) 渋江君、どうも聞いていると、通常国会に間に合うような官庁の事務的段階にあるように思わないのだな。で、非常にみんなスピード・アップしてもらわんと、これは建設省のみならず各省の間で精力的にやつてもらわんと通常国会に間に合わんと思いますがね。今説明を聞いた段階では、まあ私どもの経験ではそうスムーズに行かない、場合によると通常国会にも出ないというふうな情勢だ。今こうやつて調査していること自体も非常に意味をなさないと思う。我々は通常国会に出るものとみて実はこれは審議しているものですから、いずれこの問題については副総理等も来てもらつてはつきりした意見を聞きたいと思つたのですが、関係官庁の関係担当官の間でも、よほどそのつもりでやつておいて頂かないと困ると思いますので、特に御注意申上げておきます。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後零時三十四分散会

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