建設委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/08/13
会議録
○委員長(堀木鎌三君) それでは只今から建設委員会を開会いたします。 本日は派遣議員の報告、過年度災害復旧状況に関する件及び昭和二十九年度発生災害に関する件等を議題に供します。先ず先般北九州災害復旧等建設事業の調査及び最上、阿仁三沢持定地域建設事業調査のため派遣されました議員の報告を聴取いたしたいと思います。北九州災害復旧等建設事業調査は石井委員より御報告を願うことになつております。最上、阿仁田沢特定地域建設事業調査は石川委員から御報告を願うことになつております。先ず最初に御報告を願います。
○石井桂君 それではこれから一班の報告をいたします。 去る七月十八日より第一班として田中委員並びに私の二人が北九州における災害復旧等建設事業の現地調査をいたして参りました結果を御報告申上げます。日程につきましては別に皆様のお手許にお配りいたしておきました通りでございます。以下私どもの見て参りました各地の状況につきまして要点のみを簡単に申述べることといたします。 一、関門田道トンネルの工事については、御承知のように、昭和二十七年道路整備特別会計の設置と共に三十一億五千万円の工事予算で、昭和三十一年度までの五カ年継続事業として行われておりまして、直営工事の海峡トンネル部分はすでに殆んど全断面の掘さくを終り、全体としては六〇%程度の進捗を示しております。ここで問題となります点は、当初五カ年計画樹立のときに比べて、その後の物価騰貴が甚しいこと、トンネル内の換気、照明等技術研究費と、それらの設計変更に伴う経費の増加、或いは昨年の水害による工事の手戻り等のため、現在の推定では総工事費が五十五億四千万円に達する見込となり、且つ竪坑の鉄筋コンクリート捲立工事の工程の関係上、工事全体の竣工が予定より一年延びて昭和三十二年度までかかることが避けられないと考えられていることであります。これについては次期の予算案編成審議の際問題として提起されることになろうと存じます。 二、門司市における地すべり災害復旧について。奥畑川の災害復旧箇所のほか、昨年最も悲惨な状況を呈したといわれる白木崎地先の復旧工事の現場を見たのであります。この箇所は地上の堆積土砂はかなり取り片付けられてはおりますが、まだ惨禍を偲ばせる跡が残つております。上流の谷間には昨年度中に四本の砂防堰堤を入れ、本年度も引続き三本の計画で盛んに工事中でありました。併し渓流を流れる水は僅かに細い板囲いの仮排水路で導かれて海に流されている状態でありまして、堰堤と同時に速かに流路工をも行い、河道を整える必要があると思われました。県市当局の説明によれば、堆積土砂排除のためには総額三億一千九百万円の費用を要するに対して、配賦された予算額は現在までに僅かに七千万円に過ぎないとのことでありました。又この地区については表門司、裏門司の各河川について建設省、農林省のいずれが仕事を受持つかという仕事の分野或いはその工事の順序、進め方等の点について最近まで不明確な点が残つており、私ども視察いたしましたときの話では、丁度翌日に当る七月二十日に県を交えた三者協議を行うこととなつているということでありましたが、かかる問題は成るべく速かに解決して、再度の災害の防止のため最も有効なる工事を行い得るよう各方面の協力を望むものであります。 三、三号国道その他道路の問題について。一級国道三号線、いわゆる三号国道は門司市より小倉、八幡、福岡の各市を結ぶ北九州地帯の動脈幹線道路でありまして、その重要性は申すまでもなく、自動車交通量もすでに数千台を超え、関門国道トンネル開通の暁には更に激増することは明らかであります。然るに現在の瀞線は、これら各都市の都心を軌道と並行して走つておる状況でありまして、各所において飽和状態に達し、拡張、改良の余地はなく、且つ八幡市西方黒崎においては鉄道路線との平面交叉もありまして、この路線の変更改良については北九州総合開発計画の重要な一課題ともなつておるのであります。従つて建設省といたしましても、昨年度及び本年度にそれぞれ約三十万円程度の調査費を付けて、門司市と小倉市間の改良路線について調査を進めておるのでありますが、関門国道トンネル開通の時期を仮に昭和三十二年度といたしましても、少くともその時期までには三号国道の整備を完了することが必要であります。このために現在建設省の行なつておる調査を促進する必要があろうかと考えます。なお私どもが久留米より熊本に参ります際にも、その区間の三号国道が前月来の災害のため不通であつたのでありますが、少くとも国道の災害防止については一段の考慮を払い、少々の災害に対しても不通となるがごときことのないように維持されることを期待したいのであります。又、戸畑、若松を結ぶいわゆる芸戸橋の建設計画に関しましては、別にトンネルを以て繋ぐという考え方もありまして、今後の調査研究の結果に待つところの問題であると考えます。 四、八幡市における防火建築帯造成並びに住宅建設について。私どもは門司市においても栄町通りの防火建築帯助成による商店街建設状況を視察いたしたのでありましたが、特に八幡市の場合は、国鉄八幡駅の移転計画に伴い昭和二十七年十二月十五日付を以て新八幡駅前地区に延長三千五百八十七メートルの防火建築帯の指定を受け、耐火助成金、住宅金融公庫貸付金及び市借入金を利用して、二十七、八両年度の八幡市住宅協会事業として、一階店鋪、二階店舗専用住宅、三、四階公営住宅の共同住宅八棟二百四十四戸を建設したのであります。これについては上地の入手方法、防火建築帯で囲まれた地区の整備等についてなお検討すべキ問題を含んではおりますが、防火建築帯造成の一案として参考となるものであります。なお国鉄側といたしましても駅移転にまだ着工はしておりませんが、本年度事業として予定されているようでありますから、その実施については両者緊密に連絡を取つてやられることを希望したいと思います。一方八幡市の不燃住宅建設戸数は公営住宅、協会賃貸住宅等を合わせて百五十七棟、二千九百余戸に達し、アパートが整然と林立する有様は壮観であります。これは市当局のみならず、県全体として特に官民協力して住宅復興審議会を持ち、住宅建設の促進に努力している結果であると思います。市当局としては更に耐火建築助成の国庫補助予算に年次計画を立てること、或いは公営住宅建設費の起債特別枠を設けることを要望し、それによつて市の建築行政を一層推進させることを望んでいるのであります。 五、遠賀川災害復旧と福岡県の鉱害問題について。昨年破堤いたしました植大町地先の堤防の災害復旧並びに同所の上下流三キロに亙る間の改訂改修計画による断面拡築工事の一部は昨年度中に完成いたしまして、本年度引続き改修工事が行われております。併しこの箇所は八幡市と筑豊炭田地帯を結ぶ重要道路が堤防上を走つているため、工事の遂行にはなかなか苦労が多いようでありました。堤内の農地の復旧はその一部がまだ残つておるようであります。遠賀川は御承知のごとく、筑豊炭田地区の人口稠密地帯を縦貫し、その沿線は開発が高度に進み、工業用、農業用或いは上水道等、用水の取入れ施設の設置されている箇所が極めて多く、加うるに大小炭鉱の採掘により地盤が不等沈下するという、いわゆる鉱害を受けて、漏水による決壊を生じやすい河川であります。過日の降雨にもすでに二、三の個所で漏水を発見されております。堤防の沈下量については、古い資料は残念ながら見ることはできませんでしたが、昭和十九年、二十三年、二十六年の三回に亙り建設省が実測した結果によりますと、植木町地先の堤防は、昭和十九年より二十三年までの間に四十乃至八十センチ、二十三年より二十六年までの問に一メートル三十センチ乃至一メートル八十センチの沈下を示しております。これは勿論同地点に鉱業権を持つ三菱新入炭鉱の採炭による鉱害現象でありまして、このため建設省は昭和二十三年度より二十五年度にかけて、特別鉱害復旧事業として堤防の蒿上げ等の補強をいたしたのであります。併しその後も引続いて沈下が生じ、昨年あのような不幸な状態を招いたものでありまして、今後遠賀川の改修工事を推進するためには、単に河川改修費のみでなく、鉱害復旧予算を加味して行うことが当然であると考えます。更に建設省当局としては、鉱害現象の分析研究に努力し、例えば現在河川敷の下の掘さく状況がどうなつているか、資料がないのでわからないというようなことが万一あつてはならないのでありまして、この点通産省及び県側と十分協力して調査研究し、これが対策の樹立推進を図られたいと思うのであります。又私どもとしては、根本的にはかかる鉱害によつて河川に重大なる結果を及ぼす虞れのある場合には、河川を保護する意味において何らかの法制措置を講ずる点も考慮してよいのではないかと考える次第であります。 さていわゆる鉱害は、福岡県が全国の九〇%以上を占め、二百数十億円の巨額に達するものでありまして、県当局としては特に鉱害局を設けて復旧事業計画、補償問題の処理等に当らせております。戦時中の濫掘に起因いたしまするところの特別鉱害については、復旧事業計画総額百九億円のうち、本年度末までに約六〇%を終了することとなつておりますが、一方一般鉱害と称せられているものは、昭和二十七年度より漸く国の計画による事業の緒についたのでありまして、復旧すべき事業費は約二百億円と推定されるうち、一応全体計画を百一億円余りと押え、本年度末までに僅かに八%を終了するに過ぎない状況であります。 福岡県の耕地被害面積は約一万町歩年々の減収量二十数万石というものを鉱害復旧事業を促進することによりたとえ僅かでも食糧の減産を防止すると同時に、更に最近一年間に九州の炭鉱のみで約五万人の労働者が解雇されている状況に鑑みまして、これら失業者を居付のまま救済し得ることについて政府において検討を加え、然るべき措置を講ずることを期待するものであります。 六、筑後川の災害復旧について。筑後川は昨年水害によつて破堤個所のみで二十六カ所、その他堤防護岸の決壊を合わせると実に百五十三カ所、約三十五億円に上る被害をこうむつております。これに対する復旧費は、昨年度緊急復旧分として十七億円、本年度は十六億四千三百万円が支出される予定でありまして、これを合わせて三十三億四千二百万円を以て復旧を完了することとなつております。私どもは主として中流部の棚倉村の破堤個所ほか数カ所の工事現場を視察いたしましたが、現在盛んに護岸工事を行なつている状況でありました。併しながら全般としては、七月十日現在復旧未着手の個所が三十六カ所、工費にして約六億二千万円に達しております。見方を変えますれば、本年度予算十六億円余のうちすでに約七〇%の金が配賦されているのに対して、工事は約二、三〇%程度済んでいるに過ぎない状況であります。これは本年度に入つて梅雨期が長く続き、かなりの雨量があつたため水位の低下する暇がなく、工事が遅れたもので、止むを得ない事情とも言えるのでありますが、台風期を目前に控えた今日、若干不安の念を感じさせるのでありまして、幸いに工事関係者各位の努力によつてこの遅れを取り戻し得ることを期待いたしたいのであります。いずれにいたしましても、昨年のような大出水量に対処するためには、筑後川本川としては、改訂計画に基く洪水調節堰堤並びに遊水池の実現に対して万全の施策と地元民の協力とを必要とするのでありますが、一方下流の各支川がそれほどの大出水量でない場合も、往々にして逆流による洪水を招き、且つ内水排除の困難なために被害を大きくする傾向があることに鑑みまして、これらの問題を十分技術的に検討し、解決への努力が払われて然るべきと思います。 七、嘉瀬川について。 嘉瀬川は昭和二十四年に大災害を受けたのでありまして、それまで未改修河川でありましたのを、翌二十五年度より県工事として下流部より改修を始めると共に、被災個所は改修計画に基く復旧が行われたのであります。昨年はそれらの個所に隣接する部分が多く災害を受けたものでありまして、被害総額約四億円、このうち本年度までに約半分が予算化されることとなつております。私どもは鍋島村地元の破堤個所等を視察いたしましたが、復旧計画の断面として裏小段を設けるべきところを、資金の不足のため一部盛土腹付をしたまま放置されている結具、六月来の小出水のため漏水が甚だしく、折角盛土した個所を無残に洗い流されて工事の手戻りを生じている状態でありました。地元の人々の説明によれば、かかる漏水個所が全川に亙り至る所にあつて非常な危険を感じているとのことであります。後述いたしますように、佐賀県は特に仕越し工事を他県に先んじて行なつた結果、県財政の危機を招くに至つたほどでありますが、その佐賀県にしてなおこの状態でありまして、止むを得ざる仕越し工事と認めれるものについては当然地方財政救済のための何らかの措置を講ずる必要があると考えます。 八、白川について。白川については熊本市内で四百メートルに亙り破堤しました新上河原及び子飼橋附近並びに中流部大津町附近の復旧個所を視察いたしました。熊本市内の堆積土砂は、県市当局の努力により殆んど完全に排除されて、今日では昨年の惨状を紡佛させるあとかたもありません。ただ市内の流失橋梁はまだ殆んど仮橋のままで、恒久的な復旧工事に借手されておりません。下流部の熊本市内より河口に至る河床には災害時上流より流出した土砂がおびただしく堆積したままとなつておりまして、これに対しては取りあえず災害助成工事として、河口より十一キロ余りの間の土砂六十七万五千立方メートルを二億三千万円の工費を以て浚渫する計画を立て、本年度はその一部をポンプ船を以て浚渫することとして、現在仮設工事中でありました。併しながら白川の根本的改修については、災害後あらゆる見地より種々検討された結果、漸く改修計画の素案を得ているにもかかわらず、本年度国家財政の関係上直轄改修工事に着手することができなかつたのでありますが、地元としては改修工事が行われなければ雨が降るたびに避難をし、或いは夜も安心して眠れないという状態で、一日も早く直轄河川として改修してもらいたい。それも単に下流部のみでなく中流部からやつてもらいたいという熱烈なる希望を述べておるのであります。更に上流につきましては、阿蘇山系の崩壊によつて流出する土砂は年間二十万立方メートルに達すると考えられておりまして、これを防止する治山、砂防の事業が速かに行われなければ、下流改修工事の効果の全きを期することは困難であり、白川と黒川の合流点より上流の現在災害助成合併工事を行なつております所も当然砂防河川として砂防施設を施すべき状態にあるように見受けられたのであります。治山、砂防についてはそれぞれ約三十五億円を要するものとされておりますが、そのうち特に緊急性のある約十億円の砂助工事については今後特段の考慮を払う必要があろうと思います。 以上で大体各視察個所について御報告申上げたのでありますが、最後に災害復旧事業に関連して各県、市町村に共通する一、二の問題点を申述べることといたします。 その第一は、過年度災害打切りについてでありますが、過日建設省より地方に対し打切り率を、昭和二十四年災害に対して残額の五〇%、以下順次三〇、二五、二〇男と指示しているのであります。これに対して実際の実情は、例えば二十四年災害に対して佐賀県は一五%、熊本県は九%の打切りを希望しているごとく、一律にこれを決定することは極めて危険であるのみでなく、過年度災害についてもかなりの仕越し工事があるのでありますから、これを如何に措置するかということも問題となるのであります。次に昨年の災害の復旧に関しては、各県とも昨年度内に相当額の仕越し工事を行なつておりまして、その結果、本年度の地方財政にしわ寄せされてその窮乏を招くもととなつているのであります。数字について一々ここに申述べることは差控えますが、例えば熊本市の排土事業のごときは、その性格上一日も早く完了しなければならない事業でありますが、本年度予算措置が不十分なために二億三千万円の未受領金が残つている上、繋ぎ融資の返還を迫られているという状態であります。而も施越し工事の効果は本年梅雨期の出水に対して、例えば佐賀県域原川が七月十九日朝危険水位三メートルを突破して三メートル七十センチとなつたが、大被害をこうむることなく、佐賀県全体としても本年は約一億の災害額にとどまつているというごとく、各地にその効果が現われております。従つて少くとも繋ぎ融資についてはこれを長期融資に切替えてもらいたいというのが各地を通じて聞かれる要望の声でありまして、早急に措置を講ずる必要があると考えます。以上を以て報告を終ります。
○委員長(堀木鎌三君) 次いで最上、阿仁田沢特定地域の建設事業調査につきまして、石川委員より御報告を願います。
○石川榮一君 第二班の最上、阿仁田沢特定地域の建設事業の視察について申上げます。第二班は三浦委員と木下委員と私と三名でありますが、私から御報告いたします。 先ず径路のあらましを申上げますと、去る七月二十五日夜上野を立ちまして、山形県赤湯に着き、そこから長井町を経て野川の菅野ダムを視察いたしました。この地区は最上特定地域ではありませんが、山形県の野川総合開発事業として、本年三月その最初のダムが完成したところであります。次いで山形県庁に参り、村山知事から県内の事情を聴取し、最上特定地域の中心をなす新庄に向いました。同地域には鮭川、小国川等に多目的ダムの計画があり、開発の重点をなすものでありまするが、まだ着手されておりません。従いまして小国川のダム建設予定地点である瀬見の状況を視察したのにとどまりましたが、地下資源の開発としてすでに昭和二十七年から帝国石油株式会社によつて着手せられ、その将来性を注目されております内陸油田の単層採油状況を視察いたしました。次いで最上川に沿つて庄内平野に至り、鶴岡市から赤川筋に入り、大鳥川倉沢に参りました。いわゆる赤川総合開発事業は荒沢ダム、八久和ダムを中心といたしまして工事が進められているところであります。以上で山形県を終りまして、秋田県に入り、県庁で池田知事初め関係部課長から河川、道路事業、八郎潟干拓事業計画等を聞きました。雄物川改修河口部、八郎潟を視察、次いで田沢特定地区の生保内に参り、同地にある建設省玉川工事事務所で鎧畑ダム工事の概況、補償問題等を聞き、現場を視察いたしました。それから森林軌道で玉川上流に至り、玉川毒水の水源地、毒水処理の状況等を視察、更に奥地に北上して花輪に至り、三十一日に帰つて参つたわけであります。 次いで視察箇所の概況を簡単に申上げてみたいと思います。先ず野川総合開発事業でありますが、本事業は野川下流の潅漑区域千五百二十五町歩の用水不足による減収を除去し、又洪水を調節して沿岸の水害を除くと共に、貯水池を利用して発電を行い、県内電気の需用に応ずる目的を以ちまして昭和二十四年から着手されたものであります。野川は最上川の支流で、朝日岳に水源を発し、急峻な渓流をなして南下し、約十キロで木地山に至り、更に流程十二キロにして平山に至つて山峡を脱しておるわけであります。この流域は有数の多雨地帯であります。平山の平均年雨量は二千二百七十ミリに達し、又降雪も多く、水利的に恵まれた河川でありますが、下流は用水不足に悩み、又融雪水による低温のため約五百町歩が冷害をこうむつているという状況であります。更に洪水による被害は年大体一千四百万円に達する始末であります。そこで菅野に多目的ダムが計画されたわけでありますが、同地点はダムサイトに極めて好適地であるばかりでなく、水没戸数も僅か数戸という僻地であつたわけであります。同工事は二十四年から運搬用道路、各種設備及びダム工事の一部を国庫補助砂防工事及び県単独工事として始め、二十四年、二十五年度で県単独予算一千五百万円、砂防及び道路工事の国庫補助工事費二千三百万円が支出されて来たのであります。更に二十六年度からは河川総合開発事業として認められ、総工事費九億五百万円を投じて本年三月完成したわけであります。その事業費の負担区分は、公共事業費三億四千五百万円、電気単独五億六千万円で、公共事業費分のうちには更に電気単独負担分一億円が含まれておるわけであります。菅野ダムの規模は堰堤の高さ四十二メートル五十、堤体積三万四千立米、総貯水量四百四十七万立米で、洪水調節量は流入量毎秒五百立米に対して二百三十五立米であります。ダムによる効果として潅漑補給面積一千町歩、増産石数は二千石と見積られております。発電最大出力は六千百キロワットであり、一キロワット・アワー当り建設単価は十八円八十七銭になつております。現在この電気は東北電力に売電されております。 このダムで特筆されることは、農業用水の取水についてであります。いわゆる下降式門扉、ドロップ・ゲートを設置したのであります。地方の実験結果では、従来の非常な低水温に対しまして、このダムのいわゆる下降式門扉によるダムの建設によりまして二度乃至三度上昇が記録され、米作増産に寄与するところ多大であると期待され、地元民に喜ばれているのであります。なおこのダム建設に伴います受益者負担につきましては十五カ年千二百万円、農地一町歩当り年負担金は僅かに千円ということでありました。以上同地区の開発事業としては管野ダムは第一段階で、発電量も低いものでありますが、地元農民に与える効果は用水の水温上昇を期待し得るわけでありますので、この種ダム建設をテスト・ケースとして注目されてよいことであると思います。 これを一例を申上げますれば、六年度のこの低水温による水温の比較が地元から報告されておりますが、簡単に申上げます。本年五月一日から六月の九日までの集計であります。それによりますと、午前七時に水温は一一・一八、然るに平年水温は八・五二であります。従いましてダム建設による水温の上昇は二・六六ということになるわけであります。それが午前七時であり、午後二時の場合を考えますと水温は一一・五八、平年水温は一二・二二、この場合はマイナス〇・六四になつておりますが、気温におきましては、本年は六月の平均は一五・六二でありまして、平年の気温は二一・六〇でございますから六度以上の気温の差がある場合において〇・六四の低下に過ぎないのであります。これを全部五月、六月の分を積算いたしますと、水温の上昇はこのダムサイトによりまして一二七度二三という上昇を見ておるわけであります。以上のようなわけでありまして、現在まで多目的ダムによる用排水の水温が低下するということを非常に憂えられていろいろと論議されておるわけでありますが、この野川の管野ダムの成績を以て万事を律するわけに参りませんが、このドロップ・ゲートを設置しましたことによりまして少くとも二度乃至三度の水温は上昇するということが言えるわけでありまして、非常に意を強くするわけであります。県側では来年度から奥地木地山ダムの建設に着手したい意向でありました。同ダムは堤高六十九メートル、堤頂長二百メートル、総貯水量二千八百立米で、発電最大出力は一万四千キロワツトと計画されております。 次に最上特定地域について申上げます。御承知のように同地域の総合開発計画は昨年十月閣議決定されておるところであります。山形県の東北部を占め、面積二千三百四十一平方キロ、人口十八万五千、同地域の九二%は山林原野で占められ、耕地は僅かに七%に過ぎませんで、県内産業経済の最も遅れた地域であります。開発計画に基く開発目標は、その重点を最上川本支川の洪水防禦対策並びに農産、林産、及び地下資源開発のための基礎条件の整備におかれております。現在農産対策として、丹生川には県営で堤高四十五メートルのダムを築造中であり、又泉田川には農林省直営で工事が進められております。これらの事業によつて一万一千町歩の潅漑排水事業と約一千五百町歩の開墾事業を企図しております。治水対策としまして、鮭川、小国川に貯水池を築造し、鮭川で毎秒九百立米を四百五十立米、小国川で千二百立米を大百立米に軽減し、最上川との合流点で合計六百立米を減量する計画を立てております。最上川は古口狭窄部以下下流の計画洪水流量を七千立米として改修を完成しておるのでありますが、中流部における過去の最大洪水流量は八千立米を越えており、七千立米を越える洪水流量の処理について果して中流部合流点で六百立米の減量で洪水防禦の効果が期し得るかどうか疑問があると思います。本年秋までに調査を行うとのことでした。県側では三十年度から鮭川の釜淵にダム工事の着手を期しておりますが、同案は堤高三十八メートル、堤頂長百メートル、体積三万一千立米、総貯水量一千八百五十万立米、発電出力は六千八百キロワットの計画であります。又小国川の瀬見ダムのほうは堤高四十五メートルで発電二万一千キロワットが予定されているのでありますが、百二十余戸に及ぶ水没家屋及び鉄道の付替工事等がございますので相当の難事業になることが予想されるわけであります。 次に赤川総合開発事業としての荒沢ダムについて申上げます。赤川は大鳥川と梵字川との二大支流を持ち、梵字川は更に八久和川との合流したものであります。赤川総合開発計画の洪水調節計画は、大鳥川を荒沢地点で、八久和川を八久和地点でそれぞれ堰とめ、合流点落合以下の洪水量を減少せしめようとするものであります。これによつて庄内平野一万二千町歩の耕地と一万八千戸の人家に及ぼす水害を除去し、併せて水力発電、灌漑用水、工業用水等の確保を図ろうとしたものであります。八久和の貯水地は主として発電に指向されておりますが、堤高百十七メートル、堤長三百十一メートルのダムを築造し、ダムサイト地点より上流約三・八キロの左岸側に常時表層水四メートル以内を取水する取水設備を作り、これを総延長六・六キロの隧道によつて八久和川を流域変更して大鳥川に落し、最大出力六万キロワットを得ようとするものであります。この工事は現在東北電力によつて進行しておりますが、発電は二期に分れ、第一期は取水口地点に二十五メートルの仮堰堤を作り、これにより河川流量を水路に導入して、最大出力二万五千キロワットの発電を三十年十二月から開始する予定で、下流の本堰堤の完成は三十二年三月を目途としております。第二期の最大有効落差は二百八十メートルであります。県営の荒沢ダムは高さ五十九メートル、堤長百八十一メートルで、総貯水量は四千百万立米、目下仮締切りを終り、砕石篩分、混合、索道等の設備、並びに堤体基礎掘さく及び隧道工事を作業中で、今秋からコンクリート打設に入ろうとしております。工費は二十七億五千七百万円で、内公共事業費十七億二千万円、電気単独事業十億三千七百万円で、公共事業費分には更に公共電気負担分一億六千四百万円が含まれております。洪水調節は計画洪水量千二百立米に対し調節流量八百四十五立米、調節水深十一メートル五十七とし、七、八、九月は満水位から七メートル五十下げ、更に洪水警報で四メートルを下げることとしております。発電は最大使用水量二十一立米で、常時八・五立米、千九百三十メートルの水路により平均落差六十八メートル五十で、最大出力一万二千七百キロワットと設計されております。補償関係については水没家屋四十二戸がすでに下流海岸寄りに集団移転され、開拓も順調に進んで、今秋収穫を見るに至つているとのことでした。併しなお数戸は細部の金銭補償関係で現地に残留しております。 次に阿仁田沢特定地域について申上げます。本地域の面積は千八百六十七平方キロ、その九〇%以上は林野で、耕地は僅か三%、更に林野面積のうち八〇%は国有地で、人口は五万九千人の未開発地帯であります。同地域の阿仁鉱山、田沢地区の金、銀、銅鉱は古く徳川時代から開発されて来たところでありますが、この地域の大部分が奥地山間地帯であるため、道路、鉄道等の幹線は平坦地でとまり、森林資源、地下資源、水力資源等資源地帯まで及ばず、生産増強から遊離して来たのでありますが、取りわけ玉川流域の耕地は玉川の毒水によつて減収を余儀なくされて来たのであります。 二十八年十月閣議で決定されました同地域の開発計画に基く開発目標は、その重点を林産、電源、農産の各種資源の開発並びに田沢湖の高度利用及び玉川毒水の処理対策におかれております。従いまして施設計画の重点となるものは先ず第一に道路、鉄道、林道等の輸送施設を奥地資源地帯まで延長完備すること、玉川及び阿仁合川に多目的ダムを築造することの二つにおかれております。殊に洪水防禦、発電潅漑用水の確保、毒水の稀釈等の多目的を兼ねた玉川鎧畑ダムの築造は、本地域事業の根幹施設であると言えることであります。この鎧畑ダム工事は建設省直轄事業でありますが、発電施設は県が受持つております。同工事は昭和二十七年より着手され、本年は第三年目になります。二十八年度は本堤体の仮締切りを終り、骨材節分工場、コンクリート混合工場等の設備機械、九トン・ケーブル・クレーン、セメント・サイロ等を発注し、本年現在これら施設の据付工事中で、八月末据付を完了、十月からコンクリート一万立米の打設と、基礎部五万立米の掘さくを予定しております。ダムの高さは五十五メートル、堤長二百五十メートル、堤体積二十二万立米、ダム工事費二十億二千万円の計画であります。計画によれば来年度十万乃至十二万立米のコンクリートを打設し、三十一年度残り九万立米前後を打上げて完成する予定になつておりますが、二十九年度七億の予算計画のところ、予算縮小により公共事業費三億六千五百万円で、電気分を加えて三億九千万円でありますから、実際の工事は後年に繰越される事態に至つております。一方秋田県の公共事業費も、二十九年度は五億が四億に縮小、そのうち一億円は公募債によらねばならないという財政状態であります。併し県の発電施設に対する工事計画は、計画通り本年は二千五百万円の起債を受け、年度十一月を期して発電開始を予定しております。併し堤体の公共工事のほうが遅れますと約十億円を投じた発電工事が実効を納めないことになり、維持費、利子払いだけでも毎年六千万円の損失を招かなくてはならないということで、ダム工事の推進を強く要望しておるような次第でありました。補償関係につきましては、家屋は九戸十二世帯の僅かでありますが、宅地一町七反、農地、山林、原野、三百五町歩ほどあり、薪炭、採草地二百四十町歩の代替地問題がまだ未解決でありますが、これについては被害者側と農林省営林局との折衝ばかりでなく、県側、建設省側とも協力されることが要望される次第であります。又森林軌道十三キロの付替工事があり、その工事費は約一億五千万円でありますが、営林局側では来年八月までに試運転をして農林省に引継をされたいという希望でありました。 この軌道付替についても、民有林が約十キロありますので、補償関係が早急に円満妥結されることが必要と感じたわけであります。 次に玉川の毒水対策について。玉川の上流部において合流する渋黒川は、その水源地におきましていわゆる焼山火山群から噴出する温泉が多量の、温度九十七度、P・H一・一という塩酸及び硫酸を含んでいるため、生保内川合流点から上流の河川は潅漑用水には全く利用できず、生保内川を合流してからは他に用水を求めることのできない仙北平野の一部三千九百町歩は止むなくこの水を使用し、著しく収穫を阻害されて来ておるわけであります。従つてこの玉川の毒水を除去して、増収を図るために毒水を山腹に導入し、これを地下に注入、除毒するいわゆる除毒工事が古く天保年間の頃から行われて来たのでありますが、過去には耐酸性の完全な諸資材がなかつたために常に失敗に帰して来たのであります。昭和二十四年に至つてこれらの研究も大分進歩しましたので、県では農林省の助成を得て過去四カ年に九千六百万円の事業費を投じて地下注入工事を完成して昨年から実施し、その結果おおむね玉川の毒水をP・H五・五内外に稀釈することができるようになつたわけであります。鎧畑のダム工事についてはゲート六門については耐酸性のものを使用し、下部は特殊鋼を使い、又コンクリート骨材には火山灰等アルカリ性のものを混入する等の処置を講ずるなどなお対策を検討しております。除毒対策はなお十分なものではなく研究を要するものでありますが、一度湧出した酸性温水を再び地下に注入する方法よりも、むしろ噴出のもとを地下に導入する方法も考えられるのではないかと思われる次第であります。 終りに雄物川の改修、八郎潟干拓計画について簡単に申上げます。雄物川については下流部改修は直轄工事として行われて来たのでありますが、刈和野以下の狭窄都は部水疎通能力が五千五百立米でありますので五千五百立米として計画、総事業費一億八千万円を投じて昭和二十二年の災害を二十四年に九八%の復旧を完成、二十五年に維持管理に入り、本年維持工事を完了して県に引継ぐ予定といわれております。一方刈和野地区中流部の洪水量は最大七千九百立米に達し、その洪水処理は根本対策樹立の土から中流部改修の本格的工事は行われなかつたのであります。この問題解決のために、上流支川役内川、皆瀬川、成瀬川、玉川にダムを築造し、洪水を調節する計画を立てておりますが、現在工事中の玉川鎧畑ダムはその一環をなすも八郎潟については現在最終的干拓計画をまとめ、関係者の一応の一致の上で今後具体的計画の検討に入る段階に達した模様であります。 以上が一応の私の視察報告であります。
○委員長(堀木鎌三君) これから派遣報告に対して御質疑を願うのでありますが、なお建設省から建設大臣以下関係官が出席をされております。特に今回荒船君が政務次官になられまして御挨拶を申上げたいということでございますから、最初にこれを伺いたいと思います。
○説明員(荒舩清十郎君) 只今委員長から御紹介頂きました荒舩清十郎でございます。測らずも今回建設政務次官に任命を頂きまして、もとより浅学非才でございまして、なおまた建設行政につきましては全く経験が薄いのでございます。どうぞ皆様御鞭撻を頂きまして、大過なく職責を果したいと考えております。 以上よろしくお願い申上げます。(拍手)
○委員長(堀木鎌三君) 只今から御報告を受けました現地報告に対して御質疑のおありの方は御発言を願います。
○近藤信一君 報告に対する質問とは若干違いますが、大臣がおられますのでちよつと御質問したいと思いますが、これは県道の改良工事による土地収用の問題について若干の質問をいたします。 昭和二十九年の一月二十一日付で建設大臣が事業認定しております山形県の北村山郡楯岡町大字楯岡地内、それから西郷村の河島地内、これに跨るところの県道の改良工事の事業認定がされております。これを見ますると、現在県道がございますけれども、その県道が、あとで又理由を申しまするが、いろいろと狭いとか何とかで、どうしても新らしい道路を建設せなきやならん。そのために土地収用をすると、こういうようなことで現在事業認定になつておるわけでございますが、これに対して建設大臣はこの県道に対する実際の調査をなされたのかどうだか、この点一つお伺いいたしたいと思つております。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 今のお話は所管局長から報告を受けておりまするが、私みずからは実地調査はいたしておりません。なお細かいことは私が又聞きで御説明するよりも、直接に局長から御説明いたさせます。
○説明員(渋江操一君) 只今御質問がございました楯岡谷地綻道路改良工事に関する実地調査の問題でございますが、御指摘になりましたように、昨年の十一月初めに県よりの事業認定申請があつたわけでありますが、地元、殊にこの路線の通過いたします西郷村という村の河島部落、これを中心といたしましたこの路線に対する反対意見がかなり強いものがございましたので、これに対しまして昨年十二月中旬に本省より土地収用関係の担当者を派遣いたしまして現地調査をいたし、この報告を受けまして最終的認定の慎重を期する、こういうことにいたしたのであります。
○近藤信一君 私どもが調査いたしましたところによりますと、これは単なる県道の改良ということでなくして、その裏には軍事道路ということのほうが中心であるようにも考えられるわけなんです。そうすると、これが軍事道路としての価値ということになつて参りまするならば、これは当然日米合同委員会でこの問題が協議されて、その上においてこれが決定されなければならないと思うのですが、その点は一体どのように考えておられるか、日米合同委員会でこの問題を諮つたかどうか。
○説明員(富樫凱一君) この県道の改修につきましては県からの要請がございまして、附近にあります大高根の演習場と関係いたしまするので、行政協定による道路として、合同委員会に出されまして、その結果安全保障諸費からこの改修費が出ることになつたわけでございます。
○近藤信一君 そうするとこれは日米合同委員会で決定した結果これに着手されると、こういうことですか。
○説明員(富樫凱一君) 日米行政協定の合同委員会で決定されたものでございます。
○近藤信一君 然らばその予算、又その費用というものは全部これは国庫で全額負担する、こういうことになりますか。
○説明員(富樫凱一君) これは全額国庫から補助されることになつております。
○近藤信一君 そうするとこの県知事から申請しておる県道の関係から行きますと、これは県道の面だと国庫補助が二分の一と、こういうことになつて来まするが、現在の事業申請は県知事が県道の改良ということで出されておりまするから、そこに若干の食い違いができて来るのではないかと思うのですが、その点どうお考えですか。
○説明員(富樫凱一君) この事業は道路法による道路に対する事業でございますが、道路法で行きますと、補助をこれは二分の一ということになるのでございますが、あとの県の出しました二分の一については財政補助として二分の一全部が国庫から補助されておる。
○近藤信一君 それから県側からいろいろの理由を挙げておられるわけですが、この理由は本当の実際の理由になつていないと我々は思うのですが、例えば交通の円滑化、今の県道はS字形に曲つておつていろいろと交通に対して便利が悪い。そのために事故が起きて来るとか、消防団の活動が悪いとか、又一般産業上の問題について不便だとか、そういう幾つかの理由が挙げられておるのですが、現在ある県道を改良して行けば、私は当然それによつてこれらの理由は解消するのではないか。ところが現在ある県道のじき近くに、而も今日非常に食糧的にも行詰つておる日本が、新たに農民の土地を取上げてそうして新らしい道路を作らなければならん、こういうような一体理由がどこにあるか、又その点をどう考えてこれに対して建設大臣が事業認定をされたのか、その点を一つ。
○説明員(渋江操一君) 認定いたしました理由を簡潔に申上げますと、収用法上の考えられております条件、これを果して県の申請が充しておるかどうかということに結局は尽きるわけであります。御指摘になりました点は、専らこの比較線との問題において、現在の部落内を通じております県道を改修することと、新らしい新線を部落外に設定することと、いずれが果して土地の合理的な利用であり効果的であるかということに判断の要件がかかるかということであろうと思います。この点につきましてはおおむね交通上の何と申しますか、道路交通上の効果、便益の土から判断いたしますと、これは現在路線を拡幅する場合に比較いたしまして、技術的に見ましても経済的に見ましても、県の申請する路線の改良を図るほうがより合理的であるというふうに私どもは判断いたしたわけであります。御承知のように、市街地内を通過する路線におきましては相当交通事故の発生する危険性は市街地外を通過する場合に比較してもとより非常に多いことは当然予想されるわけでございまして、又県の申請しております交通量の、駐留軍等の交通量の増加等を勘案いたしますれば、なお更さような危険防止を図つて参るということが当然考えられなければならないというふうに考えたわけでございます。産業その他の開発に資する土におきましての現在道路と新道路との関係でございますか、これは畢竟やはり通過路線としての効用がどちらに多く認められるかということに結局相成るわけでございますが、これ又一方には現在路線を拡幅するということになりますると、相当これに家屋移転その他の諸問題が当然起つて参ります。それから一方におきましては、従前の道路が部落内を通過しております関係から、どうしても非常に屈曲の多い路線に相成つております。さような関係から申しますと、県申請の新線の路線のほうをむしろとるべきであるというふうに考えたような次第でございます。
○近藤信一君 交通上の問題と言われまして、事故が起る危険性もある、こう言われるのですけれども、その点調査された結果事故があつたかどうか。私どもの聞いたところによりますると、申請にはしばしば事故があるというようなことが書いてありまするが、殆んど今までには交通事故がなかつた、こういうことが言われておりますし、更にこの産業上の問題ですが、亜炭鉱と石油がこの附近にあるからそれに対してこの新線道路によつてこれが活溌に動く、こういうようなことも言われておりまするが、亜炭や石油の山はそこにあるのじやなくして、現在演習地があるところの大高根村、そこの奥のほうにまあ亜炭や石油が出るわけなんで、それから石油や亜炭を運ぶのには演習地を通過しなきやならん。通過しなきやならんということになると、その演習をやつておる期間中はそれが交通どめ、こういうことになつておるわけなんで、若し亜炭や石油の搬出のために必要だということになれば、ほかに道があるわけなんで、そちらのほうをやればいい。そういうような結果ができて来るわけなんですが、これは無理に理窟を付けたように我々は考えるわけです。単なるこれは駐留軍が演習するのに便利のために申請道路をやる、こういうふうにしか我々には考えられない。従つてまあ県の理由としてはいろいろ四つほど理由が挙げられておるが、それを実際にじやこの理由について現地調査がなされておるかどうか。若し現地調査が実際になされておらなかつたので、これから現地調査をなされた場合に、こういう理由がないということを若し認定された場合には、この申請道路を取消されるという気持があるかどうか、その点一つお聞きしたいと思います。
○説明員(富樫凱一君) 道路整備の立場から申上げたいと存じますが、この路線につきましては、現状が屈曲が多くて且つ幅員が二車線を通すだけの幅員がないので、従前から改良の計画があり要望があつたわけであります。たまたま安全保障諸費でやることになつたわけでございますが、この線を選ぶに当りましては、お話の原道を拡幅する案も一応比較線としてとつたわけでございます。このおのおのにつきまして設計をいたしました結果、どの線も同じ条件で同じ企画でやるということにいたしますと、県の申請いたしました案が一千六百七十一万円、それから原道を拡幅する案が二千百十五万円と出たわけなんですが、殊にこの物件移転と補償費に関しましては県の原案によりますと二百五十一万円でございますが、原道を拡幅する場合には九百万円でございます。かようにいたしまして原道を拡幅する案にいたしましても、原道においては急な屈曲と曲線が入ることになりまして、線型としては県の原案がいいという結論に達したわけでございますが、なおその間にこの折衷案を考えられたわけでございますが、これも用地の問題等で地元のまとまつた賛成が得られませんで、結論として県の原案をよしとするに至つたわけであります。
○近藤信一君 調査のほうは……。
○説明員(富樫凱一君) この両線につきまして実際につきまして測量もいたしましたし、設計もいたしました上で比較をしたわけであります。
○木下源吾君 今のに関連して。これは防衛費で何しておるんで、この収用に関しての手続から、いわゆる日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法、これによつてやるのが正しいのじやないかと、こう考えるのですが、これに対する見解はどうですか。
○説明員(渋江操一君) 御指摘になりましたこの安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法、これは土地収用法のいわば特例法でございまして、行政協定の実施に伴うアメリカ軍乃至はアメリカ機関の土地の使用に対しての収用手続のいわば特別立法でございます。従つてこの適用される範囲になるかならないかということがまあ問題点なのでございますが、この法律で規定いたしておりますことは、アメリカの軍隊乃至はアメリカ機関が直接その専用に供する目的で以て土地の所有権を取得する或いは使用する、即ちその分に対する自己の管理権を持つということがこの特別措置法の規定しておるところでございます。従つて今回の県道改修は、これはこの事業費の予算的な措置の上ではお話のようにこの一般の道路法の特例を認めて地元負担に対しての全額負担を国がするというような特別な取扱いになつておりますけれども、施設自体の性格といたしましては、これはアメリカ軍も使用し、日本の国内の一般の交通にも資するということでありまして、これは道路法による道路と何ら変りない、道路法による道路そのものでございますので、それに基く事業認定ということで一般土地収用法によつて使用に供する、こういう建前になつております。
○木下源吾君 今の説明で両方で使うのだ、こういうことですが、大高根のほうの射撃のためにこれが必要になつたということは、防衛費でこれをやるということや、或いは特別に補助金の形式は別としましても全額国庫、そうして駐留軍の用に供する道路であるということは、これはどこから見ても明らかなんですね。それを無理にこの国内……、特別のものをそうではないというので県道として収用する、ここに無理があろうと思うのですが、こういう無理をしないで、実際実質的にそうであるものならばそうであるようにおやりになつてはどうか、こういう点を一つ御意見を承わりたいですね。
○説明員(富樫凱一君) 安全保障諸費の中から行われますこの道路の事業は、駐留軍の施設その他必要によつて改良されなければならない道路に使われるわけでございまして、これは道路に使われるということでございます。で道路法による道路に使われるのでございますから、事業そのものは道路の事業と変りはないわけでございますが、ただ必要が起つたのは、駐留軍が施設のために必要を生じたということと了解しております。
○木下源吾君 これは聞くところによれば合同委員会から命令が出て、そして十日以内に計画書を作つて出せ、こういうようなことがあるということを伝え聞いておるのですが、事実はどういうのですか。
○説明員(富樫凱一君) これがきまります場合には、県からこの道路の改良計画について申請がございまして、それによりまして合同委員会にかけてきめたわけでございますから、そのあとで設計等に不十分な点があれば、この合同委員会のほうから県のほうに設計をやり直せといつたようなことは言つたと思いますけれども、その合同委員会で命令してこの計画を立てろといつたことはないわけであります。
○木下源吾君 まあ一般収用の目的ですね、目的にこれは十分適つておらないように思われるのですね。ここに産業に伴い、つまり道路の活用などと言つております。只今近藤委員の言われたように亜炭や石油等々の搬出などということを書いてありますが、この図面で見てもわかるし、それから先般私があつちへ行つて見てこういうように鉱物の分布、地下資源の分布などはなつておるのでして、こういうものをよく御調査になつたかどうか。今のところ楯岡のほうからその附近はガスがあるということになつておるし、それから大高根から行くところの新庄のほうにかけては池田ですね、それから成るほど亜炭もあるけれども、これはこの道路よりも、先ほども言うようにほかのほうの道路を使つたほうが搬出が容易である、こういうようになつておる。これを御覧になりましたか。今の所ここなんですね、これが、今あなたの言う亜炭とか何とかいうのはこつちのほうで、ここにはこの道路がある。これは実地を見た者ならば、この理由の何は結構不快な理由だということは明らかになる。又消防の問題を言つておりますが、今度新らしぐ作るという何は三メートルも四メートルも凹地で、却つて消防上などというにはこれは障害があるようです。実地はそういう状零す。こういう点もよくよく御研究になつたのか。だからこういうように書面でただ書けば、これは消防のためによくなる、一般にはそういうふうに考えられる、実際はそうではない。凹地になつて、三メートルも四メートルも高くなつている。だから消防上では却つて不便になる。ですから一般収用法に適用するためには非常にこの条件が違つている。こういうように私ども実際を見て考えられるのです。どうですか、その点は。
○説明員(富樫凱一君) 今産業上のことについて申されたのでございますが、この道路は最上川の右岸と左岸を繋ぐ道路になつておりまして、左岸のほうに達するこの辺の県道としては重要な県道になつておるのであります。又最上川の左津北部に達します重要なかなめにもなつておるわけでございまして、これは我々といたしましても初めから、暫らく前からこの改良の計画を持つておつたわけでございまして、直掛これらの資源をこれによつて即発するという目的よりも、この両岸を結んでこの資源地帯を連絡してやろうという趣旨に出たものでございます。又この路盤が高くなりますのは、お話のように高くなるわけでございますが、それは現在の土地が相当低い土地でございますので高くなるわけでございます。この現在の道路はそのままにしておくのでございますから、仮に川島地区の消防活動をするということであるならば現在の道路を使わなければならない。そのためには今の新道は役に立たないということになろうと思いますが、両岸を結ぶ道路でありますので、おのおの消防活動を対岸に亙つてやろうという場合には有効に働くのではないかと考えております。
○木下源吾君 いや、御説明を聞いておつても、誰が聞いても消防士に便利になろうとは考えられない。いわんや旧道を残し新道を作るとその間に凹地ができてしまう、大きなのが、それがいわゆる反対者の非常に大きな苦痛なんです。それよりもむしろ丁度六メートル乃至四メートル、新道は七メートルを作る、こういうことになつておるので、その差は僅かである。若しも屈曲があるならばそういう所を直してやれば住民もそれらの納得が行く。そして今のような無理な理由を付けなくてもいいのじやないか、そういうふうに考える。何かこれには少し調査が不十分であるか、或いは住民の反対しておるほうに納得の行くような合理的な努力が足らないのである、こういうふうに考えられるのです。又収用上における手続の問題でも非常に疑義があります。これから実際に演習場の大高根と結ぶ費用道路というものとの考え方からいつても、そうではないような、産業上に必要なんだと、こういうような少しこじつけのような点もある。従つて私はこの問題についてはもう少し再検討をせられておやりになつたほうがためになるのじやないか、こういうふうに考えますが、そういう点について一つ御意見を伺いたいと思います。
○説明員(渋江操一君) 現地調査の問題でありますが、この点は私どもといたしましても先ほど申上げましたように、事業認定申請がありましたのは昨年の十一月初めでございますが、それから本年の一月下旬に認定処分をいたしますまでの間に係官を現地に派遣いたしまして、只今お話になりましたような御意見等がその当時においてもすでに相当出ておりました。さような点をただ書面の上で審査をし判定をするのでは極めて不十分であるということからいたしまして、只今申上げましたように昨年の十二月の半ば頃に現地に参りまして、当時におきましてこの路線の調査ためにわざわざ関係地主の方或いは権利者、利害関係人の方或いは県、村のそれぞれの当局者、更には上林衆議院議員、その地元の関係においてこの問題に重大な関心を寄せられておりました上林衆議院議員にも陪席して頂きまして、その結果といたしましていろいろの事情を現地において聴取いたしました。報告を受けました調書等を詳細に検討いたしまして最後の認定行為に至りましたわけであります。 なお附加えまして申上げますと、この関係につきましては、建設本省に対しましても地元の関係者が数回に亙りまして来ておられます。その都度当時の首脳部からはよく地方のこの仕事に当ります土木部といたしまして、十分地元側との折衝を重ねた上で円満な解決を図る趣意を申し渡し、その結果として止むを得ざる場合におきましてはこれは法律的に止むを得ない、こういうことになつて今日に至るようなわけでございます。そういう意味合いにおきまして、できるだけこの地元側の理解、こういうことについての努力ということについても本省側としましては及ばずながら手を尽して参つたようなつもりでございます。十分まだその点が納得行かない関係等もややございましてこういう結果になつたことを誠に遺憾には存じておりますが、今後におきましてもなおその努力については十分手を尽して参らなければならん、こういうように考えております。
○木下源吾君 今の御答弁の中にたまたま上林代議士のことが出たのですが、上林代議士はその当時もやつぱり次官等に話をして、次官のほうではやらんということを言明せられた、こういうことを聞いておるのですが、今も請願せられていたと思うのですが、私どもほそう聞いておるのです。従つてこの点も非常に食い違いがあると思うのです。更にこれを反対しておるという側では、とにかく県のほうの態度が非常に強圧的で一方的だ、こういうように憤慨しておる、感情的な点が非常にあるようでございます。従つて相手方の要求というようなものに対する説明は、今のは非常に私は足りないと思うのです。相手方は従来のところをやつてもできるのだということを強く信じておるわけなんで、こういう点に対してのそういうことを考えてやる親切が足りないのじやないか、ただ一方的にこれはアメリカの何だからしてというようなことで押付けておるという態度であるように我々は聞いておるのですが、そういう点はどうですか。
○説明員(渋江操一君) 前段にお尋ねのございました次官と上林衆議院議員と話合いましたお話が出た点につきましては、私ども現地に立会つて、ございませんので、その間の経緯を実は詳しく申上げる材料は持たないわけでありますが、後段にお話の、ございました点、起業者としての立場で地元側との協力、理解を求める努力、これについては先ほど申上げましたように、さような点があつてはその折角の事業自体が折衝、努力の足らざるために非常な誤解を招くことはこれは当然避けるべきことでありますので、そういう点につきましては先ほど申上げましたように、当時の大臣自身からも或いは次官その他からも当面の責任者である土木部長等に対しましては、十分地元側との折衝、協力、そういつた方面に対する努力というものについてあらゆる努力を払うようにということを再三に亙つて、言われておつたことを私記憶いたしております。本省といたしましてはさような点について十分直接その衝に当るわけでは、ございませんけれども、県の責任者に対しましてはそういう指示を与えながらこの問題の処理に当つて来ておつたようなわけであります。
○木下源吾君 最後ですが、いずれにいたしましてもずいぶんこじれておる問題であつて、そうして建設省としてもかかる問題は迷惑のようにまあ私どもも考えておるのであります。軍用道路で而もあれば調達庁のほうで何すればいいのじやないか、こう考えるのですが、なお向うの問題はまあいわば一時的の問題である。建設省としてはこれは永久的なものですからな。この間において県のほうの事情ばかりじやなく、もう少し地元民の事情を聞いて、そうしてこういう収用なんというのではなく、解決するように一段の努力をして頂きたい。こういうように要望いたしまして質問を打切りたいと思います。
○近藤信一君 もう一つ、今計画局長がいろいろと地元民の不利益ならないように相談して行きたい、こう言明されまして、私どもそれを期待いたしますが、大体地元民から言えば、今度の新設道路をやると大きな被害があるということは、これは政府の計画でも、そういう点について成るべく避けて行きたいということを、私この前もちよつと聞きましたのですが、墓場や火葬場、こういうようなものが今度の新設道路にかかつて行くわけでありますね。そうするとその墓場や火葬場の持つて行き場がないというのが一つと、県道が新らしく変更されると、今までの県道が村道になる。従つて村道になれば今後地元民の負担が大きくなる、こういう点もあるわけなんであります。更にまあそこの部落は前に最上川やそれの支川、あの改良工事のときに相当の耕地を提供してそうして犠牲を負つておる。そこで又新らしいこう新設道路がなされるということになるとまだまだ耕地を縮小されなければならん。するとだんだんだんだんと土地は削られて行くし、いろいろと将来の負担も地元民には大きくかかつて来るから、そういう点は一つ政府としても当面の問題じやなくて、将来の問題も一つ十分にお考えになつて、そうして一つ慎重に取扱つて頂きたい。このことを私要望して、そうして私の質問を打切ります。
○三浦辰雄君 私、このたび九州のほうへ実地調査に行かれたどなたでもいいのですけれども、御報告中にはつきりしない点があつたので一点確めたい。 それは遠賀川の植木町の上流で堤防が破堤した。決壊した、あの問題については前国会で請願がありまして、大分この席でもいろいろと建設省の河川局長さんその他から事情を聴取しておるのです。そうして現地調査を更にして、その結果を見なければにわかには断定しがたいものである。鉱害の特別補償法がありますけれども、一面においては地下資源のいわゆる採掘に対する或る程度の国家的な保護という立場もあるし、そうかといつてこういつた重要な河川をやたらぽんぽんと掘られて、そういうような欠点が出るということは、これは全体の福祉のために注意せんければならん。当然採掘に当つてはそこにいろいろと制限があるわけであります。この地形においてこの地質においていけないということがあるのであるならば、それを直すというところまで行かなければおさまらない性格を持つておる問題なんですね。そこでどなたさんからでもいいですけれども、先ほど報告を伺つていますと、植木町の上の新入炭鉱といいましたか、そこの河川敷地下採掘による地盤低下が相当程度破堤に対する大きな原因をなしておるというふうに、或る程度何と言いますか、結論的な見方をして来たような報告なんですが、私の知つている限りにおいては、この遠賀川は御承知の通り筑豊炭田の中心地で、何も植木町の上の新入炭鉱といつた河川地下採掘のみならず、随分遠賀川は下を掘つておる炭田があるはずなんです。そういつたような問題を御承知の皆さんとして、なお且つ植木町の上の新入炭鉱の関係が破堤に相当大きな原因をしておるのだというふうに御認定になつたという問題ですね、これを私は聞きたいのです。この問題についてはいずれ前国会のその際に、現地で十分技術者をして調査させますと言つた建設省方面の結果が挙つておれば、それとも併せてこの委員会としてもこれは大きい問題なんですから、研究しなければなりませんが、先ず第一番に行かれた方がそういうふうな断定のように聞えたけれども、どういうふうに見られたかという、報告に対する多少敷衍した御説明を願いたいと、こういう意味なんです。
○田中一君 今三浦君の報告に対する御質問ですが、これはお答えにならんと思うのですが、通産大臣並びに経審長官、それから建設大臣、大蔵大臣、この四人の方の列席の上で石井君が報告した報告の結論というものに対して質問しながら結論を出そうという考えでおつたけれども、今日不幸にして大蔵大臣並びに通産大臣が出られんので、今日はその問題には触れないで、成るべく早い次の機会に委員会を持つて欲しいという希望を持つておりますが、先般春でしたか、委員会に第一に木村禧八郎君が政府に向つてこの破堤の直接近因、遠因について総括した原因について質問書を出しました。これに対する政府の答弁というものは、今言う鉱害の問題に触れずして、これは不可抗力による破堤であるという断定をしておるのです。これは御承知と思います。各議員には全部配付されおりますから。不可抗力による破堤であるというような結論を吉田茂君は出して国会に答弁をしておる。そこでこれに対しては実際にそのような答弁で満足するかしないかの問題を改めて建設委員会に請願が出て参りました。これにつきまして菊池技監を招いて当委員会で私からも木村君からも非常に強く追及いたしました。この経緯は恐らく三浦君も御承知だろうと思います。そこで菊池技監の結論は、近因は確かに未曾有な雨量によるところの破堤であつたろう。併しながら遠因は少くとも坑道掘さくによるところのものがあるのではなかろうかという答弁をしておるのです。無論この是非の問題といいますか、正しいか正しくないかという問題は、後に通産、建設、その他関係部局が現地に長期の鉱害に対する調査機関を設けて、そうして十分に研究してくれというような要望を付けまして、我々はその委員会の請願について採択ということにきめたわけです。同時にそのときに私からも主張いたしまして、それに対する調査を今度の機会にやりたいというので今度行つたわけでありますが、なお北九州の総合開発委員会においてもこの問題を随分大きく取上げました。そうして先般閣議決定になつて公布されております事業計画の鉱害対策についても附帯決議をし、なお且つ総理大臣に対しまして、鉱害対策に関する意見書というものを総合開発審議会の名において申入れをしたのです。ちよつと読上げます。それはこういうことなんです。総理大臣に対して出したものは、「北九州特定地域総合開発に関し今後の採炭に当つて石炭鉱業の重要性と鉱害による地上諸施設べの影響を総合的に考慮して必要なる場合には採掘上の制限其の他の鉱害防正の措置を講ぜられたい。」、これは六月十六日附で出しておる。それから附帯決議事項としましては、「鉱害の基本的調査に関しては早急に適当なる総合的調査機関を設け具体案を確立し調査を実施すること。特別鉱害一般鉱害復旧事業の実施については鉱害による陥没田等により年々米麦二十余万石の減収を見ており然もその復旧は遅々として進行しない現状に鑑み炭坑の休廃等による労力の吸収を兼ねて食糧増産確保のため急速にこれが推進を図ること。」、こういう附帯決議を付けております。従つて我々が見たものも無論炭鉱の奥に入つて掘さく上の平面図を見たわけではありません。従つてその説明を聞いて判定することはむずかしうございますけれども、少くとも遠因が鉱害へよる。地下掘さくによつて破堤を招いたというこ一とは常識的に認められている点、これは菊池技監もそれを認めしおりますし、今日それに関連して河川局長その他に聞きたいと思つたのですが、我々はそのような認定の下にあの報告書を書いたのです。
○石井桂君 只今の田中さんの御説明で尽きているのですが、私からも第一班の報告の責任者の一人でありますから、気持を申上げたいと思います。 大体詳しい測量が、土質の資料がありませんし、実際に炭鉱に入つたわけでございませんので、あの報告は少しく強いきらいがあるのではないかと言われればそういう気もいたしますが、実際に過去数年間に亙る沈下の資料、たしか十九年と二十三年、あと何年かの沈下の資料、それから我々が行きましたときの直前の降雨により実際に土手が一部こわれている個所があつて、応急措置を講じている個所があつた。それから下に鉱区のない所は実際に余り沈下してないこと、そういうようなこと並びに現場の陳情等を総合いたしまして判断いたしたわけであります。土の学問は非常にむずかしくて、一概に、若し学問上の問題となれば、私は何年たつてもこれは解決つかないだろうと思います。従つて我々は与えられた条件ででき得る限りの判断をいたしまして、田中さんと私との考えを盛り込んだわけであります。従いまして若し今後学問上の正確な資料が出て、そうしてそれがそうでないという判定になれば、我々も喜んであれを訂正する気持はありますが、一応与えられた資料における判断であると御承知願いたい。
○三浦辰雄君 この問題については田中委員、又石井委員からの御説明で大体次回の際にそれぞれの関係の責任者の人、或いはこれに関連する技術者の権威の方々がお集りの上に検討されるということですから、その際に譲りたいと存じます。 併せて大臣がおられますので、簡単なことなんですけれども、この際御意見を承りたいと思います。それは今度の道路整備五カ年計画ができて、誠に結構であり、恐らく今度の今から始つている予算編成に当つては十分御奮闘になることだと思つて御期待申上げておるのですけれども、これに関しまして、どうも地方を歩いてみますと、砂利道の補助を昨年から政府は打切つたですね。ところが実際を見ますと、なかなか地方財政も容易でないものですから、この砂利道の補助というものを切られた結果は、まだ両年、一、二年のことではあるけれどもうまくない。で、どうかこの砂利道の補助についても、あの鋪装の伸び方があんな程度であるとすれば、殊に地方、中央都市を結ぶようなところにあつては是非よくお考えを願いたいということが一点と、それから今年、その東北、大臣も東北のようであられますが、北海道、東北の温暖異変ということで、非常に思わない道路の修繕が春先にかかつた。で、このことは、ただに温暖異変まさにその通りでありますが、今日のように交通の確保ということでブルドーザーの使用が普遍されまして、冬でもブルドーザーを出して、そうしてその交通を確保するというような使い方になりますと、従来その道に対する手当だけではもう限度を超えまして、うんだようになつてしまう。非常にこれは東北、北海道についても悩みなのです。で、本年もこの温暖異変によるそれらのうんだ道路の思わない出費、私はまだ岩手には参りませんが、青森、秋田等においては平年の雪融けの際における手直しのいわゆる倍もかかつている。で、財源がありませんから、何とかしなければならない。特別な起債等で、建設関係の後楯において、地方団体として県の負担でも止むを得ない、無理して直してしまつたから止むを得ないけれども、今後何とかしてもらわなければならない。あの問題等も併せまして、来年一つブルトーザーを使うようになつたとぎにおける東北の一般修繕の問題をどういうようにお考えになられますか、この二点と、最後に、この昨日でありましたか、新聞に出ておりましたが、電源、多目的その他のダムに関連しての補償について、政府のほうとしてはもう少し円滑にスピードもつけて解決のできるような方法をお考えになつておられるやに新聞は報じておりますが、これについて若しお差支えなければ、もう話してもいい段階であれば、この機会に御披露を願つたら大変都合がいいと思うのです。ひつくるめて三点でございますが、一つお願いいたします。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 第一点のこの砂利道の補助の問題でございますが、これは昔は補助しておつたのが最近なくなつたのですが、よその財政方面等も考えまして、来年度の予算のときにはよく研究をして善処したいと思います。 それから東北の道路の問題でありますが、これは私岩手県で、岩手県はよく知つておりますが、その通りです。秋田県と同じです。秋田県からも青森県からもつい先だつて陳情が来ております。これに対して手配の問題、技術的な問題、技術的な問題は道路局長にいろいろ研究してもらつておりますから、技術的な面は道路局長のほうからお答えいたします。 それから補償の問題ですが、これは衆議院で昨日御質問があつたのですが、御承知の通り補償の問題では全国的にいろいろな問題が起きております。而も公共事業のこの進捗がうまく行かんというのが大部分そうした関係にある。こういう点から考えますと、早急にこの問題を解決しなければならんと、こう考えておるわけであります。で、抽象的に申上げますと、このいわゆる埋没したとか或いは被移転者というものは、いわゆる国策の犠牲者でありますから、この国策の犠牲者に対してはたとえ一銭でも一厘でも損をさせないように十分補償をやらなければならない。これを先ず第一の原則に置くわけであります。併しながらこの第二の原則といたしましては、これは金儲け事業ではありませんから、たまたま移転に引つかかつた人が移転を理由に、機会に金を儲けるという姿は断じていけない。どこまでも損は一文もかけてはいかんが、儲けも一文も出してはいけない。同時にこれは又或る事業には非常に補償が多く成る事業は少いという公平の原則に反してはいけない。これは道路の犠牲者でも或いはダムの犠牲者でも、すべて同じ形にならなくちやいけない。例えば電源開発のほうでは非常によく出す、建設省の事業のほうでは少いのだということになつては、これは非常に不公平であるばかりでなく、事業を遂行できなくなつてしまいます。そういう意味から厳にこの公平、平等という建前をこれはとるべきである。それから以上の三原則を速やかに目的を達するためには、只今の土地収用法だけではどうも時勢に合わないのじやないか。もう少し何かの制度を考える必要があるのじやないかという点を狙いまして、解決を早くするということも狙いにいたしまして、今立法化を研究いたしております。まだこの立法化して発表する時期にはなつておりませんが、大体この四つ五つ私が申上げた点を基本にいたしまして、次期国会には何とかこれを皆さんに御審議頂きたい、こういうふうに考えております。
○田中一君 今三浦君の質問に大臣お答えになつたのですが、先ほど近藤君からも木下君からもあつたように、土地収用に該当する、土地収用をしなければならないという国民が無論損してはならない、而も儲けちやならないということをおつしやつた。そうすると得とはどういうことを得というのですか。損はわかります、儲けはわからない。儲けというのはどこからどこまでの範囲を儲けとお考えになるのか。これは大臣としては重要な発言なんです。ですから儲けというのは何か、どこからどこの範囲が儲けということか、損はわかります。その儲けの、あなたの言う儲けの定義というものをはつきりして頂きたい。それは土地収用法を使うところの建設大臣の非常に軽率なところの表現である。又強いて言えば言葉の足りない表現だと思うのです。この点を明らかにして頂きたい。
○国務大臣(小澤佐重喜君) これは移転がないときよりも、移転したことによつて余計に財産が殖えてはいけないと、こういうのです。
○田中一君 そうすると余計な財産が殖えるということは、例えばお前は一里先の所へ移転をせよと命令しますが、移転をさせる場合に、移転をするもののどの辺までに、土地収用法に盛られているところのすべての諸権利は、これは利益と見ますか、利益と見ませんか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) ちよつともう一度……。
○田中一君 移転をするために、土地収用法に規定しているところのすべての収入というものは、収入ですね、反対給付ですね、こういうものは利益ですか、利益でありませんか。儲けですか、儲けでないのですか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) それは具体的な問題は具体的にきめなければ、あなたの、例のないことを抽象的にはきめられませんよ。具体的な問題が出て来なければ……。
○田中一君 何といいますか、精神的なものばかりじやなくて、物質的な反対給付ですね、これは無論土地収用法で以てきめているのですよ。この場合はこれも権利これも権利だと、金銭に換える場合には相当な大幅な収入になるのです。これはあなた、儲けに見られるのか、儲けでないと見られるのか、お伺いしたい。これは土地収用法の、法律に規定したところの問題ですよ。
○国務大臣(小澤佐重喜君) その田中君が言うのは、要するに精神的なものに対して、苦痛に対して補償した場合で、精神的な苦痛でこれは損しているが、金は殖えたという場合のことを言うのでしよう。
○田中一君 そうです。
○国務大臣(小澤佐重喜君) それは儲けじやありませんよ。
○田中一君 それは儲けじやありませんか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) ええ、そうです。補償する、これがいいか悪いかは別ですよ、補償された場合は……。
○田中一君 猿ヶ石の場合ですね、これはあなたの地元でよくわかつていると思います。戦時中に一応の補償はして、あの土地は国のものです。併しながら終戦後インフレになり、物価の一値というものが非常に変つて来ましてですね、再度何とかしてくれなければ困るということを申入れられて、一応の妥結の線で以てきまつたことは御承知の通り、そうすると法文から見るところの補償の額というものと、それから実際の額とは食い違いがあるわけですね。こういうものは儲けと見ますか、儲けと見ませんか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) それは田中君、その具体的じやない問題、抽象的な問題、例えば精神的な苦痛に対してかける場合も、どういう精神上の苦痛だかというものを見なければその判断つきませんので、抽象的に言われても……。私の言うのは、いやしくも補償を出し得るもので、これは金に対する補償じやなくて、精神的なものの補償を与えるということが至当だというならばこの差額は儲けじやありません。補償すべきじやないのにすることが儲けです。
○田中一君 今の……、これは計画局長にお願いしますが、今大臣が発言された補償の場合の、強権を以て事をする場合の補償というもの、儲け、正しいものと儲け、余分な何といいますか、収入というのですか、不合理な収入ですね。こういうものの限界を一つ資料を出して下さい。諸権利というものです。そのほかにプラス・アルフア慰藉料というような問題がおのずから政治的解決の場合に入つて来るのです。その慰藉料というものの認定というものは重大なんです、今後とも。今、近藤君からも大分山形の問題やかましく言つていますが、こういう問題ぱ軽々に言いますと言質を取られまして、不当なるものを出さなければならない場合もできるし、それから出してやつてもまだ足りないと言つて地元が要求する場合もあるのです。こいつは非常に微妙な問題なんです。今後ともそういう点は、あなたに突かかつちや済まんけれども、大臣としてはこの点は非常に明確に、どの程度のものが儲けであるか、どれだけが正しいものであるかということの範囲を示さなくちやいかんと思うのです。そうしませんと今後とも問題がいろいろ紛糾して来るのです。例えば田子倉の問題でも、ああいう厖大なる補償なんというものは我々考えられないのです、ああいうものは。そういうものも、ああいう事例があるものですから、従つて当然国のために自分の持つている私有財産を提供しようという場合でも、何といいますか、同じような金であつても代償が付いて、それが儲けか儲けでないか。理論的にはあなたのおつしやる通りで結構です。おつしやることがどの範囲から、どの範囲までが正しい補償であつて、なお且つプラス・アルフアという慰藉料的なものが含まれるか、含まれないか。含まれる場合にはどういう場合が含まれるかというようなことを計画局長、明確なところを大臣に伺つて、あなた資料出して下さい。今後ともこれはいろんな問題が起ります。できるならば十分にこの該当する国民の納得する形において十分な方法をとつていたしましようという表現であるならば問題はありません。併しながら儲けてはならないということになれば、儲けというものは何かということになりますから、その点を一つ。
○国務大臣(小澤佐重喜君) これは断わることはないんですが、田中君の質問、儲けることはどういうことかということを疑問を持つているようだが、儲けちやいかんということだけは認めている。具体的に儲けとは何ぞやというだけのもので、それは具体的な問題が出たときに決すればいいんです。そのために法律を改正する、いわゆるこれ以上はいけないんだということにしたいというわけで、結論はあなたと同じで、あとは具体的問題として法律を適用するときに、これに対して慰藉料アルフアを加えたときは儲けか損かということを言えばいいので、見方を今度はよくして、間違いないようにしたいと、そういうわけなんです。
○三浦辰雄君 先ほども砂利道については来年度善処できるだけしたいつもりだということで、大臣、私どもとしても期待するところですが、ブルドーザーを使い出してから東北、北海道方面の道路の問題、これは成るほど今後新設等の場合も道路の構造を技術的に検討をされて、ブルドーザーを使つて或る程度裸にして、つまり凍結が下まで来ても雪融けの後にさしたる、今日ほどでなく、まあ特別な手直しをしなくてもいつも通りの程度で使えるようなことにすることはこれはできると思うのですが、今までできちやつているところの道路、これについてはどうも何とも手の着けようがないのですね。併し今日、まあ文明といいますか、学問の進歩に従いましてそのブルドーザーをますます使つて交通量が殖える、まあ年中無休でやれるといつた地域が殖えること、これは或る意味では望ましいし事実実行されるのです。ですから私はこの点については例のトラックその他の税金の問題が積雪地方で問題に一時なつたことがありますが、この交通を利用する人の或る期間だけは特別な負担をも含め、又国の全体の利用という、福祉の増進といつたようなことからいつて国も或る程度負担をみずから覚悟して、そうしてこの冬季利用の拡大というものを当分の間図つて行かなきやならないのじやなかろうか。だんだん進んで参りますれば地方における道路のいわゆる修繕、新らしい設計、技術的に検討されて、そのブルドーザーを使つて裸地に近いようにして使つても堪えられるようなものになるまでの暫定的な方法として、私はこれは当然道路関係としてはもつと考えていい問題だというふうに思うのですけれども、この点はどうなんですか、端的に申しまして……。
○説明員(富樫凱一君) お話のように特に北海道では最近冬季でも除雪をしまして交通を通しておるという事例が多くなつて参りまして、そういうようなことで従来の砂利道ではなかなか維持が困難だということになつて来ておるわけでございます。これは根本的にはお話のように鋪装などいたしまして、雪をよけてもらわれない道路にする或いは融雪時にもこわれない道路にするということが根本でありますが、なかなかそうも行きませんので、もつと安い方法でこの対策を考えなきやならんと思つておるわけであります。それでこの除雪に対して国からも補助してもらいたいというようなことは従来も言われておるわけでございますし、我々としてもその研究をしており、特に北海道については大蔵当局にも予算の要求をしたこともあるわけでございますが、実現せずに現在に至つておるわけでございます。そこでこの除雪はブルドーザーでやりますし、又砂利道の維持のためにはグレイダーを使うわけでありますが、いずれの場合でもその維持をよくやりませんと、この機械を使つた効果がないわけでございます。この点については我々も指導としてはやかましく言つておるわけでございますが、いずれも材料の要る問題でありますのでなかなかグレイダーを使つたあとで砂利を補給するということもやつておりませんし、ブルドーザーを使つたあとで砂利を補給するということもやつておらんわけであります。そのことが道を悪くすることにもなつておりますが、最近の交通状態に対処した何らかの対策を考えて行きたいと思つておおります。殊に北海道ではこの舗装をいたしましても、冬季にはチェインを使うというようなことがございまして、このチェインは舗装をこわす結果になつておりますので、更に新たな問題が起つておるわけでございますが、これらについては只今我々のところで研究しておる次第でございます。
○田中一君 小澤大臣に伺いたいのですが、先月中央で土木部長会議をおやりになつたと聞いております。その際建設大臣は発言をいたしまして、二十九年度予算のうち約一割見当の費用の、事業費の節減を図れというような指示をなさつたと聞きました。その内容が事業量の一割天引じやなくして、事業量はそのまま、事業費を一割以下、ものによつては幾らになりますか、一割以下の天引をしろというような発言があつたと聞いております。そこで現在のデフレ政策下におけるところの日本の実情というものと、それからデフレ政策に基くところの物価の横這い、又は物価安というものをどの程度の認識を持つて、どの程度の調査を以てそのような発言をなすつたか、詳しい資料を一つお出し願いたいと思います。発言の内容につきまして誠に恐縮ですが、ここでもう一遍我々を土木部長とお思いになつてあなたがお訓示なさつたことを御披露願いたいと思います。
○国務大臣(小澤佐重喜君) この土木部長会議を開きました理由は大体二つ持つております。その一つは、今田中君の触れましたいわゆる実行予算の問題であります。この実行予算で一割という問題がどうして起きたかと申しますと、御承知の通り二十九年度の予算は成るほど国会は通過いたしましたが、修正もあり、同時に関係法案の不成立に終つた関係上非常に歳入歳出のバランスが取れておりません。その差は田中君も御承知の通り、いわゆる繊維奢侈税がこれは衆議院で握りつぶしになりまして、これは八十五億であります。又その他予備費から五十億持つて行くというような修正で、あとは警察法の改正、入場税のあれで約二百億というものが歳入歳出のバランスが取れなくなつたわけであります。そこで別に予算が修正されたわけではございませんから、政府としてはそのままでやつても必ずしもいけないということは言えないのですけれども、併しながらまじめに考えるときに、如何にこの法案が通らなかつたのは政府で関係がないとは言え、跛の予算をそのままで実行していくということはいけないのじやないか、まじめを欠くという意味から、この違つた二百億というものを実行上においてはバランスを取つて予算の執行をやつて行こうということになりまして、これにはいろいろ議論もございましたが、結論においてはそういうことになつて、建設省関係の問題は約五十数億というものが建設省関係で節約しなければならん金額になつたわけであります。 そこでそれに対しまして、道路というように法律できまつているものもありますし、又きまつていないものもありまするが、とにかく大体に七%から一割というような、七%くらいのものが実際上予算の実行に当つては節約して行こう、節約するのにも工事量は原則として滅らさずに、そうしてでき得ることならば物価の値下りというものを基準にして、事業量というものは減らさんようにしようじやないかというので、各費目について地建の局長、その他にも指示をいたしまして、大体土木部長会議を開いてその趣旨を申上げたのであります。従つて今私のほうで申上げたのは、事業量は極力減らさない、物価の値下りその他の節約によつて予定の事業をやるから、二十九年度で予想された事業をやるから、経費を平均すると六%か五%くらいになりましようが、この五%というものも何も予算がなくなつてしまつたのではなくて、閣議を経ればその五%も出せるということになつているわけです。閣議で約束してそれだけ節約して行こうということになつておりましたので、その精神を徹底させるために土木部長会議を開いたわけです。 もう一つの唱題は、非常に封水期なりまして、それでは十分の治山治水費が二十九年度予算に組まれているかというと、御承知の通り十分ではありません。十分に組もうというのには、完全な治山治水をやろうというのには一兆数千億というような厖大な金額になりますし、到底今年度の出水期には間に合いませんから、せめて個々の重点的な治山治水の工事の執行だけをやり、災害による損失を減らそう、そうするためにはすでに予算は配賦されておりまするが、若し各県においてこの点は最も危険なんだ、危険の個所が一、二、三あるならば、この一だけは出水期前に予防して置かなければ大きな災害が出るという個所があるならば、諸君のほうから申出て一応本省と相談をしてみろ。本省と相談して予算が何とかやり繰りがつく場合できるだけやつて、そうして損害を少くしようじやないか。どうしてもできなくて、県のほうで融通がつく場合にはお前のほうで立替えてやつておけ、そうすれば来年度その災害をみてやろう、こういう狙いが土木部長会議を開いた二つの理由であつたのであります。 従いまして今の一割というような、そういう気持は、そういう一割とか七分とかいろいろの問題がありますが、気持はそういう意味ですが、私自身そういう一割と言つたかどうか、私は覚えていません。
○田中一君 そうしますとね、これはむしろ今度の実行予算、全部の予算というものは昨年の秋くらいに作つたんでしようけれども、実行予算は少くとも今大臣が新任なすつて、この土木部長会談を開く前にできておつたと思うのです。そうすると五分から七分の間の事業費の節約ということは、実際に及ぼす工事そのものに対して正しくない工事をするようなことになりはせんかという点が一つ。 それから無論補助費が多いのですから、地方の各府県というものは相当御承知のように大幅に赤字財政なんですね。そうして二十八年度のあの特例法によるところの工事であつても、先ほど石川君が言うように仕越し工事もやつていれば、それから当然三十年度で以て交付されるべく預託されているところの資金を自分のほうで今第二段の防災のために大幅な支出をしてその災害を守つている現状なんですね。この二つのあなたの部長会議における論議というものは何を狙つているか、無論二百億の収入源というものに対しましては、当然これは政府は責任を以て臨時国会を召集し、補正予算を組めば、当然あなた、立派に事業は遂行できるのです。それをせずしてそのしわ寄せを……、五分でも七分でも事業量を減らすならばわかりますけれども、事業量を減らさず事業費だけを減らすということになりますと、これはやはり国民生活に及ぼす影響というものは大きいのです。この点どうも二つの問題が、考え方が同じように見えながら反対な方向に進んでいるような御指示のように受けるのです。五分なり七分なりの天引というものが低物価ということから可能じやないかというならば、どこにどういう資料があつて、経審の資料でも結構です。どういう指数が現在現われているかという点を明確にして頂きたいのです。そうして五分や七分のことは現在の部内において十分にされ、それも足りない場合には出せる途があるのだというような発言もありました。出せる途は何かということを具体的にお示し願いたいと思うのです。この二つ……。
○国務大臣(小澤佐重喜君) それは前段の、工事を悪くするとか不正な工事をやる、そういうことはやりません。そういうことをせずにやれるだけのことをやつて頂、くという話でありまして、それから後段の、あとで五分か七分のほうが復活するかも知れんというのは、これは閣議で決定する場合に、閣議で実行予算をきめて、原則としてこれで行くのだ、七分なら七分……、そこで万止むを得ない場合には閣議を経てその七分の全部或いは一部を出すということに閣議で決定したわけであります。だから予算は残つているのです。残つていて使わないだけの話です。それをどうしても客観情勢から見て使うことが国のために正当だという場合には、閣議で了解を得てこの減らした七分を使つてもいい、こういうことになつておりますから、万止むを得ない場合にはそういうこともあり得るわけであります。
○田中一君 二十九年度の災害に対する予備金、いわゆる建設省の予備金、これは大体百三十億くらいのものがあるはずです。幸いにして今年はまだ五月、六月の西日本方面に対する梅雨前線の災害の被害というものはありません。併しそういうものがあるわけなんですね、金が……。今お話のように事業量は減らさない。併し金は減らすといつて完全な工事ができるというマジックはどういうことを具体的にお考えになつての御指示なんですか。これは大臣は正式に発言なすつたのだから、各ブロックから、河川局の場合どう、道路の場合どう、計画の場合どう、住宅の場合はどうというふうにお示し願いたい。この場合鋼材は成るほど下つておる、何%下つておるか、鋼材を使うときにはどうなる、労力費はどうなつておる。セメントは御承知のようにトン三百円もしていると言つておどかしているからこれはお辞儀しちやつた。これは一つの方法でしよう。あなたのおつしやるように事業量を減らさないで金を五分なり七分なり減らした根拠というものを各局長から、担任されている工事と睨み合わせまして明瞭に御答弁願いたい。
○説明員(石破二朗君) 私から……。
○田中一君 そんなことを私は官房長に伺つているのではない。
○委員長(堀木鎌三君) 資料を出してもらつて、その上に立つて……、大体そのほうがいいと思います。今日性急に何しなくてもいいでしよう。まだほかにあるのですか。
○田中一君 たくさんあります。それじや今の場合官房長、あなたはやはり全体を取りまとめる、予算を持つている人として説明したいのでしようが、これは十分です。そこで各局長が自分の担当している事業というものが、大臣のような言明で可能か不可能かということを、良心的な技術家として、或いは局長として、計数で以て出してほしいということを……。官房長に伺うのは、これはあなたの発言をとめて悪いけれども、それよりも担当している局長から数字を以てお示しを願いたい。委員長が言うように次回までに資料を以て御説明願つて結構です。 第二段の問題、閣議で出せるということ、それからもう一つは今の百三十億という予備金があるのです。これはあなたはこのうちから水防費を一億円出したのは大手柄です。非常にいいと思います。併しながら百二十億というのは無論置かなければならないでしようが、こういうものを置いて若しも後になつて、今年は何とかという気象台の博士が、九月の初旬と九月の下旬に大きな台風が来るのじやないかというような予感がするなんと言つておりますが、これはないとするならば、今度五分減、七分減というような工事をされるのじやなくて、百三十億の予備金を投入して完全な工事をさせるというのが正上いと考えておりますが、そういう点はどうお考えですか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 御承知の通り大体一般予備費と災害予備費と合わせて百三十億だと思うのでありまして、このうちから予算の修正によつて五十億もうすでに減しておりますから八十億です。併しながら五十億は年度最終の末までには又戻つて来る金ですから、一応計算は百三十億あると計算していいでしよう。そのうちの三十億は災害以外の予備費ですから、これは災害に限定していじるわけに行かんと思うのであります。あとの百億の問題ですが、これは現在は地方からの報告で、今年度の災害は建設省だけで百六十億の報告を受けております。これに農林省なんかを合わせたならば恐らく三百億程度になるのじやないかと思います。併しこれだけは無論削減をしないで、地方から出て来ておりますから、従来の例から申しますと、大体これに対する七〇%か八〇%が査定の金額になる。でありますから三百億の七〇%ですから二百十億、或いは八〇%としますと二百四十億ということになつて参るのでありますが、そのうち大体災害復旧は前年通り三・五・二なら三・五・二という割合で行きますから、そのうちの三に対するものが使う金になる。そこで田中君のお考えが、現在もう災害がないのだということを保証せられるのでしたら、これはもうあなたの言つておる通りやつたほうがよいと思いますが、九月に入つてやはり災害があつて予算がない、どうにも手が著かないということになるとかなりやはり危険じやないかと私は思います。そういう意味から、仮に災害期であります九月とか十月とかが済んで、六体十一月になれば、何もないから、十一月、十二月、一月、二月、三月と、そういう時期でありますが、そのとき現在で残つておる予備費ということになりますれば私も同感でありますが、今すぐ予備費を全部食つてしまうということは、天道様でない限りはつきり約束できないということもおだやかでないと思いますから、そういう構想はいいが、その構想を実行する場合には、今年度の災害はこれで終りだ、今百六十億ですが、これが二百億、二百五十億となれば……。あと今年度災害はないということならばあなたのお話になつたような措置をとることがよいと思います。
○田中一君 補正予算の臨時国会を建設大臣は閣議で要求するような気持はありませんか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 私は臨時国会を今すぐ政府で開く必要はない。
○田中一君 そうすると今の五分なり七分なり引くということを、ただ政府の責任において国民にしわ寄せするという事業費の天引はこれは納得できない。当然臨時国会を開いて補正予算を組むのが義務です。政府の義務です。それをたとえ五分でも七分でも事業量を軽減して事業費がおのずから軽減されるということならわかります。それで物価が安くなるからというならば、物価が高くなつたという場合はどう処置なさいますか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) それは先ほどもお話した通り、一般の経費を節約して、そうして物価の下落というものを見ながら事業量はできるだけ絶対に減らさないように、そうして若し事業量が減るような場合があれば、先ほど申上げた閣議での申合せのようなことによつて、而も必要な工事量、事業量が減るという場合には先ほど申上げた閣議の線に基いて今まで実行してやつていましたが、このあとこれがなければどうも当初の事業ができないというならば閣議で了解をいたしたい、こういうのです。
○田中一君 直轄工事ならいいが、入札に出すような場合はやはり五分なり七分なり事業費を天引して実行予算を組むわけでしよう。その場合にやはり国民にしわ寄せとなる、その部分だけは……。それを上手なマジツクを使つて辻棲を合わせようというのですか、事業量と事業費というものを……。今のセメントのあれもそうでしよう。細かい資料は頂戴しますけれども、各実施部門をあずかつておる各局長は誰か一人代表して答弁して下さい。地方の各県の土木部長はどうしたらよいかと言つて苦しんでおるに違いない。
○国華大農(小澤佐重喜君) 苦しんでいない。
○田中一君 若し苦しんでいないならば、建設省の実行予算というものは甚だ杜撰極まるものだということになる。これは言つてもしようがない。はつきりした資料を出して下さい。
○石井桂君 関連いたしまして、田中さんが触れた問題でございますが、大体建設事業の主な部分は材料費と労力費です。で材料の中で鉄、木材、セメント等が主に建設事業に使用されるものですが、この際小澤大臣から、セメントに対する価格ができるだけ低下すれば建設事業の伸びもよいし、国民の待望しておるところであるから、抱負、経綸を承われば非常に結構です。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 実は今石井委員からもお話がありました通り、今の実行予算を作るに当りまして、物価が下落する方向の度合が一番大事な問題になつておるわけであります。従つてその当時木材は二十何パーセントも下つておつた、鉄鋼あたりも下つておりましたが、セメントだけが下つておりませんので、実行予算をかけるに当りましては苦労をいたしました。その結果、殊に建設省はセメントの使用量が多いので、何とかしてそのセメントをもう少し値下げしてよろしいのじやないか、而もそのセメントも原価計算なんかをしますと、相当大幅に値下げする余地があると私は考えておつたわけであります。そこで閣議で、とにかく今申上げた二つは順調に、予想通りに物価が下つて来ておるけれども、セメントだけが故意に下げないような傾向が多分にございましたので、そこで閣議においてこのセメント問題は容易に下げる余地がありながらなかなか下げて来ない。併し政府で統制力も何もないのでありますから、そこでどうせ需要と供給から値段がきまつて来るのでありますから、やはり生産を起すということに主力を置くほうがいいんじやないか、併し主力を生産を起すということに置きましても、仮に政府が援助したり或いは政府直営……、まあ仮の話でございますよ。するにしても、これから工場を立ててセメントが生産されるには一年三カ月も一年半もかかるのであります。当面の間に合いません。本年度の予算には……。そこでまあそういうことも考えながら業者の自覚というものを求めて、協力というものを求めて何とか下げられるだけ下げてもらおうじやないかというのでいろいろ交渉して参りまして、我々の観点とセメント業者の言う点は大分開きがございます。そういう開きがあるのは当然でありましよう。向うは商売人でありますから。併しながら先だつての閣議で、結局建設省使用のものはトンで三百円ほど値下げするということに双方で合意して下げることになつたのであります。但しこれを下げるにつきましては、例えば買付をする場合における場所とか時とか量とか、或いは現金の支払の期間とかいうようなものについてはできるだけ業者の要望に応えて行く。そうして業者に便利を与えながら、業者みずからがトンを下げて行くということで三百円下げてもらつたようなわけであります。従つてこれから仮に四百万トン建設省で使うとすれば三四、十二というものが一応出て来るわけであります。これはラフな計算ですが、余りラフなことを言うと又田中さんに突込まれるから何ですが、(笑声)そういうような事情で十三億ありますし、道路のほうは特別なことで戻つて来ますから、あと鉄骨とそれから木材が下つて賃金はこれ以上下るということは望めないと思います。従つてまあ物価だけを考えましても、ここで二、三十億は浮んで来るのじやないか、そうして来ますと、大体まあ田中さん心配しているけれども、当初の目的通りに行けるのじやないか、万が一その通り努力して行けない場合には、さつき申上げたように、閣議でこの工事はどうしてもしなくちやならないという場所にしたい、こういうふうに考えております。
○石井桂君 只今の大臣の御説明で非常に私ども結構だと思うのですが、国庫補助事業について使うセメントも三百円下るのでございますか、そいつをよく知らないものでありますから……。例えば住宅でありますとか防火帯の造築のビルディングなど建ちますが、補助が半分あればいいのですが……。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 細かいことは官房長から一つ……。
○説明員(石破二朗君) 建設省関係の諸事業に使いますセメント一切についてであります。尤もこの点は御了解願いたいと思いますのは、いろいろ買うのにつきまして条件があるのでありまして、金の支払が非常に遅い、普通の商慣習を越えて非常に遅いというようなことを前提にして契約されるような場合には、これはまあこちらの約束通りは行かない場合があるだろうと思います。
○石井桂君 小さい問題ですから大臣でなくても結構ですが、私この間北九州を見て参りましたときに、関門トンネルの遅れていることの一つには、竪坑が大体時間がかかる。ベンテイレーシヨンの竪坑なんです。これがベロ・セメントを使うと一年くらい工期が短い。ところがこれは金が高いものですから普通のセメントを使う。そうすると三十一年の五カ年計画が三十二年になる。この際金を出しても早くやつたほうが私は勝じやないかと思つて帰つて来たのですが、そういう場合に目の前の予算が殖えても、工事を一日も早く完成させるという方針のほうが私は国策に合つていると考えておりますが、まあ建設当局の局長さんでも結構ですが、お考えを聞かして頂きたい。
○説明員(富樫凱一君) 関門の竪坑のセメントの問題でございますが、これを三十一年度までにやろうということにするとやはり御説の通りだと思います。その場合にベロ・セメントを使いたいと思いますが、今のところ予算の上でどうしても一年延びるようになつておりますので、今三十二年で完成ということになるのじやないかというように考えておりますので、御説のような点はよく考えて善処したいと思つております。
○石井桂君 私はその問題だけでなくてその工期を短縮することがあつた場合に、一時日の子の経費はうんとかかるけれども、工期を短縮したことによつてその間に災害が起らんとか、建設事業としては全体として得が行くのじやないかと思われるような場合が非常に多いのですよ。その場合に臨機応変に設計を変更して普通のセメントをベロ・セメントとかもつと早いセメントとか、そういうことの何といいますか、臨機応変の措置が建設省当局の指示でとれないものかどうか、そうすれば国民はちよつと費用が高くても、或いはもともとその工事が早くできたことによつて災害が防げるという結果が随分あると思うので、そういうことを今例を挙げてお聞きしたわけなんで、全体的にお答え願えれば非常に結構なんです。
○説明員(富樫凱一君) 道路の場合について申上げますが、コンクリート鋪装の補修等は、お話のように工期を急ぐという点がございまして、早く交通を開始するという点がございますのでベロ・セメントを使つております。それから又トンネルの捲立等で水の出るトンネルなどには、これは長時間をかけると全体的に不経済になりますのでベロ・セメントを使つております。まあそういうことは小規模には我々のほうでは考えて採用いたしております。まあ大規模に、コンクリート鋪装全部をベロ・セメントでやるというようなことは余り実施いたしておりませんが、これも橋等の場合、工期等が非常に急がれるような場合にはベロ・セメントを使うというようなことを考えたいと思います。
○石井桂君 わかりました。
○田中一君 まだいいですか。
○委員長(堀木鎌三君) いいですとも。どうぞ。(笑声)
○田中一君 これは今すぐ返事をくれと言つてもできないことなんで、一応次のときまでに資料を出して頂きたいのですが、第一に二十八年度の補助金の交付の状況を一つ出して頂きたい。ということは、二十八年度の西日本の災害にしましても、先ほど申上げたように相当大幅な仕越し工事があるのです。そうして佐賀県が二億円ですか、一時貸付の金が、繋ぎ資金が……。それから熊本で五億円ですか、こういうようなことでは、無論大蔵省は回収するつもりでいるでしよう。併しこれに対して建設大臣はどういう考えを持つているか。 それから第一四半期或いは第二四半期までのものは補助金はもう行つていると思いますけれども、その状態はどうなつているかですね。で、地方行政委員会でしたか、佐賀県の鍋島君が来ているく陳情、公述しているようですが、事実行つて見ますともう参つているのです。例えば佐賀県の嘉瀬川にしても約二億円に近い仕越し工事になつているのです。そのために六月二十九日のあの大雨も、周りに相当の数の水が入つている、堤防の表側には。これも約二億円の仕越し工事をやつたために、二億とか一億とか言つていましたが、そのためにそれを守つたという現状なんです。従つてこれは総額が二億円でした、佐賀県の仕越し工事に金を導入しているのは……。従つて警察官吏には月給を払つていますけれども、ほかの職員や県庁の職員、それから学校の教職員に対しては給料は半分しか払わなかつたというような現状があるわけなんです。そうして加えて、あれほど知事会などが陳情した、警察が国警に移つたという問題が、今になつて地方財政に明らかにマイナス面が現われて来ているのです。このためにもうどこに行つてもああ大変しくじつた、如何にも警察はもらつたけれども、これだけ出してやつたつて、どうも贅沢を言つて、そんなことじや自分の本来の治安は守れんなんと言つている。自分のところは一億五千万、こういうところに余分な県費を出さなけりやならんというような苦労も言つているのです。そうしてもう地方財政の破綻の一歩手前です。それに持つて行つて西日本の災害を受けた各府県は相当参つているわけなんですね、この仕越し工事のために。熊本市の場合を見ましても、排十作業に国からもらつた補助金のほかに約二億円と言つておりました。大蔵大臣も一緒におればはつきり聞くのですが、この佐賀県の一億、熊本県の五億という繋ぎ資金は回収するような方向に持つて行くのか、建設大臣としてはこの事情から見ても、どうかこれはもう少し待つてやつてくれんかというようなことを閣議で発言されるか、或いは大蔵大臣に言うか、これはどういう心がまえでおられますか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 大体この二十八年度災害の二十九年度予算というものは、この前もお話申した通り、査定の点においてまだ政府が一致いたしておりません。従つて私のほうの査定からいえば三〇%しか工事ができないという見方をしておりますし、大蔵省は六〇%できるのだというような意見を持つております。併しこれは政府部内の意見でありますから、これはやがては調整をしなければならん問題ですが、いずれにいたしましても問題になるのは、工事が進行しておるにもかかわらず金がないという弊が最も地方で困難な理由でございまして、従つて予算ですでに工事が進んでしまつた部分に対しては何とかして繋ぎ融資で工事を金のために遅らすというようなことのないようにするために万全を期したいと考えております。従つて御指摘の佐賀県、熊本県というような具体的な問題は承知いたしておりませんが、まあ総括的に全国べあと五十億くらいの繋ぎ資金を大蔵省から出して頂きまして、そうして二十九年度予算プラスの五十億の繋ぎ融資で何とか我々の希望通りの災害の復旧をいたしたいと考えておりまする。 それからこれは私の所管ではないのですが、まあお話がありましたから……、地方財政の現在困つておる面が相当あつて、お示しのように佐賀県なども給料の遅払い或いは半額払い等もあるようであります。この問題は今日閣議で話をしましたが、塚田君のほうから交付税を繰上げて支払うことによつて、そうして何とか話をつけることの報告がございました。これはまあ私ついでに聞きましたから……。従つて佐賀県のほうでもそれに伴つてその他の経費を節約するというような趣旨から、本当の地方財政の強化のために立ち直つた気持で進んでおるという報告を今日閣議で聞いたような次第でありまして、漸次そうした問題は、これは所管外ではございますが、地方の実情を見ながら善処して行こうと考えております。
○田中一君 今大臣も言われたように、建設省の認定とそれから査定といいますか、それから大蔵省の査定の食い違いですね、これは大蔵省は今日おられませんけれども、大蔵省から査定の根拠というものを付けた資料をお出し願いたいと思うのです。というのは、全部査定をした、まあ細かじやなくていいです。そして大まかな査定、災害の査定に対して、自分のほうはこういう根拠の下にこういう査定をしたのだという項目を付けて頂きたいと思う。これはこの次の委員会では大蔵省にも要求しようと思つております。閣内での調整のことは内輪のことであると言われるのですけれども、その根本のところがきまらんものですから各府県が困るのです。皆我々どこにどういう食い違いがあるかと、ちよつと覗いてみたいと思つております。そういうつもりでおりますから、それを一つお出し願いたいと思います。 それから三・五・二の比率というものは全く厳守されておるかどうか、これもかかつて認定の問題だと思うのです。この点は各部局からこれも資料でお出し願いたいと思うのです。実際に二十八年度西日本の災害特例法に基く災害地の工事というものは、本当に三・五・二の比率で以て工事は進んでおるか、或いは金を出しておるかという点を明らかにして頂きたいと思います。で、大蔵省の問題は、これは委員長から大蔵省に要求して頂きたいと思う。この次やると又開かなければなりませんから。建設大臣は建設省として、大蔵省の査定とそれから建設省の査定との、建設大臣としての相違点の解明を、これは建設大臣としてですよ、大蔵省の査定と自分のほうの査定と、無論自分のほうの査定が正しいのだとおつしやるに違いありませんが、大蔵省の査定が間違いなんだ、おれのほうはこれが納得できんという解明を資料に付けて頂きたい、これをお願いしたいと思います。
○国務大臣(小澤佐重喜君) それは田中君の発言はかなり私どもを援護する意味での発言でまあ結構だと思いますけれどもね、まあ政府部内の争点の中心をこうあなたのほうへ私から出すというのもおかしな問題でありまして、これは政府部内の争いは政府部内で解決をつけたいと思つておりまするが、併しながら大蔵省の意向というものは大蔵省から聞いて頂きまして、建設省の基準だけははつきり出しますから、建設委員会に。大蔵省はこうだというような政府部内で解決つけるべきものを、喧嘩の資料をここに出すというのはおかしなものですから、建設省の査定に関するものは出します。併しながら大蔵省がそれとどう違うかということは大蔵省からお聞き願いたいと思います。
○田中一君 通産大臣と経審長官、それから大蔵大臣とあなたと三人来なければ総括した問題の質問ができないので困るのです。もう一つ資料の要求だけさして頂きたいと思う。 今の補助金の交付状況というものに比べて未交付のものですね、何か理由があつて未交付になつておるもの、当然第一四半期、第二四半期で出すべきもので出ないものがあるならばそれをお出し願いたいと思うのです。それから水防費の一億二千万の、これはまあ建設大臣のお手柄なんですね、ごいつがどのような形で交付されて、どのような面にこれが使われておるか、どういう材料を買つて手当をしておるか、水防活動というものに対する、もう恐らく指示されておるだろうと思うのです。その場合はどの府県にどういうものを出し……、これは恐らく建設大臣は岩手県にはお持ちにならないと思います。持つて行つても何もないんですから。今までの大臣は自分の村に何億という金を持つて行つておりますが、これは建設大臣はなさらないと思います。これを資料としてお出し願いたいと思います。
○石川榮一君 昭和三十年度の予算編成ももうそろそろ御準備なさつていらつしやると思いますが、治山治水根本対策として樹立した十カ年計画の予算というものと睨み合わせての三十年度の建設省、特に治山治水に関する予算要求の大綱につきましてもうすでに省議等で御研究になつていらつしやいますかどうか、若しいらつしやるとすれば大体の構想だけでも伺いたいと思います。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 御承知の通り昨年から治山治水協議会ができまして、その大体結論は、日本を水害から免れさせようとするには一兆八千億要るんだということは御承知の通りですが、これを十年計画でやると年に一千八百億ずつ組まなくちやならないことになるのでありますが、とてもこれだけの予算は一兆円の枠内で組む予算では実行不可能だと思つております。従つてまだ予算の編成……、今日予算の話が閣議で漸く、それも雑談的な話があつただけで、まだ予算の編成の準備をいたしておりません。従つて大綱も閣議でも決定いたしておりませんが、ただ私の気持では、何とかして治山治水協議会の結論をそのまま、十カ年などということはそれはとてもできませんが、いわゆるプラス・アルフアーだけでも協力したいという心組みでおります。併しながら今省内でも省議としても何も取上げておりませんので、やはりそうした時期には又具体的にお話ができると思います。
○石川榮一君 大体その程度と思いますが、一兆八千億という厖大の予算を十カ年でこなすことは私もなかなか困難であることを承知します。そこで第一期工事、第二期工事と分類せられまして、第三期工事でも結構ですが、仮に二十年かかるという構想を持つている場合に、五カ年間でこの程度やり、次の五カ年にはこの程度、次の十カ年にはこの程度という段階をきめまして、重要性を御研究されまして案を立てて頂きたい。そして現在の予算効果が、プラス・アルフアーに少し力を入れましたならばそういう計画的なものができると思いますが、そういう観点について御研究を願いたいと思うことが一つ。 それから財源的に一つ申上げてみたいのですが、今アメリカから来ております世界銀行の調査団或いはFOA或いは小麦の見返り資金というような問題があるようでありますが、主として食糧増産の面に取上げまして、愛知用水或いは北海道のデルタ地帯、八郎潟の干拓計画これも結構でありますが、これは積極面の食糧増産、消極面は、消極面と言つては失礼ですが、河川がこの通り荒れておりますので、年々大きな既墾地が荒廃するわけです。従いまして効率はむしろ災害復旧、要するに治山治水に重点を置いた予算を組まれるほうが的確な増産とは言いませんが、勿論増産もありますけれども、災害を防止する観点から食糧を確保するという狙いがあると思う。今のまうな財政規模でありましては、いつまでたちましても恐らく見通しのつくような治山治水計画は立たないと思いますが、そこで世界銀行は別といたしまして、いわゆる米国からの特別の援助による小麦の買付円資金の回収による見返り資金とでも言いますか、これが明年度当りは相当殖えるような様子を新聞で見ております。幸いに新聞のような一億ドルも買入れるというようなことになりますれば相当の金額になりますけれども、この面から治山治水の重要なものを取上げられまして、特に食糧増産に米国が重点を置くならば、食糧増産に寄与し得るような治山治水、利水計画を一応の特定地域に投入されるように建設省が指導的に御尽力を願う必要があるのではないかと思います。林省の食糧増産にのみ目を奪われるということは非常に遺憾だと思う。それらのものを建設省の治山治水計画に、特に食糧増産に関係を持つものに重点的にそれらの金を投入し得るようなお考えを願いまして、閣議決定で御主張になつて実現をしてもらいたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 第一段の御意見に対しては、私も大体石川君とそう違わない考えを持つております。 第二段の問題は、これはかなり実際問題として、私の知つた範囲では困難だと思いますが、併し御趣旨のほどを体しまして十分努力いたします。
○石川榮一君 これは別の問題ですが、前国会で水道法が上程されました。衆議院で先議いたしております。これは所管が建設省であるべきものでありますけれども、厚生委員会と我々は合同委員会を持つて、建設行政の立場から水道法の批判検討を加えており、継続審議中であります。あの水道法は建設省と厚生省等が合意の上でできたものだということを大体聞いておるのですが、真に会議が成立つて拘るのかどうか。我々建設委員会といたしましては非常に不満が多いわけです。ですからこの水道法に関する厚生省と建設省との話合いができたとすれば、そのできた経過を伺つておきたいと思います。いずれ次の国会にはその水道法をめぐりまして厚生委員会を中心として論議が進められると思うのですが、これに対して多少のことはかまいませんから、建設省の立場からあの水道法の大体の筋書がよろしいというならそれでも結構、いけないというのならばそれでも結構、その点を一応御発表願いたいと思います。
○三浦辰雄君 今の石川委員の水道法の問題ですが、これは前国会の期限も延長に入つたあとで、たまたま建設大臣が御病気でおられない際に出まして、その際建設、厚生のいわゆる責任大臣は、建設はおられませんでしたが、いろいろとそこで論議、審議をしたわけです。我々としては、他の省等に跨つている問題は成るべく簡素にして、国民の便益になるということならこれは結構です。ところが一面書いてあるものは、これは見える節もありますけれども、大事な点は政令、省令に譲つているのです。然らば果して便利のために単一化する、簡便にするかどうかということのためには、その政令を一つどういうふうな考え方であるかということが出ないとさつぱりわからないから、それを見せてくれということになりますと、おそばにおる主税局長と厚生省の環境衛生部長の楠本君との間にどうもなかなか、はたから見ていてもその場で打合をせしているがごときものであつて決してこれは問題の種を下に下したということだけであつて、むしろ国民から言えば不便だ。こういう感じさえ受けたために、非常に当建設委員会としては問題として残つているわけです。そこで大臣御就任されて、いずれ前大臣の方針についても十分尊重もされ、検討もされるでしようが、国民に非常に関係する水道法を簡易化のために一つ是非、私は出したものを引込めるというわけに行かないならば、止むを得ないから、政令等において十分国民の便益になるように、簡素になるように御検討願いたいと思いますが、それをも含めて、今石川委員に対するお答えの中に入れて頂きたいのです。
○国務大臣(小澤佐重喜君) この問題は実は私が大声としてでなく、議員として、いろいろ問題があつたことはよく承知いたしております。又建設省を主たる所管にするか、厚生省を主たる所管にするかということは、自由党内でも問題が相当あつたのであります。就任いたしましてから、概要は承わつておりますけれども、今直ちに具体的にどうこうするというまだ結論を得ておりません。やがて適当な御審議を願うまでには只今の御意見等を尊重しながら決意をきめて行きたいと思つております。
○田中一君 官房長にお願いしたいのですが、資料を一つ出して頂きたい。各省の、公社も含めまして、入札の形式の資料を出して下さい。
○委員長(堀木鎌三君) これから予定では、この間お聞きしたあとの過年度災害の復旧状況なり、二十九年度の災害発生に関する御説明を建設省から徴することになつて、お手許に資料が行つているのでありますが、如何いたしますか。この際簡単にお聞きしておきましようか、それともこの次開きましようか。
○三浦辰雄君 これは大体読めば或る程度わかりますし、読んだ結果どうするかという問題は次の機会にお譲り願つたらどうかと思いますが。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(堀木鎌三君) それでは本日の会議はこれを以て、終了いたします。 午後四時四十分散会