建設・水産連合委員会 第2号
- 発言数
- 183 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1954/05/25
会議録
○委員長(深川タマヱ君) それでは只今より建設、水産連合委員会を開会いたします。 前回に引続きまして日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案につきまして審議を進めたいと存じます。 本日御出席の政府委員は、小瀧外務政務次官、山内調達庁総務部長、山中調達庁不動産部長、安川外務省国際協力局第三課長、鈴木調達庁不動産部企画課長でございますが、間もなく福島調達庁長官も到着される予定になつております。 前回に引続きまして御質疑のおありのかたは順次御発言願います。
○秋山俊一郎君 外務当局のかたにお尋ねいたしますが、前回の連合委員会におきまして、下田条約局長の御発言の中に、この補償の金については日本国で賄うのだというような御発言があつたように私は承わつたのであります。今速記録をと思つて調べさせましたが、まだでき上つていないというので、我々の記憶によつてお尋ねいたしますが、これは下田条約局長の発言が何か物足りない、言葉の中に足りない点があつたのじやないかというふうに考えますが、その点如何でございますか。アメリカとの問題につきましては、合衆国からその費用を一部出して、日本からも出してやつている。ところが連合国に対してはそういうことなしに、日本で出しているというこには我々には受取れない。何か行き違いがあるのじやないかと思いますが、その点を明確にして頂きたいと思います。
○政府委員(小滝彬君) 国連軍との関係はこの協定の十五条に規律せられております。これによりまするというと、日本国政府が政府の所有する施設は無償で提出されるという趣旨が出ておりまするけれども、その他の経費はこの協定の存続期間中日本国に負担をかけないで同軍隊が負担しなければならないということになつておりますので、国有財産以外のもので特に費用のかかるもの、又補償を要するというような場合には、この協定に関しまする限り国連軍のほうで負担しなければなりない建前であります。但し米軍との関係におきましては、行政協定の二十五条の第二項のaというところによりまして、日本のほうがこれを提供することになつておりますから、この補償も日本政府が最終的に負担する。併し国連軍に関する限りは、この十五条によつて日本は請求する権利があるわけであります。但し今御審議になつておりまする協定そのものから言えば、いわば一応日本政府の立場において関係者に支払うことになるのでありましようが、併し今度は政府と国連軍との関係におきましては、向うに支払わせるという建前で現に交渉いたしておるような次第であります。
○秋山俊一郎君 それでよくわかりました。当然さようにならなければならないものだと考えております。その点はそれで私わかりましたが、次にこの付則の二項のうちに四頁の初めに「第一条中『日本国内及びその附近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍』云々とありますが、この附近というのはどの辺を指して言つているのか。今回この法律ではこの「附近」をとるということになつておるのです。ところが昨日まで我々いろいろ調達庁当局とも審議をしたのでありますが、どうもそこが明確を欠いているために、これをこの法案通りとつていいものか悪いものかという判断がつかないでいるのですか、「附近に配備された」というのは、配備されるということでありますから、どの辺に配備されたのか、私どもの常識から考えますと、沖繩或いは小笠原又は朝鮮等の日本の附近に配備されている軍隊である、こういうふうに我々は常識的に解釈をしているのでありますが、調達庁当局では、そうではないのだ、然らばどこだと言つて見ると、それが甚だ不明確だ、この点を実は条約局長にお尋ねしようと思つておいでを願つたのですけれども、お見えになつておりませんが、御当局のほうから、この点を一つ御説明願いたいと思います。
○政府委員(小滝彬君) 只今条約局長は外務委員会のほうにおりますので、私から御説明申上げます。この「附近」という字は安保条約に出ております英語のアバウトというのを訳した言葉でありますが、厳格な解釈は存在しているわけではございません。但し今御指摘になりましたように、小笠原、琉球というような所は、これは日本国の領土ではあるけれども、立法、司法、行政権の行使していない所でありますので、日本との条約においてはそうした点が規定せられるべきはずはないということになりますから、この「附近」というのは、結局日本国の領土であつて、そうして而も立法、司法、行政権の行使し得る領土及び領海或いは近接したる地域、そうなると、結局日本の領海に接した公海ということを意味しているというようなふうに内容的には解釈されるわけであります。島があれば、その島が日本国の行政、司法、立法権の行われる三海里はやはり日本の領土、日本国でありますからして、その附近ということになれば、結局それに接続したところの地域ということになると、附近の公海、これは正式に法律論からいたしますならば、規定する必要はないということも言われるでありましよう。公海自由の原則というようなものから、そうも言えますが、危険が生ずる場合もあるし、日本人の経済活動、社会活動、いろいろな面に非常に重大なる関係があるから、特に「附近」という字を加えたものであつて、その極めて近くに海軍の軍艦がいるというような場合には、日本にも非常に重大な関係があるから、こうした「附近」という字が設けられていると私ども解釈しております。ただ併し今御審議中の法案につきまして「附近」を取つてもいいとか悪いとかいうことは、調達庁が所管している問題でありますから、調達庁から答弁せられたら然るべきだと思います。
○秋山俊一郎君 私どものお尋ねしているのは、これを取るか残すかということにあるのであつて、その「附近」というものの意義が明確でなければ、取ることもできなければ、置いておくこともできないということになるわけで、そこのところをお尋ねしているわけであります。今お話のように、この日本の国内の近くでもつて演習するとか何とかいうことではなしに、ここにはその辺に配備された軍隊と、こうなつている。そうすると、その公海に持つて行つて配備されている軍隊というような事実が今までありましたか。どういうことを考えたらいいのでしよう。
○政府委員(小滝彬君) 陸軍に関してはそういう場合はないと思いますが、海軍、空軍につきましては配備という言葉は或いは不適当かも知れませんが、行動の中心地区がそういうところにあるということはあり得ることと考えます。
○千田正君 関連して。今イン・アンド・アバウトですね、この問題はあなたのほうのイン・アンド・アバウトンいうことは附近と解釈しても、それはどういうことを言うのですか。日本の領土に接近したいわゆる場所とこういうことにすれば、今の秋山委員の質問のような非常に解釈が断定を下すのに迷わざるを得なくなつて来る。例えば沖繩或いは小笠原島であるとか、こういうようなところに米軍の艦隊の配置があつて、そして日本の近海において演習された場合における損害とか、そういう問題が起きて来る。そのイン・アンド・アバウトの解釈はあなたのほうはどういうふうに解釈しているのですか。
○政府委員(小滝彬君) 只今私の説明が徹底しなかつたかも知れませんが、只今申上げますように日本の領土、領海に近接した区域即ち現実の実際の問題として言えば、その附近の公海というように解釈しておる次第であります。
○千田正君 例えば朝鮮に派遣されておつた駐留軍の軍隊が休暇を得て日本に飛んで来たと、仮にですね、そういう場合は日本駐留軍ということになつてしまう。
○政府委員(小滝彬君) もともと朝鮮における作戦に協力するという意味で、この協定もできておりまするから、当然朝鮮から帰つて来てこつちで休養している軍隊も、これでカバーするし、むしろそのほうが実体をなしているわけであります。
○千田正君 だからそこが我々としては判断に苦しむ点なんですね。朝鮮に例えば、主として条約には朝鮮の問題が含まれておりますが、朝鮮に配置されておつた軍隊が、海軍と、言わず、空軍と言わず、これはいわめるイン・アンド・アバウトの範疇に入るのかどうか。
○政府委員(小滝彬君) この朝鮮の軍隊の行動というようなことは別個に出ておりまするので、その点から見ましても、この「附近」という言葉に朝鮮が含むということは考えられないのであつて、私どもは先ほど申しましたような解釈で、進んでおるわけであります。
○秋山俊一郎君 この法律はアメリカ合衆国との条約乃至協定によつてまあできるわけなんです。従つてアメリカの軍隊が小笠原におろうと沖縄におろうと、その軍隊が日本の領土内、或いは近海に来て仕事をする、いろいろな演習をするという場合を、これで規律できないはずはないと思う、アメリカ合衆国とのあれですから、で、先ほど政務次官のお話のこれは、日本の領土の外におるものであるから、それに対して何らこの法律は拘束できないというお話でありますけれども、そういう性格のものでないと私は思う。従つてこの「附近」というのは小笠原とか沖繩とか、広く言えば朝鮮も含めたものが「附近」と解釈されるのではないかと思うのですが、附近に配備された軍隊が、日本の領土乃至その附近に来てやつた行動に対する補償ですから、それに対して、日本がアメリカ軍に対しては、沖繩におるものが日本に来ても、何ともならないということはないと思う。
○政府委員(小滝彬君) 私どもの今までの解釈及びこれまでの取扱いから考えましても、沖縄におる軍隊がその附近におる軍隊であるからそれに関してこの法律で律するというのではなしに、日本に入つて来た際に初めてこの法律で律せられると、いろいろな契約などもそのように取扱つておるようでありますが、向うから通報を受けまして、こちらへ来るとか、こちらで注文するとかいうようなことで、その契約がこちらで行われるというときにおいて、行政協定或いは今度の協定というものによつて取計らいが行われまするので、そうした面から見ましても、その「附近」というものが直ちに沖縄を含んでおつて、そうして沖繩に配置されたアメリカ軍隊に関係のあることは、直ちに行政協定によつて律せられるかということは、そういう関係にはなつておりませんので、先ほど申上げましたような解釈が我々のとつておる解釈と了承願いたいと思います。
○千田正君 そこが疑問なんですね。いわゆるあなたのおつしやる日本の領土及びその附近と、日本の領土ということに対しては、あなたの今のお説の通り向うから日本の領土、例えば領海三哩なり六哩なりヘアメリカの東洋艦隊なら東洋艦隊が来て演習をする、日本の領海附近においてやるから、これによつて損害を生ずるというような場合は、向うの通告によつてお互いに話合うことができる、併し、それでは日本の領土及びその附近、イン・アンド・アバウトというものは、それではどこを指して言うのか、あなたの理論から言えば、我々もそう考えたいのですが、日本の領土とこれははつきりわかつておるのですから、そうすると、イン・アンド・アバウトというのは、一体どこを指しておるのか、例えば沖縄に滞在しておるところのアメリカの東洋艦隊が、九州沖において演習をする、そういう場合において、沖縄というものは日本の領土並びにその附近に配置された軍隊でなければならない。そういう考えも成り立つと思うが、その観点はどうなのですか。
○政府委員(小滝彬君) まあ千田さんのおつしやるような考えも出て来るわけでありますけれども、再三申上げておりまするように、これまで有権的解釈といいますか、実際に実務をとつておるほうで解釈をして来たその解釈、解釈して来た意味及び先方ともそういう立場で話合いをして来た点から申しますと、九州の沖へ沖繩から軍隊が来た場合は、その通告も受けるし、そして、その来たところの場所、九州沖、その附近の海に来た場合において、初めてこの日本国内及びその附近に配備されたアメリカの軍隊というように解釈して、今まで来ておる次第であります。
○千田正君 もう一点。それからもう一つ、これはあとからほかの委員からも今の問題について質問があるかも知れませんが、もう一点聞いておきたいのは、これは、陸上の問題も同じことになると思いますが、将来恐らく防衛庁というのはできるだろうが、いわゆる陸海空軍の三軍が、日本の空軍なり或いは海軍なり或いは陸軍なりと共同によつて、共同の演習によつて生じたところの損害はどうですか。この法案の中にまだ謳われておりませんが、その限定がはつきりしておらない。これは一体どういう分担方式をやるかということです。
○政府委員(小滝彬君) 或いは将来そうした問題も起ろうかと存じまするが、今度の自衛隊法の一部にもそうした問題が盛られておるように承知いたしておりますが、まだ具体的にどういうようにするかということは決定いたしておりません。
○青山正一君 この問題は、まだ私どもは納得行かない点が相当多いわけです。で、これは改めて、政府のほうで少し意見の一致をさして、そうして水産委員会の席上においてはつきりとした統一した意見を一つ吐いて頂くことこして、もうほかの質問のほうへ進んで行つて頂きたいと思います。まだ私どもは納得行きませんから……。
○政府委員(小滝彬君) この問題につきましては、勿論今後審議せられるのは御自由でございますけれども、申上げておきたいことは、今申しました解釈は条約局長も同様でありまするし、調達庁のほうでもそういうように考えてやつて来ておりますので、少くとも「附近」という字の解釈につきましては、政府間には意見が一致しておるものであるということを特にお許しを得まして発言をいたしておきたいと思います。
○森崎隆君 この附則の二項の、今の「附近」ですね、これをこういうように改めた理由をもつと具体的に、一遍説明し直してくれませんか。どうもはつきりしないのですね、どういう必要があつてこう改めたのか。で、現状のままではどういう点がいけないのか、さつきの政務次官の話では、私ちよつと感じたのでは、そういうお話だつたら、又置いておかなければならないのじやないかという印象を深めたわけです。そうすると、何が何やらわからない。もつと悪く考えると、アメリカが除けろと言つたから除けるといつたような、そういう錯覚が起き易い。そうしてどうしてこれは改める必要があるのか、従来どういうところにこれが入つていたから削除したのか、そうしてこれを除けるのはどういう理由かということを、具体的に政府の見解は一致しているというのでございますから、一致した見解に基く理由、改めなければならんところ、そこをはつきり初めから白紙に帰つて御説明をして頂きたい、どなたからでも……。
○政府委員(山中一朗君) 今回提案申上げました日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案の附則に「日本国内及びその附近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍」というこの字句を「日本国に駐留する」軍隊と改めましたのは、結局「陸軍、海軍又は空軍」というようなのを「軍隊」に改めると共に「その附近」を削除したのでありますが、「その附近」を削除したのは、我々が現在まで取扱いました特別損失補償法の案件の実態から見ましても、又将来軍隊の行為によるところの行動半径が国内に、大体「国内及びその附近」と申しておりますが、国内における施設或いは演習条件その他のものの協定に限られている関係から、将来も「その附近」というものに特別損失は発生しないのじやないかという関係で、実質的には「附近に配備された軍隊」と申すのも「日本国に駐留する」軍隊と申すのも何ら差異がない、従つて軍隊の範囲を縮小する意図でも何でもないという関係から、一応字句の整理として、これを削除したわけであります。
○千田正君 今の部長の説明を聞くと、日米協定におけるところの条約のその成文にあるところの日本の国内及びその附近という「その附近」を、この法律によつて削除するということは、我々は常識上考えられないのであつて、これはよほどしつかりしてもらわないというと、この問題は解決できないと思うのですがね。
○青山正一君 今一点は、千田さんのおつしやつたほかに、今一点考えられることは、先ほど外務政務次官の説明とちよつと相反する場面が非常に多いわけです。例えば小笠原の軍隊或いは沖繩の軍隊或いは朝鮮の軍隊が、先ず現在まではそういうことはなかつたとしましても、将来日本の内地に上陸、演習をやる、或いはそこで砲弾射撃の演習でもやるというような場合において、将来漁業に及ぼす影響があり得ると仮定しなければならんと思うのです。そうすると、現在までこういうものはなかつた、だから将来もないだろうから、これを削除するという理由は僕は成立たんと思うのです。その点について御意見を一つ承わりたいと思います。
○小笠原二三男君 関連して私も一つ、今の部長がおつしやるようなら、私は内容は今千田君と青山君が言うた通りで何も触れませんが、立法論としておかしいじやないですか。これは国連軍のこの補償の問題に、この駐留軍の法律を適用させようというために出て来ておる法律ですね。ところが今あなたが言う附則においてアメリカ軍隊の特別損失の補償に関する法律を今のように直すということは、この母法のほうを直すということは、この法律に何ら関連のないことじやないか。何ら関係のないものを附則で直すということは立法論からいうて疑義がある、私たちとして……。それならばあなたの今の立論からいうならば、初めから日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律の一部改正法律案というものを出してやるべきじやないですか。内容のほうは言いませんよ。何でこの法律に関連してこういうものを直して来るのか。この法律には全然関連のないことですよ、あなたの言うことは……。立法論からいつてもおかしい。そんないんちきなことをやつて、附則で他の法律をずたずたと勝手に関連もなしに直されたならたまつたものじやない。私はそういう点についても関連してお尋ねしておきたい。
○政府委員(山中一朗君) 只今青山委員の御質問でありまするが、我々のほうの解釈といたしましては、例えば小笠原に例をとりまして、小笠原におる軍隊を仮定いたしまして、それが日本の我々の取扱つておりますところの合同会議を通じましたところの演習というものを行う場合には、大体においてその日本の領土権の範囲内であります。領土権と申しますか、統治権の範囲内のところについての協定が取結ばれるわけでありまして、従いまして、そのときにその合意に基くところのいろいろな演習の地域とか、期間とか、行動の状態というものが、すべて通告されるわけであります。従いましてその場合には我々といたしましては、駐留軍としての行動として取扱つておるわけであります。従いましてその関係につきましては、準国内としての取扱いをやつて差支えないのじやないか、こういうように考えておるわけであります。 小笠原委員の立法趣旨の問題でございまするが、この問題は我々も一応議論したわけであります。特別損失補償法が御承知のように駐留軍に関係のある、関連している法律であるということには間違いないのでありまするが、本法律案におきましても、本文に入れずに附則に入れたと申すのは、これは必ずしも伴うものじやないのじやないか、関連した法律だからというので、こういうふうに附則というところで国連協定の適用につきましても、特に附則にこういうふうに謳つてありまして、この関係につきましては、伴うものであるか或いはそれに関連するものであるかということにつきまして、相当議論した結果こうなつておるわけであります。
○小笠原二三男君 相当議論した結果そうなつておるということですが、結論だけそうなつておるといわれたつて、私の質問に関してはどうしても了承できない。なぜこういうふうに附則でこの法を改正していいかという根拠を示してもらいたい。あなたの立論からは、そういう根拠が出ない。私申上げているのは何にも国連軍の補償の問題に関係がないのです。基本法としての、母法としての考え方が変つて来たから直そうというのです、あなたのほうは……。それならばこれは単独に改正法案を出すべきなんで、こんなものに絡んで来て附則でこれを改正するなんということはできないことだと私は思つておる。
○森崎隆君 これは今小笠原さんから申された点があると思うのです。この法律で改正するのは、これは別だ。今のこのイン・アンド・アバウトというものをのける、のけるのには相当の理由があると思う。その理由が提案理由の説明書について、これは別に、この際、こういう必要で「その附近」というものはのけますという改正法案は独立に出なければならん。これを改正するということは、どこにその法律案全体に関連があるかといえば全然関連がない。これははつきり別個に取扱わなければならん。だからその点をはつきりしなければならんし、又のけるかのけないかということは、非常に重大なところであり、水産委員会の委員各位が非常にこれに関心を持つておるわけです。その関心を持つだけに、これは単独の、改正立法としてでなく、別に、この法律案に絡ませないで、悪くいえばこんなごまかしのようなことはしないで、堂々とこういう理由だという理由を附して、「この附近」はのけますということを簡単な法律改正ですから、別に出して頂きたい。その点私は全く反対なんです。理由を聞きたいのはそこなんです。どういう理由でこれをのけなければならないかということが、どうもそこがはつきりしない。隣の家へ見舞に行つたというのは非常に結構ですが、見舞に行つたついでに隣りの家のびわをち切つて来たというのでは何にもならん。びわをもらうならはつきり言つてもらいなさいということなんです。ついでにというのでは全然お見舞と関係がない。それをついでにくつつけることはどうも何かとんでもないことがあるのじやないかとみんな心配するわけです。そこのところをはつきり説明して頂ければいいのですが、この法律案の題名通りならば、あなたの御答弁がなかなかむずかしい御説明で、複雑難解になつているので、もつとこれは筋の通つたすつきりした御答弁がほしいというのが我々の希望なんです。その上に余計ですが、いろいろ先だつてのどなたでしたか、条約局長の御発言、又今日の政務次官の御発言全体の中に、どうも一致しない点があるのですね、逆に言つた場合いろいろな……。
○政府委員(小滝彬君) 一致しない点があるというお叱りでありますが、私からも私の承知しているところを申上げます。この変えました趣旨は、実質を変えようというのではなくして、条文を整理しようという趣旨でやつたようでありますが、特に「附近」というような字が出ておりますと、委員の皆さんから御指摘のように、小笠原を含んでいるのじやないかというので、又それに関連したこちらのほうで取計らいにくいような問題までも陳情して見えるというような点もあるので、実質を変えるというのでなくして、この特損に関する限りは「附近」という字がなくても、十分措置し得るという確信の下に、この条文を整理したようであります。なお、調達庁の長官も参りましたから、又御答弁申上げます。
○小笠原二三男君 私建設委員ですから水産委員のかたにこれは御質問願えばいいのですが、政務次官はただ条文の形式的な整理だというように言つてありますが、それも政府の統一した見解ですか。
○政府委員(小滝彬君) その通りであります。
○小笠原二三男君 あなたが今言つた言葉の中にもありましたが、いろいろな陳情があつたり、取扱いにくかつたりしたというので、そういうことに困つた結果、一切これがないほうが政府としては扱いいいというところに根拠があるということになるのじやないですか。そうすると、これは形式上の整理でなくて、内容があつて整理したほうがいいということなんだと私は思うのです。形式的な条文の整理だつて言いますけれども、私その点納得が行かないのです。困ることがあるから、こうしたんじやないか。
○政府委員(小滝彬君) それは小笠原委員の気持はわかりまするけれども、先ほど「附近」という意味を説明したつもりであります。然りとすれば小笠原は含まないということはわかつて頂けたと思います。その際それにもかかわらず、用語の関係でそういう誤解を生ずるから、そういう誤解のないようにしようというのであつて、実質を変えるのでなしに、実質は飽くまでも同じことであるれけども、そういう誤解を生じないようにしたほうが適当であるという見解によるものでありまして、決して実質の問題ではなしに、そうした聞違つた解釈を行わないように、はつきりさせようという意味であつて、私は実質を変えるのじやないと確信しております。
○小笠原二三男君 それじや政務次官にはそう聞いておきます。それで主管しておられる長官に改めてお尋ねしますが、この附則においてアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律の第一条の「附近」というのを削除した理由は何であるか。而もその削除することを本文に盛り込んだ理由はどこにあるのか。この法案に他の母法となるべき法律のこの主要なる第一条を修正して来たのはどういうことなのか、その点を伺いたい。只今は傍系のほうの次官のほうから、政府の統一した見解だということを聞いたんですが、当面の責任者から一つお伺いします。
○政府委員(福島愼太郎君) この問題は外務政務次官からお答えになりました通りでございますが、実質的には用語の変化は何ら関係はないわけでございます。ただ「附近」と申しますことが、「附近」と申しましても、「附近」という字を用いれば、それならばどこからどこまでというような問題も別に発生もいたしますので、むしろこれがなくても、実質的に変化させる意図がない以上、又そういう解釈もできる以上、ないほうが明確であろうかということが動機になつたのでございますが、飽くまで実質的には「附近」という字がありましても、又なくなりましても、事務の取扱いに変化はないわけでございますので、御了承を頂きたいと思います。
○小笠原二三男君 実質的に変化がないし、変化がないように取扱えるというんですが、私ちつともわからない。外務政務次官のおつしやる言葉でも、日本国領土、その附近の三マイルの領海、その附近の公海なんだ、こういうことを言つておるんですが、これがなくなれば、はつきり日本国に駐留するということになるわけです。日本国に駐留するということで、その広汎な公海を含む附近という、そういう範囲の問題について補償のことが可能になつて来るかどうか、その点が私にはわからん、言葉は変つても……。長官にお尋ねしているんです。
○秋山俊一郎君 いろいろ御質問が交されておりますが、この特損法に限つて「附近」という字を取るのであつて、その他の基本条約或いは漁船の制限に関する法律、それにはすべて「附近」というのが残つておる。それで特にこの特損に限つて、これを取つてしまわなければならんというところに、私どもは非常な疑問があるわけなんですね。
○千田正君 関連して……。秋山委員の言う通り、これは併し外務省としても少くともイン・アンド・アバウトということを条約のうちに書いておるということは、日本の主権の主張を国際法上からいつて当然主張すべきものとして、これは条約の中に書いておるはずだ。そういう基本を事務的には何ら影響がないからというて、あなたがたがこの法律から字句を除くということは大体おかしいじやないですか。その点ははつきりしておいてもらいたい。
○政府委員(福島愼太郎君) お答え申上げます。日本国内及びその附近に配備された陸軍、海軍又は空軍と申しますのと、日本国に駐留する軍隊と申しますのと、特別損失の行為者としての軍隊の範囲は、実質的には差異がないと申上げたわけであります。従つて軍隊の範囲を縮小することにはならないと考えます。本法によつて改正いたしました理由は、日本国の附近に配備された軍隊の行為によつて損失を生ずることは過去においてなかつたわけでありますし、将来も予見することはできないわけであります。従つて附近に配備された軍隊の行為とありますと、日本国の統治権の範囲外に生じた損失をも補償するような疑義を生ずる慮れがありますので、その用語の整理として「附近に配備された」という字句を削除したわけであります。なお、漁船の操業制限法におきましては領海外における水面の操業制限もありますので、「附近に配備された」という字句を削除してないわけであります。
○石川榮一君 関連して伺いますが、「附近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍・海軍又は空軍」とはつきりしておりますが、これは私は恐らく少くとも日本に駐留する合衆国軍隊並びに国際連合の軍隊というものは今朝鮮で交戦をしておるわけです。休戦はしておりますが、交戦状態であつて、いつ何時合同委を持たずして、日本の近海に出没する或いは通過する或いは射撃をするということはあり得ると思う。そういうような場合を予想して、こういうものを作つておいたのではないかと思う。若し将来こういう事態が起つて、小笠原或いは沖繩方面から来るところの米軍が、朝鮮の戦争が再開されて激しくなつて来た、或いは東洋において激しく波瀾を呼んだという場合を予想した場合に、そういう損害はこれから除くということになりますか、その点はどうですか。でありますから、私は恐らく「附近に配備された」という字句は重要な事項だと思う。将来そういうことはあり得る。駐留といいますけれども、駐留じやない。交戦国の軍隊である。而も戦争をしておる。ですからそういう事態は今までなくても、これからあり得る、こういうのです。でありますからこれを除くということになりますと、それらの沖繩とか、小笠原等から発するところの海軍、空軍、陸軍等が、日本の近海において漁業その他に損害を与えた場合には、何ら補償する必要はないということになるのですか、その点をお伺いしたい。
○政府委員(福島愼太郎君) その点につきましては、これが日本の近海において戦闘行為ということになりますと、その点は先方の戦闘行為による損害ということにつきましては、この法律はカバーしてないということになるのではないかと思いますけれども、アメリカ軍の直接行為によります損害になりますれば、十八条に基く損害の補償ということになります。間接の特別損失補償法とは違うことになるであろうと思います。
○石川榮一君 それはそうなれば、戦争状態の場合は別なものということでいいといたしましても、戦争状態は現実にあるわけです。合同委を持たずして、日本に何らの通報することなくして、火急な場合には、要するに本当の交戦にならなくても、そういう場合があり得ると思う。そういうような場合に、これを適用しようとしてできておるのではないかと思うのですが、それをしも削つて行くということになつて、日本国がどれほど利益しますかどうか。そういうようなことが、仮になかつたらいいのですが、あつた場合が想像されるのですが、少くとも戦争でなくても、戦闘をやつているわけですから、その間の段階において、合同委を持つことができない、或いは日本に通報するようなことができないような場合には、随分日本の近海を軍艦が通り、或いは艦砲射撃をしなければならん事態が起るということもあり得ると思うのですが、そういうようなことを予想しておるのじやないかと思うのですが、どうですか。
○委員長(深川タマヱ君) 安川説明員の説明を聞くことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(深川タマヱ君) 安川説明員。
○説明員(安川壯君) 只今の御質問でございますが、普通米軍が日本の近海で演習その他の行動をいたしますときには、あらかじめこちらとの協定に基きまして、演習区域というのが定められておりますので、その区域の範囲内において、又定められた条件の範囲内において演習を行うわけでありまして、その場合の損害は、いわゆる漁業損害につきましては特別の損失補償とは別の、漁業の操業制限に関する法律で損害の補償をするわけでございます。それから米軍が日本側との合意に基いて提供した演習場以外で、仮に何らかの演習をやつたとか、或いは行動を起した、そのために日本の漁船なり、その他に損害を与えたという場合には、これは明瞭に日本側との協定に違反しておるわけでありますから、その場合には十八条三項に基きまして起りました損害については、不法行為ということで取扱いまして、結局その場合には全然特撮法或いは漁業制限法の範囲外で、向うがこちらとの約束に違反した場合には、行政協定の十八条三項に基きまして、不法行為として取扱う、従つて損害に対しては日本側が二五%負担しまして、先方が七五%負担する、これはいわば陸上におきまする公務上の一いろいろな公務用の自動車による交通事故とか、それと同様に不法行為として取扱われるものと考えております。但し戦闘行為、現実に戦闘があつて、戦闘行為に基く場合には日本政府と先方との間に関する限りは、こちらは請求できないことになつております。その場合には国内的の問題として全然別途に処理されるわけである、こういうふうに考えております。
○秋山俊一郎君 どうも今の御説明でまだ納得が行かないのですが、この特損法を見て行きますというと、第一条の第一項に「防潜網その他の水中工作物の設置若しくは維持、水面の利用上必要な施設であつて政令で定めるものの除去、損壊若しくは変更又は水質の汚毒、障がい物の遺棄その他水面の利用を著しく阻害する行為であつて政令で定めるもの、」そうすると、そういう演習によつて何を落つことして行くのかわからない、漁場へ持つて来て、ものを落して非常な漁場の損害になる、障害になるものを落つことす場合もありましよう。必らずしも戦争でなくても演習の場合もあるだろうと思います。又我が国の大事な漁場をこわして行くというようなこともありましよう。だからこれは全然予見できないということには行かないと私は思います。どうも今までなかつたから、今後必要でないという御意見に対しては、どうしても我々納得行かない点があるのでございます。何故これをおいておいたら工合が悪いのか、わざわざこれだけをのけなくても、おいておいてもいいのじやないかと思いますが、どうしてものはなければならん理由をもう一遍伺いたい。別にどうでもないようなものなら、わざわざ変えなくてもいいのじやないのですか。そういう疑念のあるものをわざわざのけなければならんという強い理由があるかどうか。再び聞くのでありますが、我々はそういうところに疑点があるのです。その理由がはつきりしていれば、我々は納得しますが、どうも今の説明じや納得が行かない。だからこれに限つて、これを取らなければならないという理由を、もう一つ明確にして頂きたい。
○政府委員(福島愼太郎君) 日本の近海で演習をいたしまして、どういうようなまあ弾を打込むかわからない、被害が起るかわからないという点につきましては、日本の近海どこでやりましても、演習の場合には一応施設区域として提供することになりますので、その際には使用条件等がはつきりいたしますので、如何なる演習を行うか、如何なる種類の弾を使用するか、爆弾を使用するかというようなことは、予めわかるわけでございまして、従いまして如何なる損害が起るか予見することはできないということはなかろうかと考えております。この特損法関係につきましてのみ附近という字を取らなければならない積極的な理由があるか、若しくはどういうはつきりした目的を持つてという御質問でございますが、その点は取らなければならない積極的理由とか、又は取つてどうしようという積極的意図とかいうものは、明瞭なものがあるわけではないのでございます。先ほど申上げました通り、ないほうが疑義を生じやすくない。日本国の統治権の範囲外に生じた損失をも補償するような疑義を生ずるということもありますので、ないほうが疑義が生ずることが少いというだけでございまして、これを取つてどうしようとか、どういう如何なる目的を持つて取つたかというほどの積極的な理由はないわけでございます。
○秋山俊一郎君 そういたしますと、この漁業の操業の制限又は禁止の場合も同じじやありませんか。これだつて向うから通報して日本政府と相談をして、その区域をきめてやるんだつたら、この法文もやはり「その附近」というのはのけたほうがいいので、これだけは残しておいて、片方はどうしてものはなければならんという理由がわからない。今の御説明であると、漁業の操業の禁止又は制限の場合だつて同じ理窟になりはしませんか。
○小笠原二三男君 長官から聞きなさい。これは基本的な大事なことですから、だらだら尋ねておつても解決しない。
○委員長(深川タマヱ君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
○委員長(深川タマヱ君) 速記起して下さい。
○千田正君 秋山委員のほうへはお答えないのですか。
○政府委員(福島愼太郎君) 特報関係のほうは先ほど申上げましたように「附近」という字がないほうが疑義を起し易くないという点で、「附近」という字がとれておりますが、漁業の制限に関しましては、必ずしも領海だけでなくて、制限区域や演習場の設定というものが、はみ出す場合もございますので、その領海以外にも漁業の制限をするという可能性もあるわけでございますから、「附近」という字があつたほうがいいということになります。
○秋山俊一郎君 長官は私どもの質問の趣旨をはき違えちやおりませんか。私どもはこの日本の国内又はその附近に駐留する軍隊の行為なんですよ。その附近を通るんですから、附近で演習するとか何とかいう問題じやないのですよ、問題は……。附近で演習するというのなら、それはそれでいいですよ。ところが配備された軍隊の行為によるものであつて、「その附近に配備された」の「その附近」をとつてしまうというのならば、「制限禁止」もとるべきで、同じですよ、理屈は……。附近で演習するとかせんとかいう問題じやないですよ、これは……。その点にまだ十分御納得が行かずに法文が出ていると私は思うから、もう少しその点御研究願わなければならんと思うのであります。
○政府委員(福島愼太郎君) 漁業の制限のほうは、制限いたします区域が、日本の領海、これに関連する水域ということに、これはどうしてもなるわけであります。併しながらそこに来て演習する部隊が日本の領域外といいますか、附近にいる部隊が来て演習するための水域ということになる。現在の何と申しますか、アルフアベツト地区のような問題が起りましたときに、漁業制限関係ではさような問題が起り得るわけであります。特損関係では間接的な損害でありますので、日本の半島以外におる軍隊の間接的損害というものを排除するということになるだろうと思います。
○秋山俊一郎君 そうなると先ほどの「附近」の定義から帰つて来なければならないことになりますが……。
○小笠原二三男君 外務政務次官は公海がその中に入るというのです、だから公海においても損害賠償は当然請求できるという観念に立つておる。あなたのほうはそれを排除する。おかしいじやないか。
○政府委員(福島愼太郎君) 今公海と申しましたのは、公海がはつきりしました漁業のできない区域を設定した場合に、漁業制限関係の方面で、それに基いて補償関係の問題が起り得ることを申上げたわけであります。
○千田正君 どうもさつぱりはつきりしない。
○委員長(深川タマヱ君) ちよつと速記をおやめ下さい。 〔速記中止〕
○委員長(深川タマヱ君) 速記を起して。 暫時休憩いたします。 午前零時四十八分休憩 ―――――・――――― 午後二時四十五分開会
○委員長(深川タマヱ君) それでは只今より水産建設連合委員会を再開いたします。 午前中に引続きまして、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案の御審議を願います。 御質疑のおありのかたは順次御発言願います。
○千田正君 調達庁長官に伺いますが、午前中の質疑の中に、この法案はやはり特損法は議定書に大した関係がないというお話でございましたが、この議定書に基くところの問題には全然触れなくてもいいという解釈でありますか。
○政府委員(福島愼太郎君) 特損法はその性格が例えば漁業制限に関する法律等とは若干違う点がございまして、その違う点と申しますのは、協定乃至条約に直接関連いたしません。日本側の、日本国の措置として国民の損害を補償するという内容になつております。又それの原因となりました外国軍隊の行為も、不法行為その他ではございませんので、正当な行為いわゆる無過失責任を日本国が国民のために補償するということになつております以上、条約乃至は協定に直接関連してでき上つた法律ではないというふうに申上げたつもりでございます。
○千田正君 その意味はわかりましたが、併しさつきの日本国並びに附近という問題を、附近を除去してはこの法の精神がまげられるような感じがするということは、やはりこの議定書その他によつて見ても、たとえそれが議定書がなかつたとしても、こういう問題は日本国の法令に基くという原則から言つても、日本の法律の中にはやはり条約によつてきめられた範囲を原則として定むべきであると我々は考えるのですが、それを除いたという意味は、どうもさつきはつきり答弁が、政府側で統一したお答えを頂かなかつたようでありますが、その点は午前と同じような持論を主張されるわけでありますか。
○政府委員(福島愼太郎君) 特損法を引用いたしました部分に、若しくは特損法の内容から「附近」という関係を削除いたしましたのは、これがあれば、法の精神がまげられるというほどの強い意味ではないのでございまして、ないほうが解釈がはつきりいたしはせんか。而も実態に関しては変化がないのではないかという見解に基きまして、「附近」という字をとつた案を作成いたしたわけでありますが、日本国並びにその附近に配備された軍隊ということになりますると、先ほどお話のありました通り、小笠原乃至は沖縄に配備する云々ということを、日本とアメリカとの間の条約協定で謳うわけもございませんで、それらではないということになりますと、日本の附近に配備する、配備した軍隊というのは、実際にどういう事例であろうかということを想像して見るわけです。ちよつと思い当らないわけなんです。強いて考えますれば、日本に駐留する軍隊でない。例えば軍艦が領海の附近、領海外で、而も附近という辺にかなり長い間碇泊しておるという関係でも想像するほかないわけになります。併しながら日本の附近に長く碇泊するというようなことになりますれば、それの演習その他の関係等、先方と交渉するということにもなりますのですが、いずれにいたしましても、日本国の附近に配備された軍隊というのは、具体的な事例としてどういうものがあるかということになりますと、さよう簡単に想像がつかないと申上げるほうが実情に近かろうかと思うのであります。従いまして、この特別損失法のほうは条約、協定と直接の関連を持つておりませんので、実態に近い表現のほうがよろしかろう、それは漁業制限の法律に対しても同じことが言えると思いますけれども、これは操業区域の問題等もありまするし、又これのほうは直接条約、協定に関連する法律でありますので、条約、協定の字句をそのまま使つておるということにいたしたわけでございます。
○千田正君 そこの根本のところが甚だ明確を欠くのでありまして、日本国並びにその附近というのは、恐らくこれは国際法上から見ても日本の権利を保持するという一つの布石としての条約であつたろうと思うのであります。それを単なるまあ事務的に言えば、何ら関係もない、大した問題も起らないのじやないか、将来も起る予想がないからというので、この法案に載せないということは、これはどうも我々は合点が行かないのであつて、初めからそうした基本法をきめておつた、いわゆる国際法的な日本の権利の主張という意味からきめておつたものを、何も関係がなさそうだからのけるというようなことでは我々はうなずかれない。そこでその点をはつきり外務当局とあなたがたのほうとで、政府の統一したお答えを我々は頂きたいと思うのであります。
○政府委員(福島愼太郎君) 国際法上の日本の権利の主張という問題は勿論あると考えるのでありますが、漁業制限に関する法律のほうは、そういう観点が多分にある面もあるかと思います。併しながら特損法のほうは、これに基きましてアメリカ側に補償を要求するわけでもございませんし、純然たる日本国内だけの問題でありまして、国際法上の権利を主張するために考えられた条約或いは協定の用語を踏襲するというたちのことにはならないのであろうと考えております。
○千田正君 それは現実においては国際法に触れないという、いわゆる国はそれを見てやるのだという考えだからといつても、行われるところの損害というものは、少くとも海外の、いわゆる日本国以外の軍隊によつて行われることであるから、そとはそれだからといつて消すということには我々は受取れないのです。それはお互いの議論の相違と言えばそれまでの話だけれども、少くとも私の考えから言えば、だからといつて基本的にきめられたものを、こういうような特損法という、早く言えば国内法みたいなものだから入れる必要はないというけれども、損害の発生する原因は、少くとも外国の軍隊であるというところに基本を置いた場合には、これは全然関係がないから要らないというわけには私は行かないと思う。これ以上のことは私は質問しません。
○政府委員(福島愼太郎君) 一言重ねて御説明申上げておきますと、国外に、領海外に起りました損害でも、外国の軍隊による不法行為の損害とか或いは直接の損害とか、これらは現在の特損法とは別問問でございまして、これらについて、これを入れるとか取消すとかいうようなことを、特損法は考えておるわけではございません。間接的にいわゆる特損として起つた問題のみを扱つているわけでございます。直接損害若しくは不法行為による損害というような問題に影響があるわけではございません。御了承頂きたいと思います。
○小笠原二三男君 簡単にお尋ねしておきたいのですが、長官が先ほど理由として挙げられた点は二、三点あつたようですが、その一つにこの法律に該当して特損を補償するようなそういう場合は余り今までにはなかつた、今後においても余りないというふうに予見せられるから、これを直すのだということでございましたが、今後においては余りないということを予見せられるということですが、それではあるということであれば、どういうものかどうか、やはり特例的な一部でも二部でもあるということだけは、やはり考えられる余地があるのですか。
○政府委員(福島愼太郎君) 日本国以外に、つまり附近に配備せられました外国の軍隊というものを、それを先ず以て想像するわけでございます。これがほかの国の問題では勿論ないということになりますると、どうしても公海ということになるわけでございます。公海に配備せられた外国の軍隊というのを想定いたすわけでございますが、公海の中に外国の軍隊が通るということは勿論ありましようが、それによつて漁船と衝突、その他の関係というものは、直接損害によつてカバーされるものであると思いますし、又それ以外に外国の軍艦が入つて参る公海ではありますが、問題が起れば不法行為という面もありましようが、間接的の損害が起るということ、又外国の軍隊が配備されるという関係は、今日までそういう事例もありませんでしたし、又ちよつと想像もつかないわけでございまして、理論上日本の領海ということになりますか、領海のすれすれの所に長く軍艦がおるということになりますれば、領海外といえども、演習とかそういつた意味の施設区域を設ける事例ができておりますので、当然施設区域その他の交渉が行われると思いますので、ほかの法律によつてカバーされることになりますので、公海上における間接損害ということに帰着いたしますが、これはちよつと想像がつかないという意味を申上げたわけでございます。
○小笠原二三男君 ちよつと想像がつかないということは現段階においてはあり得ないということですか。
○政府委員(福島愼太郎君) 公海上に起きました損害を、不法行為若しくは直接損害を、補償する直接損害という問題が存在いたしまする以上、間接損害という面でなければ補償が、問題が取扱い得ないという意味におきましては、あり得ないと考えております。
○小笠原二三男君 それが国際連合の軍隊についてもそういうことはあり得ないと、想像においてもあり得ないというふうにお考えですか。
○政府委員(福島愼太郎君) 国際連合の軍隊におきましても起りました損害を、損害が全然起らないという意味ではないのでございますが、起りました損害は必ずや直接の損害若しくは不法行為に該当するはずでありまして、特損法の考えておりますような間接的な損害にはならないものと考えております。
○小笠原二三男君 重ねてお尋ねいたしますが、アメリカ駐留軍の行動と、それから国連軍の東洋において突発的に何らかの事態が起つて行動する、国連軍の行動と共に、同じ条件で日本との間に直接の損害或いは不法なる損害、これらがカバーせられて、間接的なそういう損害はないと、そうはつきりお考えになつておられますか。
○政府委員(福島愼太郎君) 公海上に起きます事案につきましては、国連軍の軍隊若しくはアメリカの軍隊にいたしましても、これに関する関係は全然同じであると考えております。
○小笠原二三男君 そうすると、又振出しに戻りますが、これは最初の立法としては軽卒な文章、表現を用いた法律であつたと、こういうことになると思うのですが、そう了承してようしゆうございますか。
○政府委員(福島愼太郎君) 今になつて考えてみますると、特損法の関係では今日提案申上げておりますところの表現のほうが、多少疑義をなくす意味においてよろしいかと考えております。
○小笠原二三男君 その当時から、直接損害なり、不法な損害なりというものが補償せらるる途もはつきりあることがわかり、そうして間接の損害というものは「その附近に」云々という言葉では起り得ないということは、論理的にもはつきりしていたにもかかわらず、こういう法律を作つたということになりますと、我々が誤解するとか、疑惑を持つとかという前に、政府としては明らかに考えが足りなかつたのか、何の意味もない事項を立法化したのかと言われても止むを得ないことだと思うのですが、そういうふうに、先ず一歩つき進んで了解してよろしゆうございますか。
○政府委員(福島愼太郎君) まあ当時の立法に際しましての考え方というものは、私まだ存じないのでございますけれども、ただ今日から振返つて考えるだけでございますけれども、何の意味もない字句を入れたということに、それは言いようによりましては、或いはなるかとも存じますが、ただほかの法律、漁業制限の条約その他の字句を踏襲した関係もあると思いますが、申上げました通り、今日の事態において、これに関連する法律案がここにございますときには、今日まで実施しました経験に基きまして、疑義を多少でも明らかにしておくという努力をいたすほうがよろしかろうと考えた次第でございます。
○小笠原二三男君 もう一点角度を変えて伺いたいと存じますが、今から振り返るのでなくて、その当時においては、日本国内でない、その附近に、日本との協議によつて配備されるアメリカ軍隊があり得るであろうということを予見せられておつたのですか。
○政府委員(福島愼太郎君) この点は、先ほど申上げました通り、日本国でないとなりますと、而も外国のことに干渉はできないとなりますと、公海以外に方法はないのでございますが、公海に配備された軍隊というような関係は、恐らくその当時でも予見はしていなかつただろうと考えております。
○小笠原二三男君 外務省のほうのかたに伺います。同じことを………。
○説明員(安川壯君) 配備という言葉は、まあこれは狭義に解釈いたしますと、例えば陸上の兵舎に常駐的に駐屯しているというような観念から考えますと、公浮において軍隊が配備されるということはちよつと考えられないのでありますが、これは公海において、或る施設区域として演習場を認めるということ、或いは日本の近海の公海場を常時警備その他の目的で軍艦が遊弋するというようなことも、広い意味においては配備というように考えていいのじやないかと思います。その意味において、或いは演習場で演習を行うとか、或いは警備のために軍艦が遊弋するというようなことも、広い意味の配備と考えて、恐らく公海、日本近海における配備ということは、そういう意味の軍隊の行動というものを予想しているものだと私は解釈しております。
○小笠原二三男君 そういう意味にあなたが解釈したとしまして、この今問題になつております法律第一条にあるような配備の仕方はあり得る、演習その他の問題ではあり得るということになるのですね、あなたの言う配備という解釈では……。
○説明員(安川壯君) ちよつと御質問の趣旨がはつきり呑込めないのでありますが……。
○小笠原二三男君 いやはつきり申上げます。私は長官には、その当時において、その附近に配備される軍隊というものが将来あり得ると考えておられたのだろうかと尋ねたら、その当時においてはなかつたろうとおつしやる。そこであなたにお尋ねしたら、配備という語には、広い意味、或いは狭い意味があるが、まあ戦略上と申しますか、そういう立場での配備というような狭義の意味での場合はあり得ないだろうが、演習その他によつて附近の公海を使用する、こういうような場合はあり得るだろうし、そのことも又条約上は配備という言葉を以て表現されているのであろうと、こういう御返事に私受取つた。従つてそうだとすれば、元に戻つて、特損法におけるその附近に配備された駐留軍隊というものは、あなたの言う意味合においてはあり得るのだということになるのでしよう、とこう言うのですが……。
○説明員(安川壯君) 調達庁長官の申されました、配備ということは予想していなかつたということは、今まで私の言つた広義の意味の配備でなくて、狭義の意味で言われたものと私は了解しておりますので……。
○小笠原二三男君 私もそう思う。
○説明員(安川壯君) 当時この特損法ができるときにも、現実に公海上に演習場というものは、予想ばかりでなく、現実に存在しておつたのであります。又軍艦も任務によつて遊弋しておつた事態もあつたと私は思つております。但しそういう広義の意味の公海に配備された軍隊が、この特損法の対象になつておるような損害を生ずることがあつたかないか、或いはその当時予想されておつたかどうかということは又別個の問題であります。
○小笠原二三男君 そうすると、やはりこの第一条の文章にあるこの表現は、条約に基いて表現せられた文章であつて、日本国内及びその附近に配備されたアメリカの陸海空軍というものは、現にあつたし、あり得るのだ。で、問題はその場合において、直接損害、或いは不法な損害、不法な行為に基く損害、それ以外に間接的な損害があり得るだろうかということが一にかかつてこの第一条の問題にしわ寄せされて来ると思うのですね。それで今外務当局で言うように、演習のためのそれというのは漁業制限、その他の操業制限、その他のほうで、直接損害として完璧にこれは補償せられるということ、不法なるものは不法なものとしてこれは請求するということ、これはよくわかりましたが、その間にあるその間接の損害というものが、この演習なり、或いは国連軍、アメリカ軍艦が遊弋している、或いは通過する、どういう目的であろうが、そういう場合に請求はできない。又やむを得ない事態として、日本政府が損害賠償してやらなければならないような事態はないということが本当に言い切れるかどうか、この点だと思うのですね。私は将来において、本当に完璧にないということを言い切れますか。私は又もつと尋ねますが、一つでも、二つでもあり得るのだということであれば、こういう法律は残しておいたほうがいい、現行通り……。完璧にあり得ないのだというならば、無意味ですから、それはないほうがいい。ところがなくしたあとに何らか新らしい解釈によつて、その附近に配備された云々というのがあれば、補償はできたが、なくなつたから、もうこれは何とも法律の根拠がなくなつたので、手の施しようがないという事態が起つたときに、どうして下さるかということが、やはり関係の漁業なり、何なりに従事する国民としては、重大関心を持つところだと思うのですね。だからこの点は長官として我々は素人でよくわかりませんが、はつきりとしたことを言つてもらわなければ、こういうものがあればよかつたのだと思われる事態が仮に起つて来たとき、困つてしまう。国会としても困つてしまう。そこで先ほどから私は慎重な御答弁を要望しているのだと思うのですこの点どうですか。
○政府委員(福島愼太郎君) 海上で、つまり公海で云々の問題でございますから、海上で起る損害ということになりますが、当然船舶というものに、船舶にどうしても関連がなければ損害は一応起り得ない。従いまして全部これは直接損害がその船並びに関連するものに起るはずでありまして、それ以外に損害が起る陸上の場合でございますと、演習地として設定せられましたところで流した水が、遥かに遠くに行つて損害を起すという問題もあり得るのでありますが、海上における損害でありますので、直接損害が補償せられるということになりますれば、それで事態は救済し得るはずだと考えております。
○小笠原二三男君 じや私素人流に考えて、一例を申上げますが、公海と領海との間で適宜なる漁場であるというものが現にあるとする。そこでまぐろのはえなわだの何だのというものをやる。それを軍艦が通行してこれが切り取られた。或いは流し網等が断ち切られた、そういうことはあり得るかどうかわかりませんが、そういうのは、それは不法なる損害とか何とかいうようなもので、請求する筋合でも何でもないと思うのです。相手方としてみれば、公海の交通の自由の原則とか何とかいうものがあるのだそうですから、あつという間にそういうことをやられることは、この特損法のほうの関係になりますか、なりませんか。
○政府委員(福島愼太郎君) その場合は明瞭に直接損害になると考えます。
○小笠原二三男君 直接損害というのは、相手の行動、或いは行動の範囲を日本国との間に協議か何かによつて取極をしたときに起つたものを、直接損害というのではないのでしようか。
○政府委員(福島愼太郎君) 相手との間に協定があるなしにかかわりませず、日本人の財産に損害があれば、これはもう直接損害であることにもう間違いはないのでございます。それの請求の方法にいろいろ種類はあるかと思いますけれども、直接に綱に損害が起つたということは、これはもう間違いはございません。
○小笠原二三男君 公海でもね。
○政府委員(福島愼太郎君) はあ。
○小笠原二三男君 そうするともう特損法による「その附近に」云々というようなことは、完璧に何にもないですな。
○政府委員(福島愼太郎君) これはまあ特損法の関係は、陸上におきましては、まあ如何なることが起つて来るか、なかなか想像もつかない珍しいことも起るのでありますが、海上においては財産物件がさように繋つておらないとか、いろいろなことがありまして、特に海上におきます、特に公海上におきます廻り廻つた損害、通常の常識で考えられない、而も無過失の損害というものは、想像がつかないのでございます。
○秋山俊一郎君 只今のこの直接損害、間接損害ということになると、我々もはつきりしないのでございますが、例えますと、漁業をしておる、公海でもいいし、領海でもいいのですが、一つの漁場が、そこに爆弾の大きな破片が落つこつて来る。或いはそこの下に魚床があつた。そこを爆弾で以てやられて、もうそこで漁業ができなくなつた。例えば網を入れておつたものが網がそれがために上らなくなつて来た。或いは又網を入れようとしても、入れればひつかかつて破れてしまうから入れなくなつたというようなものは、直接損害になりましようか。間接損害になりましようか。
○政府委員(福島愼太郎君) お話になりましたような事例は、現在特損法で扱つておる事例ではございません。
○秋山俊一郎君 それは間接か、直接の損害と見るかということのお尋ねです。
○政府委員(福島愼太郎君) 間接損害ではないと考えております。
○秋山俊一郎君 そういたしますと、特損法に言つてあるところの「障がい物の遺棄その他水面の利用を著しく阻害する行為」ということは、どういうことなんですか。
○政府委員(福島愼太郎君) この水面関係の特掲案件と申しますのは、一番有名なのは防潜網でございます。その他は例えば魚床の破壊とか、そういう関係もあります。公海には、防潜網と言い、魚床と言い、そういう問題はちよつと起らないと考えられますので、公海上に特損法を適用しなければカヴアーできない損害が起り得るというふうには、考えておらないわけなんでございます。
○秋山俊一郎君 この特損法のうちには、公海とか、領海とかいう制限は何にもないようでございます。「政令で定めるものの除去」、いわゆる「水面の利用上に必要な施設であつて政令で定めるものの除去」とか、或いは「損壊若しくは変更又は水質の汚毒」、こういうことがあります。水質の汚毒ということは、どういう事態かというと、ときどきあるのですが、この頃はないかも知れませんが、戦時中にはよくありました。毒ガスの原料のやつを海の中に捨てて、それがために非常に漁業が迷惑した、それから又油をどんどん捨てて、その油が海面に浮いて漁業ができないということも水面の汚毒になると思うのです。それから障害物の遺棄ということも、これはいろいろな場面が想像されますが、こういうことも、この附近に配備された軍隊がそういう行動をすることが絶対にないということは、私は保証できないと思います。
○政府委員(福島愼太郎君) 御質問の趣旨は、領海関係は、これは問題ないといたしまして、領海外の問題であろうと存じますが、公海ということになりますので、これは毒物を遺棄するとか障害物を公海に遺棄するというようなことを考えまして―まあ障害物というのは、ちよつと考えられませんですが、毒物を漁場に遺棄したというようなことに或いはなるかと思います。これはまあそういうことになりますと、現在の特損法がこれをカヴアーしているとは考えられませんのですが、日本関係の漁場に毒物を遺棄するというようなことになれば、それによつて損害があるということになれば、これは外交交渉事案に当然なりますけれども、特撮法の関係ではないのではないかと考えております。
○秋山俊一郎君 これはまあ見解の相違になるかも知れません。私はさような場合は漁業の実態としてよくあり得ることだと考えてお尋ねしておるわけでありますが、私は元来漁業の専門ばかりをやつて来たもので、そういつた場面にはしばしば遭遇しておる。従つてまあそういうことをお尋ねするわけですが、長官は恐らく余り御経験がないと思う。従つて見解の相違はあると思いますから、これ以上私はこの点につきましてはお尋ねいたしません。
○千田正君 外務省のかたにちよつとお伺いしたいのですが、今までの駐留軍というのは、例えば朝鮮に行つておつた空軍が、或いは台湾におる空軍、沖繩におる空軍等が休暇を得て日本の上空、日本の領土に入つた途端から、日本に駐留する軍隊ということになるのでしようね。
○説明員(安川壯君) 行政協定上は日本に駐留する軍隊というと、対象は日本に駐留する軍隊ということになりますが、米軍の軍隊の組織と申しますか、そういう点から言いますと、極東軍というものが日本に駐留するもののみならず、朝鮮或いは沖縄その他全部統轄しておりますので、米軍の組織自体から言えば、極東軍と言えば日本ばかりでなくて、琉球或いは朝鮮その他に駐屯しておるものも含むわけであります。行政協定の適用対象といたしましては、外から来た飛行機なり、船なりは一応日本の管轄区域に入つた時を以てこの行政協定の適用対象としての米軍の駐留ということにするということにしております。
○千田正君 だから附近という問題が出て来るのでありまして、例えばアメリカの極東海軍が横須賀に入港した、領海三海里以内に、いわゆる日本の領土内に入つて来たときには日本に駐留する一つの軍隊とみなして、いわゆる行政協定上の条約に基くあらゆる問題が仮に発生した場合は、その問題の処理をする。ところが横須賀から出航して三海里沖合を通過しておる場合において或いは不可抗力のようなものが起きることがあるかも知れない。いわゆる間接な損害が起ることがあり得ると私は考える。調達庁長官から言えば、そういうことはあり得ないと言つておりますが、我々はあり得ると思う。例えば今言われました毒物を投げる、或いは濃霧の際誤つて霧笛信号も何もやらずに動いて行つたときに、何かのときに損害が起つた、いろいろな自然現象その他の問題で起きて来る不測な問題は必ずないということは、断定できないような問題で、そういう場合が起きるような領海三海里すれすれのところを航行した場合は、附近に配備する軍隊とみなすかどうか、これはどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(安川壯君) それはそのとき起りました現象によつて直接の損害ならば、これは午前中第十八条三項によつて処理すると申しましたが、これは必ずしも、十八条三項は一応日本の領土内で発生した損害を処理することになつておりますが、領土外の損害の補償は一応行政協定に基く不法行為としてではなく、これは領土外の場合には普通の国際間の不法行為の取扱と同様に日本政府対米軍の問題として相手に損害賠償を外交交渉として請求するということになると思います。 それから今の間接損害の場合はどうなるかということでございますが、これは調達庁の長官からも何回もおつしやつておりますように、いわゆるこの特損法で対象としておるような損害というものは起り得ないというふうな見解に立つておりますので、私のほうも、これはまあ外務省としましては個個の損害その他については十分研究しておりませんけれども、その点においては調達庁の側から答弁がありましたように、公海においては特損法の対象としておるような事例は先ず起り得ないというふうに考えております。
○千田正君 間接損害は全然起り得ないということは断定できないのじやないかと思う、公海内において……。まあ領海内において起きた場合には、それを救う方法がある。例えば三海里内は領海内だ。併し公海において全然間接損害が起きないということは私は断定できないと思う。例えば油をたくさん積んで来たのだが、しけのためにやむを得ず油を流して行つた。併しそのあと何時間かを経て日本の船が行つた場合において、何か火災が生じたという場合には、直接損害として処理しますか。
○説明員(安川壯君) 私は、この特損法というのは、非常に駐留軍の特殊な性格と申しますか、普通には日本国内においては起り得ないような特殊な損害を対象とする特別な立法だというふうに了解しております。従いまして、公海上において、一般に、今おつしやいました油のごとき例でございますが、こういう事態は恐らく起ることが予想されるのであります。これは何も駐留軍に特に限定されたことでありませんので、例えば仮に日本の政府の船が公海に出て、ここで油を流して漁業者に損害を起すというようなことも十分あり得るのでありまして、それは一般的な問題といたしまして、公海上においてそういう損害は起ると思うのでありますが、これは特に駐留軍による問題でなくて、これは一般的な船舶の航行というものと、そういう油のごとき例はあらゆる場合にあり得ると思います。そのために特に或いは日本の国の政府がそういう行為をした場合に、特にそういうものを対象として損害を補償するという立法は私はないと思つております。従いまして、そういう一般的なものについて、特に特損法というものは飽くまでも駐留軍の特殊な行為に基く行為を対象としたものでございまして、駐留軍に限定されずに、一般的に起り得る損害の補償について、特にこの駐留軍についてのみ特殊の立法をする必要は私はないのじやないか。これは私の個人的見解かも知れませんが……。
○千田正君 そうするというと、公海において、例えば今のような損害が起きた原因が、公海において駐留軍同士の、例えば軍艦なら軍艦、船舶なら船舶が衝突したことによつて、そういうふうな問題が起きた。これはちよつと事例が違いますが、先般カナダから小麦を積んで来た船でありますが、千葉県の沖合で沈没して、小麦が流された。小麦は一生懸命すくい揚げられたけれども、それが何海里という幅に亘つてその小麦が流れて行つたために、そこの漁族が全部死んでしまつた。それは損害の要求はききますが、これは仮に直接損害とみなすといたしましても、そういうような事態が、仮に駐留軍同士の衝突とか、そういう場合によつて生じた損害はどうです、あなたのほうの場合は……。
○政府委員(福島愼太郎君) 一応想像いたしまして、公海上における間接的な損害というものは想像つかないと申し上げましたけれども、それは若し万一何かのあれでそういうことが起ると、仮に仮定いたしまして、そういう場合に特損法の適用が公海に及ばないから、被害を受けた人は泣寝入りしなければならないということにはならないのでありまして、そういう場合には一般原則に基きまして、それが若し日本政府の行為であれば、日本政府に対して損害の請求をすることもできましようし、アメリカの行為ならば日本政府がアメリカに対して損害の請求をするということになります。具体的に私どもは公海上におきまして間接損害というものを具体的に想像して申上げることができないのでありますが、理論上の問題としまして、若し万一そういうものがありました際には、その損害は請求できないことになるというのではないのでございまして、公海上の処置もございますし、その点は御了承おきを願いたいと思います。
○千田正君 それはよくわかりますけれども、それだからと言つて、これを条項から外したからと言つて、決して利益にはならない。我々はそういう観点に立ちます。而も絶対に起らないということは、あなたがたは確信を以て言つていらつしやつたが、それはあなたがたの確信であつて、我々は起り得るという一つのプロバビリテイを考える。百の九十九ないとしても、百の一が起り得るかも知れない。そういう場合に対するところのやはり法的措置というものは、万全を期して考えておる場合においては、何かこの際、それをここから除去しなければならない理由にはならないと思うのです。これは観点の相違ですから、議論はいつまで行つても尽きませんから、私は私なりにそう考えます。
○小笠原二三男君 私は、事いやしくもこの内閣がその当時のどさくさまぎれであろうが、翻訳された条約ですか協定の文章をそのまま借りて来て、「その附近に配備された」云々というように表現したものであるかどうか、その動機については、どうも疑いを持つておるのです。私は確かに直接損害なり、不法な行為による損害等はそれぞれの法律を以て、この安保条約に基く法律を以て措置されることをきめておつて、なお、この法律が出たのには、何か特別な理由があるのではないだろうかと思われるのですが、それでだめ押しにお聞きしておきますが、この附近に配備された合衆国軍隊というが、合衆国の陸海空軍ということは、これは条約上の言葉ではなくて、日本政府が当時の状況によつて、この日本国民の何といいますか、損害等をこうむることを幾らかでもカバーする措置をとつたということを国民の前に示すために、こういう特損法というものが現われて来たのであつて、従つて条約上日本との間に取極ができて、日本国外に配備された軍隊という意味ではなくて、この「配備」という意味は、アメリカ自身がアメリカ自身の都合なり理由によつて、沖縄でも小笠原でも朝鮮でも配備したものがこの日本に近接している関係から、日本の領海、或いは領海附近の公海、これらにおいて何らかの行為が起つた場合、その間接の損害も日本政府が見てやるんだと、こういう意味もあつて、この法律を出されたのではないかとも考えるのですが、実際そういうことでなくして、これは飽くまでも条約上日本と協議されたという形におけるアメリカ軍隊の配備を指すのであつて、沖繩や、小笠原や、朝鮮に、アメリカの都合によつて置かれている軍隊を指すのではないと、こういうような考え方というのは、その後、この頃になつてその解釈をして来たのではないだろうかというようにも考えられますが、私の聞いておるのは余り臆測でありますけれども、念のためにその点をお伺いしておきます。初めからないものだつたら、何もこういうことをする筋合はないので、アメリカの軍事上の行動の自由により、朝鮮なり、沖繩なり、小笠原にアメリカ自身が配備した軍隊が日本国民に、領海、公海等で影響を与えた場合、日本国政府としては、日本国民にだけでも、その損害を補償してやろうという善意に基いて、そういう法律を作つて来たのではないかという点について、いやそうではないのだ、これは条約上の言葉をとつて持つて来たので、間違いだつたのだというのであるかどうか。念のためにもう一度開き直しておきたいと思います。
○政府委員(福島愼太郎君) 正直なことを申しますと、私も極く最近に役人になりましたばかりで、当時の経緯は知らないのでございますので、今日考えてみるだけでございます。実情に合つておりますかどうですか、多少自信のない点もございますけれども、今日考えてみまして、当時特損法にそういう「附近」という観念を入れましたのは、お説の通りに条約、協定なり若しくは他の法律なりに倣つて、その字句が用いられたのではないだろうかと考えております。それを今日に至つて考えてみますと、直接損害、不法行為関係のものは別といたしまして、間接的なものにつきましては、「附近」という観念は外交上の事案というものに関しましては、むしろないほうがいいのではないかというあれに達したわけであります。 御質問の前半にございました「附近」とは朝鮮若しくは沖繩若しくは小笠原という関係があつたのではないかということでありますけれども、それはまあ調達庁の問題ではないかも知れませんけれども、詳しくは私も存じませんけれども、横文字でイン・アンド・アバウトというふうに書いてあるとかいうお話でございます。或いはアバウトということになりますと、朝鮮、沖繩、小笠原というわけには行きかねるのではないか、飽くまでその文字の通り、日本国並びに附近ということが、条約乃至は協定の目的であつたと思います。特損法関係にそのままの字句が出て参りましたのは、そのままの字句を倣つて使つたのであろうと思います。特損法施行以来、今日までの経験に基きまして、公海上の事案というものが起らないということになりましたので、起らない以上ははつきりさせたほうがよろしかろうというふうな考えに至つたわけであります。
○小笠原二三男君 それからもう一点伺いますが、千田君の質問の場合には、公海上の、千田君が例に挙げたような間接損害は、一般に国際法的な立場でそれがいずれの国であれ、原因を作つた政府に向つて損害を請求するのだからいいのだと、こういうお話でしたが、午前中の話ではですね、そういう問題があつても、この特損法のこの文章は「附近」というのが削除されても、実質上は何ら困らないのだ。実質上は仮にそういうようなものがあつても、日本国政府においてそれは損害と申しますか、駐留軍に関する損害は、補償してやれるのだというふうにも聞き取つたのですが、そうではないのですね。やはり本当の話はそういうことはあり得ないのだから、これは削除する、そうして仮にあり得たとすれば、一般の国際法的な立場で、政府対政府の問題として、一般の問題としてこれは扱つて行くのである、こういうことなんですか。何かあつてもなくても同じことだから、条文を整理するんだと、仮に起り得たら起り得たで、それは何らか特損法の精神によつて日本政府が補償する建前なんだと、外国にまで請求する建前でないんだと、こういうふうに聞いておつたのですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(福島愼太郎君) 午前中に申上げましたのは、私の言葉が足りなかつたかと思いますが、午前中に申し上げましたのは、附近に配備された軍隊という関係で申上げましたわけで、附近に配備された軍隊が演習するなんぞということになれば、制限や設備その他の設定をいたしますので、附近に、日本の版図外でも施設区域その他の設定をいたしますれば、この特損法の関係ではありませんけれども、漁業制限その他の法律は適用を受けるようになりますので、損害を補償することはできるというふうに申上げたつもりでございます。
○小笠原二三男君 だから私どもわからんのだが、演習などということで、あらかじめ取極めしているのは、漁船の操業制限その他のほうでやるのだからいいのだ、こういうことなんですが、さつき外務当局から聞いたように、この配備というのは広義で解釈される場合には演習ばかりではないんでしよう。日本国内に基地を持つたアメリカ海軍であつても、それは彼らの都合によつては日本国近海を自由に何らかの目的を以て遊弋し航行をするということはあり得るでしよう。それを一々この範囲を航行するのだとか遊弋するのだとかということを日本国政府との間で取極めなどするのじやないんでしよう。そういうような場合に起つて来るのがまあ千田君の例でいう油が流れるとか何とかいうような場合があり得るでしよう。或いはそういうようなところから、間接損害というものが他にあり得ないとも言い切れないと思うんですね。そういうようなのはやつぱり一般の問題としてアメリカと日本政府の問題として、これは交渉し合つて損害を貼償させようとするのですか。この特損法で行くのですか。
○政府委員(福島愼太郎君) 日本国におりまする軍艦が公海上を遊弋いたしまして、日本人に損害を与えるという場合には、先ほど申上げました通り直接損害が必ずあるはずでございまして、間接であつて補償する損害の実態がつかめない。直接の因縁はつけられない、因果関係はない、責任のある因果関係はないという損害が起ることはちよつと想像できない。従いまして特損法の対象になる事案が起るということは想像いたしておらないというふうに申上げたわけでございます。
○小笠原二三男君 では具体的にお尋ねしますが、イギリスの軍艦でも或いはオーストラリアの軍艦でも、国連軍としての軍艦が朝鮮の基地から出て来て、日本近海を遊弋して何らかの問題が起れば、それはやつぱり直接の損害ですか。
○政府委員(福島愼太郎君) そういう軍艦が参りまして何らかの損害を与える、まあどういう損害を与えますか、必らず漁船に関係のある損害だと思います。そういたしますと、いわゆる特損法に考えておりますような非常にまあ先方に責任がないという損害を、何とかしてやらなければという特損法の想定しておりまする損害ではなくて、必らず先方の行為と直接関連のある損害が起るはずだと考えております。
○小笠原二三男君 それは沖縄におるアメリカ軍隊がそういう状況になつても同じことで、直接の損害としてアメリカへ請求するわけですか。
○政府委員(福島愼太郎君) その通りでございます。
○小笠原二三男君 そうすると、直接、間接の問題は、間接とは誰がどうしたかわからない、その損害を与えた当事者が何者であるかということが不明であるという事態のものを指していうのですか。
○政府委員(福島愼太郎君) 間接の損害、直接の損害と申しますのは、先方の行為が正当な行為でありまして、それに基いて廻り廻つてどつかに損害が起りましても、先方に責任がないという場合なんでございます。それに対して先方に責任はないけれども、大きな根源を申せば日本国にアメリカの軍隊がいるために生じた損害であるというので、日本国政府としては被害をこうむつた国民に補償しよう、先方は無過失、無責任という損害でございます。
○小笠原二三男君 それではさつき私例として挙げたような、はえ繩なり何なりの問題は、ここにはえ繩がございますぞ、ということは、ただ何十本かの小さな船主の旗じるしを立てて繩を流しているだけであつて、夜間等は全然わからないわけですね、そうして彼らは公海の自由で堂々と航行して来る。それでその縄が切られた。これなんか彼らとしては正当な行為でしようね、私はそう思うんです。
○政府委員(福島愼太郎君) そういう問題が大体起りますのは、もう領海と考えておりますが、領海でありますれば無過失、無責任の損害に対しまして特損法が適用されるわけでございます。
○小笠原二三男君 領海から公海へ流れている場合は幾らもありますよ、今。さつきはあなたはこれは直接損害として請求するんだ、こう言つておりましたが、領海であれば補償するんだというようなことは間接損害として補償するということなんでしよう。そうしたら公海においてそれが直接の損害だということになりますか。補償するしないにかかわらず、それは無過失の事故じやないですか、相手方からいえば。
○政府委員(福島愼太郎君) 領海内におきましてもそれは間接損害というわけではないのでございますから、飽くまで直接損害として見るわけであります。領海外でそういう損害が起れば、これは損害が起つたということが事実であれば、先方の過失とか或いは責任とか追及できますものは、交渉して追及するということになります。要はそこに先方に責任があるかないかという個々の事件の問題になるかと考えます。
○小笠原二三男君 じや、責任がないとなつたときはどうなります。
○政府委員(福島愼太郎君) これはまあ、その財産に人から損害を受けまして責任がないということになりますれば、これは一般的な問題として処理されるわけであります。公海外であろうと内部でありましようとも、無過失無責任の損害はここに特損法にありますもの以外は、一般の損害賠償の範疇に属する問題だと思います。
○小笠原二三男君 そういうものは駐留軍であろうが、国連軍のものであろうが、特損法の適用は受けないのだということだけは確実なのでございますか。
○政府委員(福島愼太郎君) その通りでございます。
○森八三一君 一点だけお伺いしたいのですが、先刻千田委員の質問に外務省から御答弁があつたですね。朝鮮に配属されている軍隊が日本に来た場合には駐留軍の取扱いをするのだ、それはどういう取極めによつてそういう結論が生まれるのか。それを先ず最初に伺いたい。
○説明員(安川壯君) 日本語で申しますと「配備」という言葉が使つてありますので、多少おわかりにくいかと思いますが、この行政協定の前文を見ますると、英語では「配備」というのをデイスポジシヨンという言葉を使つております。デイスポジシヨン・オヴ・ユナイテツド・ステーツ・ランド・エア・アンド・シー・フオーシズ・イン・アンド・アバウト・ジヤパン。ですからこの行政協定の対象は必ずしも日本に駐屯、何と申しますか、兵舎なり駐屯基地を持つているいわゆる日本に駐屯しておる米軍ということじやなくて、要するに日本並びに日本の近海にある米軍のデイスポジシヨンについてここに規定しているわけです。従いまして朝鮮の米軍でありましても、行政協定で予想しております。イン・アンド、アバウト・ジヤパンに入つて来れば・イン・アンド・アバウトにおける米軍ということで当然行政協定の対象になるわけであります。
○小笠原二三男君 これは我々どうも国際間の事情はわからんが、アメリカの駐留軍が日本国内、陸地です。私の言う場合は日本の陸地におろうが、或いは沖繩におろうが、朝鮮におろうが、朝鮮事変なら朝鮮事変でも、吉田総理が言う通り、これは日本の自衛のためになる国連軍の戦闘行為だから国連軍に協力するのだとかいうようなことは、これは国会でも言つていることなんですよ。一連のものとして日本に軍隊が駐留しておることから、直接、間接に日本近海を関係国の軍艦が、日本との関係において一々取極めがあろうとなかろうと、遊弋し航行し、或いは飛行機が朝鮮と日本を往き復りする、そういうようなことから、無過失であろうが何であろうが、事故が起つて、それが紛争となり、又日本政府として対等に請求したところで、軍事上の目的から力関係においてそういうことは取上げられない。それで日本国民の直接損害を受けた事業主なりその他の者が泣寝入りをする、そういうようなことを、日本政府として善意を以てこれをカバーし、補償してやろうというようなところが、私は特損法の根本の精神でないかというふうに考えておつたんです。ところが細かく仕訳けを付けて、アメリカ駐留軍であろうが、国連軍であろうが、まあ日本自体の今日の現状において、条約上認めたことから、間接であろうが何であろうが、行動が起つて来て、それによつて事故が起つて来たものでも、公海であれば、一般の対国家間の問題として損害を請求するのだとかしないのだとか、そういうようなことを本気になつて日本政府はやる気なんですか、国連軍・アメリカ駐留軍に向つて。本当にそういう事故が起つたとき、漁船の操業が、或いは漁船が漁獲上の作業をやつているときに、その財産が軍艦なり飛行機のそれらによつて一部でも何でも失われたというのを、本当にまともに取上げて、対国家間の問題として損害を請求しますか。それだけの自信を日本政府として持つておりますか、今日において。アメリカに向つてですよ。私はそういうことがなし得ないような、あいまい模糊とした事故、どこに行つても取りつく島もないような事故をも、この特損法によつて一応、これはまあ涙金になるかどうかわからんが、日本政府の責任において補償してやる、尻ぬぐいはしよう、こういうようなことでないですか。本当に外務省なり調達庁のほうで、そういう損害が実際起つたときに、アメリカなり国連軍に向つて正当な手続を以て損害を請求し、これを勝ち取ることはできますか。その点さえ私は聞けばいい。やれますか、そういうことが。
○政府委員(福島愼太郎君) 公海上におきまして日本人の財産に損害が起つたということになりますれば、関係国にこの損害を請求するのは当り前でありまして、請求しないということはあり得ないと考えております。併しながらおつしやるような、公海上に事故が起つた。それに対して、まあ仮に国際間の請求というものが遅れている。その他の関係もあれば、特損法でとおつしやるわけですが、特損法というのはそういうわけには参りませんので、特損法に規定してあるような損害を補償するのでありまして、全部請求のとれない場合には、これが特損法でカバーするというのではないのでありまして、その点だけはくれぐれも御了解を願いたいと思います。
○田中一君 一つ伺いたいのですが、これはやはり向うからの話合があつたのですか、アメリカのほうから……。或いはそういうふうなものがあつてこれを変えたのですか。場合によつては速記をやめてもいいから、率直にお話を願います。
○政府委員(福島愼太郎君) 御質問の趣旨は、この「附近」という字をとりますのに関連して、先方からの要望があつたかどうかということであろうと存じますが、その点は、先方の要望は全然ないのでございます。私どもの考えで、法律的にそのほうが首尾一貫すると考えましたので、実態を変えるものとは考えておりませんけれども、この国連関係の法律の提案を要しまするときに、原案を合せて提案した次第でございます。
○田中一君 では若し委員会でこれを分離してくれというような決定をして、差し戻したときに、あなたのほうで特損法の一部改正の方式で提案する意思がありますか。そこまで強く改正しようという意見がありますか。
○政府委員(福島愼太郎君) 御質問の趣旨は、この際は、「附近」のという関係のことは一切別問題として、それに触れずに、もとの法律の通り、この際のこの法律は考える。そうなつた暁に、政府としては飽くまで特損法の本法のほうを、「附近」という字をとるために改正を考えるかという御質問のようでございますが、そうなりました際に、なお、それだけの点で特損法の改正を提案いたすかどうかということは、再三申上げております通り、何分にも「附近」という問題については、対象の相手が一応ないと考えておりますので、実態に、いずれにいたしましても、変化がないわけなのであります。それだけの点で特損法の改正を提案いたしますかどうですか。これは相談をいたさないときめかねまするけれども、私限りの考えといたしましては、それだけの点ではちよつと特損法の改正というものを提案するようなことにはならないのではないかと考えております。
○田中一君 今長官は、大体結論はならないかもわからんとおつしやるけれども、相談しなければわからん、相談して見ようという相手は誰でしようか。
○政府委員(福島愼太郎君) これは再三申上げております通りに、実態に関係なく、法律の体裁とか、その他ほかの法律との関係とか、そういう点でまあ「附近」という字をとるというようなことも考えたわけでございますので、従いましてそうした相手は、法制局とか、そういつた方面、むしろ形式的な面を担当いたしております関係官庁に相談するということになると思います。
○小笠原二三男君 もうこれは何回聞いても同じだから、もう一つだけ定義的にお伺いしますが、附近に配備されたアメリカ関係の軍隊というものは、もう確実にあるものですかないのですか。条約上に基いて配備された軍隊というものはあるのですかないのですか。この点をはつきり聞いておきます。
○政府委員(福島愼太郎君) これは先ほど来、外務省の担当官から狭義という話もあつたわけでありますが、私どもの補償業務その他の関係から見ますと、これはまあどうしても問題を狭義に見なければ実際上の事務の対象になりませんから、狭義に見るわけでございますが、日本国の附近に配備されるという意味においては、ちよつと想像がつかないというのが、どうしても事実でありまして、公海上外国の軍艦が航海するというのは当り前でございますが、これを一々配備というわけにはちよつと参りかねると考えております。
○小笠原二三男君 そうすると、狭義の意味においては配備された軍隊というものはあり得ない、その附近に。そうですね。
○政府委員(福島愼太郎君) 長期に亘りましていわゆる配備という観念に常識的に基きますあれとしてはないと考えております。
○小笠原二三男君 そうだとすると、漁船の操業制限等に関する法律にあります「その附近に配備されたアメリカ合衆国の」陸海空軍という文章表現も、こういうことはあり得ない。そこで制限に関する法律というものも、補償というものも、あなたの損害を補償する側の調達庁としては認められないということになるんじやないですか。
○政府委員(福島愼太郎君) 漁船の操業制限の法律等はこれは先ほども申上げたと思いますが、直接条約、協定から出て来ております法律関係になりますので、これはその協定、条約の文章をそのまま使つておるわけだと思います。「その附近」という関係を使う、使わないと申しますのは、実態よりもむしろそういう面に多分に関係があるのだろうと思つております。但し操業制限に関しましては、操業制限を領域外に亘つて行う場合が多々あります。従いまして制限を行いますれば、領域外といえども、補償をするという関係も生じます。実態的にも漁船の操業の関係では附近という思想が必要であると考えております。
○小笠原二三男君 附近という思想は必要でしようが、附近に配備された軍隊というものはないんでしよう。狭義の意味においては、特損法であろうが、漁船の操業制限等の法律であろうが、これはどつちにも適用される言葉として附近に配備された軍隊というものはあり得ない。けれども内容として、実体としては補償しなければならん、片方のほうはそうなるわけですが、併しそれにしてもこの文章表現は、やはり特損法同様に、あなたが言う実論の結果からするならば、何らかの表現の方法を用いるなり、或いは削除して然るべきものでしよう。
○政府委員(福島愼太郎君) その点は申上げました通りに、条約並びに協定に直接関連して作りました法律でありますので、条約並びに協定に表現いたしました字句をそのまま踏襲いたしまして、法律上の範囲を定めたものであろうと考えております。それによつて実体があるかないかということになりますと、私どもとしては「附近に配備された」という関係では、そのこと自体は附近に配備された軍隊というものを、どういうものか言つてみろということになりますと、ちよつと申上げにくいことは同じでありますが、法律が直接条約協定に関係しておりますので、その用語を踏襲しているという関係だろうと思います。
○小笠原二三男君 そうすると、まあ漁船の操業制限のほうは直接の損害としてこれはあれすることで、直接条約から演繹されて来ておるから、こういう表現を用いるんだ。特損法のほうは損害そのものも間接損害と申しますか、そういうようなものだし、条約とは直接でなくて間接の関係にあるのだから、この表現は又別個のあれだ、こういうことなんですか。
○政府委員(福島愼太郎君) おつしやる通りでございます。特損法は条約と関係なく日本国の純然たる国内立法として考えられたものでございますので、その立場でできるだけ実情に合うような表現を用いなければならんという観点から、漁船の操業制限の場合と若干の表現が違うという結果になつております。
○小笠原二三男君 私が最初にお尋ねしたのは、日本国の附近に配備されたアメリカの陸海空軍というものはあるのかないのかということを聞いたら、狭義の意味においてはあり得ないと言つたんです。その意味は条約に直接であろうと条約に基いておろうとそんなことは私は関係ないと思うのです。あなたは特損法は条約に関係ないと言いましたが、本当に関係ありませんか。この条約ができたために条約に基いて国内法として各種の法律を作る建前に立つなら、これは漁船のほうの操業制限であろうが、特損法であろうが、国内法としては同じです。なぜこんなものを作るかと言えば、条約があるからそれに基いて作つて来た、私はどうも直接とか間接とか言つたところで、そんなことは問題にならんと思う。
○説明員(安川壯君) 只今条約のほうからとつた解釈上の特損法と漁業補償の違うところをちよつと申上げたいと思いますが、行政協定には二十五条に、日本国における駐留軍の維持に必要な経費は全部日本に負担をかけない、米軍が負担するという項があるのでありますが、その但書におきまして、但し施設、区域は米軍に負担をかけないで日本側が提供する必要がある場合には、その施設、区域の提供者なり所有者に補償する、こういうはつきりした規定があるのであります。従いましてこの規定に基きまして、漁船の操業制限はこれを海上の施設、区域として向うに提供するわけでありますが、米軍に負担をかけないと約束しているので必然的に日本側が負担しなければならん、こういう関係になりますので、漁業補償の場合はこの行政協定の二十五条に基く補償ということが言える。特損法の損害については、この協定には全然触れてないわけであります。所有者並びに提供者には日本政府が補償するということがはつきり書いてありますが、所有者並びに提供者に対して補償するというのは、これはいわゆる施設、区域の直接補償であります。特損法に言います間接補償は含まれていないわけであります。その意味におきまして長官の言われましたように漁業補償のほうは直接条約に基いている。特損法は間接、条約で日本政府は補償の義務を負う必要はない。又米軍のほうも義務を負わない、この点には何ら協定は触れておらないという関係になつております。
○小笠原二三男君 私はその通りだと思います。何もそれと私が聞いておることとは関係ない。日本国政府が負担することになれば、それは直接条約に基いてるものであり、条約と関係があり、日本国政府もアメリカ政府もこれを負担する義務がないもので、なお、日本政府がこれを特別に損害を補償するという条約があつたからこそ、こういう問題が起るのですが、そういう意味で条約に基いて出て来たもの、ただそれらの関係でしよう。併し日本国政府が負担するとか、しないとかによつて、日本国の附近に配備された軍隊があつたりなくなつたりする、そんなことはないと思う。だから私が聞いておるのは、日本国の附近に配備されたアメリカの陸海空軍というものがあるのかないのかということを聞いておる、それはないんだ、ないならばこの漁業制限のほうだつてそういう狭義の意味においてはないんです。ないならば国内法としての法律の表現は共に何らか修正する必要があるだろう、私はそういう考え方でお尋ねしているわけなんです。損害を補償するとか、しないとかによつて、アメリカの駐留軍の配備されたものが、いるものがあつたり、なかつたりというようなことは私はおかしいと思う。こつちだつて国内法ですから、これはそういうわけで聞いているのです。
○政府委員(福島愼太郎君) 特損法に関連いたしまして、日本の附近に配備された軍隊というものは具体的にどういうものがあるかと言えば、想像がつかないということを申上げたわけでありまして、これは漁業制限において附近に配備された軍隊と言つております場合に、漁業制限法において附近に配備された軍隊というのはどれであるか、どういうものであるかということになりますと、具体的な事例と申しますのは、瞬間的に航行して来る船舶とか或いはそういう公海で演習しているために一時的に近付いて来るとか、そういう軍隊以外には想像がつかないということは、これも申上げた通りであります。従いまして厳格な意味におきまして日本国に配備された、日本国外、日本国の附近に配備された軍隊というものの具体的な事例を挙げますことは、航行する軍艦乃至は公船ということ以外には申上げようがない。ということは、特損法の場合におきましても、漁業制限の場合におきましても同じなんであります。併しながら漁業制限の法律と申しますのは協定に基きます約束、そういう立法をする必要がありまして、協定を基礎といたしまして、それをその裏付けをしておるものであります。これは形式的な議論のみかも知れませんけれども、協定という言葉使いが合つてなければならないということから、そのままになつているわけであります。そうすると特損法のほうは協定上の義務でもございません。実情に、実態に合つた表現のみで差支えないということになつて表現が変つている次第であります。
○小笠原二三男君 そうすると、条約上の用語としてだけ配備ということが翻訳されてあるのであつて、実際上日本の自衛のための戦略戦術から出た配備というような意味合の配備ではないのだ。漁業の操業制限という場合でもですね。それで厳密においては両方において日本で慣用語として使つている配備というようなことは実態の上ではないのだ、こういうことですか。
○政府委員(福島愼太郎君) まあ御質問の点はそのままではなくて、ほかの担当者、ほかの担当省があるのだと思いまするが、この補償関係から見ました限りにおきましては、おつしやる通りでありまして、条約上に日本文には配備という文字が翻訳されておりますけれども、その具体的事例を挙げて見ろということになりますと、航行する軍艦ということ以外には想像がつかないのではないかと考えております。
○小笠原二三男君 そうすると、演習をしている軍艦というのなどは別なんですね、瞬間的に航行しているものだけなんですね。この漁業の操業制限というほうも。
○政府委員(福島愼太郎君) それは演習でも差支えないのです。演習であれ、何であれ、日本の領海外の近海に相当長くぶらぶらしている軍隊がある。仮に将来あり得るとすれば、これはまあ強いて言えば配備された軍隊といつて、それくらいのものを想像する以外に方法はないというわけです。
○小笠原二三男君 厳密な意味では瞬間的に航行するものと、長期に亘つて近海をぶらぶらするものと、この二つが配備ですね。
○政府委員(福島愼太郎君) まあそういうことになりまするが、それ以外に長期に亘つて公海に碇泊しているというような例もあるかと思いますが、まあそういうものを想像いたしまして、附近に配備された軍隊と考えるなら考えるということ以外には、私どもは補償関係しか見ておりませんから間口が狭いとは思いまするけれども、補償関係の法律の面に現われます条文の配備された軍隊という面からの考えといたしましては、そういうものを想定するほかはなかろう。そういうものを想定いたしました場合に漁業制限の法律の上には、その附近に配備されるという字句が残つておつても却つて事態に即した面もあるし、特損法関係ではそういうものを想定いたしました場合に、その附近という字句を取除きましても、補償関係の実態には影響がないと、かように考えた次第であります。
○小笠原二三男君 外務当局のほうはどうなんですか。私おかしいと思うのは、補償のほうから言う配備というのと、それから安保条約に基いて行政協定があつて、日本の自衛のために軍事上の必要を以て配置されたアメリカの海軍を、これを配備と言わない場合もあり得るなんというふうに解釈もできそうな、そういうような、そういうさまざまな解釈というものがこの法律用語としてあるものなんですか。
○説明員(安川壯君) 「配備」という用語でございますが、これはまあ行政協定で、先ほど申しましたように、英語でデイスポジシヨンという言葉を使つておりますが、これは行政協定は日英両文とも成文でありますから、日本語は日本語として解釈して差支えないわけでありますが、併し日本語を解釈します場合には「配備」という言葉は必ずしもはつきりしませんので、その場合に一応英語のデイスポジシヨンという言葉も考慮すればなお更日本語自体を解釈する助けになると思いますが、このデイスポジシヨンという言葉と「配備」という言葉を両方併せて考えて見ますと、先ほどから申しておりますように、配備というものは必ずしもそこに長期間永久的に、半永久的に駐屯するというような狭い意味にとる必要はないと考えております。そこでまあ補償の場合の配備とそれからその他の場合の配備と二通り意味があるというのはおかしい話でありますが、現実の問題としましては、先ほど来から長官も言われておりますように、現在の情勢下におきましては、軍隊が蛇行する場合、演習のために或る一定地域で演習を行うこと以外には考えられないのじやないかと思います。なお、将来のことは存じませんが、或いは将来日本の近辺に封鎖ラインを布いて、或る日本の近海の公海上に軍艦が封鎖ラインを布くというようなことはこれは将来の問題として考えられないこともないと思いますが、現在の日本の情勢下におきましては、そういう現実の事態というものはないのでありまして、先ほどから調達庁長官が言われますように、常識的に考えれば、軍艦が航行のために、単なる交通のために通行する、或いは演習のために一時的に或る地域で演習を行うということが一応具体的な配備の内容として考えられるわけであります。
○田中一君 水産委員会の委員の方々から御質問もないようですし、又我々は受けて立つている委員会ですから、最後にございましたら、それを伺つて、それ御発言があれば伺つてもうぼつぼつ閉じてもいいのじやないかと思います。
○秋山俊一郎君 最後に一点伺いたいのですが、この補償の問題。この法律では補償するということはないのですが、いずれ補償のような形で何らかの処置をしなければならんと思うのですが、この日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の第十五条によりますと、この「日本国に国際連合の軍隊を維持することに伴うすべての経費は、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで同軍隊が負担しなければならない」、こうあります。これをこの通り解釈しますというと、この協定が成立した後、この協定の存続期間は損害をかけない。その前は損害をかけてもいいというふうに逆に解釈すればなるのですが、この間は何にもならない。そこで我々はこれを今日まで一年何カ月になりますが、その間相当損害をかけている。その費用を政府は日本国の費用で賄うつもりであるか。連合国から請求して取るつもりであるか。私どもの考えとしては、当然この費用は連合国に負担してもらわなければならない問題だと思うのですが、政府のお考えは如何でございますか。
○説明員(安川壯君) 先ず第十五条の関係の適用時期の問題でございますが、この協定は全体が原則として遡及することになつておりますが、事実上遡及できない問題もございますので、遡及できないものはこれは事実上遡及できないわけでありますが、まあ金銭的の請求権その他は、これは事後において遡及して清算することは可能でありまするし、十五条の関係の費用の負担の件は、これは講和発効時まで遡及するわけであります。従いまして十五条によりまして向うが負担すべきものときまつた経費は、当然過去の分も先方が負担することになるわけであります。 次は、どういう費目を向うが負担すべきかということでありますが、これは前に調達庁のほうからも御説明があつたと思いますが、漁業補償のほうは、これは施設を提供するに伴います当然の補償で、直接の補償でありますので、当然先方が負担すべきものだと考えております。これは行政協定の場合と逆に解釈して、行政協定の場合には、米軍に施設を無償で提供する施設の所有者、提供者に補償するという但書があるのに対しまして、この国連協定の場合は、そういう但書が抜けておりまして、ただ国有財産についてのみ無償で提供するとなつておりますから、当然これは国連軍協定が持つべきものだという立場でございます。ただ特損関係になりますと、この施設を無償で提供する場合の直接の補償という関係が稀薄になつて参りますので、いわば因果関係が非常に間接的になりますので、これは個々の具体的の事案について検討しなければ、一概にこれが先方が負担すべきものになるか、或いは日本側が純国内的な立場から負担すべきものなのか、これははつきりした結論は出ないと思いまして、現在一般的において、先方に対してこの点も考えるようにということを申入れておりますが、特損関係は具体的な事例につきまして、この因果関係の直接的であるか、間接的であるか、その度合にもよりまして、個々に先方が負担すべきか或いは当方が負担すべきかを決定すべき問題である、こういふうに考えております。
○秋山俊一郎君 この問題は、当然この連合国の行為によつて受けた損害ということになつておりますので、日本国政府が日本を守つてもらうための国連軍でもないし、向うの便宜上駐留を認めておるわけのものだと思いますので、どうかこの漁業者その他に対する損害の費用につきましては、政府は強力に交渉をして、連合軍から、連合国からこれを一つ調達して頂くように、強い私は要望を申上げます。
○千田正君 議事進行について。水産委員会といたしましても、どうも腑に落ちない点があるのでありまして、さつきも長官は、将来こういう問題が入るということで、損害も起らないという見地に立つておられるようでありますが、外務当局は将来のことはいざ知らず、現在のところはないということで、これは甚だ食い違つている点もありますので、水産委員会は、或いは委員会として十分検討いたしまして、建設委員長及び委員会に、水産委員会の意向を取りまとめて申上げますから、その折は又御審議の上十分にお取計らいを願いたいと思います。今日は我々としましては、これで質疑を打切りまして、失礼させて頂きたいと思います。
○小笠原二三男君 我々はまあ水産委員会の方々と連合をすること、誠に結構ですが、そもそもこういうふうに連合審査まで会期末に持たなくちやならんようにさせられたのは、政府の法案の提出の仕方によつてなんです。アメリカ軍隊との関係を規定する母法においては、分離されて、二つの法律になつておるものを国連軍の場合においては、合せて一本にして出されているために、こういうふうに連合もやらなくちやならん。仮に前に出ている法律を母法であると私が名をつければ母法を一緒にして、一本にして、水産関係も或いは土地建物等もごつちやになつたために、この連合になつたわけです。で、なぜこういうふうに一本にして来たかということは、国会法に基いて、所管は建設委員会だから、それでよかろうとことで持つて来たのでありましようけれども、経緯としては、前に分離して水産委員会、或いは建設委員会等で慎重審議した建前から言えば、それを忘れたかのごとくに今度のような出し方をしたところに、何かアバウト問題でも、建設委員会は素人なためにごまかしてすつ飛ばそうという隠謀があつたのではないか(笑声)というふうの疑惑を受ける、政府のやり方は……。そこでああでもないこうでもないという専門論議から、我々のような素人論議まで起つて来るのです。今でも遅くないのですが、これは分離して衆議院に出し直す御用意がありますか。ありませんか。又なぜこういうふうに一本にして、便宜的な措置として出して来たのか。又なぜ附則においてこの母法の「附近」というのを削除するというふうな、立法上異例と思われるような措置をとつたのか。この点は長官として責任のある御答弁をしてもらつて、この連合審査を閉じて頂きたい。
○政府委員(福島愼太郎君) このまあ法律が三つが一つになりまして、従いまして委員会なども、それぞれの本来の委員会がありますにもかかわらず、建設委員会へ全部まとまつて出て来たという点で、非常に御迷惑をかけて恐縮しておりますが、ただ先ほど来問題となつております特損法の関係でおわかりのように、三つと申しますと、特別措置法と漁業制限に関する法律と、特損法と、この三つでございます。特別措置法のほうが専ら建設委員会の関係、漁業の制限のほうが専ら水産委員会の関係、これははつきりしておるのであります。特損法のほうは、御質問の経緯でもわかるように、双方とも非常に密接な関係がございまして、これは如何にも二つに割れないという関係がありまして、どの途これはいずれかの委員会に御迷惑願わなければならんということに、どうしてもそういう運命になつておりますので、三つが一緒になつたという関係になりますのですが、多少性格の違う点は、特損法は協定に基く法律ではないという観点がありまして、まあむしろ国内法の性格を帯びている。厳密には協定の実施に伴う法律とは言いがたいという見解が、非常に理窟ぽいかも知れませんが、ありまして、一方特別措置法、漁船の操業制限法と同様に調達庁所管の法律ではあるという関係がございますので、国連協定発効の機会に、特損法の適用範囲を国連軍の行為による場合にも拡げる必要を認めましたので、同時に改正することが適当と考えまして、法律の表題も土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律といたしまして、で、この法律の附則でこれは改正する。二つの法律は本文で改正する、特損法は附則で改正すると、こういうまあ区別が出て来たわけです。なお、附則で改正いたしましても、本文で改正し、又は単行法で改正いたしましても、その効果は同じでございますので、まあ法律技術的に過ぎるかも知れませんけれども、それで差支えないという観点に立ちましたわけであります。三つを併せて一緒にいたしましたという点につきましては、漁業の制限に関する法律と、明々白々なものが建設委員会にかかるというようなことになりました点誠に恐縮はいたしておりますが、一つ特損法と申します、これはもういずれにいたしましても、双方の委員会に慎重に御審議を願わなければならん問題がどうしても存在するということが、討議になりましたわけでございます。御了解を得たいと思います。
○委員長(深川タマヱ君) では千田委員並びに小笠原委員の御発言のごとく、この程度で連合委員会を打切ることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千田正君 水産委員会としては非常に有難うございました。
○委員長(深川タマヱ君) 御異議ないと認め、本連合委員会は今回を以て終了いたしました。 これにて散会いたします。 午後四時三十一分散会