経済安定委員会 第5号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/05/28
会議録
○委員長(早川愼一君) これより経済安定委員会を開会いたします。 本日は先ず去る五月十日衆議院から予備、審査のため送付されました衆議院議員竹谷源太郎君ほか二十六名の拠出にかかる国土開発中央道事業法案を議題といたします。 先ず発議者衆議院議員竹谷源太郎君から提案理由の御説明をお願いいたします。
○衆議院議員(竹谷源太郎君) 只今から国土開発中央道事業法案の提案理由を説明いたしたいと思いますが、それに先立ちまして簡単に本法案を提出いたしました基本的構想について若干申述べたいと思います。 〔委員長退席、理事岩沢忠恭君着席〕 我が国の人口はすでに八千七百万に達し、近い将来一億に達するのでありますが、これだけの人口が三十七万方キロの狭小な国土に生活しているのであります。然るにこれら人口の大部分は、この狭小な国土の僅か二〇%足らずの平地地帯に蝟集している状況でありまして、国土の八〇%の地域は人間の住むに値いしない地域として残されているのであります。そこでここに思いを一新し、この残された国土のうち、自然地理的に人の住み得る範囲の土地を、経済的社会的に人の住むに値いする領域といたしますならば、国土の中に新たな国土が現われることとなり、徒らに眼を外に向ける必要はないこととなります。このためには、この地域を経済的社会的地域たらしめなければならないのでありますが、それには交通条件の整備を先行さすべきであります。 今、近代的自動車道をこの未開発地域に貫通させ、この地域に残された資源の開発、耕地、牧野の造成、適地産業の立地等を促しますならば、ここに新たに人口を定着し得ることとなるのであります。これは迂遠の方策に似て今日及び将来の我が国民経済の再建、国民雇用の達成の土に欠くべからざる施策であるのであります。 その理由は、我が国の国際収支を見ればわかりますように、それは甚だしく不均衡でありまして、その原因の最たるものは、食糧、衣料原料及び工業原料の輸入品の大きいのに対し、輸出すべき製品の少いことによるのであります。これの改善のために目先種々な対策も必要でありますが、根本的には、先ず食糧及び衣料原料の輸入を減らす一方、我が国独特の産業を振興させることが必要であります。 食糧については、単に米麦の増産にとどまらず、総合食料対策を立て、酪農、牧畜等の振興を図る必要があるものと思われます。そしてそのためには、今日放置されている原野、草地の利用高度化が図られなければならないと同時に、人口、都市及び諸施設が、農耕地として最適の平地地域に蝟集し、又は過度に集中し、年々数万町歩の農地壊廃を来しつつある状況を改める必要があります。 衣料原料につきましては、綿、羊毛に代る合成繊維工業の発展を図るべきであります。又、材料を外国に仰ぐことを少くして、附加価値の大きい精密工業のような、又は大部分の原料が国内で得られるセメント工業等の振興を図るべきであります。東南アジア諸国が着々として軽工業国となりつつある現状において、我が国は速やかに産業構造を転換させ、その生きる道を発見しなければなりません。これは今日産業界の先覚者の強く主張するところであります。従つて今日我が国は、国土の中に新たな国土を作り出し、ここに今後増加する人口を定着させ、平地地帯における人口の蝟集、都市の過大化を防ぎ、貴重な農地はできるだけこれを保存し、一方この山地地帯において土地利用の高度化を図つて、酪農等の発展を図ると共に、精密工業等、前記工業が内陸工業たるの性格に鑑み、ここに立地条件を整備して、これら産業を誘致する根本施策を講ずべきであります。殊に今日、極度の金融引締めによつて中小企業の倒産は著しく、又潜在及び顕在失業者は日一日と増大し、国民は前途に光明を失い、社会不定は憂うべき状態にあり、これが対策は焦眉の念となつておりますが、国土開発道路の建設は、失業者及び未就業者に就業と新たなる天地を与え、国民に光明を与えるものであります。 以上の構想はなお十分に意を尽しませんが、その構想に基いて、その第一期計画として本法案を提出した次第であります。 これより本法案の説明に入りたいと思います。 先ず本法案の目的といたしますところを申述べたいと思います。その第一は、国土開発中央自動車道と名づけますところの高速自動車道を、中部山地地帯を貫通させまして、東京神戸間に開通し、東西の経済圏を最短距離、最短時間で連絡しようとすることであります。 その第二は、この自動車道の開設と相待つて、これにかかわる自動車道事業及び自動車運送事業、又は沿線の土地、森林、電気事業等を一体的に経営することによりまして沿線地帯における豊富な森林、水力、地下、観光、土地等の未開発資源の開発、精密工業又は酪農等の避地産業の立地振興、これに伴う新都市及び新農村の建設等いわゆる総合開発を図ろうとすることであります。 その第三は、以上の自動車道及びこれにかかる諸事業、即ち国土開発中央道事業の経営を一体的、能率的に行わしめますために、国土開発中央道事業公社の設立を図ろうとすることであります。 その第四は、国土開発自動車道は、国民経済力の発展と国民の生活領域の拡大を期して、国土の新たな開発を図ることを目的とし、従来の人口稠密地帯を縫い、都市と都市を結ぶという常識的な道路建設の目標や、経済的測定の尺度を根本的に一新いたしまして、国土計画の見地から縦長な我が国土をできるだけ速かに連絡すると共に、未開発地帯の開発、新産業の立地振興、人口の配置等を図ることができるよう、主して国土の脊梁部を縦断又は横断させて国土の全土に亙り逐次建設することを目途とする高速幹線自動車道路の第一期事業として着手することであります。従つて本事業の成功を待ちまして、東北自動車道、九州自動車道のごとく、逐次これを開設すると共に、これにかかわる事業の経営を図つて行くことを期しておるわけであります。 次に中央自動車道の性格について申述べたいと思います。 第一にその総延長は四百九十キロメートルでございまして、その経過地は、地図はあとでお目にかけますが、東京都区内を起点とし、八王子を経て神奈川県与瀬町を通り、山梨県大月町から富士吉田市を経、富士山北麓を富士を左に富士五湖を右に見て精進湖畔に達し、ここで富士川に下りてこれを渡り、支流の早川沿いに遡つて赤石山系の東側に深く入り、約七キロメートルのトンネルを通り赤石山の内ふところに顔を出します。ここが静岡県の大井川上流で、ここの標高が九百四十メートルで、本経過地中の最高標高地点であります。ここから本経過地中最長の約九キロメートルのトンネルを通つて、長野県の天龍川の支流遠山川が赤石山系の西側に深く入つたところに出ます。これから暫らくこの川に沿うて下り、途中からこれをはずれて約五キロメートルのトンネルを二つ通つて、丁度天龍峡で天龍川を渡り、今度は恵那山系に近づき、約六キロメートルのトンネルで岐阜県の中津川に出て、ここからは一路多治見市を経て愛知県に入り、名古屋市と岐阜市の中間を抜け、大阪市の北方から神戸市に至るわけであります。このコースは、地図を一覧願えればわかりますように、東京神戸間を直線で結ぶコースの上をほぼ辿つておることとなりまして、従つて四百九十キロメートルの総延長は東京神戸間の最短距離となるのであります。 このコースは、従来中中部山地地帯が障害となつており、特に赤石山系は富士川と天龍川に挟まれた間が約四十キロメートルもありまして、到底横断不可能と思われていたのでありますが、先刻申上げた通り、この赤石山系はその東側に富士川の支流早川が、その西側に天龍川の支流遠山川が、それぞれ東西の流れで深く入り込んでいることと、大井川がこの山系を縦に真二つにわけていて、而もその地点の標高は九百四十メートルに過ぎない上に、その緯度も東京より南寄りで、この地点を通過する限り、さして雪害の心配もないという天与の地形をなしていることによりまして、七キロメートルと九キロメートルの二つのトンネルを貫通すればここを突破することができるのであります。この赤石を突破しますならば、中部山地地帯のその他の地点はそれほど困難な地形ではないのであります。 以上の経過地迫るのでありますが、巧みな設計によりまして、最急勾配四%、最小曲線半径二百メートル乃至二百メートルを保持し、乗用車は時速百キロメートル乃至百二十キロメートル、トラック又はバスは時速六十キロメートル乃至八十キロメートルの高速自動車道とすることができ、これにより東京神戸間を乗用車で約五時間、トラック又はバスで約七時間の最短時間で連絡することができるのであります。 第二に中央自動車道は、只今説明いたしました通り、九キロメートル、七キロメートル、六キロメートル、五キロメートル、五キロメートルの五つの長大トンネルを貫通させることが特色となるのでありますが、これを恐れてトンネルの延長を短かくしたり、又はこれを避けるため只今述べましたコースをはずれて迂回し、又は標高の高いところを通過しようとしますならば、道路延長が増加し、曲線が多く、勾配が急となり、又地崩れ、雪崩等の被害をこうむることとなり、高速自動車道の本質が失われるのみならず、のちに述べますように、この地帯の資源開発、産業振興上の効果を著しく減殺するものとなりますので、本法案の第三条におきまして、中央自動車道の満たすべき要件を規定いたしたのであります。 長大トンネルにつきましては、勿論我が国従来の旧式土木施工法によつては不可能視されるのでありますが、本自動車道を施工します場合には、最新の土木技術と機械力を縦横に駆使しなければならないのでございまして、これによりますならば、従来七キロ延長のトンネル掘幣に十年を要しましたものが二年で足りることとなるのであります。それは最近佐久間ダムの建設において一日十メートル以上の掘鑿をしておるのでありまするが、従来は二メートル半くらいだつたのでございます。若し二メートル半くらいしか掘れないとするならば、七キロメートルの隧道を掘るために十年を経過するのでありますが、最新技術によりますると、僅か二年でこれを完成することができるわけであります。従つて中央自動車道の開設工事によつて、我が国の土木技術の近代化と施工の機械化が期待されるわけであります。 第三に、以上の近代土木技術と機械力の活用によりまして、工事期間は五箇年、その総経費は約一千億円の予定でありますから、年間約二百億円の投資によりまして中央自動車道は開設されるのでありますが、この投資額に比して国民経済上プラスされるところは遥かに甚大なるものがあるのであります。 第四に中央自動車道は、その経過地が主として山地地帯であるため、農耕地の壊廃、人家の移転等の被害損失を住民に与えることが極めて少く、又買収すべき用地の地価も安く、このことは開発事業の実施上重要な要素をなすものと思われます。 第五に、中央自動車道は東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の六大都市、即ち我が国の経済中枢部を最短時間で連絡すると同時に、未開発の中部山地地帯、特に富士山麓、赤石山系、長野県南部、恵那山系、岐阜県東美濃等の地域を貫通することにより、重要経済圏の連絡と未開発地帯の開発を同時に達成することができるのみでなく、連絡道路を整備することによりまして表日本、裏日本を容易にその勢力圏に収めることができるのでありまして、国土の開発上最も経済的、社会的効果の大きい路線であることであります。 又本自動車道は、現在開発又は調査中の富士・白根、天龍・東三河、木曾等の特定地域又は調査地域を貫通し、その開発を促進するものとなります。即ち中央自動車道は、単に既開発地域の交通輸送のスピードアツプ路線にとどまるものでなく、又単に未開発地域の開発道路にとどまるものでもなく、その両者を兼ねると共に、表裏日本をも結ぶ新たな幹線道路となるものであります。これが国土開発中央自動車道と名づけるゆえんであります。 次に本法案の意図しますところは、ただに自動車道の開設にとどまらず、その開設を根幹事業といたしまして、自動車道事業及び自動車運送事業又は沿線の土地、森林、電気事業等の一連の事業を経営いたしますことによつて、文字通りの総合開発、即ち自動車道を中心とする総合開発を図ろうとするのでありまして、この点につきまして簡単に申述べたいと思います。 第一に申述べたいことは、本地域と申しますか、本事業と申しますか、ここにおいては総合開発が実際に行われやすい条件を具備しているということであります。総合開発を効果的に実施して行くことが、今日我が国民経済に課せられた最重要課題であることはここに申述べるまでもないのでありますが、この施策は、国土総合開発法その他に基きまして、近年漸くその緒についたとはいえ、なおその真の成果が発揮されているとは言いがたいのでありまして、この原因は種々あると思いますが、その一は、電源開発を除きましては、開発事業の多くは直ちにペイしない、いわゆる長期投資的な事業であるため、今日の財政状況ではその投資が渋られがちであること、その二は、種々の開発事業がそれぞれいわくつきであつて、その調整が容易でないため、これらの開発事業のうち直ちにペイする事業と長期投資的事業とを巧みに組合せ、できるだけ企業的に実施して行く仕組みがないことによる点が大きいと思います。 国土開発中央道事業におきましては、中央自動車道の開設は、勿論それ自体は長期投資的事業でありますが、幸いなことに、それは我が国の経済中枢を最も有利な条件で連絡する路線であると同時に、この沿線地帯における森林、水力、観光、土地等の未開発資源は、この自動車道の開設によつて直ちにその経済価値を発揮するに至るものでありますから、この自動車道事業及び自動車運送事業と森林、土地、電気事業等の経営とを組み合せて行きますならば、その企業的経営は十分に可能となるのみならず、一方これら事業は従来その事業化が放置されていた、いわば何らいわくつきのものでないので、こうした一体的経営を妨げることが少いと考えられるので、ここにおいて総合開発の実を上げることが十分に期待できるのであります。 第二に、国土開発中央道事業の内容について具体的に申述べますならば、この中央自動車道沿線の未開発資源のうち、特に本自動車道の開発によつて直接事業の対象となるものは次のようであります。 その一は、赤石山系、恵那山系における奥地未開発森林でありますが、その蓄積は一億石を越えています。これは現在文字通り未開発でありまして、本自動車道はこのどまん中を貫通しますので、林道又は水路の附帯建設によつて年間二百万石、石千円としましても二十億円の用材の伐採、搬出が容易となるのであります。ここから、例えば東京から僅か一時間半の距離となりますから、丁度奥多摩の山系に赤石山系が忽然として移転したと同じことになります。 その二は、早川、大井川、遠山川における未開発電源でありまして、約五十万キロワツトに達します。資材運搬の容易と、これらはいずれも人家の水没等に対する補償問題を伴なわないのでありますから、この発電コストは極度に引下げられます。又その貯水池群を巧みに連絡することによりまして、木材搬出のための水路を兼ねさすことができるのみでなく、これらはいずれも河川の最上流部に属しますので、治水、砂防上有効となる等の多目的効果が期待されるものであります。 その三は、冨士山麓、長野県南部、岐阜県東濃等の地域における広大な土地の利用であります。これらの地域は、大都市地域からいずれも短時間で達せられることとなりますので、大都市地域の近郊又は背後地となつて、これらの地域の持つている自然的、社会・的条件に経済性が加わり、特に精密工業については、湿気、潮風、塵埃のないこと、地盤の強固なことによつて、従来の我が国精密工業が海岸地帯に立地しており、そのため精度に欠くるところがあるのに対して、東洋のスイスに比すべき地域を与えることとなるほか、内陸工業の立地を促し、又は大都市地域を控えた集約的酪農等の振興の原因となり、又観光、文化等施設の立地誘導等が可能となり、その土地利用の高度化、土地価格の高騰が見込まれるのであります。 その四は観光であります。富士山麓は言うに及ばず、南アルプス、恵那山系の景勝は驚くべきもので、特に大都市地域から短時間で達せられることとなることは、その利用価値を一層大きなものとするものでありまして、国際及び国内観光上東洋のスイスたるにふさわしい新たな境地を開くものであります。 その五は地下資源であります。石炭石、蛇紋岩等のほか、金、銀、銅、亜鉛等の埋蔵があり、恵那山系は特に我が国に残された豊庫であるといわれています。 その六は、本自動車道による自動車道事業及び自動車運送事業でありますが、この事業は、第一に中央自動車道の勢力圏の広さにより、第二に以上説明いたしましたような資源開発、産業立地、人口集中等により、その採算性につきましては、容易に御判断して頂けると思うのであります。 第三に、企業的、採算的ということを申上げましたが、勿論一企業におけるそれを言うのではないのでありまして、国土開発中央道事業が国民経済へのプラスをできるだけ大きくすることができるよう従来のような非能率的実施を排し、能率的効果的実施を期するためにとられる方途として考えられていることは申すまでもないのであります。 次に、本法案におきましては、国土開発中央自動車道の開設と、これにかかる事業を国土開発中央道事業と称し、これを個々の事業としてでなく、一体的事業として経営し、その効果を速かに上げ、以て公共の福祉を著しく増進することを期しているのでありますが、その目的のために、先ず国において基本計画を確立し、これに基く実施の大部分を国土開発中央道事業公社をして当らしめることとしているのでありますが、これについて申述べます。 第一に、国において基本計画を樹立することにつきましては、その一は、昭和三十年度を開始年度とする五カ年計画として国土開発中央道事業審議会の議を経て決定することとし、本年度中にその基礎調査を完了することを義務付けております。その二に、本計画は、国の根本施策に属するものであり、且つその実施は長期に亙り、又従来と異なる方式によらしめるものであるので、その計画について国会の承認を求めさせることとしております。 その三に、本計画の内容は、自動車道の建設計画と、この沿線地帯における資源開発、適地産業の立地振興、新都市及び新農村の建設、治山、治水、水道、電源開発、電気通信計画とし、これに加え、これは本法案の特色でありますが、これらの事業のため損失をこうむる住民に対しては、単に金銭補償というにとどまらず、彼らができるだけこの沿線地帯においてその損失を償われ、又はその生活を再建し、環境を整備ずることができるよう、定住地設定等の事業をその補償の範囲内で、又は補償と関連して行うよう補償計画を含ましめることとしているのであります。 第二に、国土開発中央道事業公社につきましては、その一つの業務として、中央自動車道の建設と、これにかかる自動車道事業及び自動車運送事業の経営を主とし、これに沿線の土地経営、この自動車道の開設によつて開発が可能となる一定範囲の奥地未開発森林の経営、適地産業の立地振興を図るための。パイロツト工場又は試験場の経営、これらの事業と関連して必要な範囲の治山、治水、水道、発送電、電気通信を併せ行い、このほか補償事業を直接行うこととしております。その二は、これらの事業を行うため必要な土地、奥地未開発森林等の国有財産を、国有財産法第十八条の規定にかかわらず本公社に出資することを規定しております。その三に、本公社の資本金は、前記の現物出資のほか、一千億円の現金出資による政府の全額出資とし、関係地方公共団体、民間受益者からは、政府保証による事業債によつて資金募集をすることとしております。その四に、公社の予算は、その事業を企業的に経営することのできるよう、需要の増加、経済事情の変動、その他予測することができない事態に応ずることができるよう弾力性を与えるよう工夫してあります。その五に、公社の経営については、役員として理事長一人、理事二人及び監事二人の少数精鋭主義をとり、理事会がその業務運営の重要事項の決定機関となり、理事長及び理事は、その決定に従う業務の執行機関となるものとし、その責任を明確にし、全責任を以てその業務に当らしめることとしております。その六に、公社は、諸般の事業に亙るため、内閣総理大臣が一元的に監督することとし、その業務計画については、国土開発中央道事業審議会の調査審議を経て、 一元的に内閣総理大臣がこれを承認することとしております。 最後に、中央自動車道事業が、国民雇用の上に及ぼす影響について申述べたいと思います。この事業の遂行のため、延べ八千五百万人の技術者、事務従事者及び労働力を必要とします。今日職を得べくして得られざる数百万の地方青年を組織し、技術的訓練を与えつこれに従事させるならば、その与える好影響は測り知れざるものがあります。以上は直接必要な労働力でありますが、開発事業の進展に伴い、更に新たな需要を来たすものであることは言うまでもございません。 以上を以ちまして国土開発中央道事業法案の提案理由の説明を終えたいと思いますが、委員会におかれては、本法案の意図しますところを十分に御理解頂きまして慎重に御審議あらんことをお願いいたす次第であります。
○理事(岩沢忠恭君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○理事(岩沢忠恭君) 速記を始めて下さい。 本案に対しましては御質問も多々あると思いますけれども、まだ予備審査の段階でございますので、本日はこの程度にとどめておきたいと思いまするが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 —————————————
○理事(岩沢忠恭君) それでは次に先日付託になりました深川タマヱ君ほか七名紹介のダム建設に伴う犠牲市町村等の更生に関する請願について御審議を願いたいと思います。先ず専門員から説明をお願いいたします。
○専門員(内田源兵衛君) ダム建設に伴う犠牲市町村等の更生に関する請願の要旨を申上げます。 国土総合開発の一環としてのダム建設に伴い、関連する地域における諸種の資源、産業部門は著しい影響を受け、特に被害地域の住民はいずれも不安焦慮に駆られているから現行法に特例を設けるための特別立法措置によつて適正な補償等をしなければ、到底円滑な開発を促進することができないと考えるが、なお当面必要な左の諸件について適切な措置を講ぜられたい。 一、水没犠牲市町村及び水没犠牲者の更生について。公共補償の一環として企業者、関係機関が一体になつて適切な更生振興の途を講ぜられたい。 二、ダム建設関係市町村及びダム対策協議会等におけるダム建設対策諸費用の負担方について。全国ダム対策市町村連盟並びに関係市町村及び犠牲者等を以て組織するダム対策協議会等の諸費用について。昭和二十九年度より企業者等において全額負担の措置を講ぜられたい。 三、水没犠牲者に対しては補償に遺憾なきを期すると共に、経営、生活に不安動揺を生ずることのないよう移転土地の取得等についても十分なる措置を講ぜられたい。 四、残地の補償について。水没残地についても経済力の喪失を来たすので、適切な補償の措置を講ぜられたい。 五、つけ換え道路の幅員について。つけ換え道路の有効幅員は五・五メートル以上と規定せられたい。 六、水面使用権及び漁業権等について。湖水の水面使用権の優先使用並びに将来の漁業の確立等の措置を講ぜられたい。 七、再補償について。戦争中、中止したダムを再興するため、即応の補償について再補償の措置を講ぜられたい。以上が要旨でございます。
○理事(岩沢忠恭君) それではこの請願について御審議を願いたいと思います。なお審議庁から深水政務次官並びに伊藤計画部調査官がお見えになつておりますから、御質疑がありましたら御質疑をお願いいたします。 この請願は非常に尤もなことを書いてあるのですが、現在このダムをやる場合においてその補償がべらぼうにだんだん上つている。この間新聞で御覧になつたように只見川のごときは一戸当り千何百万円というようなべらぼうなものを電源開発会社が出すようになつて、これはこういうような状態が続けば折角国策として電源開発をやつているが事実事業ができないというようなことに追込まれているのですが、審議庁ではそれに対してどういうふうなお考えを持つておりますか。
○政府委員(深水六郎君) 今岩沢理事からお話がありました点につきまして、実はそういう事柄でございますが、今の請願は水没する方面の人々の立場からしてでありますけれども、そのほか今度事業するはうの立場からも何とか早くできるように立法措置を講じてもらいたい、総合的に一元的にやつてもらいたいというような請願も衆議院ではあつたわけでありますが、こういうことで今の補償という問題で非常に電源開発が行き悩んでおる、できたとしてもだんだん吊上つて来ると、結局単価が高くなつて来るというようなことで、これをどうすればいいかということには非常に私たちも頭を悩ましておるわけでございますけれども、二十八年に実は電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱というのを審議会の議を経て閣議できめて了解してもらつたわけでございますが、それはただこういう補償基準を定めて、明確にしたのでございまして、これは法的な性格を持つていないということで実施面において早急な解決ができない、こういう憾みがあるのであります。又各省ともいろいろ跨がつておるし、何とかこれは根本的な対策を早くきめなければならんということで頭を悩ませておるわけでございますけれども、これはいろいろ各方面の各行政機関とも相談しなければならないし、又土地收用法その他とも関連がございますので、今私どもといたしましてはこういう関係各方面その他等の打合せで一日も早く何とか両方……。事業をやるほう、或いは今度は水没されるほうという方面の、両方とも何といいますか、うまく行つて、而も電源開発が早期にできるだけ単価が安く行くという方向に進めたいと思つて、とにかく具体的なことはまだできませんけれども、非常に実は頭を悩ましながら研究しておるような状態でございます。
○理事(岩沢忠恭君) 結局何か国のはうで補償に対する基準というような抽象的な或いは又内容的に内規として今やつておるけれども、これも全然無視されたような状態なんですね、現在の状態は……、だからこれは法律とか或いは何かで或る最高限度というようなものを作るという意思はないのですか、政府のほうでは……。
○政府委員(深水六郎君) 今のところそういうような最高基準を作るかどうか、これは一々土地柄その他もございますので、一概に最高基準はどうだというようなことは作り得るかどうかわかりませんが、とにかく一番客観的に公正で妥当な線はどの点だろう、これは具体的な場合に当らないとできないでしようが、まあ今言われるような一つのペースとなる基準、ベースとなる基準という言葉がおかしいのですが、ベースとなるような何かできそうなものだということで、実は十分検討しておるわけなんですか、なかなか結論に持つて行くまでは非常に実は困つておるような……。
○理事(岩沢忠恭君) これは場所々々によつていろいろな条件も違いますから、当然甲乙があつていいのですが、実際は今の状態は各地とも横の連絡をしているのです。Aの所で一反当り十万円で一応妥結したものが、こつちのほうで二十万円出せば、これもすぐひつくり返つてやめてしまう。だから、だんだんせり上つて来る。今度の只見川一戸当り一千何百万円というような平均になると、これはそう馬鹿なことはできますまいが、大きく吊上る要素になる。これでは仕事にならぬ。何か国のほうで規制をするということを積極的にやらなければ、電源開発というものが言うべくして行われない、又できても非常に高いコストのものになつて、結局できないということに追込まれる虞れがあるのですが。
○奥むめお君 それは中に入つている人がいろいろ吊上げているとかいろいろなものがあると思う。それは所によつて違うでしようが、調査は進めていらつしやるのか……。いろいろ弊害があるでしよう。これは単にその当人が上げているだけじやありませんね、むしろ周りが上げている。
○政府委員(深水六郎君) 今岩沢理事から言われましたような横の連絡のあることも知つております。今具体的なことをやつておりますが、とにかく事業をするほう、それから水没されるほうおのおのいろいろな考え方がございますので、そういう点を両方併せ考えて、どうすれば一番早く公正にできるかということで、実は検討していると申上げるよりほかに答弁のしようがないのでございます。
○石川清一君 道路であるとか、河川の改修、或いは鉄道等の土地収用その他の関連を持つ問題と、このダムの補償等が飛び離れておるように思うのですが、その原因はどこにあるのですか。
○説明員(伊藤嘉彦君) 具体的にそういう事実が確かにあるのじやないかと思いますが、水没の問題は特に最近におきまして大きい、ダムができて来てそれで村が半分以上も水没をするというような心配が起つておりまして、これは私の私見になつて恐縮でございますが、戦後特に電源開発等を促進されるようなことから起つた新らしい問題であります。それから又一面において戦後のいろいろな考え方からして、できるだけ多くの人々の意見を聞くというようなことも、これは新らしいことではあろうと思いますけれども聞くようになつて来ております。関係する範囲が広くてそういうことになつておりますので、工事につきまして最終的に若しどうしてもやらねばならんというような場合におきましては、土地收用法というものがあるわけでありますが、事実問題として土地收用法でやりましても手続上非常に時間が長くかかり、又そういう強制的な方向へ行くよりもむしろ先ず話合いで補償というようなものをつけるという恰好のほうがスムーズに行くというようなことになつて来ておりますのがむしろ電源の、特に関係者の多い水没なんかの場合ではないか。それで道路やその他の場合に決して関係者が少いとは申し得ないと思いますけれども、一つの村が全部なくなつてしまうというような場合とやはり趣きが違いますので、多少の食い違いが出るのではないか。併しながらお話のありました通りに、この問題は現在でもいろいろな方面において補償の均衡がとれてないじやないか。公共事業その他土地收用法の適用される事業というものは非常に多くあるわけでありますが、それについて均衡がとれてないじやないか。それぞれの業種について均衡がとれていない、それはおかしいことじやないかというようなお話も又事実もありますので、只今政務次官からお話があつたように、電源その他こういう工合に補償を要する事業全般についての問題をよく見極めまして、その解決策といいますか根本策を考えて来なければならないので非常に広く考える必要があるのではないか、又今日の状況においてただ金銭で以て補償したならば済むというようなことにはどうも行きませんので、やはりあとの生活ができるというようなことも同時に十分国の総合的な見地から考えてやるというようなことも、どうも実際問題として却つて工事をスムーズに速かにするためには必要じやないかというふうにも考えられる点もありますし、非常に広く複雑に利害関係が大きい問題だと思いますので、只今お話がありましたように、少し広くじつくりと検討さして頂きまして、併しそれは決してゆつくりやるという意味ではないのでありますが、慎重に熟考さして頂くことにして何らかの結論を得たいというふうに実は経済審議庁の関係の部局のほうでは皆頭を悩ましておる実情でございます。
○石川清一君 今のお話、まあ御尤もなように考えるのですが、実際現実の問題としてやはり土地收用法を完全に適用した場合には非常に問題の解決が遅れる、話合いをすると……。而もダムだけは区域が広いし、一村、二村に跨がるものが多い、そういうような形で大分水没の補償に対する意思というものが非常に大きく強くなつて来ると思うのです。そこで私も静かに考えて見まして、道路とかは代替の所を求めるとか、或いは河川の改修はそのまま解決しておかなければならんとか、そういうような関係で、利害関係が直接その住民或いはその周辺にかかつて、圧力が解決を早めるようにいわゆる当事者以外の面から現われて来るのでございます。ところが電源開発の、ダムだけは水没されるところの人が全部山奥だものですから、ほかのほうから促進をするというようなものは電源会社と関係している国ですか、それ以外にないので、この解決は私は特定の区域、指定した区域だけの解決は土地收用法の適用を何日の間にきめなければならんというようなことにでもして、その水没の要綱をもう少しその線をはつきりしなかつたならば、これはほかのほうのものまで吊上げて来まして、河川の改修も新らしい道路の建設もできないのではないか、こういうことを私は心配をしておるのでございますが、そういう点はほかのほうに現われて来ておりませんか。
○説明員(伊藤嘉彦君) 実情につきましては実は今日余りつまびらかにする用意はして参つておりませんのですが、ないとは言い切れないと思うのでございます。
○奥むめお君 大同小異ですが、現実の問題がいろいろあるでしよう。差迫つて解決していらつしやるわけですね。そうするとそれはその都度解決で行き当りばつたりですか。損している人もあるし、非常に得しているところもあるというふうなことになつていると見なければなりませんか。
○説明員(伊藤嘉彦君) 只今補償の問題につきましては、企業者と補償を受ける者との相互の協議によつてやる建前になつておりますので、その都度でありまして、そういう、損しているか得しているかはちよつと判断はつきにくいのでありますが、皆違つております。
○奥むめお君 違うのは当然だと思います。事情によりまして……、でそれの基準を求めるとおつしやるわけなんですね、何の基準でしようか。建前として違うのが当り前でしよう。
○説明員(伊藤嘉彦君) 基準は先ほど政務次官からお話申上げましたように、電源開発につきましては法律の七条に公正な補償をしなければならんという規定もありまして、それに基きまして電源開発調整審議会の議を経まして閣議了解事項として定められました補償基準というものがあるわけでございます。
○奥むめお君 深川さんが提出なさつたものですね。
○専門員(内田源兵衛君) これは全国ダム対策町村連盟でございます。
○理事(岩沢忠恭君) 如何でしようか。これは水没側の請願なんですが、これを採択いたしましようか、不採択にいたしましようか。
○奥むめお君 採択ですね。
○石川清一君 文書に書いてあることは尤もなので、それを採択しないということはないと思うのですが……。
○奥むめお君 頼りないですね、政府へ送つてもそういう御答弁では……。
○石川清一君 補償は水没ダムのほうが非常に有利だと思うのです。ところが道路とか河川はその土地を提供しなかつたり或いは立退きしなかつたらほかの所に利害関係が起るから、空けろ空けろ、我慢せいということで我慢をさせられて、関係のない人が官庁の応援をしているわけです。ところが水没関係ですとほかのほうは関係がないものだから、やれやれというわけで三倍も五倍もといつては語弊があるけれども非常に有利に解決しておるように思いますので、これだけはやはり或る程度横から見ても国のやつておること、或いは国の関係しておる機関のやつておることは大体よかろうというのでないと、どうもどこかの電源開発会社は金を無駄に使つておるか、余分に持つておるか、どこか変なものがあるのじやないかという疑惑も起さすのじやないかと思うのですが。
○理事(岩沢忠恭君) それではこの請願は採択することに決定いたしまして内閣のほうに送付することに御異議ございませんか。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○理事(岩沢忠恭君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。 —————————————
○理事(岩沢忠恭君) 次に国会の当初におきまして議長の承認を得て調査をやつて参りました日本経済の安定と自立に関する調査の件でございますが、今期国会におきましては三回亙つて前年度の内外の経済動向、我が国経済の基本政策、本年度外貨予算等につきまして審議をいたしたのでございますが、併し本件はその性質上長期に亙り一貫した調査を行う必要がありますので、会期の切迫した今日におきましては一応本件の調査未了報告書を提出することといたしまして、同時に閉会中の継続調査を要求いたしたいと存じますが、これに対する御意見はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(岩沢忠恭君) 御異議がないと認めます。よつて前例によりまして調査報告書の内容は簡単に従来の調査の経過を報告することにいたしまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。つきましては調査報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたしたいと思います。 多数意見者署名 岩沢 忠恭 奥 むめお 八木 秀次 石川 清一 —————————————
○理事(岩沢忠恭君) なお先ほど提案理由の説明を聴取いたしました国土開発中央道事業法案につきまして、これを継続審査にするかどうかという問題についてこの際御協議を願いたいと思います。 ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○理事(岩沢忠恭君) 速記を始めて下さい。 どういたしましようか、やはり継続審査ということは一応中絶しましてこのままで流す、流すという言葉は悪いのですが、継続審査をしないということに御決定願えますか。 〔「賛成と」呼ぶ者あり〕
○理事(岩沢忠恭君) それではこの国土開発中央道事業法案は継続審査の申請をしないことに決定いたしました。 それでは今日はこれを以て散会いたします。 午後三時十五分散会