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19回国会参議院1954/04/27

議院運営委員会 第53号

発言数
249
登壇者
18
会派数
6
開催日
1954/04/27

会議録

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 会議を開きます。  常任委員及び特別委員の辞任及び補欠に関する件。

海保勇三議事課長

○参事(海保勇三君) 参議院自由党から、予算委員の西川弥平治君、同じく白井勇君、同じく伊能繁次郎君が辞任せられまして、後任として石坂豊一君、宮本邦彦君、横山フク君を指名せられたいとの申出がございました。  改進党から、補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員武藤常介君が辞任せられまして、後任として菊田七平君を指名せられたいとの申出がございました。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 以上の通り決するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) さよう決しました。   —————————————

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 中央建設業審議会委員任命につき本院の議決を求めるの件。南政務次官。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) 鹿島守之助君を中央建設業審議会委員に任命いたしたいので国会法第三十九条但書の規定により国会の議決を求めるため、本件を提出いたしました。  御承知のように、中央建設業審議会は、建設工事の適正な施工を確保し建設業の健全な発達に資するため、昭和二十四年制定されました建設業法第三十三条に基いて設置されたものでありまして、その目的は、建設大臣の諮問に応じ、建設業の改善に関する重要事項を調査審議し、建設業に関する事項について関係各庁に建議し、又建設工事の標準請負契約約款、入札の参加者の資格に関する基準及び予定価格を構成する材料費及び役務費以外の諸経費に関する基準を作成いたしまして、その実施を勧告することでありますが、併せて同審議会は建設工事の請負契約に関し紛争を生じた場合においては、当該紛争の解決を斡旋することができるのであります。  この審議会の委員は、関係各庁の職員、学識経験者、建設工事の需要者及び建設業者の四つのグループから、それぞれに適任者を建設大臣が任命するものであります。  鹿島守之助君は、お手許にお配りいたしました履歴書に記載の通り、大正九年東京帝国大学法学部卒業後外務省に入りドイツ及びイタリーに在勤いたしましたが、昭和五年に退官して後は、外交史及び国際法の研究に従事、同九年には東京帝国大学から法学博士の学位を受けましたが、昭和十一年には株式会社鹿島組取締役、同十三年七月には同社長に就任し、その後社名変更により鹿島建設株式会社社長となりましたが、引続き前後十六年の長きに亘り、建設業の経営に当り、その間、昭和二十六年十一月には社団法人土木工業協会会長に推され又昭和二十八年四月には参議院議員に当選し今日に至つているものであります。  建設業者から任命される委員のうち一名は、従来から土木関係建設業者の団体である社団法人土木工業協会の会長の職にある者を以てこれに充てる方針をとつて参りました関係からいたしまして、現在同協会会長の職にある鹿島守之助君を任命いたしたいと考えるものであります。どうぞ慎重御審議の上、速かに議決せられますようお願い申上げる次第であります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ちよつと速記をとめて下さい。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 速記を始めて。  本委員任命につき本院の議決を求める問題は、本日はこれを留保することといたしまして、次会に御審議を願うことにいたします。   —————————————

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 次に、漁港審議会委員任命につき本院の同意を求めるの件。

平野三郎自由党農林政務次官

○政府委員(平野三郎君) 漁港審議会委員でございますが、井出正孝、小田賢郎、板垣卯佐治、松平武一、池田駒平の諸君を任命いたしたいと存ずるわけであります。  井出正孝及び小田賢郎の両君は、客年八月六日任期満了となりましたので両君を再び同審議会委員に任命し、又同日、任期満了となりました同審議会委員横田象三郎君の後任として板垣卯佐治君を、同年十月二日任期満了となりました岩田留吉、伊藤佐十郎の両君の後任として松平武一、池田駒平の両君を任命いたしたく、漁港法第九条第一項の規定により、両議院の同意を求めるため本件を提出いたしました。各諸君の経歴並びに任命いたしたき理由につきましては、お手許にお配りいたしました資料に詳細書いてあるわけですから御覧を願いたいと思いますが、どうか慎重御審議の上、速かに御同意をお願いいたします。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ちよつとお尋ねしますが、それぞれこういう委員になられるかたについては、どういう基準と枠を以て御選考になつておられますか。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) お答え申上げます。  漁港審議会の委員の大体に選考せられる資格について申上げますと、「漁港の整備について、充分な知識と経験を有する者」、「漁港の修築に関する技術について、充分な知識と経験を有する者」、「漁港の運営について、充分な知識と経験を有する者」、「漁業に関し、充分な知識と経験を有する者」、この四項目が大体審議会の委員になる資格になるということが規定されておるわけでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それで具体的には、どういうふうに委員の割振りをして選考をしておるのですか。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 大体、前以て申上げますが、委員の数が九名でございまして、そのうちの一名は、法定によりまして水産庁長官を以てこれに充てる。残る八名でございますが、八名のうちの三名をこれは特に早く言えば、工学博士とか或いはそれに近いというような特殊技術を持つたような人を充てまして、いわゆる学識経験者と申しますか、残りの五名を各地方に区分いたしまして北海道以下内地を分けまして北太平洋地区、南太平洋地区、日本海地区、九州地区、こういうふうに五ブロックに分けまして、その分けた中から漁港並びに水産関係において重要であると思われる幾多のフアクターを集めまして、そうして早く言えば廻り持ちみたように選考いたしております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうすると、それは水産庁において選考しているわけでございますか。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 窮極においてはそうでございますが、その前に例えば北海道から、或いは又北太平洋におきまして宮城なら宮城という所が水産県として先ず我々のほうの事務ケースから出まして先ず該当県の一番ということに相成りますると、該当地区の都道府県知事に対しまして前申上げましたような条件といいますか、漁港の知識経験を有する者、或いは漁業について豊富な知識を持たれているというような人たちの中から選ぶのですよと、そういうふうな中で、適当な人を一つお見立て頂きたいということにいたしまして、御推薦を願つております。それでこちらのほうから見まして適当なかたであると思われる場合に、それを我々としては国会の御承認を得る手続をとる。こういう運びにいたしております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それでは具体的にお尋ねしますが、井出さん、小田さんは、これは学識経験者としての再任でございますか。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) さようでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうするともう一名のかたがおられるわけですが、そのかたは何というかたですか。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 鮫島茂でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうするとこの板垣氏は、北海道ですか、どこですか。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) いえ、板垣さんは日本海地区……。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 松平さんは。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 北海道地区のほうから……。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それから池田さんは。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 池田さんは、北太平洋地区でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうしますと、今度は南太平洋と九州はどなたですか。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 九州地区は長崎から出ておる早稲田さんでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それから南太平洋は。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) これは和歌山から出ております和田鶴一さんでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 では、地方から出ているかたで、聞きますが、現在おられるかた、後任者をそれぞれ党籍についてお知らせ願いたい。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 実を申しますと、私のほうは党籍関係まで見通したような選考でございませんので、先申上げましたように府県知事から御推薦願いましたので、条件に全部適合しておるというかたを、我々としては事務ケースとしては国会のほうへ御承認を得るような手続をとつておりますので、一々このかたはどうだというようなことは、私もはつきり申上げかねるわけでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 殆んどのかたは、これは県の漁連会長というようなかたがたではございませんか、或いは県会議員であるとか……。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 漁連会長、副会長或いは漁港協会長、漁港協会の副会長、大体そういうふうなかたが殆んどでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 あなたはしらつぱくれておるけれども、それじやこつちから申上げますが、板垣氏は自由党、松平氏も自由党、池田氏も自由党、和田氏は新政クラブ或いは改進党かも知れません。それから早稲田氏は自由党、全部そういう状態なんです。こういう選考が結果として現れても、この種委員会の問題として何ら考慮する必要がないと、選考せられた水産庁がお考えになつたようでありますが、念のためにもう一度この点だけを伺いますが、何の関係もないとお考えになつておられるか。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 私たち事務当局といたしましては先刻来お答え申上げましたように、法律規則できめられた条件、制限等において適格性をお持ちになつたかたが府県知事から推薦せられまして、私どものほうから国会のほうの承認を得て今まで滞りなく事務的には捗つて参りました。政党政派等を超越していわゆる漁港の問題につきましては円満に処置してやつて来たというように考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 超越したかどうかはわからんが、自由党だけですよ。超越の超の字もあるわけはない、各党があるからこそ超越して円満にやつたということはあり得るけれども、何を言つておるのか私は殆んど理解が行かない。それであなたは都道府県知事に依嘱して推薦方を頼んで一切具体的な任命については中央では手をつけないということを申しておりますが、それは一片の形式なんです。そんな嘘つぱちを言うものではない。広川農林大臣のとき、この問題は水産委員会で問題になつて、今任期満了になつた伊藤佐十郎君がそのとき落ち、そして地域的に不均衡であるということで喧々囂々論議を捲起して、この議運にまで広川農林大臣を呼んで、来年は必ず調整して伊藤佐十郎君を入れるから、今回はこの任期だけは我慢してもらいたい、大臣として確約いたしますということをここで言うて、そしてこの問題は解決し、確かに翌年農林大臣言明の通り伊藤佐十郎君は入つたんですよ。そこで府県知事の推薦だの何かに待つと、そんなことをやつておりますか。中央で業界と話合いを付けて目星を付け、そしてあとで形式だけ或いは整えるかも知らんけれども、実際はそうやつているじやないのですか。或いは実際は水産委員会等で問題になつて、それぞれの自由党なら自由党の諸君も支持して、こういうものはさまつておるじやないのですか。過去の実績がそういうことを示しておる。それでもなお具体的な人選については水産庁、政府は与り知らないところ、県知事から推薦された者について適格であれば、ただ事務的手続としてここに持出して来るのだ、そう言えますか。もう一度答弁してもらいたい。なおそういうふうにしらばつくれるなら、これはいろいろの実証を挙げることができるのですから、少くとも議運に来てそんないい加減なことを言つてもらつては困る。これは前回にもこの議運で大揉めに揉めた問題なんです。しつかりした答弁をして下さい。

岡井正男水産庁次長

○政府委員(岡井正男君) 今まで私が申上げたものは、言葉をお返しするようでございますが、私としてはその通り確認しておるわけであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 では広川農林大臣がここへ来て言明した事実は確かにあるのですよ。具体的に人の名を挙げて、来年はこうこうこういう人をこうする。その当時においてそれが該当府県から推薦されておるわけじやない。それと食い違つているから、すなおに私のほうから尋ねているのです。農林大臣の言つたことは間違いなんだということをあなたは言う結果になるのですよ。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) どうでしよう。本件について岡井次長もいろいろその点事務的にやられて、それらの調査もできていないようでありますし、又皆さんにも御意見があるようでありますから、一応本日はこれを留保いたす、さように取扱いたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) さよう取計らいます。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 なお国鉄関係もまだ質問をしておりませんし、本日はこれは内閣の代表として、官房長官がいつもここに説明にお見えになるのと違うわけですか、何か事情があるわけですか。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) いやその点は、官房長官のほうから、いつも自分が行つて説明するときに、どうも実情に暗いので、却つて所管の責任者が行つたほうがいいように思うが、この点そのように取扱つて頂けないかということを、しばしば私のところに官房長官から要望がありまして、これはやはり政府の問題である。政府いわゆる官房長官に来て欲しい。こういうことでありまして、今日特にさようにしたわけでありません。官房長官、副長官とも要望をいたしておりますが、まだ見えておりませんから、次会に留保する、かように御了承願います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 委員長、あなたのおつしやることは、これは政府が何かこの問題について政治的考慮を加えて異例なる措置に出てやつたのじやないかと思われるのですが、そういうことはありませんか。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) ございません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 あとで「将来の戒めとする」なんということにならんように……。(笑声)

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) さような御意見によりまして、本日は留保いたします。   —————————————

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) なお昨日来、二回に亘つて理事会を開催いたしまして、本院の警告決議に伴う善後処置等について協議をいたしまして、その結果本日の本委員会に緒方副総理、加藤法務大臣の御出席を求めて質疑を行う。かように決定をいたしましたことを御報告を申上げます。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩    —————・—————    午後一時五十五分開会

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 再開いたします。  過般の本院の決議に伴う善後措置等に関する件についての質疑を行います。緒方副総理、加藤法務大臣が出席をされております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 昨日議運といたしましても、種々対政府の問題として、どういう形で質疑を展開するかという問題についても論議があつたところでありますが、政府側から積極的な発言もないという事情もありましたので、会派の立場に立つて、緊急質問をしたのでありますが、再三、政府側には申上げておきますが、私たちの質疑は、単に会派の立場から問題としているのではなくて、参議院として一旦可決せられました院議が、内容として政府に或る種の実行を迫つておる問題である限り、政府においても敬意を表し、又尊重するという趣意があるならば、何らかの措置を期待しなければならんというのが院として率直な立場であります。  従つて私も、昨日緊急質問をいたしましたが、時間がないために、改めて再質問いたしませんでしたが、二、三の点を重ねて伺いたいのでございます。  一つの点は、私多分、そう御答弁になるであろうと思いましたので、説明しておいたのでございますが、重要法案の審議のため、或いは国家的重要法案の通過の見込のつくまでと、こういうことに主たる理由を政府はお考えになつておられますが、政府の期待する点はそうであつても、そのこと自身は、国会の判断によつて如何ようにでもきめ得る問題であり、又内閣は衆議院において、政府与党というものを持つておるのでございまするから、国会の問題にする前に、政府部内で、政府も認めておられるように異例な措置をとつた、「将来の戒めとする」というような答弁をするような、悪いと知りつつも止むなくやつたんだというような、そういう手続を踏まなくとも、衆議院自身において、重要法案の通過のため、或いは国会運営のために、多数の賛同を得られるならば、憲法に従つてこれも否決し、逮捕許諾を与えないという措置もとり得るのであつて、それを内閣自身において、もう国会のためにいろいろな忖度をして、事前に法務大臣の職権を以て異例な措置としてとり行なつたということに対して、参議院としては糾弾しておるわけであります。何故参議院の院議が用いられないのか、我々国会の立場にある者は、誠に不審に堪えないところである。政府与党をお持ちになつておられる内閣として、何故正当な手続手段に訴えて国会における最終的な判断を下す措置に出なかつたのか。この点参議院としては、未だ政府の所信については納得ができかねる問題であります。従つて、この点を先ず明決に御答弁をお願いいたしたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 院議を尊重しない、すでに院議になつているものを尊重しないということにつきましては、私も院議の何ものであるということは、よく承知しておるのでありまするが、院議の通り実行しない、院議の何ものであるかをよく存じておりまするが、事柄の性質上、この場合において、すぐ取消すことは、政府といたしまして何としてもできない。  それで、院議の盛られておりまするところは尤もな要件でありまするので、これは将来の戒めにいたしますると同時に、政府の所信において重要法案と認めておるもの、これが通るまで逮捕を延ばしたいという初めからの希望でありまするだけに、その目途がつきましたならば、その機会において院議を尊重して逮捕延期の措置を取消す、それ以外に現在の政府としては実際問題として措置の出方がないのであります。そういう意味をお答えしたつもりであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 政府の一旦とつた措置を取消すというわけには行かない。これは、私は内容としては不当なものと考えておりますが、政府自身がそうお考えになることは、一応当然でございましよう。併し、一旦やつたことを取消すということではなしに、逮捕許諾を与えることを延期しておるのでありまするから、その時の措置は措置とし、院議が出た今日においては、院議に従つて、延期することは今日までとして、逮捕許諾を与えて行くということについては、私は政府が何らか、前回とつた措置を取消したというような措置ではなくて、飽くまでも院議に従つたという形で逮捕許諾を、この機会において認めると、こういう状態だと考えるので、その忖度は不必要のように考えますが、内閣としては、今日院議に従うということは、内閣自身の威信にかかわり、又内閣の進退にかかわる問題であるとでもお考えになられて、今のような御発言をなさつておられるのかどうか。もう一度お尋ねしておきたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) お答えいたしますが、内閣の威信というようなことは考えていないので、極めて実際的において考えておるのでありまするが、すでに指揮権を発動いたしまして、重要法案の審議の間、逮捕を延期し、その間に是非重要法案を通そう、通したいというのが、政府の意図であります。その際に、その目的を達したならば、院議というものは、無論尊重するのだから、できるだけ早い機会に院議に従つて措置を取消すということ以上には、この際において、院議の尊重の仕方がない。する方法がない。政府としてとるべき措置がないということを申上げたのであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうなりますと、重要法案の審議のために議員お一人が必要なんだ。衆議院の勢力分野によつて、一名でも今は大事なんだ。こういうお考えであるとしますと、たびたびの逮捕許諾を与えておつたことそれ自身もおかしいことでありまして、若しもかかる異例な措置をとられるということであるならば、今国会始まつて最初の事態において、そういう措置をお考えになるのでなければ、国民は納得しない。又その場合はその場合で、別個の問題は起きますが、而も途中、今日の状態において、幹事長であるが故に重要法案の通過のために支障を来たすというような考え方を政府部内としてとつて、国会の判断に待つ手続をとらなかつたということはおかしい。なぜ、政府のそういうお考えがあるならば、一人の議員といえども、重要なのでございますから、この国会当初において逮捕許諾を与えない方針を政府部内でおとりきめにならなかつたのか。この点は緒方さんは、この議運に御出席になりませんからわからんかと考えますが、本院の逮捕許諾を与えた議員の、逮捕許諾に関する審議をしました場合に、政府からはたびたび申されたところなんであります。如何なる議員に対しても、或いは今後出て来るであろう問題に対しても、政府としては、飽くまでも事務的な取扱をするだけであつて、検察行政一般に関しての責任は負うけれども、逮捕許諾そのものについて、内閣は責任を負うものではないということを、再三申されたのであります。ところがそのことと真向から反対な今度は理由で、あえて政府が責任をとつて指揮権を発動して、そうして国会の議にかけない。こういう点が我々参議院として非常に政府の態度に食い違いがあるということで問題にしている点なのであります。早く申しますならば、参議院の議員逮捕に対しては、政府は参議院を瞞着したとさえ言わなければならんと思うのであります。参議院の議員に対しては、政府の見解が一つの見解として、今後もそうするということを言明しておつた政府が、衆議院の一幹事長に対しては、別個な取扱をする。これでは、全然筋が立たない。参議院を軽視したというか瞞着したというか、そう言われても、私は政府としては抗弁のしようがないのじやないかと考えますが、この点は如何ですか。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 只今の小笠原君の質問に、更に私は関連して答弁を伺いたいのですが、只今衆参の関係において質しましたが、衆議院だけの関係においても、改進党の荒本国会対策委員長は、法務大臣がこの禀請を許可して、内閣をトンネルとして院に対して許諾請求がなされたわけです。法律案の審議というのは与党と野党と共にあつてなされるわけでですね、自由党の幹事長の佐藤君のときだけ、十四条を発動して押えた。野党である改進党の国会対策委員長の荒木君の場合は、どうして違う取扱い方をしたか、ここに国民の側から考えた場合にどうしてもこれは党利党略的なものが存在すると判定せざるを得ないと思うのです。それを如何ように説明されるか、併せて御答弁願います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) これは、議員の甲乙によつて、或いはその所属の野党であると与党であるとによつて区別するつもりは少しもないのであります。これは全く与党の幹事長であるという立場、これを政府がかけ替えがないという考え方に出ずるのであります。而もその捜査の内容或いは処分について、かれこれ申すのではなくて、これを申上げると法律論となつて、この席で弁明としてどうかと思いまするが、今の政治は、実際において政党政治で、その政党の運営に当つておる、まあ実際の統卒者である幹事長の位置というものは、非常に重要な位置で、これなしには政党の運営がうまく参りません。政府としましては繰返し申上げましたように、教育の二法案その他政府が極めて重要であると、而もこの国会に是非通過成立をさせたいと思つておりますその法案を通すことを根本の理由を考えまして、それを通す上に、何としても与党の幹事長の椅子というものはかけがえのないものである。そこで捜査或いは処分の内容には立入りませんが、その犯罪が現行犯でもないし、又証拠隠滅とか、逃走とかいう虞れもないと信じますので、この重要法案の通過成立の目途の付くまで、任意捜査をやつてもらい、その間、逮捕を延ばしたい。そういうことで、別に議員の誰彼によつて甲乙を付けるというようなことは勿論ございません。又佐藤幹事長の逮捕の問題、これに、政府が圧迫を加えるとか何とかいうことをしたのではなく、ただそれを、或る時期延期しておるという意味の指揮権の発動であります。その点におきましては、政府は初めから申しまするように、どこまでも政府の信ずる重要法案を通過させたい。特にこの機会に通過させたい。そういう政府の所信に基きまして行いましたことで、今の先ほど来、政府が何か佐藤幹事長というものに対してのみ特別なフエイバーを行つたように言われるのは、私の考えとしては、当らないと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 じや端的にお伺いいたしますが、国会において、政府与党が絶対過半数を持つているならば、成規の手続を以て国会にまで持出して否決してよろしいという考え方も取入れられたのでありますか。国会がこの逮捕許諾について可決せられることを恐れて政府部内で処置したというふうに言われた場合に、それに対して抗弁する理由がございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 政府といたしましては、国会のとられる態度に対しまして積極的にどうこうという権限は持つていない。今の指揮権の発動は、これは異例ではありまするけれども、政府の行政部内のこととして、政府の法によつてやり得ることでありますので、政府はその権限を発動したのであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 この点が、一番大きな見解のわかれるところなんですが、国会の議事運営によつて、重要法案の通過を図る。或いはそのことを政府が期待する。こういうことから、直ちにあの指揮権というものが発動されるという筋合いにはならない。指揮権の発動ということは、そういう場合に適用さるべきものではない。立法の精神から、その点は我々は確認されるところなんです。そういう点で政府に過ちを改めよと申上げておるわけなのでございまして、そういう問題について、指揮権が発動されるというのが、政府は、検察庁法における精神である、法務大臣がそういうときに指揮権を発動するというのが正当なのである。こういうふうにお考えになつておられるのですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) それは、指揮権の発動ということは、これは始終やつておるもので、ただ普通の場合におきましては、ああいう検察庁と法務大臣との意見は、法務大臣の判断を待つ前に聴取されている。ところがたまたまあの問題につきましては、法務大臣の意見と検察庁の意見との間に相違ができて来た。そこでああいう形になりましたが、指揮権の発動そのものが、別にこれは異例なことではないのであります。ああいう発動の仕方が異例である。こういうふうに考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 では、又角度を変えてお尋ねしますが、政府与党の幹事長が重要であるから、逮捕の許諾を与えなかつたのだ、逮捕請求を許可しなかつたのだということは明らかでありますが、一応野党である改進党の荒木君は、国会対策委員長です。院内において、それこそ法案その他の問題について一切の責任を負う、改進党としては重責にあるかただ。このかたを幹事長同様に扱うことができないということは、私は片手落ではないかと考えるのですが、その点は如何ですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 政党政治の基盤をなしている政党におきまして、幹事長の椅子と国会対策委員長の椅子は、それは多少の差等はあると思います。私は与党の場合に考えましても、国会対策委員長の場合は、あの指揮権の発動はしなかつたろうと考えます。それほど幹事長の椅子を重く見ております。のみならず、これは重要法案、政府が是非とも何したいという重要法案を通すことが出発点になつているのでありまして、その重要法案を通す上に、与党の結束又国会の運営ということが、どうしても的確に行われなければならないというその立場に立つて、この際、指揮権を発動いたしたのであります。(「関連質問」と呼ぶ者あり)

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ちよつと待つて下さい。  ここのところは、飽くまでも政府としては、政府与党を守るためにのみこの指揮権を発動したのだ、こういうことになつて参りまして、(「関連質問」と呼ぶ者あり)松浦君の関連質問等が行われて来ることは、これは当然のところなんです。今の緒方さんの発言は、私はこれは適切ではないと思います。この点は、非常に重要な点ですが、関連質問を要求されておりますから、一応この部分を譲るとして、然らば政調会長というものの場合は、指揮権の発動があるのかないのか、さるべきものか、されないものか。念のために伺つておきます。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 位置の重要性から申しますと、幹事長のほうが、政調会長より遥かに重要であります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それで……。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 将来発動するかどうかということにつきましては、今の議会の運営、議会の重要法案の国会における進行状況等もありまして、今からここで申上げることはできません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私は、そういうことの内容を突いて申上げるのではなくて、一般の問題として、国会対策委員長は幹事長より重くはない。それで指揮権発動というような措置に出ない。こういうことでございますから、では政調会長というのは、幹事長と比べてその重さ如何。一般的に、指揮権発動ということがあり得ていいのかどうか。こういうことをお伺いしているんで、具体的な問題については、政府はそれぞれの所信で措置されるのでありましよう。私はその部分まではお伺いしておらんので、もう一度、御答弁願いたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 先般の措置をとりましたのは、幹事長の場合に限る考えで措置を取つたのであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それで荒本国会対策委員長の場合は、政府与党の幹事長たるそれよりは軽い。院内の運営その他において軽い。差支えがない。こういう筋合いで逮捕許諾を与える事務手続をとつた。こういうことなんですから、従つて然らば、党三役と言われる幹事長、国会対策委員長、もう一つある政調会長、この政調会長の場合は、どうお考えになるかということについては、端的にこれはお答え願わなければ、片手落ちである。又野党である改進党のかたがたに対しても相済まん問題であろうと思います。この点は、はつきり一般の問題として明確なるお答えを願つておかなければなりません。

松浦定義改進党

○松浦定義君 先ほど僕が関連質問と言つて、当然私はあのときにやらなければならんのです。今になると焦点がぼやけてしまつて、僕が、何を言うかわからんでしよう。でありますから、関連質問は、やはり優先するものだと私は思うんです。そういう意味で、先ほど委員長のとられた処置は、私は不満である。私は只今、それは質問はいたしません。従つて、適当な時期に、発言を求めたときにお許しがあつたからできると思います。なぜ私は、こういうことを申上げるかというと、野党であります小笠原君がやつておりますから、私は先ず大体いいと思うのですが、そういうケースを若し与党から出た場合に、我々は関連質問を委員長がそういう形で許されぬとするならば、今日やつておる問題は、我々の会派会派の問題じやないのです。これは……。参議院全体の問題として、少くとも異例な会合を開いて、副総理なりお忙しいところを来て頂いておるのですから、私はそういう意味で、やはり関連質問等は優先すべきであるということをこの際申上げておきます。(「やつたらどうですか」「松浦君の会派の問題だからやつて下さい」と呼ぶ者あり)

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 御意見は聞いておきましよう。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 幹事長の場合に限り指揮権を発動したのでありまするし、今後もこういう場合にぶつかりましても、国会の法案審議の状況によりまして……。幹事長の場合は、止むを得なかつたと考えます。(「答弁にならない」と呼ぶ者あり)

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 幹事長の場合は止むを得なかつたと言つて、過去の事実についての解明は先ほどから何度も承わつて、この点は納得いたしませんけれども、御答弁は頂いております。私の答弁頂きたい点は、国会対策委員長である荒木君の問題については、他党の改進党の内部事情等がいろいろあることも、何ら顧慮されることもなしに、国会対策委員長なるものは政府与党である幹事長よりは軽い。だから逮捕許諾の請求を許可したのである。こういう御答弁であつたわけですから、従つて政府与党である幹事長と対比して、では、三役の一人である政調会長の場合にはどうなるのか、これは「将来の戒めとする」と、緒方副総理が政府を代表して本院で御答弁になつた直後なのですから、従つて将来の戒めにするという範囲において、この政調会長というようなものが、仮に改進党であれ自由党であれ、私は個々のケースについて申上げない、いわゆる党三役の一人である政調会長なる者の地位は、身分は、指揮権発動の対象になるのかどうかということをお尋ねしているので、この点については、的確な御答弁を再三要求しておるわけなんです。  これは、緒方さん、どうしてその点を言わないのか、ですね、言えないというならば、私は言えないという理由が、御答弁になつて、それが納得するに足るものなら、これ以上私は申上げません。けれども、政調会長という問題になつたら、先ほど来諄々と御答弁になつた御態度とは又変つて、遅疑逡巡されておるのは、何のことやら私たちとしてわからんのです。ちよつと、もう一度一つお伺いしたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) その前に、私は与党であると野党であると言つて区別をつけるという意味ではなくて、政府の法案を通すために、野党の幹事長の位置が特に重要性を持つておつたということがあることを御了承願います。  それから党の三役というのは、これは横道の答弁になるかも知れませんが、自由党におきましては、国会対策委員長というものは入つておりません。幹事長と政務調査会長と総務会長であります。(「格が上つたね」と呼ぶ者あり)別に格は上つておりません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 まあ、それはそれで、政調会長の場合はどうなんですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 政調会長の場合は、今予想することはできませんが、幹事長以外の者を対象として指揮権を発動するつもりはございません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ではその点は、今の御答弁で、私も納得が行きました。政府与党の幹事長たるもの、而もそれが重要法案の審議のために重職にある。従つて差支えを生ずる。そこで逮捕請求をしなかつたのだと、他には指揮権の発動はない。こういう点は明らかになつたと思います。  そこで、もう一つお尋ねしますが、元来が指揮権発動は、法務大臣それ自身において持つておる職権なんです。これを過去の経過で見ますと、政府の措置、政府の措置と申しておりますが、閣議決定等の手続を以て、指揮権を発動するに至つたのではなくて、単に内閣法によつて吉田総理大臣が行政全般に亘つて指揮する立場にあつて、そこで法務大臣をして、ああいう措置をとらせたということが真相だと思いますが、そうではなくて犬養法務大臣の職権による、犬養法務大臣自身の意思として、他の閣僚なり総理大臣から一切の指示を受けないで、あの措置が行われたのかどうか。その点を伺つておきます。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 今、後段にお述べになりました通りであります。即ち犬養法務大臣の判断によつて指揮権を発動したのであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうしますならば、指揮権は発動してみたものの、かかる措置はとらるべきものではないとお感じになられて犬養前法相が辞任せられましたあとを引受けて加藤法務大臣は就任せられましたが、加藤法務大臣は、総理、副総理等の指揮は受けない。又閣議等において何ら特段な措置が行われないで、こういう今日の情勢において、この参議院の院議に基き、あの前法相がおやめになつた経緯から見ても、法務大臣としてはこの前大臣の指揮権を発動した点については、これを踏襲するとかしないとかいうことは無関係であつて、あなたの職権において、この時期において、逮捕請求を許可する。こういう態度こそが望ましいと思いますが、大臣自身の、そういうことをやつてはならないという御見解があるならば、その見解を承わりたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、犬養前法務大臣が信ずるところによりまして、ああいう指揮権発動をされたのでありますから、私自身も、又私自身の考えによりまして、他から掣肘は受けることなく、私も今後同じ趣旨に進みたいと思つております。  従いまして、今副総理の申されたごとく、国家の大局に立ちまして、いろいろ只今持ちかけた重要法案を通過さすことが、今急務であると信じますが故に、犬養前法相もその趣旨のもとにやられたことでございますから、私も同様な考えを以て、今直ちにこれを取消すというふうには思つておりません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 法務大臣の職責というものは、国会の運営はどうであるとか、或いは政府部内の意向がどうであるとか、そういう政治的考慮を加えらるべきものではないと私は存じます。検察庁法の建前は、そういう点を厳正に区別しておると思うのです。従つて法務大臣の職権というものは、単に政党内閣における政党大臣が行政指揮をするという場合とは、或いは政策遂行のために、各種の措置をとるという場合とは、問題は別個だと思うのです。この指揮権発動について、法務大臣の職責にいやしくもあるものが政治的な考慮を加えた前大臣のそれを踏襲するということは、私は不適当である。不当であると考える。法務大臣はこの場合に、検察行政が適正に遂行せらるることを念願とし、そのことによつて指揮権を発動すべきであろうと私は思います。法務大臣の職責上、政治的考慮をその意思の中に加えられるということは、私は遺憾な点だと考えますが、あなたはそういうことをして、検察行政なり、一般司法行政なりをおやりになるお考えなのかどうか、重ねてお尋ね申上げます。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今更、説明がましいことを申して恐縮でございます。超然内閣であるとかいう時代ならばとに角でございますが、只今の政党内閣のときに、私も政党の一員といたしまして、自由党内閣の国務大臣として、法務大臣を命ぜられておるのであります。その立場におきまして、国家の大局よりしてみて、私は、自分の信ずるところに犬養君はやつたものなりと思います。従つて私自身も、政党内閣の国務大臣として、この国家の大局の上に立つて判断を下すことは差支えないと思つております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それは飛んでもないお話を聞いた。政党から出ておる政党内閣の大臣だから、この政党の幹事長を護る。この政党を護る。この政党を基盤とする内閣を護らなければならん。従つて検察行政について、その限りにおいて指揮権を発動して差支えないなどということであつてはですね、検察行政というものと、法務大臣の職責というものと、或いは政党内閣の国務大臣としての立場を、あなたはごつちやにしておられる。国務大臣として政党内閣として政策遂行に当ることは、それはそれでよろしい。その限りにおいてよろしい。併し検察行政それ自身は、客観的なものである。政党と何ら関係があつてはならないものなんです、政党のそれを何らか考えて行くような考慮を払うべき筋合いのものではない筈なんです。あなたは、たしかに自由党議員であり自由党内閣の国務大臣ではあります。併しこれは法務大臣として法務行政の所管大臣として、検察行政を指揮する立場に立つ場合に、それが一政党のためにする政治的な考慮を払つていいなどということは、どこからも論理として出て来ない。あつてはならないことなんです。もう一度、この点はしつかりした御答弁を願いたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、自由党の党派を護るという立場において言うたのではないので、国策の全体の上より見て、とこういうことであります。そういう意味からして自由党、或いはその他の党派をどうするという党派的の問題ではないのであります。国策全体の上より見て、私は言うのであります。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 国策とか大局よりと言いますが、これは、政府の一つの意思によつて表現せられた一つの概念であつて、少くとも国会において審議権が委ねられている以上は、一国の国策は内閣の意思によつてのみ決定されるものではないのであります。先ほどから緒方副総理並びに加藤法務大臣のお話を聞いていると、あたかも国策というものは、内閣の意思のままに通さなければならないかのごとき錯覚を我々に与えんとして努めておるのでありますが、少くとも内閣の在り方、国会の在り方、政党の在り方、政党内閣、議会主義を基礎としたところの責任内閣制のもとにおける内閣のフアンクシヨンとか、国会のフアンクシヨンを、もう少しこのけじめをしつかりしないところに混乱があると思うのであります。  特に、幹事長の問題に関しましても、具体的にその幹事長なるものは、与党のみの幹事長を指さすものなりや否や、或いは野党の幹事長をも含めるものか。或いは少数政党の幹事長も含めるものか。その概念規定を明確にしなければならない。与党の幹事長のみを指すものとするならば、その内閣の背景をなす与党のみの力によつて国策審議を押し切ろうとするところのフアツシヨ的な行き方であります。国会においては、与党と野党があつて、この国会において国策審議にあたるべきであつて、政府の権限圧力によつて、行政府の圧力によつて、国会の審議権を左右するようなことは、憲法の違反です。  こういう重大な問題が、基本的に流れているのに、その問題を明確にしていない。個々の問題から最終的な結論に入りまするが、第一段階において緒方副総理の指さすところの幹事長なるものは、与党のみの幹事長なりや、或いは野党の幹事長の場合において、大政党のみの幹事長なりや、少数政党の幹事長も指さすものなりや、政策審議会長においても然り。その内容を明らかに示してもらいたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 政府が、自分だけで勝手に政策を遂行通過させようというのは以てのほかだ、とんでもない思い上りだという意味の御意見でございましたが、これは国会によつて指名を受けました政府、その政府は、国会に対して責任をとるものは政府、従いまして政府は、その所信に従つて政策を立てる。その政策が、できるだけ政府の考え通り通ることを庶幾するのは、これは当然だと思います。これは少しもフアツシヨでも何でもない。政府が、国会に対し又国民に対して、責任を持たない、その政策に対して、所信がないというようなことでは、民主政治、議会政治の根本は揺いでしまうと考えます。  それから今の幹事長の、与党の幹事長、野党の幹事長、小会派の幹事長というお話がありましたが、その党における、政党組織において幹事長の重要性に野党と与党と、小会派と大政党との間に異るゆえんはございません。ただ私が申しましたのは、今の政府の立場として政府の信ずる重要政策、これを通すために、政府から見て与党の幹事長の位置が非常に重大である。従つてその逮捕の延期を希望して指揮権を発動したというのでありまして、それ故に与党の幹事長の位置が野党の幹事長よりも重いというようなことを意味しておるのでは少しもございません。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 今のことに関連した問題です。  幹事長の位置というものは、政党の幹事長です。その吉田内閣を、自由党内閣を作り上げたところの基盤であることはその通りであります。少くとも政党は、行政府におけるところの内閣とは、そのフアンクシヨンが異なつておるのです。少くとも国会議員が幹事長に当つておる以上、国会にそれは委託さるべきものであつて、内閣の与党の幹事長なるが故に内閣の指揮権によつて、これを擁護することができる。野党の幹事長ならば、これを庇護することはできないということにおいては、同じく国会において平等なる席を有しながら、この政府与党たると野党たるとを問わず、国民に選ばれてこの国会において、一つの審議権を行使している場合において、一面においては背後から強力な権力の圧力が加わり、一面においてはその庇護を受けないという状態の下において、正しき審議権というものがなされるかどうか。これは冷静に考えなければならない問題で、それに対して、緒方さんはどういうふうに考えますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) この犯罪の捜査とか個々の犯罪についての処分というようなことを、どうしようという考えは少しもないのであります。ただ逮捕の問題でありまするが、ただその逮捕の延期を求めただけでありまして、何故にそういうことを特にやつたかということは、繰返して申しますが、政府の重要法案を国会の会期中に是非通したい。そういう希望から、国会の運営を円滑ならしめるために党の幹事長の逮捕を延期したいということで、それによつて、直ちに与党の幹事長の位置のみを重しとして野党の幹事長の位置は非常に軽いものだという結論を引出されることは、私は筋違いだ。政党というものにおける幹事長の位置は、野党であると与党であるとによつて少しも違いはございません。但し、今の政府が主観的に見る位置、それは重要法案に関連して主観的に見る幹事長の位置が、位置と申しまするか、幹事長の逮捕を、延期することが必要であつたということだけであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 先ほどの質問を継続いたしますが、加藤法務大臣は、政党内閣の国務大臣として、この内閣の政策遂行のために必要な、いわゆる加藤法務大臣の言を以てすれば、国策的な見地に立つて、大局に立つて、指揮権を発動した。これを取消す意思がないと申しておりますが、あなたは法務大臣としては、他の大臣と軽重があるわけではありませんけれども、憲法の立場に立つて厳正な法の執行をしなければならない特段な重要な地位にあるお方であると思います。先ほど来、緒方副総理は与党の幹事長であるからというようなことを理由としておりますが、憲法五十条では「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、」とこう規定して、身分を保障しておるのは、幹事長の地位を重しとするとか、軽しとするとかいうことで保障しているのではないのであります。これは国会議員が、法案その他の審議に参画する議員の職責遂行のために必要な措置として、こういう点が憲法で規定されておるのです。この点については、緒方副総理にもお尋ねするので、幹事長が重要だとか何とかいうことではないのです。憲法では、議員たるものの、これを対象として、問題にしておるのです。従つてこの点についても、緒方副総理の見解をお尋ねしますが、特に加藤法務大臣としましては、法務大臣の立場にあつて、この憲法に照して、或いは国会法に照して考えてみるときに、政府与党の幹事長であるから指揮権を発動するのは止むを得ない。国策遂行上止むを得ないなどということは、一遍も言えたものではないのであります。これは議員として何人も平等の立場に立つて、法務大臣としては扱わなければならないものなんです。法案の審議その他に下都合を生ずるのであろうと考えるならば、全体の議員について、そういう措置を考えられるのが法務大臣の公正な態度なんです。それが議員のほかに、幹事長であるからという概念までその中に入れて、法務大臣がかれこれを忖度すべきではない。そういう点が、同じ政党内閣であつても、法務大臣みずからに備わつた職権を行使するに当つて峻別されなければならない点なのだということを私申上げておるのであります。  従つて加藤法務大臣としては、然らばこの憲法に照して、各議員に対して逮捕許諾を与えないという精神を今後において貫こうとするのかどうか。この点をお尋ねします。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 私に御指名がありましたので、私に御質問のところだけをお答えいたしますが、この検察庁、検察というものは、純然たる司法部でありませんが、準司法部と申しまするか、慣例といたしましても、常識といたしましても、個々の決定した議員逮捕に関するようなものは、政府におきましてはトンネル式にこれを国会に取次いでおるのです。ただ幹事長の場合は、先ほど来申しましたように、重要法案の関連におきまして、この際逮捕されるのは非常に国政の、国会の運営上困る。繰返して同じようなことを言いますが、その内容には立入らないが、その法案の通過の目途のつくまで逮捕を延期したいということから、普通の議員と別な理由で、逮捕延期の指揮権を発動したのでありまして、普通の場合におきましては、検察庁の決定は、政府としてはそのまま国会に取次いでおる。いわゆるトンネル式にそれを承認いたしておるのであります。これが今までの仕来たりでございます。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今、小笠原君からの御質問でありましたが、勿論議員は会期中に逮捕されずと、こうあるのでありまして、これは何人に対しても同様であることは、今後も申すまでもないのであります。ただ前の場合は、前法相が、十四条の指揮権を発動いたしましたことにつきましては、私は、そうであつたであろうと思うて言つているので、私がこれを発動したわけではないのであります。従つて私も、そういう意味で発動したのであろうと思いますが故に、先刻来、私にいろいろ御質疑がありましたが、私も取消すという考えは持つておらないということでありまして、ただ前の者がやりましたが故に、無責任にこれを継承したというわけではないのであります。今後議員というものは、当然平等であることは申すまでもないのでありまするが、この十四条を発動いたしましたのは、そういう配慮、考慮の結果である。こう思つておるのであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 加藤法務大臣は私の質問の意味に当らない御答弁を繰返しておられるだけですが、少くとも政府、内閣は、総理大臣も副総理も、法務大臣を指揮したのではないということは、今後も指揮しない。法務大臣自身の職権として、法務大臣の意思にかかわることなんだ。こういうことであろうと思つておるのです。従つてあなたにお尋ねしておることは、飽くまでも法務大臣の職責の上からお尋ねしておるのですが、あなたの御答弁は、内閣の都合、内閣の政府の都合そのものを考慮して緒方副総理が措置したことを御答弁になつておられる。それをただ引継いでいるだけだ。私は法務大臣の指揮権の発動というものは、ときの内閣の都合によつて、政府与党の逮捕は重要法案の通過のために差支えがある、困る、こういうような、時の内閣の都合によつて、こういう検察行政に対して指揮権を発動することはあつてはならないものだということを申上げているのです。而も憲法においては、幹事長の逮捕はしないのだというようなことではなくて、議員に対して平等な特権をこれは与えておるものです。だから内閣の都合ということを言うこと自身が、誠に不適当でございますが、少くとも法務大臣としては、内閣の都合によつてその指揮権を発動してはならないと思うが、あなたの見解はどうだと聞いているのです。けれども、これは私は自由党の党員として、政党内閣の国務大臣として、法務大臣として、この政党内閣の存続のために、この内閣の都合によつて検察行政を指揮するのは止むを得ないと考える。こういうことであるならば、さよう御答弁なすつて一向差支えない。私はそういう点を聞いているのです。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私はこの犬養前法相の措置につきまして、私はよく事情はわからんのでありますが、今後も私はこういう問題につきましては、私の信ずるところによつてやるのでありまして、それは只今も申上げたごとく、時の内閣の都合というようなことではなくて、重要な国策のことに関してであります。それは只今の通過の見込がつくまで、見通しのつくまで前法相のこの措置に対して取消しはしない。こういうことであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ますます以て、どうも加藤法務大臣の見解については納得できない。あなたは再三、国策々々と申しますが、これは内閣が意志する政策の実現のことを言つていると思うのです。それは御自由であります。内閣の政策実現のためにあらゆる国民の前に、議会に対して責任を負う措置をとろうとせられる努力は、それは尤もなことであります。私は否定いたしません。併し内閣が国民に対し、国会に対して責任を負うためのあらゆる政策遂行のためには、検察行政についても、その政策遂行のためには如何ような措置をとつてもいい、こういうお考えを私は不適当だと、妥当でないとしているのです。このことは他の一般行政の問題とは違うのです。先ほど緒方副総理のおつしやいます通り、これは純然たる司法権とは言えないが、準司法の問題、そういう自覚があつて、なお且つ内閣が政策遂行のために検察行政をあつちに引張つたりこつちに引張つたり、こういうような指揮権の発動ということはあつてはならないということに対して、法務大臣の見解を聞いているのです。前法相のことはわからんと言うならば、わからんでよろしい。あなたはそういう自覚の下に検察行政を指揮しようとするのか。その内閣の行政責任、政策遂行の責任を感ずることは認めるとしましても、そのことのために如何様な検察行政に対して指揮してもいいなどという論理は、どこからも出て来ないのだということを私は申上げておるので、この点について、十分な理由を明示して頂きたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、今後出て来る問題につきましては、さように常に与党の便宜を図るなどという考えでは少しも、今後の起きて来る問題につきましては、(「委員長委員長」と呼ぶ者あり)私が発言中でございます。ちよつと待つた。(笑声)私は公正な立場に立つて行きたいと思います。少くともこの問題は、今までの問題は異例の措置は、異例の今の国の立場にあつてやつた措置であつた。こう思うのでございます。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 加藤法務大臣に伺いますが、只今質問して、あなたは今後起つた場合に、政府与党の便宜のために云々ということは、私の信念の下にやらない。こういうふうにまあ言明されているわけです。それから緒方副総理は、犬養法務大臣の当時も何ら力を加えたものでなくして、犬養法務大臣の自主性においてなさつたものであり、今後も加藤法務大臣におきましては、そういうふうにするのだ。こういうふうに言明されているわけです。ところが前犬養法務大臣が、佐藤幹事長の逮捕稟請を許可しなかつたということは、先ほど来、緒方副総理の言明にもはつきりしましたように、政府与党の掲げている政策に基くところの法律案、いわゆる重要法律案を成立させるために、即ち政府与党のためにとられた措置であるということは、即ち政府与党の政策、経綸の具現のための一つの方法としてとられたということは明々白々である。それではあなたは、今法務大臣として、あなたの自主性において如何なる指揮監督でもできる立場に立つているわけです。ところが参議院のこの決議案は、あなたがたがよくわかつているように、とにかくあのとられた指揮権の発動というものは妥当でない。これは参議院の意思決定。妥当でない。だから過ちを改めて速かに善後の措置をとるべきであるというのが参議院の院としてのこれは意思決定。これをどうしてあなたは尊重しないのですか。先ほどからあなたは、与党の便宜のためには止むを得なかろう。それを基本方針にするというならば、この佐藤幹事長の場合には、そういう立場においてやられた。それが参議院の院議において不当である。こういう結論を出したわけですから、あなたは本会議で参議院の決議案に対しては敬意を表すると言われている以上は、当然あなたの自主的立場において、あなたの権限において、今延期してあるところの逮捕許諾の稟請を一刻も早く許可すべきである。それによつて初めて参議院の決議に敬意を払い、参議院の院議というものを尊重するゆえんになると思いますが、如何でございますか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は参議院の御決議を尊敬は申上げまして、今後次に起きて来る問題につきましては、敬意を払つて篤と考慮いたしたいと思つております。今後の来る問題につきましては。併し今まで前法相のとりました措置に対しましては、私は先刻来申上げるような理由で、これを今俄かに取消すというつもりはないのであります。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 これは今、極めてやはり重要な問題にぶつかつておるのですけれども、要するに政府の意思というものと国会の意思というものが四つに組んだのです。これは行政府としての政府というものは、いろいろ権限がありまするが、政府の出したところの犬養個人の意思だというようなことを言つておりますが、明らかに緒方副総理の言うところによれば、重要法案を通すために政府のやつたところの措置としてしか見られません。こういう政府側で重要法案と認むるもの、これに対しては、昨日理事会で無所属の千田君が、政府が重要法案と認めるものは我我は重要法案と認めない。それより、むしろこの逮捕の問題のほうが重要であるということまで言つておるほどでありまして、その概念、内容というものは、政府の概念付け通りにすべてのものが了承できるものではないのです。いずれにしても政府は、そういう意思によつて、とにかく指揮権を行なつた。併し参議院におきましては、院議によつてそれを不当なりという形において決定したのです。ここにおいて明らかに二つの線が出ておるのです。  我々は今日、吉田内閣に対する不信任案を以て迫ろうとするのではない。少くとも衆議院において不信任案は、あなたたちは否決し去つております。併しながら、数の上で、力の上で衆議院においてこれを押し切つたとしても世間の輿論と、世間の道義的批判を打消すことはできないのです。今参議院が院議を尊重してここで戦つておるのは、参議院の名誉のために、面目のためにというだけでなくて、一たび参議院が院議において決定した、この道義的、牽制力というものを今日、この政府の圧力の下に屈した日においては、民主政治は成り立たなくなると思うのです。その問題に関して、政府は今、院議によつて決定せられたことに対して、どういう措置をするか、具体的な措置に対して今迫つておるのに対して、緒方副総理は昨日は、「将来の戒めとする」と言つた。今日加藤法務大臣は、今後政府与党のために便宜を計らないと言う。将来といい、今後というが、問題の解決は着実な、問題を今日解決することにあるのです。紺屋の明後日の注文をしておるのではないのです。今日政府は、極めて具体的です。真理は、常に具体的事実の上において処理されなければならんのです。そういう焦点の外れた答弁によつて国会を瞞着することはできないのです。過ちを改めることにおいて何ら躊躇することはないのです。昨日の過ちを今日如何に改めるかという、その具体的事実に対して回答を要求しておるのですから、それを中心として緒方副総理も加藤法務大臣も御答弁を願いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 参議院の院議はよくわかつております。わかつておりますが、政府がその信ずる重要法案を通そうとしてとつた措置、政府はどこまでもその重要法案を通したいという意思を持つております。従いまして院議は尊重いたしまするが、その尊重するのに限界があります。つまり私が本会議場で申しましたように、「将来の戒めとする」ことと、それからこの重要法案の通過の目途がたちましたときに、速かに指揮権発動の措置を取消すということが政府の限界で、これにつきましては参議院におきましても御不満があろう考えます。いろいろ御不満があろうと考えますが、それ以上政府としては、ただ御了解をお願いするという以外に、何らいたし方ないのでありまして、決して言い逃れとか、瞞着するとかいうことは考えてもおりませんし、言うてもおりません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 再三先ほど来、緒方副総理が政府を代表しての御発言は、前法相が自発的におとりになつた措置を内閣として是とした立場で申しておるのであつて、問題は法律的にも或いは先ほどの政府の代表としての御答弁でも明らかなごとく、法務大臣の職権として法務大臣自身の職責、法務大臣自身の意思の上から、この問題は判断さるべき問題であります。従つて緒方副総理には、このことに関する限りにおいては私はお尋ねはいたしません。で、飽くまでも法務大臣の見解として私は承わつておきたいことがある。  加藤法務大臣は、重要法案の審議とか何とかいうとこれは具体的でありますが、一切これを包括して概念的に言うならば、時の内閣の政策遂行の問題なんです。それで、時の内閣の政策遂行のためには、検察行政に対してこのたびのような指揮権を発動してもよろしい、発動し得ることもあるのだ。こうお考えになつておられるのかどうか。そういうお考えを持つておられるとするならば、なぜそういう考えが成立つて来るかということを明快に理由を明示して頂きたい。再三これを、先ほどから申上げておるのであります。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、先刻来お答えいたしておりますように、何でも時の内閣の都合のいいように十四条の指揮権を発動するという考えはないのであります。今の御質問で見ると、政府与党の便宜のためならば、如何なるときでも発動するかというような御質問のように承わりましたが、そういうことはないのでありまして、異例の場合には異例の措置が行われることは止むを得ない。而もこれは決して司法権を圧迫したとか何かいうことではなくして、かれこれ理窟を申すわけではございませんが、この検査権と申しますれば、行政権の一部であつて、ただ司法権との密接の関係があるのでございまするが、これを以て直ちに司法権を圧迫したとか何とかいうことでは私ないと、こう深く信じておる次第でございます。殊にこれを以て捜査を打切つたと申したわけでも何でもございませんで、ただこの逮捕という一つの手段を打切つた、とめたということ。而もそれをいつまでもとめたということではありませんのでございまして、この重要法案の通過の見通しがついたときまでというのが前法相の意見でございまして、これを私が継承いたしたいと思つておるだけでありまして、如何なる場合でも、時の内閣、時の政府を擁護する場合はいつでも発動していいというような乱暴なことは考えておりません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 多岐に亘る御答弁ですが、私は端的に承わつておきます。  そうしますと加藤法務大臣は、一々内閣の政策遂行のために指揮権発動はしない。が併し、指揮権発動し得る場合があり得るということだけはお認めになつたわけであります。それから、その点でもつと申上げますが、そういう場合、指揮権発動をし得る場合があり得る。あり得てもいいとお考えになつておる。その理由が私問題なんです。今度の場合は、重要法案の審議のため、その通過の見込がつくまで、こういうことでございますが、そういうことを新らしい法務大臣はあり得る場合として、指揮権発動があり得る場合としてもう肯定したということになると思うのです。そのこと自身が、私は法務大臣として検察行政について責任を持つ立場にある人としてやつていいことかどうかという点を追及しておるのであつて、その理由が、私はまだ明らかでない。これは他の委員においても問題とするでありましようが、その理由をお尋ねしたい。  それからもう一点は、あなたが後段で申しました通り、何ら捜査を中止したのでもなければ、取りやめさせたのでもない。こういうことを申しておりますが、あなたは少くとも、あなたの部内の検察当局を代表した検事総長の談話を嘘であると、捜査が困難になつて来る。捜査は困難になるということはお認めになつている点を、法務大臣として、上官として、嘘である、認めないと、こうおつしやるのでありますか。今日において捜査が、この逮捕ができないために困難になつて来たという事実を、検察行政の責任を持たれる法務大臣としてお認めにならないのですか。この点お尋ねしておきます。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、佐藤検事総長の新聞の声明というものは、嘘であるとは思いません。検事の諸君が正義の念にかられまして、真剣にこの問題に取組んでおる涙ぐましきことに関しましては、私は深く敬意を表しておりまして、こういう事態におきまする検事総長としては、幾分、大いに失望したことかも、それは真意は、大いに諒といたしまして、それは嘘であるとは、少しも思つておりません。  併し、もう一つお答えいたしますることは、重要法案のみにこの十四条を発動するかと、こういうお話でございまするが、私、将来他の問題につきましても、この検察庁法十四条を発動することが刑事政策上可なりと信ずる場合におきましては、こういうこともあり得ると思うのでございます。ひとりこの重要法案のみに私は限局いたしませんで、刑事政策上より見て、そういう場合は、法務大臣としてこの指揮権を発動するに躊躇いたしません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 簡単にお尋ねいたしますが、今回のこの佐藤逮捕の問題は、刑事政策としてあなたは指揮権が発動されたのだとお考えになつておられますか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) ここに犬養前法務大臣の新聞紙発表というものがございまするが、これに対して見まするというと、重要法案の審議の見通しのつくまでとあるのでありまして、私はこの声明をこのまま受けておるのでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 だからあなたは、刑事政策遂行上必要な措置として指揮権が発動されたとお認めてなつておられますかどうかと、こういうことです。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、犬養前法相の新聞紙発表の通りのものであると、こう思いまして、それは重要法案通過の見通しのつくまでとあるのでありまして、私が先刻申しましたことは、他の、将来いろいろの場合がありますが故に、そういう場合、ひとり政府のことであるとか、政策のことであるとかいうことではなくして、刑事政策上発動することがあるかも知れんということを申したのでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 将来は、刑事政策遂行の立場に立つて指揮権を発動される場合があり得ると、こういうことを法務大臣が申しましたので、従つてこの佐藤逮捕の問題は、然らば刑事政策遂行上、必要な措置としてあなたはお認めになり、御判断になり、取消す意思がないとお考えになつているのかどうかということを尋ねているのであります。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今回の問題は、犬養前法相の発表のこの案を私はそのまま受取つているのであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ですから、それは刑事政策遂行という内容に入れるものであると、あなたは法務大臣としてお考えになつておられるかどうかということを尋ねているのです。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 又一面入るだろうと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 どういう意味で入るのか御答弁頂きたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、この専門家でございませんので、常識の上に立つて判断いたしました。(「常識じやだめだよ」「無責任だ」と呼ぶ者あり)

杉山昌作緑風会

○杉山昌作君 先般の、あの総理大臣の答弁或いは法相の答弁等によると、今度は捜査を打切らしたのじやないのだ。逮捕をやめさしたのだ。捜査は一生懸命やつていいのだと、こういうことを言つていらつしやいました。  ところが、先般本院において、加藤議員の逮捕の請求がありましたときに、我々は、同僚議員を逮捕させるかどうかということでありましたから、その点については、理由を十分質しましたが、そのときです、法務大臣並びに井本刑事局長の唯一の理由は、あの人は逃げも隠れもしません。逃走の虞れもありません。証拠隠滅の虞れもありません。ただ併しながら、贈収賄事件というようなものは、本人の口裏だけが、それだけが一つの問題になるんだ。本人の口裏を合すということが非常に困るので、どうしてもこの際加藤議員を逮捕して、そうして外界と交通を断たなければ絶対にこの取調はできませんと、困難だという以上に、できないんだというくらいの語気を以て、加藤君の逮捕請求の理由を縷々述べられたんです。で我々も同僚議員を司法当局に引渡すのは非常に心配をいたしましたけれども、司法当局がそれまでに、これを引渡さなければ捜査ができないということであれば、これ又やむを得ないということで我々は許諾をしたわけです。  ところが今度は、佐藤氏の逮捕の問題は、事件はやはり贈収賄であるやに聞いております。贈収賄であるならば、加藤君の場合と同様、これは外界との交通を断たなければ、この捜査は困難以上に不可能だと言つてもいいのじやないかと思うのでありまするが、その点は刑事局長かおられますが、今でも、やはりそういうふうにお考えになつておられますかどうか。(「大事なことだ」と呼ぶ者あり)

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 私は、証拠隠滅の虞れはないということを申上げたつもりはございません。口裏を合せたり打合せしたりするということが、それが法律にいういわゆる証拠隠滅の虞れがあるということになるのでございます。  加藤議員の問題の場合におきましても、技術的、事務的には、本人の交通を遮断せざれば涜職罪の捜査は困難であるということは縷々申上げました。一般的な事務的な問題といたしましては、あらゆる涜職事犯は、全部同様でございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)

杉山昌作緑風会

○杉山昌作君 一般的に、事務的に、あらゆる涜職事犯が常にそうであるということがはつきりわかりました。  そういたしますと、総理大臣なり或いは法務大臣なり緒方副総理が、あれは捜査を打切らせたんじやないんだ。ただ逮捕を打切らせたので、自宅で十分捜査をやつていいんだということは、これは全く人を瞞着したやり方ではないかと思うのであります。法務大臣並びに副総理は如何ようにお考えになりますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 検事総長の発表されました意見に、捜査上不便があるというような意味のことがありましたが、これは私捜査技術を知らんので、私自身判断がつきませんが、検事総長の意見でありますから、そうでありましよう。でありましようが、任意捜査することは認めておりまするし、(「任意捜査じやできない」と呼ぶ者あり)政府の指揮権発動を必要とした理由、この理由は、検察当局側におきましても諒とされたところと考えております。(「諒としないぞ」「加藤法務大臣の答弁を求む」と呼ぶ者あり)

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私も、只今副総理の言つた通りと思います。私も不便ではあろうと思いまするけれども、捜査は全部打切られたものではないと思います。捜査は捜査でわかりませんが。通過の見通しがつきましたならば、この措置をしたいと考えております。

杉山昌作緑風会

○杉山昌作君 それは、捜査は捜査でわからないというお話でございますが、これは非常に検察当局でも慎重に、二日間に亘つて最高首脳部が熟慮に熟慮を重ねた結果である。而もこれについては、法務大臣に当時、口頭で申しただけではなしに、逮捕すべき理由を書類で御覧願うような手配を、検察当局はやつておられたかと承知いたしておるのであります。従つて前の法務大臣は、多分それもお読みになつて、いろんなことをお考えでやられたことと存ずるのでありますが、それで新らしい法務大臣に伺いますが、先ほど法務大臣は、犬養前法相のやつた事情はよくわからない、前の大臣がやつたのだから、そのまま引継いでおるのだ。こういうことでありますけれども、一体大臣というような官職の引継の問題でありまするが、(「然り」と呼ぶ者あり)後任の大臣は、前の大臣のやつたことは全責任を持つて引継ぐ。若し考えて、悪ければ自分が責任を持つて変える。変えないでやるというならば、前の大臣のやつたことは、全面的に引継いでおるはずであります。そうして、初めて官職の責任がずつと連続して行くという、極めて重要な問題があるのであると思います。これはひとり大臣というふうな重要職でなしに、末輩の役人にいたつても、その考えがなければ、官庁の仕事、政府の仕事というものはできないと思いますから、この点は、私はそれに相違ないと考えております。  そこで伺いますが、一体今日、これほどの問題となつている事件でありまするからして、新法務大臣は、前の大臣からどういういきさつでこうなつたか、検察当局がどういう意見を以て意見の具申をして来たか。前の大臣はどういう見解を以てああいうふうな処置をしたかということは、よほど真剣に詳細にお尋ねになつて然るべきだと思うのであります。単純な事態でありませんで、これほど世間を騒がせ、国会でも問題にしておることでありますから、大臣となれば、いやしくもそれくらいの御用意と御勉強はあつたものと考えるのでありますが、そういうふうなことをやつたときに、今私が申上げましたような、検察当局が、贈収賄の捜査に対して外界から隔離するということは如何に必要であるかということも、すでに政務引継ぎのときに、或いはその後にお聞きになつておると思いますが、それを今日お聞きになつておりますか。おりませんか。こういうまでの御勉強をしているか。いないか。若し、それをお聞きになつたとしたならば、今日、副総理が言つた通りでござんす、というような答弁で、あなたは、お済ましになるつもりか。それを伺いたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 同じことを申しますのですから、重複いたしますので、只今副総理の答えられた通りであると申したのでございます。犬養前法務相から引継を受けましたのですが、詳細とか簡略ということは、これは程度がございます。大体前法相の意思を承わつたのでありまするが、それは、この声明書にあることでございますので、先刻来申しましたごとく答えた次第でございます。声明書は、ここに新聞発表声明がありまして、それを持つておりますから、紬かいことはとにかくとしてその結論は、声明書にあるのであります。その通りに承つたのであります。

杉山昌作緑風会

○杉山昌作君 ちやんと全責任を持つて、詳細引継いでおるということはわかつたのであります。  そこで次に、私のほうといたしましては、本件を、一日も早く取消してもらいたいというふうなことを考えて、先般来、本院の決議案の提案の説明をいたしたというわけであります。  そこで、その問題について伺いますが、政府のほうでは、重要法案通過の必要上、佐藤氏の逮捕を拒否したのだ。従つて佐藤氏の逮捕を拒否することによつて、重要法案が通過する見通しが濃い。そのほうが、重要法案の通過のために便宜だということが前提になつておると思います。先般前の法務大臣があの措置をしたときの情勢は、或いはさようであつたかも知れません。これは私どもは見解を異にしております。今日の世の中で、一番問題になつておるのが官、政、財、三界にわたるところの疑獄事件でありまして、このために世間が我々国会を初めとして、政府或いは官庁、実業界が、疑惑の眼を持つて見られておるかということは御承知の通りだと思うのでありまして、こういう時期には、重要法案を通すということよりも、この一般国民内に高まつておる疑惑、不信を払拭いたしまして、綺麗な政治、政治の信念を確立するということのほうが、もつと根本的な問題ではないかと思うのでありますけれども、これはまあ見解の相違として一応おきまして、重要法案の通過でありますが、あのときには、政府は佐藤幹事長の逮捕を拒否あるほうが重要法案の通過に御都合がよかつたと考えられてあの処置をしたと、こう、一応考えますが、その後、参議院におきます今日に至るまでの状況、又世間が、この問題を見る眼、今日の状況から行きましたら、政府がやりました佐藤幹事長の逮捕拒否を続けるほうが重要法案の審議を通過さす上にいいのか、或いはこの際さつぱりして、そうしてもつと清らかな新らしい気持で重要法案と取組むほうがよいのかということが、今日では政府としてもお考えになつてもいい時期ではないかと思う。逆に申しますならば、今日の事態は、佐藤幹事長の逮捕拒否をしたことが重要法案の通過の妨げになるような事態ではあるまいかと私は思うのでありますが、政府は、それを如何に考えますか。やはり今日におきましても、佐藤幹事長の逮捕拒否は、重要法案を通す最小径路である。従つてそれは続けるのだと、かようにお考えになつておりますか。若し我々のように考えますならば、この際に、我々が希望いたしておりますように、そうして政府が一番希望しておりまする重要法案通過を狙つて、いち早く過ちを改め、善後措置をとられることを私は重ねて要求したいと思うのでありますが、如何でありましようか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 御意見、謹んで承わつておきます。(「答弁々々」「委員長、答弁さすように」と呼ぶ者あり)

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 今お述べになりましたことは、参議院の立場として御尤もであると考えますが、政府は先ほども申上げましたように、この重要法案を通したいという所信に基きまして、今回の措置をとつたので、その結果、今仰せらるるような事態が生れておりますが、政府といたしましては、この院議に対しまして、勿論院議の重大なことは承知いたしております。でありますが、只今とり得る態度といたしましては、これを将来の戒めめとするということと、それからその次が、重要法案が通過する目途が立つたのち速かにこの措置を、指揮権の発動を取消すということ以外に、政府としては手がないことは、先ほど申上げた通りであります。その点につきましてどういうふうに一般的情勢が展開するかわかりませんが、それに対しましては、政府はどこまでも政治的な責任を負いながら、できるだけ参議院の御了承を求めて参りたい。  かように考えております。

松浦定義改進党

○松浦定義君 丁度今、私が尋ねたいという問題に触れましたので、二、三点だけお尋ねしておきます。  重要法案と会期の問題等で、強く今杉山委員が指摘されましたのは、現在通常国会は百五十日の長期の国会であるわけであります。にもかかわらず参議院に対して、まだ多数の、重要法案というべきものの中の多数が、まだ衆議院のほうで通過していない。従つて会期は、余すところ、本当の審議期間というものは五日ぐらいしかない。こういう事態になつて、祭日或いは日曜を国会の御都合でやるということは、国会議員はいいでしようが、国会議員にあらざるものに対する立場としては、百五十日間もあるにかかわらず、そういう事態になることは、私はできるものではないと思う。そういう意味から行きますと、今、重要法案々々々々と申されますが、そういう事態であつて、若しこれが仮に全部衆議院をあがつたといたしましても、参議院の権威に関して、そう簡単に、重要法案であるならば、予備審査をしたとは言いながらも、これを通過せしめるようなことには、なかなか私は相成らん思うのです。そういう点について、若しそれでもなお、この重要法案というものが通過する見込があるといいますならば、今日政府として、参議院に対してどのような、つまり誠意を持つて、それだけ処置をされているか。即ち私が直接申上げますならば、参議院が今回のとりました処置は、やはり先ほどから申上げているように、ただ一点だけであつた。その一点だけを改められれば、恐らく参議院の権威を高めます上におきましても、恐らく重要法案は或る程度政府の考えているような形で私は通過すると思うのです。必要なものだけは。併しながら参議院の決議を、院議を無視した今日の政府の立場は、法律的に言つても、与えられた百五十日という長期の間において、なお満足していない結果になつたということは、誠に遺憾だと私は思うのだが、併しそのことは、先ず一応別といたしましても、今日参議院におきましても、やはり院議として尊重しなければならん立場をとつているのは、少くとも議長の責任であると思う。この院議を無視されたということは、参議院の議長の責任である。然らば議長に対して、重要法案について政府がどのような処置をとつたかと言えば、今日やはり重要法案通過のためには、是非会期中にやつてもらいたいというようなことを、議長を通じて、やはり衆議院のほうから、或いは政府のほうからお申出があつたか。或いは若しあつたとすれば議長が遅滞なく常任委員長懇談会等を開いて各委員会を督励してやるというような処置をとつてあつたかということを先ず第一点として伺いたい。  そういう点を、政府の御答弁を願うと同時に、議長にも併せてその点を一つ聞きたいと思う。

河井彌八緑風会議長

○議長(河井彌八君) 重要法案の審議について議長はどうしたか、責任があるというお言葉で、それに対して一言申します。  議長は、去る金曜日に常任委員長懇談会を開きまして、各法案の審査の状況を承つております。併し何にいたしましても、その重要か不重要かは十分わかりませんが、併しこつちにかかつている案について、その進行が甚だ遅れているということだけは認めております。従いましてやはりこれの常任委員長に対する促進ということは、まだいたしておりませんが、併し或る委員長さんはこういう事態に立至つた以上は、どうも委員会の審査は非常に遅れるであろうというような御心配から御相談になつたこともあります。併しこれに対しましては、議長はすでに付託されているところの議案について、それの進行を何ら顧慮することなしにお進めになることが必要であるということを申しました。これは私は常任委員長のとられるべき態度であると思います。而してその結果はどうなるかと申しますれば、それは本議場において、その議案の決定をなさる、それが可決であろうが否決であろうが、そういう点に進むべきものであると、かように考えているのであります。  それからもう一つ申したいのは、三月の二十二、三日頃、或る会合を開きましたときに、どのくらい議案が進行しているかという事実を調べたこともあります。そのときには、大体まだ議事日程にのつておらない委員長報告が二件、そのときはどうかといいますと七十五日、丁度百五十日の半分を過ぎんとするその時であつたのであります。大体そういうような実情でありまして、これは、いろいろな理由があると思います。併しそういう甚だ緩慢な状態であるということを遺憾に考えているのであります。  それでありますから、今後委員長諸君にも、私はなおお願いもするでありましようが、併し、これがやはり進行するように、政府側に対しましても、強く要求しなければならん。かように考えております。

松浦定義改進党

○松浦定義君 私が会期の問題で、このようなことを申上げるということは、皆さんどうかと思われるでしようが、これは重要な問題になると思うのです。参議院は、会期の延長をする権限がないわけなんです。従つて衆議院の言うなりになるわけです。それで私は申上げるのです。参議院を本当に尊重されるならば、やはり適当な審議期間を与えるべきなんでありますが、今のような形で、重要法案というものはまだこつちへ来ないのだ。そうして会期の延長は向うで自由にやる。都合のいいときには切つてしまう。都合の悪いときには多数によつて延ばして来る。そういうようなことがあり得るから、私は申上げているのであります。でありますから、私はそういう点について、昨日の東議員の緊急質問の場合に、会期は延長されないという御発言があつたけれども、恐らく延長されないかも知れません。或いは又されるかも知れません。が併し、私は今日の状態におきまして衆議院のほうの空気は、私は信任されたと言いましても、これは結果的に会期の延長が、或いは成立するかしないかということについては、私は疑問を持つております。従つて若しこれが、会期が延長されないということに決定になりまするならば、重要法案というような問題を通すというようなことだけで問題を引ずるということは如何かと思うのであります。やはり会期が延長されないというような前提に立つてやるならば、参議院を尊重されるならば、もつと早く衆議院のほうを督励して、私どものほうへ持つて来るべきだ。そういうことを考えますと、やはりこの際政府として、あらゆる面から、もつと参議院を尊重する意味において、只今いろいろ指摘されておるような点で、もう少し私は誠意のある答弁をして頂きたい。かように考えているのであります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 議事進行にについて……。  甚だ恐縮ですが、答弁を求められておりますから、答弁をして頂くことにいたしまして、ただ問題は、今の質疑の段階は、我々は院議を正しい理由によつてとり決めたと考えている。それに対して、政府側は院議には副えないといつておられる。それで院議には副えないという理由がどこにあるのかということを質し、それが委員会として、職権濫用でない適正な法律上の措置であるという点を質し、それ如何によつては、政府のとられた措置は、妥当を欠くものであるなら、あるということを率直に政府側にも認めてもらわなければならん。こういう建前で、この見解の分れるところについて御質疑しているわけなんでして、この会期延長とか、国会の審議の状況とか、これらのことについては、一応の目途の出たところで、又論議は論議としてこの問題を提起するようにして頂きたい。  私は、そういうふうに考えるので、今の段階は、政府が飽くまでも院議に副えないという事情、理由、それが適正なる法の運用であつたかどうかという点について、集中して質されるように議事を扱つて頂きたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 先ほどの御質問にお答えいたしますが、衆議院のほうで議案の審議が遅れていることも事実であります。これは衆議院における政府与党の数が十分でないために、とかく審議が遅延になりがちで、参議院のお立場から言えば、もう少し早く衆議院の議決をした議案を送付すべきでありますが、その点は、政府も遺憾に存じております。なお併し、衆議院にも、十分でないと言いながら、会期も迫つておりまするから、できるだけやつてくれるように、督促をいたします。努力をいたします。  それから会期の問題につきましては、政府の目的は、どこまでも重要法案の速かなる成立でありますから、会期は余すところ余りありませんが、この期間におきまして、衆参両院に対しましても、できるだけ審議を進めて頂くことをお願いをして、会期終りに近づきまして、法案の審議の模様、その余すところの時間を考え、又そのときの事情によつて判断しなければならん場合に至るであろう。さように考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ちよつと、関連が済んだようですから、私引戻して、法務大臣にお尋ねしたいのですが、その前に関連して、杉山君が将来の措置についてお尋ねしたところが、責任者である法務大臣の自発的な、自主的な意思で決定されることについて、副総理のほうから政府の見解として先ず以て見解の表明があつた。私はこの点は、非常におかしい。この問題の性質上、緒方副総理が先ほど申された立場から言つて、法務大臣の見解が私は自発的に述べられることを期待するのですが、大体私、質疑して来ました順序から申しますと、結論としては、法務大臣は、将来かかる事態については刑事政策遂行上必要ありと認める場合には指揮権発動の動く場合もあり得る。ここまで来たわけなんです。そこで然らば、この度の問題は、刑事政策遂行上必要なものとお考えになつているかどうか。具体的には、重要法案の成立のお見込のつくまで、与党である幹事長は逮捕してはならないということが刑事政策と言えるものであるかどうか。この点を私お尋ねしているうちに、関連になつて行つたわけなんです。  それで法務大臣にこの点を明らかにしてもらいたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、先刻来申上げておりましたごとく、前法相の発表は、しばしば繰返しましたごとく、重要法案の通過の見通しのつくまで、暫時逮捕請求を延期してもらいたい。こういうことでございまして、これで行きたい。こう思つて、この趣旨を継承したいと、こう思つている次第でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私は、法務大臣の職責上聞いているんですよ。何も副総理とか、総理大臣という立場で、一般行政指揮に関して聞いているのではない。法務大臣として検察庁法第十四条によつて指揮し得る問題は、これは飽くまでも刑事政策上必要ありとする場合になされるということは私も認めます。その立場に立つて、今あなたがおつしやつた内容は、法務大臣の職責の上に立つて、刑事政策と見られるものであるかどうかという見解を質している。そのことについて御答弁願いたい。

松岡平市自由党

○松岡平市君 先ほど来、小笠原君は繰返して刑事政策、即ち検察庁法第十四条の指揮権について、先ほど加藤法務大臣が、将来は刑事政策上必要な場合には発動することもあり得る。こういうことについて、何遍も言つておられるが、どうも法務大臣の答弁とうまく合致せんようであります。前に、犬養法務大臣は、第十四条を発動したことがある。それは例えば国際的な問題になりそうな進駐軍の事件等については、何遍かこの指揮権を発動したことがある。併し加藤君の逮捕の場合の質問でありますが、まあ自分は、こういうふうな類似の事案については発動したことはない。こういうふうな答弁をされているわけなんです。ところがここに、佐藤君の場合に、犬養法務大臣が十四条の指揮権を発動された。こういう事態が起きている。そこで先ほど、将来刑事政策上と、こういうことを法務大臣が言われたので、これは刑事政策上の事案であるかどうか。こういうことを小笠原君は繰返して聞いておられる。  それで例えば国際的に問題になるような事案とか、今回のこういう事案とかいうようなものは、法務大臣の言われた刑事政策上というものに含まれるかどうか。こういうことだろうと思うのでございますが、広い意味の刑事政策上に、含まれるものならば、含まれるものだという御見解をはつきりして頂ければいいと、速かにその結論をお出し願いたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、今回の十四条の指揮権発動につきましては、刑事政策上、幾分は含まれるものと、こう考えております。(笑声、「わけがわからんじやないか」と呼ぶ者あり)

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 この段階で、見解の明らかになつた点は、幾分は含まれるというのですから、大部分は含まれないものである。こういうことだけは明らかになつたわけです。  そこで、幾分は含まれるというものは、何を指して言うのか、御明示願いたい。これもさつきからお尋ねしている。

松岡平市自由党

○松岡平市君 この点につきましては、先ほど法務大臣は、率直に、自分は専門家でないから、常識的な答弁をすると、そうしたところが、常識的な答弁では承知できないと、こういうようなことがあつて、そのまま答弁が立ち消えております。従つて私は、みずから自分は、専門家でないと言われる法務大臣の御答弁を聞くよりも、この際、幸い出席しておられる専門家である刑事局長の御答弁を以て代えられることを希望いたしますから、一つさようお取計らいを願います。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 他の政府委員より答弁いたさせますが、私が責任をもちます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私は、この問題は他の政府委員を以て答弁することは罷りならんと思います。(笑声)なぜなら、杉山君が先ほど、前法相との間につぶさな引継ぎがあつて、全体の内容について把握しておるかというお尋ねに対して、承知しておる。こう申しておられる。(「その通り」と呼ぶ者あり)而も又、昨日の本会議で、私は、この御答弁は不必要だと個人としては思いますけれども、ロボツト大臣ではないということをはつきりあなたはおつしやつておられる。(笑声)この期に及んで、政府委員に代つて発言させるなどという筋合いの問題ではないのであります。(「そうだ」「その通りだ」と呼ぶ者あり)大臣の答弁を求める。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 政府委員の答弁が、必ずしも私がロボツトというわけではないのでありまして、政府委員の意見を聞きますことは、何も差支えないので、私としては、その判断を私がどうするかということであります。それで只今の問題は、刑事政策に含まれると、こう申したほうがよかろうと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それから私は、これから井本刑事局長にお尋ねします。  井本刑事局長は、従来ここに出て来られれば、政府を代表して法務大臣に代つて御答弁になつて、自信満々の御答弁であつた。ところが本日、先ほどちよつと質問があつてお立ちになつたときには、事務的にはということで、至極局長の一地位において御答弁になるように謙虚な態度をおもちになつておる。私はそういう点は、一切不必要でございますから、政府委員として法務大臣を代理せらるる立場で、先ほど法務大臣は、刑事政策は幾分含まれる。大部分は含まれない。こういう御見解を申されましたから、含まれない大部分のものの主眼点はどこにあるのか。含まれると言われる幾分というものはどれなのか。この点を御答弁願いたい。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 刑事政策という言葉の定義でございまするが、私どもが検察行政の方策という意味におきましては、さような指揮権の発動その他も、全部これは刑事政策の一環であると考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 「私どもが」考えておられるのは、それは結構ですが、法務大臣に代つて御答弁になるあなたの御答弁であれば、それは食い違いがある。法務大臣は、幾分は含まれるが大部分は含まれないと再三繰返して申したはずです。その言葉に則つて、あなたは政府委員として御答弁願いたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私の先刻申しました言葉は含まれると御解釈を願います。訂正いたします。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 何に含まれるかわからんが、併し先ほどの法務大臣の見解に副うように政府委員の御答弁を願う。  あなたの法務部内における専門的な意見などを私は聞いているのじやない。法務大臣に代つてこの論理をだんだん辿つて、あなたは御答弁願いたい。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 先ほど御答弁申上げました通り、刑事政策という言葉の意味を広く解釈するか狭く解釈するかということでございます。私どもは、すべての検察行政の政策そのものを刑事政策という立場に立つてみますると、かような指揮権発動そのものは刑事政策であると、私は考えておるのでございます。法務大臣が申されました刑事政策というのは、もつと狭い意味の、すでに有罪になつたものを起訴猶予にするとか或いは保護処分にするとか、或いはそういう細かいことをお指しになつたのではないかと思いますが、全般的の法務行政というものを刑事政策の立場からみますると、検察庁法十四条の発動というものは、これは刑事政策であると考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私は狭いとか、細いとか、広いとか、深いとか、そんなことは一切お尋ねしていない。  それならば、先ほど法務大臣のおつしやつた刑事政策としてそれは幾分含まれると言われた意味合いの刑事政策とは、どういう意味合いのことを言つているのか。代つて御答弁願いたい。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 法務大臣から広い意味の刑事政策というふうに答弁を訂正されましたので、私は訂正された御答弁を支持いたします。(「支持するのか」「了承々々」と呼ぶ者あり。笑声)

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 これは、自由党のかたがたとしてはわかつたところで、わからんところで、院議に反対せられている立場でありますから、お供はしてもらうけれども、何も、あなたがたの御賛同を得る必要はない。私たち院議を発議し賛成した会派の立場に立つて問題を明らかにしようとしているのですから、暫し我慢は、お願いしなければなりません。  それで法務大臣は訂正されたとおつしやいましたが、然らばあなたが幾分は含まれると言つたのは訂正されて、本問題は全部刑事政策として十分な理由があるとお考えになられて、これを継承しておられる。こういうふうに了解してよろしうございますか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) さよう、御了承願います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 先ほど井本刑事局長は、刑事政策というものは、指揮権を発動する限り、それは全部刑事政策というものなんだということを言つていますが、これは手続上、形式上の問題としては、刑事政策として言えるでありましよう。併し私は、刑事政策として、ものの考え方として言うならば、刑事政策とは、或るものの考え方の上に立つた部門だと考える。そうしますと、この刑事政策というものについては、一つの範囲が与えられていると思うのであります。それで重要法案の審議のために、一党の幹事長を重要なりとし、必要なりとすること自身が、いわゆる刑事政策というものの中に入るとおつしやつたのですから、入るとなれば、刑事政策の国家的に或いは社会的に、或いは被疑者の境遇、それらに対して、これは重要なりとして政策上該当するのだということになつて来なければならんと思うので、どういう点が刑事政策に合致しているのか。この点を御説明願いたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 政府委員より説明させます。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 先ほど来、副総理並びに法務大臣から、たびたび御答弁になつている、この重要法案の通過の見通しがつくまで逮捕の請求を延期するというのは、国家的立場で刑事政策に該当するというふうにおつしやられたのだと私は考えたいと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 井本刑事局長は、これを内容として、そういう考え方を支持しますか。刑事局長という職責において支持しますか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 私は、事務官僚でありますから、さような点につきましての言明はいたしません。(「それは重大だ」と呼ぶ者あり)

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうなつて来ると私は思つた。只今井本刑事局長は、検事総長以下の検察首脳部の二日間に亘るこの慎重な審議の中に立つて、法務部内のこうした刑事担当の責任者として苦慮せられていることは、我々間接に新聞報道を以て伝え聞いている。こういうかたに加藤法務大臣は代つて答弁させると言いますが、本事案については、井本刑事局長はその答弁をする適格なるおかたではないのです、その地位上。それを法務大臣は、この際にだけ御利用になつて答弁をさせるということはあり得ない。以てのほかだと思う。  法務大臣から、代つて……代つてではない。これは、法務大臣御自身、じきじき御答弁願いたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、刑事局長の上に立つ法務大臣といたしまして、私に代つてその答弁をさせることは何も差支えないことと思います。殊に専門のことに亘りまするために、差支えないことでありまして、又事務官として、いろいろの私と違つた意見を申述べましたときは、これを私が採用するかしないかは、私のそのときの都合によります。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それではいよいよ私は、止むなく井本刑事局長にお尋ねしなければならない。井本刑事局長と申せば、事務官として意見は述べられないと。御尤もだろうと思う。私は国務大臣を補佐する政府委員として井本政府委員に、法務大臣に代つた立場でお尋ねいたします。  この問題は、政府委員として妥当な措置であるとお認めになつておられますか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 率直にお答え申上げます。  事務的には、何回も私がこの委員会におきまして申上げました通り、涜職罪といたしましては身柄の拘束なくして取調が殆んど不可能、困難でございます。在宅で調べるということも法規上は認められておりまするが、困難なのが実際の実情でございます。従つて私どもが、事務的にこれを判断いたしますれば、佐藤幹事長の問題は逮捕して然るべきものと考えるのでございまするが、私よりも更に高い立場で、法務大臣におかれては政治的な観点から、これを延期すべしということであれば、これは私の上司の命令でありますから、さような観点も全然法規上あり得ないと言うのではないので、検察庁法も、さようなものも指揮し得るという法律の建前になつておる点を御了承願いたいと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 井本政府委員の御答弁としては、そういう御答弁になるので、これは精一ぱいのところだろうと思います。けれども私は、これは大事なことですからお尋ねしますが、刑事政策上ということで、本事案に関係することは、国家的な立場において、ということなんです。いわゆる重要法案の審議その他ということも、内閣としては重要なりと認め、国家的な或いは国策だとまで、我々は認めないけれども、と言つておられる。そういう意味合いで刑事政策上、国家的にこの指揮権発動は必要である。必要な適正な措置であると井本政府委員はお考えになつておるかどうかという点が私の尋ねる本旨なんです。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 何回も申しますように、事務的には適当ではないと私は考えますが、政治的立場で判断される場合においては、又結論は別でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 政治的な立場で判断するということが、先ほど法務大臣がおつしやるような刑事政策だと、あなたはお考えになつておられますか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) さような刑事政策もないとは言えないと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ないとは言えないが、適正な措置であるとお考えになりますか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 適正であるかないかは、これは国会若しくは輿論が批判することであると私は考えます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 国会や輿論は確かに批判しますが、あなたはどうお考えですか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) それは私が判断すべきことではございません。又判断しても、益のないことでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 これほどまでに、加藤法務大臣……井本刑事局長は、その答弁に、これは苦慮せられているわけです。この問題について、上司である法務大臣は、これ以上井本刑事局長に代弁をさせるというのでございますか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) この発動いたしましたことの是非は別といたしまして、今後は意見は意見といたしまして、事務的な意見は聞きますけれども、その以上のことは、私が指揮いたすのでございまして、私の責任になるわけでございまして、事務官たる局長は、私の説に服従するのが当然である。然らざれば、別な方途をとられるのでありますが、服従されるものなりと信じます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それはその通りでございます。服しない公務員があつたら、それは適切な措置をおとりになつて結構でございましよう。併しそれも理があつてこそ、初めて従わせることもできるのであつて、理のないところ、法の運用を誤つて下僚を指揮したところで、それは問題は別個であります。  それで私は、あなたがそうおつしやるならば、今回とられた措置、即ちこの国家的に重要だという刑事政策の下に、この法の運用をやつたのだということを事務当局は明らかに……是非の判断はいたしません。そうして国会や国民の輿論がこれを判断するであろうとおつしやつておることは、言外に、適切なる措置ではない。もつと強いて言うならば、こうした犯罪容疑、こうした事案の性質上逮捕を請求されるのが至当な、正しい措置であろうというふうに考えられておることは、明々白白なんです。この部内の意思、部内の意見というものを犬養法相は用いなかつたのだが、新法相は、やはり用いないという態度をとつて、いわゆる検察行政なり、法務部内の全体的な指揮ができるとお考えになつておるのかどうか。この点を伺つておきたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、そういう問題は正邪というような問題ではなくして、是であるか、非であるかという政治上の考慮の問題でありまして、悪いことをするか、いいことをするかという、正邪の問題、善悪の問題ではないと思います。それでありますが故に、いろいろ意見はあるでありましようけれども、私の命令に従われることであろうと思いまして、その間に、いろいろ緩急の度があることであると思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 これはどうも、法務大臣は何をおつしやつておるのか、失礼ながら呑み込み得ない。その政治的に扱うということは正しいとか悪いとか、そういう範疇外なんだ、ということは何ですか、それは。そんなことを法務大臣が考えられて、そうして検察行政をとり行なう、政治的に、法務大臣のやることは、正しい、正しくないという、そういう観点を離れてやるのだということは、何を指して言うのですか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、不正をなせということではないのであります。どちらを採択するかという問題では軽重がありますが、それぞれ考えが違うのでありまして、悪いことをするか、いいことをするかというような、正邪、善悪の問題では私はないと思います。どちらをとるかという問題であるのでありまして、私はその場合、私の是とするところの方途をとりたいと思つております。それでありますが故に、局長たるものは、いろいろ意見もあるでありましようが、この緩急の問題、どちらが是であるか、非であるかという問題でありますが故に、私の説に服従下さることは当然のことであると思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私はこれ以上、指摘はもういたしません、本日の段階においては。  ただ、加藤法務大臣にもお考え願いたいことは、私の考えで、私の言う通りに従わせるのだと言いますけれども、加藤の個人的な恣意によつて法が運営せられたり、或いは検察行政が指揮されたりすることは、これはあり得ないことです。飽くまでもあなたが主観的にお考えになつておやりになることでも、立法の精神なり、或いは国民の輿論が、国会の意思なり、これら各般に亘つて勘案せられて、自分としては常に正しい措置である、適切なる措置であるという御自信を持つて行政執行はやつて頂かなければならん問題だと私は考えております。これは単に検察行政だけではない。ところがあなたは、いろいろお尋ねしましても、そういうことについて理論的に、いわゆる法律的に、或いは法解釈の上で、我々を納得させるような説明は何らなされない。こういう点は、これは私は飽くまでも法務大臣に理由を質さなければならない。何らの理由も明示しないで、結論的な断定的な部分だけを申されても、院議と対決する場合には問題になりません。もう少し私は、法務大臣としても明快な御答弁を今後においてなされるように希望いたして、他の委員のかたに代つて頂きます。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今の小笠原君の御意見を聞いておりますと、私が富くじでも引くように何か問題の採否を決するような御意見のように拝聴いたしましたが、私もあらゆる方面の意見を拝聴いたしまして、勿論法律に従い、憲法の条章に従うのは当然なことでございまして、その上に、私は何人にも掣肘されずして、私の正しいということに向つて私の判断を下したいと、こう思つておるのでございます。

鈴木一無所属クラブ

○鈴木一君 先ほど政府側の答弁では、幹事長の逮捕によりまして、重要法案の審議に影響があるというふうな御説明であつたのでありまするが、これは与党の幹事長の地位にある、或いはそれ以上の地位にある者が逮捕された場合には、内閣は総辞職しなければならない。従つて総辞職しなければならないために、重要法案の審議ができなくなる。そういうふうな意味合いで発言されたと思いますが、お伺いいたします。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 大体、今御質問のような意味でありますが、政党内閣でありまするので、国会の運営、政府の重要法案と信ずるものを通過成立させまする上において、党を指揮し、又国会の運営、これは非常に重大でありまして、実際上党の統率者の仕事をしておりまする幹事長の地位は非常に重く、特に政府党の幹事長は法案関係におきまして特に重く見ざるを得ない。こういうように申上げたのでございます。

鈴木一無所属クラブ

○鈴木一君 私は従来、吉田内閣のやり方を見まして、一幹事長の地位がそれほど重いというふうな気はいたしておりません。併しそれ以上のことは申上げませんが、この重要法案の問題につきまして申上げますが、参議院としては重要法案の審議よりも、汚職の問題を徹底的に究明してもらいたい、すべきだというようなふうに、大多数の意見がまとまつて院議となつたと私たちは思うわけでありますが、そういう参議院へ持つて来て重要法案を更に審議しろというようなのは、どういうふうな見通しでおつしやられるのかお聞きしたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 政府といたしましても、今回の汚職問題が非常に輿論の注視を浴びておりますだけに、徹底的にこれを究明いたしまして、検察の威信を立て、同時にこの事件の黒白をはつきりしたいという念願は少しも変つておりません。先ほど来申しまするように、今回の幹事長の逮捕の延期は、その捜査を打切るとか、或いは将来検察を圧迫する、そういうふうな考えは毛頭ないのでありまして、重要法案の通過の目途のつくまで、一時逮捕の延期を要求する、それはいろいろ見方があるかも知れませんが、政府としましては、それによつて、別に現行犯でないのでありまするからして、それによつて証拠隠滅とか、或いは逃亡ということもないであろう。そういう多少の捜査上の困難はあるかも知れないが、重要法案通過のための政党の指揮ということは、政府の信ずる今日の時局、その時局下における法案の重要度から考えまして、重さ、比重から考えまして、政府はかくすることが止むを得ないという所信に基いたのであります。

鈴木一無所属クラブ

○鈴木一君 実際の汚職の捜査は、大臣がやられるのでも何でもないので、具体的な仕事は、検察庁のかたがたがおやりになる。ところが検察のかたがたは、先ほど杉山委員の質問でも明らかであるように、逮捕して同時に交通を遮断しなければ、到底徹底した作業はできないということをはつきり言つているのに、相変らずそういつたような言葉の綾と言いますか、詭弁を弄するということについては、我々としても到底納得できないですよ。ですから参議院としては、不信任ということはできないわけでありますけれども、重要法案よりも汚職を徹底的に追及しろということをはつきりと意思表示しているわけでありますから、我々としては、その線に副うて今後対処しようというふうに思つているわけであります。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 今の鈴木君の提言に関連するものでありますが、先ほど緑風会の杉山さんの仰せられた結論も、佐藤幹事長逮捕拒否が、逆に重要法案の通過を困難にしている。この見解は、緑風会、改進党、無所属、左右社会党とも同一の見解の上に立つていると思うのであります。それによつて院議が作り上げられているのです。然るに政府は、この院議が決定されたのちにおいても、今日緒方副総理は、政府は重要法案を通したいという意思によつて、この措置をとつたのである。重要法案通過の目途が立つたのちに指揮権を取消すであろうと言つておりますが、これでは、重要法案が通らなければ、或いは目途がつかなければ、これは通さんぞという形において国会の審議権に対して、政府の圧力を以て挑戦しているのだと言わなければならないと思う。こういう絶対絶命のところへ追い込んで来たのは、政府のいたすところであつて、我々は参議院の与えられた権能における審議権を尊重して、而もこの議会政治の危機に当つて、政府に対して一大警告を発しているのに、この院議を無視して、政府は国会の意思を蹂躙し、国会の審議権を侵犯し、且つ又、司法権の独立に疑惑を持たせるような行為をして、なお且つ重要法案がスムーズに通過し得るという認識の一般根拠はどこにあるか。少くとも緒方副総理は、一般の政治家と違つて、新聞人として高度の知識人として、常識人として、今まで身を持すること大なるものがあつたと思うのであります。私は一つの責任ある答弁を願いたい。而も今日の朝日新聞において天声人語に、「犯罪容疑者を捕える司直の手にクサリをかけることができるのなら、いかなる汚職内閣だつて倒れなくつてすむ。しかし横車の上にかりそめの政局安定が得られたとしても、国民の政治不信の念は陰にこもつて内攻し、より大きな政治不安がひろがるばかりだ。」と、今の内閣ではこの政治不信の声というものは、増大するばかりです。危機は更に深刻となり、危機はあなたたちの言動によつて拡められているのですが、緒方副総理、この今日におけるところの我々の意見というものは、院議を貫徹するためにあなたがたに対して迫つているのです。もつと責任ある答弁、即ち具体的に、幹事長というものはかけ替のない地位であるとしても、更迭は可能なのであります。院議で決定した以上、政府は誤つた行為を改めることに躊躇をするなかれ。やはりこの重要なる段階に立つて、幹事長の更迭を断行して、そうして然るのちに国会に対して処することが政府のとる具体的な措置だと思います。  そういうような形において、具体的な答弁をお願いしたい。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 関連して、私は簡単に申上げます。  曾つて佐藤幹事長は、新聞で、自分が逮捕されたならば幹事長の職を辞するということを、二度ほど新聞に出たのを私は記憶しております。そこで佐藤幹事長の容疑の判定が如何になるかは別といたしまして、このことは、私は一片の良心が未だ残つておる。こういうふうに好意を持つて見ておつた。当人が若し逮捕されるということならば、やめられるというくらい、意思表示をされておるのに、幹事長の職が重大であつても、何の職でも重要でありますが、孫、末代ではありません。決して他の人たちが変つたからとて差支えないのであるし、会期中は、これは変えることができないという法律もない。でありますから、重要法案に、幹事長が牢に入つたまま、或いは身柄を拘束されては不都合であるというならば、他の人によつて行わせるならば、それでよろしい。このことを私は戸叶君が指摘されておると思う。でありますから、政治的に考慮されておるならば、一体そういう措置こそ、政治的な考慮なんであります。こういう措置をとられる意思があるのかどうかということを、この点、はつきりしてもらいたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 戸叶君の御質問でありましたが、政府は国会の審議権を侵そうとか、或いは検察庁の捜査権を圧迫しようとか、そういう考えは全然持つておりません。(「現に事実はそうなつている」と呼ぶ者あり)今回の指揮権発動に対する政府の考え方は、先ほど繰返し繰返し申上げたところでありますから、改めて申述べませんが、政府としましては、一に法案の審議を進めたい念願から出ておるのでありまして、勿論参議院の院議となりました決議に対しましては、十分その意義の重大なことを承知しておりますけれども、以上の政府の考え、所信から、今の重要法案が通りました後におきまして、早い機会にこの措置を撤回する。それが今日の政府としてのとり得る限界でありまするので、これに対する批判も勿論おありであろうと思いますけれども、その政府の立場を申述べて御了承を得ようと思つておる次第であります。  それから幹事長の言質でありますが、幹事長の位置は、先ほどお述べになりました、自分で離党するということをいうておると、これは恐らく、私も何かの新聞の記事で見た記憶がありますが、新聞記者に問い詰められて、若し逮捕されたらどうするかという質問に対して答えたものであろうと考えます。これは今の与党の立場、与党の状況から見まして、幹事長に、まあこの差し迫つた際に、長いことをいうのではありませんから、幹事長にその幕切れを統率をやらして、それによつて重要法案の推進をやつて行くということは、政党内閣の上に立つております私たちとして、これは考えることは、別に余り不自然なことではない。これは政府としても、無論捜査の内容には立ち入りません。これは極く短かい間、ただその逮捕を延期しているだけであります。その間、多少の捜査の不便はありましても、政府は、それに対する批判は十分受ける。政治的責任は、政府は全面的に負い、又批判も受ける。それ以外に、政府は理由はないと、こういう考えであります。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 私は、第二控室のほうから御質問されているので、おのずから重点は後刻あると思うので、お譲りしなければならんのですが、補充的に若干、今まで質問がなされて、今の問題にも関連いたしまして、お尋ねをしたい思うのですが、しばしば引用されておりまする重要法案が、国会のめどのついたときに、延期をしているものを解除して逮捕する。こうおつしやつております。今度の指揮権発動の唯一の理由も、その重要法案通過のために。こういわれているようであります。そこで、この際固定すべきものは固定してしまうと、全体の質疑というものが打開すると思いまするから、政府がお考えになつておりまする重要法案を、ここで御発表願いたいと思うのであります。百数十件国会にかかつておりまするので、重要法案通過のめどという、非常に、この基礎となるべきものでありますから、先ず第一点この点を明らかにして頂きたいと思います。何と何。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 政府が今重要法案と考えておりまするのは、教育に関する二つの法案、それから防衛庁設置法案、自衛隊法案、それからMSAの法案、それから警察法案、それだけであります。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 今申されたものが、しばしば引用せられました重用法案で、これ以外はないのでございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) そのいわゆる重要法案と称したのは……。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 内容です。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) この国会で、是非とも通さなければならない重要法案と考えますのは、それだけです。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 そこで、この法案を通過せしめるためには、佐藤幹事長の逮捕の影響というものは、つまり通過が困難であるという見通しに立たれたことが窺えるわけです。今天田委員からも御質問がありましたように、佐藤幹事長の人的なものについてのかけ替えはなかつたというふうに伺うのですが、このことは、要するに、佐藤幹事長が、一般の議員で言う一票という会議の表決権についての問題ではなく、これは少くとも複数の力を持つ、通過については。こういう幹事長のウエイトの問題から縷々言われている点を想像しますと、一般の議員とは違う。表決の一票ではなくして、通過については相当影響を及ぼす。よつてその手腕的に、党内の事情からしてかけ替えがない。こういう点に解してよろしいのでございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 一票以上という、票で勘定する問題でありませんが、その党の中における位置、それから党の運営についての手腕、そういうものを言うのであります。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 さて、そこで私は、非常に現内閣の思想が危険なものを含んでいて、五十条に言う議員の不逮捕特権について、正に憲法と激しく対立する思想をお持ちになつているというように考えるのでありますが、この点について如何お考えであるか、これからお尋ねいたしたいと思うんです。  今申された重要法案数件は、先般来自由党の昨年の選挙において公約された政策、これとも、かなり離れておるし、かなり具体性に欠けた、当時政策の中に明確に輿論に問われたものではないものが非常にたくさんございます。教育法案も然り、防衛問題について然りです。保安隊ということを打出されております。只今も打出されております。こういう面からいたしますと、これを簡単に要約しますと、自由党のその上に立つ吉田内閣、その吉田内閣の政策であり、その下に立案せられたこの法案であると私は解するのであります。時の政権が考えた政策は、おのずから国民の権利義務というものに直結いたします。この国民の権利義務というものに直結し、国家に重大なる影響があるからこそ、政府としても重要法案とせられ、国会の審議に待つておられるのです。ところが憲法五十条でいう不逮捕の特権とは、かつて世界の政治史上には、イギリスにおいて然り、近くは、いわゆる南鮮、韓国の李承晩政権において、不当な、野党というか、みずからの意思に反するものを逮捕するという、こういう形で強引に議会の分野をよくして、そうして時の政権のいわゆる政策、案件を強行する。こういうことがしばしばやはり憲法に言う不逮捕特権というものに関しては、この弊害を救済する意味で、ここに定められているものである。こう解せられているのが定説だと思います。ところが、只今来言われておりまする論拠は、これら重要法案を通すがためには、吉田内閣の政策を通すがためには、この司法、いわゆる検察事務ですね、この指揮権を発動して、逮捕すべきにもかかわらず、政界の浄化という国民の輿論にもかかわらず、これをとめた。そうしてこの法案を強行しようというところに問題があると、みずから言われているわけです。こういう点からすると、劈頭申上げた、憲法に定めているものとは激しく対立する点であつて、強くこれも退けられなきやならん。こう思われるわけでありまするが、この点に対して、政府はかかる解釈が正しいと、無論思つておられると思うのですが、もう少し、これらの点について、憲法五十条に言う不逮捕特権との関係で、所見を承わりたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 如何なる場合にも、政府が提出しました法案を強行しようというようなことはできるものではありません。又そういう強行というようなことを考えるべきではないと思います。これは国会において十分に審議の自由、表決の自由がありまして、これは国権の権威のため又国政上の位置から言つて、そういうことはあり得べからざることと思います。ただ政府が、主観においてこれこれの法案を重要と考えることは、これは先ほど来申述べておる通りであります。政府といたしましては、これら重要な法案をこの時期に通過さしたいという非常な念願を持つております。そういう意味で今の検察庁法によりまして、別にこれは違法ではない。検察庁法によりまして、この法案を何とか通す上において、これは検察の捜査の内容に立入らない。ただ或る期間逮捕を延ばすだけによつて、この重要法案を通過さしたい。そういう考えから指揮権を発動したのでありまして、法案を強行しようというようなことは全然考えておりません。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 強行という意味が強ければ、これは別の言葉でも結構です。要するにこの法案が、政府自意識によつて、政府の主観によるものですが、この通したいというのが唯一つの理由であつたことは間違いないし、又逮捕しなければ、捜査が適切に行われないということも、いろいろ、縷々今まで言われたわけですが、私は関連して、今時間を頂きましたので、我が会派は、先般来長い時間を頂いておりますので、一通り廻りました暁で、私は法務大臣、副総理並びに刑事局長に対しては更に質問したいと思いますので、この際、次に進むのをとめまして、次回に譲つて次のかたにお譲りいたします。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 今まで多くの人の質問があつたわけですが、その中で杉山君の質問に対する刑事局長の答弁が明確である以外には、私は何一つとして満足すべき答えはなかつた。こう存じます。そこで私は、先週の私みずからが逮捕許諾の問題について緊急質問をいたした際における緒方副総理、吉田総理の答弁等と今日のお話とは、違つておる点がたくさんありますけれども、時間がございませんから、それらの点を端折りまして、私はこの際、加藤法務大臣に先ずお伺いいたしますが、先進民主国、我が国もその仲間入りをしたわけですが、議員の不逮捕特権の歴史というものは、一体当初、主権がまだ弱くならないときに国会が始まり、その際に、これは政治的な圧迫というものが相当いわゆる野党に加えられた。そういうことを防ぐために、政治的な意図によつて国民の代表である議員の身柄が圧迫を受けるということのなきように不逮捕特権が成立して来た。このことは、加藤法務大臣もお認めになるでしようか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 時の政府が、都合によりまして議員をむやみに逮捕いたしましたならば、その議会というものは権能を発揮することができませんが故に、この議員の逮捕を軽々しくせない意味において、憲法にそういう条章が設けられたことは申すまでもないことでございます。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 そういう前提に立ちまするならば、先ずその特権をみだりに用いてはならないということになるのでありまして、そこで刑事事件、破廉恥罪、或いは社会に重大な悪影響を及ぼす、こういう容疑のある者に対しても、議員不逮捕の特権が法文に書かれたからとて、みだりにこれを用うべきものではない。私はこう考えるわけですが、法務大臣も同様にお考えでしようか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 全く御質問と同様でございます。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 そこでこの不逮捕特権が、政治的の圧迫から国民代表を守るという出発でございますから、これは当然時の政府の与党がこれの隠れ蓑の陰に隠れるということは、私は考えまするならばこの法の精神と反すると、こう考えるわけでありますし、又歴史的に見ましても、そうあつてはならないと思うのでありますが、法務大臣はどうお考えでございましよう。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) もとより御質問の通りでございます。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 だんだん事態がはつきりして参りました。  そこで次にお伺いいたしますのは、これは駄目押しでありまするけれども、我が国の憲法で、国会は国権の最高機関である。こう規定されておりますけれども、この今回の措置等に関連いたしまして、やはり同様、国会の意思決定というものは、勿論法律に違反してはいけませんけれども、行政府等の意思よりも上位にある。こういうふうに考えられると思うのですが、法務大臣も同様のお考えでございましようか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) もう一応。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 憲法には、国会は唯一の立法機関であつて国の最高機関であるということがきめられておりますけれども、字義通りお受取りになつておられますか。こういうことです。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 御質問の通りでございます。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 然らばその場合、参議院が先頃のような意思決定をした。即ち政府のとられた態度が妥当にあらずとして過ちを改めるように、こういう意思決定をしたのでありまするけれども、それは今お答えになつた国権の最高機関という考えからすれば、これに従わなければならない。こういう答えが出て来るはずでございますが、この場合だけは、そうでないという先ほど来の答弁でありますけれども、それはどうした関係でございましようか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 参議院の先頃の御決議は、しばしば申上げたごとく、謹しんで拝聴いたしまして、今後この御決議の御趣意はよく承りまして、今後の問題につきましては篤と考えたいと、こう思つておるのでありまして、最高機関でございまするが、甚だここで申上げかねまするが、一面において衆議院というものもございまするが故に、衆議院が同様の意思を表示されまして、殊に衆議院におきましては、甚だここで失礼なようでありまするが、その場合におきまして、否認したのでございますが故に、一院の一つの御決議のみに全部政府が従わねばならんというわけには参らん……(発言する者多し)

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 衆議院のこういう場合における意思の表われというものは、過日提出されたように、不信任案という形で現われて来たのです。参議院の場合には、いわゆる解散のない一つの特権の座におりますが故に、そこまで行つては行き過ぎるということからいたしまして、勧告決議案、こういう形をとつたのは御案内でありましよう。  そこで然らば、衆議院と参議院とが同じ意思決定をするならば、それが国会の意思と、こういうふうにお受取りになるという話でございますけれども、そうなると、私はここでお聞きしたい。衆議院では、不信任案において我々野党、まあ、側と言つてもよろしいのですが、不信任をするという側の意思は、総体の半ばから、いわゆる十票が不足したという状況なんです。で、要するに不信任に反対という意思を表わしたかたがたが過半数よりも十票多かつた。そこで二十票の差ができた。こういうことなんです。ところが参議院の意思は、我々記名投票を要求したわけでありまするが、事態は極めて明らかであるからというので、記名投票を用いなかつた。そういたしますると、用いないとは言いながら、事態が明らかだというのは、二十票よりも遥かにその差はあつた。こういうことなんでありまして、それならば、両院の意思だつたら、これをプール計算にして意思を判定しなければならない。こういうことになると思うのですが、一体そういうことについて、これは私も馬鹿なことだと思う。馬鹿なことだと思いながら、質問しておるのです。だから、参議の意思は、かくかくきまつたので、それに従うというならば話はわかるけれども、衆議院のほうが、意思の決定は別であるからと言うから、それならばプール計算という、馬鹿な引例もせざるを得ない。  これに対して、加藤法務大臣はどうお考えになりますか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、多数決で行きますが故に、差が一票でありましても、これが信任するということであれば、信任したと、こう見ざるを得ないのでありまして、当時衆議院における不信任案というものは、当然この問題も、御承知の通り含んでおりましたが故に、要するに衆議院の不信任案というものが否決されたことは、あらゆる政府のやり方につきまして、過去何年間のことも総ざらいにされておりますが故に、それを含んで衆議院は信任したということに相成つておるのでありまして、その数が何票違う、一票違いましても、信任は信任であると、かように考えておるのであります。それでありますが故に、参議院におきまするところの御意思も、数の問題ではなくして、ああいう警告の御決議が御発表になつたということに対しましては、数の問題ではなくして、謹しんで敬意を表する次第でございまするが、これは参議院というものは、かれこれ申すわけではございませんが、これは少し衆議院と又趣を異にいたしておるのでございまするが故に、私は賛成はいたし、敬意は表しまするけれども、将来に対しましては、とくと御意思を尊重いたしまして、只今の問題につきまして、右の措置に出でるということについては、悪しからず御了承を願いたいと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 加藤法務大臣の只今の言は、参議院としては聞き捨てにならない。参議院と衆議院と合せて一本などという片輪な院ではないのです。参議院は参議院として独立し、衆議院は衆議院として独立し、その院議そのものは、院議として成立つておるのです。政府に対して、或いは政府が国会に対する立場において、衆参両院において軽重があるわけはない。あなたは参議院の特殊性、或いは衆議院の支持ということに絡んでこの問題が処理されるやの言を申しておりますが、そういうお考えであつて、この院議を考えられる政府であると言うのならば、今後参議院に御出席にならなくてもよろしい。これは話が行き違つておるというのではなくて、あなたは衆議院議員ではありますけれども、一国務大臣として、行政府の長官として言が過ぎます。これは、これ以上申上げませんが、緒方副総理において、政府の態度としてこの問題についてだけは、何とか御答弁になつておかなければ、これは問題は別個の問題として発展します。  御訂正願つておきたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 只今、加藤国務大臣から申上げました答弁は、少し言葉が不十分なところがあつたように考えますから、私が補足をいたします。  衆議院は衆議院で、参議院は参議院であります。従いまして参議院の御決議は、これは参議院の総意として、いわゆる院議として承わるのでありまして、多分加藤法務大臣の述べましたことは、その政府の進退について考えて、それと、この決議とが混同いたしたのではないかと思いますが、参議院の御決議は、政府の進退を要求しておられるのでないのであります。政府のとつた措置について、その過ちを改めろということでありますので、その、過ちを改める方法があるかどうかにつきまして、院議に対しまして、政府は慎重に考慮をいたしたのでありますが、政府が重要法案を通過させたいという念願から、このたび異例の措置をとつておりまするために、何といたしても、今直ちにこの御決議の趣旨に副うわけに参りませんので、この法案通過以後一番早い機会にこの措置を撤回しよう。且つ又、今後いろいろな政局の問題が起つた場合に、この御決議の趣旨は、一つ政府の戒めとしようということをお答えする以外にお答えのしようがないと、かように考えて、昨日の本会議におきましても、又この議運の委員会におきましても、私から繰返し繰返し政府の立場を述べて御了承を得ようとしておるのでありまして、そういう意味で、加藤法務大臣の答弁の足りないところを私が補いまして、議員諸君の御了承を願いたいと思います。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私が、只今申上げました趣旨は、衆議院を重しとして、参議院を軽しとしたという意味ではないのでありまして、それぞれ立場がありますが故に、参議院の御決議は尊重する。それで将来、私は将来の問題について、とくと御決議の趣きを承わつて考える。こう言うたことでございまして、決して参議院を蔑視したとか何とかいう意思は、毛頭考えておらないのでございますので、この点は御了承おきを願います。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 私は、加藤法務大臣が何と仰せになろうとも、速記がついておるのですから、これは後刻、私は明らかにしておきたいと思う。  そこで他の質問者もありますから、私は質問を端折つて言いますが、私は初めから駄目押しをしておくのです。というのは、私は政策上の是非を判断されて行動される大臣の職責もありましようし、法務大臣のごとく、法を守る立場におる人は、正邪で行動をしてもらわないと誠に困る。これは非常に重要なことであります。ところが正邪でいかんというから、いろいろ駄目押しをして行かなければならん。  そこで私は更にお聞きしますが、たとえ一票でも多ければ、それは院議とみなすと、これは形の上では誠にさようである。併し民主政治が成立つということは、少数意見の尊重ということが、この多数意見に従うということの裏側にぴつたり貼りついて私は離れないものだと思う。この少数意見の尊重ということがなくして、民主政治が成立つことはできない。私は、これは答弁を求めているのではありませんよ。衆議院のことを言えば、不信任をするという意思表示というものを過半数から僅かに十票足りないだけだ。少数意見と言いながらも、実に大きな数がこれに賛意を表しておる。こういう場合には、かなり多くの考慮を払わなければならないというのは当然なんだ。ましてや参議院の決定というものは、もう投票を用いることのないほど事態が明瞭であつて、反省すべしと決定した。これは参議院の性質上、又法規に照しましても、その決定があつたからとて、政府は総辞職も直ちにせなくてもよろしいし、又解散もせなくてもよろしいというだけなんだけれども、政府の責任を糺しておる点、追及しておるという点は、精神は何ら変つておらないのでありますから、ここに院議としてきまつたならば、やはり国会の一院でありまする参議院の意思が、あのように決定した以上は、国憲の最高機関であるのだから、これに従わなければならない。こう私は考えるのであるけれども、それを是非の判断に基いてなされる法務大臣でありますから、そこに結局従わない。こういうことになるでありましよう。で、私といたしてましては、法理論としても従わなければならないということに解釈いたしますけれども、法務大臣は、法理論として院議に従わなくてもよろしいという根拠で、そうお答えになつておるのでありましようか、この点を一つ念を押しておきます。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は先刻申しましたごとく、意思は、一票の多数でもその意思のほうに従うというのでありますが、さればと言つて、少数のものは何も聞く必要がないというような乱暴な考えは持つておりません。行動は、出所進退は、その一票でも多数でよろしいと、こう申すのでありしまして、少数の意見は、たとえ何票でありましても、そこに真に真理がございましたならば、これは耳を傾けて聞いて、そうして用うべきものは用うべきものであるということに至りましては、何ら御質問のおかたと、私は考えを異にいたしておりません。  殊に、次に御質問がありましたが、何でも権力を以て裁判を、こういう汚職の問題を抑え付けるかのごときお言葉もございましたが、私は先刻来申しましたごとく、司法権というものに、裁判所の問題についてかれこれ言うべきものでは当然ないのでありまして、これは行政の一部分である。ただ司法裁判所と密接な関係を持つておるということだけで、なお幾分の余地があると思いますが故に、こういう検察庁法というものもあるという意味であるのでありまして、決して司法権に向つて、かれこれするなどという意思はありませんし、又そういうことに従うものでもありませんので、この点は誤解なきよう御了承を願いたいと思います。  殊に参議院における御決議に至りましては、私はしばしば申す通りに、決して蔑視などはいたしておりません。これも多数を以て参議院の意思を御表示になりましたので、これを傾聴、尊敬することは申した通りであります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 さつきの天田君の質問に対する緒方副総理並びに加藤法務大臣の答弁に関連して私お伺いいたしたいのですが、その前提に先ず伺いますが、緒方副総理は、後日の戒しめとして云々ということを言われていますが、後日の戒しめとして云々ということは、あのとられた措置には、やはり参議院の院議に現われたような遺憾の点があつたということをお認めになつていらつしやるのですか。それとも全然その遺憾の点はなかつたというお考えでございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 遺憾の点というお言葉でありますが、政府としては、できるだけよくよくの場合でなければ、ああいうような異例の措置はとりたくないという考えは、これはもう前から少しも変つていないのであります。で、あの将来の戒しめということは、そういう点から参議院の意思がここにある。従つて一層よくよくの場合でなければ、こういうことは繰返してはいけないということを考えております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 それは、重要法案が通過した直後においては逮捕を許すということを言われておるわけなんですが、それでは今のお言葉では、先刻来あなたがずつと発言されておるような立場から措置をとられたわけですが、参議院の院議は、ああいうふうになつたが、成るほど、若干やはり遺憾の点があつたというようなことは、お認めになつていないということになりますね。そうですか。それとも、やはり遺憾な点があつたから、今後の戒しめにすると、こういうお考えですか、明快に一つお答え願いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 明快にお答えしますが、今後一層慎重に考えるつもりであります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 その点ごまかしておつて明快でありません。  時間がないので、次に伺いますが、重要法案が通過後においては云々ということを、何回も申されておりますけれども、その時期は、いつ頃とお考えになつておりますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) それは国会の会期がきまつておりますが、議事の状況によりまして、議案の審議の状況によりまして、会期延長がある場合もありましよう。今は考えておりませんが。もう少し会期の切迫したときに、そういう必要が生ずるかも知れませんが、今からいつということを申上げることはできません。いずれにいたしましても、政府の考えております重要法案の通過のめどが立つたときということは、犬養法務大臣が、あの措置をとる際に当つて言明したところでありますだけに、それを守るのが当然であります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 それでは、具体的に伺いましよう。先ほど重要法案とは如何なるものを言うかということを明確に申されました。衆参における審議状況というのは、あなたも御承知の通り、それではこの通過以後においてという時期は、国会の会期末である五月八日頃とお考えになつておられますかどうか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) これは今後の審議の状況にもよりますが、誠に困難であると考えております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 そこで伺いますが、あなたがたは捜査の打切りをしたのではない。任意捜査をすることにしたのだ。重要法案は、与党政府の政策上から重要である。加藤法務大臣の言葉をかりて言えば、国策上重要である。それが通つたならば、検察庁の要望を容れるのであつて、何ら抑えておるのではない。支障はないのだ。こういうふうに国民に説明をしておるわけですが、一体佐藤幹事長の逮捕を必要とすると、先ほど刑事局長が説明されたような立場から、そういう結論を検察庁が出されてから、ものの二十日も三十日も経つて、一体逮捕するところの意義があるとお考えになつておられますか、どうですか。又そのときに、五月の二十日頃にですよ、重要法案が通過したのちに佐藤幹事長の逮捕禀請を抑えているのを解除する。発動を解除する。そのときに検察庁は、それでは今から逮捕しようというような行動に出るとお考えになつていらつしやいますか、どうですか。この点について、法務大臣に伺いたい。そういう段階になつて、逮捕の意義があるかどうかということです。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 私は、捜査の内容を逐一知つておりませんが、逮捕の意義があるかどうかということは、そのときになつて検察庁が判断するのであります。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、その内容の詳細については、まだ就任早早でありまして……。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 何をしているのです、一体。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) これの問題で、国会に毎日招集されておりまして出席して、寸時も暇がないのであります。これは御了承願いたいと思います。  それでそのときによりまして、その内容を聞いた上これは決すべきものだと思います。事実何をしているという御意見でございまするが、殆んどこちらに参つております。余裕はないという次第でございます。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 まあともかく、詭弁も甚だしいですよ。先ほどの杉山委員の質問に対しては、その引継をしてポイントはつかんでいるということを言われた。又ポイントをつかんでいなくて法務大臣の役職が勤まりますか。余り人を馬鹿にするも甚だしいと思います。又刑事局長は、この前我々の同僚加藤議員の逮捕のときも、それから本日も贈収賄の事案というものが、やはり交通遮断をして、贈つたほうと貰つたほうとを調べなければ、この審理はできない。そういう立場から必要だ。こう言われている。それをその必要だと認定した時期から一カ月も過ぎて、一体、逮捕して何の捜査の役に立ちますか。子供でもわかることじやないですか。(「贈賄者は出ているときだ」と呼ぶ者あり)そうですよ。それをこの段階になつて、そのときの事情で調べるとか、内容をよく知らないとか言つているのですが、これは余り私はひどい言葉だと思う。先般の十四条の発動によつてとられた行動というものは、もう今後佐藤幹事長を逮捕しても意味がない。佐藤幹事長に関する限りは、贈収賄の捜査ができないということを事実を以て立証したことになつているのですよ。かかるが故に検察当局も不満であり、又刑事局長もこれは遺憾である。又参議院の野党が決議したゆえんはそこにあるのですよ。如何ですか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は、その主なる点は、先刻申したように事務の引継を受けておるのでございます。それで只今の現状においては、犬養君の措置は変える必要はない。これでよかろうと思つておるのでございます。今後の発展の問題につきましては、只今申上げたごとく、今後事情を聞き、そうしてその上で、私が決すべきことは私が決したいと思います。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 私は、そういうことを伺つていないのです。私は、検察庁が逮捕が必要であるという判断を下して態度をきめた。それから、あなたがたが言われているところの五つの重要法案の審議をする、これが通過するのは、五月二十日頃と見ているのです。私は少くとも、五月二十日頃、幾ら早くても五月の二十日頃ですよ。その頃になつて、逮捕の意義があるかどうかということですよ。それで捜査上何ら差支えないという見解をあなたがたはとられている。それを本会議を通じ、或いはこの委員会を通じて国民に話しておられるのです。それに対して、私はそういうことはあり得ない。実際捜査はできんことになるということを申しているのです。それに対してどういうお考えか。私のこの意思を否定されるか、肯定されるかということを承わつているわけです。大人の話すようなことを話して下さい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 先刻申し上げました通り、これは捜査を一切停止しているのではないのでございまして、その点は、いろいろ新たな問題が、それによつて証拠が出て来るだろうと思います。それで捜査をとめていることではないのである。或いは十分にことごとくのものを、国民のいろいろの刑事事件におきましても、ことごとくみな拘束してしまえば、或いはそれは便宜であるかも知れませんけれども、今のままでも、私は或る程度行くべきものである。こう考えております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 刑事局長に一つ答弁を求めます。  さつきから、私が質問している通りでございます。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 先ほど、私が逐一申上げたことによつて、御了承願います。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 先般本院で、加藤武徳君の許諾を与えることについて、当時の犬養法務大臣それから井本刑事局長が自信を以て答弁に当られたその内容は、この事案が、どうしても交通を遮断しなければならない。そこで我々としては、一体どういう場合に逮捕するかということを三つに分けて質問しているのですよ。その三つの分け方というのは、一体住所不定か、これは住所不定でない。逃亡の虞れがあるかというと、逃亡の虞れはない。そこで証拠隠滅といつても、他の今まで逮捕された議員、或いは今度の噂になつておる佐藤幹事長やなんかと違つて、加藤君は二十万円云々という、その事実を認めている。この事実を認めておつても、なお且つ交通を遮断しなければ、この種の事案はならないのだ。こういうことをお答えになつておる。そこで井本刑事局長は、この通りさつきも認められると受取れる答弁をしておられるのですけれども、法務大臣は引継をしたのですから、やはりこれは同じように私は認められているものだと思う。ところが法務大臣のおつしやるのと、井本刑事局長の言うのとは違う。でありますから、今矢嶋君がそれを追及されていると思うのですが、そういう意味で。ですから、この点私は、はつきりしてもらいたい。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 逮捕請求禀請をして、一カ月のうちに逮捕するということはあり得るか。又その価値があるのかないのか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 具体的な事情をそのときになつて検討いたしませんとわかりませんが、この前のこの委員会においても、いろいろ申上げました通り、この捜査というものは早い機会に調べなければ、なかなか結果を得ることが困難でございます。従つて相当長期間を経ますると、捜査が非常に困難になるということは勿論でございます。ただ逮捕しなければ調べが困難であるということは、従前来申上げたところでございますが、全然逮捕しなければ捜査ができないというのではないので、それは不逮捕のままでも、どんどん周りの調べはいたします。併しながら、何回も申上げます通り、この贈収賄事件というものは口裏だけの事件が多いのでございまして、この口裏が、いろいろな方法によつて通謀を受けますと、直ぐにその態様がはつきりしなくなるわけでございます。加藤さんのときには、金銭の授受は或る程度認められておるのでございますけれども、金銭の授受があつたということだけでは、これは直ぐに贈収賄事件にはならない。授受の模様が、重要なこれを判断する資料になるので、その調べの際におきまして、いろいろの通謀その他があつては調べができないということで、逮捕が相当であるということを申上げた次第でございます。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 それで緒方副総理、加藤法務大臣に伺いたいのでありますが、今の説明からはつきりわかるように、政府のとられた態度は、佐藤幹事長の容疑案件に関する限りは、捜査ができなくなつてもいたし方がない。こういう立場に立つておられる。こういうふうに断定して差支えないと思いますが、さようでございますね。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 私は、捜査に多少の困難が生ずるということは想像しますけれども、捜査ができなくなるということは予想しておりません。(「詭弁だ」と呼ぶ者あり)詭弁でありません。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は先刻お答えいたしましたるごとく、拘束いたしますれば捜査は便宜だろうと思いますが、拘束しなくても、不便ではあるけれども、絶対にできないものではなかろうと思います。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 その点は、全く人を愚弄した発言であると思います。井本刑事局長は同僚加藤議員の逮捕のときに、ここで発言されたその発言を変更することができないから、あなたは筋が通つた発言をされておる。井本刑事局長の発言からいつたならば、この捜査に支障を来たすことは明々白々じやないですか。あなた我々をつかまえて何を言つているのですか。  最後に、もう一つ聞いて他の委員の方に質問を譲りますが、あの加藤君の逮捕の場合、加藤議員はさつきもお話が出たように、二十万円云々は認めている。而も逃亡の虞れもないというので、自由党の委員諸君が、非常に忍びないという立場から随分と質疑を展開して行つて、そうして松岡委員のごときは、刑事政策の立場から、この加藤君の逮捕というものはやらないということもあり得るじやないかというような意味の発言も私はあつたことを記憶しております。随分とそういう立場からたたみかけたのです。ところがそのときに井本刑事局長は、先ほども発言されたように、どうしてもこれは交通遮断しなければならない。而も早急にしなければならない。こういうことを自信満々とあなたは発言されて、そうしてそのときに重ねて松岡委員から、それでは検察当局は、そういう態度をとるのならば、逮捕禀請があつた場合に、法務大臣は、一つの刑事政策としてこれを抑えた例があるかといつたところが、そういう例はございませんといつた。こういつた答弁をしておる。それから犬養法務大臣に質したところが、犬養法務大臣は、この検察当局で慎重にこれを検討し、而も刑事局長が仔細にそれらの書類を検討して来たものであるから、自分はこれを承認した。じや今後も、そういう態度をとるかといつたところが、そういう案件については、今後同一態度をとるということを法務大臣にはつきりここで言明しているのです。  緒方副総理に伺いますが、あなたは、吉田総理大臣に代つてここにおいでになつている。吉田内閣の、吉田総理大臣が任命した犬養法務大臣は、そういうことを参議院において言明して、それに基いて我々同僚加藤君の逮捕要求を承認したのです。その内閣の犬養法務大臣がああいう態度をとられた。而もこれは犬養法務大臣は、あなたとも連絡をとつて、吉田総理大臣とも連絡をとつて、ああいう行動をとられた。自責の念に堪えずかの犬養氏は辞表を出した。併しその辞表を出したことで済みますか。あなたの任命したところの犬養法務大臣が、参議院に対してとられた態度をそういうふうに変えられたといふことに対して、院としての参議院に対しての責任を感じられませんか。それが緒方副総理に伺いたい点。  それから加藤法務大臣に伺いたい点は、あなたは犬養法務大臣のとられたことについては、あなたは、大体原則として引継いで行かれるというわけですが、犬養法務大臣は今申したような態度をとられた。従つてあの人は、これはいけなかつたという反省のもとに辞められたのではないですか。而も参議院の院議は、先ほどから繰返して言われている通りに、過ちを改めよう、速かに善処しようということを院議として決議したのです。犬養さんの行動、それから参議院の院議決定、これから法務大臣としてとらるべき態度は、参議院を尊重し、敬意を表するならば、緑風会の杉山委員も要望されているように、即刻佐藤幹事長の逮捕を許すところの、強権発動を撤回すべきじやないですか。そうしてこそ初めてあなたが、そこで発言されている参議院の決議を尊重する、敬意を表することが筋が通るわけで、それなくして、とやかく言うことは、余りにも参議院の議院運営委員会をなめ切つた態度である。私は憤慨に堪えない。  犬養法務大臣がこの席上で述べられたことに対して、かの犬養法務大臣のとられた態度、それらに関連して両大臣の答弁を求めます。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 犬養法務大臣が、加藤武徳君の逮捕要求の際に、どういう発言をしたか私は承知しておりませんが、多分、今お話になつたようなことを言つたんだろうと想像できます。でありますが、今回の場合には、犬養法務大臣が政治上の考慮を更に強く持ちまして、(「圧力をかけているじやないか」と呼ぶ者あり)圧力は、少しもかけておりません。この措置に出るほかないという考えであります。その辞職は、犬養法務大臣の言葉をかりて申しまするならば、それは異例の措置である。違法ではないけれども、異例の措置であつて、よくよくの場合でなければやるべきことではない。従つてこういう異例の措置をしたときには、法務大臣は初めから責任を負つてなすべきである。これをしばしば繰返さないようにするために私は辞表を出したい。そういうことを言うて出しておるのであります。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 犬養前法務大臣が、ここでどういう説明を、御答弁を申上げたかわかりませんけれども、只今申されたようなことを申したに相違なかろうと思います。いろいろ、問題は最後の結論を以て考えて行くよりほか仕方がないと思います。或るときには、或る問題につきましては、いろいろ経緯はあるでございましようが、犬養君の最後の意思は、結論は、この声明にある。こう思うのであります。(「辞職にある」と呼ぶ者あり)辞職の問題は、只今副総理が申されたことであろうと思います。

松岡平市自由党

○松岡平市君 議事進行について。  先ほど来相当長時間に亘つて、それぞれの会派から質疑が繰返されております。私たち黙つて拝聴しておりまするが、大体質疑の要点は、私は曾ての小笠原委員のこの種の別な案件について、私どもの質疑をやつたことを要約すれば、大体要点はもう尽きたと、(「つきていない」と呼ぶ者あり)私はそういうふうに考えております。それでいろいろ御意見もあろうと思うので、若しまだ尽きないということであれば、あとに委員会を継続する方法もあります。本日は、すでに五時を過ぎておりますし、かなり長時間に亘つておりますので、私は本日の会議は、この程度にして閉じられんことを希望いたします。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私は、松岡君の御見解は御見解、そうであろうと思います。私たちは私たちとして見解があります。それですが、時間の問題で申される点においては、松岡君のお話に我我真向から反対するものではございません。筋さえ立てればいいのです。他の同僚議員のかたがたで、本日でなければ、到底質問をなし得ない。本日是非やらなければならないというおかたがあるならば、時間を見計らつてやつて頂いて、結局我々は、問題はちつとも解決しているとは思いません。松岡君の後段に申されたように、どうしても問題点があるとして質問がしたいというのであるならば、あらためて又質疑をして頂く機会も持とう、持つてもいいような御意見もありましたが、これは一応明日に継続して質疑をせられるということを前提として、どういう方法等で時間的に処理して行くかというような問題は理事会等で十分御相談して頂く。そうして本日、質疑を割愛して頂けるならば、本日は大体、時間のめどをつけてやめて、明日に譲る。こういうことで御相談になるならば、私は松岡君の御意見には賛成します。  本日、これだけ論議が長引いたことは、加藤法務大臣の御答弁が不明確だつたからであります。その問題から起つて来ておる。是非の論と言いますが、筋立つた話でなければ、院議には対抗できないと私は思います。そういう意味では、やはり加藤法務大臣は素人であると言つておりながら、任意捜査でも捜査はできるであろうと言つて、専門家である井本刑事局長は、捜査は困難だと言うのを、素人だ素人だというかたが、見込を立てられる。これは全く矛盾しておることなんで、素人であるならば、その限りにおいては専門家の意見は率直に聞くべきである。政治的な扱は又、あなたおつしやるように別です。それで、どうしても議論が起る点は、加藤法務大臣が明確な態度を以て筋立つた御答弁を願えない点があつて、長時間を要した点があるということを私は認めます。  それで委員長におきましては、松岡君の御発言もありましたが、私の発言と併せて、この議事進行のお考えをこの委員会に諮つて頂きたいと思います。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 私はただ一つだけ、加藤法相に質問したいんですが、それはやはり議事進行にも関連がありますけれども、一つのけりがつかないと思います。やはり一段落のけりをつけないと、今日の会合というものは意義がないと思いますので、ただその意味におけるただ一言だけの質問をお許し願いたいと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 けりをつけることは、私申上げている通りなんで、どうしても今日しなければならんという質疑はして頂いて、そうして問題は、本日中では片がつかないということを認めるならば、明日これを継続するということをきめて頂いて、細かいことは理事会で諮る。こういうことを決定をする段になれば、本日は、適当な時間にもう済んでしまう。こういう点を諮つて頂きたいということであります。(「了承」と呼ぶ者あり)

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 只今、松岡君の御提案に対して、小笠原君の御意見があつたのでありますが、これに対して、松岡委員の何か御意見がありますか。

松岡平市自由党

○松岡平市君 率直に申しまして、私は昨日の理事会、本日の理事会でも、この問題について論争せられる論点というようなことについても、私の希望を述べましたし、なお、又これに要する時間等についても、私は理事各位に十分御考慮をお願いしたいということを申上げておつたのであります。今日この時間、各方面からいろいろと質疑を重ねておられまするが、併し私は、要点はそうたくさんではない。そうしてその要点については、政府の答弁が、皆様方は不明確であるといろいろおつしやるけれども、私どもには、政府として今日の段階において答弁されるものは答弁され尽したと私は考えております。従つて私としては是非、もうこの問題についてはこの程度で質疑を打切つて頂きたいというふうなことの希望を持つておりまするけれども、なお、先ほど来、十分まだ尽されないという御意見が各会派多数のようでありますし、これを私、ここでたつて質疑の打切りというようなことを申上げても、与党小数でありまして、(「率直だ」と呼ぶ者あり)到底御同調願えない。かように考えます。多くの論議はいたしませんが、只今小笠原君が言われたように、明日、更に今後の議事の進め方というようなことについての詳細は、理事会に諮るという御提案もございますので、さようお取計らいを願つて、一応この会議は、継続して行くというふうにいたして頂いて支障はございませんから、本日の段階におきましては、この会議を閉じられんことの動議を御採決願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)

杉山昌作緑風会

○杉山昌作君 異議ございません。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) では、只今小笠原君の御意見通り、又自由党の松岡委員から申されたように、明日も、この質疑は継続することといたし、それらについては明日の理事会において詳細は決定をする。本日は、やむを得ず本日どうしても質疑をしたい。こういう御希望の人の若干をやるが、できますならば、だんだんの御意見もあるようでありますから、本日はこの程度で、打切りにいたしまして、明日引続いて質疑を行いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) それでは、散会いたします。    午後五時二十六分散会

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