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19回国会参議院1954/04/14

議院運営委員会 第45号

発言数
136
登壇者
12
会派数
5
開催日
1954/04/14

会議録

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 会議を開きます。  常任委員の辞任及び補欠に関する件。

河野義克参事(事務次長)

○参事(河野義克君) 日本社会党第二控室から、議院運営委員の戸叶武君が辞任せられて、松浦清一君を後任として指名せられたいというお申出が出ております。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 以上の通り決するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) さよう決します。   —————————————

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 電波監理審議会委員任命につき本院の同意を求めるの件。日本電信電話公社経営委員会委員任命につき本院の同意を求めるの件。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私の会派としまして、本日相当時間をかけて検討いたしたのですが、一部調査すべき点があるということで、調査中の問題がございますので結論を出しかねました。よつて、他会派の御同意が得られるならば、次会まで保留して頂きたいと思います。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 両案共でありますね。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうです。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 只今小笠原君の御発言では、なお若干調査をしてみたい。こういうお話でありますが、さような小笠原さんの御意見に御異議なければ、いま一度留保いたしたいと思いますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) それでは、次会に譲ることにいたします。  では、小委員会の終りますまで、休憩いたします。    午後一時四十三分休憩    —————・—————    午後二時開会

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 議院運営委員会を再開いたします。  速記を止めて下さい。    午後二時一分速記中止    —————・—————    午後三時三分速記開始

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 速記を始めて。  午後三時二十分まで休憩いたします。    午後三時四分休憩    —————・—————    午後三時四十三分開会

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 休憩前に引続き開会いたします。  これより速記を止めて懇談会に入ります。   午後三時四十四分懇談会に移る    —————・—————   午後三時五十二分懇談会を終る

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 速記をつけて下さい。  五分ほど休憩いたします。    午後三時五十三分休憩    —————・—————    午後四時十三分開会

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 再開いたします。  議員加藤武徳君の逮捕について許諾を求めるの件を議題に供します。  本件の取扱につきましては、先刻来慎重に御協議を賜わりました結果、本日中に委員会の結論を出し、明日定刻午前十時から本会議を開いて、これに上程する。こういうことに話合いがまとまりました。法務大臣、三浦政務次官、刑事局長、清原事務次官が御出席になつております。御質疑を願います。

松岡平市自由党

○松岡平市君 これから質疑をいたしたいと思いますが、質疑をいたします事案の性質に鑑みまして、一昨日或いは昨日の事例もございますので、是非とも会議を秘密会にすることの御決定を頂きたいと存じます。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 松岡議員の御要望のように、これより秘密会にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 御異議ないものと認めます。従つて、議員及び要求に応じて出席された国務大臣、政府委員並びに事務的に特に必要な職員以外のかたの御退場をお願いいたします。   午後四時十六分秘密会に移る

松岡平市自由党

○松岡平市君 私二、三点について質問いたしたいと思います。大よその点につきましては、同僚委員が長時間に亘つて質問をしておりますので、或るべく重複を避けることにしますが、すでに質問されたものにつきましても、御答弁中、なお了承しかねておるものにつきましては、或いは重複するかも知れませんが、努めて重複を避けるようにいたしたいと思いますけれども、その点はあらかじめ御了承願つておきたいと思います。  先ず私は、この問題に関連して一言お聞きをしておきたいと思いますのは、昨日の質疑応答のうちで、これは議員でございませんが、今回いろいろ騒がれております事件の関係者の一人が、三回権利保釈になつて出た瞬間にすぐ逮捕された。三回続けて逮捕された。この調子で行けば、若し又この次裁判所に勾留の延期を頼んで裁判所が承知しなければ、又新らしい罪名で検察庁は逮捕すると、一体権利保釈というものと、かくのごとく新らしい罪名によつて次々に逮捕を重ねて行くということとの関連は、私は刑事訴訟法上これは容易ならんことであると思うのだが、一体法務大臣はかような検察庁の取扱というものは、適法であるとお考えになるかどうかということを、一つ先ずお聞きしたいと思います。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 技術的な問題でございますから、私から一応お答えいたしまして、あと法務大臣に補足して頂きます。  一つの犯罪事実につきまして、再逮捕は勿論法理的には不可能でございますし、いわんや三逮捕のごときは問題にならんのでございます。併しながら犯罪事実が違えば、犯罪事実一つごとに逮捕勾留ということはあり得るわけでございます。それは新刑事訴訟法実施と同時に、刑法の連続犯の規定の五十五条が廃止になりましたので、犯罪事実があるごとに逮捕勾留ということは、法律的にはあり得るわけでございます。さようなる観点からいたしまして、私どもは、法律的には犯罪事実一つごとに逮捕勾留ということを重ねますと、百あれば百の勾留ということも、これは法律的に可能であると考えるのでございます。従来実際上の扱いといたしましては、この一つの犯罪事実を調べております間に、他の犯罪事実が発覚する。例えば余罪がわかるというような場合には、十日の勾留を成るべく二十日に延ばして、前の一つの犯罪事実につきましては、逮捕勾留期間に取調べを済ましまして、事件を結着するというような扱いをして参つたのでありますけれども、最近のこのいろいろの事例を見ますと、裁判所でも余罪についての調べは殆んど認めていないようでございますし、一つの犯罪事実が十日で調べが済めば、十日でよろしい。勾留延期は認めないというような扱いをして参つております。さようなことで再逮捕、三逮捕というようなことが極く最近各地に見られるようになつた事情でありまして、只今の法律上の解釈、実際の実情からいたしますると、さように犯罪事実が複数で数あれば、さような扱いもそれ又止むを得ないと私は考えている次第でございます。

松岡平市自由党

○松岡平市君 恐らくは新容疑として再逮捕、或いは第三回目の逮捕のときも、挙げられた容疑というようなものも、恐らくは犯人の、或いは容疑者の取調中に、すでに明らかになつている。にもかかわらず、それらを取調完結せぬから、裁判所は勾留の延長を認めずという場合には、今のお説によりますと、百あれば百回繰返えして次々逮捕する。そうすると検審官は容疑の事実を調べておつて、あつたということになれば、もう保釈になつた、その瞬間にやつて行ける。そうして今言うように法律的にはこれはできるのでございましよう。併しながら非常な長期に亘つて勾留しないということが、今日保釈というものの精神であろうと思うのです。これを今言うように幾つかの別の容疑さえあれば、次々に再逮捕できるということになれば、権利保釈ということはこれはもう無意味ということになると思うのですが、これは何回やつても法律上できるんだ、やつてよろしいんだということで、これはまあ議員に関係ございませんが、一般の人間のこれからの逮捕について、そういうふうにお取扱になるおつもりであるかどうか。これはお互いの人権の上に対して容易ならん事態があると思うのです。ああいう三逮捕、四逮捕というようなことも止むを得ないとおつしやれば、それだけだけれども、これは法律の精神から考えて、妥当であるとお考えになるかどうかということをこれは法務大臣からお答え願いたい。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) お答え申上げます。  理論としては、只今刑事局長が申した通りでございますが、実際再逮捕を行つております検察庁の察議と申しますものを私親しく見聞しておりますが、実に、これは実にお気毒な、この只今のような相互錯綜しておつて、そうして新らしい筋から、前に入つておられる人に関係のある容疑があると、特殊な何年に一度というような範囲の大きい事案についてのみ実に止むを得ず行われることでありまして、再逮捕を行う検察庁としましても、非常に何と言いますか、勿論進んで法律上構わないからやるというような態度でない。内容を申上げれば御了解を得ると思いますが、ちよつと申上げにくい点もありますけれども、非常に或る意味で躊躇をし、熟慮をし、その挙句真に止むを得ないとしてやつているのでありまして、勿論法律上可能でありましても、刑事訴訟法に規定された権利保釈の精神というものは十二分に尊重して行きませんと、検察官としての務めは十全でないと考えます。従つて私は特殊な事案のときにこの理論を用いるべきであつて、軽々に用いるべきではないと思います。

松岡平市自由党

○松岡平市君 私は再逮捕、三逮捕というようなことは、法律の精神から考えても、これは容易ならんことである。今お聞きするというと止むを得ずしてやつているとおつしやるが、裁判所に事前に、勾留の延期を一応当該検事としては請求されているわけです。公正であるべき裁判所が、必要ないとこう認めている。そうすれば、裁判所の勾留延期は必要ないということは、当該、一番初め起訴と申しますか、勾留の原因になつた犯罪だけについて、勾留期間を認めておつて、余罪の取調べ等については、勾留期間は認めておらんということになつて、初めてそういうことになると思うのだが、一般人の、普通人の勾留の場合のごときは、殆んど裁判所は私の知る限りは、まあ勾留の延期をどんどん認めている。こういうふうに私は理解しておりまするが、そうではないかどうか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 事務的な問題が大部分でございますので、私からお答え申上げます。  勾留は十日の延長が、又十日ということになつておりまして、特殊の事件だけが、なおもう三日の延長ができることになつております。併しながら実際の扱いを見ておりますと、全事件の六〇—七〇%までが、十日のうちに事件の処理をいたしております。その残りの極く少数のものが十日を過ぎ、完全に二十日間だけ留められておるという事件は、そう多数の事件ではございません。併しあまり問題になつていない強盗であるとか、窃盗であるとかいうような事件は、短い処理で済んでおつて、問題になる選挙違反であるとか、或いは涜職事件であるとかいうのは、比較的長く勾留されますので目につきやすいのでございますが、全体の犯罪の調査状況を見ますと、大体さような振合いになつております。併しながら私どもといたしまして、なおこれでいいと満足しているわけじやございませんので、できるだけ勾留期間は短くして、身柄の拘束がなく調べが済むように任意捜査に努めておるのが実際の実情でございます。  なお先ほど申し落しましたので、勾留延期若しくは権利保釈の問題について、いま少しく事情を説明さして頂きたいと存じます。実際の扱いといたしまして、一つの犯罪事実につきまして逮捕状が出、勾留の必要のあるということで裁判所から捜査のための十日の間の勾留状が出ます、その満期のときに、更に必要があつて十日延長になりまして、前後逮捕状の七十二時間に勾留十日、更にもう十日、合計二十三日間が検事の取調べする間の勾留期間に刑事訴訟法でなつております。更にこれが起訴になりまして、裁判所の勾留に切換えになるわけでございます。一つの事実については、裁判所といたしては従来は余罪がある場合に、その余罪の取調べのために、初めの犯罪事実について勾留状が出ておれば、余罪についての調べもこれを認めまして、余罪の取調べの必要があるからということの理由も、多少加味された上で勾留延長をなされ、更に保釈決定なども持越されておつたのでございます。併しながら実際の今度の涜職事件の事例を見てみると、一つの事実について調べが済めば、それ以上勾留を孤長ずる必要もなし、又直ちに保釈すべきであるというようなことで、他の余罪について調べるということについての勾留はすべきでないというような趣旨の意見をお持ちの裁判官のかたもあるようでございます。さようなことで、一つの事実については一応の調べが済んでおれば、これは成るべく短い期間に拘束期間を解くというのが、これは当然でございますが、更に余罪があるということになりますると、又別の事実につきまして逮捕勾留をするというようなことになりまして、却つてこれは被疑者のかた或いは被告のかたに不利益になる場合も往々あるかと私は考えるのでございます。併し実際のこの扱いといたしまして、裁判所が余罪の調べは一切認めない。本来の逮捕勾留を請求いたしました事実について調べが済めば、勾留を延長すべきではない。起訴になつた後も、証拠隠滅の虞れがなければ、直ちに釈放すべきである。保釈すべきであるということになれば、直ちに権利保釈になるわけでございます。さようなことで、この今回の涜職事案に関係いたしました事件については、二、三の事件について再逮捕、三逮捕というふうなことが現われて来る傾向にございますが、これが決して満足すべきやり方であると私は考えていないのでございまして、先ほど大臣も申されました通り、できるだけ勾留は短かく、人の拘束というふうなことは慎んで行きたいということを考えております。  とにかく犯罪捜査ということは原則が任意捜査でございますので、さような趣旨に努力をいたしておるような次第でございます。

松岡平市自由党

○松岡平市君 これは余り触れたくないことでありますが、衆議院議員有田二郎君について検察庁は勾留の延期を裁判所に申請された。裁判所はこれを認めないというときには、再逮捕の権利は容れられなかつた。これは何か理由があつたことかと思いまするが、ああいうふうにして騒ぎになつた衆議院議員というふうなものには、匂留延期を申請しながら、裁判所はこれを認めなければ、そのままにして別に再逮捕の挙には出ない。そういう検察庁でありながら、一般人については、再逮捕とか三逮捕、場合によつては四逮捕もやるというふうなことは、私は誠に残念なことであると考えております。有田君をなぜ再逮捕しなかつたかということを、私は現に身分のある議員の事柄でもありますから追及はいたしませんけれども、世人はこういう二つの事例が相継いで並んで見せられますというと、誠に再逮捕、三逮捕というような、今もおつしやつたような非常にまあ異例に属する手続というものについて、誠に一般人としては納得のできない感じを持つている。私は有田君の場合のことについて質問を重ねてしようとはいたしません。願わくば一般人について、かような方法は、できるだけ一つ避けるように、今後法務大臣は、検察行政の上で御留意願いたいという希望だけを申上げておきます。  次にお尋ねしたいことは、有田二郎君の逮捕許諾に関連してであります。これはすでに済んだことでありまするが、私どもは、この機会に議員の逮捕、これの請求許諾、拒否ということについて、一応はつきりしておきたい。衆議院は確かこれの釈放すべき期日を指定して許諾を与えた。これに対して裁判所は従わなかつた。検察庁は従わなかつた。こういう事例がございまするが、議員の逮捕の許諾請求に対しては、議院というものは何らの条件を附することができないものかどうか。附した場合には、これは条件なきものとして、条件なき許諾として扱うということは、政府或いは検察庁において確定されたる事柄であるかどうかということを、この機会にはつきりさしておきたい。この点について法務大臣の御答弁をお願いいたします。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) 逮捕許諾について、有田議員の場合には期限を附しましたが、率直に申上げまして、法務省及び検察庁はこれの解釈について頗る疑問を持つております。併しすべては裁判の決定のそれに従うということは、しばしば申上げた通りでありまして、裁判所の決定を静かに待つており、裁判所は期限附を認めない決定をいたした次第でございます。法務省も検察庁も、その裁判所の判断に従つて、これを遵守いたしている次第でございます。

松岡平市自由党

○松岡平市君 この裁判所の決定に対して、異議を申立てるというような措置もとられなかつたようであつて、そうしますというと、これは今回有田二郎君の逮捕の際に示された裁判所の決定というものは、将来に互り、日本のこの涜職事案に対するこれは動かすべからざる一つの判例、判例じやございませんが、一つの確定せられたる取扱であると了承してよろしうございましようか。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) まさに、さようの通りでございます、

松岡平市自由党

○松岡平市君 次におね尋いたしたいと思います。昨日もどの委員かが、ちよつとお触れになつたと思うのでございますが、四月九日の毎日新聞夕刊によりますというと、造船疑獄の収賄容疑で東京簡裁から国会に逮捕許諾の請求が出れさている衆議院、岡田五郎、關谷勝利、参議院、加藤武徳の三議員に対する許諾の審議は、九日になつても両院の本会議に上程されないので、検察部内に許諾が遅れれば、捜査に支障を来たす虞れがあるとの声もあり、佐藤検事総長は、九日午後零時半、犬養法相に対し、国会の逮捕許諾の審議を促進されたい旨要望した。こういう記事がございまするが、かような事実があつかどうか。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) どなたかの御質問に答えたのでございまするが、この時は、大体この頃は、毎日か隔日、必ず検事総長は私に報告に参るのでございます。その時に要談の末に、逮捕許諾はいつ頃になりましようかという質問はいたしました。私しばしば申上げたと思いますが、決してそれを難癖をつけるとか、私に固い態度で要求するということはございません。これは院の判断において、裁判所を通して、且つ内閣から院の判断を仰いでおるのでありますから、この院の判断について逮捕請求をした検察官の上司が、とやかく申すということは少し如何かと思います。ただ希望意見を言うというようなことは、私はそれは許さるべきものであろうと思いますが、その時は、実際希望意見というほどの重さもない程度に、いつになりましようか、いろいろの都合で早いほうがいいんですが、いつ頃なんでしようか。こういう程度の聞き方をしたわけであります。従つてこれも昨日申上げたかと思いますが、新聞記事を読みまして表題になると、非常に固く表現されるものだという感じをその時に持つた次第であります。

松岡平市自由党

○松岡平市君 逮捕許諾については、政府はここに説明をして、昨日官房長官が、必ずしも最短距離ではなかつたけれども、常識的に考えて、別段特に遅らしておらんという回答でありまして、別に逮捕許諾について政府が故意に遅らかした事実はないというふうに一応私たちは了承しております。参議院のこの案件に対する審議について、法務大臣は、もつと急げるものを急がずにいるとお考えになるのか。それとも審議は誠に、努めて必要な部分について十分急いでやつておるとお考えになるのか。その点についてお伺いします。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) お答えをする前に、ちよつと補足さして頂きますが、一つ前のお尋ねの件ですが、これは闘谷、岡田両議員についての逮捕許諾の議運の要請がいつ頃になりますかといつたのでありまして、参議院の問題でございませんで、これはこの前も申上げましたが、とにかく昨日長時間に亘つて、私もここで御質疑を拝聴いたしたのでありますが、勿論寝食を共にしている同僚の一身上の重大問題であります。一生の重大問題と申してもいいのでありますが、御熱心に質疑されることは当然だ。議員としても、人間としても当然だと思つておりますし、失礼な言い方でありますが、質問のための質問というような感じは一度も持つたことはございません。

松岡平市自由党

○松岡平市君 そういたしまするというと、本案件については政府のことはとやかく申しませんが、少くとも、本院が逮捕許諾請求の案件について故意に遅らしておるという事実はないということは、今お認めを願つたわけです。にもかかわらず、新聞記事では、今云うように二人だけにしないで、参議院の加藤武徳君の名前もちやんと書いて、四月九日の日、この日にちがどういう日にちであるかということは、ちよつと御覧になればわかると思います。四月九日の夕刊に、九日の午後零時半に督促したという新聞記事が麗々しく掲げられている。これは私は、この記事がどこから出たものか知らんが、今言うように、長く法務大臣の部屋に来て、いろいろと検事総長は話をする。これはいつもあることでございましよう。検事総長と法務大臣の関係からすれば、いつでもあることでございましようが、九日の午後零時半に、佐藤検事総長が、国会に対し、こういう許諾の審議を促進されたい旨要望したという新聞記事というものは、私看過できないと思うのであります。我々が若し審議を非常に遅らしておるという事実があれば、審議に入らない前にこういう記事が、時間まできちつと書いて新聞記事に出るということでは、昨日或いは一昨日の間に、同僚議員から、今日検察庁のこの諸案件に対する態度について、多少疑議を持たざるを得ないような御発言もありましたけれども、この一点からいたしましても、かような許諾請求というようなものに対して、参議院或いは衆議院が何らかの、速かなる許諾を与えないということに、与えざるを得ないような何らかの意図が隠されておるんじやないか。私はこういう危惧の念を持たざるを得ない。もとより法務大臣なり或いは検事総長は、さようなことは絶対にございませんとおつしやるに違いございません。それはわかり切つておりますけれども、事態は、このようにして審議に入らない前から、政府或いは議院が審議を遅滞せしめておるというようなことを誰か知らんが新聞に洩らした。九日の零時半という時間まであげてやつておるということは、私は法務大臣が、さような事実は、新聞社のものはどういう記事をとるか知らんけれども、なかなかいろいろとやつて、正確な記事を書きます、或いは不正確の場合もございますとおつしやるけれども、それはそれでございましよう。併しながら、こういう案件を審議いたしまする我々といたしましては、初め、督促を先に受けて、審議をせざるを得ない。そうして審議の過程においても、如何にも我々がぐずぐずしておつては、こういう検察庁の非難を片方に受けつつあるのだという心理的な影響を私のごとき弱い者が絶えず受けざるを得ない。こういう事案について、どういうふうに法務大臣はお考えでございましようか。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) お答え申上げます。  検事総長が、仮に万一性急な、せつかちな気持でございましても、九日の朝、閣議に通つたものを零時半に督促するということは、ちよつと想像できませんので、従つて、前以つてそう答えるだろうとおつしやつた通りに申上げることは恐縮でございますが、これは全く、新聞のほうの無責任な報道であると思います。且つ検事総長も、司法省時代に政府委員をしておりましたので、議院に逮捕許諾をすべきかどうか、御審議に入らない前に督促をしても、それが却つて失礼に当るという意味において、非常に事態を悪化するくらいの常識は持つております。従つて先ほど申上げましたように、衆議院の議運の御審議がいつ頃済むかと気軽に聞きましたけれども、事、参議院に関しては全然話に出ておりません。併しまあ、そういうことを一々取消要求するということも、又したほうがよいのでありますが、妙なことでございますので、このままにいたし、その筆者については、記者会見のときには、笑いながら、どうもああいうことは困る。こう言つた次第であります。

松岡平市自由党

○松岡平市君 私はこの事態は、笑いながら言つておいて頂くような簡単な事柄ではないと思います。一昨日来法務大臣は、内閣の閣員としての法務大臣は、内閣の閣員としての法務大臣か或いは検察庁を指揮する法務大臣かというようなことの議論もございましたが、私はこの際、まあ督促するというような意図でなかつた。いろいろ先ほど雑談の間にこうだというようなお話もございますが、それにもかかわらず新聞記事、これは何十万という、何百万という発行部数を持つておる新聞であります。その記事には、きちつとその会見の時間まで掲げて、これは書いてある。九日の日の未だ本院に請求も漸く到達するかしないかという時期に、こういうことが記事として書いてある。そうして我々この事案を審議する議員に対して、少からざる心理的圧迫を加えて……、誰も圧迫を加えられてはおらんとおつしやいますが、私は少くとも、これによつて相当なる心理的圧迫を加えられたことは事実であります。かようなことが現実に行われておるのに、笑いなから注意を促しておつたというようなことでは、私はいささか法務大臣の御態度として、かような重大な案件を審議する委員会に対しての御答弁としては、私は承服しかねると思います。大臣は検事を指揮する御身分もあると同時に、内閣の閣員としての御資格もおありになつて、かようなことがたとえ雑談の間においても行われれば、これは政府に対する一つの要望であるとも考えられるわけです。又私は、以上、私か得たいろいろな話からいたしますれば、必ずしもこういうことが、ただ犬養法務大臣だけが聞いて聞きつ放しにしておかれたということではなしに、今少しくこういうことについて、急いでもらわなければならんというような、こういう検事総長の意図が、犬養法務大臣以外の所にも伝わつておるのじやないか。或いはこの新聞記事によつて、そういうことになつたのかも知れませんけれども、そういう疑いを持たざるを得ないような傾きも、政府部内の一部にはありはしなかつたかというようなふうに私は考えざるを得ない。まあこれらに関して、私はこれは別な状況であれば、この問題についてこそは、検事総長にお出でを願つてでも、十分、一体政府が、故意に遅らせておるとお考えになるのかならんのか。審議を故意に遅らせておるとお考えになるのかならんのか。そうしてこの新聞記事に対して、どういう御措置をおとりになつたかということについて、十分お質しをしなければならんことである。この議院運営委員会の運営に関して、これは重大な問題であると私は考えておりますけれども、今日は、先ほど来この委員会の進行のことについても、いろいろと御無理を願つておりますので、さような行動には出たくないと思います。で、只今の法務大臣の御答弁については、私笑いながらたしなめておいたというような程度の、この問題の処理に対しては私どもは満足はいたしかねまするけれども、この機会にそれより以上はいたしません。併しながら今日こういう問題が議会にかかつて論議されているという際に、こういう新聞記事がこうして日時等まできちつとして、名前を挙げて出るというようなことが、どういう影響力を持つかということは、明敏な法務大臣なり或いは刑事局長なり或いは検事総長は、十分御承知のはずであります。将来においてかような問題につきましては、十分御留意を願いたい。私はこの点について御注意を促すにとどめて、この問題について更に追及をして行くということは、この際差控えます。  次に、ここで加藤議員の逮捕許諾請求のことにつきましては、大体いろいろと論議されましたが、私はなお納得の行かない二、三の点を聞きたい。  まあ、内閣の責任がどうか。逮捕請求をするという際における内閣の責任がどうかというようなことについても、私は福永官房長官に質問をして、官房長官の答弁には、満足でないという旨を答えて、そういうふうに発表しておりますけれども、これは法制局長官なり、参議院の法制局長の説明もありまして、大体内閣の解釈、私はこれに疑義を持つておりますけれども、一応それでよろしいといたしておきます。  そのほかに問題になつたのは、二日間なぜ延ばしたかという問題でありますが、これは私のほうでも、いろいろ質問いたしましたけれども、大体了承しておりますので、多くを聞きません。これについても、実は刑事局長の御答弁、初日の御答弁と昨日の御答弁、法務大臣の御答弁の間には、相当なる食い違いがあるということだけを申上げて、それをこの機会に追及して行くということは一応とりやめます。  あとは、お聞きになりましたけれども、私が今なお不敏にして了承しかねる点をより出して二、三お聞きしたいと思います。  先ず順を追つて聞きますが、一番初め、一昨晩、刑事局長が説明された中で、説明された趣旨によりますというと、加藤君を逮捕許諾請求をお願いするに至つたのでございますというその理由として挙げておられるのは、三盃一太郎並びに小山朝光両人の陳述があつた。かような陳述がある。そして加藤君の陳述は、供述の内容が非常に違つている。で涜職事犯というようなものは、雰囲気と、まあ特殊な関係であつて、交通を遮断しなければ、真相がはつきりしない。そこでかような逮捕許諾請求をお願いするに至つたのでございます。こういうようにおつしやつた。これはその通りでございましようね。  その中で、先ず三盃一太郎並びに小山朝光の陳述、この中にこういうことが書いてある。こういうふうに言つていらつしやいます。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━。事いやしくも、三盃一太郎というのは、某海運会社の副社長である。小山朝光という人は、某という明治時代に有名な人の孫である。三盃一太郎の秘書をしておる。そうして一人で二十万、三十万の金を多くの人に分配して歩いた人間である。受ける人間は、国会議員である。この間の金の授受に、電話で、私は利子補給のことについて世話になりましたから二十万円差上げようと思いまするが、お受取り下さいまするかというようなやりとりをすると、こういうふうにあなたの、法務大臣の指揮しておられる検事は、まあお考えになるものであるか。事いやしくも、収賄罪に問われるというような金の授受をする際に、私もいろいろなことをしたことがございます。嫌疑に問われたこともございまするが、或る場合には、私は贈賄罪の容疑で引張られたこともございまするけれども、そういう馬鹿なことを言つたりしたりして金の授受をすると、そういう金の授受をするというふうにお考えになるかどうか。これは一つ、まあ長い間検事をやつていらしつた経験のある刑事局長に、これを一つお聞きしたい。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 誠にお話の通り、御尤もでございまして、金の授受の際に、これがあなたがいつからいつまで利子補給法で働いたときのお礼でございますから、どうぞお受取り下さいというような例は、私も寡聞にして未だ曾つて聞いておりません。そこで昨日から私は申上げたように、その金の授受のやりかた、雰囲気、従来のいろいろな交際、さようなものが一緒に重なりまして、どういう趣旨の金であるかということの認定をするわけでございます。  まあ物を買うにいたしましても、果物屋の前で、これをくれと口で言うたら、果物をただでくれというわけではなくて、私は金を持つておるから、金を払うから果物を売つて下さいという申込をして、相手がそれじや幾ら幾らで売りましようということで商行為が成立する。法律では、まあそういうことになるかと思うのでありますが、実際の状況といたしましては、黙つてやる場合もございましようし、或いは果物龍の中に、いつの間にか二十万円の金が入つておつたというようなこともございましようし、その態様はいろいろでございます。本件は、極く要約してお話し申上げたので、その趣旨が、━━━━━━━━━━━━━━━━━、先ほどお話のように、法律的な明確な表示というようなことは常識的にも考えられない次第でございます。

松岡平市自由党

○松岡平市君 併し、とにもかくにもあなたの御説明を聞くというと、さような金は受取れない。或いは電話で御内意を伺つた際に、さようなものは受取らない。こういうようなことが、これが三盃一太郎と小山朝光の陳述でございます。誠にこの陳述なるものは、これはもう我々は検事さんがどういう手続でこういう陳述をお引出しになつたか知らんけれども、あなたが、こういう説明をなさるところをみると、大体このような陳述が……あなたの知つているのは、書類の上で調べたとおつしやるのだから、こういう陳述をしたに違いない。そうして片方に、この供述と加藤議員の供述の内容とが非常に違つておるのでございます。これは当り前だと思う、私は。こういう供述に信を置いて、加藤議員の供述が違つておると、違わなければ、加藤議員はこれはどうかしておる。この供述それ自体、あなたがたがこれを真なりと信じておられる供述なるものが、あなたの表現を以てしても、誠にこれは驚き入つた供述であると私は考えますが、刑事局長は、さようお考えになりませんか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 私は、簡略に書きますと、さようなことになるということでありまして、ただ金を出しても、出し方によつて、電車の切符を買うこともございましようし、或いは涜職の場合の金もございましようし、その場の雰囲気で、その金にどういう意味があるかということは、口で言えばはつきりいたしますが、私は言わなくてもわかると思います。言つたか言わないか。その当時の雰囲気については、これは只今調べ中でございますので、具体的な表現は御遠慮さして頂きますが、何も全部法律的に、これは何月何日の投票の際のお礼であるとか、利子補給法に働いて頂いた職務上の不当な謝礼であるけれども、お受取り下さいというようなことは、言うはずがないのでありまして、何回も申上げますように、その金を授受いたしましたその当時の事情、雰囲気、やり方、当事者の言葉のやり取り、これらが全部これは判断する資料になるわけであります。私が一昨日申上げましたのは、この金を供与した人間のほうの側の意思、やり方を極く簡単に要約して申上げたわけでありまして、その通り法律的に言うてあるかどうかということは、只今申上げかねる次第でございます。

松岡平市自由党

○松岡平市君 じや、まああなたが、そういうふうにおつしやれば、一昨晩の御発言について私が食い下つて行くということは本意でございません。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━。この供述は、なかの事情は知りません。私は犯罪の内容に立至つていろいろ知ろうとは思わんけれども、あなたから聞いたところだけを以てしても、この供述をした人間の行動なり供述なりというものについては、私は検察庁が信じられているごとき信を少くとも措き難い。従つて加藤議員の供述と、内容が非常に違うことは、これは、当り前である。こういうことだけは特に刑事局長なり法務総裁に御留意を促しておきたいと思います。そうしてこういう供述と加藤君の供述が内容が非常に違つているのでございまするが、まあ贈収賄の関係は、非常にデリケートであるから交通を遮断して取調べなければならんと、こうおつしやいます。で、交通を遮断して取調べることについて、何かはかにあるかとお聞きすると、他には何もない。容疑はこの一点だ。収賄罪の請託を受けたか受けなかつたかということが残つておりましよう。両方の供述の間に……。そうして金はやつた。━━━━━━━━━━━━━。あと収賄罪が成立するか成立しないか。これは私は法律家ではございませんけれども、まあ請託の有無、それから金銭の収受のその金銭の性質ということでしよう。主として交通を遮断しなければ、デリケートだから交通を遮断しなければ取調べられんというのは、この金をこの二人が、今私が挙げましたような、誠に意外千万な供述と加藤君の供述が合わんから、加藤君の交通を遮断して取調べなければならん。こういうことだと、大体ほかにもいろいろこれを調べるために裏付捜査その他いろいろとおつしやるけれども、主たるものは、この二点であろうと思います。如何でございましよう。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 金をやつた、とつたといううらで、やつた者の供述というものは、これは贈収賄事件では重要な供述でありまして、その供述が本当であるかどうかということを確かめますのは、これは検察官としては非常に大事な点であろうと考えているのであります。お話のように、それではそれだけが証拠かと申されますと、それだけでは勿論ないと言わざるを得ないのであります。又加藤さんの供述が、何も私全部嘘だと申上げているわけではないのでありまして、或いは最後の結果によりましては、加藤さんの供述が正しいということもないとも言えないのであります。併しながら現在の状況は、加藤さんが収賄をされたという容疑が非常に濃厚でございます。そこで一昨日来、いろいろ申上げておりますように、取調べをしなければならんということで、まあ二回ほど取調をなし、更に逮捕許諾の請求をお願いするという段階に至つているのであります。    〔委員長退席、理事松山昌作君着席〕

松岡平市自由党

○松岡平市君 それはよく繰返して聞きますからわかつておりますが、私が聞きたいことは、交通を遮断いたしまして取調べをいたしまする必要がある。そこで逮捕許諾になつた。交通を遮断して調べなければならんということは、ほかに余罪はないとおつしやるのですか。この問題だけですか。そうして金をやつた、とつたということは、やつた者も認めている。—————————————交通を遮断して収賄罪の成立のために検事がお取調べになることは、この三盃一太郎、小山朝光の供述の通りであれば、これは収賄罪が当然成立すると思う。共述の内容が非常に違つているということは、加藤君の供述が、恐らくかくのごとき、先ほど私が挙げましたような両人の供述と違う供述をしている。内容が非常に違うという点は、この点であろうと思うのです。そのほかに何かあるか。収賄罪の成立のために、あなたがたが特にこの国会に請求をして逮捕して調べなければならんという理由が、このほかに……、ほかに余罪はないとおつしやるのですか、交通を遮断して取調べなければならんということは、この供述は、今言うように極めて奇々怪々な人間であるか、供述であるか、そういうまあ違う供述をしておる。加藤君の供述を、この供述に合せるということ以外に、交通を遮断しなければならんとたる理由があるかどうか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) これから捜査をいたしまする内容に触れるので、私も申上げにくいのでございますけれども、簡単に例を挙げて申しますと、突如として金の授受が行われるということはないのでありまして、そこに至る経過が非常に重要な事情にあります。又その金の授受ののちの事情も、すべて全体といたしまして、非常な又有罪であるかどうかということの認定の資料になります。従つて、単なる金の授受のときの供述、或いは金の授受の模様だけが証拠になるというのではございません。

松岡平市自由党

○松岡平市君 聞くところによると、三盃一太郎氏と小山軌光氏は、現在勾留拘束されておる。そうしてその供述は、ちやんともうとつていらつしやる。そうしてその供述が、ほかにもいろいろ要因はありましようけれども、その供述によつて加藤君の容疑があるべきわけだ。私はこう考えます。この供述は、もうきちつと練達の東京検察庁の検事諸公が、もう動かしがたいだけのちやんと聴き取りもとつていらつしやる。この点もちやんと固まつておると思うのです。そのほかの、今までの、突如としてやつたのではない。いわゆる請託をしたかしなかつたか。そうして今までどういう構成であつたかということも、この贈賄者の側については、十分もうとつていらつしやると思う。供述の内容が違うというのは、要するに収賄罪、贈賄罪を成立させるためには、加藤君の供述が、これに合わないということだけだろうと思うのです。私のお尋ねすることは。片一方はきまつておる。加藤君の容疑もここから出て来ておるわけですから、あとは、交通を遮断して加藤君を調べなければならんことは、加藤君の違う供述を、こつちの供述に近寄せるという以外に、私は検事ではございませんからわかりませんが、何かはかに手段方法をおとりになる必要があるのかをお聞きしているのです。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 加藤さんが、ただその金をお礼として受取りましたと言えば、それで済むかというお尋ねかと私は簡単に解釈いたしますけれども、さようなものではないのでございます。調べがさような簡単なことであれば、これは検事は取調べに苦労いたしませんので、この金の授受に至るまでの事前、事後の詳細な事情は、すべてこれは犯罪かどうかということの認定の資料になりますので、さような点が一切取調べの対象になるというように御解釈を願いたいのであります。

松岡平市自由党

○松岡平市君 大変くどくなつて、ほかの委員にも御迷惑でしようかと思うのですが、私も、加藤君が贈賄罪、収賄罪に問われるのは、ほかにはない。ここにちやんと出して来てある。これの関係者は三盃一太郎、小山朝光、これは抱束をしてお取調べになつておる。そうして加藤君は、収賄容疑者として今逮捕されようとしつつあるわけです。この容疑は、両人の陳述から、今までの関係はこうこうであつた。金の性質はこうであつた。やつたときは、こうであつた。加藤さんは、こう言うたということから、加藤君の収賄者としての容疑は、成り立つておるじやないか、これはもうすつかり、あなたのほうは固めておられるであろうと私は申上げておる。それはどうでありますか。固めていらつしやいませんか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 或る程度、私どもは勿論固めております。併しながら、これは人の記憶によることでございまするし、例えば、小山氏、若しくは三盃氏が、かくかくのことを言うておる、それが全部事実というわけには参らないのでございます。そこで調べがあるということになるのでありますが、金をやつた例の贈賄者の供述だけで全部を認定するのであれば、直ちに終結して裁判をしてしまえばいいのでありますが、そこが調べでありまして、果して小山、三盃氏の容疑が、全部事実であるかどうか。加藤さんが言つていらつしやることが全部事実であるかどうかというようなことを詳細に検討いたしまして、その事実が有罪かどうかということの断定をいたさなければならんということになるのでございます。そこで簡単に、その金は受取つた、その金は収賄の金であるというようなことでは調べは済まないのでございます。そこでいろいろ手数もかかるし、認定も、事情が困難であるということを申上げるわけでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 今の御答弁の前の御答弁では、今おつしやつたように、確かに私、請託を以て金を受取りましたという自供があつて、贈賄者側の自供と合うというだけでは犯罪は構成しない。条件は備わらん。こういうことでございましたが、私はその点は、どうも何のことやらわからんから、その次に局長がおつしやつた言葉には、それまでに立至つたいろいろな事情、それは両者に亘つて取調べがあつた。こういうことを申しております。そのことは、今回の利子補給法に関する贈賄側は、二、三名か或いは数名であろうが、収賄側が幾名かあるうちの一環の中に入つておる一人としての加藤なので、その前提になる経過を取調べるということから、今回の一切の造船関係の疑獄の全貌を知り得る端緒になる。こういう意味合いの取調べも行われるというふうに私は想像されたのであります。そういう意味合いで、加藤君の逮捕請求が重要であるということであれば、私たちも、成るほどそれは重要なことになつて来るぞと思うのですが、単にそれは、三盃或いは小山の加藤氏に対する贈賄、加藤氏は又これを請託を受けて、収賄したという事実を認定するがために自供を求めるとか、証拠を求めるとかという逮捕請求でございますか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 一昨日、犯罪事実として読み上げました事実について、逮捕請求をいたし、又逮捕の許諾をお願いしておるということに尽きるのでございます。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 今、松岡君が繰返して質問しておる点は、一昨日局長が説明された中に、こういうことが言われておる点だと思う。元来この涜職関係事案につきましては、物的証拠は殆んどございませんので、当事者の供述が、この通りこうなつておる。であるから、物的な証拠が殆んどないのだから、そこでその供述が違う。こういうことなんだから、これは供述を合わせる、そのために拘束も必要だ。こういう論理に、普通私は素人考えでなると思うのですが、そうではないのですか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 口裏を合わすとか、供述を合わすという言葉は、非常に私はこれは感心いたしませんので、本当のことに供述があるなら、これは又その点で差支えないと思うのでありますけれども、嘘でも何でも、口裏が合えばよろしいというような調べは、厳重に私どもは禁止しております。ただその供述で、先ほど小笠原さんのお尋ねにあつたわけでございますけれども、私は収賄の金として受取りましたと言うただけで、それで以て犯罪には、お前はならんと言つたじやないかということを言われるのでありますが、ただそれだけのことで、私は犯罪事実を認定するつもりはございません。例えば一昨日読上げました被疑事実を読上げまして、その通り私は金も受取り、その金も収賄の金でございますと、本人が簡単に答弁したといたします。さようなことで直ちにこれを答弁したものは有罪であるというような場認定であれば、これはアメリカ式のアレインメント制度でありまして、苦心して検事がいろいろ懲に介細を穿つて調べる必要はないのであります。又簡単に自白さえすれば、すぐ有罪になるということであれば、これは無事の人間も相当生じることもございましようし、さようなことは、私どもといたしましては甚だ感心しないのでございます。そこで、この贈賄側の犯罪認定の有力な証拠になるものの供述も、これ以上、なお検討いたしまするし、又収賄側の供述も、全然供述せられなければこれは又別でございますけれども、供述せられるのであれば、その供述が本当であるか嘘であるかというような点は、詳細に検討いたしまして、どこに真相があるか、その真相を発見するということに努力いたす次第でございます。  なお、この余罪の点をよく聞かれるのでありますが、この際に今一度申上げておきますと、余罪を調べるために、それは拘束するのではないかというお尋ねを受けますと、それはそうではないということをはつきり申上げざるを得ないのでございます。但し、調べの経過におきまして余罪が出て参りますれば、これは検察官といたしましては、その職責上この余罪は厳重に取調べをしなければならない義務と権能がございますので、これは調べます。併しこの拘束が、その余罪のための拘束であるかどうかと言われると、さようなことはないと申上げざるを得ないのでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 関連しまして、ちよつと時間を頂きたいと思います。  じや端的に伺いますが、この加藤君を逮捕し取調べるということで、他の被疑者と申しますか、やや嫌疑のかかつておる身柄を拘束されないかた、或いは拘束されているかたがたとの関連において、こう集団的なこの今回の疑獄事件というものについて、自供を求めるというような捜査はいたしませんか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 調べの過程におきまして、本人が供述するのであれば、さような捜査をいたさないということは、断言いたしません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 自供を求めるような質問を検察官はいたしますか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 脅迫、強制による自白は、これは憲法、刑事訴訟法に禁止せられておりますので、さようなことは厳重にいたさせないつもりでございます。併しながら犯罪の実体がどこにあるかということは本人の任意の自供があれば非常に明確になりますので、これは取調べの対象になる次第でございます。自白を求めないかと申されますとこれははつきり申上げますと、求めると言わざるを得ないのでございます。併しながらあくまでもこれは任意の自白でありまして、脅迫、強制による自白は絶対にいたしません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ちよつと時間を……。  法務大臣に伺いますが、どうもこの問題は、私ちよつと整理したいと思うのです。法務大臣に伺いますが、法務大臣は、逮捕請求を尤もであると認定されて指揮せられた理由は、この嫌疑が濃厚だと先ほどから申しますが、嫌疑が濃厚であるという材料は、小山或いは三盃の自供が主たるものでございますか。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) 捜査に差支えのない範囲で申上げますれば、そのほかに加藤さんの御自供のあり方、これがどういうあり方かということは、ちよつと申上げにくいのでございますが、その辺で……。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 その両者の間の自供において嫌疑が濃厚だという点をお考えになられた自供は、主としてこの三盃、小山のほうの自供にありますか。加藤君のほうの自供にありますか。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) これは刑事局長も申上げましたように、片つ方の自供だけで判断するのは、加藤さんに非常にお気の毒な場合もございますので、総体的に私は聴取いたしまして、遺憾ながら嫌疑が濃厚であられると考えておる次第でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうしますと、一昨日の局長の御説明では、「涜職事案の性質上非常な微妙な調べをいたさなければなりませんが」とありますが、この微妙な調べというのは、加藤君に対しては、加藤君の自供を求めるという取調べの方法以外に裏付け捜査なり或いは物的証拠を求める。そういうふうなこと一切を含んでおつしやつたことでございますか。局長に伺います。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 全部を含めての問題でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そのうち物的な証拠がなかなか得がたいという状態であるということでございまするから、加藤君の自供を求めたいという希望が強くてこの逮捕の請求が出ておるのでございますか。無論他の関係者との交通を遮断して、証拠隠滅等があることを虞れる等々の理由がございましようが、真相を追及するということにおいては、加藤君の自供を求めるということが中心であるように私は考えますが、その自供というものは、大した要請でないのかどうか。この点さつきから何回も申しておる点ですが、はつきりしていない。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 拘束して自供を求めるということは、絶対にございません。拘束と自供と、何か非常な関係があつて、拘束することによつて本人に自供を強制するというようなことがあるのではないかというお尋ねのように私は考えますけれども、さようことは絶対にございません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 だから、ございませんから、何を目的とし、どういう方法で真相を追及したいと考えて拘禁せられるのか。拘束せられるのか。こういうことです。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 御本人の交通を遮断して証輝隠滅がないように、その状況の下に取調べを進めて、真相がどこにあるかということを発見したいのでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 外部との交通を遮断すれば、確かに証拠の隠滅は行われぬ。その通りでございます。さて証拠の隠滅が行われがたいが、この証拠というものは、加藤君の自供によつて求めて行くという形をとならければ、どこからこの証拠が出て来ますか。関係者の取調べによる証拠はどんどんおとりになるだろうし、今後もとられるでございましよう。で、加藤君自身も、加藤君自身しか知り得ない、仮に言えば知り得ない証拠というものは、加藤君の自供以外に、どこからこれを求めることができましようか。従つてその点から私考えますと、どうしても、加藤君の自供がなければ、真相に近づくことができないだろうと思うのです。その点は如何ですか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 何かこの加藤氏の供述が、自白であれば、非常に証拠が固まるから、それを望んで拘束するのではないかというお尋ねと私拝察するのでありますが、涜職事犯の特質でありまして、大部分が本人たちの供述でございます。これは何も金のやり取りした者だけの供述ではないので、その関係にある者の供述は、全部これは証拠になります。それらの供述なり或いは多少の供述を裏付ける物的なものがございましても、若し狙われている被疑者のかたが、何らかの関係においてこれに対して示唆を与えるというふうなことで、供述が変つて来ましたり、或いは物的な、例えば受取等のものがなくなるというふうな場合には、これは有力な証憑隠滅になるのでございます。かようなものをどいううふうに調べをして、どういう証拠をこれから集めるかということをお尋ね頂きますと、これは……、(小笠原二三男君「いやくそんなことは関係ありません」と述ぶ)捜査のこれらの内容に立入りますので、御遠慮いたしたいと思いますが、何回も申上げますように、私どもは、ただやつた取つたというだけのものの供述が有罪の認定になるというのじやないのでございます。その供述の裏付になるいろいろな証拠も全部証拠になりますし、それはやつた者の側の裏付証拠だけではございません。一切の関係者その他の自供が証拠になりますので、今手続をしておる次第てございます、

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私のお尋ねしておりますことは、一般の国民でもそうですが、なお且つこの参議院の、或いは国会の、法によつて一つの手続を要するような、慎重を要する逮捕請求が行わなはれるのには十分な理由がなければならんのだと考えます。その観点からこの逮捕請求というものが何を意図しているものかということは、私は議員の立場から責任上明らかにして頂かなければならん。そういう意味でお尋ねしておるので、捜査の内容やこの事件の発展等については、私たちは無関係です。そういうことはお尋ねいたしません。  それで結局身柄を拘束しなければ、この真相に近づき得ないということは、相手の自供はさつき何回も申す通り、三盃と小山の自供が相手関係のものなんですが、これが権利保釈で出る虞れが最近にある。出て来れば意思を通じ合つて証拠の隠滅が行われるであろう。私は、その点は尤もだと思います。だから逮捕しておかなければならないということなのかと申しますと、そうでもない。じや逮捕したら真相に近づくためにこの加藤君の供述の食い違いを質して、その自供を求めるという取調べを相当やるのかというと、そうでもない。そうするとこの人は、何のためにまあ拘束するのか私わからん。で、法務大臣に先ほど伺つたのは、容疑が濃厚だというのは、相関関係があつて犯罪は成立するわけですけれども、この片方の自供があつて、発端となつて加藤氏の供述があつたわけなんだが、加藤氏の供述でも、嫌疑濃厚の度が増した。無論そうでございましよう。金に受取つたと言つている点で、それが一歩請託を受けたかどうかという、いろいろな取調べで、だんだん真相が出て来るはずですけれども、根本はこの三盃と小山にあることは間違いないので、この自供のほうに、やや信憑性があるという御認定があつて、事が出発されなければならない。いやそうではない。検察官というものは白紙なんだ。ただ嫌疑があつたから取調べるのだということをおつしやるでしようけれども、私はやはりどうしても、責件のある取調べをするのには、これは嫌疑が濃厚だ。井本さんは、この前いつかの答弁では、これは有罪になるという嫌疑が濃厚なものだと思つて、責任を持つて、こういう措置に出ざるを得なかつたのだということさえ、いろいろ質疑があつた過程でおつしやられるまでになつている。そういう点からいつて、私は何度考えても、加藤君の供述の食い違いが、どこに真相があるか、真実があるかということで、身柄を拘束しておいて、この加藤君に、やはり検察官として取調べを行いたいというところが重要なポイントではないか。黙つて放り込んでおくものではないのだと思う。そうして、それからそれえと発展して真相を追求して行きたいということなんだと思う。そうなのかどうかということを端的に私はお尋ねしているわけです。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) いろいろお述べになりましたのですが、私も何回も申上げましたように、小山、三盃が保釈になつて出てしまつては先ず調べが不可能でありますので、その拘束中に調べを進めたいということで、一日も早く許諾になるようにお願いをしておるのでございます。それが先ず第一の拘束をお願いする理由になつております。  それから、それでは拘束後に、本人は放つておいて全然調べないかと言われますと、これは先ほども申上げましたように、これは本人の任意の供述であれば、その供述は認めます。そうしてその供述が嘘であるか本当であるかということについて十分な検討をいたします。従つてその供述のうちには、自白になる場合もこれはあると存じます。更に自白から、自白がこの嫌疑事実だけにとどまらずに、別の事案に発展するということも場合によつては考えられるのでございます。さようなことで、私何回も申上げますように、逮捕を請求いたしまするのは、本人の証糧隠滅の虞れがある。罪証を隠滅する虞れが十分あると私は考えるので、逮捕をお願いするということが、逮捕の理由でございますが、調べは先ほど申上げたように、十分いたすつもりであります。然らば本人を捉えて自白をさせるためにやるのではないか。そう申されると、それはそうではない。自白を強制するために身柄を拘束するのではないということは、これははつきり申上げざるを得ないのでございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私は、局長の言う表現の限りにおいては、その通りだと思うんです。併し身柄を拘束して或る種の精神的な影響を受け、或る種の雰囲気の中で任意な取調べをし、任意な自供をさせるということと、初めから大体において任意出頭を求めて取調べられるということは精神的な影響が同じなんだと、それほど検察官というものは、非常に平らに諸条件を同じにして取調べるものだということを、あなた専門家であつて、そういう御自信をお持ちですか。私はやはり身柄を拘束して任意に自由に取調べるにしても、或る種の精神的な影響がそこにあり、雰囲気が変れば又自白にも或る種の展開があるのではないか。自供も又変る部分がある。或いは新事実を認めるような自供が出て来るのではないかという期待があつてこそ、こういうことが行われるのではないだろうか。こう思うのです。それさえもあなたは否定せられますか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 調べの過程において、本人が任意に供述され、而も事情が変つたということになれば、これは検察官といたしましては歓迎すべき状況であると考える次第でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 だから精神的な影響なり、或いは雰囲気、環境は、その取調べの諸条件は、違いますか違いませんか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 勿論外に自由におられる方の身柄の拘束をすることであり、而もその方は相当な地位にあられるということになりますれば、社会的にも精神的にも非常な影響があるということは申される通りでございます。従つて身柄の拘束ということが、本人に対しまして、いろいろな影響を与えるということは、これは否定はいたしません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 では又お尋ねしますが、加藤氏を呼んで取調べる、任意な自供そのものも求めたいというお気持もあられての、はつきり証拠隠滅の虞れがあるからということも、はつきりしましたが、加藤君の自供が、何らかの形でないと、真相は確かめられないのではないか。そういうことも私考えられますが、自供がなければないでも、真相が確かめられる。飽くまでもそれは任意な形で、自供がなくても、この種の真相は確かめられるんだということでございますか。やはり自供は、任意な形で何とかしなければ、真相把握は困難な事件だというふうにお考えですか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 私の考えを申上げますと、加藤氏の自供がなければ、全然事件として成立しないという筋の事件ではないと思います。元来が単独に一人で何かしたいというようなことではないので、相手があつてする仕事でございます。従つて相手方の自供なり、相手方の当時の状況が有力な証拠になるのでございますから、当該の被疑者の自供がなければ、全然事件として成り立たんというような筋の事件ではございません。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 あともう一点だけ。  この加藤君の任意の出頭による取調べにおける二回の供述に食い違いがあるということは、二十万円を受取つた、受取らない、こういう二面に亘る供述の違いですか。請託を受けたか受けないかというような徴妙な点に対するこれは供述の食い違いがあるということでございますか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) これは、これから調べをやりますので、今暫らく発表の点は差控えさして頂きたいと思います。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 その二度の取調べの食い違いが、拘束して任意の自供に待つことによつて解決できるであろうという期待がなければ、逮捕請求はちよつと証拠隠滅の虞れがあるという以外には理由はあり得ないと思うんですが、どうですか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 加藤さんが率直にお話頂ければ、いろいろな食い違いも明快に解決ができることと私は考えております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 その率直な自供が、任意出頭の形では求められないという御認定になつて、身柄を拘束するということになつておるのではございませんか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 私、率直な供述と言いますのは、何も自供を指していうのではございません。自供の場合もございましようし、或いは自白でない場合もございましようし、私は率直な供述というものは、即自白であるというようにおとり頂いては心外でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうなると私も素人で……。

杉山昌作緑風会

○理事(杉山昌作君) さつき松浦君が関連して質問したいということでございましたが、よろしうございますか。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 ちよつと待つて下さい。それでは法務大臣にお尋ねしますが、法務大臣としては、この二十万円、加藤君が受取つたかどうかということがわからないものを、真相を把握しなければならないということで、この逮捕請求をせらるるということと、今の参議院の重要法案が山積して審議が行われている状況と睨んで、そして諸手続を要する憲法上からの非常にむずかしい手続までもして逮捕請求しなければならないとお考えになつた根拠を明快に御説明願いたい、今まで局長からお尋ねしたことは、法務大臣も御承知である。又法務大臣もいろいろ局長と御協議になり、いろいろ御心配になられてしたのですが、この現在の国会における差迫つた状況と、二十万円受取つたか受取らないか、供述の食い違いがあるから真相を質したいということで逮捕して、一人の議員を国会の審議のうちから外す、こういう状況になることについては、非常に心を傷められたはずなんです。それでも止むを得ない、これは国会にも承認してもらえるだけのものがあると御認定になつた根拠をお示し願いたい。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) 小笠原さんが御指摘になりましたように、加藤さんの事案は、一時は政治的圧迫を加えたんじやないかという誤解を受けるほどに書類の繰返し補充、いろいろなことが行われて時間がかかつたのでございます。従つてお気の毒な点もございますが、慎重にも慎重を重ねた次第でございますが、三盃、小山の供述と加藤さんの供述について、いろいろ事業について貴重な供述がありまして、ここにこれを申上げることははばかりますが、外部のかたと自由に電話、その他許された環境で、更に任意出頭を続けて解決するということは、当局の指揮を仰いだ内容からしますると無理ではないかと考えられた次第でございます。且つこの事案は殊にお気の毒でございますが、目下たびたび逮捕請求のような、殊に同僚議員として忍び得ないことをいたしました諸事案のうちでも、一番特徴のある一連の事案でございまして、その中でも少しでも特殊事情のある問題は、十分に再検討を命じて、るわけでございまして、私はこういう問題の御答弁をできるだけ控えておりますのは、同僚として実に苦痛でございますので、できるだけ事務当局の答弁に委ねておりましたが、御指名でございますので、あえて申上げる次第でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 それで、今の国会の職責というものとの関係については、一体どういう御斟酌があつて、なおこういうことになつたかという点について御説明を頂きたい。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) そのことでございますが、そのことがあります故に、刑事局長の熟読した内容を聞きまして、更に書類の再検討、或いは補充をしないうちは、軽々に判断してはならない。いやしくも国会審議の、殊においそがしいとき参議院議員の一人の一身上に変化を与えるということは、よほど考えなければならんということは、私も、且つここにおります政務次官も、又刑事局長も、ひとしく強調した点でありまして、従つて余り例のない検察庁との書類の再検討の交渉というようなことも行われた次第でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 そうしますと、加藤君というのは、単に加藤君一個のことではなくて、一連の今回の特殊な事件について全貌を明らかにしなければならん。そのことは国会の今日の審議の状税においても止むを得ないことである。こういう事件の把握の仕方、特殊な事件であるという把握の仕方から忍びざるを忍んで逮捕請求をしたというふうに了解してよろしうございますか。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) 私の言い方が不十分でございましたが、他の連関性において加藤さんの他との参考上特に必要だと申上げたのではないのでありまして、同じ種類の事件で、岡田さん、關谷さん、加藤さん、こういうふうに、誠に国会の権威から言うと多人数でございます。何故にあえて忍びざるを忍んで御請求をいたしたかということは、この皆さんの御関係になつておる今般のいろいろな同種類の事件のうち、最も検察当局としては重視しなければならない……(「もう少し大きな声で……」と呼ぶ者あり)事柄が事柄で、つい低くなりますが、最も、やはり検察当局としては重視しなければならない性質を帯びておりますので、止むを得ないと、こう考えた次第でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 政府としても、この措置は止むを得ない措置とお考えになつておられますか。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) さように心得ております。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 その点をはつきり聞きたかつたのであります。そうなれば、それでいいわけですが、ただ一つ、巷聞伝えられることについて、今回のこの種事件は二十万、三十万、五十万、何百万とありますが、何か金銭上の問題に基準をおいて、それ以下は見ない。そこから上は、一つ全部やらなくちやならない。何かそういう内部的な一つの基準とも言えない、とりきめとも言えないが、何かあつて、これが俎上に載せられているものでございますか。これは局長で結構です。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 別に基準は立てておりません。一件々々につきまして、詳細に検討した上で結論を出しておる次第でございます。

松浦定義改進党

○松浦定義君 ちよつと関連なんですが、先ほどからいろいろ御答弁があつたのですが、本人の自供だけを以てこれは決し兼ねる問題だ。更に又本人が自供しなくても、他からこの問題についていろいろな問題が出て来る。こういうような、まあお話なんです。  そこで、これは非常に雑駁な質問なんですが、恐らく今までのいろいろな形から行きますと、本人は、そう認めたとか、或いはいろいろの場合で是認したと言われることも、最終段階に行つては、これは否認するということは、当然これはあるわけです。例えば人を殺したという場合に、これは殺された人が、この人に殺されたということを言えば別ですが、そうでなければ、ちよつとはつきりして来ないから十分にその間において立証するものがなければならない。それで、そういう立証するものを拘束してお取調べになると思うが、加藤君の場合は、二十八年の八月の中旬頃、こういうふうになつているが、「この頃」なんというようなことでなしに、これははつきり日にちがわかつていると思いますが、これは「頃」でいいのですか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 日記等に記載してあつて、はつきり日時が確定できれば、そのほうがよりいいのでございますが、現在の状況では、「この頃」という表現を用いるのが最も適当であると考えております。これは最終段階の裁判におきましても、判例によつて、別に何月何日という確定をしなければ、日時の表示に欠けるというようなことは主張しているものではございません。

松浦定義改進党

○松浦定義君 恐らくこういう場合にま、家宅捜査なんということを随分やられるのですが、そういう場合、家宅捜索をしても、なお「頃ということより止むを得んような結果にこれはなつているかも知れない。これは非常に、この種の問題は恐らくいつ何日ということは書いていないかも知れませんが、少くとも供述者の小山という人は、このときに必ずいつ何日ということを言つていると思うんです。本人が「頃」だということを言つていることを事実としてお考えになることに、いろいろまだ内容も不十分だと思うのですが、これは、私はその点はいいとして自宅へ行つて、これを渡した。━━━━━━━━━━━━━━━━食い違いがあると思います。  そこで私は、その当日、加藤君の自宅には、加藤君以外に誰もいなかつたか、こういうことを一応お伺いいたします。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) これから、いろいろさような点について、はつきりしたことを調べますので、捜査の秘密に関する事項であるから、答弁を差控えさせて頂きたいというふうに申上げたいと思います。

天田勝正日本社会党(第二控室・右)

○天田勝正君 議事進行について……。私は小笠原君のときも申上げたいと思つたんですが、実際は議事進行なんです。関連しているのは。というのは、私は小笠原君にしても、又今の松浦君にいたしましても、今までお述べになつておられる事柄について質問しておるんであつて、その内容、捜査の機密に関するようなことはおつしやらなくてもよろしいと言つておるし、今後の捜査の妨害になるようなことはおつしやらなくてもよろしい。こういう前提に立つて、ああであるからこうであるか、それでなしにこつちであるかというようなことで、特にさつきの小笠原君などは、かなりよく分類されて、普通想像されるのは、この程度の想像しかあるまいと、こういうように分類して想像されつつ質問している。そのことについて、あれでもない。これでもない。こつちでもない。さればといつてそれではこのほかのどういうものだかという、それも言わないということで、質疑が停滞しておると思うのです。だから私は、今言つたように内容に立至つて機密に関することを言うのは、それは言えませんということでよろしい。今後も捜査上、それは妨害になるということならば、それはここは秘密会だけれども、我々がなお信用できない。それはそれでもよろしいと、皆それは了承しているんですから、それも言えないと言うてもよろしい。併し今まで述べられたことについて、あれでもない。これでもない。こつちでもない。それでは、あなたがたに質疑しているんでなくて、「これだ」と、こういうことを積極的に言われれば、事が早くどんどん進むと思う。だから我我があげ足取りに決してやつているんではないんだからして、そのことを了承されて素直に答えられれば、こんなに時間は費しませんから、そういうふうに一つ、政府側としても心得ておやり願いたいと、こう思う。どうぞ。

松浦定義改進党

○松浦定義君 それで今、私、天田委員の御意見の通りで結構なんです。別に私は検事でも何でもないんですから、そんなむずかしいことを聞きませんから……。  ただ、私が先ほど前提として申上げたのは、本人の自共にかかわらず、或いは又、本人の自供そのものを必ずしも前提としないというような御意見がありましたので私はお伺いするんであつて、——、その場合に、加藤君以外の者が、若し受取つたというような実態があつた場合には、これはやつぱり恐らくどういう形で贈ろうと、どういう形で受取ろうと、問題が違つて来ると思うのです。そういう点については、御回答がなければないでいいんですがね。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 具体的の問題としてはお答え申上げかねますから、抽象的問題としてお答え申上げます。  仮にAの者がBの者に金を渡したという場合に、Bの者の代りにCが受取つて、更にCからBに行つたということがはつきりすれば、結局これは法律的にはAからBに金が渡されたと同じ効果を生ずる次第でございます。但し、AからBに直接渡されたのと、Cを通じてBまで行つた場合とは、この渡された事情がいろいろ違いますので、その当時の渡されたいろいろの事情が、この取調べの対象になるわけでございます。又BとCの関係がどういうような関係であるかというようなことも、これも重要な認定の資料になるのでございます。さような点で、法律的にはとにかく、この金は、この三盃、小山両氏から加藤氏に渡されたという認定を一応しているのでございます。

阿具根登日本社会党(第四控室・左)

○阿具根登君 今の答弁に関連して、大臣にちよつと伺つておきます。  只今小笠原委員の質問に対して、大臣は、今までに類例のない再調査をやつた。こういうことを言われている。とすれば、それはいわゆる加藤氏の逮捕許諾請求が二日おくれたのは、関係者の書類がまだ十分にできていないという理由に何して、類例のない二日というものを調べた。こういうことになつて来るのじやないかと私は思う。類例のない再調査をしなければならなかつた加藤君に対する理由は、どういう理由であるかお聞きしたい。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) 書類の不足があつたというのではないのでありますか、なお念には念を入れたほうが、事いやしくも国会議員に関することであるから、なお適当であろうと考えたのでありますが、どの点がどうだということは、これ又非常に水臭いことになりますが、ちよつと申上げかねるのであります。

阿具根登日本社会党(第四控室・左)

○阿具根登君 私は、それを言つているのじやなくて、小笠原委員の質問に対して、今までこれで五人目のかたであります。類例のない再調査をやつた。こういうことを言つておられるわけなんです。そうすれば、あの四人のかたよりも加藤君に対しては、何ものかがあるはずであります。加藤君に対して、今まで類例のない再調査をやつたのでありますということを私お聞きしたので、これを質問しているわけです。

犬養健自由党法務大臣

○国務大臣(犬養健君) これは、刑事局長からも申されましたように、加藤氏に関する調査については、刑事局長が熟読しました結果、これでも一応いいけれども、なおこの点について、もう一度糺したほうがいいということの指揮を求めて参りまして、私はその内容を聞きまして、そのほうがいいと認定いたしたのであります。類例と申したのは、勿論御了解頂けると思いますが、歴代の法務総裁又法務大臣と比べて、申したのではございませんで、私の乏しい知識、指揮事案の中でと、こういうことでございます。又事、外人などでは類例はあるのでありまして、これはちよつと別の範疇に属するかと思います。今度の造船関係の事件について、刑事局長の報告で、それも十分いつも聞くのでありますが、刑事局長は、もう少し書類をこういうふうに附け足したほうがいいという点について、その通りがいいと思うと申上げたのは、この事件だけである。こういうふうに御了解願いたいと思います。

松岡平市自由党

○松岡平市君 私が質問したようと考えおつたいろいろな点については、同僚委員各位から、詳細に御質疑があつたので、この点については繰返しません。  要するに、私がこの段階において明らかにしたかつたのは、加藤氏のこの収賄被疑案件は、二十万円の収賄案件である。そうして刑事局長のお話によるというと、まあ将来任意の供述をすれば別だけれども、現在のところ、被疑はこれ以外にないのだとおつしやる。そうするというと、少くともお言葉の裏には、今特に小笠原委員の質疑によつて、私はいろいろな示唆を、そういうことはないとおつしやつても、私は受けたのでありますが、少くともここへ出されたものからいたしますというと、問題は二十万円、単なる二十万円の、請託であるか、何であるか知りませんが、収賄、こういうことであります。━━━━━━━━━━━━━━━━━。この問題で検事が狙われるのは、二十万円の贈収賄事件というのは、二十万円をもらつたか、もらわないか、これは収賄になるか、ならんか、これだけの問題だと思います。結局において。私は素人ですから。ところが、刑事局長は、これが非常にさもさも大事件のように、そのほかにいろいろな調べなければならん事柄があるのだ。こうおつしやるけれども、それは常識的に考えても、今日の貨幣価値において二十万円の収賄、贈賄というものは、これは一つの破廉恥罪ではありましようが、併しながら今日、新聞には、或る者は千万円の大金、或いは或る者は百万円、新聞に伝えるところによるというと、現に我々の同僚議員の或る者のごとき、何百万円かの金をどうしたかということで、一週間に亘つて登院をせられないで、新聞によるというと、検察庁は、ほうぼうの場所に姿を隠さして調べた。こういうような事案がありまするが、併し結論においては、それらの者は別に逮捕請求というようなものはない。ところが、ここに、この参議院の段階において、たつた二十万円、たつたと言つてはおこられるかも知れませんが、二十万円の収賄ということで、逮捕許諾を求めて来た。その内容から窺いますると、供述が非常に違う。何が違うかというと、請託を受けたか受けなかつたかわからない。金の性質が違うかどうか。これ以外に贈収賄において刑事局長のおつしやるようないろいろな調べなければならないことがあろうはずはございません。常識的に考えましても。単純に二十万円の贈収賄事件であるとするならば、このこと以外にどんな練達な検事といえども、何をお調べになるか。参議院は重要な法律案を多く抱えておるのです。そしてこれに逮捕許諾を求めるというような事柄は、憲法上の規定或いは国会法上の定規については、これをどう解釈しておるかどうか。これもお聞きしなければならない事柄でありますけれども、とにかくこれをやるというと、手続も非常に面倒だというこもとおつしやる。にもかかわらず、これをお調べになるという、こういう場合に、特にこの段階に逮捕するということは、先ほどお話を聞くというと、すでに、もはや加藤の供述は、今までの供述からも三盃並びに小山の供述で、起訴するには足りると言つておりました。単にそれを確実ならしめるために検察庁は、そうしてこれも、二回の取調べをしたならば、その供述は非常に違つておつた。そして今法務大臣のお話によるというと、その供述も、又嫌疑を深めた一つの要素である。こうおつしやる。大変違つております。三遍調べたら、又違うかも知れない。四通或いは五遍もお調べになつて真相発見が任意捜査の方法を以てしても、おできになるはずである。ところが、そういうことは、もはや意味がないとこうおつしやる。私はこういう点について、非常に今日の東京検察庁の御態度は、奇々怪々である。おつしやるようなものであるならば、単純な二十万円の贈収賄の事件であつて、そうして刑事局長は、起訴するに足る。ただ僅かに起訴を確実ならしめるということにおいて、要すれば任意捜査の方法……、加藤君の供述は二度とも変つておる。一度目はどう言つた。二度目はどう言つた。三度目も変るかも知れない。だんだん真実に近付く道はお持ちになつていらつしやる。どうしても初めの供述と変らなければ、これは到底在宅で任意捜査をしたのでは見込がないとお考えになつておるようでありますが、現実に違つておる。三遍目に変らんはずはない。いやしくも事案は、およそ起訴するに足るだけのものであるとしたら、単にそれを固めるためとすれば、任意捜査によつてお調べになつて、現に同僚議員が、ほうぼうで嘘か本当か知らないが、新聞はそう伝えておるのだが、その議員は、登院したが、ほうぼうで誰も知らないうちにお調べになつた事実がある。加藤君につきましては、何遍もお調べになつて真相を得るためにおやりになり得るはずである。そうして今おつしやるけれども、要は加藤君の交通を遮断して、いろいろ大変なことのようにおつしやるけれども、問題は、先ほど小笠原委員がいろいろおつしやるけれども、要は加藤君が、この金の性質を否認しているか。この請託を否認しておるか。こういうことに過ぎないと思う。私はこれを固められるために、こういうことをなさるということは、いささか妥当ではないのじやないかということを申上げたのであります。これはもう、私は多く申上げませんが、特に私は今すぐにこれを起訴し得るかどうかということは申上げかねる次第でありますと、刑事局長もおつしやつた。一昨日の晩、一番初めに、「なお本件につきましては調べた結果によらなければ、今すぐこれは起訴し得るかどうかということは申上げられない。」こうおつしやつた。昨日なり只今の質疑応答の間では、およそ加藤君の現在の供述のものでも起訴し得るとおつしやつておる。これは殊に、私言葉の行過ぎを捉えて、刑事局長にいろいろとこれはどうかという、こういうけちな質疑はしたくないのでありますが、どちらが本当でありますか。一点だけ、おつしやつたことは、一昨晩おつしやつたことと、昨日なり今日なりおつしやつたことと、どちらのほうが本当でありますか。御説明頂きたい。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 私一昨日には、たしかさように申上げた記憶がございます。これは事実の認定を非常に遠慮勝ちに申上げれば、今直ちに起訴し得るものであるというようなことを断言的に申上げるのは、これは無遠慮過ぎた次第でありまして、慎重に申上げれば、更に十分調べた上で決着を付けたいというように申上げざるを得ないのでございます。    〔理事杉山昌作君退席、委員長着席〕  然らばお前は、この事件は調べてみなければわからん。何日間の調べの後に起訴するのかしないのか。その見込も立たないのかというようなお尋ねでございますれば、これは犯罪の嫌疑で十分に起訴し得る見込があるというように申上げざるを得ないのでございます。「今すぐに」というような表現は、私は申上げたのかも知れませんけれども、どうも少し強過ぎる表現でありまして、現在起訴し得る見込があるかどうかというお尋ねでございますれば、起訴し得る見込が十分であるというように申上げたいと考えます。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 関連して。簡単なことを一つお尋ね申上げますがね、松岡委員から、━━━━━━━━、一方一千万円云々というのが幾日が伝えられておる。更に五百万円云々というのが具体的に随分伝えられておる。これらを逮捕しないのに、加藤君をここに逮捕しようとするのは均衡を失するじやないかという意味の発言があつたわけですが、各大新聞社は、特捜班というのを今度設けて、相当にもぐつて活躍しておるということを私ども聞いておるわけです。昨日も刑事局長の発言の中に、新刑事訴訟法の欠陥のもたらすところが、ともかく検察当局からは洩れないけれども、各新聞社はかなりの被疑案件について知つておるようだ。こういう発言もあつたわけでございます。従つて率直に言つて、国会内にも、何だ、新聞に随分と……、各新聞全くそのソースが同じように、いろいろ大口が伝えられておると、然るに二十万程度の小只を逮捕して、大口を逮捕しないのはどういうわけだろう。こういう声は、国会内にもあります。ましてや院外における一般国民大衆は、非常にそういう疑惑の念に包まれおるわけでありますが、これを私はお伺いするわけですが、これらの案件は明確に疑惑が解けて解決できたのか。それとも現在なお調査案件中のものであるのか。松岡委員の質疑に関連して伺いたいと思います。

重政庸徳自由党

○重政庸徳君 今、あなたの発言に対して……。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 こつちは答弁を求めておる。答弁を終つてから……。

重政庸徳自由党

○重政庸徳君 議事進行ですよ。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 答弁中に議事進行は……。

重政庸徳自由党

○重政庸徳君 だけど、あなたの発言に対して……。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) どうですか、重政さん一応答弁を聞いてから……。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 西郷吉之助氏を契機といたしまして、いろいろその間の事情が新聞に伝えられておりますが、その関係は、引続き取調べを続けておるので、現在最終的な結論を出すというわけではございません。

重政庸徳自由党

○重政庸徳君 これは今、迅速に慎重にやるという原則で、現にやつておるわけであります。その議題にかかつておる以外に飛躍して行くと、これは、どこまで行くかわからない。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 私も関連して、飛躍しないように、少しお尋ねいたしますが、成るほど局長の只今の松岡君に対する御答弁で、今起訴をでき得るかと問われれば、相当起訴できる。併し確かなものにしたい。こういう意味合いで、一昨日申上げたのですと、こういう話でしたが、少くとも遠慮深く慎重に申上げるならばということで、なお本件につきましては、調べを進めた結果によらなければ、今すぐにこれが起訴し得るかどうかということは申上げかねる次第でございまするが、ということで、遠慮深いお話でありましたが、そういうことを、国会に参つた場合に便宜、裁判所に変つて説明をなさるおかたが言わなければならない程度のものか。逮捕請求せられて取調べを受けられるということであれば、その議員のためにも私はお尋ねしておきたいのですが、この種の、遠慮深い御説明をしなければならないこの種事案について、他にある場合においては、やはり加藤君同様の措置をとられるという断固たる御決意が検察当局におありになるのか承わりたい。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) ちよつと私、意味を取違えておるかも知れませんが、犯罪の容疑が濃厚であれば、これはその地位の如何を問わず捜査をしなければならんと私は考えるのでございます。今すぐに起訴をするという、即時起訴というのではないので、起訴の見込があるということを、私何回も申上げたつもりでございます。これは人間でございますから、見通しの違いがあつて、調べて見たその後に、いろいろの事情が出て起訴できないということもないとは言えない。併し私の見通しといたしましては、これは起訴の見込が十分であるということを申上げた意味でございます。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 この種の犯罪容疑に、片方の自供が行われれば、その自供に基いて、そういう事実があるかないかということは、取調べるのは検察官の義務である、嫌疑があるとなれば、それを一応取調べるのが検察官の義務であるということは、再三おつしやつておられましたが、この種事案について、全部やはり自供に基いてこの具体的な人が上つて参ります場合、現段階まで、全部平等にお調べになつておりますか。承つておきたいと思います。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 手の許す限り、手分けをいたしまして、全部調べをしております。

松岡平市自由党

○松岡平市君 大変時間をかけまして申わけございませんが、私はもういろいろ申しましても、御答弁は千篇一律でございます。ただこの、先ほど申しましたように、たびたび二十万円のこういう事案で、我々同僚議員を逮捕許諾の請求をされるということは、甚だ遺憾である。そして国会の現状に鑑みて、これを妥当でないと、私どもはここに出された限りにおいては考えるということだけを法務大臣なり、或いは刑事局長なりに申上げたいと思います。私は、或いは私どもは、先ほど来いろいろと質疑をいたしましたが、特に私が強調いたしましたものは、従来の例から鑑みると、許諾を得て取論べたものの結果が無罪になつた。今回のものについては確信があるか。或いは只今繰返えされましたように、これは起訴する見込はあるとは言えないというのだが、本当にあるのかと、こういうようなことを私は非常に強調いたしました。併しこれは、かような案件の質疑の過程においては、止むを得ない質疑であると私は了承しておりますが、決して私は、私どもがこういう態度で、この案件を迎えたから、東京検察庁は、是非これを起訴しなければならない。議院の期待に副うように、審議の期待に沿うように起訴しなければならない。或いはこれが将来無罪にならないように、どういう苦労をしてでもこのコースを維持するがごとくしなければならんというふうな考えを持つために、私たちはかようなことをしてもらいたくない。かようにして或いはこの委員会の審議の結果、或いは明日の本会議の結果、不幸にして加藤議員の逮捕請求許諾を与えるというような事態に立至るやもわかりませんが、さような場合におきましても、今やこの事案は相当に私としては残念であるということを考えておるということをよく政府においても、或いは検察庁におきましても……。    〔発言する者多し。〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 御静粛に願います。

松岡平市自由党

○松岡平市君 いろいろと質疑の過程におきまして、如何にも皆さんがたの、その責任は、起訴されなかつた場合、或いは無罪になつた場合という責任につきまして、特にその点について強調いたしまして、万一私どものここにおける発言等が、同僚加藤君の今後の捜査或いは逮捕等におきまして、そのことが非常なるわざわいをなす影響を与えるというようなことになるならば、大変残念であります。是非その点につきましては、もとよりこれは杞憂に過ぎないことでありますが、法務大臣なり刑事局長なりにおきまして、この間におけるところの論議につきましては、その点についてだけは、深くお考え下さるようにお願い申上げます。  私はなお二、三お質しをしておきたい。特に議員と収賄の関係、中川で御馳走になつたら汚職になるかならんかということについても、私はお尋ねしたいのでありますが、他の議員も、いろいろ御質問もあるようでありますから、一応私の質疑はこれで終ります。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 速記を始めて下さい。  それでは、これにて質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。  これにて秘密会を終ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。   午後六時三十八分秘密会を終る

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 七時まで休憩いたします。    午後六時三十九分休憩    —————・—————    午後七時十三分開会

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 再開いたします。  議員加藤武徳君の逮捕について許諾を求めるの件につきまして、これより討論に入ります。御意見のあるかたは、賛否を明らかにしてお述べ願います。  別に御発言もなければ、これにて討論を終局したものと認め、採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 御異議ないものと認め、これより採決いたします。  議員加藤武徳君の逮捕について許諾を与えることに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 全会一致と認めます。よつて本件は、許諾を与うべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内客につきましては、秘密会の関係もありますが、委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 御異議ないものと認めます。  又本院規則第七十二条の定めるところにより、本件に賛成のかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     松岡 平市  石村 幸作     上原 正吉  西川彌平治     榊原  亨  長谷山行毅     横川 信夫  杉山 昌作     赤木 正雄  藤田  進     阿具根 登  矢嶋 三義    小笠原二三男  天田 勝正     松浦 清一  田畑 金光     松浦 定義  鈴木  一   —————————————

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 次に、前後三回に亘る秘密会の記録を公表するかどうかについて、お諮りをいたします。

小笠原二三男日本社会党(第四控室・左)

○小笠原二三男君 この事案の検察庁における手続が出るまで、当分の間、公表を差控えたらよいのではないかと考えます。

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 小笠原君の御意見通り、取計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 御異議ないものと認めます。   —————————————

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 次回の本会議に関する件についてお諮りいたします。  先ほども申上げましたが、明日は定例日ではございませんが。特に本会議を開くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由党

○委員長(寺尾豊君) 御異議ないものと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時十六分散会

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