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19回国会参議院1954/05/10

外務委員会 第30号

発言数
165
登壇者
13
会派数
4
開催日
1954/05/10

会議録

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開きます。  先ず通産に関する日本国とヵナダとの間の協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑のあるかたはどうぞ御発言を願います。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 カナダに対する貿易のアンバランスを是正する具体的な諸方策について通産省の貿易当局その他ともお打合せの上にもう少し具体的に御報告願いたいと言つておいたのですが、その点はどういうふうになつておりますか。できればつ通産省の御当局からも来て御説明を願いたいと思います。この問までの御説明ではどうも了承しかねますから。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 速記をつけて下さい。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 今度この協定ができますることによりまして関税上において日本がまあ非常に有利な地位に達しまするので、それに対応する国内的措置というものは当然通産省のほうでも一生懸命にこれが実施に努力しているわけであります。  御承知のように、日本のほうは今まで物価高でありましたために、或いは一部には二重価格の問題を惹起してそれに対応措置をとられるというようなこともありましたけれども、併し全般的にこの点本年度においての経済政策、緊縮と申しまするか、物価を引下げる方向に持つて行こうということに現に努力しているわけであります。又対外的にはカナダから使節もこちらのほうへ参りまして日本の実情を見て、又日本のいろいろの製品を見ることによつて新らしくカナダとして買付を希望する品物を発見してこれらのに使節団の諸君は喜んで日本から帰り、又日本においても相当注文を発したようであります。同時に日本といたしましても近い機会にカナダのほうへ経済関係の使節を送ろうと考えている次第であります。又見本市などにつきましてもこれまでも先方と話合をいたしまして、トロントにおける見本市に対しましても日本もこれに参加するという態度をとつておりまするし、その他一般的にただカナダに対するという施策でなしに、全般的に今後輸出振興にどうするかということにつきましては、或いは重工業関係については特に技術相談室を海外に設けるとか、或いはニューヨークにおいても最近はトレード・センターというようなものを設けて参りましたし、外務省の機構といたしましても通商関係について特に留意いたしまして、新らしい公館というものを大体貿易というものを中心にしてこの開設方針を立てたいということでありまして、こうした対外的な交渉によつて貿易に対する障害を除きますると同時に、まあ日本側としてできるだけの措置をとるべく通産省、大蔵省、外務省協力いたしましてこの施策を十分有力に実施いたしたいというふうに考えまして、せつかくその施策、実施いたしておる次第であります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 そういう一般的な輸出振興、方策は今聞いているのではないのです。特にカナダとの通商協定を結ばれるに関連してそれの具体的な内容になる、実質上の裏付になる貿易不均衡の是正方策をどういうふうにしてどういうふうに具体的に進めようとしていられるのか。例えばこの間の御説明によると一千五百万ドルがまあ更に一千万ドル程度はふえるだろうというような漠然たる何というか、見通しなり希望が述べられたんですけれども、そういう漠然たることではなしに、これだけの協定を結ばれた背後にはきちんとした見通しなり計画を具体的にお立てになつたはずだし、ならなければ早急におやりにならなければならない。而も今のお話によると近く何か貿易使節団みたようなものもやりたいというお話ならば、それもきちんとした計画くを持つて交渉なり視察に行かれるはずだと思う。これまでもたびたび東南アジア諸国でいろいろな視察なり調査団が行かれたようですけれども、どうも今までの実績を見るとただお座なりに儀礼的に出かけて行かれて、具体的にそういう問題が何ら話合ができていない。そういうものならば何遍おやりになつたつて何にもならない。そういう態度をこの際少くともしてきしてもう少し真剣にもう少し具体的に細い計画なり見通しを立てて調査団を出されるのならび調査団を出されるということでなければならない。そういう準備のためにもちやんとした計画がおありになるはずだし、やらなければならない問題じやないか。でこの間までの御説明によると或いはみかんとか或いけ綿織物だとか、或いは組だとかその他鉄鋼、そういうもの、或いはミシンだとかカメラ等々のものが税関係としてどういうふうな変化を持つかというようなことも若干の御説明があつたんで、それらに関連してそれらのおのおのの品目がどれくらいに伸びるのか、或いはどれくらいしか伸びられないとか、例えば一千万どルじや僕らは非常に少いと思うし、それくらいの輸出増ならばただ協定を結んだだけで自然に結果的に出て来るので、そういうことを許さないような日本の貿易事情じやないか。それならばそうだとしてもつと個々の品日別にもう少し伸ばす方策、或いはそれが伸ばせないのならばどういう事情から伸ばせないのかとうようなことをもう少し詳しく個々の物資別にまで亘つて御説明があつて然るべきだと思う。そういう用意そういう準備をして説明をして頂きたいということをこの間から要求をしている。その希望に副うような御説明を一つ願いたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 品目別に説明するということになりますれば、通産省から人をよこして御説明申上げるのも一つの方法と存じます。ただ併し佐多さんも御承知のようにスエーデンと協定を作るとか、パキスタンとの協定を作るという場合には、輸入制限がある国でありますから双方で話合つて大体日本品を本年度はこの程度を入れよう。その代り日本のほうはこの程度買つてもらいたいという話合になりますから、御指摘のような計画というものも立ち易いのでありますけれども、カナダは自由市場でありますので日本でいい品物が比較的安いリーズナブルな値段で出て来る。そこでまあ通産省で今度の協定が今後どう、いう経済的な影響かあるか。どの程度まで進出するかということについては、通産省としての大体のエスチメイトというものは作りつつあるはずでありまするが、併しここで一体この協定ができたらどれだけ伸びる。この品目についてはどうだということは今後の日本の経済情勢、又価格の推移がどうなるかということにもよりますので、はつきりしたことは通産省の係官が参りましても申上げにくいだろうと存じます。ただ、今使節を出してもぼやつと行つたらしようがないというお話でありますが、カナダについての今まで出ておる産品、大体カナダの市場にどういう品物が歓迎されるかということもわかつておりまするし、これまでの取引の商社がございまするので、こういう専門家が向うへ参りまして市場を拡大するためにいろいろ先方と話合をする。又先方の市場調査というものをいたしますれば、これは数字的にそれじやこれだけ人を出したら幾らの額がふえるということは断定できないでありましようけれども、必ず相当な効果を上げるというように期待いたしております。例えば近東地区へ浅尾ミッシヨンというものが出た。又キューバのほうへ伊藤忠兵衛のミッシヨンが出る。当時は直ちに結果をもたらさないじやないかという御批判もあつたかと思いますが、その後それに基いていろいろな取りきめもでき、又相当貿易の数量を見ましても増加いたしておるのでありまして、こういう各般の施策を総合して実施することによつて、でるだけ多く輸出額を増加するという努力をするということを申上げる以外にははつきりした見通しを今直ちに立てることは困難かと考えます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 できるだけ多くの輸出を企図するのだということは、それはもう過去、現在、未来、永劫に言える主張だけであつて、そんなことを聞いておるのじやないのです。今特にこの協定に関連をして、カナダにおいて而も今まで繰返し御説明になつておるような非常なアンバランスな状態、これを今度の協定成立に関連をして、どう是正をして行こうとされるか、特に外貨の危機その他が非常に緊切した緊要な問題として叫ばれておる今日現在、たまたまこういう協定が成立をするのだから、それに関連して最もアンバランスなところにおいては、特に輸出振興の特殊な対策が、而も個々の商品別にまで考えられ、而も非常に努力をし、考究をするにかかわらず、例えば個々の物資についてこういう事情があるので一千万ドル程度の増加しか差当り望めないのだとか、それらの納得の行く御説明がなければならん。それが何らなされておらない。繰返し同じようなことをばかり質問せざるを得ないというようなことになるのです。だからそれは一人々々の業者にとつてみれば、みかんがどうだとか、或いはミシンがどうだとか、或いはカメラがどうだろうかというようなことは、一人々々の業者なり業界はおのおのの見通しなり希望を持つておると思うのですけれども、そういうものを政府として全部総合的にまとめて、それらの業者の意向をどう調整をしどう按配をして、どれくらいの見通しなり評価が持てるかというようなことは十分に御審議になつているはずだし、その辺を何かもう少しく正確に御説明を願いたい。こういう協定ができるときには必ず通商局とその他ともそういう問題を打合せながらおやりになつたはずだと思うのです。それならばそれとして総合的な単に外務省だけの話としてでなくて政府全体として一つ関連して御説明をお願いをしたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) こういう輸出振興策については先ほども申上げましたように、通産省のほうで十分に検討しておるはずでありますが、併し他のオープン・アカウントの地域との交渉の場合と異なりまして、こういう自由貿易の国であり、為替管理のない国でありまするから、他のオープン・アカウント諸国との交渉におけるがごとく、大体増加額を推定して交渉に当るというようなやり方ではなくして、特に貿易上の障害を除くという趣旨で交渉がせられたものでありまするからして、或いはペキスタンであるとか或いはスウェーデンであるとかドイツというようなところの交渉とはやり方が違つておるという点も是非御了解を願いたいと存じます。ただ外務省に関係する部面におきましては、先ほどもちよつと言及いたしましたように、来たる六月にはトロントで見本市を開いて、そうしてその際に日本の品物を展示して、できるだけ市場の開発という点に尽したいという考えで、現地の大使館及び領事館等とも連絡をいたしまして、こうした対外的に日本品の宣伝、又日本の輸出が決して不当競争ではない、正当なる貿易手段によるものであるという点を理解させるように、そうした対外的な方面について最善を尽して、この協定ができきましたことによるところの成果を納めたいと考えているわけ、であります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 どうですかね。さつきから私が希望している説明は何らなされていないので、改めて一つ通産省なりからも呼んで頂いて、それらの点についてもつと納得の行く説明をして頂くようにお手配を願いたい。どうも私たちは単にこの協定に関して外務省の説明だけを聞いているのじやない。政府全体としてこれに関連してどういう態度なりどういう決意なり、どういう計画なりを持つて対処されてるかということを是非お聞きしたい。それは輸出振興上特にアンバランスな国との間における輸出調整の問題が非常に重要になつている瞬間であると思うから、特にこの点はしつこくお願いをするゆえんなんです。一つそういうふうにお取計らいを願いたい。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 佐多先生の仰せ御尤もでございますが、この国際間の交易に関する協定で二種類ございます。つまり交易が行われるようなパイプを作る協定と、そのパイプを通つて流れる物をどうしようかという協定に分れるわけであります。この協定はその前者でありまして今まで水が低きにつこうとしても関税が高くて自然に流れなかつた、その関税を低くしようということだけを目的とした協定なのであります。そこで先ほど以来政務次官から申上げておりますように、昔の満独貿易協定でございますとか、只今のオープン・アカウント諸地域との協定、これはその物を、お前のほうで幾ら為替制限をするからおれのほうも幾ら許可をするというその。パイプを流れる物の取引の協定ならけつきりしたことが申上げられるのでありますが、カナダは自由なんでありまするから、こつちで幾ら輸入を許可するから向うで幾ら輸入を許可しろとかいうようなことは話にならないわけであります。水が低きに流れるということを可能ならしめることだけが、この協定の目的なのでありまして、そのことの可否についての御審議、お願いしているわけであります。それで再三お申出のように見通しがどうかと仰せになりまするが、これは自由市場で安くてよければ向うりが買うのでありますので、たとえ通産当局を呼びまして見通しを申上げたところで、その見通しは行われるかどうかということは、これは何人も保証し得ない。商人の自由意思にかかる問題でございますので、その点までのいい加減な見通しを申上げましたところで御審議の参考には私はならないと思います。この水を低きに流すということだけの可否、その見地からの御審議をお願いしたいと思うのであります。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) この問題につきましてほかにどなたか御意見ございますか。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 意見になるが、今の議事進行ですが、今の条約局長の言われることは、それはそれとしてのわかつていての御意見だと思うし、この点についての条約局長の言われた点はその通りだけれども、具体的にどういう計画であるかということはそれとして、これの審議に当つて政府側のあれはむしろ当り前のことだと思う。要求がなくても通産当局としてはここに来ておつて、然るべきだと思う。何もこれは政府側でもこだわることでもない、通産当局から来てもらつたらいいと思う。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 杉原委員の御賛成もあるようですから通産当局に来て頂きます。それでは通産当局が来ましてから、又佐多委員の質問の趣旨について深く掘下げて行くことにいたしまして、そのほかに何かこのカナダとの通商協定に関しまして御質疑のおありになりまするかたは御発言を願います。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 今朝の新聞にこの十八日ですか、MSAに関連する援助農産物の購入の何か話合にアメリカの使節団が来る。その場合に、その時の条件、数量等がかなり詳しく載つているわけですが、そういうことはこのカナダ小麦輸入の場合に何も影響なしに行われるのですか、かなり詳しく出ています。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) このカナダとの交渉の際にもアメリカの余剰物資の買付問題については話合が行われたのであります。御承知のようにあの買付の協定は正常の貿易をこえてこれを行うということになつており、特にアメリカのみならず友好国との一応の正常の貿易を害しないという建前で行われるものでありまして、日本側の大体の予想によりますると、カナダからの買付というものは、これまでの実績に比して減ることはないということを会談の際に先方へ申しておりまして、カナダ側もこれを了承した次第でございまするからして、今後アメリカとの余剰農産物の買付についての話合がありましても、それで直ちにカナダ側から抗議が出るというようことはないことに話合がなつておる次第でございます。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 必ずしもこのカナダとの通商協定に関連してものを申しておるわけでもないので、ただ今朝の新聞を見ますと、正確な数量の記憶はちよつとないのですが、本年度の五千万ドルに対して、明年度は非常な多くの額を期待しておるというようにも伝えられておるのです。その場合アメリカの通常市場のものを余剰農産物のほうへ切替えるのか、その辺の含みで若干他の国も影響が出て来るのではないかというふうにちよつと今朝私そんなふうに新聞読んだんですが、私の勘違いなら。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) これはアメリカの方でも通常の貿易はした上で過剰農産物を売りさばこうという考えでありますからして、普通の貿易にはアメリカに関する限り食い込まない。又他の国との関係においても正常状態における取引以上に買つてもらおうという考え方でありまするので、そういう普通の第三国との貿易に影響を及ぼさないように、仮に日本側がそうした話に乗ります際も留意して行かなければならないということは私ども十分承知しております。ただ今度参ります使節と申しますか調査団は正本と交渉するために来るのではなくて、大統領の農業教書に基きまして、来年度以降過剰農産物の処理についてはいかにすべきかということを一方的に調査するために参るものであります。従いましてこの調査団が日本側と交渉することはないというように私どもは了解いたしておるのであります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 それから今度仮に吉田総理が外遊されるとなると、日程によるとカナダにも行かれる予定だそうですが、カナダでは吉田総理にはどういうことを主張してもらうおつもりなんですか。どういうことを問題に取上げられるか。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 吉田総理はカナダを訪問したいという希望を持つておられまするけれども、併し確定的にいつどういうようにするということがきまつておるわけでもごいません。勿論カナダに行かれるということになれば、カナダと日本との間における重要な問題が自然話合の間に取上げられると思います。今カナダではどういうことを話合うというようなはつきりした決定があるわけではございませんので、今その点は何とも申上げかねる次第でございます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 今考えられるカナダとの間の重要問題というのはどういうことだとお考えになりますか。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) カナダとの間ではまあこういうことは申上げるまでもないのですが、勿論相互間の全般的な友好関係を増進する、北アメリカにおける最も重要な国の一でありますカナダと日本との関係は、政治的にも経済的にも非常に重要でありまするので、その関係をますますよくして行くということが第一であろうと思いますが、その次に何といたしましても、今御審議を願つておるようなこの条約に関係するところの経済関係、日本とカナダとの関係をよくして行くということは、あすこのマーケットというものが非常に大きなものでありまするので、人口はそれほどでないけれども非常な購買力を持つておりまするので、日本の輸出力にして本当に他の諸国と競争し得るように至れば、非常に洋々たる前途があるわけでありまするから、こうした面は十分我々注意して、そうしてこの方面に最善の努力をいたさなければならないと考えまするので、経済関係というものはカナダとの間で最も重要な問題であろうと考えます。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 委員長、ほかの問題でちよつと一口政務次官から。時間があるようですから。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) どうぞ。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 今朝のラジオで、ジエネバ会議でタイ国が日本の太平洋同盟の参加を求めるような発言をしたようですし、その後この一週間ばかりの動きを見ていると、大分PATOかSEATOかわかりませんが、頻繁な動きがあるようですが、何か外務省に情報はないですか。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) タイ国の代表が新聞記者に語りましたところは、私どもも新聞情報としては承知いたしておりまするが、日本側は何らこうした問題について申出を受けておらないことはこれまで申上げて来た通りであります。殊に私どもが想像して考えましても、今度の会議はできるだけ限定した範囲において行わないと非常に大きな政治問題をインヴオルヴして来るようになるということは、国際自由国家群のほうでも考えておるようでありますので、このジエネバ会議の際に非常に大きな問題が取上げられるということは、ちよつと想像し得ないのじやないか。或いはその結果によつては、そうした点があるかも知れないけれどもジエネバ会議において議題の範囲が非常に広くなるということは、極力これを避けるような方向に持つて行かれるのじやないかというように私は観測いたしております。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) それでは通産省から専門家が来ます間、速記をとめて懇談いたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) それじや速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。  それでは通産省の説明員が来られる間の時間を利用して、その次の問題を、けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の批准について承認を求めるの件、これを議題といたしまして、そうして質疑に入りたいと存じます。  政府側ではすでに提案理由の説明はありましたが、このあんの栽培云々について付加えて何か説明されることがあるようでしたらこの際説明をして頂きたいと思います。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) あへんや麻薬に関しましては従来いろいろな条約がございますので、只今御審議を願つております条約が、一体どういう地位に立つものであるかという大ずかみな点を御参考までに申上げたいと思うのでありまするが、この協定にも引用されておりますように、一九二五年の条約と一九三十一年の条約という基本的な二つの条約が従来ございました。現在国連の下に、これらの多数の条約を統一したただ一つの条約で、けし、阿片、麻薬関係の国際取締のことを一括して単一条約できめようという企図がございました。ところが各国の国内事情もございまして、一足飛びにそこまでもなかなか参られませんので、従来の条約で穴になつているところを取りあえず埋めますためにこの議定書を作ろうということになりまして、昨年ニュー・ヨークで会議が開かれたわけであります。それではこの議定書で埋めようとする穴は何であるかと申しますると、御承知のように、けしが栽培されましてれそのけしから阿片をとり、その阿片から更に麻薬というものを作る、その三段階になつているわけでありまするが、今までの条約で取締の対象となつておりましたものは、この第二段階以後、つまり阿片と阿片から作られる麻薬、それだけを取締るという点を考えておつたわけであります。そこで本元のけしという植物の栽培そのものまで遡つて制限し、取締ろうというのがこの議定書の狙いでありまして、その点が今まで企図せられなかつた穴でございます。そこでその穴を埋める方法としまして、この議定書でいろいろ規定しておりますが、大ずかみに申しますると、各国で単一の系統に属する機関を設立して取締る、取締の実行機関を作るということ。それから今まで企図されなかつたことでありまするが、各国にある阿片の在庫量を制限しようということ。それからもう一つ大きなことは、この締約国で生産される以外の阿片、締約国以外の阿片の輸出入を絶対にしないということであります。阿片を買おう、或いは輸出しようと思うと、必ず締約国から、或いは締約国へ輸出する以外に途をなくそうということであります。  大体この議定書の地位及びその狙い、その狙いを達成する方法ということの大ずかみな点を申上げますと只今申上げましたようなことでございます。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 厚生省の市川麻薬課長が来ておられますが、課長から何か附加えて説明される点がありましたならばこの際お願いしたいと思います。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 只今御審議を頂いておりますこの議定書に即応いたしまして、国内法といたしまして現在あへん法案を作成いたしまして、本国会に提案いたしまして四月の十七日に本会議を通過いたしまして成立いたしたのであります。このあへん法は戦前ずつとありましたものが、終戦後連合軍のメモランダムによりまして廃止になつておつたのでありますが、国内の阿片の手持がなくなりましたために、もう本年の夏頃には切れるという状況になりましたために、国内で阿片を生産する、それから又なお外国から輸入するという方途を講じなければならんという事情になりましたためにあへん法を提案いたしたのであります。で、勿論このあへん法の内容には、この議定書によつて、要請されます事項はすべて満足させるようにできております。その点について御了承を頂きたいと思います。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 厚生省の方にお尋ねしたいんですが、この協定自体じやないんだけれもいろいろのこういうものについて取締法ができ取締がなされても、現実にそれをやる者が実在しているわけですね。又する可能性もあるわけですね。そうしていろいろと麻薬だとかいわゆるヒロポン中毒等の中毒者が東京都だけでも随分たくさんそういう青年があるということを聞いておりますが、そういうような者の治療に当つて、叩いているところでは、この治療については非常に自由な拘束してもやらなければならん必要がある。ところがそういうのが法でいわゆる不備なために、それをうつかりやると却つてそういうこと自体が一つの法に違反するというようなことになつて、治療というものが本当にできないような事情にあるというようなことを聞いておりますが、厚生省でそういうつまりすでに患者となつている者の治療をやるについて、強制力を用いなければならん場合にでもできるような法的の措置のことを考えておりますか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 只今御指摘の麻薬中毒者の治療につきましては、法的な強制力を持つて行なつたほうが非常に好都合でありますが、この点につきましては、現在ヒロポンにつきましてはこれは麻薬でございませんので、覚醒剤取締法というのに基いて取締をしております。なお、このヒロポンにつきましても麻薬につきましても同様の事情でございまして、アメリカ合衆国におきましては強制的に麻薬中毒者の収容所を作りまして、そこに強制収容して強制的な治療をいたしておるのでありますが、我が国においてもこれが必要ではないかということで現在検討いたしておるのでありますが、これは憲法との関係がありましてまだ結論が出ていないのでありますが、目下その方向に向つて検討をいたしております。なお、その際におきましても、麻薬中毒者の治療について麻薬を少量使つてだんだん漸減しまして、漸減療法というものを用いるという方法も考えられるのでありますが、これについては、我が国におきましては漸減療法は行わせないことになつておりまして、麻薬中毒者の治療は禁断療法、つまり麻薬を一切供給しないでなおすという方法が用いられております。実際問題としましては麻薬中毒者が密売者となる事情がありますので、現在逮捕いたしました中毒者については勾留その他刑務所に送ることによつて治療が事実上行われておるという事情があるのでありますが、ただこれらは一時的になおりましても、又一般に外へ出て参りますとすぐに又元へ戻るというような事情がありますので、強制収容して治療すると同時に、その後の補導ということまで考えませんと十分な目的は達成できないというところに非常な困難が伴つておるのであります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 この阿片の生産量とか阿片の輸入量の統計によりますと、日本では最近全部ゼロになつておるのですが、この統計にはこうですが、実際は今の日本国におけるけしの栽培或いは阿片の生産、使用、取引等はどういう状況になつておりますか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) この阿片の需給につきましては、昭和二十年の終戦直後の十月に、日本における阿片の生産、輸入、移動、その地すべて禁止をされたのであります。従いまして二十年におきましては阿片から作りました製品となつておる麻薬のストックを使いまして医療に充てておつたのであります。これも二十二年頃になくなりまして、昭和二十三年から司令部のメモランダムによりまして製造再開が許可されまして、そうして一方連合軍によつて接収されておりました阿片が日本政府に帰つて参りまして、そのストックを使いまして今日までその阿片を使いまして麻薬を製造して医療用に供給をいたしておつたのであります。ところがそのストックが本年三月末日現在で約十トンになつてしまつたのであります。従いましてこの十トンでは今年の夏頃までにはなくなるという事情であります。なおこの占領期間中におきましては、日本の阿片の消費量というものが大体年間五トン、多いときで約十トンという程度の消費量に非常に圧縮されておつたのでありますが、昨年の昭和二十八年に麻薬取締法を改正いたしまして正規の医療用に使う面につきましてはややことを緩和いたしたのであります。従いまして占領中においては、医者であつても麻薬に対する取締に対する恐怖から麻薬を医療に使うという権利を放棄した医者が非常にたくさんあつたのでありますが、終戦後二十八年後におきましては、現在殆んどの医療に払わる医者が麻薬を使うという状態になつておりまして、需要量が多くなつて参りました。昭和二十八年におきましては阿片の消費量が二十五トンというような事情になつております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 今後のけしの栽培とか、阿片の生産、使用、取引の見通しは数量的にはどういうふうになるか伺いたいと思います。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 今後の国内における阿片の生産の見通しでありますが、昭和二十年から現在までけしの栽培による阿片の生産というものがストップしておりましたために、戦前におきまして使つておりました阿片の種子、一貫種と申しまして非常に良質の阿片のとれる品種があつたのであります。ところがこの品種が絶えてしまいましたために、今後の製造はややそれよりも品種の落ちるものを使わなければならん。又この生産の技術につきましても、相当な空間がありましたために戦前ほどは望めないという事情もございますので、直ちに国内の一応今後の需要量を三十トンといたしましても、三十トン全量を国内で自給することは困難だと思うのであります。それといま一つは、終戦後は戦前と違いま而して麻薬の事犯が非常に悪質化しておりますので、取締の面と睨み合せまして、絶対に取締の面で国内で生産する阿片が横流れをしないという確信の持てる範囲で栽培をいたしまして、それで不足部分については輸入をしたいと思つております。従いまして今後相当期間輸入ということは行わなければならないというふうに考えておるのであります。なお本年におきましてはその全量を本年度予算で約一億円計上されておりますが、これによりまして約十八トン乃至二十トン程度のものを輸入したいというふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 その一億円程度の十八トン、二十トン輸入の予算というのは、これは外貨予算ですか、それとも何か国が予算支出によつて輸入するのですか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) これは政府の支出予算に計上いたしまして、これは更に外貨予算に組んであります。政府予算として一億円、それから外貨予算として三十万ドル計上いたしております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 そうすると政府が直接に輸入をしてそれをどつかに払い下げるとか何とかいう恰好になるわけですか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) ええ、そういうことになります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 従来も阿片の輸入というのはそういう形でやつておつたのですか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 戦前におきましては内務省、それから厚生省ができましてからは厚生省が一手に輸入をいたしましてこれを払い下げております。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 関連して。その主な一億円の輸入関係の国を指摘して頂きたい。或いは台湾とかどういう国からか、外貨の、こちらからの輸出するものとの関係等もありましようから、ちよつとどういう国はどういう予定でいらつしやるかを教えて頂きたい。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 本年度の阿片の輸入を予定しております国は、この議定書にあります七カ国の中から一応考えておるのでありまして、現在私のほうで調査をいたしておりますのはユーゴスラビア、トルコ、イラン等について調査をいたしておるのでありますが、現在の外務省によつて調べて頂いた結果によりますと、トルコが最も適当ではないかというふうに考えておるのであります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 その輸入国、従来はトルコから、或いは台湾とか満州とか蒙古あたりが主だつたと思うのですが、そこいらは今どういう状況になつておりますか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 戦前におきましてはトルコが大部分であつたのであります。それから戦時中におきましては満州国政府或いは蒙疆政府を相手として、満州蒙古等から入れておつたのであります。なお今後は満州、蒙古、即ち現在の中共から入れるということは考えていないのであります。

團伊能自由党

○團伊能君 麻薬課長にちよつと伺いますが、これは国内で自己栽培するというお話を伺いましたが、栽培する場合にこれはたばこの栽培と似たものでありましようが、それに対する管理方法はどういう工合になつておりますか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) けしの栽培をする場合の管理方法としましてはこれは阿片法に規定がいたしてあるのでありますが、あらかじめ国がその地域と、面積を指定いたしまして、そして例えば和歌山県に何町歩、大阪府に何町歩というふうに指定いたしましてそこのみに作らせる、それ以外は作らせないということにいたしまして、そしてその地域から出て参ります申請者の中から、取締上の観点或いは栽培の技術上の観点からいたしまして最も適当と思うものを選びましてそれに許可を与える。そうしてこれにつきましては厚生省が麻薬取締官それから各県に麻薬取締というものを配置いたしておりますので、これらに十分その監督の任に当らせる、殊にこのけしの栽培につきましては、十月乃至十一月頃に播種いたしまして五月早々に花が咲きそして結実いたしまして、五月乃至六月にあへんを採取いたすのであります。で大体そのけしの植物の中に麻薬ができますのが開花少し前なのであります。つぼみを持つ頃から麻薬がこの中にできて来るのであります。従いまして開花期から採集時期までの間が最も危険な時期であるということになります。従つてその期間は約二十日間でありますが、この二十日間については麻薬取締官、麻薬取締、或いは又警察官等を動員いたしまして十分な監督をいたしたいというふうに考えております。なおこのけしという植物はこれを植替えることができないのであります。従いましてその開花期以前の状態におきましてはそれを抜いて行つてほかへ移植するということは困難だという点がありまして、その点はこの監督上非常に楽な点であるというふうに考えておえいます。

團伊能自由党

○團伊能君 これは以前にも問題があつたと思いますが、そのけしの、多量ではありませんけれども種が飛ぶというようなことで相当散るのですね。そうすると原野に行つたり河原へ行つたりして又非常に知らない人の家の軒先に咲く、そういう場合けしにもいろいろな種類がありますけれども、阿片が採れる種類によつてそれが咲いているということにおいてやはり、栽培したわけじやありませんけれども、そういう意味においてまあ非常な無知からそのために非常に、警察からよばれていろいろ何した人があるのですが、以前に。これは大きなケースじやありませんけれども、それについてよほど徹底しないとけしの阿片の咲いておる花は非常に危険なのであります。観賞用にこれを植えていてつかまつたりする人があります。そういう点はどうなんでしよう。今おつしやることによるとけしは一切よそに繁殖しないようにするようですが、そういう場合の取扱ですね、これは随分広く国民に周知させて頂かないといろいろな事件も起ると思いますがその点はどうですか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 只今御指摘の点につきましては、けしを栽培いたしまして花が咲きまして結実する。で普通けし坊主と申しておりますが、このけし坊主の中に多数のけしの種ができるのであります。これは風によつて四散するようなことにはならないのでありまして、尤も最後まで放置しておけばそれが開きましてそういう状態になると思いますが、実際の栽培の場合におきましては未熟果から阿片を採るのでありますから、阿片を採りまして而もこのけしの栽培は米の裏作として作るのであります。従つて阿片を採つたあとのけしを早く処分いたしまして、そして田植をしなければならんという事情にありますので未熟果から阿片を採りますとこれを刈りとりまして、そしてこれを納屋その他におきましてそして成熟させる、そして種を採るということになりますので畠からすぐ種がほかの畠に飛んで行つて生えるというようなことはないと考えます。ただ今まで知らないでけしを庭にまいておつてつかまつたという人もあるのでありますが、これらの人たちは大体まあよそから種が飛んで来て生えたというよりは、現在けしの中でもこの阿片の採れるけしというのはパパベル・ソムニヘルム・リンネという種類だけでございます。従いましてひなげしとかおにげしとかいうものは自由に栽培を許しておる。これはモルヒネが採れない。従いましてそういうけしの種と普通のけしの種と間違つて花屋が使い、それを買つて来て植えたという事故が見られるのでありまして、栽培地から極が飛んで来て一人ばえにはえたというような例は、ないように記憶いたしております。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 関連して。そうしてその農家で未熟果を収集してそれを農家で阿片を採るんですか。それとも厚生省指定のところに集めて化学的な処理で採るんですか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) この農家でけしの未熟果に傷をつけましてそこから白い乳汁が出るんでありますが、それをへらでかき取りまして集めます。これは空気に触れてだんだん固まるのであります。褐色のかたまりになるのですがそれが阿片であります。そこまではけしの耕作者にやらせるわけであります。そうしてそれを一定の日時場所に厚生省から参りましてそこで収納いたす。で現地で収納いたします。従いまして採種からそれを採取して収納するまでの期間というものには約一カ月乃至一カ月半くらいだと思うのであります。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 最近の事情がこんなふうですから、できるだけその間の処置をほかに流れる余地のないように、麻薬の取締官がいたにいたしましても、なお虞れがないとしない点があるように思われるのですが、これからもつと世情の或いはまあヒロ。ポン禍やその他のものと同じ過程で好ましくない人たちの手に入ることを防ぐために、何か厚生省で考えておられないのでしようか。そてうう農家から未熟果を直ちに集荷して、そうして処置するというようなことはいかないでしようか。各国は、どういうふうにやつておりますか。もう少し科学的な方法で処理しているんじやないでしようか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 現在世界で阿片を作つております事情は、殆んどその耕作者が未熟果から阿片を採りましてそれをその国の政府に納付するという方法が最も普通な方法でありまして、で最近その未熟果をそのまま阿片を採りませんで刈りとつてそれを化学工場に運びましてれそれから直ちに阿片を作らないで麻薬を抽出するというような方法も考えられております。これは一部には行われておりますが全体から見ますとまだ殆んど全体の一割にも当らない、極く試験的に行われておるという程度でありましてれ大部分は現在の方法でやつておるのであります。それでどうしても阿片まではその耕作者に作らせませんと、未熟果をそのまま刈りとつたんでは直ちにこれを処理しなければならんという事情にあります。処理しませんと中の酵素その他で麻薬がこわれるというような慮れがありまして、現在では研究は続けられておりますけれども、困難であります。どうしてもあへんを作らせまして、そうしてそれをできるだけ速かに政府の手に移すという方法しか考えられていない。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 なおそれにつきまして何か肥料の割当とか或いはそれを買上げる値段の決定などで農家に麻薬を作ることが利益である、裏作に麦、菜種などを作るよりも利益であるということになると、国が外貨を使つて輸入しているのですからそれは必要ではありましようけれども、その点はどうなんでしようか。どういうふうに今まで保護政策をしておられるか、たばこなどと比べてどういうようになりますか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 実はけしの栽培によるあへんの生産は今年の秋に種を播きまして、来年の五、六月にできるものを買上げるわけでありますが、値段につきまして、は農家の生産事情、それから国外からの輸入価格、その他一段の経済事情等を考慮しまして値段を定めるということになつております。従いまして他の競合作物との間に苦しく不均衡のないようにいたしたいというふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 そうすると、けしの栽培地とあへんの生産地域というのはつまるところ同じことになるのですか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) そういうことになります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 そうするとそういうけしの栽培地域なり或いはあへんの生産地として指定或いは制限されているのは或いはしようとしておられるはどこいらになるのですか、今のお見通しでは。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) けしの栽培につきましては戦前の実績から申しますと、最も多いときで日本全体で二千町歩程度になつております。そのうちの約八割乃至九割というものは和歌山県と大阪府であります。和歌山県の中でも有田郡、大阪府の三島郡というのが最も主になつておるところでありまして、ここらの郡におきましては全村けしを栽培しておるというような村もあるのであります。従いまして栽培技術或いは栽培適地という観点からいたしまして大体和歌山県とか、大阪府を主にいたしたいというように考えております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 戦前と言いますか、開戦までの日本というものは麻薬及びあへん問題で非常に国際的に非難の的であつたわけなんですが、特に満州事変以来の日本の中国に対する積極的な行動、侵略政策の先端を切つて特に朝鮮人があへん麻薬等を中国に持つて行つた。この非難が非常に激しかつたのですが、戦争後の日本の状態を見ると、むしろそれが逆で過去の罪悪の購罪みたいな関係になつて、日本みずからが播いた種で今や国内における麻薬が非常に大きな問題になつておるのです。そこで一体極東のあへん麻薬の取締の条約を作つても、現実にそういうような正規のルートにのらない不正な取引というものがどんな状態になつておるか。不正な麻薬の密輸入はどういうふうになつているか、一体そのルートは、どういう所から麻薬が来ておるか。伝えられるように朝鮮帰りの兵隊なんかが多くそういうものを持つて来る。いわゆる基地の風景というものの中に麻薬の問題があるのは勿論日本における麻薬の罪悪もあるのですが、同時に朝鮮というような外地から来る麻薬の流入、密輸というようなものは非常な数量になつてるのじやないか。かように考えるので、それらの事情をわかる限り数字を以て、どういう所から来るか、説明して頂きたい。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 現在御指摘のように麻薬の事犯というものは非常に多いのでありましてれ昨年一年間に事犯として検挙いたしました事件は千三十件、検挙された人員が千四百六十二名ということになつております。それらの検挙者を国籍別に申上げますと、千四百六十二名のうちの八百三十八名が日本人、三百二十四名が朝鮮人、二百八十四名が中国人、その他が十六名というふうになつておりましてれこの事犯が非常に国際的は色彩を帯びておるのであります。  なおこの事犯の対象になつております麻棄の種類についてでありますが、この取扱つております麻薬は、あへん等を扱う場合は非常に少いのでありまして、殆んど大部分がヘロインなんであります。このヘロインは現在国内では製造も販売も使用もすべて禁止いたしておりまして、これは禁製品でありますが、これがその大部分なんであります。従いましてこのヘロインはすべて国外から持つて来るということが言い得るのでありまして、国内にも密造の意図を有する者が多少発見されておりますが、何分にも原料であるあへんを取扱うよりもヘロインのほうがかさが少いのでありまして、隠とくしやすいという点から、わざわざかさばつてにおいのするあへんを持つて来て国内で作るよりも、ヘロイン自身を持つて来たほうが数量が少くて目立たないで隠とくに便利だという点から、現在国内に起つております麻薬事犯の大部分はヘロインであるということが言い得るのであります。で、このヘロインは、現在国内に流れ込んでおりますルートは、今までに検挙いたしました事犯から推定いたしますと、大体三つのルートから成つて来ておるというふうに考えられます。それは只今お話のような朝鮮からのものと、大陸からのものと、南方からのものと、この三つになると思います。そこで朝鮮から参つておりますルートはこれも事件の中にあります。ありますが、数が比較的少い。又南方からのルートも最近事件がぼつぼつ挙つておりますが、何と申しましてもその事件の中の大部分のものは大陸からのものであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 南方というのはどういうのですか、もう少し明確に。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 南方というのは例えば、直接国の名前はちよつと挙げにくいのでありますが、いわゆる持込んだ、向うで船積をした所がいわゆる大陸以外の国の場合であります。それを一応我々は南方と申しております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 大陸ということは支那大陸ですね。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) そうです。この支那大陸からのものは大体香港経由でありまして、これが現在大体大部分でございます。これからのルートの密輸が非常に多いのでありまして、手段としましては外国の商船、或いは航空機そういうものによつて運びれておるのであります。なおこちらへ持つて参ります荷揚地でありますが、これはときどき移動をいたしておるのでありまして、一昨年は六、七割というものが阪神地区へ上つておる。それが昨年は京浜地区が全体の六、七割というふうになつておりまして、荷揚地は移動いたしております。これはこちらの取締の手薄、そういうところを狙つて来ているのじやないかと思われるのでありまして、この密輸につきましては相当な連絡網或いは機動性を持つて来ておるんじやないかというふうに考えられるのであります。これに対する取締の機構といたしましては、厚生省に麻薬取締官という制度がありまして、全国八ブロックに取締官事務所というのを置きまして、これに百五十名の麻薬取締官、それから各地方に正名の麻薬取締官を置きまして、これが専門に麻薬事犯の視察、内偵をいたしておるのであります。なおそのほか税関、海上保安庁、警察、出入国管理庁等、各関係機関と十分連絡をとりまして密輸の防止に全力を挙げておるような次第であります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 私が申上げましたように、曾つては日本が台湾を持つておつた関係もあつて、麻薬の製造元でこれを大陸に流しておつた。今はむしろ逆に主として大陸方面から麻薬が流れて来る。こういうわけでこつちが被害者になつておると思うのです。そこで国内における麻薬の密造はこれもやつてはいるらしいのですが、殆んど問題にならないほど国内における密造は取締が十分に行つているということが言えますか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 国内における密造についての取締は、私の見るところでは十分に行つていると思うのでありまして、これは取締が十分に行つているのとそれから国内の密売者が適当としないという両方の点から密造は余り大した問題になつていないというふうに考えます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 そこでその前に、いろいろ国際関係が機微だというので非常にはつきり言われなかつたけれども、大体どこが主として麻薬を製造している、つまり麻薬供給源が地域別に言つて一体どこにあるのか。例えば大陸と言つても、それは香港で造つているのかそれとも中国内部で造つているのか、勿論中国それ自身にはあへんがあるわけです。これで中国はこの麻薬の取締の国際条約等の関係から言つて現実に一体どうなつているのか。そういうような点についてこれは国際関係もあるから外務省からでもいいけれども、日本に対するこれだけの重大な脅威があるのに、一体どういうところに脅威の根源があるのか、これをはつきり突きとめなければいかんと思う。その点もう少し明確な御答弁を願いたい。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) この議定書を作成いたしました昨年のニューヨークの会議には、中国を代表いたしまして台湾の国民政府の代表が参加いたしております。而して国民政府は大陸に対しまして現実の支配を及ぼし得ないことは明らかでございます。そこで中国が締約国にはなつておりますが、大陸には現実にはこの議定書の拘束が及ばないということになるわけでありまするから、ほかの締約国といたしましては処置なしかと思いますが、いずれその点は、第十二条に一連の規定があるのでございますが、その場合には締約国のみならず非締約国も含めまして、麻薬取締上面白くない事態が発生いたしました場合には、最後には強制的の輸出入禁止措置をとれるという規定がございます。従いまして、この議定書が実施の段階になりまして、どうしても中国大陸のほうから来る弊害が甚だしいと認めました場合には、日本或いは他の国から申出ましてそういう中国大陸からは一切の輸出入の取引をしないという強制的推置まで行けるわけであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 それはまあ条約上の中国大陸の問題についての一応の御説明だつたのでありますけれども、問題の核心である日本に密輸される麻薬の供給源、その供給ルートについてもつと明確な御説明を願いたい。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) この供給源でありますが、私ども取締の面から現在はつきりわかつておりますのは、日本へ参りますヘロインの大部分が香港から積出されているということははつきりしております。なお香港で造られたものではないということも或る程度わかつております。現在いろいろなレツテルをはりましてヘロインが入つておりますが、その代表的なものはレッド・ライオン、紅獅子じるしというものであります。この紅獅子じるしというものが大陸で作られておるということは言われておるの、でありますか、果して、どこで造つたものであるかということが我々にはよくわかつていないのであります。それからいま一つは、そのほかの最近の新らしいケースとしましては、そのレッド・ライオンと包装の全然違つたものがいわゆる南方のルートから入り出しているという点からして、この供給源か大陸ばかりではなくてほかにもあるじやないかというようなことを考えております。はつきりしたどこから供給されておるかということは、私どもの取締の面からだけでは十分にわからないのであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 日本だけでわからなくても、それこそこういう国際的な会議とかいろいろなものがあるので、麻薬の取締等については国際的にも大いに協力してそうして情報もお互いに交換して、ソースを抑さえるというようなことに当然努力すべきじやないか。その条約の内容は知らないけれども、そういうようなことも私は予想しておるじやないかと思う。どこだかわからない、これ以上つきとめなくちやわからないというようなことじやなくて、日本の得ている情報はこうだ、シンガポールに行つたらこうだというような問題で、これは国際的にももつとお互いに情報を交換して共通の脅威に対する対策を講じて行くのが当然じやないか、その点は、どうなんですか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 只今の御指摘の点は御尤もと考えるのでありまして、私どものほうとしましても国際的な情報はつかんでおるので掛あます。これは十分ではございませんけれども或る程度の情報は持つておるのでありまして、この供給源についての外国からの情報もあるのでありますが、これは我々としては非常な参考にはなるのでありますがまだ確認をするというところまで行つておりませんので、その情報についてのお話を申上げられないのであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 それらの点について、もつと大胆に余り左顧うべんしないで、的確な措置をとるように一つ政府に特に努力をしてもらいたいと思います。  次にやつぱり国内にも私はいま少し、国内問題であつて当委員会の委員として言うのもどうかと思いますけれども、元来麻薬に対する日本国内の取締というものは全くなつていないのですよ。昔はとにかくお医者さんもいい加減な処方箋か何かで、薬屋に行けば麻薬は幾らでも買える。それらのものに対する見方というものは非常にルーズであつた。今日麻薬の取締の機構はできているけれども、現実にどこまで摘発の上から言つてもどこまで廻つているかどうか、これも非常に私は疑問じやないかと思う。殊にただ摘発したつて麻薬患者みたいな特別なものは、特別の療養の施設が完備しなければ、ぶた籍に入れたからと言つてそんなものはなおるものじやない。それらの問題について本当に麻薬の脅威に対する十分なる自覚に基いた措置がとられていないのじやないか。勿論予算の制約もあるでしよう。併し取締当局の感覚そのものに依然としてまだルーズなものがあるのじやないか。果して麻薬という特別な社会の脅威に対する真剣にして科学的な的確な療養施設なり摘発施設ができているかどうか。これは非常に私は疑問に思うのですよ。一方において国際的には抗議すべきものは抗議して行かなければならない。国内におけるルーズな取締ではどうにも私はならないと思う。果して国内における取締がどれほど改善しているか、その重大なる任務に適応するだけの施設なり努力がなされているかどうか。これを疑うのですが如何ですか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 御指摘の点につきましては、麻薬取締法に基きまして現在取締には全力を注いでいるのでありまして、私どもはまだ十分ではないかも知れませんが、現在の段階においては相当取締のほうは徹底していると思うのでありまして、検挙件数、検挙事犯数等におきましても相当成果が上つている。ただ御指摘の収容施設の点につきましては、これは何とか早急に考慮しなければならんということで、現在この強制収容の面については研究をいたしておるのでありますが、この点がまだ実現に至らないのでありますが、その点についても十分な措置をとりたいというふうに考えております。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 関連しまして。先ほどの検挙事犯数ですか、これの持つて来ている全体の数量というようなものはどのくらいになるでしよう。それからそれにからまる処置ですね。特にいろいろな国の人が入つているようですが、これは又持つて来たものを取上げて起訴をしても、間もなく又それがはえを追うように又元の国際的なルートで活躍させておるのじやないでしようか。それからまあ日本では大体今一億円というふうなことですが、これらの価格は総量に対しまして、どのくらいのものになるのですか。ちよつとお示し願いたいと思います。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) 密輸で日本に現在麻薬がどれくらい入つているかという数字は的確にはわからないのでありますが、私どもが推定いたしております点からしますと、現在私どもの手許にわかつております国内の中毒者の数は昨年末現在で七千四名であります。併しこれは勿論我々が発見した数でありまして、実際はそのほかに事件、事犯から推定しまして最小限三万はいるというふうに考えております。で、この三万人の人間がこれは必ず麻薬がなければおれない人間でありますから、これが一日に〇・〇二グラムずつ服用するということで、而も現在ヘロインが国内で取引しておられる闇価格というものは、最低一グラム三千円から最高二万円ぐらいの岡で取引されております。で、この一グラムの値段を一応五千円としまして、三万人の中毒者が一日に〇・〇二グラム服用するということにしますと、少くとも年間に百九億円の麻薬が流れ込んでいるという計算になるのであります。なおこの二億円でどの程度の麻薬が輸入できるかというお話でありますが、この点につきましては現在のトルコなりユーゴの値段から計算いたしてみますると、一〇%モルヒネを含有しております阿片で大体十八トン乃至二十トン要るのであります。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 先ほど御質問の一番初めにいたしました千三百人の人たちの手を通して入つて来る場合、価格はわかりましたが分量はわからないでしようか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) この入りました分量は総量はわからないのでありますが、一応その千四百人挙げましたときに持つておりました現物を没収いたしましたのが、昭和二十八年でヘロインで十一キロ九百五十九グラムという数であります。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 それからGHQがおりました当時は、非常にやかましい取引でやつておりましたもので、まあ五トンかその他しか使われなかつたものが二十八年度で二十五トン、それから今年度あたりは年間三十トンくらいの需要と見ておられるようでありますが、こういうふうにふえて来るということに対してれ厚生省としてはそういう患者が自由に使うということよりも、やはり中毒患者を増加しつつあるということに対しては、はつきりお認めになつているんですか。それとも完全に医療用に使えると、それを目的にしておられることは明らかでしようが、三十トンというのをどういうふうに考えておられますか。

市川可知男厚生省薬務局麻薬課長

○説明員(市川可知男君) この三十トンという数字は、戦前は大体、台湾、朝鮮、或いは軍の使用したものを除きまして、年間三十五トン乃至四十トンを消費いたしておりましたもので、それから見まして人口も多くなつたのでありますから、決して多くないと思うのであります。なおこの正規に医療用に使います分については、厳重な管理の下に取引をし使用させているのでありまして、正規の麻薬がこの不正取引或いは不正使用に使われているという例は非常に少いのであります。で、ただ正規のものが不正に使われるというのは、一部の医者でみずから中毒者である医者が不正使用するというような例がままあるのでありますが、正規のものが不正のほうに流れるというのは現在我々の取締の面からしては殆んどないというところです。  なお終戦直後占領下にありましたときは、この正規の麻薬の取扱者、医師とか歯科医師、薬剤師等の違反は相当あつたのでありますが、これは麻薬の取扱が非常に戦前と違つて厳格になつたために、その取扱方を間違えた。悪意のあるものでなくてそういうもので挙りましたために非常に多くなつたのでありますが、現在におきましては正規の取扱者の違反というものは非常に減つて参りました。で、不正規ないわゆる密売者、麻薬中毒者、そういう違反が依然と続いてるんでありまして、正規の麻薬取締法が十分に徹底いたしまして減つて来ておるのであります。なおこの三十トンという数字は現在の八千万の国民からみますと決して世界的にみて多くはないのでありまして、アメリカにおきましては年間三百トンの阿片を正規医療に使用しておるというふうに承知いたしております。世界各国の人口当りの消費量を比較いたしてみましても、日本は三十トンにいたしましてもまだ遥かに正規医療の消費量というものは少いということが言えると思うのであります。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ほかに御発言はございませんか。では質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。これより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありまするから討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「典儀なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ではこれより採決に入ります。  けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の批准について承認を求めるの件について採決いたします。本件を承認することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 全会一致であります。よつて本件は原案通り承認することと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりまするが、これは前例通り委員長に御一任願います。  それから本院規則第七十二条によりまして委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を付することになつておりまするから本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     佐多 忠隆  羽生 三七     高良 とみ  曾祢 益     宮澤 喜一  團 伊能     西郷 吉之助 杉原 荒太

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ちよつと速記をとめて。   [速記中止]

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。  では委員会は一時休憩をして午後二時から再開いたします。    午後零時四十六分休憩    —————・—————     午後二時五十七分開会

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き委員会を開きます。  日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件、日本国における合衆国軍隊及び国際連合の軍隊の共同の作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を議題といたします。これより質疑に入ります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 本協定のできるまでに裁判権問題を除いていわゆる財政上及び経済上の待遇についてアメリカの駐留軍と同等待遇を先方は初めから要求しておつたのです。これに対して日本政府としてはこれは日米安保条約に基く駐留とは趣旨が違うから当然に同等待遇をやるべきでないという見解で来られたわけであります。そこで結局労務関係の間接雇用方式を向うにとらして、それらの関係から譲つてアメリカ側との均等待遇みたいなことに最後的に同意したわけですけれども、そこでどういう条項についてどういう点が論争点であつたか、その点を、承わりたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 御指摘のように最初に必ずしも米軍に対することと同等の待遇を与えるという趣旨ではなかつたのであります。が併しその後裁判権の問題も解決しいろいろ交渉いたしましたところ、国連軍側で譲歩して参りまして殊にその際最も大きな問題は二つあつたのでございます。その一つは施設の返還の問題、もう一つは労務管理の間接雇用の問題でありまして、施設返還についてもう先方は一度返すというとなかなかあとで事態が変化でもした場合に困るというような考え方で、我がほうの要求に応じないような態度でありましたけれども、再三現地を視察し又こちらの強い意向を述べ、又そういう態度を先方が固執しておるということは結局本問題を円満に解決するゆえんでない点を日本側でも強調いたしましたところ、この施設返還についても国連軍側としては大きな譲歩をしたわけであります。それと労務についても間接雇用の査ほうは非常に費用が余計かかつて困るというのでなかなか承知しなかつたのを先方は遂にこの点でも譲歩をいたしましたので、日本側としてもこの問題を長い間懸案になつた問題であり、而も現地の呉市の立場から言えばいろいろガス税、電気税の問題なども宙に迷つておつて困る、是非早くこれを解決してもらいたいという要望も強かつたのでありまするから、日本側も大体米軍側と同等の待遇を与えるということにはいたしました。但し軍備の負担ということがないことは勿論御承知の通りであります。こういうわけで最初の考え方とは多少譲歩したのは事実でございますがこの交渉の過程において最も問題になりましたのは、日本側における財政上の負担という問題であり、そして今申しました労務管理の問題と施設の返還という問題が一番大きな問題であつて、この条文そのものは、その根本は解決いたしますに従いまして大体御覧の通り行政協定のラインによつておりますので、この行政協定の内容そのものについて非常に時間がかかつたのではなくしてそういう根本的な双方の歩み寄りということに相当な時間を要したような経過であります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 施設の返還の程度については又あとで伺いたいと思つておるのですが、つまりいわゆる財政経済的方面ですね。つまり国税、地方税の免除の点とかこういう点ですね。或いはサービス、只でやるというような点については初めは、どの程度の意見の相違があつて結局どういう点で折れたかということが伺いたいのです。免税と地方公共施設の利便の点ですね。施設のほうは別として。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 刑事裁判権の問題が片付きましてからあとの彼我の意見の不一致として残りました点は、政務次官から先ほど申されました、この施設を向うに只で貸すというのに対してこつちは借料を取るという、それがまあ大きな対立した点でございます。その次に大きいと言えば大きいのはやはり財政関係の御指摘の免税の点でございます。これも国税と地方税と先方は免除してくれというのに対して、大蔵省のほうも初めは両方免除できないと申しましたのが、途中から国税だけは政府の意思で免除できるから免除してもいいというぐらいに変つて参りました。更に地方公共団体の負担をも来たす地方税の問題につきましては、実は本年になつてから明確にこれを免除するという方針がきまつたような次第であります。地方税のほうがあとに残つた次第でございます。それ以外には大きな財政関係の対立点又は財政関係以外でも大きな対立点というのはなかつた次第でございます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 税金のほかに例えば水道だとかそういつた地方のパブリック・ユーテリテイの料金の問題はなかつたんですか、初めから。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) パブリック・ユーテリテイの料金の問題につきましては別に対立はなかつたのでございます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 払つたのですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) はあ。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 そこでそうするとまあ主としてこれは地方自治団体としては、外務省当局もすでに十分に御承知のようにかなりまあここまで来たけれども、やはり相当痛い点があるわけですがね。そこで第一に返還を要求した施設の範囲と、現にこれは協定そのものではないが現実に向うがどこまで返還をしたのかというようなその食い違いですね、これを施設別に或いは面積別にというか、これをお示し願いたいことが一つと。第二に、地方税のその免税によつて地方団体、特にこれは呉市でしようけれども、地方団体としてどのくらいのマイナスになるのかという点、これをお示しを願いたい。それからこのつまり施設をまあ只で貸すための得べかりし施設の損失、そういうものを分けて計数的にお示し願いたい。

安川壮外務省国際協力局第三課長

○説明員(安川壮君) お答えいたします。最初に施設返還の範囲でございますが、これは協定の交渉以前から相当多数の施段の返還を非公式に交渉して、おつたのでありますが、協定の交渉が最終段階に入りました際に、約十八ばかりの施設を特に返還を申入れましたところ、その中の三つばかりふ頭施設でございます、これはどうしても現在のところ返還はできない、それを除きまして十五施設を向うが応諾したわけであります。現在あります施設の総数は件数から申しますと七十九件であります。そのうち十五施設の返還に応じたわけでありますが、この十五施設の中には施設全体をそのまま返還するものと部分的の返還も含まれております。必ずしも十五の施設というのは全部ではございません。その内訳は細かい資料をここにちよつと持つておりませんが、ふ頭施設の一部とあとは倉庫、それから通信のアンテナ施設でございますが、そういうもの。それからクラブ、こういうものを入れて十五施設を返還する。その細部につきましてはいろいろ細かい条件がございまして、この条件は呉の現地の両者の代表者間で委昌会を設けけまして、そこで具体的な条件その他は協議をいたしまして、その協議がととのい次第に返還するということに話をいたしました。十五施設のうち約三施設はすでに日本側の手に返つております。それから施設を無償で提供したために、得べかりし国有財産、借料と申しますか、それがどのくらいになるかという御質問でございますが、これは協定を開始いたしました当時の大体の見積りが国有財産、土地財産全部を含めまして約五億乃至六億見当と見ておつたのでございますが、現在のところその後の物価騰貴等も考慮に入れまして大体七億見当という見積りでございます。それから地方税の免除、これによつて得べかりし税収入がどれくらいあるか、これも主な項目としましてはガソリン税と電気税、自動車税その他もございますが、大きなものはガソリン税とか電気税でございます。これで年間得べかりし税収入がどのくらいになるかという計算でございますが、これもまあ正確な計算ではございませんが、大体両者を合せまして二千万円見当というふうに見ております。自動車税その他細かいものにつきましては、例えば自動車税はと申しますと、自動車の台数が幾らあるかということをしつかりつかんでおりませんので正確な数字は出ておりませんが、これはいずれにしましても大した金額にはならないということになつております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 そうすると、大体地方自治団体から見ると、主として三つばかりのふ頭が一等大きな希望にかかわらず返還しなかつた施設だと、ほかはそう大した食い違いはなかつたとこう見ていいんですか、施設のほうだけで言えば。

安川壮外務省国際協力局第三課長

○説明員(安川壮君) 多少のこちら側の要求は、今申しましたふ頭を含めました十八施設以外に数ははつきり覚えておりませんが、全部の数で言いますと三十施設ぐらいだつたかと思いますが、これもいろいろ先方の事情を聞きまして、全部この際同時に返還を要求するのは無理だということもこちらで了承いたしましたので、取りあえず十八施設に限定したわけであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 外務省はどつちかと言えば両者の間に立つた見方をするわけですが、現地側の素ぼくな要望から言うと、この重要なふ頭のほかにやはりかなり大きな返還要求の施設があつたのではないかという点を伺つているわけですよ。無理であるかどうかは別として希望からいつてどうなんですか。

安川壮外務省国際協力局第三課長

○説明員(安川壮君) 現地としましては、まだ相当この十五施設以外に返還の希望は強かつたのであります。初めはその希望をそのまま向うに伝えて交渉はしたのでありますが、その後これを全部返還を要求するのは無理だという事情は或る程度現地においても納得しておるはずでありまして、取りあえず現在の段階においてはこの十五施設で満足ではないけれども一応了承する。但しその他の施設についても今後は現地委員会を作りまして、ここで更に両者の言分を十分話合いまして、できるだけ返還できるようにいたしたいと、こういうことになつております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 大体国際連合即ち現実には英連邦軍ですが、余り使わないものをいざということがあるのかも知れんけれども、かなり欲張つて押えておるというような印象或いはそういう風説もあつて、どんなものがほかに現地としては返してもらいたいという大きな施設があつたかという点はどうなんですか、ふ頭のほかに。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) かなり余裕を持つて使つておるという印象を我我も持つておつたことがあるのでありまして、私も一度見に行つております。最近この十五を返します前にはやはり外務省のほうからも見に参りまして朝鮮が停戦になりまして以来というものはむしろ兵たん関係で物がこちらにふえておりまして、戦争中よりも倉庫等は一ぱいになつておるというふうな状況でありまして、多少の余裕はまだございますかも知れませんが、従来よりはむしろ何といいますかよく使つておる。それからもう一つ、多少広いという感じを持ちますのは、やはり四カ国の軍隊がおるものですから、これが全然同じものを使うということも工合の悪い点がございまして、四カ国が別々にいろいろな食堂、クラブ等を持つておるというような点にも、多少一人頭の平均にしますと米軍等に比べると広いという結果が出て来るわけであります。呉で一番希望しておりますのはやはり港湾であります。その他につきましては全般的に倉庫とか兵舎とかについてやはり成るべく返して欲しいということを言つておるわけであります。これは一応十五というところで話をつけたわけでございますが、今後とも状況に応じて逐次返させようというつもりでやつておるわけであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 そこでまあ地方自治団体としては電気税などの地方税の免税の問題もあることだし、一体こういうような国家的な義務といいますか、国家が責任を持つて便益を供与しなければならないことに伴う財政の負担、或いは税外収入のロスというようなものに対してれこういうものはやはり地方団体が負担するのは少し過酷ではないかというような声もあるわけですね。従つて、一体政府のほうではそういうものは国の財政等で見てやろうというような考えがあるのかないのか。これも勿論問題によるでしようし内容にもよるでしようが、どういうふうに考えておりますか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 政府としましては、例えば呉と同じケースは佐世保、横須賀、舞鶴等にあるわけでありますが、この四旧軍港都市いずれも平衡交付金の率を見ますと、ほかの同じ人口のところよりか多少よくなつておるという点で面倒を見てはおりますが、必ずしも満足すべきではないという点も十分承知しておるわけであります。まあ成るたけこれをふやさせようという考えでおるわけであります。

西郷吉之助自由党

○西郷吉之助君 一つ関連して。今の呉の問題なんですが、御答弁によるとガソリン税とか電気ガス税で減収しておるというお話でしたが、例えば倉庫とかその他の施設で、地方の財政上、今の電気ガス税とかガソリン税だけでなく、固定資産税というようなものは殊に市町村の主たる財源なんですが、そういう施設を提供しておるために一番重要な地方税が入らないというような結果になると私は思うのです。呉だけでなく横浜市なんかを考えましても中心部を大体とられておる。そのために固定資資産税というものが殆んど上らないというようなことで非常に因つておる。そうでなくても御承知の通り地方財政は苦しい。又今日は基地の問題とかいろいろで非常に反対も強いのでそういうものを緩和する上からも、こういう国連軍や何かに提供しておる施設に対しては、地方財政が苦しいのですからそういうあつ旋をやはり外務省は政府に対してなさらなければ、そういうところから非常に日本国民の国連軍や何かに対する反対気運というものが醸成されて来るのではないか。呉の問題なんかでも特に地方公共団体の市町村の問題は、財政の苦しい現状ですからそういう点はよほど外務省あたりも観点をおいて代価を払つてやるというようなことになさらんと、今のお話を聞いておると、ガソリン税や電気ガス税で大体七億だと言われるけれども、市町村の重要な財源はむしろ固定資産税なんです。そういうようなものに非常に減収を来たすのです。而もその結果国連群がおるためにいろいろ風紀上の問題や何かが起つたりして、そのために非常に市町村当局は苦しい目に会わされるのですから、そういう点をもう少し従来の平衡交付金制度、又今後は地方交付税でありますか、そういう面で十分に見てやりませんと、その施設がとられた、それを使つておれば相当の金が落ちるわけなんですから、多少よくなつてる程度なんかでは非常に莫大な損害だと私は思います。今七億円と言われたけれども、固定資産税なんかが若し抜けておるのだとすればこれはもうその損害はもつとずつと大きいと思います。そういう点現地を御覧になつたと言われるけれども、今の御説明だと私は地方団体の財政というようなものがよくわかつておられない向きがあるようにも思いますので、こういう点は今後ともよほど力を入れて頂かなければならんと思いますが、更にそういう点について外務省の御説明を願いたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) お説誠にごもつともであります。が併し施設の非常に重要な部分は国有財産でありますので、はたから見るほど固定資産税の減収というものも実はその程度はそれほどでないということも御承知を願いたいと存じます。又このガソリン税とか或いは自動車税がこういう協定なかりせば入つたでもあろうものが入らないということは勿論でありまするが、同時に駐留庫のおります地域については道路等に対する中央の補助というものも特に駐留軍関係並びにこうした地域には配慮いたしておりまするので、そうした点でも多少緩和せられるであろうと存じます。又成るほどこういう軍隊がおりますことは反米とか或いは反国連軍思想を起すような好ましからざる問題も起しまするが、同時に地方の収入という面からみまするならばそこにおいていろいろ消費が行われるというので、そうした面での地方民の収入又それに伴う税収ということも考えられまするし、又更に労務者につきましてはこれがあるために相当の労務者を吸収しておるという経済的な利益の面もあるわけであります。併しながら先はど国協局長からも指摘しておりましたように地方の財政については平衡交付金の、今度制度が変るにいたしましても、とにかく中央からの補助というような点については十分配慮して参らなければならないし、そうした面につきましては私ども直接いろいろ陳情も受けておりますので、大蔵当局との間に立つてできるだけのことをいたして来たつもりでありまするが、今の御指摘の点についても今後とも十分留意いたしましてそうした地方に対する不当な損失をかけないように配慮をいたす考えでございます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 只今西郷君から適切な御質問があつたので尽きているようなものですが、やはり何といいますか余り総合的な判断ばかりでもいかないところがあつて、成るほど外務次官が言われるように、この点では税収或いは税外収入が損してもほかへ落ちる金があるじやないかというような議論をして行くと、それは金は得ても風紀が顧廃するとかいうような堂々めぐりになりがちなことなんですね。だからやつぱり責任を地方当局としてこういうものはとるべきものか、やはり国家の中央の負担においてやるべきものかというようなここに責任を明らかにしてやつて行くほうがいいのではないか。だから県に対して負わせるような税収の減については、はつきり大体計算してそれだけやつばり何というかひも付きの交付金にしてやるとか、市町村についてもそういうふうにちやんとケース、ケースのメリットによつて中央が持つべきものならそれだけははつきり計算して渡してやるというふうにするほうが、とかくトラブルがなくなるゆえんじやないか。何だか全部つつこみで平衡交付金でも考えてやるというようなことだから、いつまでたつても陳情も続けて行われるし、何だか割切れないような感じが残つている。そういうこと自身がいわゆる好ましからざる感情的な反米論なり反軍事基地化問題というようなことで累を及ぼしているのじやないかと思うのですね。だからこれはまあ呉ばかりの問題じや勿論ないわけですけれども、やはりそういうことはもう少し理論的に計算を明らかにして中央がこういうものは持つべきだというのなら、その分をちやんと計算して持つてやるというようなテキパキ帳面で片付けて行くような方法が私は望ましいのじやないかと思うのですが、そういうふうに変えて行くようなお考えはないのですか。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 今曾祢委員の御発言のような趣旨を徹底さしまするのには結局特別立法を要するだろうと存じます。そうした点につきましては呉の市長のみならずいろいろな関係の地方公共団体のほうからも申出もありまするので、大蔵当局ともお話合をいたしましてそういう措置も考えなければならないというふうに私ども感じております。

西郷吉之助自由党

○西郷吉之助君 関連してもう一点。政務次官から先ほど御答弁でいろいろ配慮はしておられることはよくわかりますが、もう一点伺つておきたいのは、例えば呉のみならず横浜とか横須賀でもそうですが、お話の通りに国連軍がおるために相当の例えば遊興費とか品物を買つたりするので、例えば横須賀を考えてもそのために横須賀は国連軍の軍隊と切つても切れないような収入もありますけれども、又一面非常に困つておることは、あいう連中がおることは遊興などの金は相当上る、併し御承知のように遊興飲食税は県税で市の収入にはならないというふうな面もありますし、又ああいうものに追随して来る人間例えばパンパンガールなんかもおつて、地方の財源としては一人当り頭数でとるところの住民税なんかとれば非常に地方団体の収入はよくなる。ところが期間的に長期にそこに滞在しませんで軍隊と共にそういうものは歩きますので、一番とりいい住税民がとれないというふうな、今の制度では手続上も非常にむずかしい点があつて、番頭割でとりやすい住民税がかけられないというふうな現状でありますので、そういう点を外務省も十分お考えになつて各省と打合せてそういうものがとれるようになりますと殊に市町村の財政なんかはよくなるのじやないか。これは呉でもそうだろうと思いますし横須賀なんかもそういうふうな問題がありますから、そういう点も併せて一つ今後とも御研究願いたいと思います。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 もう一つ伺いたいのは、この協定の終了については要するに原則としては朝鮮から国連軍が撤退する日から九十日間いられるということになつているわけなんですが、一体これは勿論むずかしい問題ですが、外務省としてはその点、どういうふうに考えておられるのか。国連軍が朝鮮から撤退するというのは、朝鮮の平和会議といいますか、何らかの現在の停戦協定でなくて朝鮮の選挙とか或いは統一問題というようなものができ上らなければ国連軍は朝鮮から全面的に撤退ということはあり得えないのじや、ないかと思われるのですが、従つてこの但し書みたいなところに、若し国連軍が朝鮮から撤退するというときまで日本に国連軍がいなきやならないということになるとこれ又いつのことかわからないから、或いは場合によつてその前にも日本から国連軍が撤退することがあるというような条項を設けられたかと思うのですが、そこら辺の見通しですね。或いはこの交渉をする場合のどういうような折合等があつたか、これらの点について御説明願いたい。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 交渉の際にこの撤退条項を審議する場合に、実は日本側も的確な見通しはないのは当然でございますが、団連側も実は的確なことは言えない状態にございます。仰せのようにやはり一番プロバビリティの多い場合というのは、もともとこの軍隊が国連の決議でできて参りました軍隊でございまするから、事態の転換に応じて国連が別の今度は決議なり何なりやりまして、それによつて朝鮮における国連行動の終了を宣言し、同時に軍隊の撤退をきめるという可能性がまあ一番多いのではないかと思います。そうでなくて個々に相談ずくで成る国がおれの国はもう必要ないから先に失礼するというようなばらばらの撤退の仕方は又一番可能性の少い場合ではないかと思うのであります。そういうりように思つておるのでございますが、的確なことは国連側も見通しが実はついていないのでございます。そこでただ我が方といたしましては、どうもこの最初に申しました一番可能性の多い事態をとらえて規定しますと、それより早く撤退することが必ずしも不可能でなくなつたときに、規定がそうなつていないために撤退しないというようなことが起つてはこれはたまりませんので、そこで前記の期日前のいずれかの日について撤退を申出ることができるという但書をつけた、そういういきさつになつております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 そうすると、この二十四条の末尾の但書みたいた規定は、まあ念のための規定であつて、現状においては一体そういう現実の可能性がどういう恰好で出て来るかというようなことに対する具体的な見通しはないけれども、併し何かそういうことがあるかも知れんというようなための、念のための規定だというわけですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 実は仰せの通りでございます。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 今の曾祢君の質問したこの撤退条項のこと、これは私も尋ねてみたいと思つておつたことでございまして、よく聞いてみると、どうもよく考えてみると、説明を聞いてもこれはなかなか苦心の作のように思われる。まあこれに対する質問は私はよしますが、別の点で今度のこの協定によつて施設を提供するということ、これはアメリカ軍に対する施設の提供、行政協定による施設の提供とその国の義務、これは国の義務として提供するのですか、どうなんですか、つまりアメリカ車に対する施設の提供と性質は同じであるか。どうなんですか。違うのですか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 同じだと考えております。ただ提供に伴つての費用というものは先方が負担するという十五条の規定がございます。その他については実際問題としては同じと考えております。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 それでは同じであるとすれば場合によつてはつまりこの民有の物などの場合、或いは民有というのでなくても、その権利関係、関係して来るところの人民の自由とか権利を制限するというような場合が予想される。そういう場合はやつぱり特別の立法措置を必要とするものだと思うが、その立法措置はとられておるのですか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 土地等の収用に関する特別法、それから漁業制限に関する法律、それから演習場等がございますための間接補償の法律、特損補と申しますが、これらが行政協定に伴つてできておりますが、この三つともやはり国連関係についてはこういう法律が要るということに関係各省の意見がやつとまとまりましたので、極く近い機会に調達庁からその法律を提出するということになつております。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 ああそうですか。いやそれなら私がいろいろ質問しようと思つておる点の大部分は解消した。今までそれがとられていないようなんで私非常に疑問だつた。今つまり補償の問題が起きていわゆる漁業補償とか、いわゆる間接損害に対する特別補償というような問題、それが今までどうも出ていないようだから、そこのところをこの協定の措置についてどうするのかということを尋ねたかつたのであります。それから、その補償という場合、この協定の十五条を見て来ると、経費は原則として向うが負担することになつておりますね。その補償に要する経費というのはここの十五条による向うの負担する経費の中に含まれますか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 二種類ございまして、例えば漁業制限という場合には海面を提供する、と言つてもこれは極く狭い海面でありますが、弾薬庫の周辺は危険であるというので制限する。こういう場合には海面を提供しておりますから、それに伴うものは向うが払う、それから民有地、民有林は向うが払つております。これは米軍と違つております。それから特損補の関係になりますと、十八条三項で公務に基くものであるか、或いはそれと全然無関係のものという二つに分れましれ公務に基くものは十八条三項で向うが七五%負担する。例えば演習場がありましてそこで、実弾射撃をやる。そのために火が出る。それが演習地外に若し落ちるといたしますと、そうして山林が焼けるというような場合には十八条三項によるが、そうでなくて、まあ演習地内でしよつちう演習をやる、だんだん木が焼けてなくなつたりして、そういうことに基いて水が出る、そうして周辺の田畑が冠水するというのはこれは間接になると思います。この場合は恐らく向うが負担するということにはならない、日本政府が負担しなければならない。そういうふうに二種類に分けて考えました。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 そこのところはいずれにしても間接的の損害でも或る限度はあろうけれども、とにかくその被害者のほうからすると補償を受ける、ただ金の出所は向う側の場合と日本側の場合と、これは何ですか、その間接的な損害に対する補償についてアメリカ軍の場合には特別の立法があつたように、あれと同じような趣旨にこれはなるのですか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 同じ趣旨でございます。アメリカ軍の場合は全部日本側でやつておりました。十八条三項の場合を除いて全部日本側がやつておりました。法律は同じ趣旨であります。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 今の法律というものはこれはもう会期に十分間に合うように出すのか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 一両日中に出すことだと思います。この点は調達庁がやつているわけですから。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 お伺いしておきたいのですが、この吉田・アチソン交換公文による連合軍の軍隊の地位に関する協定が漸くできて来たわけなんでありますが、一体この国際連合憲章第二条が掲げた義務なんですが、朝鮮の武力戦争のあつた間と今とは大分国民の受取り方も違う、併し大体率直に伺つて、連合国がこの憲章に従つてとる如何なる行動についても、あらゆる援助を日本国は国際連合の行動に与える義務を、平和条約の発効と共にどの程度まで持つておるのですか。本当にあらゆる援助を与える、或いはこれを要求する国際連合の呼びかけに対して拒否する自由の程度はどのらくいのものですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 平和条約第五条で日本が受諾しております国連憲章第二条の義務、なかんずく御指摘の国連憲章に従つてとる如何なる行動についてもあらゆる援助を国連に与えるという点でございますが、これはまあ非常に抽象的な規定でございまして、あらゆる援助と言いますと何んでもやらなくちやいかんというようにとれますけれども、実はこれは日本ができることだけをやればいいのでございまして、MSA協定のときにも問題になりましたが、例えて申しますと、憲法上の制約のために海外派兵はできないということがございますれば軍隊は送らなくとも無論かまわないのであります。結局日本として無理しないで普通にできることをやつておればいいというように御解釈下さつて結構だろうと思います。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 そうしますと、この国際連合憲章第二条の五項、これを実施しますときはそれぞれ特別な協定を必要とするものと理解するのですが、この場合はその点を省いてただ吉田・アチソン交換公文によつてこれを了承し、た非常に弱いものであつたということは今日も変りないものだと思うものですが、それは変りありませんか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) この国連憲章二条の義務を引受けた平和条約の点を吉田・アチソン交換公文で引用いたしましたが、この引用いたしました結果国連憲章第二条の下の義務に何らのプラスも又マイナスも加えておらないと存じます。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 そうしますと、これは講和条約発効の当時こういう国連軍の駐留を日本が交換公文によつて認めたわけです。併しそれらの条件としては武力侵略が継続しておつたということであつたと思うのですが、交換公文にそのことが謳つてありますから、それがこの武力侵略というものが休戦になつたからと言つて何らの法的根拠には変りはないのですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) この協定は国連の決議に基きまして参つております軍隊の地位を定むる協定でございます。そうしますと、その地位を定められるところの軍隊の存在が前提になつておるわけでありますから、その前提となつております軍隊が只今のところまだ朝鮮から引きませんという段階でもございますので、御指摘のように随分遅くはなりましたが、やはりこの協定を締結する実益はあるわけでございます。仮に朝鮮からもう間もなく引くというような場合であると仮定いたしましても、この協定はあとで出て参ります。遡及力を持つておりますから、例えて申しますと、民事請求権の問題、進駐軍の行為によつて財産に損害を受け、或いはけがをし、死んだというような事件の跡始末というものは、やはりこれは処理いたさなければならんのでありますから、やはりそういう意味から申しましても、仮に目の前に国連軍の撤退を控えておつたといたしましても、なお且つこの協定は結ぶ必要がある次第でございます。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 そうしてこの実態は呉において在庫品がますますふえ、今まで上りも倉庫を、多く使つておられるという実情からいたしましても、次の国連の何らかの決議を待つておるというように先ほどの御説明でも、これは撤退であるとか、或いは次の集団安全保障であるとかいうことを誰でも考えるわけですが、而もこの協定の説明にはNATO協定の効力発生に伴つてNATO方式に改訂されて行つた。国連軍についても我が方の主張通りNATO方式によるというので、刑事裁判権のほうはそうなつておりますから、そうなつて来ると今後の見通しが今おつしやる通りたとえ撤退するにしてもというお話があるのでありますが、非常に推測的で恐縮でありますけれども、一般国民としては呉の市民のみならずますますこの国連軍は長く呉を中心にして四カ国の軍隊がとどまつておるというふうに考えやすいと思う。つきましては現在おります米側の数その他については、大分御発表がありましたが、国連側の数及び四カ国の割合についてお示し願いたいと思います。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) これも数は正式には発表されておりませんが、大体英濠関係で呉地区に平均五、六千人おると、こうお考えになつて間違いないと思います。部隊の入れ替えのために臨時にふえたり減つたりすることはあります。大体常時おりますのは五、六千人です。在鮮兵力といたしまして英濠関係で約一個師団、その他の各国が大きいものは一個連隊、小さいものは大隊というふうなものを出しております。これらを寄せ合せまして約一個師団の兵力で、在鮮二個師団です。

高良とみ緑風会

○高良とみ君  一個師団というのは何人ぐらいと数えてよろしいですか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 一個師団と申しましても場合によつて非常に兵力は違うわけでありまして、一番大きく見ますと五万とか六万というふうな場合もございますが、まあこれは発表しておりませんからわかりませんけれども、そう大きな師団とは考えておりません。まあ二万以下ぐらいのものであると見ております。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 一連隊というのはどのくらいですか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 国によつて各構成が違います。ただ連隊を置いておるということだけ申しておりますのではつきりいたしませんが、これは常識的に見ますと連隊というのは三千ぐらいというのが大体の平均の数字でございます。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 それは各国別にどんなふうに、各国別と申しますか、ニュージーランド、濠州及びこの協定関係の四カ国というのはどのくらいになつておりますか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) ベルギー、ルクセンベルグを合せまして歩兵一個大隊、それから英濠関係が合せまして一個師団、その内訳は濠州とニュージーランドと英国を合せまして一個旅団、その一個旅団の内訳になりますと、オーストラリアが一個連隊、それからオーストラリアが又別の一個連隊、ニュージーランドが一連隊、英国が一連隊、又英国がそのほかに一個大隊、カナダが一個旅団、合せまして約一個師団になるわけであります。一個師団を編成しております。それからその他の国は、コロンビアが歩兵一個大隊、エチオピアが、これは部隊になつておりませせん、ただ、派遣軍、フランスもただ派遣部隊、ドイツはレッド・クロス、病院を出しております。ギリシアが一個連隊、イタリーが病院、オランダが一個部隊ですか、派遣軍となつています。これも小部隊であります。ノルウエーが病院、フイリピンが約一個大隊、一個大隊より少し多い程度であります。スウェーデンが病院、タイランドが一個大隊、トルコが、これは部隊と言つておりません。そのほかに空軍とか海軍が英濠軍関係におります。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 大体において総計、出したり入つたりがありましようけれども、五万と見るのですか、八万と見るのでございますか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 数は全然発表いたしておりませんから私もわかりませんが、普通に先ず大体二個師団というふうに常識的に言つております。師団というものは小さいのは一万から、大きいのは一五、六万まで国によつてご参ざいますから、よくわかりませんが、私はまあ大体一万から二万までの間ぐらいだろうと、こう考えております。この点はつきりいたしません。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 それから先ほど返還問題がありましたのは、七十九件のうちまだ六十一件ぐらい残つておるのでありまして殊に呉のように、旧海軍基地としておつた所が殆んど焼けてしまつておりまするので、市民の生活或いは生産の施設というものが全く方法がないわけなんです。で、港湾の返還の要求があつたと思うのであります。それは、今民間に払下げ、或いはアメリカの社会等に行つておると思いますが、その状態がどういうふうになつておりますか。播磨造船だとか、尼ケ崎というふうなものに使われている、そこはどういうふうになつておりますか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 民間に払下げましたものにつきましては、私のほうも関係ございませんので、向うが使つておりますものについて、呉地区から返還要求が出ているものだけを注意しておるわけであります。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 そうすると、払下げた形になつているわけですか。そして残りの港湾及び倉庫等が占領軍に使われているというふうに考えたらいいのですか。或いは造船所のごときも、あの大きな造船所は国有財産でありましたものが、依然として残つておるかどうか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) これは大蔵省のほうで、国有財産は扱つておりまして、私のほうはよく存じませんが、現に使つておりますものは、私のほうで知つておるわけでありますが、ちよつと地図を拡げて見ましても、大体現在問題になつておりますふ頭と、その周辺に多少介倉庫を持つておりますが、その南北の地帯は殆んど全部国連市が使つておりませんから、国有財産であるか、すでに払下げられたものと思つております。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 そして先ほど、この地方自治体の収入の問題があつたのでありますが、曾つてあの造船所、あの倉庫等が呉の全人口の生活のかてであつたわけなんです。ところがそういうときに、肝腎な所だけ、例えば出入口のいい倉庫とか、港湾とか、ふ頭とかいうようなものが使われ、おるために、市のほう等には非常な打撃を受けておるわけです。殆んど真中の施設がない呉市ですから、そういう場合に何か先ほどお話のあつた固定財産等の面に、国有財産の面から補償して行く方法は、特別立法のほかは方法が全然ないと考えておられますか、それとも市に貸して行くという方法を考えておられるか。それは国際協力局でお考えになつていると思うのですが、或いは大蔵省でなければわからないですか。

伊関佑二郎外務省国際協力局長

○政府委員(伊関佑二郎君) ちよつと私のほうではお答えいたしかねます。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 又あとで大蔵省のほうにお伺いします。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 この協定ができる前に、昨年の暮でしたか、司法裁判権問題に関する協定ができたときに、私はこういう点を外務大臣に伺つたのです。つまり吉田・アチソン交換公文によると、平和条約ができてからいわゆる国際連合のための行動が今後とも行われるかも知れない、それは必ずしも、現に続いておる、当時から続いておる、まあ今でも一応続いておると認められる、朝鮮動乱ということだけでなくて、もつと広い意味で、平和条約ができてから、国連のための行動がとられる。そういう場合に国連加盟国の軍隊を日本国内及びその附近において支持すること、日本が許し、且つ用意にすると、こういう約束を吉田・アチソン交換公文でやつているのです。そういうことになると、朝鮮動乱が最終的に終つて、現に日本に残つておる、いわゆる国連軍がいなくなつても、今後とも何らかの国連軍の行動というものが起るような場合には、この事実上の支持という言葉を使つているけれども、日本における駐留等を許すということを包括的に許可しているように吉田・アチソン交換公文は見える。そこで仮にそういうふうであつても、日本としては現に続いておる朝鮮動乱関係の国連軍についても、これはいつまでも地位に関する問題を条約上はつきりしてなかつた、これは悪いのですが、これははつきりすべきですが、これは撤退する場合、撤退条項をはつきりしなければいかん、こういうことを私は申し上げたのです。それに対して今度できる国連軍の地位に関する協定によつて、まあいわば現在の国連軍、朝鮮動乱関係の国連軍がいなくなつてしまえば、撤退条項も付けておるし、そういう問題は残らないというようなふうに答弁されたと私は考えておるのです。併し現実に今度できて来たものを見て、この協定を見て、又吉田・アチソン交換公文と対照してみると、どうもやはりそうじやなくて、非常に交換公文という、何と言いますか、余りおごそかでない形式で作つておるけれども、この吉田・アチソン交換公文における日本の義務は、朝鮮動乱に無関係に、包括的に、国連軍部隊の、日本附近における支持を約束した、一つの基本的な約束みたいなものとして残つておる。その一部としての朝鮮動乱にに出動している部隊の地位をきめる協定がここにある。その協定の中には確かにこの関係の部隊の撤退条項は付いておるけれども、この協定が別に吉田・アチソン交換公文にスーパーシードするわけではないのですね。一体そこら辺のことは法律的に日本の義務という観点からいつてどういうふうになるとお考えになりますか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) その点につきましては、こういうように考えておるのでございますが、平和条約の第五条で、国連憲章二条のいわゆるあらゆる援助云々の規定を受諾いたしました。これは平和条約が現存する限りは継続して、日本が負つておる義務だろうと存ずるのであります。そこで吉田・アチソン交換公文は、そのあらゆる援助を与えるという一つの方法として、朝鮮における国連の行動に従事する軍隊を日本及び近傍において支持することを許し且つ容易にするということだけを具体的に取上げまして規定したのが吉田・アチソン交換公文であるのであります。従つて、日本におる根拠は吉田・アチソン交換公文でありまして、今度は日本におることになりました部隊の地位、待遇を定めるのが今回御審議を仰いでおります協定であります。そういう三段構えになつておると思うのであります。そこでこの協定にも、定義のところではつきり国連の決議に基いて朝鮮において行動する軍隊というように規定しておりまして、従つてその軍隊がおらなくなればこの協定も終了してなくなるという建前であります。然らばこの協定が終了した場合に、この軍隊がおる根拠になつたところの吉田。アチソン交換公文はどうかという問題が起つて参りますと、吉田・アチソン交換公文におきましても、これは明らかに朝鮮において国連の決議に基いて行動が開始されたことから、こういう支持することを許し且つ容易ならしめるという約束をしておることは明らかでありまして、従つてこの交換公文もこの交換公文で言及した事態がなくなりますれば、当然目的を終了してなくなると解すべきものと思うのであります。そこで残るのは、本元の平和条約第五条の義務だけになつて参ります。そこで仮に今度他の地方で、何らかの国連の決議に基きまして、国連軍というものが、仏印かどうか知りませんが行動を起すということになりましたら、日本といたしましては、全然新たなる問題として、そのあらゆる援助といつたが、今年は具体的にどういう援助をするか、日本を後方の支持の基地として提供するかどうかという点は、全然これは日本としては新たな観点から考究いたしまして決定すべき問題だろうと、そういうように考えております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 私もそうあつて欲しいと思うのですが。思うのですし、更に吉田・アチソン交換公文は、これは飽くまで日本とアメリカ以外に拘束するとすれば拘束はできないわけですが、仮にアメリカに対する関係だけはそういう拘束力があるとしても、日本が国連加盟国全体、或いはアメリカ以外の国連加盟国で今後国際連合の決議に従つて行動するような国に対しては、日本としては拘束力はないのですから、こういうものがいつまでもそういう基本的な権利義務をきめるものではないと思うけれども、それからいま一つは、平和条約の義務は、これは勿論非常に不判定な義務であるけれども、基本的な義務としては我々も了承しておるのだし、日本の外交の方針としてもそれは正しいと思うけれども、併しそれが今後起つた場合には、改めてその第五条の精神、憲章第二条の精神に従つてやるべきであつてこの吉田・アチソン交換公文によつても、今後如何なることがあつても必ずいわゆる基地提供の義務があるのだとは考えられないのだが、併しその点は必ずしも一体、日本側の解釈はそうであつても、その点が徹底しておるかどうかという点をやや疑問に思うわけです。で今度の協定は、吉田・アチソン交換公文のいわば実施協定みたいな性格のものですが、併しこの協定自身は、成るほど軍隊がいなくなれば確かに消滅するわけです。併しそれにしてもこの協定の前文では、わざわざ第二項で、この交換公文において日本が、朝鮮動乱ということに必ずしも関係のない書振りで、国連の行動に従事する軍隊は日本国内及びその附近において日本が許し且つ容易にすることを確認したということをはつきり謳つておるわけですね。それから吉田・アチソン交換公文も確かに趣旨から言えば、平和条約はできた、併し朝鮮動乱は続いておると、そこにぽかんと断層ができては困るから、一律の経過規定、朝鮮動乱が続いておるということから来た経過規定だけで、その書き方から見れば、非常に朝鮮動乱ということに関係のないような場合でも日本国が国連軍を支持する義務或いは供与する義務を持たされたような恰好にもとれるのですね。従つてそういう点は非常に明確にしておかなければならないのではないかと思うのです。今条約局長が話されたことと、この前の私の質問に対する外務大臣の答弁でも、趣旨は同じだと思うのですが、その日本側の解釈というものが、本当にブリベールするのかどうか、その点が一点の疑いもないようににはつきりしておるかどうかという点が、これは非常に重点だと思うのですが、これは大丈夫なんですか、どうなんですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) そての点につきましては、米国初め他の国連軍諸国も何ら疑いをさしはさんでおらないと思います。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 ちよつと関連して。そういう新らしい問題か起つた場合、そうういう場合には、やはり先の古田・アチソン交換公文というようなものが例になつてそういう一片の交換公文で又新らしい駐兵という事実が起つて来るのですか。あの前の交換公文の場合は一つの例外として認めて、新らしい場合には何か新らしい事態に即応する何らかの方法があるのか。そういう場合は恐らく我々が予想しても緊急の事態であろうと思うから、国会でどうこうというようなことは実際はなかなか予想されないと思うが、事実問題としてどういうことになるのか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 吉田・アチソン交換公文のときには、平和条約というものと一緒に国会に出しまして平和条約、安保条約、それから古田・アチソン交換公文という三本建で国会に出したわけでありまして交換公文が平和条約から見れば附属書みたいな恰好になつておりますが、将来何らかの事態が発生して取極めをする場合には、これは交換公文では私けいけないと思います。やはり歴とした条約で、そうして国会の御承認を得た上で初めて、この義務を負うものでなければならいと思つております。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 この種の交換公文で或る国に対し相当特権といいますか、特別の地位を与えたというような例というものは今まであるのでございます

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 単独に交換公文でそういう重大事項を定めた例というものは、私は余りないと存じております。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 それからこの協定によつて刑事裁判権条項がNATO方式に改訂されたということになるわけですが、この裁判権の問題以外の財政経済問題というような問題についていう場合には、各国のこの種の協定、つまりNATOの場合の協定と比較してこの日本と国連軍との協定に何らかの違いはあるのでありますか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 実は日本側がNATO方式の採用を強く主張しておりましたのは、この刑事裁判権の問題だけについてなのでございます。なぜかと申しますと、ほかの問題はNATO協定の場合には各国が同じ立場に立つて、フランスの軍隊がベルギーに行き、ベルギーの軍隊もフランスに入つているという全く相互的の地位でございますので、他の問題につきましてはそのまま日本の場合には当てはまりません。日本の場合には一方的に国連の部隊が参つておりますので、そこで経費の問題につきましても施設を貸してやるのは日本だけの問題であります。そこで貸してやる施設をただで貸すか貸さないかという問題が起るのでありますが、NATO協定の場合には仮にこれをただで貸すといたしましても、ベルギーではフランス軍隊がただで貸してもらい、又フランスではベルギー軍隊がただで貸してもらうという財政問題につきましても全く平等の問題が発生いたしますが、こちらの場合では日本軍隊が濠州やニュージーランドで施設を借りるという問題がございませんので、刑事裁判権以外の点につきましては実はNATO協定との比較ということを全然念頭におかないで交渉して参りました次第でありまして、従いまして必ずしも他の点につきましてはNATO協定との比較ができないわけでございます。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 この協定の結果日本の財政負担上に明らかな問題として起るようなことは何かあるのでありますか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 財政上の負担と申しますか、積極的負担でなくて、とれる借料がとれないというような意味、或いはとれる税金がとれないというりような意味での負担は先ほど安川課長から申しましたように施設の借料の免除によつて有料で貸せばとれる七億円くらいのものがとれない。それから地方税におきまして二千万円くらいの電気ガス税、通行税等がとれないという点が一番大きなものでありますが、その他関税を免除いたしました点で、これはまあごく、たかは知れていると思いますが、これもまあ税務当局から言えばとれる税収がとれないということはあると思います。それ以外日本側から見まして日米行政協定のほうで分担金というようなものは全然ございませんので、アクチブな日本側の持出しというものは全然ございません。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 議事進行について。明日も続けてやつて頂きたいと思います。これは同僚委員諸君でまだ来ておらない方もありますから、今日はこのくらいにして。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) それでは本日は質疑はこの程度にとめておきまして、明朝午前十時から委員会を開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会

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