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19回国会参議院1954/09/13

外務委員会 閉会後第2号

発言数
103
登壇者
10
会派数
4
開催日
1954/09/13

会議録

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 只今より外務委員会を開きます。  本日の議題は前回に引続きまして国際情勢等に関する調査でございます。  前回にあらかじめ御了承を得ておきました通りに外務大臣は本日は午前十一時五十分まで在席せられて、それからはほかによんどころない御用向きがあるのであります。それをお含みの上において御質疑を願いたいと思います。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 議事進行について。吉田総理に来て頂くのはどうなつたのですか。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 吉田総理の出席に関しましては、事務局よりおいでを願えないかどうか前回の後に交渉をしておりましたが、返事がございません。今朝私から、緒方副総理が前回に御出席で事情もよく御承知のことでありますから、電話をかけてどういう工合か伺おうと思つてかけましたのでございますが、お宅にはおいでありませんで、私にできるだけ速かに連絡をとるようにということを申入れておきましたが、只今まで連絡がございません。そういう事情でございます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 この間の会の町にも、前の欠席の経緯について明瞭に御答弁を願うことを要求をしておきました。従つてあの時も実は申上げたように、今品は是非総理に御出席を願つて、いろいろ質疑をいたしたいと思つたのですが、御出席がないのでこの問題は留保はしておきますけれども、是非外遊前に一度この委員会に出て頂いて、外遊の問題その他について質疑を受けて頂くよう、これは総理の御都合を聞くのではなくて、当然に出席を要求するという態度で、委員長において善処されんことをお願いをしておきます。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 承知いたしました。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 前回中田君から資料の要求がありましたガリオア等の準備、できる範囲の準備をしておりますが、今中田君おられませんが、これはあとにいたしましようか。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 佐多委員に伺いますが、如何いたしますか。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 若しできていたらその資料御配付願いたいのです。今日それらの問題について後ほど私も質問したいと思いますから……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 資料としてここで口頭で申上げるように準備しているので、資料はありませんが、中田君がおいでになつたあとのほうがいいかも知れません、もう少し持つて……。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) それではそれは中田委員が御出席のときにするということにいたししまして、他の外務大臣に対しまする御発言をお願いいたします。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 議事進行ということでもないのですけれども、資料については私からも要求してあるのですが、それはいわゆる共産圏との貿易に関する最近の統計をお願いしておりますが、これは今日配つて頂けますか、或いは説明して頂けますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは準備ができてお配りできるはずでございます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 先日ダレス長官が見えたのですが、ダレス長官との会談の内容、経緯を一つ御説明順いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) ダレス長官との会談は、こういう会談の性質上、私から内容を申上げることは、先方もいずれにも発表しておらないのです。この点はお許しを願いたいと思いますが、ただ御参考までに申上げますれば、主としてダレス長行は一段的なマニラ会議の模様、そうして一般的なアメリカの対外政策等について述べられまして、アメリカの対外政策がジーネーブ会議なり、仏印の休戦なりによつて何ら変更しておらない、これはマニラ会議でも言われたようでありますが、その趣旨のことを述べられました。その他いろいろの点について一般的な意見の交換はありましたが、具体的にどうという問題は、日本に関する限りその会談においては取上げられて、おりません。従つて主として一般的な意見の交換と御了承願いたいと思います。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 その会談の内容について詳しくは、或いは差障りのある問題があるかと思いますので詳しくはお聞きしませんが、併し今のような一般的な会談だけではなくて、もつと具体的な会談をされたんじやないか、というのは、ダレス長官が八月十日でしたか、日本を去るに当つての声明には、それらの点をかなり具体的にはつきり少くとも題目は提示しております。一般のステートメントにそういうことがはつきりしているのですから、それに対応する程度くらいのお話合いはできるんじやないかと思います。もう少しその点を具体的にお話し願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私もダレス長官の立つときにおりましたが、具体的な問題について言及されたように思つておりません。まあ主として具体的なことは、吉田総理の来られることについては歓迎するということの趣旨のことは言われまして、その他のことはちよつと私気がつきませんでしたが、例えばどんな問題があつたか……。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 あの離日の声明によれば、東開アジア条約と太平洋憲章の意義について討議し、意見の交換をした、この点はすでに外務大臣もおつしやつた通りであります。更にあの極東政策全般についても話合つた、又日本の経済問題についても意見を交換したというような非常に具体的に題目だけは話を出しておられるそれらの点についてもう少し……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) まあアメリカの極東政策というのは、先ほど申したように結論的に言えば、いろいろジュネーブ会議、仏印休戦その他ありますが、政策において変化はないということに結論はなるのであります。日本の経済の問題については、むしろこちらから今まで耐乏生活といいますか、緊縮予算の趣旨を徹底し、これを堅持して行くつもりであるということを主として説明をいたしました。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 関連して外務大臣に伺いますが、会談の内容に触れて余り詳しいことを話したくないという話ですから、こういうことはなかつたろうかというような意味で伺うのですが、今言つたようにまあSEATOとか太平洋憲章の趣旨、アメリカの政策等の説明があつたということですが、然らばSEATOに日本が入ることの勧誘というようなものはなかつたのかどうか。又これに関連していわゆる東北アジアといいますかの防衛同盟ということの構想についてダレス氏から話があつたのかないのか。それから経済問題について、やはりSEATOとの関係において日本の経済を助けるという意味で同じくSEATOにいわゆる参加の途が開けておるわけですから、そういう経済方面についてだけでも日本が入るというような勧誘等があつたかどうか。なかつたのたらなかつたということだけでもよろしい、お話願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) SEATO加入等の問題は全然出ません。又NEATOといいますか、東北アジア方面の構想は、私はまだそう具体化したものはないのじやないかと思いますが、これは全然触れなかつた。それからSEATOの中の経済問題については一応の考え方の説明はありましたが、日本が参加するかしないかというような問題については全然言及がありませんでした。恐らく私の想像では、またそういうどの国が入れるか、どの国を入れるべきかというようなことについても、具体化といいますか、具体的にはまだ研究が済んでいないのじやないかと思います。国によつていろいろ意見の相違がありますし、アメリカ側としても限りあることであつて、趣旨しては結構だが、そうどんどん接助ということはむずかしいのじやないか。この点いはやはり日本の参加というようなことについては何も話がありませんでした。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 続いて伺いますが、台湾に対する問題が、極東のみならず世界の平和の癌といいますか、現在非常に緊張のポイントになつておるのですが、何かその台湾に関する問題に触れて、軍事的の方面或いは台湾対中共の問題に対するアメリカの態度、日本政府の態度等について意見の交換がありましたか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 先ほど申したように、アメリカの政策は余り変つておらない。余りといいますか、変つておらないという趣旨のときには、台湾の防衛ということについても変つておらないということに私は了解しております。これはこれから申上げるのは会談で出たのじやありませんが、御参考までに申しますと、ダレス長官は、アメリカを立つときでしたか、新聞の質問に答えまして、こういうことを言つていると了解しております。それは、台湾の防衛はアメリカとして考えておる、この方針は変つておらない。併しそれにその防衛上、台湾本土は勿論防御することになりますが、如何なるその外側の地域を防衛することが台湾の防衛上必要であるかということは、これは軍当局が考慮すべきことであつて、その軍当局の判断に基くものである。で、いやしくもとにかく台湾防衛にどうしても必要だというものは防ぐ。併しそうでないものは、言外には、必ずしも防がないというように、新聞では話しておられるようでありました。大体私はそれがアメリカ政府の考え方じやないかと想像しますが、これはまあ新聞記事で発表されているかどうか知りませんが、新聞にそういうふうに話されたので、それを以て直ちにこうだというわけには行きませんが、御参考までに申せばそういうことがあつたようであります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 今のやつに関連して。この台湾周辺のどの島嶼を防衛するかという問題、従つて又金門島に対してどういう態度をとるかという問題は、今外務大臣のお話のように、軍当局の判断に任すということになつていたようですが、外務省が入手された情報その他によつて、軍当局は一体これに対してどういう判断をし、意見を持つているのか、その辺を情報としてでいいですが、正確に評しく御説明を願いたいと思います。若し外務大臣であれだつたら、事務当局からでも結構です。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは情報と言つても、なかなかそういうものは外務省の手には入つておらんと思います。又情勢によつて、これはいろいろ変ることもありましようが、私の想像では、少くとも膨湖高の守備ということは、台湾の守備に必要である、つまり膨湖島が中共の手に入れば台湾は危いということは、少くとも言えるのじやないかと思います。それから同時に、今金門島とか、峻門の周辺で双方がいろいろやつおりますが、これにはアメリカ側の部隊は出動していないということも事実のようであります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 事務当局のほうは、何かそれに関連する詳しい情報はないのですか。軍のほうでも意見が対立して非常な激論が行われているとか何とかいうような、いろいろな情報もあるようですから、それらをもう少し情報としてでいいですから、正確に御説明を願いたい。

中川融外務省アジア局長

○説明員(中川融君) 金門島が例えば攻撃された場合に、米軍がこれに対して国民政府軍を援助するかどうか、この点につきましては我々も確たる何も情報を持つておりませんし、新聞等に出ておりますところの報道を総合して判断しておるだけであります。金門島についてはまだいろいろの意見がアメリカ内部にもあるように聞いておりますので、決してはつきり詳しいことは……、我々新聞等による情報では、そういうようになつておるとは考えておりません。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 そのいろいろな意見はどういうものかということを聞いているのですよ。

中川融外務省アジア局長

○説明員(中川融君) これはアメリカ車の、アメリカ政府の意見としてきまつたものは新聞等には報道されていないのであります。推測記事がいろいろ出ておるのでありますが、その推測記事によりますと、金門島につきましては、これはアメリカ軍が援助すべきでない、こういう論もございます。大体そういう論のほうが多いようでございますが、併し必ずしもそれに限られてはいないようであります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 もつとその点を、空軍の考え方、海軍の考え方、いろいろ変つているようですから、それらの点をもう少し評しく御説明を願いたい。情報として伝えられるもので結構です。

中川融外務省アジア局長

○説明員(中川融君) 空軍の考え方、海軍の考え方等と分けては、いろいろ情報等は我々の知つている限り聞いていないのでありまして、アメリカ軍当局、或いはアメリカ政府当局の考え方ということで聞いておるのでございます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 今申上げた軍当局の内部の意見の対立、特に空軍と海軍との見解の相違というものはかなり詳しく報ぜられておるように思いますので、この機会に無理ならば次の機会で結構ですが、もう少しそういう情報を正確に、情報としてでいいですから、正確に一つお調べ願つて、御報告、以いは資料として御提出を願いたい。

中川融外務省アジア局長

○説明員(中川融君) さように取計らいます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 台湾に関連してちよつと伺いたいのですが、これはまあ誰も承知のように、折角インドシナの停戦ができて、世界中がいわゆる熱い戦争がとにかくやんだというところへもつて来て、非常な危険な状態が醸されておるわけです。そこでこの際、一体日本としては、台湾の問題について政府はどういう見解を持つているのか、これは日本の安全に非常に至大な関係があることでありまするので、台湾の事態に対して日本政府はどういう方針で、どういうことを希望するか、この点について政策的な面を大体明らかにするのが必要ではないかと思うので、この点は外務大臣から伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは、台湾の国民政府との間に条約を結びしましたということは、国民政府が一朝にして形が変るとかいうようなことを予想しておらないのでありまして、アメリカ側としても国民政府を援助して、台湾の地位の安全を図るという方針と承知しておりますし、我々もそのつもりで条約を組んでおります。併しながらこれはむしろその何といいますか、守勢、パッシブな問題であつて、台湾自体の安全ということが確保されるであろうという予想の下に条約を結んでおるのでありますが、これが今度台湾から外へ行くことの可否ということについては、別の問題になります。これについては、今まあ有効にはなつておりませんが、前の第七艦隊の声明は、初めは台湾が出て行くことに対しても賛成でないし、中共側が台湾に出て来ることに対しても賛成でないという態度でありましたが、それが朝鮮事変後暫らく経つて変つて来ているように思います。要するにアメリカ側としては、朝鮮でアメリカの将兵が非常に死傷しておる際に、台湾が本土のほうへ進んで行くこともとめるということは、要するに中共の力を台湾正面のほうは抜いて朝鮮へ持つて来てもよろしいということをギャランティしているようなものである。従つて馬鹿らしいじやないかということから、その点が変つたが、それは主として朝鮮事変に関連して起つたことであつて、アメリカ側としても、何と申しますか、事を好むという考え方はないように思います。ただ国民政府から言えば、本土に戻るということを前から言つておるのでありますから、又中共側から言えば、台湾解放ということを前から言つておるのでありますから、そこになかなかむずかしい点はあろうかと思います。併し私はアメリカ政府の方針は、台湾を守るということに根本趣旨があるのであつて、それ以外のことまでは考えておらんのじやないか。それについては政府としても同感でありましてそれ以外のことは恐らく国民政府自体が、先方か先へ撃つたかこちらが先にやつたかそれはわかりませんけれども、要するに国民政府と中共側で行われることであつて、これは我々としてはむしろ早く鎮静に帰することが望ましいと考えております。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 これは政府の態度から言えば、台湾政府はただ単に台湾の政府であるのみならず、その支配地域が拡がるに従つて、その支配地域、例えば中国本土に拡がればその部分に応じて中国の支配者であるというような条約を承認しておられるから、まあ台湾の少くとも防衛については、これを精神的に支援するという立場はとつておられると思うのですが、併し只今のあなたのお話にもあつたように、少くともこれは日本政府を含めて、国民全体の気持からいうならば、勿論二つの政府が別々にあつて、お互いに中国全体の支配を争つておることは非常に不幸なことであるから、少くとも如何なる大陸反攻という台湾政府が主張を持ち、又中止が台湾解放という主張を持つても、その主張達成の方法においてはいわゆるこの際武力で無理やりに国際間の緊張を、或いは均衡というものを破つてやるような行き方は日本としてははつきり支持できない、こういう主張をもつとはつきりすべきではなかろうか。今外務大臣が指摘されたように、アメリカが朝鮮動乱が始まつたときは、いわゆる台湾を中立化といいますか、要するに台湾に対して中共側が武力進攻して来る場合は、これを第七艦隊か阻止する、だが同時に台湾政府が逆上陸をやることも同時に阻止する、こういうまあ交通遮断みたいたことを公平にやつておつたにかかわらず、アイゼンハワー政権ができたときの方向というものは、今外務大臣が指摘されたように、今一方交通である。つまり大陸から台湾に対する攻撃しに対しては、アメリカが実力で阻止するが、台湾から逆上陸の場合は一向阻止しないような非常な危険な決定をしておる。これはまあ心理的な圧力を中共に加える、殊に朝鮮動乱が継続している間はそういう主張を持つておつたかも知れないが、我々としては絶対にそういう主張に反対しておつたわけですが、その点については、とにもかくにも昨年の七月二十八日に朝鮮の休戦協定ができて、爾来アメリカの態度にもやはり相当な反省と冷静さがあつたやに考えられる。従つて只今の外務大臣の言葉にもあつたように、私はアメリカがどうだからということでなしに、日本としては中共に対しても旧民政府に対しても、いずれも武力でその支配に関する主張を貫徹する方法は、反対である。その点をはつきりすべきではなかろうか。その上に立つて然らば中共に対する国連問題の観点から、中共に如何なる処遇をするというような主張はどういうふうに取上げて行くかという問題が当然にあるわけですが、そうして又台湾の将来の帰属については、これはもう当然に条約上の見地から言つても、いわゆる中国人がきめるものであつて、外部からいろいろなことで邪魔すべきものではない。その将来の帰属というものは、これはもう中国のものであることは明白であるけれども、取りあえずのところ、台湾に対して実力で中共がやることもいけないし、父それを機会にむしろこの際何といいますか、まあやけのやんばちみたいになつて、国民政府側が何か逆上陸的な気持から、わざと事態を起して、そうして中共とアメリカとの全面的な衝突に持つて行こうということに対しては、アメリカがどう考えているかは別として、日本としては絶対反対である、こういう点を明かにする必要があるのではないかと思いますが、只今の外務大臣のお話では、とかくアメリカはこう考えている、我々はアメリカの考え方或いは主張、中共の考え方、主張、それから台湾の政府の考え方、主張ということを承知しつつも、おのずとその間に日本独自の主張、これがなければならないと思うのですが、そういう意味でもう一遍政府の意見を質したいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはなかなかむずかしい問題で、私はこう思うのです。こういう紛争が大戦争になるような危険がありますれば、これは勿論防止しなければならん。この点は曾弥君と全く同意見であります。併しなからこの今行われております紛争は、まあこれで中国内部のニつの勢力が相争つておつて、いずれも正当性を主張しておるわけであります。その内部の国内の争いという観点から立てば、これを武力でやつちやいかん、平和的にやれということすら私は内政干渉になるんじやないかと思うのです。ただこれが世界的戦争に波及することについては、これは極力防止したいことは当然であります。その点はなかなかむずかしい、というのは、これは純然たる国内の問題でなくて、例えばアメリカの第七艦隊とかいろいろな問題が入つて来ておつて、そこに複雑な様相を帯びておりますから、一概に判断はできないけれども、まあ観念的に国内だけの紛争であるとすれば、これはどうも争つても止むを得ないんじやないか。併しそれが国際的な関連を持つた場合には、我々としては大きな戦争になるようないやしくも懸念があるようなことがないようにすることは、これは当然であります。その判断が、この特殊の事態においては両方にかかつておりますから、非常にむずかしいと思います。むずかしいですが、私の基本的な考え方はそういうふうに傾いておる。従つて最後に曾祢君が言われたように、これがきつかけになつて例えばアメリカが紛争に引込まれるということのないように、つまり国際的な戦争状況にならんように努力することは、これは私は日本政府としても当然のことであり、又そのつもりであります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 一言だけ。大体の御答弁は方向において私の考えと余り違いないかと思うのですが、もう一歩踏み込んで世界の形勢を見れば、現在の国際緊張が緩和したと言いながら、その緊張の緩和というものは非常に不安定な均衡の上に立つておると私は見ておる。例えばドイツにおいてもまだ分割されておる。朝鮮が分割されておる。インドネシアも分割されておる。いずれもその分割の上のかりそめのバランスというものに立つておるのが現在の状態ではないかと思います。従つて単なる理窟から言えば、いずれも国内問題だから、西ドイツなら西ドイツが実力で統一を図つた場合には、これはドイツの国内問題ということではなくて、このこと自身が国際間の大きな平和に対する脅威である。同様にインドネシアの問題にせよ。それから朝鮮の問題にせよ、又この二つの中国の問題でも同様だと思う。でありますからこれはもう外務大臣に対しては釈迦に説法のようですが、国内の問題だから一切、一切ということでもないのですが、大戦争になりそうもなければ、どこまでが内政干渉だという考え方は、これはむしろ国連の精神から言つても外れておるのではないか。或る種の問題は国内専管問題であるから黙つておれということは、すでにこれだけ世界の平和というものが何といいますか、不可分である。一地方の平和は全体の平和に関連性があるという観点に立つならば、二つの陣営に分れておる国のバランスというものを実力で回復、しようということは、これ自体が国連の精神である国際平和に対する脅威であつて、どの程度になつたら大戦争になりそうだからいけない、ならないというなら角突き合いをやつてもいいということは間違いである。そういう一つの見地に立つて、我々の少くも希望としてはいま少し明確に、例えば台湾問題についても、ドイツの場合といえども、今この際武力解決に走るようなことは、これは大きく言えば平和に対する脅威である。であるから日本としてはそういうことに反対である。こういう明確な態度でやつて、一向条理並びに現国際情勢の上に立つて、正しい現実的な平和論の見地からいつて私は間違いでないというふうに考えておりますが、なおもう一言して頂けば結構であります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 大体についてはお説の通りだと思います。思いますが、そういうふうに上から覆いかぶせて言えるものであるかどうかということについては、個々の問題について多少私は違う場合があるのではないか。例えばこれは全然別の問題になりましようが、或る島を、これは例えば中共側の地域だとしているのを力を持つて国民政府が無理やりに取つて来た、それでももうそのときで事態は終つて、それ以後取返すという実力行為をしてはいかんじやないかということになれば、取られたほうには不公平になる。つまり今までの情勢が両方に公平なものならばそれはその通りでありますが、今までのところはこれで止むを得ないからおしまいだ、これからは一切武力を用いてはいけないということになると、おれのほうは直前に武力で取られた、それは向うが悪いのだから取返えすという議論が出て来るのではないかと思います。従つて何でもかでも、今までのことは既成事実だ、これからは武力を用いてはいけないということは、ちよつと言いにくいのではないかと思いますが、それはよくわかつているし、又朝鮮やドイツでは条約でお互に切つているのであつて、これを乱すということは、これはどうしてもほかの国が出て来ることになりますから、非常に問題であろうかと思いますが、まあ台湾についても、程度の問題はそうでありましようけれども、併し又国際的に今までのものは既成事実で、今後はごの事実を動かしてはいけないということは言つていないのではないか、こう思うのは、つまり私の答弁がはつきりしたいせいだということになるかと思いますが、御趣旨はよくわかつております。私も結論としてはそういうことになろうかと思つております。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) この際お控えになつておつた高椅委員の質問の御通告がありましたので、御質問願いたい。

高橋道男緑風会

○高橋道男君 私は外交と文化の問題について大臣にお伺いしたいと以います。世界の各国で文化を表面上尊ばない国はないと思いますが、我が国は特に戦後新憲法において、文化国家建設ということを表面に強く繭つているわけであります。そういう意味からして私は外交上、文化の地位をもつと重要に考えなければならないというふうに考えるのでありますが、先だつての委員会におきまして、鶴見委員からブラジルのサンパウロの四百年記念祭に代表が行かれるときの候補になつておる力について質問があつて、その氏名を大臣から発表されましたが、その方々はすべて経済関係の方々が主であるという印象を私は受けたのでありますが、こういう四百年記念祭というような世界的な意味の強いような祝典の場合は純粋な文化に関係の深い人がその使節に加えられることがいいのではないかというようなことを私は感じたのでありますけれども、そういうような一例を以てしても、文化問題に対する観点が非常に無視されているのではないかということを思うのでありますが、外交上における文化という問題について大臣のお考えを承わりたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私どもはあまり文化を云々する性格はない未だ素養のないものですが、おつしやるような文化関係、これは非常に広い科学、技術まで入れての問題ですが、国際関係を処理して行く上においては非常に役立つ、又外国との間の理解を深めるのに非常にいいものでありまして、例えば映画のコンクールを見ましても或いは先般のイタリー等における能の上演を見ましても、それから日本舞踊等がニューヨークで好評を得ているというようなこと、それから最近は文学書類がかなり糠沢されて、これも好評を得ております。又松方コレクシヨンのようなものをフランス側が日本に返そうとしているというようなことで、非常に文化関係については、国際問題を処理する上に直接どうということはありませんか、非常に役に立つものである。又これは役に立つ立たないという功利的なものでなくて考えなければならないと思つております。実は御承知のように終戦までは外務省には情報局とか情報部というものがありましたが、文化関係を直接担当するような名前はついておらなかつたのでありますが、やらないことはなかつたのでありますが、それを先般からは情報文化局という名乗りを上げまして、文化方面にも大いに力を入れるのだということを看板の上でも明らかにしております。それから文化関係のいろいろの協定、例えばブラジルだとか、フランスだとか、イタリーだとか協定を組んでおりますし、又双方に日仏会館とか、日伊会館というものを作ろうとしております。その他できるだけこういう方面の知識を一般の外交官に得さしむるために外務省研修所におきましては、この方面の素養を一つの必須な条件としておりまして、海外に出る前にいろいろこういう養素を十分ではありますまいが、努めさしております。ブラジルにおきましての四百年祭につきましては、すでに日本の文化を紹介するために、これは居留民の非常な努力があつたのでありますが、数千万円を費しまして、日本の家屋と、これに伴う近代的な家具その他の装置をしました建物を作りまして、日本の文化の紹介に努めております。これは非常に好評でありまして、この四百年祭が済みましたならば、ブラジル政府に寄贈することになつております。それに関連しまして芸能人等の派遣も行われておりますし、又一、二日本の又化関係を紹介する講演等もなされております。十分とは私勿論考えておりません。今後よほど努力しなければなりますまいが、できるだけこういう法面にも意を用いて行くことは外務省としては当然のことであろうと、こう思つて従来に比べればよほどカを入れておるつもりじやおるのであります。

高橋道男緑風会

○高橋道男君 只今サンパウロの記念祭に対していろいろな宣伝活動をしておられることも非常に結構でありますが、今回の使節に一名でも二名でも文化人を正規に加えられるということが、更に画龍点開ということになると私は思うのですけれども、そういうような御計画はできないものかどうか伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これも非常に研究されたのでありますが、如何せん予算が非常に制限されておりまして、ブラジル等には先ず第一に文化よりも、先ず文化よりもと言つちやいけませんが、移民という直面した問題がありまして、この方面の人もどうしても加えなければならない。それから経済的な交流という面もありまして、この方面も必要であるということで、文化関係のは先方の四百年祭の計画に織り込んでありますものですから、それでかなりの力を注いでおりまして、実は今度行く人たちの旅費を皆集めましても文化関係に使つた金には遠く及ばないのであります。従いまして今回は人数に制限がありますものですから、そういうことに結局できなかつたのであります。併し努力も全体を見ますればむしろ金額におきましては文化関係はかなり余計使われておるということは事実であります。

高橋道男緑風会

○高橋道男君 将来の外交官養成の上に文化の素養を与えることについて御配慮があることは誠に結構でございますが、忌憚なく申して外交官として育成されて行き又実地の修練を積まれる方にはそれだけの十分な能力があられることは私も認めますけれども、純粋な立場、或いは純粋な経路で外交官になつて行かれるという意味におきまして外交上のタクチクスについて主点が注がれて、そうして文化という面についてはどうしても二の次に考えが行くというようなふうに私はなり勝ちじやないかということをまあ考えるのであります。そういう意味においてそういう正規のルートによる外交官畑の人ではなしに、別の純粋文化の面からそういう情報活動などに働く人を採用するというようなことについてはお考えはないのでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これもお話でありますが、実は戦争前にも外務省の正規の職員で日本的に詩人としての令名を請われた人もあるのであります。こんな人はむしろ外交、我々のいう普通の外交問題でなくて、むしろ文化問題に非常な努力を注いでおつたのであります。外務省としてはそういう人も必要であるというので、決してこれを冷遇せずにおつたわけであります。今でも普通の外交事務よりも文化問題に非常に熱心な職員もしばしば見受けるのであります。併しお話のように何と言いましても全体から見まするとそれは専門家にかなうわけではないのでありますから、この意味では例えば日本の宝物といいますか、十代のいろいろな品物をワシントンその他で昨年陳列いたしまして非常に好評を得たのであります。このときなどはやはり外務省から元の美術学校の教授などを顧みまして講演をしてもらいまして、その講演が非常に効果を収めた。こういうふうに臨時的にはいろいろのことをいろいろの方面の人に願いをしておりますが、将来は積極的に専門家を、つまり文化アタッシェ的なものを設けることも考えておるのであります。今でも情報文化専門の職員は主なる公館には煙いておりますけれども、これは外務省職員の中のそういう方面に比較的詳しい人を出しているが、十分でないと思います。ただ予算の関係がありまして今思うように行きませんが、構想としては文化アタッシェというようなことは前から入つておりまして、機会があつたらばただ一時的にでもこれを実現したいと考えております。

高橋道男緑風会

○高橋道男君 只今大臣の御発言の中に文化アタッシェというのがございましたが、十日ばかり前の新聞発表によりますと、来年度の文部省の予算の中にそういう文化アタッシェという名目で計上されておることを知つたのでありますが、そういうことについて何か文部大臣から外務大臣のほうに御連絡でもあつたことがございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは文部省としてはもう従来から希望しておりました。外務省で予算がとれないから文部省でとつて、外務省に配属して出したいという希望がありました。私のほうはそれでも結構だと思うが、併しその場合でもできるならば文部省の職員でなくして、専門的なものをお願いしたい、こう思つておるぐらいでありまして、これは従来から話しておりましたことであります。

高橋道男緑風会

○高橋道男君 そういう関係で文、外務両省の間でそういう専門的な立場の文化アタッシェというような人が配属されて来る計画は、非常に結構に存じますので、これは希望として、そういう予算計上を直ちに認められるということまで行ければ最も結構でありますけれども、両省においてなおそういうことができることに御尽力を仰ぐことを希望しておきたいと思います。  次にお尋ね申したいのはやはり文化関係のことでありますが、先だつての新聞で中国並びにソ連から学者、文化人などの招請があつたということを伺つたのでありますが、これは先般の委員会においても旅券について非常に窮窟なというか、非常に厳格な態度をとつておられる上から、どういうような裁きを与えられるか、若干心配になつておるのでありますが、これは政治関係とは違つた別の意味を持つたものだと思つておりまするので、大臣のお考えも一般政治、思想問題とは違うと思うのであります。けれども、どういうような御見解でありましようか、伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 実は大体私も新聞で見ましたが、その後注意して文部大臣にも聞いてみましたのですが、まだ連絡がないということで、新聞報道以上には承知していないのですが、私は文化関係とか科学者とかいうことで、いろいろ行くとかいうような話もありますようですが、原則としてこれはいかんというつもりもないのですけれども、とかく先方では何か文化にしても、音楽にしても、文学者にしましても、甚だしきは科学にしましても、普通の論を吐くと叱られて、やはり共産主義に副つたような議論であり、或いは画であり、音楽でなければいかんというようなところがまま見えて、普通の純経済理論から議論をして追放になつたというような人もあるようにも問いおりますし、なかなか先方の考え方はむずかしいように思います。従つてこちらは文化とか科学とかいうものと政治とは全然離しておりますけれども、先方はどういうものですか、これらの点は考えてみなければならん点だと思いますが、この間の中共行きの社会党のお話も、何かその他の政党の者も加えてというようなことも出て来ておるようであつて、それなら我々は何遍も言う通り、考えやすいのであるということと同様に、文化とか科学とかいうことになると、日本側としては非常に考えやすいということは言えると思います。実は今申した通り、具体的にこういう話でこうなつておるのだということは、注意しておりましたが、私のほうにはまだ来ておりませんので、もう少し具体的になつてから考えたいと思つております。

高橋道男緑風会

○高橋道男君 そうしますと、具体的になつてからでないとわかりませんが、ソ連のような場合に、向うからの招請があつて、これに旅券を出すか出さんかというような場合には、向うの考えておることも、つまりどういうような会合で、どういうような目的があるかというようなことも、お調べになつた上でなければ旅券が出ないということになるのでしようか。又そうであるとするならば、向うのそういう企てということについてお調べのできる機関などはお持ちなんでしようか。念のために伺つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これにつきましては勿論外交関係がありませんから、そういう機関を持つているというわけには行きませんけれども、これは私は調べる方法はあると思います。又大体のことはわかると思います。併しそれだけではなくて、たとえ先方がまあ仮に何か非常な政治的な宣伝をするために或る人を呼んだと仮定しましても、これはほんの仮定の問題ですが、こちら側から行く人がそういう宣伝に迷わされる心配がなければ、これは又大して問題にする必要はないわけでありますが、こちら側のほうのこともあろうかと思います。まあいずれにしましてもいろいろのところを、私だけでもこれは検討できない問題であつて、例えば文部大臣の意見も聞かなければならない問題もありましようししますが、こういうふうに各方面の考え方を聞いた上で然るべくいたしたいと、こう思つております。

高橋道男緑風会

○高橋道男君 もう一点お尋ねしたいのは、現在外交官を全世界に派遣しておられる上において、これはまあ過渡的な問題だと思うのですけれども、一年なり一年半を任期として交代させておられるということは、勿論これは戦時中の空白期間を埋めるための外交官養成の一つの方式であるかも知れませんけれども、殆んど全部の外交官がそういうような方式によつて、一カ所に落着いてその国の問題の検討ができないというような情勢にあるように私どもは観測するのでありますが、これは大臣の方針としてそういう方法をとつておられるのか。若しそうであるとするならば、これはいつ頃に全部の一巡が終るのであるか、そういうようなことをお伺いしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは私の方針ではないのでありまして、私は実は適当な人は三年でも五年でも、或いは十年でも同じ所に置きたいというのが私の方針なんであります。ところがそういたしますと、まあ私の方針通りやるとしますると、すでに課長級以上の人で、外務省に入つてつまり十年以上たちまして、而も一遍も外国へ行く機会がないという人がかなりおりまして、私の方針通りやると、これらの人は約八十年たたないと最後の人が外国へ行く機会がないというような計算になりましたものですから、それでは職員の訓練上も十分でない。本省において課長の職をしておつても、その国へ行つたこともない、何も知らんというようなことでは思うような仕事ができませんので、止むを得ず節を折りまして、大体二年を境として一廻りするという過渡的の制度を承認したのであります。で、今現状におきましては、あと課長級くらいの人でありますと、七、八名か十二、三名程度動かせば、それで一応一巡するということになりますので、もうすでに私の考え方にだんだん近くなり得ると思つております。現に例えば或る公使のごときは、すでにもう四年以上もヨーロッパにおるというような例もあるのでありまして、必ずしもみんな変えるということも、原則であつて、例外はしばしばあるわけでありますが、いずれにしましてももう大体一巡しましたから、今後は適任者を適所に置くという方針で進みたいと考えております。

高橋道男緑風会

○高橋道男君 私も昨年あちこち見せて頂きまして、何かこう外交官養成のために国策を犠牲にしておるような感じをしばしば受けたものですからそういうお尋ねをしたのでございますが、そういう方法をなお若干でも続けられるものであるならば、一部の人を、今大臣が止むを得ず妥協したと仰せられるような方式で派遣されることは、これは止むを得ないかも知れませんけれども、そうでない一部、或いは過半の人はその土地に相当長く落着いて、しつかり現状を把握するというような方法を是非とつて頂くことを希望しておきたいと思うのであります。昨年私が参りましたときには、或る所で一年以上おつてその国の言葉がわからないというような外交官の人もあつたのでありますけれども、これはまあすべての外交官に、自分の赴任する国の言葉を全部マスターするということは、これは困難でありましようけれども、むずかしい外交上のことならばともかくも、一応の常識として、自分の赴任している国の言葉くらいはわかるようになるのが当然じやないかと私ども思うのでありますけれども、折角の配慮にかかわらず、一年もおつてその国の言葉がわからんというようなことでは、外交官の外国駐在を一巡せしめるというような方針にも合わないと私は考えるのでありますが、そういうような駐在の方式などについて何か特別のきめというようなものはやはりお持ちになつていると思いますけれども、それはどうでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはどうしても用務がありますから訓練ばかりするというわけにも行きませんが、できるならばヨーロツパの経験のあるものはアメリカ大陸にやるとか、逆の場合もあります。ただ特殊の語学を要するもの、例えばスペイン語でなければならん南米方面、或いはポーランド語、ロシア語というようなヨーロッパの内部のほうの国、こういう人は戦前から経験のある、語学のできるような人を主としてやつておるわけであります。ただ特殊の語学のところには特殊の人だけ行くのだということにはなかなか行きませんのは、通常の仕事がありますからして、その仕事を片づけるために通常の語学以外の知識のある人を出さなければなりません。大概今では、例えばスペイン語ができなくてもフランス語ができれば話ができるというような種類の程度のことがありますけれども、ですが語学については特に注意をいたしまして特殊語学に対しては手当を余計出すようにして奨励はいたしております。私の例なんか申しましても、私は中国に前後八年おつたのですが、甚だお叱りを受けるかも知れませんが、中国語はできなかつたのであります。それはむしろ習うひまもないくらい普通の仕事に追われていたということであり、一部は怠けておつたからかも知れませんが……。併し一般の仕事をするには必ずしも、語学ができれば勿論それはいいことでありますが、例えば経済問題になりますれば語学、特殊のテクニカル・ターム以外のことができなくて或る程度こなせるようなものもないではない。併し仰せのような趣旨でできるだけその国の語学はできるようにするという方針ではやつております。

高橋道男緑風会

○高橋道男君 民族感情をつかまえるにはその土地の、その国の言葉がわかるということは非常に大事だと私は思うのですが、そういう意味において特に韓国の問題です。韓国語というものをどういうように扱われるか。これは外務省だけの問題じやなしに文部省の問題にもなるのですけれども、現存国立大学で朝鮮語というものを正規の学科として扱つておられないように思うのですけれども、これなども私は韓国外交の一つの感情的な問題にも影響があるかと思うのでありますが、そういう点については外務大臣はどういうようにお考えになりましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 韓国語につきましては、戦争終了後は実は余りその必要を認めなかつたものですから外務省でも特に専門家という人が非常に少いのであります。併しそれでも全然ないではありませんので、多少はおります。今後はこの方面の言葉もやはり必要じやないかも思つてできるだけそういう専門家みたいなものを養成したいと考えております。現に外務省でも少数でありますが、朝鮮語がわかる人はおるのであります。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 高橋委員がお済みでしたら発言を求めたいと思います。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) よろしうございますか。それでは佐藤委員から賠償問題についての御質問がございますので、この際……。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 質問事項に入る前に一言申上げておかねばならんと思いまするのは、前回私が質問要求をしたことについてのこの質問事項中に私は特定の問題は掲げていなかつたのでありまするけれども、審議の進行の都合によつて発言を留保いたしておいたのでありまして、そのためにその立場に立つて私は発言を求めたわけであつたのであります。ここは公開の席上でありますし、殊には外国の新聞も代表されて見えているかと思いますので、私は何のために発言をしたのかということについて、誤解を避けるために今のようなことを一言申述べておきたいと思つたわけですが、本日は自由に議員諸君が質問ができるということでありまするので、私も只今発言を求めたわけであります。  賠償問題について、私はかれこれ特定の国についてどんなことがどうということを外務大臣にお尋ねする気持は持つておりません。外務大臣としても平和条約締結以来この問題について非常に腐心されておりますことはほぼ承知いたしておりましたし、又現にその交渉も各国とは御継続になつていると思いますが、ただ遺憾といたしますことは、いずれの国ともまだ交渉が成り立つていないということになつている。すでに終戦後九年を経てまだその重要な問題が片つかずに、片づかないがためにそれらの国々との国交も回復せず、通商も思うように行かずというような羽目に陥つていることを私非常に遺憾とするものであります。こういつたような状況が長く続くとするならば、南方諸外国に対する日本の商権の回復、確立ということが甚だしく遅れてしまつて、そのために諸外国はできるだけの商権の拡張の努力をするでありましよう。恐らくいろいろな計画を立て、又その計画を今日までに実行に移しているというようなことであろうかと推測されるのでありますが、とにかくこういつた荏苒日を送つておりますというと、それらの国々から南方諸国における通商上の利益を吸い取られてしまう。そうして我が国には漸くにして賠償問題解決、そうして国交回復に乗り出したというときにはすでに商権の残りは殆んどなくなつてしまうというようなことになる虞れが多分にあるかと思うのでありまして、勿論これらのことは外務大臣としても特に御心配になつていることだと思いますが、何とか比較的少額の賠償額を出すとか出さぬとかいう、そういう問題にこだわらないで、そうしてできるだけ早く賠償協定に調印をしてそれで以て国交を回復し、且つ又相手国の国民感情を改善し、そうして日本との協定の日が、つまり賠償はいずれ長年かかつて決済をしなければならん問題であり、恐らく協定が調印されるとしたならば、そういう建前においてなされるであろうと思いますが、その間に私はせつせと稼ぐ。つまり国交の回復、国民感情の改善を機会としてその時から貿易商売を回復し、日本国民が一生懸命になつて稼いで、長年の間に、一億や二億余計払うことにいたしておつたにしても、それを回復し取返して来るといつたような立場に立たなければならんじやないかということを考えるのでありまして、こういうことは私から申すまでもなく、外務大臣においては特にそういうことも計算に入れて交渉になつていることとは思いまするけれども、如何せん、現在の日本の国情から見まして、御存じの通りに中小企業というものは非常な困難な立場に今追い込まれておるのでありまして、こういつたような事態が長く続いたならばこの人たちは破滅するというそういう危険に今瀕しておる。そういうことになりましたら、日本の経済の安定ということは到底望むべくもありません。若し南方諸国との間に貿易でも再開されるということにでもなりましたならば、この人たちはそれこそ息を吹き返すのであつて、本当に、自分のためは勿論のこと、国のためにやるのだというそういう点に生き甲斐を感じて私は中小企業の人たちは息を吹き返すのじやないかということを考えさせられ、又是非そうなければならんというような気がするのでありまして、従いまして賠償の額にとらわれることなくと言つては大げさになりまするが、僅かばかりのことならば、そういう額に拘泥しないで国交を回復して、そうして一日も早く通商を回復する、通商の途を開くというようなことの計算はお立ちになつていないものかどうか。又そういうような立場で以てお考えになつているのかどうか。そういうような点について差支えのない範囲内で以て御説明を頂けるならば幸いだと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) お話の点は私も全くその通りと考えております。そうして、私は交渉する者の立場としては、どうせ成るべくまとめたいというのは自然の人情であります。従いまして、むしろ逆に、余り銀行家的な立場に立つて考えないで企業家的の立場に立つてこれは考えるべきものだ。要するに銀行家だと、出すものが幾ら幾らということばかり勘定しているが、企業を考えるならば一遍出したものを又多く取返すということも考え得るのでありますが、これは是非企業家の立場で考えてくれということを言つておるのでありますが、他方今の内閣が国交回復とか賠償協定を急ぐの余り、後後まで国民に大きな負担をかけてしまうということは、これは考えなければならんという点も当然あるのでありまして、実はその間に挾まつて苦慮しておるような次第であります。賠償と申しますと、結局納税者の負担になるのでありまするから、将来はいいにしても、この非常に今の苦境の際に余計な賠償を払うということは苦しさをますます増すことになりはせんかというよう意見もありまして、なかなか国内のほうも十分にまとまりかねておるようなわけでありますが、幸いにしてだんだん話を詰めて参りますると、非常に大きな開きもないようなところに来ておりまして、これはビルマの話でありますが、従いましてビルマの代表も実は明日出発の予定でありましたが、もう暫らく出発を延期して何とか話をまとめて行きたいということになりましたので、この数日間のうちにできるだけその努力をいたしまして話を円満に妥結したい、こう思つてやつております。フィリピンにつきましても、最近又会談再開のきざしも見えて来ておるのじやないかと思いますが、これはまだ正式に申上げる段階に至つておりません。併しお話のように東南亜諸国との国交回復ということは、単に貿易尻がどうなるかということも大事でありますが、それ以上に精神的に非常に私は大きなものがあろうかと思つております。勿論この国民負担という点から、無理も多少止むを得んかと思う点もありますので、できるだけまとめるべく努力をいたしておるような次第であります。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 只今外務大臣のお話を伺いまして、非常に適当な立場に立つて交渉をお進めになつておるかのように伺いまして、誠にこれは幸いなことだと思います。お話のように銀行家の立場に立つて賠償問題を解決するということであつては、これは到底成立の望みは簡単には立ち得ないと思うのであります。やはり只今のお話の企業家の立場に立つということが最も必要かと存じます。企業家の立場に立つということは、私の申上げました商売のほうの目から賠償問題を解決してはどうかという、そういう考えとほぼ一致するのだろうと思う。銀行家の立場に立つということは、実際の面から参りまするならば、我が大蔵省がそういつたような立場で以て賠償問題を解決しようとかかつておるのではないか、これはほぼ推察されるのでありまして、そういつたようなことでは私は長い間に非常な損をする。つまり南方諸国との貿易のいわゆる商権拡張乃至は商権を確保する、開拓するという方面からいつてもすでに後手、もうすでに今でも後手になつておるのでありまして、今のような立場で以て賠償を解決してから乗り出すというようなことであつては、とても後手どころかそれにしんにゆうをかけたようなことになつてしまつて、到底日本としては商権を南方に伸ばすという望みを断念せざるを得なくなつてしまうということを私は非常に恐れるのであります。それはなぜかと申しまするならば、日本は貿易尻をできるだけ多くし、できるだけ有利に好転させてそれで以て食つて行くという以外にやり方はないと、これは始終言われておることでありまするが、若しそういう立場に立ちましたといたしましたならば、今外務大臣の言われた銀行家の立場に立つてこの賠償問題を解決するということは最も不得策でなければならん。然らば日民をしてそれをよくわからせるように政府としても努力されて、成るほど苦しいことは苦しいけれども、賠償の義務は我々がいつかは負担し解決しなければならん問題でありまするので、この苦しい目に早い時期においてあうのか、或いは又相当たつてから、而も今のような後手を打つようなときになつてから苦しい目にあうのか、そのいずれが国全体のために利益かということをよく国民をして理解させるというようなことに一つ努力をお願いしまして、そうして中小企業救済のためにも、賠償をできるだけ早い機会に解決して頂くということを私としましては希望せざるを得ない。幸いに外務大臣も御同感のようですから、品非そういう努力を続けて頂きたいと思うわけであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) お話をお伺いして非常に私も力強く感じるのでありまし、是非御趣旨のようなことでこの数日中にでも話をつけるように、これはビルマだけですから、それを他に早くやるつもりであります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 先ほどの質問を継続します。  外務大臣のお話によるとダレス長官とお話合いの結果お感じになつたことは、アメリカの極東政策或いは対日政策というようなものは最近においても殆んど変つていないという感じを受けたというお話でしたが、成るほど非常に大きなラインとしては変つていないのかもしれませんが、特にジュネーブ会談以後まあ一般に言われておるように、アメリカが東南アジア方面において非常に政策的に失敗し、特に極東方面が非常に重要性を持つて来た。それに関連して日本の重要度が増して来て、従つて従来の政策から更に対日政策を一歩積極的に進めて面接経済援助を考えたらどうかとか、或いは借款の拡大の問、或いは対自由諸国貿易の増大の問題、こういう問題について積極的な政策を打ち出すべきだという考え方が少くともアメリカの世論には、特に七月から八月上旬にかけての新聞その他世論には非常に強く出て来たと思うのですが、こういう傾向なり、こういう方針なりが実際にアメリカの政府の意向としてあるとお考えになるかどうか。これらの問題が今後どう発展して行くとお考えになるか。その辺の見当を御説明願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これもなかなかむずかしい御質問でありますが、私はその経済的ないろいろの援助という声がアメリカ側に出て来たのは、世界情勢の変化ということもあるかもしれません、あるかもしれませんが、私は主なる理由は、日本の一兆予算なり、一連のデフレ政策なりにあろうかと思つております。日本側で固い決心でインフレを阻止して経済の建直しをやろうということであるならば、これは当然援助すべきものであろうという議論が強くなつて来ております。これは私は確かに事実であろうと思います。要するにアメリカ側の考え方というものは、全部アメリカにおぶさつて、例えばよその国が軍備をするとか、経済の自立を図るなんということは、これはできつこないのです。その国の大きな相当な犠牲が払われてこそ真剣になつて、経済にしても国防にしてもやれるのであつて、他力本願ではできないのだと思うのです。これはヴアンデンパーク決議以来一貫した考え方だと思うのです。そこで今年の予算、それに関連する一連の措置ということは、つまり日本がみずから努力を以て経済の回復に向つたという強い印象を与えたようでありまして、従つてこの政策がうまく遂行される限り、日本の国内の力において足りないところはアメリカ側としても喜んで援助の手を差し伸べるつもりであるという気持には疑いないようであります。これが具体的にどういう形になるかということは、これはまあ将来の問題でありますが、私はむしろ国際情勢という問題もあるかもしれませんが、主にはこの日本の政策、努力、こういうものに基いたのじやないかと考えます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 その機縁が何であるかは別問題として、今のお話であるかするとやはり直接の経済援助或いは財政援助というようなものを、従来の考え方から更に積極的に展開しようというようなふうなことが考えられるのか。それともこの日本に対する援助という問題は、例えば特需の問題だとか、或いは余剰農産物の引渡しの問題だとか、或いは貿易の促進の問題だとか、そういうことに限つて、それらをもう少し積極的にやろうというような程度のものなのか、さつき申しましたように、もつとそこから一歩進んで直接の経済援助或いは財政援助まで別途な方法を考えようとしておるというように思つているのか、その辺はどうなんですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私は理窟としてはあなたのおつしやるような、直接といいますか、財政なり経済的な援助まで考えてもいいという気持になつていると思います。併し同時にこういう議論も実際アメリカに行われている。それは今折角日本の国民が全体として政府の政策にはいろいろ意見もあるようだが、ともかく一貫して今のようなデフレ政策、非常に破産者もでき、困難でもあるが、とにかく方向としてはこの方針を守つて行くべきものであるということについては、そうえらい異論があろうとは思つておらないのでありますが、この国民全般のこの緊張した気持といいますか、これをうつかり援助して、又そのイージー・ゴーイングな考えにすることは、却つて長い目で見て、日本のためにならん。むしろこの努力を日本国民に続けてもらうためには、よほどこの援助の形なんということも慎重にしてこの気持のゆるまないような必要があるのじやないかというような議論は、現に米国の世論としてもう新聞にも出ておりまするし、交そういう考え方が自然起るのは当然だと思う。従つて気持の、理論の上ではそれは必要があれば如何なる援助といえどもということになろうかと思いますが、現実の問題としては、そういう点はよほど考慮しなければならんことであろうかと思つております。従つてどういう形になるかということはちよつとわかりませんが、少くとも今おつしやつたような余剰農産物とか、その他いろいろな種類の具体的な問題はこれはあろうかと思います。一般的な経済援助とか直接援助とかいう種類のものは実現するかどうか。これはちよつとどうとも言いかねる。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 それじやそれらの援助の問題のうちで、必ず第一に特需の交渉がどうなつているのかということをお尋ねしたいんですが、と申しますのは、二十九年度外貨予算で我々が示されたのは特需七億一千五百万ドルですか、この程度のものが見込まれるという話でしたが、一月から六月までの実績でいうと一億七千三百万ドルしか特需はない。そうするとこれは年間に直すと五億五千万ドルか、せいぜい六億ドル程度しかないので、昨年に比べても非常に減少をするものじやないかということが考えられる。ところが昨年の四月でしたか、総選挙の前にアリソン大使は、今後数年間に亘つて或いは少くとも二年間はと言つたと思いますが、少くとも二年間は現在の高水準の特需を保証するというような声明をやつて、私たちに言わせれば自由党をサポートし、選挙援助をやつたと、そういう意味では非常に大きな内政干渉であつたとも我々は当時声明をしたのでありますが、そういう明瞭な声明をアリソン大使がやつておりながら、その声明を忠実に守ることなしに非常に減少したものしか結果としては出ておらない。これはまあ非常に率直に言わせればアメリカの日本に対する不信だと思うのですが、それらの問題を考えながら、一体特需の交渉というようなものはどういうふうに話がなされつつあるのか、どういうことで話をまとめようとしておられるのか、その辺のことを御説明願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは実は今おつしやつたそのアメリカ側の声明なるものもそういうふうに非常に断定的なものでございません。御覧になればわかりますように、そういう見込みであるということと、それからそうでなくなつた場合には一つ日米間で協議しようということが入つております。日米間で協議しようということが入つておるのは、必ずしもその通りにならない場合を予想しておつて、そう断定的なものではない。そこで現在は朝鮮休戦もありまするし、人も減つておりますから、いろいろな意味で減るのはこれは止むを得ないこともありましようけれども、併し我々のほうから言えば、減らされては非常に因るということでありますので、つまりその声明にあるような日米間の交渉をしようじやないかということでやつておるのでありますが、今のところは、今日来ておりませんが、欧米局長がその責任者となつてずつと事務的に交渉をいたしております。もうそろそろ結論ができておるはずだと思いますが、今後更にそれをどうするかというところへ来るわけでありますが、如何にして今までは特需が減つたのであるか、又今後どういうことにたる見込みであるかということの数字の検討から始めて、その原因を調べる。どうすれば是正できるか、全部是正できないにしても、緩和できるかというような点をいろいろ今やつている最中であります。詳細のことは私も実は知らないのであります。いずれてのうちには結論が出て来ると思います。そうしたらその方法について更にアメリカ側と交渉する、こういう段階になろうと思います。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 それじやその交渉の経緯、具体的な細かい内容については、他の機会に事務当局からお聞きすることにしたいと思いますが、今大臣のおつしやつたように、特需の問題はアメリカが高水準を保持することに努力をすると言つたにかかわらず、世界情勢というか、特に極東の情勢はあのときから非常に大きく変つている。そういうふうに変るであろうということはむしろ我々は当時予測していたのですが、とにかく変つてしまつているので、ああいう声明をしたにかかわらず、高水準を保つということはむしろ不可能になつて、今年で六億ドルを切るであろうし、来年は更に今の朝鮮の師団その他の引揚げ等を考えると更に減るだろう、そういうふうに考えて来ると、その減る傾向、必然性を持つている特需にしがみついて、特需をどうというふうな交渉もさることながら、それより問題は援助より貿易という問題にむしろ方針を切替える必要があるのじやないかと思うのですが、その点の特需に対する方針、そういうものはどういうふうにお考えになつておりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは私も一時の方便だと思つております。勿論貿易増大というほうに向かなければならない。現に政府はアメリカの駐留軍をだんだん減らそうとしておる。その意味からいつてもいわゆる一般的の特需の中の大きな位置を占めておる駐留軍の消費なんかというものは減つて来るものだと考えております。従つて今のデフレ政策などというものも、前から考えておるにしても、今年から始めたということは、貿易ということに重点を置くからであります。なお特需の減りましたことにつきましては、朝鮮休戦というような外からの事態も勿論ありますが、我々のほうでも考えなければならん点がたくさんある。それはやはり日本の品物の国際価格に関する関連で、例えば競争入札でもつて入るか入らぬかということになつて、若し価格が安くできるものならば更に特需は殖えるという場合も当然予想されるのであります。双方から今係官が検討しておるわけであります。併しこれは一時のことであつて、決してこれにいつまでも頼ろうという気持はないのであります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 そりするとやはり本格的な問題は特需とか援助より貿易という問題だと思うのですが、その際に問題なるのは、いろいろ輸出振興その他が叫ばれておりますけれども、輸出振興なり輸出入のアンバランスの問題は、ほかの国もさることながら、アメリカ自体で日本とアメリカとの関連自体においてこれを直さなければならない点が非常に多いのじやないか。昨年の輸出入実績から見ても、輸出は二億二千六百万ドル、輸入は七億五千五百万ドル、非常に大きなアンバランスがすでにここへ出ておる。そこでこのアンバランスを直すことが一番重要だと思うのですが、それは申上げるまでもなく、日米間の関税交渉その他の問題が重要な問題となると思うのです。ところがランドール委員会或いはアイゼンハワーの七月二十六日の声明でしたか、関税引下げ計画も積極的に展開するのだというような声明をしておるにかかわらず、実際の問題としてはその逆な政策なり、逆な方策がどんどんなされている点、むしろ保護貿易主義というか、関税引上げというか、そういう方向が強く出て日本の輸出を非常に阻害をするというような事実がたくさん、特に最近になつて出て来たように惑うのです。殊に伝えられるところによると、インドに対する対外活動本部の金で買う機関車、貨車の入札の問題で、入札は日本で下りたにかかわらず、それにアメリカの業者が異議を申立てて介入をして来て、その半分くらいは向うでとつてしまうというようなことをやつて、日本の輸出なりそういうものを非常に妨げておるというような問題も出て来ているようでありますが、それらの問題に関連して、一体政府はそういう関税交渉というか、対アメリカの輸出入のアンバランスを調整する問題についてどういうふうな折衝、交渉をしておるのか、その点の御説明を願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは私よりも経済局長が来ておりますから、経済局長に御答弁を代つてさせたいと思います。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 佐多さん、外務大臣の退席の時間が来ております。でありますが、引続いて経済局長の御説明を伺いますか。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 ええ。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) それではそういうことに……。

朝海浩一郎外務省経済局長

○説明員(朝海浩一郎君) 只今佐多委員の御質問のございましたアメリカに対する貿易拡充の点でございますが、これは確かに御指摘の通り非常なアンバランスの状況にあるのでございますが、何分にも我が方で輸入いたします物資が原料品、食料品というふうな関係で、非常に切りにくいという事情に加うるに、こちらからの輸出品は先ほど外務大臣の御説明のございましたように、価格が非常に高い、或いは需要が必ずしも伸びないというような点からアンバランスが是正せられないというふうな状況にあるのでございますが、そこで現在只今御指摘の、援助よりも貿易の拡充で、日本に対して経済的な支援を与えるべきじやないかという御意見につきましては、私どもも同様な考えを持つているのでありまして、アメリカの関税の引上げその他につきましては常に注意を払いまして、ややともするというと伸び悩まんといたしまする対米輸出が阻害されないように努力をいたしておる次第でございます。例えて申しますというとも編手袋でありますとか、木ねじでありますとか、或いはベニヤ板であるとか、或いはまぐろの缶詰でありますとか、こういう輸出物資につきまして、これは単にアメリカのほうが輸出を阻害しているということばかりでなく、日本のほうも非常に多量に、非常に安い価でお互いにせり合つて、どんどん市場を撹乱するという事情もあると思うのでございまして、そういうことのないように、順調に輸出が伸びるように私どもも研究いたしておりますし、幸い今までのところ私どもの気持も十分説明してございます関係もあると思いますが、アメリカのほうも関税引上の話につきましては、行政的にいろいろ手段を尽してくれているように見受けられるのであります。それから今、佐多委員の御指摘のありましたインドの問題は、これは事実そういうことはございまして、海外活動本部でインドにおきまする車輌の発注をいたしましたところが、幸いに日本のほうが一番低い値で落札をいたしたのでありますが、こういう場合には、まさしく日本の二位、三位というふうなときには、とてもそういう理由はないと思いますが、一番低い値で落札をいたしたというときには、日本のほうに考慮を払つてもらいたいということに私ども考えておつたのであります。非常に注目をいたしておりましたが、アメリカのほうの国内的な政治問題もあつただろうと思うのでありますが、そういう関係からいたしまして、結局アメリカの業者に半分、日本の業者に半分という、私どもといたしましては不満足でありますし、又その不満足なり、関心の意味はアメリカ側にも十分通じておいたのでありますが、そういう関係に相成つたように承知いたしております。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝彬君 関連質問……。今の説明の中で、アメリカの規則ではたしか一割以上か外国のほうが安い場合には、全部外国にやる規則があるのじやないかと思いますが、その点を一つ御説明を願いたい点が第一点。もう一つは、佐多君のご質問で、いろいろアメリカが日本の品物の売行きについてどういう考慮を払つているかという御質問に対しては、アメリカが今ガットについて非常なる努力をしている点を政府委員は指摘し落しているのじやないかと思う。この辺をもつと詳細に説明して、如何にアメリカが努力しているかということをはつきりさせてもらいたい。その二つ。

朝海浩一郎外務省経済局長

○説明員(朝海浩一郎君) 只今小滝委員の御指摘のありました第一点は、ランドール・リポートの中にも、そういう差をなくしろというリポートが出ているのでありますが、今度の場合は両者の差異は非常に大きいのでございまして、そういう当然アメリカのほうにあの現在の法律の関係上行くんだということにはならないように聞いております。相当差が大きいので、当然の成行きからいたしまするというと、やはり日本のほうに落ちて来ることを私どもは期待しておつたわけでありまして、その差は法律のきめております差より大きな差であるというふうに承わつております。それから第二の点は、これは申落しまして甚だ恐縮でありますけれども、アメリカは今度のガット交渉に当りましては、実は日本とほかの国とのガット交渉は余りほかの国は興味を持つておらない国がまあ多いわけであります。そこでそういう国に興味を持たせます意味から、アメリカのほうで自分の関税交渉に参如して、一定の限度においてその国から日本が主たる供給国でないにもかかわらず、主たる供給品でない品物につきましても、ほかの国を誘うという意味合から自分のほうも、関税交渉に参加しよう、これはアメリカのこの措置が非常に各国を刺映して、日本との関税交渉をやろうじやないか、又やりませんというと、日本のガットの加入に非常に支障を来たしますので、この点は非常に私どもも大きな……、今度の日本の関税交渉が来年ニ月頃から始まる予定でありますが、関税交渉に対する大きな試煉になるというふうに期待をいたしております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 今の御説明だとアメリカは日本のために努力をしてくれているので非常に楽解的なんですが、併し事実はどうもそれに反しているように思うのです。特にこの関税引上の問題は先ほどから申上げるように、ランドール委員会やアイゼンハリー大統領の声明があるにかかわらず、実際の問第としては、この秋に行われる中間選挙のためもあるかと思いますが、非常にいろんな品物の個別な具体的な関税引上の努力がむしろ国会ではなされつつあるように思うのです。一応そういう問題を一つ一つもう少し詳細に真剣に取上げられて、あまり楽御することなしに、この問題についてはこういう手を打つているのだとか、こういう問題についてはこうしているのだとか、或いは全体としてどういう働きかけをしているのだとかいうようなことを、もう少し具体的に非常に積極的な努力をしておられる様子をお知らせ願えないと、どうも我々は楽観することができないのです。というのは、実績から見ても、さつき申しましたように、二十八年度はこの対策が二億二千六百万ドルの輸出に対して、七億五千五百万ドルの輸入なんですが、今年の一月から六月末での実績から言うと、三億五百万ドルの出に対して入りは四億五千万ドル、非常に日本の貿易全体としては入りが削減をされて、出が非常に大きくなつたと言われておるにかかわらず、アメリカに関する限るは、そのアンバランスが去年よりももつと大きく開きつつあるので、これはやはり貿易伸張と言うか、貿易のアンバランスを最も大きなところに手直しするという点に欠けていることの、これはもう如実に数字として現われた面だと思うのです。もう少しその辺を詳しく御説明願いたい。

朝海浩一郎外務省経済局長

○説明員(朝海浩一郎君) 評しく御説明を申上げますというと、結局今の御指摘の点は、日本からの輸出がいろんな点で障害を受けておるのじやなかろうかという点が要点だと思いまするが、これは先ほど申上げましたように、いろんな品物につきまして引上の話が出ております。これは率直に申しまするというと、やはりアメリカが積極的に日本からの輸入を抑制しようということではなく、我がほうから見まして、先ほど言及いたしましたように、相当こちらが市場の平静を乱すような量並びに価格で一時にアメリカの市場に伸びようということ、その我がほうの不手際ということも私は少くないのじやないかと思うのでありますが、今まで様子を見ますというと、例えば手編の手袋でありますが、これは現行の二〇%の税率を三五%に上げよう、これも日本は相当の貿易額が、昨年に対しまして約三百万ドル以上の貿易がございました。それからもう一つの問題は、例えばミシンの問題でありますが、これは日本のチエツク・プライスを割りまして相当安い値投でミシンが出る。そこでこれの関税引上の問題も考慮されておつたようであります。又べニヤ板でありますとか、「まぐろ」の関税引上等の話もあるのでありますが、これらにつきましては、最近スイスの時計のように引上が実現した品目も一、二ありますので、私どもも決して楽御しておるわけではございません。在日大使館、日本におりますアメリカの大使館とも連絡をいたしておりますし、ワシントンにも訓令を出しまして、業者の反対運動を起しますほか、米国の輸入業者と協力して、弁護認を頼んで関税委員会の公聴会に出て、反対意見を述べるというふうな措置をとつておりますし、アメリカの行政府も日本の主張につきましては、援助よりも貿易であるという主張につきましては、私どもの見ますところでは意見を異にしておるとは思いませんので、今までこういう話がいろいろな理由から出ては来ておりますが、現実にはまだ実現されておらない。で、私の先まどのご説明が或いは足りなかつたかと思いますが、私どもも楽観はいたしてはおりませんが、常にこういう動きに対して注目をして、輸出の減少しないように努力をいたしたいというふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 今の御説明によると、その国内側の原因も相当あるような御説明があつたのですが、国内側からはそういうもの対する対策というか、措置というか、それをどうしておられるのか。

板垣修通商産業省通商局長

○説明員(板垣修君) お答えいたします。只今のこれの全部の品物については存じておりますが、ベニヤ板、ミシン等につきましては、確かに国内の過剰競争の面から参りまする点が相当多いのでございまして、通産省といたしましては、そういう業界に対して繊次自粛を促しておりまして、辛い最近大阪、名古屋等を中心といたしまするミシン等、それからベニヤ業界という方面におきまして、自省の動きが起つて参りまして、輸出組合を通じまして、そういう鑑売競争による弊害を除去させようという運動が起つておりまして、近いうちに結論が出るかと思つております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 ミンンだとか、ベニヤ板、「まぐろ」、そういうものはダンピングをしているというお話ですが、そうすると、少くとも数量的には去年に比較して輸出はうんと伸びているのかどうか、金額的に或いは数量的にその辺はどうなつているのですか。

板垣修通商産業省通商局長

○説明員(板垣修君) 水産物等につきましては数量は相当伸びております。ミシンにつきましても数品は伸びておりまするが、結局価格において濫売をいたしまするので、金額としては余り延びていない。その数字は、果してその金額としてどちらが上かはちよつと記憶しておりませんが、伸びていないという面が相当あると思います。それは綿製品なんかについて特に言えますわけで、一昨年と去年と比べてみますと、金額はほぼ同じであります。併し数量においては昨年は非常に伸びた。一昨年よりは非常に伸びておる。これはまあ去年日本の綿製品あたりの価格が下つという面もありますが、過剰競争によつてそこまで安く売らなくていいものが、安く売り過ぎたという面があるわけでありましてそういつた面につきまして、全般的にそういう傾向が現われております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 それから対米債務の返還の交渉は、その経緯はどういうことになつておりますか。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 今日は欧米局長が見えていないのですが、どなたかできますか。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 いや、それじや改めて他の機会にお聞きします。  それからこれもそれじや欧米局長ですか。世界銀行の借款の問題をこの間資料の提出もお願いしておいたし、今日特にお聞きすることは、この間から通告をしておるのですが、これはどなたですか。

朝海浩一郎外務省経済局長

○説明員(朝海浩一郎君) 私がお答えしたいと思います。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 それじや世界銀行の借款の問題、特にいろいろな調査団が来たようですが、一応その来た調査団の模様、それから問題になつている点、そういう点いについて一応……。

朝海浩一郎外務省経済局長

○説明員(朝海浩一郎君) この調査団が参りましたことは、新聞で、つい先に参りましたことは御在じの通りでありますが、このうちお尋ねは、世界銀行のドールの調査団の一行だと思いますが、これにつきましては、参りまして、興味を持つておりますものは、農業の改良の問題、それから水力電気の電気関係の問題、鉄鋼、石炭の問題等につきまして興味を示しておりますが、これにつきましては非常に問題が専門的具体的でございますので、例えば水力電気の開発をいたすについては、どの地区を開発するか、或いは又農業の開発につきましては、農林省のほうで愛知用水の計画も説明いたしたというふうに聞いておりますし、或いは又北海道地区の開発計画につきましても、説明をいたしたように開いておりますが、非常に問題が専門的でございますので、この提出いたしました資料は、これは外務省としては持つておらないのであります。非常に技術的な質問なり、意見の交換があつたのではなかろうかと思います。又その経過につきましては、これは世界銀行の人たちは日本側の説明を開くに勿論とどめておりまして、これからこの結果どういうふうに問題が発展して行くかということは、恐らくドールの一行が帰りまして、責任の首脳部とも相談いたした結果、問題が具体化して参るのではなかろうかというふうに存じますので、今の段階におきましてはどういうふうになるかという見通しはちよつと申上げかねるのではなかろうかと思います。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 それじや、この間この資料の提出を要求しておいたのですが、今のお話で、これは外務省の資料でなくて、経済審議庁、或いは通産省、或いは農林省等の資料だと思いますので、委員長において然るべくそういう資料の提出を適当の役所に御要求を願いたいと思います。  それから特にこのトール調査団が今年の六月でしたか、報告を出したというのですが、その報告書と、それからこれはその少し前に、ブラック世界銀行総裁が小笠原蔵相に書簡を寄せておると思いますが、今年の五月、その書簡と、それからその前に去年の十二月末にドール調査団長が日本を去るに際して声明を出しておると思いますが、その声明、これらを……、今のそういう問題は外務省にお願いしておいていいのじやないかと思いますが、更にこの日本の経済及び財政政策に対する非公式覚書、メモを出しておると思いますが、そのメモ、そういう一連の一つ書類を御提出を願いたいと思います。それでそれを拝見した上で更に詳しい質問をしたいと思います。  もう一点だけ聞いておきたいのは、一体その世界銀行からの借款というものを非常に政府は騒いでおられるし、それから総理の今度の外遊の目的の一つもそこにあるとか、ないとか言われておりますが、その世界銀行からの借款の総額を一体どれくらいと予測し、踏んでおられるのか。同時にその世界銀行の借款ができる場合の、融資の優先順位場をすでにおきめになつておるのかどうか、その辺をどういうふうにお考えになつておるのか、それらの点も御説明を願いたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○小滝彬君 ちよつと関連質問があります。今外務省なり、通産省はどういう努力をしておられるかということを佐多委員から御質問になりましたが、かねがね問題となつておりました可燃性の織物については、井口大使が非常に努力をせられまして、一時下院のほうを無修正で通過したものが修正せられる運びになつたやに承知いたしております。勿論これは完全に日本の希望に合致するものではないけれども、これによつて軽目の羽二布の生産地も相当救われたと思うのです。そこで差当り通商局長が見えておりますから、今次の修正によつてどれだけ救われたか、井口大使以下の努力がどれだけ効を奏したかについて御説明を願いたいと思います。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) その御説明はあとにして先の佐多委員の御質問にお等え願います。

板垣修通商産業省通商局長

○説明員(板垣修君) 佐多委員の御質問は大変むずかしい御質問で、事務当局としてはちよつとお答えいたしかねると思うのでありますが、ただ第一の御質問の枠の点は、これは別に世界銀行では、日本に対しましてこういう枠をやろうというコミットをしたということは声明しておるようにも聞いておりませんし、又枠を外せば駄目なんだというふうに責任者の言明があつたというふうにも聞いておりませんが、大体日本側にすでに与えております借款三千万ドルくらいの借款を引きまして、残り六千万或いは七千万くらいの借款を与える余地があるのではなかろうかというふうに私どもは推測をいたしております。これは勿論世界銀行よりの借款でありますから、銀行がこちらの計画に納得いたしませんければ、枠はございましても成立いたさないことは当然のことでございます。又優先の順位につきましては、これは非常にむずかしい御質問で、外務省といたしましては率直に申上げましてお答えいたしかねるのでございまして、先ほど申上げましたように、農業の問題、それから炭鉱、鉄鋼関係の融資、火力発電の融資というふうにアイテムが拾つてございますが、これらのうちどれが一番優先するかということは、ちよつと私といたしてはお答えいたしかねる次第でございます。  それからその次に小滝委員から御質問のございました点、通商局長に代つてお答えいたしますが、これはお曝めの言葉もございましたが、大変私どもも心配いたしまして、ワシントンと東京におきまして日本側の、又国会におきましても披瀝されました日本側の関心をアメリカのほうにそのまま植付けて参つたのでありますが、これは上院は八月十一日に下院の修正案をそのまま承認いたしましたので、残念大がらスカーフの除外というところまでは参りませんで、この点は明年一月の議会において再び工作をするほか途がないと思います。そこで今度の法案の結果、三・五秒でどの程度影響があるか、これはいろいろ専門家もご研究になつていることと思いますが、私どもは安全を踏めば四匁以下のものが禁止されることになるのではなかろうか。そこで四匁以下の実績を申しますと、四匁以下の絹スカーフは二百八十一万四千ドル出ております。そうして対米総輸出の絹スカーフのうちのこれが四八・五%になつているのでありますが、一九五三年、絹織物のうちで四匁以下は五十三万九千ドル、対米輸出総額の一二・七%という状況でありますので、この修正案がこういうふうに燃焼時間を変えまして通りましたことによりまして、非常に我がほうの打撃が軽減されることになりましたことは私ども非常に喜んでいる次第でございます。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) ちよつと連関で私からお尋ねいたします。先ほど佐名委員貝からの御質問の世界銀行の融資の問題について、日本政府としても希望の順序をつけて要求しなければいけないのじやないかと私も思うのであります。お答えは局長とすればむずかしいというお話でありますから伺うことはできんかと思いますが、先年世界銀行の副総裁が見えたときに、私が会いましていろいろお話をしましたときに、日本はどうもいろいろなものについて融資の希望があるか、日本としてどういうことが一番ほしいのかという順序を付けてもらわなければ困るというお話があつたのであります。それは無論政府として決定すべきものであるということを申しておつたのであります。そのときに国会の予算委員会で私が総理に対して、そういうことを私が会うたときに言つておるが、これは政府で以て十分に審議をして順序を付けて要望されることが融資を早く運ぶ上において当然のことじやないかと思うかということを申したのであります。これはなかなか困難なことであろうと思うけれども必要だ。そうしましたら、吉田総理はそれに対して、私のところへ来ても同じことを言つていた、こういう答弁でありましたので、私は当然政府において融資希望の順序が定められてその後の交渉が進んでおるものだと思つておつたのでありますが、どうもそれがないようあり、これはなかなか困難なことだと思うのでありますが、ないようであり、先日ドール氏が来て、帰りぎわでありましたが、会いたいとうのでありまして、これは専ら農業方面の融資のことでありましたが、先ほどの質問応答の中にもありましたように、ドール氏が今度来ての先方の興味と言いますか、重きを置いてみたところはいろいろな点があるようであります。農業融資の面におきましても、いろいろな具体的の北海道のどことかいうことについて重きを置いて考えているらしい点があるのであります。そこで私は農業融資については、政府においてもほぼ順位的に調査もでき、一番重要だと思うところを調査を進めて来ているのであるから、そういう順位に従つて融資してもらうということが希望だと思うがという話をしたのであります。そうしましたらば、トール氏は、希望せざるものについては融通はしないのだという、これは当然の話だと私は思うのですが、そういう答弁をしておりました。それらのことから考えまして、積極的にどういう順序で、日本は望ましいということは、これは当然言わなくちやならないが、その順をどう変えるかということは交渉できまつていいと思うのでありますが、というふうに思うのでありますが、だんだん世界銀行の融資の問題が長引いて参つて来て、中には調査について不十分だというようなことで人が見えて調べていることもあるのでありますが、順位の問題は相当に内閣で力を入れて十分の審議をされて、そして重点的におきめにならなければいけないのじやないかと思いますが、交渉の大きな方針としてのその必要及びそれについての審議の実際はどういうふうにされておるか、一つ大蔵大臣、審議庁長官等ともお話を願つて、どちらでもよろしいですが、御説明頂くことにいたしたいと思いますから、お伝へおき願いたいと思います。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 今も委員長のお話もありました通り非常に重要な問題だし、それらの点についてもう少し詳しい御説明が聞きたいのですが、どうも今のお話だと、これ以上には説明も聞けないと思います。先ほど申上げた資料を改めて提出してもらつて、我々もそれについて勉強してから改めて質問をするということにしたいと思いますので、私に関する限りは今日は質問を一応打切つてあとは保留をしておきます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 私は実はこの共産圏貿易の問題について外務大臣に質問したいと思つていたのですが、通商局長折角来ていられるのですが、私は先ず基本的な方針について大臣と質疑応答したいので、本日は資料を頂きましたから、通商局長に対する質問はやめにしたいと思います。そこでほかの委員諸君の御質問があるかと思いますが、どうしてもこの委員会としては、先ほど佐多委員からも強く要望されましたように、何と言つても総理大臣の外遊問題について総理大臣に出てもらつての質疑をやりたいと思うので、時日がどんどん経過いたしますから、その総理大臣の出席問題が決定されまするならば、いつでも委員会を委員長から招集して頂くということを確認して頂いて、その間いま暫らくの間は外務大臣もビルマとの重要な賠償交渉もあるでございましようから、暫らくこの外務委員会のただ継続審議を続けてやるよりも、総理大臣の出席があつて最近の機会に外務委員会を開くということにして頂きたいと思います。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) 如何でございますか、只今の曾委員の御発言のように、委員会の開催運営をやつて参りたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) それじやさようにいたします。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 簡単なことを一つ。資料のことでちよつと気付いたのですが、経済局からお出し下さつた共産圏貿易の実情ですか、これによりますと、一月から六月の対中共貿易が八百何十万ドルで輸出入が大体バランスしているようなことになつているが、中国との貿易は御承知の通り輸出入が非常にアンバランスなのがこれまでの実績だし、私の調べた統計では、むしろ輸出が四百六十七万ドルで、輸入は千八百万ドル、アンバランスは依然として継続しているという数字が出ているのですが、これはどういう、何か……。

板垣修通商産業省通商局長

○説明員(板垣修君) 八百何十万ドルという数字は、通岸省での通商貿易の契約承認額です。従つて両方バランスしているわけです。それから今仰せになつた四百六十七万というのは通関実績の場合でありまして、通関実績になりますと、香港からの輸入が入つているので輸入が多い、こういうことになつております。

石黒忠篤緑風会

○委員長(石黒忠篤君) それでは当委員会は本日はこれで終ることにいたします。    午後零時三十五分散会

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