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19回国会参議院1954/04/22

外務・内閣・大蔵連合委員会 第2号

発言数
244
登壇者
14
会派数
6
開催日
1954/04/22

会議録

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 只今より外務、内閣、大蔵連合委員会を開きます。  議題は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の批准について承認を求めるの件、農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の保証に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上四件であります。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 私は第一に日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第八条につきまして保安庁長官にお伺いをいたしたいと思います。第八条の後段に「自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、自国の防衛能力の増強に必要となることがあるすべての合理的措置」こういう言葉があるのでありますが、この中の「自国の防衛力」「自国の防衛能力の増強に必要となることがあるすべての合理的措置」この防衛力と防衛能力というのは、具体的にどういう意味を有しておるのかということを保安庁長官に先ず第一に承わつておきたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 防衛力と申しますると、外部からの不法侵略に対してこれを阻止し得る力、こう解してよかろうと、こう考えております。併しそれにはいろいろの要素も含まれておるのじやないか。即ち現実にこれに当るべき部隊能力、その他部隊能力の育成に必要なるもろもろの条件、これらも私は含んでおる、こう考えております。併し主として外部からの不当侵略に対してこれに対処し得る力が防衛力と解してよかろうかと、こう考えております。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 さよういたしますと、今回政府が御提案になつておりまする自衛隊もやはりこの防衛力に入りますかどうですか、承わつておきたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 無論入るかと考えます。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 防衛能力のほうはいわゆる防衛生産、これを意味するのでありますかどうでありますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 無論防備生産も入ろうかと思つております。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 そういたしますと、憲法との関係は如何ようになりますか。たびたび国会におきましてはこの問題は審議されておりまするが、このいわゆるMSA協定を承認いたしますにつきまして、改めてこの点を私は突込んで伺つてみたい、かように思うのでありますが、御答弁を願います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 無論日本には遺法は厳として存在しておるのでいわゆる国家の基本法であります。その範囲内において許す限りの寄与をしようと、こう我々は考えております。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 憲法制定当時の帝国議会なり又その後の国会、第七国会等の質疑応答を速記等によりまして拝見いたしますと、国家が憲法においては防衛権を持つておるということにつきましては学者も大多数意見は一致しておるように思うのでありますが、この防衛権を実際において発効するという意味合の防衛力を行使するという点については、現憲法の第九条はむしろこれを否定しておるという学者の説のほうが私は多いように拝見をいたしておるのであります。現に最初の帝国議会なり、又国会等における質疑応答を拝見いたしましても、吉田総理あたりも武力というものは一切認めないというふうな御答弁があるわけでありまして、例えば第六国会の衆議院外務委員会の一九四九年の十一月二十一日の速記録を見ましても吉田首相は「日本は戦争を放棄し、軍備を放棄したのであるから、武力によらざる自衛権はある、外交その他の手段でもつて国家を自衛する、守るという権利は無論あると思います。」こういうふうに御答弁になつておるのであります。又第七国会におきましても吉田首相は「武力を除く自衛権は国家がもとより持つておるところであることを言明いたします。」とかように言明をしておられるのであります。更にこれはしばそれ引用される言葉でありますが、昭和二十一年の六月二十八日悪法制定当時の国会の衆議院本会議における総理のこれは言明でありますが、「戦争拠棄に関する憲法草案の条項に於きまして、国家正当防衛権に依る戦争は正当なりとせらるるやうであるが、私は斯くの如きことを認むることが有害であると思ふのであります。(中略)正当防衛権を認むると云ふことそれ自身が有害であると思ふのであります。」かような御言明があるわけでありまして、昨今におきましては、或いは防衛産業を育成するとか警察予備隊が保安隊となり更に自衛隊となるということにつきましては、当然のこれは事柄であるかのごとくにだんぞれ我が国に自衛軍を創設する方向に一歩々々進んでおるわけであります。この協定が結ばれましたときにアメリカ大使の演説の中にも、だんそれ日本が自衛力を増して行けばアメリカの駐留軍もそれに比例して減らして行くのだ、やがてはこの駐留軍が日本から引上げる時期は遠からず来るであろう。かような演説があるくらいでありまして、憲法制定当時のことを考えますると、非常にこの自衛力なり軍備に対する一般の考え方というものが変つて来ておるように私は思うのでありますけれども、現在の憲法がマッカーサー憲法と言われておるくらいに押付けられた憲法であるにいたしましても、とにかく我が国の根本法規として憲法が厳然としてある以上は、私はこの憲法の解釈上納得の行く説明がなければこのMSA協定というものは国会の真心において承認を与えることはできないのじやないか。かように考えますのでその辺のところをどうか納得の行く意味合におきまして御説明を願いたい。私は実質的にははMSA必要であるし、又軍備も必要である。こういう観点に立つておりますが、悪法も文法なりであつて、どうも憲法に違反するという懸念があれば誠に残念ではあるが承認することは良心が許さん。こういう気持で伺つておるのでありまして、どうか私に了解の与えられるような御説明を頂きたい、かように考えるのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) その点についてお答えいたします。憲法第九条第一項の末文には国権の発動たる戦争と、武力の行使と、武力による威赫は国際紛争解決の手段としてはこれを行使しない、こう書いてあるのであります。もとより国際紛争解決の手段のために武力を行使してはならんということは申すまでもないことであります。併し憲法はこれがために自衛権を放棄したものでも何でもないと我々は考えております。自衛権は要するに国家独立の基本権と解してよかろうと考えております。人間が生存するためには一種の正当防衛権を有するがごとく、国家も又生存する以上において他国から不当なる武力攻撃を受けた場合にこれを守るところの権利というものは当然持つべきである。私はこう考えております。これは憲法以前の問題である。国家生存上当然持ち得べき権利であります。その権利の裏付けがつまり自衛力であります。自衛権のあるところには自衛力があることは当然の事理であります。併し世の中に往々にしてこの自衛力を行使するという名の下に他国に侵略するような愚を繰返す虞れがなきにしもあらず、従つて憲法においてはさようなことはあつてはならんという建前をとつていわゆる九条第二項において戦力を放棄したわけであります。戦力に至らざる自衛力というものは我が憲法下においても当然持ち得るものと我々は解しておるのであります。その範囲内において、我々は自衛力を持つ、即ち自衛隊もその一つの行き方であろう、こう考えておるのであります。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 総理は先ほど私が引用いたしました速記にあります通り、武力によらざる自衛権、こういう言葉を使つておいでになるのであります。然らば武力によらざる自衛権を何によつて行使するかという点になりますと、外交その他の手段によつてこれを行使する、かように仰せておられるのであります。只今保安庁長官が仰せになりました第九条前段におきましては、成るほど国際紛争を解決する手段としての自衛力は、武力はこれは放棄するけれども、然らざるものは放棄しないというふうな御説明のように伺つたのでありますが、私はこの第九条の第二項の「前項の目的を達するため」というのは、これは第九条一項全般にかかるのであつて、「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」平和主義の目的を貫徹するために陸海軍その他の戦力を放棄し、国の交戦権もこれを認めないという意味であつて、前項の目的とは単に国際紛争解決という点に限られておるのではない、こういうふうに私は解釈をするのでありまして、それは単にこの憲法第九条だけではなくして、この憲法の前文にもやはりこれと照合するように「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」こういう言葉もありますし更に日本国憲法が発布されましたときに賜わりました勅語の中におきましても、やはり「日本国民は、みずから進んで戦争を放棄し、」こういう言葉があるわけでありまして、憲法が制定されましてからすでに数年の年月を経過いたしました現在においては、最初のように憲法の論議はいたされませんからして、自衛軍等の問題は当然である、極端を言えば海外に派兵さしても、敵の陣地に先制防禦の意味を含んで先制攻撃をすらやつても差支えないというような解釈も起つておるのでありますが、私は憲法制定の以来只今申しました各種の条文等を参酌いたしましてかように解釈するということはどうも解釈が間違いではないか。今の長官のお言葉ではありますけれども、今の御説明だけでは私は納得ができないという気持があるわけでありまして、この点をもう少し補足して或いは徹底的にお教え頂ければ非常に私としては仕合せに存じます。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) もとより今お話の九条第二項は一項後段だけじやなしに全部を受けておるものと我々は解釈しております。誠に御同感であります。そこで後段だけを受けておるとする人の解釈はいわゆる自衛のための戦力を持つていいんだ、こういう解釈をしておる、それは我々はとらないのであります。自衛のためといえども戦力は持つことはできない。で戦力を持たざる自衛権は持つてもよろしい。今申上げましたように、一つの独立国反たる以上はいわゆるその生存権であります。他国から不当に武力攻撃を受けた場合に、これを手放しでその侵略に任せるということは、これはみずから生存を放棄するわけであります。さようなことがあつてはいけない、たる以上は国家の生存というものをして行かなければならない。いわゆる我我といたしましては、自衛力は一種の生存力であります。従つて憲法の範囲内においては独立国家たる以上は自衛力を持つことは何ら差支えない、こう解釈しておるわけであります。で繰仮し申しますと、結局戦力に至らざる自衛力を持つということは国家の生存上当然の事理であると解してよかろうとこう考えております。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 憲法にいわゆる戦力に至らざる自衛力というものは、どの程度のものを指すかという点の更に突つ込んだ問題につきましては、いずれ自衛隊法案が内閣で審議されますときに更に私はお伺いをすることにいたしまして、今日はこの問題はこの程度にして、更に次の論点に進みたいと思います。  次に伺いたいのは、若し仮に私が縣念いたしますように、この協定が憲法違反であるかないかということは一体誰がおきめになるのかということを伺いたいのであります。憲法第八十一条によりますと、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」かように規定されておるのでありますが、ここには条約なり協定のことは書いてございませんが、この処分という中にやはりこれらも包含するのでありますか、或いは包含しないのでありますか、只今申しました通り、条約が或いは協定が憲法違反であるかどうかということを我が国において最終的に決定する権限を持つているものは一体何であるかという点について伺いたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 先ず条約、協定が憲法に違反するか否やということは第一次的に私は政府がきめるべきだと思います。政府がこれは憲法に違反していないということで協定も条約も結ぶわけであります。それを議会において承認を求めるわけであります。第三次的にこれは議会がきめる、いわゆる国憲の最高機関であるところの国会が審議してそれをきめるわけであります。そのきめたものが憲法に違反するかどうかということについて争いが起つた場合に、それが最終的には最高裁判所できめるわけであります。こう我々は解しております。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 その最高裁判所が争いが起つた場合に最終決定をする、その根拠法規は只今申しました八十一条の処分にかかるわけでございますか。

高辻正己法制局第一部長

○政府委員(高辻正己君) 私からお答えさして頂きます。御指摘のように第八十一条には「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」というふうに書いてございまして、条約はまさにここには載つておらないわけであります。従つて只今仰せになりましたような点につきましては、まさに学界におきましてもいろいろな議論が分れておるところでございます。ただ問題は最高裁判所が実際の事件の処理に当つてそれをどういうふうに処置するかということにかかることではございますが、一応私の考えておりますところでは、条約と憲法との効力関係にも及ぶ問題ではございますが、条約も、これは誰でもがそう申しますように、一面においては国内法的性格を有するものであると解せられておりますので、ここには特に明文で条約とはいつておりませんけれども、恐らくは最高裁判所におきましてもこの処分と解しますか、或いは「一切の法律、」といううちの実質的な条約の国内法的性格をとらえて、そこからこれに含ませるものとして審査の権能を発揮されるか。その点は問題がございましようが、いずれにしても最高裁判所がやはり憲法に適合するかどうかを決定する権限を有しているのではないかというふうに私どもは考えております。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 今の御解釈を仮にその通りといたしまして、若し最高裁判所がこの協定は憲法に違反する、かように裁定を下しました場合には、憲法第九十八条によりましてこの行為は効力を有しない。御承知の通り憲法第九十八条の「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」この規定の「国務に関するその他の行為」若しくは今おつしやつた国内的の効力を有する法律という意味合で将来に向つて無効になるというふうに解釈を下してよろしいでございましようか。

高辻正己法制局第一部長

○政府委員(高辻正己君) その点も基本的な問題の一つを御指摘になつたわけでございますが、この点につきましては、これは条約に限らないことでございますけれども、仮にその条約が憲法に違反するというふうな決定があつたといたしました場合に、最高裁判所のそういう決定が果してどこまでの既判的な効力を有するかということについて二つの考え方が出て来るわけで、これは条約に限りませんが法律にいたしましてもその法律そのもの或いは条約そのものがそのまま無効になつてしまう、国会が御制定になつた法律そのものが直ちに廃止をされたと同様の結果を来すものであるという考え方が一つございます。併し何時に又、そうではない、それは当該処分についてその法律が働くことが停止されるのだ、条約についても同様でございますが、そういう考え方がございます。それで只今まで学説上は今申上げたように二つの考え方がありますけれども、実際の扱いを申上げれば、それは最高裁判所におきまして、或る法律なりその他の国家の行為についてそれが無効であるからどうであるという判決が下つた場合には、当該行為について法律の無効性が問題になるわけで、その法律が丁度国会で廃止されたと同様な結果になるというふうには取扱われておらないわけであります。条約につきましては更に申上げるまでもなく、国と国との間の約束でございますから、仮に国内法的な部面におきましてそういう場合に遭遇いたしましても、国家間の効力は直ちには否定されませんから、若しそういうことになりますれば、恐らくは政府といたしましてはその条約を廃棄するなり改訂するなり、他国との関係において努力をしなければならん、そういう拘束が残ると思いますが、直ちに一切合切無効になるということにはならないものだと考えます。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 最高裁判所がこの協定を憲法違反であると仮に判定を下しました場合には、対外的の問題は暫く別にして、国内法的にこれが無効であるとするならば、防衛産業その他の問題について非常な影響を持つものであると思います。政府の見解では国内法的に無効であるという一致した見解でおありになるのか、まだそこまでは意見が一致しておらんとおつしやるのであるか、その点を伺つてみたい。

高辻正己法制局第一部長

○政府委員(高辻正己君) 今お答え申上げたことは極めて客観的に申上げたつもりでございますが、私どもの立場上そういうふうに申上げたいと思いますが、例えば条約なり法律なりが憲法に違反するといつた場合に、特定の事件が最高裁判所にかかるわけでございますから、その事件に関しては確かに無効として判断されるわけです。従つてそれと同様なソースが又起ればやはり同様の運命になるわけでありますから、そういう意味においては一遍当該事件について無効が決定されますれば、それと類似の事件についてはやはり無効であるように判断されるということは当然の結果でありますために、無効という意味の問題になりますが、今申上げたような恰好で何とかしなければならなくなるだろうということにはなろうと思います。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 いわゆるMSA協定が自衛力増強の義務を負つておることが憲法の戦力保持の規定に違反する、こういう最高裁判所の判定があつた場合に、国内法的に若しこの協定が無効であれば、自衛力の増強その他のことが停止されることになると私は考えますが、その点の具体的なことに対する統一的見解を政府は表明される段階に至つておるかどうか、或いはそこはちよつとここではまだ表明する段階には至つていない、こういう御意見であるのか、卒直なところを一つ伺つてみたいと思います。

高辻正己法制局第一部長

○政府委員(高辻正己君) 問題が非常に具体的になりまして、この日本国とアメリカ合衆口との間の相互防衛援助協定についてのことでありますようでございますから、念のために申上げたいと思うのでありますが、第九条を御覧になりますと第二項には「この協定は、各政府がそれぞれ自国の憲法上の規定に従つて実施するものとする。」というふうにございますので、これは実施の責に当る内閣といたしましては、この協定がそういうことになつておりますから、その協定に従つて自国の憲法上の規定に従つて実施するということになろうと思います。  あとの問題につきまして私から申上げるのはどうかと思います。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 今仰せの通り憲法の多項に従つてこの協定を実施するということは、これは或る意味からいえば蛇足のように書いてあると思うのですが、これを非常に言葉は悪いですけれども批評的に申上げれば、自己弁解をここで書いておるというふうにも受取れるわけであつて、協定にはこう書いてあるが最高裁判所の見解では、これは憲法違反である、こういう裁定を下した場合に国内法的の効果はどうであるかということを私は伺えれば伺つてみたい、こう思うのです。

高辻正己法制局第一部長

○政府委員(高辻正己君) 私どもといたしましては、この協定が憲法に違反するだろうという建前に立つての考えというものはどうも申上げにくいのであります。それよりもむしろさつき申上げた九条の二というのでありますが、これは今申上げたように「各政府がそれぞれ自国の憲法上の規定に従つて実施するものとする。」とありますから、この協定が憲法に違反するというふうなことになる虞は私はないのじやないか、こういうふうに考えるわけであります。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 若しこの協定が全然憲法に違反しないものであるとしますならば、若しくは学者その他のあらゆる階層の人が全然それに対する疑いの論議がないものであるとしますならば、恐らく、ほかの条約のことは一向暗いので存じませんが、憲法の許す範囲でこれをやるのだというような、かような自明の理に類するような条項は恐らく他の条約にはないのじやないか、私は存じませんけれども、私は気がいたすのでここでこういうことが書いてあること自体が、若しくはすでにいろいろの各方面の意見も十分御検討のことと思いますが、かなりこれには憲法違反の疑いがあるという、現に国会の公聴会においても相当の人がさように仰せられたように私は新聞紙上で拝見いたしました。浅学なる私が多少ものを見ましてもやはり相当その疑いがある。こう考えますので、実はそのことを伺つたわけでありますが、これ以上伺つても大体似たようなことではないかと思いますのでこの点はその程度にいたしておきます。  最後にもう一つ私が伺いたいのは、協定なり条約と憲法とはどちらが優先するか、これは憲法議会における金森さんの御答弁を拝見しましても、或るところでは条約が優先するがごとき御答弁もあるし、又その反対であるかのごとき御答弁もありまして、一向私は確固たる統一的の御自答がなかつたように思います。尤もその当時は現在と違いまして占領治下でありますから多少その間の遠慮もあつたと思いますが、もう今日になりましては、政府当局の御見解として相当統一的のものがあるのではないか、かように考えますので、条約と憲法とはどちらが優先するか、条約の国法的の効果はどんなものであるかという点についてお教えを賜わりたいと思います。

高辻正己法制局第一部長

○政府委員(高辻正己君) 憲法と条約との関係もこれは憲法上の一つの基本的な問題でございまして、まさに御指摘がありましたように、前の帝国憲法の改正当時における金森国務大臣の御答弁は、今仰せの通りのような状況でございますが、私どもの考えておりますのは、これは何も初めて申上げるわけではございませんが、やはり条約で国内的な事項を規定したもの、つまり国内法的効力を有するものの効力はやはり憲法に劣るものであろう、こういうふうに考えております。勿論これにつきましては学者の間にもいろいろ意見がございまして、憲法そのものが前文等に謳われております国際協力主義の観点から申しまして、条約のほうが上であるというふうに解する学者も相当おるようであります。併し同時に又反対の見解もあるわけでございますが、私どもが憲法と条約との関係について、やはり条約は憲法に劣ると解さなければ、どうしても合理的に日本の憲法の解釈ができないと申すゆえんのものは、この憲法の改正の手続と条約の締結の手続との比較の問題が一つございます。それは申上げるまでもございませんが、憲法の改正については、憲法の規定の九十六条にございますように極めて慎重なる手続をとつております。これは恐らく世界の憲法でもまれなような一つの典型だろうと思いますが、そういうふうに極めて慎重なる手続をとつておる。憲法に対抗いたしまして、条約はどうして締結されるかといえば、これは内閣が締結権を持つている。勿論これについては議会で承認という手続が必要ではございますが、そういうような手続の相違から申しまして、極めて慎重なる手続による法規範の設定の方が勝つということでなければ何としても理解はできないのではなかろうか、そういうような観点が一つございますが、そんな点からいたしまして、やはり日本の憲法では、憲法のほうが条約よりも勝つであろうというふうに解すわけであります。それで只今までに御質問が出まして申上げた趣旨も、実はそういうところに立つて、さつきの八十一条の規定の解釈もそういう点を前提として申上げたのであります。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 大変はつきりした御答弁を伺つてよく了解するわけでありますが、今のお立場として私の伺うことには御返事は如何かと思いますが、憲法制定当時の国会においては、金森国務大臣は諸所に条約優先若しくは条約が憲法にも影響するがごとき御答弁がありました。無論占領治下のことでありますが、今の政府の見解としては、この金森国務大臣の御見解を訂正して、憲法のほうが条約に優先する、こういう御見解に政府として一致いたしておると、こういうふうに承知いたしてよろしうございますか。

高辻正己法制局第一部長

○政府委員(高辻正己君) 政府としての見解はどうかということでございますが、政府としてということになりますと、私ども極めて慎重にものを申上げるふうな傾向にございますために、何か閣議決定をしてそういうようなふうにきめたかということで、申上げるわけには行かないのですが、ただこの点につきましては法制局長官も前に仰せられたことがあると思いますし、そのほかの大臣のかたも仰せになつたかと思いますが、そういうようなものを彼是総合的に申上げれば、今のような結論であることは政府の考えであると申していいかと思います。  そこで金森国務大臣のお話を訂正したかということでございますが、これはどうも当時の金森国務大臣の御答弁を見てみましても、実は必ずしも矛盾がないのではないかというふうに考えるわけであります。例えば確立された国際法規という言葉が九十八条の二項なんかにございますが、そういう面につきましては、実は憲法との抵触関係というのはないのじやないかというふうに考えるのがその一つの考え方なのでありますが、いずれにしましても金森国務大臣の御答弁と、それから今政府の答弁と申しますか、今までに政府側から申上げておつたような意見とは必ずしも矛盾していないのじやないかというふうに考えるわけであります。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 憲法制定国会の高柳議員に対する金森国務大臣の御答弁のうちに、憲法に対して制約を加うる条約も又あり得るという考えに基いて御説明を申上げた。こういつたような言葉があるのですが、どうもこの御説明と今の御見解とは必ずしも矛盾でないという仰せでありますが、私はやはりどうも工うのじやないかと。必ずしも矛盾でないと仰せになりますと、それは一体どういうわけだということをもう一つ伺つてみたいという気持になるわけでありますが。

高辻正己法制局第一部長

○政府委員(高辻正己君) 只今木村大臣からもお話があつた点でありますが、実は申上げなかつたのでありますが、それは最初お尋ねがありましたとき仰せになりましたように、日本国憲法ができたときの事態というものがいわゆるポつダム宣言の受諾に伴つてあつたような関係でございますから、実はもつと言えばそういう事態を基盤としておつたということは拝夫として或る程度承認せざるを得ないところじやないかと思います。そういう事態の下において仰せになつた関係からああいう言葉が出たのではないかというふうに私どもは考えます。従つて普通の場合について考えてみれば、今私があえて矛盾がないのではないかと言つたのは、そういう点を抜きにして私は申上げたのであります。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 憲法第九十八条の第二項の「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」こういう御承知の通りの規定があるわけでございますが、この規定の現在における意義を何か御説明を頂けば幸いだと思いますが、現在の段階においてはもはやこういう規定は必要じやないのじやないか。若し新らしく憲法を制定するとすればと、私は考えるのでありますが、新らしく憲法を改正なりする場合に、なお且つ第九十八条第二項の規定は置いておかなければならんかどうか。若し置いておくとすれば第九十八条第一項の規定と抵触するかのごとき疑いを生ずる虞れがある。むしろないほうがすつきりとするのじやないか。これは改正の場合の参考識見とでも申しましようか、これに対する御意見を伺つておきたいと思います。

高辻正己法制局第一部長

○政府委員(高辻正己君) 恐らく仰せになりました趣旨は、九十八条の二項の規定が一項と相並立して存在しておりますために、あたかも条約が憲法と同格に、或いはそれ以上の力を持つておるように見える懸念がむしろありはしないか。そういう意味において憲法改正ということがありとすれば、今仰せになつたような点が考慮されないかということであろうと思います。併し私どもは、九十八条の二項というのは、さつき申上げた趣旨で考えておりますので、実は九十八条の二項はそういうことの意味ではなくして、いずれにしても条約なり、確立された国際法規というものは、そのままでは実は国内法ではないわけで、要するに国際社会を規律する一つのむしろ国際法的な関係にあるものでございますから、それをむしろ国内法として導入と言いますか、国内法に取入れたところのパイプの作用をなすものである。つまり国際法である条約、国際法の法源である条約なり、確立された国際法規というものは、やはりそれは国内法的な事項に関するものであれば、それは誠実に遵守しなければいけないという意味におきまして、私はやはり意義があるのではないかというふうに考えております。勿論憲法改正との関係で、しかく厳密に考えたわけじやございませんから、直ちにそれがその通りであるから是非置くべきであるというふうに申上げられるかどうかわかりませんが、ただ今のところそういうような意味があると考えますから、直ちにこれはなくてもいいのではないかということにはならないのじやないかというふうに思うのであります。

八木幸吉改進党

○八木幸吉君 有難うございました。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 議事進行。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 議事進行ならどうぞ。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 昨日から本連合委員会を開かれたわけでありますが、私は委員長の所見を承わりたいと思います。昨日連合委員会を開会するに当つて、大臣の出席について私が議事進行に基いて発言したことは御記憶だと思うのです。そのときに、委員長は昨日四時半には私が要求しておるところの緒方副総理並びに木村長官、当時出席されておりました岡崎外務大臣が当委員会に出席が可能であるから、従つて四時半から矢嶋に質問させるから、矢嶋の所見を以てすれば、直ちに委員会を開会することは不満かも知れないが、同調してほしいというので、私は委員長に対して、それならば結構ですと、こういうふうにお答え申しておいたはずです。それに基いて昨日連合委員会が開会されたわけですが、作目四時半になつても五時になつても要求大臣はおいでにならない、そのために私の質問は遂に昨日できなかつた。昨日の情勢では本日は各大臣が出席できるので、そのときには矢嶋に質問の機会を与えよう、こういうことであつたわけですが、本日又本会議が終つたにかかわらず、緒方副総理、岡崎外務大臣も当委員会にお見えになつていない。私はこういう形で本連合委員会を開かれたことについては非常に不満と更に疑義を持ちます。私は冒頭から、一昨日から質問を通告しておる。そして昨日ああいう約束があつたが昨日は駄目になつた、更に本日又駄目になつた。一体委員長は私の質疑権を如何ように扱われておられるのか、如何ように努力されておられるのか、そのことを承りたい。私は昨日申したことを再び申上げますが、それはもう外務委員のかたがたは相当審議し尽しているでしよう。併し内閣委員会としてはこれは相当関連性のある案件です。その際に内閣の責任者である吉田総理は勿論のこと、副総理すらお出でにならないでだらだらこんな委員会を開くということは何ごとですか。私は即刻副総理の出席を要求して委員会を継続するか、さもなければ私は暫く休憩すべきだと思います。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) お答えいたします。この連合委員会は名のごとく連合委員会でありまして、その意味合で開いておるわけでありますが、昨日来矢嶋君の御要求は私もよく了解しておるところであり、そのためにこそ、昨日最初副総理及び保安庁長官が約束された四時半に両大臣が来られたならば、第一に矢嶋君に発言をお許しするということを申上げたわけでありまして、お説のごとく昨日は両大臣がお見えにならなかつたので、委員会は両大臣なしにそして両大臣がいなくとも質疑のできるかたがたにお願いして、そして或る程度の質疑は終つたわけであります。本日はやはり初めから要求大臣の出席を求めてそして開くつもりでおりましたが、いろいろな事情、本会議がああいうふうに延びたというような事情からして、既定の時間通りにこの委員会を開くわけに行かず、又要求大臣も本会議に出席のために直ちにこの委員会に来られることができなかつた。ただ保安庁長官が都合がおつきになつたので、それでこの委員会に来て頂きまして、そして他の要求大臣の来られる間保宏庁長官限りで質疑のできる委員がおありになりましたならばそれを願いたい、こういうことで、八木委員は進んで保安庁長官だけでいいのだ、こういうことでありましたから、今お聞きの通りのような質疑が行われたわけであります。而うして各大臣の都合を今申上げまするから、それで大体御了解ができると思うのであります。外務大臣は、今の本会議におきます国連関係の答弁のために四時十分頃には本会議における答弁が済んでこちらに来られるだろうということで、(「もう四時二十分だ」と呼ぶ者あり)四時十分はもう過ぎておりますが、併し、これはそう遅くなく来られることと思います。問題は副総理であります。副総理は国連協定関係の本会議の議事が済んだあと、衆議院の本会議に出席をしなければならない。それで直ちにこの連合委員会に出席することは困難であるけれども、ただ衆議院の本会議での緊急質問は、質問の時間は答弁までを含めて一時間以内ということで、一時間以内には済むだろうということでありまするので、多分五時頃にはこつちに廻つて来られるのじやないかと思います。いずれのちに今日はこの委員会に出席されることになつております。つきましては、その際まだ矢嶋君のほかに多くの質疑者のかたがたが副総理及び保安庁長官を要求しているかたがたがたくさんおありであります。でありまするからして、その際矢嶋君の御発言を求めるということにいたしたいと思います。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 この本会議に出席しているために委員会に大臣が出席できんというのはいたし方ございません。併し、昨日もあり、よくあることなんですが、或いは衆議院の委員会に入つているとか、或いは大臣室で密談をやつているので出席ができない。そういう理由で多忙な委員が毎日来て質員もできんで時間を空費して、夜の夜中までとどめ置かれるということは、実際議員の活動ができないで迷惑千万でございます。国会がこういう後半期に入りまして、殊に重要議案が多くて参議院に集積した段階においては、総理と副総理が、両者が出られなければ国会の運営できるはずはないのです。そのため副総理というものを設けてあるのです。原則として総理が出るのが建前であり、総理が故障ある場合には副総理が出る。そのために副総理が置いてあるのです。だから副総理が駄目ならば総理の出席でも要求して頂きたい。そうでないと、そういう大臣の御都合で、それも万止むを得ないことならばともかくも、そうでない御都合で毎日時間を空費させられる。而も夜遅くまで待たされるということは、私自身も議員活動に支障を来しますし、私は国会職員も気の毒だと思うのです。その点で再度まあ委員長ずつと御努力を頂いておるようですが、更に事務局を通じて御善処方お願いいたします。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 今まで私どもの努力した結果を今申上げたのでありますが、総理を御要求になりましても本日は予算委員会のほうに総理は出ておられますので、これは不可能な話であります。  なお先ほど申し落しましたが、保安庁長官がおいでになつて、つまり、要求各大臣が揃わなくても当連合委員会は開こうということは、先ほど三委員長の間で会議をいたしまして、その通りの決定に従つて始めたわけで、それも又御了承をお願いいたします。いずれ副総理はあとで来られることでありましようから、今矢嶋委員の言われたことは、その副総理の出席を待つて御発言になればいいであろうと思います。但しお説のごとく、毎日委員会が遅くなりますることは、これは矢嶋委員が言われるまでもなく皆が非常に迷惑しておることであることは申すまでもございません。併しながら、委員会はこれ一つではないのであつて、たくさんの委員会がある。おまけにこの日に両院同時に開いておるというような関係がありまするし、その点は或る程度の寛容を以てお互いに譲り合わなければならんと思います。それでこの委員会は続けて行きますからして、菊川君。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 私も副総理にお尋ねいたしたいのですが、この間もうすでに副総理不在のまま質問をいたしましたので矢嶋君と同じような考えを持つておりますが、委員長のお言葉もあるし、三委員長で決定されたということでありますから保守庁長官に対する質問を副総理が見えるまでいたしたいと思います。  私は八木さんとはちよつと違つた観点に立ちまして、自衛力を持つてもやはりこの原子力時代、水爆時代には殆んどむだだ、或いは又国の実力からできない、日本を守るような自衛ということはできないのじやないか。なお又、自衛カというものはただ人数をふやしてそれに鉄砲を持たせただけでは烏合の衆である、これが本当に国を守るようにするには日本の軍隊も威張つていたかどうかいろいろ批判はあるといたしましても長い間かかつてできたのだ。どこの自衛力でもそんなものでありまして、ただ青年を集めて制服を着せて鉄砲を持たせたというだけで自衛力ということは我々はならないと思います。そういう観点から時間的に間に合わない、世の中は急テンポで進んで行つているから間に合わないという観点に立ちまして御質問いたしたいと思うのであります。そういうふうに私は思うのでその疑問を解いてもらうように一つお答え願いたいと思います。  第一にお尋ねいたしたいのは、自衛力を増強することをまあ必要とする、どうしてそれを必要とするのか。私はそういうふうに考えているのでありますが、保守庁長官あたりは非常にこの自衛力増強について必要性を強調しておられる。この前の委員会におきましても岡崎さんは、まあスイスでも中立を維持するために兵隊を持つているじやないかと言いますが、スイスなんかの今の経済力と日本の経済力なんというものは問題にならん。向うは殆ど失業者もおらない、泥棒もおらないというような国と、失業者はどんどんふえで来るわ、住むに家はないという国とは比べものにはならない。この間はスイスの話があつて、スイスでも軍隊があるのだから日本も持つのだ、国が存在する以上自衛権がある。やはりその背景として自衛力を持たなければならないという岡崎さんの御答弁のように私受取りましたが、そこで保守庁長官といたしましては、やはり国が危い、このままでは危い、だから自衛力を増強するのだ。こういうふうにお考えのようでありますが、その危いのは一体どこがどういうふうに具体的に危いかという点をこれを納得の行くように御説明を願いたい。例えばどうもどこからかやつて来そうだとか、或いは国内でも大反乱を起す計画がある、そういう計画があるならばどういう証拠をこういうふうに握つているということを、若し公開の席で都合が悪かつたら秘密会でも結構ですから、こういう事実がある、放つといたら大変なことになる、こういう事実をつかんでおつたら御説明を願います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。  今の御疑問の第一は原子爆弾、水素爆弾のような大きな兵器が発達された場合において自衛隊なんというものはもう必要ないのじやないか、そういう時期じやないのじやないかというお話でありますが、私はそれは非常に飛躍した考えだと考えております。もとより原子爆弾、水素爆弾の威力の偉大さは脅威的であります。私はこれによつてむしろ将来平和の曙光を見出だすのじやないかとさえ考えております。というのは再び戦争が起つてかようなものが使われるようになるということは、これは人類の悲劇でありますから、どこの国も進んでかような兵器を実際に使うということは私は考えていないと思う、これによつてむしろ戦争の惨恒たることを十分に理解して再び戦争をするような愚を繰返すことがないような方向に向つて行くのじやないかとさえ私は考えております。併し(「それが新憲法だ」と呼ぶ者あり)それは私は決していわゆる戦争というに至らざるとも外声からの不当な武力の攻撃というものがないとは私は考えないのであります。現にかような兵器か発達した現途上においても、世界いずれの国においても軍備の撤廃は勿論のこと縮減している国はありません。只今スイスのお話が出ましたが、スイスばかりじやございません。現にインドのごときも自衛力は持つておるのであります。私は進んで世界の各国が全部軍備を撤廃することを希望しているのです。(「それが根本精神だ」と呼ぶ者あり)さような国は幾つもありません。又縮小しておる国ですらないのであります。而して我々日本が今どういう地位に置かせられておるかということを考えてみますると、結局アメリカの駐留軍と日本の保安隊が手を握つて去ればこそ私は日本の平和と独立を保つて行つておるのじやないかと、こう考えております。万一アメリカの駐留軍が撤退し、日本の保安隊が全部やめるというような事態が起つたならば日本がどうなるか、むしろ私は非常なここに危険性があると考えております。これがあればこそ日本が現在平和と独立を守つて行けるのだと、私はこう考えております。従いまして現段階においては今次話のように具体的にどういう危険がふるかということは私は申すことができません。併し一国、独立国たる以上は財政力にマッチした自衛力は当然持たなくてはならんと考えております。いわんやアメリカ駐留軍がその希望によつて漸次撤退をしたいというような現情勢においては日本においてもそれをカバーするだけの自衛力の漸増を図つて行くのは当然の事理であろうと、私はこう考えておる次第であります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 今木村保安庁長官からアメリカの駐留軍が撤退した場合には非常な危険な状態になる、或いは日本の保安隊がおらなければ大変なことになる、こういうお話で、そのことは言えない、こういうお話でございますが丁度戦時中の軍機の秘密のようなものでありまして、ABCDラインがあるのだ、だから一つ軍艦大和をこしらえなければならん、それ武蔵をこしらえなければならんというわけで、税金を取られてやつたが、結局こしらえてもらつたけれどもえらい目に会つただけだ、こういう結果になつたわけであります。従つてこれはやはり国民が納得するようにこういう危険がある、而もこれをこしらえておけばこれが防げる、こういうふうに納得して使いものになるならばこれはいいですけれども結局軍艦大和、武蔵或いは月月火水で訓練した兵隊は何にもならなかつたと、結果はそういうふうになつたわけであります。従いましてこれはこういう危険があるのだからやらなければならんということを知らせれば又別でありますが、それさえも知らさんで危いぞという抽象論だけでは、而も三十六億だけ、まあ我々の所属しておりまする委員会なら経済援助資金特別会計だけでありますけれども、この法律を審議する前提として三十六億もらつて、そうして大きな義務を負わされるのじやないかということを我々は確かめてからこの法案と取組みたいと思いますのでお尋ねするのでありますが、その前提として今お話になりました駐留軍が帰つてしまう、それから日本の自衛隊はなくなつたらえらいことになる、一体どういう危険があるのでしようかな。どこからかやつて来るかも知らんということか、それとも内部で何か現われるか、どちらのほうの危険を特に想定をしておられるのでございましようか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) いずれ具体的にどういう情勢であるかということが国民の前に明らかになる時期が来るかとは私は想像されるのであります。現段階において私はここで申すことはできません。而うして内部いわゆる国内においてどういう情勢にあるか、国内においても具体的には申すことはできませんが、我々といたしましては間接侵略のような事態が起らないとも限らないのであります。間接侵略が起るときには又直接侵略が同時に起るということを我々が十分に考えて対処する必要があろうと信じています。又武蔵、大和のお話が出ましたが、ああいうときの情勢とは全然違うのであります。申すまでもなく武蔵、大和を造るときにはむしろ日本が国外に進出して行こうという一つの大きな意図の下にやつておつたのであります。現段階においてはさような意図というものは毫もないわけであります。又憲法の禁止するところであります。我々はただただ国内の平和と秩序を維持し、安全を期するために要するに外部からの不当な武力攻撃に対して回避し得るだけの最小限度場の防備力を持つ(「それは防衛力じやないかと呼ぶ者あり)という考えの下に自衛隊法或いは防衛庁設置法を御審議願つておるわけであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 くどいようでございますが、非常に大事な問題だと思いますので、一つできるだけお尋ねいたしておきたいと思います。それは武蔵、大和をこしらえるときにも決してこれで海外へ進出するんだと、侵略するんだということは教えられなかつた。ABCラインがどんどんやつて来るんだから危いから自衛のためにやるんだ、丁度今日の自衛と同じようなことを我我は教えられて参つたわけであります、政府の当局から。その当時は一青年でございますが、今日は一般国民の代表として国会へ来ても危いんだということだけは保安庁長官から知らされるけはども、それなら具体的にどういうふうに危いかということを知らされずに、どうも戦争中と同じような、而もあの当時は佐藤賢了に黙れと言われたかも知れませんが、今日はそこまで言われないが違つておるようなもので、どうもやつぱり危険性の如何なるものか知らされないで、やがては国民の前に明らかになるとおつしやいますが、いつ頃になつたら明らかになりますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 的確な判断ができた場合に申上げるようになろうかと思います。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 関連して。具体的にもう少し御説明にならなければ了承ができないと言つておるのですから、一つ具体的に御説明を願いたいと思います。そちらからお出しになつている例えば人員の増強にしても制服二万その他八千七百、合せて二万八千七百の陸上自衛隊を作る、海上は両方合せて五千七百四人にする、航空は七千七百六十五人にすると、人員については具体的に極めて明瞭に出している。更にそれを議するためのいろいろな、MSAに規定する小銃であるとか、機関銃であるとか、機関砲であるとか、ロケットランチャー、迫撃砲等々を非常に具体的に出しておられる。これは具体的にどういう侵略の危険があり、どういう対処の仕方をしなければならないからこういう具体的な問題が出ておるんだというほうが対応しておると思う。或いは国内においてどういう状況でそういうものに対処しなければならないからこれだけの人員装備が必要だということが具体的に想定されているはずです。それをお示しにならないで、MSAの期待量はこれだけだとか、人員はこれだけふやすだとか、これを承認しろとかあなたがたのほうだけ具体的にやられたんじや我々は承認のしようがない、これに対応するものとしてもつとまじめに具体的にお示しを願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 今申上げた次第でありますが、この増員は要するにこれだけのものに見合うだけのアメリカの駐留軍、地上部隊の撤退を早く我々は期待をしておるのであります。かような次第で今御審議を願つておるわけであります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 侵略の危険なり何なりをもつと具体的に出される。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 具体的には、私は只今の段階においては申上げられません。ただあなたがたらもこれはそこは常識としてお考え下さる場合に、日本の周辺におけるいろいろの軍事上の配置、これはすでに新聞紙上において明らかであろうと思いまするが、私はさような具体的な突き進んだことは只今のところでは責任を持つて申すことはできません。    〔「関連して」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 菊川君よろしうございますか……。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 只今のお答えでは私も満足できないのです。佐多君が指摘されたように木村長官は人員の増加の数、装備のいろいろの難等についてはつきり具体的に示しておられる。少くとも防衛というからには直接なり間接なりに侵略すべき相手を想定していられると思う。それだけの人員それだけの装備を持つからには侵略効についても或る程度の具体的な内容を想定していなければこちら側としての防衛力の基準なり或いは実質的な内容なりというものはきまつて来ない。従つてその点もう一度今の段階においてはそれを確答する時期ではないというようなことでお逃げになつているようでありますが、少くとも陸上は何万、海上は何千、航空面について何千ということを想定されるからには、駐留されているアメリカ軍との総計の兵力量を基礎にして相手方の、侵略すると考えられる方面の武力というものが想定されているわけだと思う。そういう想定されているところの相手方それから相手方の武力、そういうものについてもう少し具体的にお話願いたいと思う。そうでなければこちら側だけ具体的にお話になつても、相手方のあることなんですから、その相手方の装備力その他がわからなければ、これは到底我々としては承諾できない、このように考えますがらお答えを願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 今直ちに相手国つまり仮想侵略旧がどこであるかというようなことは私は申すことはできません。ただ少くとも我々といたしましては日本周辺の軍事配置なんかを多少研究いたしております。おりまするが、今はこれは直ちに正確なものでとは申すことはできませんから申上げることはできないのであります。ただ人員の増加というのは今申上げましたようにアメリカの駐留軍が、主として地上部隊でありますが、これが早急に一部撤退したいと言つておりまするからそれに見合う分だけを是非とも早く日本でどうかしたい、こう考えて我我は計画を立てる、二十九年度においてその計画を立てて御審議を願つておる次第であります。ただこれが進んで又どれだけの計画があるかということになりますると、我々にとりましてはそういうような長期の計画というものは現段階においては立つことはできませんから、研究はいたしまするが確実なものは立つておりません。

成瀬幡治日本社会党(第四控室・左)

○成瀬幡治君 関連して。それじや観点を違えて長官にお尋ねしますが、人員装備をふやされることは、あなたのほうとしては具体的なものをお作りになつたわけですから、或いは間接侵略なり直接侵略を具体的につかんでこういう員数なり或いは装備をお出しになつたものか、研究中のものをまあここら辺だろう、こういう何と申しますか即ち当てずつぽうのものをお出しになつたのか、その点を一つ明白にして頂きたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) これは只今申上げましたように、アメリカ駐留軍の撤退に間に合うために主としてやつておるのであります。従つてこれだけのものが、人員が増加し、装備が整いますれば、これに見合うだけのアメリカの駅留軍が、これは主として地上部隊でありますが、撤退されることと我々は考えます。

成瀬幡治日本社会党(第四控室・左)

○成瀬幡治君 そうするとあなたはまあアメリカの駐留軍が日本にいるから直接、乃至間接の侵略はないのだ、だから逆に言えば、そういうものは全部米軍が撤退すればそういう装備と人員のものさえ持つておれば日本の国に対する間接乃至直接の侵略はないのだ、こういうふうにお考えになつている。従つて日本の最大の、最大と申しますか最高のその防衛力というものは、アメリカ軍が持つている、日本の現に持つている装備なり或いは人員で十分だ、これがもう限度とこういうふうに現段階においてお考えになつておるのか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 将来のことはわかりませんが、現段階においては現在の駐留軍と日本の保安隊、今度はまあ法案が通過いたしますれば自衛隊になりますが、これらの勢力によつて私は日本の安全と平和と自由とは一応守られて行くものと確信しております。

成瀬幡治日本社会党(第四控室・左)

○成瀬幡治君 そうするとあなたの自衛力というものは、飽くまでもアメリカの今度まあどういう上での計画になつているかわかりませんが、アメリカの員数が減れば又来年もふやして行く、装備が減るだけそれだけ日本のものをふやして行く、こういうまるでアメリカさんの減つて行くというのですか、そういうものに見合つてこちらの調子を合せて行く、こういうお考えなんですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 少くとも二十九年度においてはアメリカの撤退する規模と見合つてやつているわけであります。併し将来のことにつきましては、これは日本の財政力を勘案し、その他すべての情勢を判断してでなければ計画が立たないわけであります。又将来においては国際情勢が変化もいたしましようし、兵器の進歩もありましようし、これらを勘案して日本の自衛力をどういう工合にして行こうかということを十分研究する余地はあろうかとこう考えます。

成瀬幡治日本社会党(第四控室・左)

○成瀬幡治君 私のは関連質問でございますからこれで終ります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それで次に保安庁長官から相手国についても明らかにしてないというのですが、東条内閣当時でも、あのこの前のずつと引続いての戦争準備内閣、どの内閣でもとにかくまあ相手国は明らかにしたのであります。ABCDラインとか何とか言つて相手国を明らかにしたのですが、その相手国さえもあなたは明らかにしない、そうしてまあ国民の税金をこれに使おうというのでありますから、相当これは無理ではないか。先ず第一点、この点をお尋ねしたい。  それから第二点として、若しそういう不幸な、我々はそういうことの起らないことを念願しております。起らないと思いますが、不幸にしてあなたの言われるそういう危険性があつて、危険な状態になつた場合には、実際になつたときには一体国民としてこれに協力する、一般国民ですな、これは協力をしなければならん、あの当時はまあ軍というのは協力せいせいというわけで、B29が飛んで来たら、とにかく竹槍なりバケつなりで以てこれを消せというわけで協力させたのでございますが、あの当時にはこんな今から考えると馬鹿げたようでありますが、協力せいということを言つたのでありますが、今度はそういう事態になつたときには一体国民に協力を求めるものであるか求めんものであるか、求めるとすれば今から明らかにして行かなければならないのじやないかと思いますが、この点を第二点としてお伺いいたしたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 我々はいずれの時期においても、不当な他国の侵略に対して対処し得る最小限度の防備力というものは、独立国家たる以上は持たざるを得ないのであります。又持つべきが当然であるという考えを持つております。而して今お話の一たび外部からの不当な侵略に対して国民が協力するかどうかということでありますが、私は日本国民たる以上は少くとも大多数は協力するという確信を持つております。不当な外部の侵略に対しおめおめ手を挙げてそのじうりんに委せるという私は日本国民ではなかろうというように考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それならばやはり協力を求めるように出て行かなければ、保安庁長官としても常に協力を求めるような態度で臨んでおらなければならんと思う。ただするだろう、おれに付いて来るだろうでは、これはちよつとそんな指導方針というものは、指導方針というのは語弊があるけれども、おかしいと思うのだが、協力を求めるには求めるように常にやつておかなければ、ふだんは何も知らさずに一旦始つてからそれ協力せいというのでは遅いので、というのは現にアメリカでも、ソヴイエトでもやつているだろうと思うのですが、アメリカでもソヴイエトでもすでに防空演習をやつている。ところが危険がある、危険があると肴つて、アメリカから見るならば日本が前線になつているわけです。ソヴイエトから見ても前線になつておると考えるのだが、その後方のアメリカでも防空演習をやつておる。ところがまだそんなことさえも、防空の防の字もわからんで、一旦危険があるようになつたら防空演習なんというものはもう忘れてしまつていると思うのです。こういうところから見ると余り危険がないようにも思うのであります。単なる地上部隊をこしらえるだけのようにも思われるのでありますが、そういうような点は、アメリカ本国でさえ防空演習を常に一週間一遍ぐらいやつている。日本では全然そういうことは忘れてしまつて、防空というものは誰も考えておらんだろうし、建築にいたしましてもそんな考えを持つてやつている人はおらん、平和憲法そのままの体制におるわけです。こういう点がえらいずれがあるように思うのですがどうでしようか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 只今のお話を承わつておれば、日本でもすでに防空演習を始めたらどうかというふうに受取れるが、(笑声、「それは逆だ」「元気がいいよ」と呼ぶ者あり)私はいわゆる要するに日本が今駐留軍と手を握つてやつておるのでその危険が先ず遠のいておるのじやないかと考えております。先刻から申上げましたように、アメリカは原子爆弾の攻撃に対処すると同時に防空演習をやつておるということを我々聞き及んでおるのでありますが、私はむしろ原子爆弾なんかに見舞われるようなことはないのじやないかと考えております。(「冗談じやない、広島、長崎の例があるじやないか」と呼ぶ者あり)その危険がむしろ遠のいておるのではないかと考えております。それ以前において私はむしろいわゆる不当の侵略に対しての最小限度の防備を必要とするのじやないかと、こう考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 私はこれがアメリカもおらないのだとしたらまさか原爆を落しにソヴイエトでもやつて来ないだろう、こういうふうに思うのだが、アメリカ本国でさえも攻撃を受けるというのでありますから、その前線部隊であるところの日本がこれは攻撃を受けるのは当り前だ。これは覚悟しなければならん。これはおらない場合にはあなたの言うような考えは我々もそう思う。アメリカがおりさえしなかつたらまさか原爆を落しにも来んだろう。こう思うのですが、おる以上はこれは本国のニューヨークさえ原爆をやられるかも知れないというのでその防衛をやつている。ところがましてや前線に向つては攻撃を加えて来るだろうということも覚悟しなければならん。それはアメリカがおるから落しに来ない、そんならアメリカ本国にはより以上強いアメリカ軍がおるのでありますからニューヨークあたりに落しには来ないと思つておるのですが、ワシントンとあなたとは今度共同行動をとらなくらやならんというような今のお話でございましたが、共同行動に出るべき向うのほうは非常に細心であるにもかかわらず、こちらでは極めて楽観的である。どうもその話が非常に我々にははつきりわからんのでございますが、その点についてはどうでございましようか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私はむしろアメリカの駐留軍が撤退するような情勢になれば外部から日本に対する思いもよらん不当侵略が却つて来る危険が十分にあろうと思う。今お話のアメリカの駐留軍がおるからさも日本に向けてどこかの国から原子爆弾の攻撃を受けるような危険があるかのごとく仰せになりましたが、(「その通り」と呼ぶ者あり)私はむしろ逆に思うのでありまして、決してアメリカの駐留軍が日本におるからと言つて日本が原子爆弾の攻撃に見舞われるという危険性よりも、むしろアメリカの駐留軍が撤退したときにおける第三国の日本に対する不法な攻撃の危険がよりあるものと我々は判断しておるのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それでは次に、これは議論になりますが、より精鋭なる軍隊のおる本国が危いと言つておるのに、それより前線の日本、アメリカは日本を守るよりも本国を守るほうに力を注ぐのは当り前だと思う。そのアメリカの本国を守り、十分備えておる本国でさえ危いというので警戒して原子爆弾にやられるかも知れないと言つているのに、その前線部隊がおるから大丈夫だと言つている保安庁長官の答弁は全く理論的に矛盾していると私は思いますが、これは意見になりますから次の問題に入りまして、それでは駐留軍が撤退しただけは増強するというのでありますが、終局の目的はあなたは保安庁長官として全部駐留軍全部と言いますか、殆んどの駐留軍が撤退してしまうまで大体増強しよう、これがあなたの理想的な目標である。今では、陸海軍なき後、丁度背の陸海軍大臣を兼ねておられるようでありまして、参涙総長も兼ねておられるような地位にあるわけでありますが、非常な抱負を持つてこの問題と取組んでおられる。(笑声)冗談ではないのです。本当にないのでありますからあの当時と比べましたときにあなたはそのくらいな値打はあるわけです。どのくらいまで一体増強しようというあなたは理想を持つておられるのですか。例えばタイ国くらい持ちたいと思うか、インド軍くらいまで持ちたいと思うか、それとも或いは又スイスくらいは持ちたいと思うか、質、量等について援助を受けて、これから今度の経済援助特別会計法に基きましても今年は三十六億でありますが、殆んど兵器産業に使うといつておる。従つて兵器産業に使うという以上は武力の増強ということになるわけです。戦力ではないかも知れませんがとにかく武力を増強することになるが、あなたの構想としましては一体これくらいまではせめて持ちたいものだと念願しておる構想はおありになるだろうと思います。質、量というようなものについて一つ構想を御発表願いたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論アメリカの駐留軍全部に対して撤退をし、それに見合うだけの日本の自衛力を持つて行くというようなことは只今考えておりません。又できない相談であります。而して私は将来どれくらいの自衛力を持つべきかということについては、これはなかなか容易ならん問題、殊に兵器の進歩というものは著しいものがあります。申上げるまでもなく水素爆弾にしても原子爆弾にしても爆弾そのものだけでは役に立たないのであります。これを運んで投下するところの飛行機或いはGMというようなものがなければいかんのであります。従いまして将来この電波兵器の進歩というものは著しいものであろうと私は考えております。これによつて或いは原子爆弾、水素爆弾の攻撃を防止し得る時代が来るのじやないかとさえ私は思つております。従いまして我々といたしましてもこの兵器の進歩というものに常に目を向けて日本の防衛体制を終えるべきであろうと考えております。ただ単に人員を増加し、或いは船をふやし、飛行機を増加させるというだけではいかんのでありまして、常にそういう面に思いをいたして日本の将来の防衛体制を整えるべきであろうと考えておるのであります。従いまして今兵員を幾ら増加する、艦船をどれだけ作る、飛行機をどれだけ持つというような具体的のことは私は申上げる段階でないと考えております。何人がその局に当つてもさようなことは軽卒に計算を立てることは許すことはできんと考えております。国際情勢と今申上げまする将来の兵器の進歩もいろいろな財政面からも検討して計画を立てるべきであろうと考えております。而も国際情勢は目の変るごとく変るのであります。或いは近い将来において全く我々の思いもよらん平和機構ができて、世界が平和になつて行くかも知れない、これは或いは夢物語で笑われるかも知れませんが。そういう事態が来んとも限りません。従いまして長期の防衛計画を立てるというようなことは、私は今到底なすべきものでないと、ただ一応の我々はどこへめどを置くかということについての研究はすべきであろうと考えております。我々といたしましてもその研究は今やつておりますが、正確な数字は立ちませんので、ひたすら各方面からの資料を集めまして一応の計画だけは立てたいと思つて努力している次第であります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 私も実は原爆不戦論者で、恐らく戦争はやれないだろう、だからこんなものをこしらえておく必要はないとこういう、ちよつとあなたから言うと飛躍かも知れませんが、そういう固い信念を持つて、その上でその前提に至つてお尋ねしているわけです。だから無駄だからこんなところに税金を使うのはもつたいない、私はこういう考えからお尋ねしているので、ところがあなたは非常に兵器の進歩その他等を考え合されてこれに見合うようにして行きたいと言われるのでありますけれども、ここでは発表することはできないとおつしやると、とりあえずここで受取らなければならないのは、まあ一年々々その情勢をにらみ合せてやつて行くのであつて、従つてまあ行き当りばつたりと言つては語弊があるけれども、非常にジクザク・コースをたどつて行かなければならない、こういうように理解しておるのでありますがどうでしようか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は今申上げました通りに、長期の防衛計画というものは立てられんと私は考えております。そこで国際情勢、或いは日本の財政事情というものを見合いつつ私は計画を立てて行くべきものだと考えております。そこで差当り二十九年度ではアメリカの駐留軍の一部の撤退ということを先ず頭において、そうして計画を立てておるのでありまして、三十年度に対してどういう計画を立てるかということについては今我々としては十分研究中であります。さような次第でございまして、長期の計画というものは一応のめどは私は研究する必要はあろうと考えておりますけれども、差当りの問題といたしましては各年度ごとに我々はすべての事情を勘案して増強計画というものを立てて行くべきものではないかとこう考えております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 関連して。先ほどからアメリカ駐留軍の撤退云々というお話が出ておるようですが、一体それならば二十九年度に非常に具体的に陸上自衛隊或いは海上自衛隊、航空自衛隊の増強を、装備も人員も非常に具体的に出しておられるのですが、これはアメリカ駐留軍の撤退を考慮しつつ、それとの見合いにおいてやつているというお話ですから、そこをはつきり伺つておきたいのですが、二十九年度にはあなたがたはアメリカの地上軍がどれだけ撤退し、更に海上、航空もこれに照応して撤退をするというふうにお考えになつておるのかどうか、その二点を明瞭に具体的にお示しを願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。これは日本の増強計画が実施された後においてアメリカがどれだけそれに見合つて撤退するかということを相談するのであります。まだこの計画が実施するところまで行つておりませんからアメリカとの折合はできておりません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 関連して。先ほどから伺つておりますと、アメリカ駐留軍の撤退に見合うだけの自衛力をふやす、こういうお話でございます。そこで今の佐多君の質問が出たのだと思うのですが、あなたの言葉を念を押すとそうではない、鶏のほうがあとだという、こういうお話であります。その点を明瞭に願いたい。  それからもう一つ関連してお尋ねをいたしますが、アメリカ駐留軍が撤退する、その撤退に見合う力を増員する、或いは増大する、こういうお話でございますと、曾つて或いは予備隊、或いは保安隊の当時長官と論戦をしたことがございますが、あの当時は決して防衛力でもなければ自衛力でもない、あれは警察である、その見合う力というのがいつ自衛力になつたのか伺いたいのであります。なるほど自衛隊法が出ておりますから、自衛隊法が通つたら或いは自衛力、防衛力ということになるかも知れない、今ありますのは私は警察だと思つておるのであります。撤退に応じて穴埋めをされるのは駐留軍のような人数、装備、それから防衛力、同じ程度の力、車力と申しますか軍隊と申しますか、それは別問題ですが、それを埋めるおつもりなのか、その点を併せて一つお伺いをいたしたいと思うのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたしまするが、見合うというのは結局日本の自衛隊が増加する。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 自衛隊じやありません。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 法案が通過すれば自衛隊になるのです。そうするとそれに対してアメリカ側がいろいろその勢力を勘案いたしまして我々と協議の上にどれだけ退くかということになるのであります。勿論あなたが一昨年でありまするか、私と非常にここで問答をいたしましたときは保安隊で、要は外部からの侵略に対処するものではなかつた。一種の警察的性格を帯びたものであつたことは相違ないのであります。今度この法案が通過いたしまするといわゆる自衛隊ができるわけであります。その自衛隊の増加によつて、それに見合つてアメリカのほうは撤退いたしたい、こう考えておるようであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 最初の貫問には答弁がなかつたのでありますが、侵略があるのか、これだけの人員を増加し、而も性質を警察から軍隊に、軍隊という言葉葉は気に入るかどうか知りませんが、自衛隊にしよう、防衛力にしよう、自衛力にしよう、こういうお話がありますが、それには理由がなければならん。侵略があるのか、何か前提があるのか、意味があるのかといつたら、それはアメリカ駐留軍が撤退するからそれに見合う人員をふやすのだ、こう言われたから、それでは佐多さんが聞いたのは、これで今示されておる人員の増加、或いは自衛カヘの質的な転換に見合うほどのアメリカ駐留軍の撤退があるのか、こう念を押したところが、いや、それはこれから話す、こう言われるので、最初の話の念を押しておきます。菊川君にしても佐多君にしても私どもの持つております疑問は、これだけの増員、或いは自衛力への質的転換の理由は何があるか、先ほど駐留軍の撤退と言われたがそれは違うのか、こういう点を重ねて御答弁願いたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○國務大臣(木村篤太郎君) 外部からの不当侵略の危険があればこそ日米の間に日米相互安全保障条約ができておるのであります。この前文をお読み下されば極めて明瞭でありましよう。アメリカ軍は自分が駐留し、日本が自衛隊を作ろうというのも、結局は外部からの不当侵略に対しての対処し得る手段としてやつておるわけであります。我々といたしましてはこの体制を維持しておればこそ日本の安全と平和は保たれて行くものと確信しておる次第でございます。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 ちよつと関連して。長官の御答弁を承わつておつて私は納得できないところがあるので一言だけ関連して聞きますが、自衛力であろうが軍備であろうが護るために持つ場合に相手というものが必ずなくちやならんと思うのです。限りもなくたくさん持てば持つほどいいのであろうが、それは経済力その他で持てないのであるから、これだけあれば必要にして且つ十分というところの、ぎりぎりのところは必ずこれは持つべきものであつて、自衛力であろうが軍備であろうが、その場合に仮想敵国と申しますか、そういうものがなくて無計画でただ自衛力をどの程度持つか、軍備をどの程度持つかということはあり得ないと思いますが、それについてどう考えますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は仮想敵国というような言葉はここでは使いたくないのであります。要するに日本周辺のいわゆる軍備配置とかもろもろの条件を非常に勘案して、そうして日本の防備を固めて行こうと、こういうことであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 今のお話を聞いておりますと、非常に遠大な計画を持たなければならないと思うのですが、木村さんのことをこの間ニュース映画で拝見したのですが、さつそうとして艦隊の閲兵をやつておるところは、どうしてなかなか弁護士さんがにわかに海軍大将になつたような格好に拝見したのでありますが、そういうふうなお立場になればどうしてもやつぱり理想というものをお持ちになると思います。これは軍と言いますか、ああいう自衛力と言いますか、そういう軍隊ですね、これはできて来ますと初めのうちは小さい、ところがやはりこれでは不足だあの軍艦も小さかつた、せつかく閲兵をやつたがどうも頼りない、もう少し大きいのをこしらえたい、そういうふうになるのが当り前で、それが当然長官としては責任上そういうふうにお考えになると想うのです。あなたの理想というものはお持ちになつているだろうと思う。これは別にこれだからまだ国会も通らなければならないし、閣議も経なければならないけれども、あなた自身の理想というものは、せめてこれくらいのものは持ちたいというような、胸に描かれ、頭に構想を描かれまして、その目的に向つて努力をしておるこれはワンステップであると、こういうお話ならわかるのでありますが、目標も何もわからない、予想で来ているんだと、こういうことでありますが、恐らく胸には理想、構想をお持ちになつておると思うのですが、それを伺いたい。そうすればはつきりして来るのですが。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) これは私ふだん考えておることでありますが、とにかく私は平和を保つて行きたい、日本はどうしても自由と平和を保たなくちやいかんのだと、この信念は私は崩れないのであります。従いまして日本は不当な他国の侵略に対してはでき得る限りこれを防止し得るだけの力を持たなければならない、ここに私は見解を持つておるわけであります。従いまして我々は常に国際情勢を十分考えて無謀な兵力を持つということであつては相成らんのであります。日本の財政力と十分睨み合せて日本にとつて最小限度の防備力を持つということが私の理想であります。それは目標をどこにおくか、一体どれだけの具体的数字になつて来るかということになりますと、私はこれは申上げることができません。事直に言つて私は申上げることができません。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それじや具体的にこちらから一遍お尋ねいたしたいと思うが、前にも時の政府というものは軍というものをどうせ持つ以上はおもちやでは駄目だから間に合う程度のものを持ちたいというので予算の増加も要求し、定員の増加も要求する、これはどこの国でもあると思う。これは政治力がしつかりしておつたときにチェック出来てくると思う。そういう関係に将来必ずなると思いますので、この際長官に、まあ法案が通つて自衛隊になつた場合に、初大の長官でありますから、明治時代でいえばちよつと大村益次郎みたいな恰好になるわけでありますから。国民所得と自衛費の割合、せめてこのくらいのものは、まあ国の富というものを判断するには、やはり国民所得で判断するよりないと思います。我々は特に所属が大蔵委員会でございますから、常に経済力、国の経済ということについて一応研究しなければならんと思いますので、そうしますと、国民の富はどのくらいであるかというこを判断するには、やはり国民所得で割出す以外にはないと思います。従つて国民所行と自衛費の割合を、この限度はもうぎりぎりだというところくらいは一つお聞かせ願いたい。具体的なものを幾ら聞いてもなかなか言つてくれないので。国民所得の何パーセントくらいまでは理想だ、これだけくらいは持ちたいというか、このところまでは辛抱を国民にしてもらいたいというふうなものはお持ちにならなければならんと思うので、この点がおありになるかどうか。  それから総人口と今度の自衛軍の員数の割合、総人口一八千万であるとするならばその何。パーセントくらいまでは、それはやはり国民として我慢してもらわなければならんというくらいはお示しにならなければならんと思うのでありますが、極めて詳しいことをお伺いしてもなかなか答えられない。軍の機密に属すと言われるけれども、そういうふうな点でお答えにならんのだろうと思うから、このくらいはお答えになれると思うが一つお答えを願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 御承知の通り軍事予算の額をどこまでとどめるかということですね。ソヴイエトのごときは、真偽はわかりませんが、新聞の報ずるところによると五十年度は総予算の一七・八%と言つておりますね。これは去年度よりか一割減つておる。併しこの一割減つておるということも、はかに隠された金額があるであろうから真に受けちやいかんので、一七・八%より或いは上廻るんじやないかというようなことを言つております。これは他国のことだからわかりません。併し我々は総予算の何割を防衛費に持つて行く、国民所得のどこまでを限度とするかということについては、私は非常にこれは危険じやないかと思うのです。やはりそのときの情勢如何によつて年々我々は国会において十分審議してきめて行かれればいいのであつて、これまでを限度とするとかいうようなことでなにすることは私はむしろ危険じやないか、こう考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 国会で予算審議するのは当り前のことでありまして、政党のしつかりしておつたときには、一番に削減の目標をどこに置いて争つたかというと、軍事予算の削減で争つておつたわけであります。五個師団の問題で内閣が倒れたのも木村さんは我々よりよくそういういきさつは御存じのはずでございますけれども、そんなものについてもはつきりと説明するわけには行かん、又総人口と自衛隊の割合、このくらいまでは、これはなぜ申上げるかといいますと、今のは徴兵制度をやるかやらんかという限界があるのです。これ以上やるということになつたら徴兵制度に持つて行かなばけれならん。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 甚だ恐縮です。それに対する答弁が抜けておりました。  御承知の通り今の憲法下においては徴兵ということはあり得ないことなんです。どこまでも志願制度で行くべきであります。志願制度の極限というものはあります。大体において私が見込んでいるのは、志願制度で行けば極限が大体二十二、三万というところじやないかと思う。それ以上であれば徴兵制度を布くより仕方がないんじやないか、こう私は今考えております。そこに志願制度の極限というものは出て来るわけです。大体その適令者の総数からいろいろ就職、学校へ行く人とか、いろいろなものを計算に入れまして、結局二十二、三万というところが局限じやないかと、こう考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 今度は次に。……まあはつきりとどうもお答えを、肝心なお聞きしたいところについてはもう木村さんうまく体をかわされてしまつて、我々は逃げられてしまうのでありますが、それでは一体あなたの考えておる理想的なものに持つて行くためには、少くとも何年計画、これは今計画ということを盛んに言つて、どこでも何年計画、又そうだと思う、日本の軍隊でも五十年の歴史を作つて、そうしていい悪いは別として、あの満洲事変当時のまあ一応皇軍だ、無敵海軍だと言い得るようになつた、もうどこの軍隊にしても相当年数はかかつておると思う。今の保安隊の連中は、ちよつとこれは外から見るだけですぐ批評することはどうかと思います。それは長官のほうがよく知つておるだろうが、ちよつと見たところでは始まつたら鉄砲捨てて逃げるというのが多いのじやないかと思う。率直に言つて我々はそう見るのです。これは見方の相違でありますが、従つて何年計画ぐらいで精鋭な軍隊ができ上るということで、あなたもせつかく厖大な税金を使うのでありますから、使いものになる軍隊、戦争に負けてあの混乱したときから、これからこしらえて行くのですからそう容易に私はできんと思う。若しもあなたが、そいつをもう青年に鉄砲を持たしてあの武器をくれておきさえすれば、それで間に合うのだというふうに考えておられるとするならば、これは極めて甘いと思う、私はそう思うのでありますが、従つてあなたは何年計画というようなものをお持ちになつておるか。そうすると何年計画ということになりますと原子爆弾、水素爆弾がどんどん進むということになりますと、これとの関連等もありますので、どのくらいの一画で地上軍の精鋭なものをお持ちになろうとしておるのか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私もあなたとその点については同感なんです。幾ら人員をふやしても、よく訓練の行き届いた精神のしつかりしたものでなくては何もならん、もぬけのからのようなものを作るようであつては作らんほうがいいということは同感であります。ただ今のお説のように、今の保安隊員の御批評が出ましたが、私は逆なんです。今の保安隊員はそれは一部には非常に非難の的になつているものもありましようが、大多数は昔の軍隊以上のものと私は確信しております。具体的に申しましようか、この間の北海道の雪中演習におきまして八貫目の背嚢です、それでアメリカの参観に来た人も驚いておつた、これを背負つてスキーで十五キロを一遽に突破して落伍者が一人もなかつた、これにはアメリカの将校も一驚した、えらいものだ、驚嘆しておる事実がある。保安隊に、あなたが今仰せになつたようなことは一部のものをとらえて外観を何されただけであつて、これは私当つていないと思う。具体的に御一緒に一つ演習をやつておるところを見て頂けば私は納得が行くだろうと思つております。我々としては昔の軍隊の教育方法とは別な観点がら考えております。背は上から抑えて一極の強制的に訓練をさせた。今は自然的にみずからの国の平和を守つて行こうじやないかという盛り上る精神で個々の訓練にいそしんでおるのでありまするから、精神は実に立派で、訓練も猛烈にやつて国民の期待に副うように進みつつあるのじやないかと考えております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 関連して。今の長官の言葉は聞えない面があるのですが、いずれ内閣委員会でやるでしようから、そのとき資料を出して頂きたいのですが、元の軍隊と比べてこれからの自衛隊、今の保安隊、海上警備隊でですね、これは規律違反が非常に多いという統計が出ておりますね。で元の軍隊は自殺者なんが殆んどなかつたわけですが、最近の保安隊、海上警備隊は自殺者も相当ある。それから官品を盗んでこれを売つて遊ぶ、こういう種類の規律違反というものは元の軍隊に比べて何倍と出ているわけですね、これを長官は御存じないのじやございませんか。いずれこれは正確な資料に基いて更に私は伺いたいと思いますから、いずれ資料で頂きますが、今の長官の言葉は随分私は相違すると思うのですが、如何でございますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は現れた数字だけでは判断できんと思うのです。例えばそこらの警察の取締の犯罪数が非常に少いからといつて安心できない。検挙数はどれまで検挙して行くか、厳格に検挙して行つておるか、ルーズであるか、これを求めなければならん。又現われた数字だけでこれは判断はできません。非常に危険なんです。我々は今の隊規の厳密を図るために十分の捜査をし、やつておりますから、或いは昔の軍隊時代よりはそういうふうな意味ではふえておるかも知れませんが。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 法務総裁を勤められた人が、検挙数の大小の数字によつては判断されんとは、これは恐れ入つたお言葉ですね。吉田総理大臣が先般やつたような佐藤幹事長逮捕許諾を却下するのは別だけれども、検挙数が多いときにはやはり犯罪が多い、こういうふうにやはり検察陣を信用してみるのが常識じやないのですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は検察陣は信用しております。併し普通の警察あたりにおいて、非常に厳重に取締つておる所とそうでない所とあるのです。これは矢嶋委員も御推察願うことができると思います。それから昔の軍隊と今の何と比較して、昔は少かつたから今は多かつたからというので、規律違反の絶対的の基準には私はならんと思います。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 今の長官のおつしやることは数字が少いといつたつて安心はならんのだ、実際は検挙がないのかも知れんからということを言つておられるに過ぎない。ところが今言つておるのは、数字は遥かに多いと言つておるのです。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) だから昔の軍隊と今のでは比較は絶対じやないのです。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 昔はそういうことは殆んど検挙も何もしないで、事件にしなかつたから少かつた。今は非常に厳重にやつておるから多いのだ、こう言われようとするのですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は絶対数はそういうことで比較はされんのだ、こう言うのです。だから我々として今の隊規を厳重に何するためにやつておる、こう言うのです。(「昔のほうが厳重だ」と呼ぶ者あり)

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 少くても安心がならないにもかかわらず今は非常に多い、だから問題だと言つておるのです。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 今は厳重にやつておるから多いのだと言つておるのです。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 議事進行。先ほど委員長のお話では五時には副総理が出席になるということでしたが、五時半になつてもまだ御出席がございません。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) その通りであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 今伺いますと、なほまだ本院の本会議がいまさつき終つて、衆議院の本会議があるということです。実は私は内閣委員ですから、保安庁長官には内閣委員会で相当聞ける。私どもが願つておるのは関係大臣がそこでお揃いになつてMSA協定について質疑を続けることが本意なんです。菊川君といえどもそうだろうと思う。委員長のあれがありますから仕方なしにというか、委員長の義理を立てて木村保安庁長官にだけ、先ほどの経済問題についても無理だと承知しながら質疑を続けておるのであります。関係大臣がお揃になることを希望しておられることには間違いないと思う。(「その通りです」と呼ぶ者あり)若し関係大臣がお揃いにならないのならば、私は本日はこの程度で質疑を打切つて頂きたいと思います。見ますと他の自由党の議員のがたが三名、委員長一人おられますけれども、委員会は率直に申してだらけておる。こういう状態でMSA協定の審議を続けることを、義理を立てて審議をするということは私はどうかと思う。関係大臣の出席の模様を一つそこでお確め願つてどうするかを一つ御相談願いたいと思います。MSA

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 今副総理の御都合を催促いたしております。じきその返事が来ることになつております。  お諮りいたします。今副総理の御都合を聞きましたところが、衆議院の本会議が始まりまして、再開してずつと続いておるのでありますが、そこに副総理が出ておるそうであります。副総理が最初出ておつたのが議場が紛糾したために一たん大臣室に帰つておられるそうでありますが、今から三十分後に緊急質問がさつき出たのが、それが紛糾の元だつたそうでありますが、その緊急質問が延ばされて、あと三十分くらいでそれに入るだろう、その場合に総理を強く要求しておるからして、総理は今参議院の予算委員会に入つておられますが、総理が来られれば副総理がすぐこつちへ来られる、若し総理が来られないと、予算委員会で手離せないということになると、副総理がそちらに残らなければならない、それは三十分後でなければわからない、六時頃になりますというような都合でございます。外務大臣は予算委員会のほうに、これはちよつとということで問題は一つ限りであるからそちらに呼ばれておられて行かれたのでありまするが、ここにまだ帰つて来られません。保安庁長官は実は予算委員会のほうに呼ばれておられるのを私は委員長にお願いをして、こちらのほうに先へ来て頂いた、こういつたような工合であります。大臣の出席がそういうふうで甚だ的確に参らないということを遺憾といたしまするが、実情はその通りで、そのような調子であります。本日副総理その他の大臣の出席がないが故に、今吉田委員の御提案のごとく、本日はこの辺で終了ということになりますと、この連合委員会はいつまでも私は続けて行くわけには参らないと思うのです。これは主管委員会の外務委員会としての立場から私は申上げるのでありまするが、そうこの連合委員会のためにたくさんの日時をとられるということは、私としてはできかねるのであります。そのためにこそ主管委員会というものがあるわけでありますから、その点は一つ皆さま方も御考慮をお願いしなければならないと思います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それは委員長の立場も一応わかる。わからないことはありません。併し私どもはこの前の、昨日でしたか、前の委員会の際に大蔵委員から御質問をお始めになるということで、終始最後まで清聴をいたしておりました。質問の通告をいたしましたが、私どもは木村保安庁長官じやなくして、木村保安庁長官にも関連して質疑をすることはあるかもわかりませんけれども、MSA協定を連合審査を申込んで、これは我々が質疑を続けるということは副総理とか或いは外務大臣とかそういうかたに出てもらつてでなければ質疑もできません。事実上この前のときにはできなかつた。今日も関係大臣が出席でき得るならば、私どもは質疑をすることにやぶさかではありません。併し出席ができないで連合審査の、私どもは内閣委員ならば内閣委員の連合審査の質疑を続けられないのは私どもの責任じやなくて、責任は政府の側にあると思う。或いは衆議院の本会議とかいろいろの事情があるかも知れませんけれども、本会議の最中に委員会を開いたのはやれるから、或いはやるつもりでおやりになつたのでしよう。責任は私は挙げて政府のほうにあると思うのですが、それじや六時頃から衆議院の本会議があるかも知れない。それまで三十分あるからここに来て責めを果たそうというような御態度であるならば、それは私どもも了承せんことはないと思いますけれども、三十分時間があつてもここに出られないという不誠意はなお糺明されていいと思う。こういう状態で私どもが実際に審議ができないで若し明日に繰越されるとするならば、私は当然お続け願わなければならんと思うのであります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 当該委員長としてのお気持は今委員長が申された通りだと思うので、私はわからんことはございません。その委員長の決意を政府に伝えて大臣の出帯を督励して頂きたい。ただ私ども実は待つておるわけなんですが、如何なる場合といえども質疑だけは必ず三委員長の責任でさして頂きたい。これをお願いいたしておきます。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) でありまするから、私の申上げたかつたことは、今すぐ散会してしまえばそれきりのことでありまするから、三十分待つて果して副総理も来られないということを確かめた上で私は決定して頂きたいと思うのであります。副総理が来られるということであるならば三十分の間、何をして、そうして来られたならば今日はずつと夜にかけてやる、そういうことをお願いしたいと思つたのでございます。それでなければ時間ばかりたつてしまつてそうして一向審議が進まないということになるから、それでは困るということを申上げたかつたのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 私、実は同じ党で同じ所属でありながら、矢嶋君なんかは副総理を強く要求しておる。私もそのつもりでおる。ところが委員長のまあお気持もあつて、やがては連合委員会はいつまでもやれんぞという御態度が必ずいつかは出て来るだろうというふうに思いましたので、我々は実は協力してまあ本当ならば歩調を合してやるべきにかかわらず質問しておる。その気持も汲んで他の委員会から申し込んでおるというのは出発点が非常に大事だ、国の運命を決する、我々はそういうふうに思つておる。丁度これは日独防共協定をきめるときと同じぐらいな重要性があると私はそういうふうにとつておる。だからそのつもりで委員長も余り主管委員会の権限を振り廻さずに一つお願いしたい。  次に保安庁長官にお尋ねいたしたいのは、今非常に元気のいい保安庁長官としての御発言で、一遍何ならば見に来いというお話でしたが、私はなかなかそう額面通りには受取れません。併しまあそれはここで悪口の言い合、悪口を放つても仕方がありませんので、はつきりここでお尋ねいたしたいのは、一応外部からの侵略ということと、それから内部の間接侵略という点について強調されておりまするけれども、間接侵略というのは取りも直さず国内において暴動を起させる、こういう意味のことだと思います。その場合に一番危険なことは武器を持つた者が国内におる、これが叛乱を起すというのが一番始末が悪い。それでこれはもう共産党の諸君も公然と言つておるのでありますが、一体野坂さんがあの憲法の改正のときに自衛軍を、軍隊を必要だという主張をやつたのも、なぜあんなことを言うたのだと言つてつきつめて問うてみますと、これは個人の意見でありますから、共産党全般としては別といたしましても、片鱗に洩らすのは武力のない革命なんというものはあり得ない、だからしてそのときに軍隊を設けさせておいて、やがてはこれをうしろを向いて鉄砲を射たすためだとはつきり言うておるのであります。又それは当然だと思う。又レーニンもそういうように指導しておるのだからそれはあり得ることです。共産党としてそんなことを考えないなら共産党の値打がない、そんなものは共産党じやない、私はそう思います。従つて又右翼のほうで二、二六事件のような事件ということも考えられると思います。ところが武器を持つていない、装備をしてないものであつたならば、これはそういうのは叛乱を起す、例えば火炎びんを持つたりとび口を持つたくらいならば鎮圧が非常にやりやすのであります。あなたもアメリカ駐留軍の撤退ということを考えておられるけれども、そのあとでやがてうしろを向いて鉄砲を射つような問題が起らんとも限りません。絶対起らんというふうにあなたはここで言い切られるかも知れないけれども、二、二六事件だつてまさかあんなものが起るとは、誰も思つていない。あの当時の軍隊の指導者は、少くとも国民には言つていなかつたけれども、実際には起つてしまつて手がつかなかつた。それからどこのクーデターを見てもやはり軍隊が立上つているのです。ましてや日本のように二、二六事件のときも農村の疲弊、失業の増大、政治の腐敗、丁度汚職事件のようなものが起きておつたわけであります。だからああいうふうな軍隊が立上つたのですが、従つて日本にはそういう温床が遺憾ながら好ましいことではございませんけれども、私はあると見なければならんと思うのです。いろいろの条件が揃つておると思う。そういう場合にこの保安隊がうしろを向いて鉄砲を射つという危険が絶無とは私は言い切れん。それはなかつた場合には立上れないけれども、あつた場合にはやるということもやはり世界の歴史がどこでもこれはあり得ることですから、エジプトにしたつてどこでも軍隊が直ぐやつているのです。最近新聞で見ましただけでありまするけれども、某部隊におきまして、久居の部隊でしたかの部隊においてこういうのができて活動をやつておるとかいうようなことを言つておりました。そういう一部のものをとらえて私は神経過敏になる必要はないかと思いますけれども、そういうことも、私は考えられると思うのでありますが、そこでお尋ねいたしたいのは、一体精神的支柱というものをどこに置いているのか、どこに精神的支柱を置いてあなたは訓練をさしているのか。ただ強いと言つたつて、これは鉄砲の弾丸が飛んでこない雪中行軍が強いからと言つて、本当に実戦に役に立つと思つたらとんでもない間違いだと思います。それは甘いと思います。どこに精神的支柱を置いて、こういう自衛隊というものを作るのか、それはなぜかと申しますと、本当に日本人だけでやつているのではないのでありまして、アメリカから軍事顧問というのが来て、いろいろ容かいするのじやないかと思うのでありますが、僅か三十六億の而もこれは軍と言いますか、軍需産業にだけ使う援助をもらつて、そうしておまけに軍事顧問が来て教えてもらつているということになりますると、どうも日本を守るということじやなく、場合によつては大変なものをこしらえてくれるかもわからんというふうに我々は思うわけであります。この点から一つこの際これから自衛隊を建設して行く中心におられるあなたの決意というものを一つ伺つておきたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○國務大臣(木村篤太郎君) 誠に適切な質問と思うのであります。自衛隊が真に自衛隊として将来働かなくてはならぬのでありますから、万一今仰せになつたようなことであつてはこれらは取返しのつかんことであります。我々はそこに細心の注意を払つて正しき方向に持つて行くようにつねに心掛けることが一番大事であろうと私は考えております。そこでやはり自衛隊の精神的支柱をどこに置くかということでありますれば、それは結局は私は自衛隊が心から我が国の平和と独立と安全を守つて行くのだ、その第一線の我々は選ばれた人間であるということを十分に理解させ、そこに私は誇りを持たせる必要があろうと考えておるのであります。一たび日本の独立と平和と安全を乱されれば、いわゆる三千年来のこの祖国というものは、結局棒に振つてしまうのじやないか。我々は外部の侵略に対しても勿論対処しなくてはならんが、この内面的のいわゆるいろいろな策動の手に乗るようなことがあつては相成らん。これは一たび策動に乗ると、日本の国民のすべての自由が失われる。その結果安全と独立は害されるのであつて、我々としてはさような策動には決して乗るべきものじやないということは常に隊員を教育する任に当る者はよく隊員に理解せしめるということが何よりの急務であろうと考えております。今度御審議願つております自衛隊法におきましても、五十二条で隊員の本質というものを明らかに規定いたしております。一応読みます。隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする。」これで私は一応意を尽していると考えております。いわゆる祖国防衛、我々の八千五百万の国民に先んじて日本の防衛の任務に当り、而うして国民をして真に日本の平和と独立と安全を得さしめるようにして行かなければいかんぞ、こういうことに我々は隊員を育成して行きたいというふうに考えておるのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それは今お聞きいたしておりますと、それは戦争中でも、戦前におきましてももつと立派な文斉は羅列されてございました。併し結果はああいう結果になつて私たちの考えるには先はども繰返して申上げましたように原爆ができて、戦争はできないのだから、そんなおもちやのような部隊をこしらえてもだめだ、こういう主張からお尋ねしているのですペたに待つていると、その武器を持つて立ち上るというやつは一番始末が悪い。こういう点からもう一遍繰返してお導ねいたしますけれども、外国の武器をもらつて、そうして外国の軍事顧問に指導を受けて、そういうようなことで本当に今あなたの言われるようなものができるるかどうかというところに私たちは一つの疑問を持つわけであります。場合によつては外国の目的のために、この外国というと語弊があるが、相互防衛援助協定の精神に従つて場合によつては日本国が好まない、日本国があなたの今お話では戦争はもう絶対にないような世界を念願していると思つておりますけれども、日本がやらなくても外国同士が始めるという場合に巻き込まれる危険がある。そういうために使われるのじやないかというような疑いさえもあるわけでありますが、そんな疑いを持ちながらこれをやつておつたつて、今の文章に現わした場合にはうまくできるかと思いますけれども、実際問題としてできないのじやないかということを一番恐れるわけでありますが、この点について果してそれならこういう援助を受けてやるものも動くということについては、実際に行動に出るという場合には、絶対にこれは日本国の自主的により動がないものであつて、外国から来ても拒否できるものがどうが。これは内閣の代つた場合も考えなければならん。要請があつた場合でも、内閣が代つた場合も考えなければならんと思いますが、これは拒否できるものかどうか、こういうふうな点も一つお尋ねいたしておきたい。というのは、具体的に私は例を挙げて申上げたいと思うのですが、アメリカとソヴヴイエトの間が不幸にして、我々はそんなことはないと思いますが、全然ないならばそんな必要はないのですが、あなたがたはそういうことがあるかも知れないという前提の下にこういう協定が結ばれたのでありますからして、不幸にしてあつた、できたという場合に、向うから要請があつた。三十六億の中で、古い武器や何かを全部含めますと別でありますが、実際に自主的に使えるのは知れたものです。それだけの援助をもらつてこしらえて、そして日本国民としては好まない、そんなことはやりたくないと思つておるのに、そういうようなときに使われるために訓練されておるというようなことがあるとするならば、これは本当にそういう今読まれたような精神にはなかなか徹し切れないと、私はそういうふうに思います。こういう点から、窮極的には外国から相手国からこういうふうに行動せえと言われても、してもらいたいという要請があつても、いやだということが敢然とはつきりと言い切れるものであるかどうか、この点を一つ伺つておきたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。申すまでもなく、この自衛隊というものは、外部からの不当侵略に対して対処すること並びに国内における間接侵略に対しても日本の秩序を守るためにこれに対処することを目的とするものにほかならんのであります。従いまして、これが外国の要請、端的に申せばアメリカの要請によつて国外に派兵するような虚れがあるのじやないかという御質問に承わるのでありますが、私はさようなことは、仮に要請があつてもこれに応ずることはないと確信しておるのであります。要請に応ずるべきものでないと確信しております。と申すのは、この自衛隊法によつて明らかに目的、任務をはつきりさしておるのでありまして、海外に派兵するなんというようなことは毛頭も考えておりません。従いまして、さようなことは我々は想像もしていないのであります。ただただ国内の平和と秩序を守る、換言すれば外部からの不当侵略に対して対処する任務を持つておる、これが自衛隊の性格であるのでありますから、私は誤解ないように申上げたいと思います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それでは重ねて確認いたしておきますが、絶対にないと今木村さんも言い切られたわけでありますから、併しどういう政府が代つてやるかも知れないので、あなたの今言われたことは非常に重大だと思いますので、若しもそれでは派兵されるというような場合が起きた場合には、国民としてこれに対しては絶対的に抵抗運動をやる、行くなと手を拡げてでもやらせないという運動が起きても、これはもう正しいものであると、こういうふうに受取つてよろしうございましようか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 御承知の通り、この防衛庁設置法並びに自衛隊法によつて明らかでありまするように、この自衛隊の使命でありまするいわゆる防衛出動する場合、これはいわゆる国会の事前承認を原則としております。それで緊急止むを得ず総理大臣の命令によつてやつたときにも、すぐその後の国会において事後承応を得なければならん。不承認の場合にはすぐこれを撤収するという明らかな規定を設けてあるのであります。従いまして、さようなことは国会がしつかりしているうちは決してあり得ないと私は思います。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それだから、あなたの言われるのは、海外には絶対やらないと、外国からそういう要求があつてもはねつけると、こういう言明であつた。それで仮に保安庁長官が代られておつた場合にそういう事態が起きて、いよいよ出動しよとしたつて、国会の承認も又事後承認で、緊急出動ということになつても、それを我々はしつかりやつて来いという送り方をするのではなしに馬鹿なところに行くなと言つて国民が手を拡げてとめる、こういうことも自衛隊設置の精神、MSA援助協定の精神には反しないものと、こういうふうに理解してもよろしうございますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私はそんなことはあり得ないと考えております。たびたび申しますように、自衛隊の性格、任務から考えて、他国に派兵するというようなことは想像もつかないのであります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 ちよつと関連して。それでは衆議院でこういう答弁をされておるのは如何なものですか。役務の提供等によつて日本の領土から離れて他国の領土に行く場合があると、その場合は軍として行くのではなくて、公務員として行くんだと、そういうこともあり得ると、理論上あり得ると、こういう答弁を政府委員はされておられるのですね。鉄砲担いで公務員が他国の領土に上るというようなことはあり得るということを答弁されておるのですが、それと今の菊川君に対するあなたの答弁との関係は如何ように辻褄を合されますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は恐らく法制局長官の答弁と思いますが、私は聞いておりませんが、役務のために派遣するということは、自衛隊を派遣するという意味ではないのだということを申されたのだと私は考えております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 併しそれは自衛隊員ですよ。自衛隊員がそれで行くことがあり得るというのです。自衛隊員だつたら、それは鉄砲なりピストルなり持つておりますよ。そうして編成しておりますよ。一人々々がばらばらに行くことはないのですから、やはり編成して隊を組んでおりますよ。そういうものが行く以上は、これは国権の発動としてやはり行くわけですね。併しそれは現在は公務員として行くというわけですね。それは海外派兵という部類に入らないでしようか。それは如何ように菊川君に対する答弁と辻褄を合されますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は自衛隊員を外国に向いて派遣するということはあり得ないと考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 この点が大事だと思いますので。それでは若しも隊員に、これは我々の子弟が将来又隊員にならんとも限らん、又親戚の者が行かんとも限りません、いよいよここへ行くんだという命令が下つたとして、長官の精神としては、これは絶対行かんのだと、こしらえるときから、このMSAの援助協定から考えてもそんなことはあり得ないのだと、だからして、国会でこれだけはつきり言つておられるのだから、そんな命令が下つたら銃を拾てて逃げてもよいと、こういうふうに理解していいですか。例えば台湾へ行くんだ、朝鮮へ行くんだということがあつても、それは俺はいやだからと言つて銃を捨てて逃げても、自衛隊員の先ほど読まれました精神に決して違反するものではないと、総指揮官のあなたがそういうことはないと言つておるのに、部隊長の越権行為であつて、場合によつては二・二六の中隊長や小隊長が聞違つてここら辺を占領した、そんなことをやつちやいかんというので、武器を捨てて脱走といいますか、集団的に武器を捨ててそんな命令には抵抗する、そういうことは今読まれた精神には違反しないと、これは長く将来に残る問題でありますから、そういうふうに理解してよろしうございますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) そんなことは想像することはできないのであります。自衛隊そのものが海外に派遣するということはあり得ないのでありますから、そういうことをされれば、いわゆる国権を無視してやるのです。これは国会において、防衛出動のときにははつきり原則として事前承認ということで、その防衛出劾も限度があります。いわゆる自衛権を行使するために防衛出動するからといつて海外派兵することはあり得ない、その防衛出動を命令するに際しても、国会が原則として事前承認をするわけなんです。緊急止むを得ざる場合においても事後の承認は必ず得なくちやならん、而もなお且つ防衛出動の可否が国防会議に諮問されるということを厳重にやつておる。我々はそんなことは想像もできないのです。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そうしますとその出動範囲というものは、日本国の領土或いは公海程度ならば別だと思いますけれども、外国の領海であるとか領土というものには絶対に行かないものである、こういうふうに解釈してよろしうございますか。これは外国へ行つて聞かれた場合、我々も又将来外国へ行くかも知れません、お前のところは又兵隊をこしらえたじやないか、いやこれは公海範囲だ、公海といつても詳しいことはわかりませんけれども、自由にどこの軍艦でも行つてもいい範囲、それから日本の領土内以外には絶対に出て鉄砲を射つようなことのないものであるということは、外国人と会つた場合にでも話してよろしうございますか、そういうふうに。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) この自衛権の行使の限界というものがあります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そこが大事なんです。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) ここが大事なんです。(笑声)そこで我々といたしましては、ひとたび仮に領海の外から攻撃を受ける、砲撃を受けるというような場合におきましては、その根本を断たなければいけないのですから、その根本を断つようにやり得る場合があり行るだろうと考える。併しそれを断てば直ちにその目的を達するのでありますから、すぐこれは引揚げる、そこに限界を我々は求めるのである、いわゆる自衛権の行使の限界というものをそこに置いておる。いわゆる日本の防衛の目的を達すればそれで事足りるのであります。その範囲外には一切に出ない、これが建前であります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そうしますと、場合によりましては攻撃をされたというわけで、向うの空軍の基地を爆撃する、つまり爆撃機隊なり、そういう何か小さい空軍ができるらしいのでありますが、将来大きいものができるかどうかわかりませんが、その向うの基地爆撃というようなことはあり得るのでございますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) これは場合によつてはあり得るだろうと思います。例えば或る地点から誘導爆弾でもやつて来る、これを防ぎようがない、そのときにはその基地をたたくという必要は出て来るだろう、たたけばもうそれで目的は終るのであると。(笑声)

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 これは大東亜戦争の場合にもそういうことだつたのです。初めに行くときには、これを占領するというような日本は領土的野心がないといつて、そうしてこれは自衛のためだといつて出動して爆撃もやり、軍隊も行つたのですが、それでは向うの基地へ爆撃に行つて、誇導弾のところをたたきに行くといいますけれども、それでは地上部隊を派遣してそこを占拠するというようなことはないのでございますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 占拠するというようなことはあり得ないと私は考えております。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 今菊川君の質問に対して例えば基地から爆撃をして来る、そういう場合には基地をたたく必要がある、こういうお話ですが、そうなりますと、それは取りも直さず海外に向つて兵、兵というのは何も陸軍の部隊をいうわけではなくて、空軍を出動させる、こういうことになると思うのですが、先ほどの答弁と少し食い違つておる。領海外からの攻撃に対してその根本を断つというようなことになりますと、これはずつと広くなりまして、やはり空軍の出動ということになるのじやないか。ところが先ほど海外には絶対に兵を向けない、海外派兵はしない、こう答弁されているのだが、その辺の答弁は矛盾していると思いますが、その点はどのようにお考えになりますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は派兵というようなものはしても、継続的に占領するような目的でもつてやることを考えておりません。一時的に向うがらどんどん爆撃をして来る、その地点を攻撃することは決して私は派兵とけ考えておりません。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 一時的にこちらから、例えば空軍基地を爆撃することは海外派兵ではない。併し永久的にこれをやるということは海外派兵だということはちよつと辻褄が合わないのです。一時的にせよ派兵をすることには違いないので、それが一時的だからというので派兵ではないという根拠はどういう点に基くのか、それをちよつと御説明願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私の申上げるのはつまり自衛権の範囲内においての行動と申すのであります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 自衛権の範囲内においてと言いますが、それを継続的に攻撃する場合も、それから一時的に攻撃する場合でも同様に自衛権の発動として考えられるのではないか、ただ一時的なものであるからしてこれはそうじやないというようなことにはならんと思いますが、その点の御説明をもう少し詳しくお願いいたします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○國務大臣(木村篤太郎君) 例えば或る地点から日本を砲撃して来る、これをたたかなければこれは防ぐ方法がない。仮に誘導兵器がありまして、そ必をほかにそらせるような兵器が発明されれば別でありますが、或いは将来そういう時期が来るかも知れませんが、現段階においては砲撃されて来る場合にその砲撃地点をたたくよりほかに品本を守る方法はないのだということになれば、こちらからもその地点を壊すというようなことは私は自衛権の範囲内において認められることだと思うのであります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 それが海外派兵じやないのですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 派兵というのは或る継続的の何かの目的を以て軍を進めるわけでありまして、一時的にその地点を爆撃するとかいうようなことは派兵とは考えていないのであります。(笑声)

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 木村長官、昨年あなたが二日市で例の五ヵ年計画をぶつて以来、衆筏院の審議の過程からずつと見ると、随分それは変つているのですが、私今関連してお伺いしたいのは、衆議院での質問を聞いてみますとあなたは先制攻撃だけはやらん、こう言われておるのです。今言われたように向うから来た場合は行つてたたく、原子砲が来たらその拠点をたたく、長距離砲が来たらその拠点をたたくというように言つている。そうなりますと朝鮮事変の三十八度線を考えても南から来た、北から来たとこういうわけなんですが、向うから一発来た、だからそいつをたたきに行つたのだというような形で、必ずこれは戦争に巻込まれる危険というものは極めて大きいと思うのです。それであなたの自衛権の解釈で行けばできないことは何もないと思うのです。すべてのことが可能だということになる。これは危険極まりない考え方だと私は思う。  で具体的にもう一つ聞きますが、ここに海岸線があつてどうも敵の艦船或いは飛行機が来そうだというので、日本の領海から出て、そうして船隊といいますか艦隊が待機している、或いは日本の領空から出て行つて、そうして敵の飛行機が今にも来るかも知れんからといつて自衛権発動で待機している、こういう場合はあり得るのですか、あり得ないのですか。必ず一発頭に来てから出て行くのですかどうですか。あなたの解釈からゆけばそれも自衛権としてあり得るということになるのです。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○國務大臣(木村篤太郎君) 七十七条に防衛出動待機命令というのがあります。「長官は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。」、こう書いてある。で目睫の間にこれは攻めて来るということがわかつた場合には、出動前の待機命令というものを出されることになつている。そうして向うが来ればすぐこれに対して対処できるだけの態勢を整えるという命令は出すことができることになつております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 それでは私が今申しげた例ですね、海と空の場合、そういう場合は自衛権としてあり得るのですか、あり得ないですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 相手国の飛行機なり艦船なりが日本の内地を侵略するための目的を持つて出兵した場合において、これを途中で迎撃することが可能なりや否やということです。その場合においてはいわゆる防衛出動命令というものは出し得るのであります。それはその途中において防衛しなければならん、それについては防衛出動をすべきか否やということはいわゆる原則として国会の承認を得るわけであります。国会の承認を得ればそれに対応する手段は取り得るわけであります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 緊急のときは国会の承認を取らないでやられるわけですから、だからあなたの解釈から行くとすれば、できないということは何もないということでしよう。できんという場合はどういう場合がありますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) そのときはやはり国会の承認を受けなければならない。事後におけると事前におけるとを問わずこれは国会において判断する。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 できない場合はどういう場合があるのですか、私はすべてのことはできるという場合になると思うのだ。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 自衛権の発動というものは自衛のための緊急止むを得ない場合なんであります。その行動がなければ日本の国が守れないという場合に限られておるのであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 ちよつと事態を明らかにするためにお尋ねいたしますが、或いは砲撃、爆撃があつた、或いは誘導弾等の攻撃があつた、そうすると、その拠点について自衛の活動をすることができる、まあ自衛権の、これは木村保安庁長官の解釈だと思います。具体的に聞いておるのは、例えば軍艦から砲撃があればその軍艦を叩くことはできるのじやないか、できるかできんか、それから空軍の基地から若しそういうあれがあつたならばその基地を攻撃できるかどうか、こういう質問であつたと思うのです。あなたは継続的でなければ、自衛の目的でならば、目的が自衛ならば何でもできるとこういう御答弁ですから、それじや何でもできるのじやないかとこういうことを言つておるのですが、例えば艦船であれば、艦船に対して自衛の報復の砲爆撃等もできるのじやないか、こういう質問だと思うのですけれども、そうすると例えば基地があつた場合、軍艦の場合、それから空軍基地の場合、先ず飛行機で、これは僅かな飛行機かも知れませんが飛行機でこちらからそれを叩くということもできるかどうか、それから或いはその基地を、或いは拠点を叩くために飛行機或いは軍艦等でしてもなおそれで徹底的な影響を与えることができなかつた、致命的な影響を与えることができなかつた。そうすると一時的には或いは例えば日本の今の保安隊、それから自衛隊になるかならんかわかりませんが、自衛隊というものも出して、そうしてこその基地の機能を失わしめるよりなことも自衛権の範囲内として考えられておるのかどうか。或いは朝鮮事変の最中に水豊ダムが日本の基地から爆撃されました。北九州で防空演習ではなくして防空の警報が出ました。これは向うから国籍不明の飛行機がたつたというのか、或いはそういう危険性があつたのだろうと思います。そういう場合には例えば北鮮とか満洲とかいうところまで日本の空電なり或いは場合によつては将来の自衛隊が行くことが可能だと考えられておるのかどうか。或いは仏印で統一行動ということがアメリカによつて言われておる。統一行動ができるかできんかわかりません。わかりませんが仮に統一行動をアメリカがとつたとする。日本の基地から飛立つて行つて向うに或いは砲爆撃等が行われる。そうすると日本に対して報復爆撃がどこからかあるかも知れん、これは可能性の問題で可能性は極めて薄いが、自衛権のあなたの解釈される発動としてそういう場合にも砲爆撃等が自衛隊の活動として自衛権の発動として可能だと考ておられるのかどうか、具体的に承りたい。  それからついでですから横で聞いておられますけれども、岡崎外務大臣は、このMSA協定の中に関連してそういう点についてどういう工合に解釈せられておりますのか、或いは協定八条にも関連して参りますが、併せて一つ御答弁を得たいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。要は具体的の場合はそのときそのときに判断すべきでありまするが、抽象的に申しますると自衛権の発動は自衛の目的が達すればそこに限界が設けられるのでありまして、即ちどうしてもそういう措置をとらなければ日本の防衛はできない、例えば飛行機か飛んで来る、その飛行機を打ち落すよりほかに方法はないのだ、軍艦から大砲が飛んで日本はどんどん砲撃される、その船を攻撃するよりほかに方法はないのだという場合において、初めてその措置がとられるのであります。そこでそういう措置をとるよりほかにいたし力ないという判断を先ずすべきであろうと考えております。殊に私は御了解を願いたいのは、すべてそういう措置をする、いわゆる派兵出動をする場合においては、先ず国防会議においてそういう出動をすべきか否やということを諮問し、その判断によつて防衛出動を決定する場合において、更に原則として国会の事前承認を得るということで制約を受けるのでありまするから、今御疑念になつておるような他国に対して不当な派兵をするというようなことは万々あり得ないと私は考えておるのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 第八条につきましてはこれは自衛という言葉はないのでありまして、防衛に関する問題であります。むしろ前文等に自衛の問題が出て来るのであります。今木村大臣がお答えになつた通りで付け加えることはありませんが、これは国際法的に言われておることですから念のために申上げますと、いつも申すことですが、これは三つの条件があるわけであつて、一つは急迫せる不正なる攻撃が加えられた場合、第二には他の手段を以て防ぐことができない場合、その場合に自衛の目的を以て最小限度の措置をとることができる、これを勿論広く解釈して満洲事変まで自衛だというような主張もあつたわけですけれども、これはまあ国際的に見られれば拡張解釈であるということはどこでも認めておつたわけですから、ジユネーヴでも五十一対一で負けたわけでありますから、そこで日本の憲法から申しますれば、この三つの要件を最も厳重に解釈すべきものである。従いまして先ほどいろいろ御議論になりまたが、そういうことはもう常識を以ては殆んど考えられないことであつて、最も特殊なる場合だけをより出して議論しておることになるのであります。例えば極く具体的に言えばどこかの基地から飛行機で攻撃を加える、こういう場合にその飛行機の基地を攻撃していいかどうかという議論でありますが、これも今の防衛の技術から言えば国内に高射砲もあるし、又戦闘機等もあり得るのであつて、そういうもので国内に来るのを防がせればその手段で防ぐことが自衛の目的であつてその先まで行つて基地を爆撃しなければならないということは、自衛からいえば拡張解釈になる、そういう場合が非常に極端に起り得る。非常に一%か何%か知らないがそういう場合が極く稀にあり得るとしても、普通の常識から言えば、只今の兵器の工合からいつて先ずちよつと考えられないことであるというふうに我我はこのMSA協定の前文等にある自衛については考えておるので、その意味を始終言つておるわけであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 今の岡崎外務大臣の御答弁からいいますと、衆議院で木村保安庁長官が御答弁された自衛権の範囲或いは限界、そういうもので基地に向つてこれを攻撃を加えるというようなことは考えられない、むしろ自衛権の拡張解釈であろうという御意見であります。若し岡崎外務大臣のような主張を閣内で統一されるならば、さつきの木村保安庁長官の答弁は拡大解釈ということになりますので、両者の間に重大な、解釈の食い違いがありますので、その点はもう少し明確に協議の上してもらいたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私の申しておることは木村長官と全然違いはないのでありまして、これは始終木村長官と一緒にいてそういう説明をしておるわけであります。ただ木村長官は、皆さんの御質問がそういう極端な場合を例示してこれはどうだと言われるから、それについてお答えをしておるので、私は一般的な原則を述べておるのであります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 それでは先刻来から論議されておることは自衛のための武力行使、そうですね。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) そうです。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 そうすると憲法九条の前文の「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に放棄する。」とあるが、自衛のために武力を行使したのだから、国際紛争を解釈する手段としてでないから憲法には違反しない、こういう解釈をとるわけですね。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) まさにその通りです。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 そうすれば憲法の前文から自衛のためには国権の発動たる戦争はよろしいとなりますが、それを認めますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 国権の発動たる戦争は認めません。これは一つの自衛権の発動と認めます。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 自衛権の発動云々ではございません、これは条文解釈からいつて「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」は並列になつておるのですね。これは国際紛争解決のため云々と並列になつておりますから、そうなりますと自衛のための武力行使がよろしいとなれば、自衛のためには国権の発動たる戦争はよろしい、これは条文解釈からそうなります。勿論内容の問題ではありません。お認めになりますか、なりませんか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 国権の発動たる戦争は、国際紛争の手没としては行使しないということです。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 ずらしては困ります。私は今国際紛争の云々ということは言つていない。ここに自衛隊がある、国会が承認して防衛出動に出すということは、これは国権の発動とお認めになりますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) そうです。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 私は国際紛争を言つておるのではない、自衛のための武力行使はよろしい、こう聞いたわけですが、そうするとこの条文解釈から自衛のためには国権の発動たる戦争はよろしい、こういう条文解釈になる、これはお認めになりますか、どうですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 国権の発動たる戦争は、国際紛争の手段としてはこれを行使しない。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 自衛のためにはよろしいわけですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) よろしいです。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 ということは、国権の発動たる戦争が自衛のためにはよろしいというと、これは侵略戦争ではなく自衛戦争ですね。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 言葉を使えばその通りであります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 自衛のためにはこの戦いはよろしい、こういうわけですね。長官、横見しないで下さい。あなたの、国務大臣、木村長官としての発言は、総理大臣は責任をとるべきものでしようね。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私の申上げたのは……。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 いや、今のあなたの……。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 繰返して申上げます。我々は国権の発動たる戦争とはみなしていないのでありまして、さつき申上げましたように、自衛権の発動であります。相手国が戦争を宣言をしても我々のほうでは戦争の宣言はしないのであります。いわゆる自衛権の発動としての武力の行使に止るものと我々は考えております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 長官しつかりして下さい。岡崎外務大臣が横からメモなんか渡して又こんがらがつて来たようですが、私はそういうことを言つていない。さつきの条文解釈を伺つたわけですがさつき言われたのはそれを確認して次にお伺いするのですが、あなたは吉田総理大臣から任命されて国務大臣になられておりますね。従つて吉田内閣の閣僚としてのあなたの発言に対しては吉田総理大臣は責任を持つものでしようね。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 無論持つております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 それでは尋ねますが、吉田総理は昭和二十一年の六月二十六日衆議院本会議において、当時の日本進歩党の原君の質問に対してこう答えられている。自衛権を認めない結果自衛権の発動としての戦争を放棄したのであります。こういうふうに原委員に答弁されている。あなたのさつき答弁と全く相反するわけですが、この責任を如何ようにいたしますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私が先ほど申しましたのは、いわゆる自衛権の発動として武力を行使するわけであります。我々はそれを戦争と、いわゆる国権の発動たる戦争ではない。自衛権の発動たる武力行使。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 これは条文解釈なのです。  この焦点を突いて行きますと、改進党さんの主張に行かなければどうしてもその関門は通り過ぎられない。改進党は自衛のために戦力は持てる、こう言つている。従つて自衛のためには自衛戦争ができるという立場に立つている。その主張に立てばあなたがたの自衛隊、或いは防衛庁法、これからMSA法は通つて行きますが、今日まで吉田総理が常に言われている、自衛のために戦力は持てないということになれば、どうしても通れない。あなた、ちよつと憲法のここのところを開けて下さい、条文解釈ですよ。日本人でしよう、あなたは。この条文を読んで下さい。「国権の発動たる戦争と、」あとは何もない。「武力による威嚇又は武力の行使は、」これも並列ですよ。「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」併しながらあなたがたはその並列の中の一つを、武力行使は自衛のためならよろしいとこう来ておるわけですよ。そうすると、この二つは文法で並列になつて、この下で放棄する、こうなつておる。併し自衛のためによろしいとなれば、こちらは自衛のためによろしいならば、もう国文法でこちらは自衛のためによろしいとなるのです。だから自衛戦争は認めると解釈せざるを得ないのです、これは。それをあなたはさつきお認めになつたんです。そうなりますと吉田総理がここに憲法国会のときに述べたものと完全に背反するのです。私は今の問題は、あなたがやれ侵略の虞れがあるとか、我が目を守らなくちやならない、自由と平和を守らなくちやならん、そういうことは同感なんです。ただ一番問題は現代の憲法下でこういう論議がされるか、又こういうことをやれるかというところが私は一番問題だと思うのです。従つて私はこれを究明しておるんですが、これはどうしても私は納得できません。あなたは吉田内閣総理大臣が任命された国務大臣で、あなたの発言は当然吉田内閣総理大臣は責任をとらなければならんのですが、それを明確にして頂かなければ次の質問に進むわけには行かない。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 議事進行について。問題は非常に重要な問題です。併し特に総理大臣或いはこの間、総理の代理として出られた副総理の言明等々とも関連して非常に重要な問題でありますが、先ほどから副総理がお見えにならんので、そういう問題に入る前にいろいろ論議をいたしているんですが、三十分くらい待つてみたらどうかというお話からもうすでに一時間も経過いたしております。従つて副総理の模様をはつきりして今後更に続けるべきか、一応次に副総理が御出席になる機会を待つか、その辺をはつきりして頂きたい。(「法制局長官も」と呼ぶ者あり)総理か副総理から答弁を要求します。(「五大問題だ」と呼ぶ者あり)

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 改進党のところまで下らない限りは絶対この関門は通れないです。(「こんな重大な委員会に出て来ないというのはひどいよ」と呼ぶ者あり)だから吉田総理なり、せめて緒方副総理が来なければ質問はできない。(「副総理はどうなつた」と呼ぶ者あり)

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 佐多委員の議事進行の今の御発言がありましたが、今、副総理の最後の回答を待つております。もう数分のうちに来るだろうと思います。それによつて又改めて御相談をいたします。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 関連質問。只今の矢嶋君の質問に対しまして木村長官は自衛のための武力行動、発動をするんだ、こういうお話です。相手国が戦宣布告をしても当方においては戦宣布告をしないんだ、だから戦争をするんじやない、こういうような御発言だと承わつたんです。武力の発動そのものが相当大きな問題だと思うし、私どもこれは戦争と同じだと思うのですが、これはあとで私の番になりましたらもう少し詳しく質問したいと思いますが、丁度外務大臣もおられますから、相手国が戦宣布告しても当方は戦宣布告をしないということになるとあなたの最も専門の国際法の上から申しまして非常に不利な事態が起つて来るわけです。そういう場合をあなたはどのように措置をされるか、それをちよつと伺つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは憲法の規定は、例えば交戦権を放棄しておりますから、武力行使に当りましてもその範囲では制限を受けると思います。併しながら、相手国から見れば、これは例えばこの国際法は御承知の通り、例えば正規の軍隊に対しては戦時国際法が適用になりますが、然らばそれじや不正規兵に対してはどうか、こう言うと一般的には国際法、戦時国際法というのは正規の軍隊を目標といたしておりますが、併し例えば制服を着た一定の指揮官を持つたいわゆるゲリラ部隊、国の命令でなくして起つたような場合でも指揮官がある、制服を着て一定の統一行動をしている場合には、これは戦時国際法が準用されることになりまして、例えば捕虜に関する規定とかその他については同様の措置がとられることになつております。従つてその聞そういう点においては、つまり日本の交戦権を放棄したという点については、これは日本自体が放棄しているのでありますから、これで制限は受けますけれども、今の保安隊なり自衛隊のような一定の規律を持ち、一定の制服を着、一定の指揮官を持つている部隊に対しては戦時国際法はひとしく適用されると考えます。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 只今のお答えですと、よしんば宣戦布告をしなくても戦時国際法はひとしく適用されるというお話のようですが、私ども寡聞にして余り国際法の知識を持たないのですけれども、つまり宣戦布告をしない一方が宣戦布告をしている、まあ交戦国を憲法で否定しているというのは、これは日本の国内関係の問題です、相手方には関係のないことであります。相手方としては日本に対して宣戦布告をする、日本側としてもそれを受けて立つ以上は、これに対する何らかの宣言が行われなければならんと思うのです。そうでなくてただ単に向うから攻めて来る、だからそれを防ぐのだ、その防ぐ保安隊なり自衛隊なりは正規の制服を着、一定の武器を持ち、又指揮系統に従つて行動するというのだから、これは一種の軍隊としての扱いを受けるのだ、こういうお話ですが、それはちよつと違うのじやないかと思う。やはり正規の軍隊として戦争に交戦をするということにならなければ、それは単なるゲリラ部隊としての扱いか、或いはそれに類するものの扱いしか受けないだろう。従つて捕虜の問題にしても、或いはその他の戦時国際法に規定されておるところの条項というものが適用外になるのじやないかというように考えられるのですが、その点如何がですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは戦時国際法を御覧になればはつきり書いてあります。いずれの国の学者の法によりましても、これは全然取扱は同じであります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 只今堀委員が、相手方が勝手に宣戦布告をして、そうしてそれに応ずる場合のお話を質問されましたが、それに関連して一つ伺いますが、木村長官聞いておつて下さいよ。よろしうございますか向うから攻撃をして来る、これは宣戦布告をして来る場合と宣戦布告をしないで攻撃をして来る場合がありましよう。その場合にこれを受けて立つ、その原子砲の長距離砲の拠点まで撃つ場合があるとこう言われておるのですね。ところがこれも辻褄を合せてもらいたい。吉田内閣の大橋国務大臣、これは二十七年の六月六日、いわばあなたの前任者ですよ、何と国会で答弁されているかというと、こういう答弁をされている。相手国が日本の憲法に関係なしに宣戦布告をして武力攻撃をして来た場合、日本側は受けて立つことは憲法上禁止されております。憲法上禁止されておるから受けて立つことはできないということを答弁されておる。これは吉田内閣総理大臣が任命したあなたの前任者の大橋国務大臣が答弁されている。それと同じ吉田内閣総理大臣から任命されたあなたは、先ほどから答弁されておる勇ましい話とは随分と食い違いがあるわけであります。これは吉田総理がおらなければしようがないのですが、吉田総理に代つて信任厚いあなた何とか説明して下さい。(「だから総理を呼ばなきや駄目だ」と呼ぶ者あり)総理に来てもらわなきや質問できない。(「総理か副総理が来なきや」と呼ぶ者あり)

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は自衛権の範囲内においてであれば武力を行使しても差支えない、こう考えております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 私の今お伺いするのはそんなことを育つておるのじやない。自衛権云々ということはいつも言われることで、そんなことを聞いておるのじやない。今武力攻撃された場合に云云と言つたんだが、それだからあなたの説明から言えば正戦布告して向うがやつて来る、それに自衛権のために出るというわけですね、受けて立つというわけです。ところがあなたの前任者の何は、宣戦布告して武力攻撃して来た場合、日本側が受けて立つことは憲法違反であるからとあなたの前任者である大橋国務大臣は国会で答弁されて速記に残つているのです。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 大橋君が何と言われようと、(笑声)いわゆる我々の解釈としては日本が武力侵略を受ける場合にはこれは自衛権の範囲内においてそれを阻止することの権利は持つておる、こういうことであります。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 これは委員長、吉田総理は多年に亘つて日本の政権の座に坐られておつたのですが、そうして百数十人の大臣をお作りになつたわけですがね。吉田総理は一貫してずつと我が国のあの人のお考えで自衛ということをやられて来わたけなんです。そうしてあの人は委員会に御出席願いたいと言いましても担当国務大臣に任してあるからというのでいつも御出席頂けないわけです。その担当国務大臣が責任を持つて答弁されたことがこういうふうに違うわけなんです。これはどうしても吉田総理にお出まし願わないとこの点どうしても割切れないのですから、一つ御出席を求めて頂きたいと思うのです。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) それは本日の間には到底合いかねます。今ここに副総理がおいでになりましたので、総理の代理として来られたに相違ないと思うのですが、副総理に御質問になつて、(「政界再編成で忙しくて」と呼ぶ者あり)そうして解決のつく分はつける。それでどうしても副総理でいけないということであるならば日を改めて総理の出席を煩わすほかないと思います。(「そのほうがいい」と呼ぶ者あり)併し、先日来この連合委員会が始まつた最初から副総理と保安庁長官に来てもらいたい、外務大臣その他は勿論でありまするが、そういうことで漸くにして今副総理が出席されたわけであります。従いましてその問題はどうしても総理でなければいけないというのならこれは別問題でありまするけれども、副総理で御答弁があるものならば副総理にして頂きたい。そうして今夜はこのままずつと続けて頂きたいと思います。晩の十二時までは委員会は継続しても差支えないと思うのでありますから、その意味でお願いいたします。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 私は初めから副総理で結構だとは申上げなかつたんです。総理の御出席を願いたいということだつたんですが。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) それは承知しております。併し副総理でやむを得ない、やむを得ないというか、副総理で失礼でございますけれども差支えない、こういうことでありましたから。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 副総理が答弁できるところまで伺つてみましよう。先ず質問を続けて行くに当りましてさつきのをここで一つはつきりしておきたいと思うのです。じや副総理にお尋ねいたしますから。吉田総理は憲法制定の国会で、これは二十一年の六月二十六日です。自衛権の発動としての戦争はできない、自衛権の発動としてのいくさはできないということを当時の進歩党の原君に答弁しておるのです、本会議で。先ほど木村長官にいろいろ質問して参りましたところが、木村長官は自衛のためには武力行使ができるし、又自衛のためには国権の発動としての戦争はできる、侵略戦争はできないが、自衛戦争はできる、こういうふうに答弁されたのです。そして木村長官は自分の発言は自分の任命権者である総理大臣に代つての答弁で総理大臣に責任があるということもお認めになつたのです。この食い違いを明確にしてもらいたい。私は責任を追求いたしたいと思います。長くなるから申上げませんが、結局今のMSAの問題は、今の日本の憲法をそのままにしてできるかできないかということが私は一番問題の焦点だと思うのです。自衛力が要るとか要らんとか、侵略があるとかないとか、そういうことの以前の問題として令の憲法を改正しないままにこういうことがやれるかやれないかということは問題だと思う。それで私は伺つておるわけです。もう少しこれに関連して言いますが、憲法ができた当時は自衛権というものにもいろいろ解釈があつたわけです。ところが日本に自衛権というものがはつきりあるということを確認したのは、平和条約のときに初めて自衛権という言葉が出て来たわけなんですね、個別的集団的自衛権という言葉が。まあ日米の間の関係を見ておつても、アメリカはやはり将来憲法を改正するという場合を私は予想してずつと来られている節があると思うのです。そういう立場から今の憲法で自衛戦争が現在の保安庁長官は可能だ、吉田総理はそれはできないということを説明している。これについて承りたいと思います。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 副総理の御答弁の前にちよつと私も附加えさして頂きたいことは、矢嶋委員の御指摘になりました総理の発言云々に対しましては、たしか法制局長官がその当時のいきさつをよく知つておられるかのようにほかの委員会で私伺つたことがありますので、副総理の御答弁のあとで法制局長官の説明も聞かれたらば如何かしらと思うのであります。それだけちよつと附け加えさして頂きます。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 二十一年、二十二年頃の国会における吉田総理大臣の発言は、その当時の環境も私知りませず、前後の言葉も知らんので、それに対してかれこれ申しませんが、いずれにしましても自衛権というものは国の存在と共にあるいわゆる固有の権利で、独立した国の憲法で自衛権を否定している憲法はあり得ない。それで今の自衛戦争といいますと語弊があるかもしれませんが、自衛力の行使というものは侵略に対しては行使し得る、さように考えております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 私そういうことを聞いているのじやないのですよ。吉田総理の速記録に残つているところの言明と現在の木村保安庁長官の言明との間に相違があるのですね。これを如何ように責任をとられるかということです。ということは、これは全国民認めているように、あなた方は失礼かもしれませんが忍法を勝手な解釈をして、なしくずしいわゆる再軍備というものをやられているというふうに国民はとつているのですよ。それで速記録を調べてみますと、自衛戦争はできない、そうしてこの当時の速記録に出ている自衛権とは、敵が来る、何か攻めて来る、ぼやつとしていられない、少くも警察力で抵抗するとか或いは来た場合に農民はそこのくわとか何とかを持つてやる、こういう自衛権というものは当時認めているのです。憲法にもそれはあるのです。けれども一つの外敵を予想してそうして一つの編成された部隊、而もそれを訓練されたそうして国権の発動によつて行動するようなそういう自衛権というものは、あの憲法制定当時の司会の質疑応答のどこにも出て来ていない。それをここにその象徴として、吉田総理がここにはつきりと自衛権の発動としての戦というものはできない、憲法で永遠にこれを放棄したのだということを衆議院の本会議で答弁をしておる。ところが最近ずつと変つて来て、保安隊から自衛隊、今度自衛隊に変つて来ておるわけでありますが、この段階に来て、自衛のためには武力行使をしてもよい、更に自衛のためには戦闘もできるのだ、今の憲法でできるのだ、こういうふうに答弁するに至つておるのです。これは私は政党が変るなり或いは政党がそういう方針を変えての発言ならば又これはよろしいのですけれども、同じお方が総理大臣で、そしていつも総理が言われるように、私のこの自衛等に対する考え方というのは終始一貫変つていないということを言明されておる。そこに私は責任があると思うのです。さつきも私申上げたのでありますが、改進党の自衛のためには戦力は持てる、この改進党の、主張ならば今あなたがたの答弁されていることは通つているのです。けれども、吉田総理、木村保安庁長官も自衛のためにも戦力は持てないのだ、こういう憲法解釈を大前提としてあなたがたはされておる。そうされておる以上は、どうしてもこの関門は通れないのです。従つて私はその吉田総理の国民に対する言明の相違についてその責任を追求しているわけです。それが納得できるような説明をして頂けない限り、次の質問もできない。このMSA協定という或いは自衛隊法というものは絶対に審議できないと思うのです。これ一つでも一応吉田内閣は責任をとるなり、自由党内閣は一応責任をとつてそして改めて憲法を改正する、再軍備するのだ。こういう公約の下に選挙でもして国民の信頼を得てからでなければこのMSAの協定とか或いは自衛隊法というものは、こういう政策は、私は吉田さんが総裁である自由党においては、吉田内閣においては絶対にできないことだと、こういうふうに私は固く信ずるものなのであります。その点を伺つておる。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 私はそう窮屈に考える必要はないと思います。同じ吉田茂でありますけれども、内閣の閣議によつて公式にきめれば前と解釈が違つたつて差支えないと思います。今の我々がとつておりまする解釈は、これは昨年の総選挙にもこの解釈の下に選挙がなされております。国民の批判も受けておりますし、それによつて国民の判定も得た次第でありますから、そう窮屈に私は考えんでもいいと考えます。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 緒方さん、それでいいのですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) ようございます。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 憲法の解釈ですよ。この憲法は自衛戦争を認めるか認めないかというその解釈が、閣僚が変つたからその時間的ずれによつて閣議の決定が違つていると、そういうことは絶対に了承できない。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 内閣が変つた。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 内閣が変つてもそういうことはいけないですよ。憲法の解釈が自衛戦争ができるかできないか、十年前はこれは戦力であつたが科学の進歩した、武器の進歩した十年後の今においては、戦力の部類には入らんという説明は納得するけれども、こういうのは納得できますけれども、この憲法が自衛戦争をできると認めているか認めていないかということは、内閣が変つたから変り得る、そういうもので私は国の基本法というものはあるべきものでないと思うのです。そんなことを言つたら国家の基本法というものはぐらぐらするじやありませんか。ましてや内閣が変つたと言つても、その内閣の首班が同じじやありませんか、首班が。而もそれで吉田総理がおいでになつておらないから困るのですが、吉田総理は本会議の如何なる場合にも、私の自衛に関する考えは変りません、再軍備はいたしません、それに伴う憲法改正はいたしません、これ一本槍で来ているのでしよう。それは何とか答弁すれば通る……緒方副総理はそれじや通りませんよ。重ねて答弁を求めます。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 私は同じ人が十年同じ意見を持つていなくちやならんということはないと思います。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 意見じやありません。憲法の解釈です。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○國務大臣(緒方竹虎君) 憲法解釈についても又然りと思います。それは私はそう窮屈に考える必要はない。何か十年たつても云々と言われますが、内閣が変つておるので、その新らしい内閣が閣議を以てきめればその意見が而と違つておつても差支えない。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 この憲法は自衛権を認めている。その自衛権というものがこういう範囲のものか、こういう範囲のものかというのは、それぞれ解釈は違いましよう。併しこの憲法は、最近木村長官が言明されているようなそういう自衛権というものを認めたものではなくつて、これは当時言われたように、平和憲法と言われたのです。民主憲法と言われたのです。文化的な憲法と、これは三つの標語であつたわけですね。そうしてこの憲法の一審神髄ともいうべきものはやはり平和主義だつた。その代表的な表現がこの前文に現われているわけなんです。もう皆さんがた十分御承知だからここで読みませんけれども、前文にそれがはつきりと出ているわけです。その一番真随ともいうべきところは、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、」話合で云々と、こういう形である。これが一番この憲法の真随のところなんです。自衛戦争は認めるか認めないかというような、ことはこの憲法を制定した時には自衛戦争は認めないと当時吉田さんが解釈したが、今日になつたら吉田さんはこの憲法は自衛戦争を認めているのだ、こういうふうに解釈してそのくらいな巾を持つてもいいと、それは私は詭弁に類するものだと思う。どうしても納得できません。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたしまするが、我々も平和憲法なることは知つております。平和を愛さなくちやならない。我々は平和を求めております。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 それはよくわかつております。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) それだから国際紛争があつたときにはできる限りお互いの話合できめて行くことは当然であります。併しながら国際紛争に至らない程度において不当に外国から武力の攻撃を受けた場合に、これを手を挙げてそのなすがままに許すということは独立国家ではあり得ないことであります。我が憲法もかるが故に自衛権を決して否定していないのであります。従いましてさような不当な外部からの武力攻撃に対しては自衛権の発動として武力行使をし呵ることはこれは憲法においても差支えないと我々はこう考えております。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 議事進行について。委員長、委員に飯も食べさせないでずつとやるつもりですか。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) もう少ししたらお諮りしようと思つておりました。副総理が出て来られてから僅かに二十分、二十五分ぐらいでありまするからして、まだ一時間ぐらいは、続けて。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 それは問題ですよ、皆に諮つて下さい。委員長の独断でやるべきでない。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) それで三十分ぐらい休憩してやることを今にお諮りいたします。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 皆に諮つて下さい、議事進行で。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) まだ僅か二十五分ぐらいしかやらないのにすぐ休憩するということは勿体ない話だと思いますから、もう三十分たつてからお諮りいたします。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 議事進行。それでは伺いますが、三十分ほどたつて食堂に行つて食堂がもうなくなつちやつた、こうなつたらどうしますか。それはやはり一応私も緒方副総理なり皆揃われたから、吉田総理なり或いは大蔵大臣はおられないけれども続けなければなるまいと思つております。続けなければなるまいとは思つておりますけれども、飯を食わせず一方的にそうしてこのままどんどん、今言われたからちよつと待つて下さいという話ですけれども、九時、十時までお続けになるということは、これはちよつとやつばり非常識じやないかと思います。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 木村長官、今御答弁頂いたが、あなたのその言われておることは私わかるのです。ところが吉田さんはそれを否定したことを速記に残しているのです。それから緒方副総理に総理に代つてお伺いしますが、九年前と今と云々と言われるが、それでは二十七年の六月六日大橋国務大臣は、木村保安庁長官の前任者です、このかたは相手国は日本の憲法に関係なしに宣戦布告して武力攻撃をして来た場合、日本側が受けて立つことは憲法上禁止されておりますと言明されておる。受けて立つことは憲法上禁止されておる。ところが木村保安庁長官は同じ憲法下で、来たならば受けて立つことは勿論だし、長距離砲、原子砲を向うから打つて来ればそこの拠点をたたくというのです。或いは朝鮮、或いはシナの大陸から九州などを爆撃して来ればこの拠点を行つて爆撃することがあるというのですよ、それだけ答弁が食違つている。  更にもう一つ申上げましよう。岡崎外務大臣は、昨日お伺いしたのですが、私ども二十五年の夏です、当時官房長官でこの所管者であつたのですが、そのときにアメリカの通信で、この警察予備隊は再軍備の初めになるのじやないかということが言われているからここではつきりと申上げますが、これは再軍備の初めでは絶対ないということを念のためはつきり申上げますと速記に残しているのです。その岡崎さんが今外務大臣でこのMSAの担当大臣になつておられるのですね。而も大臣になつておられるのですね。而も同じ憲法下でこれは可能だと皆さん言われている。国民は納得すると言われている。私はこれは絶対に納得できません。  而ももう一言でこの段は終りますが、昨日愛知通産大臣は飛行機工業も少し起さなければならん、で一億ドルの海外買付がある、それを賄うだけの日本の産業構造の態勢を整えなくちやならん。こういうふうに積極的に発言されておるのですが、木村長官も先刻来随分とこれは勇ましい進車ラつパを聞くようなお話を承わつております。ところが私のさつきの質問に対して岡崎外務大臣は昨日何と答弁したかというと、このMSA或いは防衛二法案、これは再軍備の初めだとは今も自分は思つていない。今の日本の自衛力が再軍備かと私は聞いたのじやないのです。重ねて聞いたのです。これは再軍備の初めになるのじやございませんかと聞いたところが、二十五年に自分が速記に残した同じ心境で再軍備の初めになるとは思つておりません。こういうふうに昨日はつきりと岡崎外務大臣答弁されたのです。時間的にもそれから人の関係においても余りにも国会に対する答弁が食い逆つておるじやございませんか。これでは責任をはつきりしなければ我々はこの協定なり或いは防衛関係の二法案の審議はできません。何とか責任をはつきりして頂きたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 私はそう窮屈に考えないのです。岡の生命は悠久でありますし、政治家の考え方も違つて一向差支えない。ただ併しそれは常に公々然と世論の批判の前に立つていなくちやならん。その批判を受けて、そうして国民が納得すればそれで認められたのだ、私はいつまでも一遍言うたことは意見が変らない、そういうことは政治家としては通用しないと思います。環境も違いますし、国力も違いましようし、なかなか同じようなものを固定したわけではありませんから、その意見の違うことは、批判にさえ耐えればいいと思います。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 そんなことじやないのですよ、私の言つておるのは。緒方副総理、常識で戦争の種類は侵略戦争、制裁戦争、自衛戦争、こういう種類があると言われておるのです。この憲法では自衛戦争はできないとなつておるのですよ。又あなたは批判に耐えるとか何とか言うが、昨年選挙でそう言われたと言いますが、その当時あなたがたの御発言は警察力の充実、国内の治安と秩序の維持、これくらいなところで国民に納得さしておられるのであつて、今の憲法で自衛戦争はできるのだと、皆さんがたの税金で、そういう考えでこれから自衛力の漸増と言いますか、急増と肯いますかやつて行くというようなことは絶対にそういうことはあなたは選挙のときに公約されておりません。問題は憲法解釈はこうだ、自衛戦争は可能か可能でないかということなんですから、如何に報道人から出発された、非常に弾力性のある副総理といえども、固苦しいとか何とかということと別個の問題ですよ。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 非常に窮屈におつしやるから私は言うので、お前何年前にこういう言葉を使つておる、今これはこの通り言わんのは責任があるじやないか、その責任を明らかにせよ、明らかにしなければMSAの法案は通せない、それほどのものじやない。今の自衛戦争というものは、恐らく政府と矢嶋さんの意見の違いは戦争という字にあるのじやないかと思いますが、自衛力を行使するということは政府はずつと一貫して申しておりまして、一向私はその点はでたらめを言うておるとは考えておりません。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 とてもそれは納得できませんよ。そういうことでは通らない。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 法制局長官、何か。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 先刻来副総理からお答えしておりますように、内閣はたまたま吉田茂氏を首班としておりましたのが、性格が違うから又別問題だということは理論上正しいと思います。  ただその問題を離れまして他の要点は、むしろその他の政府の解釈と今の解釈と違つていやしませんかというお尋ねでありましようから、その点について私は辻つておりませんということをお答えいたしたいと思います。御承知の通りここに私速記録も持らて来ておりますけれども、原夫次郎氏の御質問に対して吉田茂氏は、自衛権は否定しておりませんということを断言しております。そのあとの言葉において、ただ自衛のためのものであつても自衛戦争といえども戦争というものは好ましくありませんということは確かに育つておられます。そういうような表現が、これは非常に有名な表現でいつも議会で引用されておるのでありますけれども、それはそれといたしまして、当時の金森国務大臣は、貴衆両院に亘つて、九条第一項については、これは自衛戦争そのものも否定しておりません、或いは自衛戦争を禁止しておりません、と言つておるわけです。ところで、その第二項に行つてそのための大きな手段としての戦力というものが禁止されておる。それから交戦権を放棄しております。従つて、第一項としてけ自衛戦争を否定してはおらないけれども、第二項のある関係から戦争の形をなしませんというような表現をしておるわけであります。我々はまさにその通りの趣旨で今日まで来ておるわけであります。そのいきさつは御承知の滴りに第十二回国会の衆議院でありましたか参議院でありましたか、平和条約日米安全保障条約特別委員会の第三号の速記録において、金森徳次郎氏が参考人としてそのいきさつを述べております。従いまして、政府といたしましては憲法改正を審議されておりました帝国議会の当時から自衛権は否宿しておらん。而も高柳賢三氏でありましたか、貴族院でこの憲法はガンジーの無抵抗主義ですかという質問がありまして、金森氏はガンジーそのものが無抵抗主義であるかどうか疑いを持つけれどもそれは別として、いずれにせよこの憲法は無抵抗主義ではございません、というお答えをいたしておりまして、それは言い換えれば自衛権の行使ということはあり得るということを肯定しておるわけであります。その趣旨は今日我々がここでお答えしておるところと少しも変つていないと思うわけであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 法制局長官の今の答弁についての質疑はあとで続けられると思いますが、一つ緒方副総理の先ほどの御答弁に関連してお尋ねをしてみたいと思います。  何も窮屈に考える必要はないと、選挙で或る程度国民の了承を得たのだから、内閣が変つた今日、たとえ自衛戦争を憲法は否定しておると答弁をしておつても、今日の内閣が別な解釈を持つてもちつとも差支えない。こういう御答弁でございましたが、この或いは憲法の精神、或いは民主主義というものについて緒方副総理は御理解があるかどうかはわかりませんが、仮に憲法に従つて国民の信託によつて政治をやつておられるというならば、或いは憲法なり国会がきめました法律に従つて政治かなされると、行政がなされるというならば、憲法或いは現在の民主主義制度が認めております点は、恐らくこれは御否定になるまいと思います。その点をお尋ねをいたしたいのでありますが、これは憲法の前文にも書いてございますけれども、国民の主権に従つていわば国民が約束として憲法を打ち立てた。或いは行政をやつて参りますのに国民の負託によつて政治をやつて行く、行政をやつて行く、これを御否定になりますかどうか。或いは憲法の規定するところ、これはその因由もございますが、或いは全文を流れる精神もございます。これは確固不動のものがございます。それから内閣が変つたならば、或いは多少選挙でそれらしいことを言つたならばそれに従つてやつてよろしいと、こういう工合に言われるのか。それとも日本国忍法の下においては民意であるところの国会がきめた法律に従わなければ政治ができないと考えておられるのか。その辺をはつきり承つておきたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) それは非常に誤解をしておられるようでありますが、個人の意見のことであります。個人の政見が何年前に言うたから今変るかはけしからんということはないということを言うたのでありまして、憲法の精神も無視できんことは、或いは憲法の条章を無視できんことは言うまでもありません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 緒方副総理は個人の意見或いは個人の政見ということでありますが、個人の意見ではございません。問題はMSA協定なり或いはこれに関連して参りました保安庁法、自衛隊法こういうものの審議が、或いは制定、批准が憲法に従つて認められるかどうか、合憲であるかどうかということを審議している際に、懸法の解釈である総理なり或いは政府を代表する閣僚の意見が前にはこうであつた、現在はこうである、これは憲法の解釈であります。憲法の解釈でありますが、ただそれは個人の意見であるにとどまらず、政府の意見或いは政府の解釈或いは憲法の行政解釈と申してもいいかも知れませんが、併しそれは政府の解釈であると同時に、或いは国会の解釈でもなければなりません。或いは国民がこの憲法をどういう工合いに解釈するか。そしてその憲法から考えるならばこの協定、条約なり或いは法律が合憲であるかどうかということを争う際に、個人の意見とは何事ですか。又個人の意見そして私どもはこういう問題を論議していない。どういう工合で政府として個人の意見というふうに考えておられるか、或いはそれとももう少し……。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 政府の意見でも変つて差支えないと思います。内閣が変れば、そうして閣議で決定すれば。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 緒方副総理と論争しても多少始まらんかと思いますが、(笑声)法制局長官もおられますし伺いたいのでありますが、憲法の解釈をここで争つている。その憲法の解釈が個人であろうと或いは政府の意見であろうとてそれは随意に変つてよろしい、内閣が変れば変つてよろしいという緒方副総理の御意見でありますが、そういうようにお考えになりますか。内閣の法律解釈についての責任者としての法制局長官の御意見を求めます。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) これはこの問題については直接関係がない一般論としてお答えするのでありますが、前に本院の本会議でもお答えしたと思いますが、内閣というものはこれはもう一々両院の指名ということで更迭は全然出直しでやられるわけでありますが、偶然同じ人が首班に指名されたからと言つて、その内閣そのものの性質というものが前の内閣とは全然法的根拠が違つて来ているということはこれは理論的には正しいと思います。その意味では今緒方副総理の言われた通りだと考えます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 内閣の更迭とそれから内閣の性格を聞いているわけではございません。憲法の解釈についてここで争つているのであるが、憲法の解釈というものは行政解釈として変るということでなくて、憲法の解釈というものが或いは第一次吉田内閣ではこう、或いは第五次吉田内閣ではこうという工合に、行政権によつて勝手にひん曲げられるのか、そういうことを聞いているのです。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) これも抽象論としてお答えすれば先ほどお答えしたところの延長でありまして、内閣そのものの性格が違いますから内閣々々において正しいこと信ずるとてその憲法解釈を打出すことは理論上は当然だと思います。ずつと先ほど来お尋ねになつておりますこの件に関しては、少くとも内閣の意見は、これは憲法改正の審議をされた第九十一回ですか帝国議会以来変つておりません。これは理論上から言えば或いは偶然に変つていないということかも知れませんが、私の言を以てすれば。併し事実変つていないのでありますから、その点は少しも変つておらん、それだけのことであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 たまたま自衛戦争の点については変つておらん、こう言われますが、変つておるかどうかという点を矢嶋君が争つておつたのでありますが、私は更に憲法の解釈というものは、憲法というものは解釈によつてそう或いはA或いはBという工合に変り得るか、こういうことをお尋ねしておるのであります。それが変り得るはずがないじやないか、行政解釈として或いは変更されるということもあり得るかも知れません。併し憲法それ自身がこれは行政権だけに限らず、或いは司法権、或いは立法権と申しますか国権の最高の機関と憲法上は保障されておりますが、日本の国民が憲法が変つたか変らんか或いは解釈によつてそれが任意に変え得るか、こういう点についてはこれはノーと答えるのが当り前じやないか。こういうことをこれはまあ行政府の憲法、法律についての解釈の責任かも知れませんけれども、憲法の性格からするならば、これは何人といえども、憲法は憲法で変らない以上、その規定しようとするところ或いはその規定するところは変らんじやないか、こういう点はこれはお認めになりませんか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) これは一般論としてお答え申上げますれば、神様の目を以て憲法を見ておるならば、神様が変りません以上は憲法の解釈というものは変らないはずだと思います。但し遺憾ながらその解釈に携る者は人間でございまして、人聞というものには進歩があるわけであります。その進歩によつて解釈がだんだんと進化を遂げて行くということは、これはもう否定すべからざる事実であると思います。その意味において今までの各解釈の動きを見ておりましても、同じ党派でありながらこの点についての解釈は変化もございます。或いは最高裁判所といえども一旦大法廷の判決としてきめられたことも変更されるということもあり得るのであります。これは人間の悲しさを表明したものであろうと思いますけれども、たまたまこの問題、たまたまというのは甚だ率直でありますけれども、今議題になつておるような案件については、少くとも政府としては全然根本の解釈態度は変つておりません。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 その憲法解釈についてもう少しお伺いしたいのでありますが、警察予備隊から保安隊となり、今又自衛隊になろうとしている、これは軍隊ではない。若し軍隊と呼ぶなら戦力のない軍隊だ、こういう工合に実際の警察予備隊からの変更があるわけです。憲法をこれに照らし合して考えるときに、憲法を改正してそしてこれを戦力のある軍隊とするという手も一つ考えられる。改進党の諸君や或いはその他の諸君はそういう態度をとつているのだろうと思う。政府の態度はそうではなくて、これは警察予備隊から保安隊、防衛隊、こう変つて行く。そしてそれが実質的にも軍隊的な性格を持ちながら、而もこれは形式的な説明の上においては軍隊ではないのだ、戦力ではないのだ、こういう説明をやつて来た。実質的には併しながらそうではなくて戦力を持つている。先ほど保安庁長官の説明によつても軍隊としての性格を持ち、軍隊としての装備やその他の設備等も持つことになつておるわけであります。憲法のほうの解釈はこの事実に合して解釈して行く、そうしてその限界に来た場合にはこれを憲法改正にまで持つて行こう、こういうような考え方があるように伺われるのです。あなたは、法制局長官は憲法改正当時の帝国議会におけるところのあの解釈と今とはちつとも変つておらん、こう言われるのですけれども、併しそれの内容をなすところの事実は変つて来ておる。その変つて来ている事態に即応して解釈をして行こう、こういうような感じを受けるわけなんです。従つて実質的に考えれば、その実質そのものが変つているのですから従つて憲法の解釈も違つて来ている。形式の上では変つていなくても実質的には変つて来ておるということはお認めになりませんですか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) これは憲法改正の根本態度に触れてのお尋ねであろうと思います。これも憲法改正の帝国議会の審議において、当時の政府から育つておりますように、憲法というものは土俵の枠としての部分を持つておる、ここから先へ行つたらこれはアウトである、富士山の八合目というところで鉄条網を引いておる、その鉄条網まで行くことがいいかどうかは別問題であつて、鉄条網の範囲内における措置というものはこれは政治によつて或いは立法政策によつてきめらるべきであるということであつたと思うのであります。これは私は正しい考え方であろうと思うのです。従つて只今のお尋ねについては、憲法の枠というものは、我々の考えておるところは憲法のでき上つたときから変つておりません。併し警察予備隊或いは保安隊は或いは二合目或いは一合目だという考え方がございましよう。憲法の枠内での立法、政策によつてその程度のことはよろしいということで来たわけであります。これは立法、政策の変化によつて、先ほど申上げましたように八合目に鉄条網を引いてある、八合目まではその政治の判断によつて動き得るものであります。例えば残虐刑というものを憲法で禁止している、併し死刑というものが憲法違反ではないと、死刑を存置するか廃止するか、これは政治問題として争われていいものであると、こういうふうに行かないと、今のように時世の進運に従つて憲法の解釈そのものが変つて行くということはあり得ないと思うわけであります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 八合目までの枠をきめたのは憲法だ、そしてそれの内容をなすものについては行政的な措置によつてこれを行うことができる、こういう御答弁のように承る。確かに憲法は基本法である、一定の枠をはめたものに違いない。併しはめられた枠の中味はどんどん変つて行く、変るような措置を政府は政策的にもこれを行なつている。そうするとこの一定のはめられた枠を超えてまでも、実は実質的な内容というものが政府の政策によつて発展して行くということになると、更にその枠をもつと多く、今まではこのくらいの枠であつたものがこのくらいまで、三合目までの枠が五合目まで広げられるということがあり得ると思うのですが、政府の場合はそういう立場に立つての解釈ではないか。そうするならば実質的には解釈が変つて来たんだ、こういう工合に考えなければならないと思いますが、如何ですか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 今のお言葉に行政的にというお言葉がありましたから、これは私として訂正しておきますが、私の言うのは行政的ではないので、政治的にその枠の中での政策がきめられると、例えば警察予備隊令というものを保安庁法に直すというようなことは法律で勿論国会がおきめになるわけであります。併しいずれにしてもこれは憲法の八合目の下のほうの部面の政策の変更であつて、憲法の八合目の一線というものは動いておりません。そこで今お話のように憲法の八合目を登りつめて、更にてつぺんまで行きたくなつた、行くことが国のために必要だという世論が起つて来れば、その八合目の鉄条網を撤廃するための世論につながつて来るのですけれども、要するに今の問題は八合目の鉄条網までの、鉄条網の中での問題であるということを申上げたのであります。  更に先ほど申上げました死刑を廃止するか廃止しないか、それは残虐刑としてきまつておるが、併しそれは政治問題として争うべきである、八号目の鉄条網は厳然として変らずにあるわけであります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 あなたの説明ですと、何か政治的な措置によつて八合目までの限界の中において今までやつて来たんだ、それに対する解釈は一貫して変らん。こういうお話ですが、併し実質的には内容は変つて来ておるのです。どんなにあなたが抗弁されようとも、木村長官は自衛のための戦争はしてもいいんだということをはつきり言われておる。併し自衛のためにも戦争ができないということは憲法第九条の第二項によつて我々ははつきりしておると思うのです。ところが今木村長官の解釈によると自衛のための戦争はやつてもいい、こういうことになりますと、実際には変つて来ておるわけなんです。それをあなたは変らん変らんとこう言つておる。八合目までの土俵の中でやつておると、こう言つておる。そして八合目までの土俵の中でやつておることが九合目或いは頂上まで来ておるわけです。それがどうにもならないときには憲法改正という手を打つことになると思うのですが、この法律を解釈する手段としては他の法律によつてこれを改正し止るということもありましよう。そうでなくて今の場合既成事実を作り上げて、そうしてその事実の内容に合せて、憲法を改正して行く、一定の限度が来ると、もう頂上から上になりますからあとは憲法改正で行こうというはらじやないかと私は想像しているのですが、とにかく憲法解釈として今まで取つて来ておる政府の態度というものは、極めて拡張解釈の上に立つてそうしてこれをどんどんわくを拡げてやつて行つている、こういう工合に見なければならんと思います。その点もう一度お願いいたします。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) たびたび繰返しますように、我々としては八合目の鉄条網の線というものは最初から変らないのであります。ただ今のお言葉にありますように、その範囲内での法律の改正という形の上下はあるわけです。警察予備隊が保安隊になるということもありましようし、保安隊から今度自衛隊になるということも、これは今の鉄条網の下での政策の問題としておきめ願いたいと思うということです。今の戦争の関係につきましても、先ほど触れましたように、とにかく第九条第一項は自衛戦争、奔放な自衛戦争というふうに言つたほうがいいかも知れません。思う存分の自衛戦争を許した形になつております。併しながら第二項の戦力と交戦権を認めないことは厳然としてあるのでありまして、その点において、金森さんの言葉を借りれば、そういうことは今日でもこの憲法のできました当時とちつとも変つておりません。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 議事進行についてお諮りをしなければなりません。先ほど中山委員等から議事進行について、この委員会を本日どうするかということの御提案がありました。三委員長こちらで相談いたしました結果は、本日はこれで散会することとし、明日午前十時、正十時から継続してこの委員会を改めて、そうして明日は御承知でありましようが参議院の本会議がございます。そうしてそこにはいろいろな重要な決議案が出るであろう、そうしてそこには総理、副総理ともに要求されておるそうであります。従いまして本会議が始まりますると、事実上この委員会の継続はできなくなります。本会議がいつもの通り遅くなるでありましようことを見越して十時から何時同やれますか存じませんけれども、本会議の始まるまでこの委員会をやるということにしたいというのが、この三人の協議の結果でありまするが、皆さんがた如何でございましようか。

矢嶋三義日本社会党(第四控室・左)

○矢嶋三義君 それに異議ございません。私は委員長にお願いしておきますが、昨日から質問しようしようと思つて、今日やつと始まつたところがこういうことになつたわけです。まだたくさん残つておりますが、明日はちようど関係大臣のかたがお見えになるそうでありますが、是非とも定刻までに本会議出席以外には大臣お揃い頂くように委員長に特にお願いいたしておきます。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 木村長官も副総理も十時に来られるそうです。木村長官も都合して来るということにお約束してあります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 明日は衆議院の地方行政委員会と内閣委員会がありますからここにへばりついているわけには行きません。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) そういうわけであるようでありますが、この委員会としましてはMSAの問題に日切れがあつて、それがためにこうやつて議員諸君にも無理を願つておるわけで、又木村長官も三時半から実はこれを勉強しておつたわけであります。衆議院の内閣委員会、地方行政委員会もおのおの長官を必要としましようが、併しあちらには日切れはないと思うので、而も条約と国内法の問題とは、これは長官のほうにも又他の大臣のかたがたにもお考えを願わなければならんと思うのですが、これは皆さん、私の申上げることは無理でありましようか。(「その通り」と呼ぶ者あり)私はそうだと思うのです。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 先ほど委員の中からも出ましたが、総理と副総理がどこへ行くにもおしどりのように二人必ず出なければならんというわけでないのですから、今日のしまいのように分れてもいいのですから、今の点委員長の趣旨を体して総理か副総理か出て頂くように一つ……。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) それは明日総理と副総理の間の御相談に委してできるだけ都合して頂くようにします。  それでは本日は散会いたします。    午後七時三十六分散会

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