運輸委員会 第24号
- 発言数
- 26 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/04/20
会議録
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。 船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本法案についての詳細なる説明を政府から伺いたいと存じます。
○政府委員(武田元君) 現行の船舶職員法は昭和二十六年四月に大改正をいたしまして、同年の十月から施行されたのでございますが、直ちにこの改正規定を実施いたしますと、いろいろと困難な問題に直面いたしましたので、附則第二項によりまして、昭和二十九年八月三十一日、即ち今年の八月三十一日までは本則によらないで従来の資格表と同様の考えをされた別表第七の資格表を適用する旨の特例を設けました。又新たに法の適用対象となりました小型船舶、これは細かく申しますと、小型船舶というものは総トン数二十トン未満の帆船、漁船、平水区域を航行する帆船、そういう船に新たに乗組ますべきこととなる小型船舶操縦士及び新設されました丙種船長、丙種機関長の試験を行わないで、申請によつて海技免状を交付いたします附則第九項、附則第十項の規定を経過規定として設けました。更に又、海事関係学校の卒業者に対する学術試験免除の規定を廃止したのでありますが、そのことによりまして、法施行の際、現に在学又は卒業している者の期待権を救済する意味におきまして、附則第十一項を設けて、かような経過規定の実施によりまして、できるだけ円滑に法の実施を推進するようにした次第でございますが、法施行以来、約二年以上の間の船舶職員の充足状況を見まするというと、大体におきまして半数程度でありまして、更に独立以来関係業界の発展に伴いまして、需要面が漸次拡張して参りまして、船舶職員の需要難に拍車をかけて参つたのであります。 これを汽船、漁船について御説明申上げますと、一般商船につきましては、昭和二十九年九月一日からの資格上昇に伴いまして、現在の七号俸よりも上級の免状の受有者を充足しなければならないことになるのでありますが、それの充当は、現在の海技免状の取得状況から見まして非常に困難であるのであります。又半面、旧免状受有者は或いは失職し、或いは冗員として予備員に入ることとなる事態を生ずる虞れがあります。定員の増加と相待ちまして、再建途上にある海運に従事しております船主の経済的負担を過重ならしめることになるわけでございます。 又漁船について見ますると、漁船は急激に大型化しております。或いは遠洋に進出する等の傾向が著しくなりまして、特に遠洋かつお、まぐろ漁業につきましては、先般特例法が国会を通過いたしまして、その結果、一応救済されることとなつたのでありますが、他の業種、例えば以西、以東底曳網漁業、或いは中型かつおまぐろ漁業、運搬船等についても、この九月一日から適用になります。別表第二、別表第五において資格がほぼ一級上級となり、この充足については関係資料にございますように、現在半数程度しか充足しておらないのでございます。九月一日までには到底充足が困難と思われる次第でございます。 そうして一方、海技免状の発給状況を見ますると、発給数は、法改正に伴う需要増加海技従事者数を約五万と予想いたしまして、法改正以来現在まで約四万二千の海技免状を発給したわけでございます。その免状を受有した者が必ずしも必要とされる分野に赴くとは限らず、或いは陸上の船員関係の仕事につく者、或いは必要以上に偏向する傾きもございまして、関係資料にございますように、充足難の状況を示しているのでございます。 以上述べましたように、本年の九月一日から適用の特例がなくなつた際に、充足難のために或いは船舶の出航不可能、違反船が出るというような事情も予想されまして、海運界、水産界に相当打撃を与えることが想像されますので、現在約半数程度の充足状況から推しまして、ほぼ今後約二カ年、即ち今年の九月から約一年半適用の特例を延期することが必要でありまして、適用の特例を延期する以上は、関連規定でありまする附則第九項、十項及び五トン未満の旅客船に対し乗り組ましむべき小型船舶操縦士に関する海上運送法の一部改正法律附則第六項の無試験による免許附与の規定、又は海事関係学校卒業者に対する学術試験免除の所定の手続が未済の者がありますので、当該規定の附則第十一項の規定も、同様にその期限を延長することが必要なわけであります。 以上が本案を提案いたしました理由でございます。
○委員長(前田穰君) それでは御質疑のおありの方は順次御質疑を願います。
○岡田信次君 この船舶職員法が、この前と多少は内容が違うのですけれども、例のまぐろ・かつお漁船の乗組員のこれと同じようなあれが出たのですが、ここでやはり昭和三十一年三月末まで一応延期すると、昭和三十一年三月以降は充足し得るという確実な政府の見込があるのですか。
○政府委員(武田元君) 只今御説明申上げましたように、従来の海技免状の発給の状況実績から推しまして、この程度の特例の適用期間の延長によりまして、充足し得る見通しを持つているわけでございますが、充足の経過といたしましては、水産庁の漁船職員の養成政策の強化と相待つて、従来何ら補助金の出ておらなかつた漁船以外の小型船舶職員養成のための講習等に対しましても新たに助長措置をとることにいたしました。これと共に臨時試験の施行についても、予算措置その他試験能率の向上、その他の方策を講じまして、実績の向上に努めたいと考えている次第でございます。又一方文部省を通じまして、関係の国立学校、水産高等学校の教育費の補助も図るようにしたいと考えているわけでございます。 なお重ねて見通しについて、もう一度詳しく申上げますと、従来の海技免状の発給数は四万二千三百七十二件でございます。別表第七から別表第二乃至第五に移る、つまり本則に移るために新らしく要しまする、新たに免状を持たねばならん新規適用の者、又該当免状を持つた定員を増加せねばならん者、又資格が上昇するために、上級の資格を持たねばならんこの数は本則によることになれば、現状から更に四万九千五百十四名の職員を充足しなければならんことになりますが、その数に対しまして只今申上げましたようにこれは関係資料の二頁にございますが、二頁を御覧頂きます。二頁の1、2でございます。2の所に従来の免状発給数四万二千三百七十二件でございます。約四万九千の需要に対しまして四万二千三百七十二件を発行しております。ところが海技従事者の免許の性格が技術の資格免許であるという関係がございまして、海技従事者の免許を取得した者が必ずしもその資格を持つてなり得る職務につくものとは限らない。その他或いは陸上の海運関係の職務につく者も相当ございまして、実際の補充未済数は需要数の約半数程度と推定されるのであります。個々の事態につきまして調査をいたしました資料につきましては、関係資料の2のその一、その二、その三、その五にございます。大体におきましては半数程度の充足という状態を示しております。法執行以来約二年有余で約半数充足しておる。でありますから、今後約二年延長いたしまして、残りの半数は大体充足されるのではないかという見通しを持つておるわけでございます。 なお充足のための試験計画並びに充足見通しの数字は関係資料の3、六頁に示してある通りでございます。 以上御説明申上げました通りでございまして、期限までには充足が可能であるということを確信いたしておりまして、更に延期するということは考えておらない次第でございます。
○岡田信次君 この法律が制定されたときは、二年間の暫定期間があつたのですが、その間に充足されないというその理由をもう一遍はつきりと簡単に御説明願いたい。そうすると、今後二年間延ばしても又延ばすというような危惧もあるのですが、そうなると、船舶職員法そのものに無理があるんじやないかというふうにも考えられるので、船舶職員法そのものをもつと根本的に直す考えはないか、その二点を伺います。
○政府委員(武田元君) 最初に現在の職員法を改正したこと自体が、二年延期して、二年間以上の猶予期間があつて、而も又延期しなければならんということは行過ぎがあつたのじやないかという御質問でございますが、この法改正前、戦争中、臨時船舶管理法というのがございまして、船舶職員の充実などをいたしまして大幅に資格の軽減をいたしました。それをそのまま踏襲しておつたのでありますが、海難が非常に増加したという誠に憂慮すべき状態にありました。これは船舶職員の質が低下したことも原因しておりますが、主な原因な船舶職員の資格を大幅に軽減した暫定措置にあるということは有識者の一致した見解であります。で、現行法の制定に当りまして、各権威者を網羅しまして慎重に検討しました結果、当時としては基本的に妥当と認める結論を得た次第であります。改正しました表を見ましても、戦前の定員法よりも資格は遠洋区域外は一般に資格が上つたのでありまして、関係業者自体も必ずしも行過ぎということは認めでおらないのでございます。併しこの法律というものは申上げまでもないのでありますが、永久不変のものでは勿論ございませんで、船舶の装備が改善される、或いは運航技術が進歩する、或いは漁船については特に操業区域が拡大されるというようないろいろ変化が出て参りますので、現段階において再検討の必要があるのではないかと考えておりまして、先般の運輸省設置法の改正によりまして、海上航行安全審議会というものが四月一日から発足することになりました。船舶職員法には船舶職員法に関する重要事項、特に試験の実施については海上航行安全審議会に諮問して、その意見を聞くことになつておりますので、近く職員法の全面的検討につきまして、当該審議会に諮問いたしまして検討を進めたい、かように考えておる次第であります。
○委員長(前田穰君) ちよつと関連して伺いたいのですが、この数字はすべて船舶職員法の改正ということを基準にしていろいろ数字を出しておられるようでございますが、船舶の増加に伴う需要増という点はどういうふうなことになりましようか。それも含めて二カ年間に充分ができるというわけでございましようか。
○政府委員(武田元君) この数字は年間における船舶の増加数を含んでおりません。併しながら先にも御説明申上げたのでございますが、船舶の職員の需要見込数、関係資料の3、六頁を御覧頂きますとわかりますように、海技免状の発給予想数は、2でございますが、試験合格者、試験免除者合計で五万八百件という数字でございまして、この数字を以ていたしますれば、船舶の増加に対しましても十分充足できるという見通しを持つております。
○仁田竹一君 大体従業員の必要な数は五万と予想されたわけでございましようか。それに二十六年十月から今日まで四万二千海技免状を発給したわけですが、なお又あと半年ばかりありますから、その数から言いますと、やや予定数には達しておるということになろうと思いますが、むしろ問題は、海枝免状を取つた者が必要なる分野に赴かず、陸上勤務につく者が多い、だから足りないのだということでございますが、而もその数が半数程度だろうということになりますと、四万二千のうち二万ばかりのものが従事しないということになつておるわけなんですが、余りに数が多過ぎるようでありますが、具体的にどういうふうな場合があるかということをお聞きしたいのであります。なお「或る種の例にも見る如く」というような文字がありますが、「或る種の例」というのはどういうふうな例を指しておるのか、併せて承わつてみたいと思います。
○政府委員(武田元君) 資料の四頁のその三、機帆船という場合でありますが、八千七百七十八隻の船舶を調査しました結果、この表に示されておるわけであります。トン数別に数字が出ておるわけであります。それからその四、沿岸タンク船であります。それから五頁、その五の一号が以西機船底曳網漁船でございます。それから二号がかつお・まぐろ漁船・三号が以東機船底曳網漁船、このいずれの表を見ましても、調査船舶数に対しまして、この備考のすぐ前の充足数、その次に無資格者受有免状、上の資格の免状を取らなければならん者、或いは新たに免状を取らなければならん者の数が示されてございます。そのどれを見ましても、大体において約半数と、所要数に対しまして約半数という数字を示しておるわけでございます。 なお「或る種の例にも見る如く」という御指摘がございましたが、手許に今資料がございませんが、そういう例の多いのは、特に遠洋かつお・まぐろ漁船につきまして、必要以上の資格の者を乗せておるというのが非常に多いのであります。これは一つは、そういうかつを・まぐろ漁業に非常に経験が深いという関係で、給料をたくさん出しても或いは上の資格の免状の者でも下の資格に乗せたほうが得だ、下のポストにつけたほうが得だというふうな例のようでございますが、特に漁船、漁船のうちでも特に遠洋かつお・まぐろ漁船にそういう偏在した傾向があるようであります。
○仁田竹一君 成るほど数字ではそういう数字が出ておるようでありますが、むしろそういうふうに四万二千名もの免状を渡しましても、それが半数しか海運には従事しないということになりますと、これを二カ年延ばしてみましても、やはり同じそのような事情が続くものだと思いますが、これは前に質問があつたようでありますが、むしろ免状を得た者がなぜほかの方向に、而も半数もの者が向つて行くかということを検討されることのほうが、むしろ賢明、と言つてはどうかと思ういますが、適切ではないか、少くともその方面をも検討して、そうしてお考えになることのほうが必要なふうに考えられますが、その点につきまして。半数ですからね。
○政府委員(武田元君) 確かに御指摘の点は今後行政措置として更に検討し、又必要な措置を講ずべきであると思いますが、勿論法律上の強制力というようなものはございませんが、漁船について特にそういう例が多いという点からいたしましても、今後水産庁と相談し、相協力して研究を重ね、善処価し参りたいと思います。
○委員長(前田穰君) もう一点ちよつとお伺いしたいのですが、この前の遠うのですが、今回はかつお。まぐろよりも一段低い七号表を適用する、こういうことに区別がついておりますが、どういう意味でしようか。
○政府委員(武田元君) 今度全般的に緩和規定を二カ年に亘つて延期する、こういうことをやるのであれば、なぜこの前にかつお・まぐろに関して法案を出したのと一緒にやらなかつたかという御質問、又この前とどういうふうに方針が違うのであるかという御質問であろうと思いますが、この前の特例法は、現在只今遠洋かつお・まぐろ漁業に操業する漁船が出漁難に直面しておる、特に急を要しておつたという点と、経過規定の延期だけではその出漁難が救済できない、経過規定そのものに更に特例法を設けて、特に甲区域、例えばハワイとか、印度洋とか、濠洲とか、そういう方面に出るものは更に規定を緩和しなければならん面があるという点で特例を設けておつたわけでございます。このたびの本法案につきましては、経過規定を全面的に延期すればそれで以て足りるという関係でございまして、而もそれは九月一日以降の問題でございますので、特例法と切り離してこのたび本法案を提案した次第でございます。
○委員長(前田穰君) 他に御発言ございませんか。別に御発言がございませんければ、質疑は尽きたものと認めてよろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田穰君) それでは質疑は尽きたものと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
○岡田信次君 私は本法案に賛成をいたします。 現下の船舶職員の需給状況に鑑み、かかる特別措置も止むを得ないと考えるのでありまするが、先ほど来各委員の質疑応答並びに政府委員の説明から、次のような附帯決議を附して賛成いたしたいと存ずる次第であります。附帯決議案を読み上げます。 附帯決議案 現下船舶職員の需給状況に鑑み、船舶腹員法等に定める特別措置の適用期間を延期するは止むを得ないことと認められるが、政府は今後においてかかる特別措置を再び繰り返す必要のないよう、船舶職員の充足について万全の施策を講ずべきである。 よつて政府は、この特別措置の周知徹底を図ると共に速かに船舶職員の講習、試験の実施方法等について適切なる方策を決定の上これを実施すべきである。 右決議する。 以上が決議の案文であります。
○村尾重雄君 私も船舶職員法等の一部を改正する法律案を、只今の附帯条件と共に、現状から見て、適宜な経過処置を講ぜられたものとして賛成いたすものであります。 理由は明瞭でありますので省きます。ただ、岡田委員が附帯決議条件で述べられているように、再びこういう処置を二年後において講ぜられなければならないようなことのないように、二年間において船員の充足について十分な処置を講ぜられんことを強く要望いたしまして、本案に附帯条件と共に、賛成いたします。
○委員長(前田穰君) 他に御発言はございませんか。(「賛成」と呼ぶ者あり)御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田穰君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前田穰君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 次に討論のうちにありました岡田委員の附帯決議の案について採決をいたします。岡田君の附帯決議に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前田穰君) 全会一致でございます。よつて本改正案には附帯決議を附することに決定いたしました。 なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田穰君) 御異議ないと認めます。 次に本案を可とされました方は例により順次御署名を願います。 多数意見者署名 入交 太藏 重盛 壽治 岡田 信次 仁田 竹一 高木 正夫 森田 義衞 大倉 精一 村尾 重雄 木島 虎藏
○委員長(前田穰君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(前田穰君) 速記を始めて下さい。 暫時休憩いたします。 午後三時四分休憩 〔休憩後開会に至らなかつた〕