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19回国会参議院1954/04/08

運輸委員会 第22号

発言数
86
登壇者
9
会派数
4
開催日
1954/04/08

会議録

前田穰緑風会

○委員長(前田穰君) では運輸委員会を開会いたします。  港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引続き質疑のおありの方は順次御発言を願います。

岡田信次自由党

○岡田信次君 今度入港料を取ることにしているのですが、どうも少し今日の政策と矛盾すると思うのでありますが、経費を軽減しようというときに、入港料を取るというのはどういうわけですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 只今まで主要な港湾その他の港湾において、入港料はでき得る限り取らないような方針で進んで来ております。今後もその方針で進みたいと思つております。現在取つておりまする港湾は、若松港とか、新潟のように港湾の維持に非常に経費を要する港については、入港料を港湾管理者が徴収しておるのでありますが、その他の港においても愛媛県では明治以来の古い習慣で一、二港取つている所がありますが、現在取つておるのは、その程度の港湾において入港料を取つておるのでありまして、私どもといたしましても、今後もこの入港料はできるだけ取らないように、それは入つて来ます船のいろいろ貿易の関係とか、国の経済に相当の影響がありますので、これを大臣の認可事項にいたしましてしぼつて行きたいという方針で、今回入港料を、政令できめた港湾で、できるだけ少い範囲で適正の価額を取らしめるようにするために、一部改正で、大臣の認可を必要とするように改正したわけであります。

岡田信次自由党

○岡田信次君 そうすると入港料は、今度の法律改正によつて初めて入港料が取れる、大臣の認可を得れば取れるということになつたのですが、今までは法律になかつたのだが、今のお話では入港料を取つておる港があるといたしますれば、今まで取つておつたものの法律的根拠は何によつて取つておるのですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 入港料は、これは入つて来る船に対して取ろうと思えば取れるのであります。併しいろいろな公共のものでございますので、できるだけこれは取らないようにしろという行政指導をやつておるのであります。

岡田信次自由党

○岡田信次君 そうすると、入港料は法律になくても取れるのだというのだが、取るつもりなら何も法律を直さなくてもいい、取らないつもりだつたら法律に入れるというのは変な話で、それじやもつとはつきりして入港料は取らないのだというふうに法律を直したらどうですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 全然取らないというわけにも行くまいと思います。例えば、先ほど申しましたように、新潟港とか若松港のように、非常に維持に対して経費を要する所は、その港湾管理者の財政を賄つて行く上から行きまして、何らかの形でそういつたような料金を徴収する必要があろうかと思うのでありまして、それは一般に基本的施設なり、水面航路の浚渫のような外郭施設に対しては国の補助が出るのでございますが、維持に対しては国の補助が法律によつて出ないことになつておりますので、今度法律を改正いたしまして、この入港料を取れる港湾と、その料金について適正なものにしたい。この方針としてはやはり従来通りできるだけしぼつて行きたいという考えでおります。

岡田信次自由党

○岡田信次君 そうすると、入港料というのは、まあ道路の通行料みたいなものですね。これは特殊の場合と思うのですがね。大体この料金の程度はどのくらいを考えておるのか。  それからもう一つ、港湾の維持のために、今まで港湾管理者の収入は入港料のほかに何が入つていたのですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 入港料の料金でございますが、若松におきましては一トンにつきまして一円五十銭、新潟もそれより多少安く一円程度だと思います。  それから港湾管理者の他の収入と申しますと、岸壁なり桟橋、上屋の使用料、それから土地の貸付料などが収入として上つております。

岡田信次自由党

○岡田信次君 そうすると、入港料と、それから今のトン税というのがある、その関係はどうなんですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) トン税は開港場に入る外国船から徴収しておりますが、これは外国貿易船がその港湾に入つて来るために、いろいろ国の機関の税関手続とか或いは検疫手続のようなものを受ける関係でトン税は国に納めておるのでございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 今の入港料は、これは機帆船のような小さな船でも含むのですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 私の只今の記憶では、小型の機帆船等においては取つておらないと思います。五百トン以上の機帆船に対して徴収しております。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 取つておらないが、将来もやはりこういうのは取らない方針でございますか。それで将来取らないということは、何か攻令の中に機帆船は取らないという工合に入るのですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) そのつもりでおります。範囲はできるだけ拡めない……。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 そこで入港料を取る、この入港料の認可を、政令で定める港については運輸大臣の認可が要る、定めてない港は認可は要らないことになつているのですが、そういうことになると、政令で定めない小さな港、そういうものはやはり維持とか何とかいうことで相当入港料を取るような傾向になりはしないか。これは政令で定めてない港は、運輸大臣の認可が何にも要らないで、勝手にどんどん取つて行くような傾向になるのではないか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) この入港料は大臣の認可にいたしました根本的な原則は、先ほど来たびたび申上げましたように、入港料として取らせないための規定を作るために、認可の方針をとつたのでありまして、その手続の中で、いわゆる入港料を取る必要がありましたら、料金等につきましては公示して、異議の申立てもできるようにしたいと思います。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 私のお伺いしておるのは、政令で定めのない重要港湾以外の港は、これは入港料を取ることについて何の制限も加えられない、認可は必要ない。ただそれが高いとか安いとかいうような問題が出た場合に、認可のときに手続をする方法があるからというだけで、むしろこういうものについて今の方針で行くと、成るべく取らせないようにする、そういう小さい港は何らかやはり監督制限が要るのではないか。それはどうでしようか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 小さい港につきましては、今まで愛媛県が一港あるように思います。ほかはどこも取つておりません。今度の場合におきましても、そういう港湾では政令に載せていない港湾については自由かどうかというふうにお聞きしたのでありますが、小さい港につきましては、これも取らせないようにやつて行きたい、かように考えております。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 どうも取らせないようにしたいということですが、取らせないようにしたいというのは、例えば認可制度であれば、そういうことは取つてはいけないというふうにできるのですが、そういうようなことが法律にはないとすれば、取らせないようにするという方法はどういうことになるのですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) これは条例によつて公示して、異議の申立ができるようになつております。即ち港を利用する者が異議の申立をすることができるようになつております。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 どうもぴんと来ないのですが、異議の申立が重要港湾ではやれるのですね。それでむしろそういう小さい港に出入りする船というものは、やはり経営上からみると相当困難な弱小企業が多いと思う。而もそういう小さい港湾は維持のためにも更にそういうものを徴収するという傾向もむしろ重要港よりも多い場合がある。従つて今ほんの二、三の港しか取つていないのだ、取つてもよろしいという法律をここで作るとなれば、今度そういう制限のない所は取る方向に向つて行く。そうすると徴収すると、どうもならん、けしからんといつて異議の申立をするということができるようになつておるのですが、今のお話では成るべく取らないようにするというのですが、すべての港にこういう認可制度なり何なりというものを公平にしたらどうかと思いますが、どうですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 政令で定める港だけに限定いたしましたのは、政令で定める港は国の経済に相当重要な影響がある港と一応考えておりますので、それらの港の、重要な港湾に対しましては、運輸大臣の認可を必要といたしたのでありまして、その他の地方の港湾につきましては、港湾管理者が条例によつてきめて行けばいいのではないかというふうに考えております。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 その点はどうもぴんと来ないのですが、その程度にしておきまして、次にこの前ちよつとお伺いしたのですが、五十五条の五について、これをもう一遍お尋ねするのですが、その費用の全部又は一部を補償しなければならないとなつておるのですね。ところがこの前の説明で行きますと、何かほかに工事をしかかつておるような場合に、そういう新らしい工事をする必要が生じた場合、これは全部持つのでなくて、その場合一部を持つのだというような御説明ですが、併しながらこれは字句から見て、その限度においてという字句がここにある。従つてその場所が前に工事をしかけておつたという場合においても、そういうような負担をしなくていいのであつて、限度という字からおのずからそういうものはきまつて来ると思うのですが、そうすれば限度というならば、一部又は全部ということはおかしいのであつて「限度において」であれば、これはもう限度において全部やはり補償するのが普通ではないか、こういうふうに考えるのですがどうですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 国なり港湾管理者がいろいろ事業をやります場合に、第三者の施設がそこにあつた場合に、これに対して補償をする問題でございますが、これは先にありました港湾管理者の施設に損傷を与えた場合は、原因者がそれを負担することになつております。それに対する反対の場合でございまして、港湾管理者が或る施設をいたします場合に、そこに第三者の施設があつて、公共のためにそれをどこかへ移さなければならない場合に、これに補償を出すのでございまして、その補償を出す限度が、十のものがございまして、これを五つだけ移せばいいのだというのがその限度でございまして、残りの五つに対して補償を出す場合に、その残りの五つに対して全部出さなければならないか、或いはそれが相当損傷しておつて一部でもいいような場合もありますので、相手が利益を受ける部分だけを除いておる意味でございまして、こういうような法律の条文の書き方につきましては、河川法でもこのような表現をやつておるのでございます。河川法の三十二条の二項だと思いますが、そういう表現をいたしております。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 ほかの法律にもそういうものがあれば、その法律の条文が悪いのであつて、今言われたそのことがいわゆる日本語で言う限度ではないかと思うのです。ですからこの損傷を与えたものということで、或いはそういう損害を与えたもののうちで「全部又は一部」ということになれば、その損害を与えた量のどのくらいの部分がその人の本当の損害になつて、どのくらいの部分がその人の当然負担しなければならない損傷かということになるのですが、それは限度という字があれば、これはもうすでにその人の負担すべき損害国が負担すべき損害というものをそこではつきり分けろという意味の限度であつて、その限度という字を付けた限りにおいては、全部でいいと思う。全部とかそんなものは要らんと思う。その限度において、補償しなければならない、これでいいと思うのですが、どうもこれは少しダブつておつて、而も意味が受取りにくいような気がするのですが、修正なさる御意思はありませんか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) これは補償といいますか、移転をするような施設が広い範囲にありまして、そのうちの二割なら二割を移転しなくちやいけない、それが限度でありまして、限度の範囲内において、その二割の中で二割に相当するものを全部補償するか、一部補償するかという問題でございまして、この場合に二割に相当するものが相当腐朽して、第三者が利用する場合にも一年か或いは一年半先にはそれを補修しなくちやいけないというような事態がありましたならば、それだけ相手が利益を受けることになりますので、その利益を受ける部分だけは除いてあるのでございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 どうもこれは余り問答してもしようがないのですが、今言われたこと自体が限度だと思う。つまりあなたのほうが査定をされる、査定をされた結論が限度だと思う。従つて限度であれば「限度において、」その次の「その費用の全部又は一部」というのは要らないのであつて、その限度において、補償しなければならない、これでいいと思います。

前田穰緑風会

○委員長(前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

前田穰緑風会

○委員長(前田穰君) 速記を始めて。

一松政二自由党

○一松政二君 この間もちよつと港湾局長に関連して伺つたんですが、或る港湾、いわゆる政令で定むる港湾というか、これは港湾法が施行される港湾と思うのですが、それに個人が波止場をこしらえておるとか、或いは繋船場をこしらえるというような場合に、個人の占用で事足りておる時代はそれでいいわけだけれども、だんだんそこが発展して行つて、どうも個人が独占して、そして他の者にこれを利用させない、或いは直接自分の息のかかつた会社か、或いは個人かの人ならば貸すけれども、ほかの人にはもう貸さないということは、いわゆる港湾を利用する公益的な立場からいうと多少そこに不合理な点が考えられると思う。そういうことについて、その港湾施設そのものを仮に個人がこしらえたとしても、個人が使用してその空いてる時間には他の者をしてこれを利用せしめる。但しそれにかけた費用に対する何がしかの、これは料金の定めはこの中にもあるようですが、料金を取つて貸していいと、その貸すことをむしろ港湾当事者か港湾管理者がそれを命ずることができるところまで考える必要が私は出て来ると思うのですが、局長はどう思います。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 港がだんだんと発展して参ります関係で、その初期においていろいろ民間の特定の施設を民間がやる場合はたまにあるのでございまして、港が発展いたしました場合に、その特定の個人の施設が一般の、公共の利用に邪魔になる場合もありますし、又公共にそれを共用すると非常に便宜を受ける場合があるのでございます。このような場合におきまして、現在その施設が空いておりますような場合には、港湾管理者がいろいろの条例によりまして、適当な保証をとつて一般の利用に供せしめることは勿論できるのでございます。併し法律で以て個人の財産を、それが空いておる場合には考えられることでございますが、一般にフルに利用しておるような場合にはなかなか個人の財産を、無理に保証を出しても、これを一般の利用に供せしめようということはむずかしいのじやないかと思います。従いまして、そういう場合には一般の公共施設が不足しておるのでございますから、私どもといたしましては、できるだけ不足した公共施設を早く完成せしめ、代るべき公共施設を完成するという方向に進んでおるのでございます。出来上つた民間の施設が空いておる場合は、又公共の用に共することができるのでございますが、これが非常に輻湊して、輻湊するのが季節的なり或いは時間的に同じような時に輻湊して、夜とか或いは季節の悪い時には一般にも空いておるというような場合もございまして、簡単にはその空いておるということがなかなか判定がむずかしいのでございますが、いずれにしましても、だんだんと港が発展して参りますと、そういつたような古い時代に造つた民間の施設が、一般の公共に使えないような場合ができまする場合には、そういつたような情勢を早く見取りまして、公共施設を早く完成さしたいという方向に進めたいと思つております。

一松政二自由党

○一松政二君 それは一般論として、そういう方向に国が向くのはこれは当然のことで、それは誠に結構だと思うのです。併しながら国の予算或いはその他で年々事情が違つて来て、完成しようと思うことも完成できないというようなことになつて、いずれは完成するにしましてもその間に時間がかかる。それから個人がこしらえた場合に、それは国がやらない場合或いは国の施設が不十分な場合に、個人がこれを補うわけですが、それがだんだん発展して来た場合には、それが独占になつてしまう。そして独占が、今言つた通り空いておる場合にはこれをほかに利用さすべきであるが、させると競争者がこれを使うことになるので、港みたようなものは成るべくならそれを独占しておりたいというのがこれは人情なんです。であるから、自分の造つた施設であつて、自分は一日一回か二回か或る時間の間それを利用するのだが、あとは空いている。空いているからこいつを使わせるということになると、競争相手が来てこれを利用することになるので、そこで問題がやかましくなる。自分の息のかかつたというか、利害を共にする会社ならば、それは港湾管理者が世話を焼くまでもなく、当事者間で簡単に話がついてやるわけです。ところが一たび利害関係が相反する場合には空いておつても空いてないように言うだろうし、何とかかんとかそこを理屈をつけて利用を妨げるのが私は実情であると思う。そこでそれが明いているか明いていないかは、公平な第三者が、港湾管理者なり或いは府県当局或いは市の理事者あたりが大体見ておれば、昨日まで明いておつたのが今日から全くそこが非常に忙しくて明かないなんというようなことは、これはあり得べからざることなんです。例えば旅客を定期の船で運んでおるところへ、そこへ何か艀みたようなものをつけてそうして用もないのにそこへ繋いでおいて、何か仕事をやつているような恰好にすれば空いてないという口実もつくかも知れないけれども、そういつた殊更にそういうことを妨げようとしてのことでありますから、これは誰が見ても公平な目で見ればすぐ私はわかると思う。で、いやしくも公共の用に供すべき港湾であるし、たまたまそれが発達の過程において個人がやつておつても、その後年月を経てこれが発展をし、そうして或る者が独占しておつても、今度は他にこれを利用することが一般の公共の福祉に副うゆえんである。併しそれをやつた人間は、それが来ることがそれだけ自分の商売の敵になるという考え方が問題になるわけです。そのときに、私は港湾当局者が、公平なるいわゆる管理者は、普通の状態において空いている限りにおいてこれを利用せしめるということを、勧告又は命令のできるようなことを考える必要があるんじやないかと思うのですが、どうですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) この港湾のいろいろ施設の管理なり利用発展については、港湾管理者が全責任を持つており、又権限を持つておるようになつておるのが港湾法に基いた管理者でございます。今お話しのありましたような場合は、港湾管理者の行うべき問題だろうと思うのでございまして、地方自治法の二条かと思いますが、国がやらない事務は、地方の公共団体が行うことができるという条項がありまして、その地方公共団体がその事務を行うためには、条例を作つていろいろ問題を処理して行くことができるような法律の根拠がありますので、港湾管理者がその条例によつて、明いている場合には一般公共の用にこれを使用せしむるのが適当だと思いますので、これを法律によつて縛らなくとも、自治法の二条によつて、国の行なつておらない事務は、地方公共団体がこれを行い、地方公共団体がそれを行う手段として条例を出しまして、その条例に基いてやれば、今御指摘になりましたような事態は起らないのではないか。空いているときには一般の公共の利用に適当な保証をとつて使用せしめることができるのではないかと考えるのでございます。

一松政二自由党

○一松政二君 それは今のような手続と、その法律に基いてやればやれないことはないというのでありますけれども、私はできれば港湾法を丁度一部改正するときでありますから、そういうことをこの条文の中に織込んでやるのが適当じやないかと……。例えば或るそういう港に或る個人の施設があります場合には、従来の者はやはり独占の夢をいつまでも続けたいのがこれは人情だ。そうすると今度はそこの地方自治団体なり政県当局には又それぞれの手蔓を求めて、一応そういう既得権といいますか、過去の実績を尊重せしめるようなやり方をして来るのが、これがもう商売の常道と言えば常道みたようなものなんです、従つて今の地方自治法とかその他の引例されたようなことによつてやれといつても、なかなかいろんな因縁の関係がある場合にはやらない。又やれないのです。従つて私は適当な個所にそういうことを、向う、向うといつても、施設をしている者が自分の直接の営業に差支えない範囲において、例えば競争者といつたところでそれは競争者ができるくらい自分のサービスが悪いか、自分がその方面にやらないために他の者がそれをあえてやろうという場合に、そいつを利用せしめるというよるべき法律を港湾法に示したほうが私はやりいいんじやないかと思うから、そういうことを殊更に条文に挙げずともと言う港湾局長とその点でちよつと意見の相違が起つておるかと思うのですが、極く穏かに、港湾管理者が、そういうことを若し利用者が自発的にやらない場合には勧告をする。その勧告をしてもどうしてもやらないというなら、まあ仕方がないからそれじや職権を以てやらせるぞというくらいなことを港湾法の中に謳つてもいいのじやないかと思うのですが、どうですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 御指摘の趣旨はよくわかるのでございますが、港湾法そのものが、港湾の管理なり或いは運営なり又その港の発展に対する全責任を負つて港湾管理者みずからがやることになつておりますので、国が法律によつてそれを縛つて行かなくても何か打てる手があるのではないか。例えば先ほど申しましたように、条例によつてやつて行く。或いは又先ほど御説明しましたように、そういう事態が非常に港の狭隘なる今の施設では機能の発揮が十分できないような場合には、国が他の代るべき新らしい施設を促進するというような措置をとつて行けば、法律にこれを規定いたさなくてもその実が上るのではないかという気持がいたしておるのでございまして、大体施設が不足しておるからそういつたようないろいろな御希望なり利用者のほうからの要求があるのかと考えますので、そういつたような港につきましては、特に優先的に重点を置いて施設の増築ということに重点を向けまして促進して行きたい、かように考えてやつておるのであります。

一松政二自由党

○一松政二君 同じことを何遍も繰返すようになりますけれども、今の新らしい施設をするということは、その間に多少の年月が要るのですよ。一年、二年或いは三年、その間にいろいろな、つまりこれは日々起ることなんで、過渡的にそういうことができてしまえば、それはもうそういういざこざはないのです。仮にいざこざがあるのを、それができる間、それをいざこざのままやつて行くということは、私はそういうものができるまで待てということになつてしまつて、国は甚だ消極的になつてしまう、それから国がそういう考えでおれば、もう地方公共団体なり港湾管理者も、どうも煩わしいから成るべくそういう煩わしいことには携りたくない、いろいろなにされることも困るということで、とかくにぶり勝ちで、結局従来の施設をした人間がいつまでも独占の夢をむさぼつておるということをも助長することになるのじやないかと思うのですがね、これはまあ法律ですから、港湾局長に一応ただ参考のためにお尋ねをしておるのですが、適当な個所にそういうこともできることを実は入れたらどうかと考えておるから、そういう質問をしておるわけです。我々が入れてそれが別にそう憲法違反になるとか何とかいう問題じやないと思うのです。而も何がしか遊んでいる施設に対して料金を取つて、その邪魔にならん間に仕事をしようというのだし、それから自分が施設をしたからといつて、永久に自分の独占に任しておく、こういう今日の世の中ではそういう考え方は許されないことだと思うのですから、やはり適当な個所に入れることを考えておつて質問をしておるわけですが、それに対して重ねて一つ港湾局長の見解をもう一応承わつておきたいと思います。港湾局長からそういうことを入れちや困るとか、入れることはできないという御答弁は私はあり得ることじやないと思うのだけれども、そういうことを遠慮されている理由は、いわゆる憲法の何とかというようなことらしいのですけれども、公共の港湾の中に個人の施設があつて、個人のやつている以外に空いている場合に、それを利用せしめることを国が勧告しても或いはそれを命令しても、それをただでやれというわけじやないのだからちつとも差支えなかろうと思うのですが、それを何か、それでも何か差支えるようにお考えになりますか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 今おつしやつたようなことができることになつておりますので、実際問題としてここに法律の条文を拝見しなければわからないのですが、入れなくても現在のいろいろな法律でできるようになつておりますので、まあ入れなくてもいいのじやないかという気がするのでございます。それよりも施設を促進することが先決問題ではないか……。

一松政二自由党

○一松政二君 私はそれは根掘り葉掘り籔を尋ねて廻れば何か目的物に達せられるかも知らんけれども、ちやんと明文を以てそういうことがやれるようにやつておいたほうがやりやすいじやないか。これは意見の相違になりますけれども、一応お尋ねしたわけです。根本的に施設を拡充したほうが一番いいのです。併しそれは時間がかかるし、なかなか紆余曲折を経るから、取りあえず今あるものを多くの者に利用せしめる、その利用せしめることが別にその本人の直接の仕事に何らの差支えを与えなければそれでいいのじやないか、これは或る程度は意見の相違になりますから、この問題に関する港湾局長に対する質問はこれを以て打切つておきます。

仁田竹一自由党

○仁田竹一君 只今の一松委員の御発言に関連して、私が実際に承知しておりまする関係でお伺い申上げますが、地方公共団体でやり得るということでありますけれども、実は実際に数十年来の問題になつておりながら、それをやらない個所がある。而もそれは日本で恐らく一、二を争う、一日に数万或いは数千の客の乗降のあるような港で、而も施設が一カ所しかない、その一カ所しかない桟橋で而も相当フルに使つておらないゆとりの時間があるのにもかかわりませず、それを許さない。若し今局長のおつしやるように、世の中がすべてあなたのおつしやるように行くなら非常に結構でありますけれども、この港のごときことはすでに何十年来のことであります。一例を申上げまするならば、川崎汽船のような大手筋の会社すらも遂にこの問題に打ち当りまして、航路をよさなければならん、船を売つてしまつてほかに桟橋を造るからといつて申請するけれども、その土地の者がその会社を恐れて許可しない。結局新らしい桟橋をつけようとすれば、その土地の者がつけさせない。そして今一松委員さんのおつしやつたように、自分の一応利害関係があるものは断じてそれを許可しない。こういうふうなものに対しまして、局長は地方の公共団体云々というようなことをおつしやるけれども、実はこれをやつておらない。これは非常に長い間の問題なんです。そういうふうな実例もあるのでありますが、従いまして地方公共団体でそれをやつたらいいじやないかということは、いわゆる机上の議論と申しまするか、話だけで実際それは行えないのであります。もう一つ私疑問といたしますることは、公共施設ということなんでありますが、一般の公共施設になりまして、それを一般公衆に使用せしめることが、一般公衆の福祉に寄与するものだと認められるような場合に、これを勧告或いはそれを正当な理由なくして拒否するような場合には、これに命令を以て公共性のある施設を使わしめることは、これは私は当然なことだと思う。地方がやるべきことだが、地方はやらない。一体それはどうするか。止むを得ず折角港湾法というものがあるというならば、そのうちへ一つ入れて、そういうことのでき得るようにすることが私は決して無駄じやないと思う。なお又考え方によりますと、自分の利害関係の、利益のある運送業者には許す、そうでないものは許さないということは、私はこれは厳密に言いますと、独禁法の違反だと思う。競争を阻止する、公正なる競争を……。私は今局長にちよつとお尋ねしたいと思いまするのは、そういうのをやればよし、若しやらない場合に独禁法に牴触しないか。公共性というもののあり方、若し公共性というものが、私有物であるからその必要がないのだということになりますと、一体公共物ということと非公共物というものとの相違はどこにあるか。大体公共施設というものは、一般大衆の福祉になるものならばそれを使つてもよろしいというのが私は公共施設の特殊な状態だと思う。若しそれが私有物であるから云々ということでありますならば、一体公共施設というものと非公共施設がどこにどういうような違いがあるか。従つてそれは憲法違反だというような議論もありますけれども、結局それは非公共物と公共性の施設とをこんがらがつてお考えになつておるのじやないか、このように考えまするので、今、一松委員のおつしやつたように、実際問題といたしまして地方ではやつておりません。やつておらないという事情があるのであります。これは恐らく私は局長は御承知だと思う。そんなものを地方でやれやれとあなたおつしやる、だからあなたが地方でやり得るという確信と申しますか、ということをお受合いになるというなら結構ですが、恐らく私は、あなたもこれはお受合いになれんだろうと思う。これにつきまして、いろいろ申上げましたが、独禁法に厳密な意味におきまして抵触するようなことがありはしないかどうか。それから公共性と非公共性との、この特に桟橋のような、一旦荒天になりますと数百の人命を安全に保護して行かなければならんという格別の公共施設でありますので、この点につきましての局長の御意見を私は伺いたいと思います。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 第一のお尋ねの独禁法に触れるかどうかという問題でございますが、この件につきましては、具体的に個々の港の実情をよく調べた上でないと、ここでは抽象的にはお答えができないかと存ずるのでありまして、又個々の具体的の例によりまして、その違反しているかどうかということをはつきりさせたいと存じております。  第二の公共性の問題でありますが、一般に公共的な港湾施設でありますると、例えば航路を掘る場合を先ず考えてみますると、航路を掘る場合に、その航路を通つて目的地の奥に公共用の埠頭等があれば、これは航路を掘るのは公共性があるのでございます。その奥に会社があるという場合、会社が四つ、五つグループになつております場合は、やはり不特定多数の会社がその航路を利用するので、公共的な航路とみなすことができるのでございます。奥のほうに一社だけあります場合には、この場合にはその一社だけの利用が航路を利用することになりますので、船は各社の船がたくさん入つて来ましても、その奥の一つの会社のために航路を使つておるのでありまして、これは公共性のある航路ということはちよつと言えないかと存ずるのでございます。  次に、それと比べまして、桟橋の場合について考えてみたいと思うのでございますが、桟橋は、これが旅客船を扱う場合には、それが一社だけですと、やはり公共性は弱いのでございます。併し利用の形式が一般の公共が使うということで、公共性がある、多少あるということは言えるかと思うのでありますが、その桟橋を二、三の会社が使つておりますれば、勿論これは公共性のある桟橋であるということが言えるのでございます。非常災害のような場合には、私有桟橋でも、これはそういう人命に関するような場合、或いは遭難に関係あるような場合には、これは一時的に私有の財産といえども、利用することができるのでございまして、先ほど御指摘のありましたような私有の桟橋がどういうふうになつているか、その公共性はどうであるかということは、これもやはりその港々におきまして、どういう利用状態にあるかということをはつきり調べた上でなければ、非公共性、公共性ということは断定できないのじやないか、かように考えるのであります。

仁田竹一自由党

○仁田竹一君 どうも意外な話を聞くのですが、大体あれですか、繋留施設或いは桟橋といつたようなものは、それが個人が持つておりましようと、数社が共同で持つておりましようと、或いは自治体が持つておりましようと、その事の如何にかかわらず、公共性だと考えるようなわけに行かないのですか。個人のものといつても、どこも公共性の設備だと思いますが、成るほど桟橋自身はその人のものであるといたしましても、一応海という公有水面を使つているわけであります。勿論これは占用の認可も受けておりましよう。この場合、私はよくああいうことを考えるのですが、どこの占用か、漁業を操業している間はどこまでも漁業権を主張できますけれども、漁業操作をやめておる間は、これは自由に航海し、自由に船を着けられるわけです。或いは袋小路における家屋が公道に通ずるただ一本の道路は、私有といえども公道と認めらるる、と同じようでありますので、それはたとえそれが個人の財産であるその施設であろうといえども公有面を使つております。特に仮に今私の申上げておりまする桟橋は、その一部は国の防波堤を使つておる。防波堤に防舷材を付けて桟橋を使つている。一体国の財産を個人の者以外に使用させない、こんな場合があるのです。こういうふうな場合、どういうふうにお考えになりますか。先ず個人の所有といえども、桟橋というものの性質からいつて、公有面を使用しております以上、勿論その施設を持つている者に対して優先的というふうなものがあることはこれは認めなければならんと思いますが、その桟橋の空いているような会社、或いは繋留すべき個所の空いている場合に、これを使用なさしめるように勧告する、勧告して正当な理由がない場合に命令を発し得るといつたようなことは、個人であろうと自治体であろうと、そんなことは私は関係ない、このように解釈しておるのでありますが、もう一つ意見を承わりたいと思います。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 桟橋の利用の実態によつていろいろ見解が出て来るのではないかと思うのですが、例えば桟橋なり岸壁がございまして、これが或る会社が所有いたしております場合に、一般の雑貨なり或いは特定の貨物を扱うという場合には、これはその会社が貨物を集めて来て、そこの自分のつまり岸壁で、桟橋で荷役するのでありますから、これは公共性はないと言えるのじやないかと思います。一般の雑貨でなくして、大衆が利用する場合、大衆が利用するのには、一つの会社を通して利用する場合、こういう場合はその桟橋は私有物でありましても公共性はあるのではないかというふうに考えます。併しながら、公共事業費的に見ますと、これは私有物なんでございまして、その辺の見解が具体的にいろいろ実情を調べないとここでお答えするのはちよつと、資料もございませんし、はつきり明言はできないのじやないかと思うのでございますが、まあ大体に言つて、連絡船のようなものが私有の桟橋を使うという場合には、これは比較的公共性があるので、空いているときには他の業者も利用できるようにするのが常識ではないかと思うのでございます。

仁田竹一自由党

○仁田竹一君 私もそのように考えておるわけなんでありますが、ところが実例はそれを許しておらない、こういう実例なのでございます。そこで局長の言うように、それなら地方公共団体でそういうような条例を作つたらいいじやないかと言われますが、それも実はやつておらない、やらない。やらないと言つては過言かも知れませんが、それは何十年来の問題になつておりますから、結局やる意思はないと見なければなりませんが、そういうふうな場合には、政府としては、或いは局長としては、一体どういうふうにお考えになりますか。一日何方という状況にあり、而もその桟橋が一本しかない、他に繋留地がない、而もその桟橋なり繋留施設には空いておる所があると、而も長い間条例でもそれを作らんために、一般の運航業者は非常に困つておる。これらに対して如何ように、監督という立場と申しますか、海運行政の行政指導と申しますか、一体その辺はどういうふうに御指導になられるお考えでございますか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 港湾行政につきましては、港湾管理者にいろいろな公共的な、港湾管理者が公法人でございますので、その利用開発については、管理者が全責任を負う建前に法律によつてなつておるのでございます。併し今御指摘のようなことがありとすれば、これは事実を十分調べまして、公共的にできるだけ使わせるように指導して行きたい、かように考えております。

仁田竹一自由党

○仁田竹一君 具体的にとおつしやいますが、成るほど具体的でなくてはその問題は解決がつかない問題でありますけれども、実は局長にも大体検討がついておるわけでありまして、而もその実情も十分御承知のはずの問題なんであります。成るべく特定した港所有者と申上げたくないから、申上げないのでございますが、従つて今私が申上げましたような事柄を前提といたしまして、間違いないものとしての御回答を願いたい。で、若し今私が申しましたような事柄が事実といたしましたならば、一体如何ようにお取扱いになりますか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 今いろいろと想定いたしておりまする港について実情を問合せ中でございますので、その資料が来てから、これに対しましてはお答えをいたしたいと思います。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 参考のためにこの際お伺いしておきたいのですが、今度の改正で港務局の仕事が相当殖えておるようですが、今まではこういう仕事はどこでやつておつたのですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 港務局は、新居浜以外は大体できかかつておるのですが、今までは港湾の管理の責任者というものがなかつたのでございまして、こういつたような事務は港湾法によらずに、今まで国の通牒なり行政措置によつてやつておつたのでございます。そのやつておつたのは、主として地方の公共団体でありますところの県とか市がやつておつたのでございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 それで今度は港務局にこういう新らしい権限のある仕事を附加されて行くのですが、今までの様子で工合の悪かつたところはどんなところでしようか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 今までの通りで行きますと、法に基いた権限がないわけなんでございます。一方におきまして市が管理者であり、県が管理者であるような港は、相当に従来の例によりまして港湾法に基くいろいろな権限なり職責が規定されておるのでございますが、港務局にはそれがなかつたものですから、港務局について、県が管理しておる場合、市が管理しておる場合にほぼ近いような職務内容なり行政事務ができるようにしたのであります。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 それはそれといたしまして、もう一つお伺いしておきたいのですが、今度は港湾工事費用の精算方法が原価主義から支出主義ということになつておる。これは相当重要な問題だと思うのですが、もう一回そこの原価主義を支出主義にしなければならん、そういう必要性について御説明を願いたいと思う。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 原価主義をとつて参りますと、或る工事が数年間かかるのですが、長いものは十数年間もかかるのですが、それが済んだ最終の年、それから精算をいたしまして、初めていろいろな施設なり土地が完成したこととなりまして、登記等を行うのでございます。その段階におきましては、いろいろな施設、土地は工事中のものとして扱われておるのでございます。そうしますと、利用する面から申しますと、まだ土地でない所を、実際は土地として利用しなくちやならない。施設も、実際は利用できる程度に完成しておるんだが、精算上完成しておらないので、完成したものとして取扱われていない。今度支出主義によりますと、これは今の港湾はおおむね単年度で予算を支出してやつておりますから、単年度後、それが僅かでございましたならば、或る一定の部分的に利用できるようなきりのよいところで精算ができるわけでありまして、実際に利用上から、早く完成してこれを登記するなり、或いは正規な利用ができるように考えたのでございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 私もまだ原価主義か或いは支出主義かということについての長短について、はつきり自分自身として結論を得てはいないのですが、これは四十二条の第八項ですね、いわゆる残存物件の使用規制といいますか、このことは、正確にこういう規制通りに行われるということが可能であるか、或いはこれは非常に規制がむずかしいのではないかということも考えられるのですが、この点はどうですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 残存物件の主なるものは、工事に使つた機械、船舵が主なるものでございます。そのほかに或いは材料のほんの一部分、鉄材とかセメントのほんの一部分使わないものが出て来るのだろうと思いますが、これらのものに対しまして、この残存物件は、支出主義によりますと、港湾の工事はおおむね、長い間かかつて或る一角の仕事が済みますと、その次の仕事に移りますので、その次の仕事にその残存物件を使うことにすれば、この支出による精算は非常に簡単になるわけがございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 例ふばセメントとか、そういうような工事材料の残存物件というのは余りないというような御予定なんですが、今までもそういう余りないような例であつたのですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) これはもう殆んど見越しをみて必要な量だけを購入いたしますので、セメント等につきましては殆んどないのです。ただ多少鉄材の長いものを使う所が短くて済んだからというので、その切れ端が残るとか、或いは木材にいたしましても一部残るとか、併しそれは計画を立てまして、実施設計を作つて、それによつて購入して受払いを立てておりますので、そういつたような原材料につきましては、余り残存物件はないのが今までの多くの実例でございます。ただ残存物件で大きいのは、浮起重機船であるとか、或いは工事用の曳船であるとか、道具船であるとか、浚渫船こういつたものが何千万或いは何百万というような単位の残存物件になるのでございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 まあ私はこういうような方式にするというと、これに関連していろいろな問題が起つて来はしないかということを懸念するわけなんです。例えば鉄材にしましても、或いはセメントとか、そういうものにしましても、今までの方式で行けばそういうことであつたが、今度は必ずしもそういうことでなくて、相当余分なものを購入するというような懸念はないか、或いはその場合にその取締というものが本当にこれはうまく行くかどうか、非常に困難ではないかという工合にも考えられる。そして又、今の機械とかそういうものを次の工事へ渡すという場合におけるところのこちらの何といいますか、費用として計上する部分ですね、それを正確に算定ができるかどうかという非常に技術的にむずかしい面があるのではないかと思うのですが、この点はどうですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 原材料、鉄材とか、木材、セメントのようなものは余り残材料は出て来ないのでありますが、仮に出ましても、そういつたものは、若し必要がないものといたしますれば、払下げの方法によつて国庫に納付する制度がございます。それを次の工事に利用いたしまする場合には、利用する者がやはり地方の公共団体であり、出来上るものは公共施設でございますので、公共のものに公共のものを投ずることになりまして、それを一定の負担率なり補助率の比例によつて配分して行けば清算が早いのでございます。作業船等におきましても、やはりそういつたように負担した費用の比率に応じて区分をやつて行きますると、清算は支出主義によりますと二年なり或いは早ければ一年ごとに精算ができて行くのでございますが、原価主義によりますと、或る一定の数年間なり十数年の工事が全部完了いたさなければそれができないのでございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 どうもこの点私はまだ自分で十分自信を持つた結論が出ないのですが、経理上の不正とか不都合というものはこれによつて起りやすいような懸念があるような気がするのですが、そういう点はございませんか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) むしろ経理上はこの方法によつたほうがすつきりするのではないかと思います。それは長い間かかつていますと、五年も四年も前の残材料がどうなつておるのか、帳簿には載つておりますが、実際は隅つこのほうにあつてわからないというような状況が出て参りますし、精算を一年なり二年ごとにいたしますと、いろいろな余り使わないような残材料があつた場合に、その処分が非常に楽ではないかと思うのです。で、経理上から言いますと、むしろ単年度ごとに、或いは短年月にこれを精算して部分的にまとめをつけて行くほうが非常にすつきりして、その点が今度の改正の一番の狙いといたしておるところであります。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 それでは私は今日はこの程度にして、次に又質問を保留しておきます。

仁田竹一自由党

○仁田竹一君 只今局長から回答があつてからということでありますが、恐らく私が想像しておる事柄でありまするならば、すでにその話をしてから数カ月たつておると思いますが、どうでしよう、この法案の審議中にその点について回答を得て御説明できるかどうか。  ついでになお、公共性のある私有財産に勧告或いは命令を出すことが憲法上どうかということですが、私の考えておるところでは、こういう施設で一般の公衆の利用に適するものをほかのものに使用させることによりまして、繋留施設でありまするならば、海上運送の利便を増大すると、而も公共の施設に寄与すると認められまするような場合に、港湾局或いは管理者の長が、これの管理者に対しまして、その施設を使用せしめることを許容することを勧告すると、或いは正当なる理由がなくてその勧告を拒否する場合、それに命令を出すということが憲法に抵触するかどうかということにつきまして、一応御意見を拝聴しておきたいと思います。これはなかなかデリケートな問題だと思いますが、御研究もおありになることと思いますので、この点一応明らかにしておいて頂きまして、次の私の質問を申上げたいと思います。回答のほうはどうですか。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 回答は、実は先国会でやはりこの問題があつたように聞いておるのでございますが、それによつて照会を出したところが、電報で簡単に、施設は私有の施設であると、空いておるときには他の会社にも利用さしておるというような電報があつたのですが、それと同時に詳細な照会事項を出しておるのですが、その詳細な質問事項に対しては、まだ回答に接しておらないのであります。それで先々週に文書で以つて早く回答を出してくれということを督促いたした。更に先週の末におきまして、いろいろ急ぐからということを、電報で早く資料を提供しろという連絡をとつておりますので、いつということはお約束できませんが、できるだけ早いうちにそれに対する回答は参ると信じております。  あとの問題につきましては、私どものほうもいろいろ研究いたさねばならないと思いますので、この次にでも一つお答えいたしたい。

仁田竹一自由党

○仁田竹一君 私は一昨年だつたかと思いますけれども、運輸委員として九州方面を視察いたした場合に、やはり桟橋が問題になりまして、あそこの所長とか称するものに話をいたしました。丁度あなたのおつしやるように、空いておるときにはよその船にも許可しておりますということなんです。それではここ一年間のうちにいつどこの船に貸しておるかということを資料をくれろと言つて帰つたのですが、それつきり資料も送らないということですが、何とか資料は来ましようが、来るとしてようございますけれども、実際にその繋留施設が空いておりまする所へ四百ばかりのお客を積んで参りまして、みすみす岸壁がありながら着けさせないというので、大分へ船を廻して揚げたという実例があるのでございます。非常に乗つている人も腹を立てまして、目の先に着けさしたらいいのじやないかと言うのに、到頭着けさせないで大分まで放り揚げたという話を私は聞いております。私は勿論立証し得るのでありますが、従いまして照会に対する回答がありました場合も、それ以外の事実もたくさんあるということをお含み下さいまして、必要があれば私は幾らでも出しますから、空いている所に船を着けさせなかつたことについては、必要があればいつでも資料を出します。そういうふうないろいろのいきさつのある問題がありますので、ただ一応の形式論ということでなくて、実際に困つておるという、恐らく観光港のお話をなさるのだと思いますが、なかなか三年、五年でできる話ではありませんが、問題はこういつた面にあるのであります。私は特に観光という面が相当国策の上から申しましても、かなり力を入れておかなければならないのに、或る港へだけは絶対に船を持つて行けないという実情なんですから、こんな馬鹿な話はあるものでない。そういう点も含めてお考え下さいまして、回答がありましたときに、その回答のみを御信じなさいませんように、それに反対の事実もありますから、お含み願いたいと思います。

一松政二自由党

○一松政二君 関連質問。これも丁度今の仁田委員の質問は大分という名前も出ていたのだから、結局はつきりしておる。別府港であつて、独占している者は関西汽船であるということなんです。その関西汽船なるものが盤踞しておつて、そうして四の五の言つてこれまでやらせなかつたということなんです。私もこれは従前はそう大して気にもしていませんでした。実は自分が運輸委員でもなかつたし、そういう実情を知らなかつたけれども、実情を知つた以上はこれを合理的に、私は何としても所期の目的通りこれを他にも利用せしめることが適当であろうと信ずるが故に、私はこれの実現に向つて法的にも、実際的にも、こいつはともかくそういうことの行われるような措置について、私は自分のできるだけの考えは盛り込んでみたいと考えております。でありますから、どうぞ港湾局長も通り一遍の返事、利用さしておると言えば、宇和島汽船か何か、或いは自分の関連会社の問題だけであつて、丁度何か言えば申訳的な理由をくつつけて、如何にもやつておるかのごとく言うことが今までの例なんです。そういうことでは済まされないように我々としては考える必要があると実は考えております。港湾局長もどうぞそういうことをお含みの上で、この問題に対処して頂きたいと考えます。

前田穰緑風会

○委員長(前田穰君) それでは私簡単に一つ質問の続きをやりたいのですが、この前港湾行政が非常に複雑になつておる。それに対してこの港湾法改正案立案の際にどういう考慮をされたかということを御質問したいということを申上げておいたところが、書面でいろいろ御回答をもらつたわけなんです。ところがこの書面に書いてあることは実は私はわかつておるつもりなんです。これから先のことが実は伺いたい。この書面によるというと、それぞれ官庁の仕事の筋に副つて仕事を分けてやつておるのである。だからこれを改善しようとすれば、それは国民の便宜のために改正をするのだ、こういう御回答なんです。それはもうわかつておることなんでありますが、ただここに私の申上げた趣旨は、過去の港湾行政に関する沿革を見ますといろいろありますが、戦争が始まるまでは、税関と海務局というものが窓口の仕事を二つに分けてやつておつたわけです。特別の港湾に関しては、土木出張所が建設等に関係しましたが、直接の港湾の行政は税関と海務局でやつておつた。そうして主たる分類を仮にやつて見ますと、十九の仕事を二つの機関でやつておつた。ところが戦争が始まつて海運局というものができて、それを一本でやつておつた。事務の項目は二十一になるのだそうであります。ところが二十六年の現在で見ますというと、窓口は八つになつておる。そうして事務の分類は二十、ところが一番近い現在と称するのは窓口が十になつておる。そうして事務はやはり二十に分類し得る、こういうのが過去の経過だそうであります。無論官庁がそれぞれ所管の仕事について筋を通して仕事をやられるということは非常に正当な理論でありましよう。併しながらこれを受ける国民の側にとつては、開港の出入にとにかく窓口が十あるということは非常に不便でもあり、非能率的でもあるわけなんであります。この二つの根拠をどういうふうに調節するかということが行政の生きた仕事でなければならなんと思うわけなんであります。無論戦争中の海運局一本ですべてをやつておつたというようなことは、これは戦時中の特別な事柄でありましようが、少くと通じまして、戦前、戦時中は主として地方公共団体がやつておつた。市なら市がその施設の管理なり保守、改修、建設という相当港湾におきまする重要な項目がこれには載つておりません。そこで戦前の状態を見ますと、おくとも私の言うのは窓口が二つとか三つとか適当なことにならないのか。十も窓口があつて、一々その窓口をくぐらなければならんということは、国民にとつて堪えられない苦痛なんじやないか、こういうことが私の質問の要点なんでありますが、遺憾ながら御答弁はその以前のことを書いて頂いたわけなんであります。これはなかなかむづかしいことで、一朝一夕にできないことであろう。殊に戦後非常に中央の諸官庁の地方の出張所と申しますか、出先官憲というものが殖える傾向にあつた。現在でもその傾向はなかなかやまないもののようにも考えるのであります。行政管理庁とか或いはその前にいろいろ委員会等があつて研究されたことだろうと思うのです。それらの経過、或いは現在港湾の能率的な利用ということに特に関心を持たるべき港湾局において、本法改正案立案の際にどういうことをお考えになつたか、それを伺いたいのが質問の趣旨なんです。

黒田靜夫運輸省港湾局長

○政府委員(黒田靜夫君) 港湾の行政は、お説のように非常に複雑になつておりまして、先ほどお示しになりました表を見てもわかるのでございますが、この業界からの陳情の表には多少といいますか、抜いておる点があるので、更に複雑になつて参るのでございますが、それは一番大事な点は港湾における港湾の施設の管理、保守、建設というものは戦前、戦時中、戦後をずつと通じまして、戦前、戦時中は主として地方公共団体がやつておつた。市なら市がその施設の管理なり保守、改修、建設という相当港湾におきまする重要な項目がこれには載つておりません。そこで戦前の状態を見ますと、お説のように非常に複雑になつておりまして、横浜、神戸のような国営港と称する所でも税関と海事部と建設の直轄の役所があつたのですが、そのほかに外国貿易につきましては、その地帯は税関が管理しておる。内国貿易の地帯は市が管理しておる。水面等につきましては県が管理しておる。水面は県が管理しておるというような複雑な情勢になつたのですが、戦後港湾法の狙いとするところは、この施設の管理なり保守、建設等につきましては、一応港湾法によつて港湾管理者という一つの責任体ができたのでございまして、それが市である場合、県でありまする場合、或いは港務局であります場合など、港によつて違いますけれども、施設の管理、保守、建設という点では一応これが一本になつたのでございます。ただ漁港法というものができまして、漁港法では、港湾の区域の中で一定の区域を漁港にして、その水面を含んだ漁港の区域は漁港の管理者が管理しておるという点が残つておりますので、この点は水産庁ともいろいろ折衝をいたしておりますが、今後調整を要すべき問題だろうと思います。その他港湾におきまする国の行政は非常にたくさんあるのでございます。ここに書いてある通り、税関の行政もございますし、検疫の行政も、出入国の行政等も、又貿易関係の行政等もあるのでございますが、戦前は国の行政は主として外国貿易に関するものが多いのですが、外国貿易に関するものは税関がやりまして、検疫とか出入国とか或いは動植物検査のような国がやらなければいけないものは、各省には所管しておりますけれども、一応税関にその執行を委任しておつたようなことで、外国貿易については税関一本というような形になつておつたのでございますが、戦争後におきましてそれらが、各国の例もそうなんでございますが、国の行政はやはり各所管の省がやるという建前で、いろいろ各役所の機関がその港にあるのでございまして、これは各国の例が皆そうでございます。国の行政は依然として如何なる港にでも残つておるのでございまして、ただいろいろの税関なら税関が自分の行政を実施して行く上から、港湾のプロパーの行政に発言して来るという傾向が、税関だけではございませんが、いろいろな面から割に多いのでございまして、これはやはり各省間のいろいろな問題がございますので、各省間で調整を、委任にするなり、或いは庁舎を一つにしてそこの庁舎に行けば事が足りるような方法をとるとかいうようなことで解決するほか今のところ途がないのではないかと考えておるのでございます。今回の一部改正につきましても、いろいろと漁港との調整の関係、それから施設の関係等につきまして大蔵省なり或いは水産庁と折衝をいたしたのでございますが、まだ法律でこれをまとめて行く了解を得る段階にまで至らなかつたものでございますので、従来御説明しておりました点だけについて、一部改正の御審議をお願いいたしたような次第であります。

前田穰緑風会

○委員長(前田穰君) 無論私もこれが一朝一夕に簡単に行くとは考えていないのであります。無論官庁間で行政的にこれが改善を図られるということが主たることになるのかも知れませんが、とにかく国民のこうむる非常な不便、非能率ということと、それから官庁の仕事の筋を通すということの間に調和を図ることに一つ御努力をお願いしたいと思うわけであります。  それでは本問題は本日はこの程度にとどめまして、次回に逐条審議的の質疑を行いたいと思います。   —————————————

前田穰緑風会

○委員長(前田穰君) 次に、運輸行政に関する件を議題といたします。  国鉄の五カ年計画案について、国鉄当局から御説明を願います。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○説明員(長崎惣之助君) かねてから国有鉄道の事業の計画ということが極めて緊要であるということは、しばしば当委員会等においても問題になつたように考えます。私も全くその通りであると考えまして、二十七年の末項からいろいろ案を作つておつたのでありますが、御承知の通り終戦後いわゆる継続費というものがなくなりまして、毎年々々の予算を立てるときに、ざつとした計画を立てたというふうな工合でございまして、なかなか新らしく事を始めて見ますとむずかしい問題がいろいろとございますが、併しこれは荏苒日を送るべきものでないと考えましたので、ここに極めて素案でございますが、これにつきまして後ほど高井理事から説明いたさせますが、恐らく皆さんにおかれても、これを御覧になつていろいろ御意見が出ると思います。そういうふうな御意見をどんどん聞かして頂きまして、この計画というものを立派なものにし、堅実なものにして参りたいというのが私の意見でございます。どうぞ忌憚のない御批判を賜わるようにお願いをいたします。

高井軍一日本国有鉄道総裁室理事

○説明員(高井軍一君) お手許にお届けいたしております日本国有鉄道五カ年計画試案、この資料に基きまして御説明をさして頂きます。  初めの頁に目次が書いてございますが、この五カ年計画を立てまする前に、まえがきといたしまして、現在の国鉄が提供いたしておりますと申しまするか、サービスなり国鉄の現状を明らかにいたしまして、そうして五カ年計画を立てる前に、将来に対する見通しをどういう工合にしておるかということを、将来の事業の構想の所において述べまして、それからそういうふうな構想の下に、二十八年度から三十二年度に至りまする五カ年計画をどういう工合に策定いたしておるか。又その資金なり或いは財政の見通しはどういうことになるかということを、ここに一応試案として作成いたした次第であります。この試案に基きまして御説明をさして頂きます。  一頁をお開き願いたいと思うのであります。御承知のように、国鉄は今次の大戦中の酷使と戦災とによりまして施設なり或いは車両を非常に損耗いたしまして、終戦後はその復旧に努力をいたしておつたのでありますが、併し戦後の輸送の需要は、社会情勢とか或いは産業構造の変化によりまして、地域的にも御承知のように内容的にも非常に変つて参つたのでございまして、特に朝鮮動乱を契機といたしまして輸送量は非常に急激な増大を来たしましたので、国鉄は荒廃からの立直り不十分のままに、当面の激増いたしまする輸送要請に応じて取りあえずの措置をすることによりましてその役割を果して参つたのでございます。これを国鉄の戦前の昭和十一年当時のそれと比べてみますと、昭和十一年当時に比しまして、旅客は、二一%の客車を増備することによりまして輸送人キロ三一〇%に及びます輸送を行なつております。殊に定期旅客の輸送人キロは非常に殖えておりまして、五四五%にも及んでおるのでございます。又貨物につきましては、四六%の貨車を増備することによりまして、輸送トンキロは二四七%という輸送を行なつておるのでございまして、そういうような結果は、旅客輸送なり、殊に通勤輸送における御承知のように異常な混雑と、或いは貨物輸送におきまする繁忙期の駅頭滞貨の山積、適時輸送の困難というような形になつて現われて参りまして、当面我が国の自立経済確立のために緊縮財政政策がとられるといたしましても、産業経済のためにも、国民生活のためにも、国鉄の輸送力は現状のまま放つて置くことはできないというふうな前提に立つております。而も国鉄の現状はなお多くの荒廃した施設なり或いは車両を抱えておりまして、不測の事故の発生を恐れるというような状態にございますばかりでなく、今後人口の増加或いは産業の伸長等も考慮されるのでございまして、国鉄の負担になる輸送はいよいよ多くなつて行くという予想をいたしております。  それで国鉄の輸送力の現状と将来の輸送要請の見通しを考えましたときに、今後国鉄に課される使命を果しますためには、現在の停滞いたしておりますところから一歩踏み出した施策を行う必要があるのでございます。現在の国鉄にとりまして当面の課題といたしましては、第一に、今までに累積いたしております老朽の施設なり車両なりを更新いたしまして、輸送の安全を確保すること、それから第二には、現在の施設、車両の不足によりまして、前に述べましたような無理な輸送をいたしておるのでございますが、これを緩和いたしますると共に、今後増大いたしまする輸送要請に応ずるように輸送力を強化しなければならないということ、それと共に、将来の交通機関の発達等も勘案いたしまして、輸送方式の近代化と経営方式の合理化を推進するという考えに立つております。それでそういうような観点に立ちまして、次に申述べますような将来の事業の大きく構想というものを描きながら、差当り今後五カ年間に亘りまする事業計画としてこの計画を策定をいたしたのでございます。  それで次の頁の然らば将来の事業の構想なるものはどういうことを考えておるかということでございますが、第一は、旅客列車輸送の改善でございます。これは非常に旅客列車も混雑をいたしておりまして、相当緩和したといいましてもなお戦前の二倍程度になつておるのでございまして、早急に改善を進めまして、将来は次のようなふうにサービスの改善を考えております。第一に、遠距離旅客の輸送でございますが、これは列車を増発いたしまして混雑の度合を戦前程度にまで緩和し、座席の確保或いは二、三等の寝台車の増備を行なつて行く、又技術の進歩に努め、近代的車両によりまして列車のスピード・アツプを図つて参りたいということでございます。第二の近距離旅客の輸送でございますが、東京とか名古屋とか大阪とか北九州地域というような大都市の周辺におきましては、電化の進展に伴いまして電車運転を実施いたします。そしてその他の線区につきましてはヂーゼル動車を活用いたしまして、近距離旅客の頻繁な輸送を行なつて行くようにいたしたい。次に通勤のお客さんの輸送でございますが、都市附近の通勤列車につきましては、将来は都市の構成もいろいろ変ると思うのでありますし、又住宅事情というものも安定するいうことも考えられるのでございますが、現在は非常に混雑の状態にございますので、列車の増発なり或いは客車の増結等によりまして戦前程度にまではこの混雑度の緩和を図らなければいかんというのがこれに対する考え方でございます。  次に東京とか大阪のような大都市の通勤電車の輸送をどういうふうに考えるかということでございます。東京の附近といたしまして、都心に対しまする通勤輸送は御承知のように国鉄の電車が殆んど責任を負わされておるのでございまして、又東京都の人口増加も非常に高くなつて行くということなんかを考えまして、山手、京浜線の分離、東北中央、総武、常磐線の一部の線路増設、中央線の緩行線の都心乗入れをいたし、及び主要電車駅の改良等をいたしまして、輸送力を現在の二倍くらいまでには強化をいたさなければいかん。それから大阪の附近でございますが、環状線の新設によります城東、西成線の環状運転、その他線区の増強を行いまして、これ又戦前程度の雑混度にまで緩和いたして行くのを目標といたします。  次に、貨物輸送の改善でございますが、貨車の不足とか或いは幹線輸送力の行詰りのために、貨物輸送は御承知のようにその要請を満たすことができないのでありまして、地域的な滞貨を招き、経済発展の支障となる虞れもございますので、次のような点に重点をおきまして輸送力の強化と輸送サービスの質的改善を行うようにしたいと思います。第一は、貨車の増備でございます。特に冷蔵庫、通風車等を整備いたしまして輸送要請に応えるようにいたさなければ行かない。次は、貨物扱設備の整備でございますが、貨物駅の整備をする、或いは専用線、臨港線の普及並びに荷役機械とかコンテナー等の整備を行いまして荷役費、荷造費等の軽減を図るようにいたしたい。次に、急送貨物輸送でございますが、急送品列車を増発いたしまして、特に自動車との協同輸送の強化を行いまして、速達と共に集配の改善を行うようにしたい。これが貨物に対する将来の考え方でございます。  次に幹線輸送力の強化でございますが、今後の輸送量の増加とサービスの改善のために、幹線の単線区間の複線化及び急勾配の除去とか或いは重要幹線の複線区間の複々線化、保安設備の強化、主要旅客駅及び主要操車場の改良などによりまして、現在極度に行詰つておりまする幹線輸送力の強化を図つて参りたい。なお青函輸送につきましては、現在の設備を極度にまで活用いたして参りますが、更に北海道の開発の進展に応じまして、これの限度を越すようなことになりますれば、青函隧道の建設も考えて参らなければ行かない。更に幹線の牽引動力車の輸送力を強化し、スピード・アツプをいたしますために強大化いたしますと共に、電化の進展に伴いまして不要になつて参りまする大型機関車は輸送量の増加いたしまするほかの線区のほうへ、電化区間以外の線区のほうへ転活用をいたして参る所存でございます。従いまして機関車重量の増加に対しまする線路の強化と、輸送量の増大に対しまする線路保守費の節約のために、主要幹線の三十七キロ軌条区間は五十キロ軌条に、亜幹線の三十キロでおりますところを三十七キロ軌条に更換するという工合にして参りたいと思います。  それから次に、幹線電化の問題でございますが、幹線電化につきましては、鉄道審議会の電化委員会のほうの答申によりますると、主要幹線の三千五百キロ電化計画ということが考えられておるのでございますが、電化は燃料国策、経営合理化、そういうような見地から、国鉄といたしましては推進いたして参りますが、その方式につきましては、現在の直流方式のほかに交流電化ということの方式も考えられますので、又線区によりましてはヂーゼル電気機関車の活用等も考えられるのでございます。それでそういうような点につきまして十分検討いたしました上、如何なる方法によるかは決定いたして参る必要があると思います。それからこの電化に伴いまして電化用の電源が問題になるのでございますが、信濃川、天竜川、十津川の水力発電等によりまする電源の確保も電化と共に併せて考える必要があると思うのでございます。  次に、新線建設でございますが、現在建設予定線として定められておりましてまだ完成いたさないものが百八十七線、八千四百七十四キロあるのでございますが、鉄道建設の実施につきましては、自動車輸送との比較等、近代的輸送機関としましての価値につきまして十分検討いたしました上、国家的な要請に基きまして建設を実施をして行かなければいかんというふうに考えております。  次に、国鉄自動車の活用でございますが、国鉄自動車は鉄道に対しまする先行輸送、代行輸送という工合に鉄道の補助的輸送として使われておつたのでございますが、これから鉄道と自動車との協同輸送に活用いたしまして輸送の近代化及び合理化に資することを基本として運営いたして参りたいと思います。この場合特に次のような点につきましては重点を置いて行く所存でございます。第一は、急送貨物の速達及び集配サービスの向上を図りますと共に、これによつて貨物輸送の合理化を図るように考えなければ行かない。第二は、輸送合理化のために鉄道よりも自動車を得策とする場合には、これを活用するようにしなければ行かないということでございます。  次に、公共事業の関連工事の促進でございますが、国鉄は都市計画に伴います駅改良或いは駅前広場の整理、重要港湾の臨港線の敷設、踏切の立体交叉化、或いは河川改修に伴いまする鉄道橋梁の改良など公共事業に極めて密接な関連を有しておりまして、併しこの予算の関係で国鉄のほうがついて行きかねておるようなのがあるのでございますが、これは極力こうしたのに協力いたしましてその整備を図つて参りたい。  次に、輸送保安度の向上と老朽財産の処理でございます。御承知のように国鉄の運転事故件数は、戦後著しく滅つては参つたのでございますが、今なお戦前の四倍にも達しておるのでございまして、これは主といたしまして車両とか或いは施設の老朽甚だしい財産、これは償却財産の約一割程度に当つておるのでございますがを持つているためでございます。又増大する輸送量に対しましては、適切な保安設備の整備が必要であると考えるのであります。このために当面老朽の甚だしい財産の一掃と保安設備等の改善を強力に進めまして、逐次適正に老朽財産の更新を続けることによりまして、将来の財産の健全化を図りたいということでございます。  以上が主要な問題につきましての、将来に対しまする国鉄の考え方でございます。  さて、昭和三十二年度を目標といたしまする五カ年計画でございますが、六頁によりまして御説明を申上げます。当面の施策といたしましては、最近の輸送量の動き方なり或いは又経済審議庁におきまして策定されました三十二年度の経済指標というようなものもございますので、経済指標を見又国鉄の今までの輸送の推移、特に各輸送分野の問題、そういうものを勘案いたしまして、国鉄の三十二年度の輸送要請に応ずるような輸送を行わなければならないのでありますが、我が国の経済の現状に鑑みまして、これに対しまする大きい投資というものもなかなか期待はできないと思いますので、この計画の重点につきましては、投資につきましては輸送力の確保と保安度の向上におき、運営につきましては経営の合理化と能率化というような事項に重点をおいて参りたいと思うのでございます。従いまして一般から御期待をされておるような輸送サービスの大幅な改善は残念ながら将来に見送らざるを得ないのであります。併し長期的な見通しから着工しなければいけないものにつきましては、最小限度これを推進いたして参る計画でございます。なお国土防衛などの新らしい事態に対しまする対策につきましては、本計画におきましては、これを考慮いたしていないことを念のために申添えておきます。  次にこの五カ年計画の条件でございますが、計画期間といたしましては、昭和二十七年度の実績を基準といたしまして、昭和二十八年度から昭和三十二年度までの五カ年間といたしております。併し昭和二十八年度は実行予算通りといたしておりまして、二十九年度も予算は決定いたしたのでありますが、この案におきましては、今度の国会予算の数字じやなしに別途に算出をいたしております。次に輸送量の昭和三十二年度の目標値でございますが、御覧願いますように、人におきまして八%の増、人キロにおきまして、二十七年度に対しまして一〇%の増一一〇%、貨物はトン数にいたしまし一一一%、トンキロにおきまして一一〇%というのを三十二年度の目標値として掲げておるのでございますが、これは先ほど申上げましたように、輸送分野とか或いは今までの輸送の趨勢なり、或いは審議庁におきまする工業なり或いは農水産等の指標を勘案いたしまして決定いたした数字でございます。それからこの計画におきましては、物価の変動につきましては考えておりません。それから職員の給与ベースでありますが、これも二十九年度以降現在の一万五千三百七十円といたしまして計上をいたしております。  次に、その五カ年間の計画の内容でございますが、第一旅客輸送でございます。これは旅客輸送につきましては、急行及び長距離列車は客車の増結と約二〇%の列車を増発することによりまして、多客期を除きまして定員内で輸送することを目途としております。一般近距離輸送は、汽車列車のほか、電車又はヂーゼル自動車を利用いたしまして列車回数を約四〇%くらい殖やして参りたい。例えば高崎線とか東海道線の名古屋及び大阪附近の近距離列車を電車化する、或いはヂーゼル自動車若しくは一般列車の増発等によりまして、現在全国の営業キロで六分の一ほどは一日列車回数五回以下の線区があるのでございますが、そういうような線区は一掃することを目途といたしております。次に、汽車通勤輸送のお客さんに対する考え方でございますが、この混雑度は定員の現在二・二倍以上に達しておる線区もあるのでございますが、これを一・八倍以内にとどめて参りたい。そういたしますと旅客列車輸送につきましては、輸送量が八%殖えて参るに対しまして、列車回数の増加と客車の増備によりまして、客車キロを二二%殖やすことによりまして、混雑度が平均一五%緩和することになるのでございます。これは昭和十六、七年程度の混雑ということに当るのでございます。次に、大都市の通勤電車輸送力の増強でございますが、東京及び大阪附近の通勤電車輸送につきましては、電車の増備八百両近い増備をすることによりまして、この混雑度は二割程度は緩和いたして参りたい。特に東京附近におきましては非常に混んでおりますので京浜、山手線を分離いたしますと共に、中央線の現在八両編成になつておりますのを十両編成にいたしたい、こういうことでございます。次に、貨物輸送でございますが、貨車は一万二千両を増備いたしまして、列車の増発によりまして三十二年度におきまして一億七千八百万トンを輸送することを目途といたしております。車扱貨物によりましては、一部列車の長大化によりまして輸送の合理化を図りますと共に、冷蔵車とか通風車を増備することによりましてサービスの改善を図つて参りたい。一方小口扱貨物の増備につきましては、列車回数を殖やしまして、大都市間の小口扱貨物におきましては、本日受付けたものは翌日は目的地へ着くという工合にいたしますと共に、自動車との協同輸送を行うというような工合にいたしまし、貨物の急送化を図るようにいたして参りたいと思います。又特に石炭はこの六百万トンの増産が考えられておる模様でございますので、石炭車の増備と室蘭、苅田、唐津等の港頭設備或いは背後輸送設備の強化を図つて参る必要があると思います。  次に、幹線輸送力の強化でございますが、現在輸送力が非常に行詰つております単線区間の中で裏縦貫線、上越線等につきましては列車単位の長大化と操車場の強化等を推進いたしまして、函館、室蘭、東北、日豊の諸線については、部分的に線路増設等を行い、溢路の打開を図つて参ることを目途といたしております。又大都市附近の頻繁輸送を行いますため、東京、名古屋、大阪、北九州附近の複々線化は逐次これを着工いたして参りたいと思います。なお当面五カ年間には三十七キロ軌条を五十キロ軌条に更換いたしますものが約二千キロ、三十キロ軌条を三十七キロ軌条に更換いたしますものが約千キロ、この程度の強化をいたして参りたいと思います。次に、幹線の電化でございますが、現在着工しております山手線電化の五十七キロの完成、東海道、山陽本線姫路までの二百六十七キロの完成、そうした現在着工中の電化の開通を含めまして、その他経済効果の大きい線区計六百キロの電化を行なつて参る計画でございます。次に、新線建設でございますが、これは現在着工いたしております三十線八百八十一キロの完成を計上いたしております。次に、国鉄の自動車でございますが、先ほど申上げましたように、国鉄の補助的な使命達成のために車両の充実整備を図つて参りますが、特に貨物につきましては小口貨物、小荷物の速達と合理化を目的といたしまして、東京、大阪、名古屋、北九州におきましては協同輸送の一部を実施する、集約輸送の一部を実施いたしたいと思います。  公共事業の関連工事でございますが、公共事業費と国鉄予算とのアンバランスのために、この公共事業のほうは進みましても、国鉄が遅れておるというような状態にあるのでございますが、これを回復いたしまするためには、この計画におきましては当面約七十億円を計上いたしまして、そうしてこの推進を図ることにいたしております。次に、保安度の向上でございますが、運転保安緊急取替えを必要といたしまする老朽の甚だしい財産の処理、増大いたしまする輸送量に対しまする保安対策を計画いたしております。その主なものを申上げますと、この老朽の甚だしい財産の処理としまして、第一、車両でございますが、これは蒸気機関車は百四十一両造りまして、一方におきましては電化の進展に伴いまして大型機関車が出て来ますので、それと新製とによりまして四百十一両の老朽機関車を三十二年度までに一掃する。電気機関車は、買収車とか或いは小型車のうちで保守困難なものを三十六車を取替えてしまう。電車の老朽の買収車二百二十両、木製車の四十二両でございまして、これを合せまして二百六十二両を取替えるようにする。客車は木製車が千七百両余りありますので、これを鋼体化いたしますと共に、老朽車の千四十二両の取替えをすることによりまして木製車を一掃するようにいたして参りたい。貨車は老朽が一万五千両、老朽車の一万五千両を三十二年度までに取替えるという計画でございます。又施設でありますが、大型機関車の使用によりまして荷重超過となつております線区に対しまして、先ほど述べましたように約千キロを重軌条化いたしますと共に、又強度不足の甚だしい橋げた四万五千トンを更換いたしますと共に、隧道、護岸、跨線橋、信号保安設備、変電所機器等の老朽の甚だしい財産は取替えて参る計画でございます。次に、増大いたします輸送量に対しまする保安対策でございますが、この信号保安設備の整備とか踏切警報機の増備、立体交叉化或いは事故電流遮断装置の整備、跨線橋の新設拡張、電車の不燃構造化、財質不良の機関車ボイラーの強化というものを行うようにいたしまして、そういうような工合に施設なり車両なりの手当をすることによりまして、現在、戦前の先ほど申上げましたように四倍以上に達しておりまする運転事故を戦前の水準にまで減少をいたして行くことを目途といたしております。  それから次に合理化なり或いは能率化に対する考え方でございますが、この設備、車両をこういう工合に改善をすることに相成つておりますので、事業の運営を能率化し、全般的に経営の合理化を図つて参るのでございますが、三十二年度の主な計画の目標を次のように考えております。第一、職員の能率の向上でございまするが、この計画によりますと、三十二年度の換算車両キロは一八%に殖えて行くことになります。これに要します要員を、戦前の傾向からはじきますと、現在の一割程度、四万五千人程度の増加を必要とすることになるのでございますが、いろいろ設備なり或いはその他もよくなりますので、合理化を推進することによりまして、これを七・八%三万四千人の増加にとどめて参りたい。その結果職員一人当りに当ります換算車両キロ、いわゆる能率は一〇%、三十二年度までに一〇%向上する計画でございます。次に車両運用能率の向上でございますが、これは設備もよくなり車両も改善することによりまして、車両運用効率を二乃至八%高めることにいたしまして、それで車両を生み出して行こうということでございまして、ここに書いておりますような向上率を以てすることにいたしまして、蒸気機関車が四百十両、電気機関車四十三両、客車が八百七十両、電車八十、貨車が三千七百というような車両数、これを金額に換算いたしますに三百十六億程度に相当するのでございますが、これを生み出して参りたい。運用効率の改善によりまして、生み出して参る計画になつております。それから動力費の節減でございますが、電化を推進することなり、動力車の改造及びその運用の合理化等によりまして換算車両キロ当りの動力費が約七%、年間にいたしまして三十億円節約する計画になつております。それから修繕費の節減でございますが、これ又修繕作業の合理化なり、或いは老朽資産の整理等によりまして、換算車両キロ当り修繕費を一割程度、年間にしまして六十億減らす計画にいたしております。  今まで申上げましたものは、この二十七年度実績に対しまする三十二年度の比率を申上げておるのでございます。  この主なるものは今申上げた通りでございまして、その次の十頁乃至十一頁にこれを整理しておるのでございます。で、十一頁の合計の所だけ、この設備計画表は割愛さして頂きます。十一頁の中頃で見ますと、結局この四千四百二十六億の合計の所に書いてありますように設備投資をいたしますが、そのうちで施設が二千七百五十九億、車両に千六百六十七億ということになつております。そのうち二千三百三十六億が取替えということに相成つております。車両の数字はその下に書いております。  次に十二頁を御覧願いたいと思うのでございます。十二頁にこの五カ年計画の財政の見通しというのでここに載せておるのでございます。それで第一番に、こうした設備投資と経営負担がどういうことになるかというのでちよつと載せておるのでございます。この五カ年計画におきます投資の総額は、先ほど申上げましたように四千四百三十億でございますが、このうち老朽取替えとか陳腐化改良に二千三百四十億というものが充当されるのでありまして、この増強改良投資として資産増になりますものは約二千九十億でございます。従いましてこの計画を達成することによりまして、この支出の増のほうを考えてみますと、この減価償却といたしまして年間に六十億円程度の支出が増して参ります。それからこの運営に伴います人件費なり或いは物件費等年間支出増になりますものが、百三十億予定せられておるのであります。そうしてこの増強改良投資に要しまする資金を、一応外部資金に依存をするということにいたしますと、年間利子を仮定いたしますと、年間利子が百五十億ということになります。それでこの三十二年、この計画を達成いたしましたときにおきます年間の支出の増になりますものは三百四十億ということになる計算でございます。それで増強改良投資のうちに採算のとれますものは、御承知のように幹線電化或いは石炭荷役設備というようなものでございまして、通勤輸送の緩和対策とか或いは幹線の増強とか新線建設というようなものは大部分はいずれも採算には合わないような投資になることは御承知の通りであります。例えば東京附近の通勤輸送対策といたしまして三百八十二億を使うことに計画をいたしておりますが、これは申すまでもなく増加人口に対処いたしますと共に、ラツシユアワーの混雑を緩和するために投資するものでございまして、増加輸送量に対しまする収入増は三十七億はあるといたしましても、半面におきまして営業経費が六十六億要ることになりまして、減価償却費が九億増すことになります。資本利子は二十七億ということになりますので、合計百二億の経費増を伴いまして、それを差引きましても六十五億の三百八十二億の通勤対策に投資することによりまして赤字が増すということでございます。又新線建設につきましても四百六億を投資することによりまして、収入見込が三十四億円見込まれるのでございますが、営業経費が三十五億、減価償却が八億、資本利子が二十九億、合計七十二億の経費を必要といたしますので、差引三十八億円の赤字になるのであります。こういう工合にこれから五カ年間にいたしております設備投資というものは経営負担の関係になつております。次に、減価償却でございますが、御承知のようにこの減価償却につきましては、第三次資産再評価法に準じてやりますと四百八十億、新品価格によりまして算出する場合におきましては五百四十億ということになつておるのでございますが、この計画におきましては、第三次資産再評価法に準ずることといたしまして、五カ年計画二千三百三十六億というものを計上いたしております。申すまでもなく現在の減価償却は、おおなね第一次、第二次の資産再評価法に準じて国鉄はやつておるのでございます。それから投資資金計画でございますが、こうした計画におきましては、従来外部資金に依存いたしておりますのは、御承知のように政府から借入をいたしましたもの及び鉄道債券によります一般市場からのものでございますが、これらを合せますと毎年二百億内外に過ぎないのでございまして、今後こうしたこの起債枠乃至借入の枠というものの拡大が期待できるかどうかということになりますと、なかなかむずかしいと考えますことと、現在の運賃がすでに一般物価に比べまして非常に低位にあることは御承知の通りでございますので、そういう点を勘案いたしまして、新線建設の資金はこれを政府の出資に期待いたしますると共に、電化及び公共事業の関連工事に要しまする資金は外部資金に依存することといたしまして、この残りの千百十億につきましては、今までの設備を逐次補足増強いたして行くものではございますし、長期的に見まして引続いてこういうことは次から次と増強をして行かなければいかんものでございますというようなことを考えまして、この千百十億につきましては、自己資金を以てこれを賄うこととして計画をいたしております。それで、その営業収支なり、或いは財政資金計画はこの表を御覧願いたいと思うのであります。  これを要するに、従来に比べまして次の資金の増加がこの計画を実施するためには必要であるということでございます。第一は、減価償却の適正化によりまする従来の減価償却費の不足額を補充すること、第二は、この計画によります資産増に、資産が殖えて参ります分については、これは当然減価償却も殖えて参るのでありますが、それが殖えて参ります。それから改良増強資金のうちで、借入資金に対しまする利子等によりまする増加経費が殖えて参ります。それから次に、自己資金を以て行おうといたしまする改良増強等に要する資金が要るのでございます。これらの資金は、この計画によりまする輸送増に対しまする収入増とか、或いは合理化によりまする経費の節減を見込みましても、なお現在の運賃におきましては確保することは困難でございますので、この本計画におきましては、昭和二十九年度以降の運賃を旅客貨物とも二割程度値上げすることにいたしますれば、この自己資金を以ちましてこの計画を達成し、現在の輸送の溢路を打開すると共に、産業経済の活動に即応した国鉄の使命を遂行できると、そういう工合にして遂行をすることを計画をいたしておるのでございます。  以上を以ちまして私の一応の説明を終ります。

前田穰緑風会

○委員長(前田穰君) どうでしようか、この御説明を伺いましたが、これはいろいろ読んで考えて見なければわからないと思いますが。質問は次回以後に一つ譲りたいと思いますが……。

木島虎藏純無所属クラブ

○木島虎藏君  一つだけ、今の説明であれですが、昭和二十八年から三十二年までのこれは計画ですね。今年の予算が済んだから二年分は済んだのですね。そうするとこれは一応四割済んだ。四割済んだあとのその計画に要る金はどのくらいなんですか、その点だけ……。これだけでいいのです。ここのこの合計の所、細かいことはあれですが、合計の四千四百二十六億というのがありますね、これが幾らになるかということであります、十一頁。

高井軍一日本国有鉄道総裁室理事

○説明員(高井軍一君) この考え方は、先ほど申上げましたように時間がずれておりますので、これを年度を一年延ばして行つて合わせるか、或いはそこの前にしわ寄せをして行くかということになるのでございますが、この三十二年度の目標をやるということになりますと、絶対額は今と同じでございまして、それを以降の三カ年間におきましてこの増強をいたして、それだけの投資をし増強して行かなければならんということになるわけであります。

一松政二自由党

○一松政二君 残つている金は幾らあるか……。

木島虎藏純無所属クラブ

○木島虎藏君 そういうことなんです。結局質問がよくわからなかつたのだと思いますが、二十八年、二十九年でこの計画にあるものは幾ら消化したかということであります。

高井軍一日本国有鉄道総裁室理事

○説明員(高井軍一君) 三千三百三十一億ということになつております。

木島虎藏純無所属クラブ

○木島虎藏君 それをのけると。

高井軍一日本国有鉄道総裁室理事

○説明員(高井軍一君) はい。

木島虎藏純無所属クラブ

○木島虎藏君 次に、取替えのほうはどうなんですか。取替えの二千三百というのがありますね、それは。

高井軍一日本国有鉄道総裁室理事

○説明員(高井軍一君) 取替えで、今まで使つておりますのは六百六十億でございます。

一松政二自由党

○一松政二君 六百六十億というのは、二十九年度を入れてですか……。

木島虎藏純無所属クラブ

○木島虎藏君 そうすると、残りが千六百九十六億になるのですね。さつきに対応するものが……、そうですね。

高井軍一日本国有鉄道総裁室理事

○説明員(高井軍一君) そうです。

前田穰緑風会

○委員長(前田穰君) それでは質問は非常にたくさんあると思いますから、次回に譲りたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会

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