運輸委員会 第17号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/03/26
会議録
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。 運輸一般事情に関する調査中、運輸行政に関する件を議題といたします。 一松君より造船問題に関し質疑の通告がございますので、これを許可いたします。
○一松政二君 私はこの前臨時船舶建造調整法の二条の規定に基いた例の運輸省の出した告示を運輸大臣が廃止して、そうして新らしく出し直すということをここで言明された、あの処置が現在どういうふうになつておるか。まだ告示が出た模様がないのですが、どういう処置をとられておるか。それを先に、これは必ずしも運輸大臣じやなくてもよろしいのですが、どういう処置が現在とられておるのか、大臣が言明されたことがもう大分、二週間も三週間もたつのですから……。
○国務大臣(石井光次郎君) すつかり省内の手続を済せまして、今官報のほうに告示をする手続をいたしております。
○一松政二君 そうするともう数日の間に公になるということと了解してよろしうございますか。
○国務大臣(石井光次郎君) その通りであります。
○一松政二君 それでは具体的に今一応……。私は一昨日日刊工業新聞を見ておつて実は驚いた事件がありますので、この臨時船舶建造調整法に基く処置についてですね、私は非常に驚いた事件を発見いたしましたので、その件について伺いたいと思います。 大臣が御承知かどうか存じませんが、日立造船所がインドネシアの船の建造の注文を、とにかく契約上に多少の懸念する点があつたかないか、こいつはまあ問題として、一応それを予定して船を造つておる、二艘船を造つておる。そうしてもう造船所が輸出船の引合いに応じて、そうして向うの注文主の事情を考慮しつつですね、非常に建造を急がなければならん事情があるので、建造しておつたわけですがね、その建造の許可をいつ申請されたか知りませんが、何か最近差止の、建造を中止するように勧告されたという話ですがね、それに対してはどういう見解を以て、どういう法律の根拠によつてですね、而も造船所が自分が生き延びようために、それから成るべく輸出船ででも息をつこうとしておる際にですね、最も造船所の死活問題を気にされておる運輸省が、すでに五割も六割も進捗しておるだろうと私は想像する船の建造中のものをわざわざ人を派してそれを差止めたか。その理由を伺いたい。
○政府委員(甘利昂一君) 今お話の船は昨年の十月十七日にインドネシアのイナコという会社と契約ができております。それを実際私のほうに建造許可申請が来たのは二はいありますが、そのうちの一ぱいはたしか三月二日、一ぱいは三月三日だつたと思います。その当時もう相当工事が進んでおつたように聞きましたので、現地のほうを調査いたしましたところが、今お話のように恐らく船体工事の三〇%乃至三五%くらいでき上つて、而もそれが船台の上に載つております。それは輸出船ですから、許可申請があれば、今の臨時船舶建造調整法の許可事項に当てはまるものであれば、当然うちとしては許可を出すべきでありますが、ただこの場合、この船は特殊な船でありまして、インドネシヤからメツカに行く巡礼者を運ぶ特殊の船でありまして、この船は、ですから輸出ができない場合には、国内で使う途は殆んど恐らくないと思います。従つて、そういう船は国内においても過剰と申しますか、むしろ現在の例えば高砂丸、興安丸という船がありますが、これらと同様に殆んど使い途がなくて、今までの船も使い途に困つております状況ですから、輸出もできない場合、国内で造つて使用しようという場合には、あの条項にありますような我が国の海運の発達に邪魔になる、阻害するということが言えるので、従つて運輸省としては許可の基準に合つております場合は、これは許可は出したいと思うのでありますが、ただ通産或いは大蔵のほうで、果してその輸出が許可できるかどうかということが一番問題になりますので、通産のほうといろいろ連絡をとりましたが、向うのほうでも契約条項その他において非常に疑義の点があるので、今のところはもう少しはつきりしなければ許可が出せない。輸出の許可が出せない、こういうことでありますので、私のほうもそちらと連絡をとりながら、向うのほうでよろしいということであれば、いつでも許可を出す準備はしておつたわけであります。ところが、すでに許可が出る前に船台に載つて着工しておりますので、そういう事実を知つてから、直ちに工事の一応中止の命令を出して、その後契約の条項のはつきりした事態がわかるまで、その後の推移を待つておつた次第であります。
○一松政二君 そういう点を顧慮して、私は臨時船舶建造調整法なるものそれ自身いかん、今日でもいかんという信念に変りはございません。あなた方は商売上輸出船を造る。船を造る。それから商売はこれは非常に競争が烈しいのですから、できるだけ機密を保たなければならん、相手方との機密だけじやない、国内において同業者が知るということもできるだけ避けたいのです。業者というものは一応何か引合いがあつたら、決定する、或いは着工するまでに、あらかじめ運輸省に許可の申請をするといういとまのない場合が多い。で、私はそれならば、運輸省としては、あらかじめ、あとで設計変更することは勝手なんですから、勝手と言つても、それは届出をして、その検査を受ければいいんですが、若し運輸省で今のような態度をあなた方がおとりになるとすれば、造船所としては、あらかじめ何台かの船を予定して、そうして許可申請をしなければならん羽目に追い込まれると思います。船の単価にしましても、若しそういうふうにすぐ仮に運輸省に書類を出せば、これは公知の事実になつて……、運輸省の中には日立造船所だけを保護しようと考えている人があつてはならないし、又おるわけはない。ところが運輸省には相当たくさんの係官がいるのだから、運輸省に書類を出したことは、これは公知の事実になる。従つてものが或る程度固まつてしまつてから書類というものは出したいのです。出したら許可しなければならないのがあなたがたの立場ですから、出すほうから言えば、出すほうから言えば、あらかじめ許可を受けなければならないことはないでしよう。あなたの今のお話によれば、あらかじめ許可を申請していなかつたから、工事は差止めてあるという御答弁に承わつていいですか。
○政府委員(甘利昂一君) いや、私の申上げたのは、あらかじめ許可を得ているからというのでなくして、建造調整法の趣旨に基きまして、建造に着手する前に許可を得なければならないということになつておるにかかわらず、許可を得ずに建造にすでに着手しておつたということについて、一応工事の中止の命令を出したのであります。
○一松政二君 それは私は、運輸省として非常な行政上の考え方が、余りにも規矩準縄と申しますか、当を得ていないと思う。なぜかというと、この条文に従えば、あえた方のところで許可しなければならんことはもうわかり切つているし、それをあらかじめやるのと、あとからやるのと、それほどあなた方は感情上の違い……、ただ法文の建前上許可を受けなければ、建造に着手しちやいけないという立場をとれば、今度は、若しそうであるとするならば、私はさつき言つたように、船会社としてはあらかじめ十艘でも二十艘でも一応予定して、これだけの申請をやりたいと、自分としてはこれだけの注文をとりたいと、一応図面を引いて、十艘でも二十艘でもあなた方に許可を申請したら、これはどうなるか。これはつまり商売を保護する意味において、十艘なり二十艘なり予定して、それは注文とれるかとれないかわかりません。併し注文とるときには、もうデリヴアリ—の関係がありますから、どうしても船会社としては、造船所としては、それだけの準備をしておかなければとれないですよ。デリヴアリーが早いか遅いかということは、こういう場合には非常に問題になる。それを一一すべての条件が満足してから運輸省に許可の申請を出すのでは、出したものはもう許可することはわかり切つているのですよ、わかり切つているものだから、それがあとさきになつたからといつて、もうすでに、例えば二艘という話ですが、二艘であれば私は約十億円ぐらいのもうすでに支出をやつているだろうと思う。これを建造半ばにとどめて、そうしてその会社に重大な支障を与えている。これがその造船所のことを心配する親会社の態度でございましようか、親会社じやない、親官庁としてのですね。
○政府委員(甘利昂一君) 今お話のあつたように、この船が輸出できるということであれば、今の許可事項に当てはまるのでありますが、若し輸出ができないということになれば、この許可事項にありますところの我が国の海運の健全なる発達、その事項に引掛りますから、輸出ができなければ、この般は許可にならんと思います。
○一松政二君 そういうことはこじつけですよ、そんなものは。船を、相手方はただ結局値段の問題なんですから、それをこしらえ上げて内地で叩き売りするより、相手に値段を負けてやつて、そうして相手の条件を呑んで、船を輸出することは商売の常識です。向うの船の注文をとつて、向うはそういうものが要るのだ、ただ向うの支払条件の問題に多少の疑義があつたというだけなんだ。それが日本政府としての輸出の観点からいつても、その折合は必ずつくに違いない。又今日もうすでに或る程度ついているというふうにも聞いている。だからそういうものが、間違つてそれが中止したままになつたら一体どうなるのです。若しそれがために商売が外れて、中止したままの、船台に載つた建設途中の船をこさえたら、一体それをですね、船舶局としては、その船をどう処置しようとなさるのですか。それはただ単なる日立造船所の損害であるとじつと見ているわけですか。銀行もそれに対してはかなりな私は融資をしていると思うが、とめて、とめた結果は一体どうなるとお考えになりますか。
○政府委員(甘利昂一君) 恐らく輸出ができないことになれば、恐らくまあ造船所としては、それをほかの船に改造するなり何か処置をすると思いますが、そのときには、その場合によつて私のほうも又考えたいと思つております。
○一松政二君 それではですよ、あなた方はその商売のですね、商売の実態といいますかね、向うは欲しいと言つていることは事実です。それは御承知の通り向うは欲しいと言つている。欲しいから注文をしている。そうして而も今年の巡礼船に間に合せるように、何か六、七月頃だからというので、日立造船所では非常に急いでいる。そこには例えば期間を延ばすとか……、或いは支払条件を多少緩和するとかいうことで、その商談というものは、そこまで行つていることは、造船所は万々承知の上にその危険を踏んでいる。その危険が、若し万一成就しなかつたら内航船になつて第一項の規定に引つかかるという、まだ引つかかつちやいないが、引つかかるかも知れんということを懸念して、そうして工事を中止さしたというのが現状ですね。そうしたらこの法律はそういうことを予定も何もしていない、この法律は。何か先行き、そういうことがあるかも知れんということを根拠にして建造を許可するとかしないとかいうことはどこにあるのですか。
○政府委員(甘利昂一君) ですから先ほど申上げましたように、うちとしては、一応法律の建前から行けば、建造を許可する用意はありますが、ただ一方、船は輸出船ですから、輸出の許可ができるかできないかということは、同じ政府部内のことですから、向うともよく話合つて、輸出ができるということなら、うちはいつでも許可するつもりです。そういう話ができないうちに、而も会社としても輸出ができるかできないかわからない船を莫大なる金をかけて造つている。いろいろ経緯はよくわかりますが、併しむしろそういう船の建造に着手する前に、果してそういう金が支払われたか支払われなかつたか、これは相当外務省でも問題にして向うに問合わしておりますが、今までの事情では相当むずかしかつたようでありますので、そういう支払のむずかしいものを交渉を進めながら、片方で造るというのは、非常に大きなリスクを自分で踏みながらやるというのは、大胆過ぎるあれじやないかと思います。従つて我々としても輸出ができるということであれば、いつでも許可する用意はありますが、輸出ができるか、できないかということを、同じ政府部内の間で連絡をとりながらやつておつた次第であります。
○一松政二君 それは私は臨時船舶建造調整法の何条にそういうことがあるのですか。輸出ができるかできないかわからんというのは、船会社が危険を踏もうが踏むまいが、そんなことは余計な心配です。それは銀行が心配しておる。船会社なり、向うの事情を聞いてその危険を一番踏んでおるのは当の会社は勿論だけれども、むしろ金融業者です。金融業者のほうがよほど私は心配しておると思うのです。従つてそういう問題をば解くことについて、私は日立造船所は勿論のこと、銀行のほうでも私はよほどそれは心配されると思います。併しながらその見通しがあればこそ船を造つているわけなんです。その見通が危ないとか危くないとか、或いは支払条件がどうとかということは、運輸省がどうしてそういうことに関与するのですか。
○政府委員(甘利昂一君) 支払条件とか、その見通しについては、我々は関与しているのじやございません。それはほかの省でやるわけなんですが、併し同じ政府部内でほかの省がそういう面について全然見通しのつかないものを、うちが許可だけ出すというのもどうかと思いまして、両方の連絡をとりながら、見通しがつけばうちではいつでも許可する準備をして待つておつたわけであります。
○一松政二君 そうすれば運輸省は、通産省なり或いは輸出銀行か或いはこれの保険のほうを担当しておる官庁のそのほうがよければ許可を出す。そのほうがよいとか悪いとかということは許可を出すやつのどこに書いてあるのか。この許可には通産省のことも書いてなければ、或いは輸出の条件がよいとか悪いとかということも何も問題になつていないのじやないか。だからこの法律についてはそういういわゆる計画造船の場合以外には、これはいろいろな問題が起つて来ますが、こういう法律はいけないということを私は主張しておる。まだまだよい例を……今その例を作つておりますが、建造を中止しておるよりもむしろ建造を続行さして行くことのほうが国家経済としてはどのくらいよいかわからない。あなた方の建前では、許可を申請したのがあとだから、つまりあらかじめ許可を受けなかつたからということだけれども、この工事の中止、これは勧告だと言うけれども、命令ですよ。今のあなたの御答弁によれば、結局許可申請があとになつたからいけないという建前で、工事の中止命令を出したのでしよう。あなたはその点どうですか。
○政府委員(甘利昂一君) あとになつたからではなくて、許可を得ずして建造に着手するという事実があつたから、一懸建造の中止命令を出したわけであります。
○一松政二君 言葉を引つくり返して言えば、あらかじめ許可を受けずに無届で船を造つておつたからけしからんからこれの中止を勧告……まあ勧告と言うのだが、事実は命令です。差止めておるということでしよう、現実には……。如何ですか。
○政府委員(甘利昂一君) まあ法律の建前上許可を受けずに造つておつたから一応中止命令をしたわけであります。
○一松政二君 それは今度は程度の問題になつて来るのですよ。普通の常識上そういうことは、ほかの問題にしても、これは法律の建前から言えば、当然許可しなければならんことなんですよ。許可しなければならないことが予想されておるのだから、それを先に造つておつたから……、ただあと先の問題だけですよ。あなた方はただ法律の建前だけの感情によつてそういうことをやつておるとしか見られないのですよ。今あなたは、通産省とか何とか言いますけれども、通産省はそういう輸出のできることを待望しておる。でありますから、通産省は一刻も早く許可をやつて、そういう輸出船のできることを翹望しておる。あなた方のほうが許可を逡巡しておるから通産省も発動しないだけの話。あなた方は通産省に責任を持たしたようなことを言つておるけれども、通産省側から言えば、運輸省が許可さえ出せば通産省は許可を出すことは当然の話。若しそうであれば、通産大臣でも、通産省の輸出の重工業の関係の人間でもここに呼んで、私はあなたと対決を迫るが、どうですか。
○政府委員(甘利昂一君) 今のお話の仮に建造を許可しなければ通産省は輸出の許可をしないというのじやなくて、通産省はまだ貿易管理の面、その他独自の立場からこれに対しては、今のような契約の状態においては輸出許可は出さない、こういうことを言つておるのでありまして、許可を出す出さないというのとは全く別の問題であります。
○一松政二君 それは私が仄かに聞いておるところとは逆です。大体こういう輸出船の問題については、通産省は少しでもたくさんそういう注文をとつて出すことをやつておられるので、通産省それ自身が、そうむやみに何か向うの、インドネシアならインドネシアにただ物を与えるような契約をして輸出してやろうというときには、恐らくそれは何人も許可しないですよ。併しながら今日の日本の常識のある人間が、いやしくも日立造船所ともあろう人間が、十五億も二十億も金をかけて、そうしてそれを輸出しようと一生懸命に努力を払つておる。そうして向うでもいろいろな事情に相呼応して、そうして向うもその解決に努力をしておる。そうしてそれがほぼ見込みがあるからやつておる仕事です。若しそういうふうに船を建造しておるならば、一応そういうものに対しては、今後はどうかあらかじめやつてくれ、こういうことをやられては、私は大して困るとは思わないが、あなたが困ると言われるなら、こういうことをやられては、これは私どもも取扱に困るから、あらかじめプロヴイジヨナルな許可申請だけは一応やつておいてくれ、ほかのものはあとでもいい、こういう行き方にならざるを得ないと思うのです。それをすでに工事の半ば過ぎてデリヴアリ—が非常に急がれておるような船、それを工事を差止めるということは、余り極端な措置じやないですか。初めての件じやないですか、この法律ができて、而も法律はそういうことを許可することを前提にして法律ができ上つておる。従つて形式ですよ、それは。許可を申請するということは、もう殆んど形式的なんです。私はこの前の国会においても論じたように、何人もこの条件を備えた者にあなた方は許可すると言つている。許可するのですから、それがあと先になつたからと言つて大したことはないと思いますよ。何もてんから人の物を盗むとか、或いは密輸出をしようというのじやないのですから、その莫大な金をかけているところの船舶の建造を、而も今日悲鳴を挙げている造船所に向つて、追い討ちをするような処置をとつて、どうして私はそういう残酷な処置が運輸省としてとられるか、あえて伺いたい。若し私はあなたの答弁の如何によつては大臣の気持を伺いますよ。そういうただ区々たる手続のあと先の問題で、十億も二十億もかけてやつておるものを、そうしてその工事を一時それに中止を命ずるがごときは、これは一つの犯罪か何かに対してとるべき処置としか考えられませんよ。そんなに残酷な処置がどうして私は運輸省としてとられたか。それから大臣はこれを御承知の上でやられたかどうかということについては、私は大臣は恐らく承知しなかつたのじやないかと思うのですよ。けれども、今一応その点について、そういう残酷な処置ですよ、今たつたそれだけに、従業員が従事して恐らくやつておるだろうと考えられる造船所に対して、そうして空しくそこを、建造中のものを遊ばして、二週間でも三週間でも、或いは一月でも遊ばして中止を命じているということは、これは犯罪者に対する処置に類するものと私は考えられる。そういう残酷な処置がただ形式上の問題だけでとつてよろしいかどうか、局長の御答弁を伺いたい。
○政府委員(甘利昂一君) 今一松さんのおつしやるように、我々も造船のほうを担当している役所なんですから、造船所の事情についてはよく知つております。非常にまあ同情もいたしております。従つてできるだけ輸出船をとることについては、我々も蔭ながらいろいろ援助しておるわけなのでありますが、従つて本船の場合は非常にその事情は気の毒だと思います。そうして我々としてもできるだけ早く通産省或いは大蔵省のほうで求めているような保証が得られるように、我々も尽力しておるわけであります。併しまあ一応許可を得ずに船を造つておりますから、その中止命令だけ出して、その間できるだけ早くそういう保証を得られるように、業者のほうで或いは通産省、大蔵省とも連絡をとつております。今結果から考えますと、むしろ業者のほうとしては、お前のほうで早く我々の求めている保証をしないために、一応まあ工事は中止になつた。従つてお前たちの納期になかなか船が間に合わんかも知れんというようなことで、或いは結果から見れば交渉が非常に有利になつて、まあ漸く昨日一応の保証が得られるような結果になつたというのも、或いはそういうふうにも解釈できるのじやないかとも思います。従つて我々としては、何も業者を酷に責めているわけじやなくて、むしろいろいろな面で造船所には非常に同情して、できるだけこういう船を早く造つてやりたいという気持においては決して人後に落ちないつもりであります。
○一松政二君 今の答弁と処置とは逆ですよ。今の御答弁なら許可の日付をあとにすればよろしい。許可の申請を暫らく留保していればいいのですよ。建造しているものを差止める必要はない。それをその建造しているものを差止めて行くというところは、これは残酷じやないですか。これを育成し保護しようという親心のある官庁のすることじやないじやないですか。何か犯罪か何かをやつて、闇建築か何かを、昔の統制の厳しかつた時代の闇建築をやつているときの処置でも、かほど残酷なものは滅多にないですよ。何とか方法を見つけて来て許可されているから、闇建築の時代に工事の中止をされた料理屋、旅館などはないじやないですか。殆んどあれは全部許可されているじやないか。あれは皆……。而も闇建築ですよ。都会の真中に闇建築がどんどん行われているじやないか。できているものを中止させたり、それは何かよほどの問題があつたときに限つてそういう処置をとらるべき問題である。造船所の危険において商売を熱心にやつて、輸出船建造、とにかくこの難局を切抜けようとされておる造船所に向つて、工事の中止を勧告するということは、私は刑罰以上のものだと思うのです。だからこの問題に対する、そうして通産省はそういう問題に対して、あなたのほうから建造の許可ないのに通産省が……、あなたのほうが建造の許可権をとにかくこの法律によつて一応持つた。而もその申請をすればどれでも許可をしなければならんのが法律の建前ですから、これはあなたは伝家の宝刀とお思いになつているかも知らんけれども、抜くべからざる宝刀なんですよ。何でこういうものに対して抜くのですか。これはあなたは宝刀を抜いたと私は考える。この二つの条件以外にはないのだ。二つの条件は、誰が見てもはつきりしているように、この条件を具備しない船を造る阿呆はいないのだ。問題は従つて条件を具備していると思うから、申請があと先になつたところで、これは大した問題じやない。それをただあと先になつている、こういう観点から、あなた方は今のごとき処置をとつたのじやないですか。それは正宗の名刀を子供が持つて弄ぶのも甚だしいという非難を受けて来る。この法律があるそのために、この法律の蔭にかくれて、ただ手続上あと先になつたら、何億、十億になんなんとする金を使つて今船を造りかけているものを、その建造を中止勧告するという残酷な措置がこの法律の精神のどこから生まれて来るのです。通産省が許可をやるのにも、造船の許可のないものを通産省としては出しようがないですよ。通産省にいろいろなことを言つておられるが、許可のないものを、運輸省の許可のないものに、通産省は許可を出すということは矛盾になるでしよう。その点どうです。
○政府委員(甘利昂一君) うちの許可のないものを通産省が輸出許可させても決して矛盾いたしません。従つて両方の、例えば通産省のほうは貿易管理、そつちの面から輸出許可をする。うちは建造の面から建造許可をする。両方が一緒になつて初めてああなるわけです。
○一松政二君 通産省は建造の許可をする許可権も何もありませんよ。ただ輸出の許可ですよ。通産省の輸出許可というものは大した問題じやございませんけれども、あなたは通産省のことを頻りに問題にされるけれども、通産省は輸出ができれば喜んでいるほうですから、通産省のほうが船の建造許可をするかしないかは何ら重点を置くべからざることです。なぜそういう……、通産省は少しでも輸出のできることを翹望しておる。甚だしいのは砂糖の輸入権その他の二重価格、或いはダンピングまで覚悟して輸出を奨励している省ですから、通産省が輸出の許可をしたらば、運輸省が許可するとかいうことは、余りにも人を馬鹿にした議論ですよ。運輸省はそういうことに関係なく、この建造調整法の問題なんです。建造調整法は、この条件は何遍言つても同じことですよ、申請したら許可しなければならん建前なんです。ただ要約して言えば、許可前に着工しておつた。甚だけしからんということで、爾余の問題は、あなた方はあとでつけて言つていることなんです。輸出する船ができなかつた場合に、内地で何とか、かんとかという理窟を言うけれども、それは屁理窟というものですよ。ただあなた方が処置をとつた。このけしからんということは、この法律を無視されちや困る。将来こういうものが起つたら困るから、以後の見せしめのために、造船所にあなた方が君臨するためにとつた処置だ。而もその処置が警告を与えるとか、或いは穏かにさとすということじやなくて、建造中の、あまたの従業省が日々働いておるものを、これを一応中止させるということは重大なことですよ。そういう処置がただ、而もこの建造許可という問題は非常に形式的の法律なんだ。その点についてはなくていいわけです。そういう申請のあと先の問題について、そういう厳罰に類するような行為をとつたということに対して、私は容認できない。この法律を悪用するも甚だしい。そういうことを私は慮つたから、この法律自身は有害無益の法律だという建前であるわけなんです。その有害無益の法案をいろいろ有害な方向にあなたは運用されている。ただ問題は法律を生かして、事実を生かすのじやない、仕事を円滑にやる、或いは日本の経済を進める、或いは海運の健全な発達を促進するという意味はどこかに飛んじまつて、許可を受くべきものを受けなかつたという、ただそれだけの事実によつて建造中のものを差止めておいて、而も将来というものは、さつきもいつたような、業者との間の秘密を保たなければならない。相手と交渉していることは極秘にしたいのが、これは人情だ。それでなかつたら商売はできない。お互いに虎視眈々として見合つて、隙あらば横取りしようというのが、日本の今日のすべての産業の建前だ。だから発表しない。秘密にして、許可の申請などにしても、もうコンクリ—トになつてしまつて、もうどう発表してもこの契約は動かないという時期を待つのが私は人情だと思う。それはこの法律がなかつたらそんなことは何でもないことだ。建造の許可をあなた方これに引つかけたところに、そういう運営上のむずかしい問題まで起つて来ているわけです。輸出船のごとき、それを極秘にして、少し固まるのを待つておつたんじや船のデリヴアリーなどが問題になつて来る。それはお互いの兼ね合いなんだ。今あなた方は、ただ単に行政上の非常に冷やかなる建前から言えば、ただ許可をあらかじめ受くべきものを受けなかつたのだから、甚だけしからんのだというただ一点ですよ。ほかの問題にしても、そういうときには一応この分だけは許可するけれども、まあどうか一つ今後はそういうことのないように、そういうことは余り無視されているような恰好になるからというのが普通なんだ。近頃それは自動車一台どうしだこうしたとかいうのじやない。何百何千という従業員を抱えておつて、そうして数億の金を現にかけておるわけです。私はこういう乱暴な処置を、この法律を生かそう、この法律を、伝家の宝刀なら抜かんはずなんです。昔仲小路廉さんが、農商務大臣のときに、伝家の宝刀として、暴利取締令が出たけれども、殆んど伝家の宝刀というものは抜かなかつた。この建造許可の中止なんということは軽々にするべき問題じやない。法律それ自身はそんなことを予定してない。出すべからざる法律を、作るべからざる法律がまあ一応止むを得ず先の議会で成立している。成立しているけれども、これは有名無実と言われておる。そういう法律をあなた方は自分の役所の建前上、これを生かそう、これに非常なウエイトを置いて、その許可権というものを振り廻そうという根情があるから、こういう乱暴な措置をとつたと私はあえて断定する以外にない。法をそういうふうな考え方で運用されたらたまつたものじやない。ところがそういうふうにする危険があるから、私は極力これを阻ししようと試みたわけです。ところが案の定あなた方はこの運用面において、この法律を大上段に振りかざして、造船所、船会社なりが許可を得なければキ—ル一本を据えることもできない。あらかじめ許可を申請しなかつたら、こんな目に会うぞうとい見せしめのためにやつている。そういうことをこの法律の第一号として、違反事件として、そういう処置をとつたと私は考える。そういう処置が私は妥当であるかどうか。私は犯罪者を律する場合でも、かくのごとき残酷な処置に私はとらんと思う。
○政府委員(甘利昂一君) 今一松さんのおつしやるのは、私はちよつと事実に反しているように思うのですが、我我としては、先ほど申上げましたように、造船所の立場も非常に同情しておりますので、できるだけ寛大な処置をとりたいと思つて、ただ併し、一応法律の建前上、許可を得ずに造つておりますから工事の中止を命じましたが、これは実際造船所のほうともよく話合つて、向うとしても、相当早く保証が得られるというつもりでやつておつたのですか、実際当時は一応停頓して困難な状態にありましたので、向うでもその点はよく納得して、自分のほうとしてもこれ以上工事を進めても保証のほうがどうなるかわからないう危惧を持つていたものですから、向うは現地の保証を早く得られるようにということについて、わざわざ人を派遣して交渉を進めておつたような次第ですから、何も役所が無残な、折角やりたいというのを工事を中止したわけじやありません。向うの意思も、大体むしろ工事を進めるよりはその保証を得ることに尽力すべきだというふうな気持でおつたものですから、それで一応工事の中止を命令し、同時に工事が中止になつたから早く保証してもらわなければならんというようなふうに逆に使われたように思つておりますので、決して一松さんのおつしやるように、この法を楯にして無残なことをやつたのじやなくして、むしろ逆なふうな立場に我々立つて援助したのじやないか、こういうように考えております。
○一松政二君 それはとんでもない詭弁ですよ。それだつたらば、そういうことをあなた方は得てして国会やなんかで答弁するんです。そういう意味のことをこの前も造船所やなんかを呼んで、この法律の無用なゆえんを説いても、はい、誠に結構でござる。昔の言葉で江戸の仇は長崎でというあの言葉の通りで、造船所や、海運会社はあなた方の前に行つたら頭が上らないんです。気持の上ではまるで反対であるけれども、あなた方にはおべつかを使つているのが現実の姿なんです。その上にあなた方は眠つてそしてそれをまともに受取つたらとんでも話です。あとで舌を出しているかも知れない。泣く子と地頭には勝たれないから、そろばんを弾いて辛抱しているのが今日の多くの民間業者の実情です。あなた方に言われればそれに調子を合わせなければいつ江戸の仇を長崎で討たれるかわからんから泣く泣くついて行つおるのが日本の産業界の実情です。だからインドネシアのほうに対してはどんな打合せの上で話合いをさしたつてそれは差支えない。差支えないけれども、建造を中止した結果というものは、私は莫大な損害だと思うんですよ。けれどもその損害があるとかないというよりも、あなた方のこの法律の運用に対する精神が私は、あなたは今そういうふうな議論の立て方をするけれども、あなたがどんな考えを言われても、私はこの法の運用の上で、あなたはあらかじめ許可を受けるべしという一線を強く打出さんがためにとつた措置としか考えられない。あらかじめ許可を出しておけば、その支払条件がどうだとか、こうだとかいうことは運輸省の関知すべからざることですよ。支払条件がいいとか悪いとかいうことは、どうして運輸省で問題になるんですか。運輸省が建造を許可することと、通産省が輸出船のライセンスを与えるということは別問題であることを我々も承知しております。それをなぜ一緒にからみ合せて、両方で以て許可をしぶるような恰好に持つて行つているのか。それがすでに本法を誤つた運用に持つて行つている。運輸省は運輸省で出た申請に基いて許可すべきものであるか、許可すべからざるものであるか、この法律によれば許可しなければならんということを書いてあるのですから、許可しなければならないという問題がある以上は、それがあと先になつたからといつて、どれだけの弊害があるのですか。あと先になつたからといつて、できてしまえばどこかへ運航して、太平洋の真中か、東京湾上に持つて来て改めて許可を申請を出したということでは話が違う。それを又内地に転売しなければならんようなことが起るかも知れん。それはそのときの話であつて、そんなことを考慮してあなた方は許可するかしないかということをきめれば、難癖は幾らでもつきますけれども、それではどういう難癖つけるかわかりやしないじやないか。それは難癖と称するものですよ。素直に書類の上で考えれば、それから法律を素直に読んで行けば、百パ—セントこれは許可しなければならん。私が船を造船所に、銀行から金を借りて、貸す金があるからというので造船所に話をして、私が一ぱい船主になるのをあなたに申請したからといつて、私が船を持つ資格があるとかないとかいうことを、あなたはその法の建前で言うことはならんのです。そうして私が一ぱい船主となつて郵船なり他の商船なりにチヤーターしようと、財産の運用をこれによつて図ろうと考えたときに、あなたは、それに対して異議を唱えることができない。そこがこの法律の建前であるし、あなたは現にそういうことを答弁されておる。今のように支払条件がどうであるとか、或いはインドネシアの契約が不十分であるとかいうようなことは、この法律では全然関知していない。だから先にあなたはいろいろのことを言われるけれども、何遍言つても許可前に着工しておつた。であるからけしからんから一応とめた。とめてから先にこれを有利に禍いを転じて福となすかなさんかは、これは造船所のほうなり何なり、これは又あわてますよ。そんなことで又船の検査が遅れて、又支払に支障を来たしたということでは困りますからね。だけれども建造中の船を中止するのに何らかあなたは非常な親心で、それが支払確定の促進に役に立つたなんというようなことは、それはあとから附加えて言うことであつて、建造しておることを中止を勧告したということは、非常にあなた方としてはけしからんから中止を命じたいということでしよう。許可を受くべきものを受けないで、而も四割も五割も建造しておることは以てのほかということだ。こんなことをやられたのでは、この法律は死文に属するということが、あなたのほうの感情の動機になつているに違いない。あなたが何遍強弁されたつてそれ以外に解釈のしようがないじやないか、この法律の建前からいつて……。あなたが今いろいろのことを付加えて通産省がどうだとか、輸出のライセンスがどうだとか支払の条件がどうとか言われることは、この法律のどこにもない。そんなことを考えていること自身がとんでもない私は間違いだと思う。だから煎じ詰めて言えば、今言う通りに、許可前の着手であるという一点に過ぎない。その点から言えば、法律が悪いけれども、法律の建前から言えばそういうことは確かに一つの手落ちになる、その手落ちも初めての手落ちではないか。法が施行されたのは去年なんです。初めてのケ—スで、而もそれが輸出船は頗るデリケ—トな問題です。それに対して中止を最初から言わないだつてやる方法はある。なぜそういう途をとらずに中止を命じたのか、私はその点が甚だ法を濫用するのも甚だしい。もう一度船舶局長は、許可前の着工は不届きであるから中止を命じたのであるということを端的にあなたは答弁して下さい。
○説明員(甘利昂一君) 許可前の着工ですから、本来あの法律を厳密に適用すれば告訴か何かしてあれしなければならないのですが、今のお話のようにその事情よくわかつておりますので、併し一応許可を得ずに、而も相当船舶も造つておりますから、工事の中止をすることを業者ともよく打合して、一応工事の中止命令を出したのですから、今あなたのおつしやつたように、そう非常に無駄なことをしたとは私は思つておりません。できるだけの寛大な措置をとつたつもりでおります。
○一松政二君 業者に打合せたと言いますが、業者はあなた方に対しては頗る戦々競々としているんですよ。それで百の理窟も言いたいこともあるけれども、それはよう言わんのですよ。その件で勝つちやあとで負けますからね。いわゆる泣く子と地頭には勝たれんからお辞儀をしているのが業者の姿なんです。今あなたの答弁を聞けば、つまり許可前の着工であるからけしからん、一応それは業者と打合せたとは言いながら、業者は仕方がないからやつているだけの話なんです。私はこれはよし悪しは別問題として、而も初犯なんですよ。犯、犯といえばおかしいが、私から言えば犯なんという言葉は使いたくないが、家を建てるにしても、建築許可の来ないうちにやつている。そういうことは世間にあり勝ちなんです。而もそれが輸出船なんですから、そうしてデリケ—トな問題なんだから、私はそういう措置は甚だこの法の運用上好ましくない。あなた方はこの法の運用を、これを正宗の名刀として振りかざす、あえて私が極言すればこれを振りかざして、船会社は五百トン以上の場合には如何なる場合でも許可を経なければこの目に会うぞという一罰百戒ですか、百戒のつもりでお出しになつたものと私は考える。考えるけれども、私はこの法の運用について私は心配していたことを如実に打出したからあえてこれだけのことを繰返しながら言つて、お忙しい運輸大臣にも聞いてもらつた。私はもうこれ以上あなたから答弁を得ようとは思わない。この処置に対して運輸大臣は如何にお考えになるか。この法の精神はそういうところにないはずなんです。そうして法の精神から言えば、計画造船の問題に対して、これに限つて一応やられるのが、今度のこの法律に基いてあなたは二つの告示を出した。これも撤回して、そうして一つの告示を而も修正した精神はそこにあるはずなんです。そうであるにもかかわらずこういう処置がとられていることに対して非常に私は心外であるわけです。あえて運輸大臣に聞いて頂いたのです。私は運輸大臣がかねてこのことを御承知の上で、こういう命令をやはり船舶局長が出したと言つている。だから勧告だということも向うでは言うておるけれども、それでは余りにひどい処置じやないかと思うのですが、運輸大臣の御意見を一つ承わりたい。
○国務大臣(石井光次郎君) この臨時船舶建造に関する法律の適用すべき場合その他についての問題は、前からもいろいろと一松さんからお話があり、私も精神的に一松君の意見の方向を尤もだと思うておるわけでございます。それでまあ告示などもこの間お話の通りに改めるようなことをしたわけでありますが、この問題は私も聞いております。で、日立がインドネシアの船の注文を受けるときに、受ける話のあるというときに話を聞いて、久しくこれがどうなつておるか知らなかつたのでありますが、先頃まだ本当に話が進んでない、なかなかいろいろな問題が次から次と初めの話とも違つて日本側に不利な商談にだんだんなつておるというような話の気味も聞いております。ところで最近になりましてどんどんその船のほうは工事は進んでおる、大分進んでおつてこの頃になつて許可を受けに来たのだが、まだ肝心な法がまとまつてないそうだ、併し一方六、七月頃にはこれを仕上げてしまいたいというので日立としてはそれを見込んでどんどんやつて来ておるので日立そのものも話が付かないで、このまま仕事をどんどん進めて行くということには相当心配をいたしておるというような情勢は聞いておつたのでございます。成るべく今年から来年度は、御承知のように国内の計画造船の量も財政資金が減つておりますので、昨年度通りのような行き方にするにしても相当数量が減るのでありますから、来年はできるだけ外国の船の注文をとつて造船所がああいうふうにならんように、仕事しておる人たちがちやんと仕事をやつて行けるようにしたいということが私の念願でございますから、この外国からの注文をたくさん受け、そうしてそれがいい条件で次々に日本との契約になることを願つておる気持なんでございますが、この日立の話がうまく行かないと又次のインドネシヤからのいろいろ注文もあるらしいものもなかなか困難になるかも知らんというようなことを聞いておりますし、心配をいたしておつたわけでありますが、さて、先頃になりまして余りにまあ、仕事のほうは先に申上げたようなやり方で進んで行つて、まあ私どももそれまでどうなつておるか知らなかつたのでありますが、仕事がもう船台に乗せるところまで行つて、船台に乗せても相当一ぱいのほうは進み過ぎておるという状態であると、こういう形をこのままどんどん、どうやつても構わんということにしておくことはどうであろうかというのは、これはまあ議論のあるところでありまするが、船会社で昨年の、これは国内の造船のこと、情勢は違うと思いますが、約束、まだ計画造船がきまらないのに仕事のほうはもうどんどん進んでおる、そういうことが一方から言うと、まあ船会社と造船所との悪因縁を結んで、そこに無理が起つて来る一つの情勢ではないかなどというような質問等もいろいろな所で、国会内であつたものでありまするから、少し平たい言葉で言うと、まあまあに懲りて膾を吹いた気味が少しここにもあるというてもいいかもわかりませんが、これは国内の問題でなく海外との契約の問題でありまするから、或る点まで大目に見ても私はいいものじやないかということも考えるのでございます。その点は一松さんと殆んど近い意見でございまするが、六月頃までに仕上げてしまうのにはどうかというと、なかなかこれが本当に話がつかないと、でき上るまで持つて行くということは、いろいろな金融の面やなども、これは開銀なり、銀行と造船所の問題ではないかということでありますが、相当悩みの種もあるように聞きます。この際は一応中止を命ぜられても、この契約がそれを動機として成るべく早く契約が結ばれることが望ましい、そういうふうに動く傾向もあるというようなことも聞きまして、引渡しに影響のない程度にこれを本当にやるんならば、そういうものに邪魔にならん程度において一応中止の動告をするということも別に悪くはあるまいというふうに私も賛成、そうはつきりとまでしたわけではございませんが、そういう心持で聞いておつたわけでございます。で、問題は一日も早くこの船の契約が本当にできるようなことにすることが大事であるから、そのことをできるだけどんな方法ででもお手伝いして、この契約ができて、そうして仕事が続いてやれるようにして行くことを話しておつたわけでございます。幸いにいたしまして最近にすべての話がついたと、大体ついたということでありまするから、私どものほうといたしましては、直ちにその仕事をどんどん継続できるようにしてやりたい、こういうふうに思うておる次第でございます。 同時に一方、おつしやつたようにこの法律を出したものであるから、法律の見せしめにというほどの強い意味はなかつたと思うのでありまするけれども、折角できておる規定、これによりまして余り仕事の工程が進み過ぎたところまで行つて、初めて許可が来るというようなことは、これは少し行き過ぎじやないか。まあ商売の秘密ということもお話がありました。よくわかります。同時に仕事を、それを許可を受けてやりかかつて、それが非常に大きく商売に影響するということでありますれば、又例えば六月なら六月に引渡すという条項、それは昨年も私も聞いておつたことでございまするが、まあそういうようなことについて、十分話合いがあつて、そうしてそれまでにはこれだけのまあ一〇〇%の契約はできないが、まあ八〇%、九〇%、ここまで行つてもう間違いないと、多少のそれは増減はあつても、筋は間違いないということで話があつて、期限にそれに遅れてはならんというようなことであれば、一月でも十二月でもまあそのときにでも許可もやろう、やれたわけだと私も思うのであります。無理やたらに法の建前のみをひねらかして、それを罰しようということはあつてはならないことと思います。それは私は法の悪用だと思います。それでそういうふうなことに会社側と役所の聞の了解が私のほうも手落ちであつたかもわかりませんが、不十分であつたために、今日になつて問題が起つたと思うのでありますが、まあ聞き違いの点もいろいろあります。行き過ぎの点もあるかと思いまするが、右様の経過でございます。話が進んでおりますので、中止の勧告でございますが、勧告であればそのままでもいいかと思いますが、そのまま進行をしてもらうようにする話を進めて来た、こういうふうなことでございます。
○一松政二君 先ほどの局長の答弁の中でも感ぜられましたが、今の大臣の答弁を伺つても輸出船の引合いの場合に、運輸省は支払条件がどうであるとか、デリヴアリ—がどうであるとかというところまで私は干渉というのか、立入るというのか、そういうところまで行つているような気がいたしますがですね、私はその支払条件がどうであるとか、契約条項がどうであるとかということは、これはこの法律の建前に絶対に触るべからざる問題であるのだから、造船所に対してはそれだけの技術と設備を持つていればいいわけで、それが外国の船会社であるならば、これは外国の海運のことを言つているのであつて、この法律に謳つてある第一項とは全然無関係である。併しそれが、それは商売のことですからやりかけても破談になることもありますよ、場合によつては……。けれどもそんなことまで心配しておつてはきりがない。そういうことがあるかも知れんから許可しないということになつたらば、如何に確約しても相手が潰れたり、或いは暴落したりして、或いは向うは損害金払うからキヤンセルしてくれということもある。場合によつたらそれも払えないでただ逃げ廻わる契約者もあり得る、けれどもこの法律はそういうことを予想してやしないのです。そういうことにまで立入ることになれば、許可なんというものはなかなか容易に得られるものじやない。この法律はもうどうしても、これこれの条件を具備したら許可しなければならない。最初から作つてあるから許可することが建前なんだ。従つて私は許可の申請はすでに口頭で昨年からもう、御存じであれば、そういう船を造るだろうということは予想されているわけなんです。だからそれほど書類上の許可を問題にされたことに対して、私はこれは業者から頼まれたからでも何でもない。一昨日新聞を見て初めて知つて、新聞によると前もう一遍何か発表があつたかも知らんけれども、私は一昨日初めて知つたのです。けれどもこの法律それ自身に私甚だ不満足であるから、それでこれを濫用する危険があると私は前から考えておつた。ところが私どもの想像通りのことが起つて来たから、私は早く今日これをまあ問題に供したわけです。で、法律があるから励行しなければならないという考え方は私は間違つていると思う。法律というものは、実際について動いて行くべきものであつて、法律は、事実よりもあとについて行くべきものであつて、法律のあとに事実をつけて行くというようなことはこれは考えちやならんことなんです。これはよく日本で法律があるから、励行しなければならんということを聞くけれども、私は非常に不愉快に思うのです。法律は事情が変化すれば、法律のほうはあとからその変化に応じるようになるのですから、事実のほうが先行すべきものなんです。法律がよほどそれが国利民福とか、或いは国の道徳上何か非常な弊害を起すことであれば、公共の治安に関係するようなことがあれば問題ですが、一つの取引に、一民間会社の取引に類することが公の秩序を害したりなどすることじやないのだから、そういうものの運用については、法律を違反しておるからという考え方を持つことは、私は甚だ法律自身の目的にも副わないと思うのです。法律でそういう目的のために事実と違つた、事実は刻々変化して行く、法律は一度制定したつて次に直すまではそのときの法律がそのままになるのですから、事実が変化して行く変化に応じて法律は適用しなきやならんものを、法律があるから励行しなきやならんという考え方は私は改めてもらいたい。けれどもこれは私は繰返すように、前の戦時中の、支那事変中の法律を曲げて船舶を許可制にかけて来て、それがなくなつたからその許可制を活かすためにここにこういう法律を持つて来ただけの話で、そのこと自体が私はもうすでに行過ぎであつたと考えて今日までおるわけです。その法律を活かそうために、法律があるからそういう措置を私はとられたと思うのです。これが仮に去年の五、六月頃に着手しておつたのならば、許可権も何もないのですから、何も運輸省が何と言つたつて、それは去年の四月にやつていたのだと言つたらば文句はない。けれども業者というものはそういう運輸省に楯ついたり、御機嫌を損するようなことはこれは禁物なんです。そろばんだけでしか生きないのが残念ながら日本の民間企業のあり方なんです。言いたいことをよう言わないのです。そこをよく私は呑み込んでおつてやつて頂かなければ、一応話をつけたからそれで業者は満足しているのだ、満足しなくつたつて満足したような顔をしているのです。御機嫌損じたらどうにもならんということはあなた方百も承知しているはずなんです。それで私は同僚諸君にも……、これ以上この問題を追及しても同じことを繰返すことになるかも知れませんから、そうこれ以上くどくどは言いたくございませんけれども、私はこの法律がある限り、それで私が議員である限りこの運用については、私は絶対に、私が知つた限りにおいては、それの運用についてこの法の精神なり、法を制定した当時のいきさつから私は重大な関心を持つておりますから、再びこういう、私から考えれば、伝家の宝刀は抜くべからざるものである。国の重大なる利害関係、公の秩序に関係のないようなことを、何か刑罰でも臨むがごとき態度を以てやられないで、それは理窟を言えばそうじやないのだ、非常に親心を持つてこうしたのだと言うかも知れんけれども、それは屁理窟だ。業者がいいと言つたからと言つたつて、業者はうしろで泣いておつても口じやいいと申します。そういうのが今日の情けない業者の日本の有様ですから、どうかこの運用については、運輸大臣に特に私はこの問題を機会として念をおして御了承を求めて置きたいと存じまして、この日立造船所とインドネシアの輸出船に懐して、この法の運用に関することに対しては一応ここで質問を打切つて置きます。 それから、それで私は別の観点からこの問題を機会として今日の日本の計画造船が非常に遅れるであろう、それから方法も考え直さなきやならんかも知れん、銀行も金を出さない、併し造船所はすでにあくびをして非常な四苦八苦の状態にある、こういう情勢に対して輸出の船をたくさん造らなければならんという場合に、見越しの造船というものがある。昔はいわゆる松方さんがストツク・ボートを造つて、そうして輸出しておつて、そして売れ残りが今日の川崎汽船の前身をなしたことは御承知だと思います。さつきの、これは関連するかも知れませんが、船舶局長の考え方から言うと、見越しの船というものは絶対に許さぬことになるように考えられるのですが、その点に対して局長はどう考えているのですか。
○政府委員(甘利昂一君) 別段私のほうでは見越しの船は絶対にいけないというような考えは持つておりません。
○一松政二君 それならば、例えば今の輸出の船が、さつきの繰返しかも知れませんが、契約が破棄されるかも知れない、併しながら鉱石を輸送する船を仮に造つておつた、或いはまあ恐らくタンカ—なら大したことはないかも知れませんが、多少日本の船と注文が異なつて来る場合があろうと思います。けれどもそれを造船台が空いているからまあ一割くらいは安い船を造つても、転換するか、或いは職工を首切るか、或いは六割で以て暇を出しておくよりも、今ここで船を造つておると、見越しの船を造るということが考えられないことは私はないと思う。そういう問題のときに、今の話によれば、許可を通産省の建前かなんかと混同してお考えになりはしないですか。あなた方はこの輸出船が契約がもうここまで来ているから、造りかけるとこの話はまとまるに違いない、結局値段の問題になるのですから、値段を我慢すれば多くのものが輸出できるのです。だから値段と支払条件が問題になるだけなんです。で、支払条件については、日本も輸出入銀行或いはプラント輸出を奨励して相当な長期の信用を許容しても受注したい。それで相手とマツチして、そこで値段の問題が問題になるだけですから、値段さえ我慢すれば多くのものは輸出できるけれども、さつきの答弁によると、それでは内航船になるかも知れんし、それでは過剰になるから許可しないというようなことの答弁があつたのだから、私はさつきの問題は一応打切りますけれども、今後、さつき運輸大臣もお話になつたように、輸出に力を入れなければならんという場合は、私は当然一応話がまとまつて、最後のコンクリ—トまでは行かなくても、船を造るということがあり得ると思うのですが、その場合に今のように輸出のどこから見ても安心が行くかどうか、これは信用保険や通産省のやることなんですが、省はどこまでそれをお考えになりますか。そういう場合に立到り、船の許可の申請があつた場合に、輸出船という場合に、さつきの話によると、支払条件だとか単価まであなた方は許可の考えの中に織込んでいるように思うが、私から言えば、それではこの法律の濫用になりはしないか、その点に対して、今後の問題ですよ。
○政府委員(甘利昂一君) 我々が建造許可の対象、或いは考えの中に契約条項とか輸出の許可とか、そういうものは全然考えておりません。ただ同じ政府の部内で片方でまあ輸出の許可とか或いは支払の条件とか、そういうものがありますので、我々も事実としては建造許可は出しても、ほかの部内でいろいろ異存があつて非常にむずかしいというものについては、或る程度そういうことも参考にすべきじやないかと思うだけでありまして、決して我々がそれほど重要視してそのために建造許可をしぶるということはやつておりませんし、又今後もしないつもりでおります。
○一松政二君 それがね、さつきの繰返すわけじやないが、今後のために私あえて申上げておきますが、建造の許可の得られないものにですよ、通産省が輸出のライセンスを事実問題として与えるわけに行かないです。そうすると事実問題としては契約の内容まであなた方は立入るということになるのです。今度の、さつきの繰返したくないのですけれども、一応打切つたのですけれども、今度だつて通産省などは一刻も早く輸出のライセンスをやりたいのです。けれどもあなたのほうでしぶつているからやれないんです。だから問わず語りにあなた方自身が濫用して行つているという事実を現わすことになる。通産省などは輸出のライセンス、建造の許可のないのに輸出のライセンスをあらかじめ出すことはできないのですよ、これは。建造の許可のないものを輸出していいというわけには行きやしません。どうしても建造の許可というものが先になりやしないでしようか。建造の許可が。それはどうですか。
○政府委員(甘利昂一君) 今一松委員からお話のように、建造を許可しないから通産省から輸出を許可しないということは絶対にありません。ですから建造の許可と輸出の許可が一体どつちが先かということは、これは恐らく同時だろうと思いますので、うちとしては建造を許可する意思がある、通産省のほうではどうかというようなことはしよつちゆう打合せをして、向うでも差支えないということであれば、私どもはいつでも打合せした上で許可をしておるわけです。向うでも見込があるかどうかということを聞いてみて、お互いに連絡をとつて、会議の上でお互いに許可を出しておるわけです。
○一松政二君 それが法の濫用になるのです。運輸省の建造の許可権というものはこの法律から来ていないでしよう。それなら私は又他日これは通産省の係官を呼んであなたと両方いる所でもう一遍これは繰返しますから、私はこれは重大な問題なんです。ということはですね、注文を予想してですよ、注文を予想して、私がさつき言つたように予備的に建造の許可を申請した場合に、あなたはそれをどうする、まだ輸出の話はないんだけれども、輸出を期待しておる、こういう船の注文の話があるから、併し許可をとつていなかつたら、又何か文句が来るか日立の二の舞を踏む、従つてまだ通産省には何にも話をしない、又それほど具体的にもならんけれども、建造の許可だけ先にとつておかんとあとでどんなことになるかわからんということになる、その場合にあなたの今のお話によると建造許可しないということになる。
○政府委員(甘利昂一君) 今のような場合、建造が許可されないとは申されんわけであります。従つて建造許可を申請する場合には、或る程度その船の仕様なり或いは設計なり何か具体的の事実があつて、こういう船を造りたいということを持つて来なければ、その船が許可の対象になる、基準になるところの国際価格というようなことに当てはまるかどうかという具体的のことがわからん。或る程度具体化して来なければ、そういう船を許可するかどうかということはわからんわけでありますので、自然許可申請を持つて来る場合には、何かそういう形になつたものを持つて来なくてはならないのじやないか、こういうふうに考えております。
○一松政二君 それは大体のプランばかりで、どうせ外国へ輸出するのは外航船にきまつておるのですから、それは外国の国力もあるかも知れませんが、外国の国内でも何でもいい、日本の輸出船に関する限りは我が国の健全なる海運の発展に何ら関係ないでしよう。なぜそれが我が国の健全なる海運の発展に引つかかるのですか。輸出する目的を持つて船の許可をあらかじめ申請した場合に、それがなぜ我が国の健全なる海運の発展に関係があるのですか。
○政府委員(甘利昂一君) この間この法律を出しましたときにもお話したと思いますが、例えば日本の隣り合せでいる国で非常に日本の海運事業、或いはその他に対して非協力的の国があります。こういう国が、例を申上げますと、例えば普通の常識で申上げますと、自国に輸入する物資の半数は自国船で運ぶ、併し半数は他国船でもいいというような普通の慣行がありますが、これを殆んど無視して自国船だけでなければ絶対に物資の輸送ができないというような非常に非協力的の国がありますし、又そういうふうな国が自国船を増強するために、日本に輸出船を注文したというような場合には、当然そういう非協力的な態度について外交的の交渉をするのも一つの方法でありましようが、又それと並行して、そういう国に対しては輸出船についても或る程度考慮するというようなことがあり得るのじやないかと思うのです。
○一松政二君 それはこの前論じました朝鮮の問題でしようけれども、これは外務省に聞いてみたらそういう事実はなかつた。あとで辻棲を合せているだけですよ。だからそれは口実ですよ。それは五百トン程度の、或いは高高一千トンかそこいらの問題です。けれども七千トンか八千トンか、或いは一万トンというようなタンカ—なりライナ—なり或いは貨物船なりをあらかじめ許可を……自立の例を見ればあらかじめこれから許可を申請するという気持になるに違いありませんよ。あらかじめ許可を申請した場合に、それに対して支払条件とか何とかいうことが問題にならんはずだと思うのです。その点をはつきりしておかなければ、今後幾度こういう問題が繰返されるかわからんです。法を正しく運用してもらうためには、その点をはつきり認識しておつて、濫用しないようにしてもらわんと、私もこういうことを繰返すことはかなわんですよ。余計な手数になつてしまう。だからその点を運輸省としては、はつきりこの法に基いた、法の範囲内における運用に重大なる決意をあなた方しておかないと、前の十五トン以上の船を許可にかけたときと同じ心持でこの法の運用に当られたら、私はもう来国会でもこの法案の廃止を全委員に呼びかけて私は叫ぶようになります、それだつたらば。そうじやなかつたら、日立の例を見れば、あらかじめやつておかなければ危くてしようがないのです。その場合に支払条件とか何とかいうものは全然問題になりませんよ。その場合に許可をすると称しながら、実際問題は何かかにか言つて許可しない、これが今までの日本の行政官庁によくあり勝ちなんです。国会ではいい加減に答弁しておいて、それから先は自分たちの運用の手心でやつて行ける。だから今のあなたのお話のように、たまたま朝鮮の五百トンに切つたときの例をあなたは引いた。私は外務省を呼んだけれども、外務省の係官は殆んどそれを知りやしない。余り答弁の食い違いがあるから、あとからあなた方と打合せてちよこちよこと一番最後に辻棲を合せた。それは皆同僚諸君が聞いた、速記録にも載つています。あとで一番最後にそれは辻棲を合わせるためにやつたのだ。そういうことで国会をごまかして答弁されちや駄目ですよ。だからこういう人たちの例を見れば、あらかじめ手を打つておる。それを又いよいよの場合には、多少その中には変つて来ましよう。変つて来ても何も差支えありやしないのです、そんなことは、外国に行く船なんだから。それはもう今度はロイドの検査でも何でも向うで検査を受けなければ、世界の保険市場に対して一番大切な問題が起つて来るのですから、それは日本政府がはあはあ言わなくても外国船なんだ。それは世界の情勢もありますから、私はこの法の運用をそこまで拡張されて、一々運輸省が許可権を持つて、そうしてそれを正宗の名刀のごとく思つて船に対しては振りかざさないでもらいたいというのが私の念願なんです。若し振りかざすとすれば、どうしてもこの法律は廃止するよりほかないという結論に陥るのです。だからこれは又前の問題に逆戻りする危険もありますし、もう一度はつきりそういう問題のときには、そういう支払条件とか或いは契約の条項にかかわらず、船の許可だけはするということをもう一度はつきり言つて下さい。そうじやなかつたら法の建前上、全く違つた運用をやることになる。法に欠陥があるのですよ。法自身に欠陥があるのですよ。従つて法の運用が結果から言うと、あなた方の意図しておつたところと違う。それだからやかましく言う。意図しておつたところと違う法律ができ上つておるが、運用はあなた方の意図する方向に持つて行こうというところに矛盾がある。その点をはつきりしておいてもらいたい。若しそうでなかつたらこの法を廃止してあなた方の好きな法律を出してそれを国会にかけて通るか通らんかやつてみるとわかる。いずれにしてもこの法律に基いて今のような運用はやるべからざることだと私は固く信じておるわけです。あなた方の過去における言明、この間の言明もその通りであつた。結局事実においてはやはり昔の自分の意図の通りに運用しようという肚の底が……、衣の下に鎧がちらちらしておる。それでは業者がたまらない。業者は満足しなくたつて満足しておるような顔をするのだから問題にならん。その問題は私は一応、もう余りにこの問題を繰返しますから、大臣もお忙しかろうから一応問題を転じまして、これは私がその法の運用についてくどくど言うのは、法律と運用とが違つた方向に行く懸念のあるこの法律ですから、これは運輸大臣におかれても重々気を付けておいて頂きたい。そうじやないと法律を直すか、法律を廃して新らしい法律を出すか、或いは私はもう計画造船、つまり国家が世話をやく船以外は自由にすべきが当り前なんだ、当然そうならなければならないと考えておりますが、そういうことをお考え願わしいということを注文をして、私はその問題から離れまして、今世間にいろいろ論議されておる計画造船の問題について、私は前心配しておつたように、これからいろいろまあ問題があろうと思うのです。船会社のほうとしては、今日只今私は船を何艘今造らなければ日本が困るのだという考え方は今或る程度薄れておると思うのです。時期が悪いから多少延びても止むを得ない。ところが造船所のほうはもうすでに期待しておつたのが外れて更にびくびくになることが堪えられない。けれども金融の方面からはそれは頗る至難な状態、そうしていわゆる合理化ということを申されて、そうして合理化をお進めになつても、合理化というのがなかなか一朝一夕に行きはしない。これは合理化というやつは二進も三進も行かなくなつてどうにも経営ができないか、お互いに意気相投合するか、どつちかだ。なかなか合理化は言うべくして行われないのが私は今日の実情だと思います。だからこの予算はすでに今月中に成立する形になつておるし、それから開発銀行の投資金額などもおよそ決定されてしまう。併し市中銀行は、すでに私はこの前も申しておる通りに、難色を示しておる。難色を示すほうが当然である。ここでそれから毎年こういうあらゆる忌わしいと考えられるいろいろな問題があつた以上は、これはどうしても改める必要もあるでしようし、それから私はここではつきり言つておきたいことは、極端なことを言うと海運の政策は羊頭を掲げて狗肉を売るきらいがある。船という問題は非常に気の毒な目に会つておるけれども、船は何も船に生命が、船は生き物じやない。船は一つの物なんです。かわいそうな目に会つたのは船に所有権を持つた人がかわいそうな目に会つている。その業務に従事しておつた人間である。従つてそれに対して国家が二十六億の補償金を打切つた。それがためにひどい目に会つて、これを何とかしなければならんということは、二十六億の補償金を打切られた人間になり、それの権利者に対して考慮を払うべきが私は当然であつたと思うのです。そうして一〇〇%補償をやつたら、それは船会社だけに問題になつて、他に補償を打切られたヶ—スは幾らでもあるのですから、それは又それとの均衡があるのですから、或る程度私はその補償打切られたものとの見合いで、今日の計画造船なり何なりが割当てられておつたならば、私は世間はこんなに騒がないであろうと思う。ところがそれとは何も関連なく、ただ船ということで、そうして計画の募集なり或いは割当の方針が、いろいろな紆余曲折はあるにしましても、全然関係がなかつたり、新らしく起つて来た人に対して、いろいろな割当その他が行われておつて、そうして一方には計画造船で計画船をやかましく言われるのに、前に定期船の経験を持つたことが全然ない人間に定期船の割当が行つて、郵、商船のごときは、自分で定期の配船は人の船を借りてやつておるような状態です。そこでいろいろな問題が起るだろうと思うのです。だから定期船を選考するならば、郵、商船に私は厚くしても世間はそれほどやかましくはなかつたじやないか。戦前に、全然定期船に関係のなかつた人間に定期船を当てがつて、而もそれは自分では運航はできないのだから、だから人に委託してやる、郵、商船が又それを借りてやつておるというようなところにいろいろな問題が起る種があつたのではないか。だから世間でも問題にしておりますが、このどさくさまぎれに、この恩典にあずかろうと運動することはこれは勝手ですけれども、政府の方針が確固たる私は方針を欠いていることは、今日の運輸大臣にこれを私は申上げるのじやない。いわゆる過去の造船政策が、或いは計画造船なり、海運政策が先ほどのような船に気の毒じやない、船会社に気の毒だというようなことからスタ—トしている。そういうことです。それと見方が著しく変つておつたところへ私は問題の根源があるのじやなかろうか。私はこれは当面の今日の運輸大臣が一番気の毒な立場におかれている。そうしてこの難関にぶつかつている運輸大臣はまだ最後の肚はきまつておりますまいと思うけれども、併しきめなければならない段階に来ている。どうしても私は郵、商船なり、前の大東亜戦争に突入する前、或いはその間においても相当なステータスが、過去の実績があるはずです。それらを尊重した方向で私はやらるべきであつたのが、そう行かなかつたところに問題があつたと思う。それから現在私が聞くところによれば、殆んど既存の今まで計画の割当を受けたりなどしている船会社で担保力もなく、余力があるものは殆んどない。郵、商船にしても、或いは三井にしても、多少の担保はあつても、それは資材その他でそれらの新らしい計画に出す担保力は殆んど幾何もない。郵、商船は多少ビルヂングの残つたのや何かあるからして多少あるかも知れないが、そういうふうに私は聞いている。むしろこれは前から私も言つているけれども、何とかここで考えて、担保のないものに貸すわけにも行くまいから、むしろ国が船を造つて、それを裸傭船するなり、最も無難な方法で船は最小限度造る。これも私は三十万、四十万トン造る必要も、今日の情勢では一年くらい大したことではありませんが、造船所としては気の毒かも知れませんが、海運会社としては私はそうだと思う。その点に対して何か新聞雑誌での発表、或いは開発銀行の総裁、或いは海運界の長老に会われている運輸大臣として一応どういうお考えに大体固りつつあるのか、承わつて今日の私の質問はそれにとどめたい。
○国務大臣(石井光次郎君) 第十次造船が目の前に予算の通過を控えておりまして決定をしなければならない段階に来ているのは御承知の通りです。本年は昨年よりもいろいろな問題のために進行がひどく遅れているわけでございます。情勢もそのためにいろいろ変つて参りまして、予算の立てる時分の考え方と、又来年度の財界の見通しというようなもの等の相当変化もそこに織込まれることになりましたので、年年までは船を造るという問題になりますと、いろいろ意見はありまして金融業者、造船業者、海運業者、みんな一致した方向に、造船という方向に向いておつたんでありますが、今日まで私がいろいろな面に当つたところの空気から見ますと、造船を大いにやつてもらわなくちやならん、急いでもらわなくちやならんというのは造船所と造船所の従業員の人たちの方だけでございます。海運業者は、今一松君のお話の通りに、二の足を踏んでもう少し見送りという状態であります。銀行に至りますと、昨年の暮頃は担保力をもう少し増すような方法を講じてもらいたいとか、或いは自分たちの融資の率をもう少し少くしてもらいだいとかいう程度でありましたが、この頃になりますと、もう来年度には金がなくなつて来る。すべてを押えられてしまうのだから、造船のほうに出す金がない。だからどうか勘弁してもらいたいというような空気が非常に濃厚になつて参つているわけでございます。どういうふうにしたらいいか。さつきちよつとストツク・ボ—ト等の話も出まして、どこもないならば、担保力云々というようなことで、銀行方面からの、市中銀行の融資ということが見込がないならば、政府がストツク・ボート式にこしらえる。そうして適当なところに増船するというようなことも考えるべきじやないかというような意見も、この参議院の予算委員会に発表され意見を述べられたことがあるのでございます。私どもは百八十五億を初め予算計上しました。まだその後の予算の変更で多少そこが又それよりも食い込むと思うのです。それはまだ決定いたしておりませんが、そういたしますると、いずれにいたしましても、非常に少い量しかできないということで、そこヘストツク・ボ—トで全額政府が持つということになりますと、又造つて行きまする船のトン数が減るということになりますので、できれば何とかして市中の資金を幾らでも集めて船の量を殖やしたいというような心持でまだおるわけでございます。併しそれにはまだ今合理化、造船所、或いは海運界の合理化というような問題もいろいろ言う人もあるが、今すぐにと言つて、なかなか十次造船の前にということは実際上困難ではないかというお話がありますが、私も今十次造船が整理統合というようなことを前提としてやるということになりますれば、なかなかここ三月や半年の問題では解決ができないと思うのであります。で、その心持を含みながら、或いはそういうふうな点を何かで出して、そうして十次造船をその線に沿いながら計画をして行くということが実際上の解決の方法になるかと思うのでありますが、まあそれにつきましては先ず、もう政府の部内としては一応の方針は今まで通りできまつておるように言わなくちやならんわけでありまするが、この際もう一遍日本の海運政策というものを、世界の今日の情勢、日本の今の情勢、それから見通しての、二十九年度だけでなく三十年度以後というものが、仮に今のように銀行融資というもの、又開銀の貸し方、或いは方法にいたしましても、もう今年は、二十九年度は何とか仮にやつて行けても三十年度には担保力というものは恐らくゼロになるであろう。そのときにどうするかというような見通しも今からつけて案を考えておかなければ、まあともかく来年度のことだけだということだけでは済まないと、こういうふうに思いますので、実は経済閣僚の間でいろいろな方面から検討してもらうように今話をいたしておりますが、どうも関係者があつちこつちで引張り廻わされていますものですから、寄る時間がないので、昨日も今朝も話したのでありますが、そういうようなことでこんなことも考えながらいろいろやつて行きたいと思います。先ほど実は衆議院のほうで社会党の方々が労務者の諸君と一緒に見えまして、是非汚職問題は汚職問題、造船は造船とはつきり区別をして予算が通ることであるから、これを如何にうまくやつて行くかという問題について皆で協力すべきものだと思うし、各党の間に話をしてそれをバツク・アツプしたいというようなお話等もあつたのでございますが、それで急いで何とか十次の方策を立てる、その前に今いつたような目先の、二十九年度だけでない問題も話合つて、そのほかの方面の人たちとも打合せをよくしたいと思つております。皆さん方のほうでこの問題につきましてこうしたらどうだというような建設的な御意見をお出し願えれば、今日でなくてもいつでもお聞かせ願いますれば、喜んで承わりたいと思つております。
○一松政二君 私はもう運輸大臣に対する質問は、今日はこれで結構でございます。
○大倉精一君 ちよつと速記をとめて下さい。
○委員長(前田穰君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(前田穰君) 速記を始めて。じやあ一松君。
○一松政二君 ニユ—ヨ—ク航路のことで伺いたいのですが、最近まあ日本の汽船会社のほうでやはり協定して運賃、まあ今まで乱暴をやつていたのをやめて、五割上げにするというようなことが新聞に出ておつたわけですが、その以前にですね、つまりフイリピンの砂糖が出始めたら相当船舶が塞がるんで、そうして日本の輸出業者がその積み残されを非常に問題にしておつたような新聞記事を拝見したのですが、私はさもありなんという気がしたわけですが、そういうことが事実あつたかどうか。一つ海運局長御存じだと思うが、一応御説明承わりたいと思います。
○政府委員(岡田修一君) 最近フイリピンの砂糖が出廻りまして、まあニユーヨーク航路の船がフイリピンの砂糖を取つて日本に帰つてニユーヨークに行く場合の容積が非常に少い。従つてアメリカ向けの雑貨が或る程度、船積ができないで滞貨になりつつあるというのは事実でございます。どの程度の量になつておるかはつきりいたしませんが、先日も輸出業者の組合の運賃委員会の方々が、私どもの所へお見えになりまして、海運業者のほうに、そのような事態の起らないように十分話をしてもらいたい、こういう要請がありまして私どもの担当課長から海運業者にその旨を伝え、なお事態によつては海運業者と輸出業者の間の会合を運輸省で取りもつて、輸送に支障のないような方面に持つて行きたい、かように考えております。
○一松政二君 まあ現金なのは日本の船会社、世界の船会社であるか知らないが、荷物のないときには拝む奉るで、割引でも何でもして、めちやくちやに競争してやつているが、どこかに荷物があつたりすると、もうあくる日は見向きもしない。これは海運会社が、まあ海運とか船会社が過去にとつて来た態度ですが、これは私は船としては、そういう俗に言えば巾着切りのようなやり方をすることが、これは過去においては、しばしば私も自分自身としても経験しておることですが、そういう状態なのです。ところが、今次の日本の船会社は国家から、まあ船会社に言わせればまだ文句はあるかも知れませんが、日本の普通の常識から言えば、日本産業界全般に従事した、或いは日本人全体としては船会社に手厚過ぎやしないかというくらい一応の保護の態勢が整つて、そうして利子の補給も受ける、損失の補償も受けながら、少しどこかに契約の荷物があつて、少し調子がよくなると、今度は日本の雑貨の船積みを心配させなければならんような行き方は、保護と甚だ矛盾すると思うのです。で、そういうことがあつては、船会社は日本の国際海運の健全なる発達を助長するというのが、それがまあ船舶建造調整法の建前だけれども、日本全体の経済から言えば、むずかしい問題があるにしても、外貨の獲得だとか日本の財界、経済界に寄与するゆえんで一応保護をするということになつておる以上は、日本人の商売に私は差支えが起る。或いは虚虚然と運賃を上げる。或いは予告期間を作つて、その商売に差支えないようになつておれば結構です。或いはその予告期間もあるでしようが、併しフイリピンの砂糖は、これがまあ定期的に毎年動くのだけれども、それができたから、日本の貿易業者に心配させるようなことは、私は今日の船会社としてはどうかと思うのです。ところが、まあどうかと思うようなことをするのが船会社なんだ。飽くまで現金なのです。それで、まあこれは局長も一部同感だろうと思うのだけれども、それは併し、若し果してそういうことであれば、これは国としましても一応は考えるべき事柄であると私は思うのです。この輸出不振をかこつ現在において、而も国家から相当の保護を受けている船会社が、日本の貿易業者の、これは貿易業者の我がままな考え方ならばこれは別問題です。ただ一般的に言つて、公示された運賃なり、それをもとにして商売しているのですから、それに支障のないような方向に、これは海運局としても重大な責任があると思う。だからそういう点に貿易業者の方の肩を持つわけじやありませんが、ただ日本の貿易を支障なからしむるために……、船会社は営利主義が非常に甚だしい。どこかにいい品物があれば、昨日までわいわい言つておつても、まだ契約が成立していないのだからと言つて、いいほうに行つてしまつて、少し割の悪いやつには見向きもしないのです。過去においてもそういうことがあるんですが、併し自由に船会社が独立して、自分のそろばんにおいて、自分の資金においてやればそれでいい。あとは道徳問題だけになるのだけれども、今日はそういうことを許されない。その点に関して海運局長はどう考えますか。
○政府委員(岡田修一君) 貿易業者の言つておられるのが、どの程度に実際の輸出に支障を与えているのか、これは十分調査いたしたいと考えますが、私の考え方としては、いやしくも輸出に支障を与えることのないように十分の処置をしたい。只今一松先生から海運業者は不届なやつだというお言葉、私、誠にその通りだと思います。同時にですね、今日におきましては、貿易業者も非常に不届な方が多いと思う。これは御承知の通り、今日の運賃はその両端の積上げの費用を償い得ないほど安い運賃で持つて来る。なぜそういうふうになつたかというと、これはやはり貿易業者に叩かれるわけですね。日本船と外国船と比べて、外国船がちよつと安い場合に、皆外国を利用して、日本船は荷物がないものだから、更にそれを又下げると言つてどん底まで下げる。その結果、日本のニユーヨーク航路は一航海償却を入れれば二千万円近い赤字を出している。けしからん経営をしてるじやないかというお叱りを受けている。フイリピンの砂糖も余りいい運賃じやないのですが、これでも非常に大きな赤字である。併し現在の安い雑貨を取るより、多少そのほうが運航費を償つて余りあるというので、そちらへ廻つている。従つてこの間輸出業者が見えた折に、結局こういう事態になるのは、輸出業者が余り日本船を叩き過ぎるからじやないかと、叩いて叩いてそのどん底まで叩いたものだから、日本の業者としては、止むを得ず少しでもいい運賃のほうへ逃げざるを得ない。一方において先ほど言つたような非難も受けていることだしと、こういう話をした。従つてその貿易業者も、それから日本の海運業者も、同じ日本船だから、そこは相見互いに話合つて、お互いに困つているところは補つて行くというふうな気持で、手を握つてやつてもらえないものだろうかと、まあこういうことを話したような次第でございまして、これは船会社より、貿易業者のほうがよりまとまりにくいのですね。昔のように三井、三菱とか大きな商社がありますと、それと船会社の間で話をして、一定の安定した運賃でやる、ところが小さい輸出業者がたくさんおられて、品物の値段では競争できない、船の運賃を叩いて、そこで競争をするというのが今日の貿易業者の現状なんです。従つて私は、船会社が競争してけしからんとおつしやいますけれども、こういう状態に追込んだのは貿易業者だという考えを持つているのですね。従つてこれは貿易業者のほうも十分考えて頂いて、船会社と助け合つて、日本の海運も伸び、貿易も伸びるように努力して頂く。又我々関係官庁もその間を斡旋すべきじやないかと、で、貿易業者の話では、やはりニューヨーク航路その他の外国航路の運賃が、まあ船会社が殆んどただで運んでいるような状態であるがために、相当貿易が伸びている、これはもう事実そうだ、こういうことを言つておられる。ですから私、ほかの機会でもよく言うのですが、海運業者が赤字で苦しんでいるということは、日本のほかの産業、特に輸出産業に対して、非常な貢献をしているのだ。この点を見逃して、海運業者ばかり非難されるのは間違つているのじやないかということを攻撃しているのですが、私は事実その通りだと思うのです。で、海運業者の不届な点は、私、海運行政を二十年間やつて十分身にしみて知つておりますし、一松先生から今までたびたびお叱りを受けておることは同感なんです。この点につきまして十分私は今後においても戒告をいたしたいと思う。又責任感のないことにつきましては、品をきわめて警告を発して来ておるのですが、先生のお叱りを今後受けることのないように十分介意いたしたいと思います。
○一松政二君 私も過去における船会社が国家の保護が何もないときには、それはそれでいい、ところが輸出業者は優先外貨とか何とか多少のことはあるけれども、船会社ほど何も恩典を受けていない。これは血みどろな競争なんです。お互いにせいでもいいと思うような競争をやつて、お互いに迷惑なことをやつておるのは、日本国民全部が国内でも国外でもやつている、何とかならんかと思いながら何とかならずに押し流されて行つているのが日本の現状だと思うのですが、ただ私が心配するのは、船積みが遅れたりすることが場合によるとキャンセルの原因になつたり、ただ運賃の違いだけでなくて、そういう支障が起るような危険があればこれは問題だと思う。フイリピンの砂糖の運賃が幾らでも安ければ、或いは多少運賃を上げて取つて行けばそれでいいわけだし、貿易に支障の起らんように、その貿易商社が叩くと言われているのも、これは安くしそうな形勢があれば、これは叩くというのはもう本当に商売の常道です。鶏が先か卵が先かという議論と同じで、儲けるやつがいなければ叩くやつもない、叩きもしなければ何もしないのだけれども、儲けそうなやつがあれば叩く、ほかのやつが叩かれそうだから、自分も叩かれたまま自分もそれをくぐつて行つて生延びているのが今日の状態ですから、それは一概に非難もできないのですが、まあ大きな声じや工合が悪いかも知れませんが、さして差障りもなかろうが、フイリピンの砂糖なんかは日本人がやつている商売じやないんだ、外国の、フイリピンのものだ、日本の船は日本のなけなしの財布をはたいてやつているんだから、やはり同じことなんですよ、或いは多少のことなら日本のやはり荷物を先に運んで、その余力でうまい味のいいものがあればそつちを食べて頂きたいわけなんです。そういう気がするので、そういう観点から私はやはり貿易業者も一部の責任はあるでしよう。併しそれは卵と鶏と同じで叩くほうが悪いのか叩かれるほうが悪いのか、それは何ともにわかに断じがたしだ。売ろうと思うやつがあるので買手があるというわけだから、それは一概に言えないが、要は貿易の建前をできるだけ崩さないように日本の船も協力してもらうという方面に私は尽力してもらいたい。今日はそれだけ注文申上げて私の質問を打切ります。
○大倉精一君 それじや定点観測に関する件について、気象台長から主として技術面について若干お伺いしたいと思います。 先ず気象台関係は、今度百二十六名の人員整理を行なつておるのですが、今まで大体こういうような人員はいわゆる余つた人員であつたのかどうか。恐らく余つた人員じやなかろうと思うのですが、こういう人員の整理によつて仕事をやはり切り落さなければならないと思うのですが、どういう方面の仕事を切り落されたか、こういう点について……。
○説明員(和達清夫君) このたびの行政整理におきまして少くなりました人員は極力管理的業務の能率を増進することによつて補おうと思います。
○大倉精一君 それでこの人員整理によつて、今後の気象台業務には相当大きな影響があるだろうと思うのですが、こういう点についてはどうなんですか。
○説明員(和達清夫君) 気象台は従来から人員の不足を訴えておりましたので、今度の整理はさほどの人数ではございませんけれども、非常に業務に困難を加えたことは事実であります。今回の行政整理によつてそれほど事務に支障を来たさないように、何とか事務の能率向上を図ることによりまして切り抜けようと存じます。
○大倉精一君 これは前にもいろいろ質疑応答がなされたそうですが、今までの行政整理においても相当大きなしわがこういう気象台関係というようないわゆる政治力の少い所へしわ寄せられて来ておつた、これはもう数字が証明するのですが、この点については、この委員会においても気象業務の強化については、将来留意すべきだというような意味の決議もなされておると記憶しております。従つて百二十六名という数云々というよりも、私はこの方針が非常に問題になると思うのです。従つて私はこの百二十六名の人員整理によつて、今までにしわ寄せされておるところの気象台の業務というものが、更に仕事の面において相当窮屈になつて来て、万全の仕事ができないという結果になるということは明らかだと思うのです。これは仕事のやり方その他によつていわゆる支障の起きないように考慮したいというのですが、それは一つの作文だと思う。そういう器用なことはできないと思うのです。特に今日聞くところによると、相当気象台の業務が過重のために、非常に病欠者が殖えて来て、殊に胸部疾患が多いと思いますが、この点の事実につきまして一つお伺いいたしたいと思います。
○説明員(和達清夫君) 只今仰せの通り、気象台の業務は現業が多く、昼夜分かたぬために、事実において胸部疾患の患者を相当の数出しておりまして、これを長期に療養せしめるために、ただにさえ定員の不足をかこつておるのに、更にそれを加えておるところに非常に我々の仕事に困難を加えております。ただ今回の整理だけについて申上げますれば、百二十六名の整理でありますが、この整理をいたすときに、定点観測関係の仕事が若干少くなつておりますので、その点はこの数だけから来るところの人員に対する業務の困難ということは多少緩和されると思います。
○大倉精一君 これは誤解されるといけませんが、今申上げておることは、さつき言つたように百二十六名という数字そのものを私は問題にするのでなくて、方針そのものを問題にするわけで、ただ今の御答弁によつて、定点観測業務関係だと言われておりますけれども、そのことは、やはりこの定点観測を私どもが主張するのは、やはり一部のものに人員整理を伴うから大倉はこれに熱心だというようなことがあるのですが、私はそういう問題とは別に定点観測については又論議をしたいと思うのですが、私の聞くところによるというと、大体この胸部疾患というのは全国で一三%程度と聞いております。そうしてみるというと、今の定員というものがやはりこの一三%より少い実質的な人員によつて運営されておる。これが非常に仕事の過重になつて更に又疾患が殖える、こういう状態になつておるようですが、この点については、私は答弁を求めるよりも資料を一つ出してもらいたいと思います。胸部疾患の状況に関する資料を一つ出してもらいたいと思います。 次にお伺いしたいことは、軍隊と気象との関係をお伺いしたいのですが、過去においても軍隊と気象というものは非常に密接な関係があつて、不離不可分なものだということは、これは言うまでもないのですが、今回御承知のように自衛隊という軍隊ができるわけなんです。自衛隊という軍隊ができると、この軍隊によつてもやはり気象等は全然関係がないということは言えなくて、むしろこの軍隊が膨れ上れば膨れ上るだけに仕事の関係というものと気象台とは密接になるということは、やはり中央気象台と自衛隊というものとの関係というものも相当密着して来ると思うのですが、その点について大臣がおられれば、大臣に方針をお伺いしたいと思つておつたのですが、台長としてお答えできる範囲で、どういうような状況になつて行くのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
○説明員(和達清夫君) 自衛隊は、自分に必要な気象の組織といいますか、そういうものを必ず持つと私は思つております。気象台は自衛隊法案によりましても協力を求められたときは特別の支障のない限りそれに協力しなければならないという条項があります。で、私は自衛隊が自身で行なつて、それは気象台の仕事と全く違う自衛隊本来のものというものは、どうしても自衛隊が持つことが当然だと思います。気象の仕事は必ずしも自分で皆やるのでなくて、今中央気象台系統がやつておりますところの広い気象組織、そういうものを二重に自衛隊が持つということは、国としても非常に不経済であると存じておりまして、自衛隊本来の仕事でないものにつきましては、極力気象台のものを使う、そうして必要に応じて多少の増強を必要とするならば、今の気象台の組織を増強さしたらよかろうと私は考えております。
○大倉精一君 これはもう少し詳しくその事情について知りたいのですけれども、台長にお伺いすることはちよつと無理だと思います。ただ併しながらやはり自隊衛が充実して来れば来るほど気象台に対するところの協力関係というものは、これは大きくなつて来ると思う。その場合に気象台関係が協力を求められた場合に、これに万全の態勢で応ずるというほどに現在の人員をもつと殖やさなければ私はやつて行けないと思うが、そういう点についてはどうですか。
○説明員(和達清夫君) 現在自衛隊法案というものは、先ほど申上げましたように、そういう抽象的なことにおいて協力ということが述べられております。その内容におきましては、只今仰せのように、予算人員等を伴うものが必ず出て来ると思う次第であります。そういう点につきましては、別に協定をいたしまして、そうして協力をいたさなければならないと存じておりまして、目下如何なる協定を結ぶかということは、運輸省を通じまして取運びをすると存じております。
○大倉精一君 これは一見何でもないようですが、併し非常に重要な問題だと思うのです。この問題がやはり定点観測の廃止と同じような恰好で、自衛隊というものがいわゆる軍隊というものに変つて、そうして国土防衛とか、そして侵略軍に対する防衛だとかいう任務ができて来れば、これは昔の軍隊と同じで、輸送機関も或いは気象業務も優先的にこれに協力を強要されると思うのです。従つて協定を結ぶと言われるけれども、やはり協定は一方的な協定に終る公算が非常に多い。そこでやはり相当の予算なり人員なりを確保しなければ、私は民生協力という方面が非常におろそかになつて、ここにそういう大きな一つの問題が出て来るのじやないか。片一方では定点観測が廃止になり、その一方ではいわゆる自衛隊の協力を大幅に要請されるとすれば、民生協力というほうが削られると思う。犠牲にならざるを得ないという恰好になつて来ると私は考えております。その点はどうですか。
○説明員(和達清夫君) 只今申上げました法律の協力というのは、予算に関係あるときはそれを含まないということになつておりますので、そういう場合は今のところは生じないと存じております。併し業務の増加するということは当然考えられることであります。私は自衛隊のほうがどういうな計画でいろいろ今後、おやりになるかということは存じませんので、今日ここで何とも申上げることができませんが、過去の気象の仕事というものは、軍と気象台との間に阻まれたことから思いますと、あのような陸軍、海軍、気象台というように、分立してそれぞれが気象業務を持つというような形体は、今後は考えなければならないのじやないかと思つております。
○大倉精一君 ここでも私は非常に憂慮するのですが、さつき申しましたような方針ですね、方針なり動向ということを言うのですが、従来の例から見ましても、必要以上に人員整理或いはその他の面について気象台関係のものについて、どんどんしわ寄せられて来る。現在もすでに水理気象とか水害対策という新規事業がきめられている。当然こういうような新規事業が増加すれば、それに要する人員増加というものになりますから、仕事だけどんどん増加されて行くのだが、人員というものは我慢せい、予算の範囲内でということで、これがますます自衛隊の増強ということから多くなつて来る。これが私は定点観測を削るということについて非常に反対する一つの理由でもあるのですが、次から次へいわゆる勢力の弱さにつけ込まれて、気象台業務というものが削つて行かれるという点について、気象台長さんを中心にして、気象業務関係の強化というものに更に積極的に努力をされなければならんと思いますが、この点はどうですか。
○説明員(和達清夫君) 只今の誠に御理解のあるお言葉で感謝に堪えない次第であります。又我々が今まで努力がその方面に足りなかつた点については反省をいたしたいと思う次第でありますが、私どもは気象台のような仕事は結局実績を上げて、その成績によつてよけいその仕事の価値が認められるということにおいて発展すべきものだと思う。その信条で参つておつたのでありまして、今後もそういうふうにして本当に役に立つ気象台ということの認識において仰せの積極的強化の点を打出したいと思つております。
○大倉精一君 まあ非常に良心的な御答弁ですが、気象業務というものを認められるということを先決にしてこの強化を図つて行きたいというお話なんですが、ところが私は認められるということは、これは待つべきものではないと思うのです。これは認めさせなければならない。特に気象台というもののこの効果というもの、或いは効力というものは、この前申上げましたように、或る事業ができたり、或いは或るものが廃止されたという場合、すぐその次からその効果なり或いは効力なり或いはその害なりというものが現われて来るものじやないと私は思う。従つて気象台業務に関連するところの効果の認識、或いは行動の認識というものは相当積極的に認めさせなければならん。いわゆる認められるということはいわゆる待つあるを恃むということではなくして、積極的に認めさせて行く、そして又そういう強化のために気象台みずからがやはり努力をしなければならん、そういうようなことから私は今回の行政整理については、これはほかの省の関係も同様なんですけれども、これは全く現地事情なり、或いはその事業の実態というものを認識しないいわゆる天引整理のように考えられるのです。従つてこの気象は特に気象業務の関係の人員整理については、今二、三御答弁頂きましたような点からいつても再検討の要があると私は思うので、従つてこれは気象台長からも再検討の方向に向つて努力されなければならんと思うのです。で、このまま行つたら気象台業務というものはだんだん細る一方だというような感じがするのです。そのような今度の人員整理というようなことについては、これも政府の気象台業務に関する認識不足から来ておるので、こういう点からもやはり人員整理ということについては再検討するというような熱意がなければならんと思うのですが、その点どうですか。
○説明員(和達清夫君) 只今の御激励によりまして非常に心強いものを感じます。私どももこういう仕事はどこに役に立つたかということが非常に認識されにくい仕事でありますので、時に応じてそれを申してそして積極的にやつて来て参つたつもりでございますけれども、御指摘のようになお不十分であつた点もあるかと存ぜられますので、そういうような御理解があるお言葉を伺いますとますます力が出ますので、今後もその線に沿つて大いに努力したいと思つております。
○大倉精一君 この点はこれ以上気象台長さんに求めるのもどうかと思うので、私は大臣等も参りますのでいろいろ又質問したいと思つております。 次に参考のために伺いたいのですが、現在のビキニ環礁の例の原爆の問題が非常に大きな問題になつて来ているのですが、これは私ども当然素人では詳しいことはわかりませんが、新聞その他によれば相当遠距離にまでこの灰というものが、放射能を持つた灰が送られて来る。話によればソ連で行なつたところの原爆の灰も日本に降つて来ておるというようなデマが飛んでいるという、デマか何かわからないが、聞いております。で、こういうことについて気象台業務と、こういう原爆の放射能を持つ灰という問題ですね。こういう問題についてちよつと一つ参考のために専門家からお話をお聞きしたい。
○説明員(和達清夫君) 原爆の灰が今回百何十キロかの離れております漁船に飛んで来ましたことによつて、上層の風というものが非常に問題になつて参りました。現在の気象台としては、上層が気象の主になつておりまして、特に上層の風というものは各国でこの観測をいたしております。それによりまして、毎日の上層の天気図というものを見ますれば、たとえこの灰が上空に生じたといたしましても、それが何時間たつてどちらへ流れて行つたということはわかるわけであります。ただこの灰の量が、これは灰の大きさによつて違いますけれども、どういう濃さでどういうふうな拡がりに分布するというようなことは、今後もまだ多少研究すべき余地も残つておりまするけれども、我が国はたくさんの活火山がございまして、過去におきまして大爆発の灰が広く国内に撤布されたことがしばしばございまして、そういうことを見当をつけることにはたくさんの実例を持つておる次第であります。例えば浅間山に大爆発がございますと、風向によつては東京都内でも相当の降灰がありますことは御承知の通りでございます。そういう或いは強い流れによりますれば相当遠くまで、まあ普通の状況で考えるより遠く流れて行つて降るのでございます。非常に細かい灰になりますと、高い空を非常に長い期間浮遊いたします。それらは灰の大きさと気象状態によりますので、実際に爆弾の灰が降るというような問題は、どの濃さに降ればどういう影響があるかという問題と関連して来るものと思います。
○大倉精一君 そうしますとやはり今後こういうような爆弾の実験がちよいちよい行われるということになれば、或いは又、戦争が起らないとも断言できない。こういう爆弾を使う戦争が起らないとも断言できない。地球のどこかの一角にこういうことがちよいちよいあると仮定すれば、観測におきましてはますます有機的に関連するので、有機的な関連を持たせた観測をするということが非常に重要になつて来ると思う。而も長期に亘るところの資料の収集というものは相当重要な問題になつて来ると思うのですが、そういう点については。
○説明員(和達清夫君) 先ほど申上げましたように、高い所の個所の観測ということは気象で重要でありますので、各国ともこれは一日二回とか四回とかできるだけ多くの場所で行なつております。日本におきましても十ヵ所くらいでそれを行つておりまして、そういうものを世界中のものを総合いたしますれば、観測所の非常に少い場所でない限りは、その灰はどちらへどういうふうに流れたということはわかる次第であります。で、仰せのように、今後の気象界は上層観測がますます重要になつて参りますので、日本のように細長い恰好をしているところの国は、国の面積に比して非常にたくさんのそういう観測所を持たなければならないようになつて参ります。現在のような観測所の数は、私は更にそういう原爆の灰の流れだけでなく、我が国の気象学にとつても、もつと必要であると思つております。
○大倉精一君 こういうような状況になつて来ると、大洋を航行する船舶乃至は飛行機に対する通行のために相当長期の予報というものを出し、併せて例えば今度のようにビキニで以てああいう原爆の実験が行われる、いついつかに落されると言つたような場合には、この地点を航行する船舶は原爆の灰に注意をしろというような予報も出さなくてはならんというような事態が想定されるのですが、これはどうですか。
○説明員(和達清夫君) 原爆の種類、日にち、場所というものが我々に知らされれば、勿論気象台はそれをいたさなければならんと思います。
○大倉精一君 そうすれば天気予報というものもますますそういう意義を持つものになつて来ると考えられるわけですが、まあ原爆実験というものはこれはやめてもらうのが第一だと思うけれども、併しながらなかなかやめろと言つてもうんという相手じやないのですから、やはりやると思います。やるのならば、併しこの気象予報についての新らしい意義を以てますます積極的な活動をしなければならんし、定点測候所を廃止するどころか、むしろ不足の点を増加するというような恰好に行かなければ、とても安心してこれからやつて行けないと思います。まあ私はそう考えるのですが、やはり台長さんも御同感ですか、そういう点……。
○説明員(和達清夫君) 全く仰せの通り私もそう思う次第であります。
○大倉精一君 まあ今日はこれでやめます。
○重盛壽治君 ちよつと関連して、折角来ているので……。これはもう少し明らかにされて、どこから何名割当というか、そのことがきまつているのではないかと思う。百二十六人という気象台関係の人員整理というか、こういうものは例えば地方の気象台にも及ぶのですか、それとも本庁中心ですか。言い換えれば、私昨年の夏だと記憶しているが、長野から新潟方面、北陸方面へ行つたのですが、こういう方面の気象台の実態を見ると、一名減らしても実際の気象観測は困難だというようなことを見て来たのですが、そういう地方にまで波及して行きますかどうですか。
○説明員(北村純一君) 少し詳細の数に亘るかと思いますので、私から詳細申上げます。
○重盛壽治君 簡単に……。
○説明員(北村純一君) 先ほど台長から申上げましたように、今回の行政整理は昭和三十年度にかけまして百二十六名ということになつておりますが、それとまあ引当てというわけじやございませんが、丁度それに殆んど相当いたします百二十三名という定点業務で計算上落ちます定員がございまして、その定員を、気象台の現業業務の困難性というふうなものをいろいろと御説明申上げまして御了解を得た結果、大体百二十三名は百二十六名の内訳で御計算願うというような御了解を得ておりますので、そういうような関係で行政整理の計数上だけの説明から行きますと、確かに先ほど御指摘の通りそういう方針が余りよくないのではないかということになるのでございますが、実態上では現業業務のほうに大した影響を及ぼさないような方法でこの措置ができるような大体の趨向になつております。それでお話のように地方の測候所の定員が現在やつております業務に対しまして幾分稀薄になつているということはいろいろ痛感しておりますが、今後におきましてこの計数を実際に各管署に割当てるとかというふうな場合におきましては、慎重に考慮して、そういう弊害が生じないようにやつて行きたいと思つております。
○重盛壽治君 それではまあ大変結構ですが、私どもが専門家ではありませんが、見て参りました感じから申しますと、まあ非常に重要な仕事なんですね。その重要な仕事を政府がそれだけに見ているかというとそうでない。それに対する実際の権限といいますか、人員の配置の問題、或いは機械の購入の問題は、やはり台長が中心でおやりになるように聞いているのだが、その場合今大倉委員から言われましたが、実際この気象台関係の人員の問題ばかりでなく、機械の整備というようなことも力を入れなきやいかんのじやないか。いわゆる実績云々ということじやない、実績というものは、専門家が見て初めてわかる実績であつて、この実績を知らしめるには非常な困難性があるわけです。大臣なり或いはその関係方面の人も、地方の気象台に行つて見て来ればこれじやいかんという感じを必ず私は起すと思う。今現に民間の協力を得たり、或いはすでに長野県あたりに先ほど言われた特別の観測所を作らなければならんぐらいな状態になつているのに、それから更に人を減らすというようなことであつては、これはもう県なんかの協力を得て、現在でも気象台の予算だけではやれないで県の協力、或いは地方の篤志家の協力を得てやつているというのが気象台の実情だと思うのですが、こういう点は実際おわかりになつておるかどうか。それから機械化の点ではもう一歩前進してもらわなければならんような点があると思うが、こういう点は今年の予算の中に盛られておるのかどうか、この際ちよつとお聞きして置きたいと思います。
○説明員(和達清夫君) 仰せの通り気象台は先ほど申しましたように、人員も不足しておりますので、地方の職員にも非常に苦労をして働いてもらつておるわけでありまして、又一方施設のほうも日進月歩のこの機械に追いついて行くのに甚だ不十分な点は否めない。又私どももできるだけそういう点につき努力をいたしまして、又先ほどから、実績を示すのは遅いじやないかという仰せでありますが、勿論その通りでありますが、ともかく気象台も八十年という歴史を持つておるので、その間いろいろに発展をして参りました。特に予報、長期予報というようなものは本当にこれが確率よく当る、的中するというようなことにおいて世間の信頼を得たいという意味において申上げたのでございまして、勿論私どもは安閑として世間の認識が発生するまで待つておるというつもりではございません。ともかくもいろいろ見て頂きまして御注意を頂きまして、誠に私どもは理解深きお言葉に感謝いたす次第で、この線に沿つて今後努力いたしたいと思います。
○重盛壽治君 私のは今実績が遅いということでなくて、実績というのは示しにくい仕事だということなんですけれども、もう少し機械化され、そうして人員がよりむしろ拡充されておつたならば、例えば昨年の大風水害のような場合、特に霜害のようなものは相当程度避けられたのじやないか。これは気象台の機械或いは人員の不足のために非常な無理な仕事をしておる。もつと言うと、いわゆる相当労働強化をやつておる。ああいう状態ではやはり完全な天気予報は出せない、或いは気象の観測もできないというようなところに追込まれておつて、これは人を減らすどころでなくて、私どもが廻つた埓内においては、是非とも今度は一つ何名でも殖やしてもらう、そうして気象の観測の力を殖やして頂きたいという要請があつて、特にそのときに、これは誰が言うたということではないのだが、気象台長さんは学者だ、従つて人員整理の問題云々ということになるとなかなか言いにくかろうから、国会でも一つ是非そういうことはやつて欲しいという要請があつたのだが、勿論学者も結構であるのだが、この実態というものに対しては、少しつかんでおることだけは事実なんだが、私は遠慮なく打出してもらうということが、日本の気象全般のために大きなプラスになることだと思いますので、この際特に一つ大変今までいい御答弁を聞いていますが、その政治的な答弁でなくて、一層この点に対しては上層部の啓蒙、上は知つているだろうと思うと案外知らないものなんです。そういうことに重点をおいて、一つ気象のことに一層の御努力を願いたい、こういうふうに考えております。
○天田勝正君 重盛委員がいい質問なり、意見なりをやつておりましたが、私も折角おいで願つたから、二つだけ質問申上げたいのですが、その一つは、実はこれは私自身も無理な質問だと思つておるので、或いはお答えを遠慮されるなら遠慮されても一向差支えない、こういうつもりで質問申上げるのですが、これは元来学者であられる気象台長を責めるなどということではなくて、私は我が党内閣当時から役所へ出入りしたりしてみて、気象台のみならず、全部の特にナチユナル・サイエンス方面の技術者一般について言い得ると思うのですけれども、大体試験研究所或いはあなたの気象台、こういうような所の幹部の人たちは相当長い年代に亘つてそこへ勤めておられて、むしろ学校を出られてから一番長上の所長さん、台長さんというようなところまで行かれるという人が多いわけです。そういうようなずつと一貫して上まで行かれる役所でありますと、若しこれが行政に携わる方面でありますれば、もう牢固として抜くべからざる力になつてしまつて、大臣が変ろうが、次官が変ろうが、むしろその所長さんなり台長さんなりという人の意見が全面的にいわば通るようになる、ところがどうしたことやら技術関係のほうでは、それだけ長い年代勤めておられるのに、案外その意見が通らない。一体この原因がどこにあるのか。結局は政治に携わる我々の責任です。ですからあなたに質問するのは無理である。実はこれは自問自答ということにもなるわけですけれども、併し一面私どもの足らざる点もありますけれども、やはり技術家、学者、そうした方々がすべてを解決するくらいの気魄を以て、上の行政に携わる連中もまあ圧迫と言えば語弊がございますけれども、教えてやるくらいの気魄を以て臨んで頂きませんと、なかなかこの弊を直すことは困難であります。そういうことがなくして、又我々はそれを認識しつつ、政府に注文を付けたり、これを鞭撻したりするということができませんと、今あらゆる面で先進国からいつの間にやら二、三十年遅れてしまつた。どうやらこうやらでも欧米各国に優れないまでも、同じ水準で日本の文化を進めて行くことはできない。特に科学技術の方面における水準を保つて行くことはできない、こういうことを私は憂えるわけです。どうしてそういう欠陥があるのか。私どもは私なりに解釈しておりますけれども、若し和達先生がそういうことにお気付になれば、むしろ私ども教わつておきたいと思います。無理な質問だということは初めから申上げてありますけれども、遠慮なしに、こういうところがどうも工合が悪いのだということをおつしやつて頂きたい、こう思うのです。御無理なら答弁なくてもよろしうございます。
○説明員(和達清夫君) 非常にむずかしい御質問で、私どもも自分の努力が足らないのと、その任でないという反省のほうが先に立ちまして、仰せの趣旨にお答えにくいのであります。併し私の信条は、ともかくもそういうふうに、おつしやるように、ならざるを得ないようにしなきやいけない。これは実績という言葉は悪かつたかも知れませんけれども、その認識が本当に理論的にそうならざるを得ないようにというふうに持つて行くべきだという私の信条で、そうしてこの仕事に毎日励んでおる次第であります。なお一方私など学術会議の会員もいたしております。科学技術行政協議会あたりでもいろいろしておられるのをよく存じておりますが、そういうような学術的のことについて相当の権限あたりがありますのですが、これがもつと強く反映するというようなことも、私どものほうだけでなく、一般科学技術者がいたしておる仕事には力強い信念があると思つております。
○天田勝正君 これは一つ是非私どもも努力すると共に、皆さんにも御努力願いたいということを希望したいために質問申上げたので、それはその点でよろしうございます。 次にもう一つだけお伺いしたいのは、私地の役所、例えば統計調査のごとき、今後の国の綜合計画をするには最も地道であるけれども、基礎的な、必要な役所、こういうようなもののむしろ拡充を私は考えておるわけですけれど、さてその拡充が実は人間の頭数を殖やすだけによつてはとても達成できない、こういうことを常に考え、そのことを関係者に御注意申上げたりしておるわけなんですが、そこで気象台等でも、仮に人を採用する場合に、私は全くこの気象技術官というものはこれは勿論それに興味を持ち、且つその技術を十分に身につけた人を採用するのはこれは当り前ですけれども、私は例えば庶務的な、会計的なことでも、何も別に庶務的な、会計的なという専門家を雇う必要はないというのが実は私の持論なんです。この専門技術というものを身につけることは困難であるけれども、庶務的なことなどというものは誰でもできる。従つてそういう庶務的や会計的なことをやるのは技術官がプ—ルでそこに行つておつて、そうして事務的な、会計的なことを一時処理はするけれども、さて忙しい場合にはそれが直ちに技術的な事柄にもやはり携われる、こういう仕組にしたほうがよかろうと思うし、又一般の給仕的な役割をするようなものがあつて、又極く最下位の手伝をするような仮に女の子を一人雇うにしても、日本の技術的なことを担当する役所等でもこれは何も数学が達者であるとか、好きであるとか、そういう基準で雇つておらないですね。単に普通の役所なり、会社なりで雇うのと同じような基準で雇つておる。こういうことがそもそも技術的な面の役所等の能率が上らない一つの大きな原因に私はなつておると思う。ですから、一体将来気象台等は僕はこういう仕事はじやんじやん拡充して行かなければならんという、こういう信念を持つておるけれども、それには人を雇う場合に、他の役所と同じような試験で行つてはいかん、例えば一番末端の仕事をやらせるにしてもいかん、こういう考えを持つておるのですが、それらの採用方法の仕方といいますか、そういうものでは格段の考慮を払つておられるのですか、その点だけ一つ……。
○説明員(和達清夫君) 気象台の職員は多くこの仕事が好きと申しますか、非常に意義を感じていたしておるものでございまして、一般の事務職員も気象のことは勉強してよく知つております。採用のときには成るべくそういうような職の意義を理解して、そうしてここで本当に働こうというような者を採つております。なお庶務、会計のほうはまあ誰でもいいというようなお話もございまして、これもまあ議論から多少は強調されたとも思われますが、併し役所で、そういう仕事もやはりそれぞれ科学的仕事と同じようにエキスパートがありまして、年期をかけて、そこでやはり何といいますか、科学者と同じように研究もして成長して行くもので、やはりそういう者も私も必要であると思つておりまして、技術者で簡単に代えがたい点もあることはもう御承知の通りであります。ただ気象台のような役所では、そういう仕事も科学的な頭がなければできませんので、相当多くのそういう技術者としても十分立てる人が庶務、会計にも入つて仕事をいたしておるという現状になつております。
○委員長(前田穰君) それでは本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十二分散会