運輸委員会 第10号
- 発言数
- 15 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/02/22
会議録
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。 運輸一般事情に関する調査中、海運行政に関する件を議題といたします。 巡視船さど事件について山口海上保安庁長官から発言を求められていますので、これを許します。
○政府委員(山口傳君) 一昨日海上保安庁所属の巡視船「さど」が韓国に不法連行されました事件が起りましたので、その経過並びに対策等につきまして御報告いたしたいと思います。 大体今日の事件発生に至るまでの経過を最初に申上げたいと思います。 公海における操業中の日本漁船の拿捕防止につきましては、一昨年の五月の閣議決定に基きまして、水産庁の監視船と協力いたしまして、朝鮮半島周辺並びに東支那海方面に対しまして、 一昨年の九月から、巡視船を当時といたしまして常時一隻乃至二隻を行動せしめておりましたのでありますが、御承知のように昨年八月国連軍によつて設定されておりました防衛水域の実施が停止されまするや、日本の漁船が韓国の周辺の海域において操業を開始するようになり、この情勢に対し韓国としては艦艇十数隻を以て同海域の警備を強化するに至りまして、そのため日本漁船に対する臨検、拿捕の事件が頻発したのは御案内の通りであります。海上保安庁はこの事態に対応いたしまして、昨年の九月以降は、全国から巡視船を動員いたしまして、常時この方面に五隻の巡視船を派遣しまして、拿捕並びに紛争の防止に努めて参つたのでありまするが、当時新聞等に出ましたように、巡視船は洋上において韓国の警備艦艇と再三接舷し、直接折衝する等いたして、当時としては相手の艦艇長に対しまして、いわゆる李承晩ラインの不法性を強調する一方、日本の水産業方面に対しましては、紛争防止のため適切な処置をとるよう指導して参つたのでありますが、韓国側の警備方針は極めて強硬で、操業中の日本漁船は続々待避せざるを得なくなつた。十月下旬頃には殆んど操業不可能になつたのであります。で、昨年の九月、いわゆる李承晩ラインがやかましくなりまして以来今日まで、韓国側に臨検されました日本の漁船の累計は百一隻に及んでおります。拿捕されました日本漁船は四十三隻に上つております。なおこのほかに御承知のように水産庁の監視船第二京丸が拿捕されております。十一月に至りまして、漁場は漸次西のほうに移動して、済州島の西側におきまするいわゆる以西底曳が始まつたのでありまするが、韓国としては、その後従来海軍艦艇でありましたのを、沿岸警備隊を編成いたしまして、警備を強化する措置をとつたのであります。それで海上保安庁といたしましては、この十二月から今年の四月終りまでが最盛期であるいわゆる以西底曳の漁区に対しまして、東支那海方面の操業状況をも勘案いたしまして、済州島の西側区域に対しまして四漸、同じく東側、これが従来紛争を起しておつた地域であります。これには一隻乃至二隻を以て水産庁の監視船と協力、連繋を強化いたしまして、日本漁船の拿捕防止し措置を講じて今日に及んで参つたのであります。これが大体今日までの経過でありまするが、このたびの事件について御説明申上げます。 一昨日、即ち二十日の日にに済州島の西方海域並びに東支那海方面においては、海上保安庁の巡視船は「くさがき」を指揮船として「へくら」「さど」「こしき」等五隻を以て行動中であつたのでありますが、丁度当日「さど」が不法連行されるような事態を惹起いたしたのであります。時は朝の午前六時三十分、位置は北緯三十三度十五分、東経百二十五度二十分、当時の海上の模様は北の風、風力は二、雲量六、半晴でありました。うねりは西、もやがあり、海上は平穏というような條件でありました。 なお、連行されました「さど」の状況を申しますと、午前六時にレーダーにて左舷七浬に三つの船影を認め、これらの国籍確認のために接近いたしました。一隻は極めて感度が良好で、多分韓国警備船であろう、或いは三百トン型スチール・トロールと思はれたのでありますが、六時二十分、東のほうは次第に明るさを増したのでありますが、西のほうは先ほど申したもや、ガスで月没のため視界は依然不良であつたのであります。六時二十五分頃左舷のがスの切れ間に航海灯の薄く見えた直後に、相手の船から発火信号を受けたのであります。多分これは韓国船らしいと思つたのでありまするが、こちらから何船であるかという発火信号を送つたのに対して何ら返答がなく、相手船は突然発砲して参つたわけであります。同時にストップ、カムという信号を向うから送つて来ました「さど」といたしましては避退する余裕はあつたのでありますがほかのレーターに写つておりました二隻は操業中という情報のあつた日本の漁船と思われましたので、これらの二隻のことを慮つて会談を行うことに決意をいたしたのであります。七時頃から八時まで韓国の警備船金星号船上において会談を続いて行なつております。 会談の内容でありますが、「さど」の船長は国際法上の慣例に基く公海における航海の自由並びに漁業の自由という事を主張したのでありまするが、金星号の船長は、「さど」船長の主張する国際法上の権利はわかるが、警備船は、自分としては韓国政府の指示で行動しており、船長個人の意思では始何ともいたし方ないので「さど」を連れて行くのだ。いわゆる平和ラインを固執して譲らない。結論を得ないまま相手は実力を以て「さど」を連行すると告げ、遂に実力を行使して連行の行動に移つたのであります。続いて連れて行かれた所が済州島の済州邑という港でありますが、そこでの取扱の模様は、「さど」の乗組員は全員「さど」に乗船のまま軟禁状態であつたのであります。個人の自由は何ら拘束いたしておりません。韓国の警備兵約八名が陸上との交通を絶つて「さど」を警護しておつた、こういう状態でありましたが、その後の、釈放を受けたことは別に申上げますが、釈放当時の理由としては、韓国政府の指示によるというだけでありまして、別の理由は持つておらないようであります。それで最初「さど」が不法に連行される、こういう情報を海上保安庁としてはキヤッチいたしましたので、早速土曜日の朝早くから様子を、情報を持つて外務省のほうに行つて、即刻韓国側に対しかような公船を連れて行くなどということは誠に以つて解しかねることであり、即時船員並びに船体の釈放を申入れ、厳重なる抗議をしてもらうという手配をいたしました。なおアメリカ大使館或いは極東海軍等のほうへも様子は連絡をいたして置きました。その後外務省とされては、早速午前中に奥村次官が金公使を外務省に招致されまして、厳重なる抗議をして頂いたのであります。 次いでその後「さど」は土曜日の晩十時三十分頃に釈放という知らせを金星号の船長から受けまして、すぐその晩の夜中、午前零時に済州邑を出発しまして、今朝四時四十五分頃六連に到着し検疫を受けまして八時過ぎに門司に入港いたしております。いろいろ報告はこれまであつたのでありますが、なお不審の点もございますので、今後詳報を得ましてこれらを十分分析をいたしまして、更に韓国に対しましては、その詳細なる調査の結果に基いて将来のため厳重なる抗議を文書によつて出して頂くように外務省とも相談をいたしておるのであります。又今後の警備等につきましても、これらの詳報を待つて慎重に情勢判断をして、今後とも更にいろいろと審理をして行かなければならんと思つております。 以上「さど」の不法連行事件につきまして御説明申上げます。
○委員長(前田穰君) 只今の御説明につきまして質問のおありの方はどうぞ御発言を願います。
○植竹春彦君 保安庁の長官に質問をいたしますが、今我が海上保安庁と韓国の側との海上警備の組織、規模はどういう工合になつておるのですか。
○政府委員(山口傳君) お答えいたします。韓国側の沿岸警備は、最初昨年の李承晩ラインで騒いでおりました際は、先ほど申上げるように海軍艦艇でやつておつたわけであります。あちらの海軍艦艇の勢力は、詳細はよく正確なところはわかりませんが、フリゲートを四、五隻持つておる、その他は大した船ではないようでありまするが、全部合計しまして、約四万程度のトン数であります。中で一番強力なものはフリゲート級であります。これは今のところ四、五隻のように聞いております。ところが丁度昨年の十一月から十二月の初めでありましたか、海軍の艦艇で日本の漁船を捕えるということはどうかというようなことではないかと思いますが、沿岸警備隊を編成しまして、これらはいろいろな情報を総合しますと、六隻くらいの小型船でやつておるということであります。今回の金星号はそのうちの一隻のようであります。併しその後の実際の洋上で遭遇しましたところによりますと、大型漁船あたりを、外国船をチャーターしたようなものもあるやに思えるのでありまして、詳細なところはわかりませんが、まあせいぜい現在の沿岸警備隊と申すものは十隻程度でないのじやないか、かような見当をつけております。
○植竹春彦君 向うの優秀警備艦の装備は我がほうと比較してどういう差異がありますか。
○政府委員(山口傳君) お答えいたします。大体今の金星号は機銃を二門持つておる、その他自動小銃等を備えておる程度のようであります。まあその、他の出て来る沿岸警備隊に属する警備船は大同小異じやないかと思つております。
○植竹春彦君 我がほうの場合は。
○政府委員(山口傳君) 私のほうの巡視船の装備を申上げますが、これは業務執行用のために或る最小限度の火器は積込むという方針を既定方針といたしまして準備を進めて参つておるのでありまするが、現在までのところ、火器そのものを取付けておりません。巡視船と申しますのは現在九十九隻ございますが、そのうち五十九隻程度に装備するという方針を立てまして、今日までに四十九隻の火器を積むための改装工事は全部終つたわけでありまするが、あと十隻残つておりますが、これは二十九年度に予定をいたしております。なお改装しただけではいけないのでありまして、あとは火器自体を積込むわけでありまするが、一番大きいのは三インチ、四十ミリの機銃、二十ミリの機銃、この三種になつておるわけでありまするが、これらの積込みにつきましては、差当つて今のところ積んでおりませんが、年度内に十隻程度は積込む手配を今いたしておるわけであります。今日までいろいろの考え方もございまして、準備は進め、それから又これらの火器の取扱の訓練等は、八十名ばかりはすでに講習を終つておりまするが、まだ火器そのものを積んでおらなかつたという状態でございます。
○植竹春彦君 それでは「さど」はその連行当時火器はなかつたわけでありますか。
○政府委員(山口傳君) その通りであります。ただすつかり砲塔はできておりまするが、火器そのものを積んでおらないのであります。
○植竹春彦君 只今、近き将来に対する装備の計画を伺つたわけでありますが、その装備で我が国の漁船その他の船舶を警備保護することが、十分その実力を発揮することができるとお考えかどうか、伺いたいと思います。
○政府委員(山口傳君) それはなかなかむずかしい問題でありますが、もともとこの火器を私どもが積む趣旨は、巡視船が平常の沿岸警備の仕事をいたします業務執行用に積むわけでありますが、今日のように漁船保護に出動しておりますると、自分の身が危いとか、或いは日本漁船が危険に瀕した場合の正当防衛或いは緊急避難等には無論使わざるを得ないのでありますが、これらを今の既定方針通りのものをつけて十分かという御質問に対しましては、まあなかなかお答えがしにくいのでありますが、もともと海上保安庁がそこまでの段階は受持つて、そうしてどうしても海上保安庁の力で及び得ないという事態に突入いたしますれば、次は警備隊ということに仕事の分担は分れておるわけであります。私どもとしては今日まで火器を積まないで、これは又いろいろの考え方がございまして、差控えたいような気分もあるわけでございますが、今日ではこういう場合も出て来ますから、既定方針通り積むのでありますが、何分隻数が少くて一時にこれらを引揚げて装備に移るということになりますと、仕事に空白を生じますので、今後今申上げた年度内に十隻程度、この二月ばかりの間に、一カ月幾らしかございませんが、月にまあせいぜい三隻か四隻程度しかなかなかドックに入られませんので、甚だ苦しいのであります、その程度で今後逐次装備をいたして行きたい、かように考えておる次第であります。
○委員長(前田穰君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(前田穰君) 速記を始めて。 御質問は尽きたと認めます。都合によりまして暫時休憩いたします。 午後二時四十九分休憩 〔休憩後開会に至らなかつた〕