運輸委員会 第4号
- 発言数
- 8 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/02/02
会議録
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。 先ず昭和二十九年度運輸省及び日本国有鉄道関係の予算に関する件を議題といたします。 この両者につきまして牛島運輸次官から御説明願います。
○説明員(牛島辰彌君) 最初に運輸省所管昭和二十九年度予算案の概要を御説明申上げます。 先ず一般会計から申上げます。昭和二十九年度一般会計歳入予算総額は十一億六千四百四万二千円でありまして、これを前年度予算額十三億六百三十八万五千円に比較いたしますと一億四千二百三十四万三千円の減少となります。前年度に比べまして、減少及び増加しておりますもののうち主なものを申上げますと次の通りであります。 先ず定点観測業務費の駐留軍負担金二億五千五百十一万円及び船舶動静調査費の駐留軍負担金六千十七万三千円がそれぞれ減額となつておりますが、これは前年度まで日米行政協定に基いて実施していたこれらの業務が昨年中に打切りとなつたことによるものであります。 次に、モーターボート競走納付金三千五百六十四万円が減額になつておりますが、これは昭和二十九年度におきましては、モーターボート競走納付金の制度を廃止することとしたためであります。 次に、港湾事業費分担金におきまして五千五百二十九万円の増加となつておりますが、これは前々年度に比較して前年度の直轄港湾工事が増加しておりますため、これに対応して地方公共団体よりの納付金が増加することとなつたためであります。 次に、手数料におきまして四千五百三十二万七千円の増額となつております。 次に、航空保安協力業務費の駐留軍負担金及びマーカス島観測業務費の米国政府負担金におきまして二千百二万円の増額となつておりますが、これはこれら業務に要する歳出予算額の増加によりまして、当然増加することとなるためであります。 次に、歳出予算について御説明いたします。 昭和二十九年度の予定経費要求総額は二百三十二億千百七十万三千円でありまして、これを前年度予算額二百十四億二千百四十六万四千円に比較いたしますと十七億九千二十三万九千円の増加となります。 以下主なる事項について御説明いたします。 先ず海運関係から申上げますと、第一に、船舶建造及び改造資金貸付利子補給に必要な経費として三十七億五千六百二十三万九千円を計上いたしました。これは外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基き、我が国外航船舶の拡充整備と海運収支の改善を促進するため、前年度までに着工いたしました外航船舶及び本年度に約二十万トンを目途とする外航船舶の建造に要する資金に対する利子補給金三十六億二千九百二十九万一千円、臨時融資改善助成利子補給法に基き、低性能船舶を解撤して、新たに外航船舶を建造するために要する資金に対する利子補給金一億二千二百九十七万一千円、及び離島航路整備法に基きまして、前年度までに着工いたしました定期航路事業用船舶並びに本年度に建造一隻、改造二隻を予定しております定期航路事業用船舶の建造改造に必要な資金に対する利子補給金三百九十七万七千円のために必要な経費であります。 第二に、離島航路補助に必要な経費として四千百万円を計上いたしましたが、これは公益上必要な最少限度の輸送を確保するため、離島航路整備法に基き、航路の性質上経営の困難な離島航路事業に対して補助するために必要な経費であります。 次に、前年度におきまして予算を計上いたしました帰還輸送費につきまして、本年度は経費を計上してありませんが、これは中共地区等よりの邦人の集団引揚げの見通しが不明でありますので、予算案としては一応経費を計上せず、集団引揚げが現実に必要となつた際に別途財政的措置を講ずることとしたためであります。 船舶動静調査費につきましても、本年度は経費を計上しておりませんが、これは日米行政協定に基いて実施いたしておりました船舶動静調査業務が、昨年九月末を以つて打切りとなつたためであります。 なお、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基き、昭和二十九年度以降国の債務となる利子補給及び損失補償の限度額としてそれぞれ二十億九千五百二十万一千円及び二十八億五千百八十四万八千円、並びに離島航路整備法に基き、昭和二十九年度以降国の債務となる利子補給の総額として三百九十三万六千円を国庫債務負担行為として予算総則第十一条及び第十二条において要求いたしております。 次に、港湾関係について申上げますと、先ず港湾事業に必要な経費として三十八億七千八百二十六万七千円を計上いたしましたが、これは貿易の振興及び輸送力の増強を図るため、出入船舶並びに取扱貨物量の増加に対応して、横浜港外四十港について港湾施設の整備を国が行うために必要な経費と、東京港外百七十二港の整備を地方公共団体又は港湾管理者が行うに必要な事業費を補助するために必要な経費であります。 次に、港湾災害復旧事業費として十六億九千九百五十九万円を計上いたしましたが、これは、昭和二十八年以前の災害による港湾施設の復旧事業に必要な経費でありまして、港湾事業費と同じく、国が直接施行する場合と、地方公共団体等が施行する場合に補助するために必要な経費であります。 更に以上に申し述べましたような港湾事業を実施するために必要な事務費として港湾事業附帯事務費を六千九百二十三万二千円計上しております。 なお、北海道関係の港湾事業に必要な経費として、総理府所管の予算案において六億四千八百九十万円を要求しております。 鉄道関係といたしましては、先ず地方鉄道軌道整備補助に必要な経費として二千五百万円を計上いたしましたが、これは昨年より施行されました地方鉄道軌道整備法に基きまして、産業の振興及び民生の安定に必要と認められる地方鉄道軌道の新設及び維持に対して補助するために必要な経費でありまして予算といたしましては、新規事項でありますが、このうちには、前年度まで実施いたしました北海道開発鉄道及び軌道補助も含まれております。 次に、昨年度に引続き北九州地区における戦時中の石炭乱掘による鉄道の鉱害の復旧を促進するため、鉄道特別鉱害復旧補助に必要な経費として四千一百四十四万三千円を要求いたしております。 次に、航空関係について御説明いたします。 第一に、航空機乗員養成所の新設及び運営に必要な経費として一億五千一百三十万七千円を計上いたしました。これは我が国の自主航空を確立するため、航空機乗員養成所を新設して既経験者の再教育と新人操縦士の養成とを実施しようとするものでありまして、昭和二十九年度に約六十人の乗員の養成を予定しております。なおこれに伴いまして、前年度まで実施いたしました航空機乗員養成補助は打切りといたすことになつております。 第二に、我が国における自主的航空交通管制を早急に実施するため、航空交通管制官の養成に必要な経費として八百九十三万一千円を、前年度に引続き計上いたしております。 第三に、東京国際航空通信局の整備に必要な経費として四千六百五十五万円を計上いたしましたが、これは国際民間航空機構の勧告によりまして東京国際航空通信局の対空通信回線を五周波分増設するために必要な経費であります。 第四に、東京国際空港の維持管理に必要な経費として三千三百九十一万円、東京国際航空通信局の維持運営に必要な経費として二千五百八十九万九千円、航空官署運営に必要な経費として一億八千八百四十五万三千円を要求しておりますが、これらは東京国際空港、東京国際航空通信局の外飛行場七カ所、航空燈台二十九カ所、航空標識所十四カ所等を維持運営するためのものでありまして、前年度に引続き必要な経費であります。 第五に、航空保安協力業務に必要な経費として一億五千百六万八千円を計上いたしましたが、これは日米行政協定に基き、駐留軍の使用する飛行場及び航空保安施設を維持運営するため必要な経費であります。 以上のほか航空関係といたしましては、前年度と同じく、国際航空路線の振興を図るため、日本航空株式会社に対して政府出資を行うことといたしまして、大蔵省所管に十億円を計上いたしております。 次に、海上保安庁関係について御説明いたします。 第一に、巡視船等の建造に必要な経費として三億六千八百七十四万円を要求いたしておりますが、これは七百トン型燈台業務用船一隻のほか、老朽船艇の代替として三百五十トン型巡視船一隻、二十三メートル型内火艇二隻、六十トン型水路観測船及び五十トン型燈台見廻船各一隻を建造いたしまして、海上保安業務の改善強化を図ろうとするものであります。 第二に、航路標識の整備に必要な経費として三億二千三百十五万一千円を計上いたしました。これは燈台、電波標識、燈浮標の新設のほか、既設燈台の光力増大等の改良工事等のために必要なものであります。 第三に、警備救難費として、海上保安庁に四億六百九十三万八千円、管区海上保安本部に三十八億二千四百三十万七千円を計上いたしましたが、これらは海上保安庁法に基き、海上における法令の励行、犯罪の予防鎮圧、犯人の捜査及び逮捕、海難救助等海上警備救難業務を遂行すると共に、これら業務遂行のため巡視船を改修及び補強して装備を強化し、並びに職員の教育訓練を行う等のために必要な経費であります。 第四に、海上保安費として海上保安庁に四億二千六百八十二万一千円及び管区海上保安本部に六億一千四百三十一万円を要求しておりますが、海上保安庁所掌の業務のうち、水路の測量観測、航路標識千八百九十七基の維持運営等の海上保安業務を遂行すると共に、水路燈台関係の職員の教育訓練を実施するために必要な経費であります。 以上が海上保安庁関係の主なるものであります。 次に、気象官署関係について御説明いたします。 第一に、水理気象業務に必要な経費として三千四十八万七千円を新規事項として計上いたしました。これは重要な河川の水源地帯に降水観測施設、通報施設等を整備強化いたしまして水資源利用の高度化と水害の防除に資しようとするものでありまして、昭和二十九年度におきましては、北上川及び利根川の雨水系につきまして、気象通報所六カ所、総合気象観測装置十一カ所、ロボット雨量計三カ所、短波無線通信施設七カ所等の施設の整備と業務の運営を実施しようとするものであります。 第二に、水害緊急対策に必要な経費として一億七千五百二十三万六千円を要求しておりますが、これは前年度に引続き、水害の防止軽減に資するため、気象観測施設、通信施設等を整備するために必要な経費でありまして、昭和二十九年度におきましては、九州、四国、中国、近畿、関東等の地方に亘り、二十三都府県の区域を対象として通報所十二カ所、雨量計、雪量計等の観測施設四百二十六カ所、短波無線通信施設二十一カ所、気象用レーダー二基等の整備を実施しようとするものであります。 第三に、定点観測業務維持運営に必要な経費として六百八十一万三千円を計上いたしております。前年度までは、日米行政協定に基き、土佐沖及び三陸沖の二カ所の固定点におきまして、年間を通じて、常時気象観測を実施することとなつていたものでありますが、この業務が昨年十一月末を以て打切りとなりましたので、本年度におきましては、台風、梅雨前線等の予報精度の確保を図るための最少限度の必要を充たすために、海上保安庁の所属船を使用して、土佐沖の固定点のみについて五月より十月に至る六カ月間の常時気象観測を実施することといたしたのでありまして、そのために必要な経費であります。 第四に、マーカス島測候所維持運営に必要な経費として六千八百二十二万二千円を計上しておりますが、これは、米国政府の要請によつてマーカス島における気象観測所を中央気象台が維持運営するために必要なものであります。以上のほか気象官署といたしましては、地上観測に必要な経費二千百五十五万八千円、航空気象業務に必要な経費八百四十六万九千円、上高層気象観測業務に必要な経費一億二千百一万五千円、気象官署の一般業務維持運営に必要な経費十七億六千七百五十三万五千円等の経費を要求しておりますが、これらは中央気象台、羽田航空地方気象台、高層気象台、五カ所の管区気象台、五カ所の地方気象台、四カ所の海洋気象台、百三十二カ所の測候所、七カ所の航空測候所その他の気象官署におきまして、観測、予報等の業務を行い、その施設を維持する等のために必要なものであります。 以上御説明申し上げました海運、港湾、鉄道、航空、海上保安及び気象関係のほか主なるものを申上げますと次の通りであります。 先ず観光事業補助に必要な経費として五千五百五十万円を計上いたしました。これは全日本観光連盟及び日本交通公社をして、国家的見地より、外客の誘致、対外宣伝、観光施設の整備、観光資源の保存等の観光事業を実施させるため補助金を交付するに必要な経費であります。 次に、小型船舶職員養成補助に必要な経費として三百万円を要求いたしましたが、これは小型船舶職員の技能を向上し、その補充を円滑にするため、経済的に運営することの困難な小型船舶職員の養成事業を行う団体に対して補助を実施しようとするものであります。 次に、航海訓練所の練習船整備に必要な経費として三億一千四百六十万三千円を計上いたしておりますが、これは、長期の乗船実習を必要とする商船大厚の学生の増加のため、現有の練習船では、不足いたしますので、三千トン型の貨客船一隻を購入し、練習船として改装するために必要なものであります。 以上で一般会計に関する御説明を終りまして、続いて木船再保険特別会計について御説明いたします。 前年度におきまして木船再保険法及び木船再保険特別会計法に基いて設置されました本会計は、木船事業経営の健全化と木船船主経済の安定に資することを目的とするものでありまして昭和二十九年度においては、歳入歳出とも六千八百十万三千円を計上いたしました。その主な内訳は、再保険料六千六百十八万八千円を以て木船再保険収入を計上いたし、これと同額の木船再保険費を計上して、再保険金及び賠償償還払戻金に充てると共に、一般会計よりの繰入金百五十九万一千円を以て木船再保険業務費を賄うものであります。 以上を以ちまして、簡単でありますが、運輸省所管昭和二十九年度予算案の概要を御説明申上げました。何とぞ十分御審議の上御賛同あらんことをお願い申上げます。 引続きまして昭和二十九年度日本国有鉄道予算の概要についてご説明申上げ御審議の資といたしたいと存じます。 最初に、予算編成の基本についてでありますが、前国会に於て承認されました職員の給与改訂のため、多額の資金を必要といたし、これがため運賃の改訂を国有鉄道としては希望いたしたのでありますが、政府といたしましては財政規模の圧縮、物価の安定に資することを方針といたしまして、運賃料金等の値上げは極力これを行わないこととし、貨物運賃については全然触れることなく、ただ旅客運賃のうち一、二等についてのみ通行税相当額を値上げするにとどめました。 次に、昭和二十九年度日本国有鉄道収入支出予算について損益、資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。 損益勘定 昭和二十九年度損益勘定の予算は、給与改訂、輸送力増加等を織り込んだ前年度補正予算を基礎としまして編成いたしました。 先ず収入について申し上げますと、鉄道による旅客輸送人員は、対前年度増二・六%、三十六億五百万人、人キロでは八百四十五億人キロと策定いたし、旅客収入一千二百九十二億を見込み、鉄道による貨物輸送トン数は、対前年度増二・一%、一億六千万トン、トンキロでは四百十四億トンキロと策定いたし、貨物収入一千二百十億円を見込んでおります。これら旅客、貨物輸送に要する列車キロは三億三千六百万キロで、対前年度三・三%の増加となつております。以上の旅客貨物収入のほか雑収入等を合せて二千五百八十九億の収入を見込んでおります。 次に、経営費についてみますと、人件費関係については一万五千三百七十円ベースに昭和二十九年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、この他に期末手当一・二五カ月分、奨励手当半カ月分、休職者給与等を見込んであり、給与の額として合計九百四十八億円となつております。又物件費関係については、動力費の大宗である石炭費として三百三十六億円、修繕費五百七十七億円、その他業務費等合せて経常費総額二千百四十九億円であります。以上の経営費のほかに資本勘定へ繰入れ三百三十五億円、利子八十五億円、予備費二十億円を合せまして支出合計二千五百八十九億円となつております。 次に、資本勘定について申上げます。前述の損益勘定より受入れる三百三十五億円、資金運用部よりの借入金七十億円、鉄道債券の発行による百三十億円、不用施設等売却による七億円、合計五百四十二億円を収入として計上し、五百四十億円を工事勘定に繰入れることとしております。このほか出資としての九千六百万円は帝都高速度交通営団の投資に伴うものであり、借入金等償還としての一億円は昭和二十八年度に公募した鉄道債券の一部の償還に充てられるものであります。 三、工事勘定 次に、工事勘定について申上げます。昭和二十九年度工事勘定の予算は、工事の重点を施設の維持及び取替補充に置くことといたし、新規工事等は必要最少限度にとどめ、財政規模の圧縮の方針の下に編成いたしました。その内容について申上げますと、先ず新線建設費についてでありますが、新線の建設は前年度工事着手線の継続にとどめ、二十五億円を計上いたしました。次に、電化設備費でありますが、電化につきましては、現在施行中の浜松、姫路間電化を引続き施行することといたしており、昭和三十年には米原まで開通する予定であり、七十八億円を計上いたしました。次に、車両費でありますが、電気機関車、内燃動車、客車、電車及び貨車等の新造のほか、客貨車の改造等でありまして、二十九年度の輸送力確保に協力しております。内燃動車につきましては、地方交通の便益に供するため前年度に引続き百両の新造を計画しております。これらの計画に要します車両費として百五十六億円を見込んでおります。以上のほかに諸設備費二百三十七億円を計上いたしており、改良総係費を含めまして支出の合計は五百四十億円となつております。これらに要する財源としては、前に資本勘定の御説明の際申上げました通り、資本勘定より五百四十億円を受入れてこれに充てることとしております。 なお、以上の諸計画の実施に要する職員数は四十四万七千七百二十五人でありまして、これは昭和二十八年度に比較いたしますと、四百七十六人の増加であり、これは業務量の増加に伴うものでありますが、要員の合理化に努め、その増加は最少限にとどめました。給与の総額としては休職者給与を含め、合計一千百四十二億円を計上しております。 最後に、日本国有鉄道の財政につき今後の見通しを申上げたいと存じます。経済界の今後の動静を勘案いたしますと、予定した収入を挙げますには、格段の努力が必要と考えられ、又工事計画もより一層のサービスの改善のためには十分とは申しがたいのでありますが、日本経済の安定に資するため公共企業体としてより一層の能率向上を図り、サービスの改善に努めますと共に、経営の合理化を行い経費節減に努力いたすよう指導監督いたしたい所存でございます。 以上、昭和二十九年度日本国有鉄道予算の大綱につき御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことをお願いいたします。
○委員長(前田穰君) 只今の御説明に対していろいろ御質問もあろうと思いますが、これはあとに譲りまして、運輸大臣から、運輸行政一般につきまして基本的の御説明を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井光次郎君) 第十九国会の再開に当りまして、運輸委員各位に最近の運輸事情につきまして御説明申上げる機会を与えられましたことを感謝いたします。委員の中には新たに選任せられた方もございますので、何とぞよろしくお願い申上げます。 今国会に提出されました予算の詳細につきましては、事務次官より御説明いたさせましたが、緊縮予算の枠内において国際収支の改善、産業の振興、民生の安定を図るべく運輸行政を推進して参るには、幾多の困難があることを覚悟しなければなりません。今後とも一層の御指導御鞭撻を望む次第でございます。 法律案につきましては、運輸省として差当り九件を予定しておりますが、成案を得次第提出いたしますので、御審議を煩わしたいと存じます。 外航船舶につきましては、先に樹立しました船腹拡充四カ年計画を引続き推進して参る所存でありまするが、昭和二十九年度におきましては、予定されておりまする日本開発銀行資金百八十五億円を以てできる限りの外航船の建造を図る意向でありますが、二十万総トン程度を確保し得るかと考えております。又船舶の建造コストを低減するために、昨年八月以降、造船コスト引下げに関する暫定措置によりまして、造船用鋼材価格トン当り約一万円の引下げを目途といたしまして、製鉄業者に対する日本開発銀行からの融資並びに日銀別口外貨貸しによりまする融資の金利がそれぞれ引下げられましたのに伴いまして、企業努力と相待つて大幅な船価の低減を見たのでございます。即ち貨物船につきましては一六%以上の引下げが達成されまして、我が国海運の国際競争力の強化に役立ちましたほか、輸出船舶の獲得につきましても、本措置の実施以来受注量は増大し、最初の輸出目標十万総トンの年度内達成も確実と見られる情勢でございます。なお外航船による外貨収入も如上の諸施策の実施によりまして顕著な増加を示し、昭和二十五年の九千万トン程度に比し、昭和二十八年には二億二千万トンを超えてほぼ戦前の取扱量まで回復するものと推定されます。然るに各港湾の施設の現況は、駐留軍による接収並びに打続く災害等によつて戦前の整備された姿にはほど遠く、これらの整備復旧は緊急の要事でありますので、戦後の船舶の大型化等も勘案して、これらに対応できるように急速に整備いたしたいと考えております、 次に、鉄道関係について申上げます。本年度の国有鉄道の輸送量は、昨年度に比して旅客、貨物共に約四%の上昇を示しており、この増加の趨勢は来年度におきましても継続するものと思われます。なかんずく東京初め大都市の旅客輸送要請量は激増の一途を辿りつつある現状でありますので、この打開策として、国鉄における設備の改善はもとより、地下高速度鉄道の拡充等を推進し、輸送力の増強を図るほか、他の交通機関との輸送力調整を図り、これに対応したいと考えております。 二十九年度における国鉄財政の見通しといたしましては、施設の整備を促進し、且つ前国会において承認されました職員の給与改訂を実施するため、多額の資金を必要といたしまするが、来年度一般予算編成の方針等を考慮いたしまして、一、二等旅客運賃、料金のみを改訂し、値上率も通行税を外枠にすることにより、おおむね二割程度にとどめることの結論を得ましたので、今国会に国有鉄道運賃法の改正法案を提出しますると共に、これに基いて国鉄予算を作成して御審議をお願いすることとなつております。国鉄の新線建設は重要な意義を有するものであり、且つその実現を要望する声も強いのでありまして、本年度は三十線、八百八十一キロの工事を進めて参りましたが、現在までに四千五十四キロ余が完成いたしまして営業を開始し、又一部開業したものが一線で三十八キロ余でございます。併しながら二十九年度の国家財政並びに国鉄財政の事情から予算の大幅の削減の余儀なきに至りましたので、極めて困難ではありまするが、従来工事中のものにつきましては、何らか工事を継続できるよう目下その具体的方策を検討いたしておるのでございます。 国鉄の電化につきましても、極力これを推進いたしたいと考えておりますが、今年度におきましては、東海道線浜松、名古屋間の工事を完成いたしましたので、二十九年度は引続き米原までの工事を進捗せしめ、三十年度には完成いたす予定でございます。いわゆる鉄道会館問題に端を発し、国会において昨年以来論議されました国鉄並びに国鉄監督行政のあり方につきましては、衆議院運輸、決算両委員会の結論もございましたので、その後慎重審議検討いたし、すでに行政指導により必要な処置をとつたものもありまするが、監督強化の法的措置としまして、日本国有鉄道法の改正法案を今国会に提出すべく只今準備をいたしておるのでございます。なお、公共企業体のあり方についての基本的な問題につきましては、先般閣議決定により、公共企業体合理化審議会が設置されて審議を進めることになつておりますので、これが結論を待つて根本的な施策を講ずる考えであります。 地方鉄道軌道につきましては、第十六国会において制定された地方鉄道軌道整備法により助成措置を講じ、以て重要な鉄道の維持、整備を図りたいと考えております。 鉄道車両は機械工業中で造船に次ぐプラント輸出であり、年々二十億程度の実績でございましたが、本年度はすでに約五十五億円の実績を示しております。併しながら輸出納期等における有利な条件にもかかわらず、材料価格の割高のためかなり苦境にあることは事実でありますので、この点を打開すれば、更に明るい見通しを持ち得るものと考えております。 バス事業及び路線トラック事業の路線キロは、昨年末それぞれ十万キロ及び八万八千キロに達しておりまするが、これらの事業の公共的運営如何は直ちに国民生活に重要な影響を持つのでありますので、今後の方針といたしましては、長距離路線網の整備充実、運転系統の合理化、運行回数の充実、国策的開発路線の運行等を図りますると共に、事業の基盤を強固にするための対策を推持いたしたいと存じております。最近における自動車の増加はますます著しく、今日ではすでに百万両を突破し、なお毎月三万両にも及ぶ増勢を示している実情でありまするが、これに伴い自動—車事故も増加しておりますので、これが対策として車両検査施設の整備拡充を促進し、検査の能率化を図り、事故の防止に努めますると共に、事故が発生した際における救済策として、自動車事故に上る損害賠償を補償する制度を確立する必要を認め、目下関係各省と鋭意折衝中であります。 かねてからの懸案でありました国際航空路線の開設は、昨年十月日本航空株式会社の設立によつて漸くその緒についたのでありまするが、去る一月十四日米国政府から正式許可を得まして、本月本日東京、サンフランシスコ線の業務開始の運びとなつております。更に二月五日東京、沖縄線の業務を開始することになつたのであります。今後更に日本航空の業務を充実拡張すべく、十億円の政府出資につき来年度予算に計上いたしております。 なお、航空保安の確保について万全を期すると共に、今後も引続き乗員、航空交通管制官の養成に必要な措置を講ずる等、自主航空の再建に努めたいと考えております。 我が国の観光事業は、戦後逐年目覚ましい進展を遂げ、特に昨年は朝鮮休戦の成立、外客受入れ施設の整備の促進、更には海外観光宣伝の強化等により大きな発展を示したのでありまして、来訪外客数は約八万、その推定消費額は百億円を若干上廻る成果を挙げたのであります。而も本年は海外からの相次ぐ観光団の来訪等から推して、来訪外客数は九万を超え、その消費額も約三千六百万ドル、即ち百三十億円に達するものと予想されます。なおこの数字は戦前の最盛期たる昭和十一年の観光収入三千百万ドルを大きく突破するものであります。国際収支の逆調に悩んでおりまするこの際、観光事業の振興を図り、見えざる輸出としての観光収入の増加を期することは、まさに時局の要請に即応するものでありまして、明年度の予算緊縮のため対外観光宣伝の実施機関たる日本交通公社及び外客受入態勢の整備促進に当つている全日本観光連盟に対する国庫補助金は、それぞれ本年度に比し約三割の減少を見ることになつておりますが、会費、宣伝繰入金の増額その他あらゆる有効なる方途を講じまして、対外宣伝の浸透を図りますると共に、他方受入態勢の面におきましても、ホテルを初め施設及び接遇の整備充実を図り、本事業の振興を通じて国際収支の改革に寄与いたしたいと存じております。 海上保安庁関係について御説明申上げますと、警備救難事業の主力となる巡視船九十七隻の約半数は老朽木造船でありまするために著しく手不足であり、更に北方海域、朝鮮海域及び東支那海方面の日本漁船の操業秩序を維持し、併せてこれらの漁船に対する不法拿捕事件の発生を防止するため、常時巡視船を行動せしめておりますので、沿岸水域における一般警備救難活動に空白を生ぜざるよう努力を尽しております。昭和二十九年度においては老朽木造船の代替として三百五十トン型巡視船一隻、二十二メートル型内火艇二隻を建造し、又先に認められましたヘリコプター六機のうち、五機の引渡しを受け、各地に配属することとなりますので、今後は海空一体による迅速且つ機動的な海上保安業務の運営が期待されるのであります。 なお、日本海方面の浮流機雷の状況はその後漸減の傾向を辿つております。 航路標識の整備は、昨年の予算削減によりまして、当初の計画を相当割愛するの余儀なきに至りましたが、国際的重要航路に当る潮岬及び大王崎両電波標識局の新設を初め、燈台三十三基、浮標三十五基を新設する等、重点的に日本近海における航行の安全を図つております。昭和二十九年度においては、五十トン型燈台見廻船一隻を建造し、燈台四十八基、灯浮標十五基、電波標識機三基を新設すると共に、既設燈台の光力増大等の改良工事をも併せて実施する予定でありますが、我が国の現状を列国と比較すると、なお数段の隔りがあるのでありまして、今後一層の拡充を努めなければならんと考えております。 中央気象台の業務につきましては、昨年の北九州及び近畿地方の水害に鑑みまして、明年度は特に水害対策施設の整備拡充に努めたいと存じております。即ち昭和二十八年度補正予算により、西日本の鹿児島県ほか九県の山岳地帯における雨量観測の整備と、近代的設備としての気象用レーダーを一カ所整備を行いましたが、二十九年度におきましては、引続いて山口県ほか十県の山岳地帯に雨量観測施設の整備を行うと共に、気象用レーダーニカ所の設備をするのに要します経費といたしまして、それぞれ一億三千九百万円及び三千六百万円の予算を計上いたしております。又水害対策と水資源の利用に当る水理気象業務の整備につきましては、昭和二十九年度におきまして北上川及び利根川流域の一部に対しまして実施する意向であり、これに要します経費といたしまして約三千万円の予算計上をいたしております。 最後に、職員が検察当局の取調べを受けております事件につきましては、世間の疑惑を招くがごとき事態となりましたことは極めて遺憾なことでありまして、今後とも十分監視いたしますると共に、真相の明らかになることを待つて、然るべき処置をいたすことと考えておる次第でございます。
○委員長(前田穰君) 御質問がありましようが、これもあとに廻しまして、引続き日本国有鉄道の運営その他に関しまして、国有鉄道総裁から御説明を願いたいと思います。
○説明員(長崎惣之助君) 日本国有鉄道の運営状況その他につきましては、前国会におきましても申上げました。その後当時におきましては輸送の情勢、特に貨物の情勢におきましては、やや停頓の気味でございましたが、だだん出貨が旺盛になりまして十、十一、十二月、今月とずつとやはり相当な在貨を控えて、輸送力のむしろ不足に悩むというような有様であります。旅客につきましても、又比較的好調を続けております。今後も相当の増加が予想され、年度末までには相当な、予算よりも増加するのではないかと考えております。 二十九年度の動向につきましては、これは非常に私どもが二十九年度の当初の予算を編成いたしました当時としては、御承知のように一般会計その他の政府予算等、今国会に提出されておる予算というものの編成の方針が根本的に変つて来ておるというような点からいたしまして、私どもは今後の、来年度における旅客、貨物の趨勢がどういうふうになるかということはなかなか予測が困難でございます。併しながら恐らくは二十七年度に対する二十八年度の増収とは同じようには行かんではないかと思われますが、ともかく今日このような予算を一応編成いたしましてやつて見るという状況でございます。二十九年度の予算を仔細に御覧願いますとよくわかるのでありますが、損益勘定におきまして業務費その他に相当な無理を与えております。果してこの業務費で以て所期の収入が挙げられるか。例えて申しますと、建設費のごときはむしろ二十八年度より減つておるというようなことでありまして、列車の増発等にも相当の困難が予想されます。併しながら、何分私どもは大蔵省、或いは運輸当局に対しまして申上げておるのでありますが、我々の予算というものは一般行政費の予算とは異なりまして、企業の予算でございますから、事情の変化に応じまして著しい旅客、貨物の増進のあります場合においては、それに応じてやはり列車の増発その他ができるようにして頂きたい。ただここで一番むずかしい問題は、先ほど来の運輸当局からの御説明にもございましたが、工事費の関係におきまして、車両の新造ということがむしろゼロに近い。ただ取替補充という面においては不十分ながらやつているつもりでございますけれども、新規に整備をするという点においては、殆んど電化その他に伴うものを除きましてはゼロに近い。車両の整備なしに増収ができるのかという大きな疑問がございます。これについても今後の趨勢に応じまとて、適当なる措置を講じなければなりませんが、その事前に我々は飽くまでも合理化という線で一つ努力をして参りたい、今日の国家全体の財政の情勢、経済の情勢等から考えまして、非常に我々は無理だとは存じながらも、これを何とかしてやつて行きたい。又そういう努力を続けて行こうというふうに考えておるのであります。 新線建設につきましては、先ほど来これまた運輸大臣その他の方々から申述べられた通り、非常な大削減を受けまして、実は二十九年度当初の計画から申しますと、百十億の予算が欲しいのでありましたものが、僅かに二十五億という殆んど四分の一程度のものに減つたということは、何といつても大きな打撃でございます。これを如何に収拾して行くか。又これを如何に継続して行くか。この趨勢というものは果して三十年以降においても続くのか続かんのかという見通しについての御意見も、私どもにおいても恐らくやはり経済の情勢その他の変化に応じて、日本の国力発展のために鉄道新線建設は今後相当期間継続されるべきものであろうと推測されますが、これらについの皆さんの御意見等も十分参酌いたしまして、この対策を立てて参りたい、かように存じております。 電化の点につきましては、電化は非常に国鉄経営の合理化上有利なことであることはたびたび申上げている通りでございまして、これらに関しましては、既定計画の通り名古屋より米原、更には大阪、姫路に向つて一先ず進んで行くが、同時に私はできるならば、早くもつと早急な時期に他の路線、殊に東北常磐という方面の電化についても、北方幹線の強化と相並んで十分に考慮を払い、早い時期に起工なり、着工なりをして行きたいという考えでおります。 そのほかローカル線の改善に関しまするディーゼル・カーが、これは本年度の予算には予算上百両しか計上してございませんが、客車の取替もございますから、それらとの振替によつてできるだけ両数を殖やして、早い時期にローカル線の改善を実現して参りたい、かように考えております。 又、先ほど運輸大臣からも申上げたようでございましたが、大都市附近、殊に東京附近の通勤旅客の輸送緩和という問題が非常に大きな問題でございますので、これについては或る程度の予算を見込みまして、その工事に着手し、この問題を解決して行く所存でございます。殊に重要な問題として、これもしばしば申上げましたが、北方幹線と申しますか、東北本線、或いは奥羽線、或いは羽越線、北陸線というようなものは、北海道方面、北方の経済的ウエイトは非常に今日の日本において大きいのでございまするために、これらの線路を早急に増強しなければならんという問題がございますので、これにも相当の予算が計上されております。 以上が来年度に関しまして、私どもが考えておりまする大きな諸点でございます。 なお、過般先国会において御審議を願い、実施になりました仲裁裁定をめぐりまして、いろいろ我々の職員が全国の各所におきまして、やや行過ぎの行為があつた。いわゆる非合法の争議行為があつたという問題でございます。この点につきましては、いろいろ取調べました結果、やはり相当にこれは処断をしなくてはならないというようなことに相成りました。例えて申しますると、休暇闘争ということをやつたのでありますが、それに対してピケツト・ラインを張つた。このピケツト・ラインは休暇闘争でありますから、仮に許容されるといたしましても、出勤を阻止するというところにとどまるべきものではないかと思います。然るに出勤阻止ではなくて列車の出発を阻止するというふうなピケツト・ラインの張り方がございます。かくのごときは明らかに私は看過すべからざるものであると存じます。もとより私どもは自分の愛する従業員であり、又共に協力して日本国有鉄道の運営に携つておるのであります。そうして国民皆様の負託に応えなければならんという地位にあるのでございまするから、これらの人々を解雇するというような非常の処断に出ることは情において忍びざるものがあるのでありますけれども、一方において国有鉄道の国民経済並びに国民の生活全体に及ぼす影響というものを考えますとき、並びに部内の規律の確保という点からいたしますると、かくのごとき行為をいたしました者に対して、これを看過することは到底できないのであります。その結果といたしまして新聞紙等においても御覧と存じますが、十八名の解雇者を出すに至りました。これは一方においては誠に遺憾でございますと同時に、かくのごとき処断をしなければならない行為に出まして、国民皆様に大変な御迷惑をお掛けしたことについては、ここに改めて国民各位に対しまして、本国会を通じて私は深甚なる遺憾の意を表する次第であります。
○委員長(前田穰君) これから総括質問に入つて頂きたいと思いますけれども、時間も余りないので、運輸大臣もほかの委員会に出席をいたしたのであります。まだ少し時間もございますから国鉄総裁に御質問があれば、少しやつたらどうかと思いますが。 ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(前田穰君) 速記を始めて。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会