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19回国会衆議院1954/11/19

労働委員会 第46号

発言数
223
登壇者
24
会派数
5
開催日
1954/11/19

会議録

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより会議を開きます。  失業対策、労使関係及び労働基準に関する件を議題といたします。  まずお諮りいたします。本日出席を求めておりました日本橋警察署長の漆間仙平君が都合により出席できぬため、警視庁警備課長の景山二郎君を参考人として発言せしめることに御異議ございませんか。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 異議はありませんが、都合によるじや困る。もつと明確な理由はございませんか。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 景山君は直接の責任者だということと、警視庁で今重大な捜査が行われておるので——あとで申し上げますが、ひとつ御協力をお願いしたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより東京証券取引所の争議における警察官介入の問題について順次参考人の意見を聴取いたします。  警視庁及び組合側から提出されました資料は各委員に配付されておりますね。  それでは私からこの際警視総監にごく一般的な問題でお尋ねしておきたいと思います。  御案内のように先般労働次官通牒が出されまして、ことに争議行為に対して大幅な制限を与えるような印象を与えておるわけでございます。この点につきまして、治安の維持に当られる警察当局といたしましては、あの次官通牒をどのように解釈され、また今後警察権発動の際に、それをどのように——たとえば、それを根拠にして行動なさるような御意思があるのかどうか、この際江口警視総監のお考えをひとつ明らかにしていただきたいのであります。

江口見登留警視総監

○江口参考人 当面の東証問題に関連いたしました非常に重要な御質問だと思うのでありますが、労働次官通達というものが出されたことは、承知いたしおります。たまたま労働次官通達の前に、労働大臣談話というものが、当面の問題のこの東証事件の二十六日に出されております。私ども、東証事件に対しまして実力を行使したその時間には、労働大臣がどういうふうな談話を発表しておりましたかというような点については、だれも承知していなかつたのでございます。われわれも夕刊を見まして、その日労働大臣が、労働問題について非常に重要な談話を発表されておることを初めて知つたわけでございます。その後、労働次官通達が出されましたが、その以前におきましても、労働大臣のその談話と二十六日における警視庁の行動との間には、何らの関連性がないのでございます。いわんや下打合せなどというものは、全然行われておりません。警察は警察独自の立場でああいう行動に出たのでございます。この点は十分御了解をいただきたいと思うのであります。  なお、その次官通牒に関連いたしまして、正式に通告を受けたこともございませんけれども、新聞にも出ましたし、それらを手にして、われわれはその次官通達の内容をよく承知いたしております。具体的に申しますならば、たとえば、東証問題に関連いたしまして、いわゆるピケットと申しますか、囲みの限界というような点について、次官通牒が詳細に触れております。しかし、労働法規の解釈をどういうふうにするかというような点につきましては、これは労働行政当局の責任と申しますか、サービスでございまして、その解釈のいかんは、あるいはそのときの社会通念の変化によつてかわるかとも思いますが、しかし、それらの行政解釈につきましては、警察当局としては、一応参考にはいたしまするが、いわゆる刑事犯とか、そういうものについての警察の行動については、それが基準となる、それをいわゆる金科玉条として警察官が活動するのだというようには考えておりません。その行政解釈が正しいかどうかというような問題は、問題が具体化されたときに、裁判所の判決によつて判例としてだんだんルールが確立されて行くのであります。私といたしましては、労働省の解釈は労働省の解釈——今回の警察力の発動も、労働問題以外におきまして、いわゆる不退去罪あるいは威力による業務妨害罪の容疑があると認めましたがゆえに、警察権を発動したのでございまして、ただいま委員長のお尋ねの関連性は全然ないのであります。  それでは、次官通達をどう考えるかという点につきましては、警察当局として、そういうようなものの解釈についてとやかく申し上げる筋合いのものではないと、かように考えておりますので、さよう御了承願いたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは、具体的に一点だけさらに私から質問しておきたいと思います。  昨日、本委員会におきまして、左派社会党の多賀谷真稔君より、暴力的なピケ破りに対し、スクラムで押し返すことは許されるかどうか、こういう御質問に対しまして、労働省側より、暴力的なピケ破りに対しては、労組も正当の防衛としてこれに対抗できるというところの見解が明らかにされたわけでございます。この労働省側の御答弁に対しまして、警視総監はどのようにお考えでございましようか。この際あなたのお考えをお伺いしておきたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 委員長のただいまのお尋ねは、ピケツト・ラインをしいておるものに対して、それを暴力をもつて打破ろうとするもの、つまり委員長のお尋ねは、使用者側と申しますか、あるいは使用者側に協力する者が、暴力をもつてそれにぶつかるというような場合に、それが正当防衛と申しますか、緊急避難と申しますか、そういうものに該当する場合には、もちろん自力をもつて、自衛力をもつてそれに打勝つということは、当然できることであろうと私も考えます。ただ、警察官職務執行法に基きまして警察官が実力を行使する場合には、また別ではないか、かように考えております。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは他の委員諸君の質疑を許します。多賀谷君。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 この前の委員会におきまして問題になつておりました作業所閉鎖が行われておるにかかわらず、さらにそれに対して仕事を始めるといつた人々を中に入れないということが、なぜ業務妨害になるか、こういう質問をし、それに若干の答弁があつたわけであります。この点について、さらに研究されたことであろうと思いますので、一応御回答をお願いいたしたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 当日二十六日におきましては、どうも作業所閉鎖という通告をしておきながら、業務は開始するんだという表現が、非常に妙である、こういう労働問題になれない理事者側としても、その意味がどうもわからないということを、当日私野手君にも表明しておりますし、一昨日もこの気持はお話申し上げたつもりでありますが、一昨日私は、どうもわかりにくいが、こういうことではないだろうかということを申し上げました。それは作業所閉鎖という言葉は使つておるけれども、理事者側の気持としては、ただ従業者のみを排除するというだけのことを、なれないがゆえにそういう言葉を使つたものではないか、かように想像されるということを申し上げておきましたが、その後一昨日以来帰りまして調査いたしましたところ、やはりそうであつたということがはつきりいたしました。それは二十六日の午前一時に、東証の理事長から執行委員長の細谷君あてに通告書が行つております。その通告書の前半分くらいは、この前野手君かどなたかここで読み上げたと思うのでありますが、そのあとへこういうことが付記してあるのであります。前の方はこの前読み上げられましたから省略いたしますが「仍つて茲にに当所は——つまり東京証券取引所は——昭和二十九年十月二十六日午前三時より作業所閉鎖をするから此の旨を貴組合に通告する」こうしまして、そのあとに「但し当所は本来の任務たる市場の開設維持については万難を排し従来とかわることなく実施する方針である。右作業所閉鎖機関中は貴組合に対し当所の占有管理する建物内に立入ることを禁止するとともに、現に立入中の者は直ちに退去すべきことを要求する。追つて作業所閉鎖中は使用者において賃金支払い義務なきものであることを念のために申し添える。」こういう言葉がつけ加えてあつたのであります。これによりましても、作業所閉鎖という言葉は使つておりますけれども、理事者側の意向としては、ただその建物から早く出てもらいたい、従業者だけ立ちのいてもらいたいという意味の通告を、そういう表現を用いてやつたわけでありまして、われわれもそれで非常に迷わされた点は、はなはだ遺憾だと思うのでありますが、ようやく当時の理事者側の意向がわかりましたので、その点をお伝え申し上げます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 私も実は通告文の前文だけしか知らなかつたものですから、遠まわりな議論をしたと思うのですが、そういたしますと、作業所閉鎖ということはわかりましたが、私は同じ人間が業務妨害になり、また同じ人間が不退去罪になつている、これがどうも理解に苦しむわけでございます。ロック・アウトということになつて締め出しを食いましても、賃金などの請求権は、宣言でそのときからなくなると思いますけれども、やはり事実行為の問題は、単に宣言だけしたのでは不退去罪にならない、かように考えるわけですが、この点についてひとつ警視庁の立場をお聞かせ願いたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 業務妨害の容疑があるということは、一昨日以来しばしば申し上げました。不退去罪の容疑という点につきましては、昨日の夕方資料としてその経過を説明したものをお配りしてございます中に書いてあります通り、理事者側からも、しばしば建物から立ちのいて、その占有物占拠を解くようにということは、ずいぶん頻繁に繰返し警告して参つておるのであります。それにもかかわらず建物から退去しないという事実も一面にございますので、不退去罪という容疑もあわせて考えられたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 作業所閉鎖が事実行為として成立する場合には、これはやはり何らか締め出しの具体的な方法がなされなければならないと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 そのピケットの占めておりまする位置などから申しまして、それが歩道側であつたとか、あるいは道路上であつたという場合なら別でございますけれども、明瞭にその建物の壁にくつつき、あるいは表玄関の階段の上に立つており、あるいは鉄扉に触れおり、それに対して、しばしばそこから立ちのくようにということを警告しておりまするので、そのしばしばの警告にもかかわらず、そういう態様を解かないということは、不退去罪の容疑が十分濃厚である、かように考えるのであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 そうしますと、建物の中におつた人じやないわけですか、その点をひとつ明確にお答え願いたい。

江口見登留警視総監

○江口参考人 その点は、中も同様でございます。ただいまお答えしましたのは、七人の業務妨害罪にあわせて不退去罪のあるのはどういう意味かということでお答えしたのでありますが、もちろん中におつて、いつまでたつても立ちのかないというのは、やはり不退去罪に該当するものでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 具体的な被疑者になつおる人が、両方の容疑でいろいろ調  べを受けておるわけです。私は七名であるのか何名であるのかよく存じませんけれども、その人は、さつきのお話でありますと、中に入つておつたのでなくて、むしろ外におつてとびらのところにおつたとかいろいろ言われましたが、どうも建物の外のように聞いたわけですが、建物の外の場合も不退去罪が成立するわけですか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 建物には自然そのまわりにその敷地がはみ出しておるのでございまして、その敷地も、やはりその建物の一部ということが言えると思うのでございます。その敷地から立ちのかないということは、やはり不退去罪に十分該当すると思います。条文を持つておりませんが、その管理権が及んでおります場所から立ちのかないということは、やはり不退去罪の容疑が十分あると思つております。

細谷節也東京証券取引所労働組合委員長

○細谷参考人 ただいまのことに関連しまして——当日日本橋警察署長から、ピケを張つた場合に、道路にはみ出ないようにという再三の忠告があつたという報告を受けております。そうしますと、道路にはみ出ないようにといつて建物の方に追いやつておいて、それでもつて不退去罪という罪名をつけることは、警察側のでつち上げと考えるほかにないと思う。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 どうも解せないのです。いやしくも建物の外におつた——なるほど管理権あるいは民法の所有権はあるでしようけれども、刑の対象になるのが、建物の外におつてそこをどかないからということで不退去罪というのは、われわれ常識として解せないわけですが、その点、もう一度お聞かせ願いたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 建物に直接手を触れておりませんが、その敷地に立ちふさがつてそこを立ち退かないがゆえに、その建物に対する管理権が及ばないということはあり得るわけであります。たとえば、玄関に立ちふさがつて、建物には触れないが中に入ることができないという場合には、やはり管理権の侵犯でありますので、明瞭に不退去罪か成立する容疑がある、かように申し上げられると思います。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 どうも解せない点があるわけですが、一応この問題は大きな問題ですから、今後ピケその他においていろいろ事件が起きます。そういう場合にはやはり研究しなければならぬ。これはあなたの方でもそうですし、われわれも研究し、十分な指導をしなければならぬと思いますので、これは後ほど研究することにいたしまして、さらに告訴の問題についてちよつとお尋ねいたしたいと思います。  こういう席上で聞くことはどうかと思うのですが、実は労働組合の方では、理事者側に対しまして、十一月十日、都労委において調印前に、告訴を取下げてくれという自主的団交をやつております。このときに会社側の佐藤舜という部長が、いや会社だけの意向でなくて、やはり他の方と相談をしなければならぬ、こういうことを申しており、さらに都労委の三鬼陽之助氏の話によりますと、これは組合側でありますが、いかに証券取引所の理事会並びに日経連がイエスといつても、もう一つの大きなものがあつて、やはりその承諾を受けなければならぬのだ、こういうことを言つておるということを聞いております。そうすると、やはりこれは警察がむしろ告訴を取下げさせないようにしているのじやないか、こういう疑義を事実として持つておるわけであります。その点に対する釈明をお願いいたしたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 理事者側が、何か背後に動くものがあつて、理事者側だけでその告訴を取下げるかどうかということを決定し得ないということを話されたそうでありますが、理事者側のバツクにあるものは何かということにつききましては、われわれ内部的なことは一向存じないわけであります。理事者側の判断で告訴を取下げれば、取下げてけつこうでありまして、取下げたからと申しまして、それじやその取調べは打切られるかと申しますと、そうではない。これは親告罪ではありませんので、一昨日も申し上げましたように、理事者側の告訴があろうとなかろうと、警察当局あるいは検察当局の意向にどう反映するかということは別といたしまして、ただちにこれが何らかの効力を及ぼすという次第のものではないのであります。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 そのことについて、ちよつと関連して伺つておきたいのですが、私どもは争議が労使双方によつて曲りなりにも調印をして妥結をする、解決をするということになりますれば、争議によつて起つた派生問題も当然一緒に解決をする、こういうふうにするのが好ましいと思う。ところが今度の場合は、派生問題が今日なお尾を引いておつて——今の告訴問題もその一つでありますが、依然として争議は解決された状態にない。かんじんの争いの種となつた問題は、まあまああつせんによつて妥結をしましたが、その派生問題が解決しないという状態です。そのうちで一つの大きな問題としては、今言つた告訴の問題がある。告訴を取下げようと下げまいと、それとは別個に捜査を進めるということはあるとしましても、今多賀谷委員の質問しましたように、どうも理事者側の告訴取下げを阻止しているんじやないかという感じを、いろいろな点から受けるわけなんです。そこで、これは阻止するはずもないと思いますけれども、念のために伺つておきたいのですが、あなたの方では、理事者側が派生問題を解決する一つの方法として、告訴も気持よく取下げようということであるならば、それに対しては、もちろん何ら制肘を加えるというような御意思はないでしようね。

江口見登留警視総監

○江口参考人 理事者側で告訴を取下げようとするならば、もちろんそれでけつこうでございまして、それに対してこちらがとやかく申し上げる筋合いのものではないと存じます。  それから、問題はすべて同時に解決するのが望ましいことでございますが、告訴以外の問題につきまして、いまだに検察当局にかかつておる点は、検察当局の調べもまだつかないというような段階にありまするので、いよいよ起訴するかどうかという点の判断がまだ検察当局としてはついておりませんがゆえに、その点は、かなり時間をとりますことはまことに遺憾に存じまするが、これまたやむを得ないことであると存じます。

野手豊東京証券取引所労働組合渉外部員

○野手参考人 今日は日本橋署長が見えると思つて私たちも参考人として呼ばれて来たのだけれども、現場の最高責任者であつた日本橋署長がどういうわけか出て来ないのです。一番重要なのは、あのときの現場の最高責任者であつた日本橋署長に関連する事件が非常に多いわけです。それでその問題は、署長がいなければ話にならぬと思うのです。それで告訴状についても、警察と理事者が連繋をとつてやつていたんじやないかということは、いろいろな点から考えられるわけなのです。先ほど多賀谷さんの話にあつたように、調印する前に、告訴状取下げについて自主的な団体交渉をして、告訴状取下げを検討しようじやないかということを、都の労働委員会の席上で申し込んだのですが、そのときに理事者側の団交委員である佐藤舜という調査部長は、われわれ七名の団交委員ではどうにもならない、他と相談しなければどうにもならないということをはつきりと言われておるのです。他とはだれだと私が追及したら、それは言えないということを言われておる事実もありますし、またあつせん委員であつた三鬼さんは、いろいろと理事者を説得してまわつたけれども、そうして二時間に及んで理事者を告訴状取下げについて説得したけれども、理事者は、小林理事長は大体オーケーというような表情をされたというのでありますが、そのほかの人たちは、なかなか応じたようなあれをしなかつたそうです。それで、その裏には何か警察があるのじやないかということを言われて、三鬼さん自身が私に、日本橋署長は幾つになるのだということを聞いておるのであつて、これはどうも日本橋署長と連繋があつたということが想像されるのであります。  それからストライキの当日に、日本橋署長が新聞記者クラブのところで——私たちは記者と自由に行けたものですから、そのときに図面を持つて、取引所の三橋理事だと思いますが、その他の理事たちとどんなふうにしたら打破れるかということを相談しておつたということも聞いておりますし、また委員長のところへたしか出ると思いますけれども、証券会社の従業員にまわした文書の中にも、警察官と連絡をとつていたということが書いてあるし、日本橋署長と連絡があつたということは事実だと私たち思われるのであります。それにもかかわらず、きよう日本橋署長をここに出されないということは、警視総監、どういうわけであられるかわかりませんけれども、私たちは日本橋署長がこの席に来て、私たちと対決されることを切に希望するわけであります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 参考人に申し上げておきますが、日本橋の署長は、私も本件に非常に重大な関係があると思いますので、適当な機会に出席していただきます。ただ参考人の方からあまり乱暴な言葉は使わないように、その方は委員諸君も十分心得ておりますから。ことに職務執行上きようは都合が悪いそうで、その内容も私は聞きました。聞いてみますと、故意に御出席をなさらないというふうにも受取れませんので、私は了承しまして、それで警備課長にかわつて来ていただいておるわけであります。これは警視総監以下全部を参考人として御出席願うということも、現に警察の方でいろいろな事件を取扱つております関係上、なかなか困難だと思うのです。こういう点はもう少し好意的に考えていただきたい。きよう御出席にならなくとも、まだあなたたちの問題は、本委員会における議題として消えておりませんので、適当な機会に警視総監にもお願いをして、そうして日本橋署長の御出席も願うつもりでおりますから、この点はあとで十分お打合せいたしまして、参考人及び委員諸君の御納得の行くようなとりはからいをしたい、こう思つておりますから、どうぞひとつ御了承を願います。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 私は労使の紛争には警察官憲が介入すべきものではない、厳に中立の立場を守り抜くべきものである、こういうふうに考えておる。またそれが法の建前でもあろうと思う。ところが、どうも最近、それが事実の上においてくずれて来ているというような気がしてならない。署長がおいでになれば、ぜひこれは聞きたかつた点ですが、この警視庁の方で出された資料によりますと、ちやんと順序をふんで、何らの手落ちもないように書かれておりますけれども、しかし組合側の陳述及び組合側の提出した資料によりますと、こういうことが書いてある。午後一時前後、ラサ工業に設けられた警官隊の本部から日本橋署長名で組合の鈴木法規対策部長に対し呼出しがあつた。ところが鈴木部長の所在が不明のため竹村副委員長、野手渉外部員に鈴木という弁護士が同道して署長と会つたが、そのとき、君たちのやつていることは違法だ、管理権を有している者が自由に行動できるようにせよ、警察は実力行使をする、こういうことを言つた。そのとき鈴木弁護士と野手という人から、どういう点が違法でありますかと、こう尋ねましたところ、署長は、違法か違法でないかはあとできまることで、私は長年の私の経験に基いて、勘でやるんだ、こういうことを言つております。そうして、もう用がないから帰れと言つて、威嚇的にそこにおつた刑事を促して早く帰れ帰れ、こういうふうにやつたということが、この書類に記載されております。  また、せんだつての参考人の陳述の際にも、私は労働法学者ではないからこまかいことはわからぬが、長年の勘でやるんだ、こう言つたということです。こういうような態度は、私ははなはだ不親切だと思う。  どこが違法であるかということは、議論をふつかける意味で言つたのではなくて、こういう点が違法であるということがはつきり納得できれば、その違法な行動に関してはやめようという意思もあつたと思うのです。というのは、このピケ団は、きわめて穏当にピケを張つておつたということは、あなた御自身も先日認められたところです。また本日出された資料によりましても、二十六日午前一時ごろ五、六百名が北門にピケを張り、労働歌を歌つた、そのとき署長は夜間の静謐の保持上自粛するように警告したところが全員ピケを解いた、こういうように自粛を警告した程度でも、ちやんと言うことを聞いておる、こういうような温和なピケ隊ですから、両者の間によく話がわかりさえすれば、私はああいうような実力行使といいますか、混乱にならずに済んだのではないかと思う。そういう点に対する手の打ち方が不十分である、あるいは不親切であるというような解釈ができるのですが、こういう点に対して、総監はどのようにお考えになるか。日本橋の署長さんが来ておれば、これは聞きたいのですが、来ておりませんから、後日署長に伺うことにいたしまして、総監はこの点に対してどういうようにお考えであるか伺いたい。私どもは、警察官が実力行使をするのは、争議の場合は努めて避ける、介入しないという建前を堅持してほしいと、こう思うのです。そういう点から考えると、非常に不親切であり、遺憾ながら打つべき手を打つていないというふうに思われるわけですが、この点に対して、総監はどのようにお考えですか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 御指摘の通り、労働争議に警察力が当初から干渉するというようなことは、厳に避くべきものであると私ども十分考えております。しかるに、なぜ警察力が関与をしたかということでございますが、違法のおそれがあるから、理事者側あるいは協和会側が入りたがつておるからそこをあけてください、あるいは建物から立ちのいてくださいということは、その日のうちに——その経過はお手元に届けてありますが、いれは何回、何十回パート・カーあるいは署へ、あるいは郵便局へ来てもらつて話しておるかわかりませんけれども、そこで、どこが違法か、どこが違法かというこまかいところまで、またどういう態度をとつたらいいかというような具体的な問題を話し合つておるわけにも行かないわけでございまして、みんなが入りたがつておるのに入れないのは違法であるから、とにかく囲みを解きなさいということを再三再四言つておるのに、どうしても退去しない。それで初めて、これではいよいよ検挙に乗り出さなければならないという腹を署長がきめたのでありまして、決して何らの通告なく、きわめて不親切に初めから検挙するつもりで検挙したということではないと私は思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 労組側の参考人に申し上げておきますが、委員の中からも、参考人からも、この間の警官の暴行による組合員の障害問題につきまして、十七名本委員会へ呼んでもらいたいという希望がございました。しかし、諸般の事情を私考慮しまして、これはまた別の機会に譲ることにいたします。  それで労組側より事情申立書が委員長の手元に参つております。これをぜひ委員の皆さんに披瀝をし、かつ議事録にとどめておいてもらいたいという御要求でございますので、ただいまからこれを御紹介したいと思います。「警官の暴行による組合員の傷害事情申立書」という正式文書が、委員長あてに参つておりますから、これを御紹介申し上げます。    受傷状況      管理課守衛           大里伸六  一、受傷箇所    右腕関節打撲及突指全治五日間  二、状況    午後三時頃ピケ破りに来た暴力団と思われる人とピケの間に割つて入つた警官隊はピケ破り隊を後退させたので私達は胸をなでおろした瞬間ピケに向つて圧力を加えて来ました。暫く何か話し合つて居りましたが指揮者は指揮棒を振つて「かかれ」と号令一斉かかつて来ました。    私はピケの中間に居りましたので前の者が叩かれけとばされたりして一人々々ひきずり出されるのを見て一層堅く腕を組んで居りました(これは警官隊の暴力に対して必然的に恐怖を感じ、皆が腕を固く組んだものと思います)    処が一人の警官が右腕で私の首を締めて来ましたのでそれをこらえて居る間に足を取られ、二人の警官が足を持つて引き倒しました、それでも固く腕を組んで居りますと別の二人の警官に左腕を無理矢理放されてしまいました、するといきなり警棒で手首の処を叩かれ受傷され引きずり出されました。    その時左薬指を痛め指を押すと腕の筋肉が強く痛み、全治迄十日かかりました、未だ強く押すと痛みます、上衣のボタンニヶ取られる様な始末でした。     —————————————     申 立 書          吉田 静男 四十才   右大腿部打撲傷一週間  状況    最初ピケ破り約五十名と対抗し二、三回ピケ隊ともみ合い説得して帰つてもらつた、その後約十五分位してピケ破り警官と両者の間で話し合つていたようであつたがピケ隊に対して背を向けて居た警官隊は突如向を変え正面に向き直り「貴様等のような奴が居るからだ」と言い乍らいきなり上衣の衿や頭髪をつかみ靴でけり棒で頭をなぐり引き倒し引きずり出した。    其の際右大腿部に右のとおり打撲傷を受けて今に至るも全治いたしません。    損害   眼鏡、靴紛失   上衣衿、ポケツト引さかれる。     —————————————    申 立 書        高木 政一 三十六才    十月二十六日のストライキ当日の負傷に就いて申立てます。我々は全然予想もしなかつた警察官の不当介入の為私一人でなく多くの組合員が負傷してピケツトは止むを得ず解かれたのが実情であります。私は警官の暴力行為によつて負傷したのでありますが、当日の状況を申上げますと、警官は全く無抵抗な組合員に対し猛然と襲いかかり警棒で頭部を打ち「下あご」をこづきあげ、腕を組んでいる間に警棒をさしこんで頭髪をつかみ引きずり出し軍靴でける、なぐるの行為に全くあきれ口惜し涙も出ぬ有様でありました。現場に居合せた人達でなくては解らぬかも知れませんが目をそむけたくなるような状況でこれが民主警察とは全く憤慨に耐えぬ次第です私は赤旗の竿を固く握つているとこの手を二、三人の警官が指を叩き「こづきあげ」そのすきに足を引き払われけられたので右足の甲を捻座負傷しました。とにかく歩行困難でその日は冷薬で応急手当を受け翌日は全く動かすことも出来ず止むを得ず休暇をとり家で静養しました。その翌日は会社で診断を受け三、四日無理せずにと言われました。あの様な横暴行為が我々労働者に二度とくりかえす事のないよう特に警察関係当局に希望します。     —————————————      守衛室 杉浦  清    十月二十六日午後三時二〇分頃だと思います。突然組合のスピーカーが「山一方面よりピケ破りが向つて参ります」と放送されました。「ヨシ来い絶対にピケは破らせないぞ」と私達は一段とスクラムを固めた時ワツシヨワツシヨの掛声と共にピケ破りの連中がなだれこんで来ました、私達もと押しつ押されつして居りますと正面玄関方面より鉄兜に乱闘服の警官が来て我々とピケ破りの連中の間に入つて来て完全に我々と彼等の間に一劃を引きましたそれを見て私はやはり警官が来て呉れてよかつたもし警官が来なければ我々とピケ破りの連中とは最悪の事態に成つたことだろうと思いこのときは警官に感謝して居りました。処がその内彼等は一人へり二人へり終りには道路一面に警官がならび我々の顔をにらみつけてなにか剣悪な空気に成つて参りました。我々の頭上では組合のスピーカーが「ピケ隊の皆さん警官に絶対に手を出さないで下さい、警官の挑発に乗らないで下さい」とさけんで居ります我々としてもあくまで正々堂々とピケを張る心算で居りましたから警官に暴力をふるう等とは全然考えても居りませんでした。そのうちに指揮官らしき人が「カカレ」と言うが早いかピケの先頭の人に飛びかかり一人一人手をとり或は頭をかかえてはがし初め次ぎ次ぎと列をくずして参り私のところ迄来ました。私は絶対にピケから離れる気はありませんでしたそのうち一人の警官が私の顔に顔をつけるようにして「この野郎まだはなさないか」と言いながら私の指を一本一本旗竿からはなしに掛かりました、その時竹の旗竿がメリメリと折れ私のノドに突きささりました思はず手をはなし友達の足にかじりつきました処今度は三人の警官が私の足を持ちずるずる引きずつて道路に投げ出して終いました。その時に片方の靴が飛んだことに気がつき取ろうとすると腰をけられどなられたのでこれ以上此処に居るのは危険と感じて夢中で逃れました。    一、ノドに五ヶ所の裂傷全治一週間(まだ傷あとが有ります)    一、右手首に十糎の裂傷全治一週間(右に同じ)    一、全身打身の為め翌日家で一日静養した     —————————————    申 立 書            松本 栄    ピケ破りの連中が午後三時半頃、突然吾々のピケツトの前に押かけてきました。そして強引に入口を突破しようとして四回位押して来たが、吾々のピケの前に居た説得人のためピケを突破する事が出来ませんでした。私は丁度中間にピケを組んで居たのでスキャップの状態は良く分りませんでしたが、吾々はがつちりスクラムを組んで全然手出しをしなかつた。其のピケ破りが不成功に終ると同時に四列に並んだ武装警官隊がピケ隊とピケ破りとの問に割り込んで来た。    私等は前からいざこざが起つた場合は、警官隊が仲裁に入るという事を聞いていたので、この時も警官隊が仲裁して呉れるものと信じて居ました。するとその警官隊が向きを変へると吾々に圧力を加えて来ました、其の時にはピケ破りの連中は何処に行つたのか影も形もありませんでした、激しく打鳴らす太鼓と、ワツシヨイワツシヨイの掛声だけでした。其の内に警官は、後から後から増員されて道路一杯位になりました、そして吾々の仲間は、片端から一人づつ剥がされて来ました。やがて私の前が破られまして、仲間の一人が私の腰にしがみつきました、その特私は隣に居た仲間が引きずつて行かれるのを見ました。すると私に迫つて来た警官が私の左足のクル節のあたりを蹴りました、そしてそのまま右足をつかみ左側の警官が左足を掴むと無理やりに歩道より車道に引きずつて外に放り出しまして、その両足を掴まれて倒れた時に背中を警棒で三つ位叩かれました。車道に放り出された私に別の警官が温和しくすれば、なんにもしないと言いながら後ろから警棒で二つ位腰の周辺をこづかれました。    そして私は鎧橋の方に押し出されてしまいました。私は余り口惜しいのでもう一回ピケに参加するために涙を流しながら別のピケ隊に加はりました。そこには私と同じ様に暴行を受けた仲間が涙を流して大衆に訴へてゐました。   被害    一、左手人指ゆびの爪が半分位剥されてゐました。    二、左足のクル節の処がウチ身の上に三糎位の傷ができてゐました、夫だにここは治りません。    三、全身が打身のため翌日一日自宅で寝て居ました。     —————————————    申 立 書    警官隊の暴力状況        守衛室 鈴木 正二    私はピケ隊の後より三列目にがつちりとスクラムを組んで居りました。丁度三時半頃、暴力団と思われる人達がピケ破りに来たとの声に一層スクラムを強化しました。揉み合う事数分、そこへ警官隊が乱入暴力団と思われる人達を鎮圧するかに見えた瞬間、隊長らしき者の「カカレ」の号令と同時にピケ隊に圧力を加え、一人一人ピケ隊ははがされて行つた。私は隣の人との腕の間に警棒を入れられ、こじられ、スクラムを解かれ、二・三人の警官に左手を引かれてはがされ前に倒れそうになつた時他の一名の警官に左足を蹴られた、翌日の診察の結果、卵大の内出血打撲傷という事でした。    治安に当る警官に蹴られて負傷するとは今迄夢にも思つて居ませんでした。    この様な官憲の暴力行為が我々労働者に二度とくりかえす事のない様特に警察関係当局へ切望します。     —————————————    十月二十六日、私は日興証券側入口のピケに参加しておりましたが、道路に面して歩道に他の労組員がピケを張り、その後に当組合員が向い合つて自由に出入が出来る様に通路を明けておりました。私は内側の最後列で八名位でスクラムを組んでおりましたところ、警官隊が出動して、労組員の無抵抗にもかかわらず、強烈に抑圧され、同時に警官隊の暴行が始まりましたので、スクラムを解き、暴状を見守つておりましたところ、足をとられて引き摺り出され、踏みつけられるもの、蹴倒されるもの、警棒を首に当てられて締め上げられる者、又は警棒で殴られる者等々続出し、全く混乱状態となり、あまりの恐しさに唖然として、この危険から早くのがれ様としたが遂に警棒で頭を打たれ、その瞬間右胸部を警棒で突かれ、別紙診断書の通り打撲傷を負い、現在加療中であります。    右相違ないことを申立てます。            関口金之輔     —————————————    申 立 書  一、暴行状況    取引所南側の正面入口の最後列にピケを張つていた為に自分自身よりも他の人々が警官の梶棒を受けたみじめな姿の方がありありとまぶたに浮んでくる。    正当なる団結行動としてのピケラインもあの圧倒的多数の警官と棍棒の為、ついに僕の前の列まで破られてしまつた。いよいよ僕等だなと思い、一層腕を強くしめた。    やがて五名の警官が僕に襲いかかつて来た。そして足をとられてしまつたので一も二もなく手が解けてしまつた。    そして警官隊の前を送られるようにして正面の広場へ出されようとした寸前一人の警官に思いつきり頭をたたかれた。はつとして手をあてたがさいわい血は出ずにすんだ。  一、被害状況    その為に後頭部がいたく、やむをえず二晩体を横にたおして寝なければならなかつた。痛みは三日余りでとれましたものの「コブ」は一週間ばかりとれませんでした。          鈴木 勝次     —————————————      計算課 畠山 将夫  一、暴行状況    十月二十六日午後三時十分頃正面玄関南品に於いて暴力団と思はれる者がピケを突破しやうとして我々東証組合員の正当なるピケに対し襲いかかつた。この際我々組合員は説得につとめたがピケ破りは強引に押しかけて来、我々の説得は全然聞き入れなかつた。その中約一千名の警官がピケ隊とピケ破りとの間に突入してピケ破りを離散させたので私達組合員はほつと胸をなで下した。    すると急に警官隊は私達のピケ隊に向い猛然と襲いかかつて来ました。あつという間に最前列が崩れ一列、二列と切崩され、しかも警官隊は撲る、ける、突く(下から突き上げる)等目にあまる暴行の限りをつくした。私の場合警官が左肩を警棒で五、六回撲り腰を下すと軍靴でけつたり、ふんだりされたのでピケから切離され二、三の警官に路上へ放り出された。    吾々はこの官憲の暴力を涙で大衆に一訴える。    吾々は正当なるピケであつたと同時に全く無抵抗であつたことを主張する。  二、被害状況    一週間左肩と腰とが内出血致しました。     —————————————    申 立 書  一、去る十月二十六日東証ストに於ける警官の暴行状況    我々は法の下に悪を取締る人々が警官と信じて居た、この信念はこのストライキに於いて見事覆された、それは我々のピケ隊に向つて暴力団以上の暴力を以て無抵抗なピケ隊に梶棒を振りかざして下から腹部を突き上げ、我々が弱つて居る間に軍靴の如き靴で蹴り上げ更に腰等を丁度道端の石ころを蹴る如くに我々のピケ隊員を一人づつ引き出し、尚可弱き女性が三人程我々の前にピケ隊に加つて居た、この女性の人達に対しても同様の事を行つた、実にこれが国民の安全を守る人間の行う行為かと思うと情けない、更にこの際に七人の人々が何の理由も無しに拘置された事は周知の通りだ、  一、被害状況    右の様な暴力に依つて多数の負傷者を出した、小生もこの暴力団に依つて足は蒼く腫れ上り又腰を軍靴で蹴り上げられた為めに腰部が四、五日程はしやがむと痛みを感じ、床に入つてる場合でも痛む為めにこの四、五日間は熟睡すら出来ず体力の疲労甚だしかつた    昭和二十九年十一月十八日            三嶋  勇     —————————————  一、暴力行為状況    十月二十六日の東証ストライキの午後、日興入口で警察は私達に不当なる弾圧を加えられた時のある暴力行為をあげてみますと、私は後から二番目で高い所にいたので予備隊はどの様な暴行を加えた事は私の目又は頭からは一生忘れられないでしよう。    私達組合員は何も不当な事をしたのではないのにもかかわらずあの様な暴力行為をしたか、私には不当な暴力行為としかみられないのです。予備隊は笑いながらあの様な事をし又私達組合員は何も抵抗したといふのではないのに、なぐる、けるなどはもつての外です。特に私の前にいた女の人までなぐつたり又引きずつたりして荷物の様にして送り出される様子、又私と一緒にスクラムを組んでいた守衛さんは「何うして又何の理由でこの様な事をするのか」と予備隊の人に聞きますと「何を言ふか、だまつて出て行け」と言い、首つたまをひつばられて出されたのです。    私はしつかりスクラムを組んでいますと予備隊は「ケガしないうちに出ないか」と言い、棒で私の後頭部又腕をなぐり、足で私の足をけり、四人位で足を持ち数メートルも引きずられたのです。この様な有様が現在の警察の行うべき道でしようか、いや道だつたといふ事を私に教えて呉れたのです。  二、被害状況    この暴力行為の為私は後頭部に四日間もハチ巻きも出来ず夜寝る時はあお向けに寝られないほど打撲傷を負わされ、腕又しりつペたに裂傷といふ有様です。      計算課 鷲田 安隆     —————————————    申 立 書  一、暴行状況    正面入口の南側正当なるピケを張つていた一組合員の私は、青カブトの波の中で一片の紙屑の様に掻きまわされた。直感的に、私は早稲田大学事件を思ひ出した。負傷者が一人でも出ない様にと祈らずにはいられなかつた。    突然私の前に、五尺三寸位の青カブトが何も抵抗をせぬのにいきなり足を蹴り始めた。すると次には私の首へ梶棒が廻つてきました。そしてぐいと前に引かれると私の腕はもろくもはずされてしまつた。その時背後からドタ靴でいやという程背中を蹴つ飛ばされた。そして前にたおれて起き上れないでいると、こんどは両足を引つぱつて道路へまるで犬ころの様に「ポイ」と投げ出された。    我々と一緒にピケを張つていた仲間達が次々と同じように投げ飛ばされてくる。なんという有様だ。なにが民主的な警官なんだ。くやしい。激しい憤りが胸に込み上げてくる。同志が後から後から頭をおさえ、ビッコを引き、腰をさすり、首筋をなでながらさつて来た。皆目には涙、口唇をかみしめていた。  一、被害状況    ピケを破られてから落着いて見ると何んだかそこいら中が痛み出した。ズボンは蹴られた靴の跡でほこりだらけだつた。そして三日〜四日下半身が非常に痛んだことは事実だ。            中川 和男    申 立 書  一、暴行状況    ピケ隊は無抵抗であつた為、「警官隊の暴力行為により一皮一皮はがされ、我々の眼前に来た時は、シイシイという掛声を上げ、暴行するのに比較的行動の目立たぬ足を巧みに使ひ、編上靴で蹴るかつぱらうの手段をこうじ、その上一人に対して三人位がグループになつてかかり、手はきれ、足は傷つき、且つ洋服の襟を持つて引きずり出すため、首は締められるという様でした。此の様な行為を実際にこの目で見、体験した我々には、今の今まで、国民の信頼していた民主々義社会に於ける警官隊に対して、憎悪と悲しみが沸き、ひいては国家権力に依る戦前の如き、フアツシヨ化を恐れると共に、共産党を大嫌いな我々でも最右翼化の傾向をも大いに憂うるものである。    最後に私は、この事件で不幸にも右の手を鮮血に染めた事実を申立てると共に、貴委員会が、速かにこの問題についての結論を出されることを希望するものである。           長谷川建治     —————————————    申 立 書  一、暴行状況    三時半頃、日興証券側に張つたピケ隊の前に約八百名の警官隊と暴力団がなにやら押し問答をやつていたが急に暴力団が引きさがつていつた。と、こんどは我々の方へ向きなおつた警官隊はピケラインをこわし始めた。時は三時三十分、全然無抵抗なピケツトに対し警官は暴力を使い始めたのである。勢にのつた警官達は狂つた荒牛のごとく棍棒をふり上げ、あく迄冷静な人達をなぐる、蹴るの傍若無人の次第であつた。そして年とつた組合員を二、三人の予備隊員が軽々と持ち運んでは「ポイ」とまるで「ゴミ」の様に道路へ投げだしている。それだけなら我慢が出来るが、なんと警棒及び靴でこずいていた。とうとう警棒のところへやつて来た。前の列でやつたように足を蹴られ、両足を引張られ、階段の上をガタガタと引きずられていつた。道路に出てきがつくと私のハチ巻が落ちてしまつたので予備隊員の足の下をくぐつてとろうと手を出したとたんに、私は「コラ何処へ行く」と云う声と共に背中をしこたま蹴飛ばされた。次のしゆん間私の体は予備隊の行列の中をラグビーボールの如くリレー式に広場へたたき出された。  一、被害状況    前に述べたようなわけでその時蹴飛ばされた箇所が一週間を経過した十一月二日の日でさえ、仕事をしている最中に痛みだした様なわけである。ストを終つて眠ることになつたが三日間私は背中を下にして寝ることが出来なかつた。貴委員会が一刻も早くこの問題を解決してくれることを望んでやまない。            植木  誠     —————————————    東証ストにおける警官の暴行行為   紳士的態度を固持していたわれわれに対する警官の暴状は、まことにかれらの逸脱した越権行為とみなさざるを得ない。労働法その他によつて行つたピケツトに対し、かれらはなぐる、ける、踏みにじるをもつて、男女差別なく阿修羅のごとくふるまい、一度ピケを離れた者に対してもなおなぐる、踏む、ける、引倒しを行い、はち巻までもぎとろうとした。    私はピケツトの最後列に組んでいたから、かれらの暴威の最高潮に達したときである。まずこん棒でからだをなぐられ、押し出太れる途中、首をつかまれ、そのまま腰骨をかれらのひざによつてけり上げられた。押され押されしたまま動きがとれなくなつているにもかかわらず、まだ後からけりながら、早く行けとどなつている。私は、これでは動けるか、貴様らが動けなくしておいて動けとは何ごとだときめつけると、棒を振り上げたかれらは、動けなくともいいから動けと言つている。まさに低能児である。その上、一生懸命になつてはち巻をもぎとろうとして髪の毛をひつぱつているのである。一番かわいそうな目にあい、被害を受けたのは、すわろうとして引きずり出され、かれらの多くにかたい軍靴で所かまわず踏まれ、けられた人たちである。警官は一体われわれに何のうらみがあるというのだ。かくのごとき行為は、常人であつたら危害を加えられたときとか、自分の命にかかわるときのみすることだろう。かれらの多くは精神判定の必要があろう。    私たちの多くは、その夜寝られなかつた。というのは、かれらになぐられ、けられた痛みによつてであろう。私自身、正常に寝ることができず、横臥した。ことに骨をやられたゆえか、一週間は痛みが抜けなかつたくらいである。           土田 杉男     —————————————    申 立 書  一、暴行状況    私は正面南側入口(日興証券側)にいるピケ隊の最前列にいた。三時半ごろ警察われわれのピケを暴力によつてくずし始めた。初めは押したりひつぱつたりしていたが、とてもピケを破れないと気がつき、今度はこん棒を振りかざしてつつ込んだ。まず最初首にこん棒をひつかけて、いやと言うほど前へひつぱる。次は両足を二人でひつぱる。そして倒れたところへ持つて来て、こん棒を腕の間へつつ込んでごりごりやる。一人に対し四人の武装警官がなぐるけるでは、ピケ隊からはずされぬわけには行かなかつた。  一、被害状況    前記のような暴行にあつては、いくら私のからだが健康だといえども故障の起つたのがあたりまえであつた。次の日二十七日起きようとすると、首筋が痛くて全然首をまわすことができない。この症状は翌々日まで続いた。またピケから引きずり出されたとき、入口は階段になつていたので腰をしたたか打つた。すぐには立つことさえできなかつた。ようやく次の日になつて歩くようにはなつたものの、腰をちよつとでも曲げるとずきんずきんと痛んだ。この痛さは約一週間くらい続いた。その他手首に裂傷を負つたとか、どた靴でけられたとかは他の者が書くことだし、文がなくなるので省く。    最後に私が言いたいのは、組合ができて間もないことだから(三箇月)このようなことに関して不慣れなこと、以上のようなことで傷を受けても診察を組合の指示を受けるまで待つていたような始末でしたということです。            三浦 幸男     —————————————  (一)スト当日、組合員及び応援団体は憲法及び労組法に保障された団体行動権に基きスクラムを組み団結権を表象する意味で労働歌を歌い、整然とピケット・ラインを張つていた。このピケッティングは不法な暴力団的スキャップに対する対抗手段であつた。  (二) 午後三時十分ごろ、山二証券前でもみ合つていた場立、実栄会の人々約数百名ほどが一団となり、警官の誘導に従つて、南側玄関を守るピケッティング目ざして突入して来た。   このとき警官は、日興建築場側の板べい付近で一時様子を見るため待機態勢をとつた。これとほとんど同時に、場立及び実栄会の人人で組んだスキャップの前衛は、まつたくわが組合と平和的に話し合うこともせず、いきなりかけ声とともに組合のピケッティングに対し暴力的に突き当り突き押して来た。ピケ隊は一時後退したが、くずれることなく、定位置にもどつた。  (三) このとき警官は二列縦隊をとり、暴力的スキャップとピケ隊との中に割り込んで来た。この警官隊を指揮していた制服制帽の一警官が次の瞬間、ピケの前列の四五人の者をつかまえて、一人々々二言三言話していたかと思うと、いきなり予備隊の隊長が白い指揮棒を振り、予備隊をけしかけた。彼らは次々にこん棒を腰からはずし、ある者はピケ隊の腕にそれを巻きつけ、万能のように腕をねじ上げ、ある者は胸を突き、腕をたたき、さらにそれを首にかけて前に引き倒し、こん棒を首しめの用具として使用する等、暴行の限りを尽した。その結果無抵抗のピケ隊員は、次々に痛手を負つてけ散らされ、ピケは十分足らずで破られてしまつた。  (四) 私の場合      警官(予備隊)がピケ隊に襲いかかつて、次々にピケの前列より撃破して行つたが、われわれはあくまで無抵抗で腰を低めて守つていたが、ピケの前列(私の前の)がくずれるとともに、私たちのピケラインにも彼らは襲い、たちまちばらばらにくずされて行つた。私はとつさにピケの端の方に逃げ道を求めて玄関の左方へ体を運んだとき、予備隊員三名が一人は前えりを引き、一人は左腕をとり一人は足をけり、コンクリートの地面に仰のけざまにたたきつけたのである。私は立ち上らんとしたがえり首をとらえられ、ずるずる引きずりまわされ、全然立ち上らせない、その上「何もしないから離してくれ、よしてくれ」と叫ぶ私に対し、「こんちくしよう」「このばかやろう」という罵声を浴びせながら、こん棒でなぐりつけ(三人〜六人ほど)またくつでけつたりした。このため額に全治五日ほどの打撲傷を負つた。あげくのはてに道路に突き飛ばす暴行をあえてし  たのである。  (五) 彼ら警官がピケを破るのが目的なら、一旦ピケをくずされた者に対し追打ちを加えて来るのは明らかに職権の乱用であり、暴力行為の何ものではない。この点大いに憤りを感じる者である。         河西達司      保管部小野  純     私は労組の事務所で担当の金銭出納をしていたところ、日興証券入口の通用門のピケッティングが暴力団によつて破られる計画があるとのことで、労働争議の生命線たるピケが破られてはと懸念し、さつそくピケに加わつた。と間一髪(三時過ぎ)暴力団と思われる数百名の連中がピケツテイングに殺到して来た。私は後列から説得して帰すよう叫んだ。前列は盛んに暴力団を説得しているかに見えたが、十分くらいたつと指揮者と思われる一人が引返せ、交代に警察官数百名が入つて来て整列した、前後の事情の判明しない私には、市民を保護する警官だから私たちを暴力団から守つてくれるのだと早のみ込みをし、ほつと一息ついた。ところがしばらくたつと警察官がこん棒を振つてピケライン突破を始めて来たのには私の常識外だつた。私は再びピケの同志たちに手向いをするなと叫び、後にすわり込めと叫んだ。私に対しても警官はこん棒で突いて来たのでからだをかわしすわり込んだところ、足をひつばられ路上にほうり出された。おまけに足のすねをけられ、相当の傷を負わされた。振り返つてみると今まで開いていた戸が閉じられていたので他のピケに加わつたが、正常な争議行為のわれわれが何ゆえ警察官に暴行を加えられねばならないか納得行かぬので、栗山、重盛、同代議士とともに日本橋警察署長に面会し、理由を尋ねたが、良識によつて行つたとのみで他は語らず、いまだに解けぬなぞである。  以下診断書を添えて私の手元まで提出されております。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 私はただいまの事情申立書を委員長がお読みになつておりましたのを聞いておりまして、戦争前の警察官の労働争議に対する不当な介入の事実を想起せざるを得ない、まつたく身の毛がよだつほどぞつとする。そういう状態の中で、よくもピケ隊の諸君が手出しをしないでがまんをしておつたものだ、こう思うくらいです。よしんば百歩を譲つて、違反の容疑があつたといたしましても、今読まれたようなそういう態度は、私は警察官のとるべき態度としては許されないと思う。極言すれば、まるで暴力団的な行動であると言つてもよろしい。私は警視総監に、今の申立書をお聞きになつてどういう感想を持つているか、その感想を承りたい。

江口見登留警視総監

○江口参考人 一昨日も申し上げましたが、当日の実力行使によりまして少からざる負傷者が出ましたことは、まことにお気の毒でございます。その点につきましては、遺憾の意を表する次第であります。ただいま委員長がお読みになりましたことを聞いておりまして、それが事実であるならば、行き過ぎであると私は考えます。しかし、当時業務妨害並びに不退去の事実を排除するために、容疑者を検挙するために実力を行使した時間は、三分間ないし長くても五分間であつたと思うのであります。しかも数十名に余る各新聞社のカメラマンのん前でそういうことが行われたのでありまして、私は翌日の新聞に掲上されております写真を見て、まあこの程度ならよかつたと、実はそう考えたような次第であります。従前のそういう際の行動の中には、ややもすれば島上さんの言われたようなことがあつたかもしれません。しかし私は、今回の警察の実力行動にあたつては、非常に注意してやつたことだと思つております。実力行使をするにあたつて、警棒を右手に持つてかかろうとした者がありました際に、警棒は腰にさせといつて、それほど警察官を自制させてその取締りにあたつたのであります。多数の者がもみ合います場合には、多少そういう負傷者が出るということは予想されるところであります。それでは警察官側に一人も負傷者がなかつたかと申しますと、これは多数出ております。警察官自身が、やはり数十名負傷したという調書が出ております。それらも、警察官はからだが丈夫なんでしようか、医師の診断を受けた者はきわめて少いのでありますが、それは腰にさしておりました警棒が、もののはずみではずれるということもありましようし、私としては、戦前のごとき島上さんの言われたようなことがあつたとは実は考えていないのであります。もしあつたとするならば、それは絶対今後は是正しなければならぬと、かように考えております。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 私から江口さんに申し上げますが、あなたは労働行政をずつとやつておられまして、私は普通の警察畑で育つた方とは違つた見方をしているのです。これは余分のことですけれども、昨日も多賀谷君といろいろ話し合つたのですけれども、江口さんが警察行政をおやりになる場合、たとえば今問題になつている労働争議に関連する事件なんですから、従つて普通の警察官上りの方とは違つて、そこにはおのずから良識があるのじやないか。私も今日この申立てが出るまでは、先日来参考人から意見を聞いておりまして、むろんあなたが今おつしやつたように、警察権の発動の是非はともかくとしまして、こういうような暴行が行われたというふうには実は考えていなかつたのです。ところが申立書を見まして、ことに、それが証券取引所の従業員諸君、あるいは証券会社の従業員諸君でございます、いわゆる共産党の指導を受けて、そうして数回にわたるストライキで訓練された筋金入りの諸君ではない。でございますから、警視庁が数回にわたつて、なれない労組の人たちに対しまして、間接的ないろいろな指導とか、あるいは助言とかをされたというあなたの熱意に対しましては、全然それは私は無視しません。それはある程度私は信じたいと思う。ただ問題は、労働争議になれておられない諸君が労働争議をやつているのですから、しかもそこにはいろいろな応援団体の人が来ているのですから、正常な状態ではないのです。これは労使双方が一種の非常時状態なんです。その場合における説得なり助言というものが、正常の場合と非常時状態とは受取り方もたいへん違うと思うのです。私も労働争議をしばしば指導しておりますけれども、警察官が介入する時期というものは、おのずからやはり条件があると思う。時と場所があると思う。これは十七名の負傷された人の出しているのを見ますと、一貫してこの中には、警察官が来てくれてほつと一息ついた。これでスキャップと、それからピケを張つている諸君との間に入つて、そうして事態を円満に自分たちも保護し、相手も保護してくれるのだ、これで正面衝突せずに済んだと、ほつと一息ついている。それを突如方向をかえて、そうしてピケ隊に向つて襲いかかるということは、ことに警視庁には、いわゆる新選組といわれます精鋭がいるのですけれども、一千名の人が、争議不なれな東証の労組の人たちに向つてこん棒をもつて—殴打しないとおつしやるけれども、これでもつて手をねじつたり、背中を突いたりしたことは事実なんです。現に写真にも出ているわけです。だから私は、先般まで、地方自治警察が国家警察に移行するということは危険千万である、国家警察になることによつて当然労働争議に対する干渉が行われるということから、警察の民主化、民主警察を守るためには、自治警察でなければだめだという立場からたたかつて来たわけでありますけれども、今度国家警察になつて、日鋼室蘭においても、あるいは今度の東証争議の場合におきましても、あるいは山梨の中央銀行の争議におきましても、かかる警官の不当と思われる権力行使に対しましては、私はほんとうに憤りを感ぜざるを得ない。これはこの間の秋田の自衛隊の例の思想調査の問題とも何かうらはらのような感じがある。この件に関しまして総評の高野君は、これは再軍備の一環だということを言つておりますが、ある人は、この意見は少し唐突だと思う人もあるでしよう。しかし考えてみますと、国家権力全体が中央集権的になり、それが労働者の基本的権利を奪うために権力発動がなされているという事実がもしありといたしますれば、これは一警視庁の問題じやないと思う。この点につきましては、あなたたち治安の維持に当られる立場からいえば、弱い組合、強い組合、それから革命の予行演習をやるようなものの指導するもの、そうでない純粋の労使関係でそういう一つの経済行為として起つているストライキというようなものを、これは一般の警察官の方にはわからぬと思いますけれども、特に労働問題に造詣の深いあなたなどは、こういう点につきましては、もつともつと考慮が払われてよかつたのではないか、こういうふうに実は考えるわけです。私はあなたの良識にこの際訴えて、再びこういう問題が発生しないように、またこの問題に関しましては、きのう米軍当局ですら、部下の中で不当解雇したものに対しましては解雇を取消し、そうして米軍当局は悪かつたということを声明しているのです。いわんや同じ日本人なんですから、かかる不当たことが行われたとすれば、やはり部下に対する責任はちやんととらせ、再び今後こういう事件の起きないように善処していただきたいということを、私は労働委員長として特に江口警視総監にお願いしておきたい。  先ほど私はこう質問しました。警視総監は今度の次官通牒をどのようにお考えになつておるか。これに対して、労相談は新聞紙上で初めて知つた、次官通牒については事前には何も知らない。あるいは労相談話などと今度の事件とは関係ない、警察は独自の判断で動いている、その間の関連性はないのである。労働問題以外の不退去罪、業務妨害罪の容疑があり警察権を行使するものであり、次官通牒については何も申し上げることはない、こういう御答弁である。それに対しまして、昨日多賀谷君から質問のありました、つまり暴力的ピケ破りに対して、労組は正当防衛で対抗し得るという労働省当局の見解に対して、あなたはどういうお考えですかという私の質問に対して、総監は、経営者が暴力的にピケ破りを行う場合、労組がこれに対抗することに正当防衛であると考える。しかし不退去罪あるいは業務妨害罪等の容疑によつて警察官が実力を行使する場合にはおのずから別である、こういう御答弁をさつきいただいているわけです。これがはたして業務妨害になるのかどうか、不退去罪に問われるのかどうかということは、これは裁判所の決定を見なければわかりません。これはあくまでも容疑でございますから、その容疑者に対して、こういう一千名以上の警官が動員され、しかもストライキに不なれな、女子を入れた労働争議に対して、こういうような権力介入が行われたことは、少くともあなたの意図に反して行われた、これは現地の警察署長の非常に大きな責任であり、それはあなたにも責任がありますが、この点はぜひ私は日本橋の署長を当委員会におきまして、その責任をあくまで追究しなければならぬと考えておりますが、ひとつ今後そのようなことのないように、ほんとうに良識をもつて警察行政に当つていただきたいと思うのでございます。私のあなたに対する希望に対して、総監はどうお考えでありますか、この際良心をもつて当委員会にお考えを述べていただきたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 東証の労組が組織されまして、きわめて期間も短かいのであります。しかもそういう労働争議というもののやり方についてもなれていない点が多かろうという点は、私らも考え、日本橋の署長も考えたはずだと思います。署長の報告を受けておりましても、やはりたくさんの応援隊と申しますか、そういう各方面の労働組合の諸君が応援に来ておるようでありますが、東証の労働組合員自体は、きわめて穏健でありまして、その東証の労働組合だけでは、それほどああいうような事態が起りはしなかつたのではないかとわれわれ自体考えておるのであります。その点につきましては事前にも、また当日にも、日本橋署長としても、まだ結成間もない労働組合の役員に対してやるのだということを念頭に置きながら、いろいろの指示し、話合いもして参つたと思うのてであります。何年も闘争経歴を持つような、なれた組合に対する態度とは違つた態度をもつて署長は臨んだものと私は承知いたしております。  それから一千名の隊員をもつて実力を行使したといわれますが、先ほど申しましたように、その入口の不当な実力を排除する場合にも、実力行使は二個中隊、百五十名ばかりであつたのでありまして、その他は一時は引揚、げたこともありますし、あるいはまた午後には、状況によつて予備隊を出したこともございますが、その取引所の前における協和会員とのもみ合いのみならず、付近における交通整理、ことにやじうまが、その時間には五千人も集まつて来ておつたのであります。これらを追い返すためには警棒を使つて整理をする必要がありますから、警棒を使つたりなどいたしました。しかし、私の承知いたしておりますところでは、いきなり業務妨害の事実あるいは不退去の事実を排除する場合に、最初から警棒を振うとかいうようなことでは決してかかつてはいない、私は非常に注意してかかつておるものだと考えております。しかし先ほど委員長が読み上げられましたような行動が事実あつたとするならば、はなはだ遺憾であると考えます。私自身労働行政にも携わつたことがございます。私が労働省におります時分は、労働運動に対する警察のあり方というものに対しまして、かなり批判的な考え方を持つておりました。しかし、立場を異にしまして、私が今警察の仕事を預かる際に、それでは労働次官当時の感覚をもつてこの問題が処理し得るかというと、必ずしもそうは参りません。やはり社会秩序の維持という大きなわくの中において、それぞれ労働者、使用者、警察というものが、そのわくをはずさない範囲で物事を処理して行く、立場が違えば考え方もよほど違いましよう。しかしそれは結局大きなわくの中で調和をとつて行くべきものである、かような見地から、私はすべての事態に対処して行きたいと考えております。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 ただいま委員長の、質問に対しまして、総監は、労働次官通牒は事前に知らなかつた、新聞等に発表されて承知したということを言われたのでありますが、昨日労働大臣は、本委員会におきまして、次官通牒を出す前に検察庁、警察とも連絡の上通牒を発したということを明言しているのですが、その点どうでしよう。

江口見登留警視総監

○江口参考人 労働次官が通達を出すに際しましては、いろいろ事務的に詳細各方面に関して研究されたことと思います。あるいは法務省の事務的な意見も聞かれたでありましよう、あるいは警察の意向も聞く必要があろうというので警察庁に相談されたこともございましよう。しかし、ああいうものを出すから了承してくれということの連絡は、もちろん第一線の警視庁に対してあるはずはございません。私としましては一向にあの次官通達が出されるまではその事情を知らなかつたということを申し上げただけでございます。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 ただいま総監は、東証ストに対する警官の実力行使につきまして、百五十名を現場に出動させたということをおつしやつておられるのでありますが、ただいま組合から出されましたその当時の写真を見ますと、百五十名どころではない、厖大な数であるのではないかと私は見たのであります。その点、間違つているんじやないですか。その写真ごらんになればわかると思う。

江口見登留警視総監

○江口参考人 先ほど申し上げましたように、交通整理あるいはやじうまを押し返すということのためなどに、相当やはり警察官を動員いたしました。ただ、先ほど申しました業務妨害の事実あるいは不退去の事実の容疑があるわけでございますから、それを排除する、そうして容疑をもつて検挙をするために、先ほど申しましたような多少乱闘があつたような申立書が出ておりますが、そのときにその実力行使をした警察官の数は、百五十名程度であつたということを申し上げただけでありまして、その他付近におきましていろいろ警察行動をとるに当つた警察官の数を合せますると八百名ばかりの数字になる、かように考えております。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 私の先ほどの質問に対するお答えが、まだ満足できませんので、あれに続いてもう一点伺つておきます。さつき私が言いましたように、この組合の出した書類、組合の参考人側の陳述によりますれば、違法であるか違法でないかはわからぬ、それは裁判できまることだ、しかし長年のわしのの勘でやるんだ、こういうようなことを言われた。こういうような勘でやられたり、あるいは法を拡大解釈してやられたということになつては、これは争議に対する官憲の不介入の建前がくずれてしまう。こういう問題は、よほど慎重に、違反の事実をはつきりつきとめてやるべきものではないかと思う。特に威力業務妨害の容疑というごときは、拡大解釈してやれば、たいていの場合にひつかかるんじやないかと思われる。組合がピケを張つているのですから、それ自体は大いに威力を発揮しているわけです。業務妨害と言いますけれども、ピケそのものは、合法的でありましても、ストライキによつて正常な業務が運営されていない状態でありまするし、出入りに対してピケ団が自分たちがストライキをやつたその穴埋めの労務のために入るのではないかということのために確かめ、あるいは説得をする、さらにまた集団的にピケを破ろうとする者に対して、的に阻止をするというような行動をとることは、これは昨日来の通牒に関して質問した際にも、合法的であるということをはつきり答弁されておる。私もそうだと思つております。そうだとするならば、この威力業務妨害というような容疑ということも、よほど慎重にやるべきもので、勘でもつて実力行使をされてはたまらぬ。署長が勘でやるということは、私は現場におりませんでしたけれども、おそらく現場では勘でもつて指揮をしたのじやないかと思われる節が多分にある。こういうように勘で実力行使をしたり、あるいは法律の拡大解釈をしてやつたりするということは、今申しましたように争議不介入の建前をくずすものだという点に対して、総監はどのようにお考えになりますか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 もしほんとうに勘でやつたという言葉がありまするならば、これは勘という意味を、いろいろまた考えてみなければならぬと思うのでありますが、ただ自分の単なる思いつきでやるという意味で申しましたならば、はなはだ言葉が足らぬことだと思います。いろいろ早々の間の話合いでありますから、ものの言い方も不十分な場合もあろうと思いますが、私はやはり永年の警察官としての経験に基いて、いかに説得してもあなた方は囲みを解かない。そうなれば、自分の判断で実力行使をするよりほかはしかたがないという趣旨でお話をしたのではないかと思いまして、おれがかつてにやるのだというようなものの言い方があつたとしますならば、これは今後も十分慎まなければならぬと考えております。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 それから二十一について少し伺いたいのですが、警察官を出動させて坂本公園に待機させたというのは、あなたの方の提出した書類によると、協和会員とピケ隊が衝突するかもしれないおそれがあるというので、出動させたのではないかと思うのです。というのは、報告のナンバーを打つてある十五のところで、午前十一時二十五分ごろ立会いのため入場しようとした協和会員がピケのため入場できないで引揚げたので、坂本公園に待機中の予備隊は全部これを帰隊させたという事項があることから判断しても、そう思われる。ピケ隊と協和会員あるいはその他の者が衝突して乱闘事件が起り、傷害事件が起るということを心配して待機させたのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 その点は一昨日も申し上げました通り、どうもストライキが行われる、しかもピケが張られるようだ。それに対して理事者側あるいは証券業者側は、どんなことがあつても絶対入つて業務を続けるのだというような意向も聞いておりますし、数字で申しまするならばおそらく千名以上ずつの者が朝八時半ごろ衝突を起すかもしれない、そういう情報があつて、けが人が出てはという趣旨から八時五十分ごろ坂本公園それから坂本小学校に四箇中隊三、四百人の予備隊を待機させたことは事実であります。ところが、その後理事者側と労働組合側との話合いがつくかもしれないという情勢が見受けられましたので、それでは衝突の危険もなかろうということで、一時それらの者は全部帰隊させたのであります。ただ、その付近の交通整理あるいはやじうま整理のために日本橋署員が当つておつたことはありますが、予備隊員はその趣旨で引揚げたということはお話の通りであります。

野手豊東京証券取引所労働組合渉外部員

○野手参考人 先ほど警視総監は、日本橋署長が勘でやつたということの問題について、何か聞き違いではないかとおつしやつたのですが、あのときに猪俣代議士と亀田参議院議員が来てくださいまして一緒に日本橋署長に会つたのです。そのときに亀田参議院議員が、この際日本橋署長であるあんたに一つだけ聞いておくが、あなたはどういう法律的根拠に基いてこの争議に介入したかという意味のことを言つたのです。そうしたら、日本橋署長ははつきり、先生方の話は聞いておきますが、私は私の勘でやるのだからというように言つて、断固として応じない。私はあくまでも勘でやるのだとはつきり申されたので、このことについては、亀田参議院議員、猪俣先生に聞けば明確になると思う。決して私たちの聞き違いではなくて、日本橋署長がはつきり国会議員に申された言葉であるということができるのです。  それから私たちは、あのとき出た警察の予備隊について、いろいろ数なども調べたのでありますが、あの警官の鉄かぶとに示された数字はどういう意味であるかということについて、警視総監に聞いておきたいと思います。  それから警視庁の資料によると、やじうまが五千人集まつたとなつているが、あの狭いところにどんなふうにして五千人のやじうまが集まつたのか、これは実地検証をされてもさしつかえないと思います。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 まだたくさんありますけれども、私はもう一点だけであとは留保しておきます。  この警視庁の提出した書類によりますと、今のように衝突するおそれがなくなつたから引揚げた。ところが午後一時二十分ごろ、状況がかわつて暴行傷害等の事犯の発生が予想されたので、再度予備隊の出動を命じたとなつておる。ところが二十二に行きますと、午後一時三十分ごろ、小山理事より日本橋警察署長に対し、業務を妨害せられた旨の告訴状が提出され、その告訴によつて出動した。ですから警視庁では、前には暴行傷害等の事犯が起りはしないかということのために待機させる、あるいは出動させたのが、今度はまつたく目的がかわつてしまつた。暴行も傷害も何もないけれども、告訴が出たから今度は業務妨害でひつぱつた、こういうようになつておるわけであります。そういうふうになると、この検挙は法律を拡大解釈してやつたものである。特に警察官を介入する理由として、理事者側に告訴状を提出させたのではないかと疑われる節さえある。ですから、どうもこの介入は、まつたく不必要な不当な、法律を拡大解釈してやつた介入であると考えざるを得ないわけです。こういう点に対し、現場の署長さんに聞きたいところですが、一応警視総監の見解を承つておきます。  なお、私は先ほど申しましたように、これで質問を終りますけれども、もちろん今までの答弁に納得いたしませんし、署長に対する質問その他に対する質問は留保しておきます。私の質問はこれで一応終ります。

江口見登留警視総監

○江口参考人 ただいま御指摘になりました警視庁から御提出いたしました東証のストに対する措置のうち、二十二に関する御質問かと思いますが、二十二は、午後一時三十分ごろ業務を妨害された旨の告訴状が提出されたと書いてあります。しかし、この告訴状が提出されたから、ただちに業務妨害だから実力開始をするということを決定したわけではございませんで、ずつと事情を見ておりまして、警察署長の判断の結果、そのような容疑が認められて、独自の立場から警察が実力行使をなした。二十一の方を見ますと、出動はすでにその前にされております。一時二十分ごろされております。ただ、それを公園に待機させておつただけでありまして、それから様子を見ておるうちに、ますます業務妨害の事実が濃厚に認められて参りましたので、三時過ぎにいろいろ問題になつております行動に日本橋署として出たわけであります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 参考人の方に、委員長として注意しておきますが、質問は、法律にきまつておりますから、できません。求められる意見あるいは発言したいことだけ。  なお労働省側に希望しておきますけれども、午後の委員会で、タイ国武官事務所における全員解雇につきまして、その状況を報告するよう希望しておきます。  では大橋武夫君。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 この問題につきまして、ちよつと伺つておきたいと思いますが、最初に組合側にお答えを願いたい点が一つあります。それは、この組合側からお出しになりました書類を拝見しますと、ピケを張られる際に、ピケ隊が道路上に出ないように厳重な注意を各班長に通達された、こういうことが記載いたしてありますが、これはどういう理由でこういう御注意をなさつたのですか。またこういう注意をしなければならなくなつたのは、何か動機があるのか、それを伺いたい。

細谷節也東京証券取引所労働組合委員長

○細谷参考人 ただいまの質問にお答えいたします。ストライキに入つてすぐ、ここにおります鈴木法規対策部長は日本橋警察に呼ばれまして、夜間であるから歌を歌つてはいけない、それから交通安全週間だから道路に出てはいけない、こういうような忠告があつたので、道路には出ないように注意しました。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 そういたしますと、この東証のピケにあたりまして、警察当局としては、道路上にピケを張るようなことはできるだけ避けるように御注意になつたということはわかるわけですが、そういう事実はお認めになりますか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 交通安全週間ではありますが、あそこは高層建物が櫛比しておりまして道路が狭い。従いまして通行に障害にならないという意味で、ピケを張るについても、注意をしてもらいたいということを警察署長が申し述べたものと思います。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 そういたしますと、今度は逆に、道路交通に支障を来さない程度においては、道路敷においてピケを張られることについて、当局がこれを取締ろうというお考えはなかつたわけでございますね。

江口見登留警視総監

○江口参考人 労働争議には、多少の正常状態以外の事情がついてまわることは御承知の通りでございまして、ほんの軽い意味の住居侵入とか交通達反とかいうようなことは多少あろうかと思いますが、それが社会通念上、その程度のことならば労働争議に関連して見過し得るという程度のものがやはりあるのではないか、かように考えるのでございます。道路上に、ピケの意味か何の意味かわかりませんが、争議のために多少労働組合員が出ましても、それが著しい交通妨害にでもならない場合には、それは社会通念上見のがされるということが言えるのではないかと思います。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 ただいまのお答えは、結局道路上においてピケが張られる場合においても、非常な交通の支障がなければ見のがさなければなるまい、こういうお答えであつたと解釈いたします。  そこで、今回の東証ストにおきまして、警察力の出動がはたして妥当であつたかどうかという点が議論されております。その警察力の出動の理由といたしまして、当局のあげておられますのは、第一は、威力業務妨害罪が成立いたしましたこと、第二は、不退去罪が成立いたしておるということでございますが、その前にピケ隊と協和会との入口における衝突があつたわけです。その機会に警察官が出動されたようですけれども、その際の警察力の出動はどういう目的であつたのですか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 協和会の中に入ろうとする者と労働組合との間にいざこざが起きたところに警察官が割つて入つたという処置は、これは通常の防犯措置と申しますか、予防措置と申しますか、何ら犯罪に関係しての行動というものではないと思います。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 そういたしますと、それはとりあえずそこに起きておるごたごたが、暴行傷害というような犯罪を起すおそれがありはしないか、これを除去するという防犯的な役割をもつて割つて入つた。それでいろいろな記述、特に組合側からの記述を見ますと、警察官が割つて入つた結果、一旦協和会側が引揚げて、そうしてその次に今度は警察官とピケ隊とが対峙した態勢になつた。その後、指導者の間で二、三談判があつたが、談判が決裂して警察力が行使された。そこで数分間小ぜり合いになつた、こういうふうに認められますが、その場合において、警察とピケ隊とが数分間対峙しておつた間には、一体どういう交渉が両者の方にもたれたと考えてよろしいわけですか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 その間に広報車をもちまして、日本橋警察署長でありますが、先ほど来何回も警告をいたしたが聞き入れないのでやむを得ず実力をもつて排除しなければなりませんということを、しばしば繰返し放送いたしました。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 その放送の意味は、威力妨害罪並びに不退去罪が存在しておる、その状態を排除しなければ実力行動に出る、こういう意味でございましようね。

江口見登留警視総監

○江口参考人 もちろん署長としてはその意味でございますが、これははつきりと罪名などを申し上げてそういうことに当るべきものではございませんので、署長としては、心の中ではそう考えたことだろうと思います。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 そこで、威力妨害あるいは不退去という刑法上の犯罪が発生しておる場合に、出て行くのは当然だと思います。そこで問題は、そういう事態がはたしてあつたかなかつたかということを、まず確かめなければならぬ段階になるわけですが、威力妨害罪が成立しつつあると認定された事実上の根拠をひとつ御説明願いたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 威力という点についてのいろいろな御解釈が出て来るので、非常にむずかしいところだと思います。結局は、裁判の結果にまたなければならぬかと思いますが、労働争議には多少の威力がつくことは申すまでもないことでございます。その威力が、いわゆる社会通念上許せない威力であるかどうかという点が、問題になるのであろうかと思うのであります。昭和二十六年に三越の同じようなストがございましたときにも、その威力という点が非常に問題になりまして、威力とまで認められなかつたときには、あの当時は威力業務妨害罪の容疑では逮捕しておりません。また事実威力業務妨害がなくて、結局公務執行妨害で検挙したということになつております。今度の場合は、あの当時に比べますと著しく威力の度が過ぎておる。旗ざおや竹ざおを横にみなで持ち合つてスクラムを組んでおる。あるいははち巻をして大声を発して歌をうたつておる。あくまでも入らせないようにするのみならず、鉄扉を締めてしまつておるというような点も考えまして、やはり刑法上の許せない威力が行使されておるというふうに判断いたしたのでございます。その威力の点の認定は、最後のところは裁判の結果にまたなければわからないと思います。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 そうしますと、単に団結力を誇示する範囲を逸脱して、実力によつて出入を阻止しようというような勢いが見られた、その点において威力妨害罪の容疑を持たれたというわけですね。  それから、不退去罪と認定された根拠はどういうのですか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 これも不退去罪の条文にたしか「故ナク」という字があつたかと思います。これがただいま申しました威力の解釈と同じような意味になるのではないか、かように考えますが、労働争議に関して使用者側と折衝するために使用者側で出て行つてもらいたいと言つても、なお私は交渉する必要があるからと言つて、やはり社会通念上その建物の中にとどまつていることが、まあまあこの程度なら認められるという範囲内ならば、もちろんこの容疑はないと思うのでございますが、その現場の署長の判断によりまして、「故ナク」ということに該当するというふうに判断したがゆえにこの不退去罪の容疑というものも出た、こう見て検挙したのではないかと思います。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 その「故ナク」という点に該当すると認められた根拠となつた事実は、どういう点でございますか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 いろいろ警察当局としても説得をいたしまして、もうそれ以上は実力を行使するより方法はない。何べん警告しておつても、刑法上の容疑がだんだん濃くなつて、退去しなさいということをしばしば申したにもかわらず退去しないという点で、「故ナク」というものに該当するものというふうに判断したものと思います。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 そういたしますと、従来からも、警視庁管内の各所で、労働争議に際してピケが張られたこともありますが、警察力が出動されたということは、非常に例外なことだろうと思います。そこで、これはピケにしても、出入を阻止するために威力が用いられた。また不退去罪も非常にしつこい不退去であつた、看過することができなかつたという点において、通常の労働争議におけるピケよりは、今回の東証ストのピケは、取締り当局としては看過できないと認めるような特殊な例であつたということが言えるのでしようか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 ご質問の通り、言えると存じます。今までしばしばそういうピケを張られたこともございますが、大体においては説得、警告によつてその囲みを解いておるのでございます。一番これに近い例は、先ほど申しました二十六年の三越の争議のときに、やはりその入口を労働組合がピケを張つてはばみまして、もちろん三越の使用者側の者が入る、あるいは労働意欲のある者が入る、のみならずお客さんがたくさん入ろうとするのを阻止して入れないという事態があつたのであります。そのときも、そのやり方いかんによつては威力業務妨害罪にもちろんなるのでございますが、そのときは多少実力を行使しましたら、ただちに入口をあけまして、お客さんなどが入ることができました。これで威力妨害罪にならないということで、その際警察官と乱闘を演じました者を公務執行妨害罪で検挙しております。確かにお話の通り多少の威力は伴いますが、社会通念上、刑法上許せないという威力という点に今回の事件はあつたために、警察力が行使されたものと考えておるのであります。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 そうしますと結論としまして、今回の警察力の行使というものは非常に例外的な措置である、しかしそれは通常のピケに比べて今回のピケに違法性が非常に強かつた、そのための例外的な措置であつて、今後といえどもかようなはなはだしく不穏当なピケに対しては警察力の発動が予想されるかもしれぬ。しかし通常のピケに対して警察力が必ず出動するというような考えは、警視庁としてはむろん持つておられない、こういうふうに考えていいと思いますが、お答えを願いたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 このたびの事件は、威力という点において例外的であつたから、警察力が業務執行妨害罪、不退去罪の容疑で発動されました。そういう程度に至らない社会通念上見のがし得る程度の威力であるならば、こういう事態は起らないということは言えると思います。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 関連して。昨日以来、今日も再確認されておりますけれども、正当防衛、正当な争議行為というものが明確に確認されておるのですが、この場合、もし警察力を行使しなければ正当な争議行為を逸脱していかなる事態が起るかという想定のもとに警察力の介入があつたのか。今まで調査するところによると、きわめて穏健にピケが張られていた、しかも途中で一応ピケ破りに対しては警察官の手によつて事態の収拾ができた、そういう状況のもとにおいて、さらに警察力がこれに介入してピケを破らなければならなかつた事情、もしそれをやらなければどういう事態が発生するということを想定されてああいう事態になつたのか、その点について総監の意見をちよつと聞きたいと思います。もしこの事態であれば、その当時の事情であれは、あなたの言われる争議行為として見のがしていいところの範疇に属する治安事態ではなかつたかと考えるのに、それにもかかわらず警察力が出て行つてピケをけ散らさなければならなかつたというその当時の判断を、ちよつとお伺いいたします。

江口見登留警視総監

○江口参考人 先ほども申し上げたと思いますが、しばしばそこからの退去を警告し、囲みを解くように説得いたしたのでありまするが、にもかかわらず、竹ざおや旗ざおをみなで横に持ち合つて、スクラムを組んではち巻をして、大声を発して太鼓をたたいて気勢をあげる、そうしてどうしても退去しない。そういう情勢では、どうしても威力によつて、中に入つて業務を行おうとする行為が阻害されておる。普通に、先ほど申しましたように、簡単に説得によつて囲みを解いた——国鉄や全駐労の場合にもよくありましたけれども、そういうような場合より以上に、長時間にわたり、また非常な気勢をあげて妨害しておつたということは、先ほども例外的にそういうような措置に出たということを申し上げましたが、今までに比べますと、非常にそういう点がはげし過ぎたということが言えるがゆえに、その措置に出ようと判断したのだと考えます。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 そうしますと、先刻来しばしば問題になつている、現地の取締官が一つの勘でもつて、この場合ピケをけ散らさなければ重大な事態が起るという一つの判断——われわれの今までここで調査したところによれば、総監も認めていられる、きわめて穏健な争議行為であるという一つの認定の上からは、そういう判断は出て来ないと思うのです。ここで昨日来しばしば問題になつておりますのは、労働大臣は、あの通牒は判例等を調べた集積だと言つておるのですが、個々の場合は警察官の判断にまつよりほかにない。そうして今後は警察官がしばしば労働争議に介入される機会が多くなる危険がある。正当防衛と緊急避難の点は明確に認められてあるのですが、そうなると、問題は防衛が過剰であるかどうかという過剰防衛の問題だけが、その判断の材料になる。これは結局、さつき委員長が言つたように、あげて裁判所の判断になるのであるが、当面この問題を取上げる警察官の判断が問題になる。とにかく一応裁判に出してしまえば、あとは裁判所で判断するのだからどうでもいい、とにかくやつてしまえということになる危険が、今後起つて参るのでありまして、この点について昨日来いろいろ論議された過剰防衛に対する判断の問題は、われわれは刑法の三十五条、三十六条、これには何も次官通牒は制約を加えるものでないことは、もう明確であると思います。そこで、結局事案の判断をする場合に、労働組合法の第一条第二項に、明確に、目的達成のために正当なるものは適用される、ただいかなる場合においても、暴力行為は労働組合の正当なる行動と解釈されてはならないという規定があるのでありまして、普通の事案で、正当防衛、緊急避難が若干行き過ぎたということが、今の刑事事案に問われる場合、労働争議として、労働法の免責規定によつてある程度のことが許されるならば、普通の事案よりも、より軽きに従つて処断するという考え方が成立していいと解釈するのでありますけれども、そう考えてよいかどうか。そういう考えでもつてやられるならば、今の威力妨害罪も成立しないのではないかと考えるのでありますが、この点に対する見解を承つておきたい。普通事案よりも、正当なる争議行為としての事案の場合は、軽きに従つて処断して、よろしいものと解するが、御意見いかん。

江口見登留警視総監

○江口参考人 労働争議には多少の異常状態がついてまわりますことは御承知の通りでありますし、私もさよう判断いたしております。先ほど仰せになりましたように、労働争議について多少の交通違反かあり——厳格に言えば、あるいは違法であるかもしれませんが、多少の交通違反の事実があるとか、あるいは多少不退去的な様相があるとか、あるいは名誉毀損とか、いろいろなことを言うでしようから、そういうこともありましようが、それが社会通念上この程度は労働争議に付随してならば認められるのだという程度を著しく越えているという場合には、やはりその態様が刑法の各条に該当いたしますならば、それが現行犯ならばただちに逮捕し、あるいはこれが容疑があると思うときに、司法警察官としてその捜査を開始するということは、これは当然のことでございます。  それから署長の判断でございますが、私は詭弁を用いてまで署長を擁護しようとは思いませんけれども、しかし勘でやるという場合も、やはり数十年の警察生活をしておる署長でございますから、こういう事態があれば、これは現行犯でもあるし、捜査をしても必ず処罰に持つて行けるという判断をして、それは長年の経験ということをもとにして判断するんだ、こういう意味で言うたとするならば、私はそれはまともでない言葉ではない、かように考える次第でございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 岡田春夫君。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田(春)委員 時間があまりないので、関連質問の形式で二、三お伺いさせていただきます。  まず第一点として、今のあなたのお話のように、ピケというものは、大体労使関係の中に不当介入をすることは認められないということは言うまでもないのであります。その場合に、先ほどから大分お話があつた、交通妨害になるというので、道路上においてはピケを張つちやいけない、少々のことならばいいけれどもというような話でも、そういう点はちよつとあいまいなんだが、道路上では交通妨害になる、敷地内でやると、今度は不退去罪でやる。そうすると、あなたは労働次官をされて、よく労働関係法規のことはおわかりになつておるのだが、それではピケは一体どこで張つたらいいのか、空中ででもピケを張るのか、どうするのか。あなたは労働次官をおやりになつて、労使関係の問題は十分おわかりになつておられるのではないかと思われるが、一体どこへ張つたらいいのか、あなたの御判断をお聞かせ願いたい。

江口見登留警視総監

○江口参考人 非常に具体的な問題でございまして、一々その場に即して見なければならぬと思うのであります。その道路の幅員とか、交通量とか利用の仕方というような点から判断しまして、たとえば、それでは何人その道路の上にピケ隊がおるくらいならば交通違反にならぬのだけれども、何人過ぎれば交通違反になるという限界は、むずかしくて申し上げれらませんので、大体今張つてるようなピケが、そのままの態様で道路に出たら当然交通違反になるから、道路の方に出ないでくれということは、警察として当然言うだろうと思います。それじや道路の方に出なくても、ピケを張れば不退去罪でやられる。それは建物の管理人、所有者がそこから出てくれということをさきに言うておるのであります。言うていないならば、それはゆえなくそこにがんばつているということにはならぬのであります。それで、たとえば出て行けと言われれば、出て行かなければならない。そのままの態様で道路に出れば交通違反になる。そうすると、おつしやるように空の上というお話がありましたが、何かそういうことになるかと思いますが、その辺は非常に微妙なところでございまして、たとえば今四重五重に囲んでおるようなのが、一重ぐらいになるとかということなら、これは著しい威力によつて業務を妨害したというふうにまで判断し得なかつたかもしれませんが、ただいま申しましたように、具体的なそのピケの厚さ、その規制の方法というようなこと等によつて、先ほど申し上げましたような措置がとられたものと考えます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田(春)委員 今きわめて抽象的な、あいまいなお話であつたと思う。私は東証の問題として伺つたので、三重のものが二重になるなら不退去罪は構成しないとは言えない、それから交通妨害にならないとは言えない。そういうようなものは交通妨害にならない、あるいは不退去罪にならないとはあなたは言えないだろうと思う。実際問題として、あなたのその思想の中には、労働関係法規を無視しておるということは明らかである。そういう点をやはりここで明らかにしておかなければならぬ。あなたは、かつて労働次官であつたかもしれないが、しかし、なおかつ、ここにおいてはつきりしておることは、不退去罪と交通妨害というそういう権力によつて労働法規が蹂躙されつつあるというその姿が明らかになつておると思う。  それから、先ほど黒澤委員からの御質問で、次官通達は知らなかつた、こういうお話があつたようであります。それでは一つ伺いますけれども、先月の十日ごろ、国警で全国の警備部長会議をおやりになつておるはずだが、これについては御存じありませんか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 まず第一点は、労働法規をだんだん無視しつつあるのではないかというお話でございますが、労働法規を無視するつもりは絶対にありません。むしろ私としては、すぐ労働運動というものと、その運動が行き過ぎになつて、警察力が出なければならぬという場合の均衡と申しますか、そういう点を判断するのに、非常に慎重であると申し上げていいと思います。ことに、労働法規を無視すると申しますよりは、あまり労働法規にとらわれ過ぎますと、私が労働次官当時、警察のあり方を批判したこともありまするように、動きのとれなくなるような場合もございます。むしろ警察は警察の立場で、労働次官の通達を一生懸命読んで、そのこまかいところまで頭の中に入れておくということになるのは、これは労働行政官のやることでございまして、警察としては、自己の立場において、独自の判断においてその場の処置に当る方が、むしろ厳正適切な措置ができるのではないか、かように考えております。いろいろ態様についてお話がありましたが、これはまだ検事の方においても捜査をしておる段階でございます。これがはたして起訴になるかならないか、だから、こまかい態様についてまで論議をするということは、これは検察当局の問題もありまするので、結局最後の裁判にまつよりしかたがないと思います。  その次の警備部長会議が開かれたかどうかということは、ちよつと私記憶しておりません。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 法規課長、前段の岡田君の質問に対して、労働省の見解はどうなんですか。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働法規課長)

○石黒説明員 労働法規の問題ですね。(岡田(春)委員「前段の空中ピケの問題」と呼ぶ)ピケの張り方の問題につきましては、第一に、警察官におきましても、労働法規の根本的なあり方については、理解を持たれることを私承知しております。もちろん何法の何条に何が書いてあるということまで一一、あるいは通牒の一言一句まで全部理解してくれということは適当でないと思います。ピケの問題につきましては、これは警視総監も言われましたように、やはりその時、その所の状況に応ずるものであると考えております。従いまして、たとえば工場におきましても……。(岡田(春)委員「東証として今質問しているのです」と呼ぶ)東証につきましては、出入り口の付近から舗道のあたりにかけまして穏和なるピケを張るということは、必ずしも不退去罪あるいは道路交通取締りに当るとは考えておりません。しかし、玄関の中から外にかけましてぎつしりと人間が詰まつておるというようなことは、私は刑法の方は専門家でございませんが、正当の範囲を逸脱することは確実であると考えます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田(春)委員 あなたは状況と意識的に抽象的に答弁されているようだが、労働省というものは、労働省の健全なる活動を守つてくれるところでなければならないはずだけれども、あなたの今の東証の話を聞いていると、現地を知つておつてもあまり言わないような、そうして警視総監と話が食い違わないような、前の次官であるから、あまりさからわないようにと、こういうような答弁をしようとしておるようであります。しかし、この点はいいとしても、先ほどの警備部長会議の問題ですが、先月の十日前後に全国の警備部長会議をやつておるのです。その前後から、日鋼の争議に対する積極的な弾圧があつたのです。東証の事件についても積極的な弾圧があつた。そのときには、こういう方針が国警から出されておるのです。その方針としていうのは、あなたは警視総監だから御存じだと思うのだけれども、合法的な争議ならばこれは一応いいとしても、非合法と判断し得るような場合には、積極的にこれを取締れという方針を出しておる。この方針に基いて、これはおそらく行われておるに違いない。しかもこの方針というのは、次官通達との関連のもとにおいて行われておることは事実である。次官通産は、あなたはその事実を御存じないにしても、この会議においては、いずれ次官通達云々という話もあつたように聞いておる。こういう関連からいつて、当然そういう事情に基いて、今度の東証の弾圧あるいは権力的な干渉が行われたと判断せざるを得ないわけです。その中旬の会議を御存じないとは、私は警視総監の責任において、もし知らないということだつたら、警視総監の責任は果し得ないということになると思うのですが、この点はいかがですか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 しばしば警察庁におきまして、警備部長会議を開いたり、刑事部長会議を開いたり、防犯部長会議を開いたりいろいろな会議が開かれております。先月の十日ごろ警備部長会議が開かれたかどうかということについては、ただいま私記憶に残つていないということを申し上げたわけでございます。警視庁の機構から申しますと、そういうときには部長か課長かが出るのでありまして、あらゆる会合について、何日にどういう会議があつたかを全部私が知悉しておるというわけには参らぬのであります。  それから、それに基いて東証の問題が特に意識的に取締られたのではないかというお話でございますが、それは絶対にございません。その警備部長会議で、今お示しのような示達があつたとおつしやるのでありますが、それは会議のときには、そういうような言葉を使うことは間々あることでありまして、それを特に意図があるように判断されるか、あるいはまた同じようなことを言つておる、いいものはほつておけ、悪いものは取締れというふうに言つておるにすぎないというふうに、会議に出た者はとつたかもしれませんが、それは、それを読む人の感じではないかと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田(春)委員 これで終りますが、先ほど赤松委員長から十七名の被害者供述書が朗読されました。これについて、そういう事実があればきわめて遺憾であるという警視総監の答弁であります。事実があればという話ですが、あなた御自身は、事実があると御判断になつたのですか、事実がないと御判断になつたのですが、しかも実際の被害者である本人からの供述書でありますから、そういいかげんなものを出して来るものとは私は考えない。そういう事実があればという仮定に立つてのお話では、われわれは承服ではない。こういう点を明確に御答弁願いたい。

江口見登留警視総監

○江口参考人 医師の診断書もついておることでございますし、それは事実であろうと思います。そういう事実に対しましては、私はまことにお気の毒であり、遺憾であるということを申し上げたのであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田(春)委員 そういうのが事実であるとすれば、先ほどは、不退去罪、威力の業務妨害その他について、これは親告罪ではありませんから、こちらの方で実質的に取扱つておる、こういう御答弁である。今度のこの傷害問題についても——傷害罪というのは、親告罪ではありません。こういう事実があるとするならば、当然警視庁としては、それに関連する加害者である警察側の警官を調べなければならぬ。こういう点についてお調べになつておられるかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 従前の例等におきましても、警察官の行為によつて傷害を受けたというような場合は、必ず本人なりその関係者なりが医者をつれ、あるいは診断書を持つて警察に抗議に来ております。それで警察は、そういうことがあつたかということで調べております。ところが今回は、日本橋警察署には何らそういうことの通知がないのでございます。従いまして、幸いにけが人がなくてよかつたなと最初は考えておつたくらいでございます。ところが、その後診断書で傷害があつたということが発見されたようでございまして、医者の診断書を信頼申し上げまして、まことに遺憾であるということを申し上げたのであります。なお、もう少し警察についても調べてみたいと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田(春)委員 しかし、新聞にも相当出ておりますよ。それからおそらく組合でも、黙つているわけはないと私は思うのです。あれだけ十七人もけが人が出ているのに、知らぬ顔でこつそりなんかしているわけはない。あなたの耳には通じなかつたかもしれないが、少くとも警察署に対しては、労働組合から当然抗議をし、あるいはこういう加害者に対して徹底的に調べろと言うことは常識であります。あなた御自身が御存じないのだろうと思うのです。こういう点がまず第一点。それから今あなた御自身初めてお聞きになつたなら、この機会にやはり警察官に対してその加害者を徹底的に調べて、再びこのような事実の起らないように努力してもらわなければならないと思う。警察官であるからといつて、けが人を出してもかまわないのだということでは困るわけですから、こういう点について、もう一度伺つておきたいと思う。すでにあつたはずであります。

江口見登留警視総監

○江口参考人 ただいま申し上げますように、そういうけががありますならば、当然申し込んで来るはずであろうと考えます。その点はあなたと私も同感でございますが、しかし警察にも申し込んで来ていないのでございます。警視庁の係の方にも、何らけが人があつたということを言つて来ていないのでありますが、一昨日から、けががあつた、こういう診断書をとつておる、今日また委員長に詳細な申立書が出ているようであります。しかし私どもの方としては、何らそういう申出を受けていません。そういうことがあつたということは、昨日から聞きましたので、こういう点について調査いたしているところでございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田(春)委員 再三言いますが、傷害罪というのは親告罪ではないのです。当時の状況が新聞に出ている。大体あなたの口をもつてしても百五十名、われわれの方で言うなら一千名、それだけの警察官がおつて、そういう状況を知らないでおつて、親告しないから調べないのだ、知らなかつた——それでは済まないと思うのです。傷害罪は親告罪ではないということを最初に申し上げているではありませんか、そういう点をなぜお調べにならないか。あなた御自身は知らなくても、そういう点をはつきりしてもらわなければならぬと思う。

江口見登留警視総監

○江口参考人 先ほど申し上げましたように、負傷者があつてはたいへんだということで、一応警察にも調査はさせたのでございます。しかし何らそういうことを聞いていないというので、その点を申し上げているのです。もちろん傷害罪が親告罪でない場合もございましよう。しかし、その傷害の程度と申しますか、ちよつと傷がついたから全部傷害罪だというので捜査を開始することはどうかと考えておりますので、もし重大な傷害がありますれば、もちろんこちらとしても徹底的に、訴えを待つまでもなく調べなければならぬことだと考えております。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 被害者からの告訴でもされますと、当然お調べになりますね。

江口見登留警視総監

○江口参考人 告訴がありますれば、当然調べます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 石黒法規課長、岡田君に対するさつきの答弁は非常に重要だと思つておる。前段の方で、あなたの言つている次官通牒に出ている「厳重なスクラムや坐り込み等により、物理的に出入口を閉塞したり、」云々に該当すると思うが——この点はわれわれと見解が違うのだが、あとの点、これは警視総監とちよつと意見が違うようですから、もう一度述べてください。先ほどの答弁繰返してください。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働法規課長)

○石黒説明員 玄関の周辺あるいは道路に若干かけまして平和、温和な説得をなすということは、これは正当な行為である、従つて刑事上の免責があると考えます。しかし、玄関の中から外にまでかけまして多数の人間がぎつしり詰まつて多数の威力を示して行うピケというものは正当性の範囲を逸脱する、従つて刑事上の免責がないということであります。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 先ほど委員長から申されたのでありますが、われわれは、警察法が改正せられて警察権が一本化し、中央集権化することによりまして、労働運動に対しましてもいろいろな警察権の発動があるのではないか、労働運動に警察の介入などが現われて来るのではないか、そういうことを心配しておつたのでありますが、その後そうした事態が各方面に現われて来ております。これは警察法が改正された後におきまして、労働運動に対する取締り方針が何かかわつて来たんではないか、そういうことが考えられるのであります。その一つの現われとして私はお聞きしたいのでありますが、私は数日前テレビを見たのであります。そのテレビの中に、多分警視庁の予備隊ではないかと私は想像したのでありますが、警察が模擬の争議団を編成いたしまして、その模擬の争議団がスクラムを組んでピケを張つておるところではないかと思うのでありますが、これに対して警察官が猛烈にそのピケ・ラインを突破しようとしておる。そこでもみ合つて模擬争議団を片つぱしから突いて行つてしまう、私はそういうテレビを見たのであります。こういうやり方は、警察が労働争議に対しましてこれを取締りの対象にしておる、もつと言いますならば、これはピケあるいはその他の争議行為に対しまして、警察は不当な取扱いをしておるのではないか、そういうふうに私は強い印象を受けたのであります。そういうことをやりますと、それに参加しておりまする警察官は、正当なる労働争議に対しましても、不当ではないかと、私は見る目が非常に違つて来るのではないかと思うのでありますが、そういうことをなぜやつておるのでありますか、その目的をお聞きしたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 あらゆる事態を想定いたしまして、予備隊の訓練としてとり行いますることにつきましては、これは訓練として見ていただきたいのでありまして、同じ警察官同士がやることでございますから、無理にひつぱたいたりするようなことは絶対にないのでありまして、ただ模擬的に、こういうような暴行があつた場合にはこういうふうに説得して、そういうことがないようにするのだというその説得の方法とか、あるいは今度は争議団が暴行を働く、石やつぶてを投げるというようなことになつて、初めて予備隊はこういうふうに出動するとか、行動をするとかいう訓練でございまして、警察法が新しくなつてから、労働運動に対する取締りが警視庁としてもかわつたのではないかと申されますが、絶対にかわつておりません。先ほども申し上げましたように、この問題は、昭和二十六年の三越の事件のときから、非常に想定し得る問題であつたのでありまして、あの当時は業務執行妨害は成立しなかつたけれども、今度はその容疑が十分にあるという点に、新しい例が現出したということが申し上げられるのじやないかと思います。     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 次に駐留軍労組のストライキ中米兵が駐留軍労組の女性に暴行を働いた件につきまして、全駐労宮城地区本部の八木定吉君より御意見を聴取したいと思います。八木参考人。

八木定吉全駐労宮城地区本部書記長

○八木参考人 全駐労の宮城地区本部の組織部長をしておる八木でございます。宮城県に起きました暴行事件の内容でございますが、宮城県に軍直接雇用の女子労務者は、大体総数にしまして九百六十人でありまして、この九百六十人の中には、あらゆる職種があるわけであります。事件の起きましたのは九月十三日、十四日の二日間にまたがつて全駐労が全国的なストライキを打つたときであつたのでありますが、ストライキを敢行する前日、軍側より強制的にとまり込みをさせられましたときに発生いたしたわけでございます。現場の事情等につきましては、本人の人権等にも触れますし、あるいは言えない理由等もございますのでこの点は省略いたしますが、一般とまり込みをさせられた場合は、宿舎の設備なんかも普通の状態と違いまして、普通の兵舎にカーテン一枚を仕切りといたしまして、そこに雑魚寝をさせられるような状況下にあつたわけであります。従つて、きわめて事件の起きやすい環境がつくられるような方法が当時とられたわけでございます。なおこのような職場は、日ころから非常に労働条件が悪くて、しかも深夜の作業が毎夜続いて、夜の十一時あるいは十二時ごろに、職場から寮に帰るのに一時間ぐらいかかるところを、毎晩歩いて帰るような労働条件下にあつたわけでございます。  その後本件は不起訴になりまして、現在そのままの形になつておりますが、本人たちの組合に対する関心はきわめて低調であつて、しかも多くの場合、労働条件の改善を叫んで立ち上つた場合等は即刻整理されるというような情勢下にあるわけでございます。従つて現在組合に加入しておらないし、あるいは加入しようというような気構えはあるのでございますが、整理されるというような観念上の問題からいつて、いまだ組合等をつくつていないのが現況であるわけでございます。  大体以上でございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御質疑はございませんか。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 実は事件の概要が、お聞きいたしましても、さつぱりわからないのであります。われわれ初めて扱うのですから、そのつもりで、もう少し具体的にお話になつていただきたい。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 私もやはり事件を新聞の投書で知つただけです。新聞の投書では、ストライキ中に米軍が婦人に暴行をした。この暴行というのは、つまりなぐつたり、けつたりという暴行か、一線を越えた暴行か、そういう点もお聞きしたいし、それから、それがどこかの圧力がかかつて告訴を取下げた、こういうように書いてある。今あなたは不起訴になつたと言われますが、調べて不起訴になつたのか、それとも告訴を出したのを、よそから圧力がかかつて告訴を取下げたのかということも私どもにはわからぬ。そういう点等についても、初めて聞くものですから、なるべく詳細に承りたい。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 これは今の報告でははつきりしないですが、強制宿泊させられたというか、これは軍の命令か——組合には加入していないようですから、軍の命令じやないかと思うのだが、軍の命令で宿泊させられたのかどうかの点。  それから施設の状況が非常に悪いというが、具体的にどういう程度なのか。宿舎から職場が大分遠いように言われておるのですが、宿舎がどこで、職場がどこか、その中間に危険の起る原因があるようにも考えられるのですが、この点をひとつ明確にしてもらいたい。

八木定吉全駐労宮城地区本部書記長

○八木参考人 事件の内容でございますが、事件の内容につきましては、これも複雑なものがございまして、言えない場合があるわけでございます。ストライキをやる前日に、軍側から強制的にとまり込みをさせられたのは事実でございます。従つて、施設の状況でございますが、これは普通兵隊が寝とまりする兵舎に、まん中にカーテンか、あるいはドアーつでもつて……。     〔発言する者多し〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 静粛に願います。

八木定吉全駐労宮城地区本部書記長

○八木参考人 片方は男、片方は女というふうに、ただ一枚の仕切りでもつてそこに寝とまりさせられたのが現況でございます。  それから大体一時間ぐらいかかるというその里程は、現在勤めておるのが宮城県の原ノ町というキヤンプであつて、本人たちが宿泊しておるのは川内という別なキヤンプの中に女子寮があるわけでございます。従つて、原ノ町から川内に歩行で大体一時間ないし一時間二十分ぐらいかかるわけでございます。ところが、作業条件が非常に悪くて、たまたまこの職場は深夜作業を非常にする傾向がありますが、夜自動車で送り迎えをするのではなくして、本人たちが作業を終つてから、歩いてそのまま寮に帰るというのが、大体その当時の現況であつたわけでございます。以上であります。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 暴行が行われたというのですが、これは女に対して米兵が暴行したというのですから、大体想像はつくのでありますけれども、それは告訴が取下げられておるのか、あるいは調べた結果不起訴になつたのか、この点わかりましたら明確にしてもらいたい。

八木定吉全駐労宮城地区本部書記長

○八木参考人 裁判の内容をあまり詳しくは知つていませんが、ただ、当時この問題の内容をいろいろと審議しておる最中に、これは行政協定の内容に関連するのであつて、これは明らかに公務執行中に行つたことであるから、日本側に裁判権はないのだという点等も、当時一応新聞に書かれたのを記憶しております。その後いろいろと本人の家庭の都合によりまして、どうしてもその職場で働かなければいけないような現況がございまして、そしてやめること自体が、即自分の生活をみじめにするのだというような考え方からいつて、本人自体がこの問題の却下を当時叫んだというふうにも言い伝えられておるわけでございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これは全駐労の宮城県地区本部から文書をもつて本委員会に提出してもらうようにしたらどうですか。よろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ではさよう決しました。御苦労さんでした。     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 次に、港湾争議問題について、全日本海湾労働組合委員長の兼田富太郎君の意見を聴取したいと思います。兼田富太郎君。

兼田富太郎全日本港湾労働組合委員長

○兼田参考人 私どもの今行つております争議の起りを申し上げますが、港の運賃料金というものは、昭和二十六年にできました港湾運送事業法によつて定められておりまして、その通りに支払われるべきものだと私は信じておりました。ところが昭和二十六年から今日まで、その運賃料金が正当に支払われていないという現実に遭遇をいたしまして、私どもの労働条件が切り下げられたり、全然伸びて行かなかつたりするという実情にぶつかりましたものですから、勢い、単に経営者に対する要求だけでは、港湾労働者の生活の安定は守れない、払うべきものを払つていない荷主に対する要求、ないしは荷主が心を改めてくれるということでなければ、結局は港湾労働者の生活は安定しないという意見に到達いたしまして、今日の食糧庁の扱つております輸入米麦についての運賃料金を正当に払つてもらいたいというところへ話を縮めまして、今回は輸入される米麦のみを一応対象といたしまして、法律を守つてほしいという要求をいたしたわけでございます。  これが今日私どもがやつております争議のあらましの内容でありまして、私どもとしては、法律が守られて、そうして十分に定められた通りに運賃料金が支払われて、その中で港湾労働者の賃金の要求もして行かなくちやならないという港湾労働者の生活の安定の問題と、いま一つは、日本の港はこのままにしておくと、おそらく収入減のために、資材や設備の復旧もおぼつかないのではないか。つまり必要なだけの運賃料金が当時定められたわけですから、そのものが不当に削られておるということになると、その分だけ港か荒廃して行くのではないか。このことをも、港で働く労働者としては守らねばならぬ。こういう二つの観点から、今次の闘いを起しておるわけでございます。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 私の伺いたい点の第一は、今日大体御説明を伺いますと、問題は、港湾における労働者の賃金が、生活を保障するに足りないというところが根本のように伺うのでありますが、そうでございましようか。

兼田富太郎全日本港湾労働組合委員長

○兼田参考人 日本の港湾の労働者というのは、運輸省に届け出てあるのを見ますと、大体八万でございます。そのうち私どもが組織しておるのが二万内外でございますが、あとの六万というものは、地方の組織であつてみたり、経営の中にある組織であつてみたりして、これはおそらく五千にも足りないと思いますが、これをかりに一万と見ましても、残り五万は未組織の状態にあるというふうに見ております。私どもの組織しております労働者の賃金は、現在でも大体十二時間労働二交代制で、徹夜で作業する場合が多いのでございます。それで、私どもの計算によりますと、現在の物価事情のもとでは、本人と細君と子供の三人世帯で大体一万九千円内外の賃金がなければ食つて行けないということであります。八時間の基準内労働で一万九千円何がしのものがほしいという要求でございます。ところが、それが今実行され、かなえられておるところは一つもございません。八時間に直しますれば、おそらく一万二、三千円のところだと思うのです。それと、特にはしけの労働というのは、かりに朝の六時に出て六時から八時間働くというふうに、時間を定めて働くという状態になかなか行かないものですから、勢い労働の基準は、船の港内における航海数というものを、労働の量をはかる基準にいたしております。そういうようなかつこうで、はしけの場合には八時間ないしは十二時間で云々というふうに計算することができないという実情でございます。     〔委員長退席、日野委員長代理着席〕 その他私どもの組織に入つておりません未組織の状態にあるという六万の労働者は、一例を横浜にとりますと、横浜の港では大体常用の人、それから風太郎といわれておる桜木町付近にたくさん寝ている連中ですが、それとわける必要がございますけれども、やはり常用の人でも、一日五百円内外だと聞いております。これは必ずしも毎日仕事があるわけでございませんので、平均二十日稼働すればいいという状態でございます。大阪などへ行きましても、大体風太郎は三百円から四百円、これは格付がございまして、とにかく五百円と四百円の間くらいの支払いを受けておる。この風太郎と、関西の方であんこといいますが、これが問題でございまして、港湾の場合には、普通業者が仕事をする場合に、自分の手持ちの労働力だけで仕事がやれるという状態が私どもは普通だと思いますが、必ずその半数くらい風太郎を使うわけです。だから、私どもに言わせるならば、契約の都合で常用にしてはいないけれども、それらの人も本来は常用なんだ、しかも同じ店に二年も三年も連続して顔づけ風太郎ということで行つておる、それでもやつぱり賃金は安いし、労働問題などでも、組合をつくろうという動きをした場合には、明日からもう来なくてもいい、つまり仕事がなくなつたから来なくてもいいんだということで、不当労働行為にもならない。そういうあいまいな箇所がたくさんございまして、賃金も勢いそういうぐあいでございまして、お尋ねの私どもの組織の点については、先ほど申しました八時間に引直すならば、一万二千円ぐらいですけれども、その他の六万の多くの人たちは食うや食わずの状態ですし、大阪の堺川や神戸の弁天浜、横浜の桜木町、こういうところに見られる、今でも新聞をひつかぶつて寝たり、むしろをかぶつたりして寝ておる状態の人たちが、目がさめると起きて行くわけですが、そういうことをやりつつ港湾作業は行われておるわけで、睡眠が十分とれない、回復が十分でない、そういう中で集団としてのあぶない仕事をする。けがの率も、労災保険の方で調べたのによりますと、全国第一位、第二位を争うというような状態になつております。従いまして、賃金のことも、私どもの分についてはそういうことでございますが、多くの未組織の連中なり地方組織の連中は、かなり低賃金で、とにかく金で計算いたしましても、先ほど申し上げたようですけれども、世帯を持つことができない、家庭を持つことができないといつたようで、住所不定の人間がたくさんございます。そういう状態の中におります。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 次にお伺いしたいのは、今回、輸入食糧荷役拒否の闘争を行つておられるわけですが、これは輸入食糧の荷役について、特に賃金が安いから、それに対して闘争をするという趣旨であるが、あるいは全般的に現在の港湾荷役の賃金が安い、その全体を引上げるために、特に輸入食糧を選んで荷役拒否をしようというのか、その点をひとつ……。

兼田富太郎全日本港湾労働組合委員長

○兼田参考人 お尋ねの後者の方、つまり全般が安いから米と麦をとつて始めたということでございますけれども、ただそれだけではございませんで、これは運輸省の方もおられるので、あとで数字で間違いがあれば、私は異議がございませんが、大体日本では年間七千万トンの荷物を各港が作業をやつておる。そのうち米は四百万トン内外だと聞いておりますが、全部の七千万トンについて、昭和二十六年に法律ができてからずつと、どの品目にかかわらず、おそらく二割ぐらいの値引きといいますか、値たたきをされておるのが現状でございます。私どもは半年くらい前から、法律を守つてもらいたいということを一生懸命叫んで来ておりましたが、一向直らない。そこでこの七千万トンの中でも、輸入の米と麦——大麦、小麦もまぜてですが、おそらく私の知る限りでは、政府が荷主であるという品物はこの米と麦だけだ。従つて、まず政府から法律を守るという模範を示してもらつて、そうして他の鉄鉱、石炭という民間荷主にも法を守れという模範を示してもらつて、それを一般に及ぼして来て、全品目をあたりまえに払つてもらえるように持つて行こうという考えで、特に米と麦を選びましたわけでございます。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 今のお話によりますと、法を守つてもらいたい、それが守られずに賃金が下つておるということだそうですが、そうすると、法律でもつて荷物に対する大体の扱いの料金というものの率が一定されているわけですか。

兼田富太郎全日本港湾労働組合委員長

○兼田参考人 これは港湾運送事業法というので、運輸省の定める手続によつてきめられることになつておるわけであります。従いまして、運輸省の方がおられるのですから、この点は説明していただけばいいと思いますが、私の知つておる範囲だけでも一類港、二類港というふうに、大きい港と小さい港と大体は港類別にわけてはございますけれども、運輸大臣の定めた手続に従つて運賃料金は定められておるわけでございます。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 運輸省の方にお伺いいたしたい点は、ただいまのその料金がどういう手続で定められておるか、そしてまたその料金を割引くことについて、何か政府の取締りの方法があるのかどうか、この点について承りたい。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 今湾運送事業法によりまして、港湾運送料金のきまつた額があるのでございまして、これは登録いたしました全国の港湾、ただいま八十二港ございますが、それらの港湾におきまして各品目別、それからはしけ荷役あるいは船内荷役あるいは沿岸荷役、これらを一貫した荷役ごとに料金を一応きめまして、この原価計算によつてきまつた料金を業者の方から届出が出先機関にございまして、これをある一定の予告期間を置いて告示いたしまして、荷主なりその他関係業者からの異議の申立があればこれを直す。一応予告期間を置いて告示いたしまして指定した料金が、各港ごとに、あるいは各品目ごとあるいは各作業別にきまつておるのでございます。この料金を遵守するように指導いたしておるのでございます。法ができましてから、いろいろ料金を指定する期間あるいは告示等の期間がございまして、ほんとうに動き出すまでには一年ほどかかつたのでございますが、その間料金がどういうふうになつておるかということを——昨年来、どうも多少荷主と港湾運送事業者の間に割引が行われておるのではないかということで、出先の機関を通じまして港湾作業料金の実態の調査をいたして参つたのでございます。それによりますと、それぞれ会社の帳簿を調べるのでございますから、的確なことはつかめない場合もございますが、大体一割から二割ぐらい値引きが行われておる面がある、はなはだしいものは三割ぐらいになつておるのもあるらしいということがわかりましたので、さらにこれを値引きはやらないように業者を指導して行こう、ことに輸入食糧につきましては、農林省といろいろ打合せをいたしまして、料金の支払い方法等を改めまして、この四月からは輸入食糧の料金については、おおむね指定料金が支払われておるような現状でございます。他の貨物につきましても、いろいろ荷主に働きかけをやり、また港運事業者にも、指定料金を必ず要求して、法の完全に遂行されるように、指導監督をいたしておるような現状でございます。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 ただいまの割引、値引きというようなことにつきましては、何か法律上の制裁というようなものは準備してありますか。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 もし港運業者が料金を遵守しなかつた場合には、登録の取消しとか、あるいは業務の一定期間の停止あるいは罰金の制度があるのでございますが、これを適用いたしますると、結局波及するところが相当大きくなりますので、今の段階では港運業者に十分訓戒をいたし、あるいは荷主に対してそういつたような割引を強要することのないように指導いたしておるのでございます。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 おそらく運輸省としては、そういう料金をおきめになつて、またそういう料金の遵守を確実にする方法をお定めになつておられる以上は、その料金が行われるということが当然なことであり、またそうなくちやならぬと、こう思つておられるのだろうと思うのですが、不幸にして現状はそういう状態でないわけでして、これは当局としても非常に遺憾に思つておられるのじやないか。またそれだからこそ、いろいろな方法で、できるだけ法の完全な適用の状態をつくり上げようと御努力になつておられるのじやないかと思うのです。そこで当局としましては、この法の完全なる遵守が行われる状態を持ち来らせるために、今後どういうふうにして行こうかということについてお考えがあるでありましよう。またそれについては、第一期としてはどの程度のことをやる、第二期としてはどの程度の指導をする、第三期としては来年の何月以降、反則者はびしびしと取締つて行政処分にするのだというようなスケジュールのようなものがありはしないかと思いますが、そういうものがありましたならば、ひとつお漏らしをいただきたいと思います。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 まず第一番に当面の問題といたしましては、輸入食糧が取扱量の中で一番多量でございますので、これに対しましては、農林省等と連絡をとりまして定めました料金が完全に受渡しできまするように、新しい方式によつて料金の支払いをいたして行きたい。これは詳細な説明は省略いたしますが、要するに、農林省が最近に新しい方式で輸入業者とのとりきめをされますので、そのとりきめ、契約に際しまして港運の荷役料金を法に定められたように支払われるように一括支払いをするという制度でございます。これによつて当面の輸入食糧の値引は防ぎ得るのではないかというふうに、当局としては考えておるのでございます。  それから他の石炭とか鉱石とか雑貨につきましても、昨年の十二月から監査の方式をいろいろと考えまして、現地で監査をやつておりますし、またそれらの調査委員会等もつくりまして、極力現地を指導いたしております。  さらに港湾運送事業が、将来こういつたような値引の問題が完全になくなるという段階に至らないならば、相当運送事業法の改正も考えて行つたらいいのじやないか。たとえば荷主に対する罰則の問題も取上げて行かなくちやいけないのじやないかというようなことも、今検討いたしておるような段階でございます。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 運輸省の相当強い御決心を伺うことのできたことは、たいへんけつこうであります。今お話の輸入食糧の料金支払いの方式について、食糧庁と御相談中のようでございますが、御相談がまとまつておりますかどうか。またその方式によれば、必ず期待したような料金支払いの庚が上げられることについて、自信がおありかどうか、これをお聞きしたい。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 その問題については、担当の課長が参つておりますので、港政課長から具体的に説明いたしたいと思います。

中野大運輸事務官(港湾局港政課長)

○中野説明員 食糧庁との連絡の点でございますが、今年の四月一日から新しい方式によります支払い方式をとつたわけでございますが、さらに今度食糧庁の方でお考えになつておられます買入れ方式の関係と関連いたしまして、この七月くらいからまた現在の新方式をさらに徹底させますために、今局長から話がありましたように、受払いを一括して中央でやろうといつたようなことで連絡も十分とつてございます。また今度の新しい買入れ方式を食糧庁でおとりになつても、従来行われておりましたように、港湾運送事業法の完全な実施ということに御協力を願うように、指定単価というようなものも設けていただくというようなことで、私の方も港運事業法完全実施について、十分食糧庁と連絡をとつて進めております。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 参考人にお伺いしたいのですが、今伺いますと、食糧庁と運輸省の御相談で、新しい料金の支払い方式をとつている、これについては役所としてもおそらく目的を達し得るというふうにお考えになつておられるようですが、今度はそれによつて支払われた料金について、運送業者と、従業している労働者との関係において、それらの現状から見て、源泉において確実に支払われれば、あなた方の期待されたような実際の労働者の受取り賃金が可能になるとお考えですか。

兼田富太郎全日本港湾労働組合委員長

○兼田参考人 今度政府の方で確実に払われるようにするということに、私どもは信用が置けるかどうかというこになりますと、私ども正直に申しまして、これは法律に荷主の方が値たたきをしても一向罰する規則がないものですから、ほうつておけばまた元へネジがもどる、常識的に判断してそう思うのです。従いまして、今度きめられる支払い方式というものは、よく聞かしてもらわなければわかりませんけれども、ともかくそれを実施することになれば、それを十分に監視して行く機構ができ上らないと、あぶなつかしいのではないかと私どもは考えております。  それからその次に、これが支払われるようになつたら、組合と港運業者との間の直接の折衝によつて、労働者はある程度満足する賃金がもらえるかどうかという点でございますが、これは先ほども申し上げましたように、年間七千万トンのうち四百万トンの事柄でございまして、それがよくなつて、これを糸口として全品目にわたつて完全に法が守られて行くという状態が来ましたならば、私どもは経営者と十分に交渉する理論的な基礎もでき上ると思います。聞いたところによりますと、運輸省が当初現行の運賃料金の建て方をやられたときに、労働賃金はその中のどれだけの比重にすべきかということについては、約八割近いものだというふうに計算をされたと私ども聞いております。ですから、もし全品目についてあたりまえに支払われるようになれば、港運業者に対して、当然そういつた基礎に立つて労働者の賃金を正当なものにして行きたいと私どもは思います。従いまして、今の段階において食糧庁のお扱いの米麦をよくし、運輸省の方でそれをその通りにやろうということでやつていただいても、七千万トンのうちの四百万トンの部分についてのことでございますので、早急に他の民間扱いの品物、それから綿花、羊毛、塩、砂糖、大豆というふうなたくさんの商社の扱う品物もございますわけで、そういうものも全部直らないと、私は十分ではないというふうに考えております。  そこで、もう一つ私どもの考えておりますことを申し上げますならば、輸入商社としての農林省食糧庁と調印をいたしております輸入商社は、かなりの数に上ると思いますが、おそらく五十社内外ではないかと思います。これらの商社が港に取扱われる一切の品目の荷主であるといつても過言ではないほど、綿花にしても羊毛にしても、米を扱うくらいの商社は、全部砂糖も大豆も塩も扱つておると私は見ておるのでございます。従いまして同じ港運業者に下請をさせて、米と麦だけあたりまえに払うが、塩や砂糖については知らぬぞということであるならば、これは私どもの目的が一つも達せられたことにならないのですし、また法の建前から言いましても、米と麦だけはいいが、塩や砂糖や綿花、羊毛は知らないということであつてはならないと思う。せつかく運輸省なり食糧庁なりがお話をせられて、何か成案を得られたとするならば、それは当然他の品目も法律を守るように支払うべきであるという線がしかれておつてのことでなければならないし、そうでなくては、お尋ねの趣旨の、ある程度賃金がとれるかという趣旨にも、私はとれないでしようという答えをせざるを得ないと思うのです。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 輸入食糧は、幸いに荷役料金の支払者が政府でございますから、割合に料金が確実に簡単にとり得ると思うのですが、その他の一般の貨物につきましては、先ほど港湾局長のお答えを承りますと、これは今の法律ではなかなかむずかしいかもしれない。場合によると、荷主側に対しても遵守させるための法律上の手段を講じなければいかぬかもしれないというようなお答えを伺つたわけです。が、そうなると、法律の改正ということになります。現在の法律を完全に実施してみて、それで効果が上らないから法律を改正して、新しく荷主にも罰則をつけるようなことをするというのならば、これは一つの順序としてわかりますが、現在港運業者に対する行政的な強制措置を法律で認められておるにもかかわらず、まだそれを実行するようなところまでできていない。普通の常識から言えば、まずできるだけ早く業界を指導して、現在の法律で認めておる制裁手段を実行するような段階にもつて行くことが先決問題ではなかろうか。その後に、それでも効果が上らないから、そこで荷主に対する制裁を科して行く法律をつくつて行かなければならぬ、こういうふうに考えるのが普通の順序じやないかと思います。しかし、いやそれはやらなくとも、やつたところで効果のないということはあまりにも明白である、だから実効あらしめるには、ただちに法律の改正が必要なのだということであると、これまたそういう考え方もできるわけですが、その辺についてどういうふうにお考えになつておられましようか。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 料金を遵守するようにあらゆる努力をいたしておるのでございまして、まず先ほどお話のありましたように、輸入食糧についてそれを完全に実施するようにいたし、さらにその他の貨物についても、これにならつて完全に実施ができるように、従来ともいろいろと努力をいたしておるのでございます。たとえば、先ほど申しましたように、昨年の夏から実態の監査をいたしたり、あるいは今年になりましてたびたび荷主の代表を呼びまして、料金の遵守について協力方を要請しておるのでございます。それでもし、なおこういう方法を続けましてこれが実施できない場合には、港運業者に対する罰則の方法を適用いたすことになり、それでもなおこれが完全でない場合には、業法の改正等も考慮いたされるのでございまして、そこにやはり段階があろうかと存ずるのでございますが、今ただちに港運業者に罰則を適用しないということは、罰則を適用いたしましても、迷惑するのは八割程度を占めておりまする労務側に迷惑が来ることを心配いたしまして、できるだけ行政指導でもつて荷役の料金の遵守ということをまず努力いたしまして、そこでそれが非常にむずかしいという場合になりましたならば、業者に対する罰則を適用し、さらにそのときにおきまして必要があれば荷主もこれに協力できる、あるいは荷主に対して何らかの措置を講じなければならないのではないか、かようにただいま考えておるのでございます。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 行政指導として輸入食糧以外の一般貨、物について料金を遵守させるためにとつておられる具体的な措置は、どういうふうなことでしようか。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 地方に荷役調査委員会のようなものを設けまして、これに官庁側とそれから港運業者、私どもは労働代表もこれに参加するように勧めておるのでございますが——一部では労働代表が参加しておりまする調査委員会もございますが、地方のいろいろな事情に、よりまして労働代表が参加しておらない調査委員会が多いのでございます。その調査委員会で、いろいろ料金の遵守方について、荷主なりあるいは港運業者にこれを遵守するようにいろいろと打合会を、これは積極的に相当回数開いてやつております。それから先ほど申しましたように、直接中央におきまして鉄鍋業界の代表とか、あるいは石炭業界の代表に話し合いまして、それぞれの港における料金を遵守するように、数回にわたつて要請したり、あるいは打合せをやつているような実情でございます。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 こういう問題については非常に御苦心があるだろうと思うのでございますが、今度の輸入食糧についての最後の解決方法ということになると、結局荷主であるところの農林省から直接一括支払いをさせるということで解決される、こういうことを最後にお考えになつたわけですが、それと同じように、一般の貨物についても、ただせつかく法律ができたから守つてほしいということをいくら繰返して言つたところで、それだけではなかなか実効はあげられないのじやなかろうか。何かやはり具体的に法律を守りやすいような、あるいは守らざるを得ないような行政的な措置をお考えいただくことが実際必要なのじやないかと思う。おそらく今日荷主の諸君にしましても、またその他の一般の関係者の方方にされましても、公示料金がある以上は、それを守るのがいいのだということについては百も承知のところだと思う。ただ、実際いろいろそれが行われないのでございますから、それについてもう少し具体的に料金の支払いの方法について指導をするとか、立ち入つた御指導によつて、ある程度の効果が期待できるということも考えられるのじやないかと思つております。そうした点について、今後御努力をいただきたいと思いますと同時に、少くとも今日法律にそういう強制的な手段があるのですから、守らない者に対しては、そういう処置をどしどしやるということをやつて行かなければ——それは一時的には労働者の諸君にも非常に迷惑を及ぼすことになるかもしれませんが、とにかく取締り当局は伝家の宝刀がありながら決して抜かぬのだというような現在の状態では、法律の期待するような結果が得られないということは無理もないと思います。この点について、もう少しお考えをいただきたいと思う次第でございます。     〔日野委員長代理退席、委員長着席〕  それから参考人にお伺いしたいのは、輸入食糧の点については、今後実際それがどういう効果をあげるか、まだ御相談中ですから、はつきりした見通しはできないでしようが、輸入食糧については、相当両省においても御研究中らしい。これがまた今のお話の通りの結果だとすれば、この点については、皆さんの期待しておられるような政治的成果をあげるのじやないかと思います。しかし、今度やられました食糧荷役拒否の闘争というのは、食糧荷役の料金を上げるということだけが目的じやないのであつて、これを手段として一般の貨物の料金を引上げるのである、こういうことになりしますと、せつかく食糧の料金だけが解決しても、それでは争議の目的は解決しないのじやないか。この一般的な賃金を引上げるために、適正な賃金の支払いを現実にいたしておる食糧荷役が拒否されるということになるので、食糧の輸送という面からいうと、ほかの貨物が支払わないためにちやんとした支払いをしている自分たちが荷物を扱つてもらえない、こういう矛盾した結果に陥るおそれがあるのじやないかと思います。これは争議の戦術その他でいろいろお考えもありましようが、現実にはそうした場合に、どういう御処置を考えておられるか。

兼田富太郎全日本港湾労働組合委員長

○兼田参考人 私どもは、いつもストライキのためにストライキをやるのではないというふうに、下部の組合員にも教えておりますしいたしますので、今回私どもが運輸省なり農林省なりから組合に、こういうぐあいに考えたがどうだろうというふうに話を持つて来ていただくことで、これをよく検討させていただいて、これで米の問題は直りそうだというふうに考えましたら、ストライキを中止いたします。従いまして、全般の貨物が直らないために食糧問題だけを荷役拒否するという奇現象のようなことにつきましては、日にちの幾らかのずれはございましようけれども、とにかくほかが直らぬから食糧だけをひつつかまえてゆすぶるということは、やらないようにいたします。けれども、ただ何回も申し上げて恐縮ですけれども、お話のように食糧だけが直れは他の二割内外値引きされておるほかのものはどうでもいいのだということでは絶対ございませんし、そんなことを考えられるわけのものでもございませんので、やはり日本の港が取扱う一切の品物は、法律の手続によつて定められた通りの運賃料金がやはり支払われるのだ。その中で労働者は辛うじて食えるなら食えるのだという状態になつてほしいのだ。私どもは今回の機会を利用してそういう伏線をこの際に引いていただくということを特にお願いをせざるを得ないわけであります。  なお、先ほどから局長さんもいろいろおつしやつておられますけれども、私どもとしては、荷主を拘束するというところまで一気に持つて行くということについては、やつてほしいとは思いますけれども、官庁側の方にもいろいろ御理由があることだと思いますので、そういうことは申し上げないといたしましても、ここで政府がちやんとあたりまえに払うようになつたのだから、他の鉄鉱、石炭の荷主についてもみんな払うようにということを、ほんとうに実施させる方法といたしましては、何と申しましても、私は業界の育成指導、いわゆる千八百あるという港運業者が、実は思いばらばらにやつておるわけですから、大阪あたりで実はこういうエピソードがございます。私どもの仕事が始まつてから、輸入食糧を扱つておる店へ団体として、どうか今後は値切らないでくださいとお願いに行つたそうであります。行つた帰りにエレベーターにみんな一緒に乗つて、ちよつと私は便所に行つて来ると一人はずれて、先ほどは団体で来ましたので失礼申し上げましたが、実は私はそういうつもりはございませんのでどうぞよろしく、こういうぐあいで、これは事実なんです。そういう事柄は常識的に考えてあり得ることなのであつて、何か規制がなければ、決してやるものでないということもわかると思うのです。そういう意味合いから、業界そのものがちやんと申合せをして、法律を守るというちやんとした業者にしなければならぬという指導が運輸省の方の側にほしい。そのことは、たとえば、これはほんのたとえばですが、登録をするのに、実は私が兼田という名前でありますと、Aという業者が兼田という従業員を使つておるといつて運輸省に届け出ておる。そうしてBの業者もまた私の名前を使つて届け出ておつて、合計十人使つておりますよといつて届け出ていたことすらあるのであります。そのように資材道具にいたしましても、人間にいたしましてもダブツて登録したりするという場合もあつたわけなのです。それほど登録事務といいますか、登録の手続といいますかは、びしやつと行つておるとは私は思つていないのです。そういう面がありますので、業界を育成指導するという場合には、登録の申請の際には業界の裏判かいるとか、運輸省も業界のいわゆる添書といいますか、業界の認証を重んじておるとか、それからお互いに運賃料金をかつてにさつ引いて、向うで百円なら私のところは九十円でよろしい、こういうようなことを言う業者がおつた場合には、悪いことだけれども密告制をしくとか、何とか業界が権威ある業界となつて、自治管理能力といいますか、自治統制能力を持つように、運輸省はやつていただきたいということと、それから私どもの方といたしましては、そういうふうにやつてなお、今まででもいろいろ裏をくぐりして乱れておつた経過がございますので、運輸省の方と業界と労働組合とでもつて、場合によつては公益の人も入れてもいいと思いますが、そういう間違いを起しておる事柄などを監視して行くといいますか、調査して行くといいますか、そういう制度を設けて、そうしてたるんで来たようなときでも十分に締めて行くような機関を設けて行く、こういうことを、ぜひしていただいて、そういう伏線が引かれれば、民間の他の荷主をひよつとして直るかもしれぬという希望を私どもは持つことができるので、その民間のことがちやんとならないからストライキをやめないんだというようなことを一応やめて、運輸省とよく折衝をして行つたり、国会の方でいろいろ考えていただいたりするような方向の中で解決を見たいものだ、そういうふうに思つております。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 私は今度の荷役拒否の闘争というのは、普通のストと違つた意味があると思うのです。それは、すでに運輸省が法律に基いて示しておるところの公示料金なるものが、現実に守られておらないんじやないか、それを守らせるようにしてほしいということが、この闘争の大きな目標になつている。それで、これは単なる労使間の対立とかいう問題ではなくして、運輸省で自分のきめた料金が乱れておるにかかわらず、そういう場合には、運輸省が登録の取消しをするとか、そういう権限を与えられておるが、それも現実には用いておらない。だから、そうなると、動機は別といたしまして、結果的には、公示料金を維持するための現在の港湾行政当局の努力が不十分であるということを言つてもいいのじやないかと思う。私は、せつかくそういう制裁の方法がある以上は、運輸当局としては、あらゆる指導もけつこうですけれども、指導はいいかげんにして、今後はひとつどしどしと反則者に対しては制裁を加えるというくらいの決意を持つて、自分のきめた料金を維持してもらいたいと思うわけです。もしそれもできないというならば、あつさりと料金の公示なんていうものは取消していただくべきものではないか。そういう意味において、私はこの闘争というものは、法律に期待しておる事実を実現してくれという闘争ですからして、非常に同情すべき理由が十分にあるような気がしますから、ひとつ当局におかれましても、そうした点について今後格段の努力をいただきたい。最後に、一体いつからどしどしと違反者に対して制裁を加えることにするか、その時期をこの際はつきり教えていただきたい。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 料金の遵守につきましていろいろ御鞭撻を受けたのでございますが、運輸省といたしましても、これに対しては従来ともあらゆる努力を傾けて参つておるのでございまして、今後とも適切な措置をとつて参りたい。ことに港運協会というものがありまして、これに対する指導等も、もつと積極的にやつて行きたい、かように考えております。この罰則の適用をいつからするかということは、たいへんデリケートな問題でございまして、でき得るだけ行政指導によつてこれを遵守するようにいたさせまして、それでもなおできない場合にはこの罰則の適用をやりたい、かように考えております。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 ですからその点を伺つているので、できるだけ行政指導をして遵守させるように努力をするその最後の時期はいつであるか、これも五年も十年もやつて、まだまだ行政指導の余地があるからというので制裁をしないのだというようなことでは、問題は解決しないわけです。だから、それをいつまでやつて、それでもなお聞かないから今度は法律を適用するのだという、その時期を言つていただきたいと思う。この点については、先ほどこれだけではうまく行かぬかもしれぬから、場合によつては荷主に対しても罰則をつけるように法律改正をしなければいかぬ、これは一つの御意見として私ども承りましたが、しかし法律を改正するかどうかということは、また国会であらためて審議すべき問題なので、行政当局としては、現行の法律を忠実に実施するということが使命でございますから、現行の法律を実施し、それによつて与えられた行政官庁としての当然の権限をやつて行くその目標をいつごろに置くかということを、ひとつはつきりしていただきたいと思います。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 まず今年の四月一日から輸入食糧に対しまして、新方式による支払い方法がきまつたのであります。それに対しまして、ただいままでは大体料金が遵守されておるのでございますが、この十二月に、それらに対しましてそれぞれ監査をいたしまして、その監査をした上で違法がありましたならば、これに罰則を適用するということを一般業界には申し渡してございます。これは輸入食糧についてでございます。その他のものにつきましては、いまだその処置はとつておりませんけれども、遵守しろということは、打合会、協議会等をたびたび開いて、また現地の方でも調査委員会等を活動させておりますので、それに準じて措置をとりたい、かように考えております。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 それに準じてというと、輸入食糧の方が済んだらこれからひとつ監査をして、そうしてその監査の終つたところで反則者を取消す、こういうことでありますか。それとも監査をしてみて、その結果反則が多いようだ、ついては、さらにいつまで猶予するから、その間に直せといつて、もう一ぺん監査をして、それでも聞かないものを取消す、こういう考えですか。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 輸入食糧につきましては、十二月の監査を終えて罰則を適用したいと存じますが、その他の貨物につきましては、その輸入食糧の監査の終つた後に監査をいたしまして、その時期をきめたい、かように考えております。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 そうするとやはりそれから半年ぐらいかかりますか。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 大体そんな見当じやないかと思います。

大橋武夫自由党

○大橋(武)委員 そうすると、ただいまの港湾局長のお話は、少くとも来年の五月か六月ごろ以後は、この港湾の取締り規則が適正に行われる、それを目標に努力される、こういう趣旨に了解いたします。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 大橋委員よりいろいろ質問があり、また私たちが考えておる点を質問されましたので、私は時間もございませんので、二、三点だけ質問をしておきたいと思います。  第一には、われわれはあまり勉強が足りないのでよくわからないのですが、公示料金というものが定められたその理由をお聞かせ願いたい、かように考えます。  第二点は、罰則の方は港湾運送業者だけを対象にしておつて、荷主の方は対象にしておらない、こういうお話ですが、あのブームの時代は、確かに私は港湾運送業者も経済的には必ずしも弱者ではないと考える時期もあると思うのです。しかし一般に考えまして、貿易業者に比べまして全国に千八百もある港湾業者を見ますと、これは明らかに経済的弱者であります。弱者の方だけを対象にしておる。こういうことは、初めから、どうもこれだけを対象にしておつては法律はうまく行かないということは、十分わかつておつたであろうと思うのです。あるいはその場合には、相手でありますところの荷主は同じ罰則で登録の取消しはできませんけれども、やはりこれは共犯になりはしないか、かようにも考えるのですが、その二つの点をお聞かせ願いたいと思います。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 公示料金を設けました理由でございますが、これは一般に運輸業におきましては、海上運送、陸上の小運送、汽車輸送等みな一定の料金が定まつておりますが、運輸の流れにおきまして港湾だけが従来穴があつたのでありまして、それを埋めて公益のために港運事業の健全な発達を期するために、このような公示料金を定めたのであります。  第二の点の、荷主の罰則に対する点でございますが、この港湾運送事業法はいろいろな経緯がございまして、議員提案になつたのでございます。各党の御賛成を得て提案いたしまして、その原案には、荷主に対する罰則規定も実は入つておつたのでございましたが、それが法案の成立のときに抜けたのでございまして、経過といたしましては、私の記憶をしております範囲でも、初めは最高最低の料金をきめて幅のあるものとしたら、どうだというようなこともございました。それらがいろいろあつたのですが、ほかの陸上の小運送事業等が荷主に対する罰則規定もございませんので、それに均衡のとれるようにこういうふうにおちついたのではないか、かように存じます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 独占的な企業であるならば、公示料金というものは、力によつて当然遵守される、こういう関係になると思いますけれども、こういうふうに全国に千八百もあり、しかも企業としては弱小企業であるというところに、なかなか守り得ないものがあろうと思うのです。そこで現行法でも、荷主に対しては何らか処置ができるのじやないか、かように考えるわけですが、運輸省の方は立法行為その他によつて今のところ荷主は何ともできない、かようにお考えですか。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 法の改正をやらなければ、現在のところ荷主には、働きかけて協力してくれ、法の遵守を徹底してくれという呼びかけ以外には、方法はないのじやないかと思います。一応荷主と港湾運送事業者と対立いたしますと、港湾運送事業者は非常に弱いのでございまして、企業的に申しましても、千数百ある港運事業者の七割五分は資本金が三百万以下の中小企業のような実態でございますので、やはり石炭、鉄鉱のような大きな荷主、あるいは雑貨でも綿花、羊毛を輸入しておるような商社に対しましては、非常にその点弱いのでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 現行法ではどうも荷主に対してはできないということですので、私は了承しませんけれども、一応承つておきたいと思います。  さらに食糧の問題ですが、食糧輸入業者というのは、政府の代行機関ではないかと思うのです。ですから、一般の輸入業者とは違う。また同じ会社でありましても、この面を扱う分においては、違うのではなかろうかと、かように考えるわけであります。十一月十三日の朝日新聞の社会面に、かなり大きく取上げておりますが、政府が一応きめました料金、さらにその料金の中に運送の公示料金が含まれておると思うのです。その場合に、それを遵守せずして、その中からピンをはねるということになりますと、これは政府の代行機関である輸入商社は、何らか法に触れはしないかと思うのですが、どういうようにお考えですか。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 この点は、食糧庁の方からお話が願えると都合がいいと思います。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 お答え申し上げます。食糧庁は、外国からの食糧を買いますときに、輸入業者に対して産地の買付を指定します。そして倉庫までの全部の仕事を請負わすという観念で売買契約を結んでおるわけであります。ただ、買いますときに入札を行いますが、そのときに、港をどこの港ということを指定するわけには参りません。と申しますのは、需給の関係であらかじめ港を指定することができませんので、東京から鹿児島までの間の港を探しまして、本船船側渡しでテンダーしたその線を区切りまして、一応入札をやるわけでありますが、実際に本船が入つて来ます前に、大体私の方の需給関係を見きわめまして港をきめるわけであります。そしてその港の倉庫までその輸入業者に持つて来させるわけでありますが、一応売買契約を本船船側ということで時点を区切つておりますために、付随契約として、そのあとの港における倉入れまでの費用を請負わせておるわけであります。従いまして、その間に今問題になつております公示料金の問題が出て来るわけであります。これは私の方では、大体前年の港別の作業形態別の実績を徴しまして、それに公示料金を積算いたしまして、指定価格をきめておるわけであります。その指定価格をインポーターに渡しまして、それで私の方の望みます倉庫までの搬入をやらせておるわけであります。従つてその間の料金と言いますものは、一応指定単価によります。それは公示料金を基礎とした指定単価でありますが、その点につきまして、インポーターとしてはいろいろ問題になるわけでありますが、下請に支払われるだけの額は、私の方で出しておるわけであります。その指定単価をきめますのに、実績を基礎として出しておりますから、実際の荷さばきの場合の倉庫へはしけでつけますときの費用等につきましては、若干の食い違いが出ることがあると思いますが、インポーターに請負わせておりますので、長い目で見ますれば、これは当然インポーターに出されるわけであります。こういう点につきまして、私の方は請負という観念をもつてやつておりますので、その間インポーターがどういう下請を使うというようなことについては、私の方では関与しておりません。ただインポーターに対しましては、先ほども港湾局長からお話のありましたように、公示料金の厳守というようなことにつきましては、私の方からも再三厳重に申し入れて、現在に来ておるわけであります。それで本年の四月からは、個々の港の各インポーターと個々の運送業者にやりますと、いろいろと支払いの遅延等が起きますので、現在は指定単価につきましては、中央の私の方から、払いますときにインポーターの代表であり、インポーターの金銭の代理受授をやります共栄商会というものを通じまして、一本で流して、それに下からインポーターの認証が上つて来ました額を、各作業会社に支払わせるというようなことで現在まで参つております。今後やりますことは、従来のように本船船側で一応区切つて、それにさらにその附帯契約として港運事業を請負わすというような二段構えでやりませんで、食糧庁としては、やはり基本観念といたしております。買付から倉までをすつかり請負わすという線で売買契約をやるという基本観念をはつきりして、一応入札のときは、倉までの見積り価格で入札をやらせるしかし、そのときに自由にいたしますと、その見積り価格の中で、公示料金等についていろいろ問題を起してはいけないし、なおわれわれの方としましても、輸入食糧でありますから、従つてあとの配給ということを考えなければなりませんので、港別の倉庫等の輸入計画を一応立てまして、港で受けるときの荷さばき計画等も指示します。従つて、私の方で指示する荷さばき形態が十分行われるためには、やはり指定単価の間でかりに競争などがありまして、そのしわが下の下請業者に行つてはいかぬというので、はつきり従来通りの指定単価は印刷にして、それだけの間では競争してはいかぬというようにしてそれを残すつもりでおります。それでその指定単価をやはり中央から——今度は作業会社の方でも中央まで一本になつていただいて、右から左に渡せば、いろいろ各港で問題が起きやすいところを、中央ではつきりさせた方がいいのではないか、かような考えで、実は今その方式を私の方で考えて、早急に実施に移すべく準備いたしておる次第であります。

兼田富太郎全日本港湾労働組合委員長

○兼田参考人 今申された点が、私どもも聞けば聞くほど複雑で、むずかしくてよくわからないのですが、実はやはりそこの箇所が、今度の争議に入るか、事前にストライキ中止指令を私が出すかという重大なけじめのところでございますので、私どもの方で考えておりますことを申し上げておきます。  食糧庁と、安宅とか日綿とか東綿とか丸紅とかいろいろあるわけですが、その人たちが契約を結んでおるのには、代行手数料というものを支払つておると聞いております。その額は、たとえば一万トン級の船が日本の港に入りましたとして、かりに六億といたします。ややそれに近いらしいのですが、一万トンの船が入つて来て六億の金をかりに政府が払うといたしますと、その〇・五%の事務手数料を補償しておるというふうに聞いております。私の聞いておることが間違いかどうか、あとで確認をしていただきたいと思いますが、ともかく、もしそうだといたしますと、一万トンの船が入つたら約三百万円がいながらにしてもうかるということです。私どもの方は肩をたこにして仕事をしておるわけですが、輸入商の方には、筋肉労働者らしきものはいないように私は思つておるのです。けれども、その補償されておることに、私どもは文句を言うておるのではない。それはそんな厖大な金ですから、少くとも何か合法的な措置が講ぜられて来ておるのだろうと思いますから、それを私は問題にしておるのではなくて、政府から代行手数料を、事務費もかかるだろうからということでそれだけ補償されておりながら、なおかつわれわれの作業料率の中からニ割ピンをはねるのは何ということか。ここに私どもの言い分があるわけでございまして、それを輸入商の手を通じて港運業者に支払うと、どうしてもピンをはねるということは、個人的な関係からいたしましても、お礼をするとかなんとかいう気持が起つて来るものですから、政府の窓口から実際に仕事をした港運業者に直接払つてもらいたいということが組合側の主張でございます。ところが、先ほどからのお話を聞いておりますと、やはりそういうことにはせずに、輸入食糧商社が寄つてつくつております共栄商会——これはどういう仕事をするものか、どうも輸入商社の団体、いわゆる株式会社という名前がついているそうですけれども、社団法人的な性格のものだと私は思いますが、共栄商会に払う、共栄商会から港運業者団に払う、こういうことを聞いております。そこで私どもは、さような方法で、従来の経過から見ると、私どもの欲しておるところが一体保障されるのであろうかどうであろうかということが、知りたくて知りたくて困つているのでありまして、それがわからなければ、私どもはわからぬままに、あの既定の方針であるところのストライキをとめたという責任は負いかねるというところで、重大な関頭に立つております。私どもはでき得ることならば、政府のおつしやつておることが言葉その通りであつて、しかもそれには実施をされるという確実な裏づけがあつて、それで実施をされなかつた場合にはこうだという裏づけが明確になつて行くものでありますならば、今度のわれわれの義についても、やるということにきまつているものを、私どもの判断でもつてとめる決意をすることができるということで、実は思い悩んでいるのが私どもの現状なのでございます。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 ただいま兼田委員一長から話がありましたが、この輸入食糧の契約は、私が当初申し上げましたように、産地の買付から食糧庁の指定します倉庫までインポーターに請負わすという基本観念のもとに売買契約を結ぶのが、今申し上げましたように港を指定できなかつたというような関係から、一応本船船側ということで切り、さらにそれの附帯契約として輸入をその商社にやらすというような二段契約になつておることが、非常におわかりにくい点だと思います。これをはつきり基本線を打出したような検査方式をとつて、倉渡しで入札させるという請負にいたしまして、名実ともに誤解のないようにいたして行きたいというのが今度の着検方式と申しますか、方式をかえる一つの意味であります。もちろんそのほかに食糧庁としましては従来のような発地の検定書に基きます本船船側渡しで買うというような契約は、会計法上から見ましても、実際はBL取引をしておりますので、そういう面でも国が品物を買いますときに、そういう証券取引で証券売買をやるというような点で、実はいろいろ御非難を受けておる。それから品物につきましても、はつきりある地点で品質、数量を確認してものを買わないために、今まで食糧庁として品物の悪いものをつかまされるのではないかというようないろいろな御非難もあります。そういう点を一切この際改めようという観念で、実は着地で検査をして、その基準で買い入れるということに改めるわけであります。そうしますと、端的に申し上げますと、そこまで入札いたすわけでありますので、そこに指定単価を残さなくても、インポーターとしては法律で規定されたる料金は当然この見積り価格の中に入れて来るはずであります。しかし、それも先ほど申し上げましたような食糧庁として港の倉庫を指定し、イーポーターにいろいろ指示を与えるというようなことをやりますとしますと、一方国でそういう公示料金を守るような法律もできておるのでありますから、そこははつきり指定単価として、その範囲内では競争させないというようにした方がいいではないかというので、指定単価はその中ではつきり区切りをして残します。それを食糧庁が買いますのは港の倉庫でありますので、そこまではやはりインポーターが荷主になるわけであります。従つて一応金はインポーターに渡すわけでありますが、それで荷主から下の下請業者にその運搬の費用は支払われるということになります。しかし、そこにおいていろいろ従来からの荷主と下請との関係等で、先ほどもお話がありましたような点が出ては困るので、今度ははつきりインポーターに渡します金の中から、指定港湾の料金に相当しますものは指定単価として、これを一応インポーターの窓口機関である共栄商会からすぐ個々のインポーターに流して、個々のインポーターから個々の作業会社に渡すということをいたさずに、すぐ作業会社の方の一本になられた機関にお渡しする。もちろん運輸省の方で作業会社の方の御監督も十分お始めになるということでありますので、そういう点で、運輸省の方で作業会社の方を御調査、御監視になりまして、これが荷主たるインポーターの不当の要求であるというような点が、運輸省の方からはつきり指摘されますれば、私の方としましても、これをそのままほつておくわけには参りませんので、荷主の方の意見を聴取します。事実そういうことでありますならば、私の方としましても、荷主のインポーターに対して訓戒を与えるとか、それが極度にたび重なり、あるいは非常に悪質であるということでありますれば、当然そのインポーターに対して今後の入札の取消しというような行政上の措置も講じて参るつもりでおります。  先ほど代行手数料というお話がありましたが、現在、代行手数料ということでなしに、指定単価の中に織り込んでおりますのは、事務処理費というものを織り込んでおります。これはインポーターが、実際税関あるいは検疫所等に、いろいろ事務的な連絡をやらなければなりませんし、それから輸入計画を立てて、荷さばき計画を立てて、それを実施する義務がインポーターにありますので、そのための費用を一応事務処理費ということで認めておりますので、代行手数料ということではないわけです。

並木芳雄改進党

○並木委員 その率が〇・五%ですか。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 それではついでに申し上げます。CIF価格の〇・五%と申しますのは、輸入業者に手数料として見ております。

並木芳雄改進党

○並木委員 そのほかに事務処理費を……。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 そうです。

並木芳雄改進党

○並木委員 それは幾らくらいですか。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 それは四十円見当になつております。

並木芳雄改進党

○並木委員 何についてですか。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 本船船側から倉まで持つて帰るのに……。

並木芳雄改進党

○並木委員 トン当りですか。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 トン当りです。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 実態はよくわからないのですけれども、一応お話を聞いて判断しますと、最初は本船船側で買付をやつておつた。そうすると船から倉庫まで持つて行くのは附帯契約でやつておる。今度は一本で産地買付から倉庫まで、そして倉庫渡しで下請に出す。請負契約でやる、こういうことですが、その際に、今度は手続の問題として、インポーターに渡す金の中からその指定単価分だけを、インポーターの港湾運送に要する費用を引いて、そしてそれを共栄商会にやらす、こういうことを承つたのですが、私は附帯契約でやれば、その分だけははつきりしておるのに、今度全部含めておやりになると、なおはつきりしなくなるのではないか。指定単価といいましても、これは、法律的に運送料以外の方にかかるかどうか、私はよくわかりませんけれども、普通予算単価といいましても、実施しなくても対政府関係については、従来ともあまり問題はなく、その範囲内でやつておつた、こういうことであります。もし港湾運送事業の方のみにかかるとすると、荷主というのは、別にそれを実施しなくても問題ないのじやないか。結局港湾運送業者だけが罰則の対象になる、こういうことには依然としてかわらないし、今度の方がより不明確になつておるように感ぜられるのですが、その点どういうのでしようか。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 今度の方が不明確になつておるということですが、従来の本船船側で一応区切りますことは、本船船側では実は数量なり品質の確認はできないわけです。やはり沖から持つて参りましても、倉庫へつけませんと、数量の確認とか品質の確認ができないわけです。それを従来は一応本船船側ということで買う契約をしまして、実際の数量確認はここでやつておつたわけです。それは実際に沿わないわけです。それで今度は、実際に沿うようにここでやろうというのです。そうすると、従来附帯契約でやつておつたことが全部契約の中に入る。そうしますと、御指摘のようにその点は従来ははつきり指定単価のものが全部あつたのですが、今度はテンダーの契約の中に入つてしまう。それではいかぬから、やはり従来の指定単価に相当するものは、はつきり入札のときにこれだけだと額をきめる、これはこれだけだからその中では競争は相ならぬ、これは必ず下請の方へ行く費用だ、ここの間では競争してはいかぬというので、指定単価を残すわけです。残しますと荷主の方は——今おつしやるように荷主は罰せられぬようになつておるわけですから、これを下に渡さなくてもどうこうということは荷主にはないわけですけれども、われわれとしても、残した以上は、残したのは必ず下請に行くために残した費用なんですから、それは個々のインポーター、個々の港運業者とやられるといろいろ問題もあるだろうし、中央で右から左に渡した方がいいじやないか、それでその金についていろいろと——運輸省の方でも厳重に今度は御監督になるそうですし、処罰もされるという今のお話でありますから、そういう点がはつきりしましたら、私の方としても、そういう非常に悪徳な荷主がありますれば、今後われわれが対象とするインポーターとしては非常に穏やかでないと思いますれば、今後の入札もとりやめるだけの決意を持つております。もちろん、その認定をいたします前に、運輸省の方で十分御監督なり御指導がありまして、その事情がわれわれの方にはつきりして参つてからのことになります。そういうように考えます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 今食糧庁から説明がありましたが、これで運輸省の方は大丈夫遵守できる、こうお考えでありますか。また直接にはタッチされませんでしようけれども、今ストライキまで経てこの遵守に圧力をかけるといいますか、遵守を迫らんとしておる労働組合があるわけですから、そういう関係についても、労働省ではどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 ただいま農林省からお話のありましたような一括支払いによりまして受ける方は、東京におきます。る港運業会になるのですが、この港運業会を強化するように目下指導いたしておりますので、定められました料金が農林省から共栄商会を通じて港運業会に来ましたならば、その定まつた料金だけは確実にそれぞれの地方の業者にまわつて行くと信じております。

山崎五郎労働事務官(労政局労働組合課長)

○山崎説明員 労働省といたしましては、運輸省、農林省の協力を得て、この問題を解決しなければならないという建前から、実は本日も両省の代表の方と労働組合を入れ、そうして当面の問題になつておる輸入業者及び港湾運送業者、これをも含めまして、この中から解決点を出したいというふうに考えております。特に現行の港湾運送事業法において、荷主側の方に罰則がないというように先ほど大橋委員が指摘されておりました点、今長尾課長も説明されておつたような点を考えまして、特に農林、運輸両省において、この問題が再びこういうふうな紛糾の種にならないように、厳重に監督をしてもらい、かつ適宜の措置をも講じてもらつて、今長尾課長が説明されたものを含んで、そうしてやつて行くならば、組合側の方において憂えておるところのピンはねの問題、こういう点は解決されるのではなかろうかと思います。しかし、まだ具体的に労働組合側の方でも十分納得されておらない面もあると思います。しさいなことにつきましては、また打合せの上改善さるべき点もあると思いますので、これを今後進めまして、この面からまず労使紛糾をなくしたい、当面の輸入食糧に関するストライキをこれによつて避けて行きたいというふうな考え方を持つております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 食糧庁に再度お尋ねをし、希望を申し上げておきたいと思いますが、こういうように従来とも遵守できず、また今後もやはり組合の方でもかなり不安を持つておられるこの問題は、努力によりまして、あるいはうまく行くのかもしれない、こういうようには考えられますけれども、この際やはり運送の指定単価というものだけを別個に考えて、そしてそれはあとから清算すれば——そのときはわからないかもしれませんが、十分清算のつく問題ですし、単価もはつきりしておる。ですから、何もインポ一夕の代理でありますところの共栄商会というのを通じてやらたくても、政府で直接お渡しになるというようにされたらどうですか。これは特別会計か何かで政府で直接お渡しになれば、労働組合の方も安心し、また運輸省も、輸入食糧に関しては何もタッチをしなくても、十分遵守される、かように思うわけです。それをわざわざ業者——業者といいましても、インポーターの代理会社でありますところの共栄商会というものを通じてやらなくてもいい、私はかように考えますが、その点どうでしよう。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 ただいま御指摘の点でありますが、実は先ほども申しましたように、食糧庁といたしましては、今度ははつきり数量、品質を確認するために倉で買う、そこまでの所有権は実はインポーターにあるわけであります。だからやはり金は一応インポーターに払いますが、しかし、それを今御指摘になりましたような指定単価として残し、すぐ下請会社の方に、いわゆる作業会社の方に渡るような仕組みを考えて行きたいと、かように考えます。

兼田富太郎全日本港湾労働組合委員長

○兼田参考人 私どもは、本船の船側で政府が米を買い上げるという方式であつたところの今までのやり方でも、かなり不満がありますし、いろいろなことをされて来ておりますが、今度食糧庁の方の御意向は、この方がよいということで、倉庫の中で買うということにせられるそうですけれども、私どもは次のような不安が伴うのではないかと考えるのであります。それは、倉庫の中で買うと申しましても、本船が入つて来てハッチのふたをあけるとか、税関とか、検疫とか、いろいろな事務関係の仕事があるわけです。そもそも輸入商がやるべき仕事を、事務手数料をもらつてやつておるそうですが、そういう仕事も港運業者の従業員はみなやつて来ておるのです。そういう点から、輸入商が自分のしなければならないことをやりもせず、ほつたらかしておいて、手をこまねいておつて金がもうかつておつたという状態であり、なお私どもの料率をはねて来ておつた。そういう実情の中から、現在でもまた港運業者に、お前たちは今度労働組合のけつをかいてやらせておるのじやないか、そういうことをする港運業者はこんりんざい仕事などやらせないのだと言うておどしをかけておることも聞いておりますが、単に農林省や運輸者が、今後用心をしてください、今後は気をつけてくださいというようなことで、へつこむようななまやさしい商社ではないと私どもは見ておるのです。  もう一つは、もしも倉庫の中で買うということになりますと、指定単価というものを、港湾作業組合については置くと言われるけれども、商社は必ずや先になつて、おれが元請をしておるのに、おれが港運業者といろいろ約束をしておるのに、妙な口出しをするな、妙なおせつかいはやめてくれということをきつと言い出すだろう。つまり、私どもは倉庫まで政府がバツクしたということは、輸入商がする仕事の幅が広がつたということであり、それだけ輸入商を政府が拘束する権限が縮まつたということであつて、今まででさえ政府の言うことを聞かずにあばれた輸入商に、政府が倉庫買いまでバツクして、一体港運業者にまともに払いなさいというようなことが実施されるのかどうかという点に不安がある。今までBLで払われておると言われますが、確かにバンコツクならバンコツクの沖のあたりからこつちに向いて帰つて来ておるときに、すでに飛行機でBLが来て金を払つておつたのが今までの状態だつたそうですが、今度の倉庫までバツクして買うにしても、あるいは品物を見ない先から金を払うということが行われるのではないかと私どもは思います。そういうことだとすると、商社は、今まででありますれば、港運業者のチャージも含めて、長い間自分のふところへ入れておいて、たまにくれたと思えば二割引いてくれておつたというような実情なんですが、こういう品物を見てかつちり量なり、品質なりを検査して買うということであれば、それでは商社に対して品物を見ない先から金を渡すということは絶対にないのかあるのか、この点は私どももよくわからない。  そういうことでございますので、私どもはなるたけ争議というものを円満に解決づけるという基本的な考え方は微動だもいたしておりませんけれども、きよう行われようとする六者会談の結果、私どもが安心するような材料がございますればいいけれども、そうでない場合には非常に私どもも困つたことになりますので、当委員会といたされましても、私どもが尋ねても尋ねても、なお疑問の箇所がたくさんあるほど、深い仕組みになつておるもののように思いますので、きようの会談の後、実際にそういうことが言葉通りに実行されて行くという確認と、それからそうでない場合には、違つたじやないかということを、どこか私どもが言うて行ける場所、ああ言うてくれて妥協はいたしてみましたものの、ちつとも直らないと、そのときに私ども持つて行く場所がないのです。私どもの訴えて出る場所をつくつてもらいたい。私どもがやつぱりこれはおかしいぞと思つたときに、見せてもらう権限を与えてもらいたい。そういうことでなければ、私どもは今までの仕組みから申しまして、なかなかにうまいこといかぬと思うのです。運輸省におかれましても、いろいろ努力をしていただいておるでございましようけれども、今までの経過から言いますならば、去年の国会のときにも、運輸委員会で事業法のことが問題になつたことがございました。そのときに、こうもいたしましようということもございましたけれども、やはり行われていない。これらの実績を私どもは顧みますると、よほどの安心できるという状態を何かの形で保障していただくということでないと、私どもが納まつても、港の現地の方のいろいろなどさくさというものは納まらないという実情にある。  しかも、私は最後に申し上げたいと思いますのは、私どもは港湾の問題がILOで相当問題になつておるということもかねがね知つておりますし、外国の港湾労働組合とも連絡をとつております。これは日本の港湾ではILO決議が一切実施されていないということも、ILOの事務局は知つております。従いまして、国際的に日本の港湾労働者は、とにかくおしりが見えるようなズボンをはいて仕事をしておるのだという事柄をみんなが知つておつて、訴えてよこせということを言つております。そういうことを訴えた場合に、ガツト加入の問題とかなんとかいうことも言われておりますけれども、私どもは訴えるべきは訴えるのでありまして、そういう意味からするならば、これは国として八十二指定港の日本の表玄関がこういう状態でいいはずはないという気持に、みんながなつていただきますならば、もうちよつと抜本的な法律なり行政なりがあつてしかるべきだと私は思うのです。従いまして、きようお役所の方から申されたいろいろな発言につきましても、私は今の、当面を糊塗すると言つては言葉が悪いですが、当面をしのいで行くということでは——なるほどその程度のことしかできないかもしれませんけれども、港湾に横たわつている困難な問題は、今のような状態のやり方ではこうやくばりであつて、実際には日本が貿易立国で将来外国と太刀打ちしようなんということを考えるのであれば、もうちよつと港湾に対する抜本的な方針というものが打立てられなければ、とうていいいぐあいになるものではない、今までの経験からそういうふうに私は思つておりますので、でき得ますならば、先ほど申し上げました、私どもがだめだつた場合に訴えて出る場所をつくつてもらいたい。つまり、とりきめの中でもけつこうでございますから、そういうものもつくつてもらいたい、私どもが安心ができるようにときどき見せてもらうこができるようにしてもらいたい、この二点と、それから抜本的には、やはり港湾に対して衆知を集めた港湾の立法行政ができ上らなければ、貿易立国云々というようなこともとうてはおぼつかないことだろうというふうに、私は今までの経験の中から思つております。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 今参考人の発言にあつたのですが、きようの六者会談がうまく妥結すればたいへんけつこうだ。それで妥結した後においても、協定違反の問題なんかが出た場合に、持つて行くところがないというわけですね。そういう場合に、労働省としましては、本来これはどこの行政官庁が責任を負い、またどこに持つて行くべきか、どう思いますか。

山崎五郎労働事務官(労政局労働組合課長)

○山崎説明員 今度の港湾のストライキに示されておる問題でありますが、労働者側と経営者側との紛争と申すよりも、経営者側とその商取引をやつておる業者との間の問題でありますので、労働省の管轄の問題にはほど遠いものがあるのであります。密接な労働組合の労働条件とつながつておることに、これに決して否定できない問題でありますが、今の問題は港湾運送事業法がありまして、港湾運送事業法が守られておるかおらないかということになると思いますので、これは当面やはり港湾運送事業法の所管の役所の行政管轄になると考えております。でありますので、運輸省においてこれを十分果していただきたいと考えております。なお、その中で、今の輸入食糧の問題については、農林省と密接な関係がある。今の経営者及びそのつながつておる輸入業者、その輸入業者と関係のある農林省におきまして、この両者がはつきり協力してこの問題の解決に当つていただくよりほかないと考えております。しかし、労働組合側の方の要望もあり、当面のストライキの回避、こういうような問題もありますので、労働省はその間の官庁間の意見の交換調節、あるいは労使間の調節、こういうふうなことについて当りたいというふうに考えております。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 港湾局長、今の参考人の御意見に対しまして、あなたの方の立場からひとつ……。

黒田靜夫運輸技官(港湾局長)

○黒田説明員 問題は港湾運送事業法の完全実施ということにもあろうかと存ずるのでございますが、今まで申し上げましたように、輸入食糧に対して、まず料金の完全実施をはかつて参り、それに続いて他の貨物についてもそのような完全実施を十分指導監督して、法が完全に守られるように努めて行きたい、かように存じておるのでございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは六者会談で幸い妥結しましたならば、その事後の責任につきましては運輸省の海湾局の方で持つてもらう。  なおいろいろな調査資料の案があります。これは兼田君どうなんですか。たとえば輸入食糧の問題等についての手数料その他のいろいろな資料がありますね。そういうものは、輸入業務課へ行つてどんどん資料等を要求したならば出しませんか。

長尾正農林技官(食糧庁業務第二部輸入業務課長)

○長尾説明員 私の方でやつておることでいろいろ御不審の点があつたら、直接来ていただきますれば、できるだけの御便宜ははかりたい、十分納得して仕事をやつていただくようにやりたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは本委員会といたしましては、きようの六名会談を監視しつつ、この問題の円満解決を熱望する。そこで、なお本委員会には港湾に関する小委員会が設けられておりますので、当然もつと根本的にこういう問題を検討する必要もあるかとも思われますので、問題を小委員会に移すと同時に、本委員会におきましても、なお継続して調査を進める、かようにいたしますので、御協力をお願いいたします。どうも御苦労さまでした。     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは専売の方来てください。  その前に午前中私から労働省に要求をいたしましたタイ国武官事務所に発生いたしました解雇問題につきまして、その調査を要求しておきました。ただいま監督課長の方からその報告をしたいという申出がございますのでこれを許します。監督課長。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 本日毎日新聞と読売新聞に報道されておりますタイ国武官事務所におきます解雇問題は、私どもの方で最初に承知をいたしましたのは、十一月十一日、同日岡田運転手が、きよう解雇された、しかしながら予告手当を支払つてくれないという申告が、所轄の監督署であります品川の労働基準監督署に申出がございました。申告の内容は、それが重点でございますが、その他労働時間あるいは休憩等について、どうも武官事務所のやり方が基準法に合つていないように思うということでございました。このときの岡田運転手の話では、タイ国大使館という話でございましたので、監督署の方としては、タイ国の武官連絡事務所の性格をよく承知しておりません関係上、大使館ならば手のつけようがないということで、一応岡田運転手に帰つてもらいました。その後十六日になりまして、私どもの方に参りましたので、この武官事務所の性格を研究しましたところ、これは連合軍司令部に属して派遣されておるタイ国軍のための連絡事務所であることがわかりました。そのタイ国が、例の行政協定に調印をしておりますので、これは労働基準法の適用があるということを品川の方に通告をいたしておきました。その結果、昨日品川の次長と、多賀と申します監督官と二人が、午後二時にタイ国の武官事務所に参りまして、実はあなたのところはこういう関係で労働基準法の適用がある。そうすると岡田運転手に関する件は、解雇予告手当を払つてもらわねば解雇ができないのだということを向うへ申入れに参りました。向うは、最初少佐の方が出て来まして、応接室で応対をしておりましたが、向うの方に法律解釈について疑義がございまして、やはり大使館の直接の幾関でもあるから、基準法の適用はないものと思うという意見の開陳がございました。品川監督署の方からは、私どもが指示をいたしましたように説明いたしましたが、その後所長である大佐の方が出て来られまして、やはり少佐と同じ意見を申しておられた。結局、それではもう一回帰つて労働省あるいは外務省の意見を聞いて来るということで昨日は監督署の者は帰つて参りました。  監督署の方からそういう報告がございましたので、本日東京基準局の監督課長と私どもの方の者とが外務省へ参りまして話をいたしておりましたとき、タイ国の武官事務所の方から、外務省の国際協力局の第三課長のところに面会を求めて、問題になりました岡田運転手の解雇問題について話に参りました。そのときには、国際協力局の方からの説明と、国連軍司令部からの連絡があつたのでございまして、基準法の適用については了承いたしまして、岡田運転手に対しては解雇予告手当一箇月分を支払う旨をば、向うから申出をいたしました。  名前は明確でございませんが、それ以外に五人の者がやめております。これはタイ国側に言わせますと、自分で進んでやめたのだ。だから、これは解雇したのではないということでございますが、その五人の者についても、十一月分の月給は支払いをするというようなことでございました。私どもといたしましては、この五人の人の名前がよくわかりませんので、至急調査をいたしまして、タイ国側の言つておりますことが任意退職であるということでございますが、それが事実であるかどうかについて、この五人の方の一々について調査をいたしたい。もし労働者側から見ればこれは解雇であるということになりますれば、さらにタイ国武官連絡事務所の方と交渉をいたしたい。そうして法の命ずるところに従つて向うが措置をするようにいたしたいというように感じております。  さらに基準法の点につきましては、向うがよく人がかわるようでございますので、そういう点については、明日武官事務所の方へ参りまして、基準法の問題になりました点について説明をいたしまして、法の遵守方をば勧告をいたしたいと考えております。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 新聞によりますと「国連軍と日本政府との協定で、国連軍に使用される日本人には日本の労働法が適用され、タイ国は本年六月この協定に加盟し、八月二十二日に発効していることがわかつたので問題を品川労働基準局に持ちこんだ。」とありますが、その通りですか。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 それは私どもの方で品川監督署に指示をしたことでございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 「暴行について訴えを受けた目黒署は同夜岡田さん、西原さんから事情を聞いたが、外国施設内のできごとなので国連軍憲兵隊に引継ぐ方針でいる。クビになつて、荷物もろとも事務所の外に放り出された十一人は善後策を相談し、結局目黒区下目黒四の九七五佐藤正一郎さんを代表に選んでメード事件を国会に取上げた左派社会党に持込んでなんとかしてもらおうということになつた。」——これは外国施設内ということになりますか。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 詳しいことは私実は承知をいたしておりませんので、外務省の方にお尋ねを願いたいと思うのですが、その新聞記事の中で関連して申し上げたいのですが、この中で監督官と向うの大佐、少佐と話合いをするときに立会いをしておつて、そこで向うが暴行を働いたように出ておりますが、これは私どもが昨日参りました監督官に聞きますと、全然知らなかつたそうであります。ただ話をしておる途中に岡田運転手という人がドアから顔を出したときに、二人の武官が、入つて来てはいけないといつて外へ出して、しばらくしてから帰つて来た、こういうことでありまして、そういう暴行を加えたかどうかについては、監督官の二人は全然承知をしておらないようであります。なお十一名とございますが、今日の向うからの話によりますと、岡田運転手に対しては十一日に解雇いたし、他の五人の者は任意にやめておるというので、やめたのは六人であるというふうに言つております。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 亀井局長談「まだ報告をうけていないので何ともいえないが、たとえ外国人に雇われていても日本の労基法の適用をうける。だから同法で定められた解雇予告手当がはたして支払われているか、また労働協約そのほか就業規則などで退職金の支払規定があるかどうかよく調査して善処したい」——これは新聞にあります通りですね。

和田勝美労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○和田説明員 亀井局長には、実は私どもの方から昨晩まで報告をいたしておりませんので、そういうことになつたのだと思います。その点は、局長に会い、確認をいたしておりませんので、記事がどうかについては問題がございますが、そのうちの退職金の問題は、これは現在タイの方に帰国をしております者と口頭の話があつたというのが、岡田運転手の申告でございます。タイ国の方は、自分はそういう引継ぎを受けておらないから、本国に帰つておる者に問合せをしてみようということを岡田運転手に言つておるようでございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 わかりました。  本件につきまして引続き本委員会で調査することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 さよう決します。     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは次に専売調停に関する問題について、公共企業体等中央調停委員会委員上山顕君、全専売労働組合書記長佐藤新次郎君、全専売労働組合中央執行委員遠藤留蔵君の御三名が参考人として出席されておりますので、順次御意見を拝聴したいと存じますが、一番初めに上山さんから、調停案の内容につきまして御説明願いたいと思います。上山参考人。

上山顕公共企業体等中央調停委員会委員

○上山参考人 御紹介を受けました第三小委員長の上山でございます。  専売の調停案を過日提示いたしましたが、その経過と調停案の内容につきまして、ごく概略を御説明いたしたいと思います。  お手元に調停案の書類が配られて、ごらん願つているかと存じますが、専売から本年七月二十一日付をもちまして「昭和二十九年四月以降の賃金並びにその体系変更に関する件」としまして、調停の申請があつたのでありますが、これにつきまして、調停委員会といたしまして、二箇月余り慎重に検討、審議をいたしました結果、十月五日付をもちしまして十一日に提示いたしておるのであります。  それで、ただいまの専売公社の職員の現在賃金でございますが、これはさきに昭和二十八年七月に、調停委員会が調停案の中に示しました職員基本給の平均月額一万四千八百五十円という金額を、金額といたしましてはそのままの金額を、同年十月仲裁委員会の方におきましてもそのまま取上げまして裁定ができまして、それに基きまして今年一月から実施をいたしているものであります。  それで申請の内容といたしましては、ただいまの賃金体系を、この際根本的に変更いたしたいというのでありまして、その主張といたしましては、職員の受けておりますところの本俸を年令給と職務給との二本建とすべきであるということになつておりまして、なお、そのおのおのにつきまして俸給表を申請内容としてつけてありますので、結果といたしましては、賃金体系の大きな変更とともに、給与ベースの引上げを要求していることになるのであります。  ベースといたしましては、今申したように、昨年の調停に基いてきまりましたのは一万四千八百五十円でありまして、ざつと一万五千円というところでございますが、これをおよそ一万九千円、約四千円ばかりベース・アツプをいたす、比率で申しますと二五・六%になるのでありますが、そういう程度のベース・アツプの要求になつております。  それから中身の年齢給と職務給との関係でございますが、これは本俸一人の平均といたしまして、年齢給八千円余り、職務給を七千円余りというふうに、要求案を計算いたしますと出て参るのであります。そういうような内容が組合側の要求しておる線でございます。  それで、まず私たちといたしましては、賃金体系の変更につきまして、いろいろ検討いたしたわけでございます。職務給と年齢給との二本建とする考え方でございますが、これはいろいろ議論があるところと思うのでございまして、人によりましては、わが国の経済もだんだん再建が進みまして平常化しておるのであるから、終戦直後のような生活給が非常に重い要素を占めておりますものを、より職能給ふうに切りかえるのがいいというような意見もありますし、なお現段階におきましては、生活給的な要素を相当重く見る方がいいという意見もあると思うのでございます。いずれにいたしましても、こういう根本問題につきましては、非常に議論がわかれるところでございまして、なかなか簡単に結論に到達することは困難なのであります。いずれにしましても、この申請内容のような、年齢給が八千円、職務給が七千円という大よそ一人の平均になるのでありますが、そういうように、むしろ年齢給に非常に重きを置くというような賃金体系の変更ということは、相当程度のベース・アツプをいたすようなときでありますれば、検討はできるかと思うのでありますが、現在のような段階におきましては、その実施は非常に困難だと考えまして、この賃金体系の根本的な変更ということにつきましては、これを取上げることは適当でないという結論に達したわけでございます。  次に、給与ベースの引上げでございますが、これにつきましては、労働経済諸統計の最近の様子を見ますのに、給与に関係の深いいろいろな諸指標におきまして、長期傾向線の起点をいつにするか、あるいは比較基準時のとり方を新しいペース施行の一月一日にするか、あるいはそれ以前の裁定の時にするかというような、いろいろな問題があるのでございます。そういうことによりまして、統計の動きに多少の相違が認められましたが、現行給与ベースの切りかえ時期でありますところの本年一月以降におきましては、従来の上昇傾向も非常に鈍化いたしておりまして、むしろ横ばい状態といつていい状態でありますし、また専売の給与を検討いたします資料といたしまして、昨年八月に民間類似企業の賃金の実態調査をいたしたのであります。     〔委員長退席、三浦(寅)委員長代理着席〕 それらを見ましても、専売公社職員の賃金は、なお若干低いという数字もあるのでありますが、大体それに近い水準でありまして、今申したような経済諸統計等の示しておりますところの事情を総合勘案いたしますと、今ベース・アツプを行うことは適当でないと考えた次第でございます。但し、これは今申したような経済諸統計のただいままでの数字を基礎にしましての判断でありますので、これらの事情に、将来著しい変動が生じました場合には、これに対応する適宜の措置が当然講ぜらるべきものであると考えております。  なお、この給与ベースの問題に関連いたしまして、調停の経過におきまして薄給者、一般の人よりも非常に給与が少くて、生活上困難を来すというような人の問題で、いろいろ議論がございまして、これにつきましては、そういう薄給者を特別に考えないといかぬという点につきましては、組合側が主張するのみならず、公社としましても、原則論としては異論がなかつたのでありますが、その両当事者の主張しております理論が、若干食い違つているような点がありまして、こういう問題につきましては、なお団交を重ねまして、適当な解決に近づいてもらいたいというような希望を申し述べておるのであります。  それから、今申しましたように、調停の申請の表の文書といたしましては、賃金体系の変更及び賃金の改訂ということになつておりますが、調停の過程におきまして、表からそういう条項に当てはまりませんでも、給与の改善になることについては、あわせて検討することはけつこうだということが、申請者の話にもありましたので、今申した賃金体系の変更及び賃金のベース・アツプという問題以外につきましても、調停をいたしておるのであります。それが調停の第二段になる点でありまして、現在勤務地手当は、五段階になつておるのでありますが、これを四段階に改めることにいたしまして、その実施細目は両当事者の団体交渉によつて決定することということを勧告いたしております。それでこの点につきましては、この五段階を四段階に改めましたために、組合員の個々の給与の下らぬようにせられるならば、組合側としましても、この問題を取上げることはけつこうだということを言つておりますので、調停に当りました者としましても、組合員の給与が下ることがないようにという方向で、両当事者の団体交渉が進められることを要望いたしております。  それから最後に、給与ベースの引上げということは、ただいまの段階におきましては、諸情勢から考えまして適当でないという判断をいたしたのでありますが、生産意欲の向上をはかりまして、労働の成果に報いるにふさわしい特別の賞与制度を確立するということは、これは公社制度というものをこしらえました趣旨から考えましても、きわめて緊要と認められるのでありまして、従来の調停におきましても、この趣旨が実現するようにということを、調停委員会としては力説して参つたのでありますが、いまだなおはつきりした施策が講ぜられていないのであります。それでこの際、この労働の生産性を高めるという趣旨をもちましての特別な賞与制度をすみやかに確立せられたい、これは、ことに本年の専売公社の経理の事情といたしまして、一層の生産量の増大が要請せられている際でもありますので、特に必要だと考えまして、その点を第三点といたしまして勧告をいたしているような次第でございます。  これらの調停案をこしらえますにつきましては、両当事者の意見を十分にお聞きいたしまして、双方ともいろいろ不満な点もあるかもしれないが、何とかこういう線で調停に応じてもらいたいという趣旨で勧告をいたしたのでありますが、遺憾ながら組合側といたしましてはこの調停には応じられないということでございます。なお公社側といたしましては、調停の前の二つの事項については承知するが、特別の賞与制度については、若干の条件をもつて検討いたしたいというようなことになつておりまして、いずれにいたしましても、遺憾ながら調停といたしましては成立をしないことになつたのであります。なおこれにつきましては、組合側の方では仲裁委員会の方に仲裁の申請をされておるような経過がございます。     —————————————

三浦寅之助自由党法務政務次官

○三浦(寅)委員長代理 この際ちよつとお諮りいたします。ただいま本委員会で取上げております専売調停に関する問題について、全専売労働組合調査部職員永井澄雄君を参考人として追加選定することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三浦寅之助自由党法務政務次官

○三浦(寅)委員長代理 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。  次に、全専売労働組合書記長佐藤新次郎君。

佐藤新次郎全専売労働組合書記長

○佐藤参考人 私は全専売労働組合の書記長佐藤であります。当委員会が、今回全専売における賃金改訂の紛争につきましてお取上げいただきましたことを深く感謝申し上げます。現在賃金改訂に関する調停の結果は、組合側の調停案拒否によりまして、目下仲裁委員会に本問題の審理が移つております。私は本日、今回提示せられました調停案に対し、私どもの見解を明らかにいたしたいと思うのであります。  今回提示せられました調停案は、三つの項目から成つておりまして、第一の事項は、賃金体系の変更及び賃金の改訂は適当でないということ。第二の項目は、賃金計数の整理の事項であります。第三の項目は、特別の賞与制度を設定する事項についてでありまして、それらを中心として調停案が出されております。  まず、賃金体系の変更及び賃金の改訂は現段階においては適当でないという調停主文の第一項につきまして、われわれの見解を申し述べたいと思うのであります。  体系の変更に関し調停案の中にその理由づけが行われておりますが、その第一の理由としては、昭和二十七年の仲裁委員会の裁定の趣旨に基いて、現在職種別号俸制というものが設定せられております。この職種別号俸制の細部的事項が、労使間の交渉において完成をしていないからという理由づけが第一に掲げられておるのであります。この第一の理由づけにつきまして、われわれは昭和二十七年度の仲裁裁定第九号の趣旨に基き、労使間におきましてはすみやかに団体交渉を再開いたしまして、本問題は昭和二十九年三月二十七日付をもつて、労使はそれぞれ労働協約に調印の手続を終りまして、その職種別号俸制の設定に関する大綱は終了いたしておるのであります。従つて、調停委員会が第一の理由としてあげております細部的な事項の協議がととのつていないということは、たとえば昇給制度の問題、あるいはそれに伴う人事考課制度の設定の問題等の事項でありまして、これらは賃金の体系あるいは賃金の配分そのものの問題を離れまして、賃金制度全般に対する問題であるという見解をわれわれはとつておるのであります。従つて、調停委員会がその理由づけの第一としてあげておる裁定事項の処理の問題につきましては、まつたく論拠を失つておるものとわれわれは解釈いたしております。  第二の理由づけにあります職務給と年令給の二本建とする賃金体系の変更は、いろいろ議論の存するところである、従つてその結論は早期には得られないとして、第ニの理由づけをいたしております。さらに、組合の要求である体系変更は、相当程度のベース・アツプを前提とすること、ということを第三の理由づけにいたしております。  これらの理由づけにつきましては、われわれの見解によれば、調停機関なるものは、賃金理論としての理論を評論的に行う機関ではないと考えておりまして、労使間に具体的に存在する争点について明確な結論を出してほしいと思うのであります。たとえば、現在労使間におきましては、現実に現行の本俸制度上におきまして欠陥がありますために、組合側資料によりまして、組合員の一割強、約四千名の組合員が最低生活を割つている現状を、われわれは明確に指摘しております以上、組合要求の年令給設定の要素もここに存在するものでありまして、調停委員会として、現行本俸制度上の部分的な矛盾を認めながら、これらの争点につきまして何ら具体的な紛争妥結の調停を行わなかつたのを、われわれは遺憾といたしておるところであります。  さらに、賃金の改訂に関して、いわゆるゼロ調停をいたしました理由づけといたしまして、第一に調停委員会が掲げております事項は、官庁統計の経済指標は、本年の一月以降において上昇傾向が鈍下をしておる、あるいは横ばい状態にあるということを指摘いたしております。さらに昭和二十八年八月に実施をいたしました民間の類似産業の実態調査によると、民間労働者の賃金と専売公社職員の賃金では、僅少の差はあるけれども、ほぼそれに近い水準に達していることを指摘いたしているのであります。われわれ組合要求の賃金改訂に関する根基は、厚生省の委嘱による労働科学研究所作成の最低生活費より専売の消費実態に修正して、これを号俸別の個別賃金に引き当てまして設定したものであります。この組合主張に対し、調停委員会は、これらの事情を熟知しているにもかかわらず、この組合要求の全般的な根基についての調停委員会における分析の結果を、われわれには示されておりません。さらに具体的なこの問題に関する調停作業が行われなかつたということをわれわれは承知いたしておりまして、この具体的な組合の主張点について十分なる結論をつけていただかなかつたことは遺憾とするところであります。  調停委員会が賃金算定の資料といたしました官庁統計について、われわれの見解を指摘いたしますならば、本年一月以降における上昇傾向のみを見ておりますけれども、しかしこれは、少くとも昨年の一万四千八百五十円ベースの調停案提示月であつた昭和二十八年八月以降の物価指数を検討するのが、調停委員会における正常な作業の方式であるとわれわれは考えておるのみならず、この方法によりますと、物価指数が横ばい状態であるとは決して言えないのでありまして、相当程度の上昇傾向を示していることをわれわれは承知いたしておるのであります。  次に、民間の類似産業における労働者との対比でありますが、調停委員会においてその根基として用いました計算資料を検討いたしますれば、次のような若干の疑義をわれわれは持たざるを得ないのであります。すなわち、昭和二十七年における賃金調停に際しましては、労使並びに調停委員会三者の合意の上で行いました第一回の民間類似産業の調査作業がありますが、この調査結果を公社に換算いたしまして、たとえばわれわれの号俸の一号俸の金額は四千五百四十六円という数字を示していたのであります。これが当時の調停案における本俸の試算表の中において一号俸、最低生活を考慮いたしましてこの数字が五千三百五十円として調停委員会において賃金算定が行われて参りました。しかるに、今回の調停案によりますと、その後行われました第二回の実態調査によりまして一号俸を三千八百八十五円——これは昭和二十九年九月、十月の平均値であります。この数字をもちまして公社の賃金ベースを算定いたしておるのであります。これは約二年前の調停案における数字をそのまま引延ばして参りましても約千五百円切り下げられた金額でありまして、同一の調停委員会という機関が公表する賃金算定の資料につきまして、このように大幅な差異があるのでは、調停委員会の賃金算定に対する権威を疑わざるを得ないのであります。もし一号俸より三十五号俸までの本俸を、昭和二十七年度の調停案によつて、試算表にならいまして、その後今日までの物価変動等をまつたく勘案しなくても、少くとも今回の調停案の金額は、平均約千円内外のベース・アツプを必要とするという結論を生むことは明らかであります。  さらに、われわれ専売賃金の算定にあたりまして私どもが強調したいことは、公社職員の労働生産性の問題であります。最近政府の経済政策による不況の問題と、専売経営者のピースその他の高級タバコの値上げによる販売政策の影響から、高級タバコより下級タバコヘと、国民の嗜好が移つて参りました。従つて、現実には下級タバコの生産及び販売が急激に増加を来しております。その結果、公社職員の労働生産性は、昨年度に比較いたしまして、われわれの計算よりますますならば、少くとも五%以上の向上を数字的に示しておるのであります。これらの事情は申すまでもなく専売企業の特殊的な条件でありまして、公共企業体等仲裁委員会におきましても、すでに賃金算定の基礎に加えて検討が加えられておるところでありまして、具体的には昭和二十八年度の仲裁裁定第十三号の、いわゆる一万四千八百五十円ベースの算定の際におきましても、この生産性が十分考慮されて算定せられて参つたところであります。従つてわれわれは、今回の調停委員会におけるベース改訂の算定根基の検討の中におきましても、この労働生産性にからむ事情は当然加味されるべきであると考えまして、調停委員会が特別の賞与制度なる名目のもとにこの処理を回避されたことを、まことに遺憾なことであると考えておるのであります。  調停の主文第二項の勤務地手当の操作の問題につきましては、これは御承知のように、すでに各省各庁におきまして、あるいは他の公企体にあつては操作手続が終つておるのに、ひとり専売が来るべきベースアツプの際に一括して処理をしようということの段取りをつけていた事項であります。従つてわれわれは、今次の調停主文第二項の勤務地手当の操作の問題は、まつたく労使間の争点ではない事項でありまして、事あらためて調停第二項にして明らかにしていただくほどの問題ではありません。  さらに調停の第三項にあります労働の生産性を一層高めることを目途として特別の賞与制度を設定せよという御指示に対しましては、具体的に今次の調停第三項の御指示は、予算費目的な保障は与えられていないのであります。しかも、専売公社における賞与制度の問題は、現在業績の向上に見合うものといたしまして、業績賞与の制度がございます。これは一昨年、昨年と続けられております既存の制度でありますが、今年度は、先ほど申し上げました高級タバコの売上げ減によりまして、専売益金の面においてなかなか予定通りの実績をあげ得ないという理由から、業績賞与一箇月分の既存の制度は、今日の状態におきましては、まつたくゼロで、見通しがつかない状態にあります。しかもこの業績賞与制度のほかに、専売には生産報償金制度というものがございまして、それが各四半期ごとに一人当り千五百円、年間一人平均六千円の生産報償金支給の制度があります。しかしこの制度も、昨年より政府の緊縮財政の方針によりまして、生産報償金一人平均六千円の既存の制度も、予算的にはまつたくゼロにされておる状態であります。従つて、われわれの見解によりますれば、まず労働の生産性の問題から特別の賞与制度という御指示をいただきましたけれども、われわれは既存の制度であります業績賞与、それから生産報償金制度が、今年度においては二つともまつたくゼロであるという、こういう深刻な現実の問題こそ、解決を与える糸口をつけていただくべきであつて、その上にことさらに特別の賞与制度なるものの御指示をいただきましても、先ほど申し上げたように、これは何ら予算費目的な裏づけもないし、しかも調停委員会の見解によれば、必ずしも法律改正を伴わない事項であるということでありますけれども、法律的には確かに大蔵大臣の裁量によつて処置をせられる事項になつております。しかし、今日の吉田政府の政策によりまして、この特別の賞与制度なるものは、現実的には架空のものであるとわれわれは指摘せざるを得ないのであります。  以上申し述べました理由によつて明らかなように、われわれはとうてい今回の調停案について、これを支持することはできませんし、もちろん強い不満を感じているのであります。特に今回の調停案提示にあたりましては、添付せられでおります議事要旨に明らかな通り、労・使・公益の三者構成の機関といたしまして、労使当事者代表のいずれか一方が最後まで反対の主張を続けておりました以上、この調停案の取扱いは、あくまでも慎重でなければならないと考えておるのであります。しかもこの調停委員会の持つ性格は、われわれの見解によりますれば、少くとも労使間に具体的に介在する現実の紛争点を具体的に取上げて、しかもこれを調整し、紛争の具体的な調整を行うための、事態解決の有効な手段行使の機関であるとわれわれは考えおるのでありまして、今回の場合、労働者側委員の最後までの反対があります以上は、この調停案は、具体的に何ら労使間の紛争妥結のための有効な調停案とはならないことは、すでに調停委員会当局においても、明らかに見通しをつけ得られたものであつたとわれわれは考えざるを得ないのであります。  その他具体的な数字的内容につきましては、遠藤参考人の公述といたしまして、私は全般的な問題について、全専売労働組合側の見解を申し述べた次第であります。

三浦寅之助自由党法務政務次官

○三浦(寅)委員長代理 次は全専売労働組合中央執行委員遠藤留蔵君。

遠藤留蔵全専売労働組合中央執行委員

○遠藤参考人 ただいま委員長より発言を許されました全専売労働組合の中央執行委員をやつております遠藤でございます。ただいま佐藤書記長の方より調停案に関します組合の態度につきまして、具体的に説明がありましたので、私の方から特に申し上げる点はないのでございますが、そのうち、先ほど第三小委員会の上山小委員長の方よりも発言のありました薄給者の件でございますが、この件に関しまして、若干申し述べてみたいと考えております。  調停案の理由の第一項のところでございますが、体系の変更については種種論議があつて、すみやかな結論に到達することはすこぶる困難である、こういうふうな内容で、またこの体系変更を行うことは相当のベース・アツプを前提とするために、そういうものを現段階において行うことは妥当でないと調停案の中に述べられております。私たちがなぜ体系変更というものを行わなければならなかつたかという理由でございますが、私たちの専売公社は、二十四年の六月に専売公社になりましたが、専売局当時におきましても、他の一般官庁と異なりまして、専売公社の場合におきましては現業員、その現業員の中におきましても販売を行う者、あるいはそのタバコ、塩、樟脳を製造する者、こういうような形にわかれておりまして、公社になる以前は大蔵省所属の職員と、それから専売局自体で雇用いたします、雇という名称をつけておりますが、そのような職員、それから各現地の工場長なりあるいは責任者が雇用いたします作業員という形の、身分的なあるいは勤務時間的な相違の者があつたわけでございます。こういうふうないろいろなものを、全部賃金を一本にいたしました。昭和二十四年六月でございますが、公社になりますと同時に、こういうふうな調整を若干行つたのでございますが、現実の問題といたしまして、私たちが今日その内容を考えてみますと、年齢的に三十五歳から四十歳程度の職員で、本俸わずか一万円程度の金額しかもらつておらない、こういう非常に低い職員がおるということでございます。     〔三浦(寅)委員長代理退席、委員長着席〕 こういうふうな非常に低い職員のおることにつきまして、先ほども調停委員長の説明のありましたように、労使双方とも、何とか処理しなければならない、こういうふうに認めておるということの説明があつたのでありますが、このような人々を私たちは薄給者という形で呼んでおりますが、こういうふうな人々の給与を直すためには、ただ単に現行の規定を改正するだけでは直らないわけでございます。それで、先ほど申し上げましたように、昭和二十三年の専売局当時の給与の切りかえ及び公社になりました当時のその勤務時間なり、あるいは給与の異なつておつた当時のことまでさかのぼつて是正をいたしませんと、そういう人々は直らないような規定になつておるわけでございます。でありますから、この薄給者の人々の給与を直すために、昭和二十三年の一月あるいは二十四年の六月、こういうところまで全職員、約四万の職員の給与につきまして、さかのぼつて是正するということは、相当大きな仕事だと私たちは考えております。それよりもそういうふうなものを一応御破、算にするには、どうしても年齢給と職務給、こういう二つの形に区分をいたしまして、私たちはこのいわゆる薄給者という方々の給与を是正したい、こういうふうに考えた次第でございます。  一般公務員なりあるいは他の公共企業体関係にも、同様にこのような人々がおるかどうかということにつきましては、私たちは私たちの立場からこの点を考えてみますと、そう多くおらないということでございます。先ほど申し上げましたように、国鉄なりあるいは電電の場合におきましては、現業職員関係におきましても、随時その職務の変更というものが行われて参つて来ておりますが、私たちの方は、作業員という形で採用になりますと、大体が一生作業員である、あるいは雇という形で採用されましたとしても、相当長期間雇でおらなければ、大蔵省の元の事務官というものになれない、こういうふうな非常に不合理な形にあつたために、この薄給者が出ておつたのでありまして、どうしても体系の変更をしなければ解決しない、こういうふうに考えて、体系の変更をしたわけであります。  ところが、この体系の変更につきまして、調停委員会の方より、体系の変更を現段階において行うことは時期尚早であるということになつておりますが、なおこういうふうな低い人々については、両当事者間で意見が一致をしておる、だからなるべく早く団体交渉においてこれを解決すべきである。なお、昭和二十七年の仲裁裁定の趣旨に基く職種別初任給制度の制定とその実施の問題との関連において、多くの問題を含んでいることが認められるため、こういうふうなものとあわせて団体交渉で解決を行いなさい、このように言われております。先ほど申し述べましたように、仲裁裁定の問題につきましては、私たちも現在協約において職種別の給与を結んでおりまして、本年の四月以降からの職員につきましては、前歴なりあるいはその他のものを新しくつくりまして是正する約束はしておりますが、この問題について、先ほど申し上げました二十三年、あるいは二十四年までさかのぼつて是正するというふうなことは、公社側としても絶対に考えておらないような状態でありますので、この辺のところの紛争の解決というものを、もつと明確に調停委員会で行つてもらえば、非常に幸いだと考えておつたのでありますが、こういうふうな点につきまして、非常に不明確といいますか、私たちが団体交渉を行いましても、再びこの薄給者の是正のために調停あるいは仲裁等、第三者の世話にならなければならないような状態になつていることを十分承知の上に、明確な調停案が提示されなかつたということについて、非常に私たちは不満と感じておる次第でございます。  なお、この問題に関連して、今回の調停案につきまして、私たちがもう一点批判といいますか、私たちの立場から考えてみますと、こういうふうな職員を是正するためには、どの程度の財源が必要であるか、あるいは現在の公社職員の国会においてきまりました給与予算の中において可能であるかどうかという、こういう点につきましても、明確に私たちの方に示唆をしていただければ非常に幸いだと考えておつたのでございますが、この予算的な措置につきましても、全然今回の調停案においては触れておられませんので、私たちといたしましても、非常にこの問題の処理が困難な状態になつている、こういう点を申し上げまして、あと具体的な点につきましては、御質問にお答えいたしたいと考えておるわけでございます。  以上をもちまして終りたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 質疑があれば質疑を許します。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 まず調停の小委員長に二点ほどお尋ねいたしたいと思います。今度いわゆるゼロ調停が出たものですから、われわれ非常に関心を持つて見たわけでございますが、その中で労働経済諸統計をとられておりますが、その起点はいつの時期をとられておるのか、また基準時はどういうようにおとりになつておるのか、この点をお尋ねしたい。  さらに民間類似企業実態調査ということが言われておりますが、先ほども組合の方から指摘がありましたように、二十七年の調査と二十八年の調査が、われわれから見ましても、二十七年よりも二十八年が下つておる。われわれも、この調査はどうも理解に苦しむわけですが、そういう点をお開かせ願いたいと思います。

上山顕公共企業体等中央調停委員会委員

○上山参考人 起点なり基準時の点につきましてお尋ねがございましたが、私たちとしては、実はこの一つの表の数字だけで、こういう指数だからこの一本を基礎にして掲げるべきであるというふうには使つておりませんで、いろいろの数字をこしらえまして、総合的な判断をいたしておるのでございます。これは調停案を提示いたしましたとき、双方の当事者にも参考資料としてお配りをいたしておりますが、その数字としては、毎勤、全産業のきまつて支給する給料、消費者物価指数総合全都市、卸売物価指数総合東京、それからあと生計費の推移、消費水準というようなものを使つております。それでこのうち、卸売物価指数については、卸売物価指数そのものをただちに利用するというよりも、消費者物価指数の将来の動向を判断する一つの資料というような意味で使つたわけでございます。  それから、そういうものの基準時、起点でございますが、基準時としては二十八年十月と二十九年一月を使つておりますが、二十九年一月は現行のベースの実施期日でございます。それから二十八年十月につきましては、先刻申し上げました表現が少し不正確でございまして、あるいは誤解があつてはいけないと思いますので、はつきり申し上げておきますが、十月というのは、たまたま仲裁委員会での裁定の月でもありますので、ここで私たちがこれを使いましたのは、去年の調停委員会でやりました調停が、年間の平均という意味で九、十月の中間をとつておりますので、そういう関係で十月を基準にいたしたわけであります。それから指数を使います場合には、指数をつくつたものにつきまして、十月基準時のものはそれを起点にし、一月基準のものはそれを起点にいたしまして——これは私も専門家でないのでございますが、事務局の方のこういう統計を扱います専門の者が統計数理的な補正をいたしましたもので使つております。但し、生計費の推移なり消費水準につきましては、これは月によりましての動きが相当ありますので、これを簡単に一月基準あるいは十月基準というふうに使います場合に、その月の偶然の誤差が相当ひどく出ると思いましたので、それらにつきましては、基準峠を一〇〇%としました指数を使いませんで、統計の資料を生のままで使つて、総合的判断の一つの材料にしてもらうというようにいたしております。  それから、今の数字に関連して申し上げますが、先刻組合側からの御発言の中に、一月基準ならばその後の上昇度は非常に低いが、十月基準ならば相当上昇しているはずだというような、これはあるいは私の聞き違いかもしれませんが、そういうような趣旨の御発言があつたように聞き取つたのでありますが、十月基準にいたします場合には、その後専売の場合にはベース・アツプができておりますので、そのベースアツプしましたあとの専売の給与と比較いたしますると、その数字だけの単純な比較では、むしろ十月基準でやりました方がベース引上げの必要が少いというような議論の立て方もできますことだけを——これはそれを基礎にしてどうこうと申したことでないことは、先刻来申しておる通りでございますが、そういうこともできますことだけを申し上げたいと存じます。  それから民間類似産業調査の二十七年度、二十八年度のことにつきましては、実は専売の組合側からも御質問がありまして、文書でもお答えいたしておるのでございますが、これは二十七年に実施しましたのと、二十八年に実施いたしましたのとでは、調査対象なり調査事項に若干違いがございまして、私たちとしましては、むしろ前の調査を不適当と認められるものが相当あると考えておるような次第でございまして、なお、ついででございまするが、その二十七年の数字を基礎としましての私たちの方の数字につきましては、仲裁委員会に参りましたときにも、いろいろその数字が妥当な数字かどうかというような点で議論があつたということも承知をいたしておるのであります。そういう経過もございまして、二十八年度に実施しました民間類似企業実態調査につきましては、これは全専の労働組合も専売公社も一緒に相談を願いまして、調停委員会と三者協議の上で二十七年の調査の不適当な点を是正して実施されたものであります。従いまして、両年の数字に若干の食い違いがありますことは、私たちも認めるのでありますが、私たちとしましては、新しい資料の方がより的確なものだと考えておりますので、その資料の方を引用はいたしておりまするが、先刻来申し上げておりますように、この資料一つを基礎にして判断をいたしたものではないということは、繰返して申し上げたいと存じます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 今小委員長から説明がありましたけれども、われわれも一つの資料だけで、こういう重大な調停案がつくられるとは考えておりません。私がいろいろ御質問をいたします前に、一応事実だけをはつきりしておきたいと思いますが、それは二十八年の民間類似企業の調査には、組合の方も公社の方も立ち会つて行つたのだ、こういうお話ですが、組合の方はその通りでしようか。

遠藤留蔵全専売労働組合中央執行委員

○遠藤参考人 類似産業の調査につきまして、私たちに第一回の相談がありましたのは、昭和二十六年の秋ごろと記憶しております。この当時におきまして、私たちはこの類似産業の調査を行うことにつきましては、そう否定はしておらなかつたのでございますが、公社の方がきわめて積極的に出て来ましたので、何か考え方があるのかどうかということについて十分調査をしたのでございます。その結果、公社側といたしましては、民間の賃金の配分の資料を具体的にまとめてそれを専売に適用したい、こういうふうな考え方を持つておつたようでございますので、その調査資料というものが、はたしてどのような目的で使用されるかについて多大の疑義を持ちましたので、私たちはこれについて積極的な参加を行わず、行う場合につきましては、公社と調停委員会が自主的に行つてもらいたい、こういう形で、二十六年の第一回の調査の際は、私の方では、現地におきましても、あるいは中央におきましても、協議には一応応じたのでございますが、具体的な内容の最終的な決定については、一応の説明を受けただけで、私たちは態度保留をしております。それに引続きまして、問題になつております二十八年度の場合でございますが、その二十六年、二十七年とやつて参りました民間の類似産業の調査をどのように変更したか、あるいはどのよ、)に変更するかにつきましては、私たちの方では具体的な協議を行つておりませんので、どういうふうな形でどのように変更されたかにつきまして、私たちの方ではいまだ不明な状態になつております。でありますから、二十八年の調査につきましては、明確な調査を協議して変更したということには、私たちは同意をしておらない形になつております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 今の件につきまして、調停委員会の方からお答え願いたいと思います。

上山顕公共企業体等中央調停委員会委員

○上山参考人 私も本年七月に調停委員会の委員に任ぜられたのでありまして、その前のことは、自分でじかに当つたわけではございませんで、話を聞きましたり、書類等によりまして、そういうことだと承知をいたしておるのであります。それで、当時私たちの聞いておりましたところでは、事務局の方が公社なり労働組合の協力を得て実施するというようなことで御相談をいたしてやつて参つた、さように聞いておるのでございますが、具体整いついつどういうところにお集まり願つてということまでの詳しいことは存じておりませんので、私たちとしては、さように聞いておるということを申し上げるより、しかたがないかと存じます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 文書の上では協議したことになつておりますね。

上山顕公共企業体等中央調停委員会委員

○上山参考人 そういうことでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 公開質問に対する回答でしよう。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 だから、文書の上では協議してきめたということになつておる。

上山顕公共企業体等中央調停委員会委員

○上山参考人 私たちとしましては、事務局の職員の諸君なりから話を聞きましたり、また調査要綱というものがございまして、そういうものに協力の上実施するというようなことになつておりまして、これはどの程度ということにつきましては、当然程度問題であろうかと思いますが、調査そのものにつきましては、協力を得てやつたものたと、さように考えております。

佐藤新次郎全専売労働組合書記長

○佐藤参考人 昭和二十六年度から民間の類似産業の調査という問題が出まして、確かにこの問題を調査しようというスタートにあたつては、調停委員会の当時の委員長から労使に御相談がありまして、われわれは三者合同で調査をするか、あるいは職場において協力をするかということで、昭和二十六年度、つまりスタートにあたりましては、その年度は職場において妨害をするとか、そういう積極的な非協力の態度には出ませんでした。従つて、実際的には協力をしたということになります。その数字は、先ほど申し上げた通りの数字であります。問題は、昭和二十八年に実施した民間類似産業実体調査、労働組合の協議の上というような表現が回答書の中に出ておりますが、この場合には協議の手続をわれわれは経ていない。これは調停委員会の小委員長の方から、もう少し明らかにしていただけるものだと思いますが、二十八年の実施に際しては、労働組合は協議にあずかつていない、こういう実情にあります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 従つて調査の対象も、調査の事項も、組合の方としてはわからないわけですね。

佐藤新次郎全専売労働組合書記長

○佐藤参考人 はい、承知いたしておりません。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 上山参考人、どうですか、そういう点について。非常に重要ですし、こういうところから紛争が起きるのですから。

上山顕公共企業体等中央調停委員会委員

○上山参考人 私は今申したように、当時直接にはやつておりませんから、そういう意味の証言はできないのでありますが、事務局の者といたしましては、協力を得てやつたということを申しておりますので、それを信頼いたしまして、さように今まで考えて来ております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 実はこの調停案が出されるについては、一つの要素だけではもちろんおきめになつておりません。しかし、ここに大きな一つの要素として、やはり民間類似企業の実態調査に徴しても若干の差はあるけれども、大体水準に近いような状態になつておる、こういうことが書かれておる。これは、しかしながらきわめて大きな要素の一つになつておるわけです。それだけではございませんが、しかし二、三あげられております一つの大きな要素になつておる。でありますから、われわれとしてはこれに大きなウエートを置いて見なければならないのでございますが、その実態調査が二十七年と八年とでは非常に違つておる。調査の要領がおそらくかわつたのであろうと思うのですが、そういう点はやはり明確にしていただいて——これは最初二十六年から発足したそうですが、私たちは労使あるいは調停委員会においてこういう調査がされることは、非常にけつこうなことであり、望ましいことであると思うわけです。しかし、その調査が一方的になされて、その調査が十分組合の方に了解されていない、こういうものに基いて一応の調停案が出されるということは、きわめて遺憾に考えるわけであります。それでこの調査要領がどのようにかわつたものか、また、できればわれわれも一般の労働行政に携わる者といたしましては、どういうような調査が類似企業としてなされておるのか、これはやはり知る必要があると思いますので、この点についてひとつ詳細な説明を願いたいと考える次第であります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 並木君ちよつと聞いておつてくれ。問題点はあなだの手元に行つておると思うのだが「調停案第十四号の内容に対する質問書」というのがあるでしよう。この公共企業体等労働組合協議会から出されておる中で民間類似企業の労働者の賃金を専売公社職員の賃金と比較して僅少の差はあるが、略それに近い水準に達して居るとして如何にも専売公社職員の賃金が民間と同一であるが如く明記してあります。  然し乍らその計算資料を検討すれば別表に示す通り若干疑似を持たざるを得ないのであります。即ち昭和二十七年における賃金調停に際しては第一回民間類似産業の実態調査に基き別表の如き金額を示していたにも拘わらず今回の調停に際してはこれより一、〇〇〇円内外も低い算定金額となつております。これは二年も経た今日に於ては二十七年度より当然上廻る数字になるのが今日の常識であろうと考えるのであります。  まして昭和二十七年度の調停案に於ては第一回実態調査の実数を最低生計費より勘案して別表のような試算表を調停案に添付して提示したものでありまして、これによれば下級号俸は一、五〇〇円程度の金額減となつて表れるのであります。  仮に実態調査の方法、対象が若干異なるとしましても同一の調停委員会が公表する算出資料についてかくも大幅な差異があるという事は、調停委員会の賃金算定に対する権威を疑わざるを得ないのであります。  若し一号俸より三十五号俸までの本給を昭和二十七年度の調停案による試算表にならつて公社、職員の賃金を算定すると致しますと、少くとも平均千円内外の現在よりベースアツプする必要を生ずると考えるのであります。」こういう組合側の考え方なんです。それで昭和二十七年の賃金調停が行われた際の民間類似産業の実態調査が今度の賃金算定の場合には、あの当時のそれは何か間違いであつた、訂正されているのでしよう。二十七年当時のそれは訂正されまして、そうして新しい資料によつて今度の賃金調停がなされているわけです。ここに問題があるわけなんです。ですから、今夏の調停案に対しましては、非常な不満なんです。  私が本委員会で問題にしたい点は、調停委員会におけるところの考え方というものは、これは自主的な判断に基いて一個の機関としておやりになることだから、それに対する批判がありましても、私どもといたしましては、それに対しては何らかの影響を与えるということはできないことなんです。問題は、しかしこれは労働者の生活自体に関する賃金問題ですから、これをお出しになる場合は、われわれでも改進党でもそうなんですけれども、なるべくストライキや実力行使によらないで、それ以前の団交の段階において、それができなければ調停の段階において円満な妥結をしたいという念願なんです。これが近代的な労使関係なんです。そういうことを専売の労働組合も熱願されておるのであるけれども、今度出された調停案というものは、前に比較いたしまして著しく低い。低い理由として、前の賃金算出の基礎になつておるいろいろな資料が不正確なものであつたかのごとく訂正されておるというところに問題がある。ここに政府が賃金ストップを意図して、何か調停委員会に対して政治的圧力をかけておるのではないかという疑いも当委員会においては出ているわけです。この点は、一専売の問題でなくて、公共企業体等労働関係法の適用を受けている労働組合としましては、ストライキという手段を奪われておるのですから、そうだとすれば、調停委員会なり仲裁委員会なりにたよらざるを得ない。そこで保障してもらうよりしかたがないという意味で、非常に重要ですから、特にこの点につきまして、むろん自由党もそうですけれども、改進党の方でも考えていただきたい、こう思うのです。それで先ほどの多賀谷君の質問に対しましてはどうでございましようか、詳細に……。

上山顕公共企業体等中央調停委員会委員

○上山参考人 実は今日そこまで御説明する用意をいたしませず参つておりますが、調査実施の期間といたしましては、昨年の八月二十日から十月十日までの期間やつておるわけでございまして、当時の政府がどういう考えを持つたか、そんなことは私の知つたことではございません。いずれにいたしましても、ただいまのような経済政策がとられましてから、それに合うような資料をそろえろというような調査ではないと私は考えておるのであります。それで、調査の報告のまとまつたものは、私も一応検討いたしましたが、今ここで詳しい御説明をする用意をして参つておりません。いずれにいたしましても、前年度の調査対象、調査方法につきまして、一々どことどこが違つておつたと、今ここで申し上げるだけの準備をして参つておりませんが、いろいろの問題点がありまして、より実態をつかむのに適切なようにいたしたいという趣旨で、調査対象なり調査方法を考えたという説明をいろいろ聞いておるわけであります。従いまして、私たち調停に当りますに際しまして、とにかく民間類似産業との比較をやるにつきましては、今私たちとしてこれ以外に信頼する資料がないということでありましたので、私たち委員といたしましても、この資料によりまして民間類似産業との比較につきましての判断をいたしたわけであります。従いまして、私たち以外の方が、こういう資料に基けばこういう判断ができるという御批評をいただきますことは、これは御自由でございますが、私たちといたしましては、私たちの機関として前年来十分の検討をしてこういう数字をこしらえておるということでありますので、その数字によつたわけでございます。なおその調査いたしましたのは、本年になつてからこういう調査をあわててやつたというわけではございませず、昨年の八月から十月十日までということでやつたその資料によつたのであります。なお、二十七年度の資料のどういう点がどうこうということを、詳しく正確に申し上げる準備を本日はいたして参つていないのでありますが、前年のときは、二十八年度のときほど十分の準備期間を持つて検討せずに、やや忙しく調査をまとめたというようなことも聞いておるのであります。そういうようなことでございまして、私たちとしましては、ほかにこれ以上信頼するに足る資料が得られませんでしたので、自分たちの信頼すると考えました資料によつてやつたということであります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 上山参考人に、もし誤解があると失礼ですから、申し上げておきます。私がそう考えておるというのではなくて、そうお考えになつている委員の方々もございますから、そういう誤解を解くようにこうしてお願いしているのだ、こういう意味でございます。  それから、主文の第一項の、賃金改訂の理由として二つあげられているわけですけれども、これも組合と一緒に調査がなされなかつたというところにも、多少組合の方でも不満があるようですし、われわれとしましても、たとえば調停案を納得させる上におきましても、手続上少し欠くるところがあるのじやないかというようなことも考えられますので、一応問題点を今明らかにしたわけなんです。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 この問題は、大分大きい問題であつて、今の上山参考人の話を聞きましても、十分な用意がないようであり、影響するところは非常に大きい。これは参考の、簡単な決定でありますが、これを決定するまでにいろいろの資料等の問題があろうと思うので、十分用意をしたところで、継続してもう一度調査されてはどうか。きようはこの程度で打切られて、もう一度用意のあるところで慎重に審議をしていただきたい、こう思うのです。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 いかがでございますか。それにつきまして、何か参考人の方から御希望でもございましたら……。

永井澄雄全専売労働組合調査部職員

○永井参考人 ただいま昭和二十八年におきます実態調査の問題が、非常に論議されておりますが、私たちはここに調停案で示されました民間類似産業との比較を、別の角度からやる必要もあろうかと思うのであります。といいますのは、昭和二十七年度の調停案によりますと、第一回の民間の調査の実績金額を、いわゆる最低生計費という立場から修正しております。でありますから、実際に一号から三十五号、いわゆる下級職員の号俸は、最低生活より勘案いたしまして、実際の民間類似産業よりも相当程度上まわつた調停案の算定根拠となつて試算表が示されております。こういうような関係から、いわゆる実態調査を勘案する場合、昭和二十八年の金額を、昭和二十九年の今回の調停案におきましては、いわゆる生の数字で出されておるということは、第一回の実態調査を最低生活から見まして修正した過程を考えますと、民間の賃金は確かに専売公社より低いかもわかりませんけれども、昭和二十七年度の最低生活というものを勘案いたしまして、今回におきましてもこの点は当然大いに勘案してほしかつた、かように組合は思つておるのでございます。でありますから、民間の実態調査の金額がどうだこうだということも、確かに必要であろうかとも存じますが、調停委員会の今までの経過から、最低生活というものに対する理解を今回においても示してほしかつた、かように存ずる次第でございます。

上山顕公共企業体等中央調停委員会委員

○上山参考人 民間類似産業との比較調査の問題は、特に長い時間をかけて、もつとこまかく検討する必要がある、こういう御要望でありますれば、私らといたしましては、できるだけその御要望に沿わなければならぬわけでございまして、今日は十分な資料をそろえて参つておりませんが、個々の資料なり、また私たちがこういう民間類似産業との比較の資料が大体妥当だろうという判断をいたしました専売の給与が、ほかの民間給与との割合におきまして、過去数年間にどんなふうな動きを見せておるかというような数字とか、私たちがこの資料が妥当だろうと考えました根拠になりますような資料も、できるだけそろえて参りますことも、御要望ならばいたしたいと存じまするが、ただ、ただいま組合側からもおつしやつておりましたように、これも一つの問題点でございますが、ほかにもいろいろ問題点があるのだから、この問題はこの程度にして、ほかの問題を大いに聞きたいということでございますれば、そういうことで御説明いたしましても、どちらでもけつこうであります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 前の永井参考人の御発言に対しましては、どうでございましようか。

上山顕公共企業体等中央調停委員会委員

○上山参考人 ただいまの御質問の趣旨が、必ずしもはつきりはいたさなかつたのでございますが、実は専売の組合側からは、先刻も申しましたように、お尋ねが私たちの方に参つておりまして、その中には、今回の組合側の要求というものは、労研の資料の最低生活費算定についての研究というのがあるのでありますが、それを基礎にしてやつたのであるが、それをまつ正面から取上げていないのは不満であるというようなことも述べられておるのであります。それでそのことをきつかけにして申し上げますと、この労研の最低生活費算定につきましては、厚生省が労研に委嘱してやつたのでありまして、相当厚い報告書が出ております。それのはしがきがございまして、そのはしがきの中にも、厚生省のその調査を委嘱しました責任者から、この算定のことにつきましては、研究がその緒についたばかりであり、今後数箇年間の継続事業としてこれを完成したい所存である、従つてこの研究成果の現実への適用もそれを待つて論ぜられるべきであろう、こういうような趣旨のはしがきが書いてありまして、最低生活費のその労研の研究自体と正面から取組むようなことはしなかつたのでございます。そういうようなことと関連しまして、最低生活費をどう見るかというような問題は、先刻、今回の調停が小委員会の三者一致の意見できまらなかつたことについての御意見がございまして、私もその点は遺憾に思つておるのでございますが、こういう最低生活費をどの程度できめるかということにつきましては、なかなか意見の一致を見がたい点でございまして、今まで調停委員会といたしましても、そういう問題を、理論的に幾らが最低生活費だというふうなきめ方ではございませず、今の賃金の実勢から見まして、結局まあこの程度が適当だろうというようなきめ方をやつておりまするので、根本的に最低生活費を幾らにきめるかという、そういう理論的な検討よりも、一応今までいろいろきまつておりますそういうものを基礎にして、その後の動き、その後のいろいろな状況等を見まして、この際給与のベース引上げが適当であるかどうかというような考え方でやつておりますので、そういう点はさように御承知願いたと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。  私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、特にストライキ権のある組合の場合でもそうですけれども、できる限り団交あるいは調停の段階でもつて紛争を解決したい、いわんやストライキ権を奪われておる公労法の適用されている組合なんですから、調停委員会の御努力にまつところまことに大きいものがあるのです。従いまして、このたび出されました調停案なるものが、第一項かゼロとか——俗に世間でゼロ調停案と呼ばれておりますが、ゼロ調停案がどうか、内容は私どももまだまだいろいろ議論のあるところであろうと思いますけれども、少くとも一般的にゼロ調停案だというようなものが出たといたしまするならば、これは専売の組合員に与える影響も多うございます。それから、いわんや全専売と同じ立場にありまする他の公共企業体の職員に与える影響も大きゆうございますから、こういう点を重視いたしまして、調停委員会のお考え方につきまして、これを十分お聞きして、そうして今後本委員会におきましても、当然国家公務員のベース・アツプ問題、あるいは民間産業の賃金問題等も問題になりまするので、その資料の一端にしたい、こういうふうに実は考えまして御足労をお願いしたわけでございます。特にくどく申し上げる必要もないのでございまして、もし物価の上昇にもかかわらず、ゼロゼロという調停案が出て参りますと、当然そこには実力行使ということにもなつて参りまして、調停制度とは違つた方向に行く場合もございまするので、われわれとしましては、本問題は非常に重要視しておるわけでございます。そういう意味から申しまして、他の公共企業体の中で、まだ調停案の出ていないところもあるようでございますから、ぜひ詳細な資料を提供していただきまして、審議に御協力をお願いしたいと思うのであります。そうして、引続きまして当労働委員会におきましてはこの問題の調査を進めて行きたいと思います。  本日は、先ほど日野委員から御提案がございましたように、資料の提出をお願い申し上げまして、さらに今後継続審議するということにいたしまして、本日はこれで終りたいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ではさよう決します。  それでは次の委員会を二十五、二十六、二十七日と、こういうふうに開会いたしたいと思いまするので、御協力をお願いいたします。  それでは、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十六分散会

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