労働委員会 第43号
- 発言数
- 177 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1954/11/16
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 失業対策、労使関係及び労働基準に関する件を議題といたします。 この際本件に関し、証券会社における労使関係について、東京証券取引所理事小林光次君及び東京証券取引所労働組合委員長細谷節也君より、参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なしと認めて、さよう決します。 —————————————
○赤松委員長 本日は駐留軍家族宿舎要員に対する労働保護の問題につき、参考人として牛島壽子君が出席されておりますが、なお本問題につきまして、全駐労成増支部書記長田村英郎君にも参考人として御意見をお聞きしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なしと認めて、さよう決します。 それではまず参考人として牛島君より発言をいただきます。
○牛島参考人 私、牛島でございます。事の起りの事情を説明させていただきます。 この事柄は十月十三日の午後のことですが、私の働いておりましたのはマサヂオという人のおうちでした。十三日の午後マサヂオ夫人の友達のミセス・ブリスコが子供を連れて、うちに来訪中のことです。一番上の子供に、ものをとりに行くようにうちに帰らしたのです。帰りがけに、うちに入つて来るときに、男の子にぶたれたと言つて、泣きながら入つて来ました。その後またブリスコ夫人の言いつけで、ほかのものをとりに参りまして、外に出ましたところ、また同じ男の子にぶたれたといつて泣いて帰つて来ました。そこで私は、その女の子を外に出して——私が見ていてやるから行きなさいと男の子にも聞えるように二へんばかり言つて、うちにお帰りなさい、私が見ていてやるからと言つて外に出してやつて、私も外を見ていてやりました。その男の子は、おもちやのピストルを持つていたのですが、女の子が歩こうとすると、それを振りかざしてぶとうとするようなことが二、三回ありました。その間に私は、なぜぶつのだ、ぶたないでくれという意味のことを言つたのであります。三度目に、ほとんどもう女の子にぶちかかろうとしたので、私は走つて行つて子供をかばいました。 事柄はそれだけなんですが、それが二十六日に司令官からマサチオ夫人に電話がありまして、——そのときちようどミセス・ブリスコと子供の親と、十三日に来合せたもう一人の別の婦人、私も同じ部屋にいたわけです。電話の応答で私もいろいろわかることができましたが、ミセス・マサチオの電話に対しての説明は、司令官が牛島壽子のことでトラブルを持つた、子供に危害を加えようとしたということで、ミセス・マサチオは、そのことの見通しはキャプテンだれだれからだろうということを言つたそうです。そこで司令官が牛島を司令官のオフイスに来るようにとマダムに要請したので、マサチオ夫人は、そのことでしたら私がよく知つていますから説明します。また彼女はそういう人間でないから、近所中全部聞いてまわつてもすぐに証明することができるということを言つた。それでも司令官は、その説明の後、それではあなたは牛島に会わせないのかと言つた。それでミセスが、そうじやない、どうぞお会いください、私はよく知つていますし、そのときちようど二人の婦人がそこで見ていたので、三人で行つて説明しましようと言つた。それに対して司令官は、その必要がない、ただ自分のところに来いということを言つたのです。その後二日ばかり病人があつて手を離すことができませんでしたので、仕事はしていたのですが、オフイスに行く時間がなかつたのです。それで二十八日の夕刻、ドメスティツク・サービス・セクシヨンといいまして、労働法の、職業あつせん所じやないのですが、そのような形のものがあるのです。そこの一番上の人がミセス・バンクスというアメリカの婦人ですが、その方からミセス・マサチオに電話があつて、司令官からの手紙で、私は四十八時間以内に基地を出るようにということだつた。ミセス・マサチオも、理由を聞かれたわけですが、それに対して何らの理由の返事もなく、またそのとき新しいハウス・キーパーの申込みをすぐするようにということだつたのです。マサチオ夫人はそれに対して、とにかく翌日の朝オフイスに来ていろいろ聞くからというので、理由を聞くことができなかつたわけです。その翌日私とマサチオ夫人がオフイスに行きました。ミセス・バンクスは紙を持つて来て、本人はこの項により追放する、すぐ新しいハウス・キーパーを雇えということでした。その項というのは、子供を威嚇したとか、子供に危害を加えようとしたとかいうことに対してなんです。そこで私は、そういう覚えもありませんし、司令官に会いたいと申しまして、ミセス・マサチオと司令官に会つたわけです。その間に、どういう理由で私をここから追放したのかと聞きましたところ、司令官は、子供に危害を加えようとした、こういう投書が来ているというふうに言われたので、私はそれは当然なすべきことで、子供に危害を加えようとしたものでもなんでもないと申しました。ミセス・マサチオもそれに対して、子供を預けてあるのだし、当然のことだということをその間言われたわけです。そうしましたところ、私は過去においても労働委員会の参考人に出て、いろいろ新聞に出たり何かしておるので、アメリカに対して非常に誤解が多過ぎる。だからこの中に置くのは不適当だ、置くことはできないということでした。それで私は出入りのパスを取上げることができるから、あなたは中に入つて来ることはできないということでした。 そういうことで十一月三日に出たのです。
○赤松委員長 引続き田村参考人。
○田村参考人 田村でございます。ただいま牛島君から大体説明がありました通りでございますが、この問題が起りますと同時に、私は米軍の住宅地区のグラント・ハイツの上級機関に当りますところのキヤンプ・トウキヨウに参りまして——キヤンプ・トウキヨウの中に、日本人の苦情処理をいたす機関がございまして、これを東京労務連絡事務所と申しておりますが、そこへ参りまして牛島君の解雇の問題についての不当性を申し入れたわけであります。第一回の十一月一日以後、数回にわたりまして交渉いたしましたところが、当初グランド・ハイツの地区司令官のマグワイヤー中佐が申しておりましたのは、彼女は子供を威嚇する意図をもつて大きな声を張り上げたというのが、解雇の理由でございました。交渉の中途になりましてから、彼女は本年の三月三日に労働委員会の喚問に応じて、そこで証言しておる、これが第一の解雇の理由である。第二には、彼女は組合を結成した——米軍の解釈によりますと、労働基準法によるところの労働者以外は、組合結成の権利がないということを申しておるわけでありますが、そういう理由で、彼女自身が、ハウス・メイドが組合を結成できないにもかかわらず、組合を結成した、これが第二の理由である。今回子供を威嚇する意図をもつて大きな声を張り上げたということは、ただ単にマッチ一本の役にしかすぎないということを申し述べておるわけであります。そこで私といたしましては、国会の喚問に応じて証言をいたしますのは、日本人としての義務であるということを申し述べ、なおかつ、基準法に該当しない労働者でありましても、労組法三条によりますところの、いわゆる給料生活を営む者は団結権を持つているという項を持ち出しまして、米軍に種々説明いたしたのでございますが、この件につきましては、国会あるいは労働省あるいは基準局等の明快な回答がない限り、お前の言うことは聞けないということで、取上げていただけなかつたわけであります。 そうしておるうちに、日にちが切迫して参りましたので、やむを得ず現地の司令官と最後的の交渉を、たしか十一月の二日であつたと思いますが、行いました。夕刻の五時から約一時間にわたつて交渉いたしましたが、これは軍の決定であるので、彼女を追放することはやむを得ないという態度を終始一貫してとつておりましたが、彼女の正しさを正当づける、彼女の勤めておるハウスの近所の米人のマダムたちのいろいろな立証書類、つまり彼女は子供に危害を加えようとしたのではないというような書類が、約三通私どもの手元に来ております。しかも、この米人の方たちは、いついかなる場所に喚問されても、私は彼女の正しさを証明してあげようということで、サインもいただいておりますので、その書類を司令官あてに提出しましたが、その書類につきましては、ただちに回答をいただけませんで、当日から十日間の間に調査して回答するであろうということで、当日司令官は、用事があるからもう帰つてくれということで、司令官みずからドアをあけてくださいまして、私たちは外へ出されてしまつたというような非常に情ない交渉の結末でございました。 そのときに、彼女にきようの六時までに施設を出ろと申しましても、あまりにも緊急のことなので、もうしばし時間の猶予をいただきたいということを申しましたところが、当初は、軍の決定であるから時間は延期できないというふうに、強硬につつぱねられておつたのでありますが、そのときになりまして、突然軍の決定が司令官の個人の意思によつて変更されまして、翌日の十時までに退去せよという再命令の形になつたのであります。その後、私たちはいろいろ折衝を重ねて参りましたが、約束の十日が過ぎましても何ら音さたがなく今日に至りましたのが、大体私どもの行つた交渉の概要でございます。
○赤松委員長 参考人に対する御質疑はありませんか。
○島上委員 国会で証言したことが、実質的な解雇の理由になつておるとすれば、これは非常に重大な問題だと思います。そこで私は牛島参考人にお伺いしたいのですが、三月三日当委員会で証言しました後、今度の問題が発生する十月十三日までの間に、国会の証言に関連して行われたと思われるような不当な取扱い、あるいは不利な取扱いというような点が、何かあつたかどうかということをお伺いしたい。
○牛島参考人 三月三日に労働委員会の参考人に呼ばれまして以後、その翌日だつたと思います。私はそのころ、一週間に二日とか三日とか、二軒のうちに行つておつたのです。その翌日の朝行きまますと、新聞を持つて来て、これはあなたかということをさつそく聞かれたわけです。あとで聞いたことですが、司令官からすぐいろいろチエツクがあつたということでした。そのときに、もう一軒そういううちを持つておつたのですが、それ以後急にそこのマダムが、自分の主人から電話がかかつて来て、この次呼ぶまで来ないでもよいということなので、私は事情がのみ込めなくて、何か私に間違つたことがありましたかと聞いたら、そういうことはない、何だかわからないが、そういうことで待つてくれということでした。そういうことで、当然雇用契約が切れておるかどうか見ておりませんでしたし、それ以後一週間に二日とか三日とかの仕事をしちやいけないということを司令官から言われて、私がドメステイツク・サービス・セクシヨンに行きますと、そのたびに司令官が出て来て、何日働いて、何時間働いた——もちろん私が働いていたうちにも聞いたということを聞きました。私一日も休まずに働いておりましたし、そういうことでは、何も結果において出なかつたのですが、結局一日、二日、三日と働くことはいけないと言われまして、ずつと一軒のうちに行く仕事を与えられたのです。その間にも、日本人の事務員が三人ばかりそのドメステイツク・サービス・セクシヨンにいるのですが、その人たちが私たちに仕事を大体くれるはずなのが、日本人は私のことに対して口出しできなかつた。同じ条件にあつて、私がその仕事をという希望を申しましても、あなたのことに対しては司令官がするのであるから、私は何ともすることができないということで、ドメス・テイツク・サービス・セクシヨンのボスのお休みのときなどは、働く意思がありましても、仕事につけさせてもらえなかつたということが、二、三回ありました。 もう一軒の方の、ちようど私の働いておつたあとに行つた方が私のお友達でありましたから、事情を聞いてもらいましたところ、そこの主人の言われるには、司令官からのあれで、やめさせろというようなことでやめさせたということを、その間に聞いております。 それから毎日働かされるCIDのルテナ・カーネルの家に行つたわけです。これは司令官とドメステイツク・サービス・セクシヨンのアメリカ人が相談をして、CIDのルテナ・カーネルの夫人に、過去にこうこうこういうことがあつてこうだということをあらかじめ電話をしまして、それでも使うかということでそこに行かれたわけです。そこの家では、私は二週間しか働かなかつたのです。急にそこの家がよそに越すことになつたので、二週間で終つたわけですが、ルテナ・カーネルが、あなたのことをいろいろ聞いているから、私はあなたのために推薦状をあげるということで、このお配りした中にも推薦状が入つているわけですが、その上また、私はあなたのために言いに行つてあげるということで、司令官とドメステイツク・サービス・セクシヨンのアメリカ人のところに行つて、相当詳しくいろいろと私のことを説明して来たということを、CIDのカーネルから聞きました。 その以後、二週間でそこの家をやめることになつたので、その後事件のあつたマサチオ夫人のところに、これもやはり日本人の手は全然つけられずに、司令官とミセス・バンクスの手によつて行かされたわけです。今までおりましたマサチオ夫人のところに私が行つたあと、司令官からマサチオ夫人に、私を解雇しろということを何べんも言われたそうです。いろいろマサチォ夫人をオフイスに呼んで、新聞に出たことを見せて、——労働委員会に出たことや何かですが、それから私の身上調査も全部できておりました。それも全部見せて、こういうふうな人間だからやめさせるようにということを、何べんも言われたのですが、ミセス・マサチオは私を信じていたので、やめさせなかつのです。そして、もしあなたがやめさせろやめさせろと言うなら、どうして司令官自身が彼女を使つて、あなたがやめさせないか、そう言いましたところ、司令官は、それはドメステイツク・サービス・セクシヨンに働いておる日本人が、彼女を送るはずでなかつたのだ、間違つて送つたのだということを言われたそうです。それは事実と全然反対のことだつたのです。もちろん司令官はマサチオ夫人に、あなたにこういうことを言つたことを牛島に言うなと言われたそうです。たびたびそういう、一日に何べん電話がかかるかとか、彼女がどうだこうだということを、一々毎週のようにチエツクして、マダムに聞いたということを私は聞いております。でかすら、マサチオ夫人が言うのに、あなたはいつ基地排除されるかわからない、そういう方法をとるかもしれないということを言つておりました。
○並木委員 国会で証言をしたことが一つの理由にあげられておりますが、そのときあなたは、むろん必要な許可をとつて来たんでしようね。こちへ来るのに時間をつぶさなければなりませんし……。
○牛島参考人 その日はちよどお休みでございました。
○並木委員 その点は許可がいらない——それから、これは労働省の方に聞いた方がいいかと思いますが、今の牛島さんなどの関係の労務者が組合を結成するについては、何もさしさわりはないと思うのです。行政協定にも関係して来ることですが、それで別に禁止されていることではないし、自主的につくることだつたら、一向さしつかえないと思いますが、その場合どうなんでしようか。アメリカの方の上司の了解か何か必要なんでしようか、その点を確かめておきたい。
○中西説明員 法律上は、別に制約はありません、自由意思でつくれると思います。
○並木委員 それから子供さんをかばつたという点ですけれども、これは牛島さん、あるいは外国へ行つていらつしやつたことがあるかもしれませんが、なかなかデリケートな問題です。アメリカ人は子供を大事にする場合に、自分のことだけに限定して、よそのことは、いい意味でおせつかいしないという習慣がございます。よそのうちをのぞいて歩かなかつたり、そういう習慣があなたにもしなかつたとすれば、これは多少手落ちにもなるわけです。この文書の中の、かばつたというかばい方が、向うの男の子を非難するようになつたのじやないか。ですから、そのときにもう少し考え深くおやりになれば、すぐ女の子だけをつれてかばつてうちへ帰つて来て、そしてうちの奥さんに話す、そういう方がより適当ではなかつたかと思いますが、いかがでしようか、そういう点で誤解を与えているんじやないかとも思いますが。
○牛島参考人 お答えいたします。女の子供がぶたれそうになつたときに、ぶたないでといつただけのことで、もちろん私は走つて行つて女の子をかばつて向うに行かしたわけです。それだけのことです。
○並木委員 結論的にお尋ねしたいのは、今度の場合、あなたの身元調査とか、あるいは全駐労の役員にされているというようなことで、身元的に適当でないということが、一番の解雇の原因になつておるように、私はきようのところ受取れたのですけれども、あなたもそういうふうにお感じになりませんか。
○牛島参考人 私の身元調査というのは、両親のこととか家族のこととか、そういうことなんです。それを夫人に聞きましたところ、一つも非の打ちどころがない、たいへんすばらしいということをおつしやいました。私は、もちろんそうだと思います。その点では、私は全然考えられません。
○並木委員 一番の重点として解雇の理由になつたと思われる問題、二つか三つありますけれども、その中でどれが一番大事と思われますか。
○牛島参考人 労働委員会に出て参考人になつたこと、その後新聞に出たその間のことなんです。
○並木委員 そうすると、私はやはりこれは問題だと思うのです。国会に出て来て証言するということは、今の刑事特別法か何かで、軍の機密を漏らさない限りは、いかなることを証言しても問題ないわけだと思うのですが、労働次官もおられます、労働当局としてはどうです。ここへ出て来て話す内容についても、例の刑事特別法で駐留軍の秘密を漏らしてはいけない、一種の秘密保護法のようなものができています、あれに牴触しない限りは何を話してもいいわけでしよう。前の質問の繰返しになりますけれども、もう一度その点確かめておきたいと思います。
○佐々木説明員 国会においでになつて証言なさることは自由だとは思いますが、私は詳しく専門的には存じておりませんが、他の委員会等におきましての私の経験を申し上げますと、たとえばイギリス大使館、アメリカ大使館等に働いておる日本の嘱託あるいは労務者等が、国会に出て証言をしようというときには、当然上司の許可を受けて出席するのが今日まで慣例になつおるようにわれわれは考えております。しかしこの問題は、単に労働省だけの問題というよりは、むしろ外務省とか、あるいは法務省当局の問題じやなかろうかと思います。詳しくは私存じ上げておりません。
○並木委員 内容についてはどうですか。
○佐々木説明員 国会に出て御証言なさることは、自由と考えております。
○並木委員 もう一度牛島さんにお尋ねしますが、その日は休みだつた、だから自由だというのですが、たとい休みでも、そういうところに出るときには、一応許可を得てもらいたかつたというような、あとから向うの意思表示はありませんでしたか。
○牛島参考人 全然ございません。
○島上委員 組合の田村参考人に、もう一ぺん念のために伺いたいのですが、組合で、この解雇問題について何回ぐらい団交をされたか。そうしてその団交の間に、先ほどの証言では、解雇の実際の理由が、国会の証言と、それから組合をつくつて組合の幹部をされたということが理由であるように私どもには受取れましたが、そういう点について、団交の過程において明らかになつたことを、もう少しはつきりとお述べをいただきたいと思います。
○田村参考人 団体交渉は、理地におきまして三回、キヤンプ・トウキヨウにおきまして四回、ほかの場所におきまして二回ほど行つております。さらに詳しく申し上げますと、セントラル・コマンドというところで二回行い、それからキヤンプ・トウキヨウの事務所の中で四回行いました。港の労務管理事務所というところで二回、私的には第一ホテルルのロベキオ中佐というのがキヤンプ・トウキヨウの労務連絡事務所の責任者でございますが、その方が第一ホテルに住んでおりますので、そこにお伺いして交渉いたしました。その私的のものを除きますと、十回ほど交渉は行つております。 それから交渉の経過の中で、軍側が組合を結成したということ、労働委員会に出席して証言したということは、一番初めに司令官の口から牛島君自身に申し述べられておりますので、私の方といたしましては、この件について重大な関心を持ちましたので、ただちにキヤンプ・トウキヨウに、軍は表面上の理由としては子供の問題を取上げておるが、事実はこうだということを聞いておるが、真実かどうかということを、川島通訳を通じて聞いたわけでございます。そのときに、これは国会で申していいかどうかわかりませんが、キヤンプ・トウキヨウの労務連絡将校も、手をあげた、実は理由はそういうことを言つておるが、おれもほとほと困つたということを申し述べておりました。以上でございます。
○島上委員 ちよつと今の手をあげたということが、何か私ども意味がよくとれませんでしたが、もう少しはつきり……。
○田村参考人 先ほど御説明いたしましたように、労務者と米軍の間で紛争が起きました場合には、東京労務連絡事務所におきまして調停あるいはあつせんをするのでございますが、そこの事務所の将校は中佐でございまして、聞くところによりますと、グラント・ハイツの司令官も中佐でございますが、先任将校のように聞いております。大体労務連絡事務所から一つの線が出ますと、下級機関であるところの現地の司令官は、これに従うのが定石のようでございますが、やはり時と場合によりますと、階級の問題からなかなかスムーズには行かない点もございます。今回キヤンプ・トウキヨウのロベキオ中佐につきましては、先任将枝である関係から、相当強い発言もされたというふうに聞いております。ところがその発言さえも取上げられなかつたというようなことも、川島通訳から聞いておるわけです。そういう点で労務連絡将枝が意見を言つて聞いてもらえないという形で、手をあげたのではないかというふうに、私の方では解釈いたしておるわけです。
○島上委員 そうしますと、組合では、私どもの今受けた感じでは、解雇の実際の理由は、国会に来て証言をしたこと、その証言がアメリカさんの気に入らぬ点があつたというとこと、もう一つは、アメリカでは基準法を適用されていない労働者は労働組合をつくる権利はないのだ、こう彼らが解釈しているが、日本の法律は実際はそうではありませんから、牛島君は労働組合をつくり、その幹部に推されておつた。この二つの事実が解雇の実質的な理由であると、私どもそういう感じを受けますが、組合の方でもそういうふうに、数次の団交を通じて、それが理由であるということをお認めになつておりますかどうか、もう一ぺんはつきりお聞きしたい。
○田村参考人 私の方で認めておるかどうかという点につきましては、私の方では、そういう理由では解雇はできないということで、認めたくございませんが、軍の方では、明らかにそういう意思表示をいたしております。
○島上委員 ちようどこの問題が読売新聞の今月の八日の三面に大きく取上げられまして、さらに国会の労働委員会でも取上げられるという報道がされました以後に、これとはちよつとケースは違うようですが、読売新聞のきのうの投書欄にこういうことが出ておる。「労働委員会」に望むという投書ですが、仙台のキヤンプでも、駐留軍労務者のストライキ中に、日本の一女性が米兵の暴行を受けた。警察や県の渉外課が中に入つて調査したが、結局は本人から告訴を取下げてしまつた。はたしてこれが本人の真意から出たものだろうかと世人は疑つた。そのあとにも書いてありますが、こういうような記事が載つております。スト中ですから、これは労働組合関係のあなた方は御承知だと思いますが、仙台のキャンプにこのような事実があつたことを御存じかどうか。御存じであるならば、それをここで逃べていただきたいと思います。
○田村参考人 ただいまの件につきましては、たしか全駐労の第一次ゼネストの最中に起つた事件であるということを、地区本部の執行委員会の席上において報告を受けております。私東京地区に籍を置いておりまして、向うのことは詳しく存じておりませんが、少くとも報告の内容におきましては、そのような事実があつたということでございます。なお詳細につきましては、宮城地区本部というものがございますが、そこの書記長をやつております八木定吉君が、全駐労の中央執行委員をやつておりますので、この方にお聞き願えば、さらに詳細なことがおわかりになるのではないかと考えます。
○島上委員 八木定吉君は中央執行委員をやつておると言われるが、今東京におられるわけです。
○田村参考人 全国中闘が開かれておらないかもしれませんので、あるいは宮城の方におられるかと思います。
○島上委員 この問題も、事実であるとすれば、これは非常に大きな問題だと思うのです。本人が告訴を取下げた取下げないということよりも、そういう事実があつたとするならば、これは非常に大きな問題なので、八木定吉君にこの事実を伺いたいと思いますが、参考人として呼ぶようにしていただけませんか。
○赤松委員長 御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 それではさよう決します。 なおこの際委員長として相談があるわけでございます。この問題につきましては、私一番責任を感じておるわけですが、それは労働委員会の理事会の決定によりまして、牛島君を当労働委員会の参考人として呼んだわけです。むろんこれは主権者ですから、国会のどの場所へ行つてどのようなことを言おうとも、これは自由なんですし、しかもあの際の牛島君の発言は、別に米軍の機密に関する事項を漏洩したとか、あるいは著しく不利益を与えたとか、そういうことは全然ありません。問題は、基地内における労働条件の問題につきまして、各自が質問をし答弁をしてもらつたのでございまして、もしこういうことが、米軍であるからということで憲法及び国内法の保護を受けることができないということになりますと、今後国会において参考人が客観的にいろいろ発言をし、証言をするということは不可能になると思うのです。これは非常に重大な問題です。各党ともこの問題につきましては、やはり憲法を守り、日本の国会を守るという立場に立つて厳粛に考えなくちやならぬ、こう思うわけです。そこで、事態は一牛島君の問題ではなく、一女性の人権の問題ではありません、非常に大きな問題でございますので、私ども取扱いに苦慮しておつたわけでございますが、先ほど改進党、左派社会党、右派社会党三派の委員の皆さんから次のような決議案を提出することの御協議が行われたのであります。それにつきまして自由党側からも申入れがございましたから、この取扱い方についてひとつ皆さんに御相談を申し上げたいと思うわけです。三派から出ましたものは、 決議案 キヤンプ東京グランドハイツ・ハウスメイド牛島寿子の解雇については「衆議院労働委員会に於ける参考意見の陳述」がその理由に挙げられている。 かくの如き解雇は今後の日米親善を阻害するものといわねばならず甚だ遺憾である。 ついては右解雇に関し、直ちに組合との団体交渉にうつされ円満解決するよう勧告する。 右決議する。 こういう決議案を提出したいという御意向でございました。これにつきまして、自由党の方も、このこと自身には反対ではないけれども、手続の上において、もう一段階経る必要があるのではないか。それはただちに外務省の国際協力局を呼んで、国際協力局を通して、いろいろ疑義の点があるから、それをただした後において相談をしたい、こういう申出もあつたわけでございます。どのように取扱うか、ひとつ皆さんの御意見をお伺いしたいと思います。
○大橋委員 ただいま三派から決議案が出ておることを了承したのでありますが、この問題につきまして、ただいままで参考人からいろいろ解雇等の事情について伺つておるのでございます。もちろん私は、その述べられた事情の真偽について疑いを持つておるというわけでは全然ないのでございますが、ただこうした事情を処理する一般の取扱いのやり方といたしまして、解雇された方の言い分を聞く以上は、できれば解雇した側の言い分についても、一応述べる機会を与えるということが妥当ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。そういう意味におきまして、この種の問題についての権限ある政府機関であります外務省の国際協力局長に一応出席してもらいまして、でき得れば国際協力局を通じて米軍側の解雇についての実情等をさらに確実に承知する機会を得たい、こういう趣旨で、ただいまの御相談を申し上げた次第であります。どうぞ各党におかれましても、できれば御賛同いただきたいと思います。
○中原委員 私はただいまの三党で御決定ならにれた決議案文に賛成でありますし、またそのような取扱いによつて労働権を守ることが、もはや議論の余地はないように思います。ただ、にもかかわらず、いわゆる与党の側に立たれる自由党の方で、一応その関係当局を呼び出して、もう一つの手を打つことを通してその問題を処理した方がよかろう、こういう御見解が今出ましたことについて、私もこの労働委員会自身が、この問題について党を越えて同一の措置をするために協力を求めたい、こう思うわけです。従つて、各党がともに協力して、いわば労働委員会一本でこの問題の処理に当るということの適切な措置を、しかもそれは時間的にはただちにというように運ばれることになるのであるならば、一応三党の決議文の御起草のときの御趣旨をそこなわない意味においてそういう措置がとられれば、一応話合いをしてみてもいいのじやないか、こういう考え方であります。
○並木委員 今の中原さんの後段の御意見に、私賛成したいと思います。と申しますのは、どうせ自由党のことだから、この決議案を出したつて、反対するにきまつていると思つたのに、珍しくきようは話がわかる。それなればこつちもまた考えようがあるので、今の大橋委員の提案による外務省を督促して先方に当らせて、その結果を明日までにわれわれの手元にもたらさせる。そうして満足な返事が得られなかつたならば、この決議をする。もしこの決議を通さない前に円満に話合いがついて、この決議の案文に沿つた解決の曙光が見られれば、これに越したことはございません。われわれは、いたずらに事を荒立てるのではなく、この不幸な出来事が起つたことを、円満に元のさやに納めたいという意向でありますから、一日だけは待つてもいいと思います。それについては、委員長から外務大臣の方に、強力に必ず今の線に沿つてそれまでに回答をしろ、こういう申入れをしていただきたいと思います。
○多賀谷委員 昨日の読売新聞にも「労働委員会に望む」という投書があつて、それは、このハウス・メイドの解雇の事件が取上げられたということは非常にうれしいことである。しかし、往々にしてこういう事件はうやむやに葬り去られるおそれがある、それで、ひとつ十分これに対して対処してもらいたい、こういう意味の投書でございます。そこで私は再度手続を慎重にしろという意見には、反対を申すわけではございませんが、このことによつて、この問題がはつきりしないで、十分な結論を出し得ない、こういうことのあるのをおそれるわけであります。そういうことのないことを希望いたしまして賛成いたします。
○大西(正)委員 われわれは、自由党の申入れを承認しまして、一応そういう手続をふんでから結論を出したいと思います。
○赤松委員長 それではどうでしよう。各党非常に円満と話の一致ができまして、私も責任の一半が果されたような気がするのですが、それでせつかく各派の理事の皆さんの御発言もありましたから、ひとつ御協力をお願いしまして、午後からただちに国際協力局長もしくは次長を呼び出しまして、この点について各派の意見を述べていただく。その結果、また御相談をすることにいたしまして、そのようにとりはからいたいと思いますが、いかがでございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村(文)委員 私は、今のとりきめに決して不賛成するものではございません。しかしながら、私は事務的に、もうちよつと申し上げたいことがある。というのは、事いやしくも対外的な問題は非常に重大だと思う。ちよつとしたことでも、もし一歩聞違つたら、国際的な大きな問題が起らないとも限らない。従いまして、慎重を期するための今の各党の御意見でもあると思いますが、それにさらにもう一歩進めた慎重な態度をとつていただきたいと思う。それは、まず関係各省の中で、労働省が中心になりまして、外務省との事務的な調査を進めていただきたい。それには労働委員会の専門員も入りまして、明日外務省の関係者を呼ぶ前に、今日中にこの対策を十分練つてもらいたい。そして明日足並がそろわないようなことでなく、十分われわれ委員会としての態度を決定して、間違いのない道を歩かなければならないと、私はこう考える。従いまして、強力に事務的な折衝と調査を十分遂げられんことを望みまして、私は賛成をいたします。
○赤松委員長 ごもつともな御発言でございます。委員長もそのように思つておりますから、慎重に取扱いたいと思います。 それでは午後国際協力局長を呼びまして、そして各派からそれぞれ質問をしていただく、その結果話をまとめたいと思いますので、御協力をお願いいたします。 それでは午後一時に正確に開会いたすことといたしまして、それまで暫時休憩いたします。 午後零時六分休憩 ————◇————— 午後一時七分開議
○赤松委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 この際田村参考人より、牛島君に対する基地内ハウスの有力なる証言が委員長の手元まで提出されておりますので、それを田村参考人より読み上げていただきます。田村参考人。
○田村参考人 それでは読み上げます。 「関係者各位 一九五四年十一月一日 牛島とし子紹介の件 一九五四年四月から一九五四年十月三十一日までハウスキーパーとして働いてきました事をを証明する この期間中彼女はつとめる事に、アイロンかけに、せんたくに、料理に家内の清掃、そして四人の子供の面倒をみるのに、すべてすぐれたやり方で有能である事によつて仕事に多才であることを示した。 ハウスキーパーとして、毎日四人の子供達を世話するのに、とし子はすばらしい作業をした、加うるに、当該期間中、とし子は子供達に愛着を示し、ときには子供達をまるで自分の子のように扱つた。 加うるに、多くの例が示すようにとし子は申し分のない彼女の正直さと、正確さと信頼するにたるところのものを私に気がつかせてくれた。 結論として、私はとし子が良好な家事管理を推持するのに、多くの彼女の幸福を見出すことを心から信ずるものである フランシス・マサチオ夫人 ………………………………… 関係者各位 一九五三年三月一日 牛島とし子さんは一九五二年九月十五日から一九五三年三月一日迄私にやとわれていました。その間、彼女はメイドとして、疲れを見せず、忠実に働いたばかりでなく、又料理、二歳になる子供のお守りをやつてくれました。 彼女は常に大変立派に仕事をやりとげました、又新しい方式や技術的なことを学ぶのに非常に熱心で有能である。 彼女のふるまいや性格は申し分なく、彼女の誠実さと信頼するに足ることは問われるべきでない。 私は牛島さんを高い地位又それと同様な他のどんな地位にもおすすめする事が出来ます。 アーノルド・エフ・ ダブリユ・フランク ………………………………… 一九五三年一月三日 関係者各位 牛島とし子さんは、一九五四年四月七日から四月十九日迄計画を変更するための整理に臨時にやとわれました。 その間中、彼女は種々の家事をやるのに熱心に立派でした。 彼女の仕事は食事の準備と小さな子供達を含めて家事のすべてでした。 彼女は自分の仕事を指示に従い忠実にやり、智的で、意欲的で愛情があつた。 彼女のハウスメイド又は料理人としての立派な仕事する能力に関して私の気持ちに疑問はありません。 イー・エフ・マツシユウス ………………………………… 一九五二年九月一一日木曜日 牛島とし子 私共と一緒にやつてきた期間の貴女の信頼すべき付事に対して私共の感謝る表わす機会をもつことは、まつたく光栄であります。 貴女のあらゆる家事作業と忠実さと貢献は問題なしに優れたものでした。 私達はとくに貴女の子供達に対する理解と私達の子供達(リンダとメデース)が貴女の手にある時には完全な信頼感を感じていたのを特に述べたいと思います。 貴女もそう思つていたでしようが雇人としてでなく、私達がいつも歓迎する友情を以て家族の一員としてあなたをみてきました。 私達は貴女が何か遂行し、且つそれが何であつても立派であると思います。 最も信頼しうる マドレーヌ・レーシイ カートニイ・レーシイ ………………………………… 日本 東京 一九五一年十二月二〇日 関係者各位 私共、二人目の雇人として牛島とし子嬢は私共の実事にやとわれて約五ヶ月働きました。 彼女は正直で、たよりになり、信頼するに値いし、勤勉でした。 彼女は、私達の指示を極く小さなことまでも守り、非常にすぐれているのです。 彼女は子供達を可愛がり、子供達も彼女を非常に好きでした。彼女は我が子のように子供達を扱い、幸福そうで誇りをもつていました。 又台所の仕事を非常に立派にきりまわしました。 彼女の忠実さと誠実さと能力を我々の指示をやる上で示してくれました。 誰でも子供の世話を任せるのに彼女は間違いがないと考えてよろしいと思います。 とし子は申し分ありません。彼女は英語をよく判りよく話します。 空軍少佐 エム・ケイ・モーリル以上であります。
○赤松委員長 暫時休憩いたします。 午後一時十四分休憩 ————◇————— 午後一時二十七分開議
○多賀谷委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。 自衛隊の労働組合幹部に対する思想調査問題について、木村防衛庁長官が出席されましたので、まず長官にに対する質疑を行います。島上善五郎君。
○島上委員 木村長官に伺いたいのですが、長官は、昭和二十七年十一月十三日付の保安庁発保調第五二四号におきまして「警備地誌資料の収集調査に対する協力方依頼について」という文書を出しておられる。簡単ですから読みます。 保安庁の部隊が行動する為には国内警備地誌の作製が必要なので保安隊の部隊に対し左記項目に就いて資料の収集並びに調査を命じたから、貴下の管下各機関へ保安隊員が調査のため参上致すことと思うが、その節は何分の御援助と御協力を賜りたく、併せて管下関係各機関へも御連絡相成るようお願いする。 記 道路、鉄道、水路、電源、食糧、水源、住民、通信、港湾、河川湖沼運河湿地、山地、海岸、沖合の状況、植物、地表面、航空、施設、産業都市、天候気象、衛生、経済、其の他 以上こういう文書を出しておられますが、この文書で見ますと、保安隊の部隊に対してこのような調査を命じたから——こういうことになつておりますから、長官が部下に対してこのような調査をこの当時命じましたことは、事実でございますか。
○木村国務大臣 さようであります。
○島上委員 調査項目については、この県知事あてに出されたものと同様であるか、それとも、もつと詳しく指示されたかどうか。文書で指示された場合、口頭で指示された場合等もあろうと思いますが、いずれにしましても、この通りであるか、もつと詳しく指示されたか、伺いたい。
○木村国務大臣 私より部下に指令したのは、この文書の通りであります。
○島上委員 そういたしますと、秋田県の自衛隊においては、この長官の指示に基いて行つたと言つておりますが、先般今年の八月三十一日、労働組合のかなり詳しいことを調査いたしております。そうしますると、この指示された項目のいずれの項に、労働組合の調査が該当するかをまず伺いたい。
○木村国務大臣 この項目のどれに当るかと申しますると、直接に当るのは施設という項目に当るのであります。
○島上委員 施設……。それではその施設と労働組合と、一体どのような関係をお考えになつておるか。
○木村国務大臣 申すまでもなく、これを調査する必要というのは、要するに治安出動のあつたような場合、警備の必要上これを調査させるのであります。施設のうちには、当該施設の地勢の状況、あるいは建物の状況、その他人的の状況、これを換言いたしますると、物的人的のすべてのものを含ませておる意味であります。
○島上委員 物的人的のすべてのものを含んでおるということでありますが、そういたしますと、その人的の中には、その人の思想や日常の行動についても含まれておりますか。
○木村国務大臣 決して人の思想を調査させるわけではありません。
○島上委員 それでは伺いますが、あなたは、労働組合を、治安を乱す団体として、ふだんからその行動を調査しておかなければならないものである、そういうふうにお考えになつておるかどうか。
○木村国務大臣 決してさようでありません。労働組合が治安を乱すとは考えておりません。むしろ治安維持に片腕となつて協力してもらうものと考えておるわけであります。
○島上委員 それでは伺いますが、八月三十一日に秋田の自衛隊が秋田県労政課を通じて、県下の主要な六つの労働組合について調査された事実があります。そして、これは現地においてはかなり問題になりましたが、この調査された事実については御存じがあるかどうか。
○木村国務大臣 最近においてさような報告を受けました。
○島上委員 今あなたは、労働組合を治安維持のために、治安を乱すような団体として治安維持の対象として調査する必要あるものとは認めていないというような御答弁でしたが、秋田における調査の具体的な事実は、それとは大分相違しておる。長官の方へはどのような報告があつたか知りませんが、私が現地の労政課及び労働組合並びに自衛隊の調査におもむいた本人並びに秋田県の司令についてつぶさに承つて参りました、そうしてその資料も持つておりますが、念のためはつきりと申し上げておきますと、こういう調査をいたしております。これは自衛隊が持つて行つた文書ですから、口頭で答えられたこともちやんととつてございますけれども、これは文書ですから間違いのないことです。八月三十一日に調査におもむいた際に持つて参りました文書です。これは部内の文書だそうですけれども、こういうふうに書いてある。 情報資料の提供方に関する依頼 標記の件につきまして、治安維持上絶対に必要これは大事なことです。 治安維持上絶対に必要とされましたので、御繁忙中まことに恐縮に存じますが、下記工場の下記事項につきまして、至急御報知賜りたく依頼いたします。 一、工場名 一、東北肥料株式会社 二、東北パルプ 三、日本石油 四、帝石 五、三菱金属製錬 六、秋田木材 二、調査事項 一、労働組合名 二、労働組合人員 三、労働組合の系統 四、闘争経歴 五、従業員の数(男女別) 六、人種別 七、左右の別 以上 こういう事柄が治安維持上絶対に必要であるからということでお調べになつております。そういたしますと、今までのあなたの答弁とは大分違うように私どもには受取れますが、いかがにお考えですか。
○木村国務大臣 決して違わぬと私は考えております。つまり今申し上げまする通り、施設を保護するについては、その当該工場でありますると、その建物の模様、地勢の模様、その他それに従事しております人たちの様子をふだんから十分に知つておく必要があるのであります。従いまして、その中で働いておる人々の様子の中には、組合が組織されておるかどうか、あるいはその組合でありますると、その組合の人員がどうであるか、男女別がどうであるか、あるいはその系列、すなわち総評に属しておるとか、あるいはまた総同盟に属しておるというようなことも、一応知つておく必要がありとして、これは調べたものと私は考えておるのであります。
○島上委員 そういたしますと、これはあなたの漠然と指示されたことを具体的に調査したものであると、こういうふうに見てよろしいですか。
○木村国務大臣 当該責任者が具体的にこれを調べるということは、私はあり得ることと考えておるのであります。
○島上委員 当該調査責任者は、この資料を見せて、これについて質問をしましたところ、非常に周章狼狽をして、労働組合があるかないか、何人おるかという程度のことは調べようと考えましたが、闘争経歴とか系統とか左右の別などということは、毛頭調べようという意思はございませんでした、それは調査に行つた本人の間違いであつたと、こうはつきり言つております。そういたしますと、あなたは、こういうことを調べても間違いではない、当然であるというお考えですか。
○木村国務大臣 私は闘争経歴あるいは組合の系列を調べても、一向さしつかえないと考えております。
○島上委員 一体そういうことは何のために必要があるのですか。戦争前には憲兵というものがあつて、労働組合を対象にしておつた。戦争前の兵隊は、演習するときには、仮想敵として労働組合が反乱を起すということを仮想して演習をしたことがある。そういう考えと相通ずるものがあるのじやないかと私どもは疑われる。何のために労働組合の闘争経歴や思想の左右の別を調べる必要があるか。
○木村国務大臣 興奮なさらぬで言いなさい。労働年鑑にも、みなさようなことは記載さてあるのであります。われわれといたしましても、その組合の性格を知つておくということについては、一向さしつかえないと考えております。一朝治安が乱れた場合に、その組合の協力もまたなくてはならぬのでありますから、その情勢というものをわれわれは一応知ることは必要であろうと考えております。
○島上委員 それでは、あなたの方では、労働組合以外の団体等においてお調べになつたことがありますか、またなろうとしておりますか。
○木村国務大臣 われわれの方では、労働組合以外の団体ということは、その施設の中にも入つていない、われわれの警備の必要というものは、施設を保護しようということです。従つて、その施設において構成しておる組合というものについて、一応知つておく必要があろうとわれわれは考えおります。
○島上委員 組合について知つておく必要があるとおつしやいますけれども、どこの工場に従業員が何人いるかということは、必要があるかもしれませんが、その組合が過去にどいう闘争をしたとか、あるいはその組合の系統、左右の別ということは、この組合が、戦争前のように、治安を乱すものではないかという思想から出発しているのではないかと、私ども疑われてしようがないのです。もしこういうことを調べる必要があるとすれば、さらに進んでは、闘争経歴というのですから、闘争経歴というと、単に組合の闘争経歴だけではない。単に闘争経歴と書いてありますから、当然そこでは執行部を構成している委員長が何派で、書記長が過去にいかなる闘争経歴を持つているかというような個人の思想調査にまで、必然的に発展するものとわれわれは解釈せざるを得ない。そういうことが一体何のために必要があるのか、もつと具体的にその必要性をはつきり言つていただきたい。
○木村国務大臣 われわれの方では、そういう個人の闘争経歴なんということは毛頭調べておりません。この闘争経歴というのは、従来どういうストライキの数があつたかというようなことを調べておるわけであります。これも直接に調べているわけじやないのでして、いわゆる公然と役所が役所に対しての調べ方であります。あなたが個人の思想を調べるような懸念を持つておるようでありますが、さようなことは一切いたしておりません。役所が役所に対しての調べ方であるのであります。公然と調べておる。これは労働年鑑にもおそらく記載されてあることであろうと考えております。それだから、この当該係の者がこれについて調べても、私は何ら不都合はないと考えております。
○島上委員 役所が役所に対して公然と調べたとおつしやいますけれども、こういうことを調べることが、自衛隊の任務を果す上に必要であるとなれば、役所を通じて調べるだけでは不十分である。それから、組合の機関、組合の系統がこういうふうであると、こう表向き聞いただけでは不十分である、こういうことに必然的になりませんか。
○木村国務大臣 私はさような点まで必要はないと思います。大体においてわれわれはこういうことを知つておけば、それに対するいわゆる警備の配置が十分全うし得ると考えております。
○島上委員 これは直接自衛隊のことではありませんが、参考までに言つておきます。最近地方の警察が、労働組合調査にかなり深く立ち入つて、個人の経歴を洗い出したり、あるいは個人の行動に干渉したりというような事実が随所にあります。自衛隊が労働組合のこういう内容について調査するという建前を承認することになりますれば、役所で調べただけでは不十分であるから、あそこの組合の構成の分野はどういうふうになつておるか、その執行部の過去の経歴はどうであるか、ストライキの際の内部の状況はどうであるかということに、当然発展する危険性がひそんでおると思う。それでなければ、こういう調査をするという建前に立てば、その調査はきわめておざなりな、不十分な調査しかできないということになる。十分な調査をしようということになれば、そこまで立ち入らなければならぬことになると私ども思うのです。おざなりの、公然に労働年鑑等に発表されておる事柄ならば、これは市中に売つているのですから、何も私どもそういうことをちつとも気にいたしませんけれども、しかし自衛隊がこういうことを治安維持上絶対に必要であるとして調べるということになりますれば、また昔の憲兵に逆もどりする、これは少し極端な心配かもしれませんけれども、そういう危険性すら私ども感じないわけに行かない。憲法を無視してどんどん戦力のない軍隊だという軍隊を、戦争前の海軍の何倍かのものをつくつておる。そういう政府ですから、こういうことを認めれば、当然そういうふうになつて行くと思う。そういう点はどうですか
○木村国務大臣 御心配御無用であります。繰返して申しますが、われわれは警備上その施設を保護したいと考えるので、その施設に対する構成要素であります従業員のあり方ということを、一応知つておく必要があると思つておるわけであります。それに対しての今あなたのおつしやたようなことは、われわれの方で一切調査はいたしません。
○島上委員 御心配御無用だと言いますけれども、たとえば、今言つた警察の思想調査にしましても、上の方へ行つてそれを質問すると、決してそういうことを命じたわけでもないし、御心配御無用だと、今と同じような答弁をします。しかし、現地へ行つてみますと、御心配御無用どころではない、かなり行き過ぎたことが行われておりますし、私は自衛隊の今後においても、そういう危険が非常にあると思うのです。あなたは、そういう行き過ぎはないようにという何らかの措置をとつておりますか。
○木村国務大臣 行き過ぎをしていないから、私はそういう措置はとらない。私はこれだけのことでは、決して行き過ぎではないと考えております。今あなたの仰せになつたようなことをすれば、あるいは行き過ぎであるかもしれませんが、さようなことは断じていたさせません。ただ、施設に関係ある部分についてのみ、われわれは調査させて行くわけであります。
○島上委員 あなたは、今、こういうような事柄は労働年鑑にも載つておる、こういうことをおつしやいましたが、労働年鑑に載つておる程度のことならば、労働年鑑を一部買つて来れば、それで済むことだ。それを二人も三人も、何回も何回も執拗に労政課へやつておる。二百円か三百円の労働年鑑を一部買つて来れば済むことを、そのために二人も人を使つておる。これが全国にわたれば、相当の経費になると思う。それを使つて、執拗に何回も何回もやつておる。そういう公に発行されておる程度の調査で済むこととは、私はどうしても受取れない。そしてこの調査項目にあるような闘争経歴ということになると、これは単に組合の闘争経歴ではないのですから——むろん組合の闘争経歴も入りましようし、さらに具体的には組合を構成している組合員なり、役員なり、そういうものの闘争経歴にもならざるを得ないと思う。左右の別にしましても、あるいは組合の系統にしましても、そうであります。左右の別といつても、労働組合というものは、その職場に働いているという条件のもとに、一切が含まれている団体ですから、その中にはいろいろな人がおる。左右の別、あるいは組合の系統を具体的に的確に調査しようとすれば、その構成している組合員なり執行部の役員なりの個人的な調査までしなければ、的確につかめない、こういうことに議論が当然発展すると思う。そういう点は、どのようにお考えですか。
○木村国務大臣 私の方では、さような議論に発展させません。ただ組合の経歴を調べているだけであります。
○島上委員 組合の経歴を調べるとおつしやいますが、この文書によると、治安維持上絶対に必要だ、こう言つているのです。これが前提です。治安維持上、組合の経歴や左右の別や系統が必要だ——これは一体どういうことですか。
○木村国務大臣 あなたが少し曲げておとりになつておるのです。治安維持上というのは、警備の必要上というふうに御解釈くだされば、非常に明瞭であります。われわれは、どこまでも当該施設を、一朝治安が乱れたときに、それを保護しようという建前でやつているのです。従つてこの治安維持上というのは、警備の必要上と御解釈くださればよろしかろうと思います。
○島上委員 現地の自衛隊では、先ほど言いましたように、組合の系統とか闘争経歴とか、左右の別とかは、これは調査する事項としては全然考えていなかつた。ただ、行つたその二人の名前もわかりますが、沖津洋一、池崎善明という二人の人が、かつてにそういう行き過ぎをやつたのだといつて、非常に周章狼狽して取消しをいたしておりましたが、だんだんと伺つておりますと、調査の項目については、文書では指示されなかつたが、調査官が教育訓練のために集まつた際に、上官から口頭でもつてそういう指示があつた、こういうことを答えております。あなたの部下が、調査官の教育訓練の際に、口頭でそういう指示をされた事実を御存じですか。
○木村国務大臣 どういう筋で指示をしたか、そういうこまかいことは私はわかりません。ただわれわれの指示したのは、その施設を保護しようという建前からやつておるわけであります。施設については、今言つた物的人的の方面から十分調査をする必要ありと、こう考えておるのであります。その判断に基いて、当該事務を扱う者は、いわゆる指示しておるであろうと私は考えております。
○島上委員 私は口頭で指示した状況をつぶさに知ることはできませんでしたが、ただ私ども想像を許されるならば、労働組合に対してはかなりつつ込んだ調査をするように、口頭で指示しておるに違いないと思う。文書で指示するとあとで問題になるから口頭で指示したのだと、こう思います。そしてその口頭の指示の際に、労働組合の左右の別や闘争経歴や系統や、そういうものを調べろ、こういうことを指示したに違いないと思う。ですから、あなたの答弁によれば、労働年鑑一部買えば済むことを、二人の自衛隊員が執拗に何回も何回も調べに行くという結果を生んだのではないか。もしそうだとすれば、それ自体がもうすでに行き過ぎだ。こういうような行き過ぎを、もし今日の秋田の調査のような事実を許すならば、今後至るところにこういう事態が発生して来ると私は思う。表に現われるか現われないかの違いだけであつて、これは至るところに発生して来ると思う。昔の憲兵のような調子でもつて、どんどん労働組合を白眼視し、危険団体視し、こういう調査をやるということが発生して来ると思う。こういうことに対しては、私どもの単なる杞憂であればけつこうであるけれども、どのようにお考えになつておるか。そうして、そういうことを発生させないために、何らかの措置を考えておるかどうか。
○木村国務大臣 あなたの御懸念になつているような、そんな思想調査なんということは、絶対にやつておりません。われわれといたしましては、繰返して言うようでありますが、治安が乱れたときに、その重要施設を保護したいという建前からやつておるのであります。その趣旨に沿つてやつておるものと、われわれは考えておるのでございます。従いまして、あなたが今言われたように、何回も執拗に行つたという事実は、私はないと考えておるのでございます。何回ぐらい行つておりますか、私は聞きたいと思います。ことに公の役所に対して、項目をあげて聞きに行つておるのであります。さような裏でやつておるというような事実は、私は毛頭ないとと考えております。
○島上委員 これは何回も行つておることは、事実によつてはつきり証明されております。一回行つてその本をもらつて来ただけではなくて、何回も行つておる。くどいようですが、労働組合の系統とか闘争経歴とか、左右の別ということになれば、これは明らかに思想調査です。そしてその調査を的確に行おうとすれば、必ず労働年鑑に出ている程度のことでは満足しないということになる。闘争経歴を調べよう、この前の争議でどういうふうな解決をやつたか、そのときの動きはどうであつたか、あの中には共産党が何人であつて社会党が何人であつて、第二組合が何人おるということでは、満足しないということに私はなると思う。これは単に私の杞憂や心配ということではないと思う。しかし、労働年鑑に刊行されておることで済むならば、本屋へ行つて労働年鑑を一部買つて来て備えておけば済むことだ。それを調査官が何回も何回も行つておることは事実なんです。私が聞いたところでは、四回ほど行つておる。おそらく私に言わない回数もあるのじやないかと思う。最初は一回だと言つていましたが、根掘り葉掘り聞いたら、四回だということになりましたけれども、あると思います。こういうような調査をするとなれば、私の解釈としては思想調査だと思う。左右の別とか闘争経歴とか系統ということは、大まかに言えば、労働組合の思想なのです。労働組合の思想を調べようとすれば、その労働組合を構成しておる人的な面にまで入つて行かなければ、的確な調査ができないということになるんじやないですか、その点はどうですか。
○木村国務大臣 私は断じて思想の調査とは考えておりません。左右の別といいますけれども、御承知の通り社会党でも右と左があるのであります。これは政策もわかれておると私は考えておる。決してそれによつて私は思想上どうだということは、言うべきものじやないと考えております。
○島上委員 それでは労働組合の系統とか左右の別は、思想と無関係というのは一体どういことですか。
○木村国務大臣 これは、つまり一種の系列に関係する問題であります。
○島上委員 系列は、一体思想と無関係ですか。
○木村国務大臣 私はこの問題に関する限り、無関係と考えております。
○島上委員 そうしますと、あなたは組合の内部に立ち入つたり、個人調査などは考えていないと、こうおつしやるのですが、そうすれば、何度も言つておるように、労働年鑑を買つて来る、あるいは県でもし労働組合名簿というものを発行しておるところであれば、その名簿をもらうということで事が済むはずだと思うのですが、それ以上に今言つたように二人もの大の男が何回も何回も行くということは、一体どういうところからそういう必要があるのですか。
○木村国務大臣 何回も何回も行つたという事実は、私は聞いておりません。おそらく私は一回か二回かであろうと考えております。しかして、労働年鑑を買つて見ればそれでいいじやないか、ごもつともであります。しかし、これはおそらく最近の状態を知りたい、こう考えて行つたものであると思います。とかく出版にしたものは、時間のずれがあります。最近における状態を知りたいというつもりで調査に行つたものと考えております。
○島上委員 最近における状態を知りたい、だんだん具体的になつて来ましたが、そうなると、たとえば兜町の東京証券が争議をやつた。最近の状態が知りたいからといつて、あの組合の調査に行かれますか。行かれるということになりはしませんか。
○木村国務大臣 それは組合の活動自体のことを調査するということとは、別問題であります。
○島上委員 しかし組合の闘争経歴とか闘争ということは、活動と関係ないのですか。
○木村国務大臣 闘争経歴は、従来どれくらいの争議があつたか、そのことを言うのでありまして、その争議の内容に立ち入つたわけでもなんでもありません。
○島上委員 闘争経歴という言葉を文字通り解釈すると、そうであります。過去においてどういうことをやつたか調べる。それから最近の状況を調べるということになると、最近の状況とは、現在も動いておること、きのう動いたことも調べることになる、それは組合の活動でなくて何ですか。
○木村国務大臣 組合の活動、すなわち闘争の具体的内容について調べようとするのじやありません。つまり、その闘争の数を調べたい、こう考えておる次第であります。 〔多賀谷委員長代理退席、委員長着席〕
○島上委員 一体自衛隊が、こういうように労働組合の動きに対して調べるということになると、労働組合の運動それ自体に対して、非常に大きな影響を与えることになると私は思うのです。地方の保守的なところにおいては、今なお自衛隊の中にはそういう空気、思想があろうと思うし、一般の受取る方の側にも、そういう思想があろうと思うのですが、自衛隊が組合の調査に来たということは、昔の憲兵が組合の調査に来たということを、すぐ連想するのではないかと思う。受取る方も、そういう受取り方をする者があるのではないかと思います。そうしますと、これは地方の弱い労働組合に対しては、大きな脅威と申しますか、組合運動自体に対する圧迫感を与えることになると思います。そういう点は、どういうふうに考えますか。
○木村国務大臣 私はさように考えません。組合自体で、その闘争経歴とかなんとかを調べたわけでもなんでもないのであります。県の労政課へ行つて、これを知らせてもらいたいというにすぎないのであります。決して影響を与えるようなものではないと考えております。
○島上委員 今のところ、私どもが承知した範囲では、労政課へ行つただけですけれども、これだけの文書に書いてあるような項目を、しかも治安維持上絶対に必要だといつて、こういう力を加えているところを見ますれば、労政課へ行つただけでは満足の調べができない。それでは組合へ行く、組合へ行つただけでも、組合の幹部に会つて聞いた、あるいは組合の文書を調べただけではどうも的確ではないということで、さらにそこから掘り下げて調べるということになるような気が、私としてはするのです。そうでなければ、本屋へ行つて労働年鑑を一部買つて来れば済むことなんです。これはこういうことを上から命ぜられて調査する以上は、きわめて的確なものを調査しようということに、担当する人間としては当然なるだろうと思うのです。おざなりに聞いて来て、本屋へ行つて本を持つて来てこの通りでございますということではなくて、今あなたのおつしやつたように、最も最近の動向を最も的確に調べよう、こういうことになりはしないかと思う。そうなれば、役所で聞いただかでは満足しない、組合へ行く。組合で聞いただけでは満足しない、さらに組合を構成している人々に当つてみる、こういうことになるのではないかと私どもは思いますが、そういうことになることは絶対にないと、あなたはさつきから繰返しております。しかし、そういうことになることが絶対にないということを保証する、私どもが安心できるような措置は、何らとられていないと思うのです。そういうことのないような何らかの措置をとられておりますか。この調査というものは、労働年鑑に出ている程度のおざなりの調査でよろしい。組合へ行つたり、あるいは組合の個人に当つたり、それ以上つつ込んだ調査をしてはいけないというような措置をとられておりますか。
○木村国務大臣 先ほど申し上げた通り、われわれの目的とするところは、この施設の保護にあるのであります。従いまして、私どもが出しましたこの通牒にいたしましても、各役所へ対して、こういうことを調べたいから、係の者が行つたらよろしくその点について御協力を願いたい、こういう文書であります。従いまして、この文書に基いて係の者が各役所へ行つて、これに該当することを調査して協力を願つているわけであります。
○島上委員 あなたはそういうことを言つておりますが、私ども現地へ行つて聞いたところによりますと、さつきも申し上げたように、この闘争経歴や左右の別ということを調べたということは、たいへんなことを見つかつてしまつたというように、極力われわれに隠そうとしておる。そういうこと自体からしておかしいのです。現地に命ぜられた指令というのは、闘争の経歴とか左右の別、これは間違いなんです。調べに行つた人間がかつてに書いたことで、私どもが調査しようとしているものではありません。間違いですと、何回も繰返している。うそだと思つたら、テープ・レコードをかけてみましよう。間違いですと言つて、ひた隠しに隠している。今あなたは、こういうことを否定していますが、そういうことを見ると、私は相当つつ込んだ調査を、どんどんやるに違いないと思う。今後、もちろん私どもは、あらゆる方面に手を尽して調べますけれども、調べて、もし今あなたが言つたことと違つていれば、当然また国会で問題にします。私の想像では、かなりつつ込んだ行き過ぎがやられているに違いないと思う。やられるような危険性を防止する措置を何らとつていないのですから、やられていると思うのです。そういうふうな行き過ぎがあつたら、あなたはどうしますか。組合に行つたり——組合には行かないとあなたは言いますが、組合に行つたり、あるいは組合の幹部に当つて調査するということをやりましたら、あなたどうしますか。それは行き過ぎであつて処断をするということを、はつきりここで言明しますか。
○木村国務大臣 行き過ぎがあれば、われわれはそれについて相当考えを持つております。
○島上委員 つまり、組合に行つたり組合の役員に当つたりして調査したら行き過ぎである、こうあなたは言つたのですが、そうですか。それをはつきり言つてください。
○木村国務大臣 その聞くこといかんによると考えております。組合に行つて組合の人数その他のことは聞いたつて、私は行き過ぎでないと考えております。しかし、直接組合に行くようなことはさせない意味において、私が通牒して、当該役所に対してその協力方を依頼しておるわけであります。
○島上委員 そうすると、私どもが一番問題になると思うのは、闘争経歴とか、思想の別とか、左右の別とか、組合の系統ということですけれども、こういうことは、労働年鑑に現われている程度のおざなりなことであつて、それでは不十分だからといつて内部に立ち入つて調査することはない。調査をすれば行き過ぎである、こういう考え方ですか。
○木村国務大臣 内部に対して立ち入らせるようなことは、私はいたさせません。
○島上委員 私どもはそういう危険が感ぜられてしかたがない。親の心子知らずで、あなたの考えとは違つた行き過ぎが行われるという危険が感ぜられてしようがない。あなたはそういうことに対して、何らかの措置をする考えはありませんか。
○木村国務大臣 措置をするという考えは、今申し上げますように、初めから私の通牒によつてきわめて明らかであります。御協力を願いたいという趣旨で各役所に言つてやつておるわけなんであります。
○島上委員 私はこの程度で終りにしますけれども、役所にいつて御協力を願いたいと、文書の表では確かにその通りになつておる。それならば、労働組合名簿とか、労働組合年鑑というものは、どこの県でも公然と発行しておりますから、役所でその書類を一冊もらつて来ただけで済むはずです。しかし、自衛隊員が二人で何回も何回も執拗に行つておるという事実から見ると、ここに現われておるだけでは不満足だ、あなたが今言つたような最近の状況を的確に知りたいということになると、どうしてももつともつと立ち入るということになつてしまう。戦争前の憲兵の方向に行くのじやないか、組合はそういう脅威を感じておる。地方の弱い組合は、自衛隊が制服を着てやつて来て組合のことを調べたということになると、それだけでも大きな脅威を感ずることになる。そういうことは、私はそれ自体組合活動に対する干渉だと思う。ただ表に現われていることだけでよいというなら、本屋に行つて本を買つて来たらそれで済む。それを制服を着て大の男が二人——武装しておつたかどうか知りませんけれども、組合に行つて聞くこと自体が、大きな脅威を与えることになる。私はそういうような組合運動に対する干渉は、断じて許してはならぬと思つておる。これは今後の事実によつて私は取上げることになりますけれども、そういうような組合運動に対する威圧を加え、あるいは干渉し、内部にわたるようなことを私どもは絶対にしないように、ここではつきりと長官の確言を得たいと思う。そういうお考えがあるかどうか。
○木村国務大臣 自衛隊員が行つたからといつて、おそれをなすようなことがあつては困るわけです。日本人はもう少ししつかりしてもらいたい。それくらいでびくびくするようなことでは、いかぬのであります。むしろ私は、自衛隊員が行つて組合の人たちに会つて、御協力を願いたいくらいであります。自衛隊員が行つてさようなことを聞きたいという者がもしもあれば、行き過ぎは困りますが、組合員の人とともども話をするような機会をむしろつくつてもらいたいと、こう考えております。
○黒澤委員 島上委員の質問に関連しまして二、三長官にお伺いしたいと思うのです。 この秋田の自衛隊の労働組合の調査は、今長官の申されるところによりますと、長官の指示された施設の調査によつてなされたのである。そうしますと、秋田の自衛隊がかような労働組合の調査をやつたことは、長官の指示を忠実に守つたものである、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
○木村国務大臣 私は今申し上げましたように、この指示を与えておるのであります。その指示によつてかような調査をしたものと、こう考えておるのであります。
○黒澤委員 そうしますと、長官が指示しました指示の内容には、かような労働組合の調査も含まれておるものである、そう解釈してよろしゆうございましようか。
○木村国務大臣 さように解釈してよかろうかと考えております。いわゆる施設に関しては、物的人的な面から調査することになつておりますから、さようにお考えくださつてよかろうと思います。
○黒澤委員 そういたしますと、秋田の自衛隊の労働組合の調査は、長官の指示に基いてやられたものである、そういうふうに私は了解するのでありますが、ただいま島上委員からも申されましたが、この労働委員会の赤松委員長が現地の調査に参りましたときに、自衛隊秋田駐屯部隊司令松田清彦氏は、これは行き過ぎであつた、実際組合の闘争経歴であるとか、左右の別、そういうことは調査の内容ではなかつた、そのことは行き過ぎであつた、こうはつきり申しておるのであります。そうすると、ただいま長官のおつしやつたこととは、食い違いがそこにあるのではないかと私は思うのですが、この点はどうですか。
○木村国務大臣 私は食い違いがあるとは思いません。さような左右の別というような言葉を使つたのは誤りだという意味であろうと考えております。つまり、これは組合の系列を知りたいという意味でかような文字を使つた。そこで左右というようなことは、言葉のあやとしては行き過ぎだという意味のことを松田司令が言つたものと、こう私は考えております。
○赤松委員長 黒澤君、ちよつと待つてください——黒澤さんの言おうとしていることは、こういう意味なんですよ。左右の別とかなんとかいうことよりも、県庁の労政課に来たところの隊員が示したメモによると、治安上絶対に必要だからこれこれのものを調査したいと、こう言つた。治安上ということになりますと、労働組合は、労働組合法によつて保護されておる団体なんですね。その労働組合が、治安上なぜ調査されなければならないか。そのメモを提示したのに対して松田司令は、それは本人がかつてにつくつたものであつて、私の意図に反するものだ、そんなものは絶対に治安上必要でない、こう言つているのですよ。
○木村国務大臣 その治安維持ということは、私はこう解釈しておるのです。しかも、本人の意思は警備上必要だということで、すべて警備の必要上やつているわけだ。その警備の必要ということを、治安とこう本人が勘違いしたかどうか、これは本人に聞かなければわかりませんが、私はそう解釈しておる。警備の必要上やつているのであつて、警備の必要上すなわち治安の必要上、こういう考え方でこれを書いたものと、私はこう考えております。労働組合を治安の必要のために直接調べるという意味のことでは、決してないのである。警備の必要上この施設ということを目標にして調べる。必要があるからやつておるわけであります。治安上の必要のために労働組合を調べようという、そういう意味では少しもないわけであります。ここをどうぞはつきり御認識を願いたいと思います。警備の必要上、施設についてすべて知つておく必要がある。その施設については、人的な面からも物的な面からも、一応調べる必要があるからという意味であります。
○黒澤委員 この秋田におきまして、六つの労働組合だけ調査の対象になつたようでありますが、なぜこの六つだけについて調査を限定したのか。
○木村国務大臣 これはその係の主任が、自分の判断で部隊長と協議の上でやつたものであろうと考はております。この会社は、当該地方にとりましては重要なものと考え、そうして警備の必要上これだけのものはさしあたり調べておく必要があるという趣旨から、これだけの会社をあげたものと了承しております。
○黒澤委員 この調査の指示は、全国都道府県にも、もちろんされたと思うのでありますが、全国各都道府県にわたりまして、かような労働組合の調査を現在おやりになつておるのかどうか。
○木村国務大臣 これは各部隊長の判断によつてやつておるのでありまして、秋田において実際やつた事柄が表面に出ておるのであります。各地方において、部隊長の判断でどれだけの会社あるいは施設を取上げてやつておるかは、私においてはただいま詳細なことはわかつておりません。
○赤松委員長 ちよつと事務当局にお尋ねします。おそらく警備地誌をおつくりになるためにそういう調査が全国的に行われておるのではないかと思うのですけれども、そういう警備地誌の中に労組の調査を加えるという報告は参つておりませんか。
○増原説明員 ただいままで長官から申し上げましたように、警備地誌の調査の中に、施設ということからして、産業施設、地方における重要な工場というようなものが入つておるわけであります。でありますから、そういうようなものは、大体において調査をしておると考えられます。そうしてその施設を調べる際に、物的人的な要素にわたつて一応のことを調べておくということでやつておるものと考えております。
○黒澤委員 私は、ただいま全国にわたつてかような調査をやつておるかどうか、そういう報告が来ておるかどうか、その点をお聞きしたのです。
○増原説明員 まだ調査中でありまして、調査したものが順次来ておるものもあるかと思います。まだこれは調査の途上でございます。
○黒澤委員 先ほど長官は、秘密のものではなく公然と調査をされておるということをおつしやられたのでありますから、調査しました報告というものは、秘密文書ではないと私は考えるのでありますが、機会を見て本委員会に、そういう全国的な労働組合の調査を御報告願いたい。そういうことができますかどうか。
○増原説明員 労働組合の調査というやり方をしておりません。施設の調査項目の中に、そういう一応のものがあるという形のものであります。
○赤松委員長 長官から出されたものの中に、その他というところがありましたが、その他という中に労働組合は含まれておるのですか。各項目には労働組合というものはありませんね。
○増原説明員 労働組合という項目は設けておらないと聞いております。
○黒澤委員 これは先ほど、長官の御答弁にありましたように、施設の調査の中に、労働組合の調査が含まれておるということを聞いておりますから、労働組合の調査が全国的にやられているというふうにわれわれは判断するのです。その全国の調査の報告が参りましたときに、それの御報告を願えるかどうか、それをお聞きしているわけです。
○増原説明員 どういうふうに警備地誌をまとめるかということは、まだ調査の途中でありまして、はつきりとしたものはございませんが、大体考えられますのは、施設としてまとめるのでありまして、たとえばある町に大小百の組合がありましても、おそらく取上げられます施設というものは、やはり重要施設を取上げまするので、そのうちの三十とか五十とかいう施設が取上げられる。組合は施設の中の一項目にあるわけでありまして、労働組合としてそれをとりまとめるというふうにはおそらくならない、こういうように考えております。
○黒澤委員 われわれはこういう労働組合の調査が治安維持上——長官は警備の必要上というふうに訂正しておりますが、労働組合の闘争経歴であるとか、あるいは労働組合の思想動向——左右の別ということは思想の動向だと思うのでありますが、こういう必要は全然ないのじやないか。そういうことはただ労働組合等に非常な刺激を与えまして、たとえば都道府県の労働部なり労政課に行きましてそういう資料を集めるにいたしましても、そういうことをすると、非常な刺激を労働組合に与えることになると私は思います。そういうことをおやりになられることは、われわれから考えますと、かつての憲兵の復活と同じようなやり方をしておる、そういうふうにも考えられるのでありまして、木村長官が、ただいままでいろいろ陳弁されておられますけれども、これは組合の思想調査と同様であり、今後こういうことで私はだんだん調査の範囲、内容などが、労働組合に対しましても広げられて行くのじやないか、そういうことが想像されるのでありまして、こういう無用な行き過ぎた労働組合の調査というようなことは、およしになつた方がいいのじやないかと思うのですが、そういうお考えがありますかどうか。
○木村国務大臣 これは何もさつき言われました組合の思想調査でもなんでもないのであります。これまでどういう争議が何回あつたかという単統な調べであります。従いまして私は、組合においてあまりに神経過敏におなりにならない方がいいのじやないかというふうに考えておるのであります。何も立ち入つて指導者の思想を調べるとかなんとかいうわけ合いのものではないわけであります。ただ組合の現状のあり方ということだけを、一応知つておくという程度にすぎないものであることを御了承をお願いしたいと思います。
○赤松委員長 あなたに、まさか昔の憲兵隊的なものにかえて行こうという気持のないことは万々私も承知しております。ただ非常にこわいのは、あなたの主観的意図のいかんにかかわらず、たとえばあなたがおやめになつてその次の人が出る場合に、そういう慣習が積み重ねられて行くと、知らず知らずそういう方向に行く危険性もあるわけであります。そこで私が二、三お尋ねしたいことは、先ほど来問題になりました例の治安上絶対に必要だから調査をする、このメモなんです。そこで自衛隊というものがあれば、警備地誌をおつくりになるということは、これは当然のことであります。これは私どもは肯定はしませんけれども、やはり任務達成のためにおやりになるということは、一応よくわかりますけれども、ただその警備地誌をつくる場合に、いろいろな施設をお調べになる。それは間接侵略のために、つまり、暴動、そういうものに備えるためにおやりになるのか、直接侵略に備えるためにおやりになるのか、その点をひとつ明確にしていただきたい。
○木村国務大臣 これは両方とも含まれております。つまり、直接侵略の場合においても、間接侵略におきましても、重要施設は、これはどうしても保護しなくてはならぬのであります。そういう場合をにらみ合せまして、あらかじめその状態を知つておくということが必要であろうと考えます。 それからただいま赤松君から再三お話のありました治安対策上絶対に心要だという文字でありますが、これはその当時の係の者が自分の思惑で書いたものと、私はそう考えておるのであります。この文字が、将来労働組合側の方面において感情上よろしくないということであれば、こういう文字は使わないことが望ましいのでありますから、われわれといたしましては、こういう文字を使わせないようにいたしたいと考えております。
○赤松委員長 そこで、問題は非常に重大になつて来たわけです。今直接侵略のためにも、また内乱、暴動等の間接侵略に備えるためにも必要だ、こういう御答弁なんですが、秋田の自衛隊の調査に具体的に現われて参りましたのは、たとえば東北肥料を調査しろ、何々を調査しろと具体的に労働組合の名前をあげ、その思想系統、そういうものもはつきり調査項目の要件になつているわけです。そうしますと、そこに共産党のフラクシヨンがおるといなとにかかわらず、労働組合というものは、労働組合法によつて保護されているところの民主的団体です。これは何ものにも侵されない。たとえば、労働組合法の第一条第二項を見ても、暴力の行使に対しましては法律で違反になりまするけれども、その他の点につきましては、すべて法の保護を受けているわけです。もし自衛隊が、いわゆる治安維持上、つまり内乱や直接侵略に備えて調査をしなければならぬということになつて参りますと、憲法で保障されておりまする労働組合の権利というのが、そこから侵害されて来るということになつて参りまして、つまり防衛庁法なり、あるいはその他の自衛隊に関する法律と労働組合を保護する法律との調和、そのバランスをどこに求めるかということになつて参りますと、これは非常に重大な問題になつて来ると思うのです。このけじめがはつきりしませんと、絶えず国家のために、治安維持のために、あるいは侵略のために、内乱のために調査をするということになりまして、そのために労働組合の権利が侵されて行くということになりますので、この点は当労働委員会としましては非常に重視しておる点であつて、この点については、もう少しつつこんでお互いに研究してみる必要があるのじやないかと私は考えますが、御質問はありませんか。
○多賀谷委員 今の問題に関連がありますので質問いたしたいと思います。ことに調査の手続がきわめの慎重を欠いておる、また長官のさつきの話の中にも、前の方には誤解を招くような答弁があつたという、そういう意味において質問いたしたいと思います。 最初島上委員から項目が例示され、その項目に基いて調査をしたのだ、こういうことに対する質問に対して、調査は何も悪くない、行き過ぎでない、こういうお話があつた。ところが島上委員が調査をして来ての報告によりますと、現地の松田司令は、闘争経歴とかあるいは、左右の別ということは行き過ぎだつた、こういうことを認めておる、また現地の労政課長も、組合との会談において次のように述べておるのであります。労政課ではそのようなことは調査していない、もしかりに調査していたとしても回答はしなかつたであろう、ともかく自衛隊がどういうことを言つたか知らないが、天地神明に誓つてそのようなことは申し上げておりません。こういうことを言つておりますし、さらに二十九年九月三十日の秋田県の定例本会議におきまして、小幡谷政吉県議より知事に対して、この問題について質問をいたしておる。それに対して知事は、御指摘のような闘争経歴とか左右の別、その他の思想上の事項については、何らお答え申し上げておりませんから、さよう御了承願いますと、こういうことを答弁をしております。こういうことを考えてみますと、現地の松田司令も、なお県庁の労政課長も、知事も、ともに左右の別とか闘争経歴ということを調査するそのこと自体は、やはり行き過ぎだ、こういうことを考えておつたと思うのです。先ほどの長官の答弁では、いや、こういうことも行き過ぎでないと、こういうことを言われておる。これはその後の答弁で、どうもそのこと自体は、長官の真意ではなかつたようにも考えられます。その点はつきりいたしませんが、念のためにお答え願いたいと思います。私は左右の別とか闘争経歴というものは、今の県庁の労政課が考え、かつ言明いたしましたように、これはきわめて重大なことでありまして、労政課としては、そういうことを回答すべき性格のものでもないし、また、県の執行部の長である知事としても、そういうことを言うべき筋合いでないと、こういう問題については、かように慎重に対処しているわけです。これについて長官の方では、あくまでもそういうことを調べるのは何も行き過ぎでない、こういうふうにお考えであるか、お尋ねいたしたいと思います。
○木村国務大臣 私はすなおに解釈しておるのであります。労政課でこういうことは答弁する限りにあらずということであれば、それでよろしいのです。それをつつ込んで、われわれの方ではさらにこれを調べようという意思は毛頭ありません。先刻申し上げましたように、左右の別というのは、私は何も思想とかなんとかいうつもりで書いたわけじやないので、おそらく組合の経歴、この問題に触れてのことであろうと私は解釈しております。すなおに解釈しております。そこで係の者もこれを行き過ぎであつたというのは、また受取れるのです。その経歴もあるのでありますから、さらに左右の別ということを書くこともなかつたであろうと考える、その点を行き過ぎであろうと認めているのではなかろうかと考える。われわれといたしましても、そういうことをつつ込んで行こうという意思はないわけです。申すまでもなく、私のこの指令において求めておるところは、施設なんです。施設を警備上これを保護して行かなければならぬ、それについての人的物的のあり方をすなおに知るということにすぎないのであります。
○多賀谷委員 木村長官は、すなおにお考えになつておるようであります。労働組合に対して、すなおであることはけつこうですけれども、慎重さが欠けていると思う。先ほど、神経過敏になる必要はないのじやないか、こういうお話もあつた。しかし、日本の労働組合が過去の思想調査その他の弾圧の歴史を持つておりますから、またそういうものが再現し、復活しはしないかという危惧を持つておる。そこで、これほど大きな問題になつて、あるいはこの委員会にも持ち出され、また県庁では本会議にもこの問題の質疑応答がなされておる。こういうような事情があるわけです。それでありますから、私は施設の保護であれば、何もこんなことまで調査をされる必要はない。確かに松田司令が言い、また県の労政課当局が言いましたようにこういうものまで立ち入つて調査する必要はないのじやないかと、かように考えるわけであります。私はすなおに簡単に考えていいのじやないかと言われるそのこと自体を、すなおに受けますけれども、それについては、長官は少し労働組合の実態というものの認識がないから、そういうお考えであるけれども、労働組合は過去の歴史において非常に神経過敏になつておることは事実ですから、やはりこういう点は慎重に取扱つてもらいたい。今後闘争の経歴、左右の別というような調査はされないように、さつき長官から治安上という言葉は穏当でなかつたなら、今後使いません、こういう言明がございましたけれども、そういう点もやはり考慮願いたいと思います。もう一度長官の答弁をお願いします。
○木村国務大臣 そういう点については、十分考慮いたしましよう。刺激になるようなことは十分今後慎重にやつて行きましよう。
○赤松委員長 私は念を押す意味でちよつとお尋ねしておきますが、事実、今長官がおつしやつたように、すなおに考えれば、県の労政課に行つて出版物を要求するということは、調査の方法としてはきわめて幼稚だと思う。従つて、そのこと自身やはり問題が含まれておりますけれども、今多賀谷君が言いましたように、そういうことがだんだん重なつて参りまして、最後には自衛隊がその職権を侵して、任務を逸脱して労働組合を断圧するような方向に行くのじやないかということを、私どもおそれておるわけです、 そこでお尋ねしておきたいことは、さきに公安調査庁等もできました。それはそういうことをやるところの役所なんです。また国家警察もちやんと整備されております。自治警は、今度国家警察へ移行しました。そこで自衛隊としましては、今後特別な調査班なり調査課なり、そういう特高的な、憲兵隊的なものを設けて、秘密の間に思想調査をされるような意思があるのかないのか。もし意思がないとすれば、この際ひとつ明確に言つておいていただければ、それから今度は労組と自衛隊の任務の調整をどこでやるかということを、本委員会でさらに研究して行きたいと思うのですが、その点について、いかがでございましようか。
○木村国務大臣 自衛隊自体といたしましては、さような思想の調査というようなことは、絶対にいたしません。
○赤松委員長 それではこの問題は重要ですから、さらに継続するといたしまして、長官、本日はこれでけつこうです。 —————————————
○赤松委員長 国際協力局の第三課長の安川課長がお見えになりましたから、引続き質疑をいたしたいと思います。大橋君。
○大橋(武)委員 協力局の局長にお出かけを願いたいと思いましたが、せつかく課長がおいでになりましたので、この際質問をいたしたいと思います。 あるいは課長はまだ内容を御存じなかつたかもしれませんが、先日米軍の基地におきまして、日本婦人の従業員を解雇いたしたことがあり、その解雇の理由等につきまして、当委員会で調査をいたしてみたのでございますが、その結果、今年の春本委員会へ参考人として出頭をしたその事実が、解雇の重大な理由になつておるのじやないかというふうな感じを受けておるのであります。この問題につきましては、本人はここにおられまする牛島という婦人でありますが、この問題について、新聞等において、あるいはお役所の方でごらんになつて、今まで何かお取調べになつたことがありますかどうですか、これをまず伺いたい。
○安川説明員 本件につきまして、外務省としましては、日付は忘れましたが、たしか先週の中ごろであつたと思いますが、新聞紙上に報道せられましたのを見まして、もし新聞に報道されておるようなことが事実であるとすると、これは多少日本の労働法その他の関係で問題があると考えましたので、さつそく書面で米軍の極東軍司令部の方に、新聞記事を添えて申入れをいたしまして、こちらとしては、新聞記事に出ておるようなことが事実とすれば、日本側としてもいろいろ問題があるということについて注意を喚起いたしますとともに、この新聞に現われた記事が事実であるかどうか、特に解雇したことが事実であるかどうか、また解雇したとすれば、どういう理由で解雇したのかということを十分に調査して、日本側に至急に回答するように実は申入れたのでありますが、これは新聞記事が出ましたたしか習日だつたと記憶いたしております。その後、さらに電話でも催促いたしたのでありますが、実は御承知のように、先週は木曜日が軍の休日であつたかと思います。その後また週末があつたものでありますので、軍として今調査をしておるけれども、時間的な関係でまだ調査が完了しておらないので、本日までのところまだはつきりした回答ができないということで、少し回答が遅れるからという連絡がございました。外務省としましては、現在のところ、軍から正式に何らか本件に対する事実の調査に関する通報を待つておるという状況でございます。
○大橋(武)委員 なお、この問題につきまして、日本側の従業員の諸君が、団体交渉等をいたしておることになつておるのでございますが、これにつきまして、外務省としてはどういうふうなお立場をとつておられるか、その点をこの機会に伺つておきたいと思うのであります。聞くところによりますと、従業員の労働組合について、米軍側においては、比較的理解が薄いのではないか。ことに普通の日本の施設におきましては、労働者の団結権、団体交渉権等は、当然雇い主側で認めなければならないことになつておりますが、こういう日本の労働組合に対する雇用上の慣行等について、米軍側がどれほどの理解を持つてくれておるか。その点について、過去の折衝の御経験等でお感じになり、あるいはお認めになつておられることがありましたならば、この機会にお話いただきたいと思います。
○安川説明員 日本人の駐留軍に勤めております従業員の組合活動と申しますか組合関係につきましては、普通の場合でありますと、いわゆる間接調達と申しますか、一般の従業員は、日本政府が雇用主となりまして、米軍はただ日本政府が雇用した従業員を直接の監督下において使用する。従いまして、組合法上の雇用主と労働者という関係は、普通の場合でありますと、日本政府対日本人の労務者という関係になつておりますことは御承知の通りだと思います。その場合は、もちろん労働者の方で組合を結成いたしまして、その雇用主は調達庁ということになつておるのでありますけれども、調達庁対組合の団体交渉なり、その他の交渉は、原則として日本の国内の他の民間の労働者の関係と同じ法律関係において律せられておることは御承知の通りだと思います。ただ、今回問題となりましたいわゆるメイドと申しますか、家事使用人は、現在はこの間接雇用の組織からはずされておりまして、いわゆる家事使用人として、軍と申しますか、軍のそれぞれの個人が直接に雇用する、いわば日本における家庭の使用人と同じ形態をとつておりますので、その関係におきましては、いわゆる間接雇用の労務者と日本政府との関係とは若干違うのではないか、いわゆる日本政府としては、このような家事使用人の雇用主の立場にはなく、米軍の各それを雇用しておりますところの軍人なり軍属自体が、それぞれの家事使用人の雇用主の立場に立つておる。こういう関係で、一般の日本人の駐留軍労務者とは若干立場を異にしておるのではないかと思います。そこで、そのような家事使用人の組合活動につきましては、直接外務省で、今までこの問題について米軍と話し合つたこともございませんし、またこれは私の方の調査不十分と申しますか、知識が足らないのかと思いますが、従来、そのような家事使用人が組合を結成して、団体交渉なりそういう行動をとられたということも、よく承知しておりませんので、その点従来の事情がどうなつておるかということは、ちよつと私からはお答えいたしかねる次第であります。
○大橋(武)委員 そうすると、家事使用人の場合においては、労働組合あるいはそれに準ずるような組織は、外務省としては承知しておられないというふうに伺つてよろしゆうございますか。
○安川説明員 外務省としましては、そういう組合が組織されたというようなことを正式に——これは正式に通告がかりにあつたとしましても、外務省がそういう正式な通告を受けなければならぬとか、また結成した方も必ず外務省に通報しなければならぬという法律関係はないと思います。法律関係は別としまして、事実上そういう組合が結成されておるというような事実は、従来聞いておりません。多少そういう動きがあるということは、間接に聞いたことがございますけれども、直接にそういうふうな情報と申しますか連絡を受けたことは、私の記憶する限りではございません。
○大橋(武)委員 この機会に、ちよつと簡単な質問を参考人、ことに牛島さんに伺いたいのですが、今外務省で、家事使用人についての労働組合というものは、まだできたという話は承知しておりません、こういうふうなお答えでございました。確かめておきたいのですが、家事使用人についての労働組合というものが、現在牛島さんの御関係の基地にあるかどうか。そうしてまた牛島さんの問題について、けさほどのお話を伺つておりますと、組合が団体交渉されたようにも聞いておりますが、それは一体どういう組合であるのか、おつしやつていただきたい。
○牛島参考人 その点、田村さんからお願いしたいと思います。
○田村参考人 私からお答えいたします。宿舎要員だけの単独組合というものは、現在のところはございませんで、宿舎要員も駐留軍の基地の中で働く労務者だという見解のもとに、私たちは基地に働くすべての労働者を結集いたしまして、全駐留軍労働組合というものを結成いたしております。そのうちの東京地区本部の成増支部というところがございまして、この成増支部と申しますのは、グラント・ハイツという地区全体の労務者で構成しておる支部でございます。宿舎要員も、その成増支部の構成員になつております。なお全国的に申し上げますと、広島地区及び宮城地区、東京におきましても、最近二つばかりの基地におきまして、宿舎要員がやはり全駐労のそれぞれの支部に所属しております。
○大橋(武)委員 組合の問題は、またあとでもう少し伺うことがあるかもしれませんが、安川課長お急ぎだそうですから、安川課長にお伺いしておきたいと思います。 この問題につきましては、外務省でいろいろ今日まで円満解決について御心配になつておるようでありまして、特にその前提として、実情について軍側に御照会中であるということを伺つておるのでありますが、この解雇の理由等が、日本側としては当然認めなければならぬような妥当な理由でない、どうも理由がおかしいじやないかというようなことが、今後外務省の得られる回答によつて明らかになりました場合には、外務省としては、今後、軍との折衝によつて、牛島君の復職について御尽力を願えるかどうか、どの程度の外務省としてのお考えをお持ちになつておるか、もし許されれば、この機会に伺つておきたいと思います。
○安川説明員 先ほど申し上げましたように、目下軍側の調査の結果を待つておるわけでありますが、軍側から何らかの調査の結果の通報がありましたら、十分にその内容を検討いたしたいと思います。これは純国内法的な立場からも、よく検討してみなければならぬと思います。この点は、外務省として労働法の解釈につきましては、この場合の解雇というものは、一体労働組合法上のどういう関係で律せられるべきものであるかということは、十分関係各省とも協議して、法律的な見解も十分突き詰めて明らかにしたいと思いますが、その法律上の問題は別といたしまして、これは軍側の回答の内容にもよるわけでございますが、本質的には外務省としましても、なるべく事を円満に解決するという意味におきまして、本人が復職——これは理由いかんによるわけでありまして、こちらとしても解雇がやむを得ないと認められるような理由があれば別でございますが、これは向うの調査の結果次第によりまして判断すべき問題であると思います。外務省としても、本質的にはなるべく円満に解決したいという考え方であります。本人の復職ができれば、それに越したことはないと思いますが、かりに同じ職場に復職できないというような場合にも、何らか他の救済策はないか。たとえば、ほかの職につけて支障のないようにはかるというような実際的な方法について、十分軍側とも協議したいという考えでおりますが、現在のところ向うの調査の結果を待ちませんと、はつきりどういう措置をとるということは、ここでちよつとお答えいたしかねます。
○赤松委員長 安川君、実はきようここで、三派から決議案が出て来たわけです。それで大橋委員から、ちよつと待つてくれ、一応あなたの方を呼んで事情を聞いてみようということで、事情を聞いて、あなたの方で明日までに調査してもらう、こういうことになつておるわけです。それで、一応明日、本委員会に報告していただくということにいたしましてどうでございましようか。
○大橋(武)委員 今の委員長のお話、けつこうだと思います。ただ、今安川課長から、できるだけ円満に解決したいというお考えであるということを言われたのでありますが、円満に解決するというのは、向うの言いなりに黙つて承知するのも、円満な解決かもしれませんが、そういう意味ではなくして、事情によつてこちらの正しい立場というものが不当にそこなわれておるというようなことが今後明らかになつたとすれば、それはあくまでも正しい立場を守り通すという意味において、円満な手段によつて解決する、こういうふうなお考えだと思います。そういうお考えのもとに、ただいま委員長の言われたような趣旨で進めていただけばたいへんいいと思いますが、一応はつきりこれをお答え願いたいと思います。
○安川説明員 ただいま大橋委員の仰せられましたような趣旨におきまして、努力したいと考えます。 それから、明日までということでございますが、これは実は昨日であつたと思いますけれども、電話で、これは国会の委員会でも問題にされておる、外務省として、いつ国会の方から問合せがあつてもすぐに回答ができるように、それに間に合うように調査を完了してほしいということを、重ねて催促したのでございますが、先ほど申しましたように、休みが重なつたというような関係がありまして、遺憾ながら今日までには間に合わぬかもしれぬ、もう少し時日をかしてくれということでございましたので、明日ということでございますが、さらに軍側には督促いたしますけれども、私はここで軍側の回答が必ず明日もらえるということを、ちよつとお約束できかねますので、その点はあらかじめ御了承願いたいと思います。
○鈴木(正)委員 関連して。大体大橋委員の質問で尽きておりますが、最後に大橋君が言われました、円満というのは、ただ向うの言うことを聞いて、向うの報告に従つてその通りにやるということではない。これは大体課長もおつしやつたのでありまして、それでよろしいわけでありますが、一つ、課長が先ほど言われた中で——これは決して言葉じりをつかまえるわけではありませんが、たとえば転職なり何なりというようなことによつてと言われましたけれども、私は転職するかしないかということは、個人の最後の救出の方法としては考えられるけれども、この問題のほんとうの解決は、日本の労働関係の法律をどういう関係においてアメリカが実施しておるかという点を明らかにするということが、一番大事な点だと思います。従つて、円満ということに、むろんわれわれも協力しますけれども、その点を頭に入れておかれて折衝していただきたいということをお願いしておきます。
○赤松委員長 米軍側にも、こういう勧告の結果が出ておる、そこで明日ということになつて、明日回答がなければ、三派でもつて提案したことを議決するわけですから、この事情をよく話してください。明日、とにかくあなたの方でもう一ぺん向うと折衝した結果を報告してください。それではさよういたします。
○多賀谷委員 決定はありましたが、もう一度私は外務省にぜひ要望しておきたいと思うのです。この問題は、雇つている雇用主が気に入らぬから解雇したということではないので、むしろ住宅地区司令官の意図で——あるいは司令官個人じやないかもしれませんが、司令官として解雇というよりも、管理権の濫用をやつて解雇に陥らしめておる、こういうことであります。雇つている本人の家庭、また付近の家庭も、非常にいいハウス・メイドだということを立証しておる。証人にもなつておる。ここへ文書も来ておりますが、そういうことで、この問題は、一個人が労働関係を無視して解雇したということでないので、私は今後の折衝にも、非常にむずかしい点がありはしないかと思うわけです。しかもこの問題は、十分御存じのように、本人が衆議院の労働委員会において、ハウス・メイドというのは労働基準法の適用もされてないのだという実情の訴えをいたしまして、客観的な事実の話があつただけでありまして、しかも法律的に自分たちはわく外になつておるのだというお話を聞いたわけであります。何も米軍の態度がどうだとかこうだとかいうことではなかつたわけであります。こういう事情でありまして、われわれが取上げましたところが、これが解雇の大きな理由になつております。単によその子供をしかつたというのは、マッチ一本に値するものだということを、団体交渉の席上で言つておるそうであります。そういうことになりますと、団体交渉の議事録もありますが、われわれはきわめて重大な関心を持たざるを得ないし、国会の今後の審議権にも非常な支障があると思うわけでございます。加うるに、ハウス・メイドは全国に二万四千もおりまして、それが今全駐労の傘下に入らんとしておる機運の中に、今までそういう方面に努力された方が解雇される、こういうことにつきましては、これまた労働関係からいたしましても、重大な問題であると思います。そこで、私は外務省に、その回答の要求にいたしましても、一個人でない、いやしくも住宅群地区司令官の名において、管理権の濫用によつてこれが解雇になつておる、こういう点も十分勘案されまして、強力にひとつ回答を要求されることをお願いいたしておきます。
○安川説明員 外務省としましても、単に個人の雇用主がその女中を解雇したということならば、何も米軍に申入れをしたりはしないのでありまして、単なる個人関係ならば、これは日本の家庭でも、使用人が気に入らないからと言つてひまを出すということは、たくさんある例であります。もしこの事件が、純然たる個人関係ならば、外務省は何も申入れなんかしないのであります。今おつしやいましたように、これは管理権と多少の関係があるのじやないかとこちらも考えたからこそ、申入れをしたのであります。但し、管理権の濫用かどうかということは、これはわれわれとしましては、その当事者であります軍の言うことも十分聞いてみなければ、何とも判断できないのであります。そのためにこそ、軍に調査を申入れておる。決してこれを単なる個人関係の事件とは、われわれが見ておらないということは、われわれが調査を要求したということ自体でおわかりと思います。
○島上委員 もう一点、御参考までに申し上げておきたいと思いますが、この問題について組合と団交の際に、米軍当局では、ハウス・メイドは労働基準法が適用されていないのだ。アメリカ流に解釈すると、労働基準法が適用されていない労働者は組合をつくる権限がない。それにもかかわらず、組合をつくつて幹部の地位についておるということもあげているそうです。そして組合では、アメリカはそうであるかもしれないけれども、日本の場合には基準法を適用されていなくとも労働組合をつくることができるということを説明しても、それは組合がそう言つただけでは自分たちは了解できない、権威のある機関においてそういう点が明白になればそれは了承する、こういうことを言われたそうです。そういう点については、きよう本委員会において労働省当局が答弁されたところによつても明らかでありまして、基準法が適用されていなくても、当然労働組合をつくつて組合活動をする自由と権利が日本の労働法においてあるのだということを明白にされました。これは当然そうなんです。そういうことは誤解ですから、その点も折衝の際に十分に腹の中に入れて、アメリカの法律はそうであるかもしないけれども、日本はそうでないという事実を、はつきり理解させていただきたいということを申し上げます。 —————————————
○赤松委員長 次に、この際お諮りいたします。証券会社における労使関係について、警視総監江口見登留君より参考人として御意見を聴取したいと存じます。 なお港湾争議問題について、全港湾委員長兼田富太郎君を参考人として呼びたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 ではさよう決します。
○島上委員 警視総監が、ピケ・ラインに対して警官を出動させた際、その当時現状におつて最も現状をよく知つている組合側の人を参考人として追加されんことを要求いたします。
○赤松委員長 それでは細谷節也君を参考人として呼ぶことにし、もし細谷君の御都合悪い場合には他の者にかわつていただくということで、その人選につきましては、委員長に御一任いただきたいと思います。但し、組合側で一名では困る、二名もしくは三名にしてもらいたいという場合には、その人数の点についても、委員長に御一任願いたいと思います。 なお本日御出席の牛島、田村の両参考人は、明十七日も午前十時より出席くださるよう願います。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後三時十三分散会