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19回国会衆議院1954/10/05

労働委員会 第39号

発言数
122
登壇者
19
会派数
3
開催日
1954/10/05

会議録

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより会議を開きます。  失業対策、労使関係及び労働基準に関する件について調査を進めます。  本日は失業対策問題につきまして全日本自由労働者組谷中央執行副委員長坂本周一君、全日本自由労働者組合名古屋支部長内由基大君、東京自由労働組合組合長馬場大静君、関東地方特需労働組合協議会議長近藤誠君、以上の方々が参考人として御出席になつておりますので、順次御意見をお述べ願います。     ―――――――――――――

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 なおこの際お諮りいたしますが、労使関係に関する件につきまして、全国銀行従業員組合連合会中央執行委員長中尾敏雄君、全駐留軍労働組合書記長久保具人君の両君を参考任として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議がなければさよう決します。  それでは参考人各位より順次御意見をお述べ願います。全日本自由労働者組合中央執行副委員長坂本周一君。

坂本周一全日本自由労働者組合中央執行副委員長

○坂本参考人 ただいま委員長より御指名にあずかりました全日本自由労働者組合の中央執行副委員長でございます。われわれの問題につきまして、われわれ二十五万の失業労働者、失対に働いておる失業労働者の立場を代表いたしまして、これから参考意見の陳述をいたしたいと思います。  私が今ここで申し上げたいと思いますことは、すでに皆様方も御承知かと思いますが、八月二十五日付労働省告示によりまして、私どもの失業対策に働いておる者を体力検定をいたしまして公共事業の方に差向けるということが、全国の各地々々で問題になつておりまして、私どもの方にいろいろとどうしたんだというような間合せやら、それから各地のそれによつて起るいろいろの情報が入つておるわけです。私どもといたしましては、強制紹介を前提といたしまして体力検定をいたしまして、そちらの方に差向けるというようなことにつきましては、やはり失業対策法の精神に反しておると考えまするし、また基本的な人権を無視しておるのではないかという点に多大の疑念を持ちますから、ここでその点につい手申し述べまして、皆様方のよろしい御討議を願いたいと思うわけであります。  もともと失業対策という仕事の性質につきましては、すでに御承知の通りと思いますが、やはり何といいましても、昭和二十四年緊急失対法が制定されました当時は、ドツジ政策によつて失業者がたくさん出るであろうということを予測しまして、それの吸収あるいは救済ということを目途にして緊急失対法が生れて来たというふうに思います。従いまして法の精神は、あくまでも社会保障的な意図が多分に含まれておるというふうに思つておるわけです。しかし、それが年とともにいろいろな政策、たとえば政府がやつておるような、われわれ失業対策に働く者に対しまして、労働の対象とするような賃金政策、賃金の格付制度を実施する、あるいは職制、つまり監督制度を強化いたしまして、労働強化をしいて行くというような多面的な政策を取入れたために、最近に至りましては、社会保障的な色彩が逐次薄れまして、事業そのものが公共的な色彩になつて来ておるということは争えない事実であると思うわけであります。  このようなやさきに、また最近になりまして、強制的にわれわれ働く者に対しまして体力検定をやる、そうして体力検定に合格した者はどうしても公共事業の方にまわつてもらいたい。体力検定に合格しないような人は、これという意味は、まつたく失われてしうというふうに考えますから、私どといたしましては反対をいたさなけばならないと思うわけです。  その前に私どもの大体の現況を少し申し述べてみたいと思うのです。私ともの現況でございますが、働く意思と能力を持つていながら、やはり定職につくことができない。こういう中でとにかく何とかしてその日その日を食べて行くために、よんどころなく職業安定所の窓口をたたいて失業対策の仕事の中で働いておる。こういうようなことですから、その階層も各種各様であります。以前会社におりまして就職をしておつた人も、あるいる事業を経営しておつて事業不振のために失対に来た人、あるいはさらに大きな特徴として私どもが認めなければならぬのは、ほとんど半数近くの人が婦人層で占められておるということです。この婦人層たるや、やはり戦争の犠牲その他で夫を失い、多数の子供をかかえ、食うに困つてよんどころなく失対に来て働いておるというような各種各様、雑多な人が、失業対策の仕事の中で約二十五万の人が働いております。このような人が大体全国平均二十一日―政府は二十一日と申しておりましたが、最近の深刻なる失業者の増大に伴いまして、就労日数も漸次低下して参りまして、二十一日を割るようになりました。さらに全国平均いたしまして二百八十二円というような安い賃金で、日曜日とあぶれが続き、雨降りが続き、そのような状況でどうにもこうにもならないというような苦しい生活の実態です。こういう人に対しまして、今政府は三〇%ぐらいの人は公共事業の方に行つてくれ、こういうようなことを申しまして、強制的に体力検定をやろうとしておるわけです。  これにつきまして私どもは、過日労働省の、ここにおいでになりますが、村上失対課長に会いまして、どうなんでしようかということをお伺いしたわけです。その際労働省側は申しておりましたが、単なる適格紹介をいたしたい、公共事業の方に差向けるにいたしましても、だれがどのようなものであるかわからぬ、従つてからだの格付をして公共事業の方へ向けるというような、見込みの立つ者は公共事業の方へ行つてもらいたい。またそのような人は、私どもといたしましては特別訓練をして、いわゆる公共事業における小間割制度に耐えるような体力をつくつて行きたい。そのためには普通土工として一人前の技術を習得させるために、特別指導現場をつくつて失対の中でやらせる。そして長い修練を積んだ者は公共事業の方へ行つてもらう、こういうようなことを言つておるわけです。それからさらに軽作業もできないようなぐあいにきまつた者は、ひとつ失対をやめてもらいたい。これは生活保護でもとつて行くよりしかたがないだろうということでありました。これが失対に入る一つの新しい基準となるであろうということです。  私どもの考えといたしましては、失業者であり働く意思と能力を持つておる者は、ひとつだれでも失業対策の中へ入れてもらいたいということなんです。ところが現在私どもの失業対策の中には、基準がたくさんあります。その基準と申しますのは、主たる家計の担当者であるということが一つです。それはどのようにたくさんの家族構成の中でも、その家計の主たる担当者でなければならぬ、一世帯から一人以上はだめだ、こういう一つの規定があるのです。それから今度は、一世帯一人、主たる家計の担当者であるという基準のほかに、さらに体力検定という一つの基準が生れようとしているわけです。このようなことは、労働省の見解としてはつきり聞いたわけですけれども、これがいわゆる労働省の告示という形でもつて、全国において地域のすみずみからこの問題が行われようとするやさきに、実施に伴う摩擦、軋轢、いろいろな問題が出て来るわけです。その問題につきまして私の手元に参つておりまする少し具体的な例を出しまして御参考に供したいと思います。  まず秋田県の場合から申し上げますと、秋田県の労働部長は次のことを発表いたしました。  一、体力検査を行う。  対象者は、現在失対に働いている者全員、並びにこれから失対就労を希望する者。  体力検査を故意に受けない者は一切紹介しない。  体力検査の結果、重作業、中作業、軽作業の三段階に分ける。  二、土方作業など特別訓練を行う。  この訓練に耐えられないものは、失対にも紹介しない。  三、公共事業に紹介する。  これに応じない者は、失対にも一切紹介しない。  紹介を受けた者に対して、現場の遠い場合は、トラックや飯場の用意をする。  次に、県安定課坂本係長は、体力検査基準を発表した。それによりますると、体重に胸囲をプラスして身長で割りまして百倍した答えが八十三点以上はこれをA級として重労働を課します。八十点以上をB級といたしまして中労働を課します。六十八点以上はC級として軽労働を課す。六十八点以下の人は失対をやめてもらいたい。その他肺活量、背筋力、上膊力、健康診断すべてを行いまして、これらに適合しない者は失対をやめてもらいたい。あるいは公共へ行く。  次に島根県の場合ですが、   一、体力検査を行う。  期日は九月二十五日から十月五日まで、十日間。  検査を拒んだ者は失対の登録を取消す。  一定の基準に達しない者は、失対の登録を取消すか、軽作業に従事させる。  二、公共事業に就労させるために労務者を選んで、二カ月間特別訓練を行う。  三、その他、労務規律の強化、能率の向上、素質の向上を厳正に実施する。  以上であります。  次に徳島県の場合ですが、県の職安課長は次のことを言いました。  一、体力検査を行う  体力がある者は公共事業に強制紹介、する。もしこの場合、拒否する者は働く意志がないものとして失対から排除される。  二、公共事業に行く者は、二カ月の特別技能の養成を行う。但し、賃金は失対の賃金である。  三、これと並行して新失業者の公共事業への吸収率を引き上げる。  四、失業保険の待期期間の縮小、保険金の値上げは早急にはしない。  次に青森県のことであります。青森県は全国に先がけてこれを実施したようであります。九月十三日に職安側は掲示並びに拡声機によつて次のことを発表しました。  一、体力検査を行う。  能力に応じて、A、B、Cの個人査定をする。  A、Bを公共事業に送り込む。  二、公共事業に必要な特別作業訓練を行う。  一個班二十人で編成、それに指導員と監督を設ける。今までの労働力のむだを省き、三十人分の仕事を二十人で行う。  次に、組合と県職安課との交渉経過をお知らせします。  問 公共事業に送り込むために、ABCの段階が必要か。希望紹介にせよ。強制紹介になるおそれがないか。  答 身体を検査して、公共事業に送りこむ。Aがだれだとわかる方が都合がよい。紹介を正当な理由なくして拒否した場合は、失対から排除される。  問特別訓練現場は失対の労働強化にならないか、希望者を訓練するのか。  答 今まで通り、仕事をしてくれ、労働強化はしない、希望でとる。  問 女の労働者はどうなるか。  答 女の特別訓練現場は考えていない。  問 何人ぐらいを公共事業に送り出すのか、仕事量は、賃金は。  答 今のところ数字ははつきりしない、賃金のことはまだきまつていない。  問 シュミーズやズロースを持つて来いと言つているが、人権を無視することにならないか。  答 これは中止する。地下たびを脱ぐ程度で、やつて行くようにする。  問 公共事業へ行つて身体が続かぬ場合、失対で働かせるか。  答 事業主体の証明が必要である。そうでない場合失対から排除される。  こういうようなことが青森県では全国に先がけて実施されたのです。  次は熊本県の場合ですけれども、服部職安課長は  強制的に体力検査を実施する。  強制的に公共事業に紹介する。いずれも拒む者は失対から排除される。  大体具体的な例として申し述べたいのは以上でございますが、労働省の見解にもありました通り、これが単なる希望紹介でないということです。私どもといたしましても、公共に希望して行く人ももちろんあるでしよう。そういう人にまで私どもは決して反対するとは言つておらないのです。けれども、何しろ強制紹介というものを前提にして、このようなわれわれの弱い者を何だかんだ持つて行きたい。「労働時報」という本にも出ておりましたが、大体二十五万失対のうちから十万人くらいを公共事業の方へ持つて行きたいというような政府の意向も知つておりますが、このようなことで強制的にわれわれが失業対策の仕事から公共事業の方へ差向けられることにつきましては、われわれの基本的な人権を無視されるおそれがあるし、あるいは失業対策法の精神からいいましても矛盾しておるし、これを実施しようとする政府側の猛反省をここで促したいと思うのです。  私どもといたしましては、これの根本対策としてはやはり自主的に日本の自立経済が確立して、産業が上向きになり、そして互恵の平和共存の基盤の上に立つた失業救済の姿が何より望ましい。全員失業者のいないような新しい自立経済政策が一番望ましいのです。しかしながら、やはり当面しまして現在行われておる政府の失業対策の仕事、この仕事が年とともにこのように労働強化と公共事業化されて行く姿、これに対しては私どもとしては反対しなければならないのです。現在失業対策の持つておるあり方というものは、やはり失業者を救済し、吸収して行くような社会保障制度の一環としての姿であつてほしいと、このように思うのです。こういう意味で、簡単ではございましたけれども、大体私どもの考えておること、現在行われようとしておることの参考意見を、不十分ではありましたが終りたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 参考人各位にお願いしておきます。時間がありませんから、ひとつ簡略に陳述していただいて、必要なところはまた委員諸君からそれぞれ聞くと思いますので、ご協力をお願いしたいと思います。  それでは内田基大君。

内田基大全日本自由労働者組合名古屋支部長

○内田参考人 ただいま私どもの全日本自由労働者組合の中央本部の副執行委員長の坂本さんから、いろいろ述べられたと思いますので、私はできるだけ重複しないようにやつて行きたい、こう考えております。  根本的に、現在あらゆる面において失業対策の問題、失業者の問題が大きく国内の政治の貧困によつて問題になつておる、こう私たちは考えます。率直に言いまして、この正月の大蔵省の煙突に上つて、私たち東京の仲間が失対予算削減に対して大きく反対の闘争をやつて参つた次第であります。あのときは、大体国庫補助を半分にする、こういうことで、私ども全国の仲間が一斉に東京の仲間を中心に反対をやつて来たわけです。そもそも失業対策事業とは、国の政治の貧困によつて多くの国民の中に不景気をもたらし、国の経済も産業も行き詰まつたあげくの果てに、われわれ自由労働者として全国の安定所に五十万近くが登録されておるわけです。こういう国の政策によつて出された失業者を国は社会保障として当然手を打たなければならない、こう私たちは考えるわけです。しかるに、いまさつき本部の副委員長の言われたように、最近は一年度予算の百十一億円をふやそうという考えは毛頭なく、百十一億円の予算範囲内で、そうして失業者に安い土方作業をやらせようこれがはつきり言つて公共事業に吸収する根本的な問題だと私たちは考えております。われわれは、元来生れながらの土方や人夫ではない。工場で旋盤をなぶり、会社で事務をとり、あるいは戦争によつて夫を失つて未亡人となり、かつまた商売がつぶれて、税金で破産し、農村において二男坊、三男坊がやむにやまれず生きて行くための最後の土壇場として安定所に登録してある。この人たちを全部丸めて、アメリカの言いたいほうだいになる吉田政府が公共事業、いわゆる農民が農道や林道がほしい、こういう表面的な国民の要求、農民の要求の裏をかいて、軍事基地を結ぶ道路を着々とわれわれ安い失業者でつくろうとしている、これが今回の公共事業吸収の根本的な考えではないか、こう私たちは考えます。それによつて全国で――私は名古屋ですが、名古屋においては四つの安定所で今日このごろ一日に百二、三十人の新しい失業者がふえつつあります。この失業者のふえて来る数に対して、先ほども言つたのですが、予算をふやそうという考えは毛頭になく、一方的に強制的に体力を調べて、本人が好むと好まざるとにかかわらず一般の企業べ追いやる。こういう非常に悪辣な方法を特に最近政府はとんでもない閣僚会議できめておる。これに対しては、私たちは全国の失業者を代表して徹底的に闘わざるを得ないと考えます。さらに、三重県でも四国でも、それから愛知県の中でもあるのですが、新しくふえて来るこの失業者に対して安定所は登録を拒否しておる。登録をする場合は、現在おる人の首を切る、こういう天秤にかけて、実質的には厖大な失業者が安定所の窓口に殺倒しておるのですが、これを登録しない。三月も四月も安定所の窓口で、早くおれを登録してくれ、そうして働かせろ、この血の出るような要求を拒否している。これは憲法にも反するし、人権を無視する大きな問題だと私たちは考えます。しからば私たちの生活の状態はどうか。全国ではいろいろまちまちではある。さらに応能制の賃金給付をやろうとしておる。こういうことに対しては御飯をたき、子供の学校へ出るまわしをして、二里も三里もあるいなかの道をてくてくと、農村地帯から都会へ歩いて来る。そうしてやつと都会の町はずれまで来ると夜が明ける、こういう状態がわれわれの状態である。そして一日の賃金の一割五分から三割がその日の交通費にあてがわれる。実際の手取りはほんとうにほんのわずかで、どうしても食つて行けない。よつて仕事のありつけない日はほとんどの日、まめであろうと健康であろうとなかろうく日本のこの血液を売つて生活をつなしておる、名古屋の例で言いますと、私のおる熱田の安定所においては、組合員の六十名近くもこの血液を売る登録書を持つておる。ことに組合幹部の中に六名も七名も、この血液を売らなければ生命は保つて行けない、一家を支えていけない。こういう状態になつておるわけです。そしてさらに公共事業の吸収にも出ておるのですが、もともとわれわれは土方ではないのだが、土方にして、そして作業能率によつて賃金を払う、それから個々の人間に対して賃金をきめてしまう。これは失業対策事業としては、法律の趣旨からいつても大きな間違いではないかと考えます。愛知県の豊橋と刈谷においては―特に豊橋においては、第二組合を安定所と市がでつち上げて、そして混乱をさせ、その中において人間個々に対して、お前はどこへ行つても、かりに私なら私がどこへ行こうと、これ以上の賃金はやらない。こういうぐあいに人間格付の賃金給付をやつておる。さらに応能制の賃金給付をやろうとしておる。こういうことに対しては過ぐる夏期の手当要求のときのように、村上失対課長すら、そんなことはあるはずがない、こういうことを言つている。しかし事実は、全国の末端においては着々とこれがなされておる。  こういうぐあいに見まして、本部私どもの副委員長が言つたのですが」確かに一家の主人は家庭の父親、案がおらなければ母親、母親が病気であればそのうちの長男か、こういうぐあいに常識では考えられる。しかし今日の日本の状態の中で、一家の主人だけが働いてその家庭が支えられて行けるという私たちの家庭は、一体どのくらいあるでしよう。国の高級官僚か、あるいはある一部の資本家以外に、一人働いてその家族が養えるという実態は、私たちは現在の日本の状態においてはないのではないか。従つて、そういう上において、ましてや主人が失業しておる失業者の家庭においては、当然その細君も何かの職を求めて働かざるを得ない、これが現実のわれわれ日本人の姿であるし、生活の状態であると思う。しかし、わずか生活保護そこそこの働いて得る賃金に、これを二人働かさない。家族が六人、七人あろうと、これは一人しかだめだ。こういうことで、われわれがこの苦しいどろ沼の中から起き上ろうとしても許されない。ますます私たちは泥の中にはまつて行く、こういう状態に追いやりつつある。  そういう中で私たちは、少くとも今のこういう制度ではだめだ、もう少し国がほんとに國民のことを考えるならば、失業のない国―吉田さんはアメリカへ行つて中共貿易をやらぬなどと大きなことを言つている。しかし私たちは率直に言つて、アジアの隣同士―もちろんアメリカもいいでしよう。どこの国とも貿易をやつて、日本の産業をもつと発展させる。そうして戦争によつて、一時の好景気によつてしのごうという資本家や現在の政府のやり方に対しては、まつこうから反対せざるを得ないと考えます。そういう意味において、すぐにでも平和的な産業を興し、そうして貿易を興して、根本的に工場におる労働者が首を切られなくても済むような方針を立てなければ、いくらここで小手細工をやり、公共へ強制的に追つてみても、現在の一般土建業者はそんなに仕事がありはせぬ。われわれのようにからだの弱い人を無理に公共事業に送つても、現在の鹿島にしても清水にしても、自分の持つておる労務者だけでせい一ぱいだ。われわれをそんなに吸収したつて、結局その組の持つている人夫が失業者にならざるを得ないと私たちはこう考えます。そういう意味で、一日も早くこの腐り切つた政治経済を根本的に直して、そうして八千万の日本国民がほんとうに手を握つて明るく笑つて暮せる方針を立ててもらわなければ、いつまでたつたて――ことしの暮れも、おそらく労働省や大蔵省へ来るでしよう。われわれは越年手当をよこせ、もち代をよこせと、あるいはこの国会を取巻いてやらざるを得ないでしよう。われわれは動物でない、けだものでない。人間である以上は、一回事を重ねたたびに、やはり進歩し前進しなければならない。同じことをいつまでも繰返すようなことでは、人間ではないと思う。こんなことをいつまでも労働省がやろうとするならば、おそらく日本国民全部は立ち上らざるを得ない。そうして吉田を初め各閣僚や日本の支配者階級どもは、アメリカヘさつさと帰つてもらつた方がいいんじやないかこう考えます。  最後に具体的に私たちの要求なんですが、根本的にはそういうことで、政治、経済の方針を直してもらいたい。現在の私たちの要求は――国は二十一日の就労日数だと言つている。屋内労働者が割合に一箇月よう働かぬから、屋外の賃金労働省は二十一日でいいんだ、これも労働省は言つた。しかしわれわれは二十一日で全国平均二百八十五円で食えるということは、とうていどんなそろばんをやつてみてもできぬ。最底一箇月二十五日は働かしてほしい。それから食える賃金を保障してもらいたい。国の政策によつて失業者に対しては、本人にだけは最底一箇月八千円、家族一人増すことによつて千円ぐらいの家族手当をやつてほしいと考えます。それから社会保障なんですが――もちろん失業対策事業も社会保障でありますが、われわれ日雇いには何でもかんでも日雇いという言葉が使つてある。日雇い健康保険、日雇い失業保険とあるが、この日雇いはとつてもらつてけつこうだ。これは一般の健康保険、一般の失業保険に直してもらてくれない。これは徹底的に根本から直してもらいたい。現在大体一箇月の直してもらわなければならない。私たちは、あふれて仕事にありつけなかつたら、その日に二百円ほしい、こういう考え方であります。それから少くと取巻いてやらざるを得ないでしよう。ども、実際には歯が入らぬ。休業補償もない。歯が入るように、休業補償があるようにやつてもらいたい。それから失業保険でありますが、これは終戦後失対法をきめられて、失業保険法がきまつて以来、一ぺんも直してくれない。これは徹底的に根本から直してもらいたい。現在大体一箇月の間に六日まで仕事がありつけなくて、七日目にその人間に百四十円くれるという、まつたく詐欺行為の失業保険は直してもらわなければならない。私たちは、あぶれて仕事にありつけなかつたら、その日に二百円ほしい、こういう考え方であります。それから少くともわれわれ失業者がほんとうに自分の定職につくなり、あるいはほんとうに工場労働者になるまでは、私たちの子弟に対しては教育費は無料にしてもらいたい。それから私ども失業者に対する税金、電燈料金、ガス代、こういうものもせめて半額ぐらいにはしてほしい。  大体以上のことが私たちの要求であるし、お願いであります。これで終りたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 馬場大静君。

馬場大静東京自由労働組合組合長

○馬場参考人 私は全日労協議会議長並びに東京自由労働組合を代表いたしまして、陳情並びに意見を申し述べてみたいと思います。  本日の労働委員会でどういう問題を開かれるものか、ちよとわからなかつたのですが、いろいろ事情を勘案してみると、体力検定が問題になつているような観点から申し上げますと実は失業対策に就労するわれわれ労働者が、いかなる面から今日そういう社会問題の一端とならなければならないかということは、すでにご承知のごとく、戦争の痛手によつて、大きく言えば政治の貧乏、政治の貧困から失業者というのを何の救済方法もなくさらけ出してしまうというようなことが、今日相当大きな社会問題化し来た原因ではないかと思うのです。ただこれに対しての問題といたしまして、要はその救済方法としては、ほんとうに生活のできる救済策ではなくて、政府がただ単に社会面に言いのがれ的の政策のようにしかわれわれは受取れないということが、多分に見受けられるわけであります。それはなぜかと申しますと、今までの各代表がいろいろ説明いたしたようでありますから、重ねて説明はいたしませんが、われわれの就労日数の面からいたしましても、また扶養家族の面からいたしましても、申し上げてみれば、就労日数の面から行けば、大蔵省、労働省が基準として出したのは、就労日数の全国平均は二十一日として見ておる。しからば二十一日で、一体三十日の残りの九日の生活はどこで営んで行けるかということになりますと、おそらくわれわれの今日の失業対策に就労する賃金では、残りの九日の生活を営んで行けるだけの賃金はもらえてはいということと、もう一つは、これは地方別にいえば、新潟あるいは富山の方のいなかの人も、あるいは東京都並びに新六大都市に居住する失業者も、同じ平均日数でこれで生きに行けというのだつたならば、これはまことに餓死させるための政策としかいわざるを得ないのであります。だから、こういう欠陥も、まず地方庁別に見た場合にはある。これについては、大蔵省当局においても労働省においても、その地域地域の就労日数の面に何ら考慮を払つていないというやり方、もう一つは、扶養家族の面でありますが、御承知のごとく貧乏人の子だくさんというような面で、昭和二十四年の十一月でありましたか――それまでは日雇い労働者の扶養家族は平均二人というようなみなし方をしていたわけです。その日雇い労働者の扶養家族の二人というのは、一体どこから算定基礎を持つて来たかと申しますと、私が当時の大蔵省の忠調査課長の言を聞きますと、東京都の江東区でありますが、高橋のどや生活をしている二百数十名の人を当時対象として日雇い労働者の扶養家族は二人なりという見方をして、これを全国的の日雇い労働者の扶養家族算定の基礎に置いたのだというようなことを当時は言つておつたわけです。しかしわれわれとしては、当時あくまでもそういうばかげたことはあり得ないということから、まずわれわれの資料として大蔵省に持ち込んだのは、東京都の豊島区あるいは品川区、港区、千代田区等約五区くらいにわたる四千八百数十名の人たちの実態調査をやつた結果が、要は扶養家族二・八というようなところに至りまして、扶養家族三人ということになつたのであります。こういう扶養家族の面においても、国自体が資料を面密に調べないで、そうして大ざつぱな方法によつて――これは日雇い労働者なるがためにそういう算定基礎をやつたものかどうかわかりませんが、大ざつぱな算定基礎でやつて今日まで来た。そういうやり方と、もう一つは、われわれが今日賃金の面からいつて、先ほど申し上げたように一日まかなえるような、家族と生活して行けるだけの賃金はもらつてないという現実の中にあるにもかかわらず、今日現在の紹介法の面から申し上げれば――私は体力検定があえて妥当でないとは申し上げません、東京の一部分の例をとつて申し上げれば、必要な部面もあるのであります。それはどういうところに必要であるかと申しますと、まず港湾労働者あるいは民間を主とした労働者の紹介を行わねばならない安定所については、当然その業務に携わる安定所自身は、個人々々の労働に耐え得る体力ぐらいは知つて紹介を行わねばならないのではないか、そうしないと正しい紹介法に基く紹介ができないじやない。そのためには、まず私自身の体力を私自身が知ることも必要であるというような観点も持つわけであります。たとえて言えば、もしかりに私が五十キロぐらいしかつげない体力しか持つていないとすれば、それを今日再軍備が相当強硬に進められておる折柄でありますから、そういうふうな観点の場合には、往々にして今後おそらくある事業者から、ここに突貫工事の労働者が百人必要であるというような場合において、もし体力検査をしていない、体力検定を何もしないで現在のままの状態であるならば、その百人を、突貫工事の中に弱い者も耐え得る者も一緒にしてほうり込んでしまつて、頭数だけそろえてその事業を遂行せしめるというような、まことに危うい点も出て来るというようなことがある。しからば、それに対してわれわれがどういうふうな意向をただいま持つているかと申しますと、そこに何ら法的に基因するところの交渉をする余地がない。もしここに馬場なら馬場というものが、体力検定で五十キロしかかつげないという体力検定の上にはつきり現われたものがあるならば、もし私に五十五キロの品物をある職場に行つてかつげというようなことになつたとすれば、当然これは強調労働というような面において――今日の段階においては、強制労働をせしめたということにおいて、当然ここにわれわれの交渉の糸口は切れるものだというような面も出て来るじやないか。これは例でありますが、そういう面から考えた場合においては、あえてこれが妥当であるとも言えないし、妥当でないとも言えませんが、こればひとえに政府が体力検定を行う意図、目的がどこにあるかということが、まず問題ではないかと思うのです。今日体力検定を行おうとする意図は、これは私の臆測かもしれませんが、今日大蔵省当局あるいは労働省の見解を聞いてみましても、失業者が相当氾濫して来ても補正予算を組もうとしない、一兆円内の予算において何とか切り抜けて行ごうというところが見受けられる。さすれば、現在の五十万人に匹敵する日雇い労働者、かつまた失対の手帳を持つている二十六万数千人の労働者の中から不適格者を出して、そして予算を増額せしめないで、その不適格者を一応排除して――不適格者というよりも、むしろ体力検定を行つてそれに合格しない。あるいは政府の基準に当てはまらない人は一応除外して、その除外した穴に、今申しました登録手帳でももらおうという人を埋めて行こうというような、今日の社会情勢から言えばまことに好ましくないような意図を持つた方法をもつて体力検定がなされようとするならば、これは今日の社会情勢上大それたことであると私は思います。だから、根本的には政府の目的がどこにあるかということをまず追究しなければ、この点についてははつきりしたわれわれの見解は申し上げられない。あくまでもわれわれとしては市しい紹介を受けて、正しいわれわれの体力に基く仕事に就労して行きたいというのがわれわれの希望である。いつまでも生活保護法的、なものを受けて、高度化しない日雇い労働者としてわれわれが行くことは、決して望んでいないと思う。そういう面から私はまず政府にいろいろ聞きたい点もありますが、この席上において聞かれないとするならば、今後われわれの交渉の走おいてただして行きたいと思います。あくまでも体力検定を行おうとするその目的がどこにあるかということを、労働委員会としては率直にわれわれの意見をくんでいただいて、問いただして、基本線に乗つけていただきたいと思うわけです。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 失業問題につきましては、なお午後労働大臣が出席をしまするし、今閣僚会議をやつておりますので、その結論も聞かなければなりませんから午後継続するとしまして、午前中ぜひここで取扱つておきたいと思いますのは、全銀連の問題、それから特需の問題でございます。駐留軍の久保君の方は、午後国際協力局が出ましてからお願いしたいと思います。  そこで大蔵省側の方も他の委員会で呼ばれておりますので、参考人の公述も、なお委員が質問しなくちやなりませんから、できる限りその質問の時間をいただきたい。一時から労働委員会を再開しますから、休憩時間もございませんが、簡略に全銀連の中尾敏雄君と、それから関東神方特需労働組会議長の近藤誠君とお二人にお願いしたいと思います。近藤君が先に来ておられますから、近藤君の方から……。近藤誠君。

近藤誠関東地方特需労働組合協議会議長

○近藤参考人 時間がないそうで詳しく申し上げられないのは残念ですが、私は関東地方特需労働組合の議長の近藤誠でございます。これは関東地方と申しましても、大体東京都と神奈川県、この二つにまたがりました各企業の協議体でありまして、約三万名の組合員を持つております。特需の問題につきましては、従来いろいろ各庁やあるいはこの労働委員会賦等を利用させてもらいまして、その実態を述べ、あるいはいろいろな点で要請を行つて参りました。  なお、一応ここで簡単に説明をしたいと思いますが、特需という範囲の中に、需品と役務提供とこの二つの内容がございます。今われわれが申し上げますのは、この後者の役務提供の特需でございまして、需品特需というのは、一般の民間産業の中に部分的に、あるいは全体的に仕事を受けてやつておりますが、役務提供というのは、その約半数は自分の工場を持ち、その半数は自分の工場を持たないで、政府のかつての軍工廠的なものの工場を利用して仕事をしております。この役務特需というのは、その事態はどういうことになつておるかと申しますと、その環境につきましても、それから作業の内容につきましても、現在問題が起つておりますところの全駐留軍の労働者、LSOの労働者と何らかわるところのない実態を持つております。ただかわつておるというのは、その間に経営者と名のつくものが入つておりまして、これがさしあたりわれわれの交渉相手となつておる、これだけの違いであります。しかし、この経営者というのは、それではどういう実力を持つておるかと申しますと、一つは生産計画を持つておりません。さらに材料あろいは消耗品の調達をいたしません。すべてただ人間の労力を供給する。極端な言葉で申すと、労務供給事業である、こういうふうに申し上げてもさしつかえないのではないかと思うのです。従つてこういう立場にある経営者が、一切の労働者の労働条件という問題について満足の行くような方法を講じようとすれば、どうしてもアメリカ軍に対して強く交渉しなければならぬ。しかしながらアメリカ軍との間には、アメリカの商慣習に基く契約というものがございまして、あらゆる契約の面で縛られて参りますので、非常に弱い立場、つまり国力を背景とする弱い立場でアメリカのJPAに対決しなければならぬ。従つていろいろな問題で常に泣き寝入り的に一方的なアメリカ軍の方の強制によつて左右されて行く、一こういう実態になつております。うさらにこの特需の労働者というものは、つまりその経営者と労使関係というものを結んでおりまして、いずれも労働協約を持つておりますが、その労働協約の中には、あるいは本工であるとか、あるいは臨時工であるとか、そういう区別もできておりますけれども、実際には全般的にひつくるめてこれは臨時工である、そういうふうに申し上げてもさしつかえないのじやないかというふうに考えられます。  そこで私たちが常に主張いたしますのは、せめて同じ仕事をしておるところのLSOの労働者並の取扱いをしてもらいたい、こういうことを一貫して今まで主張して参つております。しかしながら、こういう主張を満たすためには、経営者というものが、これは主体になつておりますので、あなた方の交渉相手は経営者である、従つて経営者に対してこれはおやりなさいというのが、政府とかあるいは軍のわれわれに対する常に殺し文句になつております。実は経営者に対して私たちがそういう要求をしたときに、はたしてLSO並の労働条件なり、そういうものが得られるかというと、先ほど申し上げましたように、経営者はそういう力を持つていない。そこで私たち過去三年、四年、五年の間、そういう弱い経営者を相手にしてやつて参りましたが、昨年の一月から約一万五千名に及ぶ大量の人員整理が起りまして、こうう時期を境にしまして、どうしてもこれは座視しておれない、経営者を相手こしておるだけでは自分たちの身が危ういというようなことになつて参りましてから、こういう渉外活動をだんだんと強化して参つたわけであります。そこで、われわれの持つておりますところのいろいろな矛盾の面について、一つ一つ申しますと相当時間を食いますので、午後いろいろご質問があるそうですから、そういうときに申し上げたいと思いますが、時間がないのでさしあたつて当面する問題を一つ申し上げたい。それは私たちの雇用契約、つまり労使関係は、実は法律的に形式的な問題であつて、実質的には軍の直接雇用と何らかわりがない。私たちの一切のそういう条件なり運命なりを握るものはアメリカ軍当局である、こういう点が一つ言える。そこで過去の人員整理の実態を軍直業者とわれわれとの間を比較して参りますと、LS ○の場合には、軍の方で年度がわりに新年度の予算がまずきまりまして、あるいは作業量の縮減とか、予算の削減とかいう理由のもとに、日本政府に対して何人の人員整理をしたいという通告をして参ります。そうすると、これを調達庁が全駐留軍の労働組合に対して、こういうふうな人員整理の計画があるんだということをまず通告して参ります。そこで初めてこの問題に対する対策が立てられる。しかしながらわれわれの場合にはそういう形をとつて参りません。おそらく予算の削減なり作業量の減少なりという実態は同じでありますし、おそらく見当も同じであろうと思いますが、それがやつて来る形は、個々の経営者に対してやつて参ります。個々の経営者は先ほど申し上げましたように非常に力のない、半ば間に立つておる存在にすぎませんから、それが出て来たときには、もう動かしがたいものになつておる。たとえばLSOの場合には、そういう通告がなされたときに、それの縮減とかあるいは変更とかいう余地も残つておりますが、われわれの場合に、個々の経営者に参つたときに、その個々の経営者を支配しております軍の責任者、いわゆる軍司令官ともいいますし、いろいろ名前がありますが、こういうふうに手元に参つたときには、すでに変更の余地がない、こういう段階になつております。従つて私たちとしては、少くとも将来特需の作業が変更縮小されまして、これにかわるべき日本政府の対策、新しい産業構造の中に、こういう過去五年間にわたつて、ドルをかせいで来た人間を収容するような対策を立ててもらいたいという前提の上にもちろん申し上げておりますが、そういう前提がない限りにおきましては、われわれは人員整理に対して了承するわけには参りません。けれども、一歩譲りまして、そういう形が参る場合には、まず個々の経営者にではなく、政府に対して軍の検討された内容を通告してもらいたい。そして政府がその内容を各経営者に対して通告する。もちろんこの間には、相当の事前通告的な期間を置いてもらいたい。さらに現在私たちは外務省なり通産省なりあるいは特調なりを訪問しておりますが、それぞれの省に響ましては、われわれに対してきわめて同情的な言をもつてしております。しかしながら、この横の連絡がついておるかというと、ついておらないというふうに見ております。一体われわれのこういう特需の問題を取扱う政府の官庁はどこなのであるか、どこが責任を持つてこの問題の処理に当るのか、こういう点につきましてもひとつここで明確にしていただきたい。これはただ単に経営者があるからとかなんとかいうことでは、もう解決がつかないという実績が過去五年間に現われておりますし、先ほど申し上げましたように純然たる役務提供という問題でありますから、こういう点を御認識されまして、まずわれわれに対する政府官庁の責任の所在、それから今後そういう人員整理が起り得るならば、先ほど申し上げましたような一つの方法をとつてもらいたい。これは単に想像の問題ではなくて、九月の十五日にゼネラル・リンドという人が二、三の経営者を呼びまして、軍の予算削減によつて特需の企業にも影響を及ぼすであろうという示唆を与えております。これをあるいは米軍は事前通告を解しておるのか、あるいはそういう一つのサゼスチヨンという意味であるのか、この辺のところもひとつ明確にしていただきたい。こういうものが、日米合同委員会がかつて出しました事前通告をしてほしいというような勧告案の精神に基いてやつたという事前通告にしては、あまりにもこれは内容的にはずさんなものであるし、漠然たるものでありますから、そういう形ではなくて、日米合同委員会の勧告の趣旨に沿つたようなはつきりとした事前通告の方法をとつてもらいたい。その場合にも、ひとつ政府官庁の責任の所在をはつきりしてほしい。  いろいろ問題がありますが、時間が長くなりますから、当面する問題としましてこの二点について私たちの意見を申し上げました。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 なおその点につきまして、副総理がちよつと今おりませんから、官房長官の出席を要求しております。  次は全銀連の中尾敏雄君。

中尾敏雄全国銀行従業員組合連合会中央執行委員長

○中尾参考人 全銀連の中尾でございます。ただいまから銀行員の賃金引上げについて大蔵省が不当干渉したということにつきまして、御説明並びに意見を申し上げたいと考えします。われわれ全銀連は、全国銀行従業員組合連合会と申しまして、組合員が全部で十二万名を数えております。その傘下には五十一の銀行の組合が参加いたしております。その銀行はいわゆる市中銀行並びに特殊銀行でございます。なお商工中金とか農林中金が入つておりますが、いわゆる相互銀行などは、今のところ加盟いたしておりません。以上のような範囲で五十一の単組が十二万人の組合員をもつて全銀連を組織しております。  われわれ全銀連とましては、昨年十一月から、われわれの生活を守る闘いといたしまして、賃金の引上げの準備をして参つたわけでございます。いろいろ客観情勢その他を勘案いたしまして、本年の五月の全国大会におきまして、全組合が、本年度の賃上げ闘争を行うことを決定いたしました。そして全国の傘下の単産が、大体フアンドにいたしまして、一〇ないし二〇%平均一三%だと考えますが、そのような賃金の引上げを要求いたしたわけでございます、この考え方といたしましては、われわれの従来までかちとつて来た成果が、最近の経済情勢の変化によつて、低下するという事態を生みましたので、われわれの生活保護の闘いとして取上げたわけでございます。そして五月に決定いたしまして、七月末に全国一斉に、要求を提出いたしました。それから、現在まだ未解決の単産が、相当残つておるわけでございまして、その中において、いろいろ闘い方をして参つたわけでございます。その途中におきまして、八月三十一日の日付で、大蔵省の谷村銀行課長の名をもちまして、今回の銀行の賃金引上げについては、大蔵省としては賛成できないという趣旨の私信を出されたわけでございます。  この内容につきまして若干触れてみますと、各財務局長あてに、八月三十一日付をもちまして「谷村銀行課長私信」として「銀行員の給与引上げについて」という表題でもつて、各財務局長に発した模様でございます。その内容は、この引上げについては、銀行当局としても銀行行政の見地から重大なる関心を持つものであり、地方銀行に対しては十三日会―十三日会というのは地方銀行協会の会合でございます。この席上において銀行当局の意のあるところ十分伝えておりますけれども、この際銀行員の給与引上げに対する大蔵省の基本的な考え方をお知らせして財務局管下の地方銀行の指導監督上の参考に資するとともに、財務局長において適宜地方銀行経営者に御伝達くださるよう何分の御高配を煩わしたい。こういうような意味のもので、内容としましては「今回の給与の引上げ要求に見られるごとき銀行員の給与の引上げは次のような理由から絶対に賛成し難い。」それからその内容としましては「基本的にみて」、次に「客観情勢からみて」、三番目は「銀行経営の実情からみて」、こういうような項目があつて、さらに大きな二番目としまして、内容としては銀行経理の指導監督上の責任から本件に関しては積極的な発言をなし得るものと考える。今後ともこの方針にかわりないが、本件の指導に関する実効を確保するために、必要やむを得ない場合には銀行行法第二十二条の規定の発動も研究中であり、さらに将来の問題としては銀行経理に対する新しい法的規制をも考慮しなければならない、こういうようにはつきりうたつておるわけでございます。  われわれとしましては、このような賃金問題につきましては、われわれ労働者の立場から言いますならば、あくばで経営者と労働者の間、つまり銀行り経営者と銀行く働く従業員との間において、自主的にきめらるべき問題であるにもかかわらず、この労使間の賃金の問題について大蔵省が干渉することは、われわれとしては、非常組納得しがたいものであり、かつ、これが現在の銀行法の趣旨並びに労働法の趣旨から見ても、このようなことはどこにも法規の上に見出し得ない事実である。従つてわれわれの賃金に対するこのような干渉ということは、法律を踏みにじるいわゆる不当干渉問題であると考えておるわけでございます。われわれがこのような事実を知りましたのは、九月八日の日本経済新聞に谷村課長の通牒という形で出ておりましたが、この内容が日本経済新聞に発表されましたので、これを知つたわけでございます。そして翌日ただちに大蔵省に参りまして、これに対して抗議は申し上げました。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 中尾君、大蔵省が出しました通牒の問題は、その事実だけ述べていただきたい、またあとでいろいろあなたの意見も聞きますから。

中尾敏雄全国銀行従業員組合連合会中央執行委員長

○中尾参考人 以上のような通達を出されたということは、われわれとしましては、労使間に自主的にきめらるべき問題について、大蔵省が不当に干渉したということを申し述べたい。  なお、従来からわれわれ銀行員の給与の問につきましては、発端は昭和二十四年でございますが、旧帝国銀行が十九歳七千三百円という要求を出しまして、その問題を解決する際にいろいろ問題が起りまして、二十四年の、その問題の当初からすでに大蔵省がいろいろの形でわれわれの給乏ついて干渉を行つて来たということを申し上げたい。具体的な事実は、経営収支率と申しまして、経営の収入と支出に対する割合が、年次によつているく変更はございますが、現在七八%という線で押えられておる。それがわれわれ働く者の立場から見るならば七八汚の押え方というものは、非常に大きな形でわれわれの給与にしわ寄誉れているという事実でございます。  なお、今次の賃上げの闘争のさ中におきましても、この通達に基きまして七十七――七十七と申しますと仙台でございますが、仙台の経営者が要求を妥結いたしました後に、財務局長から呼はれまして、三時間半にわたつてつるし上げる食つたという事実がございます。また神戸銀行におきましても、財務局長がおもむきまして、じゆんじゆんとこの旨をさとしたという実例もございます。また千葉銀行におきましては、一応経営者側から五〇%の一時金という形で回答を出しておりながら、大蔵省に相談した結果、これを三六%かに切り下げたという事実があるように聞いております。以上のような具体的な例もございます。いろいろ申し上げたいことはございますが、要は、われわれの考え方では、この給与の干渉ということは、あくまで労働法規の問題であつて、銀行法規の問題じやない。従つて、このような干渉をなされるということは、法を越えた越権行為であるという考え方をしているわけでございます。  以上簡単に実情を御説明申し上げました。なお後ほど質問がいただけるようでありますが、そのときにお答えしたいと考えます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 三浦委員、昨日港湾労働に関する小委員会を設けまして、委員長に就任をしていただくことに決定をいたましたからどうぞよろしくお願いいたします。なお港湾労働法を継続審議で本委員会で審議中でございまして、労働者側からもぜひひとつ審議を促進してもらいたいという要求もございますので、本労働委員会は今のところ予定としましては明日で終ることになつておりますが、できればきようの会議が終りましたあとでも小委員の方に御参集をお願いしまして、そこで今後の小委員会の運営につきましていろいろ御配慮をいただきたい、こう思いますので、よろしくお願いをいたします。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは問題をしぼります。全銀連の関係につきましては、当面の責任者でございます谷村銀行課長が出席しております。それから特需関係につきましては、外務省の国際協力局は午後参ります。調達庁も午後参ります。そこで大蔵省から窪谷管財局長、通産省から荒居特需課長、徳永企業局長はすぐ出席の予定でございまして、まず最初に全銀連の問題を取上げたいと思います。  なお時間がありませんから、午後一時から労働大臣が出席することになつておりますので、委員の皆様、また参考人の皆様にははなはだお気の毒でありますが、また事務局の諸君にもたいへん気の毒だが、きようはひとつお昼休みの休憩をなしにいたしまして、それぞれ適当に食事をしていただく――労働基準法の精神もありましようけれども、きようはひとつ委員長に御協力をお願いしたいと思います。  多賀谷君。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 全銀連の方から参考人としてお述べになりました点について、当の責任者である谷村銀行課長にお尋ねいたしたいと思います。昭和二十九年八月三十一日にあなたの方から各財務局長あてに出された私信によりますと、これは単に金融情勢の面だけでなくて、労働行政全般に及ぶ大きな問題を含んでおると思うのであります。ことに労使間において自主的に決定さるべき賃金の内容に関して、しかもこれが高度の立場からいろいろ制約されおるということは、われわれにとりまして、むしろ労働法関係の干渉ではないか、かように考える次第であります。いろいろその内容には書てありますけれども、なかんずく大きな問題といたしたいと思いますのは、経理的に比較的余裕のある銀行についても、この際給与引上げを行うことは、他の銀行への影響及び他産業との関係から見て、それはおもしろくない、大きな政策からいえば、そういうこともあり得るのですが、今の政府はそれをとつていない。少くともこれは民間給与の統制への一歩前進ではないかと思う。いな、それだけでなく、今の参考人の話を聞きますと、従来とも銀行の給与については、大蔵省いろいろ相談をして、きめておるのだということを聞きました。そういうことになりますと、これはきわめて大きな問題であろうと思うのです。さらにその私信の内容につきましては、最後にやむを得ない場合においては、銀行法第二十二条の規定の発動をも研究中であり、さらに来将の問題として、銀行経理に対する新しい法的規制をも考慮しなければならないと考えておる、こういう一つのおどし文句が最後に書かれてある、こういうことになると、われわれとしてきわめて重大視せざるを得ないわけですが、一体どういう状況でこういうものを出されたか、お尋ねいたしたい。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 ただいまの御質問に、私の考え方を率直に申し上げまして、御批判を仰ぎたいと思います。  まず第一に、銀行業というものの本質であります。なるほど民間給与の問題というのは、これは当然労使の間の交渉によつてきめらるべきことであるということについて、私は異論ございません。しかしながら、御承知のように大きな前提がございます。それは給与と申しますものは、やはり当該企業の立場から見て、支払い得るものであるかないかという経理上の問題、これともう一つは、一般的に見て、その給与レベルというものが高いか低いかという問題。しかしこの第二に申し上げました給与のレベルが高いか低いかということは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、どういうレベルが必ずしも低いとか、高いとかいうことは一概には言えないと思います。しかし第一に申し上げました経理的に払い得るか、得ないかという問題につきましては、これは企業々々によつていろいろ違うと思います。たとえば、最近産業が経理が苦しくなりまして、いくらものをつくつても、いい値で売れない、赤が出るというようなときでありますと、これは給与を払いたくても、どうしても払えないという状況になつて参ります。いくら高い賃金を要求しましても、事実払えない。払えないというと、銀行から金を借りても払えばいいじやないかというのですが、銀行はなかなかそういうところには金を貸さない、こういつたようなことで、そこに金繰りもつかなければ、金も払えないということがあるわけでございます。これに対しまして、銀行はどうかといいますと、金繰りはお手のものでございますから、金は払えます。それから経理的にどうかといえば、皆さんからしよつちゆう御指摘を受けている通り、あまりにも銀行はもうけておるじやないかというお声をいただいておる通り、銀行には金がございます。そこで、なぜ銀行に経理の余裕があるか、その経理の余裕というものは、賃金引上げ、給与の引上げに充てられてしかるべきものなりやいなやという点をお考えいただきたい。そうしますと、今自由経済と称せられておりますが、金利は公定されております。金利が公定されておるということは、一定の利幅が銀行にとつては確保されているということを意味いたします。どんな企業でも、たとえば石炭企業でも、一生懸命もうけようと思つても、値段が下つてしまえばもうからかいのであります。銀行に関する限り、預金者には、たとえば一年間預けても年六分の利子であります。そして貸出しは最高二銭三厘、四厘、五厘こういう利ざやをとつているわけであります。これを私どもは常にこの高い金利を何とかして下げなければならぬと思つております。われわれはなかなかそうは手がつかないと申しております。手がつかないと申しておりますその内容は何かといえば、これだけの経理の余裕をとりたいということを申して知るわけであります。なぜ経理の余裕がとりたいかといえば、これはまた銀行企業というものは、非常に公共的な性格を持つておる。国民大衆から信頼を受けておる。この預金者に対する担保として、銀行はできるだけ資本を充実しなければならないというこのプリンシプルに基くものでございます。  大蔵省の考え方は、別に資本家を擁護しようとか、あるいは銀行従業員の方に無理な生活をしいようとか、そういうものではございません。われわれが常に一貫してとつて、おります立場は、預金者保護という立場であります。この立場から考えますと、戦前は銀行の自己資本の預金に対する割合は、大体二割を越えておりました。御承知のように戦後再建整備をいたしまして、資本をすつかり飛ばしまして、そこから着々と再び始め直した銀行の、今日の預金に対する自己資本の割合は、広くとりましても、まだ六%わずかでございます。この自己資本の充実ということを、預金者という多数の方方の信頼を受けて、いる銀行の本質としてわれわれは考えておりますので、そのためにこそ、金利が高い高いと言われながらも、なおかつ貸出金利の利幅をとつているわけであります。この利幅は、預金について言いますと、大体三%何がしというのが普通でございます。三・八%から三・六%ぐらいが、預金の大体の利回りでございます。それに対して貸出しの方は、有価証券運用も含めまして、とつておりますのは八・六%から八・八%、従つてこの差はどれだけあるかと申しますと、実に五%の利幅をかせいでおるわけであります。この五%の利幅のうちから、人件費、物件費その他の経費を大体三・五%ほど払いまして、残り一・五%というところに、日本銀行の貸出金の利率を上げますとだんだん食い込まれるわけでありますが、ともかく最小限度の利益が出ておる。これを銀行は一生懸命内部に積むのだという政策でございます。  ですから、銀行員の給与のことは、私は直接にはそれほど何とも申し上げませんけれども、せつかく預金者のために留保いたしました利幅のうちから、社外に流出するものよなるべく押えております。できるだけ貸倒れ準備金とか価格変動準備金とか、そういう内部準備を積めということを申しております。それから社外に出るものは、役員賞与は銀行の方からずいぶん言われますが、役員賞与もできるだけぴしつと押えております。配当についても、どんなに利益が上つても、どんなに株主が文句を言おうと、一割二分ないし一割二分五厘で押えております。記念配当をしたいと言つても、一割五分で押えております。こういうふうにして、銀行の自己資本充実という方向に向つて行く、そのためにこそこれだけの利幅をとつている、こう考えております。従つて先ほど中尾委員長が言われたように、経営支出を経営収入の七十八に押えなさい、百の収入があつたら、七十八を支出にお充てなさいと申しておるのは、それだけの経理をして、初めて銀行らしい銀行なんだ、百の収入をとつて百使つてしまつて、一向内部に留保しないような銀行なんかあるか。だから、世の中の方は、銀行は利益を持つておるとお考えになるかされ喜んが、われわれの目から見れば、ほんとうを言えば、銀行は利益が十分上つておらない、大事なお客に対する内部留保を積み立ててくれ、こう言いたいところでございます。  さて、それでは、銀行員の生活を非常にみじめなところに置いてまで内部留保を強行すべきか、こういう問題になつて来ますと、私どもは決してそんなことは考えません。私はかつて物価庁にいたことがあるのでございますが、公定価格をつくりますときに、一応賃金のペースをはじいて公定価格をきめました。しかし情勢やむを得ず賃金水準が上つて参りますれば、これは公定価格をかえなければならないわけであります。同様に、もし銀行従業員の力の給与ベースが非常にお気の毒な状態になつて、どうしても金利を上げなければこれがカバーできないという状況であれば、それは金利の問題に触れましよう。あるいは内部留保をそんなに無理をして積まなくたつて、銀行の従業員の給与を上げたらどうだという話になりましよう。この点に関して、はたして銀行員の給与が高いか低いか、非常にみじめなものであるかどうなのか。われわれが考えている預金着と貸出先の犠牲においてためているあの利ざやというものを食つてまで、この際上げなければならないというほどの給与ベースであるのか、どうなのか、これは大方の御判断にまかせたいと私は思います。大蔵省の立場といたしましては、今まで私どもがとつて参つておりますような内部留保を、この際食つてまで銀行員の方が給与ベースをお上げにならなければならないほどみじめな生活に置いておるとは、私どもは思つていない。厚生施設にいたしましても、またいろいろな施設にいたしましても、これはすべて銀行企業が免許常業であるという建前から、多くの方々にいろいろいろな非難を受けつつも、大蔵省としてはできるだけ世間の方々に納得のいただけるような形で、銀行の経理を指導して行つているつもりでございます。りつぱな建物を建てるじやないかと言つて、ずいぶん怒られます。確かにその通りでございます。われわれは五百万以上の不動産取得について、一々承認主義をとつております。こうい)ようなことで、大蔵省は銀行の経理に対して、まだ不十分じやないかというお声こそ私どもは聞いておれ、銀行の経理に対する干渉は何だ、怪しからぬという声を私は聞く方が少いのであります。たまたま先ほどのお話になりますけれども、まつたく失業対策の方のお話を聞いておりまして、翻つて銀行の給与問題ということに思い及びますと、各地方紙にはよくそういうことが書かれておつたようであります。ちよつと別世界の話のようだという声さえ聞くのであります。そういうときに、大蔵省銀行局は手をこまねいて黙つている立場には私はないと思います。そしてそのとき大蔵省としての考え方をはつきりと申し上げることが、銀行法を守つて行かなければならない立場にあるわれわれの責務と感じまして、私は地方の財務局長に対してそういうふうな手紙を出して、その趣旨をかねぐ経営者には言つてあることだけれども、なおさらにこの際よくかみしてめくれ、こういうふうに申したわけでございます。なるほど銀行法は昭和二年の立法でありますから、内容的には不十分であります。しかし銀行法の持つ精神は、今私が申し上げた通りでありまして、私はあえて労働関係調整法その他の法律の精神を踏みにじつてまで何かしようというつもりはございません。しかしここはやはり銀行企業の特性として、そういう二つの対立があるということをわかつていただきたい。  そうして私がこの私信の最後に書きましたことは、こういうことでございます。二十二条の発動と申しますのは、銀行法二十三条の、主務大臣は銀行の業務または財産の状況に照らして必要ありと認めるときは、必要なる命令をなすことができるという内容でございます。たまたまいろいろ勢で、私どもが七八%という経理の基準を出していることを問題になさつたようでございますが、ある県の労働委員会は、なるほど大蔵省が銀行の経理に対してそういう指導をするというのはわかる、なるほどそれは指導の通牒であろう、何も命令でもない、法律でもない、しかし銀行法の精神からいえば、そういうふうにしなければならぬのだぞと断つていた地労委もあるようでございます。それからある地労委においては、なるほど考え方はそうかもしれないが、それは命令でもなんでもないのだ、だから、それが破れぬというわけじやなかろう、ひとつ妥協せよ、こういうようなお話もあつたようであります。そこで私どもの考えますところでは、私どもがはたして二十二条を発動し得るやいなや。これは昭和二年から一ぺんも発動したことがない、いわば伝家の宝刀みたいな規則でございますから、発動なんかしたくないのです。しかし世間がどうしても――世間はどう思つていらつしやるか知りませんが、当事者の間で、銀行はどうも利益があるんだ、非常な利益があるんだから、おれたちが少しくらい給料をもらつたつてよかろう、おれたちに少しくらいよけい出してもよかろう、株主だつて少しぐらいおれに配当をよけいにしてくれたつてよかろう、こうお思いになるならば、銀行の利益の中の一定のわくは本来内部留保におとりになるべきですよ、こういうことをはつきり命令として申し上げた方がいいんじやないか、こう考えたわけでございます。しかしいろいろ考えました末、そこまで行くのはやめようということにいたしました。そして別途あらためて国会で御審議をいただいて、銀行の経理というものの中に、実はほんとうに黙つて何も言わないで、安い金利でがまんしている、また高い金利でふうふう言つている預金者、貸出先、そういつた方々のほんとうの利益になるように、われわれとしては銀行の利益の中から、あるいは利益といわず利益を出す前に、これだけのものは内部に準備しておいてくれ、こういう法制をむしろつくるべきじやないか、こう考えた次第でございます。  私どもの論理は非常に一貫しておりますので、決して従業員の方々に犠牲を忍んでいただく、あるいは言葉は悪いのですが、銀行の従業員の方々をしぼりとつてまで銀行の内容を充実させようとは思つておりません。しかし、現実に現在の状況程度であるならば、むしろ銀行の利益は内容充実に向けていただきたい。これが大蔵省の一貫してかわらざる考え方でございます。これは利益の中からとるという言葉が非常に誤解を招きやすいので、私どもは、今後は利益とは無関係に、一定限度の金額を内容的に積むべしというよいか。それが私の一番最後に書いてある「経理に対する新しい法的規制」ということでございます。そしてあくまでも私は個々の銀行に対して個々の給与の問題を云々しようということは何ら考えておりません。ある程度預金者のためにリザーヴをとることさえできるならば、あとはどういうふうに銀行経営者と労働者の方々とがお話合いになつてもりつこうである、こういう態勢に私は持つて行きたいと思います。  以上簡単でございますが、私の考え方を申し上げました。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 銀行局の考え方はわかりましたが、問題はやはり給与引上げについてという見出しで、あなたの方が私信を出していることにあると思う。私は銀行の従業員の給与がいいとか悪いとか、高いとか低いとかいうことを言つておるのではない。また内容的にそれがどうであるとかいうことは云々したくないわけでございます。ただ問題は、そういう民間企業に対して、しかもその給与に対して、これは他産業との関係があるということで押えつけておる。これはそういう一つの給与統制をやるのだということならばまた話は別であるが、しかし、今労使間で自由に労働条件が決定できるような方向になつておるにかかわらず、大蔵省ががんとして聞かない。事実銀行の方では、大蔵省がどうしても聞きませんから……、こういう理由で地労委その他でも問題になつたと思うのであります。あなたの方は、これは単に指導であつて、何もそういう強い意味ではないのだと言われるかもしませんが、現在の大蔵省対銀行の関係は、事実問題として――形式論は別として、実際問題としては相当強いものであろうと想像にかたくないわけでございます。そこでその大蔵省の態度というものが、きわめて労使間の交渉に支障を来しておる大きながんだ、こういうことになると、私はやはり反省をしていただかなければならぬと思うわけであります。事実問題としてそういうことが各地に起り、またこの通牒を中心として労働委員会がいろいろ協議をしたということならば、なおさらであろうと思うのでありますが、大蔵省としては、あくまで給与についてそういう干渉をする意思はないかどうか、この点について明確なる答弁を願いたい。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 言葉の問題になると思うのでありますが、給与に対する干渉という言葉を非常に強い意味にとれば、私はそういう意味での給与の干渉止するつもりはございません。しかしながら、銀行の経理として守つていただきたい最小限度のところは、どうしても守つていただきたいと思うのであります。と同時に、これは七八%経理に余裕があるという問題になるのですけれども、その余裕というものが何から出ておるかということを考えていたいて――他産業との影響云々という言葉もございました。それももちろん一つの因子でございますが、それだけ私どもの言つていることではないのす。銀行が今どういう立場に経済全体の中で置かれておるかということは、これはもうよく御存じの通りでありまして、銀行に対する風当たりが強いこと、まことに私ども日々いろいろの御注文なり投書なり、あるいはおしかりなりを受けておわけでございますが、少くとも銀行の姿というものは、これは給与の関係であるかないかということまで立ち入つて申し上げる意味ではなくて、銀行の姿というか、要するに銀行企業というものの姿が、この際世間一般から見て、できるだけ非難のないように、何だ、あそこは独善じやないか、かつて気ままなことをしているじやないかという、そういうことのないようにやつてもらいたい。実際こういうことを銀行当局が申し上げることが間違いのもとなんで、そういう意味で言えば、経営者と労働者の方がよく状況をお考えになつて、御判断なさればいいことでしようけれども、私があえて申し上げました意味は、給与統制をするとかなんとかそういう意味ではなくて、銀行企業としての今の姿というものをこういうふうに考えてもらいたいという趣旨で申し上げたので、たまたまそのうちの一環が給与の問題に触れることになつたかもしれませんが、しかしそれはしかたがないことだと私は思います。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 銀行局の考え方、今の利幅の問題についてはわかるが、しかし当面この問題が起きましたのは、ベース・アップの問題を中心としてあなたの方から私信を出されておる。そのときの紛争の過程において、あるいは将来起るかもしれぬ、また現実に起つたかもしれないその過程において、あなたの方が通牒を出されたということは、これは、労使間でいろいろ交渉をしておる際に非常な支障になることは、労働感覚のある君としてはよくわかるわけです。そこで私は、そういう時期に、しかも銀行員の給与引上げについて、ほかのことは書いてなく、給与の引上げだけを対象にしてここに私信が出されておる。そうしますと、だれが考えましても、労働者あるいは資本家としては、それが一つの大きながんになり、それをむしろ中心にしていろいろ話をしなければならない、こういうようになると思うわけです。ですから、私はその考え方はわかるわけですけれども、ここに給与干渉という形で来ておる。これははなはだけしからぬじやないかと私たちは思うわけであります。ことに給与統制という一つの政策として行われておるならともかく――私はこをれいいとか悪いとか言つておるのじやないのです。そういう全般的な経済態勢にあるならばともかくとして、銀行だけがこういうことをしておる。しかも監督官庁の権限があるからといつて、労使の中に入つて給与の統制をされるという考え方がおかしいじなやいか、かように考えておるわけであります。  そこで私は、今後もこの通牒はあくまで支持されるのか、それとも一応撤回して何らかの方法でそういうことを考えられるのか、その点についてお尋ねいしたいと思います。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 お答えいたします。私はおそらくこういつた考え方の趣旨については、非常によく御了解いただいたことと思つて感謝にたえないのでありますが、御指摘の点は、出した時期がいけないじやないか、こう言つていらつしやるのじやないか思います。私どもは大体大蔵省の銀行行政に対する考え方というものを、給与問題に限らず、いろいろの機会に銀行当局者に申しております。ここにも書いてありますように、地方銀行の例会等の席上でも私はこの問題について触れまして――また当時は、ベース、アップ問題が正式に団体交渉に入つていなかつたときでございますが、それから一貫して私はこういうことを申しておるのでございまして、たまたま手紙という形で出ましたのが八月の三十一日でありますために、給与闘争のまつただ中にこういう手紙が出たということになるのでございます。それより以前にでも、あるいはそれより以後にでも、私どもはしよつちゆうこういうことを言つているのでございます。でございますから、手紙を出したということはこれはちよつと電話をかけたということと違わないのでありまして、たまたま財務局長が目の前に来れば、口頭で話したことかもしれないのでございます。私どもの一貫して申しておる考え方を、たまたま手紙に書いただけでございまして、この手紙自体を撤回するとかどうとかいうことは、私どもとしては別に考えていないわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 私はこの銀行員の給与引上についての通牒の趣旨について賛同したというふうに言つたと言われました、そういうことではなくて、そういう経理全般に対する考え方については若干わかる点がある、こういうことを言つたわけであります。しかし給与というものは、やはり労使間のわく内の問題であつて、余裕があるから他の産業と比較して余裕があるからいいということではいけないということは、今の政策の立場から言うならばこれは行き過ぎではないかと思うのであります。しかし、そういう考え方のあることはわかるわけですが、今吉田内閣の政策ではそういうような情勢にない。ところが、そういう中で、ひとり銀行局だけがそういうこを考えておる。これはむしろ賃金体系そのものを乱すものだ、あるいは労使関係の今のルールを破るものだ、かように考えるわけであります。それが法律によつて、たとえば公労法の関係とか、あるいは公務員法の関係ならば、法律上そういう制度になつておりまから了承するわけですが、そういうことでなくて、しかも銀行法にもどこにもそういう点が現われていないのにかかわらず、暗にそういう指示をしておる。しかもそれが実際上の問題として非常な権限を持つて労使の上はかぶさつて来ておる、こういうことは、非常にけしからぬじやないかと言つておる。ですから、銀行給与の引上げについてという通牒を、あくまでもあなたが固持されるならば、これはやはり撤回していただかなければ、賃金ストップ形になり、給与統制の先がけになると思うのです。この点について、さらにお尋ねいたしたい。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 谷村課長、こういうことなんですよ。あなたも新しいタイプの官吏なんですから、よくわかると思うのでけれども、今多賀谷君あたりが問題にしております点は、労働法というものは、団体交渉なり団体協約なりを中心として、労使双方の利害を調整して行こうという考え方に立つている。これは憲法にも保障され、ずつと貫かれているのです。それで、国家公務員だけは、国家公務員法でベースがきめられている。それから銀行も非常に公共性を持つているけれども、国鉄や専売のような特に公共性がうたわれているところにおいてさえ、労使関係というものは団体交渉で、団体交渉でどうしても妥結しないときは、やむを得ないから調停、調停でもどうしても行かないときは仲裁、こうなつている。ですから貸金協定については、今の労働法は厳格であり慎重なんですね。一般の労働者なりそれに関心を持つ人たちの心配は、政府は自由主義経済をやつている。ところが自由経済からだんだん官僚統制的なものになつて来る。たとえば今度の新経済政策などにおいても、二箇年間緊急立法をやる、その中で賃金ストツブなどをやるんじやないか、そういうことが前提になつているわけです。あなたの立場から言えば、銀行課長として銀行に対するいろいろな不満もある思う。事実われわれも、今の独占資本的な銀行資本に対してはいろいろな批判はある。そういうことよりももつと重要なことは、全銀連対銀行経営者との問題ではなくてたまたま私信の形にしろ何にしろ、それが労使の間に重大な影響を与えるような手紙をお出しになつた。これは一谷村であつても、そのことがもし是認をされれば、それは吉田政府の賃金ストツブ令の先がけとして、われわれは吉田内閣から出して来る法律案には反対だ、谷村課長の私信に対しては賛成だという態度はとれないわけです。従つて、主観的な意図はどうあれ、客観的に見れば、あなたのお出しになつた手紙というものは、そういう大きな意味も含まれ、また誤解も生じて行くのであるから――そういう点は今お聞きすれば、決して賃金ストップ的な意味でもなんでもなく、あるいは労使間の賃金協定について重大な影響を及ぼそうというのでもなく、単に経理の内容について預金者あるいは貸出しをする相手の事業主の利益をも考慮してやつたんだ、こういう気持はわかるのですけれども、それが客観的に労働運動その他に与える影響は非常に大きいのです。おそらくこういう点を十分に考慮してもらいたいというのが、多賀谷君の御質問の趣旨じやないかと思うのです。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 今委員長からおつしやつたことに対してしいてさらに私は言葉を返し、あるいはつけ加えることをやめたいと思します。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 大体そんなふうに了解しておいてよろしゆうございますね。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 若干見解の相違がございますので、私としてはこれ以上ここで申し上げないことにいたしたいという意味でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 関連して、今の課長の発言の中で、非常に重大な関心を持つ一点があるので、お尋ねいたします。なるほど三十二条によつて銀行の経理、財産に対する監督を厳重にしてほしいという国民の声は強い。その点についての主張は、私もまつたく同感です。しかし問題は、それがどういう言いまわしであろうと、どういう手紙の内容であろうと、結果が労使の賃金問題に関係を大きく与えたことだけは、いなめないと思う。またそういう意図が、別な意味においてあつたということが、今の説明で明らかになつたと思う。そういうことを前提にして、ああいう趣旨のお手紙も御注意もけつこうだと思うが、その場合、同時に考えなければならぬのは、経営者に対する配当の問題だと思う。これは同時に扱うということでないと、公平を失すると思う。そこで、配当の制限をどれだけにするのが妥当であるか、賃金はどの水準が銀行業務の行員としては正しいかということが明らかにされないで、そういう意思表示をすることは、きわめて危険だと私は考える。危険というよりは、労働法の違反になる疑いをすら私は持つ。かような考えがありますので、要約をすると、賃金の水準と経営者の利益の配当とは、一体どの程度が今旦妥当だというふうこお考えになつておいでか。そういうお考えがないとするなら、そういう発言は十分注意をすべきだと思う。この点についてひとつ伺つておきたい。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 配当の方について申し上げますと、現状は大体一割二分五厘というところで、それ以上の配当を認めておりません。このような配当率が―これは払込み資本に対する配当でございますが、妥当であるかどうか中には非常に少いという声もございますし、中には銀行の実情によつては多過ぎるという声もあるようでございますが、配当の問題は非常にむずかしいことでございまして、一概に申せないのでありますが、私の率直な気持をここで申し上げれば、ある銀行に対しては、もつと下げていただきたい。そしてある銀行は一定の経費の水準と一定の内部留保さえとれるならば、ある程度今の配当以上になさつてもいいんじやないか、こういう感じを持つております。但し、そこに一番大きな問題は、先ほど大前提として申し上げましたように、金利が公定されている、一定の利幅が確保されているということであります。資本家に非常によけいに配当が行くようなことをあえて許してまで、一体金利というものが高い水準であつていいのか、貸出し金利を下げるべきじやないかという議論も、そのときにあわせて考えなければならぬと思います。賃金の方につきましても、私は同様であると思います。地方銀行をいろく調べまして、大体給与の水準が―これはピンからキリまでございます、一々数字を申し上げるのは避けたいと思いますが、しかし少くとも、一方で先ほど申し上げましたように、貸出し金利と預金金利との利ざやで利益が確保されている建前があるといたしますならば、その中で許され得る賃金というものは、他の産業あるいは同じようなレベルのものに比べて非常に高くなつてまでその利ざやを確保すべきであるという議論にはならないと思います。金利を下げろと何べんか強いお言葉をいただいておりますにもかかわらず、賃金は上げてもいい、あるいはその他経費、たとえば物件費なり、自動車を乗りまわしたり、ゴルフをやつたり、いろいろなことをやつておりますが、そういう経費とかなんとかいうものが上つてもいいように利幅を私どもはとらしているんではない、こういう考えを持つております。従つて、銀行の給与レベルはどの程度がいいかというと、これは非常に主観的な問題もある程度はございましよう。しかしおのずから客観的に見て現在が非常にあわれむべき状態であるか、気の気な状態であるか、他に比べて非常に低い、もつともつと上げてやらなければいけないような状態であるかということは、世間の方が御判断下さると思います。お言葉でございますけれども、たとえて申しますならば、私どもは川のこつち側では旗を振つているだけでございまして、川の向う側ではやはりとつくみあいの結果、大体において賃金要求の相当部分はいれられまして、ストライキならない前に、まあまあというので片がついたところもございますし、ストライキになつたところもございまして、干渉ということになるかならぬか存じませんが、大蔵省はから声を張り上げて旗を振つていただけで、労使間で話しがついてしまいました、またつくのが当然だと思います。そういうわけでございますから、私どもは大蔵省の立場として申し上げなければならぬことを、声を大きく申し上げたということでありまして、決して両者の具体的な交渉の内容に立ち入るという態度には出ておりませんし、また出るべきでもなかつたと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 私の質問にだけ答えてください。  大体賃金の水準というものに対する見通しがなくて、こういう意見の発表ということは出過ぎなんだ。だから、利益の配当は一割二分というのが妥当だという程度までおきめになるのはあなたがおきめになるのではない、政府の政治政策としておきめになり、閣僚がおきめになるわけです。同様に、一方には、賃金はそれに見合つて、どのくらいだという見当が、その政府の政策として出で来たときに、事務当局は、それぞれその政策に合せて協力をなさるというのが政治のあり方なんだ。あなたがおやりになつているのは、大臣の立場で、大体賃金はこのくらいがよかろうという御意見であれば、私も拝聴いたしたい。私のお尋ねしているのは、あなたがたいへんりつぱな見識を持つておいでになるがら、一割二分の配当が、今日の日本の金融政策なり産業政策、その他全般から判断して、事業家にはこの程度の利潤が正しいという判断の上に、一つの政策がしかれる。今日まだ日本の政府は、賃金はどの程度が妥当だということは、一向発表されてはおらぬ。それどころではない、最低賃金すら今日持ち合い切れなしような事態だ。ですから、賃金に対する水準を定めるような影響のある発言というものは、政府当局も、今日なお差控えている。それを多賀谷さんが重大影響があるものとして――あなたの主観なら別だ、銀行課長としておやりになる場合には、上司の指揮を仰いでおられると思いますが、指揮を仰いでお出しになつたのならば、その上司はどなたか、はつきり言つてください。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 上司の指揮という点ならば、確かに銀行局長と御相談のうえ、私は私信を出しました。なお銀行の給与問題、経理問題、その他一般につきましては、私としては常に官房長とも、あるいは事務次官とも十分話し合つてやつております。従つて、本件に関する限り、私の名前で出ておりますけれども、大蔵省の立場として御了承いただいて、けつこうだと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 明らかになりましたので、銀行局長をさつそくお呼び出し願いたい。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 私は純銀行の立場からお話になつておつたと思つたのですが、それは純銀行の立場でしようか。こういうことになりますと、これは一つの例にとられましたけれども、考え方として私は大きな問題だと思う。見のがすことができないと思うわけです。それは政府は労使関係には不介入だということにはなつている。あなた個人ではなくて、やはり政府としてお出しになつておるんですから、これは朗らかに労使の団体交渉に介入されておる。一方に少くとも援助を与える、こういうことになるわけです。この問題は法律でそれが国会を通過して、そういうように制約をしているということならばともかく、今の銀行法では、銀行について、銀行の労働者について制約の規定がありません。でありますから、その行為そのものは、むしろ私は憲法違反である、あるいは法律に明示されておればともかくも、そういうことを現実に課長が認め、また通牒まで出されて、そういう認識であるということならば、この団体交渉に対して政府が介入しておる、しかもそれは法律に何らの根拠のない介入である、かように解せざるを得ないと思うのです。その見解についてお尋ねいたしたい。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 私信にも書いてありますように、われわれの立場からいたしまして、立場によつては、これを介入とおとりになる方があるかも存じませんが、銀行経理を監督し、銀行業というものを監督しておる立場からは、当然言うべきことを言つたのであり、ああいうときには言わなければならない。銀行の経理というものは、そういう意味を持つものであるということを、はつきりいたしたいという意味で申したのでありまして、私どもの立場としては、介入あるいは干渉というふうには絶対に考えていないわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 しかし、事実問題としては干渉になるわけでしよう。大きながんになることでしよう。労働委員会でも、それを認めていろいろ論議をしておる。また労使双方でも、実際その問題、この通牒にぶつかつて、いろいろ論議をせざるを得ない。そうすると、近江絹糸その他、あなたの方は関係ありませんけれども、これらの問題について、われわれがいろいろ言いますと、いやこれは法律違反であるけれども、現在紛争中で労使不介入だ、こういうことで、政府はなかなか手をお出しにならない、ことに右派社会党のカからは、やんやんいわれますけれども、労働大臣は紛争中であると言う。一つの紛争の過程行おいて少くとも一方に賃金を上げないというのは、これは使用者の方の見方である。その方に非常な援助をされておる。こういうことになると、労使不介入の原則に対する違反ではないか、かように考えるわけであります。その点について……。

谷村裕大蔵事務官(銀行局銀行課長)

○谷村説明員 ちよつとまた別の例を申して恐縮でありますが、労使でいろいろやつておられます。しかし、たとえば石炭を買う値段というものは、運輸省の方でおきめになるのだと思います。石炭の値段が高くきまれば、賃金も高く払つてもらえるだろうし、石炭の値段が低くたたかれれば、労賃をいくら要求しても払えないという状況になるかもしれません。先ほど申し上げましたように、銀行は金繰りはつきます、それから利益は上つております。従つて、賃金は上げれば上げられるわけであります。しかし、公定価格という金利統制をやつている場合、そしてその金利というものは、再々申し上げております通り、預金者と貸出先に相当の迷惑をかけて銀行に留保されておるわけですから「あたかも石炭の値段が需給関係によつてきめられるがごとく、銀行の経理というものは、かくあらねばならぬということを、私どもは申し上げておるわけであります。そのような範囲の中で、どのようにおきめになろうと、私の方では一切かまわないことであります。しかしそれを打破つてまでおきめになることは困るということを、経営者にも申し上げているわけであります。しかし経営者の方はさつきどなたかの言葉にもありましたように、むしろ大蔵省が言うことを聞いてくれぬからということでは、まことにどうも変であります。要するに大蔵省というものは、銀行経理に対してわくをはめているわけです。このわくを改めるか改めぬかということは、銀行法の見地から大蔵省が当然すべきだと思います。その結果として、結果的に給与を上げられることになるかならぬかということは別問題でありまして、事実はわくを打破つてまで給与は上る、こういうことになるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 そうしますと、あなたの通牒は、経理に余裕がある場合、余裕があるけれども、他産業の労働者に影響があるから、上げない、こういうことです。経理と関係ないじやないか。経理的に比較的余裕のある銀行についても、この際給与引上げを行うことは、他の銀行への影響及び他産業との関係から見ておもしろくない、これは高度の政策である。政府が賃金ストップをやるならば、こういう通牒が出てもいい。しかしそうでない、法律も何もないのに、労使の紛争の中に入つて来ようとしておる。こういうことを言つておるわけです。今の話は、前段の項ならば若干わかりますが、私が今指摘いたしましたのには、はずれておると思う。後に銀行局長が見えるそうでありますので、一緒にこれらの点についても聞きたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 なおこの問題は、今私の質問のときは、銀行課長の方もこだわらないような答弁でしたけれども、あとではやはり明白に意思を撤回されない、ここまでこれは正しいんだということでございますが、労働委員会としましては、もし一銀行局長の手で労使に不当な介入をしたり、あるいは賃金に対する不当なる干渉をしたり、そうしてやることが正しいんだ、そういう法的根拠もなくやることが正しいだということになりますならばこれは重大問題でございますから、この点につきましては留保いたしまして、なお銀行局長、あとから労働大臣、労政局長等いろいろ呼びまして、銀行課長の意見でなく、この問題に対する政府としての見解を問いただして明らかにしたいと思います。  それでは先ほどの特需の問題に関連しまして、大蔵省の窪谷管財局長、通産省の徳永企業局長、荒居特需課長が御出席になつておりますから、これらの人たちに対する質疑を行いたいと思います。非堀君。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 特需につきましては、本委員会においても再三調査を進めて参つて来たわけです。調査が進めば進むほど、問題の重点度が高まつて来ておるようにも感ぜられます。そこで参考人からの御説明もありましたが、新聞紙の伝えるところによりますと、ちようど米軍の兵器生産に関する予算の削減等が、ただちに特需関係の労働者にとつては人員整理に結果するのではないかと懸念されて、また新聞もそう報道しておりますが、参考人もこのことをたいへん心配しておるようであります。われわれは前会から特需の問題を調査するにあたりまして、かつてはこの特需が日本経済に重大な役割を果し、今日もなお尾を引いておる。この現状と労働者の不安な状態とをにらみ合せて調査を進めて来たわけであります。ところが、特需に関するわれわれの政府に対する質問に対して、的確な答弁資料も提供されていないわけであります。それはたとえば、おおむね修理特需関係のうち、大体大手筋と思われるところは、会社ないしは労働組合等から資料がある程度提出されて明らかになつておりますが、金額で日本の特需収入というものを日銀の外貨の扱い高において調べますときわめて高額なものに上つておるわけであります。     〔委員長退席、多賀谷委員長代理着席〕今われわれの手元に明らかにされた資料は、このうちのごく限られた部分でしかないようであります。この全貌をまずわれわれは知りたいと思つて、たびたび資料の提出を迫りましたが、その資料を提出する所管の所在すら不明瞭であります。この点をこの際明らかにいたしたいと思うのであります。われわれの質問に対して、まず調達庁が答弁に立ちましたけれども、これは条約の改訂その他に対するごく限られた権限、職務しか持つていないと答弁され、条約については外務省の条約局関係だというので、ここにただしましても、条約局としては、この修理特需というものが直接契約によるので、これを側面から援助協力する程度のものであるといつた程度しか明らかにされていない。さらに雇い主対労働者の関係におきましては、雇い主は絶えず、ただ単に人入れ稼業のような立場においてのみ、この問題に対する処置をする地位にないという態度を持しておるわけであります。こういうことでありましては、われわれが調査を進めて参る上にも大きな障害となりますので、本日はそれぞれ従来関係いたしました全部の方にお集まりを願い、その上さらに政府の責任ある本問題に対する対策を打立てる方針を伺おうと思つておるわけであります。そこで午後から官房長官の出席があるそうでありますから、この点をはつきりさせたいと思います。こういう意味において今日ただいま御世席になつている方に順次お尋ねをいたします。  ここで問題となりますのは、先ほど参考人が、関東――関東といいましても、東京、神奈川の二府県にわたるごく限られた範囲における八社十工場の報告がございまして、約一方人の労働者がこの修理特需に従事しておる。昨年の整理だけでも、約一万二千人が整理を受けている。このほかにかなり広汎にわたる従業員が、この種の直接間接の労務を提供しておるわけでありますが、この労働条件は、この委員会がたびたび調査いたしまして明らかになつておりますように、駐留軍に直接雇用されております職員に比較いたしましても、退職手当において、あるいは与において、非常に低い実情が報告れておるのであります。ところが昭二十五年以来二十七年の、わずか朝鮮特需だけを広義にとりましても、十億七千万ドルという莫大な外貨をかいで日本の経済危機を救つたいわば常な大きな役割をした労働力であります。こういう重大な日本の危機を救うことができました労働力が、今日何らの保障がなく、その雇用が不安定、その解雇された以後においては何らの保障も受けられぬというようなことは、無政府的な状態以外に想像のできな、ことであります。こういう点について、政府は確固たる方針をもつて臨まなければならぬことは言うまでもないのであります。こういう意味でそれぞれの関係者は、当面している問題についてひとつお答えを願いたい。  まず第一にお尋ねをいたしたいのは、こういう修理特需が、おおむね工場形態をなしておりますので、通産省の企業局の所管に属する事柄に判断されますので、このことをお尋ねいたします。一体この種の工場が、日本全国にどのくらいあり、そしてその対策を急がなければならぬものはどういうものであるか。またどういう方針をお立てになつておるか、まずこの点をお尋ねいたしたい。

徳永久次通商産業事務官(企業局長)

○徳永説明員 サービス関係の特需がどの程度あるかというお話でございますが、これは毎月経済審議庁から、総トータルの統計は出しておるはずであります。通産省としましては、その総トータルをつかんでおるわけであります。ただ、それが商品別と言いますか、部門別にどういうことになつておるかということは、サービス特需と言いましても非常に間口の広いものでございまして、自動車関係もありますれば、飛行機関係もあります。その他洗濯の末までに至るわけでございまして、それらの特需だけの統計が、産業別にどういうことになつて、どの企業が幾ら受けておるかという企業別の調査は、組織的にやる仕組みにはなつておりません。いろいろな生産統計等は、一般の統計資料としてはすでにとられておりますが、その中に特需の分がどうなつておるかという分別は、統計をとるような仕組みになつていないわけであります。それらの産業部門を所管しておりまする部局におきまして、特需の比重の相当高い部門におきましては、その特需の成行きというものは、その部門産業の盛衰と相当の関係がございますので、その重要度に応じまして、産業別あるいは企業別に数字を統計法に基きます措置以外に、便宜個別企業から随時報告を求めまして、いろいろな行政の参考したいというような仕事の仕組みに相なつておるわけであります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 特需全体のことをあなたにお尋ねすることは至難であると思います。しかし、修理特需の特徴は、大体事業場が特定な場所に特定の設備を有してやつている部分が多いと思いますが、こういうものはあなたの方の所管になるその事業場が一体どのくらいあり、あるいはそこに雇用されておる労働者なり、あるいは生産量というようなものがおわかりにならないでは、特需対策などというようなものは全然雲をつかむようなことになるので、その点はどうなつておるか、もう一度はつきりお答えを願いたい。

徳永久次通商産業事務官(企業局長)

○徳永説明員 先ほど申しましたように、産業別にいろいろな比重も違つているのでありますが、ただいま手元に軍用車両類の修理特需を受けております企業、及びそれの発注はどこから受けておるか、年間どれだけ受けておるか、あるいは従業員数として、本件の特需に関連してどの程度あるかというようなものもあるわけであります。軍用車両類だけで申しますと、受けております企業数で十企業に相なるわけであります。契約金額といたしまして年間約三千万ドル、従業員数として約三万八千名というような調査もあるわけであります。これは一例でございますが、相当金額がかさばり、その産業部門として、私どもとしまして通産省の仕事の面から見まして、特需を無視してその部門の行政が考えにくいというものにつきましては、かような調査も持つておるというような状況に相なつております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 どうもはつきりした資料をお持ちのようでございませんが、できるだけ至急に御調査なすつで、文書によつて御提出願いたいと思います。今あなたのお答えでは、金額で約三千万ドル、従業員が約三万人といつておりますが、先ほど関東地方特需労働組合協議会の代表者から参考人としての報告かありましたのを見ましても、八社で十工場、ここで約三万人の従業員と報告されております。これはごく限られた部分であります。ここで三千万ドルかどうか、その点はつきりしないかもしれませんが、一応限られた、わかつておるところだけでお尋ねを進めて行きたいと思います。  そうすると、この三万人の従業員に対する今非常な不安を持つておいでですが、企業局としては、この状態がどの程度持続できるというお見通しを持つておいでになつておるか。それからここに先ほど私の取上げました新聞記事の中にありますような、米極東軍司令部の造兵担当官のリンド准将の発表によりますと、相当こういう方面にも縮小のうき目を見るのではないかという心配をされるのでありますが、こういう点に対するお見通しを伺つておきたい。

徳永久次通商産業事務官(企業局長)

○徳永説明員 ただいま御指摘がございました、軍用車両部門におきます修理特需の発注が、ある程度減るのではないかというようなこともございまして、この点につきましては、御承知の通り、特需関係を円滑にやりますために、日米間におきます連絡の会議があるわけでありますが、その際にも実は日本政府側から問題を提起いたしまして、その成行きについてのある程度の輪郭を与えてほしいということを先方に申入れいたしたのであります。それに対します回答といたしましては、私どもが得ておりますのは、人員に大幅の影響を与える程度のものではない、目下詳細は検討中であるけれども、というような中間的な報告を得ているわけであります。私どもそうさしたる影響が間近かに現われるということではないというふうな話を聞いて、ややほつとしているというのが、ごく最近の状況でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 どうもまだはつきりした資料をおつかみになつておいでにならぬようでございますが、これは先ほど来繰返して申し上げておりますように、きわめて重要な役割を果して、将来は先細りすることは何人も想像にかたくないのです。それだけに十分な対策と方針を持つて、この労働者のための保護を講じなければならないが、そういう対策を講じようとする前提になるべき数字がつかめないことは、これはわれわれとしても、政府としてもまことに困る。そういう意味で、最も近い時期にできるだけ詳しい資料を提出してほしい。なお、あなたの方の所管としてのそれぞれの御方針もあると思いますから、そういう方針をおきめになるようでありましたら、至急におきめいただきたい。そのことについては、あとで日野委員からもお尋ねがあるようでありますから、私はこの程度にとどめておきたいと思います。  大蔵省の管財局長がお見えのようでありますから、お尋ねをしたいと思いますが、ただいま企業局長にお尋ねをいたしました事業場を拝見いたしますと、私どもの調査によると、おおむね国有財産に限定できると思うのでありますが、この特需関係の事業場として、国有財産がどのように使用されているかということと、その全国的にまたがる国有財産というものがどの程度のものであるか、おおむねその輪郭だけでも知ることができれば、その下に置かれている労働者も大体推定できると思いますので、こういう意味で、大蔵省は数字をおにぎりであろうと思いますから、それをひとつここで明らかにしてもらいたい。  それからもう一つは、国有財産が同一の条件で経営者に貸与されておるのか、あるいはこういうことはまつたく一方的に米軍が日本の国有財産をかつてに利用して契約の内容にこれを附加しているのか。というのは、こういう修理特需をやる場合には、その重要な財産の内容、あるいはそういう事業契約の場合に、その財産の有無なり価値の高下によつて、受注契約の内容も非常にかわつて来るわけです。そういうふうなものをわれわれはある程度知りたいと思いますので、この点についても、できるだけ御承知の点をこの際明らかにしていただきたい。

窪谷直光大蔵事務官(管財局長)

○窪谷説明員 特需、ことにサービス関係の特需の事業場として、旧国有財産を活用いたしておりますものが若干ございます。その活用の形態は、今お話になりました工場―どういう工場でございますか、私ちよつとはつきりとは存じませんけれども、一つは提供施設――合同委員会と申しますか、日米行政協定に基きまして日本政府が駐留軍に提供いたしております施設でございます。これは、たとえば今軍用車両の修理等で話の出ましたもののうちで、横須賀地区にあるものでございますが、合同委員会の決定に基いて施設を先方に提供いたしておるということに相なつております。従いまして、その施設をどういうふうに活用するかということは、大蔵省の管財局としては関係をいたしておりません。  それから、そういうもの以外で特需をやつておるものがあろうと思いますが、これは調査をいたしてみませんとちよつとはつきりしたことは申し上げかねます。その中には旧軍用財産をすでに買い受けて、特需だけでなしに、ほかのものとあわせて事業をやつているものもございましようし、あるいは一時国有財産の貸付を受けましてやつておるものもあるかと思いますが、これらの点につきましては、ちよつと調査をいたしてみませんと、ここで総括的に申し上げる資料を、はなはだ恐縮でございますが、ただいま持ち合せておらないような状況でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 それでは後日でけつこうでございますが、先ほど来申し上げておるような資料に使いたいと思いますので、できるだけ詳細にひとつ資料を提供してもらいたいと思います。  それから、ついでにもう一つだけお尋ねいたしておきたいと思いますが、ここで問題になりますのは、経営者の側の方の労働組合の団体交渉の際のあれになるようでありますが、国有財産で、これはごく例外的な二、三の点に限るかもしれません。国有財産を買い受けたる場合は問題はありませんけれども、国有財産を軍が接収して使わしているもの、これはもちろん問題ない。国有財産にはつきりされて、賃貸その他の条件もきわめてあいまいな形のままで修理特需をやつておるという部門が相当ある。大蔵当局としては国有財産に対するいろいろな措置をやつておられると思うのでありますが、そういうものに対する御方針なり、今日とりつつあるやり方なりについて発表ができるなら、ひとつ承つておきたいと思います。

窪谷直光大蔵事務官(管財局長)

○窪谷説明員 占領中に占領軍の命令と申しますか、正式の命令ではございませんが、要望によつてすでに特需の事業をやつておりました工場、事業場がございます。その期間におきましては、一時使用という形で使用の許可をいたしておるわけであります。その使用の許可に基きまして、これは無償ではございませんで、有償でございますので、それぞれ使用料を徴収いたしております。講和条約が発効いたしましてから後のそういう一時使用という許可の形はどうもおもしろくないということから、正規の貸付の処理をいたすということで、講和条約が発効いたしましてから、順次一時使用の形から賃貸契約の形に切りかえをいたしております。それで大体私どもとしては、もうその仕事は完了いたしておるものというふうに考えておりますが、あるいは御指摘のように若干その事務が遅れておるものがあるのかとも思います。そういうものにつきましてはやはり一時使用という形態か経過的な措置として継続をいたして、それに対しまして使用料を徴収しておるというかつこうに相なつております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 有償の貸付については、省令のようなものか、あるいはそういうはつきりした法規ができておりましようか。できておるようでしたら……。

窪谷直光大蔵事務官(管財局長)

○窪谷説明員 占領中で一時使用という形態をとりましたのは、司令部の方から最終処分をやつちやいかぬというような方針でございましたが、しかしながら、その期間荏苒施設を活用しないで遊ばしておくというのもぐあいが悪いということから、将来の使用権はなしということで、とにかくその期間使つてよろしいということでありましたのが占領中の状態でございます。従いまして相手の方の業者といたしましても、これは相当期間使えるかどうかということについて非常に不安があるわけであります。そういう状態では事業の安定もできないということで、講和条約の発効してから賃貸契約に切りかえをいたしております。その場合に使用料等につきましては、これは国有財産法に基きまして無償にいたします場合は限定されておるのであります。従つてそれ以外の場合は、有償の整理をしなければならないということに相なります。その有償の場合は、別に法律政令ではこれこれということはございません、適正なる対価をとれということでございます。従つて、適正の対価を年次々々に、各年度に応じて決定をいたして徴収いたしておるという状況に相なつております。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 特需の問題につきましては、しばしばここで論議されて参つておるのでありますが、一向にはつきりしない。しかもどの官庁が責任を持つてやつておるのか、その点もきわめて明確でないまま、今日まで推し進められて来ておるのであります。大体過般八月の十一日から九月の三日まで何回かにわたつて特需確保の交渉が行われたようでありますが、この結果は失敗だと新聞雑誌は報じております。この会談中で大体明らかにされた部分はどういう点であるか。なお何か責任者のウェアリングがいなくなつたために進まないというようなこと、十一月ごろでないと帰らないというような話もあるのですが、今後この会談を継続するのか、打切るのか、これらの経緯を一応見なければならぬ。スタツセンあたりから特需の発表がされてある。しかし今年の受注関係を見るときわめて悪い。大体どのくらいの確保ができる見通しなのか。これは日本経済の重要な問題で、将来はこういうものは自立経済の上から当てにならぬものをかかえることは最も危険であるけれども、当面日本経済は、特需というものを軽視するわけに行かぬ。こういう観点から、もう少し重大にこの問題と取組んで行かなければならぬと思うのでありますけれども、一向に明らかになつておらないので、これらの経過と見通しを企業局長から伺つて、そのあと若干の質問をしたいと思うわけであります。

徳永久次通商産業事務官(企業局長)

○徳永説明員 お答えいたします前に、初めにありました各省の所管がどうなつておるかというお話でございますが、特需全般を通じまして、肝管というものは格別にきめられていないようであります。但し、特需の内容は、非常に広汎にわたつておるわけであります。入りまする内容で物をつくりまして、向うに買い上げてもらう、いわば輸出のような仕事になるわけであります。その場合におきましても、商品によりまして、一般の航空部品でありますれば通産省になります。食糧関係でありますれば農林省関係に相なるわけであります。またサービスにつきましても、車両のようなものでありますれば、通産省の方で受けておる。そうでなしに運輸とか船あるいは陸運あるいは通信ということになりますれば、それぞれの所管の官庁がやるというようなことになつておりまして、またそれに関連しまする労働問題になりますれば労働省がやるというようなぐあいに、非常に間口は広汎に相なつておりますが、所管は従来の日本政府の行政の所管に応じまして、それぞれ各省が問題を扱つておるというのが、この問題に対する政府の扱いでございます。  それから今後特需がどうなるか、それに対して米国側と日本政府といろいろな交渉をしておつたようであるが、その経過なり見通しなりはどうなるかというお尋ねでごごいますが、この点につきましては、総括的な窓口は外交折衝の問題に相なりますので、外務省が担当いたしておるわけであります。物の関係等もありまして、通産省もその関係の一員として接触を保つておるわけであります。企業局が直接やつておるわけでもございませんが、私の承知いたしておりまする程度で御容赦願いたいと思うわけであります。  特需の交渉につきまして、ただいまのところは、一品に申しますれば交渉の過程でございます。日本側といたしまして、御承知のごとく本年度の外貨資金を組みます場合に、収入支出のいろいろな予想を立てなければなりませんが、その際に特需関係として年間約七億ドルぐらいは、昨年等の例にかんがみ見込み得るのではなかろうかというふうに考えておつたわけであります。それが本年になりまして月々の動きというものを見ておりますと、その程度に進行しておりません。それに対して、急激な減少というものはいろいろな影響を及ぼしますので、それが急激な減少をしないようなことを米国側に、かけ合うといいますか、そういうような仕事が行われたわけであります。その後の折衝におきまして目下判明いたしておりますところは、大体日米双方におきまして、今年この程度は現状格別の操作を加えずに行けるのではなかろうかという金額を、両方からいろいろな資料を持ち寄りまして難しまして、その推定についてのある程度の合致を得たというのが、一つの段階でございます。大体その金額が年間を通じまして約五億八千万ドルは間違いないところであろうというのが、その問題に取組みました日米の関係者がいろいろな資料から推測しましたデータとして出て参つておるわけであります。ただこれをふやすにつきましては、いろいろな減る原因も考えられます、またふやし得る原因も考えられます。日本側としてふやすべき処置、いわば特需に対する優遇措置ということにもなるわけであります。さようなことにつきましては、日本側として努力を要する点もございます。それはそれなりに、日本政府部内で、各省といろいろな特需の優遇措置等につきまして目下折衝の過程でございます。まだ必ずしも結論が出ておるわけではございまんが、輸出につきましていろいろな優遇措置がとられておることは御承知だと思いますが、特需も輸出並に物資関係については、してもいいのではなかろうかというような気持で、現在純粋の輸出関係につきましてとられておるような措置を特需一般におよぼそう。もちろん特需といいましても実質上輸出と同じ形態をたどるものもありまして、そういうものは従前におきましても、輸出に対する優遇措置を受けておるわけでありますが、国内で調達されております分が受けていない関係もありますので、それが輸出の優遇措置をとることにより、また先方も特需発注がしやすくなるというようなことになるのではなかろうかということで、さようなことも目下私ども政府部内におきまして研究を進めつつあるということでございます。  なお、さらに全般的に急激な影響がないようにということで、ふやす措置というものを先方に対しましていろいろお願いもしてあるわけであります。その点につきましては、まだこういう特別の措置をとつて、こういうようにするというところまでは話が行つていないわけであります。先ほど申しました、とりあえず前提になる問題が大体どのくらいのところにたどりつつあるのかというようなこと、なるであろうかということの推算ができたというのが、現在の交渉の段階だと御承知いただければいいと思います。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 大体今のお話で、結局責任官庁がない、それぞれに分割されて、大まかな外交折衝は外務省がやる通産関係のそれぞれの業種については通産省がやる、折衝は特調がやる、こういうようなことで、責任の所在が明らかでないというところに特需対策の困難な一点があろうと思う。私、企業局長、特需課長もいられるから伺つておきたいのだが、この重大な問題を扱うのに、こういう体制ではたしてよろしいのかどうか、ひとつあなた方の見解を承つておきたい。こういう形でやつて行けるのかどうか、もし交渉がまだ折衝中で、結局見通しとして五億八千万ドル程度、しかも七億というのが一応の約束されたことになつており、最も多いときはすでに七億八千万ドルもあつた。そうなると二億ドルくらいの違いがある。これは日本の国際収支に非常に大きく響くと思うのと、こういう重大な問題を取扱うのに、今の体制でよろしいのかどうか、ここに特需問題の解決の困難な原因があるのじやないかと思われる。こういう機構でよろしいかどうか、まずその見解を伺つておきたい。

徳永久次通商産業事務官(企業局長)

○徳永説明員 特需が各省に非常にまたがつておつて、所管が不明確でないかというお話でありますが、これは先ほど申しましたように、特需の出ます態様が非常に広汎になつておるわけであります。一口に特需と申しましても、日本におります駐留軍が国内で使います金、それも特需でございます。そういうふうに見ますと、これだけを扱いまする機構というものは、これはもう私ども役人の普通の常識で考えますれば、そういう機構別の各省にまたがるものをどこか一つにまとめましても、非常に機構上摩擦が多くて、適当ではないのじやなかろうかと私ども思うわけであります。通産省につきましては、通産省内部を考えましても、実は非常に縁の深い重工業局もあり、あるいはそれほどでもないが軽工業局も関係がある、あるいは繊維局も関係がある、あるいは鉱山局にも関係がある、石炭局にも関係があるというようなことがあるわけであります。これが通産省としてのいわば特需に関しまする窓口と言いますか、総括と言いますか、そういうものがないことが、通産省内部として、仕事をやる上にあまり感心しないということから、それらについて一つのくふうをしてみようじやないかということになりまして、本年の春ごろに御承知のように通産省内部にとりあえず――役所の機構といいますのは、最近では御承知のように各省設置法というものがございまして、法律上のいろいろな拘束もあるわけでございますが、事実上総括連絡を緊密にやり得るような体制をつくろうというところから、設置法には基きませんが、省内だけの訓令によりまして、防衛産業室というものを置きまして、そこに防衛生産に関するもの、及び特需全般に関するものを一括して整理するというような組織を事実上つくりまして、各局がばらばらになつて齟齬を来し、あるいは連絡の不統一等の間違いが起つたりしないようにというようなことで、さような仕組みをつくり上げておるわけであります。私どもこれは省内の問題として考えましても、今のような組織では、これが考え得る最善のものではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。広く特需全般になりますと、これは私どもの所管の範囲を越えた非常な広汎なことになりますので、これはただ私どもの役人の経験からの参考の意見という程度に御承知願いたいと思います。     〔多賀谷委員長代理退席、委員長着席〕

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 その問題は、大体統一された特需関係の窓口をつくろうと今努力中だというふうに理解してよろしゆうございますか。

徳永久次通商産業事務官(企業局長)

○徳永説明員 通産省におきましては、すでにさような組織がつくり上げられて活動いたしておるというふうに、御了解いただきたいのでございます。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 このことは委員会等でもよく考えなければならぬ問題だと思います。とにかく五億八千万ドル程度だろう、そしてふやす可能性がある。それならばこの努力を一体どこがやつておるのか、どの官庁が主としてやつておるのか。私が特需を専門に統一して扱う官庁がないということを言つても、これは外務省ですか、それとも通産省か、あるいは特調か、どこがふやす努力をやつておるのか。

徳永久次通商産業事務官(企業局長)

○徳永説明員 繰返して申し上げますように、特需の内容、幅というものが非常に広汎でございます。それぞれの、いわば日本政府の非常に広汎な範囲にわたつておるわけでございます。その省におきまして、いかような措置がとられておるかということは、私どもよく承知いたさないわけであります。通産省におきましては、鉱工業品の生産等に関係いたしておるその限度におきましては、通産省といたしましてできるだけのことをいたしておるというふうに御了解いただきたいと思います。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 通産省は通産省、特調は特調、ばらばらにやつおるというようなことが、いつまでたつても見通しをつかめない一つの根本的原因ではなかろうか。やはりこれは特需関係の集中的に折衝なら折衝をやる一つの官庁、あるいは機構ができてこれをやるのでなければ、散発に終つて所期の成果が得られない。せつかく昨年の十月あたりからこういう問題で約束がされ、折衝がされておるのに、今なお明確にどのくらいの発注があるのか、つかめないというところに、私、今日の特需産業の一つの不安があると思うのです。いずれは先細りであろうし、遠い将来は特需依存の態度は捨てなければならぬ、こういう状況にあるが、現実の国際収支を考える場合は重大であるから、重大に考えて、これと取組まなければならぬと言つておるのでありますが、こういう点が明確にならぬ。しかもどこに相談して、だれが責任を持つてこの重大問題を処理するのか、その責任者がないというような形で行き悩んで、宙に迷つておるのが、今の特需対策じやないかと思うので、それならばこの点を機構別にももつと勢力的に特需の確保に努力をすると同時に、将来先細り、遠い将来はこれを捨てなければならぬという場合の特需転換の対策、あるいはその間における契約支障等に対する何か対処策があれば、これはどこが責任を持つてやるのか知らぬけれども、企業局長あたりの意見をひとつ伺つておきざたい。

徳永久次通商産業事務官(企業局長)

○徳永説明員 私の答弁ぶり、若干誤解を招いておると思いますので、少々補足して申し上げますが、日米双方におきまして、特需の善後措置ということにつきましては、緊密な連絡は実はとられつつあるわけであります。そのために、先ほども申したかと思いますが、日米双方の間に連絡機関、公式の接触の第一窓口といいますか、それが設けられておるわけであります。その背後にそれぞれの所管に応じて各省がふら下つておる、かように御了解願いたいわけであります。従つて、その背後に、ぶら下つております各省は、それぞれ所管に応じて所管の問題を扱うことになつておるわけであります。従いまして、日米の接触の総括的な窓口の中にも、部門別のいろいろな必要に応じて専門の部会が設けられる仕組になつておるわけであります。私よその省の内容のことは存じませんから、いかような措置をとつておるかということは、私お答えする限りでないわけでございますが、日本政府全般としては、各省の行政の組織に応じ、その所管に応じ、特需が非常に広汎にまたがつておるわけでございまして、それぞれ担当に応じてその問題を扱い、それが外に出ます際には、最終的には外務省が折衝の窓口ということになりますが、その中にそれぞれの専門に応じまする専門の部会があり、その公式の組織を通じて先方と折衝をやつておるというふうに御承知願いたいわけであります。特需全般の成行きにつきましては、お尋ねもございましたように、これを長い目で見ました場合に、非常に減少するというふうに日本全体としては考え、その前後措置を考えなければならぬということは、まさに御指摘の通りでございまして、通産省が特需の減少の産業界に及ぼしまする影響を極力減少するというようなことにも関連しまして、輸出振興に最大の馬力をかけておることは御承知の通りでございます。これは具体的に本年度だけについてごらんいただきましても、先ほど申しましたことく、今年度全般としまして約七億ドル程度の特需の収入を見込みながら、外貨予算も編成されておつたのでございますが、その特需が月々のベースで言いますと、年間、先ほど申し上げましたごとく、五億八千万トル程度にとどまるのではなかろうかというような推測をしなければならないような傾向を示しておるわけでございますが、にもかかわりませず、外貨収支全般としましては、それをその特需の減少を補いまして、輸出がふえ、国際収支のバランスは最近の状況におきましては、均衡を保つておるということでございまして、これまでのところは特需の減少が国際収支全般につきましては、非常な致命的な影響を与えないで、幸いに推移しておるというのが、これまでのことであるわけであります。もちろんその間におまする個別企業の立場といたしまして、片方伸びるところとへつこむところが、同じ企業体の中で必ずしも行われておるわけでもございませんので、その間の位置というものも多少あろうかと思います。態勢で見ますれば、日本側の努力はさような方向に向けられ、これまでのところ幸いにして順調な経過をたどつておるというのが本年に入りましてからの、最近までにおきまする経過の概要でございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 今、理事諸君と打合せまして、本日の労働委員会は午後四時までとわくをきめます。また質問通告も大分あるわけですから、ひとつ一点にとどめてもらつて、あと労働大臣に対する質問に移りたいと思います。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 大体今までの答弁で、特需問題の行き悩んでいる原因が一応考えられると思うのです。なお今の貿易の伸張が、特需が減つてもバランスがとれてよいという考え方には意見がありますけれども、今委員長から話がありましたが、きようこれからまた別の会議がありますので、委員会でもじつくりこれをやりますからひとつ責任の所在を明確にして、この問題に対処するような機構を十分お考え願いたい。これできようの質問を打切つておきます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 島上善五郎君。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 きのう労働大臣に、いわゆる新労働政策について伺いましたが、まだ納得が行かぬ点がありますので、それについて若干伺つておきたいと思います。新労働基本政策――新というのをあえてうたつております。一体この基本方針の中には、合理的労使協力関係あるいは産業平和の確立、こういうことをうたつておりますが、そういうことについては吉田内閣としては今新たにそういうことが必要である、こうお考えになつたとは思われないのであります。おそらく吉田内閣としては、今事新しくそういうことを考えたのではなくて、以前から考えておつたに違いない。それなのに、事新しくこういう政策を打出したのは、そのあとにある、つまり労働組合育成過剰の行き過ぎを是正すること、労働組合の発達状況はもう育成し過ぎたのだこれを是正するということ、さらにまた労働組合の闘争意識過剰を是正する、こういう言葉を使つておりますが、どうもこの言葉自体が、もうすでに労働組合に対する考え方が、非常に反動的になつて来たというふうに私どもは受取らざるを得ない。最近のデフレ政策のしわ寄せが、どんどん労働者のところへ一方的な犠牲となつておおいかぶさつて来ておる。こういうときに、労働者はそれを甘んじて受けて、御無理ごもつともと吉田内閣の政策に屈服しておればけつこうかもしれませんけれども、労働者の立場から言えばそうは行かぬのです。最近労働組合の争議がきわめて深刻になつて来た、はげしい形で闘われておるということは、労働組合の闘争意識が過剰になつたからそうなんではなくて、吉田内閣の政策の労働者に犠牲を強要するといつ形がだんだん露骨に現われて来た結果、労働組合が立ち上つたので、私は闘争意識が過剰になつた、こういう考え方自体が間違つていると思う。われわれも、もちろん労使関係が合理的であるということは認めます。しかし労使関係が合理的であるためには、資本家が優位に立つて労働者を押えつける、労働者の不平不満を押えつけてしまうというような形では、決して合理的な関係というものは生れて来ない。産業平和も同様だと思うのです。それを、私どもこの基本政策から考えますと、労働者を一方的に押えつけてしまつて、お前たちはあまり闘うな、不平不満があつてもがまんしろというふうに労働組合を押えつけて、権力で抑制してしまつて――これは是正という言葉を使つておりますか法律を改悪して法律でもつて押えつけてしまつて、その押えつけた状態の上にいわゆる産業平和を確立しよう、あるいは労使関係を打立てよう、こういうような考え方であるように受取れる。もしそうであるとするならば大臣が考えていることと逆の結果を生ずるのではないか。労使は対等の立場に立つて十分に話合いをするということが、まず一番大事なことであつて、今私が解釈しているようなことであるとするならば、労働大臣が考えていることと逆の結果を生んで、労使の関係がますますはげしい対立闘争を激化するという結果になりはしないか。この政策のそういう基本的な点に対する考え方をまず伺いたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 お言葉の通り、私どもも一貫いたしまして、自由党あるいは吉田政府といたしまして、合理的な労使協力関係、産業平和の確立ということが根本に流れぬばならぬという政策をとつて来ております。しかし、昨日も申し上げましたように、その政策に立つて労働組合活動というものが健全に、しかも民主的に行わればならぬ、こういう考え方を持つております。それが一部の非常に矯激な、非民主的分子のために撹乱されるようなことがあれば、この点については、こういう国家の現状でもあるし、国家の結済状態もかくのごときもの、であるから、それについては十分良識をもつて考え直さねばならぬ。しかし、法的にそういう点が非常に不備であるというところがあるならば、これについてはお互いに相談申し上げて、考え直すべきところは考え直してもらいたい、こういう考え方でおるのであります。  労働組合の闘争意識過剰云々というお話でございますが、これは何も一般的にそういうことを言つておるのではございませんで、ただいまもお話のように、労使は対等の立場に立つて話合いをする、これが根本でございまして、労使は相闘うべきもの、闘争すべきものとも私は思いません。この闘いということが、あまり前面に強く出て参りますればこれについては是正をする、一般的に考え直してもらいたいというような趣旨であるのでございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 しかしこの政策は、一般的にものを言つているのであつて、個個のこういう組合に対してこうするという言い方ではない。一般政策として労働組合の育成過剰を是正する、労働組合の闘争意識過剰を是正する、こういうふうに、特にいわゆる新しい労働政策としてそれを強調しておるということは、労働組合の最近の動きに対する見方が、日本の労働組合の一般的な動きが、闘争意識が過剰になつておるのだ。これを是正しなければならぬ、労働組合を育成し過ぎた、だからこれを押えなければならぬ、こういう考え方に立つていると解釈せざるを得ないのです。たくさんある労働組合の一部にそういうものがあるから、というのではなくて、日本の労働組合全体がそういう傾向になつて来たというふうな見方の上に立つておるのではないか。そうだとするならば、この労働政策は、日本の労働運動に対する吉田内閣の挑戦である、こう見ざるを得ない。私どもは日本の労働組合が、昨日も言いましたが、全体的に見て戦後の経験を通じてだんだんりつぱな組合に発展して来ていると思う。これは一般論ですが、全体的にそういうふうになつて来ていると思う。しかるに、今政府の出したこの政策の底に流れておる思想は、そうではない。全体的に日本の労働組合が闘争意識が過剰である、そして労働組合が発達し過ぎた、育成し過ぎた、これを今にして押えなければたいへんなことになつてしまう、こういうようなものの考え方に立つていると思う。そうであるならば、これはたいへんなことであつて、先ほど申しましたように、大臣が考えておられるような産業平和とか合理的労使関係というものとは、まつたく逆の結果を生むと思う。私どもはこういうような考え自体が、すでに問題だと思う。その点、くどいようですが、日本の労働組合がもう育成し過ぎた、闘争意識が過剰になつておるのだということを一般的に見ておるその根拠を、もう少しはつきりと示してもらいたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 私は個々の組合が全部非常にそうした傾向があるとは思いません。けれども、中には非常に闘争意識過剰に過ぎると一般の認識するような組合もないとは言えぬと思うのであります。ことに代表的な形をとつて出て参つておりますのは、現在も争議が行われておりますように、たとえば日鋼の状態にいたしましても、相当多数の者がこの線で収めたいと思つておりましても、これに対してあくまで闘争を続けて行く、しかも非常にはげしい形で現われておる指導的な勢力かありますので、やはり争議が終息しないという現実があると思うのであります。これはまさに一般的な民主的な意欲というものを、相当に強い力で押え得るという実例でございまして、そういう点につきましては、私どもお互いに考えまして、もう実益のない争議というものは、日本の経済を破壊するばかりでございますから、そういう点につきましては、もう少しお互いに考え直してみようじやないかという気持を持つてもいいのではないかと思います。ことに労働法というものは、昨日も申しましたが、与えられたものでございます。労働慣行の成熟の上に立つて労働法ができるということが、私は一般の労働法に関する認識でなければならぬと思うのでございますが、これはアメリカの司令部の一奇の人の考えが強く現われて、これが日本の労働法となつております。日本にはやはり日本の国情があり、経済事情があり、国民一般の考え方がある。そこで、日本の日本的労使関係というものは――われわれの八年間の歩みには誤りもある、その誤りもある歩みを通して賢くなるのであります。その賢くなつた経験を基礎にいたしまして、日本的な法律関係というものをお互いに考え直してみてもいいのではないか。これは決して組合を弾圧まるということではなく、日本にふさわしい慣行に基いた労働法規をお互いに考えようじやないかという趣旨でございまして、決して組合に対して挑戦するとか、そういう気持は毛頭ないのでございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 今あえて日鋼争議の例を引かれまして、日鋼争議ま指導しておる指導の仕方が、闘争意識過剰であるかのように解釈される言葉が使われましたが、日鋼争議には、言うまでもなく鉄鋼労連、そして総評が指導と言つていいかどうか知りませんが、関係しておる。この鉄鋼労連なり総評なりが、当局が考えられておる闘争意識過剰であるとすれば、日本の労働組合の多くの組合が、そういう傾向にあると解釈されておると考えざるを得ないわけであります。日鋼争議についてどういう報告を受けておるか知りませんけれども、私も現地に行つて参りましたが、あの場合日鋼の諸君が、室蘭という小さな都市で千人近くも首を切られて、半永久的に失業しなければならぬという状態にある際に、この一方的な首切りに対して反対して闘うということは、これは労働者が生活を守るために当然であつて、それが今日まで百有余日も長引いて来たということに対上ては、これは何も労働者者側が好んで長引かしたのではなくて、むしろその実態は、会社側が団交を拒否してロックアウトしてしまう、さらに第二組合をつくつて対抗する。第二組合をつくつた裏面の事情なども私ども聞いておりますが、もうすでにかなり前から会社の関係者と料亭で謀議をこらして、第二組合をつくる際には、多額の費用を会社が出したという形跡すらある。まだはつきりとした証拠はつかんでおりませんが、一銭も会費を集めないうちに、東宝劇場というりつぱな劇場で結成式をやつて、トラックを何台も動員して、相当多額の金を使つたと思われるような動きをしている。どうもこれは今言つたように、前から会社側と料亭で謀議をこらしたという事実からも見ても、会社側が相当糸をひつぱつていると思う。一般の大衆が、早く団交をやつて解決の方向に向きたいと言つているのに、そういう小策を弄して、むしろ争議を長引かせているのは資本家である。争議が長引くのも、早期に解決するのも、これは相対的な関係であつて、私は今日総評が争議を指導する際に、ことさらに争議を長引かせて、共倒れになるような方針をもつてやつているということは、どうしても考えられない。しかるに、今、日鋼の例をあげられて、総評がさながら闘争を好んで争議を長引かせて共倒れにするような闘争方針をとつて、るというような印象を受けるものの言い方をしている。これはさつき私が言つたように、労働大臣は日本の労働運動の全体――全体と言わないまでも大勢が、このままにしておいたらたいへんなことになつてしまう。吉田内閣の方から見れば、あるいはそうかもしれませんが、今のうちに押えなければならぬ、こういう考え方の上に立つて、労働三法を改正しよう、あるいは改悪しよう、これが新労働基本政策の思想ではないか、こう考えざるを得ないわけです。  これはいつまで議論しても始まりませんが、私はこういうような考え方を根本的に考え直さない限りは、そうして労働者に一方的に犠牲のしわ寄せをしようとする政策をかえない限りは、労使の対立は激化する一方であると思う。労働者は、自分の生活を守らなければならぬ、権利を守らなければならぬ。それには、こういうような吉田内閣の新労働政策を押しつけられて、はい、さようでございますと言つてひつこんでいたら、それこそ労働者の立場にたいへんなことになつてしまう、どうしても立ち上つて闘かわざるを得ない。むしろこの新労働政策は、日本の労働者階級に対する吉田内閣の挑戦であると解釈せざるを得ない。私はこの点に関してはこれ以上議論しようとは思いませんが、この方針、こういう考え方で進める限りは、労使の対立が激化する一方であるということを警告せざるを得ないと思う。  この問題についてはこの程度にしまして、時間がありませんから、私は、あと二つばかり伺つておきたいことがあります。  その一つは、失業対策の問題です。先ほど自由労働者の諸君から、体力検定の問題について、主とし陳述がございました。こまかい点については、あとでまた伺うとしまして、大臣に対して伺いたいことは、今日、失業者がどんどんふえて来ておる。そうして、その結果として職安の窓口に職を求め、あるいは日雇いの登録を求めて押し寄せる労働者の数というものは、日ごとにふえている。大臣は職安の朝のあの戦場のような状態をごらんになつたことがあるかどうか知りませんが、まさに、少し誇張して言えば戦場のようなんであります。しかも失対事業は、一定の予算のわくで縛られておる。民間の求人はだんだん少くなつている。要するにアブレがだんだんふえて行く、こういう状態になる。こういう深刻な状態が、このまま続きますならば、暮れから正月にかけて、私は大きな社会不安の原因になりはしないかと思う。私どもはそういうことを好みませんから、今のうちにこういうような状態に対して、積極的な手を打たなければならぬと考えております。政府においては、これに対してさしあたつてどのような対策を考えておるか、これを伺いたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 失業情勢につきましては、先ほども申し上げました通り、非常に楽観を許さぬ現状である、と思います。これにつきまして、私どもといたしましても、種々対策を立て、できるだけ早くこうしたお気の毒な状態をなくするようにということを考えておりますが、根本的に申しまして、朝鮮ブームの関係で実態以上にゆるんでおつた基礎の脆弱なる企業の上に立つて、日本全体がまかなえない、やはり輸出競争に耐え得る経済的な実力を立て直しまして、この上に立つてさらに産業活動を活発化して行くという地固めが必要だということは、これは論のないところでございまして、そうした地固の政策のしわが失業という状況で一時的に寄つて居るのでございますが、これに対しましては、今申し上げたように、できる限りの対策をとつておるつもりでございます。ただいま御承知のように大都市、炭鉱地帯、造船工業のあります場所、あるいは機業地等におきまして、地域的に相当失業者の増加を見ておりますので、先般閣議決定をいたしまして、大都市に対しましては、さしあたり二十箇所職業安定所の窓口をふやし、人員もふやして、でき得る限り就労の機会をあつせんいたしますような措置を講じておりますことは御承知の通りだと思います。  そこで、全般の予算の問題でございますが、これにつましては大蔵省とも十分連絡をとりまして、適切なる予算の追加ということに対しましては、全般的な協力を得るようにいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、失業が地域的に相当出て参りますので、これにつきましては、特に時期的にも地域的にも失業対策の弾力的な運営をはかりますために、災害予備費の例にならいまして、失業対策においても相当の弾力的なフアンドを持つて、これが運営に万全を期しいと考たえております。しかし、一方に公共事業もあるのでございまして、つい目と鼻の間で公共事業と失対事業が行われておる、その間に何の脈絡もないという状況については、国民の税金を使います政府といたしましては、その間に有機的な連絡も十分に考えなければなりません。しかしそうかといつて、やみくもに公共事業に無理な人をあつせんするということもできないわけでありますから、その意味におきまして体力を検定するということも考えておるのでございますが、これは決して無理しいるつもりではないので、そういうを能力のある方には、それ相応の仕事についていただく、一方においてはできるだけ減税をいたしまして、国民負担の軽減をはからねばならぬ建前からも、当然必要なことだと考えております。  なお、炭鉱地帯につきましては、ただいまの閣議におきまして決定を見たのでございますが、鉱害対策費を繰上げて支給するというような措置をとつたのでございます。しかし、この後におきましても、あるいは干拓であるとか、道路であるとか、あるいは北海道におきましては泥炭地帯の開発であるとか、そういうようなものをできるだけ場所々々に適切に行いまして、この対策に遺憾なきを期したい、かように考えておる次第でございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 私はさしあたつての対策としましては――恒久的な対策ももちろん考えなければなりませんが、さしあたつての対策としては、何としても政府が予算に縛られておつて、これ以上どうにもならぬのだ、こういうような考え方では、いくら窓口をふやしても、どうにもならぬ。今大蔵省とも相談をして予算の適切な追加を考えておられるというお話でしたが、その点についてもう少しはつきりしていただきたいのですが、そういたしますと、失対予算を来るべき臨時国会において追加予算として提出する、こういうお考えであるかどうか。そうだとするならば、およそどのくらいの金額をお考えになつておるかという点を、この際明らかにしてほしい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 この根本の考え方といたしまして、インフレになつてもよろしい、多少通貨が増発されて、どんどん産業が一方に興つてもよろしい、こういう時代と、ただいまのごとく経済引締め政策をやつて、いわゆるデフレを行いまして、国の基礎を固めて行かなければならぬという時代の失対に関する予算、あるいは公共事業費に関する予算の考え方というものは、若干違うのでございまして、やはり予想される問題に対して、その場合に適した手を打つて行く、こういうことにならざるを得ぬと思うのでございます。私どもといたしましては、ただいまお話申し上げた線に沿いまして大蔵省とも十分協議をいたし、これについて遺憾なきを期しておるのでございます。さしあたり大蔵省として認めております支出というものは、ただいま十五万人程度のものを十七万人程度にするというような、そうした予備費の支出を考えておるのでありますが、これは補正予算を出すということではなくて、従来の節約分からそれに対してまわして行く、農林省あるいは建設省において節約をしたものをもつて失業対策費に振りかえて行く、こういう考え方で進んでおるわけであります。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 十五万人を十七万人程度にしたというようなことでは、とうてい今日の深刻な事態に対処するごとにはならぬと思います。この点に対しては、私どもはきわめて不満足であるということを表明しておきます。  さらに、今の御答弁にもありましたが、体力検定をして公共事業にまわす者はまわすというようなことも考えておるということですが、この体力検定というのが、きよう午前中の参考人の陳述にもございました。ただいま大臣は、無理をしいるつもりはない、こういうお言葉もありましたが、現に地方においては、かなりの無理をやつておる。午前中の参考人から、その幾つかの県における実例を示されておる。そしてこの体力検定を強制的にやつて、お前は公共事業に行けということを強制するような結果がすでに現われて来ておる。要するに労働を強制するというような形がすでに現われて来ておる。労働の場所をかえるということは、なかなか簡単にできないことであつて、住居の問題も伴うし、そのほかいろいろ生活の環境がかわつて参りますから、そうあつちへ行け、こつちへ行けと言われても、その通りにできるものではない。その命令を聞かなければ、お前はもう働く意思がないのだから受付けないといつてしまう。そうして体力検定をして、Aクラス、Bクラス、Cクラスというふうに検定の結果を格付をして、それに当てはまらない者は登録を取消してしまう、こういうふうな措置さえ地方においてはとつておる。もしこれが強行されるということになりますれば、私ども東京の職安しか知りませんけれども、東京の職安などでは、かなり年をとつた人や未亡人の、必ずしも健康ではないと思われるような人々が働いている。働いているというよりは、そういう状態であつても働かざるを得ないような人々がみなふるいにかけられてしまう。そういう一番困つておる、からだが必ずしも丈夫でないにかかわらず、朝早くから出て働かなければならぬという人々を、みなふるいにかけてしまう。そのかわりに窓口に押し寄せて来る人から何人かとろう、こういうことにしてつじつまを合せようという考えが、この体力検定を強行しようとする方針の中に入つているのではないかという疑いが多分に持たれるわけであります。弱い者を、お前はもう生活保護を受けろといつてふるい落してしまう。その穴埋めに若干新しい者を登録して、これで失業対策なんだ、これで失業者を吸収しているのだ、こういうふうな形であるとするならば、これはたいへんな結果を生んでしまうと思うのです。この体力検定の実際の地方において無理をしておる状況に対して、大臣はどのようにお考えになりますか。無理をしいるつもりはないといつても、地方において現にそのような実例がもう幾つか出て来ておるのですから、これに対する大臣の御答弁を伺いたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 政府といたしましては、国民の税金を扱うという立場ら、できるだけその支出については効率的な運用をせねばならぬ。これは義務であると心得ております。しかし、一方におきまして失業情勢は深刻化いたしておる関係もありますので、でき得る限り今申し上げたような公共事業等に失業者の吸収強化という措置を考えたのでございますが、公共事業の性格にかんがみまして、公共職業安定所においては、簡単な体力検定を行いまして、適格紹介に努めることにしたのであります。また特に公共事業等の労務需要が多い地域におきましては、事前の指導訓練も行いまして、公共事業に就労し得る体力を習得せしめる方針でございますが、そうした方針で行つておるのでございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 体力検定をして、適格な者は公共事業に吸収するということですが、これは原則として本人の希望を尊重すべきものだと思う。働く場所がわかるということは、すぐ目と鼻の間にかわる程度ならいざ知らず、かなり遠くに働く場所がかわるということになれは、住居の問題も伴うし、子供の就学の問題も関係して来るし、いろいろな生活の問題が伴つて来る。そういうようなことを強制されては、たまつたものではない。そういう本人の希望を尊重するのか、それともそういうことにもかかわらず強制するという考えなのか、そういう点が一つと、それから体力横定をしてふるいにかけて、お前は不適格だからやめてしまえ、登録を取消すという措置をとつて、お前は不適格だから生活保護にかかれということを地方では言つているそうですが、生活保護自体の予算というものもすでにきまつておる。そうすると、生活保護の予算をそのために非常にふやすというならこれはまた別ですが、一定の予算の中で生活保護をやつて行くとすれば、生活保護自体がまた圧縮されてしまうということにならざるを得ない。最もみじめな労働者が、行き場所がなくなつてしまうということになりはしないかと思う。その本人の希望を主にして考えるのか、強制するのか。体力検定をした結果、ふるいにかけて登録を取消してしまうというような措置をおとりになるかどうかという点を、もう一ぺん伺つておきたいと思います。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下説明員 問題は少しこまかいことでございますから、私から答弁いたします。公共事業に求職者をあつせんするということは、緊急失業対策法の趣旨から見て、安定所として当然行わなければならぬごとでございます。本人の希望たけを尊重するということに相なりますと、現在の安定所の基本的な考え方である適格紹介という線がくずれるわけであります。もし本人が、当然能力を持つているにもかかわらず、そういう仕事に正当な理由がないにもかかわらず、行きたくないという場合には、安定所としては、これでは困るということは当然申し上げてしかるべきである。もちろん、ほかにたくさんの職場があればけつこうでございますが、現在のような限られた職場におきましては、安定所の適格あつせんという点は、当然遵守していただかなければならぬ。  それから緊急失業対策法の中にございますように、失業対策事業に就労いたします者の賃金は、一般の賃金より若干低目にきめなければならぬ。つまり公共事業よりは苦干低目にきめなければならぬ。この趣旨は、失業対策事業というものは、あくまでも最後の手段でございまして、当然公共事業なり一般の民間に就労できる状態にある人は、まずこれに就労させるという趣旨が、ここで明確に出ておるわけでございますので、決して私どもは強制をするということではございませんで、太人のからだに適した仕事に行つてもらう。  それから住宅その他の問題で行けないという場合には、もちろんあつせんはいたしません。私どもの方で示しました条件が六つばかりございます。これを申し上げますと時間がかかりますが、たとえば公共事業等の現場が非常に遠距離であるために通勤困難であるときとか、あるいは住宅施設がない場合とか、その他いろいろ本人の健康上または一身上の事由によつて、なかなか公共事業等に就労することができないという例外措置も、ちやんと実は考えておるわけでございます。そこで現実にこの業務を第一線機関において行います際に、あるいは今お話になつたような点が出て来るということかもしれませんが、この点につきましては、御注意もございましたので、無理のないよう十分措置するように指示をいたしたいと思つております。  それから失業対策事業にも就労できない者に対してはどうするかというお話でございましたが、これにつきましては、実は現在までのところ、おおむね失業対策事業の適格者が失業対策事業に就労しておるわけでございます。この体力検定を行うことによりまして、一部不合格者が出るとは思いますけれども、私どもの考え方では、これに不合格になつたから、ただちに失対労務者を排除するということでは決してございませんで、もちろん現在まで失業対策で生活のかてを得ておるわけでございますから、当然将来の見通し等も考えまして配慮して行く、こういう考え方でございます。それで例の生活保護の問題でございますが、これももちろん予算というものはございますけれども、私どもからいたしまして、失対事業にはどうしても働いていただくだけの体力がないという場合には、これはやはり最後の手段として生活保護の担当部局と話し合いまして、これが必ず給付を受けるようにする、こういう措置を十分にいたしましたあとでそういう措置を考えて参るということにして、決して無理の起らぬように措置したいと考えます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 そういう点について、もう少し伺いたいのですが、これはあとにしまして、大臣に最後に一点だけ中央労働金庫について伺つておきたいと思います。中央労働金庫法をつくつて今下から自主的にでき上つて来た労働金庫に対して何か一定のわくをはめて権力で介入するのではないか、こういう印象を与えておるわけです。御承知のように労働金庫は、政府の預託あるいは地方自治体等の預託等ということもありましたけれども、労働金庫が今日まで発展して参りましたのは、まつたく下からの労働者の自主的な努力とその意欲の盛り上りが、今日の労働金庫の発展をもたらしておる。そうして今日は御承知のように労働金庫の連合会をつくつて連合会で運営しておる、こういうふうになつておりますが、これを労働金庫が非常に発達して来たから、ここらでひとつ中央労働金庫法というものをつくつてわくをはめてしまおう、こういうようなものであるとするならば、せつかく下から盛り上つて来た労働金庫を殺してしまう、少くとも当初の労働者の希望を押えつけてしまう、そういうようなおそるべき結果を生むのではないかと思いますので、政府のいわゆる中央労働金庫法なるものの構想について、大臣から一点伺つておきたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 中央労働金庫につきましては、昨日も少し触れたのでございますが、暮れに政府が預託したり、あるいは一時的に不況な産業のありまする場所に政府が預託いたしまして、その資金を潤沢にするというような措置を従来講じて来ておりまするが、幸いに順調な発展を見ておると思うのであります。しかし金融機関でございますから、経済状態が常に安定し上向いている状態ばかりでもないのでございまして、一朝問題がありまする際には、相当な労働者諸君の貴重な金を安全に保管し得ないという点も考えておかなければならぬと思うのであります。一方におきまして、やはり生活向上のためにでき得る限りの福祉的な施設をつくりたいという際に、どうしても長期にして低利な金を融通したいという希望は当然出て来ると思うのでありまするが、そういう際にも、やはり政府といたしましての中央労金というようなものを持つて、こうしたフアンドを潤沢に供給するという道を開いておいた方が将来のためにもよかろう、こういうことでございます。しかし、そういう点につきましても、今お話のように、政府が一方的に何かわくをはめてしまうのではないか、今まで苦心して来たものを取上げてしまうのではないかというような誤解も一部にあるようでございまするから、この点につきましては、実際にこの運営に当つておる方々との間にも今後よく話合いをいたしまして、誤解である点については解きまするし、またその中においているるべき意見と思われますものについては、これを受入れるような十分な広い態度をもつて望みたい、こう考えております。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 いろいろと労働金庫に対して御心配をされることはけつこうだろうけれども、やはり今日労働金庫をやつておる当事者諸君の意見を十分間いて、しかる後にこれは考えるべきものであつて、私の聞き及んでおるところでは、政府の今言つたような構想に対しては、現在労働金庫をやつておる当事者諸君は賛成でない、こういうように聞いておるのです。賛成でないのを無理をして、安全に保管するためにはこうした方がいいといつたようなことで、当事者の反対を押し切つてやつてしまうというようなことは、これはぜひしてほしくないと思います。この強い希望を申し述べて、さらにこれに対する大臣の考えを伺つて私の質問を終ります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 この問題につきましては、当事者諸君の意見も聞きまするしまた労働金庫に対して非常に今まで研究している諸君はフエビアンの連中でありますから、そういう方々の意見も聞いてみたいと思つております。ただ政府全般といたしましても、中央労働金庫をつくりましてそこにに財政投資をすることがいいか悪いかということにつきましても、まだ実は意見もありまするので、そういう点については、今後いろいろ諸君の意見を聞きまして、十分これを参考として考えを進めて参りたいと思つております。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 なお明日、労働大臣は駐留軍との折衝がありまして、労働委員会への出席が不可能であります。それで駐留軍の問題、あるいはさつき参考人から意見が出ました全銀連の問題、あるいは特需の問題等、特に労働大臣に問いただしておかなければならぬような問題がありましたら、この際それぞれ発言を願いたいと思います。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 失対関係につきまして、労働大臣にお尋ねしたいと思います。過ぐる第十九国会におきまして、政府の誤つたデフレ政策によりまして、中小企業の倒産等を通じまして、莫大失業者が出るのではないかということについて、労働大臣の所見を承つたのでありますが、それに対して労働大臣は、失業問題については、楽観もしなければ、悲観もしないという楽観論を述べたことを記憶しております。それから半年過ぎました今日、ただいま労働大臣は、失業問題は楽観を許さない情勢にあるということを述べておるのであります。このことは、私はそうした楽観もしなければ悲観もしないというような誤つた見通しのもとに、政府の失業対策を立てたというところにあやまちがあるのじやないか、そういう点を私はお聞きしないわけにはいかないのであります。このことは、失対関係の予算に明らかに現われて来ているのでありますが、政府は昭和二十九年度の失対事業費といたしまして、百十一億円の予算を計上したわけであります、これは二十八年度から見ますれば、十億二千万円の増になつております。それによりまして、失対事業の吸収人員を、二十八年度の全般の実績を基礎といたしまして約五%増として平均十六万三千入という予算をしたのであります。ところがこの十六万三千人の予算が計上されておりながら、これは前に労働大臣も御答弁になつたのでありますが、十五万七千しか実際は就労せしめていない。こういう予算を編成いたしまして、労働大臣は労務者に対する気構えで参つたのでありますか。昨日労働大臣が発表になりましたのに、七月末の完全失業者は六十四万人ということを言つております。予算の面におきましては三十七万、こういうような大きな開きができて来たのであります。こうした労働大臣の失業問題対にする予算編成当時とは大きな違いが来ているのでありますが、これに対して、労働大臣はどういうようなお考えを現在お持ちになつているか、最初にお聞きしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 まず最初に私は労働問題全般を見通して、本年度の失業情勢につきましては楽観もせず悲観もせずということは申しましたが、そこで随時適切なる措置をやつて行く考えだということを申し上げたのであります。しかして、私は最初から楽観もいたさぬということは、相当重大に考えているわけであります。悲観しないということは投げないということでございまして、十分今後善処して参りたい、かように考えておるわけであります。ただいまお話の七月の失業者が六十万というのは、これは後にお述べになりました予算の基礎の数字は登録失業労働者でございまして、この点につきましては、その際にも申し上げたのでありまするが、本年度上期において予想される失業対策費の対象となる方々は十六万三千よりも実は内わくであろう、こういうことをそのときにも申したのであります。そこでこれに対してその余剰分を後半期において重点的に使用するということを申しておるのでありまして、一年の予算を月割にやつて行くという考え方は、やはり失業対策というような機動的に、運営をせねばならぬ場合には、そうした考慮も必要であろうと思つてやつておるのでございます。いろいろ御心配いただいますが、ぜひひとつ御協力をいただきたいと思います。私はこの失業問題に対する予算面におきましては、随時適切なる措置を大蔵省との間には十分話合いはし得るという考え方でおるのでございます。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 いずれにいたしましても、労働大臣は昭和二十九年度の失業者の問題についてのお考えが予想に反したということは、私はこの事実の上に現在現われて来ていとる思うのであります。これに対して、ただいま島上委員から質問に対しまして、大臣は大蔵省と折衝して、失対事業に十七万程度就労せしめるということを言つたのでありますが、これは今申し上げましたように、予算におきましては十六万三千になつたおるのを、実施面においては十五万七千というようなやり方をして来ているのでありまして、この失対事業に就労を希望しておる登録されている労働者は、たくさんあぶれている。そういう状態の中に予算を切り詰めて来ておる。そういう今までの無理な予算の切り詰めをもつて、この十七万にふやそうとするのか、また新に何かほかの予算措置によりまして十七万にふやそうとするのか、その辺どういうことでありますか、お聞きしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 十六万三千人のものを、十五万七千人程度で上半期は参りました、その後予算的に、出て参りました収容し得る人員を、後半期においてふやすということが一つ、さらに予備費の使用というようなことによりまして、これを一層ふやすという、この両建で参りたいと思つております。しかし情勢によりましては、これをさらにまた交渉する、こういうことになろうと考えております。現在登録労働者数は、七月に三十七万三千人でございます。これは失業保険受給者が相当ございますので、やはり一月――三月の間には、実はこれはふえて来るのであります。その際の、措置といたしましては、適時適切なる運営をして行きたい、かように考えております。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 私は現在の予算によりましては、昭和二十九年の十二月で、来年三月までの予算がなくなつてしまうのではないか、また実際失業者増大がしている現状から見ましても、当然これは、予算補正をしなければならない、そういうふうに考えるのでありますが、大臣は来る国会におきまして、失業対策の補正予算をお出しになる御意思があるかどうか、その点はつりお聞きしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 私は十二月で予算が使い切れるというふうには考えておりません。しかし、これは使い方でございましてやはり国民の税金を使うという立場から、従来の運営の軌道に乗つて使つて行くという趣旨でございますから、これは私どもの考え方といたしましては、そういう従来の線というものを大きくくずさず、今までの失業者に対しまして、増加して来る失業者に対しての予算的措置という意味で申し上げておるのでございますから、さらにその後において足りないものができますれば、これに対しては先ほど申し上げましたように、予備費なりあるいは多少の節約分なりを運用いたしまして、これはまかない得る、かように考えております。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 ただいまの御答弁によりますと、補正予算を組まなくとも、予備費その他からできると言われるが、私は補正予算を組まないで、来年の三月までのこの失対事業が円滑に現在の予算で行けるとは考えないのであります。労働大臣といたしましては、失対事業の就労者を公共事業の方にまわそうとするお考えのようでありますが、今日の公共事業費は昨年度に比べますと、非常に削減されて来ております、それから先ごろの閣議におきまして、各省の公共事業の予算が約九十一億から実行予算で減つて来ております。こういう切り詰めた公共事業費のもとにおきまして、莫大な失業者を公共事業に吸収するということは、非常に無理があるのじやないか。ことに現在公共事業に働いております労働者は、いわゆる土工という労働者がたくさん関係しております、地方によりましては、農村の潜在失業といいますか、そういう人たちが働いております。そこへ無理に失対事業の労働者を吸収しようとしまするならば、今まで働いておる労働者がはみ出して来る、そうすると、そこに新たな失業者が出て参ります、私はそういう結果になるのじやないかと思うのであります。そういうような姑息といいますか、便宜的なやり方をしないで、失業対策事業の予算が足りないならば、失業対策の予算を補正予算に計上すべきではないか。ことに申し上げるまでもなく、失対事業と公共事業は、おのずから目的が違うのでありますから――労働大臣は、ここに有機的なつながりというようなことを言つておられますが、私はその二つは目標が違うのでありますから、失対の労務者を公共事業の方にやるというようなことではなくて、やはり失対関係の予算が足りないならば、それの補正予算を来るべき議会に出しまして、そうしてそれを補つて行く、そういう方法をとるべきじやないかと考えておりますがどうでしよう。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 お言葉でございますが、緊急失業対策法というものの中には、公共事業との関連がうたつてございまして、やはりこれは有機的な連絡をとるべき性質のものと心得ております。しかし体力その他におきまして、失業者の場合、場所的な制限もございますし、そう移動をかつてにするということは、これは立場上できないのでございますから、お話のように失業対策事業には失業対策事業の運営があり、公共事業には公共事業の運営があるということが原則でございます。しかし、その両君の関連性を見て行くということは、法律自体にもうたつてあることでありまして、これは当然のこだと思うのでございます。  さて、私は何も失業対策事業費というものを一文もふやさないで、公共事業に押し込めるという、そちらに肩がわりしてもらうという意味で申したのではありません。先ほどから申しておるように、この間に国民の納める税金を、法律的に受ける方の側からいつても、そういう機動的な運営をすれば、それぞれが満足し得る方法があるならば、それを使うべきであろう、こういうことで考えておるわけでございます。そこで補正予算をしきりにおつしやいますが、私の申し上げておりますのは、新たに他に財源を求めるような補正予算というものは必要なかろう、こういう意味で申しておるのでありまして、いわゆる節約分というものから失業対策費をふやすことは、これはできると思います。公共事業は節約があるということにつきまして御了解が行かぬようでございますが、これは御承知のようにセメント等を初めとする資材費は値段が下つて来ておりまするので、そういうものの値段が下るならば、当然節約ができるのでございます。そういうものを各省でいろいろ節約いたすように努力いたしまして、その生み出されて来たものをにらみ合せて失業対策費を考えて行く、こういう考え方であるわけでございます。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 繰返して補正予算を組む御意思があるかどうかをお尋ねしたのでありますが、大臣は、いろいろ節約等を通じて補正予算を組まなくてもやつて行けるというような御答弁でありますが、そういう程度のやり方では、私は今後なお増大する失業問題の円滑なる措置はできないのじやないかと思つております。われわれは、どうしても補正予算を組まなければ、この失業者を失対事業を通じて処理して行くことはできないと考えておりますが、その点につきましては、労働大臣の今後おやりになることを監視いたしまして、また将来その点についてお尋ねしたいと思うのであります。  なお、本日午前中に自由労働組合の代表の方三人がおいでになりまして、政府の失対事業の就労者を公共事業の方に吸収するために、強制体格検査、また強制的に公共事業に就労せしめるということが訴えられたのでありますが、これに対してただいま所管局長は、強制的にそういうことはしないというような御答弁のように聞いたのであります。ここに自由労組の方からくださいました資料の中に、秋田県、島根県、徳島県、青森県、熊本県というような実例があつて、地方におけるこの体格検査あるいは公共事業への強制的な就労というようなことをやられておるのであります。そうすると、これは政府のお考えとは違つたやり方を各県においてやられておる、そういうふうに了解してよろしゆうございますか。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下説明員 強制という言葉がいやなものですから、私は使わないわけでございますが、適格者をできるだけ公共事業にあつせんするという方針をとつておるわけでございます。従つて、もし適格者があれば、当然失業対策事業と同質あるいはそれより程度の高い公共的な建設復旧の事業にあつせんをする。いやだと言えば、それは本人がわがままでございますので、その際には私の方はほかにはあつせんできない、こういうことになるのであります。たとえば、非常に具体的な例を申し上げて恐縮でございますが、かりにある人が能力が――これは逆の場合でございますが、自分としてはこういう仕事に行きたいということで安定所に参りました際におきましても、その人の能力がそれにふさわしくなければ、これは当然安定所としてはあつせんできないわけでございます。それから失業保険法の中にもございますように、失業保険をもらつております者が、もし安定所の紹介いたします職業に行きますことを断わりましたときには、給付をその期間とめるわけでございます。これは当然安定所としてそういう人に適格な職業を与える。その場合には受給者は必ず行かなくてはならないということが、失業保険法には用足されておるのであります。緊急失業対策法の場合も、私は趣旨は同様であると思つております。適格者をできるだけ公共事業にあつせんするという方針をとつておる。従いまして、地方ではその線によつているくやつおるわけでございます。お示しの件につきましては、私の方でもなお実態を調査してみたいと思います。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 時間がありませんから、もう一点だけお尋ねしておきたい。私は、これは実質的な強制的なやり方だと解釈しないわけに行ない。たとえば体力検査に応じない、また体力検査の結果、お前は公共事業の方に就労せよ、それを拒否しますと失対から排除してしまう、あるいは登録を取消してしまり。そういう一つの処罰的な処置がとられるやり方は、強制的であろうと突くは解釈しないわけに行かないのであります。たとえば、憲法の第十八条の強制労働、酷使の禁止、あるいは二十二条の職業選択の自由、あるいは職安法第二条、そうしたことから見ると、私はこのやり方は不当なやり方だと思う。そういうふうに解釈しないわけに行かないのであります。ことに体力検査基準というものをつくりまして、六十七点以下のものを不適格としして失対から排除するというような基準までもつくつておるのでありますが、これでは、私は失対事業の根本精神にも反して来るのではないかと思うのであります。また失対事業の労務者は、各自の自由意思によりまして登録をしておるのであります。そういうものを強制的に体力検査をやる、そうして各自の自由意思を無視して就労せしめる。それをしなければ登録を取消してしまう、失対から掛除してしまう、こういう強制的なやり方は、法律上から見ても、行政措置として出されることになるならば、非常に越権的な行為だと考えるのでありますが、大臣はどういうようにお考えになりますか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、職業安定法において適格紹介ということかありますので、公共事業労務の性格にもかんがみまして、公共事業と失業対策事業をかみ合せよう、その間に有機的な連絡を保つという場合には、やはりそこに簡単な体力検査というものを行いまして、適格紹介に努めるということがよかろうと思つておるのであります。  なお、先ほど局長からもお答えいたしましたが、体力検査に不合格となつた方々に対する措置でございます。現に失対事業に就労しておる方々に対しては、逆に就労を中止させるというようなことはいたしませんで、個々の人の日常作業能力を勘案いたしまして、その能力に応じた適職へのあつせんに努めるというふうな考え方でおるのでありまして、さらにそれでも就労の機会に恵まれませんで、どうしても就労の機会が困難であるという方々に対しましては、生活保護法との関係も考えておるということになるわけでありますが、これについては、先ほど申し上げましたように、決して無理をするという考え方は持つていないのであります。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 以上で失対関係の質問を終りまして、時間がありませんので、一点近江絹糸の問題で、私非常に重要に考えますので、大臣に御質問したいのであります。過ぐる本委員会において、近江絹糸の問題について各組合の人が提出いたしました供述書の中にこういうことがあります。これは近江絹糸彦根工場の下村宏二君の供述書の中に書いてあるのでありますが、昭和二十六年六月二日の二十三名の圧死事件の事実を述べておるのであります。「二十数名の犠牲者の中には、まだかすかに呼吸している者もありました。そのような者に対して、まるで豚の子でも死にかかつているかのごとく、これもだめ、これもだめといつて、白い布をかぶせて行つたのでありますまたこの事件の裁判のときには、私の同僚に偽証を強要されたので会社の仕打ちをおそれ、偽証せざるを得なかつた事実があり、」と言つておるのすであります。私は、これは近江絹糸の最も残虐なやり方でないかと考えのであります。まだ息のある者も、もうこれはだめだいつて死人と同様な取扱いをして、それが二十三名の犠牲者となつたということが述べられておるのであります。大臣は、このことをお聞きになつておるか、また労働省としては、こういう事実をお知りになつておるかどうか知りませんが、この問題は過ぐる本委員会の会議録三十四号に載つておるのであります。これをこのまま葬むるわけには参らないのでありますが、これに対して御承知になつておるかどうか、またこういう事実に対して、労働省としては徹底的な調査をする御意思があるかどうか、この点をこの機会にお聞きしておきたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井説明員 ただいま御質問のありました件につきましては、目下彦根地裁におきまして裁判の係属中でございます。裁判所におきまして、当然そういう問題も取上げまして審理がなされておると私は考えております。私らが当時の報告を受けましたときには、そういう事実につきましては承知をしなかつたのであります。おそらく裁判所におきまして、そういう事実があるかないか、あつたかどうかということにつきましては、おそらく審理するのじやないかというように考えます。私らとしましては、裁判の結果を待つて善処したいと考えております。

黒澤幸一日本社会党(左)

○黒澤委員 それではこの問題が裁判になつているというのでありますか。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井説明員 一般の刑事裁判事件として過失死という問題と、私らの関係では安全衛生規則の違反と、両方で送検いたされまして、目下裁判所で裁判が係属中の事案でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 小坂労働大臣から、広汎にわたる新しい労働政策が明らかにされました。その中できわめて重要な事柄が公表されましたので、この点をお尋ねいたそうと思うのであります、従来、機会あるごとにたびたび労働政策を明らかにすることを迫つたことがありますが、このような広汎にわたる政策を明らかにされたということ自体に対しましては、敬意を表したいと思うのであります。ことに保守政党が、自由党が、労働政策には大きく欠くるところのありましたものを、この際、これが自由党の新労働政策ということことで明らかにされたとするならば、非常に敬意を表したい。しかし、これが当面しておる政府の、困難な時局を乗り切ろうとするための労働政策であるといたしますならば、きわめて大ぶろしきで、非常に矛盾に満ちた問題が指摘されなければならぬと思うのであります。従つて、私がお尋ねいたしますのは、自由党の政策について聞こうとするのではありません、現職の労働大臣が当面しておる労働政策を規定をしようとする構想の上に立つて、お答えを願おうとするのであります。そこで広汎にわたつておりますから、限られた時間で十分お尋ねすることは困難であろうと思いますので、おもな点を四つ、五つあげてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  第一に、基本的な方針として明らかにされております中で、自立経済を達成する建前から、産業平和と労使関係の合理化をはかろうとする御主張は、ごもつともであろうと思います。そこで、この主張を貫こうとするための具体的な対策でなければならぬことは申すまでもないのでありますが、その前提と矛盾する点があるのではないかと私には感じられますので、この点をお尋ねいたそうと思うのであります。すなわち、基本政策の中であなたが明らかにしました言葉は、個々の労働者の福祉を守ることに、この政策の重点がある、ことに労働組合の育成については、これは行き過ぎであるとまでは言わないでも、問題は個々の労働者を保護することにこの政策の重点があるとこう述べている点は、疑う余地はないのであります。     〔赤松委員長退席、池田(清)委員長代理着席〕そこで、先ほど申し上げた前提とこの考え方との食い違いが各所に出ております。たとえば、特にあなたが所属する政党が保守政党でありますから、保守政党の立場からいたしますならば、遵法精神については基本的な、底を流れる理念であることは疑う余地はないと思うのです。でありますから、遵法精神については、私は強い主張がこの背景をなしておるものと考えて誤まりはなかろうと思うのであります。そういたしまして、個人の福祉を守ることに重点が置かれて来るということになりますと、たとえば、労働法のすべてに共通することでありますが、元来労働法というものは、労働者の組織的な人格が前提にならなければ意味をなさないことは、これはもう労働法の基本的な、初歩的な条件であります。そこで個々の労働者を保護しようと政府がどんなに行政的力を集中動員いたしましても、またどんなに法律を、完備したものを設けましても、組織労働者の組織なくしては、労働者の基本的な権利はもちろんのこと、労働条件を保養し、あるいは労働者の社会的なもろもろの権利を保護し、生活を保護するなどということはあり得ぬことである。そこでたまたま基準法の問題に触れて、前回の委員会でも、近江絹糸の事実問題を中心にしてはげしく討論をし、熱心な調査を進めました際にも、労働省の責任のある知位にある方からの答弁も、われわれの主張もまつたく一致いたしました点は、基準法のよな問題は、労働者の組織がなくしては、これはもうからまわりをするものだ、すなわち、労働者の権利を守るということは、労働者が団結の自由を得て初めてその保護が維持される、法律の結論にありますように、法の保護が十分果せる、このことはもう議論の余地のないことであります。むしろ日本の現状かいらいますと、近江絹糸のごとく、十大紡の列に加わるような、しかも繊維産業の王座にあるようなところで組織ができなかつた、こういうなまなましい社会的事実が、あれだけの輿論の中に取上げられておる時期であります。こういう時期に、労働者の組織を軽視して、あたかも個々の労働者の保護に熱心な政策であるかのごとき言い力は、もし私をして言わせるなら、羊頭狗肉である。こういう考え方があるとするなら、もうあなたがどんなによい政策を掲げても、全部これはインチキだというふうにとられるおそれがあると思いますので、こういう点に対するあなたのお考えを率直にひとつ聞かせていただきたい。  次に、これと並んで問題になりますのは、自立経済を達成するという意味から行きましても、個々の労働者の人格を保護するということ、もちろんでありますが、今世界的な傾向になつている、すなわち世界の産業再編成―政府の出されております経済白書の中にも、こういう言葉が使われております。世界の経済再編成、産業再編成は、第二次産業革命的性格を帯びて、しかも各国が死力を尽して世界競争に打つて出ようとする云々と書いてある。これは私どもはきわめて適切なる表明とう思う。これを表明するからには、世界の近代産業への努力というものは、個々の労働者を保護するのではなくて、労働の組織的な結果に多くを期待しておることは争えない。ことに日本のように資源や資本力を持たない国におきましては、しかも労働人口を―ここに限つたわけでありませんが、人口問題の困難な時代を控えておる際でありますから、一人々々の労働者が全部左甚五郎のようになるということならけつこうでありますが、そういう奇跡的な個々の技術者を期待するようなことは、もう古い考え方でありまして、組織的な、総合的な労働煮の創意くふうが期待されておることは、これはもう一貫した世界の新しい傾向であります。これとはまつたく逆行するものと思うのでありますが、この辺の確固たる何か御自信があるならば明らかにしてもらいたい。  第三には、あなたが個々の労働者を保護するために――ここによい説もあります。私はことごとくけなすわけではありませんが、個々の労働者を保護するために、労働省の機構をかえられようとしたり、あるいは労働者の福祉のための具体的な政策を幾つか掲げております。こういう点に対しては、私は敬意を表し、その熱意をこれからお尋ねしようと思うのでありますが、そういうことをお尋ねしようと思うわれわれといたしまして、基本政策を通じて全般的に感じますことは、ほんとうにこの政策が看板に偽りがない、個々の労働者の保護を通じて、それが日本の産業に、もしくは社会の平和、秩序を確保しようという熱意があるといたし専ならば、われわれが掲げる組織労働に偏重するというのであれば、ここで一番先に取上げて来なければならぬのは、私は最低賃金の問題と思う。すなわち労働者の最低生活が保障されるような賃金制度のない時代に、労働者を保護するなんという労働政策などありはしません。でありますから、最低賃金の問題についてもお考えになつていると思います。これは法律で規定された機関であります中央賃金審議会におきましても、すでに最低賃金をすみやかに制定されることを要請して答申いたしております。また本委員会におきましても、社会党両派から最低賃金法を議員立法の形において提出し、継続審議になつておるのであります。こういうような最低賃金の問題を取上げない個々の労働者の保護政策というものは、それは保守、革新を問うところではなく、政治にならない。さらに特に言いたいことは、個々の労働者を保護するということについての労働政策の背景と基盤をなすものは、社会保障制度に対する熱意であります。これも社会保障制度審議会の何回かの答申にも明らかなようでありますが、政府もこれには何回も意思表示をされておるようであります。言うところは予算の裏づけというのでありますが、こういうものに対しては具体的な表明がなされて来なければならないと思う。もう一つお尋ねいたしておきたいことは、雇用の問題であります。日本の産業政策、経済政策を、労働政策とにらみ合せて総合的な労働政策を考える場合においては、雇用の問題が出て来たければならぬのであります。そこで、失業対策の形で出ておりまするが、いわゆる今までのような社会政策的な失業対策というものは、どこの国においても今日問題にされておる。ことに日本では年々百十万からの労働人口の自然増が一方にはあり、他方には、につちもさつちも行かない失業者がどんどん出て来ておるわけであります。こういう、一方には、労働者が職を求めてさまようておるにかかわらず、その労働者に仕事を与えることのできないような状態で、個々の労働者を保護すると言つてみたところで、それはさおで星を落すような曲芸に近いものだと私は思うのであります。でありまするがら、雇用政策に自信のある裏打ちがあれば、このあなたの言われる基本政策というものが生きて来るのでありますが、こういう裏打ちがないと、この政策はだあつということになるわけでありまして、非常に大事な点であると思いまするので、ひとつ今まで明らかにされなかつたところを、この際明らかにしてほしいと思うのであります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 まず第一の、個々の労働者の福祉に重点を置くという点と、労働組合に非常な行き過ぎがあるとするならばこれを是正するという点とが矛盾するというお考えでのお話でございましたのですが、私は、あくまで労働組合は民主的な発達をすべきものと考えまして、政府としましても、その線に沿うてできる限りの教育なり、またこの指導ということには努めたいと考えておるのであります。しかしながら、民主的労組の育成というような表現は、今までしばしば使われておるのでございますが、この間に、大局的に見ましては、私は大きなあやまちはないと思いまするけれども、しばしばその線を逸脱しておるのではないかというような指弾を受けておる実情はございますわけであります。そこで、今回は少し表現をかえまして、労働組合というものは、その構成員であるところの労働者自身の福祉向上のためにあるのであるということを強調することは、一つの警句的意味があろうというふうにも考えまして、こういう表現を用いておるのでございまするが、これを言いましたからといつて、その個々の労働者の福祉を招来すべき機関としての民主的労組の重要性を見落しておるつもりは、さらにないつもりでございます。  次に、組織力というものに対して、非常に簡単に考えておるのではないかというお話がございましたが、私は、むしろこれは非常に重要に考えまする余り、労働組合全体の行き方が民主的な方向をはずれるというような場合には、これは非常に大きな結果を招来するものであつて、日本が、終戦以来、あるときは占領によつて無形の援助、保護というようなものを受けていた時代、あるいは独立いたしましてから、朝鮮事変というようなブームに甘やかされておつた時代から、もうまつたく自分の足で立つ以外に方法がない、素裸の状態になつた今日、この状態をしかと見定めまして、世界の荒波の中に日本という国が完全な独立した経済的な基盤を備えて立つ必要のある時代に、国民全般の正しい意味の組織力というものがいかに重要であるかということは、強調しても強調し過ぎることはないと思うのであります。その意味におきまして、かりに一部の偏向を持つた人によつて組織力が指導されるというようなことになりましては、これは非常に問題でございますから、そういうことがありませんように、労働法の観点からも、あくまでそういう余地がないようにして行くことが必要ではなかろうか、こう考えておりまするのが、この根本を流れる考え方でございます。  さらに、最低賃金のお話がございましたが、これは、御承知のように、中央賃金審議会から答申がありましてから、資料の収集あるいは調査等につきまして諸般の準備を進めておる次第でございます。なお、この答申には、最低賃金の実施の時期について触れまして、実効性ある措置の実現と相まつて決定さるべきであるという旨がうたわれておるのであります。しかしながら、現下デフレ経済下におきまして、答申案に示されておりまするように、それではこうした法律をつくれば、それでただちに実効ある措置が確保されるかといいますと、これはなかなか困難なる経済情勢下であると言わざるを得ないと思うのであります。従つてこれが急速な実施は、中小企業に対して種々重大な影響を与えることが予想せられまするので、目下、今申し上げましたような線で慎重検討をいたしておる次第でございます。  さらに、雇用量をいかにして増加するかという問題に関しましては、非常に複雑な問題でございまするが、根本的に申しますれば、やはり日本の産業が国際的に競争し得る状態になり、そして輸出市場が獲得されるということが前提であると存じまするから、国内産業の競争力、経済自立の基礎をつくることが雇用量増大の基盤であると考えます。それゆえに現在国際的に競争力のきわめて脆弱なる日本の経済基盤を地固めいたしまして、将来における雇用量の増大をはかるという態度に出ておる次第でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 意見にわたるから差控えたいと思いますが、どうも伺つでおる間に、労働組合に対する考え方が、何か民主的な労働組合に対しては特別の配慮をするという意味で、労働組合の逸脱したものを、というふうに言おうとしておるようでありますが、そういう考え方について、具体的な点でお伺いして行こうと思いまするから、かわつた点からお尋ねをいたします。  あなたは労使関係について、産業平和を願う立場から、労使関係の合理化を期待しておるようでありますが、その具体政策の中で、労働省の重要な任務である教育事業について、二つの事柄を表明しておるようであります。一つは労働経済の統計を整備するという点に言及されておりますが、われわれもこの点に対しては大いに期待をいたしております。産業平和を維持するために、労使関係の中でむだな争い、特に賃金関係闘争については、よりどころに迷つている傾向がある。その一つは、やはり統計資料の不十分な点に相当理由があると思う。こういうものは、労働省によつて当然今日までに出されていなければならなかつたと思うのであります。そういう点にお気づきになつたことは非常にけつこうだと思うのてあります。  その次に、労働組合の闘争意識の過剰是正という言葉をお使いになつております。もちろん労働組合の闘争意識が度を越してはならぬということは言うまでもありません。そこで、労働組合が闘争意識を必要以上に燃やすということは、これは私が説明するまでもなく、対象物があるわでありまして、すなわち労使関係であります。それが労働組合だけに問題をとらえようとするならば、これは片手落ちになるのみならず、正確をうがつことはできない。この点については、小坂構想の大事な点があるのではないか。これは古いことを言うようでありますが、あなたが、スト規制法の際にたびたび表明されているように、労使間の平和を力関係のバランスの上に求めようとするということは、これはもうりくつじやありません、事実であります。その場合に、日本の経営者の態度―あなたは特に好んでではないかもしれませんけれども、経営者団体の会合に小坂構想なるものを何回も明らかにしたようであります。本来こういうことというものは、先に労働委員会に御相談なさつて、協力を求めて、そうしてそういう方面に行くというのが、私は道筋じやないかと思うのでありますが、この点はまあよけいなおせつかいになるかもしれません。とにかく、経営者に対してあなたがどう言つたか、私は機関誌やあるいはそれらの団体の発行されるもので見たのでありますから、正確かどうか知りませんけれども、そう間違つたことは言つてないと思うのであります。しかし、そういうものを一々あげて、ここであれしようとは思いませんけれども、とにかく経営者側が、あなたのこういう構想を、まあ悪くいえば悪用して、それを道具に使るつて、今日の労働者の当然要求して来るであろうところの民主的な勢力をもたたこうとする、きわめて極端な階級闘争意識というものが熾烈に燃えておるという点を、あなたはどうごらんになるのか。産業平和を維持しようとするならば、労働組合の民主的な成長を希望すると同時に、それ以上の熱意を持つて、経営者の階級対立的な労務管理というものに対して、十分警戒をすべきであると思うのであります。あなたがああいうところへ行つて言う前に、むしろ労働組合に積極的に取組んで行くという行き方が、私は労働省の建前だろうと思うのでありますが、こういう点に対するあなたの、すなわちここに言うております労働組合の闘争意識の過剰な原因が一体どこにあるとあなたはお思いになるか。いたずらに共産党の思想的な影響と、共産党の戦略的なものに日本の労働者がいつでもかきまわされているというように、労働者をあなたが軽蔑してごらんになつているかどうか。もちろん、思想的な災いを避けることはできません。しかしそれは労働組合の組織を尊重するときに、初めてそういう撹乱工作や外部からの圧力を排除する力がわいて来るのであります。そういうときに個々の労働者を何ぼあなたが熱心に保護されたつて、そういうものを排除する力には絶対にならぬ。むしろそういう思想というものは、労働者の分散することを願つておる。春秋の筆法をもつていうならば、あなたの個々の労働者を保護するという行き方は、そういう撹乱工作を迎え入れる結果を醸成することに私はなるんじやないかと思うのでありますが、こういう点に対するあなたのお考えをはつきり聞かせていただきたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 私は、自分から実は御相談すべきところには、だんだん進んで御相談すべきものだとは思いまするけれども、問われるままに、または招かれるままに随所に行つて、意見を聞かれれば言つておりまするので、ことさらに経営者であるとか、あるいは労働組合の団体であるということでいたしておるつもりはないのでございますが、労働組合の方からお前の話を聞かせろということがないので、この点は私の不徳のいたすところかと考えておる次第であります。  そこで、闘争意識過剰云々という言葉が問題でございまするが、これは私も正確にそうしたドラフトを書くというつもりで書いたものではなくて、何ということなく、いわゆる構想の説明というようなことを言つておるときに、そういう言葉が出たのかと思うのございますが、これは真意を申し上げますと、何も一般的に労働組合をきめつけて、闘争意識過剰なりというつもりは実はないのでございまして、闘争意識過剰と思われる組合も相当あるという気分を実は率直に申して持つておるものでございまするから、そういうことを申しておるわけでございます。私のところに個々においでになつてお話をくださいます方々は、相当りつばな方だと思いますし、よく話もおわかりだと思うのでありますが、私のところへ来て話した話を組合に行つて話されるときには、まるで違うのであります。そういう点、私はやはり人間として―たとえば私のところに礼に来られて、今度は大会へ行くと、あいつを糾弾してやつたというようなお話がよくあるのでございますが、そういうことはやはり人聞でございまするから、うらはらなくすつきりと自分の思つたことが言えるような、そうした組合の考え方にもなれぬものかという点を希望として持つておるのであります。もとより経営者が悪い、あるいは政府が悪いという点もあると思うのでありますが、そういう点は、政府に関しましたことについては、及ばずながらできるだけこれを直して行きたいと思うのでございます。経営者につきましては、いわゆる時代感覚と申しますか、組合というものを頭から非常に毛ぎらいするという点で、組合のやつはでたらめ偽りを言うというふうに考えておる人もなくはないのでありますが、そういう点につきましては、私としましてできるだけこれを啓蒙するということは、機会があればいたしておるつもりであります。中には、信頼しておつて非常に手痛い目にあつたというような人もあるようでありますし、これは経営者、労働組合を通じて、多く啓蒙され教育さるべき問題が、あるいは将来においてあるのじやなかろうかというふうに思つておる次第でございます。まあ何といたしましても、労働関係の法律というものは、終戦後に与えられた関係でもあり、先ほど申し上げたことですが、その間に八年これを運用してみて、日本的に労使関係の法律というものは考え直していい時期じやないか、こう思つておりまするので、むしろ問題を投げかけるのには少しどぎつくなり過ぎた方が反響があるのでございまして、その言葉一々についておつしやられますると、あるいは私として御批判に値する点もあろうかと思うのでありますが、真意は実はそういうことでございますので、虚心坦懐に、これはこの際政党政派のいかんを問わず、かりにだれが政府の立場に立たれても、今のような考え方が敷征いたしておりますると困る場合もある。これは全部とは申し上げませんが、そういう場合もありまするので、この辺でみなで話し合つていい時期ではないか、こういうふうに思つておる次第でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 労働組合に対するお考え方が、必ずしも一貫していないような感じを、私は今の御答弁で受けたのであります。というのは、あなたが指摘されたような一部の幹部の態度といいますか、極端な事例が―今私どももそういう点を否定はもちろんいたしません。しかしそういうことがどこから起つて来るかということが問題であつて、それはやはり労働組合の組織的訓練の欠如からだと私は思うのであります。でありますから、むしろまだ労働組合の、ここにあなたの方が選、定されておるような組合の育成というようなものについては、行き過ぎどころじやなくて、不徹底だということを意味するのだ。こういう点は、私はあなたの御答弁の中で矛盾を感ずるのであります。  それはそれといたしまして、次にお尋ねをいたそうと思うのは、以上のように、私のお尋ねにお答えしてくだすつたことは、言葉通りにとりたいと思うのであります。そうすると、ここに労働法令の改正にあなたの構想が出て来ておる。まあ表現は強い方が刺激というけれども、こういうものはそういうふうにはとれぬのじやないか。すなわち労働法の改正の中で、あなたは、ストライキあるいは労働争議の正当性に対して、法律で何かこれをを規制しようというお考え方のようであります。そうでなければ、そうでないことを明らかにされたいが、一体労働争議、ストライキの正当性というものを、どうしてあなたはつかまえようとするかということが明らかにされないと、こういう表明は、たた単に労働者の団結権を、経営者の要求に基いて―その経営者も、民主主義を理解しない、古い支配の自由と屈従をもつて産業平和を維持しようとする、もう今日通らない、きわめて時代遅れの経営者の主張をいれて、法律で労働者を縛ろうというものであれば、これはもう何をか言わんやであります。あなたは資本家の一部のごく時代遅れのしたところの経営者の用心棒を勤めるほど弱い意思ではなかろうと、私はあなたの意思を尊重しているわけですが、そういう意味で疑いを非常に持つ。第一、ストライキを法律で縛ろうという考え方は、もともと封建的な思想の上に成り立つものか、あるいは全体主義の指導者原理に基くもの以外には出て来ない。民主主義に対する基本的なものの考え方によつて、こういう問題が割出されて来ると私は信じておるのであります。これに対するあなたのお考え方を、具体的に出ておりますからお尋ねをいたしておきたい。  それから次に、同じく法律の改正の中で、労働組合の政治活動についての合理的な限界を設ける、こう言つておりますが、これは法律や行政的な権力でそういうことをすべきではなくて、ただ労働者の自主的な活動力によつて労働者自身がきめることなんです。もしこういうところまで干渉する思想があるとすれば、それは自由主義思想じやない、それは全体主義思想なんです。でありますから、それは左は共産主義、右はフアツシヨ―あなたはまさかフアツシヨでもなければ共産主義者でもないと思うのでありますが、少くともリベラリストである限りにおきましては、労働組合の政治的活動を阻止せなければならぬということなら別であるが、むしろ労働組合の職務の中には、労働者の政治的勢力を伸張して行くための職能というものは高く評価されていいわけです。また、社会的使命もあるわけである。であるとするならば、ここのところまでは言つてはおりませんけれども、自由党、社会党という選挙で競争するような立場からいうと、自由党がおおむね金持から金をもらつて、社会党の方は労働組合の方からもらう、だから敵対関係で考えるのであれば、選挙の競争の相手方の手足を縛ろうという拙劣な考え方であるなら、これはよくわかるのです。だけれども、労働大臣として国務を扱う者の考え方としては、そういう思想はここには出て来ぬと思うのでありまして、この辺の見解を正直に言つていただきたい。  それからまた、同じようなことが出ておりますが、不当労働行為の問題は、同じように重要であります。労働組合法の中から不当労働行為というものを制限したり、とりましたら、労働委員会はいらなくなる。労働組合法に労働委員会がついておるということは、憲法に最高裁判所がついておると同じ意味なんです。不当労働行為というものをその法律からとつてしまうと、労働委員会は機能を失うのです。これは私は恐るべき労働法の改正だと思う。これはむしろ何かの間違いじやないかと思うので、その点について所信をただしておきたいと思います。それから次に、労働法の問題はそういうところで伺えばあなたのお考え方がわかると思うのでありますが、ひとつ正直に話してください。     〔池田(清)委員長代理退席、委員長着席〕

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 まず第一に、ストの関係でございますが、ストが法律によつてとめられるとかいうことは本来の姿でないし、好ましくないことであろうと思います。できるだけストの起らないような客観的状況をつくるということが第一だと思うのでありますが、ストライキによつて解決する、あるいはロック・アウトをするとか、いわゆる力関係によつて問題を解決するということを考えます前に、やはりできるだけ話合いによつて解決するということが望ましいことは皆さんもお考えであろうと思うのであります。ただ、ストライキというようなものをやります場合に、やはりストライキをする権利といいますか、そういうものは無制限にあるわけでなくて、やはり公共の秩序といいますか、公共の福祉ということを一方において考えなければならぬと思うのであります。  さればこそ、その際非常に公共性の強いものにつきましては、インジャンクシヨンの関係も法律にあるわけでございまして、私としまして、実は近江絹糸などの場合にもそう思つたのでありますが、やはり職権調停というような考え方―公益事業に限らないで、特別の重要争議というものがありました場合には、これを広く適用する職権調停というものを非常に公正な立場からなすということは必要なんじやないかという気がするのでございます。この点につきましては、私の構想でございますから、皆さんもそういう点につきましていろいろとお考えをお述べいただきますれば、非常にけつこうだと思うのであります。また独占的な企業、たとえば政府で料金を公定するような、まつたく独占で行つております。る企業がストをやるという場合、これは力関係で起るべくして起きたのでほうつておけというわけにはいきません。一般国民の見地から見まして、ほうつておくことがいいか悪いかという点も考えられまするので、特別の場合には強制仲裁の制度も考慮することも一案であろうと考えます。この点は今までの経験に徴しまして問題点であるというふうに考えておりますのでございます。  第二点は、政治資金の問題についてお触れをいただきましたが、私は政治資金がいかぬとか、これはとめてしまえという思想ではないのであります。ただ労働組合員の出しまする組合費は、政治的な目的は実は事柄自体持つていないのであります。ですから、政治的な目的に醸金する自由は妨げませんが、それを一般の組合費として強制的にとつてしまうというところにむしろ問題があるので、ほんとうに民主的な行き方をすれば、これは別わくでやるべきものじやないかというふうに思うのであります。これは非常に民主的労働組合の古くから発達し、そういう制度につきまして相当習熟しておると思われるイギリスにおきましては、御承知のように一九一三年労働組合法の中に、政治目的の支払いは別個の政治資金からなすべしということが規定されておるのであります。しかも政治目的の支払いは組合員が醵出を拒否すれば、別に強制的にしなくてよろしい、あるいは政治資金を出すのをいやだと言つたからといつて、組合で不利益な取扱いを受けない、あるいは政治資金醵出を組合加入の条件にされない、これはまつたく組合員の自由意思であるというふうな規定が労働組合法の中にあるわけでございます。保守党政府ができました一九二七年の労働組合法の改正におきましては、さらにこれを一定の様式行為といたしておりますのでございます。政治資金を出します場合には、一定の様式に従つて出すべしということが規定してでございまするし、また政治資金以外の組合財産は、政治目的には使用できないというような規定がありますのでございます。これは御承知のごとく、労働党内閣になりまして一九四六年失効いたしておりまするが、現在の労働党政府の治下におきまして、やはり今申し上げたような労組の政治資金規正法は、労働組合法の中に入つておるのであります。私は日本の場合、労働組合法の中にこういうものを入れるのがいいか悪いかにつきましては、労働組合法の適用を受けない。たとえば日教組であるとか、総評であるとか、その他の団体がございまするが、これは労働組合法に入れるということより、むしろ政治資金規正法というものでこの問題は扱うべきじやなかろうかと思つておるのでありまして、決して選挙関係がどうとか、そういうことを主にして考えておるわけではございません。やはり一般的な問題として、民主的労組は、組合費は組合費、政治資金は政治資金というふうにわけて考えるのは、イギリスにおいても労働党の政府下においても、アメリカのタフト・ハートレー法のごとき――これはアメリカは資本家政府たと言われるから。別にしておきますが。イギリスにおいても、アメリカにおいてもそういうことでやつておりますので、これは考えていいのではないかというふうに思つております。  不当労働行為制度にお触れになりましたが、何もかにもいかぬというのでなくて、要するに解雇さるべき理由があれば、それはその問題として成立するということを明らかにすることはいいのじやないかと思うのであります。何でもかんでも組合員ならやつてもいいのだ、解雇されぬというふうな考え方が一部にございますから、そういう点は、そういうことを明確にすることは、かえつてこの問題がありますために組合全体の信用を傷つける行動がなされるということになりはしないかというふうにおそれるのであります。なお、シヨップ制というようなものにつきまして、これはやはり外国の組合は、御承知のように日本のような単位組合でなくて、一つのユニオンの下部組織というふうになつておりますので、日本の場合のシヨップ制というものは、外国と同じように適用がされておりますが、実態が違うので、そういうものについてもう少し検討をする余地がなかろうかと考えております。  大体そんなところであります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 議論は避けたいと思いますけれども、ただ、今のお答えの中で、政治資金の問題について、イギリスの労働党の場合と労働組合の政治資金の問題を取上げたが、これはたまたまはげしい政争のまつただ中に取上げられたことで、これにはそれぞれの言い分があるようであります。結果から言いますと、労働者側の考え方というものは、一応力の前に―かつてのイギリスの歴史は、御案内のようにはげしい団結権禁止法等で闘つた歴史を持つておる労働組合でありますから、そういう点が勘案されて出て来ているということと、自分らの組織的な訓練と組織の力に自信を持つておる労働組合から割出された見解なんです。もしあなたがイギリスの例をお求めになるとするなら、前の方にもずつとさかのぼつて求めなければならぬ。だから部分的に取上げるということになりますと――反動政党だと言われ、あるいは吉田政府は労働者の敵のように言われます。その中にいいものもありますが、そのいいものばかり取上げて、いいということはいえない、総合的なんですから……、ちよつと小坂さんに似合わないずるい答弁だと思います。そういうことは、しろうとの間で話すことで、こういうところではどうかと思います。記録に残りますので触れておきます。そのほかについては、あなたのお考えはまあまあということにいたしましよう。  次に、あなたの腹を伺つておきたいと思うのは、労働者の福祉についての基本政策で、何をやるかということのあなたの御説明を伺つておりますと、その中で二、三いいこともあるがやるかやらぬか、その辺を明らかにしておきたいと思います。それは勤労所得税の軽減です。これはなかなかいいことを言つておられます。勤労所得税を廃止するくらいの熱意がなければ、こういうことは言えぬはずでありますし、一番やさしい、すぐできることでありますから、これは非常にけつこうだと思うのでありまして、閣議で御相談なさつた模様等をこの際ざつくばらんに言つていただければいいのでありますが、それは別といたしまして、とにかく今日勤労所得税を廃止しないようでは、これはもう労働者のことを言う資格がありません。申訳に言つたのではないと思うのでありますが、その熱意のほどをこの際ひとつ具的体にあなたの構想を聞かしていただきたい。  もう一つ、これに関連いたしましてよく似た問題があります。これは失業対策の中にも、いろいろなことを言つておりますが、解雇手当、一般には退職手当です。各会社、工場に退職手当の制度がありますが、税法で行きますと、労働者が受取る退職手当の中で、最底の規定がなされておるわけです。その最低額については、損失の積立金として課税の対象から免れておるわけです。それは当然なんです、受取るときにまた勤労所得税がかかつて来るのでありますから、二重課税ということで除くのであります。ところがおおむね雇主の責に帰する解雇でありますが、そういう意味の退職積立金を認めていない。こういうものはすぐやれるんです。大蔵省としては、少しでも収入の減ることは反対かもしれませんが、これは勤労所得税を廃止するより、もつとやさしい方法で、こういうことこそは、自由党の内閣としてはすぐやれることですが、こういう点についてひとつおやりになる意思があるかどうか、そういうことをお考えになつたかどうか伺いたい。勤労所得税の問題については、ひとつ歯にきぬを着せないで、あなたの構想でけつこうですから――もつとも内閣は、いつつぶれるかわからないような状態だし、自由党もいつ解散するかわからないと言えばそれだけですが、そういうことでなしに、隆々として栄えて行く前提でお話ください。内閣としても来年度予算をすぐ組まれるわけでありますから、その予算に入れているかどうか、どのくらい入れているか、その点を明らかにしてもらいたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 たいへん御賛同をいただきまして、恐縮しております。自由党全般といたしましても、かねてからこの点は主張し続けて来ているのでありまして、この点は、逐年減税をいたしていることは御承知の通りでございます。ただ、今までは、全体といたしまして、いわゆる自然増収というものを見込んで予算を組んでおつたのであります。いわゆる朝鮮ブームで一般の物価等が漸騰する、そこでどうしても、補正予算を組まぬと言いながら、組むかもしれないから、その際の財源にというような気持で、意識的か無意識的か知りませんが、結果においてはそうなつておりまして、そういう自然増収というものを当てにした予算の立て方をしている、今年にと言いますか、二十九年度におきましては、倉石予算委員長の御裁定のもとに、そういうことはやめました。そういうことで、実質的には、いわゆる一般の自然増収を当てにしたところの税法の立て方、勤労所得税の立て方とは開き方というものはずつと狭まつております。これは今後においてもさらに強力にいたしたいと思つておりまして、この考え方につきましては、大蔵大臣も非常に賛成いたしております。ただ、各省の予算要求額というものは、今出ているのでございますが、この内容に触れることは私差控えたいと思います。例年のことでありますが、相当厖大なものが出ております。今それを集計してこの出入りを見合せるという段階にございますので、私どもとしてはぜひこの点は推進いたしたい。さらに今年に限らず、明年度も明後年度も、減税ということについては、大いに推進いたしたい、かように考えております。それから後段の、使用者の責に帰すべき退職の事由による積立金課税の問題であります。この点につきましては、御要望もありますので、話合いはしてみておりますが、まだ意見は全然平行線という程度であります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 ここら辺があなたの誠意の示しどころだと思つてお尋ねしたのですが、うまいぐあいに逃げられて、誠意のほどが疑わしいのでありますが、それはそれとしておきましよう。  次に、たくさん伺いたいこもありますが、時間の関係もありますので、重要と思われるものを一、二伺います。さつき島上君も労働金庫の問題について聞いておりましたが、これについて多く聞くこともできますまいから、基本的なことについてちよつとお尋ねして、おきたい。労働金庫は一般の金融機関と、いろいろな意味で異なつた性格を持つていることは論ずるまでもない。その中で一番特色としてあげなければならぬのは、自主的な経営だということであります。すなわち預金者の意思が借りる人と有機的に結ばれている。運営についても同様である。それから社会的機能においては、貯蓄銀行としての使命を果して行くのであるから、この点は階級的な立場とか利害とかいうものを離れて、大きな社会的な新しい分野を開拓して行くという点は、私は大きく期待していいと思うのであります。ところがあなたの構想の中に、さつき島上君の御質問にお答えになつておりました中にもちよつと現われておりますし、それから「週間労働」を見てみますと、あなたの構想として伝えられているのは、これは間違つているかどうか知りませんが、そういう中に表明されていることで、自主性をまるきり殺し、また殺すのではないかという懸念があるのです。もしそういうことになりますと、角をためて牛を殺すことになつてしまい、労働金庫というものの死命をまつたく制することになると思うのであります。もちろん、いろいろ御心配する向きもあると思うのです。越年資金を年末には出してもらわなければならないというような要請もあります。それから賃金の遅欠配に対する資金源を、還元融資の形で持ち込むというような問題もあると思うのであります。そういう当面の金庫が果さなければならない使命を、最も能率的にスピードのある道を開こうとするお考えも、この中にあるのじやないかと思う。そういう点は私どもにも理解ができる。そのためには、自主性を尊重するが監督権をという考え方ではないかと思うのだ。その監督の考え方が、悪い言葉を使えは官僚主義――民主的であるか官僚的であるかということによつてわかれて来ると思うのでありますが、民主的であれば、自主的なものにウエートを置いて管理、監督の厳重を期するという行き方をはずしてはならない。それにいろいろ注文がついて来るのはいいと思う。しかし、角をためて牛を殺してしまうような、本質をいためるような管理、監督が出て来たら労働金庫ではなくなるのであります。その辺のけじめが大切だと思うのであります。その点に対する考えがはつきりしておれば、またわれわれの見方も変わつて来ると思います。今のところ、どうもそうではなさそうなんです。その点をひとつお伺いしたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 労働金庫につきましては、本委員会でも非常に御熱心にお考えになりました結果誕生したものでございますが、その後の運営は、非常に順調でございまして、預金も非常に伸びておるのであります。非常にけつこうなことだと思いますが、一方におきまして、非常に長期にして低利の金を借りたい、あるいは今お話がございましたように年末の融資をしてもらいたい、賃金遅欠配に対しては何か政府が預託をしてもらいたいというような御要望がございまして、昨年の暮れも今年もそういう措置をいたしております。一方において、長期低利の金を貸してもらいたいということになりますれば、これは政府の資金を入れる以外に方法はないのでございますが、政府の資金は入れつばなし、それはどうなるかわからないということでは困る。それからさらに、せつかく汗の結晶でありますところの預金を――経済状態というものは、私どもは万全を期しておるつもりでございますが、どんな政府が出て来て非常な金融恐慌が出るかわからぬというような場合には、これは金融機関でございますから、そうした政府というものに関係なく、がつちりした基礎を置かなければいかぬというふうにも思うのであります。私ども率直に申しますれば、善意で出ておるのでありますが、何か政府の言い出すことは、何でもかんでもいかぬというふうなお考えもありましようし、またそういうふうに非常に御懸念になる向きもあろうかと思うのでありますが、私どもの考えます限りは非常に善意で、できるだけ長期の金を出せるようにもし、信用も供与しというふうに考えております。しかし、お話もありましてお答えを申し上げましたように、金庫をやつておられる方々と、できるだけ十分お話合いをすることが前提になると思うのであります。その反対があるものを何でもかんでも押し切つて直るということは、健全なる金庫の育成のためにとらざるところであると思うのであります。一方大蔵省として、金融機関の監督官庁としての考え方もございますので、そういう各方面の意向をまだ十分聞いておらぬのでございます。一応の素案は実は持つておりますが、これが「週刊労働」に出ておりますのはいわゆる労働省素案でございますので、それをどういうふうに扱うかということにつきましては、今申し上げたようなことで、各方面の御意向を十分承らないと、どうなるかも実はわからぬといら状況でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 次に、関連して金庫のことですが、これは厚生年金保険法改正の際にもう厚生大臣を通じて政府の意図をただしたし、労働委員会でも、一、二、お尋ねしたことがありますが、あなたが欠席がちでその機会を得なかつたので、この機会にひとつ伺つておきたいと思います。労働者の福利に還元される当然の積立金、また形をかえていえば労働者と雇い主がそのために積立てした金額が、いろいろな社会保険、労働保険の中にあるわけです。ことに顕著な金額を持つておるのは厚生年金積立金です。昨年末で一千億円をはるかに越えておるという大きな金です。それが大蔵省の資金運用部に一括管理されておるわけなんです。これがたまたま問題になつて、社会保険審議会ですか、そこの答申もあり、社会保障制度審議会もこの意見に同調されて、政府にそれを独立管理の形に置くべきではないか、ちようど非現業共済組合の積立金が自主的に運営されておるのと同じ意味で、これをしたらどうか、こういう答申も行われて、これに対して厚生大臣は、政府を代弁して、そういう趣意には賛成だ、そういうふうに努力をいたしましようというお約束でございましたが、そういう金もあることですから、今日労働金庫は、御承知のように四十一の労働金庫が設立して事業を始めておる、残つている府県は三つか四つだと思います。これも準備が進んでおりますから、日ならずして全国的な機関として十分な活動のできる組織体系だけはできるわけであります。こういう受入れ態勢もあるし、それからいわゆる大蔵省、労働省の二重のきびしい監督のもとに経営されておる金融機関でありますから、こういうものにこういうものが還元融資されるとか、あるいは資金運用部からそういう方面でこの金が預託されるとかいうことになりますと、非常に私は効果的な合理的な資金の管理運営になるのではないかと、かように考えております。あなたの所管にもなることですから、そういうものをこの際大蔵大臣とも折衝なさる御意思があるかどうか。これは実現しようと思つたら、割合簡単にできることだと思います。これは熱意のいかんにかかることであると思いますが、そういう点に対するあなたの御所見を伺つておきたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 そうした積立金というものは、やはり相当に確実に運営をせねばならぬという条件がついて国民から預託されておるものだと思うのであります。そこで金庫に今の形でただちにそういうものを預託する方がいいかどうかということになりますと、こういう金詰まりの際ですから、受ける方はむろんいいと思うのでありますが、私としましては、まだその点に少し問題があると考えます。従いまして、そういうことをするためには、一応労働中央金庫というような構想をもつてやる方が筋ではないかと考えておる次第であります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 最後に一つお尋ねをしておきたいと思いますが、中小企業のもとにある労働者の保護について、これは組織と個人と両方通じて行かなければいけない。ことに零細企業、五人未満の小人数を雇用しておる事業場においては、厚生あるいは健康保険、失業保険、こういうような社会保険あるいは労働保険の恩典から除外されておるということは、どう考えてもこれは矛盾に満ちた実情だと思うのです。一番先に救済を受け保護を受けなければならぬ、こういう脆弱な基盤の上に経営されている雇い主に雇用されている労働者といいますか、そういう方面の保護というものは、優先してなされなければならぬことは申すまでもないわけであります。ところがその保護を与えようとすることについて、事業場があまり不安定であるということと、その実態を把握するに困難だという事情は、われわれにも了解できるわけありますが、こういう点を今度あなたの構想の中に出ております共済団体法の調想の中にそういうものがあるものと私どもは思うのであります。こういう点に対するお考え方を、この際明らかにしておいていただきたいと思います。いま一つは、福利共済団体法の中でそういうものができるということになりますと、もちろん今まで困難であつた実情が報告されるわけであります。すなわち個々の事業場は把握に困難だけれども、共済団体法で団体をつくり、あるいはその組織の連合体ある恥いは地域的な特殊な総合組織になれば、把握することに何らの困難もなくなつて来るわけであります。それを事業場の単位と見なして、自主的な統制と運営をやらせる、一挙両得というか、そういうような点が開けて来ると思うのでありますが、そこまで考え方を伸ばしておいでになるかどうか、その点をこの際伺つておきたいと思います。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西説明員 ただいまの問題は、労働者福祉共済図体法―仮称でございますが、この中でその精神が盛られておるのじやなかろうか。この考え方につきましては、実は私どもと申しますよりは、委員の皆様方が非常に御熱意がございまして、いろいろとわれわれにお教えをいただいたような事情がございます。目下、この案が本院の法制局で練られておるような事情もございます。できますれば、われわれとしましても、皆様方の御構想がそのまま実現しまして、そういつたことに中小企業の従業員の福祉が伸びますように念願しておる次第でございます。どうか皆様方も、われわれをさらに御指導いただきまして、御研究をお進めいただきたい、かよように存じております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 たいへん時間をとりましたので、また失業問題についてお伺いしなければならぬのですが、またの機会に譲りまして、これで一応私の質問を終ります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 近藤君、あなたのさつきの発言のときにはみながいなかつたものですから、ちよつとさつきの陳述の結論だけ要約して述べてください。

近藤誠関東地方特需労働組合協議会議長

○近藤参考人 特需の問題につきまして、午前中いろいろ意見を申し上げましたが、非常に多くの矛盾点や不合理な点をはらんでおりまして、先ほど通産省の方からこれに対する見解を述べられましたが、われわれ聞いておりまして、まるで一匹の象の足をさわつたり、あるいは頭をさわつたりしているような感じがいたします。たとえば、外務省関係とか、あるいは通産省関係とか、あるいに労働省則係とか特調関係、これらはそれぞれ特需というものに対する部分的な問題と取組んでおるようでありますが、われわれが今日申し述べました基盤というものは、特需の中の役務提供をしておる部分でありまして、ここには現実にアメリカの兵隊さんが銃をかついで門におる、作業の生産過程には、軍の機構、オーガニゼーシヨンによつて生産計画が立てられ、あるいはスーパーバイザーというものが存在し、その下にフォアマンというものが存在し、これと並行的に日本の会社の職制が置かれておる。こういう環境に働いておる特需労働者の立場から申し上げておるのでありまして、先ほど通産省の方の見解では、需品特需とかあるいは役務特需とか、日本の全般的な特需というものに対する考え方のようでありまして、これでは私たちの現在の立場というものは、なかなか認識されませんで、要は、形式的には経営者というものが介在しておつても、実質的には現在のLSO労働者と何らかわりない環境にある。まずこの点を認識していただきたい。  そうして、いろいろの退職金の問題とか、あるいはその他の労働条件の問題がありますが、それはさておきまして、九月十五日にゼネラルリンドという人が二、三のこういう関係の特需経営者を呼びまして、米国の新しい年度における予算が削減されるので、相当数の縮少がこれら車両特需の面に影響を与えるだろう、こういうことを申したわけであります。従来、昨年の十月から人員整理がありましたのを振り返つて委すと、われわれ特需労働者に対する整理の仕方というものは、軍の方で一応検討され、検討されたものが各現地のそれぞれの軍担当者に通達されまして、そこから個々の経営者に通告され、経営者の方から労働組合の方に通告される。このときには、もうすでにいかようの変更も改善もできないという段階になつてしまつておるときです。従つて、ゼネラルリンドが少くともそういう発表をしたからには、現に軍の方で一応検討がなされておるとわれわれは考えざるを得ない。その内容については、たとえば、この役務特需の中の兵器関係においてどのくらいの数であるとか、あるいは技術関係においてどのくらいの数であるとか、こういう部門別の具体的な内容というものは、必ずこれは検討されておると考えるわけです。従つてごの内容の発表を、少くとも事前に、個々の経営者に着く前に、個々の軍の管轄に行く前に、何らかの形において日本政府の方に通達をしてもらいたい。また日本政府の方も、その通達を受けたら、一般的な発表としてでもけつこうですから、これを発表していただきたい。これに対する要望を特にお願いしたい。  いま一つは、特需という全般的なものの中で、足とかあるいは頭の部分だけでなくて、こういう軍の管理下にあるところの特需労働者そのものに対する日本政府の責任ある一つの官庁、労働省でもあるいは調達庁でも、通産省でもけつこうですから、責任ある一つの窓口をつくつてほしい、これが今日の段階におけるしぼつた一つの要望であります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 この問題につきまして、調達庁の山内次長から発言を求められておりますので、これを許します、山内調達庁次長。

山内隆一調達庁次長

○山内説明員 ただいまの御発言の中で、所管の問題につきましては、確かに現在のところ、一体日本政府の窓口はどこかと言われると、おそらくどなたでも返事に困るようなことになつていると私ども思つております。調達庁の受持の部分は、御承知のように講和発効から軍と業者との自由契約になつておりますので、その間に調達庁が入つて特に積極的に働く余地はないわけであります。ただ、その日本の業者のいろいろの華の関係、法律、習慣の関係で事情の違つた軍と契約し、いろいろ仕事をしましたわけですから、いろいろ問題が起ることが予想されます。そして問題が起るたびに、割合に不利な状態に解決されるおそれが多分にある。これを是正し、なるべく有利な解決をするために、労働委員会の下部機構にある調停委員会、その調停委員会の事務局的の仕事を調達庁が受持つているわけであります。従つて、その紛争の起つた場合に適正な調停を行う、さらに進んで多少でも問題を聞いたときには、なるべく紛争の起らないように解決するという努力をする、これが調達庁の受持であります。従つて、調達庁の受持というのは、特需というと、何だか調達庁というふうに感ぜられる傾きがあつたかと思いますが、それは過去の調達庁のなこりでありまして、現在はきわめてわずかの部分しか受持つておらない。そういう事情でありまして、私の方は窓口なんというようなおこがましいことは申し上げられません、消極的にそういう仕事を担当しているという状態であります。  どうも私から申し上げることはどうかと思うのでありますが、ただ私の考え方として、外務省、通産省、労働省、調達庁というようなところは、当然関係があるわけですが、その中で通産省が特需というのは、先ほども申し上げたように、日本の産業の重要な部分を占めて、そうしてどれだけの使命があるかわからぬが、産業の指導監督は通産省がやつているわけでありますから、当然特需産業についても、通産省が全般的に大きな関係を持つていると見ざるを得ないと思います。現に通産省の中には、企業局の中に特需課というものがありますし、毎月の特需のデータは、通産省がまとめて発表いたしておりますような事情から、比較的通産省が広くタッチしている、こう申し上げていいのではないか、こんなふうに考えております。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 特需契約につきましては、企業局の中に特需課というのがございまして、これがもつぱらいたしておるわけであります。これが中心になりまして外交関係で――外交といいますか、言葉が違う方でいろいろ話をしてもらいたいとか、あるいは調達委員会の関係であるとかいうものの面で外務省を煩わす、こういうことになろうと思います。調達庁もそうした調達という関係で、かつては相当手広くやつておりました関係もありまして、現在総務部の中に調達協力課というのがございますが、これはかつてあつたということで、現実には機能がきわめて微弱でございます。これははつきり申して、通産省の企業局の調達課であると思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは労働大臣小坂氏でなくて、国務大臣小坂善太郎氏として、その窓口を今明確にされたのですから、これから特需関係の人は、そこを窓口として諸般の折衝をしていただきたい。政府を代表されて発言されておるのですから、どうぞひとつ。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 今の、言明かどうかわからぬが、もう少し明確にしてほしいと思う。主務局を通産省の特需課に置く、こういうことで一括してそこで扱う、こういうことに明確にできないですか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 一括してとおつしやいますが、要するに主務省主務局主務課があるわけです。一括してといつても、事柄がいろいろ関係する面が出て来ますと、それはその関係官庁がもちろん協力いたします。しかし、どこが主体かと言われれば、もちろん通産省企業局特需課であります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 つまりあなたたちが今まで折衝されたでしよう。外務省に行つても、通産省に行つても、調達庁に行つても、どうも責任の所在が明確にならぬということで、今まで非常にお困りだつたのでしよう。これから折衝するについては、今国務大臣から、政府の窓口は通産省の企業局である、こういうような明確な答弁があつたわけです。そこで、先ほど申し上げたように、いろいろな企業主体の問題、あるいは企業内におけるところのいろいろな問題が生じましたら、そこへ行つて折衝されたらどうか、こういうように私は申し上げたのだが、それについて何か御意見があれば……。

近藤誠関東地方特需労働組合協議会議長

○近藤参考人 きようの議題は失対問題になつております。失対ということになりますと、これはもう根本的に縮小された部門を、どういうふうに日本の産業構造の中に入れて行くか、これはもちろん通産省の問題だと思います。しかし、ただいま政府が行つております特需確保の対米交渉と申しますか、これなどは外務省の国際協力局が主体になつておるのではないかと思う。ですから、通産省の企業局に行つてすべての問題が解決するかどうか、今後の問題だと思いますが、今そういう確認がなされましたので、今後われわれは、その線で通産省の方へ参りまして、いろいろな問題を持ち込んで行きますが、その上であとの問題はケース・バイ・ケースでもつて進んで行きたいと思います。しかしその窓口が明確になつたことは、われわれとしても交渉相手ができたわけで、一応了解いたします。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 先ほど私とあなたとの話合いでは、明確にならないから、そこで官房長官なり副総理なりを呼んで、その点について政府を代表して明確な答弁を願うことになつておりましたが、今国務大臣としてそういう答弁がありました。これは事実政府を代表しておるのですから、これからは、企業局にお行きになつて、どんどん交渉する。たとえば、失業対策というような労働省の関係する部分については、これはまたあれしてもよろしいけれども、今言つたように、企業局の方で特需の問題を扱つておるというならば、そこへ行つて折衝する、こういうふうにされたらいいと思うのです。  他に御発言ありませんか――それでは本日はこの程度にとどめまして、明日の委員会に継続して調査を進めることにいたします。  本日御出席の参考人各位におかれましては、明六日の本委員会におきましても、引続いて調査を進めたいと存じますので、御足労ながら明日の本委員会にも御出席を願いたいと存じますので、御了承を願います。  次会は明六日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十分散会

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