労働委員会 第31号
- 発言数
- 173 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/07/28
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 理事の補欠選任についてお諮りいたします。去る六月二日理事稻葉修君が一旦委員を辞任されまして、理事が一名欠員となつておりますので、理事の補欠選任を行わなければなりませんが、これは前例によりまして、選挙の手続を省略し、委員長より指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なしと認めて、稻葉修君を理事に指名いたします。 ―――――――――――――
○赤松委員長 次に失業対策、労使関係及び労働基準に関する件について調査を進めます。 ―――――――――――――
○赤松委員長 この際駐留軍労務関係、市川誠君。炭鉱関係、渡辺維誠君、秋好トムノ君、秋月フサエ君。帝国酸素関係、尾崎治君、西村芳雄君、大木六雄君。造船関係、浜口栄君、溝口光治君、浅野重美君、近江絹糸関係、仲川衛君、山口正義君、内田秀雄君、菅家泰子君、池本正三郎君、北山香保里君、早川ヒサ君、鈴木六郎君、鷲沢愛子君、中前研二君、下村宏二君、吉田美代子君、木下準仁君、宮元節子君、西島恒雄君、三輪美智子、川又キミ君、岩原利子君、これは冨士宮、大阪、長浜、彦根、岸和田、中津川、津、大垣各工場の諸君でございます。これらの諸君より参考人として御意見を聴取いたしたいと思いますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○並木委員 議事進行についてちよつと発言させていただきます。ただいまの近江絹糸の場合、従業員の方々と承りました。もちろんそれに対しては私ども異議のあろうはずはありません。ただ、この際非常に重要な問題でありますから、従業員のみならず、会社の経営の側であるところの夏川社長を参考人または証人として呼んで出て来てもらう、こういうことを私どもは要望したいのであります。それは単にどちらが悪いとかいいとかいうことを前提とするものでなくして、私ども国会としては、公平な立場からこの問題と取組んで行かなければならないし、伝えられるところでは、昭和における労働史上の一大汚点とも思われますので、従業員諸君に来ていただくとともに、夏川社長にもぜひ来ていただきたい、こういう念願を持つておるものであります。先ほどその点理事会でも取扱われましたので、この際委員の皆さんに諮つていただいて確認をしておきたい。このことを議事進行として申し上げたいと思います。
○赤松委員長 それは団交の状況等をも勘案してですね。
○並木委員 私としては団交そのものをやはり円満に解決せしむるために、そういう条件はつけたくないのであります。今にも来ていただきたい、こういう気持を持つておりますけれども、一方において団交が行われておる、それを妨害するようではまた困りますから、その点については委員長並びに関係の方をよく見きわめて、そうして団交に支障のない限りという条件はつけても、それは私どもとしてはきろかえないのであります。
○赤松委員長 先ほどの理事会におきましても、並木君からそういう御提案がございまして、今並木君の御意見のような形で理事会は申合せを行つたのでありまして、むろん理事会の決定でありますから御異議はないと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 それではさよう決定いたします。
○赤松委員長 それでは近江絹糸の問題につきまして、この際政府の発言を求めます。安井政務次官。
○安井説明員 近江絹糸の争議につきまして、経過の概要と、その間の政府のとりました、あるいは中労委の扱つておりまする実情につきまして、御報告を申し上げたいと思います。 今次の近江絹糸会社の一部従業員による会社の封建的労務管理に対する反対闘争は、昭和二十四年一月ごろに端を発して今日に至つておるものでございます。その間全国繊維産業労働組合が、会社の外部におきまして、会社側の封建的労務管理に対する反対闘争同盟を結成いたしまして、爾来その反対の闘争を続けて来ておつたのでございます。 たまたま本年六月二日に至りまして本社の組合が結成いたされまして、これが逐次先ほどの全繊同盟の加盟を決定いたしました。これを皮切りに各事業場におきまして、相次いで新組合が発生したわけでございます。そこで新組合員は、ただちに二十二箇条にわたる要求書を提出いたしたのでございますが、会社側は二九に対して全面的に拒否いたしました。よつて新しい組合は無期限ストに突入した形と相なつたのであります。 これに引続き会社側はロック・アウト、給食停止の措置をとつたため、事態が非常に紛糾をいたし、さらに新組合はピケの強化、会社側は人夫採用による工場整備強化の対抗手段がとられまして、各地において数次にわたる暴力事件も発生をした次第でございます。 全繊同盟は、本年六月十一日に帰国いたしました夏川社長と団体交渉を希望いたしたのでございますが、十七日に至りましてようやく会社側の若干の譲歩によりまして会社側は社長を、新組合側は全繊代表二名をそれぞれ含め双方計五名が出席して団交を開くという協定を締結したのでございます。ところが、翌十八日に会社側は突然社長の工場視察を理由に、本日の団交には社長出席せずという全繊側への申入れがありましたため団交を開くに至らなかつたのであります。 かかる状況下におきまして、十八日に労働省は、この争議が特殊のものであることにかんがみまして、事態収拾のために、当時派遣中の調査団を通じて、団交をすみやかに開いて平和的解決に努力せられたい旨を夏川社長に勧告をいたしました。夏川社長はこれに対しまして、労働省の勧告は基本的には了解するが、各工場を見てからにしたいという意向を表明いたしました。その後全繊側は資金カンパ、街頭宣伝、真相発表会等を計画いたしました。また二十四日には大垣工場で出荷スト等を行つたのであります。 他方、会社側はこれに対しまして、六月二十二日に岸和田工場の閉鎖、二十八日長浜工場の閉鎖を実施いたしました。このようにして事態がますます好転いたしませんので、労働大臣から六月二十五日に、問題の争議に関係しました第三者である千金良三菱銀行頭取、掘勧銀頭取、岸同和鉱業副社長の財界の王氏に調定方を依頼いたしました。王氏はこれを引受けられまして、二十七日に至りまして夏川社長と会談をし、さらに二十八日両三者が会同、全繊同盟書記長あるいは労働省の関係官吏が立ち会いまして左の事項をとりきめたのでございます。 主として夏川社長は次の目標に基き工場視察を行う。六月三十日中津川、七月一日大垣、七月二日長浜、七月三日岸和田。なおこの視察には岸同和鉱業副社長が調停役を代表して同行するほか、労働省係官、全繊同盟幹部も立ち ロといたしまして、七月五日東京で団交開始のため予備交渉を行い、六月以降東京で正式団交を開く。しかし社長の健康上の理由で夜にわたつて行わない。 ハといたしまして、給食中止のため事態が悪化しておる岸和田、中津川両工場には、社長が給食を再開させる。 ニといたしまして、大阪本社の西村専務、大垣工場夏川工場長は、組合側のピケのため会社施設内に入れず、社長との連絡がとれない状態だが、組合側は今後両氏の出入をピケなどで妨げない。 以上四箇条の協定が成立して、ただちに夏川社長の工場観察に入つたのでございますが、最終日の七月五日に至りまして、岸和田工場におきまして夏川社長が暴行されるといつた事件がありまして、社長の負傷のためにという口実のために、この団体交渉はまたまた延期ということになつたのであります。 そこで労働省といたしましては、両者の団交あつせんについて、全力を尽して両者を勧説いたしたのでありますが、会社側は、全繊代表がこの団交に参加しない、あるいはピケの解除といつたようなことを条件といたしまして、遂にこの交渉は成立に至らず、七月十三日に至りまして、あつせんを依頼いたしました三人の方から、このあつせんの打切りを声明されるに至つたのであります。 そこで労働省といたしましては、これ以上直接争議に介入することはできませんので、中央労働委員会のあつせん段階ということになつたのであります。すなわち、七月二十六日に中央労働委員会中山会長から、労使双方に対して申入れをやりました。その申入れの事項は、簡単に申しますと、 一、本争議解決のため常使双方から三名、中労委の公益委員側あつせん委員一名、同あつせん委員会の指名する全繊同盟代表一名をもつて会談を行う。 二、右会談の期間は五日間とし、この期間中は次の休戦条件を実施する。 1 組合側はピケを解き、会社側は従業員以外の者を、組合側は組合員以外の者を工場施設外に退去せしめること。かつ労使とも相手方を刺激するような行動に出ないこと。 2 会社側は物資の搬出入をなさざること 3 労使双方とも組合員獲得の説得をなさざること。 4 会社側は操業なさざるも組合側は機械類の保全につき協力すること。 5 給食については現状のままとすること。 三、休戦条項の実施の監視は、各事業所所在地の地労委の会長またはその代理者がこれに当る。 これは昭和二十九年七月二十六日に双方に中山会長から申入れをいたしました結果、二十八日に至りまして両者これを無条件に受諾をし、そしてこの会合は二十九日から行われるという段取りに相なつておる次第でございます。 その間労働省といたしましては、一方労働基準法違反といつた問題がいろいろとりざたされておりましたので、七月十八日、十九日にわたりまして、検察庁当局とも提携の上、会社側の労働基準法違反の捜査に乗り出しまして、相当多数の資料を押収して参つおりす。その内容の対象となるものは、大体におきまして基準法第四条の男女同一賃金の問題でありますとか、あるいは二十条の予告解雇が行われておるかどうか、あるいは時間外労働あるいは寄宿舎の生活の束縛があるかどうか、そういつた問題を中心に目下資料を整理中でございますが、その結論に至りましては、いまだはつきりしたものが出ておらない次第でございます。これも早急にとりまとめる予定でございます。 以上大体の経過報告でございます。
○赤松委員長 中西労政局長。
○中西説明員 争議の経過につきましては、ただいま政務次官からお話になりました通りでございます。若干私の方の担当部門につきましてつけ加えて申しますると、まずこの争議の特殊な性格から、労働省としまして財界三人の方にあつせん方を御依頼したのであります。 その趣旨は、その当時も新聞紙上等で御承知かとも存じますけれども、現在の労働法規上、争議を強制的に片づけるという方法はござません。職権あつせんあるいは職権調停と申しましても、それは当事者の意思に基かずして、あつせんなり調停を始めるというだけでございまして、特に解決について強制力があるわけでもございません。従つて、今度の問題は、ただちに労働委員会で取扱いましても、うまく行かないのではないかという懸念から、まず財界の方々から会社側の考え方についているくと説得をしてもらつて、そうして民主主義の基本である話合いをするということの軌道に乗せるために、お三人にお願いした次第でありますが、あの段階におきましては、まだ会社側も納得する事情にございませんで、一応三者の方はあつせんを打切らるかつこうになりましたけれども、その後中労委でこれを引続いて取上げ、ようやく今日あたりから本格的な軌道に乗るようなことになりましたことは、まことに喜ばしく存じておる次第でございます、なおこの問題の性格から、一応は軌道に乗りましたけれども、なお解決するまでには今後に相当困難な問題があるのではないかというふうに考えております。 さらに、私どもの方で一応関係しております不当労働行為の関係でございますが、この争議前におきましても、近江絹糸につきましては幾度か不当労働行為の事案が各地労委、さらには中労委に出ておつたのでありますが、特に今回の争議になりまして以来、相当の件数の不当労働行為申立が各地労委に出ております。六月五日には大阪地労委に労組法第七条一号と三号違反という事案で組合から不当労働行為の申立が出ております。六月十一日には滋賀の地労委に労組法七条一号と三号違反、さなに六月二十三日には三重の地労委に労組法七条一号違反、六月十二日に静岡の地労委にやはり七条一号違反の申立が出ております。これらの事案につきまして、労働省といたしても、七月十五日に関係府県の課長を集めまして、至急にこういつた不当労働行為の事案を結論に持つて行くように促連するようにということを、連絡いたしたのでございます。 なお、三人のあつせん員の方が一応手を引かれました直後、七月の十五日に、全繊並びに第二組合から中労委に対しまして、団体交渉拒否の不当労働労委に出されました不当労働行為につきましては、ただちに中労委におきましてはこれを受理いたしまして、細川公益委員が主査となれまして七月二十二日に労使の審問を行い、審問を終りまして一応の結論は得たようでございますが、目下この問題につきましては、別個同じ中労委員があつせん中でございますので、その進行と兼を合いましてこれをいかに出すかということについて考えなければならないということで、この決定を出すことについては、目下のところ留保されております。幸い昨日労使双方から中労委のあつせん案が一応受諾されまして、明日から話合いが始められるいう状況になつておりますので、若干この不当労働行為の取扱いも、それによつてさらに中労委としても再検討されるのじやなかろうかというふうに考えておりますが、一応私の方で補足して申し上げることは以上であります。
○赤松委員長 龜井基準局長。
○亀井説明員 近江絹糸の労働基準法違反の事項につきまして、過去の経過並びに今回とりました強制捜査の結果等につきまして御説明申し上げます。 近江絹糸工場は、各工場とも、過去におきまして相当労働基準法違反があつたわけでございまして、われわれとしましても、絶えずこの工場の労働基準法違反につきましては、監督を頻繁に行つて参つておつたのでございます。彦根工場は、すでに過去におきまして九十二回、長浜工場が二十四回、大垣工場が三十六回、中津川工場三十七回というふうに、それそぞれの工場につきまして、相当監督の手を伸ばしておつたわけでありますが、過去におきまする違反の状況としましては、やはり時間外労働あるいは割増し賃金の不払い、休日労働、深夜業、こういう実質的な基準法違反が発見されておつたのでございます。 これらの違反につきまして、過去においてわれわれ善心をいたしましたのは、労働者の供述が、これらの違反の事実について、はつきりとこれを是認をする実は裏づけがなかつたのでございまして、捜査の上におきまして非常に困難を感しておつたのでございます。従つて、これらの証拠を十分固めまして司法処分をいたしまするには、証拠力と申しますか、そういうものが非常に不備でございまして、過去において五回送検はいたしておりますが、これらにつきましても、十分な物的証拠というものの裏づけがないために、これらの司法処分につきましても、その処理がなかなか困難をきわめたのでございます。争議発生以後におきましては、御承知のように第二組合ができまして、労働基準法違反につきまして、労働者の供述が明白にとれるようになつたのでございます。その点が、われわれ捜査の上におきまして、非常に効果的になつたといつていいのではないかと思います。 そこで争議が始まりまして後、この問題を取上げますにつきましては、争議中でございますので、工場の中に入りまして強制捜査をしますことは、多少遠慮しなければならないという気持もございまして、外部から第一組合あるいは第二組合、あるいは工場側というふうにそれぞれ呼び出しまして、違反の事実につきまして供述をとつて参つておつたのであります。ところが、その供述をとつて参りますと、従来はつきりした言葉で言われなかつた労働者側から、この違反の事実につきまして、はつきりした証言が得られ、容疑の事実が明白になつて来たのでございます。そこで今月十八日には本社と岸和田の工場、大垣並びに中津川、こういうところを主体にしまして、それに関連する倉庫、それから会社首脳部の私宅というふうなものを強制捜査をいたしました。残りの工場につきましては翌日十九日に強制捜査をいたしたのでございます。その結果相当の証拠物件がつかまつたのでございまして、本社関係では四百五十点、岸和田の工場では二百点、彦根工場では五百四十点というふうに大量の書類、帳簿を押収することができたのでございますが、この厖大な証拠物件の、先ほど政務次官から御説明がございましたように内容の検討を今いたしておるところであります。 何しろ厖大な資料でございますので、従来の違反に対します裏づけとしまして、物的証拠としてはつきりそこに裏づけますには、これらの証拠物件を十分に検討いたしまして、そこに違反との結びつきを考えて行かなければらぬということになりますので、なおこれらの調査が時間を要するのではないか。さらに一応物証拠の調査が終りますと、その物的証拠の裏づけとしてのそれぞれ参考人あるいは容疑者の供述をとりまして、その物的証拠のさらに裏づけをいたさなければならぬ捜査技術上の問題がございまして、この問題が確定的に違反であるかどうかということの結論が出ますには、なお少しのひまがかかるのではないか、かように思つております。われわれとしましてはできるだけこの問題の解決を早めたいということで鋭意努力をいたしておるのでございます。 現在まで中間的に一応違反の容疑としてあげられ得ますことは、先ほど政務次官が申しましたような労働時間関係が主体となるのでございます。ただ問題は、本社の指令に基いて各工場の違反がなされたかどうかという点に、われわれとしましても捜査の重点を置いたのでございますが、これについてのまだ確たる物的裏付けというものを発見しがたい状況でございます。さらに押収をしました物的証拠の再調査を、今いたしておるところでございます。本社からの指令というものがありますれば、本社の責任もそこに追究されて参るという形になろうかと思います。それで工場限りのものでございますれば、最高工場長の責任になつて来るというふうなところでございまして、過去の違反事実につきましても、工場長にまでこの違反の結果といいますか、対象として工場長を取上げることすらなかなかむずかしかつた面もございますが、今回は幸い物的証拠が大分あがつて参りましたので、その点のことは過去と違いまして、われわれとして捜査が楽になるという気がいたすのでございます。 以上一応基準法違反の今日までの経過につきまして御説明を申し上げます。
○赤松委員長 江下職業安定局長。
○江下説明員 職業安定法の関係で、近江絹糸の今度の労働争議に関係いたしますのは――労働争議が発生いたしましたときは、職業安定法の二十条によりまして安定機関は紹介を停止するわけでございます。労働者の募集につきましてもそういうことになつております。その場合の条件といたしましては、同盟罷業ないしは作業場閉鎖が行われておるということが一つの条件でございます。そうでなくても、争議の内容が相当深刻でございまして、将来ストライキまたは作業場の閉鎖に至るおそれのある場合、中央労働委員会がそういうふうに認定をいたしました場合には、紹介を停止するということになつております。従いまして、私どもはその方針によりまして、現在まで労働者の紹介、募集を停止いたして参つております。 ところで、先月会社側の方で人夫を募集いたしまして、大垣工場、中津川工場ニ入れて、いろいろ会社の用務をさせたという問題がございました。最近にも原綿の搬入ないしは製品の搬出等におきまして、労働者をかつてに雇い入れておるという話が、ございました。先月の分につきましては、地元の大阪におきまして実情を調査いたしておりましたところ、近江絹糸会社の下請でございます下村工業所という会社がございますが、この会社のまた下請をやつておる中江という男が現実に募集をしてつれて行つたという事実が明白になつたわけでございます。そこで それについて、これが会社の指示であるか、命令であるか、あるいは依頼であるかという点について、会社側の意向を今調査いたしておりますが、会社の方としては、現在までのところ、その問題についてはこれは自分の方で雇つたのではない、下請の会社が一応やつたことであるというふうに申しておる。それ以上さらにわれわれとしましても物的その他の証拠を今いろいろ調べておりますが、今日までまだはつきりと会社側の方の証拠がつかめませんので、なお今後ともこの問題については調査をいたしまして、はつきりした点のつかめましたときには法的な措置に出たい、こういうふうに考えております。最近の原綿の問題につきましても同様の措置をしたいということで現在調査中でございます。
○亀井説明員 先ほどの説明に漏れました点、一言付け加えさせていただきたいと思います。ただいま調査をいたしております労働基準法違反は、過去の違反の事実、すなわち争議発生前の違反の事実で、争議中におきましても違反の継続しておりますものとしまして、富士宮の宿舎における畳数の問題があるわけでございます。これにつきましては、先般の強制捜査の結果明白な事実として確認をいたしましたので、この是正を工場側に命じておつたのでございます。現在のところにおきましては、男子寮のあしたか寮を明けまして、予定の収容定員を越えておりました女子の労働者をこれに収容させる、あるいはミシン教室に収容するということで、女子の労働者のこの基準法違反というのは現在一応解消しております。あしたか寮に収容いたしました男子の労働者につきましては、社宅あるいは事務室あるいは買収家屋、富士寮というようなものにそれぞれ分散をいたしまして寄宿をさせておるような現状でございます。富士宮のこの収容定員を越えまする労働基準法違反の問題は、現在は解消いたしております。
○赤松委員長 これより質疑に移りたいと思いますが、すでに十二時を過ぎておりますので、一時まで質疑を続行いたしまして、一時より休憩に移りたいと思います。 黒澤君。
○黒澤委員 安井政務次官に一点お尋ねしたいと思うのであります。私は近江絹糸の実情あるいは今回の争議についての経過等につきましては、新聞、ラジオ等の報道機関を通じて知つておるのみでありますが、それを通じまして、この近江絹糸におきましては、人権蹂躙、労働組合法の違反、労働基準法違反、そうしたものがたくさんあるように承知して参つておるのであります。これらの問題につきまして、ただいま当局から今日まで努力されて来たことを承つたのでありますが、こういう事態が今日の民主社会において存在することそれ自体が、われわれは奇怪にたえないのであります。ちようど大正年間の女工哀史時代の工場が今日存在しておる。しかも新憲法のもとに労働基準法、労働組合法が制定せられまして六、七年の日時を経過して参つておるのでございます。今龜井基準局長その他の当局から、これらに対しまして違反の摘発等をたくさんやつて、現在までの資料の収集、証拠の収集等を通じて、今後それの処置をとるということを話されたのでありますが、今日まで労働省がこうした取締り、保護の法律ができまして七、八年もなるのに、こういう事態が今日まだ存在しているというここと対して、われわれは了解ができないのであります。今回の争議が起りまして、近江絹糸の全貌、実態というものが明らかになつて参つたようであります。本社そのほか工場が九箇所あるようであります。ここにはもちろん労政事務所もあり、労働基準監督署も存在しておると思います。それが今日までどういう努力をして来たのでありますか、こういう点についての政府の怠慢といいますか、そういうことを私は免れるわけに行かないと思うのでありますが、そういう点について政府当局はどういうお考えを持つておるか、この機会にお伺いしておきたいと思います。
○安井説明員 近江絹糸の問題は、昭和二十四年以来引続きましていろいろととりざたもあつたことは事実でありまして、先ほども申し上げました通り、その都度いろいろ関係当局をして行政的な措置もとつて参つた次第であります。ただ実際にはこういつた問題を正式に取上げて問題にいたします場合に、物的な裏づけあるいは証拠といつたものが十分取り出せなかつた場合に、御希望されるような措置がとられなかつた場合もあり得たかと思うのであります。今まででも数度にわたつてやるべき告発なりあるいは行政措置はとつて参る次第であります。
○黒澤委員 ただいままで努力して来たということを承つたのでありますが、どういう努力をして来ても、それの実効が上らなければ、何らその努力の価値はないのであります。当局におきましては、今までとつて来ました措置によりまして、どういう成果をあげておるとお考えか、その点をお聞きしたい。
○安井説明員 過去の実績につきまして、局長の方から事実を御報告したいと思います。
○亀井説明員 先ほども申上しげましたように、この近江絹糸の工場の監督につきましては、他の工場、事業場と違いまして、特殊の対象として監督を続けて来ておつたのでございます。先一ほども申し洋書たように、彦根工場につきましては九十二回、大垣工場につきましては三十六回、中津川工場につきましては三十七回というように、それぞれ監督の手をゆるめずにこの問題の処理に当つて来たわけであります。そうして違反のありました都度、違反の是正をさせまして、それをまた再監督を通じまして確認をして来ておりますが、しばらくたちますと、また同じ違反が繰返される。また監督を受けてそれを直すということで、その都度違反の是正はさせて来ておるのでございます。ただ司法処分としてあげますためには、先ほども申し上げましたように、労働者の声としてこれの裏づけの供述がなかなかとれなかつたのであります。従つて、過去におきまして五件だけ司法処分にしたのでございますが、これとても司法処分にしますための物的あるいは供述というようなものの証拠固めが非常にむずかしかつたというのが過去の事例でございます。今回はその点が除去されましたので、比較的捜査も容易に行われておるという実態であります。
○赤松委員長 参考人諸君に言つておきますが、たとえば現地の監督署のいろいろな怠慢の事実がありましたら、遠慮なく発言してください。
○黒澤委員 ただいま龜井基準局長は、その都度是正をして来た、ところがすぐ元にもどつてしまうと言われたが、私はそれは執行力が弱いのではないかと思う。ことに本委員会におきましても、昨年以来、近江絹糸の問題を、特に井堀委員等が取上げまして指摘して参つたのでありますが、そういうことは、この争議においてもそのままの状態に置かれておる。いわゆる宗教の強制等の問題、これはこの委員会でも何回も問答をしておるのでありますが、そういうことがそのままになつておる。私はそういう点について、いくら監督署が指摘してもすぐ元に返るようなやり方では、労働省の執行力の弱さというか、そういうことが今回の争議を起した一つの大きな原因ではないかとさえ考えるのでありますが、そういう点について、もう一度責任ある御答弁を願いたい。
○亀井説明員 お話の点は、私もわかるのでございます。その都度是正をさせましてもまた同じ違反が行われる。これに対する対策としましては、結局司法処分に付するというきめ手しか実はないのであります。その司法処分に付しまするにつきまして、先ほど申しましたような証拠固めが非常にむずかしくて、過去において五件だけしか実は司法処分にしてない。それもまたわずかの罰金刑でございますので、その司法処分に付されましたこと自体だけで、経営者の頭を切りかえさせ得られるかという問題になりますと、これまた非常にむずかしい問題でございます。そこでわれわれとしては根気よくその違反を是正させて行くという態度をとつて来たわけであります。安全衛生関係などは、相当是正をされて来ておるのであります。 問題は、やはり労働時間を中心とする違反でございまして、これは過去においても絶えず繰返されて来たところでございます。その点の監督法規として、今の罰則の問題とからみまして、相手方がその罰則に対してこれを軽視するような考えでございますと、違反というものは絶えず繰返されて行くのではないか。そこでわれわれとしては、絶えず違反を是正させて行くという、実はこれしかきわ手が過去にはなかつたわけでございます。この点は、お話のたうなおしかりを受けるのは、われわれとしてもわかるわけでございますか、そういう事情てありますこともまた、御賢察をいただきたいと思います。
○赤松委員長 黒沢君、参考人の方から、あなたの質問に関連して発言を求められておりますが、よろしゆうございますか。――仲川参考人。
○仲川参考人 先ほど言われたのは、労働省管轄の各官庁が、職務怠慢とか、またはちよつとなまぬるかつたというふうな点で、追究されておるのだと思いますが、龜井さんの言われることもまた一理あると思う。現在の法自体として、司法問題まで持つて行かなければ拘束力がないから、経営者が法を軽視するつもりであつたら、いつまで経つてもだめだ、これは事実なんです。現在でも調査されておられるけれども、これを司法問題まで持つて行く過程において、もうすでに首を切られて、みんな泣きながら会社を追い出されてしまうのです。これはその追出し役を人事課にいた私がやつていたのだから間違いない。しかしながら十労働三法にしろ、労働法が宙に浮いておることは、私ははつきり私なりに解釈しております。労働法を軽視しているのはわかつております。しかし憲法を軽視しているのは私はあきらめつかない、憲法の問題だけにみんな闘つているのですから、その点だけでも、これよりもつと深い問題で、われわれのためにもつと真相を早く現在の政府が知り、それなりのことをしていただきたいと私は思うわけです。各所在の監督官庁、たとえば労政事務所の人とか、安定所の人、これらの人たちも、確かに現在は社会全体がまつ暗と同じで、それらの人も――安定所の人が各工場に来ます。それに対して、飲まなかつたという人は、私やつておつて一入もなかつた。私が接待する役です。だから、名前を一々あげろと言つても、名前を一々覚えておりませんが、私が面会したのを調べれば全部わかるのですが、そういうこまかいことよりももつと……。 〔「そんなけちくさいことは……」と呼び、その他発言する者あり〕
○赤松委員長 静粛に願います。参考人、遠慮なく言つてください。あまり個人的な問題にわたらないように。
○仲川参考人 個人的な問題をやつても、今あげろといつても、そんな一々覚える必要はありませんから覚えておりませんが、事実あることだけは確かです。そういう問題もありますけれども、そうしてもし忠実な人がいて調べたにしろ、みんな口を割らぬでしよう。経営のやり方が、うちの従業員はみな口を割らぬように、もし口を割つたとしても、司法問題まで行く間に首を切られるでしよう。そうすれば島村君にしろ、何にしろ、中労委まで行つて不当労働行為になつたら、今度は御用組合が、ユニオン・シヨツプだといつて除名してしまう。中岡君も、現在の法にしろ政府にしろ、たよるところがないといつて、泣寝入りするよりほかしかたがないと思つておりますから、みな全然訴える者がない。旧組合とか第三組合といつているものは、みなその気持でいる。しかし私は現在の政府に望みをかけております。現在開かれている委員会にも私望みをかけています。まして、こんなことが通るとしたら、ほんとうに世の中はまつ暗だと思います。だから聞かれれば、憲法の違反である信書の開封をやつたのも私なんですから、追究する意欲と熱意があつたら、確かにその人がやつたらできると思つたら、私はその人にあらゆることを告白して、一日も早く解決し、しいたげられている人たちを早く救つてやるようにしたいと思つております。しかしそれには、現在中労委に持つて行つて希望的になつて来たと言いながら、まだただ話し合う機会を得られただけです。それとて拘束力がないから、社長さんがひじ鉄したらそのままになつてしまうじやないかと思う。それとまた、永久閉鎖もできるじやないか。それと、基準局で調べれば資料がたくさんあり過ぎるから、一月か二月か知りませんが、はつきり出るのはその後である。司法問題まで行くのは一年後になるかもしれません。そんなだらぐしている間に、会社はこんな経営のやり方だつたらつぶしてしまつたらということに、夏川さんの意見と資本家の意見がなつて、つぶされた場合には、こんなささいな要求のために立ち上つた人たちが、また失業者として世の中に出なければならぬ。現在その段階に近づきつつあるのじやないかと私は思つているのです。 大分皆さんの聞きたいことからピンはずれになつているかもしれませんが、何か質問があつたらそれに一々答えたいと思います。
○大西(正)委員 今の参考人の発言から、さらに基準局長にお伺いしたいのですが、非常に努力をなさつてその結果がこうだというような趣旨なんでありますが、その努力にもかかわらず、十分違反の証拠が固められなかつた。幸い今度は第二組合――自主的な組合ができて、この証拠固めがどんどんできるから非常にいい、こういうふうなお話でありますが、その場合に、基準監督署としては、証拠固めができないその理由が、今参考人から言つたような、もしその事実を述べようとすればただちに首を切られるというようなこういう事情を、基準監督署としてはそういうところまでよく考えて、なおこういうような違反の摘発等に熱意を傾けられたかどうか。品を割らないからやむを得ぬというような、冷たい法の形式的な解釈でもつて、過去何年間違反の事実を公然とやつて来たものに対してやるというようなことでは、これは基準監督署としてもその法の建前を十分生かしておらぬと思うのでありますが、どうですか。
○亀井説明員 お話の点につきましては、おそらく監督署もそういう内部的な事情をよく承知しておつたと思います。ただ問題が、司法処分にします証拠としてあげますには、やはりそこに本人の供述というものが裏づけとしてなされなければ左かく証拠の適正と申しますか、正確といいますか、そういう点が備えられて参らなければ、検察庁もこれを受付けないというのが過去の事例でございます。そこで、そういう場合に、しからば労働者にそういう不利益を与えないようにどういう措置をとるかということになりますれば、これは結果的には不当労働行為の問題にもなつて参りましよう。別な保護ということになるのでございますが、その前に、労働者がそれに対してわれわれがいくら供述をとろ全いたしましても口を割らないとすれば、これは証拠として十分な価値がなかつた。その点が隻のわれわれ捜査の上で苦心をしたところであります。
○並木委員 仲川さんにお尋ねしたいのですけれども、今のお話を聞いていると、ほんとうに私どももぞつとするような感じがする。なるほどそういうふうな大きい圧力のもとに、うつかり当局に供述すると、それが会社に漏れるとすぐ首になつてしまうんじやないか、実際そういうおそれが工場の中に充満しておつたのかどうか。そうなんでしようか。ここに近江絹糸紡績からわれわれのところ建つてきたバラがあります。あまり幾枚も送つて来るから、私はしまいに気持が悪くなつて、不愉快な気持を抱いたくらいですけれども、それにはなかなかうがつたことが書いてある。「近江絹紡のストは世間をゴマ化す大きなカラクリ。全繊勢力拡大のための不法暴力であります。」あるいは「近江絹絲をわざと封建的な会社と見せかける宣伝です。結婚、信書、外出、宗教等の悪宣伝は皆でたらめです。一万二千名の内九千名の旧組合員の代表は上京して反対陳情しています。一その他いろいろこういうことが書いてあるのです。しかし先ほどから龜井局長の一番の悩みであり苦しみであるように受けとれた物的証拠、あるいは従業員の供述というものはとれなかつたということが、もしあなたのおつしやるような原因であつたとしたら、これはほんとうに人権の問題として憲法にも抵触して来る大きな問題だと思うのです。これはずつとあとを引く重要な問題ですから、もう一度あなたからはつきり、それに間違いありませんか。
○仲川参考人 何に間違いございませんか。
○並木委員 当局がせつかく不当労働行為があるという裏づけをとろうと思つて皆さんに聞くでしよう。そのときに、要するに供述がとれなかつたわけです、過去数年間。それが今日積り積つてこんな大きな問題の種になつているから私は聞くのです。そういうことだけであつたのかどうか、ほかに何か原因があつたのじやないか。つまり従業員の皆さんの中には、多少そういうような法律違反の疑いがあつても、自分たちはこれで満足しているのだー満足はしていないまでも、たとえば、女子の方は、幾年も勤めるわけじやない。やがてここでかせいだお金でお嫁さんのしたくをしてとついで行けばそれでいいのだというような、割に心やすい気持から、十分法律違反ということの疑いは持ちつつも、がまんして、満足してそこで働いておつた方もずいぶんあるのではないでしようか、こういう私の疑問なんです。その点をはつきり言つていただき、それから私は当局にさらに質問してみたいと思うのです。
○仲川参考人 今いろいろ言われたのですが、私答えなければならない問題がたくさんあるらしいですけれども、どうも頭がよくないので、ずらずら言われてもわからないのですが、何を聞かれているのかちよつと……。
○並木委員 私の質問がわからないと困りますから、もう一度申しますけれども、さつきから龜井局長の説明を聞いておりますと、不当労働行為の疑いがあつても、それを司法上の問題に取上げて行くためには裏づけの証拠が必要である、これはお聞きになつたでしよう。
○仲川参考人 いかに圧迫されていたかということですか。
○並木委員 いや当局の龜井局長は、行政処分の限界から出て、さらに会社が不当労働行為を繰返さないようにするためには、これを司法の問題に持つて行かなければならない、訴追の問題に持つて行かなければ二円上るとかなんとかいう制度があるのです。だとしたら、みんな友だち同士、同僚同士も信用できない、あらゆる者が信用できない。まだ政府や労働省にこれだけわれわれが訴えたとします。今度は何でも言うでしよう。言つたところで、それから裁判まで幾月もかかる。そのうちに今度の争議のように長引いて、会社も莫大な金を投下してやる。われわれも会社から給食を絶たれ、部屋からも追い出され、けが人まで出して闘つてやつたところが、会社がつぶれてしまうというような方向に行くのではないか。その方にかえつて現在は不安を持つておるのです。労働省に訴えるよりも、その方にもう来ておる段階です。労働者に言つたところで、その倒れそうになつておるのを直してくれることには、大して援助になつていないのじやないかというのが一般の人の気持なんです。だから、弾圧した方法を一々言えといえば、かなりあるわけです。
○並木委員 そういうことだと、この問題はやつぱりずいぶん深刻だと私は思います。それで龜井労働基準局長に伺いたいのですけれども、今のような場合に、供述をとれるように法的また行政的措置ができていないのですか。実際今のようなことだつたら、供述をとりたくてもとれないじやないですか。そこで、供述をとれなかつた原因はどこにあるのですか、その理由を当局は何とにらむか。これはどうにもしようがないということで今日まで来たとすれば、当局の怠慢であるか、あるいは法律の改正を出すべきではなかつたかということにもなるし、われわれ野党の立場からいうと、ややもすれば労働時間を延長するように労働基準法を改めようとかいうような、現吉田内閣の性格もそこに出て来て、つい当局の調査も多少たじろぐのではないかということまでそんたくしなければならなくなつて来るのです。だから私の質問に対して、きつぱりとひとつお答え願いたい。
○亀井説明員 そういう事情のあるらしいということは、監督官の一部の者はおそらく承知しておつたと私は思います。その問題自体について、監督官に私が問いただしたことはございませんので、はつきりしたことは申し上げられませんが、近江絹糸という工場を従来担当して監督して参りました者としては、そういう雰囲気のあることはわかるのじやないかと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、供述をした者はただちに首を切られる、これはもちろん不当労働行為でございます。結果的にはそれの救済が別な方途によつて講じられるのでございます。しかし、それがございましても、供述自体をとるということは、今の参考人のお話のような環境下におきましてはなかなか困難でございます。
○大西(正)委員 今のお話で、証拠を固めようとすれば首を切られる、こういうことになる。そこで私は、これ以上基準監督局長に追究するよりも、問題は当然労政局長に移ると思うのです。こういう問題については、労働組合を結成している以上、これがかつてに馘首されるということは不当労働行為であります。こういうことを、労政局長としましては、出先の労政事務所その他から十分なる情報を得ておりますかどうか。得ておつたとしましたら、こういうことが歴然と監督局長から言われておるのだから、労政局長としてはその意を受けて、十分な対処をされたはずだと思うのだが、その点をひとつ御説明願いたいと思う。
○中西説明員 近江絹糸については、従来から不当労働行為の申立が相当ございました。それに対しまして、不当労働行為であるという救済命令が地労委からも出ております。なお基準局関係で、先ほど来問題になつておりますような事情が聞かれましたので、われわれとしても実は十分注目をしておつたわけであります。出先府県の労政課、労政事務所あたりも、それぞれ事情は知つておつたかと思います。問題は、結局従業員の目覚の問題でございまして、政府当局がこういう組合じやいけない、こういう組合になれとか、あるいはこういう組合をつくれというようなことを指導する、つまり組合運動に関与することはできないわけであります。従つて、今不当労働行為でこれが労働組合としては適格じやないというような判定があるいは出るかもしれませんが、ともかく従来は一応労働組合というものがあるのだ、それで一応事は運ばれておつたわけでございます。今回時を得まして第二組合ができた。結局そこまで従業員の自覚というものが高まつて来た。これは近江絹糸従業員自体の自覚、さらに外部的には全繊がこれを指導したことは事実でありまして、ここにおきまして第二組合が結成された、こういうことになつて来たのじやなかろうかと思います。特にわれわれとしまして、もちろん正しい労働組合の誕生しますことは望みますけれども、そうかといつて、これに積極的に官の力でどうこうということは、やはりますいのじやなかろうか。一般の労働教育によりまして、次第に従業員の自覚を高めるようにするというのが、限度でなかろうかというふうに考えております。
○大西(正)委員 今の局長のお話によりますと、第二組合の誕生ということは、労働組合法の基本的な精神から申しましても、労政局長としてはしごく満足である、こういうふうに表明されたと私は思うのであります。しかし、労働組合がどういう組合がいいか悪いかというようなことについては関与できぬというようなことは、これはあまりにも形式的な答弁だと私は思う。現実に基準法違反の事実を追究しようとしましても、それが組合を結成しておりながら、しかもそれが言えない。言えないのはなぜかといえば、首を切られるからだ。こういう組合が、またそれから派生したところの、変貌したところの組合というものが、労働組合法の本来の趣旨から離れて来た、こういうくらいな見解は十分おとりになつて、そうして健全なる組合への育成ということを労政局長としては当然これまでに指導されてしかるべきだつたと私は思う。今日のこの近江絹糸の争議といわれますけれども、今の発言にもありましたことく、これは普通の争議ではございません。今の参考人の発言にもありましたことく、倉庫に入れて云々というようなこと、信書の秘密を侵すということは、これはまことに人権蹂躙と言われておるその通りでございます。こういう問題を労政局長が、労働組合法の趣旨に立つてやはりこれをとやかく言うことはいかぬというようなことが、今日こういう事態を惹起した原因だと思う。そういう点につきまして、今後再びこういうことは日本には起らないと思うけれども、やはり労政局長としてはこういう不幸な事態に対して、もう少し徹底した一つの労政の見通しというものをはつきりしていただかないと、われわれは非常に不安を感ずるのでありますが、この点について、もう一言はつきりとおつしやつていただきたいと思います。
○中西説明員 私どもの組合員に対する、ないしは組合運動に対する態度は、やはり少しまだるつこい感じはいたしましても、労働教育がやはり原則としては限度でなかろうか。そこで、特に正しい労働組合運動に対する障害、これは労組法によりまして不当労働行為の救済申立てができ、これに対する救済措置がとられることになつております。従つて法的には、つまり今後の具体的な事例につきましては、この救済手段によつて是正して行くというよりほか、しかたがないのじやなかろうか。今回できました第二組合が、はたしていいかどうか、これは今後の動きによつて判断しなければならぬと思いますけれども、具体的な事件につきましては、やはり法に定められた権限ある措置しか、それ以上にはとれない。しかしながら、今後とも、もしも非常に健全な労働組合運動から逸脱するような事例がありますれば、われわれとしましてできるだけ勧告その作のことはもちろんやつてさしつかえないわけであります。この近江絹糸につきましても、各府県の労政課においては、従来から間接的にはいろいろと地労委と協力いたしまして、是正には努めておつたのでございます。
○多賀谷委員 関連して。 この問題は労働法以前の問題を多分に含みますので、明日には法務省の人権擁護局長に出頭願いたいと思います。 それから今の問題に関連いたしまして、労政局長にお尋ねいたしたいと思います。私は争議以前の問題を主として明らかにしておきたいと思います。それで今労働者の意思があらゆる調査において反映しなかつた、あるいは供述がとり得なかつた、こういうことでありますが、こういう問題は従来は普通の組合でありますと、組合がやつておるので、そういう点にも非常に困難があつたと思うのです。そこで、元ありました組合、今第一組合といいますか、そういう旧組合がたしか結成をされておる。その旧組合には、人事主任とか会計主任とか、現場の担当者が入つておる。この近江絹糸には課長という制度がないそうでありますが、ことに人事問題を扱う担当者がその中に入つておる。この労働組合法の第二条第一号は、これは組合が要求して入れてくれと言つたのではないのです。これはむしろ労働省の方で、時の司令部の方で、組合が反対をするにもかかわらず、一部反対はあろうけれども将来のためにいいのだというわけで、実は例の非組合員の範囲を拡大して来たわけであります。そこで私は労働省にお尋ねいたしたいのですが、労働省がそういう労働者の反対を押し切つて規定して、そうして改正をしておきながらしかも第七条の第一号の救済というものは、これは当然行政官庁でもできる仕組みになつておる。救済は何 も関係当事者だけでなくて、労政担当者でもできる。こういうことを常に労働省では口にして来たと思うのです。そういう状態であれば、当然労働省としては、この組合が御用組合であり、おかしな組合であるということになれば、救済命令の申請ができるはずであります。しかるに、今までそういうことをされていない。こういう点は、この旧組合に対してどう御判断になつておるか。ことに人事主任、会計主任が入つておる組合というものが正常な組合であるのかどうか。また津の工場であつたと思いますが、結成大会を開かんとした場合において、人事主任がその議長にすわつて一気呵成に議決したということがありますが、こういうことなんかもつてのほかであると思うのですが、一体労働省ではどういうふうに考えられておるか、お尋ねいたします。
○中西説明員 非組合員の範囲をどの程度にするか、これは公労法におきましては、政令ではつきりときまつておるのでございますが、一般の労働組合におきましては、その範囲は労使それぞれの話合いによつてきめるということになつております。従つて、明らかに会社側の利益を代表するような者、これの入つておるのは労組法二条違反の団体でありまして労働組合でない、こういうことになるわけであります。近江絹糸の場合、どこまでが入つておるか、これは私それぞれの工場について詳細に存じしおりません。しかしながら、ほかの組合におきましても、人事係の相当なところまで入つておるような組合もございます。組合がほんとうにいわゆる組合運動として正しい動き方をしておるというところなら、なるべく非組合員を少くするという意味で、ある程度人事に関係のある者も、かまわずに組合員にしておるという傾向もある。われわれから見まして当然除いていいと思われる者も入れてやつておる。しかも、りつぱに組合運動をやつておる。従つて、どこまでにするかというようなことも、結局その組合自体が自覚してきめることでありまして、いかにそういつた線をしやくし定規に考えてやりましても、全体の動きがだめなら何ともしようがないというふうに考えます。その点は、結局先ほど申し上げましたように、組合自体の自覚こよるの、だというふう考えます
○多賀谷委員 労政局長ともあろう人が変な答弁をされるのですが、これは社会党内閣の労政局長なら、あるいはそういう答弁をするかもしれません。しかし今私が問題にしておるのは、なるほど組合自体が大体原則としてきめるのですが、法律は規制をしておる。あるわく内において自由にきめるということを規制しておるのであります。なるほど、組合員によりましてたとえば職員組合と工員組合、こういうような組合が別個にあるところは、これは労務関係者といつても、職員の人事には関係がないというので、労務主任を入れているところもあります。当該組合と関係がないということで、何もその職責によつて一律にするということを私は申しておるのではありません。その事情は十分わかります。しかし今問題になつております近江絹糸の場合は、課長がないということであり、人事というのが労務を握つておるということになれば、人事主任というのは労務課長であります。その労務課長が議長席に着いてみたり、あるいは組合の有力幹部であつてみたりするというのは、やはりどう考えてみてもこの第二条に該当するものと私は考える。でありますから、この二条を守つておればともかくですが二条を逸脱しておる、二条違反をやつておるということになれば、労働省としては看過し得ないであろうと、かように思うのですが、その点について、私は労務局長の答弁を求める前に、参考人にお尋ねいたしたいと思います。人事主任という職はどういう職であるのか。それから現在今まで皆さん方がおられました旧組合で、会社の経営に若干でも補助参加をされておるという方はどの程度入つておられるのか、こういう点について、だれでもよろしゆうございます、わかる人から御答弁願いたいと思います。
○西島参考人 ただいまの御質問ですが、これは私どもの会社の職制というものは、はつきりしておりません。そして一般の会社から御想像されますと、うちの会社は非常にピントがはずれていまして、正気で考えられますと、非常に間違いを起しやすいのであります。というのは、うちの会社は非常に中央集権的なのであります。係長というのは、何ら権限を持つておりません。本社におきまして例をとりますと、大学を出まして約二年から三年たちますと、係長の辞令をもらうわけであります。この係長たるや、非常にロボット的な存在です。重役から直接指令が下り、そ決定も重役がそれらを行う。それらのものは、要するに事務の処理機関だけにすぎない。課長というのも同じです。あらゆる決定というのは、そういう係長にまかせておりません。そして工場の例で申しますと、これもやはり工場長自身がロボット的存在なんです。常に本社の指令に基いて動く。そして行われておるあらゆることは、本社の指令以外の何ものでもないわけです。こういう状態であります。今度の新組合も、組合長は本社の計算の係長であるとか、非常にその職制がはつきりしてなくて、夏川社長一族以外の者は、重役、部課長全部、新組合に入れてもいいんじやないか、このようなつくり方になつておると思います。
○仲川参考人 今のことでもう一つ……。私選挙管理委員をやつたことがあるのです。そのときの模様を話せば、またいかに御用組合的であるかということがわかると思うのです。組合長も副組合長も執行委員も、必ず重役さんから指名されるのです。指名された上に選挙管理委員がやらなければならぬ。その選挙管理委員には労務担当の、私の方の大垣工場であつたら石田主任、それから仲川、それから池尾も入つていたかもしれません。要するにあらゆるところで会社側の人にそういう地位を与える。自治会の役員とか組合の役員というのは、もちろん会社の犬だけを使うのです。それだけではない、組合の大会にも、夏川一族の息のかかつた工場長とかが全部来ている。執行委員会にも来ている。だからこそ不当労働行為だと法によつて裁かれたにもかかわらず、ある者はその組合によつてユニオン・シヨツプで追い出されちやつた。だから、それを組合から追い出せと、りことを夏川社長が組合に言えば、その通りやるわけです。前の組合というのは、あらゆる点からいつて御用組合には間違いがないわけです。その御用組合であるということを、労政事務所の人は知らないとは多分言えないと思います。また知らないような労政管理をやつておつたとしたら、職務怠慢だと思う。また知つてやつておつたのなら、何かあると思う。あるいはそれらの人をまとめることを私がやつていたと言われれば、やつていしたかもしれません ここまで来たら、確かにやつておつたと言いましよう。そういう因果関係のもとにこんなふうな結果になつて来ておるのじやないかと思います。
○多賀谷委員 実は審議同盟から出ました「現代女工哀史」という資料の中で、人事主任という註がついておりまして、近江絹糸には課長がない、こう書いてありましたから、私は課長がないのだろうと思つて、話をしておつたわけであります。今のお話で部長、課長、係長があるということが若干わかりましたが、もう少し明確に職制をお話し願いたいと思います。
○西島参考人 私は口が不十分ですが、今本社の例をとりますと、重役案というものがありまして、その下に部長がありますが、これは重役が兼務しておるのであります。部長の下がすぐ係長になるわけです。たとえば営業の例で申しますと、営業部長の下に販売、原綿、調査、いろいろ課があるわけでありますが、その課の長を係長と言います。課があつて、課長がなくて、その長は係長です。こういうふうに突然課になつたり、課の長が係長になつたり、人事異動がでたらめで、混乱を呈している。
○多賀谷委員 工場はどうですか
○西島参考人 工場については、大体事務部長があり、その下が係長、それからまたそこでその人物が年が若過ぎるとかなんとかいうことだと、名目を主任とかえるというふうに、はつきりしていない。その人がたとえば十年勤めた人で、これでは普通の人と肩を並べて主任ではどうかという場合には、係長と言う。ところがその人が転勤になつて、年若い人が来ると、主任と名前をかえる、そういうふうにでたらめです。それはちよつと説明してもおわかりにならないと思います。要するに係長は重役からの命令を強行する機関であつて、何ら決定する機関ではない。
○井堀委員 今の問題に関連して、大事なところですから、はつきり労働省の見解をただしておきたいと思います。龜井基準局長の説明なり、質問に対するお答えからはつきりいたしておりますのは、基準法違反の事実を知りながら、証拠を把握することが困難なために、基準法違反を今日まで見送らなければならなかつたということは、前回の委員会においても、多少の相違はありましたけれども、たとえば今明らかにされました事実だけ列挙してみても、冨士宮工場における寄宿舎の違反の事実は、きわめて顕著なものであります。これは出先の監督官も切歯拒腕されておりました。こういう事実はこれからだんだん参考人のお話で明らかになつて来るだろうと思いますが、そういう事実を明らかにする前に、労働省の係自体が、今日まで、一体ストライキになつて初めて基準法の違反が取上げられたのでありますならばとにかくといたしまして、かなり以前から基準法の違反については、すでに処分を受けた事実もあるし、警告、勧告を受けた数もかなりに上つておるわけであります。こういう事柄が今日までそのまま放任されておつたということは、私どもは労働行政に対してまことに遺憾に思う。私は保守党の支配のもとにある今日においてこそ、初めて労働行政というものは最も活発に活にを期待されて行くのが、政治の常識であると判断しておるのであります。それが最近の労働省は、何か保守党の鼻息をうかがうかのごとき傾向を私どもは感ずるのであります。このことは、はなはだ露骨な言い方でありますが、そういう感じがいたしますから率直にお尋ねするのです。今まで明らかにされましたように、労働省は基準監督行政だけをやる省ではありません。ただいま不当労働行為に関するすなわち労政局の仕事は、労働組合法あるいは労働関係法という労働法に関するいわば行政的責任の地位にあるのでありまして、今具体的な質問がありましたように、不当労働行為を中労委においてさばくことはもちろんでありますが、行政的な監督なり指導なりを与える役所は、今監督局長によつて明らかにされたように、今日いかにりつぱな基準法を設けてみても、この法律が完全に施行されるためには、労働法全体の仕組みの中に現われておるように、労働者自身の自発的な行為が伴わなければ、これは絵に描いたぼたもち同様になるのであります。すなわち、基準法はひとり立ちしておるのではないのであります。その前提には労働者の団結があり、労働者の自主的な自由な行動が認められてこそ、基準法は生きて来るのであります。こういう点から基準監督局と労政局との間に、もちろん十分な連絡があることは、労働省設置法にも明らかにされております。いま一つ、この機会に監督局長と労政局長とそれから婦人少年局長もお見えでありますから、このことにもひとつお答えをいただこうと思います。婦人少年局を設けております労働省設置法の中に、三つの大きな項目が掲げられております。一つば、婦人少年のような特殊の労働、婦人問題、すなわち婦人自身は、団結するにしても、自主的な行動をするのにも、いろいろな社会制度や長い慣行があつて、急にはなかなか自主的な活動が望み得ないので、このような局を設けて、婦人少年のように特殊な弱い労働者を保護するための機関が設置されておるはずであります。このように今日の労働法は、基準局長が言うように、違反を摘発するにしても、あるいはそれを証拠立てるにしても困難があるならば、労働組合法あるいは労働省設置法の精神に基いて、局長はその協力を当然労政局長に求められたはずである、婦人少年局長に求められたはずであります。この点について、どのような協力と具体的な結果を上げられておるかについて、三人の局長からそれぞれ事実をお示しいただきたい。
○赤松委員長 井堀君、ちよつと御相談ですが、もう一時を過ぎたわけですけれども、それで今三局長から答弁をしてもらつて、それから二時まで休憩をして、あなたの質問を二時からまた続行したいと思いますから、御了承を願います。
○中西説明員 先ほど来言つておりますことと同じことを繰返すようなことになりますが、問題はやはり労働者個個人の考え方にあると思うのでありまして、職場に必ず労働組合をつくらなければならいものではございません。これは沿革的に申し上げましても、労働組合はやむにやまれない必要で起きたものであります。従つて、従業員全体が、自分のところは親睦団体でいいのだ、こう全部言われれば、これはもうそれで何ともしかたがない。しかしながら、やはり自分の職場には労働組合をつくるんだという気持にみんながなれば、結局ここに組合ができる。それについて障害があれば、また経営陣がこれをじやますれば、不当労働行為として排除するように保護されておるという関係になつておるのかと思うのでありまして、その意味におきまして、今回とにかく第二組合の結成ができたこの機会に、やはり従業員の気持といいますか、そういうものがはつきりして来るのじやないかというふうに考えております。そうしてこの上に立つて、結局基準局あるいは婦人少年局におきましても、さらに活動がされるのじやないかというふうに考えております。
○亀井説明員 近江絹糸の工場は、先ほど来申し上げますように、われわれの行政の対象としまして重点を置いて参つた工場でございますだけに、労政局長なり婦人少年局長には、その都度お話してあるのでありますが、根本は、先ほど労政局長からお話がございましたように、やはり組合のそういう自覚というものが基本になろうと思う のであります。その点は、先ほど労政局長からお話があつた通りでありまして、われわれもこの問題の今後の取扱いにつきましては過去はそういう点につきましての機が熟していなかつたいうことがいえるのではなかろうかという気がいたします。
○藤田説明員 近江絹糸の問題につきましては、私ども非常に心痛いたしておるのでございますが、非常に微力でござい在て、いろいろと今日まで多くをいたすことはできませんでしたけれどもただいまの御質問は具体的な事実をあげろということでございますので、私どもの、各地にございますところの婦人少年室といたしまして及ばずながら実施いたしましたことの二、三を申し上げてみたいと思います。 とえば静岡の婦人少年室が、二十六年以降いたしましたところの講習会、座談会、懇談会等の各種の会合を十二回いたしまして、冨士宮工場の方に出席方を再三お願いをいたしましたけれども、十二回のうち二回だけ出席がございまして、十回は出席がないというような状態でございます。また女子及び年少労働者の保護育成並びに各種の運動に関しますポスターなどは、その数三十五種類に及んでおりますが、これを送つたのでございます。たとえば一、二の例を申し上げますと、婦人週間の実施要領に関しましてだとか、年少者の保護とか指導だとかのパンフレットを組合あてに送つております。また明るい寄宿舎生活運動用のポスター、パンフレット、リーフレットを送付いたしましたり、年少労働者保護運動用のポスターその他全部で三十五種類送つてございます。しかし二十六年、二十七年、二十八年、二十九年にわたりまして、こちらでもつていろいろとお誘いかけをいたしましたり、またこちらから手がけて行きましてものにつきまして、なかなか受入れていただけないという状態でございまして、それに御承知の通りターン・オーバーが非常に早うございまして、せつかく一人二人を獲得いたしましても、そういう方々がすぐに仕事をやめになりまして、そういうことで私どもはなかなか接触を持つことができませんでしたのを心苦しく思つていたこと事実であるわけでございます。 私どもといたしましては、今回の争議にあたりまして労働省一本として動いておりますので、特に争議に関しましては別に行動、措置をいたしておりませんが、一日も早くこの争議が終りまして、私どものこういう啓蒙だとか調査の活動というものがもう少し強力に行われましたり、また受入れていただけるように願つておるわけでございます。今までにいたしておりますことは、非常に足らないとは存じますが、何しろ一県に二人しかおりませんところの婦人少年室の職員でございますものですから、こういつたことしかいたしておりませんで、残念に思つております
○赤松委員長 それでは二時まで休憩いたします。 午後一時十分休憩 ――――◇――――― 午後二時十九分開議
○赤松委員長 休憩前に引続き会町議を開きます。井堀繁雄君。
○井堀委員 午前にお尋ねいたしましたことに対するそれぞれの御答弁をいただいたのでありますが、まことに不満足な次第で、重ねてお尋ねをするわけであります。 その前に、参考人に、一、二事実についてただしておきたいと思います。 先ほど、基準法違反の際の摘発が困難であつた事情もわかりますが、その際、並木委員の質問で御答弁がありました、どこの工場でありましたか、その点も明らかにしていただくわけでありますが、工員を倉庫の中に押し込めて、違反の事実を打消そうとする、きわめて悪質な行為と思いますが、こういう事実について、もう少しはつきり聞きただしておきたいと思うのです。きよう参考人の方で、その被害を受けられた、すなわち倉庫の中に入れられた方がおいででありますれば、手をあげていただきたいと思います。 〔岩原参考人挙手〕
○井堀委員 その方のそのときの模様を簡単に伺いたいと思います。 それから先ほど並木さんに御答弁になりました参考人は、一体どういう会社側の考え方で、倉庫にそういう連中出をカン詰めにしたか、その点についておわかりであれば、わかつていることだけでけつこうでありますから、事実についてはつきり御説明が願いたいのであります。
○岩原参考人 はつきりした記憶はないのですけれど、二十七年の十一月ごろでしたか、私たち工場で働いていたのです。そうしたら、急に機械をとめて、二、三十人が、いろいろ原綿の入つている倉庫に入れと命ぜられたのです。私たちは何も言わずに、あわてて入りました。そうしてその中でどうしてこういうことをされるのでしようかといろいろ座談したのですが、その声を外に漏らしてはいけないと高橋さんという担任者から言われて、みんな無言でおりました。そのとき外からかぎをかけられたのです。中から、私たちは戸のすきまから、もう行つちやつたかしらと言つて、いろいろ外の様子をうかがいながら、一時間ぐらい待機しておりました。どうして入るのか私たちにははつきりわからないのですが、何しろ入つたことは入つたのです。
○井堀委員 そのとき何人くらいですか。
○岩原参考人 女子三十人くらいでした。
○井堀委員 それから、先ほど並木さんに御答弁なさつた参考人からお答えをいただきます。
○仲川参考人 どういうわけでそういうことをやるのかということですが、それは冨士宮の従業員の方で入れられた人も、どういうわけで入れられたかわからない、こう言つております。多分これは監督署が調べに来たときに、違反の事実を隠滅するためにやるわけです。それが書類とかなんとかだつたら、ほかに入れられるけれども、人間でさえそういうように入れるわけです、ですから、それがたとえば機械をとめてやつた場合としたら、私の工場でないから、あんたの場合は知りませんけれども、一斉に食事時間を与えたり、休憩時間を与えるべき基準法がありますが、それを私のところでやつておりません。食事交代というものを設けて一斉に機械をとめてまで休みをとつていない。それを隠滅するためには一斉に機械をとめて食堂に入つて、いつも仕事をやつている人を倉庫に入れる。また畳数ですが、十畳のところに十五人とかそういうような入り方をやつているところでは、それを規定の人数たけにするために、そこにいる人たちのスリッパを隠したりするだけなく、人間も隠さなければならぬので、その人間も倉庫に入れる。先ほど言つたのは、一時間ということだけですが、私の知つている資料によりますと、食事も与えられずに、ほとんど一出倉庫の中に入れられた。さすがに食事くらい与えなくては無理じやないかと言つた、忘れていましたと寮の舎監が言つた。こういうふうな事実もありまして、それ自体でさえもう人権を無視していることにも関連して来るじやないかと思いますが、そんなふうにしてやつているのです。
○井堀委員 もう一つ、事実について伺つておきたいと思います。これは先ほども私が労働省にお尋ねしていたことで、参考人の方にはある程度おわかりじやないかと思いますが、基準法違反を摘発するということは、労働者がまつたく自由で、自主的な労働組合をつくつていない場合においては、違反を摘発することは不可能に近い状態に置かれているということは、これは労働法の精神で明らかであります。すなわち労働者の権力に対する、すなわち小羊とおおかみの闘いですから、その場合に、労働者が団結して初めて対等の地位が保たれるわけです。こういう意味で、労働組合が近江絹糸には昔からあつたと言つているわけですが、その労働組合について、皆さんは関係しておいでだつたと思うから、その当時のことを一、二お尋ねいたしたいと思う。それは自主的な労働組合というのは、労働者だけがまつたく自由で、だれか第三者あるいは会社から干渉や迫害を受けてはならぬことは、労働法の建前であります。そこでお尋ねするのですが、労働組合をおつくりになるとき規約を用いるわけですが、その規約をどうしておつくりになつたか。また規約をつくるときに会社側が関係したかしないか。それから総会で皆さんが集まつて規約を審議するわけですが、そういう会議をやつて第一組合ができたかどうか、そのことがおわかりであしましたら、簡単に伺したい。それから役員の選挙について、前回彦根工場における労働組合の役員選挙に会社側が干渉したということで、不当労働行為の事実が訴えられておりますので明らかですが、皆さんはそれぞれの工場で労働組合をおつくりになつて、役員を選ぶときに会社側が干渉したようなことがないか、あつたらどういう形で干渉したかというようなことを順次説明してもらいたいと思うのです。 一ぺんに聞いたので、わかりにくいと思いますが、どなたに質問をしていいか私の方ではわかりませんので、皆さんの方でどなたでもけつこうですから、今お尋ねしたことについて、できるだけ事実を端的にお知らせ願いたいと思います。
○鈴木参考人 ただいま御質問になりましたことを、私中津川の旧組合の執行部をやつておりましたので申し上げます。規約とか労働協約というものは、今まで一度も見たことがない。それから私は入社して四年目でありますが、大会は一回も開いたことがない。 それから役員の選挙方法といいますと、定期大会といつて一年に一回、四月に行われる。そのときに、まず候補者を立てるのですがだれも候補直立つ人がない。それで旧組合の執行委員三役の方から推薦候補をあげるわけです。その推薦された人が今度の組合の執行部になるということであります。 下村参考人 私は彦根支部の書記長をしておりました下村でございますが、昨年七月十五日に、われわれ私を含めた十一名が執行委員に立候補をいたしましたところ、夏川浩次長、谷川工場長、勝間田工務部長三人から、工員としてわれわれ立候補したのでありますが、君らがどうしても辞退しないならば君らの身分保障はできないと断言されまして、われわれ十一名は辞退のやむなきに至つた、そういう事実があります。
○内田参考人 組合役員のことについてですけれども、大垣工場において二十六年から仕事を始めたのですが、そのときにはまだ組合がなかつたわけです。最初に組合をつくりますときに、われわれ責としまして、前に彦根の状態を見た場合に完全なる御用組合であつたので、それを改善するためには、一番初めのときから役員をわれわれの手で出さなければいけないと考えまして、そのときの男子寮の室長三十数名でしたか、お互いに話し合つて、執行委員のうち半分くらいは工員から出そうじやないか、そういうふうにいたしまして、会合のあつたときにその話を持ち出したわけです。それで、ちようど選挙のときでありましたが、管理委員会がどこにあるのか、まただれが管理委員となるかは一切知らされておりませんでした。それでそういう話をしておりましたところ、舎監が来まして、そのようなばかなことはない、工員が執行委員などに出るようなことでは、組合というものは完全に保てないじやないか、頭の悪いやつはひつ込んでいて、優秀な人が幾らでもいるから、それに頼んだらいいじやないかというので、われわれ組合というものはそういうものではないということで反対したわけですけれども、舎監のために押えられてしまつて、私と勝間田の二人だけが残つてしまつたわけです。それでその場は解散しましたが、その二人だけは深夜まで舎監室に呼ばれまして、君らは断念すべきだ、今そういうことをして無理にみんなを押しのけて出ようとすれば、会社に長くいることはできないのだぞというふうにおどかされたり、執行委員というものは社員にまかすべきであるということを言われて、最後に私は管理委員会から、君らがたとい申し込んで来ても、それは受付けないと言つて拒絶されたわけです。そのような事実があつたわけであります。
○仲川参考人 その選挙管理委員であつた私が、ことしの選挙の模様を述べたいと思います。 ことし選挙管理委員になつたのは、投票のその日に私、知つたわけです。そのとき選挙管理委有貝になつたのは、人事主任の石田、人事の係の私の仲川、それとあと一人、これははつきりしませんが人事の意見も入つていたかもしれません。何しろ人事は確実に二人入つております。それで組合長、副組合長、その三名は重役室の指名によつてやつている。私がそういうことを知つたのは、どういうことで知つたかといいますと、選挙が始まつて途中で中間開票をしたわけです。選挙といつても執行委員は会社で指名してありますから、十五名中十五名立候補で、十五名おぜん立てした通り会社の人だけをやつて来ますから、十五名中十五名立候補だから選挙なしでもつて決定、組合長も、副組合長の三人は立候補だからこの三人だけを投票するというのでやつたわけです。組合長を鳥田にしろ、副組合長を工務の堀、事務所の事務次長国沢――これもやはり経理会計の最高責任者ですが、その者にしろ、こういう重役室の指示があつた。それを投票して中間開票したところが、組合長にしろと言つた島田が二位で、副組合長にしろと言つた堀が一番になつたのです。中間開票で五百と三百ぐらいの差です。ところがそのとき選挙管理委員であつた林というのは、これはえらいことができた、重役の言う通りにならなかつたというのです。これは弱つたことができると言うから、さすがのぼくも、何も会社の指名した人間の三名だれが出ようがいいじやないか、その順序くらいはかまわぬじやないかと言つたのですが、お前は入社して間がないのだから知らぬ、うちの重役のこわいことを知らないからそういうことを言うのだ、どんなことでも上から言われた通りに一分一厘間違いなくやらなければとんでもないことになるぞ、こう言つてぼくを罵倒しながら、選挙管理委員として選挙場において、来る人来る人に口頭でもつて島田と書け、島田と書けとやつたのです、それは現にそこに大垣工場の女子がおりますが、あの方々も言われているはずです。男子には言わなかつたが、女子には言つた。ほくも、いくら何でもはつきり従業員に選挙違反とわかるようなことをやる必要はないじやないか、そこまでやるのだつたら選挙管理委員はみな会社側の職員なんだから、あとで発表するときに枚数をそろえてでたらめな発表をした方がりこうじやないか、そう言つたんですが、ぼくの意見なんかはもちろんいれられません。ぼくは怒つてそんな連中なんかと一緒に選挙管理委員はやりたくないといつて、自分の職場に帰つてしまつた。二時間くらいたつたら迎えに来た。怒るな、会社の様子も知つているじやないか、電設室の様子も知つているじやないか、出て来いといつて――出て来いといつても普通では出て行けないと言つたら、あれだけはやらないからと林さんも言つているからということで――林さんは組合の書記を歴代やつておる。その林自体も専従者のはずですが、しかし労組の書記長です。しかしそれは会社側から給料が出ておる。それもちよつと変ですが、その林がそういうことをやらないと言うから、それだつたらやりましようといつて会場に行つたが、そのとき中間発表したらずつと島田の方がふえておつた。ぼくのいないうちにどういう選挙違反をやつてそういうふうになつたか知りませんが、こんなふうなわけで、その上に、今度は選挙が終つて役員がきまると、その役員が組合の大会を開く。そのときには必ず会社側の工場長、副工場長たるべき人がいるし、また現に役員の中に経理会計の最高責任者たる、また事務所の総括している事務次長たる国沢が出ているということは、明らかに会社側の利益関係を担当している人が入つておる。こう見ていいのじやないか。だから旧組合が御用組合で、いかに重役の圧迫によつてつくられておるかということは、言い出したらきりがないほどたくさんあるわけです。執行委員会にしろ何にしろ、必ず会社の重役関係の人が出席しております。まあこんな程度です。
○菅家参考人 私が選挙会場に行きましたら、選挙管理委員の方から用紙を渡されるときに、島田を入れてくれと小声で言われたんです。林書記長から……。
○赤松委員長 林書記長が選挙管理委員……。
○菅家参考人 ……。
○井堀委員 大体明らかになりましたが、もう一度はつきりいたすために、規約をどんな規約だか御存じなかつたという今参考人の一人の発言がありましたが、第一組合の規約を知らない人は手をあげてください。 〔挙手〕
○井堀委員 そこで労働省の労政局長にお尋ねするのですが、ただいま参考人の方にお尋ねしたら、参考人の大部分の方が第一組合の規約を御存じなかつたという意思表示が挙手で行われたが、労政局長に今の証言が事実であれは、労働組合法第二条の規定とどういう関係を持つかについてはつきりした御見解を伺いたい。
○中西説明員 労働組合法二条との関係というよりも、そもそも団体をつくる場合には、やはり総会が開かれ、そうして規約というものが審議されて、その規約の承認によつて役員が選ばれてできる、こういうものでございまして、労働組合においても、当然そういつた手続がとられなければならない。創立大会はこれは開かれたのでしようか。さらに規約がなければ、これはちよつと団体ともいえないと思います。しかし、あつて知らないということであるなら、その知らないのがどういう理由か。あとから入つて、前にある規約というものをあるいは知らないというのも、大勢の組合員の中にはときにはあるわけなんで、そういつた事情は知らないというなら別でありますけれども、正式にそういつた規約が民主的に普通の団体の結成のときにつくられるしような方法でつくられ、しかもそれが当然その団体員に周知させられていないということであれば、これは団体として成り立たない、かように思います。今のはどういう理由で知らないのか、その辺がはつきりはいたしませんが、一応筋道としてはそういうことになるだろうと思います。
○井堀委員 参考人の方には、はなはだ御迷惑かもしれませんが、労政局長がああおつしやつてておいでになるので、もう一度お伺いします。皆さんが、第一組合のできたときに加盟した者と、それから創立当時にいた者とにわけて、創立当時いられた方で、規約を御存じなかつた方は手をあげてください。 〔挙手〕
○井堀委員 それではあとの方はそういう規約を印刷物にしてまわすとか、あるいは書いたものを加盟するときにお渡しするとかいうようなことがあつて、それを見落して知らないのか、あるいはもらわなかつたのかというようなことが問題になるのですが、これは大事なことですからはつきり聞かしていただきたいと思います。全然規約というものを見せられたこともなげれは、説明も聞いたことがないというのでありますならそれでけつこうですから、そうだとするならそれで意思表示をしてください。どつちですかその点をはつきりしてください。
○仲川参考人 今まで聞かれたのは、第一組合結成当時に知らなかつた人というから一人手をあげましたけれども、あとの人は結成されたころおらないで、あとで入つて来たという方が多いのじやないでしようか。私もその一人です。第一組合というのは前にできて、大部分の方はあとから入つて来たのです。私自身がそういうものを全然知らないのだから、ほかの人もそういう意味で言えば、みんな知らないのじやないでしようか。
○木下参考人 規約の審議についてですけれども、自分は二十五年の十月に長浜工場に入社しまして、そのときに規約のようなものはないかと尋ねたところ、あることはある、それなら見せてくれと言つたら、事務所にあるから待つてくれと言う。またあくる日それを請求したら、今度は寮にあるとかなんとか言つて、どうしてもそれを見せてくれない。ぼくは規約の審議があるということは聞いておりましたので、一応は見せてくれということを言つたわけです。
○鈴木参考人 今の説明されたことと同じであります。
○西島参考人 総括して申し上げたいのですが、うちではいまだかつて、長浜、岸和田、中津川、富士宮という各方面では、この二、三年、大会というものは持つておりません。大垣、彦根においては持つたことはあるそうでありますが、その大会というのは映画会とか、演芸会と書きまして、その横に組合大会となつております。美空ひばりものとか母ものの映画を見せるが、いまだかつて会計報告なんか受けたことがないそうです。組合費は約三十円でありますが、会計報告を受けたことはありません。この前のメーデーのときなどは、私、行事を調べてみたのですが、各工場ではもちろん全部外出禁止令を出しまして、工場の中で会社側でジャズバンドを呼んで来たり、宝塚の女の子を呼んで来たりして踊りをやる。津では橘公子、市川男女之助の踊りをやつております。長浜では富士楽団劇をつれて来てやつております。岸和田では南海沿線の淡輪に行つたそうですが、こういうふうに各工場とも組合意識というか、組合自身のそういうような何らの行事もなしに、演芸会でごまかしている。それは会社の指令でやつていることは――私本社におりましてそのおぜん立てば本社でやつておることはわかつております。メーデーには必ず工場長が出席しまして、あいさつをしております。それから津とか長浜では、労働基準監督署の署長とか安定所の所長が来賓として来ております。 それからメーデーのことでは、昨年津であつたのですが、門を締めまして、ポンプを用意して、外部団体がちよつとでも呼びかけると困るというので、そこへ男子の警備員を配置しまして、来たら水をぶつかける、こういうようなわけでありました。それから一般の社員は、メーデーにはきまつて工員の監視役にまわつて、変なことを言うやつに対してはスパイ活動を行うわけであります。それから、今度は話が違いますけれども、本社には今まで組合がなかつたのです。本年度、いつでしたか、監督署の方から組合ができないというのはおかしいじやないかと言われました。本社は二百名ばかりおりますが、そう言われると、井上庶務課長を労働者代表として会社が指名してしまつた。そんなことは全然私たちは知らなかつた。ところが監督署の方から、庶務課長が労働者代表ではおかしいじやないか、こういわれまして、北村という人事係長を会社側が指名して、労働者代表に直した。後日私のところへ回覧板がまわつて来て、北村人事係長を労働者代表として承認する、そうして判をとつたのであります。私たちももちろんそれを押しましたが、その中で、たしか婦人少年局の方では御存じと思うのですが、女子は結婚すると同時に退職する、これがこの間問題になつて争議に入つたのですが、それは撤回したはずであります。そういうような例もございます。要するに各工場とも会社の指令で動いたのでございます。何ら自主的の組合ではなかつた。労働者の生活とか経済的な条件を向上させる組合でもなんでもなく、ただ一方的な会社に対する奉仕機関である。各工場とも一致したことは、労働基準監督署の人が来ますと、みんな応接間に入られます、そうすると社員をすぐ工場へ飛ばしまして、監督署が来たと、こういうことを全部に指令するわけです。何を調べても何を聞いてもしやべるな。それを全部通達しまして――それでみな非常に去勢されておりまして、おどおどしている。従業員は上目づかいに人を見るようになつているのですが、言われたら絶対何もしやべらない。これは監督官の人が十分御存じ、だと思います。いまだかつて、調べられて従業員がしやべつたことはない。 それから本年に入りまして三回ばかりですか、本社へ監督署の方が見えました。そのときは、どうかといいますと、監督官の人が貴賓室に入られる、その間に重役室の方から夏川社長みずからおりて来まして、きようは監督署が来た、みんなベルが鳴つたらすぐ仕事を終つて帰れ。常日ごろ大体私どもは八時四十五分から五時四十五分までの規定になつておるのですが、私が入社して以来、いまだかつて七時より早く帰つたことはありません。七時、八時というのが平均です。その日に限つて、今度は五時四十五分を五時半になつたらベルを鳴らしまして、さあ帰れ、仕事はほつておいてあしたでいい、帰れと、しりを追い立てるようにして、ばたばたまたたく間に一人もいなくなつてしまつた。私が入社して以来定刻に帰してもらつたのは、基準監督署が来たときだけです。それをまるで私は天使のごとく待つておりました。その日に限つて早く帰してもらつたのです。
○井堀委員 以上で大体、局長も言つているように、労働組合という前に、団体としての成立が疑われるような、まつたく常識で判断のできないような団体の姿が明らかになつております。こういう状態の労働者の集まりで、はたして先ほど来たびたび問題になつております大がかりな、計画的な、悪質な基準法違反を摘発しようとする努力が、労働省に一体どれだけあるかということをまず私は疑いたくなる。このことは、昨年の九月に本委員会でも問題になり、労働省は直接現地に行つて調査をし、その報告をいたしておる。さらに国会みずから調査してその結果を報告しておるのである。その中にも、局長の報告にも速記録に明らかにたつておるように、違反の事実は、他の事業場に比べて非常に悪質で、はなはだしい傾向が認められる。ことに当時問題になりました基準法違反として一番恐るべき傾向は、労働者の自主性、すなわち婦人のような、男の労働者に比べて非常に弱い労働者のための保護は、先ほども質問いたしましたように、婦人少年局の必要を認めるほどの事実で、そういう人々がそのような労働組合の組織をも全然認めぬような、しかもそのやり方については、先ほど参考人から明らかにされたわずかの例を見てもはつきりいたしておると思う。このことは、まじめに基準法を労働省が版上げるならば、当然違反を摘発する前提となるべき不当労働行為となります。すなわち労働組合をまつたく組織させない、きわめて露骨な干渉を行つておるということは、基準法の監督官として、基準行政の上から当然発見されておるはずだと私は思う。こういう問題について、一体労働省の内部でもつて、先ほども質問いたしました点に触れるのでありますが、何らの協力を求めた形跡がないという点を、こういう点からわれわれは推測できるわけであります。先ほど質問いたしましたのに答弁がなかつたのでありますが、念のために伺つておきますけれども、監督署と地方の労政事務所の職業安定行政をいたす安定所等もこういうものに協力すべき立場にあると私は思う。出先がそういう問題に対してどのような協力をなされたか、またそういうことを指令したことがあるのか。その前に一体内部において四局の相談でこの問題に対する具体策を講じた事実があるかどうか、事実があるなら、その事実について伺いたい。
○亀井説明員 われわれが毎年立てます監督実施方針という、その実施方針の中におきましては、具体的に近江絹糸という問題を取上げてではございませんが、一般的にそういう問題にも触れまして、関係の労政事務所なり公共職業安定所と連絡をしつつ監督の実施をしろということは、毎年の監督方針に盛つております。現地におきましてその必要のある場合におきましては、必ずそういう連絡はしているものと私は考えております。ただ具体的にそういう報告をとつておりませんために、数字としてあるいはそういう実情につきまして具体的には存じておりません。
○井堀委員 中央では労政局長はそういう相談を受けたことはあるかと聞いているのですが……。
○中西説明員 省内におきましては、常に連絡はとれておるわけであります。
○井堀委員 このことについて相談をしたかどうかをはつきり伺いたい。
○中西説明員 近江絹糸のことですか。
○井堀委員 昨年の九月の国会の調査の結果の報告の中にも、明らかに監督署の積極的な活動を期待する意味で委員会の申合せもしているわけです。その後一体そういう協議をして、事実摘発に当つたかどうかということを聞いている。
○中西説明員 関係局の課長会合等で十分の打合せを遂げております。
○井堀委員 局長の相談も行われてないことは、これで明らかであります。まつたく労働行政に対する無責任さをこれほど露骨に暴露しているものはない。この問題は昨年の九月に取上げられた際にも大きく打出されました。基準法の違反はすでに一回は違反の事実が一審において有罪の判決を受けた。このことも珍しいことである。その後これにも懲りず、違反の疑わしいものがたくさんあることを労働省も報告している。先ほどの労働省の局長の報告にも明らかなように、まつたく珍しい違反が、数の上においても、質の上においても明らかにされているわけです。これは争議になつてから明らかにされたといつておりますけれども、これに近い事実は、もうそのときに国会から指摘されている。それから一年近く経過しているわけです。特に昨年の十二月に岸和田における深夜業の問題にからまる違反のごときは、最も悪質なものである。それが今日までらちが明いてないという事実も、そういうものを裏書きするに十分だと思う。要するにこれは部分的な、ばらばらな労働行政が行われているという姿にもなると思う。先ほど来繰返しまするが、労働基準法違反というのは、ただ単に監督行政を担当する監督局、だけではやれぬのです。その前提になるべき労働者の自主的組織、すなわち不当労働行為をかもし出すような事実を解決しなければ、基準法違反という問題はことに問題になりました信教の自由、非常に抽象的な事柄でありますけれども、今日近江絹糸のストライキの本質を説明するに十分なものは、宗教の力を借りて悪質な労務管理が行われている疑いを指摘しておるのであります、こういうやり方は、日本だけではありません。宗教が労務管理に悪用されるようなことは、これは恐るべき事柄であります。こういう事柄は労働問題だけではなく、労働者の人権にも関係することであるというので、その際に国会から労働省に厳重な警告を発してあるはずてあります。こういう点から行きましても、今の労働省の報告はまつたく私は基準法の存在、あるいは労働法の存在を疑うものであります。労働行政の正常な運営が行われておれば、今回のようなストライキは私は発生しなかつたであろうと思います。このストライキのために莫大な損害を有形無形にこうむるわけでありますが、ことに私は労働大臣の出席を求めて、ぜひただしておきたいと思いますることは、この前の際にも警告を発しておきましたように、このストライキはいろいろな意味において過去の事実を洗いざらいにしておりますけれども、これはもうすでに昨年九月の国会の調査の結果にも明らかにされましたように、第一におそれられたのは、日本の置かれております国際的地位、ことに貿易に依存する日本経済の現状から判断して、このような悪質な基準法の違反、不当労働行為の疑いがありていに世界に知られる場合には、ソーシャル・ダンピングの証拠を露骨に示す結果になつて、それは近江絹糸の問題だけではなくて、日本経済を左右する国際的な信義を裏切る結果になる。そうでなくても、日本の基準法はからまわりしているという世界の批判を受けておる。こういうような点も指摘しておきたい。その際、十分考慮してという答弁も明らかになつておるわけであります。こういう点からも、今回のストライキを未然に防ぐ機会というものは、私はたびたびあつたと思う。最近労働省の態度というものは、労働省の存在をみずから否定するがごとき傾向が現われておるのであります。こういう立場から、私は今度の問題については徹底的に事実を明らかにするとともに、その解決についても、確固たる決意の上に立つてその処置を要求して行こうと思うのであります、事実問題につきましては、それぞれ資料も提出されておりまするし、明日から各委員から具体的なお尋ねがあるかと思いますが、そういう際における労働省の態度というものは、非は非として、――何か責任を回避するようが態度で臨まれることは、今後の問題解決の上に重大な障害を持つと同時に、ことにこの問題の扱い方は、日本の国際的な信用に重大な関係を持つことだと思うのです。先ほど少年局長の答弁にありましたように、わずかな人々の力で努力されておりまする印刷物や行事の通知、案内状は、労働組合の手に入つておりません。先ほどもお答えになりましたように、全部会社の手に巻き上げられております。これは信書の秘密まで破るような会社でありますから、それくらいなことは何でもないといえばそれまででありますが、こういうような事態は、積極的な総合的な労働行政の発動によらなければ、私は根を断つことは困難だと思う。もしストライキが解決して、こういう問題の抜本的な解決は、労働省が従来の態度を改めなければ困難だ、こういうふうに過去の事実から考える。ひとつ労働大臣の出席を得て、この点に対する所信を明らかにして、政府の今後の方針をもう一度私はお尋ねいたしたいと思うので、委員長に明日労働大臣の出席を希望いたしまして一応私の質問は終ります。
○多賀谷委員 今の井堀委員の質問に関連をいたしまして、お尋ねしたいと思います。先ほど参考人から述べられた事例、すなわち組合役員を選ぶ場合には、管理委員会というのができて、その管理委員会で重役の指名のあつた三役をまず選んで、それを発表して投票する。投票に際しては、その管理委員会が干渉してある特定の者に入れさせるようにする。あるいはまた、先ほど私が聞きまして十分回答が得られなかつたのですが、役員の中には事務次長がおる。こういう話もありました。あるいはまた組合の専従者が給与をもらつておるという事例も指摘されたわけであります。こういう場合に、一体この団体を労働組合法にいう労働組合と認められるかどうか。この点について、任意団体とかいろいろお話がありましたが、もう一度明確な答弁を願いたいと思う。
○中西説明員 先ほど来参考人からいろいろお話がございますが、お話のようなことが事実でございますれば、労働組合としての資格に非常な疑義があると思います。ただ私らの方に、いわゆる第一組合の人たちも来るのでありますが、この人たちは、自分たらの組合は非常に自主的だ、こういう話があつたりしますので、ここでただちに結論づけることはいかがかと思いますが、おつしやつたことが事実ならば非常な疑問があるということは言えると思います。
○多賀谷委員 私は労政局長が、単に疑問があるとか、そういうことだけでは済まされない問題があると思うのです。労政担当の方からいえば、あるいは任意団体であろうと労働組合法上の団体であろうと、あなた方は関知されない、こう言われるかもしれませんが、基準法に当然関係して来るのではないか。二十四条の問題にいたしましても、三十六条の問題にいたしましても、あるいは六十一条の女子労働者の時間外作業の協定にいたしましても、当然問題になるわけであります。あるいは労働組合でなくて過半数の代表だと言われるかもしれませんが、過半数の代表であるということになつても、やはりその過半数の意思を代表しておらなければならぬ、こういうことになるわけであります。ですから、労政局としては、いやそれは組合でなくて単に任意団体だからということだけでは放置できないいろいろな問題がある。おそらく二十四条但書の問題にしましても、三十六条協定にしましても、六十一条協定にしましても――協定があるかないか私は知りません。しかながら、そういう作業を行つておる点から上ますと、当然協定があり、協定があつてもさらにそれに違反しておると考えざるを得ないのですが、そういう点について、私はさらに明確なる回答をお願いしたいと思うのであります。たとえば、経営者から経費を支出してもらうという場合には、もらう方もよいのです。やる方は承知してやつておるのですから、当事者には紛争は起きない。そこで第七条の三号の経費支払いのような場合には、一体どうして摘発するのか。第一、両方とも承知しておればよい。これは贈収賄のようなもので、外部から摘発しなければなかできない。そこで救済のし手がないじやないか、こういうことを言いましたところが、労働省はそういう場合は労政担当やつてもができるのだということで、われわれは不当労働行為の救済の申立てというのは労政担当の行政官でもできるのだと承知しておつたわけあります。そこで、今ありましたような事例が事実であるとするならば、労働省としても当然勧告なり、あるいは最後的には解散命令を求める救済の申立てをなされるかどとか、お尋ねいたしたいと思います。
○中西説明員 ただいまの不当労働行為の関係が、労政の普通の行政機関でもできるということ、これはだれが申しましたか存じませんが、有権的にはできないのであります。そこでこういつた不当労働行為の事案がある場合、特に専従者が金が出ておるというようなこと、これを救済するきつかけは二つございます。一つは、不当労働行為の申立てがありまして、それに対して決定が出る場合、一つは、組合の資格審査をする場合であります。これは御承知のように、いわゆる争議あつせん調停の場合にはいらなくなりまして、いるのは不当労働行為の申立てをする場合の資格認定の場合、それともう一つは、たとえば地労委の委員推薦の母体なる場合に、その組合は組合であるという資格認定を得なけれならぬ、それを持つて来ましたときに、地労委あるいは中労委において資格認定をするわけであります。今までも、そういつたいわゆる金銭を、法律に許されておる以上のものを組合に出しておるというような場合には、資格審査の際に是正勧告しまして、是正させておる。もし是正しない場合には、それは組合としての資格を認めない。従つて推薦母体にはなれない、従つて不当労働行為の申立てもできない、こういうように取扱つております。先ほどのは、普通の労政の職員ができるということは、これは事実問題としては別として、有権的にはできないという上うこ考えております。
○多賀谷委員 有権的にはできないそうですが、立法当時は、そういう説明をして労働省ではまわつておる。また監督課長もおられますが、和田さんも説明員でまわつておられます。しかしこの問題は、基準法の関係で単に任意団体ということでは済まないと思う。当然そういうことの形式で判を押しておるわけであります。ですから、労政担当としては、いや、それは任意団体だから、自主的におやりなるので、どうしてもいたし方がありませんということでは済まない。これはやはり労働者の自主的団体かどうかということの認定をしなければならぬ。認定がなければ、その組合は判を押さないで、ほかの者の過半数という代表を認めて協定をしなければならぬと思う。ですから、私は、労働省としては放置できない問題であると思いますが、これに対して勧告をされるなり、そういう意思があるかどうか、お尋ねいたしたい。
○中西説明員 近江絹糸のいわゆる第一組合は、おそらく今まで地労委の推薦母体というような希望もなし、従つて資格審査を受ける機会がなかつたの、じやなかろうかと思うのであります。従つて、そこらがいわゆる御用組合か労働組合かはつきりとしないのでありますが、これが、たとえば基準法の労働者の意見を聞くという場合に関係して来るじやないかということでございますが、確かにその法律で求められておる労働者の意見というものは、自由に表明される意見であります。従つて、もし御用組合であれば、御用組合の意見が開かれるということは、これに法の趣旨ではないかもしれません。ただあの意見を聞くということは、たとい親睦団体でありましても、自由に表明される意見がその際に聞かれますれば、それでいいということでありますので、いろいろと基準法上要求されております労働者の意見を聞く場合、そういうふうな協定、意見を聞く、いずれの場合でも、自由に表明された意見を聞くことをしておるかどうか、このことは事実を調査しないと何とも言えない、かように思います。ただわれわれの希望といたしましては、いわゆる労働法上労働組合としてはつきりしたものがあつて、それが何かそういつた場合の意見表明の機関になることが望ましいことは、申すまでもございません。
○多賀谷委員 これは具体的な近江絹糸の労働組合、しかもその旧組合自体でなくてもよろしゆうございます。しかし、今参考人から述べられたような具体的な事実が、もしどこかの組合にあつたと仮定いたします。そうしてその組合が二十四条、三十六条あるいは六十一条その他の協定をするなり、あるいは労働者の過半数の意見を聞くという場合に、参加してその当事者になる、こういうことでは、きわめて問題があると思う。ですから、やはり明確に割切つておかなければならない。自由に表明されておればいいと言うならば、その自由に表明されておること自体を、労働組合の性格なり過半数の団体であるという性格を、十分に把握しなければできないのですから、そういうような条件のある要素を含んだ組合がもしあるとするならば、その組合については、やはり労働省としては認定を下すべきである、かように考えるわけですが、再度お答えを願いたい。
○中西説明員 先ほど申しましたように、真の労働組合があつて、それがすべてのそういつた労働者の意見を表明する機関になることが望ましいのでありますが、さればといつて、現行法のもとで、そうでないからといつて是正させ、あるいは積極的にこれを解散させるというようなことはできないのじやなかろうか。やはりこれは労働教育なり指導による以外にはないのじやなかろうかと思います。
○多賀谷委員 従来解散を命じた事例はありませんか。
○中西説明員 旧労働組合法に解散の条文が一条ございました。これは削除になりまして、旧組合法のときでもこの条文を使つて解散をさしたことはございませんし、現在では法にもございませんので、ございません。
○多賀谷委員 では基準局長にお尋ねいたしますが、基準局としてはそういう団体の判を持つて来た場合、これはとういうように認定をされますか、お尋ねいたしたいと思います。
○亀井説明員 基準法上の協定の取扱いにおきまする、労間者の過半数をもつて占める労働組合というものの性格自体につきまして、われわれ審査をする権限はございません。ただ、それが労働組合として一応認められておるものにつきましては、その労働組合と使用者側との協定が適法になされておるかどうかということだけを審査するのでございます。
○多賀谷委員 それでわかりしたが、やはり井堀委員が御指摘になつたように、脱けておる、労政局の力は労政局で、いやそれは労働組合であろうとなかろうと、解散とかその他の勧告をする権限はない。一方は、いや、その性格の方はどうも判断できぬで、あとの手続を審査するのだ、こういうことだけであります。私どもは、要するに労働基準法にいう労働組合と労働組合法にいう労働組合とは、よもや違いはしまいと思う。当然同じことを言つておると思う。基準法にいう労働組合というものは、労働組合法のいう労働組合である、かように解して私は間違いはないと思う。そこで労政局の方でもおやりにならぬ、基準局の方でもおやりにならぬということなら、一体だれがやるのですか。
○中西説明員 先ほど言いましたように、組合の資格認定のことは、今の資格審査と不当労働行為の場合しかないわけであります。従つて、基準法上に要求されております組合、これはもちろん労働組合法の組合ということを予定しておると思うのでございます。そこで問題はやはり先ほど申のましたように、結局は労働組合と言いながら、実態はそうでないということは、その組合員の意識の問題た。従つてこれを法によつて強制するか、あるいはまた自覚によつてこれが真の組合となるか、そこにまつべきじやなかろうか。少くとも現在の法制上は、それを期待しておると考えます。
○多賀谷委員 あなたはどうも第五条の関係と第二条の関係を混同なさつておるようです。それはなるほど組合規約が十分そろうてないとかなんとかいうものについては、あるいは資格審査のときに問題があるが組合法では、労働組合というのは、二条においてこれだけの条件がなければとにかく労働組合でないのだ、こういうことを言つているのです。ですから、たとえば五条の規約の手続を十分にとつてない組合があるいはあるかもしれない、これは問題はあるでしようが、あえて基準法の労働組合でないとかどうとか私は言いたくはないんですよ。しかし、少くとも二条の要件だけは備えておかなければ、いかにあなたの方で、いや任意団体だから自主性にまかすと言つても、基準局では扱いかねる。労政局の方で、これは労働組合であるかないかを認定しなければ、基準局の方ではどうにもこうにもしかたがないと思うのです。それで私はお尋ねしておるわけです。
○中西説明員 二条の要件というのは、大体外から見まして、特に一号の問題は、先ほどもどなたかから話されました範囲の問題、これは明らかに重役陣も入つてないというようなことでございます。それから、二号の問題でありますけれども、これも専従があるのかないのかよく存じませんが、労組法上組合でないということのはつきりいたしますのは、たとえば使用者まで入つた親睦団体というようなものならば、それこそはつきりしますけれども、一応みずからも労働組合といつているものは、われわれとしても、これを労働組合として扱わざるを得ない。それがはたして組合法上はつきり言えるかどうかということになりますれば、先ほど申しました機会がなければ、それは客観的にはつきりしない、こういうふうに考えていいのじやないかと思います。
○多賀谷委員 これは時間が長くなりますので、もう少し全貌か明らかになつてから再度お尋ねしたいと思います。一言言つておきますと、あなたは二条の但書の方だけを読んでおられるようですが、但書の前に前文があることを御承知おき願いたい。 続いて、私は参考人の方にお町ねをいたしたい。先ほど監督署から役人が来た場合の会社の処置について、若干お話があつたと思うのですが、この点について、もう少し詳しくお聞きいたしたいと思います。たとえば私がちよつと聞いたところによりますと、監督官が来ますと、女子で深夜業をやつておる人はすぐ電気を消して机の十に隠れろとか、こういうような指示をしたとかしないとかいうことを言つておるのですが、そういう点等について、もう少し詳しくどなたかからお聞きしたと思います。
○菅家参考人 大垣の例ですが、あと番が十時半に終つて、それから急に仏へ集合というようなことがあつたのです。それでみんなが何ごとかと思つてお仏間に上りました巨今まで寮がないからとかなんとか言つて、一部屋十五畳に十二名ないし十五名ぐらいが入つていたのです。それで違反になるということで十五畳に本名の定員よりあと過剰しておる人員を、それぞれ仏間、ミシン室、教室にその晩十時の終業後夜中までかかつて移つたわけです。
○鷲沢参考人 昨年の十月からことしの三月にかけまして、たいへん仕事に追われておりました。それで隔日に深夜業をやつたのです。ことしの二月ごろでしたけれども、監督署から十二時半ころに見えられたのです。その前にも二回ほど見えられたのですが、そのときは電気を消して隠れてみつからなかつたのですけれども、二月のときには監督署の方に、電気を消している私の姿が外から見えたので、机の下に隠れておりましたのをひつぱり出されて、何でそんなところに隠れているのか、こんなところで今まで何をしていたのかと聞かれました。そこで、自分の用事をしておつたのですと言つたところが、自分の用事をして今ごろまでかかるのかと言われたので、自分は知りませんと言つて、寮の方へ走つて帰つて行つたわけです。それから翌日工場長さんに呼ばれまして、きのう監督署から見えたときに何で見つかつたか、何でもう少し敏捷に隠れなかつたかと聞かれたので、そのときは守衛の方がいなくて、何の連絡もなく直接工場へ入つて来られたので、何もわからなかつたと言つたわけです。それから次の日にも同じことを聞かれ、そのとき会社に対して迷惑がかかるようなことは言わなかつたかというようなことを言うので、私は全然会社に迷惑のかかるようなことは言つておりません、と言いました。
○岩原参考人 私たちの場合は、寮の方ですと、静岡の監督署の人が来るという前の日に知らせがあるわけです。そういう場合に、どういう知らせがあるかというと、あしたは監督署の人が来るから寮生はみな、こういうことを聞かれた場合はこういうような返答をするようにという、その答えを教えてくれるわけです。そうしてその方たちから開かれたらごう話せ。それからもし来た場合は、部屋の人員は十五畳に十六人ぐらい入つておるのですが、ぞうりの数がとてもたくさんあるので、ぞうらに半分にしてしまえと言うので上ばきのぞうりをみんな隠してしまいます。そういうことが最近までありました。 それから現場の方ですと、とても仕事が忙しく、毎日十一時ごろまで工場の中にいるのですが、そういうときは特別に十時ごろに機械をとめてしまつて、帰れ帰れと勧めるのです。そういう状態は最近までありました。
○吉田参考人 基準監督署の方がお見えになるときには、班長以上を呼び寄せまして、きようは基準監督署からお見えになるから、五分前か十分前に台をとめて帰るようにという通達があるのでございます。それ以外の場合だつたら、十時三十分が終業時間なのに、十一時二十分、三十分にまでなるときがあるのです。それで、あまりひどいものですから、たまに係長にぐちを言うのです。そうしたら、役員であればそれくらいの自覚はあつてほしいということをよく言われました。
○多賀谷委員 今参考人から述べられたような事情であれば、非常に操作もむずかしかつたことと同情するわけですが、しかしスリツパを隠すとか、部屋の外にある名札を実際におる人だけ並べないで、新しく来た人の名札は掲げない。部屋の畳数、従業員の数というのは当然把握されておるから、よもやこれでだまされはしないと思いますけれども、こういつた点は、当然違反としてあげられたであろうと思うのです。労働省としましては、争議以前に五件ほど司法処分の起訴をしたということですが、簡単でよろしいから、その具体的な事例をお話願いますと同時に、不当労働行為の申請をしたということですが、その点につきましても、争議以前にどういう不当労働行為が申請されたか、またその結果はどうなつたかをお答え願いたいと思います。
○亀井説明員 過去五件の司法事件の概要につきまして、簡単に御説明申し上げます。 彦根工場におきまして昭和二十三年十二月十五日、女子年少者の時間外労働、深夜業等の違反がございました。ただちに昭和二十四年一月十八日に大津地検の彦根支部に送致をいたし、第一審におきまして会社側に対し罰金五千円、工務部長に懲役三箇月執行猶了一年の判決があつた。被告側はこれに対し大阪高裁に控訴をいたし、この控訴が棄却せられ、さらにそれに対して最高裁に上告をいたしておつたわけでありますが、昭和二十七年の四月二十八日の大赦令によりまして免訴になつております。 同じく彦根工場におきまして、昭和二十六年六月三日、御承知のように映画会の際に映写機から発火いたしまして、女子の労働者二十三名が圧死をした事件がございます。これは主として刑法上の事件として取上げられたのでございますが、われわれの関係といたしましては、安全衛生規則違反としてあわせて起訴をいたし、目下係属審理中であります。次は、中津川工場におきまして、昭和二十五年六月十九日に女子年少者の時間外労働、深夜業等につきまして、工場長を送検いたしました。七月に起訴されまして、中津川簡易裁判所におきまして略式命令、罰金一万円の判決が出ております。なおまた中津川におきまして、昭和二十六年十二月十八日に女子少年者の深夜残業にちきまして中津川の裁判所に起訴をいたしまして、これも簡易裁判所で罰金八千円の略式命令が出ております。被告はこれに対しまして正式裁判の請求を行いまして、二十七年の六月七日正式裁判の結果、罰金四千円の判決がありました。これもまた大赦令によつて三十四条だけが免訴になりました。 垣工場におきましては、昭和二十八年三月に、深夜臨検によつて年少労働者五十人の時間外労働並びに女子七十五人の深夜業の違反を発見いたしまして、岐阜地検の大垣支部に送致をいたしております。 以上が五件の経緯でございます。
○中西説明員 これはもう御承知かと思いますが、津工場の中岡君が、合繊近民開議等いろいろな理由で解雇になりました。これが津の地労委で不当労働行為であるということで救済命令が出ました。これが不服で会社が中労委に再審査を申し立てました際におきましても、やはり不当労働行為であるという認定をいたしたのであります。ところが第一組合とのクローズド・シヨップをたてにして、第一組合がこれまた組合裏切りその他の理由によりまして除名する、除名された者はクロースド・シヨツプによつて解雇するというので、さらに解雇いたしました。これに対して、さらに三重の地労委に不当労働行為で提訴しておるというのがございます。 近出ましたのは、先ほど申しましたように関係各府県にそれぞれ一号あるいは三号違反で十件近く提訴がございました。
○矢尾委員 今参考人からいろいろ述べられましたが、監督官会社に臨検その他をするということにつきまして、会社がそれに対抗するために、事前にいろいろの措置をしておるということは、各工場ともにやつておる。各工場ともに事前に受入れ態勢を整えて、監督官の臨検を待つておるというような事例が述べられて、おるのですが、これに対しまして、監督の立場に立たれておる労働省としては、どういう考えを持つておるのか。どういうところからそういうことが漏れておるのか、また事前にそういう通告をせられておるのか、そういう点につきまして、どういうお考えを持つておられるかということを聞かせていただきたい。
○亀井説明員 監督をいたします際に、その監督をいたします日時につきまして、相手に通報するということは、絶対あり得ないのであります。これは問題が司法権の発動でございますだけに、そういうことはあり得ないのであります。参考人のお話の中でそういうことがあると聞きましたが、どういう事情でそういう結果になつたのか、われわれといたしましても調査をいたしまして、もしそういう事実がありますれば、当然是正をしなければなりませんし、またそういう措置をとつた監督官つきましては、われわれとしても処置を講じなければなりません。ただ安全週間あるいは労働衛生週間というような行事の場合におきましては、事前に通告をいたすことがあります。あるいはそういう行事の、ついでといえば語弊がございますが、そういう通告をしました際に、あわせて監督というようなことを行う場合もあるわけでございますので、あるいはそういう場合に行いましたのかどうか、さらに調査をいたしてみたいと思います。
○矢尾委員 ただいまの御答弁によりまして、大体その点は了解いたしましたが、しかし違反事実が起つておるという事実は、労働省といたしましても監督署といたしましても摘発せられて、すでに判決を見たものも数件ございますけれども、近江絹糸におきましての違反行為は、継続して行われておるという事実が明らかになつておるのでございまして、その監督の立場におられる人が常時連続的にこれをやられるということにおいて、こういうことは防止できただろうと思います。あげられたときにおいてたまたま犯罪にかかつたのではなく、常時そういうようなことをやつておる。それが偶然一つか二つがひつかかつたというようなことで、少くとも、さきにこれを司法処分にしなければ、結果において解決つかぬというお話でございましたけれども、それは証言を得るということにおいても、いろいろ困難点があつたということは私たちもよく毒するのでございます。今回争議が起つて初めてその証言も確実なものを得ることができた、そうしてまた確証をあげることができた。常時そういうような態勢をとられるならば、基準法の第百一条によつて臨検することもできるし、証拠を押収することもできる。何ら遠慮することなくして、常時それを継続してもらうことにおいて、こういうようなこともなくすることができたと思うのです。これは、ただ単に近江絹糸のみならず、全国的なわが中小紡績工場におきましても、いろいろそういうような問題が各所に起つておるのでございまして、滋賀県におきましても、近江絹糸だけではなく、最近にでき上りました名古屋の近藤紡績の尾を引いております大津紡績におきましても、やはり同じような立場のことが行われておるのでございます。経営者が巧妙に労働者をあやつり、そういうことはないと思いますけれども、今日地方に在住しておりまする基準局関係の人とも個人的に密接な関係に置かれておるというようなことで、そういうようなことにおいても、監督がゆるやかにされておるというようなことも私らは考えられるのです。だから、近江絹糸の問題にしましても、昨年の九月、この労働委員会において問題になりましたときに、各地の近江絹糸関係の基準局を督励してもらつて、毎日のごとくやつていただいておるならば、どのような鉄面皮な会社側といえども、そういうようなことはたまにやるから、こういうふうに言えとか、電気を消せとか、いろいろ陳述されたことがありましたけれども、常時やられておるならば、そういうことも影をひそめるのではないかと思うのです。この点におきまして、今日まで労働省がとつて参られました行き方につきましても、少からざる欠点があつたのではないかと私は考えるのですが、労働省はどういう御見解を持つておられるか。
○亀井説明員 今朝も御説明申し上げましたように、彦根工場につきましては過去におきまして九十二回、中津川工場におきましては三十七回、大垣は三十六回というふうに、他の事業場、工場と違いまして、特に黄点を匿いて監督を実施して参つておるのでございまして、現在持つておりまする監督署の能力としましては、非常に重点を置いた監督のやり方をやつて来ておるわけでございます。けさほど申し上げましたように、違反がありまするその都度是正をさせて来ております。これは行政命令によつて是正をさせて来ておりますが、またしばらくたちますと、同じ違反を繰返すというようなことで、最後のきめ手としての司法処分という問題につきましては、労働者の供述がとりにくいために、証拠固めが十分でなかつたということが言われるわけでございます。われわれとしましては現在許されておりまする能力の最大限を発揮して、特に近江絹糸につきましては監督して参つて来たのあります。る点につきまして、御賢察をいただきたいと思います。
○多賀谷委員 ちよつと関連して……。むずかしいむずかしいというとですが、しろうとが考えても当然これは違反になるということが明らかであり、その容疑が十分である。そういうものについても摘発されていないということについて、私は非常に遺憾であると思う。たとえば長浜工場での一月二十日に一人死んでいる。それは一層忠孝という人で織機の保全工で、これは満十七才であります。ですから年少者である。これが屋根裏の機械、しかもその機械は運転中の機械である。ぼくはどういう機械かよく知りませんが、屋根裏に上つてそれに油を差しておつて落ちて死んでおる。ですから、女子及び年少者の有害業務の中に当然入るべきものであるこれは死亡しておるのですから、当然問題になつておるわけです。なるほど、それは労災をもらいましたけれども、この危険有害業務として女子年少者の労働基準規則の十三条の適用が当然あるものであると考えるわけですが、そういう点も摘発になつていない、さらに労災の問題として労働安全衛生規則の八十四条にはつきり明示してありまする織機のシヤツトルの問題、この脱出で頭を打たれたり、顔をけがしたりしているそうです。これについも何ら防止の処置が講じてない。こういうことは見に行けはわかるし、それは証言がないからとうもいたし方がありません、供述がなかつたからという性格のものじやないんです。こういうものが全然捜査され摘発されていないということは、これが困難であるということはわれわれも認めますけれども、困難に乗じてこういうものが見のがされておる、こういう点を非常に遺憾に考えるわけです。この点に対する明確なる答弁を願いたいと思います。
○亀井説明員 前段の御質問の年少者の危険有害業務の就業の問題につきましては、実は手元に資料がございませんので、お答えはいたしかねますが、それが事実とすれば、確かに違反であることは間違いないわけであります。さらに資料を見ましてお答えいたします。 第二段の問題でございますが、けさほどもこの点でお答えをしたのでありますが、安全衛生規則のように、明らかに違反の事実がはつきりしたものにつきましては、これは大体是正させて来ております。今の第八十四条のシャットルの問題が改善されましたかどうですか、具体的な問題につきましては、私まだ聞いておりませんが、全体のあれとしましては、安全衛生規則の違反のように具体的な問題として処理できるものとしては処理しております。ただしかし、けさほど申し上げましたように、深夜業とかあるいは時間外労働、こういうふうなものにつきまして、は物体でなしために、そこに非常に捜査のむずかしさがあるというここを申し上げたのであります。
○赤松委員長 持永義夫君。
○持永委員 私は近江絹糸工場のこの争議が、今日のごとき最悪の事態に陥つたことにつきましては、ひとり従業員また事業主のみならず、国家のため院非常に遺憾に思うのであります。そこで、今度の委員会におきましてこの問題が必ず取上げられるだろうということで、私はこちらに来る前に私の国方の状況を調べて参りました。話に聞きますと、近江絹糸工場では最初は鹿児島県側の従業員を相当とつておるでありますが、だんだん実情がわかるにつれて、鹿児島の方から来る人が減つて、今度は宮崎県の方に北上して来たということを聞きました。現在私の宮崎県からも千人以上各工場に来ておるようでありますが、安定所並びに父兄等の意見を聞きますと、まず二つの点において非常に心配しております。その一つは、現在工場に残つておる従業員の生活状況、特に保健衛生あるいは風紀問題、これがどうなつておるかということをたいへん心配しておるのであります。この点については、基準監督局とされても、相当注意はされておると思いますが、万全の手を打つておられるかどうかということを、ひとつ別保局課長か品安心をさしていただくように、ここではつきりと言明していただきたい。もしまた不十分な点があれば、さらに一段と風紀衛生、保健衛生につきましては留意していただくように、特にお願い申し上げたいのであります。 もう一つ父兄の心配しているのは、今後この工場がどうなるのか。私は先般非常な不祥事件が尼崎市で起つたことを聞きましたが、あの尼崎製鋼所の二の舞を本工場がやらないように、国家的見地から実は念願しております。何といつても事業がつぶれれば、これはひとり事業主のみではありません、従業員自体も生活に困るのでありますから、やはり国家的の見地から、事業があくまでも成り立つように、ひとつ労使ともに御協力願いたい、そういう考えを強く持つておるものでございますが、その意味において今中央労働委員会の委員長が調停しておられることが、願わくは円満に解決することを非常に念願しております。またそれにつきましては、労働省としても相当陰から御協力を願つておることと思いますが、どうかこの点も十分にぜひ実現するように万全の御尽力を願いたい。これに対する労働省のお見込みはどうかということを、もしお見込みがつきましたならばここでお教え願いたい。以上は地方の父兄母姉の非常に心配しておる点を率直に申し上げたのであります。 もう一つ私がお願いしたいことは、法に対する制裁は制裁としてやはり厳重にやつていただきたい。先般私はいなかにおつて新聞を見ますと、何か夜司法当局が工場に検察に行かれたということてありましたが、その結集はとうなつておるのか、まだ起訴されていないのか、あるいは目下手続中であるのか、それにしてはあまりに手続が緩慢なように考えるのであります。もちろん司法処分のことでありますから、慎重に御検討願うことは必要でありますが、法の制裁は制裁として、これはやはり厳重にやつていただきたい。これを特にお願い申し上げます。その点についてまた何か御意見がございましたらお教え願いたい。以上三点について私の質問を申し上げた次第であります。
○安井説明員 持永委員の御質問の、争議中の安全衛生その他の点につきましては、監督の直接の局長から御答弁申し上げます。 この争議自体を政府はどう考えておるかという問題でございますが、なら政府といたしまして個々の争議に直接関与しないというのを建前としておるのであります。御承知の通りの特殊なケースであります、社会的の影響も非常に甚大でございますので、争議の当初から労働大臣といたしましても極力努力をして今日まで参つた次第であります。これは最初に御説明申し上げた通りでございます。今後ともこの労使ができ得る限り円満な妥結を見まして、双方とも十分理解のもとに協議成立するようなことを、今後とも中央労働委員会とも十分な連繋をとりまして推進させたいと考えておる次第であります。
○亀井説明員 寄宿舎などにおきまして生活をしております限りにおきましては、安全衛星の面は十分われわれ監督の立場から保護をいたしております。ただ風紀の問題になりますと、それは基準法外の問題になりまして、そこまでわわれれがタッチしすることは、実は権限外になりますので、この点はまた別な面からお願いをしなければならぬと思います。 最後に第三点の問題でございますが、今度の捜査につきまして、彦根工場と長浜の工場につきましては、午前二時に強制捜査をいたしたわけでございますが、これも担当の検事の指揮を受けてやりまして、工場につきましては午前二時に解除いたしましたが、工場長その他の自宅につきましては午前五時、払暁後これも検察事務官が直接その捜査に当つたようなわけでございます。捜査につきましては、われわれも十分に慎重に、極秘裡に計画を立てまして実施をいたしたわけでございまして、その結果どの工場におきましても平穏裡に強制捜査が済んだような結果になつております。 なお処罰の問題につきましては、関係の地方の検察庁とも十分連絡をいたしまして、法に定めました違反がございますれば、われわれとしては厳重な処置をとるよう要望いたしたい、かように思います。
○持永委員 風紀の問題につきましては、ただいま政府としては直接関与できない、これはごもつともだと思います。そこで今日はせつかく労働組合の方々もおいでになつておりますから、どなたからでもよろしいのでございますが、責任の地位にある方から、ただいまの風紀問題について、私は心配のないように聞いておりますけれども、地方におきましては、いろいろデマと申しますか、誤解のようなこともあるようですから、その点をまつぎりお答え願つて、なお今後とも十分に風紀問題につきましては間違いのないように、そうして地方の父兄母姉が安心して皆様と一緒に協力されるように責任ある監督をしていただきたいと思います。その点についてひとつ伺いたいと思います。
○仲川参考人 今言われました風紀の問題でありますが、これはそれだけの問題じやなくして、不当労働行為に関係する問題ですから、私ちよつと詳細に報告したいと思います。切りくずし策として、われわれの第一組合に入つた人だけに、今回のストについて心配でしよう、お宅の娘は会社の言うことを聞かないでストに参加してすわり込みをやつておる。そういうことをやつておるから給料を払わないから生活が安定してない。そればかりじやない、上の人の言うことを聞かないから風紀も乱れる。そればかりじやない妊娠までしておるというおどかしの手紙を各家庭にやつておるわけです。それを配付する家庭は、貧農とか貧しい人とか、山村ですし、全然事情を知りませんから、会社の言う通りがもつともだと思うし、そうじやないにしろ、そういう手紙は、私がここに持つておるだけでなく、各家庭ぼんぼん行くのであります。そうすると各家庭では、お前よせという手紙を会社にやります。家庭から切りくずしに来ます。来ると、自分では絶対に正しい、自分の利害関係を離れても組合運動に参加したい、命をかけてもやりたいと思つても、家庭からはそう言つて来る、そのために迷いながらまた会社側の旧組合の方に入る。入ると旧組合の方の会社側から、なぜ新組合に行つたのかと言つたり、また自分で良心で第二組合が正しいと思いながら旧組合に帰つておるということでもつて、幼い十六、七の女の子ばかりですから、精神分裂も来すでしよう。そういう人道上の問題まであえてやる夏川さんです。一人でも会社側のデマ宣伝に乗るような風紀を乱すようなことをやれば、われわれの争議は不利になるんだ、これは各自が肝に銘じておりますから、決してそんなことはしません。またわれわれは会社側から食事も与えられていないのです。あるときには住居まで追い出されたのでありまして、普通だつたら、もうとつくに飢え死んでいます。しかし各労働者の資金、とうとい各労働者の百円とか五十円、また街頭の募金によつて、われわれの争議は続いおります。そういうことを考えて、今命まで投げ出して闘おうと言つておる人々たちが、何で風紀を乱すなり、そんなチヤランパランなことをするでしようか。私は絶対にないと信じています。またほかの人たちも言つています。またそれをするような人だつたら、何で警察権が動き、トラックが動いておる、そのトラックの下まで入つてまで防ごうとする、そんな勇気が出るでしようか。私はちよつと激して脱線したかもしれませんが、会社側はそういう不当な組合干渉、組合運動をした者にそういうことまでやつておる。それだけじやないのです。差別待遇からいつたら、旧組合には給料をやつておる。工場閉鎖をやつておるからには、第一組合も第二組合もないでしよう。だつたら給料を向うだけ払つて、こちらに払わないというわすまない。それだけではない、今回のことについて、幾らかずつ余分に払つている。またはこちらには食事は与えないけれども、向う側の人には食事を与えて、その上にジュース等ほかにいろいろ与えて優遇するのです。そういう差別待遇をやつておる。まだ言いたいことは数あるのですが、一応この程度にいたしますが、そんなふうに国の人たちにも説明していただきたいと思うのです。
○山口参考人 今の風紀問題と食事の問題ですが、実は風紀問題は、一番最初出ましたのは長浜工場です。ここではただちに組合の代表が工場長にその責任を問うたのであります。そうしたら、工場長は、そんなはがきはだれがこさえたのかと言つたら、私じやないと言う。印刷したのはどこでしたかと言つたら、これもわからぬとこう言われました。問い詰めましたところが、本社から送つて来た。君はこの事実に対して認めるかどうかという質問に対しましては、私の工場ではこういう風紀問題はあろうとは思いません。それならこれは間違いだろう。これは明らかに間違いである。それでは各家庭に訂正の文書をつくつて、工場長の責任でこれを訂正せよということになりまして、工場長は訂正の文書を出しておる。そのほかの工場もすべてそうです。それから本社でも西村専務にこのことを申しますと、西村専務も、本社としてはそういうことを考えたこともない、あるいはそういうことを指示したこともないということで、そういう事実はないということを証明しております。従つてこれは明らかに今申しました切りくずし策の悪辣な手段であるということをご了承願いたいのであります。 さらに食事問題につきましては、これは普通ならば、こういう集団生活でありますから、会社が食事の設備を持つておりますので、当然会社側はこれを行つて、争議終了後にこの食事の問題を協議するのが妥当だと思うのであります。ところが会社は悪辣で、まず飯を食わすな、あるいは聞くところによりますと、夏川社長がまだニューヨークにおる時分から、まず飯をとめろという指令を出したという情報すら来ております。従つて夏川社長からいうならば、飯を食わさぬことが一番争議の切りくずしだというように考えておると思うのであります。従つて全繊同盟としましては、これは死活に関する問題でありますから、二十四時間なり四十八時間食事を与えなければこれは重大な社会問題が起きる。そこで同盟としましては非常な額の金を用意して食事の方を現在組合の責任において行つております。しかも会社側が作業中食わせておつたときよりも、非常にカロリーの多いものを食わせておりますので、この点も御心配なく御了承を願いたいのであります。
○大西(正)委員 今の参考人のお話を聞いておりますと、聞きしにまさる人権蹂躙であり、法律無視の事実が明らかになつて参りました。こういうふうな状況に対しまして、輿論はあげて会社側の不当性を追究いたしております。昨日でしたか一昨日の読売新聞だと思いますが、これによりましても、どうしてこの人権無視の会社側を懲らすか、労働組合側を勝たせるかという国民の良心の叫びが、私は紙面にいろいろな形現れてていたと思うのてあります。労働組合におきましても、海員組合のごときは、国際自由労連に対しまして、この近江絹糸の荷物の陸上げを拒否するような、そういう世界的な規模で労働組合を支持しておるのであります。ところが、こういう輿論に対しまして、政府当局のとつております態度は、今の基準監督局長の話では、これは証拠が固まらないから十分の摘発ができない。さてしからば首を切られるというならば、労政局長に組合法の建前から不当労働行為としてこれをどのようにカバーして行くかという問題について聞きますと、これまた組合員の意識の問題であるとか教育の問題であるというように、答弁がある。どうも私聞いておりますと、さきに井堀委員から話があつたように、労政当局のとつておる態度が積極的じやない、何かもう一つ私は言いのがれのための責任回避的な態度を見出さざるを得ないのを非常に遺憾に思う。しかし私は基準監督局長並びに労政局長の労は多といたしますが、今ここに職安局長に対してひとつ私は質問いたしたいと思いますがおりますか。
○赤松委員長 おりません。どうしても今日会議があるというので……。
○大西(正)委員 委員長に了解があつたのですか。
○赤松委員長 了解がありました。
○大西(正)委員 それでは政務次官でもいいですが――課長は来ておりますか――課長も来ていない。局長がいなければ課長は当然来ておるべきである。すぐ呼んでいただきたい。その間私は政務次官に質問をいたします。 初めに職安局長がこれまでとりました処置についての報告はあつたのですが、私はそれを十分聞く時間がなかつたので、あるいは説明のあつたところもあるかと思いますが、もう一回ここでお聞きしたいのは、職安局長といたしましてこのような悪質の企業に対しまして、職業のあつせん紹介に対して打つ手があつたのではないかと思うのですが、その点をひとつお聞かせ願いたい。
○安井説明員 先ほど各局長からいろいろ御答弁申し上げました通り、いろいろ世間で流布されたり、指摘されております事実が十分上らないということが、労働省といたしまして、はつきりとした態度をとり得なかつた最大の原因であろうかと思うのであります。職安局長は実は本日失業対策の各省の会議がありまして、そこへ午後から参つておりますので、この点はひとつできましたら、これは非常に重大な問題でありますから、明朝にでもこちらに参りまして御答弁いたさせたいと思います。それで、ただいまそういつたような関係からだんだん事情が判明いたしましたし、最近の状況によりまして、いわゆる職業安定所の就職あつせんというのは今日とめておる次第であります。
○大西(正)委員 それではあす御答をいただくといたしましても一応質問の要旨だけは述べておきますから、答えられることは答えていただきたい。これは当然職安局長がいなくても、労働省としてはお調べになつておると思うのですが、近江絹糸の労働時間並びに労働条件、賃金の問題であります。これは一般の十大紡と比べまして高いか安いか、この点はどのようにとられておりますか。
○安井説明員 そういつた労働条件の問題につきましては、基準局長の方でも調べておりますので、その方から御答弁いたさせます。
○亀井説明員 近江絹糸と十大紡と比較して参りますと、初任給におきましては――双方の差はもちろんありますが、あまり差は開いておりませんが、勤続三年以上になりますと、その差はぐつとついて参ります。と申しますのは、昇給の割合が非常に低いのであります。具体的に数字を一、二申しますと、十八才の三年以上の勤続者につきまして彦根工場におきましては、日額男子で二百二十三円、女子につきましては二日十円ということになつております。それがBという十大紡を見ますと、男子が三百五十七円、女子が三百四十四円というくらいの開きか出て来ております。
○大西(正)委員 それで私の方も実は資料を持つておるのですが、今の基準局長のお話では、これは非常に他の十大紡に比べて賃金は安いというように概括的に押えてよろしゆうございますか。これは言い抜けではなしに、どういうふうに考えられるかということを、はつきり言つてもらいたい。
○亀井説明員 私らがこれらのデーターから見ますと、やはり低いのではないかという結論が得られます。
○大西(正)委員 そういう場合に、職安法によりまして、職業安定所が、」の会社に人をあつせんするという場合に、この求人の申込みに対して、いまだかつて受理されず拒否されたようなことがございますか。
○安井説明員 具体的なことは、局長が参りまして御答弁申し上げると思いますが、賃金がお互い、納得ずくで了解されれば、これはあつせんいたしておるであろうと思つております。
○大西(正)委員 これはまことに政務次官、けげんなことを私は伺うのでありますが、賃金が納得ずくであれば、どんなに安くてもこれは問題じやない、こういうことですね。
○安井説明員 問題じやないということではなくて、納得ずくでお互いの了解のもとに今まであつせんして来ておるという事実は、その通りであろうと申しておる次第であります。いくら安くてもいいとかなんとかいう主観的な判断を加えておるわけではないのです。
○大西(正)委員 それでは次官にお伺いいたしますが、職安法の十六条を何とお考えになりますか。
○安井説明員 法文解釈の点につきましては、正確を期する意味で総務課長から御答弁いたします。
○堀説明員 職安局長がおりませんので、総務課長の私から御答弁申し上げます。十六条によりますと「公共職業安定所は、いかなる求人の申込も、これを受理しなければならない。」というサービス活動をうたつておるわけであります。「但し、その申込の内容が法令に違反するとき、又はその申込の内容をなす賃金、労働時間、その他の労働条件が、通常の労働条件と比べて、署しく不適当であると認めるときは、その申込を受理しないことができる。」この但書の場合は受理しないことができるわけです。そこで現在とつております措置としては、その申込みの内容が法令に違反するときは、これに該当するのではないか。該当すると断定することはできないとしても、そのおそれか著しく大きいという状況でありますときは、求人の申込みを受理しないという措置をとつておるわけでございます。但し、このあとの方にあります「労働条件が、通常の労働条件と比、へて、著しく不通当であると認める」というこの読みかたについて、いろいろ解釈があるのでありますが、他の十大紡との比較において、不適当であるという場合にこれに該当するかどうかと申しますと、これはその土地、地域的な条件、業種的な条件その他を勘案いたしましてそれでもなお著しく不適当であると認められる場合にこれに該当するということでございますので、労働省がとつております今の求人申込みの受理停止というその措置の基礎といたしましては、この初めの力の「申込の内容が法令に違反するとき。」これに該当するものであるというぐあいに解釈しております。
○大西(正)委員 それでは今あなたから話があつたが、申込みを拒否したことがあるのですか。今やつているのは、これは争議中だからやつておる。ところがこの項に該当してそういうことを従来やりましたか。
○堀説明員 その点は、先ほど申し上げましたように、今ここでははつきりしておりません。職業安定局長が参りましたならば、その点調査してお答えを申し上げることにいたしたいと思います。
○大西(正)委員 調査もよろしいですが今支局の間の連絡について井堀委員から追究されましたが、そういうこともわからないようなことで、一体政府がこの問題の解決に対して十分の力を尽したなんというようなことは言えないと思う。最も基本的な問題じやありませんか。ですから、これは局長がいなければ、総務課長が当然答えらるべき問題だと思います。これはひとつ明日答弁を承ります。そこで、なお今あなたが言われたこの解釈といたしましては、明らかに「賃金、労働時間その他の労働条件が、通常の労働条件と比べて著しく不適当であると認める」というこの断定を、あなた方が下さないということ自体が、今の基準局長の話でも、著しくと言わなかつたというような言い抜けがあるかもしらぬけれども、非常に低いということはわかつておる。 なお私はここで確実な資料を、これは「週刊朝日」ですが、手元にあるから申すのでありますが、これは日本紡績協会の調査によると、十大紡の平均が男が一万六千二百三十六円、女は八千五百十八円であります。平均一万三百二十三円、これは二十九年の四月であります。ところが近江絹糸は、十大紡の一万六千円に比べまして、男はわずかに九千九百八十三円と出ておる。どうですか、けた違いですよ。これは著しくと言うよりも超著しくだな。それから女はどうかと申しますと、六千三百三円となつておる。平均では十大紡が万何ぼに対して七千百六十四円になつておる。これは二十八年の末であります。これは十大紡の報告なんです。さらに全繊の資料によると、十大紡の平均が一万二、三千円に対して近江絹糸は五千三百二十八円であります。いずれも男女平均三月、四月をとつております。これを著しくでないというようなことを私は普通の頭では考えられないと思います。どうですか。この断定はひとつ率直にあなた方も認められたらいい。もしそうならば、この申込みに対して、当然従来求人の申込みに対して拒否するくらいのことはやつておつてこそ、初めてこういう賃金の非常に劣悪な条件が、いわゆる労政局長の政治の力において解決できるでしよう。それを今の労政局長の話、基準局長の話では、どうもわれわれは争議に介入できないとか、基準法の違反の摘発ができないとかいうようなことでもつて、荏苒こういう事実を無視しておるということは、どのように政務次官が努力いたしておりますというようなそんな答弁をいたしましても、これは国民が納得しないと思います。もちろんここにおるわれわれ委員は、こういうことには納得できません。これは攻撃のための攻撃ではありません。この数字が間違つておるというならば、ひとつお示しをいただいて、それが私の間違いならば改めますが、これは大体われわれ間違いないと見ております。しかりといたしますならば、この職業安定法の第十六条にまつこうから違反しております。良心をもつてひとつ答弁を願いたい。今の話では――もちろん申込みに対して受理しなかつたかどうかということはあす伺いますが、さらにそのあとの条文を読めばわかるように、労働条件とかその他の条件について、もし非常に悪い場合には指導することができるのです。職業安定所はただ単なる職業の紹介ばかりではないのです。指導することができるのです。この指導というのは別の面から見れば、労政局長の言つたことと同じです。またしてそういう指導をしたかどうか、これは職安局長にあすは責任をもつて聞くから、あなた方からよく話をしておいていただきたいのであります。 さらに私はこの際、明日また参考人にお伺いいたしますけれども、いわゆる採用に対して、職業安定所で示された条件と、あなた方が会社に行つてみた条件と違つているようなことがなかつたかどうか。私はそういうことがあつたと握つておるのでありますが、そういうことになりますれば、職業安定局長は、当然自分の職権において、こういうものに対しての職業あつせんを拒否することができるのであります。こういうことから、政府の力において、この悪辣きわまるところの近江絹糸に対して、その行き方を是正することができると私は思うのであります。私の言い方が少し雑駁であつたかもしれませんが、職安局長が見えましたら、どうせあすまたその様子をお聞きいたしまして、追究をやりたいと思つております。ひとつ政府側でも言い抜けのための言い抜けではなくして、今晩でもお帰りになつたら各四局長お話合いになつて、そうして労働省一致した対策をもつてぶち当つてもらわなければ困ります。今失業者がどんどん出ているときに、笑いごとではありませんぞ。これはもうわれわれ社会党だからどうだ、こうだと言うのではない、超党派的に労働委員としてみな憂えておるわけであります。一言この点私は申し上げておきます。
○赤松委員長 それでは明日労働省の見解を表明してもらうことにいたします。
○堀説明員 ただいた申し上げましたように、事実の具体的な問題につきましては、職業安定局長から後刻お答え申し上げたいと思います。 そこで職安法十六条の解釈の問題でございます。この点につきましては、但書の読み方でありますが、現在は「申込の内容が法令に違反するとき」これに該当するということで、後段をまつまでもなく求人を停止しておるわけでございます。但し、後段の「、労働条件が、通常の労働条件と比べて、著しく不適当であると認めるときは、」この読み方でございますが、これはその地域地域におきまする他の職種の労働条件と比べまして、その通常の労働条件と比べてさらに著しく不適当であるときはと、こういう解釈をしております。でございますので、ただいま基準局長から申し上げましたように、私のただいま申し上げましたことは、この近江絹糸の労働条件が他の十大紡に比べてそれほど違つていないというようなことを申し上げるつもりは毛頭ないのでございますが、職安法十六条の但書の読み方といたしましては、このあとの方はその地域々々の他の職種等とも比べまして、さらに著しく不適当であるときはと、こういうように読むならいになつております。それだけ申し上げておきます。
○島上委員 どうもさつきからの労働省当局の御答弁は、何か非常に遠慮したような答え方で、私ども非常に不満なんです。この争議は内外に大きく問題にされておりますように、今日の日本における争議としては、まつたく異例のケースであります。争議前の争議と言われておる通り、労働組合法違反はもちろん、基準法違反、人権問題、あらゆる問題を含んでおります。それなのに、どうも労働省は、何かに遠慮したような答弁ばかりしておる。私はここで大臣が明日お見えになれば質問したいことを留保して、一、二伺つておきますが、旧組合の問題に対して、先ほど参考人からかなり具体的にその事例が述べられました。これは今日初めて私ども当事者から聞いたのでありますが、すでにこのようなことは新聞やラジオにおいてもしばしば報道されておる。それなのに、先ほど同僚の質問に対して中西局長は、もしそういう事実がありますか疑問である、きよう初めてそういうことを聞いたようなものの言い万をしておる。私はまつたくその答弁に対しては納得ができない。先ほど参考人が述べられたような、旧組合は御用組合である、労働組合法による労働組合でない事実については、私どもは当事者から初めて聞くのでありますが、すでに労働省においてはとつくに、この争議が起きて世間にこういう事実が公表されました当時には、すでに承知しておるはずだと思います。私どもはこの事実はまつたく信用できますし、従つてこういう事実があります以上は、旧組合は、どう考えましても労働組合法第二条による組合とは考えられない。もし事実でありますれば、どういうようなことで御答弁でありましたか、事実であるかないかということについて、労働省では今まで何もお調べにならなかつたのかどうかということをまず伺いたい。
○中西説明員 従来不当労働行為の事件で労働委員会で取扱つたことのあることは、先ほども申した通りてあります。きようのお話のことは、これは今度第二組合ができて以後の話で、新聞等に出ておりますのも、今度争議が始まつて以後の問題であります。それまでには、いわゆる不当労働行為事案として労働委員会にかかつたものについては、はつきりしておりますけれども、そうでないものにつきましては、今度の争議勃発以後にいろいろと事案が出ておるのであります。そこでこの問題の認定は、労働委員会、その中でも公益委員会議が認定するものでございます。単にここで承つたそれだけによりまして、われわれの立場としまして、そとであると認定できないことは、これは御了承いただきたいと思います。ですから、おつしやつたことがもし事実なら、それは組合として遺憾だということぐらいしか言えない、この点はひとつ御了承願いたいと思います。
○仲川参考人 私が前に言つたことが事実であるならばということですが、それ確かにそうです。われわれの組合の方ばかり聞いて、それをもつて事実とするのは、誤解を招くもとだと思います。またあらゆることに対しても両者の言い分を聞くというのが当然でありますから、だれかが先ほど言つたように、会社の夏川一族に出てもらうと同時に、また旧組合の人もまだおりますから、その人も呼んでもらつて、ここで両者の言い分を聞いてもらえば、どちらが事実であるかということもある程度断定できると思う。私参考人としてこんなことを言つては悪いと思いますが、それを私は望みます。それと先ほど来言つております賃金の体系の問題、あれは資料が幾つもあつてあいまいです。こちらも言つておる通り、勤続年数とかまた年少者とかいう問題もあります。それも関連あるでしよう。そういうあなた方の知つておるのは、会社側のパンフレットによつて知つておる。また私は人事課の者であつて、各所へ人を受けに行つたときに聞かれます。初任給と年に四回昇給しますと言います。それ以上は職安の人もつつ込んで聞きません。それから三年以上になるとぐつと安くなるんだ、差が出て来るんだということを変に思つて、熱を持つてそれを追究したら必ずわかると思いますが、今のところは、どうして差があるかわかつていないと思います。三年以上は、極端にいえば給料がストップするようにできておる。それまでは多分御承知ないと思うのですが、御承知なくてもつともだと思うのです。しかし、私はそれを担当しておる労務係として資料もありますし、どれが事実だかわからないのだつたらいけませんから、これも暴露という形になるかもしれませんが、私明日はここへ来たくないと思いますから、今日言つておきます。初任給は十五歳から十六歳が一日百七十八円、月に換算して大体四千六百円、これから新入昇給というものがあります。三年まで上るのはいいとします。たとい安いにしろ上つて来ます。問題は、これはさつきの法に触れると思いますが、三年以上になりまして、二十になつたとしまして四年になる。すると成績の悪い者は半数昇給しないということになる。成績の悪いというのは大体同じなんです。組合意識のある者、向学心に燃えておる者が成績の悪い者になる。そうすると成績の悪い者というのは大体いつも同じですから、その人は一生昇給がないということです。最低の生活をするとして、結婚まで認めるというのが基本的人権としたら、ここでも基本的人権をうまいぐあいにしてごまかして与えないようにできておるのではないか。結婚はできません。三年間で昇給して二百円ぐらいになつたところでストップしたら、結婚はできないと思います。としたならば、ほかの十大紡と比較して確かに安い。だからといつて、それが違法であるとは言えないと言いますけれども、三年でストップするという点まで追究されたら、違法じやないかと思うのです。しかし私がこれを言つても、私一人だけの言い分だが、事実であると言えば、それは違法であると言つていいかもしれません。あしたはほかに言う人がいるかもしれませんが、ほかの重役の人事の人とか旧組合の人がこの場へ来てやつて、一日も早くどちらが真実であるかという線を出してやらなかつたら、争議が長引く。長引いたら、またまた犠牲者が出ると思います。さきの手紙のことでも、ただ犠牲者が出ただけじやない、そのために動揺したり何かして、自分の考えでは考え切れないから、死を選んで自殺をする人も出て来る。私はこれは今後も長引かせればまだ出て来ると思つております。どちらが真実であつて、どちらが正しいのだということを断定するのが必要じやないかと思うのです。 それと、この問題まで言つたらあれかと思いますが、先ほどどちらの方か知りませんが、工場の今後のことについて、これは家庭の人ばかりじやなくて、従業員の人も心配なんです。それにも関係かあることてす。争議が長引いてあやふやでずるずるやつちや、会社の方でも莫大な金を投下するでしようし、尼鋼のストのようにならないとも限らないと私は思う。それをおそれている。こんなささやかな争議に対して、早く真実がどちらであるかということをきめて、それなりに国家でもつてやつていただきたいと思うのです。そうすれば、また希望に燃えて働くことができるのじやないかと思います。それをしなくて、工場が永久閉鎖だ何だということになつたら、また失業群がそれだけぐんと出るだけであつて、また現に命を投げ出して闘つている人たちが何にもならないことになる、そして社会のためにも何にもならないことになる。大分話が変な方に行つているのですが、先ほど言つた賃金の問題は、そんなわけで労政事務所の方たちは知らない。それはそれ以上に追究しない。大学の指導係でも何でもそうです。初任給と昇給、それだけしか知らない。近江絹糸だけでなくて、ほかにもあるかもしれない。それを知るためには入つてから何年後にはどのくらいになつているということを調べたらいいと思います。それはやめた人や何かを調べればいいと思います。ただ誠意と熱意さえあればできる。こういうふうに信書の開封をしました、こういうことをやつておりますということを言つても、だれもあとを追つてそのことについて真相を早く知りたいから教えてくれというのは現在の政府にもいないし、また新聞記者にもあまりいないですね。それでも新聞社の方には多いけれども……。一般の農村とかそういう貧しい人たちの間なら、そういう真相発表を聞いたあと、あくまでもあとをついて来て聞きます。そういう熱意さえあつたら、今度の問題はもつとも早く解決できるのではないかと思います。 それで私あしたは出たくないと思いますから、今日労務管理のことで、私でなければできないような質問がありましたら、それ点だけぐんぐん言つていただければ、できるだけのことをしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○島上委員 事実についてはつきりした断定ということは言えないとおつしやられれば、これはいたし方がないのですが、しかし事実でありますればということを先ほど前提として答弁されておりましたが、私はもし先ほどの参考人の陳述を事実としまするならば、どう解釈しましても労働組合法第二条による労働組合ではない、こうはつきり断定できるのではないかと思います。事実でありますれば疑問がある、こういうような言い方では、どうも私ども承服できない。事実でありますれば、明らかに労働組合法第二条に規定する自主的な労働者の組織ではない。それから経済援助も受けておる、その他幾つかの事例があげられましたが、それを事実と前提しますれば、労働組合法第二条による労働組合ではない、こう言い得るはずだと思うのです。それにもかかわらず、その場合にもなお疑問であるというようなものの言い方は、どうも私ども承服できぬ。事実であるということを前提しましたならば、第三条に該当する組合ではない、こう私どもは解釈いたします。その点に対する御答弁をお願いいたします。
○中西説明員 これの認定は、先ほど申しましたように、労働委員会の公益委員会議が決定いたしますので、従つて公の立場でどうだ、こういうことについて申し上げることができないわけであります。従つて、個人的に聞かれ、あるいはこういう公の席でなければ、私の意見なら言えますけれども、そういつた有権的な機関の決定をまたずして結論的なことを言うことを、差控えておるだけのことであります。
○島上委員 その苦衷は察します。個人としてのお考えは大よそ想像できますが、私どもはあくまでも労働組合法第二条による労働組合ではない、御用組合である、このように考えます。こういうふうに御用組合をつくらせて労働者の自主的な組織を妨害しておつたということは、すでに明白な事実でありますので、私はここに参考人の方に、第二組合、全繊同盟加盟の新しい自主的な労働組合をつくる際に、会社が相当露骨な妨害をしたように伝えられておる、今人事の係をしていらつしやる方もおありのようですが、人事なりそういう方面から、きわめて露骨に新組合組織に関して妨害、干渉、不当労働行為を行つておると思いますが、それらについて顕著な事実がありましたならば、この際お聞かせ願いたいと思います。どなたでもけつこうです。
○西島参考人 個々についての明細は、特にここに資料がありませんので、私のわかる範囲のことを申し上げます。本社で組合をつくりますときに、これは極秘裡に組合をつくりまして、だれもわからず、二箇月間の潜伏期間を経まして五十名が組合をつくつたわけであります。それが五月二十四日でありますが、それから六月二日に至るまで遅れておりまして、六月二日に総決起をやりまして、その際もいろいろあるのでございますが、まず総決起をしましたあくる日におきましては、会社が組合に入つた連中一人ずつを仕事にことけて重役室に呼びまして、君は組合を脱退しろと強制しました。非常に精神的な圧迫を加えられまして、それでは何とかこれにすぐ救済手段を講じなければならぬと考えておるやさき、重役が全部寮に入つて来まして、夜中寝ておりますと全部たたき起しまして――組合をつくつただけで強くなつてしまつた、あくる日に団体交渉を申し入れましても、なかなか応じない。やつと夕方になつて団体交渉でこの要求書を渡したわけなんですが、すぐさまそれが拒否されてしまつた。いたし方なくて私たちは職場放棄の手を打つたのであります。その間会社の組合に対する不当な干渉というのは数限りなくあります。たとえば従業員の家庭にすぐ電報を打ちまして、ひどいのになりますと、御子息の件につきお話したいことがあります、すぐ上京されよ、そういうことを全家庭に打ちまして全部家庭の父兄を呼びまして、むすこを何とか説得しろ、こういうのが出て来た。寮に重役が来るし、電報で父兄が呼び出されるし、なかなかたくになつてしまつた。これではたまらないから、私たちはこれに対抗する意味で、みな合宿しようというので寮を逃げ出しまして、お寺を借りて合宿しました。それを今度は会社側が反対に利用しまして、全繊にみな監禁されてしまつた、父兄にそれらの手紙を出して、だからすぐ救つてくれ、すぐ大阪に来られたし、そういうような形で父兄が再三再四現われる。私たちは何も監禁されたというわけではないので、そういう干渉を排除する意味において合宿したのですが、それを会社では、要するにこれは暴動であると言う。しかし暴動ではないのです。ただ組合をつくつたことに対して、そういうふうに干渉されたので、われわれは逃げただけであります。そういうことか始まりまして、今申し上げました、たとえば岸和田工場の組合書記長であります内山、それからまた富士宮支部の寺田、この二人に出張命令を出したのでありますが、寺田におきましては、その出張命令に対して違反したかどで解雇通知を出した。これは静岡の地労委の決定がおりまして、取消しになりましたが、こういうことがあつたわけであります。それからまた各工場においてでありますが、風紀が非常に乱れておつて御息女が妊娠する危険があるというので、すぐ連れて帰つてくれというふうなこともありましたし、あるいは給食の停止問題、すぐさま給食を停止するととうことがありました。それから工場を閉鎖するということもあつたわけであります。岸和田においては、何もストライキをやつているのではありませんのに、会社においては一方的にロック・アウトを宣言しまして、われわれは工場の中に入れなくなつたり、寮を締め出されたりいたしました。また富士宮におきましてもそういうことは数え立てれば数限りなくあるのであります。そうした事実をきようは各工場からここにおいでになつておりますから、もちろん発言してもらえばよいのでありますが、私、今自分自身の知つている範囲においてお答え申し上たわけであります。
○赤松委員長 島上君に申し上げますが、あすまた近江絹糸のことを議題にいたしますから、あなたの質問はあすに継続していただくこととして、本日はこの程度にお願いいたします。
○島上委員 けつこうです。
○中原委員 いろいろお尋ねしたいことがありますが、時間の関係もありますので、私はただ明日御出席にならないと聞きました仲川参考人に、一点だけ聞いておきたいと思います。 それは最初の御発言のところで、監督署やあるいは労政事務所から人が来た場合、酒のもてなしがあつたりなど云々ということを聞いたように思うのです。もしそれがそのようなことに関連したことであるとすれば、もう少し詳細に具体的な事実を遠慮なしにお示し願いたい。と申しますのは、近来労働行政のすべての問題の中に、そのようなことがよく伝えられておるわけです。たまたまそういうことがわれわれの気にかかつておりますやさきに、あなた方からそういう具体的な事実が指摘されたので、これはひとり近江絹糸の問題だけにとどまらず、今後わが日本のすべての労働行政の面、あるいは基準監督の面で非常に重大な事柄であると考えますので、ぜひともきわめて明らかにこの問題をお示しが願いたい。これは一面にはわが日本国民のおそらくすべての人が、このことについては疑惑を持つておりますし、いわんや労働者自身はこのことはついて、ある意味では非常な悲しみを感じておると思いますし、あるいは知識人は特にその知性に訴えて、そういつた間違つたことのなきことを願うております。そういうような関係から、御経験の事実を容赦なくお示し願いたいと思います。
○仲川参考人 ありがとうございました。そういうことで追究していただいたのは初めてなんです。前にもこの問題をほのめかす程度のことは、各方面で私は言つて来たのです。しかし、どこからも、そうやつて具体的に知りたいと思うということはなかつたわけです。もうここまで来たのですから――会社側についていた人たちも、おいおいわれわれの方の組合について来ておりまして、これについては、もつともつと具体的なことを知つておる人間が大勢おりますから、その人間の名前を言つておきまして、その人間を私の方も呼び出すように手配をしますから、その人間に聞いていただきたいと思います。しかし私は全然やつていないとは言はわない。たとえて言いますと、職業指導的な意味があるというので、各県の安定所から来ます、また各中学からも職業指導係が来ます。これが全部酒を飲んだり何かするわけです。程度の悪いのは、教員でありながら、もつと酒を出せといつてあばれ出す者もあります。安定所と中学とは違うと言われるかもしれませんが、中学も安定所も同じようなものであります。私はそれらの人々のことはあまり調べておりませんが、どうしても言えというならば、大垣工場に行つて事務所の私の机まで行かしていただければ、私は必ずやわかると思うのですが、それも今度の仮処分で多分事務所の中まで入れないので不可能だと思います。しかし池尾君が来たら、ごまかいことですが、記憶のいい人ですから知つていると思います。これはそれらの人たちばかりでなく、多分ポリさんとつき合つているかもしれませんが、その接待をやつております。私が前に読売新聞にちよつと言いましたときに、芸者のかわりに、接待の場合に八時間も十時間も労働したあとの事務所の職員を使つておるのです。その職員の一人は竹内という人事の女の子です。それから有賀、林、上野、この四人が工場長と同じところに住んでおつてそういう接待をしておりますから、こういう人間に詳細に聞けば、だれか日記をつけている人があれば、だれがどこどこの料理屋のお酒を飲んだとかなんとかいうこともわかるでしよう。私はうちの会社においても、ちよつと骨があり過ぎた人間ですから、それにまた大して偉くもなかつたものですから、表面立つてそれらの人を接待するほどの役についたことは数少いわけです。だから今言つた人たちを呼んで、調べられたら、かえつてよいのじやないかと思います。
○中原委員 おそらくきようの参考人は、全員がこの関係数千の労働者の立場を語るために御出席になられたと思つております。従つて私とももお尋ねするからには、この参考の資料を通しまして、今いろいろ係争中の諸問題を解決するために少しでも力になりたいという見解からこういう機会をつくつたはずなんです。それでありますから、参考人からお聞かせ願う諸問題が歪曲されたり、あるいは遠慮のためにあいまいになつたりするようなことがありましたのでは、これは解決に近ずくのをかえつて妨げる。そういう意味で途慮なしに御経験の点を――かりにそれは日にちがわからなくても、相手の名前がわからなくても、これは基準監督署の人であつたとか、あるいは職安の人であつたとか、それぞれの職業の範囲ぐらいはわかるであろうと思うのです。そのくらいの程度でけつこうですが、ただどういうような形でそういう機会が持たれたか、そうしてそういうお酒の出たりなんかしたあとのその人々のふるまいはどうであつたか。はたして自分の職務をみごとに果されてから帰られたのか、それとも職務の執行はあいまいのままにその場を去られたのか、それとももつと飲ませろと言つたのか、そういう事柄について、全部ここで語つていただくのは困難だと思いますから、そういつた点の顕著な一、二の事実だけでもお聞かせ願いたいと思います。いかがでしようか。
○仲川参考人 それは人名を言うのでしようか。
○中原委員 わかればけつこうですが、わからなければ、たとえば基準監督署なら基準監督署、あるいは労政事務所なら労政事務所、職安なら職安という……。
○仲川参考人 だけれども、それを言うとしたならば、名前もわかつて、そこでもつてはつきりその人だと言えるまで追い詰めた方がいいんじやないですか。会社の人でもいい、旧組合の人でもいい。この席上で、あなたはこういうことをやつたじやないか、あなたは人事課と一緒に信書の開封をやつたじやないかと言えば、その入の表明する態度によつて、どれが真実かわかりますから、ぜひ来てもらつて聞いていただきたいと思います。そのときには、私より人事課にいる期間が長い人の方がよく知つているはずですから、これに連絡をとつていただいて、私のかわりにでも、入れかわりに聞いていただいたら、もつとわかるのじやないかと思います。 それで、先ほど不当労働行為のところで、西島君がちよつと説明したのですが、今度の組合運動のようなものに対して、どういうことをやつているかという点で、われわれが番恐れているのは、人間の生命に危険を感ずることだと思うのです。これさえあえてしてまでも組合運動を阻止しようとしている。今度の争議になる前においても、去勢されて小さくなつている人たちを、組合運動に目ざめさせるために、外部の全繊から声をかける。その声をかけている人を呼んで来いと連れて来させる。私が連れて行つたのを工場長が応接間に入れてたたき、出さないようにした。その人は窓口から逃げ出したというようなことで、暴力で組合運動に干渉したことがあるのです。そのときに訴えた。たたかれたのが訴えたのなら当然ですけれども、たたいた工場長の方が訴えた。向う側はとめたにもかかわらず門を飛び越えて不法侵入をした。それだけじやない、中へ入つて来てビラをまいているから、応接間に一応入れたが、また外へ出てビラを配りそうになつたから、よせと言つて押えた、すると全繊の河合というのが工場長をたたいた、だから不法侵入と暴行だ、こういつて無実の罪を着せようとしている。その無実の罪を着せるためには、証言や証拠がいるでしよう。その証人にはわれわれが強要されて、強要されるままにその通り申した。この問題が取上げられて裁判になつたとすれば、ことによつたら、第三者の証人は、全部会社側の工場長の言うままに証言しますから、全然罪のない人が罪に陥る結果になるのじやないか。横道にそれたかもしれませんが、こういう暴力的なこと、あらゆる人権無視をやつて、組合運動を押えた。争議中にどういう暴力行為が行われたかといえば、現に重傷を負つて死にそうになつておる人もおります。暴力団を使つてやつた。私自身も下村組の中江さんを頭とする七、八人の酒を飲み丸太棒を持つてドスまでのんでいる人にとりかこまれて、寮から追い出しをやられようとしたのです。そうして現にがやられようとしたその前に七・八人がやられておる。そのうちの一人は危篤状態である。今その当人には言つてないが、目がかすんで見えなくなるという状態であるし、そのときは十二日だが、十五日か十六日ごろには、三百人からの暴力団が大垣工場に押しかけて、自分の利害関係を離れて、そういう人権闘争に立ち上つた子供たちを相討ち、挟み撃ちにかけたり、丸大棒や何かでやつつけるということをやつておる。もちろんそういう暴力団はだれか手配しなければ来ないはずです。ただ単に職安法の違反だけではないと思う、これは大きな問題だと思います。そのために今負傷しておる人たちの中で、命を落す人も出て来るか永しれません。そういうことまでやつても組合運動を押えようとしておる。いろいろ言つたらきりがないが、普通の常識で考えたら全然考えられないと甲います。先ほど不当労働行為のとこるでもつてちよつと落ちておりましたので、それをつけ加えます。
○中原委員 大体仲川参考人のこの監督官庁側の酒の問題はわかりました。そこでこれはさらに具体的な事実を御指摘願うことが必要になつて参りますので、必ず早急にそのような資料をおとりまとめが願いたいと思いますのと、委員長の方で適当にこの問題をさらに具体的に明確にするための方策として、たとえば仲川参考人が言われました竹内某その他一、二の人々をお呼び願い、参考人として御出席を願うことのできるようなとりはからいを願いたい。その他の参考人の方を通して、ただいま仲川参考人がお述べになられた事項についての一層の究明は、明日以後の機会にこれを明らかにしたいと思います。その意味で本日の私の質問は一応これでお預けにいたしておきます。
○赤松委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○赤松委員長 それでは再開いたします。 この際本問題についての参考人の追加を行いたいと思います。池尾昇君、石田嶺江君、以上の二人を参考人として呼ぶことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なしと認めます。その出席日時については、委員長に御一任願いたいと存じます。 本日決定いたしました参考人中、仲川参考人を除いたほかの各位におかれましては、明日の委員会にも御出席願いたいと存じますから、御了承願いたいと思います。次会は明二十九日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五分散会