労働委員会 第30号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/06/01
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 本委員会に去る五月三十日予備付託されました日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案(千葉信君外六十七名提出、参法第一八号)を議題とし、その審査を進めます。まず提出者より提案理由の説明を聴取いたします。千葉信君。
○千葉参議院議員 ただいま議題となりました日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。 昭和二十七年四月、日本国との平和条約の効力の発生に伴い、連合国軍労務者の身分が切りかえられて、特別職の国家公務員からはずされ、その後は、日米安全保障条約に基く駐留軍のための労務者は、国によつて間接雇用され、英連邦軍のための労務者は、軍に直接雇用されて現在に至つておりますが、今回国連軍協定及び日米相互防衛援助協定の締結、並びに調達庁設置法等の一部改正により、国連軍及び軍事援助顧問団のための労務者も、従来の米駐留軍のための労務者と同じく、国によつて間接雇用され、その給与その他の勤務条件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業員の給与その他の勤務条件を考慮して調達庁長官が定め、その労務費は軍が負担することになつたのであります。 ところで、常にこれらの労務者の給与等を定める基準とされている国家公務員につきましては、昭和二十六年以降、行政機構の改革に関連し、または予算実行上の要請による整理退職の場合は、従来の八割増の退職手当を支給する特例が設けられ、昭和二十八年八月以降は、国鉄等三公柱における業務量の減少その他経営上やむを得ない事由による退職の場合も含めて、整理退職手当は、右の支給率が恒久化されており、また昨年の秋以来、特別待命、次いで臨時待命の制度が考慮されておりますが、他方駐留軍等の労務者は、終戦以来、言語、風俗、慣習を異にする外国軍隊に使用され、しばしば軍の都合により解雇を受ける等、身分の不安定な労働環境のもとに、国に課せられた労務提供の責務を果すため協力しており、特に、遠からず、駐留軍等の配備の変更または撤退その他、国の内外の客観情勢に基き、大幅の人員整理を余儀なくされる運命にあるのであります。 従いまして、この際、駐留軍等労務者が、人員整理等自己の責めに帰すべき事由以外の事由により、その意に反して退職する場合は、国家公務員等の整理退職の場合との均衡上、少くとも現行の退職手当支給率の八割増の退職手当を保障し、もつてこれらの者の身分の不安定を多少とも救済しようとするのが、この法律案を提出いたした理由でございます。 何とぞ御審議の上御賛成くださるようお願い申し上げます。
○赤松委員長 次に労使関係に関する件について審査を進めます。 日本私鉄労働組合総連合会本部中央書記長安恒良一君を参考人として、意見を聴取するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 それではさよう決します。安恒君。
○安恒参考人 参考人として出頭いたしました私鉄総連合会の安恒でございます。 今回の事件の概略を申し上げます。と、私の方の私鉄総連合会といたしまして、本年の一月以降賃金値上げと いたしまして、一律二千円、プラスアルフアという形で、それぞれの会社に賃金値上げを要求いたしました。その後この問題は、労使間の中央地方交渉、いろいろの経過を経まして、中央労働委員会に使用者側が提訴いたしました関係上、中央労働委員会の問題になつたのであります。それが四月の十七日に中央労働委員会から次のような調停案が出されました。ところがこの調停案というものにつきましては、三者構成の委員会の中の、二名の労働者側委員は反対であるということで、少数意見を付して出したのであります。 この調停案の内容は、大体大手筋は七五%のベースアップ、その他につきましては六%から三%までという調停案であります。ところがこの問題につきまして、私たちは慎重審議しました結果、満場一致でこれを拒否いたしまして、闘いの場を中央から地方、すなわち各社別に各組合と交渉するという方針をとり、四月以降そのような態度で進んだわけであります。こういうことになりますと、勢い問題は中央労働委員会の手から離れまして、もしも労働委員会の使命から、いわゆる公益事業としてこの争議をあつせんをするということになれば、地方労働委員会の問題とならざるを得ないという段階に到達したわけであります。これが大体四月十八日の現状でございます。 私たちといたしましてはこの調停案を拒否いたしまして、四月二十五日第一波、二十九日第二波というふうに、ストライキの日にちを決定をいたしまして、各社交渉を行つたわけであります。このときにこの事件というものは起きた問題でございまして、今私が申し上げましたように、当然地方労働委員会といたしましては、この種の争議に対しましては、労働委員会の使命として関与、タッチをすべき問題であつたかと私たちは考えております。ところが、二十四日もしくは第二波の二十六日、七日、八日という時点におきまして、地方労働委員会といたしましては、私鉄の争議の重要性から、地方におきましてあつせんに乗り出したいという構えを持つており、またそれが準備を着々と進めておつたようであります。ところが労調法によりますと、中央労働委員会で調停案が出されましたものは、地方労働委員会が扱う場合には、中央労働委員会のいわゆる管轄指定というものが必要となるわけであります。ところが、地方労働委員会から中央労働委員会に管轄指定の申請が二十五日の以前、もしくは第二波の二十九日の以前にそれぞれ行われましたが、非常に私たちがふしぎに思いますことは、中労委といたしましては、管轄を移譲しないということは申しませんけれども、管轄移譲はする、ところが、管轄は移譲するが、その場合に一つの条件を付したわけであります。それは調停案の精神をくずさずして地労委があつせんをするなれば管轄移譲をしよう、こういう条件を付したわけであります。ところが地労委といたしましては、すでに組合がけつた調停案である、また調停案を作成する過程におきまして労働側委員が少数意見を付しているという、こういうものをもつてあつせんをするということは、事実上不可能でございますので、これは中労委がいわゆる管轄指定というものをそのような形で渋つているというふうに、地労委はとつたわけであります。 この点につきましては、委員会で後ほど御調査願いたいと思いますのは、端的には大阪地労委の今井事務局長もしくは大阪地労委の会長等は、この中労委の態度に対しまして、地労委の自主性を阻害するものであるということで、新聞声明等をそれぞれ行つております。そしてごのことは、ただ単に大阪地労委に見えた傾向ではなくして、福岡、兵庫、京都というような、いわゆる私鉄総連といたしまして大きな組合の所在いたします地域において、全国的に見えた傾向であります。こういうことで私たちといたしましてはこの段階に立ち至りまして、数次中労委、地労委にそれぞれ抗議をいたしましたところ、中労委は言を左右にして、われわれはそのような条件を付していない、無条件で管轄指定をしているというふうに主張いたしますし、地労委といたしましては、中労委から条件を付されているので動きようがないということで、書を左右にして、遂に大阪地方におきましては第一波、第二波のストライキ決行にもかかわらず、地労委は何らあつせんをするという動きを見せなかつた、こういうことで社会的にも非常に多大な迷惑をかけた次第であります。 こういうことを考えますと、私たちといたしましては、すでに中労委というものが、第三者ということで、労使の紛争を公正な立場から調停あつせんをして行く、いう機能を喪失しているというふうに考えております。すなわち、私たちが考えますならば、今回の中労委がとりました態度は、日経連や政府が企図するところの賃金ストップというものを、いわゆる中労委という機能を使いながら、私たちにそれをしいて来たというふうに、この事件を考えているわけであります。こういうことをもちまして、去る総評の幹事会におきまして、今回の中労委がとつた態度というもの、並びにいわゆる中労委と地労委の見解の食い違いについて、本労働委員会で詳細なる御調査を願いまして、事の真相を究明していただきたい、こういうふうに考えた次第でございます。 以上であります。
○赤松委員長 何か御質問ありませんか。
○多賀谷委員 質問は審査の過程で行いたいと思いますが、委員長に要望しておきたいと思います。それは中労委がある条件を付して地労委に管轄指定をするということ、これは、何も地労委は中労委の下部組織ではないのでありまして、きわめて地労委の自主性を害するものであろうと思います。さらに奇怪なことには、今参考人からお話がありましたが、中労委にそれを問いただしたところ、そういう条件を付していないと言う、地労委はそういう条件があると言う。こういう労使関係は明白なもとで行われなければならないにもかかわらず、しかも独立なる行政機関がおのおの違つた意見を発表するということは、今後の労使問題の解決に重大な支障を来すと思うのであります。でありますから、休会中といえども、この問題は参考人を呼んで調査されんことを希望いたします。
○赤松委員長 参考人といたしましては、中労委、地労委及びその他の関係者ですね。わかりました。 なお、今多賀谷君の御希望のように、中労委、地労委及び関係者を招致いたしまして、適当な機会に本委員会で調査を進めたいと思います。なお休会中でも必要に応じまして、現地等の調査をも行いたいと思います。それでは御苦労さまでした。 次に、労使関係に関する件が閉会中審査付託事件となりました場合には、本件に関連してただいま御配付いたしました労働者福利共済団体法案要綱についても調査を進めたいと存じますから御了承願います。 労働者福利共済団体法案要綱につきまして、ただいま調査を進めることをば御了承願つたのでございますが、この法案要綱について政府の方の御見解を述べていただきたいと思います。
○安井政府委員 労働者の福利共済の施設に関する法案を本委員会でお取上げになつて、いろいろ御研究中であることを承つておる次第であります。私ども政府としましても、この福利共済の団体は、ほかにもございますが、まだ中小企業を中心にした、労働者あるいは経営者を打つて一丸とした十分な施設がないことも、考えておる次第でございます。今後いろいろな他の機関との競合の問題もあると存じまするが、いい案ができましたならば、われわれもでき得る限り御協力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○井堀委員 ただいま労働者福利共済団体法案要綱という資料に基いて、労働省の所見を伺つたのでありますが、もうちよつと詳しくお尋ねをいたしたいと思います。それは今御指摘になつておりましたように、零細企業、ことに常時五人以下の労働者を雇用する事業場にありましては、厚生年金保険法あるいは失業保険法といつたような重要な社会保険が、適用除外をされておるわけであります。これは申すまでもなく、厚生年金保険法が今国会に改正案として上程された際に、各方面から強い要望的な意見があり、政府もこれに対して答えられたところで明らかなように、むしろそういう零細企業のもとに雇用されておりまする労働者こそが、そういう恩典にあずからなければたらない条件のもとにあることが明らかにされ、ことにその数がきわめて多数に上るということ、またその事業場が日本産業に占むる地位が非常に重要である点等からも、強調されておるところであります。今も御指摘になりましたように、そういう事業場にそういう社会保険の適用が今日行われていない際に、このような法案が施行されるようになりますれば、そういう社会保険の欠陥に対する橋渡しとしては、きわめてかつこうなものではないかと思うのであります。こういう点について、労働省では何か他に対策でもお持ちであるかどうか。ないとすれば、こういうものを通じておやりになるとすれば、またそれに対する御所見等があれば、この際承つておきたいと思います。
○安井政府委員 ただいま井堀委員の御指摘の通り、中小と申しますか、特に五人以下の小企業団体等において、福利立法が適用されていないといううらみがあることは、労働省としましても、よく存じておる次第であります。でき得れば、そういつたものに対して、福利の恩典が均霑するような施策が行われれば、非常にけつこうだと思つておる次第であります。何分これに類似のいろいろの法案もあることでございますし、また相当技術的な問題としても研究をする面もあろうかと存じますので、当省としましては慎重に研究いたしたいと思います。精神と申しますか、目的とするところは、たいへんにけつこうな御趣旨ではなかろうかと存じておる次第であります。
○赤松委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十四分散会