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19回国会衆議院1954/05/21

労働委員会 第25号

発言数
77
登壇者
6
会派数
2
開催日
1954/05/21

会議録

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより会議を開きます。  この際御了解願つておきたいのですけれども、去る四月九日札幌市交通局の争議問題について、参考人として御出席願うことに決定しました札幌市交通局長の九里正蔵君から、私個人あて肺浸潤のため当分の間長途の旅行に耐えないという理由を添えて診断書が送付されております。  この際お諮りいたしますが、ただいまの九里正蔵君は病気のため出席できませんので、札幌市交通局助役原田與作君より、参考人として御意見を聴取いたしたいと存じますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議なしと認めてさよう決します。  なおただいま決定しました原田参考人は、全国市長会に市長代理で出席しておりまして、風邪のために本日出席できないとの申出がありましたから御了承願います。その日時については委員長に御一任願いたいと存じます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは労働基準法諸規則に関する件について調査を進めます。多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 第十二条についてお尋ねいたします。十二条を削除するという諮問が出ておるわけですが、これは法第百六条の規定に何ら規定しているところがない、こういう理由のようであります。この審議会の答申によりますと、「準じて、」ということを削除して、「周知させなければならない。」を「周知させるものとする。」に改めること、こういうことが出ておりますが、この「準じて、」ということがあるのとないので、罰則が違いますかどうか、これをちよつとお尋ねいたしたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 第十二条自体につきましては、罰則の適用はないものとわれわれは解釈しております。従いまして「法第百六条の規定に準じて、」という言葉があるなしにかかわらず、罰則の適用はございません。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 罰則がなければ「周知させなければならない。」という原案でいいのじやないかと思うのです。ことに法第三十二条第二項または法第三十五条第二項というのは時間の変更の問題でありまして、きわめて労働条件としては大きな問題でありますので、この点別にこれを削除する必要はないと考えるのですが、その点についていかがですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 政府原案として審議会に諮問をいたしまし際のわれわれの考え方は、この規定自体が、新しい義務を法律の根拠なくして使用者に課しておるのでございまして、このことは罰則のあるなしにかかわらず、国家行政組織法第十二条に違反するという趣旨から、削除という原案を提出したのでございますが、審議会の御意見としましては、この規定の内容自体は、ある方が望ましいのではないか。ただそういう国家行政組織法に違反するというふうなおそれがあるとすれば、そういう点だけを言葉の上で改正をしてはどうかというので、答申にございまするような三者の意見が一致したのでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 国家行政組織法に違反する、こういうことの形式的な理由ですが実質問題としましては十人未満のものには就業規則の義務がないのですから、やはりこの程度の義務といいますか——これは形式上の訓示的な義務になりますが、それでもやはり規定しておくことが望ましいと考えるわけです。「周知させるものとする」、こういう表現を使つておりますけれども、これは一体どういうことなのか。「周知させるものとする」ということだけでは、周知しない場合はどうか、また周知しなくてもいいという感じを与えるのです。やはり「周知させなければならない」という従来の規定——あるいは「法第百六条」が悪ければ、これは削つてもいいと思いますけれども、やはり「周知させなければならない」という規定の仕方の方がいいのじやないか、かように考えますが、いかがでしようか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 神経質に考えますと、先ほど申し上げましたような考え方になるわけでございますが、行政上の効果としましては、「周知させなければならない」と書きましても、「周知させるものとする」と書きましても、罰則の適用がございません関係上、指導の面になるわけであります。指導の面といいますれば、なければならないと書きますのも、するものとすると書きますのも結果においては同じではないか。ただ、するものとする方が、先ほど申し上げましたように、新たな義務を課するというふうな形式的な反論がわかないで済むのではないだろうかという気がするのであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 国家行政組織法の十二条ですが、なるほど第三項に規定があるわけですけれども、今度の基準法の施行規則で、これを全面的に政府の原案通り改正いたしましても、やはり行政組織法十二条の違反の事項がありはしないかと私は思うのですが、その点ないでしようか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 解釈上の問題で、すれすれのボーダー・ラインの問題は規定はございますが、しかし明白に違反をしておるというふうなもののみを、今回は実は取上げたような次第であります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 問題はほかになりますけれども、今の問題に関連しまして、日直、宿直の問題は、従来から非常に問題になつているのですが、これは当然どこにも委任規定はないと思うのであります。また条文の体裁からいいましても、どこにもそういう根拠のあるような条文らしいものもないし、また施行規則の方の条文の配列からいいましても、突然わいて来たような条文の設置の体裁を見ておるわけですが、これらのことは、当然私は問題になり得ると思う。なるほど施行規則通りにやつて行きたいというならば、あるいは法律を改正するなり、この点あたりは、最大なものであると考えるのでありますが、一体政府はどういうふうにお考えになつておりますか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 施行規則の第二十三条の宿直・日直の規定でございますが、これはいわば施行に必要な解釈的な規定だというふうにわれわれは考えております。これも神経質に考えますれば、あるいは解釈令規でいいじやないかというお説も出ようかと思いますが、われわれはそういう意味で、法律施行に必要な政令は、各省の所管大臣が定め得る権限を国家行政組織法で与えられておりますので、その範囲のものでやろうというふうに考えております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 これはきわめて重大な問題ですからお尋ねするわけですが、これは単なる解釈上の、いわば解釈令規にも相当するようなものだ、こういうことですが、それはどの条文からそういうことが出て来るか、お尋ねいたしたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 断続的な業務というものの解釈になつて来ると思います。法律の根拠を言えば、特別ぴつたりとした根拠はつけにくいのでございますが、四十一条の問題に関連するものだと思います。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 この問題は公務員の日直、宿直をきめるような場合に、法的根拠について常に非常な問題があつたわけです。しいて探せばというお話でありますけれども、しいて探さなければならないほど、この条文は法的な根拠の薄い条文であろうと思う。ですから、私はこのことをいまさらあえて言うわけではないですけれども、それほどラフに取扱われるならば、国家行政組織法の十二条を引用して行われる必要はないと思うのですが、どうですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御意見の趣旨は十分参考にいたしまして、今後の検討の材料にさせていただきたいと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 今の御質問に関連して伺いますが、この十二条の削除を諮問された趣旨については、たびたび伺い、今も質疑応答で明らかになつたのですが、ここで一つお尋ねをいたしたいのは、中小企業の労働保護を、こういう法規で徹底させたいという意図が、よく出ていると思うのです。法の不備については、いろいろ議論のあるところですが、しかし基準法全体の法の精神、さらに基準法のよつて求めております憲法の規定の中で、私ども一番注意しなけそばならぬのは、同一の労働で同一の労働条件が保障されないということはいわゆる憲法の法律の前には何人も平等でなければならぬという大精神からいつても、これは私は中小企業、すなわちここにある十人以下の事業場に雇用される労働者にとつては、現実において差別が行われておるわけです。これを憲法の精神においても守つてやりたい。それから一方には、もつと実際政策に触れて来て、日本の特殊事情といわれております経済現象の最も悪いところ、こういう小企業のもとにある労働者が不当に犠牲を強要されているというものを、この法律で保護しようという大目的があるわけです。こういう大精神から行けば、法律の技術上の問題といたしましては、先ほど来基準局長の見解が述べられておりましたが、私はむしろこういう条章が、もつと強く基準法に合理化して来なければならぬのではないか。削除というよりは、むしろこういう規定が法律に矛盾しないように、機会を見て基準法それ自身を整備して行く方向をとるべきではないか、コースとしては逆じやないかと考えるのであります。担当行政をあずかる局長の見解は、そういう方向にあるべきものではないかとわれわれは期待しおりましたので、この点一応お尋ねいたしておきたいと考えます。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御説の通りでございまして、私らが今回施行規則の改正について検討を加えます際にも、その点は十分考慮に入れながら行つたのでございまして、すなわち法律に根拠のないいろいろな規定の中におきましては、その実態が必要であるとすれば、法律に規定すべき性質のものは二、三あるわけでございます。こういう問題は今後基準法の改正の問題を検討する際には、十分検討いたしてみたいというふうに考えております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 次に、第二十四条関係で質問いたしたいと思いますが、われわれも観念的に考えますと、第二十四条の今度の改正の規定は、あまり大差がないのではないかというふうに、実は頭の中で考えておつたわけであります。すなわち、これは一団の入坑の場合をさしておるわけですが、従来は終りのものをとらえておりましたのを、今度は最初のものをとらえるのですから、さまで実質的に労働時間は大差がないように考えておつたわけであります。ところが、現地の山元の、しかも坑内の技術関係の連中の話を聞きますと、かなり差がある、こういうように私昨日聞いたわけであります。それによりますと、最初の入坑のときは、確かに一団として、しかも同じ時間に割合に集約して入坑するそうでありますが、今度出坑のときになりますと、先頭の者と最後の者とは、時間的にも相当差があるそうであります。それはやはり仕事の実情からいつて、そうあるだろうと思うのですが、政府は一体この問題について、そういう点を考慮になつたかどうか、まずお尋ねいたしたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 お話の問題につきましても、十分検討を加えたのでございますい。ただ、この規定を改正します趣旨としましてわれわれが考えましたのは、監督署長の許可を受けた場合にはという許可が条件になつておるのでありますが、この許可を受けさせることについては、法徒に根拠がないのでございます。しかもまたこの二十四条の許可の状況を見ますと、昭和二十六年で十六件、二十七年には七件にすぎないような状況で、しかもそれが金属鉱山だけの現状であるわけであります。そこで許可をはずすとすれば、それにかわります具体的な規定が必要でございますので、国際労働条約の定めております規定、すなわち国際慣行として実施されておりますところをそのままとつてはどうかということで、諮問をいたしたわけでございます。これにつきましては、一項を削除して国際労働条約で定めておる規定そのままと置きかえますことについては、労使双方とも反対がございます。と申しますのは、日本においてはまだこういう慣行が十分成熟していないというような御意見でございます。しかし、国際慣行としてすでに確立されておる以上、こういう規定があつてもさしつかえない。すなわち、そういう内容の入出坑の慣行ができ上る、あるいはそういう慣行のある山においてこれを認めることもさしつかえないではないかということで、現在の第一項は現行通りとし、二項としてあらためて政府原案のような趣旨の規定を加えるということで、三者意見が一致したわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 許可制については法律に根拠がないという話ですが、法律はこういう事態をむしろ禁止しておる、と言えば少し言い過ぎですが、全然そういう事態を認めていないから許可がないのです。許可制がないということは、二十四条等でこういう扱いをしてはならない、むしろこういうように解釈すべきであると私は考えるのですが、その点どうでしようか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 法律の第三十八条におきましては、個人計算におきます労働時間の計算方式を建前といたしておるわけでございます。しかし現実の面としては、集団となつて入出坑するのが現実の姿でございますので、従つてそういう場合においてはこういう計算の方法をとれるというのが二十四条でございます。ただ、それを許可の条件にかけましたことは、お話の通り原則として個人計算でやるべきものの例外措置でありますから、その点が濫用されないようにという趣旨で、おそらく許可制にしたのだろうと思います。そうなりますと、この規定自体、法律に何らかそういう委任規定が、立法的に考えますと必要なわけでございます。それがないことが、われわれとしまして、趣旨はわかりますが、形式的に考えまして、法律の根拠が乏しいのではないかという考えで許可制を除きたいという考えでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 どうも非常に形式に拘泥されますけれども、その点非常におかしいと思うのです。むしろ例外規定だから許可制にしなければならぬ。本来ならば認むべきものではないけれども、特に認めるのだから、監督行政としては何とか許可をしなければならぬ、こういう事態になると思うのです。それを法律にどこにも委任する事項がないからという形式理論で行かれますならば、むしろ二十四条を削除する、こういう建前で行くのが、形式理論としては私は妥当であると思うのです。しかし私は、形式理論のことを話しているわけじやないのです。実質的な問題としましては、私はこの二十四条ができましたときの立法経緯というのは十分知りませんけれども、しかしそのときに、やはり各山の今までの実情を十分考慮して、日本では終りがいいのだ、また労働者の意見もいれて定められたものであろうと私は思うのです。こういつたことを、国際慣行だから——なるほど国際労働条約にはそういうような規定がありますけれども、何も私はこれは国際慣行になつていないと思うのです。各山によりましても、また各国によりましても、おのおの違う。世界的に常に初めの時間をとつておるということはないと私は考えるのです。その点を、条約にあるからということで、国際慣行ということを押しつけられておるようですが、こういうことこそ、やはり国の実情にふさわしい規定をされるのが当然であろうと思うのです。ここのところに突然国際慣行というのが出たのはどういうことですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 先ほども申し上げましたように、許可制を廃止するについては、そこに何らかのよりどころを見出した規定が必要であるということから、やはり国際的な労働水準というものを考える際には、国際労働条約がわれわれとして常に頭に浮ぶことでございます。従つて国際労働条約の趣旨をこの規定に盛つたというのが、原案の考え方であつたわけでございます。ところが、先ほど申し上げますような審議の経過を経まして御意見がございまして、この三者意見の一致しましたところによりますと、一項、二項は使用者の選択にまかせられておるわけでございます。従つて現行のままの規定で運用される使用者もありましようし、あるいは労働組合との話合いの結果、第二項のようなことができ得るところにおきましてはそういうことが行われるというふうなことになるのではないかというふうに考えております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 これは使用者の選択であるから非常に困るのでして、二つ並立しておりますと、都合のいい場合のみを使用者は使うと思う。ですから、私は、使用者の選択にしておるというところに非常に問題があると思うのです。これは協議してきめられるであろうと言われますけれども、何も協議しないできめたといたしますと、一体どういうことになりますか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 もし第二項の規定通りに入出坑の時間計算をいたしますとすれば、やはりおそらく就業規則その他で定めをしなければならぬ内容になろうと思います。そうなりますと就業規則でございますれば組合の意見を聞かなければならぬということで、組合の意思もその際には十分反映されるのではないかという気がいたします。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 許可制がなくなれば、私は必ずしも就業規則に定めなくても、できるのじやないかと思うのです。許可制にしなければ、それはむしろ解釈令規のような形になるわけでしよう。そういたしますと坑口に入つた時刻から坑口を出た時刻までを労働時間とみなす、こう就業規則に書いておれば、この選択は、何も組合と協議しなくても、実際問題としてはいい方を取り得る、こういう状態にあると思うのですが、その点どういうことになりますか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 法律的に就業規則に必ずそういう趣旨のことを定めなければならぬということについては、多少まだ研究の余地があろうと思いますが、しかし現実の問題としましては、やはり労働時間の計算は、労働者にとりましても大事なことでございますし、また使用者としましても、賃金計算その他で大事なことでございますので、おそらく現実の面では話合いがなされるであろうし、われわれもま話合いをするように行政指導をいたしたい、かように考えます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 こういつた問題を私が固執いたしますのは、与える影響が非常に大きいからです。なぜかといいますと、従来ならば、そのまま慣行通り、あるいは協定通りやつておりましても、基準法の施行規則の改正ということで、あらためてこういう改正が行われますと、経営者としては今度改正したこの施行規則通りやりたい——ことに炭鉱の場合は、あまり許可がないということですが、炭鉱の場合は着到から着到まで、こういうことで労働時間の計算をしておりますので、実際問題としてはあまり起つていないと思うのです。しかしこういつた改正がされることによつて、経営者の方は、では基準法が定めた施行規則通りやりたい、こういうように、むしろ労働条件の低下になり得るような口実を設けると思う。こういう点は、基準局としては十分考えていただかなければならないと思うのです。なるほど基準法の前の方の条文には、労働条件を低下させてはならないと書いてありますけれども、事実問題として、今の力関係からいたしますれば、こういつたこの施行規則の改正によつて、当然経営者はそれを打出して来るおそれが多い、かように考えるわけであります。そこで労働者側でも、また使用者側でも、今までこういう改正をしてくれという要望は、この件については出ていないと私は思うのです。私はこういつた問題をここに労働者として突然出されて、そうして波瀾を起すようなことは、避けらるべきであるというように考えるわけですが、これを元通り直される意思はないかどうか、お尋ねいたします。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御意見のありますところは十分参考にいたしまして、研究させていただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 私は特に「一団」の解釈について伺いたいと思います。一体一団とはどういうことを指しておられるか、どの範囲に考えられておるか、お尋ねいたしたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 これにつきましての解釈としましては、人車の場合、あるいはケージの場合、あるいは徒歩入坑の場合等、それぞれの場合によつて違うかと思いますが、われわれが今考えておりますのは、一応解釈令規として確立された線がございます。それは、坑口から切羽まで到達します時間についての一定の基準をつくりまして、その基準の中で団と次の団との時間の差、こういうものについての一定の基準を定める、そうしてその基準に合致するものを団として見るというふうに、解釈令規が出ております。今原文を持ち合せておりませんので、御説明できないのは申訳ありませんが、もし必要があればこの次の機会にお持ちしたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 この一団のうちで、入坑時の一団というのは割合に把握ができる。というのは、ある切羽に行く場合は、その者が全体となつて入坑するからです。ところが出坑時の一団というのは、必ずしもそういう状態になつていない。これはばらばらに帰つて来る人をつかまえてはケージに乗せて、あるいは人車に乗せて帰すという状態にあるわけです。ですから、入坑時と出坑時とでは、かなり差があるというように考えなくてはならないと思うのです。そこで私は、特別に時間外をやつておるというなら別といたしまして、仕事の都合で若干遅れるといつた者がおる場合には、やはりそういう者についても十分考慮を払わるべきが至当であろうと考えます。そういうときには、今まで通り終りの者から終りの者ということにした方が、労働者にとつてあまり不利でないように私は考えるわけでありますが、この場合は、むしろ私は極端に、最近の労働省の行き方から邪推しますと、ここで労働時間の延長をはかろう、こういう疑いを持たれてもしかたがないと思うのです。それは、入坑時と出坑時は違うということはしろうとが考えてもわかることですし、この点について再度考慮していただきたい、かように考える次第です。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御意見の趣旨は十分了解いたしましたので、参考としまして研究させていただきたいと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 今の二十四条の条文について私ちよつと了解に苦しむのは、全体の諮問の傾向から行きますと、この種のものはむしろ従来の法第三十八条ですかそれで行けば、二十四条全部を廃止しても一向さしつかえないじやないかと思うのです。そういうふうに改正するというのであれば、全体の諮問と歩調が合うのですが、この場合には歩調が合わない。今もお話がありましたが、被保護者である労働者の立場から言うと、何だか法をなしくずしに漸次改悪するのではないかという疑いが持たれる際でありますから、こういう行き方は理路一貫せぬような感じがするのですが、この点に対する御見解を伺つておきたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 お説の通りに神経質に考えますと、この規定は法律に全然根拠のない規定でございまして、あるいは削除が適当であろうかとも思いますが、しかしまた考えようによりましては、施行規定でございますから、こういう一団となつて入出坑いたします慣行がございます山元におきましての時間計算を簡便にし、しかもまた労働者の労働条件がその計算によつて低下しないというふうな考慮から、こういう規定のありますこともまた、私は法律を施行する上に必要な規定として、あつてもさしつかえはないというふうに考えます。ただ許可制の問題だけは、新しい義務を課するものでございますから、その点は私らとしても多少気を使つたわけでございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 今の十二条の点で質疑応答がありました際のお答えと、まつたくうらはらのお答えとなつておるわけです。十二条の場合においては、その趣旨においては中小企業の方を認めながら、それをはずすことによつて監督行政が非能率的になることは言うまでもありません。あの場合にはそう言い、この場合にはそれとは逆の主張をするということで、それを二つあわせてわれわれ判断いたしますと、どんなに善意に理解しようとしても、どうも基準法を改悪して行こうとする意図が、単なる労働者側の心配だとばかりはとれないように思う。この点は非常に重要だと思いますので、私は十二条の場合も今のような解釈で、慣行や実情に沿うように法律解釈をして行くべきではないかと思う。労働者保護の立場においてつくられた法律ですから、その基本精神から言えば、むしろ十二条の線であなたが今主張されたような主張を強行されて、さらに今問題となりました二十四条の点については、遠慮ぎみになるというのが建前ではないかと私は思う。どうも私どもの聞き方が悪いのか、そうでないように思うのですが、そういう点をはつきりする必要があると思います。少くとも基準監督行政の大元締めなのですから、そこの解釈がぐらついて来ますと、いかに法律が万全を期せられても、行政面で非常なマイナスになると思いますので、こういう点を重視してお尋ねしておるわけでありますから、そのつもりでひとつ御答弁を願いたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 二十四条の改正につきましては、これによりまして労働条件を低下させるということをわれわれとして考えましたことは毛頭ないのでございまして、ただ法の体系の整備のためにはどういう規定が必要であるか、またそれによつて労働条件が低下しないためには、どういう配慮が必要であろうかというふうな見地から考えたのでございます。ところが、われわれの考えが、労・使・公益三者側から適当ではないというふうなことで、答申にございますような意見になつたわけであります。従いまして、われわれとしましても、当初のそういう考えについてもう一度考え直しまして、研究を進めてみたいというふうに思つております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 今の問題に関連しまして、どうもいいところばかりをりくつをつけられて、悪いところは逆のりくつをつけられておるように考えるわけです。それで全般的に申しますと、どうも納得しにくいのです。国家行政組織法十二条をたてにとつておられながら、基準法に書いてないことを平気で改められておる。それなら法律に根拠がないのですから、これこそ削除すべきであるのに、その点は不問に付しあるいはさらにつけ加えて改悪なさろうとしておる、こういう点が終始一貫しないのです。ですから、あなたの方で、法律に書いてないけれども、労働基準行政として必要であるという点を施行規則で認めておるのだということになれば、あまり形式論にとらわれない方がいいと思うのです。ですから十二条のように、あるいはその他ありましたけれども、そういつた面を一回全面的に考慮していただきたい。たとえば第五条の問題でもそうであります。これは非常に形式的な論理にとらわれて、あるいは基準局長の言葉の魔術によつて労働者側委員も賛成したのかもしれませんけれども、どうもわれわれは、全般的に考えますと、論旨が非常に矛盾をしておると思う。もう五分ほどたつうちに論旨が矛盾して来るのですから、この点を全面的に私は御考慮願いたいと思うのです。これは大臣が次の機会に見えられましたら、私は大臣にも質問をいたしたいと思うのですが、その点を考慮を願いたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 われわれが事務的にいろいろ検討しました案の中には、そういう点についての御意見も、審議会における審議の経過において出ておりますので、十分そういう御意見も参考にしまして、今検討しておるところであります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 速記を始めて……。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 この諮問は十六条の第二項を削除する、こういうのですが、この削除されることによつて、日本の長時間労働と低賃金が、今後日本の国際経済の上に、非常に重大な労働政策になつて来るわけであります。こういう日本の基本的な労働政策に触れて来るような条項をいじる場合には、よほど慎重でなければならぬと思う。しかもこの条項のいじり方が悪いと、日本のコースが逆コースをたどるのではないかという懸念が多分にある。こういう点に対してどの程度御配慮になつておいでになるかまずこの点を伺つておきます。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御趣旨の点もわれわれ原案をつくります際に十分に考えたのでございまして、改正の趣旨は、法律の第三十六条に、この期間についての制限をする規定もございませんし、あるいはそれを命令に譲ります委任の規定もございません。従つてこの規定自体から申しますと立法論からいえば、元来法律に規定すべき性質を持つておるものでございます。従つて施行規則の中でこの規定がそのままありますことは、今申します趣旨から適当でない。もしこれを削りましても、おそらく従来の基準法施行七年に近い慣行からいたしまして、おのおの協約あるいは協定において期限が付せられて来るであろう、またそういう期限を付するように行政指導をしたい、それによつてこの規定を削除することにより影響を少くして行くという趣旨で、われわれはこ規定の削除を原案として提出をしたわけでございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 この条項を削除しますと、ここに規定してあります三十六条の八時間制がくずれて来るおそれを、われわれはいろいろな経験を通じて非常に心配をいたしておるわけでありますが、長年監督行政の経験を積んでおります局長としては、その辺の懸念についてはいかがお考えになつておりますか、伺つておきたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 そういう問題も、審議会の審議の経過で御意見としても出たのでございます。従つて、削除のしつぱなしではいけないのであつて、これについてはやはり期限を付することを規定として盛る必要があるということとまたその改訂について、労働協約の改訂と同じような一定の予告期間と申しますか、改訂の申入れをする手続もこの中に規定すべきではないかという趣旨の御意見もございました。われわれはそういう意見も十分参考にしながら検討して参りたいと考えております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 労働組合の組織のあるところにおいてはある程度抵抗もありますし、それから法規の解釈論についても、労働者自身が相当の認識を高めて行くことができるわけでありますが、これが削られますと、そういうところにあつても、労働者側から言いますと法の解釈にゆるみを来す傾向がどうしてもいなめない。もし八時間労働を、法律で規定した精神を十分理解いたしますならば、労働者の組織のないところ、ことに中小企業、零細企業においては、労働条件の低下によつてこの危機を切り抜けようとすることは、ひとり日本だけではありません、世界的傾向でありまして、そこに保護立法の強い要請がある。そういう点から行きますと、こういう条項というものは、法律の足りないところを補う意味で規定されて、それが法律の条文とマッチしがたいのであれば、基本法である基準法の改正に持つて行くべきであつて、今日の時期から言えば、こういう条項をいじる時期ではない。いじるとすれば、本法を補強する意味で、もつとはつきりした明文を加えるといらのならいざ知らず、これをくずして行くような主張を前提とした諮問が当局から出されるということについては、まことにわれわれ遺憾に思うわけであります。従いましてこの際われわれは、こういう条項については改正するべきではない。非常に不備な点がありましても、今の諮問よりも、現行の方がまだましだと考えておるわけであります。この点に対する局長の見解を伺つておきます。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 審議会におきまする審議の経過あるいは公聴会におきまする意見等を十分参考にいたしまして検討を加えておるので、まだ結論を得ていないのでありまして私の見解を申し生げる段階に達していないわけであります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 それでは、この点については強い要望を付して、この際質問を打切つておこうと思いますが要望というのは、申し上げるまでもなく、日本の現状から労働時間の問題は一番重視されなければならぬと思う。これはあらゆるものから来ると思う。ことに、日本の大きな社会問題になろうとしております人口問題の立場からいたしまして、非常な速度で人口が増加し、ことに労働人口の加速度的な増加というものは、今後最も近い期間において、この問題をどう処置するかということは非常に大きな政治問題にもなると思います。こういう問題が眼前にあります際には、完全雇用の問題も取上げなければなりませんが、この問題と労働時間の問題は切つても切り離すことはできません。でありますから、八時間労働制を実施しようとする各国のこれに対する強い努力というものは、日本にとつては特別に注意すべきことだと思う。そういう立場から、むしろ八時間労働制を過ぎるくらいにきびしく保護立法の中で推進して行くことが、当面の問題としては、きわめて大切なことだと思う。そういう点を十分考慮なさいまして、もし改正の際には、そういう趣旨が盛り込まれて行かれるように御努力を希望して、私はこれで打切ります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 期間を三箇月に定めるということを排除しておりますが、これは労使双方が協定をすれば、何年でもできるわけですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 この点を削除してしまいますと、労使の話合いで何年の期間を定めるということになります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 一回の契約で何年の有効期間があるが、これをお尋ねしておるのです。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 その協定に期間の定めのない場合は、無期限の協定になります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 無期限の協定というのは、解除できないと、こういう意味ですか。それとも、いつでも解除できる協定であるという意味ですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 民法の原則に従つて、解除の申入れをすることのできる点があろうかと思います。この点、多少まだ法律的に疑義がございまして、今法制局とも打合せをいたしておるところでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 労働組合法に規定があるのですが、労働協約、これとの関連はどうなりますか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 今私申し上げましたのは、協定の場合について申し上げたのでありまして、協約の場合は、もちろん労働協約に有効期間を定める場合は、三箇年の制限がございます。あるいはそれに対する解約の申入れのときは、これは当然労働協約でございますから、組合法の適用がございます。ただ労働組合のない場合の協定の場合におきましては、今申しましたような問題がございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 五年という協定をした場合には有効ですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 労使の協定でありますれば、有効であると存じます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 基準局長ともあろう者が、そういう答弁をされるとは非常に心外である。協定と名前がつきましても、労使が判を押しておれば労働協約とみなすという見解は、従来労働省もとり、裁判所もとつて来た態度です。何も労働協約と銘を打たなくても通常協約であればそれは協約とみなしている。ですから私は少くともこれがなくなつても三年の有効期間しか認められないのじやないか、当然組合法第十五条の適用はあるものと考えるのですが。どういうことになりますか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 法律の第三十六条をごらんいただきますとわかりますように「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定」ということがありまして、従来われわれの行政解釈としましては、労働組合と結ぶ協定につきましては労働協約、労働組合のない場合には三十六条の協定であるという解釈をとつておるわけでございます。従いまして協約の有効期間につきましての制限を受けますのは、労働組合のある場合において労使が協定をいたす場合のみだと私は解しております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 そういうことも十分わかつて質問をしておるわけです。有効期間の定めのない場合は、当然労働組合法の十五条の三項の適用を受けると解するのですが、その点は労働法上どういう解釈になりますか。法規課長さんが見えておりますから……。

石黒拓彌労働事務官(労政局労働法規課長)

○石黒説明員 労働協約として締結されたものは、いわゆる三六協定でありましても、期間の定めがなければもちろん十五条三項の適用を受けるのであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 ですから問題は、あるいは五年以上の未組織労働者の協約の場合、あるいは未組織労働者が有効期間を三年以上と定めた場合、こういうようなことについては、いやしくも施行規則を改正される場合は考慮して、労働省としては現在こういう解釈を持つておる、こういうふうに打出されるべきが至当であると思う。それを五年でも有効だと、こういうことになりますと、よそで労働法を知らない人が言うならばともかくとして、いやしくも労働行政を担当しておる労働省が、いや五年でも有効ですよと言うのはおかしい。しかも普通労働協約というのは、法律内において掲げられたる場合、たとえば七時間労働をするという協定をした場合、こういうときでも三年以上はできないと、こういうことであります。ましてや、これは法律内でありますけれども、法律の原則の例外でございます。その例外を法律で認め、そうして三箇月という期限をなくするという場合には、当然労働省としての、有権的なと言えば問題がありますけれども、労働省としての見解をはつきり開陳されるべきであると思うのです。その点どうも不明確ですけれども、私は統一した解釈をしてもらいたい、かように思うわけです。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 ただいま説明しましたように、労働組合と三十六条の協定を結ぶ場合は、労働協約とわれわれは考えております。従いまして、その場合におきましては、労働組合法の制約を受けることは当然でございます。しかし労働組合のない労働者の過半数を代表する者との協定を結びます際は、組合法の制限を受けないというのがわれわれの解釈でございまして、これは先ほど来御説明申し上げている通りであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 そういうことになりますと、ますます期限をつけなくちやならない、こういうことを私は感ずるわけであります。今基準局長の話によりますと、これはやはり期限がなくては不安だということを裏づけする回答であつたと思うのです。ですから私は、この三十六条は例外を定めているのでありまして、当然八時間労働でなくちやならぬと思う。その八時間労働内においても、三年以上を越える期間の協約はできない、こういうことになつていると思います。しかるに九時間とかあるいは十時間労働の協定をしても、それが無期限に有効である、こういう場合があり得るということになりますと、私はこの三十六条のこの関係について、時間外協定をする場合には、この有効期間を付すべきが当然であると考える。そこで三箇月という従来の線が出て来たと思うのであります。ですから私は、やはり三箇月という従来の線をはずすことは、これはいかに強弁されましても、労働法の改悪ということになると思うのですが、再度御答弁を願いたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 この三十六条の協定は、申し上げるまでもなく使用者が一方的に定め得るものではございません。労働者の過半数を代表する者との協定によつて定まるわけでございます。従いまして、その協定において、両当事者がその期間について、いつまでにするかということは、労使双方の自主的な話合いできめる方が、より実情に即するのじやないかという気がするのであります。それで、削除してしまいますと、その問題が、いわゆる協約でない協定の場合におきましては、無期限になるおそれがあるから、これについては期間を付するという義務を課するということと、解約の申入れをする手続を規定すべきではないかという、審議会における審議の経過におきましても意見もございますし、あるいは公聴会におきましてもそういう意見が出ておりますから、そういうところは十分参考として検討させていただいております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 三箇月という期限を付しても、何も私は不都合はないと思うのですが、なぜ三箇月というのをやめられたか、お尋ねしたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 それは先ほど申し上げましたように、法律に全然根拠がない。法律で期間の制限をする根拠規定を設けられていない以上、これは三十六条の趣旨から言いましても適当ではないというのが、私らの提案の趣旨であります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 それは行政措置として、当然三箇月というような期限を付せられても私はいいと思う。しかし、非常に問題になるのは、これは例外規定であるということをお忘れになつているように思います。労使双方にまかせればいいじやないかということならば、基準法はいりません。労使に八時間協定でも十時間協定でも自由にやらせればいい。中には十二時間協定でもやらせればいい。しかし、基準法があるというのは、やはり労使にまかすことができないから、基準法という法律で、全国的に一斉規制しているのです。労使の協議に何でもまかすということになれば、基準法というものは必要がない、私はかように思うのです。ですから基準法というのが、元来労使の話合いだけにまかし得ない、たとえば、いかに労働者が自分は十二時間働きたいと言つても、それは全般的な日本国民の労働の面から見て、そういうことを規制しなければならぬというので、基準法というものができたのです。ですから、この三箇月というのも、労使の話合いにまかせた方が実情に合う、こうおつしやるなら、これも大きな問題があろうと思うのです。基準法という法の建前が、そういう一般的に労使双方を規制する法律でありますので、私はその点は何ら根拠にならないと思う。ですから私は、なぜ三箇月というものを削られたか、また労働省としても、三箇月を削りつぱなしにして、そうして単に諮問するということでなくて、三箇月を削ればどういうことになる、こういう一定の見解をもつて臨まれるべきが至当であつたと思うのです。私はこの三箇月というのを削られたということについて、どうしても納得できないのです。これについて再度御答弁を願いたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御説の通り、労働基準法は、民法の契約の自由の原則によりまする例外として、労働条件の最低基準を定めておりまして、その基準については労使双方の話合いでも、これを変更することが許されないことは当然でございます。ただ、その許されない範囲としましては法律に明らかに規定がなされておるのでございます。法律の明らかな規定か、あるいは法律が命令に委任をしておりまする事項につきましては、そういうことは明瞭に言えるのでございますが、しかし法律において規定をしていないもの、あるいは法律で予定をしていないものにつきまして、契約の自由の原則を命令で掲げますることは、これは法律に違反するのではないかというのがわれわれの考え方でございます。従つて、この第十六条の第二項の規定もそういう趣旨で、法律の第三十六条に何らそれについて触れておりません。いわば法律の第三十六条は、その期間については労使双方の自主的な話合いで定めさせるという趣旨の規定のように見受けられるのであります。そういう趣旨で十六条の二項から削除することが適当ではないかと考えたのであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 三十六条に期間の定めがないということを根拠にお話になるならば、私はむしろ全然期間を定めない協定、すなわちいつでも一方側から解除できる協定が望ましいと思う。三十六条に期間が全然ないということなら、むしろ法律はそういうことを予定しているのじやなかろうか、私はかように考えるわけでありますが、その点をどういうようにお考えですか。と申しますのは、私の記憶に誤りがないといたしますと、たしか労働組合法もいろいろ改正がありましたけれども、労働組合法の労働協約は、最初からある一定期間があつたように私は考えるわけです。基準法というのは、その後にできておるのですから、労働組合法が最初にあり、しかも労働協約について期間というものは定められておる。そのあとに基準法ができて、全然期間というものを定めていない協定を認めておるとするならば、これはむしろ期間の定めのないいつでも一方側から契約の解除のできる協定を予想しておるのではなかろうか。これは日々の問題すら予想しているのではなかろうかと私は思うのですが、その点はどういうふうな立法経緯で三箇月ができたか、お尋ねいたしたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 おそらく第十六条の二項の規定をいたします際におきましては、法律に根拠がないということで、しかしながら八時間労働制に対しまする例外であるから、これを無制限に認めることは適当でないのではなかろうかという配慮から、法律の根拠はございませんが、当時の司令部の指導等もありまして規定がされたのじやないかといういうふうに考えるのでございます。お話のございました三十六条の中に期間の定めがないので、無期限の協定あるいは協約というものを予定しておるのではないかということでありますが、この点につきましては、私らはこういうふうに考えておるのでございます。結局その協定を結びます際におきまする団体の意思というものが、いつまで継続されるかという問題が考えられなければならぬのではないか。無期限になりますと、特に労働組合のない労働者の過半数の意思を代表する者との協定の場合におきまして、その団体の意思を代表して協定を結んだ後において、その団体の意思というものが永久に継続するものかどうかという問題が考えられるのでありまして、そうすれば、やはりそこに一定の団体の意思の継続の期間というものを労使双方が判断をしまして、労使双方できめて行くという建前を、おそらくこの三十六条は考えていたのではなかろうかという気がいたします。そこで、今度の改正におきましても、この問題は、労使双方のその団体意思の継続という問題についてのお互いの話合いできめて行くことがより実情に合うのじやなかろうか。ただ労働協約につきましては、組合法の法的な規制を受けることは当然であるわけであります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ちよつと申し上げますがこの十六条は井堀君の質問が終つて多賀谷君ですけれども、十六条、二十五条の二、二十六条、二十七条、三十条というふうにやつて行きますと、ぼくの見通しではとつてもできないと思うのです。そこで定例日以外にもう一日をとれば別ですがこれからやつて三時までかかつても、ちよつと終りません。そこで、きようはこの程度にしておいて、今の十六条の問題については、多賀谷君の質疑をこの次に続行してもらうということに御了承を願いたいと思います。  なお御相談でございますが実は労働大臣と今折衝中でありまして、労働大臣は例の警察法の所管大臣でございまして、参議院の方に行かなくちやならないというので、来週の本委員会の出席はごかんべん願いたいという申出でございました。われわれの方としましては、水曜日に失業問題を大きく取上げるので、経審長官、通産大臣、労働大臣等を呼んで、まつたく政府の措置が誤まつたことに対するところの糾明と、また失業対策については、特に駐留軍関係あるいは特需関係、炭鉱関係も一緒に包含しなければなりませんので参考人を呼びまして、たとえば駐留軍の市川君とか特需の坂本君とか、あるいは炭鉱の方は九州の組合関係の者を二人ほど呼びまして、本委員会でやりたいと思うのです。そこで時間の問題ですけれども、十時から十一時ごろまでにするということにして、自由党の持永君とも相談したのですが、自由党、改進党に質問を放棄してもらつて両派社会党でやつていただく。そこで両派社会党で三十分ずつ一時間、労農党は十分、ということで、さしあたつて水曜日の質問はそういうふうに御協力を願います。あと通産大臣、経審長官あるいは外務省、調達庁、これらに対する質問あるいは参考人の意見の陳述等もありますので、そのように御協力を願います。  あと、さらに本委員会の出席につきましては、私から小坂労働大臣と折衝しまして、後日皆さんにお諮りしたい、こういうふうに考えておりますので、この点で御了承を願います。

大西正道日本社会党(右)

○大西(正)委員 委員長にお伺いいたしますが、ただいまの参考人の点でございますが、だれを呼ぶのでしようか。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ただいま私が申上げました参考人の点は、私の考えだけを申し上げましたので、正式に決定いたしますのには、理事会で理事の諸君と御協議の上、本委員会において正式に決定いたしたいと思います。  それではそのように御了解を願いまして、暫時休憩したいと思います。     午後零時十分休憩     〔休憩後は開会に至らなかつた〕

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