労働委員会 第23号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/05/14
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 まず失業対策に関する件について調査を進めます。大西君。
○大西(正)委員 私は、さきに本委員会におきまして、十次造船の遅延によつて生じたところの造船労働者の失業問題につきまして、いろいろ質問を申し上げ、最後には、十次造船促進の決議案を上程いたしまして、各党各派の賛成を得まして、満場一致で決議されたのであります。その後本会議におきましても、一昨日十次造船促進の決議がされておるのであります。しかしながら、その後の状況を見ますと、なお融資の面もおきまして、銀行側との間に完全なる了解が成り立つておらぬように思うのでありますが、こういうふうに長引いて参りますと、ますますこの造船労働者の失業問題が重大化して来ると思うのであります。私は一般的に、この段階におきまして、どのような問題が全国各地において起つておるかということについては、労働省といたしましても、これは十分御調査のはずだと思うのでありますが、一体どのような段階であるか、概括的な一応の御説明を承りたいと思うのであります。繰返して申しますが、十次造船の進捗状況というのではございません。遅延によつて、今失業問題がどういうふうに起りつつあるか、こういう問題についての概略をひとつお聞きしたいと思うのであります。
○安井政府委員 十次造船の実施遅延によりまして、いろいろと業界に対する不況と申しますか、摩擦が起つておりますことは承知しております。労働省としても、そういつた点について、十分調査も進めておる次第でございます。御承知の通り、相当成案も進め、着手も間近に控えているというようなところから、今ただちに労働省として労働対策あるいは雇用の面で、こうしようという結論を得ているわけでないのでございます。いろいろとその具体的な実態の内容につきましては、ただいま関係の政府委員を呼んでおりますので、その方からも御答弁させたいと存じます。
○大西(正)委員 それでは、この問題は、もし時間がありましたら、係の方か見えましてから、お聞きするといたしまして、今お手元にお配りしております日本海重工工場閉鎖、全員解雇に関する問題であります。これは十次造船の遅延による問題ではありませんけれども、やはりこれは割当造船に関連して起つた問題であります。その全貌は昨年からのことでありますから、ほは労働省としても御承知だと思うのでめりますが、一体この問題に対してどのような認識を持つておられ、あるいはまたどのような対策をとられたかということについて、お伺いをいたします。
○安井政府委員 実はまことに申訳ないのでございますが、この日本海重工の問題につきましては、ただいま私事情がまだわかつておりませんので、至急取調べまして御答弁申し上げたいと行じます。
○大西(正)委員 政務次官としてはこういうことを知らないとおつしやつたので、これ以上お聞きするわけにも行ざませんが、当然これは係の担当方面におきましては、これだけの大きな問題でありますから、十分御調査があるはずだと思う。もしないとすれば、これはまことに怠慢といわざるを得ない。しかし、私は一応この問題に対する概略のものを、ここに組合からのまとめにものでありますが、お手元に配つておきましたから、それではこれをひとりお読みくださつて、従来の労働省においてとつて来た態度と勘案されて、でき得べくんば本日の最終の時間にでも、一応この問題についての政府の考え方というものをお聞きしておきたいと思います。
○安井政府委員 至急そのようにはかりいたいと存じます。今伺いましたので、まことに恐縮ですが、そのように願います。
○赤松委員長 それでは次に労働基準法緒規則に関する件について調査を進のます。先般答申案の第五条関係につきまして、基準局長より御説明を願つたのでございますが、これについてただちに質疑に移りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 それではさようにいたします。 第五条関係より逐条審議を進めたいと思います。質疑を許します。
○井堀委員 その前に、一昨日のこの委員会で、標準賃金と職種別賃金等実態調査の事柄について、基準監督局の考え方と労働統計調査部長の考え方、あるいは通牒等について、二、三お尋ねをいたしましたところ、非常に重大な点に食い違いがあり、かつ法律違反の疑いがありますので、われわれも慎重調査をいたしておるわけでありますが、そういう立場から正確な事実について、まずお尋ねいたしたいと思います。 この調査について、まず次の二つの事柄について私は法律違反の疑いを持つております。この際統計調査を行うにあたつて二つの通牒が出ております。一つは労働事務次官通牒、昭和二十九年四月六日付のものでありますが、この通牒の中で、この調査がいかに重要であるかについてこのように述べております。「本調査はその規模において画期的に大であるばかりでなく、労働省における基本的重要政策の一環として労使その他の関係者の注目するところとなつているので、その実施については、左記により特に慎重を期し内容の正確性の確保、期限の厳守等について格別の留意を払うとともに、局署長の指示の下に局署職員一体となつて本調査の円滑な実施に遺憾なきを期せられたく、命によつて通牒する。」——この文言の中でも明らかなように、局署長の指示のもとに局署員一体となつてこの調査に当るという表現があります、さらに労働統計調査部長、労働基準局長の通牒が昭和二十九年四月六日付をもつて出ております。この通牒にも、同様な意味に基きましてそれぞれ指示が行われておりますが、その中で「調査実施体制の確立」という見出しでこういう文言がございます。」(一)局においては、局長指揮の下に給与課を中心とし各課の協力体制を執らしめ、必要なる実地調査要員のの派遣、監督署の指導監督、調査票の点検等についても、全局一体となつて円滑に実施し得るよう措置すること。」——このように、二つの通牒に従いますと、この調査期間中には、全力をあげてこの統計調査のために精力的な努力を命じておるわけであります。もちろんわれわれも、この調査の重要性については、十分認識をいたしておるつもりであります。ただその実施にあたつて、問題になりますのは、先日来たびたび強調いたしておりますように、労働行政の中でも、監督行政はきわめて重要であるのみならず、現下喫緊の行政的な仕事であります。その全力がこの統計調査のために費される。この指令によりますと、約一箇月半を必要とするのでありますが、その間これを通牒通りに実施されるということを見通しますならば、昭和二十九年度の予算によつて、予算人員がもうすでに明らかにされておるわけでありますが、その予算人員はもうぎりぎり一ぱいのものであることは、予算委員会等において答弁されておるところで、疑う余地がないわけであります。しかも監督行政につきましては、五千三十七人のうちの最も多い人員を必要とすることを強調しておるわけであります。その監督官がこの統計調査のために動員されることになりますことは、この二つの通牒から判断いたしまして、争う余地のない事実となつて来るのであります。こういう場合に、一体監督行政は、その間まつたくたな上げせざるを得なくなる、こう解釈するほかないのでありますが、この点に対して、もう一度念のためにお尋ねをいたしまして、その後次のことをお尋ねしようと思います。
○安井政府委員 前回の委員会におきましても、この労働賃金実態調査に関連しまして、基準局の監督行政に支障がないか、あるいは支障がないとしても、その超過勤務その他に対する対策が万全であるかどうかという御質問がございまして、前会関係局長その他から御説明申し上げた次第でございます。さらに私ども、その後その趣旨を体しまして、省内でもよく協議をいたしたのでありますが、今度のこの調査自体は、御説の通り、労働省としましては非常に重要な調査の項目としまして、省をあげまして各方面から相当応援をいたし、実務につけたいというふうに進めておることは御承知の通りでございます。そこで、さしあたつて第一線の調査に、この基準監督署の相当な人員あるいは労力の提供を要することも事実でございますが、何と申しましても本来の基準監督の業務は、それ自体として非常に重要なことでございますから、これをないがしろにして本調査だけに専心せしめ、あるいはその本来の業務をしばらくやめて、この調査に当るというような方針は、とつていない次第であります。従いまして、監督業務には重要な支障を来さないような方策でこれを進めておる次第であります。
○井堀委員 それではお尋ねしますが、二十九年度の予算人員で見ますと、五千三十七名という数字になるわけでありますが、その中から一体何人をこの調査のために動員されることになつておるかをお伺いしたいと思います。
○安井政府委員 大体各監督署におきます人員の五千三十七人のうちの三分の一程度のものを、実際には当らせる予定でやつております。
○井堀委員 三分の一ということでありますが、予算で見ますと、三百三十五人しか統計調査のためには人員を予定していないのであります。そうすると、どの部分の人員をそちらに割愛させることにしておるかをお伺いしたいと思います。
○安井政府委員 監督署の定員といたしましては、この五千三十七人のうち、特別会計職員を除いた約三千名がおるわけでありますが、大体その三分の一程度、千名程度の者をこれに当らせるような予定にいたしております。
○井堀委員 そういたしますと五千三十七名のうちの三百三十五名を除きます多数の人を、この調査のために煩わせることが明らかになつたわけであります。この人員をたとい一箇月半でもそちらに煩わせますと、その間の監督行政、あるいはその他労務者のためのそれぞれの予算要求の際に明らかにされた業務というものは、どういう方法で埋め合わされて行くかについて、何か方法を指示してありますかどうかをお尋ねいたします。
○亀井政府委員 先般の当委員会におきましても御説明を申し上げましたように一般の方から本調査に応援をいたしますために、それによつて多少一般の基準行政自体が影響を受けますことは、私らも承知をいたしております。ただ、この前に申し上げましたように、この調査自体は、地方の基準局なり監督署の職務でございまして、たまたま臨時的に今回は大規模な調査になりましたために、他の応援も願わなければならぬというふうになつておるのでありますが、これはやはり行政を実施する上におきまして重点的に人を配置して行く、これは一般の場合におきましても、そういう措置をとつておるのであります。ただ、ここでわれわれが心配をいたしますこととして、それによつて一般の行政能率の低下が著しくないようにという配慮はいたしておるのでございまして、その間におけるいろいろな行政の渋滞があるとすれば、これをどういうふうにして回復して行くかということについては、いろいろな面から考えられるのでございますが、主として今度応援に当ります人員は、雇員あるいは事務官あたりが主体となつて参りますので、監督行政そのものについては、それほどの影響がない。もしあるとすれば、それはこの調査が済み次第、その回復につきまして何らかの措置を考えたい。ただその影響につきましては、まだ十分地方からの調査がまとまつておりませんので、その影響の及ぶ度合いによりまして、何らかの方策を考えたいと思つております。
○井堀委員 監督行政その他の能率低下を来さないということをどんなに申されましても、三分の一の人員がこのために費される事実が明らかになる以上は、従来三分の一以上の余剰があつたということの裏づけをすることになる。あるいは三分の一だけ限られた人員で仕事の分量を増すということになるか、どつちかにしなければ、納得のできない事柄だと思うのです。これはもう、どう言いまわしをしようと、全国の局並びに監督署の限られた人員のうち三分の一をこの仕事のためにとるということが明らかになつた以上は、そのために従来の仕事が放棄されるか、もしくはそれと同様の能率を維持するということになれば、従来より限られた人員にそれだけの仕事を加重するかの三つに一つです。それをいいかげんに答弁されないで、その三つのうちのどれをおとりになるか、このことをまずお答え願いたい、またそのほかにも方法があるならば、納得のできるような御説明を願いたい。
○亀井政府委員 今御指摘になりました三つの点から申し上げますと、その間一般業務がある程度の渋滞を来すということは、私としても率直に認めざるを得ないと思います。加重の問題につきましては、この前も統計調査部長から御説明しましたように、スケジュールを組みまして、そのスケジュールによつて調査が進められますれば、超勤等のことはそれほどにならないようなスケジュールを組んでおるわけであります。それでも万やむを得ず延びるような場合には、報告書の提出期限を延ばして、その間の緩和をはかつて行く。これは地方のスケジュール等において無理があるというふうなことで、地方からその要求がございますれば、統計調査部としましても提出期限を延期することは、十分考えておるようでございます。その加重になるということよりも、むしろやはり一般の業務がそれによつて多少渋滞を来すということになるかと思います。
○井堀委員 政務次官にお尋ねいたしますが、今の局長の答弁通りでよろしゆうございますか。
○安井政府委員 大体私もそのように考えております。
○井堀委員 それでお尋ねを次に進めたいと思いますのは、三分の一の職員がこのためにさかれるので、そのため、それだけ事務が渋滞もしくはたな上げになるということをお認めになられるといたしますと、私のお尋ねいたしたいのは昭和二十九年度の予算は、それぞれ仕事の性質によつて款項目を明らかにしておるわであります。すなわち都道府県の基準局の千四百七十二人、全国三百三十六の監督署の二千五百人、婦人少年室の百四人、総計調査部の三百三十五人、労務者用物資配給関係で六百二十六人、こういうふうに説明をして、議会の承認を得て予算化されたことは明らかなところであります。そういたしますと、この監督行政もしくは婦人少年室あるいは労務者用の物資配給等、こういう明らかな任務を規定して予算化されたものを、労働省がこの調査のために、かつてにその使途を変更することになる。このことについて、どういうふうに判断されておりますか。
○安井政府委員 御説の通りに、定員あるいは予算は、それぞれの職分に応じて組んでおるのでありまして、本来申しますれば、この調査のために、さらに増員も要請したいところでございますが、御承知の通りの緊縮予算でございまして、増員というのは、ちよつと不可能な事態でもございます。それから部分的に区分をして、今お話ございます通りの職責でありますが、やはりこれは能率の増進あるいは有機的な活動によつて、実際の調査の面で相当効果をあげることも、全然不可能じやなかろうと考えておりまして、主としてこの相互間の能率増進という面から、この事業を並用して行きたいと思つておる次第でございます。
○井堀委員 今の答弁は、先ほど私が確認したことと矛盾するわけであります。限られた人員で、しかも三分の一の人員をさくわけでありますから、どんなに能率を高めてみても——これが埋め合せられるということになれば、従来それだけ余剰人員があつたことになる。そうでない、能率が落ち、あるいはその方の仕事が一部たな上げになることは余儀ないという説明でありましたから、次に進んだわけであります。どちらにいたしましても、こういうはつきりした目的を指示して予算の中に款項によつてきびしく規定したものをその他の目的に流用するということは、私は今日の財政法の違反を生ずる疑いがあると思う。かつてに行政府が款項の異なる方面へ流用することは、法のきびしく禁じておるところであります。そういう点でこれは問題が一つあるが、さらにこの問題については、私どもの方もまた調査を進めて行きたいと思います。 次に、今の御答弁で明らかになりましたように、この調査をするのに、監督官を使用するわけであります。この通牒にもありますし、また労働統計調査部長の名をもつて一般に印刷物が配付されておりますが、その末尾にこのようなことが書いてあります。「なお右の両調査はその重要性に鑑みまして統計法に基く指定統計として承認され、その報告につきましては法的義務が課せられているとともに、その秘密保持については同法によつて保障されており、調査票は、徴税、労働基準監督など統計調査以外の目的に使用されることは決してありませんから「調査票記入心得」、「職種名解説」などの関係資料を御熟読の上、何卒正確に御記入下さるよう御願致します。」——これはもちろん統計法第十四条の秘密保護規定によつたものと思うのでありますが、このことは私ども理解いたしておるわけであります。そこで問題になりますのは、監督官がこの統計を完成いたしますために——実際に調査に当る際に基準法違反に該当する事柄が、ことに賃金関係について相当あると見るべきである。そうでなくとも今賃金未払いあるいは遅配、欠配の形は、だんだん悪質なものになつて来ているわけでありますが、この際明らかにこれは労働基準法に照して違法であるという事実があつた場合でも、この調査部長のあいさつ状の中にあるように、その違反に目をつむるというような意味であるのか、その違反はどういうぐあいになされるのか、この点についてお尋ねいたします。
○亀井政府委員 調査の際におきまして、労働基準法違反が発見されました場合に、その日の事実そのものをもつてただちに事件として処理いたしますことは、統計法の建前から多少無理だと思います。しかし、もし違反が現実にあります場合において、その後その違反を注意をし、その是正をさせますことは実質上できる。また善意の使用者であれば、その注意によりまして直す措置も講じられましようし、もし悪意の使用者でございますれば、そこで再監督という措置をとりまして、ねらい撃ちで監督を実施することによつて、事件としての処理をすることもできるのではないかという気がするのでありまして、その日の調査のその事実でなければ、基準法違反として摘発することはできないという性質のものではございませんので、その点はわれわれとしても、調査の終了しました後、こういう問題のありますことをよく承知しておりますので、十分な指示をいたしまして、その処置を講じたいと考えます。
○井堀委員 このことは、非常に重大だと思います。監督官の身分をそのままにしておいてこの調査事務を行う場合に、それは監督官が臨機にそれを処理することを命じておるならば別でありますが、少くとも明らかに法律違反の事実を構成している場合に、それを監督官が自由裁量で注意監督するだけで見送るということになれば、これは重大な問題であります。違反の事実があつた以上においては、なんぼ調査であろうと、それについて目をおおうことは、この十四条の規定からできるものではないと私は考えるのであります。この辺を、もう一度はつきりしていただきたい。
○亀井政府委員 この点も、統計調査部から統計局の方に連絡をいたしまして、その間の解釈上の問題の意見というか、思想というかそういうものの統一をしておるのであります。ぎりぎりの線で申しますと、統計法第十四条の線で行かなければなりませんが、しかし、われわれの一般的な監督の方法としては、違反がありました場合に、すぐそれを送検するというような措置をとるのではなくして、やはりそこに注意を促し、あるいはそれについての始末書をとつて、その後、悪質な違反であるかどうかということの確証をつかみましてから司法処分等に持つて行く段取りでありまして、従つて、その調査のその日にそういう違反があつた場合に、それに対して注意を促すということは、これは一般監督の場合においても行う方法でございます。ただ、それが先ほど申し上げましたように、ごく悪質のものであります場合は、必ず再監督をさせてその処理をさせたい、これについては、調査が済みました後、そういう事案を地方から聴取いたしまして、それに対して指示をいたしたいと考えております。
○井堀委員 今の基準局長の答弁は、私は非常に重大だと思う。私のお尋ねいたしておりますのは、仮定の事実ですから、あるいは答弁しにくいかもしれませんが、しかし、これは仮定とはいえども、あり得る、何人も想像のできる仮定である。調査を開始するということは、この調査の目的からすれば、正確を期さなければならぬわけです。正確ということは、違反であろうとなかろうと、事実を書こうということでありますから、もし相手方に多少でもこれは違反だという事実を認めるような行為がある場合には、何とかこれをおおい隠そうとすることは無理はないと思う。でありますから、監督官の身分をそのままにして調査に臨む場合は、この協力する事業主もしくはこの立場にある事業場の諸君は、意識的に違反事実を曲げようとすることはやむを得ぬと思う。そうしますと、統計が曲つて来ます。そこで統計の正確を期そうとすれば、監督官の地位をまつたくたな上げするということが必要になる。このあいさつ状から、そのまま文字通りにとりますと、労働基準監督などの統計調査などと言いますから、徴税のことはとにかくといたしまして、労働基準監督に関することが、全部統計調査の免除規定で下問に付せられるという解釈、私はむしろそういう必要を認めてこういうことを書いたものと善意に理解できる。そうしなければ、統計の目的を達することはできぬわけです。統計部長としては、統計の正確を期するためにこのような通牒を出すという意図は、よくわかるのです。その意図を強く貫こうとすれば、監督行政は、この際まつたく目をつむるよりしかたがない。それをカムフラージユすることは統計がぼける。どつちかにしわ寄せが来るわけです。だからこの際、このあいさつ状は前者である、統計の正確を求めるための主張であると理解すべきだと思う。そうすると、これに関係して私のお尋ねしたのは、違反の事実が——おそれがあるのじやなくて、違反の事実が統計の方に出て来るから、正確になつて来るわけです。私はこの点については、最初から明らかに大きな矛盾をはらんでおると思う。矛盾だけではなく、それは言うまでもなくどちらかの法律を犯さなければならぬことになる。もしどちらの法律も犯さないで、どちらの目的も達し得るという名案があるならば別であります、私はおそらくないと思う。こういう重大な、法律に違反するような事態が予期できる調査でありますので——法律違反がどちらにどう起るかということは、今後の問題になるわけでありますから、そのときでもよいわけでありますが、しかしそのことが予見できて、注意を喚起しないわけに行きませんので、注意を喚起する意味で質問いたしておるのであります。 なお私ども検討を続けるつもりでありまして、この機会に委員長にもお願いいたしておきますが、先ほどただしました予算上の款項を移動するかの疑いのあるこの調査について、はたして財政法上違反を構成するやいなや。それから統計法第十四条と基準法違反とのこの事実に対する調査上の矛盾を、事実の上でどうさばくかという問題について、委員会としても慎重に調査を進められ、あやまちのないように、国会としてもいたさなければならぬと思いますので、委員長にもお願いしておきます。それから労働省にも、これについて万全を期せられることができるかどうか。これは今すぐでなくても、後日でけつこうでございますから、慎重に御協議の上で御回答を願いたいと思います。その意味で一応質問を保留しておきます。
○赤松委員長 この問題に関連して御質疑ありますか。
○島上委員 関連して御質問申し上げますが、昨日御質問した際に、本省では、この調査にあたつて三分の一を動員する、こういう指示を与えた。ところが地方の基準局においては、監督署に対して二分の一という指示をはつきりと文書によつて出している。その食い違いについて、調べて来て答弁するということでしたが、それをまず聞いておきたい。
○亀井政府委員 今の点は、東京の局においてそういう事実があるように私承知いたしました。全国でどういう通牒を各監督署に出しておりますか、まだ調べておりませんが、東京に関しては、局長から監督署に対しまして二分の一という数字を示して出しているように存じております。
○島上委員 そういたしますと、先ほど監督行政に対しては多少の影響はあるけれども、そう大したことはない、重要な支障を来すようなことはないという御答弁がありましたが、それと事実とは、私は大分相違して来ると思うのです。私は監督署について若干の調査をしてみましたが、だんだんと下に行くに従つて、本省においては三分の一といい、東京の基準局においては二分の一といい今度は署へ参りますと、東京の基準局指示の基本方針の第一項に、全署員一体となつて調査に当れといつたようなことを指示しておりまして、署へ参りますと、全署員一体となりといつたようなことで、実際上は二分の一以上三分の二、あるいはほとんどが動員されるというような結果になると思われるです。そうなりますと、これは本省の方では大した支障を来さないと、こうお考えになつておりましても、実際においては、私はこの一箇月半という期間は、監督行政がまつたくストツプしてしまうといつても過言ではないと思います。 〔赤松委員長退席、丹羽委員長代理着席〕 私どもとしても、もちろん今井堀委員が言いましたように、その調査期間の監督行政が今日及び今後どのようになるかということを、事実について調査を進めたいと思いますが、そのように実際上ストツプになる危険が多分に感ぜられる。これに対してはどうしても何らかの措置をいたしませんと、この監督行政の重大なる渋滞もしくはストツプを救うことができない、こう私ども考えております。昨日来このことに対して、かなり注意ないしは警告を含んだ意味の質問をいたしたのでございますが、何か本省において、この重大なる監督行政の渋滞もしくはストツプに対する措置を、その後お考えになつておりましたならば、承りたいと存じます。
○亀井政府委員 この影響がありますものを、どういうふうに穴埋めして行くかということにつきましては、私どもも現在考えておりますが、ただその影響の度合いをはつきりつかんでおりません。実を申しますと、われわれが机の上で計算した数字から申し上げますと、各局で非常にアンバランスになつておりまして、東京あたりは、われわれの数字から申しますと、所要日数は二十八日ということになつておりますが、少いところでは、千葉あるいは茨城等は、大体七日で勘定するというふうな数字もございまして、各局にどの程度その影響がありますか、まだ完全に把握をいたしませんために、これに対する全国的な対策というものが打立てにくい現状でございまして、もう少しその影響が出ましたならば考えたいと思いますが、問題の超勤等につきましては、統計調査部におきましても、大蔵省とも折衝したいというふうな覚悟のようでございまして、こういう面からも、もし超過勤務等がなされました場合の措置も考えてみたいと思います。監督そのものにつきましての措置は、今申し上げますように、もう少し影響の度合いがわかつて参りましてから、逐次その対策を考えて行きたいというように考えます。
○島上委員 その影響がわかつてから逐次考えるということですが、私は少くとも東京の場合には、二分の一という指示をはつきりと出しておりますし、それが各監督署へ参りまして、現にその二分の一以上になりつつあるという実態からしまして、相当の影響の想像されることは、はつきりしております。従いまして、このように本省においては三分の一のつもりであつたのが、東京は二分の一と指示し、監督署ではさらに二分の一以上三分の二も動員するというような実態がだんだん出て来ておりますので、このことについては、たとえば東京の監督署のやり方が行き過ぎておるということで、これに対する行き過ぎを是正するような措置をお考えになつていないか。これを是正しないとしますれば、今後の進行をまたなくとも、私は監督行政に重大な支障を来すということは、はつきりと言い得ると思います。これに対して何らかの措置をおとりになる考えはないかということを、もう一ぺん承りたい。
○亀井政府委員 全国を見ましても、東京はやはり一番負担が多いようでございまして、その事実も、その通牒の二分の一ということもよく承知をいたしましたので、昨日統計調査部とも相談をいたしまして、調査報告の提出期限を、東京に関しましてはずつと延ばしまして、あとまわしにして、その間、これによつて影響を受けます一般の行政の影響度をできるだけ少くしたいという意味で、今具体的にその問題を、東京の基準局と統計調査部とわれわれが入りまして、御相談をしておるところであります。近く具体的な指示ができようかと思います。
○島上委員 この点に対しては、せいぜい監督行政に支障を来さぬように、万全の措置をとつていただくことを強く要望します。 もう一点御質問したいのは、先ほど、この調査中に違反の事実があつたら、統計法に基く指定統計であるから、ただちに送検をするというようなことはいたさないが、違反の事実が発見されたら当然注意をする、あるいは始末書をとるという御答弁ですが、これまた東京の基準局長の出された通牒の中には、特に労働基準法に基く監督と混同することのないように厳に注意すること、こういうことを言つておる。先ほど井堀委員が指摘しました、本省の労働統計調査部長富樫君の名によつて出されたあいさつ状にも、これと同様の趣旨のこと、これは使用者に対して、徴税、基準監督など、統計調査以外の目的に使用されることは決してありませんからということが書いてあります。このあいさつ状と基準局長の通牒とを照し合せてみますと、どうも違反の事実があつても、注意をしたり始末書をとつたりということはしないのではないか。ここであなたはそういう答弁をされても、実際においてはそういうことは全然なされないのではないか、こう考えざるを得ないわけです。そこで、もし違反の事実があつたら注意をし、あるいは始末書をとる、せめてそれだけの措置でもなさるというようなお考えがあるならば、そのことに対して、特に何らかの指示をするという措置をお考えになつておるかどうか、それを承りたいと思います。
○亀井政府委員 先ほど私が答弁しました中では、始末書とまでは申さなかつたのでありまして、一般的の監督の方法として申し上げたのであります。従つてその注意をすること自体が、監督の範囲に入るかどうかの問題も、統計法の第十四条の厳格な解釈から申しますれば、一言も監督的な言動をなしてはならないという厳格なことにもなりましようが、事実その場合におきまして、監督官の調査が済みました後にそういう注意を与えますことは、調査の個票が提出された後でございます。これは監督と言えば監督でありますし、指導と言えば指導ということで、そこのところのけじめがはつきりしない。始末書をとらせるということになりますと、これは明らかに監督の中に具体的に入つております。従つて注意程度のものであれば許されるのじやないかというのが、われわれの先ほど御答弁申し上げたことでございまして、問題は、そういう違反の事実が発見されました場合におきましては、その日の事実をもつて司法処分その他ができないというだけでございまして、悪意の事業主については、同じような違反を繰返しておるのだろうということで、再監督によりまして司法処分をとることもできるわけであります。その点はわれわれといたしまして、その日の調査実態について監督ができなくとも、決して監督行政そのものにおいて全然監督ができないという趣旨とは考えておらないのであります。
○島上委員 それはあなたの御解釈でありましようけれども、そういうことを十分下部に浸透するような措置をとりませんと、この調査部長のあいさつ状、あるいは地方の基準局長の監督署長に対する通牒等から解釈いたしますと、下部においては、もうそのような、あなたが今考えておるようなことにはならないと思います。結局これは、そのような違反の事実があつても、その調査によつて再監督をするとか注意をするとかいうことを全然しないのではないか、まつたく目をつぶつてしまうのではないか、こう文書からは解釈されるのであります。ですから、今あなたが答弁されたようなそういう御見解を下部に十分浸透させませんと、そういうことにならぬのではないか、こう思われるので、それを下部に浸透させるような措置をおとりになるお考えがあるかどうかということを承つておるわけなのであります。
○亀井政府委員 先ほども申しましたように、その違反の事実がどの程度、またどういう内容においてなされたかということを見まして、そういう悪質の使用者については再監督をやつて、そうしてその違反の是正に努めるということは、もう少し調査の推移を見まして、その違反の事実が全国的に判明して参りましてからいたしたいというふうには私も思つておるわけであります。
○島上委員 そのことに対しましては、私ども今の御答弁でもあまり納得行きませんけれども、この程度にします。 次官が見えておりますので、ほかの問題でひとつ質問したいのですが、それは各基準監督署ごとに推進会というものがつくられておる。これは、当初の意図は、労働基準法の実施を推進するというよい意図を持つておつたと思いますけれども、今日の実態は、必ずしもそうではないように思う。予算が非常に少いために、推進会から経済的な援助を受けておるというような現状でありますために、推進会が監督行政に対して相当くちばしをいれておるというような事実を、私ども方々で聞いておりまするが、そういうような弊害をお認めになつておるかどうか。またこれに対して、何らかの対策をお考えになつておるかどうかということを、次官に承りたいと思います。
○安井政府委員 推進会が各地にできておりますことは、十分承知しております。推進会の目的は、御存じの通り、この基準監督行政というのは、業者と官庁との間に相当な摩擦も起ることが予想されますから、そういつたことのないように、円滑な行政事務を推進することを目的として、両者の間の意思疏通をはかる、あるいは法令の解釈にしましても、十分徹底を期するための推進会というものは、あつても有効なものじやなかろうかと心得ております。しかしそのために、その会が基準監督腰の基準監督行政上の仕事に対して圧力を加えるというようなことは、厳に戒めておる次第でございます。
○島上委員 厳に戒めておるとおつしやいますが、私どもの聞き及んでいるところによりますと、相当の弊害がある。資本家は、労働基準法をあまり歓迎していない。それで労働基準法の実施をサボつておるというところが、相当多いわけです。そういうような労働基準法をあまり好ましいものと思つていない。地方の資本家、もつと悪くいえばボス的な資本家が推進会の実権を握つておる、そうして監督行政に際して予算が足らなくて、そこから経済的な援助を抑ぐ。そのために、監督官が臨検をする際に、推進会に連絡しないでかつてにやつてはいかぬということをねじ込んで来たような実例もある。また監督に行く際に、推進会のメンバーがぞろぞろついて来て、お前のところはまだ推進会に入つていないから推進会に入りなさいといつて、推進会加入の勧誘をしたり、それから推進会に入つている工場に対しては、前もつていつ幾日監督に行くからちやんとしておきなさい、こう連絡して、そのときだけの体裁をつくる、こういうような事実が現にあるのです。そういうことに対して、厳に戒めるとおつしやいますが、厳に戒める何らかの措置をおとりになつたかどうか。あなたがここで厳に戒めると口でだけ言いましても、これは実際にはきき目はないと思うのです。その厳に戒める措置を具体的におとりになつたかどうか、また今後おとりになるお考えがあるかどうかということをはつきりと承りたい。
○安井政府委員 先ほども申し上げました通り、監督行政事務の円滑を期する上から、そういう法令や行政事務の周知徹底をはかるという方面を主たる目的にして、会は設立されておるわけでございますが、数多い中には、あるいは今御指摘のようなことが絶無とはいえないような場合もあろうかと存じます。しかし、そういうことがあつてはならないのでありまして、実は、せんだつての基準局長全国会議の際におきましても、こういつたことの混同のないようにという訓辞も当局から与えております。今後もそういつた問題があれば、厳重な取締りもいたし、またないように、事前に適宜の措置をいたしたい、こう考えております。
○島上委員 数多い中で、ほんの一部にそういう弊害があるかもしれぬ、またあつたら、そういうことの絶無を期するようにしたい、こういうことでしたが、事実はまさにそれが逆なんです。事実はまさに逆で、数多い中に、当初の趣旨のようにうまく運営されておるところはほんの一部分で、大部分は相当の弊害を生んでいるのが現状であるといえると私どもは思うのです。これは、私どもは事実を次から次へと持つて来て指摘してもよいのですが、そういうわけですから、この問題に対しては、実態は、今次官が御答弁になつたようなそういうものではなく、弊害はもつともつと深刻であるということをお考えになりまして、十分これに対しては措置されるように御注意と御要望を申し上げまして私の関連質問を終ります。
○亀井政府委員 それでは御説明申し上げます。先般第五条関係を終りましたので、次の第十二条関係に入りたいと思います。 十二条の規定は、常時十人に満たない労働者を使用する使用者が、法第三十二条第二項、すなわち変形四十八時間制をとつた場合等につきまして、周知義務を規定いたしておるのであります。この周知義務を新たに規則によりまして課しておりますることは、法律に根拠がないのでございます。しかも「法第百六条の規定に準じて、」という言葉がございまして、これも法律的な根拠が乏しいのでございます。従いまして、この規定は全文削除するというのが政府の原案であるのでございます。これに対しまして、審議会におきましては、その趣旨としてはわからないことはないが、しかしこういう規定があつても何らさしつかえないじやないか。特に労働者側は十人以上を使用しまする使用者は、就業規則がありますので、それに明確に規定をされるが、十人未満の労働者を使用しまする使用者については、就業規則を作成する義務もないので、こういう規定が必要じやないかということで、当初原案に反対をされておりました。使用者側は、これに対しまして、法律に根拠が乏しいという趣旨で、原案に賛成をしております。公益側は、これにつきましていろいろ論議をいたしました結果、政府原案の趣旨もわかるが、周知をさせることはやはり必要じやないか、しかし周知を義務づけるということは、法律の根拠の問題からいつて多少問題があるということで、「第百六条の規定に準じて、」という言葉を削除いたしまして、「周知させなければならない。」とありますのを、「周知させるものとする。」ということで規定をすれば、一応筋として通るのではないかという提案がなされ、これに対しまして労使双方とも賛成をいたしたのでございます。 次に第二十四条関係でございますが、これは労働者が一団となつて入出坑する場合に、個々の労働者の時間計算をするのではなくして、その団に属する労働者の時間を計算する方式を、監督署長の許可を受けた場合に認めておるのでございます。ところが、この許可を受けるという新しい義務を使用者に課しますことは、法律に根拠がないので、政府の原案としましては、この許可制度を廃止いたしまして、これにかわつて、国際労働条約で規定をいたしております一団となつて入出坑をする労働者の労働時間の計算方式をとりたいというのが、原案の趣旨であつたわけでございます。これに対しまして、労働者側も使用者側も、許可制は問題があるかもしれない、しかしこういう現行のままで何ら実情においてさしつかえないので、国際労働条約の規定であるといつても、日本の労働慣行にはまだ熟していない慣行であるから現行通りでよろしいではないか。これは労使双方とも実は反対でありました。公益側は、この問題につきまして、二十四条そのものは一応そのまま置くとして、新たに国際労働条約で定めております入出坑の場合の労働時間の計算方式を二項に規定して、使用者にその選択を認めるという方式をとつたらどうだろうという提案がなされ、これに対しまして、労使双方とも賛成をいたしたのでございます。 次は第二十五条の関係でございます。二十五条の二の関係の第一項でございます。これは有給休暇に支払います賃金の計算方法を規定いたしております。その中の六号は、出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金の計算方法でございますが、その計算方法が、現行ではあいまいでございまして、計算のできない場合もございますので、政府原案のようにこれを明確にするという趣旨で、これにつきましては、労・使・公益三者賛成の意見を述べたのでございます。 次は第二十六条の関係の三番目としてでありますが、新しく一条を設けるのでございまして、これは列車、電車に乗務いたします予備乗務員制でございます。この予備乗務員の性質は、通常のダイヤによつて編成されております乗務員に事故があつたような場合、あるいは衝突その他の事故が発生した場合に、臨時にダイヤを編成して運転をしなければならないために、予備的に乗務員を選んでおるわけでございます。ところが法律の第三十二条第二項にございます平均四十八時間制につきましては、特定の日または特定の週を定めまして、その日において八時間を越える労働時間、あるいはその週において四十八時間を越える労働時間を定めることができることになつておりますが、予備乗務員につきましては、この平均四十八時間制をとりました場合に、あらかじめその八時間を越えて労働させる日、あるいは四十八時間を越えて労働させる週をきめることが不可能でございまして、それは予備乗務員の本質からいたしまして当然のことでございます。そこで予備乗務員につきましては、三十二条第二項のような特定の仕方をしないでもよろしいということで、新しい規定を設けた趣旨でございます。これにつきましては労・使・公益の三者意見が一致をいたしました。ただ、予備乗務員、予備勤務員の範囲を明確にしなければ、著しく拡大されるおそれがあるということで、予備乗務員、勤務員の範囲を明確にするということを条件にいたしまして、労・使・公益三者意見が一致したのであります。 次は第三十二条、これは運送の事業また郵便の事業に従事する労働者の中で、長距離輸送の列車に乗務する場合、または船舶に乗務する場合、その中の車掌、荷扱手等につきまして、休憩を与えることが困難でございますので、監督署長の許可を受けた場合は、休憩時間を与えないでよろしいというのが現行法でございますが、この監督署長の許可を受ける新しい義務を使用者に課しますることは、法律に根拠のないところでありまして、従つて政府原案としましては、その許可制を廃止し、そのかわりに現行法の中で「車掌、荷扱手その他これに準ずる者」というふうに、その範囲が不明確でございますので、その範囲を限定的にすることによつて許可制を廃止したいというのが政府原案で、これに対しまして労・公・使とも特別の議論はなかつたのでございまして、この趣旨自体についてはみな賛成でございます。ただ政府原案の中で「その他これに準ずる者」というやはりあいまいな規定が入つておりますので、これを削除いたしまして、特に必要な職種名を制限的に列挙いたしまして、そのものだけをこの適用の対象とするということと、長距離輸送の列車というのが解釈上不明確で、すなわち短距離でありましても、長時間にわたつて折返し運転をするような場合には、休憩時間を与えることが困難な場合もあるので、この長距離輸送列車というものの解釈を、現実に即するように解釈をするという条件をつけまして、三者意見が一致したのでございます。 次は四十三条、これは遺族補償を受けまする順位について規定をいたしておりますが、現行法におきましては、労働者の死亡当時その収入によつて生計を維持していた者が、労働者の死亡当時その収入によつて生計を維持されなかつた子、父母、孫、祖父母等に優先をしております。 〔丹羽委員、長代理退席、委員長着席〕 すなわち、もう少し砕いて申し上げますと、居候が労働者の子、妻、父母等よりも優先するというのが現行の規定でございまして、これは生活の実態を主体としての現行規定でございますが、社会通念からいいますと、多少無理がございます。その順位を変更しようという関係で、これに対しましては御意見なく、三者とも意見が一致をいたしたのであります。 次は五十三条の規定でございます。五十三条は、労働者名簿の内容につきまして簡素化したいという趣旨でございます。五十三条の四号に「雇入の年月日その他雇入に関する重要な事項」というのがございますが、「その他雇入に関する重要な事項」というものの実効性がございませんために、これを削除するま。た五号で「解雇又は退職の年月日、その事由、その他解雇又は退職に関する重要な事項」——この「その他解雇又は退職に関する重要な事項」、これも明確でございませんので、この二点を削除するということと、第二項におきまして、現行の規定は、三十人未満の労働者を使用するような事業につきましては、労働者名籍に本籍及び住所を記入しなくてもよろしいという規定もあるわけであります。これがやはりいろいろな実態関係特に補償等の関係からいいまして適当ではないので、二項を生かしまして、そのかわりに二号及び三号「従事する業務の種類」、これも三十人未満の労働者を使用するような小規模事業でございまして、監督に参りましてもただちにその業務の種類がわかるわけでありますから、政府原案としましては、二号及び三号を削除するという趣旨でございます。審議の結果、第一項につきましては三者意見が一致し、第二項につきましては、政府原案の中の、二号をそのままにしておくということを、これを削除する。すなわち、三十人未満の労働者を使用する事業における受働者名簿は本籍及び住所は書かせるが、従事する業務の種類は、これを記入しなくてもよろしいだろうということで、三者意見が一致したものであります。 それから次は五十七条、これは報告事項でございます。その中の休業八日未満の災害の発生等につきましては、毎月報告させることになつておるのを三箇月にいたしました。すなわち四期に一回ずつの報告に改めて、手続の簡素化をはかるという趣旨でございます。これにつきましては、安全衛生行政に支障を来さないよう留意することを希望条件にいたしまして、三者意見が一致いたしました。 それから五十八条は、災害補償の実施に関する事項が、年一回の報告事項になつておりまして、これもさほどの実績もありませんので、削除する原案を提出いたしましたところ三者御異存なく意見が一致したわけであります。それが施行規則におきまする三者意見の一致したところでございます。 次に、刷子年少者労働基準規則に参りますと、その印刷物の三十七ページをごらん願いたいのでありますが、まず第二条を削除するという趣旨でございますが、これは現行法におきましては、満十八歳に満たない者を使用する使用者は、戸籍の証明書を備えつけなければならない法律上の義務があるわけでございます。それに基きまして、十八歳に満たない児童から戸籍証明書をとつて事業場に備えつけよというのが現行規定でございます。ところが、労働基準法の全体の建前からいたしまして労働者に義務を課する規定がないのでございまして、建前として使用者にすべての手続の義務を課しておる。この原則にもとる趣旨から申しまして、また戸籍証明書は、使用者は法律の規定によりまして無料でとることができるので、事業場に備えつけなければならないということは法律に明文をもつて示しておりますので、この規定全体が不必要だと考えまして削除することに諮問があつたのであります。これにつきましては、三者御異存なく賛成をいたしたのであります。 三条から八条までは、満十五歳に満たない児童で就業する場合のいろいろな手続でございます。現行の規定は、その児童の住所地を管轄する監督署長の許可を受けなければならないということになつておりますが、しかも建前は、それも許可申請の手続を十五歳に満たない児童に義務づけております。これは先ほど申し上げましたように、使用者に義務づけまする方が、基準法全体の建前から申しましても適当でございますので、使用者をしてその許可を受けさせる、またその許可をとりまする監督署としては、児童の住所地を管轄する監督署長ではなくて、その事業場を管轄する監督署長に——と申しまするのは、問題は、雇われてから後の問題が必要でございますので、やはりその事業場を管轄する監督署長の方が、爾後の監督の便宜から申しましても適当であるという趣旨で、そういうふうに改正をいたしたのであります。四条以降それに関連しまする事項でございます。これにつきましては、三者意見が一致をいたしました。ただ人身売買等の問題もあるので、住所地の監督署長の意見を全然聞かないことは適当ではない。従つて所轄の監督署長が許可をする場合におきましては、その児童の住所地を管轄する監督署長の意見を聴取するようにという趣旨の規定を入れることによりまして、全部について賛成を表明されたわけであります。 次は十一条の二の関係でございます。すなわち女子の健康及び福祉に有害でない業務として、中央労働基準審議会が定めまするものでございまして、今回の改正としまして映画の製作の事業におきまする演技、スクリプター及び結髪の業務、これは映画製作という特殊な実情、特にロケーシヨン等をやります場合には、通常公衆の利用に供されまする施設、場所等におきましては、深夜においてでなければ撮影が不可能でございます。そういう場合のことを考慮にいたしまして、これらの業務に従事します女子について深夜業を認めることとしたいというのが、政府原案であります。これにつきましては、三者意見が一致しまして、政府原案に賛成でございましたが、ただ、映画製作に従事しまするいわゆる十二歳未満の子役につきましては、使用許可を与える際に、深夜にわたる場合における健康・福祉に十分注意するような措置を講ずるように希望条件を付しまして、三者意見が一致したのであります。 次は十三条、これは満十八歳に満たない者を就業させてはならない業務の範囲を規定をいたしております。その中で三号、五号、七号から十四号、これはそれぞれの主任者の業務につかせますことを禁止いたしております。たとえば第三号におきましては「汽罐の据付工事の作業主任者の業務」ということになつております。ところが、汽罐のすえつけ工事自体については、満十八歳に満たない労働者も従事し得るわけでありますが、しかるに作業主任者の業務のみがここで禁止されておるのであります。実体が認められております以上、あとは作業主任にする、しないかは、これは使用者の労務管理上の問題であるのではないか。従つて十八歳に満たない者であつても、十分その能力がある者は、作業主任の業務につき得る道を開く方が適切ではないかということで、これらの規定を削除して、主任者につき得る措置を講じようという趣旨でございます。五十二号は酒類醸造の業務であります。これも特別安全衛生上有害なるものとは認めがたい。また酒づくりにおいては、年少の折からこれに携わりませんければ、なかなか技術の進歩が不可能であるというような意味で、これも三者御意見が一致をしまして、賛成でございました。政府原案は、そのほか五十三号で焼却、清掃を削除するという原案でございます。ところが、焼却の中には人体焼却も含むので、これに年少者を従事させることは適当ではないということで、清掃のみを削除することについて三者意見が一致をいたしたのであります。 第十四条は十八歳以上の女子についての就業制限でございます。その中の第三号は、同じように主任者の業務につきまして制限をいたしております。これも第十三条の場合と同じような趣旨で、その職場の範囲を拡大して行くことが適当である、こういうことで原案は削除の提案をいたしまして、これにつきましては、異存なく三者意見が一致をいたしました、 以上が、施行規則及び女子年少者労働基準規則において三者意見の一致した部分でございます。
○赤松委員長 多賀谷君。
○多賀谷委員 三者意見の一致いたしたものについて、質問いたしたいと思います。 まず第五条でありますが、第五条のうち、法第八十九条の第九号の問題であります。この第九号に規定してある中で「休職に関する定がある場合には、その事項」という休職というのはことに労働条件で漏れている中の大きなものだ、こういう意味であろうと思うのですが、そのほかに、労働条件であると、普通狭義に解しても、いわれる問題はないかどうか、まずお尋ねいたしたいと思います。
○亀井政府委員 就業規則の第九号の中には、実は種々雑多な規定をいたしており、たくさんございますが、狭義の労働条件として明確に労使・公益三者を納得し得るものは、休職の関係だけでございます。資料としましては、全部出したのでございますが、その中で選ばれましたのが休職であります。
○多賀谷委員 寄宿舎規則に定める事項の中で、文章をかえて「入退舎に関する事項」こういうことに、特にこれだけをきめた理由はどういう点にあつたか、お聞かせ願いたいと思います。
○亀井政府委員 当初、寄宿舎規則自体が労働条件で、その内容に盛られておるといいますか、労働条件であるということについては深く議論をしなかつた。これは議論をいたしますと、非常に際限のない問題に入るおそれもありますので、従つて全体的の空気といたしましては、寄宿舎規則の内容は院私生活の自由に関しまするとりきめであるので、これを第五条からはずすことにつきましては、三者意見が一致いたしたのであります。しかしこの寄宿舎の内容を明示することは、労働者のためにも、たといそれが労働条件でないといたしましても、必要でございますので、事業附属寄宿舎規程の改正の際に一条を新たに設けて、そこに明示の義務を入れたのでございます。そこで第五条関係として、「事業附属寄宿舎の入退舎に関する事項」ということを入れましたにつきましては、実はそれは深く掘り下げて議論をした後に、こういうものが入つたのではないのであります。事実は、それとなしに入つたといつてさしつかえない。ただ気持といたしましては、入退舎が雇用の継続の条件あるいは雇用の終結の条件というものと結びついて来る場合があれば、これは労働条件ではないかということについて、皆さんの大体の意見がそういうところにあつたのでございます。従つて、そういう場合においては、やはり労働条件として明示しなければならないという趣旨で、この規定を設けたのであります。
○多賀谷委員 労働条件について、このたび非常に厳格に解せられているようですが、一体労働条件というのは、基準法ではどういうふうに規定しておるか、お尋ねいたします。
○亀井政府委員 労働条件というものは、労働契約の条件になるものは、広い意味においては全部労働条件になろうと思います。また狭く解せば、判決例にありましたように、労働時間と賃金だけであるというように狭く解釈する場合もあろうかと思います。そこで第五条は、そういう労働条件とは何ぞやということを規定するのではなくて、罰則をもつて明示を義務づける労働条件の範囲というものは、どの程度が適当であるかという趣旨で、規定されておるのでございます。従つて、ここに盛られていないものは労働条件ではないという趣旨ではないのであります。
○多賀谷委員 労働条件について、今の点はきわめて重要な点であり、政府の見解である、かように解してもいいですか。
○亀井政府委員 先ほど私考え方を申し上げたのでございまして、労働契約の条件たるものはすべて労働条件であるということは、政府はそういう見解をとつているわけではございません。そういう見解を持つ人もある、あるいは判決例によつては、賃金と労働時間だけを労働条件とするような狭い見解をとつているものもあるということを申し上げたのであります。五条の解釈につきましては、私の解釈を政府の見解ととつていただいてさしつかえないと思います。
○多賀谷委員 この規定の中で、特に「寄宿舎規則に定める事項」というのを入れたのは、これは日本における過去の労働実態の実情から入れた規定であろうと思うのであります。ことに女工哀史等にあります女子の長時間労働、あるいは低賃金から来たものであろうと思うのです。ことに勧誘して入れる場合に、非常に詐欺的な行為がある、あるいはうそをついて入れる、こういうことによつて寄宿舎規則というものが入れられ、また広範囲な明示が書かれたのであろうと思うのてす。こういう規定をだんだん狭くするという考え方は、どうも納得できないのですが、根本的に狭くする、範囲を少くするという考え方は、どういうところから出ているのですか。
○亀井政府委員 われわれは、狭くするとか広くするとか、そういう見解からこの問題を取扱つて来たのではございませんで、われわれの見解は、施行規則に定めた内容は、法律の第九十五条に書いてございますが、これは明らかに私生活の自由に関する規定であるというふうに解釈をいたしているのであります。労働基準法の第十章で寄宿舎の規定を入れておりますのは、これは各国に例のないことでございまして、基準法そのものは、御承知のように労働条件の最低基準を規定をいたしました法律でございますが、そこに一章を設けて寄宿舎の定めをいたしておりますのは、お話の通り日本における特殊な関係からだと思うのです。しかし、それだからといつて、基準法に規定されているから、ただちにそれが労働条件であるというふうには、私たちは解しない、こういうのであります。
○多賀谷委員 この規定は、基準法の十五条の一項に基いてなされた規定であると思いますが、そうですか。
○亀井政府委員 その通りです。
○多賀谷委員 そういたしますと、先ほど質問いたしました労働条件というのが、やはりきわめて問題になるわけです。ああでもあり、こういう学説もあるということでは済まぬのであつて、この労働条件をどう解するかということ——われわれは賛成はしませんけれども、あなたの言われる労働条件の範囲、こういうところから第五条が出て来ると思うのです。ですから、やはり労働条件というものをどういうふうに解せられているか。労働条件だけれども、これは罰則までして周知義務を課することは酷だということでは、やはり法解釈としては、政府の一貫した態度としては済まぬと思う。われわれは、必ずしもそう思いませんけれども、政府としては、法にそれだけの罰則を課するだけの義務を課すのではないからというので、大部分改正になつているようですが、その点からいえば、やはり労働条件をどう解するかということによつて、かなり範囲が違つて来ると思う。そこで私は、再度さかのぼつて質問するわけですが、やはりこういうように、労働契約の際に条件として提示されて、そうして契約内容になつているものは、私は労働条件だと解するわけですが、そういうように解し得られないかどうか、お尋ねいたしたい。
○亀井政府委員 この問題は、先ほども申し上げましたように、いろいろ議論のあるところでございまして、労働省の見解としまして、労働条件とは何であるかという定義を下したことは、実はかつてございません。またそれを具体的にきめますことは、非常にむずかしいと私は思います。抽象的にはなかなかきめがたい。従つて、個々の具体的な問題が出た場合に、これがはたして労働条件といつていいやら、あるいは使用者に罰則を付してまで明示をさせる労働条件として適当であるかどうかということの検討だけをしているわけでございます。立法論から申しますと、十五条の規定とこの規則の第五条の規定は非常におかしいのでございます。実は五条は、何ら十五条で委任を受けていない、そういう趣旨の点もございますし、十五条そのものにおきましても、その他の労働条件というふうに、非常にあいまいな表現をいたしておりまして、立法論としては、私は問題があろうかと思いますが、現行法のもとにおいては、そういうふうな解釈をとらざるを得ないということであります。
○多賀谷委員 再度確認をいたしたいと思います。そういたしますと、五条によつて今までの労働条件が狭くなつたと解しては、問題があるのですが、明示すべき労働条件が少くなつたことは事実であります。そこで逆に、第五条の改正によつて、労働条件の定義を労働省としてはかえないのだ、こういうように考えてもよろしゆうございますか。
○亀井政府委員 かえないという趣旨が、どういう趣旨かよく意味がとれませんのでございますが。
○多賀谷委員 どうも失礼しました。この規則の第五条の変更によつて労働条件の範囲がかわつたと、こう解釈されるような五条の改正ではない、こういうように解釈してよろしいですか。
○亀井政府委員 よくわかりました。それは先ほど申し上げましたように、私ら自体も、労働条件が何であるかということについては、明確な基本的な解釈を下したことはございませんし、先ほど申し上げました通りでございます。従いまして、これによつてわれわれの従来の解釈が狭まつたか広まつたかということについては、ちよつとお答えしかねるのであります。
○井堀委員 関連して。今の五条関係で、寄宿舎の規則に関する事項を明示するというのを、この際はずすわけでございますが、この点、私どもは趣旨についてはよく理解できる。しかし日本の、ことに中小繊維関係に多いのですが、今日まば寄宿舎における労働者の生活の自由を保障するということよりは、実際においては、他の力で改善や保護を加えなければならぬ非常に封建的な雇用制度というものが、多く残存しておるわけです。こういう点から、この規定はかなり私は活用されていたものと理解しておるのでありますが、労働省では、こういうものに対する過去の実績から、そういう事実についての御判定はどうですか。
○亀井政府委員 寄宿舎に入る予定の労働者に対しまして、その寄宿舎の内容を知らしめるということは、使用者の当然の義務だと思うのであります。ただ、それが第五条の中にあるのが適当であるかどうかという問題になるのでございます。従つて審議会の答申も、その規定は、寄宿舎の規則の定める事項を示すことについては、寄宿舎規程の中に入れたらどうかという結論が、先ほど御説明しましたようになつておるわけであります。従いまして、その明示をすること自体を、否定はしていないのであります。ただ第五条で罰則を付して強行させるものとしては、いかがかということを、審議会でも論議になつておるわけであります。
○井堀委員 私のお尋ねいたしておりますのは、なぜ罰則規定をつけるようなところにこういう規定を設けたか、このような日本の特殊事情が、この法規の存在の中にあると私は思う。というのは、寄宿舎制度については、他の労働条件よりは、労働者にとつては主張しにくい労働条件の一つであります。賃金でありますとか、労働時間その他の問題については、とかくその改正もしくは改善なんかについても、相手方も応じやすいのですが、寄宿舎制度というのは、そう簡単に改善ができがたい、ことに、日本のように中小企業の場合にあつては、こういういわば直接生産に関係するものと異なりますものですから、とかく経営者側としては、そういう設備の改善には意を用いないという傾向が、非常に強いわけであります。こういう点から、この種の強制規定を必要とする議論が立法当時にあつたことを、私どもは記憶いたしております。こういう点に対する見解をお尋ねいたしたかつたので、もう一度お答えを願いたい。
○亀井政府委員 法体系の上から申しまして、この寄宿舎規則に定めております内容が労働条件であるとは、われわれとして認めがたいという趣旨で、第五条に置くことは無理であろうという解釈であります。
○井堀委員 それではつきりいたしましたが、私どもはむしろ重要な労働条件だと、実は主張して来たわけであります。今日、往年のかごの鳥と歌われた日本の大手筋の紡績十社といつたようなところについては、かなり整つた寄宿舎設備がございますけれども、まだ徒弟制度のなごりを残しておりまする地方の小規模の繊維産業には、非常にひどいものが残存しておる。この点に関しては、監督についても手をやいておるところの報告が相当集まつておることと思う。それを強行に取締れば、その企業自身が成り立たなくなるおそれが生ずることも、われわれは承知しておるわけです。それが期せずして労働者に劣悪な住居生活をしていることになるのです。私はこれは一つの実物給与の労働条件だと理解して質問をいたしておるわけであります。そういう関係から、むしろ五条関係にこの規定があることに意義があると思う。法体系としては、非常に不体裁な感じはいたしますけれども、非常に実情に、即した条項とすら、われわれは考えておるわけです。これは日本の特殊事情とされておりますが、そういう特殊事情の中でも、典型的なものがまだ相当残つておるわけです。こういうものが、この法によつてある程度駆逐できる力にはなるわけです。この点、中小企業の保護はこういうところからすべきでなくて、産業政策なり経済政策なりから考えるべきであつて、労働法規としては、現実の恵まれていない封建的な雇用制度、経済能力の低い雇用主、事業場がかなり残存する間は、こういう法規はまだ存続させなければならない。ことに監督行政の重要な仕事をなさつておる労働省といたしましては、こういうものについては、むしろはずすことに反対をされる理由が現実にたくさんあるのではないかと思うのでありますが、もう一度この点に対する基準局長の見解をお尋ねいたしたい。
○亀井政府委員 私の見解は、先ほど申し上げた通りでございます。ただ審議の経過の中で、いろいろ御議論がございました。こういう御議論、あるいは公聴会等での御議論もありました。もう一度そういうものを振り返つてみまして、最後の結論を得たいと思つております。しかし私の方は、先ほど申し上げましたところに、今のところは尽きるのであります。
○赤松委員長 ちよつと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○赤松委員長 速記を始めて。 この際お諮りいたします。ただいま調査中の労働基準法語規則に関する件につきまして、松竹労働組合大船分会委員長河野貞寿君、書記長今井健太郎君、の二名を参考人として次回の委員会に招致し、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 異議なければさよう決します。 —————————————
○赤松委員長 なお、失業問題につきまして質問が留保されておりますので、これを許します。大西正道君。
○大西(正)委員 それでは簡単に前に申し上げましたこの問題について、労働省において調査されました概要とそれに対してとられた処置を、かいつまんでお聞きしたい。
○安井政府委員 日本海重工業は、御存じの通り富山県下に二箇所の事業所を有する造船所でございまして、第九次造船に参加ができなかつたため、最近の金融情勢逼迫その他の影響から、従事員の全員の約六百五十名の解雇を見るに至つたものでございます。しかし、これは地方の問題といたしましては、非常に重要な問題でございまして、県当局あるいは市当局その他の公的機関も、これを非常に重視しておりまして、これの再建整備について、目下鋭意検討を重ねておるように聞いておる次第でございます。政府といたしましては、この会社の関係者の努力に期待をいたしますとともに、すでに発生を見ました離職者に対しましては、失業保険の給付期間中にでき得る限りの適職あつせんをいたすことを県に指示いたしておりますが、やむを得ざる失業者に対しましては、状況のいかんによりましては、失業対策費その他による吸収をもはかつておる次第でございます。
○大西(正)委員 今のお話では、解雇された者に対しての失業対策の、ごく簡単なお話があつたわけでございますが、私はその前に、むしろ今回会社側がとつたところの解雇は無効ではないか、こういうことを考えるのでありますが、この点について、労働省はどういうふうに考えておられるか。私の無効だという理由を簡単に申し上げますと、大体こういうふうな経路をとつておるのであります。すなわち労働協約並びに退職金規定の問題につきましては、二十八年一月八日に組合は組合案を提示しております。そうして一月二十八日、二月二日、三日、四日と交渉を続けておつたところが、三月上旬になりまして会社側から会社案が提示され、そうしてその後いろいろ交渉の結果、六月二十七日に妥結を見ておるのであります。そうして七月二十一日に実施され、向う一箇年間有効ということになつておるのであります。その問題点は、雇用は協議約款、整理の場合は同意約款、ここが一番問題点であつたのであります。しかしながら、まず円満に妥結をしたのでありますけれども、実は社長が不在であるとかいうようなことで調印ができなかつた。ここに問題かあるのでありまして、調印がないという理由で会社側は十二月三日に、今政務次官からいろいろな説明があつたようなああいう理由で解雇を通告して来、さらに十二月十四日には解雇を個人的に通告して来た、こういう状況になつておる。ところが、私が解雇は無効であるというのは、なるほど調印はこういう形で判は押していないけれども、これは双方とも話合いは完全に成立したものであるというふうに、どちらも善意の意味においてこういう形をとつておつたのである。それが証拠に、その後八月の中旬に、この新協約の適用の問題に関しまして、すなわち慶弔の休暇だとか、あるいは災害の休暇等につきまして、実際これが適用されておるわけです。しかるに、この調印がないという理由でもつて、一方的な解雇の通告をして来ておる。それで組合側は非常に驚いて、この調印を要求したのだが、がえんじない。そこで十二月九日に、組合は富山県の地労委に署名捺印のあつせんを依頼しておるのです。ところが、十二月十日に地労委はあつせん案を示して、そうして、十二月十二日には、会社と組合双方ともこのあつせん案を受諾しておるのでありますが、このあつせん案の内容は、いわゆる記名捺印なきものも協約として有効であるとの見解を了承しておるのであります。この結果から見ますと、形式上署名捺印をしていないということは、まつたくこれはどういうのか、形式的な手落ちであつて、当時の意図も、その後この協約が実際上半年ないし今日までこれが生きておるということは、これは明らかなことだ。それは地労委も認めておるのであります。このような考えに立ちますと、私は組合が多少の法律的な知識がなかつたがゆえに、こういう無残な六百五十名一挙に一方的に何ら予告もなしに解雇されるということは、私は確かにこの解雇は無効であるというふうに考えるのであります。この点につきましては、問題は非常に局部的な問題でありますが、重大でありますので、どのようにお考えになりましようか、私はこれは当然無効であるという考えを持つべきだと思うのであります。
○安井政府委員 これは非常に重要な問題であろうと存じますし、解雇をいたします場合に、本来協議なくして一方的にやるということには、いろいろなケースもありましようが、穏やかならぬものもたくさんあると存じます。しかし、この会社自体の経過を考えてみますと、これは会社が解雇をするために閉鎖するのじやなくて、閉鎖せざるを得なくなつて解雇に至つた実情にあるようにも、われわれは受取つておるのでございますが、この法文上の解釈その他の問題につきまして、法規課長の方からひとつ御説明と申しますか、政府の見解を述べさせたいと存じます。
○石黒説明員 ただいまの調印のない労働協約と申しますか、協約案と申しますか、その効力いかんという御質問につきまして申し上げます。 労働組合法第十四条は、労働協約の成立要件につきまして、きわめて厳格な様式行為にいたしておるわけであります。すでに最高裁の判例におきましても、二十七年の改正前の協約の成立要件として署名が必要であつた、それが記名捺印になつていつたものも社会通念上有効ではないか、日本では記名捺印は署名にかわるものであるから、そうこまかく様式行為云々といわぬでもいいのじやないかということで効力が争われ、その当時政府としましても、そういつた社会通念を認めるというふうに傾いておつたのでありますが、最高裁としては、この様式行為の要件というものは厳格に守らなければならないという判決を下したわけであります。そういつた点から申しますると、調印のない労働協約というものは、協約としての効力を完全に発生しておると言うことは、困難ではないかと考えております。ただ、協約というものは、何も協約という銘を打たなければできないものではない、覚書とかあるいはあつせん案に対する受諾書というようなものにつきまして、たとえばあつせん案に対して両方が記名押印して受諾する。これが覚書になれば、覚書によつてこれこれの事項を定めたものは労働協約とするというふうにしてこれに協約の効力を与えることは可能であろうと考えております。
○大西(正)委員 それで、今の説明では、その後の地労委のあつせんの受諾の場合に、今あなたがお話になつた形式がとられておることも、私の調査の範囲では見ておるのであります。そうなりますと、今回の解雇が不当であるという私どもの考え方も、成り立ち得ると私は思うのであります。但し、私はここで、これ以上この問題について、あなた方の方で、これは無効であるというような見解をはつきり声明せよというようなことは申し上げませんが、少くとも私の申し上げた範囲では、あなたの今の説明は、解雇無効ということの一つの理由が成り立つ、こういうことになると私は思うのですが、そのように考えてよろしゆうございますね。
○石黒説明員 十五日に判決が出るそうでございますので、ここに具体的事案につきまして予断を下すようなことは、差控えさせていただきたいのでありますが、協議決定約款に違反した解雇は無効であるということは、学説、判例といえども、ほとんど確立したところと考えております。
○大西(正)委員 それでは今おつしやつたように十五日に判決が出るわけでありますが、私はこういういろいろな事情を勘案されて、組合の立場も十分生かされて来るということを期待いたすのでありますが、万一この解雇ということが実現した場合でも、問題のもう一つは、就業規則に定めるところの退職金の問題であります。これも私の調査によりますと、退職金の規定の三分の一しか払つておらぬ。そうしてその残りを社長の何とか慰問金というので、合計規定によるところの二分の一しか払つておらぬのであります。これも組合側としては、退職金というような名目ではとらないという意思表示をはつきりしておるのでありますが、そういたしますと、よしんば解雇されたといたしましても、就業規則によりまして、退職金は規定通り全額支払わるべきものだと私は考えるのでありますが、いかがでございますか。
○石黒説明員 就業規則に基く退職金は、もちろん全額支払わるべきでありますが、就業規則よりは、協約、協定の効力の方が優先いたしますので、もし協定によりまして、就業規則に基く退職金の金額を切り下げて組合が了承したという事実がありとすれば、退職金はそれだけ下るということになるかと存じます。
○大西(正)委員 今の協約の中にそれがうたつてなければ、当然就業規則の規定通りは完全に履行さるべきものだ、こういうように思うのであります
○石黒説明員 その通りでございますが、ただ協約とおつしやいましたのは、前に問題になつた協約ではなくて、この事件につきまして、何日でございますか、組合と会社とが払うか払わないか、ごたごたいたしまして、それで話が団交の結果、会社は全面的に受諾するに至つたので、この至つたときに協定書をつくつておれば、それもまた協約書と同じものになるわけであります。
○大西(正)委員 あなたのお話は、そういう場合があればということなんであつて、ないのですから、この点は労働省としての見解ははつきりしておりますね。 それでは第三の問題は、今お話のありました失業の問題でありますが、非常に抽象的なお話であつたわけでありますけれども、これは明らかに九次造船の割当にからむ一つの工場閉鎖によるところの大量の失業です。こういう問題に対しての今の対策としては、これはまことに不十分であろうと考えるのであります。もう少しこれに対しての特別なる措置が望まれるわけであります。この点についてお考えがあれば、もう少し詳細にお聞かせ願いたいと思います。
○村上説明員 お答えいたします。この問題は二つあると思います。一つは、根本的な再建整備の問題でございます。一つは、どうも再建整備がうまく行かない、その場合の離職者に対してどういう手当をするかという問題になります。それで再建整備の問題につきましては、先ほど政務次官から御答弁がございましたように、県が非常に力を入れて、何とかして再建するように持つて行きたいと、県知事以下非常に努力をいたしておるそうでございます。私どもといたしましては、その地元の努力を期待しておるわけでございますが、労働省プロパーの問題としまして、離職者が発生した、これをどうするかという問題につきましては、まず失業保険制度を活用いたしまして、円滑に失業保険金が支払い得るように、すでに指令いたしておるわけでございまして、なお本年度第一・四半期の失業対策事業費の割当にあたりましても、かりに十二月に失業保険金をもらいますと、六月の初めにそれが切れる。何としても職が見つからないので、失業対策事業にでも就労させてほしいという方々が出ることも予想されますので、若干ではありますが、新湊市、それが高岡市でございましたが、この工場のあります所の人たちに対しては、就労わくの増加策も講じておる次第でございます。第二・四半期以降につきましては、現地の情勢に見合うようにいろいろ検討して参りたい、かように今考えておる次第であります。
○大西(正)委員 さつきの政務次官のお話では、法規の問題以外に、会社がどうしても閉鎖、解雇しなければならぬ理由があれば、それはやむを得ぬ、こういうお話であつたのですが、その理由というようなことについては、あればというふうなお話であつたのですが、実際そういう理由があるかどうかということは、労働省の調査はなされておりますか。
○村上説明員 その閉鎖の理由その他につきましては、冨山県から報告を受けましたところでは、先ほど政務次官が申し上げましたように、第九次造船計画が失敗に終つた。その後一般的に造船関係は非常に受註が困難である、そういうようなことから工場を閉鎖せざるを得ないような事態に立ち至つたという報告は受けておりますが、この資料としていただきましたような会社対組合のいろいろなこまかい関係につきましては、正確に入手しておりません。
○大西(正)委員 それは今の御答弁では、やはり私が差上げたこの組合の調査によるものの範囲以上には出ておらぬですね。これをお読みになつても、解雇しなければならぬ理由があればと言われるけれども、ここでは第六のところに書いておるように、資産約六億六千五百万円に対して、負債が四億三千七百万円、差引二億二千八百万円の資産超過である。九次造船が割当てられなくても、何もこれを閉鎖し解雇するところの理由はない。また経営者の意図がどういうところにあるかということは、そのあとのことで、私どもはここに一応調べておる。こういうところにおいて、一応の調査はできておると言われるが、やはり具体的な十分な調査がないようです。また法規の説明をなさつた方も、もし労働協約の中にそういうことがあれば、就業規則以外にどうだというような仮定の法律論ばかりになつて参ります。これでは具体的な問題の解釈にはなりません。おそらくあなた方もそういうような論議で、労政担当者といたしまして、この問題をそういう法律の解釈だけで逃げようという考えはないと私は思う。これは私が組合から得た資料であります。組合としては、ただいま失業状態にあるから、こういう要求をいたしておるのでありまして、またあなたの方としては、経営者側の言い分もお聞きにならなければならぬと思う、その他の資料もお集めにならなければならぬと思う。ですから、私はここで早急な結論を出して、ただちにどうこうしろということは申し上げませんが、ひとつさらにこの問題について出先を督励され、あるいはまた直接本省から調査員を派遣されまして——かなり特殊な問題でありますし、おそらくこういうケースは今後また出て来るということも考えられますから、そういう意味からも、ひとつ御調査を願つて、その調査の結果に基きまして、さらに対策を立てていただいてはいかがかと思うのですが、どうですか。
○安井政府委員 お話の通り、大西委員の御提供になつておりますところの調査あるいは研究を、まだ労働省で十分検討していない次第であります。一応の報告を受けまして、それに対する一応の対策は考えたのでありますが、お話の通りに、さらに十分具体的事実を調査いたしました上で、善処したいと考えております。
○赤松委員長 大西君、次会までひとつ質問を留保願いまして、その間十分の調査をしてもううということにお願いいたします。 暫時休憩いたします。 午後一時二十二分休憩 〔休憩後は開会に至らなかつた〕