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19回国会衆議院1954/05/12

労働委員会 第22号

発言数
109
登壇者
11
会派数
3
開催日
1954/05/12

会議録

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより会議を開きます。  小委員の補欠選任についてお諮りいたします。去る三月二十日に委員佐藤芳男君が、去る四月十七日に委員中原健次君が、いずれも一旦委員を辞任されましたので、けい肺病対策小委員に欠員を生じております。また去る四月十五日委員稻葉修君が一旦委員を辞任されましたので、港湾労働に関する小委員にも欠員を生じております。この際両小委員の補欠選任を行いたいと存じますが、前例によりまして、委員長より補欠小委員の指名をいたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議なしと認めます。  まず硅肺病対策小委員に佐藤芳男君及び中原健次君、港湾労働に関する小委員に稻葉修君をそれぞれ指名いたします。     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ただいまの理事会におきまして御協議願いました日本国有鉄道に関する仲裁裁定実施をめぐる紛争問題の実情調査報告書原案について、お諮りいたします。本報告書原案は当委員会報告書と決定し、これを議長に提出することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議なければさよう決します。     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 次に労働基準法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一一号)を議題として審査を進めます。  まず提案者より提案理由の説明を願います。栗山良夫君。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○栗山参議院議員 ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。  酸、燐、砒素その他の化学薬品または鉛、水銀その他の工業原料を多量に使用する作業に従事する労働者におきましては、その作業場内に発生する蒸気または粉塵とともに飛散するこれら有害物のために、口腔内に損傷または中毒症状を呈するのであります。  その損傷または中毒症状が漸次進むにつれて、その労働者の咀嚼機能及び身体の諸器官に多くの障害を与え、かつ、その作業能率にも影響するところが少くないのであります。  現行法におきましては、これらの作業に従事する労働者の口腔内の健康診断につきましては、他の一般の作業に従事する労働者と同様に、医師によつて、消化器の健康診断の一部として行われておるのでありますが、これらの労働者の口腔内の損傷または中毒症状は、他の諸器官にも多大の影響を及ぼすため、その早期発見及び早期治療の必要性が、労働衛生上の見地から、つとに強調されておつたのであります。従いまして、かかるこれらの有害物を使用する一定の作業場内における労働者に対しましては、医師の健康診断のほか、歯科に関する専門医たる歯科医師の口腔内の健康診断をも行い、口腔内の損傷または中毒症状の早期発見及び早期治療の全きを期し、労働者の健康の維持及び作業能率の向上をはかろうと思いまして、この改正案を提出した次第であります。何とぞ、御審議の上すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。  なお本法律案の内容に関しまして、若干の補足的な説明を磯部尊門員からいたさせることにいたしたいと思います。

磯部巖参議院労働委員会専門員

○磯部参議院労働専門員 ただいま栗山委員長より御説明申し上げた通りでありまして、口腔口内に現われまする症状を診断いたしまして職業病を早期に発見するというのが、この改正案のねらいでございますが、それにつきまして、どういうふうな事業に従事している者にそういう職業病が発生するかと申しますと、大体お手元に資料を差上げてございますが、それによつてごらん願いたいと思うのでございます。まず第一に、水銀、砒素、黄燐、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸その他これに準ずる有害物を取扱う業務、第二は、鉛、水銀、クローム、砒素、黄燐、弗素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸その他これに準ずる有害物のガス、蒸気または粉塵を発散する場所における業務、大体この二つが対象となつておるのでございます。  御承知の通りにこれらの業務は、現行の労働安全衛生規則の第四十八条に、その他の業種とともに列挙してございまして、これらは五十二条第一項の健康診断を雇入れの際に行わなければならない業種のうちの一部に載つているわけでございますが、現行法におきましては、第四十八条の第一項第二号の(イ)から(カ)まで列挙してありますうちの(ル)と(ヲ)に書いてあるのでございます。しかしながら、この(ル)と(ヲ)に書いてございます業種の中で、特に口腔内に影響を及ぼさないと認められるものは、今回は削つてあるのでございます。従いまして、この法律案が制定いたされますと、大体今私が申し上げました程度の業態を指定いたしまして、これらの業務に従事する者のみが歯科医の診断を受けなければならないということになるように命令で定められることになると考えます。  引続きまして、こういう業務に従事していますと、どういうふうな疾患が起るかということを簡単に申し上げますと、ただいま申し上げましたような事業場で発生いたしまする有毒物のガス、蒸気または粉塵によりまして、歯が直接侵されますか、あるいはまたその他の部分に職業病が起りますと、その部分現象として、歯または歯齦粘膜に病変が来るということは、従来から発見されておつたのでございますが、そのおもなるものといたしましては、まず塩酸、硝酸、硫酸等を取扱いまする業務におきましては、それらの鉱酸ガスの吸入によりまして歯牙酸蝕症という症状を来す。と申しますのは、歯が侵されまして、これが磨耗したりまたは歯齦炎ができる。従つて歯はその固有の色沢を失いまして、唇面歯頸部からその切端の方に向いまして急速に欠けて参るのであります。舌にそういう影響が及ばないのは、唾液によつてこれが常に清掃されているからでありますが、発現の部位は前歯部に多くて、症状は進行するに従いまして歯髄の炎症も引起して来るのであります。  次に、弗素化合物、特に弗化水素を取扱う業務におきましては、歯牙のかたい組織の破壊が起り、また粘膜を刺激してここに潰瘍を生ずる。  黄燐あるいは砒素を取扱う業務におきましては、黄燐が体内に吸収されますと、主として骨の栄養障害を来しまして、骨が脆弱となるのであります。骨疽は顎骨のみに起るのでありまして、ほかの骨には生じないのであります。またこの病気は慢性炎症の存在する部位から起りまして、歯槽突起ばかりでなく、顎骨にまでどんどんと蔓延いたしまして、歯牙及び骨の疼痛、神経痛、あるいは顎骨の周囲の膨脹を伴つて来る。そうして顔色は蒼白あるいは黄褐青色等に変じて参りまして、むくみを起して来るという病気でございます。  次に鉛を扱う業務におきましては、鉛ぶちを生じまして、歯齦に幅一ないし二ミリの青黒いあるいは灰色のふちが歯にできるのであります。また金歯齦粘膜に広く青色が現われて来る。まれには唇、舌あるいは頬較口蓋の粘膜にも鉛が沈着するようになつて参ります。  水銀を扱う業務におきましては唾液の分泌が増加いたしまして鉱物の味を感じ、歯齦にありの走るような感じがする口腔粘膜の熱感、鈍痛、歯牙の弛緩動揺を来す。歯齦はだんだん浮腫状にむぐんで参りまして帯青暗紫色を呈しまして、血行障害のために特に歯齦炎、智歯周囲炎の慢性炎症のある部位にロ内炎を発生するというようないろいろな病気が発生しておるのであります。  この中で最も重要なものは歯牙酸蝕症でございますが、これは全国におきましては、すでにそれらの患者が発生を見ておるような状況でございます。簡単でございますが……。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより質疑を許します。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 労働省にお尋ねいたします。今参議院の専門員の方から、詳細に説明がありましたが、ことに命令の改正ですが、労働安全衛生規則の四十八条の(ル)、(ヲ)というのを歯科医師の診断を要する、おそらくこういうようにされるであろうということでしたが、労働省としてはこの法案が可決されますと、そういうふうにお取扱いになるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 省令の表現の方法につきましては、十分慎重に検討しまして、この法律の趣旨に合いますよう規定をいたしたいと考えます。まだ技術的に多少調査を要する面もございまして、今ここでその条文の内容を申上げるまでに至つておりません。十分法律の趣旨を体しまして規定いたしたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 質疑はありませんか。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 私はこの際動議を提出いたします。ただいま議題となつております労働基準法の一部を改正する法律案は、その必要性もきわめて明白であり、条文もきわめて簡単でありますので、この際質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決されんことを望みます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ただいまの多賀谷真稔君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議なしと認め、ただちに本案につき採決をいたします。  本案を原案の通り可決すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 次に労働基準法諸規則に関する件について調査を進めます。この際質疑を許します。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 労働基準法施行規則及び女子年少者労働基準規則改正に関する中央労働基準審議会の答申が行われたようでありますが、その答申の内容並びにそれに対する労働省の御所見をまず伺つておきたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御質問にお答えいたしたいと存じます。御説明の順序としまして、政府が諮問をいたしました各条項ごとに原案を作成しました理由と、それに対する審議会の審議の経過並びに答申の内容の順番で御説明をいたします。  まず第一番目の第五条関係でございますが、施行規則第五条は、法律の第十五条第一項の規定を受けまして、使用者が労働契約を締結する際に、労働者に明示しなければならない労働条件の範囲を規定いたしておるわけでございます。すなわち法律の第十五条におきまして「賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定をいたしておりまして、その他の労働条件というものの範囲をこの規則の五条が規定をいたしておるわけでございます。この中の第二号におきましては「法第八十九条第一項第一号乃至第九号に規定する事項」というのがございます。この中の第九号の規定は、法第八十九条をごらんいただきまするならば「前各号の外、当該事業場の労働者のすべてに適用される定をする場合においては、これに関する事項」これを就業規則の中に規定をいたしまして、労働者と労働契約を締結する際に明示しなければならないという規定になるわけであります。この九号の中には、いろいろな規定が含まれておるのでございます。一号から八号までは明らかに労働条件と認められますが、この九号の中には、労働条件と認めがたいものがたくさん含まれて参るのでございます。なぜならば、使用者は自由にこの九号におきまして、労働者の全部に適用を受けまする定めをすることができることになります。従つて明示をしなければならない労働条件としては、非常にあいまいなものになつているのが現行の規定であります。そこでわれわれとしては、明示を罰則をもつて義務づけております労働条件の範囲を明確にしたいという趣旨で、第九号を削除をする原案を審議会に提出をしたわけでございます。審議会におきまして審議をいたしました結果、この九号を削除することには異存はないか、しかし九号の中にも、朗らかに労働条件と認められるものもある。たとえば休職に関する事項、こういうのもあるので、削除することについては異存はないが、そのかわりに休職に関する事項については規定をすべきであるということで、労・使・公益三者の意見が一致をいたしたのでございます。  次の第三号は、寄宿舎規則を明示をさせる義務を使用者に課しておのでございますが、寄宿舎規則に盛られます内容は、法律の九十五条に規定されておりますように、労働者の私生活の規律に関する事項でございまして、これをもつてただちに労働条件であると言うことは、いろいろな角度から検討いたしましても、困難な面があるわけでございます、従いまして、われわれとしましては、罰則をもつて明示を義務ずけます労働条件としては適当でないという趣旨で、これを削除する原案を審議会に諮問をいたしたわけでございます。審議会におきましては、寄宿舎規則自体が労働条件であるかどうかということについては、いろいろ疑問がある。しかし、ここでその問題を討議するのは、相当根本的な問題になつて、意見のまとまりがつかないので、これはこれとして、寄宿舎の関係において労働条件と認められる寄宿舎に入退舎をする場合の条件、これは明らかに雇用関係と結びついて参りますから、これを明示させることとし、寄宿舎規則を明示することについては、事業場附属寄宿舎規定の改正の際に、そこで使用者に義務づけたらどうであろうかということで、労・使・公益三者の意見が一致をしたのでございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 この際委員諸君にお諮りいたしますが、総括的な説明を基準局長にしてもらうか、それとも、とにかくこれは改正もあろし改悪もあるのだが、その箇条々々を逐条審議して行きますか、どういう方法にいたしますか。  それから委員長の手元に島上善五郎君から、緊急に基準局長に質問をしたい事項があるという質問通告が実は来ておるわけなんです。そういう緊急の質問事項を最初にやつて、そしてこの規則改正の逐条審議に移るか、総括的な質疑に移るか、これの御意見をお伺いしたいと思います。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 こまかい改正問題に今入つたわけですから、私としてはこまかい改正問題をやつて、そのあとでもいいのです。私は基準行政問題について、少し質問したいと思うのです。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それならば、実は基準局長は、きようは監督課長会議を招集してあるし、また午後本会議もございますので、午後の委員会は、できる限り時間を少くせざるを得ないかと思うのです。それで、その基準行政に関する島上君の質問をしてもらつて、そのあとで、昨日参議院の労働委員会に陳情があつたようですし、なお私の方へも昨日婦人新聞記者諸君から実は陳情があるわけで、これをぜひ皆さんの御了解を得て参考意見を述べていただこうと考えております、と申しますのは、基準審議会におきましては、こういう意見はほとんど出ていないのですし、公聴会においても出ていないようです。従いまして、基準局長としましてもこういう直接改正の対象になる人たちの意見を聴くことは、委員会と同様必要であると思いますので、これはぜひ許したいと思います。そこで島上君の緊急質問、それから婦人新聞記者諸君の御意見、この二つの意見を先に出していただいて、あと逐条審議に移つたらどうかと思いますが、いかがですか。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 一応基準審議会の答申も行われているのですから、審議会の答申の結果をわれわれは重視しなければならぬと思う。従つて、答申案について説明をすることが、時間上困難であるとするならば、文書によつて、審議会の状況が今明日中にわれわれにわかるというのであれば、後日でもけつこうです。至急にその手配ができるかどうかを伺いたい。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 答申案はお手元へ行つておりますか。     〔「来ていない」と呼ぶ者あり〕

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 労働省としては地方で公聴会を関かれたと思うのです。その際どういう人がどういう発言をされたか、その要旨だけを、簡単でよろしゆうございますから、文書でお知らせ願いたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは今、井堀君の御要求のございました審議会の答申案は、至急取寄せましてお手元に配付いたします。それ以前に島上君のそれと、それから婦人新聞記者諸君のそれがありましたならば、ちよつと御意見を出していただいて、そして答申案を配付して、それから審議の方法について御協議したいと思います。  それではそのように御了承願います。島上善五郎君。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 最近労働省が職種別等賃金実態調査及び個人別賃金調査をすることになつたようでございますが、これは労働基準監督署の職員のほとんど大多数を動員してやることになるようでございまして、その結果は、今日でさえほとんど不十分である基準監督行政が、まつたく麻痺状態に陥ることが心配されるのですが、この調査に関しまして、そのようなことを十分に考慮してやつているかどうかということを、まず最初に伺いたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 目下実施をいたしております職種別等賃金実態調査と個人別賃金調査につきましては、言うまでもなく基準局の行政の分野でございまするし、基準局におきましてこの調査を分担することは、労働省設置法上当然だと思います。ただ、それが監督署の一般的な業務に支障がありまするならば、これはまた別な角度からこれに対する対策も講じなければなりませんので、われわれとしましてこの調査をいたすにつきましては、通常の業務運営にどの程度支障があるかということを調査いたしまして、そうしてまた、その範囲内においてこの調査をやるにはどういう方法でやるべきかといういろいろな調査の結果、地方に指示をいたしまして、この調査の準備を今いたしておるわけでございます。ただ問題は、行政を運営する際には、人員、予算等を重点的にその必要な面に向つて使つて参りますることは、これは行政運営上の基本でございます。そういう意味で、この大きな調査をするについて、多少一般業務がそれによつて妨げられると申しますか、遅れると申しますか、多少のところはこれはやむを得ないのじやないか。これは基準局内のいろいろな他の行政におきましても、同様なことがいるのでございます。その都度重点の業務に人員と予算を重点的に使つて行くという一般的な考え方でございます。ただそれが本来の業務に重大な支障を来すということは、われわれとしてはできるだけ避けなければならないのでございますので、そういう配慮は十分いたしておるつもりでございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 多少の支障を来すことは、避けがたいということでしたが、私どもが考えますると、これは多少の支障ではなくて、調査の期間中は本来の基準監督行政がまつたくストツプしてしまう、あるいはストツプにひとしい状態になるという心配が多分にある。一体この調査にあたつては、基準監督署の職員を二分の一動員するという指令を出しておるように聞いておりますが、実際にその衝に当つておる者の話によりますと、三分の二動員することになるだろう、しかもこれは短期間に相当たくさんの事業場を調査をするので、三分の二でもおそらく不十分であろう、事実上もう全員にひとしい状態になるというふうに聞いております。そうだとするならば、多少の支障ではなくて、実際上調査期間中は、本来の監督行政がストップしてしまうという心配がされるのです。今の御答弁では、はなはだ実態に沿わないその場限りの答弁であるように思われるので、その点もう少しはつきりと具体的にお答えを願いたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御説明申し上げます。現在の地方の機構を申し上げますと、各局に給与課がございます。それから各署に給与担当の係官が配置をされておるのでございます。これは賃金関係の特別の項目の予算で運営されておりまする職員でございます。そこで局としましては、もちろん給与課が主体になるのは当然でございます。ところが署に参りますると、給与担当の者が専任をされておりまする大きな署の場合と、兼務でやつておりまする署の場合とあるわけでございます。従いまして、二分の一とか三分の二とか申し上げましても、その中には当然給与関係の仕事を分担しておる者も入つておるわけでございます。従つて、その者が主体となりますことは言うまでもございませんが、それとともに、また他の監督官なりあるいは事務官がこれに応援をするという形でございます。そこでその応援の仕方について、本来の業務にそれほどの支障を来さないようにという配慮は、先ほど申し上げましたように、しておるわけでございます。署全員がやつてこの調査に当るというふうなことは、われわれとして考えていないのでございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 考えていないとおつしやいますけれども、この指示されている文書によりますれば、はつきりと総員の二分の一を動員するように計画するというようなことが出ておる。そうしてこの短期間に調査する多数の事業場の調査の業務の量からしまして、実際には二分の一でも不可能に近いほど困難であろうということが考えられるので、結局は二分の一以上三分の二動員するということになりまして、私は、今調査に入つたばかりで、あとにならぬと事実ははつきりいたしませんけれども、事実がはつきりいたしますれば、この期間中、本来の監督行政がまつたく麻痺状態に近い状態になるという結果が現われて来るということを心配するのです。一体今の監督官の人員等から考えまして、今行つている監督行政自体が、もうすでに麻適していると私どもは見ているわけです。御承知のように対象事業場はどんどんふえておる、しかるにその反面監督官の数は年々どんどん減つておるということは、このような調査を行わないふだんの状態でさえそうなので、私はふだんの状態自体がすでにもう監督行政が非常に麻痺状態に近いほど低下して来ておる、こう考えておるのですが、そのふだんの監督行政について、基準局長から、これが十分、あるいは完全に行われているかどうかという点を、数字に基いて具体的にひとつお答えを願いたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 ふだんの監督の状況を数字で示してくれということでございますけれども、ここに実はこまかいデータを持合せてございませんが、たとえば監督日数をとつてみますと、昭和二十七年の監督総日数は十七万二千七百十五日でございまして、昭和二十八年の一月から十月までの総計が十五万一千三百七十八ということでございまして、この点は明らかに十二月末までの数字は、昨年を上まわつておると思うのであります。また監督官の一人当りの一箇月間の監督日数は、昭和二十七年が一一・五でございましたのが、昭和二十八年の十月までの平均をとりますと一二・四一になつておるのでございまして、また一日当り監督官が監督しました実施事業場の数を見ましても、昭和二十七年が一・六事業場でございましたものが、二十八年の一月から十月までの平均が一・七事業場ということになつておりまして、現在におきましては、私としまして御指摘のような監督の実績が低下しておるというふうには考えていないのでございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 監督の実績は低下していないとおつしやるけれども、人間がどんどん減つておる、対象事業場がどんどんふえておる。さらに今の行政整理に際しましても、労働省のうちの整理の対象が、まず最も多いのは基準監督行政であるということを考えますならば、それは私は単なる強弁にすぎないと思う。これで一体基準監督行政が十分であるというふうにお考えになるならば、私どもは実に驚くべき御答弁だといわざるを得ないと思うのであります。決して十分ではない、だんだん悪くなつているということは、数字においても示しておると思う。この点に対して、基準局長の御見解をもう一度はつきりと伺いたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 理想の監督官の数が何人で、予算がどれくらいかということは、これは非常にむずかしい問題でございます。低下しているか、していないかという問題は、相対的な問題でございます。理想をどこに掲げて、それから比べてどうだということは、非常に私どもとしてもむずかしい問題でありますが、ただ私が申し上げたいのは、監督官の人数だけで監督行政が浸透しているか、していないかということを見るのは、少し間違いではないか、それよりも私らが今考えておりますのは、監督官の質の問題でございまして、よく検察当局から言われるのでありますが、監督官が捜査能力に欠けておる。従つて、送検をしましても、起訴され得べき素材のものも、捜査能力が十分でないために起訴することができないというふうな話を、かねがねね聞いております。従いまして、この面の監督官の質の向上という点につきまして、特に重点を置いておるのでございます。それとともに、内部事務が相当でございます。先ほど統計で申し上げましたように、大体一月に十二日から十三日監督を実施するのでございます。残りの日数は内部事務を、いわゆる監督しました後の整理等をいたすわけでございます。あるいは本省に対しまする報告その他あるわけでございます。そこで内部事務をできるだけ簡素化して、実際にわらじをはいて現地に監督し得る体制を強化したいというので、今回の改正も、実はそういう意味で内部事務の整理も含めまして考えておるような次第でございまして、監督官のそういう質の向上と内部事務の整理——これは本省に対しまするいろいろな報告等、むだな報告がございます。そういうようなものをできるだけ簡素化して、監督官が寅際現地において活動できるような体制をつくつて行きたいということで、実は努力をいたしておるのでございます。ただ、御承知のような緊縮予算の折からでございますので、本年度予算は、昨年に比べまして多少はふえおりますが、われわれの期待するほどの増加を見ていないので、これをより合理的に使つて効果をあげたいということで、鋭意今検討しておる次第でございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 なるほど質の問題もそれは関係のあることは、私どもも認めますが、しかしそれはおのずから限度があることであつて、やはり人員とか予算とかいうものが十分でないと、どんなにりつぱな監督官であつても、一人で行い得る業務というものはおのずから限度があるわけであります。今日のように、人員がだんだん減らされ、予算が今も御答弁の中にありましたように不十分であるとお認めのように、私どもは予算の面においても、基準局長とは考えが違いますけれども、非常に予算が少くなつて来ているという点から見ますれば、基準監督行政が事実上麻痺されている。その面において、基準法が実施の面においてもう大改悪をされておるのが現状である、こういわざるを得ないのであります。先ほどの調査の問題にもう一ぺんもどりまして伺いたいのですが、今度の調査に際しまして、この官房統計調査部長の名によつて出した文書によりますれば、この調査は統計法に基く指定統計であるから、調査の際に基準法違反が摘発されましても、それは本来の基準監督行政とは違うのだから、それを摘発することのないようにという指示をされております。そういたしますと、調査の際に基準法違反がわかつても、それについてはまつたく手を打てないということになりますれば、この面においても基準監督行政は、その間少くとも麻痺するということになると思いますが、この点についてはどのようにお考えですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 指定統計でございますので、統計法の建前から形式的にはそういうことになろうかと思います。従いまして、その調査をしましたときにおける違反というものを、摘発することはできないのでございますが、しかしそういう使用者でございますれば、当然同じ事態を繰返す可能性を持つております。そこで再監督をいたしまして、そういう違反をつかみ得る。これはより能率的に監督を実施し得る足場をつくるものと考えております。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 この調査にあたつて、私ども調査の予算の使い方に非常に無理があるように思いますので、もしこの点おわかりでしたら、お答え願いたいと思いますが、たしか三千万円の予算を投じてやられると聞いておりますが、その予算の大部分は印刷費等であつて、調査に当る職員の交通費並びに超過勤務手当等は、まつたくお話にならぬような零細なものであるというふうに聞いております。その点に対して、具体的に、たとえば東京では職員の調査の予算がどのくらい、超過勤務手当についてはどのように考えているという点がおわかりでしたら、はつきり御答弁を願いたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御質問の内容は、実は統計調査部の所管でございまして、私はそのこまかい内容を存じていないのでございまして、答弁をいたしかねますので、あしからず御了承願います。もし御必要でございましたら、帰りまして、書面によりましてお答えいたさせるようにお伝えいたしておきます

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 この点については、労働大臣と統計調査部長にあとで来ていただくことにしまして、質問を保留いたします。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 ただいまの問題に関連いたしまして、一、二お尋ねいたしたいと思います。今島上委員からお尋ねいたしました今度の賃金調査でありますが、今の官庁組織で行きますと、地方の都道府県に散在しております労働基準局もしくは六百三十余の全国にありまする基準監督署を通じて調査をすることは、一番徹底した調査ができると思うのでありまして、こういう行政機関を動員して、短時日のうちに正確な資料を得るというそのこと自体には、私は反対するわけではありません。しかし、今日各地に賃金遅配の問題が相当はげしくなつて来ているわけであります。さらに中小企業等にありましては、基準法の脱法は目に余る現状であつて、こういう状態を放置することは、日本産業の破滅を導く恐るべき傾向が現われておると思う。これを防止し得る唯一の道は、監督行政を徹底させる以外にないと思うのであります。こういう重大な監督行政の第一線の活動を期待しておりまするときに、この労働統計は、重要であるという点については、十分認識しているわけでありますが、この監督機関を、たとい一箇月であろうとも、これを総動員して統計調査に当らせるということは、監督行政に重大な障害を来し、日本経済の恐るべき結果をここから生じて来ると思うのでありますが、監督行政の責任の地位にある局長としては、この監督行政の重大な時期にあたつて、かかる多数の署員を動員し、かつ長時間の努力を必要とする統計事業について、どういうぐあいに割切つているかをまず伺いたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、賃金の調査は、基準局の所管事項でございます。そのための職員の配置もなされておるのでございます。従つて、今回の職種別賃金等実態調査並びに個人別賃金調査を実施しますのも、これは基準局の当然の職責だというふうに考えております。ただそれが、先ほど島上委員からの御質問のように、一般行政に影響を来さないようにという声は、先ほど申し上げましたようなふうに考えて、実施をいたしておる次第でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 労働基準監督行政の中で、統計に関する昭和二十九年度の予算説明の中では、労働省は全国で三百三十五名の人員を見込んで予算化しておるようであります。これが労働統計の日常業務に携わることは、予定されたことでありますから、一向さしつかえは生じて来ない。ところが二十九年度の予算で、二十八年度とまつたく同じ人員しか要求していないのであります。総人員において五千三十七名、都道府県の基準局の人員が全部で一千四百七十二名、三百三十六の基準監督署の総人員が二千五百名、婦人少年局の婦人少年室の百四名、それに労務者用物資の配給に六百二十大名、それに先ほど申し上げた統計調査に三百三十五名、合計五千三十七名の要求しかされていないのでありまして、このこと自体に、われわれは非常な不満があることを、労働行政一般に対する質問の際に明らかにしておいたわけであります。というのは、そうでなくても、自然の労働人口増もしくは事業場の増大、こういうような事情は、二十八年と二十九年とは非常にかわつて来ておる。ことに監督行政については、政府の緊縮予算や日本経済のあおりを食うそれぞれの状態から判断して、監督行政は一段と多端な任務を負わされて来ることは、何人も想像するにかたくないのであります。こういう時期ではあるが、緊縮予算全体の被害を受けて伸び悩んでおるという答弁について、われわれはやむなくこれを国会では認めて予算を通したわけであります。そういうぎりぎりの人員の中で——今のあなたの御答弁は、この中でいう統計調査の三百三十五名の仕事のことについて、答弁があつたと思うのであります。今政府の計画しておりますのは、大がかりな全国的な賃金調査をやろうという特別予算を組んでおるわけであります。でありますから、この予算の中で、新しい人員をかかえて調査するというのであれば別でありますが、この仕事に労働基準監督の人員を割愛しないというはつきりした御答弁が願えるなら、私の質問は意味をなさぬわけであります。もう一度念のために伺つておきますが、現在ここにあります五千三十七名の人員は、臨時に行う今度の統計については関与せしめない、こういう御答弁であれば、今の御答弁は生きて来ると思う。そうでないとするならば、その余剰人員は一体どこから吐き出すかについて伺わなければならぬと思う。まずこの点を明らかにしていただきたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 御指摘の人員の中で、統計調査関係の職員と、労務用物資の職員、これで局の給与課並びに署の統計並びに給与関係の仕事の人員は構成されておる実態でございます。これだけで今回の調査が十分完成するとは、われわれ考えておりません。従いまして、先ほど申し上げましたように、これがわれわれの行政の一部門でありますだけに、重点的に行政を実施します際には、ある程度その重点に向つて他の力を応援させるということは、一般行政運営の原則論でございまして、そういう意味で、一般の職員をそれに応援させておりますことは事実でございます。ただ、その際に気をつけて、一般の行政が著しくそれによつて阻害されるというようなことのないような配慮はいたしております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 もう一度はつきりお答えいただきたいと思いますが、今度労働省で行います賃金の統計は、かなり大がかりなものであることは、今度の予算措置でも明らかである。この予算人員でその調査を行うのであるか、あるいは先ほど私の説明いたしました五千三十七名の人がその調査に動員されることになるのであるか、その点をはつきりお伺いいたしたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 調査の中には、その事業場自体の人の謝礼も含んでおります。それからまた集計のための臨時集計員の費用も含んでおります。そのほかに、先ほど申しました給与課系統の職員と、一般の行政の職員に対する応援分、こういうもので運営されるわけであります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 くどいようですが、そこの点をわかるようにもう少しはつきり答弁していただきたい。私どもの伺いたいのは、従来の労働省設置法もしくは組織法によつて規定されております監督行政の仕事というものは、これはさまつているわけです。今度行われる調査は臨時のものです。その臨時のものに、さつき申し上げれ五千三十七名の予算定員が動員されるか、全然されないかということをまず伺いたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 先ほど申し上げましたように、一般の職員も応援をいたします。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 今島上君から、本件につきまして大臣の出席を要求されておるのですけれども、井堀君の御質問も重要な基準行政の問題ですから、やはり同様御要求になりますか。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 来てもらわなければ答弁できないでしよう。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 労働大臣の出席を求めることは、皆さんよろしゆうございますね。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは続行してください。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 労働大臣が来られたら、もつとはつきりしたことを伺いますが、今明らかになりましたところによりますと、今度の臨時の賃金調査に、監督行政の最も逼迫した重大な任務を担当しているこれらの人員が割愛されるということが明らかになつたのでありますが、その人員をどれくらい予定しておいでになるか、おわかりであればお答え願いたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 私らとして、ただ二分の一程度というふうな一応の指示をしておりますが、これは各局各署の一般業務との関係もありますから、全国画一にそうなるのか、あるいは二分の一以下で済むのか、あるいは多少それにプラスされるのか、それはその局署の実情によつて違うかと思います。従つて具体的な人数を指示していることはありません。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 約二分の一でけつこうです。  もう一つお尋ねしておきたいのですが、この仕事に関係いたします期間は、どのくらいの期間をお見込みになつているのですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 本月で準備をいたしまして、そうしてその集計をいたし、遅くとも来月の二十日ごろまでには完了するということに考えております。といいますのは、逐次各局各署でまとめましたものを本省に送ります事務が済みますれば、それでこの調査は終りでございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 関連して質問しますが、ちやんと正式に出した文書の中に、二分の一動員の計画を立てるようにという指示があるのです。応援するんじやなくて、本来の基準監督行政をなす職員の諸君が中心であつて、二分の一応援するように示している。合の御答弁の中には、監督署の状態によつては二分の一以下にもなると思うということでしたが、おそらくはいかなる監督署においても、最低二分の一で、実際はそれ以上になるであろう。この指示の文書から見てもそのように判断せざるを得ないわけですが、その点どのようになつているのでありますか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 応援という言葉を使いましたのは、本来の業務でありません関係で応援——通牒は二分の一以上の動員という言葉は使つておりません。はつきり私記憶ございませんことですが、その程度の人員でやれという指示だと思うのでございます。われわれの基準行政本来の建前から行けば、応援になるわけでございます。しかも臨時的なものでございます。そういう趣旨で御提案を申し上げた次第であります。ただ三百三十六の全署の二分の一以上になるかということは、実際まだ情報を受けておらないのでございますが、指示としてはそういう指示をいたしております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 大体のことがわかりました。あとで労働大臣の方から御答弁があると思うのでありますが、今度の調査のためにとにかく五千三十七名の予算人員の約二分の一が、今の御答弁によりますと一箇月ないし一箇月半の期間を費して調査を行われるということが大体わかつたのであります。そうすると、少くともこの一箇月ないし一箇月半の期間、監督行政の一線にある人々がそのために煩わされて、その本務である監督行政がその間たな上げされるという結果になることは、機械的に判断いたしましても出て来るわけであります。こういう空間をどのように調整されて監督行政の万遺憾なきを期せられる方針であるかを、この機会に承つておきたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 これによりまして本来の基準行政の業務というものがある程度影響を受けますことは、私も率直に認めるわけでございます。そこで、その影響をどういうふうに最小限度に食いとめるかということにつきましては、われわれが監督課長会議等で指示をいたして、おりますのは、まず申告監督を——これはどんなことがありましてもやらなければならぬわけでございますから、申告監督を重点にしてまずやる。それで余力を持つて定期監督なり従来の再監督の実施をするという指示を出しております。調査が済みまして、そこでその間の渋滞といいますか、たまりました仕事の処理につきましては、あらためて指示をしたいと思いますが、その指示の内容につきましても、大体申告というものが主体になりますることは当然だと思うのでありまして、できるだけすみやかに、この間における監督行政が受けました間隙は早く埋めたいと考えております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 近く最近の監督行政の実績報告をぜひ提出していただきたいと思つております。それによつて伺わなければ、はつきりいたさぬと思いますが、私の手元で調査したところによりますと、全国の三百三十六の監督署が、まつたく同様の事態にあると思いますのは大企業者、中小企業者、あるいは適用事業でも、かなり小さな事業所がぐんぐんふえて来ておる。しかも労働賃金の問題、ことに私の強調いたしたいのは労働災害防止もしくはその補償についてでありますが、これはひんぴんとして起きて来ておる。これは一つには、日本経済が非常に逼迫して来、どうしても正常な経済ルートでは企業経営が維持できなくなつて来ているという事態等が、労働強化にしわ寄せせざるを得ない運命にあるわけでございます。それが賃金や労働時間にも響いて来ておりますが、とりわけ年少労働者もしくは婦人労働者のような抵抗力の弱いところにしわ寄せされて来ておるわけであります。さらに最近災害やあるいは衛生取締り規則に違反するような事項が、もうぐんぐんできて来まして、この監督もしくはその事実を摘発することは、事実上もう今日の定員をもつてしては不可能だということは、ある意味において基準行政を担当しておる者の悲鳴にもなつておるわけであります。こういう実情であることは、前回も私が局長にお尋ねいたしたときに、同感の意を表されております。その後そういう監督行政の方針をおかえになりましたようなことは、よもあるまいと思いますので、こういうお尋ねをいたすわけでありますが、そういう労働行政の中でも、監督行政だけはあらゆるものに優先して予算もとり、あるいは人員も増加し、活発な活動をしなければならない。これは立場、持場を離れて重大な国家的な任務であるという点については、繰返し質問もし、また当局もその同感の意を含んだ答弁があつたわけであります。しかるに、今までお尋ねいたしましたことによつて明らかになりました調査に要する期間が約一箇月ないし一箇月半にわたつて行われ、その要員はわずか五千三十七人の監督公務員予算定員の半数二千五百人からの人間が、このために動員されるわけであります。その穴をどうして埋めるかということについては、それぞれ第一線におりまする人々の能率化をはかるといいましても、もしそういう余裕があれば、この苦しい予算の中から五千三十七人の予算定員は認められないはずでありますから、その点その理由は成り立たない。そうすると、この間統計調査のために監督行政を一時たな上げするということだけは必至であると思うのであります。これは労働大臣でないと答弁はできないことだろうと思いますが、そういう状態がここに生ずるということをあなたは承知されて、今度の臨時の統計調査のためにこれだけの人をさくことを御承知されたのか。これは上から来ればやむを得ないと思いますが、そういう点について、省内でも話合いがあつたことと思いますので、もし経過がおわかりであれば伺つておきたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 今回の調査は、御承知のように非常に厖大な調査でございます。今までわえれわれが調査をしたいと思つておりましたのに、いろいろな予算の関係その他でできなかつた調査でございます。そういう意義を持ちます調査でございますので、われわれもぜひこの調査が完全に正確に行われますことを期待をいたしておるのであります。従つて、省内におきましてもちろん私にも相談がございました。私はそれに対しまして、この調査の重要性からしまして、これに対して協力をするごとに賛成をした次第であります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 非常に重大なことだと思います。監督行政の衝にありまするあなたが、統計の臨時的な仕事に、その余力があれは格別でありますが、ない点は繰返しておる、そういうものを承諾されたという点については、私どもとしては非常に遺憾に思うわけであります。  それはそれといたしましてそうすると、ここにはどうしても五千人の人々がそれぞれ仕事の分量においてそれだけ強化される。労働強化という言葉が当るかどうかしりませんが、時間外労働をしいられる。あるいは休憩時間を振り向けるといつたような無理が出て来ると思いますが、そういう点について、何か職員の処遇についてお考えになつたことがありますか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 この調査そのものは、これ自体の予算の中で経理される建前であるわけでございます。従いまして、超過勤務手当その他も予算の中に織り込まれておるのでございます。ただ、それを越えてした場合にどうするかということになりますれば、その職員はやはり一般の職員でございますから、一般の統計調査部の予算以外の、われわれの予算の中でも、でき得る限りの配慮はしたいというふうに考えます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 私のお尋ねいたしておるのは、今度の臨時統計のために特別予算をとりましたが、その予算から、そういう労働分量の増大したものに対する何がしかの人件費が用意されているはずだと思うので、これがどの程度のものであるかをお伺いしたいのであります。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 先ほど島上委員にも御説明しましたように、統計調査部の予算でございまして、実は予算のこまかい内容は私存じておりませんが、超過勤務手当なり人件費としては、そのほかに集計員の手当などを含んでおるように聞いております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 実は基準局長の答弁としては、非常に困難なことをお尋ねいたしましたので、統計部長に……。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 今統計部長を呼んでいるのです。それでその間一件はさんでもらいたいことがありますから、ちよつと待つてください。     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ただいま議題となつております労働基準法諸規則に関する件につきまして、先ほど申し上げました「サンデー毎日」編集次長松田フミ君より、参考人として意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議なけばさよう決します——松田参考人。

松田フミサンデー毎日編集上次長

○松田参考人 女の記者にも深夜業をさせるようにという改正の要望書を、前に婦人記者会から出したのでございますけれども、これは全婦人記者の総意ではなかつたという意味で、私どもそれを取消したいと思いまして、今方々にお願いに上つておるのでございます。  この要望書を出してときは——婦人記者会というものの性格を少しお話しないとわかりませんけれども、非常に懇談的な会であつたものですから、そこで突然こういう話が出ましたら、みんなが男女同権という言葉の魔術にかかつてしまいまして、大いに賛成したわけでございますけれども、よく考えてみましたら、男女同権という言葉は、ほんとうはそういうところから来るのではなくて、私たちがまず何よりも女であるという立場に立つたならば、これは大きな問題だというので、みんなの意見を聴取してみましたところが、日本婦人記者会の会員というのが東京中に八十名ほどございます、そのうち回答を寄せましたもの全部を集計してみますと、深夜業につきたくない、深夜業のわくをはずすことに反対するという意見を五十二名が寄せました。そしてあとの十四人だけが、深夜業のわくをはずしてほしいという要望でございました。あとの四人は棄権をしております。  考えてみますと、この十四人の人たちは、ある意味からいいますと非常なパイオニアで、私たちの分野を切り開いていらした非常に優秀な方なんですけれども、すでにお母さんになる資格をなくしていらつしやる方なものですから、ほんとうに女の体というものを考えてくださらないことから出て来た結果だつたのでございます。ところが今うしろに続いております大勢の、五十二名の若い女性の人たちは、将来母にもなる人ですし、また今奥さんである人もございますので、もしそういうふうに深夜業が許可されることになりますと、たいへんな問題になるというわけなんであります。御承知のように頭も使いますし、からだも使いますし、そういう場合に、一日おきとか二日おきにもし深夜業をさせられるようなことがありますと、とても男の人のからだにはかないませんから、徐々に女の人をできないところに追い詰めて行くのではないかという危惧があるのでございます。現に英文タイプライターをやつております婦人記者などは、三日に一度ずつ交代に深夜業をしておりますけれども、その場合でも、非常にからだが疲れる。そうなると、男の人がかわつてやらなければならない。すると、男の人にも労働過重になるし、また資本家の方では、そんなくたびれる女だつたら、同じ条件ならば若い男を使おうというふうに、やはり男にかえられるという危険が非常にあるのであります。私は、そういう意味の深夜業ですと、ほんとうに女の人の職場を広めることには決してならないと思いまして、きようお願いに上つたわけなのでございます。  それからもう一つは、婦人記者の仕事というのは、御承知のように、決して女でなければできないという仕事ではないのです、男の人だつて十分にできます。ことに家庭記事なんかですと、男の人は非常に興味があるようで、私どもがなれて、少しも珍しくないような記事でも、男の人は興味を持ちますから、かえて男の人の方がいいくらいなんでございます。その狭いところを、私どもとにかく深夜業をしてでも——私もずいぶん深夜業をして参りましたけれども、特別の手当ももらわないで、ただ仕事の情熱だけで仕事をして参りまして、せつかく狭い道を男の間をわけて開いて通つて来たのでございますから、なおあとから若い人が続いて来るのでなければ、ほんとうに日本の女の進歩を妨げるものだと思いますので、この際ぜひ婦人記者は、婦人記者であるよりもまず女であるということをお考えに入れてくださいまして、やはり現行法のままこれを実現していただきたい。規則を私どものわくからとるというような残酷なことをなさらないようにお願いに上つた次第でございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 何か御質疑ございませんか——実は先般も大船撮影所の調査に参つたのですけれども、現地の女優さんたちもみな反対なんです。これは与党の委員の皆さんも一緒に行かれたのですが、その二人が反対なんですから、百パーセント反対なんです。それで現地の声を聞いてみますと、特別なロケーシヨンというものは、そうないらしいので、あれをやられると、しよつちゆう深夜業が行われる。しかもその際は、女優だけでなくてカメラ・マンもみなついて行くのです。従つて大船撮影所の労働組合の諸君は、全部反対であるという意見だつたのです。そういう意見が労働省の審議会なんかに反映しておるのかどうか。あるいは公聴会なんかで、そういうことがちやんと述べられて、労働省はそういう直接規則改正の対象になる人たちの意見を十分聞いておるのかどうか、そういつた点について、まだ全体として明らかになつていないと思う。労働組合の方でも、そういう点に関するいろいろな働きかけというものが、割合少いと思うのです。この問題については、この逐条審議に入りますれば、当然問題が出て来ると思いますので、ちようど幸い今「サンデー毎日」の編集次長の松田さんに、参考人として来ていただきまして、特に意見を申し述べてもらいましたから、これに関連して委員諸君の中で御質疑があれば御質疑をしていただきたいと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 婦人の労働の問題は、日本の今後の雇用量の増大と非常に重大な関係を持つて来ることと思うので、今後の基準法、基準法施行規則の改正にあたつては、こういう問題が配慮されるわけであります。  ただいまの参考人のお話の中で、われわれ非常に強い関心を持ちましたのは、男女の同質労働に対する同一の労働条件ということが、ややもすれば誤つて取扱われておるという点を、われわれ方々で経験するわけであります。これは一つには、社会環境が新しい制度になじむようになつていないのに、男女同権があまりに強く制度化されて来て、制度と現社会との調和がはなはだしく跛行的になつておるという点にあると思うのですが、そういう点でお尋ねをいたしたいのです。  われわれの考えております労働の質と量が、男女いずれも同じ場合にあつては、当然それに対して同一の労働条件をもつて報いるということは争えないのです。ただ、同質労働であつても、社会環境や、あるいは特に家庭生活の関係なんかがあつて、今あなたのお話では、御婦人としての一つの任務を放棄された人々にとつては、一つの傾きがあります。細君になり母親になるというような過程を歩む若い御婦人の悩みであると思いますが、そういうような場合に、大分男子の就職競争の中で劣勢をかこつわけであります。そういう実際上の問題と、今度基準法改正のねらいを同一に考えておるようでありますが、今言う制度の改革と現実の社会生活とのずれがあるわけでありまして、そのずれが、やはりこういう保護法の重要な役割があると思うのであります。そういうところをねらつて、御婦人の方が権利の主張をなさるのが正しいのじやないかと思うのですが、そういう声が一向起つてない。また男子は、やはりできるだけ男子の利益を主張いたしますから一競争相手の少いことを望むことはやむを得ぬと思います。そういう点について、御婦人の立場から、今度の改正等についていろいろと計画があると思うのですが、声としてはまだ出ていないようです。あなたのところなんか、そういう輿論の先がけをされる仕事をおやりなんですから、そういう点について何か話合い等がありますれば、この際聞かせていただきたい。

松田フミサンデー毎日編集上次長

○松田参考人 輿論は、私がここへ飛び出して参りますくらいに非常に支持がございまして、皆さんもたいへん騒いでおります。こんなに仕事を放棄して、こういう仕事ばかりにきのうもきようもかけまわつておるのですけれども、今申し上げたように、八十人中五十二名までは絶対反対と言つております。それは一部の婦人記者だけでございます。同じ報道関係でもプロデユーサーとかアナウンサーとか、そういう人たちの場合には、ここには書いておりませんが、プロデユーサーとかアナウンサーの場合には、十四名の中に入つた賛成者があるわけであります。これは仕事の性質上、どうしても夜おそくまで、あるいは朝早い放送なんかのときにとまつたりいたしますから、それらの声が出ておりまして、これは反対というのでございます。やはり男女同じようにしてもらいたいという御意見でございますけれども、若い人の中で反対という声が五十二名もありまして、これは絶対に深夜業のわくをはずしてもらつては困る。つまり、子供を置いたり、家庭を放棄して仕事だけに行くということになりますと、個人の幸福というものが全然うしろへ下つてしまいまして、自分の生活というものがないわけでございますから、私どもは毎日委員会を開きましたり、幹部会を開いて、この問題を協議しておりますわけで、どうしてもこのわくをはずしてもらわないために、こうしてかけまわつておるわけですから、ずいぶん輿論は起つております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 もう一つお尋ねいたしたいのは、私どもはこう考えておるのです。年少労働者、婦人労働者を保護するという目的は、年少労働者の場合は将来のよき労働力を保有するという点、女子の場合は、もつと積極的な意味があると思うのです。あなたのお話の中で、お母さんとしての任務を放棄されるようなことになりますと、これは格別でありますが、そうでなければ、お母さんになる。ということは、次の新しい労働力を、健康でしかも能率の高いものを要求するという意味で、保護立法の中に強いものがあると思う。ただ功利的な要求だけでなしに、労働力全体の立場から、そういうあれがあると思うのですけれども、そう、いう意味での声も、やはり内部でそれぞれお話合いがあつたかどうか。

松田フミサンデー毎日編集上次長

○松田参考人 そういうふうな、まだそこまで年少者の立場とか、一般ほかの婦人の、カン詰業であるとか、美粧職ですね、そういう人たちの意見をここには書いておりませんけれども、われわれは文筆に携つておりますから、そういう輿論を起して、そうして保護の手を差延べてもらうような方向に向けて行きたいと思つております。今もおつしやるように、もちろん私がここにお願いしておりますのは、すでにお母さんになつた人だけでなく、将来お母さんとなる人、またその仕事についておる女の人が母となることを放棄するのであつたならば別でございますけれども、それは日本のためにたいへんな問題でございます。きのうも労働大臣にお願いいたしましたら、いいじやないか、これからの女は一生懸命働いて男におもりをさせたらいいじやないかと、たいへんじようだんをおつしやるものですから、そんな髪結いの享主がたくさんいたら、日本の文化はどうなるでしよう、いい子供に育ちませんけれども、いいですかと申し上げましたら、それはじようだんだよとおつしやいましたが、そういうようなさかしまの世の中が出て来るのは千年もあとのことでしようし、今日本がりつぱな健康な子供を生まなければならないという若い女性に期待するところは大きいですから、ますますその輿論を喚起して、若い女の人たちが、仕事とそれから自分の生活と、そうして理想と現実というものにどういう橋をかけたらいいかということを、私たちは文筆でもつて、指導といえばおこがましいのですけれども、輿論を起す一つの助けになりたいと思つております。たいへん抽象的なことで申訳ないのでございますけれども……。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 労働基準局長、どうですか、逐条審議の中で御説明願うのですけれども、特に婦人記者、それから映画女優、そういつた人をこの規則からはずすという点について、どういうお考えですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 女子年少者労働基準規則の第十一条の二の第二号に当ります政府原案に対します審議会の経過を御説明する万がよろしいのではないかと思います。これにつきましては、労働者側は、女子深夜業というものは、できるだけ制限をして行くべき性質のものである、また女子でなければならい業務というものに深夜業を認める場合においても、限定すべきであるというふうな趣旨から、この改正案に対しましては、反対の意を表明しております。使用者側の方は、この原案が女子の健康、福祉にそれほど有害ではない、しかも知能労働でございますので、みずから健康管理をし得る能力を持つておる労働者の方々であるので、たとい深夜業をさせるにしても、健康あるいは福祉の点について障害はないという御趣旨と、さらに女子の職場が現行の規定によつて縮小されるとすれば、それはかえつてまずい結果になるので、この政府原案に賛成であるという御趣旨であります、公益側は、これに対しまして二つの意見にわかれたのでございまして、労働者側と同じような見解をとられました公益側の委員もございますし、あるいは使用者側と同じような見解をとられました意見もございまして、意見が一致を見なかつたのでございます。公聴会におきましてその問題の意見を述べられました際におきましても、労働者側は、この問題に触れられました公述人の方は反対の意を表されました、あるいはこの問題に全然触れないで意見を述べられた方もございました。使用者側は、特に放送局から婦人課長がお見えになつておられましたが、これは使用者側について私が先ほど申し上げましたように、このこと自体女子の健康福祉に有害であるとは思わないし、みずからその問題は解決し得る能力を持つておられる知能労働の方々ばかりでありますので、さしつかえないじやないか。その中で、新しい意見としてこういう意見が出ておりました。たとえば羽田にインタヴユーのために出かけて参ります。飛行機の都合で飛行機の到着が十時過ぎることになる。その場合に、飛行機の延着によつて、ただちに職務を放棄して社に帰るというわけには行かない。従つて、深夜業というものがそういう他の原因によつてやむを得ず行われる場合もあるのだ。ところが、それに対する深夜手当の問題になりますと、法律上禁止されておりますから、公式に手当として立せないのだ。出したくても出せないのだというふうな御意見も出ておりました。  それからまた放送関係におきましては、たとえば売春等の問題につきましては、現地へ行つてそれぞれの関係の婦人にインターヴユーをして録音をとつたりするのも、やはり十時過ぎでないとその当人に会うこともむずかしいし、またそういう雰囲気、実感というものを録音するのは非常に不便で、そういう場合には、当然深夜に及ぶ場合もあるのだというふうなことを言つておられました。公益側は、この点に触れられましたのはあまりありませんでしたが、特に触れておられた方もございまして、こういう知能労働については、日本の基準法はあまりに制限し過ぎるのじやないか。外国の立法例を見ましても、深夜業はある程度認めておる。とすれば、やはり実情に合うように、それほど勤労婦人に有害でない婦人の労働者の職場を広げて行くことは、当然考えていい問題ではないかという御意見を出された方がございました。  以上のような経過でありまして、公益側の中でもいろいろ意見がわかれており、われわれとしましてどういう結論を得るかということについて、今慎重に研究をいたしておるわけでございます。ただいまお聞きいたしました御意見等も十分参酌しまして、この問題を処理したいと考えております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 まず労働省にお尋ねいたしたいのですが、この第十一条の二の二号、この関係はわれわれのもらつた資料にはないのであります。いやしくも労働委員会へ出す資料にそれがないので、実ははずかしいことですが、私は本日この答申案によつて初めて見たのです。赤松委員長が婦人記者、婦人記者と言われましても、何が婦人記者とどういう関係があるのだろうかと、非常にふしぎに思つておつた。労働委員会に出す資料にそれが抜けておるというような不見識なことでは、審議できないのですが、これはどういう経過ですか。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 当初われわれが第一回の中央労働基準審議会に諮問いたしました場合には入つていなかつた。その審議の経過の途中におきまして、先ほど参考人からお話がございましたように、婦人記者会の名において、実はこの改正をしてくれという陳情がありまして、公益側の一部の方がそれに非常に賛意を表せられまして、追加諮問の形をとるようにという希望がございました。従つてわれわれとしては、そういう輿論のおもむくところに従いまして、追加諮問をいたした事項でございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 では参考人にお尋ねいたしますが、ごとにこの記者は、婦人でなくてはならないということはあまりないというお話ですが、実態の問題として、婦人記者といわれるのは大体どういう方面を担当されているか、お尋ねいたします。

松田フミサンデー毎日編集上次長

○松田参考人 仕事は同じでございます。別段女だからこの仕事をしなければならないというようなわくはなくて、男の人と実質的には同じ仕事をしております。ですから、それは今ここではつきり申すことはおかしいのですけれども、深夜業もどんどんしております。非常に矛属するのですけれども、現実ではそうなんです。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 この際本問題について、委員外の神近市子君より発言を求められておりますので、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議なければ、これを許すことにいたします。神近市子君。

神近市子日本社会党(左)

○神近市子君 今審議会の結果を御説明になり、また昨日、実は参議院の労働委員会でやはり陳述をされたそうでございます。この問題のひつかかつておるところは、婦人の職場拡大と、それから基準法による適用とのからみ合いのところで、労働問題として扱うか、婦人の問題として扱うかというところに、問題があるのでございまして、一部の婦人の議員の中にも、男女同権という建前からいつて、婦人の職場がだんだん狭まる、それを防ぐためには基準法の緩和を求めた方がいいというその考え方が、今おつしやつた陳情に現われていると思うのです。けれども、これを今のままで解決しようとなると、このからみ合いは、どうしても解くことができないので、これは男女同権の建前あるいは婦人の職場がもつと狭まることを防がなくてはならないというような意味では、もつと外的の理由がたくさんあると思うのです、ですから、ここで私の考えは、いろいろな日本の経済事情が、婦人の首切りというものを盛んにしておるのでございまして、それまでこの問題にからみ合せるということは、ちよつと無理だと思うのです。問題は、実際に働いている人たち——婦人記者会の中が半分にわかれておるというお話ですけれども、ほんとうに働いておる人たちのお考えを私は一番立ててあげるべきであるというふうに考えますので、その点を男女同権の建前で行くか、労働者としての婦人の立場擁護に行くかという点で、よくわけて考えていたださたい。日本の経済状態がもつと転換をするならば、婦人の仕事というものは必ずまだ広がるのでございまして、その問題をほうつておいて、ここで狭い範囲の中で議論してもしようがない。私はやつぱり実際に現場に働いている人たちの意見が、最も尊重されなければならないと思う。労働省に嘆願した人たちは、ちよつと立場が違つた方々のように考えますし、そうして数も、これを緩和されるのは困るという反対派の方が多いということでございますからその点はどうか御考慮に入れていただきたい、私はそれだけでございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 松田参考人にお尋ねいたしますが、地方の婦人記者の人たちの大体の御意向というものは、あなたは先ほど要望害が出されたと言いましたが、大づかみにつかめると思うのです。地方の婦人記者の人たちの連絡とかあるいは意向とか、そういつたものはわかりませんか。

松田フミサンデー毎日編集上次長

○松田参考人 それで要望書が出たということをあとで聞きまして、それはたいへんだというので、経過報告をするとともに、賛否を問う文書を発送したのでございます。三大新聞は自分の支局を通して、それから個々にも新聞年鑑を見まして全部一人残らず発送いたしました。まだその返事が来るまでになつておりませんけれども、この五十二名の反対というのは、東京の婦人記者会のメンバーだけでございまして地方の返事ももつとどんどん参ると思います。賛否がどういうふうになつて参ろかはわかりませんけれども、今ちようど発送中でございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それではこの問題につきましては、労働省側も、初めの原案の中にはなかつたようでありまして、いろいろな意見が出てきております。が、何も無理押しに輿論をつぶしてまでやろうというお考えはないようでございますから、その点は全国的のそういう調査が集まりまして、さらに御考慮を願うということにいたしまして、ぜひひとつ婦人記者諸君の要望も入れていただきたいと思います。  それでは統計部長が来ておられますので、引続き先ほどの問題に移つて質疑を行いたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 その前に、先ほど島上委員から、監督署の二分の一の職員を動員するという趣旨の通牒が出たということでございまして、私がそれを暗黙に承認したような形になつておりました。今統計調査部の起案者からの説明を聞きますと、三分の一だそうでございます。その点私が島上さんの御意見を承認したようにお受取りになることを訂正をさせていただきたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 島上善五郎君。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 三分の一だとおつしやいますけれども、私どもの手に入つております書類によると、この調査の基本方針の中の三項目に、調査実施のために署においては総員の二分の一の人員を動員するよう計画すること、こうはつきり表示しております。ですから、この点はあとでお調べになつてからでもけつこうですが、重大な食い違いですから、責任のある答弁を願いたいと思います。今御答弁願えなければあとでお調べになつて、食い違いのないようはつきりさせていただきたい。  それから先ほど基準局長の答弁されなかつた点でございますが、今度の調査にあたつて予算が三千万円、その予算の使い方の内容ですが、私どもの見るところによれば、その調査の衝に当る職員の超過労働あるいは交通費等に非常に無理がある。超過労働のごときは、この予算の中では全然考えていないのではないか、こう思われるので、その点に対するはつきりとした数字をあげて御答弁できたらお願いしたい。

富樫總一労働事務官(大臣官房労働統計調査部長)

○富樫説明員 ただいま調査員の旅費及び超過勤務のことにつきまして、お話がございましたが、旅費につきましては、十分とは申せませんが、計画上ほぼこれでやれるという限度におきまして配付してございます。その金額は約三百十万円でございます。それから超過勤務につきましては、調査の全体的計画におきましては、仕事に繁閑がございますけれども、全体をならしますれば、超過勤務は特別に必要がない、臨時に仕事が急にたまるとかなんとかいう波動はございますけれども、ならしますれば、通常の場合の超過勤務以上の超勤をやる必要はないように計画を立ててございます。それで特にこの調査だけの特殊の超勤の経費はございませんが、通常の場合に必要とする超勤等につきましては、一般経費より支出するように指示してございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 これはどうも納得できない点があります。先ほど基準局長の御答弁によりますと、本来の基準監督行政は多少の支障を来す程度で、そんなに渋滞することはない、こういうように答弁されましたが、もし本来の基準監督行政にそう重大な支障を来さない程度にやろうといたしますれば、一体特別に超過労働をしないでこういう調査が実際にできるかどうかということが非常に問題だと思うのです。私どもは、相当の超過労働をしなければ、職員にかなりの無理を命じなければ、この調査は少くとも今あげておる事業場について今あげている期間内にそういう調査をやることは、不可能に近いほど至難だと思います。あなたは労働省の本省で、机上でそういう計画を立てておるかもしれませんが、実際の現場においては、そういうわけに行かぬと思うのです。その点に対して、もう一ぺんはつきりとした、あとで違いましたということのないような責任の持てる御答弁を願いたい。

富樫總一労働事務官(大臣官房労働統計調査部長)

○富樫説明員 地方の実情によりまして、いろいろ違うかと存じますが、この仕事は、私どもとして非常に重要な仕事と考えて、そのつもりでやつております。しかしながら、重要であるということと超勤をしてやるということは、必ずしも関係があるわけではございませんで、仕事の内容が非常に緻密で正確を要する個票の点検にいたしましても、あまりにつつ込んで徹夜などおそくまでやると、かえつて間違いますので、私どもといたしましては、そうくたびれてまで無理して仕事をやつて、そのために正確を欠くことのないように注意しておるのでございます。  またお話のございました基準監督行政の重要性にかんがみまして、これに基本的な支障を与えてはならないということも考えてございます。そこで私どもの方の指示といたしましては、一応私どもの方の計画に基く日程を指示してございますが、そのようなことを勘案して、その局の実情によりまして、その時期に間に合いがたいというものについては例外を認めるから、そういうことを言うて来いというふうに指示しているのでございます。ただ地方によりましては、非常に熱心にやるために、あるいはどうせやるならば短期間にあげてしまいたいというようなことで、一箇月の仕事を三週間でやり、あとで一息つこうというようなところもありましようし、実情は画一的ではございませんでしようけれども、全体的にはそういうふうに指示しているわけでございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 ただいまの御答弁を聞いておりまして、超過労働をしなくてもいいように指示している、地方の実情によつては、そのことのために一箇月であるものが一箇月半になつてもやむを得ない、こういうふうに受取れたのですが、要するに超過労働をしないでそのために調査の集計が当初考えたよりも遅れてもやむを得ない、時間的にずれてもやむを得ない、こういうことですか。

富樫總一労働事務官(大臣官房労働統計調査部長)

○富樫説明員 超勤をするな、こういうわけではございません。地方の実情によりまして基準局長がいろいろ配慮いたしまして、場合によりましては一年間の一般予算の起動の経費を勘案いたしまして、自分のところではこの程度の一般超勤経費をこの部分だけ使う、そうしてこれだけで上げよう、こういうことであれば、それでよろしいのであります。ただ無理な超勤をしなければならぬように強制するというようなことはいたしませんで、非常に無理であるという場合には、計画を立て直して、一箇月を一箇月半か一箇月十日、そこら辺は地方の実情によつて違いましようが、若干期間延長の計画を立てて申し出てよろしい、こういうふうに申しております。要するに基本的には、そういうふうな無理をして、そうして、他の仕事に基本的な影響を与え、また調査の正確性が粗雑になるようなことのないようにということで、それ相応の弾力性は指示してあるわけであります。

大西正道日本社会党(右)

○大西(正)委員 ここで私たちが心配しているのは、一つはこういう臨時に、しかも短期間に大きな仕事をやるごとにおいて、基準行政が停滞しはしないか、これが一つの心配であり、もう一つは、署員の過重な労働によつて、労働面で一つの問題が生じはしないか、この二つなんです。ところが、今の基準局長の話では、基準監督行政には支障を来さない、多少あつても、根本的には来さないという建前をとつておるのでしよう。そうしますと、限られた数の署員でやるとすれば、当然超勤をやらざるを得ぬでしよう、従来以上の労働が過重にならざるを得ぬでしよう。そうして、その超勤がだんだんふえて来ますと、従来のような超勤の予算では、とうていまかなえないという結果が当然出て来るので、特別にこの超勤の費用を見込まなければならぬ。ところが、調査部長の話では、超動に対しては何も特別なものを組む必要はない、こう言つている。これはまことに矛盾ですよ。調査部長の言う超勤する必要がない、あるいはやつても、従来の予算以上に特別なものを組む必要がないということは、全国の署員が、従来はなまけておつて、これ以上仕事ができるというならば別だが、そういうことはないということはわかり切つている。そうしますと、超勤せざるを得ぬじやないですか。この矛盾をあなたたち二人の間で、どういうふうに調整されるのですか。ひとつ両方から聞きたい。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 私は先ほども申し上げましたように、影響はないとは申しておらないのであります。ただ、本質的、基本的に影響はない。多少の影響があるということは、私先ほども率直に認めております。そこで、超勤の問題は、ただいま統計調査部長から御説明がありましたように、スケジユールを組んでおるのでありまして、このスケジユール通りに行けば、起動をしなくても済むだろうという一応の計画は持つております。ただそれが三百三十六の監督署に参りますと、それぞれ署の実情が違うわけでございまして、署によりましては、あるいは超勤をしなければならない署が出るかもしれません。その場合には統計調査部から配付しております一般の起動をもつてそれをまかなつて行くという統計調査部長の説明でございまして、私の先ほどの説明と矛盾をしておらないと私は思うのでございます。

大西正道日本社会党(右)

○大西(正)委員 私は大筋のところで話をしたいのです。あなたは、多少の支障がないとは言わぬ、こう言われる。しかし、どうもそこに話の食い違いがありますよ。結論を率直に申し上げますと、私はこの調査に対して、妨害をしようとは思いません、これは大いにおやりになつていいと思うのです。しかし、そうやる以上は、この三千万円の予算の中で、起動に対して特別の予算を組まないで、しかも基準行政に大した影響ないというようなことはできぬじやないですか。しかも今の通達では、あなたの方では三分の一の署員だと言われるが、私の方でははつきりしておりますが、これは二分の一の署員を動員する、こういうことを言つておるのです。一体予算の三千万円の内訳は、どういうふうに見込んでおられるのか、それをちよつと聞きましよう。

富樫總一労働事務官(大臣官房労働統計調査部長)

○富樫説明員 三千万円と一般にいわれておりますが、正確には二千七百万円でございます。このうち今回の調査と関係のない職業別賃金の乙というのがございまして、この調査自体といたしましては約二千万円でございます。ただいま手元に正確な資料がございませんが、この二千万円のうち相当の部分は本省において調査票の印刷、集計事務の臨時要員の手当、それからでき上つた調査票を一般にお配りする経費等にとられまして、地方の基準局に配付いたします金額は約六百九十万円になつております。六百九十万円のうち旅費が約三百十万円、通信費とかなんとかいう庁費が約四十三万円、それから調査対象になりました事業所の調査記入担当者等に対する謝金が三百三十万円というような見当になるのでございます。

大西正道日本社会党(右)

○大西(正)委員 それでは、やはり超勤の予算は少しも組んでない、これに要する特別のものはない、こういうことになりますね。これはもう一回考え直してもらわなければならぬと思うのです。こういう特別の調査をする場合には——地方の署あるいは局の経費は、私が言うまでもなく満足なものではない。ですから推進会とかなんとかいうものをつくられて、そちらから財源を仰いでおる。そのために、せつかく一つの基準にのつとつて不正なものを摘発する場合にも、この推進会がむしろこれに介入して、本来の機能を発揮できぬという現実を私らは握つておるのです。こういう意味で、この推進会その他にも批判をせねばならぬ問題がたくさんあると思う。平生でもそういう状態だ。しかも今回のような短時間で大規模な調査をやるという場合、ぎりぎりの人間で、従来でも手がまわらないのを、さらに労働基準行政に大した影響なくやるといつて、しかもこの署員に何ら特別の勤務手当を出さぬということは、縛つておいてひつぱたく、こう言うよりはかない。こういうことで、満足な調査ができると考えられるのですか。また私は、労働省の直下における署員がこういう状況で働かされるということは、まことにもつて奇怪千万なことだと思う。私はこの際、これに対する署員の起動の問題は、別に財源を求められて、十分なる費用を充てられることを強く要望したいのです。ここで人員と金とを比べますと、通信費の問題はいいとしても、謝金の問題にしても、一つの事業所に対してどれくらいの謝礼が行きますか、ほんの名目的なものじやないですか。こういうもので、とにかくやつたということを言われても、実際はこういうばかげた名目だけの謝礼なんです。まだほかに金がいるとすれば結局推進会その他から金をもらう。基準監督署の権威は、こういうところからなくなつてしまうのです。それは、国家財政の問題もよくわかります。しかし、労働省がおやりになる問題については、ひとつ労働省も、この際署員の待遇の問題と、それから基準行政に対しての権威を失墜せぬようにやつてもらいたいと思う。もう一回お考え願いたい。ひとつ御両省から、私の話について考えを述べてください。

富樫總一労働事務官(大臣官房労働統計調査部長)

○富樫説明員 私の方といたしましても、御承知のような一兆円のわく内の予算でございますので、十分の予算措置を講じたとは毛頭考えてございません。従いまして、一方におきまして、先ほど申しましたようにできるだけ事務のやり方につきましてくふうをこらし、無理のないように——と申しましても、多少の無理は、基準局長が申し上げましたようにやむを得ませんが、基本的な無理のないように注意しておるのでございます。しかし、ただいまの御意見もございましたので、さらに私どもの方の手持ちの予算を、他の予算につきまして事の軽重を配慮して、できる限りのことができますように、検討さしていただきたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 多賀谷君。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 基準局長にお尋ねいたします。先ほどからの質疑の内容を聞いておりますと、どうも局長は、監督署の実態をよく御存じないようである。申告してから、大体どのぐらいかかつて初めて監督官が現地に来て、現地を調査して事件が処理されるか、大体普通の事件はどのぐらいかかるとお思いになりますか、ちよつとお尋ねいたします。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 事件の内容によりまして、非常に区々でございます。特にむずかしい問題は、賃金の不払いの問題でございます。これあたりを片づけますのには一箇月も、長いのは二箇月もかかる場合がございます。しかもなお、それで解決できない面もあるわけでございます。しかし、一般的の問題としましては、急速に解決する建前をとつておりまして、早いものは一週間以内で片づくものも、実は事件としてはあるわけでございます。一概に何週あるいは何日ということは、事件の内容によりまして違いますから、実は申し上げかねるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 一箇月か二箇月ということですが、大体一箇月くらいでやつと監督官が来るのですよ。監督官の手帳は、見るともう毎日のように一ぱい詰まつておる。そしてずつと行きましても、順番がありまして、大体二十日から一月目にやつと現地に順番が来る。ところが、一方どうかといいますと、ことに私は筑豊におりましたけれども、筑豊のこのころの炭鉱は、御存じのようにもう百三十からつぶれておる。ですから、夜逃げをする事業主もおる。早く来てもらわなければ元も子もない。しかも、退職金などという問題じやない、賃金が不払いです。ですから、監督官が来たときには、業主もおらない、組合も事業主を探しておるという状態です。ことに法律を見ましても——私は法律を改悪せよと言うのではないのですが、二十条の予告の問題なんかも、なるほど予告はいい、法律に照したら、予告は出さなければならぬことになつておるけれども、予告を出すということになりますと、もちろん賃金が払えぬから予告も出ない。さらに、では任意退職すると、四十二日も失業保険でかかる、むしろこれは事業主の都合でやむを得ぬということを認定してくれというような、組合から言えばまつたく逆のような話が出ておる。そうしなければ失業保険はくれない、こういうことなんです。ところが税務署の方は非常に早くて、自動車のバツク・ナンバーなんかも全部持つて行つて差押えなんかを完了しておる。ですから、あとからのこのこ行つても何もない。そうして競売に付してもらおうとすれば、全部よそがとつて、せつかく先取特権がありましても、一銭も賃金はだめなのである。そういうような状態で、いつ事業主が逃げたかわからない状態である。早いところで、賃金は二箇月ぐらいで解決しますが、半年もかかるところがあるわけです。現地の実情は非常に詰んでおりますが、第一、監督官が近ごろ少いですよ。行つてみますと、労災の人はなるほどいる。入つてみますと、かなり署員がいると思いまして聞いてみますと、監督官は全然いない、あれは労災係だということで、労災係では役に立たない。監督官はほとんどいない。そこで私はお尋ねしたいのですが、二十四年ごろには一万人から監督行政にタッチした人がおりましたが、現在では六千人台になつているような状態で、三分の二に減つておる。しかも労災の万は労災金の納入の問題とか、あるいは支払いの問題がありますから、必ずしも減らすわけには行かないと思う。そこで結局監督行政の方が減つておる。一体、現在監督官はどのぐらいおろのか、そうして二十四年当時に比べてどのくらい減つておるのか、これを第一にお尋ねしたいと思います。

龜井光労働基準監督官(労働基準局長)

○龜井政府委員 逐年の監督官の数は、実は手元に資料がございませんが、現在の監督官は、本省、地方を入れまして二千四百七十四名の定員で、その中に労災関係が八百八十九名という数字になつております。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ちよつと皆さんにお諮りしますが、本会議が始まりました、それで、きようは緊急質問を十分ほどやつてすぐ簡単な決議をやる、それからすぐ日程に入つて委員長報告もやらなくちやならぬ、従つて開会十分ぐらいで入つてくれという希望ですから、きようはこの程度にしたらどうですか。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 先ほど来質問しました今度の統計調査の問題と、労働基準監督の監督行政の本来の職務の渋滞に関する問題は、非常に重大な問題でございますので、次会に大臣の出席を求めて、もう一ぺんはつきりと質問をし、かつ警告をしたい点がありますから、その点は次会まで保留しておきたいと思います。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして、次会は明後十四日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後一時八分散会

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