労働委員会 第20号
- 発言数
- 16 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/04/21
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 まず港湾労働に関する件に関連いたしまして、宇部の元山運輸商事株式会社の争議問題について調査を進めます。 本問題につきまして、すでに決定いたしております参考人の奥田参考人、兼田参考人、松重参考人、石山参考人、和田参考人の方々が本日御出席になつておりますから御了承願います。 —————————————
○赤松委員長 なお本日御出席予定の参考人松重善兵衛君は都合によりお見えになりませんので、同社管理部長松重善三君を参考人として本問題について御意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なければさよう決します。 —————————————
○赤松委員長 それではまず参考人の松重善三君より、本問題に関する事情の御説明をお願いいたします。
○松重参考人 元山運輸の松重善三でございます。 本問題に関しましては、昭和二十八年八月末ごろ、全日本港湾労働組合より、元山運輸商事株式会社に所属する船員の二十数名が全港湾労働組合の組合に所属したと言われまして、団体交渉を求められたのであります。その団体交渉の目的は、労働協約の締結ということであつたと思います。そしてその労働協約の締結を迫られまして、まずその中におられます組合員の人名、人数というものを組合にお伺いしましたところ、組合からは、約一箇月にわたりその資料の御提出がなかつたわけでございます。九月末日ごろと記憶いたしておりますが、そのころになりまして全港湾労働組合に加盟しておられます二十一名のお方の記名捺印はございませんが、人名が会社にわかりまして、一応本社に所属いたします船員が、全港湾労働組合の組合員として加盟されている事実を会社は心得たのであります。そこで会社といたしましては、組合から要求されております団体交渉の目的たる労働協約というものの案の御提出を組合にお願いしたのであります。しかるところ、組合から会社の方に御提出になりました労働協約案文は、全港湾労働組合関門支部のその傘下に所属されております労働組合、港湾運送事業法の適用を受けますはしけ業者、これの適用に当てはまるべき労働協約並びに賃金協定、これの御要求があつたわけでございます。 その内容を申し上げますと、 労働協約 元山運輸商事株式会社(以下単に甲と云う)と全日本港湾労働組合関門支部元山分会(以下単に乙と云う)とは港湾運送事業の公共性に鑑み相協力してその事業の健全なる発展と組合員の経済的、文化的地位の向上を図る為に労働組合法及労働基準法の精神に基いて左の協約を締結する。 第一条 甲は乙を適法なる労働組合と認めると共に唯一の団体交渉機関として認める 但し全日本海員組合を除く 第二条 甲の従業員は労働組合法第二条第一項に定められる者を除く外は乙の組合員たるべきものとする 第三条 前条の労働組合法第二条第一項の該当者については別に協議の上之を定める 第四条 乙は甲がその事業の経営上当然有すべき権限をみとめる 但し人事に関しては事前に乙と協議して甲が之を行う 乙は人事に関する権限が甲にあることを認めるも甲は乙の配乗その他人事の取扱を公正に行う 第五条 甲は経営上の改変により組合員(常傭者に限る以下之に做う)の生活に重大なる影響を及ぼす場合は少くとも事前に之を乙に通告し双方円滑なる協議の下に之を進める 第六条 甲は組合員の生計費を基準とする最低賃金を保証して物価の変動に応じて組合員の生活を擁護する事に努力するものとする組合員の諸給与に関しては職種別に定める規定に依り所定の支払日に支払う 但し休業中の賃金は支払はない 第七条 従業員の停年は甲乙協議の上別に之を定める 第八条 甲は従業員の勤務時間を一日八時間(休憩時間を含む)を原則とし休暇については次に記載するものの外は港湾運送業の特異性に基きその都度協議して決定するものとする 一、メーデーを有給日とする 一、労働基準法による休暇 第九条 甲、乙いずれも総ゆる紛争に関しては双方が協約の精神を重んじ誠意をもつて平和的解決に努力するものとする 第十条 本協約の適用、解釈、労働条件に関し紛議または疑義が生じたる時は甲乙間に協議期間として苦情理委員会を組織し双方合理的に解決することに努力した後でなければ争議行為に入らない 争議行為に入る場合は五日前に予告することを要する 前項の通告は第一項の苦情処理委員会を組織した後でなければならない 苦情処理委員会の委員は甲乙同数とし第三者委員を加えることができる 第十一条 甲は港湾労働者の福利厚生施設及び文化事業に乙の発意を尊重し両者協議の上運営するものとする このために港湾作業料率に含まれる福利厚生費は別途会計とする 第十二条 甲は組合員の組合活動の自由を承認する 第十三条 就業時間中の組合活動はこれを認めない 但し執行委員会、大会、各種委員会に出席する場合は事前に申し出ること 第十四条 組合専従者は専従期間中は無給休職とする 専従期間満了のとき甲は専従者を原職復帰としすべて継続勤務したと同等の取扱いを保証するものとする 第十五条 組合員の共済会費及び組合費は賃金より控除することができる 第十六条 本協約の有効期間は調印の日より向う一箇年とする 但し期間満了一箇月前に甲乙いずれよりも改変の希望を文書をもつて通告せざるときはさらに一箇年自動的に延長継続する 有効期間中といえども必要ありたるときは双方同意の上で改訂または追加することを得 第十七条 この協約は締結の日より効力を発生する 本協約を証する為本書同文弍通を作成し甲乙各壹通を保有するものとする かかる労働協約の案が会社に提示されたわけでございます。しかるところ、私の会社におきましては、労働協約前文にうたわれております港湾運送事業と申します事業とは、いささか事業体が違つておるのであります。そうして私ども雇用いたします海上労務者は、その契約当初より、その雇用契約において船員の身分を取得せしめておるのであります。そうしてそれを条件において雇用関係を締結しておるのであります。しかして、第一条にうたわれております「甲は乙を適法なる労働組合と認めると共に唯一の団体交渉機関として認める」かくございますが、私の会社におきましては、船員従業員並びに陸上労務員と各種の事業がございまして、陸上においてはすでに元山運輸商事株式会社城南労働組合という一つの組織体を有しておるのであります。しかして「甲の従業員は」とございますものにおいて、ほかにそういう労働組合がありますので、これは船員といたさなければ、この労働協約は締結できないのであります。また船員ということを規定いたしました場合において、船長の立場というものが、現在の船員、従業員のすべての者が労働組合員に入つております現実におきましては、労働組合法は第二条第一項に定められる者は一応いないものと思われますので、かかることも一応うたわれなくてもよいもの、こう思うわけでございます。 それからその次の——そうしてこのときにおきまして、船員のうちにも、全日本海員組合にその時すでに加盟しておられます会社の従業員、船員がございますので、これを除いてもらわねばならぬという条件がこれに附加されなければならない。しかる後におきまして「人事に関しては事前に乙と協議して甲が之を行う」こういう条文があるのでございますが、この件に関しまして、前項は労働組合の組合員諸氏が——八月組合結成以降十一月に至る間、組合の分会長をなさつております山下氏外数名のお方が、組合が結成されておれば、就業中にいかなる行為をしてもいい、あるいは組合が結成されておるがゆえに乗船中無断下船して組合活動をしておられるらしい。もちろんわれわれにおいては、組合活動をしておられるという現実はわかつていないのでありますが、その間無断下船されて本船をあけておられるというふうな実情がありましたので、この方々に対して、会社は、業務上支障を生じ、かつ業務秩序を乱して、ほかの就業秩序を守るために非常に不都合でありますがために、この方々の善処をお願いし、再三注意をいたしましたあげく、遂に解雇を宣言したのであります。ところが組合といたしましては、かかる行為においても、一応それを擁護なさろうというふうな立場に至り——、船員が船をあけるということにおいて、その船が定員において動かされておるがゆえに、その一名を失う場合にはその船舶の安全性に大いなる支障があるということの公共性を無視なさるのではなかろうかと思われるがために、この労働協約の十七箇条の文面においては、一応われわれは人事権をおまかせして、労働協約を締結することはでき得ない。これは少くともその船員の身分であり、かつまた就業中において組合員のお方がなさらなければならない義務というもの、これを労働協約にうたつていただかなければ、会社といたしましては協約を結ぶことが、不都合であることにおいて、十一月の、よく覚えておりません、十月だつたかもしれませんが、そのころまで協議をいたしましたが、遂に組合側では、ほかに関門支部においてこれと同じ協約を結ばれておる会社がある以上、この協約を通さなければわれわれとしては結び得ないのだ、だから会社はこれをのめというふうなことで、われわれとしては、どうにも港湾運送事業法についてのみの事業をやつておるわけではありませんゆえに、不都合であるということで、遂に結び得ない状態において推移しておつたのであります。 かかる現実の中に、ちようど十月の末でございますか、全日本海員組合より越年資金と食糧金の改訂に対する団体交渉であつたと心得ておりますが、この団体交渉を会社に要求されまして、海員組合の方に参りまして団体交渉を行います席上、会社には全日本海員組合以外の組合と船員の身分を持つておる者との間に団体交渉を行い、かつほかに組合ができておるというではないかというふうな話があつたのであります。それで海員組合としては、現在自分のところに組合員が相当入りつつあるという現状において、そういうふうなものを持たれることは不都合であると言われますので、会社といたしましては、ここに何名かの従業員が、ある一つの組合というものを結成された場合に、これと交渉を持たないわけには行かないと申しましたところ、組合の方では、しからば会社がわれわれの力において持たなくてもいいような状態に至つた場合には、そのようにするかというふうな申込みがあつたのであります。もちろん私どもといたしましては、従業員諸氏がいかなる組合にお入りになろうと、皆さんの自由でありますし、かつまた会社の従業員の総意においてかくしろという申込みがあつたら、その場合においては、そうする方が適当であろうという御返答を申し上げたのであります。 しかるところ、十一月の十日前後だと心得ておりますが、やはり団体交渉を求められまして、その席上——このときの団体交渉の内容は、その問題と、そしてやはり越年資金の問題であつたと心得ておりますが、その問題のときに、全日本海員組合は、会社の従業員、船員の過半数を持つ組合である。ここにおいて会社は、全日本海員組合と労働協約の改訂を要求する、こういう御意向があつたのであります。もちろんその前にあります労働協約は、昭和二十二年ごろと思いますが、そのころより元山運輸が所有いたしております汽船部門の船員が、全日本海員組合に所属いたしており、その労働協約は日本船主協会の労働協約に準じた労働協約を持つておつたのであります。そうしてその推移は、八月まで一応機帆船及び曳船、はしけ関係は、全日本海員組合あるいは全港湾労働組合あるいはほかの組合のどの組合にも所属しておらない船員であつたのでありますが、全日本海員組合においては、その労働協約の延長である汽船、機帆船、曳船、はしけというものを含めた労働協約の締結を会社に要求して来られたのであります。会社といたしても、その労働協約を見ますところ、全日本海員組合とのみ交渉を持つことであり、かつ全日本海員組合の組合員を会社の従業員として雇用するという契約は、いかにも苛酷であり、それを結ぶことが非常に困難であると考え、非常に渋滞したわけでありますが、その現況におきまして全港湾労働組合は、その所属されております組合員諸氏が、会社がその協約を結ばなければ、会社の看板をはずすとか、あるいは社長を解雇するとか、あるいは会社の部課長の転籍をする、こういうふうなことを言つておられ、かつ、すぐにでもストライキをやられようというふうな状況でありますし、ここにまた全日本海員組合が火の手をあげられてわれわれのところで抗争されます場合、われわれとしてあすの日からの死活に関係するのであります。そこで私どもといたしましては、現在まであります労働協約、これが船員といたしましては慣行となつておりますほど、船員の身分を一応規制しておりますものであり、もちろん日本に在住いたします船員の総数のうち大多数の者が全日本海員組合に入つておられるという現状を知つており、われわれが門前雇用いたしましても、またこれを全日本海員組合にお願いしても、同じような要素においてわれわれの会社に雇入れできるではないかというふうな一つの道を求めまして、組合の一つの大きな力でわれわれに労働協約を求められ、これを推し進められることの脅威を逃げるために、やむなく労働協約の調印をいたしたのであります。 そして、その後におきまして、私どもは全日本海員組合とかかる協約をいたしましたがゆえに、全港湾の労働組合の方にも必然全日本海員組合に加盟していただかなければならない。それをわれわれがしなければならないということを、全日本海員組合との間にその協約をしたがゆえに約束づけられましたために、その協約は十一月の十八日に結んでおります。それから十一月の二十五日に、そのことに対して全船員に、会社はかかる協約を結んだ、それであなた方は全日本海員組合に入つておられない場合にはお入りになることをお勧めする。お入りになるかならないかはあなた方の御意思でありますから、そのことの意思表示をしてくださいということの文書を提出いたしましたところ、全港湾労働組合より、かかることは不当労働行為だというふうな御意見が出まして、そうして全港湾労働組合の方から山口地労委にこの件を御提訴なさいました。 その提訴の内容と申しますものは、その主文におきまして 一 請求する救済の内容 (1)被申立人会社は全日本海員組合(以下全日海と称す)との間にクローズド・シヨツプ制の労働協約を締結した或いはすることを理由として申立人組合(以下組合又は全港湾と称す)に対する団体交渉を拒否することは出来ないとの命令を求める。 (2)被申立人会社は第二組合を擁護育成することにより或いは又其他の方法により申立人組合の結成及運営に対して支配介入の行為をしてはならないとの命令を求める。 (3)被申立人会社は従業員が全港湾の組合員であるか全日本海員組合等他組合の組合員であるかによつて雇入、解雇其他一切の人事、給与等に関し申立人組合の組合員に対し不利益な取扱ひをすることは出来ないとの命令を求める。 (4)被申立人会社は全港湾の組合員である予備船員が多数待機中であるにも拘らず新に全日海に加入することを条件として船員を採用、雇入してはならないとの命令を求める。 (5)被申立人会社は前四項に亘る申立人組合及組合員の不利益になる行為を行わない旨を縦四尺、横六尺以上の木板に墨書し会社正面玄関及商事部玄関と小野田出張所の最も見易き場所一ケ所計三ケ所に一週間以上掲示すること及び申立人に夫々その旨の文書を送付することの命令を求める。 かかる主文において、一応具体的内容が書かれておるのであります。 会社といたしましては、このクローズド・シヨツプ制というものの——全港湾がクローズド・シヨツプと言つておられます制度でありますが、この労働協約を締結したことの理由といたしまして、先ほどより申し上げますようにわれわれは望んでかかる協約を結ぶはずはないのであります。どこまでも会社が組合の力によつて押されることに抗しかねて、私どもとしてはこれを締結いたしたのであります、これに対して私どもといたしましても、クローズド・シヨツプの是非ということを地方のいろいろの人から聞きまして、いいか悪いかということの勉強を、十一月十八日から協定を結んで現在に至るまで、いろいろさせられたのでありますが、しかしながら、私どもといたしましては、この組合を結成します私ども会社の全従業員の大多数の意見である場合には、いかんともしがたいものではなかろうか、こういうふうな結論により、会社としては現在の状態をそのまま続けなければならない状態に置かれておるのであります。そしてそういうふうないきさつのもとに、労働協約に関する件は、一応山口の地方労働委員会にかかりまして、一月の十九日より七回にわたり、四月の十六日だつたと記憶いたしますが、それまで尋問会がありまして、まだその結論が出ておりません。 その間、十一月十八日以前あるいは以降でございますか、全港湾に所属されております船長である谷勝氏、これが会社の業務命令をお聞きにならないということで解雇いたしましたことを、全港湾労働組合の方では強く主張され、それが組合活動に対する不当関与である、こういうふうに述べておられますが、かかる事実はございません。会社といたしましては、船長が船員の身分であるのに、船員の義務を遂行しなかつたことにおいて、かかることになつたのだということで、この問題と、そのあと十二月八日に合計十五名、全日本海員組合所属船員七名、全港湾労働組合所属船員八名を、会社の経営不振の理由によりやむなくやめていただいたのであります。全日本海員労働組合の方では、これに対して各自も御了承になり、またそのように組合の方も御了承になりまして自己退職というかつこうになりましたが、全港湾労働組合の方では、そのことが組合の切りくずしであるということの理由であろうと思いますが、不当であるということで、谷勝氏及びその八名の方に対する身分保障の仮処分の申請をなさいました。そうして十二月の二十日前後でございますが、そのころに一応身分保障の仮処分の決定があつたわけでございます。会社といたしましては、これに対して、会社の業務命令を聞き届けていただけないということと、会社の経営不振の理由によつて、全日本海員組合並びにそれに所属されておる船員の方々においては了承していただいたものを、全港湾であるがゆえに、組合から言われてそれをひつ込めるくらいの簡単な理由で、われわれは解雇をすることを決意したわけではありませんので、一応それに対する異議の申立て申請をいたしました。 しかるところ、かかる問題が一応その争議のテーマになつたのでございましよう、全日本港湾労働組合は十二月十六日よりストライキに入りました。そのストライキに入ることによつて、その所属船員が乗つておられない船舶に至るまで、一応くさりでつないで停船さしておられます。そうして会社としては、この理由があまり判然といたしませんので、組合から団体交渉を言つて来られて、その内容がわかるであろう、かつまた労働協約、クローズド・シヨツプに関しては、今山口地裁にかかつて、その判決を見るまで、私どもといたしましては、全国的な組合である全日本海員組合とわれわれが、好むと好まざるとにかかわらず調印いたしました協約を、そのまま何の理由もなく破棄することもできかねますし、かつ確固たる根拠を持つわけでもありませんので、その山口地裁の裁判の結果を待つて、われわれは法がこれを定めるものによつてやつて行こう、こういうふうな意向をとり、かつ組合の申しておられます会社の不当解雇だということに対しても、山口地裁の裁定があれば、本訴によつて解決がつくものだ、こう思いますので、われわれはすでに譲歩する余地もなし、また組合としてもわれわれに譲歩せよとか、われわれが組合に対して譲歩してくださいと言うこともできませんし、争議というものは困つたものであるということで、十二月末日まで終始したわけであります。 たまたま、そこに山口地方労働委員会の中立委員である方並びに経営者委員、労働者委員の三者が、その争議の調査にいらつしやいまして、越年の争議というものの芳ばしからざることを説かれて、一応会社に争議を解くという意思があるかということを申されますので、私前述いたしました通り、会社といたしましては、組合が経済的理由によつてこうこうだということを言われているわけでもなし、かつ基本問題であるべき労働協約というものが、そういうふうな状態で結ばれないのだ——結ばれないのではなしに、結ぶことができ得ない状態にあるのだということの御説明と、解雇者に対しては、われわれとしては経営上の問題である。それで組合の言つて来られることと——組合にも理由はありましようけれども、一応並行線であるがゆえに裁判所に提訴してあるのだ、この判決がなければ解決の見通しがつかないので、ほとほと困つおるところでありますと申し上げたところ、三者委員の方は組合に参られまして、そして組合はそこでストライキを解除するという状況ができたのであります。そしてそのときに、その三者のお方が立会いでわれわれに、あるいは組合にこうしたらどうかと言われて示されました条件は、一応会社が言う基本問題である労働協約の締結——これは山口地労委が取上げております問題ですが、これも近いうちに解決がつくだろうから、それまで待て。それから解雇者に対しては、すでに会社もそういうふうに言うし、組合もそういうふうに言われるので、裁判所にかかつておるとすれば、その判決を待とうじやないか。しかし、ここに存する日常の問題、これに対する団体交渉を持つてはどうか、こういうふうな御意見であつたのであります。私どもそこでクローズド・シヨツプというものの解決について、一つの組合がクローズド・シヨツプを持つておつても、その組合がクローズド・シヨツプの協約を全体に及ぼすことがないという場合においては、その過渡期において、組合に入つていない方々の代表者とその日常のことに対しては団体交渉を持たなければならないというふうな御意見も聞いております。かつ、その当時全日本海員組合の方からも、持つてはならないのだという強い御発意もございませんので、私どもとしては、全港湾とその団体交渉を持つことを受諾したわけであります。そして地方労働委員会の中立委員であり、労働者委員であり、かつ経営者委員であるという三者がお立会いの上で団体交渉を持つことを受諾したわけであります。そして一月四日に第一回のそれがための団体交渉が、前述のごとき三者委員を交えて行われたのであります。 そのときに、前述の協定があるにかかわらず、組合はこの席で、できうべくんば労働協約も、かつ組合員解雇の問題——これはわれわれ従業員として地方裁判所に出しておるものでございますが、これの撤回もここできめてはどうか、こういうような御意見が出たのであります。私どもといたしましては、片や全日海という大きな勢力を有する労働組合を持ち、片や港湾労働組合という大きなものを持つた場合に、今かかることを受諾いたすことはできない状態にありますので、非常に当惑をいたして、御返答いたしておりません。ところが地方労働委員会の中立委員のお方が、その間どういう御見解でございましたか、委員会の決定あるいは審問会の決定を待たない前に、そういうものを持つてもいいのだ、そういうふうにしてもいいのだ、現にここにあるものは会社と全港湾と二つの団体にほかならないではないかということを申されましたけれども、私どもとしては、会社が両方の組合をかかえております関係上、これを受諾することはでき得ない状態にある。地方労働委員会が、もし万一これに対して独自の立場で協約を締結しろということを全港湾との間に御指示なさいますれば、全日海に対して、その法的根拠であり、かつまたそれを納得させるということの義務を、そういうふうにわれわれにおつしやるお方にしていただけなければ、われわれとしては受諾できないのだということを申し上げましたところ、それで一応中立委員のお方にも、そういうふうな御意見はなくなりましたけれども、その間ありましたストライキに対する問題、中立委員の問題などの騒ぎは、その間の団体交渉において一応済んでおります。 それから一月十九日から先ほど申し上げましたように審問会が始まりまして、その審問の席上、すでに前述いたしました谷船長の解雇問題は、本人の証言において、本人が少くとも船員法違反をやつているということを確言いたしておるのであります。これは地方労働委員会の速記録を御参照になりましたらわかることだと思います。それで、あと残りますわれわれの経営不振の理由においてやめていただきました八名の方の中で、そのやめていただきました各個の御意思において仮処分の裁判及び本訴の裁判の取下げをなさいましたお方が三名ばかりございます。そうしたやさき全日本海員組合より、三月十八日全日本海員組合の組合員が、会社の所属船舶六号富士丸の船上において職場大会を開いて、そのときに決議いたしました決議文並びに抗議文を、会社に三月二十日に突きつけられたのであります。そのときの全日本海員組合の員数は九十名、会社所属船員百十三名であると記憶いたしております。その人名におきまして、本船に参集いたしました人名が三十四名ですか、それからそこで委任いたしております者が四十名、計七十四名ですかの定数が参集いたしまして、決議文を作成し、抗議文を提出した、その決議文の内容は……。
○赤松委員長 松重君、必要なことはまた後から各委員か質問すると思いますので、時間の関係がありますから、できるだけ要約してひとつ事情の説明を願います。
○松重参考人 承知いたしました。 クローズド・シヨツプの労働協約を結んだ、ところが会社は労働協約を履行していないということ、すみやかに完全なる労働協約の実施を要求するという抗議と、それから協約を締結したことにおいて、組合員以外の船員をまだ雇用しておる、これはクローズド・シヨツプの歴然たる違法である、そして協約の不履行だ、こういう行為は労働者が獲得した労働条件を不合理な方法によつて略奪せんとするものであるとともに、団結権を阻害せんとする不当労働行為であるということを申し込まれたのであります。ところで、会社は急遽協議いたしまして、これに対する趨勢も聞いておりましたし、どうにかなつてくれなければならないぞということで、一応全港湾労働組合との団体交渉を持ち得ない状態であるということの了解を求める文書を全港湾労働組合の方に提出したのであります。ところが時期を追加いたしまして、三月十六日、全日本海員労働組合より会社に、いまなお会社は自分の組合員でない船員を雇用しておるではないか、かかる行為は非常に不満である、すみやかにこれの処置をせよ、その間において一応のアラウアンス——日にちを見るから、これの協定をしろということの要求があつたのであります。しかしながらわれわれといたしましては、いかにしても、組合と組合の問題ではなしに、うちにかかえております船員個人の問題であり、それが全日本海員組合に入らないという現状になりました場合には、会社はその人間を会社の意思において処分しなければならない、やめてもらわなければならぬという実情が伴いますし、とつおいつ考えあぐんだのでありますが、三月三十一日、遂に全日本海員組合との間に、四月十五日までの猶予期間をいただいて、協約の履行をいたしましようということで協定に調印いたしたのであります。 そこで、われわれは遅滞なく会社に所属いたします全船員に対し、会社は全日本海員組合と労働協約を結んでおる、その労働協約の条文に従い、かつ付属協定書の協定事項に伴い、四月十五日までに全日本海員組合の組合員でない、あるいは加盟なさらないお方は、やむなく会社としては雇用契約を解除しなければならないような状態になりますということの通告をいたしたわけであります。そしてその通告に対して、山口地裁より四月十二日付で全日本海員組合と締結した労働協約第四条並びに付属協定の——今は主文をよく覚えておりませんが、そういう内容でございます、それのあることを理由に、全港湾労働組合員である二十四名の人員の解雇をしてはならないという仮処分の決定があつたわけであります。そして会社といたしましては、全日本海員組合に対して、かかる仮処分の判決がありましたら、一応四月十五日にクローズド・シヨツプ協約の完全履行をすることに伴う付属協定の履行ができ得ない旨を文書をもつて通告し、かつ、これに関する団体交渉の申込みの動議を出して現在に至つておるのであります。 以上であります。
○赤松委員長 続いて全日本港湾労働組合関門支部書記長奥田参考人の発言を求めます。奥田参考人。
○奧田参考人 全港湾労働組合関門支部書記長の奥田でございます。ただいままで、会社側から大体の経過が述べられたのでございますが、いささか真相と異なつておる点もございますし、一応要点だけを申し上げてみたいと考えます。 まず最初に、会社側が今述べられた点について申し上げる前に、この組織の結成状態につきまして、一点御説明申し上げたいと思うのであります。 昨年の八月の十六日でございました。裏門司の小野田セメントの恒見工場に働いておる元山運輸の労働者の諸君が非常に労働条件が悪い。そこに全港湾の組合員も全日海の組合員も、組織されたたくさんの労働者と一緒に働いておるけれども、それらに比較して賃金などはどうかというと、同じ稼働率でも三割に満たないような状況である、あるいは船員に対する取扱いが非常になつていない、労働条件がでたらめである、そういうことを訴えられまして、何とかわれわれを組織さしていただきたいということの申入れがあつたわけでございます。そこで、私どもといたしましては、両港湾関門支部では、他地区では機帆船その他も組織しておりますけれども、関門支部におきましてははしけだけにとどめており、曳船の方は全日海の方で組織なさつておる。これは前に全港湾に加入いたしておりましたけれども、現在では全日海に加入しておられる。そういつた面で何らの摩擦もなくやつて来ておる状態であるから、ひとつぜひこれは全日海にお願いする方が適当であろう、私どもこのように考えましたので、内々に全日海の曳船部の村上さんという方に御足労を願つてお話申し上げた。ところがこれは非公式な話ではございますが、村上さんの御見解によりますと、その後いろいろ検討されましたけれども、元山運輸という会社は、組織に対する切りくずしの実績もあり、やりにくいところであるから、この際は全港湾でやつていただいた方がぐあいがいいようだ、こういう検討の結果であるらしい御報告がございましたので、それではやむを得ないということで、私どもお引受けしてやろう、こういうことになつたわけであります。 そこで、元山運輸の組織にかかりましたのが、先ほど申し上げました八月の中旬でございますが、そのころに元山運輸の船員が約百名程度おつた中の組織の状態はどうであつたかと申しますと、先ほど会社側からも言われましたが、住吉丸、八億丸という船が、船舶運営会解散の際、新日本汽船から買船せられまして、それに乗つておられた船員の方が全日海に加入しておられた。そこで元山運輸に引継がれて、そこに全日海の組合員の方がおられたわけでございます。そのほかに、いろいろ組織結成の動きがあつたけれども、会社は新しく労働組合をつくらせないというようなことがあつて、結成が妨害されたので、なかなかできなかつたという状況でございます。 それで私どもは八月中旬から組織にかかりまして、当初小野田地区だけで大体二十二名を組織いたしまして、十月中には宇部地区もほとんど組織いたしました。百名のうち、全日海の組合員であつた約三十名、予備員を入れますと三十三名程度になるかもしれませんが、その方々を除く七十名のうち五十六名——十月末の一番多いときには六十二名になつたこともございますが、非常にあいまいな方もあつて、それらを全部整理いたしまして、五十六名で組織したわけでございます。そこで会社に対して、先ほど会社側から申されたような団体交渉の申入れを、二十二名程度組織しておつたときにやりまして、交渉の申入れに参りましたところが、会社側はなかなか応ぜられない。名薄提出云々というお話がございましたけれども、こういうことは地労委でもいろいろご審査になつておりますが、とにかく何ら正当な根拠なくして団体交渉を拒否された。そして、申入れの文書を受けたということは聞いたけれども、おれは見ておらないから知らぬ、その他、おれのところの従業員がどこの団体に入ろうと、共産党に入ろうと、全金属に入ろうと、自由党に入ろうと、何に入ろうと知らぬ、おれは団体交渉はしないのだという御発言もあつて、そういうことはいけないのだというのでいろいろ申し上げたが、なかなか聞かない。そこで宇部の地区連が仲介に入りまして、そういうことはいけないのだということで、いろいろ御説得をしていただきまして、その結果、それじや団体交渉を持とうということで、持つております。 先ほど名簿提出云々という御意見がございましたけれども、その名簿提出というのは、ただいまの松重参考人が地労委の審問過程の御発言の中で言われましたが、それまでに団体交渉はすでに持つておる、そういうことは何ら理由にならないし、事実はそういうことに何ら関係がなかつたわけでありまして、それまでに二回団体交渉を持つております。 それから、そういうふうにして、会社の答弁書にも明らかに書いてありますけれども、団体交渉を持つて行つておりましたが、組合の結成をかぎつけると、あらゆる妨害、弾圧をおやりになつた。そして分会長や副分会長に対するいろいろな圧迫がございました。そういう点は、今詳細に申し上げることは省きますが、そういうような情勢でございまして、なかなか話は進みませんでした。会社側では、労働協約を締結するということは、組合が港湾の案についていろいろ検討する前に、労働協約を締結してその後、その協約の内容となる賃金の状態や、そのほかの労働条件を先にきめて協約の話に入りたいから、賃金の問題を先議してくれという話がございまして、私どもは協約の話をする前に、まず賃金の話をしたわけでございます。そして先ほど会社側から読み上げられました協約の案と賃金の案と二つを会社に提出いたしまして、賃金の方から先にやつて参つたのでございます。紆余曲折はございましたけれども、十月十日に、松重部長との間に一応見解の一致を見、妥結いたしております。 会社が、先ほど船員法云々ということを言われましたけれども、そのときに私どもは、そういう主張はもつともの点もあるというので、会社の御意向をある程度承認いたしました。労働基準法とある点を船員法にしてくれと言われるし、港湾運送事業法とある点を木船運送法も挿入してくれと言われるし、福利厚生施設についての別途積立金は省いてくれと言われるので、それも会社の実情でやむを得ないと思い削除したり、いろいろと譲歩し、あるいは当然そうあるべきものはそういうふうにいたしました。そのときに会社側は、船員法の詳細を協約に載せてくれと言われましたが、会社側の案は単に船員洪の内容の解説をそのまま書かれたような案であつたので、そういうものはいらないのじやないか、要するに船員法に基いてやるということでいいのじやないかということで、一応妥結を見たわけであります。 そういたしておりましたところが、調印は社長が不在でできないということでありましたので、私どもは待つておりました。ところが聞くところによりますと、社長がお帰りになつて、会社の内部抗争もあつて、松重部長が全然どなたにも御相談なさらずにやつたことで、反対が多かつたということも聞きました。あるいはその他いろいろのじやまが入つたということも承つておりますが、そういうことでこの調印がうやむやのうちに実施せられなくなりました。そして全港湾の予備員を首を切れ、あるいは社長の悪口を言つたやつがおるから、そういう者を整理して来いというような状態でございました。そうしたらひとつ協約の話に乗つてやろうというようなことを社長がおつしやいました。 最初に社長にお目にかかつたのは、たしか十一月九日と記憶しておりますが、そのころには、いろいろな条件もございましたが、そういうことをおつしやつておるし、なお自分のところの従業員を、おれが首を切つて何が悪いのだというのが会社の一貫した主張でございます。そこでそういうことはいけないのだ——先ほど人事権云々というお話がございまましたが、要するに人事権の濫用はいけない、大根の首を切るようにあまりむちやくちやに、きようは解雇だ、あすは撤回だというように、ろくろく調査もすることなく首を切ることはやめて、そういうことはひとつゆつくり御調査の上でやつていただきたいということを申し上げましたけれども、会社は、とにかく自分のところの従業員を首にするのは文句ないのだと切つてしまつた。そして組合が悪いと思えば、それぞれあとで適当な機関に持ち出して当不当を争えばいいじやないかという御見解でございました。そこで私どもは、それはやはり人事権の濫用であつて、別に大したこともないのに、何と申しますか、どうもおかしいなと思つても、ろくろく調査もせずに首を切つておいて、あとで調べるかつこうになるということを、いろいろと御説明申し上げたのですけれども、これは元山運輸の三十年来の伝統であるというようなことで、なかなかお聞き入れにならなかつたわけであります。 そういたしておりますうちに、十一月九日と記憶しておりますが、分会長及び分会長のお父さんが乗つておりました宝安丸という船の船長である人に対して、船員法違反だとかなんだとかいうことで、慎重な手続もろくろくとらずに首切りがあつた。そこで抗議いたしましたが、お聞き入れがない。そして小野田の現地に社長以下ここにおられる松重参考人その他の方々が行かれて下船を要求されたので、解雇理由の明示を迫つた。ところか今度は小野田地区署の刑事の方を二、三人ひつぱつて来て、刑事課長でございますが、そういつた方々から——会社がどういうことを申されたのか知りませんが、強制執行をするのだ、おりろというよううなことでございました。私はただちにその方々にお電話を申し上げて、これは労働争議である、暴行事件その他何ら起つていないのに警官の方が介入される場合ではないのだ、事情を説明申し上げたいからおいでを願いたいということで、組合事務所に来訪を求めて、こういう事情で今は労働争議であるから、ひとつ慎重にお願いしたいということを、るる御説明申し上げました。ところが小野田地区署の坂本刑事は、よくわかつた、会社側が何か刑法上の問題があるようなことを言われるので誤解しておつたのだ、あしからず、というようなことで、了解してお帰りになつたようなケースもございました。 そこで、やむなく私どもは、その日の正午に闘争宣言を発しまして、社長に抗議をいたしたわけであります。そういたしましたところが、社長は非常に因つたようなぐあいでございました。これから先どうしたらよいかわからぬがというようなことでございましたときに、宇部の地区連の三役の方のごあつせんがございました。そして一応白紙に返して、また労働協約の交渉を続けて行くのだということになつたわけでございます。そのときの三つの条件は、一切を白紙に返すのだ、それから労働協約の交渉をあらためてまたやり直すのだ、それから、さきに十月十一日、十二日にとりきめた賃金については十月分から実施するのだ、こういう三条件で一応第二回目の平和解決があつたわけであります。そういたしまして、前のときもそうでございますが、そのときも会社の幹部の方々と、今後は何とか円満に企業及び組合相互の発展のために努力して行きいたものだ、こういうことで、前途を税し合つて祝杯をあげたり、あるいはお互いに今後の友好関係をお願いいたしまして、そういう和気あいあいたる第二回目の妥結がありました。 そういたしておりますうちに、十一月十四日から十七日までに断続的に労働協約の話を進めて行つておりましたところが、十七日の正午になりまして、なおよく検討するから、しばらくの問待つてくれというようなお話があつたわけであります。それでは私どもの方では困るのだと言つておりましたところが、あとで聞きますと、十八日の日に全日海とクローズド・シヨプの労働協約を結ばれております。十七日の正午に会社側から、もうしばらく待つてくれ、交渉を延期してくれ、こういう申出がありましたが、前に二回も背信行為がある、小さなことでは、二回でなく何べんもある、そういつた状態であるから、会社がこの際あまり延期延期といつて引延ばされることはどうも信用しかねるので、私はすぐ交渉を続けてくれといつて、いろいろ申し上げたけれども、聞き入れられなかつた。そしてあとで聞きましたら、翌日の十八日には全日海とクローズド・シヨツプを結んでおられる。しかも私どもが十四日から十七日まで団体交渉を続けておりますときに、会社側の幹部は、全部の船員に対して全日本海員組合に加入せよ、全港湾を脱退して全日海に入つた方がいいのだ、こういうふうな勧誘をおやりになつておるということ、これらのことは地労委の証言その他の中ではつきり出ております。そういう状態であつたわけでございます。 今参考人から承りますと、その当時すでに全日海と労働協約の交渉が相当進んでおつて、そしてそういう御見解を持つておられたもの、こういうふうに解釈いたしますけれども、そういう状態で、十一月の二十三日ごろになりますと、全日海とクローズド・シヨツプの労働協約を結んだから、お前のところは団体交渉はできないのだというようなことを申されました。私の方は、当時越年資金の要求をいたしておりましたので、そういうことは非常に困る。なお谷船長に対しても、会社が船員法違反だとかなんだとかいうことは当時全然言つておらないのであります。単に船に子供を乗せたとか奥さんを乗せた、これは松重部長も許可を与えておつて、あとで許可を与えてなかつたと前言を翻している。その詳細につきましては、私もし御質問がありましたらば、会社側の証人の証言と、会社側の提出いたしております答弁書の食い違いその他によつて、完全に立証する自信がございます。 そういつた状況で、とにかく切りくずしに失敗すると腹いせに首切りをやるという状況が出て参りました。そして遂には全日海とクローズド・シヨツプを結んだから団体交渉はできないというところまで参りましたので、私どもは再三会社に対して、そういうことを言わずに交渉を持つてくれということを申しましたけれども、お聞き入れがない。そして十一月の三十日ごろでございましたか、山口地労委の事務局の方から実情調査においでになつた。そのときに、聞くところによりますと、先ほど参考人が申されたような団体交渉に対する考え方について、地労委の事務局員から、詳しいことはよくわからぬが、何でもとかく話合いで平和解決をして行くことがいいことじやないでしようかというような御説明があつたということを聞きました。そういつたことで、それでは交渉を再開する意思があるというような会社の方の御意思もあつて、十一月三十日に、一時十一月二十三日ごろから拒否せられておりました団体交渉を再開したわけでございます。ところが、あすはひとつ平和解決で越年資金の話も円満に片づけるのだといつて、十時から団体交渉を約束しておりましたところ、その直前三十分のときに、会社の一職員が、先ほど申しました谷船長に対しての首切り通告を持つて来たわけであります。平和解決のために団体交渉をやると言つておきながら、その団体交渉の三十分前になつたら、組合に一片の通告もなく、事前に一片の事情の説明もなくしてさた解雇通告を出すということは、ほんとうに平和解決の意思があるのかどうかということを、私どもは疑わざるを一得なかつたのであります。
○赤松委員長 ちよつと奥田参考人に御協力をお願いしたいのですが、十二時半で一旦休憩に入りたいと思つておりますので、ひとつ簡潔にお願いいたします、 なお各参考人、資料がございましたら、ひとつ資料の御配付をお願いしまして、その資料によつて詳しく知のたいと思います。
○奧田参考人 そういう事情で、その目はとにかく解雇問題を詮議いたしまして、一応その解雇を撤回させ、そして越年資金の団体交渉を続けて参りました。そして十二月十六日に至りまして、越年資金の団体交渉はまとまつたのでございます。それから十一月三十日に撤回いたしました首切りは、その翌日再度話がひつくり返されております。そういつた状況でございまして、最後にその不当を責め、会社の反省を求めましたけれども、どうしてもお聞き入れがないので、遂に十二月十六日から争議状態に入つたわけでございます。そうしておりましたところが、先ほど松重参考人から申されまたように、山口地労委のごあつせんがあり、そして一応十二月三十一日に平和解決をするのだという協定書が締結されたわけでございます。協定書につきましては、松重参考人が言われた解釈と大分趣つております。それで一切新たなる争議を醸成するような行為はしない、それから信義誠実の原則をほんとうに守るのだ、それからこの協定にきめたことについて、解釈に疑義があるときは、立会人の解釈に従うのだ、すなわち地労委の三者構成のその御意見に従うのだということを三者が約束いたしまして、団体交渉が続けられて行つたわけであります。ところが、一月に入つてからでございますが、第一回が六日、第二回が十五日と続けて参りましたそのうちに、またかんじんのところに来ると社長が逃げておらない、行方が不明だというような状況で、団体交渉が持てない。そのうちにそれに呼応するかのごとく、これは会社側の意を受けたとわれわれには思われる者の切りくずし工作が始まるというような再三の不信行為が会社にございましたので、私どもはその約定に基いて遺憾の意を表明いたしました。そしてたしか一月の二十日ころになりますと、松重部長みずから、何かそういう方々と料亭その他でいろいろな交渉があり、どうも切りくずし工作が激化して来たように見受けられるので、その一、二の目撃した事項等をつかまえて厳重に抗議をいたしました。そうしておりますうちに不幸にして遂に五十六名のうちの約三十名ばかりが切りくずされて、脱退するという事態が起つたわけでございます。 そこで、私どもは地労委に参りまして、一応紳士的に種々やつて参りましたが、会社側においては誠意がないということを訴えたわけでございます。ところがそのときの地労委総会におきましては、私、会長が傍聴せよというので傍聴して参りましたが、三者委員とも、その総会におきましては意見がまつたく一致いたしておりまして、そうして何とかひとつ会社に対して勧告をしなければいかぬ、それで文書でやるということが公益委員と労働者側委員の方の御主張であり、口頭でいいというのが経営者側委員の方の御主張であつたように記憶いたしております。そういう状況で交渉の勧告があり、また再度団体交渉が行われたわけでございますが、そういつたところからいろいろと会社との間に確認事項もございます。二月十日、二月十匹日の二度にわたりまして、いろいろ、先ほど松重参考人が言われたようなことではなく、基本的問題も全部、これはお互いに協定ができたわけでございます。そこでいよいよ労働協約締結の仲だけだというところまでほぼ到達したところが、先ほど松重参考人の言われましたような状況で、新事能の発生であるということを理由に、団体交渉は拒否せられたわけでございます。そこで地労委といたしましては、非常に遺憾である、そういうことは何とか考え直すべきではないかというようなことを言われましたけれども、何分にも会社の方でお聞き入れがないのでやむを得ない。そこで組合はこれに対してどうするか、こういう回答を求められましたので、私どもは、何とかここまで来たの、だから、話合いはつけたいけれども、会社の方がどうしても団交をおやりにならぬというならやむを得ないということで、いたし方ございませんということを確認したわけでございます。その後、地労委からは、会社がしごくあいまいな理由をもつて団体交渉を拒否したことははなはだ遺憾であるということを、双方に対しましてあつせんの打切りの事情として、山口地方労働委員会実情調査委員長の名前でもつて正式書面で通告があつたようでございます。そのときに、組合側に対しては非常に申訳がない、われわれはいわゆる常識的に、信義誠実とは、一旦約束したことはやはり責任を感じて行うことだと思つたのだが、この会社の御見解はそういうことではないらしいので、労働委員会としてはいかんともいたし方ない、組合に対しては申訳ないけれども、ひとつ御了解を願いたい。なお爾後は不当労働行為の審問その他の中で明確にしなければいけないだろう、こういうことでございましたので、私どももその後あつせんの打切りについては、何も地労委に対しては申し上げていないわけでございます。 そういつた状況で進んで参りますうちに、全日海に脱落しておりました方方がいろいろな事情、すなわち賃金の遅配がはなはだしいにかかわらず、会社が全然聞いてくれないとか、いろいろな事情もございまして、それらの不満があつて、また全港湾に八名復帰して来たわけでございます。それに刺激されましたか、三月三十一日付をもちまして別紙、先ほど会社側から言われましたような通告が個人あてに発せられたわけでございまして、この第二条を読んでみますと、会社は全日海と協約を締結したので、四月十五日以降全日海組合員でない者は会社の船員及び予備船員として雇用しない。すなわち、今全港湾に入つておる人はすぐ首を切るのだ、こういうような文章になつております。ところが、私どもその後調査いたしましたところでは、これは会社も認めておりますが、この協定書の第二条というものは、そうではなく、今全日海に加入しておる人が脱退したとき、それから今後新しく採用される人は、クローズド・シヨツプの規定によつて全日海に加入しなければならないということを規定しておりますけれども、今おる人はすぐ首切れとは全然書いていないわけでございます。私どもこの点に非常に疑義を持ちまして、会社へ参りました。ところが会社としては、全日海から言われたので、そういうことをやつたのだが、なるほどこの文章を読んでみると全日海の方は言つておらない。松重参考人が当時おつしやつたことは、日本語の解釈は、非常にこういう点に不便があると思う、何か非常に錯誤を来しておるので、これは訂正をいたしたいというようなこと生育つておられるわけでございます。そこで私どもの方から中闘が参りまして、社長に会見いたしまして——これはたしか四月の十二日と記憶いたしておりますが、社長と会見いたしまして、ひとつ話合いで何とか解決する意図にないか、そういうむちやなことを言わないで、何とかひとつ解決する意図はないかと言いましたところが、社長は、その意図があるということでございました。それで、最初はないとおつしやつていたのですが、重ねて組合から申しましたところが、それでは団体交渉をやるように、私が直接やるわけには行かぬから担当者に命令しましようということでございますので、その翌々日参りまして、そうして今度は担当者である百衣常務及びここに出席になつておる松重部長に会見いたしまして、その点をお伺いいたしましたところが、そういつた団体交渉によつて平和解決をするなんという意図は全然ないのだ、今のところはそういうことはできない、こういう御回答でございましたので、それで私どもといたしましては、その後何も交渉を持つておりません。 それから、先ほど松重参考人の方から申されました予備船員の解雇につきまして、会社は経営上の不振だと言つておられますけれども、決して経営上の不振ということではないのでありまして、これは明らかに全港湾圧殺のための解雇をいろいろやつておられます。 〔委員長退席、井堀委員長代理着席〕そうして、とにかく全港湾を脱退して全日海に加入すれば採用するのだという方針で、そのことによりまして、地位の保全をしたい者は訴訟を取下げ、会社の意向に沿うと新規採用されるという事実がございます。 それから十一月十八日に全日海と労働協約を締結する前に、会社は十一月の一日から十四日の間に、一方では全港湾の組合員に対して、経営不振であるから予備船員は解雇をすると言つておるのであります。このことは、いろいろな書証にも現われておりますが、これは会社の答弁書の中にも書いてあります。そういう状況でありながら、全日海加入を条件として新しく十四名——これは組合側の調査でございます。会社の答弁書では十二名、そういう船員を新規採用しております。これが全日海加入を条件とする採用であつたことは、荒牧船長という、その意を受けて募集に当つた者が、地労委の審問の席におきまして証言をいたしております。そういう状況にございまして、私どもの考えでは、むしろ会社が積極的に、進んでこの労働協約を締結するために過半数をつくるべく絶大な努力を払われたのではないかという見解を持たざるを得ないのであります。 それから、三月三十一日に協約による解雇の通告をいたしますと同時に、全港湾に残つているおもだつた一人一人に対して、過去においてこういうことがあつたとかなかつたとかいうことをいろいろ追求いたしまして、あるいはそのときに起つたささいな事故を追究いたしまして、全日海の方々とのみ開いた懲罰委員会の決定であるとして、懲罰解雇あるいは減俸、戒告を同時期において行つておられます。 こういうふうに、地労委の審問が続けられております最中に、どんどん新しい全港湾に対する圧迫と申しますか種々の強圧が加えられ、不利益な人事が強化せられて参つております。とにかく全港湾を脱退し、全日海に加入した人は、その必要がないにもかかわらす採用していることは、川端保雄という予備船員——これはまた全港湾に復帰しておりますが、その人に対して、あなたは早く船に乗せたいけれども、今ちようど適当な船がない、それで当分待つてもらわなければしようがないという公文書でもつて手紙を出しております。会社側は、そのとき人員が必要であつたから採用したと言つておられますけれども、船腹増強の実も何にもなしに予備船員まで採用されておりますし、しかも先ほどの手紙にもはりきりありますように、会社としては、あなたを乗せてあげられる船がなくて困つているという人まで、全港湾を脱退して全日海に加入すると採用しているという状況でございます。こういつた事実がたくさん現われておりますので、このことは一々具体的に御説明申し上げませんが、以上で概要を終りたいと思います。
○井堀委員長代理 和田参考人。
○和田参考人 ただいま元山運輸の会社、それから全港湾の方から御意見がございました。これに対して海員組合の立場については、現地の門司支部長から、その経緯について後ほど説明があると思います。大分事実と相違点があるようでございますが、私は海員組合の本部にいる者といたしまして、一般的な立場で簡単に意見を述べてみたいと思います。 問題は、先ほど来いろいろ申し立てられておりますけれども、本質を二つにわけなければならぬと思うのであります。一つは、全港湾の労働組合に所属しておりました組合員と会社の間に不当な行為があつたかなかつたかという問題でございまして、これは海員組合として関知しないところでございます。どういう事件があつたか、またその団体交渉の内容等については、知るところがないわけであります。もう一つの問題は、海員組合と元山運輸との間に締結されました労働協約がクローズド・シヨツプであつたということに基いて起つて来ているなわ張り争い的な問題があるわけであります。内容をわけると、二つになるわけでございますが、全日本港湾労働組合の方では、どうやらこれを混同されているきらいがあると思いますし、会社自体は、その間の混同がもつとはなはだしいと私どもは考えるわけであります。労働組合法かできて、その後改正になつて二十七年八月から施行になつているわけでございますが、第七条第一号の但書は御承知の通りでございます。これは特定の組合に入ること、あるいは入らないこと、そういうようなことを条件にしたり、またそのことによつて不利益な扱いをしてはならないという規定になつておりますが、それだけでやりつぱなしますと、クローズド・シヨツプ、ユニオン・シヨツプの締結をまつたく不可能にする。そこで第七条第一号の但書が設けられているわけでございます。その場合に、過半数の従業員を代表する組合は、その組合の組合員のみを採用するという条件の労働協約を締結することを妨げないということになつているわけでありますが、過半数の従業員を代差するという立場を考えた場合に、大体三つあると思えます。それは二つの組合が過半数の組合員を持つている場合、もう一つの場合は二つ以上の組合がありまして、そのうちの一つの組合が他の組合から委任を受けて過半数の従業員を持つているという場合、もう一つの場合は、その組合自体は、まだすでに過半数の組合員を持つていないが、組合員になつていない従業員からはつきりした委任を受けて過半数の従業員を代表する立場に立つという、三つの場合があると思うのであります。海員組合が締結いたしましたのは、海員組合の組合員ははつきりと加入申込書を出しまして、本都の登録において、登録原簿に登録をいたして組合員手帳を発行することになつておりまして、元山運輸と労働協約を締結したときには、はつきり過半数の組合員を持つていることが本部の登録原薄でも確認をされているわけでありまして、先ほど申し上げました三つの場合の第一の場合として、適法にクローズド・シヨップを結んだものであるというように私どもは考えているわけであります。この海員組合と元山運輸で結ばれた労働協約が、たまたまもう一つの別の組合として全日本港湾労働組合に所属する組合員がおつた。それに効力を及ぼさないということになりますと、労働組合法の第七条第一号但書の規定そのものが無意味になつて来るというような非常に重大な問題も提起されて来るように考えます。山口地裁で仮処分の決定があつたそうであります。しかし、この仮処分に対しての申立ての内容、あるいは判決の内容については、私どもまだしさいに検討いたしておりません。しかし地裁における仮処分の決定の際に、協約の一方の当事者である海員組合関係から、何人も参考人にも呼ばれなければ、調査もなかつた、書類審査で行われたと思うのですが、私どもは四月十三日ですか、地裁で行われた仮処分の決定は、現行の労働組合法の規定そのものからいつても、非常に重要な問題が残つていると考えております。この場合、海員組合に対して全日本港湾労働組合から提起されている問題は、先ほど申し上げましたなわ張り争い的な問題になるわけでありますが、この場合に海員組合は、全日本港湾労働組合の従業員を全部首切れということを言つているのではないので、クローズド・シヨツプの締結をいたしたわけでありますから、海員組合の組合員に全日本港湾労働組合の組合であつた一部の人たちが入りさえすれば、この問題は全然問題が残らない、きれいに解決をするという性質のものになるわけでございまして、これは組合と組合の間で話合いをすればいいわけであつて、会社と直接に問題をこんがらかして紛争を巻き起すという性質のものではないという考えを持つているのでございます。そういう性質でありますから、私どもは直接港湾労働組合に対抗してどうこうするという立場を、今までとつて来ておりませんし、別にそのことに対してとやかく言つていないのであります。問題は会社との間に適法に締結した労働協約を完全に履行すべきであるという立場が、海員組合としての基本的な立場であつたわけであります。しかしながらやはり締結した協約の効力を保とうといたしますならば、こちらの方の組合に入つてもらう。もし組合に入られないならば、その協約の効力を確保するためにも、当然その組合員でない者は従業員として雇用しないという立場から、解雇処分のようなことになるのもやむを得ない。私は、このことは現行の労働法の体系からいつて、決して不当な解雇ではない。そういう但書が第七条第一号に設けられた趣旨もその点にあるということは、かつての労働法令審議委員会における改正の経過においても明らかな事実であるのであります。そういう立場で私どもは参つておりますので、この労働委員会でお取上げになつて、この問題を解決されようと言われるわけでありますが、組合と組合との関係の問題、あるいは会社と従業員組合との間に起つた不当行為の問題というものを混同なさらないようにして、そうして最も妥当な方向を見出していただきたいということを申し添えまして私の意見を終ります。
○兼田参考人 三十分ということでございましたが、ちよつと誤解を受けてはなりませんので申し上げますが、この紛争につきまして、私ども中央本部は、海員組合中央本部と全港湾中央本部とが、何もものを言わずに今まで默つておつたわけではございません。これが私ども平和的に解決をつけようと思えばこそいろいろな話合いをしておるのでありまして、和田さんの今おつしやつたお話は、労働協約が適法にちやんと結ばれたとおつしやつたが、その通りに結ばれて、そういう議論の過程においてなされる議論でありましようから、それはその通りでよいでしようけれども、私どもが問題にしたいのはそういう協約がどんな状況の中で結ばれたか、最初の出発はどんなものだつたのか、ここをよく調べてみないと、適法であつたのやら、なかつたのやらわからないのでありまして、私どもはここに問題の重点があると思つております。ここらさえちやんとすれば、和田さんがおつしやる通りに、日本の労働運動は進んで行つてよいと思うのです。そこで私どもは陰山組合長と私と三月の二十七日に運輸省の五階でこのことに関して会見をいたしております。当日は結局両方の組合の立場だけを述べ合つたけれども、とても解決に行かないということで今度また会いましようということを全造船の鳥居委員長を中に入れまして会見をしております。ですから、今度また会おうということですから、話は継続中であつたのでございます。しかるに三月三十一日に付属協定書を会社と結んだと称せられる。従つて会社はその三月三十一日に結んだという付属協定書に基いて、先ほど奥田書記長から説明を申し上げました首を切るぞという通告書を出して来たわけであります。私どもはそのことについて、またぞろこの四月十五日は首を切られる最後の目であるのだから、この四月十五日に海員組合の本部に私と私のところの書記長と訪れまして、陰山組合長、和田組織部長、中山教宣部長と会談をいたしました。その際の会合をする事前の電話での打合せにおきましても、陰山組合長は、あのときの話は継続中であつたのだということで、現地でああいうことをしたのだから、中央から命令をしたわけではないのだから、このことについては兼田君あまり追究しないでくれというお話がございました。ところが、会社側が地労委に出しました答弁書というものの中には、明確に地方本部から三月十六日に東京本部よりの指令としては付属協定書の調印を求められたというふうに、会社自体が地労委に対する答弁書の中で述べております。私どもはこのような一連の事実を見て、ともかくおつしやる言葉の通りにひとつ信用をして事を運んで行きたい、かねがねそういう態度でおりましたけれども、いささか疑い心を起さざるを得ないような状況に立ち至つておるということを特に申し上げて、御参考にしていただきたいと思うのでございます。 なお、最後に一点だけ。松重参考人は、先ほど説明の目頭に全港湾が出したという協定の全文を読まれました。その直後において、私どもの業態は港湾業とはいささか業態を異にするのだというお話がございました。これはいささか重大なことだと思います。御存じのように、海の仕事をする者は海上運送法と木船運送事業法と港湾運送事業法とそういうものがちやんと三つも並立しております。港湾運送をやられる方は運輸省の港湾運送事業に関するいろいろな許可の基準に基いて許可されておるわけでして、業態が違うのであれば許可されるわけはないのです。許可をされて商売を営んでおられるのですから、私どもが港湾運送業を営んでおる企業の中で働いておる労働者をもつて組織の対象としておることに、いささかの誤りもないと私どもは思つているのですが、もし松重参考人のおつしやつたような港湾運送業とは業態が少し異なるということがほんとうでございますれば、私どもは運輸省に対しても、これは大いに研究をしてもらつて、よくその点はきわめてもらわねばならぬと思う問題が一つ出て来たと思うのです。 以上、非常にぐるぐる話がかわつておつて、お聞きとりの方々も非常に苦しいことでございましようけれども、大阪の一角にもこれと同じ事件が起つております。二百四、五十名の従業員のところで三百二十名ばかりが組織しているところへ、あとで二、三十人ばかりの組合ができたのだといつて一日か二日かでクローズド・シヨツプを結んだといつて、あとの者が首を切られようとしております。大阪地労委に出ております。もしこういうことが行われて行くならば——私は海員組合がそういうことをしたとは申しませんが、会社はそれらの組合と話をして、ぶくぶく会社をふくらますことをやつておりますけれども、そういうことが行われておりますところに、クローズド・シヨップ云々の和田さんの議論は、この根本のところをちやんとしておいてから発展させるべきであつて、これをあやふやにしておいて、そのことこそが労働者の多年の念願であるクローズド・シヨップであるのだ、だからクローズド・シヨップをつぶすのはよくないというのは、その点少し飛躍があると思います。
○和田参考人 十五日の日に兼田委員長が海員組合の事務所に来られたのは事実ですか、そのとき私は、今申し上げたことと同じことを兼田さんにも言つたはずであります。なおその際に、うちの陰山組合長が現地でかつてにやつたんだから悪く思つてくれるなということは、言つておりません。私どもの組合では、現地の支部長がかつてにやるというようなことは許されないことでありまして、規約にもありますように、協約の締結権は規約に明示いたしておりますが、組合長が持つております。さらに組合長は支部長とか、あるいは部長であるとかいうような代理権を持つておる者に対して、協約の締結権を委任をして、代理者として締結をすることができるようにもなつておるわけでありますから、支部長といえども、組合長の代理として締結された文書については、海員組合は責任を持ちます。さらにその締結された協約について、まつたく組合の機関の決定に反しまして、支部長が独断でやつたというものについては、対外的にはもちろん責任はなければなりませんが、組合の内部では、その支部長の責任としてこれが追究をされることになるわけであります。三月三十一日に締結をされた組合の付属協定の内容は、配付されておる資料によつてごらんをいただけばわかると思いますが、さかんに現地の方で、海員組合の組合員でない者は首を切れというようなことが宣伝をされておりますが、クローズド・シヨツプを結ぶ本来の意義というものは、非組合員の者を積極的に排除してそれが結ばれた、その結ばれた当時においては、全部を対象とするという趣旨ではない、その点が最初の労働協約においては明らかになつておらない。そこでいろいろ問題もあろうということで、第一条において船員及び予備員のうち、組合員でない者については、その全員を無条件で海員組合に受入れるということを前提といたしまして、その協定を発効さしておきたいという趣旨から結ばれておる協約の内容でございます。そういう点でございますので、この点につきましては、私どもとしては別段の疑義はない、こういうふうに考えておるわけでございます。 なお適法に結ばれたかどうかという点について、それが問題であるということが兼田さんから言われましたが、まさしくお説の通りでありまして、御用組合等が結んだ場合には、そんなものは全然意義がありません。そんなものが適法に結ばれたかどうかということについて、まだ現地の支部長が時間の関係上述べておりませんが、その協約締結に至るまでの経緯、組合員が海員組合に加入して来た継緯、その点については、午後に開かれます委員会の席上で詳細に組合の当の責任者石山支部長から述べられるはずでございますので、私といたしましては、それ以上は言及をいたさないことにいたしたいと思います。
○井堀委員長 それでは二時三十分まで休憩をいたします。 午後零時四十分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかつた〕